(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置、エアロゾル発生物品、およびエアロゾル送達システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20231222BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231222BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20231222BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24D1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023535389
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021085322
(87)【国際公開番号】W WO2022128827
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ ロドリゲス アルベス
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】オリアナ ヴァレリオ
(72)【発明者】
【氏名】セレダ アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ボンジョヴァンニ ジャンルカ
(72)【発明者】
【氏名】ベダッソ ベケレ アレム
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC02
4B162AC12
4B162AC13
4B162AC41
(57)【要約】
エアロゾル発生装置(100)は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から吸入可能なエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生(200)物品の加熱において使用するために構成されている。エアロゾル発生装置はハウジング(101)を備える。ハウジング(101)は、エアロゾル発生物品(200)を受容するように構成された空洞(105)を備える。ハウジング(101)は、ハウジング(101)の外側から、ハウジング(101)の内部を通して、空洞(105)の壁(106)の通気性部分に延びる冷却気流経路を画定するように適合されている。空洞(105)の壁(106)は管状である。空洞の壁の通気性部分は、少なくとも一つの環状通気性帯(112)を備える。環状通気性帯(112)は、冷却気流経路から空洞(105)の管状壁(106)の周辺の周りで空洞(105)の中に気流を半径方向に導くように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から吸入可能なエアロゾルを発生するために、前記エアロゾル発生物品の加熱において使用するために構成されたエアロゾル発生装置であって、
前記エアロゾル発生装置がハウジングを備え、
前記ハウジングが、前記エアロゾル発生物品を受容するように構成された空洞を備え、
前記ハウジングが、前記ハウジングの外側から、前記ハウジングの内部を通して、前記空洞の壁の通気性部分に延びる冷却気流経路を画定するように適合されていて、
前記空洞の前記壁が管状であり、前記空洞の前記壁の前記通気性部分が、少なくとも一つの環状通気性帯を備え、前記環状通気性帯が、前記冷却気流経路から前記空洞の前記管状壁の周辺の周りで前記空洞の中に気流を半径方向に導くように構成されている、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記空洞の中にドッキングされたエアロゾル発生物品との使用において、前記空洞の前記壁の前記通気性部分が、前記エアロゾル発生物品の外部壁の対応する通気性部分と一致している、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記空洞の前記壁が管状であり、前記空洞に開放端および閉鎖端が提供されていて、前記エアロゾル発生装置が前記管状空洞の前記開放端を介して前記エアロゾル発生物品を受容するように構成されている、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記空洞の前記壁の前記通気性部分が、
多孔性材料と、
複数のスリットと、
複数の穴と、のうちの一つ以上を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの環状通気性帯が、第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯を備え、前記第一の帯および第二の帯が、前記空洞の長軸方向軸に沿って相互から軸方向に離隔していて、かつ前記環状通気性帯を通る気流に対して別個の第一の透過性および第二の透過性を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記エアロゾル発生装置が、前記ハウジングの外側からの空気の流れを、前記冷却気流経路に沿って前記空洞の前記壁の前記通気性部分に向かって強いるように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
エアロゾル送達システムであって、
請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル発生物品であって、ロッドを画定し、前記ロッドがエアロゾル形成基体を含有し、前記ロッドの外部壁が通気性部分を備え、前記ロッドの前記外部壁の前記通気性部分が前記エアロゾル形成基体の下流に位置付けられている、エアロゾル発生物品と、
前記エアロゾル発生物品が前記空洞の中にドッキングされている時に、前記空洞の前記壁の前記通気性部分が、前記ロッドの前記外部壁の前記通気性部分と一致しているように構成された装置および物品と、を備えるエアロゾル送達システム。
【請求項8】
前記エアロゾル発生物品が、第一の気流経路および第二の気流経路をさらに備え、
前記ロッドが口側端および遠位端を有し、前記口側端が前記遠位端の下流に位置し、
前記第一の気流経路が、前記口側端に向かって下流に前記ロッドの内部に沿って前記エアロゾル形成基体を通って延び、これによって、前記口側端での吸引の適用時に、空気が前記エアロゾル発生物品の中に引き出されて、かつ前記口側端に向かって下流に前記ロッドの前記内部に沿って前記エアロゾル形成基体を通過し、
前記第二の気流経路が、前記物品が前記装置の前記空洞の中にドッキングされている時に、前記ロッドの前記外部壁の前記通気性部分を通って延びて、前記冷却気流経路から受容した冷却気流を前記ロッドの内部の混合領域と、前記通気性部分と、前記エアロゾル形成基体の下流に、かつすぐ隣に位置する前記混合領域とに供給し、これによって使用時に、前記第二の気流経路に沿った気流が前記混合領域内で、前記第一の気流経路に沿ったエアロゾル流れと混合して、混合流を提供する、請求項7に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項9】
前記ロッドの前記外部壁の前記通気性部分が、
多孔性材料と、
複数のスリットと、
複数の穴と、のうちの一つ以上を備える、請求項7または請求項8のいずれか一つに記載のエアロゾル送達システム。
【請求項10】
エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生物品がロッドを画定し、前記ロッドがエアロゾル形成基体を含有し、かつ遠位端および口側端を有し、前記口側端が前記遠位端の下流に位置し、
前記エアロゾル発生物品が、第一の気流経路および第二の気流経路を備え、
前記ロッドの外部壁が通気性部分を備え、前記ロッドの前記外部壁の前記通気性部分が前記エアロゾル形成基体の下流に位置付けられていて、
前記第一の気流経路が、前記口側端に向かって下流に前記ロッドの内部に沿って前記エアロゾル形成基体を通って延び、これによって、前記口側端への吸引の適用時に、空気が前記エアロゾル発生物品の中に引き出されて、かつ前記口側端に向かって下流に前記ロッドの前記内部に沿って前記エアロゾル形成基体を通過し、
前記第二の気流経路が、前記ロッドの前記外部壁の前記通気性部分を通って延びて、冷却空気を前記ロッドの外側から、前記ロッドの内部の混合領域と、前記通気性部分と、前記エアロゾル形成基体の下流に、かつすぐ隣に位置する前記混合領域とに供給し、これによって使用時に、前記第二の気流経路に沿った気流が前記混合領域内で、前記第一の気流経路に沿ったエアロゾル流れと混合し、
前記ロッドの外部壁の前記通気性部分が少なくとも一つの環状通気性帯を備え、前記少なくとも一つの環状通気性帯が第一の環状通気性帯と第二の環状通気性帯を備え、前記第一の帯および第二の帯が前記ロッドの長軸方向軸に沿って相互に軸方向に離隔していて、かつ環状通気性帯を通る気流に対して別個の第一の透過性および第二の透過性を有する、エアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記エアロゾル形成基体が、前記ロッドの前記遠位端に位置する、または前記ロッドの前記口側端よりも前記ロッドの前記遠位端の近くに位置する、請求項10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記ロッドの前記内部が、前記混合領域から前記口側端まで障害物がなく、これによって使用時に、前記混合流れが前記混合領域から前記口側端に流れる時に妨げられない、請求項10または請求項11のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項13】
前記通気性部分が、
多孔性材料と、
複数のスリットと、
複数の穴と、のうちの一つ以上を備える、請求項10~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記ロッドの前記外部壁の前記通気性部分が、0.2~4mm、または0.2~2.5mm、または0.2~1.8mm、または0.2~1.5mmの軸方向長さを有する、請求項10~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記ロッドの前記外部壁の前記通気性部分が、4ミリメートル以下だけ、または2.5ミリメートル以下だけ、または1.8ミリメートル以下だけ、または1.5ミリメートル以下だけ、または0.2ミリメートル以下だけ前記エアロゾル形成基体の下流に延びる、請求項10~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品の両方から形成されたエアロゾル送達システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生装置は、当業界で知られている。こうした既知の装置は、基体の燃焼ではなく、基体への熱の適用によって基体からエアロゾルを発生してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の構成部品として存在してもよく、これにおいてエアロゾル発生物品はエアロゾル発生装置から物理的に分離している。使用時に、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品によって受容されてもよい。装置は、熱源からエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体への熱の伝達を可能にするために電力を提供してもよい。こうした既知のエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。エアロゾルを発生するためのエアロゾル形成基体への熱の伝達は、非常に高い温度を有するエアロゾル形成基体から発せられたエアロゾルをもたらす場合があり、基体は一部の既知のエアロゾル発生物品において、加熱された時に約270℃の温度に達することが知られている。既知のエアロゾル発生物品は、基体を、ユーザーの口または喉のやけどを回避するのに十分なレベルに冷却するために、基体の下流の異なる構成要素の複雑な構成を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品の気流管理において改善を提供することに関係している。
【0004】
本開示の第一の態様によると、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から吸入可能なエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生物品の加熱において使用するために構成されたエアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置はハウジングを備える。ハウジングは、エアロゾル発生物品を受容するように構成された空洞を備える。ハウジングは、ハウジングの外側から、ハウジングの内部を通して、空洞の壁の通気性部分に延びる冷却気流経路を画定するように適合されている。
【0005】
装置ハウジングの外側の周囲空気は、装置が動作している時に、ハウジング内よりも低温である可能性が高い。そのため、ハウジングの外側から延びる冷却気流経路を画定するハウジングを有することは、装置の使用中に容易に利用可能な周囲冷却空気供与源を提供する。空洞の壁に通気性部分を提供することは、装置の外側から受容された周囲冷却空気の流入を、冷却気流経路を介して空洞の内部に方向付けることを可能にする場合がある。これは、空洞の内部を冷却する有益な効果を提供する場合がある。さらに、エアロゾル発生装置が、空洞の中にドッキングされたエアロゾル発生物品と組み合わせて使用される場合、空洞の壁の通気性部分を介して受容された冷却空気は、エアロゾル発生物品の特定の部分を冷却するために使用されてもよい。
【0006】
エアロゾル発生装置は、空洞の中にドッキングされたエアロゾル発生物品との使用において、空洞の壁の通気性部分が、エアロゾル発生物品の外部壁の対応する通気性部分と一致しているように構成されていることが好ましい。エアロゾル発生装置の空洞の壁の通気性部分とエアロゾル発生物品の外部壁とを一致させることは、装置の冷却気流経路からエアロゾル発生物品の内部の中に気流を効率的に導くことを可能にする。
【0007】
本明細書で使用される「通気性」という用語は、空気が通過することを可能にする実体に関連して使用される。「通気性」という用語はまた、その体積のすべてまたは一部のいずれかに関連して、適切な材料、例えば材料の体積のすべてまたは一部において多孔性を有する材料の体積特性を包含する。
【0008】
本明細書で使用される「一致」という用語は、正確にまたは部分的に重なり合っていること意味するために使用される。
【0009】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用する喫煙装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙物品のためのホルダーであってもよい。
【0010】
エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であることが好ましい。エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なニコチン含有エアロゾルを発生する喫煙物品であることがより好ましい。
【0011】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを発生するために、加熱に伴い揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成材料から成る、またはそれを含む基体を意味する。
【0012】
好都合なことに、空洞の壁は管状であってもよい。空洞には、開放端および閉鎖端が提供されてもよい。エアロゾル発生装置は、管状空洞の開放端を介してエアロゾル発生物品を受容するように構成されてもよい。装置への管状空洞の提供は、装置が、ロッド形態を画定するエアロゾル発生物品とともに使用されることが意図されていて、こうしたロッドの幾何学的プロファイルに対応する空洞の管状形状を有する場合に、特に適切である。例えば、エアロゾル発生物品が喫煙物品である場合、物品でのロッド形状の幾何学的形状の使用は、従来の紙巻たばこおよび電子たばこなどの既知の喫煙物品の幾何学的形状に対応する。
【0013】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形、または楕円形の断面の概して円筒状の要素を意味するために使用される。
【0014】
空洞の壁の通気性部分は、多孔性材料、複数のスリット、複数の穴のうちの一つ以上を備えてもよい。例として、また限定することなく、空洞の壁の通気性部分はメッシュとして提供されてもよく、メッシュ内に開口部を画定するメッシュの隙間を有し、それによってメッシュを通る気流に透過性を提供する。別の方法として、冷却気流経路の下流端は、いかなるメッシュまたは他の制限も存在しない開放端で終結してもよく、この開放端は、空洞の壁の通気性部分であり、冷却空気経路から空洞の中に直接、冷却空気を導く。さらなる代替において、空洞の壁の通気性部分は複数の空孔を備えてもよく、この部分において複数の空孔は壁の材料内に空所を画定する。空洞の壁の通気性部分の一部を形成してもよい任意の空孔、スリット、または穴のサイズは、通気性部分の気流に対する透過性に直接影響を与える。そのため、こうした任意の空孔、スリット、または穴のサイズは、エアロゾル発生装置の空洞内の冷却空気の望ましい体積流量に従って選択されてもよい。
【0015】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生物品の使用中にユーザーがエアロゾル発生物品を吸う方向に対する、加熱式エアロゾル発生物品の要素または要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。
【0016】
空洞の壁は管状であり、また空洞の壁の通気性部分は、少なくとも一つの環状通気性帯を備えることが好ましい。一つ以上の環状帯としての空洞の壁の通気性部分の提供は、冷却気流経路からの冷却空気を、管状空洞壁の周辺の周りで空洞の中に半径方向に導くことを可能にする。空洞の中にドッキングされたエアロゾル発生物品とともに装置が使用され、環状帯として提供された対応する通気性部分を有するエアロゾル発生物品の外部壁を備える場合、装置の環状帯と物品の環状帯との一致する整列は、物品の外部壁の周辺の周りにエアロゾル発生物品の内部の中への冷却空気の均一な半径方向の流入を提供する場合がある。
【0017】
好都合なことに、少なくとも一つの環状通気性帯は、第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯を含んでもよい。第一の帯および第二の帯は、空洞の長軸方向軸に沿って相互から軸方向に離隔してもよく、また帯を通る気流に対する別個の第一の透過性および第二の透過性を有する。第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯の気流に対する異なる透過性の提供は、第一の環状帯および第二の環状帯を通る相応に異なる流量を可能にする場合がある。その結果、これは、空洞の異なる領域で、異なるレベルの冷却が達成されることを可能にする場合がある。
【0018】
有利なことに、エアロゾル発生装置は、ハウジング内に提供された制御電子機器をさらに備えてもよい。冷却気流経路は、制御電子機器に冷却を提供するために制御電子機器を通って延びてもよく、または制御電子機器に隣接して延びてもよい。このようにして、ハウジングの外側からの冷却空気は、装置の制御電子機器の過熱を回避するのに役立つ場合がある。
【0019】
エアロゾル発生装置は、冷却気流経路に沿って装置のハウジングの外側から空気の流れを強いるためにいかなるファンまたは類似の手段も含まないことが好ましい。むしろ、冷却気流経路に沿ったハウジングの外側からの空気の流れは代わりに、装置の空洞の中にドッキングされたエアロゾル発生物品の口側端に吸引を適用するユーザーによって駆動されていることが好ましい。これらの特徴は、エアロゾル送達システムを画定する本開示の第二の態様に関して、以下でより詳細に考察されている。しかしながら、代替的な一実施例において、エアロゾル発生装置は、ハウジングの外側からの空気の流れを、冷却気流経路に沿って空洞の壁の通気性部分に向かって強いるように構成されてもよい。例として、装置は、冷却気流経路に沿って空気の流れを駆動するためにハウジング内に提供された電気式ファンを備えてもよく、ファンには装置内に提供された電源からの電力が提供されている。
【0020】
好都合なことに、エアロゾル発生装置は、誘導加熱と抵抗加熱のいずれかまたは両方によって、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するための電気式装置であってもよい。装置は、電力を供給するための電源を備えてもよい。電源は電池であることが好ましく、それによって装置に携帯性の利点を提供する。電池は再充電可能電池であることが好ましい。
【0021】
装置の誘導加熱バージョンの一実施例において、空洞の壁はサセプタ部分を備えてもよい。サセプタ部分は、空洞の長軸方向軸に沿って空洞の壁の通気性部分から軸方向に離隔してもよい。エアロゾル発生装置は、サセプタ部分を取り囲むインダクタコイルをさらに備えてもよい。好ましくは、インダクタコイルは、サセプタ部分の半径方向外側でサセプタ部分を取り囲んでもよい。サセプタ部分の半径方向外側にインダクタコイルを位置することは、空洞の中への物品の挿入中に、エアロゾル発生物品との接触からインダクタコイルが損傷することを回避する。使用時に、(例えば、装置の上述の電源によって)インダクタコイルに供給された電力は、インダクタコイルがサセプタ部分内に渦電流を誘発することをもたらす。これらの渦電流は次に、空洞の壁のサセプタ部分が熱を発生することをもたらす。上述の通り、エアロゾル発生物品が空洞の中にドッキングされている時に、サセプタ部分によって空洞内に発生した熱は物品に伝達して、エアロゾルが基体から発するのを引き起こすのに十分な温度に、物品内のエアロゾル形成基体を加熱する場合がある。サセプタ部分は、電磁エネルギーを吸収して熱に変換する能力を有する材料で形成されている。例として、また限定することなく、サセプタ部分は、鋼などの強磁性材料で形成されてもよい。
【0022】
先に概説した装置の誘導加熱バージョンの変形において、空洞の壁は、いかなるサセプタも欠いている場合があるが、空洞の壁を取り囲むインダクタコイルを依然として備える。好ましくは、インダクタコイルは、壁の半径方向外側で空洞の壁を取り囲む場合がある。代わりに、エアロゾル発生物品の一部としてサセプタが提供されてもよく、好ましくは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体内に全体的に、または部分的に封入されてもよい。
【0023】
装置の抵抗加熱バージョンの一実施例において、空洞は抵抗発熱体を備えてもよい。抵抗発熱体は、装置の空洞の中にドッキングされたエアロゾル発生物品を(使用時に)取り囲むように配設されてもよい。例として、抵抗発熱体は、環状スリーブの形態を有してもよい。環状スリーブは、空洞の壁内に位置してもよく、または空洞の壁の一部を形成してもよい。別の方法として、抵抗発熱体は、物品のエアロゾル形成基体と近接するように、または直接接触するために、装置の空洞の中にドッキングされたエアロゾル発生物品の内部の中に(使用時に)挿入されるように配設されてもよい。例として、抵抗発熱体は、ブレードの形態を有してもよい。使用時に、電力が抵抗発熱体に(例えば、装置の上述の電源によって)供給され、それによって発熱体の加熱がもたらされることになる。
【0024】
本開示の第二の態様によると、エアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル送達システムが提供されている。エアロゾル発生物品はロッドを画定する。ロッドはエアロゾル形成基体を含有する。ロッドの外部壁は通気性部分を備える。ロッドの外部壁の通気性部分は、エアロゾル形成基体の下流に位置付けられている。装置および物品は、エアロゾル発生物品が空洞の中にドッキングされている時に、空洞の壁の通気性部分が、ロッドの前記外部壁の通気性部分と一致しているように構成されている。エアロゾル発生装置は、本開示の第一の態様に関する実施例のうちのいずれかについて上述の通りであってもよい。
【0025】
本開示のこの第二の態様において、空洞の壁の通気性部分とロッドの外部壁との一致する整列は、装置の冷却気流経路からエアロゾル発生物品の内部の中に冷却空気を効率的に導くのを容易にするために役立つ。
【0026】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であることが好ましい。しかしながら、エアロゾル形成基体は、固体構成成分と液体構成成分との両方を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は液体エアロゾル形成基体であってもよい。
【0027】
エアロゾル形成基体はニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体はたばこを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ含有エアロゾル形成材料を含んでもよい。
【0028】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎、膨化たばこ、および均質化したたばこのうちの一つ以上を含有する、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、撚糸、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0029】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、たばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよく、これらは固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこ揮発性風味化合物または非たばこ揮発性風味化合物を含む一つ以上のカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶融してもよい。
【0030】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、撚糸、細片、またはシートの形態を取ってもよい。固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するために、あるパターンで堆積されてもよい。
【0031】
好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含む。本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。
【0032】
エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料のシートの集合体を含むことが好ましい。本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さよりも実質的に大きい幅および長さを有する層状要素を指す。本明細書で使用される「集合した」という用語は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して実質的に横断方向で巻き込みされ、折り畳まれ、またはその他の方法で圧縮もしくは締め付けされたシートを記述するために使用される。
【0033】
エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含むことが好ましい。本明細書で使用する用語「エアロゾル形成体」は、使用時に、エアロゾルの形成を容易にする、かつエアロゾル発生物品の動作温度にて熱分解に対して略抵抗性である、任意の好適な周知の化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。
【0034】
適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンなど)である。
【0035】
エアロゾル形成基体は単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0036】
好ましくは、エアロゾル発生物品は、第一の気流経路および第二の気流経路をさらに備えてもよい。ロッドは口側端および遠位端を有し、口側端は遠位端の下流に位置する。第一の気流経路は、口側端に向かって下流にロッドの内部に沿ってエアロゾル形成基体を通って延びてもよく、これによって、口側端での吸引の適用時に、空気はエアロゾル発生物品の中に引き出されて、かつ口側端に向かって下流にロッドの内部に沿ってエアロゾル形成基体を通過する。第二の気流経路は、物品が装置の空洞の中にドッキングされている時に、ロッドの外部壁の通気性部分を通って延びて、冷却気流経路から受容した冷却気流をロッドの内部の混合領域に供給してもよい。通気性部分および混合領域は、エアロゾル形成基体の下流に、かつすぐ隣に位置してもよく、これによって使用時に、第二の気流経路に沿った気流は、第一の気流経路に沿ったエアロゾル流れと混合領域内で混合する。通気性部分および混合領域を、エアロゾル形成基体の下流に、かつすぐ隣に位置させることによって、装置の冷却気流経路から受容された、かつ第二の気流経路に沿って流れる空気は、エアロゾル形成基体の加熱から発せられた、かつ第一の気流経路に沿って流れる任意の高温のエアロゾル気体を効率的に冷却することができる。また、通気性部分および混合領域をエアロゾル形成基体の下流に、すぐ隣に位置させることは、冷却空気およびエアロゾルが、ロッドの口側端に到達する前に効率的に混合されることを確実にする場合がある。エアロゾル発生物品のロッド内の冷却空気およびエアロゾルの効率的な混合は、システムのユーザーに高められた体験を提供することにおいて重要である。冷却空気およびエアロゾルのこの効率的な混合は、従来の通気された紙巻たばこと対照的である。従来の通気された紙巻たばこは、紙巻たばこの口側端にて、またはそれにごく接近して、エアロゾル形成基体から遠く離れて提供された穿孔を介して、紙巻たばこの中に空気を導入する。その結果として、従来の通気された紙巻たばこは、入ってくる通気された空気と高温のエアロゾル気体との完全で効率的な混合を達成せず、それによってユーザー体験が劣化する可能性がある。
【0037】
好都合なことに、エアロゾル形成基体は遠位端に位置する、または口側端よりも遠位端の近くに位置する。
【0038】
ロッドの内部は、混合領域から口側端まで障害物がなく、これによって使用時に、混合流れが混合領域から口側端に流れる時に妨げられないことが好ましい。例として、エアロゾル発生物品は、既知の電子たばこ内で一般的に見いだされる通りの、口側端に向かう下流の流路を妨げるマウスピースフィルターまたはエアロゾル冷却要素を欠いてもよい。エアロゾル形成基体の下流のロッドの内部内でいかなるこうした障害物も欠くことは、第一の気流経路および第二の気流経路の引き出し抵抗を低減するのに役立つ場合があり、またエアロゾルおよび冷却空気の混合流れの所与の量を吸入するために口側端にてユーザーが適用することが必要とされる吸引の量を低減するのに役立つ場合がある。さらに、これはまた、エアロゾル発生物品の製造の複雑さを低減するのに役立つ場合がある。
【0039】
ロッドの外部壁の通気性部分は、多孔性材料、複数のスリット、複数の穴のうちの一つ以上を備えてもよい。例として、また限定することなく、ロッドの外部壁の通気性部分はメッシュとして提供されてもよく、メッシュ内に開口部を画定するメッシュの隙間を有し、それによってメッシュを通る(すなわち、外部壁を通る)気流に透過性を提供する。さらなる代替において、ロッドの外部壁の通気性部分は複数の空孔を備えてもよく、この部分において複数の空孔は外部壁の材料内に空所を画定する。ロッドの外部壁の通気性部分の一部を形成してもよい任意の空孔、スリット、または穴のサイズは、通気性部分の気流に対する透過性に直接影響を与える。こうした任意の空孔、スリット、または穴のサイズは、エアロゾル発生物品の内部内の冷却空気の望ましい体積流量に従って選択されてもよい。
【0040】
ロッドの外部壁はラッパーとして提供されてもよく、ラッパーはエアロゾル形成基体を囲む。例として、ラッパーはシガレットペーパーであってもよい。ラッパーには、ロッドの外部壁の通気性部分を形成するために、穿孔が提供されてもよい。ラッパーはおよそ0.02~0.07ミリメートル、またはおよそ0.03~0.05ミリメートルの厚さを有することが好ましい。ロッドによって画定されたエアロゾル発生物品は、およそ3.7~9ミリメートル、またはおよそ5.7~7.9ミリメートルの直径を有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、およそ30ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ45ミリメートルの全長を有する。
【0041】
ロッドの外部壁の通気性部分は、少なくとも一つの環状通気性帯を備えることが好ましい。環状通気性帯の使用は、物品の周辺の周りのエアロゾル発生物品の内部の中への冷却空気の均一な半径方向の流入と、エアロゾル形成基体から発せられた高温のエアロゾルとの改善された混合とを提供する。
【0042】
有利なことに、ロッドの外部壁の少なくとも一つの通気性帯は、第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯を含んでもよい。第一の帯および第二の帯は、ロッドの長軸方向軸に沿って相互から軸方向に離隔してもよく、また帯を通る気流に対する別個の第一の透過性および第二の透過性を有する。第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯の気流に対する異なる透過性の提供は、第一の環状帯および第二の環状帯を通る相応に異なる流量を可能にする場合がある。その結果、これは、エアロゾル発生物品の内部の異なる領域で、異なるレベルの冷却が達成されることを可能にする場合がある。
【0043】
好ましくは、ロッドの外部壁の通気性部分は、0.2~4ミリメートル、またはより好ましくは0.2~2.5ミリメートル、またはより好ましくは0.2~1.8ミリメートル、またはより好ましくは0.2~1.5ミリメートルの軸方向長さを有してもよい。ロッドの外部壁の通気性部分の軸方向の長さを制限することは、通気性部分を介して受容された冷却空気と基体から発せられたエアロゾルとの混合を、基体の下流に位置する狭い混合領域に集中させるのを支援する場合がある。
【0044】
好都合なことに、ロッドの外部壁の通気性部分は、4ミリメートル以下だけ、または好ましくは2.5ミリメートル以下だけ、またはより好ましくは1.8ミリメートル以下だけ、またはより好ましくは1.5ミリメートル以下だけ、またはより好ましくは0.2ミリメートル以下だけエアロゾル形成基体の下流に延びてもよい。通気性部分がエアロゾル形成基体から下流に特定の距離以下までしか延びないように制限することによって、通気性部分を介して受容された冷却空気と基体から発せられたエアロゾルとの混合は、基体のすぐ下流で達成されることができる。これは、混合された流れがロッドの口側端に到達する時に、完全に混合された吸入可能な蒸気をユーザーが受容し、それによってユーザーの体験を高めることを確実にするのに役立つ。
【0045】
有利なことに、物品および装置は、物品が装置の中にドッキングされた状態で口側端への吸引の適用時に、第一の気流経路および第二の気流経路に沿った組み合わせられた体積流れの50%~90%が、第二の気流経路に沿ってロッドの外部壁の通気性部分を通って流れるように構成されてもよい。好都合なことに、物品および装置は、物品が装置の中にドッキングされた状態で口側端への吸引の適用時に、第一の気流経路および第二の気流経路に沿った組み合わせられた体積流れの55%~75%が、第二の気流経路に沿ってロッドの外部壁の通気性部分を通って流れるように構成されてもよい。第一の気流経路ではなく第二の気流経路に沿って流れる組み合わせられた体積流れの比率は、ロッドの外部壁の通気性部分の通気性の程度と、ロッド内のエアロゾル形成基体の性質とによって影響される。例えば、異なるエアロゾル形成基体は、第一の気流経路に異なる引き出し抵抗をもたらし、引き出し抵抗はまた、(例えば、基体が固体エアロゾル形成基体である場合に)基体の圧密などの要因による影響を受ける。
【0046】
本開示の第三の態様によると、エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品が提供されている。エアロゾル発生物品はロッドを画定する。ロッドはエアロゾル形成基体を含有し、また遠位端および口側端を有し、口側端は遠位端の下流に位置する。エアロゾル発生物品は、第一の気流経路および第二の気流経路を備える。ロッドの外部壁は通気性部分を備え、ロッドの外部壁の通気性部分は、エアロゾル形成基体の下流に位置付けられている。第一の気流経路は、口側端に向かって下流にロッドの内部に沿ってエアロゾル形成基体を通って延び、これによって、口側端への吸引の適用時に、空気はエアロゾル発生物品の中に引き出されて、かつ口側端に向かって下流にロッドの内部に沿ってエアロゾル形成基体を通過する。第二の気流経路は、ロッドの外部壁の通気性部分を通って延びて、ロッドの外側からの冷却空気をロッドの内部の混合領域に供給する。通気性部分および混合領域は、エアロゾル形成基体の下流に、かつすぐ隣に一緒に位置し、これによって使用時に、第二の気流経路に沿った気流は、第一の気流経路に沿ったエアロゾル流れと混合領域内で混合する。
【0047】
当然のことながら、この第三の態様のエアロゾル発生物品は、先行する段落で考察した第一の態様のエアロゾル発生装置との使用に適切であり、また本開示の第二の態様のエアロゾル送達システムの一部を形成するエアロゾル発生物品にも対応する場合がある。
【0048】
通気性部分および混合領域を、エアロゾル形成基体の下流に、かつすぐ隣に位置させることによって、ロッドの外部壁の通気性部分を介して受容された、かつ第二の気流経路に沿って流れる空気は、エアロゾル形成基体の加熱から発せられた、かつ第一の気流経路に沿って流れる高温のエアロゾルを効率的に冷却する場合がある。通気性部分および混合領域をエアロゾル形成基体の下流に、かつすぐ隣に位置させることはまた、冷却空気およびエアロゾルが、ロッドの口側端に到達する前に完全に混合されることを確実にする場合がある。エアロゾル発生物品のロッド内の冷却空気およびエアロゾルの効率的な混合は、システムのユーザーに高められた体験を提供することにおいて重要である。冷却空気およびエアロゾルのこの効率的な混合は、従来の通気された紙巻たばこと対照的である。従来の通気された紙巻たばこは、紙巻たばこの口側端にて、またはそれにごく接近して、エアロゾル形成基体から遠く下流に提供された穿孔を介して、紙巻たばこの中に空気を導入する。従来の通気された紙巻たばこは、入ってくる通気空気と高温のエアロゾル気体との効率的な混合を達成せず、それによってユーザー体験が劣化させる可能性がある。
【0049】
エアロゾル形成基体は、ロッドの遠位端に位置する、またはロッドの口側端よりもロッド遠位端の近くに位置することが好ましい。
【0050】
ロッドの内部は、混合領域から口側端まで障害物がなく、これによって使用時に、混合流れが混合領域から口側端に流れる時に妨げられないことが好ましい。例として、エアロゾル発生物品は、既知の電子たばこ内で一般的に見いだされる通りの、口側端に向かう下流の流路を妨げるマウスピースフィルターまたはエアロゾル冷却要素を欠いてもよい。ロッドの内部内でいかなるこうした障害物も欠くことは、第一の気流経路および第二の気流経路の引き出し抵抗を低減するのに役立つ場合があり、またエアロゾルおよび冷却空気の混合流れの所与の量を吸入するために口側端にてユーザーが適用することが必要とされる吸引の量を低減するのに役立つ場合がある。これはまた、本物品の製造の複雑さを低減する場合がある。
【0051】
本開示の第二の態様のエアロゾル送達システムに関して記載の通り、ロッドの外部壁の通気性部分は、多孔性材料、複数のスリット、複数の穴のうちの一つ以上を備えてもよい。例として、また限定することなく、ロッドの外部壁の通気性部分はメッシュとして提供されてもよく、メッシュ内に開口部を画定するメッシュの隙間を有し、それによってメッシュを通る(すなわち、ロッドの外部壁を通る)気流に透過性を提供する。さらなる代替において、ロッドの外部壁の通気性部分は複数の空孔を備えてもよく、この部分において複数の空孔は外部壁の材料内に空所を画定する。ロッドの外部壁の通気性部分の一部を形成してもよい任意の空孔、スリット、または穴のサイズは、通気性部分の気流に対する透過性に直接影響を与える。こうした任意の空孔、スリット、または穴のサイズは、エアロゾル発生物品の内部内の冷却空気の望ましい体積流量に従って選択されてもよい。
【0052】
エアロゾル発生物品が、ユーザーの口を介してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生するのに使用する喫煙物品である場合、ロッドの外部壁はシガレットペーパーとして提供されてもよく、シガレットペーパーには、ロッドの外部壁の通気性部分を形成するために穿孔が提供されている。
【0053】
この場合も、本開示の第二の態様のエアロゾル送達システムに関して記載の通り、好ましくはロッドの外部壁の通気性部分は、少なくとも一つの環状通気性帯を備えてもよい。環状通気性帯の使用は、物品の周辺の周りのエアロゾル発生物品の内部の中への冷却空気の均一な半径方向の流入と、エアロゾル形成基体から発せられる高温のエアロゾル流れとの改善された混合とを提供する。
【0054】
有利なことに、少なくとも一つの環状通気性帯は、第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯を含む。第一の帯および第二の帯は、ロッドの長軸方向軸に沿って相互から軸方向に離隔してもよく、また帯を通る気流に対する別個の第一の透過性および第二の透過性を有する。第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯の気流に対する異なる透過性の提供は、第一の環状帯および第二の環状帯を通る相応に異なる流量を可能にする場合がある。それに応じて、これは、それらの領域が、気流に対してそのそれぞれに異なる透過性を有する第一の環状帯または第二の環状帯に隣接しているかどうかに応じて、エアロゾル発生物品の内部の異なる領域において、異なるレベルの冷却が達成されることを可能にする場合がある。
【0055】
本開示の第二の態様のエアロゾル送達システムに関して記載の通り、好ましくは、ロッドの外部壁の通気性部分は、0.2~4ミリメートル、またはより好ましくは0.2~2.5ミリメートル、またはより好ましくは0.2~1.8ミリメートル、またはより好ましくは0.2~1.5ミリメートルの軸方向長さを有してもよい。ロッドの外部壁の通気性部分の軸方向の長さを制限することは、通気性部分を介して受容された冷却空気と基体から発せられたエアロゾルとの混合を、基体の下流に位置する狭い領域に集中させるのを支援する場合がある。
【0056】
第二の態様のエアロゾル送達システムに関して記載の通り、好都合なことに、ロッドの外部壁の通気性部分は、4ミリメートル以下だけ、または好ましくは2.5ミリメートル以下だけ、またはより好ましくは1.8ミリメートル以下だけ、またはより好ましくは1.5ミリメートル以下だけ、またはより好ましくは0.2ミリメートル以下だけエアロゾル形成基体の下流に延びてもよい。通気性部分がエアロゾル形成基体から下流に特定の最小距離以下までしか延びないように制限することによって、通気性部分を介して受容された冷却空気と基体から発せられたエアロゾルとの混合は、基体のすぐ下流で達成されることができる。これは、混合された流れがロッドの口側端に到達する時に、完全に混合された吸入可能な蒸気をユーザーが受容することを確実にするのに役立つ。
【0057】
本開示の第二の態様のエアロゾル送達システムに関して記載の通り、有利なことに、物品は、口側端への吸引の適用時に、第一の気流経路および第二の気流経路に沿った組み合わせられた体積流れの50%~90%が、第二の気流経路に沿ってロッドの外部壁の通気性部分を通って流れるように構成されている。好都合なことに、物品は、エアロゾル発生物品の口側端への吸引の適用時に、第一の気流経路および第二の気流経路に沿った組み合わせられた体積流れの55%~75%が、第二の気流経路に沿ってロッドの外部壁の通気性部分を通って流れるように構成されてもよい。第一の気流経路ではなく第二の気流経路に沿って流れる組み合わせられた体積流れの比率は、ロッドの外部壁の通気性部分の通気性の程度と、ロッド内のエアロゾル形成基体の性質とによって影響される。例えば、異なるエアロゾル形成基体は、第一の気流経路に異なる引き出し抵抗をもたらし、引き出し抵抗はまた、(例えば、基体が固体エアロゾル形成基体である場合に)基体の圧密などの要因による影響を受ける。
【0058】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0059】
実施例1:エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から吸入可能なエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生物品の加熱において使用するために構成されたエアロゾル発生装置であって、エアロゾル発生装置がハウジングを備え、ハウジングがエアロゾル発生物品を受容するように構成された空洞を備え、ハウジングが、ハウジングの外側から、ハウジングの内部を通して、空洞の壁の通気性部分に延びる冷却気流経路を画定するように適合されている、エアロゾル発生装置。
実施例2:空洞の中にドッキングされたエアロゾル発生物品との使用において、空洞の壁の通気性部分が、エアロゾル発生物品の外部壁の対応する通気性部分と一致している、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例3:空洞の壁が管状であり、空洞に開放端および閉鎖端が提供されていて、エアロゾル発生装置が管状空洞の開放端を介してエアロゾル発生物品を受容するように構成されている、実施例1または実施例2のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例4:空洞の壁の通気性部分が、多孔性材料、複数のスリット、複数の穴のうちの一つ以上を備える、実施例1~3のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例5:空洞の壁が管状であり、空洞の壁の通気性部分が少なくとも一つの環状通気性帯を備える、実施例1~4のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例6:少なくとも一つの環状通気性帯が、第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯を備え、第一の帯および第二の帯が、空洞の長軸方向軸に沿って相互から軸方向に離隔していて、かつ環状通気性帯を通る気流に対して別個の第一の透過性および第二の透過性を有する、実施例5に記載のエアロゾル発生装置。
実施例7:エアロゾル発生装置が、ハウジング内に提供された制御電子機器をさらに備え、冷却気流経路が、制御電子機器に冷却を提供するために制御電子機器を通って延びる、または制御電子機器に隣接して延びる、実施例1~6のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例8:エアロゾル発生装置が、ハウジングの外側からの空気の流れを、冷却気流経路に沿って空洞の壁の通気性部分に向かって強いるように構成されている、実施例1~7のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例9:エアロゾル発生装置が、誘導加熱と抵抗加熱のいずれかまたは両方によって、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するための電気式装置であり、装置が、電力を供給するための電源を備える、実施例1~8のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例10:空洞の壁がサセプタ部分を備え、サセプタ部分が空洞の長軸方向軸に沿って空洞の壁の通気性部分から軸方向に離隔していて、エアロゾル発生装置が、サセプタ部分を取り囲むインダクタコイルをさらに備える、実施例9に記載のエアロゾル発生装置。
実施例11:空洞の中に提供された抵抗発熱体であって、かつ使用時に、空洞の中にドッキングされたエアロゾル発生物品を取り囲むように、またはその中に挿入するように構成された抵抗発熱体を装置が備える、実施例9または実施例10のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例12:エアロゾル送達システムであって、実施例1~11のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生物品がロッドを画定し、ロッドがエアロゾル形成基体を含有し、ロッドの外部壁が通気性部分を備え、ロッドの外部壁の通気性部分がエアロゾル形成基体の下流に位置付けられている、エアロゾル発生物品とを備え、装置および物品が、エアロゾル発生物品が空洞の中にドッキングされている時に、空洞の壁の通気性部分が、ロッドの外部壁の通気性部分と一致しているように構成されている、エアロゾル送達システム。
実施例13:エアロゾル発生物品が、第一の気流経路および第二の気流経路をさらに備え、ロッドが口側端および遠位端を有し、口側端が遠位端の下流に位置し、第一の気流経路が口側端に向かって下流にロッドの内部に沿ってエアロゾル形成基体を通って延び、これによって、口側端での吸引の適用時に、空気がエアロゾル発生物品の中に引き出されて、かつ口側端に向かって下流にロッドの内部に沿ってエアロゾル形成基体を通過し、かつ第二の気流経路が、物品が装置の空洞の中にドッキングされている時に、ロッドの外部壁の通気性部分を通って延びて、冷却気流経路から受容した冷却気流を、ロッドの内部の混合領域と、通気性部分と、エアロゾル形成基体の下流に、かつすぐ隣に位置する混合領域とに供給し、これによって使用時に、第二の気流経路に沿った気流が混合領域内で、第一の気流経路に沿ったエアロゾル流れと混合する、実施例12に記載のエアロゾル送達システム。
実施例14:エアロゾル形成基体が遠位端に位置する、または口側端よりも遠位端の近くに位置する、実施例13に記載のエアロゾル送達システム。
実施例15:ロッドの内部が、混合領域から口側端まで障害物がなく、これによって使用時に、混合流れが混合領域から口側端に流れる時に妨げられない、実施例13または実施例14のいずれかに記載のエアロゾル送達システム。
実施例16:ロッドの外部壁の通気性部分が、多孔性材料、複数のスリット、複数の穴のうちの一つ以上を備える、実施例12~15のいずれか一つに記載のエアロゾル送達システム。
実施例17:ロッドの外部壁の通気性部分が少なくとも一つの環状通気性帯を備える、実施例12~16のいずれか一つに記載のエアロゾル送達システム。
実施例18:ロッドの外部壁の少なくとも一つの通気性帯が、第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯を備え、第一の帯および第二の帯が、ロッドの長軸方向軸に沿って相互から軸方向に離隔していて、かつ環状通気性帯を通る気流に対して別個の第一の透過性および第二の透過性を有する、実施例17に記載のエアロゾル送達システム。
実施例19:ロッドの外部壁の通気性部分が、0.2~4ミリメートル、または0.2~2.5ミリメートル、または0.2~1.8ミリメートル、または0.2~1.5ミリメートルの軸方向長さを有する、実施例12~18のいずれか一つに記載のエアロゾル送達システム。
実施例20:ロッドの外部壁の通気性部分が、4ミリメートル以下だけ、または2.5ミリメートル以下だけ、または1.8ミリメートル以下だけ、または1.5ミリメートル以下だけ、または0.2ミリメートル以下だけエアロゾル形成基体の下流に延びる、実施例12~19のいずれか一つに記載のエアロゾル送達システム。
実施例21:エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置が、物品が装置の中にドッキングされた状態で口側端への吸引の適用時に、第一の気流経路および第二の気流経路に沿った組み合わせられた体積流れの50%~90%が、第二の気流経路に沿ってロッドの外部壁の通気性部分を通って流れるように構成されている、実施例13~20のいずれかに記載のエアロゾル送達システム。
実施例22:エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置が、物品が装置の中にドッキングされた状態で口側端への吸引の適用時に、第一の気流経路および第二の気流経路に沿った組み合わせられた体積流れの55%~75%が、第二の気流経路に沿ってロッドの外部壁の通気性部分を通って流れるように構成されている、実施例21に記載のエアロゾル送達システム。
実施例23:エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生物品がロッドを画定し、ロッドがエアロゾル形成基体を含有し、かつ口側端および遠位端を有し、口側端が遠位端の下流に位置し、エアロゾル発生物品が第一の気流経路および第二の気流経路を備え、ロッドの外部壁が通気性部分を備え、ロッドの外部壁の通気性部分がエアロゾル形成基体から下流に位置付けられていて、第一の気流経路が口側端に向かって下流にロッドの内部に沿ってエアロゾル形成基体を通って延び、これによって、口側端への吸引の適用時に、空気がエアロゾル発生物品の中に引き出されて、かつ口側端に向かって下流にロッドの内部に沿ってエアロゾル形成基体を通過し、かつ第二の気流経路が、ロッドの外部壁の通気性部分を通って延びて、ロッドの外側からの冷却気流を、ロッドの内部の混合領域と、通気性部分と、エアロゾル形成基体の下流に、かつすぐ隣に位置する混合領域とに供給し、これによって使用時に、第二の気流経路に沿った気流が混合領域内で、第一の気流経路に沿ったエアロゾル流れと混合する、エアロゾル発生物品。
実施例24:エアロゾル形成基体が、ロッドの遠位端に位置する、またはロッドの口側端よりもロッドの遠位端の近くに位置する、実施例23に記載のエアロゾル発生物品。
実施例25:ロッドの内部が、混合領域から口側端まで障害物がなく、これによって使用時に、混合流れが混合領域から口側端に流れる時に妨げられない、実施例23または実施例24のいずれかに記載のエアロゾル送達システム。
実施例26:通気性部分が、多孔性材料、複数のスリット、複数の穴のうちの一つ以上を備える、実施例22~25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例27:ロッドの外部壁の通気性部分が少なくとも一つの環状通気性帯を備える、実施例23~26のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例28:少なくとも一つの環状通気性帯が、第一の環状通気性帯および第二の環状通気性帯を備え、第一の帯および第二の帯が、ロッドの長軸方向軸に沿って相互から軸方向に離隔していて、かつ環状通気性帯を通る気流に対して別個の第一の透過性および第二の透過性を有する、実施例27に記載のエアロゾル発生物品。
実施例29:ロッドの外部壁の通気性部分が、0.2~4mm、または0.2~2.5mm、または0.2~1.8mm、または0.2~1.5mmの軸方向長さを有する、実施例23~28のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例30:ロッドの外部壁の通気性部分が、4ミリメートル以下だけ、または2.5ミリメートル以下だけ、または1.8ミリメートル以下だけ、または1.5ミリメートル以下だけ、または0.2ミリメートル以下だけエアロゾル形成基体の下流に延びる、実施例23~29のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例31:物品が、口側端への吸引の適用時に、第一の気流経路および第二の気流経路に沿った組み合わせられた体積流れの50%~90%が、第二の気流経路に沿ってロッドの外部壁の通気性部分を通って流れるように構成されている、実施例23~30のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例32:物品が、口側端への吸引の適用時に、第一の気流経路および第二の気流経路に沿った組み合わせられた体積流れの55%~75%が、第二の気流経路に沿ってロッドの外部壁の通気性部分を通って流れるように構成されている、実施例31に記載のエアロゾル発生物品。
【0060】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】
図1は、本開示によるエアロゾル発生装置の斜視図を図示する。
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生装置のさらなる斜視図を図示するが、装置のハウジングの一部は、装置の内部を見ることを可能にするために取り除かれている。
【
図3】
図3は、
図2の図に対応するが、エアロゾル送達システムを提供するために、エアロゾル発生装置に連結されたエアロゾル発生物品を有する。
【
図4】
図4は、
図3に示すエアロゾル発生物品の斜視図を図示する。
【
図6a-6b】
図6a、
図6bは、第二の実施形態に関し、a)装置の空洞の壁の一部と、b)物品の外部壁の一部との詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、エアロゾル発生装置100を示す。装置100は、ハウジング101を有する。起動ボタン102は、ハウジング101の中に組み込まれている。
【0063】
図2に示す通り、再充電可能電池103の形態の電源は、ハウジング101内に位置する。制御電子機器104もまた、ハウジング101内に位置する。制御電子機器104は、再充電可能電池103に隣接して位置付けられている。ハウジング101は、装置100の内部内に延びる管状空洞105を有する。空洞105は、長軸方向軸107に沿って装置100内に延びる管状壁106によって画定されている。空洞105は、開放端108および閉鎖端109を有し、開放端および閉鎖端は空洞の反対側の端に位置する。ハウジング101には、空洞105の開放端108を露出または閉鎖するために移動されることができる、摺動可能なカバー110が提供されている。
【0064】
図2および
図3に示す通り、管状壁106は、下方部分106aおよび上方部分106bを有する。下方部分106aは、上方部分106bと異なる材料で形成されている。下方部分106aは、電磁エネルギーを吸収して熱に変換する能力を有する材料で形成されている。そのため、この実施形態の場合、下方部分106aはサセプタ部分である。それに応じて、下方部分およびサセプタ部分という用語は、参照符号106aに対して互換的に使用されている。この実施例において、サセプタ部分106aは鋼で形成されている。しかしながら、他の実施形態(図示せず)において、サセプタ部分106aは、電磁エネルギーを吸収して熱に変換する能力を有する他の材料で形成されてもよい。インダクタコイル111は、サセプタ部分106aを円周状に取り囲む。管状壁106の上方部分106bは、高分子材料で形成されている。空洞105の管状壁106の上方部分106bの環状領域には、管状壁を通して半径方向に延びる穴の均一な分布が提供されていて、環状通気性帯112を形成する。
【0065】
図2および
図3に示す通り、一列の空気吸込み口113がハウジング101の底面に提供されていて、空気吸込み口114の円形状配設がハウジング101の側壁に提供されている。
図3の流体流線によって示される通り、空気吸込み口113、114を通してハウジング101に入る空気は、ハウジングの内部を通って流れて、環状通気性帯112と流体的に連通する。
【0066】
図3に示す通り、また単一の空気吸込み口115が、空気吸込み口115から、空洞105の閉鎖端109内に形成された開口部(図示せず)に延びる流体流れチャネルを有して、空洞105の閉鎖端109の真下のハウジング101の底面に提供されている。流体の流線は、空気吸込み口115を通して入る空気が、空洞105の閉鎖端109とどのように流体的に連通するかを示す
図3に含まれている。
【0067】
図3に示す通り、エアロゾル発生物品100は、エアロゾル発生装置200と併せて使用されている。エアロゾル発生装置100およびエアロゾル発生物品200は、エアロゾル送達システム300を一緒に形成する。
【0068】
図4の斜視図に示す通り、エアロゾル発生物品200は、細長い円筒状ロッドの形態を有する。それに応じて、エアロゾル発生物品およびロッドという用語は本明細書において、参照符号200に対して互換的に使用されている。エアロゾル発生物品200は、およそ3.7~9ミリメートルの直径d
200を有する。しかしながら、代替的な一実施例において、直径d
200は、およそ5.7~7.9ミリメートルである。エアロゾル発生物品200は、遠位端201および口側端202を有する。エアロゾル発生物品200は、シガレットペーパーのラッパー203を有する。ラッパー203は、ロッド200の外部壁を形成する。
図5bおよび
図5cに示す通り、多孔性前方プラグ204、エアロゾル形成基体205のプラグ、および管状コア要素206は、ラッパー203内で逐次的に、かつ同軸で組み立てられる。多孔性前方プラグ204は、遠位端201に位置する。エアロゾル形成基体205のプラグは、前方プラグ204のすぐ下流に位置付けられている。管状コア要素206は、エアロゾル形成基体205のプラグのすぐ下流に位置し、口側端202に向かって下流に延びる。示された実施形態において、管状コア要素206の中空内部207は、空の空間を画定するために、マウスピースフィルター要素などの障害物がない。そのため、中空内部207は、エアロゾル形成基体205の下流端と口側端202の間のロッド200の内部が、遮るもののない流路を画定することを意味する。しかしながら、代替的な一実施形態(図示せず)において、フィルター要素は、口側端202に隣接するロッド200内に位置してもよい。本明細書に示された、かつ記述された実施形態の場合、エアロゾル形成基体205はたばこを含有する固体基体である。ラッパー203の環状領域には、管状壁を通して半径方向に延びる穴の均一な分布が提供されていて、ロッド200のラッパー203(すなわち、外部壁)の中に環状通気性帯208を形成する。
【0069】
第一の気流経路209は、エアロゾル形成基体205を通って、管状コア要素206の中空内部207に沿って延びる。第二の気流経路210は、環状通気性帯208を通って、ロッド200内に位置する混合領域211に延びる。混合領域211は、以下により詳細に記載の通り、第一の気流経路209および第二の気流経路210が一致し、かつそれらのそれぞれの流体流れが相互に混合し、組み合わせられるところである。
【0070】
図に示された、かつ本明細書に記述されたエアロゾル発生物品200は、ユーザーによる吸入のためにエアロゾル形成基体205からエアロゾルを発生するために、エアロゾル発生装置100で使用することが意図された喫煙物品である。エアロゾル発生装置100は再使用可能であるが、一方でエアロゾル発生物品200は使い捨てであり、単回使用のみが意図されている。
【0071】
使用時に、ユーザーは最初に、摺動可能なカバー110を摺動して、空洞105の開放端108を露出させることになる。次いで、ユーザーは開放端108を介して、物品の遠位端201が空洞の閉鎖端109に触れるまで、新しい未使用のエアロゾル発生物品200を空洞105の中に挿入することになる。この位置において、エアロゾル発生物品200は、エアロゾル発生装置200の空洞105の中にドッキングされていると言われる。エアロゾル発生装置100とエアロゾル発生物品200の組み合わせは、エアロゾル送達システム300を形成する。エアロゾル発生物品200が空洞105内にドッキングされている時に、空洞105の管状壁106の環状通気性帯112は、エアロゾル発生物品200のラッパー203の環状通気性帯208と一致する。さらに、エアロゾル発生装置200が空洞105内にドッキングされている時に、エアロゾル形成基体205のプラグは、サセプタ部分106aおよびインダクタコイル111内に完全に位置する。
【0072】
ユーザーが起動ボタン102を押すのに伴い、制御電子機器104は、再充電可能電池103からインダクタコイル111への電力の供給を制御する。結果として生じる、インダクタコイル111を通る電流の流れは、渦電流を鋼サセプタ部分106aの中に誘発する。これらの渦電流は次に、サセプタ部分106aの加熱をもたらす。サセプタ部分106aからの熱は、空洞105内に収容されたエアロゾル発生物品200上に放射される。エアロゾル形成基体205のプラグは、サセプタ部分106aおよびインダクタコイル111内に完全に位置するので、サセプタ部分からの熱は、エアロゾル発生物品200のラッパー203上に放射され、エアロゾル形成基体205のプラグに伝導される。結果として生じる、エアロゾル形成基体205の加熱は、基体がエアロゾルを発することをもたらす。
【0073】
制御電子機器104は、所定の熱プロファイルに従ってサセプタ部分106aの温度を調整するために構成されている。サセプタ部分106aが、エアロゾル形成基体205のプラグからエアロゾルを発生させるのに十分に高い温度に到達すると、ユーザーは次いで、吸引を口側端に適用するために、エアロゾル発生物品200の口側端202を吸ってもよい。エアロゾル発生物品200でユーザーによって行われる各吸い込みは一般的に、「吸煙」と呼ばれる。
【0074】
ユーザーが口側端202を吸うことからもたらされる吸引は、入口開口部115を介して空気がエアロゾル発生装置100の中に吸われることと、空洞105の閉鎖端109を通して運ばれることとをもたらす。吸引は、多孔性前方プラグ204を通して、かつエアロゾル形成基体205のプラグを通して前方にエアロゾル発生物品200に入ることによって、この空気を第一の気流経路209に沿って流れさせる。この空気は、サセプタ部分106aによる加熱に起因して、エアロゾル形成基体205によって発せられたエアロゾルと同伴されるようになり、第一の気流経路209に沿って流れ続けて、エアロゾル形成基体205のプラグの下流端から混合領域211の中に出現する。
【0075】
ユーザーが口側端202を吸うことからもたらされる吸引はまた、空気吸込み口113、114を介してエアロゾル発生装置100のハウジング101の中に外部空気が吸い込まれることをもたらす。次いで、この空気は、ハウジング101の内部内で電池103および制御電子機器104を通り過ぎて流れ、それによって電池103と制御電子機器104の両方を冷却するために役立つ。次いで、この空気は、空洞105の管状壁106の上方部分106bの中に画定された環状通気性帯112に前方に、かつそれを通して流れる。装置100の空洞105の管状壁106の中に画定された環状通気性帯112と、エアロゾル発生物品200のラッパー203の中に画定された環状通気性帯208との一致する整列は、通気性帯112を通って流れる空気の大部分をもたらし、次いで管状壁106と物品200とを分離する半径方向の間隙を横切って、かつ通気性帯208を通して第二の気流経路210に沿って通過する。このようにして、外部空気は、エアロゾル発生装置100のハウジング101の内部を通して供給されて、電池103および制御電子機器104に冷却を提供し、次いで空洞105の中にドッキングされたエアロゾル発生物品200内に供給されることができる。物品200のラッパー203の中に画定された環状通気性帯208を通過すると、外部空気は混合領域211に入る。
【0076】
混合領域211において、第一の気流経路209に沿って流れる加熱されたエアロゾルは、第二の気流経路210に沿って流れる冷却外部空気と混合し、エアロゾルの冷却をもたらす。次いで、冷却された混合流れは、口側端202に向かって管状コア要素206の中空内部207に沿って下流に流れて、ユーザーによって吸入される。
【0077】
図に示すエアロゾル発生物品200の場合、環状通気性帯208は、4ミリメートルの軸方向長さL208を有し、環状帯208の上流端は、エアロゾル形成基体205のプラグの下流端とほぼ一致している。代替的な実施形態において、軸方向長さL208は、わずか0.2ミリメートルであってもよい。図に示すエアロゾル発生物品200は、およそ30ミリメートル~およそ100ミリメートルの長さを有してもよい。
【0078】
代替的な一実施形態において、
図6aに示す通り、エアロゾル発生装置100の空洞105の管状壁106の環状通気性帯112は、二つの環状帯、すなわち第一の環状帯112aおよび第二の環状帯112bから形成されている。
図6aは、管状壁106の領域「A」(
図3を参照のこと)を示す。第一の環状帯112aおよび第二の環状帯112bは、長軸方向軸107に沿って軸方向に相互から離隔していて、第一の環状帯112aは、第二の環状帯112bよりも空洞105の閉鎖端109に近い。しかしながら、第一の環状帯112aおよび第二の環状帯112bは、環状帯を通る気流に対する別個の(すなわち、異なる)レベルの透過性を有する。
図6aに示す実施例の場合、環状帯112aと環状帯112bの両方には、管状壁106を通って延びる穴の均一な配設が提供されている。しかしながら、第一の環状帯112a内の穴は、第二の環状帯112b内の穴よりも面積が大きい。穴の面積におけるこの差異は、使用時に、第二の環状帯112bを通る外部冷却空気の体積流れよりも大きい外部冷却空気の体積流れが第一の環状帯112aを通って流れるという効果を有する。体積流量におけるこの差異は、空洞105の長さまたは軸107に沿って差次的な冷却を提供する。エアロゾル発生装置100の管状壁106に提供された第一の環状帯112aおよび第二の環状帯112bを補完するために、エアロゾル発生物品200のラッパー203の環状通気性帯208は同様に、二つの環状帯、すなわち(
図6bに示す通り)第一の環状帯208aおよび第二の環状帯208bから形成されている。
図6bは、エアロゾル発生物品200のラッパー203の領域「B」(
図4を参照のこと)を示す。第一の環状帯208aおよび第二の環状帯208bは、物品200の長さに沿って軸方向で相互に離隔していて、第一の環状帯208aは、第二の環状帯208bよりも物品200の遠位端201に近い。しかしながら、第一の環状帯208aおよび第二の環状帯208bは、環状帯を通る気流に対する別個の(すなわち、異なる)レベルの透過性を有する。
図6bに示す実施例の場合、環状帯208aと環状帯208bの両方には、ラッパー203を通って延びる穴の均一な配設が提供されている。しかしながら、第一の環状帯208a内の穴は、第二の環状帯208b内の穴よりも面積が大きい。穴の面積におけるこの差異は、使用時に、第二の環状帯208bを通る空気の体積流れよりも大きい空気の体積流れが第一の環状帯208aを通って流れるという効果を有する。体積流量におけるこの差異は、物品の長さに沿って物品200の内部内に差次的な冷却を提供し、より高いレベルの冷却空気は、エアロゾル形成基体のより近くに、しかしすぐ下流に、すなわち第一の環状帯208aを介して導入される。装置100および物品200の第一の環状帯112a、208aおよび第二の環状帯112b、208bは、物品が装置の空洞105内にドッキングされている時に、装置の第一の環状帯112aが物品の第一の環状帯208aと一致し、また装置の第二の環状帯112bが物品の第二の環状帯208bと一致するように配設されている。
図6aおよび
図6bに示す実施形態において、第一の環状帯112a、208aは、等しい長さであり、また相互に完全に重なり合い、同様に、第二の環状帯112b、208bも、等しい長さであり、相互に完全に重なり合う。しかしながら、さらなる代替的な一実施形態(図示せず)において、第一の環状帯112a、208aは代わりに部分的にのみ重なり合ってもよく、同様に、第二の環状帯112b、208bも代わりに部分的にのみ重なり合ってもよい。
【0079】
第一の環状帯112a、208aおよび第二の環状帯112b、208bにおける異なる穴サイズの使用の代替として、第一の帯および第二の帯における異なる通気性は代わりに、第一の帯および第二の帯における異なる穴密度の使用、または第一の帯および第二の帯のための異なる空隙率を有する材料の使用によって提供されてもよい。
【0080】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字「A」は「A」±10%として理解される。この文脈内で、数字「A」は、数字「A」が修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字「A」は、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、「A」が逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】