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特表2024-500088イノシトールリン酸の可溶性塩を調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】イノシトールリン酸の可溶性塩を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/141 20060101AFI20231222BHJP
   A61K 31/6615 20060101ALI20231222BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231222BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20231222BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231222BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
C07F9/141 CSP
A61K31/6615
A61P9/10
A61P13/12
A61K9/08
A61K47/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535420
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021085854
(87)【国際公開番号】W WO2022129148
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20383092.2
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521248486
【氏名又は名称】サニフィット・セラピューティクス・ソシエダッド・アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】イセルン アメングアル,ベルナット
(72)【発明者】
【氏名】モレノ サトゥリノ,マルコ・アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ペレロ ベスタルド,フアン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H050
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076BB17
4C076CC11
4C076CC17
4C076DD23D
4C076FF14
4C076FF36
4C076FF63
4C076GG46
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA81
4H050AA01
4H050AA02
4H050AA03
4H050AB20
4H050AD15
4H050AD17
4H050BB14
4H050BC51
4H050BC53
(57)【要約】
本発明は、低レベルの不純物を特徴とするイノシトールホスフェートの可溶性塩を調製するための方法を提供する。イノシトールホスフェート(例えば六ナトリウムまたは十二ナトリウム塩)、詳細にはイノシトールヘキサホスフェート(例えばNaIPおよびNa12IP)の可溶性塩(例えばアルカリ金属またはアンモニウム)を調製するための方法が記載されている。本発明の方法に従って調製したイノシトールホスフェートの可溶性塩を含む医薬組成物、使用する方法、組合せ処置、キットおよび製造物品も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イノシトールホスフェート(IP)塩を精製するための方法であって:
(i)前記IP塩を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ、
(ii)前記IP溶液をIP懸濁液に変換するステップ、
(iii)前記IP懸濁液をアルコール溶液で洗浄して、IP固体を得るステップ、および
(iv)前記IP固体を乾燥させて、精製したIP塩を得るステップ、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(i)の前記IP塩および水が、約1:1から約1:30の重量比で混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(i)の前記IP塩および水が、1:2の重量比で混合される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(i)の前記IP溶液が加熱される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記IP溶液が、約45℃から約50℃の温度で加熱される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記IP溶液が、約0.2時間から約4時間加熱される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記IP溶液が、約1時間から約2時間加熱される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記IP溶液が濾過される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記IP溶液に、前もって精製した前記IP塩の結晶を播種する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前もって精製した前記IP塩が、ステップ(i)の前記IP塩の約0.01%から約0.4%(w/w)に相当する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記IP溶液に、ステップ(i)の前記IP塩の約0.1%から約0.2%(w/w)に相当する、前もって精製した前記IP塩の結晶を播種する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記IP溶液が撹拌される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(iii)における前記アルコール溶液が、C~Cアルコールを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記C~Cアルコールがエタノールである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(iv)の前記IP固体を乾燥させるステップが、約20℃から約50℃の温度で実施される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(iv)の前記IP固体を乾燥させるステップが、約25分から約120分実施される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(iv)の前記IP固体を乾燥させるステップが、約0.01mbarから約1mbarの圧力で実施される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(iv)の前記IP固体を乾燥させるステップが、真空下で実施される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
イノシトールホスフェート(IP)の可溶性塩を調製するための方法であって:
(a)IP塩を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ、
(b)前記IP溶液とイオン交換媒体を接触させるステップ、
(c)ステップ(b)のイオン交換した前記IP溶液を濃縮して、IPシロップを得るステップ、および、
(d)前記IPシロップからの前記可溶性IP塩を、アルコキシドの存在下で分離するステップ、
を含む、方法。
【請求項20】
前記イオン交換媒体が、イオン交換クロマトグラフィー、バッチプロセスまたはpH調整系である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(c)が、前記IP溶液を約25℃から約55℃の温度で蒸留することにより実施される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記IP溶液が、約40℃から約45℃の温度で蒸留される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記IP溶液が、約1時間から約16時間蒸留される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記IPシロップの水分量は、約30%から約60%(w/w)である、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記IPシロップの水分量は、約40%から約45%(w/w)である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アルコキシドが、C~Cアルコキシドである、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記C~Cアルコキシドが、CHNaO、CHCHNaO、CHKOまたはCHCHKOである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(d)が、約pH4.0から約pH5.5で実施される、請求項19から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
(e)ステップ(d)の前記可溶性IP塩を噴霧乾燥させるステップをさらに含む、請求項19から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(a)の前記IP塩が、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法に従って前もって精製されている、請求項19から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(d)またはステップ(e)の前記可溶性IP塩が、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法に従ってさらに精製される、請求項19から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記IPが、1から8個のリン酸基を含有する、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記IPが、1から6個のリン酸基を含有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記IPが、イノシトールヘキサホスフェートである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記イノシトールヘキサホスフェートが、ミオイノシトールヘキサホスフェートである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記IP塩が、少なくとも1つの一価カチオンを含有する、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記一価カチオンが、(i)第1族元素のアルカリ金属カチオン、(ii)アンモニウムまたは(iii)それらの組合せである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1族元素のアルカリ金属が、ナトリウム、カリウムまたはそれらの組合せである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項19から38のいずれか一項に記載の方法に従って得られた、可溶性IP塩。
【請求項40】
前記可溶性IP塩が、NaIPである、請求項39に記載の可溶性IP塩。
【請求項41】
(i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦2.0%(w/w)、
(ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦4.0%(w/w)、
(iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦5.0%(w/w)、および、
(iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦3.0%(w/w)を含み、少なくとも70%(w/w)純粋である、IP塩。
【請求項42】
(i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦1.4%(w/w)、
(ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦2.1%(w/w)、
(iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦2.6%(w/w)、および、
(iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦0.52%(w/w)を含み、少なくとも80%(w/w)純粋である、請求項41に記載のIP塩。
【請求項43】
前記塩が、ナトリウム塩である、請求項41または42に記載のIP塩。
【請求項44】
前記塩が、六ナトリウム塩である、請求項43に記載のIP塩。
【請求項45】
請求項39に記載のIP塩、請求項40から44のいずれか一項に記載のIP塩またはそれらの混合物を含む医薬組成物。
【請求項46】
注入可能である、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
非経口投与される、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記非経口投与が静脈内である、請求項47に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記静脈内投与が、静脈内点滴を経由する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記静脈内点滴が、透析系を通して行われる、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記IP塩または前記IP塩の濃度が、約0.001mg/mLから約100mg/mLである、請求項45から50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
(a)約10mg/mLから約100mg/mLの前記IP塩、
(b)約0.001mg/mLから50mg/mLの少なくとも1つの等張化剤、および
(c)水、
を含む、請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記IP塩がNaIPである、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
pH緩衝溶液をさらに含む、請求項52から53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
請求項1から38のいずれか一項に記載の方法に従って調製した化合物、請求項39に記載の可溶性IP塩、請求項40から44のいずれか一項に記載のIP塩、請求項45から54のいずれか一項に記載の医薬組成物、および少なくとも第2の治療剤または処置を含む、組合せ処置。
【請求項56】
請求項1から38のいずれか一項に記載の方法に従って調製した化合物、請求項39に記載の可溶性IP塩、請求項40から44のいずれか一項に記載のIP塩、請求項45から54のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項55に記載の組合せ処置、および投与説明書を含む、キット。
【請求項57】
異所性石灰化またはその結果の処置または防止を、それを必要とする対象においてするための方法であって、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法に従って調製した化合物、請求項39に記載の可溶性IP塩、請求項40から44のいずれか一項に記載のIP塩、請求項45から54のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項55に記載の組合せ処置、または請求項56に記載のキットを、前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項58】
前記対象が血液透析を受けている、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が末期腎疾患を有する、請求項57または58に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、イノシトールリン酸の可溶性塩を調製するための方法、それにより得られた化合物、化合物を含有する組成物、ならびにヒトの健康における異所性石灰化を処置するための化合物および組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]イノシトール六リン酸(IP、フィチン酸、フィテート)は、カルシウム塩の結晶化の強力な阻害剤である(Grases Fら、Anticancer Res. 1999年;19:3717~3722頁)。これは、6個のリン酸基を有する分子なので、二価および三価金属イオン、例えばカルシウムに対して高い親和性を示す。この性質により、IPが病理学的石灰化、例えば腎結石症(Conte Aら、Arch. Esp. Urol. 1999年;52:305~310頁)またはとりわけ心血管石灰化(Grases Fら、Front. Biosci. 2006年;11:136~42頁)の発症を防止することが可能となる。また、この性質により、腸管のような環境において、IPがカルシウムイオンをキレートできるようになり、これはその環境でClostridium difficile感染症を防止または処置できる(Kreimeyer Iら、Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol. 2011年;383(3):253~262頁。
【0003】
[0003]IPは、野菜の種子および豆果に豊富な分子である。穀類の乾燥重量の1.5%から6.4%はIPからなる(Reddy N、Sathe S編、Food phytates(CRC、Boca Raton、FL、USA、2002年);Schlemmer Uら、Mol. Nutr. Food Res. 2009年;53:330頁~375頁))。これは、動物のあらゆる器官および組織でも、イオン化形態で見出され得る(Grases Fら、J. Nutr. Chem. 2001年;12:595~601頁)。現在使用されているIPの大半は、植物由来である。
【0004】
[0004]植物および種子組織では、IPは、IPのK、Mg、Ca、Mn、ZnおよびFe塩の混合物として自然に存在する(Frossard Eら、J. Sci. Food Agric. 2000年;80:861~887頁)。最も豊富なIP塩は、そのCa-Mg塩であり、これはフィチンとしても公知である(Bhatty Rら、Can. Inst. Food Sci. Tech. J. 1989年;22:137~142頁;Yoshida Kら、Plant Physiol. 1999年;119:65~72頁)。しかし、フィチンは水に不溶性であり、ひいては静脈内投与用の水溶液の調製には不十分である。
【0005】
[0005]市販のIPは、主に、米糠またはコーンスティープリカーのような原料から得られる。これらの材料は、有機または無機酸で処理されてフィチンを抽出し、これを次いで沈殿させ、通常は濾過により抽出物から分離して、任意の望ましくないタンパク質および炭水化物を除去した。その後、フィチンを圧力下で加水分解して、IPを回収する。IPおよびその塩を抽出するためのイオン交換カラムの使用に基づく様々な方法は、当技術分野に記載されている(Harland Bら、Cereal Chem. 1977年;54:827~32頁)。カチオン交換によりフィチン酸およびその可溶性塩の調製について記載するUS2718523;カチオン交換を使用した、フィチン酸カルシウムマグネシウムからのフィチン酸の調製について記載するUS2750400;およびアニオン交換、続いてアルカリ溶出を使用した、フィチンの調製について記載するUS4668813も参照されたい。さらに、CN102964381は、エタノール結晶化プロセスによるIPの精製について記載し;WO1992016534は、第三級アミン官能基を有する固相遊離塩基ポリマーを使用した、フィテートを直接精製するためのプロセスについて記載する。
【0006】
[0006]IPおよびその塩は、多くの治療用途を有する。例えばフィチン酸カルシウムは、カルシウム富化として使用される一方、フィチン酸ナトリウムは、結石症の再発の防止に使用され、フィチン酸カリウムは、高カルシウム血症の処置に使用される。より最近は、IPの六ナトリウム塩(NaIP)は、例えばカルシフィラキシス(CUA)を処置するために指し示されている調製配合物における薬物物質として、病理学的石灰化を減少または防止するために用いられている(図1)。https://clinicaltrials.gov/のClinical Trail NCT02790073(カルシフィラキシス患者における、SNF472を用いた第2相研究)、2020年12月を参照されたい。
【0007】
[0007]NaIPは、血液透析(HD)を受ける、末期腎疾患(ESRD)を有する患者における心血管石灰化(CVC)に関連した心血管イベントを減少させるために指し示されている配合物にも使用されている。https://clinicaltrials.gov/の臨床トライアルNCT02966028(SNF472の、血液透析(HD)中の末期腎疾患(ESRD)患者における血管石灰化の進展に対する効果)、2020年12月を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008]したがって、現在当業界で、高度な純度を有するイノシトールリン酸の可溶性塩(例えばNaIP)の、およびそれを調製するための、産業的に拡張可能、再現可能かつ安全な方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]本発明は、イノシトールリン酸(IP)塩を精製するための方法(すなわち、再結晶化)であって、(i)IP塩を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ、(ii)IP溶液をIP懸濁液に変換するステップ、(iii)IP懸濁液をアルコール溶液で洗浄して、固体を得るステップ、および(iv)固体を乾燥させて、精製した(すなわち、再結晶化した)IP塩を得るステップを含む、方法を提供する。
【0010】
[0010]いくつかの態様では、ステップ(i)のIP塩および水は、1:2の重量比で混合される。いくつかの態様では、ステップ(i)のIP溶液は加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約45℃から約50℃で加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約4時間以下加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約2時間以下加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は濾過される。いくつかの態様では、IP溶液に、前もって再結晶化したIP塩の結晶を播種する。いくつかの態様では、IP溶液に、ステップ(i)のIP塩の約0.4%(w/w)以下に相当する、前もって再結晶化したIP塩の結晶を播種する。いくつかの態様では、IP溶液に、ステップ(i)のIP塩の約0.2%(w/w)以下に相当する、前もって再結晶化したIP塩の結晶を播種する。いくつかの態様では、IP溶液に、ステップ(i)のIP塩の約0.1%(w/w)以下に相当する、前もって再結晶化したIP塩の結晶を播種する。
【0011】
[0011]いくつかの態様では、IP溶液が撹拌される。いくつかの態様では、ステップ(iii)におけるアルコール溶液は、C~Cアルコールを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる。いくつかの態様では、C~Cアルコールはエタノールである。いくつかの態様では、ステップ(iv)の固体を乾燥させるステップは、約50℃以下で実施される。
【0012】
[0012]本発明は、イノシトールリン酸(IP)の可溶性塩を調製するための方法であって、(a)IP塩を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ、(b)IP溶液とイオン交換媒体を接触させるステップ、(c)ステップ(b)からのイオン交換したIP溶液を濃縮して、IPシロップを得るステップ、および(d)IPシロップからの可溶性IP塩を、アルコキシドの存在下で分離するステップを含む、方法も提供する。
【0013】
[0013]いくつかの態様では、本発明は、精製したイノシトールリン酸(IP)の可溶性塩を調製するための方法であって、(a)精製した(すなわち、再結晶化した)IP塩を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ、(b)IP溶液とイオン交換媒体を接触させるステップ、(c)ステップ(b)からのイオン交換したIP溶液を濃縮して、IPシロップを得るステップ、および(d)IPシロップからの精製した可溶性IP塩を、アルコキシドの存在下で分離するステップを含む、方法を提供する。
【0014】
[0014]いくつかのさらなる態様では、本発明は、未精製のイノシトールリン酸(IP)の可溶性塩を調製するための方法であって、(a)未精製のIP塩を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ、(b)IP溶液とイオン交換媒体を接触させるステップ、(c)ステップ(b)からのイオン交換したIP溶液を濃縮して、IPシロップを得るステップ、および(d)IPシロップからの未精製の可溶性IP塩を、アルコキシドの存在下で分離するステップを含む、方法も提供する。
【0015】
[0015]いくつかの態様では、本発明は、精製したイノシトールリン酸(IP)の可溶性塩を調製するための方法であって、(i)IP塩を水中に溶解して、第1のIP溶液を得るステップ、(ii)第1のIP溶液をIP懸濁液に変換するステップ、(iii)IP懸濁液をアルコール溶液で洗浄して、IP固体を得るステップ、(iv)IP固体を水中に溶解して、第2のIP溶液を得るステップ、(v)第2のIP溶液をイオン交換媒体と接触させるステップ、(vi)ステップ(v)からのイオン交換したIP溶液を濃縮して、IPシロップを得るステップ、および(vii)IPシロップからの精製した可溶性IP塩を、アルコキシドの存在下で分離するステップを含む方法を提供する。一般スキーム1を参照されたい。いくつかの態様では、ステップ(vii)の精製した可溶性IP塩は乾燥させる。いくつかのさらなる態様では、ステップ(vii)の精製した可溶性IP塩は、噴霧乾燥させる。
【0016】
【化1】
【0017】
[0016]式中、Aは、一価カチオン、例えばアルカリカチオン(例えばNa、K)、アンモニウム(すなわち、NH4)またはそれらの組合せである。いくつかの態様では、最終生成物Bのカチオンは、同一であり得る(すなわち、A=B)または出発材料のカチオンと異なり得る(例えばカリウムIP塩は、出発材料として使用され、ナトリウムアルコキシドで処理して、ナトリウム最終生成物を得る、実施例13を参照されたい)。
【0018】
[0017]いくつかの態様では、イオン交換媒体は、イオン交換クロマトグラフィー、バッチプロセスまたはpH調整系である。いくつかの態様では、ステップ(c)は、IP溶液を約55℃以下で蒸留することにより実施される。
【0019】
[0018]いくつかの態様では、アルコキシドは、C~Cアルコキシドである。いくつかの態様では、C~Cアルコキシドは、CHNaO、CHCHNaO、CHKOまたはCHCHKOである。いくつかの態様では、ステップ(d)は、約pH4.0から約pH5.5で実施される。いくつかの態様では、方法は、(e)ステップ(d)の可溶性IP塩を噴霧乾燥させるステップをさらに含む。いくつかの態様では、ステップ(a)の可溶性IP塩は、本明細書で開示される再結晶化方法に従って、前もって再結晶化されている。いくつかの態様では、ステップ(e)の可溶性IP塩は、本明細書で開示される再結晶化方法に従って、さらに再結晶化される。
【0020】
[0019]本明細書で開示される方法のいくつかの態様では、IPは、1から8個のリン酸基を含有する。いくつかの態様では、IPは、1から6個のリン酸基を含有する。いくつかの態様では、IPはイノシトール六リン酸である。いくつかの態様では、イノシトール六リン酸は、ミオイノシトール六リン酸である。いくつかの態様では、IP塩は、少なくとも1つの一価カチオンを含有する。いくつかの態様では、一価カチオンは、(i)第1族元素のアルカリ金属カチオン、(ii)アンモニウムまたは(iii)それらの組合せである。いくつかの態様では、第1族元素のアルカリ金属は、ナトリウム、カリウムまたはそれらの組合せである。
【0021】
[0020]本発明は、本明細書で開示される方法のいずれかに従って得られる、精製した可溶性IP塩も提供する。いくつかの態様では、精製した可溶性IP塩は、イノシトールモノホスフェート(IP)、イノシトールビホスフェート(IP)、イノシトールトリホスフェート(IP)、イノシトールテトラキスホスフェート(IP)、イノシトールペンタホスフェート(IP)、イノシトールヘキサホスフェート(IP)またはそれらの組合せの一価カチオン性塩である。いくつかの態様では、精製した可溶性IP塩は、少なくとも70%(w/w)、少なくとも75%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも85%(w/w)、少なくとも90%(w/w)または少なくとも95%(w/w)純粋である。
【0022】
[0021]いくつかの態様では、精製した可溶性IP塩は、IPの一価カチオン性塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP)である。いくつかの態様では、精製した可溶性IP塩は、NaIPである。したがって、本発明は、(i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦2.0%(w/w)、(ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦4.0%(w/w)、(iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦5.0%(w/w)、および(iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦3.0%(w/w)を含む、少なくとも70%(w/w)純粋であるIP塩、例えば六ナトリウム塩も提供される。(i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦1.4%(w/w)、(ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦2.1%(w/w)、(iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦2.6%(w/w)、および(iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦0.52%(w/w)を含む、少なくとも80%(w/w)純粋であるNaIP塩も提供する。
【0023】
[0022]本発明は、本明細書で開示される方法に従って調製したIP塩、例えばNaIP塩およびそれらの組合せを含む医薬組成物も提供する。いくつかの態様では、医薬組成物は注入可能である。いくつかの態様では、医薬組成物は非経口投与される。いくつかの態様では、非経口投与は静脈内である。いくつかの態様では、静脈内投与は、静脈内点滴を経由する。いくつかの態様では、本明細書で開示される方法に従って調製したIP塩を含む医薬組成物は、室温(すなわち、25℃、60% RH)で少なくとも6カ月安定である。
【0024】
[0023]本発明は、特許請求の範囲のいずれか一項の方法に従って調製した化合物、本明細書で開示される方法に従って調製した精製した可溶性IP塩(例えばNaIP、KIP、(NHIP))、あるいは本明細書で開示される医薬組成物を、1つもしくは複数の(例えば第2または第3の)治療剤および/または表1で開示されている処置と組み合わせて含む組合せ処置も提供する。
【0025】
[0024](i)特許請求の範囲のいずれか一項の方法に従って調製した化合物、本明細書で開示される方法に従って調製した、精製した可溶性IP塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP)、本明細書で開示される医薬組成物または本明細書で開示される組合せ処置、および(ii)投与説明書を含むキットまたは製造生成物も提供される。
【0026】
[0025]本発明は、異所性石灰化またはその結果の処置または防止を、それを必要とする対象においてするための方法であって、特許請求の範囲のいずれか一項の方法に従って調製した化合物、本明細書で開示される方法に従って調製した可溶性IP塩(例えばNaIP)、本明細書で開示される医薬組成物、本明細書で開示される組合せ処置または本明細書で開示されるキットを、対象に投与するステップを含む、方法も提供する。あるいは、本発明は、特許請求の範囲のいずれか一項の方法に従って調製した化合物、本明細書で開示される方法に従って調製した可溶性IP塩(例えばNaIP)、本明細書で開示される医薬組成物、本明細書で開示される組合せ処置、または異所性石灰化もしくはその結果の処置もしくは防止を必要とする対象におけるその使用について開示されているキットを提供する。あるいは、本発明は、特許請求の範囲のいずれか一項の方法に従って調製した化合物、本明細書で開示される方法に従って調製した可溶性IP塩(例えばNaIP)、本明細書で開示される医薬組成物、本明細書で開示される組合せ処置、または、異所性石灰化もしくはその結果を処置もしくは防止するための医薬を必要とする対象でのその調製における本明細書で開示されるキットの使用を提供する。いくつかの態様では、対象は血液透析を受ける。いくつかの態様では、対象は末期腎疾患を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】[0026]図1は、初期の結晶に結合することにより石灰化を防止し、ひいては結晶成長を防止する、NaIP(SNF472)の提案される作用機序の略図を示す図である。
図2】[0027]図2は、NaIP、KIP、NaIPおよび(NHIPの構造およびいくつかの物理化学的性質の非限定的な例を示す図である。
図3】[0028]図3は、NaIPの元の合成プロセスを示す図である。プロセスは、2ステップのイオン-塩交換からなっており、これは、イオン交換クロマトグラフィーによる、出発材料であるフィチン酸十二ナトリウム塩のフィチン酸への変換(ステップ1)、および、正確な量の水酸化ナトリウムでのフィチン酸の中和による、フィチン酸六ナトリウムの合成、続いて最終原薬を単離するエタノール補助沈殿(ステップ2)を含んでいた。
図4】[0029]図4は、出発材料再結晶化プロセスを含まない製造プロセス(すなわち、プロセス1およびプロセス2)におけるIP塩を生成するために使用されるステップの略図を示す図であり、式中、A=Bであり、または異なり、xおよびyは、1から12の整数である。工程内管理試験(IPC)が指し示される。
図5】[0030]図5は、出発材料精製プロセスを含む、現在の製造プロセス(すなわち、プロセス3)におけるIP塩を生成するために使用されるステップの略図を示す図であり、式中、A=Bであり、または異なり、xおよびyは、1から12の整数である。工程内管理試験(IPC)が指し示される。
図6】[0031]図6は、プロセス1(すなわち、元のプロセス)およびプロセス2(すなわち、スケールアッププロセス)の両方の比較製造スキームを示し、その結果、それらの間における主な差が、容易に観察できる図である。不純物含有量に関して原薬の品質を著しく改良するために開発されたプロセス3は、水溶液からの再結晶化によるIP塩出発材料の新たな精製ステップを誘導して、精製したIP塩を単離した中間体として得る。A=Bであり、または異なり、xおよびyは、1から12の整数である。
図7】[0032]図7は、NaIPの拡大したプロトンデカップリング31P-NMRスペクトルを示す図である。
図8】[0033]図8は、NaIPH-31P HMBCを示す図である。
図9】[0034]図9は、NaIPの拡大したH-NMRスペクトルを示す図である。
図10】[0035]図10は、NaIPの拡大した非デカップリング31P-NMRスペクトルを示す図である。
図11】[0036]図11は、NaIPの拡大した13C NMRスペクトルを示す図である。
図12】[0037]図12は、NaIPH-13C HSQCを示す図である。
図13】[0038]図13は、ミオイノシトールヘキサホスフェートの椅子型配座を示すダイヤグラムを示す図である。
図14】[0039]図14は、NaIPH-H COSYを示す図である。
図15】[0040]図15は、NaIPの拡大したDEPT135NMRスペクトルを示す図である。
図16】[0041]図16は、NaIPのFT-IRスペクトルを示す図である。
図17】[0042]図17は、NaIPの典型的なマススペクトルを示す図である。
図18】[0043]図18は、プロセス3に従って調製したNaIPのICクロマトグラムを示す図である。
図19】[0044]図19は、NaIP塩のICクロマトグラムを示す図である。図は、RT37.83minでのIPピークを示す。IPは、85.12%(w/w)純粋である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0045]本発明は、低レベルの不純物を特徴とするイノシトールホスフェートの可溶性塩を調製するための方法に関する。いくつかの態様では、イノシトールホスフェート塩は、少なくとも1つの一価カチオンを含有する。いくつかの態様では、一価カチオンは、(i)第1族元素のアルカリ金属カチオン、(ii)アンモニウムまたは(iii)それらの組合せである。いくつかの態様では、第1族元素のアルカリ金属は、ナトリウム、カリウムまたはそれらの組合せである。いくつかのさらなる態様では、イノシトールヘキサホスフェートのいくつかの可溶性塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))の調製が、記載されている。いくつかの態様では、本発明は、イノシトールヘキサホスフェートの六ナトリウム塩(NaIP)を、その十二ナトリウム塩(Na12IP)から調製するための方法、ならびに(例えば再結晶化を経由して)Na12IP中間体を調製するための方法を提供する。NaIP化合物は、SNF472生成物における原薬として使用され得る。この生成物は、第II相臨床トライアルを受けており(例えば臨床トライアルNCT02790073を参照されたい)、現在第III相臨床トライアルにある。
【0029】
[0046]本発明は、組成物、例えば本発明の方法に従って調製したフィテート塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))を含む医薬組成物も提供する。本発明の方法に従って調製したフィテート塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))を含む配合物、製造物品およびキットも提供される。本発明の方法に従って調製したフィテート塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))の、それを必要とする患者、例えば本明細書で開示される疾患または状態、例としてカルシフィラキシスまたは心血管石灰化に罹患した対象への投与を含む処置する方法も提供される。
【0030】
[0047]本発明は、本発明の方法に従って調製した一定量のフィテート塩(例えばNaIP、NaIP6、KIP、KIP、(NHIP))を含む剤形も提供する。
【0031】
[0048]本出願は、医薬として使用するための、本発明の方法に従って調製したフィテート塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))も開示する。本明細書で開示される疾患または状態、例えば異所性石灰化、例としてカルシフィラキシスまたは心血管石灰化の処置に使用するための、本発明の方法に従って調製したフィテート塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))の使用も提供される。本明細書で開示される疾患または状態、例えばカルシフィラキシスまたは心血管石灰化を処置するための医薬の製造における、本発明の方法に従って調製したフィテート塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))の使用も開示される。
【0032】
[0049]本発明がより容易に理解できるように、ある用語が以下で最初に定義される。本出願に使用されているように、本明細書で別途明示的に示される場合を除き、以下の用語のそれぞれは、以下に明記されている意味を有するものとする。追加の定義は、本出願全体を通して明記する。
1.一般用語および表現の定義
[0050]本発明は、群の厳密に1つのメンバーが、所定の生成物または方法に存在する、用いられる、またはそうでなければ関連性がある態様を含む。本発明は、群の1つ超、またはすべてのメンバーが、所定の生成物または方法に存在する、用いられる、またはそうでなければ関連性がある態様を含む。
【0033】
[0051]特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が関連する当業者により普通理解されると同じ意味を有する。例えばConcise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show、第2版(CRC Press、Boca Raton、FL、USA、2002年);The Dictionary of Cell and Molecular Biology、第3版(Academic Press、London、UK、1999年);およびOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology、改訂版(Oxford University Press、Oxford、UK、2000年)は、本発明で使用されている用語の多くの一般的辞書を当業者に示す。
【0034】
[0052]単位、接頭辞および記号は、そのSysteme International de Unites(SI)承認された形で表される。数字範囲は、範囲を定義する数を包括する。値の範囲が挙げられている場合、この範囲の挙げられている上限から下限の間に介在する各整数値およびその各分数も、そのような値の間における各下位範囲と共に具体的に開示されることは理解されるべきである。ある範囲の上限および下限は、独立して、範囲に含まれ得、または範囲から排除され得、限界の一方を含む、いずれも含まないまたは両方を含む各範囲も、本発明内に包含される。
【0035】
[0053]値が明白に挙げられる場合、挙げられている値とほぼ同一の数量または量も本発明の範囲内であることは理解されるべきである。組合せが開示されている場合、その組合せの要素の下位の組合せそれぞれも具体的に開示され、本発明の範囲内である。反対に、異なる要素または要素の群が個々に開示される場合、それらの組合せも開示される。本発明の任意の要素が複数の代用物を有するものとして開示される場合、各代用物が単独でまたは他の代用物との任意の組合せから除外される本発明の例もここに開示される;発明の1つ超の要素は、そのような除外を有し得、そのような除外を有する要素の組合せすべてがここに開示される。
【0036】
[0054]約:「約」という用語は、当業者により判定される特定の値または組成物について許容できる誤差範囲内である値または組成物に対して本明細書で使用されており、これは、値または組成物がどのように測定または判定されるか、すなわち測定系の限界に部分的に依存する。例えば「約」は、当業界の実践による1以内または1超の標準偏差を意味し得る。あるいは、「約」は、20%までの範囲を意味し得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、用語は、値の1桁まで、または5倍までを意味し得る。
【0037】
[0055]出願および特許請求の範囲に特定の値または組成物が示される場合、特に定めのない限り、「約」の意味は、特定の値または組成物について許容できる誤差範囲内と仮定されるべきである。「約」という用語が数字範囲と共に使用される場合、明記された数値の上限および下限を拡大することによりその範囲を変える。したがって、「約10~20」は、「約10から約20」を意味する。一般に、「約」という用語は、例えば上下に10パーセント変動(高いまたは低い)させることにより、定められた値を超える、また下回る数値を修飾し得る。
【0038】
[0056]および/または:本明細書で使用される「および/または」は、他のものの有無を問わず、2つの特定された特徴または成分のそれぞれの特定の発明と解釈されるべきである。したがって、本明細書において語句、例えば「Aおよび/またはB」に使用されている「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単体)、および「B」(単体)を含むことを意図する。同じく、語句、例えば「A、B、および/またはC」に使用されている「および/または」という用語は、以下の態様:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単体);B(単体);およびC(単体)のそれぞれを包含することを意図する。
【0039】
[0057]およそ:本明細書で使用される、目的の1つまたは複数の値に適用される「およそ」という用語は、定められた参照値と同様の値を指す。ある態様では、「およそ」という用語は、特に定めのない限りまたは他のことが文脈から明白でない限り、定められた参照値のいずれかの方向(大きいまたは小さい)で10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下以内に収まる値の範囲を指す(そのような数が、考えられる値の100%を超える場合を除く)。
【0040】
[0058]含む:本明細書において態様が、「含む」という言葉と共に記載されている場合はどこでも、「からなる」および/または「から本質的になる」の用語で記載されている別途類似した態様も備えられることは理解される。
【0041】
[0059]化合物:本明細書で使用される、「化合物」という用語は、描写されている構造のすべての異性体および同位体を含むことを意味する。本明細書で使用される「異性体」という用語は、化合物の任意の幾何異性体、互変異性体、双性イオン、立体異性体、鏡像異性体またはジアステレオ異性体を意味する。化合物は、1つまたは複数のキラル中心および/または二重結合を含み得、したがって、立体異性体、例えば二重結合異性体(すなわち、幾何E/Z異性体)またはジアステレオ異性体(例えば鏡像異性体(すなわち、(+)または(-))またはcis/trans異性体)として存在し得る。本発明は、立体異性的に純粋な形態(例えば幾何学的に純粋、鏡像異性的に純粋またはジアステレオ異性的に純粋)ならびに鏡像異性体および立体異性体混合物、例えばラセミ化合物を含む、本明細書に記載されている化合物の任意の、またすべての異性体を包含する。化合物の鏡像異性体および立体異性体混合物、ならびにそれらを、それらの成分鏡像異性体または立体異性体へと分割する手段は、周知である。本発明の化合物、塩または複合体は、溶媒または水分子と組み合わせて調製して、日常的方法により溶媒和物および水和物を形成できる。いくつかの態様では、化合物という用語は、本発明のイノシトールホスフェートの塩(例えばNaIPまたはNa12IP)を指すために使用される。
【0042】
[0060]イノシトールホスフェート:本明細書で使用される、「イノシトールホスフェート」という用語(およびその文法的変形)は、イノシトール環および1、2、3、4、5または6個のリン酸基を有する化合物(すなわち、IP、IP、IP、IP、IP、IP)、またはそれらの組合せを指す。イノシトールホスフェートは、7または8個のリン酸基も含み得る(例えば追加のリン酸基を、イノシトール環に既に連結したリン酸基へと付着させることによる)。ミオイノシトールヘキサホスフェートは、本発明の模範的なイノシトールヘキサホスフェート(IP)である。いくつかの態様では、イノシトールホスフェートは純粋である(例えばイノシトールリン酸種の99%超が同一の種、例えばIPである)、または実質的に純粋である(例えばイノシトールホスフェート種の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%が同一の種、例えばIPである)。いくつかの態様では、イノシトールホスフェートは、例えば可変量のIP、IP、IP、IP、IP、IP、IP、およびIPを含む混合物である。いくつかの態様では、イノシトールホスフェートは、ラセミ混合物である。
【0043】
[0061]イノシトールホスフェート類似体:本明細書で使用される、「イノシトールホスフェート類似体」という用語(およびその文法的変形)は、イノシトール環に関して異なる数の炭素(すなわち、5または7つの炭素)を有する環を有する、および/または、少なくとも1個のスルフェートもしくはチオホスフェート基を有する化合物を指す。例えば5、6または7つの炭素および少なくとも1個のホスフェート、スルフェートまたはチオホスフェート基を有する環を含む化合物は、イノシトールホスフェート類似体と考えられる。
【0044】
[0062]イノシトールホスフェート誘導体:本明細書で使用される、「イノシトールホスフェート誘導体」という用語(およびその文法的変形)は、異種部分(すなわち、ホスフェート、スルフェート、またはチオホスフェートではない基)で誘導体化された「イノシトールホスフェート」または「イノシトールホスフェート類似体」を指す。例えば異種部分(例えばPEG)を含むイノシトールペンタスルフェートは、イノシトールホスフェート誘導体と考えられる。
【0045】
[0063]異種部分:本明細書で使用される、「異種部分」という用語(およびその文法的変形)は、イノシトールホスフェート誘導体における、ホスフェート、スルフェート、またはチオホスフェートではなく、望ましい性質をそのような化合物に与える基または置換基を指す。例えば異種部分(例えばポリグリセロールまたはポリエチレングリコール)は、化合物の溶解度を上昇させ得る。いくつかの態様では、異種部分は、複数の望ましい性質を与え得、例えばポリグリセロールおよびポリエチレングリコールはいずれも、化合物の溶解度を上昇させること、および化合物のクリアランス速度を低下させることができる。
【0046】
[0064]いくつかの態様では、イノシトールホスフェートは、以下の式Iにより包含される化合物について記載するPCT/IB2018/057904で開示されるイノシトールホスフェート、その変形または誘導体である。
【0047】
[0065]NaIP:「NaIP」という用語は、イノシトールヘキサホスフェートの六ナトリウム塩を指す。いくつかの態様では、NaIPは、ミオイノシトールヘキサホスフェートの六ナトリウム塩である。
【0048】
[0066]Na12IP:本明細書で使用される「Na12IP」という用語は、イノシトールヘキサホスフェートの十二ナトリウム塩を指す。いくつかの態様では、Na12IPは、ミオイノシトールヘキサホスフェートの十二ナトリウム塩である。
【0049】
[0067]Ph. Eur. 2.2.3.:本明細書で使用される「Ph. Eur. 2.2.3.」という用語は、「pHの電位差判定」測定プロトコール[European Pharmacopeia 10.0、2020年12月]を指す。
【0050】
[0068]範囲:本明細書に記載されている、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比の範囲または整数範囲は、特に指示がない限り、挙げられる範囲内における任意の整数の値、また、適切な場合はその分数(例えば整数の10分の1および100分の1)を含むことを理解されるべきである。
【0051】
[0069]イノシトールヘキサホスフェートの塩:「本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩」および「本発明のイノシトールヘキサホスフェートの塩」という用語、ならびにその文法的変形は、本明細書で開示される方法に従って調製したイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIPまたはNa12IP、またはそれらの組合せ)を指す。いくつかの態様では、塩は、ナトリウム塩である。他の態様では、塩は、本明細書で開示される方法に従って調製したカリウム塩(例えばKIPもしくはK12IP、またはそれらの組合せ)である。他の態様では、塩は、本明細書で開示される方法に従って調製したアンモニウム塩(例えば(NHIPもしくは(NH12IP、またはそれらの組合せ)である。いくつかの態様では、本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩は、本明細書で開示される方法に従って調製したNaIPまたはNa12IPである。
【0052】
[0070]SNF472:本明細書で使用される「SNF472」という用語は、静脈内のミオイノシトールヘキサホスフェート配合物、例えば本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)を指す。SNF472は、3つの異なる強度:(i)5mL単回使用バイアル中において20mg/mL、(ii)5mLおよび10mL単回使用バイアル中において30mg/mL、ならびに(iii)5mLおよび10単回使用バイアル中において90mg/mLで調製される。生成物は、約5.6から約6.4のpHを有する生理食塩水溶液中で配合される。
【0053】
[0071]可溶性:本明細書で使用される、「可溶性」および「溶解度」という用語は、イノシトールホスフェートの塩が水中に溶解して水溶液になる度合いを指す。イノシトールホスフェートの塩(例えばNaIP6、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))は、水中において可溶性であると考えられるが、但し、1gの物質が15~25℃で10から30mL以下の水に溶解することを条件とする。米国薬局方(USP)および欧州薬局方(EP)の溶解度基準(例えばUSP、通則5.30 Description and Solubility(2019年5月1日)、USP<1236>(2019年12月1日)に従って測定)を参照されたい。
【0054】
[0072]対象:「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」は、診断、予後診断または治療が望ましい任意の対象、特に哺乳類対象を意味する。哺乳類対象は、ヒト、家庭動物、家畜、動物園の動物、スポーツ用動物、愛玩動物、例えばイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、乳牛;霊長類、例として類人猿、サル、オランウータンおよびチンパンジー;イヌ科動物、例としてイヌおよびオオカミ;ネコ科動物、例えばネコ、ライオンおよびトラ;ウマ科動物、例えばウマ、ロバおよびシマウマ;クマ、食用動物、例として乳牛、ブタおよびヒツジ;有蹄類、例としてシカおよびキリン;げっ歯類、例としてマウス、ラット、ハムスターおよびモルモットを含むが、それらに限定されない。ある態様では、哺乳動物は、ヒト対象である。他の態様では、対象は、ヒト患者である。特定の態様では、対象は、病理学的石灰化を有する、または病理学的石灰化を有する危険性があるヒト患者である。いくつかの態様では、対象は、処置を必要とする病理学的石灰化、例えば異所性石灰化、例としてカルシフィラキシス石灰化を有するヒト患者である。いくつかの態様では、対象は、処置を必要とする心血管石灰化を有するヒト患者である。
【0055】
[0073]実質的に:本明細書で使用される、「実質的に」という用語は、目的の特性または性質の全体的またはほぼ全体的な規模または程度を呈する定性的状態を指す。生物学的分野の当業者は、生物学的および化学的現象が、仮にあるとして、まれにしか完了まで進まないこと、および/または完全性まで進行しないこと、または絶対的な結果を達成もしくは回避しないことを理解する。「実質的に」という用語は、したがって、多くの生物学的および化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捉えるように本明細書で使用される。
【0056】
[0074]治療剤:本明細書で使用される、「治療剤」という用語は、著しい治療利益を、それを必要とする対象、詳細には、異所性石灰化に罹患した、またはそれを発症する危険性がある対象に付与できる、本発明のイノシトールホスフェート、例えば本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIPまたはNa12IP)を含む組成物を含むように広い意味で使用される。したがって、本発明による治療剤は、例えば、有益または望ましい結果をきたすのに十分な量で投与される、(i)本明細書で開示される任意のイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))、もしくはそれらの組合せ、または(ii)本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))、もしくはそれらの組合せを含む、本明細書で開示する任意の剤形、医薬組成物もしくは配合物、または(iii)本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))もしくはそれらの組合せと、1つまたは複数の追加の治療剤の組合せであり得る。
【0057】
[0075]治療剤という用語は、本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、NHIP))を含む予防、診断またはイメージング剤も包含し、治療剤は、例えば非経口的または局所的に投与される。本発明の治療剤は、異所性石灰化または心血管石灰化を処置する作用剤だけでなく、病理学的石灰化の存在に関連する任意の症状を改善および/または防止し得る作用剤も含む。したがって、本明細書で定義されている、治療剤という用語は、例えば炎症を低下させ得る、または抑制し得る作用剤、患者の運動性を上昇させる作用剤、および疼痛を減少させる作用剤を含み得る。
【0058】
[0076]処置すること、処置、治療:本明細書で使用される、「処置すること」または「処置」または「治療」という用語は、1つまたは複数の症状または疾患の特徴またはそれらの任意の組合せの発症を部分的にまたは完全に軽減すること、改善すること、改良すること、寛解すること、遅延させること、その進展を阻害すること、その重症度を低下させること、その発生率を低下させることを指す。例えばカルシフィラキシスを「処置すること」は、例えば石灰化を阻害すること、石灰化の大きさを縮小させること、生存率を上昇させること、運動性を上昇させること、疼痛を低下させること、またはそれらの任意の組合せを指し得る。
【0059】
[0077]本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP))を含む処置は、例えば、(i)疾患、障害および/または状態に関連する病変を発症する危険性を低下させる、(ii)疾患、障害および/もしくは状態、または前記疾患、障害および/もしくは状態に関連する病変の発症を遅延させる、あるいは(iii)疾患、障害および/もしくは状態の症状および/もしくは結果、または前記疾患、障害および/もしくは状態に関連する病変を和らげる目的のための、疾患、障害および/もしくは状態の兆候を呈さない対象、ならびに/または、疾患、障害および/もしくは状態の初期兆候のみを呈する対象に投与され得る。
【0060】
[0078]したがって、一般に、「処置」という用語は、(i)疾患または病理学的状態を阻害する、言い換えれば、その発症または進展を遅くする、または止めること;(ii)疾患または病理学的状態を寛解する、言い換えれば、前記疾患もしくは病理学的状態、またはその症状を退行させること;(iii)疾患または病理学的状態を安定化させること、および(iv)それらの任意の組合せを含む、対象における目的の疾患または病理学的状態の結果として引き起こされる効果を無効にすることを指す。
2.製造プロセス
[0079]本発明は、実行中における低レベルの不純物の形成を特徴とする、イノシトールホスフェートの可溶性塩(IP)を調製するための方法を提供する。これらの方法は、前もって記載されている、NaIPを調製するための方法の実現性、拡張性、再現性および安全性の特徴を改良する。結果として、本発明の方法により、高純度のIP原薬(例えばNaIP)が得られる。このように得られたIP原薬の適合性は、ヒトの健康におけるその使用に対して、特に、カルシウム結晶化に関連した様々な病理学の処置に対して、したがって向上している。
【0061】
[0080]再結晶化方法:本明細書で開示されるNaIPを生成する方法の重要な態様は、NaIP生成プロセスにおける出発材料として、再結晶化を経由して精製したNa12IPを使用することである。したがって、本発明は、イノシトールホスフェート(IP)塩、例えば未精製の可溶性IP塩を精製するための方法であって、
[0081](i)IP塩を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ、
[0082](ii)IP溶液をIP懸濁液に変換するステップ、
[0083](iii)IP懸濁液をアルコール溶液で洗浄して、IP固体を得るステップ、および
[0084](iv)IP固体を乾燥させて、精製したIP塩を得るステップを含む、方法を提供する。
【0062】
[0085]本明細書で使用される、「IP溶液」、「NaIP溶液」および「Na12IP溶液」という用語は、溶媒、例えば水性溶媒、例として水に溶解したIP、NaIPまたはNa12IPを含む組成物を指す。一般に、「溶液」という用語は、溶媒に溶解した1つまたは複数の可溶性活性成分(例えば本発明のIP)を含有する液体調製物を意味する。
【0063】
[0086]本明細書で使用される、「IP懸濁液」、「NaIP懸濁液」および「Na12IP懸濁液」という用語は、溶媒、例えば水性溶媒、例として水中の溶液から落下したIP、NaIPまたはNa12IPの結果である、IP、NaIPまたはNa12IP粒子または結晶を含む組成物を指す。したがって、懸濁液中において、IP、NaIPまたはNa12IP粒子または結晶は、溶媒中に懸濁される。一般に、「懸濁液」という用語は、溶媒中に懸濁した、すなわち溶解していない、微粉化された未溶解の活性成分(例えば本発明のIP)を意味する。
【0064】
[0087]本明細書で使用される、「IP固体」、「NaIP固体」、または「Na12IP固体」という用語は、例えば遠心分離を経由した、または濾過を経由した、溶媒からのIP、NaIPまたはNa12IP粒子または結晶の部分的な分離から生じたIP、NaIPまたはNa12IPの塊、ペレットまたはケーキを指す。
【0065】
[0088]本明細書で使用される、「再結晶化したIP塩」、「再結晶化したNaIP」または「再結晶化したNa12IP」という用語は、例えば乾燥させることにより、IP固体、NaIP固体またはNa12IP固体から水が除去された後に得られた精製した生成物を指す。
【0066】
[0089]いくつかの態様では、IP塩は、植物起源のものである。IP塩の供給源(例えばフィチン)は、Cucurbitaceae、Fabaceae、Juglandaceae、Poaceae、Rosaceae、RubiaceaeおよびSolanaceae科の品種またはそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。Cucurbitaceae科に属する品種の例は、(a)Citrullus属、例えばシトロンメロン(C. caffer)およびスイカ(C. lanutus)、(b)Cucumis属、例えばキュウリ(C. sativus)(c)Cucurbita属、例えばズッキーニ(C. pepo)および(d)Lagenaria属、例えばヒョウタン(L.siceraria)の変種を含むが、それらに限定されない。Fabaceae科に属する品種の例は、(a)Arachis属、例えばラッカセイ(A. hypogaea)およびピントピーナッツ(A. pintoi)、(b)Ceratonia属、例えばキャロブ(C. siliqua)、(c)Glycine属、例えばダイズ(G. max)、(d)Glycyrrhiza属、例えばカンゾウ(G. glabra)およびアメリカカンゾウ(American licorice)(G. lepidota)、(e)Lens属、例えばレンズマメ(L. culinaris)、(f)Medicago属、例えばアルファルファ(M. sativa)、(g)Phaseolus属、例えばヒヨコマメ(C. arietinum)、シロインゲンマメ、ウズラマメおよびクロインゲンマメ(P. vulgaris)、ならびに(h)Pisum属、例えばエンドウマメ(P. sativum)の変種を含むが、それらに限定されない。Juglandaceae科に属する品種の例は、Juglans属、例えばウォールナッツ(J. regia)の変種を含むが、それらに限定されない。Poaceae科に属する品種の例は、(a)Avena属、例えばカラスムギ(A. sativa)および(b)Oriza属、例えばコメ(O. sativa)の変種を含むが、それらに限定されない。RosaceaeおよびRubiaceae科に属する品種の例は、Prunus属、例えばアーモンド(P. dulcis)の変種、およびCoffea属、例えばコーヒー(C. arabica)の変種をそれぞれ含むが、それらに限定されない。Solanaceae科に属する品種の例は、Solanum属、例えばジャガイモ(S. tuberosum)およびトマト(S. lycopersicum)の変種を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、IP塩は、植物性材料から(a)IP塩の生成を増加させる、(b)IP塩の純度を上昇させる、(c)植物性材料からのIP塩の分離もしくは抽出を促す、または(d)植物性材料からのIP塩の生成または抽出を妨げ得る他の化合物の発現を低下させる、もしくはサイレンシングするために遺伝子修飾された植物変種から得られる、または由来する。
【0067】
[0090]いくつかの態様では、IP塩は、化学的に合成される、または化学的および生物学的ステップを組み合わせる方法により得られる。
【0068】
[0091]いくつかの態様では、本発明のNaIP調製方法(図2)に使用されるNa12IPは、その使用前に再結晶化される。精製したNa12IPは:
[0092](i)Na12IP出発材料を水中に溶解して、第1のNa12IP懸濁液を得るステップ;
[0093](ii)第1のNa12IP懸濁液を加熱して、Na12IP溶液を得るステップ;
[0094](iii)Na12IP溶液にNa12IPの結晶を播種し、撹拌して、第2のNa12IP懸濁液を得るステップ;
[0095](iv)第2のNa12IP懸濁液をエタノールで洗浄し、濾過して、固体を得るステップ;ならびに、
[0096](v)固体を乾燥させて、精製したNa12IPを得るステップにより得られる。
【0069】
[0097]いくつかの態様では、本発明のNaIP図2)調製方法に使用されるNa12IPは、その使用前に再結晶化される。精製したNa12IPは:
[0098](i)Na12IP出発材料を水中に溶解して、第1のNa12IP懸濁液を得るステップ;
[0099](ii)第1のNa12IP懸濁液を加熱して、Na12IP溶液を得るステップ;
[0100](iii)Na12IP溶液にNa12IPの結晶を播種し、撹拌して、第2のNa12IP懸濁液を得るステップ;
[0101](iv)第2のNa12IP懸濁液をエタノールで洗浄して、固体を得、これを遠心分離するステップ;ならびに、
[0102](v)固体を乾燥させて、精製したNa12IPを得るステップにより得られる。
【0070】
[0103]本明細書で開示される再結晶化方法のいくつかの態様では、ステップ(i)のIP塩および水は、約1:1から約1:30の重量比で混合される。本明細書で開示される再結晶化方法のいくつかの態様では、ステップ(i)のIP塩および水は、1:2の重量比で混合される。いくつかの態様では、ステップ(i)のIP塩および水は、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9または1:3重量/重量(w/w)比で混合される。
【0071】
[0104]本明細書で開示される再結晶化方法のいくつかの態様では、ステップ(i)のIP溶液は加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約40℃から50℃の温度で加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約41℃から49℃の温度で加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約42℃から48℃の温度で加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約43℃から47℃の温度で加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約44℃から46℃の温度で加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃または約50℃の温度で加熱される。
【0072】
[0105]本明細書で開示される再結晶化方法のいくつかの態様では、IP溶液は、約4時間以下加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約2時間以下加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約0.2時間、約0.3時間、約0.4時間、約0.5時間、約0.6時間、約0.7時間、約0.8時間、約0.9時間、約1時間、約1.1時間、約1.2時間、約1.3時間、約1.4時間、約1.5時間、約1.6時間、約1.7時間、約1.8時間、約1.9時間、約2時間、約2.1時間、約2.2時間、約2.3時間、約2.4時間、約2.5時間、約2.6時間、約2.7時間、約2.8時間、約2.9時間、約3時間、約3.1時間、約3.2時間、約3.3時間、約3.4時間、約3.5時間、約3.6時間、約3.7時間、約3.8時間、約3.9時間または約4時間加熱される。いくつかの態様では、IP溶液は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約1.5時間、約1.5時間から約2時間、約2時間から約2.5時間、約2.5時間から約3時間、約3時間から約3.5時間または約3.5時間から約4時間加熱される。
【0073】
[0106]本明細書で開示される再結晶化方法のいくつかの態様では、IP溶液を濾過して、例えば不溶性不純物を除去する。
【0074】
[0107]本明細書で開示される再結晶化方法のいくつかの態様では、IP溶液に、前もって再結晶化したIP塩の結晶を播種する。いくつかの態様では、IP溶液に、ステップ(i)のIP塩の約0.4%(w/w)以下に相当する結晶を播種する。いくつかの態様では、IP溶液に、ステップ(i)のIP塩の約0.1%(w/w)以下に相当する前もって再結晶化したIP塩の結晶を播種する。いくつかの態様では、播種に使用されるIP塩の結晶の量は、ステップ(i)のIP塩の約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.11%、約0.12%、約0.13%、約0.14%、約0.15%、約0.16%、約0.17%、約0.18%、約0.19%または約0.2%、約0.21%、約0.22%、約0.23%、約0.24%、約0.25%、約0.26%、約0.27%、約0.28%、約0.29%、約0.3%、約0.31%、約0.32%、約0.33%、約0.34%、約0.35%、約0.36%、約0.37%、約0.38%、約0.39%、約0.40%(w/w)以下である。
【0075】
[0108]本明細書で開示される再結晶化方法のいくつかの態様では、IP溶液が撹拌される。本明細書で開示される再結晶化方法のいくつかの態様では、ステップ(iii)におけるアルコール溶液は、C~Cアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールまたはそれらの任意の組合せを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる。特定の態様では、C~Cアルコールはエタノールである。
【0076】
[0109]本明細書で開示される再結晶化方法のいくつかの態様では、ステップ(iv)の固体を乾燥させるステップは、約50℃以下で実施される。いくつかの態様では、ステップ(iv)の固体を乾燥させるステップは、約45℃以下で実施される。いくつかの態様では、ステップ(iv)の固体を乾燥させるステップは、約40℃以下で実施される。いくつかの態様では、ステップ(iv)の固体を乾燥させるステップは、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃または約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃または約50℃で実施される。
【0077】
[0110]いくつかの態様では、乾燥させるステップは、約25分、約30分、約35分、45分、約50分、約55分、約60分、約65分、約70分、約75分、約80分、約85分、約90分、約95分、約100分、約105分、約110分、約115分または約120分の間実施される。
【0078】
[0111]いくつかの態様では、乾燥させるステップは、真空下で実施される。いくつかの態様では、乾燥させるステップは、約1mbar、約0.9mbar、約0.8mbar、約0.7mbar、約0.6mbar、約0.5mbar、約0.4mbar、約0.3mbar、約0.2mbar、約0.1、約0.09mbar、約0.08mbar、約0.07mbar、約0.06mbar、約0.05mbar、約0.04mbar、約0.03mbar、約0.02mbarまたは約0.01mbarの圧力下で実施される。いくつかの態様では、乾燥させるステップは、約1mbar未満、約0.9mbar未満、約0.8mbar未満、約0.7mbar未満、約0.6mbar未満、約0.5mbar未満、約0.4mbar未満、約0.3mbar未満、約0.2mbar未満、約0.1未満、約0.09mbar未満、約0.08mbar未満、約0.07mbar未満、約0.06mbar未満、約0.05mbar未満、約0.04mbar未満、約0.03mbar未満、約0.02mbar未満または約0.01mbar未満の圧力下で実施される。特定の態様では、乾燥させるステップは、およそ40℃、およそ1mbarで、約60分実施される。他の特定の態様では、乾燥させるステップは、およそ25℃、およそ0.01mbarで、約90分実施される。
【0079】
[0112]当業者は、ステップ(iv)の温度、持続時間、および圧力条件への同時変化により(例えば圧力および温度を低下させる一方、乾燥ステップの持続時間を増加させることにより)、同様の特性の生成物を得られることが分かる。例えばステップ(iv)における温度および圧力は、それぞれ25℃および1mbarに88分セットして、このステップが、40℃および0.01mbarで64分実施される場合にも得られるレベルの不純物(0.52% w/w)を得ることができる。温度、持続時間および圧力のこれらの組合せは、本発明の範囲および当業者の常識の範囲内において考えられる。
【0080】
[0113]いくつかの態様では、本発明の再結晶化方法は、IPの別の形態の生成物に対する出発材料または中間体を生成するために使用され得る。例えば本明細書で開示される方法に従って再結晶化したNa12IPは、NaIPを生成するために使用され得る。他の態様では、本明細書で開示される再結晶化方法の1回または複数回の反復は、IPの純度を上昇させるために使用され得る。したがって、例えば本明細書で開示される方法に従って生成されるNaIPは、本明細書で開示される再結晶化の1回または複数回のサイクルの適用により、さらに精製して、最終製品の純度を改良できる。
【0081】
[0114]本明細書で開示される再結晶化方法は、IP(例えばNa12IP、NaIP、K12IPまたはKIP)を出発IP材料として使用するステップ、ならびに:
[0115](1)IP材料を水中におよそ1:2比で溶解するステップ;
[0116](2)IP材料を、50℃を超えない温度で溶解するステップ(45~50℃の範囲内の懸濁液);
[0117](3)溶解したIP材料を、50℃を超えない温度で4時間未満保持するステップ;
[0118](4)C~Cアルコール(例えばエタノール)を添加して、結晶化したIP固体を分離するステップ;
[0119](5)結晶化したIP固体を、濾過および/もしくは遠心分離を経由して濃縮するステップ;
[0120](6)IP固体を、40℃を超えない温度で乾燥させるステップ;または、
[0121](7)それらの任意の組合せを特徴とする。
【0082】
[0122]可溶性IP塩調製方法:本発明は、イノシトールホスフェート(IP)の可溶性塩、例えばIPのナトリウム塩(フィテート)、例えばNaIPを調製するための方法も提供する。
【0083】
[0123]いくつかの態様では、可溶性IP塩を調製するための方法は:
[0124](a)IP塩(例えば再結晶化されていないNa12IP、再結晶化したNa12IPまたは粗製または未精製Na12IPまたはNaIP)を水性溶媒、例えば水中に溶解して、IP溶液を得るステップ;
[0125](b)IP溶液とイオン交換媒体、例えばAMBERLITE(登録商標)樹脂を接触させるステップ;
[0126](c)ステップ(b)から得られたイオン交換したIP溶液を濃縮して、IPシロップを得るステップ;および、
[0127](d)IPシロップからの可溶性IP塩を、アルコキシドの存在下で分離するステップを含む。
【0084】
[0128]本明細書で開示される方法の略図は、図4(方法1および2)および図5(方法3)で示される。
【0085】
[0129]したがって、本発明は、可溶性IP塩の調製方法であって、イオン交換媒体を使用することによる、出発材料または中間体(例えばNa12IP、Na10IP、KIP、K12IP、(NH12IP))からのすべてのカチオン(例えばNa、K NH )を除去すること、IP(例えばフィチン酸)の生じた酸形態を濃縮して、シロップを得ること、およびシロップを続いて正確な比およびpH条件下でアルコキシド(例えばメトキシド、例としてナトリウムメトキシド)で処理することを含む、方法を提供する。アルコキシドからのカチオンは、IP酸と相互作用して、望ましいカチオン:IP化学量論(例えば、ナトリウム/ホスフェート比が1:1であるNaIP)を有する精製したIP塩生成物が得られる。
【0086】
[0130]元の製造プロセスは、2-ステッププロセス(図3を参照されたい)であった一方、現在のプロセスは、(1)カチオン除去ステップ(a)から(b)、(2)濃縮ステップ(b)から(c)、および(3)カチオン置換ステップ(c)から(d)を含む、3ステッププロセスである。
【0087】
[0131]本発明のいくつかの特定の態様では、可溶性IP塩調製方法は、NaIPの調製を対象とする。したがって、いくつかの態様では、本発明は、可溶性IP塩調製方法であって:
(a)Na12IP(例えば再結晶化したNa12IP)を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ;
(b)IP溶液を、例えばAMBERLITE(登録商標)樹脂を充填したイオン交換媒体に通過させるステップ;
(c)ステップ(b)から得られたイオン交換IP溶液を、蒸留(例えばロータリーエバポレーターにおいて)を経由して濃縮して、IPシロップを得るステップ;および、
(d)ナトリウムメトキシド(CHNaO)をIPシロップに添加して、NaIPを得るステップを含む、方法を提供する。図4および図5を参照されたい。
【0088】
[0132]いくつかの態様では、ステップ(b)のイオン交換媒体は、イオン交換クロマトグラフィー系において(例えばカラムにおいて)、(ii)イオン交換バッチプロセスにおいて、または(iii)pH調整系において実施される。
【0089】
[0133]本明細書で使用される「イオン交換クロマトグラフィー」または「IXC」という用語は、正味の表面電荷の差に基づいて分子を分離するための方法を指す。IXCは、表面電荷とpHとの間における関係が、特定の分子に特有であることを利用している。IXC分離では、荷電分子と逆荷電IXC媒体との間における可逆性相互反応は、特定の分子の結合または溶出を優先すること、ならびに分離を達成することにより制御される。IXC媒体は、負または正に荷電したイオン性基で置換される球形粒子のマトリックスを含む。マトリックスは、通常、高い内部表面積を得るように多孔性である。媒体は、カラムに詰めて、充填層を形成することができる。層は、次いで、マトリックスの細孔および粒子間の空間を満たす緩衝液で平衡を保つ。Ninfa Aら、Fundamental Laboratory Approaches for Biochemistry and Biotechnology(John Wiley & Co、Hoboken、NJ、USA、2010年)を参照されたい。
【0090】
[0134]本明細書で使用されている、「イオン交換バッチ法」または「バッチ法」という用語は、分離が閉鎖系(例えば反応器)で発生するイオン交換分離技術に関する。したがって、イオン交換カラムのように、マトリックスを通した追加の検体の流入は利用できない。この技術では、イオン交換マトリックスおよび検体溶液は、これらが平衡に達するまでバッチ容器で混合される。次いで、マトリックスは、溶液から濾別され、洗浄され、特別な系において再生されて、目的の分子を収集する。
【0091】
[0135]本明細書で使用される「pH調整系」という用語は、目的の分子がイオン交換マトリックスに付着する強度を調節するための検体溶液のpHにおける変化の使用を指す。この操作により、目的の分子の随意の同定および放出が可能になり得る。
【0092】
[0136]いくつかの態様では、ステップ(a)および(b)のIP溶液は、IPの十二ナトリウム塩(例えばNa12IP)を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。他の態様では、ステップ(a)および(b)のIP溶液は、IPの十ナトリウム塩(例えばNa10IP)、IPの六カリウム塩(例えばKIP)、IPの十二カリウム塩(例えばK12IP)またはIPの十二アンモニウム塩(例えば(NH12IP)を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる。他の態様では、ステップ(a)および(b)のIP溶液は、IPの六ナトリウム塩(例えばNaIP)を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。他の態様では、ステップ(a)および(b)のIP溶液は、IPの四カリウム塩(例えばKIP)、IPの五ナトリウム塩(例えばNaIP)、IPの六カリウム塩(例えばKIP)またはIPの六アンモニウム塩(例えば(NHIP)を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる。
【0093】
[0137]いくつかの態様では、ステップ(b)から得られたイオン交換したIP溶液およびステップ(c)のIPシロップは、IPの六ナトリウム塩(例えばNaIP)を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。他の態様では、ステップ(b)から得られたイオン交換したIP溶液およびステップ(c)のIPシロップは、IPの四カリウム塩(例えばKIP)、IPの五ナトリウム塩(例えばNaIP)、IPの六カリウム塩(例えばKIP)またはIPの六アンモニウム塩(例えば(NHIP)を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる。
【0094】
[0138]いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、約55℃以下でIP溶液を蒸留することにより実施される。いくつかの追加の態様では、ステップ(c)は、約25℃から約55℃でIP溶液を蒸留することにより実施される。いくつかのさらなる態様では、ステップ(c)は、約40℃から約45℃でIP溶液を蒸留することにより実施される。いくつかのさらなる態様では、ステップ(c)は、約40℃でIP溶液を蒸留することにより実施される。
【0095】
[0139]いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、約25℃で、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃または約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃または約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃または約55℃でIP溶液を蒸留することにより実施される。いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、約40℃未満、約39℃未満、約38℃未満、約37℃未満、約36℃未満、約35℃未満、約34℃未満、約33℃未満、約32℃未満、約31℃未満、約30℃未満、約29℃未満、約28℃未満、約27℃未満、約26℃未満または約25℃未満の温度でIP溶液を蒸留することにより実施される。いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、約20℃から約25℃、約25℃から約30℃、約30℃から約35℃、約35℃から約40℃、約40℃から約45℃、約45℃から約50℃または約50℃から約55℃の温度でIP溶液を蒸留することにより実施される。
【0096】
[0140]いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、IP溶液を約16時間以下蒸留することにより実施される。いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、IP溶液を約1時間から約16時間蒸留することにより実施される。いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、IP溶液を約12時間から約14時間蒸留することにより実施される。いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、IP溶液を約16時間、約15時間、約14時間、約13時間、約12時間、約11時間、約10時間、約9時間、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間または約1時間蒸留することにより実施される。いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、IP溶液を約1時間から約2時間、約2時間から約3時間、約3時間から約4時間、約4時間から約5時間、約5時間から約6時間、約6時間から約7時間、約7時間から約8時間、約8時間から約9時間、約9時間から約10時間、約10時間から約11時間、約11時間から約12時間、約12時間から約13時間、約13時間から約14時間、約14時間から約15時間または約15時間から約16時間蒸留することにより実施される。
【0097】
[0141]いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、IP溶液を真空下で蒸留することにより実施される。いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、IP溶液を、真空下で、約1mbar、約0.9mbar、約0.8mbar、約0.7mbar、約0.6mbar、約0.5mbar、約0.4mbar、約0.3mbar、約0.2mbar、約0.1、約0.09mbar、約0.08mbar、約0.07mbar、約0.06mbar、約0.05mbar、約0.04mbar、約0.03mbar、約0.02mbarまたは約0.01mbarの圧力で蒸留することにより実施される。いくつかの態様では、ステップ(c)の濃縮は、IP溶液を、真空下で、約1mbar未満、約0.9mbar未満、約0.8mbar未満、約0.7mbar未満、約0.6mbar未満、約0.5mbar未満、約0.4mbar未満、約0.3mbar未満、約0.2mbar未満、約0.1未満、約0.09mbar未満、約0.08mbar未満、約0.07mbar未満、約0.06mbar未満、約0.05mbar未満、約0.04mbar未満、約0.03mbar未満、約0.02mbar未満または約0.01mbar未満の圧力で蒸留することにより実施される。
【0098】
[0142]いくつかの態様では、IPシロップの水分量は約30%から60%(w/w)である。いくつかの態様では、IPシロップの水分量は、約40%から約45%(w/w)である。本明細書で使用される、「シロップ」という用語は、本発明のIP塩(例えばNaIP)の濃縮溶液を指す。いくつかの態様では、IPシロップの水分量は、少なくとも約40%(w/w)、少なくとも約41%(w/w)、少なくとも約42%(w/w)、少なくとも約43%(w/w)、少なくとも約44%(w/w)、少なくとも約45%(w/w)、少なくとも約46%(w/w)、少なくとも約47%(w/w)、少なくとも約48%(w/w)、少なくとも約49%(w/w)、少なくとも約50%(w/w)、少なくとも約51%(w/w)、少なくとも約52%(w/w)、少なくとも約53%(w/w)、少なくとも約54%(w/w)、少なくとも約55%(w/w)、少なくとも約56%(w/w)、少なくとも約57%(w/w)、少なくとも約58%(w/w)、少なくとも約59%(w/w)または少なくとも約60%(w/w)である。
【0099】
[0143]いくつかの態様では、IPシロップの水分量は、約40%(w/w)、約41%(w/w)、約42%(w/w)、約43%(w/w)、約44%(w/w)、約45%(w/w)、約46%(w/w)、約47%(w/w)、約48%(w/w)、約49%(w/w)、約50%(w/w)、約51%(w/w)、約52%(w/w)、約53%(w/w)、約54%(w/w)、約55%(w/w)、約56%(w/w)、約57%(w/w)、約58%(w/w)、約59%(w/w)または約60%(w/w)である。
【0100】
[0144]いくつかの態様では、IPシロップの水分量は、約40%から約45%(w/w)である。いくつかの態様では、IPシロップの水分量は、約40%から約42%(w/w)、約42%から約44%(w/w)、約44%から約46%(w/w)、約46%から約48%(w/w)、約48%から約50%(w/w)、約50%から約52%(w/w)、約52%から約54%(w/w)、約54%から約56%(w/w)、約56%から約58%(w/w)または約58%から約60%(w/w)である。いくつかの態様では、IPシロップの水分量は、約45%から約50%(w/w)、約50%から約55%(w/w)または約55%から約60%(w/w)である。
【0101】
[0145]いくつかの態様では、アルコキシドは、C~Cアルコキシド(例えばメトキシド、エトキシド、ter-ブトキシド、イソプロキシド(isoproxide)またはそれらの任意の組合せ)である。いくつかの態様では、アルコキシドは、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムter-ブトキシド、カリウムter-ブトキシド、ナトリウムイソプロキシド、カリウムイソプロキシドまたはそれらの任意の組合せである。いくつかの態様では、C~Cアルコキシドは、CHNaO、CHCHNaO、CHKO、CHCHKOまたはそれらの任意の組合せである。
【0102】
[0146]いくつかの態様では、ステップ(d)は、約pH4.0から約pH5.5のpHで実施される。いくつかの態様では、ステップ(d)は、約4.0、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4または約5.5のpHで実施される。いくつかの態様では、ステップ(d)は、約pH4.1から約pH5.4、約pH4.2から約pH5.3、約pH4.3から約pH5.2、約pH4.4から約pH5.1、約pH4.5から約pH5.0、約pH4.6から約pH4.9、約pH4.7から約pH4.8のpHで実施される。いくつかの態様では、ステップ(d)は、約pH4.0から約pH4.5、約pH4.5から約pH5.0、約pH5.0から約pH5.5、約pH4.4から約pH4.7、約pH4.3から約pH4.6、約pH4.4から約pH4.8または約pH4.5から約pH4.9のpHで実施される。
【0103】
[0147]いくつかの態様では、エタノールは、ステップ(d)においてIPシロップ(例えばIPシロップ)に添加され、続いてアルコキシド(例えばナトリウムメトキシド)が添加され、これが、可溶性IP塩(例えばNaIP)の沈殿を引き起こす。いくつかの態様では、沈殿した可溶性IP塩(例えばNaIP)を、アセトン(例えば2体積のアセトン)を添加することにより再度スラリー化する。
【0104】
[0148]いくつかの態様では、上記のイノシトールホスフェート(IP)の可溶性塩を調製するための方法は、ステップ(d)の可溶性IP塩を乾燥させるステップ(e)をさらに含む。いくつかの態様では、ステップ(e)の乾燥させるステップは、噴霧乾燥させるステップを含む。いくつかの態様では、ステップ(d)の可溶性IP塩は、精製される。
【0105】
[0149]いくつかの態様では、ステップ(a)の可溶性IP塩は、上で開示されている再結晶化方法(recrystallization processed)に従って前もって精製されている。いくつかの態様では、ステップ(d)または(e)の可溶性IP塩は、上で開示されている再結晶化方法に従ってさらに精製される。
【0106】
[0150]本明細書で開示される方法のいくつかの態様では、IPは、1から6個のリン酸基を含有する。いくつかの態様では、IPは、7から8個(between 7 or 8)のリン酸基を含有する(例えばリン酸基は、イノシトールホスフェートスキャフォールドに既に連結している別のリン酸基に付着する)。いくつかの態様では、IPは、イノシトールヘキサホスフェートからなる、またはそれから本質的になる。いくつかの態様では、イノシトールヘキサホスフェートは、ミオイノシトールヘキサホスフェートである。
【0107】
[0151]いくつかの態様では、IP塩(例えばミオイノシトールヘキサホスフェートの塩)は、少なくとも1つの一価カチオンを含有する。いくつかの態様では、IP塩は、少なくとも1つの第1族元素のアルカリ金属カチオン(例えばNaまたはK)を含有する。いくつかの態様では、IP塩は、少なくとも1つのアンモニウムカチオン(すなわち、NH )を含有する。いくつかの特定の態様では、第1族元素のアルカリ金属は、ナトリウムである。他の態様では、第1族元素のアルカリ金属は、カリウムである。いくつかの態様では、第1族元素のアルカリ金属は、ナトリウムおよびカリウムの組合せである。いくつかの態様では、例えばミオイノシトールヘキサホスフェートの塩におけるナトリウム対カリウムの比は、1:5、2:4、3:3、4:2または5:1(ナトリウム:カリウム)である。
【0108】
[0152]本発明は、上記の方法に従って得られる精製した可溶性IP塩を提供する。いくつかの態様では、精製した可溶性IP塩は、一価カチオン性イノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP)である。特定の態様では、精製した可溶性IP塩は、NaIPである。
【0109】
[0153]本発明は、本明細書で開示される方法に従って調製したIP塩の特性である、特定の程度の純度および特定の不純物プロファイルを有するIP塩も提供する。したがって、本発明は、少なくとも70%(w/w)純粋であるIP塩であって:
[0154](i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦2.0%(w/w)、
[0155](ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦4.0%(w/w)、
[0156](iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦5.0%(w/w)、および、
[0157](iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦3.0%(w/w)を含むことを特徴とするIP塩を提供する。
【0110】
[0158]少なくとも80%(w/w)純粋であるIP塩であって:
[0159](i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦1.4%(w/w)、
[0160](ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦2.1%(w/w)、
[0161](iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦2.6%(w/w)、および、
[0162](iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦0.52%(w/w)を含むことを特徴とするIP塩も提供される。
【0111】
[0163]いくつかの態様では、上のIP塩は、ナトリウムIP塩である。いくつかのさらなる態様では、IP塩は、六ナトリウムIP塩である。
【0112】
[0164]いくつかの態様では、本発明は、精製したIP可溶性塩を生成する方法であって:
[0165](1)水分量≧40% w/w、好ましくは40%から50%もしくは40%から45%を有するIPシロップ(例えばIPシロップ)を生成するステップ);
[0166](2)温度45℃未満で、好ましくは約40℃でIPシロップ(例えばIPシロップ)を12時間から14時間以内に蒸留するステップ;
[0167](3)アルコキシドをIPシロップ(例えばIPシロップ)に添加し、アルコキシドがCHNaOもしくはCHCHNaOであるステップ;
[0168](4)アルコキシド(例えばCHNaO)をIPシロップ(例えばIPシロップ)にpH4.5が達成されるまで、例えばpHがpH4.0からpH5.5になるまで、好ましくはpHがpH4.5からpH5.3になるまで、およびより好ましくはpHが4.5になるまで添加するステップ;または、
[0169](5)それらの任意の組合せを含む、方法を提供する。
【0113】
[0170]本明細書に記載されている製造方法中に実施される工程内管理試験(IPC)は、生成物の純度、収率および完全性をモニタリングする手段を提供することが意図されており、方法の開発および最適化からより多くの経験および情報が得られたので、時間に沿って発展した。
【0114】
[0171]いくつかの態様では、本発明は、可溶性IP塩、例えばNaIPを調製する方法であって、いくつかの内部プロセス管理ポイント(IPC1~9)を含む、方法を提供し、前記試験は、プロセスの生産量を最適化するために行われる。図4および以下の表を参照されたい。
【0115】
【表1】
【0116】
[0172]いくつかの態様では、本発明は、精製した可溶性IP塩、例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIPを調製する方法であって、いくつかの内部プロセス管理ポイント(IPC1~5B)を含む、方法を提供し、前記試験は、プロセスの生産量を最適化するために行われる。図5および以下の表を参照されたい。
【0117】
【表2】
【0118】
[0173]したがって、本発明は、精製した可溶性IP塩、例えばNaIP、NaIP、KIP、KIP、(NHIP)を調製する方法であって、例えば上で開示されているステップ(a)~(d)または(a)~(e)のプロセスのいずれかを含む、方法を提供し、いくつかの態様では本明細書で開示される再結晶化方法であって、開示される内部プロセス管理ポイント(IPC)および合格基準またはそれらの任意の組合せを含む、方法をさらに含む。
【0119】
[0174]本発明は、本明細書で開示される方法のいずれかに従って生成されるIP塩、例えば開示される方法のいずれか1つに従って調製されるNaIP塩、またはその塩の混合物を含む医薬組成物も提供する。いくつかの態様では、医薬組成物は注入可能である。いくつかの態様では、医薬組成物は非経口投与される。いくつかの態様では、非経口投与は静脈内である。いくつかの態様では、静脈内投与は、ボーラス注入による。いくつかの態様では、静脈内投与は、静脈内点滴を経由する。
【0120】
[0175]本発明は、(i)本明細書で開示される方法のいずれかに従って生成されるIP塩、例えば開示される方法のいずれか1つに従って調製されるNaIP塩、またはその塩の混合物を含む組成物、および(ii)少なくとも第2の治療剤または処置を含む、組合せ処置も提供する。
【0121】
[0176]本発明は、(i)本明細書で開示される方法のいずれかに従って生成されるIP塩、例えば開示される方法のいずれか1つに従って調製されるNaIP塩、またはその塩の混合物を含む組成物、および(ii)使用説明書、例えばそれを必要とする対象への投与説明書を含む、キットまたは製造物品も提供する。
【0122】
[0177]本発明は、異所性石灰化またはその結果の処置または防止を、それを必要とする対象においてするための方法であって、本明細書で開示される方法のいずれかに従って調製したIP塩(例えばNaIP)、またはその塩の混合物を含む治療剤または予防剤を含む組成物を投与するステップを含む、方法も提供する。いくつかの態様では、対象は血液透析を受けている。いくつかの態様では、対象は末期腎疾患を有する。
3.イノシトールホスフェート(IP)
[0178]本発明のいくつかの態様では、本明細書で開示される方法およびその変形は、高度な純度を有する他のイノシトールホスフェート(IP)塩を得るために使用され得る。例えば、式AIPのイノシトールホスフェートIPからIPでは、式中、(i)Aは、一価カチオン、例えばアルカリカチオン(例えばNaまたはK)、アンモニウム(すなわち、NH )またはそれらの組合せであり)、(ii)yは、1から6の整数であり、(iii)xは、1から12の整数であり、これは、式AIPの化合物が供給源材料から再結晶化され、式BIP(式中、zは、1から12の整数である)化合物を得るために処理されるプロセスを経由して、式BIPのイノシトールホスフェートを生成するために使用され得る。いくつかの態様では、Bは、A(すなわち、出発材料および最終製品は、同一の一価カチオンを有する)と同一であり得る、または同一であり得ない(すなわち、出発材料および最終製品は、異なる一価カチオンを有する)。
【0123】
[0179]いくつかの態様では、式AIPの化合物は、他の箇所で開示されるように、六環式(イノシトール)環であり得るが、他の環の大きさが想定され(例えば5または7員炭素環)、ならびに6個超のリン酸基を有する六環式環(例えばIP、IP)である。いくつかの態様では、上の式におけるPは、ホスフェート、スルフェート、チオホスフェートまたはそれらの任意の組合せであり得る。
【0124】
[0180]したがって、いくつかの態様では、本発明のイノシトールリン酸は、本明細書で開示される方法に従って調製した、式Iの化合物の医薬として許容できる塩(例えばナトリウム塩またはカリウム塩)またはそれらの組合せ、例えばNaIP
【0125】
【化2】
【0126】
[0181](式中、
[0182](i)R、R、R、R、RおよびR11の少なくとも1つは、独立して、OH、式IIの化合物または式IIIの化合物または式IVに対する化合物を表し:
【0127】
【化3】
【0128】
[0183](ii)R、R、R、R、R10、R12およびR13は、Hを表し;
[0184](iii)R、R、R、R、RおよびR11の少なくとも1つは、式II、式IIIまたは式IVの化合物を表し、また
[0185](iv)R、R、R、R、RおよびR11の0、1または2つは、異種部分を表す)を含む。
【0129】
[0186]本明細書で開示される式は、任意のジアステレオ異性体を包含することを意味する。
【0130】
[0187]いくつかの態様では、R、R、R、R、RおよびR11の少なくとも1つは、独立して、H、-X、-OX、-NHX、-NX、-SX、-OSOHX、-OSOまたは式II、式IIIもしくは式IVの化合物を表し、式中、各Xは、独立して、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニルまたはCyを表し、C1~30アルキル、C2~30アルケニルおよびC2~30アルキニルは、独立して、任意選択で1つまたは複数のR14で置換されており、Cyは、任意選択で、1つまたは複数のR15により置換されており;Cyは、飽和、部分的に不飽和または芳香族であり得る炭素環式またはヘテロ環式3-から10-員環を表し、前記ヘテロ環は、O、SおよびNの中から選択される1から4個のヘテロ原子を有し、前記環は、任意の利用できるC原子を経由して分子の残部に結合し得、Cyは、任意選択で1から4、5-または6-員環の、それぞれ飽和、部分的に不飽和または芳香族炭素環式またはヘテロ環式の環に縮合し、前記縮合されたヘテロ環は、O、NおよびSの中から選択される1または2個のヘテロ原子を含有し得;各R13は、独立して、H、C1~30アルキル、-NH、-NHC1~30アルキルまたはN(C1~30アルキル)を表し、各C1~30アルキルは、独立して、任意選択で1個または複数のハロゲン、-OH、-CNおよび-NO基で置換されており;各R14およびR15は、独立して、-OH、C1~30アルコキシ、C1~30アルキルチオニル(alkyithionyl)、C1~30アシルオキシ、ホスフェート、ハロゲン、トリハロC1~30アルキル、ニトリルアジドを表す。
【0131】
[0188]いくつかの態様では、各Xは、独立して、H、C1~30アルキルまたはCyを表し、C1~30アルキルは、任意選択で、1つまたは複数のR14により置換されており、Cyは、任意選択で、1つまたは複数のR15により置換されており;各R14およびR15は、独立して、-OH、C1~30アルコキシ、C1~30アルキルチオニル、C1~30アシルオキシ、ホスフェート、ハロゲン、トリハロC1~30アルキル、ニトリルまたはアジドを表す。いくつかの態様では、各Xは、H、C1~30アルキルまたはCyを表す。いくつかの態様では、各Xは、Hを表す。
【0132】
[0189]いくつかの態様では、R、R、R、R、RおよびR11の少なくとも1つの基は、独立して、式II、式IIIまたは式IVの化合物を表し、各R13は、独立して、H、C1~30アルキル、-NH、-NHC1~30アルキルまたは-N(C1~30アルキル)を表し、各C1~30アルキルは、独立して、任意選択で、1個または複数のハロゲン、-OH、-CNおよび-NO基により置換されており;R、R、R、R、R10およびR12は、独立して、Hを表す。
【0133】
[0190]別の態様では、R、R、R、R、RおよびR11は、独立して、式II、式IIIまたは式IVの化合物を表し、各R13は、独立して、HまたはC1~30アルキルを表し、各C1~30アルキルは、独立して、任意選択で1個または複数のハロゲン、-OH、-CNおよび-NO基により置換されており;R、R、R、R、R10およびR12は、独立して、Hを表す。
【0134】
[0191]別の態様では、R、R、R、R、RおよびR11は、独立して、式II、式IIIまたは式IVの化合物を表し、各R13は、独立して、HまたはC1~30アルキルを表し;R、R、R、R、R10およびR12は、独立して、Hを表す。
【0135】
[0192]別の態様では、R、R、R、R、RおよびR11は、独立して、式II、式IIIまたは式IVの化合物を表し、各Rは、独立して、Hを表し;R、R、R、R、R10およびR12は、独立して、Hを表す。
【0136】
[0193]特定の態様では、化合物は、イノシトールヘキサホスフェート(IP)である。いくつかの態様では、化合物は、IPまたはIPを含む。イノシトールは、分子の任意の異性体形態を意味すると仮定される。
【0137】
[0194]式Iのすべての化合物は、C-O-PまたはC-O-S結合を含有し、これにより、化合物にカルシウム含有結晶に対する親和性が付与され、結合はin vivoで加水分解されるのに十分なほど不安定になり、それにより、カルシウム含有結晶、例えば骨におけるヒドロキシアパタイト(HAP)への不可逆的結合を防止するが、前記化合物は、体では加水分解できないP-C-P結合を含有するので、不可逆的結合は、長期間投与されたビスホスホネートのように、骨の再形成に悪影響を及ぼし得る。前記C-O-P結合を含有しないリン酸化化合物、例えばピロホスフェートである他の極端な例では、そのP-O-P結合は、腸であまりに容易に加水分解されることを意味し、したがって非経口投与しか実現可能ではないことを意味する。
【0138】
[0195]C-O-P結合、C-O-S結合、およびそれらの組合せを有する本発明の化合物は、その効き目、および体が前記化合物を除去する、したがって副作用の危険性を低下させるための機序を提示することから、十分な中間点を表す(例えばP-C-P結合を有する化合物は、in vivoで、それにより例えば骨再形成に影響を与える数カ月の半減期を提示し得る)。
【0139】
[0196]本発明に関連する「アルキル」または「アルキル基」という用語は、直鎖、分岐、環状または直鎖もしくは分岐側鎖を有する環状であり得る飽和炭化水素部分を指す。アルキルという用語は、部分的不飽和炭化水素、例えばプロペニルを含む。例は、メチル、エチル、n-またはイソブチル、n-またはシクロヘキシルである。アルキルという用語は、ヘテロ原子により連結または架橋するアルキル基にまで及び得る。本発明に関連するヘテロ原子は、窒素(N)、硫黄(S)および酸素(O)である。
【0140】
[0197]「アミン官能基」または「アミン基」は、官能基NR’R’’であり、R’およびR’’は、水素およびC~Cアルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、R’およびR’’は、水素およびC~Cアルキルから選択される。「ヒドロキシ官能基」または「ヒドロキシ基」は、OHである。「チオール官能基」または「チオール基」は、SHである。「カルボン酸官能基」または「カルボン酸基」は、COOHまたはそのアニオン、COOである。「カルボン酸アミド」は、CONR’R’’であり、R’およびR’’は、独立して、上で指し示されている意味を有する。「スルホン酸」は、SOHである。「スルホン酸アミド」は、SONR’R’’であり、R’およびR’’は、独立して、上で指し示されている意味を有する。
【0141】
[0198]本発明に関連する「C~Cアルキル」は、1、2または3個の炭素原子有する飽和直鎖または分岐炭化水素を指し、1つの炭素-炭素結合は、不飽和であり得、1つのCH部分は、酸素(エーテル架橋)で交換され得る。C~Cアルキルに対する非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、プロパ-2-エニルおよびプロパ-2-イニルである。
【0142】
[0199]本発明に関連する「C~Cアルキル」は、1、2、3、4または5個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐炭化水素を指し、1または2つの炭素-炭素結合は、不飽和であり得、1つのCH部分は、酸素(エーテル架橋)で交換され得る。C~Cアルキルに対する非限定的な例は、上のC~Cアルキル、またさらにn-ブチル、2-メチルプロピル、tert-ブチル、3-メチルブタ-2-エニル、2-メチルブタ-3-エニル、3-メチルブタ-3-エニル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ブタ-3-エニル、ブタ-3-イニルおよびペンタ-4-イニルについて示されている例を含む。
【0143】
[0200]本発明に関連する「C~C10アルキル」は、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐炭化水素を指し、1、2または3つの炭素-炭素結合は、不飽和であり得、1つのCH部分は、酸素(エーテル架橋)で交換され得る。
【0144】
[0201]基または基の一部としての「C1~30アルキル」という用語は、とりわけ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシルおよびドデシル基を含む、1から30個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルキル基を指す。
【0145】
[0202]「C2~30アルケニル」という用語は、2から30個の炭素原子を含有し、1つまたは複数の二重結合も含有する直鎖または分岐アルキル鎖を指す。例は、とりわけ、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニルおよび1,3-ブタジエニルを含む。
【0146】
[0203]「C2~30アルキニル」という用語は、2から30個の炭素原子を含有し、1つまたは複数の三重結合も含有する直鎖または分岐アルキル鎖を指す。例は、とりわけ、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニルおよび1,3-ブタジニル(butadiynyl)を含む。
【0147】
[0204]「Cy基」は、飽和、部分的不飽和または芳香族であり得、任意の利用できるC原子を経由して分子の残部に結合する3-から10-員炭素環式またはヘテロ環式環を指す。ヘテロ環式の場合、Cyは、N、OおよびSの中から選択される1から4個のヘテロ原子を含有する。さらに、Cyは、任意選択で、飽和、部分的不飽和または芳香族であり得る4、5-または6-員環までの炭素環式またはヘテロ環式環と縮合し得る。
【0148】
[0205]縮合環がヘテロ環である場合、前記環は、N、OおよびSの中から選択される1または2個のヘテロ原子を含有する。Cyの例は、とりわけ、フェニル、ナフチル、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、テトラゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アゼチジニルおよびアジリジニルを含む。
【0149】
[0206]基または基の一部としての「C1~30アルコキシ基」は、-OC1~30アルキル基を指し、C1~30アルキル部分は、上のものと同一の意味を有する。例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシを含む。
【0150】
[0207]基または基の一部としての「C1~30アルキルチオニル基」は、-SOC1~30アルキル基を指し、C1~30アルキル部分は、上のものと同一の意味を有する。例は、メチルチオニル、エチルチオニル、プロピルチオニル(propyithionyl)、イソプロピルチオニル(isopropyithionyl)、ブチルチオニル、イソブチルチオニル(isobutyithionyl)、sec-ブチルチオニル、およびtert-ブチルチオニルを含む。
【0151】
[0208]基または基の一部としての「C1~30アシルオキシ基」は、-COC1~30アルキル基を指し、C1~30アルキル部分は、上のものと同一の意味を有する。例は、アセチル、エタノイル、プロパノイルおよび2,2-ジイソプロピルペンタノイルを含む。
【0152】
[0209]「ハロゲンラジカル」またはハロというその略語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
【0153】
[0210]「トリハロC1~30アルキル基」は、C1~30アルキル基の3個の水素原子の、上で定義されている3個のハロゲンラジカルによる置換から生じた基を指す。例は、とりわけ、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロメチル、トリヨードメチル、トリフルオロエチル、トリブロモエチル、トリクロロエチル、トリヨードエチル、トリブロモプロピル、トリクロロプロピル、およびトリヨードプロピルを含む。
【0154】
[0211]「-NHC1~30アルキル基」は、-NH基の1個の水素原子の、上で定義されているC1~30アルキル基による置換から生じた基を指す。例は、とりわけ、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、およびペンチルアミンを含む。
【0155】
[0212]「-N(C1~30アルキル)基」は、-NH基の2個の水素原子の、上で定義されているC1~30アルキル基による置換から生じた基を指す。例は、とりわけ、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、およびジイソブチルアミンを含む。
【0156】
[0213]「任意選択で、1つまたは複数により置換されている」という表現は、基が、1個または複数の置換基により、例えば1、2、3または4個の置換基により置換され得る可能性を意味する。いくつかの態様では、基は、1、2または3個の置換基、またさらに、1または2個の置換基により置換され得るが、但し、基が、利用できる、置換可能な位置を十分に有することを条件とする。存在する場合、置換基は、同一であり得、または異なり得、任意の利用できる位置に位置し得る。
【0157】
[0214]いくつかの態様では、例えば本明細書で開示される製造方法および組成物に使用される本発明のイノシトールホスフェートは、WO2017098033およびWO2017098047、およびUS9358243で開示される化合物の塩(例えばナトリウムまたはカリウム塩)を含む。
【0158】
[0215]いくつかの態様では、例えば本明細書で開示される方法および組成物に使用されるイノシトールホスフェート、イノシトールホスフェート類似体、およびそれらの誘導体は、式(V)、式(VI)または式(VII):
【0159】
【化4】
【0160】
[0216](式中、
[0217]各Xは、独立して、OPO 2-、OPSO 2-またはOSO から選択され;
[0218]Zは、1から3個の炭素および/またはヘテロ原子を含み、任意選択でX基を含むアルキル鎖であり、Xは、OPO 2-、OPSO 2-またはOSO からも選択され;
[0219]Rは、任意選択の異種部分である)の化合物を含む。いくつかの態様では、分子は、1つ超の異種部分を含み、このケースでは、異種部分は、同一であり得る、または異なり得る。
【0161】
[0220]いくつかの態様では、式(V)に使用されているZは、CH、CHX、CHR、CXR、CH-CH、CH-CHX、CHX-CHX、CHR-CHX、CXR-CHX、CHR-CH、CXR-CH、CHR-CHOH、CH-CH-CH、CH-O-CH、CHOH-CH-CH、CHOH-CHOH-CHR、CHOH-CHR-CHOH、CHX-CH-CH、CH-CHX-CH、CHX-CHX-CH、CHX-CH-CHXまたはCHX-CHR-CHXであり、Xは、独立して、OPO 2-、OPSO 2-、およびOSO から選択される。
【0162】
[0221]いくつかの態様では、式(V)に使用されているZは、(CHX)CHX(CHX)であり;pおよびqは、それぞれもう一方から独立して、0から2の値を有するが、但し、(p+q)が、0、1または2の値を有することを条件とし;1または2または3つのXが、異種部分(例えばPEG)であり得、残りのXが、独立して、OPO 2-、OPSO 2-、およびOSO から選択される。いくつかの態様では、ZのXが、OPO 2-であるがすべてではない。いくつかの態様では、ZのXが、OSO であるがすべてではない。
【0163】
[0222]いくつかの態様では、式(V)、式(VI)または式(VII)の化合物における1、2または3つのXは、異種部分であり得、残りのXが、独立して、OPO 2-、OPSO 2-またはOSO から選択され得る。
【0164】
[0223]上の式(V)は、5-員環、6-員環または7-員環のアルキル環について記載し、任意選択の異種部分(複数可)は、環を形成する炭素原子の1個に付着している。
【0165】
[0224]いくつかの態様では、例えば本明細書で開示される製造方法および組成物に使用されるイノシトールホスフェート、イノシトールホスフェート類似体、およびそれらの誘導体は、式(VIII)または式(IX):
【0166】
【化5】
【0167】
[0225](式中:
[0226](a)Xは、OSO であり、X、X、X、XおよびXは、独立して、OPO 2-、OPSO 2-またはOSO から選択され;
[0227](b)X、XおよびXは、OPO 2-であり、X、XおよびXは、OSO であり;
[0228](c)X、XおよびXは、OSO であり、X、XおよびXは、OPO 2-であり;
[0229](d)X、XおよびXは、OSO であり、X、XおよびXは、OPO 2-であり;
[0230](e)X、XおよびXは、OPO 2-であり、X、XおよびXは、OSO であり;
[0231](f)XおよびXは、OPO 2-であり、X、X、X、およびXは、OPO であり;
[0232](g)XおよびXは、OSO であり、X、X、X、およびXは、OPO 2-であり;
[0233](h)XおよびXは、OPO 2-であり、X、X、X、およびXは、OSO であり;または、
[0234](i)XおよびXは、OSO であり、X、X、X、およびXは、OPO 2-である)の化合物を含む。
【0168】
[0235]いくつかの態様では、本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)またはその代謝産物は、US9612250で開示される方法を使用して検出および/または定量され得る。US8377909、US8778912およびUS20070066574も参照されたい。
【0169】
[0236]いくつかの態様では、本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP)は、イオン交換クロマトグラフィーアッセイが行われる場合、フィチン酸ピークで約51.4分の保持時間を有することを特徴とする。
【0170】
[0237]本明細書で開示される化合物(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したイノシトールホスフェート塩)は、医薬技術に普通使用される任意の形態で存在し得る。特定の態様は、イノシトールホスフェートの一価(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム)および二価(例えばマグネシウム)塩、ならびにそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。他の医薬として許容できる塩は、当業者に公知である(Haynes Dら、J. Pharmaceutical Sci. 2005年;94:2111~2120頁。
4.医薬組成物
[0238]本発明は、例えば二価イオンのキレート化が望ましい、疾患および状態を処置する医薬組成物も提供する。本明細書で提供される医薬組成物は、例えば病理学的石灰化の処置または防止、病理学的石灰化(例えば異所性石灰化)に関連する疾患または状態の処置、あるいは続発症、合併症または疾患もしくは状態の症状の処置であって、そのような続発症、合併症または症状が石灰化(例えば透析に関連する石灰化)である、処置にも使用され得る。
【0171】
[0239]いくつかの態様では、医薬組成物は、本発明の少なくとも1つのイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)を含む。いくつかの態様では、医薬組成物は、1つまたは複数の医薬として許容できる賦形剤または担体と共に、本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)を含む。
【0172】
[0240]本明細書で使用される「賦形剤」という用語は、医薬組成物の要素の吸収を助け、前記要素を安定させ、組成物の調製を活性化する、または助ける物質を指す。したがって、非経口配合物に使用される賦形剤の例は、抗微生物剤(例えば塩化ベンザルコニウム、メタクレゾール、チメロサール)、共溶媒(例えばエタノール)、緩衝液およびpH調整因子(例えばカーボネート、シトレート、ホスフェート溶液)を含むが、それらに限定されない。
【0173】
[0241]賦形剤のケースのように、「医薬として許容できるビヒクル」は、組成物中に含有される成分のいずれかを希釈するために、決定された体積または重量まで組成物に使用される物質である。医薬として許容できるビヒクルは、不活性物質、または本発明の医薬組成物を含む要素のいずれかに類似した作用を有する物質である。前記ビヒクルの役割は、他の要素の組み込みを可能とすること、より優れた投薬および投与を可能とすること、または整合性および形状を組成物に付与することである。
【0174】
[0242]医薬組成物は、およそ0.001%からおよそ95%活性成分(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP、単体、または例えば表1で開示されている1つまたは複数の治療剤との組合せ配合物で)を含み得る。いくつかの態様では、例えば本発明の医薬組成物は、およそ20%からおよそ90%の活性成分(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP、単体、または例えば表1で開示されている1つまたは複数の治療剤との組合せ配合物で)を含み得る。
【0175】
[0243]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、約0.001mg/mLから約100mg/mLである。特定の一態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、約20mg/mLから約90mg/mLである。
【0176】
[0244]特定の一態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、約20mg/mLである。別の特定の態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP6、(NHIP)の濃度は、約30mg/mLである。さらに別の特定の態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、約90mg/mLである。
【0177】
[0245]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、本発明のイノシトールホスフェート約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90または約100mg/mLである。
【0178】
[0246]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、本発明のイノシトールホスフェート約20mg/mLから約100mg/mL、約30mg/mLから約100mg/mL、約40mg/mLから約100mg/mL、約50mg/mLから約100mg/mL、約60mg/mLから約100mg/mL、約70mg/mLから約100mg/mL、約80mg/mLから約100mg/mLまたは約90mg/mLから約100mg/mLである。
【0179】
[0247]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、本発明のイノシトールホスフェート約10mg/mLから約20mg/mL、約10mg/mLから約30mg/mL、約10mg/mLから約40mg/mL、約10mg/mLから約50mg/mL、約10mg/mLから約60mg/mL、約10mg/mLから約70mg/mL、約10mg/mLから約80mg/mLまたは約10mg/mLから約90mg/mLである。
【0180】
[0248]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、本発明のイノシトールホスフェート約10mg/mLから約20mg/mL、約20mg/mLから約30mg/mL、約30mg/mLから約40mg/mL、約40mg/mLから約50mg/mL、約50mg/mLから約60mg/mL、約60mg/mLから約70mg/mL、約70mg/mLから約80mg/mL、約80mg/mLから約90mg/mLまたは約90mg/mLから約100mg/mLである。
【0181】
[0249]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、本発明のイノシトールホスフェート約10mg/mLから約30mg/mL、約20mg/mLから約40mg/mL、約30mg/mLから約50mg/mL、約40mg/mLから約60mg/mL、約50mg/mLから約70mg/mL、約60mg/mLから約80mg/mL、約70mg/mLから約90mg/mLまたは約80mg/mLから約100mg/mLである。
【0182】
[0250]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、本発明のイノシトールホスフェート約10mg/mLから約40mg/mL、約20mg/mLから約50mg/mL、約30mg/mLから約60mg/mL、約40mg/mLから約70mg/mL、約50mg/mLから約80mg/mL、約60mg/mLから約90mg/mLまたは約70mg/mLから約100mg/mLである。
【0183】
[0251]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、本発明のイノシトールホスフェート約10mg/mLから約50mg/mL、約20mg/mLから約60mg/mL、約30mg/mLから約70mg/mL、約40mg/mLから約80mg/mL、約50mg/mLから約90mg/mLまたは約60mg/mLから約100mg/mLである。
【0184】
[0252]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、本発明のイノシトールホスフェート約10mg/mLから約60mg/mL、約20mg/mLから約70mg/mL、約30mg/mLから約80mg/mL、約40mg/mLから約90mg/mLまたは約50mg/mLから約100mg/mLである。
【0185】
[0253]いくつかの態様では、水性医薬組成物中の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP、KIP、(NHIP)の濃度は、本発明のイノシトールホスフェート約10mg/mLから約55mg/mLであるまたは約55mg/mLから約100mg/mLである。
【0186】
[0254]いくつかの態様では、本発明の医薬組成物(例えばNaIPを含有する)は、イオン交換クロマトグラフィーアッセイが行われる場合、フィチン酸ピークで約51分の保持時間を有することを特徴とする。
【0187】
[0255]いくつかの態様では、本発明は:(a)約10mg/mLから約100mg/mLのNaIP、(b)約0.001mg/mLから50mg/mLの少なくとも1つの等張化剤、および(c)水を含む医薬組成物を対象とする。前記組成物は、安定な溶液であることを特徴とする(すなわち25℃、60% RH)。いくつかの態様では、組成物は、pH緩衝溶液をさらに含む。
【0188】
[0256]いくつかの態様では、組成物のNaIPは、少なくとも70%(w/w)純粋であること、および:(i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦2.0%(w/w)、(ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦4.0%(w/w)、(iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦5.0%(w/w)、および(iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦3.0%(w/w)を含むことを特徴とする。いくつかの態様では、組成物のNaIPは、少なくとも80%(w/w)純粋であること、および:(i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦1.4%(w/w)、(ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦2.1%(w/w)、(iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦2.6%(w/w)、および(iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦0.52%(w/w)を含むことを特徴とする。いくつかの態様では、組成物のNaIPは、本明細書で開示される方法に従って得られる。
【0189】
[0257]いくつかの態様では、組成物は、約20mg/mLから約90mg/mLのNaIPを含む。いくつかの追加の態様では、組成物は、約20mg/mL、約30mg/mLまたは約90mg/mLのNaIPを含む。
【0190】
[0258]本発明の医薬組成物に使用される等張化剤の例は、デキストロース、グリセリンおよび塩化ナトリウム、またはそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、作用剤は、塩化ナトリウム約0.01mg/mLから約10mg/mLの水溶液である。いくつかのさらなる態様では、作用剤は、塩化ナトリウム約9mg/mLの水溶液である。
【0191】
[0259]本発明の医薬組成物に使用されるpH緩衝溶液の例は、クエン酸、リン酸二ナトリウム二水和物、水酸化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、およびそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、組成物のpHは、Ph. Eur. 2.2.3に従って測定して、25℃で約5.0から約7.0である。いくつかの態様では、液体組成物のpHは、Ph. Eur. 2.2.3に従って測定して、25℃で約5.5から約6.5である。いくつかの態様では、組成物に使用されるpH緩衝溶液は、Ph. Eur. 2.2.3に従って測定して、25℃で5.0から約7.0のpHを有する水酸化ナトリウム溶液である。非経口投与に好適な医薬組成物の配合物は、活性成分、例えば本発明のイノシトールホスフェートを、医薬として許容できる担体、例えば無菌水または無菌等張生理食塩水と組み合わせて含む。そのような配合物は、ボーラス投与または連続投与に好適な形態で調製され得、包装され得または販売され得る。注入可能な配合物は、防腐剤を含有する単位剤形、例えばアンプルまたは複数回投与コンテナで調製され得、包装され得または販売され得る。非経口投与用の配合物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、エマルション、ペースト、および埋め込み可能な徐放性または生分解性配合物を含むが、それらに限定されない。そのような配合物は、懸濁化剤、安定化剤または分散剤を含むが、それらに限定されない1つまたは複数の追加の原料をさらに含み得る。
【0192】
[0260]いくつかの態様では、非経口投与用配合物では、活性成分(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)は、好適なビヒクル(例えば注入用水)を用いた再構成のために、再構成された組成物の非経口投与前に乾燥(すなわち、粉末または顆粒)形態で用意される。
【0193】
[0261]医薬組成物は、無菌注入可能な水性懸濁液または溶液の形態で調製され得、包装され得または販売され得る。この懸濁液または溶液は、公知の技術に従って配合され得、活性成分(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP、単体、または例えば表1で開示されている1つまたは複数の治療剤との組合せ配合物で)に加えて、本明細書に記載されている追加の原料、例えば分散剤、湿潤剤または懸濁化剤を含み得る。そのような無菌注入可能な配合物は、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒、例えば水を使用して調製され得る。他の許容できる希釈剤および溶媒は、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液を含むが、それらに限定されない。
【0194】
[0262]有用な他の非経口投与(parentally-administrable)配合物は、微結晶性形態の、リポソーム調製物における、または生分解性ポリマー系の成分としての活性成分を含むものを含む。徐放または埋め込み用組成物は、医薬として許容できるポリマー性または疎水性材料、例えばエマルション、イオン交換樹脂、難溶性ポリマーまたは難溶性塩を含み得る。
【0195】
[0263]本発明の医薬組成物(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIPを、単体、または例えば表1で開示されている1つまたは複数の治療剤との組合せ配合物で含む医薬組成物)の制御放出または徐放性配合物は、従来の技術を使用して作られ得る。いくつかのケースでは、使用される剤形は、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層コーティング、微小粒子、リポソームもしくはミクロスフェア、またはそれらの組合せを使用して、内部における1つまたは複数の活性成分の遅延放出または制御放出として用意して、望ましい放出プロファイルを様々な比率で得ることができる。
【0196】
[0264]本明細書に記載されているものを含む、当業者に公知である好適な制御放出配合物は、本発明の医薬組成物との使用に対して容易に選択され得る。したがって、非経口または局所投与に好適な単一の単位剤形、例えば制御放出に適合する注入可能な溶液、ゲル、クリーム、および軟膏が、本発明に包含される。
【0197】
[0265]大半の制御放出医薬製品は、制御できない製品により達成される治療を上回って、治療を改良する共通の目標を有する。理想的には、医学的処置における、最適に設計した制御放出調製物の使用は、最小限の治療剤を用いて、最小限の時間で状態を硬化または制御することを特徴とする。制御放出配合物の利点は、治療剤の活性延長、投与回数の減少、および服薬遵守の増加を含む。さらに、制御放出配合物を使用して、発症時期または他の特性、例えば治療剤の血液レベルに影響を与えることができ、ひいては副作用の発生に影響を与えることができる。
【0198】
[0266]大半の制御放出配合物は、望ましい治療効果を速やかに生成する一定量の治療剤を最初に放出するように、また、このレベルの治療効果を延長した時間にわたって維持する他の量の治療剤を徐々に、かつ頻繁に放出するように設計される。体内においてこの一定レベルの治療剤を維持するために、治療剤は、代謝され、体から排出される一定量の治療剤に置き換わる速度で、剤形から放出されなければならない。
【0199】
[0267]活性成分の制御放出は、様々な誘発要因、例えばpH、温度、酵素、水もしくは他の生理学的条件または化合物により刺激され得る。本発明に関連する「制御放出成分」という用語は、本明細書では、活性成分の制御放出を促進するポリマー、ポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、リポソームもしくはミクロスフェア、またはそれらの組合せ含むが、それらに限定されない化合物(複数可)と定義される。
【0200】
[0268]ある態様では、本発明の配合物は、それらに限定されないが、短期で迅速に相殺され得、また、制御、例えば持続放出、遅延放出および拍動性放出配合物であり得る。
【0201】
[0269]徐放という用語は、治療剤の段階的な放出を延長した時間にわたり生じ、また、必ずしもではないが、延長した時間にわたり実質的に一定の治療剤血液レベルをきたす治療剤配合物(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIPを、単体、または例えば表1で開示されている1つまたは複数の治療剤との組合せ配合物で含む医薬組成物)を指すように、その従来の意味で使用される。時間は、1カ月以上にもなり得、ボーラス形態で投与される同一量の作用剤のものより長い放出であるべきである。
【0202】
[0270]徐放では、化合物は、徐放性質を化合物に付与する好適なポリマーまたは疎水性材料と配合され得る。したがって、本発明の方法に使用するための化合物は、例えば注入により微小粒子の形態で、または埋め込みによりウエハースもしくはディスクの形態で投与され得る。ある態様では、本発明の化合物は、患者に、徐放配合物を使用して、単体で、または、別の医薬品と組み合わせて投与される。
【0203】
[0271]遅延放出という用語は、本明細書では、治療剤投与に続いて、若干の遅延後に治療剤を最初に放出する治療剤配合物を指すように、その従来の意味で使用される。遅延は、約10分から約12時間までであり得る。拍動性放出(pulsatile release)という用語は、本明細書では、投与後に治療剤のパルス血漿プロファイルを生成するように治療剤を放出する治療剤配合物を指すように、その従来の意味で使用される。即時放出という用語は、投与直後に治療剤を放出する治療剤配合物を指すようにその従来の意味で使用される。
【0204】
[0272]本明細書で使用される、短期間は、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分または約10分、および、治療剤投与後における任意のまたはすべての全体的または部分的延長までの、また、それを含む任意の時間を指す。
【0205】
[0273]本明細書で使用される、迅速な相殺は、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分または約10分、ならびにそれらの任意の、およびすべての全体的または部分的延長まで、また、それらを含む任意の時間を指す。
【0206】
[0274]本発明の組成物の追加の配合物および剤形は、US6340475、US6488962、US6451808、US5972389、US5582837、およびUS5007790に記載されている剤形を含む。US0030147952、US20030104062、US20030104053、US20030044466、US20030039688、およびUS20020051820;WO200335041、WO200335040、WO200335029、WO200335177、WO2003035039、WO2002096404、WO2002032416、WO2001097783、WO2001056544、WO2001032217、WO1998055107、WO1998011879、WO1997047285、WO1993018755、ならびにWO1990011757も参照されたい。
【0207】
[0275]本発明の方法に従って調製したイノシトールホスフェートを含む医薬は、当業界で公知の方法により、とりわけ従来の混合、コーティング、顆粒化、溶解または凍結乾燥により製造され得る。
【0208】
[0276]本発明は、上で提示される態様のいずれかにおいて示されている、または指定されている、医薬として使用するための最も広い定義で、上の本発明の態様のいずれかによる化合物、化合物の組合せまたは医薬配合物も提供する。
【0209】
[0277]本発明は、上で提示される態様のいずれかにおいて示されている、または指定されている、本明細書で開示される疾患または状態(例えば病理学的石灰化)の処置および/または防止における使用のための、最も広い定義で、上の本発明の態様のいずれかによる化合物、化合物の組合せまたは医薬配合物も提供する。
【0210】
[0278]本発明は、上で提示される態様のいずれかにおいて示されている、または指定されている、本明細書で開示される疾患または状態を防止および/または処置するための医薬を製造するための、最も広い定義で、上の本発明の態様のいずれかによる化合物または化合物の組合せまたは医薬配合物も提供する。
【0211】
[0279]いくつかの態様では、本明細書で開示される組成物は、栄養補助食品として、または機能性食品の成分として使用され得る。
5.組合せ
[0280]本発明は、本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)、および少なくとも1つの追加の治療剤の投与を含む組合せ処置も提供する。本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)、および少なくとも1つの追加の治療剤を含む組み合わせた組成物も提供される。したがって、本発明のさらなる態様は、少なくとも1つの本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)および別の治療剤を含む組成物に関する。
【0212】
[0281]本明細書で使用される、「併用療法」という用語は、本明細書で開示される方法および投与量による組合せ処置、ならびに組み合わせた組成物の両方を互換的に指す。本明細書で使用される、「組み合わせた組成物」という用語は、一緒に存在する必要がある組み合わせた組成物の成分を意味しない。結果として、この表現は、組合せが、それらの成分の物理的分離を踏まえると、必ずしも真の組合せではないことを暗示する。例えば組み合わせた組成物における成分は、別々に順次適用してよく、またはその適用は重複してよい。
【0213】
[0282]いくつかの態様では、追加の治療剤は、例えば表1で提示される組成物から選択される。いくつかの態様では、併用療法は、本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)および表1からの治療剤を含み得る。他の態様では、併用療法は、本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)および表1からの1つ超の治療剤を含み得る。表1からの1つ超の治療剤が併用療法に存在する場合、表1からの治療剤は、同一の指標または異なる指標に属し得る。例えば組合せ組成物は、処置(例えばOPG)、創傷治癒化合物、および疼痛管理化合物を含み得る。
【0214】
【表3】
【0215】
[0283]追加の治療剤として記載されている化合物のいくつかは、異所性石灰化を引き起こすカルシウム含有結晶の構造に存在するイオンの濃度を変更することにより、結晶化プロセスの熱力学を変化させる。この下位群は、カルシウム受容体作動薬、ホスフェートキレート剤、チオスルフェートまたはビタミンDを含む。
【0216】
[0284]カルシウム受容体作動薬は、カルシウムおよびホスフェート濃度を、血液PTHレベルを調節することにより制御できるようにする。前記化合物は、例えばシナカルセト、NPS R-467、NPS R-568、およびKAI-4169を含む。
【0217】
[0285]いくつかの態様では、組合せ組成物は、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンKまたはそれらの組合せから選択されるビタミンを含む。ビタミンDは、異なる作用機序を有するが同様の効果を有する。ビタミンDは、好ましくはカルシフェロール、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ドキセルカルシフェロール、パリカルシトール、アルファロール、アルファ-カルシドール、カルシジオール、カルシトリオール、それらの誘導体もしくは医薬として許容できる塩、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0218】
[0286]ホスフェート結合剤は、ホスフェートを隔離し、それによりその血液中の全身濃度を低下させることで作用する。ホスフェート結合剤は、金属を含有し得る、または金属なしであり得る。金属なしのキレート剤は、例えばセベラマーを含む。金属含有キレート剤は、例えば様々なカルシウム、鉄、ランタン、アルミニウムおよびマグネシウム塩を含む。チオスルフェートは、血液中の遊離カルシウム濃度を低下させるキレート剤である。
【0219】
[0287]組合せ治療法に使用され得る他の化合物(例えばピロホスフェート、シトレート、ビスホスホネート、降圧薬、抗コレステロール血症剤(anticholesteremic agents)、ビタミンBまたはビタミンK)は、抑制因子(ピロホスフェート、シトレート、ビタミンB、ビタミンK、ビスホスホネート)の量を増加して、もしくは、プロモーター因子(降圧薬のケースでは、壊死性の残りもしくは有機物、または抗コレステロール血症剤のケースでは、脂質堆積物)の数量を減少させて、結晶化プロセスを止めようと試みることにより、または、骨代謝を変えることにより、動力学的に変化したカルシウムおよびホスフェート代謝に対して作用する。
【0220】
[0288]いくつかの態様では、ビスホスホネートは、窒素を含有し得る、または窒素なしであり得る。いくつかの態様では、ビスホスホネートは、エチドロネート、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロネート、チルドロネート、パミドロネート、モニドロネート、ネリドロネート、パミドロネート、オルパドロネート、クロドロネート、イバンドロネート、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0221】
[0289]いくつかの態様では、併用療法は、スタチン、フィブラート系薬、ナイアシン、酸捕捉剤(acid sequestrants)、エゼチミブ、ロミタピド、植物ステロール、オルリスタットおよびそれらの組合せからなる群から選択される抗コレステロール血症剤を含み得る。
【0222】
[0290]異所性石灰化の処置にも使用され得る化合物は、US9629872、WO2017131127、US5362886、US4024175、およびUS3159581で開示されるものも含む。
6.製造物品およびキット
[0291]本発明は、本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)を含む製造物品およびキットも提供する。そのような製造物品およびキットは、本明細書で開示される1つまたは複数の、イノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)、および/または、本明細書で開示される方法によるそれを投与するための溶媒を含む配合物を含有する1つまたは複数のバイアルを含むコンテナ(例えばボックス)を含み得る。
【0223】
[0292]本発明により提供されるキットまたは製造物品は、本明細書で開示される投与のプロセスおよび投与量について記載する冊子または説明書も含み得る。いくつかの態様では、キットまたは製造物品は、複数のバイアルを含み得、それらのうち各1本は、単回用量を含有する。他の態様では、キットまたは製造物品は、1つまたは複数のバイアルを含み得、それらのうち各1本は、1回超の用量を含む。
【0224】
[0293]いくつかの態様では、製造物品は、本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)を溶解することにより調製された溶液を含有するバッグまたはシリンジである。他の態様では、製造物品は、本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)を溶解することにより調製された溶液を含有するボトル(例えばガラスボトルまたはプラスチックボトル)である。
【0225】
[0294]いくつかの態様では、製造物品は、本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)を、適切な溶媒中において再構成するための粉末形態で含有するバッグである。他の態様では、製造物品は、本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)を、適切な溶媒中において再構成するための粉末形態で含有するボトル(例えばガラスボトルまたはプラスチックボトル)である。
【0226】
[0295]キットおよび製造物品は、本明細書で開示される方法に従って調製した、本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)の1回または複数回の投与を実行するための説明書を含み得る。
【0227】
[0296]キットおよび製造物品に含まれる説明書は、包装材料に取り付けられ得、または添付文書として含まれ得る。説明書は、典型的には筆記されている、または印刷されているが、材料はそのようなものに限定されない。そのような説明書を保存すること、およびそれらを最終使用者に通知することが可能な任意の媒体が想定される。そのような媒体は、電子保存媒体(例えば磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学的媒体(例えばCD ROM)などを含むが、それらに限定されない。本明細書で使用される、「説明書」という用語は、説明書を示すインターネットサイトのアドレスを含み得る。
7.処置方法および使用方法
[0297]本発明は、異所性石灰化またはその結果の処置または防止を、それを必要とする対象においてするための方法であって、特許請求の範囲のいずれか一項の方法に従って調製した化合物、本明細書で開示される方法に従って調製した可溶性IP塩(例えばNaIP)、本明細書で開示される医薬組成物、本明細書で開示される組合せ処置、または本明細書で開示されるキットを、対象に投与するステップを含む、方法も提供する。あるいは、本発明は、特許請求の範囲のいずれか一項の方法に従って調製した化合物、本明細書で開示される方法に従って調製した可溶性IP塩(例えばNaIP)、本明細書で開示される医薬組成物、本明細書で開示される組合せ処置、または異所性石灰化もしくはその結果の処置もしくは防止を、それを必要とする対象においてするためのその使用について開示されているキットを提供する。あるいは、本発明は、特許請求の範囲のいずれか一項の方法に従って調製した化合物、本明細書で開示される方法に従って調製した可溶性IP塩(例えばNaIP)、本明細書で開示される医薬組成物、本明細書で開示される組合せ処置、または、異所性石灰化もしくはその結果を処置もしくは防止するための医薬を必要とする対象でのその調製における本明細書で開示されるキットの使用を提供する。いくつかの態様では、対象は血液透析を受ける。いくつかの態様では、対象は末期腎疾患を有する。いくつかの態様では、本明細書で開示される可溶性IP塩、医薬組成物、組合せ処置またはキットは、本明細書で開示される方法に従って調製したイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)を含む。
【0228】
[0298]いくつかの態様では、本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)は、対象における病理学的石灰化、例えば異所性石灰化、例としてカルシフィラキシス、および/またはそれらの結果を処置および/または防止する(present)ために使用され得る。いくつかの態様では、本明細書で開示されるイノシトールヘキサホスフェートの塩(例えばNaIP)は、少なくとも一回用量にて、1回の投与につきkg当たり約5mgから10mgの投与量(例えば約6mg/kgから約9mg/kg、例として6mg/kgまたは9mg/kgの投与量)で、週に少なくとも1度(例えば週に1回、2回または3回)、可変期間(例えば約1週間から約12週間、約24週間または約52週間)にわたり、または慢性的に対象に投与され得、投与量の投与は、対象における病理学的石灰化、例えば異所性石灰化、例としてカルシフィラキシス、および/またはそれらの結果を効率的に処置および/または防止する。
【0229】
[0299]いくつかの態様では、本発明のイノシトールホスフェートは、任意の適切な方法、例えば非経口(例えば皮下、皮下デポ、腹腔内、筋肉内、皮内、髄腔内、硬膜外、脊髄、血管内、静脈内、静脈内点滴)、局所(例えば鼻腔内、吸入、腟内、経皮)、経腸(例えば経口、舌下、直腸)または当業者に公知の他のものにより投与され得る。いくつかの態様では、本発明のイノシトールホスフェートは、非ボーラス型の放出または効果を対象において引き起こす方法により投与され得る。
【0230】
[0300]本発明の特定の態様では、本明細書で開示される方法に従って調製したミオイノシトールヘキサホスフェート(またはミオイノシトールヘキサホスフェートの六ナトリウム塩を含む配合物、例えばSNF472)は、静脈内点滴を経由して静脈内投与される。本発明の別の特定の態様では、本明細書で開示される方法に従って調製したミオイノシトールヘキサホスフェート(例えばNaIP)は、皮下投与される。本発明の別の特定の態様では、本明細書で開示される方法に従って調製したミオイノシトールヘキサホスフェート(例えばNaIP)は、局所投与される。
【0231】
[0301]いくつかの態様では、本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP)が、透析を受けている患者に投与される場合、そのような投与(例えば注射を経由した静脈内投与)は、透析処置中に発生し得る。
【0232】
[0302]いくつかの態様では、投与量の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP)を対象に投与すると、例えば歯におけるヒドロキシアパタイト結晶の形成および/または成長、ならびに、異所性石灰化、例えばカルシフィラキシス石灰化ではその沈着が阻害される。いくつかの態様では、異所性石灰化は、例えばカルシフィラキシス石灰化、転移性石灰化、異栄養性石灰化、医原性石灰化、特発性石灰化または皮下異所性骨化である。
【0233】
[0303]いくつかの態様では、異所性石灰化の結果は、例えば(i)機能的合併症、(ii)疼痛、(iii)栄養合併症(trophic complication)、(iv)感染症または(v)それらの組合せである。いくつかの態様では、機能的合併症は、例えば運動範囲および/または関節機能の制限である。いくつかの態様では、栄養合併症は、例えば虚血および/または病変である。いくつかの態様では、病変は、例えば皮膚および/または皮下組織の壊死である。
【0234】
[0304]本明細書で開示される本発明のイノシトールホスフェートを含む方法、組成物、医薬組成物および配合物、製造物品およびキットは、それを必要とする対象において、異所性石灰化、詳細には皮膚または皮下の石灰化、例えばカルシフィラキシス石灰化、および/またはそれらの結果を処置および/防止するために使用され得る。
【0235】
[0305]皮膚および皮下の石灰化(一般に異所性石灰化といわれる)は、カルシウムの病理学的な結晶化に関連しており、多数の疾患において合併症として生じる。異所性石灰化は、異栄養性、転移性、特発性もしくは医原性石灰化、またはカルシフィラキシスに分類され得る。
【0236】
[0306]異栄養性石灰化は、局所組織異常に起因し、通常の血漿カルシウムおよびリンレベルにもかかわらず成長する。これらの石灰化のため発症し得る主な疾患は:結合組織疾患(例えば強皮症、CREST症候群、若年性皮膚筋炎、狼瘡)、皮膚および皮下感染症(例えば脂肪織炎)、皮膚腫瘍(詳細には毛母腫)、ある先天性疾患(例えばエーラスダンロス病(Elher-Danlos disease)、ウェルナー症候群、弾性線維性仮性黄色腫(PXE))である。
【0237】
[0307]転移性石灰化は、カルシウムおよびホスフェート代謝(高カルシウム血症および/または高リン酸塩血症)の障害の結果である。これらの障害を引き起こすすべての疾患は、したがって、石灰化の発症に寄与し得る。
【0238】
[0308]特発性石灰化は、組織病変またはカルシウムおよびホスフェート代謝の障害なしで発生する。この群における主な公知の疾患は、腫瘍状石灰沈着症、陰嚢石灰化ならびに表皮下石灰化小結節である。
【0239】
[0309]医原性石灰化は、カルシウムまたはパラ-アミノサリチル酸の注入に続いて発生し得る。これらは、飽和塩化カルシウム電極の使用後にも記載されている。
【0240】
[0310]軟部組織石灰化(例えば皮膚または皮下の石灰化)は、原発性副甲状腺機能亢進症、ビタミンD中毒、牛乳-アルカリ症候群(milk drinker‘s syndrome)、高カルシウム血症、続発性副甲状腺機能亢進症、腎不全、高リン酸塩血症、詳細には遺伝性高リン酸塩血症、強皮症、皮膚筋炎、詳細には若年型混合性結合組織病、狼瘡、CREST症候群、エーラスダンロス症候群、PXE、ウェルナー症候群、遅発性皮膚ポルフィリン症、偽性副甲状腺機能低下症、偽性偽性副甲状腺機能低下症、(原発性または続発性)静脈または動脈不全、糖尿病、陰嚢石灰沈着症、骨化性筋炎、外傷後異所性骨化、および、詳細にはヒドロキシアパタイトまたはピロリン酸カルシウムのカルシウム結晶沈着によって引き起こされる任意の他の疾患または病理学的状態、例えばカルシフィラキシスからなる群から選択される疾患または病理学的状態を伴い得る。
【0241】
[0311]重要な概念は、以前のパラグラフで列挙されているものを含む様々な障害は、尿毒症の存在下で石灰化の進展を防止する、低下させる、遅くする、または止めることにより処置され得るということである。前記疾患により誘導されるカルシウム障害または石灰化に関連した疾患は、投与が始まるときに、既に存在する可能性があり、疾患の進展を低下させる、もしくは止めるためのものとなり、またはさらに存在しない可能性があり、疾患の外観または発症を防止するためのものとなる。
【0242】
[0312]カルシフィラキシスは、大きさの小さい血管および皮下脂肪組織の石灰化に相当する。カルシフィラキシスは、少なくとも以下の疾患:高カルシウム血症、高リン酸塩血症、二次および三次副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症またはそれらの任意の組合せと同時に処置され得る。
【0243】
[0313]さらなる状態、末梢動脈疾患、重症肢虚血、幼年期の全身性動脈石灰化、大動脈弁狭窄、アテローム性動脈硬化、偽痛風、原発性高シュウ酸尿症、および弾性線維性仮性黄色腫は、本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)での処置から利益を得られる。
【0244】
[0314]本発明に関連する、「末梢動脈疾患」は、脚(最も普通)、胃、腕および頭部への末梢動脈の狭窄を指す。症状は、間欠性跛行(歩く際の脚の疼痛、休むことで解消する)、皮膚潰瘍、青みがかった皮膚、皮膚の冷え(cold skin)または爪の劣化(poor nails)および毛髪の成長を含む。
【0245】
[0315]本発明に関連する、「重症肢虚血」は、四肢への血流を著しく低下させ、重度の疼痛、さらに皮膚潰瘍、ただれ(sore)または壊疽の段階まで進展する動脈の重度閉塞を指す。重症肢虚血は、きわめて重度の末梢動脈疾患の状態である。
【0246】
[0316]本発明に関連する、「ピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)結晶沈着症」または「ピロリン酸関節症」としても公知の「偽痛風」は、結合組織、特に関節、例えば膝関節におけるピロリン酸カルシウム結晶蓄積によって引き起こされると考えられているリウマチ疾患を指す。
【0247】
[0317]本発明に関連する、「幼年期の全身性動脈石灰化」(GACI)という用語は、出生前、または出生から最初の数カ月内で明らかになる循環系に影響を与え、動脈の異常な石灰化および動脈壁の肥厚を特徴とする障害に関する。これらの変化は、動脈の狭窄および硬化を引き起こし、一部の罹患した個体では、呼吸困難、浮腫、チアノーゼ、高血圧および心肥大を含む兆候および症状を伴う心不全が引き起こされる。
【0248】
[0318]いくつかの態様では、投与量の本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP)の投与は、細菌性感染症、例えばClostridium difficile感染症を処置するために使用され得る。いくつかの態様では、本発明のイノシトールホスフェート(例えばNaIP)は、栄養補助食品または機能性食品として投与され得る。
【0249】
[0319]いくつかの態様では、本発明のイノシトールホスフェート(例えば本明細書で開示される方法に従って調製したNaIP)は、例えば抗酸化剤として、あるいは、動脈硬化性プラーク形成を減少させ、もしくは阻害し、炎症を低下させ、コレステロールおよび/またはトリグリセリドを低下させ、動脈閉塞を低下させ、動脈炎症を低下させ、心疾患を低下させ、血小板凝集を低下させ、もしくは阻害し、またはII型糖尿病に罹患した患者におけるインスリン抵抗性を低下させる医薬として使用され得る。
【0250】
[0320]以下の実施例は、SNF472(フィチン酸六ナトリウム)における作用物質、ならびに中間体(例えばNa12IP)およびその変形(例えばK12IPまたはKIP)を合成するための改良した合成方法を提示する。以下に示される方法は、非常に効率的であり、高度な純度を有する最終製品が得られる。
【実施例
【0251】
実施例1
精製方法の開発
[0321]再結晶化用溶媒の組合せのスクリーニング:第1の実験は、貧溶媒(antisolvent)を添加することによる水からの沈殿を用いたNa12IP結晶化方法に重点を置かれる。これらの方法の利点は、室温を超える加熱が必要とされないことであった。溶媒の組合せまたは沈殿様式は、フィテートを再結晶化しなかった。すべての実験で、注油/粘着性材料の形成が観察された。さらに、分析データは、著しい精製効果を示さなかった。表4を参照されたい。
【0252】
【表4】
【0253】
[0322]水からの再結晶化:貧溶媒を添加することによる沈殿を用いた、第1の再結晶化を試行して成功しなかった後に、代替方法が必要とされた。水からの直接の再結晶化を調査した。50℃で3日間の水中における最初の安定性試験は、31P-NMRで著しい分解を示さなかった。著しい精製効果は、再結晶化手順で達成された。表5を参照されたい。
【0254】
【表5】
【0255】
[0323]結晶化温度:表6で要約されている実験の結果から、結晶化温度は、単離した収率に対して強い影響を有していたことが指し示された。さらに、より低い温度で、より多くの不純物が沈殿した。著しい改良は、不純物プロファイルに関し、収率は15~21℃で達成された。
【0256】
【表6】
【0257】
[0324]結晶化時間:生成物の結晶化は、かなり遅くなることが観察された。より長い撹拌時間で、収率はより高くなった。最適な結晶化時間は、より長い期間の後には不純物レベルの上昇が観察されるので、少なくとも27時間であった。表7を参照されたい。
【0258】
【表7】
【0259】
[0325]洗浄手順:水中での再結晶化後に単離した材料は、乾燥プロセス中に凝集しがちであることを観察した。乾燥させる前にエタノールで洗浄することにより、均質で微細な結晶性粉末の改良および単離が引き起こされた。
【0260】
[0326]乾燥条件:40℃の乾燥温度の上昇は、単離した生成物の不純物プロファイルに影響を及ぼさずに、乾燥時間に対する著しい効果を有した。したがって、40℃での乾燥が選択された。表8を参照されたい。
【0261】
【表8】
【0262】
実施例2
Na12IP再結晶化:遠心分離
[0327]実施例1の経験に基づき、水からの生成物の再結晶化を含み、遠心分離ステップを伴う、Na12IPを再結晶化するための方法を考案した。乾燥ステップの前に、エタノールを使用して、生成物をすすいだ。再結晶化は、1000L反応器中で行う一方、遠心分離を単離に使用した。生成物を次いでトレイ乾燥機で乾燥させた。
【0263】
[0328]製造プロセス:元のフィテート材料は、コメ(Oryza sativa)の籾殻から得た。400L反応器を窒素でフラッシュし、61.0kg EP/USP水で満たした。200L圧力フィルターに、20.0kg CELITE(登録商標)545を装入し、水を400L反応器から、BECOPAD(登録商標)P170デプスフィルター媒体を有する圧力フィルターを経由して1000L反応器中に、圧力フィルター内のCELITE(登録商標)の表面上が乾燥し始めるまで空けた。400L反応器に合計181.8kg水および96.6kgのNa12IP出発材料を、96rpmで撹拌しつつ15.5~21.4℃で装入した。白色懸濁液を、次いで50℃に達するまで1時間にわたり加熱し、薄黄色溶液を得た。
【0264】
[0329]温かい溶液を、加熱した(45℃)圧力フィルター上で、予熱した1000L反応器中へと濾過した。フィルター残渣を12.5kgの予熱した水で洗浄した。その後、溶液を、48.5℃から20℃へと1h50min以内に冷却した。97gの前もって再結晶化したNa12IPバッチを種結晶として添加し、混合物を62h15minの間20℃から18.5℃で撹拌して、白色懸濁液を形成した。あるいは、播種されていない溶液は、より長い時間(例えばおよそ75h)撹拌して、同様の結果を得ることができる。表5を参照されたい。
【0265】
[0330]次のステップで、懸濁液を遠心分離し、24.5kg水で1回、また合計38.2Lエタノールで2回洗浄した。遠心分離機からの取り出し後、75.0kgの湿式材料が得られた。生成物を次いでトレイ乾燥機に移し、そこで生成物を19.5~32℃および200~20mbarで14h10min(凝縮フェーズ)、後に32~36℃および2mbarで148h20m(最終乾燥フェーズ)乾燥させた。
【0266】
[0331]工程内管理としての乾燥減量を行い、5.39%(設定値:<=10.0%)の結果を示した。トレイ乾燥機オーブンを、2種の低密度ポリエチレン(LDPE)をライナー内に有する120L高密度ポリエチレン(HDPE)ドラムに取り出した。生成物をジムホイール混合機(gym wheel mixer)にて、速度レベル3で20min均質化した。
【0267】
[0332]47.4kgの再結晶化したNa12IPを得、これは、49.2%の収率に相当した。筆者らが保持するQC試料、また、将来のバッチ用種結晶として使用される材料。
【0268】
実施例3
Na12IP再結晶化:濾過
[0333]遠心分離ステップの代わりに濾過ステップを含む、Na12IPを再結晶化するための実施例2のプロセスの代用物が考案された。
【0269】
[0334]製造プロセス:400L反応器を窒素でフラッシュし、60kg EP/USP水で満たした。200L圧力フィルターに20kgのCELITE(登録商標)545を装入し、水を、400L反応器から、圧力フィルターを経由して630L反応器に空けた。400L反応器に合計186.5kg水および100kgのNa12IP出発材料を、100rpmで撹拌しながら18.8~20.6℃で装入した。白色懸濁液を次いで、48.2℃の温度に達するまで2時間にわたり加熱し、薄黄色透明溶液を得た。温かい溶液を加熱した(50℃)圧力フィルター上で、加熱した630L反応器中へと濾過した。
【0270】
[0335]濾過した残渣を、13.5kgの予熱した水で洗浄した。次いで、溶液を46.8℃から20.2℃へと2h40min以内に冷却した。100gの前もって再結晶化したNa12IPを種結晶として添加した。混合物を、白色懸濁液が形成されるまで、20.0℃から19.1℃でおよそ60h撹拌した。あるいは、播種されていない溶液は、より長い時間(例えばおよそ75h)撹拌して、同様の結果を得ることができる。表5を参照されたい。
【0271】
[0336]その後、懸濁液を200Lかき混ぜ式フィルター乾燥機上で濾過し、25kgの水で1回洗浄した。懸濁液を次いで、19.7kgおよび19.6kgのエタノール溶液で2回洗浄した。フィルター乾燥機を加熱し、真空を3mbarで適用した。乾燥プロセスを、乾燥減量≦10%が達成されるまで、またはおよそ10日、温度36℃未満で維持した。
【0272】
[0337]生成物を次いで取り出し、2種のLDPEをライナー内に有する120L HDPEドラムに満たした。
【0273】
[0338]51.6kgの再結晶化したNa12IPを得、これは、出発材料に対して51.6% w/wの収率に相当した。
【0274】
実施例4
12IP再結晶化:濾過
[0339]K12IPを、KIPの生成における中間ステップとしての再結晶化用出発材料として使用する。第1の反応器を、窒素でフラッシュし、水で満たす。圧力フィルターに、例えばCELITE(登録商標)545を装入し、水を第1の反応器から、圧力フィルターを経由して、第2の反応器中へと空にする。第1の反応器に水および50kgのK12IP出発材料を、100rpmで撹拌しながら15~25℃で装入する。懸濁液を次いで、およそ40~50℃の温度に達するまで2時間にわたり加熱し、透明溶液が得られる。温かい溶液は、加熱した(例えば50℃で)圧力フィルター上で、加熱した第2の反応器中へと濾過する。
【0275】
[0340]フィルター残渣を予熱した水で洗浄する。次いで、溶液を40~50℃から15~25℃へと2~3h以内に冷却する。播種量の前もって再結晶化したK12IPを種結晶として添加する。混合物を、懸濁液が形成されるまで、およそ20.0℃でおよそ50~75h撹拌する。
【0276】
[0341]その後、懸濁液をかき混ぜ式フィルター乾燥機上で濾過し、水で1回洗浄する。懸濁液を次いで、1:1 水:エタノール溶液で2回洗浄する。フィルター乾燥機は、加熱され、真空を3mbarで適用する。乾燥プロセスは、乾燥減量≦10%が達成されるまで、40℃未満の温度で維持される。生成物を次いで取り出し、2種のLDPEをライナー内に有するHDPEドラム中を満たす。
【0277】
[0342]24.5kgの再結晶化したK12IPを得、これは、出発材料に対して49.0% w/wの収率に相当した。
【0278】
[0343]この方法のいくつかの態様では、懸濁液は、Na12IPを再結晶化するために、実施例2に記載されている濾過の代わりに遠心分離により精製され得る
【0279】
実施例5
再結晶化されていないNa12IPからのNaIPの調製
(プロセス1)
[0344]出発材料として再結晶化されていないNa12IPを使用したNaIPの製造は、以下のステップ(プロセス1)を含んでいた:
[0345]1. 3.36L(4.8体積)の精製水をジャケット付き反応器、temp 24℃ ±3℃に装入した。撹拌を中高速度でスタートし、0.7kgフィチン酸十二ナトリウムを30minかけてゆっくり(lowly)添加した。反応はわずかに発熱性であり;したがって、添加の速度は、温度30℃未満を保持するように制御した。混合物をさらに60分撹拌して、完全な溶解が達成されることを確実にした。
【0280】
[0346]2. 溶液を濾過し、反応器からドラム(複数可)に移した。
【0281】
[0347]3. 1CV(カラム体積)の精製水は、活性化AMBERLITE(登録商標)イオン交換カラムを通して流した。フィテート溶液の流れを直ちに始めた。
【0282】
[0348]4. 分画採取は、試料の充填をスタートしたら始め、pHは、溶出の間測定し、続いて洗浄した。分画の大きさは、CV(およそ10L)のおよそ1/8であったが、新たなコンテナが、現在の分画が十分ではない場合でさえも特定のpHで引き出された。
【0283】
[0349]5. 各コンテナは、pH<1.5になったら、再度pH<1.25のとき、また最終的にpH<1.0のとき変えた。
【0284】
[0350]6. 溶液を1CV精製水で取り除き、分画採取をpH>1.0まで新たなコンテナで再スタートし、再度pH>1.25のとき、また再度>1.5のとき変えた。
【0285】
[0351]7. pH プローブを精製水中で十分すすぎ、分画のpHを再度計った。各コンテナからの2mlの適切な分画(pH>2)にUV試験を施した。
【0286】
[0352]8. 以前のステップを、全体のバッチが処理されるまで、0.7kgのフィチン酸十二ナトリウムを同時に繰り返した。
【0287】
[0353]9. 3体積のエタノールを反応器に装入し、5℃に冷やした。
【0288】
[0354]10. 蒸留は、温度40℃で実行した。最大温度は、目標の蒸留物体積が除去される、または8時間の最大蒸留時間が達成されるまで、45℃を超えなかった。シロップは、無色からきわめて淡い黄色であるべきである。
【0289】
[0355]11. 反応器を水ですすぎ、全体のバッチが処理されるまで以前のステップを繰り返した。
【0290】
[0356]12. 反応器に添加されるフィチン酸の合計重量、およびシロップを排出するのに使用されるエタノールの合計体積を計算し、合計10体積のエタノールを反応器に装入するまで、エタノールを添加した。
【0291】
[0357]13. 反応器ジャケットを15℃に設定し、内部温度が15℃に達するまで溶液を撹拌した。
【0292】
[0358]14. ジャケット温度を10℃に再設定し、溶液を130RPMで撹拌した。ナトリウムメトキシドを、1分当たり2.5%の速度で少しずつ添加した。pHは、各部の添加中にモニターした。pH>5.0の場合、どの時点であってもナトリウムメトキシドの添加を止めた。溶液は、平衡を保ち、pHを5分後に測定した。ナトリウムメトキシドの合計装入量の85%を添加した後で、平衡時間を15分に増加させた。温度が20℃超に上昇した場合、温度が15±2℃に低下するまで、ナトリウムメトキシドの添加を止めた。
【0293】
[0359]15. スラリーを、0℃のジャケット温度で5℃に冷やした。内部温度が5℃に達したら、ジャケット温度を5℃に上昇させ、30分間撹拌した。10ml試料を採り、およびpHが4.3から5.3の場合、プロセスを続けた。別途、ナトリウムメトキシドを、pHがpH4.3~5.3の範囲内になるまで、1%ずつ添加した。
【0294】
[0360]16. スラリーを5℃でさらに1.5時間撹拌し、次いで内部温度を10℃に上昇させ、最大ジャケット温度を15℃であった。10体積のアセトンを添加した。混合物を60分撹拌し、次いでジャケット温度を0℃に低下させた。内部温度が5℃に達するまで、混合物を撹拌した。ジャケット温度を5℃に上昇させ、混合物を30分撹拌した。
【0295】
[0361]17. 固体は、窒素下での遠心分離を乾燥固体が得られるまで使用して、単離した。各ケーキを2体積のアセトンで洗浄した。
【0296】
[0362]18. 反応器に10体積のアセトンを入れた。以前のステップからのケーキのすべての部を装入し、スラリーを15℃で1.5時間撹拌した。
【0297】
[0363]19. ジャケット温度を0℃に設定し、溶液を5℃に冷やした。スラリーが5℃に達したら、ジャケット温度を5℃に上昇させ、スラリーを30分撹拌した。
【0298】
[0364]20. 固体は、窒素下での遠心分離を乾燥固体が得られるまで使用して、単離した。各ケーキを、フィチン酸重量に対して2体積アセトンで洗浄した。
【0299】
[0365]21. 反応器に10体積のアセトンを入れた。以前のステップからのケーキのすべての部を再度装入し、スラリーを15℃で1.5時間撹拌した。
【0300】
[0366]22. ジャケット温度を0℃に設定した。溶液は、5℃に冷やした溶液であった。スラリーが5℃に達したら、ジャケット温度を5℃に上昇させ、30分間撹拌した。
【0301】
[0367]23. 固体は、窒素下での遠心分離を乾燥固体が得られるまで使用して、単離した。各ケーキを、フィチン酸重量に対して2体積のアセトンで洗浄した。
【0302】
[0368]24. 以前のステップからのすべての材料を真空オーブン中に充填し、加熱せずに、また、小さい窒素ブリードを用いて乾燥させた。ケーキを分解し、6時間ごとに撹拌した。乾燥は、結果が戻るまで、または最大48時間の乾燥時間に達するまで続けた。トレイをオーブンから出し、-20℃で乾枯剤下において保存した。
【0303】
[0369]25. 材料を、ライナー間の乾枯剤サシェで二重にしたライナー中に排出し、curtecドラムに堆積させた。
【0304】
[0370]この方法の結果として、以下の不純物を含有するNaIP塩 73.4% w/w純粋を得た:
[0371](i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート - 0.38% w/w
[0372](ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート - 2.3% w/w
[0373](iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート - 3.6% w/w
[0374](iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート - 0.99% w/w
[0375](v)不特定および未確認の不純物 - 7.8% w/w
[0376]プロセス1、2、および3で得られた生成物の比較は、表9で提示されており、以下を参照されたい。
【0305】
実施例6
再結晶化されていないNa12IPからのNaIPの調製
(プロセス2)
[0377]再結晶化されていないNa12IPを出発材料として使用したNaIPの製造は、プロセス2における以下のステップを含んでいた。
【0306】
[0378]1. カラムを3CVの精製水でフラッシュし、空にした。
【0307】
[0379]2. カラム体積のおよそ75%に等しい樹脂を添加した。
【0308】
[0380]3. 精製水を樹脂ベッドの上面に添加し、中心のチューブを取り換え、残りの樹脂を添加した。
【0309】
[0381]4. 精製水を、樹脂ベッド上面の真上に添加し、カラムの上面をダイヤフラムポンプ(逆)に螺合し、取り付け、漏れがないことを確実にした。
【0310】
[0382]5. 少なくとも5CV精製水を樹脂中に逆方向に流した(底面から上面)。
【0311】
[0383]6. ラインは、流れが上面から底面になるように、また、流れが少なくとも5CVになるように切り替えた。
【0312】
[0384]7. 5CVの1M HClをカラム中に流した。最終体積でpHが<0.4である場合、プロセスをステップ9まで続けた。pHが>0.4である場合、プロセスをステップ8まで続けた。
【0313】
[0385]8. 1CVの1M HClは、カラム(column l)を通して流した。最終体積でpHが<0.4である場合(If pH at end volume <0.4)、プロセスをステップ9まで続けた。pH>0.4の場合、ステップ8をpH<0.4まで繰り返した。
【0314】
[0386]9. 4CVの1M精製水を容器中に流した。最終体積でpHは>3.25であった。
【0315】
[0387]10. 1CVの1M精製水は、カラム(column l at)を通して流した。最終体積でpHが>3.25である場合、プロセスをステップ11まで進めた。pH<3.25の場合、ステップ10をpH>3.25まで繰り返した。
【0316】
[0388]11. IPC1:最終精製水洗浄液のICによる純度。目標:RRT0.69面積≦0.04μS*min。RRT0.69ピーク面積が>0.04μS*minである場合、カラムを2CVの精製水で洗浄し、IPCが繰り返されることに注意されたい。
【0317】
[0389]12. カラムが1週間未満保存されることになる場合;カラムを2CVの水または1M HClで毎日、24時間ごとに交互にフラッシュした。
【0318】
[0390]13.カラムが>1週間保存されることになる場合、カラムを2CV 20% NaClで7日ごとにフラッシュした。NaCl中に保存した後に、カラムを5CVの水でフラッシュし、活性化手順(ステップ7~9)を、使用前の最終活性化(ステップ7~10)に先駆けて×4実行した。
【0319】
[0391]14. 活性化カラムが4h以内に使用される場合、ステップ7~10を繰り返した。
【0320】
[0392]15. 3.36L(4.8体積)の精製水を、ジャケット付き反応器、temp 24±3℃に入れた。撹拌を中高速度でスタートし、0.7Kgフィチン酸十二ナトリウムをゆっくり30分にわたって添加した。反応はやや発熱性であり、温度30℃未満を保持するように添加速度の制御を必要とする。混合物をさらに60分撹拌し、十分な溶解が達成されることを確実にする。
【0321】
[0393]16. 溶液を濾過で、反応器からドラム(複数可)中へと移した。
【0322】
[0394]17. 1CVの精製水は、カラムを通して流した。ステップ15からのフィテート溶液の容器を通した流れを、ステップ7~10に使用される同一設定のポンプを用いて、直ちに始める。注意:試料添加中の実際の流量は、粘度が上昇したため、わずかに減少した。
【0323】
[0395]18. 分画採取は、試料の充填をスタートしたら始め、pHは、溶出の間測定し、続いて洗浄した。分画の大きさは、CV(およそ10L)のおよそ1/8であったが、新たなコンテナが、現在の分画が十分ではない場合でさえも、定められた特定のpHで引き出された。
【0324】
[0396]19. コンテナは、pH<1.5になったら、再度pH<1.25になったら、またpH<1.0のとき変えた。
【0325】
[0397]20. 溶液を1CV精製水で取り除き、分画採取をpH>1.0まで新たなコンテナで再スタートし、再度pH>1.25のとき、また再度pH>1.5のとき変えた。
【0326】
[0398]21. pHプローブを精製水中ですすぎ、分画のpHを再度計った。各コンテナからの適切な分画の試料(pH>2)にUV試験を施した。
【0327】
[0399]22. ステップ7~10を繰り返して、樹脂を再度活性化させた。
【0328】
[0400]23. 適切な分画を、ジャケット付き反応器、温度24±3℃中で合わせた。撹拌を中高速度でスタートした。0.7Kgフィチン酸十二ナトリウムを、30minかけてゆっくり添加した。反応はわずかに発熱性であった。添加の速度は、温度30℃未満を保持するように制御した。撹拌をさらに60分続け、十分な溶解が達成されることを確実にする。
【0329】
[0401]24. 溶液を反応器からドラム(複数可)へと濾過で移した。
【0330】
[0402]25. パス2の交換および採取のために、ステップ17~21を繰り返した。
【0331】
[0403]26. 全体のバッチが処理されるまで、ステップ14~25を繰り返した。
【0332】
[0404]27. 処理される出発材料の量に依存する第3パスが必要とされる場合、交換および採取のために、ステップ14~21を繰り返した。
【0333】
[0405]28. 適切な分画を合わせた。重量を測定し、IPC2についての試料を採った。IPC2:ICフィチン酸含有量mg/ml、報告結果。
【0334】
[0406]29. 予想される全体のフィチン酸重量に対し、3体積のエタノールを反応器に充填し、5℃に冷やした。
【0335】
[0407]30. 交換した溶液のIPC2および体積に基づき、蒸留速度が、<8時間で目標体積の除去を可能にし得る適切な体積を反応器に装入した。蒸留は、温度40℃で行われた。最大温度は、目標蒸留物体積が除去される、または8時間の最大蒸留時間が達成されるまで、45℃を超えなかった。試料にIPC3を施した。IPC3:KFによる水分量、≦45% w/wおよびIPC4:IC純度およびアッセイ、報告結果。結果を待ちながら、温度を0~5℃に低下させた。注意:シロップは、無色からきわめて淡い黄色であるべきである。
【0336】
[0408]31. IPC3に合格した場合、プロセスをステップ32まで進めた。IPC3に不合格の場合、プロセスを止めた。IC純度は、どのように進めるかを決定するために使用した。
【0337】
[0409]32. 必要な場合、IPC2の結果および蒸留物重量を使用することにより計算して、精製水を添加して45% w/wとした。合計重量フィチン酸の一部に対して3体積のエタノールを、完全に混合されるまで20℃で添加した。混合物を濾過で、5℃の適切なジャケット付き反応器中に排出した。反応器を、それぞれの蒸留部分中のフィチン酸に対して2体積のエタノールですすぎ、濾過で、ステップ29からの冷やしたエタノールを含有する反応器中に移した。
【0338】
[0410]33. 次の部分を装入する前に、反応器を20Lの精製水ですすいだ。すすぎを保留プールとして保持した。精製水を用いた2回分のさらなる洗浄液を廃棄した。
【0339】
[0411]34. ステップ28からのすべての生成物溶液が処理されるまで、ステップ30および33を繰り返した。
【0340】
[0412]35. 反応器に添加されるフィチン酸の合計重量、および、シロップを排出するために使用される合計体積エタノールを計算した。エタノールを添加した。エタノールの量は、合計10体積を反応器に入れるように、2体積にすべきである。
【0341】
[0413]36. 反応器は、ジャケット温度を15℃に設定した。溶液を、内部温度が15℃に達するまで撹拌した。
【0342】
[0414]37. ジャケット温度を10℃に再設定した。溶液を130RPMで撹拌した。ナトリウムメトキシドを1分当たり2.5%の速度で少しずつ添加した、例えば25%の装入は、添加に10分をかけるべきである。装入量はIPC2から計算した。
(a)1番 - 25%(500ml、26%、pH0.75)
(b)2番 - 25%(500ml、26%、pH0.75)
(c)3番 - 20%(400ml、21%、pH0.8)
(d)4番 - 10%(200mL、10%、pH0.9)
(e)5番 - 5 %(200mL、10%、pH1.1、1.4 10min後)
(f)6番 - 2.5%(70mL、4%、pH2.4、4.1 10min後)
(g)7番 - 2.5%(N/A)
(h)8番 - 1%(20mL、1%、pH4.3)
(i)9番 - 1%(N/A)
(j)10番 - 1%(10mL、0.5%、pH4.3、4.5 15min後)
[0415]pHは、部分の添加中にモニターした。pH>5.0の場合、どの時点であっても添加を止めた。混合物は、平衡を保ち、pHを5分後に再度計った。合計装入量の85%を添加した後で、平衡時間を15分に設定した。ナトリウムメトキシドは、pH4.3~5.3の範囲内まで少量で添加され続ける。この時点で、ナトリウムメトキシドの添加(計算された量のナトリウムメトキシドの約97%)を終了し、装入された体積を記録し、プロセスをステップ38まで続けた。pHがこの範囲を下回る場合、ナトリウムメトキシドを1%部分ずつ添加し続け、目標pH4.8の範囲内のpHまで、pHのモニタリングを続けた。ナトリウムメトキシドの量は、計算された量より少ないことがあるが、計算された量を超えるべきではない。注意:温度が20℃を超えて上昇した場合、ナトリウムメトキシドの添加は、温度が15±2℃に低下するまで中断した。
【0343】
[0416]38. スラリーを、0℃のジャケット温度で5℃に冷やした。内部温度が5℃に達したら、ジャケット温度を5℃に上昇させた。撹拌を30分進めた。IPC5についての試料を採った。IPC5:試験pH範囲4.3~5.3(目標4.8)。IPC5に合格した場合、プロセスをステップ39まで進めた。IPC5に不合格の場合、1%部分のナトリウムメトキシドを添加し、平衡を30分保ち、pH4.3~5.3の範囲内にpHが留まるまで、pHを試験した。pH>4.8の場合、添加を直ちに止め、このケースでは、平衡を保ち、pHを15分後再度計った。pH4.3~5.3の範囲内のpHの場合、ナトリウムメトキシドの添加を終了し、装入された体積を記録し、プロセスをステップ39まで続けた。
【0344】
[0417]39. スラリーを5℃でさらに1.5時間撹拌し、次いで内部温度を10℃に上昇させ、最大ジャケット温度を15℃とした。10体積のアセトンを添加した。混合物を60分撹拌し、次いでジャケット温度を0℃に低下させた。内部温度が5℃に達するまで撹拌を続けた。この時点で、ジャケット温度を5℃に上昇させ、混合物を30分間撹拌した。
【0345】
[0418]40. 固体は、窒素下での遠心分離を乾燥固体が得られるまで使用して、単離した。これを、溶液の各部分が処理された後で除去されるケーキに対して、少しずつ行った。各ケーキを、排出前のIPC2からのフィチン酸重量に対して2体積のアセトンで洗浄した。
【0346】
[0419]41. 反応器に10体積のアセトンを入れた。ステップ40からのケーキのすべての部分を再度装入した。スラリーを15℃で1.5時間撹拌した。
【0347】
[0420]42. ジャケット温度を0℃に設定し、溶液を5℃に冷やした。スラリーが5℃に達したら、ジャケット温度を5℃に上昇させ、スラリーを30分撹拌した。
【0348】
[0421]43. 固体は、窒素下での遠心分離を乾燥固体が得られるまで使用して、単離した。これを、溶液の半分が処理された(if processed)後に除去されるケーキに対して、少しずつ行った。各ケーキを、排出前のIPC2からのフィチン酸重量に対して2体積のアセトンで洗浄した。
【0349】
[0422]44. 反応器に10体積のアセトンを入れた。ステップ43からのケーキのすべての部分を再度装入した。スラリーを15℃で1.5時間撹拌した。
【0350】
[0423]45. ジャケット温度を0℃に設定した。溶液を5℃に冷やした。スラリーが5℃に達したら、ジャケット温度を5℃に上昇させた。スラリーを30分撹拌した。
【0351】
[0424]46. 固体は、窒素下での遠心分離を乾燥固体が得られるまで使用して、単離した。各ケーキを、排出前のIPC2からのフィチン酸重量に対して2体積のアセトンで洗浄した。
【0352】
[0425]47. ステップ46からのすべての材料を真空オーブンに装入し、加熱せずに、また、小さい窒素ブリードを用いて乾燥させた。ケーキを6時間ごとに分解し/かき回した。24時間後、IPC6について試料を採った。IPC6:KF Stromboli<8% w/w。乾燥は、IPC6の結果が戻るまで、または最大48時間の乾燥時間が達成されるまで続けた。IPC6に合格した場合、プロセスをステップ48まで進め、IPC6に不合格の場合、乾燥は、48時間の合計時間が達成されるまで続け、IPC6について別の試料を採った。トレイをオーブンから出し、IPC6の結果を待つ間に、乾枯剤下において-20℃で保存した。IPC6 2番試料に合格した場合、プロセスをステップ49まで進めた。IPC6 2番試料には、IPC7を施すべきである:無水ベースに対するIC純度の報告結果w/w。IPC6 2番試料に不合格の場合、プロセスをステップ48まで進めた。注意:分析される試料は、水分量が結果を報告するために必要とされるので、IPC6として分析される同一の試料であった。
【0353】
[0426]48.さらなる乾燥が実現可能であるか、または必須であるかどうかを決定した。
【0354】
[0427]49. IPC6に合格した同一の試料を、IPC8に、また、IPC9が無水および無溶媒ベースで表現されるように、IPC9に使用した。
【0355】
[0428]50. IPC8:GCによる残留溶媒、エタノール<20000ppm、メタノール<5000ppm、アセトン<5000ppm。IPC8の結果を待ちながら、材料を乾枯剤下において-20℃で保った。IPC8に不合格の場合、プロセスを止めた。IPC8に合格した場合、プロセスをステップ51まで進めた。注意:IPC8において分析される試料は、IPC6として分析された最終試料であった。
【0356】
[0429]51. IPC9:ICP-MSによるナトリウム含有量、無水および無溶媒ベースで15.4~19.5。結果を待ちながら、材料を乾枯剤下において-20℃で保った。IPC9に不合格(filed)の場合、プロセスを止めた。IPC9に合格した場合、プロセスをステップ52まで進めた。注意:IPC9として分析される試料は、IPC6およびIPC7として分析される最終試料であった。
【0357】
[0430]52. 固体は、ライナー間の乾枯剤サシェで二重にしたライナー中、およびcurtecドラムに排出した。
【0358】
[0431]結晶化中、すべての当量および体積は、粗フィチン酸六ナトリウム投入量に対していた。
【0359】
[0432]このプロセスの結果として、以下の不純物を含有するNaIP塩73.4% w/w純粋を得た:
[0433](i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート - 0.33% w/w
[0434](ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート - 2.6% w/w
[0435](iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート - 4.1% w/w
[0436](iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート - 1.1% w/w
[0437](v)不特定のおよび未確認の不純物 - 8.4% w/w
[0438]プロセス1、2および3で得られた生成物の比較は、表9で提示され、以下を参照されたい。
【0360】
実施例7
再結晶化したNa12IPからのNaIPの調製
(プロセス3)
[0439]再結晶化したNa12IPからのNaIPの製造は、プロセス3における以下のステップを含んでいた。このプロセスは、不純物含有量を著しく減少させることにより、原薬の品質を改良するために開発した。プロセスは、水溶液からの再結晶化による、出発材料、すなわち、フィチン酸十二ナトリウム塩水和物の追加の精製ステップを導入する。精製したフィチン酸十二ナトリウム塩の単離された中間体で、精製した原薬が単離されるまで実施されるさらなるステップは、プロセス2で前もって記載されている、同一の3ステップイオン-塩交換から本質的になる。SNF472(フィチン酸六ナトリウム)のプロセス3に対するフローチャートは、図5に示されている。
【0361】
[0440](A)再結晶化した出発材料:十二ナトリウム塩は、実施例2および3に記載されているように再結晶化した。
【0362】
[0441](B)フィチン酸六ナトリウムの調製:
[0442]1. カラムを3CV(カラム体積)の精製水でフラッシュし、空にした。
【0363】
[0443]およそ0.25CVの精製水をカラムに添加した。
【0364】
[0444]2. CVの約75%に等しい樹脂を添加し、樹脂表面のすぐ上の水位を保持するのに必要とされる精製水を添加した。
【0365】
[0445]3. 樹脂および水を、カラムに十分に詰まるまで添加した。カラムの上面をダイヤフラムポンプ(逆)に螺合し、取り付けた。
【0366】
[0446]4. 少なくとも5CVの精製水を樹脂中に逆方向に流した(底面から上面)。ラインは、流れが上面から底面になるように、また、少なくとも5CVが流れるように切り替えた。
【0367】
[0447]5. 5CV 1M HClをカラム中に流した。最終体積でpH<0.4の場合、プロセスをステップ7まで続け、pH>0.4の場合、ステップ6まで続けた。
【0368】
[0448]6. 1 CV 1M HClは、カラムを通して3250mL/min±100mL/minで流し、最終体積でpH<0.4の場合、プロセスをステップ7まで続け、>0.4の場合、ステップ6を<0.4まで繰り返した。
【0369】
[0449]7. 4CVの精製水をカラム中に流した。最終体積でpH>3.25の場合、プロセスをステップ9まで続けた。pH<3.25の場合、プロセスをステップ8まで続けた。
【0370】
[0450]8. 1CVの精製水は、カラムを通して流した。最終体積でpH>3.25の場合、ステップ9まで進め続けた。
【0371】
[0451]9. ステップ7/8におけるpHチェックを合格した試料は、IPC1として使用した。IPC1:最終精製水洗浄液のICによる純度。目標:RRT0.69面積≦0.04μS*min。RRT0.69ピーク面積が>0.04μS*minである場合、カラムを2CVの精製水で洗浄し、IPCを繰り返すことに注意されたい。
【0372】
[0452]10. カラムは、ステップ5~8を繰り返すことにより活性化した。
【0373】
[0453]11. 反応器に4.8体積精製水(フィチン酸十二ナトリウム体積に対して)を入れた。反応器ジャケット温度を24℃±3℃に設定した。撹拌を中高速度でスタートし、0.7kgフィチン酸十二ナトリウムをゆっくり30分にわたって添加した。反応はわずかに発熱性であった;したがって、添加の速度は、温度30℃未満を保持するように制御した(目標温度は24℃であった)。撹拌をさらに60分続け、十分な溶解が達成されることを確実にした。
【0374】
[0454]12. 溶液をかき混ぜながら、カラムが活性化され、使用に適合すると確認されるまで、20~25℃で保持した。そうなってから初めて、溶液を、濾過で反応器からドラム(複数可)中へ移した。
【0375】
[0455]13. 1CV精製水は、カラムを通して流した。ステップ12からのフィテート溶液のカラムを通した流れを、活性化中に使用される同一の設定でポンプを用いて、直ちに開始した。
【0376】
[0456]14. 分画採取は、試料の充填をスタートしたら始め、pHは、溶出の間測定し、続いて洗浄した。分画の大きさは、CVのおよそ1/8であったが、新たなコンテナが、現在の分画が十分ではない場合でさえも、定められた特定のpHで引き出された。
【0377】
[0457]15. コンテナは、pH<1.5になったら、再度pH<1.25のとき、また再度pH<1.0のとき変えた。
【0378】
[0458]16. 溶液を1CV精製水で直ちに取り除き、分画採取をpH>1.0まで新たなコンテナで再スタートし、再度pH>1.25のとき、また再度pH>1.5のとき変えた。
【0379】
[0459]17. pHプローブを精製水中で十分すすぎ、分画のpHを再度計った。各コンテナからの適切な分画からの試料(pH<2)に、UV試験を施した。分画を、さらなる処理まで2~8℃で保存した。
【0380】
[0460]18. 樹脂再活性化ステップを繰り返した。
【0381】
[0461]19. パス1に適切な分画を合わせた:
[0462]pH<1.00:1を下回るpHを有するすべての分画は、合わせるべきである。
【0382】
[0463]1.00<pH<1.25:大半の分画は、UV分析によりきわめて低い濃度が指し示されない限り、合わせる可能性が高い。
【0383】
[0464]UVにより、著しい量の生成物が存在することが指し示されない限り、1.25<pH<1.50が含まれる可能性は低い。
【0384】
[0465]20. 以前のステップからの合わせた分画を温度24℃±3℃のジャケット付き反応器中に移し、撹拌を中高速度でスタートした。追加のフィチン酸十二ナトリウムを、30minかけてゆっくり添加した。反応はわずかに発熱性であり、したがって添加の速度は、温度30℃未満を保持するように制御した。溶液をさらに60分撹拌し、十分な溶解が達成されることを確実にした。
【0385】
[0466]21. カラムが活性化され、使用に適合すると確認されるまで、20~25℃でかき混ぜながら溶液を維持した。そうなってから初めて、溶液を、濾過で反応器からドラム(複数可)中へ移した。
【0386】
[0467]22. パス2のイオン交換および採取のために、ステップ13~17を繰り返した。
【0387】
[0468]23. パス2に、以下の基準に従って適切な分画を合わせた:
[0469]pH<1.00:1を下回るpHを有するすべての分画(all fraction pH less than one)は、合わせるべきである。
【0388】
[0470]1.00<pH<1.25:は、UV分析により、著しい量の生成物が存在することが指し示されない限り、合わせなくてよい。
【0389】
[0471]1.25<pH<1.50は、プロジェクトの化学者が別途指し示さない限り、パス2に含まれるべきではない。
【0390】
[0472]24. 全体のバッチが処理されるまで、ステップ10から23を繰り返した。
【0391】
[0473]25. すべての実行からの適切なパス2分画を合わせ、重量を測定し、IPC2について試料を採った。IPC2:ICフィチン酸含有量mg/mL。密度を決定する。
【0392】
[0474]26. IPC2、溶液重量および密度から決定された予想される合計フィチン酸重量に対する2体積のエタノールを、反応器に充填し、5℃に冷やした。
【0393】
[0475]27. IPC2に基づき、蒸留速度が、<10h、最大12hで目標体積の除去を可能にし得る適切な体積を反応器に装入した。除去される水量は、IPC2値を使用して計算し、装入される体積は、予想される最終シロップ水分量の40%に基づいていた。
【0394】
[0476]28. 内部温度<40℃を保持することを目的に、溶液を蒸留した。内部温度は、45℃を超えてはならず、下限はない。シロップは、無色からきわめて淡い黄色であるべきである。
【0395】
[0477]29. 蒸留速度は、最大許容時間内に、必要とされる水量を除去するのに不十分な場合、最初の2時間にわたり修正した。
【0396】
[0478]30. 目標蒸留物体積が除去されたら、IPC3について試料を採った。IPC3A:KFによる水分量、≦45% w/w。IPC3B:IC純度およびアッセイ、報告結果。IPC3Aに合格した場合、プロセスをステップ32まで進めた。IPC3Aに不合格の場合、蒸留プロセスを、必要に応じて12時間の最大蒸留時間まで続け、追加の時間を必要に応じて使用した。
【0397】
[0479]31. 12hの最大蒸留時間が、IPC3Aに合格する前に達成される場合、このとき、試料にIPC3を施し、バッチを5~8℃に冷却した。IPC3Aに合格した場合、プロセスをステップ32まで進めた。
【0398】
[0480]32. 必要な場合、精製水を添加して、45% w/wとした。値は、IPC2の結果、装入された溶液の密度および重量を使用することにより計算し、次いで合計重量フィチン酸に対して3体積のエタノールを少量ずつ添加し、完全に混合されるまで20℃でかき混ぜた。溶液を濾過で、5℃の適切なジャケット付き反応器中に排出した。反応器を、それぞれの蒸留部分中のフィチン酸に対して3体積のエタノールですすぎ、濾過で冷やしたエタノールを含有する反応器中に移した。
【0399】
[0481]33. 次の部分を装入する前に、反応器を3体積(または反応器の大きさに対して適切な体積)の精製水ですすぎ、保留プールとしてすすぎ液を保持した。さらなる洗浄液を廃棄した。
【0400】
[0482]34. ステップ21からのすべての生成物溶液が処理されるまで、ステップ27および31を繰り返した。
【0401】
[0483]35. 反応器に添加されるフィチン酸の合計重量、また、シロップを排出するために使用されるエタノールの合計体積を計算した。エタノールを添加した。エタノールの量は、反応器に装入されたフィチン酸の合計量に対して10体積であった。
【0402】
[0484]36. 反応器ジャケットを15℃に設定し、溶液を、内部温度が15℃に達するまで撹拌した。
【0403】
[0485]37. ジャケット温度を10℃に再設定し、溶液を130RPMで撹拌し、ナトリウムメトキシドを1分当たり2.5%の速度で少しずつ添加し、例えば25%の装入は、添加に10分をかけるべきである。装入量はIPC2から計算した。
a. 1番 - 25%(500ml、26%、pH 0.75)。
b. 2番 - 25%(500ml、26%、pH 0.75)。
c. 3番 - 20%(400ml、21%、pH 0.8)。
d. 4番 - 10%(200ml、10%、pH 0.9)。
e. 5番 - 5 %(200ml、10%、pH 1.1、1.4 10min後)。
f. 6番 - 2.5%(70ml、4%、pH 2.4、4.1 10min後)。
g. 7番 - 2.5%(N/A)。
h. 8番 - 1%(20ml、1%、pH 4.3)。
i. 9番 - 1%(N/A)。
j. 10番 - 1%(10ml、0.5%、pH4.3、4.5、15min後)。
【0404】
[0486]pHは、部分の添加中にモニターした。pH>5.0の場合、どの時点であっても添加を止めた。
【0405】
[0487]ナトリウムメトキシドの量は、計算された量より少ないことがあるが、IPC2を使用して理論上計算された量の105%を超えるべきではない。
【0406】
[0488]38. スラリーを、0℃のジャケット温度で5℃に冷やした。内部温度が5℃に達したら、ジャケット温度を5℃に上昇させた。スラリーを30分撹拌し、IPC4について、スラリーミックスを表す試料を採った。IPC4:試験pH範囲4.3~5.3(目標4.8)。IPC4に合格した場合、プロセスをステップ39まで進めた。これに不合格の場合、1%部分のナトリウムメトキシドを添加し、平衡を30分保ち、pHを、4.3~5.3の範囲内に留まるまで試験した。pH>4.8の場合、添加を直ちに止めた。pHが、4.3~5.3のpH範囲以内である場合、ナトリウムメトキシドの添加を終了し、装入された体積を記録し、IPC4について試料を採った。IPC4:試験pH範囲4.3~5.3(目標4.8)。試料が合格した場合、プロセスをステップ39まで進めた。不合格の場合、次いで成功しなかったループを繰り返した。
【0407】
[0489]39. スラリーを5℃でさらに1.5時間撹拌し、次いで内部温度を10℃に上昇させた。最大ジャケット温度は15℃であった。10体積のアセトンを添加した。混合物を60分撹拌し、ジャケット温度を0℃に低下させ、内部温度が5℃に達するまで撹拌を続けた。ジャケット温度を5℃に上昇させ、混合物を30分間撹拌した。
【0408】
[0490]40. 固体は、窒素下で濾過を使用して単離した(固体は吸湿性である)。反応器を、IPC2からのフィチン酸重量に対して2×3体積のアセトンですすいだ。すすぎ液は、排出前にケーキを洗浄するために使用した。
【0409】
[0491]41. 反応器に25体積のアセトンを入れた。ステップ38からのすべてのウェットケーキを再度装入した。スラリーを15℃で1.5時間撹拌した。
【0410】
[0492]42. ジャケット温度を0℃に設定し、溶液を5℃に冷やした。スラリーが5℃に達したら、ジャケット温度を5℃に上昇させ、溶液を30分撹拌した。
【0411】
[0493]43. 固体は、窒素下で濾過を使用して単離した(固体は吸湿性である)。反応器を、IPC2からのフィチン酸重量に対して2×3体積のアセトンですすいだ。すすぎ液は、排出前にケーキを洗浄するために使用した。
【0412】
[0494]44. 反応器に25体積のアセトンを入れた。ステップ41からのすべてのウェットケーキを反応器中に再度装入し、スラリーを15℃で1.5時間撹拌した。
【0413】
[0495]45. ジャケット温度を0℃に設定し、スラリーを5℃に冷やした。スラリーが5℃に達したら、ジャケット温度を5℃に上昇させ、スラリーを30分撹拌した。
【0414】
[0496]46. 固体は、窒素下で濾過を使用して単離した(固体は吸湿性である)。反応器は、IPC2からのフィチン酸重量に対して2×3体積のアセトンですすいだ反応器であった。すすぎ液は、排出前にケーキを洗浄するために使用した。
【0415】
[0497]47. ケーキを、窒素下で加熱せずにフィルターに堆積させた。ケーキを6時間ごとに分解し/撹拌した。24時間後、IPC5Aについて試料を採った:KF Stromboli<8% w/w。ケーキは、IPC5Aの結果が戻る、または最大48時間の乾燥時間が達成されるまで乾燥させ続けた。IPC5Aに不合格の場合、乾燥させ続け、48hの合計時間が達成されるまで、IPC5Aについての試料を採った。IPC5Aに合格した場合、IPC5Bを実行した:IPC5B:GCによる残留溶媒、エタノール<20000ppm、メタノール<5000ppm、アセトン<5000ppm。最大乾燥時間が達成されない限り、結果を待つ間に、フィルター上における生成物の乾燥を続けた。IPC5AおよびIPC5Bの両方で合格のとき、プロセスをステップ50まで進めた。IPC5AまたはIPC5Bが合格せず、最大乾燥時間が達成された場合、プロセスをステップ48まで続けた。
【0416】
[0498]48. 最大乾燥時間が達成され、結果IPC5A/IPC5Bが戻ってきていない、または不合格である場合、結果を待つ間に、生成物をフィルターから放出し、乾枯剤下において、-20℃で二重ライナーにて保存した。IPC5AおよびIPC5Bの両方で合格した場合、プロセスをステップ50まで進めた;合格していない場合、プロセスをステップ49まで進めた。
【0417】
[0499]49. さらなる乾燥が必須/妥当かどうかを評価する。
【0418】
[0500]50. ライナー間の乾枯剤サシェで二重にしたライナー中、およびcurtecドラムに排出する。
【0419】
[0501]プロセスに使用される溶媒は、精製水(USP医薬品)、アセトン(99%)、ナトリウムメトキシド(メタノール中25% w/w)およびエタノール(99.4%)であった。
【0420】
[0502]このプロセスの結果として、以下の不純物を含有するNaIP塩 82.1% w/w純粋を得た:
[0503](i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート - 0.14% w/w
[0504](ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート - 0.26% w/w
[0505](iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート - 0.74% w/w
[0506](iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート - 0.17% w/w
[0507](v)不特定のおよび未確認の不純物 - 1.3% w/w
[0508]プロセス1、2、および3で得られた生成物の比較は、表9で提示されており、以下を参照されたい。
【0421】
【表9-1】
【0422】
【表9-2】
【0423】
実施例8
再結晶化したK12IPからのKIPの調製
[0509]IP6の六カリウム塩(KIP)は、実施例7で開示されるプロセスを使用する以外に、実施例4に記載されているプロセスに従って調製したK12IP、または、実施例2もしくは3に記載されているプロセスに従って調製したNa12IPを使用して調製した。方法は、実施例7に使用されるナトリウムアルコキシドの代わりとして、カリウムアルコキシド、例えばカリウムメトキシドも使用する。
【0424】
実施例9
イオン交換バッチプロセスを使用して再結晶化したNa12IPからのNaIPの調製
(バッチプロセス)
[0510]イオン交換バッチプロセスを使用した、再結晶化したNa12IPからのNaIPの製造は、以下のステップを含んでいた:
[0511]1. 5.72eqのイオン交換AMBERLITE(登録商標)FPCC14 Na樹脂(Rohm and Haas Co.、Philadelphia、PA、US)を清潔な乾燥フィルターに装入し、1M塩酸(3.7vols)で洗浄する。
【0425】
[0512]2. IPC1:pH紙によるpHチェック。目標:pH1~2。注意:pH>2の場合、次いで樹脂を1M塩酸(3.7vols)で洗浄する。
【0426】
[0513]3. 樹脂を1M塩酸(3×3.7vols)で洗浄する。
【0427】
[0514]4. 樹脂を精製水(7×3.7vols)で洗浄する。
【0428】
[0515]5. IPC2:最終精製水洗浄液のpHメーターによるpHチェック。目標:pH>3.5。注意:pH<3.5、次いで樹脂を精製水(2×3.7vols)で洗浄する。
【0429】
[0516]6. IPC3:最終精製水洗浄液のICによる純度。目標:RRT0.69ピーク面積<0.04μS*min。注意:RRT0.69ピーク面積が>0.04μS*minである場合、樹脂を精製水(2×3.7vols)で洗浄する。
【0430】
[0517]7. 二重ライナーにおける樹脂を、次の使用までドラム中に保存する。
【0431】
[0518]8. 精製水(7.0vols)を、25℃で清潔な乾燥可動式反応器に装入する。
【0432】
[0519]9. フィチン酸十二ナトリウム塩(1.0eq)を、温度35℃未満を維持する27±3℃の可動式反応器にゆっくり装入し、溶解が発生するまで1±0.5時間撹拌する。注意:溶液は、pH11/12である。5℃の発熱が典型的には観察される。溶解が発生しない場合、温度を30±3℃に上昇させて、溶解を助ける。
【0433】
[0520]10. フィチン酸十二ナトリウム塩の水中溶液を、研磨フィルターを経由して、27±3℃の清潔な乾燥反応器へと装入する。
【0434】
[0521]11. 微粒子が存在しないことをチェックする。
【0435】
[0522]12. 洗浄した樹脂(5.72eq)を、穏やかに撹拌しながら(約100rpm)27±3℃で反応混合物に装入する。
【0436】
[0523]13. 温度を23±2℃に調整し、溶液を最低12時間穏やかに撹拌する(約100rpm)。注意:>100rpmでの撹拌は、樹脂を微細粉末に分解する。
【0437】
[0524]14. IPC4:pH紙によるpHチェック。目標:pH1~2。注意:反応混合物が>pH2である場合、かき混ぜをわずかに増大させて、溶液中の樹脂の十分なかき混ぜを確実にし、1~2のpHが達成されるまで、1~2時間ごとにさらなるIPC4試料を採る。
【0438】
[0525]15. 樹脂を濾別し、精製水(2×2.5vols)で洗浄し、洗浄液を別に保持する。
【0439】
[0526]16. IPC5:洗浄液のpHメーターによるpHチェック。目標:pH>1.85。注意:pH<1.85の場合、樹脂を精製水(2.5vols)で洗浄する。
【0440】
[0527]17. イオン交換樹脂(2.0eq)の新しい部分を清潔な乾燥フィルターに装入し、1M塩酸(1.3vols)で洗浄する。
【0441】
[0528]18. IPC6:pH紙によるpHチェック。目標:pH1~2。注意:pH>2の場合、次いで樹脂を1M塩酸(1.3vols)で洗浄する。
【0442】
[0529]19. 樹脂を1M塩酸(3×1.3vols)で洗浄する。
【0443】
[0530]20. 樹脂を精製水(7×1.3vols)で洗浄する。
【0444】
[0531]21. IPC7:最終精製水洗浄液のpHメーターによるpHチェック。目標:pH>3.5。注意:pH<3.5の場合、次いで樹脂を精製水(2×1.3vols)で洗浄する。
【0445】
[0532]22. IPC8:最終精製水洗浄液のICによる純度。目標:RRT0.69ピーク面積<0.04μS*min。注意:RRT0.69ピーク面積が>0.04μS*minである場合、樹脂を精製水(2×1.3vols)で洗浄する。
【0446】
[0533]23. 無色濾液を、洗浄した樹脂を通して溶出させ、約5L分画で収集する。
【0447】
[0534]24. 洗浄液、続いて精製水を、樹脂を通して約2.5L部分で溶出させ、分画を収集する。注意:精製水を、IPC9のpHが>1.85に上昇するまで、樹脂を通して溶出する。典型的には、約1.5vols水が、樹脂を通して溶出される。
【0448】
[0535]25. IPC9:pHメーターによるpHチェック。目標:最後の分画のpH>1.85。分画のpHをチェックし、<1.85のpHを有するものと合わせる。
【0449】
[0536]フィチン酸溶液を<10℃で保存する。
【0450】
実施例10
ナトリウムエトキシドを使用することによるNaIPの調製(プロセス3)
[0537]IP6の六ナトリウム塩(NaIP)は、実施例7で開示されるプロセス(プロセス3)を使用する以外に、ナトリウムメトキシドアルコキシド(CHNaO)の代わりとして、ナトリウムエトキシド(CHCHNaO)を使用して調製した。
【0451】
実施例11
NaIPの噴霧乾燥
[0538]ステップ1 - 水溶液:14%(w/v)NaIP溶液を、実施例7に記載されているプロトコール(プロセス3)に従って得られるNaIPを水中に溶解することにより調製した。溶液を20mLバッチ3つ、および大きい100mLバッチ1つに分割した。
【0452】
[0539]ステップ2 - 噴霧乾燥:Buchi 2流体噴霧ノズルを装着したBuchi B-290噴霧乾燥機(Buchi Labortechnik AG、Flawil、CH)を使用して、すべてのバッチを噴霧乾燥させた。噴霧乾燥機に、20mLバッチ3つに対する高性能サイクロン、および100mLバッチに対する標準サイクロンを装着した。使用される噴霧乾燥条件は、3g/min(液体供給速度)、2bar(霧化圧力)、68~122℃(注入口temp)、50~90℃(流出口temp)であった。50、70および90℃の流出口温度を、20mLバッチ3つに使用した。90℃の流出口温度は、100mLに選択された。全4つのバッチを、正しく噴霧乾燥し、収率は、89.3%から95.8%に及んだ。表10を参照されたい。
【0453】
【表10】
【0454】
実施例12
未精製のNa12IPから調製されるNaIPの再結晶化
(プロセス3)
[0540]出発材料として、再結晶化したNa12IPの代わりに、再結晶化されていないNa12IPを使用したNaIPの製造を、実施例7に記載されているプロトコール(プロセス3)に従ってアッセイした:
[0541](A)出発材料:未精製のフィチン酸十二ナトリウム塩(Sigma-Aldrich、Saint Louis、MO、US)を出発材料として用いた。
【0455】
[0542](B)未精製のフィチン酸六ナトリウム調製:未精製のフィチン酸六ナトリウムは、A相出発材料および実施例7の以下のステップ1~49(プロセス3)を使用して調製した。
【0456】
[0543](C)精製したフィチン酸六ナトリウム調製:精製したフィチン酸六ナトリウムは、実施例2または3に記載されているプロトコールに従って、B相中間産物の再結晶化により調製した。
【0457】
実施例13
再結晶化されていないK12IPからのNaIPの調製
(プロセス3)
[0544]出発材料として、再結晶化されていないK12IPを使用したNaIPの製造を、実施例7に記載されているプロトコール(プロセス3)に従ってアッセイした:
[0545](A)出発材料:未精製のフィチン酸ドデカカリウム塩を、出発材料として用いた。
【0458】
[0546](B)未精製のフィチン酸六ナトリウム調製:未精製のフィチン酸六ナトリウムは、A相出発材料、および実施例7の以下のステップ1~49(プロセス3)を使用して調製した。
【0459】
[0547](C)精製したフィチン酸六ナトリウム調製:精製したフィチン酸六ナトリウムは、実施例2または3に記載されているプロトコールに従って、B相中間産物を再結晶化することにより調製した。
【0460】
実施例14
再結晶化されていないNa10IPからのNaIPの調製
(プロセス3)
[0548]出発材料として、再結晶化されていないNa10IPを使用したNaIPの製造を、実施例7に記載されているプロトコール(プロセス3)に従ってアッセイした。
【0461】
[0549](A)出発材料:未精製のフィチン酸十ナトリウム塩(Sigma-Aldrich、Saint Louis、MO、US)を出発材料として用いた。
【0462】
[0550](B)未精製のフィチン酸五ナトリウム調製:未精製のフィチン酸五ナトリウムは、A相出発材料および実施例7の以下のステップ1~49(プロセス3)を使用して調製した。
【0463】
[0551](C)精製したフィチン酸五ナトリウム調製:精製したフィチン酸五ナトリウムは、実施例2または3に記載されているプロトコールに従って、B相中間産物を再結晶化することにより調製した。
【0464】
実施例15
出発材料として、再結晶化したNa12IPを使用して調製したNaIPの特徴
[0552]NaIP原薬は、分光分析技術(一次元および二次元核磁気共鳴H-NMR、31P-NMR、13C-NMR紫外可視分光法、赤外分光法および質量分析)、元素分析およびクロマトグラフィー技術(イオン交換クロマトグラフィー(IC))の組合せにより十分に特徴付けられた。
【0465】
[0553]核磁気共鳴:構造は、表11に示されているシグナルの割り当てに従って核磁気共鳴研究により確認し、同定は、フィチン酸参照標準保持時間による、イオン交換クロマトグラフィーによりさらに確認した。表11は、NaIP(フィチン酸六ナトリウム)の多核および多次元研究から得られた化学シフト、多重度およびカップリング定数を列挙している。これらのデータから、図2に示されているフィチン酸六ナトリウムで提案されている構造のもののような、この分子の構造が明確に確立された。
【0466】
【表11】
【0467】
[0558]分子は6個のリン原子を有していたが、31P-NMRスペクトルにおいて4つのみピークが存在し、1:2:2:1の全体比であった(図7)。これは、分子がC~C軸に沿って対称な直交平面を有するためであった。13C NMRスペクトルにおいても同様に4つのみのシグナルが存在した(図11)。31Pおよび13Cピークの割り当ては、それらの化学シフトに基づいては行うことができず(それらの間における差はごくわずかである)、したがって、表11における割り当ては、最も近いプロトンを用いた2D-相関によって行われ;具体的には、31Pの割り当ては、H-31P HMBCスペクトルに由来し(図8)、13Cの割り当ては、H-13C HSQCスペクトル(図12)に由来した。プロトンの割り当ては、フィチン酸六ナトリウムのH-NMRスペクトルの査察(図9)により独自に行われた。二面角の角度の視覚化(したがって、プロトン-プロトンカップリングの割り当て)は、図13で以下に示されているように、椅子立体配座における分子を描くことにより、より容易に行われた。
【0468】
[0559]プロトンの割り当ては、表11に示されている。図9における最も簡単なプロトンの割り当ては、Hであったが、これが1,3-ジアキシアルカップリングを有さない唯一のものであるためであり;このプロトンは、したがって多重項(4.85~4.95ppmで三重項の二重項)でなければならない。4.40~4.55での四重項の単純さは、三重項の二重項であるべきなので、想定外であった。HおよびHの1,3-ジアキシアルカップリングは、J-(H-31P)カップリングと事実上同一であり、事実上完璧な二項の四重項を生じる。最終的に、筆者らがHを直接観察できなくても、その存在を全体の比:3:2:1から4.15~4.30ppm領域において推測できた。これは、H-H COSYにおけるクロスピークからも分かる(図14)。図9における4.75ppmでの大きいピークは、残留溶媒ピーク(H-O-D)であり、領域4.79~4.85ppmにおける2つの小さいピークは、その歪みのある回転サイドバンドであった。
【0469】
[0560]NaIPのDEPT 135スペクトルは、図15に示されており、すべての炭素原子がメチンであり、図2における提案されている構造と一致することを確認した。最終的に、NaIPの非デカップリング31P-NMRスペクトル(図10)は、表11の割り当てを合理化するために使用されたJ-(H-31P)カップリング定数を示した。
【0470】
[0561]紫外可視分光法:NaIPは、イノシトールホスフェートの群において典型的な紫外または可視領域における特徴的な吸収スペクトルを有さない化合物である。
【0471】
[0562]FT-赤外分光法:NaIPのFT-IRスペクトルは、図16に示されている。これは、1680cm-1ほどの弱い吸収バンド、および3400cm-1の広い吸収バンドを示した。これらの2つのバンドは、試料の乾燥後に消えなかった。観察から、O-H結合の存在が実証され、これは、結晶水、金属水酸化物不純物、および未結合のP-O-H結合であり得る。特徴的なIRスペクトルは、1200から700cm-1の領域内である。これは、1106cm-1の広い立ち下がりバンド(trailing band)、972、937および913cm-1の三重項バンド、ならびに他の830、776および746cm-1の三重項バンドを示した。1106cm-1の広いバンドは、3つの重畳バンドを表すことが推定され、三重項特性から、NaIPにおけるホスフェート部分の5-アキシアル/1-エクアトリアル分布による3組のC-O結合が暗示された。図12を参照されたい。相対的なスペクトルのバンド強度および対称なP原子の数に基づき、746および913cm-1のFT-IRバンドを、Pに割り当てた。776および937cm-1のFT-IRバンドを、PおよびPに割り付け、P、PおよびPに830および972cm-1を割り付けた。FT-IRは、P/PおよびPを区別せず、P-O結合特性に対する、距離が離れたP原子(PからPまたはPおよびP/PからP)の影響を、P原子の核磁気共鳴の性質に対する影響よりも少なく指し示した。FT-IRスペクトルは、31P-NMRスペクトルに従った。
【0472】
[0563]質量分析:NaIPの分子質量は、負のエレクトロスプレーイオン化(ESI)後に選択されたイオンモニタリング(SIM)様式において、タンデム質量分析により、m/z 659([M-H])の分子イオンに対応するピークにより確認した。負のエレクトロスプレーイオン化中に、水素原子を失ったフィチン酸分子(m/z=660)に対応するm/z 659([M-H])の分子イオン。化合物を、TEAA 50mM pH9および移動相として20μLをUPLC(登録商標)-MS中に注入するACNを使用した勾配逆相クロマトグラフィーにより分析した。図17のマススペクトルは、負のエレクトロスプレーイオン化(ESI)後のm/z 659([M-H]-)の分子イオンを示す。使用される機器は、ESIインターフェイス(AB Sciex)を有するAPI4000TM質量検出器(2000amuの質量上限 - トリプル四重極)であった。
【0473】
[0564]元素分析、ナトリウム含有量(%Na)およびリン含有量(%P):NaIPの元素分析を実行し、結果は表12に含まれる。カチオンのNaIP(六ナトリウム塩)の元素組成への寄与を特徴付けると、合計リン含有量(%)と共にナトリウム含有量(%)から、塩の理論混合比の評価が可能になり、これは同時に純度を指し示す。見出されたナトリウム含有量は、ほぼ計算した理論上の値であり、したがって、NaIPの化学量論は、六ナトリウム塩に従う(フィチン酸1mol当たりナトリウム6mol)ことが確認された。
【0474】
【表12】
【0475】
[0565]イオン交換クロマトグラフィー:分光分析データは、NaIPにおけるフィチン酸ピークの保持時間を、同一のクロマトグラフィー条件下で分析参照標準におけるフィチン酸ピークのものと比較したイオン交換クロマトグラフィーによりさらに確認した。図18を参照されたい。
【0476】
[0566]多形現象:NaIPを、非晶質固体材料として単離した。NaIPを結晶性材料として単離しようとする試みをいくつか行ったが、多形体のいかなる証拠も明らかにならなかった。
【0477】
[0567]最後に、NaIPで、その調製に使用される合成経路と共に実行される構造解釈の研究は、提案されている構造と一致し、それを完全に裏付ける。
【0478】
実施例16
再結晶化した、および再結晶化されていないNa12IPから調製されるNaIPの調剤および配合
[0568]ステップ1 - 調剤(溶液の調製):成分(例えば再結晶化したNa12IPまたは再結晶化されていないNa12IPから得られるNaIP)を、マグネチックスターラーを備えた専用400Lミックスバッグ中の注入用水で希釈した。バッチ組成物は、以下の表で詳述されている。pHは、6.0M NaOH溶液で6.0±0.4に調整した。
【0479】
【表13】
【0480】
[0569]ステップ2 - 濾過:最終バルク溶液を、0.2μm PESフィルターを備えた単回使用濾過トランスファー(single-use filtration transfer)を通して濾過した。
【0481】
[0570]ステップ3 - 溶液採取:濾過した溶液を400Lフィーダーバッグ(feeder bag)中に収集した。
【0482】
[0571]ステップ4 - フィリングプロセス:フィリングマシンフィーダーバッグを使用した。濾過した最終バルクを、ガラスバイアルタイプI中に満たした。
【0483】
[0572]ステップ5 - ストッパリングおよびキャッピング:バイアルに栓をし、栓をしたバイアル上に、キャッピングマシーンを用いてキャップを配置した。
【0484】
[0573]ステップ6 - 目視検査および試験:バイアルの100%を視覚的に査察し、薬物製品を、確立されている規格に従って分析した。
【0485】
[0574]ステップ7 - 保存:バイアルを第2のパッケージングにバルク詰めし、2~8℃で保存するために、出荷まで倉庫に移した。
【0486】
実施例17
医薬組成物の安定性
[0575]実施例16(すなわち、表13)に記載されているプロトコールによる原料および含有量を有する、NaIP水性医薬組成物を調製した。溶液を調製するために使用される再結晶化したNaIP塩を得、実施例7に記載されているプロトコールに従って特徴付けられる。
【0487】
[0576]NaIP水性医薬組成物のアリコートを:(i)-20℃で、および(ii)5℃で12カ月、および(iii)25℃および60%相対湿度(RH)で6カ月保存した。項目(i)および(ii)アリコートの安定性を、始め、ならびに3、6、9および12カ月でアッセイした。項目(iii)アリコートの安定性を、始め、ならびに1、3および6カ月アッセイした。上記のイオンクロマトグラフィープロトコールを、安定性を評価するために使用した。NaIP水性医薬組成物はいずれも、試された温度およびRH条件すべてで安定かつ規格内と見出された。表14および15を参照されたい。これらの結果は、NaIP水性医薬組成物が、室温で安定であることを示す。
【0488】
【表14】
【0489】
【表15】
【0490】
[0577]発明の概要および要約書のセクションではなく発明を実施するための形態のセクションは、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されていると認識される。発明の概要および要約書セクションは、1つまたは複数であるが、すべてではない、発明者(複数可)により想定される本発明の模範的な実施形態を明記することができ、ひいては、決して本発明および添付の特許請求の範囲を限定することは意図されていない。
【0491】
[0578]本発明は、特定の機能およびその関係の実装を例証する機能的構成成分を利用して上に記載されている。これらの機能的構成成分の境界は、説明の便宜上、本明細書で任意に定義されている。特定の機能およびその関係が適切に行われる限り、代替的境界を定義できる。
【0492】
[0579]特定の実施形態の先述の記載は、当技術分野の技術の範囲内の知識を適用することにより、過度の実験なしで、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、他者が、そのような特定の実施形態の様々な用途を容易に改変する、かつ/またはそれらに適合させることができる本発明の一般的な性質を十分に明らかにする。したがって、そのような適応および改変は、本明細書で提示される教示およびガイダンスに基づいて、開示されている実施形態の等価物の意味および範囲内にあることが意図される。本明細書の表現または専門用語は、限定する目的ではなく説明する目的のためにあり、その結果、本明細書の専門用語または表現は、教示およびガイダンスを踏まえて当業者により解釈されることは理解されるべきである。引用されるすべての参考文献は、その全体が記載に組み込まれる。
【0493】
[0580]本発明の広さおよび範囲は、上に記載されている実施例または態様のいずれかに限定すべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ定義されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0166
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0166】
【化5】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0493
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0493】
[0580]本発明の広さおよび範囲は、上に記載されている実施例または態様のいずれかに限定すべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ定義されるべきである。
以下に、出願時の特許請求の範囲の記載を示す。
[請求項1]
イノシトールホスフェート(IP)塩を精製するための方法であって:
(i)前記IP塩を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ、
(ii)前記IP溶液をIP懸濁液に変換するステップ、
(iii)前記IP懸濁液をアルコール溶液で洗浄して、IP固体を得るステップ、および
(iv)前記IP固体を乾燥させて、精製したIP塩を得るステップ、
を含む、方法。
[請求項2]
ステップ(i)の前記IP塩および水が、約1:1から約1:30の重量比で混合される、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
ステップ(i)の前記IP塩および水が、1:2の重量比で混合される、請求項2に記載の方法。
[請求項4]
ステップ(i)の前記IP溶液が加熱される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
[請求項5]
前記IP溶液が、約45℃から約50℃の温度で加熱される、請求項4に記載の方法。
[請求項6]
前記IP溶液が、約0.2時間から約4時間加熱される、請求項4または5に記載の方法。
[請求項7]
前記IP溶液が、約1時間から約2時間加熱される、請求項6に記載の方法。
[請求項8]
前記IP溶液が濾過される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
[請求項9]
前記IP溶液に、前もって精製した前記IP塩の結晶を播種する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
[請求項10]
前もって精製した前記IP塩が、ステップ(i)の前記IP塩の約0.01%から約0.4%(w/w)に相当する、請求項9に記載の方法。
[請求項11]
前記IP溶液に、ステップ(i)の前記IP塩の約0.1%から約0.2%(w/w)に相当する、前もって精製した前記IP塩の結晶を播種する、請求項10に記載の方法。
[請求項12]
前記IP溶液が撹拌される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
[請求項13]
ステップ(iii)における前記アルコール溶液が、C~Cアルコールを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
[請求項14]
前記C~Cアルコールがエタノールである、請求項13に記載の方法。
[請求項15]
ステップ(iv)の前記IP固体を乾燥させるステップが、約20℃から約50℃の温度で実施される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
[請求項16]
ステップ(iv)の前記IP固体を乾燥させるステップが、約25分から約120分実施される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
[請求項17]
ステップ(iv)の前記IP固体を乾燥させるステップが、約0.01mbarから約1mbarの圧力で実施される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
[請求項18]
ステップ(iv)の前記IP固体を乾燥させるステップが、真空下で実施される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
[請求項19]
イノシトールホスフェート(IP)の可溶性塩を調製するための方法であって:
(a)IP塩を水中に溶解して、IP溶液を得るステップ、
(b)前記IP溶液とイオン交換媒体を接触させるステップ、
(c)ステップ(b)のイオン交換した前記IP溶液を濃縮して、IPシロップを得るステップ、および、
(d)前記IPシロップからの前記可溶性IP塩を、アルコキシドの存在下で分離するステップ、
を含む、方法。
[請求項20]
前記イオン交換媒体が、イオン交換クロマトグラフィー、バッチプロセスまたはpH調整系である、請求項19に記載の方法。
[請求項21]
ステップ(c)が、前記IP溶液を約25℃から約55℃の温度で蒸留することにより実施される、請求項19または20に記載の方法。
[請求項22]
前記IP溶液が、約40℃から約45℃の温度で蒸留される、請求項21に記載の方法。
[請求項23]
前記IP溶液が、約1時間から約16時間蒸留される、請求項21または22に記載の方法。
[請求項24]
前記IPシロップの水分量は、約30%から約60%(w/w)である、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
[請求項25]
前記IPシロップの水分量は、約40%から約45%(w/w)である、請求項24に記載の方法。
[請求項26]
前記アルコキシドが、C~Cアルコキシドである、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
[請求項27]
前記C~Cアルコキシドが、CHNaO、CHCHNaO、CHKOまたはCHCHKOである、請求項26に記載の方法。
[請求項28]
ステップ(d)が、約pH4.0から約pH5.5で実施される、請求項19から27のいずれか一項に記載の方法。
[請求項29]
(e)ステップ(d)の前記可溶性IP塩を噴霧乾燥させるステップをさらに含む、請求項19から28のいずれか一項に記載の方法。
[請求項30]
ステップ(a)の前記IP塩が、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法に従って前もって精製されている、請求項19から29のいずれか一項に記載の方法。
[請求項31]
ステップ(d)またはステップ(e)の前記可溶性IP塩が、請求項1から18のいず
れか一項に記載の方法に従ってさらに精製される、請求項19から29のいずれか一項に記載の方法。
[請求項32]
前記IPが、1から8個のリン酸基を含有する、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
[請求項33]
前記IPが、1から6個のリン酸基を含有する、請求項32に記載の方法。
[請求項34]
前記IPが、イノシトールヘキサホスフェートである、請求項33に記載の方法。
[請求項35]
前記イノシトールヘキサホスフェートが、ミオイノシトールヘキサホスフェートである、請求項34に記載の方法。
[請求項36]
前記IP塩が、少なくとも1つの一価カチオンを含有する、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
[請求項37]
前記一価カチオンが、(i)第1族元素のアルカリ金属カチオン、(ii)アンモニウムまたは(iii)それらの組合せである、請求項36に記載の方法。
[請求項38]
前記第1族元素のアルカリ金属が、ナトリウム、カリウムまたはそれらの組合せである、請求項37に記載の方法。
[請求項39]
請求項19から38のいずれか一項に記載の方法に従って得られた、可溶性IP塩。
[請求項40]
前記可溶性IP塩が、NaIPである、請求項39に記載の可溶性IP塩。
[請求項41]
(i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦2.0%(w/w)、
(ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦4.0%(w/w)、
(iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦5.0%(w/w)、および、
(iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦3.0%(w/w)を含み、少なくとも70%(w/w)純粋である、IP塩。
[請求項42]
(i)DL-イノシトール1,2,3,4,6-ペンタホスフェート≦1.4%(w/w)、
(ii)DL-イノシトール1,2,3,5,6-ペンタホスフェート≦2.1%(w/w)、
(iii)DL-イノシトール1,2,4,5,6-ペンタホスフェート≦2.6%(w/w)、および、
(iv)DL-イノシトール1,3,4,5,6-ペンタホスフェート≦0.52%(w/w)を含み、少なくとも80%(w/w)純粋である、請求項41に記載のIP塩。
[請求項43]
前記塩が、ナトリウム塩である、請求項41または42に記載のIP塩。
[請求項44]
前記塩が、六ナトリウム塩である、請求項43に記載のIP塩。
[請求項45]
請求項39に記載のIP塩、請求項40から44のいずれか一項に記載のIP塩またはそれらの混合物を含む医薬組成物。
[請求項46]
注入可能である、請求項45に記載の医薬組成物。
[請求項47]
非経口投与される、請求項46に記載の医薬組成物。
[請求項48]
前記非経口投与が静脈内である、請求項47に記載の医薬組成物。
[請求項49]
前記静脈内投与が、静脈内点滴を経由する、請求項48に記載の医薬組成物。
[請求項50]
前記静脈内点滴が、透析系を通して行われる、請求項49に記載の医薬組成物。
[請求項51]
前記IP塩または前記IP塩の濃度が、約0.001mg/mLから約100mg/mLである、請求項45から50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[請求項52]
(a)約10mg/mLから約100mg/mLの前記IP塩、
(b)約0.001mg/mLから50mg/mLの少なくとも1つの等張化剤、および(c)水、
を含む、請求項51に記載の医薬組成物。
[請求項53]
前記IP塩がNaIPである、請求項52に記載の医薬組成物。
[請求項54]
pH緩衝溶液をさらに含む、請求項52から53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[請求項55]
請求項1から38のいずれか一項に記載の方法に従って調製した化合物、請求項39に記載の可溶性IP塩、請求項40から44のいずれか一項に記載のIP塩、請求項45から54のいずれか一項に記載の医薬組成物、および少なくとも第2の治療剤または処置を含む、組合せ処置。
[請求項56]
請求項1から38のいずれか一項に記載の方法に従って調製した化合物、請求項39に記載の可溶性IP塩、請求項40から44のいずれか一項に記載のIP塩、請求項45から54のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項55に記載の組合せ処置、および投与説明書を含む、キット。
[請求項57]
異所性石灰化またはその結果の処置または防止を、それを必要とする対象においてするための方法であって、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法に従って調製した化合物、請求項39に記載の可溶性IP塩、請求項40から44のいずれか一項に記載のIP塩、請求項45から54のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項55に記載の組合せ処置、または請求項56に記載のキットを、前記対象に投与するステップを含む、方法。
[請求項58]
前記対象が血液透析を受けている、請求項57に記載の方法。
[請求項59]
前記対象が末期腎疾患を有する、請求項57または58に記載の方法。
【国際調査報告】