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特表2024-500275高電圧切断スイッチのための温度センシング装置および温度センシング装置を含んでいる高電圧切断スイッチ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】高電圧切断スイッチのための温度センシング装置および温度センシング装置を含んでいる高電圧切断スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/00 20060101AFI20231226BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20231226BHJP
   H01H 31/02 20060101ALI20231226BHJP
   G01K 11/20 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01H33/00 A
G08B21/02
H01H31/02 A
G01K11/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527024
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2020126699
(87)【国際公開番号】W WO2022094843
(87)【国際公開日】2022-05-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523165570
【氏名又は名称】ヴァイナート インダストリーズ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Weinert Industries AG
【住所又は居所原語表記】Marker Hoeh 12 A, 96524 Foeritztal OT Neuhaus-Schierschnitz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジュンタオ デン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ルー
【テーマコード(参考)】
5C086
5G027
【Fターム(参考)】
5C086AA06
5C086CA11
5C086CB07
5C086FA02
5C086FA11
5G027AA21
(57)【要約】
高電圧切断スイッチのためのセンシング装置は、自身の温度を、高電圧切断スイッチの温度と整合させるように構成されている発光素子と、発光素子からの発光を受け取るように構成され、かつこの発光を導くように構成されている光ファイバとを備えている。さらに、導出ユニットが、光ファイバから発光を受け取り、受け取った発光の持続時間に基づいて高電圧切断スイッチの温度に関する情報を導出するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧切断スイッチのためのセンシング装置であって、
前記センシング装置は、
自身の温度を、前記高電圧切断スイッチの温度と整合させるように構成されている発光素子と、
前記発光素子からの発光を受け取るように構成され、かつ前記発光を導くように構成されている光ファイバと、
前記光ファイバからの前記発光を受け取り、受け取った前記発光の持続時間に基づいて、前記高電圧切断スイッチの前記温度に関する情報を導出するように構成されている導出ユニットとを備えている
センシング装置。
【請求項2】
前記高電圧切断スイッチの表面上に配置されるように構成されており、かつ前記表面の温度と整合するように構成されている接触素子をさらに備えており、
前記発光素子および/または前記光ファイバは、前記接触素子の表面上に配置されており、かつ/または
前記発光素子および/または前記光ファイバは、前記接触素子によって取り囲まれている、請求項1記載のセンシング装置。
【請求項3】
前記接触素子は、プラスチック材料を含んでおり、かつ/または
前記接触素子は、金属材料を含んでおり、かつ/または
前記接触素子は、円筒形の部分を備えており、かつ/または
前記接触素子は、環状の部分を備えている、請求項2記載のセンシング装置。
【請求項4】
前記発光素子および/または前記光ファイバは、前記高電圧切断スイッチの前記表面の温度と整合するように、かつ/または前記接触素子の温度と整合するように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項5】
前記発光素子は、前記光ファイバの表面に配置されているコーティングである、請求項1から4までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項6】
前記発光素子は、ルミネセンス物質を含んでいる、請求項1から5までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項7】
光を断続的に放射するように構成されている光源をさらに備えており、
前記光ファイバは、前記光源によって放射された光を受け取るようにさらに構成されており、かつ前記光源によって放射された前記光を導くようにさらに構成されており、
前記発光素子は、前記光源から放射されて、前記光ファイバによって導かれる前記光のエネルギを吸収するようにさらに構成されている、請求項6記載のセンシング装置。
【請求項8】
前記導出ユニットは、受け取った前記発光の強度および/または周波数スペクトルおよび/または周波数分布に基づいて、前記高電圧切断スイッチの前記温度に関する情報を導出するようにさらに構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項9】
前記センシング装置は、ミラーリング部品および/または集束光学系をさらに備えており、前記ミラーリング部品は、前記光ファイバの端部に結合されており、かつ/または前記集束光学系は、前記光ファイバと前記導出ユニットとの間に配置されており、かつ/または
前記導出ユニットは、前記光ファイバからの集束された発光を受け取るように構成されており、前記導出ユニットは、受け取った集束された前記発光に基づいて、前記高電圧切断スイッチの前記温度に関する前記情報を導出するように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項10】
警報モジュールをさらに備えており、前記警報モジュールは、前記導出ユニットによって決定された高電圧切断スイッチ温度が閾値を超えた場合に、警報メッセージを出力するように構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項11】
前記発光素子および/または前記接触素子は、前記高電圧切断スイッチのばねと、前記高電圧切断スイッチの接触手段との間に配置されるようにさらに構成されており、かつ/または
前記発光素子および/または前記接触素子は、前記ばねを前記接触手段から分離するように、かつ/または電気的に絶縁するようにさらに構成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項12】
高電圧切断スイッチであって、
請求項1から11までのいずれか1項記載のセンシング装置を備えている、
高電圧切断スイッチ。
【請求項13】
前記高電圧切断スイッチは、
前記高電圧切断スイッチのスイッチング状態が変化したときに弾性変形するように構成されているばねをさらに備えており、
前記センシング装置は、前記高電圧切断スイッチのばねと前記高電圧切断スイッチの接触手段との間に部分的に配置されており、かつ/または
発光素子および/または接触素子は、前記ばねを前記接触手段から分離するように、かつ/または電気的に絶縁するようにさらに構成されている、請求項12記載の高電圧切断スイッチ。
【請求項14】
前記センシング装置は、前記高電圧切断スイッチの前記ばねと前記高電圧切断スイッチの前記接触素子との間の離隔素子の周りに成形されている、請求項12または13記載の高電圧切断スイッチ。
【請求項15】
前記高電圧切断スイッチは、ブレーキングクロージング切断スイッチ、すなわちBCDS、センターブレーク切断スイッチ、ダブルブレーク切断スイッチ、バーティカルブレーク切断スイッチ、パンタグラフ切断スイッチ、セミパンタグラフ切断スイッチまたはニータイプ切断スイッチとして構成されている、請求項12から14までのいずれか1項記載の高電圧切断スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以降では、高電圧切断スイッチのための温度センシング装置および温度センシング装置を含んでいる高電圧切断スイッチについて説明する。
【0002】
離れている複数人のユーザに電気エネルギを提供する進歩的なエネルギ供給システムは、風力発電プラント、複合熱電ステーション、太陽エネルギユニットおよび小型の実体パワープラントなどの分散型発電ユニットに基づいている。しかし、分散型の電力配備および消費は、電気エネルギを分配するための拡張型電力網を必要とし、この拡張型電力網は、電気エネルギをルーティングするために高電圧リンクを断続的に接続または切断する複数のサブステーションを含んでいる。
【0003】
高電圧リンクの接続および切断は、一般的に、ブレーキングクローズ切断スイッチ(breaking-closing disconnecting switches:BCDS)によって実現される。BCDSは、必須であるが、電力網サブステーションのエラーに敏感な部品である。
【0004】
既知のBCDSの一般の誤動作は、たとえば、汚れた接触手段または機械的に変形した接触手段による、BCDSの高電圧接触手段の誤った接触または不完全な接触によって引き起こされる。結果として生じる、高電圧接触手段間の不十分な電気的接続によって、BCDSの電気抵抗が著しく上昇し、ひいては、動作しているBCDSの温度が上昇する。その結果、事故のリスクおよび電気エネルギの損失が大幅に増大してしまう。
【0005】
したがって、サブステーションおよびこのサブステーションを含んでいる電力網の効果的な動作の保証、動作安全性の向上およびダウンタイムの低減を図るには、BCDSの温度、特にBCDSの高電圧接触手段の温度の頻繁な点検および監視が不可欠である。
【0006】
技術的な装置の温度を測定、監視および/または報告するために、いくつかの方法およびセンシング装置が知られている。しかし、公知の温度測定装置は、少なくとも、測定された温度値を中央の監視ユニットまたは評価ユニットに伝送するために、電気的に動作する部品を含んでいる。このような電気的に動作する部品は、高電圧接触手段のすぐ近くでの使用には不適切である。なぜなら、接触手段とセンサ電極との間の電圧差(センサ位置における、50kVを上回るグランドレベル)が、センシング装置の動作性を不能にし、少なくともセンシング装置の動作性に影響するからである。
【0007】
さらに、サブステーションおよびサブステーションの部品、たとえばBCDSは一般に、周囲の温度、湿度、気圧および風条件の変動および/または塵もしくは汚染物質の堆積などの環境影響を受ける。
【0008】
したがって、高電圧切断スイッチのための温度センシング装置は、その下でサブステーションが動作すべき一般の環境影響に対して耐性を有している必要があり、高電圧切断スイッチのすぐ近くで電気的に動作すべき部品を必要としてはいけない。
【0009】
この技術的な問題に対する解決策は、独立請求項1に記載のセンシング装置および独立請求項12に記載の高電圧切断スイッチによって提供される。センシング装置および高電圧切断スイッチのさらなる実施形態は、請求項2から11および請求項13から15によって規定される。
【0010】
高電圧切断スイッチのためのセンシング装置は、自身の温度を、高電圧切断スイッチの温度と整合させるように構成されている発光素子と、発光素子からの発光を受け取るように構成され、かつこの発光を導くように構成されている光ファイバとを備えている。さらに、導出ユニットが、光ファイバからの発光を受け取り、受け取った発光の持続時間/時間的な広がり範囲に基づいて、高電圧切断スイッチの温度に関する情報を導出するように構成されている。
【0011】
発光素子は、発光を放射するように構成されている。発光素子によって放射されかつ/または光ファイバによって導かれる発光は、紫外光、可視光および/または赤外光を備えていてよい。
【0012】
発光素子は、自身の温度に基づいて、かつ/または高電圧切断スイッチの温度に基づいて発光を放射するように構成されていてよい。発光素子および/または高電圧切断スイッチの温度に応じて、発光の強度、持続時間、周波数スペクトルの幅および/または周波数分布/組成が変化してよい。換言すれば、発光素子および/または高電圧切断スイッチの温度は、発光素子によって放射されかつ/または光ファイバによって導かれる発光の特徴または物理的パラメータに影響を与えることができる。発光素子および/または高電圧切断スイッチの温度は、発光の強度、持続時間、周波数スペクトルの幅および/または周波数分布/組成に影響を与えることができる。
【0013】
光ファイバは、シリカ材料、特にガラス材料および/またはポリマー材料を備えていてよい。さらに、光ファイバは、発光素子に結合されていてよく、かつ/または光ファイバは、導出ユニットに結合されていてよい。光ファイバは、コーティング材料または包囲材料、たとえばポリマー材料によって部分的にコーティングまたは包囲されていてよい。
【0014】
導出ユニットは、光ファイバと結合されていてよい、かつ/またはさらに、発光素子によって放射されている、かつ/または光ファイバによって導かれている、受け取った発光の強度および/または周波数スペクトルおよび/または周波数分布に基づいて、高電圧切断スイッチの温度に関する情報を導出するように構成されていてよい。導出ユニットは、少なくとも1つの光電子素子および/または集積回路を備えていてよい。さらに、導出ユニットは、データ処理システム、たとえば、高電圧切断スイッチおよび/またはサブステーションのコントロールシステムおよび/または監視システムと結合されるように構成されていてよい。任意選択的に、導出ユニットを、データ処理システムに組み込むことができる。
【0015】
このセンシング装置の利点は、発光素子および光ファイバ、すなわち少なくとも部分的に、高電圧接触手段のすぐ近くに配置されなければならない素子を、電気エネルギを伝送することなく動作させることができることである。これによって、高電圧切断スイッチの近くにおける電磁影響によるセンシング装置の誤動作を排除することができる。
【0016】
別の利点は、いかなる可動素子も伴わずに、かつ/またはセンシング装置を封止するポリマーコーティングなどの付加的な絶縁手段および/または保護手段を伴って、センシング装置を実装することができることである。これによって、センシング装置を環境影響から効果的に保護することができる。
【0017】
任意選択的に、高電圧切断スイッチのためのセンシング装置は、高電圧切断スイッチの接触手段の表面、特に金属表面上に配置されるように構成されており、かつこの表面の温度と整合するように構成されている接触素子を備えている。
【0018】
発光素子および/または光ファイバは、接触素子の表面上に配置されてよい。択一的または相補的に、発光素子および/または光ファイバは、少なくとも部分的に、接触素子によって取り囲まれていてよい。
【0019】
任意選択的に、接触素子は、プラスチック材料またはポリマー材料および/または金属材料、たとえば銅材料を備えている。
【0020】
さらに、接触素子は、円筒形の部分および/または環状の部分を備えていてよい。
【0021】
発光素子および/または光ファイバは、高電圧切断スイッチの表面の温度と整合するように、かつ/または接触素子の温度と整合するように構成されていてよい。
【0022】
接触素子の利点は、高電圧切断スイッチ、特に高電圧切断スイッチの接触手段の金属表面における発光素子の位置決めの向上および簡略化である。
【0023】
高電圧切断スイッチの既存の手段に対応して、たとえば高電圧切断スイッチの既存の絶縁手段および/または離隔手段に対応して、接触素子を成形することができる。一変形形態では、接触素子は環状の部分を有していてよく、かつ離隔素子の周りに配置されるように構成されていてよく、離隔素子は、高電圧接触素子とばねとの間に配置されており、ばねは、高電圧接触素子を別の高電圧接触素子に押圧して、これらの素子間の導電性接触を強める。
【0024】
接触素子の別の利点は、発光素子と高電圧切断スイッチとの間の温度整合の向上である。
【0025】
接触素子のさらに別の利点は、たとえば発光素子を少なくとも部分的に取り囲むことによって、発光素子を環境影響から保護できることである。
【0026】
任意選択的に、発光素子は、光ファイバの表面または表面の一部に配置されているコーティングであってよい。一変形形態では、発光素子は、光ファイバの表面の一部を被覆するコーティングであってよく、光ファイバのコーティングされた部分は、接触素子によって取り囲まれている。
【0027】
さらに、発光素子は、ルミネセンス、特にホトルミネセンス物質/材料を含んでいてよく/備えていてよく、これはたとえば亜鉛、カドミウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素および/または希土類金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、セレン化物、ハロゲン化物および/またはケイ酸塩を含んでいる/備えている蛍光性物質/材料である。
【0028】
一変形形態では、発光素子は、光ファイバの一部に配置されているホトルミネセンスコーティングである。
【0029】
一変形形態では、高電圧切断スイッチのためのセンシング装置は、光を断続的に放射するように構成されている光源をさらに備えている。光ファイバは、光源によって放射された光を受け取り、光源によって放射された光を導くように構成されていてよい。発光素子は、光源から放射されて、光ファイバによって導かれる光のエネルギを吸収するように構成されていてよい。
【0030】
(ホト)ルミネセンス物質を備えている発光素子の利点は、電気エネルギを伝送することなく、光ファイバを介して光源からの光を断続的に導くことによって、(ホト)ルミネセンス材料にエネルギを供給できることである。ルミネセンス物質が光源からの光のエネルギを吸収すると、ルミネセンス物質の内部の電子がエネルギ準位遷移現象を有し、これによってルミネセンス現象、すなわち蛍光発光が生じる。断続的に供給される、光源からの光が一時的に消衰すると、ある期間、ルミネセンスが消失する。ここで、この期間の時間的な広がりは、発光素子の温度、すなわちルミネセンス物質の温度に関連する。したがって、導出ユニットは、光ファイバを介して発光素子からの発光を受け取り、ルミネセンス物質によって引き起こされた、受け取った発光の持続時間に基づいて、高電圧切断スイッチの温度に関する情報を導出することができる。
【0031】
一変形形態では、センシング装置は、ミラーリング部品および/または集束光学系を備えていてよく、ミラーリング部品は、光ファイバの端部に結合されていてよく、かつ/または集束光学系は、光ファイバと導出ユニットとの間に配置されていてよい。導出ユニットは、光ファイバからの集束された発光を受け取るように構成されていてよく、導出ユニットは、受け取った集束された発光に基づいて、高電圧切断スイッチの温度に関する情報を導出するように構成されていてよい。
【0032】
光ファイバの端部、特に、導出ユニットと結合されている光ファイバの端部に対向する、光ファイバの端部に結合されていてよいミラーリング部品の利点は、発光素子の発光を反射することができるということである。これによって、導出ユニットが受け取る発光の強度を高めることができる。
【0033】
集束光学系の利点は、発光素子の発光を、導出ユニットによる評価のために集束させることができることである。これによって、導出ユニットが受け取る発光の強度を高めることができる。
【0034】
任意選択的に、センシング装置、特に導出ユニットは、警報モジュールを備えていてよく、この警報モジュールは、導出ユニットによって決定された高電圧切断スイッチ温度が閾値を超えた場合に、警報メッセージを出力するように構成されている。警報メッセージは、光学的な警報および/または音響的な警報であってよく、これは、光学的な警報手段および/または音響的な警報手段で伝送される。択一的または相補的に、警報メッセージは、センシング装置、特に導出ユニットに結合されている外部のデータ処理システムまたは統合されているデータ処理システムへ電子的に伝送可能なデータメッセージであってよい。
【0035】
高電圧切断スイッチは、上述したようなセンシング装置を備えていてよい。
【0036】
上述したセンシング装置の他に、高電圧切断スイッチは、少なくとも2つの高電圧接続手段をさらに備えていてよく、これらの高電圧接続手段は、互いに離隔して位置決めされるように構成されており、かつ互いに接触して位置決めされるように構成されており、これによって高電圧リンクの切断および高電圧リンクの確立がそれぞれ行われる。互いに接触するために、これらの接続手段のうちの少なくとも1つが接触セグメントを備えていてよい。
【0037】
さらに、高電圧切断スイッチは、高電圧切断スイッチのスイッチング状態が変化した(すなわち高電圧リンクが確立または切断された)ときに変形するように構成されているばねを備えていてよく、これによって、高電圧接続手段および/または接触セグメントの意図された位置決めがサポートされる。
【0038】
センシング装置を、少なくとも部分的に、切断スイッチのばねと、切断スイッチの接続手段および/または接触セグメントとの間に配置することができ、発光素子および/または接触素子は、ばねを接続手段および/または接触セグメントから分離するように、かつ/または電気的に絶縁するように構成されていてよい。
【0039】
このアレンジメントの利点は、センシング装置が、ばねを備える高電圧切断スイッチに組み込まれ、これによって、接続手段および/または接続手段の接触セグメントに密接して固定されることが可能であり、付加的に、ばねを備えている切断スイッチに提供されなければならない分離素子および/または絶縁素子の特別効果が得られることである。したがって、高電圧切断スイッチの設計に影響を与えることなく、切断スイッチの既存の分離手段および/または絶縁手段を交換するだけで、センシング装置を配置することができる。
【0040】
別の変形形態では、センシング装置は、高電圧切断スイッチのばねと接続手段との間の離隔素子および/または高電圧切断スイッチの接続手段の接触セグメントの周りに成形および/または位置決めされていてよい。したがって、センシング装置を、切断スイッチの既存の分離手段および/または絶縁手段に適合させることができ、これによって、既存の高電圧切断スイッチをアップグレードおよび/または再設計する労力を最小限に抑えることができる。
【0041】
高電圧切断スイッチ自体は、ブレーキングクロージング切断スイッチ(breaking-closing disconnecting switch:BCDS)、センターブレーク切断スイッチ(centre break disconnecting switch)、ダブルブレーク切断スイッチ(double break disconnecting switch)、バーティカルブレーク切断スイッチ(vertical break disconnecting switch)、パンタグラフ切断スイッチ(panthograph disconnecting switch)、セミパンタグラフ切断スイッチ(semi-panthograph disconnecting switch)またはニータイプ切断スイッチ(knee type disconnecting switch)であってよい。
【0042】
上述のアレンジメントの理解を高めるために、以降の図が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A】2つの接続手段を備える、高電圧切断スイッチの例を概略的に示す図である。
図1B】2つの接続手段を備える、高電圧切断スイッチの例を概略的に示す図である。
図2A】高電圧切断スイッチのためのセンシング装置の例を概略的に示す図である。
図2B】高電圧切断スイッチのためのセンシング装置の例を概略的に示す図である。
図3A】高電圧切断スイッチのためのセンシング装置の別の例を概略的に示す図である。
図3B】高電圧切断スイッチのためのセンシング装置の別の例を概略的に示す図である。
図4A】高電圧切断スイッチのためのセンシング装置のさらに別の例を概略的に示す図である。
図4B】高電圧切断スイッチのためのセンシング装置のさらに別の例を概略的に示す図である。
【0044】
明示的にそうでないと記述されていない限り、図面に使用されている同一の参照符号は、異なる実装形態に使用されている対応する部品または類似の部品を記述している。さらに、図示した実装形態の明確性を高めるために、全ての図が、図示した全ての素子に対する参照符号を備えているわけではない。
【0045】
図1A図1Bは、高電圧接続手段A,Bを備えている、高電圧切断スイッチの例を示している。2つの高電圧接続手段A,Bは、互いに離隔して位置決めされるように構成されており(図1B)、かつ互いに接触して位置決めされるように構成されており(図1A)、これによって、それぞれ、高電圧リンクが切断され、高電圧リンクが確立される。接続手段A,B間に導電性接続を確立するために、接触セグメント110が、これらの接続手段のうちの1つに固定されている。
【0046】
図示された高電圧切断スイッチは、同様にこれらの接続手段のうちの1つに固定されているばね120をさらに備えている。ばね120は、接触セグメント110の接触ゾーンに機械的な圧力を提供し、これによって、閉じられているスイッチ状態(図1A)における接続手段A,B間の導電性接続がサポートされる。
【0047】
図1A図1Bに示されているように、接触セグメント110およびばね120は、固定素子140によって接続手段のうちの1つに固定されている。しかし、接触セグメント110の接触ゾーンの近くでは、ばね120と接触セグメント110とは、非導電性プラスチック材料を備える円筒形の分離素子130によって互いに離隔させられている。
【0048】
図2A図2Bは、高電圧切断スイッチのすぐ近くにおいて、電気エネルギを伝送することなく、高電圧切断スイッチの温度を決定するように構成されているセンシング装置の例を示している。
【0049】
図示されているセンシング装置は、高電圧切断スイッチの表面、すなわち接続手段A,Bの表面および/または接触セグメント110の表面に配置されるように構成されている接触素子16を備えている。
【0050】
図2A図2Bに示されている変形形態では、接触素子16は、高い熱伝導率を備える環状の銅素子である。したがって接触素子16は、自身の温度を、接触素子16が配置されている表面の温度に迅速に整合させる。
【0051】
さらに、図示されているセンシング装置は、発光素子10を備えており、この発光素子10は、環状の接触素子16によって取り囲まれている。発光素子10は、自身の温度を接触素子16の温度と整合させ、ひいては、接触素子16が配置されている表面の温度と整合させるように構成されている。
【0052】
図2A図2Bに示されている変形形態では、発光素子10は、光ファイバ12の表面に配置されているホトルミネセンスコーティングである。光ファイバ12は、接触素子16を介して延在しており、発光素子10、すなわちホトルミネセンスコーティングからの発光を受け取るように構成されており、かつこの発光を導くように構成されている。さらに、ファイバ12は、導出ユニット14に結合されており、導出ユニット14は、光ファイバ12から発光を受け取り、受け取った発光の持続時間に基づいて、発光素子10の温度、ひいては接触素子16の温度および接触素子16が配置されている表面の温度に関する情報を導出するように構成されている。
【0053】
光源(図示せず)は、光ファイバ12を介して光を断続的に放射するように構成されている。ホトルミネセンスコーティング10は、光源から放射され、光ファイバ12を介して導かれた光のエネルギを吸収するように構成されている。これによって、電気エネルギを伝送することなく、光ファイバを介して、ホトルミネセンスコーティング10に光源からのエネルギが供給される。
【0054】
ホトルミネセンスコーティング10が光源からの光のエネルギを吸収すると、ホトルミネセンスコーティング10の内部の電子は、蛍光発光を生じさせるエネルギ準位遷移現象を有する。断続的に供給される、光源からの光が一時的に消衰すると、所定の期間、ルミネセンスが消失する。ここで、この期間の時間的な広がりは、コーティングの温度、すなわち接触素子16が配置されている表面の温度に関連する。したがって、導出ユニット14は、光ファイバ12を介して発光素子からの発光を受け取り、受け取った発光の持続時間に基づいて、接触素子16が配置されている表面の温度に関する情報を導出することができる。
【0055】
図2A図2Bに示されているように、センシング装置は、円筒形の分離素子130の形状に対応して設計されていてよい。したがって、図2A図2Bに示されているセンシング装置を、ばね120と、高電圧切断スイッチの接触セグメント110との間に容易に配置することができ、高電圧切断スイッチのすぐ近くでの電気エネルギの移行なしに、切断スイッチの温度、特に接続手段A,Bの関連する接触ゾーンの温度を測定することができる。
【0056】
図3A図3Bに示されているように、センシング装置の接触素子16が、プラスチック材料を備える円筒形の部分18を含んでいてもよい。図3A図3Bに示されているセンシング装置は、図2A図2Bに示されているセンシング装置と同じように動作すべきであるが、分離素子130への配置の代わりに、図1A図1Bに示されている分離素子130に取って代わってよい。
【0057】
さらに、図4A図4Bに示されているように、光ファイバ12と結合されているかつ/または光ファイバ12上に配置されている発光素子10が、接触素子16の区別されている部分を介して延在していてよい。発光素子10が光ファイバ12上に配置されている場合、光ファイバ12は、接触素子16の区別されている部分を介して延在していてよい。たとえば、発光素子10および/または光ファイバ112は、閉ループまたは開ループを形成していてよい。任意選択的に、発光素子10および/または光ファイバ12の端部は、発光素子10によって放射された光を反射するように構成されているミラーリング部品20に結合されていてよい。このようにして、導出ユニットが受け取る発光の強度を高めることができる。
【0058】
結論として、図に示された主題は、特許請求された主題を限定するものではなく、単に本開示の理解を高めるために用いられるものであることが強調される。しかし、図に示され、上述された特徴は、本開示に含まれており、本開示のさらなる特徴と明示的に組み合わせ可能である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
【手続補正書】
【提出日】2021-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧切断スイッチのためのセンシング装置であって、
前記センシング装置は、
自身の温度を、前記高電圧切断スイッチの温度と整合させるように構成されている発光素子と、
前記発光素子からの発光を受け取るように構成され、かつ前記発光を導くように構成されている光ファイバと、
前記光ファイバからの前記発光を受け取り、受け取った前記発光の持続時間に基づいて、前記高電圧切断スイッチの前記温度に関する情報を導出するように構成されている導出ユニットと、
前記高電圧切断スイッチの表面上に配置されるように構成されており、かつ前記表面の温度と整合するように構成されている接触素子とを備えており、
前記発光素子は、前記接触素子によって取り囲まれており、
前記接触素子は、環状の部分を備えている、
センシング装置。
【請求項2】
記光ファイバは、前記接触素子によって取り囲まれている、請求項1記載のセンシング装置。
【請求項3】
前記接触素子は、プラスチック材料を含んでおり、かつ/または
前記接触素子は、金属材料を含んでおり、かつ/または
前記接触素子は、円筒形の部分を備えている、請求項記載のセンシング装置。
【請求項4】
前記発光素子および/または前記光ファイバは、前記高電圧切断スイッチの前記表面の温度と整合するように、かつ/または前記接触素子の温度と整合するように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項5】
前記発光素子は、前記光ファイバの表面に配置されているコーティングである、請求項1から4までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項6】
前記発光素子は、ルミネセンス物質を含んでいる、請求項1から5までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項7】
光を断続的に放射するように構成されている光源をさらに備えており、
前記光ファイバは、前記光源によって放射された光を受け取るようにさらに構成されており、かつ前記光源によって放射された前記光を導くようにさらに構成されており、
前記発光素子は、前記光源から放射されて、前記光ファイバによって導かれる前記光のエネルギを吸収するようにさらに構成されている、請求項6記載のセンシング装置。
【請求項8】
前記導出ユニットは、受け取った前記発光の強度および/または周波数スペクトルおよび/または周波数分布に基づいて、前記高電圧切断スイッチの前記温度に関する情報を導出するようにさらに構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項9】
前記センシング装置は、ミラーリング部品および/または集束光学系をさらに備えており、前記ミラーリング部品は、前記光ファイバの端部に結合されており、かつ/または前記集束光学系は、前記光ファイバと前記導出ユニットとの間に配置されており、かつ/または
前記導出ユニットは、前記光ファイバからの集束された発光を受け取るように構成されており、前記導出ユニットは、受け取った集束された前記発光に基づいて、前記高電圧切断スイッチの前記温度に関する前記情報を導出するように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項10】
警報モジュールをさらに備えており、前記警報モジュールは、前記導出ユニットによって決定された高電圧切断スイッチ温度が閾値を超えた場合に、警報メッセージを出力するように構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項11】
前記発光素子および/または前記接触素子は、前記高電圧切断スイッチのばねと、前記高電圧切断スイッチの接触手段との間に配置されるようにさらに構成されており、かつ/または
前記発光素子および/または前記接触素子は、前記ばねを前記接触手段から分離するように、かつ/または電気的に絶縁するようにさらに構成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のセンシング装置。
【請求項12】
高電圧切断スイッチであって、
請求項1から11までのいずれか1項記載のセンシング装置を備えている、
高電圧切断スイッチ。
【請求項13】
前記高電圧切断スイッチは、
前記高電圧切断スイッチのスイッチング状態が変化したときに弾性変形するように構成されているばねをさらに備えており、
前記センシング装置は、前記高電圧切断スイッチのばねと前記高電圧切断スイッチの接触手段との間に部分的に配置されており、かつ/または
発光素子および/または接触素子は、前記ばねを前記接触手段から分離するように、かつ/または電気的に絶縁するようにさらに構成されている、請求項12記載の高電圧切断スイッチ。
【請求項14】
前記センシング装置は、前記高電圧切断スイッチの前記ばねと前記高電圧切断スイッチの前記接触素子との間の離隔素子の周りに成形されている、請求項12または13記載の高電圧切断スイッチ。
【請求項15】
前記高電圧切断スイッチは、ブレーキングクロージング切断スイッチ、すなわちBCDS、センターブレーク切断スイッチ、ダブルブレーク切断スイッチ、バーティカルブレーク切断スイッチ、パンタグラフ切断スイッチ、セミパンタグラフ切断スイッチまたはニータイプ切断スイッチとして構成されている、請求項12から14までのいずれか1項記載の高電圧切断スイッチ。
【国際調査報告】