(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】シリコーンゴムベース組成物を作製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C08J 3/20 20060101AFI20231221BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20231221BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20231221BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C08J3/20 A CFH
C08L83/07
C08K3/36
C08K9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527068
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021058886
(87)【国際公開番号】W WO2022103908
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】フローシュレ、カリン
(72)【発明者】
【氏名】ナッテロート、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】フロイデンベルガー、ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ペイツ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ロメイン、ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ジーブマン、リューディガー
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA60
4F070AB24
4F070AC12
4F070AC23
4F070AC53
4F070AE01
4F070AE08
4F070AE16
4F070FA03
4F070FB04
4F070FB07
4F070FC06
4J002CP121
4J002DE027
4J002DJ016
4J002FB096
4J002FD016
4J002GT00
(57)【要約】
原位置シリカ処理及び二軸スクリュー押出機技術を使用するシリコーンゴムベース組成物の連続調製のためのプロセスであって、(a)疎水化処理剤(C)、少なくとも2つのアルケニル基及び/又はアルキニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、並びに任意選択的に水を第1のスタティックミキサに導入し、次いでそれを第1の二軸スクリュー押出機に導入することと、(b)補強性シリカ充填剤を20~80℃の温度で添加し、存在するガスを逃がすように、補強性シリカ充填剤(B)入口ポートの上流及び/又は下流に大気への少なくとも1つの通気孔を提供することと、(c)押出機において混合することと、(d)滞留ゾーンにおいて更に混合することと、(e)少なくとも100℃の温度で真空ストリッピングすることと、(f)成分(C)を、工程(c)と(d)との間かつ/又は工程(d)中のいずれかで二軸スクリュー押出機に導入して、シリカを希釈し更に疎水化処理することと、を含む、プロセス。また、それから生産された、得られた組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法であって、シリコーンゴムベース組成物が、
(i)アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)と、
(ii)疎水化処理された補強性シリカ充填剤(B)と、を含み、
(a)少なくとも1つの疎水化処理剤(C)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサン(A)、並びに任意選択的に水(D)を第1のスタティックミキサ(25)に導入して、工程(a)混合物を形成し、次いで前記工程(a)混合物を第1の二軸スクリュー押出機(4)に導入する工程と、
(b)温度を20~80℃又の範囲に維持しながら、前記第1の二軸スクリュー押出機(4)における補強性シリカ充填剤(B)入口ポート(27)を介して、補強性シリカ充填剤(B)を前記工程(a)混合物に導入して、粘性ペーストを形成し、存在するガスを逃がすように、前記補強性シリカ充填剤(B)入口ポート(27)の上流及び/又は下流に大気への少なくとも1つの通気孔(5、8)を提供する工程と、
(c)工程(b)から得られた前記粘性ペーストを、前記第1の二軸スクリュー押出機(4)における分散型混合及び混練ゾーンにおいて混合して、シリカ分散液を形成する工程と、
(d)前記第1の二軸スクリュー押出機(4)の下流の滞留ゾーン(17)において、工程(c)で生産された前記シリカ分散液を更に混合して、ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を提供する工程と、
(e)前記ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を、真空ストリッピングのための手段(19)を用いてストリッピングして、少なくとも100℃の温度でシリコーンゴムベース組成物を提供する工程と、
(f)成分(C)並びに任意選択的に成分(A)及び(D)のうちの一方又は両方を、工程(c)と(d)との間かつ/又は工程(d)中のいずれかで前記第1の二軸スクリュー押出機(4)に導入して、工程(c)の前記シリカ分散液からシリカを希釈し更に疎水化処理し、続いて希釈されたシリカ分散液を形成する工程と、を含む、連続方法。
【請求項2】
前記疎水化処理剤(C)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有するポリオルガノシロキサン(A)、並びに存在する場合に水(D)が、必要に応じて既定の範囲内で互いに対して変動し得る予め規定された制御速度で前記第1のスタティックミキサ(25)に導入される、請求項1に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項3】
疎水化処理剤(C)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する前記1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)、並びに任意選択的に水(D)が、1つ以上の重量損失計、質量流量計、ギアポンプ、シリンジポンプ、若しくはピストンポンプ、又はそれらの混合物によって、前記第1のスタティックミキサ(25粒径約にポンプ圧送される、請求項1又は2に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項4】
(i)成分(A)が、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有する1つ以上のポリジオルガノシロキサンと、任意選択的に1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン樹脂とを含み、かつ/又は
(ii)添加剤が、前記調製中に前記混合物に導入され得る、請求項1~3のいずれか一項に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項5】
前記第1の二軸スクリュー押出機(4)が、共回転二軸スクリュー押出機、かみ合い二軸スクリュー押出機、又は共回転及びかみ合い二軸スクリュー押出機である、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項6】
前記第1の二軸スクリュー押出機(4)が、好ましくは、25:1~65:1の軸長L対スクリュー直径D比を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項7】
成分(B)が、1つ以上のテーブル、ベルト、ロスインウェイトフィーダ、サイドフィーダ、供給増強技術システム、又はスクリューから選択される粉末のための連続フィーダによって、一定速度で前記補強充填剤(B)入口ポート(27)に供給され得る、請求項1~6のいずれか一項に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項8】
工程(f)において、第1の追加の入口ポート及び第2の追加の入口ポート(28)が提供され、前記第1の追加の入口ポートが、追加量の成分(C)及び任意選択的に成分(D)の導入のために利用され、前記第2の追加の入口ポートが、追加量の成分(A)の導入のために利用される、請求項1~7のいずれか一項に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項9】
成分(C)及び存在する場合に成分(D)が、前記第1の追加の入口ポート(28)を通して導入される前に、第2のスタティックミキサ(31)において予備混合される、請求項8に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項10】
工程(e)における前記更なる混合が、任意選択的に第3のスタティックミキサを含む滞留ゾーン(17)上で実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項11】
滞留ゾーン(17)が、300~2,000kPaの圧力で、90~170℃の温度で制御され、前記滞留ゾーンにおける平均滞留時間が5~30分である、請求項10に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項12】
工程(e)が、工程(d)から得られた前記ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物から揮発性物質及びガスを真空ストリッピングするように設計された連続ストリッピングデバイス(19)において着手される、請求項1~11のいずれか一項に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項13】
1つ以上の温度センサ、流量センサ、圧力センサ、並びに他の器具及び/又はセンサが、プロセス中に利用される、請求項1~12のいずれか一項に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセスによってシリコーンゴムベース組成物を作製するように適合された、シリコーンゴムベース組成物製造アセンブリ。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の連続方法によって得ることが可能であるか、又はそれによって得られた、シリコーンゴムベース組成物。
【請求項16】
ヒドロシリル化硬化シリコーンゴム組成物の調製における、請求項1~13のいずれか一項に記載のシリコーンゴムベース組成物の、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリコーンゴムベース組成物の連続調製のためのプロセス及び装置、並びにそれらから生産された、得られた組成物に関する。本開示は、原位置シリカ処理を使用してシリコーンゴムベース組成物を作製するための新しい連続製造プロセスを網羅することを目的とする。新しい連続製造プロセスは、二軸スクリュー押出機(twin-screw Extruder、TSE)技術を使用する。
【0002】
ヒドロシリル化(付加とも称される)反応によって硬化性であるシリコーンゴム組成物は、典型的には、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル(又はアルキニル)基を含有するポリジオルガノシロキサンポリマーを補強性シリカ充填剤と混合することによって、シリコーンゴムベース組成物を最初に調製することによって調製される。補強性シリカ充填剤は、本来親水性であり、これがポリジオルガノシロキサンポリマーとの相互混合を困難にするため、当該充填剤は通常、処理剤で前処理して疎水性にするか、又は代替的に親水性形態で提供されるかのいずれかである。後者の場合、疎水性処理剤が、混合プロセス中、通常、原位置シリカ処理プロセスにおいて、シリカを原位置で処理するように提供され、すなわち、ポリマー中のシリカの組み込み及び分散は、処理剤の存在下で行われる。この混合工程の生成物が、シリコーンゴムベース組成物である。これは、以下に考察するような他の原料と混合するのに好適な形態で提供されてもよい。代替的に、それは、典型的には使用前に更なるポリジオルガノシロキサンポリマーで希釈されている濃縮物(業界では「マスターバッチ」(masterbatch、MB)と称される)の形態にあってもよい。
【0003】
シリコーンゴムベース組成物が調製されると、オルガノ水素ポリシロキサン及びヒドロシリル化触媒が、組成物を硬化させるために、調製後にベースに添加され得る。しかしながら、通常、市販の組成物は、使用前の貯蔵中の早期硬化を防止するために、複数部分、典型的には2部分で生産される。そのような2部型組成物では、第1部(多くの場合、部分Aと称される)は、予め調製されたベース及びヒドロシリル化触媒を含み、第2部(多くの場合、部分Bと称される)は、予め調製されたベース及び1つ以上のオルガノ水素ポリシロキサン架橋剤を含む。任意選択的に、1つ以上の硬化阻害剤が、部分A組成物、部分B組成物、又は部分A組成物及び部分B組成物の両方に添加されてもよい。好ましくは、両方の部分(A及びB)は、ポンプ圧送可能な液体であり、典型的には、例えば最大30%のシリカを含む標準的な配合物を有する予め調製されたベースを使用して調製され、残りは主に1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有する液体ポリジオルガノシロキサンである。
【0004】
充填剤を疎水性にするために、多種多様な処理剤を利用してもよい。シリコーンゴムベース組成物中のシリカ充填剤の原位置処理のために一般に使用される1つの処理剤は、ヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilazane、HMDZ)であり、これは、最初に加水分解し、次いで加水分解された生成物がシリカ充填剤表面上のOH基と反応して、シリカ上の遊離OH基の数を低減させ、したがってシリカ表面がますます疎水性になる。
【0005】
シリコーンゴムベース組成物を調製するための連続方法が知られているが、シリコーンゴムベース組成物は、依然として、幅広い種類のバッチ方法を使用して生産されることが多い。これらには、以下が含まれ得る。
(i)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有する1つ以上の液体ポリジオルガノシロキサンと、疎水化前処理された補強性シリカ充填剤とをバッチ混合及び/又は混練すること、並びに
(ii)1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有する1つ以上の液体ポリジオルガノシロキサン及び未処理の補強性シリカ充填剤を、疎水性処理剤とバッチ混合及び/又は混練して、混合プロセス中にシリカを原位置で処理すること。
【0006】
両方の事例では、混合プロセスは、通常、プラネタリー型ミキサ、バンバリーミキサ、チェンジカンミキサ、ディゾルバーミキサ、又はシグマブレード混錬機などの好適なミキサ及び/又は混錬機において行われる。バッチプロセスは、非効率的であり、多くの問題を有する。バッチプロセスは、長い混合時間(例えば、バッチ当たり4~12時間)及び爆発性混合物の形成の危険性による不活性ガスを使用する必要性に起因して、高労働集約度及び高エネルギー消費のために、実行するのに費用がかかる。更に、充填剤分散に必要とされる混合エネルギーがバッチサイズとともに増加するにつれて、必要とされる機械類がますます大きく重くなり、これが結果的に拡張性を制限し得る。充填剤は、一貫性なく混合してバッチ間で物理的特性が変動することが知られており、かつ/又は不均一な剪断によって、特性の変動をもたらす充填剤の不均一なサイズ分布がもたらされ得る。更に、混合後、シリコーンゴムベース組成物は、揮発性物質をストリッピングして冷却する必要があり、これが追加の時間を必要とし、次のバッチが導入され得る前に遅延を引き起こす。したがって、要約すると、シリコーンゴムベース組成物を作製するためのバッチプロセスは、労働、エネルギー、及び資本の理由から費用がかかり、品質の観点から一貫性がない場合がある。
【0007】
連続プロセスによりシリコーンゴムベース組成物を調製するために、多種多様な連続プロセスが提案されている。例えば、調合プロセスは、ビニル基を有するオルガノポリシロキサン、充填剤、及びまた液体ポリシラザン、並びに水の連続的かつ同時の供給を介して、連続押出の二軸システムを使用して、二軸スクリュー押出機において行われ得る。
【0008】
一般に、原位置プロセスは、全ての混練機で生じ、制御が困難である、高い排出という欠点(排気ガスの問題)を有する。連続原位置プロセスに関する別の要因は、疎水化プロセスの標的制御の機会が限られていることであり、したがって、特に充填剤処理工程の滞留時間が短い場合に、比較的高レベルの生成物品質の変動が観察され得る。前出の原位置プロセスの別の欠点は、爆発性混合物が形成されるという常に存在するリスクに由来する。
【0009】
これまでに提案された連続プロセスの大部分は、そのような連続プロセスにおける満足のいく原位置充填剤処理工程の組み込みが困難であることが証明されているため、前処理された充填剤を利用する傾向がある。しかしながら、前処理された充填剤は高価な商品であり、シリコーンゴムベース及びその後の組成物の製造にそれを使用することによって、経済的に実行不可能なベース及び組成物がもたらされ得る。更に、疎水性コーティングで前処理された充填剤を使用して連続的に生産されたシリコーンベース組成物は、バッチ式で生産されたシリコーンゴムベース組成物を含むシリコーン組成物と比較した場合、安定性に問題があることが見出されている。この理由としては、シリコーンゴムベース組成物の生産のための連続プロセスにおけるオルガノポリシロキサン及び充填剤の比較的短い滞留時間が挙げられる。連続プロセスにおける短い滞留時間によって、多くの場合、
(i)充填剤凝塊体の不完全な破断により、シリコーンエラストマーの不均質性及び/又は不十分な透明性がもたらされ、
(ii)シリカ充填剤の不完全な原位置疎水化により、当該充填剤が充填剤表面上により多くの残留OH基を有することになり、結果的に、充填剤が所望よりも著しく親水性のままになる。
【0010】
これは、高粘度又は安定性の低減に直接つながる。シリコーン組成物の安定性の低減は、例えば、ここでも、貯蔵後のシリコーン組成物の粘度の増加として明白であり得、これは、特に高温で生じる。更に、所定のオルガノヒドロポリシロキサンが完成シリコーン組成物中で架橋剤として使用される場合、水素の発生を伴う、ケイ素結合水素(Si-H)基の分解レベルの増加が観察され得る。これは、酸素が存在する場合、かなりの爆発の危険性によって悪化する。網状構造における関連する変化も、加硫プロセス後に得られるシリコーンエラストマーの特性プロファイルを変化させる危険性を引き起こす。自己接着性シリコーン組成物では、充填剤の不十分に不活性化された表面に関する別の可能性のある結果は、充填剤の表面における反応性基と接着促進剤などの添加剤との望ましくない反応であり、これは、必然的に接着特性の低下又は少なくとも望ましくない粘度の著しい増加につながる。
【0011】
充填剤の原位置処理を伴う前出の連続プロセスは、滞留時間を拡大するプロセス中又はプロセスフローの終了時に、より大きな体積を混合区画に投入し、これが、より大きな体積の均質化につながり、短期間の不一致を克服する。これは、切り替えを著しく複雑にする。
【0012】
製造業者は、プロセス効率を高め、時間、資本、労働集約度、及び材料の無駄を最小限に抑え、かつシリコーンゴムベース組成物中の原料及び添加剤の種類及び量における選択可能範囲を広げるために、改善されたプロセスを絶えず追求している。
【0013】
前出の不利益を回避しながら、高い生産性で充填剤を原位置処理することを含む、シリコーンゴムベース組成物を調製するための連続方法を有することが望ましい。
【0014】
シリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法であって、シリコーンゴムベース組成物が、
(i)アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)と、
(ii)疎水化処理された補強性シリカ充填剤(B)と、を含み、
(a)少なくとも1つの疎水化処理剤(C)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)、並びに任意選択的に水(D)を第1のスタティックミキサに導入して、工程(a)混合物を形成し、次いで当該工程(a)混合物を第1の二軸スクリュー押出機に導入する工程と、
(b)温度を20~80℃の範囲又は最大90℃に維持しながら、第1の二軸スクリュー押出機における補強性シリカ充填剤(B)入口ポートを介して、補強性シリカ充填剤(B)を当該工程(a)混合物に導入して、粘性ペーストを形成し、存在するガスを逃がすように、補強性シリカ充填剤(B)入口ポートの上流又は下流に大気への少なくとも1つの通気孔を提供する工程と、
え(c)工程(b)から得られた粘性ペーストを第1の二軸スクリュー押出機における分散型混合及び混練ゾーンにおいて混合して、シリカ分散液を形成する工程と、
(d)工程(c)で生産されたシリカ分散液を、当該第1の二軸スクリュー押出機の下流の滞留ゾーンで更に混合して、ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を提供する工程と、
(e)ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を、真空ストリッピングのための手段を用いてストリッピングして、少なくとも100℃の温度でシリコーンゴムベース組成物を提供する工程と、
(f)成分(C)並びに任意選択的に成分(A)及び(D)のうちの一方又は両方を、工程(c)と(d)との間かつ/又は工程(d)中のいずれかで当該第1の二軸スクリュー押出機に導入して、工程(c)のシリカ分散液からシリカを希釈し更に疎水化処理し、続いて希釈されたシリカ分散液を形成する工程と、を含む、連続方法が、本明細書に提供される。
【0015】
また、本明細書に記載のプロセスによってシリコーンゴムベース組成物を作製するように適合されたシリコーンゴムベース組成物製造アセンブリも提供される。
【0016】
また、本明細書に記載のプロセスによって得ることが可能であるか、又はそれによって得られたシリコーンゴムベース組成物及びそれから作製された物品も提供される。
【0017】
ヒドロシリル化硬化シリコーンゴム組成物の調製における、本明細書で調製されるシリコーンゴムベース組成物の使用も提供される。
【0018】
本明細書で使用される場合、混合という用語が、混練機/押出機によって行われる混合の機能を意味し、また、粉砕又は業界で使用される任意の他の適切な用語と称され得ることが理解されたい。
【0019】
本明細書の連続プロセスが、標準的なバッチ混合組成物に匹敵するように十分によく混合されているが、低コストで良好な品質のシリコーンゴムベース組成物を生産するために、複雑なシリカ充填剤前処理工程及び/又は高温/高圧加工を必要としない、ベース組成物を生産することができることが見出された。
【0020】
上記で考察したように、本プロセスは、二軸スクリュー押出機に導入する前に、スタティックミキサ又はバッチミキサにおいてシリカ充填剤を成分(A)及び/又は(C)で処理するための予備湿潤工程を必要としない。従来、いくつかの連続プロセスでは、押出機へのシリカの供給を容易にするために、高密度化(密度を増加させる)によってシリカを「予備調整」することが必須であると考えられてきたと思われる。これは、有利なことに、時間のかかる工程を省く本プロセスにとって不必要であることが分かり、混合は、前述のように二軸スクリュー押出機において満足のいくものであった。
【0021】
更に、本明細書で利用される二軸スクリュー押出機が、意図的に、典型的には揮発性である処理剤が第1の二軸スクリュー押出機に確実に保持されるように設計されている、高温及び高圧で動作する閉鎖系ではないことが理解されたい。未処理シリカ充填剤の導入中に第1の二軸スクリュー押出機に導入されるガスが、本プロセスのシリカ処理ゾーンの上流の通気孔を通して放出され得るため、二軸スクリュー押出機が本明細書において通気孔を含むという事実は、二軸スクリュー押出機に入れる前にシリカの前処理を必要としないもう一つの理由である。プロセスの処理セクションの上流に通気孔がない、以前の非通気型プロセスの場合、ガスは溶解するか、又はシリカ流に逆らって進行するかしなければならず、これはシリカ供給速度を制限する。
【0022】
本プロセスにおける第1の二軸スクリュー押出機での高温及び高圧の回避は、第1の二軸スクリュー押出機におけるストリッピングゾーンの必要性を回避する。第1のスクリュー押出機から出た後に工程(d)及び(e)を導入することで短いシリカ処理滞留時間も回避することによって、シリカ処理の品質の改善が達成されると考えられ、二軸スクリュー押出機後滞留ゾーンを導入することによって、大幅により一貫して処理された充填剤が得られると考えられる。
【0023】
本プロセスにおいて混合される主成分は、アルケニル基及びアルキニル基から選択される少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)と、
補強性シリカ充填剤(B)と、
疎水化処理剤(C)と、
任意選択的に水(D)とである。
【0024】
A)アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン
上述のアルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)は、以下の式(I)の複数の単位を有し、
RaSiO(4-a)/2 (I)
式中、各Rは独立して、脂肪族ヒドロカルビル基、芳香族ヒドロカルビル基、又はオルガニル基(すなわち、官能基の種類とは無関係に、炭素原子において1つの自由原子価を有する、任意の有機置換基)から選択される。飽和脂肪族ヒドロカルビルとしては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルなどのアルキル基、並びにシクロヘキシルなどのシクロアルキル基が例示されるが、それらに限定されない。不飽和脂肪族ヒドロカルビルとしては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、シクロヘキセニル、及びヘキセニルなどのアルケニル基、並びにアルキニル基が例示されるが、それらに限定されない。芳香族炭化水素基としては、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリル、及び2-フェニルエチルが例示されるが、それらに限定されない。オルガニル基としては、クロロメチル及び3-クロロプロピルなどのハロゲン化アルキル基(フルオロ含有基を除く)、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基などの窒素含有基、ポリオキシアルキレン基、カルボニル基、アルコキシ基、及びヒドロキシル基などの酸素含有基が例示されるが、それらに限定されない。更なるオルガニル基としては、硫黄含有基、リン含有基、ホウ素含有基が挙げられ得る。下付き文字「a」は、0、1、2、又は3である。
【0025】
シロキシ単位は、Rがメチル基であるとき、短縮形(略記)命名法、すなわち、「M」、「D」、「T」、及び「Q」で記述されてよい(シリコーン命名法についての更なる教示は、Walter Noll,Chemistry and Technology of Silicones,dated 1962,Chapter I,pages 1-9に見ることができる)。M単位は、式中、a=3であるシロキシ単位、すなわち、R3SiO1/2に相当し、D単位は、式中、a=2であるシロキシ単位、すなわち、R2SiO2/2に相当し、T単位は、式中、a=1であるシロキシ単位、すなわち、R1SiO3/2に相当し、Q単位は、式中、a=0であるシロキシ単位、すなわち、SiO4/2に相当する。
【0026】
アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)上の典型的な基の例としては、主にアルケニル、アルキル、及び/又はアリール基が挙げられる。基は、ペンダント位置(D又はTシロキシ単位上)であってもよく、又は末端(Mシロキシ単位上)であってもよい。
【0027】
アルケニル基及び/又はアルキニル基以外の成分(A)に結合するケイ素結合有機基は、典型的には1~10個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水素基、及び典型的には6~12個の炭素原子を含有する一価芳香族炭化水素基から典型的には選択され、これらは、非置換であるか、又は本発明の組成物の硬化を妨げない基、例えば、ハロゲン原子で置換される。ケイ素結合有機基の好ましい種は、例えば、メチル、エチル、及びプロピルなどのアルキル基、並びにフェニルなどのアリール基である。
【0028】
成分(A)の例は、2つの末端にアルケニル基又はアルキニル基を含有するが、典型的にはアルケニル基を含有するポリジオルガノシロキサンであり、以下の一般式(II)で表され、
R’R’’R’’’SiO-(R’’R’’’SiO)m-SiR’’’R’’R’ (I)
【0029】
式(I)において、各R’は、ビニル、アリル、及び5-ヘキセニルなどの、典型的には2~10の炭素原子を含有する、アルケニル基又はアルキニル基であるが、典型的にはアルケニル基である。
【0030】
R’’は、エチレン性不飽和を含有しない。各R’’は、同一でも、異なってもよく、典型的には1~10個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水ラジカル、及び典型的には6~12個の炭素原子を含有する一価芳香族炭化水素基から個別に選択される。R’’は、非置換でもよく、又は、本発明の組成物の硬化を妨げることのない1つ以上の基(ハロゲン原子など)によって置換されていてもよい。R’’’は、R’又はR’’であり、mは、以下に考察される範囲内の粘度を有する成分(A)に好適な重合度を表す。
【0031】
典型的には、式(I)に従った化合物に含有される全てのR’’及びR’’’基は、メチル基である。代替的に、式(I)に従った化合物の少なくとも1つのR’’及び/又はR’’’基がメチルであり、その他はフェニル又は3,3,3-トリフルオロプロピルである。この選択は、ポリジオルガノシロキサン(成分(A))を調製するために典型的に使用される反応物質の入手可能性、及びそのようなポリジオルガノシロキサンを含む組成物から調製される硬化エラストマーに対して所望される特性に基づく。
【0032】
アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する各ポリオルガノシロキサン(A)は、好ましくは、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有するポリジオルガノシロキサンである。(A)が1つ以上のポリジオルガノシロキサンである場合、各ポリジオルガノシロキサンは、例えばアルケニル基及び/又はアルキニル基を含有する、ポリジメチルシロキサン、アルキルメチルポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン、又はこれらのコポリマーから選択してもよく(アルキルに対する言及は、2つ以上の炭素を有するアルキル基を意味する)、任意の好適な末端基を有してよく、その末端基は、例えば、トリアルキル末端、アルケニルジアルキル末端アルキニルジアルキル末端であってもよく、又は各ポリマーがアルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有するという条件で、任意の他の好適な末端基の組み合わせを末端に有してもよい。したがって、(A)が、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリジオルガノシロキサンである場合、(A)は、例として、ジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルメチルフェニルシロキサン、トリアルキル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサン、又はジアルキルビニル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサンコポリマーであってもよい。
【0033】
成分(A)の各ポリオルガノシロキサンの分子構造は、典型的には、直鎖状、例えばポリジオルガノシロキサンであるが、分子内にT単位(前述のような)が存在するためにいくらかの分岐が存在してもよく、一実施形態では、成分(A)は、アルケニル基及びアルキニル基から選択される少なくとも2つの不飽和基を含有するポリオルガノシロキサン樹脂を部分的に含んでもよい。そのような場合、ポリオルガノシロキサン樹脂は、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂であってもよい。したがって、成分(A)は、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有する1つ以上のポリジオルガノシロキサンと、任意選択的に1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン樹脂とを含んでもよい。
【0034】
成分(A)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサンは、組成物の60~90重量%の量でベース組成物中に存在する。
【0035】
アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する各ポリオルガノシロキサン(A)の粘度は、1000mPa.s以上の粘度については10s-1でTA-Instruments AR2000Exコーンプレートレオメータを使用して、又は1000mPa.s未満の粘度についてはスピンドルLV-1を含むBrookfield(登録商標)回転粘度計(15~20,000mPa.sの範囲の粘度について設計される)を使用して、例えば10s-1又は100s-1のポリマー粘度に従って剪断速度を適合させて、250mPa.s~750,000mPa.s、代替的に400mPa.s~500,000mPa.s、代替的に400mPa.s~250,000mPa.sであってもよい。別途の指示のない限り、全ての粘度測定は、25℃で取得した。
【0036】
(B)補強性充填剤
前述のシリコーンゴムベースは、補強性充填剤、すなわち、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、及び/又はコロイドシリカなどの微粉化シリカなどの補強性シリカ充填剤を含有する。選択されたシリカは、典型的には比較的高い比表面積を有し、これは典型的には少なくとも50m2/gである(例えばISO 9277:2010に従って好適なBET法を使用)。典型的には、100~450m2/g(例えば、ISO9277:2010に従ったBET法)、代替的に100~350m2/g(例えば、ISO 9277:2010に従ったBET法)の比表面積を有する充填剤を使用する。
【0037】
補強性シリカ充填剤Bは、シリコーンゴムを補強すること可能である微粉末であることを条件として、任意の好適な形態であってもよい。そのような充填剤の典型的な例としては、ヒュームドシリカなどの乾式シリカ及び沈降シリカなどの湿式シリカが挙げられる。補強性シリカ充填剤の比表面積は、好ましくは50m2/g以上である。
【0038】
本明細書に記載のシリコーンゴムベース組成物に使用される微粉化シリカ又は他の補強性充填剤の量は、ベースが含まれる最終生成物、例えば、本明細書のベース組成物を使用して調製される硬化エラストマーにおいて所望される物理的特性によって少なくとも部分的に決定される。本プロセスは、シリコーンゴムベース組成物中の補強性充填剤の量が、意図される最終用途に依存して、必要に応じてベース組成物の10~40重量%、代替的に10~35重量%、代替的に15~35重量%であることを可能にする。
【0039】
(C)疎水化処理剤
未処理シリカ充填剤は、本来親水性であり、シリコーン組成物のため補強性充填剤として使用される場合、典型的には処理剤で処理される。充填剤は、ポリジオルガノシロキサンポリマーと混合してベース組成物を形成する前に処理してもよいが、疎水化処理剤(C)を使用して充填剤を原位置で(すなわち、ベース組成物の他の成分の少なくとも一部分の存在下で、充填剤が完全に処理され均一に分散されて均質な材料になるまで、これらの成分を一緒に混合することによって)処理するようになってきている。
【0040】
疎水化剤は、成分Bの表面上のシラノール基との縮合反応に関与する。この成分が成分Aと混合するのがより容易になる。処理剤として広範囲の材料を使用することが可能である。脂肪酸又はステアレートなどの脂肪酸エステルなどの材料を使用してもよいが、シリコーンゴムベース組成物の場合、充填剤処理剤は、加工中のオルガノシロキサン組成物のクレーピングを防止するために適用可能な、当技術分野で開示されている任意の低分子量の有機ケイ素化合物であり得る。これらは、典型的には、オルガノシラン、ポリジオルガノシロキサン、オルガノシラザン、又は短鎖シロキサンジオールから選択されるか、又はそれらの混合物が使用される。処理プロセスは、充填剤を疎水性にし、したがって、他の原料を有する均質混合物の取り扱い及び入手が容易になる。充填剤の表面処理によって、充填剤はシリコーンポリマーによって容易に湿潤されるようになる。これらの表面改質充填剤は、固まらず、シリコーンポリマー中に均質に組み込まれ得る。これにより、未硬化組成物の室温での機械的特性が改善される。
【0041】
シリカ充填剤を疎水化するように適合された薬剤又は疎水化剤(成分C)は、成分Bを疎水性にし、補強性シリカ充填剤を成分Aと混合しやすくする。疎水化剤は、好ましくは、ケイ素原子に結合したシラノール基又は加水分解性基を含有する有機ケイ素化合物であるべきである。
【0042】
処理剤としては、各分子に、ジオルガノシロキサンの繰り返し単位が平均して2~20含有される液体ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザン、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)などが例示されるが、それらに限定されない。ヘキサオルガノジシラザンは、充填剤の処理に使用する条件下で加水分解して、ヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物を形成する傾向にある。典型的には、処理剤中に存在するケイ素結合炭化水素基の少なくとも一部分は、成分(A)及び(B)中に存在する大部分の炭化水素基と同一である。
【0043】
処理剤が、シリカ又は他の充填剤粒子の表面上に存在するケイ素結合ヒドロキシル基との反応によって、これらの粒子間の相互作用を低減するように機能すると考えられている。
【0044】
そのような疎水化剤の具体的な例としては、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、及び他のヘキサオルガノジシラザン;トリメチルシラノール、ジヒドロキシジメチルシロキサンオリゴマー又はジヒドロキシメチルフェニルシロキサンオリゴマー、ジヒドロキシメチルビニルシロキサンオリゴマー、及びシラノール基を有する他のオルガノシラン又はオルガノシロキサンオリゴマー;並びに加水分解性基がケイ素原子に結合しているオルガノシラン又はオルガノシロキサンオリゴマーが挙げられるが、それらに限定されない。ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、ジビニルテトラメチルジシラザン、及び他のヘキサオルガノジシラザンは、補強性シリカ充填剤に対して高い反応性を呈し、強力な疎水化特性を有するため、好ましい。場合によっては、所望であれば、例として、2~20個のシロキサン単位を有する1つ以上のシラノール末端フッ素化シロキサンオリゴマー、及び/若しくは1つ以上のフッ素化シランジオール、及び/若しくは1つ以上のフッ素化トリアルコキシシラン、及び/若しくは1つ以上のフッ素化シラザン、又はそれらの混合物などのフッ素化疎水化剤を使用してもよい。
【0045】
成分(C)は、成分(B)シリカ充填剤の1~30重量%を構成する量でベース組成物中に添加される。この量は、成分(B)の水分含有量、比表面積、及びシラノール基含有量によって変動する。同様に、(C)成分中のケイ素原子に結合したシラノール基又は加水分解性基の含有量によっても変動する。シリコーンゴムベース組成物を生産するためには、成分(A)~(C)を単独で混合すれば十分であるが、化学的に不活性なポリオルガノシロキサン、顔料、耐熱剤、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂なども添加してもよい。
【0046】
(D)水
加水分解を促進し、かつ処理効果を増強するために、加工助剤として少量の水をシリカ処理剤と一緒に添加することができる。これは具体的には、成分(C)がヘキサメチルジシラザン(HMDZ)などのヘキサオルガノジシラザンである場合である。
【0047】
前述のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法の工程(a)では、疎水化処理剤(C)、水(D)、並びにアルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)は、各々、別々に第1のスタティックミキサに導入され、続いて第1の二軸スクリュー押出機に導入されて、工程(a)混合物を形成する。
【0048】
任意の従来のスタティックミキサを、第1のスタティックミキサとして使用してもよい。誤解を避けるために、スタティックミキサは、可動部品を使用することなく、当該ミキサにおける混合チャネルを通って流れる原料を混合する手段である。混合チャネルは、典型的には、円筒形又は正方形の断面を有するか、又は代替的にプレート型ミキサであってもよい。この混合は、一般に、チャネル長に沿って直列に構成され、かつ原料の均質なブレンドを生成するために当該チャネルを通過する間に材料流を混合、分割、及び再配向するように設計された、複数の要素を有することによって達成される。
【0049】
スタティックミキサは、任意の好適なサイズであってもよく、例えば、円筒形ミキサの直径は、所望であれば、約6mm~30cm、代替的に約6mm~25cm、代替的に約6mm~20cm、代替的に約6mm~15cm、代替的に約6mm~12.5cmの直径で変動し得る。ミキサ及びミキサ構成要素は、混合される成分のうちのいずれか1つとも化学的に相互作用しないという条件で、必要に応じて任意の好適な材料、例えば、例として、ステンレス鋼、ポリプロピレン、Teflon、ポリビニリデンジフルオリド(polyvinylidene difluoride、PVDF)、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル(chlorinated polyvinyl chloride、CPVC)、及びポリアセタールから作製され得る。
【0050】
上記で定義したプロセスでは、混合は、疎水化処理剤(C)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサン(A)、必要に応じて水(D)である成分を用いて達成される。混合は、混合物含有量の変動ができるだけ少ない状態で達成されるように設計される。
【0051】
これに対応するために、当該疎水化処理剤(C)、水(D)(存在する場合)、並びにアルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサン(A)は、必要に応じて既定の範囲内で互いに対して変動し得る予め規定された制御速度で第1のスタティックミキサに導入される。
【0052】
成分(A)、(C)、及び任意選択的に(D)は、任意の好適な手段を使用して当該第1のスタティックミキサに導入してもよい。一実施形態では、当該成分(A)、(C)、及び(D)の各々は、それぞれのポンプシステムなどを使用して第1のスタティックミキサに導入してもよい。各成分の相対量は制御してもよく、投与は任意の好適な手段を使用して、例えば、それぞれのポンプ手段を使用して体積によって、重量損失によって、又は質量流量(コリオリ力)によって実施してもよい。任意の好適なポンプ手段を使用してもよく、例えば、例として、1つ以上のギアポンプ、1つ以上のシリンジポンプ、1つ以上のピストンポンプ、又はギアポンプ、ピストンポンプ及びシリンジポンプの混合を使用してもよい。
【0053】
第1のスタティックミキサを出ると、工程(a)混合物は、第1の二軸スクリュー押出機に導入される。
【0054】
補強性シリカ充填剤(B)が第1の二軸スクリュー押出機における補強性シリカ充填剤(B)入口ポートを介して工程(a)混合物中に導入されるプロセスの工程(b)では、補強性シリカ充填剤(B)は、工程(a)混合物によって湿潤され、その中に分散されており、前に示したように、この工程は、少なくとも1つの疎水化処理剤(C)の揮発を最小限に抑えるために、20℃~80℃、代替的に25℃~70℃の比較的低い温度で着手され(但し、疎水化処理剤(C)の選択に依存して絶対必要であるとみなされる場合、最大90℃の温度を使用してもよい)、少なくとも1つの疎水化処理剤(C)がヘキサメチルジシラザン(HMDZ)又は1,3-ジビニルテトラメチルジシラザンなどの比較的容易に揮発する化合物である場合であっても、補強性シリカ充填剤(B)を十分に疎水性にすることを可能にする。
【0055】
本明細書の一実施形態では、第1の二軸スクリュー押出機は、スクリューを保持する細長いバレルを有する共回転二軸スクリュー押出機、かみ合い二軸スクリュー押出機、又は共回転及びかみ合い二軸スクリュー押出機である。典型的には、共回転二軸スクリュー押出機では、押出機バレルの両端に又は両端に隣接して位置する1つ以上の入口ポート及び排出ポートが提供される。二軸スクリューは、バレルに平行に配設され、典型的には、入口ポートに最も近い各スクリューの端部が駆動ユニットに接続される。駆動ユニットは、両方のスクリューを同じ速度で同じ方向に回転させるように適合される(すなわち、両方のスクリューは同期している)。スクリューは、一般に、二重又は三重のスレッドを有し、入口ポートから排出ポートまでバレルに沿って進行する材料を混合及び混練するように適合される。
【0056】
本開示では、バレルは、複数の、典型的には少なくとも3つのゾーン、代替的に3~15のゾーンに分割される。成分及びそれらの混合物がそれらのそれぞれの入口ポートから排出ポートに移送される間に、異なるゾーンが、押出機バレルの長さに沿って一連の機能の完了のために提供される。
【0057】
第1の二軸スクリュー押出機は、好ましくは、軸方向長さL対スクリュー直径D(以下、L/D比と称される)が大きい。L/D比は、好ましくは25:1~75:1、代替的に25:1~65:1、代替的に25:1~55:1、代替的に30:1~50:1である。任意選択の工程(f)が第1の二軸スクリュー押出機で行われている場合にL/D比がより大きい必要があるが、工程(f)が第1の二軸スクリュー押出機で行われていないのであればL/D比が大幅に小さくてもよいことを理解されるべきであり、第1の共回転二軸スクリュー連続押出機のスクリューの速度は、システム要件に依存して既定されるが、単に例として、200~1200回転/分(revolution per minute、rpm)、代替的に350~900rpmであってもよい)。
【0058】
本明細書で使用される第1の共回転二軸スクリュー押出機は、好ましくは市販されている。第1の共回転二軸スクリュー押出機の好適な例は、例として、商品名Mixtron(Kobe Steel製)、TEM(Toshiba Machine Co.製)、Century Extrusion(CPM Extrusion Group製)、及びZSK(Coperion(旧Werner Pfleiderer)製)で販売され得る。利用されるスクリュー構成は、本明細書に更に記載されるような搬送及び混合ゾーンを含む。
【0059】
二軸スクリュー押出機上の第1のゾーンは、混合物の温度を20℃~80℃に維持しながら、補強性充填剤(B)を工程(a)混合物中に導入し、それによって、補強性充填剤(B)の表面を工程(a)混合物で湿潤させて粘性ペーストを形成するための調合ゾーンとして提供される。したがって、第1のゾーンには、疎水化処理剤(C)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)、並びに任意選択的に水(D)を含有する、上述の工程(a)混合物のための入口ポートが提供される。また、工程(a)混合物の入口ポートと補強性充填剤(B)入口ポートとの間に、補強性充填剤(B)入口ポート及び任意選択的に大気への1つ以上の通気孔、並びに/又は充填剤の入口ポートの上流の大気への1つ以上の通気孔が提供される。
【0060】
成分(B)は、例えば、テーブル、ベルト、ロスインウェイトフィーダ、真空能力を有する若しくは有さないサイドフィーダ、又はスクリューの形態の粉末に好適な連続フィーダを用いて、一定速度で補強充填剤(B)入口ポートに供給され得る。これは、補強性シリカ充填剤が非常に低密度、例えば1リットル当たり50~100gであり、補強性シリカ充填剤に付随するガス、一般に空気又は窒素を二軸スクリュー押出機中にそれ自体で満たさず、充填剤(B)入口ポートの上流及び/又は下流、代替的に上流に位置付けられた1つ以上の大気通気孔を通って逃がすためである。これが好適であるのは、通気孔がなければ、粘性ペーストの形成中に押出機が混合物を圧縮する際に、例えば補強充填剤(B)入口ポートを介してガスを逃がすようにガスの逆流が必要になるためである。二軸スクリュー押出機は、当該逆流を可能にするように設計されてもよいが、そのような状況は、二軸スクリュー押出機における成分の滞留中の成分のスループット速度に悪影響を及ぼす。
【0061】
シリカの分散を改善するために工程(b)から得られた粘性ペーストを混合するプロセスの工程(c)は、バレルのこの第2のゾーンの温度が一般に75℃~約150℃、代替的に80℃~145℃、代替的に85℃~145℃である分散型混合及び混練ゾーンである第2のゾーンで生じ、他の成分中の補強充填剤(B)の分散液を生産する。第2のゾーンにおけるスクリューは、補強性シリカ充填剤を凝塊体(50~100μm)から凝集体(1~10μm)に破断するために利用される後方搬送要素と混練要素との組み合わせを含んでもよく、最終的に、かなりの割合のシリカが50~500ナノメートル範囲のシリカを含み得る。前述のように粒子を凝塊体から凝集体に低減させることによって、最終硬化物品の補強の改善につながることが見出された。
【0062】
続いて、工程(c)から得られた分散液は、成分(C)並びに成分(D)及び(A)のうちの任意選択の一方又は両方を工程(c)と(d)との間で当該第1の二軸スクリュー押出機に導入し得るプロセスの工程(f)に従って、任意選択の第3のゾーンに移され、工程(c)のシリカ分散液からシリカを希釈し更に疎水化処理し、続いて、希釈されたシリカ分散液を形成した後に、工程(d)のための排出ポートを通して第1の二軸スクリュー押出機から出てもよい。典型的には、排出ポートを通って第1の二軸スクリュー押出機を出る材料の温度は、75~150℃、代替的に90~約130℃の範囲の温度である。
【0063】
シリカ粉末の導入とともに導入されたガスの除去を可能にしながら、二軸スクリュー押出機の第1のゾーンに通気孔を導入することが、特に揮発性である場合、二軸スクリュー押出機に存在する成分(C)のいくらかの損失につながり得るが、工程(f)における少量の追加量の成分(C)の導入でもこれを克服したことが見出された。
【0064】
存在する場合、第3のゾーンは、追加量の成分(C)並びに任意選択的に成分(D)及び/又は成分(A)のうちの一方又は両方を導入するために提供された1つ以上の追加の入口ポートを含む。これらは、添加される成分毎の個々の入口ポートとして提供されてもよく、又は当該成分(C)、成分(D)、成分(A)、若しくはそれらの組み合わせのうちの2つ以上の混合物のための入口ポートを伴ってもよい。
【0065】
したがって、以下のうちの1つが、当該第3のゾーンにおける第1の二軸スクリュー押出機に取り付けられてもよい:
(i) 成分(A)及び成分(D)のうちの一方又は両方と任意選択的に混合された成分(C)の混合物を導入するための1つの追加の入口ポート、
(ii) 成分(C)及び任意選択的に成分(D)を導入するための第1の追加の入口ポート、並びに成分(A)を第1の二軸スクリュー押出機に導入するための第2の追加の入口ポート、
(iii) 任意選択的に成分(D)と混合された成分(A)を導入するための1つの追加の入口ポート、
(iv) 成分(C)、成分(D)、及び成分(A)の各々に1つずつの3つの追加の入口ポート。
上記の選択肢のうち、(i)及び(ii)がより好ましい。
【0066】
上記が混合物の導入を伴う場合、混合物は、二軸スクリュー押出機への導入前に任意の好適な方式で調製されてもよい。例えば、成分(C)に加えて成分(D)及び成分(A)の両方を含む追加の混合物、又は成分(C)及び任意選択的に成分(D)からなる追加の混合物が、単一の入口ポートを介して第1の二軸スクリュー押出機に導入されている場合、それぞれの成分は、前述の第1のスタティックミキサと同じであってもなくてもよい第2のスタティックミキサを通して移送されている間に一緒に混合されてもよい。
【0067】
成分(C)、(D)、及び(A)のうちの2つ以上の混合物を第3ゾーンに導入するために第2のスタティックミキサを利用する場合、第2のスタティックミキサに導入される各成分は、予め規定された制御速度でそのように行われる。制御速度は、必要とされる混合物が第1の二軸スクリュー押出機に確実に導入されるように、互いに対する重量損失、体積、又は質量流量(コリオリ)によって決定してもよい。
【0068】
工程(f)を第3ゾーンで行う場合、工程(c)のシリカ分散液を希釈して、希釈されたシリカ分散液を形成した後、第1の二軸スクリュー押出機から排出ポートを通して滞留ゾーンに移送し、そこで工程(d)に従って更に混合を行って、ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を提供した後、工程(e)での副生成物をストリッピングする。混合工程(d)の滞留ゾーンの温度は、典型的には90~170℃、代替的に100~160℃である。
【0069】
工程(f)は、代替的に又は追加的に、第1の二軸スクリュー押出機と真空ストリッピングのための手段との間に位置付けられた滞留ゾーンにおいて、工程(d)中に類似の様式で生じてもよい。
【0070】
工程(f)が第3のゾーンで行われるか、又は滞留ゾーンで行われるかに関係なく、成分(A)は、工程(c)の後に組成物を希釈するために、第1の二軸スクリュー押出機及び/又は滞留ゾーン及び/又は第2の二軸スクリュー押出機にさえ導入してもよい。
【0071】
また、出発材料入口ポートと排出ポートとの間に、混合物のガス及び揮発性成分の放出のための大気通気孔、混合物の温度を測定するための温度センサ、流量センサ、圧力センサ、他の器具センサなどの要素も配設されてもよい。
【0072】
第1の二軸スクリュー押出機に供給される成分は、任意の必要とされる温度で導入してもよく、例えば、第2のスタティックミキサにおいて成分(A)、(C)、及び(D)を混合することから得られた任意の混合物は、室温で、又は所望であれば既定の温度範囲に加熱した後に、第1の二軸スクリュー押出機に導入してもよい。
【0073】
第1の共回転二軸スクリュー押出機のバレルの外面は、第1の二軸スクリュー押出機のバレルに沿った各ゾーンの温度がその所望の範囲内に確実に維持されるように、所望に応じて加熱又は冷却してもよい。例えば、第1の二軸スクリュー押出機のバレルが摩擦熱を発生させる範囲において、二軸スクリュー押出機のバレルの外面は、所望であれば、例えば、冷却剤循環ジャケットで冷却してもよい。
【0074】
工程(d)及び任意選択的に(f)に従い、第1の二軸スクリュー押出機と真空ストリッピングのための手段との間の滞留ゾーンにおいて混合された後、得られたストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物は、得られたストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を真空ストリッピングするための手段に移送される。
【0075】
ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を真空ストリッピングするための手段は、シリコーンゴムベース組成物を生産するために、工程(d)の前述のストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を真空ストリッピングして、残留処理剤、水、及びアンモニア(存在する場合)を熱及び真空下で除去するように特に設計された、任意の好適な連続ストリッピングデバイスであってもよい。例えば、連続ストリッピングデバイスは、共回転二軸スクリュー押出機、逆回転非かみ合い二軸スクリュー押出機、多回転セクション(Multi Rotation Section、MRS)押出機などの好適な脱揮押出機から選択され得る。
【0076】
工程(e)のストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物の真空ストリッピングのための手段への移送を達成するために、工程(e)のストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物は、任意の好適な設備によって、例えば、当該1つ以上の加熱されたパイプ区分、ホース、及び/若しくはスタティックミキサによって、又は好適なポンプ手段、例えば、300~2,000kPaの圧力を使用する好適なギアポンプを使用してスクリュー熱交換器、それらの組み合わせを能動的に搬送することによって、代替的に能動的に搬送することによって、第1の二軸スクリュー押出機から真空ストリッピングのための手段へ下流にポンプ圧送されてもよい。
【0077】
成分(A)の希釈量が、工程(f)の一部としてプロセスに導入されてもよいが、滞留ゾーンとストリッピング手段との間に、及び/又は所望であればストリッピング後でも導入されてもよいことが理解されたい。
【0078】
所望であれば、調製中に、すなわち真空ストリッピングのための手段までのプロセスにおける任意の好適な時点で、添加剤を混合物に導入してもよい。これらには、着色剤、及び/又は炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及び/又は追加の水が含まれ得る。添加剤の例としては、導電性充填剤、熱伝導性充填剤、非伝導性充填剤、ポットライフ延長剤、難燃剤、潤滑剤、顔料、着色剤、シリコーンポリエーテル、及びそれらの混合物が挙げられる。添加剤の更なる例としては、離型剤、希釈剤、溶媒、UV光安定剤、殺菌剤、湿潤剤、熱安定剤、圧縮永久ひずみ添加剤、可塑剤、及びそれらの混合物が挙げられる。添加剤は、粉末の形態で、又は液体の形態で添加されてもよい。
【0079】
導電性充填剤の例としては、金属粒子、金属酸化物粒子、金属コーティング金属粒子(銀メッキニッケルなど)、金属コーティング非金属コア粒子(銀コーティングタルク、又はマイカ、又は石英など)及びそれらの組み合わせが挙げられる。金属粒子は、粉末、フレーク、又はフィラメントの形態にあってもよく、それらの混合物又は誘導体であってもよい。
【0080】
熱伝導性充填剤の例としては、窒化ホウ素、アルミナ、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなど)、グラファイト、ダイヤモンド、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0081】
非伝導性充填剤の例としては、石英粉末、珪藻土、タルク、粘土、アルミナ、雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、中空ガラス、ガラス繊維、中空樹脂及びめっきされた粉末、並びにそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0082】
難燃剤の例としては、アルミニウムトリハイドレート、塩素化パラフィン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(臭素化トリス)、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0083】
顔料の例としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化チタン、酸化クロム、酸化ビスマスバナジウム、及びそれらの混合物又は誘導体が挙げられる。
【0084】
着色剤の例としては、バット染料、反応性染料、酸性染料、色素染料、分散染料、カチオン性染料、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0085】
存在するとき又は存在する場合、前述の追加の原料は、最終シリコーンゴムベース組成物の1~30重量%、代替的に1~20重量%の量で存在してもよい。
【0086】
真空ストリッピングのための手段を出る際の最終シリコーンゴムベース組成物の温度は、ここでも、利用される混合レジームに依存して、20~230℃、代替的に60~210℃の範囲であってもよい。
【0087】
最終シリコーンゴムベース組成物は、マスターバッチの形態、すなわち、例えばより後の段階で更なるポリマーを添加することによって希釈することができる、濃縮された形態で調製されてもよい。
【0088】
混合物を装填するためのポートと第2の共回転二軸スクリュー連続混練機/押出機の排出ポートとの間に、混合物中の任意の揮発性物質の放出を可能にするための通気孔、混合物の温度を測定するための温度センサ、圧力センサ、他の器具センサなどの要素が配設されてもよい。
【0089】
第2の共回転二軸スクリュー連続混練機/押出機は、任意の好適なL/D比、例えば、例として、15~50、及び最も好ましくは20~40を有してもよい。
【0090】
第2の共回転二軸スクリュー連続混練機/押出機のスクリューの速度は、50~1200rpm、代替的に50~800、代替的に200~1200であるべきである。第2の共回転二軸スクリュー連続混練機/押出機のバレルの外面は、好ましくは、バレルにおける混合物を20~300℃、代替的に100~300℃、代替的に150~300℃、代替的に150~250℃の温度に維持するのを補助するために、ヒーター装備ジャケットで囲まれるべきである。ここでも、利用される混合レジームに依存する。
【0091】
本プロセスにより生成される最終シリコーンゴムベース組成物は、多種多様な方式で利用することができる。例えば、それは、包装ユニットに直接移送され、シリコーンゴム調合操作で使用するためのシリコーンゴムベース組成物又はそのマスターバッチとして顧客に販売されてもよく、又は代替的に1つ以上の仕上げ型ユニットに移送されてもよい。そのような仕上げユニットは、バッチユニット又は連続仕上げユニットであってもよい。仕上げユニットは一般に、最終用途のための最終調合生成物を作製するように設計されている。液体シリコーンゴム材料の場合、これらは、通常、付加プロセス又はヒドロシリル化プロセスを介して硬化される。付加又はヒドロシリル化硬化性組成物は、通常、貯蔵中の早期硬化を回避するために、2つ(又はそれ以上)の部分で貯蔵される。
【0092】
本明細書に記載のプロセスを使用して調製されるシリコーンゴムベース組成物は、2部型付加又はヒドロシリル化硬化性組成物のための部分A組成物及び/又は部分B組成物の調製に使用してもよい。2部型付加又はヒドロシリル化硬化性組成物は、部分A組成物及び部分B組成物を有するものとして言及される。部分A組成物は、シリコーンゴムベース組成物、例えば、本明細書に記載の最終シリコーンゴムベース組成物を、ヒドロシリル化触媒と組み合わせて含む。部分B組成物は、シリコーンゴムベース組成物、例えば、本明細書に記載の最終シリコーンゴムベース組成物を、架橋剤及び任意選択的に阻害剤と組み合わせて含む。部分A組成物中に架橋剤が存在せず、部分B組成物中に触媒が存在しないことを確実にすることが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
本明細書における本開示のある実施形態は、ここで、例として、添付の
図1を参照して以下に説明される。
【
図1】本明細書に記載の本開示のある実施形態のためのプロセスアセンブリの概略図である。
【0094】
図1を参照すると、第1のスタティックミキサ(25)、第1の共回転二軸スクリュー押出機(4)、ポンプ(16)、滞留ゾーン(17)、及び第2の共回転二軸スクリュー連続押出機(19)の形態の真空ストリッピングのための手段が提供される。
【0095】
第1の共回転二軸スクリュー押出機(4)は、出発材料の入口ポート(26)、補強性シリカ充填剤の入口ポート(27)、大気への通気孔(5)及び(8)、一対のスクリュー(図示せず)、バレル(4a)、追加の入口ポート(28)、並びに排出ポート(29)を含む。滞留ゾーン(17)は、パイプと更なるスタティックミキサとの組み合わせである。第2の共回転二軸スクリュー連続押出機(19)は、入口ポート(図示せず)、一対のスクリュー(図示せず)、バレル(19a)、及び排出ポート(30)を有する。第2の共回転二軸スクリュー連続押出機(19)はまた、そこを通って移送される材料を真空ストリッピングするためのいくつかの通気孔を有し、そのうちの3つが図示されている(20、21、及び22)。
【0096】
また、1分子当たり少なくとも2つの不飽和基、典型的にはアルケニル基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(成分(A))のための第1の供給口(3)、疎水化処理剤(成分(C))のための第1の供給口(1)、必要に応じて水(成分(D))のための第1の供給口(2)も提供され、これらの各々は、使用時に、それらのそれぞれの成分を第1のスタティックミキサ(25)に供給するように設計されている。
【0097】
使用時に、入口ポート(27)を経由して第1の共回転二軸スクリュー押出機(4)にシリカを供給するために、補強性シリカ貯蔵部(6)が設けられる。
【0098】
また、1分子当たり少なくとも2つの不飽和基、典型的にはアルケニル基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(成分(A)のための第2の供給口(12)、1つ以上の疎水化処理剤(成分(C))のための第2の供給口(14)、必要に応じて水(成分(D))のための第2の供給口(13)も提供され、これらの各々は、使用時に、それらのそれぞれの成分を第2のスタティックミキサ(31)に供給するように設計され、使用時に、第2のスタティックミキサ(31)から得られた混合物を入口ポート(28)を経由して第1の共回転二軸スクリュー押出機(4)に導入するために提供される。
【0099】
供給口(3)及び(14)は、ギアポンプ(図示せず)を利用して、成分(A)を第1のスタティックミキサ及び第2のスタティックミキサ(25、31)に導入した。供給口(1)及び(2)は、シリンジポンプ又はピストンポンプ(より大きなバレルを有する押出機の場合)を利用して、成分(C)及び(D)をそれぞれ第1のスタティックミキサ(25)に導入した。供給口(14)及び(13)は、シリンジポンプを利用して、成分(C)及び(D)をそれぞれ第2のスタティックミキサ(31)に導入した。成分(B)は、連続サイドフィーダと対になったロスインウェイトスクリューフィーダによって貯蔵部(6)から第1の共回転二軸スクリュー押出機(4)に導入された。
【0100】
第1の共回転二軸スクリュー押出機(4)の外面は、ゾーンにおける温度を必要とされる範囲内に維持するために加熱及び/又は冷却するためのジャケット(図示せず)に囲まれている。冷却の場合、これは、例えば冷却水を循環させて、例えば当該第1の共回転二軸スクリュー押出機(4)における材料の摩擦誘導加熱を低減することによって達成され得る。
【0101】
使用時に、ヘキサメチルジシラザンの形態の疎水化処理剤(C)、水(D)、及び25℃で53,000mPa.sの粘度を有するジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンポリマーを、各々別々に、供給口(1、2、及び3)からそれぞれ第1のスタティックミキサ(25)に導入して、工程(a)混合物を形成する。
【0102】
第1のスタティックミキサ(25)を出ると、工程(a)混合物は、入口ポート(26)を通って第1の二軸スクリュー押出機4に導入される。第1の二軸スクリュー押出機(4)は、両方のスクリューを同じ速度で回転させるように設計された駆動ユニット(図示せず)に取り付けられた二軸スクリュー(図示せず)を保持する細長いバレル(4a)を有する共回転及びかみ合い二軸スクリュー押出機である。第1の二軸スクリュー押出機(4)のL/D比は、48である。第1の共回転二軸スクリュー押出機のスクリューの速度は、システム要件に依存して既定されるが、単に例として、200~1200rpmであってもよい。
【0103】
二軸スクリュー押出機(4)上の第1のゾーン(7)は、プロセスの工程(b)、すなわち工程(a)混合物への補強性充填剤(B)の導入のために提供され、それによって補強性充填剤(B)の表面を工程(a)混合物で湿潤させて粘性ペーストを形成する。入口ポート(26)は、上述の工程(a)混合物を導入するために提供される。入口ポート(27)は、シリカ充填剤を供給貯蔵部(6)から工程(a)混合物中に導入するために使用され、入口ポート(27)を通して充填剤を添加する前又は後に充填剤中に捕捉されたいずれの空気も、大気圧通気孔(5)及び(8)を介して逃がす。第1の二軸スクリュー押出機(4)の第1のゾーン(9)の終わりに、成分(A)、(B)、(C)、及び(D)の混合から得られた粘性ペーストが作製されている。
【0104】
次いで、粘性ペーストは、二軸スクリュー押出機(4)の第2のゾーン(10)に下流に移され、そこで、分散型混合及び混練が実施されて、補強性シリカ充填剤が凝塊体(粒径約50~100μm)から凝集体(粒径約1~10μm)に破断され、最終的に、かなりの割合のシリカが50~500ナノメートル範囲のシリカを含み、工程(c)の生成物として二軸スクリュー押出機(4)に沿った第2のゾーン(11)の終わりに他の成分中の補強性充填剤(B)のシリカ分散液を提供してもよい。
【0105】
続いて、工程(c)で得られたシリカ分散液は、この事例では工程(c)と(d)との間の工程(f)希釈工程のために第3のゾーン(15)に移される。
図1の第3ゾーン(15)では、成分(C)、(D)、及び(A)がそれぞれ供給口(14、13及び12)から第2のスタティックミキサ(31)に供給される。代替経路(図示せず)では、2つの追加の入口ポートが存在してもよく、第1の入口ポートは成分(C)を任意選択的に成分(D)との混合物に導入するためのものであり、第2の入口ポートは成分(A)を導入するためのものである。
【0106】
次いで、工程(f)で得られた、得られた希釈シリカ分散液を排出ポート(29)に移送し、更にポンプ(16)を通して移送し、ポンプ(16)は、希釈シリカ分散液を滞留ゾーン(17)にポンプ圧送し、滞留ゾーン(17)は、更なる混合及び充填剤処理のためのパイプ及び更なるスタティックミキサを含む。次いで、工程(f)から得られた、希釈されたシリカ分散液を、滞留ゾーン(17)において、90~170℃の温度及び300~2,000kPaの圧力で5~30分間、代替的に5~20分間、代替的に10~20分間混合する。
【0107】
滞留ゾーン(17)の終わり(18)において、得られた生成物は、ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物であり、これは、これらの例では第2の共回転二軸スクリュー連続押出機(19)である真空ストリッピングのための手段(19)に導入される。第2の共回転二軸スクリュー連続押出機(19)は、排出ポート(30)を介して第2の共回転二軸スクリュー連続押出機(19)を出る最終シリコーンゴムベース組成物(23)を生産するために、残留処理剤、水、及びアンモニア(存在する場合)を、ポート(20、21、及び22)を通して熱及び真空下でストリッピングするために利用される。
【0108】
第2の共回転二軸スクリュー連続混練機/押出機は、任意の好適なL/D比、例えば、例として、15~50、及び代替的に20~40を有してもよい。
【0109】
第2の共回転二軸スクリュー連続混練機/押出機のスクリューの速度は、50~800rpmであるべきである。第2の共回転二軸スクリュー連続混練機/押出機のバレルの外面は、好ましくは、バレルにおける混合物を150~300℃、代替的に150~250の温度に保持することを維持するのを助けるために、ヒーター装備ジャケットで囲まれるべきである。使用される圧力は、10~500mbar(1~50kPa)、代替的に20~500mbar(2~50kPa)、代替的に50~200mbar(5~20kPa)である。
【0110】
次いで、得られたシリコーンゴムベース組成物(23)は、必要とされる包装又は調合/仕上げ(24)のために移送されてもよい。後者の場合、本明細書に記載のシリコーンゴムベース組成物は、ヒドロシリル化硬化シリコーンゴム組成物の調製に使用されてもよい。これは、一方がヒドロシリル化硬化触媒を含み、他方が架橋剤を含む2つの部分であってもよい。
【0111】
先に考察したように、混合物の温度を測定するための温度センサ、流量センサ、圧力センサ、並びに他の器具及び/又はセンサなどを、図示されていないが、必要に応じてプロセス中に利用してもよい。同様に、先に考察したように、所望であれば、真空ストリッピングのための手段までの途中で添加剤を混合物中に導入してもよい。
【0112】
記載されたプロセスの上記説明は、ここで、本明細書の開示の実施形態を記載する以下の2つの実施例を使用して例示され、別途の指示のない限り、本明細書の
図1の描写に従って行われる。
【実施例】
【0113】
別途の指示のない限り、記載される粘度測定は、1000mPa.s以上の粘度については10s-1でTA-Instruments AR2000Exコーンプレートレオメータから提供され、1000mPa.s未満の粘度についてはスピンドルLV-1を含むBrookfield(登録商標)回転粘度計(15~20,000mPa.sの範囲の粘度について設計される)から提供され、例えば10s-1又は100s-1のポリマー粘度に従って剪断速度を適合させる。別途の指示のない限り、全ての粘度測定は、25℃で取得した。
【0114】
実施例1(Ex.1)及び比較例1(C.1)
Ex.1及びC.1で使用した組成物を表1aに提供する。
【0115】
【0116】
使用したポリマーであるポリマー1は、約55,000mPa.sの粘度を有するビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンであった。
シリカ1は、比表面積258g/m2(ISO 9277:2010に従ったBET法)を有するヒュームドシリカであった。
【0117】
Ex.1では、ポリマー、水、及びヘキサメチルジシラザン(HMDZ)を2部に分けて導入した。いずれの場合も、それらを一定速度で導入した。各原料についての添加重量%を、その原料が第1の二軸スクリュー押出機に導入された工程とともに表1bに示す。
【0118】
【0119】
これらの実施例では、第1の二軸スクリュー押出機(4)は、直径25mm及びL/D比48を有するWerner-Pfleiderer共回転二軸スクリュー押出機であった。スクリューを700rpmで回転させた。入口ポート(26)の温度は約20℃であり、当該第1の二軸スクリュー押出機(4)の排出ポート(29)での温度は約110℃であった。供給口(1~3、及び6)は、全て室温で操作した。
【0120】
工程(a)では、成分(C)、(D)、及び(A)を、それぞれ供給口(1、2、及び3)を介して第1のスタティックミキサ(25)に導入し、その中で混合した後、工程(a)混合物を生産し、これを、入口ポート(26)を通してWerner-Pfleiderer(現Coperion)共回転二軸スクリュー押出機(4)に移送した。
【0121】
工程(b)では、シリカを貯蔵部(6)から入口ポート(27)を介してWerner-Pfleiderer共回転二軸スクリュー押出機4に導入し、工程(a)混合物と混合して、粘性ペーストを形成した。先に考察したように、粘性ペーストを工程(c)で破断し、次いで、この事例では、
図1に関して記載した配置の代わりに、第3ゾーン(15)には、成分をWerner-Pfleiderer共回転二軸スクリュー押出機(4)に導入するための2つの入口ポートが存在した。成分(C)及び(D)の混合物のための第1の入口ポート、並びに第2の量の成分(A)を導入するための第2の入口ポートは、いずれの場合も、工程(f)で得られた希釈されたシリカ分散液が次に排出ポート(29)に移送されるように、押出機(4)中で材料を希釈する。
【0122】
次いで、排出ポート(29)を通って出る混合物を移送し、パイプ及びスタティックミキサを含む滞留ゾーン(17)を通してポンプ圧送した。滞留ゾーンの温度及び圧力は、140℃及び50psi(344.74kPa)であり、材料の滞留ゾーン(17)における平均滞留時間は約13分であった。
【0123】
実施例1で利用した真空ストリッピングのための手段(19)は、Welding Engineers Model 0.8インチ(2.032cm)二軸スクリュー脱揮押出機であった。その押出機は、非かみ合い及び逆回転であった。Welding Engineers Model 0.8インチ二軸スクリュー脱揮押出機(19)を通って進行する材料を、190℃でストリッピング(脱揮)した。
【0124】
Ex.1及びC.1のシリコーンゴムベース組成物の粘度を、25℃で0.1s-1周波数においてTA Instruments AR 2000平行プレートレオメータを使用して決定した。工程(f)中にHMDZ及び水が導入されたEx.1の粘度が、工程(f)中に追加のHMDZ及び水が添加されなかったC.1(3198Pa.sの粘度をもたらした)よりも著しく良好な(低い)粘度結果(787Pa.s)を有したことが見出された。
【0125】
実施例2及び3
Ex.2及び3では、同一の組成物を、上記Ex.1及びC.1に記載したものと全く同じ設備及びプロセスを使用してベース組成物に調製したが、以下を例外とする。
(i)比表面積が248g/m2(ISO 9277:2010に従ったBET法)を有するヒュームドシリカであるシリカ(ii)を使用したこと、
(ii)Ex.2の滞留ゾーンで使用した温度が90℃であったこと、及び
(iii)Ex.3の滞留ゾーンで使用した温度が170℃であったこと。
【0126】
両方のEx.2及びEx.3に使用した組成物を表2aに示す。
【0127】
【0128】
【0129】
Ex.2及びEx.3のシリコーンゴムベース組成物の粘度を、上述の方法を使用して決定した。Ex.2の粘度は、1909Pa.sであり、Ex.3については、1222Pa.sであった。両方とも、本明細書で前述したようなベース組成物を提供したが、Ex.3のベース組成物は、粘度が低いほど結果が良好であり、改善された充填剤処理を示したことが考えられる。
【0130】
次いで、Ex.3のベース組成物を使用して硬化性2部型シリコーンゴム組成物を調製し、Ex.3を白金系触媒と混合して部分A組成物を形成し、白金系触媒は部分A組成物中に0.33重量%の量で存在した。部分B組成物は、Ex.3のベースを、部分B組成物の1.6重量%の量の25℃で45mPa.sの粘度を有するトリメチル末端ジメチルメチル水素ポリシロキサンの形態の架橋剤と、部分B組成物の0.095重量%の量の阻害剤と混合することによって調製した。次いで、部分A及び部分B組成物を一緒に混合し、最終組成物を150℃の温度で5分間硬化させ、続いて4時間、200℃で後硬化させた。
【0131】
硬化したら、得られたエラストマーの物理的特性を決定し、標準的なバッチ技術を使用して同一の原料リストで作製した参照エラストマーの物理的特性と比較した。Ex.3と参照エラストマーとの物理的特性の比較を以下の表2cに示す。
【0132】
【0133】
結果は類似しており、本明細書に記載されるように使用されるプロセスが、本明細書の連続プロセス及び標準バッチプロセスからシリコーンベースを作製する場合に、同様に処理された充填剤をもたらすことを示すことが分かる。
【0134】
実施例4
この実施例では、40mmスクリューを使用してベース組成物を調製し、ピストンポンプを適宜利用した。使用した組成物を表3aに示す。
【0135】
【0136】
ポリマー1及びシリカ1は、上記Ex.1及びC.1で使用したものと同じであった。Ex.4では、ポリマー、水、及びヘキサメチルジシラザン(HMDZ)を2部に分けて導入した。いずれの場合も、それらを一定速度で導入した。各原料についての添加重量%を、その原料が第1の二軸スクリュー押出機に導入された工程とともに表3bに示す。
【0137】
【0138】
再び
図1を参照すると、Ex.4では、第1の二軸スクリュー押出機(4)は、直径40mm及びL/D比62を有するCoperion製のZSK 40 McPlus共回転二軸スクリュー押出機であった。スクリューを700rpmで回転させ、当該第1の二軸スクリュー押出機(4)の排出ポート(29)の温度は110℃であった。
【0139】
供給口(1~3、及び6)は、全て室温で操作した。工程(a)では、成分(C)、(D)、及び(A)を、それぞれ供給口(1、2、及び3)を介して第1のスタティックミキサ(25)に導入し、その中で混合した後、工程(a)混合物を生産し、これを、入口ポート(26)を通してZSK 40 McPlus共回転二軸スクリュー押出機(4)に移送した。
【0140】
実施例4の工程(b)では、シリカを貯蔵部(6)から入口ポート(27)を介してZSK 40 McPlus共回転二軸スクリュー押出機(4)に導入し、工程(a)混合物と混合して、粘性ペーストを形成した。先に考察したように、粘性ペーストを工程(c)で破断し、次いで、実施例1のようなこの事例では、
図1に関して記載した配置の代わりに、第3ゾーン(15)には、原料をZSK 40 McPlus共回転二軸スクリュー押出機(4)に導入するための3つの入口ポートが存在した。(C)のための第1の入口ポート、成分のための第2の入口ポート、及び第3の追加の入口ポートは、第2の量の成分(A)を導入するためのものであった。成分(C)及び(D)を室温で導入した。
【0141】
次いで、排出ポート(29)を通って出る混合物を移送し、パイプ及びスタティックミキサを含む滞留ゾーン(17)を通してポンプ圧送した。滞留ゾーンの温度及び圧力は、140℃及び145psi(999.74kPa)であり、材料の滞留ゾーン(17)における平均滞留時間は約18分であった。
【0142】
第2の押出機(19)は、Coperion製のZSK 32 McPlus共回転二軸スクリュー脱揮押出機であった。当該ZSK 32 McPlus共回転二軸スクリュー脱揮押出機(19)を通って進行する材料を、160℃でストリッピング(脱揮)した。
【0143】
Ex.4のシリコーンゴムベース組成物の粘度を、Ex.1及びC.1について記載したのと同じ試験方法を使用して決定し、粘度が4094Pa.sであると決定された。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法であって、シリコーンゴムベース組成物が、
(i)アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)と、
(ii)疎水化処理された補強性シリカ充填剤(B)と、を含み、
(a)少なくとも1つの疎水化処理剤(C)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサン(A)、並びに任意選択的に水(D)を第1のスタティックミキサ(25)に導入して、工程(a)混合物を形成し、次いで前記工程(a)混合物を第1の二軸スクリュー押出機(4)に導入する工程と、
(b)温度を20~80℃又の範囲に維持しながら、前記第1の二軸スクリュー押出機(4)における補強性シリカ充填剤(B)入口ポート(27)を介して、補強性シリカ充填剤(B)を前記工程(a)混合物に導入して、粘性ペーストを形成し、存在するガスを逃がすように、前記補強性シリカ充填剤(B)入口ポート(27)の上流及び/又は下流に大気への少なくとも1つの通気孔(5、8)を提供する工程と、
(c)工程(b)から得られた前記粘性ペーストを、前記第1の二軸スクリュー押出機(4)における分散型混合及び混練ゾーンにおいて混合して、シリカ分散液を形成する工程と、
(d)前記第1の二軸スクリュー押出機(4)の下流の滞留ゾーン(17)において、工程(c)で生産された前記シリカ分散液を更に混合して、ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を提供する工程と、
(e)前記ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物を、真空ストリッピングのための手段(19)を用いてストリッピングして、少なくとも100℃の温度でシリコーンゴムベース組成物を提供する工程と、
(f)成分(C)並びに任意選択的に成分(A)及び(D)のうちの一方又は両方を、工程(c)と(d)との間かつ/又は工程(d)中のいずれかで前記第1の二軸スクリュー押出機(4)に導入して、工程(c)の前記シリカ分散液からシリカを希釈し更に疎水化処理し、続いて希釈されたシリカ分散液を形成する工程と、を含む、連続方法。
【請求項2】
前記疎水化処理剤(C)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有するポリオルガノシロキサン(A)、並びに存在する場合に水(D)が、必要に応じて既定の範囲内で互いに対して変動し得る予め規定された制御速度で前記第1のスタティックミキサ(25)に導入される、請求項1に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項3】
疎水化処理剤(C)、アルケニル基及びアルキニル基から選択される1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有する前記1つ以上のポリオルガノシロキサン(A)、並びに任意選択的に水(D)が、1つ以上の重量損失計、質量流量計、ギアポンプ、シリンジポンプ、若しくはピストンポンプ、又はそれらの混合物によって、前記第1のスタティックミキサ(25)にポンプ圧送される、請求項1又は2に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項4】
(i)成分(A)が、1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有する1つ以上のポリジオルガノシロキサンと、任意選択的に1分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン樹脂とを含み、かつ/又は
(ii)添加剤が、前記調製中に前記混合物に導入され得る、請求項1又は2に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項5】
前記第1の二軸スクリュー押出機(4)が、共回転二軸スクリュー押出機、かみ合い二軸スクリュー押出機、又は共回転及びかみ合い二軸スクリュー押出機である、請求項1又は2に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項6】
前記第1の二軸スクリュー押出機(4)が、好ましくは、25:1~65:1の軸長L対スクリュー直径D比を有する、請求項1又は2に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項7】
成分(B)が、1つ以上のテーブル、ベルト、ロスインウェイトフィーダ、サイドフィーダ、供給増強技術システム、又はスクリューから選択される粉末のための連続フィーダによって、一定速度で前記補強充填剤(B)入口ポート(27)に供給され得る、請求項1又は2に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項8】
工程(f)において、第1の追加の入口ポート及び第2の追加の入口ポート(28)が提供され、前記第1の追加の入口ポートが、追加量の成分(C)及び任意選択的に成分(D)の導入のために利用され、前記第2の追加の入口ポートが、追加量の成分(A)の導入のために利用される、請求項1に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項9】
成分(C)及び存在する場合に成分(D)が、前記第1の追加の入口ポート(28)を通して導入される前に、第2のスタティックミキサ(31)において予備混合される、請求項8に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項10】
工程(e)における前記更なる混合が、任意選択的に第3のスタティックミキサを含む滞留ゾーン(17)上で実施される、請求項1に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項11】
滞留ゾーン(17)が、300~2,000kPaの圧力で、90~170℃の温度で制御され、前記滞留ゾーンにおける平均滞留時間が5~30分である、請求項10に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項12】
工程(e)が、工程(d)から得られた前記ストリッピングされていないシリコーンゴムベース組成物から揮発性物質及びガスを真空ストリッピングするように設計された連続ストリッピングデバイス(19)において着手される、請求項1又は2に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項13】
1つ以上の温度センサ、流量センサ、圧力センサ、並びに他の器具及び/又はセンサが、プロセス中に利用される、請求項1又は2に記載のシリコーンゴムベース組成物の調製のための連続方法。
【請求項14】
請求項1又は2に記載のプロセスによってシリコーンゴムベース組成物を作製するように適合された、シリコーンゴムベース組成物製造アセンブリ。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の連続方法によって得ることが可能であるか、又はそれによって得られた、シリコーンゴムベース組成物。
【請求項16】
ヒドロシリル化硬化シリコーンゴム組成物の調製における、請求項1又は2に記載のシリコーンゴムベース組成物の、使用。
【国際調査報告】