(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】向上した状態デュアルメモリセル
(51)【国際特許分類】
G11C 13/00 20060101AFI20231221BHJP
G11C 11/56 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G11C13/00 270D
G11C13/00 270J
G11C11/56 450
G11C11/56 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535470
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021082612
(87)【国際公開番号】W WO2022122372
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘクマツォアルタバリ、バフマン
(72)【発明者】
【氏名】レズニチェク、アレクサンダー
(57)【要約】
回路は、メモリセルを備える。前記メモリセルは、第1のメモリ要素、第2のメモリ要素、第1のトランジスタ、及び第2のトランジスタを有する。前記第1のメモリ要素は、ビットラインに接続されている。前記第2のメモリ要素は、選択ラインに接続されている。前記第1のトランジスタは、第1のワードラインに接続されている。前記第2のトランジスタは、第2のワードラインに接続されている。前記第1のメモリ要素は、第1の書き込み電圧を前記ビットラインに印加すること、第2の書き込み電圧を前記第2のワードラインに印加すること、第1の中間電圧を前記選択ラインに印加すること、及び第2の中間電圧を前記第1のワードラインに印加することによってプログラミングされる。前記選択ラインは、高インピーダンスに接続されている。前記第1の書き込み電圧は、正の供給電圧であってよく、前記第2の書き込み電圧は、負の供給電圧であってよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリアレイ
を備え、前記メモリアレイは:
複数のビットライン;
複数のワードライン;
複数の選択ライン、前記複数のビットライン及び前記複数の選択ラインは、前記複数のワードラインに交差する;及び
複数のメモリセル
を有し、各メモリセルは:
第1のトランジスタ、
第2のトランジスタ、
第1のメモリ要素、及び
第2のメモリ要素、前記第のメモリ要素1及び前記第2のメモリ要素は、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを用いて前記複数のワードラインに接続されており、前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、前記複数のビットライン及び前記複数の選択ラインに接続されている
を含む、回路。
【請求項2】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアであり、前記バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアは、NPNバイポーラ接合パストランジスタ及びPNPバイポーラ接合パストランジスタを含む、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、接合電界効果トランジスタの相補ペアであり、前記接合電界効果トランジスタの相補ペアは、nチャネル接合電界効果トランジスタ及びpチャネル接合電界効果トランジスタを含む、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記第1のメモリ要素は、前記複数のビットラインのうちの1つ及び前記相補ペアの第1の共有コレクタエミッタ又はソースドレイン端子の間に接続されており、前記第2のメモリ要素は、前記複数の選択ラインのうちの1つ及び前記相補ペアの第2の共有コレクタエミッタ又はソースドレイン端子の間に接続されている、請求項2に記載の回路。
【請求項5】
前記複数のメモリセルのうちの1つにおける前記第2のトランジスタ及び前記複数のメモリセルのうちの前記1つに隣接したメモリセルにおける反対のチャネル型のトランジスタは、前記複数のワードラインのうちの同じ1つに接続されたベース又はゲート端子を有する、請求項1に記載の回路。
【請求項6】
前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、相変化メモリ、抵抗ランダムアクセスメモリ、又は磁気ランダムアクセスメモリである、請求項1~5のいずれか1項に記載の回路。
【請求項7】
前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、同じ特性を有し、前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、N個の状態にプログラミング可能であり、メモリセルは、
【数1】
個の状態にプログラミング可能である、先行する請求項1~6のいずれか1項に記載の回路。
【請求項8】
前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、異なる特性を有し、前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、N個の状態にプログラミング可能であり、メモリセルは、N
2個の状態にプログラミング可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載の回路。
【請求項9】
メモリセル
を備え、前記メモリセルは、第1のメモリ要素、第2のメモリ要素、第1のトランジスタ、及び第2のトランジスタを有し、前記第1のメモリ要素は、ビットラインに接続されており、前記第2のメモリ要素は、選択ラインに接続されており、前記第1のトランジスタは、第1のワードラインに接続されており、前記第2のトランジスタは、第2のワードラインに接続されている、回路。
【請求項10】
前記第1のメモリ要素は、第1の書き込み電圧を前記ビットラインに印加すること、第2の書き込み電圧を前記第2のワードラインに印加すること、第1の中間電圧を前記選択ラインに印加すること、及び第2の中間電圧を前記第1のワードラインに印加することによってプログラミングされる、請求項9に記載の回路。
【請求項11】
前記選択ラインは、高インピーダンスに接続されている、請求項10に記載の回路。
【請求項12】
前記第1の書き込み電圧は、正の供給電圧であり、前記第2の書き込み電圧は、負の供給電圧であり、前記第1の中間電圧及び前記第2の中間電圧は、接地電圧である、請求項10に記載の回路。
【請求項13】
前記第1の書き込み電圧は、前記第1の中間電圧よりも大きく、前記第1の中間電圧は、前記第2の中間電圧よりも大きいか又はこれに等しく、前記第2の中間電圧は、前記第2の書き込み電圧よりも大きい、請求項10に記載の回路。
【請求項14】
前記第1のメモリ要素は、第1の消去電圧を前記第1のワードラインに印加すること、第2の消去電圧を前記ビットラインに印加すること、第1の中間電圧を前記選択ラインに印加すること、及び第2の中間電圧を前記第2のワードラインに印加することによって消去される、請求項9に記載の回路。
【請求項15】
前記第1の消去電圧は、正の供給電圧であり、前記第2の消去電圧は、負の供給電圧であり、前記第1の中間電圧及び前記第2の中間電圧は、接地電圧であり、前記第1の消去電圧は、前記第1の中間電圧よりも大きく、前記第1の中間電圧は、前記第2の中間電圧よりも大きいか又はこれに等しく、前記第2の中間電圧は、前記第2の消去電圧よりも大きい、請求項14に記載の回路。
【請求項16】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアであり、前記バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアは、NPNバイポーラ接合パストランジスタ及びPNPバイポーラ接合パストランジスタを含む、請求項9に記載の回路。
【請求項17】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、接合電界効果トランジスタの相補ペアであり、前記接合電界効果トランジスタの相補ペアは、n型接合電界効果トランジスタ及びp型接合電界効果トランジスタを含む、請求項9に記載の回路。
【請求項18】
前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、相変化メモリ、抵抗ランダムアクセスメモリ、又は磁気ランダムアクセスメモリである、請求項9に記載の回路。
【請求項19】
メモリアレイ内のメモリセルを読み出す方法であって、
読み出し電圧の第1のペアの第1の読み出し電圧をビットラインに印加する段階、前記ビットラインは、第1のメモリ要素に接続されている;
読み出し電圧の前記第1のペアの第2の読み出し電圧を、第2のメモリ要素に接続された選択ラインに印加する段階;
読み出し電圧の第2のペアの第1の読み出し電圧を第1のワードラインに印加する段階、前記第1のワードラインは、第1のトランジスタに接続されている;
読み出し電圧の前記第2のペアの第2の読み出し電圧を第2のワードラインに印加する段階、前記第2のワードラインは、第2のトランジスタに接続されている;及び
前記メモリアレイ内のビットライン、ワードライン、及び選択ラインのうちの残りのものに中間電圧を印加する段階
を備える、方法。
【請求項20】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアであり、前記第1のトランジスタは、NPNバイポーラ接合パストランジスタであり、前記第2のトランジスタは、PNPバイポーラ接合パストランジスタを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のワードラインは、前記NPNバイポーラ接合パストランジスタのベースに接続されており、前記第2のワードラインは、前記PNPバイポーラ接合パストランジスタのベースに接続されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、接合電界効果トランジスタの相補ペアであり、前記第1のトランジスタは、nチャネル接合電界効果トランジスタであり、前記第2のトランジスタは、pチャネル接合電界効果トランジスタである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のワードラインは、前記nチャネル接合電界効果トランジスタのゲートに接続されており、前記第2のワードラインは、前記pチャネル接合電界効果トランジスタのゲートに接続されている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
読み出し電圧の前記第1のペアの前記第1の読み出し電圧は、読み出し電圧の前記第2のペアの前記第1の読み出し電圧よりも大きく、読み出し電圧の前記第2のペアの前記第1の読み出し電圧は、前記中間電圧よりも大きく、前記中間電圧は、読み出し電圧の前記第2のペアの前記第2の読み出し電圧よりも大きく、読み出し電圧の前記第2のペアの前記第2の読み出し電圧は、読み出し電圧の前記第1のペアの前記第2の読み出し電圧よりも大きい、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
読み出し電圧の前記第のペア1及び前記第2のペアの前記第1の読み出し電圧は、正の電圧であり、読み出し電圧の前記第1のペア及び前記第2のペアの前記第2の読み出し電圧は、負の電圧であり、前記第2の読み出し電圧は、前記第1の読み出し電圧と同じ振幅を有し、前記中間電圧は、接地電圧である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概して、メモリアレイ構造及びこれをプログラミングする方法に関する。より具体的には、本発明は、向上した状態デュアルメモリセルを含むメモリアレイ構造に関する。
【0002】
深層学習は、生物系における情報処理に着想を得た人工ニューラルネットワークに基づく機械学習方法である。深層学習は、画像処理、機械翻訳、音声認識、及び他の多くのものを含む広範囲の応用において使用され得る。これらの領域の各々において、深層ニューラルネットワークは、非常に大規模かつ深層のモデルの使用を通してより優れた正確性を達成する。これらの深層モデルは、データ表現及び計算のための精度が低下した方法を含み得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの態様によれば、メモリアレイを備える回路が提供される。前記メモリアレイは、複数のビットライン、複数のワードライン、及び複数の選択ラインを有する。前記複数のビットライン及び前記複数の選択ラインは、前記複数のワードラインに交差する。前記メモリアレイは、各々が第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第1のメモリ要素、及び第2のメモリ要素を含む複数のメモリセルを更に有する。前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを用いて前記複数のワードラインに接続されている。前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、前記複数のビットライン及び前記複数の選択ラインに接続されている。前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアであってよい。前記バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアは、NPNバイポーラ接合パストランジスタ及びPNPバイポーラ接合パストランジスタを含んでよい。前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、接合電界効果トランジスタの相補ペアであってよい。前記接合電界効果トランジスタの相補ペアは、nチャネル接合電界効果トランジスタ及びpチャネル接合電界効果トランジスタを含んでよい。前記第1のメモリ要素は、前記複数のビットラインのうちの1つ及び前記相補ペアの第1の共有コレクタエミッタ又はソースドレイン端子の間に接続されてよい。前記第2のメモリ要素は、前記複数の選択ラインのうちの1つ及び前記相補ペアの第2の共有コレクタエミッタ又はソースドレイン端子の間に接続されてよい。前記複数のメモリセルのうちの前記1つにおける前記第2のトランジスタ及び前記複数のメモリセルのうちの前記1つに隣接したメモリセルにおける反対のチャネル型のトランジスタは、前記複数のワードラインのうちの同じ1つに接続されたベース又はゲート端子を有してよい。前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、相変化メモリ、抵抗ランダムアクセスメモリ、又は磁気ランダムアクセスメモリであってよい。前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、同じ特性を有してよく、前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、N個の状態にプログラミング可能であってよく、前記メモリセルは、
【数1】
個の状態にプログラミング可能である。前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、異なる特性を有してよく、前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、N個の状態にプログラミング可能であってよく、前記メモリセルは、N
2個の状態にプログラミング可能である。
【0004】
本発明の別の態様によれば、メモリセルを備える回路が提供される。前記メモリセルは、第1のメモリ要素、第2のメモリ要素、第1のトランジスタ、及び第2のトランジスタを有する。前記第1のメモリ要素は、ビットラインに接続されている。前記第2のメモリ要素は、選択ラインに接続されている。前記第1のトランジスタは、第1のワードラインに接続されており、前記第2のトランジスタは、第2のワードラインに接続されている。前記第1のメモリ要素は、第1の書き込み電圧を前記ビットラインに印加すること、第2の書き込み電圧を前記第2のワードラインに印加すること、第1の中間電圧を前記選択ラインに印加すること、及び第2の中間電圧を前記第1のワードラインに印加することによってプログラミングされてよい。前記選択ラインは、高インピーダンスに接続されてよい。前記第1の書き込み電圧は、正の供給電圧であってよく、前記第2の書き込み電圧は、負の供給電圧であってよく、前記第1の中間電圧及び前記第2の中間電圧は、接地電圧であってよい。前記第1の書き込み電圧は、前記第1の中間電圧よりも大きくてよく、前記第1の中間電圧は、前記第2の中間電圧よりも大きいか又はこれに等しくてよく、前記第2の中間電圧は、前記第2の書き込み電圧よりも大きくてよい。前記第1のメモリ要素は、第1の消去電圧を前記第1のワードラインに印加すること、第2の消去電圧を前記ビットラインに印加すること、第1の中間電圧を前記選択ラインに印加すること、及び第2の中間電圧を前記第2のワードラインに印加することによって消去されてよい。前記第1の消去電圧は、正の供給電圧であってよく、前記第2の消去電圧は、負の供給電圧であってよく、前記第1の中間電圧及び前記第2の中間電圧は、接地電圧であってよい。前記第1の消去電圧は、前記第1の中間電圧よりも大きくてよく、前記第1の中間電圧は、前記第2の中間電圧よりも大きいか又はこれに等しくてよく、前記第2の中間電圧は、前記第2の消去電圧よりも大きくてよい。前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアであってよい。前記バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアは、NPNバイポーラ接合パストランジスタ及びPNPバイポーラ接合パストランジスタを含んでよい。前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、接合電界効果トランジスタの相補ペアであってよい。前記接合電界効果トランジスタの相補ペアは、n型接合電界効果トランジスタ及びp型接合電界効果トランジスタを含んでよい。前記第1のメモリ要素及び前記第2のメモリ要素は、相変化メモリ、抵抗ランダムアクセスメモリ、又は磁気ランダムアクセスメモリであってよい。
【0005】
本発明の別の態様によれば、メモリアレイ内のメモリセルを読み出す方法は:読み出し電圧の第1のペアの第1の読み出し電圧をビットラインに印加する段階、読み出し電圧の前記第1のペアの第2の読み出し電圧を、第2のメモリ要素に接続された選択ラインに印加する段階、読み出し電圧の第2のペアの第1の読み出し電圧を第1のワードラインに印加する段階、読み出し電圧の前記第2のペアの第2の読み出し電圧を第2のワードラインに印加する段階、及び前記メモリアレイ内のビットライン、ワードライン、及び選択ラインのうちの残りのものに中間電圧を印加する段階を備える。前記ビットラインは、第1のメモリ要素に接続されている。前記第1のワードラインは、第1のトランジスタに接続されている。前記第2のワードラインは、第2のトランジスタに接続されている。前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、バイポーラ接合パストランジスタの相補ペアであってよい。前記第1のトランジスタは、NPNバイポーラ接合パストランジスタであってよく、前記第2のトランジスタは、PNPバイポーラ接合パストランジスタであってよい。前記第1のワードラインは、前記NPNバイポーラ接合パストランジスタのベースに接続されてよく、前記第2のワードラインは、前記PNPバイポーラ接合パストランジスタのベースに接続されてよい。前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、接合電界効果トランジスタの相補ペアであってよい。前記第1のトランジスタは、nチャネル接合電界効果トランジスタであってよく、前記第2のトランジスタは、pチャネル接合電界効果トランジスタであってよい。前記第1のワードラインは、前記nチャネル接合電界効果トランジスタのゲートに接続されてよく、前記第2のワードラインは、前記pチャネル接合電界効果トランジスタのゲートに接続されてよい。読み出し電圧の前記第1のペアの前記第1の読み出し電圧は、読み出し電圧の前記第2のペアの前記第1の読み出し電圧よりも大きくてよく、読み出し電圧の前記第2のペアの前記第1の読み出し電圧は、前記中間電圧よりも大きくてよく、前記中間電圧は、読み出し電圧の前記第2のペアの前記第2の読み出し電圧よりも大きくてよく、読み出し電圧の前記第2のペアの前記第2の読み出し電圧は、読み出し電圧の前記第1のペアの前記第2の読み出し電圧よりも大きくてよい。読み出し電圧の前記第1のペア及び前記第2のペアの前記第1の読み出し電圧は、正の電圧であってよく、読み出し電圧の前記第1のペア及び前記第2のペアの前記第2の読み出し電圧は、負の電圧であってよく、前記第2の読み出し電圧は、前記第1の読み出し電圧と同じ振幅を有してよく、前記中間電圧は、接地電圧であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下の詳細な説明は、例示として与えられるとともに、それのみに本発明を限定するようには意図されず、添付図面と併せて読まれると最も良好に理解されるであろう。
【0007】
【
図1】例示的な実施形態に係る、アナログメモリセルのメモリアレイの簡略化された回路図である。
【0008】
【
図2】例示的な実施形態に係る、メモリアレイ内の第1のメモリ要素のプログラミング動作の簡略化された回路図である。
【0009】
【
図3】例示的な実施形態に係る、メモリアレイ内の第1のメモリ要素の消去動作の簡略化された回路図である。
【0010】
【
図4】例示的な実施形態に係る、メモリアレイ内の第2のメモリ要素のプログラミング動作の簡略化された回路図である。
【0011】
【
図5】例示的な実施形態に係る、メモリアレイ内の第2のメモリ要素の消去動作の簡略化された回路図である。
【0012】
【
図6】例示的な実施形態に係る、メモリアレイ内のメモリセルの読み出し動作の簡略化された回路図である。
【0013】
図面は、必ずしも縮尺どおりではない。図面は、単に概略的な表現であり、本発明の特定のパラメータを表現するようには意図されない。図面は、本発明の単なる典型的な実施形態を示すように意図される。図面において、同様の参照符号は同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特許請求される構造及び方法の詳細な実施形態が本明細書において開示されるが、しかしながら、開示される実施形態は、様々な形態において具現化され得る特許請求される構造及び方法の単なる例示であることが理解され得る。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において具現化されてよく、本明細書において記載される例示的な実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は本開示を周到で完全にし、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。本明細書において、周知の特徴及び技法の詳細は、提示される実施形態を不要に曖昧にすることを回避するために省略されてよい。
【0015】
本明細書の以降のために、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「鉛直」、「水平」、「上部」、「低部」という用語、及びこれらの派生形は、図面の像において配向されるような開示される構造及び方法に関するものとする。「重なる」、「の頂部に」、「の上」、「の上に位置決めされる」又は「の頂部に位置決めされる」という用語は、第1の構造等の第1の要素は、第2の構造等の第2の要素上に存在することを意味し、インターフェース構造等の介在要素が、第1の要素及び第2の要素の間に存在し得る。「直接接続」という用語は、第1の構造等の第1の要素及び第2の構造等の第2の要素が、これらの2つの要素のインターフェースにおいて介在する導通、絶縁又は半導体層を一切伴うことなく接続されることを意味する。
【0016】
本発明の実施形態の提示を曖昧にしないようにするために、以下の詳細な説明では、当該技術分野において既知である幾つかの処理段階又は動作は、提示のために、及び例示の目的でともに組み合わされていてよく、幾つかの事例では詳細には説明されていない場合がある。他の事例では、当該技術分野において既知である幾つかの処理段階又は動作は、全く説明されない場合がある。以下の説明は、むしろ本発明の様々な実施形態の弁別的な特徴又は要素に焦点を当てていることが理解されるべきである。
【0017】
深層学習は、人工ニューラルネットワークに基づく機械学習方法である。深層学習は、画像処理、機械翻訳、音声認識、及び他の多くのものを含む広範囲の応用において使用され得る。これらの領域の各々において、深層ニューラルネットワークは、非常に大規模かつ深層のモデルの使用を通してより優れた正確性を達成する。これらの深層モデルは、データ表現及び計算のための精度を低下させた方法を含み得る。深層ニューラルネットワークのための計算は、トレーニング及び前方推論の両方を含み得る。
【0018】
乗算演算(畳み込み及び行列乗算を含む)は、深層ニューラルネットワークのハードウェア実装において最も面積及び電力を消費するコンポーネントのうちの1つである。精度を低下させた最適化における最近の進展は、乗算演算の少なくとも一部がより低い精度において実行され得ることを示唆している。これは、乗算演算が、エンドツーエンドの正確性を妥協することなく、より少数のビットを用いて実行され得ることを意味する。これは、重み記憶のために抵抗ランダムアクセスメモリ(RRAM(登録商標))等のアナログデバイスを利用することによって電力及び/又は面積の節約の機会を提供する。さらに、所与のメモリセル又は所与のメモリ設計のためのメモリ密度を高めるために、複数の(2つよりも多くの)状態を有するアナログデバイス(すなわち、メモリ要素)を利用することが望ましい。
【0019】
従来のメモリ要素は、実用時には、それらが状態0又は状態1のいずれかを有するので、デュアル状態である。これらの従来のメモリ要素は、信頼性の問題に起因して2つよりも多くの状態を有することができない。結果として、従来のメモリ要素は、実用的な数の状態(典型的には2つ)によって限定され得る。
【0020】
理論上、セル当たりのメモリ要素の数を増加させることは、セル当たりの状態の有効数を増加させ得る。例えば、各メモリセルにおいて2つのメモリ要素を有することは、各メモリ要素が2つの状態を有することを前提とすると、2つの状態から4つの状態に状態の数を増加させ得る。2つのメモリ要素は、自身の2つの状態の数学的置換を使用することによって4つの状態を取得するために組み合わされ得る。例えば、第1のメモリ要素が状態0を有し、かつ第2のメモリ要素が状態0を有する場合、2つのメモリ要素状態の組み合わせは、メモリセル状態1を提供し得る。第1のメモリ要素が状態0を有し、かつ第2のメモリ要素が状態1を有する場合、2つのメモリ要素状態の組み合わせは、メモリセル状態2を提供し得る。第1のメモリ要素が状態1を有し、かつ第2のメモリ要素が状態0を有する場合、2つのメモリ要素状態の組み合わせは、メモリセル状態3を提供し得る。第1のメモリ要素が状態1を有し、かつ第2のメモリ要素が状態1を有する場合、2つのメモリ要素状態の組み合わせは、メモリセル状態4を提供し得る。
【0021】
しかしながら、実用時には、例えばトランジスタ等の追加の回路及びプロセッサが、使用可能な方法において2つ又はそれよりも多くのメモリ要素の状態を組み合わせるために必要とされ、これは、その後、展開され得る。追加のトランジスタ及び対応するワイヤを有することは、回路のフットプリントを増加させ得、それゆえ、メモリ密度が低減する。その結果は、2つよりも多くの状態を含むが、各セルが2つの状態を有する2つのメモリセルよりもフットプリントが大きい単一のメモリセルであり得る。したがって、2つよりも多くの状態を含み、かつ組み合わされた2つのメモリセルのフットプリントよりも小さいメモリセルが必要とされている。
【0022】
本発明の実施形態は、新たな回路構造を提供する。この新たな回路構造は、複数の向上した状態デュアルメモリセルを備えるクロスポイントメモリアレイである。デュアルメモリセルの各々は、2つのトランジスタ及び2つのメモリ要素を有する。したがって、メモリセルは、2T2Rセルとも称され得る。複数の2T2Rセルを有するクロスポイントメモリアレイは、従来のメモリアレイと比較するとセル当たりの状態の有効数を増加させ得る。一実施形態では、メモリセル内のトランジスタは、相補型パスゲート(送信ゲート)として構成されている。一実施形態では、メモリセルは、RRAM/パスゲート/RRAM鉛直積層構造として構成されており、それゆえ、セルフットプリントが最小化されるとともに、面積当たりのビットの高密度が達成される。
【0023】
図1~
図6は、複数のメモリセルを備える例示的な回路構造を示している。各メモリセルは、2つのメモリ要素と統合された2つのトランジスタを有する。
【0024】
ここで
図1を参照すると、一実施形態に係るメモリアレイ100が示されている。メモリアレイ100は2つの行及び4つの列を含むが、本発明の実施形態は、任意の数の行及び列を有するメモリアレイ100を含み得ることが理解されるべきである。メモリアレイ100は、複数のビットライン102、複数のワードライン104、複数の選択ライン106を備える。ビットライン102及び選択ライン106は、互いに並列に延びており、かつワードライン104に垂直である。複数のワードライン104は、複数のビットライン102及び複数の選択ライン106に交差する。メモリアレイ100は、複数のメモリセル200も備える。各メモリセル200は、トランジスタ108a、108bの相補ペア、第1のメモリ要素110a、及び第2のメモリ要素110bを有する。8つのメモリセル200が示されているが、本発明の実施形態は、任意の数のメモリセル200を含み得ることが理解されるべきである。
【0025】
上記で述べられたように、各メモリセル200は、トランジスタ108a、108bの相補ペアを有する。トランジスタ108a、108bは、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)又は接合電界効果トランジスタ(JFET)であってよい。好ましい実施形態では、トランジスタ108a、108bは、トランジスタ108aがNPN型でありかつトランジスタ108bがPNP型であるように、BJTの相補ペアである。代替的な実施形態では、トランジスタ108a、108bは、トランジスタ108aがnチャネルJFET(nJFET)でありかつトランジスタ108bがpチャネルJFET(pJFET)であるように、JFETの相補ペアである。一実施形態では、トランジスタ108a、108bは、相補型送信ゲートとして構成されている。一実施形態では、メモリセル200におけるトランジスタ108b及びメモリセル200に隣接するメモリセルにおけるトランジスタ108aは、同じそれぞれのワードライン104bに接続されたベース又はゲート端子を有する。トランジスタ108aは、トランジスタ108bと反対のチャネル型である。
【0026】
第1及び第2のメモリ要素110a、110bは、例えば、RRAM、相変化メモリ、磁気ランダムアクセスメモリ等のような任意のタイプのメモリ要素であってよい。第1のメモリ要素110aは、ビットライン102a、及びトランジスタ108a、108bの相補ペアの第1の共有コレクタエミッタ端子(BJT実施形態における)又はソースドレイン端子(JFET実施形態における)の間に接続されている。第2のメモリ要素110bは、選択ライン106a、及びトランジスタ108a、108bの相補ペアの第2の共有コレクタエミッタ又はソースドレイン端子の間に接続されている。
【0027】
ここで
図2を参照すると、一実施形態に係る、メモリアレイ100内の第1のメモリ要素110aのプログラミング又は書き込み動作の一例が示されている。本発明の実施形態は、メモリセル200内の第2のメモリ要素110bを実質的に妨げることなく、第1のメモリ要素110aをプログラミングする方法を提供する。プログラミング動作中、第1のメモリ要素110aの抵抗は、メモリ要素のプログラミング済み状態(例えば、1と称され得る)を作成するために低減される。
【0028】
第1のメモリ要素110aをプログラミングするために、第1の書き込み電圧が、第1のメモリ要素110aに接続されるビットライン102bに印加される。一実施形態では、ワードライン104cは、PNPトランジスタ108bのベースに接続されている。代替的な実施形態では、ワードライン104cは、pJFETトランジスタ108bのゲートに接続されている。第1の書き込み電圧は、正の供給電圧V+である。第2の書き込み電圧が、ワードライン104cに印加される。第2の書き込み電圧は、負の供給電圧V-である。第1の書き込み電圧は、トランジスタ108bのベース又はゲートジャンクションに順方向バイアスをかけるために第2の書き込み電圧よりも十分に大きく、第1のメモリ要素110aがプログラミングされるために選択されることが可能になる。例えば、(典型的にはシリコンp-nジャンクションのために)順方向バイアスがかけられたジャンクションにわたる電圧降下がおよそ0.7ボルトである場合、第1のメモリ要素110aにわたって選択的に印加されるプログラム電圧は、およそV+-V―-0.7ボルトとなる。
【0029】
上記で説明されたような第1のメモリ要素110aのプログラミング中、第2のメモリ要素110b及びメモリセルの残りにおける他の全てのメモリ要素を妨げることを最小限にするために、第1の中間電圧及び第2の中間電圧がメモリアレイ100の特定の部分に印加されてよい。一実施形態では、第1の中間電圧は、第2のメモリ要素110bに接続される選択ライン106bに印加される。代替的な実施形態では、選択ライン106bは、高インピーダンスに接続されている。第2の中間電圧は、残りのビットライン102、ワードライン104、及び選択ライン106に印加される。例えば、
図2において示されているように、選択ライン106bは、第1の中間電圧V
m又は高インピーダンスを指し得るフロートのいずれかに接続され得る。第2の中間電圧V
0は、ビットライン102a、選択ライン106a、及びワードライン104a、104b、104d、及び104eに印加される。上記で述べられたように、第1の書き込み電圧V
+は、ビットライン102bに印加され、第2の書き込み電圧V
-は、ワードライン104cに印加される。この例では、電圧は、以下のように選択される:
【数2】
したがって、第1の書き込み電圧は、第1の中間電圧よりも大きく、第1の中間電圧は、第2の中間電圧よりも大きいか又はこれに等しく、第2の中間電圧は、第2の書き込み電圧よりも大きい。結果として、第1のメモリ要素110aを除く全てのメモリ要素にわたるバイアス電圧は、ごくわずかであるか、又はそれらの状態を実質的に変更しないためにV
+-V
-よりも十分に小さいかのいずれかである。1つの実施形態では、V
m及びV
0は、両方とも0ボルト(すなわち、接地電位)である。別の実施形態では、V
+=-V
-である。更に別の実施形態では、ビットライン102a及び/又は選択ライン106aは、V
0の代わりにフロート(高インピーダンス)に接続されている。更なる変形及びバイアス構成も企図され得る。
【0030】
上記で述べられたように、第1のメモリ要素110aのプログラミング動作中、電流は、第1のメモリ要素110a及びトランジスタ108bのエミッタ-ベース又はソース-ゲートジャンクションを通って流れる。トランジスタ108bは、この動作中に2端子デバイスとして機能する。上記で説明された異なる書き込み及び中間電圧を選択することによって、第1のメモリ要素110aは、メモリセル200内の第2のメモリ要素110b又はメモリアレイ100内の他のメモリセル内の他の任意のメモリ要素を妨げることなく、所望の値にプログラミングされてよい。結果として、第1のメモリ要素110aは、独立してプログラミングされる。
【0031】
ここで
図3を参照すると、一実施形態に係る、メモリアレイ100内の第1のメモリ要素110aの消去動作の一例が示されている。消去動作は、第1のメモリ要素110aにわたって伝達された反対の電圧極性で、書き込み動作と同様である。
図2によって示されている第1のメモリ要素110aの書き込み動作は、PNP BJTトランジスタ108bを介して実行されてよく、一方、
図3によって示されている第1のメモリ要素110aの消去動作は、NPN BJTトランジスタ108aを介して実行されてよい。
【0032】
消去動作は、第1のメモリ要素110aのみの状態を独立して消去する。メモリセル200内の第2のメモリ要素110bを含む他の全てのメモリ要素は、この動作によって実質的に影響を受けない。第1のメモリ要素110aの状態を消去するために、その抵抗が上昇する。これは、第1の消去電圧をワードライン104bに印加することによって達成される。ワードライン104bは、トランジスタ108aに接続されている。一実施形態では、トランジスタ108aがNPN BJTトランジスタである場合、ワードライン104bは、当該NPN BJTトランジスタのベースに接続されている。代替的な実施形態では、トランジスタ108bがnJFETトランジスタである場合、ワードライン104bは、当該nJFETトランジスタのゲートに接続されている。トランジスタ108aは、第1のメモリ要素110aに接続されている。第1の消去電圧は、正の供給電圧V+である。第1の消去電圧に加えて、第2の消去電圧が、ビットライン102bに印加される。ビットライン102bは、第1のメモリ要素110aの上部端子に接続されている。第2の消去電圧は、負の供給電圧V-である。第1の消去電圧は、トランジスタ108bのベース又はゲートジャンクションに順方向バイアスをかけるために第2の消去電圧よりも十分に大きく、第1のメモリ要素110aが消去されるために選択されることが可能になる。例えば、(典型的にはシリコンp-nジャンクションのために)順方向バイアスがかけられたジャンクションにわたる電圧降下がおよそ0.7ボルトである場合、第1のメモリ要素110aにわたって選択的に印加される消去電圧は、およそV+-V―-0.7ボルトとなる。
【0033】
上記で説明されたような第1のメモリ要素110aの消去中、第2のメモリ要素110b及びメモリセルの残りにおける他の全てのメモリ要素を妨げることを最小限にするために、第1の中間電圧及び第2の中間電圧がメモリアレイ100の特定の部分に印加されてよい。一実施形態では、第1の中間電圧は、第2のメモリ要素110bに接続される選択ライン106bに印加される。代替的な実施形態では、選択ライン106bは、高インピーダンスに接続されている。第2の中間電圧は、残りのビットライン102、ワードライン104、及び選択ライン106に印加される。例えば、
図3において示されているように、選択ライン106bは、第1の中間電圧
【数3】
又は高インピーダンスを指し得るフロートのいずれかに接続され得る。第2の中間電圧V
0は、ビットライン102a、選択ライン106a、及びワードライン104a、104c、104d、及び104eに印加される。上記で述べられたように、第1の消去電圧V
+は、ワードライン104bに印加され、第2の消去電圧V
-は、ビットライン102bに印加される。この例では、電圧は、以下のように選択される:
【数4】
したがって、第1の消去電圧は、第2の中間電圧よりも大きく、第2の中間電圧は、第1の中間電圧よりも大きいか又はこれに等しく、第1の中間電圧は、第2の消去電圧よりも大きい。結果として、第1のメモリ要素110aを除く全てのメモリ要素にわたるバイアス電圧は、ごくわずかであるか、又はそれらの状態を実質的に変更しないためにV
+-V
-よりも十分に小さいかのいずれかである。1つの実施形態では、
【数5】
及びV
0は、両方とも0ボルト(すなわち、接地電位)である。別の実施形態では、V
+=-V
-である。更に別の実施形態では、ビットライン102a及び/又は選択ライン106aは、V
0の代わりにフロート(高インピーダンス)に接続されている。更なる変形及びバイアス構成も企図され得る。メモリ要素の状態の消去のために使用されるV
+及びV
-は、メモリ要素の状態の書き込みのために使用されるV
+及びV
-とは異なってよく、典型的には異なることが理解されるべきである。さらに、他の電圧V
0又は
【数6】
も異なり得る。
【0034】
ここで
図4を参照すると、一実施形態に係る、メモリアレイ100内の第2のメモリ要素110bの書き込み動作の一例が示されている。第2のメモリ要素110bの書き込み又はプログラミングは、
図2を参照して本明細書において説明される、第1のメモリ要素110aの書き込み動作と同様である。
図2において示されている例では、第1のメモリ要素110aは、トランジスタ108bを介して書き込まれ、一方、
図4において示されている例では、第2のメモリ要素110bは、トランジスタ108aを介して書き込まれる。
【0035】
一実施形態では、メモリセル200内の第1のメモリ要素110a、又はメモリアレイ100内の他の任意のメモリ要素を実質的に妨げることなく第2のメモリ要素110bを書き込むか又はプログラミングするために、第1の書き込み電圧及び第2の書き込み電圧は、それぞれ、ワードライン104b及び選択ライン106bに印加される。
図2に関して本明細書において説明されたように、ワードライン104bは、nJFETトランジスタ108aのゲート、又はNPN BJTトランジスタ108aのベースのいずれかに接続されてよい。トランジスタ108aは、第2のメモリ要素110bに接続されている。選択ライン106bは、第2のメモリ要素110bの底部端子に接続されている。
【0036】
第2のメモリ要素110bのプログラミング中、第1の中間電圧及び第2の中間電圧は、特定のビットライン102、ワードライン104、及び選択ライン106に印加されてよい。一実施形態では、第1の中間電圧は、第1のメモリ要素110aの上部端子に接続されるビットライン102bに印加される。代替的な実施形態では、ビットライン102bは、高インピーダンスに接続されている。第2の中間電圧は、ビットライン102、ワードライン104、及び選択ライン106の残りのものに印加される。例えば、
図4において示されているように、ビットライン102bは、第1の中間電圧
【数7】
又は高インピーダンスを指し得るフロートのいずれかに接続され得る。第2の中間電圧V
0は、ビットライン102a、選択ライン106a、及びワードライン104a、104c、104d、及び104eに印加される。上記で述べられたように、第1の書き込み電圧V
+は、ワードライン104bに印加され、第2の書き込み電圧V
-は、選択ライン106bに印加される。この例では、電圧は、以下のように選択される:
【数8】
したがって、第1の書き込み電圧は、第2の中間電圧よりも大きく、第2の中間電圧は、第1の中間電圧よりも大きいか又はこれに等しく、第1の中間電圧は、第2の書き込み電圧よりも大きい。
【0037】
第2の書き込み電圧よりも大きい第1の書き込み電圧を有することにより、第2のメモリ要素110bが書き込み動作のために選択されることが可能になる。第1の書き込み電圧は、トランジスタ108aのベース又はゲートジャンクションに順方向バイアスをかけるために第2の書き込み電圧よりも十分に大きい。例えば、第2のメモリ要素110bにわたって選択的に印加される書き込み電圧は、およそV+-V―-0.7ボルトであってよい。したがって、電流は、トランジスタ108aのベース-エミッタ又はゲート-ソースジャンクションを通って、第2のメモリ要素110bに流れる。トランジスタ108aは、この動作中に2端子デバイスとして機能する。電流が第2のメモリ要素110bを通って流れる場合、第2のメモリ要素110bは、メモリアレイ100内の他の任意のメモリ要素又はメモリセル200内の第1のメモリ要素110aを実質的に妨げることなく、所望の状態にプログラミングされてよい。したがって、第2のメモリ要素110bは、独立してプログラミングされてよい。
【0038】
ここで
図5を参照すると、一実施形態に係る、メモリアレイ100内の第2のメモリ要素110bの消去動作の一例が示されている。第2のメモリ要素110bの消去は、
図3を参照して本明細書において説明される、第1のメモリ要素110aの消去動作と同様である。
図3において示されている例では、第1のメモリ要素110aは、トランジスタ108aを介して消去され、一方、
図5において示されている例では、第2のメモリ要素110bは、トランジスタ108bを介して消去される。
図3に関して上記で述べられたように、本発明の実施形態は、メモリアレイ100内の1つのメモリ要素の状態を独立して消去する方法を提供する。
【0039】
引き続き
図5を参照すると、第2のメモリ要素110bの状態を消去するために、第1の消去電圧V
+は、第2のメモリ要素110bの底部端子に接続される選択ライン106bに印加され、第2の消去電圧V
-は、ワードライン104cに印加される。一実施形態では、ワードライン104cは、PNP BJTトランジスタ108bのベースに接続されている。代替的な実施形態では、ワードライン104cは、pJFETトランジスタ108bのゲートに接続されている。両方の実施形態において、トランジスタ108bは、第2のメモリ要素110bに接続されている。第1の消去電圧は、トランジスタ108bのベース又はゲートジャンクションに順方向バイアスをかけるために第2の消去電圧よりも十分に大きい。例えば、第2のメモリ要素110bにわたって選択的に印加される消去電圧は、およそV
+-V
―-0.7ボルトであってよい。したがって、電流は、第2のメモリ要素110bから、トランジスタ108bのエミッタ-ベース又はソース-ゲートジャンクションを通って流れる。トランジスタ108bは、この動作中に2端子デバイスとして機能する。電流が第2のメモリ要素110bを通って流れる場合、第2のメモリ要素110bは、メモリアレイ100内の他の任意のメモリ要素又はメモリセル200内の第1のメモリ要素110aを実質的に妨げることなく、所望の状態に消去されてよい。したがって、第2のメモリ要素110bは、独立して消去されてよい。
【0040】
第1の消去電圧及び第2の消去電圧に加えて、第1の中間電圧及び第2の中間電圧も、特定のビットライン102、ワードライン104、及び選択ライン106に印加されてよい。一実施形態では、第1の中間電圧は、第1のメモリ要素110aの上部端子に接続されるビットライン102bに印加される。代替的な実施形態では、ビットライン102bは、高インピーダンスに接続されている。第2の中間電圧は、ビットライン102a、ワードライン104a、104b、104d、104e、及び選択ライン106aに印加される。
【0041】
図5において示されている例では、電圧は、以下のように選択される:
【数9】
したがって、第1の消去電圧は、第1の中間電圧よりも大きく、第1の中間電圧は、第2の中間電圧よりも大きいか又はこれに等しく、第2の中間電圧は、第2の消去電圧よりも大きい。
【0042】
ここで
図6を参照すると、一実施形態に係る、メモリアレイ100内のメモリセル200の読み出し動作の一例が示されている。メモリセル200を読み出すために、互いに関連した正しい値を有する読み出し電圧の2つのペアは、メモリアレイ100に印加される。電圧の第1のペアは、第1の読み出し電圧
【数10】
、及び第2の読み出し電圧
【数11】
を含んでよい。電圧の第2のペアは、第1の読み出し電圧
【数12】
、及び第2の読み出し電圧
【数13】
を含んでよい。読み出し電圧の第1のペアの第1の読み出し電圧
【数14】
が、第1のメモリ要素110aに接続されるビットライン102bに印加される。電圧の第1のペアの第2の読み出し電圧
【数15】
が、第2のメモリ要素110bに接続される選択ライン106bに印加される。さらに、読み出し電圧の第2のペアの第1の読み出し電圧
【数16】
が、NPN BJTトランジスタ108aのベース又はnJFETトランジスタ108aのゲートのいずれかに接続されるワードライン104bに印加される。読み出し電圧の第2のペアの第2の読み出し電圧
【数17】
が、PNP BJTトランジスタ108bのベース又はpJFETトランジスタ108bのゲートのいずれかに接続されるワードライン104cに印加される。読み出し電圧の2つのペアに加えて、中間電圧も、ビットライン102、ワードライン104、及び選択ライン106のうちの残りのものに印加される。したがって、ビットライン102a、ワードライン104a、104d、104e、及び選択ライン106aは、中間電圧に接続されている。幾つかの実施形態では、中間電圧V
0は、接地電圧(すなわち、0ボルト)である。
【0043】
図6において示されている例では、読み出し電圧は、以下のように選択される:
【数18】
したがって、読み出し電圧の第1のペアの第1の読み出し電圧は、読み出し電圧の第2のペアの第1の読み出し電圧よりも大きく、読み出し電圧の第2のペアの第1の読み出し電圧は、中間電圧よりも大きく、中間電圧は、読み出し電圧の第2のペアの第2の読み出し電圧よりも大きく、読み出し電圧の第2のペアの第2の読み出し電圧は、読み出し電圧の第1のペアの第2の読み出し電圧よりも大きい。読み出し動作中、トランジスタ108a及び108bは、線形(トライオード)領域においてバイアスをかけられ、メモリ要素110a及び110bを通って流れかつ外部回路によって測定される読み出し電流は、
【数19】
であり、ここで、V
onは、並列接続されたトランジスタ108a及び108bのコレクタ-エミッタ又はドレイン-ソースにわたる電圧降下であり、R
1及びR
2は、それぞれ、メモリ要素110a及び110bの抵抗値(すなわち、以前にプログラミングされた状態)である。知られているように、V
onは、特に並列接続されたパストランジスタの相補ペアの場合、トライオード領域において小さく;したがって、
【数20】
であり、これは、メモリ要素110a及び110bの抵抗値の総和であるR
1+R
2に反比例する。したがって、R
1+R
2は、外部回路によって抽出することができる。以下で説明されるように、R
1+R
2は、メモリセルの状態として解釈され得る。読み出し電圧は、上記で説明されたバイアス状態を取得するために適切に選択される。例えば、要求されるオーバドライブを提供するために、PNP BJT108bのターンオン電圧又はpJFET108bの閾値電圧よりも十分大きい
【数21】
が選択され、一方、
【数22】
及び
【数23】
は、メモリセルのうちの残りにおけるPNP BJT又はpJFETをオーバドライブするほどには十分に大きくない。同様に、要求されるオーバドライブを提供するために、NPN BJT108bのターンオン電圧又はnJFET108bの閾値電圧よりも十分大きい
【数24】
が選択され、一方、
【数25】
及び
【数26】
は、メモリセルのうちの残りにおけるNPN BJT又はnJFETをオーバドライブするほどには十分に大きくない。
【0044】
一実施形態では、電圧の第1のペア及び第2のペアの第1の読み出し電圧は、正の電圧V
+であり、電圧の第1のペア及び第2のペアの第2の読み出し電圧は、第1の読み出し電圧と同じ振幅を有する負の電圧V
-である。別の実施形態では、電圧は、以下のとおりである:
【数27】
【0045】
読み出し電圧は、典型的には、メモリ要素動作から知られるような書き込み及び消去電圧よりも小さいことが理解されるべきである。
【0046】
上記で説明されたように、メモリセル200の読み出し中、読み出し電圧は、電流が第1のメモリ要素110a及び第2のメモリ要素110bの両方を通って流れるように外部回路の使用とともに印加され、読み出し回路によって検知される読み出し電流は、第1及び第2のメモリ要素110a、110bの組み合わされた状態の測定値である。結果として、メモリセル200は、以下で更に説明されるように、単一のメモリ要素110と比較すると、より多数の状態を有することができる。
【0047】
加えて、上記で説明されたように、メモリセル200の読み出し中、トランジスタ108a、108bが送信ゲートとしても知られる相補型パストランジスタペアを形成するように、両方のトランジスタ108a、108bがオンに切り替えられる。知られているように、これは、送信ゲートが単一のパストランジスタよりも低い電圧降下及び高いダイナミックレンジを有するので、有利である。したがって、外部回路によって測定される読み出し電流は、メモリ要素110a及び110bの抵抗値の総和であるR1+R2に実質的に比例し、これは、メモリセルの状態と解釈され得る。一実施形態では、第1及び第2のメモリ要素110a、110b及びトランジスタ108a、108bは、鉛直積層構造として構成されてよい。例えば、メモリ要素110aは、トランジスタ108a及び108bの上に積層されてよく、これらは、ひいては、メモリ要素110bの上に積層される。加えて、トランジスタ108a及び108bは、積層トランジスタ領域を有する鉛直トランジスタであってよい。これらの積層構造は、メモリセル200のフットプリントを最小化し、面積当たりのメモリ状態の高密度を達成する。
【0048】
本発明の実施形態は、複数のメモリセル200を備えるメモリアレイ110を提供する。メモリセル200の各々は、2つのメモリ要素及び2つのトランジスタを有する。メモリセル200は、メモリ要素の各々の数よりも大きい数の状態にプログラミングされてよい。幾つかの実施形態では、メモリセル200内の第1及び第2のメモリ要素110a、110bが異なる特性を有する場合、より多数のメモリセル状態が可能であり得る。例えば、第1及び第2のメモリ要素110a、110bが同一であり、かつ第1の状態R
H(高抵抗を示す)及び第2の状態R
L(低抵抗を示す)を有する場合、メモリセル200は、3つの状態2R
H、2R
L、及びR
H+R
Lを有してよい。同様に、第1のメモリ要素110a及び第2のメモリ要素110bが3つの状態R
H、R
L、及びR
M(中程度の抵抗を示す)を有する場合、6つの可能な状態2R
H、2R
L、2R
M、R
H+R
L、R
H+R
M及びR
L+R
Mが存在する。より一般的には、メモリセル200内の2つのメモリ要素が同一である場合、かつ第1のメモリ要素110a及び第2のメモリ要素110bがN個の状態を有する場合、メモリセル200は、
【数28】
個の状態にプログラミング可能である。この例では、メモリ要素110a及び110bが対称的であるか又は別様にメモリセルにおいて同じ電圧極性でバイアスされ、それにより、それらは、互いに同じ状態を有することが仮定される。知られているように、メモリ要素は、書き込み及び消去電圧の極性がメモリ要素の状態に影響を与える場合に非対称であり得る。
【0049】
メモリセル200は、第1のメモリ要素110aが第2のメモリ要素110bとは異なる場合にNビットについて最大でN2個の状態を有してよい。例えば、異なる材料組成、厚さ、及び/又は構造を使用することによって、第1のメモリ要素110aは、第2のメモリ要素110bとは異なってよい。例えば、第1のメモリ要素110aが2つの状態RH1及びRL1を有し、かつ第2のメモリ要素110bが2つの状態RH2及びRL2を有する場合、メモリセル200は、4つの可能な状態:RH1+RH2、RH1+RL2、RL1+RH2及びRL1+RL2を有してよい。同様に、メモリ要素110a及び110bが同一であるが、非対称で互いに対して反対の電圧極性でバイアスされる場合(例えば、メモリ要素110aの底部端子がBL102bに接続され、かつその上部端子がトランジスタ108a及び108bに接続される場合)、第1のメモリ要素110aは、2つの状態RH1及びRL1を有してよく、第2のメモリ要素110bは、2つの状態RH2及びRL2を有してよく、メモリセル200は、4つの可能な状態:RH1+RH2、RH1+RL2、RL1+RH2及びRL1+RL2を有してよい。より一般的には、2の代わりにN個の状態を用いると、メモリセル200は、この方法で最大でN2個の状態を有してよい。
【0050】
図1~
図6を参照して本明細書において説明される本発明の実施形態は、新たな回路構造を提供する。この新たな回路構造は、複数のメモリセル200を備えるクロスポイントメモリアレイ100である。メモリセル200は、向上した状態デュアルメモリセルとも称され得る。メモリセル200は、2T2Rメモリセルである。本明細書において上記で説明されたように、メモリセル200の各々は、2つのトランジスタ108a、108b及び2つのメモリ要素110a、110bを有する。トランジスタ及びメモリ要素の組み合わせは、従来のメモリアレイと比較すると、セル当たりの状態の有効数を増加させる。
【0051】
本発明の様々な実施形態の説明は、図示の目的で提示されてきたが、網羅的であること、又は、開示された実施形態に限定されることを意図するものではない。説明された実施形態の範囲から逸脱することなく、当業者には多くの修正及び変形が明らかであろう。本明細書において使用される用語は、実施形態の原理、実際の応用、又は市場において見られる技術に対する技術的改善点を最も良好に説明するために、又は、他の当業者が、本明細書において開示された実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【国際調査報告】