IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディスペリックス オサケ ユキチュアの特許一覧

特表2024-500076回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ
<>
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図1A
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図1B
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図2
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図3
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図4A
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図4B
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図4C
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図5
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図6
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図7
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図8
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図9A
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図9B
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図9C
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図9D
  • 特表-回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレートおよびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
G02B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023535296
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 FI2021050894
(87)【国際公開番号】W WO2022136733
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20206364
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520184365
【氏名又は名称】ディスペリックス オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルティアイネン、イスモ
(72)【発明者】
【氏名】エルドマニス、ミクハイル
【テーマコード(参考)】
2H249
【Fターム(参考)】
2H249AA13
2H249AA40
2H249AA60
2H249AA62
(57)【要約】
回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレート(20)の製造方法。材料(200)の層(250)は、プレート(202)の穿孔(204)を通してマスターテンプレート(180)の基板(108)上に堆積され、穿孔(204)の断面領域は、プレート(202)内の穿孔(204)の位置に依存し、プレート(202)と基板(108)は、ゼロでない距離(D)だけ離間されている。基板(108)上の少なくとも1つの層(250)の高さは、穿孔(204)の面積の変化に応じて変化する。凸状構造(180)は、領域から少なくとも1つの層(250)を除去することによって基板(108)上に形成され、結果として、凸状構造(180)間に凹状構造(182)が生じる。凸状構造(180)のフィルファクターおよび高さは、比例するように作製され、同時に、凸状・凹状構造(180、182)は、回折格子(904)の溝部(902)および隆起部(900)と関係を有し、関係は、比例性に依存する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレート(20)の製造方法であって、
前記マスターテンプレート(180)の基板(108)上に、プレート(202)の穿孔(204)を通して材料(200)の少なくとも1つの層(250)を堆積させるステップ(800)であって、前記穿孔(204)の断面積は、前記プレート(202)内の前記穿孔(204)の位置に依存し、前記プレート(202)と前記基板(108)は、ゼロでない距離(D)だけ離間されている、前記堆積させるステップ(800)と、
前記基板(108)上の少なくとも1つの層(250)の高さを、前記穿孔(204)の前記面積の変化に応じて変化させるステップ(802)と、
領域から前記少なくとも1つの層(250)を除去することによって、前記基板(108)上に凸状構造(180)を形成するステップ(804)であって、結果として、前記凸状構造(180)間に凹状構造(182)が生じさせる、前記形成するステップ(804)と、
前記凸状構造(180)のフィルファクターと高さを比例させるステップ(806)であって、同時に、前記凸状構造および凹状構造(180、182)は、前記回折格子(904)の溝部(902)および隆起部(900)と関係を有し、前記関係は比例性に依存する、前記比例させるステップ(806)と
を特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記凸状構造の前記フィルファクターと前記高さを正比例させることと、
前記凸状構造(180)と前記凹状構造(182)を前記回折格子(904)の前記溝部(902)と前記隆起部(900)にそれぞれ対応させることと
を特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記凸状構造の前記フィルファクターと前記高さを反比例させることと、
前記凸状構造および凹状構造(180、182)を前記回折格子(904)の前記隆起部(900)と前記溝部(902)にそれぞれ対応させることと
を特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
高さプロファイルおよびフィルファクターを反転するために前記凸状構造および凹状構造(180、182)を反転してコピーすることと、
前記前記凸状構造および凹状構造(180、182)の前記反転コピーは、前記回折格子(904)の前記溝部(902)および前記隆起部(900)の分布およびサイズに対応するように構成されることと
を特徴とする、請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記マスターテンプレート(20)の前記凸状構造および凹状構造(180、182)をポリマー(184)に対してプレスすることによって、前記凸状構造および凹状構造(180、182)を反転してコピーすることにより、前記マスターテンプレートのコピーを形成することと、
前記反転コピーされた凸状構造および凹状構造(180、182)を含むように、前記マスターテンプレート(20)の前記コピーを作製することと
を特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記層(250)の堆積を、スパッタリング、化学蒸着、および物理蒸着のうちの少なくとも1つによって実行することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記回折格子(904)の前記隆起部(900)の位置に対応する位置で前記層(250)の前記固体材料(200)を前記基板(108)から除去することにより、前記凸状構造(180)を前記基板(108)上に形成すること(804)を特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
二次元における前記穿孔(204)の前記面積の対応する変化に基づいて、前記層(250)の前記高さを二次元で変化させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
回折型光学素子の回折格子のスタンプ(22)の製造方法であって、
前記テンプレート(20)の基板(108)上に、プレート(202)の穿孔(204)を通して材料(200)の少なくとも1つの層(250)を堆積させること(800)によって、マスターテンプレート(20)を作製する、堆積させるステップ(800)であって、前記穿孔(204)の断面積は、前記プレート(202)内の前記穿孔(204)の位置に依存しており、前記プレート(202)と前記基板(108)は、ゼロでない距離(D)だけ離間されている、前記堆積させるステップ(800)と、
前記基板(108)上の前記少なくとも1つの層(250)の高さを、前記穿孔(204)の前記断面積の変化に応じて変化させるステップ(802)と、
領域から前記少なくとも1つの層(250)を除去することによって、前記基板(108)上に凸状構造(180)を形成するステップ(804)であって、結果として、前記凸状構造(180)間に凹状構造(182)を生じさせる、前記形成するステップ(804)と、
前記凸状構造(180)のフィルファクターと高さを比例させるステップ(806)であって、同時に、前記凸状構造および凹状構造(180、182)は、前記回折格子(904)の溝部(902)および隆起部(900)と関係を有し、前記関係は比例関係に依存する、前記比例させるステップ(806)と、
前記スタンプ(22)に対して:
反比例する前記凸状構造(180)のフィルファクターおよび高さに応答して、プロファイル反転プロセスに基づいてマスターテンプレート(20)をM回(Mは奇数)複製する(808)ステップ、または、
正比例する前記凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さに応答して、複製プロセスを行わずに、または正比例する前記凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さに応答して、プロファイル反転プロセスに基づいて前記マスターテンプレート(20)をN回(Nは偶数)複製することによって、前記マスターテンプレート(20)から前記スタンプ(22)を形成するステップ(810)
を特徴とする、方法。
【請求項10】
回折型光学素子の製造方法であって、
請求項9に記載された製造方法に従って製造され、正比例する前記凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さを有するスタンプ(22)を用いて、前記回折型光学素子のプリフォーム(188)のハードマスク(190)上のポリマー(184)に対して凸状構造(180’)のフィルファクターおよび高さを形成するステップ(1000)であって、前記プリフォーム(188)の前記凸状構造(180’)の前記フィルファクターおよび前記高さは、前記スタンプ(22)の前記凸状構造(180)の前記フィルファクターおよび高さの反転したものである、前記形成するステップ(1000)と、
前記凸状構造(180’)間から残留層(186)を除去するステップと(1002)と、
前記プリフォーム(188)の光ガイド(194)上にある回折格子層(192)に隆起部(900)を作製するステップ(1004)であって、前記隆起部(900)は、前記スタンプ(22)の前記凹状構造(182)の位置に対応する位置となる、前記隆起部(900)を作製するステップ(1004)と
を特徴とする、製造方法。
【請求項11】
正比例する、前記スタンプ(22)による前記フィルファクターと、前記凸状構造(180)の前記高さとに基づいて、前記ポリマー(184)の前記残留層(186)が、略一定の高さを有するようにすること(1006)を特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
回折型光学素子を製造するためのマスターテンプレート(20)であって、
前記マスターテンプレート(20)の凸状構造(180)のフィルファクターと高さは比例しており、凸状構造および凹状構造(180、182)は、回折格子(904)の溝部(902)および隆起部(900)と所定の関係を有し、前記所定の関係は、前記比例性に依存することを特徴とする、マスターテンプレート(20)。
【請求項13】
前記マスタープレート(20)の凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さが正比例し、前記凸状構造(180)は、前記回折格子(904)の溝部(902)を生じさせるように構成され、前記凹状構造(182)は、前記回折格子(904)の隆起部(900)を生じさせるように構成されることを特徴とする、請求項12に記載のマスタープレート。
【請求項14】
前記マスタープレート(20)の凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さが反比例し、前記凸状構造(180)は、前記回折格子(904)の隆起部(900)を生じさせるように構成され、前記凹状構造(182)は、前記回折格子(904)の溝部(902)を生じさせるように構成されることを特徴とする、請求項12に記載のマスタープレート。
【請求項15】
回折型光学素子を製造するためのスタンプ(22)であって、前記スタンプ(22)の凸状構造(180)のフィルファクターと高さが正比例し、凸状構造および凹状構造(180、182)は、回折格子(904)の溝部(902)および隆起部(900)と所定の関係を有し、前記凸状構造(180)は、前記回折格子(904)の溝部(902)を生じさせるように構成され、前記凹状構造(182)は、前記回折格子(904)の隆起部(900)を生じさせるように構成されるようにする、スタンプ(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレート(原版)およびスタンプの製造方法、マスターテンプレート、およびスタンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
拡張現実(AR)アイウェア用の回折型光学素子(DOE)ベースの光結合器は、通常、回折格子などのナノ構造を備える。光結合器の光学性能を最適化するには、ナノ構造の変調が必要である。これらの変調は、フィーチャ形状変調、フィーチャサイズ変調、または高さ変調とすることができる。これらはすべて、光結合器のための最適な設計パラメータを達成するために使用できる。
【0003】
複製プロセスにおいて、目標は、マスターテンプレート上のDOEパターンを別のウェハにコピーすることである。複製は、後に光学素子として機能する永久層に行うことができる。第1のケースでは、マスターテンプレートの変調ナノ構造が永久層に直接転写される。形状、フィーチャサイズ、高さの変調などの変調が必要な場合、それらはマスターテンプレート内に存在する必要がある。
【0004】
パターンが最初にパターニングされた犠牲層からウェハ上に堆積された永久層(複数可)に転写される場合、最終層の高さの変調は、堆積段階で行うことができる。犠牲層は、例えばスピンコーティングによって堆積され、ウェハ上にわたって均一な膜厚が得られる。しかしながら、フィーチャの形状またはフィーチャサイズの変調が必要な場合は、構造を完全に充填するために、異なるフィーチャサイズが要求する異なる体積を考慮する必要がある。これにより、実際の構造の下の非構造層の厚さにばらつきが生じる。これにより、パターン転写プロセスが、大幅に困難になるか、場合によっては完全に不可能になる。異なるフィーチャサイズの異なる体積要件を補償するには、次の2つの選択肢がある。i)マスターパターンにローカルリザーバを追加して、犠牲材料の余分な体積を消費する。ii)マスター内の異なるフィーチャサイズの高さを変調して、体積差を補償する。前者は、光結合器の性能に悪影響を与える可能性があるため、後者が推奨される。しかしながら、この後者の選択肢を選択すると、リソグラフィーとエッチングのプロセスを複数回繰り返すなど、マスターテンプレートの製造が大幅に複雑になり、これは次いで、追加のすべてのプロセスステップで100%未満の歩留まりが発生するため、マスタリングプロセスの歩留まりに悪影響を与える可能性がある。また、プロセスステップが追加されるたびに、汚染および望まない粒子が増加してマスター全体の品質が低下するリスクが高まる。
【0005】
したがって、改善が待ち望まれているであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、DOEのナノ構造の製造プロセスで使用されるマスターテンプレートおよびスタンプに関連する改良を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、独立請求項によって定義される。実施形態は、従属請求項で定義される。
【0008】
本発明の例示的な実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】ARアイウェアの例を示す。
図1B】ARアイウェアの例を示す。
図2】従来技術のプレスプロセスの一例を示す。
図3】堆積プロセスの一例を示す。
図4A】穿孔を有するプレートの一例を示す。
図4B】穿孔を有するプレートを通して基板上に堆積された固体材料の層の一例を示す。
図4C】層上のパターニングされたレジストまたはエッチングマスクの一例を示す。
図5】基板上の凸状構造の分布の一例を示す。
図6】互いに正比例するフィルファクターと凸状構造の高さを有するマスターテンプレートまたはスタンプの一例を示す。
図7】互いに反比例するフィルファクターと凸状構造の高さを有するマスターテンプレートの一例を示す。
図8】拡張現実アイウェアの回折格子のスタンプを製造する方法のフローチャートの一例を示す。
図9A】光学部品のプリフォームのポリマーにスタンプを押し付ける製造方法の段階の一例を示す。
図9B】残留層が除去された後の、光学部品のプリフォームのハードマスク上のポリマーの層の一例を示す。
図9C】ハードマスクを備えたグレーディングの一例を示す。
図9D】ハードマスクを除去した後のグレーディングの一例を示す。
図10】は、光学部品の製造方法のフローチャートの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態は、単なる例である。明細書では複数の箇所で「一」実施形態に言及する場合があるが、これは必ずしも、そのような各々の言及が同じ実施形態(複数可)に対するものであること、またはその構成が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の単一の構成を組み合わせて、他の実施形態を提供することもできる。さらに、「備える」および「含む」という言葉は、記載された実施形態を述べられた構成のみからなるように限定するものではないと理解されるべきであり、そのような実施形態は、具体的に述べられていない構成/構造も含むこともできる。それらの組み合わせが構造的または論理的な矛盾をもたらさない限り、実施形態のすべての組み合わせが可能であると考えられる。
【0011】
図は様々な実施形態を示しているが、それらは一部の構造および/または機能的なエンティティのみを示す簡略化された図であることに留意すべきである。図に示されている接続は、論理接続または物理接続を指す場合がある。記載された装置が、図および本文に記載されたもの以外の他の機能および構造も備えることができることは、当業者には明らかである。測定および/または制御に使用されるいくつかの機能、構造、および信号伝達の詳細は、実際の発明とは無関係であることを理解すべきである。したがって、ここでそれらを詳しく説明する必要はない。
【0012】
本明細書では、高さ変調されたマスターテンプレート、マスターテンプレートに基づくスタンプ、およびそれらの製造方法の概念が提案されている。マスターテンプレートとは、インプリントマスターテンプレートを指す。マスターテンプレートの表面には、回折格子のパターンに対応する微細なパターンがある。また、スタンプは、例えばインプリント法により回折型光学素子を製造するために、その表面に微細パターンを有する(図9A図9Dを参照)。スタンプの微細パターンは、回折格子およびマスターテンプレートの微細パターンに対応し、スタンプの微細パターンは、マスターテンプレートの微細パターンに対して反転したトーンを有し、その逆もまた同様である。回折型光学素子には様々な用途があり得る。一実施形態では、マスターテンプレートが最初に製造され、次にマスターテンプレートに基づいてスタンプが複製される。一実施形態では、スタンプが、マスターテンプレートを使用せずに直接製造される。この方法により、マスターテンプレートとスタンプの構造の高さ変調マップを画定するカスタムの事前定義された厚さプロファイルの堆積が可能になる。
【0013】
本明細書では、マスターテンプレートとは、スタンプの原型となるテンプレートを指し、マスターテンプレートに基づいてスタンプが作製される。したがって、最初にマスターテンプレートが製造され、次にスタンプが製造され得る。スタンプは、光学素子の回折格子の製造プロセスで使用される。しかしながら、マスターテンプレートも、光学素子の回折格子の製造プロセスにおいて使用することができる。したがって、このような場合、マスターテンプレートもスタンプとみなすことができる。
【0014】
マスタープレートの製造方法は、2つの主なステップ:i)シャドウマスクと呼ばれ得るプレート202を利用した事前に設計された高さマップの堆積、およびii)事前に定義された高さを備えた制御可能な面内パターンをもたらす前述の層のパターニング、からなる。高さ勾配の堆積は、マスク開口部(すなわち、穿孔204)と固体マスク材料との間の比がX方向および/またはY方向に沿って変化することができる特別に穿孔されたパターンによって実行され、さらに特別なホルダ(すなわち、プレート202と基板108との間に特定の距離を提供するスペーサ構造206)によって実行される(図3を参照)。
【0015】
図1Aおよび図1Bは、回折型光学素子を適用できるAR(拡張現実)アイウェアの例を示す。しかしながら、回折型光学素子は、より一般的には、回折格子(複数可)によって伝達される情報に加えて環境もまた見ることができる任意のスクリーンで使用することができる。一般的に、回折型光学素子は、光または画像が導波路/光ガイドに結合される、および/または導波路/光ガイドから結合されるAR用途の外にも適用することができる。回折型光学素子は、AR、仮想現実(VR)、および/または複合現実(MR)用途に適用できる。回折型光学素子は、家庭、余暇、および/または産業用のAR、VR、またはMRにも応用できる。このような例は、コンピュータ、タブレット、および/または携帯用電子機器の画面、および陸上車両(乗用車、バス、貨物自動車、トラックなど)、航空機(飛行機、ヘリコプター、グライダー、飛行船など)、および/または船舶(ボート、船、潜水艦など)の画面/フロントガラスなどである。
【0016】
アイウェアは、例えば、眼鏡(glasses)、眼鏡(spectacles)、またはゴーグルのように見える場合がある。一実施形態では、アイウェアは、例えば、帽子(cap)、帽子(hat)、ヘルメット、眼鏡(spectacles)などのヘッドウェアと接続していてもよい。図1Aおよび図1Bでは、使用者の両眼用のARアイウェアを示しているが、ARアイウェアは、片目のみに使用され得る構造を有していてもよい。
【0017】
図1Aにおいて、アイウェアは、少なくとも1つの回折格子100、102、104を有する光学素子10と、画像生成ユニット12とを備え、画像生成ユニット12は、次いで、画像源14および光学部品構成16を有し得る。光学素子10は、スタンプを用いて作製可能な回折型光学素子の一例とすることができる。画像生成ユニット12は、画像(静止画または動画)の可視光を生成し、この可視光は、光学部品構成16と、導波路106の表面上にある回折格子102とを介して、可視光の導波路106に結合される。図1Bでは、導波路106は、各々が1つの目150、152に対応する2つの部分AおよびBを備える。画像生成ユニット12は、画像の可視光を光学部品構成16に向けることができ、光学部品構成16は、光を2つの部分AおよびBに分割することができる。光学的分割の代わりに、アイウェアは、各々が1つの部分AおよびBに対応する2つの画像生成ユニット12を有してもよい。
【0018】
一実施形態では、回折格子100~104は導波路106のどちらの面にあってもよい。一実施形態では、回折格子100~104のうちの少なくとも1つは、回折格子100~104のうちの他の少なくとも1つとは反対側の導波路106の面にあってもよい。
【0019】
図2は、本明細書の背景技術で説明した問題に加えて、従来技術に関連する問題の一例を示している。スタンプは、凸状構造180と凹状構造182を有し、凸状構造180の高さは一定であるが、この例ではフィルファクターは変化する。全ての凹状構造182は、実質的に同じ高さにある。すなわち、スタンプのフィーチャは、凹状構造182よりも凸状構造180の方が厚い。スタンプの局所フィルファクターFは、フィーチャの幅lwと周期dの比、F=lw/dとして決定できる。当業者は、回折格子に言及するときに対応する用語を使用するため、フィルファクターという用語は有用でよく知られている。
【0020】
図2は、スタンプとは何か、また何に使用されるかを説明するためにも使用できる。スタンプの表面プロファイルは、スタンプと比較してトーン反転したパターンを形成することによって、樹脂などのポリマー184に複製される。複製プロセスは、トーンが反転されるインプリントプロセスであり得る反転複製プロセスと考えることができる。
【0021】
樹脂はハードマスク190上にあることができ、ハードマスク190は同様に、回折格子材料192上にある。最後に、回折格子材料192は、光ガイド194上にある。ポリマー184の残留層186の高さHは、一定ではなく変化する。反転プロセスは、ポリマー184がスタンプの凸状構造180の間の凹状構造184に流入するようにスタンプをポリマー184に押し付けるインプリントプロセスであってもよい。スタンプがポリマー184から切り離されると、ポリマー184は、スタンプの反転表面プロファイルに似ているが、実際には全くそうではない表面プロファイルを有する。すなわち、残留層186の高さHの変化は、スタンプの凹状構造182内部のポリマー184が占める体積の変化によって引き起こされる。非構造化層(すなわち、残留層186)の厚さの変動により、パターン転写プロセスが著しく困難になるか、あるいはおそらく完全に不可能になる。ハードマスク190は、例えば、クロム(Cr)または酸化クロム(Cr)を含むことができるが、これらに限定されない。
【0022】
図3は、堆積プロセスの一例を示しており、このプロセスは、非構造化層(すなわち、反転複製プロセス中の残留層186)の厚さの変動を緩和または排除するために、マスターテンプレート20またはスタンプ22の表面プロファイルを形成するために使用することができる。
【0023】
材料200は、プレート202の穿孔204を通して基板108上に層250として堆積される。マスターテンプレート20の表面プロファイル(すなわち、層250の表面プロファイル)は、堆積後、アイウェアの少なくとも1つの回折格子100、102、104を形成するために直接的または間接的に使用することができる。プレート202は、基板108から非ゼロの距離Dに設定される。距離Dは、例えばスペーサ構造206を使用して設定することができる。プレート202は、スペーサ構造206によって支持することができる。基板108の形状が円形である場合、スペーサ構造206は、基板108の外側輪郭の周りにあるリングであってもよい。
【0024】
一実施形態では、プレート202と基板108との間の非ゼロの距離Dが適合され得る。
【0025】
スペーサ構造206を含む構造の全体の厚さは、距離Dよりも大きい厚さを有してもよい。スペーサ構造206は、円形の外周と、基板108の上方のプレート202の位置決めを支援し、他の領域に材料200が堆積するのを防ぐ、円形の開口部、長方形の開口部(複数可)、および/または他のカスタム形状の開口部を備えた内側とを有し得る。したがって、スペーサ構造206は、距離Dに等しい厚さを有してもよい。スペーサ構造206の材料は、例えば、金属、ガラス、セラミックスなどを含むことができる。一実施形態では、スペーサ構造206は、例えば陽極酸化アルミニウムを含むことができる。
一実施形態では、スペーサ構造206は、少なくとも1つの調整装置210を備え得る。調整装置210は、例えば、機械式、電気機械式、油圧式、および/または空気式とすることができる。機械的調整装置は、例えばネジを備えることができる。電気機械式調整装置は、例えば、電気モータと、電気モータによって回転されるネジとを備えることができる。
【0026】
距離Dは、以下:a)堆積リアクタの種類、堆積プロセスの性質およびパラメータ、b)プレート202の厚さ、c)プレート202内における穿孔204の高さおよび/又は幅、および穿孔204の構造を含むフィーチャサイズ、に応じて考慮することができるパラメータである。また、距離Dは、d)マスターテンプレート20が複製するために直接的または間接的に使用される特定のDOEレイアウト、e)マスターテンプレート20が複製するために直接的または間接的に使用される基板108上のDOEの構成に依存し得る。ここで、DOEレイアウトとは、可能であり、特定の形状(例えば、長方形、蝶ネクタイ形、三角形など)に依存する異なる回折格子形状が、プレート202内の穿孔204の異なる構成を必要とする可能性があることを意味する。DOEの構成は、層250の高さプロファイルを調整または制御するために、例えば、高さが変化するいくつかのDOEが互いに対してどのように配置されるかに応じて、様々な選択肢があることを意味する。DOEのレイアウト、マスターテンプレート20のレイアウト、およびスタンプ22のレイアウトは、互いに依存しており、決定的な関係がある。
【0027】
プレート202と基板108との間の距離Dは、特定の最適値に設定することができる。一実施形態では、距離Dは、例えば約5mmとすることができる。距離Dが小さすぎると、穿孔204のフィーチャが十分に均一にならない可能性があり、層250の構造が十分に共形にならない可能性がある。距離Dが大きすぎると、局所的な膜厚制御の精度が低下する可能性がある。一実施形態では、プレート202は、基板108に対して傾斜していてもよい。
【0028】
一実施形態では、プレート202と基板108との間の距離Dは、プレート202の穿孔204の面積に依存し得る。一実施形態では、プレート202と基板108との間の距離Dは、プレート202の穿孔204の最小面積に依存し得る。
【0029】
一実施形態では、距離Dは、プレート202の穿孔204の面積が小さくなるほど短くなり得る。一実施形態では、プレート202の穿孔204の平均面積、最大面積、および/または最小面積が小さいほど、距離Dは短くなり得る。これに応じて、距離Dは、プレート202の穿孔204の面積が大きくなるほど長くなり得る。このようにして、材料200は、直接穿孔204に重なっていない、または穿孔204に面していない基板108の領域にも広がることができる。このような広がりにより、次いで基板108上に材料200の少なくとも略均一な、または少なくともかなり/適度に平坦な層250が得られる。
【0030】
一実施形態では、場合に特有であり、図示されていない追加の要素も、スペーサ構造206は含むことができる。これらの要素は、a)プレート202を支持する追加の構成、b)基板208の領域、すなわち材料が堆積されるべきではない製造されたDOE(またはDOEの周囲)の領域に対応する領域を遮蔽するために使用される追加の構成であってもよい。
【0031】
プレート202の材料は、例えば、金属、ガラス、セラミックスなどを含むことができる。一実施形態では、金属は、例えば高純度であり得るステンレス鋼とすることができる。一実施形態では、プレート202の厚さは、例えば約0.001mm~約1mmとすることができる。一実施形態では、典型的な厚さは、例えば約0.01mm~約0.1mmとすることができる。一例では、厚さは、約0.05mmとすることができる。
【0032】
一実施形態では、基板108およびプレート202の直径は、例えば、数十ミリメートルから450mmまで変化し得る。一実施形態では、基板108およびプレート202の直径は、例えば約100mmとすることができる。堆積システム208は、より小さい/より大きい直径の基板108に合わせて拡大縮小/修正されるか、または拡大縮小可能とすることができる。
【0033】
図4Aの一例に示されるように、穿孔204の面積は、プレート202内の位置に応じて所定の方法で変化する(すべての穿孔に番号を付けることができないため、図4Aでは少数の穿孔のみに符号を付している)。穿孔204の面積は、断面積を指し、その法線は、プレート202を通る穿孔の長手方向軸に平行であり、プレート202の表面の法線に平行である。図4Aの例では、穿孔204の面積は、X軸方向では変化するが、Y軸方向では一定に保たれる。一実施形態では、穿孔204の面積は、X方向とY方向の両方で変化し得る。一実施形態では、穿孔204の面積は、X方向またはY方向のいずれかでのみ変化し得る。各々が、別の次元に直交する、および/または別の次元から独立した空間範囲と考えることができる次元は、デカルト座標系または極座標系のものとすることができる。
【0034】
図4Aは、穿孔およびX方向における穿孔204の面積の変調の一例を示す。穿孔204の形状は、例えば、六角形、円形、長方形、直線形、星形、これらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。穿孔204の形状も、特注することができる。
【0035】
穿孔204を有するプレート202は、X方向、X方向およびY方向における所望の開口対中実面積比またはフィルファクターを満たすように作製することができる。
【0036】
一実施形態では、固体材料200は、プレート202の穿孔204を通過できるようにするために、気体状態または蒸気状態とすることができる流動可能な状態に変えることができる。その後、流動状態にある材料200は、基板108上で層250として固化する。
【0037】
一実施形態では、基板108上に堆積するための材料の移動は、例えば蒸発した状態で実行することができる。その後、固体材料200は蒸気状態にされてもよく、例えば蒸着プロセスにおいて、蒸気は、基板108上に、膜構造とすることができる層250として凝結される。蒸着は、例えば、スパッタリング、化学蒸着、物理蒸着などを用いて実現できるが、これらに限定されない。
【0038】
当業者は、堆積システム208として使用できる様々な堆積システムおよびプロセスに精通している。固体材料200は自由に選択することができる。固体材料200の例は、例えば、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはアルミニウムとすることができるが、これらに限定されない。例えば、基板108は、ハードマスク190またはエッチストップ層で覆われていてもよく、その目的は、固体材料200の層250が、凹状構造182までエッチングされるときに、層250のエッチングプロセスをハードマスク190の表面で停止させ、基板108をエッチングから保護することである(図4B図4C、および図5を参照)。
【0039】
図4Bは、プレート202の穿孔パターンが基板108上の材料200の層250の特定の高さプロファイルにどのように変換することができるかの一例を示す。層250内の材料200の分布は、この例のように直線状であってもよいし、プレート202の穿孔204のサイズの分布に応じて非直線関数のような任意の形状に従ってもよい。
【0040】
プレート202内のフィーチャの単位セルは、局所的な厚さの高度な制御と層250の良好な均一性を提供するのに十分小さくなければならない。最小フィーチャサイズは、他の要素の中でもとりわけプレート202の厚さおよび穿孔技術によって制限されるため、一般的に、0.1mm以下などの薄いマスクが好ましい可能性がある。プレート202のフィーチャの必要な解像度およびプレート202の厚さは、マスターテンプレート20、スタンプ22、および/または製造されたDOEの特定のレイアウトに依存する。
【0041】
図4Cは、材料200の層250上のパターニングされたレジストまたはエッチングマスク層302の一例を示す。次いで、凸状構造180および凹状構造182を含むフィーチャを形成するために、材料200の層250をエッチングすることができる(図5図6、および図7も参照)。一実施形態では、エッチングは、ドライエッチングを含むことができる。エッチングの代わりに、マスターテンプレート20またはスタンプ22のフィーチャは、例えばレーザアブレーションまたは他の適切な従来技術のパターニング方法によって形成されてもよい。
【0042】
図5の一例に示されるように、マスターテンプレート20またはスタンプ22の凸状構造180および凹状構造182は、こうして固体材料200の層250で作られ、それらのフィルファクターおよび高さは、エッチングマスク層302のフィルファクターおよび高さに従う。上で説明したように、エッチング装置または他の適切な従来技術の材料除去装置を含み得る材料除去装置は、層250の固体材料200を凹状構造182の位置から除去し、層250の固体材料200を凸状構造180の位置に保持することができる。横軸Xは一方向の位置を示し、縦軸は高さHを示す。両方の軸は、任意のスケールである。
【0043】
図6は、図3図5に示されるプロセスで作製されるマスターテンプレート20の一例を示す。このマスターテンプレート20をスタンプ22として使用してもよいし、スタンプ22を作製するためにマスターテンプレート20を複製してもよい。反転複製プロセスを使用すると、凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに正比例するマスターテンプレート20またはスタンプ22を得るには、マスターテンプレート20を偶数回コピーする必要がある。
【0044】
一実施形態では、2つの異なるフィルファクターが必ずしも凸状構造180の異なる高さを有する必要はない可能性があり、またその逆も同様である。しかしながら、凸状構造180の異なる高さを有する少なくとも2つの異なるフィルファクターの範囲が存在する一方、フィルファクターの範囲の少なくとも1つは、凸状構造180の高さを1つだけ有する。そのように、凸状構造180の高さが一定である単一のフィルファクターの範囲が存在し得るが、異なるフィルファクターの範囲は、凸状構造180の異なる高さを有する。ここで、任意のフィルファクターの範囲は、マスター、スタンプ、および/または回折格子のフィルファクターのフルスケールの一部である。
【0045】
図7は、図3図5に示されるプロセスで作製されるマスターテンプレート20の一例を示す。このマスターテンプレート20をスタンプ22として使用しなくてもよく、スタンプ22を作製するためにマスターテンプレート20を複製してもよい。反転複製プロセスを使用すると、凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに正比例するスタンプ22を得るには、マスターテンプレート20を奇数回コピーする必要がある。
【0046】
回折型光学素子を製造するためのマスターテンプレート20は、互いに比例したマスターテンプレート20の凸状構造180のフィルファクターと高さを有し、凸状・凹状構造180、182は、回折格子904の溝部902および隆起部900と所定の関係を有する。
【0047】
マスターテンプレート20の凸状構造180のフィルファクターと高さが比例するということは、凸状構造180のフィルファクターと高さが、互いに正比例してもよく、互いに反比例してもよいこと、およびそれらは、凸状構造180の高さを変調して体積差を補償し、反転複製プロセス中の非構造層(すなわち、残留層186)の厚さの変化を緩和または排除するために、所定の方法で比例することを意味する。
【0048】
マスターテンプレート20の凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに正比例する場合、フィルファクターの値が増加するにつれて凸状構造180の高さの値は増加し、逆もまた同様である。マスターテンプレート20の凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに正比例する場合、凸状構造180の高さの値が大きいほどフィルファクターも大きな値になり、その逆も同様である。
【0049】
マスターテンプレート20の凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに反比例する場合、フィルファクターの値が増加するにつれて凸状構造180の高さの値は減少し、逆もまた同様である。マスターテンプレート20の凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに正比例する場合、凸状構造180の高さの値が小さいとフィルファクターの値は大きくなり、逆もまた同様である。当業者は、比例性の概念に精通している。すなわち、凸状構造180のフィルファクターと高さは、例えば同じ比率を有してもよく、および/またはフィルファクターの変化と凸状構造180の高さの変化は、類似または反対であってもよい。同じ比率は、一定の比率であってもよいし、比率が所定の範囲内に留まってもよいし、あるいは凸状構造180の高さを変調して体積差を補償するために比率が所定の方法で振舞ってもよい。この比例性はまた、反転複製プロセス中の非構造化層(すなわち、残留層186)の厚さの変動を軽減または排除する。
【0050】
一実施形態では、マスターテンプレート20は、互いに正比例するマスタープレート20の凸状構造180のフィルファクターと高さを有し、凸状構造180は、回折格子904の溝部902を生じさせるように構成され、凹状構造182は、回折格子904の隆起部900を生じさせるように構成される。
【0051】
一実施形態では、マスターテンプレート20は、互いに反比例するマスタープレート20の凸状構造180のフィルファクターと高さを有し、凸状構造180は、回折格子904の隆起部900を生じさせるように構成され、凹状構造182は、回折格子904の溝部900を生じさせるように構成される。
【0052】
回折型光学素子を製造するためのスタンプ22は、同様に、互いに正比例したスタンプ22の凸状構造180のフィルファクターと高さを有し、凸状・凹状構造180、182は、凸状構造180が回折格子904の溝部902を生じさせるように構成され、凹状構造182が回折格子904の隆起部900を生じさせるように構成されるように、回折格子904の溝部902および隆起部900と所定の関係を有する。
【0053】
図8は、拡張現実アイウェアの回折格子のスタンプ22の製造方法を示す。ステップ800では、マスターテンプレート20の基板108上に、プレート202の穿孔204を通して材料200の少なくとも1つの層250を堆積し、穿孔204の面積は、プレート202内の穿孔204の位置に依存し、プレート202と基板108は互いに非ゼロの距離Dだけ離間される。
【0054】
ステップ802では、基板106上の少なくとも1つの層250の高さは、穿孔204の面積の変化に応じて変化させられる。
【0055】
ステップ804では、領域から少なくとも1つの層250を除去することによって、凸状構造180が基板108上に形成され、結果として、凸状構造180の間に凹状構造182が生じる。
【0056】
ステップ806では、凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに比例するように作られるが、凸状・凹状構造180、182は、回折格子904の溝部902および隆起部900との関係を有し、その関係は、比例性に依存している。
【0057】
一実施形態では、凸状構造180のフィルファクターおよび高さは、所定の方法で互いに比例するように作られる。そして、凸状・凹状構造180、182は、回折格子904の溝部902および隆起部900と、それに応じて決定された関係を有する。隆起部900および溝部902は、グレーディング904の厚さが溝部902において薄くなり、隆起部900においてグレーディング904が溝部904よりも厚くなるように決定することができる。
【0058】
このようにして形成されたマスターテンプレート20またはスタンプ22の凸状構造180のフィルファクターおよび高さが互いに反比例する場合、ステップ800~806は、実質的に直接的にマスターテンプレート20またはスタンプ22をもたらし得る。ステップ800~806は、凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに正比例する場合、反転複製する必要があるマスターテンプレート20を直接生成することができる。
【0059】
したがって、スタンプ22を形成するために、次のステップ808および810のいずれかを実行してもよいか、または実行しなければならない。
【0060】
ステップ808では、凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに反比例することに応答して、マスターテンプレート20が反転複製プロセスに基づいてM回(Mは奇数)複製される。反転複製プロセスは、マスターテンプレート20の凸状構造180がレプリカの凹状構造182となり、マスターテンプレート20の凹状構造182がレプリカの凸状構造180となるように、マスターテンプレート20のプロファイルを反転する。
【0061】
ステップ810では、凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに正比例することに応答して、複製プロセスなしでマスターテンプレート20からスタンプ22が形成されるか、または凸状構造180のフィルファクターと高さが互いに正比例することに応答して、反転複製プロセスに基づいてマスターテンプレート20がN回(Nは偶数)複製される。
【0062】
一実施形態では、凸状構造180のフィルファクターおよび高さは、互いに正比例するようにさせることができる。次いで、凸状構造180および凹状構造182を、回折格子904の溝部902および隆起部900にそれぞれ対応させることができる。
【0063】
一実施形態では、凸状構造180のフィルファクターおよび高さは、互いに反比例するようにさせることができる。次いで、凸状・凹状構造180、182を、回折格子904の隆起部900および溝部902にそれぞれ対応させることができる。
【0064】
一実施形態では、フィルファクターを反転するために、凸状・凹状構造180を反転させた方法でコピーすることができる。また、高さプロファイルも反転できる。凸状・凹状構造180、182の反転コピーは、回折格子904の溝部902および隆起部900の分布およびサイズに対応するように構成されている。
【0065】
一実施形態では、マスターテンプレート20の凸状・凹状構造180、182をポリマー184に対して押し付けることによって、凸状・凹状構造180を反転させた方法でコピーすることによって、マスターテンプレート20のコピーを形成することができる。次いで、マスターテンプレート20のコピー、マスターテンプレート20に関して反転された表面プロファイルを有するポリマー184を含むコピーは、マスターテンプレート20の反転コピーされた凸状・凹状構造180、182を含むことができる。マスターテンプレート20のコピーは、新しいマスターテンプレート20であってもよいし、スタンプ22であってもよい。
【0066】
一実施形態では、層250の堆積は、スパッタリング、化学蒸着、および物理蒸着のうちの少なくとも1つによって実行される。
【0067】
一実施形態では、凸状構造180は、回折格子904の隆起部900の位置に対応する位置で基板108から固体材料200の層250を除去することによって、基板108上に形成される。
【0068】
一実施形態では、層250の高さを二次元での穿孔204の面積の変化に基づいて二次元で変化させる。
【0069】
図9Aは、スタンプ22が回折型光学素子のプリフォーム188のポリマー184に押し付けられる製造方法の段階の一例を示す。回折格子層192は、光ガイド194上にある。例えば、クロムなどとすることができるハードマスク190が、回折格子層192上にあり、ポリマー層184がハードマスク190上にある。層184、190、192、および194は、回折型光学素子のプリフォーム188を形成する。
【0070】
ハードマスク190は、ポリマーマスクなどのソフトマスクよりも硬いエッチングマスクである。ハードマスク190の材料は、例えばクロムとすることができる。ハードマスク190は、残留層186の除去プロセスがグレーディング層192に進み、それに害を及ぼすことを防止する。
【0071】
互いに正比例する凸状構造180のフィルファクターと高さを有するスタンプ22は、ポリマー184の凸状構造180’のフィルファクターと高さを互いに反比例させるために、ポリマー層184に押し付けられる。スタンプ22は、マスターテンプレート20のコピーであってもよいし、マスターテンプレート20であってもよい。ポリマー184は、スタンプ22に従って分布することができるため、残留層186の高さHは、略一定である。
【0072】
図9Bは、残留層186が凸状構造180’の間から除去される一例を示す。一実施形態では、残留層186の除去は、エッチングによって実行され得る。エッチングには、例えば反応性イオンエッチング(RIE)が含まれ得る。
【0073】
図9Cは、ポリマー184の凸状構造180’の間のハードマスク190を除去することによって、隆起部900が回折格子層192に形成され、したがって隆起部900が凸状構造180’の位置に残る一例を示す。図9Cでは、ハードマスク190はまだ隆起部900の頂部にあるように示されているが、ポリマー184はすでに除去されている。一実施形態では、回折格子層192の隆起部900は、エッチングによって実施することができる。一実施形態では、回折格子層192は、高さの変化を有してもよく、その高さは、層250の場合と同様に位置の関数である(図4B図5を参照)。
【0074】
図9Dは、ハードマスク190が回折格子の隆起部900の頂部から除去され、(この例では符号10で示されている)回折型光学素子の回折格子100、102、104の最終形状が、その最終形状に近づいているか、またはすでに最終形状に達している一例を示す。ハードマスクは、それ自体当業者に知られている1つまたは複数の適切な酸を用いて除去することができる。追加的または代替的に、ウェットエッチングしてもよい。さらに追加的または代替的に、ハードマスクは、例えばドライエッチングされてもよい。
【0075】
図10は、拡張現実アイウェアの光回折格子素子100、102、104の製造方法の一例を示す。
【0076】
ステップ1000では、凸状構造180’のフィルファクターおよび高さは、凸状構造180のフィルファクターおよび高さが互いに正比例するスタンプ22を用いて、回折型光学素子のプリフォーム188のハードマスク190上のポリマー184に成形され、プリフォーム188の凸状構造180’のフィルファクターおよび高さは、スタンプ22のフィルファクターおよび高さと反転している。
【0077】
ステップ1002では、残留層186が凸状構造180’の間から除去される。
【0078】
ステップ1004では、プリフォーム188の光ガイド194上にある回折格子層192に隆起部900が作製され、隆起部900は、スタンプ22の凹状構造182の位置に対応する位置となる。[vt 10]
【0079】
任意選択とすることができるステップ1006では、スタンプ22は、ポリマー184の残留層186の高さを制御し得る。一実施形態では、スタンプ22は、スタンプ22によるフィルファクターおよび互いに正比例するスタンプ22の凸状構造180の高さに基づいて、ポリマー184の残留層186が略一定の高さを有するようにすることができる。一実施形態では、スタンプ22は、ポリマー184の残留層186を所定の方法で変化させることができ、その変化は比例性に依存する。
【0080】
このようにして、スタンプ22の凸状構造180は、凸状構造180の下の位置でポリマー184の体積を移動させる。ポリマー184の移動された体積は、凸状構造180のサイズに関係する。移動されたポリマー184は、スタンプ22の凹状構造182の下にある位置に横に移動し/流れ、凹状構造182の下の位置はポリマー184の残留層186になる。したがって、残留層186が一定の高さを有するか、または高さが所定の変化に従うように、凹状構造182の下の位置を所望の方法で充填することができる。
【0081】
構造化マスターテンプレート20およびスタンプ22のそのような制御可能な厚さ変調の実現により、例えば拡張現実(AR)アイウェア内の光結合器として使用される回折型光学素子(DOE)の複製において少なくとも2つの利点が可能になる。利点は、次の通りである。i)複製された構造内の異なるフィーチャサイズに必要な体積差を補償するには高さ変調が必要である。ii)高さ変調を直接使用して、高さ変調パターンを複製されたサンプルに転写できる。
【0082】
最初の利点は、マスタリングおよび複製プロセスの信頼性と簡素性に関連するのに対し、後者の利点は、高さを変調して製造されたDOEの性能を向上させるために使用できる。
【0083】
技術の進歩に伴い、本発明の概念が様々な方法で実現できることが当業者には明らかであろう。本発明およびその実施形態は、上記の例示的な実施形態に限定されず、特許請求の範囲内で変更することができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折型光学素子の回折格子のマスターテンプレート(20)の製造方法であって、
前記マスターテンプレート(20)の基板(108)のハードマスク(190)上に、プレート(202)の穿孔(204)を通して材料(200)の少なくとも1つの層(250)を堆積させるステップ(800)であって、前記穿孔(204)の断面積は、前記プレート(202)内の前記穿孔(204)の位置に依存し、前記プレート(202)と前記基板(108)は、ゼロでない距離(D)だけ離間されている、前記堆積させるステップ(800)と、
前記基板(108)上の少なくとも1つの層(250)の高さを、前記穿孔(204)の前記面積の変化に応じて変化させるステップ(802)と、
領域から前記少なくとも1つの層(250)を除去することによって、前記基板(108)上に凸状構造(180)を形成するステップ(804)であって、結果として、前記凸状構造(180)間に凹状構造(182)が生じさせ、前記ハードマスク(190)は、前記基板(108)を保護し、前記凹状構造(182)を形成するために前記少なくとも1つの層(250)が除去されるときに、残留層(186)の除去が前記基板(108)の回折格子層(192)まで進むことを防ぐ、前記形成するステップ(804)と、
前記凸状構造(180)のフィルファクターと高さを比例させるステップ(806)であって、同時に、前記凸状構造および凹状構造(180、182)は、前記回折格子(904)の溝部(902)および隆起部(900)と関係を有し、前記関係は比例性に依存する、前記比例させるステップ(806)と
を特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記凸状構造の前記フィルファクターと前記高さを正比例させることと、
前記凸状構造(180)と前記凹状構造(182)を前記回折格子(904)の前記溝部(902)と前記隆起部(900)にそれぞれ対応させることと
を特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記凸状構造の前記フィルファクターと前記高さを反比例させることと、
前記凸状構造および凹状構造(180、182)を前記回折格子(904)の前記隆起部(900)と前記溝部(902)にそれぞれ対応させることと
を特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
高さプロファイルおよびフィルファクターを反転するために前記凸状構造および凹状構造(180、182)を反転してコピーすることと、
前記前記凸状構造および凹状構造(180、182)の前記反転コピーは、前記回折格子(904)の前記溝部(902)および前記隆起部(900)の分布およびサイズに対応するように構成されることと
を特徴とする、請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記マスターテンプレート(20)の前記凸状構造および凹状構造(180、182)をポリマー(184)に対してプレスすることによって、前記凸状構造および凹状構造(180、182)を反転してコピーすることにより、前記マスターテンプレートのコピーを形成することと、
前記反転コピーされた凸状構造および凹状構造(180、182)を含むように、前記マスターテンプレート(20)の前記コピーを作製することと
を特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記層(250)の堆積を、スパッタリング、化学蒸着、および物理蒸着のうちの少なくとも1つによって実行することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記回折格子(904)の前記隆起部(900)の位置に対応する位置で前記層(250)の固体材料(200)を前記基板(108)から除去することにより、前記凸状構造(180)を前記基板(108)上に形成すること(804)を特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
二次元における前記穿孔(204)の前記面積の対応する変化に基づいて、前記層(250)の前記高さを二次元で変化させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
回折型光学素子の回折格子のスタンプ(22)の製造方法であって、
前記テンプレート(20)の基板(108)のハードマスク(190)上に、プレート(202)の穿孔(204)を通して材料(200)の少なくとも1つの層(250)を堆積させること(800)によって、マスターテンプレート(20)を作製する、堆積させるステップ(800)であって、前記穿孔(204)の断面積は、前記プレート(202)内の前記穿孔(204)の位置に依存しており、前記プレート(202)と前記基板(108)は、ゼロでない距離(D)だけ離間されている、前記堆積させるステップ(800)と、
前記基板(108)上の前記少なくとも1つの層(250)の高さを、前記穿孔(204)の前記断面積の変化に応じて変化させるステップ(802)と、
領域から前記少なくとも1つの層(250)を除去することによって、前記基板(108)上に凸状構造(180)を形成するステップ(804)であって、結果として、前記凸状構造(180)間に凹状構造(182)を生じさせ、前記ハードマスク(190)は、前記基板(108)を保護し、前記凹状構造(182)を形成するために前記少なくとも1つの層(250)が除去されるときに、残留層(186)の除去が前記基板(108)の回折格子層(192)まで進むことを防ぐ、前記形成するステップ(804)と、
前記凸状構造(180)のフィルファクターと高さを比例させるステップ(806)であって、同時に、前記凸状構造および凹状構造(180、182)は、前記回折格子(904)の溝部(902)および隆起部(900)と関係を有し、前記関係は比例関係に依存する、前記比例させるステップ(806)と、
前記スタンプ(22)に対して:
反比例する前記凸状構造(180)のフィルファクターおよび高さに応答して、プロファイル反転プロセスに基づいてマスターテンプレート(20)をM回(Mは奇数)複製する(808)ステップ、または、
正比例する前記凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さに応答して、複製プロセスを行わずに、または正比例する前記凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さに応答して、プロファイル反転プロセスに基づいて前記マスターテンプレート(20)をN回(Nは偶数)複製することによって、前記マスターテンプレート(20)から前記スタンプ(22)を形成するステップ(810)
を特徴とする、方法。
【請求項10】
回折型光学素子の製造方法であって、
請求項9に記載された製造方法に従って製造され、正比例する前記凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さを有するスタンプ(22)を用いて、前記回折型光学素子のプリフォーム(188)の前記ハードマスク(190)上のポリマー(184)に対して凸状構造(180’)のフィルファクターおよび高さを形成するステップ(1000)であって、前記プリフォーム(188)の前記凸状構造(180’)の前記フィルファクターおよび前記高さは、前記スタンプ(22)の前記凸状構造(180)の前記フィルファクターおよび高さの反転したものである、前記形成するステップ(1000)と、
前記凸状構造(180’)間から残留層(186)を除去するステップと(1002)と、
前記プリフォーム(188)の光ガイド(194)上にある回折格子層(192)に隆起部(900)を作製するステップ(1004)であって、前記隆起部(900)は、前記スタンプ(22)の前記凹状構造(182)の位置に対応する位置となる、前記隆起部(900)を作製するステップ(1004)と
を特徴とする、製造方法。
【請求項11】
正比例する、前記スタンプ(22)による前記フィルファクターと、前記凸状構造(180)の前記高さとに基づいて、前記ポリマー(184)の前記残留層(186)が、略一定の高さを有するようにすること(1006)を特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
回折型光学素子を製造するためのマスターテンプレート(20)であって、
基板(108)がハードマスク(190)により被覆され、
前記ハードマスク(190)は、凸状構造および凹状構造(180、182)を形成する固体材料(200)からなる層(250)により部分的に被覆され、
前記固体材料(200)からなる前記層(250)が、凹状構造(182)を形成するために除去されるときに、前記前記ハードマスク(190)は前記基板(108)を保護し、
前記ハードマスク(190)は、前記層(250)のエッチングを前記ハードマスク(190)のところで停止させて、前記基板(108)をエッチングから保護するように構成され、
前記マスターテンプレート(20)の凸状構造(180)のフィルファクターと高さは比例しており、前記層(250)の凸状構造(180)および凹状構造(182)は、回折格子(904)の溝部(902)および隆起部(900)と所定の関係を有し、前記所定の関係は、前記比例性に依存することを特徴とする、マスターテンプレート(20)。
【請求項13】
前記マスターテンプレート(20)の前記凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さが正比例し、前記凸状構造(180)は、前記回折格子(904)の前記溝部(902)を生じさせるように構成され、前記凹状構造(182)は、前記回折格子(904)の前記隆起部(900)を生じさせるように構成されることを特徴とする、請求項12に記載のマスタープレート。
【請求項14】
前記マスターテンプレート(20)の前記凸状構造(180)の前記フィルファクターと前記高さが反比例し、前記凸状構造(180)は、前記回折格子(904)の前記隆起部(900)を生じさせるように構成され、前記凹状構造(182)は、前記回折格子(904)の前記溝部(902)を生じさせるように構成されることを特徴とする、請求項12に記載のマスタープレート。
【請求項15】
回折型光学素子を製造するためのスタンプ(22)であって、前記スタンプ(22)の凸状構造(180)のフィルファクターと高さが正比例し、凸状構造(180)および凹状構造(182)は、回折格子(904)の溝部(902)および隆起部(900)と所定の関係を有し、前記凹状構造(182)はハードマスク(190)により回折格子(192)に達することが防がれており、前記凸状構造(180)は、前記回折格子(904)の溝部(902)を生じさせるように構成され、前記凹状構造(182)は、前記回折格子(904)の隆起部(900)を生じさせるように構成されるようにする、スタンプ(22)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
樹脂はハードマスク190上にあることができ、ハードマスク190は同様に、回折格子材料192上にある。最後に、回折格子材料192は、光ガイド194上にある。ポリマー184の残留層186の高さHは、一定ではなく変化する。反転プロセスは、ポリマー184がスタンプの凸状構造180の間の凹状構造182に流入するようにスタンプをポリマー184に押し付けるインプリントプロセスであってもよい。スタンプがポリマー184から切り離されると、ポリマー184は、スタンプの反転表面プロファイルに似ているが、実際には全くそうではない表面プロファイルを有する。すなわち、残留層186の高さHの変化は、スタンプの凹状構造182内部のポリマー184が占める体積の変化によって引き起こされる。非構造化層(すなわち、残留層186)の厚さの変動により、パターン転写プロセスが著しく困難になるか、あるいはおそらく完全に不可能になる。ハードマスク190は、例えば、クロム(Cr)または酸化クロム(Cr)を含むことができるが、これらに限定されない。
【国際調査報告】