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特表2024-500185バイオプロセスシステムの無菌的切り離し及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】バイオプロセスシステムの無菌的切り離し及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20231222BHJP
   C12M 3/06 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12M3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562456
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021063840
(87)【国際公開番号】W WO2022133105
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,337
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523232676
【氏名又は名称】ロンザ・バイオロジクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キャネル,ジュリアナ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029BB20
4B029CC01
(57)【要約】
バイオプロセスシステム内の大きなバイオプロセスチューブを効率的に切り離すことができるバイオプロセス装置が開示される。バイオプロセス装置は、大きなバイオプロセスチューブの上に配置することができる可鍛性かつ剛性の材料から作製された分離カラーを含む。一態様では、分離カラーは、カラーをバイオプロセスチューブ上に摺動可能に取り付けることを可能にする一対の隣接する分離縁を含む。バイオプロセスチューブ上に位置付けられると、分離カラー及びバイオプロセスチューブを通って切断操作が行われ、その結果として無菌的切り離しが行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオプロセスシステムであって、
第1のバイオプロセスデバイスと、
第2のバイオプロセスデバイスと、
前記第1のバイオプロセスデバイス及び前記第2のバイオプロセスデバイスと流体連通するバイオプロセスチューブであって、前記バイオプロセスチューブが熱可塑性エラストマーを含み、前記バイオプロセスチューブが、中空通路を画定し、内径、外径、及び外面を有し、前記内径が約260mm超である、バイオプロセスチューブと、
前記第1のバイオプロセスデバイスを前記第2のバイオプロセスデバイスから切り離すための前記バイオプロセスチューブの切断を容易にするための分離カラーであって、前記分離カラーが、前記バイオプロセスチューブの前記外面に摺動可能に取り付けられ、前記分離カラーが、円筒形状を有し、第1の端部から第2の反対側の端部まで延在する長さを有し、前記分離カラーが、前記カラーの長さにわたって延在する少なくとも一対の隣接する分離縁を画定し、前記一対の隣接する分離縁が、前記分離カラーをバイオプロセスチューブに設置すること及びそこから取り外すことを可能にする、分離カラーと、を含む、バイオプロセスシステム。
【請求項2】
前記分離カラーを切断ツールで切断して切断端部を形成したときに、前記分離カラーの前記切断端部が、前記バイオプロセスチューブの切断端部を閉鎖構成で維持するように、前記分離カラーが十分に剛性かつ可鍛性である材料から作製される、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項3】
前記分離カラーが金属から作製される、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項4】
前記金属がアルミニウムを含む、請求項3に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項5】
前記一対の隣接する分離縁がスリットを画定し、前記スリットが、約0.5mm超、例えば約1mm超、例えば約1.5mm超、例えば約2mm超、かつ約3mm未満の幅を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項6】
前記一対の隣接する分離縁がスリットを画定し、前記スリットが、約3mm超、例えば約10mm超、例えば約20mm超、例えば約30mm超、かつ約100mm未満の幅を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項7】
前記分離カラー上の前記一対の隣接する分離縁が、対向する自由縁を含み、前記自由縁が、前記分離カラーの前記長さに沿って重複する、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項8】
前記分離カラーが、第1のカラー部材及び別個の第2のカラー部材を含み、前記第1及び第2のカラー部材が協働して前記円筒形状を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項9】
前記分離カラーが、二対の隣接する分離縁を形成し、前記第1のカラー部材が前記第2のカラー部材と交差する、請求項8に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項10】
前記分離カラーが、約600mm~約10,000mmの長さを有する、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項11】
前記第1のバイオプロセスデバイスがクロマトグラフィーデバイスを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項12】
前記第2のバイオプロセスデバイスが濾過デバイスを含む、先行請求項のいずれか一項に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項13】
前記第1のバイオプロセスデバイスがクロマトグラフィーデバイスを含み、前記第2のバイオプロセスデバイスが濾過デバイスを含む、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項14】
前記第1のバイオプロセスデバイスが濾過デバイスを含み、前記第2のバイオプロセスデバイスがバイオプロセスバッグを含む、請求項1に記載のバイオプロセスシステム。
【請求項15】
2つのバイオプロセスデバイスを切り離すための方法であって、
バイオプロセスチューブの外面に分離カラーを配置することであって、前記バイオプロセスチューブが熱可塑性エラストマーから作製され、前記バイオプロセスチューブが、中空通路を画定し、内径及び外径を有し、前記内径が約260mm超であり、前記分離カラーが、前記バイオプロセスチューブの前記外面に摺動可能に取り付けられ、前記分離カラーが、円筒形状を有し、第1の端部から第2の端部まで延在する長さを有し、前記分離カラーが、前記バイオプロセスチューブの前記外面への前記分離カラーの配置を可能にする前記カラーの前記長さにわたって延在する少なくとも一対の隣接する分離縁を画定する、配置することと、
前記分離カラー及びバイオプロセスチューブを切断して、第1の自由端及び第2の自由端を生成することであって、切断中に、前記分離カラー及び下にあるバイオプロセスチューブが変形し、前記バイオプロセスチューブの壁を一緒に圧縮し、前記分離カラーが、切断後に前記バイオプロセスチューブの自由端を圧縮された状態で維持するのに十分な剛性及び可鍛性を有する材料から作製される、生成することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記分離カラーが、金属から作製される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記金属がアルミニウムを含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記バイオプロセスチューブを介してバイオプロセス組成物を第1のバイオプロセスデバイスから第2のバイオプロセスデバイスに移送した後、前記分離カラー及びバイオプロセスチューブが切断される、請求項15~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記第1のバイオプロセスデバイスがクロマトグラフィーデバイスを含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記第2のバイオプロセスデバイスが濾過デバイスを含む、請求項18又は19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記濾過デバイスが、バイオプロセス組成物を濾過する限外濾過デバイスであり、前記濾過された組成物が、前記分離デバイスで前記チューブを切断する前に、前記バイオプロセスチューブを通して供給される、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記バイオプロセスチューブに接続された前記バイオプロセスデバイスのうちの少なくとも1つが、バイオプロセスバッグを含む、請求項18~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記バイオプロセスチューブを切断する前に、流れ停止デバイスを使用して、前記分離デバイスの上流の前記バイオプロセスチューブを通る流体の流れを遮断することと、流れ停止デバイスを使用して、前記分離デバイスの下流の前記バイオプロセスチューブを通る流体の流れを遮断することと、を含む、請求項15~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
バイオプロセス流体を搬送するための装置であって、
熱可塑性エラストマーから作製されたバイオプロセスチューブであって、前記バイオプロセスチューブが、中空通路を画定し、内径、外径、及び外面を有し、前記バイオプロセスチューブの前記内径が約260mm超である、バイオプロセスチューブと、
前記バイオプロセスチューブの前記外面に取り外し可能に取り付けられた分離カラーであって、前記分離カラーは、前記分離カラーが前記バイオプロセスチューブの前記外面に沿って摺動可能であるように取り付けられ、前記分離カラーが、円筒形状を有し、第1の端部から第2の端部まで延在する長さを有し、前記分離カラーが、前記カラーの前記長さにわたって延在する少なくとも1対の隣接する分離縁を画定し、前記一対の隣接する分離縁が、前記分離カラーをバイオプロセスチューブに設置すること及びそこから取り外すことを可能にし、前記分離カラー及び下にある前記バイオプロセスチューブを通って切断が行われるときに、前記分離カラーが、切断後に前記バイオプロセスチューブの切断端部を圧縮して閉鎖状態に維持するように、剛性かつ可鍛性の材料から作製される、分離カラーと、を含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月18日に出願された米国仮出願第63/127,337号の優先権及び利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
生物学的反応又はプロセスが実験室又は産業規模で実行され得る装置であるバイオリアクターは、バイオ医薬品業界内で広く使用されている。バイオリアクターは、あらゆる種類のバイオプロダクトを製造するために使用することができる。バイオプロダクトは、例えば、ワクチン、飲料、バイオ燃料、バイオエネルギー、生化学物質、抗生物質、アミノ酸、酵素、モノクローナル抗体、モノマー、タンパク質、食品培養物、バイオポリマー、アルコール、香味料、香料等を含む、細胞培養物及び細胞培養物に由来する材料を含むことができる。
【0003】
細胞培養物は、典型的には、生物材料が反応時間終了までバイオリアクター内に残るバッチプロセスで増殖される。これらのプロセスのうちのある特定のプロセスでは、バイオリアクター内に含まれる流体培地は、流体培地中に含有される栄養素を補充するために、及びプロセス中に生成される有害な副生成物を除去するために、定期的又は連続的に除去及び補給することができる。
【0004】
細胞培養物の増殖及び収集の間に、様々な流体が配合され、異なるプロセス機器に供給される。そのような流体は、例えば、栄養培地、様々な異なる種類の試薬、緩衝製剤等を含み得る。加えて、流体は、異なるプロセス構成要素間でも搬送される。例えば、細胞培養物は、典型的には、バイオリアクター中で増殖し、次いで、下流の異なる精製プロセスに供給される。精製プロセスは、クロマトグラフィースキッド、濾過デバイス等を含むことができる。プロセスのこれらの異なるステップのそれぞれは、プロセス中に除去され、バイオプロセスバッグ等の異なる容器に貯蔵される生成物及び副生成物の流れを作り出すこともできる。
【0005】
生物製剤の開発が続くと、バイオプロダクトを生産するために大量の細胞培養物を大量に生産する能力が不可欠になる。例えば、最近のコロナウイルスのパンデミックは、生物製剤を生産するための堅牢なプロセスの必要性を更に示している。例えば、現在、ワクチンは、コロナウイルス株に対して生産され、試験されている。これらのワクチンの多くは、メッセンジャーRNAの治療的送達等、微生物から得られる生物学的製剤に基づいている。ワクチンが試験され、承認されると、おそらく何十億回の用量のワクチンを生産する必要がある。したがって、確実かつ効率的に動作する大規模な細胞培養システムを作製する必要がある。
【0006】
大規模な生物学的プロセスにおける流体の移送中、流体の体積流量に対応するために、より大きなバイオプロセスチューブが必要である。流体移送後、これらのバイオプロセスチューブの多くは、異なるプロセス機器から切り離されなければならない。現在、より大きなバイオプロセスチューブを接続する及び切り離すための唯一の解決策は、自動切り離しを備えたバイオプロセスチューブを購入するか、又はチューブに切り離し部を組み込むことである。しかしながら、これらの切り離しデバイスは、バイオプロセスチューブに沿って脆弱な領域を形成する可能性があり、高圧操作中に漏れやすい。更に、切り離しデバイスは高価であるだけでなく、切り離しが所望され得るバイオプロセスチューブ上の位置に関する調整を行う能力も提供しない。その結果として、事前に組み立てられた切り離しデバイスは、実用的でないだけでなく、プロセス全体の効率を低下させる可能性もある。
【0007】
上記を考慮して、生物学的プロセスにおいて中規模及び大規模のバイオプロセスチューブを容易に切り離すためのシステム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、概して、細胞培養物及びそれから生成されるバイオプロダクトを増殖、収集及び精製するためのシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、生物材料の比較的大きなバッチを生産することができるバイオプロセスシステム及び方法に関する。異なるウイルスのワクチンを含む、全ての異なる種類の有益なバイオプロダクトを生産するために、システム内に含まれる構成要素は、高スループット用に全てサイズ分けされる。本開示によれば、バイオプロセス方法及びシステムは、流体を搬送し、異なる構成要素に接続する比較的大きなバイオプロセスチューブを含む。本開示は、流体が流れた後にバイオプロセスチューブを効率的かつ無菌的な方法で切り離す方法に関する。
【0009】
例えば、一態様では、本開示は、第1のバイオプロセスデバイス及び第2のバイオプロセスデバイスを含むバイオプロセスシステムに関する。バイオプロセスチューブは、第1のバイオプロセスデバイス及び第2のバイオプロセスデバイスと流体連通している。バイオプロセスチューブは、熱可塑性エラストマーを含む。バイオプロセスチューブは、内径、外径、及び外面を有する中空通路を画定する。バイオプロセスチューブの内径は、約260mm超、例えば約280mm超、例えば約300mm超、例えば約320mm超える、例えば約340mm超、例えば約360mm超、例えば約380mm超、例えば約400mm超である。本開示によれば、システムは、第1のバイオプロセスデバイスを第2のバイオプロセスデバイスから切り離すためのバイオプロセスチューブの切断を容易にするための分離カラーを更に含む。分離カラーは、バイオプロセスチューブの外面に摺動可能に取り付けられる。分離カラーは、円筒形状を有し、第1の端部から第2の反対側の端部まで延在する長さを有する。分離カラーは、剛性かつ可鍛性の材料から作製される。分離カラーは、カラーの長さにわたって延在する少なくとも一対の隣接する分離縁を画定する。一対の隣接する分離縁は、分離カラーをバイオプロセスチューブに設置すること及びそこから取り外すことを可能にする。例えば、一態様では、一対の隣接する分離縁は、カラーの長さにわたって延在するスリットを形成する。
【0010】
分離デバイスは、金属材料、ポリマー材料等の様々な異なる材料から作製することができる。分離カラーは、単一の材料層から作製することができるか、又は複数の材料層から作製することができる。一実施形態において、分離カラーは、アルミニウムから作製され得る。バイオプロセスチューブの切断中に、切断デバイスを使用して、分離カラーと下にあるチューブを切断する。切断中に、分離カラー及びバイオプロセスチューブが圧縮される。分離カラーは、バイオプロセスチューブを切断した後、分離カラーがバイオプロセスチューブの開放端を閉鎖構成に維持するように、十分な剛性及び可鍛性を有する材料から作製される。したがって、分離カラーは、切断ツールの締め付け作用が解除されると、バイオプロセスチューブの自然な付勢力に耐えることができる材料から作製される。
【0011】
上述したように、分離カラーは、カラーの長さに沿ってスリットを画定することができる。スリットは、一態様では、約0.5mm超、例えば約1mm超、例えば約1.5mm超、例えば約2mm超、かつ約5mm未満、例えば約3mm未満の幅を有することができる。別の態様では、スリットはより広くてもよい。例えば、スリットは、約3mm超、例えば約10mm超、例えば約20mm超、例えば約30mm超、かつ概して約100mm未満の幅を有することができる。一般に、スリットは、カラーをバイオプロセスチューブの周りに配置するためにカラーを開くことを容易にする幅を有するべきである。分離カラーの長さは、一般に、約600mm~約3000mmであり得る。
【0012】
代替の実施形態において、分離カラーの対向する端部は、スリットに沿って重複することができる。例えば、分離カラーの対向する自由端は、約1mm超、例えば約5mm超、かつ概して約300mm未満、例えば約15mm未満重複することができる。
【0013】
更に別の代替の実施形態において、分離カラーは、第1のカラー部材及び別個の第2のカラー部材を含む。第1及び第2のカラー部材は協働して円筒形状を形成する。この実施形態において、分離カラーは、第1のカラー部材が第2のカラー部材と交差する、二対の隣接する分離縁を形成することができる。
【0014】
本開示はまた、バイオプロセスに含まれるバイオプロセスチューブを分離するためのプロセスに関する。この方法は、バイオプロセスチューブの外面に分離カラーを配置することを含む。バイオプロセスチューブは、熱可塑性エラストマーから作製され、約260mm超、例えば約300mm超の内径を有する。分離カラーは、バイオプロセスチューブの外面に摺動可能に取り付けられる。分離カラーは、長さを有する円筒形状を有する。少なくとも一対の隣接する分離縁は、分離カラーの長さにわたって延在する。一対の隣接する分離縁は、分離カラーをバイオプロセスチューブに設置すること及びそこから取り外すことを可能にするためのものである。本方法は、分離カラー及びバイオプロセスチューブを切断して、第1の自由端及び第2の自由端を生成するステップを更に含む。切断中に、分離カラー及び下にあるバイオプロセスチューブが変形し、各自由端でバイオプロセスチューブの壁を一緒に圧縮する。分離カラーは、バイオプロセスチューブの開放端を閉鎖状態に維持するのに十分な剛性及び可鍛性を有する材料から作製される。
【0015】
一態様では、本方法は、流れ停止デバイスを使用して分離デバイスの上流のバイオプロセスチューブを通る流体の流れを遮断し、第2の流れ停止デバイスを使用して分離デバイスの下流のバイオプロセスチューブを通る流体の流れを遮断するステップを更に含むことができる。流れ停止デバイスは、例えば、クランプを含み得、バイオプロセスチューブを切断する前に、分離デバイスの各側面に設置することができる。
【0016】
本開示はまた、約260mm超の内径を有するバイオプロセスチューブ上に取り外し可能かつ摺動可能に取り付けられた上述の分離カラーを含むバイオプロセス装置に関する。
【0017】
本開示の他の特徴及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の完全かつ有効な開示は、添付の図面への参照を含む、本明細書の残りの部分においてより具体的に記載される。
【0019】
図1図1は、本開示と併せて使用することができるバイオリアクターシステムの一実施形態の概略図である。
図2図2は、本開示に従って作製されたバイオリアクター装置の一実施形態の切り取り部の斜視図である。
図3図3は、本開示に従って使用され得るバイオプロセスチューブの断面図である。
図4図4は、本開示のバイオプロセス装置と併せた切断デバイスの一実施形態の斜視図であり、バイオプロセスチューブを切断することができる1つの方法を示している。
図5図5は、切断が行われた後の本開示のバイオプロセス装置の切り取り部の斜視図である。
図6図6は、本開示に従って作製されたバイオリアクター装置の別の実施形態の切り取り部の斜視図である。
図7図7は、図6に示されるバイオプロセス装置の断面図である。
図8図8は、分解構成で示される、本開示に従って作製された分離カラーの一実施形態の斜視図である。
図9図9は、組み立てられた構成で示される、図8に示される分離カラーの斜視図である。
【0020】
本明細書及び図面における参照文字の繰り返しの使用は、本発明の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当業者は、本説明が例示的な実施形態の説明に過ぎず、本開示のより広範な態様を限定することを意図しないことを理解すべきである。
【0022】
一般に、本開示は、細胞培養物を増殖させ、細胞培養物を収集し、細胞培養物を精製し、生物学的製剤を製造するためのシステム及び方法に関する。多くの異なる種類の生物学的製剤を、本開示に従って生産することができる。例えば、生物学的製剤は、細胞培養によって生成されるタンパク質又は任意の他の代謝産物であり得る。一実施形態において、細胞培養物は、組換えメッセンジャーRNA等のウイルスのワクチンを生成するために使用され得る。
【0023】
現在、ワクチン等の生物製剤の生産に対する主な障害は、信頼性の高い方法で生物学的製剤をより大規模に生産する能力である。特に、比較的高いスループットで動作するバイオプロセスシステム及び方法の必要性が存在する。機器及び構成要素のサイズを大きくすると、効率が低下する可能性のある様々な障害が存在し得る。例えば、中規模及び大規模のバイオプロセスシステムは、異なる構成要素を一緒に接続するためのより大きなサイズ及び直径を有するバイオプロセスチューブを必要とする。本開示は、システム内の構成要素を分離するため、及び/又は、例えば、バイオプロセスバッグ内に、生成物又は副生成物を回収するために、流体が流れた後により大きなバイオプロセスチューブを切り離す効率的な方法に関する。
【0024】
例示的な目的のためだけに、図1は、様々な異なる構成要素及びバイオプロセスデバイスを接続する及び切り離すために、本開示の要素を組み込むことができるバイオプロセスシステムの一例を示す。バイオリアクターシステムは、バイオリアクター10を含む。一般に、本開示のシステム及びプロセスは、任意の好適なバイオリアクターを使用することができる。バイオリアクターは、例えば、発酵槽、撹拌タンクリアクター、付着性バイオリアクター、波型バイオリアクター、使い捨てバイオリアクター等を含み得る。図1に示す実施形態において、バイオリアクター10は、流体増殖培地内で細胞培養物を受容するためのバイオリアクター体積12を含む中空の槽又は容器を含む。図1に示すように、バイオリアクターシステムは、デュアルインペラ16及び18等の撹拌器、並びにモータ24に連結された回転可能なシャフト14を更に含むことができる。
【0025】
バイオリアクター10は、様々な異なる材料から作製され得る。一実施形態において、例えば、バイオリアクター10は、ステンレス鋼等の金属から作製することができる。代替的に、バイオリアクター10は、剛性ポリマー又は可撓性ポリマーフィルムから作製された単回使用バイオリアクターを含み得る。
【0026】
バイオリアクター10は、任意の好適な体積を有することができる。しかしながら、一般に、バイオリアクター10は、約5L超、例えば、約50L超、例えば約100L超、例えば約500L超、例えば約700L超、例えば約1000L超、例えば約1500L超、例えば約2000L超、例えば約2500L超、例えば約3000L超、例えば約3500L超、例えば約4000L超、例えば約4500L超、例えば約5000L超の体積を有する。バイオリアクター10の体積は、更に約7000L超であってもよく、例えば約10,000L超、例えば約15,000L超、例えば約20,000L超であってもよい。バイオリアクター10の体積は、概して約50,000L未満、例えば、約30,000L未満である。
【0027】
インペラ16及び18に加えて、バイオリアクター10は、バッフル、スパージャ、ガス供給、熱交換器、又は熱循環器ポート等、生物細胞の栽培及び増殖を可能にする様々な追加の機器を含むことができる。例えば、図1に示す実施形態において、バイオリアクター10は、スパージャ20及びバッフル22を含む。
【0028】
図1に示すように、バイオリアクター10はまた、複数のポートを含む。ポートは、流体及び他の材料を追加及び除去するために、補給ライン及び供給ラインをバイオリアクター10に流入及び流出させることを可能にする。更に、1つ以上のポートは、バイオリアクター10内の状態を監視するための1つ以上のプローブに接続するためのものであり得る。更に、バイオリアクター10は、バイオリアクター内の培養物の質量を測定するためのロードセルと関連付けて配置される。
【0029】
図1に示す実施形態において、バイオリアクター10は、バイオリアクターから材料を連続的又は定期的に引き出すために、流出液28に接続された底部ポート26を含む。材料は、任意の好適な方法を使用してバイオリアクター10から引き出すことができる。例えば、代替の実施形態において、浸漬管を使用して、バイオリアクター10の上部から流出液を除去することができる。更に、バイオリアクター10は、ポート30、32、及び34等の複数の上部ポートを含む。ポート30は、第1の流体供給部36と流体連通しており、ポート32は、第2の供給部38と流体連通しており、ポート34は、第3の供給部40と流体連通している。供給部36、38、及び40は、栄養培地等の様々な異なる材料をバイオリアクター10に供給するためのものである。
【0030】
図1に示すように、バイオリアクターは、複数の栄養供給部と連通することができる。このようにして、プロセス中にバイオリアクター内の栄養素の濃度をより良好に制御するために、単一の栄養素のみを含有するバイオリアクターに栄養培地を供給することができる。加えて、又は代替的に、異なる供給ラインを使用して、バイオリアクターにガス及び液体を別々に供給することができる。
【0031】
細胞培養物がバイオリアクター10内で増殖されると、一実施形態において、細胞培養物は、バイオプロダクトを収集するための収集システムに供給される。図示しないが、例えば、システムは、収集タンク、及び遠心分離機を含んでもよい。多くのシステムでは、収集されたバイオプロダクトを、次いで、下流の精製プロセスに供給することができる。例えば、図1では、バイオリアクター10から収集されたバイオプロダクトを、第1の濾過デバイス42、クロマトグラフィーデバイス44、及び第2の濾過デバイス46に供給することができる。図1に示されるシステムは、単なる例示であり、システムは、所望により、2つ以上のクロマトグラフィーデバイス、2つ未満の濾過デバイス、又は3つ以上の濾過デバイスを含むことができることを理解されたい。
【0032】
濾過デバイス42及び46は、様々な濾過機構を含み得る。例えば、一実施形態において、濾過デバイスのうちの1つは、接線流濾過(TFF)デバイスを含んでもよい。接線流濾過デバイスは、例えば、生成物流の透析濾過を可能にし得る。接線流濾過デバイスは、体積減少及び透析濾過の2つの段階を含み得る。体積減少ステップの間、細胞培養培地のバルク体積は、保持タンク内で所望の生成物濃度に達するまで、フィルターの透過側を通して濾過される。体積減少段階に続く透析濾過段階では、濃縮された生成物を緩衝液等の流体で洗浄して、細胞培養物を除去するか、又は望ましくない若しくは許容できない培地成分を収集する。また、所望の生成物密度に達するために、透析濾過後に更なる体積減少を実施してもよい。
【0033】
一実施形態において、濾過デバイス42及び46は、限外濾過を使用してもよい。限外濾過中に、生成物流は半透過性膜を介して供給される。高分子量の懸濁固形物及び溶質は残余分として保持され、水及び低分子量の溶質は透過物として膜を通過する。限外濾過は、タンパク質溶液の精製及び濃縮に特に適している。一実施形態において、限外濾過は、上述のように透析濾過とともに使用することができる。図1に示されるようなクロマトグラフィーデバイス44は、親和性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー等の様々な異なるクロマトグラフィー方法を使用することができる。
【0034】
本開示のプロセス及びシステムは、例えば、任意の好適なクロマトグラフィー法を使用することができる。
【0035】
濾過デバイス42及び46と同様に、クロマトグラフィーデバイス44はまた、デバイスの適切な動作のための緩衝液を必要とし得る。
【0036】
図1に示すように、システムは、異なる構成要素に供給するための緩衝液を貯蔵及び/又は配合する緩衝液デバイス60を更に含むことができる。
【0037】
図1に示すように、システムは、コントローラ70を更に含むことができる。コントローラは、1つ以上のプログラマブルデバイス又はマイクロプロセッサを含み得る。図示されるように、コントローラ70は、1つ以上の供給部36、38、及び40、並びに1つ以上の流出液28と連通することができる。
【0038】
図1に示すバイオプロセスデバイスに加えて、様々な他のバイオプロセスデバイスがシステムに組み込まれ得る。例えば、システムは、膜デバイス、カチオン交換デバイス、ウイルス低減濾過デバイス等を含むことができる。
【0039】
図1に示すように、バイオプロセスデバイスの各々は、様々な異なるバイオプロセスチューブ110を使用して互いに流体連通させることができる。更に、システム内に含まれる様々な異なるバイオプロセスデバイスは、バイオプロセスコンテナ又はバッグ内に回収され得る副生成物ストリームを生成することもできる。バイオプロセスチューブは、バイオプロセスコンテナと他のバイオプロセスデバイスとの間に流体コミネーションを提供することができる。
【0040】
本開示は、概して、流体の流れのために、デバイスを接続するために以前に使用されたバイオプロセスチューブに沿った任意の位置で、一方のバイオプロセスデバイスを別のバイオプロセスデバイスから効率的に切り離すことができるバイオプロセス装置に関する。本開示のバイオプロセス装置は、中規模及び大規模システムで使用されるバイオプロセスチューブの切り離しを行うことに特に適している。より具体的には、バイオプロセス装置は、比較的大きな内径を有するバイオプロセスチューブに沿って分離を行うように設計されている。一態様では、バイオプロセスチューブに沿って無菌的切り離しを行うために、バイオプロセスデバイスを使用することができる。
【0041】
図2を参照すると、本開示に従って作製されたバイオプロセス装置112の一実施形態が示される。バイオプロセス装置112は、分離カラー120と合わせてバイオプロセスチューブ110を含む。図3を参照すると、バイオプロセスチューブ110の断面図が示される。バイオプロセスチューブ110は、内面118によって囲まれた内側通路124を画定する。バイオプロセスチューブ110は、同様に外面116を画定する壁厚114を含む。
【0042】
バイオプロセスチューブ110は、ポリマー材料、特に熱可塑性ポリマーから作製することができる。一態様では、バイオプロセスチューブ110は、熱可塑性エラストマーから作製される。例えば、バイオプロセスチューブ110は、シリコーンポリマーから作製することができる。バイオプロセスチューブを製造するために使用され得る他のエラストマーとしては、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリプロピレンポリマー、ポリエチレンポリマー、又はポリエステルポリマーが挙げられる。本明細書で使用される場合、ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、ターポリマー等を指すことができる。例えば、ポリプロピレンランダムコポリマーと合わせてポリプロピレンホモポリマーを含有するポリプロピレンエラストマーを使用することができる。所望であれば、バイオプロセスチューブ110を製造するために使用されるポリマー組成物は、可塑剤を含有することができる。
【0043】
上述したように、バイオプロセスチューブ110は、そこを通ってかなりの流量を搬送することができる比較的大きなサイズを有する。バイオプロセスチューブ110は、内面118から測定された内径と、外面116から測定された外径とを有することができる。一般に、本開示によるバイオプロセスチューブ110の内径は、約260mm超である。例えば、バイオプロセスチューブ110の内径は、約300mm超、例えば約350mm超、例えば約400mm超、例えば約450mm超、例えば約500mm超、例えば約550mm超、例えば約600mm超、例えば約650超,例えば約700mm超、例えば約750mm超、例えば約800mm超、例えば約850mm超、例えば約900mm超、例えば約950mm超、例えば約1000超mmであり得る。バイオプロセスチューブ110の内径は、概して、約2000mm未満、例えば約1500mm未満である。1つの特定の態様では、バイオプロセスチューブ110の内径は、約260mm~約780mmであり、これらの間の5mmの増分全てを含む。
【0044】
バイオプロセスチューブ110の壁厚114は、バイオプロセスチューブを作製するために使用される熱可塑性ポリマーの種類、及び動作中にバイオプロセスチューブ110内に蓄積され得る圧力の量を含む様々な要因に応じて変化し得る。一般に、壁厚114は、概して約5mm超であり、例えば約6mm超、例えば約7mm超であり、かつ概して、約12mm未満、例えば約10mm未満、例えば約8mm未満である。
【0045】
図2に戻って参照すると、本開示の分離カラー120が、バイオプロセスチューブ110の外面116に取り付けられて示されている。分離カラー120は、概して、バイオプロセスチューブ110の外径を収容するように設計された円筒形状を有する。分離カラー120は、第1の端部から第2の反対側の端部まで分離カラー120の長さに沿って延在するスリット122を画定する一対の隣接する分離縁を含む。
【0046】
代替の実施形態において、スリット122に沿った分離カラー120の対向する端部は重複し得る。例えば、図6及び図7に示されるように、分離カラー120はスリット122を画定する。分離カラー120の対向する端部又は縁は、スリット122に沿って重複する。重複の量は、様々な要因に依存し得る。一般に、対向する端部は、約1mm超、例えば約5mm超、例えば約8mm超、例えば約10mm超重複する。対向する端部が重複する量は、概して、約300mm未満、例えば約200mm未満、例えば約100mm未満、例えば約50mm未満、例えば約25mm未満、例えば約15mm未満である。
【0047】
スリット122は、様々な異なる目的を有することができる。一態様では、例えば、スリット122は、分離カラー120が、異なる外径を有するバイオプロセスチューブ110上に外嵌されることを可能にする。更に、スリット122は、分離カラー120をバイオプロセスチューブ110の外面116上に配置するために使用することができる。例えば、スリット122に沿って分離カラー120の対向する端部を把持することによって、分離カラー120をバイオプロセスチューブ110の上に配置することができるように、スリットのサイズを大きくすることができる。代替の実施形態において、スリットがバイオプロセスチューブを収容するために開放するのに必要な力を提供するために、スリット122に沿って分離カラーの対向する端部と係合することができるデバイス又はツールが使用される。更に別の実施形態において、分離カラーは、カラーをバイオプロセスチューブの上に配置することを可能にする開放状態で製造することができる。バイオプロセスチューブの上に配置されると、バイオプロセスチューブの外面に適合する所望の形状に分離カラーを曲げることができる。
【0048】
上記に加えて、スリット122はまた、分離デバイス120をバイオプロセスチューブ110上に摺動可能に取り付けることを可能にする。このようにして、分離カラー120は、バイオプロセスチューブ上の任意の所望の位置に移動させることができる。バイオプロセスチューブ110の外面116上で分離カラー120を摺動させる能力は、後に、流体の流れが停止した後でバイオプロセスチューブを分離するのに最良の位置を決定する際に、かなりの柔軟性を提供する。
【0049】
分離カラー120の長さに沿ったスリット122の幅は、分離カラー120を製造するために使用される材料の種類、バイオプロセスチューブ110の外径等に応じて変化し得る。一態様では、例えば、スリット122は、比較的狭くてもよい。例えば、スリットは、約3mm未満、例えば約2mm未満、例えば約1.5mm未満、例えば約1mm未満、かつ概して約0.5mm超、例えば約1mm超の幅を有することができる。代替的に、スリットは、特に分離カラー120がより大きなバイオプロセスチューブ上に設置される場合、より広くてもよい。例えば、スリットの幅は、約3mm超、例えば約10mm超、例えば約20mm超、例えば約30mm超、かつ概して約100mm未満であり得る。
【0050】
分離カラー120の長さ、したがって、スリットの長さは、概して、約600mm~約10,000mm程度であり得、これらの間の5mmの増分全てを含む。分離カラー120の長さは、例えば、後により詳細に説明されるように、切断後にバイオプロセスチューブを閉鎖状態に維持するのに十分でなければならない。長さの上界は因子ではなく、長さが約3000mm超、例えば約5000mm超、例えば約10,000mm超、例えば約15,000mm超であり得る用途があり得る。
【0051】
図2図6及び図7では、分離カラーは、スリットを画定する一対の隣接する分離縁を含む単一の一体型材料から作製されている。しかしながら、他の実施形態において、分離カラーは、複数の材料片から作製することができる。
【0052】
例えば、図8及び図9を参照すると、第1のカラー部材134、第2のカラー部材136を含む分離カラー120が示されている。第1のカラー部材134及び第2のカラー部材136は、特に図9に示されるように一緒に取り付けることができる。例えば、図9に示される分離カラー120は、第1の隣接する分離縁146の対及び第2の隣接する分離縁148の対を画定する。2つの別々の材料片から作製されることによって、分離カラー120は、バイオプロセスチューブの上に容易に配置することができる。
【0053】
図8に示されるように、第1のカラー部材134及び第2のカラー部材136は、分離縁146及び148に沿って一緒に取り付けることができる。一般に、第1のカラー部材134を第2のカラー部材136に接続するために、任意の好適な取り付けデバイスを使用することができる。図8に示される実施形態において、第1のカラー部材134は、第2のカラー部材136のカールした縁138及び142と係合するように適合されたカールした縁140及び144を含む。しかしながら、カラー部材134と136との間で、それらの隣接する縁に沿って、任意の雄及び雌接続が形成され得ることを理解されたい。
【0054】
代替の実施形態において、第1のカラー部材134は、第1の隣接する分離縁の対のヒンジに沿って、第2のカラー部材136に接続され得る。一方、第2の隣接する分離縁の対は、2つの縁を接続することを可能にする接続デバイスを含むことができる。
【0055】
図4及び図5を参照すると、本開示による切り離しプロセスの一実施形態が示されている。図4のバイオプロセスチューブ110は、2つの異なるバイオプロセスデバイス間に流体連通を提供することができる。バイオプロセスチューブ110は、2つのデバイス間の流体移送に使用され得る。流体移送が終了した後、多くの動作において、第1のバイオプロセスデバイスを第2のバイオプロセスデバイスから切り離すことが望ましい。本開示のバイオプロセス装置は、2つのデバイスを互いから切り離すための効率的かつ便利な方法を提供する。
【0056】
上記で説明したように、分離カラー120は、最初に、バイオプロセスチューブ110上に摺動可能に取り付けられる。次いで、分離カラー120を、切り離し操作が行われ得る任意の所望の位置に移動することができる。適切な位置に位置付けられると、次いで、図4に示される切断ツール150を使用して、分離デバイス120及び下にあるバイオプロセスチューブ110の両方を切断することができる。図4に図示される実施形態において、切断ツール150は、ハンドヘルドデバイスである。しかしながら、他の実施形態では、電動化デバイスも使用され得る。
【0057】
分離カラー120及びバイオプロセスチューブ110を圧縮しながら、同時に両方の材料を切断する切断デバイス150が使用される。例えば、切断デバイス150は、分離デバイス120を変形させてバイオプロセスチューブを圧迫し、バイオプロセスチューブの内壁を一緒に圧縮することができる。バイオプロセスチューブ110及び分離カラー120が一緒に圧縮されると、切断デバイス150は、両方の材料を切断し、図5に示されるように、第1の自由端130及び第2の自由端132を形成する。図5に示されるように、本開示に従って作製された分離カラー120は、切断中に変形し、次いでそれぞれの自由端130及び132を閉鎖状態に維持するのに十分な可鍛性及び剛性を有する材料から作製される。このようにして、本開示のバイオプロセス装置は、無菌的切り離し、更には滅菌シールを生成することができる。
【0058】
一実施形態において、切断動作中にバイオプロセスチューブ110から流体が滴下しない又は漏れないことを確実にするために、分離カラー120から上流及び下流に流れ停止デバイスが設置され得る。流れ停止デバイスは、バイオプロセスチューブ110を通る流体の流れを遮断することができる任意の好適なクランプであり得る。
【0059】
分離カラー120を製造するために使用される材料は、分離カラー120が、バイオプロセスチューブ上に外嵌され得、切断プロセス中に圧縮され得、切断プロセス中に形成された自由端を閉鎖位置に維持することができるように選択されるべきである。分離カラー120は、例えば、ポリマー材料、強化ポリマー材料、金属、又はそれらの混合物から作製することができる。分離カラー120は、単一の材料層から作製することができるか、又は多層設計を有することができる。
【0060】
一態様では、分離カラー120は、アルミニウム等の金属から作製される。分離カラー120の厚さは、概して、約0.5mm超、例えば約0.75mm超、例えば約1mm超、例えば約1.1mm超、例えば約1.2mm超、例えば約1.3mm超、例えば約1.4mm超、例えば約1.5mm超であり得る。厚さは、概して、約4mm未満、例えば約3mm未満、例えば約2mm未満、例えば約1.8mm未満である。
【0061】
分離デバイス120は、バイオプロセスシステム内の任意の所望の位置、例えば、図1のバイオプロセスシステムに示される任意の場所で使用することができる。一態様では、分離カラーを使用して、バイオリアクターを任意の上流又は下流のバイオプロセスデバイスから切り離すことができる。分離カラーは、例えば、バイオリアクターを培地補給、緩衝液補給、ガス補給等から切り離すために使用され得る。分離カラーを使用して、バイオリアクターを濾過デバイス等の下流デバイスから切り離すこともできる。
【0062】
分離カラーは、収集及び精製中にも使用することができる。例えば、分離デバイスを使用して、クロマトグラフィーデバイスを濾過デバイスから分離することができ、又は濾過デバイスをプロセスバッグから分離することができる。
【0063】
本明細書に記載のデバイス、設備、及び方法は、原核細胞株及び/又は真核細胞株を含む任意の所望の細胞株を培養するのに適している。更に、実施形態において、デバイス、設備、及び方法は、懸濁細胞又は固定依存性(接着性)細胞を培養するのに適しており、ポリペプチド製品、核酸製品(例えば、DNA又はRNA)、又は細胞及び/若しくはウイルス(例えば、細胞療法及び/若しくはウイルス療法で使用されるもの等)の、医薬品及びバイオ医薬品の製造のために構成された生産作業に適している。
【0064】
実施形態において、細胞は、組換え治療薬製品又は診断薬製品等の生成物を発現又は産生する。以下により詳細に記載されるように、細胞によって産生される生成物の例は、抗体分子(例えば、モノクローナル抗体、二重特異性抗体)、抗体模倣物(例えば、DARPin、アフィボディ、アドネクチン、若しくはIgNAR等の抗体に特異的に結合するが、構造的に関連しないポリペプチド分子)、融合タンパク質(例えば、Fc融合タンパク質、キメラサイトカイン)、他の組換えタンパク質(例えば、グリコシル化タンパク質、酵素、ホルモン)、ウイルス治療薬(例えば、抗がん腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子療法及びウイルス免疫療法のためのウイルスベクター)、細胞治療薬(例えば、多能性幹細胞、間葉系幹細胞及び成体幹細胞)、ワクチン若しくは脂肪で覆われた粒子(例えば、エクソーム、ウイルス様粒子)、RNA(例えば、siRNA)若しくはDNA(例えば、プラスミドDNA)、抗生物質又はアミノ酸を含むが、これらに限定されない。実施形態において、デバイス、設備、及び方法は、バイオシミラーを生成するために使用することができる。
【0065】
前述のように、実施形態において、デバイス、設備、及び方法は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞若しくは低級真核細胞、例えば、酵母細胞若しくは糸状真菌細胞、又は原核細胞、例えば、グラム陽性若しくはグラム陰性細胞、及び/又は真核細胞若しくは原核細胞の産物、例えば、タンパク質、ペプチド、抗生物質、アミノ酸、核酸(DNA若しくはRNA等)の生成を、大規模な方法で真核細胞によって合成することを可能にする。本明細書に別段の記載がない限り、デバイス、設備、及び方法は、ベンチスケール、パイロットスケール、及び完全生産スケール容量を含むが、これらに限定されない任意の所望の容量又は生産容量を含むことができる。
【0066】
更に、本明細書に別段の記載がない限り、デバイス、設備、及び方法は、撹拌タンク、エアリフト、繊維、マイクロファイバー、中空繊維、セラミックマトリックス、流動床、固定床、及び/又は噴流床バイオリアクターを含むが、これらに限定されない、任意の好適なリアクターを含むことができる。本明細書で使用される場合、「リアクター」は、発酵槽若しくは発酵ユニット、又は任意の他の反応槽を含むことができ、「リアクター」という用語は、「発酵槽」と互換的に使用される。例えば、いくつかの態様では、例示的なバイオリアクターユニットは、以下:栄養素及び/若しくは炭素源の供給、好適な気体(例えば、酸素)の注入、発酵若しくは細胞培養培地の流入及び流出、気相及び液相の分離、温度の維持、酸素及びCO2レベルの維持、pHレベルの維持、かき混ぜ(例えば、撹拌)、並びに/又は洗浄/滅菌のうちの1つ以上、又は全てを行い得る。発酵ユニット等の例示的なリアクターユニットは、ユニット内に複数のリアクターを含んでもよく、例えば、ユニットは、各ユニットかつ/又は施設内に1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、若しくは100個、又はそれ以上のバイオリアクターを有することができ、かつ/又は施設内に単一又は複数のリアクターを有する複数のユニットを含んでもよい。様々な実施形態において、バイオリアクターは、バッチ、半供給バッチ、供給バッチ、灌流、及び/又は連続発酵プロセスに好適であり得る。任意の好適なリアクター直径を使用することができる。実施形態において、バイオリアクターは、約100mL~約50,000Lの体積を有し得る。非限定的な例としては、100mL、250mL、500mL、750mL、1リットル、2リットル、3リットル、4リットル、5リットル、6リットル、7リットル、8リットル、9リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、30リットル、40リットル、50リットル、60リットル、70リットル、80リットル、90リットル、100リットル、150リットル、200リットル、250リットル、300リットル、350リットル、400リットル、450リットル、500リットル、550リットル、600リットル、650リットル、700リットル、750リットル、800リットル、850リットル、900リットル、950リットル、1000リットル、1500リットル、2000リットル、2500リットル、3000リットル、3500リットル、4000リットル、4500リットル、5000リットル、6000リットル、7000リットル、8000リットル、9000リットル、10,000リットル、15,000リットル、20,000リットル、及び/又は50,000リットルの体積が挙げられる。加えて、好適なリアクターは、マルチユース、シングルユース、ディスポーザブル、又は非ディスポーザブルであってもよく、ステンレス鋼(例えば、316L又は任意の他の好適なステンレス鋼)並びにインコネル、プラスチック、及び/又はガラス等の金属合金を含む任意の好適な材料から形成され得る。
【0067】
実施形態において、及び本明細書に特に明記しない限り、本明細書に記載のデバイス、設備、及び方法はまた、特に言及されていない任意の好適な単位操作及び/又は機器、例えば、かかる産物の分離、精製、及び分離のための操作及び/又は機器を含むことができる。任意の好適な設備及び環境、例えば、従来の現場組み立て(stick-built)設備、モジュラー設備、移動設備及び仮設設備、又は任意の他の好適な建設、設備、及び/又はレイアウトを使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、モジュラークリーンルームを使用することができる。更に、特に明記しない限り、本明細書に記載のデバイス、システム、及び方法は、単一の場所又は施設において収容及び/又は実施することができ、あるいは、別々又は複数の場所及び/又は施設において収容及び/又は実施することができる。
【0068】
非限定的な例として、限定されないが、米国公開第2013/0280797号、第2012/0077429号、第2011/0280797号、第2009/0305626号、並びに米国特許第8,298,054号、第7,629,167号、及び第5,656,491号は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれ、好適であり得る例示的な設備、機器、及び/又はシステムを説明する。
【0069】
実施形態において、細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞は、例えば、ヒト又はげっ歯類又はウシ細胞系又は細胞株であり得る。かかる細胞、細胞系又は細胞株の例としては、例えば、マウス骨髄腫(NSO)細胞系、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系、HT1080、H9、HepG2、MCF7、MDBK Jurkat、NIH3T3、PC12、BHK(ベビーハムスター腎細胞)、VERO、SP2/0、YB2/0、Y0、C127、L細胞、COS、例えば、COS1及びCOS7、QC1-3、HEK-293、VERO、PER.C6、HeLA、EBl、EB2、EB3、腫瘍溶解性又はハイブリドーマ細胞系が挙げられる。好ましくは、哺乳動物細胞は、CHO細胞系である。一実施形態において、細胞は、CHO細胞である。一実施形態において、細胞は、CHO-K1細胞、CHO-K1 SV細胞、DG44 CHO細胞、DUXB11 CHO細胞、CHOS、CHO GSノックアウト細胞、CHO FUT8 GSノックアウト細胞、CHOZN、又はCHO由来細胞である。CHO GSノックアウト細胞(例えば、GSKO細胞)は、例えば、CHO-K1 SV GSノックアウト細胞である。CHO FUT8ノックアウト細胞は、例えば、Potelligent(登録商標)CHOK1 SV(Lonza Biologics,Inc.)である。真核細胞はまた、例えば、EBx(登録商標)細胞、EB14、EB24、EB26、EB66、又はEBvl3等のトリ細胞、細胞系又は細胞株であり得る。
【0070】
一実施形態において、真核細胞は、幹細胞である。幹細胞は、例えば、胚性幹細胞(ESC)、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、組織特異的幹細胞(例えば、造血幹細胞)、及び間葉系幹細胞(MSC)を含む多能性幹細胞であり得る。
【0071】
一実施形態において、細胞は、細胞療法用である。
【0072】
一実施形態において、細胞は、T細胞、又は免疫細胞を含み得る。例えば、細胞は、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、腫瘍浸潤リンパ球、単球、巨核球等を含むことができる。
【0073】
一実施形態において、細胞は、本明細書に記載される細胞のうちのいずれかの分化形態である。一実施形態において、細胞は、培養中の任意の初代細胞に由来する細胞である。
【0074】
実施形態において、細胞は、ヒト肝細胞、動物肝細胞、又は非実質細胞等の肝細胞である。例えば、細胞は、代謝について適格性を評価した付着型ヒト肝細胞、誘導について適格性を評価した付着型ヒト肝細胞、Qualyst Transporter Certified(商標)ヒト肝細胞、懸濁液について適格性を評価したヒト肝細胞(10ドナー及び20ドナープール肝細胞を含む)、ヒト肝クッパー細胞、ヒト肝星細胞、イヌ肝細胞(単一及びプールされたビーグル肝細胞を含む)、マウス肝細胞(CD-1及びC57BI/6肝細胞を含む)、ラット肝細胞(Sprague-Dawley、Wistar Han、及びWistar肝細胞を含む)、サル幹細胞(カニクイザル又はアカゲザルの幹細胞を含む)、ネコ幹細胞(ドメスティックショートヘア肝細胞を含む)、及びウサギ幹細胞(ニュージーランドホワイト幹細胞を含む)であり得る。例示的な肝細胞は、Triangle Research Labs,LLC,6 Davis Drive Research Triangle Park,North Carolina,USA 27709から市販されている。
【0075】
一実施形態において、真核細胞は、例えば、酵母細胞(例えば、Pichia属(例えば、Pichia pastoris、Pichia methanolica、Pichia kluyveri、及びPichia angusta)、Komagataella属(例えば、Komagataella pastoris、Komagataella pseudopastoris又はKomagataella phaffii)、Saccharomyces属(例えば、Saccharomyces cerevisae、cerevisiae、Saccharomyces kluyveri、Saccharomyces uvarum)、Kluyveromyces属(例えば、Kluyveromyces lactis、Kluyveromyces marxianus)、Candida属(例えば、Candida utilis、Candida cacaoi、Candida boidinii)、Geotrichum属(例えばGeotrichum fermentans)、Hansenula polymorpha、Yarrowia lipolytica、又はSchizosaccharomyces pombe)等の低級真核細胞である。Pichia pastoris種が好ましい。Pichia pastoris株の例は、X33、GS115、KM71、KM71H、及びCBS7435である。
【0076】
一実施形態において、真核細胞は、真菌細胞(例えば、Aspergillus(例えばA.niger、A.fumigatus、A.orzyae、A.nidula)、Acremonium(例えばA.thermophilum)、Chaetomium(例えばC.thermophilum)、Chrysosporium(例えばC.thermophile)、Cordyceps(例えばC.militaris)、Corynascus、Ctenomyces、Fusarium(例えばF.oxysporum)、Glomerella(例えばG.graminicola)、Hypocrea(例えばH.jecorina)、Magnaporthe(例えばM.orzyae)、Myceliophthora(例えばM.thermophile)、Nectria(例えばN.heamatococca)、Neurospora(例えばN.crassa)、Penicillium、Sporotrichum(例えばS.thermophile)、Thielavia(例えばT.terrestris、T.heterothallica)、Trichoderma(例えばT.reesei)、又はVerticillium(例えばV.dahlia))である。
【0077】
一実施形態において、真核細胞は、昆虫細胞(例えば、Sf9、Mimic(商標)Sf9、Sf21、High Five(商標)(BT1-TN-5B1-4)、又はBT1-Ea88細胞)、藻類細胞(例えば、Amphora属、Bacillariophyceae属、Dunaliella属、Chlorella属、Chlamydomonas属、Cyanophyta(シアノバクテリア)属、Nannochloropsis属、Spirulina属又はOchromonas属)、又は植物細胞(例えば、単子葉植物(例えば、トウモロコシ、米、小麦、又はセタリア)由来)、若しくは双子葉植物(例えば、キャッサバ、ジャガイモ、大豆、トマト、たばこ、アルファルファ、Physcomitrella patens又はArabidopsis)由来の細胞である。
【0078】
一実施形態において、細胞は、細菌細胞又は原核細胞である。
【0079】
実施形態において、原核細胞は、Bacillus、Streptomyces Streptococcus、Staphylococcus又はLactobacillus等のグラム陽性細胞である。使用可能なBacillusは、例えば、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、B.licheniformis、B.natto、又はB.megateriumである。実施形態において、細胞は、B.subtilis、例えば、B.subtilis 3NA及びB.subtilis 168である。Bacillusは、例えば、Bacillus Genetic Stock Center,Biological Sciences 556,484 West 12th Avenue,Columbus OH 43210-1214から入手可能である。
【0080】
一実施形態において、原核細胞は、Salmonella spp.又はEscherichia coli等のグラム陰性細胞、例えば、TG1、TG2、W3110、DH1、DHB4、DH5a、HMS174、HMS174(DE3)、NM533、C600、HB101、JM109、MC4100、XL1-Blue、及びOrigami、並びに例えばBL-21又はBL21(DE3)等のE.coli B株に由来する細胞であり、これらは全て市販されている。
【0081】
好適な宿主細胞は、例えば、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH、Braunschweig、Germany)又はAmerican Type Culture Collection(ATCC)等の培養物コレクションから市販されている。
【0082】
実施形態において、培養細胞を使用して、治療用のタンパク質、例えば、抗体、例えば、モノクローナル抗体、及び/又は組換えタンパク質を産生する。実施形態において、培養細胞は、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、又は他の有用な生化学的中間体若しくは代謝物を産生する。例えば、実施形態において、約4000ダルトン~約140,000ダルトン超の分子量を有する分子を産生することができる。実施形態において、これらの分子は、様々な複雑さを有し得、グリコシル化を含む翻訳後修飾を含み得る。
【0083】
実施形態において、タンパク質は、例えば、BOTOX、Myobloc、Neurobloc、Dysport(又はボツリヌス神経毒素の他の血清型)、アルグルコシダーゼアルファ、ダプトマイシン、YH-16、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、フィルグラスチム、セトロレリックス、インターロイキン-2、アルデスロイキン、テセロイリン、デニロイキンジフチトクス、インターフェロンα-n3(注射)、インターフェロンα-nl、DL-8234、インターフェロン、Suntory(γ-1a)、インターフェロンγ、チモシンアルファ1、タソネルミン、DigiFab、ViperaTAb、EchiTAb、CroFab、ネシリチド、アバタセプト、アレファセプト、Rebif、エプトテルミンアルファ、テリパラチド(骨粗しょう症)、注射用カルシトニン(骨疾患)、カルシトニン(鼻、骨粗しょう症)、エタネルセプト、ヘモグロビングルタマー250(ウシ)、ドロトレコギンアルファ、コラゲナーゼ、カルペリチド、組換えヒト上皮成長因子(局所ゲル、創傷治癒)、DWP401、ダルベポエチンアルファ、エポエチンオメガ、エポエチンベータ、エポエチンアルファ、デシルジン、レピルジン、ビバリルジン、ノナコグアルファ、Mononine、エプタコグアルファ(活性化)、組換え第VIII因子+VWF、Recombinate、組換え第VIII因子、第VIII因子(組換え)、Alphnmate、オクトコグアルファ、第VIII因子、パリフェルミン、Indikinase、テネクテプラーゼ、アルテプラーゼ、パミテプラーゼ、レテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、フォリトロピンアルファ、rFSH、hpFSH、ミカファンギン、ペグフィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチム、セルモレリン、グルカゴン、エキセナチド、プラムリンチド、イニグルセラーゼ、ガルスルファーゼ、Leucotropin、モルグラモスチルム、トリプトレリン酢酸塩、ヒストレリン(皮下インプラント、Hydron)、デスロレリン、ヒストレリン、ナファレリン、ロイプロリド徐放性デポ(ATRIGEL)、ロイプロリドインプラント(DUROS)、ゴセレリン、Eutropin、KP-102プログラム、ソマトロピン、メカセルミン(成長不全)、エンルファビルチド、Org-33408、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリン(吸入)、インスリンリスプロ、インスリンデテルニル、インスリン(口腔、RapidMist)、メカセルミンリンファベート、アナキンラ、セルモロイキン、99mTc-アプシチド注射、ミエロピド、Betaseron、グラチラマー酢酸塩、Gepon、サルグラモスチム、オプレルベキン、ヒト白血球由来αインターフェロン、Bilive、インスリン(組換え)、組換えヒトインスリン、インスリンアスパルト、メカセニン、Roferon-A、インターフェロンα2、Alfaferone、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンα、Avonex組換えヒト黄体形成ホルモン、ドルナーゼアルファ、トラフェルミン、ジコノチド、タルチレリン、ジボテルミンアルファ、アトシバン、ベカプレルミン、エプチフィバチド、Zemaira、CTC-111、Shanvac-B、HPVワクチン(四価)、オクトレオチド、ランレオチド、アンセスチム、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、プレザチド酢酸銅(局所ゲル)、ラスブリカーゼ、ラニビズマブ、Actimmune、PEG-イントロン、Tricomin、組換えチリダニアレルギー脱感作注射、組換えヒト副甲状腺ホルモン(PTH)1-84(sc、骨粗しょう症)、エポエチンデルタ、トランスジェニック抗トロンビンIII、グランジトロピン、Vitrase、組換えインスリン、インターフェロンα(経口ロゼンジ)、GEM-21S、バプレオチド、イデュルスルファーゼ、オムナパトリラート、組換え血清アルブミン、セルトリズマブペゴール、グルカルピダーゼ、ヒト組換えC1エステラーゼ阻害剤(血管浮腫)、ラノテプラーゼ、組換えヒト成長ホルモン、エンフビルチド(無針注射、Biojector 2000)、VGV-1、インターフェロン(アルファ)、ルシナクタント、アビプタジル(吸入、肺疾患)、イカチバント、エカランチド、オミガナン、Aurograb、ペキシガナン酢酸塩、ADI-PEG-20、LDI-200、デガレリクス、シントレデリン・ベスドトックス、Favld、MDX-1379、ISAtx-247、リラグルチド、テリパラチド(骨粗しょう症)、チファコギン、AA4500、T4N5リポソームローション、カツマキソマブ、DWP413、ART-123、クリサリン、デスモテプラーゼ、アメジプラーゼ、コリフォリトロピンアルファ、TH-9507、テデュグルチド、Diamyd、DWP-412、成長ホルモン(徐放性注射)、組換えG-CSF、インスリン(吸入、AIR)、インスリン(吸入、Technosphere)、インスリン(吸入、AERx)、RGN-303、DiaPep277、インターフェロンβ(C型肝炎ウイルス感染症(HCV))、インターフェロンα-n3(経口)、ベラタセプト、経皮インスリンパッチ、AMG-531、MBP-8298、Xerecept、オペバカン、AIDSVAX、GV-1001、LymphoScan、ランピルナーゼ、Lipoxysan、ルスプルチド、MP52(β-リン酸三カルシウム担体、骨再生)、黒色腫ワクチン、シプロイセル-T、CTP-37、インセジア、ビテスペン、ヒトトロンビン(凍結物、手術による出血)、トロンビン、TransMID、アルフィメプラーゼ、Puricase、テルリプレシン(静脈内、肝腎症候群)、EUR-1008M、組換えFGF-I(注射用、血管疾患)、BDM-E、ロチガプチド、ETC-216、P-113、MBI-594AN、デュラマイシン(吸入、嚢胞性線維症)、SCV-07、OPI-45、エンドスタチン、アンジオスタチン、ABT-510、ボーマン・バーク型阻害物質濃縮剤、XMP-629、99mTc-HYNIC-アネキシンV、カハラライドF、CTCE-9908、テベレリクス(持続放出)、オザレリクス、ロルニデプシン、BAY-504798、インターロイキン4、PRX-321、Pepscan、イボクタデキン、rhラクトフェリン、TRU-015、IL-21、ATN-161、シレンギチド、アルブフェロン、Biphasix、IRX-2、オメガインターフェロン、PCK-3145、CAP-232、パシレオチド、huN901-DMI、卵巣がん免疫療法ワクチン、SB-249553、Oncovax-CL、OncoVax-P、BLP-25、CerVax-16、マルチエピトープペプチド黒色腫ワクチン(MART-1、gp100チロシナーゼ)、ネミフィチド、rAAT(吸入)、rAAT(皮膚科)、CGRP(吸入、喘息)、ペグスネルセプト、チモシンベータ4、プリチデプシン、GTP-200、ラモプラニン、GRASPA、OBI-1、AC-100、サケカルシトニン(経口、Eligen)、カルシトニン(経口、骨粗しょう症)、エクサモレリン、カプロモレリン、Cardeva、ベラフェルミン、131I-TM-601、KK-220、T-10、ウラリチド、デペレスタット、ヘマチド、Chrysalin(局所)、rNAPc2、組換え第VIII因子(PEG化リポソーム)、bFGF、PEG化組換えスタフィロキナーゼ変異体、V-10153、SonoLysis Prolyse、NeuroVax、CZEN-002、膵島細胞新生療法、rGLP-1、BIM-51077、LY-548806、エキセナチド(制御放出、Medisorb)、AVE-0010、GA-GCB、アボレリン、ACM-9604、酢酸リナクロチド、CETi-1、Hemospan、VAL(注射用)、速効性インスリン(注射用、Viadel)、鼻腔内インスリン、インスリン(吸入)、インスリン(経口、Eligen)、組換えメチオニルヒトレプチン、ピトラキンラ皮下注射剤(湿疹)、ピトラキンラ(吸入用乾燥粉末、喘息)、Multikine、RG-1068、MM-093、NBI-6024、AT-001、PI-0824、Org-39141、Cpn10(自己免疫疾患/炎症)、タラクトフェリン(局所)、rEV-131(眼科用)、rEV-131(呼吸器疾患)、経口組換えヒトインスリン(糖尿病)、RPI-78M、オプレルベキン(経口)、CYT-99007 CTLA4-Ig、DTY-001、バラテグラスト、インターフェロンα-n3(局所)、IRX-3、RDP-58、Tauferon、胆汁酸塩刺激リパーゼ、Merispase、アラリンホスファターゼ、EP-2104R、メラノタン-II、ブレメラノチド、ATL-104、組換えヒトマイクロプラスミン、AX-200、SEMAX、ACV-1、Xen-2174、CJC-1008、ダイノルフィンA、SI-6603、LAB GHRH、AER-002、BGC-728、マラリアワクチン(ビロソーム、PeviPRO)、ALTU-135、パルボウイルスB19ワクチン、インフルエンザワクチン(組換えノイラミニダーゼ)、マラリア/HBVワクチン、炭疽ワクチン、Vacc-5q、Vacc-4x、HIVワクチン(経口)、HPVワクチン、Tatトキソイド、YSPSL、CHS-13340、PTH(1-34)リポソームクリーム(Novasome)、オスタボリン-C、PTHアナログ(局所用、乾癬)、MBRI-93.02、MTB72Fワクチン(結核)、MVA-Ag85Aワクチン(結核)、FARA04、BA-210、組換えペストFIVワクチン、AG-702、OxSODrol、rBetV1、Der-p1/Der-p2/Der-p7アレルゲン標的化ワクチン(チリダニアレルギー)、PR1ペプチド抗原(白血病)、変異型rasワクチン、HPV-16 E7リポペプチドワクチン、ラビリンチンワクチン(腺がん)、CMLワクチン、WT1ペプチドワクチン(がん)、IDD-5、CDX-110、Pentrys、Norelin、CytoFab、P-9808、VT-111、イクロカプチド、テルベルミン(皮膚科、糖尿病性足潰瘍)、ルピントリビル、レチキュロース、rGRF、HA、α-ガラクトシダーゼA、ACE-011、ALTU-140、CGX-1160、アンジオテンシン治療ワクチン、D-4F、ETC-642、APP-018、rhMBL、SCV-07(経口、結核)、DRF-7295、ABT-828、ErbB2特異的免疫毒素(抗がん剤)、DT3SSIL-3、TST-10088、PRO-1762、Combotox、コレシストキニン-B/ガストリン受容体結合ペプチド、111In-hEGF、AE-37、トラスニズマブ-DM1、アンタゴニストG、IL-12(組換え)、PM-02734、IMP-321、rhIGF-BP3、BLX-883、CUV-1647(局所)、L-19ベースの放射線免疫療法剤(がん)、Re-188-P-2045、AMG-386、DC/1540/KLHワクチン(がん)、VX-001、AVE-9633、AC-9301、NY-ESO-1ワクチン(ペプチド)、NA17.A2ペプチド、黒色腫ワクチン(パルス抗原治療薬)、前立腺がんワクチン、CBP-501、組換えヒトラクトフェリン(ドライアイ)、FX-06、AP-214、WAP-8294A(注射用)、ACP-HIP、SUN-11031、ペプチドYY[3-36](肥満、鼻腔内)、FGLL、アタシセプト、BR3-Fc、BN-003、BA-058、ヒト副甲状腺ホルモン1-34(点鼻用、骨粗しょう症)、F-18-CCR1、AT-1100(セリアック病/糖尿病)、JPD-003、PTH(7-34)リポソームクリーム
(Novasome)、デュラマイシン(眼科用、ドライアイ)、CAB-2、CTCE-0214、グリコPEG化エリスロポエチン、EPO-Fc、CNTO-528、AMG-114、JR-013、第XIII因子、アミノカンジン、PN-951、716155、SUN-E7001、TH-0318、BAY-73-7977、テベレリクス(即時放出)、EP-51216、hGH(制御放出、Biosphere)、OGP-I、シフビルチド、TV4710、ALG-889、Org-41259、rhCC10、F-991、チモペンチン(肺疾患)、r(m)CRP、肝選択的インスリン、スバリン、L19-IL-2融合タンパク質、エラフィン、NMK-150、ALTU-139、EN-122004、rhTPO、トロンボポエチン受容体顎のイスト(血小板減少性障害)、AL-108、AL-208、神経成長因子アンタゴニスト(疼痛)、SLV-317、CGX-1007、INNO-105、経口テリパラチド(Eligen)、GEM-OS1、AC-162352、PRX-302、LFn-p24融合ワクチン(Therapore)、EP-1043、小児用肺炎球菌ワクチン、マラリアワクチン、B群髄膜炎菌ワクチン、新生児B群連鎖球菌ワクチン、炭疽ワクチン、HCVワクチン(gpE1+gpE2+MF-59)、中耳炎治療、HCVワクチン(コア抗原+ISCOMATRIX)、hPTH(1-34)(経皮、ViaDerm)、768974、SYN-101、PGN-0052、アビスクミン、BIM-23190、結核ワクチン、マルチエピトープチロシナーゼペプチド、がんワクチン、エンカスチム、APC-8024、GI-5005、ACC-001、TTS-CD3、血管標的TNF(固形腫瘍)、デスモプレシン(口腔制御放出)、オネルセプト、及びTP-9201である。
【0084】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、アダリムマブ(HUMIRA)、インフリキシマブ(REMICADE(商標))、リツキシマブ(RITUXAN(商標)/MAB THERA(商標))エタネルセプト(ENBREL(商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(商標))、ペグリルグラスチム(NEULASTA(商標))、又はバイオシミラー及びバイオベターを含む任意の他の好適なポリペプチドである。
【0085】
他の好適なポリペプチドは、以下及びUS2016/0097074の表1に列挙されるものである。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0086】
実施形態において、ポリペプチドは、表2に示されるホルモン、血液凝固/凝固因子、サイトカイン/成長因子、抗体分子、融合タンパク質、タンパク質ワクチン、又はペプチドである。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0087】
実施形態において、タンパク質は、多重特異性タンパク質、例えば、表3に示される二重特異性抗体である。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0088】
本発明に対するこれら及び他の修正並びに変更は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者は、前述の説明が例としてのみであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】