IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェンウォール、インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図1
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図2
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図3
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図4
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図5
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図6a
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図6b
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図7
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図8
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図9
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図10
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図11a
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図11b
  • 特表-血漿収集のためのシステムと方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】血漿収集のためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20231221BHJP
   A61M 1/38 20060101ALI20231221BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A61M1/02 150
A61M1/38
A61M1/02 120
A61M1/02 100
A61M1/36 119
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544359
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 US2021033835
(87)【国際公開番号】W WO2022159132
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/140,534
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/306,099
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308020283
【氏名又は名称】フェンウォール、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ペイテル,エイミット,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】プラナス,サマンサ,エム
(72)【発明者】
【氏名】ワッツ,ウォルター,ティー
(72)【発明者】
【氏名】ミン,キュンヨーン
(72)【発明者】
【氏名】ボッグス,ダニエル,アール
(72)【発明者】
【氏名】ラドワンスキ,キャサリン,エヌ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA12
4C077BB04
4C077DD07
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH10
4C077HH16
4C077HH20
4C077JJ03
4C077JJ08
4C077JJ16
4C077JJ19
4C077JJ25
4C077KK05
4C077KK25
4C077KK27
4C077NN03
(57)【要約】
血漿生成物中の純粋な血漿の目標体積がドナー固有の特性に基づいて決定されるように、血漿生成物(すなわち、抗凝固処理された血漿)の体積を決定する血漿交換システムおよび血漿交換システムを動作させる方法が提供される。特に、収集されるべき純粋な血漿の目標量は、ドナーの体重、または体重と身長に基づく。収集されるべき純粋な血漿の目標体積(TVP)は、ドナーの体重の倍数になる場合がある。あるいは、TVPはドナーの総血液体積TBVの倍数であってもよく、ドナーのTBVはドナーの体重と身長に基づいて決定される。収集されるべき血漿生成物の目標体積であるTVPPが設定され、収集容器内の血漿生成物の体積がTVPPに等しくなるまで、全血の血漿成分と第2の成分への分離が継続される。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドナーから血漿を収集するためのシステムであって、
a)ドナーから全血を採取するための静脈穿刺針と、
b)全血を、血漿生成物と、赤血球を含む第2の血液成分とに分離するための血液分離器と、
c)ドナーから全血を前記血液分離器に導入するための静脈穿刺針に結合されたドナーラインと、
d)前記ドナーラインを通る流れを制御するための第1のポンプと、
e)抗凝固剤を全血と混合するために抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインと、
f)前記抗凝固剤ラインを通る流れを制御するための第2のポンプと、
g)オペレーターからの入力を受信するためにタッチスクリーンと、
h)プログラム可能な 制御部とを備え、前記制御部は、
ドナーの体重に基づいて、またはドナーの体重と身長に基づいて、収集される血漿生成物の目標体積(TVPP)を決定し、
所定の抗凝固剤比(ACR)およびドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて、収集される血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定し、
ドナーの体重に基づいて収集すべき純粋な血漿の目標体積(TVP)を決定し、事前に決定された抗凝固剤比(ACR)およびドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて収集される血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定し、
ここで、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)であり、
ドナーから全血を採取するための採取と返送のサイクルを行うように前記システムを制御し、
抗凝固剤を所定の比率(ACR)で全血に添加し、
抗凝固処理された全血を血漿生成物と前記第2の成分に分離し、前記第2の成分をドナーに返送し、
血漿収集容器内の血漿生成物の測定された体積が血漿生成物の目標体積(TVPP)に達したときに、ドナーからの全血の採取を停止し、第2の血液成分の最終返送を開始するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記制御部は、収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)をドナーの体重の倍数として計算するようにさらにプログラムされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項3】
ドナーから血漿を収集するためのシステムであって、
a)ドナーから全血を採取するための静脈穿刺針と、
b)全血を血漿生成物と、赤血球を含む第2の血液成分とに分離するための血液分離器と、
c)ドナーから全血を前記血液分離器に導入するために前記静脈穿刺針に結合されたドナーラインと、
d)前記ドナーラインを通る流れを制御するための第1のポンプと、
e)抗凝固剤を全血と混合するために抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインと、
f)前記抗凝固剤ラインを通る流れを制御するための第2のポンプと、
g)オペレータからの入力を受信するためにタッチスクリーンと、
h)プログラム可能な制御部とを備え、前記制御部は、
ドナーの体重と身長に基づいてドナーの総血液体積(TBV)を決定し、
収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)をTBVのパーセンテージとして決定し、
所定の抗凝固剤比(ACR)およびドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて、収集される血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定し、
血漿生成物の目標体積(TVPP)を決定し、
ここで、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)であり、
ドナーから全血を採取するための採取と返送のサイクルを行うために前記システムを制御し、
抗凝固剤をあらかじめ決められた比率(ACR)で全血に添加し、
抗凝固処理された全血を前記血漿生成物と前記第2の成分に分離し、前記第2の成分をドナーに返送し、
血漿収集容器内の血漿生成物の測定された体積が血漿生成物の目標体積(TVPP)に達したときに、ドナーからの全血の採取を停止し、前記第2の血液成分の最終返送を開始するように構成されている、
システム。
【請求項4】
前記制御部はさらに、ボディ・マス指数(BMI)を計算するための前記ドナーの体重および身長に基づいて、前記ドナーの総血液体積(TBV)を計算するようにプログラムされており、ここで、TBV=70/√(BMI/22)であり、BMI=体重/身長である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
ACRが抗凝固剤の量に対する全血の体積の比(ACR=WB/AC)であり、
前記制御部はさらに、%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct))となるように、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を決定するように構成されている、請求項1または請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
ACRが、全血の体積に抗凝固剤の体積を加えたものと抗凝固剤の体積との比(ACR=(WB+AC)/AC)であり、
前記制御部はさらに、%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))となるように、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を決定するように構成されている、請求項1または請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部はさらに、前記ドナーの総血液体積(TBV)を、前記ドナーの体重(Wt)、身長(Ht)および性別(男性または女性)に基づいて計算するようにプログラムされており、男性の場合はTBV=(0.3669×Ht)+(0.03219×Wt)+0.6041であり、女性の場合はTBV=(0.3561×Ht)+(0.03308×Wt)+0.1833であり、Htの単位はメートルであり、Wtの単位はキログラムである、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
ドナーから目標体積の血漿生成物(TVPP)を収集するための方法であって、TVPPは、目標体積の純粋な血漿(TVP)に加えて、ある体積の抗凝固剤を含み、
a)最初にドナーから収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)をドナーの体重の倍数として計算することによってTVPPを決定し、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)となるように、TVPP中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定し、
ここで、%ACTVPPは、抗凝固比(ACR)およびドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいており、
b)ドナーから全血を採取し、
c)抗凝固剤を抗凝固剤比(ACR)で全血と混合し、
d)抗凝固処理された全血を血漿生成物、赤血球、および他の細胞成分に分離し、
e)血漿生成物を容器に収集し、
f)前記容器内の血漿生成物の体積(VPP)を決定し、
g)VPP=TVPPの場合、ドナーからの全血の採取を停止し、赤血球および他の細胞成分をドナーに戻すことを含む、
方法。
【請求項9】
さらに、%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct))となるように、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を決定することをさらに含み、ここで、ACRは抗凝固剤の体積に対する全血の比(ACR=WB/AC)である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
さらに、%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))となるように、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を決定することをさらに含み、ここで、ACRは抗凝固剤の体積に対する全血の体積と抗凝固剤の体積の和の比(ACR=(WB+AC)/AC)である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
目標体積の純粋な血漿(TVPP)を複数のサイクルで収集することをさらに含み、各サイクルは、全血がドナーから採取される収集段階と、赤血球と他の細胞成分がドナーに返送される返送段階とを含み、
各サイクルの前記収集段階の前にドナーのヘマトクリット(Hct)を決定し、各サイクルの前記収集段階の前に決定されたドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて、収集される血漿生成物の目標体積(TVPP)を再計算することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ドナーから目標体積の血漿生成物(TVPP)を収集するための方法であって、TVPPは、目標体積の純粋な血漿(TVP)に加えて、ある体積の抗凝固剤を含み、
a)最初にドナーの体重と身長に基づいてドナーの総血液量(TBV)を計算することによってTVPPを決定し、ドナーから収集される純粋な血漿(TVP)の目標体積をTBVのパーセンテージとして計算し、TVPP中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定し、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)であり、%ACTVPPは抗凝固剤比(ACR)およびドナーのヘマトクリット(Hct)に基いており、
b)ドナーから全血を採取し、
c)抗凝固剤を前記抗凝固剤比(ACR)で全血と混合し、
d)抗凝固処理された全血を血漿生成物、赤血球、および他の細胞成分に分離し、
e)血漿生成物を容器に収集し、
f)前記容器内の血漿生成物の体積(VPP)を決定し、
g)VPP=TVPPの場合、ドナーからの全血の採取を停止し、赤血球および他の細胞成分をドナーに戻すことを含む、
方法。
【請求項13】
%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct))となるように、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を決定することをさらに含み、ACRは、抗凝固剤の量に対する全血の体積の比(ACR=WB/AC)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))となるように、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を決定することをさらに含み、ACRは、抗凝固剤の量に対する、全血の体積と抗凝固剤の体積の和の比(ACR=(WB+AC)/AC)である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
目標体積の純粋な血漿(TVPP)を複数のサイクルで収集する工程をさらに含み、各サイクルは、全血がドナーから採取される収集段階と、赤血球および他の細胞成分がドナーに返される返送段階とを含み、
各サイクルの収集段階の前にドナーのヘマトクリット(Hct)を決定し、各サイクルの収集段階の前に決定されたドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて収集される血漿生成物の目標体積(TVPP)を再計算することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
血漿を収集するためのシステムであって、
ドナーから全血を採取するように構成された静脈穿刺針と、
全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の血液成分とに分離するように構成された血液分離器であって、血漿生成物を血漿生成物収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有する血液分離器と、
前記静脈穿刺針に流体的に結合され、全血をドナーから前記血液分離器に導入するように構成されたドナーラインであって、前記ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御される前記ドナーラインと、
抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインであって、前記抗凝固剤ラインは、抗凝固剤をドナーからの全血と混合するように構成され、前記抗凝固剤ラインを通る流れは第2のポンプによって制御される前記抗凝固剤ラインと、
オペレータからの入力を受信するように構成されたタッチスクリーンと、
システムの動作を制御するようにプログラムされた制御部とを備え、前記制御部は、
ドナーの体重、身長、ヘマトクリット値を取得し、
ドナーの体重に基づいて、またはドナーの体重と身長に基づいて、収集される血漿生成物の目標体積(TVPP)を決定し、ドナーの所定の抗凝固剤比(ACR)およびヘマトクリット(Hct)に基づいて、収集される血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定し、少なくともドナーの体重に基づいて収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)を決定し、ここでTVPP=TVP/(1-%ACTVPP)であり、
ドナーから全血を採取するための採取と返送のサイクルを行うために前記システムを制御し、
抗凝固剤をあらかじめ決められた比率(ACR)で全血に添加し、
抗凝固処理された全血を血漿生成物と前記第2の成分に分離し、前記第2の成分をドナーに返送し、
ドナーのヘマトクリット(Hct)の現在の値を取得し、
ドナーのヘマトクリット(Hct)の現在の値に基づいて血漿生成物の目標体積(TVPP)を再計算するために前記システムを制御し、
その後の採取と返送のサイクルを実行するようにシステムを制御し、
これにより、収集される血漿生成物の新しい目標体積の計算においてドナーのヘマトクリットの変化が考慮される
ようにプログラムされている、システム。
【請求項17】
前記制御部は、収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)をドナーの体重の倍数として計算するようにさらにプログラムされている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
血漿を収集するためのシステムであって、
ドナーから全血を採取するように構成された静脈穿刺針と、
全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の血液成分とに分離するように構成された血液分離器であって、血漿生成物を血漿生成物収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有する前記血液分離器と、
前記静脈穿刺針に流体的に結合され、全血をドナーから前記血液分離器に導入するように構成されたドナーラインであって、前記ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御される前記ドナーラインと、
抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインであって、前記抗凝固剤ラインは、抗凝固剤をドナーからの全血と混合するように構成され、前記抗凝固剤ラインを通る流れは第2のポンプによって制御される前記抗凝固剤ラインと、
オペレータからの入力を受信するように構成されたタッチスクリーンと、
システムの動作を制御するようにプログラムされた制御部とを備え、前記制御部は、
ドナーの体重、身長、ヘマトクリット値を取得し、
収集される血漿生成物の目標体積(TVPP)、所定の抗凝固剤比(ACR)およびドナーのヘマトクリット(Hct)に基づく収集される血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)、ドナーの体重と身長に基づくドナーの総血液体積(TBV)、TBVのパーセンテージとして収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)を決定し、ここでTVPP=TVP/(1-%ACTVPP)であり、
ドナーから全血を採取するための採取と返送のサイクルを行うために前記システムを制御し、
抗凝固剤をあらかじめ決められた比率(ACR)で全血に添加し、
抗凝固処理された全血を血漿生成物と前記第2の成分に分離し、前記第2の成分をドナーに返送し、
ドナーのヘマトクリット(Hct)の現在の値を取得し、
ドナーのヘマトクリット(Hct)の現在の値に基づいて血漿生成物の目標体積(TVPP)を再計算するために前記システムを制御し、
その後の採取と返送のサイクルを実行するようにシステムを制御し、
これにより、収集される血漿生成物の新しい目標体積の計算においてドナーのヘマトクリットの変化が考慮される
ようにプログラムされている、システム。
【請求項19】
前記制御部は、さらに、前記ドナーのボディ・マス指数(BMI)を計算するための前記ドナーの体重(Wt)および身長(Ht)に基づいて前記ドナーの総血液体積(TBV)をTBV=70/√(BMI/22)となるように計算するようにプログラムされており、ここでBMI=Wt/Htである、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
ACRは、抗凝固剤の体積に対する全血の体積の比(ACR=WB/AC)であり、前記制御部は、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct))となるように決定するように構成されている、請求項16または請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
ACRは、抗凝固剤の体積に対する全血の体積と抗凝固剤の体積の和の比(ACR=(WB+AC)/AC)であり、前記制御部は、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))となるように決定するように構成されている、請求項16または請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御部はさらに、前記ドナーの総血液体積(TBV)を、前記ドナーの体重(Wt)、身長(Ht)および性別(男性または女性)に基づいて計算するようにプログラムされており、男性の場合はTBV=(0.3669×Ht)+(0.03219×Wt)+0.6041であり、女性の場合はTBV=(0.3561×Ht)+(0.03308×Wt)+0.1833であり、Htの単位はメートルであり、Wtの単位はキログラムである、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記制御部は、収集されるべき血漿生成物の目標体積が収集されるまで採取段階と返送段階を繰り返すようにプログラムされており、収集されるべき純粋な血漿の目標体積は、それぞれの収集段階の開始前に再決定される、請求項16または請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記制御部は、前記血漿収集容器内の血漿生成物の体積が血漿生成物の目標体積に達したときに、前記第2の血液成分の最終的な返送を開始するようにプログラムされている、請求項16または請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
前記制御部は、ドナー管理システムからドナーパラメータを電子的に受信し、前記ドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいて血漿生成物の目標体積を決定するようにプログラムされている、請求項16または請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
前記ドナー管理システムは、血漿生成物の前記目標体積を計算するようにプログラムされており、前記制御部は、前記ドナー管理システムから純粋な血漿の目標体積を受信することによって、純粋な血漿の目標体積を決定するようにプログラムされている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記制御部は、前記ドナーから全血を採取する前に血漿生成物の目標体積を決定するようにプログラムされている、請求項16または請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記制御部は、前記血漿生成物とは別に前記血漿収集容器に導入される抗凝固剤を考慮するようにさらにプログラムされている、請求項16または請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年5月3日に出願された米国第17/306,099号および2021年1月22日に出願された米国第63/140,534号に対する優先権を主張し、2020年10月23日に出願された米国第17/078,824号、2020年10月2日に出願された米国第17/062,368号、2020年9月25日に出願された米国第17/041,701号、2020年1月10日に出願された米国第16/739,441号、2019年5月21日に出願されたPCT/US2019/033318号、2019年5月10日に出願された米国第62/846,400号、2018年10月30日に出願された米国第62/752,480号、および、2018年5月21日に出願された米国第62/674,144号に関連し、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本出願は、血漿交換を実施するためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、特定のドナーから収集され得る純粋な血漿の体積が最適化される血漿交換システムおよび方法に関する。
【0003】
血漿交換は、ドナーから全血を採取し、血漿を他の細胞性血液成分(赤血球、血小板、および白血球)から分離して保持し、細胞性血液成分をドナーに戻すアフェレーシス手順である。細胞成分からの血漿の分離は、通常、遠心分離または膜濾過による自動化手順で行われる。
【0004】
自動血漿交換では、全血がドナーから採取され、特定の比率で抗凝固剤と混合され、その後、血漿、赤血球、および他の細胞成分に分離される。血漿収集容器に付属の重量計で測定して、抗凝固処理された血漿(または「血漿生成物」)の目標体積が収集されると、ドナーからの全血の採取が停止され、赤血球およびその他の細胞成分がドナーに戻される。多くの場合、血漿生成物は、抗凝固処理された血漿の目標総体積が収集されるまで、複数の収集および再注入サイクルで収集される。抗凝固処理された血漿は、後の輸血やさらなる製造に使用できる。
【0005】
さらなる製造のための原料物質(「原料血漿」)として機能するために収集される血漿は、複数のドナーから収集され、この目的のために一緒に結合またはプールされる。FDAは、原料血漿製造手順の一貫性を向上させ、スタッフによるミスの可能性を最小限に抑えるために、血漿交換中に未加工の血漿として収集できる血漿の体積に関する登録血液収集センター向けのガイドラインを発行した。(FDAメモ:「体積制限-供給源血漿の自動収集(11/4/92)」)。
【0006】
FDAメモは、ドナーの安全性と快適性を確保するために、特定のドナーから採取できる純粋な(または未加工の)血漿の体積(または重量)が制限される、簡略化された血漿体積ノモグラムを記載している。より具体的には、FDAノモグラムはドナーの体重に基づいて血漿の体積(または重量)を制限し、特定のドナーについて血漿と抗凝固剤の合計の最大収集体積に達するように、抗凝固剤と抗凝固処理された血液の比率が1:16、または1部の抗凝固処理された血液に対して0.06部の抗凝固剤になるように追加できる抗凝固剤の体積を確立している。
【0007】
FDAメモに記載されている単純化ノモグラムは、血液収集センターで使用される血漿生成物の収集体積を決定するための主要な方法である。したがって、このようなセンターで使用される血漿交換装置は一般に、FDAノモグラムで許可されている最大収集体積に従って、1:16または0.06の比率で抗凝固剤が全血に添加された状態で、抗凝固処理された血漿を特定の体積/重量で(既知の密度を仮定して)採取するようにプログラムされている。
【0008】
FDAノモグラムで行われる1つの単純化は、血漿生成物の目標収集体積を決定する際にドナーのヘマトクリットの考慮を除外することである。ただし、血漿生成物中の純粋な血漿と抗凝固剤の相対的な割合は、ドナーの血液のヘマトクリットと、抗凝固剤がドナーの全血と結合する比率によって異なる。その結果、ヘマトクリット値が高いドナーは、ドナーから安全に収集できる最大の純粋な血漿の体積に達する前に、FDAノモグラムに記載されている最大収集体積に達する。これは、収集される純粋な血漿の体積が可能な最大量より少ないという点で、血漿収集センターにとって非効率であることを意味する。
【0009】
さらに、ドナーから安全に採取できる純粋な血漿の量は、ドナーの体重およびヘマトクリットに加えて、ドナーの身長など、ドナーの総血液体積に影響を与える要因にも依存し得る。
【0010】
複数のドナーからの供給源血漿が組み合わされるため、各個々のドナーから収集できる純粋な血漿の体積を最大化することが重要である。なぜなら、各個々のドナーから収集された体積のわずかな増加であっても、合計すると、プールされた血漿の総体積が大幅に増加する。血漿交換装置が純粋な血漿の体積をより適切に目標にできれば、各ドナーからより多くの血漿タンパク質を収集でき、血漿収集センターの全体的な効率が向上する。したがって、本開示により、ドナーの安全性および快適性と一致する、収集される血漿の体積を最適化するためのシステムおよび方法が提供される。
【発明の概要】
【0011】
本開示の第1の態様では、ドナーから血漿を収集するためのシステムが提供され、このシステムは、ドナーから全血を採取するための静脈穿刺針と、全血を血漿生成物および赤血球を含む第2の血液成分に分離するための血液分離器と、全血をドナーから血液分離器に導入するための静脈穿刺針に結合されたドナーラインと、ドナーラインを通る流れを制御するための第1のポンプと、抗凝固剤を全血と結合するために抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインと、抗凝固剤ラインを通る流れを制御するための第2のポンプとを備える。
【0012】
タッチスクリーンは、システムの動作を制御するようにプログラムされた制御部へのオペレータからの入力を受信するために設けられる。制御部は、ドナーの体重とドナーのヘマトクリットに基づいて、またはドナーの体重と身長とドナーのヘマトクリットに基づいて、収集される血漿生成物の目標体積(TVPP)を決定し、ドナーから全血を採取するための採取と返送のサイクルを行い、抗凝固剤を所定の比率(ACR)で全血に添加し、抗凝固処理された全血を血漿生成物と第2の成分に分離し、第2の成分をドナーに返送し、血漿収集容器内の血漿生成物の測定された体積が血漿生成物の目標体積に達したときに、ドナーからの全血の採取を停止し、第2の血液成分の最終返送を開始するようにシステムの動作を制御するように構成されている。
【0013】
第2の態様では、制御部は、i)ドナーの体重に基づいて収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)と、ii)ドナーの体重に基づいて収集されるべき血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を、所定の抗凝固剤比ACR、およびドナーのヘマトクリットに基づいて計算するようにプログラムされ、ここで、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)である。
【0014】
第3の態様では、制御部は、ドナーの体重および身長に基づいて、ドナーの総血液体積(TBV)、TBVのパーセンテージとして収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)、ならびに、所定の抗凝固剤比(ACR)およびドナーヘマトクリットに基づく、収集される血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を計算するようにプログラムされており、ここで、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)である。
【0015】
第4の態様では、制御部は、ドナーのボディ・マス指数(BMI)を計算するためのドナーの体重および身長に基づいてドナーの総血液体積(TBV)を、TBV=70/(√BMI/22)(レメンズの方程式)となるように計算するようにプログラムされる。
【0016】
第5の態様では、制御部は、ドナーの総血液体積(TBV)を、ドナーの体重(Wt)、身長(Ht)および性別(男性または女性)に基づいて、男性の場合はTBV=(0.3669×Ht)+(0.03219×Wt)+0.6041、女性の場合はTBV=(0.3561×Ht)+(0.03308×Wt)+0.1833、ここで、Htの単位はメートル、Wtの単位はキログラム(ナドラーの公式)となるように計算するようにプログラムされている。
【0017】
第6の態様では、血漿生成物中の純粋な血漿の目標体積(TVP)がドナーの安全性と快適性と一致するドナーの特有の特性に基づいて決定されるように、ある体積の血漿生成物(すなわち、抗凝固処理血漿、VPP)を収集するために血漿交換を実施するための方法が提供される。特に、収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)は、ドナーの体重、または体重と身長に基づいている。
【0018】
第7の態様では、収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)は、ドナーの体重の倍数であり得る。あるいは、TVPはドナーの総血液体積TBVの倍数であってもよく、ドナーのTBVは、レメンズ方程式やナドラーの公式などの確立された方法論を使用して、ドナーの体重と身長に基づいて決定される。
【0019】
収集される血漿生成物の目標体積(TVPP)は、純粋な血漿の目標体積/重量と、血漿生成物中の抗凝固剤ACのパーセンテージ(%ACTVPP)に基づいて、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)となるように確立される。ここで、%ACTVPPは、AC比(ACR)、およびドナーのヘマトクリットに基づく。
【0020】
TVPPが決定されると、血漿交換手順が開始され、ドナーから全血が採取され、特定の比率で抗凝固剤と混合され、その後、血漿、赤血球、および他の細胞成分に分離される。例えば、血漿収集容器に付随する重量計によって決定されるように、TVPPが収集されると、ドナーからの全血の採取が停止され、赤血球および他の細胞成分がドナーに戻される。
【0021】
第7の態様では、収集される血漿生成物の目標体積を決定する際に、ドナーのヘマトクリットは、各サイクルの収集段階の前に、計算によって、またはドナーのヘマトクリットを示すセンサーなどからの信号に基づいて決定され得る。さらに、血漿収集容器内の血漿生成物の量は、例えば、血漿収集容器に関連付けられた重量計、または体積を直接測定する光学センサーによって決定され得る。
【0022】
他の態様では、ドナーの体重に基づいてFDAノモグラムに定められた制限に従って未加工の血漿の最大許容体積/重量を含む血漿生成物体積を収集するために血漿交換システムを操作するための方法が提供される。
【0023】
FDAノモグラムによって許可される未加工の血漿の最大体積/重量を収集するために、ドナーのヘマトクリットを利用して、FDAノモグラムによって許可される未加工の血漿の最大体積を有する血漿生成物の目標体積/重量を計算する修正ノモグラムが提供される。計算された未加工の血漿の体積/重量は、FDAノモグラムで許可されている未加工の血漿の最大体積/重量と比較される。計算された未加工の血漿の体積/重量が最大許容体積/重量よりも小さい場合、収集される血漿生成物の体積/重量は、FDAノモグラムで許可されている血漿生成物の最大体積/重量よりも、追加の体積/重量の血漿を処理するために追加される抗凝固剤の追加の量を差に加えたものに等しい量、上方に調整される。
【0024】
したがって、ドナーのヘマトクリットおよび機器のAC比の知識を用いて、FDAノモグラムに定められた制限と一致してドナーから安全に収集できる追加の未加工の血漿の体積が決定され、次に、FDAノモグラムに記載されているドナーの体重に基づいて収集される血漿生成物の総体積/重量がそれに応じて調整される。
【0025】
典型的には、血漿交換手順は、交互の段階の連続サイクルを含み、一方の段階ではドナーから全血が採取され、血漿が分離および収集される。もう一方の段階では、分離された赤血球および任意の他の非RBC細胞成分がドナーに返送される。ドナーのヘマトクリットは血漿交換手順の過程で変化し、そのため、あるサイクルから次のサイクルまでに収集される血漿生成物中の抗凝固剤の量に影響を与える。
【0026】
したがって、本開示の第1の態様では、後続の抽出/分離段階の開始前に、ドナーの新しいヘマトクリット値が決定され、FDAノモグラムで許可されている最大量の未加工の血漿が確実に収集されるようにするために、それぞれの抽出/分離段階の開始前に、手順の血漿生成物の目標体積/重量が再計算される。
【0027】
別の態様では、アフェレーシス処置中にある体積の血漿を収集するためのさらなる方法が提供される。この方法の工程は、ドナーの総全血体積Vを決定することと、ドナーから採取できる未加工の血漿(VRP)の体積をVに基づいて決定することと、収集される血漿生成物(VPP)の目標体積を決定することを含み、VPPは、収集される未加工の血漿(VRP)の体積に、アフェレーシス手順中にVRPに添加される抗凝固剤の体積(VAC)を加えたものに等しく、VPP=VRP×Kであり、ここで、K=(ACR×(1-Hct/100)+1)/(ACR×(1-Hct/100))であり、手順について確立された抗凝固剤比(ACR、抗凝固剤を含まないドナーの血液についてはドナーの血液に対する抗凝固剤の体積に対するドナーの血液の体積の比として定義)とドナーのHctに基づき、ドナーから全血を採取することと、ACRと一致する量の抗凝固剤を全血に添加することと、全血から血漿生成物を分離することと、収集容器内の血漿生成物の体積がVPPに達するまで、血漿生成物を収集容器に移すこととを含む。血漿交換手順は複数の抽出/分離段階と返送段階で構成されているため、手順のVPPは、各抽出段階の開始前に決定されたドナーのヘマトクリットの値と、それに応じて調整された血漿生成物の目標体積に基づいて、各抽出/分離段階が開始される前に再計算される。あるいは、VRPは、Vとドナーのヘマトクリットに基づいて、ドナーの総血漿体積の計算値に基づいて決定される場合もある。
【0028】
別の態様では、アフェレーシス手順中に収集され得る血漿生成物の体積(VPP)を決定するための方法が提供される。ここで、VPPは、収集され得る未加工の血漿の体積(VRP)に、アフェレーシス手順中にVRPに添加される抗凝固剤の体積(VAC)を加えたものに等しい。この方法の工程は、ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)を決定し、ドナーのヘマトクリット(Hct)を決定することと、ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)に基づいて、収集できる未加工の血漿(VRP)の体積を決定することと、抗凝固剤比(ACR)およびドナーのHctに基づいて、VPPとVRPとの間の比Kを、K=VPP/VRPとなるように決定することと、VPP=VRP×KとなるようにVPPを決定することとを含む。また、K=(ACR×(1-Hct/100)+1)/(ACR×(1-Hct/100))である。VPPが決定された後、ドナーから全血が採取され、抗凝固剤はACRと一致する量で全血に添加され、血漿生成物は全血から分離され、血漿生成物は収集容器に移される。所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球はドナーに戻される。次に、各採取段階の前にドナーのHctとVPPが決定される。
【0029】
関連する態様では、収集容器内の血漿生成物の体積がVPPに達するまで、採取工程と分離工程が繰り返される。
【0030】
関連する態様では、第1収集段階後のドナーのヘマトクリットは、ドナーの赤血球量が各採取サイクルの開始時に同じであり、一方、血液の総体積は、あるサイクルから次のサイクルで、収集された未加工の血漿と等しい量、減少すると仮定して、体積バランスによって計算することができる。あるいは、各採取サイクルの開始時のドナーのヘマトクリットを光学センサーまたはその他のセンサーで測定することもできる。
【0031】
さらなる態様では、特定のドナーから収集され得る未加工の血漿の体積は、いくつかの異なる手段のうちのいずれか1つによって決定され得る。このような手段には、例えば、ドナーの体重のみを考慮したFDAノモグラム、ドナーのヘマトクリットをさらに考慮し、特定のドナーについて計算された総血液体積または総血漿体積の一部を考慮した、修正されたFDAノモグラムが含まれる。総血液体積または総血漿体積は、例えば、ナドラーの方程式、ギルチャーの五則、国際血液学標準化評議会(ICSH)によって提供される表、またはドナーの身長、体重、性別、年齢を使用する他の一般に認められた方法を使用して、ドナーの安全性と快適性と整合して決定され得る。
【0032】
別の態様では、再利用可能なハードウェア構成要素および使い捨てキットを含む、全血から血漿を分離するための自動システムが提供される。使い捨てキットはさらに、i)全血を血漿画分と濃縮細胞画分に分離するための分離器であって、ドナーから分離器に全血を輸送するための血液ラインが一体的に接続された入力部を有する分離器と、血漿ラインによって血漿収集容器に一体的に接続された血漿出力ポートと、ドナーに再注入する前に濃縮細胞を受け取るための貯留部に一体的に接続された濃縮細胞出口ポートと、ii)全血をドナーから血液ラインに輸送するための静脈穿刺針で終わるドナーラインと、iii)血液ラインに一体的に接続され、抗凝固剤をドナーラインに輸送するために抗凝固剤の供給源に接続されるように構成された抗凝固剤ラインと、iv)濃縮された細胞を貯留部からドナーラインに輸送するための再注入ラインとを備える。
【0033】
再利用可能なハードウェア構成要素はさらに、i)収集段階中に血液ラインに制御された速度で抗凝固剤を送達するための第1の蠕動ポンプと、ii)収集段階中に抗凝固処理された全血を分離器に送達し、再注入段階中に濃縮された細胞成分を返送するための第2のポンプと、iii)収集段階中に濃縮された細胞成分を分離器から貯留部に送達するための第3のポンプと、iv)血液ライン、血漿ライン、および、再注入ラインのそれぞれに関連付けられたクランプと、v)血漿収集容器、貯留部および抗凝固剤源のそれぞれの重量を量る重量計、および、vi)オペレータからの入力を受信するためのタッチスクリーンを備えるプログラム可能な制御部であって、プログラム可能な制御部は、重量計のそれぞれから信号を受信し、第1のポンプ、第2のポンプ、および第3のポンプおよびクランプを自動的に動作させて、収集段階で全血を血漿画分と濃縮細胞画分に分離し、再注入段階では濃縮細胞をドナーに戻すように構成されている。プログラム可能な制御部はさらに、本明細書に記載される態様のいずれかに従って血漿収集容器内に収集される血漿生成物の目標量を決定し、血漿収集容器内の血漿生成物の量が制御部によって決定された血漿生成物の目標量に等しいという信号を受信すると収集段階を終了するように構成される。収集されるべき血漿生成物の目標量を決定する際に、制御部は、各サイクルの収集段階の前にドナーのヘマトクリットを計算するように構成され得る。代替的に、または追加的に、制御部は、ドナーのヘマトクリットを示すセンサーなどから信号を受信してもよい。さらに、血漿収集容器内の血漿生成物の量は、例えば、血漿収集に関連付けられた重量計、または、体積を直接測定する光学センサーによって決定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1は、本出願のシステムおよび方法での使用に適した例示的な血漿交換器具の斜視図である。
【0035】
図2は、図1の血漿交換システムで使用可能な、使い捨てセットに組み込まれたタイプの回転膜分離器の斜視図であり、詳細を示すために一部が破断されている。
【0036】
図3は、図1の血漿交換システムの前面パネルの斜視図であり、そこに取り付けられた使い捨てセットの構成要素を示している。
【0037】
図4は、収集段階における血漿交換システムの動作を示す概略図である。
【0038】
図5は、再注入段階における血漿交換システムの動作を示す概略図である。
【0039】
図6aおよび図6bは、純粋な血漿の目標体積を収集するために本出願で使用される方法の工程を示すフローチャートである。
【0040】
図7は、抗凝固剤対全血の1:16の比率を使用するFDAノモグラムによって設定された血漿生成物体積制限内に含まれる、ドナーのヘマトクリットに基づく純粋な血漿の体積を示す表である。
【0041】
図8は、図7に示される値とFDAノモグラムに基づいて収集され得る純粋な血漿の最大体積との間の差に基づいて、血漿生成物中の「請求されていない」純粋な血漿の体積を示す表である。
【0042】
図9は、ドナーの体重およびヘマトクリットに基づいて、ドナーから収集され得る血漿生成物の体積を示す表であり、その結果、FDAノモグラムによって許容される純粋な血漿の最大許容体積が得られる。
【0043】
図10は、本出願の方法に従って仮想の血漿交換手順を実行するためのプログラム可能な制御部への入力を示す表である。
【0044】
図11aと図11bは、図10の表からの入力に基づく仮説的な血漿交換手順の過程でドナーのヘマトクリットがどのように増加し、その結果、目標体積の純粋な血漿を収集するために必要である血漿生成物の総収集体積が増加するかを示す2つの部分に分割された表を含む。
【0045】
図12は、血漿交換中のIgG希釈を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示によるシステムおよび方法のより詳細な説明を以下に記載する。特定の装置および方法に関する以下の説明は例示を目的としたものであり、考えられるすべての変形または応用を網羅するものではないことを理解されたい。したがって、本開示の範囲は、限定することを意図したものではなく、当業者が思いつくであろう変形または実施形態を包含するものと理解されるべきである。システムおよび方法の様々な態様は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2020/0147289号にさらに詳細に記載されている。
【0047】
本出願の文脈において、血漿交換は、供給源血漿として処理される血漿を収集するための、一般に符号10で示されるハードウェア構成要素と、一般に符号12で示される使い捨てセットとを備える自動化システム上で実行される。図1~5を参照し、以下でより詳細に説明するように、使い捨てセット12は、一体的に接続された分離器、容器、および滅菌流体経路内で血液および溶液を輸送するための管からなる。
【0048】
図2に最もよく示されている分離器14は、血液を成分に分離するためにケース20内で回転するロータ18に取り付けられた回転膜フィルタ16を有する。回転膜分離器の詳細な説明は、参照によって本明細書に組み込まれるシェーンドルファーの米国特許第5,611,113号に記載されている。理解されるように、別のシステムでは、全血の分離は遠心分離によって達成され得る。例えば、ウィリアムソンらの米国特許第5,360,542号を参照されたい。
【0049】
血漿交換中、抗凝固処理された全血は、全血入力ポート22を通って分離器14に入る。血漿は、回転膜フィルターによって分離され、血漿出力ポート24から出て、血漿ライン26を通って血漿収集容器28に入る。濃縮細胞は、濃縮細胞出力ポート30から貯留部32にポンプで送り出され、細胞はドナーに再注入されるまでそこに留まる。
【0050】
使い捨てセット12はまた、収集中にドナーから全血をシステムに導入し、再注入中に濃縮細胞をドナーに戻すための管ライン(静脈穿刺針36で終わるドナーライン34)、抗凝固化された全血を分離器に輸送する管ライン(血液ライン38)、濃縮細胞を貯留部に輸送する管ライン(細胞ライン40)、濃縮細胞を貯留部からドナーラインに輸送する管ライン(再注入ライン42)、血漿を血漿収集容器に輸送する管ライン(血漿ライン44)、生理食塩水を輸送する管ライン(生理食塩水ライン46)、および、抗凝固剤を輸送する管ライン(ACライン48)を含む。
【0051】
ハードウェア構成要素10は、プログラム可能な制御部50と、オペレータが手順を制御するためのグラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)を備えたタッチスクリーン52とを含む。例えば、GUIは、ドナーID、ドナーの性別、ドナーの身長、ドナーの体重、ドナーの年齢、ドナーのヘマトクリット/ヘモグロビン、目標生理食塩水注入体積(生理食塩水プロトコルが選択された場合)、および目標血漿体積のいずれかの入力を可能にする。タッチスクリーン52により、オペレータはステータス情報を収集し、エラー状態を処理することもできる。
【0052】
ACポンプ54、血液ポンプ56、および細胞ポンプ58を含む3つの蠕動ポンプがハードウェア構成要素10の前面パネルに配置されている。ACポンプ54は、制御された速度で抗凝固剤溶液(AC)を全血がドナーからセットに入るとき、血液ライン38内に送達する。血液ポンプ56は、処置の収集段階中に抗凝固処理された全血を分離器に送出し、処置の再注入段階中に濃縮された細胞成分および必要に応じて置換液をドナーに戻す。細胞ポンプ58は、収集段階中に、濃縮された細胞成分を分離器14から貯留部に送達する。
【0053】
前面パネルはまた、再注入クランプ60、血液クランプ62、生理食塩水クランプ64、および血漿クランプ66を含む、使い捨てセット12からの管が取り付けられる4つのクランプを含む。再注入クランプ60は、収集段階(図5)中に閉じて再注入ライン(42)を遮断し、再注入段階(図5)中に開いて、血液ポンプが貯留部32からドナーに濃縮細胞成分を再注入できるようにする。血液クランプ62は、収集段階中に開いて抗凝固処理された全血が分離器14に送られることを可能にし、再注入段階中に閉じて血液ライン38を遮断する。生理食塩水クランプ64は、収集段階中および分離された細胞成分の再注入中に閉じて生理食塩水ライン46を遮断する。生理食塩水を置換流体として使用する場合、生理食塩水クランプ64は再注入段階中に開く。血漿クランプ66は、収集段階中に開いて血漿が血漿収集容器28に流入できるようにし、再注入段階中に閉じる。
【0054】
ハードウェア構成要素10は、現在の血漿収集体積(重量計68)、AC溶液体積(重量計70)、および濃縮された細胞内容体積(重量計72)を監視するための3つの重量重量計を含む。このシステムはまた、静脈圧センサー74、分離器圧力センサー76、光学式血液検出器78、および空気検出器80を含む、様々なセンサーおよび検出器を含む。
【0055】
ドナーは、手順全体を通してシステムに接続される。図示されるように、使い捨てセット12は、単一の静脈穿刺針36を含み、この静脈穿刺針36を通して、収集段階(図4)においてドナーから全血が採取され、再注入段階(図5)において濃縮された細胞がドナーに戻される。上で述べたように、血漿交換手順は複数のサイクルを含み、各サイクルは収集/分離段階とその後に返送または再注入段階を有する。収集段階では、全血が血漿と濃縮細胞に分離される。使い捨てセットは、分離された血漿を受け入れるための血漿収集容器28と、濃縮された細胞を受け入れるための貯留部32とを含む。再注入段階では、貯留部32からの濃縮細胞が静脈穿刺針36を通じてドナーに再注入される。単一の静脈穿刺針36を用いて行われる血漿交換は、複数サイクルの収集と再注入を伴う場合がある。
【0056】
図4に戻ると、収集段階中、抗凝固剤溶液(AC)は、制御された速度で汲み上げられ、使い捨てセット12に入る全血と混合される。抗凝固処理された血液は分離器14に送られ、そこで血漿が細胞成分から分離され、血漿収集容器28に送られる。
【0057】
細胞成分は、分離器14から貯留部32にポンプで送られる。収集段階は、貯留部32が濃縮細胞の予想された体積に達したとき、または目標血漿収集体積が達成された場合に停止する。
【0058】
次に、再注入段階が始まる。図5を参照すると、再注入段階中、血液ポンプ56は方向を逆転させ、濃縮された細胞を貯留部32からアフェレーシス針36を通してドナーに送り返す。生理食塩水プロトコルが選択された場合、収集された血漿の補充液として生理食塩水がドナーに返され、最終再注入段階の後に生理食塩水が注入される。
【0059】
自動血漿収集装置は、FDAノモグラムに定められた限度内でドナーに許容される未加工の血漿の最大体積/重量を有する抗凝固処理された血漿(すなわち、血漿生成物)の体積/重量を収集するように構成されている。血漿生成物を構成する未加工の血漿の体積を最大化するために、装置はドナーのヘマトクリットを考慮したノモグラムでプログラムされている。ドナーのヘマトクリットと機器のAC比を知ることで、FDAノモグラムに記載されている未加工の血漿の総体積/総重量の制限と整合している、ドナーから収集できる未加工の血漿画分の最大体積/重量が血漿生成物に含まれるように、収集される血漿生成物の総体積/重量を決定できる。計算を制御部にプログラムすることにより、収集体積をオフラインで計算して装置に入力する場合と比較して、オペレーターの間違いの可能性が減少する。
【0060】
血漿交換中、抗凝固剤がドナーから採取される全血と混合される場合、抗凝固剤は血液中の純粋な/未加工の血漿内に均一に分布する。ただし、全血中の純粋な/未加工の血漿の体積は、全血のヘマトクリット(Hct)に依存する。次の関係が確立される。
赤血球の体積=全血の体積×Hct/100 [1]
純粋な/未加工の血漿の体積=全血の体積×(1-Hct/100) [2]
抗凝固剤を全血と混合する場合、全血16部対AC1のAC比(ACR)、または全血1部対AC0.06部の割合で計量される。
ACR=全血の体積/抗凝固剤の体積(ドナーの血液には抗凝固剤が含まれていない) [3]
(これは、FDAノモグラムとはわずかに異なる結果をもたらする。FDAノモグラムは、上記のように、抗凝固剤と抗凝固処理された血液の比率が1:16、または抗凝固剤0.06部と抗凝固処理された血液1部に添加できる抗凝固剤の体積を標準化している。)
抗凝固処理された血液の体積=抗凝固剤の体積+全血の体積 [4]
方程式を組み合わせると次のようになる。
純粋な/未加工の血漿の体積=ACR×抗凝固剤の体積×(1-Hct/100) [5]
赤血球はドナーに返されるため、次のようになる。
収集された血漿生成物の体積=純粋な/未加工の血漿の体積+抗凝固剤の体積 [6]
式[5]と[6]を組み合わせて、一定量の収集された血漿中の抗凝固剤の量を計算できる。
抗凝固剤の体積=収集された血漿生成物の体積/(1+ACR×(1-Hct/100)) [7]
さらに、
収集された血漿生成物の体積=純粋な/未加工の血漿の体積×K、ここで、K=(ACR×(1-HCT/100)+1)/(ACR×(1-HCT/100)) [8]
【0061】
上記の方程式で表される関係を考慮すると、FDAノモグラムの下で許可される血漿生成物の体積内に含まれる純粋/未加工の血漿の体積は、ドナーのヘマトクリットに基づいて決定することができる。このような計算の結果を図7に示す。図7は、FDAノモグラムによって設定された血漿生成物の体積制限内に含まれるドナーのヘマトクリットに基づく純粋/未加工の血漿の体積を示す。
【0062】
図7を参照して理解できるように、ドナーの体重が110ポンドから149ポンドである場合(FDAノモグラムによる最大血漿生成物体積は690mLである)、ドナーのヘマトクリット値が42以上の場合、収集される未加工の血漿の体積はFDAノモグラムで許可されている625mL未満である。ドナーのヘマトクリットが40以上の場合、体重が150~174ポンドのドナーの場合(FDAノモグラムによる最大血漿採取体積は825mL)、体重175ポンド以上のドナーの場合(FDAノモグラムによる最大血漿採取体積は880mL)も状況は同様である。
【0063】
図8に示される表は、図7に示される値と、FDAノモグラムに基づいて収集され得る純粋な/未加工の血漿の最大体積との間の差に基づいた、血漿生成物中の「請求されていない」未加工の血漿の体積を示す。したがって、図9に示す表に示すように、特定のドナーから採取した血漿生成物は、FDAノモグラムに記載されているものから、図8に記載されている「請求されていない」純粋な/未加工の血漿の量と、追加の体積を処理するために必要な抗凝固剤の量を加えたものに対応する量だけ調整することができる。
【0064】
あるいは、収集される血漿生成物の体積は、最初にドナーの体重およびヘマトクリット(Hct)を決定し、ドナーの体重(Wkg)に基づいて収集され得る未加工の血漿の体積(VRP)を決定し、抗凝固剤比(ACR;FDAノモグラムに従って1:16または0.06:1)およびドナーのHctに基づいて、K=VPP/VRPとなるように、VPPとVRPとの間の比Kを決定し、VPP=VRP×KとなるようにVPPを決定することによって計算され得る。また、K=(ACR×(1-Hct/100)+1)/(ACR×(1-Hct/100))である。
【0065】
さらに別の方法では、収集される血漿生成物の体積(VPP)は、最初にドナーの体重(Wkg)およびヘマトクリット(Hct)を決定し、ドナーの体重(Wkg)に基づいて収集できる未加工の血漿の体積(VRP)を決定し、抗凝固剤比(ACR;FDAノモグラムに従って1:16または0.06:1)およびドナーのヘマトクリットに基づいて、追加される抗凝固剤の体積(VAC)を、VAC=VRP×(ACR×(1-Hct/100))となるように決定し、VPP=VRP+VACとなるように収集体積を決定することによって計算され得る。
【0066】
本開示の一態様に従って、自動血漿収集装置は、以下に詳細に説明するいずれかによって決定されるドナーに許可される純粋な血漿の体積/重量を有する血漿生成物(純粋な血漿+抗凝固剤)の体積/重量を収集するように構成される。
【0067】
図6aを参照すると、目標体積の血漿生成物(TVPP)を収集するための第1の方法(70)が示されている。この方法では、血漿生成物の目標体積(TVPP)は、最初にドナーの体重に基づいて収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)を計算し(工程72)、次に、所定の抗凝固剤比(ACR)およびドナーのヘマトクリットに基づいて収集される血漿生成物の目標体積の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定することによって決定され、ここで、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)(工程74)。この方法では、ドナーの血漿の目標収集体積を決定する前に、ドナーの総血液体積または総血漿体積のいずれについても介入する計算は必要ないが、代替実施形態では、そのような計算が含まれてもよい。
【0068】
ドナーの体重から直接、収集され得る純粋な血漿の目標体積を決定するために、様々な方法が使用され得る。例えば、ドナーの体重に、確立された定数「K」(10mL/kgなど)を乗じてもよい。あるいは、ドナーの体重は、体重カテゴリーまたは体重範囲(例えば、少なくとも3つのカテゴリー、少なくとも6つのカテゴリーなど)に分類され、各カテゴリーに対して固定体積が設定されてもよい(上で論じたFDAノモグラムではドナーの体重の範囲は3つのカテゴリに分類される)。
【0069】
抗凝血比(ACR)は、2つの異なる方法のうちの1つで定義され得る。第1の方法では、ACRは抗凝固剤の量に対する全血の体積の比である(ACR=WB/AC)。第2の方法では、ACRは、抗凝固剤の体積に対する全血の体積に抗凝固剤の体積を加えたものの比率である(ACR=(WB+AC)/AC)。ACR=WB/ACの場合、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)は次の方程式に従って決定される。%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct))、ACRとHctはパーセンテージで表される。ACR=(WB+AC)/ACの場合、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)は次の方程式に従って決定される。
%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))ACRは比率またはパーセンテージのいずれかで表すことができ、7:1~20:1、または約5%~14%の範囲で変化する。例示的なACRは16:1、すなわち6.25%である。
【0070】
図6aに戻ると、上述のようにTVPPが決定されると、ドナーから全血が採取され(工程76)、所定の比率ACRに基づいて抗凝固剤と混合される(工程78)。次いで、抗凝固処理された全血が分離器14に導入され、そこで血漿と濃縮(赤血球)細胞とに分離される(工程80)。血漿生成物(純粋な血漿および抗凝固剤)は血漿収集容器28に収集され(工程82)、分離された赤血球は貯留部32に収集される。血漿生成物が収集されるとき、血漿容器内の血漿生成物(純粋な血漿および抗凝固剤)の体積VPPが決定される(工程84)。VPPが血漿生成物の目標体積(TVPP)に等しいとき、全血の採取は停止され、残りの血液成分(赤血球など)はドナーに戻される(工程86)。
【0071】
図6bを参照すると、目標体積の血漿生成物TVPPを収集するための第2の方法(90)が示されている。この方法では、血漿生成物の目標体積(TPPV)は、最初にドナーの体重と身長に基づいてドナーの総血液体積(TBV)を計算し(工程92)、収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)を、TBVのパーセンテージとして計算し(工程94)、所定の抗凝固剤比(ACR)およびヘマトクリットに基づいて、収集される血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を計算し(工程96)、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)を計算する(工程98)ことによって決定される。%ACTVPPは、第1の方法に関連して上述したように決定することができる。この方法では、ドナーの血漿の目標収集体積を決定するために、ドナーの総血漿体積を計算する必要はない。
【0072】
ドナーの血漿体積は、ドナーの総血液体積に基づいて推定することができ、ドナーの安全性および快適性と一致して採取できる血漿の体積は、この推定に基づいてよい。ドナーの総血液体積を推定するには、ドナーのパラメーターを利用する方法が一般的に使用される。ドナーの総血液体積は、レメンズ方程式(ドナーのボディ・マス指数を使用して総血液体積を決定する)、ナドラーの方程式(ドナーの身長、性別、および体重を考慮する)、ギルチャー五則(性別、体重、形態 (肥満、やせ、正常、または筋肉質)を考慮する)、または、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ヘマトロジー 1995,89:748-56に記載されている国際血液学標準化審議会(「ICSH」)の標準(ドナーの身長、体重、年齢、性別を考慮する)のうちの1つまたは複数を使用して決定され得る。ドナーの総血液体積を決定するための他の方法も使用できる。別の実施形態では、そのような方法を複数使用することができ、方法の平均、中間、または加重平均をドナーの総血液体積として採用することができる。たとえば、ドナーの総血液体積が決定されると、ドナーの血漿体積は、総血液体積に定数「K」を乗算することによって推定できる。ここで、Kは(1-ドナーのHct)に等しい。
【0073】
ピアソンらの「Interpretation of measured red cell mass and plasma volume in adults: Expert Panel on Radionuclides of the International Council for Standardization in Haematology(成人で測定された赤血球体積と血漿体積の解釈:国際血液学標準化評議会の放射性核種に関する専門家パネル),British J.Haematology,89:748-756(1995)(ここでICSHが推奨する式が導かれた)に記載されている、性別、年齢、身長、体重、妊娠データ、およびヘマトクリット値が抽出された、2015~2016年の全国健康栄養検査調査からの人口統計、検査、および検査データの分析から、特定の特性を有するドナー(すなわち、ヘマトクリット値が高い低体重の女性)の場合、現在の規制の範囲内で、利用可能な血漿の最大36%を収集できることが確認されている。このようなドナーによる血漿交換法は、副作用なしに日常的に行われているため、安全であると考えられている。これは、ドナーの利用可能な血漿の最大36%が血漿交換法で安全に収集できることを示唆している。
【0074】
予測された/計算された総血液体積からのドナーの真の血液体積の負の偏差のみが潜在的なリスクを提示することを考えると、血漿の採取可能な体積の下方へのさらなる調整が適切であり得る。上で引用したピアソンらによって決定された、計算された血液体積間の偏差の考慮に基づいている。
【0075】
したがって、ドナーの総血液体積(TBV)は、ドナーの体重(Wt)および身長(Ht)に基づいて計算され得、TBV=70/√(BMI/22)となるようなドナーのボディ・マス指数(BMI)を計算することができる。ここで、BMI=Wt/Htであり、Htの単位はメートルであり、Wtの単位はキログラムである(レメンズの方程式)。「肥満および病的肥満患者における血液体積の推定」、レメンズら、肥満外科16、2006、773-776ページを参照せよ。
【0076】
あるいは、ドナーの総血液体積(TBV)は、ドナーの体重(Wt)、身長(Ht)および性別(男性または女性)に基づいて、男性の場合はTBV=(0.3669×Ht)+(0.03219×Wt)+0.6041、女性の場合はTBV=(0.3561×Ht)+(0.03308×Wt)+0.1833、ここで、Htの単位はメートル、Wtの単位はキログラム(ナドラーの公式)、となるように計算され得る。
【0077】
TVP(そして最終的にはTVPP)を得るためにTBVを掛けるパーセンテージは、ドナーの快適性と安全性と一致してドナーから収集される純粋な血漿の体積を最大化するように選択される。様々な実施形態におけるパーセンテージ範囲は、TBVの約1%~15%、少なくとも15%、18%未満、約15%~17%、約12%、約16%または約18%など様々であり得る。TVPPは、ドナーのTBVに関係なく、例えば1000mLまたは1050mLの最大収集体積の対象となる場合もある。
【0078】
調整(V)は、純粋な血漿の目標体積TVPを計算する前に、全血TBVの計算された体積に対して、TVP=0.36(1-Hct)(TBV-V)となるように行うことができ、ここで、V=523mLである。レツラフら「成人男性および女性における赤血球体積、血漿体積、および除脂肪体重」ジャーナル・オブ・ヘマトロジー、33,5:649-667(1969)に記載された実験的な血液体積データの回帰分析に基づいている。個人の予測された血液体積が20.5%を超えないで異なるという95%の確信がある。したがって、0.795のスケーリング係数を適用して、上記のドナーの総血漿体積の36%である採取可能な未加工の血漿を決定することができる。これにより、ドナーの計算された未加工の血漿の体積の28.6%が採取され、ドナーの安全性と快適性に合う。
【0079】
図6bに戻ると、上述のように(TBVに基づいて)TVPPが決定されると、ドナーから全血が採取され(工程100)、所定の比率に基づいて抗凝固剤と混合される(工程102)。次に、抗凝固処理された全血は分離器14に導入され、そこで血漿と濃縮(赤血球)細胞に分離される(工程104)。血漿生成物(純粋な血漿および抗凝固剤)は血漿収集容器28に収集され(工程106)、分離された赤血球は貯留部32に収集される。血漿生成物が収集されるとき、血漿容器内の血漿生成物VPP(純粋な血漿および抗凝固剤)の体積が決定される(工程108)。VPPが血漿生成物の目標体積(TVPP)に等しいとき、全血の採取は停止され、残りの血液成分(赤血球など)はドナーに戻される(工程110)。
【0080】
したがって、収集体積(血漿生成物の体積)は、特定のドナーから収集され得る未加工の血漿体積の体積、ドナーのヘマトクリット、および固定された抗凝固剤比(ACR)に基づいて決定される。その結果、この方法により、ドナーの安全性に最も関係する変数であるドナーの未加工の血漿体積をより一貫して制御することが可能になる。
【0081】
例示的な方法では、オペレータは、採取され得る未加工の血漿の目標体積に基づいて、特定のドナーに対する血漿生成物の収集体積をシステム制御部に入力する。目標血漿収集体積は、最初の収集段階でのドナーの体重とヘマトクリット値に基づいて、または上記の他の方法のいずれかによって、図9に示されているようになり得る。あるいは、制御部は、例えば、ドナーの体重とヘマトクリット値、および/または、ドナーの総血液体積、総血漿体積、および、採取され得る血漿の採取可能な目標体積を決定するために使用される方法論によって要求されるさらなるドナーの固有の情報(例えばドナーの性別、身長、および年齢)のいずれかをオペレータが入力する際に、上記のような方法に従って、初期収集段階の目標血漿生成物収集体積を計算するように構成される。
【0082】
実際には、オペレータは、採取され得る未加工の血漿の目標体積に基づいて、特定のドナーに対する血漿生成物の収集体積をシステム制御部に入力する。目標血漿収集体積は、最初の収集段階でのドナーの体重とヘマトクリット値に基づいて、または上記の他の方法のいずれかによって、図9に示されているようになり得る。あるいは、制御部は、例えば、ドナーの体重とヘマトクリット値、および/または、ドナーの総血液体積、総血漿体積、および、採取され得る血漿の採取可能な目標体積を決定するために使用される方法論によって要求されるさらなるドナーの固有の情報(例えばドナーの性別、身長、および年齢)のいずれかをオペレータが入力する際に、上記のような方法に従って、初期収集段階の目標血漿生成物収集体積を計算するように構成される。
【0083】
好ましくは、システム管理者は、血漿生成物の目標収集体積(TVPP)がシステムによって(例えば、上記の方法の1つに従って)決定されるか、またはオペレータによってシステムに直接入力されるかの指示を最初に設定する。オペレータがTVPPを入力する場合、システム管理者はTVPPを計算する制御部の機能を無効にする。システム管理者は、すべての手順で使用されるAC比率も設定する。制御部がTVPPを決定する場合、管理者は、オペレーターまたはドナー管理者のいずれかによって、上記の方法のいずれかに従ってTVPPを計算するための適切なドナー固有の特性を制御部に入力できるようにシステムを設定する。このシステムにより、適格性スクリーニングに使用されるドナーパラメータ(体重、身長、ヘマトクリットなど)を機器に電子的に送信できるため、ドナーパラメータの入力におけるオペレータのミスを回避できる。ドナー管理システムはまた、純粋な血漿の体積と収集体積との関係とともに、ドナースクリーニング測定値を利用して、血漿交換装置の制御部に送信するTVPPを自動的に計算することができる。それ以外の場合、制御部はドナーからの全血の収集が開始される前にTVPPを計算する。さらに、制御部/ドナー管理システムがTVPPを計算する場合、管理者は、オペレーターが計算された体積以外のTVPPを入力できるようにシステムを設定する。さらに、このシステムは、例えば、ドナーの快適性または利便性の理由から、処置の実行/完了にかかる推定時間を短縮する必要がある場合、オペレーターが処置前または処置中に、計算されたTVPPからTVPPを変更できるようにする。手順の完了時に、収集された純粋な血漿の実際の体積、および血漿の目標体積(TPV)に加えて、収集された血漿生成物の実際の体積(VPP)、および目標体積(TVPP)が表示される。
【0084】
上で述べたように、血漿交換手順は、収集/採取段階および返送/再注入段階の複数のサイクルで実行され得る。返送/再注入段階に補充液の再注入が含まれない場合、ドナーのヘマトクリットはサイクルごとに増加する。したがって、血漿生成物の目標体積がドナーの最初のヘマトクリット値のみに基づいて決定され、ドナーの増加するヘマトクリット値を考慮しない場合、血漿生成物の目標体積を決定するための最初の計算によって予測されたものよりも、血漿生成物中の抗凝固剤のパーセンテージは多くなる(そして未加工の血漿の体積は少なくなる)。したがって、収集される血漿生成物の体積が、特定のドナーから採取されると決定された未加工の血漿の最大の体積を含むことを確実にするために、血漿生成物の目標体積は、ドナーのヘマトクリット値の変化を考慮して計算に入れるため、血漿交換手順を通して、各サイクルの収集段階の開始前など定期的に再計算される。
【0085】
したがって、ドナーの当初のヘマトクリット値に基づいて血漿生成物の目標体積の決定がなされる。血漿交換手順は、指定された体積の全血(通常は約500mL)がドナーから採取されるまで、第1の採取段階から始まる。抗凝固剤が全血に加えられ、抗凝固処理された全血は、血漿生成物、赤血球、および他の非RBC血液成分に分離される。第1の採取段階の終わりに、赤血球と非RBC血液成分がドナーに返される。最初の採取段階の後に収集される血漿生成物の現在の体積は、例えば、重量計によって決定される。次に、ドナーのヘマトクリット値の現在の値が確立され、収集される血漿生成物の新しい目標体積が決定され、採取段階と戻り段階の第2のサイクルが実行される。各採取段階の開始前に再計算されたように、血漿交換手順に対する血漿生成物の目標体積が収集されるまで、採取段階と戻り段階のサイクルが繰り返される。最終の収集段階の後、制御部は最終の赤血球再注入段階を開始し、その後ドナーは接続解除される。
【0086】
上記の方法論に従って複数の収集/再注入サイクルを有する血漿交換手順を実施することの利点は、図10および図11a,11bの表を参照することによって見ることができる。図10は、体重190ポンド(86.4kg)で、初期ヘマトクリット値は44であるドナーに対する仮想的な血漿交換法の入力データを示している。図1の表を参照すると、簡略化されたFDAノモグラムは、このようなドナーから収集される血漿の体積を800mLに制限し、血漿生成物の総収集体積を880mLに制限する。この例では、収集される可能性のある未加工の血漿の体積に対するFDAノモグラムの制限は、説明のみを目的としている。上記のように、他の方法論を使用して、FDAノモグラムによって示されるものとは異なるドナーから安全に抽出される可能性のある未加工の血漿の量を決定することができる。
【0087】
血漿交換手順における収集および再注入サイクルの数は、3から12まで変動し得る。仮想的な血漿交換手順では、5つの収集および再注入サイクルがあり、これらは説明の目的で選択されている。
【0088】
第1の収集サイクルの開始前に、収集される未加工の血漿の体積および収集される血漿生成物の総目標体積は、ドナーの初期のヘマトクリット値に基づいて、上記の方法に従って決定される。表の最初の行(サイクル1 開始)に示されているように、収集される血漿生成物の最初の目標体積は889mLであり、これは、FDA制限の800mLの未加工の血漿をドナーから収集するために175ポンド以上の体重があり、ヘマトクリット値44を有するドナーに対して図9の表に示されているものと同じである。
【0089】
各収集段階中、500mLの全血がドナーから採取され、それに抗凝固剤が所定の比率(すなわち、1:16)で添加され、500mLの各収集サイクルごとに31mLが添加される。全血と抗凝固剤は、血漿画分と赤血球画分に分離される。
【0090】
第1の返送段階の間に(サイクル1 戻し 終了)、赤血球および「非RBC」血液成分がドナーに戻されるので、最初の戻りサイクルの終わりに、ドナーのヘマトクリット値は45.6%に増加した。収集された未加工の血漿の量によって減少する血液体積に基づいて制御部によって計算されるが、総血液体積中の赤血球の量は手順の開始時と同じままである。制御部は、赤血球とともに各戻り段階で再注入される抗凝固剤の体積、およびサイクル2以降で採取されるドナーの全血中の残留抗凝固剤を計算に入れて、次のサイクルのための新しいヘマトクリット値を決定することもできる。次に、手順のために収集される未加工の血漿の体積と血漿生成物の総目標体積が、ドナーの新しく増加したヘマトクリット値と未加工の血漿体積に基づいて再計算される。これにより、891mLの新しい総目標収集体積が提供される。
【0091】
次に、第2の収集段階が実行され、最初の2つの収集段階にわたって収集される386mLの未加工の血漿を含む合計430mLの血漿生成物が得られる(サイクル2 採取 終了)。赤血球と「非RBC」血液成分は再びドナーに戻され、その後、ドナーのヘマトクリット値は47.2%と計算される。
【0092】
500mLのさらに2つの収集段階が実行され、それぞれに返送段階が続き、そこでは、収集される未加工の血漿の体積および血漿生成物の総体積の新しい値が、各収集段階の開始前に決定される。ドナーのヘマトクリット値が増加すると、手順の再計算された目標収集体積は893mL(第3の収集段階の場合)に増加し、次に894mL(第4の収集段階の場合)に増加する。第5の「ミニ」収集サイクルを実行して、収集された未加工の血漿の体積を、仮想的なドナーに対してFDAノモグラムで許可されている800mLまで上げる。第5の収集段階で再計算された血漿生成物の目標収集体積は894mLのままである。
【0093】
したがって、上記の例に示されるように、血漿生成物の目標収集体積が収集段階ごとに再計算されると、血漿生成物の目標収集体積である894mLが得られ、これは、800mLの血漿未加工のの目標体積を収集するために必要である。対照的に、目標収集体積がドナーの初期ヘマトクリット値のみに基づいて決定された場合は889mLの血漿生成物が収集され、目標収集体積が簡略化されたFDAノモグラムに基づいた場合は880mLになる。どちらの場合も、800mLの目標体積より少なく収集される。
【0094】
理解できるように、処置前および処置中の両方で、ドナーのヘマトクリット値を決定することができる精度が高いほど、収集される血漿生成物の目標体積は、特定のドナーにとって収集され得る最大体積の未加工の血漿を含む可能性が高い。上記のように、手順中のドナーのヘマトクリット値は、各採取サイクルで引き出された赤血球の100%が、非RBC細胞製品の100%とある体積の抗凝固剤とともに、各戻りサイクルで再注入されるという仮定に基づいている。しかしながら、血液分離手順の過程で、間質液が血管内空間に移動し、その結果、回収された体積の半分が回復する可能性があることが確認されている。サイトウ(Saito)ら「Interstitial fluid shifts to plasma compartment during blood donation(献血中に間質液が血漿コンパートメントに移動する)」Transfusion 2013;53(11):2744-50を参照せよ。移動した間質液は、各戻り段階で再注入される赤血球、非RBC細胞産物、および、抗凝固剤に追加される。したがって、間質液の移動を考慮して計算に入れると、より正確なヘマトクリット値の決定が得られ、したがって、最大量の未加工の血漿をもたらす血漿生成物の目標体積のより正確な決定が得られる。
【0095】
血漿交換中の間質液の移動は、血漿交換手順の過程にわたってドナーの免疫グロブリンG(IgG)のレベルを追跡することによって実証されてきた。例えば、バーカート(Burkhardt)ら「Immunoglobulin G levels during collection of large volume plasma for fractionation(分画のための大体積血漿の収集中の免疫グロブリンGレベル)」Transfusion 2017;56:417-420を参照せよ。間質液が移動していなかった場合、ドナーのIgGレベルは血漿交換手順の過程全体で安定する。ただし、IgGレベルが低下することが示され、IgGレベルが低下する量は、血液系に移動した間質液の体積の関数である。
【0096】
図12を参照すれば、経験的に開発された、収集された血漿の体積(X軸に沿った対(Y軸に沿った)IgG濃度)のプロットが示されている。ドナーのIgGの9%の低下は、(手順の開始時に)ゼロ血漿収集のベースラインから200mLの血漿収集まで見られ、200mLから800mLまでの収集でさらに4%の低下が見られる。これは、ドナーの初期の総血液体積の約9%(200mLの血漿を採取した後)から、ドナーの初期の総血液体積の約13%(800mLの血漿を採取した後)に等しい間質液の移動に起因している。
【0097】
ドナーのIgG濃度の量と収集された血漿の体積との間の以下の関係が確立された。y=1.0017x-0.02、ここで、y=IgG濃度およびx=収集された血漿体積である。したがって、間質液の移動によって置き換えられるドナーの血液体積のパーセンテージは、V(1-y)に等しくなる。ここで、Vはドナーの全血の初期体積である。したがって、間質液の移動された体積は、収集された血漿の体積に基づいて計算でき、この量は、ドナーの現在の合計の血液の体積とヘマトクリット値を決定するために、各戻り段階で再注入された赤血球、非RBC細胞生成物および抗凝固剤の体積に追加できる。理解できるように、制御部は、収集された血漿の体積に基づいて移動した間質液の体積を自動的に決定し、各採取段階の前にドナーのヘマトクリット値を決定するときに移動した体積を含めるように構成することができる。
【0098】
あるいは、ドナーのヘマトクリット値を直接測定する他の方法、例えば、光学センサー、または遠心分離器が使用されている場合は、遠心分離器内の赤血球の体積を測定する方法を使用することができる。
【0099】
さらに、抗凝固剤は、一般に、血漿交換手順を開始する前に、使い捨てキットのプライミング、1つまたは複数の前サイクルの実行、または他の前処理の実行などの前処理工程で使い捨てキットに導入される。これらの目的に使用される抗凝固剤が最終的に血漿生成物収集容器に向けられる限り、それは、収集される未加工の血漿の目標体積をもたらす血漿収集容器に含まれる体積を決定する際に考慮して計算に入れられ得る。これは、例えば、抗凝固剤の「満杯」容器の重量および第1の採取サイクルの開始前に抗凝固剤の容器の重量を測定し、その体積の抗凝固剤を血漿生成物の目標体積に加えることによって行うことができる。制御部は、抗凝固血漿とは別に血漿収集容器に導入された抗凝固剤を説明するために必要な工程を自動的に実行するように構成することができる。
【0100】
上述の方法およびシステムは、いくつかの局面を有する。第1の態様では、血漿生成物が複数の収集段階で収集され、その間に分離された赤血球がドナーに再注入される、血漿を収集するための方法が提供される。この第1の態様の方法は、a)ドナーの全血の体積(V)およびヘマトクリット(Hct)を決定することと、b)ドナーから収集できる未加工の血漿(VRP)の体積を決定することと、c)収集できる血漿生成物(VPP)の体積を決定することとを含み、ここで、血漿生成物は、未加工の血漿の体積に抗凝固剤の体積を加えたものを含み、d)ドナーから全血を採取することと、e)採取された全血に抗凝固剤を特定の比率(ACR)で導入することと、f)採取された全血を、血漿生成物と赤血球を含む第2の成分とに分離することと、g)血漿生成物を血漿収集容器に収集することと、h)所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球をドナーに戻すことと、i)各収集段階の前にドナーのHctおよびVPPを決定することとを含む。
【0101】
第2の態様では、工程d)~i)は、収集容器内の血漿生成物の測定された体積がVPPに等しくなるまで継続される。
【0102】
第3の態様では、血漿生成物が複数の収集段階で収集され、その間に分離された赤血球がドナーに再注入される、血漿を収集するための方法が提供される。この第2の態様の方法は、a)ドナーの全血の体積(V)およびヘマトクリット(Hct)を決定することと、b)Vに基づいてドナーから収集できる未加工の血漿の体積(VRP)を決定することと、c)抗凝固剤比(ACR)およびドナーのHctに基づいて、VAC=VRP×(ACR×(1-Hct))となるように、VRPに添加されるべき抗凝固剤の体積VACを決定することと、d)収集され得る血漿生成物(VPP)の体積を決定することとを含み、ここで、血漿生成物は、未加工の血漿の体積(VRP)と抗凝固剤の体積(VAC)とを含み、e)ドナーから全血を採取することと、f)採取された全血に抗凝固剤を特定の比率(ACR)で導入することと、g)採取した全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の成分とに分離することと、h)血漿生成物を血漿収集容器に収集することと、i)所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球をドナーに戻すことと、j)各収集段階の前にドナーのHctおよびVPPを決定することを含む。
【0103】
第4の態様では、工程d)~j)は、収集容器内の血漿生成物の測定された体積がVPPに等しくなるまで継続される。
【0104】
第5の態様では、Vは、ドナーの体重、身長、性別、年齢、および形態を含む1つまたは複数のドナー固有の特性に基づいて決定される。
【0105】
第6の態様では、アフェレーシス処置においてある体積の血漿生成物(VPP)を収集するための方法が提供され、この方法では、血漿生成物が複数の収集段階で収集され、その間に分離された赤血球がドナーに再注入される。この第4の態様の方法では、VPPは、ドナーから採取できる未加工の血漿(VRP)の体積に、アフェレーシス処置中にVRPに添加される抗凝血剤の体積(VAC)を加えたものに等しい。この方法の工程は、a)ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)を決定することと、b)ドナーのヘマトクリット(Hct)を決定することと、c)ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)に基づいて採取できる未加工の血漿の体積(VRP)を決定することと、d)VPPとVRPとの間の比Kを、K=VPP/VRPとなるように、抗凝固剤比およびドナーのHctに基づいて決定する工程と、e)VPP=VRP×KとなるようにVPPを決定することと、f)ドナーから全血を採取することと、g)採取された全血に抗凝固剤を特定の比率(ACR)で導入することと、h)採取した全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の成分とに分離することと、i)血漿生成物を血漿収集容器に収集することと、j)所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球をドナーに戻すことと、k)各収集段階の前にドナーのHctおよび目標VPPを決定することとを含む。
【0106】
第7の態様では、収集容器内の血漿生成物の測定された体積がVPPに等しくなるまで、工程c)~k)が繰り返される。好ましくは、K=VPP/VRP=(ACR×(1-Hct/100)+1)/(ACR×(1-HCT/100))である。
【0107】
第8の態様では、アフェレーシス手順においてある体積の血漿生成物(VPP)を収集するための方法が提供され、この方法では、血漿生成物が複数の収集段階で収集され、その間に分離された赤血球がドナーに再注入される。この第5の態様では、VPPは、ドナーから収集できる未加工の血漿の体積(VRP)と、アフェレーシス処置中にVRPに添加される抗凝血剤の体積(VAC)とを加算したものに等しい。この方法の工程は、a)ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)を決定することと、b)ドナーのヘマトクリット(Hct)を決定することと、c)ドナーの体重(Wkg)およびドナーの性別(男性または女性)に基づいて収集できる未加工の血漿の体積(VRP)を決定することと、d)抗凝固剤比(ACR)およびドナーのHctに基づいて、VAC=VRP×(ACR×(1-Hct))となるように、VRPに加えられるVACを決定することと、e)VPP=VRP+VACとなるようにVPPを決定することと、f)ドナーから全血を採取することと、g)採取された全血に特定の比率(ACR)で抗凝固剤を導入することと、h)採取した全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の成分とに分離することと、i)血漿生成物を血漿収集容器に収集することと、j)所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球をドナーに戻すことと、k)各収集段階の前にドナーのHctおよびVPPを決定することとを含む。
【0108】
第9の態様では、工程d)~k)は、収集容器内の血漿生成物の測定された体積がVPPに等しくなるまで継続される。
【0109】
第10の態様では、VRPは、複数のドナー体重範囲のそれぞれについてVRPを確立し、ドナーの体重を含む体重範囲についてVRPを選択することによって決定される。ドナーの体重の範囲は、110~149ポンド、150~174ポンド、および175ポンド以上の3つのカテゴリに分類できる。
【0110】
第11の態様では、VRP=K×Wkgである。
【0111】
第12の態様では、VRPは(1-Hct)×(V)の28.6%以下である。
【0112】
第13の態様では、Vは、ナドラーの方程式、ギルチャーの5法則、ICSHの標準、およびその他の一般的に受け入れられている方法論のうちの1つを使用して決定される。
【0113】
第14の態様では、VRP=Wkg×10mL/kgである。
【0114】
第15の態様では、ドナーの総血液体積(V)を推定するためにドナーパラメータが使用される場合、VRP=K×Vである。
【0115】
第16の態様では、再利用可能なハードウェア構成要素および使い捨てキットを含む、全血から血漿を分離するための自動システムが提供される。使い捨てキットはさらに、i)全血を血漿画分と濃縮細胞画分に分離するための分離器であって、ドナーから分離器に全血を輸送するための血液ラインが一体的に接続された入力部を有する分離器と、血漿ラインによって血漿収集容器に一体的に接続された血漿出力ポートと、ドナーに再注入する前に濃縮細胞を受け取るための貯留部に一体的に接続された濃縮細胞出口ポートと、ii)全血をドナーから血液ラインに輸送するための静脈穿刺針で終わるドナーラインと、iii)血液ラインに一体的に接続され、抗凝固剤をドナーラインに輸送するために抗凝固剤の供給源に接続されるように構成された抗凝固剤ライン、iv)生理食塩水を血液ラインに輸送するために生理食塩水の供給源に取り付けられるように構成された生理食塩水ライン、およびv)濃縮された細胞を貯留部からドナーラインに輸送するための再注入ラインとを備える。再利用可能なハードウェア構成要素にはさらに、i)収集段階中に血液ラインに制御された速度で抗凝固剤を送達するための第1の蠕動ポンプと、ii)収集段階中に抗凝固処理された全血を分離器に送達し、再注入段階中に濃縮された細胞成分を返送するための第2のポンプと、iii)収集段階中に濃縮された細胞成分を分離器から貯留部に送達するための第3のポンプと、iv)血液ライン、血漿ライン、再注入ラインおよび生理食塩水ラインのそれぞれに関連付けられたクランプと、v)血漿収集容器、貯留部および抗凝固剤源のそれぞれの重量を量る重量計、および、vi)オペレータからの入力を受信するためのタッチスクリーンを備えるプログラム可能な制御部であって、プログラム可能な制御部は、重量計のそれぞれから信号を受信し、第1のポンプ、第2のポンプ、および第3のポンプおよびクランプを自動的に動作させて、収集段階で全血を血漿画分と濃縮細胞画分に分離し、再注入段階では濃縮細胞をドナーに戻すように構成されている。プログラム可能な制御部はさらに、本明細書に記載される態様のいずれかに従って血漿収集容器内に収集される血漿画分の重量を決定し、制御部によって決定された血漿画分の重量に等しい血漿収集容器について血漿収集容器の重量計からの信号を受信すると収集段階を終了するように構成される。収集されるべき血漿生成物の目標量を決定する際に、制御部は、各サイクルの収集段階の前にドナーのヘマトクリットを計算するように構成され得る。代替的に、または追加的に、制御部は、ドナーのヘマトクリットを示すセンサーなどから信号を受信してもよい。さらに、血漿収集容器内の血漿生成物の量は、例えば、血漿収集に関連する重量計によって決定され得る。一実施形態では、分離器は回転膜分離器を含む。
【0116】
説明される実施形態は、本発明の主題の原理の応用のいくつかを例示するものであることが理解されよう。当業者であれば、本明細書で個別に開示または請求される特徴の組み合わせを含む、特許請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、数多くの修正を行うことができる。これらの理由により、特許請求の範囲は上記の説明に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドナーから血漿を収集するためのシステムであって、
前記ドナーからの全血を、血漿生成物を含む第1の血液成分と、赤血球を含む第2の血液成分とに分離するための血液分離器と、
前記ドナーからの全血を前記血液分離器に導入するためのドナーラインと、
前記ドナーラインを通る流れを制御するための第1のポンプと、
抗凝固剤を前記全血と混合するために抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインと、
前記抗凝固剤ラインを通る流れを制御するための第2のポンプと、
オペレーターからの入力を受信するためのタッチスクリーンと、
プログラム可能な制御部とを備え、
前記制御部は、
前記ドナーの体重、または、前記ドナーの体重と身長に基づいて、収集されるべき血漿生成物の目標体積(TVPP)を決定し、所定の抗凝固剤比(ACR)と前記ドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて、収集されるべき前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定し、
前記ドナーから全血を引き出すために採取と返送のサイクルを行うように前記システムを制御し、
抗凝固剤を所定の比率(ACR)で前記全血に添加し、
抗凝固処理された全血を前記血漿生成物と前記第2の成分とに分離し、前記第2の成分を前記ドナーに戻し、
血漿収集容器中の血漿生成物の測定された体積が前記血漿生成物の目標体積(TVPP)に達したとき、前記ドナーからの全血の採取を停止し、前記第2の血液成分の最終の返送を開始するように前記システムを制御するように構成されており、
前記制御部はさらに、
i)収集されるべき純粋な血漿の目標体積(TVP)を前記ドナーの体重から計算し、
ii)収集されるべき前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を所定の抗凝固剤比(ACR)とドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて計算するように構成されており、ここでTVPP=TVP/(1-%ACTVPP)であり、
前記制御部はさらに、収集されるべき前記純粋な血漿の目標体積(TVP)を前記ドナーの体重の倍数として計算するようにプログラムされている、システム。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、前記ドナーの体重と身長に基づいて前記ドナーの総血液体積(TBV)を計算し、収集されるべき純粋な血漿の目標体積(TVP)をTBVのパーセンテージとして計算し、所定の抗凝固剤比(ACR)とドナーのヘマトクリット(Hct)とに基づいて収集されるべき前記血漿生成物の目標体積中の前記抗凝固剤のパーセンテージ(ACTVPP)を計算するようにプログラムされており、ここでTVPP=TVP/(1-%ACTVPP)である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、前記ドナーの前記総血液体積(TBV)を、前記ドナーのボディ・マス指数(BMI)を計算するための前記ドナーの体重と身長とに基づいて、TBV=70/√(BMI/22)となるように計算するようにプログラムされており、BMI=Wt/Htである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、前記ドナーの前記総血液体積(TBV)を、前記ドナーの体重(Wt)、身長(Ht)、性別(男性または女性)に基づいて、男性の場合はTBV=(0.3669×Ht)+(0.03219×Wt)+0.6041、女性の場合はTBV=(0.3561×Ht)+(0.03308×Wt)+0.1833となるように計算するようにプログラムされており、ここでHtの単位はメートルであり、Wtの単位はキロメートルである、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
ACRは、抗凝固剤の量に対する全血の量の比(ACR=WB/AC)であり、前記制御部は、さらに、前記血漿生物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct))となるように決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
ACRは、抗凝固剤の体積に対する全血の体積と抗凝固剤の体積の和(ACR=(WB+AC)/AC)であり、前記制御部は、さらに、前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))となるように決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ドナーから血漿生成物の目標体積(TVPP)を収集するための方法であって、TVPPは純粋な血漿の目標体積(TVP)とある体積の抗凝固剤とを含み、
a)最初にドナーから収集されるべき純粋な血漿の目標体積(TVP)をドナーの体重の倍数として計算することによってTVPPを決定し、TVPP中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)となるように決定し、%ACTVPPは、抗凝固剤の比(ACR)とドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいており、
b)前記ドナーから全血を採取し、
c)抗凝固剤を前記全血と前記抗凝固剤比(ACR)で混合し、
d)抗凝固化された全血を血漿生成物と赤血球と他の細胞成分とに分離し、
e)前記血漿生成物を容器中に収集し、
f)前記容器内の血漿生成物の体積(VPP)を決定し、
g)VPP=TVPPであるとき、前記ドナーからの全血の採取を終了し、前記赤血球と他の細胞成分を前記ドナーに戻すことを含む、方法。
【請求項8】
前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct))となるように決定することをさらに含み、ここでACRは、抗凝固剤の量に対する全血の量の比(ACR=WB/AC)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))となるように決定することをさらに含み、ここでACRは、抗凝固剤の体積に対する全血の体積と抗凝固剤の体積の和の比(ACR=(WB+AC)/AC)である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記純粋な血漿の目標体積(TVPP)を複数のサイクルで収集し、各サイクルは全血が前記ドナーから採取される収集段階と、赤血球と他の細胞成分が前記ドナーに戻される返送段階とを含み、ドナーのヘマトクリット(Hct)を各サイクルの前記収集段階に先立って決定し、収集されるべき前記血漿生成物の目標体積(TVPP)を前記ドナーの前記ヘマトクリット(HCt)に基づいて各サイクルの前記収集段階に先立って再計算することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
血漿を収集するためのシステムであって、前記システムは、
ドナーからの全血を血漿生成物を含む第1の血液成分と赤血球を含む第2の成分とに分離するように構成された血液分離器であって、前記血漿生成物を血漿生成物収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有する前記血液分離器と、
前記ドナーからの全血を前記血液分離器に導入するように構成されたドナーラインであって、前記ドナーラインを通る流れが第1のポンプによって制御される、前記ドナーラインと、
抗凝固剤源に結合される抗凝固剤ラインであって、抗凝固剤を前記ドナーからの全血に混合するように構成されており、前記抗凝固剤ラインを通る流れは第2のポンプによって制御される、前記抗凝固剤ラインと、
オペレーターからの入力を受信するように構成されたタッチスクリーンと、
前記システムの動作を制御するようにプログラムされた制御部とを備え、
前記制御部は、
ドナーの体重、身長、および、ヘマトクリットを受信し、
ドナーの体重、または、ドナーの体重と身長に基づいて、純粋な血漿と抗凝固剤を含む収集されるべき血漿生成物の目標体積(TVPP)を決定し、所定の抗凝固剤比(ACR)とドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいた収集されるべき前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定し、
前記ドナーから全血を引き出すために採取と返送のサイクルを行うように前記システムを制御し、
抗凝固剤を所定の比率(ACR)で前記全血に添加し、
抗凝固処理された全血を前記血漿生成物と前記第2の成分とに分離し、前記第2の成分を前記ドナーに戻し、
血漿収集容器中の血漿生成物の測定された体積が前記血漿生成物の目標体積(TVPP)に達したとき、前記ドナーからの全血の採取を停止し、前記第2の血液成分の最終の返送を開始するように前記システムを制御するように構成されており、
前記制御部はさらに、
前記ドナーの総血液体積(TBV)を前記ドナーの体重と身長に基づいて計算し、
収集されるべき純粋な血漿の目標体積(TVP)をTBVのパーセンテージとして計算し、
収集されるべき前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を所定の抗凝固剤比(ACR)とドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて計算するようにプログラムされており、ここでTVPP=TVP/(1-%ACTVPP)である、システム。
【請求項12】
前記制御部は、さらに、i)収集されるべき純粋な血漿の目標体積(TVP)を前記ドナーの体重に基づいて計算し、ii)所定の抗凝固剤比(ACR)とドナーのヘマトクリット(Hct)とに基づいて収集されるべき前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(ACTVPP)を計算するようにプログラムされており、ここでTVPP=TVP/(1-%ACTVPP)である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御部はさらに、収集されるべき前記純粋な血漿の目標体積(TVP)を前記ドナーの体重の倍数として計算するようにプログラムされている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御部は、収集されるべき前記血漿生成物の目標体積が収集されるまで採取段階と返送段階を繰り返すようにプログラムされており、収集されるべき前記純粋な血漿の目標体積は各採取段階の開始前に再決定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御部は、さらに、前記ドナーの体重と身長に基づいて前記ドナーの総血液体積(TBV)を計算し、収集されるべき純粋な血漿の目標体積(TVP)をTBVのパーセンテージとして計算し、所定の抗凝固剤比(ACR)とドナーのヘマトクリット(Hct)とに基づいて収集されるべき前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(ACTVPP)を計算するようにプログラムされており、ここでTVPP=TVP/(1-%ACTVPP)である、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御部は、さらに、前記ドナーの総血液体積(TBV)を、前記ドナーのボディ・マス指数(BMI)を計算するための前記ドナーの体重と身長とに基づいて、TBV=70/√(BMI/22)となるように計算するようにプログラムされており、BMI=Wt/Htである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御部は、さらに、前記ドナーの前記総血液体積(TBV)を、前記ドナーの体重(Wt)、身長(Ht)、性別(男性または女性)に基づいて、男性の場合はTBV=(0.3669×Ht)+(0.03219×Wt)+0.6041、女性の場合はTBV=(0.3561×Ht)+(0.03308×Wt)+0.1833となるようを計算するようにプログラムされており、ここでHtの単位はメートルであり、Wtの単位はキロメートルである、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
ACRは、抗凝固剤の量に対する全血の量の比(ACR=WB/AC)であり、前記制御部は、さらに、前記血漿生物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct))となるように決定するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
ACRは、抗凝固剤の体積に対する全血の体積と抗凝固剤の体積の和(ACR=(WB+AC)/AC)であり、前記制御部は、さらに、前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))となるように決定するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御部は、前記血漿収集容器中の血漿生成物の体積が前記血漿生成物の目標体積に達したとき、前記第2の血液成分の最終の返送を開始するようにプログラムされている、請求項11に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御部は、ドナーパラメータをドナー管理システムから電子的に受信し、血漿生成物の目標体積を少なくとも部分的に前記ドナーパラメータに基づいて決定するようにプログラムされている、請求項11に記載のシステム。
【請求項22】
前記ドナー管理システムは、前記血漿生成物の目標体積を計算するようにプログラムされており、前記制御部は、前記ドナー管理システムから前記純粋な血漿の目標体積を受信することにより前記純粋な血漿の目標体積を決定するようにプログラムされている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記制御部は、前記ドナーからの前記全血の採取に先立って前記血漿生成物の目標体積を決定するようにプログラムされている、請求項11に記載のシステム。
【請求項24】
前記制御部は、さらに、前記血漿生成物とは別に前記血漿収集容器内に導入された抗凝固剤を考慮に入れるようにプログラムされている、請求項11に記載のシステム。
【請求項25】
ドナーから血漿を収集するためのシステムであって、前記システムは、
前記ドナーからの全血を血漿生成物を含む第1の血液成分と赤血球を含む第2の成分とに分離するための血液分離器と、
前記ドナーからの全血を前記血液分離器に導入するためのドナーラインと、前記ドナーラインを通る流れを制御するための第1のポンプと、
抗凝固剤を前記全血に混合するために抗凝固剤源に結合される抗凝固剤ラインと、前記抗凝固剤ラインを通る流れを制御するための第2のポンプと、
オペレーターからの入力を受信するためのタッチスクリーンと、
プログラム可能な制御部とを備え、
前記制御部は、
ドナーの体重、または、ドナーの体重と身長に基づいて、収集されるべき血漿生成物の目標体積(TVPP)を決定し、所定の抗凝固剤比(ACR)とドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて、収集されるべき前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定し、
前記ドナーから全血を引き出すために採取と返送のサイクルを行うように前記システムを制御し、
抗凝固剤を所定の比率(ACR)で前記全血に添加し、
抗凝固処理された全血を前記血漿生成物と前記第2の成分とに分離し、前記第2の成分を前記ドナーに戻し、
血漿収集容器中の血漿生成物の測定された体積が前記血漿生成物の目標体積(TVPP)に達したとき、前記ドナーからの全血の採取を停止し、前記第2の血液成分の最終の返送を開始するように前記システムを制御するように構成されており、
前記制御部はさらに、
前記ドナーの総血液体積(TBV)を前記ドナーの体重と身長に基づいて計算し、
収集されるべき純粋な血漿の目標体積(TVP)をTBVのパーセンテージとして計算し、
収集されるべき前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を前記所定の抗凝固剤比(ACR)と前記ドナーのヘマトクリット(Hct)に基づいて計算するようにプログラムされており、ここでTVPP=TVP/(1-%ACTVPP)である、システム。
【請求項26】
前記制御部は、さらに、前記ドナーの総血液体積(TBV)を、前記ドナーのボディ・マス指数(BMI)を計算するための前記ドナーの体重と身長とに基づいて、TBV=70/√(BMI/22)となるように計算するようにプログラムされており、BMI=Wt/Htである、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
ACRは、抗凝固剤の量に対する全血の量の比(ACR=WB/AC)であり、前記制御部は、さらに、前記血漿生物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct))となるように決定するように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
ACRは、抗凝固剤の体積に対する全血の体積と抗凝固剤の体積の和(ACR=(WB+AC)/AC)であり、前記制御部は、さらに、前記血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)を、%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))となるように決定するように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記制御部は、さらに、前記ドナーの前記総血液体積(TBV)を、前記ドナーの体重(Wt)、身長(Ht)、性別(男性または女性)に基づいて、男性の場合はTBV=(0.3669×Ht)+(0.03219×Wt)+0.6041、女性の場合はTBV=(0.3561×Ht)+(0.03308×Wt)+0.1833となるようを計算するようにプログラムされており、ここでHtの単位はメートルであり、Wtの単位はキロメートルである、請求項25に記載のシステム。
【国際調査報告】