(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】半導体リン化物注入合成システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
C01B 25/08 20060101AFI20231226BHJP
F27D 3/16 20060101ALI20231226BHJP
F27B 14/08 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C01B25/08 A
C01B25/08 E
F27D3/16 Z
F27B14/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556470
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(85)【翻訳文提出日】2022-09-17
(86)【国際出願番号】 CN2021104407
(87)【国際公開番号】W WO2022134527
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】202011543426.3
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202023142510.2
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512309093
【氏名又は名称】中国電子科技集団公司第十三研究所
【氏名又は名称原語表記】THE 13TH RESEARCH INSTITUTE OF CHINA ELECTRONICS TECHNOLOGY GROUP CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.113 Cooperation Road,Xinhua District Shijiazhuang,Hebei 050051 China
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】孫 聶楓
(72)【発明者】
【氏名】王 書傑
(72)【発明者】
【氏名】劉 恵生
(72)【発明者】
【氏名】孫 同年
【テーマコード(参考)】
4K046
4K055
【Fターム(参考)】
4K046AA02
4K046BA02
4K046CC03
4K046CC05
4K046CD03
4K046EA01
4K055AA03
4K055MA03
4K055MA11
4K055MA17
(57)【要約】
半導体リン化物製造の技術分野に属し、炉体と、昇降機構によって炉体の上方に設けられる遮蔽収容箱と、遮蔽収容箱内に設けられるリン源キャリアと、リン源キャリアの下方に設けられる注入管と、炉体内の底部に併設される坩堝とを含み、前記リン源キャリアはリン源キャリアの本体及びリン源キャリアの上蓋と、リン源キャリアの本体内の底部に設けられる発熱体座と、発熱体座に設けられる発熱体とを含み、リン源キャリアの外壁が断熱層に包み込まれ、断熱層と遮蔽収容箱の内壁の間に誘導コイルが設けられる、半導体リン化物注入合成システム及び制御方法である。装置と方法自体を改良することにより、システムの安定性を向上させることができ、合成システムでの定量的合成が可能となり、リン源キャリア爆発のリスクが低減している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉体と、昇降機構(20)によって炉体の上方に設けられる遮蔽収容箱(2)と、遮蔽収容箱(2)内に設けられるリン源キャリア(11)と、リン源キャリア(11)の下方に設けられる注入管(6)と、炉体内の底部に併設される坩堝(13)とを含む半導体リン化物注入合成システムであって、前記リン源キャリア(11)はリン源キャリアの本体(11-2)及びリン源キャリアの上蓋(11-1)と、リン源キャリアの本体(11-2)内の底部に設けられる発熱体座(4)と、発熱体座(4)に設けられる発熱体(12)とを含み、リン源キャリア(11)の外壁が断熱層(7)に包み込まれ、断熱層(7)と遮蔽収容箱(2)の内壁の間に誘導コイル(1)が設けられることを特徴とする半導体リン化物注入合成システム。
【請求項2】
前記リン源キャリアの上蓋(11-1)に測圧システムが設けられ、前記測圧システムはリン源キャリアの上蓋(11-1)に溶接された圧力平衡管(10-2)と、圧力平衡管(10-2)内に設けられる固体酸化ホウ素カラム(17)と、熱電対a(8)を備える測圧封止キャップ(10-1)と、圧力平衡管(10-2)の外壁に設けられる副次ヒーター(21)とを含み、前記測圧封止キャップ(10-1)は圧力平衡管(10-2)の上端に溶接され、前記圧力平衡管(10-2)の下端にはリン源キャリア(11)に連通する給気穴(10-4)が設けられ、圧力平衡管(10-2)に観察スケール(10-3)が設けられ、炉体の上端面に観察窓a(18)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の半導体リン化物注入合成システム。
【請求項3】
前記熱電対a(8)の熱電対線は炉体の外側のセンサーに接続されることを特徴とする請求項2に記載の半導体リン化物注入合成システム。
【請求項4】
前記リン源キャリアの本体(11-2)の底部には熱電対b(22)を収容する挿入溝(11-3)が設けられ、前記熱電対b(22)は』のような形をし、その上端が挿入溝(11-3)内に設けられ、左側が炉体に接続されることを特徴とする請求項1に記載の半導体リン化物注入合成システム。
【請求項5】
前記坩堝(13)の外壁の周りに主抵抗ヒーター(15)が設けられ、炉体の中部には坩堝(13)に適合する観察窓b(19)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の半導体リン化物注入合成システム。
【請求項6】
半導体リン化物注入合成システムにより実現する半導体リン化物注入合成システムの制御方法であって、
赤リン(3)と高純度インジウムをそれぞれリン源キャリア(11)と坩堝(13)に入れ、次に酸化ホウ素被覆剤(14)を高純度インジウムの上に被覆させ、炉体の通気口から炉体を真空引きしてから不活性ガスを注入して、準備作業を完了するステップ1と、
主抵抗ヒーター(15)で坩堝(13)を加熱して、高純度インジウムを溶融させて溶融物を得るステップ2と、
副次ヒーター(21)で測圧システム(10)を加熱して、観察窓a(18)から固体酸化ホウ素カラム(17)を観察し、溶融後の熱電対a(8)の表示温度T1とスケール(10-3)上の示度L1を記録し、圧力平衡管(10-2)の直径により、圧力平衡管(10-2)の上部の残りのスペースの体積V1を計算し、次に気体の圧力計算式により、この時の圧力平衡管(10-2)内のガスの圧力P1の値を得るステップ3と、
その後、昇降機構(20)によりリン源キャリア(11)を、注入管(6)が坩堝底部の近くに位置するまで溶融物の方に下ろし、この時に熱電対b(22)も挿入溝(11-3)に入っているステップ4と、
誘導コイル(1)がオンし、観察窓b(19)から注入管(6)における発泡の様子を観察し、発泡し始めた時の熱電対a(8)の表示温度T2とスケール(10-3)上の示度L2を記録し、圧力平衡管(10-2)の直径により、圧力平衡管(10-2)の上部の残りのスペースの体積V2を計算し、次に式P1V1/T1=P2V2/T2により、この時の圧力平衡管(10-2)内のガスの圧力P2の値を得るステップ5と、
圧力差式ΔP=P2-P0により、ΔPを0.05~0.1Peの間に保持して、注入管(6)の発泡速度を制御するステップであって、
ここでP0は圧力計(23)の数値を表し、Peは融点における飽和蒸気圧を表し、
注入管(6)における発泡速度の制御方法は、
熱電対b(22)の表示温度のフィードバックに基づいて、誘導コイル(1)の電流の大きさをリアルタイムで調整することによりリン源キャリア(11)内の温度を調整して、リン源キャリア(11)内のP2を一定とし、さらには注入管(6)における発泡速度の一定を実現することであるステップ6と、
合成が完了した後、誘導コイル(1)と副次ヒーター(21)がオフし、リン源キャリア(11)がリセットされて注入管(6)は酸化ホウ素被覆剤(14)と分離するステップ7を含むことを特徴とする前記制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体リン化物製造の技術分野に属し、具体的には、半導体リン化物注入合成システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体リン化物は、主にリン化インジウム、リン化ガリウムなどの半導体材料を含む。リン化インジウム素子は高周波、高速、耐照射、低ノイズの特徴を有し、動作周波数が3THzに達している。素子の動作周波数が100GHzを超える場合に、リン化インジウムは明らかな利点を示す。InPはすでに超高周波、超高速素子、光電子素子における重要な半導体材料となっている。テラヘルツ、ミリ波、光通信、自動運転、モノのインターネット、5G/6G技術の将来的な発展により、InPはより大きな役割を果たし、より多くの社会的利益を生み出すだろう。リン化物は融点での飽和蒸気圧が非常に高いため、製造が難しい。
【0003】
リン化物の合成方法は主に水平拡散合成と注入合成である。一般には、水平拡散合成の方は技術がシンプルであるが、長い時間を要し、原料の純度が低く、高品質の多結晶材料を得にくい。リン化物注入合成技術は優れた多結晶製造方法であり、合成が早く完了でき、原料の純度が高いのが特徴であり、欠点はリンの利用率を確保するために、注入合成速度を抑える必要があり、そのためリン源キャリアの爆発が起こりやすいことである。合成量が大きい場合に、リン源キャリア内の赤リンの質量が増え、赤リンが均一に熱を受けにくくなり、システムの熱応答能力が悪化し、システムの温度制御能力が低下するため、リン源キャリア爆発のリスクが高まる。単結晶材料は多結晶材料から製造されるため、合成純度が高く、合成効率とリン利用率が高い注入合成装置が要望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は半導体リン化物注入合成システム及び制御方法を提供することであり、装置と方法自体を改良することにより、システムの安定性を向上させることができ、合成システムでの定量的合成が可能となり、リン源キャリア爆発のリスクが低減している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用する技術的解決手段は次のとおりである。炉体と、昇降機構によって炉体の上方に設けられる遮蔽収容箱と、遮蔽収容箱内に設けられるリン源キャリアと、リン源キャリアの下方に設けられる注入管と、炉体内の底部に併設される坩堝とを含む半導体リン化物注入合成システムであって、前記リン源キャリアはリン源キャリアの本体及びリン源キャリアの上蓋と、リン源キャリアの本体内の底部に設けられる発熱体座と、発熱体座に設けられる発熱体とを含み、リン源キャリアの外壁が断熱層に包み込まれ、断熱層と遮蔽収容箱の内壁の間に誘導コイルが設けられる。
【0006】
半導体リン化物注入合成システムにより実現する制御方法は、次のステップを含む。
ステップ1で、赤リンと高純度インジウムをそれぞれリン源キャリアと坩堝に入れ、次に酸化ホウ素被覆剤を高純度インジウムの上に被覆させ、炉体の通気口から炉体を真空引きしてから不活性ガスを注入して、準備作業を完了する。
ステップ2で、主抵抗ヒーターで坩堝を加熱して、高純度インジウムを溶融させて溶融物を得る。
ステップ3で、副次ヒーターで測圧システムを加熱し、観察窓aから固体酸化ホウ素カラムを観察し、溶融後の熱電対aの表示温度T1とスケール上の示度L1を記録し、圧力平衡管の直径により、圧力平衡管の上部の残りのスペースの体積V1を計算し、次に気体の圧力計算式により、この時の圧力平衡管内のガスの圧力P1の値を得る。
ステップ4で、その後、昇降機構によりリン源キャリアを、注入管が坩堝の底部の近くに位置するまで溶融物の方に下ろし、この時に熱電対bも挿入溝内に入っている。
ステップ5で、誘導コイルがオンし、観察窓bから注入管における発泡の様子を観察し、発泡し始めた時の熱電対aの表示温度T2とスケール上の示度L2を記録し、圧力平衡管の直径により、圧力平衡管の上部の残りのスペースの体積V2を計算し、次に式P1V1/T1=P2V2/T2により、この時の圧力平衡管内のガスの圧力P2の値を得る。
ステップ6で、圧力差式ΔP=P2-P0により、ΔPを0.05~0.1Peの間に保持して、注入管の発泡速度を制御する。
ここでP0は圧力計の数値を表し、Peは融点における飽和蒸気圧を表す。
注入管における発泡速度の制御方法は次のとおりである。
熱電対bの表示温度のフィードバックに基づいて、誘導コイルの電流の大きさをリアルタイムで調整することによりリン源キャリア内の温度を調整して、リン源キャリア内のP2を一定とし、さらには注入管における発泡速度の一定を実現する。
ステップ7で、合成が完了した後、誘導コイルと副次ヒーターがオフし、リン源キャリアがリセットされて注入管は酸化ホウ素被覆剤と分離する。
【発明の効果】
【0007】
本発明を用いると次の有益な効果がある。誘導コイルによりリン源キャリアにおける複数の発熱体を発熱させて、赤リンを加熱し、これにより均一に熱を受けて揮発して溶融物に注入され、また当該リン源キャリアに圧力測温平衡システムが設けられ、リンの飽和蒸気圧と合わせて、腐食性雰囲気と誘導磁場下における合成システムの内部の圧力と温度を測定することにより、合成システムを全体として監視・制御可能とする。当該装置は特に大量合成に適し、合成システムがより均一に熱を受け、安定性が向上し、合成システムでの定量的合成が可能となり、リン源キャリア爆発のリスクが低減している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図3が参照されるとおり、炉体と、昇降機構20によって炉体の上方に設けられる遮蔽収容箱2と、遮蔽収容箱2内に設けられるリン源キャリア11と、リン源キャリア11の下方に設けられる注入管6と、炉体内の底部に併設される坩堝13とを含む半導体リン化物注入合成システムであって、前記リン源キャリア11はリン源キャリアの本体11-2及びリン源キャリアの上蓋11-1と、リン源キャリアの本体11-2内の底部に設けられる発熱体座4と、発熱体座4に設けられる発熱体12とを含み、リン源キャリア11の外壁が断熱層7に包み込まれ、断熱層7と遮蔽収容箱2の内壁の間に誘導コイル1が設けられる。炉体の外側にさらに圧力計23が設けられる。
【0010】
前記リン源キャリアの上蓋11-1に測圧システムが設けられ、前記測圧システムはリン源キャリアの上蓋11-1に溶接された圧力平衡管10-2と、圧力平衡管10-2内に設けられる固体酸化ホウ素カラム17と、熱電対a 8を備える測圧封止キャップ10-1と、圧力平衡管10-2の外壁に設けられる副次ヒーター21とを含み、前記測圧封止キャップ10-1は圧力平衡管10-2の上端に溶接され、前記圧力平衡管10-2の下端にはリン源キャリア11に連通する給気穴10-4が設けられ、圧力平衡管10-2に観察スケール10-3が設けられ、炉体の上端面に観察窓a 18が設けられる。
【0011】
前記熱電対a 8の熱電対線は炉体の外側のセンサーに接続される。
【0012】
前記リン源キャリアの本体11-2の底部には熱電対b 22を収容する挿入溝11-3が設けられ、前記熱電対b 22は』のような形をし、その上端が挿入溝11-3内に設けられ、左側が炉体に接続される。
【0013】
前記坩堝13の外壁の周りに主抵抗ヒーター15が設けられ、炉体の中部には坩堝13に適合する観察窓b 19が設けられる。
【0014】
前記半導体リン化物注入合成システムの制御方法は、次のステップを含む。
ステップ1で、赤リン3と高純度インジウムをそれぞれリン源キャリア11と坩堝13に入れ、次に酸化ホウ素被覆剤14を高純度インジウムの上に被覆させ、炉体の通気口から炉体を真空引きしてから不活性ガスを注入して、準備作業を完了する。
ステップ2で、主抵抗ヒーター15で坩堝13を加熱して、高純度インジウムを溶融させて溶融物を得る。
ステップ3で、副次ヒーター21で測圧システム10を加熱して、観察窓a 18から固体酸化ホウ素カラム17を観察し、溶融後の熱電対a 8の表示温度T1とスケール10-3上の示度L1を記録し、圧力平衡管10-2の直径により、圧力平衡管10-2の上部の残りのスペースの体積V1を計算し、次に気体の圧力計算式により、この時の圧力平衡管10-2内のガスの圧力P1の値を得る。
ステップ4で、その後、昇降機構20によりリン源キャリア11を、注入管6が坩堝の底部の近くに位置するまで溶融物の方に下ろし、この時に熱電対b 22も挿入溝11-3に入っている。
ステップ5で、誘導コイル1がオンし、観察窓b 19から注入管6における発泡の様子を観察し、発泡し始めた時の熱電対a 8の表示温度T2とスケール10-3上の示度L2を記録し、圧力平衡管10-2の直径により、圧力平衡管10-2の上部の残りのスペースの体積V2を計算し、次に式P1V1/T1=P2V2/T2により、この時の圧力平衡管10-2内のガスの圧力P2の値を得る。
ステップ6で、圧力差式ΔP=P2-P0により、ΔPを0.05~0.1Peの間に保持して、注入管6の発泡速度を制御する。
ここでP0は圧力計23の数値を表し、Peは融点における飽和蒸気圧を表す。
注入管6における発泡速度の制御方法は次のとおりである。
熱電対b 22の表示温度のフィードバックに基づいて、誘導コイル1の電流の大きさをリアルタイムで調整することによりリン源キャリア11内の温度を調整して、リン源キャリア11内のP2を一定とし、さらには注入管6における発泡速度の一定を実現する。
ステップ7で、合成が完了した後、誘導コイル1と副次ヒーター21がオフし、リン源キャリア11がリセットされて注入管6は酸化ホウ素被覆剤14と分離する。
【0015】
特定の実施形態として、熱電対a 8を測圧封止キャップ10-1に溶接し、且つ2つの熱電対線を接触させない。圧力平衡管10-2をリン源キャリアの上蓋11-1に溶接する。固体酸化ホウ素カラム17を圧力平衡管10-2に入れる。その後、熱電対a 8を備える測圧封止キャップ10-1を圧力平衡管10-2に溶接する。
【0016】
その後、発熱体12をリン源キャリアの本体11-2の内部の発熱体座4に入れる。その後、所定の合成質量分の赤リン3をリン源キャリアの本体11-2の内部に入れ、リン源キャリアの上蓋11-1をリン源キャリアの本体11-2に溶接する。
【0017】
その後、誘導コイル1を遮蔽収容箱2に入れる。またリン源キャリア11の外壁を断熱層7で包み込み、その後、断熱層7に包み込まれたリン源キャリア11を誘導コイル1に入れる。
【0018】
熱電対a 8の熱電対線を炉体の外側のセンサーに接続させる。炉体に観察窓a 18と観察窓b 19を取り付ける。
【0019】
高純度インジウムと酸化ホウ素被覆剤14を坩堝13に入れ、システムを真空引きして10-5Paとし、不活性ガスを注入する。主抵抗ヒーター15で坩堝13を加熱して、高純度インジウムと酸化ホウ素被覆剤14を溶融させて、高純度インジウムの溶融物16を得る。
【0020】
副次ヒーター21で測圧システムを加熱し、観察窓a 18から固体酸化ホウ素カラム17が溶融するまで観察し、熱電対a 8が安定すると、この時の温度T1と、スケール10-3上の示度L1を記録する。圧力平衡管10-2の直径によりこの時の体積V1を計算する。この時の内圧と外圧にバランスがとれ、システム圧力はP1である。
【0021】
その後、昇降機構20によりリン源キャリア11を溶融物16の方に下ろし、熱電対b 23を、注入管6が坩堝の底部より3~5mm上方に位置するように挿入溝11-3に挿入する。
【0022】
誘導コイル1に交流電流を入れ、観察窓b 19から注入管6における発泡の様子を観察する。同時にスケール10-3上の示度L2を観察し、この時の温度T2を記録して、この時の体積V2を得る。この時のリン源キャリア内の圧力P2を得る。クラペイロンの式P1V1/T1=P2V2/T2により、P2の値を得る。圧力差ΔP=P2-P0により発泡速度を調整し、P0は圧力計23の数値である。
【0023】
熱電対b 22によりリン源キャリア11の温度を調整して、所望の発泡速度を得て、この時の圧力差ΔPの値を得る。測圧システム10でリン源キャリア11の内部の圧力を測定する。液体酸化ホウ素カラム9の熱伝導性が悪いため、温度フィードバックが鈍い。温度制御システムは熱電対a8により誘導コイル1の電力をフィードバック制御することができない。熱電対b 22により誘導コイル1の電力をフィードバックして、リン源キャリア11内の温度を調整することにより、圧力P2の数値調整を実現し、そして所望の発泡速度を得て、この時の最適圧力差ΔPの値を得る。リン源キャリア11の内部のリン元素が減少するにつれて、リン源キャリア11の内部の圧力が低下する。温度制御システム、熱電対b 22により誘導コイル1の電力をフィードバック制御することにより、リン源キャリア11内の圧力P2の一定を保持する。
【0024】
合成が完了した後、誘導コイル1と副次ヒーター21の電流が0Aに低減する。昇降機構20がリン源キャリア11を持ち上げて、注入管6は酸化ホウ素被覆剤14と分離する。
【0025】
炉を撤去した後、システムから排気して1気圧とし、リン源キャリアの上蓋11-1を切り落とし、次の使用に備えてリン源キャリアの本体11-2を洗浄する。同時に、次の使用に備えて測圧封止キャップ10-1を切り落とし、熱電対a 8を残す。
【国際調査報告】