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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-05
(54)【発明の名称】黒色メッキ鋼板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 28/00 20060101AFI20231225BHJP
   C23C 2/26 20060101ALI20231225BHJP
   C23C 2/06 20060101ALI20231225BHJP
   C23C 8/16 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
C23C28/00 B
C23C2/26
C23C2/06
C23C8/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537637
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2021019530
(87)【国際公開番号】W WO2022139421
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0179525
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】592000705
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート オブ インダストリアル サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヘ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 キュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 テク グン
【テーマコード(参考)】
4K027
4K044
【Fターム(参考)】
4K027AA05
4K027AA22
4K027AB15
4K027AB44
4K027AC82
4K027AE02
4K027AE03
4K044AB02
4K044BA10
4K044BA12
4K044BA17
4K044BA20
4K044BA21
4K044BB03
4K044BB04
4K044BB16
4K044BC09
4K044CA11
4K044CA12
4K044CA53
(57)【要約】
本開示は、スパングルが形成されたメッキ鋼板を抗湿熱処理することによって、スパングル模様により黒色化程度が相違して黒色化完了時の表面が大理石質感で美麗な模様を有する黒色メッキ鋼板およびその製造方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板および鋼板一面に位置する亜鉛メッキ層を含み、
前記亜鉛メッキ層は、最表面に黒色層を含み、
前記黒色層は、黒色度が互いに相違する3以上の部分を含み、
第1部分は、黒色層の厚さが1μm以上であり、
第2部分は、黒色層の厚さが250nm以上乃至1μm未満であり、
第3部分は、黒色層の厚さが200nm以下である、黒色メッキ鋼板。
【請求項2】
前記黒色層は、Zn、Pb、SbまたはAlの酸化物または水酸化物を含む、請求項1に記載の黒色メッキ鋼板。
【請求項3】
前記亜鉛メッキ層は、Al:0.18乃至0.22重量%、Pb:0.06乃至0.2重量%、Sb:0.06乃至0.08重量%および残部Znである、請求項1に記載の黒色メッキ鋼板。
【請求項4】
前記黒色層の黒色度が相違する2以上のスパングル模様は、各スパングル模様の明度L*偏差が5乃至40である、請求項1に記載の黒色メッキ鋼板。
【請求項5】
前記黒色層は、平均明度L*が60以下である、請求項1に記載の黒色メッキ鋼板。
【請求項6】
前記亜鉛メッキ層上に位置する無機系皮膜または有機系皮膜をさらに含む、請求項1に記載の黒色メッキ鋼板。
【請求項7】
密閉容器に亜鉛メッキ層を含む、メッキ鋼板を装入する段階;
および
前記メッキ鋼板が装入された密閉容器に水蒸気を投入し、前記メッキ鋼板を熱処理する抗湿熱処理段階;を含み、
前記抗湿熱処理段階を済ませた亜鉛メッキ層は、最表面に黒色層を含み、
前記黒色層は、黒色度が互いに相違する3以上の部分を含み、
第1部分は、黒色層の厚さが1μm以上であり、
第2部分は、黒色層の厚さが250nm以上乃至1μm未満であり、
第3部分は、黒色層の厚さが200nm以下である、黒色メッキ鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記亜鉛メッキ層は、Al:0.18乃至0.22重量%、Pb:0.06乃至0.2重量%、Sb:0.06乃至0.08重量%および残部Znである、請求項7に記載の黒色メッキ鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記抗湿熱処理段階;において、密閉容器中の酸素濃度は、13体積%以下である、請求項7に記載の黒色メッキ鋼板の製造方法。
【請求項10】
前記抗湿熱処理段階;は、熱処理時間が1時間乃至10時間である、請求項7に記載の黒色メッキ鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記抗湿熱処理段階;において、前記密閉容器は、50乃至100RH%の湿度に維持される、請求項7に記載の黒色メッキ鋼板の製造方法。
【請求項12】
前記抗湿熱処理段階;において、熱処理温度は、100乃至200℃である、請求項7に記載の黒色メッキ鋼板の製造方法。
【請求項13】
前記抗湿熱処理段階;において、
前記亜鉛メッキ層は、スパングル模様によって黒色化程度が相違するように酸化される、請求項7に記載の黒色メッキ鋼板の製造方法。
【請求項14】
前記抗湿熱処理段階;以降に黒色化された表面に無機系皮膜または有機系皮膜を形成する段階を含む、請求項7に記載の黒色メッキ鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、黒色メッキ鋼板およびその製造方法に関するものである。具体的に、本開示は、鋼板の黒色度を部位別に制御して大理石質感が出る黒色メッキ鋼板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋根材や外装材、家電製品、自動車などの分野においては、意匠性などの観点から黒色の外形を有する鋼板の要求が高まっている。鋼板の表面を黒色化する方法としては、鋼板の表面に黒色塗料を塗布して黒色塗膜を形成する方法がある。しかしながら、前記分野には、耐食性の観点でZnメッキやAl含有Znメッキ、Al、Mg含有Znメッキ、Si含有Alメッキ、Mg、Si含有Alメッキなどのメッキを実施したメッキ鋼板が使用されるものが多く、このようなメッキ鋼板の表面は、金属光沢のある銀白色の色調を有している。したがって、黒色塗料の塗布によって意匠性が高い黒色外形を得るためには、塗装膜を厚くしてベース色を隠さなければならないので、塗装費用が過度にかかる。
【0003】
よって、黒色塗装膜を形成しなく、メッキ鋼板の金属光沢および銀白色の色調を遮蔽する方法としては、メッキ層のそれ自体を黒色化する方法が提案されている。一例に、溶融Al含有Znメッキ鋼板に高温の水蒸気を24時間以上噴霧して、メッキ層の表層に薄い黒色皮膜を形成する方法が開示されている。また他の例として、合金メッキ鋼板の表面黒色化のために溶融Al、Mg含有Znメッキ鋼板を用い、その溶融メッキ鋼板を密閉容器の中で水蒸気と接触させてメッキ層を黒色化する方法が提案されている。
【0004】
本開示は、スパングルが調節された低価の亜鉛メッキ鋼板を利用して部分的に黒色化されて表面が美麗な大理石質感を示す黒色メッキ鋼板を提供しようとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一実施形態は、黒色メッキ鋼板およびその製造方法を提供しようとする。具体的に、本開示は、スパングルが形成されたメッキ鋼板を黒色化して部位別に黒色度が調節されて大理石質感を示す黒色メッキ鋼板を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態の黒色メッキ鋼板は、鋼板および鋼板一面に位置する亜鉛メッキ層を含み、前記亜鉛メッキ層は、最表面に黒色層を含み、黒色層は、黒色度が互いに相違する3以上の部分を含み、第1部分は、黒色層の厚さが1μm以上であり、第2部分は、黒色層の厚さが250nm以上乃至1μm未満であり、第3部分は、黒色層の厚さが200nm以下であり得る。
【0007】
前記黒色層は、Zn、Pb、SbまたはAlの酸化物または水酸化物を含むことができる。
【0008】
前記亜鉛メッキ層は、Al:0.18乃至0.22重量%、Pb:0.06乃至0.2重量%、Sb:0.06乃至0.08重量%および残部Znであり得る。
【0009】
前記黒色層の黒色度が相違する2以上のスパングル模様は、各スパングル模様の明度L*偏差が5乃至40である、黒色メッキ鋼板。
【0010】
前記黒色層は、平均明度L*が60以下であり得る。
【0011】
前記亜鉛メッキ層上に位置する無機系皮膜または有機系皮膜をさらに含むことができる。
【0012】
本開示の一実施例の黒色メッキ鋼板の製造方法は、密閉容器に亜鉛メッキ層を含む、メッキ鋼板を装入する段階;および前記メッキ鋼板が装入された密閉容器に水蒸気を投入し、前記メッキ鋼板を熱処理する抗湿熱処理段階;を含み、前記メッキ鋼板は、亜鉛メッキ層がスパングル模様を含むことであり得る。
【0013】
前記亜鉛メッキ層は、Al:0.18乃至0.22重量%、Pb:0.06乃至0.2重量%、Sb:0.06乃至0.08重量%および残部Znであり得る。
【0014】
前記抗湿熱処理段階;において、密閉容器中の酸素濃度は、13体積%以下であり得る。
【0015】
前記抗湿熱処理段階;は、熱処理時間が1時間乃至10時間であり得る。
【0016】
前記抗湿熱処理段階;において、前記密閉容器は、50乃至100RH%の湿度に維持されることができる。
【0017】
前記抗湿熱処理段階;において、熱処理温度は、100乃至200℃であり得る。
【0018】
前記抗湿熱処理段階;において、前記亜鉛メッキ層は、スパングル模様によって黒色化程度が相違するように酸化されるものであり得る。
【0019】
前記抗湿熱処理段階;以降に黒色化された表面に無機系皮膜または有機系皮膜を形成する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一実施形態によると、スパングルが形成された亜鉛メッキ鋼板を利用して大理石質感模様を有する黒色メッキ鋼板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】は、本開示の一実施形態において、黒色化前後の鋼板表面を示したものである。
図2】は、本開示の一実施形態において、黒化時間に応じた鋼板表面のイメージおよび色差を示したものである。
図3】は、実施例2で製造した黒色化鋼板の黒い色の部分の断面を示したものである。
図4】は、実施例2で製造した黒色化鋼板の黒い色の部分のAl元素分布(左)およびO元素分布(右)を示した図面である。
図5】は、実施例2で製造した黒色化鋼板の黄色の部分の断面を示したものである。
図6】は、実施例2で製造した黒色化鋼板の黄色の部分のAl元素分布(左)およびO元素分布(右)を示した図面である。
図7】は、実施例2で製造した黒色化鋼板の銀色の部分の断面を示したものである。
図8】は、実施例2で製造した黒色化鋼板の銀色の部分のAl元素分布(左)およびO元素分布(右)を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1、第2および第3等の用語は、多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションらを説明するために使用されるが、これに限らない。それら用語は、ある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するためにのみ使用される。
【0023】
したがって、以下で記述する第1部分、成分、領域、層またはセクションは、本発明の範囲を外れない範囲で第2部分、成分、領域、層またはセクションで言及されることができる。
【0024】
ここで使用される専門用語は、単に特定実施形態を言及するものであり、本発明を限定するものを意図しない。ここで使用される単数形態は文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態をも含む。明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるものではない。
【0025】
ある部分が他の部分の「うえに」または「上に」あると言及する場合、ある部分は直ちに他の部分のうえにまたは上にあり得、あるいは、それらの間に他の部分が伴い得る。対照的に、ある部分が他の部分の「真うえに」あると言及する場合、その間に他の部分が介されない。
【0026】
また、特に言及しない限り、%は重量%を意味し、1ppmは0.0001重量%である。
【0027】
本発明の一実施形態において、追加元素をさらに含むことの意味は、追加元素の追加量だけ残部の鉄(Fe)を振替えして含むことを意味する。
【0028】
改めて定義しなかったが、ここに使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語らは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、一般に理解する意味と同一な意味を有する。普通、使用される辞書で定義される用語らは、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を持つことに追加解釈され、定義されない限り、理想的だとか非常に公式的な意味で解釈されない。
【0029】
以下、本発明の実施形態に対して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかしながら、本発明は、色々な相違する形態に具現されることができ、ここで説明する実施形態に限らない。
【0030】
以下、各段階に対して具体的に説明する。
【0031】
本開示の一実施形態の黒色メッキ鋼板は、鋼板および鋼板一面に位置する亜鉛メッキ層を含み、前記亜鉛メッキ層は、最表面に黒色層を含み、前記黒色層は、黒色度が相違する2以上のスパングル模様を含むことができる。
【0032】
溶融亜鉛メッキ鋼板のスパングル模様は、数百μm乃至数千μm大きさの大きい結晶組織から示す。これは溶融亜鉛の凝固がメッキ層と素地鋼界面の間で始まってメッキ層表層で成長しながら、(0001)面の配向性が結晶単位に変わるようになって溶融亜鉛メッキの光沢度に差が発生して、スパングル模様が形成されるものである。また、溶融亜鉛メッキ層にPb、Sb、Al中で選択された1以上が含まれる場合、含まれる量によりスパングルの大きさが決定される。これにより亜鉛メッキ鋼板表面に形成されるスパングル模様は、互いに配向性が相違して生成される模様にそれぞれ黒色化程度が相違して、黒色メッキ鋼板で模様を形成することができる。
【0033】
黒色層は、黒色度が互いに相違する3以上の部分を含み、第1部分(黒い色)は、黒色層の厚さが1μm以上であり、第2部分(黄色)は、黒色層の厚さが250nm以上乃至1μm未満であり、第3部分(銀色)は、黒色層の厚さが200nm以下であり得る。更に具体的に、第1部分は、黒色層の厚さが1μm乃至3μmであり、第2部分は、黒色層の厚さが250nm乃至500nmであり、第3部分は、黒色層の厚さが100乃至200nmであり得る。
【0034】
黒色層の厚さとは、厚さ方向にAl、Pb、またはSbの酸化物が表面から示す最も深い深さを意味する。
【0035】
具体的に、前記黒色メッキ鋼板の亜鉛メッキ層は、Al:0.18乃至0.22重量%、Pb:0.06乃至0.2重量%、Sb:0.06乃至0.08重量%および残部Znを含むことができる。
【0036】
前記黒色メッキ鋼板の黒色層は、Zn、Pb、SbまたはAlの酸化物または水酸化物を含むことができる。
【0037】
前記黒色メッキ鋼板で黒色層の黒色度が相違する2以上のスパングル模様は、各スパングル模様の明度L*偏差が5乃至40ものであり得る。即ち、スパングル模様を形成する亜鉛メッキ層の配向性により同一な黒色化条件でも相違する黒色化結果を示すことができ、これにより黒色メッキ鋼板が美麗な大理石質感表面を持つことができる。
【0038】
前記黒色メッキ鋼板の黒色層は、平均明度L*が60以下であり得る。更に具体的に、明度が40以下であり得る。更に具体的に、明度が30以下であり得る。
【0039】
以下、本明細書で明度L*値とは、分光測定計(Spectrophoto ometer)を利用してASTM E 1164法によって測定した色差計の明度(Lightness)値を意味する。前記明度L*値が低ければ低いほど黒色程度が高いことを意味する。より具体的に、黒色の場合、明度L*値は0に示され、白色の場合、前記L*値は100に示される。
【0040】
前記黒色メッキ鋼板は、亜鉛メッキ層上に位置する無機系皮膜または有機系皮膜をさらに含むことができる。前記無機系皮膜は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、SiおよびAl中の1種以上の酸化物、酸素酸塩、水酸化物、燐酸塩およびフッ化物中の1種以上を含むことができる。前記有機系皮膜は、エーテル系ポリオルおよびエステル系ポリオルからなるポリオルとポリイソシアネ-トを反応させて得られるウレタン樹脂を含むことができる。ポリオル中の前記エーテル系ポリオルの比率は、5乃至30質量%であり得る。無機系皮膜または有機系皮膜をさらに形成することによって、黒色メッキ層を外部の衝撃から保護と製品加工時の加工性とを改善でき、必要な場合、無機系皮膜または有機系皮膜に半透明の色を付与することによって、審美感をさらに高めることができる。
【0041】
本開示の一実施形態の黒色メッキ鋼板の製造方法は、密閉容器に亜鉛メッキ層を含む、メッキ鋼板を装入する段階;および前記メッキ鋼板が装入された密閉容器に水蒸気を投入して前記メッキ鋼板を熱処理する抗湿熱処理段階;を含むことができる。また、前記メッキ鋼板は、亜鉛メッキ層がスパングル模様を含むことができる。
【0042】
前記亜鉛メッキ層は、Al:0.18乃至0.22重量%、Pb:0.06乃至0.2重量%、Sb:0.06乃至0.08重量%および残部Znを含むことができる。
【0043】
前記抗湿熱処理段階;において、密閉容器中の酸素濃度は、13%以下であり得る。より具体的に、密閉容器中の酸素濃度は、0超過乃至13%以下であり得る。前記抗湿熱処理段階において、密閉容器中の酸素濃度が高すぎると黒色化の速度が低くなることができる。
【0044】
前記抗湿熱処理段階;は、熱処理時間が1時間乃至10時間であり得る。
【0045】
前記抗湿熱処理段階;において、前記密閉容器は、50乃至100RH%の相対湿度に維持されることができる。具体的に、前記密閉容器は、65乃至100RH%の湿度に維持されることができる。より具体的に、前記密閉容器は、85乃至100RH%の湿度に維持されることができる。よりさらに具体的に、前記密閉容器は、90乃至100RH%の湿度に維持されることができる。前記抗湿熱処理段階において、密閉容器中の湿度が不足した場合には、黒色化が十分に行われなくて望む平均明度値(L*60以下)が達成できないこともある。
【0046】
前記抗湿熱処理段階;において、熱処理温度は、100乃至200℃であり得る。具体的に、熱処理温度は、120乃至180℃であり得る。より具体的に、熱処理温度は、140乃至160℃であり得る。また、抗湿熱処理段階において、熱処理温度が低すぎる場合には、反応が起こらない問題が発生でき、高すぎる場合には、反応が余り過ぎてメッキ層が砕ける問題が発生することができる。
【0047】
前記抗湿熱処理段階;において、前記亜鉛メッキ層は、スパングル模様により黒色化程度が相違するように酸化することができる。即ち、スパングル模様を形成する亜鉛メッキ層の配向性により同一な黒色化条件でも相違する黒色化結果を示すことができ、これにより、黒色メッキ鋼板が美麗な大理石質感表面を持つことができる。
【0048】
前記抗湿熱処理段階;以降に黒色化された表面に、無機系皮膜または有機系皮膜を形成する段階をさらに含むことができる。追加的に形成されることができる皮膜に関しては、前記黒色メッキ鋼板で記述した内容と同一である。
【0049】
以下、本発明の実施例に対して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、容易に実施できるように詳しく説明する。しかしながら、本発明は、色々な相違する形態に実現されることができ、ここで説明する実施例に限らない。
【実施例
【0050】
スパングル模様が形成されている溶融亜鉛メッキ鋼板を準備した。前記亜鉛メッキ鋼板を密閉容器に装入し、前記内部気体雰囲気が造成された密閉容器内部に、前記メッキ鋼板を位置させた。前記密閉容器が密閉された状態で95RH%の一定の湿度を維持するように制御しながら、150℃の温度で熱処理した。密閉容器内部酸素濃度は、13体積%以下となるようにした。黒色化熱処理時間は、1時間、2時間、5時間および10時間を違えた。
【0051】
前記抗湿熱処理により、前記メッキ鋼板のメッキ層が酸化されながら、表面がスパングル模様により黒色度を違えながら黒色化された皮膜に転換された。
【0052】
図1は、湿度95%、温度150℃で1時間黒色化された鋼板前後を示したものである。図2は、同一な条件で黒色化熱処理時間のみ、1時間、2時間、5時間および10時間に違えた鋼板の表面写真およびその色差を示したものである。その結果、本実験例に応じた黒色メッキ鋼板は、平均明度(L*)は60未満であった。
【0053】
その結果、スパングル模様を有する亜鉛メッキ鋼板を黒色化する場合、黒色化時間を制御することによって、表面が美麗な大理石模様を有するように黒色化されたものを確認することができた。
【0054】
【表1】
【0055】
図3乃至図8においては、実施例2で製造した鋼板の黒い色、黄色、銀色の部分の断面およびAl元素およびO元素分布を整理した。図3乃至図8で確認できるように黒い色部分は、黒色層の厚さが約1μmに形成され、黄色部分は、約300nm形成され、銀色部分は、約200nm以下で形成された。
【0056】
本発明は、実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に製造されることができ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須的な特徴を変更しなく、他の具体的な形態に実施されるということを理解するはずである。したがって、以上で記述した実施例らはすべての面で例示的なものであって、限定的ではないものとして理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】