(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】電池パックおよびこれを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20231221BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20231221BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20231221BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231221BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20231221BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20231221BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20231221BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6567
H01M50/211
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537375
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 KR2022012456
(87)【国際公開番号】W WO2023027435
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0110996
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ボラ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スン・チャン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドンヒョン・キム
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS01
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY04
5H040AY10
5H040CC20
5H040JJ03
5H040NN03
(57)【要約】
本発明の一実施形態による電池パックは、電池セルを含む電池モジュールと、前記電池モジュールを収納するパックハウジングと、前記電池モジュールを前記パックハウジングに固定する固定ブラケットと、を含む。前記固定ブラケットは、前記電池モジュールの上面に密着する下部プレートおよび前記下部プレート上に位置する上部プレートを含む。前記上部プレートと前記下部プレートとの間に冷媒が通過する冷却流路が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを含む電池モジュールと、
前記電池モジュールを収納するパックハウジングと、
前記電池モジュールを前記パックハウジングに固定する固定ブラケットと、
を含み、
前記固定ブラケットは、前記電池モジュールの上面に密着する下部プレートおよび前記下部プレート上に位置する上部プレートを含み、
前記上部プレートと前記下部プレートの間に冷媒が通過する冷却流路が形成される電池パック。
【請求項2】
前記固定ブラケットは、前記冷却流路と連結されるインレットポートおよびアウトレットポートを含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記下部プレートは、前記電池モジュールの上面に密着する固定部および前記固定部から前記パックハウジングの底部まで延長される締結部を含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記締結部が前記パックハウジングの底部に締結されている、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記締結部に締結ホールが形成されており、ボルト部が前記締結ホールを通過して前記パックハウジングの前記底部に締結されている、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記上部プレートは、本体部および前記本体部から延長されて前記下部プレートに接合された接合部を含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記接合部と前記下部プレートは溶接接合されている、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記本体部と前記下部プレートとの間に前記冷却流路が形成されている、請求項6に記載の電池パック。
【請求項9】
前記本体部には下部方向に湾入した湾入部が形成されており、
前記本体部は、前記湾入部によって区画される複数の通路部を含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記通路部それぞれは前記冷却流路の方向と平行な方向に沿ってつながれている、請求項9に記載の電池パック。
【請求項11】
前記本体部には上向突出した複数の突出部が形成されている、請求項6に記載の電池パック。
【請求項12】
前記突出部は、互いに離隔したまま前記冷却流路の方向と平行な方向に沿って配置されている、請求項11に記載の電池パック。
【請求項13】
前記電池モジュールは複数で構成されており、
前記固定ブラケットが複数の電池モジュールを前記パックハウジングに固定する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項14】
前記上部プレートと前記下部プレートとの間に冷媒管が位置し、
前記冷媒が前記冷媒管内部に沿って流れて前記冷却流路を形成している、請求項1に記載の電池パック。
【請求項15】
請求項1に記載の電池パックを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
【0002】
本出願は2021年8月23日付韓国特許出願第10-2021-0110996号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0003】
本発明は電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものであって、より具体的には、冷却性能が向上した電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0004】
現代社会では携帯電話機、ノートパソコン、キャムコーダー、デジタルカメラなどの携帯型機器の使用が日常化するにつれて、前記のようなモバイル機器関連分野の技術に対する開発が活発になっている。また、充放電の可能な二次電池は化石燃料を使用する既存のガソリン車両などの大気汚染などを解決するための方案であって、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)などの動力源として用いられているところ、二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0005】
現在商用化された二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうちのリチウム二次電池はニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらなくて充放電が自由であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0006】
このようなリチウム二次電池は主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを挟んで配置された電極組立体、および電極組立体を電解液と共に密封収納する電池ケースを備える。
【0007】
一般に、リチウム二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内装されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内装されているパウチ型二次電池に分類することができる。
【0008】
小型機器に用いられる二次電池の場合、二つ~三つの電池セルが配置されるが、自動車などのような中大型デバイスに用いられる二次電池の場合は、複数の電池セルを電気的に連結した電池モジュール(Battery module)が用いられる。このような電池モジュールは複数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって容量および出力が向上する。また、一つ以上の電池モジュールは、BMS(バッテリーマネジメントシステム(Battery Management System))、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0009】
二次電池は、適正温度より高まる場合、二次電池の性能が低下することがあり、ひどい場合、爆発や発火の危険もある。特に、複数の二次電池、即ち、電池セルを備えた電池モジュールや電池パックは、狭い空間で複数の電池セルから出る熱が合算されて温度がさらに急速かつ急激に上がることがある。言い換えれば、複数の電池セルを含む電池モジュールとこのような電池モジュールが装着された電池パックの場合、高い出力を得ることができるが、充電および放電時、電池セルから発生する熱を除去することが容易でない。電池セルの放熱がろくに行われない場合、電池セルの劣化が速くなりながら寿命が短くなり、爆発や発火の可能性が大きくなる。
【0010】
さらに、車両用電池パックに含まれる電池モジュールの場合、直射光線に頻繁に露出され、夏季や砂漠地域のような高温条件に置かれることがある。
【0011】
電池パックの容量増大と放熱性能改善に対する要求が続くにつれて、効果的な冷却システムを備えた電池パックを開発することが実質的に必要であると言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、冷却性能が向上した電池パックおよびこれを含むデバイスを提供することである。
【0013】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態による電池パックは、電池セルを含む電池モジュールと、前記電池モジュールを収納するパックハウジングと、前記電池モジュールを前記パックハウジングに固定する固定ブラケットと、を含む。前記固定ブラケットは、前記電池モジュールの上面に密着する下部プレートおよび前記下部プレート上に位置する上部プレートを含む。前記上部プレートと前記下部プレートの間に冷媒が通過する冷却流路が形成される。
【0015】
前記固定ブラケットは、前記冷却流路と連結されるインレットポートおよびアウトレットポートを含むことができる。
【0016】
前記下部プレートは、前記電池モジュールの上面に密着する固定部および前記固定部から前記パックハウジングの底部まで延長される締結部を含むことができる。
【0017】
前記締結部が前記パックハウジングの底部に締結できる。
【0018】
前記締結部に締結ホールが形成され、ボルト部が前記締結ホールを通過して前記パックハウジングの前記底部に締結できる。
【0019】
前記上部プレートは、本体部および前記本体部から延長されて前記下部プレートに接合される接合部を含むことができる。
【0020】
前記接合部と前記下部プレートは溶接接合できる。
【0021】
前記本体部と前記下部プレートの間に前記冷却流路が形成できる。
【0022】
前記本体部には下部方向に湾入した湾入部が形成され、前記本体部は前記湾入部によって区画される複数の通路部を含むことができる。
【0023】
前記通路部は前記冷却流路の方向と平行な方向に沿ってつなぐことができる。
【0024】
前記本体部には上向突出した複数の突出部が形成できる。
【0025】
前記突出部は、前記冷却流路と平行な方向に沿って配置できる。
【0026】
前記電池モジュールは複数で構成され、前記固定ブラケットが複数の電池モジュールを前記パックハウジングに固定することができる。
【0027】
前記上部プレートと前記下部プレートとの間に冷媒管が位置し、前記冷媒が前記冷媒管内部に沿って流れて前記冷却流路を形成することができる。
【0028】
本発明の一実施形態によるデバイスは前記電池パックを含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施形態によれば、冷却機能を備えた固定ブラケットで電池モジュールをパックハウジングに固定することによって、電池モジュールの上部に対する冷却が可能である。これにより、電池セルに対する冷却性能が向上し、電池セル間の冷却偏差が減少する。
【0030】
本発明の効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は請求範囲の記載から当業者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態による電池パックを示した分解斜視図である。
【
図2】
図1の電池パックに含まれている電池モジュールを示した斜視図である。
【
図3】
図2の電池モジュールに対する分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による電池セルを示した斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による固定ブラケットを示した斜視図である。
【
図6】
図1の切断線A-A’に沿って切断した断面を示した断面図である。
【
図7】
図1の切断線B-B’に沿って切断した断面を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0034】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。図面において様々の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張して示した。
【0035】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるという時、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分「の直上に」あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」または「上に」あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「の上に」または「上に」位置することを意味するのではない。
【0036】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0037】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態による電池パックを示した分解斜視図である。
【0039】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による電池パック1000は、電池モジュール100と、電池モジュール100を収納するパックハウジング1100と、電池モジュール100をパックハウジング1100に固定する固定ブラケット1200と、を含む。電池モジュール100の個数に特別な制限はなく、パックハウジング1100に一つまたは複数の電池モジュール100が収納できる。
図1には、例示として、4つの電池モジュール100がパックハウジング1100に収納された様子が示されている。
【0040】
パックハウジング1100は、上部が開放された構造物であってもよく、本実施形態による電池パック1000はパックハウジング1100の開放された上部を覆うパックハウジングカバー1110をさらに含むことができる。電池モジュール100はパックハウジング1100とパックハウジングカバー1110との間の内部空間に収納できる。
【0041】
また、本実施形態による電池パック1000は、内部シーリングのためにパックハウジング1100とパックハウジングカバー1110との間に位置するシーリング部材1120をさらに含むことができる。
【0042】
固定ブラケット1200は、電池モジュール100をパックハウジング1100に固定する構造物である。固定ブラケット1200の個数に特別な制限はなく、固定ブラケット1200が固定する電池モジュール100の個数にも特別な制限がない。
図1には、例示として、複数の固定ブラケット1200が示されており、また、一つの固定ブラケット1200が2つの電池モジュール100をパックハウジング1100に固定する様子が示されている。
【0043】
以下、
図2~
図4を参照して本実施形態による電池モジュールおよび電池セルについて詳しく説明する。
【0044】
図2は、
図1の電池パックに含まれている電池モジュールを示した斜視図である。
図3は、
図2の電池モジュールに対する分解斜視図である。
図4は、本発明の一実施形態による電池セルを示した斜視図である。
【0045】
図2~
図4を参照すれば、電池モジュール100は複数の電池セル110を含む。具体的には、電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層された電池セル積層体120と、電池セル積層体120を収納するモジュールフレーム200と、モジュールフレーム200の下側部210aの下に位置するヒートシンク300と、モジュールフレーム200の開放された両側に位置するエンドプレート400と、を含むことができる。
【0046】
まず、電池セル110はパウチ型電池セルであってもよい。このようなパウチ型電池セルは、樹脂層と金属層を含むラミネートシートのパウチケースに電極組立体を収納した後、前記パウチケースの外周部を融着して形成することができる。このような電池セル110は長方形シート構造に形成することができる。具体的には、本実施形態による電池セル110は、二つの電極リード111、112が互いに対向して電池本体113の一端部114aと他端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。電池セル110は、電池ケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態で電池ケース114の両端部(一端部114a、他端部114b)とこれらを連結する一側部114cを接着することによって製造することができる。言い換えれば、本発明の一実施形態による電池セル110は合計3ケ所のシーリング部を有し、他の一側部は連結部115からなり得る。電池ケース114の両端部(一端部114a、他端部114b)の間を電池セル110の長さ方向と定義し、電池ケース114の両端部(一端部114a、他端部114b)を連結する一側部114cと連結部115の間を電池セル110の幅方向と定義することができる。
【0047】
一方、電極リード111、112が一側と他側の両方向に突出した構造の電池セル110についてのみ説明したが、本発明の他の実施形態として、電極リードが一方向に共に突出した単方向のパウチ型電池セルも可能であるのはもちろんである。
【0048】
このような電池セル110は複数で構成でき、複数の電池セル110は相互電気的に連結されるように一方向に沿って積層されて電池セル積層体120を形成する。電池ケース114は、一般に樹脂層/金属薄膜層/樹脂層のラミネート構造からなる。例えば、電池ケース表面がO(延伸(oriented))-ナイロン層からなる場合には、中大型電池モジュールを形成するために複数の電池セルを積層する時、外部衝撃によって滑りやすい傾向がある。したがって、これを防止し電池セルの安定した積層構造を維持するために、電池ケースの表面に両面テープなどの粘着式接着剤または接着時化学反応によって結合される化学接着剤などの接着部材を付着して電池セル積層体120を形成することができる。
【0049】
電池セル積層体120を収納するモジュールフレーム200は、上部カバー220およびU字型フレーム210を含むことができる。
【0050】
U字型フレーム210は、下側部210aおよび下側部210aの両端部から上向延在された2つの側面部210bを含むことができる。下側部210aは電池セル積層体120の下面をカバーすることができ、側面部210bは電池セル積層体120の両側面をカバーすることができる。
【0051】
上部カバー220は、U字型フレーム210によって囲まれる前記下面および前記両側面を除いた残り上面(z軸方向)を覆う一つの板状型構造で形成できる。上部カバー220とU字型フレーム210は互いに対応する角部位が接触した状態で、溶接などによって接合されることによって、電池セル積層体120を上下左右にカバーする構造を形成することができる。上部カバー220とU字型フレーム210を通じて電池セル積層体120を物理的に保護することができる。このために上部カバー220とU字型フレーム210は所定の強度を有する金属材質を含むことができる。
【0052】
一方、具体的に図示していないが、変形例によるモジュールフレーム200は上面、下面、および両側面が一体化した金属板材形態のモノフレームであってもよい。即ち、U字型フレーム210と上部カバー220が相互結合される構造でなく、押出成形で製造されて上面、下面、および両側面が一体化した構造であってもよい。
【0053】
エンドプレート400は、モジュールフレーム200の開放された互いに対向する両側に位置して電池セル積層体120をカバーするように形成できる。即ち、2つのエンドプレート400がモジュールフレーム200の開放された両側に位置して、モジュールフレーム200と溶接などの方法で接合できる。このようなエンドプレート400は外部の衝撃から電池セル積層体120およびその他の電装品を物理的に保護することができる。
【0054】
本実施形態による電池モジュール100は冷却ポート500を含むことができ、冷却ポート500を通じてヒートシンク300に冷媒を供給し、ヒートシンク300から冷媒を排出することができる。具体的に、冷却ポート500は互いに離隔して位置する冷媒注入ポート500aと冷媒排出ポート500bを含むことができる。
【0055】
本実施形態によるモジュールフレーム200は、モジュールフレーム200の下側部210aから、エンドプレート400を通過するように突出したモジュールフレーム突出部211を含むことができる。冷却ポート500はモジュールフレーム突出部211上に形成できる。冷却ポート500中の冷媒注入ポート500aを通じてヒートシンク300に冷媒が流入し、その後、冷却ポート500中の冷媒排出ポート500bを通じて冷媒がヒートシンク300から排出できる。
【0056】
前述のとおり、本実施形態によるヒートシンク300は、モジュールフレーム200の下側部210aの下に配置できる。ヒートシンク300は、ヒートシンク300の骨格を形成しモジュールフレーム200の下側部210aと溶接などで直接接合されるフレーム部310、およびフレーム部310から下側に陥没形成された陥没部340を含むことができる。陥没部340は、冷媒が流動する経路となる。また、ヒートシンク300は、ヒートシンク300の一辺からモジュールフレーム突出部211が位置した部分に突出したヒートシンク突出部300Pを含むことができる。即ち、陥没部340が2つのヒートシンク突出部300Pまでつながれ、2つのヒートシンク突出部300Pはそれぞれ冷媒が流入する部分と冷媒が排出される部分であってもよい。このためにヒートシンク突出部300Pは、冷却ポート500が形成されたモジュールフレーム突出部211と対応するように配置できる。
【0057】
ヒートシンク突出部300Pとモジュールフレーム突出部211は互いに溶接などの方法で直接接合できる。
【0058】
ヒートシンク300の陥没部340は、フレーム部310が下側に陥没形成された部分に該当する。陥没部340は冷媒流路が延びる方向基準で垂直に切断した断面がU字型である管であってもよく、前記U字型である管の開放された上側に下側部210aが配置できる。ヒートシンク300のフレーム部310が下側部210aと接しながら、陥没部340と下側部210aとの間の空間が冷媒が流動する領域になる。即ち、下側部210aがヒートシンク300に対する上部プレートとしての機能を果たすことができる。これにより、モジュールフレーム200の下側部210aが前記冷媒と直接接触できる。
【0059】
ヒートシンク300の陥没部340の製造方法に特別な制限はないが、板状型のヒートシンク300に対して陥没形成された構造を設けることによって、上側が開放されたU字型の陥没部340を形成することができる。
【0060】
このような陥没部340は、前述のとおり、ヒートシンク突出部300Pのうちの一つから他の一つにつながれる。冷媒注入ポート500aを通じて供給された冷媒は、陥没部340と下側部210aとの間の空間に始めに流入する。その後、冷媒は陥没部340に沿って移動し、最終的には冷媒排出ポート500bを通じて排出される。
【0061】
一方、モジュールフレーム200の下側部210aと電池セル積層体120との間に熱伝導性樹脂(Thermal resin)を含む熱伝導性樹脂層800が配置できる。熱伝導性樹脂層800は、熱伝導性樹脂(Thermal resin)を下側部210aに塗布し、塗布された熱伝導性樹脂が硬化して形成できる。特に、電極リード111、112(
図4参照)が対向する両方向に突出した電池セル110において、電池セル積層体120中の電池セル110の電極リード111、112と隣接した部分で発熱が激しく、熱伝導性樹脂層800が、発熱が激しい電池セル積層体120の両部分に対応するように2区域に分けて形成できる。
図3には熱伝導性樹脂層800が2区域に分けて塗布された様子になっている。
【0062】
前記熱伝導性樹脂は熱伝導性接着物質を含むことができ、具体的に、シリコン(Silicone)素材、ウレタン(Urethan)素材、およびアクリル(Acrylic)素材のうちの少なくとも一つを含むことができる。前記熱伝導性樹脂は、塗布時には液状であるが、塗布後に硬化して電池セル積層体120を構成する一つ以上の電池セル110を固定する役割を果たすことができる。また、熱伝導特性に優れて電池セル110から発生した熱を迅速に電池モジュールの下側に伝達することができる。
【0063】
本実施形態による電池モジュール100はモジュールフレーム200とヒートシンク300との冷却一体型構造を実現して、冷却性能をより向上させることができる。モジュールフレーム200の下側部210aがヒートシンク300の上部プレートに対応する役割を果たすことによって冷却一体型構造を実現することができる。直接冷却により冷却効率が上昇し、ヒートシンク300がモジュールフレーム200の下側部210aと一体化した構造を通じて電池モジュール100および電池モジュール100が装着された電池パック1000上の空間活用率を向上させることができる。
【0064】
具体的に、電池セル110から発生した熱が、熱伝導性樹脂層800、モジュールフレーム200の下側部210a、冷媒が流れるヒートシンク300を経て電池モジュール100の外部に伝達できる。従来の不必要な冷却構造を除去することによって、熱伝達経路が単純化され、各層の間のエアーギャップを減らすことができるため、冷却効率や性能が増大できる。特に、下側部210aがヒートシンク300の上部プレートに構成されて、下側部210aが直に冷媒と接するため、冷媒を通じたより直接的な冷却が可能であるという長所がある。
【0065】
また、不必要な冷却構造の除去を通じて電池モジュール100の高さが減少して、原価節減が可能であり、空間活用度を高めることができる。さらに、電池モジュール100をコンパクトに配置することができるので、電池モジュール100を複数含む電池パック1000の容量や出力を増大させることができる。
【0066】
一方、モジュールフレーム200の下側部210aは、ヒートシンク300中の陥没部340が形成されていないフレーム部310と溶接を通じて接合できる。本実施形態は、モジュールフレーム200の下側部210aとヒートシンク300の冷却一体型構造を通じて、前述の冷却性能向上だけでなくモジュールフレーム200に収容された電池セル積層体120の荷重を支持し電池モジュール100の剛性を補強する効果を有することができる。加えて、フレーム部310とモジュールフレーム200の下側部210aは溶接結合などを通じて密封されることによって、フレーム部310内側に形成された陥没部340で冷媒が漏洩なく流動することが可能である。
【0067】
以下では、
図5~
図6を参照して、本実施形態による固定ブラケットについて詳しく説明する。
【0068】
図5は、本発明の一実施形態による固定ブラケットを示した斜視図である。
図6は、
図1の切断線A-A’に沿って切断した断面を示した断面図である。
図7は、
図1の切断線B-B’に沿って切断した断面を示した断面図である。但し、
図6および
図7で、パックハウジングカバーの図示を省略し、電池モジュール100とパックハウジング1100は概略的に表現した。
【0069】
図5~
図7を
図1と共に参照すれば、本実施形態による固定ブラケット1200は、電池モジュール100の上面に密着する下部プレート1400および下部プレート1400上に位置する上部プレート1300を含む。上部プレート1300と下部プレート1400との間に冷媒Rが通過する冷却流路が形成される。ここで、電池モジュール100の上面は、上部カバー220(
図3参照)の上面であってもよい。
【0070】
下部プレート1400は、電池モジュール100の上面に密着する固定部1410および固定部1410からパックハウジング1100の底部1100Fまで延長される締結部1420を含むことができる。パックハウジング1100は、前述のように、上部が開放された構造物であってもよく、底部1100Fおよび隔壁部1100Wを含むことができる。底部1100F上に本実施形態による電池モジュール100が配置できる。
【0071】
締結部1420はパックハウジング1100の底部1100Fに締結できる。締結方式に特別な制限があるのではないが、一例として、ボルトで締結できる。具体的には、締結部1420には締結ホール1420Hが形成され、ボルト部1100Bが締結ホール1420Hを通過してパックハウジング1100の底部1100Fに締結および固定できる。
【0072】
下部プレート1400の固定部1410が電池モジュール100の上面に密着し、固定部1410から延長された締結部1420がパックハウジング1100の底部1100F)に締結されることによって、電池モジュール100がパックハウジング1100に固定される。本実施形態による電池パック1000が外部衝撃や振動の激しい車両などに装着されても、電池モジュール100が安定的に固定できる。
【0073】
上部プレート1300は、固定ブラケット1200に冷却流路を形成するために、下部プレート1400上に位置する。具体的に、上部プレート1300は、本体部1320および本体部1320から延長されて下部プレート1400に接合される接合部1310を含むことができる。
【0074】
接合部1310と下部プレート1400は溶接接合できる。特に、接合部1310は、下部プレート1400中の電池モジュール100の上面に密着する固定部1410に接合できる。
【0075】
本体部1320と下部プレート1400の間に冷媒Rが通過する冷却流路が形成できる。即ち、接合部1310が固定部1410と接合されながら、本体部1320と固定部1410との間の空間は冷媒Rが通過する領域、冷却流路となる。
【0076】
本実施形態による固定ブラケットは、前記冷却流路と連結されるインレットポート1510およびアウトレットポート1520を含むことができる。具体的には、上部プレート1300の本体部1320の両端部にそれぞれインレットポート1510およびアウトレットポート1520が配置できる。インレットポート1510およびアウトレットポート1520は、本体部1320と固定部1410の間の空間と連結される。インレットポート1510を通じて供給された冷媒Rは、本体部1320と固定部1410の間の空間に最初、流入する。その後、冷媒Rは本体部1320に沿って移動し、最終的にはアウトレットポート1520を通じて排出される。具体的に図示していないが、インレットポート1510およびアウトレットポート1520は冷媒管および冷却モータなどと連結されて、前記のような冷媒循環システムが形成できる。
【0077】
先に説明した電池モジュール100のヒートシンク300を通じて、電池セル110の下部に対する冷却が行われる。即ち、
図4を参照すれば、電池セル110の連結部115に該当する領域の冷却が行われる。
【0078】
さらに、本実施形態による電池パック1000は、電池モジュール100を固定するための固定ブラケット1200内部に冷却流路を形成して、電池セル110の上部に対する冷却が可能である。即ち、
図4を参照すれば、電池セル110の一側部114cに該当する領域の冷却が行われる。電池セル110の上部も冷却が行われるので、電池セル110に対する冷却性能が向上し、電池セル110間の冷却偏差が減少する長所を有する。特に、本実施形態では、電池セル110の上部に対する冷却のために電池モジュール上に別途のヒートシンクなどの複雑な部品を設けるのではなく、固定ブラケット1200に冷媒流路を形成するので、複雑な設計や製造過程が要求されない。
【0079】
一方、本発明の一実施形態により、電池モジュール100がパックハウジング1100内において複数で構成され、固定ブラケット1200が複数の電池モジュール100をパックハウジング1100に固定することができる。
図1には一つの固定ブラケット1200が2つの電池モジュール100をパックハウジング1100に固定する様子が示されている。総合すれば、いずれか一つの固定ブラケット1200が複数の電池モジュール100をパックハウジング1100に固定すると同時に複数の電池モジュール100の上面に対する冷却機能を果たすことができる。
【0080】
図5~
図7を再び参照すれば、本実施形態による本体部1320には下部方向に湾入した湾入部1320Dが形成され、本体部1320は湾入部1320Dによって区画される複数の通路部1321、1322、1323を含むことができる。一例として、
図5および
図7には、一つの本体部1320に2つの湾入部1320Dが形成されて、3つの通路部1321、1322、1323が設けられた様子が示されている。但し、湾入部1320Dと通路部1321、1322、1323の個数に特別な制限はない。また、通路部1321、1322、1323は部分的に区画されてもよい。言い換えれば、通路部1321、1322、1323の各冷却流路が完全に区分されるのではなく、下端部で互いの冷却流路が共有される形態であってもよい。
【0081】
このような通路部1321、1322、1323は、前記冷却流路の方向と平行な方向に沿ってつながれる。ここで、前記冷却流路の方向は、インレットポート1510とアウトレットポート1520との間の方向であって、冷媒Rが移動する方向、即ち、
図6においてy軸と平行な方向であってもよい。通路部1321、1322、1323のそれぞれは前記冷却流路の方向と平行な方向に沿ってつながれ、冷媒Rが各通路部1321、1322、1323に沿って流動することになる。
【0082】
また、通路部1321、1322、1323は、前記冷却流路の方向と垂直な方向に沿って互いに離隔したまま配置できる。
図7には前記冷却流路の方向と垂直な方向、即ち、x軸方向に沿って3つの通路部1321、1322、1323が配置された様子が示されている。
【0083】
一方、
図5および
図6を参照すれば、本実施形態による本体部1320には上向突出した複数の突出部1320Pが形成できる。このような突出部1320Pは、互いに離隔したまま前記冷却流路の方向と平行な方向に沿って配置できる。より具体的に、通路部1321、1322、1323のそれぞれに複数の突出部1320Pが形成できる。
【0084】
前述のとおり、本実施形態による上部プレート1300は固定ブラケット1200に冷却流路を形成して、電池モジュール100の固定以外に電池モジュール100の上部から発生した熱を発散する機能を果たす。この時、本実施形態による本体部1320に湾入部1320Dや突出部1320Pが形成されることによって、本体部1320の外部表面積を広げ、電池モジュール100の上部に対する熱発散効果を増大させることができる。また、湾入部1320Dや突出部1320Pは一種のビーディング構造を成して、固定ブラケット1200の撓みに備えた剛性を増大させることができる。したがって、電池パック1000の構造的安全性を補完することができる。
【0085】
一方、具体的に図示していないが、本発明の他の一実施形態として、上部プレート1300と下部プレート1400の間に冷媒管が配置でき、前記冷媒が前記冷媒管に沿って流れて冷却流路を形成することができる。より具体的に、上部プレート1300の本体部1320と下部プレート1400の固定部1410の間の空間に別途の冷媒管が配置され、そのような冷媒管内部に前記冷媒が流れることになる。
【0086】
一方、本明細書上で、冷媒は冷却のための媒介物であって、特別な制限はないが、冷却水であってもよい。即ち、本実施形態による電池パック1000は水冷式の冷却構造を有することができる。
【0087】
一方、
図1を再び参照すれば、本実施形態による電池パック1000は、BDU(バッテリーディスコネクトシステム(Battery Disconnect Unit))モジュール1600、BMS(バッテリーマネジメントシステム(Battery Management System))モジュール1700、および冷却システムなどの各種制御および保護システムを含むことができる。BDUモジュール1600は電池モジュール100とHV(高電圧(High Voltage))ラインを形成し、デバイスの電力系統に電源を安定的に供給または遮断して事故電流が発生した時にデバイスの電力系統を保護する機能を担当する。BMSモジュール1700は電池モジュール100とLV(低電圧(Low Voltage))ラインを形成し、測定された温度や電圧のデータに基づいて各電池モジュール100の温度や電圧などを管理する機能を担当する。
【0088】
前記電池パックは多様なデバイスに適用できる。具体的には、電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段やESS(電力貯蔵システム(Energy Storage System))に適用できるが、これに制限されず、二次電池を使用することができる多様なデバイスに適用可能である。
【0089】
本実施形態で前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象になる事物の位置や観測者の位置などによって変わる。
【0090】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0091】
100:電池モジュール
1000:電池パック
1100:パックハウジング
1200:固定ブラケット
1300:上部プレート
1400:下部プレート
【国際調査報告】