(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】組成物を皮膚に連続してムラなく塗布するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20231222BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20231222BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
A61B5/00 M
A61B5/00 101A
A61B5/107 800
A45D34/04 550
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537571
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 US2021061226
(87)【国際公開番号】W WO2022140021
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エドガー・アルバート・デュール
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンズ・ローラ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB03
4C038VB11
4C038VB14
4C038VB22
4C038VC05
4C117XB01
4C117XB03
4C117XB13
4C117XC11
4C117XD04
4C117XD11
4C117XD31
4C117XE36
4C117XE43
4C117XJ01
4C117XJ12
4C117XJ42
(57)【要約】
皮膚の審美的外観を変化させるために、化粧品組成物を処置表面(例えば、皮膚)に選択的に塗布するためのデバイス及び方法。デバイス(100)は、皮膚の領域の画像に対応する画像データを取得する検出器(110)と、組成物を皮膚に塗布するアプリケータ(120)と、を含む。アプリケータ(120)は、組成物を、撮像された皮膚の領域内の位置に塗布するように位置合わせされる。デバイスは、画像データを分析し、皮膚の領域の反射率値が、(i)選択された色調の反射率値未満であり、かつ(ii)位置の反射率値よりも大きいとき、組成物を位置に選択的に塗布する。選択された色調の反射率値は、皮膚の領域に隣接する皮膚の部位に対応する画像データに基づいて生成されてもよい。本デバイス及び本方法は、望ましくない皮膚アーチファクトの出現を減少させ、かつ化粧品組成物の層をムラなく塗布する必要性を制限しながら皮膚の審美的外観を向上させることを目的とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物をユーザの皮膚に選択的に塗布するための手持ち式デバイスであって、
皮膚の領域の画像に対応する画像データを取得する検出器装置と、
前記組成物を前記皮膚に塗布するアプリケータ装置であって、前記アプリケータ装置が、前記組成物を前記皮膚の領域内の位置に塗布するために位置合わせされる、アプリケータ装置と、
前記検出器装置で以前に撮像された皮膚の領域に対応する過去の画像データを記憶するメモリ記憶デバイスと、
プロセッサ及び前記プロセッサによって実行可能な命令のセットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令のセットは、前記画像データを分析して、前記皮膚の領域の反射率値及び前記皮膚の領域内の前記位置の反射率値を生成し、前記皮膚の領域の前記反射率値と、(i)前記皮膚の領域に隣接する皮膚の部位に対応する画像データに基づいて生成される、選択された色調の反射率値、及び(ii)前記位置の前記反射率値とを比較し、前記皮膚の領域の前記反射率値が、前記選択された色調の前記反射率値未満であり、かつ前記位置の前記反射率値よりも大きいとき、前記組成物を前記位置に選択的に塗布するように前記アプリケータ装置に指示する、ように動作可能である、プロセッサ及び前記プロセッサによって実行可能な命令のセットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と、を備える、手持ち式デバイス。
【請求項2】
前記命令のセットが、前記検出器装置で以前に取得された前記皮膚の部位に対応する過去の画像データに基づいて、前記選択された色調の前記反射率値を生成するように動作可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記命令のセットが、前記検出器装置で以前に撮像された皮膚の複数の領域の画像に対応する過去の画像データに基づいて、前記選択された色調の前記反射率値を生成するように動作可能である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記命令のセットが更に、前記皮膚の領域の前記反射率値と前記位置の前記反射率値との差異と、前記組成物の反射率値と前記位置の前記反射率値との差異の所定の割合とを比較し、(1)前記領域の前記反射率値が前記選択された色調の前記反射率値未満であり、(2)前記領域の前記反射率値が前記位置の前記反射率値よりも大きく、かつ(3)前記皮膚の領域の前記反射率値及び前記位置の前記反射率値が、前記組成物の反射率値と前記位置の前記反射率値との差異の前記所定の割合未満であるとき、前記組成物を前記位置に塗布するように前記アプリケータ装置に指示する、ように動作可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記所定の割合が、前記ユーザの前記皮膚の中空間周波数以内の皮膚アーチファクトを識別するために選択される、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記選択された色調の前記反射率値が、以前に選択された色調の反射率及び前記過去の画像データの関数として生成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記アプリケータ装置が、固定量の前記組成物を選択的に塗布する、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記組成物が、反射率変性剤を含む化粧品組成物である、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記組成物が、皮膚状態を処置するための有効成分を含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
組成物をユーザの皮膚に選択的に塗布するための方法であって、
(a)検出器装置で撮像された皮膚の領域の画像に対応する画像データを、前記検出器装置で取得することと、
(b)前記画像データを処理装置で分析し、前記皮膚の領域の反射率値及び前記皮膚の領域内の位置の反射率値を生成することと、
(c)前記皮膚の領域の前記反射率値を、(i)選択された色調の反射率値、及び(ii)前記位置の前記反射率値と、前記処理装置で比較することであって、前記選択された色調の前記反射率値が、前記皮膚の領域に隣接する皮膚の部位に対応する画像データに基づいて生成される、ことと、
(d)前記皮膚の領域の前記反射率値が、(i)前記選択された色調の前記反射率値未満であり、かつ(ii)前記位置の前記反射率値よりも大きいとき、前記組成物をアプリケータ装置で前記位置に選択的に塗布することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記選択された色調の前記反射率値が、前記検出器装置で以前に取得された前記皮膚の部位に対応する過去の画像データに基づいて生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記選択された色調の前記反射率値が、前記検出器装置で以前に撮像された皮膚の複数の領域の画像に対応する過去の画像データに基づいて生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
工程(c)が、
(1)前記処理装置で、R
領域-R
位置が0よりも大きいかどうかを判定することと、
(2)前記処理装置で、R
領域-R
位置がR
領域-R
色調よりも大きいかどうかを判定することと、を含み
、
式中、
R
領域が、前記皮膚の領域の前記反射率値であり、
R
位置が、前記位置の前記反射率値であり、
R
色調が、前記選択された色調の前記反射率値であり、
工程(d)が、(1)及び(2)の両方に合致するとき、前記アプリケータ装置で前記位置に前記組成物を塗布する、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程(c)における前記処理装置が更に、前記皮膚の領域の前記反射率値と前記位置の前記反射率値との差異と、前記組成物の反射率値と前記位置の前記反射率値との差異の所定の割合とを比較し、工程(d)における前記アプリケータ装置が、(i)前記領域の前記反射率値が前記選択された色調の前記反射率値未満であり、(ii)前記領域の前記反射率値が前記位置の前記反射率値よりも大きく、かつ(iii)前記皮膚の領域の前記反射率値及び前記位置の前記反射率値が、前記組成物の反射率値と前記位置の前記反射率値との差異の前記所定の割合未満であるとき、前記組成物を前記位置に塗布する、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の割合が、前記ユーザの前記皮膚の中空間周波数以内の皮膚アーチファクトを識別するために選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(c)が、
(1)前記処理装置で、R
領域-R
位置が0よりも大きく、R
領域-R
位置がz(R
組成物-R
位置)よりも小さいかどうかを判定することと、
(2)前記処理装置で、R
領域-R
位置がR
領域-R
色調よりも大きいかどうかを判定することと、を含み、
式中、
R
領域が、前記皮膚の領域の前記反射率値であり、
R
位置が、前記位置の前記反射率値であり、
R
組成物が、前記組成物の前記反射率値であり、
R
色調が、前記選択された色調の前記反射率値であり、
zが、前記ユーザの前記皮膚の中空間周波数以内の皮膚アーチファクトを識別するために選択された0~1の値である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
zが、約0.01~約0.3である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記選択された色調の前記反射率値が、以前に選択された色調の反射率値及び前記過去の画像データの関数として生成される、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アプリケータ装置が、固定量の前記組成物を選択的に塗布する、請求項10~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
(e)工程(a)で撮像された前記皮膚の領域に対応する前記画像データを含むように前記過去の画像データをアップデートすることと、
(f)前記アップデートされた過去の画像データを使用し、皮膚の更なる領域について、工程(a)~(d)を繰り返すことと、を更に含む、請求項10~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、反射率変性剤を含む化粧品組成物である、請求項10~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、皮膚状態を処置するための有効成分を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記過去の画像データが、工程(a)で撮像された前記皮膚の領域の直前に撮像された領域に対応する、請求項10~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記過去の画像データが、工程(a)で撮像された前記皮膚の領域に隣接する、撮像された領域に対応する、請求項10~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2020年12月21日に出願された「Device and Method for Continuous Even Application of Composition to Skin」と題する米国仮特許出願第63/199,354号の優先権を主張し、本明細書の一部を構成するものとしてその全体を援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ユーザの角質表面(例えば、皮膚、毛髪、若しくは爪)、又はエナメル質(例えば、歯)などの処置表面上に組成物を選択的に塗布するためのデバイス及び方法に関する。より詳細には、本発明は、望ましくない皮膚アーチファクトの外観を低下し、かつ皮膚の美的外観を向上させるために局所用組成物を選択的に塗布するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の化粧品の塗布は、多くの場合、その外観が修正を必要とする皮膚の領域と、修正を何ら必要としない皮膚の領域とを区別しない、手作業での塗布を必要とする。例えば、皮膚上の特徴部(例えば、ざ瘡、瘢痕、年齢による染みなど)の外観を覆う又は変化させようと努める人々は、典型的には皮膚表面全体にわたって化粧品の化粧下地層を塗布するが、これは不自然であったり、のっぺりとしていたり、べったりとしていたりする外観をもたらし得る均一な外観を作り出す。皮膚の大きな範囲にわたって区別なく化粧品を塗布することは、化粧品がほとんど又はまったく修正を必要としない皮膚の部分にも塗布されるために材料の無駄にもつながる。しかしながら、不自然な、又はムラのある外観を作り出すことなく、十分な正確性及び制御による修正を必要とする皮膚の部分のみに化粧品を手作業で塗布することも困難である。加えて、化粧品の連続層の手作業による塗布は、皮膚の大部分にわたって被膜を付与し得るが、これは皮膚にとって不快であり、自然な手触りからはほど遠い状態を引き起こし得る。皮膚の大部分にわたるこのような被膜はまた、皮膚の通気性を減少させ、化粧品原料への皮膚の曝露を増加させ得る。これは、潜在的なアレルゲンに曝露された皮膚の表面積を増加させ、それによってユーザが化粧品原料に対する望ましくない反応、又はアレルギー反応を有する可能性があるというリスクを増大させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的な一実施形態は、組成物をユーザの皮膚に選択的に塗布するための方法に関する。本方法は、検出器装置で撮像された皮膚の領域の画像に対応する画像データを、検出器装置で取得することを含む。本方法はまた、画像データを処理装置で分析し、皮膚の領域の反射率値及び皮膚の領域内の位置の反射率値を生成することを含む。本方法は、処理装置によって、皮膚の領域の反射率値を、(i)選択された色調の反射率値、及び(ii)位置の反射率値と比較することを更に含む。選択された色調の反射率値は、皮膚の領域に隣接する皮膚の部位に対応する画像データに基づいて生成される。本方法は、皮膚の領域の反射率値が、(i)選択された色調の反射率値未満であり、かつ(ii)位置の反射率値よりも大きいとき、組成物をアプリケータ装置で位置に選択的に塗布することと、を更に含む。
【0005】
本出願の別の態様では、組成物をユーザの皮膚に選択的に塗布するための手持ち式デバイスが提供される。本デバイスは、皮膚の領域の画像に対応する画像データを取得する検出器装置を備える。本デバイスはまた、組成物を皮膚に塗布するアプリケータ装置であって、アプリケータ装置が、組成物を皮膚の領域内の位置に塗布するために位置合わせされる、アプリケータ装置を備える。本デバイスは、検出器装置で以前に撮像された皮膚の領域に対応する過去の画像データを記憶するメモリ記憶デバイスを更に備える。本デバイスは、プロセッサ及びプロセッサによって実行可能な命令のセットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、命令のセットは、画像データを分析して、皮膚の領域の反射率値及び皮膚の領域内の位置の反射率値を生成し、皮膚の領域の反射率値と、(i)皮膚の領域に隣接する皮膚の部位に対応する画像データに基づいて生成される、選択された色調の反射率値、及び(ii)位置の反射率値とを比較し、皮膚の領域の反射率値が、選択された色調の反射率値未満であり、かつ位置の反射率値よりも大きいとき、組成物を位置に選択的に塗布するようにアプリケータ装置に指示する、ように動作可能である、プロセッサ及びプロセッサによって実行可能な命令のセットを含む非一時的な可読記憶媒体と、を更に備える。
【0006】
本発明のこれら及び他の態様は、図面及び添付の特許請求の範囲を含む、本発明の以下の詳細な説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本出願の例示的実施形態による、ユーザの皮膚に組成物を選択的に塗布するための例示的なデバイスのブロック図である。
【
図2】本出願の例示的実施形態による、ユーザの皮膚に局所用組成物を選択的に塗布するための例示的な方法を示す。
【
図3a】本出願の例示的実施形態による、ユーザの皮膚に局所用組成物を選択的に塗布するための別の例示的な方法を示す。
【
図3b】本出願の例示的実施形態による、ユーザの皮膚に局所用組成物を選択的に塗布するための代替の例示的な方法を示す。
【
図4】本出願の例示的実施形態による、ユーザの皮膚に局所用組成物を選択的に塗布するための更に例示的な方法を示す。
【
図5】
図2の例示的な方法による、ユーザの皮膚に塗布されるようにシミュレートされる局所用組成物の例示的な一連の分布を示す。
【
図6】
図3bの例示的な方法による、ユーザの皮膚に塗布されるようにシミュレートされる局所用組成物の別の例示的な一連の分布を示す。
【
図7】
図5で塗布された局所用組成物の累積分布についてのコンピュータシミュレーション画像を示す。
【
図8】
図6で塗布された局所用組成物の累積分布についてのコンピュータシミュレーション画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用される場合、「局所塗布に好適な」又は「局所投与に好適な」という用語は、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応、見苦しい外観などを伴わずに、皮膚、特にヒトの皮膚への使用に好適な成分及び/又は処置を指す。
【0009】
本明細書で使用するとき、「フレクセル」という用語は、皮膚の小さな画素のような領域を指し、これは、皮膚の対応する部分のデジタル的に得られた画像内の単一の大きい画素又は少数の画素に対応し得る。例えば、フレクセルは、約1/32~約1/4インチの平均直径を有する皮膚領域に対応し得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、その慣例的な意味を有する。特定の実施形態では、数値に関して、「約」という用語は、数値±10%、又は±5%、又は±2%、又は±1%、又は±0.5%、又は±0.1%を意味すると解釈され得る。他の実施形態では、すなわち「約」といった用語を除外することで正確な値を述べることを意図している。
【0011】
本明細書で使用する用語「中空間周波数」については、以下で更に説明される。例えば、皮膚の画像に対応する画像データは、空間周波数のある範囲に及ぶ光反射率を捕捉し得るが、この範囲は、画像データを生成する検出器(例えば、カメラ)によって観察される、皮膚にわたってある距離全体に存在する詳細度を測定する。空間周波数は、検出器によって観察された、皮膚にわたるある距離全体の画像内の、例えば、交互の明暗の縞模様の周期に対応する周期的な正弦波パターンとして説明される周期性特性の数によって、測定され得る。画像の空間周波数は、皮膚が検出器によって撮像される距離に基づいて較正及び/又は正規化されてもよい。空間周波数は、本明細書で使用する場合、光の波長又は色の尺度とはならないが、代わりに、画像内の、検出器によって捕捉された皮膚の細部構造の空間波長を指すことに留意されたい。空間領域内の画像に対応するデータ(例えば、ピクセル又はフレクセルの形態)は、フーリエ変換関数を使用してコンピュータプロセッサによって処理されて、空間周波数領域内の画像に関するデータを取得し得る。この空間周波数領域は、光の波長又は色とは異なる、撮像された画像の光学的解像度に関連している。当業者に理解されるように、画像の空間周波数成分は、一般に、例えば、フーリエ変換、フィルタリングなどの画像解析のための任意の好適な方法を使用して、(1)高空間周波数、(2)中空間周波数、及び(3)低空間周波数、を含む3つの異なるカテゴリーに分類され得る。当業者に理解されるように、高空間周波数を有する空間周波数成分は、画像内の急峻なエッジの発生及び小さな細部に寄与する、画像内の光反射率に対応する。例えば、皮膚の画像に関しては、高空間周波数を有する空間周波数成分は、例えば、毛穴、体毛、毛包、細胞、目の虹彩などヒトの遺伝情報に由来するものといった、皮膚における小さく自然な変動とみなされる特徴に対応する。低空間周波数は、例えば、より大きな特徴(例えば、鼻、頬など)の色といった広域の視覚的な外観に寄与する、画像内の光反射率に対応する。低周波数とスペクトル周波数との間の残りの空間周波数成分は、中空間周波数と呼ばれる。
【0012】
中空間周波数の範囲は、撮像された画像に対して判定されてもよい。例えば、顔面皮膚の領域に関する中空間周波数の範囲は、脚の皮膚の領域に関する中空間周波数の範囲とは異なってもよい。中空間周波数の範囲はまた、撮像された皮膚の下層皮膚の色調に依存してもよい。一実施例では、ヒトの皮膚の中空間周波数は、約0.03サイクル/mm~約1.5サイクル/mm、又はより具体的には約0.05サイクル/mm~約1.0サイクル/mm、更により具体的には約0.07サイクル/mm~約0.5サイクル/mmの範囲であり得る。
【0013】
本出願は、組成物を処置表面に選択的に塗布するためのデバイス及び方法を提供する。組成物は、生体表面と外部環境(例えば、空気)との界面、特に局所表面といった任意の好適な処置表面に適用され得ることが企図される。好適な生体表面としては、角質表面(皮膚、毛髪、及び/又は爪の表面などが挙げられるが、これらに限定されない)、及びエナメル質表面(例えば、歯の表面)を挙げることができる。好ましくは、処置表面は、哺乳動物又はヒトのものである。皮膚に関する例示的実施形態について本明細書で説明するが、本出願のデバイス及び方法は、任意の好適な組成物、特に局所用組成物を、処置表面に選択的に塗布するために使用され得ることが企図される。より詳細には、本出願は、ユーザが自らの顔の全体的な審美的外観を改善するためにその外観を最小限に抑えること又は消失させることを望む皮膚アーチファクト(例えば、瘢痕、シワ、傷、そばかす、日光によるダメージ、年齢による染みなど)に対処するために、局所用組成物をユーザの顔の皮膚)に選択的に塗布するためのデバイス及び方法を提供する。本出願のデバイスは、皮膚の領域の範囲の画像を分析して、皮膚アーチファクトの視覚的な外観を変化させるために組成物を塗布すべき位置を特定する。組成物は、皮膚の外観及び/又は健康状態を改善するための化粧品組成物及び/又は皮膚処置用組成物であってよい。
【0014】
図1は、局所用組成物を皮膚に塗布するための例示的な装置100のブロック図を示す。本実施形態のデバイス100は、ユーザの手のひら内に保持されるように設計された手持ち式デバイスとなるような大きさ及び形状となっている。本実施形態によるデバイス100は、ヘッド部分102とハンドル部分104とを備えている。一実施形態では、デバイス100のヘッド部分102は、例えばユーザの顔の皮膚の領域などの皮膚の領域にわたり保持されるようにサイズ化され、かつ造形されている。デバイス100のハンドル部分104は、その内部に構成要素を収容するための空洞を画定する細長い形状を有する。いくつかの実施形態では、ハンドル部分104は、ユーザの手のひらの中に保持されるような大きさ及び形状である。その他の実施形態では、ハンドル部分104は、ユーザの手の指先によって保持されるような大きさ及び形状である。
【0015】
この実施形態によるデバイス100のヘッド部分102は、皮膚の領域の画像に対応する画像データを取得する検出器装置110を備える。本実施形態のヘッド部分102はまた、検出器装置110からの画像データに基づいて処理装置130によって案内されるように組成物を皮膚の部分に選択的に塗布するアプリケータ装置120も備えている。いくつかの実施形態では、検出器装置110、及びアプリケータ装置120は、ヘッド部分102の嵌め込み部分(図示せず)の一部となっており、処置しようとする皮膚の領域上にヘッド部分102が配置されるときに嵌め込み部分が皮膚と接触しないようになっている。
【0016】
検出器装置110は、皮膚の領域に光(例えば、可視光)を送達する少なくとも1つの光源111と、皮膚の領域から反射された光を検出するセンサ112と、を備える。光源111は、皮膚の領域を照明するための任意の好適な発光デバイス、例えば、1つ以上のLEDを含み得る。光源111は、皮膚による光の反射率を検出及び/又は測定するのに十分な量の照明を皮膚の領域にわたって提供するように選択され、配列されてもよい。好ましくは、光源111は集合的に、皮膚の領域にわたって実質的に均一な光の分布をもたらす。例示的な一実施形態では、光源111は、緑色光を提供するための少なくとも1つの発光デバイスを含む。特定の例では、光源111は、少なくとも1つの緑色LEDを含む。センサ112は、皮膚からの光の反射率を検出するための任意の好適な構成要素を含み得る。例えば、センサ112は、1つ以上の波長の光に対する感度を有し得る。好適なセンサ112としては、例えば、当業者に理解されるように、カメラ又はビデオカメラ(異なる種類のカメラレンズを含み得る)、フォトダイオード及び/又はフォトトランジスタを含み得る。検出器装置110の1つ以上のセンサ112は、カメラの赤色、緑色、及び/又は青色のチャネルの光を検出することができるRGBカメラであり得る。
【0017】
光源111及びセンサ112を含む検出器装置110は、コンピュータアクセス可能媒体140に記憶された命令を実行するために処理装置130に動作可能に接続される。この実施形態の処理装置130は、光源111を制御し、センサ112から受信した画像データを受信及び解析する。処理装置130及びコンピュータアクセス可能媒体140は、デバイス100内又はデバイス100の外部の任意の場所に位置付けられてもよいことが企図される。一実施形態では、
図1に示すように、処理装置130及びコンピュータアクセス可能媒体140は、ハンドル部分104内に位置する。この実施形態の処理装置130はまた、所望のフレクセルに組成物を選択的に塗布するアプリケータ装置120も制御する。処理装置130は、限定するものではないが、例えば、全体的に1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサを含み得るコンピュータ/プロセッサであってもよい、若しくはその一部であってもよい、又はこれを含んでもよく、コンピュータアクセス可能媒体140(例えば、メモリ記憶デバイス)上に記憶された命令を使用してもよい。コンピュータアクセス可能媒体140は、例えば、その中に実行可能命令を含有する非一時的コンピュータアクセス可能媒体であり得る。デバイス100は、検出器装置110で以前に撮像された皮膚の複数の領域に対応する過去の画像データを記憶するメモリ記憶デバイス170を更に備え得る。コンピュータアクセス可能媒体140及び/又はメモリ記憶デバイス170は、例えば、ROM、PROM、EEPROM、DRAM、SDRAM、DDR/2 SDRAM、EDO/FPMS、RLDRAM、SRAM、フラッシュメモリ(例えば、NAND/NOR)及びPSRAMといった、デジタルデータを記憶するための任意のタイプの回路又は記憶デバイスであり得る。
【0018】
本実施形態によるアプリケータ装置120は、局所用組成物(例えば、化粧品組成物及び/又は皮膚処置用組成物)をフレクセル上へと付着させるための少なくとも1つの好適な塗布デバイスを備える。本実施形態における例示的な局所用組成物塗布デバイスは、例えば、噴霧器(例えば、電子噴霧器若しくはエアブラシ噴霧器)、液滴制御デバイス、又は当業者に理解されるような所望の場所に組成物を小さな液滴として塗布するための他の任意の好適な塗布デバイスを含む。例示的な一実施形態では、アプリケータ装置120は、加圧ミスト形態である液体組成物又は粘性組成物を皮膚上へと付着させ、所望の位置に塗布される範囲の薄層を形成するためのノズルを含む。薄層は、皮膚にわたる組成物の連続した被膜又は連続しないスプレッドの形態であり得る。ノズルは、組成物の薄層を皮膚上の照準した場所に付着させるための任意の適当な装置とすることができる。例示的な一実施形態では、ノズルは、液体組成物又は粘性組成物を保持する第1のチャンバと、組成物の適用量がフレクセルに分注されるときに組成物に圧力を印加するが、組成物と混合されない噴射剤(例えば、圧縮空気又は窒素ガス)を収容する第2のチャンバとを有する、デュアルチャンバを備え得る。別の実施例では、ノズルは、液体又は粘性組成物が入った第1のチャンバと、組成物が所望の場所に分注される際に組成物と混合される噴射剤を収容する第2のチャンバと、を備える。いくつかの実施形態では、電極は、ベンチュリノズルを含み得る。ノズルの例示的実施形態について上で説明したが、本出願のデバイスは、当業者に理解されるように、圧力下で組成物の液滴を分注するための任意の好適なノズルを含み得ることが企図される。例示的な一実施形態では、アプリケータ装置120は、局所用組成物を複数の適用量で付着させるように構成され、各適用量は、固定量の局所用組成物を皮膚に付着させる。
【0019】
アプリケータ装置120は、皮膚に塗布される局所用組成物を収容するリザーバ150に動作可能に接続され、その結果、リザーバ150内の組成物は、皮膚上への付積のためにリザーバ150からアプリケータ装置120に移送することができる。特に、アプリケータ装置120は、一組の導管、弁及び/又は圧力源によって、リザーバ150に流体接続される。リザーバ150は、デバイス100内の任意の場所に収容され得ることが企図される。例示的な一実施形態では、
図1に示されるように、リザーバ150はデバイス100のハンドル部分104内に収容される。リザーバ150内の組成物は、組成物の付着のため、リザーバ150からアプリケータ装置120に移送される。いくつかの実施形態では、リザーバ150は、その中の内容物が使い果たされた際に交換することができる取り外し可能な容器である。例えば、リザーバ150は、皮膚に適用される組成物を内部に収容する加圧キャニスタであってもよい。
【0020】
皮膚に塗布される組成物は、顔の皮膚への局所塗布に好適な任意の組成物であり得る。皮膚に適用される組成物は、例えば、皮膚の外観を修正するのに適した化粧品成分、例えば、不透明物質、着色化粧料、又は皮膚の外観を向上させるための任意のその他の好適な組成物を含んでもよい。組成物はまた、例えば、ざ瘡、色素沈着過剰、湿疹、蕁麻疹、白斑、乾癬、酒さ、いぼ、帯状疱疹、口唇ヘルペス、色素沈着及び色調、発赤/皮膚における酸化的ストレス、シワ、増白、たるみ/弾性といった皮膚状態を治療する、及び/又は回復させるために、水分補給のための保湿剤、担体又は有益剤(例えば、有益な化合物/組成物/抽出物若しくは有効成分)などの成分を含み得る。組成物に組み込まれ得る有益剤の例示的実施形態を、以下に更に説明する。
【0021】
有用な保湿活性有益剤の非限定的なリストには、ヒアルロン酸及び保湿剤が含まれる。ヒアルロン酸は、直鎖ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸、又は直鎖ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸との混合物であってもよい。これは、塩形態、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムであってもよい。保湿剤とは、皮膚の最上層の含水量を増加させる意図の化合物(例えば、吸湿性化合物)である。好適な保湿剤の例としては、グリセリン、ソルビトール、トレハロース、又はこれらの塩若しくはエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
ざ瘡に有用な有益剤の非限定的なリストとしては、過酸化ベンゾイル、レチノール、レチナール、レチノイン酸、酢酸レチニル及びパルミチン酸レチニルを含むレチノイド、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸及び酒石酸を含むが、これらに限定されないヒドロキシ酸、硫黄、亜鉛PCA(亜鉛ピロリドンカルボン酸)、アラントイン(5-ウレイドヒダントイン)、ローズマリー、4-ヘキシルレゾルシノール、N-アセチルグルコサミン、グルコノラクトン、ナイアシンアミド、アゼライン酸及びレスベラトロールが挙げられる。
【0023】
有用な色素沈着活性有益剤の非限定的なリストとしては、ナイアシンアミド、4-ヘキシルレゾルシノールといったレゾルシノール、クルクミノイド(例えばサビホワイト(テトラヒドロクルクミン)、フィチン酸、レスベラトロール、ダイズ(Glycine Soja)油、グルコノラクトン、アゼライン酸、並びにレチノール、レチナール、レチノイン酸、レチニルアセテート及びレチニルパルミテートを含むレチノイド、ラッカーゼなどの酵素、チロシナーゼ阻害物質、メラニン分解剤、PAR-2アンタゴニストを含むメラノソーム移動阻害剤、スクラブ剤、日焼け止め、レチノイド、抗酸化物質、トラネキサム酸、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩、皮膚漂白剤、リノール酸、アデノシン一リン酸二ナトリウム塩、カモミール抽出物、アラントイン、乳白剤、タルク並びにシリカ、亜鉛塩などが挙げられる。好適なチロシナーゼ阻害物質の例としては、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、コウジ酸、アルブチン、レゾルシノール、ヒドロキノン、フラボン(例えば、カンゾウフラバノイド、カンゾウ根抽出物、クワ根抽出物、ディオスコレア・コポジータ(Dioscorea Coposita)根抽出物、ユキノシタ科抽出物など)、エラグ酸、サリチル酸塩及び誘導体、グルコサミン及び誘導体、フラーレン、ヒノキチオール、二酸、アセチルグルコサミン、5,5’-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール(マグノリグナン)、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール(4-HPB)、これらのうちの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンCの誘導体の例としては、アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸-2-グルコシド、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、及びビタミンCを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンEの誘導体の例としては、α-トコフェロール、β、トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、及びこれらの混合物、酢酸トコフェロール、リン酸トコフェロール、及びビタミンE誘導体を多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。レゾルシノール誘導体の例としては、レゾルシノール、4-置換レゾルシノール、例えば、4-ブチルレゾルシノール(ルシノール)、4-ヘキシルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(2,4-ジメトキシ-3-メチルフェニル)-プロパンなどの4-アルキルレゾルシノール、及びレゾルシノールを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。サリチル酸塩の例としては、4-メトキシカリウムサリチレート、サリチル酸、アセチルサリチル酸、4-メトキシサリチル酸及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質としては、4-置換レゾルシノール、ビタミンC誘導体、又はビタミンE誘導体が挙げられる。
【0024】
発赤/酸化防止用活性有益剤の有用なリストとしては、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン)などの水溶性酸化防止剤、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロール、ラクトフェリン、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル及びアスコルビルポリペプチド)が挙げられる。本発明の組成物に使用するのに好適な油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに好適な酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイドを含有する抽出物、並びにその誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)、レスベラトロールを含有する抽出物などが挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例としては、ブドウ種子、緑茶、マツの樹皮、プロポリス、及びナツシロギクの抽出物が挙げられる。「ナツシロギクの抽出物」とは、植物「タナセタム・パルテニウム(Tanacetum parthenium)」の抽出物を意味する。1つの特に好適なナツシロギク抽出物は、約20%の活性ナツシロギクとして市販されている。
【0025】
有用なシワ活性有益剤の非限定的なリストには、N-アセチルグルコサミン、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、アルジライン、シンエイク(syn-ake)などのペプチド、銅、コエンザイムQ10、ディル、ブラックベリー、キリ、ピキア・アノマーラ(Picia anomala)、及びチコリを含有するもの、4-ヘキシルレゾルシノールなどのレゾルシノール、クルクミノイド、並びに、レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチニルアセテート、及びレチニルパルミテートを含むレチノイド、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、及び酒石酸を含むがこれらに限定されないヒドロキシ酸が含まれる。
【0026】
有用な増白活性有益剤の非限定的なリストには、ビタミンC及びアスコルビン酸2-グルコシドなどのその誘導体、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、又は前述のもののいずれかの任意の組み合わせなどのα-ヒドロキシ酸、サリチル酸などのβ-ヒドロキシ酸、ラクトビオン酸及びグルコン酸などのポリヒドロキシ酸が含まれる。
【0027】
皮膚のたるみのための有用な有益剤の非限定的なリストは、ブラックベリー抽出物、ハグマノキ抽出物、ナツシロギク抽出物、フィランサスニルリ(Phyllanthus niruri)の抽出物、並びに銅及び/又は亜鉛成分を有する二金属錯体が含まれる。銅及び/又は亜鉛成分を有する二金属錯体は、例えば、クエン酸銅-亜鉛、シュウ酸銅-亜鉛、酒石酸銅-亜鉛、リンゴ酸銅-亜鉛、コハク酸銅-亜鉛、マロン酸銅-亜鉛、マレイン酸銅-亜鉛、アスパラギン酸銅-亜鉛、グルタミン酸銅-亜鉛、グルタル酸銅-亜鉛、フマル酸銅-亜鉛、グルカル酸銅-亜鉛、ポリアクリル酸銅-亜鉛、アジピン酸銅-亜鉛、ピメリン酸銅-亜鉛、スベリン酸銅-亜鉛、アゼライン酸銅-亜鉛、セバシン酸銅-亜鉛、ドデカン酸銅-亜鉛、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0028】
更なる皮膚有益剤又は活性物質は、以下の段落に列挙される活性物質を含んでもよい。これらの活性物質の一部は上記に列挙されているが、それらは、リストをより堅牢なものにするのを確実にするために以下に含まれている。
【0029】
好適な追加の有益剤の例としては、皮膚美白剤、暗色化剤、抗老化剤、トロポエラスチン促進剤、コラーゲン促進剤、抗ザ瘡剤、光沢調整剤、抗微生物剤(例えば、抗酵母剤、抗真菌剤及び抗細菌剤)、抗炎症剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、洗剤/界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギーエンハンサ、制汗剤、皮膚収斂剤、防臭剤、脱毛剤、発毛強化剤、発毛遅延剤、安定剤、水和増進剤、有効性増進剤、抗たこ剤、皮膚コンディショニング剤、抗セルライト剤、フルオリド、歯ホワイトニング剤、歯石防止剤、及び歯石溶解剤、悪臭防止剤(例えば、悪臭マスキング剤)又はpH変更剤などが挙げられる。種々の好適な追加の化粧用として許容可能な活性物質の例としては、UVフィルタ、例えば、限定されるものではないが、アボベンゾン(Parsol 1789)、ビスジスリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan AP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(Uvinul A Plus)、エカムスル(Mexoryl SX)、アントラニル酸メチル、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)、ホモサラート、4-メチルベンジリデンカンファー(Parsol5000)、メトキシケイ皮酸オクチル(オクチノキサート)、サリチル酸オクチル(オクチサレート)、パジメートO(Escalol507)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、ポリシリコーン-15(Parsol SLX)、トロラミンサリチル酸、ベモトリジノール(Tinosorb S)、ベンゾフェノン1-12、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、イソコトリジノール(Uvasorb HEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(Eusolex 4360)、スルイソベンゾン、ビスオクトリゾール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛、カロテノイド、フリーラジカル捕捉剤、スピントラップ、レチノイド及びレチノールなどのレチノイド前駆体、レチノイン酸及びパルミチン酸レチニル、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、酵素、酵素阻害剤、ミネラル、エストロゲンなどのホルモン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、Cu:Gly-His-Lysなどの銅を含有するペプチド、コエンザイムQ10、プロリンなどのアミノ酸、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチル補酵素A、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADH及びFADH2などの電子輸送体、並びにオーツ麦、アロエベラ、ナツシロギク、ダイズ、シイタケ抽出物などのその他の植物抽出物、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。
【0030】
好適な皮膚美白有益剤の例としては、チロシナーゼ阻害物質、メラニン分解剤、メラノソーム移動阻害剤(PAR-2アンタゴニストを含む)、スクラブ剤、日焼け止め、レチノイド、抗酸化物質、トラネキサム酸、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩、皮膚漂白剤、リノール酸、アデノシン一リン酸二ナトリウム塩、カモミール抽出物、アラントイン、乳白剤、タルク及びシリカ、亜鉛塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
好適なチロシナーゼ阻害物質の例としては、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、コウジ酸、アルブチン、レゾルシノール、ヒドロキノン、フラボン(例えば、カンゾウフラバノイド、カンゾウ根抽出物、クワ根抽出物、ディオスコレア・コポジータ(Dioscorea Coposita)根抽出物、ユキノシタ科抽出物など)、エラグ酸、サリチル酸塩及び誘導体、グルコサミン及び誘導体、フラーレン、ヒノキチオール、二酸、アセチルグルコサミン、5,5’-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール(マグノリグナン)、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール(4-HPB)、これらのうちの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンCの誘導体の例としては、アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸-2-グルコシド、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、及びビタミンCを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンEの誘導体の例としては、α-トコフェロール、β、トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、及びこれらの混合物、酢酸トコフェロール、リン酸トコフェロール、及びビタミンE誘導体を多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。レゾルシノール誘導体の例としては、レゾルシノール、4-置換レゾルシノール[例えば、4-ブチルレゾルシノール(ルシノール)、4-ヘキシルレゾルシノール(Synovea HR、Sytheon)、フェニルエチルレゾルシノール(Symwhite、Symrise)、1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(2,4-ジメトキシ-3-メチルフェニル)-プロパン(ニビトール、Unigen)などの4-アルキルレゾルシノール]、及びレゾルシノールを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。サリチル酸塩の例としては、4-メトキシカリウムサリチレート、サリチル酸、アセチルサリチル酸、4-メトキシサリチル酸及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質としては、4-置換レゾルシノール、ビタミンC誘導体、又はビタミンE誘導体が挙げられる。より好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質は、フェニルエチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、又はアスコルビル-2-グルコシドを含む。
【0032】
好適なメラニン分解剤の例としては、ペルオキシド及び酵素(例えば、ペルオキシダーゼ及びリグニナーゼ)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、メラニン阻害剤としては、ペルオキシド及びリグニナーゼが挙げられる。
【0033】
好適なメラノソーム移動阻害剤の例としては、PAR-2アンタゴニスト(例えば、ダイズトリプシン阻害物質又はボーマン-バーク阻害物質)、ビタミンB3及び誘導体(例えば、ナイアシンアミド)、必須ダイズ、全ダイズ、ダイズ抽出物が挙げられる。特定の好ましい実施形態では、メラノソーム移動阻害剤としては、ダイズ抽出物又はナイアシンアミドが挙げられる。
【0034】
剥離剤の例としては、α-ヒドロキシ酸(例えば、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、又は前述のもののいずれかの任意の組み合わせ)、β-ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸、ポリヒドロキシ酸、例えば、ラクトビオン酸及びグルコン酸)、及び機械的剥離剤(例えば、マイクロ皮膚擦傷剤)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、剥離剤としては、グリコール酸又はサリチル酸が挙げられる。
【0035】
日焼け止めの例としては、アボベンゾン(Parsol 1789)、ビスジスリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan AP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(Uvinul A Plus)、エカムスル(Mexoryl SX)、メチルアントラニレート、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)、ホモサレート、4-メチルベンジリデンカンファー(Parsol 5000)、オクチルメトキシシンナメート(オクチノキサート)、オクチルサリチレート(オクチサレート)、パジメートO(Escalol 507)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、ポリシリコーン-15(Parsol SLX)、トロラミンサリチレート、ベモトリジノール(Tinosorb S)、ベンゾフェノン1-12、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、イスコトリジノール(Uvasorb HEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(Eusolex 4360)、スルイソベンゾン、ビソクトリゾール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
レチノイドの例としては、レチノール(ビタミンAアルコール)、レチナール(ビタミンAアルデヒド)、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、リノール酸レチニル、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル、イソトレチノイン、タザロテン、ベキサロテン、アダパレン、これらのうちの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、レチノイドは、レチノール、レチナール、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、リノール酸レチニル、及びこれらのうちの2つ又は3つ以上の組み合わせからなる群から選択される。特定のより好ましい実施形態では、レチノイドは、レチノールである。
【0037】
酸化防止剤の例としては、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン、グルタチオン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロール及び誘導体などのスチルベノイド、ラクトフェリン、鉄及び銅キレート剤、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコビル-2-グルコシド、パルミチン酸アスコルビル及びアスコルビルポリペプチド)などの水溶性酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに好適な油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに好適な酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイドを含有する抽出物、並びにその誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)、レスベラトロールを含有する抽出物などが挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例としては、ブドウ種子、緑茶、紅茶、白茶、マツ樹皮、ナツシロギク、パルテノライドを含まないナツシロギク、オーツ麦抽出物、クロイチゴ抽出物、ハグマノキ抽出物、ダイズ抽出物、ザボン抽出物、小麦胚抽出物、ヘスペレジン、ブドウ抽出物、スベリヒユ抽出物、リコカルコン、カルコン、2,2’-ジヒドロキシカルコン、サクラソウ抽出物、プロポリスなどが挙げられる。
【0038】
いくつかの好ましい実施形態では、ざ瘡に対して有用な有益剤として、サリチル酸、亜鉛PCA(亜鉛ピロリドンカルボン酸)、アラントイン(5-ウレイドヒダントイン)、ローズマリー、4-ヘキシルレゾルシノール、N-アセチルグルコサミン、グルコノラクトン、ナイアシンアミド、アゼライン酸、及びレスベラトロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
いくつかの好ましい実施形態では、有用な色素沈着に有効な有益剤のリストとして、テトラヒドロクルクミン、フィチン酸、レスベラトロール、ダイズ(Glycine Soja)油、グルコノラクトン、ラッカーゼ、4-ヘキシルレゾルシノール、N-アセチルグルコサミン、グルコノラクトン、ナイアシンアミド、アゼライン酸及びレスベラトロールが挙げられる。
【0040】
いくつかの好ましい実施形態では、有用な活性有益剤のリストには、ザ瘡及び色素沈着を同時に処理することが含まれ、4-ヘキシルレゾルシノール、N-アセチルグルコサミン、グルコノラクトン、ナイアシンアミド、アゼライン酸、及びレスベラトロールが含まれる。
【0041】
組成物は、検出器装置110によって供給される画像データに基づいて皮膚アーチファクトの外観を変更又は最小限に抑えるために皮膚に塗布される化粧品組成物(皮膚を処置するための更なる有効成分を含んでも含まなくてもよい)であり得る。特定の一実施形態では、組成物は、1つ以上の反射率変性剤(reflectance modifying agent、RMA)(皮膚の反射率を変化させるのに有用な任意の成分)を含む。例えば、好適なRMAとしては、インク、染料、顔料、漂白剤、化学的に変化する剤、及び皮膚の反射率を変化させるために使用され得るその他の物質を挙げてもよい。いくつかの好適なRMAとしては、染料又は希釈顔料などの透明なRMAを挙げてもよい。その他の好適なRMAとしては、高屈折率粒子を有する不透明なRMAを挙げてもよい。具体的に言えば、高屈折率粒子は、2.0以上の屈折率を有する粒子を含んでもよい。特定の一実施例では、RMAは、二酸化チタンの粒子を含んでもよい。具体的には、二酸化チタン粒子は、化粧品組成物中に均一に分布及び/又は懸濁されてもよい。
【0042】
この実施形態によるデバイス100は、デバイス100を制御する及び動作させる電力を供給するための電源160を更に備える。電源160は、デバイス100内の任意の場所に、又はデバイス100の外部に配置され得ることが企図される。例示的な一実施形態では、
図1に示すように、デバイス100のハンドル部分104内に収容される電源160は、検出器装置110、アプリケータ装置120及び/又は処理装置130に動作可能に接続される。当業者であれば、種々の既知の好適な電源を使用してもよいことを理解するであろう。例えば、電源160は、電池又は外部電源への接続部を含み得る。特に、電源160は、再充電可能な電池デバイスを含み得る。
【0043】
使用時、ヘッド部分102は、処置される皮膚の領域上に配置される。使用中、デバイス100は、皮膚の複数の異なる領域を撮像するために利用されてもよい。例えば、ヘッド部分102を皮膚の表面にわたって移動させることができ、デバイス100は皮膚の異なる領域を(任意の所望のフレームレートで)連続的に撮像し、画像データを取得してこの画像データを分析し、皮膚上の所望のフレクセルに組成物を選択的に塗布することが可能となる。より詳細には、ユーザは、ヘッド部分102を皮膚の表面にわたって複数回通過するように前後に移動させ、以前に処置された領域をデバイス100に再確認させることで見落とされた又は不完全に処理された皮膚アーチファクトを検出し、組成物を皮膚上のアーチファクトに更に塗布することができる。
【0044】
本出願は、組成物をユーザの顔の皮膚に選択的に塗布するための方法を含む。特に、本出願の方法は、好ましくは皮膚の表面を何度も通過した後に、皮膚が染みだらけである、又は部分的に筋が見られる状態ではなく、均一な色調に見えるような様式で組成物を皮膚に塗布する。
【0045】
組成物をユーザの顔の皮膚に選択的に塗布するための例示的な方法200を
図2に示す。組成物によって、皮膚への塗布の際に反射率の増加(例えば、外観の美白)が付与される。工程202において、ユーザは、デバイス100のヘッド部分102を皮膚の表面上に配置することができる。工程204において、デバイス100、特に検出器装置110は、画像データを取得するためにデバイス100が位置付けられる皮膚の領域を感知及び/又は撮像し得る。具体的には、光源111からの光は皮膚の領域を照明し、センサ112は皮膚の領域からの光を検出して画像データを生成する。皮膚の領域は、例えば正方形、円形、長方形などといった任意の好適な形状であり得る。
【0046】
工程206では、デバイス100、特に処理装置130は画像データを分析し、デバイス100で撮像された皮膚の領域の反射率値(R領域)及びデバイス100で撮像された皮膚の領域内の位置の反射率値(R位置)を決定する。位置は、デバイスで撮像された皮膚の領域全体内の皮膚表面のより小さな領域である。特に、位置は、アプリケータ装置120が向けられる皮膚の領域(すなわち、アプリケータ装置120から放出された液滴が皮膚に対するデバイスの現在の位置付けで塗布される、1つ以上のフレクセル)である。
【0047】
皮膚の領域の反射率値は、皮膚の領域内のフレクセルの平均反射率値として取得され得る。いくつかの実施形態では、位置の反射率値は、位置の中央に配置されたフレクセルの反射率値として、処理装置130で決定される。他の実施形態では、位置の反射率値は、アプリケータ装置120で組成物が塗布される1つ以上のフレクセルの平均反射率値として、処理装置130で決定される。具体的には、位置の反射率値は、アプリケータ装置120で組成物が塗布されることを目的とする1つ以上のフレクセルの平均又は中央反射率値として、処理装置130で決定される。本明細書で使用される場合、「平均」といった用語は、任意の好適な値のセットの表現であり、領域又は位置内の複数のフレクセルについての反射率値の線形平均、平均、中央、最大、最小又は加重平均であり得る。好ましくは、平均は平均値又は中央値である。
【0048】
工程208において、処理装置130は、R領域をR位置と比較し、局所用組成物を位置に付着させるようにアプリケータ装置120に指示するかどうかを決定する。具体的には、処理装置130は、(R領域-R位置)/(R組成物-R位置)がkよりも大きいかどうかを決定する。この場合、R組成物は、皮膚に塗布される組成物の反射率値である。該当する場合、方法200は工程210に進む。該当しない場合、方法200は工程220に進む。所定の定数kは、皮膚の外観を変更するために組成物を塗布する目的で中空間周波数以内の皮膚アーチファクトを有する位置を識別するために、0~1の範囲から選択されたいずれかの好適な値であり得る。一実施形態では、kは、約0.01~約0.3、約0.03~約0.2又は約0.05~0.15である。例示的な一実施形態では、kは0.1である。
【0049】
工程210において、処理装置130は、工程208に関して上に説明した処理装置130で決定されるように、局所用組成物を位置に選択的に付着させるようにアプリケータ装置120に指示する。特に、アプリケータ装置120は、固定量の組成物を位置に塗布する。
【0050】
工程220において、ユーザは、デバイス100を皮膚の表面上の新規位置に移動させることができ、方法200は、デバイス100で決定されるように、工程204に戻って撮像、分析し、局所用組成物を上に説明した同一の様式で新規の皮膚の領域に選択的に塗布する。新しい位置へのこの移動は、例えば加速度計又は画像分析といった任意の好適な手段でデバイス100により検出され得る。方法200は、例えば、皮膚からデバイス100を取り外す、又はデバイス、特にデバイスの電源のスイッチを切るなどの任意の好適な動作によって任意の好適な工程202~220のうちのいずれか1つの前にユーザによって中断及び終了され得ることに留意されたい。
【0051】
方法200の特定の一実施形態では、所定の定数kは0である。本実施形態では、処理装置130は、R領域をR位置と比較し、位置の反射率が当該位置を包含する皮膚の領域の反射率よりも暗い(例えば、値が低い)かどうかを決定する。位置の反射率が当該位置を包含する皮膚の領域の反射率よりも暗い場合、処理装置130は、工程210において更に以下に説明されるように、局所用組成物を位置に付着させるようにアプリケータ装置120に指示する。位置の反射率が当該位置を包含する皮膚の領域の反射率と同等、又はそれよりも明るい(例えば、値が高い)場合、処理装置130は、局所用組成物を方法200の現在の繰り返しにおいては位置への塗布を省略し、工程220に進むようにアプリケータ装置120に指示する。例えば、工程208の処理装置130は、R領域-R位置が0よりも大きいかどうかを決定することで、R領域をR位置と比較する。該当する場合、方法200は工程210に進む。該当しない場合、方法200は工程220に進む。
【0052】
工程208においてkのこのゼロ値の閾値を使用して工程210に進むかどうかを決定することで、デバイス100の処理装置130は工程210に進むのに適切となり、皮膚の外観の滑らかさに関わらず、方法200の繰り返しの約半分で局所用組成物を付着させるようにアプリケータ装置120に指示する。これは、例えば目の下の領域、色素沈着過剰、肝斑、酒さ、痣、大きな瘢痕などといった黒ずんだ外観を有する皮膚の領域に、美白(例えば、反射率の増加)させる局所用組成物を塗布するのに特に有益である。より詳細には、こうした皮膚の領域は、典型的には例えば、顔、脚、腕などの身体の解剖学的部分を反映した、皮膚の所望の部分の画像全体の低空間周波数以内である十分大きい黒ずんだ皮膚の特徴を有する。例えば、ユーザの顔の低空間周波数内部のこれらの皮膚の大きな領域は、デバイス100で撮像された皮膚の領域よりも大きいものであり得、例えばこれらの皮膚の大きな領域は少なくとも5mm、少なくとも10mm又は少なくとも20mmの平均直径を有し得る。
【0053】
更には、工程208において提供されるようなR領域とR位置との比較によって、視覚的に均一/滑らかな組成物の塗布をもたらしつつ、処理装置130にとって、組成物の塗布が皮膚アーチファクトの外観を低減させる位置を選択する方法を提供する。特に、処理装置130は、ユーザがデバイス100を皮膚表面、特に顔の皮膚にわたって複数回通過させることで前後に移動させながら、方法200の繰り返しを通して視覚的に均一/滑らかな様式で組成物が塗布されるように、組成物の塗布によって望ましい皮膚の審美的外観が付与(例えば、暗い皮膚アーチファクトの外観の増白)されるように、皮膚アーチファクトが存在するそれらの位置(例えば、それらの位置がより暗い外観、つまり低い反射率値を有する)、及び皮膚の外観が組成物の塗布によって悪影響が最も少ないそれらの位置(例えば、染みだらけである、又は部分的に筋が見られる状態)を選択する。0という所定の定数kを使用することで、デバイス100は、繰り返しつつほぼ一定の平均速度で組成物を塗布することが可能である。方法200によって、下に存在する皮膚の外観に基づいた任意の種類の選択なく、組成物の塗布が一定の速度で皮膚上へと配置され、その結果、望ましくない染みだらけの状態を皮膚の外観に付与し、皮膚の全体的な審美的外観を低減させる可能性がある、従来のエアブラシによる化粧品組成物の塗布とは対照的な均一/滑らかな様式にて、的を絞って組成物を皮膚に塗布することがもたらされる。
【0054】
kのこのゼロ値の閾値はまた、例えば、顔の輪郭を視覚的に向上させるために顔のある領域に増加した反射率を付与することなど、例えば顔の望ましい領域への増白領域を付与することといった、所望に応じて皮膚上のより広い領域を増白させる局所用組成物の塗布のためのものであり得る。例えば、デバイス100は、手入力で、又は処理装置130で自動的に決定されるように、更なる美白が望まれる領域にわたりデバイスが配置されている間、kが0に設定される第1のモードに設定され得る。デバイス100が、更なる美白が望まれていない皮膚の異なる領域に移動されるとき、処理装置130は、手入力で、又は処理装置130で自動的に決定されるように、処理装置130が(R領域-R位置)/(R組成物-R位置)がkよりも大きいかどうかを決定し、kが0よりも大きい場合、R組成物が皮膚に塗布される組成物の反射率値である第2のモードに切り替え得る。
【0055】
上述の例示的な方法200は、黒ずんだ皮膚の領域の外観を増白させるために、ユーザの皮膚の平均反射率よりも高い反射率を有する組成物の塗布に関するものであるが、本出願のデバイス100はまた、皮膚の平均反射率よりも低い反射率(すなわち、より暗い)を有する組成物を選択的に塗布するために、及び例えば白斑、日焼け線などのより明るい皮膚を有する皮膚アーチファクトを暗くするために、使用され得ることが企図される。組成物は例えば、ブロンザー又は日焼け用組成物であり得る。皮膚の滑らかさの外観を改善しつつ、皮膚の外観を暗くするための組成物の選択的な塗布のために、処理装置130は、方法200に関して上述したものと同様の方法で組成物を塗布するためのフレクセルを選択し得る。いくつかの実施形態では、工程208は、R領域をR位置と比較し、例えば(R位置-R領域)/(R位置-R組成物)がkよりも大きいかどうかを決定することで、視覚的に均一/滑らかな組成物の塗布を提供しながら、組成物の塗布が皮膚アーチファクトの外観を低減させる位置を選択するために変更され得る。
【0056】
更なる実施形態では、
図3aは別の例示的な方法300aを示す。方法300aによって、ユーザは顔の皮膚表面の部分にわたってデバイス100を繰り返し通過させ、かつ方法300aの各繰り返し後に望ましくない染みだらけの外観又は部分的に筋が見られる外観を付与することなく、任意の数の通過で組成物を選択的に塗布することができる。したがって、方法300aによって、ユーザは顔の皮膚表面にわたってデバイス100を部分的に通過させ、かつ望ましくない染みだらけの外観又は部分的に筋が見られる外観を付与することなく、任意の数の通過で組成物を選択的に塗布することができる。方法300aは、上に説明される方法200と同様のいくつかの工程を含む。特に、方法300aは、以下に更に説明されるように、選択された色調の反射率よりも暗い(例えば、低い反射率値を有する)位置を識別するための更なる工程を含む。したがって、方法300aは、方法300aの各繰り返しを通して皮膚の均一/滑らかな外観を維持しながらも、皮膚の審美的外観への修正が望ましいかどうかを決定する際には、工程304で撮像された皮膚の領域から取得された画像データ及び選択された色調についての、又は選択された色調に関するデータを分析する。例示的な方法300aは、方法200と同様に、黒ずんだ皮膚の領域の外観を増白させるために、ユーザの皮膚の平均反射率よりも高い反射率を有する組成物の塗布に関して以下に記述されるが、方法300aと同様の方法はまた、以下に更に記述される、より明るい皮膚(例えば、白斑、日焼け線など)を有する皮膚アーチファクトに対する皮膚の平均反射率よりも低い反射率(すなわち、より暗い)を有する組成物を選択的に塗布するために使用され得ることが企図される。組成物は例えば、ブロンザー又は日焼け用組成物であり得る。
【0057】
工程302及び工程306は、上述の工程202~206と同じである。工程308aにおいて、処理装置130はR領域を選択された色調(R色調)の反射率と比較する。選択された色調よりも暗い(例えば、低い反射率値を有する)位置の皮膚は、工程312において組成物を塗布するために識別される。処理装置130は、選択された色調の反射率値である位置、又はその反射率値よりも大きい位置の皮膚についての工程310aを無視し、工程311を介して組成物を皮膚に塗布するかどうかを決定する。より詳細には、工程308aの処理装置130は、R領域を選択された色調の反射率値(R色調)と比較し、工程304で撮像された皮膚の領域の反射率が、選択された色調の反射率よりも暗い(例えば、値が低い)かどうかを決定する。皮膚の領域の反射率が選択された色調の反射率よりも暗い場合、処理装置130は、アプリケータ装置120を工程310aに移行させる。皮膚の領域の反射率が選択された色調の反射率と同等、又はそれよりも明るい(例えば、値が高い)場合、処理装置130は工程310aに進む。例示的な一実施形態では、工程308aの処理装置130は、R領域-R色調が0よりも大きいかどうかを決定することで、R領域をR色調と比較する。該当する場合、方法300aは工程310aに進む。したがって、方法300aは、デバイス100が組成物を塗布する目標の反射率値としてR色調を設定する。該当しない場合、方法は工程311に進む。
【0058】
選択された色調の反射率値(R色調)は、使用セッションの継続時間についての所定の定数値であり得る、又は方法300の各繰り返し間に動的に決定され得る。一実施形態では、R色調は、メモリ記憶デバイス170内に記憶された所定の値であり得る。いくつかの実施形態では、使用セッションについての一定のR色調は、デバイス100の以前の使用セッションから収集したデータに基づいて決定され得る。別の実施形態では、R色調は、使用セッションの開始前にユーザ入力によって決定され得る。例えば、デバイス100は、ユーザから望ましいR色調の選択についての入力を受信するためのユーザインターフェースを含み得る。別の例では、デバイス100は手動でトリガされ、望ましいR色調を入力するための別のモードに入り得る。この別のモードでは、ユーザは望ましい反射率を有する皮膚の領域上にデバイス100を置く。デバイス100、特に検出器装置110は、ユーザによって選択された皮膚の領域を感知及び/又は撮像し、画像データを取得する。処理装置130は、画像データを分析し、R色調として選択された皮膚の領域についての反射率値を決定する。R色調は、ユーザによって選択された皮膚の領域内のフレクセルの平均反射率値として取得され得る。この場合、「平均」という用語は上で定義した通りである。
【0059】
他の実施形態では、R色調は、方法300の各繰り返し間に動的に決定される。一実施形態では、R色調は、少なくとも部分的に、検出器装置110で撮像された皮膚の領域の近く、これに隣接する、及び/又はこの周囲の皮膚の部位の反射率値に基づいて決定される。皮膚の部位は、例えば正方形、円形、長方形などといった任意の好適な形状であり得る。皮膚の部位は、検出器装置110で撮像された皮膚の領域と少なくとも同じサイズであり得る、又はそれよりも大きいものであり得る。皮膚の部位は、少なくとも部分的に、検出器装置で撮像された皮膚の領域と重複し得る。代替的には、皮膚の部位は、何ら重複することなく、検出器装置110で撮像された皮膚の領域に隣接し得る。いくつかの実施形態では、皮膚の部位は、検出器装置110で撮像された皮膚の領域と同心であり得る。他の実施形態では、皮膚の部位は、検出器装置110で撮像された皮膚の領域と非同心であり得る。特定の一実施形態では、R色調を決定するための皮膚の部位は、検出器装置110で撮像された皮膚の領域よりも大きく、かつこれと重複する。これは好ましくは、皮膚の領域と非同心である。別の実施形態では、R色調を決定するための皮膚の部位は、検出器装置110で撮像された皮膚の領域よりも大きく、かつ何ら重複することなくこれと隣接する。これは好ましくは、皮膚の領域と非同心である。
【0060】
R色調は、過去の画像データに基づいて方法300aの各繰り返し間に動的に決定され得る。過去の画像データは、以前の使用セッション前及び/又は同一の使用セッション内の方法300aの以前の繰り返しを含むデバイス100の使用前に、検出器装置110で取得された任意の画像データであり得る。上述の皮膚の部位内のフレクセルに対応する以前の画像データを使用し、R色調を決定し得る。例えば、R色調は、それらのフレクセルの過去の画像データに基づき、皮膚の部位内のフレクセルの平均反射率値として取得され得る。一実施形態では、デバイス100は、ユーザの顔に対するデバイス100の配置を位置的に認識し、方法300aの各繰り返し間にデバイス100で生成された画像データを、ユーザの皮膚の解剖学的マッピングに対応させる。例えば、デバイス100は、ユーザの顔に対するデバイス100の配置を位置的に認識し、増白のために顔の頬骨近くの領域を選択し得る。一例では、デバイス100は、ユーザの顔上の重要な位置に対応する種々のマーカに対するデバイス100の配置を位置的に認識し得る。別の例では、デバイス100は、ユーザの顔上の顔の種々の領域(例えば、眼瞼、眼球、睫毛、鼻、頬、唇など)に対するデバイス100の配置を位置的に認識し得る。更なる例では、デバイス100は、ユーザが、使用中にヘッド部分102を皮膚の表面にわたって複数回通過させて前後に移動させることで、ユーザの顔のマップ及び/又は複合画像を生成し得る。デバイス100は、マップ及び/又は複合画像に対するデバイス100の配置を識別し得る。デバイス100は、デバイス100で現在撮像された皮膚の領域と重複する、又はこれに隣接する望ましい皮膚の部位内のフレクセルに対応する過去の画像データを選択し、フレクセルの平均反射率値をR色調として選択する。
【0061】
特定の例示的な一実施形態では、皮膚の部位は顔全体の皮膚であり得る。R色調は、使用セッション内の方法300aの以前の繰り返しで、デバイス100で撮像された皮膚の全領域についての反射率値(R平均)の移動平均に基づき、方法300aの各繰り返し間に動的に決定され得る。具体的には、R色調は、同一の使用セッション内にて、デバイス100で撮像された全フレクセルに対応する過去の全ての画像データの平均反射率値又は中央反射率値である。いくつかの実施形態では、R色調としてR平均を使用することで、皮膚の外観を過度に積極的に修正する様式でデバイス100に組成物を塗布させ得る。したがって、R色調は、定数乗数nによって変更されたR平均であり得る。この場合、nは0~1の任意の値であり得る。特に、nは、方法300aの繰り返しを通じ、デバイス100による組成物の塗布から、ユーザが所望する皮膚の外観におけるユーザの皮膚の色調及び/又は均一度に基づいて選択され得る。一実施形態では、nはユーザの過去の画像データに基づいて決定される。nの値は、メモリ記憶デバイス170内に記憶された所定の値であるように選択され得る。nのより高い値によって、デバイス100が皮膚の不均一な外観をより積極的に修正(例えば、R色調との差異が小さい位置に組成物を塗布する)することが可能となる。特定の一実施形態では、nは0.67又は1/1.5であり得る。
【0062】
別の実施形態では、R色調は、ユーザが同一の使用セッション内で、以前の通過にて皮膚の表面にわたりヘッド部分102を移動させたことから、同一の使用セッション内で、検出器装置110で以前に撮像された皮膚の領域についての画像データに対応する過去の画像データを使用して、決定される。特に、R色調は、工程304で撮像された皮膚の領域に隣接する少なくとも1つの皮膚の領域についての画像データに対応する過去の画像データを使用して決定される。別の例では、過去の画像データは、工程304での皮膚の領域の撮像直前に撮像された皮膚の領域についての画像データに対応する。更なる実施形態では、過去の画像データは、工程304での皮膚の領域の撮像直前に撮像された皮膚の複数の領域の画像データを含む。具体的には、過去の画像データは、工程304での皮膚の領域の撮像直前に撮像された所定の数の皮膚の領域の画像に対応するデータを含む。所定の数の画像は、1~25枚、又は3~10枚であり得る。特定の一実施形態では、所定の数の画像は4枚又は5枚である。別の例では、R色調を決定するための過去の画像データは、工程304での皮膚の領域の撮像前の、所定の時間量内で撮像された皮膚の領域の画像に対応するデータを含み得る。
【0063】
更なる例示的実施形態では、R色調は、工程304での皮膚の領域の撮像直前に撮像された皮膚のある領域に対応する過去の画像データを使用して決定される。特に、R色調は、(1)工程304での皮膚の領域の撮像前に、第1の所定数(m明)の画像内の所定の閾値よりも大きい反射率をそれぞれ有する皮膚の領域の画像、並びに(2)工程304での皮膚の領域の撮像前に、第2の所定数(m暗)の画像内の所定の閾値未満の反射率をそれぞれ有する皮膚の領域の画像に対応する過去の画像データを使用して決定され得る。この場合、m明は、m暗よりも大きい。皮膚の外観を暗くする組成物の塗布については、m明は、m暗未満であり得る。
【0064】
別の実施形態では、R色調は、(1)工程304での皮膚の領域の撮像前に、第1の所定の時間量(t明)内の所定の閾値よりも大きい反射率をそれぞれ有する皮膚の領域の画像、並びに(2)工程304での皮膚の領域の撮像前に、第2の所定の時間量(t暗)内の所定の閾値未満の反射率をそれぞれ有する皮膚の領域の画像に対応する過去の画像データを使用して決定され得る。この場合、t明は、t暗よりも長い。更なる実施形態では、皮膚の外観を暗くする組成物の塗布については、t明は、t暗より長くてもよい。
【0065】
これらの例示的実施形態は、ユーザが、例えば目の下の領域といった皮膚の黒ずんだ領域と、例えばユーザの顔上の頬骨近くの皮膚の領域といった皮膚の明るい領域との間に、デバイス100を繰り返し通過させるときに特に有用である。例えば、ユーザは、上下のブラッシング動作で、ユーザの目の下の領域の皮膚とユーザの顔の頬の皮膚との間にデバイスを繰り返し通過させ得る。デバイス100をより明るい皮膚の部位に向かって移動するにつれて、これらの例示的実施形態におけるR色調は、より高い反射率値(すなわち、より明るい)を有するように調整される。対照的に、デバイス100を皮膚のより暗い部位(目の下の領域又は皮膚アーチファクトを有する皮膚の部位、例えば、色素沈着過剰、肝斑、酒さ、痣、大きな瘢痕の領域など)に向かって移動させるにつれて、これらの例示的実施形態において、R色調は、低い反射率値(すなわち、より暗い)を有するようには迅速に調整されず、それによってより低い反射率値を有する皮膚の部位に向けたデバイス100による組成物の選択的な塗布を慎重に選択し、それによって黒ずんだ皮膚の部位の外観を低減する。R色調に対し、このような動的な調整によって、方法300aの各繰り返し後に皮膚の滑らかな外観を更に改善し、方法300aの各繰り返しを通じて組成物を皮膚に塗布することで、望ましくない染みだらけの外観又は部分的に筋に見られる外観を低減する。
【0066】
特定の一実施形態では、方法300aの第1の繰り返しでは、R色調が所定の値に割り当てられ得る。例えば、所定の値は、ユーザにより一般に所望される皮膚の増白レベルに対応し得る。所定の値は、デバイス100によって割り当てられたデフォルト値又はデバイス100で決定され、かつユーザによって選択された設定値であり得る。方法300aの次の繰り返しにおいて、R色調は、過去の画像データ及び過去の画像データを分析するための、以前に選択された色調(R以前の色調)の反射率値に基づいて決定される。例示的な一実施形態では、R色調は、R以前の色調、過去の画像データに対応する皮膚の領域の反射率値(R以前の領域)及び過去の画像データに対応する皮膚の領域内の以前に分析された位置の反射率値(R以前の位置)の関数として決定される。具体的には、R色調は、R以前の色調、R以前の領域及びデバイス100で以前に撮像された皮膚の領域のより明るい反射率値又は以前に撮像された皮膚の領域内部の以前に分析された位置の反射率値(例えば、R以前の領域及びR以前の位置のセットの最大値)の関数として決定され得る。R以前の色調は、R以前の領域を用いたR色調の決定にとって主要な一因であり得る。R以前の領域及びR以前の位置の最大値は、R以前の色調を修正し、R色調の調整値を取得する。以前に撮像された皮膚の領域の反射率に基づいた、選択された色調の反射率値へのこういった調整によって、選択された色調への段階的な調整がもたらされる。これによって、方法300aの繰り返しにわたり段階的かつ視覚的に均一/滑らかな様式で組成物を皮膚に塗布することが可能となる。例えば、R色調は以下のように決定され得る:
R色調=xR以前の色調+yR以前の領域+ymax(R以前の領域,R以前の位置)であって、
式中、x+2y=1であり、xは0~1の任意の好適な数であり得、xは、方法300aの繰り返し間で望ましい色調の変化率に基づいて調整され得る。上述のように、R以前の色調は、R色調の決定にとって主要な一因であり得る。それによって、xは約0.8~0.998であり得る。特に、xは約0.9~0.99であり得る。好ましい一実施形態では、xは0.98である。
【0067】
代替的な実施形態では、R色調は、検出器装置で収集された画像データに基づき、方法300の各繰り返し間に動的に決定され得る。本実施形態では、検出器装置110は、デバイス100が配置される皮膚の領域と、少なくとも部分的に皮膚の領域の近く、これに隣接する、及び/又はこの周囲の皮膚の部位との両方を撮像するように構成されている。例えば、検出器装置110は、皮膚の領域からの光の反射率を検出するように構成された第1のセンサと、少なくとも部分的に皮膚の部位の近く、これに隣接する、及び/又はこの周囲の皮膚の領域からの光の反射率を検出するように構成された第2のセンサと、を含む、複数のセンサ112を含み得る。本実施形態では、R色調は、検出器装置110で撮像された皮膚の部位についての画像データに基づき、方法300aの各繰り返し間に動的に決定される。
【0068】
工程310では、処理装置130は、R領域をR位置と比較し、位置の反射率が当該位置を包含する皮膚の領域の反射率よりも暗い(例えば、値が低い)かどうかを決定する。位置の反射率が当該位置を包含する皮膚の領域の反射率よりも暗い場合、処理装置130は、工程312では、局所用組成物を位置に付着させるようにアプリケータ装置120に指示する。位置の反射率が当該位置を包含する皮膚の領域の反射率と同等、又はそれよりも明るい(例えば、値が高い)場合、方法300aは局所用組成物の現在の繰り返しにおいては位置の塗布を省略し、工程314に進む。工程312は、上に説明される工程210に対応する。
【0069】
図3aは、特定の順序で工程308aと工程310aとの比較を例示しているが、工程308a及び工程310aは、
図3aで示される順序で、
図3に示される順序と比較した場合には逆の順序(すなわち、工程308a前に工程310a)で、又は同時に共に、実施され得ることに留意されたい。例えば、処理装置130は、R
領域をR
色調及びR
位置と比較し得、R
領域がR
色調未満であり、かつR
位置がR
領域未満である(例えば、R
領域がR
位置よりも大きい、又はR
領域-R
位置が0よりも大きい)といった両方の場合にのみ、工程312に進む。
【0070】
工程311は、上に説明される工程208と実質的には同様のものである。具体的には、処理装置130は、(R領域-R位置)/(R組成物-R位置)がkよりも大きいかどうかを決定する。この場合、R組成物は、皮膚に塗布される組成物の反射率値である。該当する場合、方法300aは工程312に進む。該当しない場合、方法は工程314に進む。所定の定数kは、皮膚の外観を変更するために組成物を塗布する目的で中空間周波数以内の皮膚アーチファクトを有する位置を識別するために、0よりも大きく、1未満又は1と同等である範囲から選択されたいずれかの好適な値であり得る。
【0071】
工程312での組成物の塗布に続き、方法300aは工程314に進む。工程314において、処理装置130は、方法300aの現在の繰り返しの画像データを含むように過去の画像データをアップデートする。より詳細には、デバイス100は画像データをメモリ記憶デバイス170に記憶する。これは、R領域及びR位置、並びに過去の画像データとしての方法300aの現在の繰り返しのR色調及び方法300aの次の繰り返しのR以前の色調を含み得る。一実施形態では、処理装置130は、方法300aの次の繰り返しにて過去の画像データ、工程304、R以前の領域、R以前の位置及びR以前の色調として処理装置130で後に検索可能であるように、R領域、R位置及びR色調からの画像データをメモリ記憶デバイス170に記憶する。
【0072】
工程314は、上に説明される工程210と同じである。工程314に続き、方法300aは上に説明された工程220と同じ工程320に進む。方法200と同様に、方法300aは、例えばデバイス100を皮膚から取り外すこと、又はデバイス、特にデバイスの電源のスイッチを切ることといった任意の好適な動作によって、工程302~320のうちのいずれか1つの前に、ユーザによって中断又は終了され得る。
【0073】
例示的な方法300aは、方法200と同様に、黒ずんだ皮膚の領域の外観を増白させるために、ユーザの皮膚の平均反射率よりも高い反射率を有する組成物の塗布に関して以下に記述されるが、方法300aに同様の方法はまた、以下に更に記述される、例えばブロンザー又は日焼け用組成物など、皮膚の平均反射率よりも低い反射率(すなわち、より暗い)を有する組成物を選択的に塗布するために使用され得ることが企図される。
【0074】
皮膚の滑らかさの外観を改善しつつ、皮膚の外観を暗くするための組成物の選択的な塗布のために、処理装置130は、方法300aに関して上述したものと同様の方法で組成物を塗布するためのフレクセルを選択し得る。ただしこの場合、工程308a及び工程310aは、逆の比較でR領域をR色調及びR位置と比較するために変更される。具体的には、デバイス100を使用して皮膚の平均反射率よりも低い反射率を有する組成物を塗布するとき、工程308aは、R色調がR領域よりも小さいかどうかを決定するために変更され、工程310aは、R位置-R領域が0よりも大きいかどうかを決定するために変更される。加えて、工程311はまた、(R位置(locaation)-R領域)/(R位置-R組成物)がkよりも大きいかどうかを決定するために変更され得る。
【0075】
別の実施形態では、
図3bは例示的な方法300bを示す。方法300bは、上に説明された方法300aと同様である。方法300aと同様に、方法300bによって、ユーザは顔の皮膚表面の部分にわたってデバイス100を繰り返し通過させ、かつ方法300bの各繰り返し後に望ましくない染みだらけの外観又は部分的に筋が見られる外観を付与することなく、任意の数の通過で組成物を選択的に塗布することができる。したがって、方法300bによって、ユーザは顔の皮膚表面にわたってデバイス100を部分的に通過させ、かつ望ましくない染みだらけの外観を付与することなく、任意の数の通過で組成物を選択的に塗布することができる。
図3bに示される方法300bはまた、組成物の塗布を、過去の画像データ(past imaged data)によって決定される選択された色調の反射率よりも暗い位置に制限する工程を含む。方法300bは、
図3bに示されるように、工程308b及び工程310bにあるものを除いて方法300aと実質的に同じである。
【0076】
工程308bと工程310bとの組合せは、方法300aについて上に説明された工程308a及び工程310aと同じ種類である、化粧品組成物を塗布するための位置の選択を提供する。工程308bは、上に説明される工程208及び工程310aと同様である。特に、処理装置130は、R領域をR位置と比較し、位置の反射率が当該位置を包含する皮膚の領域の反射率よりも暗い(例えば、値が低い)かどうかを決定する。位置の反射率が当該位置を包含する皮膚の領域の反射率よりも暗い場合、方法300bは工程310bに進む。位置の反射率が当該位置を包含する皮膚の領域の反射率と同等、又はそれよりも明るい(例えば、値が高い)場合、方法300bは局所用組成物の現在の繰り返しにおいては位置の塗布を省略し、工程320に進む。
【0077】
工程310bにおいて、処理装置130は、R
領域及び/又はR
位置を、選択された色調の反射率値(R
色調)と比較する。これは、方法300aに関して上に説明されるように決定される。例示的な一実施形態では、工程310bの処理装置は、R
領域-R
位置が、R
領域-R
色調よりも大きいかどうかを決定する。該当する場合、方法300bは工程312に進む。該当しない場合、方法は工程311に進む。
図3aと同様に、
図3bは特定の順序で工程308bと工程310bとの比較を例示しているが、工程308b及び工程310bは、
図3bで示される順序で、
図3bに示される順序と比較した場合に逆の順序(すなわち、工程308b前に工程310b)で、又は同時に共に、実施され得ることに留意されたい。
【0078】
方法300aと同様に、方法300bと同様の方法もまた使用され、例えばブロンザー又は日焼け用組成物といった皮膚の平均反射率よりも低い反射率(すなわち、より暗い)を有する組成物を選択的に塗布し得ることが企図される。皮膚の滑らかさの外観を改善しつつ、皮膚の外観を暗くするための組成物の選択的な塗布のために、処理装置130は、方法300bに関して上述したものと同様の方法で組成物を塗布するためのフレクセルを選択し得る。ただしこの場合、工程308b及び工程310bは、逆の比較でR領域をR色調及びR位置と比較するために変更される。具体的には、デバイス100を使用して皮膚の平均反射率よりも低い反射率を有する組成物を塗布するとき、工程308bは、R位置(locaation)-R領域が0よりも小さいかどうかを決定するために変更され、工程310bは、R位置-R領域がR領域-R色調よりも大きいかどうかを決定するために変更される。加えて、工程311はまた、(R位置(locaation)-R領域)/(R位置-R組成物)がkよりも大きいかどうかを決定するために変更され得る。
【0079】
図4は、組成物をユーザの皮膚に選択的に塗布するための更に例示的な方法400を提供する。方法400は、以下に別途示されるものを除き、上に説明された方法300bと同様である。方法300a及び方法300bと同様に、方法400によって、ユーザは顔の皮膚表面の部分にわたってデバイス100を繰り返し通過させ、かつ方法400の各繰り返し後に望ましくない染みだらけの外観又は部分的に筋が見られる外観を付与することなく、任意の数の通過で組成物を選択的に塗布することができる。したがって、方法400によって、ユーザは顔の皮膚表面にわたってデバイス100を部分的に通過させ、かつ望ましくない染みだらけの外観を付与することなく、任意の数の通過で組成物を選択的に塗布することができる。特に、方法400は、アプリケータ装置120による組成物の塗布を、ユーザ、特にユーザの顔の皮膚表面の中空間周波数以内の皮膚アーチファクトに対応する位置に制限する更なる工程を含む。したがって、方法400は、皮膚の均一/滑らかな外観を維持しつつ、方法400の繰り返しを通して皮膚の表面の中空間周波数以内の皮膚アーチファクトに的を絞った皮膚の審美的外観への修正が望ましいかどうか、皮膚の審美的外観への修正がどのくらいかを決定するという点で、工程404で撮像された皮膚の領域から取得された画像データ及び過去の画像データを分析する。
【0080】
工程402及び工程406は、上述の工程302~306と同じである。工程408において、処理装置130は、デバイス100で撮像された皮膚の領域内の位置、好ましくはアプリケータ装置120が目的とする位置が、ユーザの皮膚の表面の中空間周波数以内の皮膚アーチファクトに対応するかどうかを決定するために画像データを分析する。特に、処理装置130は、皮膚の領域の反射率値を選択された色調の反射率値と比較する。工程408における処理装置130はまた、皮膚の領域の反射率値と位置の反射率値との差異を、組成物の反射率値と位置の反射率値との差異の所定の割合と比較する。所定の割合は、皮膚の表面の中空間周波数以内である皮膚アーチファクトを有する位置をフィルタリング及び/又は識別するために選択され得る。例示的な一実施形態では、工程408における処理装置130は、R
領域-R
位置が、0~z(R
組成物-R
位置)であるかどうかを決定する。この場合、R
領域及びR
位置は上に説明される通りであり、R
組成物は、皮膚に塗布される組成物の反射率値であり、zは、皮膚の外観を修正する組成物を塗布するために中空間周波数以内である皮膚アーチファクトを有する位置を識別するため、0よりも大きく、1未満又は1と同等である範囲から選択された定数である。所定の定数zは、中空間周波数以内である皮膚アーチファクトを有する位置の識別にとって任意の好適な値であり得る。一実施形態では、zは、約0.01~約0.3、約0.03~約0.2又は約0.05~0.15である。好ましくは、zは0.1である。処理装置130が、R
領域-R
位置が0~z(R
組成物-R
位置)であると決定する場合、方法400は工程410に進む。これは、上の工程310bに説明されたものと同じ種類の比較である。方法400の工程412、414及び420は、上に説明された工程310b、312、314及び320と同じである。
図3a及び
図3bと同様に、
図4が特定の順序で工程408と工程410との比較を例示しているが、工程408及び工程410は、
図4で示される順序で、
図4に示される順序と比較した場合には逆の順序(すなわち、工程408前に工程410)で、又は同時に共に、実施され得ることに留意されたい。
【0081】
上述の例示的な方法400は、方法200、方法300a及び方法300bと同様に、黒ずんだ皮膚の領域の外観を増白させるために、ユーザの皮膚の平均反射率よりも高い反射率を有する組成物の塗布に関するものであるが、本出願のデバイス100はまた、例えば白斑、日焼け線などのより明るい皮膚を有する皮膚アーチファクトに対する皮膚の平均反射率よりも低い反射率(すなわち、より暗い)を有する組成物を選択的に塗布するために使用され得ることが企図される。組成物は例えば、ブロンザー又は日焼け用組成物であり得る。皮膚の滑らかさの外観を改善しつつ、皮膚の外観を暗くするための組成物の選択的な塗布のために、処理装置130は、方法400に関して上述したものと同様の方法で組成物を塗布するためのフレクセルを選択し得る。ただしこの場合、工程408及び工程410は、逆の比較でR領域をR色調及びR位置と比較するために変更される。具体的には、デバイス100を使用して皮膚の平均反射率よりも低い反射率を有する組成物を塗布するとき、工程408は、R位置-R領域が0よりも大きいかどうか、かつz(R位置-R組成物)よりも小さいかどうかを決定するために変更され、工程310aは、R位置-R領域が、R色調-R領域よりも大きいかどうかを決定するために変更される。
【実施例】
【0082】
実施例I
コンピュータによりシミュレートされた皮膚の領域にわたり、多数回通過させることによる、コンピュータによりシミュレートされた化粧品組成物の塗布の繰り返しについての画像を
図5及び
図6に提供する。
図5は、
図2の方法200を反復することで塗布された化粧品組成物の分布を示す、コンピュータでシミュレーションされた一連の画像を示す。
図5の各画像には、塗布されるようにシミュレーションされる組成物のレイヤーの数について番号をつけている。各レイヤーは、ユーザの顔の全体にわたり1回シミュレートされたデバイス100の通過に対応する。
図5に見られ得るように、化粧品組成物は、異なるレイヤーにわたりほぼ同様の量で塗布される。
図7は、
図5で塗布された化粧品組成物の累積分布についてのコンピュータシミュレーション画像を示す。
図7の画像は、方法200が顔に施すものの、皮膚アーチファクトを有する領域に特に的を絞った様式で化粧品組成物を塗布し、それによって皮膚の外観を改善すること(例えば、皮膚の滑らかさの外観を改善すること)を示す。
【0083】
図6は、
図3bの方法300bを反復することで塗布された化粧品組成物の分布を示す、コンピュータでシミュレーションされた一連の画像を示す。
図6の各画像には、塗布されるようにシミュレーションされる組成物のレイヤーの数について番号をつけている。
図5と同様に、
図6の各レイヤーは、ユーザの顔の全体にわたり1回シミュレートされたデバイス100の通過に対応する。
図6に見られ得るように、皮膚のより暗い領域を典型的には有する顔の部位に塗布されるように、より多くの化粧品組成物をシミュレートした。
図8は、
図6で塗布された化粧品組成物の累積分布についてのコンピュータシミュレーション画像を示す。
図8に見られ得るように、より暗い外観を典型的に有する眼部位は、化粧品組成物のシミュレートされた累積の増加を示すが、化粧品組成物は、化粧品組成物のシミュレートされた累積を有さない額の部位に示されるように、選択された色調よりも暗い領域に対してのみ少量で塗布されるとシミュレートされる。
図8は、化粧品組成物が、ユーザの顔の皮膚の中空間周波数以内である皮膚アーチファクトを有する部位に向けられるようにシミュレートされることを示す。
【0084】
本明細書に開示される特定の実施形態は、本発明のいくつかの態様を例示することを意図するため、本明細書に記載及び特許請求される本発明は、これらの実施形態によって範囲が限定されるものではない。いかなる同等の実施形態も、本発明の範囲内にあることが意図される。実際、本明細書に図示及び説明されたものに加えて、本発明の様々な修正が、前述の説明から当業者には明らかになるであろう。このような修正はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。本明細書で引用された全ての刊行物は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0085】
〔実施の態様〕
(1) 組成物をユーザの皮膚に選択的に塗布するための方法であって、
(a)検出器装置で撮像された皮膚の領域の画像に対応する画像データを、前記検出器装置で取得することと、
(b)前記画像データを処理装置で分析し、前記皮膚の領域の反射率値及び前記皮膚の領域内の位置の反射率値を生成することと、
(c)前記皮膚の領域の前記反射率値を、(i)選択された色調の反射率値、及び(ii)前記位置の前記反射率値と、前記処理装置で比較することであって、前記選択された色調の前記反射率値が、前記皮膚の領域に隣接する皮膚の部位に対応する画像データに基づいて生成される、ことと、
(d)前記皮膚の領域の前記反射率値が、(i)前記選択された色調の前記反射率値未満であり、かつ(ii)前記位置の前記反射率値よりも大きいとき、前記組成物をアプリケータ装置で前記位置に選択的に塗布することと、を含む、方法。
(2) 前記選択された色調の前記反射率値が、前記検出器装置で以前に取得された前記皮膚の部位に対応する過去の画像データに基づいて生成される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記選択された色調の前記反射率値が、前記検出器装置で以前に撮像された皮膚の複数の領域の画像に対応する過去の画像データに基づいて生成される、実施態様1に記載の方法。
(4) 工程(c)が、
(1)前記処理装置で、R領域-R位置が0よりも大きいかどうかを判定することと、
(2)前記処理装置で、R領域-R位置がR領域-R色調よりも大きいかどうかを判定することと、を含み、
式中、
R領域が、前記皮膚の領域の前記反射率値であり、
R位置が、前記位置の前記反射率値であり、
R色調が、前記選択された色調の前記反射率値であり、
工程(d)が、(1)及び(2)の両方に合致するとき、前記アプリケータ装置で前記位置に前記組成物を塗布する、実施態様1~3のいずれかに記載の方法。
(5) 工程(c)における前記処理装置が更に、前記皮膚の領域の前記反射率値と前記位置の前記反射率値との差異と、前記組成物の反射率値と前記位置の前記反射率値との差異の所定の割合とを比較し、工程(d)における前記アプリケータ装置が、(i)前記領域の前記反射率値が前記選択された色調の前記反射率値未満であり、(ii)前記領域の前記反射率値が前記位置の前記反射率値よりも大きく、かつ(iii)前記皮膚の領域の前記反射率値及び前記位置の前記反射率値が、前記組成物の反射率値と前記位置の前記反射率値との差異(different)の前記所定の割合未満であるとき、前記組成物を前記位置に塗布する、実施態様1~3のいずれかに記載の方法。
【0086】
(6) 前記所定の割合が、前記ユーザの前記皮膚の中空間周波数以内の皮膚アーチファクトを識別するために選択される、実施態様5に記載の方法。
(7) 工程(c)が、
(1)前記処理装置で、R領域-R位置が0よりも大きく、R領域-R位置がz(R組成物-R位置)よりも小さいかどうかを判定することと、
(2)前記処理装置で、R領域-R位置がR領域-R色調よりも大きいかどうかを判定することと、を含み、
式中、
R領域が、前記皮膚の領域の前記反射率値であり、
R位置が、前記位置の前記反射率値であり、
R組成物が、前記組成物の前記反射率値であり、
R色調が、前記選択された色調の前記反射率値であり、
zが、前記ユーザの前記皮膚の中空間周波数以内の皮膚アーチファクトを識別するために選択された0~1の値である、実施態様5に記載の方法。
(8) zが、約0.01~約0.3である、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記選択された色調の前記反射率値が、以前に選択された色調の反射率値及び前記過去の画像データの関数として生成される、実施態様1~8のいずれかに記載の方法。
(10) 前記アプリケータ装置が、固定量の前記組成物を選択的に塗布する、実施態様1~9のいずれかに記載の方法。
【0087】
(11) (e)工程(a)で撮像された前記皮膚の領域に対応する前記画像データを含むように前記過去の画像データをアップデートすることと、
(f)前記アップデートされた過去の画像データを使用し、皮膚の更なる領域について、工程(a)~(d)を繰り返すことと、を更に含む、実施態様1~10のいずれかに記載の方法。
(12) 前記組成物が、反射率変性剤を含む化粧品組成物である、実施態様1~11のいずれかに記載の方法。
(13) 前記組成物が、皮膚状態を処置するための有効成分を含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記過去の画像データが、工程(a)で撮像された前記皮膚の領域の直前に撮像された領域に対応する、実施態様1~13のいずれかに記載の方法。
(15) 前記過去の画像データが、工程(a)で撮像された前記皮膚の領域に隣接する、撮像された領域に対応する、実施態様1~13のいずれかに記載の方法。
【0088】
(16) 組成物をユーザの皮膚に選択的に塗布するための手持ち式デバイスであって、
皮膚の領域の画像に対応する画像データを取得する検出器装置と、
前記組成物を前記皮膚に塗布するアプリケータ装置であって、前記アプリケータ装置が、前記組成物を前記皮膚の領域内の位置に塗布するために位置合わせされる、アプリケータ装置と、
前記検出器装置で以前に撮像された皮膚の領域に対応する過去の画像データを記憶するメモリ記憶デバイスと、
プロセッサ及び前記プロセッサによって実行可能な命令のセットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令のセットは、前記画像データを分析して、前記皮膚の領域の反射率値及び前記皮膚の領域内の前記位置の反射率値を生成し、前記皮膚の領域の前記反射率値と、(i)前記皮膚の領域に隣接する皮膚の部位に対応する画像データに基づいて生成される、選択された色調の反射率値、及び(ii)前記位置の前記反射率値とを比較し、前記皮膚の領域の前記反射率値が、前記選択された色調の前記反射率値未満であり、かつ前記位置の前記反射率値よりも大きいとき、前記組成物を前記位置に選択的に塗布するように前記アプリケータ装置に指示する、ように動作可能である、プロセッサ及び前記プロセッサによって実行可能な命令のセットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と、を備える、手持ち式デバイス。
(17) 前記命令のセットが、前記検出器装置で以前に取得された前記皮膚の部位に対応する過去の画像データに基づいて、前記選択された色調の前記反射率値を生成するように動作可能である、実施態様16に記載のデバイス。
(18) 前記命令のセットが、前記検出器装置で以前に撮像された皮膚の複数の領域の画像に対応する過去の画像データに基づいて、前記選択された色調の前記反射率値を生成するように動作可能である、実施態様16に記載のデバイス。
(19) 前記命令のセットが更に、前記皮膚の領域の前記反射率値と前記位置の前記反射率値との差異と、前記組成物の反射率値と前記位置の前記反射率値との差異の所定の割合とを比較し、(1)前記領域の前記反射率値が前記選択された色調の前記反射率値未満であり、(2)前記領域の前記反射率値が前記位置の前記反射率値よりも大きく、かつ(3)前記皮膚の領域の前記反射率値及び前記位置の前記反射率値が、前記組成物の反射率値と前記位置の前記反射率値との差異の前記所定の割合未満であるとき、前記組成物を前記位置に塗布するように前記アプリケータ装置に指示する、ように動作可能である、実施態様16~18のいずれかに記載のデバイス。
(20) 前記所定の割合が、前記ユーザの前記皮膚の中空間周波数以内の皮膚アーチファクトを識別するために選択される、実施態様19に記載のデバイス。
【0089】
(21) 前記選択された色調の前記反射率値が、以前に選択された色調の反射率及び前記過去の画像データの関数として生成される、実施態様16~20のいずれかに記載のデバイス。
(22) 前記アプリケータ装置が、固定量の前記組成物を選択的に塗布する、実施態様16~21のいずれかに記載のデバイス。
(23) 前記組成物が、反射率変性剤を含む化粧品組成物である、実施態様16~22のいずれかに記載のデバイス。
(24) 前記組成物が、皮膚状態を処置するための有効成分を含む、実施態様23に記載のデバイス。
【国際調査報告】