(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-05
(54)【発明の名称】複数のソーラサブストリングの化学物質および構成に適応可能なソーラチャージコントローラ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20231225BHJP
G05F 1/67 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H02M3/00 H
G05F1/67 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518902
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 US2021051985
(87)【国際公開番号】W WO2022067059
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523104203
【氏名又は名称】オプティヴォルト ラボス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】OPTIVOLT LABS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アイリッシュ,リンダ
【テーマコード(参考)】
5H420
5H730
【Fターム(参考)】
5H420BB02
5H420BB03
5H420BB12
5H420CC03
5H420DD02
5H420EB37
5H420FF03
5H420FF04
5H420FF14
5H420FF22
5H420FF23
5H420FF26
5H730AA14
5H730AS01
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FD61
5H730FG05
(57)【要約】
第1のソーラパネルのソーラサブストリングの電圧を平衡させるためのシステムは、誘導バランサ回路を含む。誘導バランサ回路は、ソーラサブストリングにそれぞれ結合された第1の電力レベルペアおよび第2の電力レベルペアを含み、かつ直列に配置されたスイッチのペアと、直列に配置され、第1のスイッチのペアに並列に接続されたコンデンサのペアと、第1のスイッチのペアと第1のコンデンサのペアとの間に配置されたインダクタとを含む。このシステムは、誘導バランサ回路に結合されたコントローラをさらに含み、このコントローラが、あるデューティサイクルでスイッチのペアの状態を振動させ、第1の電力レベルペアおよび第2の電力レベルペアにおける電圧を平衡させ、最も照射されたソーラサブストリングの公称動作電圧の倍数である総電圧出力を生成するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムにおいて、
・第1のソーラパネルであって、
o第1のソーラサブストリングと、
o第2のソーラサブストリングとを有する、第1のソーラパネルと、
・誘導バランサ回路とを備え、この誘導バランサ回路が、
o前記第1のソーラサブストリングに結合された第1の電力レベルペアであって、
-直列に配置された第1のスイッチのペアと、
-直列に配置され、前記第1のスイッチのペアに並列に接続された第1のコンデンサのペアと、
-前記第1のスイッチのペアと前記第1のコンデンサのペアとの間に配置された第1のインダクタとを含む、第1の電力レベルペアと、
o前記第2のソーラサブストリングに結合された第2の電力レベルペアであって、
-直列に配置された第2のスイッチのペアと、
-直列に配置され、前記第2のスイッチのペアに並列に接続された第2のコンデンサのペアと、
-前記第2のスイッチのペアと前記第2のコンデンサのペアとの間に配置され、前記第1のスイッチのペアおよび前記第1のコンデンサのペアに接続された第2のインダクタとを含む、第2の電力レベルペアと、
o前記誘導バランサ回路に結合されたコントローラであって、バランシングサイクルを開始し、前記バランシングサイクル中に、
-前記第1のスイッチのペアおよび前記第2のスイッチのペアの状態を第1のデューティサイクルで振動させ、
-前記第1の電力レベルペアおよび前記第2の電力レベルペアにおける電圧を平衡させ、
-最も照射されたソーラサブストリングの公称動作電圧の倍数である総電圧出力を生成するように構成されたコントローラと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
・前記第1の電力レベルペアが、
o接地レールに結合された第1の接合部と、
o前記第1のコンデンサのペアのうちの第1のコンデンサを介して前記第1の接合部に結合された第2の接合部とをさらに含み、
・前記第1の電力レベルペアの第1のスイッチのペアが、
o第1のトランジスタであって、
-前記接地レールに接続された第1のソースと、
-第1のドレインと、
-前記コントローラの第1の制御出力に接続された第1のゲートとを有する、第1のトランジスタと、
o第2のトランジスタであって、
-前記第1のトランジスタの第1のドレインに接続された第2のソースと、
-前記第2の接合部に接続された第2のドレインと、
-前記コントローラの第2の制御出力に接続された第2のゲートであって、前記第1の制御出力と180°位相のずれた第2のゲートとを有する、第2のトランジスタと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
・前記第1のトランジスタの第1のドレインおよび前記第2のトランジスタの第2のソースが、前記第1の電力レベルペアの前記第1のインダクタを介して前記第1の接合部に接続され、
・前記第2のトランジスタの第2のドレインが、前記第1のコンデンサのペアのうちの第2のコンデンサを介して前記第2の接合部に接続されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、
・前記第2の電力レベルペアが、
o前記第2のコンデンサと前記第2のトランジスタの第2のドレインとの間に結合された第3の接合部と、
o前記第2のコンデンサのペアのうちの第3のコンデンサを介して前記第3の接合部に結合された第4の接合部とをさらに含み、
・前記第2の電力レベルペアの第2のスイッチのペアが、
o第3のトランジスタであって、
-前記接地レールに接続された第3のソースと、
-第3のドレインと、
-前記コントローラの第3の制御出力に接続された第3のゲートとを含む、第3のトランジスタと、
o第4のトランジスタであって、
-前記第3のトランジスタの第3のドレインに接続された第4のソースと、
-前記第4の接合部に接続された第4のドレインと、
-前記コントローラの第4の制御出力に接続され、前記第3の制御出力と180°位相がずれている第4のゲートとを含む、第4のトランジスタと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、
・前記第3のトランジスタの第3のドレインおよび前記第4のトランジスタの第4のソースが、前記第2の電力レベルペアの前記第2のインダクタを介して前記第3の接合部に接続され、
・前記第4のトランジスタの第4のドレインが、前記第2のコンデンサのペアのうちの第4のコンデンサを介して前記第4の接合部に接続され、
・前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタが、前記接地レールおよび前記第2の接合部にわたって、前記第1の電力レベルペアの第1の電力レベルと第2の電力レベルに交互に接続され、
・前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタが、前記第2の接合部および前記第4の接合部にわたって、前記第2の電力レベルペアの第3の電力レベルと第4の電力レベルに交互に接続されることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、
・さらに、
o前記誘導バランサ回路に結合された第1の変圧器を含み、前記第1の変圧器が、
-第1の巻線と、
-第2の巻線とを含み、
・前記第1のスイッチのペアと前記第1のコンデンサのペアとの間に配置された第1のインダクタが、前記第1の巻線を含み、
・前記第2のスイッチのペアと前記第2のコンデンサのペアとの間に配置された第2のインダクタが、前記第2の巻線を含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、
・さらに、
o第3のソーラサブストリングと、
o第4のソーラサブストリングとを含み、
・前記第1の電力レベルペアが、
o前記第1のソーラサブストリングに結合された第1の電力レベルと、
o前記第3のソーラサブストリングに結合された第2の電力レベルとをさらに含み、
・前記第2の電力レベルペアが、
o前記第2のソーラサブストリングに結合された第3の電力レベルと、
o前記第4のソーラサブストリングに結合された第4の電力レベルとをさらに含み、
・前記コントローラが、前記バランシングサイクル中に、
o固定昇圧比を誘導し、
o第1、第2、第3および第4の電力レベルの各々の比率、および前記第1のスイッチのペアの第1のデューティサイクルの関数として、電圧出力を生成するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、
・前記第1のソーラサブストリングが第1のソーラセルのセットを含み、前記第1のソーラセルのセットが、第1のソーラセル化学物質を含み、第1の公称動作電圧で動作可能であり、
・前記第2のソーラサブストリングが、前記第1のソーラセルのセットよりも少ない第2のソーラセルのセットを含み、前記第2のソーラセルのセットが、前記第1のソーラセル化学物質とは化学的に異なる第2のソーラセル化学物質を含み、第2の公称動作電圧で動作可能であり、
・前記コントローラが、前記バランシングサイクル中に、前記第1の電力レベルペアおよび前記第2の電力レベルペアの各々について、前記第1のデューティサイクルよりも大きい第2のデューティサイクルで前記第1のスイッチのペアを駆動するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項2に記載のシステムにおいて、
・前記第1の電力レベルペアが、
o第1の電力レベルと、
o前記第1のソーラサブストリングに結合された第2の電力レベルとをさらに含み、
・前記コントローラが、第1の時点において、第1の高誘導駆動段階を開始し、この第1の高誘導駆動段階中に、
o前記第1の制御出力に導かれた第1の制御信号を電圧HI状態に駆動し、
o前記第2の制御出力に導かれた第2の制御信号を電圧LO状態に駆動し、
o前記第1のトランジスタをオン状態に設定し、
o前記第2のトランジスタをオフ状態に設定するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、
・前記第1の高誘導駆動段階中に、前記コントローラが、
o前記第1のソーラサブストリングの照射に応答して、前記第1の接合部および前記第2の接合部にわたって前記第1のソーラサブストリングの第1の公称動作電圧を誘導し、
o前記第1のインダクタの第1のトランジスタ側をグランドに結合して、
-前記第1のインダクタにおいて第1の方向に第1の電圧変化を生成し、
-前記第1のソーラサブストリングによって出力された第1の電流を、前記第1のインダクタを介して前記第1の方向に導くようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、前記第1の時点に続く第2の時点に、第1の低誘導駆動段階を開始し、この第1の低誘導駆動段階中に、
・前記第1の制御出力に導かれた第3の制御信号を電圧LO状態に駆動し、
・前記第2の制御出力に導かれた第4の制御信号を電圧HI状態に駆動し、
・前記第1のトランジスタをオフ状態に設定し、
・前記第2のトランジスタをオン状態に設定するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、
・前記第2のトランジスタの第2のドレインが、前記第1のコンデンサのペアのうちの第2のコンデンサを介して前記第2の接合部に接続され、
・前記第1の低誘導駆動段階中に、前記コントローラが、
o前記第1のインダクタから出力された第1の電流を前記第2のトランジスタに導き、
o前記第2のコンデンサにおいて第1の電圧を生成するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、
・前記誘導バランサ回路および前記コントローラに結合された温度センサをさらに含み、
・前記コントローラが、前記バランシングサイクル中に、
o第1の温度閾値にアクセスし、
o前記温度センサからの第1の温度にアクセスし、
o前記第1の温度が前記第1の温度閾値を超えるのに応答して、前記バランシングサイクルを終了させるようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、
・前記誘導バランサ回路に結合された最大電力点追跡(MPPT)センサと、総出力電圧に接続された負荷とをさらに含み、
・前記コントローラが、前記バランシングサイクル中に、
o第1の電圧負荷閾値にアクセスし、
o負荷の第1の電圧読取値にアクセスし、
o前記第1の電圧読取値が前記第1の電圧閾値を超えるのに応答して、前記第1のデューティサイクルを第2のデューティサイクルに減少させるようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項15】
システムにおいて、
・第1のソーラパネルであって、
o第1のソーラサブストリングのペアを規定する第1のソーラパネルサブストリングおよび第2のソーラパネルサブストリングと、
o第2のソーラサブストリングのペアを規定する第3のソーラパネルサブストリングおよび第4のソーラパネルサブストリングとを含む、第1のソーラパネルと、
・誘導バランサ回路とを備え、この誘導バランサ回路が、
o前記第1のソーラサブストリングのペアに結合された第1の電力レベルペアであって、
-直列に配置された第1のスイッチのペアと、
-直列に配置され、前記第1のスイッチのペアに並列に接続された第1のコンデンサのペアと、
-前記第1のスイッチのペアと前記第1のコンデンサのペアとの間に配置された第1のインダクタとを含む、第1の電力レベルペアと、
o前記第2のソーラサブストリングのペアに結合された第2の電力レベルペアであって、
-直列に配置された第2のスイッチのペアと、
-直列に配置され、前記第2のスイッチのペアに並列に接続された第2のコンデンサのペアと、
-前記第2のスイッチのペアと前記第2のコンデンサのペアとの間に配置され、前記第1のスイッチのペアおよび前記第1のコンデンサのペアに接続された第2のインダクタとを含む、第2の電力レベルペアと、
o前記誘導バランサ回路に結合されたコントローラであって、バランシングサイクルを開始し、前記バランシングサイクル中に、
-前記第1のスイッチのペアおよび前記第2のスイッチのペアの状態を第1のデューティサイクルで振動させ、
-前記第1の電力レベルペアおよび前記第2の電力レベルペアの電圧を平衡させ、
-固定昇圧比を誘導し、
-前記第1の電力レベルペア、前記第2の電力レベルペアの各々の比率、および前記第1のデューティサイクルの関数として、総電圧出力を生成するように構成されたコントローラと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
・前記第1のソーラサブストリングのペアが第1のソーラセルのセットを含み、前記第1のソーラセルのセットが、第1のソーラセル化学物質を含み、第1の公称動作電圧で動作可能であり、
・前記第2のソーラサブストリングのペアが、
o前記第1の量のソーラセルよりも少ない第2の量のソーラセルと、
o前記第1のソーラセル化学物質とは化学的に異なる第2のソーラセル化学物質と、
o前記第1の公称動作電圧よりも小さい第2の公称動作電圧とを含み、
・前記コントローラが、前記バランシングサイクル中に、前記第1の電力レベルペアおよび前記第2の電力レベルペアの各々について、前記第1のデューティサイクルよりも大きい第2のデューティサイクルで前記第1のスイッチのペアを駆動するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムにおいて、
・前記第1の電力レベルペアが、
o接地レールに結合された第1の接合部と、
o前記第1のコンデンサのペアのうちの第1のコンデンサを介して前記第1の接合部に結合された第2の接合部とをさらに含み、
・前記第1の電力レベルペアの第1のスイッチのペアが、
o第1のトランジスタであって、
-前記接地レールに接続された第1のソースと、
-第1のドレインと、
-前記コントローラの第1の制御出力に接続された第1のゲートとを有する、第1のトランジスタと、
o第2のトランジスタであって、
-前記第1のトランジスタの第1のドレインに接続された第2のソースと、
-前記第2の接合部に接続された第2のドレインと、
-前記コントローラの第2の制御出力に接続された第2のゲートであって、前記第1の制御出力と180°位相のずれた第2のゲートとを有する、第2のトランジスタと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、
・前記第1の電力レベルペアが、
o前記第1のソーラサブストリングに結合された第1の電力レベルと、
o前記第2のソーラサブストリングに結合された第2の電力レベルとをさらに含み、
・前記コントローラが、第1の時点において、第1の高誘導駆動段階を開始し、この第1の高誘導駆動段階中に、
o前記第1のトランジスタをオン状態に設定し、
o前記第2のトランジスタをオフ状態に設定し、
-前記第1のソーラサブストリングの第1の照射と、
-前記第1の照射よりも小さい前記第2のソーラサブストリングの第2の照射とに応答して、
o前記第1の接合部および前記第2の接合部にわたって、前記第1のソーラサブストリングの第1の公称動作電圧を誘導し、
o前記第1のインダクタの第1のトランジスタ側をグランドに結合して、
-前記第1のインダクタにおいて第1の方向に第1の電圧変化を生成し、
-前記第1のソーラサブストリングによって出力された第1の電流を、前記第1のインダクタを介して前記第1の方向に導くようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、
・前記第2のトランジスタの第2のドレインが、前記第1のコンデンサのペアのうちの第2のコンデンサを介して前記第2の接合部に接続され、
・前記コントローラが、前記第1の時点に続く第2の時点に、第1の低誘導駆動段階を開始し、この第1の低誘導駆動段階中に、
o前記第1のトランジスタをオフ状態に設定し、
o前記第2のトランジスタをオン状態に設定し、
o前記第1のインダクタから出力された第1の電流を前記第2のトランジスタに導き、
o前記第2のコンデンサにおいて第1の電圧を生成するようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムにおいて、
・前記誘導バランサ回路に結合された最大電力点追跡(MPPT)センサと、総出力電圧に接続された負荷とをさらに含み、
・前記コントローラが、前記バランシングサイクル中に、
o第1の電圧負荷閾値にアクセスし、
o負荷の第1の電圧読取値にアクセスし、
o前記第1の電圧読取値が前記第1の電圧閾値を超えるのに応答して、前記第1のデューティサイクルを第2のデューティサイクルに減少させ、
o前記第1の電圧読取値が前記第1の電圧閾値を下回るのに応答して、前記第1のデューティサイクルを第3のデューティサイクルに増加させるようにさらに構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項21】
システムにおいて、
・第1のソーラパネルであって、
o第1のソーラサブストリングのペアを規定する第1のソーラパネルサブストリングおよび第2のソーラパネルサブストリングと、
o第2のソーラサブストリングのペアを規定する第3のソーラパネルサブストリングおよび第4のソーラパネルサブストリングとを含む、第1のソーラパネルと、
・誘導バランサ回路とを備え、この誘導バランサ回路が、
o前記第1のソーラサブストリングのペアに結合された第1の電力レベルペアであって、
-直列に配置された第1のスイッチのペアと、
-前記第1のスイッチのペア間に配置された第1のインダクタと、
-前記第1のソーラパネルサブストリングと前記第2のソーラパネルサブストリングとの間に配置され、前記第1のインダクタに直列に接続された第1の接地コンデンサとを含む、第1の電力レベルペアと、
o前記第2のソーラサブストリングのペアに結合された第2の電力レベルペアであって、
-直列に配置され、前記第1のスイッチのペアと直列に接続された第2のスイッチのペアと、
-前記第2のスイッチのペア間に配置された第2のインダクタと、
-前記第3のソーラパネルサブストリングと前記第4のソーラパネルサブストリングとの間に配置され、前記第1のインダクタに直列に接続された第2の接地コンデンサとを含む、第2の電力レベルペアと、
o前記誘導バランサ回路に結合されたコントローラであって、バランシングサイクルを開始し、前記バランシングサイクル中に、
-前記第1のスイッチのペアおよび前記第2のスイッチのペアの状態を第1のデューティサイクルで振動させ、
-前記第1の電力レベルペアおよび前記第2の電力レベルペアの電圧を平衡させ、
-前記第1の電力レベルペア、前記第2の電力レベルペアの各々の比率、および前記第1のデューティサイクルの関数として、総電圧出力を生成するように構成されたコントローラと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムにおいて、
・前記第1の電力レベルペアが、
o直列に配置され、前記第1のスイッチのペアと並列に接続された第1のコンデンサのペアと、
o接地レールに結合された第1の接合部と、
o前記第1のコンデンサのペアのうちの第1のコンデンサを介して前記第1の接合部に結合された第2の接合部とをさらに含み、
・前記第1の電力レベルペアの第1のスイッチのペアが、
o第1のトランジスタであって、
-前記接地レールに接続された第1のソースと、
-第1のドレインと、
-前記コントローラの第1の制御出力に接続された第1のゲートとを有する、第1のトランジスタと、
o第2のトランジスタであって、
-前記第1のトランジスタの第1のドレインに接続された第2のソースと、
-前記第2の接合部に接続された第2のドレインと、
-前記コントローラの第2の制御出力に接続された第2のゲートであって、前記第1の制御出力と180°位相のずれた第2のゲートとを有する、第2のトランジスタと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムにおいて、
・前記第1のトランジスタの第1のドレインおよび前記第2のトランジスタの第2のソースが、前記第1の電力レベルペアの第1のインダクタを介して前記第1の接合部に接続され、
・前記第2のトランジスタの第2のドレインが、前記第1のコンデンサのペアのうちの第2のコンデンサを介して前記第2の接合部に接続されていることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のシステムにおいて、
・前記第2の電力レベルペアが、
o直列に配置され、前記第2のスイッチのペアと並列に接続された第2のコンデンサのペアと、
o前記第2のソーラパネルサブストリングと前記第3のソーラパネルサブストリングとの間に配置された第3の接地コンデンサと、
o前記第2のコンデンサと前記第2のトランジスタの第2のドレインとの間に結合された第3の接合部と、
o前記第2のコンデンサのセットのうちの第3のコンデンサを介して前記第3の接合部に結合された第4の接合部とをさらに含み、
前記第2の電力レベルペアの第2のスイッチのペアが、
o第3のトランジスタであって、
-前記接地レールに接続された第3のソースと、
-第3のドレインと、
-前記コントローラの第3の制御出力に接続された第3のゲートとを有する、第3のトランジスタと、
o第4のトランジスタであって、
-前記第3のトランジスタの第3のドレインに接続された第4のソースと、
-前記第4の接合部に接続された第4のドレインと、
-前記コントローラの第4の制御出力に接続された第4のゲートであって、前記第3の制御出力と180°位相のずれた第4のゲートとを有する、第4のトランジスタと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムにおいて、
・前記第3のトランジスタの第3のドレインおよび前記第4のトランジスタの第4のソースが、前記第2の電力レベルペアの前記第2のインダクタを介して前記第3の接合部に接続され、
・前記第4のトランジスタの第4のドレインが、前記第2のコンデンサのペアのうちの第4のコンデンサを介して前記第4の接合部に接続され、
・前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタが、前記接地レールおよび前記第2の接合部にわたって、前記第1の電力レベルペアの第1の電力レベルと第2の電力レベルに交互に接続され、
・前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタが、前記第2の接合部および前記第4の接合部にわたって、前記第2の電力レベルペアの第3の電力レベルと第4の電力レベルに交互に接続されることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して太陽光発電システムの分野に関し、より具体的には、太陽光発電システムの分野における複数のソーラサブストリングの化学物質および構成に適応可能な新規かつ有用なソーラチャージコントローラに関するものである。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月25日に出願された「Solar Charge Controller Adaptable for Multiple Solar Substring Chemistries and Configurations」という名称の米国仮出願第63/083,817号の利益を主張するものであり、その全体がこの引用により援用されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1は、システムの例示的な実施態様の概略図である。
【
図2】
図2は、システムの例示的な実施態様の概略図である。
【
図3】
図3は、システムの例示的な実施態様の図面である。
【
図4】
図4は、システムの例示的な実施態様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の本発明の実施形態の説明は、本発明をそれらの実施形態に限定することを意図したものではなく、当業者が本発明を製造および使用できるようにすることを意図したものである。本明細書に記載の態様、構成、実施例、実施形態および例は任意選択的なものであり、それらが説明する態様、構成、実施例、実施形態および例のみに限定されるものではない。本明細書に記載の発明は、それらの態様、構成、実施例、実施形態および例のうちの何れかおよびすべての置換を含むことができる。
【0005】
1.システム
図1~
図4に示すように、システム100は、動作中に、不均一な照射を受ける可能性がある(それにより不均一な電力出力を生じ得る)ソーラサブストリングのセットと相互作用してソーラサブストリングのセットによる電力出力を平衡させるように構成されている。例えば、システム100は、ソーラサブストリングのセットであって、勾配のある住宅屋根の複数の面に配置され、近傍の木々や他の建物によって陰になる平らな屋根に配置され、車両のルーフトップに配置され、または2以上の非平行面上にまたはそれら平面にわたって配置されかつ/または変化する影に曝される、ソーラサブストリングのセットと相互作用してソーラサブストリングのセットによる電力出力を平衡させるように構成された電力コントローラ210を規定することができる。
【0006】
特に、直列に接続されたソーラサブストリング(例えば、個々のソーラセル、ソーラサブストリング内のソーラセルのグループ)のセットが均一に照射されていない場合、ソーラセルのセットからの総出力電流は、セット内の最低出力のソーラセルを通る電流に制限される。このため、高出力ソーラサブストリングから低出力ソーラサブストリングを迂回して電流を流すバイパスダイオードを実装するのではなく、システム100は、電力レベルペアのセットであって、各々が1つのソーラサブストリング(例えば、ハーフレベル昇圧構成)または2つのソーラサブストリング(例えば、フルレベル電圧バランシング構成)に接続された、電力レベルペアのセットと、各電力レベルペア内のスイッチおよびコンデンサのペアと、電力レベルペアごとに1の巻線を含む変圧器130とを含むことができる。システム100のコントローラ210がそれら電力レベルペアの各変化ポンプ内のトランジスタペアの状態を交互に切り替えるとき、変圧器130内の巻線が結合して、各電力レベルにおいて共通の電圧(セット内の何れか1つのソーラサブストリングの最大電圧に等しい電圧)を強制することができ、それにより、ソーラサブストリングの一部または殆どが陰になっているか、または一貫して照射されていない場合であっても、システム100およびソーラサブストリングの総電圧出力を、ソーラサブストリングの公称動作電圧の倍数に引き上げることができる。巻線は、各電力レベルにおいて電圧を平衡させるだけでなく、低い電力レベルのソーラサブストリングによって出力されたエネルギーを蓄積した後、この蓄積されたエネルギーを最後の電力レベルから負荷270への電流出力に変換し、それによりシステム100の総電流出力(および総電力出力)をセット内の単一の最も照射の弱いソーラサブストリングの電流スループットの制限から分離する。
【0007】
このため、各電力レベルペアは、直列に配置されたスイッチ(例えば、トランジスタ)のペアと、直列に配置され、スイッチのペアに並列に接続されたコンデンサのペアと、スイッチとコンデンサとの間に介在する変圧器130の巻線とを含み、スイッチおよびコンデンサのペアと協働して電力レベルペア内の2つの電力レベルにおいて電圧を平衡させ、複数の電力レベルペアに接続されたソーラサブストリングによって出力されたエネルギーを蓄積するよう構成されるとともに、セット内のすべてのソーラサブストリングによって出力されたエネルギーの合計の関数として(例えば、システム100内の最後の電力レベルを介して)負荷270に電流を出力するように構成されている。より具体的には、システム100は、電力レベルのセットにわたって接続された変圧器130と、各電力レベル内のトランジスタの状態を振動させて、システム100に接続された最も照射されたソーラサブストリングの公称動作電圧の倍数である総電圧出力、並びに、接続された各ソーラサブストリングの個々の出力電力の組合せ(例えば、合計)である(セット内の単一の最も照射されていないソーラサブストリングの電力出力または電流スループットに制限されない)総出力電力をもたらすように構成されたコントローラ210とを含む。
【0008】
さらに、ソーラサブストリングのセットからの不一致の出力電流のバランスを取ることによって、システム100は、各電力レベルのペアに接続された2つの異なるソーラセルの化学物質(例えば、同一の照射条件下で異なる出力電圧(および異なる出力電力)を示すことができるペロブスカイトおよびシリコンなど)のソーラサブストリングを結合させることができる。この構成において、コントローラ210は、システム100に接続された1つのソーラストリングおよび/または1つのソーラセル化学物質のみが照射されるか、または他の方法で電力を出力していたとしても、各ソーラセルの化学物質をその公称動作電圧に維持するために、電力レベルペアのトランジスタが切り替えられるデューティサイクルを変えることができる。
【0009】
図1に示す例示的な一実施態様では、システム100が、誘導バランサ回路120を含むことができる。誘導バランサ回路120は、第1のソーラサブストリング111に結合された第1の電力レベルのペア122を含むことができ、この第1の電力レベルのペアが、直列に配置された第1のスイッチ140のペアと、直列に配置され、第1のスイッチ140のペアに並列に接続された第1のコンデンサ150のペアと、第1のスイッチ140のペアと第1のコンデンサ150のペアとの間に配置された第1の巻線132またはインダクタとを含む。また、誘導バランサ回路120は、第2のソーラサブストリング112に結合された第2の電力レベルペア124を含むことができ、この第2の電力レベルペアが、直列に配置された第2のスイッチ160のペアと、直列に配置され、第2のスイッチ160のペアに並列に接続された第2のコンデンサ170のペアと、第2のスイッチ160のペアと第2のコンデンサ170のペアとの間に配置され、第1のスイッチ140のペアおよび第1のコンデンサ150のペアに接続された第2の巻線134またはインダクタとを含む。システム100は、誘導バランサ回路120に結合され、バランシングサイクルを開始するように構成されたコントローラ210をさらに含むことができる。バランシングサイクル中、コントローラ210は、第1のデューティサイクルで第1のスイッチ140のペアおよび第2のスイッチ160のペアの状態を振動させ、第1の電力レベルペア122と第2の電力レベルペア124との間の電圧を平衡させ、最も照射されたソーラサブストリングの公称動作電圧の倍数である総電圧出力を生成することができる。
【0010】
図2に示す例示的な一実施態様では、システム100は、第1のソーラパネルサブストリングのペアを規定する第1のソーラサブストリング111および第2のソーラサブストリング112と、第2のソーラパネルサブストリングのペアを規定する第3のソーラサブストリング113および第4のソーラサブストリング114とを含むことができる。また、システム100は、誘導バランサ回路120も含むことができる。誘導バランサ回路120は、第1のソーラサブストリングのペアに結合された第1の電力レベルのペア122を含むことができ、この第1の電力レベルのペアが、直列に配置された第1のスイッチ140のペアと、直列に配置され、第1のスイッチ140のペアに並列に接続された第1のコンデンサ150のペアと、第1のスイッチ140のペアと第1のコンデンサ150のペアとの間に配置された第1の巻線132またはインダクタとを含む。また、誘導バランサ回路120は、第2のソーラサブストリングのペアに結合された第2の電力レベルのペア124も含むことができ、この第2の電力レベルのペアが、直列に配置された第2のスイッチ160のペアと、直列に配置され、第2のスイッチ160のペアに並列に接続された第2のコンデンサ170のペアと、第2のスイッチ160のペアと第2のコンデンサ170のペアとの間に配置され、第1のスイッチ140のペアおよび第1のコンデンサ150のペアに接続された第2の巻線134またはインダクタとを含む。システム100は、誘導バランサ回路120に結合され、バランシングサイクルを開始するように構成されたコントローラ210をさらに含むことができる。バランシングサイクル中、コントローラ210は、第1のデューティサイクルで第1のスイッチ140のペアおよび第2のスイッチ160のペアの状態を振動させ、第1の電力レベルペア122と第2の電力レベルペア124との間で電圧を平衡させ、固定昇圧比を誘導し、第1の電力レベルペア122、第2の電力レベルペア124の各々の比率および第1のデューティサイクルの関数として総電圧出力を生成することができる。
【0011】
図3および
図4に示す例示的な一実施態様では、システム100がソーラパネル110を含むことができ、このソーラパネルが、ソーラサブストリングのセットを含み、前面および後面を規定する。また、システム100は、ソーラパネル110の後面に配置されたハウジング構造220と、ハウジングの側端から外側に延び、ソーラパネル110に結合されたロッド構造240とを含むことができる。ハウジング構造220は、誘導バランサ回路120と、誘導バランサ回路120に結合されたコントローラ210とを含むことができ、誘導バランサ回路120およびコントローラ210の各々が、ハウジング構造220内に封入されている。
【0012】
2.応用
図2に示す昇圧比構成では、システム100が、電力レベルペアのサブセットのみで、ソーラサブストリングのセットに接続される。各電力レベルペアおよび変圧器130は同様に協働して、未入力の電力レベルを含むすべての電力レベルで電圧を平衡させ、総電力レベルに入力された電力レベルの比率およびトランジスタのデューティサイクルの関数として、固定昇圧比および一貫した電圧出力を生成し、電力レベルのサブセットに接続されたソーラサブストリングによって出力されたエネルギーを蓄積し、そのエネルギーを、セット内の最も照度の低いソーラサブストリングが総電流出力を制限することなく、負荷270への電流出力に変換する。
【0013】
図1に示すハーフレベル構成では、同じシステム100内の各電力レベルペアが、単一のソーラサブストリングに接続される。この構成では、各電力レベルペアおよび変圧器130は同様に協働して、システム100に接続された任意のソーラサブストリングの最大電圧に等しい共通の動作電圧に各ソーラサブストリングの電圧を駆動し、電力レベルのサブセットに接続されたソーラサブストリングによって出力されたエネルギーを蓄積し、このエネルギーを、セット内の最も照度の低いソーラサブストリングが総電流出力を制限することなく、負荷270への電流出力に変換する。この構成では、コントローラ210が、各未入力電力レベルの電圧を、ソーラサブストリングの共通の動作電圧よりも大きい、小さいまたは等しい制御電圧に駆動するために、電力レベルペアのトランジスタが切り替えられるデューティサイクルを変えることもでき、それによって、各入力電力レベルおよび未入力電力レベルの電圧の合計であるシステム100の総出力電圧を制御することができる。
【0014】
したがって、システム100は、システム100の電力レベルの総数まで複数のソーラサブストリングに、単一のソーラセルの化学物質のソーラサブストリングに、または2つの異なるソーラセルの化学物質のソーラサブストリングに、様々な構成で、接続するように構成された単一の電力コントローラ210を規定することができる。これらの構成において、システム100は、電力レベルペアのトランジスタがスイッチングされるデューティサイクルを単に変化させることによって、異なる固定昇圧比、異なるソーラセルの化学物質における負荷270のバランシング、および/または直接最大電力点追跡などを可能にすることができる。
【0015】
システム100は、外部ソーラサブストリングのセットであって、各々が1つのソーラセル化学物質の1または複数のソーラセルを含み、並列または直列に接続された、外部ソーラサブストリングのセットに接続するように構成された個別電力コントローラ210として本明細書に説明されている。しかしながら、システム100は、代替的には、(例えば、ソーラパネル110の剛性ハウジング内に設置または接続された)1つのソーラパネル110に統合され、ソーラパネル110内に配置されたソーラセルおよび/またはソーラサブストリングのセットに接続されるものであってもよい。
【0016】
3.ソーラサブストリングの電力出力変動
通常、ソーラサブストリングのグループは、太陽光照射、陰影および局所反射率(以下「照度」)の変化により、時間の経過とともに不均一な電力出力を示す場合がある。ソーラサブストリングのグループの照度プロファイルは、地理的位置およびソーラサブストリングの設置方向によっても大きく異なり得る。例えば、ソーラサブストリングのグループは、平らな屋根の上に、勾配のある屋根の複数の非平行面にわたって、乗用車のルーフ上に、または野原に設置することができる。このため、それらの設備におけるソーラサブストリングのグループは、時間の経過とともに著しく異なる照度プロファイルに曝される可能性があり、各グループ内のソーラサブストリングは、異なる形で照射され、陰になる場合があり、それにより、任意の時点で著しく異なる電力の大きさを出力する場合がある。
【0017】
このため、システム100は、それらのソーラサブストリングの出力(1日の特定の時間帯(例えば、正午)でほぼ同じ(例えば、それぞれ300ワット)であり、1日の他の時間帯(例えば、午後の早い時間)で非常に異なる(例えば、50ワット~500ワット))を調整および統合して、1つの共通の高電圧、高電流出力にするように構成されたパワーエレクトロニクスを含むことができる。
【0018】
例えば、勾配のある屋根の異なる面に配置された複数のソーラサブストリングを含むソーラ設備の場合、日の出から午前中(例えば、午前5時から午前10時まで)、ソーラ設備の東向きのソーラサブストリングが優勢な照射を受けることができ、ソーラ設備の南向きのソーラサブストリングがある程度の照射を受けることができ、ソーラ設備の西向きのソーラサブストリングが最小限の照射を(例えば、反射から)受けることができる。したがって、この例では、それらソーラサブストリングを切り離して独立に動作させた場合、東向きのソーラサブストリングは、この朝の期間に1.12ボルトの平均動作電圧で平均ワットおよびピーク200ワットの電力を生成することができ、南向きのソーラサブストリングは、この朝の期間に1.09ボルトの平均動作電圧で平均50ワットおよびピーク200ワットの電力を生成することができ、西向きのソーラセルは、この朝の期間に1.0ボルトの平均動作電圧で平均5ワットおよびピーク20ワットの電力を生成することができる。それらのソーラサブストリングが多巻線変圧器130なしで直列に接続されている場合、ソーラサブストリングのセットの総出力は、3.21ボルトで平均5アンペアおよび16ワットの出力電力に低下する可能性がある。
【0019】
前述した例では、午前中から午後半ばまで(例えば、午前10時から午後3時まで)、東向きのソーラサブストリングは(例えば、反射と直接照射の両方から)ある程度の照射を受けることができ、南向きのソーラサブストリングは優勢な照射を受けることができ、西向きのソーラサブストリングはある程度の照射を受けることができる。したがって、それらソーラサブストリングを切り離して独立に動作させた場合、東向きのソーラサブストリングは、この昼の期間に1.15ボルトの平均動作電圧で平均150ワットおよびピーク300ワットの電力を生成することができ、南向きのソーラサブストリングは、この昼の期間に1.2ボルトの平均動作電圧で平均300ワットおよびピーク350ワットの電力を生成することができ、西向きのソーラサブストリングは、この昼の期間に1.15ボルトの平均動作電圧で平均150ワットおよびピーク300ワットの電力を生成することができる。それらのソーラサブストリングが多巻線変圧器130なしで直列に接続されている場合、ソーラサブストリングのセットの総出力は、3.5ボルトで平均130アンペアおよび456ワットの出力電力に低下する可能性がある。
【0020】
さらに、この例では、午後半ばから夕暮れまで(例えば、午後3時から午後8時まで)、東向きのソーラサブストリングは最小限の照射を(例えば、反射から)受けることができ、南向きのソーラサブストリングはある程度の照射を受けることができ、西向きのソーラサブストリングは優勢な照射を受けることができる。したがって、この例では、東向きのソーラサブストリングは、この夕方の期間に1.0ボルトの平均動作電圧で平均5ワットおよびピーク20ワットの電力を生成することができ、南向きのソーラサブストリングは、この夕方の期間に1.09ボルトの平均動作電圧で平均50ワットおよびピーク200ワットの電力を生成することができ、西向きのソーラサブストリングは、この夕方の期間に1.12ボルトの平均動作電圧で平均ワットおよびピーク200ワットの電力を生成することができる。それらのソーラサブストリングが多巻線変圧器130なしで直列に接続されている場合、ソーラサブストリングのセットの総出力は、3.21ボルトで平均5アンペアおよび16ワットの出力電力に低下する可能性がある。
【0021】
このように、東向き、南向きおよび西向きのソーラサブストリングの有効動作電圧および出力電力は、1日の間に時間とともに大きく変化し、かつソーラサブストリング間で大きく異なる可能性がある(例えば、ある瞬間、2つのソーラサブストリング間で最大200ワットおよび0.2ボルトの差がある)。さらに、不均一な照度の下でのそれらソーラサブストリングからの出力電力および電流の差は、直列に配置されたソーラサブストリングのセットの総電力出力を著しく低下させる可能性がある。
【0022】
そこで、ソーラサブストリングのセットは、それらの個々のソーラサブストリングの公称出力電圧の倍数に等しい総出力電圧を達成するために、(例えば、システム100の各電力レベルペアがセット内の1つのソーラサブストリングに接続されるように)直列でシステム100に接続することができる。その後、システム100内のコントローラ210(例えば、ゲートドライブ、クロックなどを含む)は、システム100のこの総出力電圧を接続された負荷270への目標出力電圧に合わせるために、それら電力レベルペアのトランジスタが切り替えられるデューティサイクルを変調することができる。システム100は、それらソーラサブストリングのすべてによって出力されるエネルギーを蓄積し、このエネルギーをシステム100の最後の電力レベルから出力される電流に変換する多巻線変圧器130も含むことができ、それにより、直列内のあるソーラサブストリングから次のソーラサブストリングへの電流の伝送を回避することができる。そうしなければ、ソーラサブストリングのセットからの全電流および総電力出力が制限される可能性がある。
【0023】
このため、システム100は、部分的な陰影および変化する照射条件であっても、ソーラサブストリングのセットからの出力総電圧を制御および維持することができると同時に、それらソーラサブストリングからのより大きな総出力電力を達成することができ、それにより、ソーラ設備は、任意の瞬間にそれらソーラサブストリングに入射する一定量の光に対して、負荷270により大きな電力を供給することができる。
【0024】
4.電力レベルペア
図1に示すように、システム100は、電力レベルペアのセットを含み、それぞれが、第1の(下側)電力レベルと、第2の(上側)電力レベルと、トランジスタおよびコンデンサのセットと、インダクタの巻線であって、接続された1または複数のソーラサブストリングからのエネルギーを蓄積し、他の電力レベルペアの巻線に結合して各電力レベルペア間で電圧を均衡させ、電力レベルペアのトランジスタおよびコンデンサのセットと相互作用して第1および第2の電力レベルの電圧を均衡させるインダクタの巻線とを含む。
【0025】
4.1 第1の電力レベルペア
例示的な一態様では、第1の電力レベルペア122が、接地レールに結合された第1の接合部122aと、第1のコンデンサ152(以下、「奇数」または平滑コンデンサ)を介して第1の接合部122aに結合された第2の接合部122bと、接地レールに接続された第1のソース142a(またはドレイン)、第1のドレイン142b(またはソース)、およびコントローラ210の第1の制御出力に接続された第1のゲート142cを含む第1のトランジスタ142(例えば、MOSFET)と、第1のトランジスタ142の第1のドレイン142bに接続された第2のソース144a(またはドレイン)、第2の接合部122bに接続された第2のドレイン144b(またはソース)、およびコントローラ210(例えば、ゲート駆動、クロックなどを含む)の第2の制御出力(第1の制御出力と180°位相がずれている)に接続された第2のゲート144cを含む第2のトランジスタ144とを含む。さらに、この例示的な態様では、第1のトランジスタ142の第1のドレイン142bおよび第2のトランジスタ144の第2のソース144aが、変圧器130の第1の巻線132を介して第1の接合部122aに接続され、第2のトランジスタ144の第2のドレイン144bが、第2のコンデンサ154(以下、「偶数」コンデンサ)を介して第2の接合部122bに接続されている。
【0026】
特に、この例示的な態様では、第1のトランジスタ142、第1のコンデンサ152、および第1の接合部122aおよび第2の接合部122bが並列に接続され、第1のトランジスタ142および第2のトランジスタ144が直列に接続され、第1のコンデンサ152および第2のコンデンサ154が直列に接続されている。
【0027】
図2に示す例示的な態様の一変形例では、システム100が、接地されたコンデンサ200を含むことができる。例えば、第1の電力レベルペア122は、第2の接合部122bに結合され、接地レールに接続された第1の接地コンデンサ201を含むこともできる。例示的な態様のこの変形例では、第1のトランジスタ142、第1のコンデンサ152、第1の接地コンデンサ201、および第1の接合部122aおよび第2の接合部122bが並列に接続され、第1のトランジスタ142および第2のトランジスタ144が直列に接続され、第1のコンデンサ152および第2のコンデンサ154が直列に接続されている。接地コンデンサは、高周波フィルタリングを改善するためにシステム100に組み込むことができる。別の変形例では、システム100が、第1の接地コンデンサ201のみを含み、第1のコンデンサ152および第2のコンデンサ154を除外することができる。
【0028】
このため、第1のトランジスタ142および第2のトランジスタ144は、接地レールおよび第2の接合部122bにわたって第1の電力レベルと第2の電力レベルを交互に接続する。第1の巻線132は、第1の接合部122aおよび第2の接合部122bに接続されたソーラサブストリングによって、かつ/または変圧器130の他の巻線によって通電され;コントローラ210によって制御される高誘導駆動段階(後述)中に、第1の接合部122aおよび第2の接合部122b間の電圧をシステム100に接続された少なくとも1のソーラサブストリングの公称動作電圧まで駆動し;コントローラ210によって制御される低誘導駆動段階(後述)中に、第2のコンデンサ154の両端間の電圧をシステム100に接続された少なくとも1のソーラサブストリングの公称動作電圧に駆動し;エネルギー(第1および/または第2の電力レベルに接続された1または複数のソーラサブストリングにより出力されて、第1および第2の電力レベル間で電圧を平衡させた後に残るエネルギー)を変圧器130のコアに貯蔵する。
【0029】
4.2 第2の電力レベルペア
上述した例示的な一態様では、第2の電力レベルペア124が、第2のコンデンサ154と第2のトランジスタ144の第2のドレイン144bとの間に結合された第3の接合部124aと、第3のコンデンサ172を介して第3の接合部124aに結合された第4の接合部124bと、接地レールに接続された第3のソース162a(またはドレイン)、第3のドレイン162b(またはソース)、およびコントローラ210の第3の制御出力に接続された第3のゲート162cを含む第3のトランジスタ162(例えば、MOSFET)と、第3のトランジスタ162の第3のドレイン162bに接続された第4のソース164a(またはドレイン)、第4の接合部124bに接続された第4のドレイン164b(またはソース)、およびコントローラ210の第4の制御出力(第3の制御出力と180°位相がずれている)に接続された第4のゲート164cとを含む第4のトランジスタ164とを含む。さらに、この例示的な態様では、第3のトランジスタ162の第3のドレイン162bおよび第4のトランジスタ164の第4のソース164aが、変圧器130の第2の巻線134を介して第3の接合部124aに接続され、第4のトランジスタ164の第4のドレイン164bが、第4のコンデンサ174を介して第4の接合部124bに接続されている。
【0030】
特に、この例示的な態様では、第3のトランジスタ162、第3のコンデンサ172、および第3の接合部124aおよび第4の接合部124bが並列に接続され、第3のトランジスタ162および第4のトランジスタ164が直列に接続され、第3のコンデンサ172および第4のコンデンサ174が直列に接続されている。
【0031】
図2に示すこの例示的な態様の一変形例では、第2の電力レベルペア124が、第3の接合部124aに結合され、接地レールに接続された第2の接地コンデンサ202と、第4の接合部124bに結合され、接地レールに接続された第3の接地コンデンサ103とをさらに含むことができる。特に、例示的な態様のこの変形例では、第2のトランジスタ144、第2のコンデンサ154、第2の接地コンデンサ202、および第2の接合部122bおよび第3の接合部124aが並列に接続され、第3のトランジスタ162、第3のコンデンサ172、第3の接地コンデンサ103、および第3の接合部124aおよび第4の接合部124bが並列に接続され、第3のトランジスタ162および第4のトランジスタ164が直列に接続され、第3のコンデンサ172および第4のコンデンサ174が直列に接続されている。第2の接地コンデンサ202は、高周波フィルタリングを改善するためにシステム100に組み込むことができる。例示的な態様の別の変形例では、システム100が、第2の接地コンデンサ202および第3の接地コンデンサ103のみを含み、第3のコンデンサ172および第4のコンデンサ174を除外することができる。
【0032】
このため、第1のトランジスタ142および第2のトランジスタ144は、接地レールおよび第2の接合部122bにわたって第1の電力レベルと第2の電力レベルを交互に接続する。
【0033】
このため、第3のトランジスタ162および第4のトランジスタ164は、第3の接合部124aおよび第4の接合部124bにわたって第3の電力レベルと第4の電力レベルを交互に接続する。第2の巻線134は、第3の接合部124aおよび第4の接合部124bに接続されたソーラサブストリングによって、かつ/または変圧器130の他の巻線によって通電され;コントローラ210によって制御される高誘導駆動段階(後述)中に、第3の接合部124aおよび第4の接合部124b間の電圧をシステム100に接続された少なくとも1のソーラサブストリングの公称動作電圧まで駆動し;コントローラ210によって制御される低誘導駆動段階(後述)中に、第4のコンデンサ174の電圧をシステム100に接続された少なくとも1のソーラサブストリングの公称動作電圧に駆動し;エネルギー(第3および/または第4の電力レベルに接続された1または複数のソーラサブストリングにより出力されて、第3および第4の電力レベル間で電圧を平衡させた後に残るエネルギー)を変圧器130のコアに蓄積する。
【0034】
4.3 追加電力レベルペア
システム100は、第1の電力レベルペア122および第2の電力レベルペア124の上に、追加的な同様の電力レベルペアを含むことができる。
【0035】
4.4 最後の電力レベルペア
3つの電力レベルペア(すなわち、6つの電力レベル)を含むシステム100の例示的な態様の場合、第3の(すなわち、最後の)電力レベルペアは、第5のソーラサブストリング115および/または第6のソーラサブストリング116に結合された第3の電力レベルペア126を含むことができる。また、システム100は、直列に配置された第3のスイッチ180のペアと、直列に配置された第3のコンデンサ190のペアとをさらに含むことができる。さらに、システムは、第4のコンデンサ174と第4のトランジスタ164の第4のドレイン164bとの間に結合された第5の接合部126aと、第5のコンデンサ192を介して第5の接合部126aに結合された第6の接合部126bと、接地レールに接続された第5のソース182a(またはドレイン)、第5のドレイン182b(またはソース)、およびコントローラ210の第5の制御出力に接続された第5のゲート182cを含む第5のトランジスタ182(例えば、MOSFET)と、第5のトランジスタ182の第5のドレイン182bに接続された第6のソース184a(またはドレイン)、第6の接合部126bに接続された第6のドレイン184b(またはソース)、およびコントローラ210の第6の制御出力(第5の制御出力と180°位相がずれている)に接続された第6のゲート184cとを含む第6のトランジスタ184とを含むことができる。さらに、この例示的な態様では、第5のトランジスタ182の第5のドレイン182bおよび第6のトランジスタ184の第6のソース184aが、変圧器130の第3の巻線136を介して第5の接合部126aに接続され、第6のトランジスタ184の第6のドレイン184bが、第6のコンデンサ194を介して第6の接合部126bに接続されている。
【0036】
特に、この例示的な態様では、第5のトランジスタ182、第5のコンデンサ192、および第5の接合部126aおよび第6の接合部126bが並列に接続され、第5のトランジスタ182および第6のトランジスタ184が直列に接続され、第5のコンデンサ192および第6のコンデンサ194が直列に接続されている。
【0037】
図2に示すこの例示的な態様の一変形例では、第3の電力レベルペア126が、第5の接合部126aに結合され、接地レールに接続された第4の接地コンデンサ204と、第6の接合部126bに結合され、接地レールに接続された第5の接地コンデンサ205とをさらに含むことができる。特に、例示的な態様のこの変形例では、第4のトランジスタ164、第4のコンデンサ174、第4の接地コンデンサ204、および第4の接合部124bおよび第5の接合部126aが並列に接続され、第5のトランジスタ182、第5のコンデンサ192、第5の接地コンデンサ205、および第5の接合部126aおよび第6の接合部126bが並列に接続され、第5のトランジスタ182および第6のトランジスタ184が直列に接続され、第5のコンデンサ192および第6のコンデンサ194が直列に接続されている。第2の接地コンデンサ202は、高周波フィルタリングを改善するために、システム100に組み込むことができる。この態様の変形例では、第3の電力レベルペア126が、第6のコンデンサ194と第6のトランジスタ184の第2のドレイン144bとの間に結合された第7の接合部126cも含むことができる。さらに、例示的な態様のこの変形例では、第3の電力レベルが、第7の接合部126cに結合され、接地レールに接続された第6の接地コンデンサ206を含むことができる。特に、この態様の変形例では、第6のトランジスタ184、第6のコンデンサ194、第6の接地コンデンサ206、および第6および第7の接合部126csが、並列に接続されている。
【0038】
このため、第5のトランジスタ182および第6のトランジスタ184は、第6のコンデンサ194と協働して、第5の接合部126aおよび第6の接合部126bにわたって第5の電力レベルと第6の電力レベルを交互に接続する。第3の巻線136は、第5の接合部126aおよび第6の接合部126bに接続されたソーラサブストリングによって、かつ/または変圧器130の他の巻線によって通電され;コントローラ210によって制御される高誘導駆動段階(後述)中に、第5の接合部126aおよび第6の接合部126b間の電圧をシステム100に接続された少なくとも1のソーラサブストリングの公称動作電圧まで駆動し;コントローラ210によって制御される低誘導駆動段階(後述)中に、第6のコンデンサ194の電圧をシステム100に接続された少なくとも1のソーラサブストリングの公称動作電圧に駆動し;エネルギー(第5および/または第6の電力レベルに接続された1または複数のソーラサブストリングにより出力されて、第5および第6の電力レベル間で電圧を平衡させた後に残るエネルギー)を変圧器130のコアに蓄積し;変圧器130のコアに蓄積されたエネルギーを、コントローラ210によって制御される低誘導駆動段階中に電力レールに接続されている負荷270への電流出力に変換する。
【0039】
5.電力レベルペアカップリング
また、システム100は、電力レベルペアごとに1つの巻線を含む変圧器130も含む。以下に説明するように、変圧器130は、偶数の各電力レベル(すなわち、第1、第3および第5の・・・電力レベル)を共通の「偶数」電圧に駆動するとともに、奇数の各電力レベル(すなわち、第2、第4および第6の・・・電力レベル)を共通の「奇数」電圧に駆動するように機能する。(コントローラ210は、後述するように、共通の偶数電圧と奇数電圧との間の比率を制御するために、各電力レベルペアのトランジスタが切り替えられるデューティサイクルを変化させることが可能である。)
【0040】
システム100は、3つの電力レベルペアを含み、各々が3巻線変圧器130内の1つの巻線に接続されているものとして以下に説明されている。しかしながら、システム100は、他の任意の数の電力レベルペアと、他の任意の数の巻線を含む変圧器とを含むことができる。
【0041】
6.コントローラおよびクロック
コントローラ210は、トランジスタの状態を切り替えるために、振動する第1および第2の制御信号(例えば、位相が180°ずれた方形波に近似する信号など)を各電力レベルペアのトランジスタペアに出力し、それによって電力レベルペアの巻線を通る電流を振動させ、電力レベルペアの電力レベルの電圧を駆動し、電力レベルペアの巻線を駆動して変圧器130の他の巻線に結合する。
【0042】
特に、コントローラ210は、各電力レベルペアの巻線およびコンデンサによって形成されるLC回路の共振周波数に調整された動作周波数で、トランジスタのゲートを駆動する。また、コントローラ210は、固定または可変のデューティサイクルでトランジスタのゲートを駆動し、それにより、以下に説明するように、各電力レベルペアにおける偶数電力レベルの電圧に対する奇数電力レベルの電圧の比率を制御する。
【0043】
7.ハーフレベルバランシング
図1に示すハーフレベル構成では、ソーラサブストリングが、すべての偶数電力レベル(すなわち、第2、第4、第6の・・・電力レベル)に接続され、ソーラサブストリングが、すべての奇数電力レベル(すなわち、第1、第3、第5の・・・電力レベル)から省略されている。
【0044】
7.1 第1の高誘導駆動段階
通常、この構成では、コントローラ210は、第1の高誘導駆動段階中に、第1の制御信号を電圧「HI」状態に駆動し、第2の制御信号を電圧「LO」状態に駆動し(以下「高誘導駆動段階」)、それによって、すべての奇数トランジスタを閉(または「オン」)状態、すべての偶数トランジスタを開(または「オフ」)状態に設定する。第1の電力レベルに接続された第1のソーラサブストリング111が照射されると、第1のソーラサブストリング111は、第1の電力レベルペア122の第1の接合部122aおよび第2の接合部122b間に公称動作電圧(例えば、1.0V)を生成する。この第1の高誘導駆動段階中に、第1のトランジスタ142は、変圧器130の第1の巻線132のトランジスタ側をグランドに結合し、それにより、公称動作電圧まで変圧器130の第1の巻線132において第1の方向に電圧変化(または「第1の極性」)が生じて、第1のソーラサブストリング111によって出力される電流が変圧器130の第1の巻線132を通って第1の方向に流れる。
【0045】
第1の巻線132を通るこのAC信号は、第1の巻線132を変圧器130の他の各巻線に結合させ、それらの他の巻線を第1の方向に同じ公称動作電圧に駆動し、それにより、(システム100の奇数電力レベルに接続されている)現在影になっているかまたは第1のソーラサブストリング111よりも低い電圧を出力する他のソーラサブストリングの電圧を増加させる。
【0046】
7.2 第1の低誘導駆動段階
その後、コントローラ210は、第1の低誘導駆動段階中に、奇数トランジスタを開状態に設定し、偶数トランジスタを閉状態に設定する。前の高誘導駆動段階中に変圧器130の第1の巻線132を通って流れる電流は、(第1の巻線132のインダクタンスに起因して)第1の巻線132を通って流れ続け、第2のトランジスタ144を通過する。照射された第1のソーラサブストリング111は、電流を出力し続け、その電流も、この低誘導駆動段階中に、第1の巻線132に向かって、第2のトランジスタ144を通って流れる。このエネルギーは、第2のコンデンサ154に蓄積され、第2のコンデンサ154に電圧を生成する。
【0047】
特に、コントローラ210が50%デューティで高誘導駆動段階と低誘導駆動段階を切り替える場合(すなわち、高誘導駆動段階の各サイクルの50%と低誘導駆動段階の各サイクルの50%)、高誘導駆動段階から低誘導駆動段階へのこの移行により、第1のソーラサブストリング111の電圧に近いまたは等しい第2のコンデンサ154の電圧(すなわち、第1および第2の電力レベル間で1:1の電圧比)、すなわち、第1のソーラサブストリング111の公称動作電圧を生じさせる。(よって、接地レールと第3の接合部124aとの間の電圧は、第1のソーラサブストリング111の動作電圧の2倍に近づくかまたはそれに等しい。)
【0048】
代替的には、コントローラ210が75%デューティで高誘導駆動段階と低誘導駆動段階を切り替える場合(すなわち、高誘導駆動段階の各サイクルの75%と低誘導駆動段階の各サイクルの25%)、高誘導駆動段階から低誘導駆動段階への移行により、第1のソーラサブストリング111の電圧の3倍(すなわち、0.75:0.25)に等しい第2のコンデンサ154の電圧(すなわち、第1および第2の電力レベル間で1:3の電圧比)、すなわち、第1のソーラサブストリング111の公称動作電圧の3倍を生じさせる。(よって、接地レールと第3の接合部124aとの間の電圧は、第1のソーラサブストリング111の動作電圧の4倍に近づくかまたはそれに等しい。)
【0049】
さらに代替的には、コントローラ210が40%デューティで高誘導駆動段階と低誘導駆動段階を切り替える場合(すなわち、高誘導駆動段階の各サイクルの40%と低誘導駆動段階の各サイクルの60%)、高誘導駆動段階から低誘導駆動段階への移行により、第1のソーラサブストリング111の電圧の3分の2(すなわち、0.40:0.60)に相当する第2のコンデンサ154の電圧(すなわち、第1および第2の電力レベル間で3:2の電圧比)、すなわち、第1のソーラサブストリング111の公称動作電圧の3分の2を生じさせる。(よって、接地レールと第3の接合部124aとの間の電圧は、第1のソーラサブストリング111の動作電圧の1.67倍に近づくかまたはそれに等しい。)
【0050】
さらに、この第2のコンデンサ154の電圧は、第1の巻線132における電圧を第2の方向(または「第2の極性」)に変化(すなわち、反転)させる。したがって、第1の巻線132は、変圧器130内の他の巻線に結合し、それら他の巻線を第2のコンデンサ154の両端間の電圧(またはその近く)に駆動し、それによって、システム100内の他の各偶数コンデンサの両端間の同様の電圧(および他の各偶数電力レベルにおける同様の電圧)を誘導する。
【0051】
このため、第1のソーラサブストリング111の照射および第1のトランジスタ142および第2のトランジスタ144の状態の振動は、システム100の動作周波数で第1の巻線132またはインダクタの極性を振動させる。それにより、6つの電力レベルペアは協働して、電力レールと接地レールとの間の電圧を、6つのソーラサブストリングおよび6つの奇数コンデンサにかかる電圧の合計に駆動する。すなわち、システム100が50%デューティで動作する場合は公称動作電圧の12倍、システム100が75%デューティで動作する場合は公称動作電圧の24倍、またはシステム100が25%デューティで動作する場合は公称動作電圧の10倍となる。
【0052】
さらに、第2のコンデンサ154の電圧が第1のソーラサブストリング111における電圧に駆動されることにより、第1の巻線132は、この低誘導駆動段階中に第1のソーラサブストリング111により出力された残りのエネルギーを変圧器130のコアに蓄積する。
【0053】
7.3 次の高誘導駆動段階
その後、コントローラ210は、次の高誘導駆動段階中に、すべての奇数トランジスタを閉状態に設定し、すべての偶数トランジスタを開状態に設定する。第1のソーラサブストリング111が照射されたままの状態では、第1のソーラサブストリング111は、公称動作電圧で動作し続ける。第2のコンデンサ154が充電されて、前の高誘導駆動段階中に誘導された公称動作電圧を保持している状態では、第1の巻線132は、現在の高誘導駆動段階中に第1のソーラサブストリング111により出力されたエネルギーを変圧器130のコアに蓄積する。
【0054】
さらに、第2のソーラサブストリング112も照射される場合、第2のソーラサブストリング112は、第1のソーラサブストリング111と同様の電圧(すなわち、公称動作電圧)を出力する。第3のトランジスタ162は、変圧器130の第2の巻線134のトランジスタ側を第2のコンデンサ154および第3の接合部124aに結合し、それにより、公称動作電圧まで変圧器130の第2の巻線134において第1の方向に電圧変化を生じさせる。したがって、第2のソーラサブストリング112によって出力された電流は、変圧器130の第2の巻線134を通って第1の方向に流れる。第1のソーラサブストリング111および第2のソーラサブストリング112は同様に照射されて、同様の公称動作電圧で動作するため、第1の巻線132および第2の巻線134における電圧は同様であり、変圧器130を介して第1の電力レベルペア122および第2の電力レベルペア124の間で最小限のエネルギーが交換されるか、またはエネルギーは全く交換されない。
【0055】
代替的には、現在の高誘導駆動段階中に第2のソーラサブストリング112が陰になると、第2のソーラサブストリング112は殆どまたは全く電力を出力しない。第3のトランジスタ162は、この高誘導駆動段階において、変圧器130の第2の巻線134を第2のソーラサブストリング112に結合させる。第1の巻線132と第2の巻線134が結合しているため、変圧器130は第2の巻線134における電圧(および第2のソーラサブストリング112における電圧)を第1のソーラサブストリング111の公称動作電圧まで駆動する。
【0056】
7.4 次の低誘導駆動段階
次の低誘導駆動段階中、コントローラ210は、すべての奇数トランジスタを開状態に設定し、すべての偶数トランジスタを閉状態に設定し、前の高誘導駆動段階中に変圧器130の第2の巻線134を通って流れる電流は、(第1の巻線132のインダクタンスにより)第2の巻線134を通って流れ続けて、第4のトランジスタ164を通過し、第4のコンデンサ174の電圧を第1のソーラサブストリング111の公称出力電圧に駆動する。
【0057】
7.5 マルチレベル動作
したがって、この構成では、変圧器130の巻線が協働して、奇数コンデンサをソーラサブストリングの公称動作電圧に駆動し、照射されたソーラサブストリングによって出力されるエネルギーを変圧器130コアに蓄積し、変圧器コアに蓄積されたエネルギーを、高誘導駆動段階中に第6の電力レベルペアを介して接続負荷270への電流出力に変換する。
【0058】
例えば、6つのソーラサブストリングが同様に照射される場合、各ソーラサブストリングは、同様の大きさの電力を出力し、例えば、照射されたときに1.0ボルトの公称ソーラサブストリング動作電圧および1アンペアの公称ソーラサブストリング出力電流である場合に、ソーラサブストリングあたり1ワット出力し、照射されたときに6つのソーラサブストリングによって合計6ワット出力する。システム100が50%デューティで動作するとき、6つの電力レベルペアが協働して、電力レールと接地レール間に約12.0ボルトを生成する。変圧器130の第6の巻線は、変圧器130のコアに蓄積されたエネルギーを、負荷270への0.5アンペアの平均電流出力に変換し、総電力出力を約6ワットとする。
【0059】
しかしながら、この例において、6つのソーラサブストリングのうちの2つだけが同様に照射され、残りが影になっている場合、照射された各ソーラサブストリングは1ワットの出力電力を生成し、6つのソーラサブストリング全体で合計2ワットの出力となる。システム100が50%デューティで動作する場合、6つの電力レベルペアが協働して、電力レールと接地レール間に約12.0ボルトの出力を生成する。変圧器130の第6の巻線は、変圧器130のコアに蓄積されたエネルギーを、負荷270への0.16アンペアの平均電流出力に変換し、総電力出力を約2ワットとする。
【0060】
同様に、この例において、6つのソーラサブストリングのうちの1つだけが照射され、残りが影になっている場合、照射された1つのソーラサブストリングが1ワットの出力電力を生成し、6つのソーラサブストリング全体で合計1ワットの出力となる。システム100が50%デューティで動作する場合、6つの電力レベルペアが協働して、電力レールと接地レール間に約12.0ボルトの出力を生成する。変圧器130の第6の巻線は、変圧器130のコアに蓄積されたエネルギーを、負荷270への0.08アンペアの平均電流出力に変換し、総電力出力を約0.1ワットとする。
【0061】
7.6 MPPT
別の例示的な態様では、コントローラ210は、最大電力点追跡手法を実行して、バッテリなどの負荷270の電圧および/または電流需要を監視し、その後、電圧および/または電流出力を負荷270の需要に合わせるために、デューティサイクルを調整することができる。
【0062】
例えば、上述したように、コントローラ210は、デューティサイクルを増加させることにより、システム100の総電圧出力を増加させて、負荷270への電流出力を減少させることができ、デューティサイクルを減少させることにより、システム100の総電圧出力を減少させて、負荷270への電流出力を増加させることができる。
【0063】
例示的な態様の一変形例では、システム100は、誘導バランサ回路120に結合された最大電力点追跡センサ260と、システム100の総出力電圧に接続された負荷270とを含むことができる。コントローラ210は、負荷270の電圧負荷閾値にアクセスし、負荷270の第1の電圧読取値にアクセスし、電圧読取値が電圧閾値を超えるのに応答して、第1のデューティサイクルを第1のデューティサイクルよりも小さい第2のデューティサイクルに減少させるように構成することができる。
【0064】
例示的な態様の別の変形例では、コントローラ210が、最大電力点追跡手法を実行して、第1の電力レベルペア122の第1の電圧出力および第2の電力レベルペア124の第2の電圧出力を監視することができる。コントローラ210は、第1の電圧出力および第2の電圧出力に対する目標平衡電圧閾値にアクセスし、第1の電力レベルペア122の第1の電圧出力にアクセスし、第2の電力レベルペア124の第2の電圧出力にアクセスし、第1の電圧出力および第2の電圧出力が目標平衡電圧閾値内に入るのに応答して、バランシングサイクルを終了するよう構成することができる。同様に、コントローラ210は、第1の電圧出力および第2の電圧出力が目標平行閾値から外れるのに応答して、バランシングサイクルを開始することもできる。
【0065】
8.温度追跡
別の例示的な態様では、コントローラ210が、温度追跡手法を実行して、誘導バランサ回路120および/またはバッテリなどの負荷270の温度を監視し、目標温度に一致するように、デューティサイクルを調整するか、バランシングサイクルを終了させることができる。
【0066】
例示的な態様の一変形例では、システム100が、誘導バランサ回路120に結合された温度センサ250と、負荷270とを含むことができる。コントローラ210は、負荷270の温度閾値にアクセスし、負荷270の第1の温度読取値にアクセスし、温度読取値が温度閾値を超えるのに応答して、第1のデューティサイクルを第1のデューティサイクルよりも小さい第2のデューティサイクルに減少させるように構成することができる。
【0067】
例示的な態様の別の変形例では、コントローラ210が、誘導平衡回路の過熱および故障を防止するために、第1の電力レベルペア122および第2の電力レベルペア124の温度読取値を定期的に監視することができる。コントローラ210は、第1の電力レベルペア122および第2の電力レベルペア124の目標温度閾値にアクセスし、第1の電力レベルペア122の第1の温度読取値にアクセスし、第2の電力レベルペア124の第2の温度読取値にアクセスし、第1の電圧出力および/または第2の電圧出力が目標温度閾値を超えるのに応答してバランシングサイクルを終了させるように構成することができる。同様に、コントローラ210は、第1の電圧出力および/または第2の電圧出力が目標温度閾値を下回るのに応答して、バランシングサイクルを開始することもできる。
【0068】
9.フルレベルバランシング
図2に示す別の構成では、(共通のソーラセル化学物質の)1つのソーラサブストリングが、各電力レベルに接続されている。
【0069】
9.1 1つの電力レベルペア内の奇数の照射サブストリングおよび偶数の陰影ソーラサブストリング
コントローラ210は、第1の高誘導駆動段階中に、第1の制御信号を電圧「HI」状態に駆動し、第2の制御信号を電圧「LO」状態に駆動し、それによって、すべての奇数トランジスタを閉(または「オン」)状態、すべての偶数トランジスタを開(または「オフ」)状態に設定する。この構成では、第1の電力レベルに接続された第1のソーラサブストリング111が照射されると、第1のソーラサブストリング111は、第1の電力レベルペア122の第1の接合部122aおよび第2の接合部122bにわたって公称動作電圧(例えば、1.0V)を生成する。しかしながら、第1の電力レベルペア122の第2の電力レベルに接続された第2のソーラサブストリング112が陰になると、第2のソーラサブストリング112は、第2の接合部122bおよび第3の接合部124aにわたってより小さい電力を生成するか、または全く電圧を生成しない。このため、この第1の高誘導駆動段階中に、第1のトランジスタ142は、変圧器130の第1の巻線132のトランジスタ側をグランドに結合し、その結果、公称動作電圧まで変圧器130の第1の巻線132において第1の方向に電圧変化(または「第1の極性」)が生じて、第1のソーラサブストリング111により出力された電流が、変圧器130の第1の巻線132を通って第1の方向に流れる。
【0070】
第1の巻線132を通るこのAC信号は、第1の巻線132を変圧器130の他の各巻線に結合させ、それらの他の巻線を第1の方向に同じ公称動作電圧に駆動し、それにより、(システム100の奇数電力レベルに接続されている)現在影になっているかまたは第1のソーラサブストリング111よりも低い電圧を出力する他のソーラサブストリングの電圧を増加させる。
【0071】
その後、コントローラ210は、第1の低誘導駆動段階中に、奇数トランジスタを開状態に設定し、偶数トランジスタを閉状態に設定する。前の高誘導駆動段階中に第1の方向に変圧器130の第1の巻線132を通って流れる電流は、(第1の巻線132のインダクタンスに起因して)第1の巻線132を通って流れ続け、第2のトランジスタ144を通過する。照射された第1のソーラサブストリング111は、電流を出力し続け、その電流も、この低誘導駆動段階中に、第1の巻線132に向かって、第2のトランジスタ144を通って流れる。このエネルギーは、第2のコンデンサ154に蓄積され、第2のソーラサブストリング112において電圧を生成する。
【0072】
例示的な態様の一変形例では、照射された第1のソーラサブストリング111が電流を出力し続け、その電流も、この低誘導駆動段階中に、第1の巻線132に向かって、第2のトランジスタ144を介して流れる。その後、このエネルギーは、第2のコンデンサ154および第2の接地コンデンサ202に蓄積され、第2のソーラサブストリング112に電圧を生じさせる。この変形例では、第2のコンデンサ154と第2の接地コンデンサ202は並列構成である。このため、第2のコンデンサ154および第2の接地コンデンサ202は、第2のコンデンサ154および第2の接地コンデンサ202の容量の合計を反映する単一のコンデンサとして動作する。
【0073】
特に、コントローラ210が50%デューティで高誘導駆動段階と低誘導駆動段階を切り替える場合(すなわち、高誘導駆動段階の各サイクルの50%と低誘導駆動段階の各サイクルの50%)、第1のソーラサブストリング111における電圧に近いまたは等しい電圧を第2のコンデンサ154および第2のソーラサブストリング112において生成し、それにより、この照射条件中に同じソーラセル化学物質の第1のソーラサブストリング111と第2のソーラサブストリング112との間で電圧が一致する。
【0074】
さらに、第2のコンデンサ154におけるこの電圧は、第1の巻線132における電圧を第2の方向(または「第2の極性」)に変化(すなわち、反転)させる。したがって、第1の巻線132は、変圧器130内の他の巻線に結合し、それら他の巻線を第2のコンデンサ154の電圧(またはその近く)に駆動し、それによって、システム100内の他の各偶数コンデンサにおいて同様の電圧(および他の各偶数電力レベルおよびそれに接続されたソーラサブストリングにおける同様の電圧)を誘導する。
【0075】
9.2 1つの電力レベルペア内の奇数の陰影サブストリングおよび偶数の照射ソーラサブストリング
逆に、第1のソーラサブストリング111が陰になり、第2のソーラサブストリング112が照射される場合、第2のトランジスタ144は、変圧器130の第1の巻線132のトランジスタ側を第2のソーラサブストリング112に結合させ、それにより、第2のソーラサブストリング112の公称動作電圧まで変圧器130の第1の巻線132において第2の方向に電圧変化(または「第2の極性」)が生じて、第2のソーラサブストリング112により出力された電流が、低誘導駆動段階中に変圧器130の第1の巻線132を通って第2の方向に流れる。
【0076】
第1の巻線132を通るこのAC信号は、第1の巻線132を変圧器130の他の各巻線に結合させ、それらの他の巻線を第2の方向に同じ公称動作電圧に駆動し、それにより、(システム100の偶数電力レベルに接続されている)現在影になっているかまたは第2のソーラサブストリング112よりも低い電圧を出力する他のソーラサブストリングにおける電圧を増加させる。
【0077】
その後、コントローラ210は、高誘導駆動段階中に、奇数トランジスタを閉状態に設定し、偶数トランジスタを開状態に設定する。前の低誘導駆動段階中に変圧器130の第1の巻線132を通って第2の方向に流れる電流は、(第1の巻線132のインダクタンスに起因して)第1の巻線132を通って流れ続け、第1のコンデンサ152に電荷を蓄え、第1のソーラサブストリング111における電圧を公称動作電圧に駆動する。
【0078】
例示的な態様の一変形例では、前の低誘導駆動段階中に第2の方向に変圧器130の第1の巻線132を通って流れる電流が、(第1の巻線132のインダクタンスにより)第1の巻線132を通って流れ続けて、第1のコンデンサ152および第1の接地コンデンサ201に電荷を蓄え、第1のソーラサブストリング111にかかる電圧を公称作動電圧に駆動する。この変形例では、第1のコンデンサ152と第1の接地コンデンサ201は並列構成である。このため、第1のコンデンサ152と第1の接地コンデンサ201は、第1のコンデンサ152と第1の接地コンデンサ201の容量の合計を反映する単一のコンデンサとして動作する。
【0079】
特に、コントローラ210は50%デューティで高誘導駆動段階と低誘導駆動段階を切り替え(すなわち、高誘導駆動段階の各サイクルの50%と低誘導駆動段階の各サイクルの50%)、それにより第2のソーラサブストリング112における電圧に近いまたは等しい電圧を第1のコンデンサ152および第1のソーラサブストリング111において生成し、それにより、この照射条件中に同じソーラセル化学物質の第1のソーラサブストリング111と第2のソーラサブストリング112との間で電圧が一致する。
【0080】
9.3 マルチレベル動作
この構成では、6つのソーラサブストリングが同様に照射される場合、各ソーラサブストリングは、同様の大きさの電力を出力し、例えば、照射されたときに1.0ボルトの公称ソーラサブストリング動作電圧および1アンペアの公称ソーラサブストリング出力電流である場合に、ソーラサブストリングあたり1ワット出力し、照射されたときに6つのソーラサブストリングによって合計6ワット出力する。システム100が50%デューティで動作するとき、3つの電力レベルペアが協働して、電力レールおよび接地レール間に約6.0ボルトを生成する。変圧器130の第3の巻線136は、変圧器130のコアに蓄積されたエネルギーを、負荷270への1.0アンペアの平均電流出力に変換し、総電力出力を約6.0ワットとする。
【0081】
しかしながら、この例において、6つのソーラサブストリングのうちの2つだけが同様に照射され、残りが影になっている場合、照射された各ソーラサブストリングは1ワットの出力電力を生成し、6つのソーラサブストリング全体で合計2ワットの出力となる。システム100が50%デューティで動作する場合、6つの電力レベルペアが協働して、電力レールおよび接地レール間に約6.0ボルトの出力を生成する。変圧器130の第3の巻線136は、変圧器130のコアに蓄積されたエネルギーを、負荷270への0.33アンペアの平均電流出力に変換し、総電力出力を約2ワットとする。
【0082】
10.複数のソーラ化学物質
図3に示すさらに別の構成では、照射されたときに第1の公称動作電圧(例えば、1.2ボルト)を特徴とする第1のソーラセル化学物質(例えば、従来のシリコン結晶)の第1のソーラサブストリングのセットがシステム100の奇数電力レベルに接続され、第2の公称動作電圧(例えば、0.8ボルト)を特徴とする第2のソーラセル化学物質(例えば、ペロブスカイト)の第2のソーラサブストリングのセットが偶数電力レベルに接続されている。
【0083】
この構成では、コントローラ210が、システム100に接続された少なくとも1のソーラサブストリングが照射されたときに、奇数電力レベル(および第1のソーラサブストリングのセット)において第1の公称動作電圧を達成し、かつ偶数電力レベル(および第2のソーラサブストリングのセット)において第2の公称動作電圧を達成するために、電力レベルペアのトランジスタを異なるデューティサイクルで駆動することができる。
【0084】
一例では、第1のソーラサブストリングのセット内の各ソーラサブストリングが、並列および/または直列に配置された従来のシリコン結晶ソーラセルを含み、照射されたときに1.2ボルトの第1の公称動作電圧をもたらす。この例では、第2のソーラサブストリングのセット内の各ソーラサブストリングが、並列および/または直列に配置されたペロブスカイトソーラセルを含み、照射されたときに0.8ボルトの第2の公称動作電圧をもたらす。この例では、コントローラ210が、40%のデューティで高誘導駆動段階と低誘導駆動段階を切り替える(すなわち、高誘導駆動段階で各サイクルの40%、低誘導駆動段階で各サイクルの60%とする)。このため、高誘導駆動段階から低誘導駆動段階への移行により、奇数電力レベルにおける電圧の3分の2(すなわち、0.4:0.6)に等しい偶数電力レベルにおける電圧(すなわち、第1および第2の電力レベル間で3:2の電圧比)を生成する。より具体的には、この例において、40%のデューティサイクルで奇数トランジスタおよび偶数トランジスタの状態を振動させることにより、システム100は、セット内の少なくとも1のソーラサブストリングが照射されている場合に、従来のシリコン結晶ソーラセルを含む各奇数ソーラサブストリングを1.2ボルトに駆動し、ペロブスカイトソーラセルを含む各偶数ソーラサブストリングを0.8ボルトに駆動することができる。
【0085】
さらに、この例において、システム100は、セット内の少なくとも1のソーラサブストリングが照射される場合に、12.0ボルトの総出力電圧を達成することができる。
【0086】
別の例では、第1のソーラサブストリングのセット内の各ソーラサブストリングが、第1の量の特定のソーラセル化学物質のソーラセルを含み、並列および/または直列に接続されて、第1の公称動作電圧をもたらし、一方、第2のソーラサブストリングのセット内の各ソーラサブストリングが、(第1の量よりも少ない)第2の量の同じソーラセル化学物質のソーラセルを含み、並列および/または直列で接続されて、第1の公称動作電圧よりも小さい第2の公称動作電圧をもたらす。特に、この例では、第1のソーラサブストリングのセットが、より大きなソーラサブストリングを含むことができ、第2のソーラサブストリングのセットが、より小さなソーラサブストリングを含むことができる。しかしながら、システム100は、それら2つの異なるグループのソーラサブストリングの公称動作電圧の差(例えば、比率)に応じて、デューティサイクルを調整することにより、電圧を平衡させ、それら2つの異なるグループのソーラサブストリングの電力出力を集約することができる。
【0087】
さらに別の例示的な態様では、第1のソーラサブストリング111が、第1のソーラセルのセットを含む。第1のソーラセルのセットは、第1の公称動作電圧で動作可能な第1のソーラセル化学物質を含むことができる。さらに、第2のソーラサブストリング112は、第1のソーラセルのセットよりも少ない第2のソーラセルのセットを含む。第2のソーラセルのセットは、第1のソーラセル化学物質とは化学的に異なる第2のソーラセル化学物質を含むことができ、第2の公称動作電圧で動作する。特に、この例では、第1のソーラセルのセットと第2のソーラセルのセットが、それぞれ異なる量を含む。さらに、第1のソーラセル化学物質と第2のソーラセル化学物質は、化学的に互いに異なる。しかしながら、システム100は、コントローラ210をトリガして、第1の電力レベルペア122の第1のスイッチ140のペアと第2の電力レベルペア124の第2のスイッチ160のペアを駆動して、それら2つの異なるグループのソーラサブストリングの公称動作電圧の比率に応じてデューティサイクルを調整することができる。
【0088】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受け入れるように構成されたマシンとして少なくとも部分的に具現化および/または実施することができる。それら命令は、アプリケーション、アプレット、ホスト、サーバ、ネットワーク、ウェブサイト、通信サービス、通信インターフェース、ユーザコンピュータまたはモバイルデバイス、リストバンド、スマートフォンのハードウェア/ファームウェア/ソフトウェア要素、またはそれらの任意の適切な組合せと統合されたコンピュータ実行可能コンポーネントによって実行されることができる。実施形態の他のシステムおよび方法は、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受け入れるように構成されたマシンとして少なくとも部分的に具現化および/または実施することができる。それら命令は、上述したタイプの装置およびネットワークと統合されたコンピュータ実行可能なコンポーネントによって実行されることができる。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CDまたはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、または任意の適切なデバイスなどの任意の適切なコンピュータ可読媒体に格納されることができる。コンピュータ実行可能なコンポーネントはプロセッサであり得るが、任意の適切な専用ハードウェアデバイスが(代替的または追加的に)それら命令を実行することができる。
【0089】
当業者であれば、上述した詳細な説明および図面および特許請求の範囲から認識されるように、以下の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態に修正および変更を加えることができる。
【国際調査報告】