(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】移植拒絶反応に抵抗する細胞及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20231226BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20231226BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20231226BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20231226BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20231226BHJP
A61K 35/15 20150101ALI20231226BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20231226BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20231226BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20231226BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20231226BHJP
C07K 14/725 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N5/078
A61K35/12
A61K35/17 Z
A61K35/15 Z
A61K35/545
C07K19/00
C07K14/705
C07K16/18
C07K14/725
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577705
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 CN2020098930
(87)【国際公開番号】W WO2020259707
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】201910809425.X
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522072507
【氏名又は名称】クレージュ メディカル カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CRAGE MEDICAL CO.,LIMITED
【住所又は居所原語表記】Flat/RM A 12/F,ZJ 300,300 Lock hart Road,Wan Chai,Hong Kong,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 宗海
(72)【発明者】
【氏名】廖 朝暉
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4C087AA01
4C087BB37
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB07
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
移植免疫拒絶に抵抗する細胞に関する。前記細胞は、宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができる第1のタンパク質を発現する。好ましくは、前記細胞は、宿主の免疫エフェクター細胞に対して阻害または殺傷機能を有する。また、移植免疫拒絶を予防または調節するための方法、および外因性細胞に対するNK細胞の攻撃を予防または調節するための方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができる第1のタンパク質を発現し、好ましくは、宿主の免疫エフェクター細胞に対して阻害または殺傷機能を有することを特徴とする、移植免疫拒絶に抵抗する細胞。
【請求項2】
前記細胞が免疫エフェクター細胞または免疫エフェクター細胞の機能を有する人工的に改変された細胞であることを特徴とする、請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
前記細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、CIK細胞、および幹細胞に由来する免疫エフェクター細胞から選択され、
好ましくは、前記細胞はT細胞であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質はキメラ受容体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の細胞。
【請求項4】
前記細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、好ましくは、前記第2のタンパク質はキメラ受容体またはT細胞受容体であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項5】
前記細胞がMHCを発現しないか、または前記細胞によって内因的に発現されるMHC遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記MHC遺伝子が、MHCクラスI分子の遺伝子であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項6】
前記細胞がHLAを発現しないか、または前記細胞よって内因的に発現されるHLA遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記HLAが、HLA-I遺伝子であることを特徴とする、請求項5に記載の細胞。
【請求項7】
前記移植免疫拒絶に抵抗することは、宿主のNK細胞からの攻撃に抵抗することか、または前記第1のタンパク質が宿主のNK細胞を認識できることであり、
好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上を特異的に認識でき、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46などのNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項8】
前記第1のタンパク質は、宿主のNK細胞を認識できる抗体を含み、
好ましくは、前記抗体はNKG2Aを認識でき、
さらに好ましくは、前記抗体は、配列番号10に示されるHCDR1、配列番号11に示されるHCDR2、配列番号12に示されるHCDR3、配列番号13に示されるLCDR1、配列番号14に示されるLCDR2、配列番号15に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、前記抗体は、配列番号1に記載されている重鎖可変領域または配列番号2に記載されている軽鎖可変領域を含むことを特徴とする、請求項7に記載の細胞。
【請求項9】
前記HLA-I遺伝子は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2Mのうちの1つ以上から選択されるものであり、好ましくは、前記HLA-I遺伝子はB2Mであることを特徴とする、請求項8に記載の細胞。
【請求項10】
前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択されることを特徴とする、請求項3または4に記載の細胞。
【請求項11】
前記第1のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、宿主の免疫エフェクター細胞に対する阻害または殺傷を媒介することを特徴とする、請求項1に記載の細胞。
【請求項12】
前記第2のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、腫瘍または病原体に対する阻害または殺傷を媒介することを特徴とする、請求項4に記載の細胞。
【請求項13】
前記細胞は、HLA-I遺伝子と内因性TCR遺伝子によってサイレンシングされたT細胞であり、
好ましくは、前記細胞は、B2MとTCR遺伝子によってサイレンシングされたT細胞であることを特徴とする、請求項6に記載の細胞。
【請求項14】
前記第2のタンパク質は、BCMAまたはCD19を特異的に認識でき、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAを特異的に認識できる抗体を含み、
さらに好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号16に示されるHCDR1、配列番号17に示されるHCDR2、配列番号18に示されるHCDR3、配列番号19に示されるLCDR1、配列番号20に示されるLCDR2、配列番号21に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号22に示される重鎖可変領域および配列番号23に示される軽鎖可変領域を含むことを特徴とする、請求項4に記載の細胞。
【請求項15】
遺伝子が遺伝子編集技術によりサイレンシングされたことを特徴とする、請求項5、6または13に記載の細胞。
【請求項16】
前記第1のタンパク質は、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する抗体、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは宿主の免疫エフェクター細胞を認識する前記抗体と、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する前記抗体とは、連結ペプチドによって連結され、
さらに好ましくは、前記第1のタンパク質は、配列番号9に示される配列を有することを特徴とする、請求項10に記載の細胞。
【請求項17】
移植免疫拒絶に抵抗する細胞であって、前記細胞が、宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができるT細胞受容体を有するT細胞であり、好ましくは、前記細胞が宿主の免疫エフェクター細胞に対して阻害または殺傷機能を有することを特徴とする、細胞。
【請求項18】
前記細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、好ましくは、前記第2のタンパク質はキメラ受容体であることを特徴とする、請求項17に記載の細胞。
【請求項19】
前記細胞がMHCを発現しないか、または前記細胞によって内因的に発現されるMHC遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記MHC遺伝子が、MHCクラスI分子の遺伝子であることを特徴とする、請求項17または18項に記載の細胞。
【請求項20】
前記細胞がHLAを発現しないか、または前記細胞よって内因的に発現されるHLA遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記HLAが、HLA-I遺伝子であることを特徴とする、請求項19に記載の細胞。
【請求項21】
前記T細胞受容体は、宿主のNK細胞を認識することができ、
好ましくは、前記T細胞受容体は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上を特異的に認識でき、
より好ましくは、前記T細胞受容体は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46であるNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できることを特徴とする、請求項17~20のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項22】
前記HLA-I遺伝子は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2Mのうちの1つ以上から選択されるものであり、好ましくは、前記HLA-I遺伝子はB2Mであることを特徴とする、請求項20に記載の細胞。
【請求項23】
前記第2のタンパク質はキメラ受容体であり、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択され、第2のタンパク質を含むキメラ受容体は、第2のタンパク質、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAまたはCD19を特異的に認識でき、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAを特異的に認識できる抗体を含み、
さらに好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号16に示されるHCDR1、配列番号17に示されるHCDR2、配列番号18に示されるHCDR3、ならびに配列番号19に示されるLCDR1、配列番号20に示されるLCDR2、配列番号21に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号22に示される重鎖可変領域および配列番号23に示される軽鎖可変領域を含むことを特徴とする、請求項18に記載の細胞。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の細胞を投与することを特徴とする、移植免疫拒絶を予防または調節する方法。
【請求項25】
外因性細胞に対するNK細胞の攻撃を予防または調節する方法であって、NK細胞を認識する第1のタンパク質を発現する免疫エフェクター細胞を投与し、
任意選択で、前記外因性細胞は、T細胞、NKT細胞、幹細胞、または操作されたT細胞、NKT細胞、幹細胞であることを特徴とする、前記方法。
【請求項26】
前記外因性細胞は免疫エフェクター細胞であり、好ましくは、前記外因性細胞は第2の受容体を発現することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の受容体は、キメラ受容体またはT細胞受容体であり、
好ましくは、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、T細胞抗原カプラー(TAC)から選択されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
NK細胞を認識する前記第1のタンパク質が認識する抗原は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46であるNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記免疫エフェクター細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、CIK細胞、および幹細胞に由来する免疫エフェクター細胞を含むことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
外因性免疫エフェクター細胞に対するNK細胞の攻撃を予防または調節する方法であって、前記外因性免疫エフェクター細胞は、NK細胞を認識する第1のタンパク質を発現し、
好ましくは、前記外因性免疫エフェクター細胞は、HLA-I遺伝子を含まない細胞、または内因性のHLA-I遺伝子がサイレンシングされた細胞であり、
より好ましくは、前記外因性免疫エフェクター細胞は、B2M遺伝子を含まない細胞、またはB2M遺伝子がサイレンシングされた細胞であることを特徴とする、前記方法。
【請求項31】
前記外因性免疫エフェクター細胞は、T細胞であり、
好ましくは、NK細胞を認識する前記第1のタンパク質は、キメラ受容体またはT細胞受容体であることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
NK細胞を認識する前記第1のタンパク質が認識する抗原は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46であるNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、T細胞抗原カプラー(TAC)から選択されることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記外因性免疫エフェクター細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、
好ましくは、前記第2のタンパク質はキメラ受容体であり、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択されることを特徴とする、請求項30~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のタンパク質は、NK細胞を認識する抗体および腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体を含むキメラ抗原受容体、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)であることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、宿主の免疫エフェクター細胞に対する阻害または殺傷を媒介することを特徴とする、請求項30に記載の細胞。
【請求項37】
前記第2のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、腫瘍または病原体に対する阻害または殺傷を媒介することを特徴とする、請求項34に記載の細胞。
【請求項38】
前記第1のタンパク質は、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する抗体、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは宿主の免疫エフェクター細胞を認識する前記抗体と、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する前記抗体とは、連結ペプチドによって連結され、
さらに好ましくは、前記第1のタンパク質は、配列番号9に示される配列を有することを特徴とする、請求項30に記載の細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植免疫拒絶に抵抗する機能を有する細胞に関する。また、移植免疫拒絶に抵抗する方法、特にNK細胞の免疫拒絶に抵抗する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドナーとレシピエントとの間の免疫遺伝学的差異により、外来源ドナーが移植されると、外来源移植片として、ドナーはレシピエントの体内の免疫細胞によって認識および攻撃され、それによって外来源移植片を阻害または排除し、宿主対移植片反応(HVGR)が起こる可能性がある。移植細胞内のMHC分子をノックアウトすることにより、移植片に対する宿主T細胞の拒絶反応に効果的に抵抗することができるが、宿主内の他の免疫細胞の拒絶反応を引き起こす可能性がある。たとえば、同種異系細胞移植では、同種異系細胞のMHC-I分子が欠落していると、宿主内のNK細胞の拒絶反応を引き起こし、同種異系細胞の排除が促進される(Nat Biotechnol.2017;35(8):765-772.doi:10.1038/nbt.3860)。したがって、宿主NK細胞の免疫拒絶反応を効果的に防ぐ方法は、同種異系細胞移植療法の開発にとって非常に重要である。
【発明の開示】
【0003】
本発明の目的は、移植免疫拒絶に抵抗する細胞、および阻害・拒絶に抵抗する方法を提供することにある。
【0004】
本発明によって提供される技術案には、以下が含まれる。
【0005】
本発明の第1の態様では、宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができる第1のタンパク質を発現し、好ましくは、宿主の免疫エフェクター細胞に対して阻害または殺傷機能を有する、細胞が提供される。
【0006】
好ましい一実施形態では、前記細胞は、免疫エフェクター細胞、または免疫エフェクター細胞の機能を有する人工的に改変された細胞である。
【0007】
好ましい一実施形態では、前記細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、CIK細胞、および幹細胞に由来する免疫エフェクター細胞から選択され、
好ましくは、前記細胞はT細胞であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質はキメラ受容体である。
【0008】
好ましい一実施形態では、前記細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、好ましくは、前記第2のタンパク質はキメラ受容体またはT細胞受容体である。
【0009】
好ましい一実施形態では、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する前記タンパク質の活性化は、前記の第2の受容体によって調節される。
【0010】
好ましい一実施形態では、前記第2の受容体の活性化は、宿主の免疫エフェクター細胞を認識するタンパク質によって調節される。
【0011】
好ましい一実施形態では、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する前記タンパク質と第2の受容体の活性化は、互いに影響しない。
【0012】
好ましい一実施形態では、前記細胞がMHCを発現しないか、または前記細胞によって内因的に発現されるMHC遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記MHC遺伝子が、MHCクラスI分子の遺伝子である。
【0013】
好ましい一実施形態では、前記細胞がHLAを発現しないか、または前記細胞よって内因的に発現されるHLA遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記HLAが、HLA-I遺伝子である。
【0014】
好ましい一実施形態では、前記抗移植免疫拒絶は、宿主のNK細胞からの攻撃に抵抗することか、または前記第1のタンパク質が宿主のNK細胞を認識できることであり、
好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上を特異的に認識でき、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46などのNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できる。
【0015】
好ましい一実施形態では、前記第1のタンパク質は、宿主のNK細胞を認識できる抗体を含み、
好ましくは、前記抗体はNKG2Aを認識でき、
さらに好ましくは、前記抗体は、配列番号10に示されるHCDR1、配列番号11に示されるHCDR2、配列番号12に示されるHCDR3、配列番号13に示されるLCDR1、配列番号14に示されるLCDR2、配列番号15に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、前記抗体は、配列番号1に記載されている重鎖可変領域または配列番号2に記載されている軽鎖可変領域を含む。
【0016】
好ましい一実施形態では、前記HLA-I遺伝子は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2Mのうちの1つ以上から選択されるものであり、好ましくは、前記HLA-I遺伝子はB2Mである。
【0017】
好ましい一実施形態では、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択される。
【0018】
好ましい一実施形態では、前記第1のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、宿主の免疫エフェクター細胞に対する阻害または殺傷を媒介する。
【0019】
好ましい一実施形態では、前記第2のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、腫瘍または病原体に対する阻害または殺傷を媒介する。
【0020】
好ましい一実施形態では、前記細胞は、HLA-I遺伝子と内因性TCR遺伝子がサイレンシングされたT細胞であり、
好ましくは、前記細胞は、B2MとTCR遺伝子がサイレンシングされたT細胞である。
【0021】
好ましい一実施形態では、前記第2のタンパク質は、BCMAまたはCD19を特異的に認識でき、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAを特異的に認識できる抗体を含み、
さらに好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号16に示されるHCDR1、配列番号17に示されるHCDR2、配列番号18に示されるHCDR3、ならびに配列番号19に示されるLCDR1、配列番号20に示されるLCDR2、配列番号21に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号22に示される重鎖可変領域および配列番号23に示される軽鎖可変領域を含む。
【0022】
好ましい一実施形態では、遺伝子編集技術を使用して遺伝子をサイレンシングする。
【0023】
好ましくは、前記遺伝子編集技術は、CRISPR/Cas9技術、人工ジンクフィンガーヌクレアーゼ(Zinc Finger Nucleases,ZFN)技術、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(transcription activator-like effector,TALE)技術、またはTALE-CRISPR/Cas9技術から選択され、
より好ましくは、前記遺伝子編集技術はCRISPR/Cas9技術である。
【0024】
好ましい一実施形態では、前記第1のタンパク質は、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する抗体、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは宿主の免疫エフェクター細胞を認識する前記抗体と、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する前記抗体とは、連結ペプチドによって連結され、
さらに好ましくは、前記第1のタンパク質は、配列番号9に示される配列を有する。
【0025】
好ましい一実施形態では、第1のタンパク質と第2のタンパク質は、1つのキメラ受容体にあり得る。すなわち、好ましくは、前記キメラ受容体は、順に連結された、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する抗体(第1のタンパク質)、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体(第2のタンパク質)、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、または、
前記キメラ受容体は、順に連結された、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体(第2のタンパク質)、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する抗体(第1のタンパク質)、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、
好ましくは、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する前記抗体(第1のタンパク質)と、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する前記抗体(第2のタンパク質)とは、連結ペプチドによって連結される。
【0026】
本発明の第2の態様では、移植免疫拒絶に抵抗する細胞であって、前記細胞が、宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができるT細胞受容体を有するT細胞であり、好ましくは、前記細胞が宿主の免疫エフェクター細胞に対して阻害または殺傷機能を有する、細胞が提供される。
【0027】
好ましい一実施形態では、前記細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、好ましくは、前記第2のタンパク質はキメラ受容体である。
【0028】
好ましい一実施形態では、前記細胞がMHCを発現しないか、または前記細胞によって内因的に発現されるMHC遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記MHC遺伝子が、MHCクラスI分子の遺伝子である。
【0029】
好ましい一実施形態では、前記細胞がHLAを発現しないか、または前記細胞よって内因的に発現されるHLA遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記HLAが、HLA-I遺伝子である。
【0030】
好ましい一実施形態では、前記T細胞受容体は、宿主のNK細胞を認識することができ、
好ましくは、前記T細胞受容体は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上を特異的に認識でき、
より好ましくは、前記T細胞受容体は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46などのNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できる。
【0031】
好ましい一実施形態では、前記HLA-I遺伝子は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2Mのうちの1つ以上から選択されるものであり、好ましくは、前記HLA-I遺伝子はB2Mである。
【0032】
好ましい一実施形態では、前記第2のタンパク質はキメラ受容体であり、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択され、第2のタンパク質を含むキメラ受容体は、第2のタンパク質、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAまたはCD19を特異的に認識でき、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAを特異的に認識できる抗体を含み、
さらに好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号16に示されるHCDR1、配列番号17に示されるHCDR2、配列番号18に示されるHCDR3、ならびに配列番号19に示されるLCDR1、配列番号20に示されるLCDR2、配列番号21に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号22に示される重鎖可変領域および配列番号23に示される軽鎖可変領域を含む。
【0033】
好ましい一実施形態では、遺伝子編集技術を使用して遺伝子をサイレンシングする。
【0034】
好ましくは、前記遺伝子編集技術は、CRISPR/Cas9技術、人工ジンクフィンガーヌクレアーゼ(Zinc Finger Nucleases,ZFN)技術、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(transcription activator-like effector,TALE)技術、またはTALE-CRISPR/Cas9技術から選択され、
より好ましくは、前記遺伝子編集技術はCRISPR/Cas9技術である。
【0035】
本発明の第3の態様では、本発明の第1の態様または第2の態様のいずれかに記載の細胞を投与することを含む、移植免疫拒絶を予防または調節する方法が提供される。
【0036】
本発明の第4の態様では、外因性細胞に対するNK細胞の攻撃を予防または調節する方法であって、NK細胞を認識する第1のタンパク質を発現している免疫エフェクター細胞を投与する方法が提供され、
任意選択で、前記外因性細胞は、T細胞、NKT細胞、幹細胞、または操作されたT細胞、NKT細胞、幹細胞であり、
任意選択で、前記外因性細胞を投与する前、投与した後、または前記外因性細胞の投与と同時に前記免疫エフェクター細胞を投与する。
【0037】
好ましい一実施形態では、前記外因性細胞は免疫エフェクター細胞であり、好ましくは、前記外因性細胞は第2の受容体を発現している。
【0038】
好ましい一実施形態では、前記第2の受容体は、キメラ受容体またはT細胞受容体であり、
好ましくは、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、T細胞抗原カプラー(TAC)から選択される。
【0039】
好ましい一実施形態では、NK細胞を認識する前記第1のタンパク質が認識する抗原は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46などのNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できる。
【0040】
好ましい一実施形態では、前記HLA-I遺伝子は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2Mのうちの1つ以上から選択されるものであり、好ましくは、前記HLA-I遺伝子はB2Mである。
【0041】
好ましい一実施形態では、前記第2のタンパク質は、キメラ受容体であり、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択され、第2のタンパク質を含むキメラ受容体は、第2のタンパク質、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAまたはCD19を特異的に認識でき、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAを特異的に認識できる抗体を含み、
さらに好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号16に示されるHCDR1、配列番号17に示されるHCDR2、配列番号18に示されるHCDR3、ならびに配列番号19に示されるLCDR1、配列番号20に示されるLCDR2、配列番号21に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号22に示される重鎖可変領域および配列番号23に示される軽鎖可変領域を含む。
【0042】
好ましい一実施形態では、本発明の第1の態様または第2の態様のいずれかに記載の細胞を投与する。
【0043】
本発明の第5の態様では、NK細胞を認識する第1のタンパク質を発現している免疫エフェクター細胞を投与する、外因性細胞に対するNK細胞の攻撃を予防または調節する方法であって、
任意選択で、前記外因性細胞は、T細胞、NKT細胞、幹細胞、または操作されたT細胞、NKT細胞、幹細胞である、前記方法が提供される。
【0044】
好ましい一実施形態では、前記外因性細胞は免疫エフェクター細胞であり、好ましくは、前記外因性細胞は第2の受容体を発現している。
【0045】
好ましい一実施形態では、前記第2の受容体は、キメラ受容体またはT細胞受容体であり、
好ましくは、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、T細胞抗原カプラー(TAC)から選択される。
【0046】
好ましい一実施形態では、NK細胞を認識する前記第1のタンパク質が認識する抗原は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46などのNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できる。
【0047】
好ましい一実施形態では、前記免疫エフェクター細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、CIK細胞、および幹細胞に由来する免疫エフェクター細胞を含む。
【0048】
本発明の第6の態様では、NK細胞を認識する第1のタンパク質を発現する外因性免疫エフェクター細胞に対するNK細胞の攻撃を予防または調節する方法であって、
好ましくは、前記外因性免疫エフェクター細胞は、HLA-I遺伝子を含まない細胞、または内因性のHLA-I遺伝子がサイレンシングされた細胞であり、
より好ましくは、前記外因性免疫エフェクター細胞は、B2M遺伝子を含まない細胞、またはB2M遺伝子がサイレンシングされた細胞である、前記方法が提供される。
【0049】
好ましい一実施形態では、前記外因性免疫エフェクター細胞はT細胞であり、
好ましくは、NK細胞を認識する前記第1のタンパク質は、キメラ受容体またはT細胞受容体である。
【0050】
好ましい一実施形態では、NK細胞を認識する前記第1のタンパク質が認識する抗原は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46などのNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できる。
【0051】
好ましい一実施形態では、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、T細胞抗原カプラー(TAC)から選択される。
【0052】
好ましい一実施形態では、前記外因性免疫エフェクター細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、
好ましくは、前記第2のタンパク質はキメラ受容体であり、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択される。
【0053】
好ましい一実施形態では、前記第1のタンパク質は、NK細胞を認識する抗体および腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体を含むキメラ抗原受容体、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)である。
【0054】
好ましい一実施形態では、前記第1のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、宿主の免疫エフェクター細胞に対する阻害または殺傷を媒介する。
【0055】
好ましい一実施形態では、前記第2のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、腫瘍または病原体に対する阻害または殺傷を媒介する。
【0056】
好ましい一実施形態では、前記第1のタンパク質は、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する抗体、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは宿主の免疫エフェクター細胞を認識する前記抗体と、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する前記抗体とは、連結ペプチドによって連結され、
さらに好ましくは、前記第1のタンパク質は、配列番号9に示される配列を有する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1は、NK細胞表面マーカーの発現を示す図である。
【
図2】
図2は、T細胞におけるNK細胞表面マーカーの発現を示す図である。
【
図3】
図3は、NKG2A CAR-T細胞の増殖特性を示す図である。Aは細胞増殖曲線、Bは細胞直径、CはCAR陽性率である。
【
図4】
図4は、合計4時間のインキュベーション後の、NK細胞に対するNKG2A CAR-T細胞のインビトロ殺傷能力を示す図である。
【
図5】
図5は、合計18時間のインキュベーション後の、NK細胞に対するNKG2A CAR-T細胞のインビトロ殺傷能力を示す図である。
【
図6】
図6は、CAR-T細胞におけるTCRとB2Mの効率的なノックアウトを示す図である。
【
図7】
図7A、7B、7C、および7Dは、NK細胞に対するNKG2A UCAR-T細胞の抵抗能力についてのFACSによる検出を示す図である。
【
図8】
図8は、NKG2Aを標的とするCARのプラスミドマップである。
【
図9】
図9は、BCMAを標的とするCARのプラスミドマップである。
【
図10】
図10は、NK細胞に対するNKG2A UCAR-T細胞の抵抗能力についてのFACSによる検出を示す図である。
【
図11】
図11は、マウスの末梢血におけるUCAR-T細胞の生存についてのFACSによる検出を示す図である。
【
図12】
図12は、BCMA-GS-NKG2A UCAR-Tの構造の概略図である。
【
図13】
図13は、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞の調製を示す図である。
【
図14】
図14は、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞のインビトロ抗腫瘍効果を示す図である。
【
図15】
図15は、NK細胞に対するBCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞の抵抗効果を示す図である。
【
図16】
図16は、PRRL-BCMA-BBZ-F2A-EGFPのプラスミドマップである。
【
図17】
図17は、PRRL-NKG2A-28Z-F2A-EGFPのプラスミドマップである。
【
図18】
図18は、PRRL-BCMA-GS-NKG2A-BBZのプラスミドマップである。
【
図19】
図19は、NK細胞に対するBCMA-GS-NKG2A-UCAR-T細胞のインビボの抵抗効果を示す図である。
【発明の概要】
【0058】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、遺伝子治療、生化学、遺伝学、および分子生物学の分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等のすべての方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができ、その中で適切な方法および材料が本明細書に記載されている。本明細書で言及されているすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書に準ずる。また、特に明記しない限り、材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0059】
特に明記しない限り、本発明の実施は、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来の技術を採用し、これらはすべて本分野の技術的範囲に属する。これらの技術は文献で十分に説明されている。例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Frederick M. AUSUBEL,2000,Wiley and son Inc,Library of Congress,USA);Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Third Edition,(Sambrooketal,2001,Cold Spring Harbor,NewYork: Cold Spring Harbor Laboratory Press);Oligonucleotide Synthesis (M.J.Gaited. , 1984);Mullis et al. U.S. Pat. No. 4,683,195;Nucleic Acid Hybridization (B. D. Harries & S. J. Higginseds. 1984);Transcription And Translation (B. D. Hames & S. J. Higginseds. 1984);Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney,Alan R. Liss,Inc.,1987);Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press,1986);B. Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning (1984);the series,Methods In ENZYMOLOGY (J. Abelson and M. Simon,eds.-in-chief,Academic Press,Inc.,New York)、特にVols.154と155 (Wuetal. eds.)およびVol.185,“Gene Expression Technology” (D. Goeddel,ed.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Caloseds.,1987,Cold Spring Harbor Laboratory);Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker,eds., Academic Press,London,1987);Hand book Of Experimental Immunology,Vol.I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell,eds.,1986);およびManipulating the Mouse Embryo (Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)を参照できる。
【0060】
本開示では、保護を求める主題の各方面はいずれも範囲の形で表される。範囲の形での説明は、単に便宜上および簡潔にするためのものであり、保護を求める主題の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。よって、範囲の説明は、あらゆる可能なサブ範囲および当該範囲内の個々の値を具体的に開示していると見なすべきである。例えば、値の範囲が提供されている場合、当該範囲の上限と下限の間の全ての中間値、および当該範囲内の任意の他の、または中間値は、いずれも保護を求める主題の範囲に含まれ、その範囲の上下限も保護を求める主題の範囲に含まれる。それらのより小さい範囲の上下限は、そのより小さい範囲に独立して含まれてもよく、範囲の上下限が明確に除外されない限り、それらはまた、保護を求める主題の範囲に属す。設定範囲に1つまたは2つの制限値が含まれる場合、保護を求める主題も、制限値の1つまたは2つが除外された範囲を含む。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0061】
本明細書で使用される「約」という用語は、当業者に容易に知られている各値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」で修飾されている値またはパラメータは、当該値またはパラメータ自体を指す実施形態を含む(しかも説明する)。例えば、「約X」という記載は、「X」に関する説明を含む。例えば、「約」または「含む」は、当該分野での実際の標準偏差に従って、1以内または1を超えることを意味することができる。あるいは、「約」または「含む」は、最大10%(すなわち、±10%)の範囲を意味することができる。例えば、約5μMは、4.5μMから5.5μMまでの任意の数を含むことができる。特定の値または組成が出願および特許出願の範囲で提供される場合、特に明記しない限り、「約」または「含む」は、当該特定の値または組成の許容誤差範囲内にあるべきである。
【0062】
本明細書に記載の任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、特に明記しない限り、当該範囲内の任意の整数、および適切な場合、その分数(例えば、整数の10分の1および100分の1)の数値を含むと理解されるべきである。
【0063】
本発明をよりよく理解するために、関連する用語について以下のように定義する。
【0064】
「移植免疫拒絶」という用語は、宿主が同種異系の組織、臓器、または細胞などの移植片を移植した後、外来源移植片を宿主の免疫系によって「外来成分」として認識し、移植片に対して攻撃、破壊、および除去などの免疫学的応答を開始することを意味する。
【0065】
「移植片」という用語は、宿主以外の個体に由来し、宿主に移植するために使用される生物学的材料または調製物を指す。移植片は、哺乳動物源など、任意の動物源から、好ましくはヒトからのものであり得る。いくつかの実施形態において、前記の移植片は、宿主に由来し得、例えば、宿主からの細胞は、インビトロで培養されるか、または改変されて宿主に再び移植される。いくつかの実施形態において、前記の移植片は、同種異系の他の個体に由来し得、例えば、他のヒトからの細胞は、インビトロで培養されるか、または改変されて宿主に移植される。いくつかの実施形態において、前記の移植片は、他の種(マウス、ブタ、およびサルなど)からの臓器をヒトに移植するなど、異種の個体に由来し得る。
【0066】
「細胞」という用語および他の文法的形態は、ヒトまたは非ヒト動物由来の細胞を指すことができる。
【0067】
「宿主」という用語は、移植片移植を受けるレシピエントを指し、いくつかの実施形態において、それは、外来細胞移植を受けるヒトなどの個体であり得る。
【0068】
「免疫エフェクター細胞」という用語は、免疫応答に関与し、免疫効果を生み出す細胞であり、例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、樹状細胞、CIK細胞、マクロファージ、マスト細胞などが挙げられる。いくつかの実施形態において、前記免疫エフェクター細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞である。いくつかの実施形態において、前記T細胞は、自己T細胞、異種T細胞、または同種異系T細胞であり得る。いくつかの実施形態において、前記NK細胞は、同種異系NK細胞であり得る。
【0069】
「免疫エフェクター細胞機能を有する人工的に改変された細胞」という用語は、人工的に改変された後または刺激物によって刺激された後、免疫効果を有さない細胞または細胞株が免疫エフェクター細胞機能を獲得した細胞をいう。たとえば、293T細胞は、免疫エフェクター細胞の機能を持たせるように人工的に改変される。たとえば、幹細胞は、免疫エフェクター細胞に分化させるようにインビトロで誘導される。
【0070】
場合によっては、「T細胞」は骨髄由来の多能性幹細胞であり、胸腺で免疫学的活性を持つ成熟T細胞に分化して成熟し得る。場合によっては、「T細胞」は特定の表現型の特徴を有する細胞集団、または異なる表現型の特徴を有する混合細胞集団であり得、例えば、「T細胞」は、記憶幹細胞様メモリーT細胞(stem cell-like memory T cells,Tscm細胞)、中央メモリーT細胞(Tcm)、エフェクターT細胞(Tef、Teff)、制御性T細胞(tregs)および/またはエフェクターメモリーT細胞(Tem)からの少なくとも1つのT細胞亜集団を含む細胞であり得る。場合によっては、「T細胞」は、γδT細胞などの特定のサブタイプのT細胞であり得る。
【0071】
T細胞は、PBMC、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位の組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍組織を含む複数のソースから獲得できる。場合によっては、FicollTM単離などの当業者に知られている任意の数の技術を使用して、個体から収集された血液からT細胞を取得することができる。一実施形態では、個体の循環血液からの細胞は、アフェレーシス(成分採血)によって得られる。アフェレーシス製品には通常、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、その他の有核白血球、赤血球、血小板などのリンパ球が含まれている。一実施形態では、アフェレーシス収集によって収集された細胞を洗浄して血漿分子を除去し、その後の処理ステップのために適切な緩衝液または培地に入れることができる。あるいは、細胞は、健康なドナー、がんと診断された患者に由来することができる。
【0072】
「MHC」という用語は、生体適合性複合体の抗原をコードするすべての遺伝子グループの総称である組織適合性複合体である。MHC抗原は、すべての高等脊椎動物の組織で発現され、ヒト細胞ではHLA抗原と呼ばれ、移植反応において重要な役割を果たし、拒絶反応は、移植された組織の表面にある組織適合性抗原に応答するT細胞によって媒介される。MHCタンパク質はT細胞刺激において重要な役割を果たし、抗原提示細胞(通常は樹状細胞)は、MHCの細胞表面に外来タンパク質の分解産物に属するペプチドを表示し、共刺激シグナルの存在下で、T細胞が活性化され、同じペプチド/MHC複合体を表示する標的細胞に作用する。たとえば、刺激されたTヘルパー細胞は、MHCに結合した抗原を表示するマクロファージを標的にするか、または、細胞傷害性T細胞(CTL)は、外来ウイルスペプチドを表示するウイルス感染細胞に作用する。MHC抗原は、NHCクラスI抗原とMHCクラスII抗原に分けられる。
【0073】
「ヒト白血球抗原」(Human leukocyte antigen,HLA)という用語は、染色体6(6p21.31)に位置する、ヒト主要組織適合遺伝子複合体のコード遺伝子であり、ヒト免疫系の機能に密接に関連している。HLAには、クラスI、クラスII、およびクラスIIIの遺伝子部分が含まれる。HLAのクラスIおよびクラスII遺伝子によって発現される抗原は細胞膜上にあり、MHC-I(HLA-A、HLA-B、HLA-C部位によるコーディング)およびMHC-II(HLA-D領域によるコーディング)である。HLAクラスIは、体のほぼすべての細胞の表面に分布し、重鎖(α鎖)とβ2ミクログロブリン(B2M)からなるヘテロダイマーであり、クラスIIは、主にマクロファージとBリンパ球の表面にある糖タンパク質である。
【0074】
「B2M」という用語は、MHCクラスI分子の軽鎖である、B2Mとも呼ばれるβ-2ミクログロブリンを指す。ヒトでは、B2Mは染色体15にあるb2m遺伝子によってコードされ、染色体6に遺伝子クラスターとして位置付ける他のMHC遺伝子と相対する。B2M遺伝子の変異により、正常な細胞表面のMHC I発現を欠くマウスからの造血移植片は、正常なマウスのNK細胞によって拒絶され、これは、MHC I分子の発現不良により、細胞が宿主の免疫系によって拒絶されやすくなることを示している(Bix et al.1991)。
【0075】
「キメラ受容体」という用語は、すなわち、異なる供給源からのDNA断片またはタンパク質対応cDNAを遺伝子組換え技術によって連結して形成される融合分子であり、細胞外領域、膜貫通領域、および細胞内領域を含む。キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体(TCR)、T細胞抗原カプラー(TAC)を含むが、これらに限定されない。
【0076】
「キメラ抗原受容体」(CAR)という用語は、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。細胞内シグナル伝達ドメインは、刺激分子及び/または共刺激分子の機能的シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、刺激分子はT細胞受容体複合体と結合したζ鎖である。一態様では、細胞質シグナル伝達ドメインは、4-1BB(すなわち、CD137)、CD27、および/またはCD28などの1つ以上の共刺激分子の機能的シグナル伝達ドメインをさらに含む。
【0077】
「T細胞受容体(T cell receptor,TCR)」という用語は、クラシックなTCR受容体と最適化されたTCR受容体を含み、T細胞による特異的主要な組織適合性複合体(MHC)制限ペプチド抗原の認識を仲介する。クラシックなTCR受容体は、αとβの2つのペプチド鎖からなり、各ペプチド鎖はさらに、可変領域(V領域)、定常領域(C領域)、膜貫通領域、及び細胞質領域などに分けられる。その抗原特異性はV領域に存在する。V領域(Vα、Vβ)にはそれぞれ3つの超可変領域、すなわち、CDR1、CDR2、CDR3がある。一態様では、クラシックなTCRを発現するT細胞は、T細胞に対する抗原刺激などの方法を使用することにより、標的抗原に対するT細胞のTCRの特異性を誘導することができる。
【0078】
「キメラT細胞受容体」という用語は、TCRを構成する様々なポリペプチドに由来する組換えポリペプチドを含み、これは、標的細胞の表面抗原に結合し、通常はT細胞表面に共局在する完全なTCR複合体の他のポリペプチドと相互作用することができる。キメラT細胞受容体は、TCRサブユニットと、ヒトまたはヒト化抗体ドメインで構成される抗原結合ドメインとからなる。TCRサブユニットには、少なくとも一部のTCR細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、およびTCR細胞内ドメインの細胞内シグナルドメインの刺激ドメインが含まれる。当該TCRサブユニットと当該抗体ドメインは効果的に連結されており、TCRサブユニットの細胞外、膜貫通、および細胞内シグナルドメインはCD3εまたはCD3γに由来し、当該キメラT細胞受容体は、T細胞に発現するTCRに組み込まれる。
【0079】
「T細胞抗原カプラー(T cell antigen coupler、TAC)」という用語には、1、一本鎖抗体、設計されたアンキリンリピートタンパク質(designed ankyrin repeat protein,DARPin)またはその他のターゲティング基を含む抗原結合ドメイン;2、CD3に結合する一本鎖抗体により、TAC受容体がTCR受容体に近くなる、細胞外領域ドメイン;3、膜貫通領域とCD4共受容体の細胞内領域の、3つの機能ドメインが含まれる。ここで、細胞内領域は、プロテインキナーゼLCKに連結されており、T細胞活性化の最初ステップとしてTCR複合体の免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAMs)のリン酸化を触媒する。
【0080】
「シグナル伝達ドメイン」という用語は、細胞内で情報を伝達することによって機能するタンパク質の機能部分を指し、セカンドメッセンジャーを生成するか、そのようなメッセンジャーに応答してエフェクターとして作用することにより、確定されたシグナル伝達経路を介して細胞の活性を調節するためである。細胞内シグナル伝達ドメインは、分子のすべての細胞内部分、またはすべての天然の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの機能的断片もしくは誘導体を含み得る。
【0081】
「共刺激分子」という用語は、TCR/CD3などの細胞刺激シグナル分子に結合し、その組み合わせにより、T細胞の増殖および/または重要な分子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションをもたらすシグナルを指す。
【0082】
「活性化する」および「活性化させる」という用語は、細胞が休止状態から活性状態に変化するプロセスを指すことができる。このプロセスは、抗原、遷移、および/または機能的活動状態の表現型または遺伝的変化への応答を含むことができる。例えば、「活性化」という用語は、T細胞の段階的な活性化のプロセスを指すことができる。たとえば、T細胞は完全に活性化するために少なくとも1つのシグナルを必要とする場合がある。
【0083】
「遺伝子編集」という用語は、特定のDNAフラグメントのノックアウトや追加などを実現するために、ヒトが標的遺伝子を「編集」できることを指す。
【0084】
「遺伝子サイレンシング」という用語は、さまざまな理由で遺伝子を発現しないまたは過少発現する現象を指す。遺伝子サイレンシングは、DNAメチル化、ヘテロクロマチン化、および位置効果などによって引き起こされる転写レベルでの遺伝子サイレンシングであってもよく、転写後の遺伝子サイレンシング、つまり遺伝子転写のレベルで、アンチセンスRNA、共阻害、遺伝子阻害、RNA干渉、microRNAを介した翻訳阻害などの標的RNAの特異的阻害によって遺伝子を不活化することであってもよい。
【0085】
「TCRサイレンシング」は、内因性TCRを発現しないまたは過少発現することを指す。
【0086】
「MHCサイレンシング」は、内因性MHCを発現しないまたは過少発現することを指す。
【0087】
「CRISPR(Clustered regularly interspaced short palindromicrepeats)」という用語は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピートを指す。
【0088】
「Cas9(CRISPR associated nuclease)」という用語は、CRISPR関連ヌクレアーゼであり、Cas9ヌクレアーゼを使用して標的遺伝子を編集する、RNAによってガイドされる技術である。
【0089】
「CRISPER/Cas9システム」は、転写物、およびCas9酵素遺伝子の発現に関与する、またはその活性を指導する他の要素と総称され、これには、Cas9遺伝子をコードする配列、tracr(transactivation CRISPR)配列(tracrRNAまたは活性部分tracrRNAなど)、tracrペアリング配列(「ダイレクトリピート」、及び内因性CRISPRシステムのコンテキストでのtracrRNA処理の部分的なダイレクトリピートを含む)、ガイド配列(内因性CRISPRシステムのコンテキストで「スペーサー(spacer)」とも呼ばれ、すなわちgRNA)、またはCRISPR遺伝子座からの他の配列と転写物が含まれる。
【0090】
「標的配列」という用語は、ガイド配列と相補性を有する配列を指し、標的配列とガイド配列との間の相補的対形成は、CRISPR複合体の形成を促進する。標的配列は、DNAまたはRNAポリヌクレオチドなどの任意のポリヌクレオチドを含むことができる。一部の実施形態において、標的配列は、細胞の核または細胞質に位置する。
【0091】
一般的に言えば、ガイド配列(gRNA)は、標的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズしてCRISPR複合体と標的配列との配列特異的結合をガイドするように当該標的ポリヌクレオチド配列と十分な相補性を有する任意のポリヌクレオチド配列である。一部の実施形態では、適切なアラインメントアルゴリズムを使用して最適なアラインメントを行う場合、ガイド配列およびそれに対応する標的配列間の相補程度は約50%以上、60%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97.5%以上、99%以上またはそれ以上である。最適なアラインメントは、配列をアラインするための任意の適切なアルゴリズムを使用して決定でき、その非限定的な例として、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wimschアルゴリズム、Burrows-Wheeler Transformに基づいたアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)、ClustalW、Clustai X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies)、ELAND((Illumina,San Diego,CA)、SOAP(soap.genomics.org.cnで入手可能)およびMaq(maq.sourceforget.netで入手可能)が含まれる。
【0092】
一部の実施形態では、当該CRISPR酵素は、1つまたは複数の異種タンパク質ドメイン(例えば、当該CRISPR酵素以外の約1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上のドメイン)を含む融合タンパク質の一部である。CRISPR酵素融合タンパク質は、任意の追加のタンパク質配列、および選択されてもよい、任意の2つのドメイン間のリンカー配列を含むことができる。CRISPR酵素と融合できるタンパク質ドメインの例には、エピトープタグ、レポーター遺伝子配列、および、メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写阻害活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、RNA切断活性、および核酸結合活性からなる群より選ばれる1つまたは複数の活性を有するタンパク質ドメインが含まれるが、これらに限定されない。エピトープタグの非限定的な例には、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ、及びチオレドキシン(Trx)タグが含まれる。
【0093】
「Cas9酵素」という用語は、野生型Cas9または人工的に改変されたCas9であってもよい。
【0094】
「sgRNA」という用語は短いgRNAを指す。
【0095】
遺伝子編集を行う場合、特定のgRNA、tracrペアリング配列、およびtracr配列を個別に与えることもできるし、完全なRNA配列を与えることもできる。
【0096】
Cas9タンパク質のgRNAへの結合により、特定の部位でDNAを切断することができる。Streptococcus pyogenesに由来するCRISPR/Casシステム認識配列は23bpであり、20bpを標的とすることができ、認識部位の最後の3つのNGG配列は、PAM(protospacer adjacent motif)配列と呼ばれる。
【0097】
Cas導入遺伝子は、ベクター(例えば、AAV、アデノウイルス、レンチウイルス)、および/または粒子および/またはナノ粒子、および/またはエレクトロポレーションによって送達することができる。
【0098】
一実施形態では、TCRのα鎖およびβ鎖の一方または両方の定常領域における対応するコーディング遺伝子のエキソンは、内因性TCRを不活性にするために、CRISPER/Cas技術を使用してノックアウトされる。好ましくは、内因性TCRα鎖の定常領域の第1のエキソンを標的してノックアウトする。
【0099】
B2MまたはTCRの発現を「阻害する」または「抑制する」とは、細胞におけるB2MまたはTCRの発現が、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%減少することを意味する。より具体的には、B2Mの発現を「阻害する」または「抑制する」とは、細胞中のB2Mの含有量が少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%。、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%減少することを意味する。細胞内のタンパク質の発現または含有量は、B2MまたはTCRの特異的抗体を使用して、ELISA、免疫組織化学、ウエスタンブロッティング(Western Blotting)またはフローサイトメトリーなどの本分野で知られている任意の適切な方法によって測定することができる。
【0100】
本発明で使用される「修飾」という用語は、本発明のタンパク質またはポリペプチドの状態または構造の変化を指す。修飾方法は、化学的、構造的、および機能的であり得る。
【0101】
「トランスフェクション」という用語は、真核細胞への外因性核酸の導入を指す。トランスフェクションは、リン酸カルシウム-DNA共沈、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポソーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染および微粒子銃(biolistics)を含む、当技術分野で知られている様々な手段によって達成することができる。
【0102】
「核酸分子コーディング」、「DNA配列をコードする」および「DNAをコードする」という用語は、デオキシリボ核酸鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または順番を指す。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序は、ポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序を決定する。したがって、核酸配列はアミノ酸配列をコードする。
【0103】
「個体」という用語は、哺乳類または有袋類などの任意の動物を指す。本発明の個体には、ヒト、ヒト以外の霊長類(アカゲザルまたは他の種類のマカクなど)、マウス、ブタ、ウマ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ラット、および任意の種類の家禽が含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
「末梢血単核球」(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)という用語は、リンパ球、単球などを含む、末梢血中に単核を有する細胞を指す。
【0105】
「T細胞が活性化する」または「T細胞が活性化させる」という用語および文法上の他の形は、検出可能な細胞増殖、サイトカイン産生、および/または検出可能なエフェクター機能を誘導するのに十分に刺激されるT細胞の状態を指すことができる。
【0106】
ヌクレオチド配列を指すために使用される場合、本明細書に使用される「配列」という用語および文法上の他の形態は、DNAまたはRNAを含み得、一本鎖または二本鎖であってもよい。
【0107】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、治療的または予防的利益を提供する量を指す。
【0108】
本明細書で使用される「発現ベクター」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に有効的に連結された発現制御配列を含む、組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシスエレメント(cis-acting elements)を含み、発現のための他のエレメントは、宿主細胞またはインビトロ発現システムによって提供されることができる。発現ベクターには、プラスミド、およびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルス)などの当技術分野で知られているすべてのものが含まれる。
【0109】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、単離された核酸を含み、単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用することができる組成物である。線状ポリヌクレオチド、イオンまたは両親媒性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド、およびウイルスを含むがこれらに限定されない多くのベクターが当技術分野で知られている。したがって、「ベクター」という用語は、プラスミドまたはウイルスを自発的に複製することを含む。この用語はまた、ポリリジン化合物、リポソームなどの、細胞への核酸の移動を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物を含むことができる。
【0110】
本明細書で使用される配列「同一性」という用語は、比較ウィンドウ(例えば、少なくとも20位置)で2つの最適にマッチングした配列を比較することによって同一性パーセンテージを決定し、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の一部は、追加または欠失(すなわちインデル)を含んでもよく、例えば、最適にマッチングした2つの配列にとって参照配列(追加または欠失を含まない)と比較して20%以下のインデル(たとえば、5~15%、または10~12%)を含んでもよい。通常、2つの配列で同じ核酸塩基またはアミノ酸残基が発生する位置の数を確定してパーセンテージを計算し、これによって正しいマッチング位置の数を生成し、正しいマッチング位置の数を参照配列内の位置の総数(つまり、ウィンドウサイズ)で割り、その結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを生成する。
【0111】
本明細書で使用される「外因性」という用語は、核酸分子またはポリペプチド、細胞、組織などが、生体内で内因性発現を有さないか、または過剰発現されたときの機能を達成するには発現レベルが不十分であることを指す。
【0112】
「内因性」という用語は、核酸分子またはポリペプチドなどが生体自身に由来することを指す。
【0113】
一部の実施形態では、本発明のキメラ受容体は、キメラ抗原受容体である。
【0114】
キメラ抗原受容体は通常、細胞外抗原結合領域を含む。一部の実施形態において、細胞外抗原結合領域は、完全にヒトであってもよく、またヒト化、マウスに由来するか、または前記細胞外抗原結合領域のキメラは、少なくとも2つの異なる動物からのアミノ酸配列からなる。
【0115】
細胞外抗原結合領域の例としては、scFv、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、単一ドメインフラグメント、またはそれらの同族受容体に接合する天然リガンド、およびそれらの任意の誘導体であってもよい。
【0116】
一部の態様では、細胞外抗原結合領域(例えば、scFv)は、抗原に特異的な軽鎖CDRを含むことができる。場合によっては、軽鎖CDRは、軽鎖CDR-1、CDR-2などと呼ばれることができる2つ以上の軽鎖CDRを含んでもよい。場合によっては、軽鎖CDRは3つの軽鎖CDRを含んでもよく、それぞれ軽鎖CDR-1、軽鎖CDR-2、および軽鎖CDR-3と呼ばれることができる。一実施形態では、一般的な軽鎖上に存在する一組のCDRは、まとめて軽鎖CDRと呼ばれることができる。
【0117】
一部の態様では、細胞外抗原結合領域(例えば、scFv)は、抗原に特異的な重鎖CDRを含んでもよい。重鎖CDRは、scFvなどの抗原結合ユニットの重鎖相補性決定領域であってもよい。場合によっては、重鎖CDRは、重鎖CDR-1、CDR-2などと呼ばれることができる2つ以上の重鎖CDRを含んでもよい。場合によっては、重鎖CDRは、3つの重鎖CDRを含んでもよく、それぞれ、重鎖CDR-1、重鎖CDR-2、および重鎖CDR-3と呼ばれることができる。一実施形態では、共通の重鎖に存在する一組のCDRをまとめて重鎖CDRと呼ぶことができる。
【0118】
遺伝子工学を使用することにより、細胞外抗原結合領域をさまざまな方法で修飾することができる。場合によっては、細胞外抗原結合領域を変異させて、細胞外抗原結合領域をその標的に対してより高い親和性を有するように選択することができる。場合によっては、細胞外抗原結合領域の標的に対する親和性を、正常組織において低レベルで発現できる標的に最適化することができる。潜在的な毒性をなるべく抑えるためにこの最適化を行うことができる。他の場合には、標的の膜結合型に対してより高い親和性を有する細胞外抗原結合領域のクローンは、それらの可溶性形態の対応物よりも優れている可能性がある。可溶性形態の異なるレベルの標的も検出することができ、それらの標的が望ましくない毒性を引き起こす可能性があるため、この修飾を行うことができる。
【0119】
場合によっては、細胞外抗原結合領域はヒンジまたはスペーサーを含む。ヒンジとスペーサーという用語は置き換えて使用することができる。ヒンジは、細胞外抗原結合領域に柔軟性を提供するために使用されるCARの一部と見なすことができる。例えば、ヒンジは、CD8α分子の天然のヒンジ領域であり得る。
【0120】
「膜貫通ドメイン」という用語は、キメラタンパク質を細胞の原形質膜に固定することができる。たとえば、CD28およびCD8αの膜貫通ドメインを使用できる。
【0121】
「調節」という用語は、正または負の変更を指す。調節の例には、1%、2%、10%、25%、50%、75%、または100%の変更が含まれる。具体的な一実施形態では、負の変更を指す。
【0122】
「治療」という用語は、疾患を変えようとする過程における干渉措置を指し、予防もできると共に、臨床病理学的過程において介入することもできる。治療効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患の直接的または間接的な病理学的結果の低減、転移の予防、疾患の進行の遅延、状態の改善または緩和、予後の緩和または改善などが含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
「予防」という用語は、疾患(細胞移植によって引き起こされる拒絶反応など)が発生する前に行われる干渉措置を指す。
【0124】
本発明の第1のタンパク質は、宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができる上記のタンパク質を指す。
【0125】
本発明の第2のタンパク質は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する上記のタンパク質を指す。
【0126】
本発明に記載の「第2の受容体」および「宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができるタンパク質」は、並行して発現(タンデム発現)させることも、別々に発現させることもできる。
【0127】
本発明に記載の「第2受容体」と「宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができるタンパク質」を別々に発現させる場合、それぞれ独立した膜貫通ドメインと細胞内ドメインを持つ。その発現方法については、PCT/CN2015/095938、Enhancing the specificity of T-cell cultures for adoptive immunotherapy of cancer, Duong CP et al.,Immunotherapy 3(1):33-48などを参照されたい。
【0128】
本発明の「第2の受容体」が「宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識できるタンパク質」と並行して発現(タンデム発現)される場合、宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識するタンパク質は、「第2の受容体」が認識する腫瘍抗原などの抗原を認識することもできる。
【0129】
「腫瘍抗原」とは、過剰増殖性疾患の発生および進展中に新たに出現または過剰発現される抗原を指す。特定の態様において、本発明の過剰増殖性障害は、がんを指す。
【0130】
本発明に記載の腫瘍抗原は、固形腫瘍抗原または血腫抗原であり得る。
【0131】
本発明の腫瘍抗原は、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR);CD171;CS-1;C型レクチン様分子-1;ガングリオシドGD3;Tn抗原;CD19;CD20;CD22;CD30;CD70;CD123;CD138;CD33;CD44;CD44v7/8;CD38;CD44v6;B7H3(CD276)、B7H6;KIT(CD117);インターロイキン13受容体サブユニットα(IL-13Rα);インターロイキン11受容体α(IL-11Rα);前立腺幹細胞抗原(PSCA);前立腺特異的膜抗原(PSMA);癌胚性抗原(CEA);NY-ESO-1;HIV-1 Gag;MART-1;gp100;チロシナーゼ;メソテリン;EpCAM;プロテアーゼセリン21(PRSS21);血管内皮増殖因子受容体、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2);ルイス(Y)抗原;CD24;血小板由来成長因子受容体β(PDGFR-β);段階特異的胚性抗原-4(SSEA-4);細胞表面関連ムチン1(MUC1)、MUC6;表皮成長因子受容体ファミリーとその変異体(EGFR、EGFR2、ERBB3、ERBB4、EGFRvIII);神経細胞接着分子(NCAM);炭酸アンヒドラーゼIX(CAIX);LMP2;エフリンA型受容体2(EphA2);フコシルGM1;シアリルルイス接着分子(sLe);ガングリオシドGM3;TGS5;高分子量メラニン腫瘍関連抗原(HMWMAA);O-アセチルGD2ガングリオシド(OAcGD2);葉酸受容体;腫瘍血管内皮マーカー1(TEM1/CD248);腫瘍血管内皮マーカー7関連(TEM7R);Claudin6、Claudin18.2、Claudin18.1;ASGPR1;CDH16;5T4;8H9;αvβ6インテグリン;B細胞成熟抗原(BCMA);CA9;κ軽鎖(カッパ軽鎖);CSPG4;EGP2、EGP40;FAP;FAR; FBP;胚性AchR;HLA-A1、HLA- A2;MAGEA1、MAGE3;KDR;MCSP;NKG2Dリガンド;PSC1;ROR1;Sp17;SURVIVIN;TAG72;TEM1;フィブロネクチン;テネイシン;腫瘍壊死ゾーンの癌胚性変異体;Gタンパク質結合受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D);X染色体オープンリーディングフレーム61(CXORF61);CD97;CD179a;未分化リンパ腫キナーゼ(ALK);ポリシアル酸;胎盤特異的1(PLAC1);globoHグリコセラミドのヘキソース部分(GloboH);乳房分化抗原(NY-BR-1);ウロプラキン2(UPK2);A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1);アドレナリン受容体β3(ADRB3);パネキシン3(PANX3);Gタンパク質共役型受容体20(GPR20);リンパ球抗原6複合遺伝子座K9(LY6K);嗅覚受容体51E2(OR51E2);TCRγ交互リーディングフレームタンパク質(TARP);ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1);ETSトランスロケーションバリアント遺伝子6(ETV6-AML);精子タンパク質17(SPA17);X抗原ファミリーメンバー1A(XAGE1);アンジオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie2);メラノーマ癌精巣抗原-1(MAD-CT-1);メラノーマ癌精巣抗原-2(MAD-CT-2);Fos関連抗原1;P53変異体;ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT);肉腫移行ブレークポイント;アポトーシスのメラノーマ阻害剤(ML-IAP);ERG(膜貫通プロテアーゼセリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子);N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(NA17);ペアリングボックスタンパク質Pax-3(PAX3);アンドロゲン受容体;サイクリンB1;V-myc鳥類骨髄症ウイルス腫瘍遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN); RasホモログファミリーメンバーC(RhoC);チトクロームP450 1B1(CYP1B1);CCCTC結合因子(亜鉛フィンガータンパク質)様(BORIS);T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原3(SART3);ペアリングボックスタンパク質Pax-5(PAX5);プロアクロシン結合タンパク質sp32(OYTES1);リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK);Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4);滑膜肉腫Xブレークポイント2(SSX2);CD79a;CD79B;CD72;白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1);IgA受容体のFcフラグメント(FCAR);白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーメンバー2(LILRA2);CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF);C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A);骨髄間質細胞抗原2(BST2);EGF様モジュールを含むムチン様ホルモン受容体様2(EMR2);リンパ球抗原75(LY75);グリピカン-3(GPC3);Fc受容体様5(FCRL5);免疫グロブリンλ様ペプチド1(IGLL1)を含むが、これらに限定されない。好ましくは、前記腫瘍抗原はBCMAまたはCD19である。
【0132】
病原体抗原は、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、または寄生虫の抗原から選ばれる。ウイルス抗原は、サイトメガロウイルス抗原、エプスタインバーウイルス抗原、ヒト免疫不全ウイルス抗原またはインフルエンザウイルス抗原から選ばれる。
【0133】
本発明は、具体的な実施例と併せて以下でさらに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。下記の実施例では、具体的な条件を示していない実験方法は、通常、J. Sambrook et al., eds. Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Third Edition、科学出版社、2002に記載されている条件などの従来の条件に従うか、製造元に勧められた条件に従う。
【実施例】
【0134】
NK細胞表面受容体の発現の検出
密度勾配遠心分離にFicoll-Paque(GE bioscience)を使用して、単球を末梢血から単離し、NK細胞分離キット(Miltenyi Biotecから購入)を使用してネガティブスクリーニングを行い、T細胞、B細胞、および単球などの細胞を除去した後、インビトロでの細胞表現型の同定と増殖を行った。フローサイトメトリーを使用して、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、NKP46のようなマーカーなど、単離されたNK細胞の表面にある受容体を同定した。フローサイトメトリーの結果は、NKG2A、NKP30、NKP44、NKP46がNK細胞の約80%で発現し、NKG2DがNK細胞の90%以上で発現したことを示している(
図1を参照)。
さらに、T細胞における上記の表面マーカーの発現も検出した。CD3/CD28磁気ビーズ(Thermo Fisherから購入)によって活性化されたT細胞を収集し、8日目まで培養してフローサイトメトリーのために染色をした。実験結果は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、NKP46がT細胞でほとんど発現されていないことを示しており、上記のマーカーがNK細胞の標的として使用できることを示している(
図2を参照)。
【実施例】
【0135】
CAR-T細胞の調製と機能検証
1、NK細胞を標的とするCAR-T細胞を調製するための代表として、NKG2Aを標的として選択した。従来の操作を参照して、抗NKG2Aを含む一本鎖抗体(VHのアミノ酸配列は配列番号1に示され、VLのアミノ酸配列は配列番号2に示される)、CD28膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン(アミノ酸配列は配列番号3に示される)、T細胞活性化因子CD3ζ(アミノ酸配列は配列番号4に示される)のキメラ抗原受容体(アミノ酸配列は配列番号5に示される)のベクターを設計および構築し、プラスミドマップは
図8に示されている。レンチウイルスはパッケージングされ、VRRL-NKG2A-28Z(TM)と名付けられた。
T細胞の活性化と増殖を48時間行った後、細胞密度を2×10
6/mLに調整し、VRRL-NKG2A-28Z(TM)レンチウイルスをMOI=10の比率で添加して、NKG2Aを標的とするCAR-T細胞を取得した。
細胞増殖検出のために6日目にCAR-T細胞を採取し、開始細胞数を5×10
5に調整し、24時間、48時間、72時間、および96時間で細胞数を検出し、細胞直径を記録した。同時に、CARベクターの発現を検出するために、抗F(ab)’2抗体を用いてフローサイトメトリー染色を行った。実験結果によると、NKG2A CAR-T細胞とトランスフェクトされなかったT細胞(UTD)は同様の増殖曲線を示し、細胞径に有意差はなく、CAR-T細胞の約80%がNKG2Aを標的とするCAR分子を発現した。これは、NKG2A CAR-T細胞の増殖特性が正常であることを示している(
図3を参照)。
2、BCMAを標的とするCAR-T細胞の調製
1の操作を参照して、BCMAのキメラ抗原受容体を標的とするプラスミド(アミノ酸配列は配列番号6に示される)を構築し、プラスミドマップは
図9に示されている。レンチウイルスはパッケージングされ、T細胞をトランスフェクトして、BCMAを標的とするBCMA-CAR T細胞を取得した。
3、インビトロ殺傷機能実験
標的細胞としてインビトロで初代NK細胞を増幅した。細胞密度を5×10
5/mLに調整し、100μlを96ウェルプレートに接種し(3つの複製ウェルを並行して作製)、エフェクターT細胞:標的細胞の比率1:3、1:1、および3:1の3つの比率に従って、対応するCAR-T細胞を接種した。MEM-α+5%FBSを培地として使用し、37℃の5%CO
2インキュベーターでそれぞれ4時間と18時間インキュベートした。サイトトックス-96非放射性細胞毒性アッセイ(cytotox-96 non-radioactive cytotoxicity assay)キット(Thermo Fisherから購入)を使用して、50μlの上澄みを取り、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の含有量を測定し、UTDおよびNKG2A CAR-Tの2つの群における初代NK細胞の溶解効率を計算した。
検出結果は、NKG2A CAR-T群のLDH値がUTD群のそれよりも有意に高いことを示し、NKG2A CAR-Tが初代NK細胞を効果的に殺傷することができることを示している(
図4および
図5を参照)。
【実施例】
【0136】
NKG2A UCAR-T細胞の調製
1、TCRおよびB2M遺伝子のノックアウト
従来のUTD細胞、NKG2A CAR-T細胞、およびBCMA CAR-T細胞(対照用)をインビトロで48時間増殖させた後、細胞密度を2×10
7/mLに調整した。Cas9酵素(NEBから購入)とsgRNAを1:4の比率で室温で10分間インキュベートして、RNP複合体溶液を取得した。TRAC-sgRNAの核酸配列は配列番号7に示され、B2M-sgRNAの核酸配列は配列番号8に示される。1×10
6細胞をRNP複合体溶液と混合し(Cas9酵素の最終濃度は3uM)、maxcyteエレクトロトランスミッターを使用してRNP複合体をCAR-T細胞に個別に導入した。エレクトロポレーション後7日目に、フローサイトメトリーを使用してTCRおよびB2M遺伝子のノックアウトを検出した。実験結果は、TRACおよびB2Mのノックアウト効率が85%以上であることを示している(
図6を参照)。
2、TCR/B2Mダブルネガティブ細胞スクリーニング
B2MおよびTCRがノックアウトされたCAR-T細胞およびUTD細胞をインビトロで増殖させ、8日目に細胞密度を1×10
7/mLに調整し、細胞を抗HLA-ABCおよびB2M抗体で標識してから、カップリングフィコエリトリン(PE)の二次抗体で標識した。標識した細胞を抗PE磁気ビーズで選別カラムで選別した後、TCRおよびB2Mダブルネガティブ細胞を回収し(選別キットは、Miltenyi Biotecから購入した)、TCRとB2Mを欠くBCMA UCAR-T細胞、NKG2A UCAR-T細胞、およびU-UTD細胞が得られた。
【実施例】
【0137】
NK細胞に対するNKG2A UCAR-T細胞の抵抗機能の検証
1、LDH実験によるNK細胞に対するUCAR-T細胞の拒絶効果の検出
UTD細胞、BCMA-CAR T細胞、NKG2A CAR-T細胞、BCMA UCAR-T細胞、NKG2A UCAR-T細胞、およびU-UTD細胞を標的細胞として使用し、細胞濃度を5×10
5/mLに調整し、100μlを96ウェルプレートに接種し、増幅された初代NK細胞と標的細胞の比率1:1に従って、同じ量(体積)と数のNK細胞を接種し、インキュベーター内でそれぞれ4時間と18時間インキュベートした。上澄み50μlを取り、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の含有量を測定し、CAR-TおよびUCAR-T細胞の溶解効率を計算した。検出結果は、UTDとBCMA CAR-T群のLDH値が両方とも非常に低いことを示している。これは、通常のCAR-T細胞がNK細胞の攻撃を引き起こさないことを示している。それに対して、U-UTDとBCMA UCAR-T群は両方とも4時間および18時間で徐々に増加するLDH値を示し、これは、NK細胞がTCRおよびB2Mを欠くT細胞を殺傷することを示している。NKG2A UCAR-T細胞はより低いレベルのLDHを示し、これは、NKG2A UCAR-T細胞がNK細胞に対して抵抗効果があることを示している。
2、NKG2A UCAR-T細胞のNK細胞に対する抵抗能力をさらに証明するために、対照としてBCMA UCAR-T細胞を選択し、細胞濃度を5×10
5/mLに調整し、100μlを96ウェルプレートに接種した。増殖された初代NK細胞と標的細胞の比率1:1で、同じ体積と数のNK細胞を接種し、インキュベーター内でそれぞれ4時間、18時間、24時間、42時間インキュベートした。フローサイトメトリーを使用してHLA-ABC陽性NK細胞を標識し、さまざまな時点でインキュベートされたUCAR-T細胞の割合を検出した。実験結果は、
図7A~7Dに示されているように、BCMA UCAR-Tは4時間で約20%の低い割合であり、検出時間の延長に伴い割合が常に非常に低く、これは、NK細胞がBCMA UCAR-T細胞の増殖を有意に阻害したことを示している。NKG2A UCAR-T細胞は4時間で約20%の低い割合であるが、検出時間の延長に伴い、割合が徐々に増加し、42時間で60%近くに達した。これは、NKG2A UCAR-T細胞の増殖は最初からNK細胞によって阻害されているが、時間の経過とともに徐々に増殖能力が回復することを示している。上記の結果は、NKG2A UCAR-TがNK細胞の殺傷能力に効果的に抵抗できることを示している。
3、初代NK細胞に対するNKG2A UCAR-T細胞の抵抗能力をさらに証明するために、GFPを発現するBCMA UCAR-T細胞とNKG2A UCAR-T細胞を構築した。BCMA-GFPのアミノ酸配列は配列番号24に示され、NKG2A-GFPのアミノ酸配列は配列番号25に示される。
実施例2の操作を参照して、GFPを発現するBCMA UCAR-T細胞を発現するプラスミドPRRL-BCMA-BBZ-F2A-EGFPを構築し、プラスミドマップを
図16に示す。NKG2A UCAR-T細胞を発現するプラスミドPRRL-NKG2A-28Z-F2A-EGFPを構築し、プラスミドマップを
図17に示す。構築されたプラスミドについてレンチウイルスをパッケージングし、T細胞をトランスフェクトし、CAR-T細胞に対して遺伝子ノックアウトおよび磁気ビーズ選別を実行して、GFPを発現するBCMA UCAR-T細胞とGFPを発現するNKG2A UCAR-T細胞を取得した。
CAR-T細胞の濃度を5×10
5/mLに調整し、100μlを96ウェルプレートに接種し、増殖された初代NK細胞と標的細胞の比率1:1に従って、同じ体積と数のNK細胞を接種し、インキュベーター内でそれぞれ0時間、4時間、18時間、24時間、48時間培養した。フローサイトメトリーを使用して、さまざまな時点で共培養されたGFP細胞の割合を検出し、UCAR-T細胞の生存を追跡するために使用した。
実験結果は、
図10に示されるように、GFP陽性BCMA UCAR-T細胞の割合は時間の延長とともに徐々に減少し、48時間後にほとんどNK細胞によって完全に殺傷されたが、GFP陽性NKG2A UCAR-T細胞の割合は4時間にわずかに減少し、18時間後に有意に増加し、48時間後に約90%を占め、これは、NKG2A UCAR-T細胞がNK細胞の殺傷に有意に抵抗できることを示している。
【実施例】
【0138】
NK細胞に対するインビボでのNKG2A UCAR-T細胞の抵抗
BCMA UCAR-TおよびNKG2A UCAR-T細胞をインビトロで培養し、CAR陽性率を80%に調整し、8×10
6細胞/匹の用量で尾静脈注射によりNPG免疫不全マウスに注入し、マウスを、BCMA UCAR-TおよびNK細胞を投与した群(BCMA UCAR-T+NKと表示)、NKG2A UCAR-T群およびNK細胞を投与した群(NKG2A-UCART+NKと表示)の2群に分けた。
UCAR T細胞投与の4時間後に同量のNK細胞を注射した。CAR T細胞注射後の1日目、3日目、6日目、マウスの末梢血中のヒト由来CD4およびCD8T細胞の生存をフローアブソリュートテクノロジー(フローサイトメトリーによる絶対細胞計数)によって検出した。
実験結果は、
図11に示されているように、注射後1日目、BCMA UCAR-T+NK群およびNKG2A UCAR-T+NK群のUCAR-T細胞(すなわち、ヒト由来CD4およびCD8 T細胞)の数は、有意に減少し、これは、UCAR-T細胞がNK細胞によって拒絶されることを示している。注射後3日目と6日目では、BCMA UCAR-T+NK群のUCAR-T細胞の数は常に非常に低いレベルであり、NKG2A UCAR-T+NK群のUCAR-T細胞の数は3日目および6日目には有意な増加があった。上記の結果は、インビボモデルにおいて、NK細胞がBCMA UCAR-T細胞の生存を有意に阻害するに対して、NKG2A UCAR-T細胞はNK細胞の殺傷に効果的に抵抗し、増殖能力を回復できることを示している。
【実施例】
【0139】
BCMAおよびNKG2Aを標的とするCAR T細胞の構築
図12に示すように、BCMAを標的とするscFvおよびNKG2Aを標的とするscFvがタンデムで連結したUCAR-T細胞(すなわち、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T)を調製した。BCMA-GS-NKG2A CARのアミノ酸配列は、配列番号9に示されている。
BCMA-GS-NKG2A UCAR-TのプラスミドPRRL-BCMA-GS-NKG2A-BBZを構築し、プラスミドマップを
図18に示す。実施例2および3の操作を参照して、ウイルストランスフェクションを実行してBCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞を取得し、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞に対してTRACおよびB2M遺伝子ノックアウトを実行してから、磁気ビーズによる選別の方法で99%以上のTCRおよびHLA-ABC陰性のBCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞を得た。
実施例2および3の操作を参照して、BCMA UCAR-T細胞およびNKG2A UCAR-T細胞をそれぞれ調製した。
BCMA UCAR-T、NKG2A UCAR-TとBCMA-GS-NKG2A UCAR-TのCAR発現をそれぞれ検出した。実験結果は、
図13に示されているように、陽性率は60%以上に達し、これは、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞の調製が成功したことを示している。
【実施例】
【0140】
BCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞のインビトロ機能の検証
BCMA陽性多発性骨髄腫細胞株RPMI-8226およびNCI-H929を標的細胞としてインビトロで培養し、1×10
4の腫瘍細胞を96ウェルプレートに接種し、T細胞と腫瘍細胞の比率3:1、1:1、および1:3に従って、対応する数のUCAR-T細胞を接種し、18時間インキュベートした後、LDH含有量検出のために50μlの上澄みを吸引した。
実験結果は、
図14に示されているように、UTDおよびNKG2A UCAR-T群では、RPMI-8226およびNCI-H929の細胞溶解率は非常に低く、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T群の腫瘍細胞の溶解率はBCMA UCAR-T群の溶解率に近く、これは、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞がインビトロでBCMA陽性腫瘍細胞を効果的に殺傷することができることを示している。
【実施例】
【0141】
NK細胞に対するBCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞の抵抗機能の検証
陰性および陽性対照として、BCMA UCAR-TおよびNKG2A UCAR-T細胞をそれぞれ選択し、細胞濃度を5×10
5/mLに調整し、100μlを96ウェルプレートに接種し、NK細胞とT細胞の比率1:1に従って、同じ体積と数のNK細胞を接種し、インキュベーター内でそれぞれ0時間、4時間、18時間、24時間、48時間培養した。フローサイトメトリーを使用してHLA-ABC陽性のNK細胞を標記し、さまざまな時点で共培養されたUCAR-T細胞の割合を検出した。実験結果は、
図15に示されるように、BCMA UCAR-T細胞の割合はインキュベーション時間の延長とともに徐々に減少し、48時間後にほとんどNK細胞によって殺傷されたが、BCMA-GS-NKG2A UCAR-TおよびNKG2A UCAR-T細胞は同じ変化傾向を示し、4時間にわずかに減少し、その後徐々に増加し、48時間後に約70%以上に達し、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞が48時間後に90%に達し、これは、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞がNK細胞の殺傷に有意に抵抗できることを示している。
【実施例】
【0142】
NK細胞に対するインビボでのBCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞の抵抗
BCMA UCAR-TおよびBCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞をインビトロで培養し、CAR陽性率を60%に調整し、8×10
6細胞/匹の用量で尾静脈注射によりNPG免疫不全マウスに注入し、マウスを、BCMA UCAR-TおよびNK細胞を投与した群(BCMA UCAR-T+NKと表示)、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T群およびNK細胞を投与した群(BCMA-GS-NKG2A-UCAR-T+NKと表示)の2群に分けた。UCAR-T細胞投与の4時間後に同量のNK細胞を注射した。CAR T細胞注射後の1日目、3日目、6日目、マウスの末梢血中のヒト由来CD45陽性T細胞の生存をフローアブソリュートテクノロジーによって検出した。
実験結果は、
図19に示されているように、注射後1日目と比較して、BCMA UCAR-T+NK群のUCAR-T細胞の数は、3日目および6日目には有意な増加はなく、これは、UCAR-T細胞がNK細胞によって拒絶されていることを示している。BCMA-GS-NKG2A UCAR-T+NK群のUCAR-T細胞の数は、3日目と6日目では、いずれも有意に増加し、6日目に細胞数は、1日目の細胞数より30倍以上増加した。上記の結果は、インビボモデルにおいて、NK細胞がBCMA UCAR-T細胞の生存を有意に阻害するに対して、BCMA-GS-NKG2A UCAR-T細胞はNK細胞の殺傷に効果的に抵抗し、増殖能力を回復できることを示している。
【0143】
本願に係る配列は、次の表に示す。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-02-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができる第1のタンパク質を発現し、好ましくは、宿主の免疫エフェクター細胞に対して阻害または殺傷機能を有することを特徴とする、移植免疫拒絶に抵抗する細胞。
【請求項2】
前記細胞が免疫エフェクター細胞または免疫エフェクター細胞の機能を有する人工的に改変された細胞であることを特徴とする、請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
前記細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、CIK細胞、および幹細胞に由来する免疫エフェクター細胞から選択され、
好ましくは、前記細胞はT細胞であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質はキメラ受容体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の細胞。
【請求項4】
前記細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、好ましくは、前記第2のタンパク質はキメラ受容体またはT細胞受容体であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項5】
前記細胞がMHCを発現しないか、または前記細胞によって内因的に発現されるMHC遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記MHC遺伝子が、MHCクラスI分子の遺伝子であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項6】
前記細胞がHLAを発現しないか、または前記細胞よって内因的に発現されるHLA遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記HLAが、HLA-I遺伝子であることを特徴とする、請求項5に記載の細胞。
【請求項7】
前記移植免疫拒絶に抵抗することは、宿主のNK細胞からの攻撃に抵抗することか、または前記第1のタンパク質が宿主のNK細胞を認識できることであり、
好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上を特異的に認識でき、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46などのNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項8】
前記第1のタンパク質は、宿主のNK細胞を認識できる抗体を含み、
好ましくは、前記抗体はNKG2Aを認識でき、
さらに好ましくは、前記抗体は、配列番号10に示されるHCDR1、配列番号11に示されるHCDR2、配列番号12に示されるHCDR3、配列番号13に示されるLCDR1、配列番号14に示されるLCDR2、配列番号15に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、前記抗体は、配列番号1に記載されている重鎖可変領域または配列番号2に記載されている軽鎖可変領域を含むことを特徴とする、請求項7に記載の細胞。
【請求項9】
前記HLA-I遺伝子は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2Mのうちの1つ以上から選択されるものであり、好ましくは、前記HLA-I遺伝子はB2Mであることを特徴とする、請求項8に記載の細胞。
【請求項10】
前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択されることを特徴とする、請求項3または4に記載の細胞。
【請求項11】
前記第1のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、宿主の免疫エフェクター細胞に対する阻害または殺傷を媒介することを特徴とする、請求項1に記載の細胞。
【請求項12】
前記第2のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、腫瘍または病原体に対する阻害または殺傷を媒介することを特徴とする、請求項4に記載の細胞。
【請求項13】
前記細胞は、HLA-I遺伝子と内因性TCR遺伝子によってサイレンシングされたT細胞であり、
好ましくは、前記細胞は、B2MとTCR遺伝子によってサイレンシングされたT細胞であることを特徴とする、請求項6に記載の細胞。
【請求項14】
前記第2のタンパク質は、BCMAまたはCD19を特異的に認識でき、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAを特異的に認識できる抗体を含み、
さらに好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号16に示されるHCDR1、配列番号17に示されるHCDR2、配列番号18に示されるHCDR3、配列番号19に示されるLCDR1、配列番号20に示されるLCDR2、配列番号21に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号22に示される重鎖可変領域および配列番号23に示される軽鎖可変領域を含むことを特徴とする、請求項4に記載の細胞。
【請求項15】
遺伝子が遺伝子編集技術によりサイレンシングされたことを特徴とする、請求項5、6または13に記載の細胞。
【請求項16】
前記第1のタンパク質は、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する抗体、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは宿主の免疫エフェクター細胞を認識する前記抗体と、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する前記抗体とは、連結ペプチドによって連結され、
さらに好ましくは、前記第1のタンパク質は、配列番号9に示される配列を有することを特徴とする、請求項10に記載の細胞。
【請求項17】
移植免疫拒絶に抵抗する細胞であって、前記細胞が、宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識することができるT細胞受容体を有するT細胞であり、好ましくは、前記細胞が宿主の免疫エフェクター細胞に対して阻害または殺傷機能を有することを特徴とする、細胞。
【請求項18】
前記細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、好ましくは、前記第2のタンパク質はキメラ受容体であることを特徴とする、請求項17に記載の細胞。
【請求項19】
前記細胞がMHCを発現しないか、または前記細胞によって内因的に発現されるMHC遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記MHC遺伝子が、MHCクラスI分子の遺伝子であることを特徴とする、請求項17または18項に記載の細胞。
【請求項20】
前記細胞がHLAを発現しないか、または前記細胞よって内因的に発現されるHLA遺伝子がサイレンシングされ、好ましくは、前記HLAが、HLA-I遺伝子であ
り、好ましく、前記HLA-I遺伝子は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2Mのうちの1つ以上から選択されるものであり、好ましくは、前記HLA-I遺伝子はB2Mであることを特徴とする、請求項19に記載の細胞。
【請求項21】
前記T細胞受容体は、宿主のNK細胞を認識することができ、
好ましくは、前記T細胞受容体は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上を特異的に認識でき、
より好ましくは、前記T細胞受容体は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46であるNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できることを特徴とする、請求項17~20のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項22】
前記第2のタンパク質はキメラ受容体であり、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択され、第2のタンパク質を含むキメラ受容体は、第2のタンパク質、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAまたはCD19を特異的に認識でき、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMAを特異的に認識できる抗体を含み、
さらに好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号16に示されるHCDR1、配列番号17に示されるHCDR2、配列番号18に示されるHCDR3、ならびに配列番号19に示されるLCDR1、配列番号20に示されるLCDR2、配列番号21に示されるLCDR3を含み、
さらにより好ましくは、BCMAを特異的に認識する前記抗体は、配列番号22に示される重鎖可変領域および配列番号23に示される軽鎖可変領域を含むことを特徴とする、請求項18に記載の細胞。
【請求項23】
請求項1~
22のいずれか1項に記載の細胞を投与することを特徴とする、移植免疫拒絶を予防または調節する方法。
【請求項24】
外因性細胞に対するNK細胞の攻撃を予防または調節する方法であって、NK細胞を認識する第1のタンパク質を発現する免疫エフェクター細胞を投与し、
任意選択で、前記外因性細胞は、T細胞、NKT細胞、幹細胞、または操作されたT細胞、NKT細胞、幹細胞であることを特徴とする、前記方法。
【請求項25】
前記外因性細胞は免疫エフェクター細胞であり、好ましくは、前記外因性細胞は第2の受容体を発現することを特徴とする、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の受容体は、キメラ受容体またはT細胞受容体であり、
好ましくは、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、T細胞抗原カプラー(TAC)から選択されることを特徴とする、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
NK細胞を認識する前記第1のタンパク質が認識する抗原は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46であるNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できることを特徴とする、請求項
24に記載の方法。
【請求項28】
前記免疫エフェクター細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、CIK細胞、および幹細胞に由来する免疫エフェクター細胞を含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
外因性免疫エフェクター細胞に対するNK細胞の攻撃を予防または調節する方法であって、前記外因性免疫エフェクター細胞は、NK細胞を認識する第1のタンパク質を発現し、
好ましくは、前記外因性免疫エフェクター細胞は、HLA-I遺伝子を含まない細胞、または内因性のHLA-I遺伝子がサイレンシングされた細胞であり、
より好ましくは、前記外因性免疫エフェクター細胞は、B2M遺伝子を含まない細胞、またはB2M遺伝子がサイレンシングされた細胞であることを特徴とする、前記方法。
【請求項30】
前記外因性免疫エフェクター細胞は、T細胞であり、
好ましくは、NK細胞を認識する前記第1のタンパク質は、キメラ受容体またはT細胞受容体であることを特徴とする、請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
NK細胞を認識する前記第1のタンパク質が認識する抗原は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原のうちの1つ以上であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、及びNKP46であるNK細胞表面抗原の1つ以上を特異的に認識できることを特徴とする、請求項
30に記載の方法。
【請求項32】
前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、T細胞抗原カプラー(TAC)から選択されることを特徴とする、請求項
31に記載の方法。
【請求項33】
前記外因性免疫エフェクター細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、
好ましくは、前記第2のタンパク質はキメラ受容体であり、前記キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)から選択されることを特徴とする、請求項
29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のタンパク質は、NK細胞を認識する抗体および腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体を含むキメラ抗原受容体、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)であることを特徴とする、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、宿主の免疫エフェクター細胞に対する阻害または殺傷を媒介することを特徴とする、請求項
29に記載の細胞。
【請求項36】
前記第2のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達し、腫瘍または病原体に対する阻害または殺傷を媒介することを特徴とする、請求項
33に記載の細胞。
【請求項37】
前記第1のタンパク質は、宿主の免疫エフェクター細胞を認識する抗体、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み、
好ましくは宿主の免疫エフェクター細胞を認識する前記抗体と、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する前記抗体とは、連結ペプチドによって連結され、
さらに好ましくは、前記第1のタンパク質は、配列番号9に示される配列を有することを特徴とする、請求項
29に記載の細胞。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主の1つ以上の免疫エフェクター細胞を認識す
る第1のタンパク質を発現し、好ましくは、宿主の免疫エフェクター細胞
を阻害または殺傷
する機能を有する
ことを特徴とする、移植免疫拒絶に抵抗する細胞。
【請求項2】
第1のタンパク質を発現する前記細胞が免疫エフェクター細胞または免疫エフェクター細胞の機能を有する人工的に改変された細胞であ
り、
好ましくは、第1のタンパク質を発現する前記細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、CIK細胞、および幹細胞に由来する免疫エフェクター細胞からなる群より選択される、
ことを特徴と
する、
請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
前記第1のタンパク質は、キメラ受容体
またはT細胞受容体であるか、またはキメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の細胞。
【請求項4】
第1のタンパク質を発現する前記細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現
し、
好ましくは、第2のタンパク質は、BCMA、GPC3、Claudin18.2、CD20、CD22、CD38、GPRC5D、B7H3、Claudin 6、FAP、Mesothelin、CD19またはこれらの組合せを特異的に認識し;
好ましくは、第2のタンパク質は、配列番号16、17、18、19、20および21で表されるアミノ酸配列;または、配列番号22および23で表されるアミノ酸配列;または、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項5】
前記移植免疫拒絶
への抵抗は
、NK細胞の攻撃
への抵抗
である、または前記第1のタンパク質
がNK細胞を認識
する
ことを特徴とする、請求項1~
4のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項6】
前記第1のタンパク質は
、NK細胞を認識
する抗体を含み、
好ましくは、前記抗体はNKG2A
、NKG2D、CD94を認識
する;
より好ましくは、前記抗体は、配列番号10
で表されるHCDR1、配列番号11
で表されるHCDR2、配列番号12
で表されるHCDR3、配列番号13
で表されるLCDR1、配列番号14
で表されるLCDR2、配列番号15
で表されるLCDR3を含
む;または、
前記抗体は、配列番号1に記載されている重鎖可変領域または配列番号2に記載されている軽鎖可変領域を含む
;または、
前記第1のタンパク質は、配列番号5または9で表されるアミノ酸配列を含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の細胞。
【請求項7】
前記第1のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、
および細胞内シグナル伝達ドメインを含み、
好ましくは、膜貫通ドメインは、CD28およびCD8αから選択される;および/または、細胞内シグナル伝達ドメインは、刺激分子および/または共刺激分子の機能的シグナル伝達ドメインを含む;
好ましくは、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB、CD27、CD28、CD3ζまたはこれらの組合せから選択され、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達
することにより、宿主の免疫エフェクター細胞
の阻害または殺傷を媒介する
、
ことを特徴とする、請求項1に記載の細胞。
【請求項8】
前記第2のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、
および細胞外シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達
することにより、腫瘍または病原体
の阻害または殺傷を媒介する
ことを特徴とする、請求項4に記載の細胞。
【請求項9】
第1のタンパク質を発現する前記細胞は、
内因性HLA-I遺伝子と内因性TCR遺伝子
がサイレンシングされた
またはノックアウトされたT細胞であ
る;または、
B2M
遺伝子とTCR遺伝子
がサイレンシングされた
またはノックアウトされたT細胞である
ことを特徴とする、請求項
1に記載の細胞。
【請求項10】
前記第1のタンパク質は
、免疫エフェクター細胞を認識する抗体、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体、膜貫通ドメイン、
および細胞内ドメインを含み、
好ましくは、腫瘍抗原は、BCMA、GPC3、Claudin18.2、CD20、CD22、CD38、GPRC5D、B7H3、Claudin 6、FAP、Mesothelin、CD19またはこれらの組合せを含み;
さらに好ましくは、前記第1のタンパク質は、配列番号9
で表される配列を有する
ことを特徴とする、請求項
1に記載の細胞。
【請求項11】
移植免疫拒絶を予防または調節するための方法における使用のための、宿主の1以上の免疫エフェクター細胞を認識する第1のタンパク質を発現する請求項1~10のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項12】
外因性細胞に対するNK細胞の攻撃を予防または調節する
ための方法における使用のための、NK細胞を認識する第1のタンパク質を発現する
、別の免疫エフェクター細
胞。
【請求項13】
前記外因性細胞は免疫エフェクター細胞であり、
前記外因性細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞または幹細胞、または操作されたT細胞、NK細胞、NKT細胞または幹細胞から選択されてもよく;
および/または、前記外因性細胞は、HLA-I遺伝子を含まない、または、内因性HLA-I遺伝子は、サイレンシングまたはノックアウトされてもよく;
および/または、前記外因性細胞は、宿主の自己細胞に由来するか、または、別の同種異系に由来する;
好ましくは、前記外因性細胞は第2の受容体を発現
し、
好ましくは、第2の受容体は、キメラ受容体またはT細胞受容体である、または、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)からなる群より選択される
ことを特徴とする、請求項
12に記載の
使用のための免疫エフェクター細胞。
【請求項14】
NK細胞を認識する
別の免疫エフェクター細胞の前記第1のタンパク質
により認識
される抗原は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原
からなる群より選択される1つ以上であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、
およびNKP46
からなる群より選択される1つ以上のNK細胞表面抗
原を特異的に認識
する
ことを特徴とする、請求項
12に記載の
使用のための免疫エフェクター細胞。
【請求項15】
NK細胞を認識する第1のタンパク質を発現する前記
別の免疫エフェクター細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、CIK細胞、
または幹細胞に由来する免疫エフェクター細胞を含む
、および/または、
第1のタンパク質を発現する前記別の免疫エフェクター細胞は、HLA-I遺伝子を含まない、または、内因性HLA-I遺伝子は、サイレンシングまたはノックアウトされている;および/または、
第1のタンパク質を発現する前記別の免疫エフェクター細胞は、宿主の自己細胞に由来するか、または、別の同種異系に由来する、
ことを特徴とする、請求項
12に記載の
使用のための免疫エフェクター細胞。
【請求項16】
外因性免疫エフェクター細胞
を投与する際のNK細胞の攻撃を予防または調節する
ための方法
における使用のためのNK細胞を認識する第1のタンパク質を発現
する外因性免疫エフェクター細胞。
【請求項17】
前記外因性免疫エフェクター細胞は、T細胞
、NK細胞、NKT細胞であるか、または幹細胞に由来する、および/または、
前記外因性免疫エフェクター細胞は、HLA-I遺伝子を含まない、または、内因性HLA-I遺伝子は、サイレンシングまたはノックアウトされている;および/または、
前記外因性免疫エフェクター細胞は、宿主の自己細胞に由来するか、または、別の同種異系に由来する
ことを特徴とする、請求項
16に記載の
使用のための外因性免疫エフェクター細胞。
【請求項18】
NK細胞を認識する
外因性免疫エフェクター細胞の前記第1のタンパク質
により認識
される抗原は、NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原
からなる群より選択される1つ以上
の抗原であり、
より好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、
およびNKP46
からなる群より選択される、1つ以上のNK細胞表面抗
原を特異的に認識
する
ことを特徴とする、請求項
17に記載の
使用のための外因性免疫エフェクター細胞。
【請求項19】
前記外因性免疫エフェクター細胞は、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する第2のタンパク質をさらに発現し、
好ましくは、
前記第1のタンパク質および/または前記第2のタンパク質は、キメラ受容体
またはT細胞受容体であ
るか、または、キメラ抗原受容体(CAR)、キメラT細胞受容体、
およびT細胞抗原カプラー(TAC)から
なる群より選択され
、
好ましくは、前記第2のタンパク質は、BCMA、GPC3、Claudin18.2、CD20、CD22、CD38、GPRC5D、B7H3、Claudin 6、FAP、Mesothelin、CD19またはこれらの組合せを特異的に認識する
ことを特徴とする、請求項
16~
18のいずれか1項に記載の
使用のための外因性免疫エフェクター細胞。
【請求項20】
前記第1のタンパク質は、NK細胞を認識する抗
体を認識する抗体を含
むキメラ抗原受容体、キメラT細胞受容体、またはT細胞抗原カプラー(TAC)であり、腫瘍抗原または病原体抗原を認識する抗体も含んでもよく;
好ましくは、腫瘍抗原は、BCMA、GPC3、Claudin18.2、CD20、CD22、CD38、GPRC5D、B7H3、Claudin 6、FAP、Mesothelin、CD19またはこれらの組合せを含む
ことを特徴とする、請求項
19に記載の
使用のための外因性免疫エフェクター細胞。
【請求項21】
前記第1のタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、
および細胞内シグナルドメインを含み、
好ましくは、前記
外因性免疫エフェクター細胞は、細胞内シグナルドメインを介してシグナルを伝達
することにより、宿主の免疫エフェクター細胞
の阻害または殺傷を媒介する
ことを特徴とする、請求項
16に記載の
使用のための外因性免疫エフェクター細胞。
【請求項22】
第1のタンパク質は、抗原結合領域を有し、抗原結合領域は、scFv、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、単一ドメインフラグメント、またはその同族受容体に接合する天然リガンド、およびそれらの任意の誘導体からなる群より選択される、
請求項1に記載の細胞。
【請求項23】
前記第1のタンパク質を発現する細胞は、前記宿主の自己細胞に由来するか、または、別の同種異系に由来する、請求項1に記載の細胞。
【請求項24】
前記第1のタンパク質は、
i)抗原結合領域、TCRα鎖およびTCRβ鎖、
ii)抗原結合領域、およびTCRサブユニット;または、
iii)抗原結合領域、TCRサブユニットの細胞外ドメイン、TCRサブユニットの膜貫通ドメイン、およびTCRサブユニットの細胞内ドメインの少なくとも一部を含み、
好ましくは、TCRサブユニットは、CD3εまたはCD3γから選択される、
請求項3に記載の細胞。
【請求項25】
前記第1のタンパク質を発現する細胞は、MHC遺伝子またはHLA遺伝子を含まないか、または、前記細胞において内因的に発現されるMHC遺伝子またはHLA遺伝子は、サイレンシングまたはノックアウトされており;
好ましくは、MHC遺伝子は、MHCクラスI分子の遺伝子であり、HLAは、HLA-Iの遺伝子であり;
好ましくは、HLA-I遺伝子は、HLA-A、HLA-B、HLA-CまたはB2Mからなる群より選択される1以上である、
請求項1に記載の細胞。
【請求項26】
前記第1のタンパク質は、
NKG2A、NKG2D、NKG2CなどのNKG2受容体ファミリー;KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DS1、KIR2DS2/S3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DS1などの殺傷免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリー;NKP30、NKP44、NKP46、NKp80などの天然細胞毒性受容体(NCR);およびCD159a、CD159c、CD94、CD158、CD56、LIR/ILT2、CD244、CD226、CD2、CD16、CD161などのNK細胞によって特異的に発現される他の抗原;
からなる群より選択される1以上の抗原を特異的に認識し、
好ましくは、前記第1のタンパク質は、NKG2A、NKG2D、NKP30、NKP44、およびNKP46からなる群より選択される、1以上のNK細胞表面抗原を認識する、
請求項1に記載の細胞。
【請求項27】
前記別の免疫エフェクター細胞の第1のタンパク質は、抗原結合領域を有し、抗原結合領域は、scFv、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、単一ドメインフラグメント、またはその同族受容体に接合する天然リガンド、およびそれらの任意の誘導体からなる群より選択される、
請求項12に記載の別の免疫エフェクター細胞。
【請求項28】
前記第1のタンパク質は、抗原結合領域を有し、抗原結合領域は、scFv、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、単一ドメインフラグメント、またはそれらの同族受容体に接合する天然リガンド、およびそれらの任意の誘導体であってもよい、
請求項16に記載の使用のための外因性免疫エフェクター細胞。
【国際調査報告】