(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】エラストマーと充填剤を含む配合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/22 20060101AFI20231221BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20231221BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20231221BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20231221BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20231221BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20231221BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20231221BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20231221BHJP
C08L 1/00 20060101ALI20231221BHJP
C08L 97/00 20060101ALI20231221BHJP
C08L 15/00 20060101ALI20231221BHJP
B29B 7/18 20060101ALI20231221BHJP
B29B 7/12 20060101ALI20231221BHJP
B29B 7/28 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C08J3/22 CEQ
C08L21/00
C08L7/00
C08L9/06
C08L9/00
C08K3/04
C08K3/36
C08K3/013
C08L1/00
C08L97/00
C08L15/00
B29B7/18
B29B7/12
B29B7/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534661
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 US2021062429
(87)【国際公開番号】W WO2022125677
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521529592
【氏名又は名称】ビヨンド ロータス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ディー.モーリス
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
ここに開示されているのは、複合材の調製方法である。1つの態様として、本方法が、(a)1つもしくは2つ以上のロータを有するミキサーに、(i)少なくとも1種のエラストマー中に分散された第1の充填剤を含む液体マスターバッチ、および(ii)第2の充填剤および液体を含む湿潤充填剤を充填する工程、(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、少なくとも1種の液体マスターバッチと湿潤充填剤を混合して、混合物を形成し、そして(c)前記ミキサーから、少なくとも1種のエラストマー中に、少なくとも20phrの全充填量で第1および第2の充填剤を含む複合材を排出する工程、ここで複合材は、複合材の全質量を基準として、10質量%以下の液体含有量を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材の調製方法であって、
(a)1つもしくは2つ以上のロータを有するミキサーに、(i)少なくとも、少なくとも1種のエラストマー中に分散された第1の充填剤を含む液体マスターバッチ、および(ii)湿潤充填剤であって、第2の充填剤、および前記湿潤充填剤の全質量を基準として15質量%~65質量%の範囲の量で存在する液体を含む湿潤充填剤、を充填する工程、
(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、前記少なくとも1種の液体マスターバッチと前記湿潤充填剤とを混合して混合物を形成する工程であって、前記混合工程の少なくとも1つにおいて、少なくとも1つの温度制御手段によって制御されたミキサー温度で前記混合を行ない、そして前記混合物から前記液体の少なくとも1部を蒸発によって除去する工程、ならびに、
(c)前記ミキサーから、前記少なくとも1種のエラストマー中に、少なくとも20phrの全充填量で分散された前記第1および第2の充填剤を含む前記複合材を排出する工程であって、前記複合材は、前記複合材の全質量を基準として、10質量%以下の液体含有量を有している、工程、
を含んでなる方法。
【請求項2】
工程(b)および随意選択的に工程(a)において、前記少なくとも1つの温度制御手段が、65℃以上のTCU温度に設定されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(b)および随意選択的に工程(a)において、前記少なくとも1つの温度制御手段が、65℃~100℃の範囲のTCU温度に設定されている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
1種もしくは2種以上のゴム薬品が、工程(c)において排出される前記複合材に存在していない、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記湿潤充填剤が、30質量%~65質量%の範囲の量で存在する液体を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種のエラストマーが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、官能化スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記充填する工程が、前記ミキサーに少なくとも1種の更なるエラストマーを充填することを含む、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種の更なるエラストマーが、前記液体マスターバッチの前記少なくとも1種のエラストマーとは異なり、エラストマー混合物を含む複合材を形成する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記液体マスターバッチの前記少なくとも1種のエラストマーが、天然ゴムであり、そして前記少なくとも1種の更なるエラストマーが、ポリブタジエンゴムおよびスチレン・ブタジエンゴムから選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記充填剤が、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、再生炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、それらの組み合わせ、およびそれらのコーティングおよび処理された材料から選択される少なくとも1種の材料を含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記充填剤が、カーボンブラック、シリカ、およびケイ素処理カーボンブラックから選択される少なくとも1種の材料を含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記充填剤が、カーボンブラックを含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記湿潤充填剤が、乾燥されていないカーボンブラックを含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記湿潤充填剤が、再湿潤化された乾燥カーボンブラックを含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記充填剤が、シリカを含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記湿潤充填剤が、乾燥されていないシリカを含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記湿潤充填剤が、再湿潤化された乾燥シリカを含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記ミキサーにカップリング剤を充填することを更に含む、請求項15~17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
加硫物の調製方法であって、
請求項1~18のいずれか1項記載の方法によって調製された前記複合材を、少なくとも1種の硬化剤の存在で、硬化させて、前記加硫物を形成させることを含む、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法によって調製された前記加硫物を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示されているのは、液体マスターバッチおよび湿潤充填剤からの複合材およびそれから得られる加硫物の製造方法である。
【背景技術】
【0002】
ゴム産業においては、充填剤をエラストマー中に分散させる方法を開発することの要求が常にあり、そして充填剤の分散の品質、時間、労力および/または費用についてそのようにすることができる方法を開発することが特に望ましい。
【0003】
商業的に重要な多くの製品がエラストマー複合材として形成されており、補強用充填剤が種々の合成エラストマー、天然エラストマーまたはエラストマー混合物のいずれかに分散されている。カーボンブラックおよびシリカが、例えば、天然ゴムおよび他のエラストマーを補強するのに広範に用いられている。マスターバッチを生成するのが通例であり、それは、補強用充填剤、エラストマー、および種々の任意の添加剤、例えばエクステンダー油の予備混合物である。そのようなマスターバッチは、次いでプロセス添加剤および硬化添加剤と配合されて、硬化によって、商業的に重要な数々の製品を生成させる。そのような製品としては、例えば、車両用の空気入りのおよび空気入りでないもしくはソリッドタイヤが挙げられ、キャップとベースを含むトレッド部分、アンダートレッド、インナーライナー、サイドウォール、ワイヤースキム、カーカスなどを含んでいる。他の製品としては、例えば、エンジンマウント、コンベヤベルト、風防ガラスワイパー、航空宇宙および船舶装置用のゴム部品、車両の踏面要素、シール、ライナー、ガスケット、ホイール、バンパー、防振システムなどが挙げられる。
【0004】
ゴム配合物中の補強用充填剤の良好な分散は、機械的強度および一貫したエラストマー複合材およびゴム配合物の性能を得るための要因であると理解されている。分散品質を向上させるための方法の開発に少なからぬ努力が振り向けられており、そしてこの課題を解決するために種々の解決策が提供されてきている。例えば、より強い混合は、補強用充填剤の分散を向上させるが、しかしながら充填剤が分散されようとしているエラストマーを劣化させる可能性がある。このことは、特には乾式混合の条件下で、機械的/熱的劣化を受け易い天然ゴムの場合には特に問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、固体エラストマー中に種々の充填剤を混合して、許容できる、および/または高められたエラストマー複合材の分散品質および機能性を得る新規な方法を開発する要求が存在しており、それらは対応する加硫されたゴムコンパウンドおよびゴム物品の許容できる、または高められた性質へと転換される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示されているのは、複合材の調製方法である。1つの態様では、本方法は、
(a)1つもしくは2つ以上のロータを有するミキサーに、(i)少なくとも1種のエラストマー中に分散された第1の充填剤を含む少なくとも1種の液体マスターバッチ、ならびに(ii)第2の充填剤と、湿潤充填剤の全質量を基準として15質量%~65質量%の範囲の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤を充填する工程、
(b)1つもしくは2つ以上の混合工程において、液体マスターバッチと湿潤充填剤とを混合する工程であって、前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記混合工程を、少なくとも1つの温度制御手段によって制御されるミキサー温度で行ない、そして混合物から液体の少なくとも1部を蒸発によって除去する、工程、および、
(c)ミキサーから、少なくとも20phrの全充填量で、少なくとも1種のエラストマー中に分散された第1および第2の充填剤を含む複合材を排出する工程であって、複合材は、複合材の全質量を基準として、10質量%以下の液体含有量を有している、工程、
を含んでいる。
【0007】
ここに開示されるいずれかの態様または方法または実施態様に関して、該当するならば、本方法は、1つもしくは2つ以上の以下の態様を更に含むことができる;工程(b)および随意選択的に工程(a)において、少なくとも1つの温度制御手段が65℃以上の温度Tz、例えば65℃~100℃の範囲のTCU温度、に設定されており、工程(c)で排出される複合材には1種もしくは2種以上のゴム薬品が存在しておらず、湿潤充填剤が、30質量%~65質量%の範囲の量で存在する液体を有している。
【0008】
ここに開示されるいずれかの態様または方法または実施態様に関して、該当するならば、本方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる:少なくとも1種のエラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、官能化スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマー、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、多硫化ゴム 、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、およびそれらの混合物から選択される;固体エラストマーは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、官能化スチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、およびそれらの混合物から選択され、充填する工程が、ミキサーに少なくとも1種の更なるエラストマーを充填することを更に含み、少なくとも1種の更なるエラストマーが、液体マスターバッチの少なくとも1種のエラストマーとは異なり、エラストマー混合物を含む複合材を形成する、液体マスターバッチの少なくとも1種のエラストマーが天然ゴムであり、そして少なくとも1種の更なるエラストマーが、ポロブタジエンおよびスチレン・ブタジエンゴムから選択される。
【0009】
ここに開示されるいずれかの態様または方法または実施態様に関して、該当するならば、本方法は、以下の態様のいずれか1つもしくは2つ以上を更に含むことができる:充填剤は、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、再生炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、それらの組み合わせ、およびそれらのコーティングおよび処理された材料から選択される少なくとも1種の材料を含んでいる、充填剤は、カーボンブラック、シリカ、およびケイ素処理されたカーボンブラックから選択された少なくとも1種の材料を含んでいる、充填剤はカーボンブラックを含んでいる、湿潤充填剤は、乾燥されていないカーボンブラックを含んでいる、湿潤充填剤は乾燥カーボンブラックであって再湿潤化されたものを含んでいる、充填剤はシリカを含んでいる、湿潤充填剤は、乾燥されていないシリカを含んでいる、ここで充填剤はシリカを含んでおり、本方法は、ミキサーに架橋剤を充填することを更に含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここに開示されているのは、液体マスターバッチを湿潤充填剤と混合することによって複合材を調製または形成する方法である。
【0011】
充填剤とエラストマーを混合する場合には、混合物中のエラストマーが高温を経験し、そして劣化を起こす前に十分な充填剤の分散を確実にするような混合時間の長さを確実にすることが課題である。ここに開示された方法では、湿潤充填剤(例えば、充填剤と液体を含む)を用いることで、既知の乾式混合プロセスで達成可能なものを超えた、バッチ時間および温度が制御されることを可能とさせ、そして他の利点、例えば充填剤の分散を高めること、および/またはゴム-充填剤の相互作用を促進すること、および/またはゴム配合物の性能を向上させることを提供することが可能となる。充填剤表面の実質的な部分または実質的に全てを、液体マスターバッチとの混合の前に、湿潤化するのに十分な液体が用いられる場合には、効果的である可能性がある。通常は、そしてここに記載されているように、混合プロセスは、1種もしくは2種以上のミキサーまたはプロセスパラメータ、例えば、ミキサーの表面温度および/またはロータ速度、充填率、混合サイクルのより遅い時間におけるゴム薬品(あれば)の混合、複合材の排出温度、および/または2つもしくは3つ以上の混合段階の適用、を制御することによってなしとがられることができる。
【0012】
ここに開示された方法によって形成された複合材は、充填剤およびエラストマーの、随意選択的に1種もしくは2種以上の添加剤との、硬化されていない混合物であると考えられ、その添加剤は、ここに更に詳細に議論される。形成される複合材は、混合物またはマスターバッチと考えることができる。形成される複合材は、選択肢として、続いて起こるゴムコンパウンドおよび1つもしくは2つ以上の加硫プロセスにおいて用いることができる中間製品であることができる。コンパウンディングおよび加硫の前の複合材もまた、更なるプロセス、例えば1つもしくは2つ以上の保持工程(holding steps)または更なる混合工程、1つもしくは2つ以上の更なる乾燥工程、1つもしくは2つ以上の押出工程、1つもしくは2つ以上のカレンダー工程、1つもしくは2つ以上の摩砕工程、1つもしくは2つ以上の粒状化工程、1つもしくは2つ以上のベール化工程、1つもしくは2つ以上の2軸スクリュー排出押出工程、または1つもしくは2つ以上のゴム加工工程に付して、ゴムコンパウンドまたはゴム物品を得ることができる。
【0013】
複合材を調製する方法は、ミキサー中に、少なくとも液体マスターバッチおよび湿潤充填剤、例えば、a)1種もしくは2種以上の液体マスターバッチおよび、b)1種もしくは2種以上の湿潤充填剤を、充填する、または導入する工程を含み、ここで少なくとも1種の充填剤または少なくとも1種の充填剤の一部は、液体マスターバッチと混合される間に液体で湿潤化されている。液体マスターバッチを湿潤充填剤と混合することで、混合工程の間に混合物が形成される。本方法は、1つもしくは2つ以上の混合工程において、液体の少なくとも一部が蒸発によって除去される混合工程、または混合の間に起こる蒸発プロセスを含んでいる。湿潤充填剤の液体は、蒸発によって除去されることができ(そして、少なくとも一部が、特許請求した混合条件のもとで除去されることができる)、そして揮発性の液体、例えばバルクの混合物温度で揮発性であることができる。例えば、液体は1atmにおいて、180℃以下、例えば170℃以下、160℃以下、150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下、110℃以下、または105℃以下の沸点を有することができ、例えば60℃~180℃、60℃~170℃、60℃~160℃、60℃~150℃、60℃~140℃、60℃~130℃、60℃~120℃、60℃~110℃、60℃~100℃、60℃~90℃、90℃~180℃、90℃~170℃、90℃~160℃、90℃~150℃、90℃~140℃、90℃~130℃、90℃~120℃、90℃~110℃、90℃~100℃、95℃~120℃、または95℃~110℃、の沸点を有する。例えば、揮発性液体はオイル(例えば、エキステンダーオイル)と区別されることができ、オイルは混合工程の少なくとも一部の間に存在することができ、そうしてオイルは、排出された複合材中に存在することが意味されており、そして従って、混合時間の実質的な部分の間には蒸発しなし。
【0014】
ここで用いられる「液体マスターバッチ」は、液体混合システム、例えば撹拌されたタンクに供給される、エラストマーラテックスもしくはポリマー溶液および充填剤スラリー(例えば、カーボンブラックまたはシリカスラリー)から誘導されたマスターバッチを表している。そのような「液体マスターバッチ」技術は、天然ゴムラテックスおよびエマルジョン化された合成エラストマー、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、または液体形態の他のエラストマー状ポリマーで用いられることができる。液体マスターバッチを生成するための連続式または半連続式技術、例えば米国特許第6,048,923号および第8,586,651号明細書に開示されたもの(その内容をここに参照することによって本明細書の内容とする)は、高品質で特徴付けられる液体マスターバッチ複合材を生成するために効果的である。
【0015】
ここに開示された方法のいずれかで用いられる液体マスターバッチに関しては、マスターバッチは、充填工程およびそれに続く湿潤充填剤との混合工程の間に固体の形態である。液体マスターバッチは、液体マスターバッチプロセスの脱水された、および/または乾燥された製品を含むことができる。従って、液体マスターバッチは、少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の充填剤を含んでいる。本発明の目的のための液体マスターバッチは、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、または0.1質量%~5質量%、0.5質量%~5質量%、1%質量%~5質量%、0.5質量%~4質量%などの水含有量(または水分含有量)を有している。
【0016】
液体マスターバッチ(例えば、開始時のマスターバッチ)は、少なくとも1種の充填剤および、随意選択的に、他の成分を含むエラストマーを含んでいる。例えば、液体マスターバッチは、乾燥質量基準で、エラストマー中に予備分散された10phr~100phrの充填剤、またはエラストマー中に予備分散された20phr~100phr、20phr~80phr、30phr~70phr、または40phr~60phrの充填剤などを含むことができる。他の成分は、0.1phrから50phr未満の量で存在することができる。
【0017】
液体マスターバッチは、ここで記載された、そして例示された、そして当技術分野で知られているように、いずれかのエラストマー、いずれかの充填剤、いずれかの添加剤、およびそれらのいずれかの組み合わせを、いずれかの量で含むことができる。最終的な複合材中に含まれる合計の充填剤は、ここに開示された方法に従って加えられた湿潤充填剤に加えて、液体マスターバッチ中に予備分散された充填剤を含んでいる。
【0018】
液体マスターバッチは、液体マスターバッチプロセスによって作られた複合材、混合物または配合物であることができ、そしてエラストマー中に分散された充填剤の予備混合されたいずれかの複合材であることができ、一方で、エラストマーは、液体状態、例えばラテックス、分散液または溶液、あるいは湿潤状態、例えば合成ゴムもしくは天然ゴム製造プロセスからの中間材料、である。液体マスターバッチは、いずかの液体-液体マスターバッチ、または他の液体もしくは湿潤マスターバッチプロセス、例えば米国特許第6,048,923号、第6,929,783B2号、第8,586,651B2号、第10,000,612B2号、第10,000,613B2号、第10,301,439B2号、第10,125,229B2号、第9,758,627B2号、第10,179,843B2号、第10,343,455号、第10,106,674号、第10,017,612号、第10,253,141号、第9,834,658号、第9,616,712号、米国特許出願公開第2019/002650A1号、第2019/031836A1号、国際公開WO2018/219631A1、および国際出願PCT/US20/36168、に記載されたプロセスによって得ることができ、これらの内容をここに参照することによって本明細書の内容とする。
【0019】
液体マスターバッチは、天然ゴムおよび/または合成エラストマーおよび/またはゴムであるか、あるいは、を含むことができる。エラストマーの種類としては、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR、溶液SBR(SSBR)、エマルジョンSBR(ESBR)、油展SSBR(OESSBR)など)、ポリブタジエン(BR)およびポリイソプレンゴム(IR)、エチレン-プロピレンゴム(EPDMなど)、イソブチレン系エラストマー(ブチルゴムなど)、ポリクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、多硫化ゴム、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、およびシリコーンエラストマーが挙げられる。
【0020】
例示のエラストマーとしては、天然ゴム、SBR、BR、IR、官能化SBR、官能化BR、官能化NR、EPDM、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、CR、NBR、HNBR、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、およびシリコーンゴム、例えば、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、水素化SBR、およびそれらの混合物が挙げられる。2種または3種以上のタイプのエラストマーの混合物を、合成ゴムと天然ゴムのブレンドを含めて、または2種もしくは3種以上のタイプの合成または天然ゴムで、形成されることができる。本方法に用いることができる他の合成ポリマーとしては(単独で、または混合物としてのいずれか)、水素化SBR、および熱可塑性ブロック共重合体(例えば、再生使用可能なものなど)が挙げられる。合成ポリマーとしては、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエンおよびイソプレンの共重合体が挙げられる。他の合成エラストマーとしては、メタロセン化学で合成されたものが挙げられ、そこでは、金属が、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Tm、Yb、Lu、Co、Ni、およびTiから選択される。生物系モノマーから作られたポリマーもまた用いられることができ、例えば、ASTM D6866で規定された現代炭素(modern carbon)を含むモノマーで、例えば米国特許第9,868,853号明細書(その開示をここに引用することによって本明細書の内容とする)に開示された生物系スチレンモノマーから作られたポリマー、または生物系モノマー、例えばブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、ファルネセン、およびそれらのコモノマーから作られたポリマー。例えば、混合物は、1種もしくは2種以上のエラストマー(「更なる」または「第2の」エラストマーなど)を少なくとも1種の液体マスターバッチと混合することによって形成されることができ、そして結果として得られる混合物は、次いでミキサーへ、湿潤充填剤とともに充填される。あるいは、更なるエラストマーは、ミキサーに、液体マスターバッチととともに、そして湿潤充填剤が続いて混合することによって、充填されることができる。1つの選択肢として、更なるエラストマーは、ミキサーへ、別個に、またはエラストマー予備混合物として、充填されることができる。
【0021】
あるいは、および/または、加えて、液体マスターバッチを湿潤充填剤(および随意選択的に更なるエラストマー)と混合した後に排出された複合材は、1種もしくは2種以上のエラストマーまたは更なるマスターバッチと更に混合されることができる。更なるマスターバッチは、液体マスターバッチ、固体エラストマーを充填剤(湿潤または乾燥充填剤、例えばシリカ、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、および/またはここに開示されたいずれかの充填剤)と混合することによって形成されたマスターバッチ、湿潤状態のマスターバッチ、例えば、湿潤状態の液体マスターバッチの全質量を基準として25質量%の水(または水分もしくは水性流体含有量)を有する、合成ゴムもしくは天然ゴム製造プロセスまたは複合材製造プロセスからの中間材料、またはそれらの混合物、であることができる。
【0022】
例えば、更なるマスターバッチは、溶媒マスターバッチプロセスから形成された液体マスターバッチであることができる。例えば、シリカ/エラストマーマスターバッチは、米国特許第9,758,627号および第10,125,229号明細書に記載されているように、調製されることができ、または米国特許第9,758,646号明細書に記載されているようなネオジム触媒されたポリブタジエンからのマスターバッチであることができ、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。マスターバッチは、繊維状充填剤、例えば米国特許第6,068,922号明細書に記載されたようなポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)パルプであることができ、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。他のマスターバッチとしては、国際公開WO 2020/247663に記載されたものが挙げられ、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。例えば、マスターバッチは、充填剤、例えばカーボンブラック、および/またはシリカならびにブタジエンゴムを有することができる。更なるマスターバッチは、商業的に入手可能なマスターバッチ、例えばEmulsil(商標)シリカ/SBRマスターバッチまたはEmulblack(商標)カーボンブラック/SBRマスターバッチ(両方とも、Dynasol groupから入手可能)であることができる。更なるエラストマーまたは更なるマスターバッチは、液体マスターバッチとして同じエラストマー、または少なくとも1種のここに記載されたまたは当技術分野で知られている1種もしくは2種以上のエラストマーから選択された他のエラストマーを含むことができ、そしてここに記載された、または当技術分野で知られている少なくとも1種のゴム薬品を更に含むことができる。
【0023】
エラストマー混合物を含む例示的なマスターバチとしては、天然ゴムと、合成の、生物由来の、および/または官能化されたエラストマー(例えば、SSBR、ESBR、BR)との混合物が挙げられ、ここで充填剤は、カーボンブラック、シリカ、およびケイ素処理カーボンブラックの1種もしくは2種以上から選択されることができる。
【0024】
液体マスターバッチは、天然ゴムであるか、または天然ゴムを含むことができる。また、天然ゴムは、いずれかの方法で化学的に変性されることができる。例えば、天然ゴムは処理されて、種々の非ゴム成分を化学的もしくは酵素学的に変性または変形することができるか、あるいは、ゴム分子それ自体を、種々のモノマーまたは他の化学基、例えば塩素で変性することができる。他の例としては、PCT公開WO2017/207912に記載された、最大で0.3質量%の窒素含有量を有するエポキシ化天然ゴムが挙げられる。
【0025】
他の例示的なエラストマーとしては、限定されるものではないが、ゴム、1,3-ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3-ジアルキル-1,3-ブタジエン(ここで、アルキルはメチル、エチル、プロピルなどであることができる)、アクリロニトリル、エチレン、プロピレンなどのポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマーおよび/またはターポリマー)が挙げられる。エラストマーは、示差走査熱量測定(DSC)によって測定して、120℃~0℃の範囲のガラス転移温度を有することができる。例としては、限定するものではないが、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴムおよびその誘導体、例えば塩素化ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)およびそれらのいずれかの油展誘導体が挙げられる。前述のもののいずれかの混合物もまた用いられることができる。特に好適な合成ゴムとしては、約10質量%~約70質量%のスチレンと約90~約30質量%のブタジエンを含むスチレンとブタジエンの共重合体、例えば19部のスチレンと81部のブタジエンの共重合体、30部のスチレンと70部のブタジエンの共重合体、43部のスチレンと57部のブタジエンの共重合体、および50部のスチレンと50部のブタジエンの共重合体;共役ジエンのポリマーおよびコポリマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレンなど、ならびにそのような共役ジエンと、それらと共重合可能なエチレン基含有モノマー、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロにトリル、2-ビニルピリジン、5-メチル-2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、アリル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、アルファ-メチルレンカルボン酸、およびそれらのエステルおよびアミド、例えばアクリル酸およびジアルキルアクリル酸アミド、との共重合体が挙げられる。また、ここでの使用に好適なものは、エチレンと他の高級アルファオレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、および1-ペンテンとの共重合体である。他のポリマーが、米国特許出願公開第2018/0282523号および欧州特許第2423253B1号明細書に開示されており、それらの開示がここに引用することによって、本明細書の内容とする。他のポリマーとしては、シリコーン系エラストマー、またはシリコーンと炭化水素ドメインを有するハイブリッド系が挙げられる。
【0026】
液体マスターバッチは、1個のまたは複数個のまたは塊の粒子状材料であることができる。複数個の液体マスターバッチまたは塊の粒子状材料は、当技術分野で知られている方法を用いて、切断または粉砕することによって得ることができる。それらの片の大きさは、少なくとも1μm、例えば少なくとも10μmまたは少なくとも100μm、10cm以下、5cm以下、または1cm以下の寸法を有することができる。
【0027】
少なくとも液体マスターバッチおよび湿潤充填剤が、ミキサー中へ充填される(例えば、供給される、導入される)。充填は、限定するものではないが、コンベヤ送り、計量、投入、ならびあるいは液体マスターバッチと湿潤充填剤のミキサー中へのバッチ式、半連続式、または連続式の流れでの供給を含むいずれかの方法で起こることができる。
【0028】
充填工程の1つの選択肢として、湿潤充填剤をミキサー中に充填する前に、液体マスターバッチは、それが所定の温度、例えば約90℃または100℃以上の温度に到達するまで素練りされることができる。あるいは、いずれかの実際の混合の開始の前に、液体マスターバッチは、湿潤充填剤の少なくとも1部とともに、約90℃または100℃以上の温度まで素練りされることができる。この温度は、90℃~180℃、100℃~180℃、110℃~170℃、120℃~160℃、または130℃~160℃であることができる。エラストマーは、密閉式ミキサー、例えばバンバリーミキサー、押出機、ロールミル、連続式コンパウンダ、または他のゴム混合装置を用いて素練りされることができる。
【0029】
1つの選択肢として、湿潤充填剤の充填は、乾燥充填剤がミキサー中に導入され、そして液体を加えることによって湿潤化されて(逐次にまたは同時にまたはほぼ同時に、のいずれかで)、ミキサー中で湿潤充填剤が形成されるようなものであることができ、そして次いで液体マスターバッチがミキサーへと加えられることができる。湿潤化される乾燥充填剤の導入は、意図される充填剤の全てまたはその一部で行われることができる(例えば、湿潤充填剤の1部のもしくはそれ以上の更なる部分が、ミキサー中に更に加えられて、湿潤充填剤の意図された全量が得られる)。
【0030】
1つの選択肢として、液体マスターバッチ(全てもしくは一部)または湿潤充填剤(全てもしくは一部)は、別々にではあるが、しかしながら互いに20分間以内に、または15分間以内に、または10分間以内に、または5分間以内に、または1分間以内に、互いに30秒間以内に、または互いに15秒以内に加えられることができる。
【0031】
混合に関しては、混合は、1つもしくは2つ以上の混合工程で行われることができる。「1つもしくは2つ以上の混合工程」とは、1つの混合工程が行われるか、または第1の混合工程の後に、排出の前に更なる混合工程が続けられることであると理解される。例えば、1つもしくは2つ以上の混合工程は、第1の混合工程を含むことができ、そこでは、液体マスターバッチおよび湿潤充填剤は、最小量の液体が蒸発によって除去される条件のもとで混合される。例えば、第1の混合工程は、予備混合を形成することができる。この第1の混合工程からの混合物は、ついで第2の、または更なる混合工程に付されることができる。当技術分野で理解されているように、混合工程は、混合段階と同じである。
【0032】
上記のように、1つもしくは2つ以上の混合工程の間に、本発明の方法のいずれかにおいては、混合物および/または導入される湿潤充填剤中に存在する少なくともいくらかの液体は、少なくとも一部は蒸発によって除去される。1つの選択肢として、混合物から除去されたいずれかの液体の大部分(質量%で)は、蒸発によって起こる。例えば、混合工程の間に除去される液体の全質量を基準として、液体の少なくとも50%は、蒸発によって除去される。除去された液体の全質量は、湿潤充填剤の液体含有量と、ミキサーから排出された時の複合材中に残留しているいずれかの液体プラス、複合材がミキサーから排出される時に液体として排出されることができる、ミキサー中に存在するいずれかの液体との間の差異から決定されることができる。例えば、複合材が排出された時に、更なる液体も、複合材とともに、またはミキサーに設けられた他の出口を通して、のいずれかで、排出されることができる。他の例としては、ミキサーに充填される湿潤充填剤中に含有される全液体の、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70%質量%、少なくとも80質量%、または51質量%~100質量%、51質量%~95質量%、51質量%~90質量%、51質量%~80質量%、51質量%~70質量%、60質量%~100質量%、60質量%~95質量%、60質量%~90質量%、または60質量%~80質量%の蒸発による液体の除去が挙げられる。
【0033】
1つの選択として、1つもしくは2つ以上の混合工程または段階は、混合物から液体の一部を、圧搾、圧縮、および/または絞り、またはそれらのいずれかの組み合わせよって、更に除去することができる。あるいは、液体の一部は、複合材が排出された後に、または排出される途中に、ミキサーから排出されることができる。
【0034】
本発明の方法に用いられることができるミキサーに関しては、充填剤を液体マスターバッチと混合することができる(例えば、一緒に混合する、または一緒に配合する)、いずれかの好適なミキサーが用いられることができる。ミキサーは、バッチミキサーまたは半連続式ミキサーまたは連続式ミキサーであることができる。ミキサーおよびプロセスの組み合わせが、本発明において用いられることができ、そしてそのミキサーは、前後の順番で、および/または他の処理装置と組み合わせて、用いられることができる。ミキサーは、密閉式ミキサーまたは閉鎖されたミキサーまたは開放型ミキサー、あるいは押出機または連続式コンパウンダまたは混錬ミキサーまたはそれらの組み合わせであることができる。ミキサーは、充填剤を液体マスターバッチ中に混合することができ、および/または充填剤をエラストマー中に分散させることができ、および/または充填剤をエラストマー中に分配させることができる。ゴム配合物を生成するための商業的なミキサーのいずれかまたは組み合わせが、本発明の方法に用いられることができる。
【0035】
ミキサーは、1つもしくは2つ以上のロータ(少なくとも1つのロータ)を有することができる。少なくとも1つのロータまたは1つもしくは2つ以上のロータは、スクリュー型ロータ、噛合い型ロータ、タンジェンシャルロータ、混錬ロータ、押出機に用いられるロータ、有意な全体の比エネルギーを与えるロールミル、またはクレーパー(creper)ミルであることができる。通常、1つもしくは2つ以上のロータは、ミキサー中で用いられ、例えばミキサーは、1つのロータ(例えば、スクリュー型のロータ)、2つ、4つ、6つ、8つ、または9つ以上のロータを組み込むことができる。ロータのセットは、与えられたミキサー構成の中で、平行の方向に、および/または順次の方向に配置されることができる。
【0036】
1つもしくは2つ以上の混合工程は、単一の混合工程、例えば1段、または1段の混合工程もしくはプロセスであることができる。少なくとも1つのミキサー温度が温度制御手段によって制御される。更には、少なくとも1つのミキサーの1つもしくは2つ以上のロータは、混合時間の少なくとも50%に亘って少なくとも0.6m/秒の先端速度で運転され、および/または温度制御手段は、65℃以上の温度(TCU温度)に設定されることができる。1つもしくは2つ以上の混合工程は、バッチ式または連続式混合であることができる。特定の例においては、1段のまたは単一の混合工程において、複合材は、10質量%以下の液体含有量で排出されることができる。他の態様では、2つもしくは3つ以上の混合工程または混合段階が、混合工程の1つが、上記の条件の1つもしくは2つ以上のもとで行われる限りにおいて、行われることができる。
【0037】
温度制御手段は、限定するものではないが、ミキサーの1つもしくは2つ以上の部分において、経路を通過する伝熱流体の流れまたは循環であることができる。例えば、伝熱流体は、水または伝熱オイルであることができる。例えば、伝熱流体は、ロータ、混合チャンバ壁、ラム、およびドロップドアを通過して流れることができる。他の態様では、伝熱流体は、ジャケット(例えば、流体流動手段を有するジャケット)、またはミキサーの1つもしくは2つ以上の部分の周りのコイルを流れることができる。他の選択肢としては、温度制御手段は(例えば、熱を供給する)、ミキサー中に埋め込まれた電気素子であることができる。温度制御手段を与える系は、伝熱流体の温度またはミキサーの1つもしくは2つ以上の部分の温度のいずれかを測定する手段を更に含むことができる。温度測定値は、伝熱流体の加熱および冷却を制御するのに用いられる系に供給されることができる。例えば、ミキサーの少なくとも1つの表面の所望の温度は、ミキサーの1つもしくは2つ以上の部分、例えば、壁、ドア、ロータなど、に隣接する経路内に位置する伝熱流体の温度を設定することによって制御されることができる。
【0038】
少なくとも1つの温度制御手段の温度は、1つもしくは2つ以上の温度制御ユニット(「TCU」)によって設定および維持されることができる。この設定温度、もしくはTCU温度は、ここでは「Tz」とも表される。伝熱流体を含む温度制御手段の場合には、Tzは、流体自体の温度の指標である。
【0039】
1つの選択肢として、温度制御手段は30℃~150℃、40℃~150℃、50℃~150℃、または60℃~150℃、例えば30℃~155℃、30℃~125℃、40℃~125℃、50℃~125℃、60℃~125℃、30℃~110℃、40℃~110℃、50℃~110℃、60℃~110℃、30℃~100℃、40℃~100℃、50℃~100℃、60℃~100℃、30℃~95℃、40℃~95℃、50℃~95℃、50℃~95℃、30℃~90℃、40℃~90℃、50℃~90℃、65℃~95℃、60℃~90℃、70℃~110℃、70℃~100℃、70℃~95℃、70℃~90℃、75℃~110℃、75℃~100℃、75℃~95℃、または75℃~90℃の範囲の温度、Tzに設定されることができる。他の範囲も当技術分野で利用可能な装置で可能である。
【0040】
乾式混合と比較して、充填剤の種類、エラストマーの種類、およびミキサーの種類の同じ状態で、本プロセスは、より高いエネルギーの投入を可能にさせる。混合物からの制御された水の除去は、より長い混合時間を可能とさせ、そして従って充填剤の分散を向上させる。ここに記載されているように、本方法は、より長い混合時間と妥当な時間内での水の蒸発または除去とのバランスをとる操作条件を提供する。
【0041】
考慮されるべき他の操作パラメータとしては、用いられることのできる最大の圧力が挙げられる。圧力は、充填剤とゴム混合物の温度に影響する。ミキサーがラムを備えたバッチミキサーである場合には、ミキサーチャンバ内部の圧力は、ラムシリンダに加えられる圧力を制御することによって影響されることができる。
【0042】
ここに開示されているように、液体マスターバッチは、少なくとも1種のエラストマーを含み、エラストマー中に充填剤が分散される。マスターバッチ中に分散された充填剤は、湿潤充填剤の充填剤と同じか、または異なっていることができ、従って、液体マスターバッチは、第1の充填剤を含み、そして湿潤充填剤は第2の充填剤を含むことができる。第1および第2の充填剤は、独立して、単一の充填剤または充填剤の混合物を含むことができる。例えば、第1の充填剤は、充填剤混合物であることができるが、しかしながら一方で、第2の充填剤は、単一の充填剤の種類であることができ、第1の充填剤は単一の充填剤の種類であることができ、そして第2の充填剤は充填剤混合物であることができ、あるいは第1および第2の充填剤は、それぞれが単一の充填剤の種類、またはそれぞれが充填剤混合物であることができる。
【0043】
ここに開示されたいずれかの方法では、ミキサーからの排出工程が発生し、少なくとも20phr、例えば20~250phrの合計の充填量で、またはここに記載された他の充填量で、すなわち少なくとも第1および第2の充填剤の合計で、天然ゴム中に分散された充填剤を含む複合材をもたらす。1つの選択肢として、排出は、規定された混合時間を基に起こる。混合の開始と排出の間の混合時間は、約1分間以上、例えば、約1分間~40分間、約1分間~30分間、約1分間~20分間、または1分間~15分間、または3分間~30分間、5分間~30分間、または5分間~20分間、または5分間~15分間、または1分間~12分間、または1分間~10分間または他の時間であることができる。あるいは、バッチ式の密閉式ミキサーでは、ラムの休止時間は、バッチ混合時間、例えば、ミキサーが、ラムがその最も低い位置で、例えば完全に固定された位置またはラムが撓んでいて(PCT公開WO2020/247663に記載されているように、その内容を引用することによって本明細書の内容とする)、運転される時間、を監視するためのパラメータとして用いられることができる。ラムの休止時間は、30分間以下、15分間以下、10分間以下、または3分間~30分間、または5分間~15分間、または5分間~10分間の範囲であることができる。1つの選択肢として、排出は、放下もしくは排出温度を基に起こる。例えば、ミキサーは、120℃~190℃、130℃~180℃、例えば140℃~180℃、150℃~180℃、130℃~170℃、140℃~170℃、150℃~170℃の範囲の、またはそれらの範囲内もしくは範囲外の他の温度の放下温度を有することができる。
【0044】
本方法は、形成された複合材をミキサーから排出することを更に含んでいる。排出された複合材は、下記の式で略記されるように、複合材の全質量を基準として10質量%以下の水含有量を有することができる。
複合材の水含有量,%=100×[水の質量]/[水の質量+乾燥複合材の質量]
【0045】
ここに開示されたいずれかの方法では、排出された複合材は、複合材の全質量を基準として、10質量%以下の、5質量%以下の(例えば、充填剤も水を含んでいる)、2質量%以下の、または1質量%以下の水含有量を有することができる。この量は、プロセスの最後においてミキサーから排出される複合材の全質量を基準として、0.1質量%~10質量%、0.1質量%~5質量%、0.1質量%~3質量%、0.1質量%~2質量%、0.5質量%~5質量%、または0.5質量%~5質量%の範囲であることができる。
【0046】
ここに開示されたいずれかの方法において、複合材中の水含有量(「水分含有量」)は、複合材の全質量を基準として、複合材中に存在する水の質量として測定されたものであることができる。ゴム材料中の水含有量を測定するためのいずれかの数の機器が当該技術分野で知られており、例えば、電量分析カールフィッシャー滴定システム、または水分秤、例えばメトラー社(Toledo International, Inc.、コロンバス、オハイオ州)製である。
【0047】
ここに開示された方法のいずれかでは、排出された複合材は10質量%以下の水含有量を有する一方で、随意選択的に、排出される複合材中に保持されていない、ミキサー中に存在する水であることができる。この過剰の水は、複合材の1部ではなく、そして複合材について計算されたいずれかの水含有量の1部ではない。
【0048】
ここに開示された方法のいずれかでは、ミキサーに充填される材料の全体の水含有量は、プロセスの終わりに排出される複合材の水含有量よりも多い。例えば、排出される複合材の水含有量は、ミキサー中に充填される材料の液体含有量よりもより、10%~99.9%(質量%対質量%)、10%~95%、または10%~50%の量だけ少なくあることができる。
【0049】
幾つかの乾式混合プロセスでは、1種もしくは2種以上のゴム薬品(例えば、加工助剤)を、充填剤の混合を援けるために、混合サイクルの早期に充填されることができる。しかしながら、ゴム薬品は、充填剤とエラストマー表面の間の結合または相互作用を妨げる可能性があり、そして架橋物特性に悪影響を与える可能性がある。湿潤充填剤の使用が、そのようなゴム薬品の不存在で、または実質的な不存在での混合を可能にさせることが見出された、
【0050】
従って、1つの選択肢として、ここに開示されたいずれかの方法は、ミキサーに少なくとも液体マスターバッチと湿潤充填剤を充填することを含み、そして1つもしくは2つ以上の混合工程において、液体マスターバッチと湿潤充填剤を混合して、ゴム薬品の実質的な不存在で、少なくとも1つの温度制御手段によって制御されたミキサー温度において、混合物を形成する。随意選択的に、本プロセスは、劣化防止剤および架橋剤から選択された少なくとも1種の添加剤を、充填または混合の間に、すなわち1つもしくは2つ以上の混合工程の間に、加えることを更に含んでいる。そのような劣化防止剤(例えば、酸化防止剤)および架橋剤の例が、ここに記載されている。ここで規定される「実質的な不存在」は、充填工程および1つもしくは2つ以上の混合工程が、この複合材から調製される加硫物、例えば硬化された複合材中に最終的に与えられるゴム薬品の全量の、10質量%未満での、1種もしくは2種以上のゴム薬品の存在で行われることができる、あるいは、充填工程および1つもしくは2つ以上の混合工程が、最終的なこの複合材中のゴム薬品の全量の5質量%未満、または1質量%未満の量での1種もしくは2種以上のゴム薬品の存在で行われることができるプロセスを表している。複合材中にゴム薬品を含むことは任意であるので、1種もしくは2種以上のゴム薬品の「実質的な不存在」を決定する好適な指標は、複合材から調製される加硫物中の、例えば複合材を硬化した後の、目標とされる量を決定することである。従って、1種もしくは2種以上のゴム薬品の名目上の量は、前記の充填または混合の間に加えられることができるが、しかしながら充填剤-エラストマー相互作用を妨げるのに十分な量ではない。「実質的な不存在」の更なる例としては、充填および混合が、結果として得られる加硫物を基準として、5phr以下、4phr以下、3phr以下、2phr以下、1phr以下、または0.5phr以下、0.2phr以下、0.1phr以下の量または充填量での1種もしくは2種以上のゴム薬品の存在で行われることができる。
【0051】
ここに開示されたいずれかの態様では、1つの選択肢として、少なくとも液体マスターバッチと湿潤充填剤の混合が開始された後に、そして排出工程の前に、本方法は、少なくとも1種の劣化防止剤をミキサーへ加えること、それによって少なくとも1種の劣化防止剤が、液体マスターバッチと湿潤充填剤とに混合されることを更に含むことができる。劣化防止剤の随意選択的な添加は、排出工程の前のいずれかの時間に起こることができる。例えば、劣化防止剤の添加は、複合材が形成され、そして10%未満の、または5質量%未満の水含有量を有する前に起こることができる。導入されることができる劣化防止剤の例としては、N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)、および本明細書の他の節に記載された他のものであることができる。劣化防止剤は、形成される複合材の質量を基準として、1質量%~5質量%、0.5質量%~2質量%、または0質量%~3質量%の範囲の量で導入されることができる。充填工程または混合工程の間に加えられる劣化防止剤は、エラストマーの混合の間の劣化を防止することを援けることができるが、しかしながら、混合物中の水の存在のために、エラストマーの劣化の速度は、乾式混合プロセスと比較して、より低く、そして劣化防止剤の添加は遅れさせることができる。
【0052】
複合材が形成され、そして排出された後に、本方法は、複合材を、更なるエラストマーと混合して、エラストマーの混合物を含む複合材を形成する随意選択的な工程を更に含むことができる。「更なるエラストマー」または第2のエラストマーは、更なる天然ゴムであることができ、あるいは天然ゴムではない、例えばここに開示されたいずれか1種もしくは2種以上の合成エラストマー(例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエン(BR)およびポリイソプレンゴム(IR)、エチレン・プロピレンゴム(例えばEPDM)、イソブチレン系エラストマー(例えばブチルゴム)、ポリクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、多硫化ゴム、ポリアクリレートエラストマー、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、シリコーンエラストマー)であることができる。合成および天然ゴムの混合物または2種もしくは3種以上の種類の合成または天然ゴムの混合物を含む、2種もしくは3種以上の種類のエラストマーの混合物(第1および第2のエラストマーの混合物)も同様に用いられることができる。
【0053】
液体マスターバッチおよび湿潤充填剤に加えて、ミキサーには、少なくとも1種の更なるエラストマーの1回もしくは2回以上の充填で、充填されることができ、複合材混合物が形成される。他の選択肢としては、本プロセスは、排出された複合材を更なるエラストマーと混合して、混合物を形成することを含むことができる。少なくとも1種の更なるエラストマーは、固体エラストマーと同じであるか、または固体エラストマーと異なってることができる。
【0054】
あるいは、複合材は、排出された時に、劣化防止剤および架橋剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含むことができ、それは、充填または混合の間のいずれかの時間に加えられる。
【0055】
あるいは、1種もしくは2種以上のゴム薬品は、120℃以上のミキサー温度で加えられることができ、この時点で、充填剤は、エラストマー中に分配され、そして混合されており、そしてゴム薬品の添加は、充填剤とエラストマーとの間の相互作用を妨げないことが予想される。
【0056】
ここに開示されたいずれかの方法では、ミキサーからの排出工程が起こり、そして少なくとも20phrの充填量でエラストマー中に分散された充填剤(第1および第2の充填剤の合計)を含む複合材がもたらされる。例えば、充填剤の充填量は、20phr~250phr、20phr~200phr、20phr~180phr、20phr~150phr、20phr~100phr、20phr~90phr、20phr~80phr、30phr~200phr、30phr~180phr、30phr~150phr、30phr~100phr、30phr~80phr、30phr~70phr、40phr~200phr、40phr~180phr、40phr~150phr、40phr~100phr、40phr~80phr、35phr~65phr、または30phr~55phrの範囲であることができる。1つの選択肢として、他の充填剤充填量が適用可能であり、そしてここに開示されている。充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、ケイ素処理カーボンブラック、およびここに開示された他の充填剤、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
特定の態様では、充填剤の少なくとも50%(例えば、充填剤の少なくとも75%、または少なくとも90%)は、カーボンブラック、ならびにそのコーティングされた、および処理された材料から選択される。特定の態様では、充填剤の少なくとも50%(例えば、充填剤の少なくとも75%、または少なくとも90%)は、シリカである。特定の態様では、充填剤の少なくとも50%(例えば、充填剤の少なくとも75%、または少なくとも90%)は、ケイ素処理カーボンブラックである。
【0058】
ここに開示された方法のいずれかで用いられる湿潤充填剤は、固体材料、例えば、粉末、ペースト、ペレットまたはケーキの形態の固体の塊の材料であることができる。本方法においては、湿潤充填剤は、エラストマー中に、20phr~250phr、20phr~200phr、例えば20phr~180phr、20phr~150phr、20phr~120phr、または20phr~100phrの範囲、ならびにここに開示された他の範囲の充填量で分散されることができる。
【0059】
ここに開示された方法のいずれかでは、湿潤充填剤、例えば湿潤カーボンブラック、湿潤シリカ、または湿潤ケイ素処理カーボンブラックは、充填剤の全質量に対して、80質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、例えば約15質量%~約80質量%、約20質量%~約80質量%、約25質量%~約80質量%、約30質量%~約80質量%、約35質量%~約80質量%、約40質量%~約80質量%、約15質量%~約70質量%、約20質量%~約70質量%、約25質量%~70質量%、約30質量%~70質量%、約35質量%~約80質量%、約40質量%~70質量%、約15質量%~約65質量%、約20質量%~約65質量%、約25質量%~約65質量%、約30質量%~約65質量%、約35質量%~約65質量%、約40質量%~約65質量%、約15質量%~約60質量%、約20質量%~約60質量%、約25質量%~約60質量%、約30質量%~約60質量%、約35質量%~約60質量%、または約40質量%~60質量%の、あるいはここに与えられるこれらの種々の値からのいずれかの他の範囲の液体含有量(例えば、水含有量)を有することができる。湿潤充填剤は、少なくとも30質量%(充填剤の質量を基準として)、または少なくとも40質量%の、または20質量%~80質量%の量の液体含有量を有することができる。
【0060】
ここに開示されているように、第1および第2の充填剤は、独立して、同じであるように、または異なるように選択されることができる。充填剤は、第1および/または第2の充填剤のいずれであっても、化学的に処理される(例えば、化学的に処理されたカーボンブラック、化学的に処理されたシリカ、ケイ素処理カーボンブラック)、および/または化学的に変性されることができる。充填剤は、結合された有機基を有するカーボンブラック、であるか、または、を含むことができる。充填剤は、充填剤上に存在する1種もしくは2種以上のコーティングを有することができる(例えば、ケイ素コーティングされた材料、シリカコーティングされた材料、炭素コーティングされた材料)。充填剤は、酸化されることができ、および/または他の表面処理を有することができる。
【0061】
第1および第2の充填剤は、独立して、粒子状、または繊維状、または平板状充填剤から選択されることができる。例えば、粒子状充填剤は、別個の塊から作られる。そのような充填剤は、しばしば3:1以下の、または2:1以下の、または1.5:1以下のアスペクト比(例えば、直径に対する長さ)を有することができる。繊維状充填剤は、例えば2:1以上の、3:1以上の、4:1以上の、あるいはそれ以上のアスペクト比を有することができる。典型的には、エラストマーを補強するのに用いられる充填剤は、顕微鏡的な(例えば、数百ミクロン以下)またはナノスケール(例えば、1ミクロン未満)である寸法を有している。カーボンブラックの場合には、粒子状カーボンブラックの別個の塊は、一次粒子から形成された凝集体または集塊と表され、そして一次粒子それ自体ではない。他の態様では、充填剤は、平板状の構造、例えばグラフェンおよび還元された酸化グラフェン、を有することができる。
【0062】
第1および第2の充填剤は、独立して、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、ナノセルロース、リグニン、クレイ、ナノクレイ、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、再生炭素、再生カーボンブラック(例えば、ASTM D8178-19に規定された、rCB、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン(例えば、PCT公開WO2019/070514A1に開示された還元型酸化グラフェンワーム、または2019年6月5日出願の米国仮出願第62/857,296号、およびPCT公開第2020/247681号に開示された高密化還元型酸化グラフェン顆粒、その開示をここに参照することによって、本明細書の内容とする)、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、それらの組み合わせ、およびそれらのコーティングされた、および処理された材料から選択された少なくとも1種の材料を含むことができる。他の好適な充填剤としては、カーボンナノ構造(CNS、単独のCNS)、例えば、デンドリマーの形式で、組み合わされた、絡まりあった、および/または共通の層を互いに共有して、分岐されていることによってポリマー構造の中で架橋されている複数のカーボンナノチューブ(CNTs)が挙げられる。CNS充填剤は、米国特許第9,447,259号およびPCT出願PCT/US2021/027814号に記載されており、その開示をここに参照することによって、本明細書の内容とする。充填剤は、化学的に処理されているか(例えば、化学的に処理されたカーボンブラック、化学的に処理されたシリカ、ケイ素処理カーボンブラック)、および/または化学的に変性されていることができる。充填剤は、結合された有機基を有するカーボンブラック、である、または、を含むことができる。充填剤は、充填剤上に存在する1種もしくは2種以上のコーティングを有することができる(例えば、ケイ素コーティングされた材料、シリカコーティングされた材料、炭素コーティングされた材料)。充填剤は酸化、および/または他の表面処理されていることができる。用いられることができる充填剤の種類(例えば、シリカ、カーボンブラック、または他の充填剤)に関しては、制限はない。
【0063】
前述のとおり、繊維状充填剤もまたここに開示された方法において、第1のおよび/または第2の充填剤として混合されることができ、天然繊維、半合成繊維、および/または合成繊維(例えば、ナノサイズの炭素繊維)、例えばPCT公開WO2021/153643に開示された短繊維が挙げられ、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。他の繊維状充填剤としては、Kevlar(登録商標)パルプ(Du Pont)として商業的に入手可能なポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)パルプが挙げられる。
【0064】
他の好適な充填剤としては、生物由来のもしくは生物系の材料(生物源から誘導された)、再生材料、または水熱炭素(HTC、この充填剤は、米国特許第10,035,957号および第10,428,218号明細書に記載された水熱炭化によって処理されたリグニンを含み、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)を含めた再生可能もしくは継続可能であると考えられる他の充填剤、籾殻シリカ、メタン熱分解からの炭素、加工されたポリサッカリド粒子、デンプン、珪質土、粉砕ゴム、および官能化粉砕ゴムが挙げられる。例示的な加工されたポリサッカリドとしては、米国特許出願公開第2020/0181370号および第2020/0190270号明細書に記載されたものが挙げられ、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。例えば、ポリサッカリドは、ポリアルファ-1,3-グルカン;ポリアルファ-1,3-1,6-グルカン;90%以上のα-1,3-グリコシド結合、1質量%未満のアルファ-1,3,6-グリコシド分岐点、および55~10000の範囲の数平均重合度をを有する水不溶性のアルファ-(1,3-グルカン)ポリマー;デキストラン;ポリアルファ-1,3-グルカンエステル化合物を含む組成物;ならびに約10~約1000の質量平均重合度(DPw)およびセルロースII結晶構造を有する水不溶性セルロースから選択されることができる。
【0065】
カーボンブラックは、未処理のカーボンブラックまたは処理されたカーボンブラックまたはそれらの混合物であることができる。充填剤は、ペレット、綿毛状の粉末、顆粒、および/または集塊、であるか、または、を含むことができる。湿潤カーボンブラックは、ペレット、顆粒、または集塊に、例えばペレタイザーで、流動床で、または湿潤充填剤を作る他の装置で、形成されることができる。
【0066】
湿潤カーボンブラックは、以下の1種もしくは2種以上であることができる。
・乾燥されていないカーボンブラック、および/または、
・乾燥されていないカーボンブラックペレット、および/または、
・例えば水で、ペレタイザー中で再湿潤化された乾燥カーボンブラック、および/または、
・粉砕されており、そしてペレタイザー中で、水で再湿潤化された乾燥カーボンブラック、および/または、
・水と混合された乾燥カーボンブラック、および/または、
・水と混合された綿毛状粉末、顆粒、または集塊。
【0067】
典型的なカーボンブラック製造においては、カーボンブラックは、初めは乾燥した、微細な粒子状(綿毛状)材料として調製される。この綿毛状のカーボンブラックは、慣用のペレット化プロセスによって、例えば、カーボンブラックを液体と混合することによって、例えば水を加えて、そしてその混合物をピンペレタイザーに供給することによって、高密度化されることができる。ピンペレタイザーは、当技術分野でよく知られており、そして米国特許第3,528,785号明細書に記載されたピンペレタイザーが挙げられる。結果として得られる湿潤ペレットは、更なる取り扱いおよび積み出しの前に、ペレットから液体を除去するように、次いで制御された温度および時間パラメータの下で加熱される。他のプロセスでは、カーボンブラックペレットは、乾燥工程を省いたプロセスによって製造されることができる。そのようなプロセスでは、ペレット化されたカーボンブラックは、湿潤カーボンブラックの全質量を基準として、少なくとも20質量%の、例えば少なくとも30質量%の、または少なくとも40質量%のプロセス水を含んでいる。
【0068】
あるいは、乾燥されているカーボンブラックペレット(例えば、商業的に入手可能なカーボンブラックペレット)は、ペレタイザー中で再湿潤化されることができる。ペレットは、顆粒化、粉砕、分級、および/または、例えばジェットミル中でミル粉砕されることができる。結果として得られるカーボンブラックは、綿毛状の形態であり、そしてペレタイザー中で再ペレット化されることができ、または水の存在で、別のやり方で圧縮もしくは集塊化してカーボンブラックを湿潤化することができる。あるいは、綿毛状カーボンブラックは、他の形態、例えば四角い塊りの形状に、当技術分野で知られている装置で、圧縮されることができる。他の選択肢としては、カーボンブラック、例えばカーボンブラックペレットまたは綿毛状カーボンブラックは、例えば流動床、噴霧器、ミキサー、または回転ドラムなどを用いることによって、湿潤化されることができる。液体が水である場合には、乾燥されていないカーボンブラックまたは再湿潤化されたカーボンブラックは、湿潤カーボンブラックの全質量に対して、20質量%~80質量%、30質量%~70質量%、または他の範囲、例えば55質量%~60質量%の範囲の水含有量を得ることができる。
【0069】
ここに開示されたいずれかの方法で用いられるカーボンブラックは、それが第1の充填剤および/または第2の充填剤のいずれかにかかわらず、補強カーボンブラック、半補強カーボンブラック、または、例えば20m2/g~250m2/g以上の範囲の統計的厚さ表面積(STSA)を有する他のカーボンブラックであることができる。STSA(統計的厚さ表面積)は、ASTM試験手順D-5816(窒素吸着によって測定される)を基に測定される。ASTM品種の補強グレードの例としては、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N299、N326、N330、N339、N347、N351、N358、およびN375カーボンブラックがある。ASTM品種の半補強グレードとしては、N539、N550、N650、N660、N683、N762、N765、N774、N787、N990カーボンブラック、および/またはN990グレードサーマルブラックがある。
【0070】
上記のように、カーボンブラックは、ゴムブラック、例えばカーボンブラックの補強グレードまたはカーボンブラックの半補強グレードであることができる。Cabot Corporationから入手可能な商標のRegal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Spheron(登録商標)、Sterling(登録商標)、Propel(登録商標)、Endure(登録商標)、およびVulcan(登録商標)、Birla Carbonから入手可能な(以前はColumbian Chemicalsから入手可能)商標のRaven(登録商標)、Statex(登録商標)、Furnex(登録商標)、およびNeotex(登録商標)、ならびにCDおよびHV系列、そしてOrion Engineered Carbonsから入手可能な(以前はEvonik and Degussa Industriesから入手可能)な商標のCorax(登録商標)、Durax(登録商標)、Ecorax(登録商標)、およびPurex(登録商標)CK系列、の名称で販売されているカーボンブラック、ならびにゴムまたはタイヤ用途に用いられる好適な他の充填剤もまた、種々の実施を伴う使用に活用されることができる。好適な化学的に官能化されたカーボンブラックとしては、国際公開WO96/18688および米国特許出願公開第2013/0165560号明細書に開示されたものが挙げられ、その開示を引用することによって本明細書の内容とする。それらのカーボンブラックのいずれかの混合物を用いることができる。
【0071】
カーボンブラックは、酸化されたカーボンブラック、例えば酸化剤を用いて表面処理されたカーボンブラック、であることができる。更に、顔料表面上にイオン性もしくはイオン化可能な基を導入する他の表面改質方法を用いて調製されたカーボンブラックもまた用いられることができる。酸化されたカーボンブラックを生成させるのに用いられることができるプロセスは、当技術分野で知られており、そしていくつかの種類の酸化カーボンブラックが商業的に入手可能である。
【0072】
カーボンブラックは、ファーネスブラック、ガスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、またはランプブラック、プラズマブラック、再生カーボンブラックは(例えば、ASTM D8178-19に規定された)またはケイ素含有種および/または金属含有種を含む炭素製品などであることができる。カーボンブラックは、少なくとも1つの炭素相と少なくとも1つの金属含有種の相もしくはケイ素含有種の相を含む多相凝集体、すなわちケイ素処理カーボンブラックであることができる。ケイ素処理カーボンブラックでは、ケイ素含有種が、例えばケイ素の酸化物もしくは炭化物として、カーボンブラックの少なくとも1部をとおして、カーボンブラックの固有の部分として分配されている。ケイ素処理カーボンブラックは、コーティングされた、または他の様に変性されたカーボンブラック凝集体ではなく、二相の凝集体粒子を実際に表している。1つの相は炭素であり、それは黒煙状結晶および/または無定形炭素としてなお存在しており、一方で、第2の相はシリカ、そしてあるいは他のケイ素含有種である)。従って、ケイ素処理カーボンブラックのケイ素含有種の相は、凝集体の固有の部分であり、凝集体の少なくとも1部を通して分配されている。Ecoblack(商標)ケイ素処理カーボンブラックはCabot Corporationから入手可能である。それらのケイ素処理カーボンブラックの製造および特性が、米国特許第6,028,137号明細に記載されており、その開示をここに引用することによって本明細書の内容とする。
【0073】
他の選択肢として、充填剤、例えばカーボンブラックは、それが第1および/または第2の充填剤のいずれでも、化学的に処理されていることができる。例えば、カーボンブラックは、少なくとも1つの有機基が結合されていることができる。結合は、ジアゾニウム反応によって起こることができ、少なくとも1つの有機基は、例えば、米国特許第5,554,739号、第5,630,868号、第5,672,198号、第5,707,432号、第5,851,280号、第5,885,335号、第5,895,522号、第5,900,029号、第5,922,118号明細書に詳述されているように、ジアゾニウム塩を有しており、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。
【0074】
充填剤に関しては、それが第1および/または第2の充填剤のいずれでも、1つの選択肢として、少なくともシリカ、1種もしくは2種以上の種類のシリカ、またはシリカのいずれかの組み合わせであり、ここに開示されたいずれかの態様において用いられることができる。シリカとしては、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、シリカゲル、および/またはコロイド状シリカ、を挙げることができるか、または、であることができる。シリカは、未処理のシリカおよび/または化学的に処理されたシリカ、であることができるか、または、を挙げることができる。シリカは、エラストマー複合材を補強するために好適であることができ、そして約20m2/g~約450m2/gのブルナウアーエメットテラー表面積(BET、多点法BET窒素吸着、ASTM D1993によって測定される)によって特徴付けられる。高度に分散可能な沈降シリカ(「HDS」)は、集塊しない、そしてエラストマーマトリックス中に分散する実質的な能力を有するいずれかのシリカを意味していると理解される。そのような分散の確認は、知られている方法で、エラストマー複合材の薄い断片を、電子顕微鏡または光学顕微鏡によって観察されることができる。HDSの商業的な品種の例としては、WR Grace & CoのPerkasil(登録商標)GT 3000GRAN silica、Evonik IndustriesのUltrasil(登録商標)7000 silica、Solvay S.A.のZeosil(登録商標)1165 MP、1115 MP, Premium、および1200 MP silica、PPG Industries, Inc.のHi-Sil(登録商標)EZ 160G silica、ならびにEvonik Industries のZeopol(登録商標)8741 or 8745 silicaが挙げられる。慣用のHDSでない沈降シリカもまた用いられることができる。慣用の沈降シリカの商業的品種の例としては、WR Grace & Co のPerkasil(登録商標)KS 408 silica、Solvay S.A.のZeosil(登録商標)175GR silica、Evonik Industries のUltrasil(登録商標)VN3 silica、およびPPG Industries, Inc.のHi-Sil(登録商標)243 silicaが挙げられる。表面にシランカップリング剤が結合された沈降シリカもまた用いられることができる。化学的に処理された沈降シリカの商業的品種の例としては、PPG Industries, Inc.のAgilon(登録商標)400、454、または458 silica、およびEvonik IndustriesのCoupsil silicas、例えばCoupsil(登録商標)6109 silicaが挙げられる。沈降プロセスから得られた、ケーキもしくはペーストの形態のシリカの中間形態で、乾燥されていないもの(乾燥されていないシリカ)は、湿潤充填剤として、ミキサーに直接に加えられることができ、従って、沈降シリカの慣用の製造で用いられる複雑な乾燥工程および他の下流の処理工程が省かれる。
【0075】
いずれかの態様において、そしていずれかの工程において、カップリグン剤は、カップリング剤が複合材中に分散されるようになる機会を有する限りにおいて、いずれの工程(または複数の工程もしくは位置)においても導入されることができる(例えば、本方法は、ミキサーにカップリング剤を充填する工程を更に含む)。カップリング剤は、1種もしくは2種以上のシランカップリング剤、1種もしくは2種以上のジルコン酸塩カップリング剤、1種もしくは2種以上のチタン酸塩、1種もしくは2種以上のニトロカップリング剤、またはそれらのいずれかの組み合わせであることができる、または、が挙げられる。カップリング剤は、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン(例えば、Evonik IndustriesのSi 69、Struktol CompanyのStruktol SCA98)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン(例えば、Evonik IndustriesのSi 75およびSi 266、Struktol CompanyのStruktol SCA985)、3-チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(例えば、Evonik IndustriesのSi 264)、ガンマ-メルカプトプロピル-トリメトキシシラン(例えば、Evonik IndustriesのVP Si 163、Struktol CompanyのStruktol SCA989)、ガンマ-メルカプトプロピル-トリエトキシシラン(例えば、Evonik IndustriesのVP Si 263)、ジルコニウムジネオアルカノラトジ(3-メルカプト)プロピオナト-O,N,N‘-ビス(2-メチル-2-ニトロプロピル)-1,6-ジアミノヘキサン、S-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)オクタンチオエート(例えば、Momentive(Friendly、ウエストバージニア州)のNXTカップリング剤)、および/または商業的に同様の、または1つもしくは2つ以上の同じ化学基を有するカップリング剤であることができる、または、が挙げられる。カップリング剤の更なる特定の例としては、商品名で、限定されるものではないが、Evonik IndustriesのVP Si 363、およびMomentiveのNXT ZおよびNXT Z-50 silanesが挙げられる。カップリング剤として機能することができる他の化合物としては、ニトロキシドラジカルを有するそれらの化合物、例えば、米国特許第6,084,015号、第6,194,509,号、第8,584,725号、および米国特許出願公開第2009/0292044号に開示されたTEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル)(それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、あるいは米国特許第10,239,971号、第10,202,471号、第10,787,471号、および米国特許出願公開第2020/0362139号に開示されているニトリルオキシド、ニトリルイミンおよびニトロン1,3-双極子化合物が挙げられ、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。ここに開示されたカップリング剤は、それをここに開示されたプロセスのいずれかに用いる前に、シリカの疎水性表面改質(予備カップリングされた、または前処理されたシリカ)を与えるのに用いられることができる。エラストマー、添加剤、および更なる複合材料のいずれかの組み合わせを、例えば配合機中でエラストマー複合材料に添加できることが理解されなければならない。
【0076】
他の選択肢として、混合工程は(例えば、充填剤は、シリカおよび/またはケイ素処理カーボンブラックを含む)、カップリング剤なしで実施されることができる。
【0077】
他の充填剤が、米国特許出願公開第2018/0282523号および欧州特許第2423253B1号明細書に開示されており、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。
【0078】
密閉型ミキサーの具体的な種類としては、バンバリーミキサーまたはブラベンダーミキサーがあり、それらのいずれもここに記載された複合材を形成する方法に用いられることができる。密閉型ミキサーは、タンジェンシャル密閉型ミキサーであることができる。密閉型ミキサーは、噛合い式密閉型ミキサーであることができる。他のミキサーとしては、混錬型の密閉型ミキサーが挙げられる。Farrel-Pomini、Harburg Freudenberger Maschinenbau GmbH (HF)、Kobelco、またはPelmar Eng’r Ltdの商業的に入手可能な密閉型ミキサーが用いられることができる。用いられることができるミキサーおよび設計の例が、欧州特許第2423253B1号、および米国特許第7,556,419号、に記載されており、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。他の選択肢として、ミキサーは連続式ミキサーであることができる。例えば、液体マスターバッチおよび湿潤充填剤は、連続式密閉型ミキサー、2軸スクリュー押出機、単軸スクリュー押出機、またはロールミルの1つもしくは2つ以上を用いて機械的に加工されることができ、例えば、米国特許第9,855,686B2号明細書に記載されたものであり、その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする。好適な混錬および素練り装置がよく知られており、そして商業的に入手可能であり、例えば、Farrel Pomini Corporation(Ansonia、コネチカット州)のUnimix Continuous MixerおよびMVX(混合、脱気、押出)Machine、Pomini, Inc.のFCM(商標)Farrel Continuous Mixe、長軸の連続式ミキサー、Pomini連続式ミキサー、2軸ロータ共回転噛合い押出機、2軸ロータ逆回転非噛合い押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダミキサ、噛合い型密閉型ミキサー、混錬型密閉型ミキサー、連続式配合押出機、Kobe Steel, Ltd.の2軸混錬押出機、およびKobe連続式ミキサー。本発明の種々の態様で用いるのに好適な代替の素練り装置は、当業者に馴染みである。
【0079】
排出された複合材は、1つもしくは2つ以上の後加工工程に付されることができる。後加工は、いずれかの混合工程の後に行われることができる。多段階の混合では、後加工は、第1段および/または第2段などの後に実施されることができる。複合材は、後加工されて、乾燥され、均一化され、押し出され、カレンダー加工され、混錬などされた複合材を提供することができる。1つもしくは2つ以上の後加工工程は、成型し、または形成し、または向上した取り扱いを可能にすることができるが、しかしながら好ましくは実質的に充填剤を分散はしない。
【0080】
ここに開示された複合材のいずれかの製造方法において、本方法は、複合材の形成の後に、以下の工程の1つもしくは2種以上を更に含んでいる。
・1つもしくは2つ以上の保持工程(holding steps)、
・1つもしくは2つ以上の乾燥工程が、乾燥複合材を得るように、複合材を更に乾燥するように用いられることができる、
・1つもしくは2つ以上の押出工程、
・1つもしくは2つ以上のカレンダー加工工程、
・ミル加工された複合材を得るための1つもしくは2つ以上のミル加工工程、
・1つもしくは2つ以上の顆粒化工程、
・1つもしくは2つ以上の切断工程、
・ベール製品または混合物を得るために1つもしくは2つ以上のベール化工程、
・1つもしくは2つ以上のベール混合物または製品は、破壊されて顆粒化混合物を形成する、および/または、
・1つもしくは2つ以上の混合または配合工程、および/または、
・1つもしくは2つ以上のシート化工程。
【0081】
更なる例として、以下の一連の工程が起こることができ、そしてそれぞれの工程は、複合材の形成の後に、いずれかの数(同じまたは異なる設定で)繰り返されることができる。
・更に弾性を向上させるための1つもしくは2つ以上の保持工程、
・1つもしくは2つ以上の冷却工程、
・更に乾燥された複合材を更に得るための複合材を乾燥する工程、
・配合された混合物を得るための複合材を混合するまたは配合する工程、
・ミル加工された混合物を得るための配合された混合物をミル加工する工程、
・ミル加工された混合物の顆粒化工程、
・随意選択的な、ベール化された混合物を得るための顆粒化の後の混合物をベール化する工程、
・随意選択的な、ベール化混合物を破壊し、そして混合する工程。
【0082】
更に、もしくは、あるいは、複合材は、劣化防止剤、ゴム薬品および/または硬化剤の1種もしくは2種以上と配合されることができ、そして加硫されて加硫物を形成することができる。そのような加硫化された配合物は、1つもしくは2つ以上の向上した性質、例えば1つもしくは2つ以上の向上したゴム特性、例えば、限定するものではないが、向上したヒステリシス、耐摩耗性、および/またはころがり抵抗、例えばタイヤにおける、あるいは向上した機械的および/または引張強度、または向上したタンデルタおよび/または向上した引張応力比などを有することができる。
【0083】
ここに規定したゴム薬品としては、1種もしくは2種以上の加工助剤(ゴムの混合および加工を容易にするための、例えば、種々のオイルおよび可塑剤、ワックス)、活性化剤(加硫プロセスを活性化するための、例えば、酸化亜鉛および脂肪酸)、促進剤(加硫プロセスを促進するための、例えば、スルフェンアミドおよびチアゾール)、加硫剤(または硬化剤、ゴムを架橋するための、例えば、硫黄、過酸化物)、および他のゴム添加剤、例えば、限定するものではないが、遅延剤、架橋助剤、素練り促進剤、粘着促進剤(例えば、スチールコードのゴム系エラストマーへの接着を促進するためのコバルト塩の使用(例えば、米国特許第5,221,559号および米国特許出願公開第2020/0361242号に記載されたもの、それらの開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、樹脂(例えば、粘着付与剤、トラクション促進樹脂、難燃剤、着色剤、発泡剤、および発熱を低減させる添加剤(HBU)、および架橋剤、例えば米国特許仮出願第63/123,386号に記載されたもの(その開示をここに参照することによって本明細書の内容とする)、が挙げられる。1つの選択肢として、ゴム薬品は、加工助剤および活性化剤を含むことができる。他の選択肢として、1種もしくは2種以上のゴム薬品は、酸化亜鉛、脂肪酸、脂肪酸の亜鉛塩、ワックス、促進剤、樹脂およびプロセスオイルから選択される。例示の樹脂としては、1種もしくは2種以上のC5樹脂、C5~C9樹脂、C9樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アルキルフェノール樹脂、および米国特許第10,738,178号、第10,745,545号および米国特許出願公開第2015/0283854号明細書に開示された樹脂(それらの開示をここに参照することによって、本明細書の内容とする)から選択されるものが挙げられる。
【0084】
例として、配合工程において、硬化剤パッケージの成分は、硫黄または他の架橋剤および促進剤を除いて、混合装置中で混ぜ物のない複合材と混合される(非加硫剤、例えばゴム薬品および/または劣化防止剤は、しばしば予備混合され、そしてまとめて「スモールズ(smalls)」と称される)。最も普通の混合装置は、密閉式ミキサー、例えばバンバリーまたはブラベンダーミキサーであるが、しかしながら他のミキサー、例えば連続式ミキサー(例えば、押出機)もまた用いられることができる。その後に、後のまたは第2の配合工程において、架橋剤、例えば硫黄、および促進剤(必要であれば)(まとめて加硫剤と称される)が加えられる。配合工程は、しばしば混合工程と同じ種類の装置で行われるが、しかしながら異なる種類のミキサーまたは押出機またはロールミルで行わせることができる。当業者は、加硫剤が加えられると、架橋剤についての適正な活性化条件に達すると、加硫が開始することを理解するであろう。従って、硫黄が用いられる場合には混合の間の温度は、好ましくは実質的に加硫温度より低く維持される。
【0085】
また、ここに開示されているのは加硫物を作る方法である。本方法は、少なくとも1種の硬化剤の存在で複合材を少なくとも硬化する工程を含んでいる。硬化は、当技術分野で知られているように、熱、圧力またはその両方を加えることによって成し遂げることができる。
【0086】
また、ここに開示されるのは、ここに開示された複合材または加硫物、から作られた、または、を含む、物品である。
【0087】
複合材は、エラストマーまたはゴム含有製品を製造するために用いられることができる。1つの選択肢として、エラストマー複合材は、空気入りタイヤならびに空気なしタイヤもしくはソリッドタイヤにおける、タイヤの種々の部品、例えばタイヤトレッド(例えば、オンロードの、またはオフロードのタイヤトレッド)、キャップおよびベース、アンダートレッド、インナーライナー、タイヤサイドウォール、タイヤカーカス、タイヤサイドウォールインサート、タイヤのワイヤースキム、および山掛けタイヤのクッションゴム、に組み込まれる加硫物を形成するための用途、に用いられるか、または、のために製造されることができる。あるいは、もしくは、加えて、エラストマー複合材(およびその後の加硫物)は、空気入りタイヤならびに空気なしタイヤもしくはソリッドタイヤにおける、ホース、シール、ガスケット、目詰め材、風防ワイパー、自動車用部品、ライナー、パッド、ハウジング、ホイールおよびトラック要素、タイヤサイドウォールインサート、タイヤのワイヤースキム、および山掛けタイヤのクッションゴムに用いられることができる。あるいは、もしくは、加えて、エラストマー複合材(およびその後の加硫物)は、ホース、シール、ガスケット、防振物品、トラック、キャタピラー推進装置、例えばブルドーザのためのトラックパッドなど、エンジンマウント、耐震材、鉱業装置、例えばスクリーン、鉱業装置のライニング、コンベヤベルト、シュートライナー、スラリーポンプライナー、泥水ポンプ部品、例えばインペラ、バルブシート、バルブ本体、ピストンハブ、ピストンロッド、プランジャ、種々の用途、例えば混合スラリーおよびスラリーポンプインペラのためのインペラ、粉砕ミルライナー、サイクロンおよびハイドロサイクロン、伸縮継手、船舶用装置、例えばポンプのライニング(例えば、浚渫ポンプおよび船外機ポンプ)、ホース(例えば浚渫ホースおよび船外機ホース)、および他の船舶用装置、船舶用の軸シール、オイル、航空宇宙、および他の用途、プロペラシャフト、運搬用パイプのためのライニング、例えばオイルサンドおよび/またはタールサンド、および耐摩耗性および/または向上した動的性質が必要とされる他の用途に用いられることができる。更に、エラストマー複合材は、加硫されたエラストマー複合材を経由して、ローラー、カム、シャフト、パイプ、車輌用ブッシング、または耐摩耗性および/または向上した動的性質が必要とされる他の用途に用いられることができる。
【0088】
従って、物品としては、車輌用タイヤトレッド、例えばキャップおよびベース、サイドウォール、アンダートレッド、インナーライナー、ワイヤースキム、タイヤカーカス、エンジンマウント、ブッシング、コンベヤベルト、防振装置、目詰め材、風防ワイパー、自動車用部品、シールガスケット、ホース、ライナー、パッド、ハウジング、およびホイールおよびトラック要素が挙げられる。例えば、物品は、米国特許第9,713,541号、第9,713,542号、第9,718,313号、および第10,308,073号明細書に開示されているような複数部品トレッドであることができ、それらの開示を引用することによって本明細書の内容とする。
【実施例1】
【0089】
例A:液体マスターバッチの調製
この例は、カーボンブラックスラリーおよびラテックスからの液体マスターバッチの調製を記載している。
【0090】
カーボンブラックスラリーの調製
乾燥カーボンブラック(N134)(Cabot Corporation、ボストン、マサチューセッツ州)が、水と混合され、そして摩砕されて約13.5%の濃度を有するスラリーが形成された。このスラリーは、約3000psigの操作圧力で、平坦形状シートの均質化バルブを備えたホモジナイザー(APV Homogenizer Division、APV Gaulin, Inc.、ウィルミントン、マサチューセッツ州)によって米国特許第6,929,783号明細書の
図2~4および7に示された凝固反応器の混合ゾーンに供給され、それによってスラリーは、凝固反応器の混合ゾーン中に、微細に分散されたカーボンブラックスラリーのジェットとして導入された。このカーボンブラックスラリーの流量は、最終的なカーボンブラック充填量(phr)を修正し、そして所望の製造速度を得るように、約1200~2500kg/hrに調整された。実際のカーボンブラック充填量は、窒素熱分解および熱重量分析(TGA)によって決定された。具体的なカーボンブラックの品種および充填量は、下記の表に与えられている。
【0091】
天然ゴムラテックスの供給
約27~31%の乾燥ゴム含有量を有するフィールドラテックス(希釈され、そしてスラッジ除去されたフィールドラテックス)が、米国特許第6,929,783号明細書の
図2~4および7に示されたように構成された凝固反応器の混合部分に、ポンプ送液された。ラテックスの流量は、最終的なカーボンブラックの充填量を修正するために、約1000~2500kg/hrの範囲に調整された。
【0092】
液体マスターバッチの生成
カーボンブラックスラリーおよびラテックスは、凝固反応器の混合ゾーン中で、ラテックス流をカーボンブラックスラリー流に同伴させることによって混合された。同伴プロセスの間に、カーボンブラックは、ラテックス中に緊密に混合され、そして混合物は凝固された。
【0093】
マスターバッチクラムが、凝固反応器から500~1000kg/hr(乾燥質量)の範囲の速度で排出され、そして米国特許第6,929,783号明細書の
図1、8および9に示され、そして本文に記載されているように、脱水押出機(The French Oil Machinery Company、ピクア、オハイオ州)で約10~20%の水分まで脱水された。
【0094】
脱水された凝固物は、連続式配合機中に投下され(Farrel Unimix Continuous Mixer (FCM)、2つの#15ロータが装備され、190~320rpmで運転される、Farrel Corporation、アンソニア、コネティカット州)、そこで脱水された凝固物は、米国特許第8,586,651号明細書に記載されているように1~2phrの酸化防止剤(6PPD)と素練りおよび混合された。FCMを出る素練りされたマスターバッチの水分含有量は、約1~2%であり、そして温度は140~180℃の範囲であった。製品は、開放型ミル上で、更に素練りされ、冷却され、そして乾燥された。製品は、冷却コンベア中で更に冷却され、そして小さな細片に切断され、それは互いに圧縮されて、液体マスターバッチの「緩い」製品ベールが形成された。結果として得られたマスターバッチは、下記の表に示されたゴムコンパウンドの配合に用いられた。
【0095】
例B:液体マスターバッチからの複合材、加硫物の調製および比較例
特許請求された発明によって調製された複合材、すなわち(湿潤カーボンブラックを有する試料、例1、3、5、7および8、ならびに湿潤シリカを有する試料、例9、10および11)では、湿潤カーボンブラックおよび湿潤シリカが、乾燥材料を水で、ピンペレタイザ中で、再湿潤化することによって得られた。水の含有量が、下記の表4~7に開示されている。
【0096】
混合および配合は、BR-1600 Banbury(登録商標)laboratory mixer (「BR1600」ミキサー(Farrel Corporation、アンソニア、コネティカット州)で行われた。BR1600 mixerは、2翼のタンジェンシャルロータ(2WL)で、1.6Lの容量を与えて運転され、そして全ての混合および配合は、特に断りのない限り、70rpmのミキサー速度、2.8バールのラム圧力で行われた。表2、3および表4に与えられた時間は、それぞれの工程についての混合プロセスの時間である。
【0097】
用いられた天然ゴムは、標準品種SMR20(Hokson Rubber、マレーシア)であった。この天然ゴムの技術説明は、広く入手可能である、例えば、Lippincott and Peto, Inc.(アクロン、オハイオ州、米国)出版の、Rubber World Magazine's Blue Book。用いられたブタジエンゴム(BR)は、Arlanxeo(カナダ)のBuna(登録商標)CB 22であり、用いられたスチレンブタジエンゴム(SBR)は、Synthos Rubbers(チェコ共和国)のKralex SBR 1500であった。
【0098】
加硫物
液体マスターバッチのベールが、表1の配合と、表2に略述されたプロセス(湿潤充填剤および乾燥充填剤の比較例の両方)に従って配合された。試料1、5、7および9のTCU温度は90℃であったが、一方で残りの試料のTCU温度は60℃であった。マスターバッチおよび充填剤を含まないゴムの量は、特に断りのない限り、最終的なゴム配合物が50phrの充填剤を含むように選択された。
【表1】
a.Cabot Corporationから得られたwet N134カーボンブラック(試料1,3、5および7)またはwet N234カーボンブラック(試料8)、あるいはSolvay USA Inc.( Cranbury、ニュージャージー州)から得られた湿潤化されたZeosil(商標)Z1165 MPシリカ(試料9、10および11)
b.第2のマスターバッチの組成および混合条件が表4に与えられている。
c.Akrochemから得られたポリ(エチレングリコール)、PEG 3500が、更なる充填剤としてシリカを含む配合物に加えられた。
d.N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-p-フェニレンジアミン
e.N-シクロへキシル-2-ベンゾチアゾールスルホンアミド
【表2】
【0099】
投下した後に、複合材は、50℃で約37rpmで運転された2本ロールミルでシート化され、続いて約5mmのニップ間隔で3回または5回通して、次の段階の混合工程の前に少なくとも3時間の休止時間をとった。硬化剤が、表3に記載されているように最後の(生産的)混合段階で加えられた。全ての配合物は、150℃で(1.1×t90)で定められる時間に亘って硬化された。
【表3】
【0100】
表4には、例の、そして比較の第2のマスターバッチ試料MB3、MB8、MB C3、およびMB C8についての具体的な手順が与えられている。
【表4】
【0101】
表6および7には、カーボンブラックまたはシリカ充填剤の種類、充填剤充填量、混合手順、運転条件、およびそれぞれの試料についての結果として得られたデータが列挙されている。ムーニー粘度は、ASTM D1646に従って、100℃で測定された。100%伸びの引張応力(M100)と300%伸びの引張応力(M300)は、ASTM D412(試験法A、Die C)によって、50%の相対湿度および500mm/分のクロスヘッド速度で評価された。伸縮計が、引張歪を測定するのに用いられた。M300/M100の比は、弾性率比と表される。最大のtanδが、ARES G2レオメータ(製造業者:TA Instruments)で、ねじりモードで測定された。加硫物の試片の直径サイズは8mmの直径および約2mmの厚さであった。レオメータは、60℃の定温と10Hzの一定の振動数で操作された。歪掃引は、0.1~68%の歪の幅で行われた。測定は、1組当たりに10点で行われ、そして測定された最大のtanδが報告された。マクロ分散が、ASTM D7723-11の手順に従って測定された。試験されたそれぞれの試料について3つの画像が撮影され、そして平均の結果が求められた。最小のカットオフ直径は5μmであった。ASTM標準方法において「ホワイトエリア」として規定される値が、ここに未分散面積として報告されている。
【表5】
【表6】
【表7】
【0102】
表5~7から分かるように、本発明のプロセスに従った、湿潤形態の充填剤の液体マスターバッチ、および随意選択的な第2のエラストマーの添加は、乾燥形態の充填剤の液体マスターバッチの添加によって調製された比較のゴム配合物について観察されるよりも、ゴム中の充填剤のより優れた分散と、包括的により優れたゴム特性、例えば、より高いM300、弾性率比および/またはより低いtanδ値を有するゴム配合物を生成させた。天然ゴムを含む液体マスターバッチの場合には、ゴム配合物の湿潤充填剤と液体マスターバッチとの配合は、より良好なゴム補強特性を伴う分散水準を得るように、より強力な混合条件の下で、ゴムの劣化なしに、行われることができる。本発明のゴム組成物は、高められた充填剤の分散によって特徴付けられた。中間の複合材の性質、例えばムーニー粘度は、慣用のゴム配合プロセスにおける、例えば、タイヤおよび工業的ゴム物品の製造のためのゴム配合物の配合における、使用のための本発明の適合性を示している。更には、それらの結果は、本発明によるプロセス条件の選択された組み合わせを用いた慣用のゴム混合装置で、以外にも得られた。
【0103】
用語「a」および「an」および「the」の使用は、特に断りのない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、単数と複数の両方を包含すると理解されなければならない。用語「comprising(含む)」、「having(有する)」、「including(含む)」および「containing(含む)」は、特に断りのない限り、開放的な用語(すなわち、「含むが、それには限定されない」を意味する)と理解されなければならない。ここでの値の範囲の記載は、ここで特に断りのない限り、その範囲内に収まるそれぞれの個々の値を独立して表すための簡略な方法として供されることが単に意図されており、そしてそれぞれの個々の値は、それが、ここに独立して記載されたように、明細書中に組み込まれる。ここに記載された全ての方法は、ここで特に断りのない限り、またはさもなければ文脈によって明確に否定されない限り、いずれかの好適な順序で実施されることができる。いずれかの例および全ての例の使用、あるいはここに提供された例示的な用語(例えば、「例えば」)は、単に、本発明をよりよく明確にすることが意図されており、特に断りのない限り、本発明の範囲に限定を与えるものではない。本明細書中のいずれの用語も、本発明の実施に必須の特許請求されていない要素を示すとは解釈されてはならない。
【国際調査報告】