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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】機能性物質放出剤
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20231222BHJP
   D06L 1/12 20060101ALI20231222BHJP
   C08G 77/14 20060101ALI20231222BHJP
   C08G 77/388 20060101ALI20231222BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
C11B9/00 J
D06L1/12
C08G77/14
C08G77/388
C11B9/00 L
C11D3/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534619
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 US2021061508
(87)【国際公開番号】W WO2022125359
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/124,235
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロイツ、セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ベンバコウラ、ラーマ
(72)【発明者】
【氏名】グローフィス、セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4H003
4H059
4J246
【Fターム(参考)】
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
4H003EB37
4H003FA26
4H059BA19
4H059BA20
4H059BA22
4H059BB45
4H059BB51
4H059DA09
4H059EA35
4J246AA02
4J246BA220
4J246BA22X
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB02X
4J246CA130
4J246CA13U
4J246CA13X
4J246CA560
4J246CA56M
4J246CA56X
4J246CA760
4J246CA76M
4J246CA76X
4J246FA132
4J246GC60
4J246HA56
(57)【要約】
下記式(I)のケイ酸エステルを含む機能性物質放出剤が提供される。
【化1】

式中、nは、2~50であり、各R1は、独立して、H、C-1~22アルキル基、-CNH基、-RCNH基、-CNHR基、-RCNHR基、-CNR基、及び-RCNR基からなる群から選択され、各Rは、独立して、1分子当たり1~22個の炭素原子を有する二価基であり、各Rは、独立して、機能性分子からの残基から選択され、機能性分子は、アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)のケイ酸エステルを含む機能性物質放出剤であって、
【化1】

式中、nは、2~50であり、各Rは、独立して、H、C1~22アルキル基、-CNH基、-RCNH基、-CNHR基、-RCNHR基、-CNR基、及び-RCNR基からなる群から選択され、各Rは、独立して、1分子当たり1~22個の炭素原子を有する二価基であり、各Rは、独立して、機能性分子からの残基から選択され、前記機能性分子は、アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、機能性物質放出剤。
【請求項2】
各Rが、独立して、(a)前記機能性分子のカルボニル基から酸素原子を除いた残基、及び(b)前記機能性分子のビニル基において1,4付加を介して組み込まれた残基からなる群から選択される、請求項1に記載の機能性物質放出剤。
【請求項3】
前記機能性分子が、芳香アルデヒド、芳香ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される芳香機能性分子である、請求項1に記載の機能性物質放出剤。
【請求項4】
前記機能性物質放出剤中のR基の0.1~50モル%がRを含む、請求項1に記載の機能性物質放出剤。
【請求項5】
前記機能性物質放出剤が、前記機能性物質放出剤の重量を基準にして<5重量%の式(II)の化合物を含有し、
【化2】

式中、Rは、任意選択でフェニル、ヒドロキシ、又はアルコキシ基で置換される炭素原子の総数が10~18個の脂肪族炭化水素基であり、Rは、機能性アルコールからヒドロキシ基を除いた残基である、請求項1に記載の機能性物質放出剤。
【請求項6】
検出可能限界未満の式(III)の化合物を含有し、
【化3】

式中、mは1~20であり、各Rは、独立して、H、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換C1~6炭化水素基、香料アルコール基、及び殺生物アルコール基からなる群から選択される、請求項1に記載の機能性物質放出剤。
【請求項7】
請求項1に記載の機能性物質放出剤を含む洗濯処理配合物。
【請求項8】
前記洗濯処理配合物が、洗濯洗剤配合物、布地柔軟化配合物、及び洗濯リフレッシュ配合物からなる群から選択される、請求項7に記載の洗濯処理配合物。
【請求項9】
洗濯を処理する方法であって、
洗濯物品を提供することと、
請求項7に記載の洗濯処理配合物を提供することと、
前記洗濯処理配合物を前記洗濯物品に適用して、処理された洗濯物品を提供することと、を含む、方法。
【請求項10】
洗浄水を提供することを更に含み、
前記洗濯処理配合物が、前記洗浄水の存在下で前記洗濯物品に適用されて、前記処理された洗濯物品を提供する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性物質放出剤に関する。特に、本発明は、式(I)のケイ酸エステルを含む機能性物質放出剤に関する。
【0002】
【化1】

式中、nは、2~50であり、各Rは、独立して、H、C-1~22アルキル基、-CNH基、-RCNH基、-CNHR基、-RCNHR基、-CNR基、及び-RCNR基からなる群から選択され、各Rは、独立して、1分子当たり1~22個の炭素原子を有する二価基であり、各Rは、独立して、機能性分子からの残基から選択され、機能性分子は、アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【背景技術】
【0003】
機能性物質(例えば、芳香)は、製品の消費者体験及び楽しみを高めるために様々な製品に使用される。例えば、芳香は、ホームケア製品、例えば、布地/洗濯処理配合物(例えば、洗濯洗剤、布地柔軟剤、布地/洗濯リフレッシャー)、及びパーソナルケア製品、例えば、シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、ハンドソープ、デオドラントを含む多くの消費者製品に添加される。
【0004】
芳香などの多くの機能性物質の揮発性を考慮すると、それらは蒸発し、その恩恵は、消費者による使用後、時間とともに急速に弱まる。したがって、消費者による使用/適用後、長期間にわたってそのような機能性物質の送達を容易にするフォーマットを有することが望ましい。
【0005】
経時的な機能性物質の放出を提供するための1つの機構が、Abe et al.によって米国特許第8,420,845号に開示されている。具体的には、下記式(1)で表されるケイ酸エステル化合物を35~95質量%、及び下記式(2)で表されるケイ酸エステル化合物を0.5~35質量%含む機能性物質放出剤が開示されている。
【0006】
【化2】

式中、Xは、任意選択でフェニル、ヒドロキシ、又はアルコキシ基で置換される炭素原子の総数が10~18個の脂肪族炭化水素基を表し、Xは、機能性アルコールからヒドロキシ基を除いた残基を表し、複数のXは同一でも異なっていてもよく、Xは水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0007】
それにもかかわらず、機能性物質の経時的な制御された持続放出を提供する機能性物質放出剤が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、下記式(I)のケイ酸エステルを含む機能性物質放出剤を提供する。
【0009】
【化3】

式中、nは、2~50であり、各Rは、独立して、H、C-1~22アルキル基、-CNH基、-RCNH基、-CNHR基、-RCNHR基、-CNR基、及び-RCNR基からなる群から選択され、各Rは、独立して、1分子当たり1~22個の炭素原子を有する二価基であり、各Rは、独立して、機能性分子からの残基から選択され、機能性分子は、アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0010】
本発明は、本発明の機能性物質放出剤を含む洗濯処理配合物を提供する。
【0011】
本発明は、洗濯を処理する方法を提供し、本方法は、洗濯物品を提供することと、本発明による洗濯処理配合物を提供するステップと、洗濯処理配合物を洗濯物品に適用して、処理された洗濯物品を提供するステップと、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
驚くべきことに、本発明の機能性物質放出剤は、布地ケア組成物を含む様々な消費者用途において経時的に機能性物質の付着及び放出を提供することが見出された。
【0013】
別段示されない限り、比率、百分率、部などは、重量によるものである。組成物中の重量百分率(又は重量%)は、乾燥重量の、すなわち、組成物に存在し得る一切の水を除外する百分率である。
【0014】
好ましくは、本発明の機能性物質放出剤は、下記式(I)のケイ酸エステルを含む。
【0015】
【化4】

式中、nは、2~50であり(好ましくは、nは2~20であり、より好ましくは、nは、3~10であり、最も好ましくは、nは、4~8であり)、式中、各Rは、独立して、H、C-1~22アルキル基、-CNH基、-RCNH基、-CNHR基、-RCNHR基、-CNR基、及び-RCNR基からなる群から選択され(好ましくは、各Rは、独立して、C-1~22アルキル基、-RCNH基、-RCNHR基、-CNR基、及び-RCNR基からなる群から選択され)、各Rは、独立して、1分子当たり1~22(好ましくは、2~11、より好ましくは、3~7、更により好ましくは3~6、最も好ましくは、3~5)個の炭素原子を有する二価基であり(好ましくは、各Rは、1分子当たり1~22(好ましくは、2~11、より好ましくは、3~7、更により好ましくは3~6、最も好ましくは、3~5)個の炭素原子を有する二価ヒドロカルビル基であり)、各Rは、独立して、機能性分子からの残基から選択され、機能性分子は、アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
好ましくは、式(I)の機能性物質放出剤中のR基の0.1~90モル%がRを含む。より好ましくは、式(I)の機能性物質放出剤中のR基の25~85モル%がRを含む。更により好ましくは、式(I)の機能性物質放出剤中のR基の40~80モル%がRを含む。最も好ましくは、式(I)の機能性物質放出剤中のR基の50~75モル%がRを含む。
【0017】
好ましくは、式(I)の機能性物質放出剤中の各R基は、独立して、(a)機能性分子のカルボニル基から酸素を除いた残基、及び(b)機能性分子のビニル基において1,4付加を介して組み込まれた残基からなる群から選択される。
【0018】
好ましくは、機能性分子は、芳香機能性分子、抗菌性、抗微生物性、及び/又は抗真菌性を有する抗菌機能性分子(例えば、ホルムアルデヒド、フタルアルデヒド、及びグルタルアルデヒド)、並びに生理活性機能分子からなる群から選択される。より好ましくは、機能性分子は芳香機能性分子である。最も好ましくは、機能性分子は、芳香機能性分子であり、芳香機能性分子は、芳香アルデヒド、芳香ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
好ましくは、芳香アルデヒドは、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、3,5,5-トリメチルヘキサナールデシルアルデヒド、シトラール、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、ノネナール、デセナール、ウンデセナール、ノナジエナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、2-メチルウンデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、ジヒドロシトロネラール、
2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-(2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール、アニスアルデヒド、セタノール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール、2,6-ジメチルヘプテナール、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、1-メチル-4-(4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-カルボアルデヒド、ブチルシンナムアルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、4-メチル-α-ペンチルシンナムアルデヒド、α-2,2,3-テトラメチル-3-シクロペンテン-1-ブチルアルデヒド、イソヘキセニルテトラヒドロベンズアルデヒド、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、メラフルール、リラール、2-メチル-3-(パラ-メトキシフェニル)プロパナール、シクレモンA、
3-(2-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、ジメチルデカジエナール、
α-メチル-3,4-(メチレンジオキシ)ヒドロシンナムアルデヒド、イソシクロシトラール、メチルシンナムアルデヒド、メチルオクチルアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、ヘリオトロピン、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタナール2-メチルウンデカナール、3-プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルバルデヒド、
2-メチル-3-フェニル-2-プロパノールα-メチル-4-(1-メチルエチル)ベンゼンアセトアルデヒド、2-メチルオクテナール、3,7-ジメチル-2-メチレン-6-オクテナール、パラ-トリルアセトアルデヒド、β-ダマセノン(ケトン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される、美容的に許容される油である、油を含む。
【0020】
好ましくは、芳香ケトンは、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン、(R)-カルボン、(S)-カルボン、2-ヘプタノンZ-ジャスモン、αダマスコン、βダマスコン、δダマスコン、ダマセノン、ジヒドロイオノンベータ、ゲラニルアセトン、ベンジルアセトン、βイオノン、αイオノン、γメチルイオノン、メチルヘプテノン、
2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル)シクロペンタノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、
6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、ヘプチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、7-アセチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-1,1,6,7-テトラメチルナフタレン、イソシクレモンE、メチルセドリルケトン、メチルジヒドロジャスモネート、コアボン(koavone)、ワックス、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
好ましくは、本発明の機能性物質放出剤は、機能性物質放出剤の重量を基準にして、<5重量%(好ましくは、<1重量%、より好ましくは、<0.1重量%、更により好ましくは<0.01重量%;最も好ましくは、検出可能限界未満)の式(II)の化合物を含有する。
【0022】
【化5】

式中、Rは、任意選択でフェニル、ヒドロキシ、又はアルコキシ基で置換される炭素原子の総数が10~18個の脂肪族炭化水素基であり、Rは、機能性アルコールからヒドロキシ基を除いた残基である。
【0023】
好ましくは、本発明の機能性物質放出剤は、検出可能限界未満の式(III)の化合物を含有する。
【0024】
【化6】

式中、mは1~20であり、各Rは、独立して、H、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換C1~6炭化水素基、香料アルコール基、及び殺生物アルコール基からなる群から選択される。
【0025】
好ましくは、本発明の機能性物質放出剤は、機能性分子(例えば、芳香アルコール又は殺生物アルコール)から-OH官能基を除去する縮合反応を介して組み込まれた検出可能限界未満のアルコキシ基を含有する。
【0026】
好ましくは、本発明の機能性物質放出剤は、正に荷電した官能基を有する検出限界未満のポリマーを含む。本明細書で使用されるポリマーという用語は、少なくとも10個のモノマー繰り返し単位で構成される分子を表す。
【0027】
本発明の機能性物質放出剤は、洗濯処理配合物(例えば、洗濯洗剤、布地柔軟剤、洗濯リフレッシャー)、硬質表面ケア配合物、空気ケア配合物、及びパーソナルケア配合物(例えば、石鹸、シャンプー、ボディウォッシュ、コンディショナー、デオドラント)を含む様々な配合物に組み込まれ得る。
【0028】
好ましくは、本発明の洗濯処理配合物は、本発明の機能性物質放出剤を含む。より好ましくは、本発明の洗濯処理配合物は、本発明の機能性物質放出剤を含み、洗濯処理配合物は、洗濯洗剤配合物、布地柔軟化配合物、及び洗濯リフレッシュ配合物からなる群から選択される。
【0029】
好ましくは、本発明の洗濯を処理する方法は、洗濯物品を提供することと、本発明の機能性物質放出剤を含む洗濯処理配合物を提供することと、洗濯処理配合物を洗濯物品に適用して、処理された洗濯物品を提供することと、を含む。
【0030】
好ましくは、本発明の洗濯を処理する方法は、洗濯物品を提供することと、本発明の機能性物質放出剤を含む洗濯処理配合物を提供することと、洗浄水を提供することと、洗浄水の存在下で洗濯処理配合物を洗濯物品に適用して、処理された洗濯物品を提供することと、を含む。
【0031】
好ましくは、本発明の機能性物質放出剤を調製する方法は、(A)1分子当たり1~22個の炭素原子(好ましくは、3~12個の炭素原子、より好ましくは、4~8個の炭素原子、より好ましくは、4~7個の炭素原子、最も好ましくは、4~5個の炭素原子)を含有するアミノアルコール及び-CNH部分と、式(IV)のケイ酸エステルとを反応させることと、
【0032】
【化7】

式中、nは、2~50(好ましくは、2~20、より好ましくは、3~10、最も好ましくは、4~8)であり、各Rは、独立して、H及びC-1~22アルキル基(好ましくは、C1~10アルキル基、より好ましくは、C1~5アルキル基、更により好ましくは、C1~4アルキル基、最も好ましくは、C2~3アルキル基)からなる群から選択され、(B)(A)の生成物と機能性分子とを反応させて機能性物質放出剤を形成することと、を含む。好ましくは、本発明の機能性物質放出剤を作製する方法において使用されるアミノアルコールは、1分子当たり1つの-OH部分(例えば、2-((2-アミノエチル)アミノ)エタン-1-オール、4-(2-アミノエチル)フェノール、1H-イミダゾール-5-イル)メタノール)のみを含有する。より好ましくは、本発明の機能性物質放出剤を作製する方法において使用されるアミノアルコールは、1分子当たり1つのみの-OH部分及び1分子当たり1つのみの-CNH部分を含有する。好ましくは、本発明の機能性物質放出剤を製造する方法において使用されるアミノアルコールは、直鎖アミノアルコールである。
【0033】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【0034】
実施例S1:機能性物質放出剤の調製
Dean Stark装置及び頂部に凝縮器を取り付けた二口フラスコに、Dynasil 40オリゴマーエチルシリケート(23.58g)、次いで5-アミノ-1-ペンタノール(33.30g)を充填した。フラスコの上部空間に窒素を流し、次いでフラスコ内容物を連続的に撹拌しながら80℃(設定点温度)に加熱した。フラスコ内容物が80℃に達したとき、850mbarの真空をフラスコの上部空間に引いた。エステル交換反応に由来するエタノールを、反応を追跡するために凝縮器の後に収集した。反応が開始するにつれて、真空度を110mbarまで徐々に低下させ、フラスコ内容物の温度を105℃まで徐々に上昇させた。生成物ポリマーをプロトン及び13C NMRによって分析したところ、充填された95.6モル%のアミノペンタノールがDynasil上で置換されており、アミン置換ケイ酸エステルベース材料を形成していた。
【0035】
実施例1:機能性物質放出剤の調製
二口フラスコにベンズアルデヒド(6.48g)を入れた。フラスコを密閉し、蒸気空間に窒素を数分間流した。フラスコ内容物を窒素ブランケット下に維持しながら、実施例S1に従って調製したアミン置換ケイ酸エステルベース材料(8.72g)を撹拌しながらフラスコに滴下添加した。フラスコ内容物の温度を30℃未満に保つために、添加速度によって発熱を管理した。生成物をプロトン及び13C NMRによって分析したところ、95.2モル%のベンズアルデヒドが、ケイ酸ベース材料上の-NH部分との反応を介してアミン置換ケイ酸エステルベース材料上に反応して、機能性物質放出剤を形成した。
【0036】
実施例2:機能性物質放出剤の調製
2口フラスコに、(E-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)ブタ-2-エン-1-オン(β-ダマスコン、Parchemから入手可能)(5.87g)を入れた。フラスコを密閉し、蒸気空間に窒素を数分間流した。フラスコ内容物を窒素ブランケット下に維持しながら、実施例S1に従って調製したアミン置換ケイ酸エステルベース材料(7.97g)を撹拌しながらフラスコに滴下添加した。フラスコ内容物の温度を30℃未満に保つために、添加速度によって発熱を管理した。生成物をプロトン及び13C NMRによって分析したところ、92モル%のβ-Dダマスコンが、ケイ酸ベース材料上の-NH部分との反応を介してアミン置換ケイ酸エステルベース材料上に反応して、機能性物質放出剤を形成した。
【0037】
実施例1の製品の性能試験
ベンズアルデヒド(0.525g)を第1のテリータオルに直接適用した。実施例1の機能性物質放出剤(2.3gをイソプロパノールで48.4重量%に希釈したもの)を適用することによって、等量のベンズアルデヒドを第2のテリータオルに適用した。処理されたテリータオルの両方に対して嗅覚試験を行った。5人の試験員に、テリータオルのどれが最も高い臭気強度を有したかを尋ねた。試験員の各々は、最も強い臭気のテリータオルに2の値に割り当て、最も弱い臭気のテリータオルに1の値を割り当て、同等の場合には両方のテリータオルに1を割り当てた。嗅覚試験は、1日及び7日おいた後の両方の乾燥タオルで行った。タオルを最初に乾燥状態で試験し、次いで水でわずかに再湿潤させ、再び試験した。嗅覚試験の総合結果を表1に提供する。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例2の製品の性能試験
E-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)ブタ-2-エン-1-オン(ベータ-ダマスコン、Parchemから入手可能)(0.525g)を第1のテリータオルに直接適用した。実施例2の機能性物質放出剤(2.47gをイソプロパノールで50重量%に希釈したもの)を適用することによって、等量のβ-ダマスコンを第2のテリータオルに適用した。処理されたテリータオルの両方に対して嗅覚試験を行った。5人の試験員に、テリータオルのどれが最も高い臭気強度を有したかを尋ねた。試験員の各々は、最も強い臭気のテリータオルに2の値に割り当て、最も弱い臭気のテリータオルに1の値を割り当て、同等の場合には両方のテリータオルに1を割り当てた。嗅覚試験は、1日及び7日おいた後の両方の乾燥タオルで行った。タオルを最初に乾燥状態で試験し、次いで水でわずかに再湿潤させ、再び試験した。嗅覚試験の総合結果を表2に提供する。
【0040】
【表2】
【0041】
洗濯機試験性能
表3に示されるように添加された1重量%の物質を含有する布地柔軟剤配合物Kao(12重量%エステルクワット)を調製した。5つの枕カバー及び4つの小さなテリータオルの荷重を各試験に使用した。洗濯機プログラムは、40℃、回転速度600rpm、短サイクル(1時間12分)、硬度27.5°F(Ca/Mg比4:1)の水11Lに設定した。WFK洗剤粉末(35g)を主洗浄に使用した。布地柔軟剤配合物を、最後のすすぎサイクルにおいて洗濯物に添加した。各布地柔軟剤配合物について、処理したテリータオルに対して嗅覚試験を行った。6人の試験員に、テリータオルのどれが最も高い臭気強度を有したかを尋ねた。試験員の各々は、最も強い臭気のテリータオルに2の値に割り当て、最も弱い臭気のテリータオルに1の値を割り当て、同等の場合には両方のテリータオルに1を割り当てた。嗅覚試験は、1日及び7日おいた後の両方の乾燥タオルで行った。タオルを最初に乾燥状態で試験し、次いで水でわずかに再湿潤させ、再び試験した。嗅覚試験の総合結果を表3に提供する。
【0042】
【表3】
【国際調査報告】