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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】月齢表示器
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/26 20060101AFI20231222BHJP
【FI】
G04B19/26 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536547
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2021086596
(87)【国際公開番号】W WO2022129573
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20215658.4
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521269883
【氏名又は名称】クロックツー ライセンス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】ビーゲルト・マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フンク・アンドレアス
(57)【要約】
月齢表示器であって、
・現在の月齢が表示される表示面と、
・表示要素であって、照明されている月の部分が描写されている帯状の第1の側面と、照明されている月の部分が描写されていない帯状の第2の側面とを有しており、
・その表示要素のそれぞれは、第1の側面が表示面に配置される第1の回転位置と、第2の側面が表示面に配置される第2の回転位置とを有し、
・各第1の側面は、すべての表示要素がその第1の回転位置に配置される満月位置において、全体として満月を表わす、複数の表示要素と、
・個々の表示要素それぞれをその縦軸を中心にして回転させることが可能なドライブと、
・満月位置から、すべての表示要素が第2の回転位置に配置されるまで、表示要素のそれぞれ1つが連続するステップで第2の回転位置に回転され、徐々に欠けていく月が表示されるようにドライブを作動するように構成されているコントローラと、を備える、月齢表示器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
月齢表示器であって、
・現在の月齢が表示される表示面と、
・複数の表示要素(10~36)であって、それぞれがその縦軸を中心に回転可能に支持されており、照明されている月の部分が描写されている帯状の第1の側面(40)と、照明されている月の部分が描写されていない帯状の第2の側面(42)とを有しており、
・前記表示要素(10~36)のそれぞれは、前記第1の側面(40)が前記表示面に配置される第1の回転位置と、前記第2の側面(42)が前記表示面に配置される第2の回転位置とを有し、
・前記第1の側面(40)は、すべての前記表示要素(10~36)がその前記第1の回転位置に配置される満月位置において、全体として満月を表わす、複数の表示要素(10~36)と、
・個々の前記表示要素(10~36)それぞれをその縦軸を中心にして残りの前記表示要素(10~36)と独立して回転させることが可能なドライブと、
・満月位置から、すべての前記表示要素(10~36)が前記第2の回転位置に配置されるまで、前記表示要素(10~36)のそれぞれ1つが連続するステップで前記第2の回転位置に回転され、徐々に欠けていく月が表示されるように前記ドライブを作動するように構成されているコントローラ(66)と、を備える、月齢表示器。
【請求項2】
前記表示要素(10~36)の数が偶数であり、4から30の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の月齢表示器。
【請求項3】
前記表示要素(10~36)の数が14であることを特徴とする、請求項1に記載の月齢表示器。
【請求項4】
前記表示要素(10~36)の前記縦軸が使用位置で前記月齢表示器を見ている人の視野に対して垂直に延びることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【請求項5】
連続ステップ数と表示要素(10~36)の数が一致するように前記コントローラ(66)が設定されており、前記月齢表示器の第1の側面に配置された表示要素(10~36)を第1のステップで回転させ、そのすぐ隣に配置されている表示要素(10~36)を第2のステップで回転させ、以降同様に、最後のステップで、前記第1の側面と反対側にある月齢表示器の第2の側面に配置された表示要素(10~36)を回転させるまで繰り返すことを特徴とする、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【請求項6】
前記コントローラ(66)には、北半球動作モードと南半球動作モードがあり、前記北半球動作モードでは、見る人の視野に基づき最も右端に配置された表示要素(36)が前記第1のステップで回転し、前記南半球動作モードでは、見る人の視野に基づき最も左端に位置する表示要素(10)が前記第1のステップで回転することを特徴とする、請求項5に記載の月齢表示器。
【請求項7】
前記第1の側面(40)が、前記満月位置において正方形の領域を表示面に形成することを特徴とする、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【請求項8】
前記照明されている月の部分の描画に近接する前記第1の側面(40)の部分領域が、背景色を有することを特徴とする、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【請求項9】
前記第2の側面(42)が、前記背景色を有することを特徴とする、請求項8に記載の月齢表示器。
【請求項10】
前記第2の側面(42)のそれぞれに、非照明の月部が描かれていることを特徴とする、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【請求項11】
前記非照明の月部の描画に近接する前記第2の側面(42)の部分領域が、背景色を有することを特徴とする、請求項10に記載の月齢表示器。
【請求項12】
前記月齢表示器が、前記表示面に配置され、前記表示要素(10~36)をフレーム化するフレーム(38)を有し、前記フレーム(38)は前記背景色のままにしておくことが望ましいことを特徴とする、請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【請求項13】
前記表示要素(10~36)が、前記表示面の第3の回転位置に配置されている帯状の第3の側面をそれぞれ有することを特徴とする、請求項1から13のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【請求項14】
各前記表示要素(10~36)の前記ドライブが、ステッピング・モータやサーボモータ(62)、またはロータリ・マグネットを備えた独自のドライブ・ユニット(60)を有していることを特徴とする、請求項1から13のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【請求項15】
前記表示要素(10~36)のうちの1つの前記ドライブ・ユニット(60)が上端部に配置され、隣接して配置されている前記表示要素(10~36)の前記ドライブ・ユニット(60)がその前記表示要素(10~36)の下端部に配置されることを特徴とする、請求項14に記載の月齢表示器。
【請求項16】
セフティ・カップリングが前記表示要素(10)の1つと前記ドライブとの間に配置されており、このセフティ・カップリングは所定のトルクを超えると前記ドライブと前記表示要素(10)の間の嵌め込み式の接続または圧力嵌めを解除することを特徴とする、請求項1から15のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【請求項17】
前記セフティ・カップリングが弾性カップリング要素(70)を有し、この弾性カップリング要素(70)は、前記ドライブや前記表示要素(10)に堅固に接続されているシャフトのフラット・スポット(72)と相互作用することを特徴とする、請求項16に記載の月齢表示器。
【請求項18】
前記ドライブに遊びが生じ得、前記表示要素(10)がばね要素(84)と前記ばね要素(84)に相互作用する制御部(80)とに割り当てられ、前記制御部(80)は前記表示要素(10)の側面のそれぞれに対するものであり、前記表示要素(10)が関連する回転位置に正確に配置されている場合、前記ばね要素(84)が平面状に載置しているフラット・スポット(82)を有することを特徴とする、請求項1から17のうちのいずれか一項に記載の月齢表示器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式表示要素を有する月齢表示器(月齢ディスプレイ)に関する。このような月齢表示器は、特に、機械式ムーブメントを有する時計から知られている。
【0002】
頻繁に見かけるデザインでは、59日で一度回転する円形ディスクを使用している。2つの円のそれぞれが月を象徴しており、ディスクの前部にある回転軸に対して対称的に表されている。開口部がディスクの前に配置された文字盤に構成されており、その開口部から約180度広がるディスクのセクタが視認できる。この開口部は、ほぼ円弧形の部分がセクタの半径方向に延びる開口縁部を形成するという特殊な形状をしている。いずれの場合も、ディスクを回転させると月の2つの表象の1つが、これらの開口縁部のうち1つの下から押し出されるので、三日月状の月が視認できるようになり、この月はさらにもう一方の開口縁部に三日月形状に隠れるまで拡大されて、完全な円となる。その後すぐに、第2の月の表象が第1の開口縁部の下に表示される。このような月齢表示器の一例が、欧州特許公開第3098671号に記載されている。
【0003】
月齢は、固定された月の表象の前に特定の開口部を有するディスクを移動させることによって、同様に表示可能である。直径の小さな月を表すため、ディスクに円形の開口部を構成して、直径がわずかに小さい月の表象に対して移動することも可能である。この目的のために、3つ以上の月の表象が円周に沿って分布可能であり、それに合わせて回転速度を低減することが可能である。
【0004】
さらなる別の変形では、1つのディスクが複数の開口部を有し月がさらなるディスクに表わされており、両ディスクが異なる回転速度で移動するが、この変形は欧州特許第2853957号から知られている。
【0005】
上に説明した月齢表示器すべての共通点は、可動式表示要素のそれぞれが、得られる月齢表示器に比べて寸法が大きいことである。したがって、一般的な規則として、既知の月齢表示器によって、時計の文字盤に小さく創造的なものが追加される。
【0006】
このことより、本発明の目的は、簡潔な設計で、月齢を魅力的な大きな領域で描写することの可能な月齢表示器を提供することである。
【0007】
本目的は、請求項1の特徴を有する月齢表示器によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0008】
月齢表示器が、
・現在の月齢が表示される表示面と、
・複数の表示要素であって、それぞれがその縦軸を中心に回転可能に支持されており、照明されている月の部分が描写されている帯状の第1の側面と、照明されている月の部分が描写されていない帯状の第2の側面とを有しており、
・その表示要素のそれぞれは、第1の側面が表示面に配置される第1の回転位置と、第2の側面が表示面に配置される第2の回転位置とを有し、
・各第1の側面は、すべての表示要素が第1の回転位置に配置される満月位置において、全体として満月を表わす、複数の表示要素と、
・個々の表示要素それぞれをその縦軸を中心にして残りの表示要素と独立して回転させることが可能なドライブと、
・満月位置から、すべての表示要素が第2の回転位置に配置されるまで、表示要素のそれぞれ1つが連続するステップで第2の回転位置に回転され、徐々に欠けていく月が表示されるようにドライブを作動するように構成されているコントローラと、を備える。
【0009】
表示要素は、縦軸(長手方向軸)を備えた基本的には細長い形状をしている。表示要素は円柱であってもよく、すなわちその長さにわたって一定の断面を有していてもよい。この場合、2つの側面は縦軸からの距離が一定である。2つの側面は帯状であり、それぞれが表示要素の縦側面を形成する。一例として、表示要素が矩形の断面を有していてもよく、この場合、2つの側面は矩形の長辺上にあり、互いに対向している。したがって、第1の回転位置および第2の回転位置は180度異なる。表示要素の断面が三角形の場合、特に正三角形の形状である場合、2つの回転位置間の角度は120度、またはそれぞれ240度である。両側面の形状および寸法は同じであってもよい。特に、これらは矩形であってもよい。第1の回転位置では第1の側面が表示面に配置され、第2の回転位置では第2の側面が表示面に配置され、したがって、特に第2の側面は第1の側面が第1の回転位置に配置されているのと同じ位置にある。
【0010】
表示要素は隣り合わせで配置されてもよい。縦軸が1つの面に平行に配置されてもよい。満月位置では、隣り合わせの表示要素の第1の側面が互いに近接しているかほとんど近接していてもよく、そのため、第1の側面はほぼ閉領域を形成する。しかし、第1の側面がまた、互いに視認可能な距離で配置されていてもよく、この距離は開けたまであっても別の要素によって塞がれているかほぼ塞がれていてもよい。複数の部分からなる月の描写を強調するために、このような距離を創造的手段として利用可能である。
【0011】
ドライブがその縦軸を中心に各表示要素を個々に回転することが可能であり、その結果、特に第1の回転位置および第2の回転位置を設定することが可能である。たとえばステッピング・モータやサーボモータ、またはロータリ・マグネットを使用して、円滑また段階的に回転することが可能である。特に、各表示要素は、たとえばその独自のステッピング・モータやサーボモータ、またはロータリ・マグネットを備えた独自のドライブを有していてもよい。しかし、適切なカップリング機構を有するセントラル・ドライブも考えられる。
【0012】
表示要素に割り当てられているステッピング・モータやサーボモータなどを起動させる電子コントローラをコントローラとして使用可能である。しかし、単なる機械的コントローラもまた考えられる。ドライブはコントローラによって制御されるので、表示面の特定の時点に配置されている側面のすべてが現在の月齢を表示する。満月位置では、すべての表示要素が第1の回転位置に配置されるので、第1の側面すべてが表示面に配置されている。これら側面のそれぞれは照明されている月の部分(被照明月部)を示し、全体として満月を示す。
【0013】
ドライブとコントローラにエネルギを供給するために、たとえばバッテリやアキュムレータを設けることができる。電源の接続も同様に可能である。
【0014】
各ステップでは、表示要素の1つが第1の回転位置から第2の回転位置になるので、対応する第1の側面とそこに描写されている被照明月部が表示面に配置されなくなる。したがって、月は徐々に欠けていく。最後のステップのあと、すべての表示要素が第2の回転位置に配置されるので、照明されている月の部分が視認されなくなる。これは新月に相当する。
【0015】
言うまでもなく、コントローラは第2の回転位置から第1の回転位置へとさらに(同じ方向または反対方向に)回転させることによって、個々の表示要素をさらにステップを踏んでリセットするように好ましくは構成されているので、月は満月位置に再び達するまで徐々に満ちていく。
【0016】
このステップは固定的に予め定められた時間間隔で実行可能であり、表わされた月の画像が任意の時点で現在の月齢に可能な限り最善の方法で対応するように決められる。時間間隔の長さは、特に、必要なステップ数/表示要素数による。
【0017】
一実施形態では、表示要素数は偶数であり、4から60の範囲内にある。偶数であることにより、既存の表示要素の半分に描かれた月部が全体として半円を形成すると、半月を最適に描写できる。月齢を有意味に描写するにはわずか4つの表示要素で十分である、というのは、新月、上弦の月(quarter-moon)、半月、下弦の月、満月を区別できるからである。より区別して描写するためには、より数多くの表示要素が必要になる。より数多くの表示要素はまた、月齢表示器の小型化にも寄与する、というのは、表示要素やそのそれぞれの回転運動を受けるのに必要な設置スペースをより浅いもので済ませることができるからである。
【0018】
一実施形態では、表示要素数が14である。この数字は、月齢を区別して描写するのには十分である。さらに、約29.5日間続く完全な月齢周期は28ステップで表されるため、連続するステップの時間間隔は約24時間であり、すなわち24時間とみなしてもよい。その結果、1日に1回、決まった時間に、あるいはおおよそ決まった時間に描写が変化し、見る人に特に魅力的に月齢を表示することが可能である。
【0019】
ドライブが起動すると、コントローラが固定の間隔で連続するステップを実行することができるので、表示された月齢は現在の月齢に最良の方法で対応する。あるいは、たとえば、毎日同じ時間にステップが実行されるようにしたり、予め決められた休憩時間(例として午後10時と午前8時の間の夜間)にステップが実行されないようにしたりするなど、現在の時刻を考慮することが可能である。後者の場合、保留中のステップは、午後10時より前の時刻に進めて実行されるか、午前8時以降のある時刻に遅れを取り戻して実行することができる。
【0020】
一実施形態では、表示要素の縦軸が使用位置で月齢表示器を見ている人の視野に対して垂直に延びる。月齢表示器が時計と一体化している場合、このことは、縦軸が従来の12時間制の文字盤の12時と6時の位置を結ぶ直線と平行に配置されていることを意味する。グランドファーザー時計や壁時計に組み込まれた月齢表示器や、立っているか壁に吊り下がっている別の月齢表示器の場合、それに応じて縦軸は垂直方向に延びる。縦軸のこのような配列の結果として、一般的に、縦軸の水平方向の配列の場合よりも、空で観測される月によりよく対応する月の描写が得られる。
【0021】
一実施形態では、(満月から新月までの)連続ステップ数と表示要素数が一致するようにコントローラが設定されている。月齢表示器の第1の側面に配置された表示要素を第1のステップで回転させ、そのすぐ隣に配置されている表示要素を第2のステップで回転させ、以降同様に、最後のステップで、第1の側面と反対側にある月齢表示器の第2の側面に配置された表示要素を回転させるまで繰り返す。
【0022】
一実施形態では、コントローラには、北半球動作モードと南半球動作モードがあり、北半球動作モードでは、見る人の視野に基づき最も右端に配置された表示要素が第1のステップで回転し、南半球動作モードでは、見る人の視野に基づき最も左端に位置する表示要素が第1のステップで回転する。その結果、得られた描写は、それぞれの半球の空で人が見ることのできる月の外観に対応する。
【0023】
一実施形態では、第1の側面が、満月位置において正方形の領域を表示面に形成する。この形状は、全体に広がっていく(format-filling)円形の満月を描写するのに最適である。
【0024】
一実施形態では、照明されている月の部分の描画に近接する第1の側面の部分領域が、背景色を有する。この背景色は夜空に合わせて暗い色を選択可能である。その結果、満月の場合、月は均一な背景上に描写される。
【0025】
一実施形態では、第2の側面がこの背景色を有する。その結果、照明されている月の部分はまた、部分的な月の描写それぞれに対して均一な背景上に描写される。
【0026】
一実施形態では、第2の側面のそれぞれに、非照明の月部が描かれている。その結果、実際には、太陽に直接照明を受けない月部も視認可能である。これは、冒頭で説明した従来の月齢表示器では実現できない特殊なデザインの特徴である。
【0027】
一実施形態では、非照明の月部の描画に近接する第2の側面の部分領域が、背景色を有する。その結果、月全体が均一な背景に対してそれぞれの部分的な月の位置で表される。
【0028】
一実施形態では、月齢表示器が、表示面に配置され、表示要素をフレーム化するフレームを有する。このフレームは、表示要素によって形成される領域を美的に仕上げる。同時に、このフレームは、可動式表示要素を損傷から保護するのに役立ち、適切なベアリング、および/またはドライブ、および/またはコントローラを受ける役割を果たすことが可能である。
【0029】
このフレームは背景色のままにしておくことが望ましい。その結果、月齢表示器の統一感を得ることができる。さらに、その構造設計の認識を、可動式表示要素によって全体または部分的に隠すことが可能となる。
【0030】
一実施形態では、表示要素が、表示面の第3の回転位置に配置されている帯状の第3の側面をそれぞれ有する。この場合、表示要素の断面は特に三角形であってもよい。月齢のさらなる状態が、第3の側面を利用して表示可能である。例として、第2の側面は全体が背景色のままでもよく、第3の側面は非照明の月部の描画があってもよい。したがって、説明した2つの描写の変形例の間で切替えが可能である。
【0031】
一実施形態では、各表示要素のドライブが、ステッピング・モータやサーボモータ、またはロータリ・マグネットを備えた独自のドライブ・ユニットを有している。その結果、各表示要素の回転位置を同じ精度で設定可能である。ドライブ・ユニットは、長孔を介して月齢表示器のベアリング構造にねじ止めすることが可能であるので、表示要素の位置を微調整することができる。この長孔は、特に、表示要素の位置を表示面の方向に(つまりは、表示面の法線方向に垂直に)調整できるように配列可能である。ドライブ・ユニットの反対側の端部では、表示要素をそれぞれ支持要素に支持することが可能であり、その位置は、微調整可能に長孔の接続部を介して同様に決定することができる。このことによって、隣接する表示要素間の距離が等しくなるように、表示要素の位置を簡単に調整することが可能となる。
【0032】
一実施形態では、表示要素のうちの1つのドライブ・ユニットが上端部に配置され、隣接して配置されている表示要素のドライブ・ユニットがその表示要素の下端部に配置される。このことは、隣接する表示要素の各組に適用可能である。言い換えれば、ドライブ・ユニットは常に表示要素の両端に交互に配置されている。したがって、設置スペースが各ドライブ・ユニットを利用可能であり、このスペースは表示要素の上または下の空き領域の約2倍の大きさである。その結果、月齢表示器の小型化が可能となる。
【0033】
一実施形態では、セフティ・カップリングが表示要素の1つとドライブとの間に配置されており、このセフティ・カップリングは所定のトルクを超えるとドライブと表示要素の間の嵌め込み式の接続または圧力嵌めを解除する。特に、このようなセフティ・カップリングは、表示要素のそれぞれに割り当て可能である。セフティ・カップリングによって、回転運動が妨害されたり阻止されたりする場合に、ドライブの過負荷および/またはその他の損傷が防止される。
【0034】
一実施形態では、セフティ・カップリングが弾性カップリング要素を有し、この弾性カップリング要素は、ドライブや表示要素に堅固に接続されているシャフトのフラット・スポットと相互作用する。障害物があったり詰まったりした場合、弾性カップリング要素が変形してフラット・スポットから外れることが可能である。
【0035】
一実施形態では、ドライブに遊びが生じ得、表示要素がばね要素とそのばね要素に相互作用する制御部とに割り当てられる。この制御部は制御部の側面のそれぞれに対するものであり、表示要素が関連する回転位置に正確に配置されている場合、ばね要素が平面状に載置しているフラット・スポットを有する。このばね要素と制御部がともに、意図した静止位置で表示要素を正確に配列することを保証する機構を形成する。ドライブに遊びが生じ得るという事実は、ドライブが静止しているときの静止位置が一定の制限内でのみ、たとえば+/-0.5度から+/-5度のずれが生じる可能性で固定されるということを意味する。すでに述べたセフティ・カップリングと接続すると、このような回転の遊びが、たとえば、弾性カップリング要素とドライブ要素のシャフトのフラット・ポイントとの間の隙間によって実現可能である。ばね要素は正確な位置合わせに重要であり、ばね要素と制御部の相対的な回転位置に応じて、フラット・スポットにスプリング力を及ぼす。ばね要素が平面状にフラット・スポットに載置していると、力は回転軸に対して対称的に作用し、トルクは作用しない。制御部は表示要素の回転軸に対して同心的に配置されている。フラット・スポットは制御部の周縁にわたり分布して配置されていてもよい。制御部は非回転式に表示要素に接続されていてもよい。すなわち、制御部とともに回転してもよい。この場合、月齢表示器のフレームに固定するなど、制御要素を固定して配置してもよい。特に、フラット・スポットは、たとえば回転軸に対して関連する側面の反対側にある表示要素の「裏側」など、それぞれ関連する側面に平行に配置可能である。逆の配置、すなわち、ばね要素が表示要素に非回転的に接続され、制御部がフレーム上などに固定的に配置されたることもまた可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明を、図に示す例示的実施形態を参照しつつ、以下により詳細に説明する。
図1】異なる時点での3つの月齢表示器を互いに並べた図。
図2図1の月齢表示器の一部分を概略的に示した断面図。
図3図1の月齢表示器を後ろから見た斜視図。
図4図1の月齢表示器のドライブの拡大斜視図。
図5】セフティ・カップリングを有する表示要素のドライブの概略図。
図6図5の表示要素の概略図であり、ばね要素と静止位置に固定する制御部とを備えている図。
【0037】
図1は、14個の表示要素10~36とその表示要素10~36を囲むフレーム38とを有する月齢表示器を示す。この表示要素10~36はそれぞれ、帯状で矩形の第1および第2の側面を有する。表示要素10~36は垂直な縦軸を中心に回転可能に支持されている。
【0038】
図1の左側に示す状態では、表示要素10~36がすべて第1の回転位置に配置されている。第1の回転位置では、いずれ場合も第1の側面がいずれも図面に対応する表示面に配置されている。表示要素10~36の第1の側面は、全体として、表示面の正方形の領域をほぼ完全に埋める。フレーム38の前部は、同様に表示面に配置されている。その前部は正方形の形状であり、表示要素10~36が中に配置されている正方形の区画を有するので、表示要素がこの区画をほぼ完全に埋める。
【0039】
照明されている月部が、図1では白色で示されており、14個の第1の側面のそれぞれに描かれている。各第1の側面が全体として満月を示す、すなわち、図1の左に示す状態が満月位置である。第1の側面の領域は部分的に、照明されている月部にそれぞれ隣り合っており、黒色のままで背景を形成している。フレーム38は同様に黒色であるので、満月が全体的に一貫した背景に現れる。
【0040】
図1の左側に示されている満月位置から開始して、表示要素10~36はそれぞれ、連続するステップで第2の回転位置になる。このことは、第1のステップでは最も左にある表示要素10で生じ、ついで、隣接する表示要素12で生じ、同様に続いていく。4つのステップのあと、このことによって図1の中央に示す位置になる。この位置では、月が4分の1ほど欠けている(より正確には4/14)。左に配置されている4つの表示要素10、12、14および16がここではその第2の回転位置に配置され、この位置では第2の側面がいずれも表示面に配置されている。第2の側面では照明されている月部が描かれていないが、それぞれ非照明の月部が灰色で描かれている。非照明の月部に隣接する第2の側面の部分領域は、背景色の黒のままである。月の描画の直径が第1の側面の大きさに適合しているので、表示要素10~36によって埋まる領域は、ほぼ完全に、あるいは完全に活用される。
【0041】
さらに3つのステップの後、表示要素18、20、および22がまたその第2の回転位置に配置される、すなわちこの状態は図1の右に示されており、半月位置である。図1の軌跡は南半球動作モードに対応している、というのは、これは月が「左から」欠けていく南半球の夜空で観測される状態を示すからである。北半球動作モード(図示せず)では、満月位置から開始して、最も右に配置されている表示要素36が最初に回転して第2の回転位置になる。
【0042】
図2では、表示要素10、12、14が断面で概略的に示されている。これらはそれぞれが、正三角形の形状をしている。第1の側面40が三角形の一辺に配置されており、第2の側面42が三角形の第2の辺に配置されている。示されている位置では、第1の側面40が点線44で示される表示面に配置されている。表示要素10の第1の側面40に隣接して、フレーム38の一片が視認でき、その前面が同様に表示面にある。垂直に配置されている保持具46がベアリング構造の一部分を形成しているが、フレーム38の後部に配置されている。表示要素10~36それぞれの支持要素50は、概略的にしか示されてはいないが、ベアリング構造のさらなる要素であり図2では示されていない水平保持具に配置されている。縦軸48は、これを中心に表示要素10~36のそれぞれが支持要素50に回転可能に支持されているが、同様に示されている。
【0043】
コントローラ66は、表示要素10~36のそれぞれの回転位置を制御するように構成されているが、同様に概略的にのみ示されている。この目的を達成するために、コントローラはドライブ・ユニット60(図4参照)に接続されている。電子コントローラ66とドライブ・ユニット60は、表示されていないアキュムレータによって電気エネルギが供給される。
【0044】
図3は、月齢表示器を後ろから見た図であり、後壁(図示せず)が取り外されている。フレーム38の裏ならびに垂直保持具46のうちの2つと2つの水平保持具52、54が表示要素10~36のベアリング構造を形成しているが、これらが視認できる。フレーム38はこのベアリング構造に固締されている。
【0045】
表示要素10~36(図3では参照番号を部分的にのみ示す)はそれぞれ、上端部と下端部とで水平保持具52、54のうちの1つと近接している。ドライブ・ユニットを受ける支持装置56が、水平保持具52の上方において、各表示要素10~36の上端部に表示要素10~36の2つおきに1つずつ配置されている。残りの表示要素10~36には、このような支持装置56が別の水平保持具54の下方において、表示要素10~36の下端部に配置されている。ドライブ・ユニットはそれ自体、図3には詳細に示されていない。
【0046】
図4は、月齢表示器の一部分を前から概略的に見た図である。表示要素10~36のうちのいくつかと、それらの上に配置されている水平保持具52とが視認できる。水平保持具52の上方に、支持装置56を有するドライブ・ユニット60が、表示要素10~36の2つおきに配置されている。
【0047】
ドライブ・ユニット60のうちの1つが、拡大して示されている。これは、4つの長孔を有し、それぞれにねじ58が案内されて保持具52にねじ込まれている二部構成の支持装置56と、関連する表示要素10~36を支持し駆動するシャフト64に接続されているサーボモータ62とを備える。
【0048】
図5は、表示要素10の一部分を下部に示し、これは滑り軸受面74を用いて回転軸48を中心に回転可能に支持されており、ドライブ・ユニット60によって駆動する。ドライブ・ユニット60は回転プレート68を有する。回転プレート68には弾性カップリング要素70が固締されており、回転軸48に平行に延びる側方に変形可能な端部を有する。図示する静止位置では、この端部がフラット・スポット72から少し離れて配置されており、このフラット・スポット72は回転軸48と同心的に配置されている別の円形軸部76に構成されている。回転プレート68が回転すると、その端部がフラット・スポット72と接触するようになり、さらに回転運動する間に表示要素10を共に受ける。
【0049】
表示要素10の回転が妨げられると、端部が外側に変形してフラット・スポット72から外れるので、端部は軸部76の残りの側面に載置される。したがって、フラット・スポット72と弾性カップリング要素70とでセフティ・カップリングを形成する。障害が修復されると、フラット・スポット72が端部に位置するように表示要素10を再配列することができる。特に、軸部76と弾性カップリング要素との摩擦が、ドライブ・ユニット60自体が障害となっている場合よりも小さければ、このことは手動で簡単に行うことが可能である。
【0050】
図6では、図6の表示要素10の下部を示している。これはフレーム部78に、回転軸48を中心に回転可能に支持されている。制御部80は、表示要素10の下に回転軸48に対して同心円状に配置されており、表示要素10に非回転式に接続されている。これは3つのフラット・スポット82を有し、このフラット・スポット82はそれぞれ表示要素10の側面に割り当てられている。ばね要素84の自由端は、フレーム要素78に固締されており、これらフラット・スポット82のうちの1つに平坦に載置されている。表示要素10が回転すると、ばね要素84の自由端が回転軸48から離れて外側に変形する。その結果、遊びの範囲内で表示要素10を所望する回転位置に正確に導くのに十分なトルクを、制御部80にもたらす。
【符号の説明】
【0051】
10~36 表示要素
38 フレーム
40 第1の側面
42 第2の側面
44 線(表示面)
46 保持具(垂直)
48 回転軸
50 支持要素
52、54 保持具(水平)
56 支持装置
58 ねじ
60 ドライブ・ユニット
62 サーボモータ
64 シャフト
66 コントローラ
68 回転プレート
70 弾性カップリング要素
72 フラット・スポット
74 滑り軸受面
76 軸部
78 フレーム部
80 制御部
82 フラット・スポット
84 ばね要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】