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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】液体を加熱するための装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A47J27/21 101R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536941
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 IT2021050414
(87)【国際公開番号】W WO2022130437
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102020000031190
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512129996
【氏名又は名称】デロンギ アップリアンチェース エッセエレエッレ コン ウーニコ ソーチオ
【氏名又は名称原語表記】DE’LONGHI APPLIANCES SRL CON UNICO SOCIO
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】マッツォン レンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ガッリーナ ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィセンティン シルヴィオ
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA34
4B055BA03
4B055CA21
4B055CB02
4B055CC27
4B055CC28
4B055DB02
(57)【要約】
液体を加熱するための装置(10)であって、収容部(11)と加熱手段(12)とを備えると共に、収容部(11)に収容可能な複数の異なる種類の蓋部(14,15)を駆動するように構成された駆動システム(13)も備えている装置(10)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部(11)と、前記収容部(11)に関連付けられた液体を加熱するための手段(12)と、交換可能な蓋部(14,15)と、を備えた、液体を加熱するための装置(10)であって、
少なくとも第1の回転可能蓋部(14)と相互作用すると共に、バルブ(19)が設けられた少なくとも第2の安全蓋部(15)と相互作用するために、選択的に駆動されることができる駆動システム(13)を備えており、前記回転可能蓋部(14)及び安全蓋部(15)は前記収容部(11)に交互に収容されることができ、
前記駆動システム(13)は、前記蓋部(14,15)の外部の少なくとも1つの作動要素(16)と、前記蓋部(14,15)の内部の少なくとも1つのアクチュエータ(17,18)と、を備えており、
前記アクチュエータ(17,18)は前記作動要素(16)と協働するものであり、
前記作動要素(16)が駆動されることにより、前記回転可能蓋部(14)においては当該回転可能蓋部(14)が前記収容部(11)に対して開き、前記安全蓋部(15)においては、前記収容部(11)の位置又は傾き如何にかかわらず前記バルブ(19)が少なくとも部分的に開く
ことを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記作動要素(16)は弾性復帰手段(23)と関連付けられている、
請求項1記載の装置(10)。
【請求項3】
前記作動要素(16)は、前記収容部(11)の外部の駆動ボタン(24)と、前記収容部(11)の内部に設けられて前記駆動ボタン(24)と一体的な軸部(25)と、を備えており、
前記収容部(11)は、前記軸部(25)に対するガイドリング(26)を備えている、
請求項1又は2記載の装置(10)。
【請求項4】
前記アクチュエータ(17)が関連付けられた前記回転可能蓋部(14)はヒンジ(28)まわりに回転可能であり、
前記アクチュエータ(17)は、前記収容部(11)と係合することにより前記回転可能蓋部(14)を閉状態に維持するように構成されており、
前記作動要素(16)は前記アクチュエータ(17)に作用することにより前記回転可能蓋部(14)を前記収容部(11)から解放して前記収容部(11)を開状態にするように構成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項5】
前記前記アクチュエータ(17)は、前記回転可能蓋部(14)が前記閉位置にある際にフランジ(29)と係合して当接するように構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(17)と前記作動要素(16)との間に配置された関節機構(32)を備えており、
前記関節機構(32)は、前記作動要素(16)の駆動に従い、前記アクチュエータ(17)の後方移動と前記回転可能蓋部(14)の開動作とを可能にするように構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項7】
前記関節機構(32)は、前記回転可能蓋部(14)の内側に回転可能に取り付けられたディスク(35)の両側に回転可能に拘束された一対の接続ロッド(33,34)を備えている、
請求項6記載の装置(10)。
【請求項8】
前記ヒンジ(28)は、前記アクチュエータ(17)が前記容器部(11)から解放されたときに前記回転可能蓋部(14)の自動的な開動作を可能にする弾性手段(37)を備えている、
請求項6又は7記載の装置(10)。
【請求項9】
前記送液バルブ(19)はシャッタ(39)を備えており、
前記作動要素(16)は、前記シャッタ(39)に向かって前記アクチュエータ(18)をスラスト移動させることにより前記バルブ(19)の前記少なくとも部分的な開動作を可能にするように構成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項10】
前記アクチュエータ(18)は全ての使用状態において前記シャッタ(39)と係合している、
請求項1から9までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項11】
前記軸部(25)と前記シャッタ(39)とは、平行な軸に沿って軸方向に可動であり、及び/又は互いに同軸である、
請求項3及び9又は請求項3及び10記載の装置(10)。
【請求項12】
前記安全蓋部(15)は、実質的にL字形のダクト(44)を備えており、
前記ダクト(44)には流入口(45)と流出口(46)とが設けられており、前記流入口(45)は、実質的に鉛直方向の第1のセグメント(44a)にあり、前記流出口(46)は、実質的に水平方向の第2のセグメント(44b)にあり、
前記シャッタ(39)は前記第2のセグメント(44b)内で軸方向に可動である、
請求項9から11までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項13】
前記バルブ(19)は、前記作動要素(16)がユーザによって解除されたときに前記シャッタ(39)の自動的な閉動作を引き起こす弾性復帰手段(40)を備えている、
請求項1から12までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項14】
前記容器部(11)と前記第2の蓋部(15)との間に配置された流体密手段(41)を備えている、
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項15】
液体を加熱するための装置(10)を製造するための方法であって、
実質的に汎用的な収容部(11)を設けることと、ただし、前記収容部(11)は当該収容部(11)内の液体を加熱するための手段(12)を備えており、
前記収容部(11)に交互に収容可能な複数の異なる種類の蓋部(14,15)と相互作用するために選択的に駆動されることができる駆動システム(13)を設けることと、
を含み、
前記蓋部(14,15)は、少なくとも第1の回転可能蓋部(14)と、バルブ(19)が設けられた少なくとも第2の安全蓋部(15)と、を含み、
前記駆動システム(13)は、前記蓋部(14,15)の外部の少なくとも1つの作動要素(16)と、前記蓋部(14,15)の内部の少なくとも1つのアクチュエータ(17,18)と、を備えており、
前記作動要素(16)はユーザによって駆動されることができ、
前記アクチュエータ(17,18)は前記作動要素(16)と協働するものであり、
前記作動要素(16)が駆動されることにより、前記回転可能蓋部(14)においては当該回転可能蓋部(14)が前記収容部(11)に対して開き、前記安全蓋部(15)においては、前記収容部(11)の位置又は傾き如何にかかわらず前記バルブ(19)が少なくとも部分的に開く
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を加熱するための装置、例えば水その他液体に対応した電気ケトル等に関するものである。本発明はさらに、液体を加熱するための装置を製造するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気ケトル等の液体を加熱するための装置は、加熱される液体を収容する容器部と加熱手段とを備えることができ、この加熱手段は通常は装置のベースに収容される。加熱手段は例えば、装置のベースに収容される1つ又は複数の電気抵抗を備えることができ、この電気抵抗は、必要な場合には配電源に接続することができる。
【0003】
容器部は、加熱される液体を充填するための開口部を上部に有し、この開口部は2以上の種類の蓋部によって閉じることができる。最も一般的な蓋部の種類は、一般に2種類ある。
【0004】
第1の種類は、容器部の片側にヒンジ連結された蓋部であって、当該容器部の開口部を閉じるために下方の位置に配され、当該容器部を開けるために上方の位置に配されるのに適した蓋部である。容器部は、加熱された液体を流出させるための注ぎ口を有することができ、この注ぎ口は通常、蓋部が下方の位置にあるときも上方の位置にあるときも、常時開いた状態に留まる。
【0005】
通常、蓋部は下方の位置のロックシステムに関連付けられており、ユーザは例えばボタン等によってこのロックシステムに作用することにより、容器部から蓋部を解放してヒンジまわりに回転させることにより上昇させることができる。
【0006】
特に電気ケトル用の第2の種類の蓋部は、ヒンジの無い安全蓋部であり、この安全蓋部は通常、上部の開口部に密閉するように収容されている。
【0007】
蓋部には開閉バルブが備え付けられており、この開閉バルブは、専用のボタンによって駆動可能な対応する駆動システムに関連付けられている。通常、このバルブを閉状態に戻すためには、再び上述の専用ボタンに作用する必要がある。
【0008】
上記の安全蓋部にはさらに追加のボタンが備え付けられており、これは、当該安全蓋部が収容された容器部から当該安全蓋部を係合解除するためのものである。
【0009】
よって、液体を加熱するための公知の装置は、当該装置が収容すべき蓋部の種類に応じて、当該蓋部を収容するための適切な収容手段と、蓋部をロック解除及びロックするための適切なシステム及び機構や、バルブを開閉するための適切なシステム及び機構と、を備える必要がある。
【0010】
各公知の加熱装置は、一方又は他方の種類の蓋部と、液体を送るためのバルブの一方又は他方の種類のロック・ロック解除システム又は開閉システムを収容するために適するために特殊な構造的特徴を具備する必要がある。
【0011】
送液バルブが設けられた蓋部の場合、このバルブが不注意によって開弁状態で放置され、これにより、例えば沸騰した液体が容器部から漏れる等の装置の安全上の問題を引き起こすことがある。
【0012】
よって一般的には、上記の形式の液体を加熱するための装置は、可能な用途の点であまりフレキシブルでなく、構造が複雑であり、装置の安全面で改善の余地があることが多い。
【0013】
欧州特許出願公開第2483745号明細書に、送液バルブを備えた安全蓋部、又は液体を入れる容器部の中央ゾーンにヒンジ連結された蓋部を備えた、液体を加熱するための装置の種々の解決手段が記載されている。しかし、上記の解決手段は互いに独立しており、互いに組み合わせることができない。さらに、安全蓋部の場合、液体を加熱するための装置を液体注ぎ位置に傾けたときだけバルブが開弁できるようになっている。
【0014】
英国特許出願公開第2486229号明細書及び独国実用新案第29902995号明細書に、公知の形式の液体を加熱するための他の装置が記載されている。
【0015】
以上のことから、従来技術の欠点のうち少なくとも1つを解消できる、液体を加熱するための装置を完成させる必要がある。
【0016】
特に本発明の一目的は、効率的、安全、かつ用途の点でフレキシブルな液体を加熱するための装置、例えば電気ケトル等を提供することである。
【0017】
本発明の他の一目的は、液体を入れる同じ容器部に複数の異なる種類の蓋部を関連付けることができる液体を加熱するための装置であって、構造及び使用の簡素化を特徴とする液体を加熱するための装置を提供することである。
【0018】
本発明の他の一目的は、種々の使用必要性に応じて複数の異なる種類の蓋部、例えば回転可能蓋部又は安全蓋部等を関連付けることができる汎用的な容器部を実質的に備えた、液体を加熱するための装置を製造するための方法である。
【0019】
本願出願人は、従来技術の欠点を解消して上記及び他の目的及び利点を達成すべく、本発明を着想、試験及び具現化した。
【発明の概要】
【0020】
本発明は独立請求項に記載され、その特徴が記載されている。従属請求項に本発明の他の特徴又は本発明の主な思想の変形形態が記載されている。
【0021】
上記目的に鑑みて、本発明の液体を加熱するための装置は、液体を入れるための収容部と、当該収容部内の液体を加熱するための手段と、を備えている。
【0022】
本発明の一側面では加熱装置は、収容部に交互(alternately)に収容可能な複数の異なる種類の蓋部を駆動するように構成された駆動システムを備えており、駆動システムは、蓋部の外部の少なくとも1つの作動要素と、蓋部の内部の少なくとも1つのアクチュエータと、を備えており、作動要素はユーザによって駆動されることができ、アクチュエータは作動要素と協働する。
【0023】
上記の作動要素が駆動されることにより、アクチュエータは蓋部の第1の閉位置と第2の開位置との間で、又はその逆方向に移動可能となる。
【0024】
例えば回転可能蓋部の場合、「開状態」とは、蓋部が収容部に対して回転して上昇した状態をいう。例えば安全蓋部の場合、「開状態」とは、液体が送液バルブを通ることができ、これにより送液バルブが少なくとも部分的に開弁することをいう。
【0025】
好適にはアクチュエータは、収容部の位置及び/又は傾き如何にかかわらずバルブの開弁を可能にするために当該バルブと係合する。換言すると、液体を注いでいる間に収容部が実質的に鉛直位置にあり、必ずしも傾いていなくても、バルブを開弁することが可能である。
【0026】
有利には、例えば電気ケトル等の液体を加熱するための上記装置は、交互に関連付け可能な複数の異なる種類の蓋部を備えた汎用的な収容部を実質的に提供し、これらの蓋部は駆動システムによって駆動される。駆動システムは、少なくとも第1の回転可能蓋部と相互作用すると共に、バルブが設けられた少なくとも第2の安全蓋部と相互作用するために、選択的に駆動されることができる。
【0027】
駆動システムの一部は、アクチュエータが備え付けられた蓋部の中に設けられ、一部は、ユーザによって駆動可能な可動の作動要素が備え付けられた収容部に設けられている。作動要素は複数の異なる種類の蓋部に合わせて適合され、複数の異なる種類の蓋部のアクチュエータを駆動することができる。本加熱装置は、使用可能性に関して極めてフレキシブルであると共に、高い有効性とユーザに対する安全性とを兼ね備えることが証明されている。
【0028】
駆動システムが駆動されることにより、回転可能蓋部の場合には当該回転可能蓋部が収容部に対して開き、安全蓋部の場合にはバルブが少なくとも部分的に開く。
【0029】
一部の実施形態では、作動要素は弾性復帰手段と関連付けられることができる。かかる実施形態により、実質的に、ユーザがカーソル(cursor)を離したときにアクチュエータが初期位置に復帰することができ、この初期位置は例えば、第1の回転可能蓋部が閉じる位置、又は第2の安全蓋部の場合にはバルブが閉じる位置である。
【0030】
ヒンジ連結された第1の蓋部には、収容部の第1の閉状態から当該収容部の第2の開状態に回転し、又はその逆方向に回転するためのヒンジを設けることができる。その際には、アクチュエータは第1の蓋部と収容部との間の拘束要素として働き、アクチュエータは第1の蓋部に対して設けられており、第1の蓋部を第1の閉状態に維持するために収容部と係合するように構成されている。作動要素はアクチュエータに作用することにより、第1の蓋部を収容部から解放して第1の収容部を第2の開状態にするように構成されている。
【0031】
上記の回転ヒンジは周部分において、液体を加熱するための装置の取っ手に実質的に対応して配置されている。
【0032】
一部の実施形態では、液体を加熱するための装置は回転可能蓋部を収容するためのフランジを備えることができ、アクチュエータは当該蓋部の閉位置においてフランジに当接するように構成することができる。
【0033】
上記の装置は、アクチュエータと作動要素との間に配置された関節機構も備えることができ、関節機構は、駆動要素の駆動に従い、アクチュエータの後方移動を可能にして回転可能蓋部の開動作を可能にするように構成されている。
【0034】
回転可能蓋部のヒンジは、アクチュエータが容器部から解放されたときに回転可能蓋部の自動的な開動作を可能にする弾性手段を備えることができる。
【0035】
蓋部は、上記のように収容部に収容することができ、また、シャッタを備えた少なくとも1つの送液バルブが設けられた安全蓋部とすることができ、このバルブは、収容部の内部と流体連通される。その際には、作動要素はシャッタに向かってアクチュエータをスラスト移動させることによりバルブの少なくとも部分的な開動作を可能にするように構成されている。
【0036】
バルブは、ユーザが作動要素を離したときにシャッタの自動的な閉動作を引き起こす弾性復帰手段を備えることができる。
【0037】
安全蓋部は、液体のための流入口及び流出口が設けられたダクトを備えており、このダクト内に送液バルブが配置されている。
【0038】
ダクトは、実質的に鉛直方向の第1のセグメントと、実質的に水平方向の第2のセグメントと、を有する実質的にL字形であり、シャッタは軸方向に水平方向のセグメントに沿って可動である。
【0039】
加熱装置には、収容部と安全蓋部との間に配置された流体密手段を設けることもできる。
【0040】
本発明の他の一目的は、液体を加熱するための装置を製造するための方法であって、実質的に汎用的な収容部を設けることと、ただし、収容部は当該収容部内の液体を加熱するための手段を備えており、収容部に交互に収容可能な複数の異なる種類の蓋部と相互作用するために選択的に駆動されることができる駆動システムを設けることと、を含み、蓋部は、少なくとも第1の回転可能蓋部と、バルブが設けられた少なくとも第2の安全蓋部と、を含み、駆動システムは、蓋部の外部の少なくとも1つの作動要素と、蓋部の内部の少なくとも1つのアクチュエータと、を備えており、作動要素はユーザによって駆動されることができ、アクチュエータは上記のカーソルと協働するものであり、駆動システムが駆動されることにより、回転可能蓋部の場合には当該回転可能蓋部が収容部に対して開き、安全蓋部の場合には、収容部の位置及び/又は傾き如何にかかわらずバルブが少なくとも部分的に開く方法を提供することである。
【0041】
添付図面を参照して以下の一部の実施形態の説明を読めば、本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点が明らかとなる。この一部の実施形態は限定列挙ではなく例示列挙である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】閉位置にある第1の種類の蓋部を備えた本発明の液体加熱装置の部分縦断面図である。
図2図1の第1の種類の蓋部の上面図である。
図2a図2の II-II 線に沿った断面図である。
図3図2の線 III-III に沿った図1の装置の部分断面図であり、当該装置の蓋部は部分開位置にある。
図4図1の装置の部分断面図であり、当該装置の蓋部は全開位置にある。
図5】閉位置にある第2の種類の蓋部を備えた本発明の液体加熱装置の部分縦断面図である。
図6図4の装置の部分断面図であり、当該装置の蓋部は開位置、すなわち液体を通過させるための開状態となっている。
図7】第2の種類の蓋部を容器部から取り外した、上記の加熱装置の部分縦断面図である。
図8】第2の種類の蓋部の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
より理解しやすくするため、可能な場合には、図面中の同一の共通要素を示すために同一の符号を使用している。更なる釈明を要することなく、一実施形態の要素及び特徴を他の実施形態に容易に組み合わせ又は組み込むことが可能であると解される。
【0044】
ここで、本発明の可能な実施形態について詳細に言及する。添付の図面には例示として非限定的に、これら実施形態のうち1つ又は複数の例が示されている。また、本願にて使用されている文言及び用語用法は、非限定的な例を提示することを目的としている。
【0045】
添付図面、例えば図1及び図7等を参照すると、本発明の液体を加熱するための装置10は液体を入れるための容器部11と、容器部11内の液体を加熱するための手段12と、を備えている。
【0046】
装置10は、容器部11に交互に収容可能な複数の異なる種類の蓋部14又は15を駆動するように構成された駆動システム13を備えている。
【0047】
蓋部は、「フリップ」として知られている種類の第1の種類の回転可能蓋部14と、液漏れを防止するために気密封止された第2の種類の安全蓋部15と、を含む。
【0048】
駆動システム13は、蓋部14又は15の外部の少なくとも1つの作動要素16と、蓋部14又は15の内部の少なくとも1つのアクチュエータ17又は18と、を備えており、作動要素16はユーザによって駆動されることができ、アクチュエータ17又は18は作動要素16と協働する。
【0049】
作動要素16は例えば、図1,3,4,7に示されているような直線方向に可動であるカーソル(cursor)とすることができ、又は不図示の可能な変形形態では、上方から下方に若しくは水平方向の回動運動等により動くために適したボタン若しくはレバーとすることができる。
【0050】
アクチュエータ17又は18は、作動要素16の駆動に従い、蓋部14若しくは15が第1の閉状態となる第1の位置と、蓋部14若しくは15が第2の開状態となる第2の位置と、の間、又はその逆に可動である。
【0051】
第2の種類の蓋部15の場合、以下説明するように、開状態とはバルブ19が少なくとも部分的に開弁して液体を送液する状態である。
【0052】
換言すると、作動要素16が駆動された場合、回転可能蓋部14については当該回転可能蓋部14が容器部11に対して開き、安全蓋部15についてはバルブ19が少なくとも部分的に開く。
【0053】
容器部11には上部開口部38を設けることができ、この上部開口部38に蓋部14又は15が収容され、上部開口部38により液体を充填又は追加する作業を行うことができる。
【0054】
容器部11にはまた、液体を流出させるための注ぎ口20を設けることができ、容器部11を適切に傾けると、上記の注ぎ口20によって液体を送ることができる。
【0055】
容器部11は把持取っ手21を備えることもでき、これは好適には、注ぎ口20が配された側とは反対側に配置される。
【0056】
容器部の加熱手段12は当該容器部11の下部に配置することができ、また、容器部11と単一片を成すように作製することができる。例えば、加熱手段12は1つ又は複数の電気抵抗等を備えることができる。
【0057】
通常、容器部11にはベース22が関連付けられており、このベース22には電気エネルギー供給手段が設けられており、ベース22はケーブル及びプラグを用いて電力網に接続されている。
【0058】
一部の実施形態では装置10は、液体が沸騰した際に加熱手段12を作動停止するように構成された温度制御手段、例えばサーモスタット57等を備えている。貫通流路58を設けることもでき、液体の沸騰中に容器部11内で発生した蒸気がこの貫通流路58を通ってサーモスタット57付近に到達し、加熱手段12をスイッチオフさせることができる。
【0059】
一部の実施形態では、作動要素16は蓋部14若しくは15に対して接離するように直進可能又は回転運動可能であり、また、適切な伝動部材によってアクチュエータ17又は18と協働することができる。
【0060】
作動要素16は、弾性復帰手段23と関連付けることができる。弾性手段23は作動要素16を戻すことによって、アクチュエータ17又は18が第2の位置から第1の位置へと通過することを可能にする。このようにして、実質的に、蓋部14又は15は開状態から閉状態に通過することができる。
【0061】
第1の種類の回転可能蓋部14の場合、上記の通過は回転可能蓋部14を下げたときに行われる。
【0062】
作動要素16は、収容部11の外部の駆動ボタン24と、収容部11の内部に設けられて駆動ボタン24と一体的な軸部25と、を備えることができる。軸部25は弾性復帰手段23に関連付けられている。
【0063】
作動要素16は、容器部11に形成された適切な直進ガイドによって案内されることができる。例えば、軸部25を案内するためのリング26、又は作動要素16の直進運動ひいてはボタン24の直進運動のためのガイドその他を設けることができ、作動要素16の直進運動のためのガイドは、容器部11の外表面に形成される。軸部25の少なくとも一部は、容器部11に形成されたシート(seating)53から出ることができ、又は、軸部25は容器部11の中に引っ込むことができる。
【0064】
回転可能蓋部14には、収容部11の第1の閉状態から当該収容部11の第2の開状態に回転し、又はその逆方向に回転するためのヒンジ28を設けることができる。
【0065】
上記のヒンジは開口部38の周部分に配置することができ、好適には上記の取っ手21に対応して配置することができる。
【0066】
作動要素16はアクチュエータ17と協働するように構成されており、本事例では、回転可能蓋部14と容器部11との間の拘束要素として働く。
【0067】
アクチュエータ17は回転可能蓋部14に接続されており、回転可能蓋部14を第1の閉状態に維持するために容器部11と係合するように構成されている。作動要素16はアクチュエータ17に作用して、回転可能蓋部14を容器部11から解放し、容器部11を第2の開状態にする。
【0068】
回転可能蓋部14の閉状態は、回転可能蓋部14が下げられている図1に示す状態であり、この状態では、アクチュエータ17は容器部11と係合し、容器部11を適切に傾けると容器部11の注ぎ口20から液体が流出できるようになっている。
【0069】
逆に、図3又は図4の開状態では回転可能蓋部14は、例えば液体等を充填又は補充する動作を行えるように開状態になる。
【0070】
特に、容器部11の開口部38に、回転可能蓋部14を容器部11に完璧に適合できるように回転可能蓋部14を収容するためのフランジ29を配置することができる。
【0071】
一部の実施形態、例えば図2aを参照して説明する実施形態等では、容器部11の縁部及びフランジ29に相互結合手段54を設けることができる。
【0072】
上記の結合手段54は、フランジ29の側壁から突出するフック歯部55を備えることができ、このフック歯部55は、容器部11の内表面において当該容器部11の上縁部に対応して設けられた適切なシート56に挿入されるために適したものである。
【0073】
本発明の他の実施形態では、フランジ29は、ネジ、リベット、溶接及び/又は接着等の他の手段によって取り付けることができる。
【0074】
生じる可能性のある液漏れを防ぐため、シールガスケット(不図示)を設けることができる。
【0075】
上記の実施形態ではアクチュエータ17は、回転可能蓋部14の閉状態ではフランジ29に当接してヒンジ28まわりの蓋14の回転を阻止するように配置する構成とすることができる。
【0076】
例えば、図1に示すように、アクチュエータ17の少なくとも一部をフランジ29の下方に配置することができる。
【0077】
フランジ29が無い場合、回転可能蓋部14が閉状態である際には、アクチュエータ17は容器部11の壁に形成された孔の中に配置することができ、又は容器11の内側に形成された段部その他の突起要素と当接すること等が可能である。
【0078】
アクチュエータ17は、回転可能蓋部14の内側に形成されたスライドガイド30に収容することもできる。アクチュエータ17はまた、回転可能蓋部14が閉状態にある際にガイド30に当接するために適した進行要素31の一端を提供することもできる。
【0079】
アクチュエータ17と作動要素16との間に関節機構32を配置することができ、この関節機構32は、作動要素16が駆動されたとき、例えば作動要素16に圧力が加わったとき等に、アクチュエータ17の後方移動を可能にして回転可能蓋部14の開動作を行えるようにする構成となっている。
【0080】
関節機構32は例えば一対の接続ロッド33及び34を備えることができ、これらの接続ロッド33及び34は、回転可能蓋部14の内側に回転可能に取り付けられたディスク35の両側に回転可能に拘束されている。
【0081】
第1の接続ロッド33はアクチュエータ17に回転可能に接続することができ、第2の接続ロッド34は、作動要素16の軸部25と協働するために適したロッド36に回転可能に拘束されることができる。特に、接続ロッド33及び34はディスク35において当該ディスク35の周部に対応して回転可能に拘束されることとなる。
【0082】
ヒンジ28には、アクチュエータ17が容器部11から解放されたときに回転可能蓋部14の自動的な開動作を可能にする弾性手段37を備え付けることもできる。
【0083】
図1の回転可能蓋部14の閉状態を考察すると、ユーザは作動要素16を押して方向A1に、弾性手段23が設けられている場合にはこの弾性要素23の作用に抗して、直進移動させることができる。作動要素16が適切な進行で方向A1に直進移動することにより、アクチュエータ17が図1の位置から図3の位置に後方移動し、この位置においてアクチュエータ17の大半が回転可能蓋部14の中に引っ込む。よって、回転可能蓋部14を図1の位置から図4の位置まで上昇させることができる。この上昇は、回転ヒンジ28の弾性手段37によって自動的に行うことができる。
【0084】
ユーザが作動要素16を離すと、弾性手段23によって作動要素16は図1の位置に復帰することができ、アクチュエータ17の一部が回転可能蓋部14から、特に回転可能蓋部14に形成されたガイド30から出る(図4参照)。こうするためには、アクチュエータ17をガイド30からスラスト移動させ、ひいては回転可能蓋部14からスラスト移動させる専用の弾性復帰手段をアクチュエータ17に備え付けることができる。
【0085】
回転可能蓋部14を再度閉じるためには、ユーザは回転可能蓋部14をヒンジ28まわりに回転させて下降させ、再度作動要素16を方向A1に押す必要があり、これによりアクチュエータ17は回転可能蓋部14に引っ込んで作動要素16を解放し、アクチュエータ17は再度容器部11と係合し、例えばフランジ29の下方と係合する。
【0086】
図5は安全蓋部15を示しており、この安全蓋部15には、容器部11の内側と流体連通する少なくとも1つの送液バルブ19が設けられている。作動要素16は、バルブ19のシャッタ39に向かってアクチュエータ18をスラスト移動させることにより当該シャッタ39を開けることを可能にするように構成されている。
【0087】
図5の状態では安全蓋部15は閉状態である。すなわち、送液バルブ19は閉弁している。一方、図6では安全蓋部15は開状態であり、すなわちバルブ19は開弁しており、容器部11を適切に傾ければ容器部11の注ぎ口20に向かって液体が通過できるようになっている。
【0088】
バルブ19は弾性復帰手段40を備えることができ、この弾性復帰手段40は、作動要素39が離されてアクチュエータ18がその初期位置に復帰したときのシャッタ39の自動的な閉鎖を決定するものである。
【0089】
安全蓋部15は、例えば適切な形状のガスケット等の流体密手段41を用いて、容器部11に収納される。
【0090】
安全蓋部15は、容器部11に入った液体が高温になり、もし意図せずに容器部11から流出したときに危険となり得る場合に使用することができる。
【0091】
本事例では、アクチュエータ18はロッドを含むことができ、このロッドには、作動要素16の軸部25と協働する第1端43と、バルブ19のシャッタ39と協働する第2端42と、が設けられている。
【0092】
安全蓋部15内にダクト44が形成されており、このダクト44には液体の流入口45及び流出口46が設けられている。バルブ19は流入口45と流出口46との間に配置されている。バルブ19のシャッタ39は、ダクト44内に形成された通路48を開閉することができる。シャッタ39には、少なくとも1つのOリング等の流体密手段47が設けられる。
【0093】
一部の実施形態では、ダクト44は、流入口45に対応する実質的に鉛直方向の第1のセグメント44aと、流出口46に対応する実質的に水平方向の第2のセグメント44bと、を有する実質的にL字形である。
【0094】
バルブ19は好適には第2のセグメント44bに配置され、シャッタ39は、第2のセグメント44bと同軸の軸に沿って軸方向に可動となっている。
【0095】
アクチュエータ18を通過させることができる貫通孔59を第1のセグメント44aに設けることができる。
【0096】
アクチュエータ18はいかなる使用状態であっても、すなわち容器部11がいかなる位置にあっても、その傾き如何にかかわらずバルブ19を開弁するために適するようにシャッタ39と常時係合することが好適である。
【0097】
一部の実施形態では、第1のセグメント44aと第2のセグメント44bとは互いに直交して配置される。不図示の他の変形形態で、両セグメント44a,44bは約70°~約110°の範囲の角度で傾斜することができる。
【0098】
一部の実施形態では、作動要素16が駆動されると軸部25及びシャッタ39が軸方向に、互いに実質的に平行及び/又は互いに同軸の各軸に沿って移動可能とされる。
【0099】
バルブ19は、ユーザが方向A1に作動要素16に作用することにより開弁することができる。作動要素16に関連付けられた軸部25はアクチュエータ18の第1端43に当接し、アクチュエータ18は直進移動してシャッタ39を変位させ、通路48を開ける(図5及び図6参照)。
【0100】
作動要素16を離すことにより、弾性復帰手段23は作動要素16を図6の位置から図5の位置まで移動させ、弾性手段40によってシャッタ39が通路48を閉じる位置に復帰し、これによりアクチュエータ18も図4の位置に復帰する。
【0101】
図中のどちらの種類の蓋部14又は15についても、図から分かるように、駆動システム13の作動要素16は容器部11に取り付けられた蓋部の種類に依存せず、さらに、アクチュエータ17又は18は蓋部14又は15の内側にあり、作動要素16に実質的に依存しない。作動要素16は、第1の種類の回転可能蓋部14の場合のように関節機構32を用いてアクチュエータ17に作用することができ、又は、第2の種類の安全蓋部15の場合のようにアクチュエータ18に直接作用することができる。
【0102】
安全蓋部15(図7及び図8参照)には、容器部11に挿入されるために適した下部分49と、上部閉鎖部分50と、が設けられている。下部分49には、容器部11に形成されたシート52に安全蓋部15を引っ掛けるための歯部51を配置することができる。
【0103】
歯部51は、下部分49の側壁から出る又は入るように構成することができ、また、下部分49から突出した位置に歯部51を維持する弾性手段を当該歯部51に設けることもできる。蓋部15を容器部11に挿入すると、歯部51はまず下部分49に引っ込み、シート52に対応する場所に到達すると脱出(snap out)して、歯部51の少なくとも特定の部分がシート52に入る。
【0104】
安全蓋部15の例えば上部分50等には、歯部51を下部分49の中に引っ込ませて安全蓋部15の解放を可能にするように構成されたキー27又はボタンを設けることができる。
【0105】
他の実施形態では、安全蓋部15は第2の通過ダクト57を備えることができ、この第2のダクト57は、容器部11の内部スペースと上記の通過流路58とを流体連通させるように構成されている。
【0106】
本発明の液体を加熱するための装置10を製造するための方法は、実質的に汎用的な容器部11を設けることと、ただし、容器部11内には液体を加熱するための手段12が設けられており、容器部11に交互に収容可能な複数の異なる種類の蓋部14,15を駆動するための上述の駆動システム13を設けることと、を含む。
【0107】
上記にて説明した加熱装置については、特許請求の範囲に特定された本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、各部分の改良及び/又は追加を行うことが可能であることが明らかである。
【0108】
添付の特許請求の範囲において、括弧書きの符号の目的は読みやすくすることのみであり、個々の請求項に記載された保護範囲を限定するファクタであるとみなすべきものではない。
図1
図2
図2a
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】