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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ブロー成形方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/64 20060101AFI20231226BHJP
   B29C 49/18 20060101ALI20231226BHJP
   B29C 49/78 20060101ALI20231226BHJP
   B29C 33/38 20060101ALI20231226BHJP
   B29C 49/48 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B29C49/64
B29C49/18
B29C49/78
B29C33/38
B29C49/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564335
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 US2021028510
(87)【国際公開番号】W WO2021216794
(87)【国際公開日】2021-10-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100196449
【弁理士】
【氏名又は名称】湯澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】アイヤル、スシル
【テーマコード(参考)】
4F202
4F208
【Fターム(参考)】
4F202AF00
4F202AG07
4F202AH55
4F202AJ02
4F202AK11
4F202AR06
4F202AR11
4F202AR16
4F202CA15
4F202CB01
4F202CD23
4F202CD30
4F202CK12
4F202CK42
4F202CK52
4F202CN01
4F202CN05
4F202CN20
4F202CN27
4F208AF00
4F208AG07
4F208AH55
4F208AJ02
4F208AK11
4F208AR06
4F208AR11
4F208AR16
4F208LA03
4F208LA07
4F208LB01
4F208LD16
4F208LN11
4F208LN13
(57)【要約】

【解決手段】熱可塑性材料から容器を形成する方法では、熱可塑性プリフォームが、熱可塑性材料のガラス転移温度以上且つ熱可塑性材料の溶融温度未満の温度でブローキャビティに導入されることができる。流体圧力は、プリフォームを径方向外向きに膨張させて半完成容器を形成することができるプリフォームに導入されることができる。半完成容器の外面は、ブローキャビティの壁と係合されることができる。ブローキャビティの壁は、急速に加熱されることができる。熱は、半完成容器の外面に伝達されることができる。表面仕上げは、ブローキャビティの壁から半完成容器の外面上に付与されることができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性材料から容器を形成する方法であって、
熱可塑性プリフォームを、前記熱可塑性プリフォームのガラス転移温度以上且つ前記熱可塑性プリフォームの溶融温度未満の温度でブローキャビティに導入するステップと、
流体圧力を前記プリフォームに導入して、前記プリフォームを径方向外向きに膨張させて半完成容器を形成するステップと、
前記半完成容器の外面を前記ブローキャビティの壁と係合させるステップと、
前記ブローキャビティの前記壁を加熱するステップと、
前記半完成容器の前記外面に熱を伝達するステップと、
前記ブローキャビティの前記壁から前記半完成容器の前記外面上に表面仕上げを付与するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
更に、
前記熱を伝達するステップ中に前記半完成容器の前記外面を軟化させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱するステップが、誘導加熱によって達成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
更に、
前記型内の導体に電流を印加し、前記型内に磁場を引き起こすステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電流が、10kHzから50kHzの間の交流である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ブローキャビティの前記壁の温度が、60℃から130℃の範囲に加熱される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
更に、
6秒未満で前記加熱するステップを実行するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
更に、
前記加熱するステップに続いて、前記ブローキャビティの前記壁を冷却するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却するステップが、前記加熱するステップを実行するステップの後に実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却するステップが、前記型の本体に埋め込まれた通路を介して前記型に流体圧力を導入するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱及び冷却するステップが、40秒未満又は前記型が60℃未満の温度に到達するまで、集合的に実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性ブロー成形装置であって、
型本体と、その中に形成された凹状ブローキャビティとを備える型と、
前記型本体内の1つ以上の電気インダクタと、
前記インダクタを横切って接続された交流電流源であって、前記交流の周波数が、10kHzから300kHzの間である、交流電流源と、を備える、熱可塑性ブロー成形装置。
【請求項13】
前記型が、磁性材料から製造される、請求項12に記載の熱可塑性ブロー成形装置。
【請求項14】
前記磁性材料が、工具鋼である、請求項13に記載の熱可塑性ブロー成形装置。
【請求項15】
前記型本体内に冷却通路を更に備える、請求項14に記載の熱可塑性ブロー成形装置。
【請求項16】
前記1つ以上の電気インダクタのうちの電気インダクタが、前記冷却通路内に位置する、請求項15に記載の熱可塑性ブロー成形装置。
【請求項17】
環状空間が、前記電気インダクタの周囲の前記冷却通路内に形成される、請求項16に記載の熱可塑性ブロー成形装置。
【請求項18】
前記1つ以上の電気インダクタが、前記凹状ブローキャビティの円周の周囲に等しく離間された部分を含む、請求項17に記載の熱可塑性ブロー成形装置。
【請求項19】
前記ブローキャビティ内の半完成容器と係合するように構成された前記ブローキャビティの壁上の表面仕上げを更に備える、請求項18に記載の熱可塑性ブロー成形装置。
【請求項20】
前記冷却通路に流体接続された冷却流体源を更に備える、請求項19に記載の熱可塑性ブロー成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性容器に関し、より具体的には、本発明は、ブロー成形熱可塑性容器上で高品質の表面仕上げを達成するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、ブロー成形は、ポリマー及び/又は樹脂を含む熱可塑性材料の溶融チューブ(以下、「パリソン」又は「プリフォーム」)を形成し、パリソン又はプリフォームをブローキャビティ内に配置するプロセスである。溶融チューブは、圧縮空気によって膨張されて、キャビティの形状をとり、型から取り外される前に冷却される。
【0003】
ブロー成形熱可塑性容器上で高いハイエンド表面仕上げを達成する現在の従来の方法は、二次装飾プロセス、例えば噴霧、熱伝達、シルクスクリーニング、機械的エンボス加工などを必要とする可能性がある。これらの二次プロセスは、一般に、成形後に容器に適用される。換言すれば、熱可塑性容器上で高いハイエンド仕上げを達成することは、一般に、容器を成形した後に容器を更なる処理に供する必要がある。
【0004】
加熱及び冷却技術が射出成形用途に使用されて、型から部品への転写又は表面仕上げを得ることができる。射出成形では、熱可塑性材料は、所望の表面仕上げを有する型又はキャビティに入るため、その融点を超える溶融温度を有する。溶融温度は、それがノズルを出るときの熱可塑性材料の実際の温度である。したがって、熱可塑性材料は、熱可塑性材料が固化するにつれて、成形表面仕上げが部品に転写されることができるように、完全に溶融状態であり、プロセス中に型内で固化することができる。熱可塑性材料のこの溶融状態は、表面仕上げの部品への転写を容易にすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題及び他の問題を解決するために提供され、以前の熱可塑性容器及びその製造方法によって提供されない利点及び態様を提供するために提供される。本発明の特徴及び利点の完全な考察は、添付の図面を参照して進行する以下の詳細な説明に記載されている。
【0006】
本発明の一態様は、熱可塑性材料から容器を形成する方法を対象とする。本方法は、以下のステップを含む:
i.熱可塑性プリフォームを、熱可塑性プリフォームのガラス転移温度以上且つ熱可塑性プリフォームの溶融温度未満の温度でブローキャビティに導入するステップ、
ii.流体圧力をプリフォームに導入して、プリフォームを径方向外向きに膨張させて半完成容器を形成するステップ、
iii.半完成容器の外面をブローキャビティの壁と係合させるステップ、
iv.ブローキャビティの壁を加熱するステップ、
v.半完成容器の外面に熱を伝達するステップ、
vi.ブローキャビティの壁から半完成容器の外面上に表面仕上げを付与するステップ。
【0007】
本発明のこの第1の態様は、単独で又は任意の合理的な組み合わせで、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。本方法は、熱を伝達するステップ中に半完成容器の外面を軟化させるステップを更に含むことができる。加熱するステップは、誘導加熱によって達成されることができる。本方法は、型内の導体に電流を印加し、型内に磁場を引き起こすステップを更に含むことができる。電流は、10kHzから50kHzの間の交流とすることができる。ブローキャビティの壁の温度は、60℃から130℃の範囲に加熱されることができる。本方法は、6秒未満の加熱するステップを実行するステップを更に含むことができる。本方法は、加熱するステップの後にブローキャビティの壁を冷却するステップを更に含むことができる。冷却するステップは、加熱するステップを実行した後に実行されることができる。冷却するステップは、型の本体に埋め込まれた通路を介して型に冷却流体圧力を導入することを含むことができる。加熱及び冷却するステップは、40秒未満又は型が60℃未満の温度に到達するまで集合的に実行されることができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、熱可塑性ブロー成形装置を対象とする。装置は、型本体と、その中に形成された凹状ブローキャビティとを備える型を備える。1つ以上の電気インダクタは、型本体内にある。交流電流源は、インダクタを横切って接続され、交流の周波数は、10kHzから50kHzの間である。
【0009】
本発明の第2の態様は、単独で又は任意の合理的な組み合わせで、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。型は、磁性材料から製造されることができる。磁性材料は、工具鋼とすることができる。熱可塑性ブロー成形装置は、型本体内に冷却通路を更に備えることができる。1つ以上の電気インダクタのうちの電気インダクタは、冷却通路内に位置することができる。環状空間は、電気インダクタの周囲の冷却通路内に形成されることができる。1つ以上の電気インダクタは、凹状ブローキャビティの円周の周囲に等しく離間した部分を含むことができる。熱可塑性ブロー成形装置は、ブローキャビティ内の半完成容器と係合するように構成されたブローキャビティの壁上の表面仕上げを更に含むことができる。熱可塑性ブロー成形装置は、冷却通路に流体接続された冷却流体源を更に備えることができる。
【0010】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面と併せて以下の明細書から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明を理解するために、ここで、添付の図面を参照して、例として説明する:
図1図1は、先行技術のブロー成形プロセスの図である。
図2図2は、本発明のブロー成形動作の図である。
図3図3は、本発明のブロー成形動作において使用するための型の立面図である。
図4図4は、型内の温度変動を示す本発明のブロー成形動作において使用するための半型の断面図である。
図5図5は、図4の型の代替図である。
図6図6は、とりわけ、半完成容器がブローキャビティの壁に係合するまで径方向外向きにプリフォームの膨張を示す、本発明のブロー成形装置の概略図である。
図7図7は、管状導体及びインダクタの周囲の環状冷却通路及び管状導体を通る冷却通路を備える、インダクタの拡大図を示す本発明のブロー成形動作において使用するための型の部分断面図である。
図8図8は、ブロー成形急速加熱及び冷却サイクルのグラフである。
図9図9は、本発明の方法に従って製造され且つ本発明の装置を使用する、先行技術の方法及び第2の容器(以下、「容器R」)に従って製造された第1の容器(以下、「容器E」)の表比較である。
図10図10は、本発明に従って製造された右側の容器(以下、「R」)と、急速な誘導加熱を加えない同一のブローキャビティにおいて製造された左側の容器(以下、「L」)との並列比較である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、多くの異なる形態における実施形態の影響を受けやすいが、本開示は、本発明の原理の例示と見なされるべきであり、本発明の広範な態様を図示された実施形態に限定することを意図するものではないことを理解した上で、図面に示され、本明細書に本発明の好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0013】
ブロー成形プロセスでは、パリソン又はプリフォーム(以下、「プリフォーム」)は、そのガラス転移温度(Tg)を超える固体状態でブローキャビティに入る。これは、ブローキャビティの壁から完成又は半完成部品へのエッチングされた表面仕上げの高い複製及び転写を困難にする。しかしながら、本発明者らは、ブローキャビティ壁の急速な加熱を介して且つブロー圧力の制御によって、そのガラス転移温度を超える熱可塑性材料がブローキャビティ壁のエッチングされた表面に押し込まれ、エッチングされた表面の複製又は転写を完成部品又は半完成部品の外面に付与することができることを発見した。
【0014】
急速な加熱、プリフォーム温度、及びブロー圧力のプロセス制御は、所望の仕上げを得る際の重要な変数である。これらのパラメータを制御することは、表面仕上げを適用する従来の二次方法と比較して、はるかに高い稠度、再現性、及び部品品質を達成する。更に、ブローキャビティを急速に加熱することなく、ブローキャビティの表面上の微細な表面仕上げは、より低い解像度であるが、表面仕上げのほとんどが熱冷却なしで転写する射出成形とは異なり、ブロー成形プロセスにおいて部品に転写しない。
【0015】
したがって、完成したブロー成形部品の表面仕上げに影響を与える主要な要因は、キャビティ壁温度である。しかしながら、部品が適切に吹き付けられることができることを保証するために、プリフォーム温度が重要である。プリフォーム温度は、材料に応じて変化するが、その材料のビカット軟化温度以上に少なくともあるべきである。材料の熱特性を比較するためにビカット軟化温度が利用されることができることを理解されたい。
【0016】
ここで、「半完成」は、ブロー成形プロセスからの取り外し中にプリフォームが部品まで膨張され、それを含むときの容器を指す。この用語は、部品が、ブロー成形プロセスに続いて、ラベル付け、容器蓋の追加などの更なるプロセスを受けることができることを企図する。部品は、容器、ボトル、パッケージ、及び他の形態の部品とすることができることを理解されたい。
【0017】
したがって、本明細書に開示されるブロー成形方法及び装置の態様は、二次方法によって作製された表面仕上げに視覚的及び物理的に類似する微細な高品質の表面仕上げ(マクロ、マイクロ、ナノ)が、ブローキャビティ内にエッチングされたそのような微細な表面仕上げをブローキャビティ内に吹き込まれた部品上に転写することによって型のブローキャビティ内で達成されることができ、それによって二次プロセスを排除することである。
【0018】
従来のプロセスと比較して、この新規な方法及び装置は、最大約97%の改善された一貫性及び再現性、シルクスクリーニング、ホットスタンピング、及び熱伝達の改善された装飾接着を提供することができる。潜在的な接着に影響を与える噴霧層がないため、容器の改善された適合性が達成されることができる。噴霧及び二次装飾を含むがこれらに限定されない表面処理は、容器に不適合性及び応力を与えない。したがって、急速な冷却及び誘導加熱を使用する場合、サイクル時間は、少なくとも25%改善される。これは、ツール又は噴霧修飾を必要とせずに、より広い範囲の標的表面仕上げを可能にすることができる。更に、表面複製が高い溶融温度特性材料に依存しないため、より広範囲の材料が射出成形と比較して利用されることができる。当業者によって理解される「噴霧層」は、物品の表面上に材料が噴霧されるコーティングプロセスを介して物品上に形成されたコーティングの層である。
【0019】
図2を参照すると、本発明の新規な方法は、熱調整された熱可塑性プリフォーム10(図6)をブローキャビティ14(図6)に導入するステップ(ステップ100)と、ブロー流体圧力18(図6)をプリフォーム10に導入し(ステップ200)、プリフォーム10をブローキャビティ14の壁22(図6)に対して径方向外向きに膨張するステップと、ブローキャビティ14の壁22を加熱するステップ(ステップ300)と、型から完成又は半完成容器26(図6)を取り外すステップ(ステップ400)と、を含む。これらのステップは、ブロー成形の当業者によって理解される従来のものである。図6に示すように、半完成容器26へのプリフォーム10の膨張は、破線で示される半完成容器26の中間段階を提供する。
【0020】
本方法は、ブローキャビティ14の壁22を急速に加熱するステップを更に含む。このステップは、半完成容器26の間の熱伝達を可能にし、ブローキャビティ14の壁22の表面仕上げが半完成容器26の外面30に転写される。このステップは、ブローキャビティ14の壁22を急速に加熱するための手段を含む、型を含む適切に設計された装置を必要とする。そのような型が図3図7に示される。型は、誘導加熱を介して加熱される。
【0021】
誘導加熱は、電磁誘導によって導電性型(通常は金属)を加熱するプロセスである。渦電流は、型内で熱を発生させる。
【0022】
源36からの交流誘導電流34は、10kHzから300kHzの間の周波数でインダクタ42に印加される。これは、通路50内で反対方向に電流を誘導し、電磁場38は、熱拡散をブローキャビティ14の壁に伝播させる(図6を参照)。これは、ブローキャビティ14の壁22の温度が60℃から130℃の範囲に加熱されるまで継続される。この温度は、ブローキャビティ14の壁22と係合すると、半完成容器26の外面30を軟化させるのに適している。半完成容器26の内部58に送達されるブロー流体圧力18と組み合わせて、軟化は、半完成容器26の外面30への所望の表面仕上げの転写を可能にする。
【0023】
したがって、型は、金属材料などの導電性材料から製造される。鉄合金は、一般に金属材料である。約40Ω・mの電気抵抗率、約55の相対透過率、及び約27W/m・°Kの熱伝導率を有する1.2343(H11)磁気工具鋼である。
【0024】
1つ以上のインダクタ42が、ブローキャビティ14の壁22の近くの型の本体46に組み込まれる。インダクタ42は、ブローキャビティ14の壁22の周囲の磁性材料に均一に分布している。換言すれば、インダクタ42は、型本体46内のブローキャビティ14の周囲に等しく離間されている。しかしながら、インダクタを等間隔にすることは理想的であるが、設計上の制約は、しばしば、そのような間隔を禁止し、インダクタ42が等間隔でない場合に所望の結果が達成された。
【0025】
インダクタ42は、同様の編組銅ワイヤなどの導電体44を備える。これらの導体44は、型内の通路50、又は通路50のネットワーク内に位置する。通路50は、管状チャネル、溝、導管などの形態をとることができる。導体44は、1つ以上の絶縁層54によって裏打ちされている。
【0026】
10kHzから300kHzの間の周波数における交流誘導電流34は、インダクタ42に電気的に接続されることができる交流電流源36から送達されることができる。これは、通路50内の反対方向に電流を誘導し、電磁場は、熱拡散をブローキャビティ14の壁22に伝播させる(図6)。
【0027】
本方法は、加熱するステップの後に型を急速に冷却するステップを更に含む。したがって、装置は、型を冷却するための手段を含む。これは、長手方向、及び/又は型の高さを横切って、冷却流体圧力源62に流体接続されることができる、型を通過する更なる通路50の形態をとることができる。冷却流体が通路50に注入されて、型を急速に冷却し、及び/又は熱拡散を制御することができる。代替的に、又は追加的に、冷却手段は、冷却流体圧力66がそれを通って流れることを可能にすることができる管状導体70を備えることができる。
【0028】
代替的に、又は追加的に、冷却手段は、導体通路50の円周壁と導体44の絶縁層54との間に空間74を備える。次いで、冷却流体が空間74に導入されて、型を冷却することができる。ここで、空間74は、通路50の断面積が導体44及び絶縁層54の断面積よりも実質的に大きくなるように、通路50の断面積を増加させることによって作製される。この文脈で使用される場合、「実質的に」という用語は、導体/絶縁層の径方向最外側部分と通路壁との間の距離によって形成される空間74が、そこを通る流体の流れを可能にするのに十分な大きさである構造を包含することを意図している。空間74は、好ましくは、空間74が導体/絶縁層の円周の周囲に円周間隙を形成するように環状である。各場合において、冷却流体は、2つの加熱サイクルの間に型を通って流れるように作製される。
【0029】
装置及びブロー成形方法は、コンピュータ、マイクロコントローラ、有線制御パネル、データプロセッサなどの好適なコントローラ78によって制御される。コントローラ78は、1つ以上のソフトウェアルーチンを有する非一時的なメモリを有することができる。ソフトウェアルーチンは、加熱/冷却サイクル又は持続時間、持続時間圧力、容積などに関してブロー流体圧力源82の動作、交流電流源36、及び冷却流体圧力源62を制御することができる。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、熱可塑性プリフォーム10は、熱可塑性プリフォーム10のガラス転移温度以上且つ熱可塑性プリフォーム10の溶融温度未満である温度でブローキャビティ14に導入される。ブロー流体圧力18は、プリフォーム10に導入されて、プリフォーム10を径方向外向きに膨張させて半完成容器26を形成する。ブロー流体圧力18は、半完成容器26の外面30がブローキャビティ14の壁22と係合するように続く。ブローキャビティ14の壁22は、誘導加熱によって加熱される。電流は、型本体46内の導体44に印加され、型本体46内に磁場を引き起こす。電流は、10kHzから300kHzの間の交流34である。熱は、半完成容器26の外面30に伝達される。ブローキャビティ14の壁22の温度は、6秒未満の持続時間内で60℃から130℃の範囲に加熱される。熱伝達からの熱は、半完成容器26の外面30を軟化させる。ブローキャビティ14の壁22からの表面仕上げは、半完成容器26の外面30に付与される。ブローキャビティ14の壁22は、加熱するステップの後に冷却される。壁22の冷却は、型の本体46に埋め込まれた通路50を介して型への冷却流体圧力66を含む。加熱及び冷却するステップは、合計40秒未満又は型が60℃未満の温度に到達するまで、集合的に実行される。
【0031】
図8を参照すると、本開示の実施形態に係る、例示的な加熱/冷却サイクルが示されている。加熱サイクル持続時間は5秒であり、60℃未満から約90℃から108℃まで型温度を高めることができる。熱の拡散は、110℃を超えて型を加熱し続ける。冷却するステップは、型温度が約50℃に到達するまで、約35秒間の持続時間にわたって開始し続ける。
【0032】
図9を参照すると、上記の実施形態に従って製造された容器Rの例示的な例は、先行技術に従って製造された容器Eと比較される。容器Eは、無地(すなわち、表面仕上げなし)キャビティを有する従来のブロー成形方法を使用して製造された。容器Eの表面仕上げは、噴霧コーティングの従来技術の二次プロセス-従来の噴霧法によって達成された。表面仕上げを有するブローキャビティを使用して、容器Rが製造された。表面仕上げは、97%以上の複製で容器Rに転写された。図9に示すように、Rは、表面の平均粗さであり、Rは、表面内の最も高い「ピーク」と最も深い「谷」との間の差であり、RSmは、平均ピーク幅である。容器Eは、約0.4012マイクロメートル(μm)のR、約2.7845μmのR、及び約41.6655μmのRSmを提供することができる。容器Rは、約1.5294μmのR、約8.5857μmのR、及び約109.5578μmのRSmを提供することができる。
【0033】
図10を参照すると、右側の容器Rが、再び上記の実施形態に従って製造され、従来技術に従って製造された左側の容器Lと比較された。容器E、Lは、実質的に同一のキャビティ壁表面仕上げを有するブローキャビティを使用して製造された。ブローキャビティ壁表面仕上げの容器Rへの転写は、ブローキャビティ壁表面仕上げの容器Lへの転写よりも大きい。換言すれば、容器Lは、誘導加熱を加えないがブローキャビティ表面上の同様の表面仕上げの範囲内で製造されたが、容器Rは、誘導加熱が加えられて製造された。誘導急速加熱冷却が適用されなかったために、微細な表面仕上げを含むキャビティ内に吹き込まれた容器Lは、効果的に転写されなかった。容器Rは、同じキャビティ内に吹き込まれたが、誘導がオンにされ、これにより、微細な表面仕上げが正常に転写されることが可能になった。
【0034】
本発明の利点は、加熱/冷却技術を適用してブローキャビティ14の壁22から転写される微細仕上げを提供することによって、型自体内で、パッケージング上の高品質表面仕上げのブロー成形能力を含む。この技術は、例えば、押出ブロー成形、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形などと併せて使用されることができる。このプロセスは、マクロ、マイクロ、又はナノレベルで高品質の表面仕上げを達成する。それは、異なる飾り細工又は噴霧修正を必要とせずに、異なるタイプ及びレベルの表面仕上げをブロー成形することを可能にする。重要なことに、微細且つ高品質の表面仕上げを達成しながら、容器の二次仕上げ装飾を排除することができる。新たなプロセスは、表面仕上げの均一性、一貫性、及び再現性を達成する。
【0035】
特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、本発明の趣旨から著しく逸脱することなく多数の変更が思い浮かぶが、保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】