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特表2024-500005オスミウムでタグ付けされた相補的プローブを使用するアトモルDNA/RNAオリゴ検出のためのすぐに使用可能なナノ細孔プラットフォーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】オスミウムでタグ付けされた相補的プローブを使用するアトモルDNA/RNAオリゴ検出のためのすぐに使用可能なナノ細孔プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20231222BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20231222BHJP
   C12Q 1/6816 20180101ALI20231222BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20231222BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/6816 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521109
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 US2020054271
(87)【国際公開番号】W WO2022075965
(87)【国際公開日】2022-04-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523123145
【氏名又は名称】カナヴァリオティ アナスタシア
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】カナヴァリオティ アナスタシア
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR90
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本明細書において、生体試料中の核酸標的分子の存在を検出するための方法が提供される。ある特定の態様では、方法は、(i)核酸標的分子を含む生体試料と、(ii)置換または非置換の四酸化オスミウム(OsO4)-2,2’-ビピリジン基(OsBp基)に共有結合された少なくとも1つのピリミジン残基を含むオスミル化一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとを含む、試験試料を接触させることを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料中の核酸標的分子の存在を検出するための方法であって、
(a)(i)核酸標的分子を含む生体試料と、(ii)置換または非置換の四酸化オスミウム(OsO)-2,2’-ビピリジン基(OsBp基)に共有結合された少なくとも1つのピリミジン残基を含むオスミル化一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとを含む、試験試料を接触させる工程であって、前記プローブの配列が、ハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成を可能にするために、前記核酸標的分子の配列に少なくとも部分的に相補的であり、
任意選択で、少なくとも1つのオスミル化ピリミジン残基が、チミジン残基(T)である、
前記接触させる工程、
(b)前記試験試料においてハイブリダイズしていないオスミル化プローブがナノ細孔を通り抜ける事象の数を検出するために、ナノ細孔デバイスを使用する工程、ならびに
(c)(i)前記試験試料において検出された事象の数を、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブが前記核酸標的の不在下でナノ細孔を通り抜ける、対応するプローブ試料事象の数と比較する工程であって、プローブ試料事象の数と比べた、前記試験試料において検出された事象の数の低減が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、及び前記試験試料における前記核酸標的分子の存在を示す、前記比較する工程、
(c)(ii)前記試験試料において検出された事象の数を、いずれのオスミル化プローブも含まない対応するベースライン試料のノイズと比較する工程であって、前記ベースライン試料のノイズと比べた、前記試験試料において検出された事象の数の増加の欠如が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、及び前記試験試料における前記核酸分子の存在を示す、前記比較する工程、及び/または
(c)(iii)前記試験試料において検出された事象の数を、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブが既知の量の前記核酸標的分子の存在下でナノ細孔を通り抜ける、対応する対照試料事象の数と比較する工程であって、対照試料事象の数と比べた、前記試験試料において検出された事象の数の低減が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成の増加、及び前記対照試料を超える、前記試験試料におけるより高い量の前記核酸標的分子の存在を示すか、または同じ量のプローブを使用した対照試料事象の数と比べた、前記試験試料において検出された事象の数の増加が、より多い非ハイブリダイズプローブ、したがって、前記対照試料と比較した前記試験試料におけるより低い量の前記核酸標的分子を示す、前記比較する工程
を含み、
任意選択で、
前記ナノ細孔デバイスは、前記プローブの検出のために前記プローブがタンパク質、ナノ粒子、ホモポリマー、もしくはポリペプチドにコンジュゲートされることを必要としないか、または前記プローブがタンパク質、ナノ粒子、ホモポリマー、もしくはポリペプチドにコンジュゲートされず、
及び/または
検出が、前記ハイブリダイズされたプローブ/標的複合体がナノ細孔を遮断することによってもたらされる長い遮断をカウントすることによって、またはナノ細孔内のハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の融解によって達成されることがない、
前記方法。
【請求項2】
(c)(i)前記試験試料において検出された事象の数を、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブが核酸標的の不在下でナノ細孔を通り抜ける、対応するプローブ試料事象の数と比較する工程であって、プローブ試料事象の数と比べた、前記試験試料において検出された事象の数の低減が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、及び前記試験試料における前記核酸標的分子の存在を示す、前記比較する工程、及び/または
(c)(ii)前記試験試料において検出された事象の数を、いずれのオスミル化プローブも含まない対応するベースライン試料のノイズと比較する工程であって、前記ベースライン試料のノイズと比べた、前記試験試料において検出された事象の数の増加の欠如が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、及び前記試験試料における前記核酸分子の存在を示す、前記比較する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(c)(i)前記試験試料において検出された事象の数を、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブが核酸標的の不在下でナノ細孔を通り抜ける、対応するプローブ試料事象の数と比較する工程
を含み、プローブ試料事象の数と比べた、前記試験試料において検出された事象の数の低減が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、及び前記試験試料における前記核酸標的分子の存在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対応するプローブ試料事象の数が、前記試験試料における事象の数の検出時に、1つ以上のプローブ試料において同時に検出された事象の数であり、及び/または所与の量のプローブについての所定値であり、
任意選択で、所与の量のプローブについてのプローブ試料事象の数の前記所定値が、経験的に決定されているか、または理論的に決定されており、
さらに任意選択で、プローブ試料事象の数が検出された後、前記プローブ試料における前記オスミル化プローブを生体試料と組み合わせて試験試料を作製し、次いで、前記試験試料における事象の数を、プローブ試料事象の数に対する比較のために検出する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(c)(ii)前記試験試料において検出された事象の数を、いずれのオスミル化プローブも含まない対応するベースライン試料のノイズと比較する工程
を含み、前記ベースライン試料のノイズと比べた、前記試験試料において検出された事象の数の増加の欠如が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、及び前記試験試料における前記核酸分子の存在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
対応するベースライン試料のノイズが、前記試験試料における事象の数の検出時に、1つ以上のベースライン試料において同時に決定され、及び/またはベースライン試料のある特定の組成物についての所定のノイズ値であり、
任意選択で、ベースライン試料の前記所定のノイズ値は、経験的に決定されているか、または理論的に決定されており、
さらに任意選択で、ベースライン試料のノイズが決定された後、前記オスミル化プローブが、前記試験試料を作製するために前記ベースライン試料に添加され、次いで、前記試験試料についての事象の数が、前記ベースライン試料のノイズに対する比較のために検出される、
請求項1、2、または5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
(c)(iii)前記試験試料において検出された事象の数を、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブが既知の量の前記核酸標的分子の存在下でナノ細孔を通り抜ける、対応する対照試料事象の数と比較する工程
を含み、対照試料事象の数と比べた、前記試験試料において検出された事象の数の低減が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成の増加、及び対照試料を超える、前記試験試料におけるより高い量の前記核酸標的分子の存在を示すか、または同じ量のプローブを使用した対照試料事象の数と比べた、前記試験試料において検出された事象の数の増加が、より多い非ハイブリダイズプローブ、したがって、前記対照試料と比較した前記試験試料におけるより低い量の前記核酸標的分子を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
対応する対照試料事象の数が、前記試験試料における事象の数の検出時に、1つ以上の対照試料において同時に検出された事象の数であり、及び/または所与の量の核酸標的分子と混合された所与の量のプローブについての所定値であり、
任意選択で、所与の量の核酸標的分子と混合された所与の量のプローブについての対照試料事象の数の前記所定値が、経験的に決定されているか、または理論的に決定されている、
請求項1または7に記載の方法。
【請求項9】
前記試験試料における前記プローブの量が、前記試験試料における標的核酸分子の量とほぼ等しいか、またはそれ未満である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記OsBp基における2,2’-ビピリジンが置換されており、
任意選択で、前記OsBp基における2,2’-ビピリジンが、1つ以上のメチル基またはエチル基で置換されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
(i)前記プローブがDNAであり、任意選択で、前記核酸骨格内の糖のうちの少なくとも1つが2’-OMe-デオキシリボースであるか、または
(ii)前記プローブがRNAであり、任意選択で、前記核酸骨格内の糖のうちの少なくとも1つが2’-OMe-リボースである、
請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記オスミル化プローブが、約12~50ヌクレオチドの長さを有し、
任意選択で、前記標的核酸分子の配列に少なくとも部分的に相補性である前記プローブの部分が、3ヌクレオチド以上の連続した自己相補性配列を欠く、及び/または不定形である/自己ハイブリダイズしない、
請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記核酸標的が、循環腫瘍DNA(ctDNA)、無細胞DNA(cfDNA)、miRNA、断片化コードRNA、または非コードRNAであり、任意選択で、前記非コードRNAが、約300塩基未満の長さであり、
任意選択で、
前記核酸標的分子が、一本鎖核酸分子である、及び/または
前記一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが工程(a)において一本鎖標的分子にハイブリダイズすることができるように、前記方法が、一本鎖核酸鎖を形成するために前記試料における二本鎖核酸を変性させることをさらに含む、
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
(i)前記オスミル化プローブが、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのオスミル化ピリミジン残基を含み、任意選択で、前記オスミル化プローブが、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのオスミル化チミジン残基(T)を含み、
(ii)前記オスミル化プローブが、少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化ピリミジン残基を含み、任意選択で、前記オスミル化プローブが、少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含み、
及び/または
(iii)前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端または3’末端に1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのアデノシン残基(dAまたはA)を含み、任意選択で、前記5’末端または3’末端のアデノシン残基のうちの1つ以上が前記標的核酸分子にハイブリダイズせず、任意選択で、前記5’末端及び3’末端のアデノシン残基(dAまたはA)のいずれも前記標的核酸分子にハイブリダイズしない、
請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
(i)前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端または3’末端に位置する少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化ピリミジン残基を含み、任意選択で、前記5’末端または3’末端のピリミジン残基のうちの1つ以上が標的核酸分子にハイブリダイズせず、任意選択で、前記5’末端及び3’末端のピリミジン残基のいずれも前記標的核酸分子にハイブリダイズせず、
任意選択で、前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端または3’末端に位置する少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含み、任意選択で、前記5’末端または3’末端のチミジン残基(T)のうちの1つ以上が前記標的核酸分子にハイブリダイズせず、任意選択で、前記5’末端及び3’末端のチミジン残基(T)のいずれも前記標的核酸分子にハイブリダイズせず、
及び/または
(ii)前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端または3’末端のいずれかに位置しない2つ以上の隣接するオスミル化ピリミジン残基を含まず、
任意選択で、前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端または3’末端のいずれかに位置しない2つ以上の隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含まない、
請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記標的に相補的である前記オリゴヌクレオチドプローブ分子の配列内の前記ピリミジン残基の少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%がオスミル化されていない、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記オリゴヌクレオチドプローブ分子中のチミジン残基(T)の少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%がオスミル化されており、
及び/または
チミジン(T)以外の、前記プローブ中に存在するピリミジンの少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%がオスミル化されていない、
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記プローブがDNAであるが、前記5’末端または3’末端に位置する隣接するチミジン残基(T)以外の、前記プローブ配列中の少なくとも1つのチミジン残基(T)が、ウリジン(U)、2’-OMeU(mU)、またはデオキシウリジン(dU)残基に置き換えられており、
任意選択で、前記5’末端または3’末端に位置する隣接するチミジン残基(T)以外の、前記プローブ配列中のチミジン残基(T)の少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が、ウリジン(U)、2’-OMeU(mU)、またはデオキシウリジン(dU)残基に置き換えられている、
請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
2,2’-ビピリジン-OsOコンジュゲートプローブを形成するために、置換または非置換の2,2’-ビピリジン及びOsO(オスミル化試薬)を含む水溶液をオリゴヌクレオチドプローブと反応させること、及び任意選択で、前記コンジュゲートプローブを過剰のオスミル化試薬から精製することによって、前記オスミル化プローブが調製され、
任意選択で、前記溶液中の2,2’-ビピリジン/OsOの比が、約0.80/1.0、0.85/1.0、0.90/1.0、0.95/1.0、0.97/1.0、0.98/1.0、0.99/1.0、1.0/1.0、1.0/0.99、1.0/0.98、1.0/0.97、1.0/0.95、1.0/0.90、1.0/0.85、1.0/0.80、それらの間の任意の範囲、ほぼ等モル、または等モルである、
請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記オスミル化プローブが、(dT(OsBp))オリゴの、前記プローブの5‘末端または3‘末端へのライゲーションによって調製され、ここで、nは、2、3、または4である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ナノ細孔デバイスが、オスミル化及び非オスミル化一本鎖核酸の電圧駆動トランスロケーションは可能にするが、二本鎖核酸のトランスロケーションは防止し、任意選択で、
前記ナノ細孔デバイスが、約1.3nm~約7.1nmの最小細孔径を有するナノ細孔を利用し、及び/または
前記ナノ細孔デバイスが、Phi29、α溶血素、アエロリジン、MspA、CsGg、PA63、ClyA、FhuA、もしくはSPP1タンパク質ナノ細孔、または前記天然に存在するタンパク質ナノ細孔のいずれかの生物工学的バージョンを利用する、
請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも-180mV、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、-240mV、もしくは-250mV、または少なくとも約-180mV、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、-240mV、もしくは-250mVの電圧が、前記標的の存在を検出するために適用され、
-180mV、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、もしくは-240mVのいずれか、または約-180mV、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、もしくは-240mVのいずれかと、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、もしくは-240mV、もしくは-250mVのいずれか、または約-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、もしくは-240mV、もしくは-250mVのいずれかとの間の電圧が、前記標的の存在を検出するために適用され、
-200mV、-190mV、-180mV、-170mV、-160mV、もしくは-150mV未満、または約-200mV、-190mV、-180mV、-170mV、-160mV、もしくは-150mV未満の電圧が適用された後に、前記電圧が、前記標的の存在を検出するために適用され、及び/または
-200mV、-190mV、-180mV、-170mV、もしくは-160mVのいずれか、または約-200mV、-190mV、-180mV、-170mV、もしくは-160mVのいずれかと、190mV、-180mV、-170mV、もしくは-160mV、-150mVのいずれか、または約190mV、-180mV、-170mV、もしくは-160mV、-150mVのいずれかとの間の電圧が前記試料に適用された後に、前記電圧が、前記試料における前記標的の存在を検出するために適用される、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記プローブが前記ナノ細孔を介して自由にトランスロケーションされたかどうかを決定するため、時間記録によって報告される前記プローブの通過によってもたらされる事象をカウントするためにアルゴリズムを使用することを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ナノ細孔デバイスが、異なるオスミル化プローブ間の区別、及び/または前記試験試料中の複数の異なる核酸標的の多重検出を可能にする、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記試験試料中の1pM、100fM、10fM、1fM、100aM、10aM、1aM、もしくは0.1aM未満、または約1pM、100fM、10fM、1fM、100aM、10aM、1aM、もしくは0.1aM未満の量の前記核酸標的を検出することができ、
前記試験試料中の少なくとも0.1aM、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、100fM、もしくは1pM、または少なくとも約0.1aM、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、100fM、もしくは1pMの量の前記核酸標的を検出することができ、及び/または
前記試験試料中の0.1aM、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、もしくは100fMのうちのいずれか、または約0.1aM、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、もしくは100fMのうちのいずれかと、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、100fM、もしくは1pMのうちのいずれか、または約1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、100fM、もしくは1pMのうちのいずれかとの間の量の前記核酸標的を検出することができる、
請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記試験試料及び/または生体試料における前記核酸標的分子の量について定量的である、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
置換または非置換の四酸化オスミウム(OsO)-2,2’-ビピリジン基(OsBp基)に共有結合された少なくとも1つのピリミジン残基を含み、
任意選択で、少なくとも1つのオスミル化ピリミジン残基が、チミジン残基(T)である、
オスミル化一本鎖オリゴヌクレオチドプローブ分子。
【請求項28】
前記OsBp基が置換されており、
任意選択で、前記OsBp基における2,2’-ビピリジンが、1つ以上のメチル基またはエチル基で置換されている、
請求項27に記載のプローブ。
【請求項29】
(i)前記プローブがDNAであり、任意選択で、前記核酸骨格内の糖のうちの少なくとも1つが2’-OMe-デオキシリボースであるか、または
(ii)前記プローブがRNAであり、任意選択で、前記核酸骨格内の糖のうちの少なくとも1つが2’-OMe-リボースである、
請求項27または28に記載のプローブ。
【請求項30】
前記オスミル化プローブが、約12~50ヌクレオチドの長さを有し、
任意選択で、前記プローブが3ヌクレオチド以上の連続した自己相補性配列を欠き、及び/または不定形である/自己ハイブリダイズしない、
請求項27~29のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項31】
(i)前記オスミル化プローブが、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのオスミル化ピリミジン残基を含み、任意選択で、前記オスミル化プローブが、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのオスミル化チミジン残基(T)を含み、
(ii)前記オスミル化プローブが、少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化ピリミジン残基を含み、任意選択で、前記オスミル化プローブが、少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含み、
及び/または
(iii)前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端または3’末端に1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのアデノシン残基(dAまたはA)を含み、任意選択で、前記5’末端または3’末端のアデノシン残基(dAまたはA)のうちの1つ以上が前記標的核酸分子にハイブリダイズせず、任意選択で、前記5’末端及び3’末端のアデノシン残基(dAまたはA)のいずれも前記標的核酸分子にハイブリダイズしない、
請求項27~30のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項32】
(i)前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’または3’末端に位置する少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化ピリミジン残基を含み、任意選択で、前記5’または3’末端のピリミジン残基のうちの1つ以上が標的核酸分子にハイブリダイズせず、
任意選択で、前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端または3’末端に位置する少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含み、任意選択で、前記5’末端または3’末端のチミジン残基(T)のうちの1つ以上が前記標的核酸分子にハイブリダイズせず、任意選択で、前記5’末端及び3’末端のチミジン残基(T)のいずれも前記標的核酸分子にハイブリダイズせず、
及び/または
(ii)前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端にも3’末端にも位置しない2つ以上の隣接するオスミル化ピリミジン残基を含まず、
任意選択で、前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端にも3’末端にも位置しない2つ以上の隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含まない、
請求項27~31のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項33】
前記5’末端での隣接するピリミジン残基でも3’末端での隣接するピリミジン残基でもない、前記オリゴヌクレオチドプローブ分子中の前記ピリミジン残基の少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%がオスミル化されていない、請求項27~32のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項34】
前記オリゴヌクレオチドプローブ分子中のチミジン残基(T)の少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%がオスミル化されており、
及び/または
チミジン(T)以外の、前記プローブ中に存在するピリミジンの少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%がオスミル化されていない、
請求項27~32のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項35】
前記プローブがDNAであるが、前記5’末端または3’末端に位置する隣接するチミジン残基(T)以外の、前記プローブ配列中の少なくとも1つのチミジン残基(T)が、ウリジン(U)、2’-OMe-ウリジン(mU)、またはデオキシウリジン(dU)残基に置き換えられており、
任意選択で、前記5’末端または3’末端に位置する隣接するチミジン残基(T)以外の、前記プローブ配列中のチミジン(T)残基の少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が、ウリジン(U)、2’-OMe-ウリジン(mU)、またはデオキシウリジン(dU)残基に置き換えられている、
請求項27~34のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項36】
(i)前記オスミル化プローブが、前記プローブの5’末端に位置する少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含み、
(ii)前記プローブがDNAであるが、前記5’末端に位置する隣接するチミジン残基(T)以外の、前記プローブ配列中のチミジン残基(T)が、ウリジン(U)、2’-OMe-ウリジン(mU)、またはデオキシウリジン(dU)残基に置き換えられており、任意選択で、
チミジン(T)以外の、前記プローブに存在するピリミジンの少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%がオスミル化されておらず、及び/または
前記核酸骨格内の糖のうちの少なくとも1つが、2’-OMe-デオキシリボースである、
請求項27~35のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項37】
2,2’-ビピリジン-OsOコンジュゲートプローブを形成するために置換または非置換の2,2’-ビピリジン及びOsO(オスミル化試薬)を含む水溶液をオリゴヌクレオチドプローブと反応させること、及び任意選択で、前記コンジュゲートプローブを過剰のオスミル化試薬から精製することによって、前記オスミル化プローブが調製され、
任意選択で、前記溶液中の2,2’-ビピリジン/OsOの比が、約0.80/1.0、0.85/1.0、0.90/1.0、0.95/1.0、0.97/1.0、0.98/1.0、0.99/1.0、1.0/1.0、1.0/0.99、1.0/0.98、1.0/0.97、1.0/0.95、1.0/0.90、1.0/0.85、1.0/0.80、ほぼ等モル、または等モルである、
請求項27~36のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項38】
前記オスミル化プローブが、(dT(OsBp))オリゴの、前記プローブの5’末端または3’末端へのライゲーションによって調製され、ここで、nは、2、3、または4である、請求項27~36のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項39】
請求項27~38のいずれか1項に記載のプローブと、前記プローブにハイブリダイズすることができる対照核酸標的分子とを含む、キット。
【請求項40】
前記対照核酸標的が、ctDNA、cfDNA、miRNA、断片化コードRNA、または非コードRNAの核酸配列を含み、任意選択で、前記非コードRNAが、約300塩基未満の長さである、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
ナノ細孔デバイスを用いた核酸標的分子の検出のための、請求項27~38のいずれか1項に記載のプローブの使用であって、前記核酸標的分子が、任意選択で、ctDNA、cfDNA、miRNA、または非コードRNAであり、任意選択で、前記非コードRNAが、約300塩基未満の長さである、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子的に提出された配列表への参照
本出願とともに提出されたASCIIテキストファイル(名称:68812_199738_ST25.txt、サイズ:6755バイト、作成日:2020年10月2日)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府が支援する研究開発に関する声明
本発明は、NIH/NHGRI、SBIRプログラムにより授与された助成金#R43HG010841の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
液体生検として知られる採血または他の体液試料(Bronkhorst,A.J.,Ungerer,V.,&Holdenrieder,S.(2019)、Vidal,J.,Taus,A.,&Montagut,C.(2020)、Pos,O.,Biro,O.,Szemes,T.,&Nagy,B.(2018)、Oellerich,M.,Schutz,E.,Beck,J.,&Walson,P.D.(2019)、Stewart,C.M.,&Tsui,D.(2018)、Giannopoulou,L.,Kasimir-Bauer,S.,&Lianidou,E.S.(2018)、Satyal,U.,Srivastava,A.,&Abbosh,P.H.(2019)、Finotti,A.et al.(2018)、Valpione,S.,&Campana,L.(2019)、及びKwapisz D.(2017))は、個体の健康状態、疾患の進行、個体が手術後に疾患がないかどうか、さらにはある特定の療法の戦略が有望と思われるかどうかに関する適切な情報を含む(Vidal,J.,Taus,A.,&Montagut,C.(2020))。液体生検は、外科的/腫瘍生検よりも手順の侵襲性がはるかに低い。体液には無細胞DNA(cfDNA)が含まれており、その分画は腫瘍(循環腫瘍DNA;ctDNA)に由来し得る。2016年、US Food and Drug Administrationは、治療選択を可能にするためのコンパニオン診断試験として、非小細胞肺癌の患者におけるEGFR活性化変異についての最初の液体生検試験を承認した(Kwapisz D.(2017))。無細胞DNAは、健康な個体と比較して、罹患個体では断片化して短いと考えられている(Pos,O.,Biro,O.,Szemes,T.,&Nagy,B.(2018))。DNAに加えて、体液は、20~300ヌクレオチド(nt)の範囲の転移RNA由来断片及び非コードRNAオリゴを含む(Kim HK,Yeom JH,Kay MA.(2020)、Poller W,et.al.(2018)、Mitchell,P.et al.(2008)、Aggarwal,V.,Priyanka,K.,&Tuli,H.S.(2020)、Meseure,D.,Drak Alsibai,K.,Nicolas,A.,Bieche,I.&Morillon,(2015))。その中には、マイクロRNAまたはmiRNAとして知られている、17~25ntの長さの一本鎖(ss)RNAの群がある。それらは、20年前に発見され、タンパク質の転写後発現を制御する小さい調節因子であることが証明された(Ambros,V.(2001)、Bartel,D.P.(2004))。miRNAは、体液において高度に保存され、驚くほど安定している((Mitchell,P.et al.(2008)、Mall,C.,Rocke,D.M.,Durbin-Johnson,B.,&Weiss,R.H.(2013))。現在、2,300を超えるヒトmiRNAが知られており(Alles J.et al.(2019))、100,000を超える科学出版物の主題である。miRNAの上方調節または下方調節は、がん、心疾患、腎疾患、肥満、糖尿病などを含む様々なヒト疾患と関連している(Bartel,D.P.(2004))。miRNAは、個別化医療におけるバイオマーカー(Farazi,T.A.,Hoell,J.I.,Morozov,P.,&Tuschl,T.(2013)、Pogribny,I.P.(2017))、及び潜在的な治療薬(Rupaimoole,R.&Slack,F.J.(2017))として提案されている。体液は、微量のcfDNA、ctDNA、断片化コードRNA(Kim HK,Yeom JH,Kay MA.(2020))、非コードRNA(Poller W,et.al.(2018))、及びmiRNAを含み、これらは、検査のための簡便で検証された高感度のアッセイを必要とする(Finotti,(2018)、Valpione,S.,&Campana,L.(2019)、Raabe,C.,Tang T.,Brosius J.,&Rozhdestvensky,T.(2014))。「低分子RNA」の特定及び定量化のための現在の技術には、マイクロアレイ、NGS配列決定(Ion TorrentまたはIllumina(低分子RNA-seq))、及びこれまでに大きな成功を収めて用いられてきたqRT-PCRベースの方法が含まれる(Ferracin,M.,&Negrini,M.(2018)、Valihrach,L.,Androvic,P.,&Kubista,M.(2020)、Gines,G.,Menezes,R.,Xiao,W.,Rondelez,Y.,Taly,V.(2020))。しかしながら、これらの技術は、実質的な基礎構造及び熟練した人材を必要とし、ポイントオブケア検査には適しておらず、家庭での検査には問題外である。
【0004】
過去30年間、固体またはタンパク質ナノ細孔のいずれかを使用したナノ細孔ベースの技術が急増している(Kasianowicz,J.J.,Brandin,E.,Branton,D.&Deamer、D.W.(1996)、Butler,T.Z.,Gundlach,J.H.&Troll,M.(2007)、Maglia,G.,Heron,A.J.,Stoddart,D.,Japrung,D.&Bayley,H.(2010)、Haque,F.,Li,J.,Wu,H.C.,Liang,X.J.&Guo,P.S(2013)、Fuller C.W.et al.(2016)、Laszlo,A.H.et al.(2014)、Oxford Nanopore Technologiesウェブサイト:nanoporetech.com、Resources/Publications下)。2014年、Oxford Nanopore Technologies(ONT)は、コンピュータ及びインターネットが利用可能である限り、DNA及びRNAを事実上どこでも配列決定する最初のポータブルナノ細孔デバイスを導入し、商業化した(Oxford Nanopore Technologies website:nanoporetech.com、Resources/Publications下)。ONT技術は、2つの電解質充填区画を分離する平面脂質二重層膜に挿入された、サブ2nmの直径を有するCsGgタンパク質ナノ細孔(Cao,B.et al.(2014))に基づく(図1A)。2つの区画にわたって電圧を適用すると、時間の関数(i-t)として記録される、細孔を介した電解質イオン(I)の一定の流れにつながる。細孔を通る単一の分子の通過は、Iをより低いレベルの残留イオン電流(I)に低減する。これは、(I)及び滞留時間(τ)を有する「事象」として記録される(図1B)。現在、ONTプラットフォームは、独占的にDNA/RNA配列決定に使用されている(Oxford Nanopore Technologiesウェブサイト:nanoporetech.com、Resources/Publications下)が、同等のナノ細孔プラットフォームが、単一分子分析に首尾よく用いられている(Chen,X.,Wang,L.,&Lou,J.(2020)、Chaudhary,V.,Jangra,S.&Yadav,N.R.(2018)、Wanunu M,Dadosh T,Ray V,Jin J,McReynolds L,Drndic M.(2010)、Gu,L.Q.&Wang Y.(2013)、Arata,H.,Hosokawa,K.,&Maeda,M.(2014)、Henley,R.Y.,Vazquez-Pagan,A.G.,Johnson,M.,Kanavarioti,A.&Wanunu,M.(2015)、Xi,D.et al.(2016)、Zahid,O.K.,Wang,F.,Ruzicka,J.A.,Taylor,E.W.&Hall,A.R.(2016)、Ding,Y.&Kanavarioti,A.(2016)、Tian,K.,Shi,R.,Gu,A.,Pennella,M.,&Gu,L.Q.(2017)、Zhang,Y.,Rana,A.,Stratton,Y.,Czyzyk-Krzeska,M.F.,&Esfandiari,L.(2017)、Huang,G.,Willems,K.,Soskine,M.,Wloka,C.&Maglia,G.(2017)、Galenkamp,N.S.,Soskine,M.,Hermans,J.,Wloka,C.&Maglia,G.(2018)、Sultan M.,Kanavarioti,A.(2019)、Cao,C.et al.(2019)、Hao,W.,Haoran T.,Cheng Y.,&Yongxin,L.(2019))。
【0005】
ONTは、2種類のフローセルを担持するポータブルナノ細孔デバイスを提供しており、512のチャンネルを有するMinION及び126チャンネルを有するFlongleはすべて同時に監視される(Oxford Nanopore Technologiesウェブサイト:nanoporetech.com、Resources/Publicationsの下)。ONTは、200ヌクレオチド(nt)の最小長を有するDNA及びRNAの直接配列決定のためにこれらのデバイスを宣伝している(Oxford Nanopore Technologiesウェブサイト:nanoporetech.com、Resources/Publicationsの下)。しかしながら、今日まで、ONTプロトコルに従って200ntより短いRNAを配列決定する試みは、100nt反復を有する長いDNAを産生するための環状化及びローリングサークル増幅がなく(Wilson,B.D.,Eisenstein,M.&Soh,H.T.(2019))、不成功と思われる(Workman,R.E.et al.(2019))。生体流体で利用可能なDNA/RNAの大部分は、200bpの範囲で推定される長さで断片化され(Pos,O.,Biro,O.,Szemes,T.,&Nagy,B.(2018))、miRNAは非常に短く(Ambros,V.(2001))、したがって、直接ONT配列決定プロトコルに適していない。いくつかの他の実験的ナノ細孔プラットフォームが、miRNAプロファイリングに首尾よく使用されているが、それらは、商業的利用に適していることが示されていない。したがって、アクセス可能で、すぐに使用可能な、比較的安価で、特別なスキル及び基礎構造を必要としない技術の必要性が残存する。
【発明の概要】
【0006】
概要
本明細書において、生体試料中の核酸標的分子の存在を検出するための方法が提供される。ある特定の態様では、方法は、(a)(i)核酸標的分子を含む生体試料と、(ii)置換または非置換の四酸化オスミウム(OsO4)-2,2’-ビピリジン基(OsBp基)に共有結合された少なくとも1つのピリミジン残基を含むオスミル化一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとを含む、試験試料を接触させる工程であって、プローブの配列が、ハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成を可能にするために、核酸標的分子の配列に少なくとも部分的に相補的である、接触させる工程、(b)試験試料においてハイブリダイズしていないオスミル化プローブがナノ細孔を通り抜ける事象の数を検出するためにナノ細孔デバイスを使用する工程、ならびに(c)(i)試験試料において検出された事象の数を、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブが核酸標的の不在下でナノ細孔を通り抜ける、対応するプローブ試料事象の数と比較する工程であって、プローブ試料事象の数と比べた、試験試料において検出された事象の数の低減が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、及び試験試料における核酸標的分子の存在を示す、比較する工程、(c)(ii)試験試料において検出された事象の数を、いずれのオスミル化プローブも含まない対応するベースライン試料のノイズと比較する工程であって、ベースライン試料のノイズと比べた、試験試料において検出された事象の数の増加の欠如が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、及び試験試料における核酸分子の存在を示す、比較する工程、及び/または(c)(iii)試験試料において検出された事象の数を、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブが既知の量の核酸標的分子の存在下でナノ細孔を通り抜ける、対応する対照試料事象の数と比較する工程であって、対照試料事象の数と比べた、試験試料において検出された事象の数の低減が、工程(a)におけるハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成の増加、及び対照試料を超える、試験試料におけるより高い量の核酸標的分子の存在を示すか、または同じ量のプローブを使用した対照試料事象の数と比べた、試験試料において検出された事象の数の増加が、より多い非ハイブリダイズプローブ、したがって、対照試料と比較した試験試料におけるより低い量の核酸標的分子を示す、比較する工程、を含む。ある特定の態様では、少なくとも1つのオスミル化ピリミジンは、チミン残基(T)である。
【0007】
さらに、ある特定の態様は、本開示のオスミル化プローブと、プローブにハイブリダイズすることができる対照核酸標的分子と、を含むキット、及びナノ細孔デバイスを用いた核酸標的分子の検出のためのそのようなプローブの使用を提供し、核酸標的分子は、任意選択で、ctDNA、cfDNA、miRNA、または非コードRNAであり、任意選択で、非コードRNAは、約300塩基未満の長さである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】2つの電解質充填区画を分離する平面二重層脂質膜内のナノ細孔の概略図。フローセルに一定の電圧を適用することにより、ナノ細孔を通るイオンの通過が誘導され、測定可能なイオン電流が生成される。
図1B】細孔を介した電解質イオン(I)の一定の流れが分子の通過によって中断される電圧駆動イオンチャネル実験から得られたi-tトレース。これらの分子は、残留イオン電流I及び滞留時間τを有する「事象」として現れる。
図1C】OsBp標識反応:OsO及び2,2-ビピリジン(bipy)は、低い会合定数を有するが、それらの混合物は、ピリミジンのC5-C6二重結合に付加され、安定したコンジュゲートを形成する。OsBpの付加は、天然核酸が吸収しない312nmの範囲で吸収する発色団を生成する(実施例を参照)。
図1D】提案された診断試験の背後にある概念の図解。ssDNA及びssRNAは、ナノ細孔を通り抜け、それらはデバイスの比較的遅い取得速度と比較してより速く通り抜けるため、少ないカウントしか示さない。ds核酸は大きすぎ、このナノ細孔を通り抜けない。ss天然核酸よりもかさばっているにもかかわらず、オスミル化ss核酸は細孔を通過するが、デバイスの取得速度と比較してより遅く、結果的に多数の事象を生成する。相補的核酸(標的)を含む試料にオスミル化核酸(プローブ)を添加すると、プローブ及び標的がハイブリッドを形成する。標的の濃度がプローブの濃度と等しいかまたはそれよりも高い場合、プローブはハイブリダイズされる。次いで、プローブは細孔を通り抜けることを防止され、ほとんどまたは全く事象が観察されない。試料中に標的が存在しないことは、プローブが細孔を自由に通り抜けている間にプローブによって生成される多数の事象によって証明される。
図2A】Flongle ONTデバイスを用いて行われた電圧駆動イオンチャネル(ナノ細孔)実験;>90%ONT緩衝液中の試料。同じFlongleフローセルを使用して-200mVで1時間:(i)5μMのプローブT8(RNA)、及び(ii)各々5μMのT8(RNA)及びd(CT)10の混合物。これらの2つの分子は、互いに部分的にのみ相補的であることは注目に値する。事象のカウント(複数可)は、OsBp_detectソフトウェアを使用して取得し、MINKNOWで取得した生のfast-5ファイルデータを分析し報告した(Kanavarioti,A.,&Kang,A.公共リポジトリ:ワールドワイドウェブのgithub.com/kangaroo96/osbp_detectのRNA(OsBp)事象検出Pythonパッケージを参照、段階を追ったインストール手順については、ワールドワイドウェブのgithub.com/kangaroo96/osbp_detect/blob/master/instructions.mdを参照。実施例を参照)。カウントは、0.05のビンサイズでI/Iの関数としてプロットされた。(A)下に記載されるデータの取得及び分析。
図2B】Flongle ONTデバイスを用いて行われた電圧駆動イオンチャネル(ナノ細孔)実験;>90%ONT緩衝液中の試料。同じFlongleフローセルを使用して-190mVで2時間:(i)5μMのプローブdmiR122、(ii)各々5μMのdmiR122及びmiRNA122の混合物、及び(iii)-180mVで1時間、異なるFlongleフローセルを使用して、各々10μMのmiRNA122及びmiRNA140の混合物。dmiR122が4つのOsBp部分を担持し、その配列がmiRNA122に完全に相補的であることは注目に値する。
図3A】オスミル化プローブと標的との間のハイブリダイゼーションを試験するための代替アプローチ。ssM13mp18DNAを鋳型として、及びDNAポリメラーゼを使用したオスミル化プライマーの酵素的伸長;時点は5分、10分、及び20分で得られた。プライマー及びM13rev(-48)は陰性対照として使用しなかった。BJ1を除いて、他のすべてのオスミル化プライマーが、陽性対照M13fwd(6097)と同等の酵素的伸長を示す。BJ1による伸長の不在は、3’末端にT(OsBp)が存在することに起因する。
図3B】オスミル化プローブと標的との間のハイブリダイゼーションを試験するための代替アプローチ。異なる試料の分析からの重複HPLCプロファイル、試料は約90%ONT緩衝液中約5μMである。すべての試料に同じHPLC方法Bを使用した(実施例を参照)。インタクトなssオリゴ及びdsオリゴは、鋭いピークとして現れるが、オスミル化オリゴ及び1本のオスミル化鎖を有するハイブリッドは、広いピークとして現れる。ハイブリッドは、ss核酸と比較して後に溶出する。試料組成:インタクトなBJ2、プライマーM13for(-41)のインタクトな補体。それらの等モル混合物のHPLCプロファイルは、ハイブリダイゼーションと一致する。
図3C】オスミル化プローブと標的との間のハイブリダイゼーションを試験するための代替アプローチ。異なる試料の分析からの重複HPLCプロファイル、試料は約90%ONT緩衝液中約5μMである。すべての試料に同じHPLC方法Bを使用した(実施例を参照)。インタクトなssオリゴ及びdsオリゴは、鋭いピークとして現れるが、オスミル化オリゴ及び1本のオスミル化鎖を有するハイブリッドは、広いピークとして現れる。ハイブリッドは、ss核酸と比較して後に溶出する。試料組成:miRNA21、8dT(OsBp)部分を担持するプローブ21EXT、及び2つの等モル混合物。NOハイブリダイゼーションと一致する混合物のHPLCプロファイルは、プローブのらせん構造を歪め、ds形成を防止する可能性が高い22ntの配列内の6つの多数の単一OsBpタグに起因する。
図3D】オスミル化プローブと標的との間のハイブリダイゼーションを試験するための代替アプローチ。異なる試料の分析からの重複HPLCプロファイル、試料は約90%ONT緩衝液中約5μMである。すべての試料に同じHPLC方法Bを使用した(実施例を参照)。インタクトなssオリゴ及びdsオリゴは、鋭いピークとして現れるが、オスミル化オリゴ及び1本のオスミル化鎖を有するハイブリッドは、広いピークとして現れる。ハイブリッドは、ss核酸と比較して後に溶出する。試料組成は、これらの試料において、BJ2が6つのdT(OsBp)部分(312nmで広い形状及び吸光度を有する第1のピーク)を担持することを除いて、(B)下のものと実質的に同じである。混合物のHPLCプロファイルは、OsBp部分の大部分が隣接しているという事実に起因して、ハイブリダイゼーションと一致しているため、配列の残りの部分は依然として標的とハイブリダイズすることができる。
図4A】HPLC及びナノ細孔によって試験された同じ試料;>90%ONT緩衝液中の試料。ONT緩衝液中約0.2nmoleの試料の重複HPLCプロファイル、(i)プローブBJ1、(ii)標的は、ここではるかに高い負荷で示される、(iii)約0.2nmoleのプローブ及びプローブに対して約30%過剰の標的の混合物(ハイブリッド)。混合物のHPLCプロファイルは、ハイブリダイゼーションと一致する。
図4B】HPLC及びナノ細孔によって試験された同じ試料;>90%ONT緩衝液中の試料。(B)及び(D)それぞれ、(A)及び(C)と同じ試料を使用して、MinIONフローセルを用いて1時間にわたるナノ細孔実験を行った。(B)の試料をそのまま使用し、(D)の試料は、ONT緩衝液において1000倍または100倍希釈した後に使用した。(B)プローブBJ1を-180mV(破線トレース)で試験し、少ないカウントしか示さなかった。試料を添加せず、電圧を-220mVに上げ、-220mV(固体トレース)で追加のナノ細孔実験を実施し、カウントは100,000を超えた。BJ1で得られたカウントとは対照的に、ハイブリッド試料は、著しく少ないカウントしか示さなかった(固体トレース(すべてx軸に近い)は、-190mVで1時間試験した)。プローブ試料と比較してハイブリッド試料でのより低いカウントの観察は、HPLC結果と一致して、(B)及び(D)のいずれかの標的の特定を示唆する。0.38pmole負荷でのBJ2 TA(OMe)プローブを用いたナノ細孔実験は、サブpmoleレベルでのプローブ検出可能性を示唆する。
図4C】HPLC及びナノ細孔によって試験された同じ試料;>90%ONT緩衝液中の試料。約0.2nmoleの負荷のプローブBJ2 TA(OMe)、及び(ii)相補的標的、相補的プライマーM13for(-41)とのその約等モル混合物の重複HPLCプロファイル。標的は、プローブに対して5%過剰で、小さなピークとして特定された。混合物(ハイブリッド)のHPLCプロファイルは、ds形成と一致する。これら2つの試料のHPLCプロファイルは、272及び312nmの両方で示される(実施例を参照)。
図4D】HPLC及びナノ細孔によって試験された同じ試料;>90%ONT緩衝液中の試料。(B)及び(D)それぞれ、(A)及び(C)と同じ試料を使用して、MinIONフローセルを用いて1時間にわたるナノ細孔実験を行った。(B)の試料をそのまま使用し、(D)の試料は、ONT緩衝液において1000倍または100倍希釈した後に使用した。(D)同じフローセルを使用したナノ細孔実験:(i)対照/緩衝液試験(-180mVで0.75時間試験)、(ii)0.38pmole負荷でプローブBJ2 TA(OMe)(2時間-210mVで試験)、(iii)3.8pmole負荷でプローブと標的との等モル混合物(1時間-210mVで試験)。プローブ試料と比較してハイブリッド試料でのより低いカウントの観察は、HPLC結果と一致して、(B)及び(D)のいずれかの標的の特定を示唆する。0.38pmole負荷でのBJ2 TA(OMe)プローブを用いたナノ細孔実験は、サブpmoleレベルでのプローブ検出可能性を示唆する。(d)のハイブリッド試料を用いた実験は、ハイブリッドが持続時間及び適用電圧の実験条件下で持続することを示す。図2A下に記載されるデータ取得及び分析。
図5A】15%ヒト血清-85%ONT緩衝液における改良されたプローブ設計及びプローブ検出を試験するナノ細孔実験。同じフローセルで行われた3つの連続したナノ細孔実験。(i)緩衝液試験、-180mVで0.75時間、(ii)プローブ2XdmiR122は-180mVで1.5時間試験した(破線)、及び(iii)試料を添加せず、電圧を-220mVに上げ、1.5時間実験を行った。この一連の実験は、少なくともこのプローブが1.5時間にわたる実験中でも-180mVでONTナノ細孔を通過していないという確かな証拠を提供した。加えて、このプローブは、-220mVの適用電圧下で細孔を通り抜け、検出可能な事象のカウントが高いことを図示する。
図5B】15%ヒト血清-85%ONT緩衝液における改良されたプローブ設計及びプローブ検出を試験するナノ細孔実験。約半分、すなわち、250の作業ナノ細孔のみを担持する、同じであるが以前に使用されたフローセルを用いて4つの連続したナノ細孔実験を行った。(i)-180mVでの緩衝液試験、(ii)5μM(0.38nmoleに対応する)の通常の負荷と比較して、3倍少ない負荷のプローブ122EXTを-180mVで試験した(破線)、(iii)試料を添加せず、電圧を-220mVに上げる、及び(iv)(ii)と同じ負荷のプローブ122EXTを有するが、15%ヒト血清-85%ONT緩衝液で調製した新しい試料。
図5C】15%ヒト血清-85%ONT緩衝液における改良されたプローブ設計及びプローブ検出を試験するナノ細孔実験。(i)インタクトなmiRNA122、(ii)0.5μM(典型的な5μMの試料濃度と比較して10倍低い濃度)のプローブ2XdmiR122、及び(iii)プローブ対標的=1:2(またプローブ中0.5μMの濃度)の混合物(ハイブリッド)のHPLCプロファイル。HPLC方法Bを使用して、>90%のONT緩衝液中の3つすべての試料を260nmで監視した(実施例を参照)。図5Dに示されるナノ細孔実験のために、後者の2つの試料をそのまま使用した。
図5D】15%ヒト血清-85%ONT緩衝液における改良されたプローブ設計及びプローブ検出を試験するナノ細孔実験。同じフローセル上での連続したナノ細孔実験。(i)緩衝液試験、-220mVで1時間、(ii)プローブ2XdmiR122、-220mVで3時間、及び(iii)プローブに対して過剰のmiRNA122とのハイブリッド試料を-220mVで1時間試験した。この実験は、3時間にわたる実験を介してではあるが、2XdmiR122の検出における感度を確認し、標的とのハイブリダイゼーションが、非常に低減したカウント、すなわち、サイレンシングをもたらすことを確認する。図2A下に記載されるナノ細孔実験についてのデータ取得及び分析。
図6A】複合混合物中のmiRNA21の標的化。HPLC方法Bで分析した2つの試料のHPLCプロファイル(実施例を参照):(i)0.15nmole負荷でのプローブdmiR21(OMe)、及び(ii)0.30nmoleのプローブ負荷でのこのプローブとmiRNA21との1:2の混合物。プローブのHPLCプロファイルは2つのピークを示し、より大きいピークは小さいピークの後に溶出する。このプロファイルは、平均して1分子当たり2.85OsBp部分の決定された値と一致する、つまり、この調製物は、2つのOsBpタグを有する分子、及び3つのOsBpタグを有する分子を含む。プローブ対標的が1:2の混合物のHPLCプロファイルは、幅広くむしろ複雑なピークの後に溶出する単一のむしろ鋭いピークを示す。鋭いピークが過剰なmiRNA21標的に対応することが確認された。我々は、幅広い複雑なピークを、すべて標的に相補的であるが、それらのそれぞれが異なる核酸塩基でOsBp部分を担持する、1つの標的及び多くのプローブの結果である複数のハイブリッドであると考える。クロマトグラフィーは、そのような短いオスミル化オリゴでトポ異性体を分解するため、これらのハイブリッドを分解すると仮定するのは妥当である(Kanavarioti,A.(2016))(実施例ではHPLC方法B)。プローブと混合物試料との間の異なるHPLCプロファイルの観察は、ハイブリダイゼーションと一致する。
図6B】複合混合物中のmiRNA21の標的化。4つのナノ細孔MinIONは、(A)でHPLCにより分析した正確な試料を使用して、それらのうちの2つを実験する。(i)プローブdmiR21(OMe)は、-180mVで2時間試験し、100,000を超える事象を示した、(ii)このプローブとmiRNA21との1:2の混合物は、-180mVで1時間試験し、無視できるカウントを示した(ハイブリッド)。2つの追加の実験は、プローブdmiR21(OMe)及びmiRNA21とのそのハイブリッドのトランスロケーション特性における過剰な非標的RNAの影響を試験した。過剰な非標的RNAは、プローブと比較して10倍高い負荷であり、等モル量のmiRNA140及び100ntの長さのRNAから構成された。過剰な非標的RNAの存在下でのナノ細孔実験、(iii)miRNA21とのハイブリッド(1時間、-180mV)、及び(iv)プローブdmiR21(OMe)(2時間、-200mV)。ONTプロトコルに従って、このフローセルがすでに動作していた時間を相殺するために、ここではより高い電圧を使用した。存在する場合、ハイブリッドに対する過剰な非標的RNAの影響は、カウントが少なすぎるため、検出できない。プローブに対する過剰な非標的RNAの影響は、プロファイルシフトであり、2倍低減したカウントであるように思われるが、この低減は、同様に約2倍低減した作業ナノ細孔の数に起因し得る。プローブdmiR21(OMe)は、いずれの隣接するオスミル化dTを含まないため、-180mVの適用電圧で効率的にトランスロケーションすることに留意した。図2A下に記載されるデータ取得及び分析。
図7A】一桁のアトモル負荷でmiRNA140またはmiRNA21を標的とするナノ細孔実験。同じフローセルで行われた連続したナノ細孔実験:(i)緩衝液試験、-210mVで1時間、(ii)47fmoleの負荷のプローブ140EXT(mU)、-210mVで1.5h。
図7B】一桁のアトモル負荷でmiRNA140またはmiRNA21を標的とするナノ細孔実験。連続するナノ細孔実験は、200未満の作業ナノ細孔を有する同じ使用されたフローセルで行われた:(i)緩衝液試験、-210mVで1時間、(ii)3.5amole負荷のプローブ140EXT(mU)、-210mVで1.5時間、及び(iii)それぞれ3.5amole負荷の140EXT(mU)及びmiRNA140の等モル混合物(ハイブリッド)、-210mVで1.5時間。
図7C】一桁のアトモル負荷でmiRNA140またはmiRNA21を標的とするナノ細孔実験。HPLC方法B(実施例)を使用した、プローブ21EXT(mU)及び標的miRNA21の等モル濃度を有する試料のHPLCプロファイル。単一ピークの出現は、ハイブリダイゼーションと一致する。2つの異なる波長で監視された試料は、オスミル化プローブの存在に起因する312nmでの吸光度を示す。
図7D】一桁のアトモル負荷でmiRNA140またはmiRNA21を標的とするナノ細孔実験。同じフローセルを用いた連続したナノ細孔実験;試料を、最初にHPLCにより試験し、次いで、プローブ及びハイブリッドについて、それぞれ10または3×10倍のONT緩衝液で希釈した(実施例を参照)。(i)緩衝液試験、(ii)0.9amoleのプローブ21EXT(mU)、及び(iii)それぞれ2.8amole負荷のプローブ21EXT(mU)とmiRNA21との1:1の混合物(ハイブリッド)。ハイブリッドは、プローブと比較して劇的に少ないカウントを示す。図2A下に記載されるナノ細孔実験についてのデータ取得及び分析。
図8-1】fast-5ファイルでOsBp_detectソフトウェアを実行することによって得られた、tsvファイルの試料。左、試料プローブT8(RNA)、右、試料は、d(CT)10:T8(RNA)=1:1の混合物であり、両方とも約90%ONT緩衝液中にある(実験条件については図2Aを参照)。
図8-2】fast-5ファイルでOsBp_detectソフトウェアを実行することによって得られた、tsvファイルの試料。左、試料プローブT8(RNA)、右、試料は、d(CT)10:T8(RNA)=1:1の混合物であり、両方とも約90%ONT緩衝液中にある(実験条件については図2Aを参照)。
図9】15~60秒の範囲の2つのナノ細孔実験からのI-t記録。上、プローブT8(RNA)、2つの異なるチャネルからのi-t記録。下、d(CT)10:T8(RNA)=1:1の混合物、上と同じ2つのチャネルからのi-t記録。X軸を横切る垂直線(=0pA)は、事象ではなく、電圧反転によって機器が生成した線である。上の記録は複数の深い事象を示し、下の記録は少ない浅い事象を示す。浅い事象は、細孔を通り抜けずに細孔の開口部でぶつかる分子に起因し、「All I/I<0.6」を選択するとカウントされない(図8及び実施例を参照)。
図10A】約90%のONT緩衝液中の試料溶媒中の個々の構成要素及びそれらの1:1混合物のHPLCプロファイル。272nm及び312nmで示される右上のプロファイルにおけるオスミル化プローブ及びハイブリッドを除いて、すべてのHPLCプロファイルは260nmで示される。ハイブリダイゼーションは、主ピークが個々の構成要素の後に溶出する混合物HPLCプロファイルによって明らかである。2つのインタクトなオリゴ、BJ1、及びその相補的なインタクトなオリゴ(補体プライマーM13for(-20))について示されるハイブリダイゼーション。インタクトなオリゴの別の対との同等の結果については、図3Bを参照されたい。
図10B】約90%のONT緩衝液中の試料溶媒中の個々の構成要素及びそれらの1:1混合物のHPLCプロファイル。272nm及び312nmで示される右上のプロファイルにおけるオスミル化プローブ及びハイブリッドを除いて、すべてのHPLCプロファイルは260nmで示される。ハイブリダイゼーションは、主ピークが個々の構成要素の後に溶出する混合物HPLCプロファイルによって明らかである。30ntのうち5つのOsBpを有するプローブBJ1、及びその相補的なインタクトなオリゴ(相補プライマーM13for(-20))について示されるハイブリダイゼーション。
図10C】約90%のONT緩衝液中の試料溶媒中の個々の構成要素及びそれらの1:1混合物のHPLCプロファイル。272nm及び312nmで示される右上のプロファイルにおけるオスミル化プローブ及びハイブリッドを除いて、すべてのHPLCプロファイルは260nmで示される。ハイブリダイゼーションは、主ピークが個々の構成要素の後に溶出する混合物HPLCプロファイルによって明らかである。部分ハイブリダイゼーションのみが、35ntのうち11のOsBpを有するインタクトなBJ1及びその相補的オスミル化補体プライマーM13for(-20)について示される。
図10D】約90%のONT緩衝液中の試料溶媒中の個々の構成要素及びそれらの1:1混合物のHPLCプロファイル。272nm及び312nmで示される右上のプロファイルにおけるオスミル化プローブ及びハイブリッドを除いて、すべてのHPLCプロファイルは260nmで示される。ハイブリダイゼーションは、主ピークが個々の構成要素の後に溶出する混合物HPLCプロファイルによって明らかである。ハイブリダイゼーションは、35ntのうち6つのOsBpを有するインタクトなBJ2及びその相補的オスミル化補体プライマーM13for(-41)について示される。HPLC方法Bを分析に使用する(実施例を参照)。
図11】プローブBJ2及びBJ4を用いたナノ細孔実験は、-180mVでは事象をほとんど示さず、-220mVでは多数の事象を示す。-180mV(破線トレース)で試験されたプローブBJ2及びBJ4は、無視できるカウント数を示す。新しい試料を添加せず、電圧を-220mVに上げ、-220mVでプローブを試験し(固体トレース)、多数の事象を検出した。両方のプローブ試料を、0.2nmoleの負荷で使用した。同じフローセル上で、-180mVでBJ2、-220mVでBJ2、-180mVでBJ4、及び-220mVでBJ4の順で実験を実施した。各実験の持続時間は1時間であった。図2A下に記載されるデータ取得及び分析。異なる適用電圧でのカウントにおける劇的な違いは、これらのプローブ及び類似する設計の他のプローブが、より低い電圧で独自のCsGgナノ細孔を通り抜けず、トランスロケーションに約-220mVの高い適用電圧を必要とすることを明確に示唆する。
図12】プローブ21EXTを使用した(8T(OsBp)を用いて、表1の配列を参照)miRNA21またはmiRNA21-A15の1:1の混合物(非ハイブリッド)のHPLCプロファイル。試料溶媒としての約90%のONT緩衝液中の試料。HPLC方法B(実施例)で得られるHPLCプロファイル。混合物試料のHPLCプロファイルは、2つの構成要素のHPLCプロファイルの合計と厳密に一致し、これら2つの場合において検出可能なハイブリダイゼーションがないという証拠を提供する。これら2つの場合の違いは、付加されたA15尾部のため、miRNA21-A15がmiRNA21と比較して数分後に溶出することである。
図13】-180mV、-200mV、-220mVで、各々10μMのインタクトなmiRNA122とmiRNA140との混合物で観察されたカウントに対する適用電圧の影響。-180mVで示されるデータは、図2B(Flongle)と同じデータであるが、MinIONはFlongleと比較して約10倍の作業チャネルを有するため、10で乗算することによって正規化される。適用電圧の増加により、事象のカウントがわずかに低減し、より速いトランスロケーション及び検出可能性の低減と一致する。-220mVで10μMのmiRNA21-A15を用いた実験は、miRNA122及びmiRNA140の組み合わせと同等のカウントを示すが、A15尾部を有さないmiRNAと比較して異なるプロファイルを示す。インタクトなRNAに対する電圧の影響は、この研究で試験したプローブの大半に対する電圧の影響とは全く対照的である。-200~-220mVの対照/緩衝液では、検出可能なカウントの差は認められない。
図14】配列中のUの数の関数として、Tが欠けているオリゴにおけるオスミル化ピリミジンの数について良好な直線相関が得られた。相関は、配列がDNA、RNAであるかどうか、または塩基のすべてまたは一部に2’-OMe基を担持するかどうかに大きく依存しないように見える(表1を参照)。線形相関を使用して、任意の所与の配列について、プロトコルc当たりのオスミル化ピリミジンの数を推定してもよい。線形相関は、デオキシウリジン(dU)が、デオキシシチジン(dC)と比較して4.7倍速くオスミル化されるという観察(Ding,Y.&Kanavarioti,A.(2016))、及びわずかなパーセンテージのオスミル化ピリミジンをもたらすのみであり、実質的に100%オスミル化されたオリゴをもたらさないプロトコルcの条件に起因する。
図15】HPLC方法Aを使用した、4つのインタクトなM13プライマー及びそれらの対応するT-オスミル化誘導体のHPLCプロファイル(実施例を参照)。試料溶媒としての水中のオリゴの分析。これらのオリゴのT-オスミル化を、プロトコルoを使用して行った(実施例を参照)。オスミル化オリゴが複数のピークとして現れる理由は、C5-C6二重結合へのOsBpの上または下の付加がトポ異性体につながるためであり、このクロマトグラフィーが分解する。
図16】HPLC方法Aを使用した4つのインタクトなBJ1-4及びそれらの対応するT-オスミル化誘導体のHPLCプロファイル。試料溶媒としての水中のオリゴの分析。これらのオリゴのT-オスミル化を、プロトコルoを使用して行った(実施例を参照)。
図17】260nmで示される(-20)のプライマーM13及び(-41)のプライマーM13の2つのインタクトな補体、ならびにHPLC方法Bを使用して272nm及び312nmで示されるそれらの対応するT-オスミル化誘導体のHPLCプロファイル(実施例を参照)。試料溶媒としての水中のオリゴの分析。簡潔には、HPLC方法Bは、ThermoFisher ScientificのDNA PacPA200HPLCカラムを、0.45mL/分の流量及び15℃のカラム区画の2×250mm構成で使用している。溶媒は、水性pH8.0±0.2移動相A(MPA)及び25mMのTRIS.HCL緩衝液を含む移動相B(MPB)であり、MPBは、1.5MのNaClである。初期条件は90%MPA~10%MPBであり、勾配は20分で10%~50%MPBである。カラム平衡を含む総分析時間は30分である。これらのオリゴのT-オスミル化を、プロトコルoを使用して行った(実施例のセクションを参照)。右のプロファイルは、非定型であるが、確認された結果、すなわち、親のインタクトな核酸と比較して後で溶出するオスミル化コンジュゲートを示す。
図18A】260nmで示されるBJ2 TA(OMe)(A)及びBJ2 AT(OMe)(B)、ならびにBJ1EXT(mU)(C)及びBJ2EXT(mU)(D)、ならびに272nm及び312nmで示されるそれらの対応するT-オスミル化誘導体のHPLCプロファイル(表1の配列)。HPLC方法Bで得られたHPLCプロファイル(図17及び実施例を参照)。試料溶媒としての水中の材料。プローブBJ2 TA(OMe)を用いて行われたナノ細孔実験は、比較的低いプローブ負荷で多数のカウントを有する優れたトランスロケーション特性を示した(図4D)。
図18B】260nmで示されるBJ2 TA(OMe)(A)及びBJ2 AT(OMe)(B)、ならびにBJ1EXT(mU)(C)及びBJ2EXT(mU)(D)、ならびに272nm及び312nmで示されるそれらの対応するT-オスミル化誘導体のHPLCプロファイル(表1の配列)。HPLC方法Bで得られたHPLCプロファイル(図17及び実施例を参照)。試料溶媒としての水中の材料。プローブBJ2 TA(OMe)を用いて行われたナノ細孔実験は、比較的低いプローブ負荷で多数のカウントを有する優れたトランスロケーション特性を示した(図4D)。
図18C】260nmで示されるBJ2 TA(OMe)(A)及びBJ2 AT(OMe)(B)、ならびにBJ1EXT(mU)(C)及びBJ2EXT(mU)(D)、ならびに272nm及び312nmで示されるそれらの対応するT-オスミル化誘導体のHPLCプロファイル(表1の配列)。HPLC方法Bで得られたHPLCプロファイル(図17及び実施例を参照)。試料溶媒としての水中の材料。プローブBJ2 TA(OMe)を用いて行われたナノ細孔実験は、比較的低いプローブ負荷で多数のカウントを有する優れたトランスロケーション特性を示した(図4D)。
図18D】260nmで示されるBJ2 TA(OMe)(A)及びBJ2 AT(OMe)(B)、ならびにBJ1EXT(mU)(C)及びBJ2EXT(mU)(D)、ならびに272nm及び312nmで示されるそれらの対応するT-オスミル化誘導体のHPLCプロファイル(表1の配列)。HPLC方法Bで得られたHPLCプロファイル(図17及び実施例を参照)。試料溶媒としての水中の材料。プローブBJ2 TA(OMe)を用いて行われたナノ細孔実験は、比較的低いプローブ負荷で多数のカウントを有する優れたトランスロケーション特性を示した(図4D)。
図19A】260nmで示されるインタクトなmiRNA21、miRNA122、miRNA140、及びmiRNA21-A15(これらは、-5p配列である)及びそれらの対応する部分的にオスミル化された誘導体のHPLCプロファイル。異なる材料を異なる試料負荷で分析する。miRNA21-A15にはオスミル化プロトコールoを、他の3つのmiRNAにはプロトコールcを使用した(表1及び実施例を参照)。miRNA21-A15の分析に使用されるHPLC方法A、及び他の3つのmiRNAの分析に使用されるHPLC方法B(実施例を参照)。試料溶媒としての水中の材料。
図19B】260nmで示されるインタクトなmiRNA21、miRNA122、miRNA140、及びmiRNA21-A15(これらは、-5p配列である)及びそれらの対応する部分的にオスミル化された誘導体のHPLCプロファイル。異なる材料を異なる試料負荷で分析する。miRNA21-A15にはオスミル化プロトコールoを、他の3つのmiRNAにはプロトコールcを使用した(表1及び実施例を参照)。miRNA21-A15の分析に使用されるHPLC方法A、及び他の3つのmiRNAの分析に使用されるHPLC方法B(実施例を参照)。試料溶媒としての水中の材料。
図19C】260nmで示されるインタクトなmiRNA21、miRNA122、miRNA140、及びmiRNA21-A15(これらは、-5p配列である)及びそれらの対応する部分的にオスミル化された誘導体のHPLCプロファイル。異なる材料を異なる試料負荷で分析する。miRNA21-A15にはオスミル化プロトコールoを、他の3つのmiRNAにはプロトコールcを使用した(表1及び実施例を参照)。miRNA21-A15の分析に使用されるHPLC方法A、及び他の3つのmiRNAの分析に使用されるHPLC方法B(実施例を参照)。試料溶媒としての水中の材料。
図19D】260nmで示されるインタクトなmiRNA21、miRNA122、miRNA140、及びmiRNA21-A15(これらは、-5p配列である)及びそれらの対応する部分的にオスミル化された誘導体のHPLCプロファイル。異なる材料を異なる試料負荷で分析する。miRNA21-A15にはオスミル化プロトコールoを、他の3つのmiRNAにはプロトコールcを使用した(表1及び実施例を参照)。miRNA21-A15の分析に使用されるHPLC方法A、及び他の3つのmiRNAの分析に使用されるHPLC方法B(実施例を参照)。試料溶媒としての水中の材料。
図20A】260nmでのインタクトなdmiR21及び272nm及び312nmでのT-オスミル化生成物のHPLCプロファイル。
図20B】インタクトな21EXT及びそのT-オスミル化生成物のHPLCプロファイル。オスミル化は、OsOの添加後にbipyを溶解した初期のプロセスである、2.63mMのOsBpを用いたプロトコルo(40分)を使用して実施された(実施例を参照)。分析のために水中の材料、HPLC方法Bを使用して分析を行った(実施例を参照)。
図21A】2.63mMのOsBpを用いたプロトコルb(30分)及び3.94mMのOsBpを用いたプロトコルc(30分)を使用した、dmiR21(OMe)のオスミル化生成物のHPLCプロファイル。5.25mMのOsBpを使用した30分間のインキュベーションを伴う第3のプロトコル(d)を使用して、ナノ細孔実験のためにこのプローブをオスミル化した(図6B)。これは、dmiR21(OMe)がTを含まず、プロトコルb及びcを使用すると、非常に低レベルのオスミル化及び検出可能性が低下するため、必要であった。
図21B】2つの異なるプロトコルを用いたプローブ21EXT(mU)インタクト及びそのオスミル化生成物;2.63mMのOsBpを用いたプロトコルa(45分)を使用する調製物1、及び2.63mMのOsBpを用いたプロトコルb(30分)を使用する調製物2。
図21C】ハイブリッドのHPLCプロファイルをプローブ単独のHPLCプロファイル(B、上記)と比較し、それらが異なることを確認するために、図7Cを繰り返す。分析は、HPLC方法Bを使用して行った(実施例を参照)。
図22A】260nmで示されるインタクトなmiRNA122プローブ及び272及び312nmでのそれらの対応するT-オスミル化誘導体(実際のプローブ)のHPLCプロファイル。オスミル化プロトコルoを使用して、dmiR122、2XdmiR122、及び122EXTをオスミル化した。dmiR122(OMe)は、任意のTを有さず、プロトコルbまたはcを使用してオスミル化した(配列及びプロトコルについては表1を参照)。分析のために材料は水中にあり、HPLC方法Bを使用して分析を行った(実施例を参照)。
図22B】260nmで示されるインタクトなmiRNA122プローブ及び272及び312nmでのそれらの対応するT-オスミル化誘導体(実際のプローブ)のHPLCプロファイル。オスミル化プロトコルoを使用して、dmiR122、2XdmiR122、及び122EXTをオスミル化した。dmiR122(OMe)は、任意のTを有さず、プロトコルbまたはcを使用してオスミル化した(配列及びプロトコルについては表1を参照)。分析のために材料は水中にあり、HPLC方法Bを使用して分析を行った(実施例を参照)。
図22C】260nmで示されるインタクトなmiRNA122プローブ及び272及び312nmでのそれらの対応するT-オスミル化誘導体(実際のプローブ)のHPLCプロファイル。オスミル化プロトコルoを使用して、dmiR122、2XdmiR122、及び122EXTをオスミル化した。dmiR122(OMe)は、任意のTを有さず、プロトコルbまたはcを使用してオスミル化した(配列及びプロトコルについては表1を参照)。分析のために材料は水中にあり、HPLC方法Bを使用して分析を行った(実施例を参照)。
図22D】260nmで示されるインタクトなmiRNA122プローブ及び272及び312nmでのそれらの対応するT-オスミル化誘導体(実際のプローブ)のHPLCプロファイル。オスミル化プロトコルoを使用して、dmiR122、2XdmiR122、及び122EXTをオスミル化した。dmiR122(OMe)は、任意のTを有さず、プロトコルbまたはcを使用してオスミル化した(配列及びプロトコルについては表1を参照)。分析のために材料は水中にあり、HPLC方法Bを使用して分析を行った(実施例を参照)。
図23A】260nmで示されるインタクトなmiRNA140プローブ及び272nm及び312nmで示されるそれらの対応するオスミル化誘導体(実際のプローブ)のHPLCプロファイル。2.63mMのOsBpを用いたオスミル化プロトコルo(40分)(初期のプロセス、bipyは、OsOの添加前に溶解されなかった)を使用したdmiR140(A)及び2XdmiR140(B)のHPLCプロファイル。(C)2つの異なるプロトコルを用いたプローブ140EXT(mU)インタクト及びそのオスミル化生成物;2.63mMのOsBpを用いたプロトコルa(45分)を使用する調製物2、及び2.63mMのOsBpを用いたプロトコルb(30分)を使用する調製物1。分析のために水中の材料、HPLC方法Bを使用して分析を行った(実施例を参照)。
図23B】260nmで示されるインタクトなmiRNA140プローブ及び272nm及び312nmで示されるそれらの対応するオスミル化誘導体(実際のプローブ)のHPLCプロファイル。2.63mMのOsBpを用いたオスミル化プロトコルo(40分)(初期のプロセス、bipyは、OsOの添加前に溶解されなかった)を使用したdmiR140(A)及び2XdmiR140(B)のHPLCプロファイル。(C)2つの異なるプロトコルを用いたプローブ140EXT(mU)インタクト及びそのオスミル化生成物;2.63mMのOsBpを用いたプロトコルa(45分)を使用する調製物2、及び2.63mMのOsBpを用いたプロトコルb(30分)を使用する調製物1。分析のために水中の材料、HPLC方法Bを使用して分析を行った(実施例を参照)。
図23C】260nmで示されるインタクトなmiRNA140プローブ及び272nm及び312nmで示されるそれらの対応するオスミル化誘導体(実際のプローブ)のHPLCプロファイル。2.63mMのOsBpを用いたオスミル化プロトコルo(40分)(初期のプロセス、bipyは、OsOの添加前に溶解されなかった)を使用したdmiR140(A)及び2XdmiR140(B)のHPLCプロファイル。(C)2つの異なるプロトコルを用いたプローブ140EXT(mU)インタクト及びそのオスミル化生成物;2.63mMのOsBpを用いたプロトコルa(45分)を使用する調製物2、及び2.63mMのOsBpを用いたプロトコルb(30分)を使用する調製物1。分析のために水中の材料、HPLC方法Bを使用して分析を行った(実施例を参照)。
図24A】部分的にオスミル化した100nt RNA及びオスミル化プロトコルcを使用した100nt RNA(ОMe)のHPLCプロファイル。(表1及び実施例を参照)
図24B】プロトコルbを使用したT-オスミル化d(CT)10のHPLCプロファイル。試料溶媒としての水中の材料。HPLC方法Bをすべての試料に使用し、HPLCプロファイルを272nm及び312nmで示す。オスミル化プロトコル及びHPLC方法は、実施例に見出すことができる。
図25A】部分的にオスミル化された22nt RNAのHPLCプロファイル。(A)相補的miRNA21及び(B)相補的miRNA122。オスミル化プロトコルcを、3.94mMのOsBpで30分使用した。
図25B】部分的にオスミル化された22nt RNAのHPLCプロファイル。(A)相補的miRNA21及び(B)相補的miRNA122。オスミル化プロトコルcを、3.94mMのOsBpで30分使用した。
図26A】(A)右側のHPLCプロファイルと直接比較するために、図6Aを繰り返す。(B)15%の血清-85%のONT緩衝液中の3つの試料のHPLCプロファイル:分析前のmiRNA140の2分間のインキュベーション、分析前の100nt RNAの30分間のインキュベーション。より長いインキュベーションは、100nt RNAの分解が、miRNA140の分解と比較してより極端なように見える理由である。約5%の水-95%のONT緩衝液(A)中のdmiR21(OMe)(OsBp):miRNA21=1:2の混合物及び15%の血清-85%のONT緩衝液(B)中の同じ混合物。HPLCプロファイルは同等であるように見え、ハイブリッドが15%の血清-85%のONT緩衝液中での分解がわずかであることを示唆する。HPLC方法Bをこれらの分析に使用する(実施例を参照)。
図26B】(A)右側のHPLCプロファイルと直接比較するために、図6Aを繰り返す。(B)15%の血清-85%のONT緩衝液中の3つの試料のHPLCプロファイル:分析前のmiRNA140の2分間のインキュベーション、分析前の100nt RNAの30分間のインキュベーション。より長いインキュベーションは、100nt RNAの分解が、miRNA140の分解と比較してより極端なように見える理由である。約5%の水-95%のONT緩衝液(A)中のdmiR21(OMe)(OsBp):miRNA21=1:2の混合物及び15%の血清-85%のONT緩衝液(B)中の同じ混合物。HPLCプロファイルは同等であるように見え、ハイブリッドが15%の血清-85%のONT緩衝液中での分解がわずかであることを示唆する。HPLC方法Bをこれらの分析に使用する(実施例を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
すぐ下に定義される用語は、本明細書を参照することによりその全体がより完全に定義される。説明的なサポートを提供するために必要な範囲で、添付の特許請求の範囲の主題及び/または文書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
定義
本明細書に記載され特許請求される例示的な態様及び実施形態は、本明細書に具体的に開示されている、または開示されていない任意の列挙された特徴、要素、または工程の不在下で適切に実施され得ることが、本明細書のすべての読者によって理解されよう。
【0011】
「a」または「an」という用語のエンティティは、そのエンティティの1つ以上を指し、例えば、「プローブ(a probe)」は、1つ以上の「プローブ(probes)」を表すと理解される。したがって、「a」(または「an」)、「1つ以上(one or more)」、及び「少なくとも1つ(at least one)」という用語は、本明細書では同義に使用することができる。
【0012】
本明細書で使用される場合、「及び/または」という用語は、特定された特徴または構成要素の各々の、他方を伴うまたは伴わない特定の開示とみなされるべきである。したがって、本明細書で「A及び/またはB」などの句で使用される場合、「及び/または」は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」などの句で使用される場合、「及び/または」は、以下の実施形態:A、B、及びC、A、B、またはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)、及びC(単独)のそれぞれを包含することが意図される。
【0013】
態様が「含む(comprising)という言語を用いて本明細書に記載される場合は常に、「からなる」及び/または「から本質的になる」という用語で説明される他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0014】
別途定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、本開示の関連する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。例えば、別途指定されない限り、「相補的な」塩基対は、A/T、A/U、及びG/C塩基対合を指す。
【0015】
数値範囲は範囲を定義する数を含む。「及びその間の任意の範囲」などによって明確に特定されない場合でも、値のリスト、すなわち、1、2、3、または4が列挙されている場合、本開示は、値の間の任意の範囲、すなわち、1~3、1~4、2~4などを具体的に含む。
【0016】
本明細書で提供される見出しは、単に参照を容易にするためのものであり、本明細書全体を参照することによって得ることができる本開示の様々な態様または態様の限定ではない。
【0017】
本明細書で使用される場合、「同一性」、すなわち、本明細書で開示されるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に対する「同一性パーセント」という用語は、2つ以上のアミノ酸配列間の、または2つ以上のヌクレオチド配列間の関係を指す。ある配列の位置が、比較配列の対応する位置の同じ核酸塩基またはアミノ酸によって占められている場合、その配列はその位置で「同一である」と言われる。「配列同一性」のパーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸が両方の配列に存在する位置の数を決定して、「同一である」位置の数を得ることによって計算される。次に、「同一である」位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り、100を掛けて、「配列同一性」のパーセンテージを得る。「配列同一性」のパーセンテージは、比較ウィンドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較することによって決定される。比較のために配列を最適に整列させるために、比較ウィンドウ内のヌクレオチドまたはアミノ酸配列の部分は、参照配列が一定に保たれている間、ギャップと呼ばれる付加または欠失を含み得る。最適なアライメントは、ギャップがあっても、参照配列と比較配列の間に可能な限り多くの「同一である」位置を生成するアライメントである。2つの配列間の「配列同一性」パーセンテージは、すなわち、National Center for Biotechnology Informationから入手可能であり、プログラムがBLASTN(ヌクレオチド配列比較用)及びBLASTP(アミノ酸配列比較用)(プログラムは、Karlin and Altschul(Proc.Natl.Acad.Sci.USA90(12):5873-5877,1993)のアルゴリズムに基づく)のプログラムを組み込んだ「BLAST」のプログラムを使用して決定することができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、核酸分子を指す場合の「相補的」という用語は、当該技術分野で理解されるように、相補的なワトソン-クリック塩基対合の標準的な定義が与えられている。
【0019】
「核酸」という用語は、当業者に周知の用語であり、本明細書において、DNA及びRNAを含むように使用される。別途指定されない限り、「核酸」分子及び「ポリヌクレオチド」は、同義に使用され得る。核酸は、従来のホスホジエステル結合または非従来の結合(すなわち、ペプチド核酸(peptide nucleic acid、PNA)に見出されるようなアミド結合)を含むことができる。「単離された」核酸とは、対象から得られたゲノムDNAの試料など、その天然環境から除去された核酸分子を意図する。単離されたポリヌクレオチドまたは核酸には、合成的に生成されたそのような分子がさらに含まれる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「インタクト」または「天然」という用語は、オリゴヌクレオチドを指す場合、オリゴヌクレオチドがオスミル化されていないことを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「生体試料」は、ヒト、動物、植物、細菌、ウイルス、真菌、または他の多細胞型もしくは単一細胞の生命形態などの対象に由来する試料である。ある特定の態様では、生体試料は、採血、尿試料の収集、または組織もしくは液体生検などによって、対象から直接得ることができる。ある特定の態様では、生体試料は、犯罪現場で収集された生物学的証拠などから間接的に取得され得る。ある特定の態様では、生体試料は、血液、血漿、リンパ液、唾液、尿、羊水、髄液などの体液である。ある特定の態様では、生体試料は、溶液中に懸濁された、溶解された、または流体試料中で再構成された組織または細胞などに由来する構成要素を含む流体試料である。「複合混合物」とは、核酸、タンパク質、炭水化物などの様々な構成要素及び/または様々な核酸分子を含む試料を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「事象」または「カウント」は、ナノ細孔デバイスの2つの区画にわたって電圧を適用することによって検出され、細孔を介して電解質イオン(I)の一定の流れをもたらし、これは時間の関数(i-t)として記録される。細孔を通る単一の分子の通過は、Iをより低いレベルの残留イオン電流(I)に低減する。これは、(I)及び滞留時間(τ)を有する「事象」として記録される(図1B)。
【0023】
Oxford Nanopore Technologies(ONT)からのポータブルナノ細孔デバイスは、電圧駆動型イオンチャネル測定を行うことによって、複合混合物中のDNA/RNAポリヌクレオチド(標的)を検出するために別の目的で使用され得ることが発見されている。標的の検出及び定量化を、本開示の独自の相補的プローブを使用することによって可能にした。検証された標識技術を使用して、プローブは、プローブと標的との間の強力なハイブリダイゼーションを維持する方法で、かさばるオスミウムタグ(四酸化オスミウム2,2’-ビピリジン)でタグ付けされる。タグ付けされていないオリゴは、デバイスの取得速度と比較して比較的速くナノ細孔を通り抜け、ベースラインと同等の事象のカウントを示す。カウントは、例えば、公的に利用可能なソフトウェアOsBp_detect(Kanavarioti,A.,&Kang,A.、公共リポジトリ内のRNA(OsBp)事象検出Pythonパッケージ:https://github.com/kangaroo96/osbp_detect、段階的インストール手順については、https://github.com/kangaroo96/osbp_detect/blob/master/instructions.mdを参照)によって報告され得る。かさばるオスミウムタグの存在により、オスミウムタグ付けされたプローブはよりゆっくりと通り抜け、ベースラインに対して複数のカウントを生成し、さらに一桁のアトモル(amole)範囲でさえ検出することができる。しかしながら、標的の存在下では、プローブは「サイレンシング」される。サイレンシングは、本開示の実用的な目的のために、適用される条件下でナノ細孔を通り抜けないと考えられる二本鎖複合体に起因する。したがって、開示されるすぐに使用可能なプラットフォームは、例えば、体液中のポイントオブケア循環腫瘍DNA(ctDNA)、無細胞DNA(cfDNA)断片化RNA、及びマイクロRNA(miRNA)検出及び定量化の要件を満たすために、診断試験として調整することができる。
【0024】
本開示の態様は、塩基間の識別を強化するために、核酸の選択的標識(本明細書ではタグ付けとも呼ばれる)を利用し(Ding,Y.&Kanavarioti,A.(2016)、Sultan M.,Kanavarioti,A.(2019)、Kanavarioti,A.(2015))、標識/タグとして四酸化オスミウム2,2’-ビピリジン(OsBp)を利用する。OsBpは、プリンに対して反応性ではなく、DNAまたはRNAにおけるホスホジエステル結合を切断しない。OsBpは、ピリミジンのC5-C6二重結合に付加され、ピリミジン環を切断することなく、2つの強いC-O結合を形成する(図1C)(Chang,C.H.,Beer,M.&Marzilli,L.G.(1977)、Palecek E.(1992)、Reske T.,Surkus,A-E.,Duwensee,H.&Flechsig G.-U.(2009)、Kanavarioti,A.et al.(2012)、Kanavarioti,A.(2016)、Debnath,T.K.&Okamoto,A.(2018))。チミジン(T)に対するOsBpの反応性は、デオキシシチジン(dC)及びデオキシウリジン(dU)に対する反応性と比較して、それぞれ28倍及び7.5倍高い(Ding,Y.&Kanavarioti,A.(2016))。他のピリミジンの存在下でTを選択的に標識するための標識条件プロトコルが開発されている(Kanavarioti,A.et al.(2012))。さらに、本発明者は、短い及び長いDNA及びRNAにおける標識の程度を測定するためのキャピラリー電気泳動(CE)及び高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)方法を開発した(Kanavarioti,A.et al.(2012)、Kanavarioti,A.(2016);実施例を参照)。電圧駆動型イオンチャネル測定は、SiN固体状態ナノ細孔(Henley,R.Y.,Vazquez-Pagan,A.G.,Johnson,M.,Kanavarioti,A.&Wanunu,M.(2015))、α-溶血素ナノ細孔(Ding,Y.&Kanavarioti,A.(2016))、ならびにMinIONにおけるCsGgナノ細孔(Sultan M.,Kanavarioti,A.(2019))を使用して行い、3つのプラットフォームすべてが、オスミル化核酸のトランスロケーションを可能にし、それらを天然の核酸から明確に区別することを実証した。区別は、著しく低いI及びより長いτを有する事象として現れ、例えば、オリゴヌクレオチドを標識するOsBp部分の数及び/または位置を増加させることによって増加させることができる。天然DNA及びRNAの複合混合物中のOsBpタグ付けされたオリゴを単離し、検出し、カウントするために、これらの特徴を利用した。
【0025】
図1Dは、複合混合物中の標的オリゴのナノ細孔に基づく特定及び定量化の背後にある概念を図示する。本開示のある特定の態様は、本明細書の他の箇所で詳細に記載されるように、ハイブリダイズされた二本鎖複合体を作製するのに十分である、核酸標的分子に少なくとも部分的に相補的である、特別に設計されたOsBpタグ付けされたオリゴ(プローブ)により可能となる。プローブとしての相補的オリゴの使用は、いくつかの実験的ナノ細孔プラットフォームで検証されている(Wanunu M,Dadosh T,Ray V,Jin J,McReynolds L,Drndic M.(2010)、Xi,D.et al.(2016)、Zahid,O.K.,Wang,F.,Ruzicka,J.A.,Taylor,E.W.&Hall,A.R.(2016)、Tian,K.,Shi,R.,Gu,A.,Pennella,M.,&Gu,L.Q.(2017)、Hao,W.,Haoran T.,Cheng Y.,&Yongxin,L.(2019))。しかしながら、これらのプラットフォームは、プローブがタンパク質(Wanunu M,Dadosh T,Ray V,Jin J,McReynolds L,Drndic M.(2010))、ナノ粒子(Hao,W.,Haoran T.,Cheng Y.,&Yongxin,L.(2019))、ホモポリマー(Xi,D.et al.(2016))、またはポリペプチド(Tian,K.,Shi,R.,Gu,A.,Pennella,M.,&Gu,L.Q.(2017))にコンジュゲートされているという事実によって複雑になる。これらのプラットフォームにおける検出は、ナノ細孔に入るときの二本鎖ハイブリッド複合体の衝突、及び実質的に「詰まる」ことによってもたらされる長い遮断をカウントすることに依存する。これらの方法のいずれも、商業的利用可能性に達せず、それらのより広範な使用を妨げる。ハイブリッドの検出に基づく初期のアプローチとは対照的に(Wanunu M,Dadosh T,Ray V,Jin J,McReynolds L,Drndic M.(2010)、Xi,D.et al.(2016)、Zahid,O.K.,Wang,F.,Ruzicka,J.A.,Taylor,E.W.&Hall,A.R.(2016)、Tian,K.,Shi,R.,Gu,A.,Pennella,M.,&Gu,L.Q.(2017)、Hao,W.,Haoran T.,Cheng Y.,&Yongxin,L.(2019))、本開示の態様は、比較的遅い取得速度によって容易になるオスミル化プローブのトランスロケーションを検出する(例えば、限定されないが、MinION(3.012kHzサンプリング速度、1ミリ秒当たり3データポイントの報告に相当する))(Oxford Nanopore Technologies website:nanoporetech.com、Resources/Publications下)。遅いサンプリング速度は、天然DNA/RNAオリゴヌクレオチドの多くの、大半の、またはすべてのトランスロケーション事象を見落とすが、OsBpタグ付けされたプローブのトランスロケーションに対応する事象は検出される。核酸標的分子(例えば、相補的プローブ結合パートナー)の不在下で、オスミル化プローブは、ナノ細孔を通り抜け、検出可能な事象を生成する。核酸標的分子の存在下で、プローブは、標的とのハイブリダイズされた複合体(例えば、1:1の二本鎖ハイブリッド)を形成する。ハイブリダイズされた分子は、ナノ細孔を通過せず、通り抜けない(図1D)。したがって、ハイブリダイズされたOsBpタグ付けされたプローブは「サイレンシング」される。しかしながら、ある特定の態様では、ハイブリダイズされた複合体は、「詰ま」らず、非ハイブリダイズ一本鎖核酸が細孔を通過するのを防止しない。これは、例えば、そのような非生産的な「詰まり」の発生からナノ細孔を解放するために、電圧の自動反転を組み込むことによって達成することができる。したがって、試料中の核酸標的分子の存在または不在を検出する、それについて試験する、及び/またはそれを決定するために、電圧駆動実験を行うことによってナノ細孔プラットフォームまたはデバイス上で実行することができる特定の試料に、オスミル化プローブを添加する。試料中の核酸標的分子の欠如は、ある特定の態様では、ナノ細孔を介したタグ付けされたプローブのトランスロケーションに起因する多数の事象の検出から解釈され得る。試料中の核酸標的分子の存在は、ある特定の態様では、タグ付けされたプローブと標的との間のハイブリッド形成により、事象の不在から解釈され得る。標的の定量化は、タグ付けされたプローブの既知の濃度及び1:1のハイブリッド形成に基づき得る。
【0026】
配列の中央にT(OsBp)部分が存在することは、多くの潜在的なctDNA、miRNA、または他のそのような標的によって共有される特徴ではない。したがって、本開示のプローブのある特定の態様では、配列中の1つ、いくつか、またはすべてのTは、ウリジン(U)、デオキシウリジン(dU)、または2’-OMe-ウリジン(mU)で置き換えられる。さらに、ある特定の態様では、1つ、いくつか、またはすべての塩基は、2’-OMeとして修飾される。ある特定の態様では、1つ以上の隣接するT(OsBp)が、プローブオリゴの3’末端または5’末端に付加される。また、いくつかの態様では、1つ以上の追加のdAが、プローブオリゴの3’末端または5’末端に付加される。TをU、dU、またはmUに置き換えることにより、核酸標的分子へのハイブリダイゼーションを妨げる可能性のある、相補性配列内のOsBpの存在が低減または排除される。
【0027】
RNA/DNAハイブリッドは、DNA/DNAハイブリッドと比較してより安定であることが知られている。したがって、例えば、ある特定の態様では、RNAベースのプローブは、試験される生体試料にプローブを添加した後にDNAを標的にすることができる。ある特定の態様では、DNA(例えば、dsDNA)は、比較的短く、例えば、100、90、80、70、60、50、40、30、28、25、24、23、22、21、20、19、または18ヌクレオチド未満の長さである。ある特定の態様では、方法は、例えば、dsDNA標的分子を変性させる、及び/またはプローブの任意の二次構造を除去するために、RNAベースのプローブが核酸標的分子にハイブリダイズする前の変性工程を含む。RNAプローブは、図2Aの(I/Imaxと、プローブを表す他のすべての図における対応する(I/Imaxとの比較によって示されるように、DNAベースのプローブと比較して異なるナノ細孔プロファイルを示す。この機能は、一度に2つ以上のターゲットを試験するためのプローブ多重化につながる可能性がある。同様に、3つの隣接するTを欠くdmiR21(OMe)のようなプローブは-180mVでトランスロケーションすることが見られたが、3つの隣接するTを有するプローブは-220mVを必要とする。そのような区別、例えば、電圧、電流、時間などの結果としてのプローブ間のトランスロケーションの違い、ならびにプローブのオスミル化の量及び/または位置に基づいて、プローブを多重化するために利用することができる。異なるナノ細孔プロファイルは、どのプローブがサイレンシングされているかを明らかにする。たった1つのプローブで、試験は、プローブ単独の事象の合計カウントを、プローブと未知の試料との混合物の事象の合計カウントと比較することによって、標的の存在/不在を決定的に特定することができる。多重化試験では、例えば、どのプローブが欠如しているかを決定するために、カウントをヒストグラムとしてプロットすることができる。したがって、本開示のある特定の態様は、同じ試験試料内でも一度に2つ以上の核酸標的分子を試験するための多重化を提供する。
【0028】
本開示のある特定の態様は、例えば、ポータブルの市販のナノ細孔デバイスを使用して行われるイオンチャネル単一分子実験を提供する。試験した標的は、DNA及びRNAオリゴであり、ある特定の態様では、9桁の検出範囲を示した。この感度は、例えば11μLの生体試料からの1桁のアトモル標的感度に匹敵する。これらの特性は、体液中に見出されるctDNA及びmiRNAなどの高希釈試料の検出及び定量化を可能にする。
【0029】
本明細書において、生体試料中の核酸標的分子の存在を検出するための方法が提供される。当業者は、以下に記載される方法のいずれかについて、核酸標的試料を検出するための基準が満たされない場合、類似の方法を使用して、生体試料中の核酸標的分子の不在を検出/検証することもできることを認識するであろう。ある特定の態様では、方法は、(i)核酸標的分子を含む生体試料と、(ii)置換または非置換の四酸化オスミウム(OsO)-2,2’-ビピリジン基(OsBp基)に共有結合された少なくとも1つのピリミジン残基を含むオスミル化一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとを含む、試験試料を接触させることを含む。ある特定の態様では、置換は、OsBpの2,2’-ビピリジン上で生じる。ある特定の態様では、試験試料は、生体試料が希釈される試料緩衝液を含む。試料緩衝液の組成は、ナノ細孔デバイス/システムの種類、生物学的試料の種類などに応じて変化し得、状況ごとに決定することができる。生体試料は、一般に、試験試料の体積の少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が試料緩衝液であり、体積の残りは生体試料及び/またはプローブを含む溶液であるように希釈される。しかしながら、当業者は、使用される生体試料の体積が小さいほど、存在し得る核酸標的分子の量が小さく、したがって、より高い感度を必要とすることを認識するであろう。オスミル化ピリミジンは、チミジン(T)、シチジン(C)、デオキシシチジン(dC)、デオキシウリジン(dU)、ウリジン(U)、またはこれらの誘導体であり得る。ある特定の態様では、少なくとも1つのオスミル化ピリミジン残基は、チミジン残基(T)である。ある特定の態様では、プローブの配列は、ハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成を可能にするのに十分である、核酸標的分子の配列に少なくとも部分的に相補的である。ある特定の態様では、プローブの配列の少なくとも一部分は、核酸標的分子の配列の少なくとも一セグメントに完全に相補的である。ナノ細孔デバイスを使用して、試験試料において、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブがナノ細孔を通り抜ける事象の数を検出する。次いで、試験試料において検出された事象の数をいくつかの他の値に対して比較して、試験試料中の核酸標的分子の存在、またはいくつかの態様では、不在を決定するかまたは間接的に検出することができる。ある特定の態様では、試験試料中の核酸標的分子の唯一の潜在的な供給源は、生体試料に起因するものであり、試験試料中の核酸標的分子の検出は、生体試料中の核酸標的分子を検出する。ナノ細孔システム上でオリゴヌクレオチドを検出する従来の方法とは異なり、本開示のナノ細孔デバイス/システムは、プローブの検出のためにプローブがタンパク質、ナノ粒子、ホモポリマー、またはポリペプチドにコンジュゲートされていることを必要としない。したがって、ある特定の態様では、プローブは、タンパク質、ナノ粒子、ホモポリマー、またはポリペプチドにコンジュゲートされていない。さらに、従来のナノ細孔検出方法とは異なり、検出は、ハイブリダイズされたプローブ/標的複合体がナノ細孔を遮断することによってもたらされる長い遮断をカウントすることによって、またはナノ細孔内のハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の融解によって達成されることはない。
【0030】
(i)ある特定の態様では、試験試料において検出された事象の数は、「対応するプローブ試料事象の数」と比較され得る。対応するプローブ試料事象の数は、プローブ試料において検出されるか、または理論的にプローブ試料について検出されるべきものであり、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブは、核酸標的の不在下でナノ細孔を通り抜ける。より詳細に説明され、本明細書の他の箇所の代表的な実施例に示されるように、標的試料中の核酸標的分子の存在(生体試料由来の、または対照として添加されるなど)は、相補的なオスミル化プローブとのハイブリダイゼーションをもたらし、したがって、プローブを「サイレンシング」する(それがナノ細孔を通り抜けることを防止し、検出可能な事象をもたらす)。したがって、プローブ試料事象の数と比べた、試験試料において検出された事象の数の低減は、ハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、したがって試験試料中の核酸標的分子の存在を示す。非ハイブリダイズプローブはナノ細孔を通り抜け、検出可能な事象をもたらすため、核酸標的分子の存在下で、プローブのすべてがハイブリダイズされない場合であっても、ある特定の態様では、プローブの量は、試験試料中の核酸標的の量を大きく超えてはならないか、または超えてはならない。ある特定の態様では、プローブの量は、試験試料中の核酸標的の量とほぼ等しいか、またはそれ未満であるべきである。ある特定の態様では、標的核酸分子とその相補的プローブとの間のハイブリダイゼーションの強度も考慮に入れることができる。当業者は、利用可能な情報及び日常的な実験に基づいて、特定の種類の試料中の核酸標的分子のおおよその量を決定することができ、最適な結果を得るために使用するプローブの量をさらに精緻化することができる。ある特定の態様では、事象の数の低減は、観察された低減が試験試料中の核酸標的分子の存在及びプローブ/標的ハイブリッドの形成によるものであると確信を持って推定するために、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも4倍である。この信頼レベルは、例えば、プローブ/標的ごと、試験条件ごと、及びナノ細孔デバイスごとに変化し得、所与のシステムの日常的な実験によって決定することができる。したがって、ある特定の態様では、試験試料において検出された事象の数と、対応するプローブ試料事象の数との間の事象の数の低減は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも4倍の低減である。
【0031】
ある特定の態様では、対応するプローブ試料事象の数は、試験試料における事象の数の検出時に、1つ以上のプローブ試料において同時に検出された事象の数である。同時に検出されるとは、当業者が、試験試料における事象の検出及びプローブ試料における事象の検出が同じ試験または実験の一部として実行されるが、必ずしも並行して生じるとは限らないとみなすような、同じ一般的な期間内を意味する。ある特定の態様では、試験試料及びプローブ試料における事象の同時検出は、変動性を低減するために、同じロットからなどの共通の試薬を使用するであろう。ある特定の態様では、同時検出に使用される試薬は、キットにおいて一緒に提供される。
【0032】
ある特定の態様では、対応するプローブ試料事象の数は、所与の量のプローブについての所定値である。所与の量のプローブについてのプローブ試料事象の数の所定値は、既知の量のプローブを用いてプローブ試料で試験を実行し、例えば、ある特定の種類のナノ細孔デバイスで、及びある特定の条件下、例えば、ナノ細孔デバイスの電流、電圧、時間、緩衝液条件、使用年数、及び/または使用量などで生成される事象の数を検出することによって、経験的に決定することができる。次いで、この所定値を、類似する条件下で様々な試験試料において検出された事象の数に対する比較目的で使用することができる。この所定値は、同じまたは類似する量のプローブを有する試験試料との比較に使用され得るか、または値は、異なる量のプローブに対して外挿され得る。所与の量のプローブについての対応するプローブ試料事象の数の所定値はまた、理論的に決定されてもよい。理論的決定は、実験的観察によって情報を得てもよいが、必要ではない。
【0033】
ある特定の態様では、オスミル化プローブ試料事象の数は、プローブ試料においてナノ細孔デバイスによって検出され、次いで、プローブ試料におけるオスミル化プローブは、生体試料と組み合わされて、試験試料を作製する。次いで、この試験試料における事象の数が、検出されたオスミル化プローブ試料事象の数に対する比較のために、ナノ細孔デバイスによって検出され得る。
【0034】
(ii)ある特定の態様では、試験試料において検出された事象の数は、いずれのオスミル化プローブも含まない対応するベースライン試料の「ノイズ」と比較することができる。当業者であれば、オスミル化プローブが存在しない場合であっても、またいずれの生体試料が存在しない試料緩衝液自体についてであっても、ナノ細孔システムは、本明細書で「ノイズ」と呼ばれるある特定の数の事象を示すことを理解するであろう。当業者であれば、このノイズは、本方法に非限定的である様々な方法(例えば、ノイズをゼロにするために器具を較正するなど)で説明することができることも理解するであろう。より詳細に説明され、本明細書の他の箇所の代表的な実施例に示されるように、標的または対照試料中の核酸標的分子の存在(生体試料由来の、または対照として添加されるなど)は、相補的なオスミル化プローブとのハイブリダイゼーションをもたらし、したがって、プローブを「サイレンシング」する(それがナノ細孔を通り抜けることを防止し、検出可能な事象をもたらす)。したがって、対応するベースライン試料のノイズと比べた、試験試料において検出された事象の数の増加の欠如は、ハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、したがって、試験試料中の核酸分子の存在を示す。非ハイブリダイズプローブはナノ細孔を通り抜け、検出可能な事象をもたらすため、核酸標的分子の存在下で、プローブのすべてがハイブリダイズされない場合であっても、ある特定の態様では、プローブの量は、試験試料中の核酸標的の量を大きく超えてはならないか、または超えてはならない。ある特定の態様では、プローブの量は、試験試料中の核酸標的の量とほぼ等しいか、またはそれ未満であるべきである。ある特定の態様では、標的核酸分子とその相補的プローブとの間のハイブリダイゼーションの強度を考慮に入れることができる。当業者は、利用可能な情報及び日常的な実験に基づいて、特定の種類の試料中の核酸標的分子のおおよその量を決定することができ、最適な結果を得るために使用するプローブの量をさらに精緻化することができる。ある特定の態様では、ベースライン試料における事象の数と比べた、試験試料における事象の数の増加の欠如は、観察された低減が、試験試料中の核酸標的分子の存在及びプローブ/標的ハイブリッドの形成に起因すると確信を持って推定するために、2倍未満、3倍未満、または4倍未満の増加を意味する。この信頼レベルは、例えば、プローブ/標的ごと、試験条件ごと、及びナノ細孔デバイスごとに変化し得、所与のシステムの日常的な実験によって決定することができる。したがって、ある特定の態様では、ベースライン試料における事象の数に対して、試験試料における事象の数の増加の欠如は、2倍未満、3倍未満、または4倍未満の増加を意味する。
【0035】
ある特定の態様では、対応するベースライン試料のノイズは、試験試料における事象の数の検出時に、1つ以上のベースライン試料において同時に決定される。同時に検出されるとは、当業者が、試験試料における事象の検出及びベースライン試料におけるノイズの決定が同じ試験または実験の一部として生じるが、必ずしも並行して生じるとは限らないとみなすような、同じ一般的な期間内を意味する。ある特定の態様では、試験試料における事象の検出及びベースライン試料におけるノイズの決定は、変動性を低減するために、同じロットからなどの共通の試薬を使用するであろう。ある特定の態様では、同時検出に使用される試薬は、キットにおいて一緒に提供される。
【0036】
ある特定の態様では、対応するベースライン試料のノイズは、所定値である。例えば、ある特定の態様では、所定値は、試料のある特定の組成(例えば、試料緩衝液の種類、生体試料の種類、試験試料中の生体試料の濃度など)について予め決められていてもよい。ベースライン試料中のノイズの所定値は、既知の組成を有する試料上で試験を実行し、例えば、ある特定の種類のナノ細孔デバイス上で、及びある特定の条件下、例えば、電流、電圧、時間、緩衝液条件、ナノ細孔デバイスの使用年数などで、ノイズの量を決定することによって経験的に決定され得る。次いで、この所定値を、類似する条件下で様々な試験試料において検出された事象の数に対する比較目的で使用することができる。この所定値は、同じまたは類似する組成を有する試験試料との比較に使用され得るか、または値は、異なる組成、例えば、より高いまたはより低い濃度の生体試料に対して外挿され得る。ある特定の組成の対応するベースライン試料のノイズの所定値は、理論的に決定することもできる。理論的決定は、実験的観察によって情報を得てもよいが、必要ではない。
【0037】
ある特定の態様では、対応するベースライン試料のノイズは、ナノ細孔デバイス/システムについて決定され、次いで、オスミル化プローブは、試験試料を作製するために、生体試料を含むものなどのベースライン試料に添加される。次いで、この試験試料における事象の数が、ベースライン試料のノイズの量に対する比較のために、ナノ細孔デバイスによって検出され得る。
【0038】
(iii)ある特定の状況では、核酸標的分子及び相補的オスミル化プローブを含む試料、特に、例えば、対照試料中の核酸標的分子の量が既知である試料を対照として使用することが有用であり得る。したがって、ある特定の態様では、試験試料において検出される事象の数は、ハイブリダイズしていないオスミル化プローブが、既知の量の核酸標的分子及び/または既知の量のオスミル化プローブの存在下でナノ細孔を通り抜ける、対応する対照試料事象の数と比較され得る。上述のプローブ試料及び試験試料の使用と一致して、対応する対照試料事象の数と比べた、試験試料において検出される事象の数の低減は、ハイブリダイズされたプローブ/標的複合体の形成、及び対照試料を超える、試験試料中のより高い量の核酸標的分子の存在を示す。そのような対照試料の使用は、生体試料の不在下でも、核酸標的分子とその相補的プローブとの間のハイブリダイゼーションを探索するために使用することができ、また、所与の量の核酸標的分子に使用するプローブの最適量を滴定及び/または決定するために使用することができる。そのような使用は、生体試料中の核酸標的分子の量を検出する定量的方法を開発するために使用することができる。
【0039】
上記のように、オリゴヌクレオチドプローブ内のピリミジンに結合されるOsBp中の2,2’-ビピリジンは、置換されるか、または非置換でもよい。ある特定の態様では、それは、例えば、1つ以上のメチル基またはエチル基で置換される。
【0040】
ある特定の態様では、核酸標的分子は、バイオマーカーであり得る、及び/または健康、年齢、もしくは表現型に関連する遺伝子型、または特定の疾患もしくは疾患状態を示し得る。ある特定の態様では、核酸標的は、循環腫瘍DNA(ctDNA)、無細胞DNA(cfDNA)、miRNA、断片化コードRNA、または非コードRNAである。ある特定の態様では、非コードRNAは、約300塩基未満の長さである。ある特定の態様では、核酸標的分子は、一本鎖核酸分子である。ある特定の態様では、核酸標的分子は、一本鎖核酸分子として生体試料中に見出される。ある特定の態様では、生体試料中に見出されるように、核酸標的分子は、二本鎖核酸分子の鎖である。したがって、ある特定の態様では、方法は、一本鎖オリゴヌクレオチドプローブが一本鎖標的分子にハイブリダイズすることができるように、プローブを含む試験試料中の二次構造で二本鎖核酸及び/または核酸を変性させて、一本鎖核酸鎖を形成することを含む。
【0041】
本明細書の他の箇所で詳細に説明されるように、ある特定の態様では、ナノ細孔デバイスは、オスミル化及び非オスミル化一本鎖核酸の電圧駆動トランスロケーションは可能にするが、二本鎖核酸のトランスロケーションは防止する。本明細書に開示される方法は、市販のナノ細孔デバイスを使用して行うことができるが、それらは、ナノ細孔デバイスの種類に限定されない。ある特定の態様では、ナノ細孔デバイスは、約1.3nM~約7.1nMの最小細孔径を有するナノ細孔を利用する。ある特定の態様では、ナノ細孔デバイスは、Phi29、α溶血素、アエロリジン、MspA、CsGg、PA63、ClyA、FhuA、もしくはSPP1タンパク質ナノ細孔、またはその生物工学的誘導体を利用する。
【0042】
本明細書の他の箇所で説明されるように、電圧は、ナノ細孔自体、オスミル化プローブの設計、試料組成、ナノ細孔デバイスの使用年数及び/または使用量などの要因に応じて変化する。さらに、異なる電圧を適用して、他のものではなく、ナノ細孔を通してある特定の核酸を特異的に駆動する、例えば、オスミル化プローブを検出するために必要な電圧を適用する前に、細孔を横切る非オスミル化一本鎖核酸を駆動するか、または多重試験などの異なる設計のオスミル化プローブを区別することができる。ある特定の態様では、約少なくとも-180mV、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、-240mV、もしくは-250mV、または少なくとも約-180mV、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、-240mV、もしくは-250mVの電圧が、標的の存在を決定するために適用される。ある特定の態様では、-180mV、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、もしくは-240mVのいずれか、または約-180mV、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、もしくは-240mVのいずれかと、-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、もしくは-240mV、もしくは-250mVのいずれか、または約-190mV、-200mV、-210mV、-220mV、-230mV、もしくは-240mV、もしくは-250mVのいずれかとの間の電圧が、標的の存在を決定するために適用される。ある特定の態様では、-200mV、-190mV、-180mV、-170mV、-160mV、もしくは-150mV未満、または約-200mV、-190mV、-180mV、-170mV、-160mV、もしくは-150mV未満の電圧が適用された後に、電圧が、標的の存在を決定するために適用される。ある特定の態様では、-200mV、-190mV、-180mV、-170mV、もしくは-160mVのいずれか、または約-200mV、-190mV、-180mV、-170mV、もしくは-160mVのいずれかと、-190mV、-180mV、-170mV、もしくは-160mV、-150mVのいずれか、または約-190mV、-180mV、-170mV、もしくは-160mV、-150mVのいずれかとの間の電圧が適用された後に、電圧が、標的の存在を決定するために適用される。当業者であれば、特定のナノ細孔デバイス及び組み込まれたナノ細孔の特徴に応じて、この電圧は負ではなく正であってもよく、絶対的にははるかに高い可能性があることを認識するであろう。
【0043】
また、本明細書の他の箇所で詳細に説明されるように、ある特定の態様では、方法は、プローブがナノ細孔を介して自由にトランスロケーションされたかどうかを決定するため、時間記録によって報告されるプローブの通過によってもたらされる事象をカウントするためにアルゴリズムを使用することを含む。ある特定の態様では、ナノ細孔デバイスは、異なるオスミル化プローブの区別、及び試験試料中の複数の異なる核酸標的の多重検出を可能にする。
【0044】
本明細書に開示される方法及びプローブを使用して、ある特定の態様では、方法は、試験試料中の1pM、100fM、10fM、1fM、100aM、10aM、1aM、もしくは0.1aM未満、または約1pM、100fM、10fM、1fM、100aM、10aM、1aM、もしくは0.1aM未満の量の核酸標的を検出することができる。ある特定の態様では、方法は、試験試料中の少なくとも0.1aM、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、100fM、もしくは1pM、または少なくとも約0.1aM、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、100fM、もしくは1pMの量の核酸標的を検出することができる。また、ある特定の態様では、方法は、試験試料中の0.1aM、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、もしくは100fMのうちのいずれか、または約0.1aM、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、もしくは100fMのうちのいずれかと、1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、100fM、もしくは1pMのうちのいずれか、または約1aM、10aM、100aM、1fM、10fM、100fM、もしくは1pMのうちのいずれかとの間の量の核酸標的を検出することができる。
【0045】
ある特定の態様では、方法は、試験試料及び/または生体試料における核酸標的分子の量について定量的である。
【0046】
本開示のある特定の態様は、本明細書に記載の方法のいずれかで核酸標的分子を検出する際に使用するためのプローブの設計に描かれる。
【0047】
ある特定の態様では、プローブはDNAである。ある特定の態様では、DNA骨格は修飾される。例えば、ある特定の態様では、核酸骨格内の糖のうちの少なくとも1つは、2’-OMe-デオキシリボースである。例えば、核酸骨格内の糖の1、2、3、4、5以上、または5%、10%、25%、50%、75%、90%、95%以上、または100%が、2’-OMe-デオキシリボースである。
【0048】
ある特定の態様では、プローブはRNAである。ある特定の態様では、RNA骨格は修飾される。例えば、ある特定の態様では、核酸骨格内の糖のうちの少なくとも1つは、2’-OMe-リボースである。例えば、核酸骨格内の糖の1、2、3、4、5以上、または5%、10%、25%、50%、75%、90%、95%以上、または100%が、2’-OMe-リボースである。
【0049】
オスミル化プローブの長さは、核酸標的分子の長さだけでなく、合成の容易さ及びコスト、生じるオスミル化の量、ならびにハイブリダイゼーション(例えば、より長いプローブは、例えば、非常に短いプローブよりも、標的に対してより大きな特異性及びより相補的な塩基対合を有することができる)などの考慮事項のために調整することができる。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、35、40、50、60、または75のいずれか~約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、35、40、50、60、75、または100のいずれかの長さを有する。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、約12~50ヌクレオチドの長さを有する。標的核酸分子の検出は、オスミル化プローブとのハイブリッドプローブ/標的複合体を形成することによって達成されるため、及びナノ細孔を通したプローブのトランスロケーションがその一本鎖形態であるため、ある特定の態様では、プローブがそれ自体、特に標的との相補性領域で自己ハイブリダイズしないことが好ましい。したがって、ある特定の態様では、核酸標的分子の配列に少なくとも部分的に相補的であるプローブの部分は、3ヌクレオチド以上の連続した自己相補的配列を欠く。ある特定の態様では、核酸標的分子の配列に少なくとも部分的に相補的であるプローブの部分は、不定形である。ある特定の態様では、核酸標的分子の配列に少なくとも部分的に相補的であるプローブの部分は、自己ハイブリダイズしない。
【0050】
ある特定の態様では、オスミル化一本鎖オリゴヌクレオチドプローブ分子は、置換または非置換の四酸化オスミウム(OsO)-2,2’-ビピリジン基(OsBp基)に共有結合された少なくとも1つのピリミジン残基を含む。ある特定の態様では、少なくとも1つのオスミル化ピリミジン残基は、チミジン残基(T)である。オスミル化の量(オスミル化ピリミジンの数)は、プローブがどのようにナノ細孔を通り抜けるか、したがって、それが事象としてどのように検出され得るか、及びそれがナノ細孔を通り抜ける非オスミル化一本鎖核酸とどのように区別され得るかに影響することが発見されている。ある特定の実施形態では、オスミル化プローブは、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのオスミル化ピリミジン残基を含む。ある特定の実施形態では、オスミル化プローブは、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのオスミル化ピリミジン残基を含む。本明細書の他の箇所に記載されるように、ある特定の方法は、好ましくは、他のピリミジンよりもチミジン残基(T)をオスミル化し、したがって、オリゴヌクレオチドプローブをオスミル化するためのさらにより繊細なアプローチを可能にする。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのオスミル化チミジン残基(T)を含む。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのオスミル化チミジン残基(T)を含む。プローブ上のオスミル化残基の量/数に加えて、互いに対するオスミル化残基の位置は、プローブがどのようにナノ細孔を通り抜けるかにも影響を及ぼし得る。1つの残基上のOsBp基は、隣接する残基上のOsBp基の移動の自由度を妨げる可能性があり、したがって、プローブがOsBp基が付着した状態でナノ細孔をどの程度容易に通り抜けることができるかを妨げる可能性がある。3つの隣接する残基は、中間残基の移動をさらに制限する。したがって、ある特定の態様では、オスミル化プローブは、少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化ピリミジン残基を含む。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化ピリミジン残基を含む。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含む。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含む。さらに、オリゴヌクレオチドプローブの末端へのデオキシアデノシン(dA)またはアデノシン(A)残基の付加は、ナノ細孔の通り抜けを助けることができる。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、プローブの5’末端または3’末端に少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのアデノシン残基(dAまたはA)を含むか、またはそれらを含む。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、プローブの3’末端に少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのアデノシン残基(dAまたはA)を含むか、またはそれを含む。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、プローブの5’末端に少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのアデノシン残基(dAまたはA)を含むか、またはそれを含む。ある特定の態様では、当該5’末端または3’末端アデノシン残基(dAまたはA)のうちの1つ以上は、核酸標的分子にハイブリダイズしない。
【0051】
残基のオスミル化、特に核酸標的分子に相補的または少なくとも部分的に相補的であるプローブの部分内でのオスミル化は、核酸標的分子とのハイブリダイゼーションを妨げる可能性がある。これを回避及び/またはハイブリダイゼーションを強化するために、オスミル化チミジン残基などのオスミル化ピリミジンを、オリゴヌクレオチドプローブ配列の非相補性領域(例えば、5’末端または3’末端)に位置付けること、及び/または核酸標的に相補的なプローブの領域内のチミジン残基を他のピリミジンと置き換えること、及びある特定の反応条件下で、チミジン残基が他のピリミジンよりも優先的にオスミル化され得るという事実を利用することが有用であり得る。
【0052】
ある特定の態様では、オスミル化プローブは、プローブの5’末端にも3’末端にも位置しない2つ以上の隣接するオスミル化ピリミジン残基を含まない。また、ある特定の態様では、オスミル化プローブは、プローブの5’末端にも3’末端にも位置しない2つ以上の隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含まない。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、プローブの5’または3’末端に位置する、少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化ピリミジン残基を含む。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、プローブの5’または3’末端に位置する2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化ピリミジン残基を含む。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、プローブの5’末端または3’末端に位置する、少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含む。ある特定の態様では、オスミル化プローブは、プローブの5’末端または3’末端に位置する2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含む。ある特定の態様では、当該5’末端または3’末端の隣接するピリミジン残基のうちの1つ以上は、核酸標的分子にハイブリダイズしない。ある特定の態様では、当該5’末端及び3’末端の隣接するピリミジン残基のいずれも、核酸標的分子にハイブリダイズしない。前述の態様のうちのある特定の態様では、隣接するオスミル化ピリミジン/チミジン残基は、プローブの5’末端に位置する。前述の態様のうちのある特定の態様では、隣接するオスミル化ピリミジン/チミジン残基は、プローブの3’末端に位置する。
【0053】
本明細書に開示されるように、ある特定の態様では、チミジン残基(T)は、他のピリミジンよりも優先的にオスミル化され得る。したがって、ある特定の態様では、オリゴヌクレオチドプローブ分子中のチミジン残基(T)の少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%がオスミル化され、ある特定の態様では、チミジン(T)以外のプローブ中に存在するピリミジンの少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%がオスミル化されていない。DNA残基チミジン(T)及びRNA残基ウリジン(U)は両方とも、アデノシン(A)に相補的である。ある特定の態様では、プローブはDNAであるが、5’末端または3’末端に位置する隣接するチミジン残基(T)以外の、プローブ配列中の少なくとも1つのチミジン残基(T)は、ウリジン(U)またはデオキシウリジン(dU)または2’-OMe-ウリジン(mU)残基に置き換えられている。ある特定の態様では、5’末端または3’末端に位置する隣接するチミジン残基(T)以外の、プローブ配列中のチミジン(T)残基の少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%は、ウリジン残基(U、dU、またはmU)に置き換えられている。結果として、チミジン(T)がウリジン(U)で置換されることにより、相補的核酸標的分子にハイブリダイズするが、プローブの3’末端または5’末端に隣接するオスミル化チミジンを含むプローブの領域に、任意のオスミル化チミジン残基(T)をあまり含まないか、または含まないオリゴヌクレオチドプローブが得られる。
【0054】
本開示の方法で使用するためのオスミル化オリゴヌクレオチドプローブの設計に組み込むことができる特徴の多くの組み合わせが存在する。1つの代表的な設計では、オスミル化プローブは、プローブの5’末端に位置する少なくとも2つ、3つ、または4つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含むか、またはそれを含み、プローブはDNAであるが、5’末端に位置する隣接するチミジン残基(T)以外の、プローブ配列中のチミジン残基(T)は、ウリジン残基(U、dU、またはmU)に置き換えられており、チミジン(T)以外の、プローブ中に存在するピリミジンの少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%は、オスミル化されていない。さらに、ある特定の態様では、核酸骨格内の糖のうちの少なくとも1つは、2’-OMe-デオキシリボースである。別の代表的な設計では、オスミル化プローブは、プローブの5’末端に位置する3つの隣接するオスミル化チミジン残基(T)を含み、プローブはDNAであるが、5’末端に位置する3つの隣接するチミジン残基(T)以外の、プローブ配列中のチミジン残基(T)は、ウリジン残基(U、dU、またはmU)に置き換えられており、チミジン(T)以外の、プローブ中に存在するすべてのピリミジンは、オスミル化されていない。さらに、ある特定の態様では、核酸骨格内の糖のうちの一部またはすべては、2’-OMe-デオキシリボースである。
【0055】
本明細書の他の箇所でより詳細に説明されるように、ある特定の態様では、オスミル化プローブは、置換または非置換の2,2’-ビピリジン及びOsO(オスミル化試薬)を含む水溶液をオリゴヌクレオチドと反応させて、2,2’-ビピリジン-OsOコンジュゲートプローブを形成することによって調製することができる。ある特定の態様では、コンジュゲートプローブは、過剰なオスミル化試薬から精製される。ある特定の態様では、溶液中の2,2’-ビピリジン/OsOの比は、等モルまたはほぼ等モルである。例えば、ある特定の態様では、溶液中の2,2’-ビピリジン/OsOの比は、約0.80/1.0、0.85/1.0、0.90/1.0、0.95/1.0、0.97/1.0、0.98/1.0、0.99/1.0、1.0/1.0、1.0/0.99、1.0/0.98、1.0/0.97、1.0/0.95、1.0/0.90、1.0/0.85、または1.0/0.80である。オスミル化プローブを調製する代替方法が存在し、想定される。例えば、ある特定の態様では、オスミル化プローブは、(dT(OsBp))オリゴの、プローブの5’末端または3’末端へのライゲーションによって調製され、ここで、nは、2、3、または4である。
【0056】
本明細書において、本開示の方法を行うための試薬を含むキットが提供される。ある特定の態様では、キットは、本開示のオスミル化プローブと、プローブにハイブリダイズすることができる対照核酸標的分子とを含む。ある特定の態様では、対照核酸標的は、ctDNA、cfDNA、miRNA、断片化コードRNA、または非コードRNAの核酸配列を含む。ある特定の態様では、非コードRNAは、約300塩基未満の長さである。
【0057】
また、本明細書において、ナノ細孔デバイスを用いた核酸標的分子の検出のための本開示のプローブの使用も提供され、核酸標的分子は、任意選択で、ctDNA、cfDNA、miRNA、断片化コードRNA、または非コードRNAである。ある特定の態様では、非コードRNAは、約300塩基未満の長さである。
【実施例
【0058】
材料及び方法
オリゴ及び他の試薬
カスタムメイドのRNAオリゴを、Dharmacon(Horizon Discovery Group)から購入した。カスタムメイドのデオキシオリゴを、Integrated DNA Technologies(IDT)から購入した。それらのオスミル化誘導体の配列及びUV/Vis特性を表1に列挙する。オリゴの純度は、HPLCによって試験され、典型的には、>85%であることが見出された。オリゴは、典型的には、Thermo Fisher Scientificからの、DEPC処理されていない、Ambionヌクレアーゼを含まない水で100または200μMのストック溶液に希釈し、-20℃で保存した。インタクトなオリゴ及びオスミル化オリゴの両方の分析からのHPLCプロファイルは、本明細書の他の箇所に含まれる。緩衝液DNaseを含まない及びRNAseを含まないTRIS.HCl1.0M pH8.0 UltrapureをInvitrogenから購入し、HPLC移動相を調製するために使用した。NaCl結晶ACS min 99.0%を、Alfa Aesarから得た。HPLC移動相の調製には、Alhambraからの蒸留水を使用した。4%四酸化オスミウム水溶液(各2mLのアンプル中0.1575MのOsO)を、Electron Microscopy Sciencesから購入した。2,2’-ビピリジン99+%(bipy)を、Acros Organicsから購入した。ヒト雄AB血漿由来のヒト血清及びNaOH 1Nバイオ試薬を、Sigmaから購入した。ss M13mp18、プライマーM13(fwd6097)、NEBuffer2.1、及びDNAポリメラーゼIのKlenow断片(3’~5エキソ)(M0212)は、New England Biolabs(Ipswich,MA,USA)から厚意で提供された。
【0059】
本開示のプローブを限定するものではないが、費用及び製品品質の考慮事項は、ほとんどの例示的な実験のためのプローブとして、RNAオリゴよりもDNAを選択することをもたらした。これらの実験は、プローブの設計を最適化して一般的な適用性を実現し、利用可能なナノ細孔システム(例えば、ONT/CsGgナノ細孔)によって適切に検出できるようにすることを中心に展開した。ある特定の態様では、一桁のアトモルレベルでmiRNA標的の同定に成功したプローブは、核酸標的分子に相補的または少なくとも部分的に相補的な配列、配列内のTを置き換える2’-OMeU(mU)、5’末端に3つの追加の隣接するT残基、及び3’末端に3つのdA残基を有する。オリゴをオスミル化して、分子当たり4~5つのOsBpタグを付加し、それらのうちの3つが5’末端を占め、他の1つまたは2つが配列内でランダムに割り当てられる。プローブの一方の末端に重度の混雑があるため、この例示的なプローブのトランスロケーション及び検出には、-210±10mVの範囲の印加電圧が必要であった。この特徴は、-210mVで診断実験を行う前に、-180mVでの非標的材料の枯渇を可能にするため、有利であった。プローブはまた、異なるナノ細孔プロファイルを示すプローブ設計を使用するときに多重化され得る。15%ヒト血清における予備実験は、プローブ及び得られるハイブリッドがそのような培地中で安定であることを示唆し、ナノ細孔プラットフォームを有するOsBpを使用して体液試料から短いDNA及びRNAを同定するための実現可能性を示す。
【0060】
実施例1
(ピリミジン)OsBpは発色団である
核酸の選択的標識は、品質管理のためのアッセイを必要とする。OsBpのC5-C6 Py二重結合への付加及びPy(OsBp)の形成により、300~320nmの波長範囲で新しい発色団が作成され(Kanavarioti,A.et al.(2012))、核酸はわずかな吸光度を示す。この観察は、デオキシオリゴトレーニングセットを使用して利用され、オスミル化の程度は、次の式を使用して測定され得ることを示した:R(312/272)=2×(オスミル化ピリミジンの数/ヌクレオチドの総nt)(Kanavarioti,A.et al.(2012))。値R(312/272)は、272nmで観察されたピーク吸光度に対する312nmで観察されたピーク吸光度の比である(ピーク形状は、鋭い、または幅広い、または複数のピークであり得る)(Kanavarioti,A.(2016))。効果を最大化し、異なるピリミジンによる寄与を均等化するために、波長312nm及び272nmを選択した(Kanavarioti,A.(2016))。272nmでの吸光度は、インタクトな核酸またはオスミル化核酸のいずれかについて、実質的に260nmの吸光度の約75%である。312nmでの吸光度の代わりに比Rを使用することで、測定を正規化し、器具サンプリングの変動を最小限に抑える。
【0061】
オリゴトレーニングセットを用いて実験することによって推定されるように、観察された値R(312/272)=2×(ピリミジンの数/ヌクレオチド総数)の場合、オスミル化は、実質的に100%完了し、すべてのピリミジンは、1つのOsBp部分を担持する(Kanavarioti,A.et al.(2012)、Kanavarioti,A.(2016))。観察されたR(312/272)<2×(ピリミジンの数/ヌクレオチド総数)の場合、オスミル化は部分的であり、オスミル化ピリミジンまたはOsBp部分の数は、同じ方程式に基づいて計算され得る(表1を参照)。部分的オスミル化では、方程式から得られる数は、平均して、OsBp部分を指す。分子は、整数数のOsBp部分を担持し、したがって、いくつかの分子は、より少ない量を有し、いくつかの分子は、算出値を超える値が統計的に偏りのない様式で分布している。オスミル化はランダムに起こるが、ピリミジンに対するOsBpの相対反応性に依存することが示されている。オスミル化に対する相対反応性は、デオキシリボオリゴT/dC=28、dU/dC=3.75、したがってT/dU=7.5(Ding,Y.&Kanavarioti,(2016))を使用し、かつリボオリゴU/C=4.7及び5-MeU/C=44を使用して、水中で26℃での動力学的測定によって決定され、したがって、5-MeU/U=9.3であり、5-MeUは、Tと同一の核酸塩基を担持する(Kanavarioti,A.(2016))。Tに対するOsBpの反応性が著しく高いため、dUまたはU及びdCまたはCと比較して、条件は、すべてのTを実質的に100%オスミル化することが見出され、一方、いくつかのdU及び非常に少ないdCがオスミル化される(Kanavarioti,A.et al.(2012))。この劇的に高い反応性は、プローブの5’末端に3つのTを付加し、配列中のTをdUまたはmUに置き換え、以下に詳述するように製造プロセスを最適化することによって利用された。
【0062】
実施例2
OsBp核酸の製造
OsBp試薬は、20mLのシンチレーションバイアルで15.7mMのbipy(49.2mg)当量を量り、18mLの水を添加し、bipyが溶解するまで室温で撹拌し、続いてアンプルに供給された2mLの4%OsO溶液の全含有量を移すことによって調製した。OsO(プロトコルa、b、c、及びd)の添加前に水中でbipyを溶解すると、OsO(プロトコルo)の添加後にbipyを溶解することと比較して、より一貫した強力な調製がもたらされる。転送は、安全フード内でガラスピペットを使用して行った(MSDS及び情報は、UCLA化学学部への次のリンクから入手される。https://www.chemistry.ucla.edu/sites/default/files/safety/sop/SOP_Osmium_Tetroxide.pdfを参照)。得られた溶液は、水性20mLの15.75mM OsBp(0.4%)ストック溶液(OsO及びbipy中の等モル)である。OsBpストック溶液の濃度は、水中のbipyの溶解度によって制限され、複合体が低い会合定数を有するため、OsOを添加してもそれを増加させない。OsBp複合体は、CE(Kanavarioti,A.et al.(2012))によって測定されるように、合計のおおよそ5%を表す。この調製及びOsBpを使用した任意の他の作業は、換気の良い場所のストッパー付きガラス製バイアル中で実施されるように注意する必要がある。OsO及び/またはOsBpの残留溶液をトウモロコシ油と混合して、未反応のOsOを中和し、特定の地域の規制に基づいて適切に廃棄することができる(MSDS及び情報は、UCLA化学学部への次のリンクから入手される。https://www.chemistry.ucla.edu/sites/default/files/safety/sop/SOP_Osmium_Tetroxide.pdfを参照)。調製したばかりのOsBpストック溶液をHPLCバイアルに分注し、-20℃で保管した。各バイアルは、4℃で保管され、効力を失うことなく1ヶ月間使用され得る。典型的なピペット先端は、OsBp標識された核酸の製造に使用され得る。OsBpストック溶液は、既知の反応を実行することによって、最初の使用前に検証する必要がある。オスミル化反応では、モノマー当量中の反応性ピリミジンよりも20倍過剰のOsBpを使用して、擬似一次速度論を確実にし、プロトコルの使用の成功を保証した。製造条件、すなわち、OsBp濃度及び標識持続時間は、Tの存在、ならびにTのみのすべてのピリミジン、またはDNA中のdC及びdUのほんの一部、ならびにRNA中のC及びUのほんの一部をオスミル化することの所望の結果に応じて著しく変化する。本研究の目的のため、T-オスミル化が必要な場合はプロトコルbを推奨し、U及びCの部分的オスミル化が必要な場合はプロトコルcまたはプロトコルdを推奨する。これらの選択は、表1に特定されるように、追加のプロトコル(o及びa)を試験することによって促進された。オスミル化反応のクエンチングは、精製時に発生する。過剰なOsBpからの精製は、スピンカラム(TrimGen CorporationからのTC-100FC)を製造元の取扱説明書に従って行った。簡単に言えば、スピンカラムに製造元の独自の溶液を充填し、4,000rpmで4分間遠心分離し、得られた溶液及び微量遠心管を廃棄する。次いで、40~120μLのオスミル化反応混合物をスピンカラムに移し、きれいな微量遠心管を使用して4,000rpmで4分間遠心分離する。遠心した溶液は、精製されたオスミル化オリゴである。この精製方法は、試料の体積/濃度を保持し、オリゴの100%近くの回収を達成する。
【0063】
チミジン(T)-オスミル化の推奨プロトコルbは、水中の2.6mM OsBpで室温で30±2分間インキュベートすることである(bの下の表を参照)。dTを担持しないプローブの部分的なU-及びC-オスミル化のための推奨プロトコルは、水中の3.9mM OsBpで室温で30±2分(cの下の表1を参照)または5.2mM OsBpプロトコルで30±2分(dの下の表1を参照)である。追加の2つのプロトコルを試験したが、これらはあまり最適でないことが判明した。OsO添加前にbipyを水に溶解せず、2.6mM OsBpで40分間のインキュベーション(oの下の表1を参照)を使用したプロトコル、及び2.6mM OsBpで45分間のインキュベーションを使用したプロトコル(aの下の表1を参照)。2’-OMe基の存在は、約50%の2’-OMe塩基を担持する100nt RNA及び100nt RNA(2’-OMe)についての同等のオスミル化程度によって見られるように、オスミル化の程度に著しく影響を及ぼさない。オスミル化の程度は、図14に見られるように、オリゴ中のUの数によって影響され得る。これは、dUに対するOsBpの反応性は、dCに対する反応性と比較して3.75倍高く、Uに対するOsBpの反応性は、Cに対する反応性と比較して4.7倍高いからである。なぜなら、オスミル化プロトコルがdU(OsBp)の完了に至らないからであるか、またはmU(OsBp)がdC(OsBp)よりも動力学的に好ましく、U(OsBp)がC(OsBp)よりも好ましいからである。プロトコルbでは、他のピリミジンのオスミル化は、T-オスミル化と比較してわずかであるが、プロトコルcでは、U、dU、mU及びdCに対するオスミル化の程度は測定可能である。図14は、OsBp部分の数と、22nt~100ntのオリゴにまたがるオリゴ中に存在するUの数との間の線形相関を示差する。グラフの傾斜=0.43を使用して、シーケンス中のUの数に基づいて、任意のオリゴのプロトコルcでのオスミル化の程度を推定することができる。
【0064】
120μLのガラスインサートを取り付けた2mLのHPLCバイアルを使用して、製造反応を行った。これらのインサートから反応生成物を除去し、それを精製スピンカラムに移すには、長くて狭い20μLのピペット先端が必要である。オスミル化核酸は、対応する核酸と同様に安定であり、OsBp標識は、非反応性である。それらは、1.5mLの微量遠心管中で、-20℃で長年にわたり保管することができる。2.6、3.9及び5.2mMの濃度は、それぞれ、15.75mMのOsBpストック溶液の1/6、1/4及び1/3希釈液に対応する。これら2つのプロトコルからの逸脱は、表に含まれ、プロトコルo及びaとして識別される。dmiR21(OMe)などの任意のTを含まないプローブを用いてより高い程度のオスミル化を達成し、それを検出可能なプローブとするために、追加のプロトコル(d)を使用した(図21Aの簡単な説明を参照)。
【0065】
実施例3
酵素伸長反応
DNAポリメラーゼがオスミル化プライマーを伸長する能力を、未修飾及びオスミル化オリゴヌクレオチドにアニールされたssM13mp18を使用してインビトロで調べた。ssM13mp18を42nMの濃度で、NEBuffer2.1(New England Biolabs)中の0.42μMプライマーと混合した。試料を90℃に30秒間加熱し、0.1℃/秒で25℃に冷却した。重合反応は、これらのアニールされた複合体(8.4nMのssM13mp18)、1.25X NEBuffer2.1、各0.25mMのdGTP、dATP、及びdTTP、0.025mMのα-[32P]dCTP、ならびに7.7U/mlのDNAポリメラーゼIのKlenow断片(3’-5’エキソ-)を含有した(NEB、M0212)。反応物を37℃でインキュベートし、標識されたdCMPの組込みを、酸沈殿アッセイによってモニタリングした。時点は、5分、10分、及び20分で取った。
【0066】
図3Aに見られるように、オリゴヌクレオチドが添加されなかった場合、またはオリゴヌクレオチドであるプライマーM13rev(-48)がssM13mp18に相補的でなかった場合、組込みは注目されなかった。対照的に、DNAテンプレートにアニーリングすると予測されたほとんどのオリゴヌクレオチドは、オスミル化した場合でも、M13mp18DNAテンプレート上での約1ラウンドの複製に対応する最大の組込みで、堅牢な組込みをもたらした。M13(fwd6097)、BJ2、BJ3、及びBJ4について言及される組込みは、BJ3及びBJ4内の内部単一塩基のミスマッチにもかかわらず、同等であった(表1の配列を参照)。BJ2、BJ3及びBJ4の全体的な同等のオスミル化レベルにもかかわらず、BJ1の組込みレベルは、おそらく末端3’-T(OsBp)残基にOsBpが存在することに起因して、著しく低いことが注目された。BJ1をM13(fwd6097)と混合した対照実験は、BJ1との低い組込みの原因としての可溶性阻害剤を考慮に入れずに完全な組込みを示した(データ図示せず)。
【0067】
実施例4
HPLC法
オリゴ純度を評価するHPLC法を開発し、ここでは、表1に列挙されたオリゴの純度を評価するために使用した。この方法を最適化し、混合物中の2つのオリゴ間のハイブリダイゼーションを評価するために使用した。この方法の検証は、ハイブリダイズすることが知られているインタクトなオリゴの1:1混合物を使用して実施した(図3B及び図10Aを参照)。分析は、サーモスタット付きオートサンプラーを使用して自動的に実施した。UV-vis領域200~450nm内のダイオードアレイ検出器(DAD)を使用して、HPLCピークを検出し、同定した。クロマトグラムを、260、272、及び312nmで記録し、ここで選択的に報告した。試料をRNAseを含まない水で調製したが、緩衝液は調製しなかった。
【0068】
HPLC分析には、バイナリポンプを装備したAgilent1100/1200LC HPLC、ダイオードアレイ検出器(DAD)、1290Infinityオートサンプラー/サーモスタット、及びデータ取得及び処理のためのChemstationソフトウェアRev.B.04.01SP1を使用した。試料分析には、ThermoFisher Scientific(Dionex)からのIEX HPLCカラムDNAPac PA200を2×250mm構成で使用した。機器及びカラムの性能は、研究試料の分析前及び後に、毎回標準を使用して適格性を確認した。HPLC法は、pH8での水性ONT緩衝液中おおよそ90%の試料、及び35℃でのカラムサーモスタットにおけるハイブリダイゼーションを評価するために開発された。このHPLC法(HPLC法Bとして識別される)は、0.45mL/分の流量を有するDNAPac PA200カラム、移動相A(MPA)水性25mM TRIS.HCl pH8緩衝液、25mM TRIS.HCl pH8緩衝液中の移動相B(MPB)水性1.5M NaCl、20分で10%MPBから50%MPBへの勾配、ならびに洗浄及び初期条件、すなわち90%MPAへの平衡のための追加の10分を使用する。フローセルの温度を模倣するために、カラム温度を35℃に設定した。100nt RNAを含めるために、クロマトグラフィーをHPLC法Cに修飾した。具体的には、勾配をより急勾配にし、20分で10%MPBから75%MPBにし、他はすべてそのままにした。おおよそ中性のpHのために、長い100nt RNAは、混合物に似た広いピークとして溶出する。これは、水性pH8が、先に報告されたように、長いRNAの様々なコンフォメーションを変性させないからである(Kanavarioti,A.(2019))。ONT緩衝液は、このクロマトグラフィーにおいて空隙体積中で溶出し、試料の分析に干渉しないUV-Vis成分を有する。試料注入量は、典型的には5μLであり、10μLを超えなかった。ハイブリダイゼーション試験は、ONT緩衝液中の試料または錯化を好む任意の他の培地と併せて使用することができる。オリゴ及びそれらのオスミル化誘導体のうちのいくつかを、HPLC法Aとして特定された方法を使用して分析したが、これは、オリゴ純度分析(Kanavarioti,A.(2019))に推奨されているが、ハイブリダイゼーションを試験するのには適していない。HPLC法Aは、0.45mL/分の流量を有するDNAPac PA200カラム、及び30℃のカラム温度を使用する。0.01N NaOHを含む移動相A(MPA)水性pH12.0±0.2、0.01N NaOHを含むpH12.0±0.2中の移動相B(MPB)水性1.5M NaCl、12分で20%MPBから95%MPBへの勾配、ならびに洗浄及び初期条件、すなわち80%MPAへの平衡のための追加の8分。
【0069】
実施例5
MinIONまたはFlongle(ONTプラットフォーム)においてCsGgナノ細孔を用いた単一分子イオンチャネルコンダクタンス実験
ONT指示に従って、必要に応じて、フローセルから気泡を除去するか、貯蔵溶液をONTフラッシュ緩衝液でフラッシュするか、試料を添加するか、またはフローセルを保管した。MinION(75μL試料)及びFlongle(30μL試料)の取扱説明書は、ONTウェブサイト上で見出されるプロトコルから入手する。Flongleフローセルにはアダプターが必要であるが、MinIONフローセルと同じデバイスで動作する。ナノ細孔実験を実行するためのソフトウェアMINKNOWは、これらの実験に使用されるMacBook Proラップトップにダウンロードした。フローセルを試験し、実験を実行するために必要なすべての機能は、MINKNOWソフトウェアツールを介して行われる。生データファイルをfast-5形式で取得し、次いでOsBp_detectソフトウェアによって分析した。実験用のfast-5ファイルのサイズは、フローセル及び実験期間に依存し、1.5~6GBの間で変化する。Fast-5ファイルは、実験が完了すると、MatLab(Mathworksから)2D形式で直接視覚化することができる。MINKNOWは、任意の選択したチャンネルを最大10チャンネルまでリアルタイムで監視することができるため、i-t録画を見るために実験が行われるのを待つ必要はない。
【0070】
追加された試料は、タグ付けされていないオリゴ、オスミル化オリゴ、またはそれらの混合物のいずれかであった。濃度は、典型的には、ONT緩衝液の80%以上において10μM以下のオリゴであった。ライブラリは調製されず、処理酵素も添加されなかったため、ここで報告されたすべてのトランスロケーションは、非支援電圧駆動型である。実験は1.5時間以上続かなかったが、同じ実験を停止し、後で、または新しい試料を追加せずに翌日に再開することによって延長することができた。1日当たり4時間を超えて同じフローセルを実行することを回避し、フローセルをONT緩衝液中で一時的に保管した。新しい試料を実行する前に、フローセルを緩衝液で洗浄することは、次の実験の直前に行った。ほとんどの場合、最初の実験は、フローセルのベースラインを評価するための「緩衝液試験」であった。フローセルのナノ細孔が我々の実験条件下で15時間を超えて続かなかったため、緩衝液試験の持続時間は可能な限り短く保たれた。ONTプロトコルに従って、オープンポアイオン電流(I)を一定に保つ試みにおいて、印加電圧を5作業時間ごとに約10mV上昇させた。これが、互いに比較された実験が一見異なる印加電圧で行われる理由である。MinIONフローセルは、2000個以上のナノ細孔を有するが、同時に監視されるのは512個のみである。フローセルの最初のいくつかの実験中、ナノ細孔は不活性になるが、新しい作用ナノ細孔に置き換えられる。したがって、最初の4~5回の実験は、実質的に同じ数の細孔で行われる。その後、作用ナノ細孔の数は、毎時5~10%減少する。作用ナノ細孔のほとんどは、最低から最高まで5倍以内で同等の数の事象を示したが、わずかな割合で逸脱し、著しく高い事象数を記録したことは注目に値する。これらの細孔は「外れ値」と呼ばれ、ナノ細孔のおおよそ2.5%が外れ値であると推定された。ここで提示されているデータの分析には、すべてのチャネルが含まれる。すべての実験の追加分析は、外れ値を除外することによって行われ、実際のカウントが異なるにもかかわらず、傾向及び結論は、ここで提示されたものと同一である。
【0071】
実施例6
事象検出アルゴリズム-OsBp_detect
yを、単一のナノ細孔から得られた典型的な時系列を表す実数値の順序付きシーケンスとする。我々は、yの領域を2つの状態のうちの1つに分類する:オープンチャネルからの電流、I(ナノ細孔が占有されていない)、及びいくつかのトランスロケーション事象が起こっているときの残留電流、I。OsBpタグ付きオリゴヌクレオチドに対応する単一のトランスロケーション事象のハイスループット特徴付けのために、我々は、ユーザが定義した閾値に基づいて、目的のすべての事象のy内の開始位置及び終了位置を決定することができるセグメンテーションアルゴリズムを提案する。分析パイプラインは、次の3つの工程に分けられる。
1.ベースライン電流推定
2.潜在的な候補事象の特定
3.事象の特徴に基づく事象フィルタリング
【0072】
最初に、ベースラインI、bは、オープン電流の推定下限と上限{olow、oup}との間のシグナル値の中央値を取ることによって確立する:b=med({i:i∈y,olow<i<oup})。
【0073】
信号ノイズは、使用されるナノ細孔プラットフォームに依存するが、オスミウムタグ付けされたオリゴからのI状態とI状態との間の急激な遷移は、事象検出パイプラインのための単一の閾値ベースのパーサーの使用を可能にする。このアプローチを使用すると、事象は、それらがローカルベースラインレベルから離れた設定閾値を超えた場合に識別される。閾値は、パラメータballによって定義され、可能な限り多くのトランスロケーション事象を捕捉するのに十分な低さでなければならない。デフォルトでは、ball=b・(1-(10・σ/b))であり、式中、σは、開放電流の信号ノイズを表す。ノイズ定数σは、yを小さなセグメント(使用されるセグメントサイズ、n=100,000)に分割し、開放電流信号値σ({i:i∈y,olow<i<oup})の全体的標準偏差を計算することによって決定される。追加として、σ値は、不安定なベースラインを有する細孔またはブロックされた細孔を検出するための有用な品質管理メトリックを提供する。
【0074】
最後に、有効なトランスロケーション事象の認定のために、2つのフィルタリング条件を識別された事象に適用した。フィルターは、パラメータ{tmin,tmax}によって定義される最小及び最大事象長、ならびに最小残留電流の範囲{bmin,bmax}に対応し、bに関する比率として表される。事象長の閾値{tmin,tmax}は、トランスロケーションの速度を監視するように調整することができるが、{bmin,bmax}は、OsBpタグ付き及びタグなしオリゴ種の分離を可能にする。τ及びτは、y内の任意の所与の事象の開始インデックス及び終了インデックスを表す。yτ1:τ2が潜在的なOsBpトランスロケーション事象として分類されるためには、以下の条件の両方が保持されなければならない。
事象検出パイプラインは、Pythonライブラリ、‘osbp_detect’として利用可能である。クロスプラットフォームのグラフィカルユーザインターフェイスが含まれており、ONTバルクfast5ファイルからのトランスロケーション事象の直接レポートを可能にする(https://github.com/kangaroo96/osbp_detect)。
【0075】
【表1】
【0076】
結果及び考察
この研究で使用された材料は、すべて最高純度の合成オリゴであり、表1に列挙されている。オスミル化プロトコルは、我々が開発した。インタクトな核酸及びオスミル化核酸を、検証されたHPLC法(Kanavarioti,A.(2019))によって社内でさらに特徴付けた。ナノ細孔実験は、フローセルのプライミング、試料の追加、電圧の選択、及び生のi-tトレースの取得方法に関する会社の指示に加えて、ONTデバイス及びONTが供給するフラッシュ緩衝液(ONT緩衝液または緩衝液)を使用して実施した。試料ライブラリは調製されず、酵素補助は利用されなかった。特に断りのない限り、試料を90~95%ONT緩衝液中で調製した。ここで報告されたナノ細孔実験は、34~35℃の範囲のファクトリープリセット、フローセル温度で実施された。すべてのチャネルの生のi-tトレース(fast5ファイル)を捕捉し、OsBp_detectソフトウェアを使用して分析した(Kanavarioti,A.,&Kang,A.公共リポジトリ:https://github.com/kangaroo96/osbp_detectにおけるRNA(OsBp)事象検出Pythonパッケージを参照、また段階的インストール手順については、https://github.com/kangaroo96/osbp_detect/blob/master/instructions.mdを参照。出力、tsvファイルは、Microsoft Excelを使用して読み取る。これは、各チャネルのI値、ならびに選択された事象、及びI/Iが計算されるそれらのI値を列挙する。また、各事象の開始時刻及び終了時刻をデータ時点で列挙する(図8-1、図8-2)。目的の事象を選択するために、OsBp_detectは、パラメータの手動設定を可能にする(Kanavarioti,A.,&Kang,A.公共リポジトリ:https://github.com/kangaroo96/osbp_detectにおけるRNA(OsBp)事象検出Pythonパッケージを参照、また段階的インストール手順については、https://github.com/kangaroo96/osbp_detect/blob/master/instructions.mdを参照。ここでは、滞留時間4≦τ≦300データ時点または同等の1.3≦τ≦100ms、及びわずかな残留イオン電流I/I≦0.55の事象を選択した(図1B)。図2図4図5図6、及び図7は、0.05binを使用するI/Iの関数としての事象のカウント(カウントまたは事象として省略される)のヒストグラムを提示する。
【0077】
Flongleフローセルを使用したナノ細孔実験
図2は、Flongleフローセルを利用した結果を示す。図2Aは、ハイブリッドを観察する最初の試みであった。MinIONフローセルを用いた初期の研究から、T8、9個のピリミジン及び合計8個のOsBpタグを有する32nt RNA(表1の配列を参照)は、通り抜けるために高電圧を必要とし、複数のトランスロケーション事象を示し、
で最大カウントを示すイオン電流を重度に妨害することが知られていた。実験を繰り返すことは、MinIONに関する以前の作業を実質的に複製した(Sultan M.,Kanavarioti,A.(2019))。完全な補体ではないが、d(CT)10は、T8と、8つのGC対を含む20ntのうち16を塩基対にすることができるため、d(TC)10を使用してds複合体を形成した。プローブT8を用いた実験は、平均してチャネル当たり400事象を示したが、プローブT8及びd(CT)10の1:1混合物を用いた実験は、いくつかのチャネルについてはチャネル当たり50事象未満をもたらし、残りについては事象は報告されなかった(図9)。図2Bは、miRNA122の同定のための試験を示す(Li,X-D.et al.(2017))。ここで使用されるプローブは、miRNA122の正確なデオキシ補体であるdmiR122であり、4T(OsBp)を担持する(表1を参照)。プローブdmiR122を有する試料は、単独で多数のカウントを示したが、このプローブとmiRNA122との近似等モル混合物を有する試料は、著しく少ないカウントを示した。miRNA21(Thum,T.et al.(2008)、Lai,J.Y.et al.(2017)、Fulci,V.et al.(2007)、Wang,Y.et al.(2020))及びmiRNA140(Li,X-D.et al.(2017))から構成される、miRNA負荷が4倍高い第3の試料もまた、プローブ試料と比較して少ないカウントを示した。後者は、miRNAの複合体混合物における標的の同定が妥当であることを示唆する。これら及び他の実験は、図1Dに提示される概念の実現可能性を実証した。それらはまた、標的及びプローブの両方が、RNAまたはDNAのいずれかであり得ることを明らかにし、その違いは、プローブが、オスミル化オリゴである一方で、標的は、オスミル化オリゴではないことである。更なる焦点は、RNAオリゴと比較してコストが低く、合成生成物の品質が高いため、DNAオリゴであるプローブに当てられた。
【0078】
標的とそのプローブとの間のハイブリダイゼーションを試験するための代替方法
オスミル化核酸とそれらのDNAまたはRNA標的との間のハイブリダイゼーションを試験するために、独立した手段を求めた。部分的にオスミル化されたテンプレートssM13mp18を使用した未修飾プライマーの酵素DNAポリメラーゼ伸長は、ハイブリダイゼーションのための支援を得る最初の試みであったが、プライマーの伸長は検出できなかった(データ図示せず)。次いで、未修飾ssM13mp18をテンプレートとして試験し、30nt長さの相補的T(OsBp)プライマー、BJ1、BJ2、BJ3、及びBJ4を使用した(表1及び図11及び図13を参照)。BJ1は、3’末端でプライマーM13for(-20)と同一の配列を担持し、5’末端で13nt伸長される。BJ2は、3’末端でプライマーM13for(-41)と同一の配列を担持し、5’末端で6nt伸長される。BJ3及びBJ4は、配列の中央における1つのミスマッチを除いて、BJ2と同一の配列を有する。BJ2、BJ3、及びBJ4は、それぞれ6、5、及び7つのT(OsBp)塩基を担持していたが(表1を参照)、それらはすべて成功裏に伸長した(図3A)ことから、T(OsBp)は、インタクトなssM13mp18とプローブとの間の1:1のハイブリダイゼーションを禁止しなかったことが示唆される。対照的に、6つのT(OsBp)を有するBJ1は、おそらく3’末端にT(OsBp)塩基が存在し、酵素がそれにヌクレオチドを付加することができないことに起因して、伸長しなかった(図3A)。BJ1との伸長が依然として不在であることは、ハイブリダイゼーションの不在を必ずしも意味するものではない。
【0079】
これらの伸長実験は、ナノ細孔実験に使用されたものよりもはるかに低いと推定される塩濃度で行われ、それらはssM13mp18に限定され、既知のプライマーと同一の配列を有するプローブの使用に限定された。ハイブリダイゼーション試験をmiRNA及び任意のDNA/RNAオリゴに拡張するために、我々は、本明細書の他の箇所に記載されるようなHPLC法を開発した。このHPLC法は、以下の修正を伴って、オリゴ純度を試験するために使用されるHPLC法に基づいている。それは、(i)試料溶媒としてのONT緩衝液、及び(ii)35℃のHPLCカラム温度を使用して、ONT動作フローセルの温度を模倣する。HPLCカラムパッキングはハイブリダイゼーションを妨げる可能性があり、したがって、すべてのHPLCベースの結果は純粋に示唆的であることに留意されたい。とは言え、HPLCの結果とナノ細孔実験が互いに矛盾する例は観察されなかった。ハイブリダイゼーションを確認するには、3つの別個の試料のHPLC分析が必要である。これら3つの試料は、(i)プローブ、(ii)核酸標的分子、及び(iii)推定されたハイブリッドを含む2つの成分の1:1混合物を含む試料を含有する(図3B~3Dを参照)。ハイブリダイゼーションの不在は、2つの構成要素のHPLCプロファイルの「合計」と密接に重複する混合物試料のHPLCプロファイルと一致する(図3C)。ハイブリダイゼーションの証拠は、標的及びプローブのピークからよく分解され、典型的にはプローブまたは標的のいずれかより1~1.5分遅れて溶出するハイブリッドピークと一致する。加えて、プローブ及びハイブリッドピークは、OsBpタグの存在により、312nmで吸光度を示すが、標的ピークはそうではない。1:1混合物試料を、プローブが過剰になることを防止するために、わずかに過剰な標的を用いて意図的に調製した。このため、多くのHPLCクロマトグラムにおいて、ハイブリッド試料の分析は、ハイブリッドに起因する大きなピークに加えて、標的に起因するより小さなピークを含む。
【0080】
図3Bは、両方のオリゴが未修飾核酸である試料のHPLCクロマトグラムを示す。ここで、1:1混合物を有する試料のHPLCプロファイルは、上記の特徴に基づいて、強いハイブリダイゼーションと一致する。図3Dは、図3BのHPLC分析の繰り返しであり、BJ2は、現在オスミル化されており、それはプローブである。図3Dにおける1:1混合物の対応するHPLCプロファイルはまた、強いハイブリダイゼーションと一致する。同じHPLC法は、miRNA21及びプローブ21EXT(表1を参照)がハイブリダイズしないことを示した(図3C)。図3Cにおけるハイブリダイゼーションの不在は、プローブの配列内に存在する比較的多数のOsBp部分(合計8dT、21nt配列内に5dTが見出される)に起因する。追加のハイブリダイゼーション試験により、プローブ上の多数のOsBp部分の存在下でds複合体形成が禁止されるという仮説が確認された(図10を参照)。分子中のOsBp部分の数に加えて、実際の位置も重要である。BJ1~4プローブで見られるように、比較的多数のT(OsBp)にもかかわらず、ハイブリダイゼーションは依然として強力である。これは、これらのタグが配列の小さな領域を占め、標的との二本鎖形成のために利用可能な2つのむしろ長い部分配列を残すためである可能性が最も高い。
【0081】
ハイブリダイゼーションは、DNAオリゴ標的の存在下でプローブをサイレンシングする。
図2の実験を、5μM範囲のプローブ、標的、及びハイブリッド濃度を使用して実施した。MinION及びFlongleフローセルの試料サイズは75μL対30μLであるため、5μMの濃度は、それぞれ、おおよそ0.38対0.15nmoleの試料負荷に相当する。HPLC注入量は、典型的にはフローセル試料サイズと同じではないため、ナノ細孔実験の試料負荷は、HPLC分析の試料負荷と同じではないことに言及する価値がある。図4Aは、5つのT(OsBp)を有するプローブBJ1及びその標的である相補的プライマーM13for(-20)を使用した、上記のHPLCハイブリダイゼーション試験を示す。図4Bに示されるナノ細孔実験のために、プローブ及びハイブリッドの試料をそのまま使用した。我々は、3’末端におけるT(OsBp)塩基の存在に起因して、プローブBJ1が、ssM13mp18をテンプレートとして使用して酵素的に伸長されなかったことに留意する。図4において、ハイブリダイゼーションは、プローブ試料で報告されたカウントと比較して、ハイブリッド試料について報告されたカウント数の大幅な減少によって示されるように、HPLC分析及びナノ細孔実験の両方によって文書化される。この効果は、(I/Imaxに対して劇的であり、I/I範囲の残りの部分に対しては明確に検出可能である。
【0082】
印加電圧は重要なパラメータである
図4Bは、-180mVの印加電圧でプローブBJ1を試験することにより、非常に低いカウントが示されることを示し、-180mVでのプローブトランスロケーションが非効率であることを示唆する。新しい試料を添加せずに、電圧を-220mVに上昇させると、-180mVで得られたカウントと比較して劇的に多くのカウントが得られた。図11は、プローブBJ2及びBJ4がBJ1と同じパターンに従うことを示す。この観察は、プローブ内の隣接するdT(OsBp)の存在に起因し、dT(OsBp)が、すべての試験されたピリミジンの中で、最も低く観察された(I/Imaxを示すという概念は、重度の混雑の強い指標である。隣接するOsBp部分の重度の混雑は、RNA及びMinION/CsGg(Sultan M.,Kanavarioti,A.(2019))、ならびにDNA及びα-溶血素ナノ細孔(Ding,Y.&Kanavarioti,A(2016))を使用する初期の研究から結論された。プローブはデオキシオリゴであり、配列にいくつかのT塩基を含むため、立体障害が複合される。標識された核酸は、印加電圧降下によって導かれたCsGg細孔に近づくことができるが、細孔を通り抜けるためには、一定の最小電圧が必要である。複数の実験により、独自のCsGgナノ細孔を介した我々のプローブの大部分の効率的なトランスロケーションのための印加電圧は、-210±10mVの範囲にあることが示唆された。プローブによる観察とは対照的に、インタクトなDNAオリゴは、わずかなカウントを示し(Ding,Y.&Kanavarioti,A.(2016)、Sultan M.,Kanavarioti,A.(2019))、標的/未修飾のmiRNAは、漸増する電圧の関数としてわずかな減少傾向で測定可能なカウントを示す(図13)。これは、デバイスの取得速度が1ms当たり3データポイントで一定のままであるため、電圧の増加により、より高速なトランスロケーションがもたらされ、また順に、より高速なトランスロケーションにより事象の不在がもたらされるという期待と一致している。天然RNAを有するカウントを検出可能にするために、総負荷は、最高のプローブ負荷よりも4倍高かった。我々の経験では、-180mVと比較して-220mVで長く持続しなかったタンパク質細孔を保護するために、-220mVより高い電圧での実験は実施しなかった。我々のプローブが実質的に-180mVでCsGg細孔を通り抜けないという観察は、診断試験の利点である。これは、-180mVで過剰な非標的核酸から試料を枯渇させる機会を提供し、次いで、新しい試料を添加することなく、複雑でないプローブの存在を検出する、または検出しないために-220mVに電圧を上昇させる。
【0083】
高度に検出可能なプローブの一般的な設計
配列の中央にT(OsBp)部分が存在することは、多くの潜在的なctDNA、またはmiRNA標的によって共有される特徴ではない。したがって、高度なプローブは、配列中のすべてのdTをdUに置き換え、一部またはすべての塩基を2’-OMeとして修飾し、5’末端に3つの隣接するdT(OsBp)を付加し、場合によっては3’末端に3つの追加のdAを付加することによって設計された。3’末端におけるdAの付加は、細孔侵入を容易にするために一般的に使用される(Kasianowicz,J.J.,Brandin,E.,Branton,D.&Deamer,D.W.(1996)、Butler,T.Z.,Gundlach,J.H.&Troll,M.(2007)、Maglia,G.,Heron,A.J.,Stoddart,D.,Japrung,D.&Bayley,H.(2010))。DNA塩基を2’-OMe塩基に置き換えることは、より強いハイブリダイゼーションをもたらすことが報告されている(Majlessi,M.,Nelson N.C.&Becker,M.M.(1998))。すべてのdTをdUに置き換えることは、配列内のOsBpの存在が最小限であることを保証する。これにより、配列内のOsBp部分の可能な最小数がもたらされ、標的との最も妨害されないハイブリダイゼーションがもたらされる。BJ1~4プローブの初期の実験によって示されるように、5’末端に3つの隣接するdTを付加すると、-180mVの印加電圧ではプローブを検出できず、-220mVの印加電圧では高度に検出可能になる。次いで、このプローブ設計は、超低標的負荷を有するナノ細孔実験において利用された。
【0084】
BJ2 TA(OMe)は、上記の特徴を有するように設計されたプローブである(表1の配列)。プローブBJ2 TA(OMe)と相補的プライマーM13for(-41)との間のハイブリダイゼーションを、5μMの濃度範囲でHPLCによって試験した(図4C)。図4Cは、プローブ及びハイブリッド試料のHPLC分析を提示する。ハイブリッド試料中の標的ピークは、プローブ上で約10%過剰であるため、容易に識別される。272nm及び312nmの両方の波長におけるHPLCプロファイルを示す。これらのプロファイルの綿密な検査は、ハイブリッドピークが、プローブにおける対応する寄与と比較して、312nmでの寄与の約半分を有することを示す。これは、ハイブリッドの半分がプローブであり、半分が未修飾標的であるという予想と一致する。HPLCによって試験された実際の試料をONT緩衝液で希釈して、ナノ細孔によって試験された試料を生成した。この研究におけるこの希釈及びすべての希釈は、0.5mLの微量遠心管中のONT緩衝液を用いた連続した1:10希釈によって行われた。プローブBJ2 TA(OMe)を用いたナノ細孔実験は、HPLC試料と比較して1000倍の希釈、すなわち、0.38pmoleのプローブ負荷で行った。ハイブリッドを用いた対応する実験は、3.75pmoleで、すなわち、10倍高いハイブリッド負荷で実施した。高ハイブリッド負荷は、特に-220mV印加電圧の影響下、実験パラメータ下でハイブリッドの安定性を試験するために選択された。ハイブリッド試料は、プローブよりも10倍も濃縮されているにもかかわらず、ハイブリッド実験から得られたカウントは、プローブ実験から得られたカウントと比較して明らかに少なく、ハイブリッド解離は、試験条件下では有意ではないことを示唆している(図4D)。
【0085】
ハイブリダイゼーションは、RNAオリゴ標的の存在下でプローブをサイレンシングする。開発作業中に、いくつかのプローブ設計を調査した。それらの設計のうちの2つを用いた実験を図5に示す。プローブ2XdmiR122は、8つのT(OsBp)を有する44ntオリゴであり、2つの融合dmiR122からなる(表1の配列)。プローブdmiR122は、-190mV(図2B)で多数のカウントを示したが、プローブ2XdmiR122は、-220mV(図5A)を必要とした。2XdmiR122は、26ntの部分配列内に各々3OsBpを有する2つの4nt基を組み込むため、より高い電圧は、細孔内の重度の混雑の結果である可能性が最も高い。miRNA122と2XdmiR122との間の効率的なハイブリダイゼーションは、HPLC(図5C)によって示され、プローブ試料と比較したハイブリッド試料のカウントの大幅な低下によって見られるように、ナノ細孔によって確認された(図5D)。そのような融合配列設計の利点は、miRNA標的に加えて、より長いRNAに同一の塩基配列が存在する場合を利用することにある。2XdmiR122は、miRNA122との44ntのds複合体を形成することができるが、より長いRNAとの22ntのds複合体のみを形成することができるため、融合2XdmiR122のような設計のプローブを使用することは、長いRNA標的よりもmiRNA標的とのハイブリダイゼーションを好み得る。
【0086】
図5Bは、プローブ122EXT(表1の配列)によって例示される別のプローブ設計を示す。プローブ122EXTは、5’末端に3つの隣接するTを付加したdmiR122の同一の配列を有する。このプローブは、-180mV(破線トレース)でのナノ細孔実験と比較して見られるように、多数のカウント(実線トレース)を示すために-220mVを必要とする。15%のヒト血清及び85%のONT緩衝液中で調製された試料中のプローブ122EXTを用いて実施されたナノ細孔実験は、95%を超えるONT緩衝液中で調製された試料と比較して、低減したカウントを示す。カウントの低減は、血清の存在によるイオン強度の低下、及び/またはフローセルの老化及び/または血清干渉に起因し得る。より低いカウントにもかかわらず、プローブ122EXTは、ヒト血清などの体液を含有する未知の試料中の妨害されていないプローブ検出を示す対照/緩衝液試験から容易に区別される。
【0087】
miRNA21は多くの疾患の重要なバイオマーカーであるため(Thum,T.et al.(2008)、Kao,H.et al.(2017)、Fulci,V.et al.(2007))、その同定を試験した。miRNA21及びプローブdmiR21(図示せず)または21EXTを用いたHPLC試験は、miRNA21との検出可能なハイブリダイゼーションを示さなかった(図12)。ハイブリッドを形成することができないことは、6より多くのT(OsBp)部分の存在と、これらの部分が22ntの配列に広がっているという事実とに起因していた。高度なプローブ設計により、miRNA21と効率的にハイブリダイズするプローブが得られた。プローブdmiR21(OMe)は、miRNA21に相補的な22ntのオリゴであり、ここですべての塩基は2’-OMeであり、TはdUで置き換えられ、オスミル化は、平均して、1分子当たり2.85OsBp部分の付加をもたらした(オスミル化プロトコルd、表1を参照)。オスミル化生成物は、主に2つまたは3つのOsBp部分を有する分子、及び異なる塩基でのOsBp部分を含有する分子(ここではトポ異性体と称される)を含有する混合物である(Sultan M.,Kanavarioti,A.(2019)、Kanavarioti,A.et al.(2012))。クロマトグラフィーは、1つ、2つまたは3つのOsBp部分を担持する分子を解像し、多くの場合、トポ異性体も解像する(Kanavarioti,A.(2016)。このため、プローブのHPLCプロファイルは、2つのタグを有する分子及び3つのタグを有する分子に起因する2つの別個のピークからなる(図6A)。同様に、ハイブリッドのHPLCプロファイルは、複数のピークとして現れる(図6A)。HPLCはまた、RNA(下記を参照)の安定性、及び15%のヒト血清及び85%のONT緩衝液を含有する試料溶媒中のmiRNA21とdmiR21(OMe)のハイブリッドの安定性を試験するために使用された。図26Bは、試験されたRNA、すなわち、miRNA140及び100nt RNAが両方とも、数分以内に分解されたが、ハイブリッドピークは、実質的に変化しないままであり、我々のプローブとそれらのRNA標的との間に形成されたハイブリッドが、ヒト血清における実験の期間中に安定であると予想されることを示唆している。
【0088】
ハイブリダイゼーションは、プローブ及びハイブリッド試料で観察された別個のHPLCプロファイルと一貫している(図6A)。dmiR21(OMe)は、3つの隣接するT(OsBp)を含有しないため、-180mVでの印加電圧は、細孔を介してこのプローブをねじ切るのに十分であった。0.75nmoleのプローブ試料では多くの事象が報告され、1.5nmoleのハイブリッド試料では著しく少ない(図6B、実線トレースを破線トレースと比較する)。ハイブリッドでのカウントは、緩衝液(図示せず)で得られたカウントに匹敵するように見える。追加のナノ細孔実験は、同一のプローブ及びハイブリッド負荷を用いるが、他のRNA成分の存在下で実施した。これらの成分は、プローブと比較して合計10倍高い負荷で、非標的核酸、miRNA140、及び100nt RNAであった。過剰な非標的RNAの有無にかかわらず、プローブ試料のナノ細孔プロファイルは別個であり、過剰な材料及び/または老化したフローセルによる影響を示唆する。それでも、非標的RNAの存在下での2つの実験は、プローブ試料の多数のカウントをハイブリッド試料の少数のカウント(第2の破線、第1の破線(ハイブリッド)とほとんど区別できない)と比較することによって、標的の効率的な同定を示す。この区別は、複合体混合物中の非標的miRNA及びより長いRNAの存在が、標的同定を妨げないことを示唆する。
【0089】
バイオマーカーとしてのmiRNAの重要性のため(Li,X-D.et al.(2017)、Thum,T.et al.(2008)、Lai,J.Y.et al.(2015)、Kao,H.et al.(2017)、Fulci,V.et al.(2007)、Wang,Y.et al.(2020))、任意の標的配列に広く適用可能であり、最適なトランスロケーション特性を有するプローブ設計を用いて、超低負荷で実験を実施した。それぞれ、miRNA140及びmiRNA21を標的とするプローブ140EXTmU及び21EXTmUを選択した。これらのプローブは、それらの標的に相補的な配列を有し、その配列内のTをmUで置き換え、5’末端に3つの追加の隣接するdT、及び3’末端に2つまたは3つの追加のdAを有する。これらのオリゴは、検証された標識化プロセスを使用してオスミル化した。このプロセスでは、分子当たり平均して4~5つのOsBpタグが追加され、それらのうち3つが5’末端を占め、他の1つまたは2つが配列内でランダムに割り当てられる(表1を参照)。プローブの一方の末端に重度の混雑があるため、プローブの効率的なトランスロケーション及び検出(上記の考察に従う)には、-210±10mVの範囲の印加電圧が必要であった。図7Aは、140EXT(mU)による47fmoleレベルでの優れた感度での検出を示し、図7Bは、3.5amoleプローブ負荷のさらに高い感度でのこのプローブの検出を示す。標的miRNA140の同定は、3.5amoleでもハイブリッド負荷を有するハイブリッドとプローブを比較することによっても明らかである。図7Cは、プローブ21EXT(mU)とmiRNA21との間のハイブリッド試料のHPLCプロファイルを示し、次いで、ナノ細孔実験のために3×10倍希釈し、2.7amoleレベルでハイブリッドを試験した(図7D)。この研究で試験した最低負荷である0.9amoleレベル(図7D)でナノ細孔実験を実施するために、21EXT(mU)プローブ試料(HPLCプロファイルは図示せず)を1×10倍希釈した。miRNA21の同定は、図7Dにおいて、プローブカウントとハイブリッドのカウントとの視覚的比較によって明らかである。140EXT(mU)プローブ(上部、6,000に達する)で観察されたカウントが、21EXT(mU)プローブ(下部、24,000に達する)で観察されたカウントと比較して少ない理由は、少なくとも部分的には、作用細孔の約30%しか持たなかった老化したフローセルに起因する。プローブ濃度が既知の量であるため、ここでは特定のプローブのONT/OsBpプラットフォームからプローブカウントの比例性が得られるかどうかを試験しなかった。最も重要なことは、標的の同定が、対照/緩衝液実験のカウントに匹敵する、わずかな数のカウントを示すナノ細孔プロファイルに基づいていることである。すべてのプローブをナノ細孔によって試験した主な理由は、異なるプローブ設計を比較し、高い検出性と高感度を確認したかったからである。
【0090】
ONT/OsBpナノ細孔プラットフォームの可能性
上記の実験では、プローブ負荷は0.38nmole~0.9amoleの範囲であり、実質的に9桁に及んでいる。この範囲では、プローブ検出のための証拠が提示され、標的を含有する試料と含有しない試料との間の明確な区別が示される。ハイブリッドのカウントと比較して、プローブ単独での事象のカウントが3倍高いとして、より低い検出可能性の限界が提案されている。事象のカウントとプローブ濃度との間の比例性は、実験の期間が1~3時間の範囲に残り、試料負荷変動を反映しないため、ここでは試験されなかった。我々の試験は、ハイブリッドを検出せず、したがって、ハイブリッド分子を測定しないため、標的の定量化は、既知のプローブ負荷に依存する。試験には、目標負荷の推定値が必要であり、最初の実験の結果に応じて、次の実験でプローブ負荷を5倍以下またはそれ以上変化させることができる。ある特定の態様では、標的定量は、約30%の精度で達成され得ると推定される。いくつかの代表的なプローブ設計が探索され、任意のssDNAまたはssRNAオリゴ標的に実質的に一致することができる1つの設計が提案された。このタイプのプローブは、140EXT(mU)及び21EXT(mU)として同定された例を用いて、amole負荷レベルで高い感度を示した。特異性を試験する試みは行われなかった。類似の配列を有する1つの標的と別の標的との間の区別は、ケースバイケースで対処する必要がある。ここで開発したHPLC法は、標的と暫定的なプローブとの間のハイブリダイゼーションを評価することができ、類似の配列を有する2つの標的間のプローブハイブリダイゼーションの範囲及び暫定的な区別を評価することもできる。ここでは、フローセルの温度はファクトリープリセット温度であったが、ナノ細孔タンパク質は、ある特定の温度範囲で安定していることが知られている。フローセルの温度は、ユーザの判断で放置された場合、特異性を改善する手段を提供することができる。また、独自のONTフラッシュ緩衝液を交換しなかった。後者は配列決定のために開発されたものであり、本発明を含む他の用途により好適であるように異なる緩衝液が開発されてもよい。
【0091】
予備実験により、miRNA21とdmiR21(OMe)とのハイブリッドは、15%~85%の血清-ONT緩衝液中で比較的安定であり、プローブ122EXTは、15%~85%の血清-ONT緩衝液中でナノ細孔によって検出可能であることが示された。これらの実験は、ONT/OsBpナノ細孔プラットフォームを血清試料と共に使用することが可能であることを示唆している。MinIONフローセルが75μLの試料体積を使用し、15%が血清である可能性があることを考慮すると、おおよそ11μLのヒト血清試料をナノ細孔実験で直接試験することができる。11μLのヒト血清試料が、約3amoleのmiRNA21、miRNA140、または暫定的に任意の他のmiRNAを含有すると仮定すると、本発明に従って設計されたプローブは、それを検出することができ、結果として、標的の存在/不在を検出するはずである。この文脈では、本発明の態様は、フォローアップ、臨床現場診断試験として適格である。
*****
【0092】
本開示の幅及び範囲は、上記の例示的な実施形態のうちのいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの同等物に従ってのみ、定義されるべきである。
【0093】
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図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8-1】
図8-2】
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図22C
図22D
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
【配列表】
2024500005000001.app
【国際調査報告】