(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】剥皮機及び剥皮処理
(51)【国際特許分類】
C11B 1/10 20060101AFI20231222BHJP
D01B 1/14 20060101ALN20231222BHJP
【FI】
C11B1/10
D01B1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534188
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 IB2021061272
(87)【国際公開番号】W WO2022118265
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523192303
【氏名又は名称】デフーゴ テクノロジーズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コールマン デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4H059
【Fターム(参考)】
4H059BC44
4H059CA02
4H059CA11
(57)【要約】
長尺茎バイオマスのような、おがらと樹皮と靭皮とを備えているバイオマスの剥皮を行う装置、処理、及びシステムが提供されている。典型的には、剥皮処理または剥皮装置によって生成された樹皮、おがら、または靭皮のうちの1つ以上を、下流側の処理または下流側にある向流抽出機といった装置に供給する。剥皮機、または向流抽出機と組み合わされている剥皮機の液状または繊維状の生産物をさらに処理して、その構成物にしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おがらと樹皮と靭皮とを備えているバイオマスから有用な生産物を抽出する処理であって、
(i)前記バイオマスの長尺茎を定寸化するステップと、
(ii)バイオマスの前記茎を長手方向に切断するステップと、
(iii)回転切断部材を用いて、前記バイオマスから、おがらを含む第1生産物を生成するステップと、
(iv)回転切断部材を用いて、前記バイオマスから、樹皮を含む第2生産物を生成するステップと、
(v)靭皮を含む第3生産物を生成するステップと、を含む処理。
【請求項2】
おがらと樹皮と靭皮とを備えている長尺茎のバイオマスから有用な生産物を抽出する剥皮装置であって、
前記茎が間を通過すると該茎を定寸化するように構成されている一対の回転定寸化部材と、
前記バイオマスの前記茎を長手方向に切断する切断ヘッドと、
回転切断部材を用いて、前記バイオマスから、おがらを含む第1生産物を取り除く第1回転切断部材と、
前記バイオマスから、樹皮を含む第2生産物を取り除く第2回転切断部材であって、残りの靭皮は第3生産物を含む、第2回転切断部材と、
前記第1生産物、前記第2生産物、及び前記第3生産物の各々に対する別個の出口と、を備えている剥皮装置。
【請求項3】
おがらと樹皮と靭皮とを備えている長尺茎のバイオマスから有用な生産物を抽出するシステムであって、請求項2に記載の剥皮装置とともに使用する場合に、請求項1に記載の処理を備えているシステム。
【請求項4】
前記剥皮装置から生じるおがらまたは樹皮を圧縮、乾燥、及び熱分解して、タール、木酢、バイオディーゼル、エタノール、水素、及びバイオ炭/グラフェンのうちの1つ以上を生成する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
原料を処理するシステムであって、請求項2に記載の剥皮機と向流抽出機とを備えており、
(i)前記原料を前記剥皮機に通過させて、靭皮、おがら、及び樹皮に分け、
(ii)靭皮、おがら、及び樹皮のうちの少なくとも1つは前記向流抽出機への原料として使用される、システム。
【請求項6】
圧縮機と乾燥機とをさらに備えており、前記剥皮機または向流抽出機からの樹皮またはおがらを圧縮して乾燥する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記向流抽出機から生じるおがらまたは樹皮を圧縮、乾燥、及び熱分解して、タール、木酢、バイオディーゼル、エタノール、水素、及びバイオ炭/グラフェンのうちの1つ以上を生成する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
長尺茎バイオマス原料から生産物を回収するシステムであって、
多くの原料剥皮ステップをプログラムに従って実行するように動作可能である請求項2に記載の剥皮機と、
前記剥皮機と通信しており、前記原料処理ステップの制御を処理するように構成されている装置と、
前記剥皮機と関連付けられており、剥皮機情報と原料情報とを前記装置に伝送するように構成されている複数のセンサと、を備えており、
前記装置は、
原料剥皮ステップの処理制御のための機械可読な原料剥皮プログラム命令のリストを備えた原料剥皮プログラムを格納する記憶ユニットであって、前記機械可読な原料剥皮プログラム命令のリストは、既定の制御コマンドの組の中の既定の制御コマンドに、それぞれの原料剥皮ステップを各々が割り当てるコマンド命令を備えている、記憶ユニットと、
前記原料プロファイルと原料情報とを格納するデータベースを備えている電子ウェアハウスと、
前記データベースからの剥皮機情報と原料情報に応じて、前記機械可読な原料剥皮プログラム命令のリアルタイム調整を行うプロセッサと、を備えており、
前記命令リスト内の前記機械可読な原料剥皮プログラム命令を順次実行する前に、前記剥皮機情報と原料情報を、前記機械可読な原料剥皮命令への調整の計算と、前記処理制御コマンドの最適化とを行うための効率デジタルアルゴリズムに入力する、システム。
【請求項9】
長尺茎バイオマス原料から生産物を回収する請求項5に記載のシステムであって、
前記システムはさらに、前記剥皮機から1つまたは複数の生産物を、向流抽出機処理のための向流抽出機原料として受け取る向流抽出機を備えており、前記向流抽出機は向流抽出機情報と向流抽出機原料情報とを伝送するように構成されている複数のセンサを有しており、
前記命令リスト内の機械可読な原料剥皮プログラム命令と向流抽出機処理命令とを順次実行する前に、前記剥皮機情報及び向流抽出機情報を、前記機械可読な原料剥皮命令と向流抽出機処理に対する調整の計算と、前記処理制御コマンドの最適化とを行うための効率デジタルアルゴリズムへの入力として伝送する、システム。
【請求項10】
前記向流抽出機は向流拡散抽出機である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記長尺茎バイオマス原料は、サトウキビ、サトウモロコシ、ケナフ、亜麻、トウモロコシ、及び竹から選択される、請求項3、8、または9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は剥皮分野に関する。
【0002】
ある形態において、本発明は剥皮装置に関する。
【0003】
別の形態において、本発明は長尺茎の植物を剥皮する処理に関する。
【0004】
ある特定の態様において、本発明は、長尺茎の植物、例えば大麻、亜麻、サトウキビ、トウモロコシ、及び竹を剥皮することに適している。
【0005】
別の態様において、本発明は、剥皮生産物を、下流側の処理、例えば向流抽出への原料として生成することに適している。
【0006】
以降において、本発明を大麻に関して記載することは都合がよいが、本発明は大麻の使用のみに限定されるものではなく、幅広い種類の長尺茎植物に適用可能であることを了解されよう。例えば、本発明は、サトウモロコシまたはケナフ、亜麻、サトウキビ、トウモロコシ、及び竹といった他の木質性草類の茎に対して使用可能である。
[背景技術]
本明細書中の文献、装置、行為、または知見のあらゆる記述は、本発明の文脈を説明するために含まれていることは了解されよう。さらに、本明細書全体にわたる記述は、発明者の認識、及び/または、関連技術の問題の発明者による特定に起因して生じたものである。また、本明細書中の文献、装置、行為、または知見といった資料のあらゆる記述は、発明者の知見と経験の観点で本発明の文脈を説明するために含まれており、したがって、あらゆるこのような記述を、この資料が、オーストラリア国または他地域において、本明細書の開示と請求項の優先日に、もしくは優先日より前に、先行技術の基礎あるいは従来技術における常識的な一般知識の一部を構成するものであると自認するものとして解釈すべきではない。
【0007】
剥皮機とは、植物、代表的には堅果類、木材、植物の茎、穀類等の繊維質を含む植物から、外皮、樹皮、または果皮を剥がす機械である。植物から剥がした素材は、その後の処理で使用される場合もある。
【0008】
恐らく最古のものとして知られている剥皮機器は、イタリアで1861年から製造されていたもので、「scavezzatrice」として知られている。この機器は、割るのが難しい強靭な木質の茎を有する大麻の皮を剥がすことに用いられていた。
【0009】
一般に、現代の大麻用高速大麻剥皮機は、強靭な木質の内部(おがらの材料)を、茎のより柔軟な繊維質外面から除去する。剥皮することにより靭皮も生成されるが、靭皮は茎の篩部から得られるセルロース系繊維を含んでいる。ほとんどの剥皮機は、力を機械的に加えることを基にしており、繊維を壊しておがらや樹皮にするロール破砕機(「scutchera」)やハンマーミルといった機構が用いられている。
【0010】
おがら、樹皮、及び靭皮は、様々な用途に使用可能である。大麻繊維は、何世紀もの間、ロープ、帆布、布地、衣類、靴、食品、紙類、バイオプラスチック、絶縁材、バイオ燃料を含む商業用製品や産業用製品を製造するのに有用であると知られてきた。しかし、大麻茎を剥皮して大麻繊維を生成することは、少なくとも19世紀中頃から小規模または中規模レベルでは知られていても、大規模な工業規模での機械による剥皮は実現が難しかった。これにより、現代において大麻や同様の木質性草類の使用が限られてしまい、コットン等、工業規模で処理しやすい他の植物材料に置き換えられてきた。
【0011】
さらに、大麻産業の最近の成長は、主に葉やつぼみから高価な大麻油を抽出することにより推進されてきた。価値ある油の回収のために葉やつぼみを除去すると、残された繊維を含むバイオマスは廃棄物流であるとみなされてきた。経済的な観点から、既存の剥皮処理は処理能力が低くスケールアップが難しいために、この繊維はさらに処理する価値がない。
【0012】
近年、再生可能エネルギー、代替植物原料、及びカーボンニュートラルサプライチェーンの隆盛に呼応して、経済的恩恵があり、有用である可能性を秘めた、多くの「環境に優しい」製品の源として、大麻や他の木質性草類に新たな関心が現れてきた。
[発明の概要]
本発明の目的は、原料が有用な生産物に変換される割合を最大化するとともに、廃棄物を最少化する、好適には無くす、改良された剥皮機及び剥皮処理を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、処理された原料を下流側の処理に提供可能である、改良された剥皮方法を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、大規模かつ工業規模で原料を処理可能である剥皮機を提供することである。
【0015】
本明細書に記載されている実施形態の目的は、上述した関連技術システムの難点のうちの少なくとも1つを克服または軽減すること、あるいは少なくとも、関連技術システムに対する有用な代替を提供することである。
【0016】
最も広範囲な形態において、本発明は、長茎のバイオマス供給物から有用な生産物を抽出する処理を提供する。ここで、本処理は、茎を定寸化し、茎を長手方向に切断し、おがらの少なくとも一部と樹皮の少なくとも一部を除去して繊維(靭皮)生産物を残す。最も広範囲な形態において、本発明はまた、本処理を実行する装置を提供し、本装置は、本処理を制御するためのデータを提供するセンサを有している。
【0017】
本明細書に記載されている実施形態の第1態様では、おがらと樹皮と靭皮とを備えているバイオマスから有用な生産物を抽出する処理であって、
(i)バイオマスの長尺茎を定寸化するステップと、
(ii)バイオマスの茎を長手方向に切断するステップと、
(iii)回転切断部材を用いて、バイオマスから、おがらを含む第1生産物を生成するステップと、
(iv)回転切断部材を用いて、バイオマスから、樹皮を含む第2生産物を生成するステップと、
(v)靭皮を含む第3生産物を生成するステップと、を含む処理を提供する。
【0018】
典型的には、上述のシステム内に供給する前に原料を脱葉するが、葉や他の植物の残骸の形をした屑にはその後の処理を施してもよい。
【0019】
本明細書に記載されている実施形態の第2態様では、おがらと樹皮と靭皮とを備えている長尺茎のバイオマスから有用な生産物を抽出する剥皮装置であって、
茎が間を通過すると定寸化するように構成されている一対の回転定寸化部材と、
バイオマスの茎を長手方向に切断する切断ヘッドと、
回転切断部材を用いて、バイオマスから、おがらを含む第1生産物を取り除く第1回転切断部材と、
バイオマスから、樹皮を含む第2生産物を取り除く第2回転切断部材であって、残りの靭皮は第3生産物を含む、第2回転切断部材と、
第1生産物、第2生産物、及び第3生産物の各々に対する別個の出口と、を有している装置を提供する。
【0020】
本明細書に記載されている実施形態の第3態様では、おがらと樹皮と靭皮とを備えている長尺茎のバイオマスから有用な生産物を抽出するシステムであって、本発明の剥皮装置で使用される場合に、本発明に係る処理を備えているシステムを提供する。
【0021】
典型的には、回転切断部材は、切断面を備えている車輪またはローラである。この点が、ハンマーミリングやグラインディングといった力を利用して処理を行い、その後に適切な大きさにふるい分けして、長尺茎のバイオマスの構成要素に分けるという先行技術の処理と大きく異なっている。
【0022】
剥皮処理または剥皮装置によって生成された樹皮、おがら、または靭皮のうちの1つ以上は、下流側の装置または処理に供給されてもよい。下流側の処理は剥皮の生産物を構成材に還元し得る。構成材は、例えば高栄養価の食品、健康商品、搾り汁、水、エネルギー、燃料、建築資材、脂質、医薬品、栄養補助食品、及び生物活性化合物等の広範な物質で構成されている。消費可能成分は、その後の処理を経て、錠剤、食用液体、及び粉末等の有用な剤形になってもよい。消費不可能成分は、その後の処理を経て、合成燃料等の価値ある製品になってもよい。
【0023】
下流側の処理は、例えば、向流拡散抽出(counter current diffusion extraction:dCCE)等の向流抽出(counter current extraction:CCE)、のための装置を備えていてもよい。樹皮、おがら、または靭皮のうちの1つ以上をCCE装置内に通過させて向流抽出または向流拡散抽出を施すことによって、液状生産物または繊維状生産物を製造してもよい。
【0024】
本明細書に記載されている実施形態の第4態様では、原料を処理するシステムであって、剥皮機と向流抽出機とを備えており、
(i)原料を剥皮機に通過させて、靭皮、おがら、及び樹皮に分け、
(ii)靭皮、おがら、及び樹皮のうちの少なくとも1つは向流抽出機のための原料である、システムを提供する。
【0025】
好適にはCCEは向流拡散抽出機である。
【0026】
CCE装置の生産物は、様々な別の装置、例えば圧縮機や乾燥機等に供給されてもよい。例えば、剥皮機またはCCE装置から抽出されたおがらまたは樹皮を圧縮、乾燥し、次に熱分解ステップを経て、タール、木酢(木酢液)、バイオディーゼル、エタノール、水素、及びバイオ炭/グラフェンのうちの1つ以上を生成してもよい。圧縮して乾燥した靭皮は、保管されることがより一般的である。
【0027】
好適には、CCEに使用される装置は、
第1端に隣接している入口と第2端に隣接している出口とを有している細長形ハウジングであって、ハウジングの長手方向軸は第1端から第2端へと上向きに傾いている、ハウジングと、
少なくとも1つの略らせん巻きがハウジング内部に配置されており、長手方向軸の周りを回転自在であり、抽出される原料を入口から出口へと移動させる、回転自在スクリューコンベヤと、
抽出される原料を入口を通って回転自在スクリューコンベヤに導入可能であるように、入口に隣接して位置している入口チャンバと、
抽出液がハウジング内を、抽出されている状態の原料とは向流で流れ落ちるようにして、抽出液をハウジング内に導入する手段と、
原料から抽出された液体を抜き取って、抜き取った液体が抽出されている状態の原料と接触するようにハウジング内に戻す手段と、を備えている。
-センサ
剥皮機と、下流側にあるいずれの装置、例えばCCE装置も、センサを有していてもよい。「センサ」という語は、本明細書で使用される場合は、物理的特性を検出または測定して表示、記録、伝送、もしくは応答する装置を指すこととする。センサは市販されているものであってもよく、かつ/または所定の目的のためにカスタマイズされていてもよい。
【0028】
好適な実施形態において、「モノのインターネット(Internet of Things:IoT)」ベースのセンサが、原料及び剥皮装置による生産物の処理を監視している。IoTは典型的には、一意の識別子と、人の介入を必要とせずにネットワークを介してデータを伝送できる機能とが設けられている、相互に関係するコンピュータ装置、機械的マシン及びデジタルマシンからなるシステムである。
【0029】
取得情報は、関連する処理施設の内部または外部にあるデータベースサーバに伝えてもよい。必要に応じて、取得情報は「リアルタイム処理最適化」中におけるデータ基準点として使用してもよい。
【0030】
特に、センサは、原料や生産物の量や流速を含む処理パラメータの範囲を、剥皮機及び/または下流側にある任意の装置内の様々な位置で監視可能である。センサは、取得情報を、処理制御プログラムがあらかじめ組み込まれたサーバ内のデータベースと通信する。このようにして、サーバは、機械可読な処理制御プログラムをリアルタイムで最適化して、確実に生産性を最大化するとともに廃棄物を最少化することができる。
【0031】
特に、剥皮装置または下流側にある装置のセンサからの情報は、セキュアなネットワークを介して、
図6に図示されているような専用のリアルタイム情報システム(Real-Time Information System:RIMS)に伝送されてもよい。RIMSはサーバ、データベース、及びユーザインターフェイス(user interface:UI)で構成されており、ここで剥皮装置やCCEからの取得情報を処理し、専用の効率デジタルアルゴリズムが、中央処理装置(central processing unit:CPU)に既に送信されている処理プログラムの既定のセッティングの最適命令セット調整を計算する。
【0032】
本発明のシステムの好適な実施形態において、センサは、検出された原料情報及び剥皮機情報を、セキュアなプライベート無線ネットワークを介してセンサネットワーク監視データベース(Sensor Network Monitoring Database:SNMD)に通信する。このデータベースは、リレーショナルデータベース管理システム(Relational Database Management System:RDBMS)とNoSQLデータベースとの両方を備えている電子データウェアハウス内に置かれている。データウェアハウス及び支援AIアプリケーションアルゴリズムプログラムは、本発明のリアルタイム情報管理システム(Real-Time Information Management System:RIMS)を構成している。
【0033】
センサネットワークによって検出されたデータは、本発明の処理によって移動する原料の特定のバッチに対する、適切なソフトウェアのリアルタイム更新、及び/または、あらかじめ組み込まれた処理プログラムを最適化する応答の生成のために、SNMDへと通信される。
【0034】
RIMSは、典型的には行と列を用いた構造化フォーマット形式のデータを検索・保存するリレーショナルデータベースからなるハイブリッドデータウェアハウスを備えている。表形式ではないデータベースであって、関係表とは異なる手法、例えば構造化、半構造化、及び非構造化されたデータを格納することによってデータを格納する、NoSQL(「非SQL」または「非リレーショナル」)データベースもまた存在していてもよい。NoSQLデータベースは、AIアプリケーションや膨大なデータ量を取り扱う際には好ましい。データウェアハウスの柔軟性によって、RIMSに寄与する様々なデータセットを格納する場合に、RIMSシステムの応答を極めて効率的かつ効果的にすることができる。
【0035】
RIMSはまた、数個のサーバ上で実行されるプログラムのAIアプリケーションスタックを含んでいてもよい。アプリケーションスタックとは、あるタスクの実行を支援するアプリケーションプログラムのスイートまたはセットである。これらのアプリケーションは互いに密接に関連しており、データは最小限のステップで、アプリケーション間でエクスポートまたはインポート可能である。種々のプログラミング言語を用いて、可能であればいつでもIoTスタックの全体にわたり人工知能を埋め込むことによって、本発明の処理を最適化してもよい。プログラムは、センサネットワークのパラメータ設定モデリング、データ許容範囲設定及びデータ接続モデリング、最適化レシピモデリング、及び、データ及びアルゴリズムを監視する作用モデリングを含んでいるが、これらに限定されない。
【0036】
各効率デジタルアルゴリズム(EDA)は、それ自体がコンピュータの手続きであり、剥皮プログラムの方法ステップを反映している。アルゴリズムは、センサによって取得された入力で始まる。アルゴリズムへの他の入力は、データウェアハウス内の複数のデータベースと、AIアプリケーションスタック内のプログラムの出力とを含んでいる。EDAは出力の組を生成するが、この出力は、基本的には、あらかじめ組み込まれた剥皮プログラムの既定のセッティングのリアルタイム最適命令セット調整である。生成された出力は、剥皮装置と関連する中央処理装置(CPU)に送信される。
【0037】
RIMSは典型的には、センサネットワーク管理システム、RIMSユーザインターフェイス、デジタル向流抽出機CPUマスターリレーシステム、及び遠隔RIMS管理システムを含んでいるが、それらに限定されない、堅固な意思決定管理システムを含む。生成されたEDAは、リアルタイム最適化を、CPUマスターリレー転送を介して剥皮装置実装のCPUに引き渡す。
【0038】
具体的には、センサによって取得されたデータを用いて、処理制御プログラムは、回転切断装置の回転速度や切断ヘッドの高さといった物理パラメータを制御可能である。これにより、剥皮装置を通過する材料の流速を制御できるようになり、所望される生産物の正確な切断と寸法での引き渡しが可能になる。
【0039】
処理制御プログラムは、生産物の流れの量と速度を最適化して任意の下流側の処理に直接供給することを確実に行うことができる。
【0040】
本明細書に記載されている実施形態の第5態様では、長尺茎バイオマス原料から生産物を回収するシステムであって、処理は、
多くの原料剥皮ステップをプログラムに従って実行するように動作可能な剥皮機と、
剥皮機と通信しており、原料処理ステップの制御を処理するように構成されている装置と、
剥皮機と関連付けられており、剥皮機情報と原料情報とを装置に伝送するように構成されている複数のセンサと、を備えており、
本装置は、
原料剥皮ステップの処理制御のための機械可読な原料剥皮プログラム命令のリストを備えた原料剥皮プログラムを格納する記憶ユニットであって、機械可読な原料剥皮プログラム命令のリストは、既定の制御コマンドの組の中の既定の制御コマンドに、それぞれの原料剥皮ステップを各々が割り当てるコマンド命令を備えている、記憶ユニットと、
原料プロファイルと原料情報とを格納するデータベースを備えている電子ウェアハウスと、
データベースからの剥皮機情報と原料情報に応じて、機械可読な原料剥皮プログラム命令のリアルタイム調整を行うプロセッサと、を備えており、
命令リスト内の機械可読な原料剥皮プログラム命令を順次実行する前に、剥皮機情報と原料情報を、機械可読な原料剥皮命令への調整の計算と、処理制御コマンドの最適化とを行うための効率デジタルアルゴリズムに入力する、システムを提供する。
-切断ヘッド
長尺茎は典型的には、回転切断工具によって長手方向に切断される。切断ヘッドは典型的にはミリングに用いられる類のものであり、複数の正方形状歯を持つ円形体を有している。切断ヘッドは高速で回転し、切断作用は主に正方形状歯の端縁角部で発生する。
【0041】
典型的には、切断ヘッドは、切断ヘッドの回転を駆動させるスピンドルに取り付けられている。代替として、切断ヘッドの回転を、同時に回転して切断ヘッドを横切るようにバイオマスを押し出す、隣接している移送輪によって駆動させる。
【0042】
好適な実施形態において、スピンドルはシャフトを備えており、シャフトは、切断ヘッド(または移送輪)を所定の位置に保ち、回転、切り換え、または交換を可能にする迅速解放機構を、シャフトの外側に有している。
【0043】
迅速解放機構は例えばばね留め金であってもよい。好適には、ばね留め金は、切断ヘッド(または移送輪)のそばにぴったりと収まるように引き上げられて、ヘッドを所定の位置に保つ。別の好適な実施形態では、迅速解放機構は、切断ヘッド(または移送輪)の走行方向に対して逆に回転するねじ上にある止めナットを備えている。その後、止めナットはラチェットガンを用いて取り外されたりリセットされたりすることもある。
【0044】
切断ヘッドの寸法は、処理しているバイオマスの量によって決まる。そのため切断ヘッドの寸法及び角度は、バイオマスの茎がある程度切断ヘッド上を並行して通過できるように調整されてもよい。隣接する移送輪の寸法及び位置に対しても、対応して調整が行われる。
-下流側での処理
本発明の装置及び処理の生産物は、後の使用のために保管しておいてもよく、すぐに下流側の処理に供給してもよい。例えば、靭皮生産物を、大規模な工業規模での生地製造を行う処理に供給してもよい。おがら生産物のような挽き屑を、糖、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、タンパク質、油、及び他の価値ある製品を抽出する処理に供給してもよい。樹皮生産物のような挽き屑を、セルロース、ヘミセルロース、ポリフェノール、及びリグニンを抽出する処理に供給してもよい。この抽出物を今度は、バイオ燃料、他の再生可能エネルギー源、及びバイオ炭のようなバイオ肥料に処理してもよい。
【0045】
特に好適な実施形態において、本発明の生産物は、CCE処理等の下流側の処理に供給してもよい。食品加工産業では、固相と液相が向流で流れることによって分離される連続動作・無段階接触装置として、向流拡散抽出機が知られている。原料は典型的には、CCE装置に導入される前に切断または細断されて、所望のサイズの切片にされる。代替として、または追加として、原料に剥皮を施して、残りの樹皮、おがら、及び靭皮のうちの1つ以上をCCE装置に導入する。
-液体/固体分離
本発明の剥皮機とCCE装置とを組み合わせることにより、樹皮、おがら、または靭皮からの液体/固体分離が容易になる。
-固体/繊維分離
本発明の剥皮機とCCE装置とを組み合わせることはまた固体同士、または繊維の分離にも効果的である。
図9は、繊維から液体を分離し、その後に再度組み合わせて目的の製品を製造する処理における、CCEの使用を図示したフローチャートである。原料に剥皮を施して、より多くの剥皮生産物(樹皮、おがら、または靭皮)をCCE装置に供給してもよい。
【0046】
次のステップは、ベルトプレス(ベルトプレス脱水機としても知られている)を用いた脱水である。好適な実施形態において、繊維を備えている原料の切片を、dCCEから待機タンクに移動させる。原料切片は、制御されながら待機タンクから2本の濾布製移動ベルトの間に供給される。液体はまず重力で抽出され、次に、濾布がローラの周りを通過しながら絞られることによって抽出される。液体はポートを通って出て行き、dCCEに戻される。繊維は濾布からこすり落とされた後、混合タンクへと移動されて、そこでブリックス操作のために所望の量の液体と混合されるか、または糖度ゼロ(ブリックス)のままで放置される。
【0047】
先行技術の方法で製造される繊維は典型的にはブリックスが約5°であるので、構成要素の糖度を所望の目標結果に操作できることは、本発明の処理にとって重要な差別化要素である。湿潤繊維はその後、滅菌バルク包装をされる前に低温殺菌されてもよい。代替として、繊維を乾燥機に移動させ、乾燥した繊維をバルク包装するか、または粉砕してもよい。乾燥繊維は、特に食品を強化するための栄養補助食品または栄養補給剤として使用される、価値ある製品である。
【0048】
特に好適な実施形態において、本発明の剥皮装置及び処理は、CCEへの原料として、及び、Defugo Group Australia株式会社によるオーストラリア国仮特許出願第2020904315号に対応し、その開示を参照により本願に援用している国際特許出願に記載されている関連プロセスへの原料として、下流側で使用するのに適した製品を提供する。
【0049】
最適には、センサによって取得された剥皮装置に関連する情報は、「リアルタイム」処理最適化に使用して、最適な寸法の生産物をCCEに最適な速度で確実に供給するようにしてもよい。このことは、生産性を最大化するとともに廃棄物を最少化することに寄与する。
【0050】
剥皮装置のセンサからの情報は、セキュアなネットワークを介して、CCEの処理制御にも用いられる専用のリアルタイム情報システム(RIMS)に伝送されてもよい。RIMSはサーバ、データベース、及びユーザインターフェイス(UI)で構成されており、ここで剥皮装置やCCEからの取得情報を処理し、専用の効率デジタルアルゴリズムが、中央処理装置(CPU)に既に送信されている処理プログラムの既定のセッティングの最適命令セット調整を計算する。
【0051】
さらに、本明細書に記載されている実施形態の第6態様では、長尺茎バイオマス原料から生産物を回収する上述のシステムであって、
本システムはさらに、剥皮機から1つ以上の生産物を、CCE処理のためのCCE原料として受け取るCCEを備えており、CCEはCCE情報とCCE原料情報とを伝送するように構成されている複数のセンサを有しており、
命令リスト内の機械可読な原料剥皮プログラム命令とCCE処理命令とを順次実行する前に、剥皮機情報及びCCE情報を、機械可読な原料剥皮命令とCCE処理への調整の計算と、処理制御コマンドの最適化とを行うための効率デジタルアルゴリズムへの入力として伝送する、システムを提供する。
【0052】
他の態様及び好適な形態は、本明細書に開示され、かつ/または、請求の範囲で規定されており、本発明の記載の一部を構成している。
【0053】
本質的に、本発明の実施形態は、ハンマーミリング等の力による分離を用いている先行技術の方法と比較して、工業規模の機械類を用いた正確な切断をより効果的に長尺茎バイオマスの処理に利用できることの実現に端を発する。さらに、センサからの情報を利用することにより、処理制御プログラムは、処理性能や生産物の特性を制御して最適化することができる。
【0054】
本発明によって提供される効果は、以下のとおりである。
【0055】
・剥皮装置は、構造及び操作が単純であり、信頼性が高く、保守が簡単である。
【0056】
・剥皮機は、任意の種類の長尺茎バイオマス収穫方法(手動または自動)から得られた長尺茎バイオマス原料を受け入れ可能である。
【0057】
・装置及び処理は、大量の長尺茎バイオマスの工業的処理のためにスケールアップすることができる。
【0058】
・装置及び処理は、最少の、好適にはごくわずかな廃棄物量で、数種の高価値の生産物を大量の生産量で提供する。
【0059】
・処理生産物は、下流側の処理への供給として使用可能である。
【0060】
・装置は、広範な長尺茎植物に対して使用可能である。
【0061】
・量産効果が改善される。
【0062】
本発明の各実施形態の適用可能性の更なる範囲は、以下に記載する詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明及び特定の例は、本発明の好適な実施形態を示してはいるが、例示のためにのみ与えられたものであることは理解すべきである。なぜなら、当業者であれば、この詳細な説明から、本明細書の開示の精神と範疇の範囲内で種々の変更や修正が明白になると考えられるからである。
【0063】
本願の好適な実施形態及び他の実施形態のさらなる開示、目的、利点、及び態様は、従来技術に熟練した当業者によって、以下の各実施形態の説明を添付図面と併せて参照することによってより理解されよう。これらはもっぱら例示のためであって、本明細書の開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は、本発明に係る剥皮機の一実施形態を図示している平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の剥皮機内の各センサの位置を図示したものである。
【
図3】
図3は、
図1の剥皮機内での使用に適した切断輪と隣接する移送輪の一実施形態を図示したものである。
【
図6】
図6は本発明のシステムのアーキテクチャを図示したものであり、共に動作して、センサネットワークとdCCE CPUとを有する処理システム全体を構築する基本要素とサブシステムを示している。
【
図7】
図7は、本発明での使用に適している、エアロックチャンバを備えた単軸のdCCEを図示したものである。
【
図8】
図8は、本明細書で開示されている任意の処理が生成する繊維を、エネルギーと合成燃料を生成する原料として使用することを図示したフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明に係る、原料を処理して生産物を分離または抽出する処理の別の実施形態を図示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
本明細書における説明のために、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「右側(right)」、「左側(left)」、「後ろ側(rear)」、「前側(front)」、「垂直方向(vertical)」、「水平方向(horizontal)」、「内側(interior)」、「外側(exterior)」という語及びその派生語は、
図1で方向付けされているようにして本発明に関連しているものとする。しかし、本発明は、明確にそうでないと記載している場合を除き、別の様々な向きを想定してもよいことは理解されよう。添付図面に図示され、以降の明細書内に記載されている特定の装置やプロセスは、特許請求の範囲内で規定された発明概念の単に例示的実施形態であることも理解されよう。よって、本明細書で開示されている実施形態に関係する特定の寸法や他の物理的特徴は、請求項に明確にそうでないと記載していない限り、限定しているものとはみなされない。また、そうでないと特定されていない限り、ある方向等へ、またはある方向等に沿って延在する構成要素の特定の特徴の記述は、その特徴または構成要素が、そのような方向の直線あるいは直線軸に追従していることを意味してはいないし、そうでないと特定していない限り、他の方向成分や方向的なずれがなく、そのような方向またはそのような平面上だけに延在していることを意味してもいないことを理解されよう。
【0070】
本発明の剥皮処理及び剥皮装置は、特定の用途に適した形態の生産物を提供するように構成されることが容易にできる。例えば、大麻等の長尺茎バイオマスを剥皮装置によって処理することにより、一方の極端な例では均一な細かい挽き屑を有し、また、もう一方の極端な例では所望の長さの長尺繊維撚糸を備えている生産物を提供可能である。
-準備段階
最初のステップとして、長茎のバイオマス供給物を所望の靭皮繊維(茎)の長さに切断する。切断された茎を、同じような直径の茎が剥皮装置内に供給されるように選別することにより、最適の切断精度及び製品収量が確保できる。好適には、複数の剥皮装置が使用され、それぞれが所定の長さ及び直径の茎を処理する。
【0071】
図1は、本発明に係る剥皮機の一実施形態を図示している平面図である。
【0072】
長尺茎バイオマスは、重力によって剥皮機内に供給されるが、その際、バイオマス供給物の茎を長手方向に整列させて載置し、茎が「ピンのように落ちる」ようにする、漏斗状落とし口(1)を通って供給される。
【0073】
バイオマスの長尺茎は一対の定寸化輪(2)の間にある保持領域(3)へと落ちる。一対の定寸化輪(2)は、バイオマス供給茎を保持して絞り出し、ばらつきのない所定の直径にする。定寸化輪(2)の回転方向は矢印曲線で示されている。定寸化輪(2)が回転することによって、定寸化されたバイオマス供給物が、剥皮機の内部枠(17)に取り付けられた切断ヘッド(4)上に高速で押し出される。
【0074】
切断ヘッド(4)は、バイオマス供給茎を長手方向に切断し、典型的には二等分された茎にする。この二等分片はそれぞれ切断ヘッド(4)のいずれかの側に落ちて、内部通路(7)と第1案内輪(6)によって案内される。第1案内輪(6)の回転方向は矢印曲線で示されている。これにより、バイオマス供給物は第1剥皮段階へと案内される。バイオマス供給物は、「鏡像」のように対称に、剥皮機のいずれかの側において下に向かって続いて行く。
-第1剥皮段階
第1剥皮段階では、おがら、つまり茎の木質内部を取り除く。そのため、バイオマス供給物を、移送輪(11)と隣接する切断輪(10)との間の間隙を通過させる。
図3は移送輪(11)と隣接する切断輪(10)を平面図で示したものであり、間隙を通過するバイオマス供給物を示している。切断輪(10)と移送輪(11)の斜視図は、それぞれ
図4と
図5に示されている。
【0075】
切断輪(10)と移送輪(11)の回転方向は矢印曲線で示されている。移送輪(11)は切断輪(10)よりも低速で回転しており、これによりバイオマス供給茎の外側の樹皮層を保持している。切断輪(10)は、バイオマス供給茎の下面にあるおがらを取り除いている。移送輪(11)と切断輪(10)との間の間隙の大きさは、バイオマス供給茎の外側の樹皮層で取り除かれる、または残存するおがらの比率を左右する。
【0076】
取り除かれたおがらは、挽き屑に似た細かく割られた粒子状物質であり、出口管に落下してコンベヤベルト(図示せず)に向かう。おがらは保管することができるし、下流側の処理(以下で説明する)に直接供給することもできる。
-第2剥皮段階
第1剥皮段階から得られたバイオマス供給物(おがらの少なくとも一部がなくなったもの)は、細長片のようであり、第2剥皮段階へと進んで行く。第2段階では、外表皮の樹皮層を取り除く対象とする。
【0077】
バイオマス供給物を、第2移送輪(13)と隣接する第2切断輪(12)との間の間隙を通過させる。移送輪(13)と第2切断輪(12)の回転方向は矢印曲線で示されている。第2切断輪(12)は第1切断輪(10)とは逆方向に回転している。同様に、第2移送輪(13)は第1移送輪(11)とは逆方向に回転している。取り除かれた樹皮は挽き屑に似ており、加圧水流または加圧空気流によって、回転している第2切断輪(12)から抽出される。樹皮は出口管に落下してコンベヤベルト(図示せず)上に乗る。樹皮は保管することができるし、下流側の処理に(以下で説明するように)直接供給することもできる。
【0078】
この処理から発生するのは靭皮であり、靭皮は長尺の繊維性の帯状である。靭皮生産物は出口管に沿って押し動かされる。
【0079】
好適な実施形態において、剥皮機の外側ハウジング(15)は、ガルウイング形状に設計されており、頂部に中央の枢動ピン(16)を有し、移送輪と切断輪を覆って装着されている。ハウジング(15)を枢動ピン(16)を中心に回転または枢動して、保守、安全点検、及び新たなバイオマス処理のための構成変更、例えば切断ヘッド(4)の変更を行うために、剥皮機の内部にアクセスすることができる。切断ヘッド(4)、切断輪(10,12)、及び移送輪(11,13)は、剥皮機の内部枠(17)に取り付けられており、内部枠(17)は、各輪を回転させるモータを収容し、このユニットの安定性を与えている。切断刃(4)や移送輪(11,13)等の全ての可動部は、この枠に着脱自在に取り付けられている。好適な実施形態では、切断刃(4)と移送輪(11,13)は、保守や構成変更をする場合に簡単に取り外せるように、内部枠(17)に「クリップ留め」されている。
-センサ
図2は、本発明の剥皮装置に配置されている、原料及び生産物の処理を監視する種々のIoTセンサの位置を図示している。
【0080】
図2に表示されたセンサ、及びセンサが通常測定するパラメータを、以下のように列挙する。
【0081】
第1センサ(21a,21b):これらのセンサは、バイオマスが装置の落とし口(1)に入る際に、流れと、バイオマスの寸法、例えばバイオマス茎の直径を測定する。
【0082】
第2センサ(22a,22b):これらのセンサは、保持領域(3)内において、バイオマス茎の流れと、定寸化輪(2a,2b)間の間隙幅を測定する。センサ(21a,21b)による測定値に基づいて、間隙幅は、バイオマスのサイズに対して自動調整される。
【0083】
第3センサ(23a,23b,23c):これらのセンサは、隣接する2つの定寸化輪(2a,2b)の中心点に対する切断ヘッド(4)の先端の高さと位置を測定する。これにより、バイオマス茎がその中心位置で切断ヘッドに確実に当たるようになり、ほぼ対称に二等分になるように確実に分割されるようになる。
【0084】
第4センサ(24a,24b):これらのセンサは、定寸化輪(2a,2b)の回転速度を測定する。バイオマス茎の供給速度はこれらのセンサの測定値に基づいて調整される。
【0085】
第5センサ(25a,25b):これらのセンサは、バイオマスを切断輪(10a,10b)に向かって移動させる第1案内輪(6a,6b)の回転速度を測定する。
【0086】
第6センサ(26a,26b):これらのセンサは、移送輪s(11a,11b)の回転速度を測定する。これは、バイオマスが依然として装置内を確実に移動し続けるようにしながら、バイオマスを十分な時間の間、第1切断輪(10a,10b)に隣接するように保持して、第1生産物を確実に生成するようにするためである。
【0087】
第7センサ(27a,27b):これらのセンサは、第1切断輪(10a,10b)の回転速度と、所望の量の樹皮が取り除かれたかどうかを評価するための抵抗の程度を測定する。移送輪(11a,11b)はそれぞれに対応する第1切断輪(10a,10b)よりも低速で回転しており、これによりバイオマス供給茎の外側の樹皮層を保持している。したがって、センサからのデータを相対速度の調整に用いている。これらの測定値はまた、第1切断輪(10a,10b)を取り替える必要がある場合に知らせるためのデータも提供する。
【0088】
第8センサ(28a,28b):これらのセンサは、切断輪(10a,10b)から生成されたおがらを含む第1生産物の流れを測定する。センサ(28a,28b)はまた、装置内を通過するようにバイオマス生産物を推進させるために加える水または空気の圧力または量を測定してもよい。
【0089】
第9センサ(29a,29b):これらのセンサは、第2移送輪(13a,13b)の回転速度を測定する。これは、バイオマスを十分な時間の間、第2切断輪(12a,12b)に隣接するように保持して、樹皮を含む第2生産物を確実に生成するようにするためである。
【0090】
第10センサ(30a,30b):これらのセンサは、第2切断輪(12a,12b)の回転速度と、所望の量の樹皮が取り除かれたかどうかを評価するための抵抗の程度を測定する。これらの測定値はまた、切断輪(12a,12b)を取り替える必要がある場合に知らせるためのデータも提供する。
【0091】
第11センサ(31a,31b):これらのセンサは、第1切断輪(10a,10b)から第2切断輪(12a,12b)に向かって流れるバイオマスの流速を測定する。これらのセンサが測定したデータに基づいて、第2切断輪(12a,12b)と第2移送輪(13a,13b)との間の間隙を、第2生産物としてのバイオマスの所望の除去を実現するように調整する。センサが測定した流れのデータはまた、導管内でのバイオマスの何らかの詰まりの発生も指摘する。
【0092】
第12センサ(32a,32b):これらのセンサは、バイオマスを第2切断輪(12,12b)に向かって移動させる第2案内輪(8a,8b)の回転速度を測定する。
【0093】
第13センサ(33a,33b):これらのセンサは、第1切断輪(10a,10b)から取り除かれて、出口管に落下してコンベヤベルトに向かっている時の第1生産物の流れを測定する。
【0094】
第14センサ(34):このセンサは、コンベヤ(または、装置から第1生産物を取り除くのに使用される他の任意の装置)の速度を測定する。センサはまた、コンベヤ上へ渡される第1生産物の重量も測定する。このデータを用いて、第2段階の処理速度を管理して最適化する。
【0095】
第15センサ(35a,35b):これらのセンサは、第2段階でのバイオマスの流速を測定する。これらのセンサからのデータを用いて、第2切断輪(12a,12b)と第2移送輪(13a,13b)との間の間隙を、第2生産物の所望の除去速度を実現するように調整する。センサが測定した流れのデータはまた、バイオマスの何らかの詰まりの発生も指摘する。
【0096】
第16センサ(36a,36b):これらのセンサは、第2生産物の流速と重量を測定する。センサはまた、導管を通過する第2生産物の流れを支援するために加えられる空気または水の量または圧力を測定する。
【0097】
第17センサ(37a,37b):これらのセンサは、第3生産物の流速と重量を測定する。センサはまた、導管を通過する第2生産物の流れを支援するために加えられる空気または水の量または圧力を測定する。
【0098】
これらのセンサは、取得情報を、処理制御プログラムがあらかじめ組み込まれたサーバ内のデータベースに通信する。必要に応じて、プログラムを用いた「リアルタイム」処理最適化中において、取得情報はデータ基準点として使用されてもよい。このようにして、サーバは、機械可読な処理制御プログラムをリアルタイムで最適化して、確実に生産性を最大化するとともに廃棄物を最少化することができる。
【0099】
センサからの情報は、セキュアなネットワークを介して、専用のリアルタイム情報システム(RIMS)に伝送されてもよい。RIMSはサーバ、データベース、及びユーザインターフェイスで構成されており、ここで取得情報を処理し、専用の効率デジタルアルゴリズムが、CPUに既に送信されている処理プログラムの既定のセッティングの最適命令セット調整を計算する。
【0100】
具体的には、処理制御プログラムは、
図1に示されている輪の回転速度と切断ヘッド(4)の高さを制御可能である。例えば、バイオマス原料の流れを最大にするために、定寸化輪(2)及び第1案内輪(6)の回転速度を調整可能である。これにより、剥皮装置を通過する材料の流速を制御できるようになり、所望される切断と寸法の生産物の引き渡しが可能になる。
【0101】
処理制御プログラムは、生産物の流れの量と速度を最適化して任意の下流側の処理に直接供給することを確実に行うことができる。
-切断ヘッド
切断ヘッド(4)は、迅速解放機構によって、剥皮機の内部枠(17)に取り付けられていることで、剥皮装置の操作に対して必要以上に遅延することなく切断ヘッドの迅速な交換を可能にする。切断ヘッド(4)は、枠の角錐形部分の頂点に取り付けられている。
【0102】
典型的には、切断ヘッドは、切断ヘッドの回転を駆動させるスピンドルに取り付けられている。代替として、切断ヘッドの回転を、同時に回転して切断ヘッドを横切るようにバイオマスを押し出す、隣接している移送輪によって駆動させる。
【0103】
好適な実施形態において、スピンドルはシャフトを備えており、シャフトは、その外側に迅速解放機構を有しており、これにより、切断ヘッドの回転、切り換え、または交換を迅速に行うことができる。迅速解放機構は、例えばばね留め金や、または切断ヘッドの走行方向に対して逆に回転するねじ上にある止めナットであってもよい。
【0104】
切断ヘッドの寸法は、処理しているバイオマスの量によって決まる。そのため切断ヘッドの寸法及び角度は、バイオマスの茎がある程度切断ヘッド上を並行して通過できるように調整されてもよい。隣接する移送輪の寸法及び位置に対しても、対応して調整が行われる。
-下流側での処理
長尺茎バイオマスのおがら、樹皮、及び繊維(靭皮)生産物は、後の使用のために保管しておいてもよく、すぐに下流側の処理に供給して他の生産物を生成してもよい。
【0105】
典型的には、靭皮は、都合のよい任意の規模で生地に加工するために使用してもよい。
【0106】
おがらのような挽き屑は、糖、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、タンパク質、油、及び他の価値ある製品等の生産物を抽出する下流側の処理への原料であってもよい。
【0107】
樹皮のような挽き屑は、セルロース、ヘミセルロース、ポリフェノール、及びリグニン等の生産物を抽出する処理への原料であってもよい。これらの生産物をさらに処理して、バイオ燃料、バイオディーゼル、航空用バイオガス、エタノール及び他の再生可能エネルギー源、医薬品/栄養補助食品、並びにバイオ炭のようなバイオ肥料を製造してもよい。
【0108】
他の有用な生産物としては、家畜飼料、ヘンプクリート等の建築資材、グラフェン、ナノセルロース等が挙げられる。
【0109】
特に好適な実施形態において、本発明の生産物は、例えばCCE装置を用いることによって、CCE等の下流側の処理に供給される。本発明に係る向流拡散抽出機を
図7に示す。CCE装置は、産業界では、固相と液相が向流で流れることによって分離される連続動作・無段階接触装置として一般に知られている。原料は典型的には、CCE装置に導入される前に切断または細断されて、所望のサイズの切片にされる。原料から抽出された液体は、再び装置に導入されて、液体の向流をもたらす。
【0110】
好適な実施形態において、本発明の処理のおがらまたは樹皮生産物は、CCEへの準備のために、酵素/バランスタンクに加えられる。
【0111】
おがらまたは樹皮生産物は、「湿潤状態で」処理可能である。つまり、水及び酵素が予混合された水を材料に吹き付けることにより、CCE装置への移動を支援することができる。
【0112】
特に好適な実施形態において、本発明の剥皮装置及び処理は、CCE装置への原料として、及び、Defugo Group Australia株式会社によるオーストラリア国仮特許出願第2020904315号に対応し、その開示を参照により本願に援用している国際特許出願に記載されている関連プロセスへの原料として、下流側で使用するのに適した製品を提供する。
【0113】
最適には、センサによって取得された剥皮装置に関連する情報は、上述のような「リアルタイム」処理最適化に使用して、最適な寸法の生産物をCCE装置に最適な速度で確実に供給するようにしてもよい。このことは、生産性を最大化するとともに廃棄物を最少化することに寄与する。
【0114】
上記でも説明したように、剥皮装置のセンサからの情報は、セキュアなネットワークを介して、CCEにも用いられる専用のRIMSに伝送されてもよい。
図6は、適切なシステムのハイレベルアーキテクチャを図示している。RIMSはサーバ、データベース、及びユーザインターフェイスで構成されており、ここで剥皮装置やCCEからの取得情報を処理し、専用の効率デジタルアルゴリズムが、CPUに既に送信されている処理プログラムの既定のセッティングの最適命令セット調整を計算する。
【0115】
本発明の剥皮装置及び処理は、最少の、好適にはごくわずかな廃棄物量で、数種の高価値の生産物を大量の生産量で提供することができる。これにより、大麻1トン当たりの現金の収量が大幅に増加する。より重要なのは、大量のバイオマスの処理が可能になるので、大麻産業及び他の同様の産業が、綿等の他の生地材料と直接競合するような方向に進んでいくことである。
【0116】
このことは一般的に重要であるが、より具体的には、水が主要課題である多くの国にとって重要である。綿の処理は莫大な量の水を消費し、付随する損害を環境にも与えてしまう。
【0117】
大麻といった多くの長尺茎バイオマス作物は、簡単に既存の農業に組み込むことが可能である、急速に成長する草類であり、特に、サトウキビのような成長が遅めの農作物と置き換えたり、輪作の選択肢としたりすることができる。
【0118】
本発明の剥皮装置及び処理は、単作から複数の収益の潮流が可能になることにより、大きな経済的機会を生み出す。
【0119】
以下の限定されない例を参照して、本発明をさらに説明する。
[例1 サトウキビ原料処理]
本例では、原料はサトウキビを含む。本例では、サトウキビバイオマスを分離して、価値ある構成材、例えば(i)ショ糖、及び(ii)バイオ燃料状のバイオエネルギー、にすることを説明する。
-初期処理
サトウキビを処理工場に持ち込む。必要であれば、受入貯蔵場所へと運ぶ前に、細断茎(ビレット)を脱葉ユニットを通過させて、葉片やはがれた有機物を除去する。これらはその後の処理を施されてもよい。
【0120】
必要であれば、サトウキビを脱葉ユニットから洗浄ステーションへと搬送し、そこでサトウキビの外側から汚れや他の望ましくない物質を洗浄する。これにより、処理された材料の品質が維持される。
【0121】
サトウキビの茎(ビレット)の形態の長尺茎バイオマスがサトウキビ農園で所望の長さに切断されていなかった場合には、処理工場で所望の長さに切断される。
-サトウキビの剥皮
処理における典型的な次のステップは、ビレットを以下の3つの構成部分に分割する剥皮である。
【0122】
・トリシン抽出や他の生物活性物質やろうの抽出のための原料として使用可能である、樹皮(2wt%)
・糖や食物繊維要素を回収するための原料として使用可能である、おがら(80wt%)
・下流側のエネルギー発生のためにセルロースやリグニンを回収するための原料として使用可能である、靭皮(18wt%)
図1は、本発明に係る使用に適した剥皮機の一実施形態を図示したものである。剥皮機の使用はサトウキビビレットに関して説明しているが、より広範には、剥皮機は典型的には長尺茎植物の形態の幅広い植物バイオマスを用いた使用に適していることを了承されよう。
【0123】
長尺茎バイオマスは、重力によって漏斗状落とし口(1)を通って剥皮機内に供給されるが、茎が「ピンのように落ちて」一対の定寸化輪(2)の間にある保持領域(3)に入るようにして供給される。定寸化輪(2)が回転することによって、定寸化されたバイオマス供給物が、バイオマス供給茎を長手方向に切断する切断ヘッド(4)上に高速で押し出される。二等分片はそれぞれ切断ヘッド(4)の両方の側に落ちて、内部通路(7)と第1案内輪(6)によって案内される。
-第1剥皮段階
第1剥皮段階では、おがら、つまり茎の木質内部を取り除く。そのため、バイオマス供給物を、移送輪(11)と隣接する切断輪(10)との間の間隙を通過させ、ここで切断輪(10)がバイオマス供給茎の下面にあるおがらを取り除く。
【0124】
取り除かれたおがらは、挽き屑に似た細かく割られた粒子状物質状であり、出口管に落下してコンベヤベルト(図示せず)に向かう。おがらは保管することができるし、下流側の処理(以下で説明する)に直接供給することもできる。
-第2剥皮段階
バイオマス供給物(おがらの少なくとも一部がなくなったもの)を、第2移送輪(13)と隣接する第2切断輪(12)との間の間隙を通過させる。取り除かれた樹皮は挽き屑に似ており、加圧水流または加圧空気流によって、回転している第2切断輪(12)から抽出される。樹皮は出口管に落下してコンベヤベルト(図示せず)上に乗る。樹皮は保管することができるし、下流側の処理に(以下で説明するように)直接供給することもできる。
【0125】
この処理から発生するのは靭皮であり、靭皮は出口管に沿って押し動かされる。
-おがらからの糖の抽出
剥皮から生成されたおがらは、
図7に図示されているようなCCE装置内に供給されてもよく、ここで、熱水を拡散液として使用して、糖が抽出される。抽出された糖シロップはブリックス値が10~11であり、網目が0.5mmの振動ふるいを次に通過することで、大きめの固体が濾過されて取り除かれる。
-微細濾過
0.1mmのフィルタを用いた微細濾過では、抽出物内のより小さな固体や細菌を取り除く。抽出された糖シロップを、先行技術の糖蒸発装置を用いた処理に送って結晶化して、優れた耕地(未精製)糖を製造する。この簡単な処理は、従来の処理とは異なり、結晶化された糖を清浄または漂白する際に化学物質や他の薬剤を全く使用しないという利点がある。
【0126】
糖溶液からポリフェノールやミネラルをさらに抽出したい場合は、以下のステップを利用してもよい。
-限外濾過
限外濾過を用いることで、微細濾過からの保持液から、ポリフェノール化合物と抽出された無機塩類のほとんどを取り除くことができる。これにより、ポリフェノールの濃縮液と、さらに精製して他の生産物を製造可能な無機質が得られる。濾過された抽出物は、この段階から、蒸発によって濃縮されてそのまま糖シロップとすることもできるし、または抽出物を用いて糖結晶を製造することもできる。
-イオン交換
糖溶液中のあらゆる色をさらに減らすために、イオン交換処理を必要に応じて使用してもよい。樹脂交換カラム等のイオン交換装置は従来技術で周知であり、本発明に係る処理工場に容易に取り入れることができる。濃色のポリフェノール化合物を、ポリマー交換樹脂と結合させることによって選択的に取り除き、見た目に優れた淡色の生産物を生成してもよい。
【0127】
蒸発装置は、従来技術で周知である別の装置であり、処理工場に容易に取り入れることができる。蒸発装置は、糖シロップを、シロップからの水分蒸発によって、典型的には70ブリックスより高いレベルまで結晶化できる状況を生み出す。蒸発処理から得られた水は、回収して飲料や飲料混合液として使用することもできるし、また、CCEに戻してさらに糖を抽出することもできる。
-おがらから得られる繊維
抽出された繊維は、CCEの頂部から出て、Comitrol(登録商標)ブランドの切断ヘッドといった切断ヘッド内に渡される。この切断ヘッドのゲージは、要求に応じて、例えば所望の繊維長に設定されてもよい。
【0128】
約85%の水分を備えている収集された抽出繊維は、バランスタンク内へと圧送され、その後ベルトプレスに移動し、そこで圧縮して水分レベルを約70~75wt%まで減らしてもよい。回収された水はCCE装置に戻してもよい。
【0129】
圧縮された繊維を回転窯乾燥機に供給して、さらに乾燥させることができる。約8%未満の水分レベルに乾燥させたら、繊維は挽いて袋詰めすることができる。乾燥中に除去された水を濃縮してCCEに戻し、工場内で清掃に用いたり、農業や、処理後に人や動物の飲食に使用可能になるさらなる処理といった他の用途に採用したりすることができる。
-樹皮処理
樹皮処理は、典型的には、植物の外皮内にある特定の生産物の回収を目的とする場合にのみ用いられる。糖だけ、または糖とコジェネエネルギーを回収したい場合には、靭皮から樹皮を取り除く必要はない。樹皮処理は費用のかかる処理であり、価値の高い生産物を回収する場合にのみ、経済的に採算が取れる。このことについては以下の段落で多少説明する。
-CCEにおけるエタノールを用いた溶媒抽出
樹皮は、火花や閃光を防ぐように設計されているCCEユニット内で抽出されてもよい。これが必要な理由は、外皮中にある非水溶性の生物活性物質を抽出するために、抽出拡散液は水で18%に希釈されたエタノールを含むからである。この物質として、樹皮中に存在するトリシン、ポリフェノール、及び脂質が含まれ、相当な商品価値がある。抽出物は1mmのふるいでふるい分けされて、大きめの固体が取り除かれる。
【0130】
蒸発装置を用いてエタノールと水を除去し、抽出物内の生物活性化合物を濃縮する。蒸発で取り除かれた水とエタノールは、液化させて他の目的に使用することができる。
【0131】
おがらと樹皮は両方とも、おがらから糖を、樹皮からポリフェノールを抽出した後に処理してエネルギーにするのに適している。例えば、おがらと樹皮バイオマスを、処理してペレットにした後で、所望の水分含有量になるまで乾燥させてもよい。
図8に示されている処理ステップで説明しているように、回収された繊維を、処理してペレットにし、乾燥させてから、発電用のガスを発生させるのに使用してもよい。乾燥ペレットの高温熱分解によって、水素と一酸化炭素が豊富に含まれる合成ガスが発生し、このガスは濾過される。バイオマスの熱分解によって、バイオ炭とグラフェンが生成される。これらは取り出され、土壌改良等の目的に使用可能である。
-エネルギー化のための靭皮・樹皮の処理
上述の処理は、靭皮と樹皮にも、または靭皮のみにも使用可能である。靭皮は典型的には所望の長さに切断されて処理され、
図8に示されている反応ステップ中の転換のための乾燥ペレットになる。バイオマスをさらに乾燥する必要がある場合は、処理前に長期間保管する状態にしてもよい。
【0132】
樹皮の除去は、処理中に望ましくない副生成物を生じさせる可能性があるろうの抽出を防ぐためには好ましい。ろうは確実に商品価値があるので、これらの除去が必要であれば、廃棄物の流れとして考慮する。
【0133】
バイオマスをバランスタンクへ移動し、ここで酵素を加えて、繊維中の目的物をさらに「緩める」。液体のターゲットは、バイオエタノールの生成のためのリグニンとセルロース、バイオディーゼルを生成する熱分解のための繊維、木酢、バイオ炭、及び熱エネルギーである。バランスタンクは、CCE装置内にバイオマスを供給する速度を安定させ、ここで繊維をリグニンとセルロース物質から分離する。
-液体
液体流はセルロース、リグニン、及び水の混合体である。液体は、粗フィルタを通過させて反応後のあらゆる酵素を除去してから、遠心分離や膜濾過といった任意の便利な手段を用いて、水をリグニンとセルロースから分離する。エタノールを所望するかどうかによって、混合体流を処理に直接供給可能であるか、あるいは、液体をリグニンとセルロースの流れに分離してさらに精製し、エタノール/バイオエネルギーにするかのどちらかである。
[例2 大麻/ケナフ処理]
本例では、原料は大麻またはケナフ等の高繊維生産物を含んでいる。本例では、大麻またはケナフバイオマスを分離して、価値ある構成材、例えば(i)バイオ燃料状のエネルギー、(ii)綿代替物、及び(iii)人または動物の飲食用植物由来タンパク質、にすることを説明する。
-初期処理
大麻茎を処理工場に持ち込む。茎がサトウキビ農園で所望の長さに切断されていなかった場合には、処理工場で所望の長さに切断される。
【0134】
必要であれば、受入貯蔵場所へと運ぶ前に、茎を脱葉ユニットを通過させて、葉片やはがれた有機物を除去するが、除去物は第2段階での動物飼料への再利用のための別個の処理に渡す。
【0135】
必要であれば、茎を脱葉ユニットから洗浄ステーションへと搬送し、そこで茎の外側から汚れや他の望ましくない物質を洗浄する。これにより、処理された材料の品質が維持される。
-茎の剥皮
茎を加速して剥皮機を通過させ、茎を次の異なる3つの部分に分割する。
【0136】
・エネルギー発生、または高級の生物活性物質の抽出に使用される、2wt%の樹皮(靭皮が高純度である必要がある場合に靭皮から取り除かれる)
・短尺繊維とリグニンの大部分と少量のセルロースを含有し、ヘンプクリート内での結合やエネルギー生成に使用される、60-70wt%のおがら
・長尺撚糸の大部分と多量のセルロースと少量のリグニンを有しており、主に生地とエネルギーの生成に使用される、30-40wt%の靭皮
-おがら処理
エネルギーがおがらから所望される唯一の産物である場合、除去された物質を、ペレット生成ユニットに移動し、その後に乾燥ユニットに移動して、そこで水分を14%に減少させる。
図11に図示されているように、その後ペレットはエネルギー発生に使用可能である。
【0137】
代替として、おがらからの抽出が行われる場合、コンベヤベルトに置かれてCCE装置に送られ、拡散液として熱水または冷水を用いて抽出される。抽出された液体は、セルロース、リグニン、デンプン、タンパク質、及び糖を含有し得る。
【0138】
これらの抽出物の二次処理は、望まれる経済産物、例えば、液状デンプン、タンパク質、糖、及びセルロースやリグニンのためのエネルギー変換を基にし得る。
-繊維処理
上記で記載した抽出された繊維は、CCEの頂部から出て、ベルトプレスに供給されて水分除去を行うことができる。抽出された繊維は水分量が約85%で、圧縮して水分含有量を約70~75%まで減らしてもよい。回収された水はCCEに戻すことができる。
【0139】
圧縮された繊維を、ペレット化して、さらなる乾燥へと送ってもよい。約14%の水分レベルに乾燥させたら、繊維はその後のエネルギー変換のために保管可能である。乾燥によって除去された水は、濃縮してCCEで再利用したり、処理工場内で清掃に用いたり、農業等の他の用途に展開したりすることができる。
-樹皮処理
樹皮処理は、植物の外皮中にある特定の高価値ポリフェノール生産物が所望される場合、または靭皮を洗浄して生地に変換する場合にのみ必要とされる。エネルギー回収が唯一の目的であれば、樹皮は靭皮から取り除かれる必要はない。これは費用のかかる処理であり、価値の高い生産物を回収する場合にのみ価値がある。
-CCEにおけるエタノールを用いた溶媒抽出
樹皮層はCCE装置内で抽出されるが、抽出では可燃性の抽出拡散液、例えば18%のエタノール水溶液を使用するために、装置は火花や閃光を防ぐように設計されている。エタノールを使用するのは、樹皮中に存在する、相当な商品価値がある、トリシンや他の脂質といった非水溶性の生物活性物質を抽出するためである。抽出物は、蒸発装置内で濃縮される前に、1mmのふるいによってふるい分けされる。
【0140】
蒸発装置を用いて溶媒を除去し、抽出物内の生物活性化合物を濃縮する。溶媒は回収されて再利用される。濃縮物は次に、関連する生物活性物質をさらに抽出するために移送される。
【0141】
残りの繊維を圧縮してペレット化し、保管のために14%の水分量に乾燥する。得られた生産物は例えば、
図8に図示されているエネルギー変換処理において使用されてもよい。
-生地のための靭皮の処理
剥皮機で樹皮を取り除くかどうかにかかわらず、靭皮の処理は上述したものと同じである。靭皮は、処理を行うCCE装置に適しており、かつ、処理された繊維の所望の長さを実現するのに適している長さに切断される。次に、切断された靭皮を、繊維を緩めることと靭皮からゴム質を除去することを援助する酵素を含有しているバラストタンクに移動する。酵素の種類は、必要とされる抽出量と撚糸の最適な分解量とによって決められる。靭皮がCCEを通過すると、撚糸が緩んで、セルロース、リグニン、糖、及びデンプンを含有している液体流を放出する。これらの抽出物を二次分離処理に移動して、エネルギーへ変換する処理を行うことができる。
-液体
液体流はセルロース、リグニン、デンプン、及び水の混合物である。液体は、粗フィルタを通過させて反応後のあらゆる酵素を除去してから、遠心分離や膜濾過といった任意の便利な手段を用いて、水をリグニンとセルロースから分離する。エタノールの生成を所望するかどうかによって、混合体流が処理可能であるか、あるいは、液体をリグニンとセルロースの流れに分離してさらに精製し、エタノール/バイオエネルギーにすることが可能であるかのどちらかである。
【0142】
CCEの端部から取り除かれると、繊維は、乾燥して、代替物である綿、紙、段ボール紙、または任意の数の生地をベースとした物質へと処理されてもよい状態になっている。
-エネルギーのための靭皮の処理
剥皮機で靭皮からおがらを取り除くかどうかにかかわらず、靭皮の処理は上述したものと同じである。靭皮は所望の長さに切断されて、保管及びエネルギーへの変換のために14%の水分量に乾燥する。
-エネルギー変換のためにペレット化されたバイオマス
ペレット化されたバイオマスは、
図8に示されているシステムといったシステム内に最適に供給される。バイオマスは例えば以下のものに変換可能である。
【0143】
・再生可能燃料、例えばディーゼル、航空ガソリン、エタノール、水素等
・バイオ炭/グラフェン
・木酢液
・水
一般に、ペレット化されたバイオマスは、収量及び製品品質の程度に幅があるほとんどのタイプの従来の熱分解処理に使用してもよい。
-液体のエネルギーへの変換
バイオマスにおける他の様々な価値ある生産物は、バイオマスをエネルギーに変える前に抽出(例えばCCEを用いて)することも、分離(例えば剥皮を用いて)することも可能である。本発明の処理の利点の1つは、バイオマス変換を向上させるために望ましくない副生成物または不純物を除去する必要なく、バイオマスからエネルギーへの変換が提供できることである。これは、サトウキビを含む幅広いバイオマス原料や、ヤシ等の幅広い原料由来の油にも言えることである。
[各例の検討]
これらの例は、剥皮機及び/または向流抽出装置を用いて原料から生産物を分離することができる、本発明の実施形態を説明している。
【0144】
例1及び例2を特に参照して、本発明は、原料を処理するシステムであって、
(i)原料を剥皮機を通過させて、原料を靭皮、おがら、及び樹皮に分けるステップと、
(ii)靭皮、おがら、及び樹皮のうちの少なくとも1つを向流抽出機内で個別にさらに処理するステップと、を備えており、
靭皮を圧縮、乾燥、及び保管して、
かつ/または
おがら及び/または樹皮を圧縮、乾燥、及び熱分解して、タール、木酢(木酢液)、水素、及びバイオ炭のうちの1つ以上を生成する、システムを提供する。
【0145】
本システムは、
図9により詳細に、向流抽出と剥皮の中間のステップを含んで記載されている。
【0146】
本発明をその特定の実施形態と合わせて説明してきたが、さらに変更(複数の変更)ができることを理解されよう。本願は、本発明の原理に全体として従い、本発明が属する技術の範囲内で既知または慣例の実施の範囲内であるとともに上記で述べた必須の特徴に適用可能であるような本開示からの逸脱を含んでいる、本発明のあらゆる変形の使用や適応を網羅していることとする。
【0147】
本発明は、本発明の必須の特徴の精神から逸脱することなくいくつかの形態で具体化され得るので、そうでないと特定されていない限り、上述の実施形態は本発明を限定するものではなく、むしろ特許請求の範囲で規定されているような本発明の精神と範疇の範囲内で広く解釈されるべきであることを理解されたい。記載された実施形態は、あらゆる点においてもっぱら例示とみなすものであり、制約的なものではない。
【0148】
種々の修正や同等の配置は、本発明と特許請求の範囲の精神と範疇の範囲内に含まれるものとする。したがって、特定の実施形態は、本発明の原理が実施され得る数多くの方法を例示するものであることを理解されよう。以下の特許請求の範囲において、ミーンズプラスファンクション節は、構造を、そして構造的な等価物だけではなく等価な構造も、規定された機能を実行するものとして網羅することをとする。例えば、釘とねじは、釘は円筒面を利用して木製部分同士を固定するが、一方、ねじはらせん面を利用して木製部分同士を固定する点において、両者は構造的な等価物ではないかもしれないが、木製部分同士を締結するという事情において、釘とねじは等価な構造である。
【0149】
本明細書で「サーバ」、「セキュアなサーバ」という語、または同様の語が用いられている場合、文脈が別段要求していない限り、通信システム内で用いられてもよい通信装置が記載されているが、この装置は本発明を、任意の特定の通信装置の類に限定するものと解釈すべきではないことに留意されたい。よって、通信装置は、ブリッジ、ルータ、ブリッジルータ(ルータ)、スイッチ、ノード、または他の通信装置を含んでいてもよいが、これらに限定されない。また、これらはセキュアであってもなくてもよい。
【0150】
また、本明細書でフローチャートを使用して本発明の様々な態様を説明している場合、これは本発明を、任意の特定の論理フローや論理構築に限定するものと解釈すべきではないことにも留意されたい。記載された論理は、全体結果を変化させることなく、また本発明の真の範囲から逸脱することもなく、異なる論理ブロック(例えば、プログラム、モジュール、関数、またはサブルーチン)に分割されてもよい。多くの場合、全体結果を変化させることなく、また本発明の真の範囲から逸脱することもなく、論理素子を追加、変更、省略、異なる順序で実行、または異なる論理要素(例えば、論理ゲート、ループプリミティブ、条件付き論理、及び他の論理構造要素)を用いて構築してもよい。
【0151】
本発明の様々な実施形態は、数多くの異なる形態で具体化されてもよい。形態としては、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、または汎用コンピュータ、これに関しては、単独のプロセッサか、システム内の直列または並列セットのプロセッサのいずれかとして本発明の実施形態を実施するために任意の市販プロセッサを用いてもよく、このようなものとしては、市販のプロセッサの例として、Merced(登録商標)、Pentium(登録商標)、Pentium II(登録商標)、Xeon(登録商標)、Celeron(登録商標)、Pentium Pro(登録商標)、Efficeon(登録商標)、Athlon(登録商標)、AMD(登録商標)等が挙げられるが、これらに限定されない)とともに使用するコンピュータプログラム論理、プログラム可能な論理装置(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)または他のPLD)と共に使用するプログラム可能なロジック、個別部品、集積回路(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))またはこれらの任意の組み合わせを含む他の任意の手段が挙げられる。本発明の例示的実施形態では、ユーザとサーバとの間の通信のほとんどすべてが、コンピュータ実行可能形式に変換され、そのままコンピュータ可読媒体内に格納されて、オペレーティングシステムの制御下でマイクロプロセッサによって実行される、コンピュータプログラム命令の組として構築されている。
【0152】
本明細書に記載されている機能の全てまたは一部を構築するコンピュータプログラム論理は、数多くの異なる形式で具体化されてもよい。形態としては、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、及び様々な中間形式(例えば、アセンブラ、コンパイラ、リンカ、またはロケータによって生成される形式)が含まれる。ソースコードは、種々のオペレーティングシステムまたはオペレーティング環境で使用するための種々のプログラミング言語(例えば、オブジェクトコード、アセンブリ言語、またはFortran、C、C++、JAVA、またはHTML等の高水準言語。さらに、本発明の実施形態で実行するために用いてもよい使用可能なコンピュータ言語が何百も存在し、その中でもより一般的なものは、Ada、Algol、APL、awk、Basic、C、C++、Conol、Delphi、Eiffel、Euphoria、Forth、Fortran、HTML、Icon、Java、Javascript、Lisp、Logo、Mathematica、MatLab、Miranda、Modula-2、Oberon、Pascal、Perl、PL/I、Prolog、Python、Rexx、SAS、Scheme、sed、Simula、Smalltalk、Snobol、SQL、Visual Basic、Visual C++、Linux、及びXMLである)のいずれかにおいて構築される一連のコンピュータプログラム命令を含んでいてもよい。ソースコードは、様々なデータ構造及び通信メッセージを定義して使用してもよい。ソースコードはコンピュータ実行可能形式(例えばインタープリタを介して)であってもよく、また、ソースコードは、コンピュータ実行可能形式に変換(例えばトランスレータ、アセンブラ、またはコンパイラを介して)されてもよい。
【0153】
コンピュータプログラムは、任意の形式(例えばソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、または中間形式)で、有形の記憶媒体、例えば半導体メモリ装置(例えばRAM、ROM、PROM、EEPROM、またはフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリ装置(例えばディスケットまたは固定ディスク)、光メモリ装置(例えばCD-ROMまたはDVD-ROM)、PCカード(例えばPCMCIAカード)、または他のメモリ装置内に、恒久的または一時的のいずれかで固定されてもよい。コンピュータプログラムは、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えばBluetooth)、ネットワーキング技術、及びインターネットワーキング技術を含むが、決してこれらには限定されない、様々な通信技術のいずれかを使用して、コンピュータに伝送可能な信号内の任意の形式で固定されてもよい。コンピュータプログラムは、添付の印刷または電子文書(例えばシュリンク包装されたソフトウェア)を有するリムーバブル記憶媒体として任意の形式で配布されても、コンピュータシステムにあらかじめ組み込まれて(例えばシステムROM上または固定ディスク上に)いても、あるいは、通信システム(例えばインターネットまたはワールドワイドウェブ)上でサーバまたは電子掲示板から配布されてもよい。
【0154】
本明細書に記載されている機能の全てまたは一部を実施するハードウェア論理(プログラム可能論理装置と共に使用するプログラム可能論理を含む)は、従来の手作業による手法を用いて設計してもよく、また、様々なツール、例えばコンピュータ支援設計(Computer Aided Design:CAD)、ハードウェア記述言語(例えばVHDLまたはAHDL)、またはPLDプログラミング言語(例えばPALASM、ABEL、またはCUPL)を使用して、電子的に設計、取得、シミュレート、または文書化してもよい。ハードウェア論理はまた、本発明の実施形態を実行するための表示スクリーン内に組み込まれていてもよく、このスクリーンは、セグメント化された表示スクリーン、アナログ表示スクリーン、デジタル表示スクリーン、CRT、LEDスクリーン、プラズマスクリーン、液晶ダイオードスクリーン等であってもよい。
【0155】
プログラム可能論理は、有形の記憶媒体、例えば半導体メモリ装置(例えばRAM、ROM、PROM、EEPROM、またはフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリ装置(例えばディスケットまたは固定ディスク)、光メモリ装置(例えばCD-ROMまたはDVD-ROM)、または他のメモリ装置内に、恒久的または一時的のいずれかで固定されてもよい。プログラム可能論理は、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えばBluetooth)、ネットワーキング技術、及びインターネットワーキング技術を含むが、決してこれらには限定されない、様々な通信技術のいずれかを使用して、コンピュータに伝送可能な信号内に固定されてもよい。プログラム可能論理は、添付の印刷または電子文書(例えばシュリンク包装されたソフトウェア)を有するリムーバブル記憶媒体として配布されても、コンピュータシステムにあらかじめ組み込まれて(例えばシステムROM上または固定ディスク上に)いても、あるいは、通信システム(例えばインターネットまたはワールドワイドウェブ)上でサーバまたは電子掲示板から配布されてもよい。
【0156】
「備えている(comprises/comprising)」及び「含んでいる(includes/including)」は、本明細書にて使用された場合は、記載された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を明示するためのものとされるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在や追加を排除するものではない。よって、文脈が別の内容を明確に要している場合を除き、明細書の記述及び請求項の全体にわたって、「備えている(comprise、comprising)」、「含んでいる(includes、including)」等の語は、排他的または網羅的な観念とは反対に、包括的な観念、つまり、「含んでいるが、限定するものではない」という観念で解釈される。
【0157】
本明細書においてマーカッシュ群または他のグループ分けを用いた場合、その群の全ての個々の要素、及びその群の可能な全ての組合わせ及びサブ組合わせは、本開示に個別に含まれていることとされる。そうでないと述べていない限り、本明細書に記載または例示されている構成要素の全ての組み合わせは、本発明を実施するために用いることができる。
【0158】
本明細書においてある範囲、例えば温度範囲、時間範囲、または成分もしくは濃度範囲が与えられたときは常に、すべての中間範囲及びサブ範囲、並びにその範囲に含まれている全ての個別の値が本開示に含まれていることとされる。本明細書の記載に含まれている、あらゆるサブ範囲、または範囲内またはサブ範囲内のあらゆる個々の値を、本明細書の請求項から排除することができることを理解されよう。
【0159】
本明細書で用いられているように、「備えている(comprising)」は、「含んでいる(including)」、「含んでいる(containing)」、または「特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的であり、または限定しないものであって、列挙されていない追加の要素または方法ステップを排除しない。本明細書で用いられているように、「~からなる(consist of)」は、請求項の要素において特定されていないいずれの要素、ステップ、または成分も排除する。本明細書で用いられているように、「基本的に~からなる(consisting essentially of)」は、請求項の基本的かつ新規的な特徴に実質的に影響を与えない材料やステップを排除しない。広義な意味を持つ語である「備えている(comprising)」は、狭義な語である「基本的に~からなる(consisting essentially of)」や、より狭義な「~からなる(consist of)」までも包含するものである。よって、「1つまたは複数の請求要素を備えている(comprising one or more claim element)」という句(例えば「Aを備えている(comprising A)」)の本明細書でのいずれの列挙においても、その句はより狭義な内容、例えば「基本的にAからなる(consisting essentially of A)」及び「Aからなる(consisting of A)」を包含するものである。したがって、より広義な語である「備えている(comprising)」は、本明細書では、それぞれの使用の際に、「基本的に~からなる(consisting essentially of)」または「~からなる(consist of)」のいずれかに対しても特定のサポートを行うものである。本明細書で例証として適切に記載されている発明は、ここで具体的に開示されていないあらゆる要素または複数の要素、限定または複数の限定なく実施され得る。
【0160】
当業者であれば、過度な実験を行わなくても、具体的に例示した以外の材料や方法を本発明の実施において用いることができることを了解するであろう。あらゆるそのような材料や方法の技術的に既知である機能的等価物は全て、本発明に含まれていることとする。用いられている語及び表現は、説明のための語として使われており、限定のための語ではなく、このような語及び表現の使用において図示または説明された特徴またはその一部の等価物を除外する意図はなく、請求項に含まれる本発明の範囲内で種々の修正が可能であることが認識される。したがって、本発明を例示である好適な実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示してきたが、本明細書で開示されている概念の修正や変形が実施可能であり、このような修正や変形は、本発明の請求の範囲で規定された本発明の範囲内であると見なされることを理解すべきである。
【0161】
本明細書で引用した各参照文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。このような参照文献は、材料の供給源、つまり、代替の材料、方法の詳細、及び本発明の更なる使用法を提供し得る。
【国際調査報告】