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特表2023-554592SARS-COV-2と宿主細胞の表面との相互作用を調節するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】SARS-COV-2と宿主細胞の表面との相互作用を調節するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20231221BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20231221BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20231221BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231221BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231221BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20231221BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20231221BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61K31/713
A61K31/7088
A61K39/395 D
A61P31/14
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P25/00
A61K45/06
C12N15/113 140Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530172
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 US2021060464
(87)【国際公開番号】W WO2022109441
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/117,440
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.UNIX
3.SUPERDEX
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス-マルティン, ナディア
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZB032
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC082
4C084ZC411
4C084ZC412
4C084ZC421
4C085AA13
4C085BB41
4C085BB43
4C085EE01
4C086AA01
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZB21
4C086ZB33
(57)【要約】
本明細書に提供されるのは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質と原形質膜に発現された宿主細胞のタンパク質との間の相互作用を調節することを含む、SARS-CoV-2感染症を治療又は予防する方法、及びそのような相互作用モジュレーターを同定する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体に対して有効量のコクタクチン-1(CNTN1)アンタゴニスト、インターロイキン12受容体サブユニットベータ1(IL12RB1)アンタゴニスト、又はインターロイキン1受容体アクセサリータンパク質様2(IL1RAPL2)アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体を治療する方法。
【請求項2】
個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストを投与することを含む、個体の細胞に対するSARS-CoV-2の結合を減少させる方法。
【請求項3】
投与することが、個体の細胞を有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストと接触させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストを投与することを含む、個体におけるSARS-CoV-2感染を減少させる方法。
【請求項5】
(a)CNTN1アンタゴニストが、CNTN1とSARS-CoV-2(S)タンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;
(b)IL12RB1アンタゴニストが、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は
(c)IL1RAPL2アンタゴニストが、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストが、個体のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストが、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
抑制性核酸が、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)又は低分子干渉RNA(siRNA)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストが、ペプチドである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1、IL12RB1、及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)に対するCNTN1、Il12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項7及び10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
二重特異性抗体が、(a)アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)とCNTN1;(b)ACE2とIL12RB1;又は(c)ACE2とIL1RAPL2に結合する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体における神経組織の二次感染の予防方法。
【請求項19】
(a)CNTN1アンタゴニストが、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は
(b)IL1RAPL2アンタゴニストが、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストが、個体における神経組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストが、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストが、ペプチドである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1又はIL1RAPL2に結合する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項21及び24から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項24から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
二重特異性抗体が、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL1RAPL2、又は(c)CNTN1とIL1RAPL2に結合する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
個体に対して有効量のIL12RB1アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織の二次感染の予防方法。
【請求項33】
IL12RB1アンタゴニストが、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
IL12RB1アンタゴニストが、個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、IL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
IL12RB1アンタゴニストが、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
IL12RB1アンタゴニストが、ペプチドである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
IL12RB1アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、IL12RB1に対するその結合を阻害する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
抗体又はその抗原結合断片がIL12RB1に結合する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項35及び38から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項38から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
二重特異性抗体が、ACE2及びIL12RB1に結合する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体における肺の二次感染の予防方法。
【請求項47】
(a)CNTN1アンタゴニストが、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は
(b)IL12RB1アンタゴニストが、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、
請求項46に記載の方法。
【請求項48】
CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストが、個体における肺のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストが、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストが、ペプチドである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL12RB1に対するその結合を阻害する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1又はIL12RB1に結合する、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1又はIL12RB1の結合を阻害する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL12RB1の結合を阻害する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項49及び52から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項52から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
二重特異性抗体が、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL12RB1、又は(c)CNTN1とIL12RB1に結合する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
個体が、COVID-19を有している、請求項1から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
個体が、COVID-19肺炎又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有している、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
個体に対して少なくとも1つの追加的療法を投与することをさらに含む、請求項1から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストが、少なくとも1つの追加的療法の前に、少なくとも1つの追加的療法と同時に、又は少なくとも1つの追加的療法の後で、個体に投与される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つの追加的療法が、ACE2アンタゴニストである、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1つの追加的療法が、ニューロピリン-2(NRP2)アンタゴニストである、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項66】
少なくとも1つの追加的療法が、支持療法、抗ウイルス療法、又はコルチコステロイド療法である、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項67】
支持療法が、酸素療法を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
抗ウイルス療法が、アルファ-インターフェロン、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル/リトナビル、レムデシビル、リバビリン、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、ウミフェノビル、ファビピラビル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
コルチコステロイド療法が、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、デキサメタゾン、デキサメタゾントリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
コルチコステロイド療法が、低用量コルチコステロイド療法である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
臨床転帰に、標準治療(SOC)と比較してより大きな改善を達成する、請求項1から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
臨床転帰が、≦2の早期警戒スコア2(NEWS2)が24時間維持されることと定義される臨床的改善までの時間(TTCI)である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
臨床転帰が、機械的人工呼吸の発生である、請求項71又は72に記載の方法。
【請求項74】
臨床転帰が、集中治療室(ICU)滞在の発生である、請求項71から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
臨床転帰が、ICU滞在の期間である、請求項71から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
臨床転帰が、死亡、機械的人工呼吸、ICUへの入院、又は中止のうち最初に起こるものまでの時間として定義される臨床的失敗までの時間である、請求項71から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
臨床転帰が、退院;又は正常な体温と呼吸数、及び周囲空気若しくは≦2Lの酸素補給での安定した酸素飽和度によって証明される退院準備完了までの時間である、請求項71から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
臨床転帰が、酸素補給の持続時間である、請求項71から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
臨床転帰が、昇圧剤の使用の発生、昇圧剤の使用期間、体外膜型酸素供給(ECMO)の発生、透析開始の発生、15日目若しくは退院日(いずれか最初に起こるもの)におけるSARS-CoV-2ウイルス負荷、及び二次細菌感染を有する個体の割合からなる群から選択される、請求項71から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
SOCと比較して、許容可能な安全性の転帰に関連付けられる、請求項1から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
安全性の転帰が、有害事象の発生と重症度;重症度が、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI CTCAE)v5.0に従って決定される場合の、有害事象の発生と重症度;標的バイタルサインのベースラインからの変化;及び標的臨床検査結果のベースラインからの変化からなる群から選択される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
SOCが、支持療法、1つ以上の抗ウイルス薬の投与、及び/又は1つ以上の低用量コルチコステロイドの投与を含む、請求項71から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
個体がヒトである、請求項1から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
SARS-CoV-2 Sタンパク質と、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって:
(a)候補モジュレーターを提供することと;
(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの結合を可能にする条件下で接触させることと;
(c)CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのタンパク質の結合を測定することと
を含み、候補モジュレーターの存在下での結合が、候補モジュレーターの非存在下での結合と比べて増加又は減少している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質と、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との間の相互作用のモジュレーターとして同定される、方法。
【請求項85】
SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって:
(a)候補モジュレーターを提供すること;
(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの結合を可能にする条件下で接触させることと;
(c)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの下流活性を測定すること
を含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定される、方法。
【請求項86】
CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって:
(a)候補モジュレーターを提供することと;
(b)CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2を、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDと、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を可能にする条件下で接触させることと;
(c)CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の下流活性を測定すること
を含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の下流活性のモジュレーターとして同定される、方法。
【請求項87】
結合の増加又は減少が、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも50%である、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性の阻害剤である、請求項84から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
下流活性の変化が、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である、請求項85又は86に記載の方法。
【請求項90】
モジュレーターが、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項84から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する、請求項90又は92に記載の方法。
【請求項94】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する、請求項90又は92に記載の方法。
【請求項95】
下流活性が、SARS-CoV-2による細胞の感染である、請求項85から94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
感染が、モジュレーターの存在下で減少する、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
感染が、SARS-CoV-2 Sタンパク質のシュードタイプ粒子を使用してウイルス感染アッセイ又はウイルス侵入アッセイで測定して少なくとも40%減少する、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する抗体又はその抗原結合断片である、請求項84から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
モジュレーターが、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する抗体又はその抗原結合断片である、請求項84から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
SARS-CoV-2 Sタンパク質と、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との間の相互作用の単離されたモジュレーターであって、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質の結合を、モジュレーターの非存在下での結合と比べて減少させるモジュレーター。
【請求項101】
SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性の単離されたモジュレーターであって、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性を、モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化させるモジュレーター。
【請求項102】
結合の減少が、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも50%である、請求項100に記載のモジュレーター。
【請求項103】
SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性の阻害剤である、請求項100から102のいずれか一項に記載のモジュレーター。
【請求項104】
下流活性の変化が、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である、請求項103に記載のモジュレーター。
【請求項105】
小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項100から104のいずれか一項に記載のモジュレーター。
【請求項106】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項105に記載のモジュレーター。
【請求項107】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項105に記載のモジュレーター。
【請求項108】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する、請求項105又は107に記載のモジュレーター。
【請求項109】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する、請求項105又は107に記載のモジュレーター。
【請求項110】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項105及び107から109のいずれか一項に記載のモジュレーター。
【請求項111】
二重特異性抗体が、(a)ACE2とCNTN1;(b)ACE2とIL12RB1;又は(c)ACE2とIL1RAPL2に結合する、請求項110に記載のモジュレーター。
【請求項112】
SARS-CoV-2感染症を有する個体を治療するための医薬の製造における、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの使用。
【請求項113】
個体の細胞に対するSARS-CoV-2の結合を減少させるための医薬の製造における、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの使用。
【請求項114】
医薬が、個体の細胞を、有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストと接触させることにより投与されるように適合される、請求項113に記載の使用。
【請求項115】
個体におけるSARS-CoV-2感染を減少させるための医薬の製造における、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの使用。
【請求項116】
(a)CNTN1アンタゴニストが、CNTN1とSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;
(b)IL12RB1アンタゴニストが、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は
(c)IL1RAPL2アンタゴニストが、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、
請求項112から115のいずれか一項に記載の使用。
【請求項117】
CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストが、個体のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項112から116のいずれか一項に記載の使用。
【請求項118】
CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストが、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項112から117のいずれか一項に記載の使用。
【請求項119】
抑制性核酸が、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)又は低分子干渉RNA(siRNA)である、請求項118に記載の使用。
【請求項120】
CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストが、ペプチドである、請求項118に記載の使用。
【請求項121】
CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片である、請求項118に記載の使用。
【請求項122】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1、IL12RB1、及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する、請求項121に記載の使用。
【請求項123】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する、請求項121に記載の使用。
【請求項124】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項121に記載の使用。
【請求項125】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1、Il12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項124に記載の使用。
【請求項126】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項118及び121から125のいずれか一項に記載の使用。
【請求項127】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項121から124のいずれか一項に記載の使用。
【請求項128】
二重特異性抗体が、(a)アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)とCNTN1;(b)ACE2とIL12RB1;又は(c)ACE2とIL1RAPL2に結合する、請求項127に記載の使用。
【請求項129】
SARS-CoV-2感染症を有する個体における神経組織の二次感染の予防のための医薬の製造における、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストの使用。
【請求項130】
(a)CNTN1アンタゴニストが、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は
(b)IL1RAPL2アンタゴニストが、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、
請求項129に記載の使用。
【請求項131】
CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストが、個体における神経組織SARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項129又は130に記載の使用。
【請求項132】
CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストが、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項129から131のいずれか一項に記載の使用。
【請求項133】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項132に記載の使用。
【請求項134】
CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストが、ペプチドである、請求項132に記載の使用。
【請求項135】
CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片である、請求項132に記載の使用。
【請求項136】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する、請求項135に記載の使用。
【請求項137】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1又はIL1RAPL2に結合する、請求項135に記載の使用。
【請求項138】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対する CNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項137に記載の使用。
【請求項139】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項138に記載の使用。
【請求項140】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項132及び135から139のいずれか一項に記載の使用。
【請求項141】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項135から139のいずれか一項に記載の使用。
【請求項142】
二重特異性抗体が、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL1RAPL2、又は(c)CNTN1とIL1RAPL2に結合する、請求項141に記載の使用。
【請求項143】
SARS-CoV-2感染症を有する個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織の二次感染の予防のための医薬の製造における、IL12RB1アンタゴニストの使用。
【請求項144】
IL12RB1アンタゴニストが、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、請求項143に記載の使用。
【請求項145】
IL12RB1アンタゴニストが、個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、IL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項143又は144に記載の使用。
【請求項146】
IL12RB1アンタゴニストが、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項143から145のいずれか一項に記載の使用。
【請求項147】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項146に記載の使用。
【請求項148】
IL12RB1アンタゴニストが、ペプチドである、請求項146に記載の使用。
【請求項149】
IL12RB1アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片である、請求項146に記載の使用。
【請求項150】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、IL12RB1に対するその結合を阻害する、請求項149に記載の使用。
【請求項151】
抗体又はその抗原結合断片がIL12RB1に結合する、請求項149に記載の使用。
【請求項152】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する、請求項151に記載の使用。
【請求項153】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項146及び149から153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項149から153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
二重特異性抗体が、ACE2及びIL12RB1に結合する、請求項155に記載の使用。
【請求項157】
SARS-CoV-2感染症を有する個体における肺の二次感染の予防のための医薬の製造における、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストの使用。
【請求項158】
(a)CNTN1アンタゴニストが、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は
(b)IL12RB1アンタゴニストが、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、
請求項157に記載の使用。
【請求項159】
CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストが、個体における肺のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項157又は158に記載の使用。
【請求項160】
CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストが、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項157から159のいずれか一項に記載の使用。
【請求項161】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項160に記載の使用。
【請求項162】
CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストが、ペプチドである、請求項160に記載の使用。
【請求項163】
CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片である、請求項160に記載の使用。
【請求項164】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL12RB1に対するその結合を阻害する、請求項163に記載の使用。
【請求項165】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1又はIL12RB1に結合する、請求項163に記載の使用。
【請求項166】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対する CNTN1又はIL12RB1の結合を阻害する、請求項165に記載の使用。
【請求項167】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL12RB1の結合を阻害する、請求項166に記載の使用。
【請求項168】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項160及び163から167のいずれか一項に記載の使用。
【請求項169】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項163から167のいずれか一項に記載の使用。
【請求項170】
二重特異性抗体が、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL12RB1、又は(c)CNTN1とIL12RB1に結合する、請求項169に記載の使用。
【請求項171】
個体が、COVID-19を有している、請求項112から170のいずれか一項に記載の使用。
【請求項172】
個体が、COVID-19肺炎又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有している、請求項171に記載の使用。
【請求項173】
医薬が、少なくとも1つの追加的療法と共に個体に投与されるように適合される、請求項112から172のいずれか一項に記載の使用。
【請求項174】
医薬が、少なくとも1つの追加的療法の前に、少なくとも1つの追加的療法と同時に、又は少なくとも1つの追加的療法の後で、個体に投与されるように適合される、請求項173に記載の使用。
【請求項175】
少なくとも1つの追加的療法が、ACE2アンタゴニストである、請求項173又は174に記載の使用。
【請求項176】
少なくとも1つの追加的療法が、NRP2アンタゴニストである、請求項173又は174に記載の使用。
【請求項177】
少なくとも1つの追加的療法が、支持療法、抗ウイルス療法、又はコルチコステロイド療法である、請求項173又は174に記載の使用。
【請求項178】
支持療法が、酸素療法を含む、請求項177に記載の使用。
【請求項179】
抗ウイルス療法が、アルファ-インターフェロン、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル/リトナビル、レムデシビル、リバビリン、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、ウミフェノビル、ファビピラビル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項177に記載の使用。
【請求項180】
コルチコステロイド療法が、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、デキサメタゾン、デキサメタゾントリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項177に記載の使用。
【請求項181】
コルチコステロイド療法が、低用量コルチコステロイド療法である、請求項177に記載の使用。
【請求項182】
治療が、SOCと比較してより大きな改善を達成する、請求項112から181のいずれか一項に記載の使用。
【請求項183】
臨床転帰が、≦2のNEWS2が24時間維持されることと定義されるTTCIである、請求項182に記載の使用。
【請求項184】
臨床転帰が、機械的人工呼吸の発生である、請求項182又は183に記載の使用。
【請求項185】
臨床転帰が、ICU滞在の発生である、請求項182から184のいずれか一項に記載の使用。
【請求項186】
臨床転帰が、ICU滞在の期間である、請求項182から185のいずれか一項に記載の使用。
【請求項187】
臨床転帰が、死亡、機械的人工呼吸、ICUへの入院、又は中止のうち最初に起こるものまでの時間として定義される臨床的失敗までの時間である、請求項182から186のいずれか一項に記載の使用。
【請求項188】
臨床転帰が、退院;又は正常な体温と呼吸数、及び周囲空気若しくは≦2Lの酸素補給での安定した酸素飽和度によって証明される退院準備完了までの時間である、請求項182から187のいずれか一項に記載の使用。
【請求項189】
臨床転帰が、酸素補給の持続時間である、請求項182から188のいずれか一項に記載の使用。
【請求項190】
臨床転帰が、昇圧剤の使用の発生、昇圧剤の使用期間、ECMOの発生、透析開始の発生、15日目若しくは退院日(いずれか最初に起こるもの)におけるSARS-CoV-2ウイルス負荷、及び二次細菌感染を有する個体の割合からなる群から選択される、請求項182から189のいずれか一項に記載の使用。
【請求項191】
治療が、SOCと比較して、許容可能な安全性の転帰に関連付けられる、請求項112から190のいずれか一項に記載の使用。
【請求項192】
安全性の転帰が、有害事象の発生と重症度;重症度がNCI CTCAE v5.0に従って決定される場合の、有害事象の発生と重症度;標的バイタルサインのベースラインからの変化;及び標的臨床検査結果のベースラインからの変化からなる群から選択される、請求項191に記載の使用。
【請求項193】
SOCが、支持療法、1つ以上の抗ウイルス薬の投与、及び/又は1つ以上の低用量コルチコステロイドの投与を含む、請求項182から192のいずれか一項に記載の使用。
【請求項194】
個体がヒトである、請求項112から193のいずれか一項に記載の使用。
【請求項195】
SARS-CoV-2感染症を有する個体を治療することにおける使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項196】
個体の細胞に対するSARS-CoV-2の結合を減少させることにおける使用のための、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項197】
個体の細胞を、有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストと接触させることにより投与される、請求項196に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項198】
個体におけるSARS-CoV-2感染を減少させることにおける使用のための、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項199】
(a)CNTN1アンタゴニストが、CNTN1とSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;
(b)IL12RB1アンタゴニストが、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は
(c)IL1RAPL2アンタゴニストが、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、
請求項195から198のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項200】
個体のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項195から199のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項201】
小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項195から200のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項202】
抑制性核酸が、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)又は低分子干渉RNA(siRNA)である、請求項201に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項203】
ペプチドである、請求項201に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項204】
抗体又はその抗原結合断片である、請求項201に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項205】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1、IL12RB1、及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する、請求項204に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項206】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する、請求項204に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項207】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項206に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項208】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1、Il12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項207に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項209】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項201及び204から208のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項210】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項204から208のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項211】
二重特異性抗体が、(a)アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)とCNTN1;(b)ACE2とIL12RB1;又は(c)ACE2とIL1RAPL2に結合する、請求項210に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項212】
SARS-CoV-2感染症を有する個体における神経組織の二次感染の予防における使用のための、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項213】
(a)CNTN1アンタゴニストが、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は
(b)IL1RAPL2アンタゴニストが、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、
請求項212に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項214】
個体における神経組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項212又は213に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項215】
小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項212から214のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項216】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項215に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項217】
ペプチドである、請求項215に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項218】
抗体又はその抗原結合断片である、請求項215に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項219】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する、請求項218に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項220】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1又はIL1RAPL2に結合する、請求項218に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項221】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項220に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項222】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する、請求項221に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項223】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項215及び218から222のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項224】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項218から222のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項225】
二重特異性抗体が、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL1RAPL2、又は(c)CNTN1とIL1RAPL2に結合する、請求項224に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項226】
SARS-CoV-2感染症を有する個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織の二次感染の予防における使用のための、IL12RB1アンタゴニスト。
【請求項227】
IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、請求項226に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項228】
個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、IL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項226又は227に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項229】
小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項226から228のいずれか一項に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項230】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項229に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項231】
ペプチドである、請求項229に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項232】
抗体又はその抗原結合断片である、請求項229に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項233】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、IL12RB1に対するその結合を阻害する、請求項232に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項234】
抗体又はその抗原結合断片がIL12RB1に結合する、請求項232に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項235】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する、請求項234に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項236】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する、請求項235に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項237】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項229及び232から236のいずれか一項に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項238】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項232から236のいずれか一項に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項239】
二重特異性抗体が、ACE2及びIL12RB1に結合する、請求項238に記載の使用のためのIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項240】
SARS-CoV-2感染症を有する個体における肺の二次感染の予防における使用のための、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項241】
(a)CNTN1アンタゴニストが、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は
(b)IL12RB1アンタゴニストが、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる、
請求項240に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項242】
個体における肺のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる、請求項240又は241に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項243】
小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である、請求項240から242のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項244】
抑制性核酸が、ASO又はsiRNAである、請求項243に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項245】
ペプチドである、請求項243に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項246】
抗体又はその抗原結合断片である、請求項243に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項247】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL12RB1に対するその結合を阻害する、請求項246に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項248】
抗体又はその抗原結合断片が、CNTN1又はIL12RB1に結合する、請求項246に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項249】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1又はIL12RB1の結合を阻害する、請求項248に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項250】
抗体又はその抗原結合断片が、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL12RB1の結合を阻害する、請求項249に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項251】
抗原結合断片が、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項243及び246から250のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項252】
抗体が、二重特異性抗体である、請求項246から250のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項253】
二重特異性抗体が、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL12RB1、又は(c)CNTN1とIL12RB1に結合する、請求項252に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニスト。
【請求項254】
個体が、COVID-19を有する、請求項195から253のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項255】
個体が、COVID-19肺炎又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する、請求項254に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項256】
少なくとも1つの追加的療法が個体に適用される、請求項195から255のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項257】
少なくとも1つの追加的療法の前に、少なくとも1つの追加的療法と同時に、又は少なくとも1つの追加的療法の後で、個体に投与される、請求項256に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項258】
少なくとも1つの追加的療法が、ACE2アンタゴニストである、請求項256又は257に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項259】
少なくとも1つの追加的療法が、NRP2アンタゴニストである、請求項256又は257に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項260】
少なくとも1つの追加的療法が、支持療法、抗ウイルス療法、又はコルチコステロイド療法である、請求項256又は257に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項261】
支持療法が、酸素療法を含む、請求項260に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項262】
抗ウイルス療法が、アルファ-インターフェロン、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル/リトナビル、レムデシビル、リバビリン、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、ウミフェノビル、ファビピラビル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項260に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項263】
コルチコステロイド療法が、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、デキサメタゾン、デキサメタゾントリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項260に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項264】
コルチコステロイド療法が、低用量コルチコステロイド療法である、請求項263に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項265】
使用が、SOCと比較して、臨床転帰により大きな改善を達成する、請求項195から264のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項266】
臨床転帰が、≦2のNEWS2が24時間維持されることと定義されるTTCIである、請求項265に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項267】
臨床転帰が、機械的人工呼吸の発生である、請求項265又は266に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項268】
臨床転帰が、ICU滞在の発生である、請求項265から267のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項269】
臨床転帰が、ICU滞在の期間である、請求項265から268のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項270】
臨床転帰が、死亡、機械的人工呼吸、ICUへの入院、又は中止のうち最初に起こるものまでの時間として定義される臨床的失敗までの時間である、請求項265から269のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項271】
臨床転帰が、退院;又は正常な体温と呼吸数、及び周囲空気若しくは≦2Lの酸素補給での安定した酸素飽和度によって証明される退院準備完了までの時間である、請求項265から270のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項272】
臨床転帰が、酸素補給の持続時間である、請求項265から271のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項273】
臨床転帰が、昇圧剤の使用の発生、昇圧剤の使用期間、ECMOの発生、透析開始の発生、15日目若しくは退院日(いずれか最初に起こるもの)におけるSARS-CoV-2ウイルス負荷、及び二次細菌感染を有する個体の割合からなる群から選択される、請求項265から272のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項274】
使用が、SOCと比較して、許容可能な安全性の転帰と関連付けられる、請求項195から273のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項275】
安全性の転帰が、有害事象の発生と重症度;重症度がNCI CTCAE v5.0に従って決定される場合の、有害事象の発生と重症度;標的バイタルサインのベースラインからの変化;及び標的臨床検査結果のベースラインからの変化からなる群から選択される、請求項274に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項276】
SOCが、支持療法、1つ以上の抗ウイルス薬の投与、及び/又は1つ以上の低用量コルチコステロイドの投与を含む、請求項265から275のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【請求項277】
個体が、ヒトである、請求項195から276のいずれか一項に記載の使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月23日に出願された米国特許出願第63/117,440号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に援用される。2021年11月19日に作成された前記ASCIIコピーの名称は50474-213WO5_Sequence_Listing_10_4_21_ST25であり、サイズは29,679バイトである。
【0003】
発明の分野
本明細書に提供されるのは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質と原形質膜に発現された宿主細胞のタンパク質との間の相互作用を調節することを含む、SARS-CoV-2感染症を治療又は予防する方法、及びそのような相互作用のモジュレーターを同定する方法である。
【背景技術】
【0004】
コロナウイルス(CoV)は、正鎖RNAウイルスであり、エンベロープ上にスパイク状の糖タンパク質が存在するため、電子顕微鏡では王冠のように見える。コロナウイルスは、一般的な風邪から、より深刻な症状、例えば中東呼吸器症候群(MERS CoV)及び重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV)に及ぶ病気を引き起こすウイルスの大きなファミリーである。
【0005】
COVID-19は、「新型コロナウイルス感染症2019(coronavirus disease 2019)」の頭文字をとったものであり、これまでヒトには確認されたことのない新型コロナウイルス株(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2))によって引き起こされ、世界保健機関(WHO)によって2020年2月11日に新たに命名された。原因不明の下気道感染症の流行は、中国湖北省最大の都市圏である武漢で初めて検出され、2019年12月31日にWHO中国国事務所に報告された。その後、2020年3月11日にWHOによってパンデミックが宣言された。WHOによれば、2020年11月16日の時点で、全世界で5400万件のCOVID-19の症例が報告され、死者は132万人を超えていた。2021年11月16日の時点では、全世界で2億5千3百万件を超えるCOVID-19の症例が報告され、死者は5百万人を超えていた。
【0006】
集中的な研究努力にもかかわらず、SARS-CoV-2の侵入及び感染症の開始を媒介する宿主細胞受容体及び細胞因子については依然として多くが不明なままであり、その一因は、膜タンパク質インタラクトームの研究のための感受性の高い技術が不足していることである。このような不十分な理解により、SARS-CoV-2感染症の治療及び予防のための治療的に有効な選択肢は不足している。
【0007】
大部分の研究及び医薬開発の努力は、コロナウイルスの侵入に関与していることが知られている哺乳動物細胞の表面発現タンパク質アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)に集中していた;しかしながら、蓄積される証拠は、ACE2の発現パターンでは説明のつかないSARS-CoV-2の多臓器向性を示している。例えば、研究により、SARS-CoV-2が神経組織に感染する可能性が示されており、SARS-CoV-1と比べて上昇した割合の患者が、片頭痛、嗅覚と味覚の機能不全から意識障害に及ぶ神経症状を示している。SARS-CoV-2の拡張された向性及び伝播性は、現在未知のさらなる宿主因子、例えば、低いACE2発現レベルを有する細胞の感染を促す因子、又は感染のACE2に依存しないルートに関与する因子との相互作用に起因している可能性がある。
【0008】
したがって、SARS CoV-2スパイクタンパク質の新規の相互作用パートナーを同定する方法;新規の相互作用のモジュレーターを同定するための方法;及びそのような相互作用のモジュレーターを使用してSARS-CoV-2感染症を治療又は予防するための方法に対する満たされていない需要が存在している。
【発明の概要】
【0009】
一態様において、本開示は、個体に対して有効量のコクタクチン-1(CNTN1)アンタゴニスト、インターロイキン12受容体サブユニットベータ1(IL12RB1)アンタゴニスト、又はインターロイキン1受容体アクセサリータンパク質様2(IL1RAPL2)アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体を治療する方法を特徴とする。
【0010】
別の態様では、本開示は、個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストを投与することを含む、個体の細胞に対するSARS-CoV-2の結合を減少させる方法を特徴とする。
【0011】
いくつかの態様では、投与することは、個体の細胞を有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストと接触させることを含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストを投与することを含む、個体におけるSARS-CoV-2感染を減少させる方法を特徴とする。
【0013】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;(b)IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(c)IL1RAPL2アンタゴニストは、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0014】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、個体のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0015】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)又は低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0016】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、ペプチドである。
【0017】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1、IL12RB1、及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)に対するCNTN1、Il12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0018】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)とCNTN1;(b)ACE2とIL12RB1;又は(c)ACE2とIL1RAPL2に結合する。
【0019】
別の態様では、本開示は、個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体における神経組織の二次感染の予防の方法を特徴とする。
【0020】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(b)IL1RAPL2アンタゴニストは、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0021】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、個体における神経組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0022】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0023】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、ペプチドである。
【0024】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はIL1RAPL2に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0025】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL1RAPL2、又は(c)CNTN1とIL1RAPL2に結合する。
【0026】
別の態様では、本開示は、個体に対して有効量のIL12RB1アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織の二次感染の予防の方法を特徴とする。
【0027】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0028】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、IL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0029】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0030】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、ペプチドである。
【0031】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、IL12RB1に対するその結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、IL12RB1に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0032】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、ACE2及びIL12RB1に結合する。
【0033】
別の態様では、本開示は、個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体における肺の二次感染の予防の方法を特徴とする。
【0034】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(b)IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0035】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、個体における肺のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0036】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0037】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、ペプチドである。
【0038】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL12RB1に対するその結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はIL12RB1に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0039】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL12RB1、又は(c)CNTN1とIL12RB1に結合する。
【0040】
いくつかの態様では、個体は、COVID-19を有する。いくつかの態様では、個体は、COVID-19肺炎又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する。
【0041】
いくつかの態様では、方法は、個体に対して少なくとも1つの追加的療法を適用することをさらに含む。いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、少なくとも1つの追加的療法の前に、少なくとも1つの追加的療法と同時に、又は少なくとも1つの追加的療法の後で、個体に投与される。
【0042】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、ACE2アンタゴニストである。
【0043】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、ニューロピリン-2(NRP2)アンタゴニストである。
【0044】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、支持療法、抗ウイルス療法、又はコルチコステロイド療法である。
【0045】
いくつかの態様では、支持療法は、酸素療法を含む。
【0046】
いくつかの態様では、抗ウイルス療法は、アルファ-インターフェロン、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル/リトナビル、レムデシビル、リバビリン、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、ウミフェノビル、ファビピラビル、又はこれらの組み合わせを含む。
【0047】
いくつかの態様では、コルチコステロイド療法は、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、デキサメタゾン、デキサメタゾントリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、コルチコステロイド療法は、低用量コルチコステロイド療法である。
【0048】
いくつかの態様では、方法は、標準治療(SOC)と比較して臨床転帰により大きな改善を達成する。
【0049】
いくつかの態様では、臨床転帰は、≦2の早期警戒スコア2(NEWS2)が24時間維持されることと定義される臨床的改善までの時間(TTCI)である。
【0050】
いくつかの態様では、臨床転帰は、機械的人工呼吸の発生である。
【0051】
いくつかの態様では、臨床転帰は、集中治療室(ICU)滞在の発生である。
【0052】
いくつかの態様では、臨床転帰は、ICU滞在の期間である。
【0053】
いくつかの態様では、臨床転帰は、死亡、機械的人工呼吸、ICUへの入院、又は中止のうち最初に起こるものまでの時間として定義される臨床的失敗までの時間である。
【0054】
いくつかの態様では、臨床転帰は、退院;又は正常な体温と呼吸数、及び周囲空気若しくは≦2Lの酸素補給での安定した酸素飽和度によって証明される退院準備完了までの時間である。
【0055】
いくつかの態様では、臨床転帰は、酸素補給の持続時間である。
【0056】
いくつかの態様では、臨床転帰は、昇圧剤の使用の発生、昇圧剤の使用期間、体外膜型酸素供給(ECMO)の発生、透析開始の発生、15日目若しくは退院日(いずれか最初に起こるもの)におけるSARS-CoV-2ウイルス負荷、及び二次細菌感染を有する個体の割合からなる群から選択される。
【0057】
いくつかの態様では、方法は、SOCと比較して、許容可能な安全性の転帰に関連付けられる。
【0058】
いくつかの態様では、安全性の転帰は、有害事象の発生と重症度;重症度が、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI CTCAE)v5.0従って決定される場合の、有害事象の発生と重症度;標的バイタルサインのベースラインからの変化;及び標的臨床検査結果のベースラインからの変化からなる群から選択される。
【0059】
いくつかの態様では、SOCは、支持療法、1つ以上の抗ウイルス薬の投与、及び/又は1つ以上の低用量コルチコステロイドの投与を含む。
【0060】
いくつかの態様では、個体はヒトである。
【0061】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質と、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの結合を可能にする条件下で接触させること;並びに(c)CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのタンパク質の結合を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での結合が、候補モジュレーターの非存在下での結合と比べて増加又は減少している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との間の相互作用のモジュレーターとして同定される。
【0062】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの結合を可能にする条件下で接触させること;及び(c)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの下流活性を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定される。
【0063】
別の態様では、本開示は、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の下流活性のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は:(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2を、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDと、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を可能にする条件下で接触させること;及び(c)CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の下流活性を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の下流活性のモジュレーターとして同定される。
【0064】
いくつかの態様では、結合の増加又は減少は、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酵素結合免疫吸着法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも50%である。
【0065】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性の阻害剤である。いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。
【0066】
いくつかの態様では、モジュレーターは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0067】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0068】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する。
【0069】
いくつかの態様では、下流活性は、SARS-CoV-2による細胞の感染である。いくつかの態様では、感染は、モジュレーターの存在下で減少する。いくつかの態様では、感染は、SARS-CoV-2 Sタンパク質のシュードタイプ粒子を使用してウイルス感染アッセイ又はウイルス侵入アッセイで測定して少なくとも40%減少する。
【0070】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する抗体又はその抗原結合断片である。
【0071】
いくつかの態様では、モジュレーターは、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する抗体又はその抗原結合断片である。
【0072】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質と、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との間の相互作用の単離されたモジュレーターを特徴とし、このモジュレーターは、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質の結合を、モジュレーターの非存在下での結合と比べて減少させる。
【0073】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性の単離されたモジュレーターを特徴とし、このモジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性を、モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化させる。
【0074】
いくつかの態様では、結合の減少は、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも50%である。
【0075】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性の阻害剤である。
【0076】
いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。
【0077】
いくつかの態様では、モジュレーターは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。
【0078】
いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0079】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0080】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する。
【0081】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)ACE2とCNTN1;(b)ACE2とIL12RB1;又は(c)ACE2とIL1RAPL2に結合する。
【0082】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2感染症を有する個体を治療するための医薬の製造におけるCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの使用を特徴とする。
【0083】
別の態様では、本開示は、個体の細胞に対するSARS-CoV-2の結合を減少させるための医薬の製造におけるCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの使用を特徴とする。
【0084】
いくつかの態様では、医薬は、個体の細胞を、有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストと接触させることにより投与されるように適合される。
【0085】
別の態様では、本開示は、個体におけるSARS-CoV-2感染を減少させるための医薬の製造における、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの使用を特徴とする。
【0086】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;(b)IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(c)IL1RAPL2アンタゴニストは、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0087】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、個体のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染症と比べて減少させる。
【0088】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)又は低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0089】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、ペプチドである。
【0090】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0091】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1、IL12RB1、及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する。
【0092】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する。
【0093】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する。
【0094】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0095】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)とCNTN1;(b)ACE2とIL12RB1;又は(c)ACE2とIL1RAPL2に結合する。
【0096】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2感染症を有する個体における神経組織の二次感染の予防のための医薬の製造における、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストの使用を特徴とする。
【0097】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(b)IL1RAPL2アンタゴニストは、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0098】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、個体における神経組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0099】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。
【0100】
いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0101】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、ペプチドである。
【0102】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0103】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する
【0104】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はIL1RAPL2に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する。
【0105】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0106】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL1RAPL2、又は(c)CNTN1とIL1RAPL2に結合する。
【0107】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2感染症を有する個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織の二次感染の予防のための医薬の製造における、IL12RB1アンタゴニストの使用を特徴とする。
【0108】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0109】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、IL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0110】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0111】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、ペプチドである。
【0112】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0113】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、IL12RB1に対するその結合を阻害する。
【0114】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、IL12RB1に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する。
【0115】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0116】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、ACE2及びIL12RB1に結合する。
【0117】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2感染症を有する個体における肺の二次感染の予防のための医薬の製造における、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストの使用を特徴とする。
【0118】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(b)IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0119】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、個体における肺のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0120】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0121】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、ペプチドである。
【0122】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0123】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL12RB1に対するその結合を阻害する。
【0124】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はIL12RB1に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する。
【0125】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0126】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL12RB1、又は(c)CNTN1とIL12RB1に結合する。
【0127】
いくつかの態様では、個体は、COVID-19を有する。いくつかの態様では、個体は、COVID-19肺炎又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する。
【0128】
いくつかの態様では、医薬は、少なくとも1つの追加的療法と共に個体に投与されるように適合される。いくつかの態様では、医薬は、少なくとも1つの追加的療法の前に、少なくとも1つの追加的療法と同時に、又は少なくとも1つの追加的療法の後で、個体に投与されるように適合される。
【0129】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、ACE2アンタゴニストである。
【0130】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、NRP2アンタゴニストである。
【0131】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、支持療法、抗ウイルス療法、又はコルチコステロイド療法である。
【0132】
いくつかの態様では、支持療法は、酸素療法を含む。
【0133】
いくつかの態様では、抗ウイルス療法は、アルファ-インターフェロン、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル/リトナビル、レムデシビル、リバビリン、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、ウミフェノビル、ファビピラビル、又はこれらの組み合わせを含む。
【0134】
いくつかの態様では、コルチコステロイド療法は、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、デキサメタゾン、デキサメタゾントリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、又はこれらの組み合わせを含む。
【0135】
いくつかの態様では、コルチコステロイド療法は、低用量コルチコステロイド療法である。
【0136】
いくつかの態様では、治療は、SOCと比較して、臨床転帰により大きな改善を達成する。
【0137】
いくつかの態様では、臨床転帰は、≦2のNEWS2が24時間維持されることと定義されるTTCIである。
【0138】
いくつかの態様では、臨床転帰は、機械的人工呼吸の発生である。
【0139】
いくつかの態様では、臨床転帰は、ICU滞在の発生である。
【0140】
いくつかの態様では、臨床転帰は、ICU滞在の期間である。
【0141】
いくつかの態様では、臨床転帰は、死亡、機械的人工呼吸、ICUへの入院、又は中止のうち最初に起こるものまでの時間として定義される臨床的失敗までの時間である。
【0142】
いくつかの態様では、臨床転帰は、退院;又は正常な体温と呼吸数、及び周囲空気若しくは≦2Lの酸素補給での安定した酸素飽和度によって証明される退院準備完了までの時間である。
【0143】
いくつかの態様では、臨床転帰は、酸素補給の持続時間である。
【0144】
いくつかの態様では、臨床転帰は、昇圧剤の使用の発生、昇圧剤の使用期間、ECMOの発生、透析開始の発生、15日目若しくは退院日(いずれか最初に起こるもの)におけるSARS-CoV-2ウイルス負荷、及び二次細菌感染を有する個体の割合からなる群から選択される。
【0145】
いくつかの態様では、治療は、SOCと比較して、許容可能な安全性の転帰に関連付けられる。
【0146】
いくつかの態様では、安全性の転帰は、有害事象の発生と重症度;重症度がNCI CTCAE v5.0に従って決定される場合の、有害事象の発生と重症度;標的バイタルサインのベースラインからの変化;及び標的臨床検査結果のベースラインからの変化からなる群から選択される。
【0147】
いくつかの態様では、SOCは、支持療法、1つ又は複数の抗ウイルス薬の投与、及び/又は1つ又は複数の低用量コルチコステロイドの投与を含む。
【0148】
いくつかの態様では、個体はヒトである。
【0149】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2感染症を有する個体を治療することにおける使用のためのCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストを特徴とする。
【0150】
別の態様では、本開示は、個体の細胞に対するSARS-CoV-2の結合を減少させることにおける使用のための、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストを特徴とする。
【0151】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、個体の細胞を、有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストと接触させることにより投与される。
【0152】
別の態様では、本開示は、個体におけるSARS-CoV-2感染を減少させることにおける使用のための、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストを特徴とする。
【0153】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;(b)IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(c)IL1RAPL2アンタゴニストは、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0154】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、個体のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染症と比べて減少させる。
【0155】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)又は低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0156】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、ペプチドである。
【0157】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0158】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1、IL12RB1、及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する。
【0159】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1、Il12RB1、又はIL1RAPL2のSARS-CoV-2 Sタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)に対する結合を阻害する。
【0160】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0161】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)とCNTN1;(b)ACE2とIL12RB1;又は(c)ACE2とIL1RAPL2に結合する。
【0162】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2感染症を有する個体における神経組織の二次感染の予防における使用のための、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストを特徴とする。
【0163】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(b)IL1RAPL2アンタゴニストは、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0164】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、個体における神経組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0165】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0166】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、ペプチドである。
【0167】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0168】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する。
【0169】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はIL1RAPL2に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する。
【0170】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0171】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL1RAPL2、又は(c)CNTN1とIL1RAPL2に結合する。
【0172】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2感染症を有する個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織の二次感染の予防における使用のための、IL12RB1アンタゴニストを特徴とする。
【0173】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0174】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、IL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0175】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0176】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、ペプチドである。
【0177】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0178】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、IL12RB1に対するその結合を阻害する。
【0179】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、IL12RB1に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する。
【0180】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0181】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、ACE2及びIL12RB1に結合する。
【0182】
別の態様では、本開示は、SARS-CoV-2感染症を有する個体における肺の二次感染の予防における使用のための、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストを特徴とする。
【0183】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(b)IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。
【0184】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、個体における肺のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。
【0185】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0186】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、ペプチドである。
【0187】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0188】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL12RB1に対するその結合を阻害する。
【0189】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はIL12RB1に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する。
【0190】
いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0191】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。
【0192】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)ACE2とCNTN1、(b)ACE2とIL12RB1、又は(c)CNTN1とIL12RB1に結合する。
【0193】
いくつかの態様では、個体は、COVID-19を有する。
【0194】
いくつかの態様では、個体は、COVID-19肺炎又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する。
【0195】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法が、個体に適用される。
【0196】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、少なくとも1つの追加的療法の前に、少なくとも1つの追加的療法と同時に、又は少なくとも1つの追加的療法の後で、個体に投与される。
【0197】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、ACE2アンタゴニストである。
【0198】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、NRP2アンタゴニストである。
【0199】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、支持療法、抗ウイルス療法、又はコルチコステロイド療法である。
【0200】
いくつかの態様では、支持療法は、酸素療法を含む。
【0201】
いくつかの態様では、抗ウイルス療法は、アルファ-インターフェロン、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル/リトナビル、レムデシビル、リバビリン、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、ウミフェノビル、ファビピラビル、又はこれらの組み合わせを含む。
【0202】
いくつかの態様では、コルチコステロイド療法は、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、デキサメタゾン、デキサメタゾントリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、コルチコステロイド療法は、低用量コルチコステロイド療法である。
【0203】
いくつかの態様では、使用は、SOCと比較して、臨床転帰により大きな改善を達成する。
【0204】
いくつかの態様では、臨床転帰は、NEWS2≦2が24時間維持されることと定義されるTTCIである。
【0205】
いくつかの態様では、臨床転帰は、機械的人工呼吸の発生である。
【0206】
いくつかの態様では、臨床転帰は、ICU滞在の発生である。
【0207】
いくつかの態様では、臨床転帰は、ICU滞在の期間である。
【0208】
いくつかの態様では、臨床転帰は、死亡、機械的人工呼吸、ICUへの入院、又は中止のうち最初に起こるものまでの時間として定義される臨床的失敗までの時間である。
【0209】
いくつかの態様では、臨床転帰は、退院;又は正常な体温と呼吸数、及び周囲空気若しくは≦2Lの酸素補給での安定した酸素飽和度によって証明される退院準備完了までの時間である。
【0210】
いくつかの態様では、臨床転帰は、酸素補給の持続時間である。
【0211】
いくつかの態様では、臨床転帰は、昇圧剤の使用の発生、昇圧剤の使用期間、ECMOの発生、透析開始の発生、15日目若しくは退院日(いずれか最初に起こるもの)におけるSARS-CoV-2ウイルス負荷、及び二次細菌感染を有する個体の割合からなる群から選択される。
【0212】
いくつかの態様では、使用は、SOCと比較して、許容可能な安全性の転帰に関連付けられる。
【0213】
いくつかの態様では、安全性の転帰は、有害事象の発生と重症度;重症度がNCI CTCAE v5.0に従って決定される場合の、有害事象の発生と重症度;標的バイタルサインのベースラインからの変化;及び標的臨床検査結果のベースラインからの変化からなる群から選択される。
【0214】
いくつかの態様では、SOCは、支持療法、1つ又は複数の抗ウイルス薬の投与、及び/又は1つ又は複数の低用量コルチコステロイドの投与を含む。
【0215】
いくつかの態様では、個体はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0216】
図1A】PD-1又はPD-L2を一過性発現する細胞の表面に結合した蛍光標識された組み換え単量体外部ドメイン(単量体)又は蛍光標識された四量体外部ドメイン(四量体)として発現されるPD-L1の蛍光性シグナルを示す一組の代表的な顕微鏡写真と、図示される四量体又は単量体の濃度でのアッセイにおいて正規化された蛍光強度の定量化を示す一対のグラフ(上)である。
図1B-C】図1Bは、CD96、TIGIT又はCD226を一過性発現する細胞の表面に結合した蛍光標識された組み換え単量体外部ドメイン(単量体)又は蛍光標識された四量体外部ドメイン(四量体)として発現されるPVRの蛍光性シグナルを示す一組の代表的な顕微鏡写真と、図示される四量体又は単量体の濃度でのアッセイにおいて正規化された蛍光強度の定量化を示すグラフ(上)である。図1Cは、タグの付いていない完全長膜貫通タンパク質と、糖タンパク質D(gD)タグ及びグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)リンカー(gD-GPIタグ)に融合した膜貫通タンパク質の外部ドメインを含むコンストラクトとを示す概略図である。
図1D】受容体-リガンド発見のための自動化された細胞ベースのプラットフォームの設計を示す概略図である。(1)gD-GPIタグに融合した外部ドメインとして発現された、略1,200の固有のSTM受容体及び選択されたアイソフォームからなるライブラリー(STMライブラリー)を示している。(2)組み換え外部ドメインとして発現され、ビオチン化され、結合活性を上昇させるために蛍光性ストレプトアビジン(SA)を使用して四量体化された、代表的なクエリータンパク質を示している。(3)TMライブラリーのgD-GPIタグ付き外部ドメインが哺乳動物細胞の表面に発現され、四量体化されたクエリータンパク質と接触しているウェルを含むプレートを示している。細胞表面に対するクエリータンパク質四量体の結合は、蛍光性シグナルを測定することによって検出された。個々のウェルからの画像は、ハイコンテンツ顕微鏡を使用して取得される(4)。蛍光性シグナルの強度は、各画像について計算されており、原形質膜に発現される各受容体に結合するクエリータンパク質を表している(5)。データ分析とヒットコーリングに続いて、新規の相互作用物質が、表面プラズモン共鳴といった直交技術を使用して確認される(6)。
図1E】STMライブラリーのタンパク質の各々に対する四量体化された外部ドメインとして発現された、受容体B7-H3の結合に関するアッセイの2つの複写物を示す交差プロットである。各円は、ライブラリー中の固有の受容体に結合するクエリータンパク質を表している。固有の高スコアのヒットを赤で示す。グレーで示されたヒットは、経験的に決定された非特異的バインダーである。
図1F】STMライブラリーのタンパク質の各々に対する四量体化された外部ドメインとして発現された、分泌因子GDF15の結合に関するアッセイの2つの複写物を示す交差プロットである。各円は、ライブラリー中の固有の受容体に結合するクエリータンパク質を表している。固有の高スコアのヒットを赤で示す。グレーで示されたヒットは、経験的に決定された非特異的バインダーである。
図2A】STMライブラリーのタンパク質の各々に対する四量体化された外部ドメインとして発現された、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)の結合に関するアッセイの2つの複写物を示す交差プロットである。各円は、ライブラリー中の固有の受容体に結合するクエリータンパク質を表している。固有の高スコアのヒットを赤で示す。ACE2、IL12RB1、IL1RAPL2、コクタクチン-1(CNTN1)、及びニューロピリン-2(NRP2)が、高スコアのヒットとして同定された。
図2B】STMライブラリーのタンパク質の各々に対する四量体化された外部ドメインとして発現された、SARS-CoV-1 RBDの結合に関するアッセイの2つの複写物を示す交差プロットである。各円は、ライブラリー中の固有の受容体に結合するクエリータンパク質を表している。固有の高スコアのヒットを赤で示す。ACE2が、高スコアのヒットとして同定された。
図2C】完全長ACE2、完全長IL12RB1、gD-GPIに融合した外部ドメインとして発現されるIL12RB1、gD-GPIに融合した外部ドメインとして発現されるCNTN1、完全長IL1RAPL2、完全長NRP2、及びgD-GPIに融合した外部ドメインとして発現されるNRP2を発現する細胞の表面に結合した、蛍光標識された四量体外部ドメインとして発現されるSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBD(Cov-2 RBD)を示す、一組の代表的な免疫蛍光顕微鏡写真である。トランスフェクトされていない細胞がコントロールとして示されている。細胞は、濃度50nMでRBD四量体と接触させた。赤色:RBD四量体。青色:核。スケールバー=50μM。
図2D】完全長ACE2、完全長IL12RB1、gD-GPIに融合した外部ドメインとして発現されるIL12RB1、gD-GPIに融合した外部ドメインとして発現されるCNTN1、完全長IL1RAPL2、完全長NRP2、及びgD-GPIに融合した外部ドメインとして発現されるNRP2を発現する細胞の表面に結合した、蛍光標識された四量体外部ドメインとして発現されるSARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD(Cov-1 RBD)を示す、一組の代表的な免疫蛍光顕微鏡写真である。トランスフェクトされていない細胞がコントロールとして示されている。細胞は、濃度50nMでRBD四量体と接触させた。赤色:RBD四量体。青色:核。スケールバー=50μM。
図2E】ACE2、CNTN1、IL1RAPL2、又はIL12RB1に対するCov-1 RBD(グレー)又はCov-2 RBD(赤色)の結合を示す、一組の表面プラズモン共鳴(SPR)のプロットである。RBDタンパク質は、センサーチップに固定化され、図示の結合パートナーは、濃度500nMで、可溶型被分析物として使用される組み換えFcタグ付きタンパク質として提供された。IL12RB1に対する結合を試験するため、ビオチン化されたRBDタンパク質は、ストレプトアビジンセンサー上に捕捉され、バイオレイヤー干渉法を使用して可溶型IL21RB1-Fcに対する結合について分析された。
図2F】完全長ACE2、完全長IL12RB1、gD-GPIに融合した外部ドメインとして発現されるCNTN1、完全長IL1RAPL2、及び完全長NRP2を発現する細胞の表面に結合した、蛍光標識された四量体として発現される、SARS-CoV-1スパイク三量体(Cov-1三量体)を示す、一組の代表的な免疫蛍光顕微鏡写真である。トランスフェクトされていない細胞がコントロールとして示されている。細胞は、濃度25nMでRBD四量体と接触させた。赤色:RBDテトラマー。青色:核。スケールバー=50μM。
図3A】ヒト組織全体のSARS CoV-2スパイク結合パートナーのRNA発現を示すドットプロットである(Human Protein AtlasからのRNAseqデータ)。正規化された発現レベルが、ドットの大きさによって示されている。
図3B】健常な個体の36の異なる組織型中の単一細胞(sc)RNAseqデータにおけるACE2及び追加のスパイクタンパク質受容体である、IL12RB1、IL1RAPL2、NRP2及びCNTN1の発現を示すドットプロットである。scRNAseqデータはGSE13455から得られた。発現レベルは、ドットの大きさによって示される。
図3C】図示の細胞型におけるACE2及びCNTN1の発現レベルを示すバブルプロットである。N=26。バブルの大きさは、受容体を発現する細胞の数を表す。バブルの大きさは、スパイクタンパク質受容体を発現する細胞の数を表す。scRNAseqデータは、GSE139522から得られた。
図3D】図示の細胞型におけるACE2及びNRP2の発現レベルを示すバブルプロットである。N=26。バブルの大きさは、受容体を発現する細胞の数を表す。バブルの大きさは、スパイクタンパク質受容体を発現する細胞の数を表す。scRNAseqデータは、GSE139522から得られた。
図3E】健常な個体及びCOVID-19患者(n=陽性430、陰性54)の鼻咽頭中のウイルス負荷(なし(健常な個体)、低、中、又は高)により、ACE2、CNTN1、NRP2 及びIL12RB1の正規化された発現レベルを示す、一組のバイオリン図である。各ドットは、個々の試料を表す。低、中、及び高ウイルス負荷間の統計的有意性は、Mann Whitney U検定によって計算されている(*p<0.05、**p<.01、***p<0.001)。NS、有意性なし。RNAseqデータはGSE152075から得られた。
図3F】脈絡叢由来の異なる細胞クラスターにおけるNRP2の発現を示す一組のバイオリン図(上のパネル)と、脈絡叢から収集された各細胞型における、非ウイルス性の個体とCOVID-19に感染した個体との間のNRP2の差次的な遺伝子発現を示す一組のスプリットバイオリン図(下のパネル)である。(*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001。)NS、有意性なし。
図3G】脳実質由来の異なる細胞クラスターにおけるNRP2の発現を示す一組のバイオリン図(上のパネル)と、脳実質から収集された各細胞型における、非ウイルス性の個体とCOVID-19に感染した個体との間のNRP2の差次的な遺伝子発現を示す一組のスプリットバイオリン図(下のパネル)である。(*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001。)NS、有意性なし。
図3H】脈絡叢由来の異なる細胞クラスターにおけるCNTN1の発現を示す一組のバイオリン図(上のパネル)と、脈絡叢から収集された各細胞型における、非ウイルス性の個体とCOVID-19に感染した個体との間のCNTN1の差次的な遺伝子発現を示す一組のスプリットバイオリン図(下のパネル)である。(*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001。)NS、有意性なし。
図3I】脳実質由来の異なる細胞クラスターにおけるCNTN1の発現を示す一組のバイオリン図(上のパネル)と、脳実質から収集された各細胞型における、非ウイルス性の個体とCOVID-19に感染した個体との間のCNTN1の差次的な遺伝子発現を示す一組のスプリットバイオリン図(下のパネル)である。(*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001。)NS、有意性なし。
図4A】コントロールベクター又はSARS CoV-2 RBD受容体であるACE2、CNTN1、NRP1又はNRP2を一過性発現するHEK/293T細胞のSARS CoV-2シュードタイプ粒子感染を示す一組の代表的な顕微鏡写真と、感染の定量化を示す棒グラフである。青色の棒グラフは、SARS CoV-2シュードタイプ粒子の定量化を示している。グレーの棒グラフは、コントロールとして使用された水疱性口内炎ウイルスG(VSV-G)シュードタイプ活性を示している。データは、ACE2発現細胞におけるSARS CoV-2粒子及びVSV-G粒子のそれぞれの感染に対して正規化された。感染細胞は緑色で表されており;核は青色で示されている。スケールバー=200μm。多重比較のためのシダック補正を用いたTwo-way ANOVA;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。NS、有意性なし。
図4B】SARS CoV-2 RBD受容体であるACE2又はACE2とTMPRSS2とを一過性発現し、CNTN1、NRP1、及びNRP2でトランスフェクトされたHEK/293T細胞のSARS CoV-2シュードタイプ粒子感染を示す、一組の代表的な顕微鏡写真と、感染の定量化を示す棒グラフである。青色の棒グラフは、SARS CoV-2シュードタイプ粒子の定量化を示している。グレーの棒グラフは、コントロールとして使用されたVSV-Gシュードタイプ活性を示している。データは、それぞれACE2発現細胞又はACE2+TMPRSS2発現細胞における感染に対して正規化された。感染細胞は緑色で表されており;核は青色で示されている。スケールバー=200μm。多重比較のためのシダック補正を用いた2日間のANOVA;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。NS、有意性なし。
図5】検出のための抗gD抗体を使用して測定された外部ドメイン-gD-GPIライブラリーのメンバーの表面発現(細胞あたりの蛍光強度)の定量化を示すグラフである。検出不能(発現体なし)、低、中、及び高発現体の表面染色の代表的な画像が示されている。点線は、異なる発現レベルに対する任意のカットオフ値を示す。発現は、2つの独立したアッセイを表している。
図6A】gD-GPIタグ付き外部ドメインとして発現されたNRP1、NRP2、又はIL1RAPL2を発現する細胞に対するSARS CoV-1 RBDの結合を示す、一組の代表的な免疫蛍光顕微鏡写真である。RBDタンパク質は、ビオチン化され、四量体化され、細胞表面に対する結合が免疫蛍光によって測定された(結合;赤色で示されている)。抗gD抗体が、原形質膜上でのRBD結合パートナーの発現を分析するために利用された(抗gD;緑色で示されている)。核は青色で表されている。画像は、濃度50nMでのRBD四量体の結合を示す。スケールバー=50μm。
図6B】gD-GPIタグ付き外部ドメインとして発現されたNRP1、NRP2、又はIL1RAPL2を発現する細胞に対するSARS CoV-2 RBDの結合を示す、一組の代表的な免疫蛍光顕微鏡写真である。RBDタンパク質は、ビオチン化され 四量体化され、細胞表面に対する結合が免疫蛍光によって測定された(結合;赤色で示されている)。抗gD抗体が、原形質膜上でのRBD結合パートナーの発現を分析するために利用された(抗gD;緑色で示されている)。核は青色で表されている。画像は、濃度50nMでのRBD四量体の結合を示す。スケールバー=50μm。
図7A】n=4の個体由来の嗅覚細胞及び呼吸器粘膜細胞の28,726の組み合わせからの遺伝子発現データを示すUniform Manifold Approximation and Projection(UMAP)次元削減図である。細胞クラスター表現型は、色分けされた凡例で示されている。scRNAseqデータはGSE139522から得られた。
図7B図7AのscRNAseqデータセットにおけるACE2(青色)及びCNTN1(赤色)の遺伝子発現を示すUMAP次元削減図である。
図7C図7AのscRNAseqデータセットにおけるACE2(青色)及びNRP2(緑色)の遺伝子発現を示すUMAP次元削減図である。
図7D図7AのscRNAseqデータセットにおけるACE2(青色)及びIL12RB1(マゼンダ色)の遺伝子発現を示すUMAP次元削減図である。
図7E図7AのscRNAseqデータセットにおけるACE2(青色)及びIL1RAPL2(オレンジ色)の遺伝子発現を示すUMAP次元削減図である。
図7F】図示の細胞型におけるACE2及びIL12RB1の発現レベルを示すバブルプロットである。N=26。バブルの大きさは、受容体を発現する細胞の数を表す。バブルの大きさは、スパイクタンパク質受容体を発現する細胞の数を表す。scRNAseqデータは、GSE139522から得られた。
図7G】図示の細胞型におけるACE2及びIL1RAPL2の発現レベルを示すバブルプロットである。N=26。バブルの大きさは、受容体を発現する細胞の数を表す。バブルの大きさは、スパイクタンパク質受容体を発現する細胞の数を表す。scRNAseqデータは、GSE139522から得られた。
図8A】SARS-CoV-2感染症を有する個体(430の個体)又はSARS-CoV-2陰性の個体(54の個体)の年齢を示す、一組のバイオリン図である。各ドットは、個々の試料を表す。統計的有意性は、Mann Whitney U検定により計算されている(**p<0.01)。
図8B】年齢の三分位毎に階層化されたSARS-CoV-2陽性及び陰性の試料における、ACE2、CNTN1、IL12RB1、IL1RAPL2、及びNRP2の発現レベルを示す、一組のバイオリン図である。Q1:年齢2-45;Q2:年齢46-64;Q3:年齢65-90+。各ドットは、個々の試料を表す。統計的有意性は、Mann Whitney U検定により計算されている(*p<0.05、***p<0.001、NS、有意性なし)。RNAseqデータはGSE152075から得られた。
図9A】脈絡叢中の7つの細胞型全体の24,072個の核からの遺伝子発現データを示す、一組のUMAP次元削減図である。単一核RNAseqデータは、Yang et al.,bioRxiv,doi.org/10.1101/2020.10.22、2020から得られた。細胞クラスター表現型は、色分けされた凡例で示されている。脈絡叢由来のACE2(青色)並びに(上から下へ)CNTN1、NRP2、IL12RB1及びIL1RAPL2とのUMAPSが示されている。
図9B】皮質実質中の8つの細胞型全体の23,626個の核からの遺伝子発現データを示す、一組のUMAP次元削減図である。単一核RNAseqデータは、Yang et al.,bioRxiv,doi.org/10.1101/2020.10.22、2020から得られた。細胞クラスター表現型は、色分けされた凡例で示されている。皮質実質由来のACE2(青色)並びに(上から下へ)CNTN1、NRP2、IL12RB1及びIL1RAPL2のUMAPSが示されている。
図9C】図示の脈絡叢組織由来の異なる細胞クラスターにおける(上から下へ)ACE2、NRP2、CNTN1、IL12RB1及びIL1RAPL2の発現レベルを示す、一組のバイオリン図である。
図9D】図示の皮質実質組織由来の異なる細胞クラスターにおける(上から下へ)ACE2、NRP2、CNTN1、IL12RB1及びIL1RAPL2の発現レベルを示す、一組のバイオリン図である。
図10A】コントロールベクター又はSARS CoV-2 RBD受容体であるACE2、IL12RB1、又はIL1RAPL2を一過性発現するHEK/293T細胞のSARS CoV-2シュードタイプ粒子感染を示す一組の代表的な顕微鏡写真と棒グラフである。青色の棒グラフは、SARS CoV-2シュードタイプ粒子の定量化を示している。グレーの棒グラフは、コントロールとして使用されたVSV-Gシュードタイプ活性を示している。データは、ACE2発現細胞におけるSARS CoV-2粒子及びVSV-G粒子のそれぞれの感染レベルに対して正規化された。感染細胞は緑色で表されており;核は青色で示されている。スケールバー=200μm。多重比較のためのシダック補正を用いた二元配置分散分析;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。NS、有意性なし。
図10B】ACE2又はACE2とTMPRSS2を一過性発現すし、IL12RB1又はIL1RAPL2でトランスフェクトされたHEK/293T細胞のSARS CoV-2シュードタイプ粒子感染を示す一組の代表的な顕微鏡写真及び棒グラフである。青色の棒グラフは、SARS CoV-2シュードタイプ粒子の定量化を示している。グレーの棒グラフは、コントロールとして使用されたVSV-Gシュードタイプ活性を示している。データは、それぞれACE2発現細胞又はACE2+TMPRSS2発現細胞におけるそれぞれの感染レベルに対して正規化された。感染細胞は緑色で表されており;核は青色で示されている。スケールバー=200μm。多重比較のためのシダック補正を用いた二元配置分散分析;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。NS、有意性なし。
【発明を実施するための形態】
【0217】
I.定義
別途定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記、及び他の科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解される意味を有することを意図する。場合によっては、一般的に理解されている意味を有する用語が、明確にするため及び/又は参照しやすいようにするために本明細書において定義されており、本明細書におけるそのような定義の包含は、当技術分野で一般的に理解されているものとの実質的な違いを表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0218】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書中の値又はパラメータに関する「約」の言及は、その値又はパラメータそれ自体に向けられる態様を含む(及び記述する)。
【0219】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「単離されたペプチド」とは、1つ以上の単離されたペプチドを意味する。
【0220】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて、単語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含むこと(comprising)」のような変形は、記載された整数又は整数のグループの包含を意味するが、いかなる他の整数又は整数のグループの除外も意味しないことが理解されるであろう。
【0221】
「コロナウイルス」は、哺乳動物(例えば、ヒト)に感染して呼吸器感染症を引き起こすウイルスである。気道に感染してヒトに呼吸器疾患(例えば、肺炎)を引き起こすことのできるコロナウイルスには、限定されないが、中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こすベータコロナウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすベータコロナウイルス、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2ウイルスが含まれる。SARS-CoV-2ウイルスはさらに、二次感染(例えば、神経系組織、免疫細胞、及び/又はリンパ組織の感染)を引き起こすことができる。
【0222】
「COVID-19」は、一般的に発熱、咳、及び息切れを特徴とし、肺炎及び呼吸不全に進行しうるSARS-CoV-2感染症によって引き起こされる病気を指す。COVID-19疾患は、2019年12月に中国の武漢で初めて確認された。一実施形態では、COVID-19患者は、患者からの標本(例えば、呼吸器、血液、尿、便、他の体液標本)の、SARS-CoV-2についてのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査(例えばリアルタイムPCT、RT-PCT検査)により陽性であることが確認される。一実施態様では、患者は、例えば免疫組織化学(IHC)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)などによって決定されるSARS-CoV-2特異的抗体(例えばIgG抗体及び/又はIgM抗体)を有する。COVID-19の同義語には、限定されないが、「新型コロナウイルス」、「2019年新型コロナウイルス」及び「2019-nCoV」が含まれる。
【0223】
本明細書の目的のために、「炎症」は、感染に対する免疫学的防御を指し、局所血流増加、白血球の遊走、及び化学毒素の放出によって識別される。炎症は、身体が感染症からそれ自体を守るために使用する1つの方法である。炎症の臨床的特徴には、身体の一部の発赤、熱感、腫脹、疼痛、及び機能低下が含まれる。全身的には、炎症は、発熱、関節痛と筋肉痛、臓器障害、及び倦怠感を生じさせうる。
【0224】
「肺炎」は、肺の炎症の密集部位を伴う、片肺又は両肺に炎症の炎症を指す。いくつかの態様では、肺炎は、ウイルス感染に起因している。肺炎の症状には、発熱、悪寒、痰を伴う咳、胸痛、及び息切れが含まれうる。一態様において、肺炎は、胸部X線又はコンピュータ断層撮影(CTスキャン)により確認されている。
【0225】
「重症肺炎」は、心臓、腎臓若しくは循環器系が機能しなくなる危険性のある肺炎、又は肺が十分な酸素を取り込めなくなり急性呼吸促迫症候群(ARDS)を発症する肺炎を指す。重症肺炎の患者は通常、入院し、集中治療室(ICU)に入ることもある。一般的には、患者は、重症の呼吸困難、呼吸困難、頻呼吸(>30回の呼吸/分)及び低酸素症を有し、発熱を伴うこともある。小児ではチアノーゼが起こることがある。この定義では、診断は臨床的なものであり、合併症を除外するために放射線画像診断法が使用される。一態様において、重症肺炎の患者は、末梢毛細血管酸素飽和度(SpO)によって決定した場合に、肺機能が低下している。一態様では、重症肺炎の患者は、動脈酸素分圧と分数吸入酸素との比(PaO2/FiO)によって決定した場合に、肺機能が損なわれている。一態様では、重症肺炎の患者は、SpOが93%である。一態様では、重症肺炎の患者は、<300mmHgのPaO2/FiOを有している(PaO2/FiO×[大気圧(mmHg)/760])に基づいて、高高度地域用に調整してもよい)。一態様では、患者は、呼吸困難(RR≧30回の呼吸/分)を有する。一態様では、患者は、肺の画像診断において>50%の病変を有する。
【0226】
「重篤肺炎」は、呼吸不全、ショック及び/又は臓器不全を起こした患者の重症肺炎を指す。一態様では、重篤肺炎の患者は、機械的人工呼吸を必要とする。
【0227】
「軽度肺炎」は、軽度の発熱、咳(乾性)、咽頭痛、鼻づまり、倦怠感、頭痛、筋肉痛、又は倦怠感を含む上気道ウイルス感染症の症状を呈する。呼吸困難など、より重症の疾患の徴候及び症状は存在しない。
【0228】
「中等度肺炎」では、咳及び息切れ(又は小児では頻呼吸)などの呼吸器症状があり、重症肺炎の兆候はない。中等度肺炎の患者は、入院していても、ICUに入っていないか、又は人工呼吸器をつけていない。
【0229】
「急性呼吸器疾患症候群」又は「ARDS」は、肺及び血液中に十分な酸素が入ることを妨げる、生命が脅かされる肺の状態を指す。一実施態様において、ARDSの診断は、以下の基準に基づいて行われる:急性発症、非心臓由来の胸部X線検査における両肺の浸潤、及び<300mmHgであるPaO/FiO比。一実施形態では、ARDSは、200から300mmHgのPaO2/FiO2によって特徴づけられる「軽度ARDS」である。一実施形態では、ARDSは、100から200mmHgのPaO2/FiO2によって特徴づけられる「中等度ARDS」である。一実施形態では、ARDSは、<100mmHgのPaO2/FiO2によって特徴づけられる「重症ARDS」である。
【0230】
「ウイルス性肺炎」は、1種類以上のウイルスが患者に侵入することによって起こる肺炎を指す。一態様において、ウイルスは、DNAウイルスである。一態様において、ウイルスは、RNAウイルスである。本明細書で考慮されるウイルス性肺炎を引き起こすウイルスの例には、特に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス(H1N1又は「ブタインフルエンザ」及びH5N1又は「鳥インフルエンザ」を含む)、ジカウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、西ナイルウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ノロウイルス、ロタウイルス、アストロウイルス、ライノウイルス、ヒト乳頭腫症ウイルス(HPV)、ポリオウイルス、デング熱、エボラウイルス、及びコロナウイルスによって引き起こされるものが含まれる。一態様において、ウイルス性肺炎は、コロナウイルスによって引き起こされる。一態様において、ウイルス性肺炎は、SARS CoV-2によって引き起こされる。
【0231】
本明細書において用語「患者」は、ヒトの患者を指す。一実施態様では、患者は入院している。
【0232】
薬物の「静脈内」すなわち「iv」用量、投与又は製剤は、静脈を介して、例えば点滴によって投与される。
【0233】
薬物の「皮下」すなわち「sc」用量、投与又は製剤は、例えば、プレフィルドシリンジ、自動注射器、又は他の装置を介して、皮膚の下に投与される。
【0234】
薬剤の「体重に基づく用量」は、患者の体重に基づく用量を指す。好ましい実施形態では、薬物がトシリズマブである場合、体重に基づく用量は、8mg/kg(任意選択的に≦800mgの用量)である。
【0235】
固定用量は、患者の体重に関係なく投与される用量を指す。
【0236】
本明細書の目的のために、「臨床状態」は、患者の健康状態を指す。その例は、患者の状態が良くなっていること、又は悪くなっていることを含む。一実施形態では、臨床状態は、臨床状態の順序尺度に基づく。一実施形態では、臨床状態は、患者が熱を有するか否かに基づいていない。
【0237】
「臨床状態の順序尺度」は、無次元の転帰を定量化するために使用される尺度を指す。これらは、ある単一の時点での転帰を含むことができるか、又は2つの時点の間に起こった変化を調べることができる。一実施形態では、2つの時点は、「1日目」(トシリズマブなどのIL-6アンタゴニストの初回用量、例えば8mg/kgが投与されたとき)と、「28日目」(患者が評価されるとき)、任意選択的に、「60日目」(患者がさらに評価されるとき)とが比較される。順序尺度は、各々が患者の状態又は転帰を評価する種々の「カテゴリー」を含む。一実施形態では、順序尺度は「7カテゴリー順序尺度」である。
【0238】
一実施形態では、「7カテゴリー順序尺度」は、患者の状態を評価するための以下のカテゴリーを含む:
1.退院(又は「退院準備完了」、例えば、体温及び呼吸数が正常で、大気中又は≦2Lの酸素補給で酸素飽和度が安定していることが証明された場合)
2.非ICU病棟(又は「入院準備病棟」)で、酸素補給を必要としない
3.非ICU病棟(又は「入院準備病棟」)で、酸素補給を必要とする
4.ICU又は非ICU病棟で、非侵襲的人工呼吸又は高流量酸素を必要とする
5.ICUで、挿管及び機械的人工呼吸を必要とする
6.ICUで、ECMO又は機械的人工呼吸及び追加の臓器サポート(例えば、血管拡張剤、腎代替療法)を必要とする
7.死亡。
【0239】
「ベースライン」は、治療直前及び/又はバイオマーカー分析直前の患者の状態を指す。一態様において、患者は、ベースラインにおいて人工呼吸を受けていない。一実施形態では、患者は、a.持続的気道陽圧(CPAP)、b.二相性気道陽圧(BIPAP)、又はc.ベースラインにおける侵襲的人工呼吸を受けていない。一態様において、患者は、周囲空気で<94%のSpO2を有する。一態様において、患者は、ベースラインにおいて進行中の細菌、真菌、ウイルス、又は他の感染症(COVID-19以外)を有さない。一態様において、患者は、>5×ベースラインにおける正常上限(ULN)のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を有する。一態様において、患者は、ベースラインにおいて<1000/mLの好中球絶対数(ANC)を有する。一実施形態では、患者は、ベースラインにおいて<50,000/mLの血小板数を有する。
【0240】
バイオマーカーの「高レベル」とは、患者におけるそのバイオマーカーの量が、正常上限(ULN)を超えていることを意味する。「正常上限を上回るレベル」は、対象(健常な対象を含む)又は患者(肺炎を有するもの又は炎症を経験しているものを含む)において異常又は非定型であるバイオマーカーの量を指す。
【0241】
本明細書の目的のために、「標準治療」又は「SOC」は、肺炎(例えばCOVID-19肺炎などのウイルス性肺炎)の患者の治療に一般的に用いられる治療又は薬剤を指し、特に、支持療法、1つ以上の抗ウイルス剤の投与、及び/又は1つ以上のコルチコステロイドの投与を指す。一実施形態では、SOCは、抗ウイルス(例えば、レムデシビル又はアジスロマイシン)及び/又はコルチコステロイド(例えばデキサメタゾン又はプレドニゾン)治療を含む。
【0242】
「支持療法」には、限定されないが、呼吸支援(例えば、フェイスマスク又は鼻カニューレ、高流量鼻酸素療法又は非侵襲的機械的人工呼吸、侵襲的機械的人工呼吸、体外膜型酸素供給(ECMO)を介した酸素療法など);循環支援(例えば、輸液蘇生、微小循環の促進、血管作動薬);腎代替療法;血漿療法;血液浄化療法;Xuebijing注入(例えば、100mL/日を1日2回で);微生物学的調製物(例えば、プロバイオティクス、プレバイオティクス、及びシンバイオティクス);抗炎症薬(例えば、非ステロイド系抗炎症薬、例えばNSAID);漢方;血漿(例えば、回復期血漿)などが含まれる。
【0243】
「抗ウイルス」剤には、限定されないが、アルファ-インターフェロン、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル/リトナビル、レムデシビル、アジスロマイシン、リバビリン、ヒドロキシクロロキン又はクロロキン(アジスロマイシンあり又はなし)、ウミフェノビル、ファビピラビルなどが含まれる。任意選択的に、抗ウイルスは、アルファ-インターフェロン、リバビリン、及び/又はアジスロマイシンと組み合わせられる。一実施形態では、抗ウイルス剤は、レムデシビル又はアジスロマイシンである。
【0244】
「レムデシビル」は、抗ウイルス薬、ヌクレオチド類似体、特にアデノシン類似体であり、ウイルスのRNA鎖に挿入され、その早期停止を引き起こす。その分子式はC27H35N6O8Pであり、IUPAC名は、2-エチルブチル(2S)-2-[[[(2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-5-シアノ-3,4-ジヒドロキシオキソラン-2-イル]メトキシ-フェノキシホスホリル]アミノ]プロパノエートである。レムデシビルの実験室名はGS-5734であり、そのCAS番号は1809249-37-3である。これは米国特許第9,724,360号に記載されており、Gilead Sciences社により製造される。
【0245】
「コルチコステロイド」は、天然に存在するコルチコステロイドの作用を模倣若しくは増補するステロイドの一般的化学構造を備える、複数の合成又は自然発生の物質のうちのいずれか1つを指す。合成コルチコステロイドの例には、プレドニゾン、プレドニゾロン(メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウムなどのメチルプレドニゾロンを含む)、デキサメタゾン又はデキサメタゾントリアムシノロン、ヒドロコルチゾン及びベタメタゾンが含まれる。一態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、及びデキサメタゾンから選択される。一態様では、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロンである。一態様では、コルチコステロイドは、「低用量」グルココルチコイド(例えば≦1-2mg/kg/日のメチルプレドニゾロン、例えば3~5間)である。一態様では、コルチコステロイドは、デキサメタゾン(例えば最大10日間にわたり1日1回6mgを経口又はIV投与されるデキサメタゾン)又はプレドニゾンである。
【0246】
「抗炎症薬」は、炎症を軽減する薬物である。例には、限定されないが、ステロイド(例えばデキサメタゾン)、抗ST2(アステゴリマブ;MSTT1041A)、IL-22Fc(UTTR1147A;例えば、米国特許出願公開第2014/0314711号を参照)、スタチン、IL-6アンタゴニストなどが含まれる。
【0247】
「免疫調節薬」は、免疫系を制御する薬物である。例には、例えば、IL-6アンタゴニスト、トシリズマブ、サリルマブ、アナキンラ、バリシチニブ、カナキヌマブ、ルキソリチニブなどが含まれる。
【0248】
「抗凝固剤」は、血栓の防止に役立つ薬物、例えばヘパリンである。
【0249】
「抗線維化」は、線維症を遅らせる又は停止させる薬物、例えばチロシンキナーゼ阻害剤(例えばイマチニブ)又はピルフェニドンである。
【0250】
「抗ウイルス抗体」は、ウイルスに結合し、好ましくは患者に感染する及び/又は患者において複製するウイルスの能力を中和するものである。一実施形態では、それは2つ以上の抗ウイルス抗体のカクテル、例えばREGN-COV2を含む。
【0251】
「非ステロイド系抗炎症薬」又は「NSAID」の例には、アスピリン、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダック、トルメチン、フェニルブタゾン、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ベノリレート、メフェナム酸、メトトレキサート、フェンブフェン、アザプロパゾン;COX-2阻害剤、例えばセレコキシブ(CELEBREX(登録商標);4-(5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド、バルデコキシブ(BEXTRA(登録商標))、メロキシカム(MOBIC(登録商標))、GR 253035(Glaxo Wellcome);及びMK966(Merck Sharp & Dohme)が含まれ、これにはその塩及び誘導体なども含まれる。具体的な実施態様には、アスピリン、ナプロキセン、イブプロフェン、インドメタシン、トルメチンが含まれる。
【0252】
本明細書で「ヒトインターロイキン6」(略称「IL-6」)は、B細胞刺激因子2(BSF-2)、又はインターフェロンベータ2(IFNB2)、ハイブリドーマ増殖因子、及びCTL分化因子としても知られるサイトカインである。IL-6は、B細胞の活性化に寄与する分化因子として発見され(Hirano et al.,Nature 324:73-76(1986))、その後、種々の異なる細胞型の機能に影響を及ぼす多機能サイトカインであることが見出された(Akira et al.,Adv. in Immunology 54:1-78(1993))。天然に存在するヒトIL-6のバリアントが知られており、それらはこの定義に含まれる。ヒトIL-6アミノ酸配列情報が開示されており、例えば、UniProt P05231を参照されたい。
【0253】
「有効量」は、望まれない/望ましくない副作用を上回る治療的/予防的恩恵(例えば、本明細書に記載される)をもたらすために有効な薬剤(例えば、治療剤)の量を指す。
【0254】
IL-6アンタゴニスト」は、ヒトIL-6又はヒトIL-6受容体への結合を介してIL-6の生物活性を阻害又はブロックする薬剤である。一実施形態では、IL-6アンタゴニストは、抗体である。一実施形態では、IL-6アンタゴニストは、IL-6受容体に結合する抗体である。Il-6受容体に結合する抗体には、トシリズマブ(その静脈内(iv)及び皮下(sc)製剤を含む)(中外製薬、ロッシュ、ジェネンテック)、サトラリズマブ(中外製薬、ロッシュ、ジェネンテック)、サリルマブ(Sanofi,Regeneron)、NI-1201(Novimmune及びTiziana)、及びボバリリズマブ(Ablynx)が含まれる。一実施形態では、IL-6アンタゴニストは、IL-6に結合するモノクローナル抗体である。IL-6に結合する抗体には、シルクマブ(Centecor、Janssen)、オロキズマブ(UCB)、クラザキズマブ(BMS及びAlder)、シルツキシマブ(Janssen)、EBI-031(Eleven Biotherapeutics及びRoche)が含まれる。一実施形態では、IL-6アンタゴニストは、オラムキセプトである。
【0255】
本明細書の目的のために、「ヒトインターロイキン6受容体」(略称「IL-6R」)は、IL-6に結合する受容体を指し、これには膜結合型IL-6R(mIL-6R)及び可溶性IL-6R(sIL-6R)の両方が含まれる。IL-6Rは、インターロイキン6シグナルトランスデューサー糖タンパク質130と組み合わせて、活性型受容体複合体を形成することができる。IL-6の別個のアイソフォームをコードする、選択的スプライシングされた転写バリアントが報告されており、これもこの定義に含まれる。ヒトIL-6Rのアミノ酸配列構造及びその細胞外ドメインの記載があり、例えば、Yamasaki et.al.,Science,241:825(1988)を参照されたい。
【0256】
本明細書において「中和」抗IL-6R抗体は、IL-6Rに結合し、IL-6がIL-6Rに結合する能力及び/又は活性化する能力を測定可能な程度に阻害することができるものである。トシリズマブは、中和型抗IL-6R抗体の一例である。
【0257】
「トシリズマブ」又は「TCZ」は、ヒトインターロイキン-6受容体(IL-6R)に結合する組み換えヒト化モノクローナル抗体である。これは、2つの重鎖と2つの軽鎖とが2つの抗原結合部位を形成するIgG1κ(ガンマ1、カッパ)抗体である。好ましい実施形態では、トシリズマブの軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号7及び8を含む。
【0258】
IL-6アンタゴニストに関して、「有効量」は、肺炎(例えば、COVID-19肺炎を含むウイルス性肺炎)の治療及び/又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)の治療に有効なIL-6アンタゴニスト(例えば、トシリズマブなどのIL-6受容体抗体)の量を指す。
【0259】
「薬学的製剤」という用語は、1つ又は複数の活性成分の生物活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象に許容できないほど有毒である追加成分を含有しない調製物を指す。そのような製剤物は、滅菌である。一実施形態では、製剤は、静脈内(iv)投与のためのものである。別の実施形態では、製剤は、皮下(sc)投与のためのものである。
【0260】
本明細書における「天然配列」タンパク質は、天然に存在するタンパク質のバリアントを含む、天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列を含むタンパク質を指す。本明細書で使用される用語は、その天然源から単離されるタンパク質、又は組み換え生成されるタンパク質を含む。
【0261】
別途指示がない限り、本明細書で使用される用語「タンパク質」は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然タンパク質を指す。この用語は、「完全長」の未処理のタンパク質と、細胞内での処理から生じるあらゆる形態のタンパク質を包含する。この用語はまた、タンパク質の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアント、例えば、アミノ酸置換変異又はアミノ酸欠失変異を包含する。この用語はまた、タンパク質の単離された領域又はドメイン、例えば、細胞外ドメイン(ECD)を含む。
【0262】
「単離された」タンパク質又はペプチドは、その自然環境の成分から分離されたものである。いくつかの態様では、タンパク質又はペプチドは、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)によって決定された場合に95%又は99%を超える純度に精製される。
【0263】
「単離された」核酸は、その天然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、通常核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子が含まれるが、核酸分子は、染色体外、又は天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0264】
本明細書で使用される用語「単一膜貫通受容体」、「シングルパス膜貫通受容体」、又は「STM受容体」は、単一膜貫通ドメインを有するタンパク質を指す。いくつかの態様では、STM受容体は細胞表面上に発現される。例示的なSTM受容体は、Martinez-Martin et al.,Cell,174(5):1158-1171,2018及びClark et al.,Genome Res,13:2265-2270,2003に提供されている。いくつかの態様では、STMタンパク質は、UniProt注釈の「ロイシンリッチ」、「システインリッチ」、「ITIM/ITAM」(免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ/免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ)、「TNFR」(腫瘍壊死因子受容体)、「TLR/ILR」(Toll様受容体/インターロイキン受容体)、「セマフォリン」、「キナーゼ様」、「Ig様」(免疫グロブリン様)、「フィブロネクチン」、「エフリン」、「EGF」、「サイトカインR」、又は「カドヘリン」を有する。STM受容体は、例えば、アミノ酸配列中のシグナルペプチド又は予測される膜貫通領域の存在に基づいて同定されうる。いくつかの態様では、STM受容体は、細胞外ドメインとして発現される。
【0265】
本明細書で使用される用語「細胞外ドメイン」又は「ECD」は、細胞の外側の原形質膜の外側に局在すると予測されるタンパク質ドメインを指す。いくつかの例では、ECDは、受容体、例えばSTM受容体のECDである。いくつかの態様では、ECDは、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)のECD;ニューロピリン-2(NRP2)のECD;インターロイキン12受容体サブユニットベータ1(IL12RB1)のECD;コクタクチン-1(CNTN1)のECD、又はインターロイキン1受容体アクセサリータンパク質様2(IL1RAPL2)のECDである。いくつかの態様では、細胞外ドメインの境界は、タンパク質が原形質膜を通過することを示すドメイン、例えば、膜貫通ドメイン(例えば、膜貫通ヘリックス)の予測によって同定されうる。いくつかの態様では、細胞外ドメインの存在は、タンパク質が原形質膜に受け渡されることを示すドメイン、配列、又はモチーフ、例えば、シグナル配列又はグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合部位の存在によって予測されうる。いくつかの態様では、ECDの境界はUniProt注釈に従って決定される。いくつかの態様では、ECDは可溶性である。いくつかの態様では、細胞外ドメインは、完全長タンパク質との関連において発現される。他の態様では、細胞外ドメインは、単離された細胞外ドメイン、例えば、細胞外であると予測されるタンパク質のアミノ酸残基のみを含むアミノ酸残基の配列として発現される。
【0266】
本明細書で使用される用語「SARS-CoV-2スパイクタンパク質」及び「SARS-CoV-2 Sタンパク質」は、SARS-CoV-2のウイルスエンベロープの外表面に繋留されて、ウイルスの表面上に見えるスパイク様の突起を形成するタンパク質を指す。SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、S1サブユニットとS2サブユニットから構成されており、S1サブユニットはスパイクの頭部に位置し、受容体結合ドメイン(RBD)を含む。各スパイクは、本明細書で「スパイクタンパク質三量体」又は「スパイク三量体」と呼ばれる3つのSタンパク質から構成された三量体である。例示的SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号1の配列を有する。
【0267】
本明細書で使用される用語「SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン」、「SARS-CoV-2 Sタンパク質受容体結合ドメイン」、「SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBD」、及び「SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD」は、宿主細胞(例えば、ヒト細胞)の結合受容体に含まれるSARS-CoV-2 Sタンパク質S1サブユニットの一部分を指す。例示的なSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDは、配列番号3の配列を有する。SARS-CoV-2 Sタンパク質S1サブユニットの他のトランケーションも考慮される。
【0268】
いくつかの態様では、単離されたECD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDは、融合タンパク質に含まれる。いくつかの態様では、融合タンパク質に含まれることは、溶解度、発現の容易性、捕捉の容易性(例えば、プロテインAでコーティングされたプレート上に)、多量体化、又はECD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの他のいくつかの所望の特性を増加させる。いくつかの態様では、ECD又はECD融合タンパク質又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBD融合タンパク質は、単量体である。他の態様では、ECD又はECD融合タンパク質又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBD融合タンパク質は、多量体、例えば、四量体又は五量体である。いくつかの態様では、ECD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDは、ヒトIgGに融合される。いくつかの態様では、ECD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDは、ヒトFcタグに融合される。いくつかの態様では、ECD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDは、Avidity AVITAGTM(Aviタグ)に融合される。いくつかの態様では、ECD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDは、ポリヒスチジン(His)タグに融合される。いくつかの態様では、ECD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDは、糖タンパク質D(gD)タグ及びグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)リンカー、例えば、gD-GPIタグに融合される。他の態様では、ECD又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDは、例えば、Bushell et al.,Genome Res,18:622-630,2008に記載されるように、ラット軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質(COMP)及びβ-ラクタマーゼタンパク質の五量体化ドメインに融合される。いくつかの態様では、ECD融合タンパク質又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBD融合タンパク質は、1つ以上のドメインの除去を可能にするために、切断配列、例えば、TEV切断配列をさらに含む。いくつかの事例では、切断配列で切断可能なAviタグ及びFcタグを有するECD融合タンパク質又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBD融合タンパク質は、Fcタグを除去するため、Aviタグをビオチン化するため、及びビオチン化されたECD融合タンパク質又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBD融合タンパク質を蛍光性ストレプトアビジン(SA)に融合させて、例えば、四量体化されたECD融合タンパク質又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBD融合タンパク質を形成するために、さらに処理される。いくつかの事例では、単離されたECD又はECD融合タンパク質又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBD融合タンパク質は、精製される。
【0269】
本明細書で使用される場合、「モジュレーター」は、所与の生物活性、例えば、相互作用又は相互作用から生じる下流活性を調節する(例えば、増加させる、減少させる、活性化する、又は阻害する)薬剤である。モジュレーター又は候補モジュレーターは、例えば、小分子、抗体、抗原結合断片(例えば、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、ScFab、VHドメイン、又はVHHドメイン)、ペプチド、模倣物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は抑制性核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)又は低分子干渉RNA(siRNA))でありうる。
【0270】
「増加させる」又は「活性化する」は、例えば、20%以上の、50%以上の、又は75%、85%、90%、若しくは95%以上の全体的な増加を引き起こす能力を意味する。一部の態様では、増加させる又は活性化するは、タンパク質間相互作用の下流活性に言及することができる。
【0271】
「減少させる」又は「阻害する」は、例えば、20%以上の、50%以上の、又は75%、85%、90%、若しくは95%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。特定の態様では、減少させる又は阻害するは、タンパク質間相互作用の下流活性に言及することができる。
【0272】
「親和性」は、分子(例えば、受容体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、リガンド)との間の非共有相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用される「結合親和性」は、別途指示がない限り、結合対(例えば、受容体とリガンド)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。一般に、分子XのそのパートナーYに対する親和性は、解離定数(K)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載のものを含む当技術分野で既知の一般的な方法により測定することができる。
【0273】
本明細書で使用される「複合体」又は「複合体型」は、ペプチド結合ではない結合及び/又は力(例えば、ファンデルワールス力、疎水性力、親水性力)を通して互いに相互作用する2つ以上の分子の会合を指す。一態様では、複合体はヘテロ多量体である。本明細書で使用される用語「タンパク質複合体」又は「ポリペプチド複合体」は、タンパク質複合体中のタンパク質にコンジュゲートした非タンパク質実体(例えば、限定しないが、毒素又は検出剤などの化学分子を含む)を有する複合体を含むことを理解するべきである。
【0274】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」という用語は交換可能に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞には、「トランスフェクトされた細胞」、「形質転換細胞」、及び「形質転換体」が含まれ、これには、初代形質転換細胞と、継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸の含有量が親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含んでいてもよい。元の形質転換細胞においてスクリーニング又は選択されたのと同じ機能又は生物活性を有する変異子孫が本明細書に含まれる。いくつかの態様では、宿主細胞は、外因性核酸で安定して形質転換される。他の態様では、宿主細胞は、外因性核酸で一過性に形質転換される。
【0275】
別途指示がない限り、本明細書で使用される用語「アンギオテンシン変換酵素2」又は「ACE2」は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源由来の任意の天然ACE2を広く指す。この用語は、完全長ACE2及びACE2の単離された領域又はドメイン、例えばACE2 ECDを包含する。この用語は、ACE2の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトACE2のアミノ酸配列は、UniProt受入番号Q9BYF1の下に示されている。軽微な配列差異、特にACE2の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないACE2の保存的アミノ酸置換も、本発明により意図される。
【0276】
本明細書で使用される用語「コンタクチン-1」又は「CNTN1」は、別途指示がない限り、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源由来の任意の天然CNTN1を広く指す。この用語は、完全長CNTN1及びCNTN1の単離された領域又はドメイン、例えばCNTN1 ECDを包含する。この用語は、CNTN1の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトCNTN1のアミノ酸配列は、UniProt受入番号Q12860の下に示されている。軽微な配列差異、特にCNTN1の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないCNTN1の保存的アミノ酸置換も、本発明により意図される。
【0277】
本明細書で使用される用語「コンタクチン-2」又は「NRP2」は、別途指示がない限り、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源由来の任意の天然NRP2を広く指す。この用語は、完全長NRP2及びNRP2の単離された領域又はドメイン、例えばNRP2 ECDを包含する。この用語は、NRP2の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトNRP2のアミノ酸配列は、UniProt受入番号O60462の下に示されている。軽微な配列差異、特にNRP2の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないNRP2の保存的アミノ酸置換も、本発明により意図される。
【0278】
用語「インターロイキン12受容体サブユニットベータ1」又は「IL12RB1」は、別途指示がない限り、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源由来の任意の天然IL12RB1を広く指す。この用語は、完全長IL12RB1及びIL12RB1の単離された領域又はドメイン、例えばIL12RB1 ECDを包含する。この用語は、IL12RB1の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトIL12RB1のアミノ酸配列は、UniProt受入番号P42701の下に示されている。軽微な配列差異、特にIL12RB1の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないIL12RB1の保存的アミノ酸置換も、本発明により意図される。
【0279】
本明細書で使用される用語「インターロイキン1受容体アクセサリータンパク質様2」又は「IL1RAPL2」は、別途指示がない限り、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源由来の任意の天然IL1RAPL2を広く指す。この用語は、完全長IL1RAPL2及びIL1RAPL2の単離された領域又はドメイン、例えばIL1RAPL2 ECDを包含する。この用語は、IL1RAPL2の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトIL1RAPL2のアミノ酸配列は、UniProt受入番号Q9NP60の下に示されている。軽微な配列差異、特にIL1RAPL2の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないIL1RAPL2の保存的アミノ酸置換も、本発明により意図される。
【0280】
用語「CNTN1のアンタゴニスト」又は「CNTN1アンタゴニスト」は、CNTN1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させる分子を指す。CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とその結合パートナーのうちの1つ以上(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質)との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。CNTN1活性のアンタゴニストには、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、ペプチド(例えば、多量体化ペプチド、例えば、多量体化CNTN1ポリペプチド)、オリゴペプチド、抑制性核酸(例えば、ASO又はsiRNA)、及びCNTN1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させる他の分子が含まれうる。
【0281】
用語「IL12RB1のアンタゴニスト」又は「IL12RB1アンタゴニスト」は、IL12RB1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させる分子を指す。IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とその結合パートナーのうちの1つ以上(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質)との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。IL12RB1活性のアンタゴニストには、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、ペプチド(例えば、多量体化ペプチド、例えば、多量体化IL12RB1ポリペプチド)、オリゴペプチド、抑制性核酸(例えば、ASO又はsiRNA)、及びIL12RB1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させる他の分子が含まれうる。
【0282】
用語「IL1RAPL2のアンタゴニスト」又は「IL1RAPL2アンタゴニスト」は、IL1RAPL2とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させる分子を指す。IL1RAPL2アンタゴニストは、IL1RAPL2とその結合パートナーのうちの1つ以上(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質)との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。IL1RAPL2活性のアンタゴニストには、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、ペプチド(例えば、多量体化ペプチド、例えば、多量体化IL1RAPL2ポリペプチド)、オリゴペプチド、抑制性核酸(例えば、ASO又はsiRNA)、及びIL1RAPL2とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質との相互作用から生じるシグナル伝達を減少させる他の分子が含まれうる。
【0283】
本明細書で用いられる「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターだけでなく、自己複製核酸構造体としてのベクターを含む。ある種のベクターは、それが作動可能に結合している核酸の発現を誘導することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。
【0284】
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で使用され、限定はしないが、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片(例えば、bis-Fab)を含む、種々の抗体構造を包含する。
【0285】
「抗原結合断片」又は「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗原結合断片の例には、限定されないが、bis-Fab;Fv;Fab;Fab、Fab’-SH;F(ab’);ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv、ScFab);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0286】
「単一ドメイン抗体」は、抗体の重鎖可変ドメインのすべて若しくは一部、又は軽鎖可変ドメインのすべて若しくは一部を含む抗体断片を指す。一部の態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6248516号を参照)。単一ドメイン抗体の例には、限定されないが、VHHが含まれる。
【0287】
「Fab」断片は、抗体のパパイン消化によって生成される抗原結合断片であり、L鎖全体と、H鎖の可変領域ドメイン(VH)及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。抗体のパパイン消化により、2つの同一のFab断片が生成される。抗体のペプシン処理により単一の大きなF(ab’)断片が生じ、これは二価の抗原結合活性を有するジスルフィドで連結された2つのFab断片にほぼ対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に追加のいくつかの残基を有している点でFab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインの1つ又は複数のシステイン残基が、遊離チオール基を持つFab’の本明細書での呼称である。F(ab’)抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有する一対のFab’断片として生成された。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
【0288】
本明細書において「Fc領域」という用語は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化しうるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226の位置のアミノ酸残基から又はPro230からそのカルボキシル末端まで伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングシステムによる残基447)は、例えば、抗体の生成若しくは精製の間に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組み換え操作することによって、取り除かれうる。したがって、インタクトな抗体の組成物は、すべてのLys447残基が除かれた抗体集団、Lys447残基が除かれていない抗体集団、及びLys447残基を有する抗体と有さない抗体との混合物を有する抗体集団を含みうる。
【0289】
「Fv」は、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変領域ドメインの、密に非共有結合した二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗原結合特異性を抗体に付与する6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性であることが多いものの、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0290】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書では、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、又は本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すために、交換可能に使用される。
【0291】
「sFv」又は「scFv」とも略される「単鎖Fv」は、単一ポリペプチド鎖中に接続するVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする。scFvの総説については、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol. 113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp. 269-315(1994);Malmborg et al.,J. Immunol. Methods 183:7-13,1995を参照されたい。
【0292】
用語「小分子」は、分子量約2000ダルトン以下、例えば約1000ダルトン以下の任意の分子を指す。いくつかの態様では、小分子は、小さな有機分子である。
【0293】
本明細書で使用される用語「模倣物」又は「分子模倣物」は、コンホメーション及び/又は結合能力において、所定のポリペプチドに対して又は前記ポリペプチドの結合パートナーに結合するための部分に対して十分な類似性(例えば、二次構造、三次構造)を有するポリペプチドを指す。模倣物は、それが模倣するポリペプチドと等しい、それより小さい、又はそれより大きい親和性で結合パートナーに結合しうる。分子模倣物は、それが模倣するポリペプチドと明らかなアミノ酸配列類似性を有していても、有していなくてもよい。模倣物は、天然に存在するものでもよく、操作されてもよい。いくつかの態様では、模倣物は、結合対のメンバーの模倣物である。他の態様では、模倣物は、結合対のメンバーに結合する別のタンパク質の模倣物である。いくつかの態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドのすべての機能を実行しうる。他の態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドのすべての機能を実行するわけではない。
【0294】
本明細書で使用される、2つ以上のタンパク質の相互の「結合を可能にする条件」という用語は、2つ以上のタンパク質がモジュレーター又は候補モジュレーターの非存在下で相互作用するであろう条件(例えば、タンパク質濃度、温度、pH、塩濃度)を指す。結合を可能にする条件は、個々のタンパク質によって異なり、タンパク質間相互作用アッセイ(例えば、表面プラズモン共鳴アッセイ、バイオレイヤー干渉法、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、細胞外相互作用アッセイ、及び細胞表面相互作用アッセイ)の間で異なる可能性がある。
【0295】
基準となるポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列同一性最大パーセントが得られるように、配列をアライメントし、必要に応じてギャップを導入した後に、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、基準となるポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当技術分野における技術の範囲内にある種々の方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、使用者用書類と共に、米国著作権局、Washington D.C.,20559に提出され、ここで、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)から公的に入手可能であるか、又はそのソースコードからコンパイルされうる。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含む、UNIXオペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされるべきである。すべての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変わらない。
【0296】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bに対する、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bとの対照での、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bに対し、アミノ酸配列Bと、又はアミノ酸配列Bとの対照で、特定のアミノ酸配列同一性%を有するか若しくは含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述することができる)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によってプログラムのAとBのアラインメントにおいて完全な一致としてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくないことを理解されたい。別途指定のない限り、本明細書で使用されるすべてのアミノ酸配列同一性%値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直前の段落に記載されているように得られる。
【0297】
本明細書で使用される「試料」という用語は、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理学的特性に基づいて、特徴づけられる及び/又は同定される細胞及び/又は他の分子の実体を含有する、目的の対象及び/又は個体から得られるか、又はそれに由来する組成物を指す。例えば、「疾患試料」という語句及びその変形は、特徴づけられる細胞及び/又は分子の実体を含有することが期待されるか又は含有することが知られている、目的の対象から得られた任意の試料を指す。試料は、限定されないが、組織試料、初代若しくは培養細胞又は細胞株、細胞上清、細胞溶解物、血小板、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、卵胞液、精液、羊水、乳汁、全血、血漿、血清、血液由来細胞、尿、脳脊髄液、唾液、頬スワブ、痰、涙液、発汗、粘液、腫瘍溶解物、及び組織培養培地、ホモジナイズした組織等の組織抽出物、腫瘍組織、細胞抽出物、及びそれらの組み合わせを含む。試料は、アーカイブ試料、新鮮な試料、又は凍結試料であってよい。いくつかの態様では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織試料である。
【0298】
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」(及びその文法的な変形、例えば、「治療する(treat)」又は「治療すること(treating)」)は、治療される個体の自然な経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の経過の間に実施することができる。治療の望ましい効果には、限定されないが、疾患の発生又は再発を防止すること(例えば、呼吸器疾患(例えば、肺炎(例えば、COVID-19肺炎(例えば、重症COVID-19肺炎)を含むウイルス性肺炎)、ARDS、喘息、慢性閉塞性肺障害(COPD)、インフルエンザ(例えば、インフルエンザA又はB)、及び肺疾患など)又はCRS(例えば、ウイルス感染(例えば、SARS-CoV-2)によって引き起こされるCRS又はCAR-T-細胞-誘発CRS))を防止すること、感染を有する患者の二次感染を減少させること又は防止すること(例えば、神経組織、免疫細胞、リンパ組織、及び/又は肺組織の二次感染を減少させること又は防止すること)、症状の緩和、疾患のいずれかの直接的若しくは間接的病理学的帰結を縮減すること、疾患進行の速度を低下させること、病状の改善若しくは緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。
【0299】
疾患又は状態の「病理学」は、患者の幸福を損なうすべての現象を含む。
【0300】
「改善」、「改善すること」、「緩和」、「緩和すること」、又はそれに等しい表現は、目的が、疾患又は状態、例えば、呼吸器疾患(例えば、肺炎(例えば、COVID-19肺炎(例えば、重症COVID-19肺炎))、ARDS、喘息、慢性閉塞性肺障害(COPD)、インフルエンザ(例えば、インフルエンザA又はB)、及び肺疾患など)又はCRS(例えば、ウイルス感染(例えば、COVID-19)によって引き起こされるCRS若しくはCAR-T-細胞-誘発CRS)を含むウイルス性肺炎)を、改善する、防止する、遅らせる(小さくする)、減少させる、又は阻害することである、治療的処置及び予防的又は防止的方策の両方を指す。治療を必要とする者には、疾患若しくは状態を既に有する者、並びに疾患若しくは状態を有する傾向にある者、又は疾患若しくは状態を予防する必要がある者が含まれる。
【0301】
II.タンパク質間相互作用のモジュレーターを同定する方法
A.SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法
コクタクチン-1(CNTN1)が、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質と直接相互作用する、これまで認知されていない宿主細胞因子として同定された。本明細書に提供されるのは、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との間の相互作用のモジュレーター(例えば、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとの間の相互作用のモジュレーター)、例えば、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を減少させる及び/又は相互作用に起因する下流活性の量、強度、又は持続時間を減少させる、例えば、SARS-CoV-2ウイルスによる宿主細胞の感染を減少させる、CNTN1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質アンタゴニストを同定するための方法である。
【0302】
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、CNTN1と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、CNTN1に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの結合を可能にする条件下で接触させること;並びに(c)CNTN1に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのタンパク質の結合を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での結合が、候補モジュレーターの非存在下での結合と比べて増加又は減少している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1との間の相互作用のモジュレーターとして同定される。増加又は減少した結合は、例えば、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酸素結合免疫吸着法(ELISA)を使用して評価されうる。
【0303】
いくつかの態様では、結合の増加が少なくとも40%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の増加は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%であるか、又は100%を上回る(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、95%~100%であるか、又は100%を上回る)。いくつかの態様では、結合の増加は少なくとも40%である。
【0304】
いくつかの態様では、結合の減少が少なくとも40%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%)である。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも40%である。
【0305】
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、CNTN1と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、CNTN1に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの結合を可能にする条件下で接触させること;及び(c)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの下流活性を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定される。
【0306】
いくつかの態様では、本開示は、CNTN1の下流活性のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)CNTN1を、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDと、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1の結合を可能にする条件下で接触させること;及び(c)CNTN1の下流活性を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、CNTN1の下流活性のモジュレーターとして同定される。
【0307】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1の下流活性の阻害剤である。いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1の下流活性は、SARS-CoV-2による細胞の感染である。いくつかの態様では、感染は、ウイルス感染アッセイ(例えば、Cantuti-Castelvetri et al.,Science,DOI:10.1126/science.abd2985、2020に記載されるように)又はSARS-CoV-2 Sタンパク質のシュードタイプ粒子を使用したウイルス侵入アッセイ)で測定した場合に、モジュレーターの存在下で減少し、例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、若しくは99%減少したか、又は100%減少し(すなわち、消失し)、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少した。いくつかの態様では、感染は、モジュレーターの存在下で、少なくとも40%減少する。
【0308】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、例えば、CNTN1と相互作用するSARS-CoV-2 Sタンパク質のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合し、例えば、CNTN1と相互作用するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのエピトープに結合する。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとCNTN1との相互作用をブロックする。
【0309】
いくつかの態様では、モジュレーターは、CNTN1に結合し、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDと相互作用するCNTN1のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、CNTN1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとの相互作用をブロックする。例示的な抗CNTN1抗体のリストを表1に示す。
【0310】
いくつかの態様では、モジュレーターは、ACE2及びCNTN1に結合する二重特異性抗体である。
【0311】
B.SARS-CoV-2 Sタンパク質とIL12RB1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法
インターロイキン12受容体サブユニットベータ1(IL12RB1)が、SARS-CoV-2 Sタンパク質と直接相互作用する、これまで認知されていない宿主細胞因子として同定された。本明細書に提供されるのは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との間の相互作用のモジュレーター(例えば、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとの間の相互作用のモジュレーター)、例えば、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとの結合を減少させる及び/又は相互作用に起因する下流活性の量、強度、又は持続期間を減少させる、例えば、SARS-CoV-2ウイルスによる宿主細胞の感染を減少させる、IL12RB1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質アンタゴニストを同定するための方法である。
【0312】
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質とIL12RB1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、IL12RB1と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、IL12RB1に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの結合を可能にする条件下で接触させること;並びに(c)IL12RB1に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのタンパク質の結合を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での結合が、候補モジュレーターの非存在下での結合と比べて増加又は減少している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質とIL12RB1との間の相互作用のモジュレーターとして同定される。増加又は減少した結合は、例えば、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酸素結合免疫吸着法(ELISA)を使用して評価されうる。
【0313】
いくつかの態様では、結合の増加が少なくとも40%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の増加は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%であるか、又は100%を上回る(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、95%~100%であるか、又は100%を上回る)。いくつかの態様では、結合の増加は少なくとも40%である。
【0314】
いくつかの態様では、結合の減少が少なくとも40%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%)である。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも40%である。
【0315】
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、IL12RB1と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、IL12RB1に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの結合を可能にする条件下で接触させること;及び(c)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの下流活性を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定される。
【0316】
いくつかの態様では、本開示は、IL12RB1の下流活性のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)IL12RB1を、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDと、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を可能にする条件下で接触させること;及び(c)IL12RB1の下流活性を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、IL12RB1の下流活性のモジュレーターとして同定される。
【0317】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL12RB1の下流活性の阻害剤である。いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL12RB1の下流活性は、SARS-CoV-2による細胞の感染である。いくつかの態様では、感染は、ウイルス感染アッセイ(例えば、Cantuti-Castelvetri et al.,Science,DOI:10.1126/science.abd2985,(2020)に記載されるように)又はSARS-CoV-2 Sタンパク質のシュードタイプ粒子を使用したウイルス侵入アッセイで測定した場合に、モジュレーターの存在下で減少し、例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、若しくは99%か、又は100%減少し(すなわち、消失し)、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少した。いくつかの態様では、感染は、モジュレーターの存在下で、少なくとも40%減少する。
【0318】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、例えば、IL12RB1と相互作用するSARS-CoV-2 Sタンパク質のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合し、例えば、IL12RB1と相互作用するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのエピトープに結合する。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとIL12RB1の相互作用をブロックする。
【0319】
いくつかの態様では、モジュレーターは、IL12RB1に結合し、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDと相互作用するIL12RB1のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、IL12RB1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの相互作用をブロックする。例示的な抗IL12RB1抗体のリストを表2に示す。
【0320】
【0321】
いくつかの態様では、モジュレーターは、ACE2及びIL12RB1に結合する二重特異性抗体である。
【0322】
C.SARS-CoV-2 Sタンパク質とIL1RAPL2との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法
インターロイキン1受容体アクセサリータンパク質様2(IL1RAPL2)が、SARS-CoV-2 Sタンパク質と直接相互作用する、これまで認知されていない宿主細胞因子として同定された。本明細書に提供されるのは、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との間の相互作用のモジュレーター(例えば、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとの間の相互作用のモジュレーター)、例えば、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を減少させる及び/又は相互作用に起因する下流活性の量、強度、又は持続時間を減少させる、例えば、SARS-CoV-2ウイルスによる宿主細胞の感染を減少させる、IL1RAPL2又はSARS-CoV-2 Sタンパク質アンタゴニストを同定するための方法である。
【0323】
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質とIL1RAPL2との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、IL1RAPL2と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのIL1RAPL2に対する結合を可能にする条件下で接触させること;並びに(c)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのタンパク質のIL1RAPL2に対する結合を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での結合が、候補モジュレーターの非存在下での結合と比べて増加又は減少している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質とIL1RAPL2との間の相互作用のモジュレーターとして同定される。増加又は減少した結合は、例えば、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酸素結合免疫吸着法(ELISA)を使用して評価されうる。
【0324】
いくつかの態様では、結合の増加が少なくとも40%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の増加は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%であるか、又は100%を上回る(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、95%~100%であるか、又は100%を上回る)。いくつかの態様では、結合の増加は少なくとも40%である。
【0325】
いくつかの態様では、結合の減少が少なくとも40%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%)である。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも40%である。
【0326】
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを、IL1RAPL2と、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのIL1RAPL2に対する結合を可能にする条件下で接触させること;及び(c)SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの下流活性を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、SARS-CoV-2 Sタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定される。
【0327】
いくつかの態様では、本開示は、IL1RAPL2の下流活性のモジュレーターを同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)候補モジュレーターを提供すること;(b)IL1RAPL2を、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDと、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL1RAPL2の結合を可能にする条件下で接触させること;及び(c)IL1RAPL2の下流活性を測定することを含み、候補モジュレーターの存在下での下流活性が、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化している場合に、候補モジュレーターが、IL1RAPL2の下流活性のモジュレーターとして同定される。
【0328】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL1RAPL2の下流活性の阻害剤である。いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL1RAPL2の下流活性は、SARS-CoV-2による細胞の感染である。いくつかの態様では、感染は、ウイルス感染アッセイ(例えば、Cantuti-Castelvetri et al.,Science,DOI:10.1126/science.abd2985,(2020)に記載されるように)又はSARS-CoV-2 Sタンパク質のシュードタイプ粒子を使用したウイルス侵入アッセイで測定した場合に、モジュレーターの存在下で減少し、例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、若しくは99%か、又は100%減少し(すなわち、消失し)、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少した。いくつかの態様では、感染は、モジュレーターの存在下で、少なくとも40%減少する。
【0329】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合し、例えば、IL1RAPL2と相互作用するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとIL1RAPL2の相互作用をブロックする。
【0330】
いくつかの態様では、モジュレーターは、IL1RAPL2に結合し、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用するIL1RAPL2のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合し、例えば、CNTN1と相互作用するSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDのエピトープに結合する。いくつかの態様では、IL1RAPL2に結合する抗体又はその抗原結合断片は、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDの相互作用をブロックする。例示的な抗IL1RAPL2抗体のリストを表3に示す。
【0331】
【0332】
いくつかの態様では、モジュレーターは、ACE2及びIL1RAPL2に結合する二重特異性抗体である。
【0333】
D.モジュレーター
いくつかの態様では、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質;IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質、又はIL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との間の相互作用のモジュレーター又は候補モジュレーターは、小分子、その抗体若しくは抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)又はsiRNA)である。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。例示的なモジュレーターは、本明細書のセクションIIIにさらに記載される。
【0334】
E.タンパク質間相互作用の調節のアッセイ
いくつかの態様では、候補モジュレーターの存在下又は非存在下におけるCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合は、タンパク質間相互作用のアッセイにおいて評価される。CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質;IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質、又はIL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との間の相互作用の調節は、モジュレーターの非存在下でのタンパク質間相互作用と比較した場合の、モジュレーターの存在下でのタンパク質間相互作用の増加、例えば、タンパク質間相互作用における、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、90%、95%、100%の、又は100%を上回る(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、95%~100%の、又は100%を上回る)増加として同定されうる。代替的に、調節は、モジュレーターの非存在下でのタンパク質間相互作用と比較した場合の、モジュレーターの存在下でのタンパク質間相互作用の減少、例えば、タンパク質間相互作用における、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、90%、95%、又は100%(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%)の減少として同定されてもよい。タンパク質間相互作用のアッセイは、例えば、SPRアッセイ、バイオレイヤー干渉法(BLI)アッセイ、酸素結合免疫吸着法(ELISA)、細胞外相互作用アッセイ、又は細胞表面相互作用アッセイでありうる。
【0335】
細胞表面相互作用アッセイ
本発明のいくつかの態様では、タンパク質間相互作用アッセイは、細胞表面相互作用アッセイである。このタイプのアッセイでは、1つ以上のpreyタンパク質(例えば、1つ以上のSTM受容体、例えば、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2)が、細胞表面上の細胞外ドメイン(ECD)融合タンパク質として発現され、そして例えば、baitタンパク質が蛍光性タグを含む蛍光アッセイを使用して、可溶型コンストラクトとして発現される1つ以上のbaitタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD)との相互作用について試験される。
【0336】
いくつかの態様では、1つ又は複数のpreyタンパク質は、prey融合タンパク質が細胞表面上に発現されるように、目的のpreyタンパク質(例えば、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2)の細胞外ドメイン(ECD)が、1つ以上の追加の部分(例えば、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)-gD(gDGPI)タグ)にコンジュゲート(例えば、融合)している、1つ以上の融合タンパク質を含む。
【0337】
ポリペプチドが細胞外ドメイン、タグ、及びアンカーを含むいくつかの態様では、アンカーは、細胞外ドメインを細胞の原形質膜の表面に係留することができる。いくつかの態様では、アンカーは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)ポリペプチドである。いくつかの態様では、アンカーは、タンパク質の脂質化に使用される部分、例えば、システインパルミトイル化、グリシンミリストイル化、リジン脂肪アシル化、コレステロールエステル化、システインプレニル化、又はセリン脂肪アシル化に使用される部分である。
【0338】
いくつかの態様では、タグは、直接的に又は間接的に視覚化することができるか、又は別様に検出することができる。例えば、タグは、抗体又は抗体断片を使用して検出することのできる部分を含むことができ、例えば、糖タンパク質D(gD)ポリペプチドでありうる。いくつかの態様では、タグは蛍光タンパク質を含む。
【0339】
baitタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD)は、bait融合タンパク質が可溶性であるように、1つ以上の追加の部分にコンジュゲートしていていもよい。1つ又は複数の追加の部分はまた、例えば、baitタンパク質を多量体化することによって、preyタンパク質に対するbait融合タンパク質の結合活性を増加させうる。結合活性の増加は、低親和性相互作用の検出を増加させうる。いくつかの態様では、追加の部分は、baitタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD)の四量体化を引き起こす。
【0340】
いくつかの態様では、bait融合タンパク質は、酵素TEVプロテアーゼの付加によりFcタグをタンパク質から切断できるように、Aviタグ、切断配列(例えば、TEV切断配列)、及びFcタグを含む。細胞表面相互作用アッセイのためにこのタンパク質を調製するために、Fcタグを切断し、Aviタグをビオチン化し、ビオチン化bait融合タンパク質を蛍光ストレプトアビジン(SA)、例えばアロフィコシアニン(APC)にコンジュゲートしたストレプトアビジンにコンジュゲートさせて、蛍光アッセイで検出可能な四量体bait融合タンパク質を形成する。
【0341】
prey融合タンパク質(例えば、CNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2又はそのECD)は、細胞中に発現されうる(例えば、トランスフェクトされ、例えば、一過性にトランスフェクトされて)。細胞は、ヒト細胞、例えばCOS7細胞でありうる。トランスフェクトされた細胞は、ウェル、例えば384ウェルプレート中のウェルに配置されうる。
【0342】
bait融合タンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD)は、細胞、例えば、哺乳動物細胞中に発現される(例えば、トランスフェクトされ、例えば、一過性にトランスフェクトされた)。bait融合タンパク質は、例えばRamani et al.,Anal Biochem,420:127138,2012に記載されているように、標準的なプロトコールを用いて精製されうる。
【0343】
タンパク質間相互作用アッセイを実施するために、baitタンパク質(例えば、蛍光SAにコンジュゲートした精製bait融合タンパク質)を含む溶液を、preyタンパク質を発現する細胞を含む1つ以上のウェルに(例えば、384ウェルプレートの1つ以上のウェルに)付加することができる。次いで、このアッセイをインキュベートし、1回以上洗浄して、結合していないbaitタンパク質を除去することができる。次いで、タンパク質間相互作用を保存するために、細胞を、例えば、4%パラホルムアルデヒドで固定することができる。
【0344】
いくつかの態様では、相互作用を検出することは、固体表面上の位置で、閾値レベルを上回るシグナル、例えば蛍光シグナル(例えば、その位置におけるクエリータンパク質の存在を示すシグナル、例えば、bait融合タンパク質(例えば、多量体化クエリータンパク質)によって構成される部分からのシグナル)を検出することを含む。シグナルは、直接的に又は間接的に視覚化可能でありうるか、別様に検出可能でありうる。いくつかの態様では、検出は半自動化又は自動化されている。相互作用は、一過性相互作用及び/又は低親和性相互作用、例えば、マイクロモル親和性相互作用でありうる。
【0345】
bait融合タンパク質(例えば、多量体化クエリータンパク質)が蛍光SAを含む態様では、bait融合タンパク質とprey融合タンパク質との間の相互作用は、蛍光顕微鏡によって検出されうる。比較的高い蛍光性は、bait融合タンパク質が存在すること、すなわち、bait融合タンパク質とprey融合タンパク質が相互作用することを示している。
【0346】
細胞外相互作用アッセイ
本発明のいくつかの態様では、タンパク質間相互作用アッセイは、細胞外相互作用アッセイ、例えば、結合活性に基づく細胞外相互作用スクリーニング(AVEXIS)である(Bushell et al.,Genome Res,18:622630,2008;Martinez-Martin et al.,J Immunol Res,2197615,2017)。
【0347】
タンパク質間相互作用の調節のためのSPRアッセイ
いくつかの態様では、タンパク質間相互作用のアッセイは、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイである。いくつかの態様では、SPRアッセイは、細胞外相互作用アッセイ又は細胞表面相互作用アッセイ、例えば、ハイスループット細胞外相互作用スクリーニング又はハイスループット細胞表面相互作用スクリーニングにおいて検出されたアッセイを確認又は検証するために使用される。
【0348】
いくつかの態様では、preyタンパク質は、追加の部分、例えば、Fcタグにコンジュゲートしたタンパク質の細胞外ドメイン(ECD)を含む融合タンパク質として発現される。prey融合タンパク質は精製されうる。preyタンパク質は、アミンカップリングによって、センサーチップ、例えばGLC又はCM5センサーチップ上に固定化されうる。
【0349】
baitタンパク質は、可溶型形態で、例えば、可溶型タグに融合したタンパク質ドメイン(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD)として提供されうる。bait融合タンパク質は精製されうる。
【0350】
いくつかの態様では、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合の調節は、モジュレーターの非存在下と比較したその存在下でのSPRシグナルの応答単位(RU)の差として測定される。
【0351】
タンパク質間相互作用の調節のためのBLIアッセイ
いくつかの態様では、タンパク質間相互作用のアッセイは、バイオレイヤー干渉法(BLI)アッセイである。いくつかの態様では、BLIアッセイは、単離されたECD、例えば、本明細書に記載される単離されたECD、及びSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDを使用して実施される。いくつかの態様では、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとの結合の調節は、モジュレーターの非存在下と比較したその存在下でのバイオセンサーチップにおける波長シフト(Δλ)の差として測定される。
【0352】
タンパク質間相互作用の調節のためのELISA
いくつかの態様では、タンパク質間相互作用のアッセイは、酸素結合免疫吸着法(ELISA)である。いくつかの態様では、第1のタンパク質はプレートに結合され(例えば、プレートに直接結合されるか、又はプレートに結合された抗体によって認識される親和性タグを介してプレートに結合される)、第2のタンパク質は可溶型形態で、例えば、本明細書に記載される単離されたECDとして提供される。第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用は、第2のタンパク質又はその親和性タグに結合する抗体を提供することによって検出することができ、抗体は、その抗体の存在についてのアッセイにおいて検出され、例えば視覚化することができる。
【0353】
タンパク質間相互作用の調節のための他のアッセイ
いくつかの態様では、アッセイは、等温滴定熱量測定(ITC)アッセイ、免疫沈降法を含むアッセイ、又はALPHASCREENTM技術を含むアッセイである。
【0354】
上記アッセイのいくつかの態様では、候補モジュレーターは、細胞(例えば、哺乳動物細胞)、細胞培地培地、条件培地、及び/又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質の精製された形態に提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、少なくとも0.1nM、0.5nM、1nM、10nM、50nM、100nM、250nM、500nM、750nM、1μM、2μM、3μM、5μM、又は10μMの濃度で提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、0.1nMと10μMとの間の濃度で提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、溶液中、例えば、可溶型形態で提供される。
【0355】
いくつかの態様では、結合の増加が少なくとも50%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の増加は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%であるか、又は100%を上回る(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、95%~100%であるか、又は100%を上回る)。いくつかの態様では、結合の増加は少なくとも50%である。
【0356】
いくつかの態様では、結合の減少が少なくとも50%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%)である。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも50%である。
【0357】
タンパク質間相互作用のモジュレーターを同定するための例示的方法、並びにそのような相互作用を調節しうる薬剤は、PCT/US2020/025471に記載されており、これは参照により本明細書に援用される。
【0358】
III.タンパク質間相互作用のモジュレーター
A.SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1との間の相互作用のモジュレーター
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD)とCNTN1との間の相互作用の単離されたモジュレーターを特徴とし、このモジュレーターは、CNTN1に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質の結合を、モジュレーターの非存在下での結合と比べて減少させる。
【0359】
いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、若しくは99%であるか、又は100%であり(すなわち、結合が消失する)、例えば、減少は、モジュレーターの非存在下での結合と比べて、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%である。いくつかの態様では、結合の減少は、例えば、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酸素結合免疫吸着法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも50%である。
【0360】
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1の下流活性の単離されたモジュレーターを特徴とし、このモジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1の下流活性を、モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化させる。
【0361】
いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1の下流活性は、SARS-CoV-2による細胞の感染である。
【0362】
いくつかの態様では、モジュレーターは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸(例えば、ASO又はsiRNA)である。モジュレーターは、以下でさらに記載される。
【0363】
B.SARS-CoV-2 Sタンパク質とIL12RB1との間の相互作用のモジュレーター
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質)とIL12RB1との間の相互作用の単離されたモジュレーターを特徴とし、このモジュレーターは、IL12RB1に対するSARS-CoV-2 Sタンパク質の結合を、モジュレーターの非存在下での結合と比べて減少させる。
【0364】
いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、若しくは99%であるか、又は100%であり(すなわち、結合が消失する)、例えば、減少は、モジュレーターの非存在下での結合と比べて、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%である。いくつかの態様では、結合の減少は、例えば、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酸素結合免疫吸着法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも50%である。
【0365】
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL12RB1の下流活性の単離されたモジュレーターを特徴とし、このモジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL12RB1の下流活性を、モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化させる。
いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL12RB1の下流活性は、SARS-CoV-2による細胞の感染である。
【0366】
いくつかの態様では、モジュレーターは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸(例えば、ASO又はsiRNA)である。モジュレーターは、以下でさらに記載される。
【0367】
C.SARS-CoV-2 Sタンパク質とIL1RAPL2との間の相互作用のモジュレーター
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質)とIL1RAPL2との間の相互作用の単離されたモジュレーターを特徴とし、このモジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質のIL1RAPL2に対する結合を、モジュレーターの非存在下での結合と比べて減少させる。
【0368】
いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、若しくは99%であるか、又は100%であり(すなわち、結合が消失する)、例えば、減少は、モジュレーターの非存在下での結合と比べて、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%である。いくつかの態様では、結合の減少は、例えば、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又は酸素結合免疫吸着法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも50%である。
【0369】
いくつかの態様では、本開示は、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL1RAPL2の下流活性の単離されたモジュレーターを特徴とし、このモジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL1RAPL2の下流活性を、モジュレーターの非存在下での下流活性と比べて変化させる。
【0370】
いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質又はIL1RAPL2の下流活性は、SARS-CoV-2による細胞の感染である。
【0371】
いくつかの態様では、モジュレーターは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸(例えば、ASO又はsiRNA)である。モジュレーターは、以下でさらに記載される。
【0372】
D.小分子
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、小分子である。小分子は、CNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に、好ましくは特異的に結合しうる、本明細書で定義される結合ポリペプチド又は抗体以外の分子である。結合する小分子は、既知の方法論を使用して同定され、化学的に合成されうる(例えば、国際公開第00/00823号及び同00/39585号を参照のこと)。結合する小分子は、サイズが通常約2000ダルトン未満(例えば、サイズが約2000、1500、750、500、250又は200ダルトン未満)であり、本明細書に記載のポリペプチドに好ましくは特異的に結合することができるそのような有機小分子は、既知の技術を使用して、過度の実験をすることなく同定されうる。この点については、ポリペプチド標的に結合することのできる分子について小分子ライブラリーをスクリーニングするための技術が当技術分野で周知であることに留意されたい(例えば、国際公開第00/00823号及び同第00/39585号を参照のこと)。結合する小分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、一級アミン、二級アミン、三級アミン、N-置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバメート、カーボネート、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、アリールハロゲン化物、アリールスルホネート、アルキルハロゲン化物、アルキルスルホネート、芳香族化合物、複素環式化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、スルホニルクロリド、ジアゾ化合物、又は酸塩化物などでありうる。
【0373】
いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との結合は、小分子の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%減少し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との結合は、小分子の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%を超えて増加し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、95%~100%、又は100%を超えて増加する)。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質及び/又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性(例えば、SARS-CoV-2による細胞の感染)は、小分子の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%減少し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0374】
E.抗体及び抗原結合断片
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、CNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD)に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0375】
いくつかの態様では、モジュレーターは、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合する(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに結合する)、例えば、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2と相互作用するSARS-CoV-2 Sタンパク質のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合する抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との相互作用をブロックし、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との相互作用をブロックする。
【0376】
いくつかの態様では、モジュレーターは、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合し、例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用する(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDと相互作用する)CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との相互作用をブロックし、例えば、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDとの相互作用をブロックする。
【0377】
いくつかの態様では、モジュレーターは、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、モジュレーターは、ACE2とCNTN1;ACE2とIL12RB1;又はACE2とIL1RAPL2に結合する二重特異性抗体である。
【0378】
いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との結合は、抗体又は抗原結合断片の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%減少し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との結合は、抗体又は抗原結合断片の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%を超えて増加し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、95%~100%、又は100%を超えて増加する)。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質及び/又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の下流活性(例えば、SARS-CoV-2による細胞の感染)は、抗体又は抗原結合断片の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%減少し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0379】
F.ペプチド
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、CNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に結合するペプチドである。ペプチドは、天然に存在するペプチド、又は操作されるペプチドでありうる。いくつかの態様では、ペプチドは、CNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2又はSARS-CoV-2 Sタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD)の、又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に結合する別のタンパク質の断片である。ペプチドは、完全長タンパク質と等しい、完全長タンパク質より小さい、又は完全長タンパク質より大きい親和性で結合パートナーに結合しうる。いくつかの態様では、ペプチドは完全長タンパク質のすべての機能を実行する。他の態様では、ペプチドは完全長タンパク質のすべての機能を実行するわけではない。
【0380】
いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との結合は、ペプチドの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%減少し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との結合は、ペプチドの存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%を超えて増加し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、95%~100%、又は100%を超えて増加する)。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質及び/若しくはCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の下流活性(例えば、SARS-CoV-2による細胞の感染)は、ペプチドの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%減少し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0381】
G.模倣物
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、模倣物、例えば、CNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に結合する分子模倣物である。模倣物は、SARS-CoV-2 Sタンパク質(例えば、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBD)、CNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2の、又はSARS-CoV-2 Sタンパク質又はCNTN1、IL12RB1、若しくはIL1RAPL2に結合する別のタンパク質の分子模倣物でありうる。いくつかの態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドのすべての機能を実行しうる。他の態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドのすべての機能を実行するわけではない。
【0382】
いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との結合は、模倣物の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%減少し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質とCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との結合は、模倣物の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%を超えて増加し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、95%~100%、又は100%を超えて増加する)。いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質及び/若しくはCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の下流活性(例えば、SARS-CoV-2による細胞の感染)は、模倣物の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%減少し、例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0383】
IV.SARS-CoV-2感染を治療又は予防する方法
A.SARS-CoV-2感染症を有する個体を治療する方法
いくつかの態様では、本開示は、個体に対して有効量のコクタクチン-1(CNTN1)アンタゴニスト、インターロイキン12受容体サブユニットベータ1(IL12RB1)アンタゴニスト、又はインターロイキン1受容体アクセサリータンパク質様2(IL1RAPL2)アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体を治療する方法を特徴とする。
【0384】
いくつかの態様では、本開示は、個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストを投与することを含む、個体におけるSARS-CoV-2感染を減少させることを特徴とする。
【0385】
いくつかの態様では、本開示は、個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストを投与することを含む、個体の細胞へのSARS-CoV-2の結合を減少させる方法を特徴とする。
【0386】
いくつかの態様では、投与することは、個体の細胞を有効量のCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストと接触させることを含む。
【0387】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;(b)IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(c)IL1RAPL2アンタゴニストは、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%)である。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも40%である。
【0388】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、個体のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染症と比べて減少させる。
【0389】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。
【0390】
いくつかの態様では、抑制性核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)又は低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0391】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、ペプチドである。
【0392】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1、IL12RB1、及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)に対するCNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0393】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)とCNTN1;(b)ACE2とIL12RB1;又は(c)ACE2とIL1RAPL2に結合する。
【0394】
いくつかの態様では、個体は、COVID-19を有する。いくつかの態様では、個体は、肺炎(例えば、ウイルス性肺炎、例えば、COVID-19肺炎)又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する。
【0395】
B.神経組織の二次SARS-CoV-2感染の予防方法
いくつかの態様では、本開示は、個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体における神経系の組織(例えば、脳組織、脈絡叢、偏桃体、基底神経節、小脳、前頭皮質、柔組織、大脳皮質、脳梁、海馬体、視床下部、中脳、脳橋と髄質、脊髄、黒質、上衣細胞、神経系細胞、及び関連組織、例えば嗅上皮といった関連組織のうちの1つ以上)の二次感染の予防方法を特徴とする。いくつかの態様では、神経系の組織は、脈絡叢(例えば、脈絡叢の上皮細胞、間葉細胞、脳室上皮細胞、単球細胞、神経細胞、グリア細胞、又は内皮細胞)である。いくつかの態様では、神経系の組織は、皮質柔組織(例えば、皮質柔組織のオリゴデンドロサイト細胞、興奮性ニューロン細胞、星状細胞、OPC細胞、ミクログリア細胞、介在ニューロン細胞、放射状グリア細胞、又は成熟ニューロン細胞)である。いくつかの態様では、神経系の組織は、嗅上皮である。いくつかの態様では、SARS-CoV-2感染症(例えば、呼吸器官、例えば上気道のSARS-CoV-2感染)を有する患者における神経組織の二次感染は、上述の方法によって治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて、減少又は消失し、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%減少する(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0396】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(b)IL1RAPL2アンタゴニストは、IL1RAPL2とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%)である。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも40%である。
【0397】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、個体における神経組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。いくつかの態様では、SARS-CoV-2感染症(例えば、呼吸器官、例えば、上気道のSARS-CoV-2感染症)を有する患者における神経組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度は、上述の方法によって治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて減少し、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%減少する(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0398】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。
【0399】
いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、ペプチドである。
【0400】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL1RAPL2アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0401】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL1RAPL2に対するその結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はIL1RAPL2に結合する。
【0402】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するCNTN1又はIL1RAPL2の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0403】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)ACE2とCNTN1又は(b)ACE2とIL1RAPL2に結合する。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、CNTN1及びIL1RAPL2に結合する。
【0404】
いくつかの態様では、個体は、COVID-19を有する。いくつかの態様では、個体は、肺炎(例えば、ウイルス性肺炎、例えば、COVID-19肺炎)又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する。いくつかの態様では、個体はヒトである。
【0405】
C.免疫細胞及びリンパ組織の二次SARS-CoV-2感染の予防方法
いくつかの態様では、本開示は、個体に対して有効量のIL12RB1アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体における、免疫細胞及び/又はリンパ組織(例えば、B細胞、樹状細胞、顆粒球、単球、ナチュラルキラー細胞、T細胞、及び全末梢血単核細胞(PMBC)のうちの1つ以上)の二次感染の予防方法を特徴とする。いくつかの態様では、SARS-CoV-2感染症(例えば、呼吸器官、例えば、上気道のSARS-CoV-2感染)を有する患者における免疫細胞及び/又はリンパ組織の二次感染は、上述の方法によって治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて減少又は消失し、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%減少する(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0406】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%である。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも40%(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%)である。
【0407】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、個体における免疫細胞及び/又はリンパ組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、IL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。いくつかの態様では、SARS-CoV-2感染症(例えば、呼吸器官、例えば、上気道のSARS-CoV-2感染症)を有する患者における免疫細胞及び/又はリンパ組織のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度は、上述の方法によって治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて減少し、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%減少する(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0408】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0409】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、ペプチドである。
【0410】
いくつかの態様では、IL12RB1アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。
【0411】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、IL12RB1に対するその結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、IL12RB1に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0412】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、ACE2及びIL12RB1に結合する。
【0413】
いくつかの態様では、個体は、COVID-19を有する。いくつかの態様では、個体は、肺炎(例えば、ウイルス性肺炎、例えば、COVID-19肺炎)又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する。いくつかの態様では、個体はヒトである。
【0414】
D.肺の二次SARS-CoV-2感染の予防方法
いくつかの態様では、本開示は、個体に対して有効量のCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストを投与することを含む、SARS-CoV-2感染症を有する個体における肺の二次感染の予防の方法を特徴とする。いくつかの態様では、SARS-CoV-2感染症(例えば、上気道のSARS-CoV-2感染)を有する患者における肺の二次感染は、上述の方法によって治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて減少又は消失し、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%減少する(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0415】
いくつかの態様では、(a)CNTN1アンタゴニストは、CNTN1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させるか;又は(b)IL12RB1アンタゴニストは、IL12RB1とSARS-CoV-2 Sタンパク質との結合を、アンタゴニストの非存在下でのそれら2つのタンパク質の結合と比べて減少させる。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%)である。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも40%である。
【0416】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、個体における肺のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度を、それぞれCNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストの非存在下での感染と比べて減少させる。いくつかの態様では、SARS-CoV-2感染症(例えば、上気道のSARS-CoV-2感染)を有する患者における肺のSARS-CoV-2感染の程度及び/又は重症度は、上述の方法によって治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて減少し、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%減少する(例えば、5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%、又は95%~100%減少する)。
【0417】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又は抑制性核酸である。いくつかの態様では、抑制性核酸は、ASO又はsiRNAである。
【0418】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、ペプチドである。
【0419】
いくつかの態様では、CNTN1アンタゴニスト又はIL12RB1アンタゴニストは、抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に結合し、CNTN1及び/又はIL12RB1に対するその結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はIL12RB1に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、CNTN1又はSARS-CoV-2 Sタンパク質RBDに対するIL12RB1の結合を阻害する。いくつかの態様では、抗原結合断片は、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0420】
いくつかの態様では、抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(a)ACE2とCNTN1又は(b)ACE2とIL12RB1に結合する。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、CNTN1及びIL12RB1に結合する。
【0421】
いくつかの態様では、個体は、COVID-19を有する。いくつかの態様では、個体は、肺炎(例えば、ウイルス性肺炎、例えば、COVID-19肺炎)又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を有する。いくつかの態様では、個体はヒトである。
【0422】
E.併用療法
上述の治療及び予防方法のいくつかの態様では、方法は、個体に対して少なくとも1つの追加的療法(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ以上の追加的療法)を適用することを含む。CNTN1アンタゴニスト、IL12RB1アンタゴニスト、又はIL1RAPL2アンタゴニストは、少なくとも1つの追加的療法の前に、少なくとも1つの追加的療法と同時に、又は少なくとも1つの追加的療法の後で、個体に投与されうる。
【0423】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、IL-6アンタゴニスト、例えば、トシリズマブである。いくつかの態様では、個体には、初回の体重に基づく8mg/kgのトシリズマブの静脈内用量が投与され、任意選択的に、続いて2回目の体重に基づく8mg/kgのトシリズマブの静脈内用量が、初回用量の8~24時間後に投与される。
【0424】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)アンタゴニストである。ACE2アンタゴニストは、例えば、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又はACE2の機能を低下させるか又は阻害する、例えば、SARS CoV-2 Sタンパク質に対するACE2結合を低下させるか又は阻害する抑制性核酸(例えば、ASO又はsiRNA)を含みうる。治療剤としての使用のための例示的なACE2タンパク質又はその断片は、USPN9,561,263及びUSPN10,443,049に記載されている。
【0425】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、ニューロピリン-2(NRP2)アンタゴニストである。NRP2アンタゴニストは、例えば、小分子、抗体若しくはその抗原結合断片、ペプチド、模倣物、又はNRP2の機能を低下させるか又は阻害する、例えば、SARS CoV-2 Sタンパク質に対するNRP2結合を低下させるか又は阻害する抑制性核酸(例えば、ASO又はsiRNA)を含みうる。例示的な抗NRP2抗体は、USPN8,920,905に記載されている。
【0426】
いくつかの態様では、少なくとも1つの追加的療法は、支持療法(例えば、酸素療法)、抗ウイルス療法(例えば、アルファ-インターフェロン、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル/リトナビル、レムデシビル、リバビリン、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、ウミフェノビル、ファビピラビル、又はこれらの組み合わせ)、又はコルチコステロイド療法(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、デキサメタゾン、デキサメタゾントリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、ベタメサゾン、又はこれらの組み合わせ)である。いくつかの態様では、コルチコステロイド療法は、低用量コルチコステロイド療法である。
【0427】
F.臨床転帰
上述の治療及び予防方法のいくつかの態様では、方法は、標準治療(SOC)と比較して臨床転帰により大きな改善を達成する。いくつかの態様では、臨床転帰は、≦2の早期警戒スコア2(NEWS2)が24時間維持されることと定義される臨床的改善までの時間(TTCI)である。NEWS2スコアは、Myrstad et al.,Scand J Trauma Resusc Emerg Med,28(66),2020に記載されている。
【0428】
いくつかの態様では、臨床転帰は、機械的人工呼吸の発生である。いくつかの態様では、機械的人工呼吸の必要性が、上述の方法により治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、標準治療(SOC))を使用して治療された患者と比べて、低下するか又は排除される。
【0429】
いくつかの態様では、臨床転帰は、集中治療室(ICU)滞在の発生である。いくつかの態様では、ICU滞在の発生が、上述の方法により治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて、低下するか又は排除される。
【0430】
いくつかの態様では、臨床転帰は、ICU滞在の期間である。いくつかの態様では、ICU滞在の期間が、上述の方法により治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて、短縮される。
【0431】
いくつかの態様では、臨床転帰は、死亡、機械的人工呼吸、ICUへの入院、又は中止のうち最初に起こるものまでの時間として定義される臨床的失敗までの時間である。いくつかの態様では、臨床的失敗までの時間が、上述の方法により治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて、延長される。
【0432】
いくつかの態様では、臨床転帰は、退院;又は正常な体温と呼吸数、及び周囲空気若しくは≦2Lの酸素補給での安定した酸素飽和度によって証明される退院準備完了までの時間である。いくつかの態様では、退院又は退院準備完了までの時間が、上述の方法により治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて、延長される。
【0433】
いくつかの態様では、臨床転帰は、酸素補給の持続時間である。いくつかの態様では酸素補給の持続時間が、上述の方法により治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて、短縮される。
【0434】
いくつかの態様では、臨床転帰は、昇圧剤の使用の発生、昇圧剤の使用期間、体外膜型酸素供給(ECMO)の発生、透析開始の発生、15日目若しくは退院日(いずれか最初に起こるもの)におけるSARS-CoV-2ウイルス負荷、及び二次細菌感染を有する個体の割合からなる群から選択される。いくつかの態様では、昇圧剤の使用の発生、昇圧剤の使用期間、体外膜型酸素供給(ECMO)の発生、透析開始の発生、15日目若しくは退院日(いずれか最初に起こるもの)のSARS-CoV-2ウイルス負荷、又は二次細菌感染を有する個体の割合のうちの1つ以上が、上述の方法により治療された患者において、治療されていない患者と比べて又はコントロール方法(例えば、SOC)を使用して治療された患者と比べて減少する。
【0435】
上述の治療及び予防方法のいくつかの態様では、方法は、SOCと比較して、許容可能な安全性の転帰に関連付けられる。いくつかの態様では、安全性の転帰は、有害事象の発生と重症度;重症度が、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI CTCAE)v5.0に従って決定される場合の、有害事象の発生と重症度;標的バイタルサインのベースラインからの変化;及び標的臨床検査結果のベースラインからの変化からなる群から選択される。いくつかの態様では、SOCは、支持療法、1つ以上の抗ウイルス薬の投与、及び/又は1つ以上の低用量コルチコステロイドの投与を含む。
【0436】
G.送達方法
本明細書に記載される方法において利用される組成物(例えば、SARS CoV-2 Sタンパク質RBDと、CNTN1、IL12RB1、又はIL1RAPL2との間の相互作用のモジュレーター、例えば、小分子、抗体、抗原結合断片、ペプチド、模倣物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はsiRNA)は、任意の適切な方法によって投与することができ、そのような方法には、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経皮的、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、くも膜下腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所的、腫瘍内、腹膜内、結膜下、経脈管的(intravesicularly)、粘膜経由、心膜内、臍帯内、眼内、眼窩内、経口的、経皮的、硝子体内(例えば、硝子体内注射による)の投与、点眼による、吸入による、注射による、移植による、点滴による、連続的注入による、標的細胞の直接的局所灌流浴による、カテーテルによる、灌流による、クリーム中での、又は脂質組成物中での投与が含まれる。本明細書に記載の方法で利用される組成物はまた、全身的又は局所的に投与することができる。投与方法は、種々の因子(例えば、投与される化合物又は組成物、及び治療される状態、疾患、又は障害の重症度)に応じて変化しうる。いくつかの態様では、タンパク質間相互作用のモジュレーターは、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所に、経口で、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。投薬は、その投与が短期か又は長期かに部分的に依存して、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができる。本明細書では、単回投与又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない種々の投薬スケジュールが企図される。
【0437】
本明細書に記載されるタンパク質間相互作用のモジュレーター(及び任意の付加的治療剤)は、医学行動規範と一致した様式で製剤化、投薬、及び投与されうる。この文脈において考慮すべき要因には、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床的症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジューリング、及び医師に既知の他の要因が含まれる。モジュレーターは、必要ではないが、任意選択的に、問題の障害を予防又は治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤と共に製剤化及び/又は共投与される。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在するモジュレーターの量、障害又は治療の種類、及び上述の他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載されるのものと同じ投薬量及び投与経路で、又は本明細書に記載される投薬量の約1から99%で、又は適切であると経験的/臨床的に決定される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0438】
本明細書において引用されるすべての特許、特許公報及び文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【実施例
【0439】
V.実施例
実施例1.細胞外相互作用の検出のためのハイスループットプラットフォーム
大部分のヒトウイルスの組織向性は、ウイルスの結合と侵入を媒介する、主細胞表面上に発現される受容体及び他の補助因子によって決定される。治療法の開発に対するそれらの関連性にも関わらず、感染を媒介する細胞外タンパク質の相互作用は、それらが生化学的に扱いづらいために最も一般的な技術を使用して研究することが困難であることに部分的に起因して、未だよく特徴づけられていない(Martinez-Martin et al.,Cell,174:1158-1171e1119,2018;Martinez-Martin、J Immunol Res,2017:2197615,2017)。特に、膜タンパク質は、不十分な発現及び溶解度と、原形質膜上での受容体-リガンド相互作用とを示すことが多く、そのため、最近開発された近接プロテオミクス法(Wright et al.,Biochem Soc Trans、38:191-922、2010;Husain et al.,Mol Cell Proteomics,18:2310-2323,2019;Verschueren et al.,Cell,182;329-344e319,2020)を含む、質量分析による検出が全体に困難である。細胞表面上でのタンパク質の相互作用の検出に最適な新規技術の実装が、ウイルスの感染及び細胞侵入をよりよく理解し、最終的に治療法開発のための新規標的の同定を可能にするために重要であろう。
【0440】
現行の方法論の限界の一部を克服するために、原形質膜上での強化された表示のために操作されたヒトタンパク質の包括的なライブラリーが構築され、ハイスループットでの増加された結合活性及び受容体-リガンド相互作用の検出のための、高結合活性四量体ベースの手法に連結された(図1D)。
【0441】
このハイスループットプラットフォームを使用して、SARS CoVスパイクタンパク質の細胞外インタラクトームを特徴づけた。SARS CoV-2によって特異的に標的化され、かつSARS CoV-1には標的化されない宿主因子が同定され、これには、神経系及び嗅上皮に顕著に発現される受容体を含まれた。
【0442】
A.クエリータンパク質の四量体化
まず、クエリータンパク質の四量体化を使用して、免疫受容体PD-L1/CD274、ポリオウイルス受容体(PVR)と、それらそれぞれのリガンド間の相互作用を試験した。タンパク質の四量体化は、弱いか又は一過性の受容体相互作用の検出の可能性を上昇させる。簡潔には、クエリータンパク質であるPD-L1又はPVRを、組み換えビオチン化外部ドメインとして発現させ、次いで蛍光ストレプトアビジンを使用して四量体化し、受容体-リガンド相互作用の定量化を可能にした。四量体PD-L1又はPVRと単量体PD-L1又はPVRコントロールを、関連する結合パートナーを一過性発現する細胞に対する結合について試験した。クエリータンパク質の四量体化は、PD1-PD-L1などのマイクロモル親和性相互作用を含む、単量体外部ドメイン上での受容体-リガンド相互作用の検出が有意に増強された(図1A及び1B)。
【0443】
B.STMライブラリー
次に、細胞表面上に発現されるタンパク質の制御された表示と検出を可能にするために、ヒトゲノム中の大部分のシングルパス膜貫通(STM)タンパク質を包含する大規模ライブラリーが構築され、これらは、糖タンパク質D(gD)タグ及びグリコシルホスファチジルシトール(GPI)リンカーに融合する外部ドメイン(「外部ドメイン-gD-GPI」と呼ばれる)として操作された(図1C)。この受容体タグ付け戦略は、原形質膜へのタンパク質の標的化(GPIリンカーを介した)と、細胞表面でのタンパク質発現の定量化(gDタグ染色により測定)とを可能にする。タンパク質ライブラリーは、半自動化されたトランスフェクション手順を使用して、一過性にトランスフェクトされた細胞上での発現について試験された。注目すべきことに、分析された3,500のSTMタンパク質のうち75%以上で中程度から高い細胞表面発現レベルが達成され、一方原形質膜上に検出可能な発現を示さなかったタンパク質はわずか約10%であり、このことは、ライブラリー中の受容体の大部分が細胞表面上に表示され、関連する結合パートナーとの相互作用に利用可能であることを示すものである(図5)。
【0444】
RBD受容体の確認のために使用される外部ドメインgD-GPIタグ付き受容体ライブラリー及びプラスミドの生成
STM含有受容体のリストが、タンパク質ドメイン及び細胞内局在といったタンパク質の特性を予測するための種々のアルゴリズムを使用したバイオインフォマティクス分析により編集され、続いて手動でのキュレーション及び公開された注釈のレビューが行われた。外部ドメインの境界に、シグナルペプチド及び膜貫通領域又はGPI結合部位のin silico予測後に注釈を付けた。天然シグナル配列を含む各受容体の外部ドメインを合成し、gD-GPIタグとインフレームでpRK5ベクター(Genentech)にクローニングした。最終的なライブラリーは、外部ドメイン-gD-GPI融合物として発現される1,195の固有のSTM受容体を、選択された受容体アイソフォームと一緒に含有する。略700の受容体アイソフォームがライブラリーに含まれていた。細胞の発現及び結合の研究用の完全長クローンの生成のために、関連するSTMタンパク質を、pRKベクター(Genentech)中に、タグの付いていない完全長タンパク質としてクローニングした。完全長外部ドメイン-gDGPIプラスミドは、記載されるように、HEK/293T細胞上に一過性発現された。
【0445】
C.ハイスループットスクリーニング
次に、ハイスループットでの受容体-リガンド相互作用の発見を強化するために、新規に開発された外部ドメイン-gD-GPI STMタンパク質収集物が、四量体ベースのスクリーニング方法と組み合わせて使用された。そのために、自動化された細胞トランスフェクション及びスクリーニングの方法を実施し、続いて細胞表面に対する四量体クエリータンパク質結合の検出のためのハイコンテンツ画像診断法を実施した(図1D)。このハイスループットプラットフォームを使用して、まず、偏りのない様式で免疫受容体B7-H3/CD276の細胞表面相互作用物質を同定した(図1E)。インターロイキン-20受容体サブユニットアルファ(IL20-RA)が、唯一の特異的な高スコアのヒットとして検出され、これは最近の知見と一致していた(Husain et al.,Mol Cell Proteomics,18:2310-2323,2019)。次に、スクリーニングを、トランスフォーミング増殖因子のベータスーパーファミリーに属する分泌された因子であるGDF15を使用して実施した。受容体GFRALが、以前に観察されたように(Mullican et al.,Nat Med,23:1150-1157,2017)、唯一の特異的で高スコアのヒットとして同定された(図1F)。したがって、新規に確立されたプラットフォームは、無関係なクエリータンパク質の結合パートナーを、高い感受性で系統的に同定することを可能にした。
【0446】
自動化された単一クローンの、細胞ベ-スの受容体発見プラットフォーム
STMヒト受容体のライブラリーが、HEK/293T細胞上に発現された。半自動化手順を使用した逆トランスフェクションプロトコールに従い、細胞を、個々の受容体クローンで一過性にトランスフェクトした。簡潔には、Opti-MEMTM 培地(Thermo)中25μLのLIPOFECTAMINETM LTX-PLUSTM 混合物を、1ウェルあたり6ngのDNAを含有する384ウェルマイクロタイタープレートに分配した。DNA-LIPOFECTAMINETM複合体を、30分間37℃でインキュベートし、その後細胞(125000細胞/mlでDMEM培地に再懸濁)を、自動細胞ディスペンサーを使用してアッセイプレートに等分した。RBD結合パートナーのスクリーニングを、トランスフェクションの48時間後に実施した。細胞トランスフェクション効率を制御するために、多数のGFPタグ付きクローンを含めた。
【0447】
細胞表面に対するRBD四量体結合の分析を、自動液体処理デバイスからなる統合ロボットシステムを使用して実施した。増殖培地を細胞培養物から除去し、細胞をRBD四量体と共に45分間4℃でインキュベートした。細胞表面結合を、カルシウム及びマグネシウムを補った0.1% BSAを含有するPBS中でアッセイした。RBDとのインキュベーションに続いて、細胞を、洗浄し、4% PFAで固定し、光から保護して4℃で貯蔵した。ハイコンテンツ顕微鏡(In Cell 6000、GE Healthcare)を使用して個々のウェルから画像を取得した。画像データをtiffファイルとしてエクスポートし、Developer Toolbox v1.6バージョンXソフトウェアを使用して処理した。細胞表面の四量体染色は、蛍光性シグナル強度として表された。画像を、カスタム分析モジュールを使用して分析し、陽性細胞の表面染色に基づいてセグメンテーションを実施した。所望のオブジェクトの最適な輪郭を得て、スクリーニングアーチファクトに起因するバックグランド信号を最小限に抑えるために、最小限の後処理分析及び除外パラメータを設定した。細胞表面に対するRBD結合は、シグナル/ノイズ比として表された。
【0448】
強化された結合活性に起因する結合パートナーの検出を強化するために、RBDタンパク質を、APCにコンジュゲートした四量体としてアッセイした。RBDを、記載されるよう無作為にビオチン化し、その後、PROZYME(登録商標)から購入した蛍光性ストレプトアビジンを使用して、NIH Tetramer Core Facilityによって提供されるプロトコールに従って四量体化した。ストレプトアビジンを、試料を光から保護した状態で室温で付加し、四量体を、その後アッセイが行われるまで氷上で貯蔵した。
【0449】
実施例2.SARS-CoV-スパイクタンパク質の細胞外インタラクトームの特徴づけ
次に、方法は、COVID-19の原因物質であるSARS-CoV-2のスパイク(S)タンパク質を研究するために使用された。高度に関連していたSARS-CoV-1と同様に、SARS-CoV-2は、スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)によって媒介される相互作用を通して、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)を宿主細胞の結合及び侵入のための主な受容体として利用することが示された(Hoffmann et al.,Cell,181:271-280e278,2020;Lan et al.,Nature,581:215-220,2020)。その後の膜融合は、TMPRSS2及びセリンプロテアーゼカテプシンを含む宿主細胞プロテアーゼによるSタンパク質によって促進された。集中的な研究は、SARS-CoV-2感染におけるACE2の役割に焦点を当てたが、ACE2の発現プロファイルは、このウイルスについて観察された、他の臓器の中でも腎臓、肝臓及び心臓を含む多臓器向性を説明するものではない(Puelles et al.,N Engl J Med,383:590-592,2020;Iadecola et al.,Cell,183:16-27e11,2020;Braun et al.,Lancet,396:597-598,2020)。さらに、これまで多数の研究により、SARS-CoV-2が神経侵襲性である可能性と、in vitro試験に基づく証拠の増加とが実証され、オルガノイド培養物及び事後分析により、神経細胞の多様な集団がSARS CoV-2による感染の影響を受け易いことが示された。患者の半分以上が、多くの症例で感染から回復する個体において持続する、片頭痛、嗅覚と味覚の機能不全から意識障害までにわたる神経症状を示す(Alomari et al.,Clin Neurol Neurosurg,198:106116,2020;Matschke et al.,Lancet Neurol,19:919-929,2020;De Felice et al.,Trends Neurosci,43:355-357,2020)。このような、延長した向性と上昇した伝播性とは、宿主細胞との相互作用を促し、重要なことに感染の転帰とSARS-CoV-2の臨床的重症度に影響しうる、現在は未知の追加的な宿主因子の存在を示唆している。
【0450】
したがって、ウイルスの結合及び侵入に関与しうるSARS-CoV-2スパイクタンパク質によって標的化される細胞因子の偏りのない特徴づけを可能にするために、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDを、実施例1に記載される新規プラットフォームを使用してスクリーニングした(図1D)。このような努力により、最近ウイルス感染を容易にする因子として記載されたニューロピリン-2(Cantuti-Castelvetri et al.,Science,370:856-860,2020;Daly et al.,Science,370:861-865,2020)と一緒に、突出したヒットとしてACE2が同定された(図2A)。
【0451】
特に、インターロイキン受容体IL12RB1と神経細胞関連タンパク質コクタクチン-1(CNTN1)及びIL1RAPL2とを含む、3つの追加のタンパク質が同定され、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDの高スコアのヒットとして確認された(図2A)。公的に利用可能なトランスクリプトミクスデータセットの分析は、スパイクによって標的化される細胞表面タンパク質が、神経系における顕著な発現を含め、様々な組織に発現されることを示す。CNTN1は、軸索ガイダンスに関与する細胞表面タンパク質である。
【0452】
次に、SARS CoV-2及び高度に関連するSARS CoV-1の細胞受容体特異性を評価するために、SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBDについて同様のスクリーニングを実施した。例示的SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、配列番号5の配列を有する。これらスクリーニングにより、ACE2が、唯一の最高スコアのヒットとして同定された(図2B)。SARS CoV-1スパイクタンパク質RBDの推定上の結合パートナーとして同定されたCNTN1、IL12RB1又はIL1RAPL2に対する結合はいずれも、これらスクリーニングで検出されなかった(図6A及び6B)。興味深いことに、画像の精密な検査によりNRP2に対する弱い結合がSARS CoV-1スパイクタンパク質RBDについて観察されたが、この推定上の相互作用物質は、NRP2発現細胞に対するSARS CoV-1スパイクタンパク質RBDの結合が弱いために、高スコアのヒットとして検出されなかった。
【0453】
受容体結合ドメイン(RBD)とスパイク三量体の生成及びビオチン化
SARS-CoV-1 RBD及びSARS-CoV-2 RBDと、スパイク(配列番号2;M1-Q1208)のための最適化されたコード化DNA(それぞれ、配列番号4;R319-F541及び配列番号4;R319-F541と、配列番号6;R319-S591)を、CMVプロモーター、及びRBDの場合はN末端分泌シグナルの背後で、pRKベクターにクローニングした。C末端Avi-His8を含有するRBDコンストラクトを生成し、C末端三量体コイルドコイル配列及びAvi-His8タグを含有するスパイクを生成した。細胞密度が1mlあたり4×10個の細胞に到達したとき、DNAコンストラクトを、標準プロトコールを使用してポリエチレンイミンでExpi293TM細胞中にトランスフェクトし、懸濁培養物を、5% CO下で37℃でSMM 293T-I培地中で増殖させた。培養上清を、6日後に回収し、濾過し、その後2mL のNi-Excel樹脂の上に通した。樹脂を、50mM Tris pH8、100mM NaCl、20mMイミダゾールの10カラム容積で洗浄し、250mMイミダゾールを含有する同じバッファーで溶出した。試料を、濃縮し、Superdex 200 16/60カラム上で50mM Tris pH8、100mM NaClに通し、ピーク画分を、プールし、BirA及び標準プロトコールを使用してビオチン化した。Avi-tagのビオチン化に続いて、タンパク質をその後Superdex 200 16/60カラム上に通し、ピーク画分を、プールし、-80℃でさらなる使用まで凍結した。
【0454】
STMインタラクトーム発見スクリーニングのために、RBDタンパク質を、EZ-LINKTM Sulfo-NHS-ビオチン(Cat. No. 21217、Thermo Fisher)を使用して、製造者のプロトコールに従い、ビオチン取り込みを最小化するためのいくつかの修飾を用いて無作為にビオチン化した。ビオチン化に続いて、タンパク質を、APCにコンジュゲートしたストレプトアビジン(PROZYME(登録商標))を使用し、NIH四量体コア施設によって記載されるプロトコールに従って四量体化した。
【0455】
組み換えタンパク質及び抗体
RBDとスパイクタンパク質を、上述のように生成した。以下のタンパク質は、R&D Systemsから購入した:IL12RB1-Fc;IL1RAPL2-Fc;CNTN1-Fc;ACE2-Fc;Neuropilin2-Fc及びNeuropilin1-His。Hisタグ付きCNTN1及びACE2-Fcは、Sino Biologicalsから購入した。
【0456】
実施例3.SARS-CoV-スパイクタンパク質の相互作用の検証
実施例2の所見を、次いでオルトゴナル法を使用して確認した。まず、推定上の結合パートナーを、外部ドメインgD-GPI コンストラクト又は完全長の天然受容体としてHEK/293T細胞上に一過性に発現させ、組み換え四量体化タンパク質としてのSARS CoV-2スパイクタンパク質RBDの結合を免疫蛍光により分析した。予想したように、ACE2を一過性に過剰発現する細胞の原形質膜に対する明らかな結合が観察された(図2C)。重要なことに、これらアッセイはまた、これら完全長受容体が原形質膜上に発現されたときの、SARS CoV-2スパイクタンパク質RBDと、NRP2、IL12RB1、及びCNTN1との相互作用を確認した(図2C)。HEK/293T細胞を、10% FBS、グルタミン及び抗生物質を補ったDMEM高グルコース培地において増殖させ、37℃及び5% COで培養した。スクリーニングヒットの一過性発現のために、細胞は、Lipofectamine LTX-Plus(Thermo)を使用してポリ-D-リジンでコーティングした96又は384ウェルプレートにおいてトランスフェクトした。
【0457】
同様のアッセイを、SARS CoV-1スパイクタンパク質RBDとSARS CoV-2スパイクタンパク質RBDについて同定された受容体との間の結合を分析するために実施し、相互作用の特異性をさらに評価した。注目すべきことに、これらアッセイがNRP2との比較的弱い相互作用を確認する一方で、すべての受容体が細胞表面上に十分なレベルで発現されていたにも関わらず(図6A及び6B)、細胞表面上に発現される追加の受容体CNTN1、IL12RB1及びIL1RAPL2に対する検出可能な結合は観察されなかった(図2D)。興味深いことに、検出可能な結合は、SARS CoV-1タンパク質又はSARS CoV-2 RBDタンパク質と、細胞表面上に完全長受容体又はgD-GPI外部ドメインとして発現されたNRP1との間には観察されなかった(図6A及び6B)。
【0458】
これら相互作用を検証及び特徴づけるための追加的な手法として、表面プラズモン共鳴(SPR)分析が、精製タンパク質としてアッセイされる細胞受容体とSARS CoV-2及びSARS CoV-1 RBDとの間の結合を試験するために利用された。これらアッセイは、同定された相互作用をさらに確認し、CNTN1、IL12RB1及びIL1RAPL2がSARS CoV-1スパイクタンパク質RBDに対する測定可能な結合を示さないことから、それらの特異性を裏付けた(図2E)。
【0459】
次に、SARS CoV-2スパイクタンパク質RBDについて同定された宿主結合パートナーと、SARS CoV-2スパイク三量体の完全な外部ドメインとの間の相互作用を試験した。スパイク三量体は、細胞表面上に発現されたACE2、CNTN1、NRP2、IL12RB1及びIL12RAPL2に結合した(図2F)。興味深いことに、スパイク三量体と、細胞上に発現されるNRP1との間の弱い結合が検出され、これは最近の観察結果(Daly et al.,Science,370:861-865,2020)と一致していた。
【0460】
SARS-CoV-2スパイクタンパク質中の多塩基切断部位(SARS CoV-1スパイクタンパク質には存在しない)は、in vitroでの感染の増加をもたらす融合を予備刺激することが示された(Hoffmann et al.,Mol Cell,78:779-784e776.2020)。フューリン及び他の宿主プロテアーゼによるタンパク質分解性の切断は、追加的な受容体結合部位を生成しうる溶媒に露出したループをもたらす(Walls et al.,Cell,181:281-292e286,2020)。これに合わせて、本明細書に提供される結果は、ヒトIL12RB1、ILRAPL2及びCNTN1を、SARS CoV-2スパイクタンパク質に特異的に結合する細胞因子として同定するものであり、これは、これらタンパク質が、SARS CoV-1スパイクと相互作用しないか、又は分析された実験条件で検出不能な有意に低い結合親和性で相互作用することを示唆している。対照的に、かつ注目すべきことに、データは、最近記載されたニューロピリン共受容体との相互作用が、SARS CoV-1及びCoV-2スパイクタンパク質の両方に共通であることを示し、これは、SARS CoV-2感染の間にニューロピリンが関連しているにしろ、追加因子が差次的な病因と、このウイルスの組織向性の延長とに関与している可能性を示唆している。興味深いことに、本明細書の所見は、SARS CoV-1及びCoV-2両方のRBDが、試験された実験条件下において、NRP2との測定可能な相互作用を確立するために十分であり、NRP1との相互作用についてはそうでないことを示し(図2A~2F、8A、及び8B)、これは、スパイクとこれら共受容体との間の差次的な結合モードを示唆している。NRP1に対するスパイク結合は、大部分が、フューリン切断時に生成されたS1タンパク質中のCendRペプチド(682RRAR685)によって媒介される。この領域は、本研究で利用されたアミノ酸R319からS591にわたるRBDタンパク質には存在せず、したがってNRP1に対する結合の欠如を説明するものであり、これは実際に完全な三量体外部ドメインが分析されたときに再現される(図2F)。とはいえ、本作業においてNRP1及びNRP2に対する結合に観察された差異は、RBD内の異なる決定因子がこれら相互作用に関与していることを示唆している。
【0461】
表面プラズモン共鳴及びバイオレイヤー干渉法
関連する宿主タンパク質とのRBDの相互作用を、BIACORETM 8K(GE Healthcare)又はProteon機器(Biorad)を使用してSPRにより分析した。示されたタンパク質は、標準のアミノカップリング法を使用して、それぞれCM5センサーチップ又はGLCセンサーチップ上に固定化された。被分析物は、HBS-Pバッファー(0.01MのHepes、0.15MのNaCl及び0.005%界面活性剤P20、pH7.4)中で、又はProteon機器を使用した場合はPBS-0.01TWEEN 20中で、各事例で示された濃度で泳動させた。速度論的計算の場合は、リガンドを低共鳴単位で固定化し、K値を平衡状態で計算した。すべてのセンサーグラムを、BiaEvaluation 4.1(Biacore)又はProteon Manager 3.1.0.6(Proteon)ソフトウェアで分析した。
【0462】
免疫蛍光によるRBD細胞受容体の検証
スパイクタンパク質の結合パートナーとして同定された宿主受容体が、HEK/293T細胞に一過性発現され、トランスフェクション後48時間目又は72時間目にアッセイされた。無作為にビオチン化されたRBD又は部位特異的にビオチン化されたスパイク三量体を、結合活性を増加させるために蛍光性ストレプトアビジン(PROZYME(登録商標))を使用して四量体化した。通例通り、タンパク質は、細胞と共に1時間4℃でインキュベートし、洗浄し、その後4% PFAで固定した。細胞表面上での外部ドメイン-gDGPI発現の検出のために、細胞を、4% PFAで固定し、5% BSAを含有するPBSでブロックし、その後抗gD抗体(Abcam)を使用して染色した。試料を、洗浄し、蛍光標識されたAlexa Fluor抗体(Thermo Scientific)と共にインキュベートした。一次抗体及び二次抗体とのインキュベーションは、それぞれ4℃のO/NでPBS-1% BSA中において、又は1時間37℃で実施した。画像は、Leica SP5共焦点又はInCell 6000ハイコンテンツイメージャーを使用して取得され、Fijiソフトウェアを使用して分析された。
【0463】
実施例4.SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDバインダーの細胞及び組織発現
SARS CoV-2スパイクのシュードタイプ粒子を用いた感染アッセイ
蓄積する証拠は、感染に関連付けられる神経学的合併症が、細胞流入を防ぐ重要な障壁である脈絡叢の感染と、それによる脳脊髄液及び脳における過剰な炎症に関連付けられる可能性を示唆している。SARS CoV-2が神経細胞に生産的に感染しうるという概念のサポートにおいて、死亡したCOVID-19患者の最近公開された単一核トランスクリプトームは、障壁を形成する皮質の脈管構造、髄膜及び脈絡叢の感染と相関係する所見である、すべての主要な皮質柔組織及び脈絡叢の細胞型の転写特性に対する大きな影響を示す(Yang et al.,bioRxiv,doi.org/10.1101/2020.10.22,2020)。
【0464】
ウイルス向性及び感染力は、細胞表面上の細胞受容体及び侵入補助因子の発現によって大きく左右される。したがって、IL12RB1、IL1RAPL2、NRP2及びCNTN1が、SARS-CoV-2スパイクと直接相互作用するこれまで認知されていない細胞因子であることが実証された後、これらヒト因子の発現パターンは次に、公開されたデータベースを使用して、主要器官における組織レベル(Human Protein Atlas)と単一細胞 トランスクリプトームの両方で分析された(Han et al.,Nature,581:303-309,2020;Durante et al.,Nat Neurosci,23:323-326,2020)。
【0465】
IL1RAPL2は、大部分の組織において、組織及び単一細胞(scRNA)レベルの両方で、全体的に低い発現レベルを示した(図3A及び3B)。対照的に、IL12RB1は、免疫細胞及びリンパ細胞に優勢に発現され(図3A)、肺細胞からの比較的高い発現scRNAトランスクリプトームを示した(図3B)。NRP2は、脳、生殖組織及び胃腸組織に(図3A)、さらには単一細胞レベルで肺、食道又は気管細胞型に広く表れて高発現した(図3B)。図3Cから3KのscRNAseqデータは、GSE139522から得られた。
【0466】
興味深いことに、CNTN1は、神経系組織に優勢に発現され、肺又は食道といったウイルス感染に関連する組織に中程度に存在した(図3A)。COVID-19感染の顕著な特徴は嗅覚障害であり、これは、嗅上皮に直接感染するウイルスの能力によって部分的に説明されうる(Fuccillo et al.,J Laryngol Otol,1-10,2020)。新規に同定されたRBD受容体がこの組織に発現されるかどうかを評価するために、単一細胞レベルでヒト嗅覚組織の最近公開されたマップに対するクエリーが行われた(Durante et al.,Nat Neurosci,23:323-326,2020)(図3C、3D、及び7A~7G)。興味深いことに、ACE2は全体に低レベルでのみ発現されたが、CNTN1は、間質細胞、単球及びニューロンを含む複数の細胞型に顕著に発現される一方、嗅覚及び呼吸器水平基底細胞といった一部の集団においてACE2との低い共発現を示した(図3D及び3H)。
【0467】
次に、NRP2は、異なる細胞型に高発現を示し、最も高い関連レベルは、中でも周皮細胞、グリア細胞又は血管平滑筋細胞に見られた(図3D)。これまでの観察結果と一致して、IL12RB1は、嗅上皮の免疫細胞集団に優勢に発現され、IL1RAPL2発現は、この組織で全体的に極めて低かった(図7A~7G)。
【0468】
RBD結合パートナーの組織発現の分析
RNAコンセンサス組織遺伝子データは、Human Protein Atlasウェブページ(HPA v19.3)からダウンロードされた。これにはHPA、GTEx及びFANTOM5発現データセット間で正規化された発現データが含まれていた。一般的な組織分類が、GTEx標識及びTissue Atlas標識に基づいて設計された。
【0469】
次世代配列データの分析
健常な個体由来の単一細胞RNAseq(scRNAseq)データのために、Han et al.,Nature,581:303-309,2020(GSE134355)によって報告された異なる組織試料の元のデジタル遺伝子発現(DGE)が使用された。成人組織のみを分析した。CNTN1は、36の異なる組織に検出された。Durante et al.,Nat Neurosci,23:323-326,2020によって報告された別のヒト嗅覚及び呼吸器粘膜細胞のscRNAseqデータセットを、GSE139522から収集した。UMAP座標及び細胞クラスター注釈は、文献に基づいていた。Lieberman et al.,PLoS Biol,18:e3000849,2020(実施例5に記載)によって報告された、SARS-CoV-2感染症を有する個体及び有さない個体由来の、鼻咽頭スワブのRNAseqデータセットは、GSE152075から得られた。生のカウント遺伝子発現データを、M値のトリミング平均(TMM)を使用して正規化し、関連する精度重みを用いて100万あたりlog2カウントにVOOMで形質転換した。正規化されたlog形質転換遺伝子発現と、感染状況との間の関連と、ウイルス負荷とを分析した。感染状況及びウイルス負荷データは、GSE152075において利用可能なメタデータから得た。群間の統計的有意性は、Mann Whitney U検定によって計算されている。健常な個体及びCOVID-19に感染した個体由来の脳細胞型及び脈絡叢細胞型のscRNAseqデータは、Yang et al.,bioRxiv,doi.org/10.1101/2020.10.22,2020によって報告された。データは、10の非ウイルス性個体及び4のCOVID-19個体の前頭皮質及び脈絡叢に由来する、47,678の液滴ベースの単核トランスクリプトームを含んでいた。8の主要な細胞型にわたる23,626の核が、皮質においてプロファイルされ、7の細胞型にわたる24,052の核が脈絡叢においてプロファイルされた。UMAP座標及び細胞クラスター注釈は、文献に基づいていた。
【0470】
実施例5.感染中のSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDバインダーの発現
感染中の新規スパイクタンパク質RBD結合受容体の推定上の役割に関する見識を得るために、感染の間のこれら細胞因子の発現を、公的に利用可能なデータベースを使用して調査した。まず、400名を超えるCOVID-19患者及び健常なコントロール由来の鼻咽頭スワブからの遺伝子発現プロファイルの最近公開されたデータセットに対し、クエリーを行った(Lieberman et al.,PLoS Biol,18:e3000849,2020)。他の組織に観察される低発現レベルと一致して、IL1RAPL2発現は、これら試料に検出されなかった。注目すべきことに、IL12RB1及びNRP2のレベルはウイルス負荷の関数として中程度に上昇しただけであった(図8B)が、CNTN1の発現レベルはCOVID-19患者のウイルス負荷及び疾患の重症度と有意に相関しており(図3E)、関連は患者の年齢が高いほど明らかであった(図8A)。
【0471】
興味深いことに、かつCNTN1と同様に、ACE2発現は、この患者コホートにおいてウイルス負荷と有意に関連していた(図3E)。次に、10名の健常な患者と4名のCOVID-19患者の前頭皮質及び脈絡叢由来の単一核RNAトランスクリプトームに対する最近の研究を利用した(Yang et al.,bioRxiv,doi.org/10.1101/2020.10.22.349415,2020)(図9A~9D)。重要なことに、本研究において同定されたスパイク受容体であるCNTN1の発現は、脈絡叢及び前頭皮質において有意により高く(図3H及び3I)、比較的低いレベルでのみ発現されたNRP2と比べてもより高かった(図3I)。興味深いことに、ACE2発現は、免疫組織化学分析がこれら脳組織に実質的なウイルス負荷を実証したにも関わらず(Yang et al.,bioRxiv,doi.org/10.1101/2020.10.22.349415,2020)、極めて低いか又は無視できる程度であり(図9A~9D)、これは中枢神経系細胞が増殖性のSARS CoV-2感染をサポートしうることを示した多数のin vitro、in silico及び事後の研究をサポートしていた(Jakhmola et al.,Sn Compr Clin Med,1-10,2020;Alomari et al.,Clin Neurol Neurosurg,198:106116,2020;Baig et al.,ACS Chem Neurosci,11:995-998,2020;Li et al.,J Med Virol、92:552-555,2020;Ellul et al.,Lancet Neurol,19:767-783,2020;Jacob et al.,Cell Stem Cell,doi:10.1016/j.stem.2020.09.016,2020)。対照的に、CNTN1は、大部分の細胞型、特に脈絡叢及び柔組織内の上衣細胞及び神経細胞に広くかつ高度に発現された(図3H、3I、及び9A~9D)。ACE2媒介性感染の増大因子として最近同定されたNRP2は、COVID-19脳の離散集団において有意な上方制御を示した(図3F、3G、及び9A~9D)。対照的に、CNTN1は、前頭皮質及び脈絡叢両方の大部分の細胞型において一貫してかつ有意に上昇し、脳柔組織(図3I及び9A~9D)及び脈絡叢内の神経細胞(図3H及び9A~9D)の大部分の分子集団において特に顕著な上方制御示した。まとめると、これら所見は、CNTN1が、未だ不明な機序を通してウイルス感染をサポートすることが示された感染し易い細胞型である、神経系細胞又は関連組織、例えば嗅上皮のウイルス感染に関与している可能性を上昇させるものである(Pellegrini et al.,bioRxiv,doi:10.1101/2020.08.20.259937,2020;Yang et al.,bioRxiv,doi.org/10.1101/2020.10.22.349415,2020)。
【0472】
実施例6.ウイルス侵入におけるSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDバインダーの役割
SARS-CoV-2スパイク三量体が、RBDによって媒介される相互作用において、ACE2を超えて選択宿主因子に直接結合することが実証された後、これら宿主因子がCOVID-19感染中に関連組織に発現されることを示す証拠を踏まえて、ウイルス侵入におけるこれら受容体の役割を調査した。ウイルス侵入の研究を特異的に可能にするSARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたウイルス粒子が使用された。検出可能なACE2を発現しないHEK/293細胞を、RBDの結合パートナーとして同定された宿主因子をコードするプラスミドでトランスフェクトした。ACE2発現は、予想通り、細胞を感染し易くしたが、それ自体によるCNTN1発現は、極めて低レベルの感染のみを促進した(図4A)。驚いたことに、CNTN1とACE2との共発現は、ACE2のみを発現する細胞と比べて、シュードタイプ粒子感染を有意に増加させた(図4B)。さらに、CNTN1は、ACE2及びTMPRSS2の存在下でも感染を促進し(図4B)、合せてCNTN1がACE2依存性感染を増強する細胞因子として機能することを示した。対照的に、CNTN1は、水疱性口内炎ウイルス(VSV)糖タンパク質シュードタイプ粒子の感染(コントロールとして使用)のレベルに対して有意な影響を有さず、このことは、このウイルスによる感染がACE2に依存しないという事実と一貫していた(図4A及び4B)。
【0473】
NRP2発現は、感染を促進しなかったが、関連する受容体NRP1について最近報告されたように(Cantuti-Castelvetri et al.,Science,370:856-860,2020;Daly et al.,Science,370:861-865,2020)ACE2又はACE2及びTMPRSS2と共発現されたとき、ウイルス侵入を増加させた(図4A及び4B)。対照的に、IL12RB1及びIL1RAPL2の発現は、試験した実験条件下でウイルス侵入に有意に影響せず(図10A及び10B)、これは、これら因子が、他の態様のウイルスサイクルに関与している可能を示唆していた。妥当と思われる仮説によれば、SARS-CoV-2感染は、IL12RB1、自己免疫疾患に頻繁に関与する軸及び細菌感染の直接的標的化を介して、IL-12/IL-23シグナル伝達による干渉を通し、炎症を調節しうる(Robinson et al.,Cytokine,71:348-359、2015;van de Vosse et al.,Hum Mutat,34:1329-1339、2013)。さらに、脳に優勢に発現されるタンパク質であるIL1RAPL2は、表面受容体のアクセサリータンパク質として機能することができ、神経系におけるウイルスの結合と拡散に影響すると思われる(Booker and Grattan,J Immunol,198:270-278,2017;Bahi et al.,Hum Mol Genet,12:1415-1425,2003)。
【0474】
SARS CoV-2スパイクのシュードタイプ粒子を用いた感染アッセイ
糖タンパク質G(VSV-G)を表示し、GFPレポーターを担持する複製不能な水疱性口内炎ウイルス(VSV)株Indiana粒子は、Integral Molecular(Philadelphia,USA)から購入した。GFPレポーターを担持するSARS CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたウイルス粒子も、Integral Molecularから購入した。シュードタイプ粒子を用いた感染アッセイのために、HEK/293T細胞を、M96又はM384ウェルプレートに播種した。細胞を、完全長天然タンパク質としてのスパイク結合パートナー又は空のプラスミドコントロールで一過性にトランスフェクトし、細胞培養物を、トランスフェクション後24時間目又は48時間目に感染させて、細胞受容体の発現を可能にした。シュードタイプ粒子を、無血清DMEM培地に希釈し、細胞と共に4時間37℃でインキュベートし、その後、増殖培地を、10% FBSを含有するDMEMで置き換えた。感染後24時間目又は48時間目に、細胞を、洗浄し、4% PFAで固定し、DAPI(Thermo Scientific)で染色し、核を可視化した。画像は、ハイコンテンツ顕微鏡(In細胞6000、GE Healthcare)又はLeica SP5共焦点(Leica)を倍率10xで用いて取得した。感染を定量化するために、画像を、InCell Developerソフトウェアバージョン4.1を用いて分析した。感染は、各群でACE-2発現細胞について観察されたものとの比較で表した。Two-way ANOVAを、GraphPadソフトウェアv8を使用して多重比較のためのシダック補正を用いて実行した。
【0475】
結論
ウイルスタンパク質は、多くの場合多価のタンパク質間相互作用を活用して、限られたゲノムリソースを使用して複数の宿主機能に干渉する能力をウイルスに与える活性である、親和性と力価を増加させることにより、複数の宿主因子を標的化することができる(Martinez-Martin et al.,Nat Commun,7:11473,2016)。本試験において同定されたSARS-CoV-2スパイクの細胞外インタラクトームの差異は、これら受容体が優勢に発現される場合、ウイルスのより広い向性及び増加した感染力への寄与因子として作用し、神経系及び嗅上皮に感染するその能力を含む、このタンパク質の機能性を上昇させることができる。したがって、CNTN1は、低レベルのACE2を発現する細胞における侵入を促進するか、又は組織の微小環境内でのACE2発現細胞の感染を高める増大因子として作用すると考えることが妥当であろう。CNTN1とSARS CoV-2スパイクとの間の相互作用を選択的にブロックする試薬を開発することはしたがって、ウイルス感染と拡散を減少させることを助けうる治療的介入の可能なルートを提供する。本研究は、分子レベルでのウイルス-宿主相互作用を研究するための重要なリソースを表し、SARS-CoV-2の向性の増加及び神経侵襲能に影響を与えうる標的に焦点を当てる。
【0476】
さらに、細胞関連因子CNTN1がSARS CoV-2-特異的宿主受容体として作用するという所見は、特に脳におけるACE2発現の極めて低い発現レベルを考慮して、ウイルスが神経細胞を標的としうる可能なルートを提供する。CNTN1が、低レベルのACE2を発現する細胞のSARS-CoV-2感染症を促進することを実証する本発明者らの結果は、ニューロピリンに関する同様の最近の所見をサポートする。
【0477】
CNTN1は、ACE2レベルが低い、脳脈絡叢といった組織に関与している可能性がある(図3A~3I)。代替的に、又は追加的に、CNTN1は、高いウイルス負荷を有する炎症組織において、in vivoでの感染のACE2とは無関係のルートを媒介しうるか、又は組織の微小環境内での隣接するACE2発現細胞の感染を増強しうる。
【0478】
本研究で同定された新規のSARS CoV-2スパイク細胞受容体は、部分的に、CNTN1が優勢に発現される場合、神経系及び嗅上皮に感染するその能力を含む、ウイルスのより広い向性と増加した感染力とを説明する。新規のSARS-CoV-2は、ヒトの健康に長期にわたり影響することが予測される世界的パンデミックを代表しており、これら新規スパイク受容体の役割に対する今後の調査が必要とされることは明らかである。例えば、CNTN1とスパイクタンパク質との間の相互作用を選択的にブロックする試薬を開発することは、ウイルスの感染と拡散を減少させることを助けうる治療的介入の可能なルートを提供する。さらに一般的には、本明細書に記載される受容体発見プラットフォームは、ウイルス-宿主相互作用を分子レベルで研究するための重要なリソースを表し、ウイルス様SARS-CoV-2の向性及び神経侵襲能の増加に影響を与えうる標的に焦点を当てるものである。最後に、これら所見は、SARS-CoV-2及び世界的なヒトの健康に対する他のウイルスの脅威に対する新しい又は改善された治療的選択肢への道を開くものである。
【0479】
この試験は、ウイルス向性を担う主なタンパク質であるSARS CoVスパイクによって直接標的化される、宿主因子の最初の系統的分析を提供する。
図1A
図1B-C】
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
【配列表】
2023554592000001.app
【国際調査報告】