(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-05
(54)【発明の名称】カテーテル挿入システムにおける最適化された構造支持
(51)【国際特許分類】
A61M 25/01 20060101AFI20231225BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A61M25/01
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537622
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021064671
(87)【国際公開番号】W WO2022140429
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】スパタロ、ジョー
(72)【発明者】
【氏名】マッキノン、オースティン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA21
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB19
4C267BB24
4C267CC08
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、遠位方向に伸長可能な支持装置を含むカテーテル留置システムに関する。細長カテーテルを留置する際に、「非接触」挿入を維持するために、高度な挿入システムが必要とされる。より深く静脈にアクセスするか、またはより深く表面組織を貫通するために、さらに長い針が望ましい。遠位方向に伸長可能な支持装置は、細長カテーテルまたは針のうちの1つに柱状支持を与えることで、カテーテルの屈曲またはよじれを防止するとともに、針先端を所定の曲げアーム距離内に維持する。これにより、ユーザが針またはカテーテルの一方に直接的に接触して追加の支持を与えることが防止されることで、「非接触」挿入が維持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル留置システムであって、
ニードルハブによって支持される針と、
カテーテルルーメンを画定するカテーテルであって、前記針は前記カテーテルルーメンの一部を通って延在する、カテーテルと、
ハウジングと、を備え、前記ハウジングは、
本体と、
前記カテーテルのハブと解放可能に係合されたカテーテル前進アセンブリであって、近位位置、中間位置、および遠位位置の間で前記本体と摺接可能に係合される、カテーテル前進アセンブリと、
後退位置および伸長位置の間で前記本体と摺接可能に係合された遠位支持体であって、前記遠位支持体は、前記カテーテルの一部を受容するチャネルを画定するノーズ部分を含む、遠位支持体と、を備えるカテーテル留置システム。
【請求項2】
前記遠位支持体は、前記遠位支持体が前記後退位置から前記伸長位置に移行する際に、前記カテーテルアセンブリを前記近位位置から前記中間位置に移行させるよう構成されている、請求項1に記載のカテーテル留置システム。
【請求項3】
前記カテーテル前進アセンブリは、前記カテーテル前進アセンブリが前記中間位置から前記遠位位置に移行する際に、前記遠位支持体を前記後退位置から前記伸長位置に移行させるよう構成されている、請求項1または2に記載のカテーテル留置システム。
【請求項4】
前記カテーテル前進アセンブリは当接部を含み、前記本体はカム面を含み、前記当接部は、前記カテーテル前進アセンブリが前記中間位置から前記遠位位置に移行する際に、前記カム面に係合することで前記本体の第1部分を前記本体の第2部分から横方向に離れるように付勢するよう構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項5】
前記ノーズ部分は、前記ノーズ部分にヒンジ係合されたドアであって、前記カテーテルの前記一部が前記チャネルから退出することを可能にするために開位置まで回転可能なドアを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項6】
前記遠位支持体は、前記針の先端から所定の距離内に前記ノーズ部分を維持するために、前記ハウジングから遠位方向に延在するよう構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項7】
前記所定の距離は、7cm以下の針曲げアーム長である、請求項6に記載のカテーテル留置システム。
【請求項8】
前記針ルーメンから血流を受け取るよう構成された血液フラッシュインジケータをさらに含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項9】
前記カテーテルは、CVCカテーテルまたはRICCカテーテルである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カテーテル挿入システムにおける最適化された構造支持に関する。
【発明の概要】
【0002】
簡潔に要約すると、本明細書に開示される実施形態は、カテーテル挿入システムのための最適化された構造支持装置、およびそれに関連した方法に関する。中心静脈カテーテル(CVC)、迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)等の細長カテーテルを留置する従来の方法は、複数の装置を挿入部位から繰り返し挿入および離脱させること、ならびに患者の体内に入る配置ツール、カテーテル、装置などを直接的に取り扱うことを必要とする。軸方向の力が加えられた際の屈曲またはよじれを防止するために、挿入中にこれらの装置を直接的に取り扱うことがしばしば必要とされる。
【0003】
脈管構造へのアクセス、正しい血管アクセスの確認、挿入部位の拡張、およびカテーテルの留置をするよう構成された、ハウジング、針、ガイドワイヤ、拡張器、および/または血液フラッシュインジケータを含む高度なカテーテル挿入システムが開発されてきた。有利には、そのような高度なカテーテル挿入システムは、カテーテルの「非接触」留置を可能にするとともに、病原体の導入を軽減するために、閉鎖環境内に前述の構造を含んでよい。しかしながら、これらの挿入システムにおいては、留置中にカテーテルの一部が依然として支持されないままになり得るので、挿入部位内で軸方向に付勢されると、カテーテルを屈曲またはよじれにさらすことになってしまう。
【0004】
さらに、カテーテルを留置するために脈管構造にアクセスする際には、広い患者ベースに対応するために、針の長さは長いことが望ましい。針の長さが長くなると、より深く静脈にアクセスするか、またはより深く表面組織を貫通することができる。しかしながら、より長い針は、より長い曲げアーム、すなわち、支持されていない針の長さをもたらす。より短い針曲げアーム、すなわち、より短い支持されていない針の長さは、より少ない屈曲、向上した精度、および脈管構造にアクセスする際に医師へ向上した触覚フィードバックを提供するので、好ましい。これらの進歩したカテーテル挿入システムは、「プリロードされた」針を備えているので、針の交換は実行可能ではなく、異なる患者、例えば小児または成人に適合するように完全に異なるシステムが提供されなければならないか、または医師が針を患者の体内に入れる際に針自体を操作することによって針を支持しなければならず、したがって感染の危険を伴う。本明細書に開示される実施形態は、前述の問題を解決するために、構造支持装置を増加させたカテーテル留置システムに関する。
【0005】
本明細書に開示されるカテーテル留置システムは、ニードルハブによって支持される針と、カテーテルルーメンを画定するカテーテルであって、針はカテーテルルーメンの一部を通って延在する、カテーテルと、ハウジングと、を備え、ハウジングは、本体と、カテーテルのハブと解放可能に係合されたカテーテル前進アセンブリであって、近位位置、中間位置、および遠位位置の間で本体と摺接可能に係合される、カテーテル前進アセンブリと、後退位置および伸長位置の間で本体と摺接可能に係合された遠位支持体であって、遠位支持体は、カテーテルの一部を受容するチャネルを画定するノーズ部分を含む、遠位支持体と、を備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、遠位支持体は、遠位支持体が後退位置から伸長位置に移行する際に、カテーテルアセンブリを近位位置から中間位置に移行させるよう構成されている。いくつかの実施形態では、カテーテル前進アセンブリは、カテーテル前進アセンブリが中間位置から遠位位置に移行する際に、遠位支持体を後退位置から伸長位置に移行させるよう構成されている。いくつかの実施形態では、カテーテル前進アセンブリは当接部を含み、本体はカム面を含み、当接部は、カテーテル前進アセンブリが中間位置から遠位位置に移行する際に、カム面に係合することで本体の第1部分を本体の第2部分から横方向に離れるように付勢するよう構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、ノーズ部分は、ノーズ部分にヒンジ係合されたドアであって、カテーテルの一部がチャネルから退出することを可能にするために開位置まで回転可能なドアを含む。遠位支持体は、針の先端から所定の距離内にノーズ部分を維持するために、ハウジングから遠位方向に延在するよう構成される。所定の距離は、7cm以下の針曲げアーム長である。いくつかの実施形態では、カテーテル留置システムは、針ルーメンから血流を受け取るよう構成された血液フラッシュインジケータをさらに含む。いくつかの実施形態では、カテーテルは、CVCカテーテルまたはRICCカテーテルである。
【0008】
また、本明細書に開示される患者の脈管構造内にカテーテルを留置する方法は、脈管構造に針でアクセスする工程であって、針はハウジングから延在するとともに、その上に環状に留置されたカテーテルの一部を含む工程と、カテーテルの一部を脈管構造内に前進させるようにカテーテル前進アセンブリを近位位置から中間位置に摺動させる工程と、遠位支持体を後退位置から伸長位置に作動させる工程と、カテーテル前進アセンブリを中間位置から遠位位置に前進させる工程と、ハウジングの第1部分をハウジングの第2部分から横方向に分離する工程と、ハウジングをカテーテルから横断方向上方に解放する工程と、を備える。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテル前進アセンブリは、カテーテル前進アセンブリが中間位置から遠位位置に移行する際に、ハウジングの第1部分をハウジングの第2部分から横方向に分離するために、ハウジング本体のカム面に係合するよう構成された当接部を含む。いくつかの実施形態では、遠位支持体は、チャネルを画定するノーズ部分を含むとともに、カテーテルと摺接可能に係合され、ノーズ部分は、カテーテル前進アセンブリが中間位置から遠位位置に移行する際に、カテーテルの一部に剛性の柱状支持を与える。いくつかの実施形態では、ノーズ部分は、ノーズ部分にヒンジ結合されたドアであって、カテーテルがチャネルから退出することを可能にするために、縦軸に垂直な軸に沿って閉位置から開位置に移行するよう構成されたドアを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、方法は、カテーテル前進アセンブリを近位位置から前進させる前に、針を近位方向に後退させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、カテーテル前進アセンブリは、締まり嵌め、圧入、またはスナップ嵌め係合でカテーテルの一部に解放可能に係合する。いくつかの実施形態では、方法は、針の先端から所定の距離内にノーズ部分を維持するために、遠位支持体をハウジングから遠位方向に延在させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、所定の距離は、7cm以下の針曲げアーム長である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、真空を生成するとともに針のルーメンを通して血流を取り入れるために、血液フラッシュインジケータを縦軸に沿って摺動させる工程を含む。いくつかの実施形態では、カテーテルは、CVCカテーテルまたはRICCカテーテルである。
【0011】
添付の図面に示される特定の実施形態を参照することによって、本開示はより詳細に説明される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を使用してさらに具体的かつ詳細に、記述および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本明細書に開示される実施形態による、例示的なカテーテル挿入システムの斜視図。
【
図1B】本明細書に開示される実施形態による、例示的なカテーテル挿入システムの側面図。
【
図1C】本明細書に開示される実施形態による、例示的なカテーテル挿入システムの平面図。
【
図2A】本明細書に開示される実施形態による、例示的なカテーテル挿入システムの分解図。
【
図2B】本明細書に開示される実施形態による、例示的なカテーテル挿入システムのハウジングの分解図。
【
図3A】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【
図3B】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【
図3C】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【
図3D】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【
図3E】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【
図3F】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【
図3G】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【
図3H】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【
図3I】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【
図3J】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル挿入システムのための例示的使用方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができ、本明細書に開示される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換することができる特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0014】
本明細書で使用する用語に関しては、各用語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないということも理解されたい。序数(たとえば、第1、第2、第3等)は、概して、複数の特徴または工程の群の中で互いに異なる特徴または工程を区別または識別するために使用され、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴または工程は、必ずしもこの順序で現れる必要はなく、またそのような特徴または工程を含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴または工程に限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表記は、便宜的に使用されており、たとえば、いかなる特定の固定的な位置、向き、または方向も意味するものではない。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。文脈からそうでないことが明らかに示されていなければ、「a」、「an」、および「the」で表す単数形は、複数形を含む。
【0015】
以下の説明では、本明細書で使用される「または」および「および/または」という用語は、包含的であるか、またはいずれか1つもしくは任意の組合せを意味すると解釈されるべきである。一例として、「A、BまたはC」または「A、Bおよび/またはC」は、以下の、「A、B、C」、「AおよびB」、「AおよびC」、「BおよびC」、「A、BおよびC」のいずれかを意味する。この定義に対する例外は、要素、構成要素、機能、ステップ、または行為の組合せが何らかの形で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じる。
【0016】
「近位」に関しては、たとえば本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルのうち、カテーテルを患者に使用するときに医師の近くにあるものである部分を含む。同様に、たとえばカテーテルの「近位長」は、カテーテルを患者に使用するときに医師の近くにあるものであるカテーテルの長さを含む。たとえばカテーテルの「近位端部」は、カテーテルを患者に使用するときに医師の近くにあるものである、カテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長は、カテーテルの近位端部を含んでもよいが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長は、カテーテルの近位端部を含む必要はない。つまり、文脈からそうでないことが示唆されていなければ、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長は、カテーテルの終端部分または終端長ではない。
【0017】
「遠位」に関しては、たとえば本明細書に開示されるカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルのうち、カテーテルを患者に使用するときに患者の近くまたは体中にあるものである部分を含む。同様に、たとえばカテーテルの「遠位長」は、カテーテルを患者に使用するときに患者の近くまたは体中にあるものであるカテーテルの長さを含む。たとえばカテーテルの「遠位端部」は、カテーテルを患者に使用するときに患者の近くまたは体中にあるものである、カテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの遠位端部を含んでもよいが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの遠位端部を含む必要はない。つまり、文脈からそうでないことが示唆されていなければ、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの終端部分または終端長ではない。
【0018】
本明細書で説明される実施形態の説明を補助するために、
図1Aに示されるように、縦軸は、カテーテルの軸方向長さに対して実質的に平行に延在する。横軸は縦軸に対して垂直に延在しており、横断軸は縦軸および横軸の両方に対して垂直に延在する。水平面は、縦軸および横軸によって画定されてよく、垂直面は、水平面に対して垂直に延在してよい。別段の定義がない限り、本明細書に用いるあらゆる技術的用語および科学的用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0019】
図1A乃至
図2Aは、針110、カテーテル120、ハウジング130、および血液フラッシュインジケータ150を一般的に含む、例示的なカテーテル挿入システム(「システム」)100を示す。選択的に、挿入システム100は、1つまたは複数のガイドワイヤ(図示せず)をさらに含んでよい。針110は、針ルーメン114を画定してよいとともに、その近位端部に配置されたニードルハブ112によって支持される。針110は、カテーテル120のルーメンの少なくとも一部を通り延在するよう構成されてよい。針110の遠位先端116は、カテーテル120の遠位先端から遠位方向に延在することができ、皮膚穿刺および血管アクセスのために構成された鋭利な先端を画定してよい。
【0020】
カテーテル120は、中心静脈カテーテル(CVC)、迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)、または患者の脈管構造へのアクセスを提供するよう構成された類似の細長カテーテルであってよい。
図2Aに示されるように、カテーテル120は、第1直径を画定するアクセス部位162と、拡張部位164と、第1直径より大きい第2直径を画定するカテーテル本体部位166とを含む、RICCカテーテル120であってよい。
【0021】
アクセス部位162は、単一のルーメンを画定してよいとともに、カテーテル本体部位166よりもデュロメータで硬質な材料で形成されてよい。カテーテル本体部位166は、1つまたは複数のルーメンを画定してよいとともに、アクセス部位162よりも軟質で柔軟な材料で形成されてよい。拡張部位164は、アクセス部位162または第3の材料のいずれかと同じ材料で形成されてよい。第3の材料は、カテーテル本体部位166の材料よりもデュロメータで硬質であってよい。拡張部位164は、アクセス部位162の第1直径とカテーテル本体部位166の第2直径との間にテーパ状の移行部を提供してよい。アクセス部位162および拡張部位164は、カテーテル本体部位166よりも、比較的に高い剛性の機械的特性を有してよいとともに、軸方向の力が加えられた際に、ねじれまたは崩壊に対して比較的に高い耐性を有してよい。カテーテル本体部位166は、蛇行した血管経路を通り抜けることを可能にするように、比較的に柔軟であってよい。一実施形態では、カテーテル120は、ハブ168、分岐部170、および/またはカテーテル120のルーメンとそれぞれ連通する1つまたは複数の延長脚部172をさらに含んでよい。一実施形態では、針110は、延長脚部172を通り、カテーテル本体部位166のルーメンを通り、さらにアクセス部位162のルーメンを通り、カテーテル120の遠位先端から遠位方向に延在してよい。
【0022】
カテーテル挿入システム100は、本明細書でより詳細に説明するように、針110およびカテーテル120を支持するよう構成されたハウジング130をさらに含んでよい。カテーテル挿入システム100は、針ルーメン114と流体連通する血液フラッシュインジケータ150をさらに含んでよい。血液フラッシュインジケータ150は、その中に血流を受け取るよう構成された容器を含んでよい。容器は、使用者がその中に配置された色および拍動流を観察することが可能なように、透明な材料で形成されてよい。一実施形態では、血液フラッシュインジケータは、針ルーメン114を通してバキュテナー内に近位方向に血流を取り入れることを可能にするように、内部に真空を維持するよう構成されたバキュテナー(vacutainer)を含んでよい。
【0023】
一実施形態では、血液フラッシュインジケータ150は、シリンジバレル154と、それと摺接可能に係合されるとともに、針ルーメン114を通ってシリンジバレル154内に近位方向に血流を取り入れるための真空を生成するよう構成されたプランジャ156とを含んでよい。一実施形態では、プランジャ156は、ハウジング130と固定的に係合されることで、ハウジング130に対する任意の縦方向の移動が防止されてよい。プランジャ156は、締まり嵌め、スナップ嵌め、圧入、接着剤、溶接、接合等でハウジング130と係合されてよい。シリンジバレル154は、バレルクレードル158によって支持されてよい。バレル154およびバレルクレードル158のアセンブリは、プランジャ156およびハウジング130のアセンブリに対して摺動可能であってよいとともに、バレル154およびクレードル158のアセンブリを近位方向に摺動させた際にバレル154内に真空を生成し得るよう構成されてよい。一実施形態では、バレルクレードル158は、透明な材料で形成されてよい。
【0024】
一実施形態では、血液フラッシュインジケータ150は、可撓チューブ152などによって針ルーメン114と流体結合されてよい。有利には、可撓チューブ152は、シリンジバレルが針インターフェース140に対して近位方向に摺動することを可能にしてよい。有利には、シリンジ血液フラッシュインジケータ150の動作を逆にすることによって、シリンジバレル154を近位方向に摺動させて真空を生成するとともに、血液フラッシュインジケータ150と針先端116との間の流体経路の長さを減少させてよい。さらに、シリンジバレル154およびプランジャ156の動作は、依然として、医師が、シリンジベースの血液フラッシュバックシステムを介して提供される触覚および視覚フィードバックを利用することを可能にする。有利には、シリンジバレル154を近位方向に移動させることによって、バレル154を挿入装置100の遠位端から離れるように移動させて、挿入部位においてより明確な視線を提供し、動作、例えば、ガイドワイヤ前進アセンブリ、カテーテル前進アセンブリ、ヒンジハウジング部分等の操作が行われることを可能にする。
【0025】
使用時に、医師は、針先端116およびアクセス部位162の遠位部分を脈管構造に挿入することによって脈管構造にアクセスすることができる。血流は、針ルーメン114を通って血液フラッシュインジケータ150まで近位方向に流れ得る。正しい血管アクセスを確認するために、色および拍動流を観察してよい。不正確な血管アクセスの場合には、アクセス部位162の直径が比較的小さいので、アクセス部位162を後退させるとともに、圧力を加えることによって挿入部位を閉じてよい。正しい血管アクセスが確認された場合、カテーテル120は、拡張部位164が挿入部位に入り、挿入部位をカテーテル本体部位166の第2直径まで拡張するまで、選択的にガイドワイヤ上を前進してよい。次いで、カテーテル本体部位166は、カテーテルの遠位部分が脈管構造内の標的位置に来るまで前進してよい。RICCカテーテルならびに関連する挿入システムおよび方法のさらなる詳細は、米国特許第10,376,675号、米国特許出願公開第2019/0255294号、同第2021/0069471号、同第2021/0085927号、同第2021/0113809号、同第2021/0113810号、同第2021/0121661号、同第2021/0121667号、同第2021/0228843号、同第2021/0322729号、同第2021/0330941号、同第2021/0330942号、および同第2021/0361915号に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照することによってその全体として本出願に組み込まれる。
【0026】
図2Bは、本体132、遠位支持体134、カテーテル前進アセンブリ136、および血液フラッシュインジケータ150を一般的に含む、ハウジング130のさらなる詳細を示す。ハウジング130は、近位端部に配置されるとともに、針110の壁に配置された開口118によって針ルーメン114と血液フラッシュインジケータ150との間に流体連通を提供するよう構成された針インターフェース140を含む本体132を含んでよい。遠位支持体134は、後退位置(
図3D)と伸長位置(
図3E)との間で縦軸に沿って本体132と摺接動可能に係合されてよい。遠位支持体134は、ユーザが遠位支持体134を把持し、遠位支持体134を後退位置と伸長位置との間で移行させることを可能にするよう構成されたハンドル178を含んでよい。
【0027】
遠位支持体134は、縦軸に沿って延在するチャネル182を画定しかつ遠位端に配置されるとともに、カテーテル120の一部を受容するよう構成されたノーズ部分180をさらに含んでよい。カテーテル120は、チャネル182と摺接可能に係合してよい。したがって、遠位支持体134は、カテーテル120に係合するとともに、カテーテル120に剛性の柱状支持を与えることで、縦軸方向の力が加えられたときにカテーテル120の屈曲またはよじれを防止し得る。さらに、本明細書でより詳細に説明されるように、遠位支持体134は、ハウジング130から前進したカテーテル120の一部を支持するために遠位方向に延在してよい。これは、ユーザが、患者の体内に入るよう意図されたカテーテル120の部分に触れることを防止する一方で、カテーテル120に柱状支持を与え得る。
【0028】
同様に、遠位支持体134はまた、針110の一部分に剛性の支持を与え得る。本明細書に説明されるように、長い針は、広い患者ベースに対応する、深い静脈にアクセスする、または深い表面組織を貫通するために有利であり得るが、短い曲げアーム(x)(
図1A)は、改善された精度および改善された触覚フィードバックを提供するために好ましい。一般的には、7cm以下の曲げアーム(x)長さが好ましいが、針110の材料または構造に応じて、より長いまたはより短い長さも考えられる。したがって、針先端116が所定の曲げアーム長さ(x)を超えてハウジング130から延在する場合、ユーザは、遠位支持体134を伸ばすことで、針先端116から所定の曲げアーム長さ(x)内で針110に隆起支持を提供してよい。
【0029】
一実施形態では、ノーズ部分180は、遠位支持体134にヒンジ結合された1つまたは複数のドア138を含んでよい。一実施形態では、
図3Iに示されるように、ドア138は、閉位置と開位置との間で、縦軸に対して垂直な垂直面上に延在する弧を通って回転してよい。一実施形態では、
図3Hに示されるように、ドア138は、閉位置と開位置との間で、水平面上に延在する弧を通って横方向に回転してよい。閉位置では、ドア138は、チャネル182からカテーテル120の部分の退出を防止してよい。開位置では、ドア138は、チャネル182への/からカテーテル120の部分の進入または退出を可能にしてよい。
【0030】
一実施形態では、カテーテル前進アセンブリ136は、近位位置(
図3C)、中間位置(
図3D)、および遠位位置(
図3E)の間で縦軸に沿って本体132と摺接可能に係合してよい。カテーテル前進アセンブリ136は、カテーテル120の一部分に解放可能に係合してよい。例えば、カテーテル前進アセンブリ136は、締まり嵌め、圧入、またはスナップ嵌め係合でカテーテルハブ168を解放可能に保持してよい。しかしながら、カテーテル120を解放可能に係合する他の機構も考えられることが理解されるであろう。さらに、カテーテル前進アセンブリ136は、カテーテル120の他の部分、例えば、カテーテル本体部位166、分岐部170、それらの組み合わせ等に係合し得ることが理解されるであろう。カテーテル前進アセンブリ136を近位位置、中間位置、および遠位位置の間で摺動させることにより、カテーテル120を縦軸に沿って前進させてよい。
【0031】
図3A乃至
図3Jは、カテーテル挿入システム100の例示的な使用方法を示す。
図3Aに示されるように、ユーザは、ハウジング130を把持するとともに、患者の皮膚表面80を通して針先端116を前進させることで、挿入部位90を作成するとともに、その下の患者の脈管構造にアクセスし得る。本明細書に記載されるように、針先端116は、ハウジング130から所定の距離(x)だけ延在してよい。所定の距離(x)、すなわち、針曲げアームは、針110に支持を与えつつも、力が加えられた際に針110の屈曲または破損を防止するように、公差内にある。一実施形態では、所定の距離(x)は7cm以下であるが、より大きいまたはより小さい値も考えられる。理解されるように、所定の距離(x)は、針110の構造および材料に応じて変化し得る。
【0032】
図3Bに示されるように、ユーザは、バレルクレードル158を作動させることで、シリンジバレル154をハウジング本体132に対して近位方向に摺動させてよい。ハウジング本体132に結合したプランジャ156は、バレル154が近位方向に摺動してシリンジバレル154内に真空を生成する際、ハウジング130に対して静止したままである。血流は、真空によって、針ルーメン114を通り、針開口118を通り、針インターフェース140を通り、可撓チューブ152を通り、シリンジバレル154内へと近位方向に取り入れられる。本明細書で述べたように、シリンジバレル154および選択的にバレルクレードル158は、血流の色および拍動流の観察を可能にするために透明な材料で形成されてよい。
【0033】
図3Cに示されるように、血管アクセスが確認されると、ニードルハブ112は、カテーテル120の遠位先端から近位方向に先端116を後退させるために、近位方向に後退してよい。一実施形態では、針110は、例えば、針先端116が、アクセス部位162、拡張部位164、カテーテル本体部位166、ハブ168、分岐部170のうちの1つの近位にあるように、またはカテーテル120から完全に引き抜かれるように、さらに後退してよい。
【0034】
図3Dに示されるように、次いで、ユーザは、カテーテル前進アセンブリ136およびそれに結合されたカテーテル120を近位位置から中間位置に摺動させることで、カテーテル120を挿入部位90内に前進させてよい。拡張部位164が挿入部位90に押し込まれると、挿入部位90は、カテーテル本体部位166の第2直径まで拡張される。カテーテル本体部位166は、拡張部位164に隣接するカテーテル本体部位166の側壁に配置された開口部とそれぞれ連通する2つ以上のルーメンを含んでよいことに留意されたい。
【0035】
カテーテル前進アセンブリ136が中間位置(
図3D)まで前進すると、遠位支持体134は、後退位置から伸長位置までハウジング本体132から遠位方向(
図3E)に摺動してよい。一実施形態では、カテーテル前進アセンブリ136は、遠位支持体134が伸長位置に前進させられるのと同時に、中間位置に前進してよい。有利には、カテーテル前進アセンブリ136および遠位支持体134の同時前進によって、カテーテル120が前進する際に、ノーズ部分180がカテーテル120に剛性の支持を与えることを可能にする。一実施形態では、遠位支持体134が伸長位置にある状態で、カテーテル前進アセンブリ136は、中間位置(
図3D)から遠位位置(
図3E)に前進してよい。有利には、カテーテル前進アセンブリ136および遠位支持体134は、ユーザによって選択的に前進することで、カテーテル120を前進させるとともに、カテーテル120に支持を与えるので、患者の体内に入るカテーテル120の部分に直接的に接触する必要なく、カテーテル120の屈曲またはよじれを防止する。
【0036】
一実施形態では、システム100は、遠位支持体134およびカテーテル前進アセンブリ136の一方または両方の縦方向の移動と、ノーズ部分180およびカテーテル120の一方または両方の結果として生じる移動との間に機械的利点を提供するために、1つまたは複数の歯車、レバー、または類似の機構を含んでよい。例えば、
図3C乃至
図3Eに示されるように、ここに示す1対1の機械的利点が、縦方向距離のユーザ入力の単一の単位に対して適用された場合、縦方向距離の出力の単一の単位が達成される。すなわち、遠位支持体ハンドル178の1cmの移動は、ノーズ部分180の1cmの移動に変換される。同様に、カテーテル前進アセンブリ136の1cmの移動は、カテーテル120の1cmの移動に変換される。一実施形態では、システム100は、1対1未満の機械的利点を提供するよう構成されてよい。すなわち、遠位支持ハンドル178の1cmの移動は、ノーズ部分180の1cm未満の移動に変換される。同様に、カテーテル前進アセンブリ136の1cmの移動は、カテーテル120の1cm未満の移動に変換される。
【0037】
図3F乃至
図3Gは、システム100の下面図の拡大詳細を示す。一実施形態では、
図3F乃至
図3Gに示されるように、カテーテル前進アセンブリ136は、ハウジング本体132のカム面176に係合するよう構成された当接面174を含んでよい。カテーテル前進アセンブリ136が中間位置(
図3F)から遠位位置に移行すると、当接面174は、カム面176に係合することで、ハウジング本体132の2つ以上の部分132A、132Bを横方向に離れるように付勢してよい。ハウジング部分132A、132Bを分離することにより、本明細書でより詳細に説明されるように、ハウジング本体132がカテーテル120を横断方向に解放することを可能にする縦方向の開口部を提供してよい。
図3Gは、カテーテル前進アセンブリ136が遠位位置にあり、遠位支持体134が伸長位置にある状態のシステム100の下面図を示す。
【0038】
図3H乃至
図3Jに示されるように、遠位支持体134が伸長位置にあり、カテーテル前進アセンブリ136が遠位位置にある状態で、カテーテル120は脈管構造内に留置され、カテーテルハブ168は挿入部位90に隣接して配置される。有利には、ユーザは、カテーテルハブ168から遠位方向のテーテル120に直接的に接触する必要なく、カテーテル120をそのように留置してよい。カテーテル120が留置されると、ノーズピース180のドア138は、開位置に回転することで、ノーズピース180がカテーテル120を解放することを可能にしてよい(
図3Hおよび
図3I)。一実施形態では、
図3Hに示されるように、システム100は、ハウジング130に対して回転するよう構成された第1ドア138Aおよび第2ドア138を含んでよい。一実施形態では、ドア138は、縦軸、垂直面もしくは水平面で、またはそれに対する角度を中心に回転する。一実施形態では、
図3Iに示されるように、第1ドア138Aは、第2ドア138Bに対して回転してよいが、第2ドア138Bは、ハウジング130に対して静止したままである。一実施形態では、ドア138は、縦軸に対して垂直に延在する軸を中心に、例えば側方の垂直面上で回転してよい。ドア138のこれらおよび他の数、向き、または構成は、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
図3Jに示されるように、ハウジング130は、次いで、カテーテル120を横断方向上方に解放することで、カテーテル120を患者の脈管構造内に留置したままにしてよい。有利には、カテーテル留置システム100は、軸方向の支持を維持しながらカテーテル120を留置することで屈曲を防止するとともに、ユーザがカテーテルの任意の部分に触れることを防止してよい。
【0039】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されるとともに、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態は、本明細書で提供された概念の範囲を制限することを意図するものではない。追加的な適応および/または変更が当業者に理解され得る。より広い態様では、これらの適応および/または変更もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱してよい。
【国際調査報告】