(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】櫛アタッチメント及びキット
(51)【国際特許分類】
B26B 19/20 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B26B19/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545743
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2022051559
(87)【国際公開番号】W WO2022167263
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】エイケルカンプ マルクス フランシスクス
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴリース アルウィン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ペトレリ マルクス コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ヒン セオドール レネ マリア
(72)【発明者】
【氏名】キングマ ピーター
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056CA33
3C056CA46
(57)【要約】
一態様によれば、刃システム用の櫛アタッチメントが提供され、上記櫛アタッチメントは、ラック要素及びピニオンアセンブリを含む。ラック要素は、櫛及び筐体の一方により規定され、ラックを含む。筐体は、刃システムに取り付けられるよう構成され、ピニオンアセンブリは、櫛及び筐体の他方により規定されるピニオン要素を含む。ピニオンアセンブリは、ピニオン要素により保持される車軸を更に含み、ピニオンがピニオン要素に対して回転可能であるように、ピニオンが車軸上に配置される。ラック及びピニオンは、ピニオンの車軸上での回転が、櫛と筐体との間の相対的な直線運動をもたらすように協働するよう構成される。櫛アタッチメントは、上記ピニオンを回転ロックするロック機構であって、上記ピニオン及び上記ピニオン要素の一方における突出部と、上記ピニオン及び上記ピニオン要素の他方におけるノッチとを含む、ロック機構を有し、突出部及びノッチは、ピニオンをロックするよう係合するよう構成され、これにより櫛と筐体との間の相対的な直線運動が防止される。ピニオンは、突出部及びノッチが係合されるロック位置と、突出部及びノッチが係合解除されるアンロック位置との間で移動可能である。ピニオンはラックから離れ、ロック位置に向かって偏らされる。その結果、上記ピニオンを上記ラックに向けて及び上記アンロック位置に向けて押すことが、上記ノッチ及び突出部の係合解除をもたらし、上記ピニオンの回転が可能にされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃システム用櫛アタッチメントであって、前記櫛アタッチメントが、
ラック要素及びピニオンアセンブリであって、前記ラック要素が、櫛及び筐体のいずれか一方により規定され、ラックを含み、前記筐体は、前記刃システムに取り付けられ、前記ピニオンアセンブリが、前記櫛及び前記筐体の他方により規定されるピニオン要素を含み、前記ピニオンアセンブリは、前記ピニオン要素により保持される車軸を更に備え、ピニオンが前記ピニオン要素に対して回転可能であるように、前記ピニオンが前記車軸上に配置され、前記ラック及び前記ピニオンは、前記車軸上の前記ピニオンの回転が前記櫛と前記筐体との間の相対的な直線運動をもたらすよう協働する、ラック要素及びピニオンアセンブリと、
前記ピニオンを回転ロックするロック機構であって、前記ロック機構が、前記ピニオン及び前記ピニオン要素の一方における突出部と、前記ピニオン及び前記ピニオン要素の他方におけるノッチとを含み、前記突出部及び前記ノッチは、前記ピニオンをロックするよう係合し、前記櫛と前記筐体との間の相対的な直線運動が防止される、ロック機構とを有し、
前記ピニオンが、前記突出部及び前記ノッチが係合されるロック位置と、前記突出部及び前記ノッチが係合解除されるアンロック位置との間で移動可能であり、
前記ピニオンは、前記ラックから離れ、前記ロック位置に向かってバイアスされ、
前記ピニオンを前記ラック及び前記アンロック位置に向けて押すことが、前記ノッチ及び前記突出部の係合解除をもたらし、前記ピニオンの回転が可能にされる、櫛アタッチメント。
【請求項2】
前記ピニオン要素が櫛であり、前記ラック要素は筐体である、請求項1に記載の櫛アタッチメント。
【請求項3】
前記ピニオンアセンブリが、それぞれ前記ラックと協働する少なくとも2つのピニオンを含む、請求項1又は2に記載の櫛アタッチメント。
【請求項4】
前記筐体が、前記刃システムに取り外し可能に取り付けられる、請求項1乃至3のいずれかに記載の櫛アタッチメント。
【請求項5】
前記ピニオンが、前記ピニオンの周囲に分散される複数の突出部又はノッチを有し、前記複数の突出部又はノッチは、前記車軸周りの異なる回転位置で前記ピニオンをロックすることを可能にするために、前記ピニオン要素における前記突出部又はノッチの他方と係合する、請求項1乃至4のいずれかに記載の櫛アタッチメント。
【請求項6】
前記櫛が、前記櫛と前記筐体との間の運動方向と平行な方向に延びる複数の歯を有し、各歯は、三角形の形状を規定するため、ある点から範囲に沿って増加する深さを持ち、前記歯が、前記刃システムに載る、請求項1乃至5のいずれかに記載の櫛アタッチメント。
【請求項7】
前記櫛の歯が、前記歯の刃側で前記刃システムに載り、
各歯の前記刃側は、前記点から前記歯の範囲に沿って分散される複数の連続的に深くなる凹部を有し、各凹部が、前記刃システムのエッジを受け入れる、請求項6に記載の櫛アタッチメント。
【請求項8】
前記筐体が、前記櫛が配置される2つの対向する側面を有し、前記櫛は、前記筐体に対する櫛の直線運動をガイドするよう、前記櫛の側面から延び、前記筐体の側面のガイドチャネルに保持されるガイドシリンダを有する、請求項1乃至7のいずれかに記載の櫛アタッチメント。
【請求項9】
前記櫛が、2つのガイドシリンダを有し、各ガイドシリンダは、前記櫛の対向する側面から延び、前記筐体の対向する側面における個別のガイドチャネルに保持される、請求項8に記載の櫛アタッチメント。
【請求項10】
前記筐体の側面におけるガイドチャネルが、複数の丘及び谷を含む起伏のあるプロファイルを有し、前記ガイドシリンダは、前記櫛と前記筐体との間の直線運動中に個別の谷にスナップする、請求項8又は9に記載の櫛アタッチメント。
【請求項11】
前記櫛が、前記車軸の軸に垂直な前記櫛の長さに沿って列状に分散される複数の三角形のノッチを有し、前記筐体は、前記櫛と前記筐体との間の直線運動中に各三角形ノッチに係合する対応する三角形突出部を有する、請求項1乃至10のいずれかに記載の櫛アタッチメント。
【請求項12】
中央のコイルと前記コイルから延びる2つの端部とを持つトーションスプリングを有し、前記中央のコイルが、前記ピニオン要素に保持され、前記トーションスプリングの一端は、前記ピニオンをロック位置に偏らせるよう、前記車軸に作用し、前記トーションスプリングの他端が、前記櫛を筐体の方に偏らせるよう、前記ラック要素に作用する、請求項1乃至11のいずれかに記載の櫛アタッチメント。
【請求項13】
刃システムと請求項1乃至12のいずれかに記載の櫛アタッチメントとを有するキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃システム用の櫛アタッチメント及び櫛アタッチメントを含むキットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカミソリ又は髭剃りといった、毛を切断するための刃システムはしばしば、刃システムに取り付ける複数の異なる櫛と共に供給される。各櫛は、毛髪を所定の長さに切断することを可能にするため、ユーザの皮膚と刃システムとの間の橋渡しを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
皮膚と切断要素との距離を調整できる単一の櫛を提供するシステムは、かさばる、刃だけでなくハンドルにも取り付けなければならないといった欠点を持ち、その結果、刃の動きの自由度が失われる。
【0004】
US10,307,920は、固定上刃と可動下刃とを持つヘアクリッパーで使用するためのヘアクリッパー可変櫛アタッチメントを開示し、これは、刃マウント、主要部、櫛キャリア、及び一対の調整ペグを含む。櫛キャリアは、前部と、後方に延びるにつれて高さが増す長手方向に延びる複数のタインとを有する。刃マウントは、クリッパの固定上刃に固定される。櫛キャリアは、本体部分にスライド可能に取り付けられ、その結果、調整ペグが回転されるとき、クリッパの切断高さを高くするため櫛キャリアは刃に対して前方に移動することができ、及び切断高さを低くするため後方に移動することができる。ヘアクリッパーから櫛アタッチメントを取り外すことなく、櫛キャリア位置の調整、及び従って切断高さの調整が行われることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の具体的な態様によれば、刃システム用の櫛アタッチメントが提供され、櫛アタッチメントは、ラック要素及びピニオンアセンブリであって、上記ラック要素が、櫛及び筐体のいずれか一方により規定され、ラックを含み、上記筐体は、上記刃システムに取り付けられるよう構成され、上記ピニオンアセンブリが、上記櫛及び上記筐体の他方により規定されるピニオン要素を含み、上記ピニオンアセンブリは、上記ピニオン要素により保持される車軸を更に備え、ピニオンが上記ピニオン要素に対して回転可能であるように、上記ピニオンが上記車軸上に配置され、上記ラック及び上記ピニオンは、上記ピニオンの車軸上での回転が上記櫛と上記筐体との間の相対的な直線運動をもたらすよう協働する、ラック要素及びピニオンアセンブリと、上記ピニオンを回転ロックするよう構成されたロック機構であって、上記ロック機構が、上記ピニオン及び上記ピニオン要素の一方における突出部と、上記ピニオン及び上記ピニオン要素の他方におけるノッチとを含み、上記突出部及びノッチは、上記ピニオンをロックするために係合するよう構成され、これにより上記櫛と上記筐体との間の相対的な直線運動が防止され、上記ピニオンが、上記突出部及び上記ノッチが係合されるロック位置と、上記突出部及び上記ノッチが係合解除されるアンロック位置との間で移動可能であり、上記ピニオンは、上記ラックから離れ、上記ロック位置に向かってバイアスされ、その結果、上記ピニオンを上記ラック及び上記アンロック位置に向けて押すことが、上記ノッチ及び突出部の係合解除をもたらし、上記ピニオンの回転が可能にされる。
【0006】
ピニオン要素は櫛であり、ラック要素は筐体であってもよい。
【0007】
ピニオンアセンブリは、それぞれがラックと協働するよう構成された少なくとも2つのピニオンを有することができる。
【0008】
筐体は、刃システムに取り外し可能に取り付けられるよう構成されてもよい。
【0009】
ピニオンは、ピニオンの周囲に配された複数の突出部又はノッチを有することができる。複数の突出部又はノッチは、車軸周りの異なる回転位置でピニオンをロックすることを可能にするために、ピニオン要素上の突出部又はノッチの他方と係合するよう構成されることができる。
【0010】
櫛は、櫛と筐体との間の移動方向と平行な方向に延びる複数の歯を有することができ、各歯は、三角形の形状を規定するよう、ある点からその範囲に沿って深さを増し、歯は、刃システム上に載るよう構成される。歯は、刃システム上に載るよう構成される刃側と、使用時にユーザの皮膚上に載るよう構成される毛側とを有する。歯は、三角形の形状を規定するために、刃側と毛側との間の増加する距離を提供することができ、その結果、刃システムに取り付けられるとき、筐体に対する櫛の直線移動が、刃システムと歯の毛側との間の距離を変化させ、これにより、髪の切断長が変化される。
【0011】
櫛の歯は、歯の刃側で刃システムに載るよう構成されてもよい。各歯の刃側は、上記点から歯の範囲に沿って分散される複数の連続的に深くなる凹部を含んでよく、各凹部は、刃システムのエッジを受け入れるよう構成される。
【0012】
筐体は、櫛が配置される2つの対向する側面を有し得る。櫛は、櫛の側面から延び、筐体の側面のガイドチャネルに保持され、筐体に対する櫛の直線移動をガイドするガイドシリンダを含んでよい。
【0013】
櫛は、2つのガイドシリンダを有し、各ガイドシリンダは、櫛の対向する側面から延び、筐体の対向する側面における個別のガイドチャネルに保持される。
【0014】
筐体の側面におけるガイドチャネルは、複数の丘及び谷を含む起伏のあるプロファイルを有することができる。ガイドシリンダは、櫛と筐体との間の直線移動中に個別の谷にスナップするよう構成されることができる。
【0015】
櫛は、車軸の軸に垂直な櫛の長さに沿って列状に分散される複数の三角形のノッチを含むことができる。筐体は、櫛と筐体との間の直線移動中に各三角形ノッチに係合するよう構成された対応する三角形突出部を含んでよい。
【0016】
櫛アタッチメントは、中央のコイルとこのコイルから延びる2つの端部とを持つトーションスプリングを有することができる。中央のコイルは、ピニオン要素に保持されていてもよく、ピニオンをロック位置にバイアスするようトーションスプリングの一端が車軸に作用することができ、櫛を筐体の方にバイアスするようトーションスプリングの他端がラック要素に作用することができる。
【0017】
第2の側面によれば、刃システム及び第1の側面による櫛アタッチメントを含むキットが提供される。
【0018】
これら及び他の側面が、以下に記載される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】櫛アタッチメントを備える刃システムの斜視表示を概略的に示す図である。
【
図2】櫛アタッチメントの分解表示を概略的に示す図である。
【
図3】櫛アタッチメントの第1の断面側面表示を概略的に示す図である。
【
図4】櫛アタッチメントの第2の断面側面表示を概略的に示す図である。
【
図5】櫛アタッチメントの第3の断面側面表示を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、例示的な実施形態が、例示に過ぎない以下の図面を参照しながら説明される。
【0021】
図1は、例示的な刃システム10及び櫛アタッチメント20を示す。刃システム10は、ハンドル12とヘッド14とを有する。本実施例において、刃システム10は、第1の固定刃と第2の往復刃とを有する髭トリマーなどの電気かみそりである。他の例では、刃システムは、手動のカミソリであってもよい。
【0022】
櫛アタッチメント20は、本実施例では、刃システム10のヘッド14に着脱自在に取り付けられる。櫛アタッチメント20を刃システム10のヘッド14のみに取り付けることは、ハンドル12に対するヘッド14の動きの任意の自由度が保持されることを確実にする。その結果、櫛アタッチメント20もヘッド14と同じ自由度でハンドル12に対して動くことができる。櫛アタッチメント20は、スナップフィット構成で刃システム10に取り付けられ、及び従って刃システム10から容易に取り外され、刃システム10上で交換されることができる。いくつかの例では、櫛アタッチメント20は、取り外し可能でない場合がある。他の例では、櫛アタッチメントは、ハンドルだけ、又はヘッド及びハンドルの両方など、刃システムの任意の部分に接続されることができる。
【0023】
図2は、櫛アタッチメント20の分解図を示す。櫛アタッチメント20は、ラック要素22及びピニオンアセンブリ24を有する。
ピニオンアセンブリ24は、ピニオン要素26、車軸28、一対のピニオン30、及び一対のトーションスプリング32を有する。
【0024】
この例では、ラック要素22は筐体22であり、ピニオンアセンブリ24は櫛アセンブリ24であり、ここでピニオン要素は櫛26である。筐体22は、ベース23と、ベース23から延びる2つの対向する側面25とを有する。櫛26は、櫛アタッチメント20が組み立てられるとき、対向する側面25の間に受け止められる。
【0025】
筐体22は、一対のラック34を有し、各ラック34は、筐体22のベース23から列状に突出する複数の歯により規定され、その列は平行である。
【0026】
ピニオンアセンブリ24の一対のピニオン30は、車軸28上に回転可能に配置されるよう構成され、櫛26は、車軸28を保持するよう構成される。一対のピニオン30はそれぞれ、シリンダにより規定され、これは、シリンダの曲面の一部にわたり分散される複数の歯を含む。いくつかの例では、ピニオンは車軸と一体であってもよく、車軸は櫛(即ちピニオン要素)内に回転可能に保持されていてもよい。
【0027】
組み立てられるとき、以下により詳細に説明されるように、ピニオン30の歯及びラック34の歯は、ピニオン30における回転運動をラック34の直線運動に変換するように協働するよう構成される、これにより、筐体22と櫛26との間の相対的な直線運動がもたらされる。
【0028】
いくつかの例では、単一のピニオン及び協働するラックのみが存在してもよく、又は他の例では、2つ以上のピニオン及び協働するラックが存在してもよい点を理解されたい。更に他の例では、単一のラックのみ、又はピニオンの数より少ないラックが存在し、ここで、ラックの歯は、複数のピニオンと協働するのに十分な幅を持つ。1つ又は複数のラックと協働するよう構成された2つ以上のピニオンを持つことは、ピニオン30が回転されるとき、櫛26と筐体22との間のより正確で安定した相対直線運動をもたらす。ピニオン30が車軸28に沿って離れるほど、筐体22に対する櫛26の直線運動はより正確で安定する。
【0029】
櫛アタッチメント20の断面側面図を示す
図3を参照すると、櫛アセンブリ24が筐体22の側面25の間に配置されるとき、ラック34及びピニオン30は、ラック34の歯が個別のピニオン30の歯と協働するよう構成され、その結果、車軸28上のピニオン30の回転が、ラック34の歯の列に平行な方向に沿って、櫛26と筐体22との間の相対的な直線運動をもたらす。
【0030】
筐体22は、刃システム10に取り付けられるよう構成される。この例では、筐体22は、ラック34と対向する面の位置でヘッド14にのみ取り付けられるよう構成される。従って、櫛アタッチメント20が刃システム10に取り付けられると、車軸28上のピニオン30の回転が、櫛26及びヘッド14(又は櫛アタッチメント20が取り付けられる刃システム10の任意の部分)の間の相対運動をもたらす。
【0031】
ヘッド14は刃50を有し、筐体22は、ラック34が刃50の平面と平行に走るようにヘッド14に取り付けられるよう構成される。従って、櫛26は、刃50の平面と平行な方向において刃50に対して移動可能である。櫛アタッチメント20が刃システム10に取り付けられるとき、刃50の平面と平行な方向において移動可能な櫛26を持つことが、刃システム10のヘッド14とハンドル12との間のより大きな程度の移動を可能にする。いくつかの例では、櫛の移動方向が刃の平面と平行でない場合、これは、櫛アタッチメントがハンドルに衝突することにより、ハンドルに対するヘッドの移動を制限する場合がある。
【0032】
櫛26は、背面29から点31まで延びる複数の歯27(
図2に最もよく示される)を有する。各歯は、点31から背面29まで、その範囲に沿って増加する深さを持ち、三角形の形状が規定される。三角形の歯27は、刃面33と毛面35とを有する。刃面33は、刃システム10に最も近づくよう構成され、刃システム10のヘッド14の上に少なくとも部分的に載る。毛面35は、刃面33に対して角度が付けられており、剃られる又は刈られるべき毛髪を有する皮膚上を走行するよう構成される。
【0033】
筐体の側面25は、櫛26の歯と同様の形状を有し(
図2に最もよく示される)、点31から中心37まで深さを増して延び、三角形の形状を規定し、中心37を越えて背面39まで均一な深さで更に延びている。筐体は、櫛の機能を妨げない、又は櫛の機能を高める、任意の適切な形状を持つことができる点を理解されたい。
【0034】
筐体22及びヘッド14に対する櫛26の移動は、毛面35及びヘッド14(髪を切るための刃50が位置する)の間の(髪の表面35に垂直な)距離を変化させる。その結果、櫛26のヘッド14に対する移動により、髪の切断長が調節されることができる。
【0035】
各歯27の刃面33は、歯27の範囲に沿って分散される複数の段差状の凹部42(即ち、点31から背面29まで連続的な凹部42)を有する。各凹部42は、ヘッド14により支持されるヘッド14のエッジを受けるよう構成される。
【0036】
櫛26の三角形の歯27のプロファイルにより、櫛26の毛面35がユーザの毛髪のある皮膚の上で走らされると、毛髪の端は通常、櫛26の点31を越えて櫛26の刃面33にわたり引っ張られる。刃システム10のヘッド14が受けられる刃面33において凹部42を持つことは、毛髪を切断する切断刃が、ヘッド14に隣接する刃面33よりわずかに下に凹まされることを確実にする。これは、切断される毛髪の長さの精度を改善する。なぜなら、この点で毛髪が比較的強く引っ張られるからである。この凹部42がなければ、ヘッド14の刃は、毛髪が櫛26により引っ張られない点で刃面33を越えて位置し、その結果、切断された毛髪が均一に同じ長さにならないことがある。
【0037】
図2に戻って、櫛アタッチメント20は、ピニオン30のそれぞれと櫛(即ちピニオン要素)26との間にロック機構を更に備えている。ロック機構は、ピニオン30を回転ロックする(即ち、ピニオン30が車軸28に対して回転できないように車軸28においてピニオン30をロックする)よう構成される。
【0038】
各ピニオン30のロック機構は、少なくとも1つのノッチ38であって、この例では、ピニオン30の曲面の周囲に分散される複数のノッチ38と、ピニオン30を櫛26に対してロックするために各ノッチ38とそれぞれ係合するよう構成された櫛(即ちピニオン要素)26における突出部40とを有する。従って、ピニオン30は、車軸28の周りの複数の異なる回転位置でロックされることができる。
【0039】
ピニオン30をロックすることは、ピニオン30の車軸28上での回転を防止し、櫛26と筐体22との間の相対運動が防止される。
【0040】
他の例では、ピニオンのロック機構は、ピニオン上の少なくとも1つの突出部と、突出部と係合するよう構成された櫛におけるノッチとを有することができる点を理解されたい。
【0041】
ピニオン30は、ロック位置とアンロック位置との間で移動可能である。ロック位置では、ピニオン30を回転ロックするため、櫛26の各突出部が個別のピニオン30におけるノッチの1つと係合する。アンロック位置では、突出部40及びノッチ38の係合が解除される。
【0042】
この例では、ピニオン30はロック位置に向かってラック34から離れるようにバイアスされており、その結果、ピニオン30がロック状態に保持され、外力が加わった場合にのみロック解除される。従って、ピニオン30は、ピニオン30のロックを解除するため、ラック34に向かうバイアス力に抗して押されて、これにより、車軸28の周りでのピニオン30の回転が可能にされる。ピニオン30は、櫛アタッチメント20において露出され、アンロック位置へと押して、ピニオン30を回転させるよう、ユーザがピニオン30と係合することが可能にされる。
【0043】
この例では、ピニオン30は、トーションスプリング32によりロック位置にバイアスされる。トーションスプリング32は、中央コイル52と、中央コイル52から延びる2つのバネ端54とを有する。
【0044】
図4は、櫛アタッチメント20の第2の側面断面図を示し、そこでは、トーションスプリング32の中央コイル52が櫛26(即ちピニオン要素26)におけるシリンダ56に保持され、シリンダ56は、車軸28の軸と平行な軸と共に延びる。一方のバネ端54は、ピニオン30をロック位置(
図4の上方)に偏らせるように車軸28に作用し、他方のバネ端54は、櫛26を筐体22に向けて偏らせるよう筐体22に作用する(
図4では筐体22を上方に偏らせるものとして示され、これは、櫛26及び筐体22を互いに向けて押す)。
【0045】
筐体22に対する櫛の正確な位置決めを確実にし、櫛の毛面35とヘッド14との距離が正確であることを確実にするため、櫛26及び筐体22は互いに押し合う。櫛26及び筐体22を互いに押すこのバイアス力がなければ、それらは、分離する場合がある。その結果、櫛26の毛面35とヘッド14との間の距離が予測可能でなく、かつ正確でない場合がある。
【0046】
他の例では、ロック機構のためのバイアス力は、例えば櫛の両側に1つずつあるようなバネにより提供されることができ、櫛アセンブリは、櫛及び筐体を一緒に押すための更なるバネを含んでいてもよい。これらのばねは、例えば板ばねの形態であってもよい。トーションスプリングは、1つのスプリングだけで両方の機能を提供するが、それぞれの機能に対して異なるスプリングを持つことが、バイアスを克服するための所望の力に各機能を調整することを容易にすることができる。
【0047】
この例では、筐体22は、筐体22の各側面25(
図4では1つの側面25のみを示す)において、点31から背面39までの側面25の長さに沿って延びるガイドチャネル58を有する。櫛26は、櫛26の対向する側面からそれぞれ延び、筐体22に対する櫛26の直線運動をガイドするよう、筐体22の個別のガイドチャネル58に保持される一対のガイドシリンダ60を有する。他の例では、筐体内の単一のガイドチャネル及び櫛上の単一のガイドシリンダのみが存在し、これらは筐体に対する櫛の直線運動をガイドするよう協働するよう構成されることができる。
【0048】
この例では、ガイドチャネル58は、複数の丘及び谷を有する起伏のあるプロファイルを有する。ガイドシリンダ60は、櫛26を移動させるためにピニオン30を回転させるとき、触覚フィードバックをユーザに与えるために、櫛26と筐体22との間の直線運動中に個別の谷にスナップするよう構成される。
【0049】
図5は、櫛アタッチメント20の第3側断面図を示す。
櫛26は、一対のリッジ64を有し、各リッジは、櫛26の対向する側面から突出し(
図2にも示される)、車軸28の軸に垂直な方向において櫛26の長さに沿って延びる。1つのリッジ64のみが
図2及び
図5に示される。各リッジ64は、リッジ64に沿って(車軸28の軸に垂直な方向において)列状に分散される複数の三角形のノッチ66を有する。筐体22は、対向する側面において対応する三角形の突出部68を有し、これらの各突出部は、櫛26と筐体22との間の直線運動中に個別のリッジ64における各三角形のノッチ66と係合するよう構成される。三角形突出部68及び三角形ノッチ66の三角形の点のテーパープロファイルにより、三角形の突出部68が、対応する各ノッチ66に正確にフィットし、三角形の突出部68が三角形のノッチ66にきれいにフィットすることを櫛26と筐体22との間の位置が許さない場合には、櫛26が筐体22に対して移動することをもたらす。これは従って、各ノッチ66と突出部68との係合のために、筐体22に対する櫛26の正確な位置決めを確実にする。
【0050】
車軸28はある程度の動きの自由度を持ち、係合されるときピニオン30の歯とラック34との間のある程度の動きの自由度があるので、三角形のノッチ66及び三角形の突出部68を持つことは、筐体22に対して櫛26を移動させるとき、より正確な毛髪切断長の設定を確実にすることができる。
【0051】
他の例では、櫛は複数の三角形の突出部を有し、筐体はノッチを有することができ、又は筐体は複数の三角形の突出部若しくはノッチを有し、櫛は対応する三角形のノッチ若しくは突出部を有することができる。
【0052】
上記実施例では、ラックを含むラック要素が筐体であり、ピニオンを持つ車軸を受けるピニオン要素が櫛であると説明したが、櫛がラックを含み、筐体がピニオンを持つ車軸を受けてもよいことを理解されたい。斯かる構成でも、櫛と筐体との間の相対的な直線運動は可能である。主な違いは、この例ではピニオンが筐体に対して櫛と一緒に移動せず、代わりに櫛が筐体に対して移動されるとき筐体に対して静止したままであることである。
【0053】
ラック要素が筐体で、ピニオン要素が櫛であることが好ましい。なぜなら、これは、櫛と筐体との間の直線運動をもたらすために、ユーザの指をより多く動かす必要があるからである。例えば、ユーザは刃要素のハンドルを保持し、指で櫛のピニオンを回転させることができる。回転されるときピニオンは筐体に対して櫛と一緒に移動するため、ピニオンが筐体に対して静止している場合よりも、櫛と筐体との間の同じ量の直線運動に対して、指は更に移動しなければならない。そのため、ユーザは櫛と筐体との間の相対的な動きにおけるより高い正確さを持つことになる。
【0054】
開示された実施形態への変形は、図、開示、及び添付の請求項の検討から、本書に記載された原理及び技術を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。1つのプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載された複数の項目の機能を果たすことができる。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納又は配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されることもできる。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】