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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】金属粉末
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20231221BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20231221BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/02
A61K8/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535867
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2021061538
(87)【国際公開番号】W WO2022130140
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,601
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】田島 祥二
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB221
4C083AB222
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB431
4C083AB432
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC842
4C083AD662
4C083BB26
4C083DD21
4C083EE06
(57)【要約】
少なくとも一種の雲母状顔料及び少なくとも一種の真珠光沢顔料を含む化粧料組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の雲母状顔料及び少なくとも一種の真珠光沢顔料を含む化粧料組成物。
【請求項2】
前記少なくとも一種の雲母状顔料の含有量が、約1.0質量%~約35質量%である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記少なくとも一種の真珠光沢顔料の含有量が、約0.1質量%~約90質量%である、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記少なくとも一種の真珠光沢顔料の含有量が、少なくとも70質量%である、請求項3に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記少なくとも一種の雲母状顔料が、酸化鉄を含む少なくとも一種の鉄含有雲母状顔料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記酸化鉄は、Feである、請求項5に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記酸化鉄は、Feである、請求項5に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記少なくとも一種の鉄含有雲母状顔料が、アルミナをさらに含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記少なくとも一種の真珠光沢顔料が、一種又は複数の金属酸化物で被覆された雲母を含む少なくとも雲母ベースの顔料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記雲母が、天然雲母である、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記雲母が、合成雲母である、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
前記一種又は複数の金属酸化物が、酸化チタン、酸化鉄及び酸化ケイ素から選択される、請求項9~11のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
前記少なくとも雲母ベースの顔料が、酸化チタン及び酸化鉄で被覆された合成雲母を含む、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項14】
前記少なくとも雲母ベースの顔料が、酸化チタン及び酸化ケイ素で被覆された天然雲母を含む、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項15】
前記少なくとも雲母ベースの顔料が、酸化チタン及び酸化鉄で被覆された天然雲母を含む、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項16】
安定な組成物である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項17】
少なくとも一種の充填材をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項18】
前記組成物中の前記少なくとも一種の充填剤の含有量が、約0.1質量%~約80質量%である、請求項17に記載の化粧料組成物。
【請求項19】
少なくとも一種のバインダーをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項20】
前記組成物中の前記少なくとも一種のバインダーの含有量が、約0.1質量%~約25質量%である、請求項19に記載の化粧料組成物。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の化粧料組成物を角質表面に適用することを含む化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年12月18日に出願され、その全体が参照により組み込まれている「金属粉末」と題された米国仮出願第63/127,601号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、化粧料組成物に関し、特に、金属粉末を含有する化粧料組成物、並びにそれらの製造方法及び使用方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、少なくとも一種の雲母状顔料及び少なくとも一種の真珠光沢顔料を含む化粧料組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
別段の指定のない限り、「a」又は「an」は、一種又は複数を意味する。
【0005】
本明細書に使用する場合、特定の数値の前に置かれる「約」という用語は、数値の±20%、数値の±18%、数値の±15%、数値の±12%、数値の±8%、数値の±5%、数値の±3%、数値の±2%、数値の±1%、又は数値の±0.5%を意味し得る。
【0006】
本明細書に使用する場合、化粧品及び/又は組成物に関する用語「ペイオフ」は、製品及び/又は組成物を適用するときの、製品及び/又は組成物の色強度/鮮やかさ、並びに角質表面(例えば、皮膚)のその被覆率を指し得る。
【0007】
本明細書に使用する場合、用語「固形組成物」は、ASTM法番号213(サンレオメーター、針:1.0mm、重量2kG、保持10.0M、圧20MM/M)によって、周囲温度(例えば25℃)で測定して、約5mm~約1000mm、約10mm~約800mm、約15mm~約600mm、約20mm~約400mm、約25mm~約300mmの硬さを有し得る固形化粧料組成物を指し得る。
【0008】
パーセント(%)として表される組成物の成分についての全ての含有量情報は、特に明記しない限り、組成物の総質量に対する質量パーセント(%)を指す。
【0009】
化粧料に使用される、ルース粉末又は固化した粉末状製品などの従来の粉末状組成物は、高レベルの真珠光沢顔料を含有する場合がある。このような従来の組成物は、複数回の適用を繰り返す必要なしに、良好な色強度/鮮やかさ及び角質表面の被覆率を有し得る。しかしながら、このような従来の粉末状組成物は、特に、固化したコンパクトな粉末状の化粧品の形態である場合、壊れやすさを含む低い安定性を有する場合がある。
【0010】
固化したコンパクトな粉末状組成物の安定性は、より多量(通常10%を超える)の従来の充填剤(例えばミリスチン酸マグネシウム)、及び/又はより多量(通常10%を超える)のバインダー(例えばトリエチルヘキサノイン)を添加することによって増加させることができる。しかしながら、このような添加物は、このような従来の粉末状組成物の光沢及び色強度を低減させる場合がある。
【0011】
本発明者は、高レベルの真珠光沢顔料を有する従来の粉末状組成物よりも高い安定性を有しながら、高含量の真珠光沢顔料を含有し得る組成物を開発した。
【0012】
具体的には、本発明者は、少なくとも一種の雲母状顔料及び少なくとも一種の真珠光沢顔料を含み得る組成物を開発した。該組成物は、固形粉末形態などの固体形態であってもよい。
【0013】
固形組成物(例えば、固形粉末状組成物)などの組成物は、安定性及び/又は耐久性を有し得、これは、高い含有量の球状粒子を有しながら、組成物が落下試験に合格し得ることを意味し得る。落下試験の詳細は、以下の実施例に開示される。
【0014】
固形組成物(例えば、固形粉末状組成物)などの組成物は、高い色強度/鮮やかさ、並びに皮膚及び/又は唇のような角質表面の良好な被覆率を有し得る。
【0015】
固形組成物、例えば、固形粉末状組成物などの本発明の組成物は、金属的な仕上がり及び/又は高レベルの光沢を有し得る。
【0016】
本発明の組成物は、ビロード様の感触を有し得る。本発明の組成物は、長時間持続する効果を提供することができ、これは、組成物が24時間までの期間、無傷のままであり得ることを意味し得る。
【0017】
固形組成物(例えば固形粉末状組成物)などの組成物は、多くのカラー化粧品に使用することができる。さらに、本発明の組成物の用途は、スキンケア製品、サンケア製品、デオドラント又は毛髪製品を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、リップスティック又はリップバーム組成物などのリップ組成物であってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、ブラッシュ組成物であってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、固形ファンデーション組成物などのファンデーション組成物であってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、コンシーラー組成物であってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、固形アイブロウ組成物のようなアイブロウ組成物であってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、アイシャドー組成物であってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、マスカラ組成物であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、化粧料組成物は、単独で使用され得る。言い換えれば、組成物は、別の組成物なしで、ヒトなどの被験体の皮膚、例えば、唇、まぶた、顔、又は毛などの角質表面又は基材に単独で適用されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、化粧料組成物であり得る組成物は、別の製品、例えば、トップコート、プライマー、又は粉末と共に使用されてもよい。
【0020】
本明細書に使用される場合、「雲母状顔料」という用語は、ラメラ状又はパレット状の形態の顔料の結晶形態を指すことができる。雲母状顔料の例としては、雲母状の、酸化鉄、アルミニウム及び黒鉛が挙げられ得る。雲母状酸化鉄は、パレット状の形態で自然に生じる酸化鉄の結晶形態を含む顔料を指すことができる。いくつかの実施形態では、雲母状酸化鉄は、ISO 10601-2007の規格を満たすことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、雲母状酸化鉄は、雲母に似た形態の酸化鉄であってもよく、結晶性Feなどの高度に構造化された層状鉱物であってもよい。この高度に層状化された構造を有する鉱物は、ラメラと呼ばれる場合がある。雲母状の酸化鉄がより小さく、より微細な粒子に粉砕されると、それらはそれらの層に沿って劈開する傾向があり、小さな鏡のように作用し得る平らで光沢のある面が現れる。これらの小さな鏡は、UV光を反射し、雲母状酸化鉄が組み込まれた樹脂などの材料を分解から保護し、及び/又はそれらが組み込まれた材料に魅力的な「輝き」を与えることができる。
【0022】
雲母状顔料は、小さく、薄く、薄片状の粒子の形態であってもよい。例えば、雲母状顔料は、約0.05μm~約2μm、又は約0.1μm~約1μm、又は約0.1μm~約0.5μm、又はこれらの範囲内の任意の値又は部分範囲の平均粒子厚を有し得、約3μm~約120μm、又は約4μm~約100μm、又は約5μm~約50μm、又は約5μm~約30μm、又は約10μm~約20μm、又はこれらの範囲内の任意の値又は部分範囲の(厚さに垂直な平面内における)平均粒径を有し得る。いくつかの実施形態において、約0.05μm~約0.5μm(例えば、約0.1μm~約0.3μm)の平均粒子厚、及び約5μm~約30μm(例えば、約10μm~約20μm)の平均粒径を有する雲母状顔料を使用することが好ましい場合がある。
【0023】
一種又は複数の雲母状顔料は、以下の特性:例えば、以下の実施例で論じられる落下試験によって決定され得る増加した安定性、及び/又は耐久性、良好なペイオフ、すなわち、角質表面の良好な被覆率と組み合わせられ得る色鮮やかさ/強度;光沢及び金属的な仕上りのうちの一種又は複数を組成物に提供し得る。多くの実施形態では、一種又は複数の雲母状顔料は、一種以上、すなわち二種以上のこれらの特性を組成物に提供し得る。いくつかの実施形態では、一種又は複数の雲母状顔料は、これらの特性の各々を組成物に提供し得る。雲母状顔料は、それらの物理的パラメータ、例えば、平均粒子厚、平均粒径、ラメラ及び平坦形状により、組成物の安定性を改善し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物中の一種又は複数の雲母状顔料の含有量は、約1.0質量%~約35質量%、又は約2質量%~約30質量%、又は約5質量%~約28質量%、又は約10質量%~約25質量%、又はこれらの範囲内の任意の値又は部分範囲であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、一種又は複数の雲母状顔料は、FeIIの酸化物、例えばFeO又はFeO;FeIIとFeIIIとの混合酸化物、例えばFe、Fe、Fe、Fe、Fe2532;又はFeIIIの酸化物(Fe、これはα-Fe相、β-Fe相、γ-Fe相、ε-Fe相又はこれらの相の2つ以上の混合物の状態であってもよい)などの酸化鉄を含む少なくとも一種の鉄含有雲母状顔料を含んでもよい。酸化鉄は、それぞれの鉄含有雲母状顔料の、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%を構成し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、鉄含有雲母状顔料は、酸化鉄がその唯一の成分であり得るようなものであってもよい。さらにいくつかの実施形態では、鉄含有雲母状顔料は、酸化鉄に加えて非酸化鉄成分を含有してもよい。このような非酸化鉄成分は、例えば、アルミナ、チタニア又はシリカなどの一種又は複数の金属酸化物を含むことができる。非酸化鉄成分としてアルミナを有する鉄含有雲母状顔料が好ましい場合がある。
【0027】
いくつかの実施形態では、少なくとも一種の鉄含有雲母状顔料は、Feを含む鉄含有雲母状顔料を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも一種の鉄含有雲母状顔料は、Feを含む鉄含有雲母状顔料を含むことができる。さらにいくつかの実施形態では、少なくとも一種の鉄含有雲母状顔料は、Feを含む鉄含有雲母状顔料と、Fe(これは、α-Fe相、β-Fe相、γ-Fe相、ε-Fe相、又はこれらの相の2つ以上の混合物の状態であってもよい)を含む鉄含有雲母状顔料とを含むことができる。
【0028】
鉄含有雲母状顔料を含む雲母状顔料は、例えば、日本国特許第5,400,341号公報及び日本国特許第5,917,293号公報、並びに米国特許第4,373,963号及び第4,755,229号に開示されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
鉄含有雲母状顔料の非限定的な例としては、チタン工業株式会社から市販されているAM-200P及びBM-200Pが挙げられる。AM-200Pは光沢があり、天然の赤色であり、BM-200Pは深みのある銀黒色である。AMP‐200Pは96%のα-Feと4%のAlを含むが、BM‐200Pは96%のFeと4%のAlを含む。AMP-200P及びBM-200Pはいずれも、平均粒径10~20μm、平均粒子厚0.1~0.4μmである。
【0030】
本明細書に使用される場合、「真珠光沢顔料」という用語は、天然真珠の光沢をシミュレートし得、任意に、角度に関する色依存性などの追加の色効果を提供する顔料を指すことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物中の少なくとも一種以上の真珠光沢顔料の含有量は、約0.1質量%~約90質量%、又は約10質量%~約90質量%、又は約20質量%~約90質量%、又は約30質量%~約90質量%、又は約40質量%~約90質量%、又は約50質量%~約90質量%、又は約60質量%~約90質量%、又は約65質量%~約90質量%、又は約70質量%~約90質量%、又は約75質量%~約90質量%、又はこれらの範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも一種の真珠光沢顔料は、雲母ベースの真珠光沢顔料を含んでもよく、これは、一種又は複数の被覆材料で被覆された雲母であってもよい。雲母ベースの真珠光沢顔料中の雲母は、天然雲母、合成雲母(例えば合成フッ素金雲母)、又はこれら2つの混合物であってもよい。被覆された雲母のプレートレットは、サイズ、形状及び厚さが変化し得る。これらの特性は、被覆の厚さと共に、特定の真珠光沢顔料の色を決定し得る。さらに、顔料粒子の厚さ及び粗さは、特定の顔料の輝きを決定し得る。
【0033】
雲母ベースの真珠光沢顔料のための被覆材料の非限定的な例には、二酸化チタン、酸化鉄、二酸化ケイ素、酸化スズ及び酸化クロムなどの金属酸化物、オキシ塩化ビスマス、フェロシアン化第二鉄、カルミンが挙げられる。例えば、少なくとも一種の真珠光沢顔料は、酸化チタン及び酸化鉄で被覆された合成フッ素金雲母などの合成雲母;酸化チタン及び酸化ケイ素で被覆された天然雲母;酸化チタン及び酸化鉄で被覆された天然雲母のうちの一種又は複数を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも一種の真珠光沢顔料は、非雲母ベースの真珠光沢顔料を含んでもよく、これは、雲母ベースの真珠光沢顔料について上記に開示されたものなどの一種又は複数の被覆材料で被覆された非雲母材料であってもよい。非雲母材料の非限定的な例には、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、アルミナ及びシリカが挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、組成物に使用される真珠光沢顔料は、約5μm~約150μm、又は約5μm~約125μm、又は約10μm~約100μm、又は約10μm~約60μm、又は約10μm~約30μm、又はこれらの範囲内の任意の値又は部分範囲から選択される粒径を有し得る。
【0036】
真珠光沢顔料は、BASF社、Sun Chemical社及びMerck社を含むがこれらに限定されない多くの業者から市販されている。BASF社の真珠光沢顔料には、Bi-Lite(登録商標)20顔料(オキシ塩化ビスマスで被覆された天然の雲母)、Cloisonne(登録商標)Blue(二酸化チタンとフェロシアン化第二鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Blue Flambe(酸化鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Cerise Flambe(酸化鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Copper(酸化鉄と二酸化チタンで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Gold(酸化鉄と二酸化チタンで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Golden Bronze(酸化鉄と二酸化チタンで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Green(酸化鉄と酸化クロムで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Nu-Antique Blue(二酸化チタンと酸化鉄とフェロシアン化第二鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Nu-Antique Bronze(酸化鉄と二酸化チタンで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Nu-Antique Copper(酸化鉄と二酸化チタンで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Nu-Antique Gold(酸化鉄と二酸化チタンで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Nu-Antique Bronze(二酸化チタンと酸化鉄と酸化クロムで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Nu-Antique Rouge Flambe(酸化鉄と二酸化チタンで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Orange(二酸化チタンと酸化鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Regal Gold(二酸化チタンと酸化鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Rouge Flambe(酸化鉄と二酸化チタンで被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Satin Bronze(酸化鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Super Blue(二酸化チタンとフェロシアン化第二鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Super Bronze(酸化鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Super Gold(二酸化チタンと酸化鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Super Green(二酸化チタンと酸化鉄とフェロシアン化第二鉄で被覆された天然雲母);Cloisonne(登録商標)Super Red(二酸化チタンとカルミンで被覆された天然雲母);Flamenco(登録商標)Blue(二酸化チタンで被覆された天然雲母);Flamenco(登録商標)Gold(二酸化チタンで被覆された天然雲母);Flamenco(登録商標)Green(二酸化チタンで被覆された天然雲母);Flamenco(登録商標)Orange(二酸化チタンで被覆された天然雲母);Flamenco(登録商標)Pearl(二酸化チタンで被覆された天然雲母);Flamenco(登録商標)Satin Pearl(二酸化チタンで被覆された天然雲母);Flamenco(登録商標)Satina(二酸化チタンで被覆された天然雲母);Flamenco(登録商標)Summit Magenta(二酸化チタンで被覆された天然雲母);Reflecks(商標)Gilded Gold(二酸化チタンと酸化鉄で被覆されたホウケイ酸カルシウムナトリウム)、Timica(登録商標)Nu-Antique bronze(酸化鉄と二酸化チタンで被覆された天然雲母)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
Sun Chemical社の真珠光沢顔料には、SunSHINE(登録商標)Crystal Golden(INCI名:合成フッ素金雲母(及び)二酸化チタン(及び)酸化鉄);C91-4236 INTENZA(登録商標)FLAMINGO(合成フッ素金雲母及びCi77891及びCi73360);C91-4221 INTENZA(登録商標)ORANGE ZEST(合成フッ素金雲母及びCi77891及びCi15850);INTENZA(登録商標)MANGO TANGO C91-1221(雲母及びCi77891及びCi15850)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
Merck社の真珠光沢顔料には、Ronastar(登録商標)及びTimiron(登録商標)の商標名で販売されているものが挙げられるが、これらに限定されない。Timiron(登録商標)真珠光沢顔料としては、これらに限定されないが、Timiron(登録商標)Super Color真珠光沢顔料、Timiron(登録商標)Splendid Color真珠光沢顔料及びTimiron(登録商標)SynBeam Colorsが挙げられ、これらは全て、約10ミクロン~約60ミクロンの平均粒径を有する。Timiron(登録商標)Super Color真珠光沢顔料には、Timiron(登録商標)Super Green、Timiron(登録商標)Super Blue、及びTimiron(登録商標)Super Redなどの、酸化チタン真珠光沢顔料で被覆された天然雲母、並びにTimiron(登録商標)Super Copper及びTimiron(登録商標)Super Violetなどの、酸化チタン及び酸化スズ真珠光沢顔料で被覆された天然雲母が挙げられる。Timiron(登録商標)Splendid Color真珠光沢顔料は、Timiron(登録商標)Splendid Gold、Timiron(登録商標)Splendid Red、Timiron(登録商標)Splendid Blue、Timiron(登録商標)Splendid Green、Timiron(登録商標)Splendid Copper、Timiron(登録商標)Splendid Violetなどの、酸化チタン及び酸化ケイ素真珠光沢顔料で被覆された天然雲母である。Timiron(登録商標)SynBeam Color真珠光沢顔料は、Timiron(登録商標)SynBeam Red、Timiron(登録商標)SynBeam Blue、Timiron(登録商標)SynBeam Violetなどの、酸化チタン及び酸化スズで被覆された合成雲母(合成フッ素金雲母)である。
【0039】
いくつかの実施形態では、組成物中の、少なくとも一種の雲母状顔料の質量含有量と少なくとも一種の真珠光沢顔料の質量含有量との間の比は、約1:2~約1:30、又は約1:2~約1:20、約1:2~約1:10、又は約1:2.5~約1:6、又は約1:3~約1:5、又はこれらの範囲内の任意の値又は部分範囲であってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、固形組成物(例えば、固形粉末組成物)などの組成物は、雲母状材料、雲母状顔料又は真珠光沢顔料ではない少なくとも一種の充填剤を含有してもよい。いくつかの実施形態では、そのような少なくとも一種の充填材の含有量は、約0.1質量%~約80質量%であってもよい。さらにいくつかの実施形態では、本発明の組成物中の少なくとも一種の充填剤の含有量は、化粧料に使用される従来の粉末組成物中の充填剤含有量と比較して低くてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の組成物中の少なくとも一種の充填剤の含有量は、約0.1質量%~約6質量%、又は約0.5質量%~約5質量%、又は約1質量%~約4質量%、又はこれらの範囲内の任意の値又は部分範囲であってもよい。
【0041】
充填剤は、鉱物性又は有機性であってもよい。いくつかの実施形態において、充填剤は、柔らかさ、艶消し効果及び/又は均一性を提供することができる。充填剤は、異なる種々の形状及び構造を有し得;それらは、ラメラ状の形態、球状の形態、規則的な形態、不規則な形態、繊維又は任意の中間形態であり得る。充填剤は、表面が被覆されていなくてもよく、又は被覆されていてもよい。充填材のための被覆の非限定的な例としては、シアバター、カカオバター、カカオ種子バター、マンゴー種子バターなどのバターが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、充填剤は、限定されるものではないが、天然又は合成であり得る、被覆されていない、又は例えば、シアバター、カカオバター、カカオ種子バター、マンゴー種子バターなどのバターで被覆された雲母;デンプン;クロルフェネシン粉末カオリン、ベントン、シリカ、ナイロン-12などのナイロン、及びミリスチン酸亜鉛から選択されてもよい。いくつかの実施形態において、充填剤の例としては、限定されるものではないが、被覆されていてもよく又はされていなくてもよい雲母、ミリスチン酸亜鉛、シリカ、ナイロン-12、フッ素金雲母及びクロルフェネシンを挙げることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、固形組成物(例えば、固形粉末状組成物)などの組成物は、雲母状材料、雲母状顔料又は真珠光沢顔料ではない少なくとも一種のバインダーを含有してもよい。本発明の組成物中のこのような少なくとも一種のバインダーの含有量は、化粧料に使用される従来の粉末組成物中のバインダー含有量と比較して低くてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の組成物中の少なくとも一種のバインダーの含有量は、約0.1質量%~約25質量%、又は約1質量%~約20質量%、又は約2質量%~約15質量%、又は約3質量%~約13質量%、又はこれらの範囲内の任意の値又は部分範囲であってもよい。
【0043】
バインダーの非限定的な例としては、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジメチコン、フェニルトリメチコン、シアバター、ホホバエステル、オクチルドデカノールである。
【0044】
いくつかの実施形態では、組成物は、(a)少なくとも雲母状顔料;(b)少なくとも一種の真珠光沢顔料;(c)少なくとも一種の充填材(任意選択)及び(d)少なくとも一種のバインダー(任意選択)のみを含むことができる。換言すれば、組成物は、(a)、(b)、(c)及び(d)の他の成分を含まなくてもよい。さらにいくつかの他の実施形態では、組成物は、活性剤、ビタミン、抽出物などの成分(a)、(b)、(c)及び(d)以外の一種又は複数の成分を含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、組成物は、無水であってもよく、約1%未満、又は約0.5%未満、又は約0.3%未満、又は約0.1%未満の水を含んでもよく、或いは水を全く含まなくてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、雲母状顔料又は真珠光沢顔料ではない組成物の成分(例えば充填剤及び/又はバインダー)の合計含有量は、約20質量%以下、又は約18質量%以下、又は約16質量%以下、又は14質量%以下、又は12質量%以下、又は10質量%以下、又は8質量%以下、又はこれらの範囲内の任意の値又は部分範囲である。
【0047】
いくつかの実施形態では、固形組成物(例えば、固形粉末状組成物)などの本発明の組成物は、タルク不含であってもよく、すなわち、それはタルクを全く含有しなくてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、固形組成物(例えば、固形粉末状組成物)などの本発明の組成物は、マイクロサイズのプラスチックビーズを含まなくてもよく、すなわち、それは、0.5ミクロン~100ミクロン、又は1ミクロン~100ミクロンのサイズを有するプラスチックビーズを全く含まなくてもよい。
【0049】
本明細書に説明した実施形態は、全く限定されないが、以下の実施例によってさらに例示される。
【実施例
【0050】
〈固形粉体化粧料の製造方法〉
以下の表の配合に記載されている、必要に応じて加熱することによって溶融した粉末成分及び油成分を、ヘンシェルミキサーで混合して均一な混合物を得た。混合物にイソパラフィンを加え、ディスパージョンミキサーで混合してスラリーを得た。スラリーをインナープレートに充填し、溶媒を吸引除去した後、乾燥を行い、固形粉末化粧料を得た。
【0051】
〈固形粉末化粧料の評価〉
(a)落下試験(耐衝撃性)
固形粉末状組成物をコンパクト等の化粧料容器に入れ、組成物の表面が下を向いた状態で、30cmの高さから、金属板上にそれを落下させ、破損するまでの回数を調べた。試験サンプルの数は、同一バッチで(N)=3個とした。組成物は、平均落下数が少なくとも5回であれば満足な耐衝撃性を有し、平均落下数が6回以上であれば優れた耐衝撃性を有すると評価した。
【0052】
(b)評価
化粧料の10人の専門パネラーに、皮膚上に固形粉末状組成物を適用し、「(皮膚上の)光沢度」を5段階(とても悪い使用性:0~とても良い使用性-ペイオフ:5)及びペイオフを3段階で評価することを依頼した。平均評価値を算出し、以下に記載するように判定を行い、以下の表中に記号で示した。
【0053】
【表1】
【0054】
表1のデータは、雲母状顔料のAM-200Pの除去、及び別の真珠光沢顔料による交換が、プレストパウダーの安定性を低下させ、また、光沢のある仕上りを低下させることを示す。表1のデータは、AM-200Pなどの雲母状顔料を添加すると、組成物の安定性が増加することを示している。
【0055】
【表2】
【0056】
表2は、AM-200Pなどの雲母状顔料の代わりにミリスチン酸マグネシウム及び雲母などの従来の充填剤を使用する組成物が、光沢のある仕上がり及び良好な安定性の両方を達成するのに十分に機能しない可能性があることを実証する。表2のデータはまた、AM-200Pなどの雲母状顔料を含まない組成物は、AM-200Pなどの雲母状顔料を含有する組成物と同様の非常に良い光沢度、とても良いペイオフ性、(落下試験による)非常に良い安定性の組み合わせを有さないことを実証する。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
表4は、雲母状顔料(例えばAM-200P)を添加することが安定性を改善し、少なくとも5%の雲母状顔料(例えばAM-200P)が安定性及び光沢のある外観の両方を改善し得るという証拠を提供する。
【0060】
上記は特定の好ましい実施形態に言及しているが、本発明はそのように限定されないことが理解されるであろう。当業者であれば、開示された実施形態に対して様々な改変を行うことができ、そのような改変は本発明の範囲内であることが意図されることが想起されるであろう。
【0061】
本明細書に引用された刊行物、特許出願及び特許はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】