(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-05
(54)【発明の名称】方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/54 20060101AFI20231225BHJP
C12P 19/56 20060101ALI20231225BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231225BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20231225BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231225BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231225BHJP
A01H 5/00 20180101ALI20231225BHJP
C12N 15/53 20060101ALI20231225BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20231225BHJP
C07J 63/00 20060101ALI20231225BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20231225BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20231225BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231225BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
C12N15/54
C12P19/56 ZNA
C12N15/63 Z
C12N9/10
C12N5/10
C12N1/19
A01H5/00 A
C12N15/53
C12N9/02
C07J63/00
A61K39/39
A61K9/127
A61P43/00 121
A61P37/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538912
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2021087323
(87)【国際公開番号】W WO2022136563
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500123706
【氏名又は名称】プラント・バイオサイエンス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン アン
(72)【発明者】
【氏名】リード ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】オーム アナスタシア
【テーマコード(参考)】
2B030
4B064
4B065
4C076
4C085
4C091
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB03
2B030AD08
2B030CA14
4B064AF42
4B064AF48
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01Y
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA88Y
4B065AA89X
4B065AA89Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA10
4B065CA19
4B065CA44
4C076AA19
4C076CC07
4C085AA38
4C085CC31
4C085DD81
4C085EE06
4C085FF14
4C091AA06
4C091BB20
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE06
4C091FF02
4C091FF06
4C091GG03
4C091GG05
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL03
4C091LL06
4C091MM01
4C091NN02
4C091NN15
4C091PA20
4C091PB10
4C091QQ05
4C091RR08
(57)【要約】
本発明は、QS-21分子の中間体への生合成経路、ならびにQS-21分子を製造するための経路、関与する酵素、生成される生成物、および生成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRX(X/A)鎖をQAのC-28位に付加し、QA-FRX(X/A)を製造する方法であって:
(i)(a)QAを、UDP-α-D-フコース、および酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-Fを形成する工程;および/または
(b)QAを、UDP-4-ケト, 6-デオキシ-D-グルコース、酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、および酵素QsFucSyn(配列番号12)または少なくとも45%の配列同一性を有する配列を有する酵素と組み合わせて、QA-Fを形成する工程;
(ii)QA-Fを、UDP-β-L-ラムノース、および酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-FRを形成する工程;
(iii)QA-FRを、UDP-α-D-キシロース、および酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-FRXを形成する工程;ならびに
(iv)QA-FRXを、UDP-α-D-キシロース、および酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)もしくは少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-FRXXを形成する工程、および/または、QA-FRXを、UDP-α-D-アピオース、および酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)もしくは少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-FRXAを形成する工程
を含む、方法。
【請求項2】
モノ(X/R)鎖、ジ(X/R)鎖またはトリ(X/R)鎖をC-3位に付加し、FRX(X/A)鎖をQAのC-28位に付加し、QA-モノ-FRX(X/A)、QA-ジ-FRX(X/A)および/またはQA-トリ(X/R)-FRX(X/A)を製造する方法であって:
(i)QAを、UDP-α-D-グルクロン酸、および酵素QsCSL1(配列番号26)もしくはQsCslG2(配列番号28)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノを形成する工程;任意に
(ii)QA-モノを、UDP-α-D-ガラクトース、および酵素Qs-3-O-GalT(配列番号30)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-ジを形成する工程;任意に
(iii)QA-ジを、UDP-β-L-ラムノピラノース、および酵素DN20529_c0_g2_i8(配列番号36)もしくはQs_0283850(配列番号34)もしくはQs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-トリRを形成する工程、および/または、QA-ジを、UDP-α-D-キシロピラノース、および酵素Qs_0283870(配列番号38)もしくはQs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-トリXを形成する工程;
(iv)(a)QA-モノ、QA-ジおよび/またはQA-トリ(R/X)を、UDP-α-D-フコース、および酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-F、QA-ジ-Fおよび/またはQA-トリ(R/X)-Fを形成する工程、および/または
(b)QA-モノ、QA-ジおよび/またはQA-トリ(R/X)を、UDP-4-ケト, 6-デオキシ-D-グルコース、酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、および酵素QsFucSyn(配列番号12)または少なくとも45%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-F、QA-ジ-Fおよび/またはQA-トリ(R/X)-Fを形成する工程;
(v)QA-モノ-F、QA-ジ-Fおよび/またはQA-トリ(R/X)-Fを、UDP-β-L-ラムノース、および酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-FR、QA-ジ-FRおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRを形成する工程;
(vi)QA-モノ-FR、QA-ジ-FRおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRを、UDP-α-D-キシロース、および酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-FRX、QA-ジ-FRXおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXを形成する工程;ならびに
(vii)QA-モノ-FRX、QA-ジ-FRXおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXを、UDP-α-D-キシロース、および酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-FRXX、QA-ジ-FRXXおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXXを形成する工程、および/または、QA-モノ-FRX、QA-ジ-FRXおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXを、UDP-α-D-アピオース、および酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-FRXA、QA-ジ-FRXAおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXAを形成する工程
を含む、方法。
【請求項3】
宿主において、生合成3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-アピオフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸(QA-トリR-FRXA)を製造する方法であって:
a)QA-トリRの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびに
b)i.酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)、または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
ii.酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)、または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
iii.酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)、または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および
iv.酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)、または配列番号10と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
をコードする核酸を宿主に導入する工程
を含む、方法。
【請求項4】
宿主において、生合成3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸(QA-トリR-FRXX)を製造する方法であって:
a)QA-トリRの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびに
b)i.酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)、または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
ii.酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)、または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
iii.酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)、または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および
iv.酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)、または配列番号8と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
をコードする核酸を宿主に導入する工程
を含む、方法。
【請求項5】
宿主において、生合成3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-アピオフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸(QA-トリX-FRXA)を製造する方法であって:
a)QA-トリXの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびに
b)i.酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)、または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
ii.酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)、または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
iii.酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)、または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;及び
iv.酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)、または配列番号10と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
をコードする核酸を宿主に導入する工程
を含む、方法。
【請求項6】
宿主において、生合成3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3-)-β-D-キシロピラノシル-(1->4-)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2-)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸(QA-トリX-FRXX)を製造する方法であって:
a)QA-トリXの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびに
b)i.酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)、または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
ii.酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)、または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
iii.酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)、または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および
iv.酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)、または配列番号8と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
をコードする核酸を宿主に導入する工程
を含む、方法。
【請求項7】
宿主において、生合成QA-トリ(X/R)-FRX(X/A)を製造する方法であって:
a)QA-トリXおよび/またはQA-トリRの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびに
b)i.酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)、または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
ii.酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)、または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
iii.酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)、または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および
iv.酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)、もしくは配列番号8と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、および/または酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)、もしくは配列番号10と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;
をコードする核酸を宿主に導入する工程
を含む、方法。
【請求項8】
工程a)におけるQA-トリRの生合成が、(i)(a)酵素QsCSL1(配列番号26)もしくは配列番号26と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を有する酵素、または(b)酵素QsCslG2(配列番号28)もしくは配列番号28と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;(ii)酵素Qs-3-O-GalT(配列番号30)または配列番号30と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、および(iii)(a)酵素DN20529_c0_g2_i8(配列番号36)もしくは配列番号36と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、または(b)酵素Qs_0283850(配列番号34)もしくは配列番号34と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、または(c)酵素Qs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)もしくは配列番号32と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸を導入することによって得られる、請求項3、請求項4または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程a)におけるQA-トリXの生合成が、(i)(a)酵素QsCSL1(配列番号26)もしくは配列番号26と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、または(b)酵素QsCslG2(配列番号28)もしくは配列番号28と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;(ii)酵素Qs-3-O-GalT(配列番号30)または配列番号30と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、および(iii)(a)項素Qs_0283870(配列番号38)もしくは配列番号38と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、または(b)酵素Qs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)もしくは配列番号32と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸を導入することによって得られる、請求項5、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項10】
配列番号2のアミノ酸は配列番号1の核酸によってコードされ;
配列番号4のアミノ酸は配列番号3の核酸によってコードされ;
配列番号6のアミノ酸は配列番号5の核酸によってコードされ;
配列番号8のアミノ酸は配列番号7の核酸によってコードされ;
配列番号10のアミノ酸は配列番号9の核酸によってコードされる、
請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
配列番号26のアミノ酸は配列番号25の核酸によってコードされ;
配列番号28のアミノ酸は配列番号27の核酸によってコードされ;
配列番号30のアミノ酸は配列番号29の核酸によってコードされ;
配列番号32のアミノ酸は配列番号31の核酸によってコードされ;
配列番号34のアミノ酸は配列番号33の核酸によってコードされ;
配列番号36のアミノ酸は配列番号35の核酸によってコードされ;
配列番号38のアミノ酸は配列番号37の核酸によってコードされる、
請求項2、8、9または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
配列番号2(Qs-28-O-FucT)によるフコシルトランスフェラーゼ酵素または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素。
【請求項13】
配列番号4(Qs-28-O-RhaT)によるラムノシルトランスフェラーゼ酵素または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素。
【請求項14】
配列番号6(Qs-28-O-XylT3)によるキシロシルトランスフェラーゼ酵素または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素。
【請求項15】
配列番号8(Qs-28-O-XylT4)によるキシロシルトランスフェラーゼ酵素または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素。
【請求項16】
配列番号10(Qs-28-O-ApiT4)によるアピオシルトランスフェラーゼ酵素または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか一項に記載の酵素のいずれかをコードする核酸。
【請求項18】
請求項8または9に記載のいずれかの酵素をさらにコードする、請求項17に記載の核酸。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の核酸を含むベクター。
【請求項20】
請求項17または請求項18に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項21】
請求項19に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項22】
宿主細胞が植物細胞または微生物細胞である、請求項20または21に記載の宿主細胞。
【請求項23】
請求項21または請求項22に記載の宿主細胞を含む植物または微生物の生物系。
【請求項24】
生物系が酵母またはベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)である、請求項23に記載の生物系。
【請求項25】
配列番号12(QsFucSyn)によるオキシドレダクターゼ酵素または少なくとも45%の配列同一性の配列を有する酵素。
【請求項26】
配列番号12(QsFucSyn)と少なくとも45%の配列同一性を有する酵素が、QsFSL-1(配列番号48)、QsFSL-2(配列番号50)またはSoFSL-1(配列番号52)のうちの1つである、請求項25に記載のオキシドレダクターゼ酵素。
【請求項27】
請求項25または請求項26に記載の酵素をコードする核酸。
【請求項28】
工程(i)(b)(請求項1)または工程(iv)(b)(請求項2)を有し、配列番号12(QsFucSyn)に対して少なくとも45%の配列同一性を有する酵素が、請求項26に記載のものであるか、またはSpolFSL(配列番号54)である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項29】
工程b)が、請求項25または請求項26に記載の酵素の少なくとも1つをコードするか、または酵素SpolFSL(配列番号54)をコードする核酸をさらに導入する、請求項3~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
工程(i)(b)(請求項1)または工程(iv)(b)(請求項2)を有し、UDP-D-グルコースを、酵素ATCV-1(配列番号40)または少なくとも55%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、前記UDP-4-ケト, 6-デオキシ-D-グルコースを形成する、請求項1または請求項2に記載の方法、
【請求項31】
工程b)が、酵素ATCV-1(配列番号40)または少なくとも55%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸をさらに導入する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
配列番号14(QsAXS1)によるUDP-アピオース/UDP-キシロースシンターゼ酵素または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素。
【請求項33】
請求項32に記載の酵素をコードする核酸。
【請求項34】
工程(i)(b)(請求項1)または工程(iv)(b)(請求項2)を有し、工程(i)(b)(請求項1)または工程(iv)(b)(請求項2)が、請求項32に記載の酵素と組み合わせることをさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項35】
QA誘導体を単離する工程をさらに含む、請求項1~11、28~31、および34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法によって得られるQA誘導体。
【請求項37】
請求項36に記載のQA誘導体のアジュバントとしての使用
【請求項38】
アジュバントがリポソーム製剤である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
アジュバントがTLR4アゴニストをさらに含む、請求項37または請求項38に記載の使用。
【請求項40】
TLR4アゴニストが3D-MPLである、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
請求項36に記載のQA誘導体を含むアジュバント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、QS-21分子の中間体への生合成経路、ならびにQS-21分子を製造するための経路、関与する酵素、生成される生成物、および生成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
QS-21は、チリの「キラヤ属(soapbark)」であるシャボンノキ(Quillaja saponaria)の樹皮からの天然サポニン抽出物である。QS-21抽出物は、元々RP-HPLC精製(ピーク21)(Kensil et al. 1991)によって得られたシャボンノキ(Quillaja Saponaria Molina)の粗樹皮抽出物の精製画分として同定された。QS-21抽出物または画分は、いくつかの異なるサポニン分子を含む。画分の2つの主要な異性体分子成分が報告されており(Ragupathi et al. 2011)、
図1に示されている。両者とも中央のトリテルペンコアを組み込んでおり、そのコアのテルペンC-3酸素官能基には分岐した三糖が結合しており、直鎖状の四糖がトリテルペンC-28カルボキシレート基に結合している。サポニン構造内の第4の成分は、加水分解的に不安定なエステル結合を介してフコース部分に結合したグリコシル化擬二量体アシル鎖である。異性体成分は四糖類の末端糖残基の構成において異なり、主要および副次的化合物は、それぞれアピオース(65%)またはキシロース(35%)の炭化水素のいずれかを組み込む。
【0003】
QS-21を含むシャボンノキ(Q. saponaria)由来のサポニンは、抗体産生および特異的T細胞応答を増強することができる強力な免疫刺激特性を有することが長年知られている。これらの特性は、ワクチンのためのキラヤサポニン(Quillaja saponin)ベースのアジュバントの開発をもたらした。特に注目すべきは、AS01アジュバントは、QS-21および3-O-デスアシル-4'-モノホスホリルリピドAのリポソーム製剤(その製造はWO2013/041572に記載されている)を特徴とし、現在、帯状疱疹(Shingrix)およびマラリア(Mosquirix)を含む疾患のためのワクチン製剤において承認されている。
【0004】
本発明は、QS-21分子の中間体、ならびに天然シャボンノキ植物からの精製によるもの以外のQS-21分子および得られた生成物を製造する方法を記載し、これはワクチン製剤におけるアジュバントとして有用である。本発明はまた、生成物を産生するための方法、ベクター、宿主細胞および生物系に関連する酵素に関する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は特に、キラ酸骨格(QA)および得られるQA誘導体を含む分子へのC-28直鎖四糖の生合成付加に関する。本発明は、例えば、QA-FRX(X/A)またはQA-トリ(X/R)-FRX(X/A)等のQS-21分子の中間体の生合成調製物、ならびにQS-21分子を製造するための化学経路、誘導体および分子を作製するためのすべての構成部分、ならびにそれらの使用を含む。
【0006】
QA生合成は、オキシドスクアレンシクラーゼ(OSC)による普遍的な直鎖前駆体2,3-オキシドスクアレン(OS)の環化を介して合成される単純なトリテルペンβアミリンに由来する。この生合成は、WO2019/122259のように、当技術分野で公知であり、その含有量は参照により本明細書に組み込まれる。このβアミリン足場は、一連の3つのシトクロムP450モノオキシゲナーゼによって、それぞれC-28位、C-16α位およびC-23位のカルボン酸、アルコールおよびアルデヒドでさらに酸化され、キラ酸(QA)を形成する。OSCならびにC-28、C16αおよびC-23オキシダーゼは、本明細書において、それぞれQsbAS(βアミリン合成酵素)、QsCYP716-C-28、QsCYP716-C-16αおよびQsCYP714-C-23オキシダーゼといわれる場合がある。このための生合成経路を
図2に示す。
【0007】
QS-21の分岐三糖鎖は、QA骨格のC-3位でβ結合にて結合したD-グルコピラヌロン酸(D-GlcpA)残基で開始される。D-GlcpA残基は、β-1,2-結合で結合したD-ガラクトピラノース(D-Galp)と、β-1,3-結合またはα-1,3-結合で結合したD-キシロピラノース(D-Xylp)またはL-ラムノピラノース(L-Rhap)と、のD-GlcpA残基に結合する2つの糖を有する。3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-キラ酸(QA-トリR)または3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-キラ酸(QA-トリX)へのQAのグリコシル化の概略図を
図3に示す。PCT/EP2020/067866(WO2020/260475として公開)のように、QA 3-O三糖の製造に関連する活性を有する7種の酵素が同定されている。これらは、キラ酸のC-3位に最初のβ-D-グルコピラヌロン酸を付加することができる2つの機能的に重複するグルクロノシルトランスフェラーゼCSL1およびCslG2;β-D-グルコピラヌロン酸のC-2位にβ-D-ガラクトピラノースを付加するガラクトシルトランスフェラーゼQs-3-O-GalT;β-D-グルコピラヌロン酸のC-3位にβ-D-キシロピラノースを付加するキシロシルトランスフェラーゼQs_0283870:α-L-ラムノピラノースをβ-D-グルコピラヌロン酸のC-3位に付加する2つのラムノシルトランスフェラーゼDN20529_c0_g2_i8およびQs_0283850;ならびにβ-D-グルコピラヌロン酸のC-3位にβ-D-キシロピラノースまたはα-L-ラムノピラノースのいずれかを付加することができる二機能性酵素Qs-3-O-RhaT/XylTを含む(
図3)。
簡潔にするために、本願を通して、C-3位に分岐三糖を含むQA誘導体は、「QA-トリX」、「QA-トリR」または「QA-トリ(X/R)」と称してもよい。
【0008】
本発明は、QA骨格のC-28位における直鎖四糖の付加の生合成経路、および天然のシャボンノキ植物からの精製による以外に、QS-21分子を化学的に生成するものを含む、例えばQA-FRX(X/A)またはQA-トリ(X/R)-FRX(X/A)等の得られる誘導体を初めて記載する。
【0009】
したがって、本発明は、QA誘導体の製造方法、該方法から得られるQA誘導体、該方法において使用される酵素、該酵素をコードする核酸、該核酸を含むベクター、該ベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1はQS-21の構造を示す。コア骨格は、トリテルペンキラ酸(QA)から形成される。C-3位は、β-D-グルコピラヌロン酸(D-GlcpA)、β-D-ガラクトピラノース(D-Galp)、およびβ-D-キシロピラノース(D-xylp)またはα-L-ラムノピラノース(L-rhap)(R
1)のいずれかからなる分岐三糖を特徴とする。C-28位は、β-D-フコピラノース(D-fucp)、α-L-ラムノピラノース、β-D-キシロピラノース、および末端β-D-アピオフラノース(D-apif)またはβ-D-キシロピラノース(R
2)のいずれかからなる直鎖状四糖を特徴とする。d-フコースはまた、α-L-アラビノフラノース(L-Araf)で終結する18-炭素アシル鎖を特徴とする。炭素番号は
図2に示されている。
【
図2】
図2はβアミリンを介した2,3-オキシドスクアレンからのキラ酸(QA)の生成を示す。ここで参照される重要なβアミリン炭素の数は
図2に示されている。βアミリンからの経路は、3つ(C-28、C-23、C-16α)の位置での酸化を必要とする。これらの酸化工程は、簡単にするために線形様式で示されているが、任意の順序で起こり得る。
【
図3】
図3は、キラ酸(QA)からのQA-トリRまたはQA-トリXの生成を示す。グルクロノシルトランスフェラーゼQsCLS1またはQsCslG2のいずれかによって、キラ酸のC-3位にβ-D-グルコピラヌロン酸(β-D-GlcpA)を付加して、QA-モノを形成する。ガラクトシルトランスフェラーゼQs-3-O-GalTは、グルコピラヌロン酸のC-2位にβ-D-ガラクトピラノース(β-D-Galp)を付加してQA-ジを形成する。α-L-ラムノピラノース(α-L-Rhap)は、一官能性ラムノシルトランスフェラーゼであるDN20529_c0_g2_i8またはQs_0283850によって、または二官能性Qs-3-O-RhaT/XylTによって、グルコピラヌロン酸のC-3位に結合して、QA-トリRを形成し得る。あるいは、β-D-キシロピラノース(β-D-Xylp)は、一官能性キシロシルトランスフェラーゼQs_0283870または二官能性Qs-3-O-RhaT/XylTのいずれかによって、グルコピラヌロン酸のC-3位に結合して、QA-トリXを形成し得る。
【
図4】
図4は、QA-トリ(X/R)からのQS-21 C-28直鎖四糖鎖の生合成例を示す。この鎖はエステル結合を介してキラ酸のC-28に結合したβ-D-フコピラノース(β-D-Fucp)で開始され、続いてα-1,2-L-ラムノピラノース(α-L-Rhap)が結合し、β-1,4-D-キシロピラノース(β-D-Xylp)が結合する。鎖の末端糖は、β-1,3-D-キシロピラノース(β-D-Xylp)またはβ-1,3-D-アピオフラノース(β-D-Apif)のいずれかであり得る。簡潔にするために、得られるQA誘導体を「QA-トリ(X/R)-FRX(X/A)」という場合もある。
【
図5】
図5はトリテルペンC-28フコシルトランスフェラーゼ(Qs-28-O-FucT)の同定を示す。シャボンノキ遺伝子を一過性に発現するベンサミアナタバコ(N. benthamiana)からの葉抽出物をHPLC-CAD-MSにより分析した。HPLC-CADトレース(上)および抽出イオンクロマトグラム(EIC)(下)を示す。QA-トリ(X/R)(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCSL1 + Qs-3-O-GalT + Qs-3-O-RhaT/XylT)の産生に必要な遺伝子の共発現は、QA-トリR(12.6分, m/z = 969)およびQA-トリX(12.8分, m/z = 955)の2つの重複ピークを生じた。QsUGT_L2のさらなる共発現は11.6~12.3分の間の新しいより極性のピークの蓄積をもたらし、QA-トリRおよびQA-トリXへのペントースの付加と一致する質量イオン(m/z = 1115および1101)を有し、QA-トリR-F(MW = 1116.54)およびQA-トリX-F(MW = 1102.52)をそれぞれ形成した。IS、内部標準(ジギトキシン)。
【
図6】
図6はトリテルペンC-28ラムノシルトランスフェラーゼ(Qs-28-O-RhaT)の同定を示す。シャボンノキ遺伝子を一過性に発現するベンサミアナタバコからの葉抽出物をHPLC-CAD-MSにより分析した。HPLC-CADトレース(上)および抽出イオンクロマトグラム(EIC)(下)を示す。QA-トリX(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCSL1 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283870)の産生に必要な遺伝子のQs-28-O-FucT(すなわちQsUGT_L2)との共発現は、QA-トリX(12.8分、m/z = 955)のピークおよびQA-トリX-F(12.0分、m/z = 1101)のピークを生じた。QsUGT_A6のさらなる共発現は、QA-トリX-Fピークの減少およびQA-トリX-Fへのラムノースの付加と一致する質量イオン(m/z = 1247)による11.6分でのより極性の高いピークの蓄積をもたらし、QA-トリX-FR(MW = 1248.58)を形成した。Qs-28-O-FucT(すなわちQsUGT_L2)を共発現しないQsUGT_A6のさらなる共発現は、前駆体QA-トリXのみの蓄積をもたらした。IS、内部標準(ジギトキシン)。
【
図7】
図7はトリテルペンC-28キシロシルトランスフェラーゼ(Qs-28-O-XylT3)の同定を示す。シャボンノキ遺伝子を一過性に発現するベンサミアナタバコからの葉抽出物をHPLC-CAD-MSにより分析した。HPLC-CADトレース(上)および選択された抽出イオンクロマトグラム(EIC)(下)を示す。QA-トリX-Fの産生に必要な遺伝子の共発現(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCSL1 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283870 + Qs-28-O-FucT[すなわちQsUGT_L2])は、QA-トリXのピーク(12.8分、m/z = 955)およびQA-トリX-Fのピーク(12.0分、m/z = 1101)を生じた。Qs-28-O-RhaT(すなわちQsUGT_A6)のさらなる共発現は、QA-トリX-FRの蓄積(11.6分)をもたらした。QsUGT_A7のさらなる共発現は、QA-トリX-FRおよびQA-トリXのピークの減少、およびQA-トリX-FRへのキシロースの付加と一致する質量(m/z = 1379)による11.9分でのピークの蓄積をもたらし、QA-トリX-FRXを形成した(MW = 1380.62)。Qs-28-O-RhaT(すなわちQsUGT_A6)を含まないQsUGT_A7のさらなる共発現は、QA-トリXおよびQA-トリX-Fの蓄積をもたらした。IS、内部標準(ジギトキシン)。
【
図8】
図8はトリテルペンC-28グルコシルトランスフェラーゼの同定を示す。シャボンノキ遺伝子およびツボクサ(Centella asiatica)遺伝子を一過性に発現するベンサミアナタバコからの葉抽出物をHPLC-CAD-MSにより分析した。HPLC-CADトレース(上)および提案された経路(下)を示す。QA-トリXの産生に必要な遺伝子の共発現(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283870)は、QA-トリXのピーク(12.8分、m/z = 955)を生じた。C-28グルコシルトランスフェラーゼCaUGT73AD1(de Costa et al, 2017)のさらなる共発現は、QA-トリX-Gを形成するQA-トリXへのグルコース(Glcp)の付加と一致する質量による10.1分のピーク(m/z = 1117)の蓄積、およびQsCYP716-C-16αによるC-16酸化を欠く中間体であるGyp-トリXへのグルコースの付加と一致する11.8分のさらなる新しいピーク(m/z = 1101)をもたらした。Qs-28-O-RhaTのさらなる共発現は、QA-トリX-GおよびGyp-トリX-Gピークの減少、ならびにQA-トリX-GR(MW = 1264.57)およびGyp-トリX-GR(MW = 1248.58)を形成するためのQA-トリX-GおよびGyp-トリX-Gへのラムノース(Rhap)の付加とそれぞれ一致する質量による9.5分(m/z = 1263)および11.1分(m/z = 1247)での2つのさらなる極性ピークの蓄積をもたらした。Qs-28-O-XylT3のさらなる共発現は、9.5分および11.1分でのピークの減少、ならびにQA-トリX-GRX(MW = 1396.61)およびGyp-トリX-GRX(MW = 1380.62)をそれぞれ形成するQA-トリX-GRおよびGyp-トリX-GRへのキシロース(Xylp)の付加と一致する質量イオンを有する9.8分(m/z = 1395)および11.5分(m/z = 1379)での2つの新しいピークの蓄積をもたらした。IS、内部標準(ジギトキシン)。
【
図9】
図9はトリテルペンC-28キシロシル/アピオシルトランスフェラーゼの同定を示す。シャボンノキ遺伝子およびツボクサ遺伝子を一過性に発現するベンサミアナタバコからの葉抽出物をHPLC-CAD-MSにより分析した。QA-トリX-GRXの産生に必要な遺伝子の共発現(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283870 + CaUGT73AD1 + Qs-28-O-RhaT + Qs-28-O-XylT3)は、QA-トリXのピーク(12.8分、m/z = 955)、QA-トリX-GRXのピーク(9.5分、m/z = 1395)、およびGyp-トリX-GRXのピーク(11.2分、m/z = 1379)を生じた。QsAXS1のさらなる共発現は、これらのピークの蓄積を変化させなかった。QsUGT_D3とのQsAXS1のさらなる共発現は、QA-トリX-GRXおよびGyp-トリX-GRXのピークの減少ならびに9.6分(m/z = 1528)および11.5分(m/z = 1512)でのピークの蓄積をもたらした。2つの候補QsUGT_D2およびQsUGT_A3とのQsAXS1のさらなる共発現はまた、QA-トリX-GRXおよびGyp-トリX-GRXのピークの減少ならびに9.7分(m/z = 1528)および11.6分(m/z = 1512)でのピークの蓄積をもたらした。IS、内部標準(ジギトキシン)。
【
図10】
図10はQsUGT_D2の活性がQsAXS1に依存していることを示す。シャボンノキ遺伝子およびツボクサ遺伝子を一過性に発現するベンサミアナタバコからの葉抽出物をHPLC-CAD-MSにより分析した。抽出イオンクロマトグラムを示す。QA-トリX-GRXの産生に必要な遺伝子 (AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + QsUGT73AD1 + Qs-28-O-RhaT + Qs-28-O-XylT3)のQsUGT_D3単独との共発現は、12.8分(m/z = 955)でのQA-トリXのピークならびにQA-トリX-GRX(X/A)(MW = 1528.66)およびGyp-トリX-GRX(X/A)(MW = 1512.66)とそれぞれ一致する質量イオンによる9.6分(m/z = 1528)および11.5分(m/z = 1512)の2つのピークの蓄積をもたらした。QA-トリX-GRXを産生するのに必要な遺伝子とのQsUGT_D2単独の共発現は、12.8分でのQA-トリXのピーク(m/z = 955)、QA-トリX-GRX(9.5分、m/z = 1395)、Gyp-トリX-GRX(11.2分、m/z = 1379)をもたらし、9.7分(m/z = 1528)および11.6分(m/z = 1512)でピークのわずかな蓄積のみをもたらした。QsUGT_D2をQsAXS1と共に付加すると、QA-トリX-GRXおよびGyp-トリX-GRXピークのより大きい減少がもたらされ、9.7分(m/z = 1528)および11.6分(m/z = 1512)でピークの蓄積が増加した。これらの後者のピークは、QA-トリX-GRX(X/A)(MW = 1528.66)およびGyp-トリX-GRX(X/A)(MW = 1512.66)の蓄積とそれぞれ一致する。IS、内部標準(ジギトキシン)。
【
図11】
図11は、ベンサミアナタバコにおけるUDP-α-D-フコースの産生を示している。ベンサミアナタバコ植物の糖ヌクレオチド分析を実施し、UDP-デオキシヘキソースの結果を示した。水を浸潤させたコントロール植物(上)は、単一のピークのみを示し、UDP-β-L-ラムノースとして真正標準に対して確認された(標準は示されない)。50mM d-フコース溶液(中央)を浸潤させた植物は、2つの新しいピーク(ラベル1および2)の蓄積を示す。試料をUDP-α-D-フコースの真正標準(下)でスパイクすることにより、ピーク1がUDP-α-D-フコースであることが示された。第2のピーク(2)は、内因性エピメラーゼ酵素(例えば、UDP-D-グルコース/UDP-D-ガラクトース 4-エピメラーゼ)によるUDP-α-D-フコースのC-4エピマー化から生じるUDP-α-D-キノボースであると考えられる。
【
図12】
図12は、浸潤性D-フコースがD-フコシル化QA誘導体の産生を増強することを示す。QA-トリX-Fの産生に必要な酵素(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCSL1 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283870 + Qs-28-O-FucT)を、ベンサミアナタバコ単独(上)または浸潤緩衝液中の50mM D-フコースの追加(下)のいずれかにおいて一過性に共発現させた。LC-MSによる抽出物の分析は、D-フコースの存在がQA-トリX-Fの産生を数倍増強するのに十分であることを明らかにした。結果は、QA-トリX-F(m/z 1101、黒色)および内部標準ジギトキシン(ギ酸付加体 = 809、灰色)の抽出物イオンクロマトグラムとして示す。
【
図13】
図13は、NDP-D-グルコースからのNDP-D-フコースの生合成を示す。
【
図14】
図14は、NDP-D-フコース生合成酵素の一過性発現がフコシル化生成物ベンサミアナタバコのレベルを高めることができることを示している。ベンサミアナタバコにおけるQA-トリX-F化合物の生成のための酵素の一過性発現を試験した(AstHMGR, QsbAS, QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283870 + Qs-28-O-FucT)。さらに、様々な非植物種からのNDP-D-フコース生合成に関与する一連の酵素を上記酵素と一過性に共発現させて、QA-トリX-F生成物の収率を高める能力を決定した。これらには、アカンソキスティス・ターファシア・クロレラウイルス1(Acanthocystis turfacea chlorella virus 1)UDP-D-グルコース 4,6-デヒドラターゼ(ATCV-1)、またはアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)(AaFCD)、アノキシバチルス・テピダマンス(Anoxybacillus tepidamans)(AtFCD)、もしくは大腸菌(Echerichia coli)(EcFCD)由来の3つの細菌性4-ケトレダクターゼ(FCD)酵素のいずれかが含まれた。50mM D-フコース添加(陽性コントロール)、またはフコースブーストなし(QA-トリX-F酵素のみ)を含むコントロール試料も試験した。葉抽出物をLC-MS/CADによって分析し、結果をA)CADクロマトグラムまたはB)MS抽出物イオンクロマトグラム(EIC)として示す。QS-トリX-F生成物(m/z 1101)および内部標準ジギトキシン(ギ酸付加体 = 809)についてEIC質量を選択した。NDP-D-フコース生合成酵素(ATCV-1またはFCD酵素のいずれか)を発現する試料のいずれにおいても、ブーストされていないコントロールと比較してQA-トリX-F生成物の明らかな増加が見られた。生成物の量は、陽性コントロール(+ 50mM D-フコース)で検出された量と同等であった。
【
図15】
図15は、ATCV-1およびAaFCDの共発現が、いずれかの酵素の個々の発現と比較して、QA-トリX-F収率にほとんど影響を及ぼさないことを示す。ベンサミアナタバコにおけるQA-トリX-F生成のための酵素の一過性の発現を試験した(AstHMGR, QsbAS, QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283870 + Qs-28-O-FucT)。さらに、アカンソキスティス・ターファシア・クロレラウイルス1 UDP-D-グルコース 4,6-デヒドラターゼ(ATCV-1)、またはアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(AaFCD)由来の4-ケトレダクターゼ(FCD)も、個々にまたは一緒に共発現させた。葉抽出物をLC-MSによって分析し、結果をMS抽出物イオンクロマトグラム(EIC)として示す。QS-トリX-F生成物(m/z 1101)および内部標準ジギトキシン(ギ酸付加体 = 809)についてEIC質量を選択した。ATCV-1およびAaFCDの両方の共発現は、いずれかの酵素の個々の発現と比較して、ほとんど差を示さなかった。
【
図16】
図16は、シャボンノキオキシドレダクターゼ(FucSyn)の一過性の共発現によるフコシル化化合物の産生の増強を示す。上図:QA-トリR生成物(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 - トップクロマトグラム)、またはQA-トリR-F生成物(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT-セカンドクロマトグラム)に必要な酵素の一過性の発現後のベンサミアナタバコ葉抽出物のLC-CADトレース。クラスター化オキシドレダクターゼ(FucSyn)をQA-トリR-F遺伝子セットと共発現させたところ、11.5分での生成物の大幅な増加が観察された(下図クロマトグラム)。フコシルトランスフェラーゼQs-28-O-FucT(サードクロマトグラム)の非存在下でオキシドレダクターゼを発現させたところ、生成物はもはや検出されず、オキシドレダクターゼおよびフコシルトランスフェラーゼの両方が、11.5分での生成物の高いレベルでの生成に必要であることが実証された。下図:11.5分でのこの化合物の質量スペクトルは、m/z 1115で顕著なイオンを与えた。これは、QA-トリR-Fの予測分子量(MW = 1116.54)と一致する。
【
図17】
図17は、本明細書に記載される様々なブースティング戦略の有効性の比較を示す。QA-トリR-Fの産生に必要な遺伝子セットをベンサミアナタバコ中で一過性に共発現させた(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT)。QA-トリR-Fの相対量を比較するために、QA-トリR-F酵素セットを、50mM D-フコース、アカンソキスティス・ターファシア・クロレラウイルス1 UDP-D-グルコース 4,6-デヒドラターゼ(ATCV-1)またはQsFucSyn酵素のいずれかと同時浸潤させた。内部標準(ジギトキシン、16分)に正規化したLC-CADデータとして結果を示す。QA-トリR-Fは、11.5分で見られ、QsFucSyn発現試料において最も高い蓄積を示す。
【
図18】
図18は、C-28配糖体を構築し、QsFucSynを用いて収量を増加させることを示す。QA-トリR分子のC-28四糖鎖は、関連遺伝子セット(QA-トリR-FR-上図(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT + Qs-28-O-RhaT-上図);QA-トリR-FRX-中図(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT + Qs-28-O-RhaT + Qs-28-O-XylT3)およびQA-トリR-FRXA-下図(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT + Qs-28-O-RhaT + Qs-28-O-XylT3 + Qs-28-O-ApiT4 + QsAXS1)の一過性の発現により、QA-トリ-FRからQA-トリ-FRXAへと段階的に構築した。これらの酵素セットのそれぞれを、QsFucSyn酵素の存在下または非存在下のいずれかで試験した。結果をLC-CADトレース(左)として示す。それぞれの場合において、QsFucSynの存在下で、関連生成物の明らかな増加が観察された。生成物の付随する質量スペクトル(右)は、予想される生成物の質量と一致した。
【
図19】
図19は、異なる末端糖変異を有する完全なC-28四糖鎖の産生を示す。QA-トリR-FRX(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT + Qs-28-O-RhaT + Qs-28-O-XylT3-上図)、QA-トリR-FRXX(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT + Qs-28-O-RhaT + Qs-28-O-XylT3 + Qs-28-O-XylT4-中図)およびQA-トリR-FRXA(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT + Qs-28-O-RhaT + Qs-28-O-XylT3 + Qs-28-O-ApiT4-下図)の産生に必要な酵素のセットをQsFucSyn酵素の存在下で発現させた。完全にグリコシル化された生成物QA-トリR-FRXXまたはQA-トリR-FRXA(MW = 1526.68)に対応する質量イオン(m/z = 1526)を有するピークは、完全な糖鎖のための酵素が発現された場合にのみ検出されたが(中図および下図)、コントロールでは検出されなかった(上図)。NB:この実験では、UDP-アピオース/UDP-キシロースシンターゼ(QsAXS1)は含まれなかった。
【
図20】
図20は、C-28四糖鎖の効率的なアピオシル化のためのQsAXS1の重要性を示す。QA-トリR-FRXの産生に必要な酵素セット(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT + Qs-28-O-RhaT + Qs-28-O-XylT3 + QsFucSyn (FucSyn)-上図)を発現させた。QA-トリR-FRXAの産生に必要な酵素のセット(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT + Qs-28-O-RhaT + Qs-28-O-XylT3 + Qs-28-O-ApiT4 + QsFucSyn)をQsAXS1(AXS)の非存在下(中図)または存在下(数)で発現させた。QA-トリR-FRXA生成物の分子量(MW = 1526.68)についての抽出イオンクロマトグラム(EIC)を示す。アピオシルトランスフェラーゼQs-28-O-ApiTを欠くコントロール植物(上図)では、QA-トリR-FRXA生成物に対するシグナルは存在しない。アピオシルトランスフェラーゼQs-28-O-ApiTの発現において(中図)、11.6分にて小さなシグナルが見られる。この時点での質量スペクトルの分析は主要イオンが1394であることを明らかにし、これは、コントロールにおいて見られるようなQA-トリR-FRX生成物に相当し、この生成物のQA-トリR-FRXAへの不十分な転化を示唆する。最後に、QsAXS1酵素とQA-トリR-FRXA酵素との共発現は、1526イオンの大幅な増加をもたらした(下図)。したがって、これは11.6分でのマススペクトルにおいて最も豊富な生成物であった(NB:これは
13Cの取り込みの増加のため1527でのイオンとして主に見られる)。
【
図21】
図21は、QA-トリR-F収率に対するQsFucSynおよびATCV-1の共発現の影響の比較を示す。QA-トリR-Fの産生に必要な遺伝子セットをベンサミアナタバコ中で一過性に共発現させた(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT)。さらに、緑色蛍光タンパク質(GFP、陰性コントロール)、QsFucSyn、ATCV-1、またはQsFucSynおよびATCV-1の両方との共発現を行った。一過性の発現に続いて、内部標準(ジギトキシン、1.1μg/mg乾燥葉)に対するLC-CADによって、ベンサミアナタバコ葉抽出物中でQA-トリRおよびQA-トリR-Fの相対レベルを測定した。すべての試料を3回測定した(n = 3)。エラーバーは標準偏差を示す。
【
図22】
図22は、QA-トリR-F収率に対するQsFucSyn様酵素の共発現の影響の比較を示す。QA-トリR-Fの産生に必要な遺伝子セットをベンサミアナタバコ中で一過性に共発現させた(AstHMGR + QsbAS + QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCslG2 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283850 + Qs-28-O-FucT)。さらに、緑色蛍光タンパク質(GFP、陰性対照)、QsFucSyn(陽性コントロール)、またはシャボンノキまたはサボンソウ(Saponaria officinalis)由来の3つのFucSyn様タンパク質(QsFSL-1およびQsFSL-2)または(SoFSL-1)のいずれかを共発現させた。一過性の発現に続いて、内部標準(ジギトキシン、1.1 μg/mg乾燥葉)に対するLC-CADにより、ベンサミアナタバコ葉抽出物中でQA-トリR-Fの相対レベルを測定した。
【
図23】
図23は、QsFucSynおよびホモログ(すなわちFucSyn様タンパク質)がSDR114Cファミリーメンバーであるであろうことを示す。系統解析は、近隣結合法(Neighbour Joining method)(Saitou & Nei, 1987 in MegaX (Kumar et al., 2016)を用いて行った。ノードラベルには、ブートストラップ値のパーセンテージが表示される(5000複製)。系統図にて使用される遺伝子のアクセッション番号は次の通りである:ペパーミントメントールデヒドロゲナーゼ(M.piperita Menthol dehydrogenase)(AAQ55960)、ペパーミントネオメントールデヒドロゲナーゼ(M.pipertia Neomenthol dehydrogenase)(AAQ55959)、ペパーミントイソピペリテノンレダクターゼ(M.piperita Isopiperitenone reductase)(AAQ75422)、トウガラシメントンレダクターゼ(C.annuum Menthone reductase)(ABU54321)、シロイヌナズナCytADR1(A.thaliana CytADR1)(NP_001190151)、シロイヌナズナCytADR2(A.thaliana CytADR2)(NP_179996)、ハカマオニゲシサルタリジンレダクターゼ(P.bracteatum Salutaridine reductase)(A4UHT7)、シロイヌナズナヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(A.thaliana Hydroxysteroid dehydrogenase)(NP_568742)、シロイヌナズナトロピノンレダクターゼ様(A.thaliana Tropinone reductase-like)(NP_196225) イネMAS(O.sativa MAS)(XP_015634207)、ペパーミントイソピペリテノールデヒドロゲナーゼ(M.piperita Isopiperitenol dehydrogenase)(AAU20370)、シロイヌナズナADH(A.thaliana ADH)(NP_566097)、トマトGAME25(S.lycopersicum GAME25)(NP_001233856)、ケジギタリス 3ヒドロキシステロイドレダクターゼ(D.lanata 3Hydroxysteroid reductase)(AAW31720)、シロイヌナズナピノレシノールレダクターゼ1(A.thaliana Pinoresinol reductase1)(Q9FVQ6)、バジルオイゲノールシンターゼ1(O.basilicum Eugenol synthase1)(Q15GI4)、ムラサキウマゴヤシイソフラボンレダクターゼ(M.sativa Isoflavone reductase)(P52575)、トウモロコシロイコアントシアニンレダクターゼ(Z.mays Leucoanthocyanin reductase)(ACG33275)、シロイヌナズナアントシアニジンレダクターゼ(A.thaliana Anthocyanidin reductase)(NP_176365)、ムラサキウマゴヤシベスチトンレダクターゼ(M.sativa Vestitone reductase)(Q40316)、ケシノスカピンシンターゼ(P.somniferum Noscapine synthase)(I3PLR3)、シロイヌナズナジヒドロフラボノール-4-レダクターゼ(A.thaliana Dihydroflavanol-4-reductase)(XP_020884177)、タルウマゴヤシ 6-デオキシカルコンシンターゼ(M.truncatula 6-deoxychalcone synthase)(XP_003618003)、ケシコデイノンレダクターゼ(P.somniferum Codeinone reductase)(Q9SQ70)、シロイヌナズナアルド-ケトレダクターゼ(A.thaliana Aldo-Keto Reductase)(NP_176203)。
【
図24】
図24は、ホウレンソウ(spinach)Yossoside I経路およびSpolFSLによるブースト効果を示す。A)ホウレンソウYossoside I生合成経路。SOAP6遺伝子は、メジカゲン酸3-O-グルクロノシドのD-フコシル化を触媒し、Yossoside Iを形成する。B)Yossoside I遺伝子セットとのホウレンソウFucSyn様(SpolFSL)酵素の一過性発現は、ベンサミアナタバコへのYossoside Iの蓄積の増強をもたらす。データは、m/z 823(Yossoside I)およびm/z 809(内部標準ジギトキシン)についてのLC-MS抽出イオンクロマトグラム(EIC)として示される。上部のパネルは、SOAP6 D-フコシルトランスフェラーゼを含まないYossoside遺伝子セットを表す(AstHMGR/QsbAS/QsCYP716-C-28/SOAP3/SOAP4/SOAP5)。中央のパネルは、SOAP6が含まれる場合におけるYossoside I(m/z 823、12.3分)のわずかな蓄積を示す。下部のパネルは、ホウレンソウFucsyn Like酵素SpolFSLを含む場合におけるYossoside Iにおけるブーストを示す。C)完全なYossoside I遺伝子セットがベンサミアナタバコにおいて単独(左)またはホウレンソウSpolFSL(中央)もしくはQsFucSyn酵素(右)のいずれかと一過性に発現される場合の(LC-CADピーク面積に基づく)Yossoside I含有量の定量。
【
図25】
図25は、SpolFSLおよび他のFucSyn様タンパク質がQA-トリR-F含有量の増強に及ぼす影響を示す。A)QA-トリR-Fの産生のための遺伝子セット(AstHMGR/QsbAS/QsCYP716-C-28/QsCYP716-C-16α/QsCYP714-C-23/QsCSL2/Qs-3-O-GalT/Qs-3-O-RhaT/Qs-28-O-FucT)をベンサミアナタバコにおいて一過性に発現させた。さらに、シャボンノキ由来の種々のFucSynタンパク質(FucSyn(QsFucSyn)、FucSyn Like 1(QsFSL-1)およびFucSyn Like 2(QsFSL-2))、ホウレンソウ由来のFucSynタンパク質(SpolFSL)およびサボンソウ由来のFucSynタンパク質(SoFSL)を共発現させ、QA-トリR-F含量に対するこれらの遺伝子の影響をLC-CADによって測定した。B)種々のFucSyn様タンパク質間のタンパク質対パーセンテージ配列同一性。
【
図26】
図26は、MeOH-d
4中のキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1→3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1→2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-[β-D-フコピラノシル](QA-トリR-F)についての1Hおよび13C-NMR分光法データを示す(600, 150MHz)。
【
図27】
図27は、MeOH-d
4中のキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1→3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1→2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[β-D-フコピラノシル]}(QA-トリR-FR)についての
1Hおよび
13C-NMR分光法データを示す(600, 150MHz)。
【
図28】
図28は、MeOH-d
4/D
2O, 10:1中のキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1→3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1→2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{[β-D-キシロピラノシル-(1→4)-α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[β-D-フコピラノシル]}(QA-トリR-FRX)の
1Hおよび
13C-NMR分光法データを示す(600, 150MHz)。
【
図29】
図29は、MeOH-d
4/D
2O, 10:1中のキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1→3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1→2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{[β-D-キシロピラノシル-(1→3)-[β-D-キシロピラノシル-(1→4)-α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[β-D-フコピラノシル]}(QA-トリR-FRXX)の
1Hおよび
13C-NMR分光法データを示す(600, 150MHz)。
【
図30】
図30は、MeOH-d
4/D
2O, 10:1におけるキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル- (1→3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1→2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{[β-D-アピオフラノシル-(1→3)-[β-D-キシロピラノシル-(1→4)-α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[β-D-フコピラノシル]}(QA-トリR-FRXA)の
1Hおよび
13C-NMR分光法データを示す(600, 150MHz)。
【発明の詳細な説明】
【0011】
本発明の第1の態様は、FRX(X/A)鎖をQAのC-28位に付加し、QA-FRX(X/A)を製造する方法であって、この製造方法は以下を含む:
(i)(a)QAを、UDP-α-D-フコースおよび酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせる工程、および/または
(b)QAを、UDP-4-ケト, 6-デオキシ-D-グルコース、酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、および酵素QsFucSyn(配列番号12)または少なくとも45%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-Fを形成する工程;その後
(ii)QA-Fを、UDP-β-L-ラムノース、および酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)または少なくとも70%の肺列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-FRを形成する工程;
(iii)QA-FRを、UDP-α-D-キシロース、および酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-FRXを形成する工程;ならびに
(iv)QA-FRXを、UDP-α-D-キシロース、および酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)もしくは少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-FRXXを形成する工程、および/または、QA-FRX、をUDP-α-D-アピオース、および酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)もしくは少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-FRXAを形成する工程。
【0012】
本願における配列同一性パーセンテージは、配列番号によって同定される配列の全長にわたる配列同一性パーセンテージである。
これは、短縮された配列の長さにわたって測定された同じ配列同一性を有する短縮された配列を含み得る。短縮された配列は、短縮された配列の長さにかかわらず、配列番号のパーセンテージ配列同一性の同じ相同性を有し得る。短縮された配列は、完全長配列の少なくとも半分の長さ、好ましくは完全配列の長さの少なくとも4分の3であり得る。
【0013】
本発明のこの態様では、糖供与体はUDP糖である。糖供与体は、遊離糖である場合、本発明の第1の態様の方法において使用される前に、UDP糖に変換される。
【0014】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法は、生物系において実施される。生物系は、本発明の第1の態様の酵素の1以上をコードする核酸が導入される植物または微生物である。ほとんどの場合、生物系は、本発明の第1の態様の酵素のいずれも天然には発現せず、したがって、5つの酵素すべてを発現するように操作される。宿主が本発明の第1の態様に必要とされるような必要なUDP糖を天然に産生しない場合、この系はまた、このような糖を産生するように操作される。好ましくは、生物系は、天然にそのような糖(例えばベンサミアナタバコ)を産生するか、またはそのような糖(例えば酵母)を産生するように操作され得る。
【0015】
ベンサミアナタバコ中には、多くのUDP糖(例えばUDP-ラムノース)が植物中に天然に存在する。本発明の第1の態様のUGT(UDP依存性グリコシルトランスフェラーゼ)酵素は、植物によって発現されるように操作され、生合成的にQA誘導体を産生する経路が得られる。UDP糖は、存在しても多量ではないことから、生成される生成物の量を制限する。例えば、UDP-α-D-アピオースおよびUDP-α-D-フコースは、ベンサミアナタバコ中に多量に存在しない場合がある。これに対処し、これらの糖のレベルを増加させる1つの方法はまた、より多くの糖を生産するように宿主植物を操作すること、および/または、1以上のブースティング酵素を発現するように宿主植物を操作することである。UDP-α-D-アピオースについてのブースティング酵素は、QsAXS1(配列番号14)であり得る。UDP-α-D-フコースについてのブースティング酵素は、後述するQsFSL-1(配列番号48)、QsFSL-2(配列番号50)、SoFSL-1(配列番号52)またはSpolFSL(配列番号54)等のQsFucSyn(配列番号12)、ATCV-1(配列番号40)またはQsFucSyn様酵素であり得る。UDP-α-D-フコースが大量に存在しない場合、これに対処する別の方法は、QAを、UDP-4-ケト, 6-デオキシ-D-グルコース、Qs-28-O-FucT(配列番号2)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、およびQsFucSyn(配列番号12)または少なくとも45%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-Fを形成することである。
【0016】
QA-トリ(X/R)-FRX(X/A)またはQA-FRX(X/A)は、
図1に記載されるように、C-28四糖鎖を形成する糖単位のQA骨格への連続的な付加によって形成される。QAコアのC-28位の直鎖四糖は、QAを含む分子にD-フコースをβ結合させて、QA-Fを含む分子を形成することによって開始される。この工程の後に、α結合を有するL-ラムノースを、QA-Fを含む分子に結合させて、QA-FRを含む分子を生成する。次に、D-キシロースを、QA-FRを含む分子にβ結合させて、QA-FRXを含む分子を生成する。最後に、D-キシロースを、QA-FRXを含む分子にβ結合させて、QA-FRXXを含む分子を生成し、またはD-アピオースを、QA-FRXを含む分子にβ結合させて、QA-FRXAを含む分子を生成する。
【0017】
下記において、本発明の方法は、QAコアを含む分子のC-28位の直鎖四糖が、QAを含む分子にD-フコースをβ結合させてQA-Fを含む分子を形成することによって開始される場合について記載される。
【0018】
この方法は、好ましくは、QA-FRX(X/R)を含む分子を単離するか、またはさらに誘導体化して、QS-21等の下流生成物を化学的に合成することができるように実施される。
【0019】
本発明のこの態様において、QA誘導体は、QA-FRXX(またはQA-トリ(X/R)-FRXX)、QA-FRXA(またはQA-トリ(X/R)-FRXA)、またはQA-FRXXおよびQA-FRXA(またはQA-トリ(X/R)-FRXXおよびQA-トリ(X/R)-FRXA)を含む混合物である。QA誘導体がQA-FRXXおよびQA-FRXA(またはQA-トリ(X/R)-FRXXおよびQA-トリ(X/R)-FRXAを含む混合物である場合、QA-FRXAに対するQA-FRXX(またはQA-トリ(X/R)-FRXAに対するQA-トリ(X/R)-FRXX)の比は変化し得る。混合物中のQA-FRXAに対するQA-FRXX(またはQA-トリ(X/R)-FRXAに対するQA-トリ(X/R)-FRXX)の比は、割合で変化し得る。適切には、混合物は、10%~90%、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%のQA-FRXX(またはQA-トリ(X/R)-FRXX)、および90%~10%、例えば90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%のQA-FRXA(またはQA-トリ(X/R)-FRXA)を含む。好ましくは、混合物は、60%のQA-FRXX(またはQA-トリ(X/R)-FRXX)および40%のQA-FRXA(またはQA-トリ(X/R)-FRXA)、または50%のそれぞれを含む。
【0020】
QA-トリRまたはQA-トリXにおいては、
図3に示すように、C-3位に結合している糖は、β-D-グルクロン酸(GlcpA)である。GlcpA残基には2つの糖が結合し得る。GlcpA残基に結合する1つの糖は、D-ガラクトピラノース(Galp)である。D-ガラクトピラノースは、β-1,2-結合で結合し得る。GlcpA残基に結合する1つの糖は、D-キシロピラノース(Xylp)またはL-ラムノピラノース(Rhap)のいずれかであり得る。D-キシロピラノースまたはL-ラムノピラノースは、それぞれβ-1,3-結合またはα-1,3-結合で結合し得る。
【0021】
本発明の第1の態様の方法の第1の工程は、β結合を有するD-フコースを、QAを含む分子に結合させることであり、この分子はQA-トリRおよび/またはQA-トリXであってもよい。この工程は、酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)によって、またはQs-28-O-FucTと少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素によって実施される。この酵素は、β結合を有するD-フコースを、QAを含む分子のC-28位に転移することができる。この酵素の機能は、例えば、材料および方法の項ならびに実施例2に記載されるように、ベンサミアナタバコにおける一過性発現によって決定することができる。簡潔には、QA-トリX(国際公開第2020/260475号として公開されたPCT/EP2020/067866を参照)(例えば、AstHMGR(配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28(配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283870(配列番号37))またはQA-トリR(PCT/EP2020/067866を参照)4(例えば、AstHMGR(配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28(配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283850(配列番号35))等の分子を産生するのに必要な遺伝子と、試験される酵素をコードする遺伝子との共発現は、フコシル化生成物、QA-トリX-F(モノアイソトピック質量 = 1102.52、[M-H]- = 1101)またはQA-トリR-F(モノアイソトピック質量 = 1116.54、[M-H]- = 1115)の産生をそれぞれもたらすはずである。生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるように、大規模浸潤、生成物の精製およびNMRによる構造の確認によって確認することができる。あるいは、生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるように、LC-MSによって確認することができ、QA-トリX-FまたはQA-トリR-Fの標準で得られたピークの保持時間および質量の比較、またはQA-トリXもしくはQA-トリRを産生するために必要な上記遺伝子の共発現によって得られる生成物と、フコシルトランスフェラーゼQs-28-O-FucT(配列番号1)の遺伝子との比較によって確認することができる。
【0022】
酵素Qs-28-O-FucTの配列の配列同一性パーセンテージは変化し得る。その配列同一性は、配列番号2と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用される酵素Qs-28-O-FucTは、配列番号2と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0023】
本発明の第1の態様の方法の代替の第1の工程は、QAを含む分子にUDP-4-ケト, 6-デオキシ-D-グルコースを結合させ、ここでこの分子はQA-トリRおよび/またはQA-トリXであってもよく、次いでC-4位でケト還元を行うことである。この工程は、酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)またはQs-28-O-FucTと少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、および、酵素QsFucSyn(配列番号12)またはQsFucSynと少なくとも45%の配列同一性の配列を有する酵素によって行われる。この工程は、本発明の第2の態様に関連してより詳細に述べられる。
【0024】
本発明の第1の態様の方法の第2の工程は、α-L-ラムノースをβ-D-フコース残基に結合させることである。この工程は、酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)またはQs-28-O-RhaTと少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素によって行われる。この酵素は、L-ラムノースをD-フコース残基に転移することができる。この酵素の機能は、例えば、材料および方法の項ならびに実施例3に記載されるように、ベンサミアナタバコにおける一過性の発現によって決定され得る。簡潔には、QA-トリX-F(例えば、AstHMGR(配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28(配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283870(配列番号37)、Qs-28-O-FucT(配列番号1))またはQA-トリR-F(例えば、AstHMGR(配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28(配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283850(配列番号35)、Qs-28-O-FucT(配列番号1))等の分子を産生するのに必要な遺伝子と、試験される酵素をコードする遺伝子の共発現は、それぞれラムノシル化生成物、QA-トリX-FR(モノアイソトピック質量 = 1248.58、[M-H]- = 1247)またはQA-トリR-FR(モノアイソトピック質量 = 1262.59、[M-H]- = 1261)の産生をもたらすはずである。生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるように、大規模浸潤、生成物の精製およびNMRによる構造の確認によって確認することができる。あるいは、生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるように、LC-MSによって確認することができ、QA-トリX-FRまたはQA-トリR-Fの基準で得られたピークの保持時間および質量の比較、またはラムノシルトランスフェラーゼQs-28-O-RhaT(配列番号3)の遺伝子と、QA-トリX-FもしくはQA-トリR-Fを生成するために必要な上記遺伝子の共発現によって得られた生成物との比較によって確認することができる。
【0025】
酵素Qs-28-O-RhaTの配列の配列同一性パーセンテージは変化し得る。その配列同一性は、配列番号4と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用される酵素Qs-28-O-RhaTは、配列番号4に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0026】
本発明の第1の態様の方法の第3の工程は、β-D-キシロースをα-L-ラムノース残基に結合させることである。この工程は、酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)によって、またはQs-28-O-XylT3と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素によって実施される。この酵素はD-キシロースを転移させることができる。この酵素の機能は、例えば、材料および方法の項ならびに実施例4に記載されるように、ベンサミアナタバコにおける一過性の発現によって決定することができる。簡潔には、QA-トリX-FR(例えば、AstHMGR(配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28(配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283870(配列番号37)、Qs-28-O-FucT(配列番号1)、Qs-28-O-RhaT(配列番号3))またはQA-トリR-FR(例えば、AstHMGR(配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28 配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283850(配列番号35)、Qs-28-O-FucT(配列番号1)、Qs-28-O-RhaT(配列番号3))等の分子を生成するのに必要な遺伝子と、試験される酵素をコードする遺伝子の共発現は、それぞれキシロシル化生成物、QA-トリX-FRX(モノアイソトピック質量 = 1380.62、[M-H]- = 1379)またはQA-トリR-FRX(モノアイソトピック質量 = 1394.64、[M-H]- = 1393)の産生をもたらすはずである。生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるように、大規模浸潤、生成物の精製およびNMRによる構造の確認によって確認することができる、あるいは、生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるように、LC-MSによって確認することができ、また、QA-トリX-FRXまたはQA-トリR-FRXの基準で得られたピークの保持時間および質量の比較、またはキシロシルトランスフェラーゼQs-28-O-XylT3(配列番号5)の遺伝子と、QA-トリX-FRもしくはQA-トリR-FRを生成するために必要な上記遺伝子の共発現によって得られた生成物との比較によって確認することができる。
【0027】
酵素Qs-28-O-XylT3の配列の配列同一性パーセンテージは変化し得る。その配列同一性は、配列番号6と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用される酵素Qs-28-O-XylT3は、配列番号6と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0028】
本発明の第1の態様の方法の第4の工程は、β-D-キシロースをβ-D-キシロース残基に結合させることである。この工程は、酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)によって、またはQs-28-O-XylT4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素によって実施される。この酵素は、D-キシロースを転移させることができる。この酵素の機能は、例えば、材料および方法の項ならびに実施例5に記載されるように、ベンサミアナタバコにおける一過性発現によって決定することができる。簡潔には、QA-トリX-FRX(例えば、AstHMGR(配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28(配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283870(配列番号37)、Qs-28-O-FucT(配列番号1)、Qs-28-O-RhaT(配列番号3)、Qs-28-O-XylT3(配列番号5))またはQA-トリR-FRX(例えば、AstHMGR(配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28(配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283850(配列番号35)、Qs-28-O-FucT(配列番号1)、Qs-28-O-RhaT(配列番号3)、Qs-28-O-XylT3(配列番号5))等の分子を産生するのに必要な遺伝子と、試験される酵素をコードする遺伝子の共発現は、それぞれキシロシル化生成物、QA-トリX-FRXX(モノアイソトピック質量 = 1512.66、[M-H]- = 1511)またはQA-トリR-FRXX(モノアイソトープ質量 = 1526.68、[M-H]- = 1525)をもたらすはずである。生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるように、大規模浸潤、生成物の精製およびNMRによる構造の確認によって確認することができる。あるいは、生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるようにLC-MSによって確認することができ、また、QA-トリX-FRXXまたはQA-トリR-FRXXの標準で得られたピークの保持時間および質量の比較、またはキシロシルトランスフェラーゼQs-28-O-XylT4(配列番号7)の遺伝子と、QA-トリX-FRXもしくはQA-トリR-FRXを生成するのに必要な上記遺伝子の共発現によって得られる生成物との比較によって確認することができる。
【0029】
酵素Qs-28-O-XylT4の配列の配列同一性パーセンテージは変化し得る。配列同一性は、配列番号8と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用される酵素Qs-28-O-XylT4は、配列番号8と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0030】
本発明の第1の態様の方法の別の第4の工程は、β-D-アピオースをβ-D-キシロース残基に結合させることである。この工程は、酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)、またはQs-28-O-ApiT4と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を有する酵素によって実施される。この酵素は、好ましくはD-アピオースを転移することができる。酵素の機能は、例えば、材料および方法の項ならびに実施例5に記載されるように、ベンサミアナタバコにおける一過性の発現によって決定することができる。簡潔には、QA-トリX-FRX(例えばAstHMGR (配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28(配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283870(配列番号37)、Qs-28-O-FucT(配列番号1)、Qs-28-O-RhaT(配列番号3)、Qs-28-O-XylT3(配列番号5))またはQA-トリR-FRX(例えばAstHMGR(配列番号15)、QsbAS(配列番号17)、QsCYP716-C-28(配列番号19)、QsCYP716-C-16α(配列番号21)、QsCYP714-C-23(配列番号23)、CslG2(配列番号27)、Qs-3-O-GalT(配列番号29)、Qs_0283850(配列番号35)、Qs-28-O-FucT(配列番号1)、Qs-28-O-RhaT(配列番号3)、Qs-28-O-XylT3(配列番号5))と、QsAXS1(配列番号13)をコードする遺伝子と、試験される酵素をコードする遺伝子の共発現は、それぞれアピオシル化生成物、QA-トリX-FRXA(モノアイソトピック質量 = 1512.66、[M-H]- = 1511)またはQA-トリR-FRXA(モノアイソトピック質量 = 1526.68、[M-H]- = 1525)の産生をもたらすはずである。生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるように、NMRによる生成物の大規模浸潤、精製および構造の確認によって確認することができる。あるいは、生成物の同一性は、材料および方法の項に記載されるようにLC-MSによって確認することができ、また、QA-トリX-FRXAまたはQA-トリR-FRXAの標準で得られたピークの保持時間および質量の比較、またはQsAXS1(配列番号13)およびアピオシルトランスフェラーゼQs-28-O-ApiT4(配列番号9)の遺伝子と、QA-トリX-FRXもしくはQA-トリR-FRXを生成するのに必要な上記遺伝子の共発現によって得られる生成物との比較によって確認することができる。
【0031】
酵素Qs-28-O-ApiT4の配列のパーセンテージ配列同一性は変化し得る。配列同一性は、配列番号10と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用される酵素Qs-28-O-ApiT4は、配列番号10と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0032】
Qs-28-O-FucT、Qs-28-O-RhaT、Qs-28-O-XylT3、Qs-28-O-ApiT4およびQs-28-O-ApiT4に対する配列のパーセンテージ配列同一性は、全て同じであっても異なっていてもよい。
【0033】
本発明の第1の態様の方法は、in vitroで実施され得る。「in vitro」とは、本発明の意味において、本発明の適切な酵素で酵素的に処理された適切なQA誘導体を有することを意味する。QA誘導体は、生合成的に産生されてもよく、または化学的に合成されてもよい。酵素は、化学的に合成されるか、またはそれらの天然環境から精製され得る。酵素処理の最適条件(例えば、時間、温度、緩衝液等)を決定することは、当業者の範囲内である。QA誘導体の同一性は、例えば、材料および方法の項に記載されているようにNMRによってその構造を解明することによって確認することができる。一実施形態では、QA-FRX(X/A)を作製するための本発明の第1の態様のin vitro方法は、UDP-α-D-フコース、UDP-β-L-ラムノース、UDP-α-D-キシロースおよびUDP-α-D-アピオースの存在下で、QA(例えば、QAまたはQA-トリ(X/R))を含む分子を、Qs-28-O-FucT(配列番号2)、Qs-28-O-RhaT(配列番号4)、Qs-28-O-XylT3(配列番号6)、Qs-28-O-XylT4(配列番号8)およびQs-28-O-ApiT4(配列番号10)を含む酵素の混合物で酵素的に処理することを含む。
【0034】
好ましくは、本発明の第1の態様の方法は、生物系中で実施される。上記酵素の1つ以上をコードする核酸は、生物系に導入され、発現される。
【0035】
生物系は、植物または微生物であり得る。生物系が植物である場合、植物は、例えばヒマワリ(sunflower)、ジャガイモ(potato)、セイヨウアブラナ(canola)、ドライビーン(dry bean)、エンドウ豆(field pea)、亜麻(flax)、ベニバナ(safflower)、ソバ(buckwheat)、ワタ(cotton)、トウモロコシ(maize)、大豆(soybeans)、およびテンサイ(sugar beets)等の列作物であってもよい。植物はまた、穀物(corn)、コムギ(wheat)、アブラナ(oilseed rape)およびイネ(rice)であってもよい。好ましくは、植物はベンサミアナタバコであり得る。
【0036】
本発明のある態様において、生物系はシャボンノキではない。
【0037】
生物系が微生物である場合、微生物は細菌または酵母であり得る。
【0038】
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、テルペンを含む高付加価値小分子の産生に使用される異種宿主である。植物と同様に、酵母は、トリテルペノイド前駆体2,3-オキシドスクアレンを内因的に産生し、したがって、トリテルペノイドの工業規模の産生のための有望な宿主である。酵母は、小胞体膜における植物CYPの機能的発現のための非常に有効な宿主でもある。内因性の酵母酵素によるトリテルペノイド足場の改変は最小限であり、生成物の精製を容易にする。
酵母は、直鎖状および分枝状の立体配置の複数の型の糖を含む多様なグリコシドコンジュゲートを有するトリテルペンを産生する産生宿主であり得る。酵母におけるグリコシル化反応は、内因性の糖供与体の限られたパレットによって制限される。しかしながら、高等植物から遺伝子を発現させることによって、酵母のヌクレオチド糖代謝は、UDP-グルコースおよびUDP-ガラクトースを超えて、UDP-ラムノース、-グルクロン酸、-キシロース、-アラビノース等を含むように拡大され得る。
【0039】
本発明の第1の態様の方法は、QA-FRXX/Aを含む分子の生合成に必要な核酸をベクターを介して宿主細胞に導入することによって、宿主を核酸で形質転換することを含む。組換えは、ベクターと宿主細胞ゲノムとの間で生じ、核酸を宿主細胞ゲノムに導入し得る。
【0040】
一つの実施形態では、モノ(X/R)鎖、ジ(X/R)鎖またはトリ(X/R)鎖をC-3位に付加し、FRX(X/A)鎖をQAのC-28位に付加し、QA-モノ-FRX(X/A)、QA-ジ-FRX(X/A)および/またはQA-トリ(X/R)-FRX(X/A)を製造する方法が提供され、この方法は以下を含む:
(i)QAを、UDP-α-D-グルコピラヌロン酸、および酵素QsCSL1(配列番号26)もしくはQsCslG2(配列番号28)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノを形成する工程;任意に
(ii)QA-モノを、UDP-α-D-ガラクトピラノース、および酵素Qs-3-O-GalT(配列番号30)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-ジを形成する工程;任意に
(iii)QA-ジを、UDP-β-L-ラムノピラノースおよび、酵素DN20529_c0_g2_i8(配列番号36)もしくはQs_0283850(配列番号34)もしくはQs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-トリRを形成する工程、および/または、QA-ジを、UDP-α-D-キシロピラノース、および酵素Qs_0283870(配列番号38)もしくはQs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-トリXを形成する工程;
(iv)(a)QA-モノ、QA-ジおよび/またはQA-トリ(R/X)を、UDP-α-D-フコース、および酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-F、QA-ジ-Fおよび/またはQA-トリ(R/X)-Fを形成する工程、ならびに/または
(b)QA-モノ、QA-ジおよび/またはQA-トリ(R/X)を、UDP-4-ケト, 6-デオキシ-D-グルコース、酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と、および酵素QsFucSyn(配列番号12)または少なくとも45%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-F、QA-ジ-Fおよび/またはQA-トリ(R/X)-Fを形成する工程;
(v)QA-モノ-F、QA-ジ-Fおよび/またはQA-トリ(R/X)-Fを、UDP-β-L-ラムノースおよび酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-FR、QA-ジ-FRおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRを形成する工程;
(vi)QA-モノ-FR、QA-ジ-FRおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRを、UDP-α-D-キシロース、および酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-FRX、QA-ジ-FRXおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXを形成する工程;ならびに
(vii)QA-モノ-FRX、QA-ジ-FRXおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXを、UDP-α-D-キシロース、および酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と結合させて、QA-モノ-FRXX、QA-ジ-FRXXおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXXを形成すること、および/または、QA-モノ-FRX、QA-ジ-FRXおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXを、UDP-α-D-アピオース、および酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素と組み合わせて、QA-モノ-FRXA、QA-ジ-FRXAおよび/またはQA-トリ(R/X)-FRXAを形成する工程。
【0041】
さらなる実施形態では、宿主において、生合成3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-アピオフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸(QA-トリR-FRXA)を製造する方法が提供され、この方法は次の工程を含む:a)QA-トリRの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびにb)酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)または配列番号10と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸分子を宿主に導入する工程。
【0042】
さらなる実施形態では、宿主において、生合成の3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸(QA-トリR-FRXX)を製造する方法が提供され、この方法は次の工程を含む:a)QA-トリRの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびにb)酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)または配列番号8と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸分子を宿主に導入する工程。
【0043】
さらなる実施形態では、宿主において、生合成3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-アピオフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-ラムノピラノシル(1->2-)-β=D-フコピラノシルエステル}-キラ酸(QA-トリX-FRXA)を製造する方法が提供され、この方法は次の工程を含む:a)QA-トリXの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびにb)酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)または配列番号10と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸分子を宿主に導入する工程。
【0044】
さらなる実施形態では、宿主において、生合成の3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-ラムノピラノシル(1->2-)-β=D-フコピラノシルエステル}-キラ酸(QA-トリX-FRXX)を製造する方法が提供され、この方法は次の工程を含む:a)QA-トリXの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびにb)酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)または配列番号8と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸分子を宿主に導入する工程。
【0045】
さらなる実施形態において、宿主において、生合成QA-トリ(X/R)-FRX(X/A))を製造する方法が提供され、この方法は次の工程を含む:a)QA-トリXまたはQA-トリRの生合成に必要な遺伝子を発現させる工程、ならびにb)酵素Qs-28-O-FucT(配列番号2)または配列番号2と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-RhaT(配列番号4)または配列番号4と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;酵素Qs-28-O-XylT3(配列番号6)または配列番号6と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8もしくは配列番号8と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素および/または酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)もしくは配列番号10と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸分子を宿主に導入する工程。
【0046】
QA-トリRの生合成は、(i)(a)酵素QsCSL1(配列番号26)もしくは配列番号26と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、または(b)酵素QsCslG2(配列番号28)もしくは配列番号28と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;(ii)酵素Qs-3-O-GalT(配列番号30)または配列番号30と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および(iii)(a)酵素DN20529_c0_g2_i8(配列番号36)もしくは配列番号36と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、または(b)酵素Qs_0283850(配列番号34)もしくは配列番号34と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、または(c)酵素Qs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)または配列番号32と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸分子を導入することにより得られる。
【0047】
QA-トリXの生合成は、(i)(a)酵素QsCSL1(配列番号26)もしくは配列番号26と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、または(b)酵素QsCslG2(配列番号28)もしくは配列番号28と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;(ii)酵素Qs-3-O-GalT(配列番号30)または配列番号30と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素;および(iii)(a)酵素Qs_0283870(配列番号38)もしくは配列番号38と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素、または(b)酵素Qs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)または配列番号32と少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素をコードする核酸分子を導入することによって得られる。
【0048】
本発明の第2の態様は、配列番号12のオキシドレダクターゼ酵素(QsFucSyn)、または少なくとも45%の配列同一性を有する配列を有し、UDP-α-D-フコースのレベルを増加させることができる酵素である。配列番号12に対して少なくとも45%の配列同一性を有する配列を有する酵素は、配列番号54ではない。
【0049】
酵素QsFucSynの配列のパーセンテージ配列同一性は変化し得る。配列同一性は、配列番号12と少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。
【0050】
あるいは、配列番号12(QsFucSyn)と少なくとも45%の配列同一性を有する本発明の第2の態様のオキシドレダクターゼ酵素は、QsFSL-1(配列番号48)、QsFSL-2(配列番号50)またはSoFSL-1(配列番号52)であってもよい。
【0051】
いくつかの宿主においては、UDP-糖が存在し得るが、十分な量ではないため、生成される生成物の量が制限される。ベンサミアナタバコにおいては、UDP-α-D-アピオースおよびUDP-α-D-フコースは大量には存在しない。これに対処し、グリコシル化生成物、例えば、アピオシル化生成物またはフコシル化生成物の量を増加させる1つの方法は、UDP糖のレベルを増加させること、および/または1以上の糖ヌクレオチド生合成酵素を使用することである。アピオシル化生成物の量を増加させるために、糖ヌクレオチド生合成酵素は、QsAXS1(配列番号14)であり得る。フコシル化生成物の量を増加させるために、糖ヌクレオチド生合成酵素は、QsFucSyn(配列番号12)、またはQsFSL-1(配列番号48)、QsFSL-2(配列番号50)、SoFSL-1(配列番号52)もしくはSpolFSL(配列番号54)等のUDP-4-ケト-6-デオキシ-D-グルコース4-ケトレダクターゼ活性を有する別の酵素、またはATCV-1(配列番号40)であり得る。
【0052】
本発明の研究中、D-フコースの共浸潤またはQsFucSynの共発現の両方が、フコシル化生成物の生成の改善をもたらすことが同定された。酵素の存在は、フコシル化生成物の生成を増加させることが見出された。
【0053】
QsFucSyn酵素は、キラヤサポナリア(Q. saponaria)由来の酵素である。QsFucSyn酵素は、UDP-D-フコースの生合成に関与し得る。UDP-D-グルコースからのUDP-D-フコースの提案される生合成における第2の工程は、C-4位でのケト還元を含む。QsFucSyn酵素は、UDP-4-ケト-6-デオキシ-D-グルコースのC-4での立体選択的還元を触媒するこの第2の工程を実施していると予想される。あるいは、提案される経路は、UDP-α-D-グルコースをUDP-4-ケト-6-デオキシグルコース中間体に変換することを含む。この中間体をQA主鎖に付加し、次いでC-4位でケト還元してフコシル化生成物を形成する。QsFucSyn酵素は、QA主鎖に付加された後、4-ケト-6-デオキシグルコースの4-ケト基を還元し得る。
【0054】
生物系では、カルボン酸(例えばQA)をUDP-α-D-フコースおよびフコシルトランスフェラーゼ酵素と結合させて、フコシル化生成物を形成することで十分であり得る。しかしながら、QsFucSyn酵素は、UDP-α-D-フコースの産生を増加させ得、これはフコシル化生成物のより高い収率をもたらし得る。実際、UDP-α-D-フコースのより高い存在量は、フコシルトランスフェラーゼがより効率的に作用することを可能にし、カルボン酸へのβ-D-フコースのより効率的な付加を促進する。あるいは、UDP-α-D-グルコースはUDP-4-ケト-6-デオキシグルコースに変換され得る。次いで、フコシル化生成物は、カルボン酸(例えばQA)をUDP-4-ケト-6-デオキシグルコース、フコシルトランスフェラーゼ酵素およびQsFucSyn酵素と組み合わせることによって形成され得る。第1の工程は、4-ケト-6-デオキシグルコース(UDP-4-ケト-6-デオキシグルコース由来)をQA主鎖に付加し、次いで4-ケト基を還元してフコシル化生成物を形成することを含むと考えられる。QsFucSyn酵素は、QA主鎖に付加された後、4-ケト-6-デオキシグルコースの4-ケト基を還元し得る。ある態様では、QsFucSyn酵素はまた、QAを含む分子(例えばQA-トリ(X/R))のC-28位のカルボン酸へのβ-D-フコースの効率的な付加を促進し得る。ある態様では、QsFucSyn酵素はまた、QAを含む分子(例えばQA-トリ(X/R))のC-28位のカルボン酸に付加されると、UDP-4-ケト-6-デオキシグルコースの効率的な還元を促進し得る。好ましくは、カルボン酸(例えば、QAまたはQA-トリ(X/R))がUDP-α-D-グルコースと結合する場合、フコシルトランスフェラーゼ酵素、QsFucSynおよびATCV-1が組み合わされてフコシル化生成物を形成する。
【0055】
あるいは、反応がin vitroで起こる場合、UDP-α-D-フコースの存在下でカルボン酸(例えば、QAまたはQA-トリ(X/R))をフコシルトランスフェラーゼ酵素で処理して、フコシル化生成物を形成することができ、QsFucSynは必要とされない。あるいは、反応がin vitroで起こる場合、UDP-α-D-グルコースの存在下でカルボン酸をフコシルトランスフェラーゼ酵素、ATCV-1およびQsFucSynで処理し、フコシル化生成物を形成し得る。
【0056】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様による酵素をコードする核酸分子を含む。
【0057】
QsFucSyn酵素は、例えば、配列番号11によるヌクレオチド配列によって、または変性コードにより本発明の第2の態様による酵素もコードする配列によって、コードされ得る。
【0058】
本発明の各方法は、本発明の第2の態様に記載の酵素と組み合わせることを含んでいてもよい。
【0059】
本発明の各方法は、本発明の第2の態様に記載の酵素および酵素ATCV-1と組み合わせることを含んでいてもよい。
【0060】
ATCV-1酵素は、UDP-D-グルコース4,6-デヒドラターゼ(UGD)であり、UDP-D-グルコースからUDP-4-ケト-6-デオキシ-D-グルコースを生成する。これは、UDP-D-フコース生合成の第一段階である(また、UDP-L-ラムノース合成の第一段階でもある)。上述のように、QsFucSyn酵素は、UDP-D-グルコースからのUDP-D-フコースの提案された生合成における第2の工程を実施し、UDP-4-ケト-6-デオキシ-D-グルコースのC-4での立体選択的還元を触媒し得る。あるいは、UDP-4-ケト-6-デオキシグルコースをQA主鎖に付加し、次いで4-ケト基を還元してフコシル化生成物を形成する。QsFucSyn酵素は、4-ケト還元を行い得る。ベンサミアナタバコにおけるUDP-4-ケト-6-デオキシ-D-グルコースのアベイラビリティの増加は、QsFucSyn酵素の活性をさらに増強し得る。
【0061】
本発明の各方法は、本発明の第2の態様に記載の酵素と組み合わせること、およびUDP-D-グルコース4,6-デヒドラターゼ活性を有する1つ以上の酵素と組み合わせることを含み得る。このような酵素は、UDP-L-ラムノース生合成経路から得ることができる。UDP-D-グルコース4,6-デヒドラターゼ活性を有する酵素は、ATCV-1(配列番号40)または少なくとも55%の配列同一性の配列を有する酵素であり得る。ATCV-1の配列のパーセンテージ配列同一性は変化し得る。配列同一性は、配列番号40と少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。
【0062】
必要とされるUDP糖を宿主が豊富に含む場合、糖ヌクレオチド生合成酵素は必要とされない。
【0063】
QA-FRX(X/A)(例えば、C-28鎖を有するQA)を生成するための本発明の各方法はまた、
図1に示されるように、i)糖単位を含んでC-3鎖を形成する工程、および/またはii)グリコシル化C-18アシル鎖を付加する工程の追加工程を含み得る。
【0064】
QA-トリ(R/X)-FRX(X/A)(例えば、C-3およびC-28鎖を有するQA)を生成するための本発明の各方法は、
図1に示すように、グリコシル化C-18アシル鎖を付加する追加工程を含み得る。
【0065】
この方法は、任意の順序であってよいいくつかの工程を含む。要約すると、種々の糖鎖は、本発明の第1の態様によるQA主鎖(
図1参照)を含む分子に結合される。QA主鎖を含む分子はQA-FRXX、QA-FRXA、またはQA-FRXXとQA-FRXAとの混合物(すなわち、QA-FRX(X/A))であり得る。これらの工程のさらなる詳細は、以下に述べられる。
【0066】
本発明の第4の態様は、配列番号2のフコシルトランスフェラーゼ酵素(Qs-28-O-FucT)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素である。この酵素は、β結合を有するD-フコピラノースを、QAを含む分子のC-28位に転移することができる。これは、本発明の第1の態様の方法において記載された酵素である。
【0067】
Qs-28-O-FucTの配列のパーセンテージ配列同一性は変化し得る。その配列同一性は、配列番号2と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。
【0068】
フコシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号1のヌクレオチドによって、または本発明の第4の態様によるアミノ酸をコードする核酸分子によってコードされる。
【0069】
本発明の第5の態様は、配列番号4に記載のラムノシルトランスフェラーゼ酵素(Qs-28-O-RhaT)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素である。この酵素は、α-1,2-結合を有するL-ラムノピラノースを転移することができる。これは、本発明の第1の態様の方法に記載された酵素である。
【0070】
Qs-28-O-RhaTの配列のパーセンテージ配列同一性は変化し得る。その配列同一性は、配列番号4と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。
【0071】
ラムノシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号3のヌクレオチドによって、または本発明の第5の態様によるアミノ酸をコードする核酸分子によってコードされる。
【0072】
本発明の第6の態様は、配列番号6のキシロシルトランスフェラーゼ酵素(Qs-28-O-XylT3)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素である。この酵素は、β-1,4-結合を有するD-キシロピラノースを転移することができる。これは、本発明の第1の態様の方法において記載された酵素である。
【0073】
Qs-28-O-XylT3の配列のパーセンテージ配列同一性は変化し得る。その配列同一性は、配列番号6と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一性であり得る。
【0074】
本発明のキシロシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号5のヌクレオチドによって、または本発明の第6の態様によるアミノ酸をコードする核酸分子によってコードされる
【0075】
本発明の第7の態様は、配列番号8のキシロシルトランスフェラーゼ酵素(Qs-28-O-XylT4)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素である。この酵素は、β-1,3-結合を有するD-キシロピラノースを転移することができる。
【0076】
Qs-28-O-XylT4の配列のパーセンテージ配列同一性は変化し得る。その配列同一性は、配列番号8と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一性であり得る。
【0077】
本発明のキシロシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号7のヌクレオチドによって、または本発明の第7の態様によるアミノ酸をコードする核酸分子によってコードされる。これは、本発明の第1の態様の方法において記載された酵素である。
【0078】
本発明の第8の態様は、配列番号10のアピオシルトランスフェラーゼ酵素(Qs-28-O-ApiT4)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素である。この酵素は、β-1,3-結合を有するD-アピオフラノースを転移することができる。
【0079】
配列Qs-28-O-ApiT4の配列同一性パーセンテージは変化し得る。その配列同一性は、配列番号10と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一性であり得る。
【0080】
本発明のアピオシルトランスフェラーゼ酵素は、配列番号9のヌクレオチドによって、または本発明の第8の態様によるアミノ酸もコードする核酸分子によってコードされる。これは、本発明の第1の態様の方法において記載された酵素である。
【0081】
本発明の第4、第5、第6、第7および第8の態様の任意の配列同一性パーセンテージは、本発明の第4、第5、第6、第7および第8の態様の任意の他の配列同一性パーセンテージと組み合わせることができる。
【0082】
本発明の第9の態様は、本発明の第4~第8の態様の酵素をコードする核酸の1つ以上を含むベクターである。このベクターは、本発明の第4~第8の態様の酵素をコードする核酸の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つを含み得る。好ましくは、このベクターは、本発明の第4~第8の態様の酵素をコードする5つの核酸、または一緒になって5つの核酸を含むいくつかのベクターを含む。場合により、このベクターは、本発明の第2の態様の酵素をコードする核酸をさらに含み得る。
【0083】
本発明の第10の態様は、本発明の第4~第8の態様の酵素をコードする核酸、および、場合により、本発明の第2の態様の酵素をコードする核酸を含む宿主細胞である。
【0084】
宿主細胞は、植物細胞または微生物細胞であってもよい。宿主細胞は、微生物細胞である場合、好ましくは酵母細胞である。宿主細胞が植物細胞である場合、植物は好ましくはベンサミアナタバコである。
【0085】
本発明の第10の態様のさらなる特徴は、本発明の第4~第8の態様の核酸、および、場合により、本発明の第2の態様の酵素をコードする核酸を宿主細胞に導入する方法である。核酸は、ベクターを介して宿主細胞に導入され得る。組換えは、核酸を宿主細胞ゲノムに導入するために、ベクターと宿主細胞ゲノムとの間で起こり得る。あるいは、核酸は複数の組換えベクターとの共浸潤によって宿主細胞に導入され得る。組換えベクターは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)であってもよく、以下に述べる。
【0086】
本発明の第11の態様は、本発明の第10の態様による宿主細胞を含む生物系である。生物系は、植物または微生物であってもよい。生物系は、植物である場合、ベンサミアナタバコまたは上記の植物のいずれかであり得る。植物の製造方法は、本発明の核酸を宿主植物細胞に導入する工程と、形質転換された宿主植物細胞から植物を再生する工程とを含む。生物系は、微生物である場合、酵母であり得る。
【0087】
本発明はまた、本発明の上記態様の各酵素および各核酸を製造する方法、ならびに本発明の1以上の核酸、ならびに本発明の第10の態様の宿主細胞を含むベクターを製造する方法、および本発明の第11の態様の生物系を作製する方法を含む。これらの方法は、WO2019/122259およびPCT/EP2020/067866(WO 2020/260475として公開)等の当技術分野で周知の技術および製品を使用し、以下のようにさらに詳細に記載される:
【0088】
本発明の核酸は、実施例の項に記載されるように、ベクター、特に発現ベクターに含まれ得る。ベクターは、細胞ゲノムまたは他への組み込みのいずれかによって原核生物宿主または真核生物宿主を形質転換することが可能な、二本鎖または一本鎖の直鎖状または環状形態の任意のプラスミド、コスミド、ファージまたはアグロバクテリウムベクターであり得る。ベクターは、核酸配列に作動可能に連結された、誘導性プロモーターを含む、発現ベクターであり得る。典型的には、ベクターは、誘導性プロモーターと核酸配列との間に、エンハンサー配列を含み得る。ベクターはまた、ターミネーター配列、および、場合により前記ターミネーター配列の上流に位置する3' UTRを含み得る。ベクターは、本発明の第1の態様の酵素をコードする1以上の核酸、好ましくは、本発明の第1の態様において記載される分子の1つの態様を産生するために必要とされるすべての配列を含み得る。ベクターは、植物ベクターまたは微生物ベクターであってよい。
【0089】
ベクター中の核酸は、宿主細胞中の転写のための適切なプロモーターまたは他の調節エレメントの制御下にあり、これらに作動可能に連結され得る。宿主細胞は、酵母細胞、細菌細胞または植物細胞であってよい。ベクターは、複数の宿主において機能する二機能性発現ベクターであってもよい。ゲノムDNAの場合、これは、それ自体のプロモーターまたは他の調節エレメントを含み得る。天然プロモーターを使用する利点は、これが多面的応答を回避し得ることである。cDNAの場合、これは、宿主細胞における発現のための適切なプロモーターまたは他の調節エレメントの制御下にあり得る
【0090】
植物における使用のための好ましいベクターは、植物ゲノムへの発現ベクターの導入および組み込みを可能にする境界配列を含む。ベクターは植物バイナリーベクターであってもよい。
【0091】
ベクターは、任意の生物系において宿主細胞にトランスフェクトされ得る。宿主は、大腸菌等の微生物、または酵母であり得る。ベクターは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス株の一部であってもよく、生物学的植物宿主系を感染させるために使用されてもよい。アグロバクテリウム・ツメファシエンスはそれぞれ、本発明をコードする必要な核酸の1つを含有することができ、組み合わされて宿主細胞を共感染させることができ、その結果、宿主細胞は、本発明の第1の態様の酵素をコードするのに必要なすべての核酸を含有する。
本発明はまた、所望のQA誘導体の製造、収穫、および単離のために、宿主を培養するか、または宿主を増殖させる工程を含む。
【0092】
QA誘導体は、C-18アシル鎖の付加等のさらなる合成を必要とする場合がある(Wang et al, 2005)合成方法を介してC-18鎖を付加するために、QA誘導体を3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)プロピオンアルデヒド、シス-2-ブテン、臭化ベンジル、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化オキサリル、(R)-2-アセトキシ-1,1,2トリフェニルエタノール、ナトリウムメトキシド、塩化tert-ブチルジメチルシリル(TBSCl)、水素、2,3,5-トリ-O-(tert-ブチルジメチルシリル)-L-アラビノフラノースおよび水酸化バリウム八水和物で処理することができる。
【0093】
C-18アシル鎖を製造する方法は、3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)プロピオンアルデヒドをシス-2-ブテンと結合させて、(3S,4S)-6-{[(tert-ブチルジメチル)シリル]オキシ}-4-ヒドロキシ-3-メチルヘキサ-1-エンを合成する工程を含む。次いで、臭化ベンジルと結合させて、(3S,4S)4-(ベンジル)オキシ-6-{[(tert-ブチルジメチル)シリル]オキシ}-3-メチルヘキサ-1-エンを合成する。次の工程は、テトラブチルアンモニウムフルオリドと結合させて(3S,4S)4-(ベンジル)オキシ6-ヒドロキシ-3-メチルヘキサ-1-エンを合成し、次いで塩化オキサリルと混合してアルデヒドを形成することを含む。次いで、アルデヒドを(R)-2-アセトキシ-1,1,2トリフェニルエタノール、次いでナトリウムメトキシドおよびTBSClと結合させて、βシリルオキシメチルエステルを形成する。次いで、βシリルオキシメチルエステルを水素と結合させてメチルエステルを得る。次の工程は、メチルエステルを2,3,5-トリ-O-(tert-ブチルジメチルシリル)-L-アラビノフラノースと結合させて、アラビノグリコシドを合成することを含む。次いで、アラビノグリコシドを水酸化バリウム八水和物と結合させて酸を得る。次の工程は、酸を、先に形成されたメチルエステルと反応させて、ジエステルを得ることを含む。次いで、ジエステルを水酸化バリウム八水和物と反応させて酸を得る。これらの工程は、C-18アシル鎖を合成する。鎖が合成されたら、これをC-28糖鎖に付加することができる。
【0094】
本発明の第12の態様は、配列番号14に記載のUDP-アピオース/UDP-キシロースシンターゼ酵素(QsAXS1)または少なくとも70%の配列同一性の配列を有する酵素である。酵素は、UDP-α-D-アピオースのアベイラビリティが限定的である場合、これを増加させることによって、アピオシルトランスフェラーゼの活性を増加させることができる。
【0095】
配列QsAXS1の配列同一性パーセンテージは変化し得る。配列同一性は、配列番号14と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一であり得る。
【0096】
QsAXS1酵素は、アピオシル化生成物またはキシロシル化生成物の収率を増加させ得る。
【0097】
例えば、アピオシル化生成物は、QA-トリX/R-FRXAまたはQA-FRXAを含む分子であってもよい。β-D-アピオースは別の糖残基に結合している。糖残基はβ-D-キシロース残基であり得る。β-D-キシロース残基は、QA-FRXまたはQA-トリX/R-FRXを含む分子の一部であり得る。この工程は、本発明の第12の態様による酵素Qs-28-O-ApiT4(配列番号10)およびQsAXS1(配列番号14)によって実施される。
【0098】
キシロシル化生成物はQA-トリX/R-FRXX、またはQA-FRXXを含む分子であり得る。D-キシロースは別の糖残基に結合している。糖残基はβ-D-キシロース残基であり得る。β-D-キシロース残基は、QA-FRXまたはQA-トリX/R-FRXを含む分子の一部であり得る。この工程は、本発明の第12の態様による酵素Qs-28-O-XylT4(配列番号8)およびQsAXS1(配列番号14)によって実施される。
【0099】
本発明の第12の態様のさらなる特徴は、本発明の第12の態様の酵素をコードする核酸分子である。
【0100】
QsAXS1酵素は、例えば、配列番号13によるヌクレオチドによって、変性コードによって、または本発明の第12の態様による酵素もコードする配列によってコードされ得る。
【0101】
本発明の各方法は、本発明の第12の態様に記載の酵素と組み合わせることを含んでもよい。
【0102】
本発明の第1の態様のさらなる特徴は、QAコアを含む分子のC-3位に分岐三糖を製造するための工程である。この方法は、QAを含む分子をUDP-α-D-グルコピラヌロン酸および酵素QsCSL1(配列番号26)または酵素QsCslG2(配列番号28)と組み合わせる工程;UDP-α-D-ガラクトピラノースおよび酵素Qs-3-O-GalT(配列番号30)と組み合わせる工程;UDP-β-L-ラムノピラノースおよび酵素DN20529_c0_g2_i8(配列番号36)または酵素Qs_0283850(配列番号34)または酵素Qs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)と組み合わせる工程;UDP-α-D-キシロピラノースおよび酵素Qs_0283870(配列番号38)または酵素Qs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)と組み合わせる工程。
【0103】
C-3位で分岐三糖を作製するための工程において使用される各酵素の配列同一性は、少なくとも50%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、65%、70%または80%であり得る。好ましくは、配列同一性は少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%である。
【0104】
本発明のこの特徴は、いくつかの工程を含む、QA-トリ(X/R)等のQA誘導体を製造する方法に関する。工程は、特定の順序で、または任意の順序で、または同時に実行することができる。好ましくは、この誘導体は、以下に述べるようなC-3鎖を形成する糖単位を連続的にQA主鎖に付加することによって形成される。次いで、C-28四糖鎖を形成する糖単位を、本発明の第1の態様に従って、
図1に記載されるように付加する。
【0105】
本発明の第1の態様のこの特徴の工程は、QAコアを含む分子のC-3位の分岐三糖が、β-D-グルコピラヌロン酸残基をQAを含む分子に結合させて、QA-モノを含む分子を形成することによって開始される状況について記載される。しかしながら、これらの工程は任意の順序で行われてもよい。
【0106】
この方法は、好ましくは、QA-トリX/Rを含む分子を単離するか、またはさらに誘導体化して、下流の生成物、例えばQS-21を化学的に合成することができるように実施される。
【0107】
本発明の方法の1つの工程は、QAを含む分子にD-グルコピラヌロン酸を結合させて、QA-モノを含む分子を形成することである。この工程は、酵素QsCSL1(配列番号26)または酵素QsCslG2(配列番号28)によって行われる。QsCSL1は、配列番号25のヌクレオチドによってコードされる。QsCslG2は、配列番号27のヌクレオチドによってコードされる。
【0108】
本発明の方法の別の工程は、QA-モノを含む分子上のβ-D-グルコピラヌロン酸残基にD-ガラクトピラノースを結合させて、QA-ジを含む分子を形成することである。この工程は、酵素Qs-3-O-GalT(配列番号30)によって行われる。Qs-3-O-GalTは、配列番号29のヌクレオチドによってコードされる。
【0109】
本発明の方法のさらなる工程は、QA-ジを含む分子上のβ-D-グルコピラヌロン酸残基にL-ラムノピラノースを結合させて、QA-トリRを含む分子を形成することである。この工程は、酵素DN20529_c0_g2_i8(配列番号36)またはは酵素Qs_0283850(配列番号34)、または酵素Qs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)によって行われる。DN20529_c0_g2_i8は、配列番号35のヌクレオチドによってコードされる。Qs_0283850は、配列番号33のヌクレオチドによってコードされる。Qs-3-O-RhaT/XylTは、配列番号31のヌクレオチドによってコードされる。
【0110】
本発明の方法のなおさらなる工程は、β-D-キシロピラノースを、QA-ジを含む分子上のβ-D-グルコピラヌロン酸残基に結合させて、QA-トリXを含む分子を形成することを含む。この工程は、酵素Qs_0283870(配列番号38)、または酵素Qs-3-O-RhaT/XylT(配列番号32)によって行われる。Qs_0283870は、配列番号37のヌクレオチドによってコードされる。Qs-3-O-RhaT/XylTは、配列番号31のヌクレオチドによってコードされる。
【0111】
QA-コアを含む分子にC-3三糖およびC-28四糖鎖の糖を付加する工程は、特定の順序で、もしくは任意の順序で、または同時に実施することができる。好ましくは、C-3位の分岐三糖がQAコアを含む分子に結合すると、本発明の第1の態様に記載されるように、C-28四糖鎖の糖残基はQA-トリX、QA-トリR、またはQA-トリXとQA-トリRとの混合物(すなわち、QA-トリ(X/R))を含む分子に付加され得る。
【0112】
本発明の第1の態様のさらなる特徴は、QAを製造するための方法ステップである。この方法は、2,3オキシドスクアレンをQsbAS(配列番号18)と組み合わせること、C-28オキシダーゼQsCYP716-C-28(配列番号20)と組み合わせること、C-16αオキシダーゼQsCYP716-C-16α(配列番号22)と組み合わせること、およびC-23オキシダーゼQsCYP714-C-23(配列番号24)と組み合わせることを含む。
【0113】
QAコアを含む分子を製造するための工程において使用される各酵素の配列同一性は、少なくとも50%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、65%、70%または80%であり得る。好ましくは、配列同一性は少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%である。
【0114】
本発明のこの特徴は、いくつかの工程を含むQAコアを含む分子を製造する方法に関する。これらの工程は、特定の順序で、もしくは任意の順序で、または同時に実行することができる。好ましくは、
図2に記載されるように、この分子は、βアミリン足場の製造と、それに続く、それぞれC-28、C-16αおよびC-23位での連続する酸化によって形成される。本発明の第1の態様のこの特徴の工程は上記の好ましい状況について記載される。しかしながら、これらの工程は、任意の順序で行われてもよい。
【0115】
次いで、
図1に記載されるように、C-3三糖鎖およびC-28四糖鎖を形成する糖単位を、本発明の第1の態様に従って添加する。好ましくは、QAコアを含む分子を製造し、次いで、C-3鎖を付加する工程を行い、続いて、C-28四糖鎖を付加する工程を行う。しかし、これらの工程は、特定の順序で、もしくは任意の順序で、または同時に実行することができる。
【0116】
本発明の方法の1つの工程は、トリテルペンβアミリンを含む分子を形成するための2,3オキシドスクアレンの環化である。この工程は、オキシドスクアレンシクラーゼによって行われる。特に、オキシドスクアレンシクラーゼは、QsbAS(配列番号18)による酵素である。オキシドスクアレンシクラーゼは、配列番号17のヌクレオチドによってコードされる。
【0117】
βアミリン足場を含む分子は、C-28、C-16αおよびC-23のそれぞれの位置でカルボン酸、アルコールおよびアルデヒドにさらに酸化される。本発明のこの特徴の別の工程は、βアミリン足場を含む分子を酸化してC-28位にカルボン酸を形成することである。この工程は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼによって行われる。シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、C-28オキシダーゼQsCYP716-C-28(配列番号20)である。QsCYP716-C-28は、配列番号19のヌクレオチドによってコードされる。
【0118】
本発明の方法の別の工程は、βアミリン足場を含む分子を酸化してC-16位にアルコールを形成することである。この工程は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼによって行われる。シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、C-16αオキシダーゼQsCYP716-C-16α(配列番号22)である。QsCYP716-C-16αは、配列番号21のヌクレオチドによってコードされる。
【0119】
本発明の方法のさらなる工程は、βアミリン足場を含む分子を酸化してC-23位にアルデヒドを形成することである。この工程は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼによって行われる。シトクロムP450モノオキシゲナーゼは、C-23オキシダーゼQsCYP714-C-23(配列番号24)である。QsCYP714-C-23は、配列番号23のヌクレオチドによってコードされる。
【0120】
第1の発明のこの特徴は、上述の第1の発明のさらなる特徴のいずれかと組み合わせることができる。
【0121】
本発明の第1の態様のさらなる特徴は、本発明の第1の態様の工程によって得られるQA-トリ(X/R)-FRX(X/A)から出発し、
図1に示され、本発明の第1の態様に関連して記載される、グリコシル化C-18アシル鎖を化学的に付加するさらなる工程を含む、QS-21分子の化学合成である。第1の発明のこの特徴は、上述の本発明の第1の態様のさらなる特徴のうちの1以上と組み合わされる。
本発明の第1の態様のこのさらなる特徴はまた、本発明の第2の態様に記載される、酵素QsFucSyn(配列番号12)と組み合わせることを含み得る。この特徴はまた、酵素QsFucSyn(配列番号12)および酵素ATCV-1(配列番号40)と組み合わせることを含んでいてもよく、または酵素ATCV-1(配列番号40)、およびQsFSL-1(配列番号48)、QsFSL-2(配列番号50)、SoFSL-1(配列番号52)もしくはSpolFSL(配列番号54)等の、UDP-4-ケト-6-デオキシグルコース4-ケトレダクターゼ活性を有する酵素と組み合わせることを含んでもよい。
【0122】
本発明の第1の態様のこのさらなる特徴はまた、本発明の第12の態様に記載の酵素QsAXS1(配列番号14)と組み合わせることを含み得る。
【0123】
本発明の第13の態様は、QA-トリX/R-F、QA-トリX/R-FR、QA-トリX/R-FRX、QA-トリX/R-FRXX、QA-トリX/R-FRXA、QA-モノ-F、QA-モノ-FR、QA-モノ-FRX、QA-モノ-FRXX、QA-モノ-FRXA、QA-ジ-F、QA-ジ-FR、QA-ジ-FRX、QA-ジ-FRXXまたはQA-ジ-FRXAである単離されたQA誘導体である。分子がQA-トリX/R-F、QA-トリX/R-FR、QA-トリX/R-FRX、QA-モノ-F、QA-モノ-FR、QA-モノ-FRX、QA-モノ-FRXX、QA-モノ-FRXA、QA-ジ-F、QA-ジ-FR、QA-ジ-FRX、QA-ジ-FRXXまたはQA-ジ-FRXAを含む場合、前記誘導体はまた、C-18アシル鎖を含み得る。
【0124】
本発明のさらなる態様は、本発明の第1の態様による方法および本発明の任意の方法によって得られ得るかまたは得られるQA誘導体である。
【0125】
本発明の方法によって得られるQA誘導体は、生物系から単離され得る。本発明のさらなる態様は、QA誘導体を単離する工程を含む、本発明の方法工程を含むQA誘導体を作製する方法である。
【0126】
生物系から単離されると、QA誘導体は、ワクチン組成物に含まれるアジュバントとして使用され得る。
【0127】
本発明のQA誘導体は、TLR4アゴニスト等のさらなる免疫刺激剤、特に脂質A誘導体等のリポ多糖TLR4アゴニスト、特にモノホスホリルリピドA、例えば3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)と組み合わされ得る。3D-MPLは、GlaxoSmithKline Biologicals N.A.により「MPL」という名称で販売されている。米国特許第4,436,727号;第4,877,611;第4,866,034号および第4,912,094号を参照。3D-MPLは、GB 2 220 211 Aに記載の方法に従って製造することができる。化学的には、3D-MPLは、3-脱アシル化モノホスホリルリピドAと、4個、5個または6個のアシル化鎖との混合物である。
【0128】
本発明のQA誘導体と結合され得る他のTLR4アゴニストとしては、W02008/153541もしくはW02009/143457または文献論文(Coler et al. 2011 and Arias et al. 2012)に記載されるようなグルコピラノシルリピドアジュバント(GLA)が挙げられる。
【0129】
本発明のアジュバントはまた、以下に記載されるように、エマルジョン(例えば、水中油型エマルジョン)またはリポソーム等の適切な担体中に製剤化され得る。
【0130】
リポソーム
「リポソーム」という語は、当技術分野で周知であり、水性空間を囲む1以上の脂質二重層を含む小胞の一般的なカテゴリーを定義する。したがって、リポソームは1以上の脂質および/またはリン脂質二重層からなり、その構造中にタンパク質または炭水化物等の他の分子を含有し得る。脂質相および水相の両方が存在するため、リポソームは、水溶性材料、脂溶性材料、および/または両親媒性化合物をカプセル化または捕捉し得る。そのようなリポソームを作製する方法は、WO2013/041572に記載されている。
【0131】
リポソームサイズは、リン脂質組成物およびそれらの調製のために使用される方法に応じて、30 nm~数 μmで変わり得る。
【0132】
リポソームサイズは、50 nm~200 nm、特に60 nm~180 nm、例えば70 nm~165 nmの範囲である。最適には、リポソームは、濾過による好都合な滅菌を可能にするために、安定であり、かつ~100nmの直径を有するべきである。
【0133】
リポソームの構造的一体性は、リポソームのサイズ(Z平均直径、Zav)および多分散性を測定する動的光散乱法(DLS)等の方法によって、またはリポソームの構造の分析のための電子顕微鏡によって評価することができる。平均粒径は、95 nm~120 nmであってよく、および/または多分散性(Pdl)指数は0.3以下(例えば、0.2以下)であってよい。
【実施例】
【0134】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照して説明される:
【0135】
実施例1-キラ酸C-28グリコシルトランスフェラーゼ候補遺伝子の同定
6つのシャボンノキ(Q. saponaria)組織(茎、根、および原基(primordia)/若葉(young leaf)/成葉(mature leaf)/古葉(old leaf)の4発育段階の葉)についてシャボンノキゲノム配列データとRNA-seqデータを作成した。このRNA-seqデータセットを使用して、シャボンノキゲノム配列(Earlham Institute, Norwich, Norfolk)をアノテーションした。シャボンノキゲノムにおける可能な生合成遺伝子クラスター(BGC)を同定するために、候補植物BGCの同定を自動化するオンラインプラットフォームであるPlantiSMASHを使用した(Kautsar et al., 2017)。これにより、多数の推定BGCが同定された。これらのクラスターの多くは、糖生合成に関与すると予測され、植物特特化代謝物のグリコシル化にほぼ偏在的に関与する酵素のクラスであるファミリー1 UDP依存性グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)を含んでいた。
【0136】
QA-トリ(X/R)の生合成に関与する生合成遺伝子は主に、葉原基における高発現、古葉における低発現、および他の組織における中間レベルからなる発現プロファイルを共有した。キラ酸C-28グリコシルトランスフェラーゼ候補を同定するために、自己組織化マップ(SOM)を用いて共発現解析を行った。新しい候補の同定のために、キラ酸(QA)(QsbAS、ならびにC-28、C-23およびC-16αオキシダーゼ)の生合成に必要な4つの遺伝子をベイトとして用いた。転写物は、これらのベイト遺伝子のいずれかと共発現していると同定された頻度に基づいて優先順位付けされた。これは潜在的な候補として複数のUGT酵素を同定したが、異常な酵素クラスにおけるグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子候補を同定しなかった。
【0137】
以前に同定されたQS-21生合成酵素は、原基において高レベルで発現される。本発明者らは、厳密に共発現され得ないが、オーバーラップ発現プロファイルを有する候補を同定するために、原基において十分に発現されたUGT候補を探索した。UGTをコードするとアノテーションされたシャボンノキゲノム配列のうち、本発明者らは、原基組織において少なくとも30のFPKMのRNA-seq発現値を有する配列を選択した。本発明者らは、長さが400アミノ酸未満の配列を除外し、得られた配列の予測アミノ酸配列の系統発生解析を行った。
【0138】
候補遺伝子をクローニングするために、標的配列の上流に5'attB部位を組み込んでGateway(登録商標)クローニングを可能にする一連のオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。これらのプライマーを用いて、シャボンノキの葉のcDNAからPCRによって遺伝子を増幅し、pDONR 207にクローニングした。クローニングを配列決定した後、植物発現ベクターpEAQ-HT-DEST1(Sainsbury et al., 2009)に導入した。次いで、ベンサミアナタバコにおける一過性発現のために、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(LBA4404)に発現コンストラクトを個々に形質転換した。
【0139】
実施例2-キラ酸28-O-フコースエステルトランスフェラーゼ(Qs-28-O-FucT)の同定
C-28直鎖四糖は、キラ酸骨格のC-28位にエステル結合によって結合されたD-フコースによって開始される。可能性のあるC-28グリコシルトランスフェラーゼ候補の本発明者らのショートリストにおいて、本発明者らは2つのフコシルトランスフェラーゼ酵素候補を同定した(Ross et al, 2011およびSasaki et al, 2014)。これらのうちの1つは、キラ酸生合成遺伝子と同時発現されるか、または生合成遺伝子クラスター内に存在するとは同定されなかった。対照的に、もう1つはBGC内でキラ酸生合成遺伝子と共発現し、既知のトリテルペンカルボン酸グルコシルトランスフェラーゼとより密接に関連していた。
【0140】
活性についてフコシルトランスフェラーゼ酵素候補をスクリーニングするために、ベンサミアナタバコ葉においてQA-トリ(X/R)(キラ酸C-3三糖のXylpおよびRhapバージョンの両方)の産生に必要な遺伝子セットを一過性に共発現させた。さらに、アウェナストリゴサ(Avena strigosa)HMG-CoAレダクターゼ(AstHMGR)の不完全なフィードバック非感受性形成も含まれたが、これはベンサミアナタバコにおいて産生されるトリテルペンの産生を増加させることが以前に示されているためである。最後に、フコシルトランスフェラーゼ酵素候補を上記遺伝子と一過性に共発現させた。QAを含む分子にβ結合を有するD-フコースを結合させる方法ステップについて述べる場合には、本明細書の前半で、ならびに材料および方法の項で、さらなる詳細が提供される、
【0141】
浸潤葉抽出物のHPLC-CAD-MS分析は、QsUGT_L2が、D-フコースの質量を有する糖をQA-トリXおよびQA-トリRの両方に付加し、それぞれQA-トリX-FおよびQA-トリR-Fを形成することと一致する活性を有することを明らかにした(
図5)。QsUGT_L1は活性を示さなかった。したがって、QsUGT_L2はQs-28-O-FucTと改名された。この酵素の生成物収率は非常に低く、必要な糖ヌクレオチド補因子(UDP-α-D-フコース)がベンサミアナタバコに限定されていることによることが予想された(実施例6-ベンサミアナタバコのセクションにおけるUDP-フコースの利用可能性の最適化(実施例6)を参照)。その結果、QA-トリ(X/R)は、抽出物中で主な生成物のままであった(
図5)。
【0142】
実施例3-キラ酸28-O-フコシド[1,2]-ラムノシルトランスフェラーゼ(Qs-28-O-RhaT)の同定
第2のC-28グリコシルトランスフェラーゼを同定するために、ベンサミアナタバコ葉において、QA-トリX-Fを産生するのに必要な遺伝子と共にUGT候補を一過性に共発現させた。α-L-ラムノースをβ-D-フコース残基に結合させる方法ステップについて述べる場合には、本明細書の前半で、ならびに材料および方法の項で、さらなる詳細が提供される。
【0143】
HPLC-CAD-MSによる分析は、1つの候補であるQsUGT_A6の付加が、QA-トリX-Fピークの完全な減少、およびQA-トリX-Fへのラムノース糖の付加と一致する質量を有する11.6分での新たなより極性のピークの出現をもたらすことを示した(
図6)。活性はQs-28-O-FucTの非存在下では見られず、QsUGT_A6の活性はQs-28-O-FucTのフコシルトランスフェラーゼ活性に依存することが示唆された(6)。QsUGT_A6はキラ酸を作製するために必要とされる遺伝子について見られるように原基における高発現に起因する候補として同定され、さらにQsUGT_A6はCSL1およびQs-28-O-FucTと同じBGC、クラスター50において同定された。したがって、QsUGT_A6はQs-28-O-RhaTと称した
【0144】
実施例4-キラ酸28-O-フコシド[1,2]-ラムノシド[1,4]キシロシルトランスフェラーゼ(Qs-28-O-XylT3)の同定
C-28糖鎖に3番目の糖を付加するグリコシルトランスフェラーゼを探索するために、QA-トリX-FRを作製するのに必要な遺伝子を有するベンサミアナタバコにおける一過性共発現によって活性についてUGT候補をスクリーニングした。α-L-ラムノース残基にβ-D-キシロースを結合させる方法ステップについて述べる場合には、本明細書の前半で、ならびに材料および方法の項で、さらなる詳細が記載されている。これは、1つの候補であるQsUGT_A7の付加が、QA-トリX-FRピークの消費およびQA-トリX-FRへのキシロースの付加と一致する質量を有するより極性の低いピークの出現をもたらすことを明らかにした(
図7)。QsUGT_A7の活性はQs-28-O-RhaTの活性に依存し、Qs-28-O-RhaTの非存在下では、QsUGT_A7はQA-トリX-Fをグリコシル化しなかった(7)。QsUGT_A7は、C-28糖鎖の3番目の糖であるキシロースを付加するため、Qs-28-O-XylT3と称される。
【0145】
実施例5-キラ酸28-O-フコシド[1,2]-ラムノシド[1,4]キシロシド[1,3]キシロシルトランスフェラーゼおよびキラ酸28-O-フコシド[1,2]-ラムノシド[1,4]キシロシド[1,3]アピオシルトランスフェラーゼの同定
この段階で、UDP-α-D-フコースのアベイラビリティに関する問題は、ベンサミアナタバコ葉においてもたらされたC-28グリコシル化生成物が非常に少量であることであった(
図7)。その結果、検出されるのに十分な量の新規生成物が生成されるかどうかが不明であったため、C-28糖鎖の第4段階に関与する酵素のスクリーニングを実施することが困難になった。これを回避するために、両方の糖が、C-28 L-ラムノースが結合する同じC-2ヒドロキシル基立体配置を有するため、C-28 D-フコースをより豊富なD-グルコースで置換することを試みた。これを達成するために、Qs-28-O-FucTの代替物としてツボクサ(Centella asiatica)由来のC-28グルコシルトランスフェラーゼCaUGT73AD1(de Costa et al, 2017)を試験した。
【0146】
ベンサミアナタバコ葉において、QA-トリXの産生に必要な遺伝子とCaUGT73AD1を一過性に共発現させた。葉抽出物のHPLC-CAD-MS分析は、CaUGT73AD1の付加が、QA-トリX-G(MW = 1118.51)を形成するためのQA-トリXへのグルコースの付加と一致する質量イオン(m/z = 1117)を伴って、10.1分で新たなピークの出現をもたらすことを示した(
図8)。さらに、11.8分に新たなピークがあり、m/zは1101であった。QsCYP716-C-16αによるギプソゲニン(Gyp)からキラ酸へのトリテルペン骨格の変換は、ベンサミアナタバコ系において必ずしも完全ではないことが以前に見出されている(WO 2019/122259)。これは、キラ酸に代えてギプソゲニン骨格を有するグリコシル化中間体の蓄積をもたらす。11.8分における新たなピークは、CaUGT73AD1によるギプソゲニン三糖Gyp-トリXへのグルコースの付加と一致し、Gyp-トリX-G(MW = 1102.52)を形成する(
図8)。
【0147】
次に、Qs-28-O-RhaTおよびQs-28-O-XylT3がCaUGT73AD1生成物を利用できるかどうかを試験した。β-D-キシロースをβ-D-キシロース残基に結合させる方法ステップ、またはβ-D-アピオースをβ-D-キシロース残基に結合させる方法ステップについて述べる場合には、本文の前半で、ならびに材料および方法の項で、さらなる詳細が提供される。Qs-28-O-RhaTの付加は、10.1分および11.8分でQA-トリX-GおよびGyp-トリX-Gのピークの減少をもたらし、9.5分(m/z = 1263)および11.1分(m/z = 1247)で2つの新たな極性ピークの出現をもたらし、それぞれQA-トリX-GおよびGyp-トリX-Gへのラムノースの付加と一致した(
図8)。Qs-28-O-XylT3のさらなる付加は、QA-トリX-GRおよびGyp-トリX-GRのピークの減少、ならびに9.8分(m/z = 1395)および11.5分(m/z = 1379)でのピークの出現をもたらし、キシロースのさらなる付加と一致した(
図8)。これは、Qs-28-O-RhaTおよびQs-28-O-XylT3が、C-28位にグルコースを有するトリテルペングリコシド基質を利用することができることを示唆する。得られた六糖類(QA-トリX-GRXおよびGyp-トリX-GRX)は、第4のC-28グリコシルトランスフェラーゼのスクリーニングを可能にするのに十分な量で蓄積される。
【0148】
C-28糖鎖の最終ステップは、D-キシロースまたはD-アピオースの付加である(
図4)。本発明者らの実験において、UDP-α-D-キシロースは、ベンサミアナタバコに限定的であることは見出されていない。しかし、UDP-α-D-フコースに関しては、ベンサミアナタバコにおける潜在的な低レベルのUDP-α-D-アピオースをQS-21アピオシルトランスフェラーゼの同定における潜在的なボトルネックと考えた。
【0149】
D-アピオースは、高等植物の細胞壁中のペクチン多糖のラムノガラクツロナンII(RG-II)中に見られ、植物細胞壁における架橋の形成において重要な役割を果たす。UDP-α-D-アピオースは、二機能性酵素UDP-アピオース/UDP-キシロースシンターゼ(AXS)によってUDP-α-D-グルクロン酸から合成され、UDP-α-D-キシロースを生成する。ベンサミアナタバコでは、この活性はNBAXS1によって行われる。NBAXS1のVIGSサイレンシングは、RG-IIのアピオース含有側鎖における欠損に起因すると思われる増殖欠損および細胞死をもたらした。UDP-α-D-キシロースは高等植物においてUDP-D-グルクロン酸デカルボキシラーゼによって主に合成されるため、UDP-α-D-キシロースのレベルはNBAXS1のサイレンシングによって影響を受けなかった。
【0150】
様々なAXSによって産生されるUDP-α-D-アピオースとUDP-α-D-キシロースの比は様々であり得:ベンサミアナタバコおよびシロイヌナズナ(A. thaliana)において、NbAXS1およびAtAXS1によって、より多量のUDP-α-D-キシロースが産生され、一方、UDP-α-D-アピオースは、二次代謝産物のアピインおよびペクチン多糖のアピオガラクツロナンにD-アピオースを豊富に含有する植物である、パセリおよびコウキクサ(Lemna minor)由来のAXSの場合に主に産生される。これは、UDP-α-D-アピオース産生のレベルの増加がアピオースに富む植物において進化した可能性があり、QS-21のようなD-アピオース含有二次代謝産物のヘテロ産生のためのベンサミアナタバコにおけるUDP-α-D-アピオースのレベルが不十分である可能性があることを示唆する。
【0151】
シャボンノキ遺伝子の自己組織化マップ共発現解析は、QA遺伝子と共発現し、原基で高度に発現する「UDP-D-アピオース/UDP-D-キシロースシンターゼ2」(QsAXS1)を同定し、この遺伝子がQS-21生合成において重要であることを示した。この遺伝子は、ベンサミアナタバコにおける共発現のために、シャボンノキ葉cDNAからクローニングされた。
【0152】
QA-トリX-GRXおよびGyp-トリX-GRXの産生に必要な遺伝子とQsAXS1の共発現は、これらの生成物の蓄積に影響を及ぼさなかった(
図9)。基質としてQA-トリX-GRXおよびGyp-トリX-GRXを用いて、QsAXS1を第4のC-28糖トランスフェラーゼのスクリーニングに含めた。スクリーニング内の候補UGTの2つの組み合わせは、蓄積された化合物を変化させた。第1の組み合わせはQsUGT_D3の付加であり、これは基質ピーク(QA-トリX-GRX、9.5分、m/z = 1395およびGyp-トリX-GRX、11.2分、m/z = 1379)の減少、ならびに9.6分(m/z = 1528)および11.5分(m/z = 1512)での2つの新しいピークの蓄積をもたらした(
図9)。第2の組み合わせは、2つの候補、QsUGT_D2およびQsUGT_A3の付加であり、これはまた、QA-トリX-GRXおよびGyp-トリX-GRX基質ピークの減少、ならびに9.7分(m/z = 1528)および11.6分(m/z = 1512)での新たなピークの出現をもたらした(
図9)。これらの組合せで蓄積された新しいピークの質量は、QA-トリX-GRXおよびGyp-トリX-GRXへのアピオースまたはキシロース等のペントースの付加と一致し、それぞれQA-トリX-GRX(X/A)(MW = 1528.66)およびGyp-トリX-GRX(X/A)(MW = 1512.66)を形成した。
【0153】
観察された活性のいずれかについてQsAXS1の付加が必要であるかどうかを試験した。QsUGT_D3はQsAXS1の非存在下で活性を示し、この酵素がQsAXS1活性に依存しないことを示唆した(
図10)。QsUGT_A3およびQsUGT_D2は一緒にスクリーニングされたため、これらの2つの酵素を別々に試験して、以前に観察された活性にどちらの酵素が関与しているかを決定した。QsAXS1の存在下または非存在下で試験した場合、QsUGT_A3はいかなる活性も示さず、よって、この酵素はこの経路ステップに関与しないと結論付けた。QsAXS1の存在下でQsUGT_D2は活性であり、この酵素が候補として確認された(
図10)。QsAXS1の非存在下では、QsUGT_D2は活性の大幅な低下を示し、前駆体QA-トリX-GRXおよびGyp-トリX-GRXをほとんど変換しなかった(
図10)。
【0154】
これらの結果は、QsUGT_D3は、QsAXS1の活性に依存しないため、キラ酸28-O-フコシド[1,2]-ラムノシド [1,4] キシロシド [1,3] キシロシルトランスフェラーゼであることを示唆する。UDP-α-D-キシロースは主にUDP-D-グルクロン酸デカルボキシラーゼによって産生され、AXSの活性は、ベンサミアナタバコ中に存在するUDP-α-D-キシロースの利用可能なプールに有意に寄与するとは予想されない。したがって、QsAXS1の付加がキシロシルトランスフェラーゼの活性に影響を及ぼす可能性は低い。続いて、QsUGT_D3をQs-28-O-XylT4と称した。
【0155】
QsUGT_D2の活性は、QsAXS1との共発現に依存した。これはQsUGT_D2がアピオシルトランスフェラーゼであることを示唆し、QsAXS1を共発現することはベンサミアナタバコにおいて入手可能なUDP-α-D-アピオースのレベルに影響を及ぼすと予想され得る。したがって、本発明者らは、QsUGT_D2をQs-28-O-ApiT4と称した。この結果はまた、UDP-α-D-アピオースが一次代謝におけるその役割のためにベンサミアナタバコに存在することが知られているが、内在性NbAXS1によって産生されるUDP-α-D-アピオースのレベルはベンサミアナタバコにおけるD-アピオース含有二次代謝産物のヘテロ産生には十分ではないことを示す。
ヘテロ宿主はUDP-α-D-アピオースのアベイラビリティにおいて限られているが、十分なレベルのUDP-α-D-グルクロン酸(例えばベンサミアナタバコ)を産生する場合、QsAXS1との共発現はUDP-α-D-グルクロン酸のUDP-α-D-アピオースへの変換によってUDP-α-D-アピオースの利用可能性を増加させ得る。
【0156】
実施例6-ベンサミアナタバコにおけるUDP-フコースのアベイラビリティの最適化
パートA:D-フコースの浸潤は、ベンサミアナタバコにおけるUDP-D-フコースの産生をもたらす
植物に存在するD-フコースの活性化形態は、キツネノテブクロ(foxglove)における以前の研究に基づくUDP-α-D-フコースであると予想される(Faust et al, 1994)。さらに、フコシルトランスフェラーゼQs-28-O-FucTは、補因子としてUDP糖を必要とすることが知られているUGTである。フコシル化化合物の比較的乏しい蓄積は、関連する糖ヌクレオチド(UDP-α-D-フコースであると予想される)がベンサミアナタバコにおいて有意に制限的であることを示唆した。したがって、UDP-α-D-フコースを増強するための戦略を考慮した。第1の戦略として、遊離単糖(D-フコース)の外因性補給を行って、糖が細胞によって取り込まれ得るかどうかを決定し、糖サルベージ経路と共に利用し、D-フコースをUDP-α-D-フコースに変換した。したがって、D-フコースの溶液(50 mM、および水のみのコントロール)を、無針注射器を使用して、ベンサミアナタバコ葉に浸潤させた。3日後に葉を採取し、糖ヌクレオチドプロファイリングを行った。LC-MS/MS分析は、UDP-β-L-ラムノースに対応するコントロール(水浸潤)抽出物において単一のUDP-デオキシヘキソースのみが検出され得ることを決定した。対照的に、2種類の新しいUDP-デオキシヘキソース生成物がD-フコース浸潤葉で検出された(
図11)。植物抽出物中のUDP-α-D-フコースの存在を明確に決定するために、UDP-α-D-フコースの標準を、先に報告された酵素合成法を用いて最初に合成した((Errey et al., 2004)。この標準物質を50 mM D-フコース浸潤葉抽出物に添加し、新しいピークの最初と完全に共溶出することを見出し、これにより、ベンサミアナタバコ中のUDP-α-D-フコースの存在を確認した。第2のピークの同一性は決定されなかったが、ベンサミアナタバコに存在する内因性C-4エピメラーゼの作用のため、UDP-α-D-キノボース(UDP-α-D-フコースのC-4エピマー)であると予想される。
遊離D-フコース単糖の浸潤によってUDP-α-D-フコースレベルがプランタにおいて上昇し得るという確認に続いて、次の実験は、UDP-α-D-フコースの増加がフコシル化トリテルペンのレベルを改善するかどうかを決定することを求めた。フコシル化QA-トリX生成物(QA-トリX-F)の産生に必要な遺伝子をベンサミアナタバコのアグロインフィルトレーションにより一過性に発現させた。50 mM D-フコースを浸潤緩衝液に含めて、UDP-α-D-フコース含有量を増強した。葉抽出物のLC-MS分析は、緩衝液のみのコントロールと比較して、50 mM D-フコースを浸潤させた葉におけるQA-トリX-F生成物の存在量の有意な増加を明らかにした(
図12)。したがって、これは、フコシル化サポニンQA-トリX-Fのより高い産生がUDP-α-D-フコースの存在量を増加させることによって達成され得ることを示す。
【0157】
パートB:非植物種由来のNDP-D-フコース生合成酵素の発現
サポニンの大規模産生のために、D-フコースのコストはこの糖の浸潤を不経済にする。したがって、内因性糖ヌクレオチドプールからのベンサミアナタバコにおけるD-フコースの産生を操作することが好ましい。他の生物からの例に基づくと、植物においてD-フコース生合成経路は知られていないが、NDP-D-フコースの生合成のための最も可能性の高い経路は、NDP-D-グルコースから出発する2段階のプロセスである。第1のステップは、NDP-D-グルコース4,6-デヒドラターゼによって触媒されるNDP-D-グルコースのNDP-4-ケト-6-デオキシグルコース中間体への変換を含む。第2のステップは、4-ケトレダクターゼ(FCD)によって触媒されるC-4ケト基のアキシャルヒドロキシル基への立体選択的還元による、NDP-4-ケト-6-デオキシグルコースからのNDP-D-フコースの形成である(図)。
【0158】
したがって、これらの2つの活性を実行し、ベンサミアナタバコにおけるフコシル化サポニンの収率に対するそれらの効果を決定することができる、以前に特徴付けられた酵素を同定し、一過性に発現させることを試みた。これらの2つのステップのうちの最初のステップはNDP-D-フコースおよびNDP-L-ラムノース生合成の両方に共通であり、したがって、4-ケト-6-デオキシグルコース中間体は、ベンサミアナタバコ中で生成されるべきである。しかしながら、4,6-デヒドラターゼは、高等植物において別個の酵素としては見出されず、むしろ、4,6-デヒドラターゼ、3,5-エピメラーゼおよび4-ケトレダクターゼが単一の酵素中に存在する、より大きいラムノースシンターゼ(RHM)の一部として見出される。したがって、UDP-D-グルコースからUDP-4-ケト-6-デオキシグルコースを産生することが知られているアカンソキスティス・ターファシア・クロレラウイルス1(ATCV-1)からUDP-D-グルコース4,6-デヒドラターゼを選択した。第2のFCDステップについて、唯一の公知の酵素は、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)、アノキシバチルス・テピダマンス(Anoxybacillus tepidamans)、大腸菌(Echerichia coli)およびストレプトマイセス・グリセオフラバス(Streptomyces griseoflavus)を含む、D-フコース産生細菌由来である。これらの細菌酵素は、植物において観察されるようなUDP糖よりもむしろdTDP糖を利用することが予想される。したがって、機能的酵素を同定する機会を増強するために、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス、アノキシバチルス・テピダマンスおよび大腸菌由来のFCD酵素(それぞれAaFCD、AtFCDおよびEcFCD)を一過性発現のために選択した。
【0159】
4つの酵素(ATCV-1と3つのFCD遺伝子)のそれぞれを、QA-トリX-F生成物の産生に必要な遺伝子セット(AstHMGR, QsbAS, QsCYP716-C-28 + QsCYP716-C-16α + QsCYP714-C-23 + QsCSL1 + Qs-3-O-GalT + Qs_0283870 + Qs-28-O-FucT)と並んでベンサミアナタバコで一過性に発現させた。コントロールと比較して各酵素はQA-トリX-F生成物にわずかなブーストを提供することができ、蓄積された量は50 mM D-フコースの浸潤によって生成された量に匹敵することを観察した(
図14)。これらの結果は、UDP-D-フコース生合成はベンサミアナタバコにおいて、細菌で同定されたものと類似の経路を介して進行する可能性があり、ATCV-1酵素またはFCD酵素はベンサミアナタバコにおける内因性代謝産物と作用してUDP-D-フコースのレベルを増強することができることを示唆する。最後に、ATCV-1酵素をAaFCDと共発現させて、生成物収率をさらに高めることができるかどうかを調べた。しかしながら、このアプローチは、いずれの酵素に対してもQA-トリX-F産生において個々にほとんど影響を及ぼさないようであった(
図15)。これらの結果は、UDP-D-グルコース4,6-デヒドラターゼ(ATCV-1)または細菌4-ケトレダクターゼ(FCD)の共発現によって、ベンサミアナタバコ中のフコシル化サポニンの含有量を増加させることが可能であること、およびさらなるD-フコースを含む必要がないことを実証する。
【0160】
パートC:シャボンノキからのフコース増強酵素の同定およびC-28グリコシドの精製。
D-フコースの同時浸潤またはNDP-D-フコース生合成酵素の共発現の両方がフコシル化生成物の産生を促進したが、非フコシル化前駆体(QA-トリ)の相対的変換は比較的不良なままであり(
図14A参照)、UDP-D-フコースが依然として制限的であり、D-フコース産生を調査するさらなる試みを促す可能性があることを示唆している。したがって、シャボンノキにおけるUDP-α-D-フコースの生合成の可能性を調べた。前述のBGCクラスター「50」は、C-16オキシダーゼ、QsCSL1遺伝子(GlcpAT)、Qs28-O-RhaTおよびQs-28-O-FucT、さらに機能不明のいくつかの遺伝子を含む、QS-21生合成に関連するいくつかの遺伝子を含む。これらの未知の遺伝子の中で、短鎖デヒドロゲナーゼ/レダクターゼスーパーファミリー(SDR)メンバーとしてアノテーションされたオキシドレダクターゼが存在することが見出された。QS-21に見られる様々なUDP糖の生合成に関与する既知の糖ヌクレオチド相互変換酵素(NSE)の大部分は、SDRスーパーファミリーのメンバーでもある。したがって、酵素をクローニングし、QA-トリR-F生成物(C-3三糖内にラムノースを有する変異体)の産生に必要な一連の遺伝子と共に、ベンサミアナタバコにおいて一過性に発現させた。クラスター化SDRの含有はQA-トリR-F生成物の量の顕著な増加をもたらし、SDRがフコシルトランスフェラーゼの活性を増強することができることを示唆した。したがって、SDRは、以降、QsFucSynと称する。QA-トリR-F生成物の大幅な増加を得るために、Qs-28-O-FucTおよびQsFucSyn酵素の両方を含める必要があった。
【0161】
次に、QA-トリR足場を用いて、C-28四糖鎖を段階的に合成して、化合物産生のためのQsFucSyn酵素の重要性を検証した。各場合において、生成物の存在量の比較は、QsFucSyn酵素がC-28グリコシル化生成物の含有量を高めるために重要であることを示した(
図18)。QsFucSyn酵素を用いて、末端キシロースまたはアピオースのいずれかを特徴とする完全なC-28グリコシドの産生を確認した(
図19)。
【0162】
最後に、アピオシル化生成物の収率を高めるためのQsAXS1酵素の重要性を再度確認した。QsAXS1酵素の存在下または非存在下でQA-トリR-FRXAの産生のための酵素を一過性発現させた。EIC分析により、少量のQA-トリR-FRXA生成物(MW = 1526.68)のみがQsAXS1の非存在下で検出され得、共溶出前駆体QA-トリR-FRX(MW = 1394.64)の大部分が11.6分で試料中に残存することが確認された(
図20)。対照的に、QsAXS1を含めると、QA-トリR-FRXA生成物が数倍増加し、11.6分で主要な生成物になった。
【0163】
C-28グリコシル化生成物の産生を増強するために必要な5つの糖トランスフェラーゼおよびキーとなるQsAXS1/QsFucSyn酵素の同定に続いて、NMR分析のために十分な量の各標的化合物(QA-トリR-F、QA-トリR-FR、QA-トリR-FRX、QA-トリR-FRXXおよびQA-トリR-FRXA)を精製するために、QA-トリR足場を用いたC-28四糖鎖の産生における各工程について、以前に記載されたように(Reed et al., 2017, Stephenson et al., 2018)、大規模な減圧浸潤を行った。
【0164】
NMR分析により、QA-トリR-Fの構造はキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-[β-D-フコピラノシル](
図26)であり;QA-トリR-FRはキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{α-L-ラムノピラノシル(1->2-)-β-D-フコピラノシル}(
図27)であり;QA-トリR-FRXはキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-[β-D-キシロピラノシル(1->4-)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシル}(
図28)であり;QA-トリR-FRXXはキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシル}(
図29)であり;かつQA-トリR-FRXAはキラ酸3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-アピオフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシル}であることを確認した(
図30)。
【0165】
パートD:ATCV-1の共発現によるQsFucSynの活性のさらなる増強
QsFucSyn酵素は、ケシ(poppy)由来のサルタリジンレダクターゼ(56%アミノ酸同一)、トウガラシ(Capsicum annuum)由来(57%同一)およびペパーミント(Mentha pipertia)由来のネオメントールデヒドロゲナーゼ(55%同一)ならびにシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来の2つのアルデヒドレダクターゼ(両方とも61%同一)を含む、他の種由来のいくつかの特徴付けられたSDR酵素に関連する。これらの酵素の基質は様々であるが、いずれの場合も、酵素がカルボニル基のアルコールへの還元を触媒することが分かる。UDP-D-グルコースからのUDP-D-フコースの提案される生合成における第2段階は、C-4位でのケト還元を含む(
図15)。QsFucSyn酵素は、QA骨格に付加されると、UDP-4-ケト-6-デオキシ-D-グルコース(UDP-L-ラムノース生合成の中間体として天然に生じる生成物)のC-4で立体選択的還元を行っている可能性がある。あるいは、QsFucSyn酵素は、UDP-4-ケト-6-デオキシ-D-グルコースのC-4での立体選択的還元を行って、UDP-D-フコースを形成し得る。この理由を考慮すると、ベンサミアナタバコ中のUDP-4-ケト-6-デオキシ-D-グルコースの利用可能性の増加は、QsFucSyn酵素の活性をさらに増強することが期待され得る。前述のATCV-1酵素はUDP D-グルコース4,6-デヒドラターゼ(UGD)であり、UDP-d-グルコースからUDP-4-ケト-6-デオキシ-D-グルコースを生成する(Parakkottil Chothi et al., 2010)。
【0166】
したがって、ATCV-1がQsFucSynの活性を増強し得るかどうかを試験するために、これらの2つの酵素を、QA-トリR-F生成物の産生に必要な酵素セットと一時的に共発現させた。QA-トリR-Fのレベルを葉抽出物中で測定し、この戦略の有効性を決定するために使用した。予想通り、ATCV-1およびQsFucSynの両方の組み合わせは、いずれかの戦略単独の発現より多く、QA-トリR-F生成物のレベルを増強した(
図21)。QA-トリR-F生成物の増加はQA-トリRのレベルの低下と同時に起こり、この増加はフコシル化の増加の直接的な結果であることを示唆した。これは、UDP-D-グルコース4,6-デヒドラターゼとQsFucSynとの共発現が、フコシル化サポニンの産生を増強するための有効な戦略であることを実証する。これは、ATCV-1(独立型4,6-デヒドラターゼ活性を有する)と類似の酵素を用いて達成することができた。あるいは、そのような酵素は、植物UDP-L-ラムノースシンターゼの切断によって生成され得る。これらの酵素は、通常、4,6-デヒドラターゼ、3,5-エピメラーゼおよび4-レダクターゼ活性を有する単一の大きな酵素によって実施される3段階反応において、UDP-D-グルコースをUDP-L-ラムノースに変換する。しかしながら、4,6-デヒドラターゼ活性は、RHMタンパク質のN末端によってコードされ、後の2つのステップから切り離すことができる。この例は、シロイヌナズナRHM2遺伝子の切断型変異体(AT1G53500、通常は667アミノ酸長)の使用によって見られる。N末端370アミノ酸を残すためのC末端からの297アミノ酸の除去は、UDP-D-グルコース4,6-デヒドラターゼ活性のみを有する機能性タンパク質をもたらす。この切断型変異体は、ATCV-1と60%同一である。したがって、切断型RHM遺伝子の使用は、ATCV-1の実行可能な代替物であり得る。
【0167】
パートE:FucSyn相同体の同定
QsFucSynの特異性を調べるために、他の相同体を調べた。まず、シャボンノキゲノムの分析は、アミノ酸レベルで52~91%同一の範囲の15の相同体を明らかにした。トランスクリプトーム解析はこれらのほとんどが非常に低いFPKM発現値を有することを明らかにし、酵素は偽遺伝子であり得ることを示唆した。しかしながら、いくつかは、異なる組織において様々な程度で発現されるようであった。その結果、2つのそのような候補をクローニングして、それらのFucSyn様活性を調べた。これらはQsFucSyn-Like(QsFSL)と命名される。QsFucSyn-Likeは、候補がQsFucSynとアミノ酸レベルで52~91%の同一性を有することを意味する。1つ目(QsFSL-1)はアミノ酸レベルでFucSynと82%同一であり、2つ目(QsFSL-2)は54%同一であった。次に、ソープワート(soapwort)として口語的に知られているサボンソウ(Saponaria officinalis)および無関係のナデシコ(Caryophyllaceae)科ファミリーノメンバーにおけるQsFucSyn-Likeタンパク質を調べた。サボンソウ(S. officinalis)はD-フコシル化サポニンを産生することが知られており、したがって、QsFucSynの相同体がこの植物において同定された(SoFSL-1と命名された)。それぞれの植物由来のcDNAからすべての遺伝子をPCRによって増幅し、pEAQ-HT-DEST1にクローニングし、ベンサミアナタバコにおける一過性発現のためにアグロバクテリウム・ツメファシエンス(A. tumefaciens)に形質転換した。QA-トリR-F生成物の製造のための遺伝子セットを一過性に共発現させた。さらに、種々のFSLも共発現させ、LC-CADを用いてQA-トリR-F産生に対する影響を測定した(
図22)。
【0168】
分析により、試験したFSL遺伝子の全てが、陰性コントロールと比較してフコシル化生成物の少なくとも2倍の増加をもたらしたが、元のQsFucSynが最も強い増加をもたらすことを明らかにした。これは、QsFucSynと相同性を有するタンパク質がフコシル化を増強するための有用なツールでもあり得るという強力な証拠を提供する。QsFucSyn、QsFSL-1、QsFSL-2およびSoFSL-1の系統解析から、これらのタンパク質はSDR114Cファミリーの一部を形成する可能性が高いことが示された(
図23)。
【0169】
次に、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)におけるQsFucSyn-Likeタンパク質を調べた。SOAP6は、D-フコシルトランスフェラーゼであり、ホウレンソウにおけるサポニン(yossoside)生合成に関与する。SOAP6は、メジカゲン酸-3-O-GlcAのC-28D-フコシル化を触媒して、生成物「Yossoside I」を形成する(Jozwiak,2020)(
図24)。SOAP6の機能はベンサミアナタバコにおいて一過的に発現された場合に損なわれるかもしれず、その結果、Yossoside Iの蓄積が制限される可能性があることが注目されている。これは、必要な糖ヌクレオチド前駆体(すなわちUDP D-フコース)のアベイラビリティが制限されているためであり得る。
【0170】
Yossoside遺伝子は、初期経路遺伝子(SOAP1、SOAP2およびCYP716A268v2)をベイトとして使用する共発現解析を実施することによって、既知のYossoside経路酵素の強い共発現および発見が可能になったことを示す(Jozwiak, 2020)。この共発現解析のアウトプットは、ホウレンソウ由来の1000を超える遺伝子を含む(Jozwiak, 2020)。元の研究はD-フコース生合成に関与するFucSyn-like酵素を同定しなかったが、QsFucSynに関連するSDRの存在について共発現データを分析した。このデータセットにおいて、SOAP1およびCYP716A268v2に対して0.9を超える共発現値を有する単一の例が見出された。この酵素は、本明細書においてホウレンソウFucSyn-like(SpolFSL)と命名される。
【0171】
SpolFSLはPCRによりホウレンソウからクローニングされ、Yossoside Iの産生に必要なYossoside経路由来のいくつかの他の遺伝子と共にクローニングされた。Yossoside生合成の初期段階はβアミリンシンターゼ(SOAP1)およびC-28オキシダーゼ(SOAP2/CYP716A268)を含む(
図24)。これらのステップはキラヤサポニン生合成と共有されるため、C-2βオキシダーゼ(SOAP3/CYP72A655)、C-23オキシダーゼ(SOAP4/CYP72A654)、C-3グルクロノシルトランスフェラーゼ(SOAP5)およびC-28D-フコシルトランスフェラーゼ(SOAP6)を含むYossoside特異的酵素のみがクローニングされた。これらのYossoside遺伝子を、ベンサミアナタバコにおいてシャボンノキβ-アミリンシンターゼ(QsbAS)およびC-28オキシダーゼ(QsCYP716-C-28)と一過性に共発現させた。続いて、LC-MSによる分析により、ベンサミアナタバコ中でYossoside Iが検出され、その存在はSOAP6の存在に依存することが確認された(
図24)。さらに、SpolFSLを含めると、Yossoside I生成物が大幅に増加し(
図24)、SpolFSLはQsFucSyn酵素と同様にD-フコシル化に関与し得ることが示された。同様に、QsFucSynを含めると、Yossoside Iが増加した。
【0172】
SpolFSL酵素がYossoside I生成物をブーストすることができることを実証した後、非ホウレンソウD-フコシル化生成物をブーストするSpolFSLの能力を調べた。QA-トリR-Fを生産するのに必要な酵素を、ベンサミアナタバコ中で一過性に発現させた。SpolFSL酵素の共発現はQA-トリR-F酵素のみの(すなわちFSLなしの)コントロールと比較して、QA-トリR-Fの量を実質的に増加させることが見出された。QA-トリR-Fの増強されたレベルは、シャボンノキFucSyn(QsFucSyn)、FucSyn-like 1(QsFSL-1)およびFucSyn-like 2(QsFSL-2)酵素およびシャボンノキFucSyn-like(SoFSL)を含む、異なる種の多くの他のFucSyn様酵素で達成された増強に匹敵した(
図25)。ペアワイズアイデンティティ(タンパク質)を
図25に示す。これらの結果は、植物界を横切るFucSyn-likeタンパク質のD-フコシル化生成物のレベルを高める能力を示す。
【0173】
材料および方法
プライマーおよびクローニング
本明細書に記載の酵素(Qs-28-O-FucT、Qs-28-O-RhaT、Qs-28-O-XylT3、Qs-28-O-XylT4、Qs-28-O-ApiT4、QsFucSyn、QsFSL-1、QsFSL-2、SoFSL-1およびQsAXS1)をコードする遺伝子を、シャボンノキの葉組織に由来するcDNAからPCRによって増幅した。表1に詳述されたプライマーおよび製造業者の推奨に従ってサーマルサイクリングを伴うiProofポリメラーゼを用いてPCRを行った。得られたPCR産物を精製し(Qiagen PCR cleanup kit)、製造業者の説明書に従ってBPクロナーゼを用いてそれぞれpDONR207ベクターにクローニングした。BP反応物を大腸菌に形質転換し、得られた形質転換体を培養し、ミニプレップ(Qiagen)によってプラスミドを単離した。単離されたプラスミドをシークエンスし(Eurofins)、正しい遺伝子の存在を検証した。次に、LRクロナーゼを用いて、3つの遺伝子のそれぞれをpEAQ-HT-DEST1発現ベクターにさらにサブクローニングした。得られたベクターを用いて、アグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404を液体N2で凍結させて形質転換した。
【0174】
【0175】
表1:配列をクローニングするために使用したプライマー。遺伝子特異的配列をブラックで示し、一方、Gateway(登録商標)クローニングに必要なattB部位をグレーで示す。
【0176】
ベンサミアナタバコ葉のアグロインフィルトレーションは、以前に説明されたように(Reed et al., 2017)、無針注射器を用いて実施した。全ての遺伝子は、上記の通り、アグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404においてpEAQ-HT-DEST1バイナリー発現ベクター(Sainsbury et al., 2009)から発現された。細菌および植物の培養は、Reed et al., 2017に記載される通りである。
【0177】
LC-MS分析のためのベンサミアナタバコ葉抽出物の調製
浸潤5日後に葉を収穫し、凍結乾燥した。乾燥した葉材料(サンプル当たり10 mg)を、タングステンビーズを用いて1000rpmで1分間破壊した(Geno/Grinder 2010, Spex SamplePrep)。20 μg/mLの内部標準(ジギトキシン(Sigma-Aldrich))を含有する550 μLの80%メタノール中で代謝物を抽出し、1400 rpm(Thermomixer Comfort, Eppendorf)で振盪しながら、18℃で20分間インキュベートした。各サンプルを400 μLのヘキサンで2回分配することによって脱脂した。上相を廃棄し、下相の水相を真空下、40℃で1時間乾燥させた(EZ-2 Series Evaporator, Genevac)。乾燥材料を75 μLの100%メタノールに再懸濁し、12,500x gで30秒間濾過した(0.2 μm、Spin-X、Costar)。濾液(50 μL)をガラスバイアル中で50 μLの50%メタノールと合わせ、以下に詳述するように分析した。
【0178】
ベンサミアナタバコ葉抽出物のHPLC-CAD-MS分析
シングル四重極質量分析計LCMS-2020(Shimadzu)およびCorona Veo RS Charged Aerosol Detector(CAD)(Dionex)を有するShimadzu Prominence HPLCシステムを用いて分析を行った。検出:MS(デュアルESI/APCIイオン化、脱溶媒系温度 = 250℃、噴霧ガス流量 = 15L.min-1、ヒートブロック温度 = 400℃、噴霧電圧 正4.5 kV、負-3.5 kV)CADデータ収集速度10Hz、フィルター定数3.6s、925蒸発器温度。35℃、イオントラップ電圧20.5 V。方法:溶媒A:[H2O + 0.1%ギ酸]溶媒B:[アセトニトリル(CH3CN)+0.1%ギ酸。注入容量:10 μL。グラジエント:15%[B]0~1.5分、15%~60%[B]1.5~26分、60%~100%[B]26~26.5分、100%[B]26.5~28.5分、100%~15%[B]28.5~29分、35%[B]29~30分。流量0.3 mL.min-1およびKinetexカラム2.6 μm XB-C18 100Å、50x 2.1 mm(Phenomenex)を用いてこの方法を行った。分析は、LabSolutionsソフトウェア(Shimadzu)を用いて行った。QA-トリRおよびQA-トリR-F生成物の定量を行った場合、生成物のピーク面積をCADトレースで測定し、内部標準(ジギトキシン)のピーク面積で割った。
【0179】
ベンサミアナタバコの大規模真空浸潤
以前に説明されたように(Reed et al., 2017, Stephenson et al., 2018)、表2に詳述されるような関連遺伝子を保有するpEAQ-HT-DEST1発現ベクターを保有するアグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404株で植物を真空浸潤させた。5日後に植物を収穫し、葉を凍結乾燥した。
【0180】
ベンサミアナタバコの大規模浸潤からの化合物の精製
抽出およびフラッシュクロマトグラフィーに使用される有機溶媒は試薬グレードであり、さらなる蒸留なしで直接使用された。最初に、大規模浸潤からの乾燥葉材料を脱脂のためヘキサンで抽出し、続いてメタノール/水(QA-トリR-FおよびQA-トリR-FRについては90/10、QA-トリR-FRX、QA-トリR-FRXXおよびQA-トリR-FRXAについては80/20)を用いて、95℃で2日間灌流下で徹底的に抽出した。粗メタノール抽出物を合わせ、減圧下で蒸発させ、最少量のメタノールに再溶解し、等容量の水で希釈し、次いで、ヘキサン、ジクロロメタン、酢酸エチルおよびn-ブタノールに対して分液漏斗を用いて分配した。ブタノール相を再回収し、減圧下で蒸発させ、最少量のメタノールに再溶解し、冷アセトンで飽和させて、濃縮サポニン粗画分を沈殿させた。この画分を、Phenomenex Luna C18カラム(250x 21.2および250x 10 mm i.d.;5 μm;それぞれ、分取および半分取クロマトグラフィー)を用いて、0.1%のギ酸を含む水/アセトニトリルの溶出系を用いて、以下の化合物特異的条件で、分取クロマトグラフィー精製に供した:QA-トリR-Fについては、Agilent半分取C18-HPLC[(グラジエント、90/10→30/70、35分超、3 mL/分)、(アイソクラティック、60:40、1 mL/分)]; QA-トリR-FRおよびQA-トリR-FRXについては、グラジエントが50分にわたって90/10→30/70であったことを除いて、QA-トリR-Fについてはこの画分を分離した;QA-トリR-FRXXについては、90/10→30/70のグラジエントを有するAgilent分取C18-HPLCでこの分画を分離し;かつQA-トリR-FRXAについては、この画分を、90/10→30/70、17分、25mL/分、およびアイソクラティック60/40、30分、2mL/分のグラジエントを有する分取および半分取C18 -HPLCで分離した。各単離化合物の乾燥葉重量および精製量を表2に詳述する。
【0181】
NMR分析
BBFO Plus SmartプローブおよびトリプルレゾナンスTCIクライオプローブを備えたBruker Avance 600MHz分光計(JIC、英国)で、1Dおよび2D NMRスペクトルをそれぞれ記録した。化学シフトは、残留シグナル溶媒(MeOH-d4:δH 3.31;δC 49.15)に対するものである。
【0182】
【0183】
表2:大規模真空浸潤に使用した株、浸潤した植物の数、乾燥葉重量および各化合物について精製した生成物の量。
【0184】
UDP-α-D-フコース標準の合成
UDP-α-D-フコース標準の調製は、以前に説明されたように(Errey et al., 2004)、1-pot酵素手順を用いて行った。簡潔には、UTP(2 mg/mL)、ATP(0.1 mg/mL)、PEP(1.4 mg/mL)、UDP-α-D-グルコース(0.1 mg/mL)およびD-フコース(1 mg/mL)を含む緩衝液(50 mM HEPES、pH 8.0、5 mM KCl、10 mM MgCl2)中に、ピルビン酸キナーゼ(50 U)、無機ホスファターゼ(5 U)、ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(75 U)、グルコース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(5 U)およびガラクトースキナーゼ(100 U)を混合した。反応物(総量1 mL)を室温で一晩放置した。翌日、以下に詳述するように、HPLCによってUDP-α-D-フコースの精製を行った。
サンプルをメタノールで1:1に希釈し、Poros HQ 50カラム(50×10 mm、カラム容量(CV) = 3.9 mL)に適用した。5 CVの5 mM NH4HCO3緩衝液を用いて、8 ml/分の流速で、カラムを平衡化した。サンプルの注入に続いて、直線濃度グラジエントを以下のようにラン(8 mL/分)した:溶媒A[5mM NH4HCO3]、溶媒B[250 mM NH4HCO3]、グラジエント:15 CVにわたって0%[B]~100%[B]、および5 CVの間保持した。カラムを100%[B]で平衡化し、各ランの間にさらに3 CVを得た。UDP-α-D-フコースの検出は、265 nmでの吸収をモニターすることによって行った。
UDP-α-D-フコースの同一性は高分解能質量分析および1H NMRによって確認され、文献(Errey et al., 2004)に従うことが見出された。
【0185】
ベンサミアナタバコ葉からの糖ヌクレオチド抽出
ベンサミアナタバコ植物(およそ6週齢)の葉に、50 mM D-フコース(Glycon Biochemicals)溶液または水を浸潤させた。2日間後、浸潤した葉を収穫し、2 gの葉材料を液体N2で急速凍結した。葉に2 μgの内標準物質(UDP-2-アセトアミド-2-デオキシ-α-D-グルクロン酸(UDP-GlcNAcA))を加え、乳棒および乳鉢を用いて微粉末に粉砕した。フッ化ナトリウム溶液(10 mL 40 mM)を添加し、断続的振盪/ボルテックスおよび3サイクルの超音波処理(各60秒、4℃)を行いながら、サンプルを氷上で1時間インキュベートした。サンプルを29,000x gで20分間4℃で遠心分離し、上清をガラス丸底フラスコに移し、凍結し、一晩凍結乾燥した。翌日、サンプルを9%ブタン-1-オール水溶液(6 mL)に溶解し、90%ブタン-1-オール(2 mL)で抽出した。サンプルを4℃、2000x gで10分間遠心分離し、各回、上部有機相を廃棄した。親油性化合物を完全に除去するために、抽出を3回繰り返した。下相の水相を合わせ、ナシ形フラスコに移し、凍結し、一晩凍結乾燥した。乾燥したサンプルを500 μLの重炭酸アンモニウム(5 mM)に溶解し、以前に説明されているように(Raebinae et al., 2001)、固相抽出(SPE)(SupelClean ENVI-Carb SPEチューブ、250 mg)を用いて糖ヌクレオチドを抽出した。
簡単には、80%アセトニトリルおよび0.1%トリフルオロ酢酸(3 mL)、続いて水(2 mL)の溶液でカラムをコンディショニングした。サンプルをカラムにロードして糖ヌクレオチドを吸着させ、水(2 mL)、続いて25%アセトニトリル(2 mL)および50 mM酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)緩衝液pH 7.0(2 mL)でカラムを洗浄した。最後に、50 mM TEAA緩衝液、pH 7.0(1.5 mL)中の25%アセトニトリル溶液で糖ヌクレオチドを溶出した。サンプルを、0.45 μmのPTFEディスクフィルターを通して濾過し、凍結し、凍結乾燥した。以下に詳述するように、LC-MSによる分析の前に、0.3%ギ酸(pH 9.0)とNH4OH(50 μL、5 mM)の溶液にサンプルを溶解した。糖ヌクレオチドの標準を10 μMの濃度で使用した。
【0186】
ベンサミアナタバコ葉抽出物の糖ヌクレオチドプロファイリング。
糖ヌクレオチドの分析は、Rejzek et al., 2017に詳述されているように実施した。簡潔には、負イオンモード(キャピラリー電圧1.5 kV、500℃脱溶媒温度、1000 L/h脱溶媒ガス、150 L/hコーンガス、および7barネブライザー圧力)でWaters Xevo TQ-Sシステムを用いてESI-MS/MS分析を行った。ThermoFisher HypercarbTMカラム(1×100 mm、粒径3 μm)を用い、流量80 μL/分および次の移動相を用いてクロマトグラフィーを行った:溶媒A[0.3%ギ酸、NH4OH、pH 9.0]、溶媒B[アセトニトリル]。グラジエント:2%[B]~15%[B]0~20分、15%[B]~50%[B]20~26分、50%[B]~90%[B]26~27分、90%[B]30分まで保持。90%[B]から2%[B]まで30~31分でカラムを再平衡化し、2%[B]で50分まで保持した。
【0187】
ホウレンソウ遺伝子のプライマーとクローニング
ホウレンソウの種子はlocal garden centre(Norwich, UK)から購入し、育苗培養土に播種し、22℃で発芽させた。葉を約2週齢で収穫し、Plant RNeasyキット(Qiagen)を用いてRNAを抽出し、cDNAの合成に使用した。表3に詳述されるプライマーを用いて、yossoside生合成遺伝子SOAP3-6およびSpolFSLのクローニングを行った。遺伝子をバイナリー発現ベクターpEAQ-HT-DEST1にクローニングし、「プライマーおよびクローニング」および「ベンサミアナタバコ葉のアグロインフィルトレーション」の項に記載されるように、アグロバクテリウム・ツメファシエンスLBA4404に形質転換した。「ベンサミアナタバコ葉抽出物のHPLC-CAD-MS」の項に詳述されるように、一過性発現およびLC-MS/CAD分析を行った。CADにより目的の化合物のピーク面積を測定し、内部標準(ジギトキシン1.1 mg/g/乾燥葉重量)のピークで割ることにより、ピークを定量した。次いで、全ての反復(n = 3)から調整されたピーク面積を平均した。対のパーセンテージ配列同一性を、Clustal Omega(v1.2.4)を用いて計算した。
【0188】
【0189】
表3:ホウレンソウ遺伝子をクローニングするために使用したプライマー。遺伝子特異的配列をブラックで示し、一方、Gateway(登録商標)クローニングに必要なattB部位をグレーで示す。
【0190】
略語
AaFCD:アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスNDP-4-ケト-6-デオキシグルコース4-ケトレダクターゼ
Apif:D-アピオフラノース
Araf:L-アラビノフラノース
AstHMGR:アウェナストリゴサ短縮型3-ヒドロキシ-3-メチル-グルチリル-CoAレダクターゼ
ATCV-1:アカンソキスティス・ターファシア・クロレラウイルス1UDP-D-グルコース 4,6-デヒドラターゼ
AtFCD:アノキシバチルス・テピダマンスNDP-4-ケト-6-デオキシグルコース4-ケトレダクターゼ
DN20529_c0_g2_i8:シャボンノキQA-ジα-1,3-L-ラムノシルトランスフェラーゼ
EcFCD:大腸菌NDP-4-ケト-6-デオキシグルコース4-ケトレダクターゼ
FR:β-D-フコースおよびα-L-ラムノースの二糖
FRX:β-D-フコース、α-L-ラムノースおよびβ-D-キシロースの三糖
FRXX:β-D-フコース、α-L-ラムノース、および2つのβ-D-キシロースの四糖
FRXA:β-D-フコース、α-L-ラムノース、β-D-キシロースおよびβ-D-アピオースの四糖
FRXX/A:FRXXまたはFRXAである四糖。
Fucp:D-フコピラノース
FucSyn:フコシル化サポニンの産生をブーストさせる酵素
FSL:FucSyn-Like
Galp:D-ガラクトピラノース
GlcpA:D-グルコピラヌロン酸
Glcp:D-グルコピラノース
Gyp:ギプソゲン酸
Gyp-トリX-G:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-グルコピラノシル}-ギプソゲン酸
Gyp-トリX-GR:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{α-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-グルコピラノシルエステル}-ギプソゲン酸
Gyp-トリX-GRX:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル(1->4-)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-グルコピラノシルエステル}-ギプソゲン酸
NSE:糖ヌクレオチド相互変換酵素
OS:2,3-オキシドスクアレン
OSC:オキシドスクアレンシクラーゼ
QA:キラ酸
QA誘導体
QA-ジ:3-O-{β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-キラ酸
QA-ジ-F:3-O-{β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-ジ-FR:3-O-{β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{α-L-ラムノピラノシル(1->2-)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-ジ-FRX:3-O-{β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル(1->4-)-α-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-ジ-FRXA:3-O-{β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-アピオフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-ジ-FRXX:3-O-{β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-モノ:3-O-{β-D-グルコピラノシドウロン酸}-キラ酸
QA-モノ-F:3-O-{β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-モノ-FR:3-O-{β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{α=ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-モノ-FRX:3-O-{β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-モノ-FRXA:3-O-{β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-アピオフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-モノ-FRXX:3-O-{β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシル}-キラ酸
QA-トリR:3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-キラ酸
QA-トリR-F:3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリR-FR:3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{α-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリR-FRX:3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル(1->4-)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリR-FRXA:3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-アピオフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリR-FRXX:3-O-{α-L-ラムノピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリX:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-キラ酸
QA-トリX-F:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリX-FR:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{α-L-ラムノピラノシル(1->2-)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリX-FRX:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル(1->4-)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリX-FRXA:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-アピオフラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリX-FRXX:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-β-D-キシロピラノシル-(1->4)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-フコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリX-G:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-グルコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリX-GR:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{α-L-ラムノピラノシル(1->2-)-β-D-グルコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリX-GRX:3-O-{β-D-キシロピラノシル-(1->3)-[β-D-ガラクトピラノシル-(1->2)]-β-D-グルコピラノシドウロン酸}-28-O-{β-D-キシロピラノシル(1->4-)-α-L-ラムノピラノシル-(1->2)-β-D-グルコピラノシルエステル}-キラ酸
QA-トリ(X/R):QA-トリXまたはQA-トリRのいずれかである分岐三糖にてC-3位でグリコシル化されたQA
QA-トリ(X/R)-F:QA-トリX-FまたはQA-トリR-Fのいずれかである、C-28位およびC-3位でグリコシル化されたQA
QA-トリ(X/R)-FR:QA-トリX-FRまたはQA-トリR-FRのいずれかである、C-28位およびC-3位でグリコシル化されたQA
QA-トリ(X/R)-FRX:QA-トリX-FRXまたはQA-トリR-FRXのいずれかである、C-28位およびC-3位でグリコシル化されたQA
QA-トリ(X/R)-FRXA:QA-QA-トリX-FRXAまたはQA-トリR-FRXAのいずれかである、C-28位およびC-3位でグリコシル化されたQA
QA-トリ(X/R)-FRXX:QA-トリX-FRXXまたはQA-トリR-FRXXのいずれかである、C-28位およびC-3位でグリコシル化されたQA
QA-トリ(X/R)-FRX(X/A):QA-トリX-FRXX、QA-トリX-FRXA、QA-トリR-FRXXまたはQA-トリR-FRXAのいずれかである、C-28位およびC-3位でグリコシル化されたQA
QA-F:C-28位でモノグリコシル化されたQA。
QA-FR:C-28位でジグリコシル化されたQA。
QA-FRX:C-28位でトリグリコシル化されたQA。
QA-FRXA:C-28位でテトラグリコシル化されたQA。
QA-FRXX:C-28位でテトラグリコシル化されたQA。
QA-FRX(X/A):QA-FRXXまたはQA-FRXAのいずれかである、C-28位でグリコシル化されたQA。
Qs_0283850:シャボンノキQA-ジα-1,3-L-ラムノシルトランスフェラーゼ
Qs_0283870:シャボンノキQA-ジβ-1,3-D-キシロシルトランスフェラーゼ
Qs-28-O-ApiT4:キラ酸28-O-フコシド [1,2]-ラムノシド [1,4] キシロシド [1,3] アピオシルトランスフェラーゼ
Qs-28-O-FucT:キラ酸28-O-フコシルトランスフェラーゼ
Qs-28-O-RhaT:キラ酸28-O-フコシド [1,2]-ラムノシルトランスフェラーゼ
Qs-28-O-XylT3:キラ酸28-O-フコシド [1,2]-ラムノシド [1,4] キシロシルトランスフェラーゼ
Qs-28-O-XylT4:キラ酸28-O-フコシド[1,2]-ラムノシド [1,4] キシロシド [1,3] キシロシルトランスフェラーゼ
Qs-3-O-GalT:シャボンノキQA-モノβ-1,2-D-ガラクトシルトランスフェラーゼ
Qs-3-O-RhaT:シャボンノキQA-ジα-1,3-L-ラムノシルトランスフェラーゼ
Qs-3-O-RhaT/XylT:シャボンノキQA-ジ デュアルβ-1,3-D-キシロシルトランスフェラーゼ/α-1,3-L-ラムノシルトランスフェラーゼ
Qs-3-O-XylT:シャボンノキQA-ジβ-1,3-D-キシロシルトランスフェラーゼ
QsAXS1:UDP-D-アピオース/UDP-D-キシロースシンターゼ
QsbAS:シャボンノキβアミリンシンターゼ
QsCSL1:シャボンノキセルロースシンターゼ様酵素(キラ酸3-O-グルクロノシルトランスフェラーゼ)
QsCslG2:シャボンノキセルロースシンターゼ様酵素(キラ酸3-O-グルクロノシルトランスフェラーゼ)
QsCYP716-C-28:シャボンノキキラ酸C-28オキシダーゼ
QsCYP716-C-16α:シャボンノキキラ酸C-16αオキシダーゼ
QsCYP714-C-23:シャボンノキキラ酸C-23オキシダーゼ
QsFSL-1:フコシル化サポニンの産生をブーストさせるシャボンノキ由来の酵素
QsFSL-2:フコシル化サポニンの産生をブーストさせるシャボンノキ由来の酵素
QsFucSyn:フコシル化サポニンの産生をブーストさせるシャボンノキ由来の酵素
QsUGT_A6:Qs-28-O-RhaTと同義
QsUGT_A7:Qs-28-O-XylT3と同義
QsUGT_D2:Qs-28-O-ApiT4と同義
QsUGT_D3:Qs-28-O-XylT4と同義
QsUGT_L2:Qs-28-O-FucTと同義
Rhap:L-ラムノピラノース
RHM:ラムノースシンターゼ
SDR:短鎖デヒドロゲナーゼ/レダクターゼスーパーファミリー
SOAP3:ホウレンソウメジカゲン酸C-2βオキシダーゼ。CYP72A255としても知られる。
SOAP4:ホウレンソウメジカゲン酸C-23オキシダーゼ。CYP72A654としても知られる。
SOAP5:ホウレンソウメジカゲン酸3-O-グルコシルトランスフェラーゼ
SOAP6:ホウレンソウメジカゲン酸-3-O-GlcA C-28 D-フコシルトランスフェラーゼ(UGT74BB2としても知られる)
SoFSL-1:フコシル化サポニンの産生をブーストさせるサボンソウ由来の酵素
SpolFSL:ホウレンソウFucSyn-like酵素
tHMGR:アウェナストリゴサ(diploid oat)短縮型3-ヒドロキシ、3-メチルブチリル-CoAレダクターゼ
UDP-糖:ウリジン二リン酸糖
UGT:UDP依存性グリコシルトランスフェラーゼ
Xylp:D-キシロピラノース
【0191】
参考文献
Arias MA et al. (2012) Glucopyranosyl Lipid Adjuvant (GLA), a Synthetic TLR4 Agonist, Promotes Potent Systemic and Mucosal Responses to Intranasal Immunization with HIVgp140.PLoS ONE 7(7): e41144. doi:10.1371/journal.pone.0041144.
Coler RN et al. (2011) Development and Characterization of Synthetic Glucopyranosyl Lipid Adjuvant System as a Vaccine Adjuvant.PLoS ONE 6(1): e16333. doi:10.1371/journal.pone.0016333
de Costa F, Barber CJS, Kim YB, Reed DW, Zhang H, Fett-Neto AG, Covello PS. 2017. Molecular cloning of an ester-forming triterpenoid: UDP-glucose 28-O-glucosyltransferase involved in saponin biosynthesis from the medicinal plant Centella asiatica.Plant Sci 262: 9-17.
Errey JC, Mukhopadhyay B, Kartha KP, Field RA. 2004.Flexible enzymatic and chemo-enzymatic approaches to a broad range of uridine-diphospho-sugars.Chem Commun (Camb)(23): 2706-2707.
Faust T, Theurer C, Eger K, Kreis W. 1994. Synthesis of Uridine 5′-(α-D-Fucopyranosyl Diphosphate) and (Digitoxigenin-3β-yl)-β-D-Fucopyranoside and Enzymatic β-D-Fucosylation of Cardenolide Aglycones in Digitalis lanata1.Bioorganic Chemistry 22(2): 140-149.
Jozwiak, A., Sonawane, P., Panda, S., Garagounis, C., Papadopoulou, K. K., Abebie, B., Massalha, H., Almekias-Siegl, E., Scherg, T., Aharoni, A. 2020 Plant terpenoid metabolism co-opts a component of the cell wall biosynthesis machinery.Nat Chem Biol, 16(7): 740-748.
Kautsar SA, Suarez Duran HG, Blin K, Osbourn A, Medema MH. 2017. plantiSMASH: automated identification, annotation and expression analysis of plant biosynthetic gene clusters.Nucleic Acids Res
Kensil, C. R., Patel, U., Lennick, Marciani D. 1991, Separation and characterization of saponins with adjuvant actibity from Quillaja saponaria Molina cortex, J. Immunol, 146 (2) 431-437
Kumar S, Stecher G, Tamura K. 2016.MEGA7: Molecular Evolutionary Genetics Analysis Version 7.0 for Bigger Datasets.Mol Biol Evol 33(7): 1870-1874.
Parakkottil Chothi M, Duncan GA, Armirotti A, Abergel C, Gurnon JR, Van Etten JL, Bernardi C, Damonte G, Tonetti M. 2010.Identification of an L-Rhamnose Synthetic Pathway in Two Nucleocytoplasmic Large DNA Viruses.Journal of Virology 84(17): 8829-8838.
Raebinae J, Maeki M, Savilahti EM, Jaervinen N, Penttilae L, Renkonen R. 2001.Analysis of nucleotide sugars from cell lysates by ion-pair solid-phase extraction and reversed-phase high-performance liquid chromatography.lycoconjugate Journal 18(10): 799-805.
Ragupathi G, Gardner J, Livingston P, Gin D 2011 Natural and Synthetis saponin adjuvant QS-21 for vaccines against cancer.Expert Rev.accines, 10(4) 463-470.
Reed J, Stephenson MJ, Miettinen K, Brouwer B, Leveau A, Brett P, Goss RJM, Goossens A, O'Connell MA, Osbourn A. 2017.A translational synthetic biology platform for rapid access to gram-scale quantities of novel drug-like molecules.Metab Eng 42: 185-193.
Rejzek M, Hill L, Hems ES, Kuhaudomlarp S, Wagstaff BA, Field RA. 2017. Profiling of Sugar Nucleotides.Enzymol 597: 209-238
Ross, J., Li, Y., Lim, E.K., Bowles, D.J., 2001.Higher plant glycosyltransferases.Genome Biol. 2, 1-6. https://doi.org/10.1186/gb-2001-2-2-reviews3004
Sainsbury F, Thuenemann EC, Lomonossoff GP. 2009. pEAQ: versatile expression vectors for easy and quick transient expression of heterologous proteins in plants.Plant Biotechnol J 7(7): 682-693.
Saitou N, Nei M. 1987.The neighbor-joining method: a new method for reconstructing phylogenetic trees.Mol Biol Evol 4(4): 406-425.
Sasaki N, Nishizaki Y, Ozeki Y, Miyahara T. 2014.The role of acyl-glucose in anthocyanin modifications.Molecules 19(11): 18747-18766.
Stephenson M. J. et al., 2018, Transient Expression in Nicotiana Benthamiana Leaves for Triterpene Production at a Preparative Scale.Journal of visualized experiments: JoVE, (138), p.58169.
Wang P., et al., 2005, Synthesis of the potent immunostimulatory adjuvant QS-21A., J AM Chem Soc, 127(10) pp 3256-3257
【配列表】
【国際調査報告】