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特表2024-500230オートビュー3Dディスプレイ用の高密度画素アレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-05
(54)【発明の名称】オートビュー3Dディスプレイ用の高密度画素アレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20231225BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231225BHJP
   G02B 30/27 20200101ALI20231225BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/00 366Z
G02B30/27
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537638
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021064650
(87)【国際公開番号】W WO2022140414
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/128,686
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルーグ,マイケル・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ガン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ドッド,ジェイムズ・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ,クレイグ
【テーマコード(参考)】
2H199
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H199BA08
2H199BA09
2H199BA17
2H199BA41
2H199BA45
2H199BA49
2H199BB02
2H199BB04
2H199BB54
2H199BB59
2H199BB66
5C094AA05
5C094BA03
5C094BA25
5C094CA20
5C094DA09
5C094DB04
5C094ED01
5C094HA10
5C094JA08
5G435BB04
5G435EE49
5G435GG02
5G435LL07
(57)【要約】
マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)に基づくディスプレイ装置は、複数のチップレットを含む。各チップレットは、1つ以上のラクセルを含み、各ラクセルは、基板上に支持されている複数のマイクロLEDを含む。また、チップレットは、1つ以上のラクセルに電子的に接続されているマイクロ集積回路(マイクロIC)を含む。マイクロICは、バックプレーン上に支持されている複数の相互接続を含む。したがって、マイクロICは、ラクセルに接続されると、ラクセルの各マイクロLEDを電気的に駆動することができる。一実施形態において、複数のチップレットは、ディスプレイ基板上に配置され、水平視差のみのオートビュー3Dディスプレイを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイシステムであって、
複数のチップレットを含むチップレットアレイを備え、
各チップレットは、基板上に配置された複数のマイクロ発光ダイオード(マイクロLED)と、マイクロ集積回路(マイクロIC)とを含み、
前記基板および前記複数のマイクロLEDは、前記マイクロICに電子的に接続され、
各チップレットは、チップレット高さ寸法より大きいチップレット幅寸法を有し、
前記チップレットアレイ内の前記複数のチップレットの少なくとも一部は、前記チップレット幅寸法が水平方向と平行になるように配向され、
前記ディスプレイシステムは、
画素セルに細分化されたディスプレイバックプレーンと、
複数のステアリング素子を含むステアリング素子アレイとを備え、
各チップレットは、電気的相互接続を介して、前記ディスプレイバックプレーンに電子的に接続され、
各画素セルは、前記複数のチップレットのうちの少なくとも1つのチップレットを支持し、
前記チップレットアレイは、前記ディスプレイバックプレーンと前記ステアリング素子アレイとの間に配置されている、ディスプレイシステム。
【請求項2】
前記複数のマイクロLEDは、隣接するマイクロLED間のマイクロLEDピッチが10ミクロン未満であるマイクロLEDアレイに配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記チップレットアレイは、隣接するチップレット間のチップレットピッチが150ミクロン未満である2次元チップレットグリッドである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記チップレットピッチは、50ミクロン~100ミクロンである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のチップレットのうち、隣接するチップレット間の前記ディスプレイバックプレーンの一部に配置されたセンサを備え、
前記センサは、輝度センサ、動きセンサ、深度センサ、視線センサ、および視線追跡センサからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ステアリング要素アレイは、隣接するステアリング要素間に150ミクロン未満であるステアリング要素ピッチを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各ステアリング要素は、レンズレットである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
各レンズレットは、前記水平方向に沿って倍率を有する円筒形レンズレットである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
各レンズレットは、画素セル幅にほぼ等しいレンズレット幅寸法を有し、
各レンズレットは、前記複数のチップレットのうちの1つに整列される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記レンズレット幅寸法は、約100ミクロンである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記レンズレット幅は、前記レンズレットが前記複数のチップレットのうちの1つを覆うように、前記チップレットの前記幅よりも大きい、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ディスプレイバックプレーンは、前記チップレットアレイ内の前記複数のチップレットを駆動するように構成された複数のバスラインを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ディスプレイバックプレーンは、展開回路、補間回路、および視差逐次化回路からなる群から選択される少なくとも1つの回路を有する駆動回路を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記チップレット幅は、約60ミクロンであり、
前記チップレット高さは、約10ミクロンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記ディスプレイバックプレーンの各画素セルは、前記複数のチップレットのうちの第1のチップレットと第2のチップレットとを支持する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のチップレットは、第1の方向に沿った第1列のマイクロLEDを含み、
前記第2のチップレットは、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿った第2列のマイクロLEDを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のチップレットおよび前記第2のチップレットの一方は、重力に対するディスプレイシステムの向きに応じて動作するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
各チップレット内の前記複数のマイクロLEDは、マイクロLEDのグループを含むサブラクセルに細分化され、
前記第2のチップレットは、前記第1のチップレットに平行であり、
前記第2のチップレットは、前記第1のチップレットに対して、前記水平方向に沿ってサブラクセルピッチの半分で変位される、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記ディスプレイバックプレーンの各画素セルの中心に配置された単一の赤/緑/青(RGB)エミッタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記マイクロICは、前記チップレット内の各マイクロLEDを電気的にアドレス指定するように構成された相補型金属酸化膜半導体(CMOS)バックプレーンである、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2020年12月21日に提出された米国特許仮出願第63/128686号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
自動立体視(すなわち、眼鏡または近眼光学系なしで見ることができる、すなわち、「オートビュー」)3次元(3D)ディスプレイを提供する様々な種類のディスプレイが提案されている。一種類のオートビュー3Dディスプレイは、水平方向視差のみ(HPO)ディスプレイ、レンチキュラディスプレイ、ラスタバリアディスプレイ、または視差バリアディスプレイと呼ばれ、異なる視差ビューを1次元(例えば、水平方向)に分離する様々な手段を含む。この種類のディスプレイは、絞りまたはレンズを組み込むことにより2次元(2D)画素アレイを特定の狭い視角に多重化することによって、各眼に異なる視差ビューまたはアニメーションシーケンスシーンビューを提示することができる。例えば、離散的な視差ビューチャネルの数は、ディスプレイに使用されているレンチキュラレンズの視野角、画素とレンズまたは絞りとの間の間隔、レンズまたは絞りの幅、および画素のサイズによって決定される。既存のオートビュー3Dディスプレイのいくつかの例は、Kroonらの米国特許出願公開第2016/0234487A1号およびKimらの米国特許出願公開第2017/0208319A1号に記載されている。
【0003】
視野の分布が水平方向に限定される場合、水平方向の画素層内の異なるサンプルの数は、垂直方向の画素層内の異なるサンプル数よりも少なくとも2倍、100倍以上多くなる。有機発光ダイオード(OLED)または透過型液晶(LC)技術に基づく標準的なディスプレイ技術では、画素サイズが必要なディスプレイ輝度および実用的な画素駆動回路サイズによって制約されるため、画素の最小サイズが制限され、その結果、レンズのサイズまたは絞り間の間隔も制限される。たとえディスプレイの垂直解像度を犠牲しても、傾斜レンチキュラレンズ(上述したKroonらの出願を参照)および複数の垂直列からの画素(上述したKimらの出願を参照)を使用することによって、クロストークを潜在的に低減すると共に、水平角の数および分布のスパンを増加するように、いくつかのトレードオフを活用してきた。
【0004】
既存のディスプレイシステムに関するこのような問題を克服するための解決策が望まれる。
【発明の概要】
【0005】
開示の概要
本開示の1つ以上の態様の基礎知識を提供するために、これらの態様の概要を、以下に簡潔に示す。以下の概要は、意図される全ての態様の全体像を広く示すものではなく、全ての態様の重要なまたは不可欠な要素を特定するものでもなく、任意のまたは全ての態様の範囲を詳細に叙述するものでもない。以下の概要の目的は、1つ以上の態様のいくつかの構想を簡潔に提示して、その後に続く詳細な説明の序文とすることである。
【0006】
マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)に基づくディスプレイ装置は、複数のチップレットを含む。各チップレットは、1つ以上のラクセルを含み、各ラクセルは、基板上に支持されている複数のマイクロLEDを含む。また、チップレットは、1つ以上のラクセルに電子的に接続されているマイクロ集積回路(マイクロIC)を含む。マイクロICは、バックプレーン上に支持されている複数の相互接続を含む。したがって、マイクロICは、ラクセルに接続されると、ラクセルの各マイクロLEDを電気的に駆動することができる。一実施形態において、複数のチップレットは、ディスプレイ基板上に配置され、水平視差のみのオートビュー3Dディスプレイを形成する。
【0007】
添付の図面は、一部の実装形態のみを示し、したがって、範囲を限定するものとして見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に従って、ディスプレイシステム構成を示す図である。
図2】一実施形態に従って、代替的なアーキテクチャを含むディスプレイシステム画素構成を示す図である。
図3】一実施形態に従って、代替的なディスプレイシステム構成を示す図である。
図4】一実施形態に従って、代替的なディスプレイシステム構成を示す図である。
図5】一実施形態に従って、ディスプレイシステム画素構成のさらに別の変形例を示す図である。
図6】一実施形態に従って、ディスプレイシステム画素構成のさらに別の変形例を示す図である。
図7】さらなる実施形態に従って、ディスプレイシステム画素構成のさらなる変形例を示す図である。
図8】さらなる実施形態に従って、ディスプレイシステム画素構成のさらなる変形例を示す図である。
図9】さらなる実施形態に従って、ディスプレイシステム画素構成のさらなる変形例を示す図である。
図10】さらなる実施形態に従って、ディスプレイシステム画素構成のさらなる変形例を示す図である。
図11】ディスプレイシステム画素構成の別の代替的な実施形態を示す図である。
図12】一実施形態に従って、別の例示的なディスプレイシステム構成を示す図である。
図13】一実施形態に従って、別の例示的なディスプレイシステム構成を示す図である。
図14】一実施形態に従って、別の例示的なディスプレイシステム構成を示す図である。
図15】さらなる実施形態に従って、さらなるディスプレイシステム構成を示す図である。
図16】さらなる実施形態に従って、さらなるディスプレイシステム構成を示す図である。
図17】さらなる実施形態に従って、さらなるディスプレイシステム構成を示す図である。
図19】一実施形態に従って、さらに別のディスプレイシステム構成を示す図である。
図19】一実施形態に従って、さらに別のディスプレイシステム構成を示す図である。
図20】一実施形態に従って、さらに別のディスプレイシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
以下、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されていると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供されている。図面において、層および領域の寸法および相対的な寸法は、明確にするために強調されることがある。
【0010】
なお、本明細書において、第1、第2、第3などの用語を用いて、様々な要素、部品、領域、層および/またはセクションを説明するが、これらの要素、部品、領域、層および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、部品、領域、層またはセクションを別の領域、層またはセクションから区別するためにのみ使用される。したがって、後述する第1の要素、部品、領域、層またはセクションは、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、部品、領域、層またはセクションと称されてもよい。
【0011】
「真下」(beneath)、「下」(below)、「下方」(lower)、「下の方」(under)、「上」(above)、「上方」(upper)などの空間的に相対的な用語は、図示された1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を容易に記述するために、本明細書に使用されてもよい。なお、空間的に相対的な用語は、図面に示された向きに加えて、使用時または動作時の装置の異なる向きを包含することを意図している。例えば、図中の装置が反転された場合、要素は、他の要素または特徴の「下」または「真下」または「下の方」にあるとして記述されてもよい。したがって、例示的な用語「下」および「下の方」は、上および下の両方の向きを包含することができる。装置は、他の向きに配置されてもよい(90度または他の向きに回転されてもよい)。本明細書に使用された空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。さらに、ある層が「2つの層の間に」と記載される場合、当該層は、2つの層の間の唯一の層であってもよく、または1つ以上の介在層が存在してもよい。
【0012】
本明細書に使用された用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図していない。本明細書に使用された場合、単数形は、文脈上別段の指示を明確に示さない限り、複数形も含むことを意図している。なお、用語「備える(comprise)および/または(comprising)」は、本明細書に使用された場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または部品の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、部品、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことである。用語「および/または」は、本明細書に使用された場合、列挙された関連項目のうちの1つ以上の任意の組み合わせおよび全ての組み合わせを含み、「/」として略記されてもよい。
【0013】
なお、ある要素または層が別の要素または層の上に「ある」、「接続されている」、「連結されている」、または「隣接している」と言及された場合、ある要素または層は、他の要素または層の上に直接にあってもよく、直接に接続されてもよく、直接に連結されてもよく、または直接に隣接してもよく、または介在する要素または層が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素または層の上に「直接にある」、「直接に接続されている」、「直接に連結されている」、または「直接に隣接している」と言及される場合、介在する要素または層は、存在していない。同様に、1つの要素から光を受光または供給する場合、光は、その要素からまたは介在要素から直接に受光または供給されてもよい。一方、1つの要素から光を「直接に」受光または供給する場合、介在要素は、存在していない。
【0014】
本発明の実施形態は、本発明の理想的な実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照して本明細書に記載されている。したがって、例えば製造技術および/または公差によって、図示の形状からの変動が予想される。よって、本発明の実施形態は、本明細書に図示された領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造に起因する形状の偏差を含む。したがって、図示された領域は、本質的に概略的であり、その形状は、装置の領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0015】
特に定義しない限り、本明細書に使用された(技術用語および科学用語を含む)全ての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。また、一般的に使用されている辞書に定義されている用語は、関連技術および/または本明細書の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想的な意味または過度に形式的な意味で解釈されるべきではない。
【0016】
(例えば、レンチキュラーまたはラスタバリアに基づいた)高輝度オートビュー3D HPOディスプレイを製造するためには、レンズサイズおよび/または絞り間隔に比べて、画素密度を比較的に高くする必要がある。さらに、このディスプレイの光束は、2Dディスプレイと同等またはそれ以上でなければならない。このような要件は、有機発光ダイオード(OLED)および液晶に基づいたディスプレイ(LCD)に対して、本質的に非実用的であり、矛盾する。なぜなら、このようなディスプレイの最小画素サイズは、輝度要件、画素層の物理特性、必要な薄膜トランジスタ(TFT)または低温多結晶シリコン(LTPS)バックプレーン回路の実用的な回路密度の制限、およびLCDの場合、各画素のバックライトの基本的ニーズによって制約されるからである。例えば、既存のディスプレイの場合、これらの制約に加えて、TFTおよびLTPSの規模制約により、赤-緑-青(RGB)画素のサイズは、約30ミクロン×30ミクロン(例えば、ソニー(登録商標)Xperia Z5電話上のプレミアムOLEDディスプレイ)、約50ミクロン×50ミクロン(例えば、アップル(登録商標)iPhone(登録商標) 11上のLiquid Retinaディスプレイ)、最大約110×110平方ミクロン(例えば、アップル(登録商標)MacBook上のRetinaディスプレイ)に制限される。
【0017】
相補型金属酸化膜シリコン(CMOS)バックプレーンを使用すれば、1平方インチ当たり1万画素を超える遥かに高密度の画素駆動回路を提供することができるが、シリコンベースのCMOSバックプレーンは、TFTまたはLTPSバックプレーンよりも高価である。CMOSバックプレーンで大規模なLCまたはOLEDディスプレイパネルをタイル張りすることは、コスト効率が悪い。さらに、レンズレットまたは絞りに対して高密度ディスプレイ画素を整列する時の機械的公差は、問題となり得る。レンズレットまたは絞りは、一般的に、例えば射出成形、押出成形、または印刷技術を用いて、ディスプレイ画素とは別に大型シートとして形成され、例えば感圧接着剤を用いて、ディスプレイ画素に適用される。これらのプロセスの全ては、数十ミクロン程度の機械的耐性に対する固有の制限を受ける。各レンズ/絞りの背後の画素数が制限され、レンズ/絞りサイズと画素サイズとの間の比が1桁である場合、レンズ/絞りと画素との間の不整合に関連する望ましくないアーチファクトは、較正またはソフトウェアによって補償することができない。ディスプレイの面積が通常画素およびレンズ/絞りサイズに比べて大きいので、製造中に公差誤差がディスプレイの一方側から他方側にまたは中央から端部に蓄積するため、このような問題は、悪化する。このような製造可能性、輝度および駆動回路の制限を考慮すれば、既存の技術を用いて、高表面解像度、高角度解像度、および高輝度HPOオートビューイング3Dディスプレイを製造することは、困難である。
【0018】
対照的に、無機マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)は、小さい発光面積から高輝度を生成することができ、有望なディスプレイ画素源として実証されている。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開WO2019/209945A1、WO2019/209957A1、およびWO2019/209961(Heら)を参照する。単一のマイクロLEDエミッタからの発光束は、さらに大きな面積のOLED装置よりも桁違いに高く、透過型LCおよびバックライトで実際に達成可能な発光束よりも高いことが実証されている。したがって、より小さく、より高密度で、より明るく、より高効率の発光画素の出現は、上述した問題に対する独特の解決策を可能にする。
【0019】
典型的な腕の長さの作業距離で視覚的に識別可能な画素のサイズ限界は、約150ミクロンである(すなわち、約1分の角度/画素に相当する)と考えられているが、マイクロLEDは、その寸法の数分の一で極めて明るい発光を提供する。例えば、10ミクロン×10ミクロン平方マイクロLEDは、1万平方ミクロンOLEDまたはLC画素に対して(例えば、500ニットに対して50万ニット)、最大1000倍の光束を出射することができる。すなわち、フルカラーの赤-緑-青(RGB)画素ユニットを3ミクロンより小さいピッチで配置することができるように、マイクロLEDディスプレイ内のエミッタを離間することができる。この場合、実質的に同時に3色を全て出射することができる。したがって、1万平方ミクロンという全体的な画素サイズを維持すると共に、網膜限界解像度およびさらに高い光束を同様に提供しても、必要なマイクロLEDの発光面積は、OLEDまたはLC画素の場合よりも遥かに小さい。
【0020】
上述したマイクロLEDの特性を利用して、オートビューHPO 3Dディスプレイの新しい構成を開示する。図1は、一実施形態に従って、マイクロLEDを組み込んだディスプレイシステムに関連する構想を示す図である。図1に示すように、マイクロLEDエミッタアレイ100は、ウエハ104上に支持されている複数のマイクロLEDを含む。挿入図108に示すように、マイクロLED110A、110Bおよび110Cは、アレイに配置され、各マイクロLEDは、約10ミクロンからサブミクロンレベルまで変動するピッチを有する。例えば、数ミクロン程度のエミッタピッチを有し、高輝度(すなわち、数十万ニット程度の輝度)で可視波長範囲の発光を提供するマイクロLEDが実証されている。マイクロLED110A、110Bおよび110Cはそれぞれ、波長が互いに異なる光エネルギーを出射することができる。例えば、マイクロLED110Aは、赤色波長範囲内で発光することができ、マイクロLED110Bは、青色波長範囲内で発光することができ、マイクロLED110Cは、緑色波長範囲内で発光することができる。なお、同様の色のマイクロLEDが挿入図108において列状に配列されていると示されているが、マイクロLEDは、本明細書の範囲から逸脱することなく、特定の用途に応じて対、クラスタおよび他の好適な構成で配列されてもよい。
【0021】
引き続き図1を参照して、マイクロLEDエミッタアレイ100の一部は、クラスタまたは「ラクセル」120として分割されている。ラクセル120は、例えば、マイクロLEDアレイ100を複数のラクセルにダイシングすることによって形成されてもよい。図1に示すように、ラクセル120は、ウエハ104の基板122上に支持されている1つのマイクロLED110Aと、1つのマイクロLED110Bと、2つのマイクロLED110Cとを含む。次いで、ラクセル120は、マイクロ集積回路(マイクロIC)130に電子的に接続される。マイクロIC130は、バックプレーン134上に支持されている複数の相互接続132を含む。したがって、マイクロIC130は、ラクセル120に接続されると、マイクロLED110A、110Bおよび110Cをそれぞれ電気的に駆動することができる。ラクセル120がマイクロIC130に電気的に接続されると、10ミクロン以下の全体ピッチを有する「チップレット」135を形成する。
【0022】
最後に、複数のチップレット135をディスプレイバックプレーンに転移して、マイクロLEDディスプレイ140を形成することができる。図1は、マイクロLEDディスプレイ140の一部を示している。マイクロLEDディスプレイ140は、ディスプレイバックプレーン146上に支持されている複数の水平バスライン142および複数の垂直バスライン144を含む。例えば、各チップレット135が約10ミクロン以下のピッチを有するため、チップレット135間の距離を50~100ミクロンに形成することができる。これによって、簡単な電子接続を用いて、追加の部品、例えばセンサ素子および他の小型電子素子または光学素子のためにディスプレイバックプレーン146上に余地を残しながら、画素サイズを上述した150ミクロンサイズ限界未満に維持すると共に、1つ以上の波長の高輝度発光を提供することができる。さらに、発光画素からの光を所望の位置に案内するためにディスプレイ内の発光画素と光学的に結合されるマイクロレンズまたは他の光学素子は、100ミクロン程度の寸法を有する。したがって、チップレット135に対するこのような光学素子の光学的位置合わせは、発光素子が画素面積の大部分を占める従来のディスプレイに比べて単純化される。同様に、マイクロレンズまたは光学素子が容易にチップレット135を覆うことができるため、マイクロLED110の部分を覆うマイクロレンズまたは光学素子の端部に起因する陰影または端部効果によるアーチファクトを排除することができる。
【0023】
図1は、高密度のマイクロLEDアレイ100からダイシングされたラクセル120を示しているが、代替的には、ラクセル20は、1つのマイクロLEDまたは1組のマイクロLEDをマイクロLEDアレイ100から基板120に転移することによって形成されてもよい。一例において、マイクロLEDアレイ100は、図1に示すように異なる波長で発光するマイクロLEDを含んでもよく、または全て単一の波長で発光するマイクロLEDを含んでもよい。
【0024】
チップレット、例えばチップレット135の構想は、図2に示す実施形態において拡張される。図2に示すように、ディスプレイ200の一部は、チップレット202を含む。各チップレット202は、ラクセル210を含み、ラクセル210は、基板214上に支持されている複数のマイクロLED212A、212Bおよび212Cを含む。なお、各ラクセル210は、図1に示された4つのマイクロLEDではなく、以下の図3でさらに詳細に説明されるように列に配置された複数のマイクロLEDを含む。マイクロLED212A、212Bおよび212Cは、それぞれ、マイクロLED110A、110Bおよび110Cの一例である。ラクセル210は、ラクセル120の一例である。
【0025】
引き続き図2を参照して、マイクロLED212A、212Bおよび212Cの各々は、光を出射し、この光は、光錐216などの構造体によって収集され、再案内されてもよい。マイクロLED212A、212Bおよび212Cの各々は、相互接続222を介してマイクロIC220と電子的に接続するのに使用される電気コネクタ218を含む。相互接続222は、バックプレーン224上に支持されている。次いで、チップレット202は、コネクタ232を介してディスプレイバックプレーン230に接続される。コネクタ232は、例えば、導電性または非導電性接着剤であってもよい。各チップレット202は、チップレットと協働してチップレットからの光放射を所望の位置に案内するように構成されたマルチビュー光学系240と重ねられている。図2に示すように、チップレット202とマルチビュー光学系240との組み合わせは、画素250を形成する。
【0026】
図3は、一実施形態に従って、マイクロレンズアレイと合わせて使用されるチップレットの一例のさらなる詳細を示している。図3に示すように、チップレット300は、基板322上に支持されている複数のマイクロLED(例えば、図1のマイクロLED110A、110Bおよび110C)を含むラクセル320を含む。図3に示された例において、2列の17個のマイクロLEDがラクセル320に配列され、複数のサブラクセル324を形成する。ラクセル320は、マイクロIC330と電子的に接続するように構成され、マイクロIC330は、バックプレーン334上に支持されている複数の相互接続332を含む。ラクセル320は、ラクセル210の一例である。
【0027】
さらに、図3に示すように、チップレット300は、ラクセル320と光学的に整列するように構成されたマイクロレンズアレイ350を含む。マイクロレンズアレイ350は、複数のマイクロレンズ352を含む。一例において、各マイクロレンズ352は、ラクセル320内の1つのマイクロLEDと光学的に整列するように構成されてもよい。代替的には、各マイクロレンズ352は、各サブラクセル324を覆うようなサイズに形成され、整列されてもよい。例えば、マイクロレンズアレイ350は、チップレット300がその上に集積されたマイクロレンズを含むように、ラクセル320に接着されてもよい。なお、マイクロレンズ352は、異なるサブラクセル324からの光を分離して異なるビューを形成するために使用されている従来のレンズレットまたは光学ステアリング要素とは物理的および機能的に異なってもよい。すなわち、マイクロレンズ352は、チップレット300の一部であってもよく、異なるセットのレンズレットを設けて、3Dディスプレイ全体によって形成される複数のビューを形成することができる。
【0028】
図4を参照して、ディスプレイ400の一部は、ディスプレイバックプレーン410上に支持されている複数のチップレット300を含む。ディスプレイバックプレーン410は、複数の水平バスライン412および複数の垂直バスライン414を含む。したがって、図示されたディスプレイ400の一部は、4×4列の画素を含み、各画素は、1つのチップレット300を含む。各チップレット300は、水平バスライン412および垂直バスライン414によってそれぞれ駆動され、ディスプレイ400によって提示される複数のビュー、例えば、第1のビュー422および第2のビュー424のうちの1つを形成する。第1のビュー422および第2のビュー424は、例えば、追加のレンズまたは光学ステアリング要素(図示せず)を介して、右目432および左目434にそれぞれ表示される。
【0029】
一実施形態において、各マイクロLEDエミッタは、数ミクロン程度(例えば、10ミクロン未満、5ミクロン未満、または3ミクロン未満)の画素ピッチを有し、ラクセル320は、各マイクロLEDをアドレス指定するために同等に小さいCMOSバックプレーン上に支持され、各チップレットの面積は、10ミクロン×60ミクロンと小さい。その結果、チップレット300は、特定の通信プロトコルを用いて、ディスプレイバックプレーン上のアドレス指定アレイ(例えば、水平バスライン412および垂直バスライン414)とインターフェイスするための回路を含むことができる。代替的には、各チップレット300は、より単純なTFTまたはLTPSディスプレイ駆動回路によってアドレス指定可能であるように構成されてもよい。したがって、同等のOLEDまたはLCディスプレイよりも、得られたディスプレイのコストおよび複雑さを大幅に低減することができる。いくつかの実施形態において、駆動回路は、展開回路、補間回路、視差逐次化回路、または処理機能を提供するように構成された他の回路のうちの1つ以上を含むことができる。さらに、チップレット300によって覆われていないディスプレイバックプレーン410の残りの領域には、センサまたはトランジスタなどの追加の電子部品または光学部品を装着することができる。
【0030】
図5は、一実施形態に従って、チップレットの代替レイアウトを示している。図5に示すように、画素セル500は、ディスプレイバックプレーン512上に支持されているチップレット510を含む。チップレット510は、ラクセル520を含み、ラクセル520は、複数のマイクロLED524A、524Bおよび524Cを支持する基板522を含む。ラクセル520は、ラクセル320の一例である。図5において、マイクロLED524A、524Bおよび524Cの各々が異なる色の光を出射するように示されているが、他の構成のマイクロLEDも可能である。例えば、全てのマイクロLEDは、単色の光、2色の光または特定の色の光を出射し、これらの光は、色変換器(図示せず)を用いて追加の波長に変換される。ラクセル520は、マイクロIC530に電気的に接続されている(マイクロIC530の相互接続および他の部品は、図5では見えない)。
【0031】
図6は、一実施形態に従って、図5の画素500の用途を示している。図6は、ディスプレイ600の拡大部分を示している。図6に示されたディスプレイ600の一部は、4×4列の画素セル500を含む。図6に示す実施形態において、ディスプレイ600は、ディスプレイ600の各画素セル列上に重ね合わせられた円筒形レンズレット620の列をさらに含み、ラクセル光を水平方向に放射する別個の角度に一意にマッピングすることによって、水平のみの視差ビューを提供する。代替的には、円筒形レンズレット620は、円筒形レンズレットと同様の機能を果たす視差バリアと置換されてもよく、または視差バリアと組み合わせられてもよい。したがって、各画素セル500は、視聴者630によって見られ、光線632によって表されるビューに寄与する。
【0032】
一実施形態において、各画素セル500は、150ミクロン×150ミクロン以下の寸法を有する。したがって、500ミリメートル離れた作業距離で見たときに、画素セルは、約1分の角度以下の範囲に及ぶ。各レンズレット620の幅が視聴者630の知覚限界以下であり、各チップレット510上のマイクロLEDエミッタが各レンズレット620の幅よりも小さいため、ディスプレイ600は、複数の方向的に異なる出力フィールドを生成することができる。したがって、ディスプレイ600は、高品質のオートビュー3D画像を表現すると共に、最新の2Dディスプレイと同等の表面解像度知覚を提供するように動作する。
【0033】
図7~10を参照して、図5および6に示したものに類似する線形チップレットを使用する代替的な画素構成を説明する。図7は、回路712を支持しているバックプレーン710を含む画素700を示している。なお、回路712は、バックプレーン710上で支持されている電子部品の一般的な構想を表すことを意図しており、特定の部品またはサイズの回路図を示すことを意図していない。また、画素700は、それぞれ単色の第1、第2および第3のチップレット722、724および726を含む。第1、第2および第3のチップレット722、724および726の各々は、別々に形成され、バックプレーン710に接続されてもよい。一例として、第1のチップレット722は、赤色波長範囲で発光する2列のマイクロLEDを含む。第2のチップレット724は、緑色波長範囲で発光する1列のマイクロLEDを含み、第3のチップレット726は、青色波長範囲で発光する1列のマイクロLEDを含む。第1のチップレット722は、例えば、現在入手可能な緑色または青色発光マイクロLEDと比較して、赤色マイクロLEDによって一般的に示される低い効率および輝度を補償するために、追加列の赤色発光マイクロLEDを含む。画素700は、画素700を含むディスプレイの全体によって提供された複数のビューの一部に寄与するように、画素700からの光を所望の場所に案内するための円柱レンズレット730の一部と重ねられている。
【0034】
図8は、線形チップレットを使用する画素の別の変形例を示している。図8に示すように、画素800は、図7の画素700と同じ部品を多く含む。同様に、回路712は、バックプレーン710上に支持され得る代表的な電子部品であり、特定的なものではない。しかしながら、画素800は、3行のマイクロLEDを含む3色チップレット820を含む。各行のマイクロLEDは、特定の波長範囲で発光する。したがって、各縦列のマイクロLEDは、3つの異なる色の発光を提供する。この柱状配置は、図5に示す六角形充填構造とは異なり、エミッタの高密度充填、および任意選択で色間の間隔を可変にすることができる。この場合、全ての3行のマイクロLEDエミッタは、単一のチップレットとして駆動される。
【0035】
図9は、異なる視差出力フィールドの密度を増大させるように構成された線形チップレット画素の別の変形例を示している。同様に、図9に示された回路712は、バックプレーン710上で支持される電子部品の一般的な構想を表すことを意図しており、特定の部品またはサイズの回路図を示すことを意図していない。図9に示すように、画素900は、第1のチップレット922を含み、第1のチップレット922は、1行のサブラクセル924を形成する2行の3色マイクロLEDを含む。サブラクセル924は、図3のサブラクセル324の一例である。図9に示す例において、各サブラクセル924は、赤色波長範囲内の光を出射する少なくとも1つのマイクロLEDと、緑色波長範囲内の光を出射する少なくとも1つのマイクロLEDと、青色波長範囲内の光を出射する少なくとも1つのマイクロLEDとを含む。図9は、2×2列のマイクロLEDを示しているが、他のレイアウトおよび組み合わせも可能である。
【0036】
図10と共に図9を引き続き参照して、画素900は、第2のチップレット932をさらに含み、第2のチップレット932は、1行のサブ画素934を形成する2行の3色マイクロLEDを含む。図9の例に示すように、第2のチップレット932は、サブ画素の半分で第1のチップレット922からオフセットされる。一例において、図10に示すように、第1のチップレット922の最も左側のサブ画素は、ビューの最も左側の部分を提供するように構成され、第2のチップレット932の最も左側のサブ画素は、ビューの第2の最も左側の部分を提供するように構成され、以下同様である。すなわち、ディスプレイ装置1010が複数の画素900によって形成される場合、視聴者1030によって見られるビュー1020は、(第1および第2のチップレット922および932にそれぞれ対応するサブ画素924および934に隣接する数字として示された)サブ画素1、2、3、4...によって提供されたビュー1、2、3、4...(図10に示され、ビュー1020を形成する)の組み合わせである。このようにして、第1および第2のチップレット922および932の各々によって提供された視差ビューを組み合わせることによって、画素ピッチ限界を超えるように水平視差サンプリングを増加させ、単一のチップレットで達成可能なものと比較して、2つのチップレットによって所定の画素ピッチに対してより高い角度解像度を生成することができる。同様の手法は、チップレットを組み込む視差バリアに基づいたディスプレイシステムに適用されてもよい。
【0037】
図11は、チップレットのさらなる変形例を示している。図11に示すように、画素1100は、第1のチップレット1110Aと、第2のチップレット110Bとを含む。第1のチップレット1110Aは、画素1100の上端に沿って水平に配置され、ラクセル1120を含む。ラクセル1120は、図1のラクセル120の一例である。上述したように、ラクセル1120は、マイクロIC(図11では見えない)に電気的に接続されている。ラクセル1120は、1行のサブラクセル1124を支持する基板1122を含む。各サブラクセル1124は、第1のマイクロLED1126Aと、第2のマイクロLED1126Bと、第3のマイクロLED1126Cとを含む。図11に示す例において、第1のマイクロLED1126A、第2のマイクロLED1126Bおよび第3のマイクロLED1126Cは、一例として、赤色、緑色および青色波長範囲などの異なる波長範囲の光を出射する。第1のチップレット1110Aは、レンズ1130で覆われている。代替的には、レンズ1130の代わりにまたはそれに加えて、視差バリアを設けてもよい。第2のチップレット1110Bは、第1のチップレット1110Aと本質的に同じ部品を含み、図11の例示的な実施形態に示すように、画素1100の左端部に沿って垂直に配置されている。
【0038】
第1のチップレット1110Aおよび第2のチップレット1110Bを直交するように配置することによって、ディスプレイが回転されても、画素1100は、水平のみの視差3Dビューを提供することができる。例えば、一列の画素1100を組み込んだディスプレイ装置がジャイロスコープをさらに含む場合、ディスプレイ装置は、第1の位置に保持されているときのみ第1のチップレット1110Aを使用し、90度で第2の位置に回転されたことを検知すると、ディスプレイ装置は、第1のチップレット1110Aを停止し、第2のチップレット1110Bを作動する。このような機能は、例えば、携帯電話またはタブレットが縦または横モードで保持されているときに、オートビュー水平のみ視差ビューを提供することができる携帯電話またはタブレットに適用可能である。
【0039】
画素1100の利用可能な追加の面積は、様々な方法で使用されてもよい。一実施形態において、図11の画素1100は、単一のRGBエミッタ1140をさらに含む。単一のRGBエミッタ1140は、サブ画素1144を支持する基板1142を含む。基板1142は、正方形として示されているが、特定の用途に応じて他の形状(例えば、六角形)を使用することができる。サブ画素1144は、赤色波長範囲の光を出射する第1のマイクロLED1146Aと、緑色波長範囲の光を出射する第2のマイクロLED1146Bと、青色波長範囲の光を出射する第3のマイクロLED1146Cとを含む。単一のRGBエミッタ1140は、例えば、標準的な(すなわち、視差のない)2D画像を表示するために使用され得るため、マルチビュー光学系を集積する必要がない。画素1100を組み込んだディスプレイ装置が3D画像を表示するために使用されていない場合、単一のRGBエミッタ1140は、2D画像を表示するために使用されてもよい。代替的には、3Dおよび2Dモードの両方を同時に作動させて、2D画像をディスプレイ装置の表面上に表示する一方で、3D画像または2D画像の特定の部分を表示装置の表面の上方または下方に浮かぶ3Dオブジェクトとして表示することもできる。また、画素1100の利用可能な領域に追加の電子部品または光学部品を組み込むこともできる。例えば、1つ以上のセンサを画素1100に組み込むことによって、輝度の感知、動きの感知、深度の感知、および頭/眼/視線の追跡などのタスクを実行することができる。
【0040】
図12~14は、チップレットを組み込んだ代替的なディスプレイアーキテクチャを示している。図12に示すように、ディスプレイ1200の一部は、隣接する列に配置された複数のレンズレット1210を含む。複数のチップレット1220は、ディスプレイバックプレーン上に支持されているのではなく、各レンズレット1210に直接に取り付けられている。また、一列のレンズレット1210は、レンズレット1210の光学活性領域間に埋め込まれ、分岐導体1232を介して各チップレット1220に接続されている信号伝導バスライン1230を含む。バスライン1230および分岐導体1232は、例えば、レンズレット1210内に埋め込まれてもよく、またはスクリーン印刷、金属堆積または他の好適な方法を用いてレンズレット1210の表面上に印刷されてもよい。横方向に隣接するチップレットは、図12に示すように互いにオフセットされてもよく、または図6に示すように整列されてもよい。
【0041】
図13は、チップレット1220を組み込んだレンズレット1210の一部の側断面図を示している。図13に示すように、一例として、チップレット1220は、取り付け特徴1310によって適所に保持されてもよい。取り付け特徴1310は、チップレット1220の少なくとも一部をその中に確実に収容するように構成されたクリップ特徴であってもよく、レンズレット1210の製造プロセス中に成形されてもよく、またはレンズレット1210の製造後に追加されてもよい。また、取り付け特徴1310は、チップレット1220を分岐導体1232に接続するための電子配線を組み込んでもよい。
【0042】
図14は、一列のレンズレット1210の異なる部分の上面断面図を示している。図14に示すように、チップレット1220は、レンズレット1210に取り付けられ、導電性バスライン1230を介して電気的に利用される。例示的な例として、図14に示すように、上方チップレット1220の第1の部分は、実線矢印1410によって表される光を出射する。この光は、レンズレット1210の曲率によって図の下方に案内される。同様に、同じ上方チップレット1220の異なる第2の部分は、破線矢印1412によって表される光を出射する。この光は、レンズレット1210の曲率によって図の上方に案内され、上方チップレット1220の第1の部分とは異なるビューを提供し、水平のみの視差ビューをもたらす。
【0043】
図12~14に示す構成において、一列のレンズレット1210(すなわち、光学層)は、ディスプレイバックプレーンを必要とすることなく、ディスプレイ装置の構造素子になるため、より薄いディスプレイを可能にする。さらに、このアーキテクチャは、チップレット1220と関連する光学素子との高精度の整列を促進し、光学収差および画像アーチファクトの低減をもたらす。さらに、画素間の光出射フィールドをより効果的に分離することができるため、ディスプレイのクロストークを低減し、画質をさらに向上することができる。さらに、例えば、各列のレンズレットを、チップレットおよび分岐導体を一体化したストリップとして構築し、その後、ストリップからディスプレイ装置を列ごとに組み立てることによって、ディスプレイ装置の製造可能性を改善することができる。当業者は、この同じスキームが、レンズレットではなく視差バリアの集積、または両者の組み合わせと共に使用できることを理解するであろう。
【0044】
図15および16は、チップレットをレンズレットに直接に集積した別の構成を示している。図15に示すように、フラットディスプレイ1500は、水平のみの視差ビューを視聴者1510に提供する。フラットディスプレイ1500は、レンズレット1540の列によって支持されているチップレット1530を含む。視聴者1510の眼球が平面ディスプレイ1500と垂直に整列されている平面ディスプレイ1500の中央部において、チップレット1530Aは、収差の少ない視差ビューを確実に提供する。しかしながら、フラットディスプレイ1500の端部付近において、例えば、チップレット1530Bおよびレンズレット1540Bが依然としてフラットディスプレイ1500の平面に整列されている場合に、ディスプレイの極端な軸外動作は、視聴者1510に提示されるビューにおいて視覚アーチファクトおよび光学収差をもたらす可能性が高い。
【0045】
対照的に、フラットディスプレイが、上述したように、チップレットを集積し、列ごとに組み立てられたレンズレットのストリップから形成された場合、レンズレットの各列の配向角(したがって、集積されたチップレットの配向角)は、図15に示すディスプレイアーキテクチャから生じる収差を軽減するために、ディスプレイの中心から端部まで調節されてもよい。例えば、図16に示すように、ディスプレイの中心に近い方に位置するチップレット1630Bおよびレンズレット1640Bは、中心軸に向かってある量だけ回転されてもよく、平面ディスプレイの端部に近いレンズレット1640Cに集積されたチップレット1630Cは、ディスプレイの中心軸に向かって(例えば、31度で)さらに回転されてもよく、以下同様である。各レンズレットが所望の眼球の中心に面するようにレンズレットの列およびそれらに関連するチップレットを回転させることによって、端部効果および他の光学収差を低減することができる。
【0046】
さらなる代替案は、チップレットを集積するレンズレットのストリップを曲面ディスプレイに組み立てることである。図17に示すように、曲面ディスプレイ1700は、水平のみの視差ビューを視聴者1710に提供するように構成されている。曲面ディスプレイ1700の曲率は、レンズレット、ひいてはレンズレットに集積されたチップレットが図示のように視聴者1710の眼球に向かって湾曲するように構成されている。
【0047】
図18~20は、代替的な種類のレンズレットおよび共形に湾曲したエミッタストリップを示すために、別のディスプレイアーキテクチャを示している。例えば、中心から周辺まで屈折率が段階的に変化するルネブルグレンズは、無限遠の共役焦点を有するように設計され、レンズの表面で高品質の変換を生成する。図18に示すように、レンズレット部1800は、湾曲チップレット1820を集積した屈折率分布型ルネブルグ型円柱レンズレット1810を含む。
【0048】
図19は、レンズレット部1800の上面断面図を示している。図19に示すように、レンズレット1810は、予め形成されたベッド1910によって支持され、ベッド1910は、湾曲チップレット1820と電気的に接続するための導電性バスライン1920を含む。ルネブルグレンズの屈折特性によって、湾曲チップレット1820の異なる部分からの光は、光線1950および1955によって表されるように、反対側の表面から出る平行出力を生成する。代替的には、図19に示すように、湾曲チップレット1820は、レンズレット1810に共形に接触するように、予め形成されたベッド1910に一体化されてもよい。さらに、図20に示すように、複数のレンズレット1810を列に配置することによって、ディスプレイを形成することができる。湾曲チップレット1820の各々は、例えば、バスライン2010を介してアドレス指定されてもよい。このルネブルグアプローチは、ルネブルグレンズによる大角度の高品質光学性能に起因して、遥かに大きな視野を提供するという利点を有する。また、このアプローチは、製造プロセスにおいて、光学部品が比較的単純である可能性が高い。
【0049】
上記の議論は、レンズレットまたはレンチキュラーに基づいたディスプレイを主に検討したが、この議論は、視差/ラスタバリアおよび絞りに基づいたディスプレイにも容易に適用可能である。オートビュー3Dディスプレイを提供するためのマイクロLEDチップレットアプローチは、基本的に、個々の画素セルエミッタを独自のモジュールに離散化することによって、ディスプレイの大型画素ベッドを視差生成光学シートから分離する。このアプローチは、高速/高解像度ピックアンドプレース(pick-and-place)アセンブリシステムまたはモノリシックに一体化されたマイクロLED製造と併せて、これまで利用できなかったディスプレイ構造およびシステムアーキテクチャを可能にする。画素のサイズおよびピッチと、レンズレットのサイズおよびピッチと、レンズレットの視野(または分布角)と、レンズレットの焦点距離との間の比率は、例えば、小型フォームファクタウェアラブルディスプレイから超高解像度ディスプレイおよび大規模ディスプレイまでのディスプレイ用途に応じて、調整および最適化されてもよい。また、エミッタをチップレット内に配置することは、特定のディスプレイシステムのニーズに合わせて変更されてもよい。例えば、視差ビューの非線形間隔またはレンズレットによる光学歪みの補償は、適切なマイクロLEDレイアウトによって達成されてもよい。
【0050】
様々な代替的なまたは追加の構成または部品を、上述した光学システムのうちの1つ以上に実装することができる。したがって、多くの異なる実施形態が、上記の説明および図面から得られる。なお、これらの実施形態の全ての組み合わせおよび一部の組み合わせを文字通り説明および図示することは、過度に反復的であり、難解である。したがって、図面を含む本明細書は、本明細書に記載される実施形態の全ての組み合わせおよび一部の組み合わせ、ならびにそれらを製造および使用する方法およびプロセスの完全な書面説明を構成すると解釈され、全ての組み合わせまたは一部の組み合わせに対する特許請求の範囲を支持すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】