(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-04
(54)【発明の名称】サブウーファ位相アライメント制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/04 20060101AFI20231222BHJP
H04S 7/00 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
H04R3/04
H04S7/00 370
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562632
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 US2021064162
(87)【国際公開番号】W WO2022133290
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523231299
【氏名又は名称】サウンド ユナイテッド リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】オース スコット
【テーマコード(参考)】
5D162
5D220
【Fターム(参考)】
5D162CA21
5D162DA23
5D162EG09
5D220AB04
(57)【要約】
1つまたは複数のサブウーファを備えたマルチスピーカ(たとえばホームシアターまたはステレオ)オーディオシステムが改良型位相調整可能サブウーファ222を含み、改良型サブウーファ位相調整方法が、サブウーファの出力をシステムのスピーカの出力の残りの部分とブレンドするための、最も満足のいくサブウーファ位相調整値をユーザが迅速かつ正確に選択することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチスピーカホームシアターシステムにおいて使用するために構成されたサブウーファのための位相アライメント制御システムであって、
少なくとも4つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値であって、前記システムが前記異なるユーザ選択可能位相補正設定値のうちの1つを一度に選択することを可能にする、前記少なくとも4つの異なるユーザ選択位相補正設定値と、
選択可能同調周波数を有する単一の1次全域通過フィルタ(260)と、
極性選択段(270)とを含み、
前記位相アライメント制御システムが、前記異なるユーザ選択可能位相補正設定値のうちの選択された前記1つの位相補正設定値に応答して入力信号に位相変化を適用することによって、出力信号を生成するように構成され、
前記位相アライメント制御システムが、(a)前記1次全域通過フィルタ(260)が選択された同調周波数の結果として位相変化を生じさせることと、(b)前記極性選択段(270)が極性反転を選択的に適用するかまたは適用しないこととの組合せによって、前記入力信号に前記位相変化を適用するように構成されている、位相アライメント制御システム。
【請求項2】
前記位相アライメント制御システムが、位相角の第1の望ましい変化、すなわちX
1度に対応する第1のユーザ選択可能位相補正設定値に応答して、位相角の前記第1の望ましい変化が、(a)前記1次全域通過フィルタがY度の位相変化を生じさせることと、(b)前記極性選択段が極性反転を適用し、それによって180度の位相変化を加えることとによって実現されるように構成され、X
1とYとの差の大きさが180度である、請求項1に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項3】
前記位相アライメント制御システムが、位相角の第2の望ましい変化、すなわちX
2度に対応する第2のユーザ選択可能位相補正設定値に応答して、位相角の前記第2の望ましい変化が、(a)前記1次全域通過フィルタがX
2度の位相変化を生じさせることと、(b)前記極性選択段が極性反転を適用しないこととによって実現されるように構成されている、請求項1または2に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項4】
前記位相アライメント制御システムが、位相角の第3の望ましい変化、すなわち180度に対応する第3のユーザ選択可能位相補正設定値に応答して、位相角の前記第3の望ましい変化が、(a)前記1次全域通過フィルタが位相変化を生じさせないことと、(b)前記極性選択段が極性反転を適用することとによって実現されるように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項5】
前記位相アライメント制御システムが、位相角の第4の望ましい変化、すなわち0度に対応する第4のユーザ選択可能位相補正設定値に応答して、位相角の前記第4の望ましい変化が、(a)前記1次全域通過フィルタが位相変化を生じさせないことと、(b)前記極性選択段が極性反転を適用しないこととによって実現されるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項6】
少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値が-10度~+10度の範囲内であり、
少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値が+80度~+190度の範囲内であり、
少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値が+10度~-100度の範囲内であり、
少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値が-80度~-190度の範囲内である、請求項1~5のいずれか1項に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項7】
(a)8個以上、および(b)24個以下のユーザ選択位相補正設定値がある、請求項1~6のいずれか1項に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項8】
前記位相アライメント制御システムが、前記1次全域通過フィルタ(260)の前記選択同調周波数がサブウーファクロスオーバー周波数に少なくとも部分的に応答して選択されるように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項9】
前記位相アライメント制御システムが、前記1次全域通過フィルタ(260)の前記選択同調周波数がサブウーファクロスオーバー周波数と、前記異なるユーザ選択可能位相補正設定値のうちのいずれの位相補正設定値が選択されるかとに応答して選択されるように構成され、異なるユーザ設定可能位相補正設定値の第1のサブセットについて、選択される前記同調周波数が前記サブウーファクロスオーバー周波数より低く、異なるユーザ選択可能位相補正設定値の第2のサブセットについて、選択される前記同調周波数が前記サブウーファクロスオーバー周波数より高い、請求項8に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項10】
前記位相アライメント制御システムが、調整可能増幅器利得段を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項11】
前記位相アライメント制御システムが、サブウーファ内またはサブウーファ上に組み込まれている、請求項1~10のいずれか1項に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項12】
前記異なるユーザ選択可能位相補正設定値のうちのいずれが選択されているかを表示するように構成されているユーザディスプレイデバイスを備えた、請求項1~11のいずれか1項に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項13】
前記ユーザディスプレイデバイスが、前記ユーザが望ましいユーザ選択可能位相補正設定値を選択することを可能にするようにも構成されている、請求項12に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項14】
前記ユーザディスプレイデバイスがリモートデバイスである、請求項12または13に記載の位相アライメント制御システム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の組み込み位相アライメント制御システムを含む、サブウーファ。
【請求項16】
サブウーファと、請求項1~14のいずれか1項に記載の位相アライメント制御システムとを含むマルチスピーカホームシアターシステムであって、前記サブウーファが前記位相アライメント制御システムからの出力信号に基づいて駆動される、マルチスピーカホームシアターシステム。
【請求項17】
マルチスピーカホームシアターシステムであって、
低周波数動作範囲を有する少なくとも1つのサブウーファスピーカドライバと、
それぞれがより高い周波数の動作範囲を有し、サラウンドサウンドシステムを提供するように配置された複数の他のスピーカドライバと、
オーディオ信号源(たとえばAVR)とを含み、
前記システムが、
前記システムのユーザが、
前記サブウーファスピーカドライバと前記他のスピーカドライバのうちの1つまたは複数のスピーカドライバとの間でオーディオ信号がどのように分配されるかを決定するカットオフ周波数と、
サブウーファ位相補正値の両方を選択することができるように構成され、
前記マルチスピーカホームシアターシステムが、前記オーディオ信号源からのオーディオ信号が前記サブウーファスピーカドライバに渡される前に、前記オーディオ信号の位相を変更するように組み合わさって構成された単一の1次全域通過フィルタと極性インバータとを有し、
前記信号が、選択された前記サブウーファ位相補正値と選択された前記カットオフ周波数とに基づいて自動的に選択される同調周波数で動作する、前記1次全域通過フィルタによって変更され、
前記極性インバータが、選択された前記サブウーファ位相補正値に基づいて0度または180度の位相変化を生じさせ、
それによって、そうしなければ存在する可能性があるサブウーファ信号位相誤差をユーザが低減することができるようにする、マルチスピーカホームシアターシステム。
【請求項18】
サブウーファを動作させる方法であって、
(a)選択されたローパスフィルタ制御周波数に基づいて動作するように構成されたローパスフィルタを介して(たとえばAVR15または215から)オーディオ信号入力を受信するステップと、
(b)前記ローパスフィルタ制御周波数と複数の異なるユーザ選択可能位相補正設定値からユーザによって選択された望ましい位相制御設定値(240)とを検知または判定するステップと、
(c)前記のように検知または判定された前記ローパスフィルタ制御周波数と前記望ましい位相制御設定値(240)とに応答して、望ましい同調周波数および望ましい極性(たとえば「-」を反転するかまたは「+」を反転しない)を計算または選択するステップと、
(d)前記のように計算または選択された前記望ましい同調周波数に設定された単一の1次全域通過フィルタ(「APF」)によって前記入力信号の位相を変更し、前記のように計算または選択された前記望ましい極性に応答して前記極性を変更するかまたは変更しないステップと、
(e)前記のように変更された前記オーディオ信号の結果の信号によって前記サブウーファを駆動するステップとを含む方法。
【請求項19】
前記望ましい同調周波数を計算または選択する前記ステップが、メモリデバイスに記憶されたルックアップテーブル(たとえばマトリックス250)を参照することを含み、前記ルックアップテーブルがローパスフィルタ制御周波数の値と望ましい位相制御設定値との異なる組合せのための望ましい同調周波数値を提供する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ルックアップテーブルが、ローパスフィルタ制御周波数の複数の値と、4個と24個とを含めた4個と24個の間の望ましい位相制御設定値との各組合せのための、望ましい同調周波数値を提供する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
サブウーファのための改良型位相アライメント制御システムを含むマルチスピーカホームシアターシステム(たとえば200)において使用するためのアクティブサブウーファであって、
(a)(たとえばAVR15または215からの)オーディオ信号入力215と、ローパスフィルタカットオフ周波数のための第1のユーザ調整可能制御入力230と、望ましい位相制御設定のための第2のユーザ調整可能制御入力240とに応答して、少なくとも1つの動電型トランスデューサD1を駆動するように構成された少なくとも1つの増幅器段A1を支持する筐体を有するサブウーファシステム(たとえば222)を含み、
(b)前記第2の制御入力240が、等間隔のインクリメントにおける少なくとも4つの複数の異なるユーザ選択可能位相補正設定値から選択されたユーザ選択位相補正設定値を位相アライメント制御システム222に供給し、前記第1の制御入力230がユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数信号を前記位相アライメント制御システム222に供給し、
(c)前記位相アライメント制御システム222が、調整可能であって使用時に前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数に応答して自動的に設定される調整可能全域通過同調周波数f
0を有する単一の全域通過フィルタ260と、(ii)前記増幅器利得段A1に組み込まれてもよい極性選択段270とを含み、
(d)前記位相アライメント制御システム222が、(i)前記第1の制御入力230および前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数信号と、(ii)前記第2の制御入力240および前記ユーザ選択位相補正設定値との両方に応答し、それに応答して、前記サブウーファドライバD1のための位相、極性および振幅調整されたオーディオ信号を生成する、アクティブサブウーファ。
【請求項22】
前記第2の制御入力240が、前記位相アライメント制御システム222に対する等間隔の位相インクリメントにおける8つの複数の異なるユーザ選択可能位相補正設定値を含み、ローパスフィルタカットオフ周波数のための前記第1のユーザ調整可能制御入力230が、選択された複数の等間隔の周波数における40ヘルツ~150ヘルツの周波数範囲内で動作するように構成されている、請求項21に記載のアクティブサブウーファ。
【請求項23】
前記第1の制御入力230が前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数信号を前記位相アライメント制御システム222に、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz、80Hz、85Hz、90Hz、95Hz、100Hz、105Hz、110Hz,115Hz、120Hz、125Hz、130Hz、135Hz、140Hz、145Hzおよび150Hzの等間隔の周波数から選択された1つのユーザ選択カットオフ周波数として供給し、前記全域通過フィルタの選択可能同調周波数f
0が、前記ユーザ選択カットオフ周波数と前記ユーザ選択位相補正設定値とに応答して自動的に調整される、請求項22に記載のアクティブサブウーファ。
【請求項24】
前記第2の制御入力240が、-135度、-90度、-45度、ゼロ度、+45度、+90度、+135度および+180度の等間隔の位相補正設定値から、1つのユーザ設定位相補正設定値を前記位相アライメント制御システム222に供給する、請求項22に記載のアクティブサブウーファ。
【請求項25】
前記位相アライメント制御システム222が、前記ユーザ選択位相補正設定値が-90度または+90度である場合に、前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数に等しい値に自動的に設定される調整可能全域通過同調周波数f
0を供給するようにプログラムされている、請求項22に記載のアクティブサブウーファ。
【請求項26】
前記位相アライメント制御システム222が、前記ユーザ選択位相補正設定値がゼロ度または180度の場合に前記全域通過フィルタ260を自動的にバイパスするようにプログラムされている、請求項22に記載のアクティブサブウーファ。
【請求項27】
前記位相アライメント制御システム222が、映画サウンドトラック、音楽または試験音オーディオ信号を聴いている間に室内の聴取位置24におけるユーザによって保持されているときに手持ちリモートコントロールから送信される、ユーザ選択位相補正設定値およびユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数信号に応答するように構成およびプログラムされている、請求項22に記載のアクティブサブウーファ。
【請求項28】
聴取者またはユーザが、サブウーファの出力を室内12におけるマルチスピーカ(たとえばステレオまたはホームシアター)システムの出力の残りの部分とブレンドするために、最も満足のいくサブウーファ位相調整値または位相補正設定値を迅速かつ正確に選択することを可能にするサブウーファ位相制御方法であって、
(a)(たとえばAVR15または215からの)オーディオ信号入力215を受信するように構成され、ローパスフィルタカットオフ周波数のための第1のユーザ調整可能制御入力230と、望ましい位相制御設定のための第2のユーザ調整可能制御入力240とを有するサブウーファシステム(たとえば222)を提供することであって、前記第2の制御入力240が、等間隔の位相インクリメントにおける少なくとも4つの複数の異なるユーザ選択可能位相補正設定値から選択されたユーザ選択位相補正設定値を位相アライメント制御システム222に供給し、前記第1の制御入力230が、ユーザ選択ローパスフィルタカットオフ周波数信号を前記位相アライメント制御システム222に供給し、前記位相アライメント制御システム222が、調整可能であって使用時に前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数に応答して自動的に設定される調整可能全域通過同調周波数f
0を有する単一の全域通過フィルタ260を含む、サブウーファシステムを提供することと、
(b)前記聴取者または前記ユーザのための聴取位置24を有する室内12に前記サブウーファシステム222を配置することと、
(c)位置24における前記聴取者または前記ユーザが、前記マルチスピーカシステムの出力の残りの部分と同時に再生しているときに、前記サブウーファの出力を聴覚的に評価することができるように、前記ステレオまたはホームシアターシステムにおけるスピーカのすべてを通して音楽、映画サウンドトラック、試験音信号またはその他のオーディオプログラム素材を再生することと、その間に、
(d)位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正の前記第2の制御入力240のユーザの第1の調整を検出することであって、前記ユーザの第1の調整が前記少なくとも4つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値からの第1の選択である、ユーザの第1の調整を検出することと、それに応答して、
(e)前記サブウーファのための第1の位相、極性および振幅調整されたオーディオ信号275を生成することとを含み、聴取位置24における前記ユーザが前記室内における前記システムのスピーカの出力の残りの部分との第1のブレンドされたサブウーファの出力を評価することができる、サブウーファ位相制御方法。
【請求項29】
(f)位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正設定の前記第2の制御入力240のユーザの第2の調整を検出することであって、前記ユーザの第2の調整が、前記ユーザの第1の調整とは異なる前記少なくとも4つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値からの第2の選択である、ユーザの第2の調整を検出することと、それに応答して、
(g)前記サブウーファのための第2の位相、極性および振幅調整されたオーディオ信号275を生成することであって、聴取位置24における前記ユーザが、前記室内の前記システムのスピーカの出力の残りの部分の第2のブレンドされたサブウーファの出力が、位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正の前記第2の制御入力240のいずれの前の調整からの出力よりも好ましいか否かを評価することができる、オーディオ信号275を生成することとをさらに含む、請求項28に記載の改良型サブウーファ位相制御方法。
【請求項30】
(h)位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正の前記第2の制御入力240のユーザの第3の調整を検出することであって、前記ユーザの第3の調整が、前記ユーザの第1および第2の調整とは異なる、前記少なくとも4つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値からの第3の選択である、ユーザの第3の調整を検出することと、それに応答して、
(i)前記サブウーファのための第3の位相、極性および振幅調整されたオーディオ信号275を生成することであって、聴取位置24における前記ユーザが、前記室内の前記システムのスピーカの出力の残りの部分との第3のブレンドされたサブウーファ出力が、位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正の前記第2の制御入力240のいずれの前の調整からの出力よりも好ましいか否かを評価することができる、オーディオ信号275を生成することとをさらに含む、請求項29に記載の改良型サブウーファ位相制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
背景説明および用語表記のために、本出願は以下の共通所有特許出願に関連し、参照によりその全体が本明細書にも組み込まれる。
(a)2008年5月21日出願の米国特許出願第12/153,623号(現在、米国特許第8,194,874号)、
(b)2011年6月16日出願の米国特許出願第13/162,294号(現在、米国特許第8,995,697号)、
(c)2014年12月8日出願の米国特許出願第14/563,508号(現在米国特許第9,374,640号)、および
(d)2020年3月23日出願のPCT/US20/24232号(現在、WIPO公開WO2020/191401号)。
本出願は、2020年12月17日に出願された米国特許仮出願第63/127,073号(「Subwoofer Phase Alignment Control Method and System」)の優先権を主張する。この米国特許仮出願の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、サブウーファスピーカシステムおよびそのクロスオーバーネットワークで使用するために構成された方法および回路に関する。
【背景技術】
【0003】
消費者オーディオシステムは多くの場合、メディア空間または室内12に配置された、全体が10に示されているような典型的な従来技術のサラウンドサウンドシステムの透視図および上面図を示す
図1Aおよび
図1Bに示すように、聴取者の室内に一緒に配置される、1つまたは複数のメインまたはサテライトスピーカと、1つまたは複数のサブウーファとを含む。図のシステムは、ホームシアターまたはその他のオーディオ/ビデオ(AV)源14を有し、任意によりオーディオビデオ受信器(「AVR」)15を含む、従来のDolby(R)デジタル構成である。システム10は、サブウーファ22とともに使用され、たとえばソファまたは椅子などの聴取位置または聴取場所24における聴取者の主要着席領域の前にすべてが配置された、左チャンネルスピーカ16と、右チャンネルスピーカ18と、中央チャンネルスピーカ20をも含む。システムは、スピーカによって放射される音に広大感を与え、映画およびコンサートなどのAVプログラムに周囲音を与えるために、聴取場所の両側から離隔された1対の左右のサラウンドスピーカを含むことが多い。また、典型的なホームシアターシステム10には、より強力なサラウンドサウンドを与えるために、全体として聴取場所の背後および両側に配置された左右のバックスピーカ30および32も含まれる。スピーカは、好ましくはAVユニット14と聴取場所24とを通る中心線34を中心として配置される。サブウーファ22は典型的には「アクティブ」サブウーファシステムであり、すなわち単一の筐体内に、ラインレベル「SW」入力(典型的には単一のRCAメスコネクタ)と、入力接続およびユーザアクセス可能コントロール(たとえばカットオフ周波数ダイヤル、「+/-極性」または「0度または180度」位相スイッチ、および「自動オン/オフ」有効化スイッチ)の配列とを有する、増幅器アセンブリに接続された動電型「ウーファ」または低周波ドライバを含んでいる。より旧型の「パッシブ」サブウーファ(2チャンネル「ステレオ」システムで使用されることが多い)は、内蔵増幅器を持たず、選択されたカットオフ周波数(たとえば80Hz)より下の信号をデュアルボイスコイルウーファドライバに分配し、より高周波の信号を左右の「メイン」スピーカ(たとえば16および18)に渡す、パッシブクロスオーバー回路を含んでいた。
【0004】
図1Cを参照すると、フルレンジスピーカシステム50が、メイン左右スピーカ(16、18)として使用される場合があり、典型的には低周波モジュールまたは「サブウーファ」部58と、(通過帯域が中低音/高低音周波数によって境界が定められた)中低音ドライバ60、62を備えたサテライト部52と、たとえば人間の高可聴範囲を超えて延びる超高音域のためのツイータ64とからなる。従来の「サブウーファ-サテライト」システム(「パワードタワー」、すなわち単一の筐体内(たとえば
図1Cに示す50)内に共在するパッシブスピーカと一緒になったパワードサブウーファによって実現されるか、またはアクティブサウンドバーサブウーファシステム(たとえば、
図1Dに示すような、サウンドバー110と別個サブウーファ130とを備えたシステム100)によって実現されるかを問わず)は、サブウーファ-「サテライト」通過帯域にわたる音響マグニチュード応答制御不良の問題があった。通過帯域全体にわたってサブウーファ信号レベルを単純に均等に増減すると、クロスオーバー通過帯域を通過および超える過剰または不十分なサブウーファレベルが生じる(80Hzに設定された受信器クロスオーバーと、付随するメインLCRスピーカ(たとえば16、18および20)またはサウンドバー110の固有ハイパス特性をモデル化する二次バターワースフィルタ(2nd order Butterworth filter)とを示す、
図1Eの典型的な理想または理論周波数応答プロットを参照)。
【0005】
フルレンジスピーカシステム(たとえば50または100)を含むいずれのステレオまたはホームシアターサウンドシステム(たとえば10)も、好ましくは、聴取空間12における使用のためにこれら各部の出力をブレンドし、バランスさせる必要があり、サブウーファの低音信号は、満足のいくスペクトルバランスを実現するために他のスピーカの中低音レベルとの満足のいくブレンドのために調整するのが難しいことが多い。サブウーファ信号の利得または極性を単純にその全通過帯域にわたって調整すると、聴取者が「胸音」中音域と「膨満した」または「鈍い」音を訴える、システムスペクトルバランスの点で好ましくない結果が生じる。
【0006】
典型的な最新のホームシアターシステムでは、オーディオ/ビデオ源(AV)14(任意によりオーディオ/ビデオ受信器AVR15)が、(a)ハイパスフィルタリングされた信号または全帯域信号を「メイン」LCRスピーカ(たとえば左16、中央20および右18スピーカ)に、またはサウンドバー(たとえば110)に供給し、(b)ローパスフィルタリングされた信号を1つまたは複数のサブウーファまたはサブウーファ部(たとえば22、58または130)に供給する、内蔵クロスオーバー回路を含む。典型的な従来技術のスタンドアロンサブウーファ(たとえば22または130)は、典型的には内蔵クロスオーバーと、LFE入力(すなわち低周波効果のための)を有する少なくとも1つの増幅器とを有し、ユーザは、室内にサブウーファを配置すると、ローパスフィルタカットオフ周波数、振幅、または増幅器利得レベルおよび「極性」を調整することができる。これらのサブウーファ調整コントロールは、不十分であること、すなわち、実際の室内における実際のユーザにとって、特に、サブウーファのカットオフ周波数付近のオクターブにおけるより低い周波数の場合に、全体的なシステムの音が「濁った」または弱い音として知覚されることが多いことがわかっている。
【0007】
室内12のシステム10における(たとえば22または130からの)サブウーファの音響出力のブレンドは、きわめて複雑な問題である。重要な要因には以下のものが含まれる。
1)室内音響(たとえば室内12の場合)、
2)スピーカまでの距離(たとえばサブウーファ22とLCRスピーカ16、18および22との間)、
3)(サブウーファ以外の)他のスピーカの数、
4)関与するすべてのスピーカの低周波設計、
5)(たとえばAVR15の)増幅器/受信器周波数応答および位相応答、
6)(たとえばAVR15における)増幅器/受信器フィルタスロープおよび周波数、および
7)その他のDSP(デジタル信号処理)調整手段またはルームEQ(イコライゼーション)ルーチン(たとえば、AVR15がAudyssey(TM)MultiEQ(TM)DSPシステムなどの室内補正機能を含むか否か)
【0008】
サブウーファ(たとえば22、58または130)に対してより多くの調整を加えることは、上記の要因のすべてと組み合わさった場合にユーザまたは設置者を混乱させる可能性がある。エントロピーの法則により、これらの変数が増えてよい結果ではなく悪い結果を招く場合の方がはるかに多いことがわかる。従来技術の大雑把なサブウーファコントロールの問題点は、聴取位置24から聴取しているときに、ユーザがサブウーファの出力を他のスピーカの出力とスムーズに一体化するように調整することができないことである。従来技術の他の例には、米国特許第9,524,098号および米国特許第10,681,481号がある。
【0009】
したがって、誤ったユーザ入力の可能性を低減する方法を使用して、サブウーファ部(たとえば22、58または130)がユーザによってユーザの室内(たとえば12)で容易に調整可能なように、サブウーファの位相と振幅をよりインテリジェントに制御するための、使いやすく、正確で効果的なシステムおよび方法が必要である。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明は、サブウーファの位相角を制御し、ユーザ調整可能位相アライメント制御入力および方法を提供することによって、サブウーファの再生音をホームシアターまたはステレオシステムにおける他のスピーカが発生する音と一体化するための効果的で正確なシステムおよび方法を提供することによって、上記の難点の少なくとも一部を軽減することを目的とする。
【0011】
本発明の一態様によると、マルチスピーカホームシアターシステムにおいて使用するように構成されたサブウーファの位相アライメント制御システムが提供される。位相アライメント制御システムは、選択可能な同調周波数を有する1次全域通過フィルタ(first-order all-pass filter)と極性選択段(polarity selection stage)とを含む。システムは、一度に少なくとも4つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値のうちの1つを選択できるようにする。位相アライメント制御システムは、異なるユーザ選択可能位相補正設定値のうちのいずれの1つがユーザによって選択されたかに基づいて、入力信号に位相変化を加えることによって、出力信号を生成するように構成される。位相アライメント制御システムは、(a)1次全域通過フィルタが選択された全域通過フィルタ同調周波数f0の結果として位相変化を生じさせることと、(b)極性選択段が極性反転を選択的に適用するかまたは適用しないこととの組合せによって、入力信号に位相変化を加えるように構成される。位相アライメント制御システムは、(a)位相変化を生じさせる1次全域通過フィルタと、(b)極性反転を選択的に加えるかまたは加えない極性選択段のみとの組合せによって、入力信号に位相変化を加えるように構成されてもよい。たとえば、位相補正のために他のフィルタ段を設ける必要がないか、または位相補正のために実装されたフィルタによって生じた信号変化を補正する必要がない場合がある。たとえば、位相アライメント制御システムは、1つの1次全域通過フィルタのみ、すなわち単一の1次全域通以下フィルタを含んでもよい。
【0012】
位相アライメント制御システムは、位相角の第1の望ましい変化すなわちX1度に対応する第1のユーザ選択可能位相補正設定値に応答し、位相角の第1の望ましい変化が、(a)1次全域通過フィルタがY度の相変化を生じさせることと、(b)極性選択段が極性反転を適用し、それによって180度の相変化を加えることとによって実現されるように構成され、X1とYとの差の大きさが180度であってもよい。位相アライメント制御システムは、上記に加えて、または上記に代えて、位相角の第2の望ましい変化すなわちX2度に対応する第2のユーザ選択可能位相補正設定値に応答し、位相角の第2の望ましい変化が、(a)1次全域通過フィルタがX2度の位相変化を生じさせることと、(b)極性選択段が極性反転を適用しないこととによって実現されるように構成されてもよい。位相アライメント制御システムは、上記に加えて、または上記に代えて、位相角の第3の望ましい変化、すなわち180度に対応する第3のユーザ選択可能位相補正設定値に応答して、(a)1次全域通過フィルタが位相変化を生じさせないことと、(b)極性選択段が極性反転を適用することとによって、位相角の第3の望ましい変化が実現されるように構成されてもよい。位相アライメント制御システムは、上記に加えて、または上記に代えて、位相角の第4の望ましい変化に対応する第4のユーザ選択可能位相補正設定値に応答して、(a)1次全域通過フィルタが層変化を生じさせないことと、(b)極性選択段が極性反転を適用しないこととによって位相角の第4の望ましい変化が実現されるように構成されてもよい。位相アライメント制御システムは、第1~第4のユーザ選択可能位相補正設定値に関して上述したように構成され、さらに、位相角の第5の望ましい変化、すなわちX5度に対応する第5のユーザ選択可能位相補正設定値に応答して、(a)1次全域通過フィルタがY度の位相変化を生じさせることと、(b)極性選択段が極性反転を適用し、それによって180度の位相変化を加えることとによって、位相角の第5の望ましい変化が実現されるように構成されてもよい。0°、180°、X1°、X2°およびX5°のいずれも等しくなくてもよい。
【0013】
少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(さらに場合によっては2つのみ)のユーザ選択可能位相補正設定値が、-10度~+100度の範囲内であってもよい。少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(さらに場合によっては2つのみ)のユーザ選択可能位相補正設定値が、+80度~+190度の範囲内であってもよい。少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(さらに場合によっては2つのみ)のユーザ選択可能位相補正設定値が、+10度~-100度の範囲内であってもよい。少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ(場合によっては2つのみ)のユーザ選択可能位相補正設定値が、-80度~-190度の範囲内であってもよい。8つ以上のユーザ選択可能位相補正設定値があってもよい。24以下のユーザ選択可能位相補正設定値があってもよい。ユーザ選択可能位相補正設定値は、好ましくは等間隔の位相インクリメントである。
【0014】
以下でさらに説明し、図示する実施形態では、位相アライメント制御システムは、1次全域通過フィルタの選択同調周波数が、少なくとも部分的にサブウーファクロスオーバー周波数に応答して選択されるように構成される。サブウーファクロスオーバー周波数が予め選択される、たとえば、ユーザが変更不可能な方式で事前設定される場合に有利となる本発明の実施形態があってもよい。サブウーファクロスオーバー周波数は、ユーザ選択可能な値であってもよい。位相アライメント制御システムは、1次全域通過フィルタの選択同調周波数が、サブウーファクロスオーバー周波数と、異なるユーザ選択可能位相補正設定値のうちのどの設定値が選択されるかとに応答して選択されてもよい。異なるユーザ選択可能位相補正設定値の第1のサブセットの場合、選択される同調周波数がサブウーファクロスオーバー周波数より低く、異なるユーザ選択可能位相補正設定値の第2のサブセットの場合、選択される同調周波数はサブウーファクロスオーバー周波数より高くてもよい。特定の事例では(たとえば、ユーザ選択可能位相補正設定値が-90度または+90度である場合)、選択同調周波数は、サブウーファクロスオーバー周波数と等しくなるように選択される。実施形態において、1次全域通過フィルタの同調周波数の選択は、たとえばデジタルシグナルプロセッサ、実行可能ソフトウェア、コンピュータ、制御回路またはその他の電子的手段によって自動的に選択されることを理解されたい。位相アライメント制御システムは、たとえばそのような電子的手段を含んでもよい。位相アライメント制御システムは、極性インバータを含んでもよい。位相アライメント制御システムは、調整可能増幅器利得段を含んでもよい。たとえば、極性選択段(たとえば極性インバータ)は、任意により調整可能増幅器利得段を含んでもよい。
【0015】
位相アライメント制御システムは、サブウーファ内またはサブウーファ上に全体が組み込まれてもよい。位相アライメント制御システムは、サブウーファ内またはサブウーファ上に部分的に組み込まれてもよい。位相アライメント制御システムは、サブウーファによって受信されるオーディオ信号を出力するデバイス、たとえばAVR内またはその上に部分的に組み込まれてもよい。位相アライメント制御システムは、そのようなデバイス内またはデバイス上に全体が組み込まれてもよい。
【0016】
さらに、位相アライメント制御システムとともに使用するためにユーザディスプレイデバイスが設けられてもよい。ユーザディスプレイデバイスは、たとえば、異なるユーザ選択可能位相補正設定値のうちのどの設定値が選択されているかを表示するように構成されてもよい。ユーザディスプレイデバイスは、ユーザが望ましいユーザ選択可能位相補正設定値を選択することができるように構成されてもよい。ユーザディスプレイデバイスは、サブウーファの一部を形成してもよい。ユーザディスプレイデバイスは、サブウーファの一部を形成してもよい。ユーザディスプレイデバイスは、サブウーファによって受信されるオーディオ信号を出力するデバイス、たとえばAVRの一部を形成してもよい。ユーザディスプレイデバイスは、リモートデバイス(たとえばリモートコントロールユニット、好ましくは無線リモートコントロールユニット)であってもよい。
【0017】
本発明の別の態様によると、本明細書で特許請求または記載されている本発明のいずれかの態様による組み込み位相アライメント制御システムを含むサブウーファが提供される。
【0018】
本発明のさらに他の態様によると、マルチスピーカホームシアターシステムが提供される。マルチスピーカホームシアターシステムは、本明細書で特許請求または記載されている本発明のいずれかの態様によるサブウーファと位相アライメント制御システムとを含んでもよく、サブウーファは位相アライメント制御システムからの出力信号に基づいて駆動される。
【0019】
マルチスピーカホームシアターシステムは、低周波数動作範囲を有する少なくとも1つのサブウーファスピーカドライバと、それぞれがより高い周波数動作範囲を有する複数の他のスピーカドライバとを含んでもよく、スピーカドライバはサラウンドサウンドシステムを提供するように配置される。マルチスピーカホームシアターシステムは、オーディオ信号源、たとえばAVRを含んでもよい。システムは、好ましくは、システムのユーザが、サブウーファスピーカドライバと、他のスピーカドライブのうちの1つまたは複数の他のスピーカドライバとの間でオーディオ信号がどのように分配されるかを決定するカットオフ周波数を、任意により1組の異なる値のうちの1つから選択することができるように構成される。システムは、これに加えて、またはこれに代えて、サブウーファ位相補正を行うためにシステムによってサブウーファ位相補正値を使用可能なように構成される。好ましくは、サブウーファ位相補正値は、システムのユーザによって、任意により1組の異なる値のうちの1つから選択可能である。マルチスピーカホームシアターシステムは、(好ましくは1次全域通過フィルタの形態の)位相変更デジタルシグナルプロセッサと極性インバータとを有する。デジタルシグナルプロセッサおよび極性インバータはともに、オーディオ信号源からの(その信号から導出されることを含む)オーディオ信号がサブウーファスピーカドライバに渡される前に、その信号の位相を変更するように構成される。使用時、信号の位相が(たとえば、選択されたサブウーファ位相補正値と選択されたカットオフ周波数とに基づいて自動的に選択される同調周波数で動作する1次全域通過フィルタによって)変更され、それによって、たとえばそうしなければ存在することになる可能性のあるサブウーファ信号位相誤差をユーザが低減(たとえば補正)することができるようにする。信号の位相は、選択されたサブウーファ位相補正値に基づいて0度または180度の位相変化を生じさせる極性インバータによって選択的に変更される。
【0020】
本発明のさらに他の態様によると、たとえば、1次全域通過フィルタ(「APF」)によって入力信号の位相を変更することと、信号の極性を変更することまたは変更しないこととによるサブウーファの位相アライメント制御方法である、サブウーファを動作させる方法が提供される。方法は、以下のステップの1つまたは複数、好ましくは全部を含み得る。(a)選択されたローパスフィルタ制御周波数に基づいて動作するように構成されたローパスフィルタを介してオーディオ信号入力を(たとえばAVRなどから)受信するステップを含んでもよい。(b)ローパスフィルタ制御周波数と、複数の異なるユーザ選択可能位相補正設定値からユーザによって選択された望ましい位相制御設定値とを検知または判定するステップがあってもよい。(c)そのように検知または判定されたローパスフィルタ制御周波数と望ましい位相制御設定値とに応答して、望ましい同調周波数と望ましい極性(たとえば「-」を反転し「+」を反転しない)を計算または選択するステップがあってもよい。(d)そのように計算または選択された望ましい同調周波数に設定された1次全域通過フィルタ(「APF」)によって入力信号の位相を変更するステップがあってもよく、そのように計算または選択された望ましい極性に応答して極性を変更するかまたは変更しないステップがあってもよい。(e)そのように変更されたオーディオ信号入力の結果の信号によってサブウーファを駆動するステップであって、信号がサブウーファドライバに供給される前に任意により増幅される(またはさらに増幅される)ステップがあってもよい。好ましくは、APFが位相を変更し、極性が変更された(または変更されなかった)後、信号がサブウーファドライバに渡される前に、他のデジタル信号処理段またはフィルタリング段はない。
【0021】
信号処理ステップはデジタル信号処理によって行われることが好ましいが、本明細書に記載の実施形態の一部または全部の態様が、対応するアナログ回路またはその他の電子的手段によって部分的に実行可能であることを理解されたい。
【0022】
したがって、本発明の方法の実施形態は、サブウーファのドライバのための望ましい位相補正信号出力を供給するかまたは最も近く供給するように、入力信号の位相を変更することを可能にする。したがって、特定の実施形態は、位相アライメント制御方法の形態をとってもよい。
【0023】
望ましい同調周波数を計算または選択するステップ(および、任意により望ましい極性を計算または選択するステップ)は、メモリデバイスに記憶されているルックアップテーブルを参照することを含んでもよい。そのようなルックアップテーブルは、ローパスフィルタ制御周波数の値と望ましい位相制御設定値との異なる組合せについて望ましい同調周波数値を提供することができる。そのようなルックアップテーブルは、ローパスフィルタ制御周波数の複数(たとえば少なくとも10個)の値と複数の(たとえば4個と24個とを含めた4個と24個の間の)望ましい位相制御設定値とのそれぞれの可能な組合せについて、望ましい同調周波数値を提供することができる。位相制御設定値は、等間隔の位相インクリメントにおけるものであってもよい。望ましい同調周波数を計算または選択するステップ(および、任意により望ましい極性を計算または選択するステップ)は、上記に加えて、または上記に代えて、ルックアップテーブルを必要としない計算または決定を含んでもよい。
【0024】
当然ながら、本発明の一態様に関して説明している特徴が本発明の他の態様に組み込まれてもよいことを理解されたい。たとえば、本発明の方法は、本発明の装置を参照しながら説明している特徴のいずれも組み込むことができ、その逆も可能である。
【0025】
本発明の上記およびさらに他の目的、特徴および利点は、本発明の特定の実施形態の以下の詳細な説明を、特に添付図面とともに検討すれば明らかになるであろう。図面では、同様の構成要素を示すために異なる図面において同様の参照番号が使用されている。
【0026】
以下、従来技術および本発明の実施形態の例示の事例について、添付の概略図を参照しながら例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】従来技術による、聴取者の室内における典型的なホームシアターシステムの例を示す図である。
【
図1B】従来技術による、聴取者の室内における典型的なホームシアターシステムの例を示す図である。
【
図1C】従来技術による、ホームステレオまたはホームシアターシステムにおいて主スピーカとして典型的に採用される大型のタワー型マルチドライバスピーカシステムを示す前面立面図である。
【
図1D】従来技術による、一般的なホームシアターサウンドバー/サブウーファシステムを示す透視図である。
【
図1E】従来技術のシステムの本出願人による分析による、典型的なホームシアターシステムにおけるクロスオーバー素子のモデル化した挙動を示す1対の図を含む図である。
【
図2A】本発明の実施形態による、聴取者の室内に配置された改良型サブウーファシステムを含む改良型マルチスピーカホームシアターシステムおよびサブウーファのための位相アライメント制御システムおよび方法を示す図である。
【
図2B】本発明の実施形態による、聴取者の室内に配置された改良型サブウーファシステムを含む改良型マルチスピーカホームシアターシステムおよびサブウーファのための位相アライメント制御システムおよび方法を示す図である。
【
図2A-5】本発明の実施形態による、改良型サブウーファシステムおよびサブウーファのための位相アライメント制御システムおよび方法を含む改良型マルチスピーカホームシアターシステムを示す図である。
【
図3A】本発明の実施形態による、改良型サブウーファシステムおよびサブウーファのための位相アライメント制御システムおよび方法を含む改良型マルチスピーカホームシアターシステムを開発するために使用された出願人のモデル化および分析作業を示す図である。
【
図3B】本発明の実施形態による、改良型サブウーファシステムおよびサブウーファのための位相アライメント制御システムおよび方法を含む改良型マルチスピーカホームシアターシステムを開発するために使用された出願人のモデル化および分析作業を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による、改良型サブウーファシステムおよびサブウーファのための位相アライメント制御システムおよび方法を含む改良型マルチスピーカホームシアターシステムの要素を示す信号フロー図である。
【
図5】本発明の実施形態による、
図2A~
図4の改良型サブウーファシステムおよび位相アライメント制御方法で使用するために、改良型位相アライメント済みサブウーファ駆動信号を生成するように、デジタル信号処理にプログラミングとして組み込まれるかまたはマトリックスとしてメモリに記憶される、ルックアップテーブルまたはマトリックスの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで以下に、具体的に示されていないいくつかの変形を含む、本発明の実施形態について概説する。以下で詳述するように、本発明の実施形態のサブウーファ位相アライメント制御システムおよび方法は、設置者、ユーザまたは聴取者が、1つまたは複数の低周波スピーカ(たとえば改良型スタンドアロンサブウーファ)に提供される信号の位相角を制御するための容易で直観的な方法を提供する。これを実現するために使用される信号処理装置または回路は、極性反転を適用するかまたは省く段に入力する全域通過フィルタを含む。全域通過フィルタの周波数同調(すなわちフィルタ段の「f0」)と極性反転の状態(オン/オフ)とは、クロスオーバー周波数と呼ばれる場合がある望ましい高周波カットオフ周波数と、その周波数における望ましい位相シフト量とに直接関係する。
【0029】
本発明の実施形態は、最小の(および最も悪影響のない)量のフィルタリングで選択された量の望ましい位相シフトを提供する。1つまたは複数のサブウーファと追加のより高い周波数のスピーカからなる(たとえば消費者ホームシアターシステムにおけるような)システムにおいては位相シフトが必要な場合が多い。クロスオーバー周波数における高周波システムと低周波システムとの間の位相シフトは、均等な合計周波数応答のために適正にアライメントされることはまれである。サブウーファの位相をシフトすることによって、応答を平坦にすることができ、それによってより自然な音になる。最小限の量のフィルタリングでこれを行うことにより群遅延が確実に少なくなり、これによってもより自然な音になる。
【0030】
この制御は、デジタル信号処理(「DSP」)において最も容易に実装可能であり、好ましい実施形態である。ユーザからの必要な入力は、クロスオーバー周波数と望ましい位相シフトの量である。全域通過フィルタと極性反転のパラメータは、計算することができるかまたは単純なテーブルで読み取ることができる。
【0031】
実施形態において、(たとえば22または130に類似した)スタンドアロンサブウーファが、新規な制御入力と、複数(たとえば4~24)の異なる位相調整段階を有する位相制御調整ノブまたはスライダーを含む回路とを備えて構成される。たとえば、8段階調整入力はそれぞれが、異なる位相調整をもたらす45°位相調整段階を含む。好ましくは、位相制御設定は、ユーザ可読標識によって識別される異なる段階を有し、各位相調整設定位置付近の照光式(たとえばLED)インジケータがユーザにインテリジェント位相制御設定の操作の追加の可視確認を提供する。実施形態において、(たとえば22、58または130に類似した)サブウーファシステムが、ユーザが聴取位置24にいるときに使用することができる手持ち型リモートコントローラと通信し、応答するように構成される。本発明の方法では、ユーザは(たとえば10のような)ユーザのサウンドシステムであるが本発明の改良型サブウーファを備えたサウンドシステムを介して、選択されたプログラム素材を再生することができ、その音を聴くことができ、複数(たとえば8つ)の位相制御設定値間で切り換えし、それらの設定値を交互に切り換えて、各移行時に、システムの音が前の調整設定値より「良いか悪いか」を決定することができる。
【0032】
本発明の本記載の実施形態の改良型サブウーファは、以下の選択肢、すなわち、サブウーファ音量、サブウーファローパス周波数、サブウーファローパススロープ(フィルタ次数)、その他のサブウーファEQ設定値、サブウーファ「位相」調整、およびサブウーファ極性(絶対極性または反転極性)から選択されるコントロールを有する。一実施形態では、位相調整は、0度~-135度(8段階の45度インクリメント)または0度~-165度(24段階の15度インクリメント)単位であり、ローパスフィルタ制御(「インテリジェント位相制御」と呼ぶ)を追跡することができるスライド式全域通過フィルタによって実装される。
【0033】
インテリジェント位相制御を行うために遅延を使用するか全域通過フィルタを使用するかに関する出願人の調査および開発研究は、各スタンドアロンサブウーファに組み込まれた全域通過フィルタ実装形態が、低周波システムにおける差(すなわちスピーカ(たとえば22、130)の固有ロールオフ)を補償するために使用した場合に良好な結果を達成する可能性がより高いことを示した。この種の差は、すべてのシステムに存在する。遅延は、遅延誤差を補償するために使用された場合にのみ有効である。ここで、受信器(たとえば15)における遅延問題を扱うことが好ましい。
【0034】
ここで
図2A~
図5を参照すると、以下でより詳細に説明する特定の実施形態の位相アライメント制御システムおよび方法を組み込んだ1つまたは複数の改良型サブウーファシステム222を含む改良型マルチスピーカホームシアターシステム(たとえば200)が示されている。
【0035】
図2Aおよび
図2Bは、典型的なメディア空間または室内12に配置された改良型サラウンドサウンドシステム200の例示の透視図および上面図を示す。図のシステムは、(
図1Aおよび
図1Bに示すような)典型的なAVR15または(
図2Aおよび
図2Bに示すような)改良型AVR215を含む実施形態において、ホームシアターまたはその他のオーディオ/ビデオ(AV)源214を有する従来のDolby(R)デジタル構成であってもよい。システム200は、改良型サブウーファ222とともに使用される、従来型の左チャンネルスピーカ16と、右チャンネルスピーカ18と、中央チャンネルスピーカ20も含むことができ、ソファまたは椅子などの聴取場所24における聴取者の主着席領域の前にすべて配置されている。実施形態において、システムは、スピーカによって放射される音に広大感を与え、映画およびコンサートなどのAVプログラムに周囲音を与えるために、聴取場所の両側から離隔された左右のサラウンドスピーカ26および28を含む。実施形態において、ホームシアターシステム200は、全体として聴取場所の背後および聴取場所の両側に配置された左右のバックスピーカ30および32を含み、スピーカは好ましくはAVユニット214と聴取場所または聴取位置24を通る中心線34を中心に配置される。
【0036】
本記載の実施形態の例示のシステム200および方法は、サブウーファの位相角を制御し、ユーザ調整可能位相アライメント制御入力と方法を提供することによって、改良型サブウーファ222再生音からの音を、ホームシアターまたはステレオシステム内の他のスピーカによって発生された音と効果的かつ正確に一体化する。本記載の実施形態のサブウーファ位相アライメント制御システムおよび方法は、設置者、ユーザまたは聴取者が低周波スピーカ(たとえばサブウーファ222のドライバD1)に提供される信号の位相角を制御または補正するための容易で直観的な方法を提供する。これを実現するために使用される信号処理装置または回路には、(たとえば
図5に示すような)マトリックス250における事前プログラムされたパラメータに応じて極性反転適用するかまたは省く段に入力する単一の全域通過フィルタ260が含まれる。全域通過フィルタの同調周波数(すなわちフィルタ段の「f
0」)および極性反転の状態(オン/オフ)は、クロスオーバー周波数と呼ばれる場合がある望ましい高周波カットオフ周波数と、その周波数における望ましい位相シフト量とに直接関係する。
【0037】
本発明のシステム200および信号処理方法の一実施形態が
図3A、
図3Bおよび
図4の図と、
図5のテーブルまたはマトリックスに示されている。
図3Aおよび
図3Bは、位相誤差の一例を補正するために開発された位相シフトおよび極性設定値を使用した本発明のシステムおよび方法の例示のプロトタイプ実施形態を図示し、説明している。
図3Aは、様々なデジタル信号処理段を介した供給源からサブウーファD1およびメインスピーカD2へのオーディオ信号の供給をモデル化している。この実施例では、ユーザは、AVR215によってサブウーファドライバD1において受信された信号のために4次L-R(リンクウィッツ-ライリー)ローパスIIR(「無限インパルス応答」)フィルタを使用し、メインスピーカドライバD2において受信された信号のために2次ハイパスIIRフィルタを使用して適用される80Hzのクロスオーバー周波数を選択している。
図3Aは、4次バターワースフィルタ252(fc=50Hz)すなわち「スピーカLFアライメント」を使用したメインスピーカの固有ハイパス特性をモデル化している。同様に、サブウーファ222の固有ハイパス特性が4次バターワースフィルタ255(fc=20Hz)によってモデル化されている。
図3Aに示すようなモデルフィルタブロック252、255は、システムの挙動をモデル化する回路図要素であり、したがってモデル化されたフィルタ252、255は本発明のシステムの物理的実施形態(その一例が
図4に示されている)における素子ではないことを理解されたい。
【0038】
改良型システム200の使用時、聴取者またはユーザは(たとえば位置24にいるときに)、耳で位相補正のための調整を行い、異なる位相補正値の有限の選択肢から(たとえば+40度の)選択位相補正を選択する。その(80Hzにおけるクロスオーバーおよび+40度の位相補正のユーザ選択の)結果として、オーディオ信号が、約30Hz(これは、80Hzのカットオフ周波数において約-140°の位相シフトをもたらす)に同調された1次全域通過フィルタと極性インバータ270(実質的に180°の位相シフトをもたらす)とを通過し、80Hzのカットオフ周波数において40度の望ましい位相補正を実現する。サブウーファには+0.6dBの利得がある。
図3Aに示す回路図モデルでは、これは(マイナス140度の)位相シフトを極性反転(実質的にプラス180度の位相シフト)と結合して、位相誤差またはマイナス40度を補正する(すなわち補正はプラス40度)。
【0039】
図3Bに、
図3Aに示す構成に対応する、(シミュレーションされた)音圧レベル(「SPL」)グラフ(上のグラフ)と群遅延/位相グラフ(下のグラフ)とを示す。このSPL曲線から、約+/-0.2dBの誤差(パフォーマンス特性と理想特性との差)で、クロスオーバー領域における周波数応答がきわめて平坦である(理想に近い)ことがわかるであろう。超過群遅延は約5msであり、受容可能である。したがって、極性反転と全域通過フィルタとの組合せは、若干の増加はあるが受容可能な群遅延の犠牲を払って、正確な振幅応答をもたらす。
【0040】
図3Aに示す例示の回路は、
図5によって示す実施形態におけるマトリックス設定値に示すような入力パラメータの多くの異なる組合せが与えられた場合に、位相補正をもたらすことができる実働実施形態のDSP構成を開発するために採用された種類の実験研究を示している。
【0041】
本記載の実施形態の目的は、選択された望ましい位相シフト量(または位相誤差補正)を最小の(および最も悪影響が少ない)フィルタリング量で提供することである。位相シフトは、消費者ホームシアターシステムに見られるような、1つまたは複数のサブウーファ(たとえばサブウーファドライバD1を備えた222)とその他のスピーカ(たとえば、メインスピーカドライバD2を備えた16、18、20)とからなるシステムにおいて必要な場合が多い。クロスオーバー周波数における高周波システムと低周波システムとの間の位相シフトは、均等な合計周波数応答のために適正にアライメントされることはまれである。サブウーファドライバD1に入力される信号の位相をシフトさせ、補正することによって、組み合わされたシステムの応答をより平坦にすることができ、それによってより自然な音になる。位相がサウンドシステムのスピーカのうちの他のスピーカと揃うように(すなわち、本記載の実施形態の使用による)クロスオーバー周波数におけるサブウーファの位相アライメントの十分な処置がない場合、クロスオーバーまたはカットオフ周波数において、またはその付近において、低音が濁り、鈍く聞こえる可能性がある。また、最小量のフィルタリングで補正位相シフトを実現することで、群遅延が確実に少なくなり、それによってより自然な音にもなる。
【0042】
この制御システムおよび方法は、好ましくはデジタル信号処理(「DSP」)で実装される。ユーザからの必要な入力は、ローパスフィルタのクロスオーバー周波数230と、望ましい位相シフト量または位相制御設定240(たとえば
図4参照)である。全域通過フィルタおよび極性反転のパラメータは、計算するかまたは簡単なルックアップテーブル(「LUT」)またはマトリックス250(たとえば
図5参照)から読み取ることができる。
図2A~
図5の例示の実施形態では、スタンドアロンサブウーファ(たとえば222)が、複数(たとえば4~24段階であるが、
図5の例示の実施形態では8段階)の異なる位相制御調整段階を有する位相制御調整ノブまたはスライダー(位相制御設定入力240に入力信号を供給する)を含む、新規な制御入力および回路を備えて構成される。たとえば、マトリックス250は、8段階の45度位相調整段階を含む8段階調整入力を提供し、各段階が異なるユーザ選択可能位相調整を提供する。実施形態において、位相制御設定は、ユーザ可読標識によって識別される異なる段階を有し、各位相調整設定位置付近の照光式(たとえばLED)インジケータがユーザにインテリジェント位相制御設定値の操作の追加的可視確認を与える。実施形態において、サブウーファシステム(たとえば222)が、ユーザが聴取位置24にいるときに使用することができる手持ち型リモートコントローラ(図示せず)と通信し、応答するように構成される。本発明の方法では、ユーザはユーザのサウンドシステム(200)であるが本発明の改良型サブウーファ222を備えたサウンドシステムを介して、選択されたプログラム素材を再生することができ、その音を聴くことができ、複数(たとえば8つ)の位相制御設定値間で切り換えし、それらの設定値を交互に切り換えて、各移行時に、システムの音が前の調整設定値より「良いか悪いか」を決定することができる。
【0043】
本記載の実施形態の改良型サブウーファ222は、専用増幅器システムA1と、以下の選択肢、すなわちサブウーファ音量、サブウーファローパス周波数(たとえば230)、サブウーファローパススロープ(フィルタ次数)、その他のサブウーファEQ設定値、サブウーファ「位相」調整(たとえば240)、およびサブウーファ極性(絶対極性または反転極性)から選択されたユーザ調整可能コントロールを備えた信号処理回路とを有する、アクティブサブウーファシステムである。図の位相調整設定240は、(たとえば45度インクリメントの)0度~+/-135度および180度からなるグループ(すなわち8つの異なる設定値)からユーザによって任意の値を選択することができる。図示されていない一実施形態は、ユーザが15度インクリメントの0度~+/-165度および180度からなるグループから選択される24の位相補正設定値のうちの任意の設定値から選択することを可能にする。図示されていないさらなる実施形態は、ユーザが、0度、+90度、-90度、および+180度から選択される4つの異なる位相補正設定値のうちの任意の設定値から選択することを可能にする。位相補正は、ローパスフィルタ制御(本明細書では「インテリジェント位相制御」と呼ぶ)を追跡することができるスライド式全域通過フィルタによって実装される。
【0044】
インテリジェント位相制御を行うために遅延を使用するか全域通過フィルタを使用するかに関する出願人の調査および開発研究は、各スタンドアロンサブウーファに組み込まれた全域通過フィルタ実装形態が、低周波システムにおける差(すなわちスピーカ(たとえば22、130)の固有ロールオフ)を補償するために使用した場合に良好な結果を達成する可能性がより高いことを示した。この種の差は、すべてのシステムに存在する。システム200において、遅延は、遅延誤差を補償するためにのみ使用され、遅延問題は任意により改良型AVR(たとえば215)において対処される。
【0045】
図2A~
図5に戻り、特に
図4を参照すると、システム200および改良型サブウーファ222において、インテリジェント位相制御システムおよび方法(たとえばDSP)は、極性調整(すなわち反転ありか反転なしか)と全域通過フィルタ信号処理を、ローパスフィルタ周波数(たとえばユーザ選択クロスオーバー周波数)および(たとえば
図4および
図5に示すような)ユーザ選択位相制御設定値を含む入力に応答する方式で使用する。オーディオ入力信号215が単一の1次全域通過フィルタ260によって処理され、極性インバータ270段によって反転されるかまたは反転されずに、出力信号275を生成し、これが次に利得段A1によって増幅されてから、サブウーファドライバD1に渡される。全域通過フィルタ260による修正と極性の調整(または無調整)とが組み合わさって、ローパスフィルタ230のクロスオーバー周波数において望ましい位相シフトを生じさせる。全域通過フィルタ260の同調周波数f
0は、(ユーザにより位相制御設定240を使用して選択された)望ましい位相シフトと(やはりユーザによって選択された)ローパスフィルタ230のクロスオーバー周波数とに基づいて、マトリックス250を使用して決定される。全域通過位相シフトを補強するために(0度または180度の有効位相変化を選択的に加えることによって)極性が使用され、そうしなければ位相範囲0°~345°をカバーするために必要となるカスケード全域通過フィルタによって生じることになる余分な群遅延が追加されない。
【0046】
図5に示す例示の実施形態のマトリックスは、以下のように理解することができる。ユーザには8つの異なる位相補正設定値、すなわち(i)-135°、(ii)-90°、(iii)-45°、(iv)0°、(v)+45°、(vi)+90°、(vii)+135°および(viii)+180°が利用可能である。クロスオーバー周波数の18つの異なる設定値、すなわち(i)40Hz、(ii)45Hz、(iii)50Hz、(iv)55Hz、(v)60Hz、(vi)65Hz、(vii)70Hz、(viii)75Hz、(ix)80Hz、(x)85Hz、(xi)90Hz、(xii)95Hz、(xiii)100Hz、(xiv)110Hz、(xv)120Hz、(xvi)130Hz、(xvii)140Hz、および(xviii)150Hzもある。マトリックス250は、デジタルメモリに記憶されたルックアップテーブルを使用して、組み合わさってクロスオーバーの選択されたカットオフ周波数における望ましい位相補正をもたらす、全域通過フィルタ260の同調周波数f
0の値と極性インバータ270による反転を適用するか否かとを決定する方法を提供する。たとえば、ユーザ選択可能位相補正設定値は、+45°の変更であってもよく、カットオフ周波数はユーザによって70Hzと選択されてもよい。マトリックス250をこれらの値(+45°と70Hz)で参照すると、28.994Hzの全域通過フィルタ260の同調周波数f
0(70Hzで-135°の位相変化を生じさせる)と極性反転(+180°位相変化を生じさせる)とが得られ、したがって、オーディオ信号経路において最小の群遅延を有する+45°の位相角で望ましい補正が行われる。別の実施例として、ユーザ選択可能位相補正設定は-135°の変化であってもよく、カットオフ周波数は70Hzと選択されてもよい。マットリックス250をこれらの値(-135°と70Hz)で参照すると、28.994Hz(70Hzで-135°の位相変化を生じさせる)の全域通過フィルタ260の同調周波数f
0が得られるが、極性反転はなく、したがって位相角の望ましい補正が行われる。さらに別の実施例として、ユーザ選択可能位相補正設定値は+180°の変化であってもよく、カットオフ周波数は90Hzと選択されてもよい。マトリックス250をこれらの値(+180°と90Hz、または実際には任意のカットオフ周波数)を使用して参照すると、極性反転(+180°の位相変化を生じさせる)と、全域通過フィルタ260のバイパス(すなわち、全域通過フィルタはいかなる追加の位相変化も生じさせない)とが得られ、したがって+180°の位相角の望ましい補正が行われる。
【0047】
さらに別の実施例として、ユーザ選択可能位相補正設定値が、位相角の変更なし、すなわち0度に対応する場合、マトリックス250を参照すると、極性反転がなく(すなわち位相変化がない)、全域通過フィルタ260をバイパスし、したがって望ましい結果、すなわち位相角の補正なしとなる。また、
図5から、ユーザ選択可能位相補正が+90°または-90°に設定される場合、全域通過フィルタの必要な同調周波数は、単純に、選択されたカットオフ周波数値と同じになることもわかるであろう。
【0048】
本記載の実施形態の信号処理方法およびシステム222は、一つには、望ましい位相シフトを得るために極性の調整と位相制御との独自の同時組合せにより(たとえば
図5参照)、驚くほど有効である。ローパスフィルタ周波数と望ましい位相シフトに基づいて全域通過周波数同調周波数f
0を変更することにより、システムは、システム200内の他のスピーカからの音とより自然に一体化する、より自然で、より悪影響を受けていない出力信号をサブウーファドライバD1に供給することが可能になる。システム200の使用によって得られるその他の利点は以下の通りである。
(a)サブウーファ信号位相誤差を補正するための位相制御の調整がより正確で直観的であること(典型的な従来技術の位相制御は、ローパスフィルタ設定230により変化しないために1つの周波数においてのみ正確であるため)と、位相制御設定の結果として位相シフトが表示されるために、ユーザが(たとえば、音楽または試験音が再生されているときにユーザの聴取位置24からリモートコントロールを使用して)より制御しやすいことと、
(b)群遅延がより少ないこと。必要な位相シフトを得るためにより少ないフィルタ段を使用することによって群遅延がより少ない。群遅延がより少ないことによって、より正確で、より良好な音の低音となる。その結果、ユーザは、ユーザのオーディオシステムの他の部分とブレンドするために、ユーザのサブウーファをよりよく調整することができるはずである。
【0049】
以下の各項目は、本開示の一部をなす。
(項目1)
図2A~
図5は、(たとえばAVR15または215からの)オーディオ信号入力とローパスフィルタ周波数230および望ましい位相制御設定240の(たとえば手持ち型リモートコントローラ(図示せず)による)制御入力とを有するサブウーファシステムを含み、望ましい位相制御設定240の前記制御入力が等間隔の位相インクリメントにおける複数(たとえば4~24)の異なるユーザ選択可能位相補正設定値を含み、位相アライメント制御システムが、選択可能f
0同調周波数を有する単一の1次全域通過フィルタ260と、調整可能増幅器利得段A1を任意により含む極性選択段とを含む、改良型サブウーファシステムとサブウーファのための位相アライメント制御システムとを含む改良型マルチスピーカホームシアターシステムの特徴を示している。
(項目2)
図2A~
図5は、位相アライメント制御システムが、
(a)サブウーファ信号位相誤差を補正するための位相制御の調整がより正確で直観的であること(典型的な従来技術の位相制御は、ローパスフィルタ設定230により変化しないために1つの周波数においてのみ正確であるため)と、位相制御設定の結果として位相シフトが表示されるために、ユーザがより制御しやすいことと、
(b)群遅延がより少ないこととをもたらすことも示している。必要な位相シフトを得るためにより少ないフィルタ段を使用することによって群遅延がより少ない。群遅延がより少ないことによって、より正確で、より良好な音の低音となる。その結果、ユーザは、ユーザのオーディオシステムの他の部分とブレンドするために、ユーザのサブウーファをよりよく調整することができるはずである。
(項目3)改良型サブウーファシステムとサブウーファのための位相アライメント制御システムとを含む、項目1の改良型マルチスピーカホームシアターシステムであって、望ましい位相制御設定240の前記制御入力が等間隔(45度)位相インクリメントにおける8つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値を含む、改良型マルチスピーカホームシアターシステム。
(項目4)改良型サブウーファシステムとサブウーファのための位相アライメント制御システムとを含む、項目1の改良型マルチスピーカホームシアターシステムであって、等間隔(たとえば45度)の位相インクリメントにおける前記複数(たとえば8つ)の異なるユーザ選択可能位相補正設定値(および、どの位相補正が選択されているかを示すディスプレイ標識)が、改良型サブウーファ222のユーザアクセス可能面上またはユーザの手持ち型リモートコントローラ上で示される、改良型マルチスピーカホームシアターサシステム。
(項目5)
図2A~
図5および添付の説明は、位相アライメント制御方法が、
(a)(たとえばAVR15または222からの)オーディオ信号入力とローパスフィルタ周波数230および望ましい位相制御設定240の制御入力とを有するサブウーファシステムを提供するステップであって、望ましい位相制御設定240の前記制御入力が、等間隔の位相インクリメントにおける4~24の複数の異なるユーザ選択可能位相補正設定値を含み、前記位相アライメント制御システムが、選択可能f
0同調周波数を有する単一の1次全域通過フィルタ(「APF」)と、調整可能増幅器利得段を任意により含む極性選択段とを含む、サブウーファシステムを提供するユーザ選択位相補正設定方法ステップと、
(b)ローパスフィルタ周波数230および望ましい位相制御設定240の現在の制御入力を検知または判定するユーザ選択位相補正設定方法ステップと、
(c)望ましいAPF選択可能f
0同調周波数と、改良型サブウーファ222のドライバD1の望ましい位相補正済み信号出力を最も近く提供するための極性(+または-)調整とを計算または選択するユーザ選択位相補正設定方法ステップとを含むことも示している。
(項目6)項目5のサブウーファのための位相アライメント制御方法であって、望ましいAPF選択可能f
0同調周波数と、改良型サブウーファ222のドライバD1の望ましい位相補正済み信号出力を最も近く提供するための極性(+または-)調整とを選択するステップが、等間隔の位相インクリメントにおける前記4~24の複数の異なるユーザ選択可能位相補正設定値を有する改良型サブウーファ222内に、または改良型サブウーファ222によるアクセスが可能な方式で、ルックアップテーブルまたはマトリックス250を記憶することを含む、位相アライメント制御方法。
【0050】
当業者は、本発明が、利用可能なアクティブサブウーファに本発明によるいくつかの改良を加えることがわかるであろう。以下の各項目も本開示の一部をなす。
(項目7)サブウーファのための改良型位相アライメント制御システムを含む、マルチスピーカホームシアターシステム(たとえば200)において使用するためのアクティブサブウーファであって、
(a)(たとえばAVR15または215からの)オーディオ信号入力215と、ローパスフィルタカットオフ周波数のための第1のユーザ調整可能制御入力230と、望ましい位相制御設定のための第2のユーザ調整可能制御入力240とに応答して、少なくとも1つの動電型トランスデューサD1を駆動するように構成された少なくとも1つの増幅器段A1を支持する筐体を有するサブウーファシステム(たとえば222)を含み、
(b)前記第2の制御入力240が、等間隔の位相インクリメントにおける少なくとも4つの複数の異なるユーザ選択可能位補正設定値から選択される(たとえば手持ち型リモートコントローラ(図示せず)による)ユーザ選択可能位相補正設定値を、位相アライメント制御システム222に供給し、前記第1の制御入力230が、ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数信号を前記位相アライメント制御システム222に供給し、
(c)前記位相アライメント制御システム222が、調整可能であって使用時に前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数に応答して自動的に設定される調整可能全域通過同調周波数f0を有する単一の全域通過フィルタ260と、(ii)任意により前記増幅器利得段A1に組み込まれた極性選択段270とを含み、
(d)前記位相アライメント制御システム222が、(i)前記第1の制御入力230および前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数信号と(ii)前記第2の制御入力240および前記ユーザ選択位相補正設定との両方に応答し、それに応答して、前記サブウーファドライバD1のために位相、極性および振幅が調整されたオーディオ信号を生成する、アクティブサブウーファ。
(項目8)前記第2の制御入力240が、前記位相アライメント制御システム222に対する等間隔の位相インクリメントにおける8つの複数の異なるユーザ選択可能位相補正設定値を含み、ローパスフィルタカットオフ周波数の前記第1のユーザ調整可能制御入力230が、選択された複数の等間隔の周波数における40ヘルツ~150ヘルツの周波数範囲で動作するように構成されている、項目7のアクティブサブウーファ。
(項目9)前記第1の制御入力230が、前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数信号を前記位相アライメント制御システム222に、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz、80Hz、85Hz、90Hz、95Hz、100Hz、105Hz、110Hz、115Hz、120Hz、125Hz、130Hz、135Hz、140Hz、145Hzおよび150Hzの等間隔の周波数から選択された1つのユーザ選択カットオフ周波数として供給し、前記全域通過フィルタの選択可能同調周波数f0が、前記ユーザ選択カットオフ周波数と前記ユーザ選択位相補正設定とに応答して自動的に調整される、項目8のアクティブサブウーファ。
(項目10)前記第2の制御入力240が、-135度、-90度、-45度、ゼロ度、+45度、+90度、+135度および+180度の等間隔の位相補正設定値から1つのユーザ選択位相補正設定を前記位相アライメント制御システム222に供給する、項目7のアクティブサブウーファ。
(項目11)前記位相アライメント制御システム222が、前記ユーザ選択位相補正設定値が-90度または+90度である場合に、前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数に等しい値に自動的に設定される、調整可能全域通過同調周波数f0を供給するようにプログラムされている、項目7のアクティブサブウーファ。
(項目12)前記位相アライメント制御システム222が、前記ユーザ選択位相補正設定値がゼロ度または180度である場合に、前記全域通過フィルタ260を自動的にバイパスするようにプログラムされている、項目7のアクティブサブウーファ。
(項目13)前記位相アライメント制御システム222が、映画サウンドトラック、音楽または試験音オーディオ信号を聴きながら室内の聴取位置24におけるユーザによって保持されているときに手持ち型リモートコントロールから送信された、ユーザ選択位相補正設定値とユーザ選択ローパスフィルタカットオフ周波数信号とに応答するように構成およびプログラムされている、項目7のアクティブサブウーファ。
【0051】
当業者は、本発明が、利用可能なアクティブサブウーファに本発明による最適位相アライメントを正確に選択する方法に本発明によりいくつかの改良を加えることがわかるであろう。以下の各項目も本開示の一部をなす。
(項目14)聴取者またはユーザが、サブウーファの出力を室内12におけるマルチスピーカシステムの出力の残りの部分とブレンドするために、最も満足のゆくサブウーファ位相調整または位相補正設定値を迅速かつ正確に選択することができるようにする、サブウーファ位相制御方法であって、
(14a)(たとえばAVR15または215からの)オーディオ信号入力215を受信するように構成され、ローパスフィルタカットオフ周波数のための第1のユーザ調整可能制御入力230と、望ましい位相制御設定のための第2のユーザ調整可能制御入力240とを有するサブウーファシステム(たとえば222)を提供することであって、前記第2の制御入力240が、等間隔の位相インクリメントにおける少なくとも4つの複数の異なるユーザ選択可能位相補正設定値から選択された、ユーザ選択位相補正設定値を位相アライメント制御システム222に供給し、前記第1の制御入力230が、ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数信号を前記位相アライメント制御システム222に供給し、前記位相アライメント制御システム222が、調整可能であって使用時に前記ユーザ選択可能ローパスフィルタカットオフ周波数に応答して、自動的に設定される調整可能全域通過同調周波数f0を有する単一の全域通過フィルタ260を含む、サブウーファシステムを提供することと、
(14b)聴取者またはユーザのための聴取位置24を備えた室内12に前記サブウーファシステム222を配置することと、
(14c)位置24におけるユーザまたは聴取者が、マルチスピーカシステムの出力の残りの部分と同時に再生するときにサブウーファの出力を聴覚的に評価することができるように、ステレオまたはホームシアターシステムにおけるスピーカのすべてを介して音楽、映画サウンドトラック、試験オーディオ信号またはその他の音声プログラム素材を再生することと、その間に、
(14d)(たとえば手持ち型リモートコントローラ(図示せず)による)位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正設定の前記第2の制御入力240のユーザの第1の調整を検出することであって、前記ユーザの第1の調整が前記少なくとも4つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値からの第1の選択である、ユーザの第1の調整を検出することと、
(14e)前記サブウーファのための第1の位相、極性および振幅調整されたオーディオ信号275を生成することであって、聴取位置24における前記ユーザが、室内におけるシステムのスピーカの出力の残りの部分との第1のブレンドされたサブウーファの出力を評価することができる、オーディオ信号275を生成することと、
(14f)位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正の前記第2の制御入力240のユーザの第2の調整を検出することであって、前記ユーザの第2の調整が、前記ユーザの第1の調整とは異なる前記少なくとも4つの異なるユーザ選択可能位相補正設定値からの第2の選択である、第2の調整を検出することと、それに応答して、
(14g)前記サブウーファのための第2の位相、極性および振幅調整されたオーディオ信号275を生成することであって、聴取位置24における前記ユーザが、室内におけるシステムのスピーカの出力の残りの部分との第2のブレンドされたサブウーファの出力が、位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正の前記第2の制御入力240のいずれの前の調整からの出力よりも好ましいか否かを評価することができる、オーディオ信号275を生成することと、
(14h)位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正の前記第2の制御入力240のユーザの第3の調整を検出することであって、前記ユーザの第3の調整が、前記ユーザの第1および第2の調整とは異なる前記少なくとも4つのユーザ選択可能位相補正設定値からの第3の選択である、ユーザの第3の調整を検出することと、それに応答して、次に、
(14i)前記サブウーファのための第3の位相、極性および振幅調整されたオーディオ信号275を生成することであって、聴取位置24における前記ユーザが、室内のシステムのスピーカの出力の残りの部分との第3のブレンドされたサブウーファの出力が、位相アライメント制御システム222を設定する前記ユーザ選択位相補正の前記第2の制御入力240のいずれの前の調整からの出力よりも好ましいか否かを評価することができる、オーディオ信号275を生成することとを含む、サブウーファ位相制御方法。
【0052】
本発明について特定の実施形態を参照しながら説明し、図示したが、当業者は、本発明が本明細書に具体的に示されていない多くの異なる変形に適用されることがわかるであろう。例示のみを目的として、考えられる特定の変形について以下に説明する。
【0053】
本記載の実施形態のシステム200および方法について
図2A~
図5の例示の実施形態を使用して説明したが、(a)内蔵アクティブサブウーファを有する(たとえば
図1Cの50のような)フルレンジスピーカとともに、または、(b)
図1Dのシステムと外面的に類似した改良型サブウーファサウンドバーシステムの一部として、場合によっては1つまたは複数の追加の改良型サブウーファ222を備えて、実装することも可能である。
【0054】
特定の実施形態では、
図5のルックアップテーブルを特定の入力パラメータについて簡略化し、場合によっては特定の状況では参照しないことも可能であることを理解されたい。たとえば、極性反転を適用する必要があるかは、バイナリテストによって決定することができ、位相補正設定値が正の場合には極性を反転し、それ以外の場合(すなわち位相補正設定値がゼロまたは負の場合)には、極性反転が不要である。また、位相補正設定値が-90°または+90°の場合は、全域通過フィルタの必要同調周波数は選択されたカットオフ周波数値に等しい。また、ユーザ選択可能位相補正設定値が0°または+180°の場合、マトリックスを直接参照せずに全域通過フィルタをバイパスすることができると決定することができる。
【0055】
サブウーファのためのクロスオーバー周波数の選択に対するユーザ制御を与えずに、異なるユーザ選択可能位相補正設定値の選択範囲からユーザが補正値を選択することによって、位相補正を加える実施形態を提供することが有利な場合がある。たとえば、ユーザによって変更される必要がないように(または変更できないように)、クロスオーバー周波数を固定することができる。そのような実施形態は、
図5に示すマトリックスの大幅に簡略化されたものを使用することができる。
【0056】
位相アライメント制御システムがサブウーファのためにユーザによって選択されたクロスオーバー周波数を考慮に入れずに、ユーザが異なるユーザ選択可能位相補正設定値の選択範囲から補正値を選択することによって、位相補正を与える実施形態を提供することが有利な場合がある。たとえば、0度と180度(全域通過フィルタをバイパスする)とを含むたとえば12の位相補正設定値があってもよく、他の10個が全域通過フィルタの5つの異なる(ただし厳選された)同調周波数を1段階ずつ進み、極性反転なしでたとえば15Hz~360Hzの範囲をカバーし、他の5つが極点反転ありで15Hz~360Hzの範囲をカバーすることができる。これによって、すべてではないがほとんどのクロスオーバー周波数についての大雑把な補正を選択することができる、十分な位相制御を行う可能性をユーザに与えることができる。
【0057】
図2A~
図5に示すような本発明の位相アライメント制御システムは、他にもある利点の中でも特に、サブウーファの信号出力250におけるきわめて短い群遅延を実現するように、効率的で効果的なデジタル信号処理に焦点を合わせることによって、聴取者またはユーザが、ユーザの室内においてサブウーファ222の音をマルチスピーカ(たとえばホームシアター)システム200の音とブレンドまたは一体化させることができるようにする、驚くほど有効な特徴と方法の組合せを提供する。リスニングルームにおいてユーザの望ましい位相補正または位相シフトを達成するために、位相制御と極性の同時調整の新規な組合せが採用される。ユーザの望ましい位相補正を導き出すために、サブウーファのユーザ調整ローパスフィルタ周波数に部分的に基づいて、好ましくは単一の1次全域通過フィルタの同調周波数を変更することも新規な点である。これらの新規な特徴は、ユーザが、ユーザの室内の位置24において、位相補正調整を加え、全体的なシステムの音における濁りまたはその他の悪影響を最小にすることができるようにするのに特によく適している。
【0058】
以上、新規で改良された方法およびシステムの実施形態について説明したが、当業者には、本明細書に記載の教示に照らして、他の修正、変形および変更が示唆されるものと考えられる。したがって、すべてのそのような変形、修正および変更は、本発明の範囲に含まれるとみなされるものと理解されたい。また、好ましいか、有利であるか、または好都合であるなどとして記載されている本発明の整数または特徴は、任意選択であり、独立請求項の範囲を限定しないことも、読者にはわかるであろう。また、そのような任意選択の整数または特徴は、本発明の一部の実施形態では有利である可能性があるが、他の実施形態では望ましくはない場合があり、したがって存在しなくてもよいことも理解されたい。
【国際調査報告】