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特表2024-500184ラルガゾールの構造類似体及び関連化合物の合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ラルガゾールの構造類似体及び関連化合物の合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 513/08 20060101AFI20231222BHJP
   A61K 31/439 20060101ALI20231222BHJP
   A61K 31/429 20060101ALI20231222BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231222BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
C07D513/08 CSP
A61K31/439
A61K31/429
A61P35/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562455
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021063719
(87)【国際公開番号】W WO2022140144
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/128,273
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592246587
【氏名又は名称】コロラド ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション
(71)【出願人】
【識別番号】523235770
【氏名又は名称】セティヤ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CETYA THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, ロバート エム.
(72)【発明者】
【氏名】コティ, シヴァナギレディ
(72)【発明者】
【氏名】デ, スバディップ
(72)【発明者】
【氏名】シェルケ, アニル エム.
(72)【発明者】
【氏名】セルボーン, ライアン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤスダ, ノブヨシ
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072AA03
4C072BB03
4C072CC04
4C072CC05
4C072CC11
4C072CC12
4C072CC16
4C072CC17
4C072EE13
4C072FF07
4C072FF11
4C072FF13
4C072GG07
4C072JJ02
4C072JJ03
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB27
4C086MA01
4C086NA20
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
ラルガゾールの構造類似体及びその誘導体を調製する様々な合成方法が開示される。1つの構造類似体は、ラルガゾールのアミドアイソステアである。別の構造類似体は、ラルガゾールのチアゾール環をピリジン部分又はオキサゾール部分で置換する。アルコール官能性を有する大員環類似体を含む、ラルガゾールの構造類似体及びその誘導体を調製する際に得られた様々な中間化合物も開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)の化合物:
【化1】

を調製する方法であって、
前記方法が、式(I)の化合物:
【化2】

をC~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト、又はハロゲン化試薬から選択される活性化剤と反応させて、それにより式(II)の化合物:
【化3】

を形成するステップ、及び
前記式(II)の化合物をR基を含む求核剤と反応させて、それにより前記式(III)の化合物を形成するステップを含む、方法
(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
はRCOS、RS、又はRNであり、
、R、R、及びRは、独立的に、水素、C~C24の直鎖状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の直鎖状アルキル、C~C24の分岐状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の分岐状アルキル、C~C24の環状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の環状アルキル、C~C24のアルケニル、C~C24のアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、又はそれらのいずれかの置換型であり、且つ
Lは、C~C24の直鎖状若しくは分岐状の炭素スルホン酸エステル、置換されたC~C24の直鎖状若しくは分岐状のスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、置換されたアリールスルホン酸エステル、ヘテロアリールスルホン酸エステル、置換されたヘテロアリールスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハロゲンから選択される脱離基である)。
【請求項2】
式(I)の化合物:
【化4】

を調製する方法であって、
前記方法が、1つ又は複数の反応において、式(IV)の化合物:
【化5】

、式(V)の化合物:
【化6】

、及び式(VI)の化合物:
【化7】

を反応させるステップを含む、方法
(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
はH又は適切なアルコール保護基であり、
、R10、及びR12は、独立的に、H、適切なアミン保護基、又はキラル基であり、
、R、及びR11は、独立的に、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又は適切なカルボン酸保護基であり、
任意選択で、前記適切なカルボン酸保護基は、C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又はアルキルシリルから選択され、
任意選択で、前記C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又は前記いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、ベンジル、又は置換されたベンジルから選択され、且つ
任意選択で、前記アルキルシリルは、2-(トリメチルシリル)エチルである)。
【請求項3】
式(III)の化合物:
【化8】

を調製する方法であって、
前記方法が、式(II)の化合物:
【化9】

をR基を含む求核剤と反応させるステップを含む、方法
(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
はRCOS、RS、又はRNであり、
、R、R、及びRは、独立的に、水素、C~C24の直鎖状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の直鎖状アルキル、C~C24の分岐状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の分岐状アルキル、C~C24の環状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の環状アルキル、C~C24のアルケニル、C~C24のアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、又はそれらのいずれかの置換型であり、且つ
Lは、C~C24の直鎖状若しくは分岐状の炭素スルホン酸エステル、置換されたC~C24の直鎖状若しくは分岐状のスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、置換されたアリールスルホン酸エステル、ヘテロアリールスルホン酸エステル、置換されたヘテロアリールスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハロゲンから選択される脱離基である)。
【請求項4】
前記式(II)の化合物を式(IX)の化合物:
【化10】

から、前記式(IX)の化合物のORを前記脱離基Lに変換することにより製造するステップを更に含む(式中、RはH又は適切なアルコール保護基である)、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ORを前記脱離基Lに変換することが、
が前記適切なアルコール保護基である場合に、前記適切なアルコール保護基を脱保護して、前記式(IX)の化合物(式中、RはHである)を供給すること、及び
前記式(IX)の化合物(式中、RはHである)を、C~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト、又はハロゲン化試薬から選択される活性化剤と反応させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記式(IX)の化合物が式(I)の化合物:
【化11】

であり、且つ
前記方法が、前記式(I)の化合物を、C~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト、又はハロゲン化試薬から選択される活性化剤と反応させて、それにより前記式(II)の化合物を形成するステップを含む、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記式(I)の化合物又は前記式(IX)の化合物が、式(I-a)、(I-b)、又は(I-c)の化合物:
【化12】

である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
Lが、OMs、OTs、OTf、2,2,2-トリフルオロエタンスルホン酸エステル、n-オクタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、OP(=O)(OMe)、OP(=O)(OEt)、OP(=O)(OPh)、I、Br、Cl、又はFである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
Arが:
【化13】

である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記求核剤がチオオクタン酸であり、それにより前記式(III)の化合物が式(XXV)の化合物:
【化14】

となる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
XがNHであり、且つArが:
【化15】

であり、それにより前記式(III)の化合物が式(1)の化合物:
【化16】

となる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
XがOであり、且つArが:
【化17】

であり、それにより前記式(III)の化合物が式(2)の化合物:
【化18】

となる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
XがOであり、且つArが:
【化19】

であり、それにより前記式(III)の化合物が式(3)の化合物:
【化20】

となる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、式(IV)の化合物:
【化21】

、式(V)の化合物:
【化22】

、及び式(VI)の化合物:
【化23】

を含む1つ又は複数の反応から、前記式(I)の化合物又は前記式(IX)の化合物を製造するステップを更に含む
(式中、RはH又は適切なアルコール保護基であり、
、R10、及びR12は、独立的に、H、適切なアミン保護基、又はキラル基であり、
、R、及びR11は、独立的に、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又は適切なカルボン酸保護基であり、
任意選択で、前記適切なカルボン酸保護基は、C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又はアルキルシリルから選択され、
任意選択で、前記C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又は前記いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、ベンジル、又は置換されたベンジルから選択され、且つ
任意選択で、前記アルキルシリルは、2-(トリメチルシリル)エチルである)、請求項1又は4~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記式(IV)の化合物が前記式(V)の化合物と縮合により反応して、式(VII)の化合物:
【化24】

を形成し、
前記式(VII)の化合物が前記式(VI)の化合物とアミド化により反応して、式(VIII)の化合物:
【化25】

を形成し、且つ
前記式(VIII)の化合物がアミド化閉環により反応して、前記式(IX)の化合物又は前記式(I)の化合物(式中、RはHである)を形成する、請求項2又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
がH又は適切なアルコール保護基であり、
前記式(IV)の化合物を前記式(V)の化合物と反応させる際、RがHであり、且つXがNである場合、前記Nが中性であるか又はプラスに帯電しており、Rが適切なカルボン酸保護基であり、R10が適切なアミン保護基であり、且つRがH、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンであり、
前記式(VI)の化合物を前記式(VII)の化合物と反応させる際、Rが適切なカルボン酸保護基であり、R10がHであり、且つ任意選択でR10がプラスに帯電した窒素原子に結合しており、R11がH、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンであり、且つR12が適切なアミン保護基であり、且つ
前記式(VIII)の化合物をアミド化閉環により反応させる際、RがH又は適切なアルコール保護基であり、RがH、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンであり、且つR12がHであり、且つ任意選択でR12がプラスに帯電した窒素原子に結合している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
XがNHであり、且つ前記方法が、
イミン形成を介して式(X)の化合物:
【化26】

を式(XI)のキラル補助剤:
Y-NH (XI)
と反応させて、式(XII)の化合物:
【化27】

を形成するステップ、
前記式(XII)の化合物を求核付加を介して式(XIII)の化合物:
【化28】

と反応させて、前記式(IV)の化合物(式中、XはNHであり、且つRはキラル基Yである):
【化29】

を形成するステップ、及び
前記N-Y結合を開裂させて、前記式(IV)の化合物(式中、RはHであり、且つXがNである場合、前記Nは中性であるか又はプラスに帯電している)を形成するステップにより、前記式(IV)の化合物を製造するステップを更に含む
(式中、Yは、前記式(XIII)の化合物の前記式(XII)の化合物へのジアステレオ選択的な求核付加を生じさせて、主生成物として前記式(IV)の化合物(式中、Rはキラル基Yである)を形成するのに十分なキラル基であり、
は適切なアルコール保護基であり、
は適切なカルボン酸保護基であり、
任意選択で、前記カルボン酸保護基は、C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又はアルキルシリルから選択され、
任意選択で、前記C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又は前記いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、ベンジル、又は置換されたベンジルから選択され、且つ
任意選択で、前記アルキルシリルは、2-(トリメチルシリル)エチルであり、且つ
13は、H、ハロゲン化物、又はLi、Na、K、ZnBr、ZnCl、CuCl、CuBr、CuI、Cu、若しくはそれらのいずれかの組み合わせを含む金属である)、請求項2又は14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記式(XI)のキラル補助剤が:
【化30】

である(式中、R14は、tert-ブチル、p-トリル、アルキル、芳香族基、又はそれらのいずれかの置換型である)、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
14がtert-ブチルであり、それにより前記式(XI)の化合物が(R)-tert-ブタンスルフィンアミドとなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
式(XXVI)の化合物:
【化31】

(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
16はOH、OR、又はLであり、
は適切なアルコール保護基であり、且つ
Lは、C~C24の直鎖状若しくは分岐状の炭素スルホン酸エステル、置換されたC~C24の直鎖状若しくは分岐状のスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、置換されたアリールスルホン酸エステル、ヘテロアリールスルホン酸エステル、置換されたヘテロアリールスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハロゲンから選択される脱離基である)。
【請求項21】
前記式(XXVI)の化合物が、式(I-a)、(I-b)、又は(I-c)の化合物:
【化32】

である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
16がOHである、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
16がLである、請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
16がORである、請求項20に記載の化合物。
【請求項25】
XがOであり、且つ
Arがピリジニルである、請求項20~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
XがOであり、且つ
Arがオキサゾリルである、請求項20~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
XがNHであり、且つ
Arがチアゾリルである、請求項20~24のいずれか一項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本特許出願は、全ての目的でその全体において参照により本明細書で援用される、2020年12月21日に出願された米国特許仮出願第63/128,273号の利益を主張する。
【0002】
[連邦支援の研究開発に関する陳述]
[0002]本発明は、米国国立心肺血液研究所を介して米国国立衛生研究所により認可を受けた認可番号2R42HL136068-02の下で政府支援によりなされたものである。政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0003】
[背景技術]
[0003]ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤は、多くの形態のがん、及び他の状態の治療に大いに有望である(例えば、その全体において参照により本明細書で援用される、Williamsら、国際公開第2016/144814号参照)。様々なクラスのHDAC阻害剤が知られており、ヒドロキサメート、ベンズアミド、短鎖脂肪酸、トリフルオロメチルオキサジアゾール、及び大員環の5つのカテゴリーに一般的に分類される。自然界で生じるHDAC阻害剤の具体例としては、SAHA、トリコスタチンA、アピシジン、トラポキシン、アズマミド、FK228、ラルガゾール、FR901375、及びスピルコスタチンが挙げられる。しかしながら、多大な研究努力が、阻害剤構造とHDAC阻害との間の関係性を理解し、より強力な阻害剤を見出し、望ましい構造特性を有する阻害剤を調製するために、これらの天然物の構造類似体を調製することに集中されてきた。
【0004】
[0004]大員環のラルガゾール、及びその構造類似体に特に関心が集中しており、構造類似体としては、ペプチド環内のエステルがアミド官能性で置換されているアミドアイソステアが挙げられる(例えば、Bowersら、J.Am.Chem.Soc. 2009、131、2900~2905、及びPilonら、Cancer Chemother Pharmacol. 2015、75(4):671-682参照、これらの両方がその全体において参照により本明細書で援用される)。ラルガゾールは海洋シアノバクテリアSymploca sp.から天然物として単離され、ラルガゾールの全合成がいくつかの研究グループにより成功裏に完了した(その全体において参照により本明細書で援用される、Yingら、J.Am.Chem.Soc. 2008、130、8455~59参照)。ラルガゾールは、ある状況においていくつかの不利益、特に、大員環内のエステル官能性に起因する加水分解に対する影響の受けやすさ、及び立体配座の柔軟性を有する。ラルガゾールのアミドアイソステアは、加水分解に対してより安定になること及びより堅固な構造を有することにより、これらの不利益に対処して、増大したHDAC結合をもたらし、その両方がラルガゾールのエステル官能性をアミド基で置換した結果である。
【0005】
[0005]ラルガゾールの構造類似体にも関心が集中しており、構造類似体としては、大員環にエステル官能性を保持するが分子の他の構造部位を変化させるものが挙げられる。例えば、ラルガゾールの1つの構造類似体では、ラルガゾールのチアゾール環をピリジン部分又はオキサゾール部分で置換することができる。
【0006】
[0006]ラルガゾールのアミドアイソステア及びその他の構造類似体の公知の合成経路はいくつかの欠点を抱えており、低い収率、ミリグラムスケールの製造、合成の複雑さ、及びコストの高さが欠点として挙げられる(Bowersら参照)。そのような公知の経路はまた、反応性チオール基を含む大員環、例えば、式(III)の化合物(式中、RはSHである)を通り、これは高度に生物学的に活性であり、不安定で、且つ取扱いが難しい。従って、ラルガゾールの構造類似体及びその誘導体を調製する改善した方法、並びにこれらの改善した方法により調製された化合物を含む、HDAC阻害剤を調製する改善した合成方法が求められている。本明細書に記載された本発明は、これらの及び他の重要な要求に関するものである。
【0007】
[概要]
[0007]本明細書に記載された本発明のいくつかの利益は、チオール官能性を有する大員環ではなく、式(I)に示すアルコール官能性を含む大員環を用いた合成方法を用いることを含む。アルコール官能性を有する大員環は、チオール官能性を有する同等の大員環よりも安定で、生物学的に不活性であり(表1参照)、且つ取扱いやすい(例えば、結晶形態で調製することができる、図10のXRD参照)。本明細書に開示された方法の他の利益は、より高い収率、より一貫した収率、グラムスケールの製造、より容易で単純な合成、より安価な材料の使用、及び中間化合物の毒性の低さを含む。
【0008】
[0008]式(I)の化合物:
【化1】

を調製する方法であって、上記方法が、1つ又は複数の反応において、式(IV)の化合物、式(V)の化合物、及び式(VI)の化合物を反応させる方法を含む、方法(式中、構造及び可変物は本明細書の他の部分に規定される)が開示される。
【0009】
[0009]式(III)の化合物:
【化2】

を調製する方法であって、
上記方法が、式(I)の化合物:
【化3】

を活性化剤と反応させて、それにより式(II)の化合物:
【化4】

を形成する工程、及び
上記式(II)の化合物を求核剤と反応させて、それにより式(III)の化合物を形成する工程を含む、方法(式中、構造、可変物、活性化剤、及び求核剤は本明細書の他の部分に記載される)も、開示される。
【0010】
[0010]いくつかの局面では、上記式(I)の化合物が、式(I-a)、(I-b)、又は(I-c)の化合物:
【化5】

である。
【0011】
[0011]更に、式(III)の化合物:
【化6】

を調製する方法であって、上記方法が、式(II)の化合物を求核剤と反応させる工程を含む、方法(式中、構造、可変物、活性化剤、及び求核剤は本明細書の他の部分に記載される)が開示される。
【0012】
[0012]式(XXVI)の化合物:
【化7】

(式中、構造、可変物、活性化剤、及び求核剤は本明細書の他の部分に記載される)も、開示される。
【0013】
[0013]いくつかの局面では、上記式(XXVI)の化合物が、式(I-a)、(I-b)、又は(I-c)の化合物:
【化8】

である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本明細書に開示された特定の方法及び化合物を示す、スキーム1、2、及び3を含む化学反応スキームを描く図である。
図2】本明細書に開示された特定の方法及び化合物を示す、スキーム4及び5を含む化学反応スキームを描く図である。
図3】本明細書に開示された特定の方法及び化合物を示す、スキーム6を含む化学反応スキームを描く図である。
図4】本明細書に開示された特定の方法及び化合物を示す、スキーム7を含む化学反応スキームを描く図である。
図5】本明細書に開示された特定の方法及び化合物を示す、スキーム8を含む化学反応スキームを描く図である。
図6】本明細書に開示された特定の方法及び化合物を示す、スキーム9及び10を含む化学反応スキームを描く図である。
図7】本明細書に開示された特定の方法及び化合物を示す、スキーム11及び12を含む化学反応スキームを描く図である。
図8】本明細書に開示された特定の方法及び化合物を示す、スキーム13、14、及び15を含む化学反応スキームを描く図である。
図9】本明細書に開示された特定の方法及び化合物を示す、スキーム16及び17を含む化学反応スキームを描く図である。
図10】化合物10(即ち、式(I-a)の化合物)のXRDである。
【0015】
[発明を実施するための形態]
[0024]本明細書で用いられる場合、「適切な保護基」とは、分子の特定の官能部分、例えば、COOH、O、S、又はNを一時的にブロック又は保護し、反応を分子の別の反応部位で選択的に行うことができるようにするために用いられる化学基である。適切な保護基は、許容可能な収率でCOOH、O、S、又はNの官能性と典型的には反応して、予測された反応に対して安定な保護基が得られる。適切な保護基は、そのような反応が望まれない限りは分子の他の部位と反応しない1つ又は複数の試薬によって、許容可能な収率で典型的には選択的に除去可能である必要がある。本明細書に詳述するように、様々な適切な保護基をカルボン酸、酸素、硫黄、及び窒素の官能性を保護するために用いることができ、そのような保護基は、それぞれ「適切なカルボン酸保護基」、「適切なアルコール保護基」、「適切なチオール保護基」、及び「適切なアミン保護基」と本明細書で呼ばれる。そのような適切な保護基は当該分野で周知されており、いくつかの公開された情報源、例えば、(1)Protective Groups in Organic Synthesis、Theodora W.Greene及びPeter G.M.Wuts、2006、John Wiley and Sonsから出版、及び(2)Bioconjugate Techniques、Greg T.Hermanson、2013、Academic Pressから出版、に記載されているようなものが挙げられ、これらの両方がその全体において参照により本明細書で援用される。
【0016】
[0025]「適切なアルコール保護基」は当該分野で周知されており、例えば、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS又はTBS)、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、又はテトラヒドロピラン(THP)が挙げられる。
【0017】
[0026]「適切なチオール保護基」は当該分野で周知されており、例えば、トリフェニルメチル(Trt又はトリチル)が挙げられる。
【0018】
[0027]「適切なアミン保護基」は当該分野で周知されており、例えば、9-フルオレニルメトキシカルバメート(Fmoc)、t-ブチルカルバメート(Boc)、又はベンジルオキシカルバメート(Cbz)が挙げられる。
【0019】
[0028]「適切なカルボン酸保護基」は当該分野で周知されており、例えば、C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又はアルキルシリルが挙げられる。いくつかの局面では、上記C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキルが、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、ベンジル、又は置換されたベンジルであり、これらのそれぞれは、いずれかの部位において1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換することができる。いくつかの局面では、上記アルキルシリルが、例えば、2-(トリメチルシリル)エチルである。
【0020】
[0029]いくつかの局面では、本明細書に開示されるいずれの化合物におけるいずれのカルボン酸、アミン、又はチオカルボン酸の官能性も、例えば、H、アルカリ金属(又はイオン)、アルカリ土類金属(又はイオン)、塩、又はそれらのいずれかの組み合わせとして存在することができる。
【0021】
[0030]官能基又は他の基(例えば、アルキル基)の炭素原子の数が本明細書で規定される場合、その数が、規定された炭素原子の正確な数について言及するか、又は炭素原子の範囲について言及することが意図される。例えば、アルキルが4~8個の炭素原子を含むと規定される場合、12個の炭素原子を含むアルキル基は適しておらず、むしろ4個、5個、6個、7個、又は8個の炭素原子を含むアルキル基のみが適している。更に、炭素原子の数が範囲として規定される場合、指示された範囲内に入るいずれかの部分範囲、又は炭素原子の個々の数が、それぞれのそのような部分範囲又は個々の炭素原子数が本明細書ではっきりと示されるかのように明確に考えられることが意図される。例えば、C~C24の炭素原子範囲は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、又は24個の炭素原子を含むことが意図される。更に、そこから作ることのできる全ての部分範囲も明確に考えられ、これらに限定されないが、1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、1~6個、1~7個、1~8個、1~9個、1~10個、1~12個、1~14個、1~16個、1~18個、1~20個、1~22個、1~24個、2~3個、2~4個、2~5個、2~6個、2~7個、2~8個、2~9個、2~10個、2~12個、2~14個、2~16個、2~18個、2~20個、2~22個、2~24個、3~4個、3~5個、3~6個、3~7個、3~8個、3~9個、3~10個、3~12個、3~14個、3~18個、3~24個、4~5個、4~8個、4~10個、4~12個、4~16個、4~20個、4~24個、6~8個、6~10個、6~12個、6~16個、6~20個、6~24個、8~10個、8~12個、8~16個、8~20個、8~24個、10~14個、10~20個、10~24個、12~18個、又は12~24個の炭素原子が挙げられる。
【0022】
[0031]本明細書に開示される様々な反応工程を実施する際には、いずれの適切な反応条件も用いることができる。そのような反応条件は、溶媒、酸、塩基、試薬、触媒、時間、温度、pH、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。いくつかの局面では、特定の反応生成物は、次工程に進む前に精製することができ、又は特定の反応生成物は、粗製で次の反応工程に進めることができる。本明細書に開示される様々な反応条件及び合成反応は例示であるが、例えば、その全体において参照により本明細書で援用される、Advanced Organic Chemistry-Part B:Reactions and Synthesis、Francis A.Carey及びRichard J.Sundberg、第4版、2001、Springerから出版に開示されるもののようないずれの適切な反応条件又は合成反応も用いることができる。
【0023】
[0032]図1のスキーム1に示すように、式(III)の化合物:
【化9】

を調製する方法であって、
上記方法が、式(I)の化合物:
【化10】

をC~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト(例えば、クロロホスファイト)、又はハロゲン化試薬から選択される活性化剤と反応させて、それにより式(II)の化合物:
【化11】

を形成する工程、及び
上記式(II)の化合物をR基を含む求核剤と反応させて、それにより上記式(III)の化合物を形成する工程を含む、方法
(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
Lは、C~C24の直鎖状若しくは分岐状の炭素スルホン酸エステル、置換されたC~C24の直鎖状若しくは分岐状のスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、置換されたアリールスルホン酸エステル、ヘテロアリールスルホン酸エステル、置換されたヘテロアリールスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハロゲンから選択される脱離基であり、
はRCOS、RS、又はRNであり、且つ
、R、R、及びRは、独立的に、水素、C~C24の直鎖状アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-へプチル、n-オクチル等)、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換された(例えば、フェニル、ピリジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル等、若しくはそれらのいずれかの組み合わせで置換された)C~C24の直鎖状アルキル、C~C24の分岐状アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等)、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の分岐状アルキル(例えば、フェニルで置換されたイソプロピル、ピリジニルで置換されたイソブチル等)、C~C24の環状アルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロプロピル等)、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の環状アルキル(例えば、フェニルで置換されたシクロヘキシル等)、C~C24のアルケニル、C~C24のアルキニル、アリール(例えば、ナフタレニル、フェニル、ピリジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル等)、ヘテロアリール(例えば、ピリジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル等)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、又はそれらのいずれかの置換型である)が本明細書に開示される。いくつかの局面では、RがRCOSであり、且つRがn-へプチルである。
【0024】
[0033]上記式(II)の化合物をR基を含む求核剤と反応させる工程を含む式(III)の化合物を調製する方法であって、上記式(II)及び(III)の化合物における可変物が本明細書の他の部分に規定される方法も、図1のスキーム1に示すように本明細書に開示される。言い換えると、いくつかの局面では、上記式(III)の化合物を調製する方法は、上記式(I)の化合物ではなく上記式(II)の化合物から開始する。しかしながら、他の局面では、上記式(III)の化合物を調製する方法は、本明細書の他の部分に開示されるように上記式(I)の化合物から開始して上記式(II)の化合物を経る。
【0025】
[0034]いくつかの局面では、Lはいずれかの適切な脱離基である。用語「脱離基」は当該分野で周知されているが、単に説明すると、脱離基は、基本分子へのその結合が破壊される分子断片であり、且つ上記脱離基は、破壊された結合の電子対と共に上記分子から離脱する。置換反応では、求核剤は、典型的には、上記脱離基が前に位置していた上記基本分子の部位に結合を形成する。適切な脱離基としては、例えば、C~C24の直鎖状若しくは分岐状の炭素スルホン酸エステル、置換された(例えば、いずれかの基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシル等、又はそれらのいずれかの組み合わせで置換された)C~C24の直鎖状若しくは分岐状のスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、置換された(例えば、いずれかの基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシル等、又はそれらのいずれかの組み合わせで置換された)アリールスルホン酸エステル、ヘテロアリールスルホン酸エステル、置換された(例えば、いずれかの基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシル等、又はそれらのいずれかの組み合わせで置換された)ヘテロアリールスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハロゲンが挙げられる。例えば、いくつかの局面では、Lが、OMs、OTs、OTf、2,2,2-トリフルオロエタンスルホン酸エステル、n-オクタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、OP(=O)(OMe)、OP(=O)(OEt)、OP(=O)(OPh)、I、Br、Cl、又はFである。
【0026】
[0035]いくつかの局面では、図1のスキーム1に示すように、式(I)の化合物:
【化12】

から上記式(II)の化合物を製造する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0027】
[0036]いくつかの局面では、式(IX)の化合物:
【化13】

から、上記式(IX)の化合物のORを上記脱離基Lに変換することにより上記式(II)の化合物を製造する工程を含む方法(式中、RはH又は適切なアルコール保護基である)が本明細書に開示される。
【0028】
[0037]いくつかの局面では、ORを上記脱離基Lに変換することが、Rが上記適切なアルコール保護基である場合に、上記適切なアルコール保護基を脱保護して、上記式(IX)の化合物(式中、RはHである)を供給すること、及び上記式(IX)の化合物(式中、RはHである)を、C~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト(例えば、クロロホスファイト)、又はハロゲン化試薬から選択される活性化剤と反応させることを含む。適切な具体的な活性化剤は本明細書の他の部分に開示される。
【0029】
[0038]いくつかの局面では、上記式(IX)の化合物が式(I)の化合物:
【化14】

であり、且つ上記方法が、上記式(I)の化合物を、C1~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト(例えば、クロロホスファイト)、又はハロゲン化試薬から選択される活性化剤と反応させて、それにより上記式(II)の化合物を形成する工程を含む。
【0030】
[0039]いくつかの局面では、上記式(I)の化合物又は上記式(IX)の化合物が、式(I-a)、(I-b)、又は(I-c)の化合物:
【化15】

である。
【0031】
[0040]いくつかの局面では、Arが以下:
【化16】

である。
【0032】
[0041]いくつかの局面では、上記方法で用いる求核剤がチオオクタン酸であり、それにより上記式(III)の化合物が式(XXV)の化合物:
【化17】

となる。
【0033】
[0042]いくつかの局面では、上記方法で用いる求核剤がチオオクタン酸であり、XがNHであり、且つArが以下:
【化18】

であり、それにより上記式(III)の化合物が式(1)の化合物:
【化19】

となる。
【0034】
[0043]いくつかの局面では、図1のスキーム2に示す式(1、III-a)の化合物:
【化20】

を調製する方法であって、上記方法が、式(I-a)の化合物から式(II-a)(式中、Lは本明細書の他の部分に規定された通りである)を介して上記式(1)の化合物を製造する工程を含む、方法が本明細書に開示される。
【0035】
[0044]いくつかの局面では、上記方法で用いる求核剤がチオオクタン酸であり、XがOであり、且つArが以下:
【化21】

であり、それにより上記式(III)の化合物が式(2)の化合物:
【化22】

となる。
【0036】
[0045]いくつかの局面では、図1のスキーム3に示す式(2、III-b)の化合物:
【化23】

を調製する方法であって、上記方法が、式(I-b)の化合物から式(II-b)(式中、Lは本明細書の他の部分に規定されたような脱離基である)を介して上記式(2)の化合物を製造する工程を含む、方法が本明細書に開示される。
【0037】
[0046]いくつかの局面では、上記方法で用いる求核剤がチオオクタン酸であり、XがOであり、且つArが以下:
【化24】

であり、それにより上記式(III)の化合物が式(3)の化合物:
【化25】

となる。
【0038】
[0047]いくつかの局面では、図2のスキーム4に示す式(3、III-c)の化合物:
【化26】

を調製する方法であって、上記方法が、式(I-c)の化合物から式(II-c)(式中、Lは本明細書の他の部分に規定されたような脱離基である)を介して上記式(3)の化合物を製造する工程を含む、方法が本明細書に開示される。
【0039】
[0048]いくつかの局面では、適切な溶媒中での適切な活性化剤及び適切な塩基による式(I)の化合物の式(II)の化合物への変換は、-78~120℃、-50~80℃、-20~50℃、又は-10~10℃の温度で達成することができる。
【0040】
[0049]いくつかの局面では、適切な活性化剤としては、これらに限定されないが、C~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト(例えば、クロロホスファイト)、ハロゲン化試薬、塩化メシル、塩化トシル、塩化トリフルオロメタンスルホニル、塩化2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化n-オクタンスルホニル、又はそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0041】
[0050]いくつかの局面では、適切な塩基としては、これらに限定されないが、有機塩基、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジン、DBU、DABCO、及び無機塩基、例えば、NaHCO、KHCO、NaCO、KCO、CsCO、NaOH、KOH、又はそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0042】
[0051]いくつかの局面では、適切な溶媒としては、これらに限定されないが、炭化水素、トルエン、クロロベンゼン、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、CPME、MTBE、THF、2-メチル-THF、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、DMF、DMAc、DMSO、DCM、水、又はそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0043】
[0052]いくつかの局面では、適切な溶媒中での適切な求核剤による式(II)の化合物の式(III)の化合物への変換は、-20~70℃、-10~60℃、0~50℃、又は0~30℃の温度で達成することができる。
【0044】
[0053]いくつかの局面では、適切な溶媒としては、これらに限定されないが、炭化水素、トルエン、クロロベンゼン、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、CPME、MTBE、THF、2-メチル-THF、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、DMF、DMAc、DMSO、DCM、水、又はそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0045】
[0054]いくつかの局面では、適切な求核剤としては、これらに限定されないが、RCOS、R、又はRが挙げられ、R、R、R、Rは本明細書の他の部分に規定される。いくつかの局面では、上記求核剤はn-C15COSである。
【0046】
[0055]いくつかの局面では、図2のスキーム5に示すように、式(I)の化合物を調製する方法が本明細書に開示される。いくつかの局面では、上記方法が、上記式(I)の化合物を式(IV;β-官能化エステル)の化合物、式(V)の化合物、及び式(VI)の化合物から製造する工程を含む。上記式(I)の化合物は、窒素原子及び/又は酸素原子の適切な保護基による標準的なエステル形成反応及びアミド形成反応を用いて調製することができる。3成分(IV、V、及びVI)の間の結合形成の順序は通常、重要ではなく、従って、結合形成のいずれの順序も実行可能である。図2のスキーム5では、RはH又は適切なアルコール保護基であり、R、R、及びR11は、独立的に、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又は例えば、C~Cのアルキル基、置換されたC~Cのアルキル基、2-トリメチルシリルエチル、ベンジル、若しくは置換されたベンジルのような適切なカルボン酸保護基であり、R、R10、及びR12は、独立的に、H、又は適切な窒素保護基である。Arはチアゾール、ピリジン、又はオキサゾールである。XはO又はNHである。いくつかの局面では、いずれかのN原子が第四級アンモニウムである。
【0047】
[0056]いくつかの局面では、上記方法は、上記式(I)の化合物:
【化27】

又は上記式(IX)の化合物
【化28】

を、式(IV)の化合物:
【化29】

、式(V)の化合物:
【化30】

、及び式(VI)の化合物:
【化31】

を含む1つ又は複数の反応から製造する工程を更に含む
(式中、RはH又は適切なアルコール保護基であり、
、R10、及びR12は、独立的に、H、適切なアミン保護基、又はキラル基であり、
、R、及びR11は、独立的に、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又は適切なカルボン酸保護基であり、
任意選択で、上記適切なカルボン酸保護基は、C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又はアルキルシリルから選択され、
任意選択で、上記C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又は上記いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、ベンジル、又は置換されたベンジルから選択され、
任意選択で、上記アルキルシリルは、2-(トリメチルシリル)エチルであり、且つ
任意選択で、いずれかのN原子が第四級アンモニウムである)。
【0048】
[0057]いくつかの局面では、上記式(I)の化合物又は上記式(IX)の化合物が、式(I-a)、(I-b)、又は(I-c)の化合物:
【化32】

である。
【0049】
[0058]いくつかの局面では、上記式(I)の化合物が、
式(IV、R=H)の化合物を式(V、R=H)の化合物と縮合により反応させて、式(VII)の化合物を形成する工程、
上記式(VII、R10=H)の化合物を式(VI、R11=H)の化合物とアミド化条件下で反応させて、式(VIII)の化合物を形成する工程、
上記式(VIII、R及びR11=H)の化合物をアミド化条件下で反応させて、式(IX)の大員環化合物を形成する工程、
上記式(IX)の化合物を脱保護条件下で反応させてアルコール保護基を除去し、式(I)の化合物を形成する工程を含む、図3のスキーム6に示す方法により製造される。
【0050】
[0059]いくつかの局面では、上記式(IV)の化合物が上記式(V)の化合物と縮合により反応して、式(VII)の化合物:
【化33】

を形成し、
上記式(VII)の化合物が上記式(VI)の化合物とアミド化により反応して、式(VIII)の化合物:
【化34】

を形成し、且つ
上記式(VIII)の化合物がアミド化閉環により反応して、上記式(IX)の化合物を形成する(式中、R、R、R10、及びR12は本明細書の他の部分に規定された通りである)。いくつかの局面では、いずれかのN原子が第四級アンモニウムである。
【0051】
[0060]いくつかの局面では、RがH又は適切なアルコール保護基であり、且つ
上記式(IV)の化合物を上記式(V)の化合物と反応させる際、RがHであり、且つXがNである場合、上記Nが中性であるか又はプラスに帯電しており、Rが適切なカルボン酸保護基であり、R10が適切なアミン保護基であり、且つRがH、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンであり、
上記式(VI)の化合物を上記式(VII)の化合物と反応させる際、Rが適切なカルボン酸保護基であり、R10がHであり、且つ任意選択でR10がプラスに帯電した窒素原子に結合しており、R11がH、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンであり、且つR12が適切なアミン保護基であり、且つ
上記式(VIII)の化合物をアミド化閉環により反応させる際、RがH、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンであり、且つXがNである場合、上記Nが中性であるか又はプラスに帯電しており、且つR12がHであり、且つ任意選択でR12がプラスに帯電した窒素原子に結合している。
【0052】
[0061]いくつかの局面では、保護基の選択は、他の保護基との直交性に基づいて適切に選択される。所定の官能基のための保護基を除去する適切な方法は、同じ分子における保護基の性質に依存する。
【0053】
[0062]いくつかの局面では、適切な好ましい窒素保護基は、Boc又はFmocである。それらの保護基は、酸性条件又は塩基性条件により選択的に除去することができる。
【0054】
[0063]いくつかの局面では、適切なカルボン酸保護基は、C~Cのアルキル基、置換されたC~Cのアルキル基、2-トリメチルシリルエチル、ベンジル、又は置換されたベンジルである。いくつかの局面では、適切なカルボン酸保護基は、メチル、エチル、又は2-トリメチルシリルエチルである。そのような保護基は、塩基性条件及び酸性条件により選択的に除去することができる。
【0055】
[0064]いくつかの局面では、カルボン酸とアルコール又はアミンとからエステル結合又はアミド結合を調製するために、縮合試薬が用いられる。いくつかの局面では、縮合試薬としては、HATU、EDC、DCC、T3P、HBTU、TATU、TBTU、COMU、HOTU、BOP、PyBOP、及びPyBroPが挙げられる。
【0056】
[0065]いくつかの局面では、上記式(I-a)の化合物は、図4のスキーム7に示すように調製される。保護基及び反応条件は、同様又は類似の構造の化合物について本明細書の他の部分に記載されたものと同様である。スキーム7に示す保護基及び反応条件は、単なる例示であり、いかなる方法でも限定するものと解釈されない。化合物7は、全ての目的でその全体において参照により本明細書で援用される、参考文献1~3に報告されている。
【0057】
[0066]いくつかの局面では、上記式(I-b)の化合物は、図5のスキーム8に示すように調製される。保護基及び反応条件は、同様又は類似の構造の化合物について本明細書の他の部分に記載されたものと同様である。スキーム8に示す保護基及び反応条件は、単なる例示であり、いかなる方法でも限定するものと解釈されない。化合物14の調製は、全ての目的でその全体において参照により本明細書で援用される、参考文献4に報告されている。
【0058】
[0067]いくつかの局面では、上記式(I-c)の化合物は、スキーム9に示すように調製される。保護基及び反応条件は、同様又は類似の構造の化合物について本明細書の他の部分に記載されたものと同様である。スキーム9に示す保護基及び反応条件は、単なる例示であり、いかなる方法でも限定するものと解釈されない。化合物18の調製は、全ての目的でその全体において参照により本明細書で援用される、参考文献5に報告されている。
【0059】
[0068]いくつかの局面では、上記式(IV-a、R=H)の化合物が、
イミン形成を介して式(X)の化合物を式(XI)のキラル補助剤と反応させて、式(XII)の化合物を形成する工程、
上記式(XII)の化合物を求核付加を介して式(XIII)の化合物と反応させて、式(XIV)の化合物を形成する工程、及び
N-Y結合を開裂させて、上記式(IV-a、R=H)の化合物を形成する工程を含む、図6のスキーム10に示す方法により製造される(式中、Yは、上記式(XIII)の化合物の上記式(XII)の化合物へのジアステレオ選択的な求核付加を生じさせて、主生成物として上記式(IV-a)の化合物を形成するのに十分なキラル基であり、R13は、Cl、Br、I、F、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ZnX、CuX、Cu、又は遷移金属であり、ZnX又はCuXにおけるそれぞれのXは、独立的に、ハロゲン化物(例えば、F、Cl、Br、又はI)である)。
【0060】
[0069]いくつかの局面では、XがNHであり、且つ上記方法が、
イミン形成を介して式(X)の化合物:
【化35】

を式(XI)のキラル補助剤:
Y-NH (XI)
と反応させて、式(XII)の化合物:
【化36】

を形成する工程、
上記式(XII)の化合物を求核付加を介して式(XIII)の化合物:
【化37】

と反応させて、上記式(IV)の化合物(式中、XはNHであり、且つRはキラル基Yである):
【化38】

を形成する工程、及び
上記N-Y結合を開裂させて、上記式(IV)の化合物(式中、RはHであり、且つXがNである場合、上記Nは中性であるか又はプラスに帯電している)を形成する工程により、上記式(IV)の化合物を製造する工程を更に含む
(式中、Yは、上記式(XIII)の化合物の上記式(XII)の化合物へのジアステレオ選択的な求核付加を生じさせて、主生成物として上記式(IV)の化合物(式中、Rはキラル基Yである)を形成するのに十分なキラル基であり、
は適切なアルコール保護基であり、
は適切なカルボン酸保護基であり、
任意選択で、上記カルボン酸保護基は、C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又はアルキルシリルから選択され、
任意選択で、上記C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又は上記いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、ベンジル、又は置換されたベンジルから選択され、且つ
任意選択で、上記アルキルシリルは、2-(トリメチルシリル)エチルであり、且つ
13は、H、ハロゲン化物、又はLi、Na、K、ZnBr、ZnCl、CuCl、CuBr、CuI、Cu、若しくはそれらのいずれかの組み合わせを含む金属である)。
【0061】
[0070]いくつかの局面では、上記式(XI)のキラル補助剤が以下:
【化39】

である(式中、R14は、C1~6の直鎖状及び分岐状のアルキル又は芳香族又はヘテロ芳香族である)。いくつかの局面では、Rが、tert-ブチル、p-トリル、アルキル、芳香族基、又はそれらのいずれかの置換型である。いくつかの局面では、上記式(XI)の化合物が(R)-tert-ブタンスルフィンアミドである。
【0062】
[0071]いくつかの局面では、上記式(XIII)の化合物がブロモ酢酸エステルであり、これはZn金属の存在下、Cu(I)ハロゲン化物があってもなくても、対応するレフォルマトスキー型中間体に変換される。上記レフォルマトスキー型中間体はイミン(XII)と反応して、式(XIV)の化合物を形成する。
【0063】
[0072]いくつかの局面では、レフォルマトスキー型反応の適切な溶媒がTHF、2-メチルTHF、又はそれらの組み合わせである。
【0064】
[0073]いくつかの局面では、レフォルマトスキーに適切な温度としては、-20~50℃、-15~30℃、又は0~5℃が挙げられる。
【0065】
[0074]いくつかの局面では、上記N-Y結合の開裂は、HClのような酸性条件下で行うことができる。N-Y結合開裂の適切な溶媒は、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、THF、MTBE、又はそれらの組み合わせである。
【0066】
[0075]いくつかの局面では、N-Y結合開裂に適切な温度としては、-10~50℃、-5~40℃、又は0~30℃が挙げられる。
【0067】
[0076]いくつかの局面では、図6のスキーム10に示す合成方法は、図7のスキーム11に示すようにORをS-Trtで置換することにより、S-Trt保護された化合物24の合成に適用される。化合物24からの化合物1の調製は参考文献1に報告されており、化合物22の調製は参考文献6に報告されており、これらの両方がその全体において参照により本明細書で援用される。
【0068】
[0077]いくつかの局面では、上記式(IV-a)の化合物が、
Evans型ジアステレオ選択的アルドール反応により式(X)の化合物とエバンスキラル補助剤25との間を反応させて、主生成物として式(XV)の化合物を形成する工程、
式(XV)の化合物を式(XVI)の化合物と反応させて、式(XVII)の化合物を形成する工程、
式(XVII)の化合物を光延反応条件下で反応させて、式(XVIII)の化合物を形成する工程、
式(XVIII)の化合物のN-O結合を還元して、式(XIX)の化合物を形成する工程、
式(XIX)の化合物の得られた遊離窒素を窒素保護基で保護して、式(XX)の化合物を形成する工程、
式(XX)のβ-ラクタムを開いて、式(IV-a)の化合物を形成する工程、
式(IV-a)の化合物の保護基を除去して、式(IV-a、R=H)の化合物を形成する工程を含む、図7のスキーム12に示す方法により製造される(式中、R、R、及びRは、本明細書の他の部分に規定され、R15は、C1~C6のアルキル又はベンジルである)。式(XVI)は遊離塩基又はその塩でありうる。
【0069】
[0078]いくつかの局面では、ORをS-Trtで置換することによって図7のスキーム12の合成経路を変更することにより化合物(X’)から対応するS-Trt誘導体(IV-a’、R=H)を調製するための、図8のスキーム13に示す合成経路が開示される。式(IV-a’、R=H)からの化合物1の調製は、参考文献1に報告されている。
【0070】
[0079]いくつかの局面では、上記式(X)の化合物が、
ブタ-3-イン-1-オールのヒドロキシル基を適切な保護基で保護して、式(XXI)の化合物を形成する工程、
式(XXI)の化合物を強塩基、例えば、n-BuLi、LDA、LiHMDS、NaHMDS、KHMDS、EtMgX、MeMgX、iPrMgXと反応させて、対応するアニオンを生成させ、次いで、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、又はトリオキサンでトラップして、式(XXII)の化合物を形成する工程、
式(XXII)の化合物をDIBALで還元して、式(XXIII)の化合物を形成する工程、及び
式(XXIII)の化合物を酸化して、式(X)の化合物を形成する工程を含む方法により、図8のスキーム14に示すように製造される。
【0071】
[0080]いくつかの局面では、上記式(IV-b)の化合物が、
Evans型ジアステレオ選択的アルドール反応により式(X)の化合物とエバンスキラル補助剤26との間を反応させて、主生成物として式(XXIV)の化合物を形成する工程、及び
式(XXIV)の化合物をアルコール(ROH)と反応させて、式(IV-b)の化合物を形成する工程を含む方法により、図8のスキーム15において製造される。
【0072】
[0081]いくつかの局面では、XがOであり、且つ上記方法が、
アルドール付加を介して式(X)の化合物:
【化40】

を式(XXVIII)のキラル補助剤(式中、Zは、ジアステレオ選択的なアルドール付加を生じさせるのに十分なキラル基である):
【化41】

と反応させて、式(XXVIX)の化合物:
【化42】

を形成する工程、及び
上記式(XXVIX)の化合物のエステル化を行って、上記式(IV)の化合物(式中、XはOである)を製造する工程により、上記式(IV)の化合物を製造する工程を含む。いくつかの局面では、Z基のキラルが、アルドール付加において特定のジアステレオマーを主生成物として形成させることにより反応の立体化学を制御する。少なくとも2つの生成物がそのようなアルドール付加では生じうるが、1つのジアステレオマー生成物が、他の生じうるジアステレオマー生成物よりも高い収率で形成される。いくつかの局面では、上記式(XXVIII)の化合物は、そのようなジアステレオ選択的なアルドール付加を生じさせることのできるいずれかの公知の化合物、例えば、Evans型オキサゾリジノンキラル補助剤、Evans型オキサゾリジンチオンキラル補助剤、Evans型チアゾリジンチオンキラル補助剤、又はCrimmins型チアゾリジンチオンキラル補助剤である。
【0073】
[0082]いくつかの局面では、化合物4が、図9のスキーム16に示すように、同様又は類似の構造の化合物について本明細書の他の部分に開示されるように調製される。試薬及び保護基の選択は例示であり、いかなる方法でも限定するものであることを意図されない。
【0074】
[0083]いくつかの局面では、図6のスキーム10に示す合成方法は、図9のスキーム16に示すようにRをTBDPSで置換することにより、TBDPS保護された化合物4の合成に適用される。化合物4からの化合物10の調製は、同様又は類似の構造の化合物についての本明細書の他の部分に記載される。
【0075】
[0084]いくつかの局面では、化合物11が、図9のスキーム17に示すように、同様又は類似の構造の化合物について本明細書の他の部分に開示されるように調製される。試薬及び保護基の選択は例示であり、いかなる方法でも限定するものであることを意図されない。
【0076】
[0085]いくつかの局面では、式(XXVI)の化合物:
【化43】

(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
16はOH、OR、又はLであり、
は適切なアルコール保護基であり、且つ
Lは、C~C24の直鎖状若しくは分岐状の炭素スルホン酸エステル、置換されたC~C24の直鎖状若しくは分岐状のスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、置換されたアリールスルホン酸エステル、ヘテロアリールスルホン酸エステル、置換されたヘテロアリールスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハロゲンから選択される脱離基である)が開示される。
【0077】
[0086]いくつかの局面では、上記式(XXVI)の化合物が、式(I-a)、(I-b)、又は(I-c)の化合物:
【化44】

である。
【0078】
[0087]いくつかの局面では、R16がOHである。いくつかの局面では、R16がLである。いくつかの局面では、R16がORである。
【0079】
[0088]いくつかの局面では、XがOであり、且つArがピリジニルである。いくつかの局面では、XがNHであり、且つArがピリジニルである。いくつかの局面では、XがOであり、且つArがオキサゾリルである。いくつかの局面では、XがNHであり、且つArがオキサゾリルである。いくつかの局面では、XがNHであり、且つArがチアゾリルである。いくつかの局面では、XがOであり、且つArがチアゾリルである。
【0080】
[0089]いくつかの局面では、式(XXVII)の化合物:
【化45】

(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
17はRCOS、RS、又はRNであり、且つ
、R、R、及びRは、独立的に、水素、C~C24の直鎖状アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-へプチル、n-オクチル等)、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換された(例えば、フェニル、ピリジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル等、若しくはそれらのいずれかの組み合わせで置換された)C~C24の直鎖状アルキル、C~C24の分岐状アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等)、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の分岐状アルキル(例えば、フェニルで置換されたイソプロピル、ピリジニルで置換されたイソブチル等)、C~C24の環状アルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロプロピル等)、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の環状アルキル(例えば、フェニルで置換されたシクロヘキシル等)、C~C24のアルケニル、C~C24のアルキニル、アリール(例えば、ナフタレニル、フェニル、ピリジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル等)、ヘテロアリール(例えば、ピリジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル等)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、又はそれらのいずれかの置換型である)が開示される。いくつかの局面では、上記式(XXVII)の化合物は、R17がRCOSである場合にRが非置換のCの直鎖状アルキルである化合物を除外する(即ち、R17がRCOSである場合にはRが非置換のCの直鎖状アルキルではないという条件がある)。
【0081】
[0090]本明細書では様々な局面が考えられ、それらのうちの一部が以下の段落に記載される。いずれかの局面又はそれらの部分を組み合わせて1つの局面を形成できることが、明らかに考えられる。
【0082】
[0091]局面1:式(I)の化合物:
【化46】

を調製する方法であって、
上記方法が、1つ又は複数の反応において、式(IV)の化合物:
【化47】

、式(V)の化合物:
【化48】

、及び式(VI)の化合物:
【化49】

を反応させる工程を含む、方法
(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
はH又は適切なアルコール保護基であり、
、R10、及びR12は、独立的に、H、適切なアミン保護基、又はキラル基であり、
、R、及びR11は、独立的に、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又は適切なカルボン酸保護基であり、
任意選択で、上記適切なカルボン酸保護基は、C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又はアルキルシリルから選択され、
任意選択で、上記C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又は上記いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、ベンジル、又は置換されたベンジルから選択され、且つ
任意選択で、上記アルキルシリルは、2-(トリメチルシリル)エチルである)。
【0083】
[0092]局面2:式(III)の化合物:
【化50】

を調製する方法であって、
上記方法が、式(I)の化合物:
【化51】

をC~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト(例えば、クロロホスファイト)、又はハロゲン化試薬から選択される活性化剤と反応させて、それにより式(II)の化合物:
【化52】

を形成する工程、及び
上記式(II)の化合物をR基を含む求核剤と反応させて、それにより上記式(III)の化合物を形成する工程を含む、方法
(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
はRCOS、RS、又はRNであり、
、R、R、及びRは、独立的に、水素、C~C24の直鎖状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の直鎖状アルキル、C~C24の分岐状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の分岐状アルキル、C~C24の環状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の環状アルキル、C~C24のアルケニル、C~C24のアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、又はそれらのいずれかの置換型であり、且つ
Lは、C~C24の直鎖状若しくは分岐状の炭素スルホン酸エステル、置換されたC~C24の直鎖状若しくは分岐状のスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、置換されたアリールスルホン酸エステル、ヘテロアリールスルホン酸エステル、置換されたヘテロアリールスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハロゲンから選択される脱離基である)。
【0084】
[0093]局面3:式(III)の化合物:
【化53】

を調製する方法であって、
上記方法が、式(II)の化合物:
【化54】

をR基を含む求核剤と反応させる工程を含む、方法
(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
はRCOS、RS、又はRNであり、
、R、R、及びRは、独立的に、水素、C~C24の直鎖状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の直鎖状アルキル、C~C24の分岐状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の分岐状アルキル、C~C24の環状アルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~C24の環状アルキル、C~C24のアルケニル、C~C24のアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、又はそれらのいずれかの置換型であり、且つ
Lは、C~C24の直鎖状若しくは分岐状の炭素スルホン酸エステル、置換されたC~C24の直鎖状若しくは分岐状のスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、置換されたアリールスルホン酸エステル、ヘテロアリールスルホン酸エステル、置換されたヘテロアリールスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハロゲンから選択される脱離基である)。
【0085】
[0094]局面4:上記式(II)の化合物を式(IX)の化合物:
【化55】

から、上記式(IX)の化合物のORを上記脱離基Lに変換することにより製造する工程を更に含む(式中、RはH又は適切なアルコール保護基である)、局面3、又は局面1~3のいずれか一局面に記載の方法。
【0086】
[0095]局面5:ORを上記脱離基Lに変換することが、
が上記適切なアルコール保護基である場合に、上記適切なアルコール保護基を脱保護して、上記式(IX)の化合物(式中、RはHである)を供給すること、及び
上記式(IX)の化合物(式中、RはHである)を、C~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト(例えば、クロロホスファイト)、又はハロゲン化試薬から選択される活性化剤と反応させることを含む、局面4、又は局面1~4のいずれか一局面に記載の方法。
【0087】
[0096]局面6:上記式(IX)の化合物が式(I)の化合物:
【化56】

であり、且つ
上記方法が、上記式(I)の化合物を、C~C20の直鎖状若しくは分岐状のハロゲン化アルキルスルホニル、置換されたハロゲン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニル、置換されたハロゲン化アリールスルホニル、ハロホスファイト(例えば、クロロホスファイト)、又はハロゲン化試薬から選択される活性化剤と反応させて、それにより上記式(II)の化合物を形成する工程を含む、局面4若しくは局面5、又は局面1~5のいずれか一局面に記載の方法。
【0088】
[0097]局面7:上記式(I)の化合物又は上記式(IX)の化合物が、式(I-a)、(I-b)、又は(I-c)の化合物:
【化57】

である、局面1~6のいずれか一局面に記載の方法。
【0089】
[0098]局面8:Lが、OMs、OTs、OTf、2,2,2-トリフルオロエタンスルホン酸エステル、n-オクタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、OP(=O)(OMe)、OP(=O)(OEt)、OP(=O)(OPh)、I、Br、Cl、又はFである、局面1~7のいずれか一局面に記載の方法。
【0090】
[0099]局面9:Arが以下:
【化58】

である、局面1~8のいずれか一局面に記載の方法。
【0091】
[0100]局面10:上記求核剤がチオオクタン酸であり、それにより上記式(III)の化合物が式(XXV)の化合物:
【化59】

となる、局面1~9のいずれか一局面に記載の方法。
【0092】
[0101]局面11:XがNHであり、且つArが以下:
【化60】

であり、それにより上記式(III)の化合物が式(1)の化合物:
【化61】

となる、局面10、又は局面1~10のいずれか一局面に記載の方法。
【0093】
[0102]局面12:XがOであり、且つArが以下:
【化62】

であり、それにより上記式(III)の化合物が式(2)の化合物:
【化63】

となる、局面10、又は局面1~11のいずれか一局面に記載の方法。
【0094】
[0103]局面13:XがOであり、且つArが以下:
【化64】

であり、それにより上記式(III)の化合物が式(3)の化合物:
【化65】

となる、局面10、又は局面1~12のいずれか一局面に記載の方法。
【0095】
[0104]局面14:上記方法が、式(IV)の化合物:
【化66】

、式(V)の化合物:
【化67】

、及び式(VI)の化合物:
【化68】

を含む1つ又は複数の反応から、上記式(I)の化合物又は上記式(IX)の化合物を製造する工程を更に含む
(式中、RはH又は適切なアルコール保護基であり、
、R10、及びR12は、独立的に、H、適切なアミン保護基、又はキラル基であり、
、R、及びR11は、独立的に、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又は適切なカルボン酸保護基であり、
任意選択で、上記適切なカルボン酸保護基は、C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又はアルキルシリルから選択され、
任意選択で、上記C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又は上記いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、ベンジル、又は置換されたベンジルから選択され、且つ
任意選択で、上記アルキルシリルは、2-(トリメチルシリル)エチルである)、局面2若しくは4~13のいずれか一局面、又は局面1~13のいずれか一局面に記載の方法。
【0096】
[0105]局面15:上記式(IV)の化合物が上記式(V)の化合物と縮合により反応して、式(VII)の化合物:
【化69】

を形成し、
上記式(VII)の化合物が上記式(VI)の化合物とアミド化により反応して、式(VIII)の化合物:
【化70】

を形成し、且つ
上記式(VIII)の化合物がアミド化閉環により反応して、上記式(IX)の化合物又は上記式(I)の化合物(式中、RはHである)を形成する、局面1若しくは局面14、又は局面1~14のいずれか一局面に記載の方法。
【0097】
[0106]局面16:RがH又は適切なアルコール保護基であり、
上記式(IV)の化合物を上記式(V)の化合物と反応させる際、RがHであり、且つXがNである場合、上記Nが中性であるか又はプラスに帯電しており、Rが適切なカルボン酸保護基であり、R10が適切なアミン保護基であり、且つRがH、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンであり、
上記式(VI)の化合物を上記式(VII)の化合物と反応させる際、Rが適切なカルボン酸保護基であり、R10がHであり、且つ任意選択でR10がプラスに帯電した窒素原子に結合しており、R11がH、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンであり、且つR12が適切なアミン保護基であり、且つ
上記式(VIII)の化合物をアミド化閉環により反応させる際、RがH、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンであり、且つXがNである場合、上記Nが中性であるか又はプラスに帯電しており、且つR12がHであり、且つ任意選択でR12がプラスに帯電した窒素原子に結合している、局面15、又は局面1~15のいずれか一局面に記載の方法。
【0098】
[0107]局面17:XがNHであり、且つ上記方法が、
イミン形成を介して式(X)の化合物:
【化71】

を式(XI)のキラル補助剤:
Y-NH (XI)
と反応させて、式(XII)の化合物:
【化72】

を形成する工程、
上記式(XII)の化合物を求核付加を介して式(XIII)の化合物:
【化73】

と反応させて、上記式(IV)の化合物(式中、XはNHであり、且つRはキラル基Yである):
【化74】

を形成する工程、及び
上記N-Y結合を開裂させて、上記式(IV)の化合物(式中、RはHであり、且つXがNである場合、上記Nは中性であるか又はプラスに帯電している)を形成する工程により、上記式(IV)の化合物を製造する工程を更に含む
(式中、Yは、上記式(XIII)の化合物の上記式(XII)の化合物へのジアステレオ選択的な求核付加を生じさせて、主生成物として上記式(IV)の化合物(式中、Rはキラル基Yである)を形成するのに十分なキラル基であり、
は適切なアルコール保護基であり、
は適切なカルボン酸保護基であり、
任意選択で、上記カルボン酸保護基は、C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又はアルキルシリルから選択され、
任意選択で、上記C~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキル、又は上記いずれかの部位が1つ若しくは複数のアリール若しくはヘテロアリールで置換されたC~Cの直鎖状若しくは分岐状のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、ベンジル、又は置換されたベンジルから選択され、且つ
任意選択で、上記アルキルシリルは、2-(トリメチルシリル)エチルであり、且つ
13は、H、ハロゲン化物、又はLi、Na、K、ZnBr、ZnCl、CuCl、CuBr、CuI、Cu、若しくはそれらのいずれかの組み合わせを含む金属である)、局面1若しくは14~16のいずれか一局面、又は局面1~16のいずれか一局面に記載の方法。
【0099】
[0108]局面18:上記式(XI)のキラル補助剤が以下:
【化75】

である(式中、R14は、tert-ブチル、p-トリル、アルキル、芳香族基、又はそれらのいずれかの置換型である)、局面17、又は局面1~17のいずれか一局面に記載の方法。
【0100】
[0109]局面19:R14がtert-ブチルであり、それにより上記式(XI)の化合物が(R)-tert-ブタンスルフィンアミドとなる、局面18、又は局面1~18のいずれか一局面に記載の方法。
【0101】
[0110]局面20:式(XXVI)の化合物:
【化76】

(式中、XはO又はNHであり、
Arはチアゾリル、ピリジニル、又はオキサゾリルであり、
16はOH、OR、又はLであり、
は適切なアルコール保護基であり、且つ
Lは、C~C24の直鎖状若しくは分岐状の炭素スルホン酸エステル、置換されたC~C24の直鎖状若しくは分岐状のスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、置換されたアリールスルホン酸エステル、ヘテロアリールスルホン酸エステル、置換されたヘテロアリールスルホン酸エステル、リン酸エステル、又はハロゲンから選択される脱離基である)。
【0102】
[0111]局面21:上記式(XXVI)の化合物が、式(I-a)、(I-b)、又は(I-c)の化合物:
【化77】

である、局面20、又は局面1~20のいずれか一局面に記載の化合物。
【0103】
[0112]局面22:R16がOHである、局面20、又は局面1~21のいずれか一局面に記載の化合物。
【0104】
[0113]局面23:R16がLである、局面20、又は局面1~22のいずれか一局面に記載の化合物。
【0105】
[0114]局面24:R16がORである、局面20、又は局面1~23のいずれか一局面に記載の化合物。
【0106】
[0115]局面25:XがOであり、且つ
Arがピリジニルである、局面20~24のいずれか一局面、又は局面1~24のいずれか一局面に記載の化合物。
【0107】
[0116]局面26:XがOであり、且つ
Arがオキサゾリルである、局面20~24のいずれか一局面、又は局面1~25のいずれか一局面に記載の化合物。
【0108】
[0117]局面27:XがNHであり、且つ
Arがチアゾリルである、局面20~24のいずれか一局面、又は局面1~26のいずれか一局面に記載の化合物。
【0109】
[実施例]
一般的方法。別に示されなければ、全ての材料は、市販の供給源から得て精製せずに用いた。無水条件を必要とする全ての反応は、炎により乾燥させたガラス製品を用いてアルゴンの陽圧下で行った。ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノール、トリエチルアミン、及びアセトニトリルは、アルゴンで脱気し、溶媒精製システム(J.C.Meyer、Glass Contour)により乾燥させた。フラッシュクロマトグラフィーは、示された溶媒を用いて、EM scienceのMerckシリカゲルKieselgel 60(230~400メッシュ)で行った。H NMRスペクトル及び13C NMRスペクトルは、別に示されなければ、Varianの400MHz分光計で記録した。質量スペクトルは、Agilent 6224 TOFで得た。旋光度は、Autopol III自動旋光計(Rudolph Research、フェアフィールド、NJ)において24℃で記録した。X線回折(XRD)は、BruckerのD8 Discover DaVinciで記録した。
【0110】
【表1】
【0111】
[0118]X線回折。図10は、化合物10(即ち、式(I-a)の化合物)のXRDである。
【0112】
[0119]オクタンチオS-酸の合成。無水トルエン(75mL)中のチオアセトアミド(4.38g、58.3mmol)の溶液に、塩化オクタノイル(10.0mL、58.3mmol)を添加した。反応混合物を30℃で4時間撹拌した。次いで、反応物を0℃に冷却し、続いて、10%水性NaOH(20mL)を添加した。二相混合物を室温で30分間撹拌し、水性1M KHSOで酸性にしてpH2~3とした。酸性溶液を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を無水MgSOで乾燥させ、真空でエバポレーションした。粗生成物をシリカでろ過し、チオオクタン酸(7.30g、78%収率)を得た。
【0113】
[0120](E)-5-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)ペンタ-2-エン-1-オール(34)。3-ブチン-1-オール(10.0g、143mmol)及びイミダゾール(10.2g、171mmol)の純粋な混合物に、tert-ブチルジフェニルクロロシラン(44.5mL、150mmol)を滴下した。反応混合物を3.5時間撹拌した。沈殿物をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄した。合わせた有機抽出物を無水NaSOで乾燥させた。真空で溶媒をエバポレーションし、粗(ブタ-3-イン-1-イルオキシ)(tert-ブチル)ジフェニルシランを得て、これを更なる精製を行うことなく直接用いた。
【0114】
[0121]-78℃の無水THF(600mL)中のこの粗生成物の溶液に、ヘキサン中のn-ブチルリチウム(1.6M、98.1mL、157mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、2.5時間かけて室温まで温め、次いで、-78℃に再度冷却した。反応混合物に、パラホルムアルデヒド(5.57g、185mmol)を一度に添加し、得られた懸濁液を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌した。混合物を真空で濃縮し、次いで、ジエチルエーテルと水との間に分配した。相を分離し、水相をジエチルエーテルで更に抽出した。合わせた有機抽出物を無水NaSOで乾燥させ、真空で濃縮し、粗プロパルギルアルコールを得て、これを更なる精製を行うことなく直接用いた。
【0115】
[0122]0℃の無水ジエチルエーテル(500mL)中の粗プロパルギルアルコールの溶液に、Red-Al(トルエン中、70%)(45.6mL、152mmol)をゆっくりと添加し、反応混合物を2時間0℃で撹拌した。反応混合物を、無色固形物の外観となるまでNaSOの湿潤ペーストで注意深くクエンチした。アルミニウム塩をろ別し、その塩を熱いTHFで繰り返し洗浄した。合わせたろ液を無水NaSOで乾燥させ、真空で濃縮した。次いで、残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製し、無色オイルとしてtrans-アリルアルコール34(29.1g、3工程で60%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.73-7.64 (m, 4H), 7.48-7.35 (m, 6H), 5.74-5.62 (m, 2H), 4.07 (d, J= 3.5 Hz, 2H), 3.73 (t, J = 6.6 Hz, 2H), ), 2.32 (q, J = 6.1 Hz, 2H), 1.44 (bs,1H), 1.07 (s, 9H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 135.7, 134.1, 131.1, 129.7, 129.6, 127.7, 63.8, 63.6, 35.7, 27.0,19.3.
【0116】
[0123](R)-N-((1E,2E)-5-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)ペンタ-2-エン-1-イリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(29)。無水CHCl(200mL)中のDMSO(12.1mL、171mmol)の溶液に、塩化オキサリル(10.8mL、128mmol)を15分間かけて-78℃で添加した。-78℃で30分間撹拌後、無水CHCl(500mL)中のtrans-アリルアルコール4(29.1g、85.5mmol)を30分間かけて滴下し、-78℃で更に2.5時間撹拌した。次いで、トリエチルアミン(35.7mL、256mmol)を滴下し、-78℃で更なる時間撹拌し、室温までゆっくりと温めた。室温で3時間撹拌後、水を添加することにより反応混合物をクエンチした。有機相を分離し、水相をCHClで抽出した。合わせた有機抽出物を無水NaSOで乾燥させ、真空で濃縮した。粗アルデヒド(27)を更に精製することなくすぐに次の反応に供した。
【0117】
[0124]無水THF(500mL)中のこの粗アルデヒドの溶液に、Ti(OPr)(40.5mL、137mmol)を室温で添加し、10分間撹拌した。これに(R)-tert-ブタンスルフィンアミド(11.4g、94.0mmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を飽和水性NaClでクエンチした。粗混合物をセライトでろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。次いで、ろ液をNaSOで乾燥させ、真空で濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製し(ヘキサン中の15~85%酢酸エチルによる溶出)、イミン29(26.2g、71%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.18 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 7.7 Hz, 4H), 7.41 (dq, J =14.0, 6.9 Hz, 6H), 6.60-6.42 (m, 2H), 3.80 (td, J = 6.2, 2.1 Hz, 2H), ), 2.51(q, J = 6.2 Hz, 2H), 1.20 (s, 9H), 1.05 (s, 9H); 13C NMR (101 MHz,CDCl3) δ 164,1, 148.3, 135.7, 133.7, 130.5,129.9, 127.9, 62.4, 57.3, 36.4, 27.0, 22.6, 19.3; [α]25 D:-161.6 (c = 1.64, CHCl3).
【0118】
[0125]メチル(S,E)-7-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-3-(((R)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)へプタ-4-エノエート(31)。オーブンで乾燥させたフラスコにZn粉末(34.0g、520mmol)及びCuCl(5.20g、52.0mmol)を投入した。2つの固形物をゆっくりとした窒素気流下で混合し、一方でフラスコを炎により乾燥させた。フラスコを室温まで冷却し、無水THF(120mL)を添加し、濃いスラリーを生成させた。得られた反応混合物を加熱還流させ、30分間激しく撹拌した。次いで、加熱浴を取り除き、激しく撹拌しながら、還流を再度開始するまで無水THF(40mL)中のブロモ酢酸メチル(30)(19.7mL、208mmol)を添加漏斗によりゆっくりと添加した。制御可能な還流を維持する速度で添加を続けた。添加完了後、反応混合物を更に30分間室温で撹拌した。次いで、混合物を50℃に30分間加熱した。反応混合物を0℃に冷却した。反応混合物に、無水THF(120mL)中のtert-ブタンスルフィニルイミン29(23.0g、52.0mmol)の溶液を添加漏斗により0℃で滴下した。反応混合物を更に18時間0℃で撹拌した。反応混合物をセライトのパッドでろ過し、ジエチルエーテルで洗浄した。ろ液を飽和水性NaHCO、飽和水性NaClで洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、真空で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製し(ヘキサン中の50%酢酸エチルによる溶出)、メチルエステル31(20.1g、75%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.63-7.70 (m, 4H), 7.44-7.36 (m, 6H), 5.74 (dt, J = 15.1, 6.9 Hz,1H), 5.42 (ddt, J = 15.4, 7.0, 1.4 Hz, 1H), 4.25 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 4.15 (p,J = 6.2, 1H), 3.71-3.65 (m, 5H), 2.69 (dd, J = 15.8, 4.9 Hz, 1H), 2.60 (dd, J =15.9, 7.1 Hz, 1H), 2.36-2.23 (m, 2H), 1.20 (s, 9H), 1.04 (s, 9H); 13CNMR (101 MHz, CDCl3) δ 172.0, 135.6, 135.6,131.2, 130.4, 129.7, 127.7, 63.4, 55.6, 54.1, 51.9, 40.9, 36.0, 37.0, 22.8,19.3; HRMS (ESI) m/z C28H41NNaO4SSi [M+Na]+の計算値538.2423, 実測値538.2421; [α]25 D: -45.8 (c = 0.80, CHCl3).
【0119】
[0126]メチル(S,E)-3-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)-7-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)へプタ-4-エノエート(6)。無水ジオキサン:エーテル(1:1、100mL)中の31(5.5g、10.7mmol)の溶液に、EtO(11mL、10.7mmol)中の1N HClを添加した。溶液を塩基性アルミナのプラグでろ過し、溶液を真空で濃縮した。別のフラスコにおいて、PyBOP(8.32g、16.0mmol)及びDIPEA(5.6mL、32.0mmol)を、無水CHCl(75mL)中のN-Boc-L-バリン(5)(2.78g、12.8mmol)の溶液に添加した。混合物を5分間室温で撹拌し、その後、0℃に冷却した。脱保護アミンのHCl塩形態を無水CHCl(25mL)中に溶解させ、溶液を活性酸(activated acid)に0℃でアルゴン雰囲気下にて滴下した。混合物を室温まで温め、8時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、粗反応混合物をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製し(ヘキサン中の30%酢酸エチルによる溶出)、ジペプチド6(4.1g、2工程で63%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.71-7.60 (m, 4H), 7.49-7.31 (m, 6H), 6.53 (d, J = 8.4 Hz, 1H),5.73-5.60 (m, 1H), 5.55-5.46 (m, 1H), 5.05 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.73-4.81 (m,1H), 3.91-3.83 (m, 1H), 3.68-3.62 (m, 2H), 3.64 (s, 3H), 2.59 (d, J = 5.4 Hz,2H), 2.24 - 2.29 (q, J = 6.7, 2H), 2.04-2.14 (m, 1H), 2.16-2.05 (m, 1H), 1.43(s, 9H), 1.03 (s, 9H), 0.93 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.87 (d, J = 6.8 Hz, 3H), ; 13CNMR (101 MHz, CDCl3) δ 171.9, 170.8, 135.7,134.1, 133.9, 130.1, 129.8, 129.5, 127.8, 63.5, 51.9, 47.6, 38.9, 35.7, 31.2,28.4, 27.0, 19.4, 19.3, 17.7; [α]25 D:-5.3 (c = 0.7, CHCl3).
【0120】
[0127]メチル(S,E)-3-((S)-2-((R)-2’-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-4-メチル-4,5-ジヒドロ-[2,4’-ビチアゾール]-4-カルボキシアミド)-3-メチルブタンアミド)-7-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)へプタ-4-エノエート(8)。化合物6(1.93 g、3.20mmol)を無水CHCl(50mL)中に溶解させ、0℃にてTFA(7mL)で処理した。得られた溶液を室温まで温め、2時間撹拌した。溶媒を真空でエバポレーションした。次いで、粗TFA塩をトルエンに溶解させ、真空で濃縮し、高真空で乾燥させて残渣TFAを除去した。別のフラスコにおいて、PyBOP(2.48g、4.76mmol)及びDIPEA(1.66mL、9.52mmol)を、無水CHCl(30mL)中の7(1.36g、3.80mmol)の溶液に添加した。これを5分間室温で撹拌し、その後、0℃に冷却した。粗TFA塩を無水CHCl(15mL)中に溶解させ、活性酸の溶液に滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を真空で乾燥させ、粗残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルですぐに精製し(ヘキサン中の40%~50%酢酸エチルによる溶出)、8(2.2g、2.58mmol、81%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.96 (s, 1H), 7.64 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 7.46-7.33 (m, 6H), 6.62 (d,J = 8.7 Hz, 1H), 5.73-5.61 (m, 1H), 5.51 (dd, J = 15.5, 6.3 Hz, 1H), 5.29 (s,1H), 4.86-4.74 (m, 1H), 4.63 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 4.17 (dd, J = 8.8, 6.3 Hz,1H), 3.76 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.69-3.61 (m, 3H) 3.65 (s, 3H), 3.33 (d, J =11.6 Hz, 1H), 2.60 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 2.26 (q, J = 6.6 Hz, 2H), 2.18-2.07 (m,1H), 1.58 (s, 3H), 1.47 (s, 9H), 1.03 (s, 9H), 0.85 (dd, J = 15.5, 6.8 Hz, 3H),0.81 (d, J = 6.8 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 174.8, 171.8, 169.9, 169.8, 163.2, 155.7, 135.6, 134.0, 133.9,130.1, 129.7, 129.5, 127.7, 85.1, 80.5, 63.4, 58.6, 51.8, 47.6, 42.4, 41.6,38.8, 35.7, 30.8, 28.4, 26.9, 24.8, 19.4, 19.3, 17.8; [α]25 D: -39.5 (c = 1.2, CHCl3).
【0121】
[0128](12Z,22Z,24R,5S,8S)-8-((E)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)ブタ-1-エン-1-イル)-5-イソプロピル-24-メチル-24,25-ジヒドロ-4,7,11-トリアザ-1(4,2),2(2,4)-ジチアゾラシクロドデカファン-3,6,10-トリオン(9)。THF:水(50mL、2:1)中のメチルエステル8(2.0g、2.40mmol)の溶液に、LiOH.HO(0.12g、4.6mmol)を添加した。反応物を30分間撹拌し、反応混合物を0℃まで冷却し、1Mの水性KHSOを滴下することによりpH~3~4まで酸性にした。溶液を水で希釈し、CHClで抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、真空で濃縮し、対応する酸を得て、これを更なる精製を行うことなく直接用いた。0℃の無水CHCl(100mL)中の酸の溶液に、TFA(7mL)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。次いで、粗塩をトルエンに溶解させ、真空で濃縮し、高真空で乾燥させて残渣TFAを除去した。0℃の無水CHCN(1850mL)中のHATU(2.70g、7.10mmol)、HOBt.HO(0.650g、4.80mmol)及びDIPEA(2.4mL、14.2mmol)の溶液に、無水CHCN(50mL)中のTFA塩の溶液を0℃でシリンジポンプにより20時間かけて滴下した。添加完了後、得られた混合物を0℃で8時間撹拌し、室温で更に15時間撹拌した。反応混合物の溶媒を真空でエバポレーションした。得られた残渣をCHCl(50mL)中に溶解させ、セライトのパッドでろ過し無水MgSOで乾燥させた。溶媒を真空でエバポレーションし、得られた残渣をクロマトグラフィーカラムによりシリカゲルで精製し(CHCl中の3%メタノールによる溶出)、大員環コア9(1.08g、64%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.78 (s, 1H), 7.64 (d, J = 6.6 Hz, 4H), 7.43-7.34 (m, 6H), 6.50 (d,J = 10.7 Hz, 1H), 6.38 (d, J = 8.9 Hz 1H), 6.19 (d, J = 8.2 Hz 1H), 5.75-5.63(m, 1H), 5.50 (dd, J = 15.5, 5.9 Hz, 1H), 5.24 (dd, J = 17.6, 8.9 Hz, 1H), 4.98(s, 1H), 4.53 (dd, J = 10.7, 3.2 Hz, 1H), 4.24 (dd, J = 17.7, 3.2 Hz, 1H), 3.90(d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.70-3.62 (m, 2H), 3.37 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.72 (dd, J= 15.4, 4.0 Hz, 1H) 2.55-2.20 (m, 2H), 2.27 (q, J = 6.6 Hz, 2H), 1.86 (s, 3H),1.04 (s, 9H), 0.77 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.36 (d, J = 6.8 Hz, 3H);13CNMR (101 MHz, CDCl3) δ 173.8, 170.0, 169.9,168.7, 165.9, 135.7, 134.0, 130.9, 129.8, 128.5, 127.8, 124.2, 84.7, 63.5,58.3, 48.1, 43.9, 40.9, 40.8, 35.7, 32.1, 27.0, 24.3, 19.6, 19.4, 15.3; HRMS(ESI) m/z C37H47N5NaO4S2Si[M+Na]+の計算値740.2736, 実測値740.2736; [α]25 D:+23.4 (c = 0.29, CHCl3).
【0122】
[0129](12Z,22Z,24R,5S,8S)-8-((E)-4-ヒドロキシブタ-1-エン-1-イル)-5-イソプロピル-24-メチル-24,25-ジヒドロ-4,7,11-トリアザ-1(4,2),2(2,4)-ジチアゾラシクロドデカファン-3,6,10-トリオン(10)。0℃のCHCl:メタノール(1:1、60mL)中の化合物9(1.00g、1.40mmol)の溶液に、p-トルエンスルホン酸一水和物(148mg)を添加した。反応混合物を12時間室温で撹拌した。反応物を固形NaHCO(176mg)でクエンチし、セライトのパッドでろ過し、CHCl:メタノール(1:1)で洗浄し、その後、真空でエバポレーションした。粗残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製し(CHCl中の5%メタノールによる溶出)、無色固形物として化合物10(0.600g、90%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3:CD3OD= 4:1) δ 7.76 (s, 1H), 7.40-7.34 (m, 1H), 6.51 (d, J =10.8 Hz, 1H), 5.59-5.50 (m, 1H), 5.40 (dd, J = 15.5, 15.7 Hz, 1H), 5.22 (d, J =17.8 Hz, 1H), 4.79-4.74 (m, 1H), 4.50 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.22 (d, J = 17.8Hz, 1H), 3.87 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 3.56-3.49 (m, 2H), 3.30-3.41 (m, 1H),2.92-2.96 (m, 1H), 2.57-2.48 (m, 2H), 2.40-2.32 (m, 1H), 2.20 (q, J = 7.2, 6.8Hz, 2H), 1.85 (s, 3H), 1.40-1.30 (m, 1H), 0.66 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.18 (d, J= 6.8 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3: CD3OD= 4:1) δ 174.0, 170.8, 170.7, 168.5, 167.5, 146.6,131.5, 128.2, 124.5, 84.0, 61.2, 58.3, 49.1, 43.6, 40.7, 40.5, 35.6, 32.3,24.0, 19.4, 15.0; HRMS (ESI) m/z C21H29N5NaO4S2[M+Na]+の計算値502.1559, 実測値502.1568; [α]25 D:+79.7 (c = 0.4, CH3OH).
【0123】
[0130]S-((E)-4-((12Z,22Z,24R,5S,8S)-5-イソプロピル-24-メチル-3,6,10-トリオキソ-24,25-ジヒドロ-4,7,11-トリアザ-1(4,2),2(2,4)-ジチアゾラシクロドデカファン-8-イル)ブタ-3-エン-1-イル)オクタンチオエート(1)。0℃の無水CHCl(10mL)中の10(0.400g、0.800mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.240mL、1.60mmol)を添加し、その後、塩化1-オクタンスルホニル(0.240mL、1.00mmol)を5分間かけて滴下した。反応混合物を更に15分間撹拌した。次いで、反応混合物を氷冷水、0.01Nの水性HCl、飽和NaCO水溶液、及び飽和NaCl水溶液で順に洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、エバポレーションし、無色固形物を得た。無水アセトン(2mL)中のチオオクタン酸10(0.800g、2.40mmol)の溶液に、粗化合物及び無水KCO(0.240g、1.60mmol)を連続して添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、次いで、アセトン(2mL)で希釈し、セライトでろ過し、4mLのアセトンで洗浄し、次いで、真空で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製し、無色固形物として1(0.310g、64%収率)を得た(CHCl中の3%MeOHによる溶出)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.78 (s, 1H), 6.51 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 6.49-6.40 (m, 1H), 6.26(d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.72-5.60 (m, 1H), 5.52 (dd, J = 15.5, 5.7 Hz, 1H), 5.28(d, J = 17.6 Hz, 1H), 5.01-4.92 (m, 1H), 4.54 (dd, J = 3.1, 10.8 Hz, 1H), 4.32(dd, J = 3.4, 17.7 Hz, 1H), 3.89 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 3.38 (d, J = 11.6 Hz,1H), 2.89 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.74 (dd, J = 15.4, 3.9 Hz, 1H), 2.57-2.48 (m,3H), 2.40-2.32 (m, 2H), 2.16 (q, J = 7.2, 6.8 Hz, 1H), 1.89 (s, 3H), 1.71-1.56(m, 2H), 1.38-1.20 (m, 8H), 0.91-0.80 (m, J = 6.6 Hz, 3H), 0.77 (d, J = 6.9 Hz,3H), 0.35 (d, J = 6.8 Hz, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 199.7, 173.8, 170.0, 169.7, 168.7, 147.4, 130.8, 129.5, 124.3,84.9, 58.3, 47.9, 44.3, 43.9, 41.0, 40.8, 32.4, 32.1, 31.7, 29.0, 28.9, 28.3,25.8, 24.3, 22.7, 19.6, 15.6, 14.2; HRMS (ESI) m/z C29H43N5NaO4S3の計算値644.2375 [M+Na]+, 実測値644.2379; [α]25D: + 21.2 (c = 0.30, CHCl3), (文献値[α]25D: + 23.2 (c = 0.25, CHCl3)).
【0124】
[0131]化合物1はまた、塩化1-オクタンスルホニルの代わりに塩化トルエンスルホニルを用いた類似の方法を用いて化合物10から調製され、収率50%であった。
【0125】
[0132]化合物1はまた、塩化1-オクタンスルホニルの代わりに塩化メタンスルホニルを用いた類似の方法で化合物10から調製され、収率61%であった。
【0126】
[0133](S,E)-1-((R)-4-ベンジル-2-チオキソチアゾリジン-3-イル)-7-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-3-ヒドロキシへプタ-4-エン-1-オン(32)。乾燥CHCl(100mL)中の(R)-1-(4-ベンジル-2-チオキソチアゾリジン-3-イル)エテノン(26)(7.90g、31.5mmol)の冷却した(0℃)溶液に、塩化チタン(IV)(34.2mmol、3.60mL)を滴下し、その溶液を5分間撹拌し、その間に反応混合物は色が黄色になった。次いで、DIPEA(5.90mL、34.2mmol)を反応混合物に添加した。黄色スラリーが暗赤色になり、0℃で20分間撹拌した。この暗赤色の溶液に、乾燥CHCl(10mL)中の化合物27(8.90g、26.3mmol)を滴下し、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応完了後、反応物を塩化アンモニウム溶液でクエンチし、次いで、CHClに抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させ、真空で濃縮し、粗残渣を得て、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(ヘキサン/EtOAc、8:2による溶出)、32(11.0g、71%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.73-7.64 (m, 4H), 7.48-7.29 (m, 11H), 5.85-5.74 (m, 1H), 5.68-5.58(m, 1H), 5.40 (ddd, J = 10.7, 7.0, 4.0 Hz, 1H), 4.73-4.59 (m, 1H), 3.74 (t, J =6.6 Hz, 2H), 3.62 (dd, J = 17.7, 2.9 Hz, 1H), 3.46 - 3.18 (m, 4H), 3.12-2.98(m, 1H), 2.91 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.40 - 2.28 (m, 2H), 1.08 (s, 9H). 13CNMR (101 MHz, CDCl3) δ 201.3, 172.4, 136.8,136.1, 133.7, 132.8, 131.4, 129.5, 129.1, 128.6, 128.1, 127.7, 69.3, 67.0,63.3, 45.8, 37.4, 36.2, 34.9, 31.6, 26.8. HRMS (ESI) m/z C33H39NNaO3S2Siの計算値612.2038 [M+Na]+, 実測値612.2024.
【0127】
[0134]2-(トリメチルシリル)エチル(S,E)-7-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-3-ヒドロキシへプタ-4-エノエート(11)。150mLのCHCl中に溶解したチアゾリン-チオン32(9.30g、15.8mmol)の溶液に、2-トリメチルシリルエタノール(22.6mL、158mmol)を添加し、その後、イミダゾール(1.60g、23.6mmol)を添加した。得られた溶液を一晩撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(ヘキサン/EtOAc、8:1による溶出)、透明オイルとして化合物11(7.10g、91%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)7.51-7.30 (m, 10H), 5.66-5.58 (m, 1H) 5.43 (dd, J = 15.3, 7.5 Hz 1H), 4.65-4.51(m, 1H), 4.22-4.10 (m, 3H), 3.64 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.61 (dd, J = 16.8, 6.1Hz, 1H), 2.47 (dd, J = 16.8, 8.0 Hz, 1H) 2.24-2.36 (m, 2H), 1.06 (s, 9H),0.97-0.92 (m, 2H), 0.03 (s, 9H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3)δ 171.9, 135.7, 133.8, 132.3, 131.8, 129.3, 127.4,69.3, 67.0, 63.3, 46.4, 33.8, 31.5, 26.8, 19.4, -1.3.
【0128】
[0135]2-(トリメチルシリル)エチル(S,E)-3-(((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-L-バリル)オキシ)-7-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)へプタ-4-エノエート(13)。室温のCHCl(150mL)中の化合物11(7.00g、14.0mmol)の溶液に、N-Fmoc-L-バリン(12)(14.2g、42.1mmol)、EDCI-HCl(10.8g、56.1mmol)、DMAP(0.17g、1.40mmol)、及びDIPEA(9.80mL、56.1mmol)を添加した。18時間撹拌後、反応混合物を真空で濃縮した。粗残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(ヘキサン/EtOAc、9:1による溶出)、無色オイルとして化合物13(7.34g、75%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.74 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.68 - 7.51 (m, 6H), 7.45-7.26 (m, 10H),5.83 (dt, J = 14.5, 6.9 Hz, 1H), 5.66 (td, J = 7.7, 5.4 Hz, 1H), 5.49 (dd, J =15.5, 7.5 Hz, 1H), 5.28 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 4.49-4.05 (m, 4H), 3.65 (t, J =6.6 Hz, 2H), 2.68 (dd, J = 15.8, 8.0 Hz, 1H), 2.54 (dd, J = 15.7, 5.5 Hz, 1H),2.08-2.31 (m, 3H), 1.02 (s, 9H), 0.98-0.84 (m, 5H), 0.80 (d, J = 6.9 Hz, 3H),-0.01 (s, 9H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 170.8, 169.6, 156.1, 143.9, 143.8, 141.2, 135.5, 133.7, 132.6,129.6, 128.2, 127.6, 127.6, 127.0, 125.1, 119.9, 72.0, 66.9, 63.0, 58.7, 47.2,39.7, 35.5, 31.3, 26.8, 19.1, 18.9, 17.2, 14.1, -1.6.
【0129】
[0136]2-(トリメチルシリル)エチル(S,E)-3-((((R)-2-(6-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)ピリジン-2-イル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボニル)-L-バリル)オキシ)-7-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)へプタ-4-エノエート(15)。化合物13(1.10g、1.57mmol)を無水CHCN(50mL)中に溶解させ、アルゴン下、室温でEtNH(5mL)により処理した。得られた溶液を室温まで温め、2時間撹拌した。溶媒を真空でエバポレーションした。次いで、得られた粗化合物をEtOAcに溶解させ、真空で濃縮し、高真空で乾燥させて残渣EtNHを除去した。別のフラスコにおいて、PyBOP(1.23g、2.36mmol)及びDIPEA(0.55mL、3.15mmol)を、アルゴン下、室温で無水CHCl(30mL)中のピリジンチアゾレンフラグメント14(0.66g、1.89mmol)の溶液に添加した。これを5分間室温で撹拌し、その後、0℃に冷却した。アミンを無水CHCl(15mL)中に溶解させ、アルゴン下、0℃で活性酸の溶液に滴下した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を真空で濃縮し、粗残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルですぐに精製し(ヘキサン/EtOAc、7:3による溶出)、15(1.04g、71%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.64-8.57 (m, 1H), 7.68-7.53 (m, 6H), 7.43-7.30 (m, 6H), 7.13 (d, J= 9.0 Hz, 1H), 5.83 (dt, J = 14.7, 6.8 Hz, 1H), 5.71-5.60 (m, 1H), 5.57-5.44(m, 2H), 4.54-4.40 (m, 3H), 4.21-4.06 (m, 2H), 3.81 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.64(t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.37 (dd, J = 11.5, 1.9 Hz, 1H), 2.75-2.61 (m, 1H), 2.55(dd, J = 15.8, 5.5 Hz, 1H), 2.31-2.06 (m, 3H), 1.55 (s, 3H), 1.44 (s, 9H),1.06-0.87 (m, 11H), 0.81 (d, J = 7.1 Hz, 3H), 0.73 (d, J = 7.1 Hz, 3H), -0.01(d, J = 1.9 Hz, 9H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 173.9, 170.3, 169.7, 167.0, 149.8, 140.4, 135.5, 133.7, 132.6,129.6, 128.2, 127.6, 120.3, 119.9, 85.4, 72.0, 63.1, 63.1, 56.8, 41.7, 39.8,35.5, 31.1, 28.4, 26.8, 24.5, 19.1, 19.0, 17.3, 17.3, -1.5. HRMS (ESI) m/z C49H71N4O8SSi2[M+H]+の計算値931.4531, 実測値931.4540.
【0130】
[0137](14R,7S,10S,Z)-7-((E)-4-((Tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)ブタ-1-エン-1-イル)-10-イソプロピル-14-メチル-14,15-ジヒドロ-8-オキサ-4,11-ジアザ-1(2,4)-チアゾラ-2(2,6)-ピリジナシクロドデカファン-5,9,12-トリオン(16)。0℃の無水CHCl(10mL)中の化合物15(0.10g、0.11mmol)の溶液に、アルゴン下でTFA(1mL)を添加した。混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。次いで、得られた粗塩をトルエンに溶解させ、真空で濃縮し、高真空で乾燥させて残渣TFAを除去した。室温の無水CHCN/CHCl(120mL、1:1)中のHATU(0.12g、0.32mmol)、HOBt.HO(0.03g、0.21mmol)及びDIPEA(0.10mL、0.54mmol)の溶液に、無水CHCN/CHCl(10mL、1:1)中のTFA塩の溶液を0℃でシリンジポンプにより10時間かけて滴下した。添加完了後、反応混合物を8時間撹拌した。反応混合物の溶媒を真空でエバポレーションした。得られた残渣をCHCl(5mL)中に溶解させ、セライトのパッドでろ過し、無水MgSOで乾燥させた。溶媒を真空でエバポレーションし、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製し(CHCl中の3%CHOHによる溶出)、溶液をエバポレーションして真空で乾燥させ、大員環コア16(15.0mg、20%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.69 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.64 (dq, J = 6.4, 1.7 Hz,4H), 7.44-7.35 (m, 6H), 6.91 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.11 (dd, J = 8.4, 4.7 Hz,1H), 5.93 (dtd, J = 15.1, 6.9, 1.0 Hz, 1H), 5.80-5.68 (m, 1H), 5.66-5.58 (m,1H), 5.09 (dd, J = 17.6, 8.4 Hz, 1H), 4.58 (dd, J = 9.1, 3.6 Hz, 1H), 4.22 (dd,J = 17.6, 4.6 Hz, 1H), 4.06 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.76-3.66 (m, 2H), 3.38 (d, J= 11.6 Hz, 1H), 3.22-3.15 (m, 2H), 2.81-2.72 (m, 1H), 2.39-2.10 (m, 3H), 1.78(s, 3H), 1.04 (s, 9H), 0.75 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.65 (d, J = 6.8 Hz, 3H). 13CNMR (101 MHz, CDCl3 + CD3OD) δ173.9, 170.5, 170.1, 168.4, 167.3, 146.5, 135.5, 135.4, 133.8, 131.2, 129.6,127.7, 127.6, 124.2, 84.0, 63.4, 58.1, 48.7, 43.6, 35.5, 32.2, 26.8, 24.1,19.4, 19.1, 14.9. HRMS (ESI) m/z C39H48N4NaO5SSi[M+Na]+の計算値735.3012, 実測値735.3021.
【0131】
[0138](14R,7S,10S,Z)-7-((E)-4-ヒドロキシブタ-1-エン-1-イル)-10-イソプロピル-14-メチル-14,15-ジヒドロ-8-オキサ-4,11-ジアザ-1(2,4)-チアゾラ-2(2,6)-ピリジナシクロドデカファン-5,9,12-トリオン(17)。0℃のTHF(2mL)中の化合物16(15.0mg、0.02mmol)の溶液に、アルゴン下で1M TBAF溶液(0.7ml、0.07mmol)を添加した。反応混合物を4時間室温で撹拌した。反応物を水性NHClでクエンチし、CHCl(3x2mL)で後処理し、続いて、真空でエバポレーションした。粗残渣をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製し(CHCl中の5%CHOHによる溶出)、粘性液体として化合物17(9.0mg、90%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.63 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 8.42 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 7.88 (s, 1H),7.35-7.29 (m, 1H), 7.12 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.00 - 5.72 (m, 3H), 4.86 (dd, J =17.3, 6.6 Hz, 1H), 4.53 (dd, J = 9.0, 4.4 Hz, 1H), 4.41 (dd, J = 17.3, 5.5 Hz,1H), 3.98 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.75-3.50 (m, 2H), 3.06 (dd, J = 15.6, 6.9 Hz,1H), 2.83 (dd, J = 15.6, 4.1 Hz, 1H), 2.49-2.04 (m, 4H), 1.78 (s, 3H), 0.81 (d,J = 6.9 Hz, 3H), 0.73 (d, J = 6.8 Hz, 3H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3+ CD3OD) δ 173.5, 170.6, 169.3, 168.6,159.6, 150.1, 140.1, 131.1, 129.0, 120.9, 117.3, 84.3, 72.5, 60.8, 58.0, 43.9,43.3, 40.0, 35.3, 33.4, 24.6, 18.8, 17.0. HRMS (ESI) m/z C23H30N4NaO5S[M+Na]+の計算値497.1835, 実測値497.1828.
【0132】
[0139]S-((E)-4-((14R,7S,10S,Z)-10-イソプロピル-14-メチル-5,9,12-トリオキソ-14,15-ジヒドロ-8-オキサ-4,11-ジアザ-1(2,4)-チアゾラ-2(2,6)-ピリジナシクロドデカファン-7-イル)ブタ-3-エン-1-イル)オクタンチオエート(2)。(CAS番号:1800584-53-5)。10の代わりに17を用いたこと以外は化合物1の調製と同様の手順を用いて、化合物2(7.5mg、64%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.70 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.39 (dd, J = 5.0, 1.6 Hz,1H), 6.92 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.21 (dd, J = 8.4, 4.8 Hz, 1H), 5.89 (dt, J =15.4, 6.8 Hz, 1H), 5.81-5.69 (m, 1H), 5.64 (dd, J = 15.5, 6.7 Hz, 1H), 5.12(dd, J = 17.6, 8.4 Hz, 1H), 4.60 (dd, J = 9.1, 3.7 Hz, 1H), 4.29 (dd, J = 17.6,4.7 Hz, 1H), 4.06 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.39 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.07-2.73(m, 4H), 2.52 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.41-2.26 (m, 2H), 2.26-2.07 (m, 1H), 1.82 (s,3H), 1.72-1.54 (m, 2H), 1.40-1.10 (m, 8H), 0.97-0.84 (m, 3H), 0.76 (d, J = 6.9Hz, 3H), 0.66 (d, J = 6.8 Hz, 3H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3)δ 199.3, 173.1, 170.1, 168.5, 168.3, 159.3, 150.8,140.1, 132.7, 128.4, 120.9, 116.9, 84.6, 72.0, 57.9, 44.4, 44.1, 43.6, 40.5,33.7, 32.3, 31.6, 28.9, 27.9, 25.6, 24.9, 22.6, 18.9, 17.1, 14.0. HRMS (ESI)m/z C3IH45N4O5S2 [M+H]+の計算値617.2826 実測値617.2829; [α]25D: + 86.9 (c = 0.6, CHCl3), (文献値[α]25D: + 94.3 (c = 0.62, CHCl3)).
【0133】
[0140]2-(トリメチルシリル)エチル(S,E)-3-((((R)-2-(2-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)オキサゾール-4-イル)-4-メチル-4,5-ジヒドロチアゾール-4-カルボニル)-L-バリル)オキシ)-7-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)へプタ-4-エノエート(19)。14の代わりに18を用い、ヘキサン中の50%酢酸エチルによる溶出としたこと以外は化合物15の調製と同様の手順を用いて、化合物19(0.79g、71%収率)を得た。収率はベースフラグメント(化合物13)に関するものである。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.12 (s, 1H), 7.68-7.60 (m, 4H), 7.32-7.44 (m, 6H), 7.11 (d, J =9.0 Hz, 1H), 5.84 (dt, J = 14.4, 6.9 Hz, 1H), 5.61-5.69 (m, 1H), 5.56-5.45 (m,1H), 5.19 (bs, 1H), 4.43-4.52 (m, J = 3H), 4.22-4.08 (m, 2H), 3.77 (d, J = 11.5Hz, 1H), 3.66 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.30 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 2.70 (dd, J =15.7, 7.9 Hz, 1H), 2.56 (dd, J = 15.7, 5.6 Hz, 1H), 2.28 (q, J = 6.8 Hz, 2H),2.08-2.18 (m, 1H), 1.57 (s, 3H), 1.46 (s, 9H), 1.06-0.92 (m, 11H), 0.83 (d, J =6.8 Hz, 3H), 0.76 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.03 (s, 9H). 13C NMR (101MHz, CDCl3) δ 174.2, 170.3, 169.6, 161.9,160.7, 139.3, 135.5, 135.5, 133.7, 133.7, 132.4, 129.6, 128.3, 127.6, 85.2,71.9, 63.0, 56.8, 41.2, 39.7, 35.5, 31.1, 28.3, 26.8, 24.6, 19.1, 19.0, 17.4,17.2, -1.6. HRMS (ESI): m/z C47H69N4O9SSi2(M+H)+の計算値: 921.4323, 実測値: 921.4329.
【0134】
[0141](12Z,22Z,24R,5S,8S)-8-((E)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)ブタ-1-エン-1-イル)-5-イソプロピル-24-メチル-24,25-ジヒドロ-7-オキサ-4,11-ジアザ-1(4,2)-オキサゾラ-2(2,4)-チアゾラシクロドデカファン-3,6,10-トリオン(20)。15の代わりに19を用い、CHCl中の5%CHOHによる溶出としたこと以外は化合物16の調製と同様の手順を用いて、化合物20(19mg、25%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.95 (s, 1H), 7.65-7.58 (m, 4H), 7.45-7.30 (m, 6H), 7.05 (d, J =8.9 Hz, 1H), 6.15 (dd, J = 9.7, 3.8 Hz, 1H), 5.87 (dt, J = 14.5, 6.9 Hz, 1H),5.57-5.66 (m, 1H), 5.49 (dd, J = 15.6, 7.2 Hz, 1H), 4.92 (dd, J = 17.6, 9.7 Hz,1H), 4.50 (dd, J = 8.9, 3.4 Hz, 1H), 4.03-3.90 (m, 2H), 3.67 (t, J = 6.4 Hz,2H), 3.21 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 2.85 (dd, J = 16.6, 10.3 Hz, 1H), 2.61 (dd, J =16.6, 2.9 Hz, 1H), 2.33-2.19 (m, 2H), 2.00-2.12 (m, 1H), 1.79 (s, 3H), 1.01 (s,9H), 0.65 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.61 (d, J = 6.9 Hz, 3H). 13C NMR(101 MHz, CDCl3) δ 173.5, 170.7, 168.7,163.3, 161.9, 141.2, 135.5, 135.0, 133.8, 133.8, 132.3, 129.6, 128.4, 127.7,83.8, 72.2, 63.0, 58.1, 50.8, 43.3, 40.3, 37.2, 35.6, 34.2, 26.8, 26.8, 23.8,23.5, 20.2, 19.2, 18.7, 17.2. HRMS (ESI): m/z C37H46N4NaO6SSi(M+Na)+の計算値: 725.2805, 実測値: 725.2810.
【0135】
[0142](12Z,22Z,24R,5S,8S)-8-((E)-4-ヒドロキシブタ-1-エン-1-イル)-5-イソプロピル-24-メチル-24,25-ジヒドロ-7-オキサ-4,11-ジアザ-1(4,2)-オキサゾラ-2(2,4)-チアゾラシクロドデカンファン-3,6,10-トリオン(21)。16の代わりに20を用い、CHCl中の5%CHOHによる溶出としたこと以外は化合物17の調製と同様の手順を用いて、化合物21(8.8mg、89%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.97 (s, 1H), 7.54-7.46 (m, 1H), 7.06 (d, J = 8.9 Hz, 1H),5.85-5.76 (m, 1H), 5.69-5.54 (m, 2H), 4.82-4.65 (m, 1H), 4.56-4.34 (m, 1H),4.10-3.85 (m, 2H), 3.72-3.46 (m, 2H), 3.24-3.18 (m, 1H), 2.98-2.74 (m, 2H),2.60 (dd, J = 15.8, 3.4 Hz, 1H), 2.25 (q, J = 6.3 Hz, 2H), 2.06-1.91 (m, 1H),1.77 (s, 3H), 0.66 (d, J = 6.3 Hz, 3H), 0.61 (d, J = 6.3 Hz, 3H). 13CNMR (101 MHz, CDCl3) δ 173.4, 173.4, 170.7,168.7, 163.7, 141.3, 134.6, 131.4, 129.2, 83.3, 72.0, 60.9, 58.5, 42.9, 40.4,37.2, 35.4, 33.8, 23.7, 18.6, 17.3. HRMS (ESI): m/z C21H28N4NaO6S(M+Na)+の計算値: 487.1627, 実測値: 487.1623.
【0136】
[0143]S-((E)-4-((12Z,22Z,24R,5S,8S)-5-イソプロピル-24-メチル-3,6,10-トリオキソ-24,25-ジヒドロ-7-オキサ-4,11-ジアザ-1(4,2)-オキサゾラ-2(2,4)-チアゾラシクロドデカファン-8-イル)ブタ-3-エン-1-イル)オクタンチオエート(3)。(CAS番号:1800584-53-5)。10の代わりに21を用い、CHCl中の5%CHOHによる溶出としたこと以外は化合物1の調製と同様の手順を用いて、化合物3(6.3mg、60%収率)を得た。(CHCl中の3%CHOHによる溶出)。1H NMR (400 MHz, CDCl3)7.99 (s, 1H), 7.09 (d, J = 9.0 Hz, 1H,), 6.13 (dd, J = 4.2, 8.6 Hz, 1H),5.88-5.78 (m, 1H), 5.68-5.60 (m, 1H), 5.58-5.50 (m, 1H), 4.99 (dd, J = 9.8,17.6 Hz, 1H,), 4.55 (dd, J = 3.5, 10.7 Hz, 1H), 4.10-3.97 (m, 2H), 3.25 (d, J =11.5 Hz, 1H), 2.95-2.83 (m, 3H), 2.69 (dd, J = 2.9, 16.4 Hz, 1H), 2.53 (t, J =7.7 Hz, 2H), 2.32 (q, 2H), 2.17-2.03 (m, 1H), 1.85 (s, 3H), 1.72-1.57 (m, 2H),1.38-1.18 (m, 8H), 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 3H), 0.69 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.65 (d,J = 6.9 Hz, 3H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 199.3, 173.4, 170.5, 168.7, 163.2, 161.8, 141.1, 135.0, 132.7,128.4, 83.8, 71.9, 58.1, 44.1, 43.3, 40.3, 37.3, 34.2, 32.2, 31.6, 28.9, 27.9,25.6, 23.8, 22.6, 18.7, 17.2, 14.1. HRMS (ESI): m/z C29H43N4O6S2(M+H)+の計算値: 607.2624, 実測値: 607.2632. [α]25D: + 19.9 (c =0.7, CH2Cl2), (文献値[α]25D: + 18 (c = 0.7, CH2Cl2)).
【0137】
[参考文献]
[0144]それぞれの以下の参考文献、又は本明細書の他の部分に開示されたいずれかの他の参考文献は、全ての目的でその全体において参照により本明細書で援用される。
【0138】
[参照による援用及び変形に関する陳述]
[0145]本出願を通しての全ての参考文献、例えば、公開若しくは許諾された特許又は同等物を含む特許文献、特許出願公報、及び非特許文献又は他の原資料は、参照により個々に援用されるかのように、それぞれの参考文献が本出願の開示と少なくとも部分的には矛盾していない程度まで、その全体において参照により本明細書で援用される(例えば、部分的に矛盾している参考文献は、その参考文献の部分的に矛盾している部分を除いて、参照により援用される)。
【0139】
[0146]本明細書で用いられた用語及び表現は、限定するものではなく説明するものとして用いられ、そのような用語及び表現の使用において、表示及び記載された特徴のいずれかの同等物又はその部分を除外する意図はないが、請求された発明の範囲内で様々な変更が可能であることが理解される。従って、本発明は好ましい局面、例示の局面及び任意選択の特徴により具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の変更及び変形が、当業者により再分類できること、並びにそのような変更及び変形が、添付の特許請求の範囲により規定されたような本発明の範囲内であると考えられることが理解される必要がある。本明細書に提供された特定の局面は、本発明の有用な局面の例示であり、本発明が本明細書に記載の装置、装置部品、方法工程の多くの変形を用いて行うことができることが当業者にとって明らかである。当業者にとって明らかなように、本発明の方法のために有用な方法、及び装置は、多くの任意選択の組成物及び処理要素及び工程を含むことができる。
【0140】
[0147]置換基の群が本明細書に開示されている場合、その群の一員のいずれかの異性体、エナンチオマー、及びジアステレオマーを含む、その群の全ての個々の一員及び全ての部分群が、個別に開示されることが理解される。マーカッシュ群又は他の分類が本明細書で用いられる場合、その群の全ての個々の一員並びにその群の生じうる全ての組み合わせ及び部分組み合わせは、本開示に個々に含まれることが意図される。例えば、式又は化学名において、化合物の特定の異性体、エナンチオマー、又はジアステレオマーが特定されないように化合物が本明細書に記載される場合、その記載は、個々に又はいずれかの組み合わせで記載された化合物の、それぞれの異性体及びエナンチオマーを含むことが意図される。更に、別に特定されなければ、本明細書に開示された化合物の全ての同位体が、その開示により包含されることが意図される。例えば、開示された分子のいずれかの1つ又は複数の水素が、重水素又は三重水素で置換できることが理解される。分子の同位体は、通常、上記分子の試験、並びに上記分子又はその使用に関する化学的及び生物学的な研究における標準として有用である。そのような同位体を作製する方法は当該分野で知られている。化合物の特定の名称は、当業者は同じ化合物に異なる名称を付けることができることが知られているため、例示であることが意図される。
【0141】
[0148]本明細書に開示された分子の多くは、そこからプロトンを除去(例えば、COOH)若しくは付加(例えば、アミン)することのできる、又は四級化(例えば、アミン)することのできる、1つ又は複数のイオン化可能な基を含む。そのような分子及びその塩の全ての生じうるイオン形態が、本明細書の開示に個々に含まれることが意図される。本明細書の化合物の塩に関して、当業者は、所定の適用のための本発明の塩の調製に適切な、多種多様な利用可能な対イオンのなかから選択することができる。特定の適用において、塩の調製のための所定のアニオン又はカチオンの選択は、その塩の上昇した又は減少した溶解性をもたらすことができる。
【0142】
[0149]本明細書に記載又は例示された成分の全ての配合又は組み合わせが、別に述べられなければ、本発明を実施するために用いることができる。
【0143】
[0150]範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、炭素原子範囲、又は組成若しくは濃度範囲が本明細書に示される場合はいつでも、全ての中間範囲、及び部分範囲、並びに示された範囲に含まれる全ての個々の値が、本開示に含まれることが意図される。本明細書の記載に含まれる範囲又は部分範囲における、いずれの部分範囲又は個々の値も、本特許請求の範囲から除外できることが意図される。
【0144】
[0151]本明細書において言及された全ての特許及び刊行物は、本発明の関連する分野における当業者の技術レベルを示す。本明細書に示された参考文献は、その全体において参照により本明細書で援用され、その公開日又は出願日の技術水準を示し、必要に応じて先行技術にある特定の局面を除外するために本明細書でこの情報を用いることができることが意図される。例えば、物の組成が請求されている場合、本明細書に記載された参考文献において可能にする開示が提供されている化合物を含む、出願人の発明よりも前に当該分野で知られていた利用可能な化合物は、本明細書で請求する物の組成に含まれることが意図されないことが理解される必要がある。
【0145】
[0152]本明細書で用いられる場合、「含む(comprising)」は「含む(including)」、「含む(containing)」、又は「特徴とする」と同義であり、包含的又はオープンエンドであり、更なる記載されてない構成要件又は方法工程を除外しない。本明細書で用いられる場合、「からなる」は、特許請求の範囲の構成要件に特定されていないいずれの構成要件、工程、又は成分も除外する。本明細書で用いられる場合、「から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本的且つ新規な特徴に大きく影響しない材料又は工程を除外しない。本明細書のそれぞれの例において、用語「含む」、「から本質的になる」、及び「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかで置換することができる。本明細書に適切に説明的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれかの構成要件又は複数の構成要件、限定又は複数の限定の非存在下で実施することができる。
【0146】
[0153]当業者は、具体的に例示されたもの以外の出発物質、生物学的材料、試薬、合成方法、精製方法、分析方法、試験方法、及び生物学的方法が、過度の実験に頼ることなく本発明の実施において用いることができることを理解する。いずれかのそのような材料及び方法の全ての当該分野で知られた機能的同等物が、本発明に含まれることが意図される。用いられた用語及び表現は、限定するものではなく説明するものとして用いられ、そのような用語及び表現の使用において、表示及び記載された特徴のいずれかの同等物又はその部分を除外する意図はないが、請求された発明の範囲内で様々な変更が可能であることが理解される。従って、本発明は好ましい局面及び任意選択の特徴により具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の変更及び変形が、当業者により再分類できること、並びにそのような変更及び変形が、添付の特許請求の範囲により規定されたような本発明の範囲内であると考えられることが理解される必要がある。
図1
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【国際調査報告】