(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】絶縁性及び組立性向上コンプレッションパッドを備えるバッテリーモジュール、これを含むバッテリーパック及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/293 20210101AFI20231221BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20231221BHJP
【FI】
H01M50/293
H01M50/211
H01M50/249
H01M50/588
H01M50/593
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536545
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 KR2022004898
(87)【国際公開番号】W WO2022216017
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0044324
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-ジェ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-キュ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ジュン・チェ
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY08
5H040LL06
5H040NN01
5H043AA04
5H043AA13
5H043AA19
5H043CA08
5H043JA15
5H043KA22
5H043LA02
(57)【要約】
本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、複数のセルが積層されているセル積層体と、前記セル積層体の外側面に配備されるコンプレッションパッド(compression pad)と、を含み、前記コンプレッションパッドは、弾性パッドと前記弾性パッドの少なくとも一方の面に貼り付けられる合成樹脂フィルムとの積層体であり、前記合成樹脂フィルムは、前記弾性パッドに比べて長さがさらに長い長さ延長部を含み、前記長さ延長部が折り畳まれて前記セル積層体の上面を覆って保護することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルが積層されているセル積層体と、
前記セル積層体の外側面に配備されるコンプレッションパッドと、
を含み、
前記コンプレッションパッドは、弾性パッドと前記弾性パッドの少なくとも一方の面に貼り付けられる合成樹脂フィルムとの積層体であり、
前記合成樹脂フィルムは、前記弾性パッドに比べて長さがさらに長い長さ延長部を含み、前記長さ延長部が折り畳まれて前記セル積層体の上面を覆って保護する、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記セルは、シール部を含むパウチ型セルであり、前記長さ延長部は折り畳まれて前記シール部を覆う、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記弾性パッドはポリウレタンフォームであり、前記合成樹脂フィルムはポリエチレンテレフタレート(PET)である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記コンプレッションパッドは、前記セル積層体の両側の最外郭セルの外側の大面積部分にそれぞれ取り付けられ、前記セル積層体の両側に位置することになる前記長さ延長部は、前記セル積層体の内側に向かってそれぞれ折り畳まれて前記セル積層体の両側の上部の角部をそれぞれ保護する、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記セル積層体の両側から折り畳まれた前記長さ延長部同士は、前記セル積層体の上面において接続されるか、あるいは、重なり合わない、請求項4に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記コンプレッションパッドの弾性パッドが内側における前記セル側に位置し、前記合成樹脂フィルムが外側に位置する、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記セル積層体を収容し、上部が開放されたU字状のフレームと、
前記開放されたU字状のフレームの上部から前記セル積層体を覆う天板プレートと、
をさらに含み、
前記複数のセルの積層方向と垂直な前記セル積層体の面が前記U字状のフレームの底面部に装着され、
前記天板プレートと前記セル積層体との間には、前記セルと干渉する部材が存在しない、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記天板プレートとセル積層体とは、離間している、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記コンプレッションパッドの弾性パッドが接着剤を介して前記セルの一方の面に接着され、前記長さ延長部が追加の接着剤を介して前記セルの上面に接着される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記接着剤は、前記セルの長手方向に沿って延びる帯状に一ヵ所以上に備えられる、請求項9に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記セル積層体内のセルとセルとの間に配備される追加のコンプレッションパッドをさらに含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記追加のコンプレッションパッドは、所定の数のセルを含むセルグループの間ごとに配置される、請求項11に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールに関し、より詳細には、セル積層体とフレーム部材との間の絶縁性及び組立性を向上させるように改善したバッテリーモジュールに関する。本発明は、このようなバッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び自動車にも関わっている。
【0002】
本出願は、2021年4月5日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0044324号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
製品群による易適用性が高く、高いエネルギー密度などの電気的な特性を有する二次電池は、携帯型機器のみならず、電気的駆動源によって駆動される電気自動車またはハイブリッド電気自動車、エネルギー貯蔵装置などに普遍的に応用されている。かような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少できるという一次的な長所のみならず、エネルギーの使用に伴う副産物が全く生じないという長所をも併せ持つことから、環境へのやさしさ及びエネルギー効率性の向上のための新たなエネルギー源として注目を浴びている。
【0004】
小型モバイル機器には、デバイス1台当たりに1つまたは2~4個のセルが用いられるのに対し、自動車などのように中大型デバイスには高出力・大容量が必要とされる。したがって、複数のセルを電気的に接続したセル積層体を備える中大型バッテリーモジュールが用いられる。中大型バッテリーモジュールは、できる限り、コンパクトなサイズと重量を有するように製造されることが好ましいため、高い集積度をもって積層可能であり、容量に比べて重量が小さな角型セル、パウチ型セルなどが中大型バッテリーモジュールの単位セルとして主として用いられている。
【0005】
一方、バッテリーモジュールは、セル積層体を外部の衝撃、熱または振動から保護するために、セル積層体を内部空間に収容するフレーム部材を含む。
図1は、従来のバッテリーモジュールを示す斜視図であり、
図2は、
図1のA-A’線に沿った分解及び組立て状態の断面図である。
【0006】
図1及び
図2を参照すると、従来のバッテリーモジュール1は、セル積層体10を収容するフレーム部材20がケース22とカバー24からなっている。セル積層体10とケース22との間には緩衝部材30が配備されている。
【0007】
緩衝部材30は、スウェリング(swelling、膨れ)によるセルの膨張に伴い圧縮されてスウェリングを吸収したり、外部の衝撃や振動からセル積層体10を保護したりすることになる。フレーム部材20の内側には、セル積層体10からの絶縁性の確保のために、主な領域部にさらに絶縁体を挿入している。一例として、
図1に示すバッテリーモジュール1においては、カバー24の内側にセル積層体10の周縁部(edge)の保護のための軒状のフィルム26を付加している。
【0008】
図2の(a)でのように、ケース22内にセル積層体10を入れ、カバー24をセル積層体10の上に組み立てるとき、このような軒状のフィルム26は組み立ての過程において干渉に脆弱であるため、(b)でのように、緩衝部材30またはセル積層体10と衝突しながらフィルム26の歪みないし損傷を引き起こすことがある。なお、このような構造のバッテリーモジュール1は、組立性や工程により局部的に露出される領域が不可避的に存在することになるが、これは、安全性に関わる事項であるため、必ず改善が必要である。
【0009】
特に、パウチ型セルのシール部は、カット(cutting)工程により絶縁性において脆弱であるが、セル積層体10を構成するセルとしてパウチ型セルを用いる場合には、フレーム部材20と特に近づいた位置にあるセル、すなわち、最外郭セルに対する絶縁性の確保を改善し続けなければならないということが課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するために案出されたものであり、本発明が解決しようとする技術的課題は、セル積層体の最外郭セルに対する絶縁性を確保し、セル積層体とフレーム部材との組み立て時の不良を極力抑えることのできるバッテリーモジュールを提供することである。
【0011】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するための本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、複数のセルが積層されているセル積層体と、前記セル積層体の外側面に配備されるコンプレッションパッド(compression pad)と、を含み、前記コンプレッションパッドは、弾性パッドと前記弾性パッドの少なくとも一方の面に貼り付けられる合成樹脂フィルムとの積層体であり、前記合成樹脂フィルムは、前記弾性パッドに比べて長さがさらに長い長さ延長部を含み、前記長さ延長部が折り畳まれて前記セル積層体の上面を覆って保護することを特徴とする。
【0013】
前記セルは、シール部を含むパウチ型セルであり、前記長さ延長部は折り畳まれて前記シール部を覆うものであってもよい。
【0014】
前記弾性パッドはポリウレタンフォーム(foam)であり、前記合成樹脂フィルムはポリエチレンテレフタレート(PET)であってもよい。
【0015】
前記コンプレッションパッドは、前記セル積層体の両側の最外郭セルの外側の大面積部分にそれぞれ取り付けられ、前記セル積層体の両側に位置することになる前記長さ延長部は、前記セル積層体の内側に向かってそれぞれ折り畳まれて前記セル積層体の両側の上部の角部をそれぞれ保護するものであってもよい。
【0016】
このとき、前記セル積層体の両側から折り畳まれた前記長さ延長部同士は、前記セル積層体の上面において接続されてもよく、あるいは、重なり合わなくてもよい。
【0017】
前記コンプレッションパッドの弾性パッドが内側における前記セル側に位置し、前記合成樹脂フィルムが外側に位置するものであってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、前記セル積層体を収容し、上部が開放されたU字状のフレームと、前記開放されたU字状のフレームの上部から前記セル積層体を覆う天板プレート(top plate)と、をさらに含み、前記複数のセルの積層方向と垂直な前記セル積層体の面が前記U字状のフレームの底面部に装着され、前記天板プレートと前記セル積層体との間には、前記セルと干渉する部材が存在しないものであってもよい。
【0019】
前記天板プレートとセル積層体とは、離間しているものであってもよい。
【0020】
前記コンプレッションパッドの弾性パッドが接着剤を介して前記セルの一方の面に接着され、前記長さ延長部が追加の接着剤を介して前記セルの上面に接着されてもよい。
【0021】
このとき、前記接着剤は、前記セルの長手方向に沿って延びる帯状に一ヵ所以上に備えられるものであってもよい。
【0022】
前記バッテリーモジュールは、前記セル積層体内のセルとセルとの間に配備される追加のコンプレッションパッドをさらに含んでいてもよい。
【0023】
前記追加のコンプレッションパッドは、所定の数のセルを含むセルグループの間ごとに配置されてもよい。
【0024】
一方、本発明の一実施形態によるバッテリーパック及び自動車は、上述したような本発明によるバッテリーモジュールを含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一側面によれば、コンプレッションパッドは、弾性パッドと合成樹脂フィルムとの積層体であり、最外郭に貼られているコンプレッションパッドの合成樹脂フィルムの長さを弾性パッドよりもさらに増大させて長さ延長部がセル積層体の上面の周縁部を覆うようにする。このことから、セル積層体とフレーム部材の組立て工程により不可避的に露出される区間から絶縁性をさらに確保することができる。
【0026】
特に、バッテリーモジュールに含まれるセルがパウチ型セルである場合に、本発明のコンプレッションパッドの合成樹脂フィルムの長さ延長部は、セルのシール部またはセル折り畳み(cell folding)部のカット(cutting)面の露出部を最小限に抑えて絶縁性を向上させることができる。
【0027】
また、本発明の一側面によれば、フレーム部材の内側にセル積層体からの絶縁性の確保のためにさらに絶縁体を挿入することが不要になることから、フレーム部材の構造が簡単になる。その結果、セル積層体をフレーム部材に挿入して組み立てるときに、干渉による不良を極力抑えることができる。
【0028】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはいけない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来のバッテリーモジュールを示す斜視図である。
【
図2】(a)及び(b)は、
図1のA-A’線に沿った分解及び組立て状態の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示す分解斜視図である。
【
図4】
図3のバッテリーモジュールを構成する構成要素を組み合わせた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるバッテリーセルを示す図である。
【
図6a】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるセル積層体を示す図であって、コンプレッションパッドの合成樹脂フィルムの長さ延長部を折り畳む前の状態の斜視図である。
【
図6b】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるセル積層体を示す図であって、
図6aのB-B’線に沿った断面図である。
【
図7a】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるセル積層体を示す図であって、コンプレッションパッドの合成樹脂フィルムの長さ延長部を折り畳んだ後の状態の斜視図である。
【
図7b】
図7aのC-C’線に沿った断面図である。
【
図8】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるコンプレッションパッドの側面図と正面図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるコンプレッションパッドに接着剤の位置を表示した図である。
【
図10】(a)及び(b)は、
図7aのC-C’線に沿った場合、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの分解及び組立て状態の断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを示す概略図である。
【
図12】本発明の一実施形態による自動車を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0031】
まず、
図3から
図5に基づいて、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールについて説明する。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示す分解斜視図である。
図4は、
図3のバッテリーモジュールを構成する構成要素を組み合わせた状態を示す斜視図である。
図5は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるバッテリーセルを示す図である。
【0033】
図3から
図5を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール90は、セル積層体100と、セル積層体100を収容するフレーム部材200と、を含む。
【0034】
前記セル積層体100は、複数のセル110が積層されているものである。フレーム部材200は、セル積層体100を収容し、上部が開放されたU字状のフレーム210と、U字状のフレーム210の上部からセル積層体100を覆う天板プレート(top plate)220と、を含む。複数のセル110の積層方向と垂直な前記セル積層体100の面がU字状のフレーム210の底面部に装着される。
【0035】
U字状のフレーム210は、天面と、前面及び背面が開放されている。セル積層体100の前面と背面には、エンドプレート230がそれぞれ位置していてもよい。なお、セル積層体100とエンドプレート230との間に位置するバスバーフレーム240を含んでいてもよい。
【0036】
U字状のフレーム210の開放された両側をそれぞれ第1側及び第2側としたとき、U字状のフレーム210は、前記第1側と前記第2側に対応するセル積層体100の面を除いて、残りの外面のうち、隣り合う前面、底面及び背面を連続して包み込むように折り畳まれた板状構造からなっている。U字状のフレーム210の底面に対応する天面は開放されている。U字状のフレーム210の底面部には、熱伝導性樹脂層212が形成されてもよい。
【0037】
天板プレート220は、U字状のフレーム210により包み込まれる前面、底面及び背面を除いた残りの天面を包み込む1枚の板状構造からなっている。U字状のフレーム210と天板プレート220は、互いに対応する角部位が接触された状態で、溶接などにより結合されることにより、セル積層体100を包み込む構造を形成することができる。すなわち、U字状のフレーム210と天板プレート220は、互いに対応する角部位に溶接などの結合方法により結合されて溶接部CPを形成していてもよい。
【0038】
前記セル110としては、例えば、パウチ型のバッテリーセルが適用されてもよい。前記セル110がこのようにパウチ型のバッテリーセルである場合、
図5に示すように、セル110は、電極組立体(図示せず)と、パウチケース111と、電極リード112及びシールテープ113を含む形態に実現されてもよい。
【0039】
図示はしないが、前記電極組立体は、交互に繰り返し積層された正極板と負極板との間にセパレーターを介在させた形態を有し、両側の最外郭には、絶縁のためにセパレーターがそれぞれ位置することが好ましい。
【0040】
前記正極板は、正極集電体及びその片面の上にコーティングされる正極活物質層からなり、一方の端部には正極活物質がコーティングされていない正極無地部領域が形成されるが、このような正極無地部領域は、正極タブとして機能する。
【0041】
前記負極板は、負極集電体及びその片面または両面の上にコーティングされる負極活物質層からなり、一方の端部には、負極活物質がコーティングされていない負極無地部領域が形成されるが、このような負極無地部領域は、負極タブとして機能する。
【0042】
また、前記セパレーターは、正極板と負極板との間に介在して互いに異なる極性を有する電極板同士が直接的に接触されるのを防ぐが、正極板と負極板との間において電解質を媒介体としてイオンの移動が可能なようにするために、多孔性材質からなり得る。
【0043】
前記セルケース111は、電極組立体を収容する収容部111a及び収容部111aの周方向に延びて電極リード112が外部に引き出された状態で熱融着されてシールされることにより、セルケース111を密封するシール部111bの2つの領域を含む。
【0044】
図示はしないが、前記セルケース111は、樹脂層/金属層/樹脂層がこの順に積層された多層のパウチフィルムからなる上ケース及び下ケースのそれぞれの周縁部分が当接して熱融着されることにより密封される。
【0045】
前記一対の電極リード112は、それぞれ正極タブ(図示せず)及び負極タブ(図示せず)と接続されてセルケース111の外側に引き出される。前記一対の電極リード112は相対向して、セル110の一方の端部と他の端部からそれぞれ突出している構造を有する。セルケース111において、電極リード112が突出している両端部の間がセル110の長手方向であると定義され得る。
【0046】
前記シールテープ113は、電極リード112の周りに貼り付けられ、パウチケース111のシール部111bの内側面と電極リード112との間に介在する。前記シールテープ113は、電極リード112の引き出しによりシール部111bの密封性が脆弱にならないようにする。
【0047】
複数のセル110は、
図3に示すように、Y軸方向に積層されてもよい。セルケース111の表面がすべすべしている場合、複数のセル110を積層するときに外部の衝撃により滑りやすい傾向にある。したがって、これを防ぎ、セル110の安定的な積層構造を保持するために、セルケース111の表面に両面テープなどの粘着式接着剤または接着の際に化学反応により結合される化学接着剤などの接着部材を取り付けてセル積層体100を形成することができる。本実施形態において、セル積層体100は、Y軸方向に積層され、Z軸方向にU字状のフレーム210の内部に収容されて熱伝導性の樹脂層212により冷却が行われ得る。
【0048】
セル積層体100がU字状のフレーム210の底面部に装着される前に、U字状のフレーム210の底面部に熱伝導性樹脂を塗布し、熱伝導性樹脂を硬化させて
図3に示す熱伝導性樹脂層212を形成することができる。熱伝導性樹脂層212を形成する前に、すなわち、前記塗布した熱伝導性樹脂が硬化する前に、セル積層体100がU字状のフレーム210の底面部に垂直な方向に沿って移動しながら、U字状のフレーム210の底面部に装着されてもよい。次いで、熱伝導性樹脂が硬化して形成された熱伝導性樹脂層212は、U字状のフレーム210の底面部とセル積層体100との間に位置する。熱伝導性樹脂層212は、セル110から発せられる熱をバッテリーモジュール90の底面に伝え、セル積層体100を固定する役割を果たすことができる。
【0049】
図5に示すセル110のシール部111bは、カット工程によりセルケース111の樹脂層/金属層/樹脂層が断面に露出されて絶縁に脆弱な部分である。本発明においては、このようなシール部111bを保護できるように、セル積層体100の外側面に、
図3に示すようなコンプレッションパッド(compression pad)120を備えるところに特徴がある。
図6から
図9に基づいて、このようなコンプレッションパッド120についてさらに詳しく述べる。
【0050】
図6aと
図6bは、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるセル積層体を示す図であって、
図6aは、コンプレッションパッドの合成樹脂フィルムの長さ延長部を折り畳む前の状態の斜視図であり、
図6bは、
図6aのB-B’線に沿った断面図である。
図7aと
図7bは、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるセル積層体を示す図であって、
図7aは、コンプレッションパッドの合成樹脂フィルムの長さ延長部を折り畳んだ後の状態の斜視図であり、
図7bは、
図7aのC-C’線に沿った断面図である。
図8は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるコンプレッションパッドの側面図と正面図である。
図9は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールに適用されるコンプレッションパッドに接着剤の位置を表示した図である。
【0051】
図3、
図6及び
図7に示すように、セル積層体100の外側面に本発明特有のコンプレッションパッド120が配備される。
【0052】
図8に詳しく示すように、コンプレッションパッド120は、弾性パッド122と前記弾性パッド122の少なくとも一方の面に貼り付けられる合成樹脂フィルム124との積層体である。
図8の(a)は、コンプレッションパッド120の側面図であり、(b)は、同正面図である。前記合成樹脂フィルム124は、前記弾性パッド122に比べてZ軸方向への長さがさらに長い長さ延長部125を含み、前記長さ延長部125が、
図7aのように、Y軸方向に折り畳まれて前記セル積層体100の上面を覆って保護することになる。特に、セル110がパウチ型バッテリーセルである場合、前記長さ延長部125は折り畳まれてシール部111bを覆うことができる。弾性パッド122と合成樹脂フィルム124のX軸方向への長さは互いに等しくてもよく、その長さは、セル110のセルケース111の収容部111aの長さに等しくてもよく、あるいは、セル110の長さに等しくてもよい。
【0053】
図6a及び
図6bに示すように、前記コンプレッションパッド120の弾性パッド122が内側に向かって前記セル110側に位置し、前記合成樹脂フィルム124は外側に向かって最外郭に位置するものであってもよい。弾性パッド122は、バッテリーモジュールの繰り返し充放電に伴いセル110にスウェリングが生じてセル110が積層方向(Y軸方向)に沿って凸状に膨れ上がる場合に圧縮されてスウェリングを吸収することができる。なお、外部からの衝撃を吸収することができる。このような機能を考慮して、前記弾性パッド122は、弾性を有する適切な材質からなり得、特に、ポリウレタンフォームであり得る。
【0054】
前記合成樹脂フィルム124は、弾性パッド122への熱的移動を極力抑えることができる。なお、コンプレッションパッド120を取り扱い易くする。好ましくは、非常に低い熱伝導性をもった材質からなる前記合成樹脂フィルム124を備えればよい。前記合成樹脂フィルム124は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり得る。
【0055】
コンプレッションパッド120は、セル積層体100の両側の最外郭セル110の外側の大面積部分にそれぞれ取り付けられ、前記セル積層体100の両側に位置することになる前記長さ延長部125は、前記セル積層体100の内側に向かってそれぞれ折り畳まれて、
図7a及び
図7bに示すように、前記セル積層体100の両側の上部の角部をそれぞれ保護することになり得る。このとき、前記セル積層体100の両側から折り畳まれた前記長さ延長部125同士は、
図7a及び
図7bに示すように、前記セル積層体100の上面において接続されてもよく、あるいは、重なり合わなくてもよい。セル積層体100の上面に他の部材を含めるときに、セル積層体100の上面において長さ延長部125同士が接続されるか、あるいは、重なり合わないため、露出された部位の上に配置することができる。
【0056】
前記コンプレッションパッド120の弾性パッド122が接着剤126を介して前記セル110の一方の面に接着され、前記長さ延長部125が追加の接着剤127を介して前記セル110の上面に接着されてもよい。
図9を参照すると、接着剤126が前記セル110の長手方向に沿って延びる帯状に1ヵ所以上に備えられている。接着剤126、127は、両面テープまたは粘着剤であり得る。
【0057】
一方、前記セル積層体100内のセル110とセル110との間には、
図6a、
図6b、
図7a及び
図7bに示すように、追加のコンプレッションパッド120’をさらに含んでいてもよい。
【0058】
追加のコンプレッションパッド120’は、隣り合うセル110の間に介在し、セル積層体100の厚さの増加を極力抑えるために、1枚のみが配備されてもよい。このように、追加のコンプレッションパッド120’が1枚のみ配備される場合、追加のコンプレッションパッド120’は、セル積層体100の積層方向の中心部に配置されることが好ましい。これは、隣り合うセル110の間の熱暴走現象の伝播を効率よく遮断するためである。
【0059】
前記追加のコンプレッションパッド120’は、セル積層体100内に複数枚含まれてもよい。このとき、追加のコンプレッションパッド120’は、
図6a、
図6b、
図7a及び
図7bに示すように、所定の数のセルを含むセルグループ110’の間ごとに配置されてもよい。1つのセルグループに何個のセル110を含めるかは、バッテリーモジュールに含まれるセル110の数、セル110が有する容量、追加のコンプレッションパッド120’の厚さなどを考慮して決定され得る。
【0060】
追加のコンプレッションパッド120’もまた、コンプレッションパッド120と同様に、弾性パッド122と合成樹脂フィルム124との積層体であってもよい。特に、追加のコンプレッションパッド120’は、同図に示すように、1枚の弾性パッド122と1枚の合成樹脂フィルム124とを積層したものであり得るが、真ん中に弾性パッド122があり、弾性パッド122の両側面にそれぞれ合成樹脂フィルム124を備えるサンドイッチ構造であってもよい。追加のコンプレッションパッド120’において、合成樹脂フィルム124は、弾性パッド122の長さと同じ長さを有していてもよい。
【0061】
一方、本発明の実施形態においては、フレーム部材200がU字状のフレーム210と天板プレート220とを含む場合を例にとって説明しているが、U字状のフレーム210は、天面、前面及び背面が開放されているので、セル積層体100を装着するときに取り扱い易い。天板プレート220とセル積層体100とは離間していて、セル積層体100の上面に他の部材を含み易い。
【0062】
フレーム部材200の構造は、異なることも可能である。例えば、フレーム部材200は、セル積層体100を覆うように前面と背面が開放されたモノフレームを含んでいてもよい。この場合、セル積層体100にコンプレッションパッド120を接着した後、長さ延長部125を
図7のように折り畳んだ状態にして、セル積層体100をモノフレームの開放された前面または背面に挿入して組み立ててもよい。他の例を挙げると、フレーム部材200は、セル積層体100を収容し、上部及び一方の側面が開放された第1のL字状のフレーム、及びセル積層体100を収容し、下部及び一方の側面が開放された第2のL字状のフレームを含み、前記第1のL字状のフレームと前記第2のL字状のフレームとが係合して前記セル積層体100の4面を取り囲むようにするものであってもよい。
【0063】
以上述べたように、コンプレッションパッド120は、弾性パッド122と合成樹脂フィルム124との積層体であり、最外郭に貼られているコンプレッションパッド120の合成樹脂フィルム124の長さを弾性パッド122よりもさらに増大させて長さ延長部125がセル積層体100の上面の周縁部を覆うようにする。このことから、セル積層体100とフレーム部材200、特に、天板プレート220の組み立て工程により不可避的に露出される区間から絶縁性をさらに確保することができる。特に、セル110がパウチ型セルである場合に、シール部111bまたはこのようなシール部111bを折り畳んだセル折り畳み(cell folding)部のカット面の露出部を最小限に抑えて絶縁性を向上させることができる。
【0064】
また、セル積層体100をU字状のフレーム210に挿入し、天板プレート220を組み立てるときに干渉による不良を極力抑えることができる。
図10は、
図7aのC-C’線に沿った場合、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの分解及び組立て状態の断面図である。
図3と
図10を結び付けて参照すると、天板プレート220とセル積層体100とは離間しており、天板プレート220とセル積層体100との間にはセル110と干渉する部材が存在しない。コンプレッションパッド120の合成樹脂フィルム124の長さ延長部125を有し、セル積層体100の上面の周縁部を覆うため、従来のバッテリーモジュール1の軒構造のようなフィルムが不要になるのである。追加の絶縁フィルム222を含めるとしても、軒構造を有する必要なしに、平らであれば済むので、セル110と干渉することがない。
【0065】
従来のバッテリーモジュール1において、天板プレートのフィルムは、周縁部の保護のために軒状を有しているが、組み立ての過程において干渉に非常に脆弱である。本発明においては、当該形状を削除して組立性の向上を期待することができる。既存の天板プレートのフィルムから周縁部の保護のための軒状を削除しても、最外郭に貼られているコンプレッションパッド120の合成樹脂フィルム124の長さ延長部125がセル積層体100の上面の周縁部を覆って保護するため、絶縁に脆弱ではない。
【0066】
このように、本発明によれば、セル積層体100を構成するセル110としてパウチ型セルを用いる場合には、フレーム部材200と特に近づいた位置にある最外郭セル110に対する絶縁性の確保が非常に抜群であり、セル積層体100とフレーム部材200との組み立て時の不良を極力抑えることができる。
【0067】
図11は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックを示す概略図である。このようなバッテリーパック300は、電気自動車用バッテリーパックとして活用されて好適である。
図12は、本発明の一実施形態による自動車を示す概略図である。
【0068】
図11及び
図12を参照すると、バッテリーパック300は、前述した実施形態による少なくとも1つのバッテリーモジュール90及び前記少なくとも1つのバッテリーモジュール90を梱包(パッケージング)するパックケース310を含んでいてもよい。
【0069】
本発明によるバッテリーパック300は、このようなバッテリーモジュール90とパックケース310の他に、バッテリーモジュール90の充放電を制御するための各種の装置、つまり、バッテリー管理システム(BMS)、電流センサー、ヒューズなどがさらに含まれ得る。
【0070】
バッテリーモジュール90は、略直方体の形状を呈して、バッテリーパックケース310内に整然として並べることができ、各バッテリーモジュール90は、自動車400の走行に必要とされる電力を確保できるように接続されている。
【0071】
バッテリーパックケース310は、バッテリーモジュール90を固定・収容する容器であり、直方体の形状の箱である。なお、このバッテリーパックケース310は、自動車400内の所定の位置に配設されてもよい。
【0072】
好ましくは、自動車400は、電気自動車であってもよい。バッテリーパック300は、電気自動車のモーターに駆動力を与えて自動車400を駆動する電気エネルギー源として使用可能である。この場合、バッテリーパック300は、100V以上の高い公称電圧を有する。
【0073】
バッテリーパック300は、モーター及び/又は内燃機関の駆動に伴い、インバーターにより充電されたり放電されたりすることができる。バッテリーパック300は、ブレーキ(brake)と結合された回生充電装置により充電され得る。バッテリーパック300は、インバーターを介して自動車400のモーターに電気的に接続されてもよい。なお、バッテリーパック300は、前記自動車の他にも、二次電池を用いるエネルギー貯蔵システム(ESS)などその他の装置や器具及び設備などにも配備されることも可能であるということはいうまでもない。
【0074】
このように、本実施形態によるバッテリーパック300と前記自動車400のように、前記バッテリーパック300を備える装置や器具及び設備は、前述した前記バッテリーモジュール90を含むため、前述したバッテリーモジュール90によるメリットのすべてを併せ持つバッテリーパック300及びこのようなバッテリーパック300を備える自動車400などの装置や器具及び設備などを実現することができる。
【0075】
一方、本明細書においては、上、下、左、右などの方向指示語が用いられたが、これらの用語は説明のしやすさのために用いられたものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などに応じて異なってくる可能性があるということは本発明の当業者にとって自明である。
【0076】
以上、本発明の望ましい実施形態を図示し説明したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であり、そのような変更は特許請求の範囲の記載範囲内にあることは言うまでもない。
【国際調査報告】