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特表2024-500287材料内の欠陥を評価するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】材料内の欠陥を評価するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20231226BHJP
   G01N 29/265 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G01N29/06
G01N29/265
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530276
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021059916
(87)【国際公開番号】W WO2022119721
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】17/108,472
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/122,410
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/123,970
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/188,559
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522352579
【氏名又は名称】ヴェリファイ テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】VERIFI TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100229264
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 正一
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エイ ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エム ブランドフォード
(72)【発明者】
【氏名】ナサニエル ジェイ ブラックマン
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA08
2G047AA10
2G047AB05
2G047BA03
2G047BC09
2G047CA01
2G047DB12
2G047GH08
2G047GH09
(57)【要約】
本開示は、超音波非破壊試験中に材料のリアルタイムの可視化のためのシステム及び方法を提供する。システムは、一連の2次元(2D)断面から構築された複合材料積層材の3次元(3D)画像を示すことができるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む。GUIは、追加の各2D断面が、リアルタイム又はほぼリアルタイムで超音波試験装置によってスキャンされるとき、3D画像を表示することができ、3D画像は、複合材料内の穴、亀裂、しわ、又は異物などの欠陥を含む、可能性のある欠陥領域を含む。さらに、一実施形態では、システムは、リアルタイム又はほぼリアルタイムで3D画像内の欠陥領域を強調し、各欠陥の深さ、サイズ、及び/又はタイプなどの、各欠陥領域に関するデータを提供することができる人工知能を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接する層間に配置された、複数の層を含み、
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、
前記プロセッサは、前記表示手段を介して、前記1つ又は複数のギャップ領域を含む前記少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示し、
前記1つ又は複数のギャップ領域の前記相対位置を提供することは、前記試験対象物内の前記1つ又は複数のギャップ領域の各々の位置に対応する少なくとも1つの3次元(3D)座標を提供することを含む、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項2】
前記超音波トランスデューサは、5MHzよりも高い周波数で動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記超音波トランスデューサによって受信した前記超音波に基づいて、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層の前記1つ又は複数のギャップ領域の長さ及び幅に沿った各点で、前記少なくとも1つの接合層の前記1つ又は複数のギャップ領域の深さに対応する複数の値を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、3mmよりも小さい幅を有するギャップ領域を特定するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、0.5mmよりも小さい厚さを有するギャップ領域を特定するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、ギャップ領域を特定するように動作可能であり、前記接合層に隣接する2つの層は、直接接触している、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記超音波トランスデューサは、球状集束型超音波トランスデューサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサは、トランスデューサハウジングアセンブリのカップリング流体充填チャンバ内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記スキャンデータは、前記照射された超音波の波形全体を含み、
前記試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、
前記プロセッサは、前記スキャンデータに基づいて、前記少なくとも1つの接合層の長さ及び幅に沿った各点で、前記少なくとも1つの接合層の厚さに対応する複数の値を生成するように動作可能であり、
前記プロセッサは、前記表示手段を介して、前記少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示し、
前記1つ又は複数のギャップ領域の前記相対位置を提供することは、前記試験対象物内の前記1つ又は複数のギャップ領域の各々の位置に対応する少なくとも1つの3次元(3D)座標を提供することを含む、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、複数の材料に関する情報を含む材料データベースと通信し、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層の材料を前記複数の材料の少なくとも1つと一致させる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの接合層の上面と、前記少なくとも1つの接合層の下面とは、実質的に平行でない、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、キャリブレーションブロックの使用なしに、前記少なくとも1つの接合層の前記厚さに対応する前記複数の値を生成する、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層内のギャップ領域を特定するように動作可能であり、前記接合層に隣接する2つの層は、直接接触している、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの接合層の前記グラフィカル表示は、下面表示から分離された上面表示を含み、前記少なくとも1つの接合層の前記グラフィカル表示は、動的に回転可能であり、且つ/或いはサイズ変更可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層内の異物を特定し、グラフィカルに表示するように動作可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記スキャンデータは、前記照射された超音波の各々の前記波形全体を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、
前記プロセッサは、前記試験対象物内の少なくとも1つの対象特徴の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、
前記少なくとも1つの対象特徴は、接合層内の少なくとも1つのギャップ、少なくとも1つの異物、及び/又は少なくとも1つの領域層間剥離を含み、
前記プロセッサは、前記試験対象物内の前記少なくとも1つの対象特徴の各々の相対位置を含む前記試験対象物のグラフィカル表示を生成して提示し、
前記スキャンデータは、前記試験対象物内の複数の深さに関して生成された複数のAスキャンを含み、前記少なくとも1つの対象特徴の境界は、前記複数の深さの各々で前記複数のAスキャンの振幅の勾配をマッピングすることによって判定される、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの対象特徴は、6mmよりも小さい特徴的な長さを有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、複数のゲート領域の選択を受信するように動作可能であり、各々は、前記試験対象物内の異なる深さ範囲を表し、前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のゲート領域の各々に関してCスキャンを生成し、前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のCスキャンの各々に関して損傷領域を判定し、前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のCスキャンの各々に関して前記損傷領域の面積を生成する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの対象特徴は、少なくとも1つのキッシングボンドをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、以下の米国特許出願に関連し、優先権を主張する。本出願は、2021年3月1日に出願された、米国特許出願第17/188,559号の優先権を主張する。米国特許出願第17/188,559号は、2021年2月24日に出願された、米国特許出願第17/184,061号の一部継続である。米国特許出願第17/184,061号は、2021年2月10日に出願された、米国特許出願第17/172,723号の一部継続である。米国特許出願第17/172,723号は、2021年1月14日に出願された、米国特許出願第17/149,320号の一部継続である。米国特許出願第17/149,320号は、2021年1月13日に出願された、米国特許出願第17/148,205号の一部継続である。米国特許出願第17/148,205号は、2020年12月16日に出願された、米国特許出願第17/123,970号の一部継続である。米国特許出願第17/123,970号は、2020年12月15日に出願された、米国特許出願第17/122410号の一部継続である。米国特許出願第17/122410号は、2020年12月1日に出願された、米国特許出願第17/108472号の一部継続である。米国特許出願第17/108472号は、2020年11月6日に出願された、米国特許出願第17/091774号の一部継続である。米国特許出願第17/091774号は、2020年3月30日に出願された、米国仮特許出願第63/001,608号からの優先権を主張する。上述の出願の各々は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(1.発明の分野)
本開示は、非破壊試験及び非破壊検査の分野に関し、より具体的には、非破壊試験中に構造体内の欠陥を可視化するためのシステム及び方法に関する。
【0003】
(2.関連技術の説明)
非破壊試験(NDT)は、非破壊評価(NDE)又は非破壊検査(NDI)としても知られており、概して、その方法が材料又は部品をその意図される目的に不適合となるようにしないので、より大きい機械の材料及び部品を試験するときに人気を博してきた。NDTの従来の方法は、超音波及びサーモグラフィ技術、ならびに、渦電流、放射線(ガンマ線、X線、及びマイクロ波を含む)、磁粉探傷、染料浸透探傷などの使用に基づくものを含む。従来、NDTは、材料の表面欠陥を検出し、材料の異なる層間の剥離を検出し、或いは材料内の他の欠陥の存在を示すために使用されてきた。
【0004】
先行技術の特許文献は、以下を含む。
【0005】
2013年1月24日に出願され、2015年12月8日に発行された、発明者Rateringによる、Transforming A-scan data samples into a three-dimensional space for facilitating visualization of flawsに関する米国特許第9,207,639号は、3次元空間において1次元Aスキャンデータサンプルを可視化することを対象とする。データサンプルの各々は、試験材料から受信した超音波信号を表す。データサンプルは、試験材料から反射され戻った超音波エネルギーの相対的な量に対応するジオメトリック形状として3次元空間に変換される。レンダリングされたジオメトリック形状を有する3次元空間に変換されたデータサンプルが表示され得る。
【0006】
2007年6月25日に出願され、2012年9月11日に発行された、発明者Bisiauxらによる、Non-destructive testing, in particular for pipes during manufacture or in the finished stateに関する米国特許第8,265,886号は、パイプに関する非破壊試験デバイスを対象とし、提供される。デバイスは、選択された時間規則に従って超音波トランスミッタの選択的な励起に続いて、超音波レシーバによって捕捉された信号から欠陥に関する情報を抽出する。レシーバは、超音波方式で、相対的な回転/平行移動を伴って、パイプと結合された選択されたジオメトリを有する配置を形成する。デバイスは、動きの関数として、欠陥の画像を抽出することによって、指定された時間窓におけるエコーのデジタル表示を選択的に分離するコンバータと、推定された欠陥ゾーン及びこれらの特性を判定するフィルタと、欠陥ゾーンの画像の抽出から作業デジタル入力を準備するコンバイナと、作業入力を受け取る神経回路と、神経回路の出力に基づいて機能するデジタル決定及び警報段階と、ソート及びマーキングロボットとを含む。
【0007】
2012年7月9日に出願され、2015年9月1日に発行された、発明者Roachらによる、Ultrasonic testing device having an adjustable water columnに関する米国特許第9,121,817号は、可変流体カラムの高さを有する超音波試験デバイスを対象とし、開示される。オペレータは、検査中にリアルタイムで流体カラムの高さを調整し、最適な超音波フォーカスを生成し、外来の不要なUT信号を対象領域に起因する信号から分離することができる。
【0008】
2016年1月19日に出願され、2019年5月28日に発行された、発明者Palmerらによる、Inspection devices and related systems and methodsに関する米国特許第10,302,600号は、少なくとも1つの開口部を有するノズル部分と、ハウジングの後方チャンバに配置されたトランスデューサとを含む、検査デバイスを対象とする。ハウジングは、ハウジング内に規定され、後方チャンバの少なくとも一部分に沿って延在する少なくとも1つの流体チャネルを有する。少なくとも1つの流体チャネルは、トランスデューサに近接するハウジングの前方チャンバに流体を供給するように構成されている。関連方法は、検査デバイスを操作することを含む。
【0009】
1978年11月14日に出願され、1980年8月5日に発行された、発明者Botscoらによる、Apparatus and method for bondtesting by ultrasonic complex impedance plane analysisに関する米国特許第4,215,583号は、試験中の薄層、ハニカム又は繊維複合材料構造体に適用される、音エネルギー発生及び受信プローブの信号ベクトルの応答の位相及び振幅の両方によって表されるインピーダンス変化を利用する非破壊接合試験装置を対象とする。この接合試験及び方法が適用可能である典型的な接合方法は、接着剤接合と、拡散接合と、ろう付けと、抵抗及び衝撃/摩擦接合とを含む。陰極線管は、試験中の構造体によって影響を受けたインピーダンス特性を表すベクトルの先端を(明るい点として)表示する。ヌル回路は、構造体の欠陥のある(或いは異常な)部分がインピーダンス変化をヌルポイントから生成するように、試験中の構造体の欠陥のない(或いは正常な)部分の応答を削除し、変化は、ベクトルチップの振幅及び角度位置によって極座標表示で表され、それによって、検出される接合ラインの状態の場所及びタイプに関する診断情報を提供する。検出可能な接合ラインの状態/欠陥は、不接合と、接着剤の厚さと、接着剤の気孔率と、接着剤の硬化度と、接着(凝集)強度と、使用中の接着剤又は接合ラインの劣化の形態とを含む。
【0010】
1978年5月24日に出願され、1980年1月22日に発行された、発明者Evansらによる、Apparatus for evaluating a bondに関する米国特許第4,184,373号は、接着剤の中間層によって一緒に接合された第1及び第2の構造体間の接合を評価するための手段及び方法を対象とする。超音波エネルギーのパルスを、接合された構造体に伝達するための手段が提供され、それによって、第1の反射されたパルスは、第1の構造体の第1の表面から反射されてもよく、第2の反射されたパルスは、接着剤の層から反射されてもよく、第3のパルスは、接着剤層に隣接する第2の構造体の表面からできる限り反射されてもよい。回路手段は、第1、第2及び第3の反射されたパルスを感知するために提供され、反射されたパルスの振幅を比較し、比が予め定められた範囲内にあるか否かを判定することによって、接合の質の表示を提供するために提供される。
【0011】
2010年5月21日に出願され、2013年1月8日に公開された、発明者Questoらによる、Sonic resonator system for testing the adhesive bond strength of composite materialsに関する米国特許第8,347,723号は、複合材料の接着剤接合強度を試験するときの使用のための音波共振器システムを対象とする。また、特定の複合材料の接合部で動作する音波共振器システムをキャリブレーションする方法と、必要とされる接合強度に基づいて、接合された複合材料の接合強度の「合否」を非破壊試験する方法とが、明細書に開示される。
【0012】
2019年3月22日に出願され、2019年9月26日に発行された、発明者Campbellらによる、Detection of kiss bonds within composite componentsに関する米国特許公開公報第2019/0293610号は、複合材料コンポーネント内のキスボンドを検出するためのシステム及び方法を対象とし、提供される。複合材料コンポーネントからの反射された超音波エネルギーを代表する反射された超音波データと、複合材料コンポーネントからの反射された超音波エネルギーにおける予想された材料ノイズの予め定められたベースラインノイズの振幅値よりも高い2%-5%の間の第1の閾値振幅値と、第1の閾値振幅値よりも高い第2の閾値振幅値とを使用して、閾値振幅値を超え、第2の閾値振幅値よりも小さい、反射された超音波エネルギーの振幅の1つ又は複数の発生が特定される。キスボンドは、反射された超音波エネルギーの振幅の、特定された1つ又は複数の発生に基づいて、複合材料コンポーネントにおいて検出される。
【0013】
2006年12月28日に出願され、2009年8月18日に発行された、発明者Kollgaardらによる、Simplified impedance plane bondtesting inspectionに関する米国特許第7,574,915号は、超音波トランスデューサと、光源などのインジケータを有する電子デバイスとを含むNDIシステムを対象とする。電子デバイスは、トランスデューサに通電し、正弦波信号をトランスデューサから受信し、正弦波信号の直交位相分離成分に対応するインピーダンス平面座標を判定し、インピーダンス平面座標がプリセットされた閾値を超える場合、インジケータを自動的に作動させる。システムは、複合材航空機コンポーネント及びそのような構造体に適用されるリペアパッチなどの層状構造体を検査する方法に使用され得る。
【0014】
2009年7月16日に出願され、2012年8月7日に発行された、発明者Saxenaらによる、Apparatus and method for damage location and identification in structuresに関する米国特許第8,234,924号は、超音波が構造体内の不接合を検出するために使用される複合材料構造体を試験するための装置及び方法を対象とし、記載される。装置は、ファイバーブラッググレーティングなどの音響光学トランスデューサを搭載する柔軟な構造体を含む。使用中、装置は、試験中の構造体に機械的且つ適合的に結合される。
【0015】
2004年4月2日に出願され、2006年3月28日に発行された、発明者Heymanらによる、Bond testing system, method, and apparatusに関する米国特許第7,017,422号は、フェーズロッカ(phaselocker)と、トランスデューサと、接合に応力負荷を加えることができるローディングデバイスと、ローディングデバイスを制御するコントローラと、データを取得するデータ記録デバイスと、特定の接合強度パラメータを計算するデータを解析するコンピュータデバイスとを含む、接合されたコンポーネントの特定の接合強度パラメータを判定するための接合強度テスタ及び方法を対象とする。
【0016】
2012年8月9日に出願され、2014年8月7日に公開された、発明者Martinらによる、Air coupled ultrasonic contactless method for non-destructive determination of defects in laminated structureに関する米国特許公開公報第2014/0216158号は、幅(W)及び中間N-1接合プラント(B)を有するn層の薄層の多重度を有する積層材構造体内の欠陥の非破壊判定のための空気カップリングされた超音波非接触方法及び設備を対象とし、固定トランスミッタ距離(WTS)における少なくとも1つのトランスミッタ(T)は、複数の位置で超音波ビームを放射し、センサ距離(WSR)における少なくとも1つのレシーバ(R)は、積層材構造体(S)に対して複数の位置で再放射された超音波ビームを受信している。方法は、例えば、積層材欠陥の位置及びジオメトリを画像化し、任意の高さ(H)及び長さ(L)の積層材構造(S)の検査と、特定の接合平面(例えば、B1、B2、B3)の個別評価とを可能にし、接合平面に平行なサンプルの面への制限されたアクセスを伴う状況においても同様である。
【0017】
2014年7月17日に出願され、2016年6月7日に発行された、発明者Georgesonによる、Nondestructive inspection using hypersoundに関する米国特許第9,360,418号は、対象物を検査するための方法及び装置を対象とする。装置は、波形ジェネレータ及び検出システムを含む。波形ジェネレータは、対象物から離れて配置される。波形ジェネレータは、超音波が対象物の一部分と出くわすように、超音波を対象物上の位置に向かう方向に照射する。検出システムは、波形ジェネレータと対象物の同じ側に配置される。検出システムは、対象物の一部分と出くわす超音波に対する対象物の一部分内の特徴の特徴応答を検出する。
【0018】
2020年2月1日に出願され、2020年7月23日に公開された、発明者Tysonによる、In-situ monitoring of thermoformable compositesに関する米国特許公開公報第2020/0230899号は、熱可塑性又は熱硬化性材料、特に、熱可塑性複合テープなどの、熱成形可能材料から構築される構造体の質及び構成を判定するための方法及びシステムを対象とし、熱は、熱成形可能材料を硬化するために適用される。構造体の質は、その上昇された温度から冷却するときに材料内の差分熱流束を判定することによって、構造体の構築中に監視される。システム及び方法はまた、欠陥に対処するために是正措置が取られ得るか、或いは生産作業が停止され得るように、構築されている構造体内の欠陥の位置を判定し得る。一時的な熱効果は、適用されている熱成形可能材料などの、監視されている構造体に適用され、熱成形可能構造体の適用プロセスの適用された加熱又は追加の加熱から実装され得る。
【0019】
2011年5月27日に出願され、2016年11月15日に発行された、発明者Linらによる、Method and apparatus for defect detection in composite structuresに関する米国特許第9,494,562号は、音波又は超音波を利用する複合材料構造体の非破壊試験のための方法及び装置を対象とする。プローブから複合材料構造体に送信された広帯域チャープ波音波励起信号に応答して、受信されたプローブ信号は、予め定められたプローブ信号のライブラリと相関され、検出された欠陥のグラフィカル表示が生成される。グラフィカル表示は、欠陥のタイプ、欠陥の位置、及び欠陥の形状に関する詳細な情報を提供する。また、3つ以上のトランスデューサであって、各トランスデューサはトランスミッタ又はレシーバとして別個に構成可能であるトランスデューサと、信号をトランスデューサに供給し信号をトランスデューサから受信するためにトランスデューサの各々に結合されたコントローラであって、トランスデューサに供給される信号はトランスミッタ又はレシーバのいずれかとして各トランスデューサを構成するための信号とトランスミッタとして構成されている各トランスデューサから励起信号を提供するための信号とを含むコントローラと、を含む複合材料構造体の非破壊試験のためのプローブが企図される。
【0020】
2016年5月5日に出願され、2019年10月15日に発行された、発明者Binghamによる、Detection of near surface inconsistencies in structuresに関する米国特許第10,444,195号は、構造体内の表面近傍不整合を検出する方法を対象とし、提示される。パルスレーザビームは、構造体に向けられる。パルスレーザビームの放射が構造体によって吸収されるとき、広帯域超音波信号は、構造体において形成される。広帯域超音波信号は、データを形成するために検出される。データは、表面近傍不整合と関連付けられた周波数を特定するために処理される。
【0021】
2018年12月17日に出願され、2019年6月20日に公開された、発明者Asadollahiらによる、Methods for ultrasonic non-estructive testing using analytical reverse time migrationに関する米国特許公開公報第2019/0187107号は、水平方向のシェアウェイブ(shear wave)を照射するドライポイントコンタクト(「DPC」)トランスデューサ又は他のトランスデューサなどの、超音波トランスデューサを使用する非破壊試験のためのシステム及び方法を対象とし、記載される。解析的なリバースタイムマイグレーション(「RTM」)技術は、超音波トランスデューサを使用して取得されたデータから画像を生成するために実装される。
【0022】
2016年10月31日に出願され、2018年5月3日に公開された、発明者Georgesonらによる、Wrinkle Characterization and Performance Prediction for Composite Structuresに関する米国特許公開公報第2018/0120268号は、自動構造解析を使用して、しわのある複合材料構造体のしわの特徴付け及び性能予測を提供する方法を対象とする。いくつかの実施形態によれば、方法は、Bスキャン超音波データの使用と、しわ及び断面のジオメトリの自動光学測定と、しわのある複合材料構造体の有限要素解析とを組み合わせ、構造体の意図される性能に対して、検出されたしわの実際の重要度を評価する能力を提供する。開示される方法は、参照基準から取得された超音波Bスキャンデータを、それらの参照基準の光学断面(例えば、顕微鏡写真)の測定値と相関させることによって、キャリブレーションされた超音波検査システムを使用する。
【0023】
2018年3月9日に出願され、2020年3月31日に発行された、発明者Grewelらによる、Methods for measuring out-of-plane wrinkles in composite laminatesに関する米国特許第10,605,781号は、複合材料積層材の面外しわを測定するための方法を対象とし、記載される。例示的な方法は、超音波トランスデューサを用いて複合材料積層材の第1の側をスキャンすることを含む。さらに、方法は、複合材料積層材の第1の側のスキャンに応答して生成されたBスキャン超音波画像上で複合材料積層材の面外しわを位置付けることを含む。さらに、方法は、第1のマーカをBスキャン超音波画像と関連付けることを含み、第1のマーカは、Bスキャン超音波画像上の面外しわの頂点の位置に基づいて判定される。さらに、方法は、第2のマーカをBスキャン超音波画像と関連付けることを含み、第2のマーカは、Bスキャン超音波画像上の面外しわのくぼみの焦点の位置に基づいて判定される。さらに、方法は、第1のマーカと第2のマーカとの間の距離に基づいて、面外しわの振幅を判定することを含む。
【0024】
2016年1月11日に出願され、2018年12月25日に発行された、発明者Dehghan-Niriらによる、Methods of non-destructive testing and ultrasonic inspection of composite materialsに関する米国特許第10,161,910号は、非破壊試験の方法が、視覚的にアクセスできない構造を有するコンポーネントに対して超音波トランスデューサを配置し、コンポーネントの少なくとも1つのBスキャンからBスキャンデータを収集し、コンポーネントの少なくとも1つのCスキャンからCスキャンデータを収集することを含むことを対象とする。方法はまた、Bスキャンデータ及びCスキャンデータをフィルタリングし、視覚的にアクセスできない構造についての予め定められたジオメトリック情報に基づいて、ランダムノイズ及びコヒーレントノイズを除去し、フィルタリングされたデータを取得することを含む。さらに、方法は、線形信号処理及び非線形信号処理を実行し、フィルタリングされたBスキャンデータ及びフィルタリングされたCスキャンデータから視覚的にアクセスできない構造を表す複数のボクセルの損傷指数を判定し、Vスキャン画像を生成することを含む。風力タービンブレードの非破壊試験の方法及び超音波システムもまた開示される。
【0025】
2007年7月23日に出願され、2011年3月1日に発行された、発明者Kollgaardらによる、Method and apparatus for quantifying porosity in a componentに関する米国特許第7,895,895号は、材料内の気孔率を測定するためのコンピュータ実装方法、又はハードウェアフィルタ装置、及びコンピュータ使用可能プログラムコードを対象とする。超音波信号は、超音波測定システムの送信トランスデューサから材料に照射される。応答信号は、材料から超音波測定システムの受信トランスデューサで受信される。応答信号は、選択された周波数範囲内の応答信号の周波数のみを通過するようにフィルタリングされ、フィルタリングされた応答信号を形成する。材料の気孔率レベルは、フィルタリングされた応答信号を使用して特定される。
【0026】
2010年11月30日に出願され、2013年9月3日に発行された、発明者Bradyらによる、Simplified direct-reading porosity measurement apparatus and methodに関する米国特許第8,522,615号は、構造体の気孔率を測定するための装置が、構造体に押し付けられるように構成されている超音波トランスデューサデバイスであって、超音波パルスを構造体に照射し、エコープロファイルを検出するようにさらに構成されている超音波トランスデューサデバイスと、電子デバイスであって、インタフェースゲート、裏面センシングゲート、及び裏面解析ゲートを有するマネージャと、マネージャ及び超音波トランスデューサデバイスとインタフェースするパルスジェネレータと、超音波トランスデューサデバイス及びマネージャとインタフェースするデータ取得デバイスと、マネージャとインタフェースする気孔率インジケータを有するディスプレイとを含む電子デバイスとを含むことを対象とする。
【0027】
2004年6月28日に出願され、2006年3月14日に発行された、発明者Meierによる、Method of determining the porosity of a workpieceに関する米国特許第7,010,980号は、ワークピース、特に、繊維複合材料で作られたワークピースの気孔率が判定されることを対象とする。超音波信号は、ワークピースに入射され、超音波エコー信号は、ワークピースから受信される。深さに対する超音波エコー信号の振幅の変動は、それぞれの深さでのワークピース材料の気孔率の尺度として使用される。
【0028】
2003年3月12日に出願され、2005年11月1日に発行された、発明者Petersonらによる、Ultrasonic detection of porous medium characteristicsに関する米国特許第6,959,602号は、プレート波が、膜などの、多孔質媒体内の欠陥の存在を判定するために使用されることを対象とする。音響波は、多孔質媒体を介して伝播され、媒体内にプレート波を生成し得る。プレート波は、媒体の材料特性及び構造特性に関連する高速圧縮波及び低速圧縮波を媒質内に生成する。高速圧縮波は、媒体の全ての気孔率についての情報を提供する。一方、低速圧縮波は、媒体内の欠陥の存在又は媒体を形成する材料のタイプについての情報を提供する。
【0029】
2012年9月20日に出願され、2016年3月29日に発行された、発明者Djordjevicらによる、Differential ultrasonic waveguide cure monitoring probeに関する米国特許第9,297,789号は、硬化プロセスのその場でのリアルタイムモニタリングを可能にする新しい方法論、試験システム設計及び概念を対象とする。1つ又は複数の差動超音波導波管硬化モニタリングプローブを使用して、先端材料の時間依存性硬化の非破壊の、その場でのモニタリングのための装置、システム、及び方法である。差動超音波導波管硬化モニタリングプローブは、硬化される材料と直接接触しており、硬化プロセスのその場でのモニタリングを提供し、硬化に関連しない信号変動(例えば、温度)に依存しないキャリブレーション応答方式において、硬化度又は硬化レベルの評価を可能にする。差動超音波導波管硬化モニタリングプローブは、導波管に結合されたトランスデューサを含み、補正及びキャリブレーション方法論を組み込み、超音波反射測定を介して、硬化プロセスを正確且つ再現性良く監視し、硬化レベルの評価を可能にする。プローブと樹脂との界面から反射された補正された界面応答信号の振幅は、硬化中、材料の弾性率の変化を示す。
【0030】
2004年9月28日に出願され、2005年9月20日に発行された、発明者Georgesonによる、System and method for identifying incompletely cured adhesiveに関する米国特許第6,945,111号は、柔らかい領域又は不適切に硬化された領域などの、複合材料構造体内の接着剤を検査するためのシステムを対象とし、トランスデューサと処理要素とを含む。トランスデューサは、超音波信号の少なくとも一部分が、接着剤を介して伝播し、接着剤と別の材料との間の界面に反射し、接着剤を介して再び伝播し得るように、超音波信号などの信号を接着剤に送信し得る。接着剤を出ると、トランスデューサは、超音波信号の反射された部分を受信し得る。その後、処理要素は、反射された超音波信号の反射された部分の振幅の予め定義された閾値との関係に基づいて、接着剤内の柔らかい領域又は不適切に硬化された領域などの欠陥を特定し得る。
【0031】
2013年3月20日に出願され、2020年6月30日に発行された、発明者Jackらによる、Method and system of non-destructive testing for compositesに関する米国特許第10,697,941号は、複合材料積層材構造を特徴付け、定量化するための方法及びシステムを対象とする。方法及びシステムは、未知のプライスタックの構成及びシーケンスの複合材料積層材を取り、プライスタック、配向、微細構造、及びタイプなどの、個々のプライについての様々な情報を判定する。方法及びシステムは、同様の平面剛性挙動を示し得るが、異なる故障機構をもたらし得る織り方を区別し得る。次いで、個々のプライ情報は、引張剛性、曲げ-引張カップリング剛性、曲げ剛性などを含む、外部提供された繊維及びマトリクスの構成特性から積層材バルク特性を導出するために使用され得る。次いで、積層材バルク特性は、複合材料積層材の確率的破壊エンベロープを生成するために使用され得る。これは、個々の薄層の積層が仕様に従って実現されたことを保証するために非破壊QAを実行する能力を提供し、結果は、純粋に構造的なものを超えて多数の積層材特性を特定するために使用され得る。
【0032】
2015年7月13日に出願され、2019年7月9日に発行された、発明者Holmesらによる、Automated calibration of non-destructive testing equipmentに関する米国特許第10,345,272号は、非破壊試験機器を自動キャリブレーションするための方法を対象とする。いくつかの実施形態によれば、方法は、(a)試験対象物の試験対象物座標系における第1の座標セットを判定することであって、第1の座標は、試験対象物の表面上の目標位置を表す、判定することと、(b)キャリブレーションファイルを非破壊試験機器のメモリに格納することであって、キャリブレーションファイルは、目標位置を含む領域内の試験対象物の3次元構造を表す構造データの関数であるキャリブレーションデータを含む、格納することと、(c)キャリブレーションファイルのキャリブレーションデータを使用して、非破壊検査機器をキャリブレーションすることと、(d)キャリブレーションされた非破壊検査機器を使用して、目標位置を調べることと、を含む。
【0033】
1993年7月21日に出願され、1995年4月25日に発行された、発明者McKinleyらによる、Ultrasonic device and method for non-destructive evaluation of polymer compositesに関する米国特許第5,408,882号は、ポリマ複合材料に分布された不連続繊維を有するポリマ複合材料の非破壊評価のための超音波測定デバイス及び方法を対象とする。デバイスは、くさび形のフォーカサー及びリレーに配置された1つ又は複数の実質的に一致したトランスデューサのペアを有し、フォーカサー及びリレーは各々、解析されるポリマ複合材料のインピーダンスと実質的に一致されたインピーダンスを有する。デバイスは、フォーカサー及びリレーの頂点が表面と密着するように複合材料の表面に配置される。複合材料を介した通過後に第1のトランスデューサによって生成され、第2のトランスデューサによって受信された実質的に長手方向の超音波の速度は、中心点についてのいくつかの配向角度で判定され、超音波の測定された速度は、ソフトウェアを有するコンピュータを介して処理され、複合材料内に存在する繊維の重量パーセント、複合材料のヤング率、剛性率及びポアソン比などの、複合材料の物理的属性を判定する。
【0034】
2015年9月8日に出願され、2020年9月1日に発行された、発明者Jackらによる、Method and system for non-destructive testing of curved compositesに関する米国特許第10,761,067号は、2次元及び3次元において湾曲される表面を有する構造を含む、複合材料積層材構造を特徴付け、定量化することを対象とする。実施形態は、未知のプライスタック組成及びシーケンスの複合材料積層材を取り、プライスタック、配向、微細構造、及びタイプなどの、個々のプライについての様々な情報を判定する。実施形態は、同様の平面剛性挙動を示し得るが、異なる故障機構をもたらし得る織り方を区別し得る。次いで、個々のプライ情報は、引張剛性、曲げ-引張カップリング剛性、曲げ剛性などを含む、外部提供された繊維及びマトリクスの構成特性から積層材バルク特性を導出するために使用され得る。次いで、積層材バルク特性は、複合材料積層材の確率的破壊エンベロープを生成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、プライスタックのタイプ及びシーケンスはまた、回転段階を追加することによって、開示された実施形態を使用して、湾曲された炭素繊維複合材料に関して判定され得る。
【0035】
2018年8月9日に出願され、2020年2月13日に公開された、発明者Jahanbinらによる、Structural Health Monitoring of Curved Composite Structures Using Ultrasonic Guided Wavesに関する米国特許公開公報第2020/0047425号は、界面ガイド波を使用して、湾曲された複合材料積層材構造体の非破壊検査のためのシステム及び方法を対象とする。特に、湾曲された複合材料積層材構造体がヌードルを有する場合、ヌードル領域は、界面ガイド波を使用して検査され得る。システム及び方法は、検査された湾曲された複合材料積層材構造体から取得された検出データを、シミュレートされた湾曲された複合材料積層材構造体を使用して導出された予測データと比較することによって、接着剤接合された湾曲された複合材料積層材構造体のヌードル領域の構造的健全性を監視するための反復可能且つ信頼できる非破壊技術を提供する。
【0036】
2007年6月19日に出願され、2011年7月12日に発行された、発明者Fetzerらによる、Method, apparatus and system for inspecting a workpiece having a curved surfaceに関する米国特許第7,975,549号は、非破壊検査方法、装置及びシステムが、少なくとも1つの予め定義された曲率半径を有する湾曲された表面を有するワークピースを検査するために提供されることを対象とする。検査プローブなどの装置は、予め定義された曲率半径を有する円弧状構成に配置された複数のトランスデューサ素子と、湾曲された遅延線とを含む。湾曲された遅延線は、トランスデューサ素子の予め定義された曲率半径と一致する予め定義された曲率半径を有する外側の円弧状表面を有する。湾曲された遅延線はまた、ワークピースの湾曲された表面の少なくとも1つの予め定義された曲率半径と一致する少なくとも1つの予め定義された曲率半径を有する内側の円弧状表面を有する。検査プローブに加えて、システムは、トランスデューサ素子をトリガし、信号をワークピースに照射するための励起源と、戻り信号を受信するためコンピューティングデバイスとを含む。
【発明の概要】
【0037】
本発明は、超音波トランスデューサを使用する非破壊試験のシステム及び方法に関する。
【0038】
本発明の目的は、超音波非破壊試験を使用して、材料内の欠陥のリアルタイムの可視化のためのシステムを提供することである。
【0039】
一実施形態では、本発明は、複合材料の非破壊試験のためのシステムを対象とし、プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を試験対象物から受信するように動作可能であり、試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、プロセッサは、キャリブレーションブロックの使用なしに、少なくとも1つの接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、プロセッサは、表示手段を介して、少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示する、超音波トランスデューサを含む。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、複合材料の非破壊試験のためのシステムを対象とし、プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、超音波トランスデューサは、トランスデューサハウジングアセンブリのカップリング流体充填チャンバ内に配置され、超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を試験対象物から受信するように動作可能であり、試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、プロセッサは、少なくとも1つの接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、プロセッサは、表示手段を介して、少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示する、超音波トランスデューサを含む。
【0041】
さらに別の実施形態では、本発明は、複合材料の非破壊試験のためのシステムを対象とし、プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を試験対象物から受信するように動作可能であり、試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、プロセッサは、複数の接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、プロセッサは、表示手段を介して、少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示する、超音波トランスデューサを含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許又は特許出願公開の写しは、要求及び必要な料金の支払いに応じて、官庁によって提供され得る。
図1図1は、本発明の一実施形態による、トランスデューサハウジングアセンブリの直交側面図を図示する。
図2図2は、本発明の一実施形態による、トランスデューサハウジングアセンブリの直交側面図を図示する。
図3図3は、図1に示されるトランスデューサハウジングアセンブリの等角図を図示する。
図4図4は、図1に示されるトランスデューサハウジングアセンブリの上面図を図示する。
図5図5は、本発明の別の実施形態による、トランスデューサハウジングアセンブリの等角分解図を図示する。
図6図6は、図5に示されるトランスデューサハウジングアセンブリのコンポーネントの直交分解図を図示する。
図7図7は、本発明の一実施形態による、レンズハウジングの等角図を図示する。
図8図8は、本発明の一実施形態による、中央ハウジングの直交正面図を図示する。
図9図9は、本発明の一実施形態による、レンズハウジングの直交正面図を図示する。
図10図10は、図9に示されるレンズハウジングとペアにされた図8に示されるハウジングを含む、トランスデューサハウジングアセンブリの直交正面図を図示する。
図11図11は、ハウジングに固定されたレンズハウジングを有する、図10に示されるトランスデューサハウジングアセンブリの直交正面図を図示する。
図12図12は、本発明の一実施形態による、レンズハウジングの直交図を図示する。
図13図13は、本発明の一実施形態による、表面オフセット要素の直交側面図を図示する。
図14図14は、ロボットアームに取り付けられたトランスデューサハウジングアセンブリの直交側面図を図示する。
図15図15は、本発明の一実施形態による、プロセッサ及び表示手段と通信するトランスデューサハウジングアセンブリの概略図である。
図16図16は、本発明の一実施形態における使用のための浸漬タンクトランスデューサの構成を図示する。
図17図17は、本発明の一実施形態による、データ入力画面を図示する。
図18図18は、本発明の一実施形態によって提供される試験材料のグラフィカル表示群を図示する。
図19図19は、本発明の別の実施形態によって提供される試験材料のグラフィカル表示群を図示する。
図20図20は、本発明の一実施形態によって提供される試験材料内の異物のグラフィカル表示を図示する。
図21図21は、本発明の一実施形態によって生成されるAスキャン画像を図示する。
図22図22は、本発明の一実施形態による、接着剤層の深さを計算するために使用されるアルゴリズムの第1のステップを図示する。
図23図23は、図22の接着剤層の深さを計算するために使用されるアルゴリズムの後続のステップを図示する。
図24図24は、本発明の一実施形態による、接合層の上面及び下面を図示する。
図25図25は、本発明の別の実施形態による、接合層の上面及び下面を図示する。
図26図26は、本発明のさらに別の実施形態による、接合層の上面及び下面を図示する。
図27図27は、本発明の一実施形態による、接合層の2次元グラフィカル表示を図示する。
図28図28は、本発明の一実施形態による、材料の損傷された領域のグラフィカル表示を図示する。
図29図29は、本発明の別の実施形態による、材料の損傷された領域のグラフィカル表示を図示する。
図30図30は、本発明の一実施形態による、材料の損傷された領域のメッシュ状表示を図示する。
図31図31は、本発明の一実施形態によって提供される試験材料内のしわの2次元グラフィカル表示を図示する。
図32図32は、本発明の一実施形態によってトレースされ、測定されたしわを有する2次元グラフィカル表示を図示する。
図33図33は、本発明の一実施形態によって提供される試験材料内のしわの3次元グラフィカル表示を図示する。
図34図34は、本発明の別の実施形態によって提供される試験材料内のしわの3次元グラフィカル表示を図示する。
図35図35は、図34のしわの分離されたバージョンを特徴とする3次元グラフィカル表示を図示する。
図36図36は、図34のしわの2次元図を図示する。
図37図37は、本発明の一実施形態による、試験対象物の硬化を監視する超音波トランスデューサの使用を図示する。
図38図38は、本発明の一実施形態による、0度で位置合わせされた繊維を有する試験材料のフィルタリングされていないCスキャンを図示する。
図39図39は、本発明の一実施形態による、30度で位置合わせされた繊維を有する試験材料のフィルタリングされていないCスキャンを図示する。
図40図40は、本発明の一実施形態による、0度で位置合わせされた繊維を有する試験材料のフィルタリングされたCスキャンを図示する。
図41図41は、本発明の一実施形態による、30度で位置合わせされた繊維を有する試験材料のフィルタリングされたCスキャンを図示する。
図42図42は、本発明のシステムの概略ダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
概して、本発明は、超音波トランスデューサを使用する非破壊試験のシステム及び方法を対象とする。
【0044】
一実施形態では、本発明は、複合材料の非破壊試験のためのシステムを対象とし、プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を試験対象物から受信するように動作可能であり、試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、プロセッサは、キャリブレーションブロックの使用なしに、少なくとも1つの接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、プロセッサは、表示手段を介して、少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示する、超音波トランスデューサを含む。
【0045】
別の実施形態では、本発明は、複合材料の非破壊試験のためのシステムを対象とし、プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、超音波トランスデューサは、トランスデューサハウジングアセンブリのカップリング流体充填チャンバ内に配置され、超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を試験対象物から受信するように動作可能であり、試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、プロセッサは、少なくとも1つの接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、プロセッサは、表示手段を介して、少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示する、超音波トランスデューサを含む。
【0046】
さらに別の実施形態では、本発明は、複合材料の非破壊試験のためのシステムを対象とし、プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を試験対象物から受信するように動作可能であり、試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、プロセッサは、試験対象物内の複数の接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、プロセッサは、表示手段を介して、少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示する、超音波トランスデューサを含む。
【0047】
超音波試験は、非破壊検査(NDI)又は非破壊評価(NDE)としても知られている、非破壊試験(NDT)の最も普及している方法のうちの1つである。超音波試験は、トランスデューサによる試験材料への超音波の照射と、レシーバによる反射波又は透過波の後続のセンシングとを含む。パルスエコー法、又は反射法では、超音波エネルギーは、波で、試験材料の表面に導入され、試験材料の表面を介して伝達される。典型的に、そのようなシステムの使用は、トランスデューサと試験材料との間のギャップを埋める音響媒体(例えば、水、ゲル)を必要とする。波が試験材料の厚さを介して伝播するとき、(材料変化、亀裂、層間剥離、異物などに起因する)試験材料内の不連続は、波の反射を引き起こし、次いで、トランスデューサによって検出され、表示され、或いは特徴付けられ得る。対照的に、透過法、又は減衰法では、トランスデューサは、高周波の超音波エネルギーを発生し、試験材料の片側を介して伝達され、次いで、試験材料の反対側にある対応するレシーバによって受信される。波が試験材料の厚さを介して伝播するとき、試験材料内の不連続は、いくつかの領域における波を、それらがレシーバに到達する前に減速させ、或いは完全に減衰させ得る。次いで、レシーバは、超音波の減衰の度合いを測定することによって、試験材料を特徴付け得る。
【0048】
超音波トランスデューサによって照射された超音波が、それらが最初に通過するものと異なる特性を有する材料に接触するとき、いくつかの波は、以下の数1に従って反射され戻る。
【0049】
【数1】
【0050】
数1では、Rは反射係数であり、2つの材料間の境界で反射された波の割合を表す小数値である。Z及びZは、材料の境界を構成する2つの材料の音響インピーダンスである。材料の音響インピーダンスは、材料の音速にその密度を掛けることによって求められる。さらに、材料の音速は、材料のヤング率の平方根を材料の密度の平方根で割ることによって求められる。したがって、反射された波の割合に基づいて、ユーザは、相互作用の反射係数を計算することができる。一方の材料の音響インピーダンスが既知である場合、他方の材料の特定は、数1を使用して求められることができる。
【0051】
超音波検査システムを選択するとき、携帯性及びロバスト性という制約はしばしば、高分解能及び忠実性に反比例する。携帯性及びロバスト性の両方を最適化しようとするとき、現在、ほとんどの検査者は、接触型トランスデューサを選択する。接触型トランスデューサは、検査者が、検査される部品上に薄いゲルを素早く置き、トランスデューサを部品に密着して置くことを可能にする。データは、素早く収集されることができ、同時に、システムは、様々な表面及び環境条件で動作することができる。このアプローチの主な否定的側面は、取得されたデータの分解能である。トランスデューサの平面分解能は、トランスデューサの物理的なフットプリントによって決定される。このフットプリントは、より小さいトランスデューサを製造することによって軽減され得る。しかしながら、トランスデューサの厚さ方向の分解能は、トランスデューサの周波数と、発射され得る出力とによって決定される。トランスデューサの平面寸法が減少されると、トランスデューサの発射のために送られ得る出力と、周波数との両方は、同時に減少される。したがって、平面分解能の向上は、厚さ方向の分解能の向上と直接的に対立する。
【0052】
接触型トランスデューサの一代替は、球状集束型(spherically focused)トランスデューサである。これらのトランスデューサは、高周波数(25-50MHz)で動作することができ、トランスデューサハウジングレンズに機械加工され得るのと同じくらい微細な平面分解能を有し、1ミリメートルの1/10未満であり得る。しかしながら、球状集束型トランスデューサは、トランスデューサが検査されるコンポーネントの表面に完全に音響的にカップリングされるときのみ、動作し得る。トランスデューサを試験材料に音響的にカップリングすることは、トランスデューサが、トランスデューサと試験される表面との間に有効な音響経路を有することを保証しつつ、トランスデューサを音響媒体に浸漬することを必要とする。水とトランスデューサレンズとの間の音響インピーダンスの差は小さいので、水は、浸漬型トランスデューサに関して最も広く使用される音響媒体である。
【0053】
現在、有効な音響カップリング水路を実現する2つの主な技術は、完全浸漬タンク試験又はウォータージェットである。完全浸漬タンクは、部品を水中に沈めることを必要とするため、したがって、航空機の翼及び機体などの多くのより大きい部品は、相当な(且つしばしば非現実的な)インフラ投資なしに試験することができないようにされている。一方、ウォータージェットは、水を全方向に噴射することを必要とするため、水を、スキャンされるコンポーネントの下に溜めさせる。したがって、ウォータージェットはまた、しばしば噴射された水を集める格子(grate)と、水を循環するポンプと、水によって損傷され得る領域内の機器を保護するフレームとの形態で、インフラ投資を必要とする。
【0054】
従来のウォータージェットの使用の一代替は、「バブラー」である。バブラーを使用するために、一時的な耐水ボックスは、検査のためにスキャンされるコンポーネントの領域の周りに構築される。次いで、水は、トランスデューサを収容するカラムに注入され、ボックスの底面からゆっくりと漏れ出すことを可能にする。このアプローチは、スキャンに関するあらゆる新しい位置で設置される新しいボックスを必要とする。バブラーが機能するために、水がバブラーから十分にゆっくりと漏れ出し、デバイスが試験材料からオフセットに設置されることを可能にするのに必要な送風圧を維持することができないので、膜は、試験される対象物にしっかりと押し付けられなければならない。これは、バブラーと試験材料との間の衝撃のリスクを生成し、損傷を引き起こし得るだけでなく、デバイスの分解能も大きく低下する。バブラーは、水がゆっくりと漏れ出すことを可能にする透過膜に依存するが、バブラーが動作しており、膜が試験面にしっかりと押し付けられるとき、システムは、膜内の波と試験材料内の波とを効果的に区別することができず、デバイスを、完全に動作しないまでも、あまり効果的でなくする。さらに、バブラーは、水が常に送り込まれることを必要とし、漏れ出す水を受け止める手段を必要とする点で、従来のウォータージェットと同様の欠点に悩まされる。さらに、完全浸漬、従来のウォータージェット、及びバブラーは全て、試験材料に、水に曝されることを要求し、これは、いくつかの状況では望ましくない。
【0055】
従来のウォータージェット及びバブラーはまた、デバイスの到達しにくい領域をスキャンすることができないという同様の問題に苦しむ。到達しにくい領域はしばしば、試験されるデバイス又はコンポーネント内に半収容され、したがって、従来のウォータージェットの使用は、水を、デバイス内に溜めさせる可能性が高く、損傷を引き起こし、或いは汲み出すことを困難にし得る。さらに、従来のウォータージェットシステム及びバブラーの両方は、ウォーターカラムを介して水を継続的に送り込むことを必要とする。しかしながら、このウォーターカラムの必要性は、試験されるデバイス又はコンポーネントの到達しにくい領域に効果的にナビゲートするそれらのデバイスの能力を排除する。
【0056】
今のところ、水充填されたチャンバを利用してロバストな機能的な超音波スキャナを製造する他の努力は、成功していない。いくつかの既存のシステムは、浸透膜を介して、ローリングボールの周りに漏れ出すチャンバを必要とし、さもなければ、チャンバと測定される表面との間のギャップに及ぶチャンバを必要とする。依然として、そのようなシステムは、チャンバへの水の流れが、水損失を補充し、音響カップリングを維持することを必要とし、水と試験材料との間の接触を必要とする。他のシステムは、球状集束型トランスデューサの使用を断念し、したがって、低下した分解能を有する。さらに他のシステムは、固定された焦点距離を有し、他のシステムは、スキャンのために表面の部分に到達することを妨げるレンズハウジング及びレンズの固定された長さを有する。
【0057】
典型的に、超音波試験は、トランスデューサが、波を、Aスキャン、Bスキャン、及びCスキャンなどの試験材料の異なるセクションに照射するので、複数のタイプのスキャンデータの形成をもたらす。Aスキャンは、試験材料の個々にスキャンされた位置に関して形成される。典型的に、Aスキャンは、時間の関数として、信号振幅を示し、時間の後半に現れる信号は、材料のより深い深さで境界変化から反射され、2つ以上の信号(試験材料への最初のエントリ及び試験材料のバックウォールによる反射よりも多い)の存在は、試験材料内の欠陥、又は内部積層の存在を示す。Aスキャンは、欠陥又は層境界が対象物内の特定の位置に存在するか否かを判定するのに有用であり得るが、問題の欠陥のサイズ又はタイプに関する特異性を欠き、材料の1つの特定の領域を特徴付けるのみであり得る。
【0058】
Bスキャンは、超音波試験デバイスが試験材料の軸に沿って掃引されるとき、個々のAスキャンの組み合わせとして構築される。超音波試験デバイスが移動されるとき、Bスキャンは、デバイスの断面図を形成することができ、試験材料に沿った各位置のAスキャンのピークに基づいて、どの深さで欠陥が発見されるかを示す。これは、試験材料の一種の側面図を生成し、衝撃損傷及び層間剥離に関する情報を提供するのに有用である。
【0059】
Cスキャンは、Bスキャンの断面図と直交する試験材料の断面図を提供する。Cスキャンは、平面に沿った異なるX及びY座標のAスキャンを組み合わせ、内部欠陥又は層の位置データだけでなく、所与の深さでの欠陥又は層の断面積の表示も提供し得る断面図を生成する。Cスキャンは、ゲート開始時刻及びゲート終了時刻を選択し、次いで、Aスキャンが行われるごとにゲート領域内の強度情報を取得することによって形成される。いくつかのシステムは、トランスデューサが試験領域の各位置を移動される前に、システムがAスキャンの、より広いアレイを得ることができるように、異なる方向に向けられたトランスデューサを備えたフェーズドアレイ技術を利用する。しかしながら、Cスキャンは、2次元画像であり、欠陥の深さを正確に提供することができなく、或いはCスキャンの断面に直交するビューにおいて、より優勢に現れ得る欠陥を正確に観察することができない。
【0060】
試験材料内の不規則性を見つけるために、ほとんどの現在のシステムは、キャリブレーションブロックの使用に依存し、現在のシステムのAスキャン、Bスキャン、及びCスキャンは、多くの不完全性を分離して正確に検出することができない。試験する前に、試験デバイスは、1つ又は複数のキャリブレーションブロック上で使用され、典型的に、キャリブレーションブロックは、試験される材料の代表的な形状、又は既知の欠陥を有する材料のいずれかである。従来の超音波検査システムは、試験材料から反射された信号がキャリブレーションブロックの信号と一致するか、或いは異なるかを判定するときの比較手段として、このキャリブレーション方法を使用する。しかしながら、キャリブレーションブロックへの依存は、試験材料の重要な特性を具体的に示す能力を弱める。例えば、気孔率試験において、従来のシステムは、0.2、0.4及び0.6の気孔率を有するキャリブレーションブロックを認識し得るが、依然として、0.4の気孔率のキャリブレーションブロックと最も近くに位置合わせされる試験材料は、0.3-0.5の間のどこかの気孔率を有することがあり、さらなる特異性は制限される。さらに、キャリブレーションブロックを使用する試験は、キャリブレーションブロック内の未知の欠陥、又はキャリブレーションブロックと実際の試験材料との間で異なる考慮されていない交絡変数によって妨げられ得る。したがって、キャリブレーションブロックの参照なしに、試験材料のプライ配向、気孔率、接合ラインの厚さ、しわの存在、接合ラインの凹凸、又は他の重要な物理的特性などの、材料の質を直接的に判定することができるシステムが必要とされる。
【0061】
それらの高い強度対重量比に起因して、複合材料は、特に、航空宇宙、自動車、及び防衛産業における構造的用途に関して、ますます一般的になっている。複合材料は、2つ以上の材料の組み合わせとして規定され、新しい材料を形成し、コンクリート、わらで強化された粘土レンガ、炭素繊維積層材、及びファイバーグラス(fiberglass)を含むが、それらに限定されない。製造上の欠陥ならびに複合材料の使用中に生じた損傷は、積層材の構造性能に顕著な影響を与えることがあり、時々、構造的故障につながり得る。複合材料への損傷は、雹(ひょう)撃、雷、鳥の衝突、部品の誤使用、又は一般的な疲労の結果として、頻繁に発生し得る。使用中の複合材料の故障につながり得る欠陥の例は、材料内の異物と、複合材料の層間の不十分な接合と、複合材料の層のしわと、複合材料の少なくとも1つの層内の層間剥離と、複合材料の不完全な硬化と、複合材料内の過度に大きい気孔とを含む。したがって、複合材料の接合ラインの厚さ、気孔率、プライタイプ、及び織り方などの特性は、複合材料の構造の全体的な材料特性及び性能に顕著な影響を与えることがあり、それらは、亀裂起点として機能さえし得る。
【0062】
現在の携帯型トランスデューサシステムは、多くの複合材料の音響インピーダンス及び厚さに起因して、複合材料積層材を適切に特徴付けるのに不適切である。典型的に、複合材料積層材は、数ミリメートル-1インチのほぼ3/4(19.05mm)の間の厚さにわたり、頻繁に約1/4mmの厚さの個々の薄層を有する。概して、個々の薄層を検出するために使用される波の波長は、材料の厚さの半分以下であるべきであり、或いはそれ以下の材料は、波によって全く気付かれないままになり得る。したがって、複合材料内の小さい層サイズと複合材料内の波の高い減衰との組み合わせに起因して、これらの複合材料の層内又は層間の意味のある欠陥を十分な分解能で特徴付けるために、トランスデューサは、7.5-15MHzの間の周波数を照射することができる必要がある。これは、現在の携帯型トランスデューサシステムにとって問題であり、概して、現在の携帯型トランスデューサシステムは、約2-3MHzのオーダーの周波数しか照射することができない。さらに、多くの既存のシステムは、おおよそ5MHzまでの周波数しか使用せず、これは、試験される材料の固有振動数に近いと理解されるからである。しかしながら、周波数を5MHz以下に制限することは、スキャンの分解能を制限し、システムに、潜在的に関連する特徴及び欠陥を見落とさせる。携帯型トランスデューサの一代替ソリューションは、浸漬型システムであり、通常、浸漬型システムは、トランスデューサと試験材料の表面との間の十分な音響カップリングを維持するために、試験材料を水槽に完全に浸漬すること、又はウォータージェットを材料に継続的に噴射することを含む。しかしながら、典型的に、浸漬技術は、大きなコストと、試験のための追加の必要なセットアップ時間との両方の点で、不便である。
【0063】
トランスデューサの周波数が高くなるにつれて、トランスデューサの分解能の質は高くなる。しかしながら、トランスデューサの周波数が高くなるにつれて、システムに見える材料の深さは減少する。一実施形態では、トランスデューサは、0.5MHz-50MHzの間の周波数で動作することができる。別の実施形態では、トランスデューサは、1-25MHzの間の周波数で動作することができる。さらに別の実施形態では、トランスデューサは、5-15MHzの間の周波数で動作することができる。さらに別の実施形態では、トランスデューサは、10-15MHzの間の周波数で動作することができる。好ましい実施形態では、トランスデューサは、7.5-15MHzの間で動作する。
【0064】
さらに、従来の超音波試験デバイスは、キャリブレーションブロックを利用する。試験する前に、試験デバイスは、1つ又は複数のキャリブレーションブロック上で使用され、典型的に、キャリブレーションブロックは、試験される材料の代表的な形状、又は既知の欠陥を有する材料のいずれかである。従来の超音波検査システムは、試験材料から反射された信号がキャリブレーションブロックの信号と一致するか、或いは異なるかを判定するときの比較手段として、このキャリブレーション方法を使用する。しかしながら、キャリブレーションブロックへの依存は、試験材料の重要な特性を具体的に示す能力を弱める。例えば、気孔率試験において、従来のシステムはしばしば、0.2、0.4及び0.6の気孔率を有するキャリブレーションブロックを認識するが、依然として、0.4の気孔率のキャリブレーションブロックと最も近くに位置合わせされる試験材料は、0.3-0.5の間のどこかの気孔率を有することがあり、さらなる特異性は制限される。さらに、キャリブレーションブロックを使用する試験は、キャリブレーションブロック内の未知の欠陥、又はキャリブレーションブロックと実際の試験材料との間で異なる考慮されていない交絡変数によって妨げられ得る。したがって、キャリブレーションブロックの参照なしに、複合材料のプライ配向、気孔率、接合ラインの厚さ、しわの存在、接合ラインの凹凸、又は他の重要な物理的特性などの、材料の質を直接的に判定することができるシステムが必要とされる。
【0065】
一実施形態では、携帯型トランスデューサハウジングアセンブリは、試験材料をスキャンするために使用されるトランスデューサを含む。携帯型トランスデューサハウジングアセンブリは、内部の密閉されたチャンバを有する中央ハウジングを含み、トランスデューサは、内部の密閉されたチャンバ内に配置される。内部の密閉されたチャンバは、流体ポンプに着脱可能に接続され、流体ポンプは、内部の密閉されたチャンバから空気を送り出すことと、内部の密閉されたチャンバに水又は他のカップリング流体を送り込むこととの両方を行うように動作可能である。中央ハウジングの前端部は、膜であり、内部の密閉されたチャンバを密閉する。膜は、内部の密閉されたチャンバ内のカップリング流体に対して音響的に透明であり、或いは音響的に半透明である。一実施形態では、トランスデューサは、携帯用トランスデューサハウジングアセンブリの中央ハウジングに対して移動可能であり、ユーザが、トランスデューサのサイズ及び性質と、試験材料の性質とに依存して、デバイスのフォーカスを調整することを可能にする。
【0066】
一実施形態では、本システムによって使用される携帯型トランスデューサハウジングアセンブリは、試験材料からオフセットして配置され、外部カプラントは、携帯型トランスデューサハウジングアセンブリの膜と試験材料との間に配置される。一実施形態では、外部カプラントは、グリセリン、カプラントD12、カプラントH、シェアウェイブカプラント、又は別の適切な音響ゲルなどの音響ゲルである。一実施形態では、少なくとも1つのオフセット要素は、携帯型トランスデューサハウジングアセンブリが試験材料と有害な接触にならないことと、携帯型トランスデューサハウジングアセンブリが試験材料から最小の固定オフセットに保たれることとを保証するために、中央ハウジングから試験材料に向かって長手方向外側に延在する。
【0067】
一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリが試験材料からオフセットされる距離は、キャリブレーション波を使用して判定される。初期波は、トランスデューサを介して試験材料に伝達される。伝搬時間データは、レンズハウジングの開口部をカバーする膜で反射する超音波と、試験材料の前面で反射する波と、試験材料の背面で反射する波とに関して収集される。試験材料の材料特性又は寸法を入力する必要なく、トランスデューサハウジングアセンブリは、伝搬時間データの結果に基づいて、試験材料から、固定された距離だけ自動的にオフセットすることができる。別の実施形態では、音速などの試験材料の材料特性と、厚さなどの試験材料の寸法データとは、手動で入力され、トランスデューサハウジングアセンブリが、キャリブレーション波の必要なく、試験材料から、固定された距離だけ自動的にオフセットすることを可能にする。
【0068】
一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリは、ロボットアームに取り付けられる。トランスデューサハウジングアセンブリは、ロボットアームに取り付けられたねじ、ボルト、ピン、又は他の貼付手段を受け取ることができる取付ボアを有する取付ブラケットを含む。ロボットアームは、トランスデューサハウジングアセンブリが、より狭い空間に到達することを可能にし、デバイスが、試験の期間、安定して保持されることを可能にし、試験の精度を高める。別の実施形態では、取付ブラケットは、並進ステージに取り付けられる。並進ステージは、トランスデューサハウジングアセンブリをX-Y平面に沿って異なる位置に移動させるように動作する。これは、オペレータが比較的平坦な試験材料の大きい断面をスキャンすることを望む状況では、特に有利である。
【0069】
一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリは、アレイ要素に取り付けられる。別の実施形態では、アレイ要素は、2つ以上のトランスデューサハウジングアセンブリのための取付ポイントを含み、複数のトランスデューサハウジングアセンブリが、単一のアレイ要素に取り付けられることを可能にし、トランスデューサのアレイとして機能する。したがって、トランスデューサのアレイは、トランスデューサのアレイが、凹凸の表面を有するコンポーネントをスキャンすること、又は複数の異なる材料タイプを有するコンポーネントをスキャンすることを可能にするように、試験材料の複数の位置を同時にスキャンすることができ、個々のトランスデューサハウジングアセンブリは、調節可能である。
【0070】
別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリは、手動で操作される。例として、トランスデューサハウジングアセンブリは、試験材料に取り付けられたアセンブリ内に配置される。次いで、オペレータは、トランスデューサハウジングアセンブリが試験材料から実質的に固定された距離に留まることをアセンブリが保証する間、アセンブリ内でトランスデューサハウジングアセンブリを手動でスライドすることができる。さらに別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリは、コンピュータ又は付属のディスプレイに入力されたプリセットされた位置データに基づいて、試験対象物上の複数の異なる位置に自動的に移動することができる。
【0071】
別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリは、膜を欠き、内部チャンバを密閉されていないままにする。水は、高い流量で送り込まれ、ウォータージェットが、試験材料に噴射を形成することを可能にし、トランスデューサを試験材料に音響的にカップリングする。さらに別の実施形態では、トランスデューサは、トランスデューサハウジングアセンブリ内に配置されず、試験材料との音響カップリングを保証するために、浸漬タンク内に配置される。
【0072】
一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリは、接続受信端に取り付けられる。別の実施形態では、接続受信端は、ケーブルを介して、コンピュータ又は別のプロセッサと、パルサレシーバなどの波形ジェネレータとに接続される。コンピュータ又はプロセッサは、モニタ又はタッチスクリーンなどの表示手段を含む。一実施形態では、単一の波形ジェネレータは、複数のトランスデューサハウジングアセンブリに同時に接続することができる。一実施形態では、接続受信端は、UHFコネクタ、バヨネットニールコンセルマン(BNC)コネクタ、又はユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタである。別の実施形態では、接続受信端は、無線アダプタであり、トランスデューサハウジングアセンブリ4が、パルサレシーバと無線接続することを可能にする。パルサレシーバは、プロセッサ及びメモリを有する、コンピュータに接続される。さらに、コンピュータは、トランスデューサハウジングアセンブリを使用して実行された超音波試験のグラフィカル結果を出力するための表示手段を含む。さらに別の実施形態では、コンピュータはまた、トランスデューサハウジングアセンブリ4が取り付けられているロボットアーム、並進ステージ、又はアレイ要素と接続され、ロボットアーム、並進ステージ、又はアレイ要素に制御命令を発行するように動作可能である。
【0073】
コンピュータは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示することができる表示手段に接続され、パルサレシーバによって処理した後の試験結果を表示することができる。別の実施形態では、ディスプレイは、トランスデューサハウジングアセンブリに直接的に取り付けられ、結果が、オペレータがコンピュータを確認するために離れる必要なく、トランスデューサハウジングアセンブリのユーザに表示されることを可能にする。GUIは、オペレータの名前と、時間と、試験される材料の音速、試験される材料の厚さ、試験される材料の剛性、及び/又は試験される材料のタイプを含む材料特性とを含む、各試験前の様々な入力ファクタを受け入れることができる。一実施形態では、GUIはまた、場所の範囲及び実行時間を受け入れることができ、ロボットアーム、アレイ要素、又は並進ステージが試験のためにそれ自体を位置付けるべき場所を示す。
【0074】
本システムは、積層材内の異物の位置及び深さと、積層材のプライ配向と、積層材内のしわの位置と、積層材の接合ラインの厚さと、積層材の接合ラインに沿った不完全な接合の領域と、積層材の気孔率と、積層材内の内部欠陥及び層間剥離の領域の位置、深さ、及びサイズとを含む、積層材の様々なファクタに関する情報を表示することができる。
【0075】
(1.トランスデューサ)
図1は、本発明の一実施形態による、トランスデューサハウジングアセンブリ4の直交側面図を図示する。トランスデューサハウジングアセンブリ4は、前部分10及び後部分8を有する中央ハウジング6を含む。一実施形態では、前部分10及び後部分8は、中空円筒形片であり、互いに一体的に形成されている。代替的に、前部分10及び後部分8は、一体的に形成されず、別個に形成されており、当技術分野で知られている任意の化学的且つ/或いは機械的手段を介して一緒に接合される。別の実施形態では、前部分10及び後部分8は、直方体などの別の形状である。一実施形態では、前部分10の直径は、後部分8の直径よりも大きく、中央ハウジング6の直径は、中間セクション9において前部分10と後部分8との間で先細りである。中央ハウジング6は、流体コネクタ24に取り付けられる。一実施形態では、流体コネクタ24は、中央ハウジング6の前部分10に取り付けられ、別の実施形態では、流体コネクタ24は、中央ハウジング6の中間セクション9又は後部分8に取り付けられる。一実施形態では、取付ブラケット26は、中央ハウジング6の前部分10から延在する。別の実施形態では、取付ブラケット26は、中央ハウジング6の中間セクション9又は後部分8から延在する。
【0076】
中央ハウジング6の前部分10は、レンズハウジング20に接続され、レンズハウジング20は、中央ハウジング6の前端部から外側に延在する。レンズハウジング20の前端部は、開口部22を含む。一実施形態では、少なくとも1つの表面オフセット要素28は、中央ハウジング6の前端部から延在する。別の実施形態では、表面オフセット要素28は、レンズハウジング20から直接的に外側に延在する。トランスデューサは、中央ハウジング6内に配置される。いくつかの実施形態では、トランスデューサは、細長い部材52に直接的に取り付けられる。細長い部材52は、カップリング要素16の手段によって中央ハウジング6に取り付けられる。一実施形態では、細長い部材52、つまりトランスデューサの位置は、カップリング要素16を回転するか、或いは他の方法で調整することによって、中央ハウジング6に対して調整され得る。
【0077】
一実施形態では、細長い部材52及びカップリング要素16は、鋼又はアルミニウムなどの金属材料を含むが、それらに限定されない。別の実施形態では、細長い部材52及びカップリング要素16は、同じ金属材料で形成されている。細長い部材52及びカップリング要素16の両方を同じ金属材料から形成することは、要素の一方が陰極又は陽極として機能することで、トランスデューサハウジングアセンブリ4内でガルバニ電池の活性化を可能にし、デバイスの耐用年数を短くすることを防ぐので、有利である。一実施形態では、中央ハウジング6は、ポリカーボネート又はポリエチレンなどのプラスチックから形成される。別の実施形態では、中央ハウジング6は、紫外線(UV)硬化性ポリマを使用して、デバイスの3D印刷を介して形成され、次いで、形成後に硬化される。
【0078】
一実施形態では、図1に示されるように、取付ブラケット26は、角度をなして中央ハウジング6から離れて延在する第1の平面262と、第1の平面262の端部からトランスデューサハウジングアセンブリ4の中心軸に実質的に平行な方向に延在する第2の平面263とを含む。別の実施形態では、図5に示されるように、取付ブラケット26は、中央ハウジング6の前部分10及び後部分8の間で、前部分10及び後部分8に直交して配置された実質的に矩形片である。図2に見られ得るように、他の実施形態では、取付ブラケット26は、それが取り付けられるべきデバイスに依存して、異なる形状をとる。
【0079】
図3は、図1に示されるトランスデューサハウジングアセンブリ4の等角図を図示する。図4は、図1に示されるトランスデューサハウジングアセンブリの上面図を図示する。図3及び図4に見られ得るように、一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、3つの表面オフセット要素28を含む。一実施形態では、取付ブラケット26は、少なくとも1つの取付ボア261を含む。
【0080】
図5は、本発明の別の実施形態による、トランスデューサハウジングアセンブリ4の等角分解図を図示する。一実施形態では、流体コネクタ24は、接続ポート34に接続することによって、トランスデューサハウジングアセンブリ4の中央ハウジング6に取り付けられる。一実施形態では、流体コネクタ24は、流体コネクタ24の外面及び接続ポート34の内面に位置されたねじ切り(threading)の手段によって、接続ポート34に接続する。
【0081】
一実施形態では、カップリング要素16は、中空円筒であり、細長い部材52は、カップリング要素16を介して延在する。細長い部材52及びカップリング要素16は、サーチチューブ52の外面とカップリング要素の内面との間の摩擦接触によって一緒に保持される。図6に示されるように、別の実施形態では、細長い部材52は、固定要素54によってカップリング要素16に固定される。一実施形態では、固定要素54は、ねじ、ボルト、又は圧縮可能なピンである。一実施形態では、細長い部材52は、中空円筒であり、トランスデューサ50は、細長い部材52の前端部内に摩擦的に係合される。
【0082】
一実施形態では、カップリング要素16は、カップリング要素16の表面の一部と、中央ハウジング6の後部分8における第1の開口部12の内面とのねじ切りの手段によって、中央ハウジング6に接続する。別の実施形態では、カップリング要素16が中央ハウジング6に係合されるとき、カップリング要素16は、カップリング要素16及び細長い部材52を中央ハウジング6に対して長手方向に移動するように回転され得る。さらに別の実施形態では、固定要素54は、除去され、圧縮され、或いは他の方法で変更されることができ、カップリング要素16及び細長い部材52が、中央ハウジング6に対して長手方向に移動することを可能にする。細長い部材52を中央ハウジング6に対して長手方向に移動することによって、トランスデューサ50の位置は変更されることができ、トランスデューサ50のサイズの範囲への適用と、トランスデューサの焦点合わせのより高い精度とを可能にする。
【0083】
一実施形態では、第1の開口部12は、シーリング要素を含み、シーリング要素は、第1の開口部12を介して流体の漏れを防ぐ。一実施形態では、シーリング要素は、第1の開口部12の内面をライニングするOリング(O-ring)を含む。別の実施形態では、中央ハウジング6内のチャンバは、動作中に完全に密閉されず、中央ハウジング6の後端部又は流体コネクタ24との界面のいずれかは、密閉されないままである。中央ハウジングのチャンバを密閉することなく、トランスデューサハウジングアセンブリ4を使用するオプションは、デバイスを構築するために使用される部品の柔軟性を提供し、製造コストの軽減を可能にすることを含む。しかしながら、角度をなしてトランスデューサハウジングアセンブリ4を置くことを含むトランスデューサハウジングアセンブリ4の使用に関して、内部チャンバを密閉し、流体の漏れを防ぐことは賢明であり、流体の漏れは、試験材料へのトランスデューサのデカップリングを引き起こし得る。
【0084】
中央ハウジング6の前部分10は、第2の開口部18をさらに含む。レンズハウジング20は、レンズハウジング20を中央ハウジング6と係合するために、第2の開口部18に挿入される。一実施形態では、レンズハウジング20及び中央ハウジング6は、レンズハウジング20の外面上及び第2の開口部18の内面上のねじ切りの手段によって係合される。別の実施形態では、レンズハウジング20は、環状或いは螺旋状の溝58を含み、その中にシーリング要素が取り付けられる。レンズハウジング20が第2の開口部18に配置されるとき、シーリング要素は、第2の開口部18の内面と係合し、流体密封シールを形成する。一実施形態では、シーリング要素は、Oリングである。さらに別の実施形態では、図5に示されるように、第2の開口部18は、少なくとも1つの係合ノッチ32を含み、レンズハウジング20は、少なくとも1つの係合突出部30を含む。図8図11に示されるように、レンズハウジング20が第2の開口部18内に配置されるために、レンズハウジング20の少なくとも1つの係合突出部30は、第2の開口部18の少なくとも1つの係合ノッチ32と位置合わせしなければならない。レンズハウジング20が第2の開口部18内に配置された後、レンズハウジング20は、少なくとも1つの係合突出部30が少なくとも1つの係合ノッチ32ともはや位置合わせしないように回転される。一実施形態では、レンズハウジング20は、レンズハウジング20をねじり、それを引き抜くことによって、中央ハウジング6から容易に分離される。これは、レンズハウジング20が破損し、交換される必要がある場合、或いは異なるサイズのレンズハウジング20がコンポーネントの異なる部分を検査するために必要とされる場合に有利である。
【0085】
図6は、図5に示されるトランスデューサハウジングアセンブリのコンポーネントの直交分解図を図示する。流体コネクタ24は、ホース又はパイプなどの導管36の一端に接続されることができる。一実施形態では、導管36の他端は、流体ポンプ又は流体リザーバに接続され、そこから流体は、導管36及び流体コネクタ24を介して、密閉されたチャンバに導入されることができる。別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、流体ポンプに接続されず、流体は、手動注出などの他の手段によって中央ハウジング6に加えられる。
【0086】
一実施形態では、流体コネクタ24は、圧力リリーフバルブを含み、圧力リリーフバルブは、流体の体積が密閉されたチャンバの体積を超えるとき、流体が逃げることを可能にする。したがって、有利には、圧力リリーフバルブは、トランスデューサ50と中央ハウジング6の前端部との間の距離に依存して、密閉されたチャンバへの調整可能な流体の体積を提供する。一実施形態では、流体コネクタ24は、ポンプに接続されることができ、空気は、チャンバにカップリング流体を充填する前、或いは充填する間に、密閉されたチャンバから送り出される。空気を送り出すことは、流体中に泡がないことを保証するのに役立ち、トランスデューサ50と試験されるコンポーネントとの間の音響カップリング経路を改善する。さらに、試験が完了した後、空気ポンプは、空気を、密閉されたチャンバに送り込むために使用されることができ、残りの流体を除去し、腐食などのトランスデューサハウジングアセンブリのへの損傷を引き起こし得る、カップリング流体への長期曝露を軽減することを支援する。
【0087】
図12は、本発明の一実施形態による、レンズハウジング20の直交図を図示する。膜38は、レンズハウジング20の前端部上に配置される。膜38は、レンズハウジング20の前端部上に流体密封シールを生成する。膜38を有するレンズハウジング20が中央ハウジング6内に配置されるとき、密閉されたチャンバは、中央ハウジング6内に形成される。密閉されたチャンバは、流体密封チャンバであり、カップリング要素16と中央ハウジング6の後部分8の第1の開口部12との間のインタフェースと、レンズハウジング20と中央ハウジング6の前部分10の第2の開口部18との間のインタフェースと、膜38と、流体コネクタ24との組み合わせによって密閉される。一実施形態では、膜38は、少なくとも1つのリテーナ40によってレンズハウジング20に固定される。一実施形態では、少なくとも1つのリテーナ40は、レンズハウジング20の一部分を取り囲み、膜38をレンズハウジング20にしっかりと押し付ける、少なくとも1つのOリングを含む。有利には、膜38に穴が開いた場合、或いは他の方法で、密閉されたチャンバを効果的に密閉することができない場合、リテーナ40を取り外し、新しい膜を再装備し、次いで、リテーナ40を再適用することによって、容易に交換され得る。
【0088】
膜38は、密閉されたチャンバ内の流体に対して音響的に透明であり、或いは半透明である。膜38に使用される材料は、密閉されたチャンバ内の流体と、同様の音響インピーダンス、したがって同様の剛性及び密度を有するように選択される。一実施形態では、流体は、水又は1におおよそ等しい屈折率を有する別の流体である。別の実施形態では、膜38の屈折率は、0.9-1.2の間である。さらに別の実施形態では、膜は、アクアレンから作られる。
【0089】
トランスデューサ50の周波数が高くなるにつれて、トランスデューサの時間分解能の質は高くなる。しかしながら、トランスデューサ50の周波数が高くなるにつれて、システムに見える材料の深さは、高周波減衰に起因して減少する。一実施形態では、トランスデューサ50は、1-50MHzの間の周波数で動作可能である。好ましい実施形態では、トランスデューサ50は、5-15MHzの間で動作する。
【0090】
外部カプラントは、トランスデューサハウジングアセンブリ4と試験材料との間のギャップを埋めるために使用され得る。一実施形態では、外部カプラントは、グリセリン、カプラントD12、カプラントH、シェアウェイブカプラント、又は別の適切な音響ゲルなどの音響ゲルである。
【0091】
図13は、本発明の一実施形態による、表面オフセット要素の直交側面図を図示する。一実施形態では、表面オフセット要素28は、バイアス部材282に取り付けられたピン281を含む。バイアス部材282は、表面オフセット要素28が、試験材料の表面に押し付けられるときに引っ込むことを可能にする。さらに、ピン281が試験材料に押し付けられるとき、バイアス部材282は、他の方法で、力又はトランスデューサハウジングアセンブリ4を介して試験材料に与えられ得るいくつかの変位を吸収することができ、トランスデューサハウジングアセンブリ4及び試験材料の両方への潜在的な損傷を防ぐ。一実施形態では、表面オフセット要素28が引っ込むことができる度合いは、停止部によって制限される。トランスデューサハウジングアセンブリ4の前部が試験されるコンポーネントに押し付けられるとき、表面オフセット要素28は、まず、コンポーネントに接触し、レンズハウジング20とコンポーネントとの間の迅速且つ直接的な接触によって引き起こされ得るコンポーネント又はトランスデューサハウジングアセンブリ4の損傷を防ぐ。さらに、表面オフセット要素28の引っ込みを制限する停止部を設けることによって、レンズハウジング20は、コンポーネントから、固定された既知の距離に留まることができ、試験プロセス中の向上された精度を可能にする。別の実施形態では、表面オフセット要素28は、中央ハウジング6の前部分10にねじ式に接続され、異なる試験材料を用いた使用の前に、手動で調整され得る。一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、試験材料の厚さの2分の1におおよそ等しい試験材料からのオフセット距離で動作する。
【0092】
一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4が試験材料からオフセットされる距離は、キャリブレーション波を使用して判定される。初期波は、トランスデューサを介して試験材料に伝達される。伝搬時間データは、レンズハウジング20の開口部22をカバーする膜で反射する超音波と、試験材料の前面で反射する波と、試験材料の背面で反射する波とに関して収集される。試験材料の材料特性又は寸法を入力する必要なく、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、伝搬時間データの結果に基づいて、試験材料から、固定された距離だけ自動的にオフセットすることができる。別の実施形態では、音速などの試験材料の材料特性と、厚さなどの試験材料の寸法データは手動で入力され、トランスデューサハウジングアセンブリ4が、キャリブレーション波の必要なく、試験材料から固定された距離だけ自動的にオフセットすることを可能にする。
【0093】
図14は、ロボットアームに取り付けられたトランスデューサハウジングアセンブリの直交側面図を図示する。取付ボア261は、ロボットアーム48に取り付けられたねじ、ボルト、ピン、又は他の貼付手段を受け取ることができる。ロボットアーム48は、トランスデューサハウジングアセンブリ4が、より狭い空間に到達することを可能にし、デバイスが、試験の期間、安定して保持されることを可能にし、試験の精度を高める。別の実施形態では、取付ブラケット26は、並進ステージに取り付けられる。並進ステージは、トランスデューサハウジングアセンブリ4をX-Y平面に沿って異なる位置に移動させるように動作する。これは、オペレータが比較的平坦な試験材料の大きい断面をスキャンすることを望む状況では、特に有利である。
【0094】
一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、アレイ要素に取り付けられる。別の実施形態では、アレイ要素は、2つ以上のトランスデューサハウジングアセンブリ4のための取付ポイントを含み、複数のトランスデューサハウジングアセンブリ4が、単一のアレイ要素に取り付けられることを可能にし、トランスデューサのアレイとして機能する。したがって、トランスデューサのアレイは、トランスデューサのアレイが、凹凸の表面を有するコンポーネントをスキャンすること、又は複数の異なる材料タイプを有するコンポーネントをスキャンすることを可能にするように、試験材料の複数の位置を同時にスキャンすることができ、個々のトランスデューサハウジングアセンブリは、調節可能である。
【0095】
別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、手動で操作される。例として、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、試験材料に取り付けられたアセンブリ内に配置されてもよい。次いで、オペレータは、トランスデューサハウジングアセンブリ4が試験材料から実質的に固定された距離に留まることをアセンブリが保証する間、アセンブリ内でトランスデューサハウジングアセンブリ4を手動でスライドすることができる。さらに別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、コンピュータ又は付属のディスプレイに入力されたプリセットされた位置データに基づいて、試験対象物上の複数の異なる位置に自動的に移動することができる。
【0096】
図15は、本発明の一実施形態による、プロセッサ及び表示手段と通信するトランスデューサハウジングアセンブリの概略ダイアグラムである。トランスデューサハウジングアセンブリ4は、パルサレシーバ35に接続され、パルサレシーバ35は、トランスデューサハウジングアセンブリ4内のトランスデューサによって生成された信号から波形を発生する。次いで、波形は、パルサレシーバ35と通信するプロセッサ42によって処理され、表示手段45によって表示されるデータの1つ又は複数の可視化を生成する。
【0097】
図16は、本発明の一実施形態における使用のための浸漬タンクトランスデューサの構成を図示する。一実施形態では、超音波を生成し、信号を試験材料55から受信するために使用されるトランスデューサ50は、トランスデューサハウジングアセンブリ4内になく、浸漬タンク60を介して試験材料55と音響的に結合される。トランスデューサ50は、パルサレシーバ35に接続され、パルサレシーバ35は、トランスデューサ50によって生成された信号から波形を発生する。次いで、波形は、パルサレシーバ35と通信するプロセッサ42によって処理され、表示手段45によって表示されるデータの1つ又は複数の可視化を生成する。
【0098】
(2.データ入力及びキャリブレーション)
図17は、本発明の一実施形態による、データ入力画面を図示する。図17に示されるように、GUIは、ユーザが、試験される試験材料に関するパラメータを入力することを可能にする。一実施形態では、ユーザは、予め定められた材料データベースから材料を選択することができ、材料データベースは、材料の積層に関するより詳細な情報なしで、材料の音速のような量を提供する「ファイバーグラス」又は「炭素繊維」などの、より一般的なリストに加えて、繊維幅、繊維ラップ、複合材料の層数、層の厚さ、繊維面密度、音速、剛性、及び/又は、他の材料及び材料の物理的特性に言及する特定のリストを含む。別の実施形態では、ユーザは、試験材料の機械的特性及び物理的特性を手動で入力し、材料の音速、剛性、厚さ、及び/又は、他の材料及び材料の物理的特性などの質を選択する。ユーザは、後日、それらの材料をより容易に選択するために、手動で入力された材料を材料データベースに格納するオプションを選択することができる。さらに別の実施形態では、GUIは、材料のパラメータを収集するためにキャリブレーション波を使用するオプションを含み、材料パラメータは、デバイスの試験前に、ユーザによって入力される必要がない。
【0099】
一実施形態では、ユーザは、座標選択モジュール31を介して、スキャンのX、Y、及びZ分解能などの、データ出力に関するパラメータを選択することができる。さらに、トランスデューサがロボットアーム、並進ステージ、又はアレイ要素に結合されている状況に関して、ユーザは、座標選択モジュール31を介して、スキャンが開始すべきX、Y又はZ位置、又は、トランスデューサが移動すべきX、Y、及びZ位置の範囲を選択することができる。一実施形態では、X、Y、及びZ位置の範囲は、座標選択モジュール31を介して、各座標のデータポイントを手動で入力することによって選択される。別の実施形態では、GUIは、平面の仮想投影を特徴とし、ユーザが、トランスデューサが移動すべき経路を示すために、仮想デバイスをドラッグアンドドロップすることを可能にする。
【0100】
一実施形態では、ユーザは、zゲート開始時刻及びzゲート終了時刻を選択することができ、zゲート選択モジュール21を介して、スキャンに関するゲート領域を規定する。ゲート領域を選択することは、システムが、試験材料のCスキャンをコンパイルするために、試験材料のどの深さの間で強度データをAスキャンから取得するかを判定することを可能にする。別の実施形態では、ゲートは、Aスキャン全体を通して移動され、材料の3D画像を形成する複数のCスキャンを作成する。
【0101】
既存のシステムは、ゲーティングの方法を利用し、指定されたゲート領域は、システムによって取り出され、処理される波形の唯一の部分である。したがって、例えば、材料内の50の異なるゲート領域を解析するために、既存のシステムは、各指定されたゲート領域に関して1回ずつ、材料を50回異なる時間にスキャンする必要があり得る。本システムは、材料の各Aスキャンに関して全波形を取り出すことによって、既存のシステムを改善する。本願におけるZゲート開始時刻、Zゲート終了時刻、又はゲート領域の選択への言及は、波形のどの部分が受信されるように指定されるかというハードウェアの制限に言及しないが、代わりに、完全に取り出された波形のどの領域が特定の目的のために解析されるかに言及する。材料からの全波形を解析することによって、本システムは、材料をスキャンするのに要する時間量と、材料に関して生成された画像の分解能との両方において、既存のシステムを改善する。
【0102】
一実施形態では、試験対象物をスキャンする前に、キャリブレーションブロック及び/又は試験対象物の別個のセクションは、予備スキャンにおいて超音波トランスデューサによってスキャンされる。予備スキャンは、超音波トランスデューサの特徴的なマザーウェーブレットを生成するために使用される。超音波トランスデューサによる後続のスキャンにおいて、特徴的なマザーウェーブレットは、超音波スキャンデータのウェーブレット変換の基礎に用いられる。特定の超音波トランスデューサの特徴的なマザーウェーブレットに基づくウェーブレット変換を利用することは、システムが、試験対象物内の欠陥を検出するために、特定の超音波トランスデューサの標準波形からの逸脱をより正確に検出することを可能にする。
【0103】
(3.異物の検出)
複合材料を製造する1つの共通の問題は、手袋の一部、紙、テープ、又は複合材料の製造中に使用される他の対象物などの、異物の残存である。複合材料内のそのような異物の存在は、複合材料内の亀裂の形成を促進し、その伝播は、頻繁に部品を故障させる。さらに、異物の異なる材料特性は、複合材料の強度の低下に寄与し、故障の機会の増加にもつながる。いくつかのケースでは、異物は欠陥でないが、代わりに、マイクロアレイなどの材料への意図的に含まれる挿入物である。したがって、そのようなケースでは、意図的に含まれる挿入物が適切に含まれているか否かを確認することができることは、製造者にとって有用である。
【0104】
現在の超音波試験システムは、最も一般的なサイズの異物の多くを検出する適切な分解能サイズを欠いている。試験材料内で問題を引き起こす可能性のある異物は、しばしば、1mmと同じくらい小さく、1mmと同じくらい小さい特徴的な長さを有し、つまり、試験システムが、対象物のサイズに関する精密且つ正確なデータは言うまでもなく、対象物の存在を報告するためにさえ、高い精度を必要とすることを意味する。Mohammadkhaniらによる、「Improving Depth Resolution of Ultrasonic Phased Array Imaging to Inspect Aerospace Composite Structures」と題された1つの研究は、その全体が本明細書に援用され、いくつかの異なる材料で作られた一連の異物を試験し、その各々は、おおよそ36mmの面積を有する正方形片であった。研究は、テフロン(登録商標)片に関して、対象物のサイズを検出する自動化された方法では、43.8%過大評価され、手動による方法では、17%過小評価されることを見出した。他の材料の結果は、さらに外れており、自動化された方法では、ピールプライの欠陥のサイズを66.7%過小評価し、手動による方法では、そのサイズを77%過小評価した。
【0105】
一実施形態では、本発明は、5mmと同じくらい小さいサイズの異物を検出し、10%よりも低い誤差で対象物の面積を報告することができるシステムを対象とする。別の実施形態では、本発明は、1mm以上のサイズの異物を検出し、25%よりも低い誤差で対象物の面積を報告することができるシステムを対象とする。さらに別の実施形態では、本発明は、15mmよりも小さい直径を有する対象物を検出し、半ミリメートルよりも小さい誤差で対象物の直径を報告することができるシステムを対象とする。さらに別の実施形態では、本発明は、5mmよりも小さい直径を有する対象物を検出し、0.1mmよりも小さい誤差で対象物の直径を報告することができるシステムを対象とする。1つの研究では、4つの異なるサイズ(異なる文字によって示される)のテフロン片は、12個の薄層の複合材料内の3つの異なる深さ(異なる数字によって示される)に各々配置され、第1の深さは、複合材料の薄層3と薄層4との間であり、第2の深さは、複合材料の薄層6と薄層7との間であり、第3の深さは、複合材料の薄層9と薄層10との間である。それらの結果は、以下の表1及び表2に示される。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
図18は、本発明の一実施形態によって提供される試験材料のグラフィカル表示群を図示する。図18に示されるように、GUIは、対応するAスキャン画像102と、Bスキャン画像104、106と、Cスキャン画像108と、対応するBスキャン画像104、106及びCスキャン画像108からのデータを組み合わせることによって構築された3次元(3D)レイヤ画像110とを有する単一ビューを提供することができる。Aスキャン画像102は、所与の時間に戻ってくる信号の平均振幅値を表す。一実施形態では、Aスキャン画像102は、加重平均振幅を表し、つまり、対象物内の特定の位置でのスキャンの振幅が、他の位置での振幅よりも最終的なAスキャン画像102に、より多く寄与することを意味する。Aスキャン画像102上の値が平均を表すので、異物又は他の欠陥が材料の断面全体にわたって存続しない限り、Aスキャン画像102それ自体が、試験材料内の異物又は他の欠陥を示すことができ得る可能性は低い。しかしながら、Aスキャン画像102における経時的な振幅の差は、積層材の異なる層、又は材料内の試験材料の表面に垂直な大規模な層間剥離を特徴付けるのに有用である。Aスキャン画像102上の基準線112は、試験材料内の深さを示し、Cスキャン画像108が試験材料の層の断面を表示する同じ深さであり、3Dレイヤ画像110が試験材料の断面を表示する深さである。
【0109】
Bスキャン画像104、106は、第1のBスキャン画像104及び第2のBスキャン画像106が、互いに直交する断面を表示するように、第1の軸114に平行な試験材料の断面を示す第1のBスキャン画像104と、第2の軸116に平行な試験材料の断面を示す第2のBスキャン画像106とを含む。3Dレイヤ画像110は、Cスキャン画像108に相当する上面118と、第1のBスキャン画像104に相当する第1の側面120と、第2のBスキャン画像106に相当する第2の側面122とを含む。別の実施形態では、システムは、異物のBスキャン画像と、Bスキャン画像に関する試験材料の表面からの対応する深さとを自動的に生成する。
【0110】
超音波試験デバイスがスキャンを実行しているとき、3Dレイヤ画像110は、試験が完了するまで深さを増加する。一実施形態では、試験が完了した後、GUIのユーザは、時間点を選択し、GUIに、選択された時間点で試験中に行われたCスキャン画像108及び3Dレイヤ画像110のバージョンを表示させる。一実施形態では、時間点は、Aスキャン画像102上の基準線112をドラッグすることによって選択可能である。別の実施形態では、ユーザは、時間点と関連付けられた数値で入力することによって、時間点を選択する。
【0111】
図19に示されるように、一実施形態では、異物130は、周囲の領域の色と実質的に異なる色の領域として表される。異物130はしばしば、GUIの1つ又は複数のCスキャン画像108上の領域としてそれ自体を提示するが、いくつかの例では、異物が材料内のどこにあるかに依存して、Bスキャン画像104、106上にそれ自体を提示する。別の実施形態では、異物130は、異なる色として現れず、代わりに、3Dレイヤ画像110は、3Dテクスチャマップとして提示され、異物130は、画像110の表面における凹み又は印象として示される。
【0112】
図20は、本発明の一実施形態によって提供される試験材料内の異物のグラフィカル表示を図示する。図20は、試験材料の断面に関するAスキャン振幅勾配マップを提供する。材料の各深さに関するAスキャン振幅の勾配をプロットすることによって、ユーザは、複合材料内の音響インピーダンスに大きいシフトがある領域をより良く可視化することができる。これらの領域はしばしば、異物と周囲の複合材料との間に強い音響インピーダンスの差があるので、異物に対応する。一実施形態では、GUIは、ユーザが、断面勾配マップの囲まれた領域を手でトレースすることを可能にする編集ツールを含む。次いで、システムは、断面勾配マップの特定のX又はY座標で、異物の面積及び材料の直径に関するデータを提供することができる。別の実施形態では、システムは、可能性のある異物の位置を自動的にトレースし、対象物の面積、特徴的な長さ、及び/又は質量中心に関する情報を提供する人工知能を含む。
【0113】
異物は、本発明によって生成される出力データ及びグラフィカル表示において、頻繁に、亀裂又は層間剥離などの異なる欠陥によって引き起こされる、エアポケット又は気孔と区別可能である。空気と複合材料との間の音響インピーダンスの差が非常に高いので、典型的に、試験材料内のエアポケットを越えて試験材料内の領域に移動する非常に少数の波又は非常に低い振幅の波が、受信され検出される。したがって、頻繁に、そのような欠陥を有する領域のAスキャンは、欠陥を引き起こすエアポケットが配置される位置で、材料のバックウォールと同様の信号、すなわち、振幅の非常に鋭いスパイクに続いて非常に少ないアクティビティの信号を示す。しかしながら、典型的に、異物は、空気よりも積層材全体の音響インピーダンスにより近い音響インピーダンスを有するので、典型的に、そのような対象物は、小さいAスキャンスパイクを示し、依然として、異物を超えた試験材料の部分はしばしば、検出可能な信号を返す。したがって、システムは、材料内の異物の存在と、層間剥離又は亀裂によって引き起こされたエアポケットの存在とを区別することができ、これは、2つの異なる欠陥がしばしば、試験材料全体の特性に対して顕著に異なる影響を与えるので、有用である。さらに、一実施形態では、システムは、各材料の音響インピーダンス値を有する材料のリストを含む材料データベースを含む。材料の特性が材料データベースにリストされた材料の1つと一致する場合、GUIは、ユーザに対して、一致する材料、又は潜在的に一致する材料のリストを返し得る。
【0114】
別の実施形態では、システムは、人工知能を含む。人工知能は、Cスキャン画像108、Bスキャン画像104、106、及び/又は3Dレイヤ画像110の解析を介して、欠陥を特定することができる。一実施形態では、人工知能によって特定された欠陥は、Cスキャン画像108によって提供される断面図において見える欠陥130である。別の実施形態では、欠陥は、層の間のみに見え、Bスキャン画像104及び106のみから観察され得る。さらに別の実施形態では、人工知能は、GUIによって提供される画像と関連付けられたAスキャン、Bスキャン、及びCスキャンデータを介して、ユーザによって容易に特定可能でない試験材料内の欠陥を特定することができる。
【0115】
(4.接合ラインの厚さ)
2つの複合材料積層材間、又は複合材料積層材と下地基板との間の接着剤の一体性は、複合材料積層材の所望の機械的特性を維持する鍵である。単一の組み合わされた材料を一緒に形成する2つ以上の材料間の接合ラインの厚さが薄すぎるとき、破壊荷重は減少され、いわゆるキッシングボンド又は完全な不接合が生じ得る。キッシングボンドは、小さいギャップが、接着剤と、接着剤によって接合された1つ又は複数の材料との間に形成する場合に発生する。キッシングボンドにおいて形成されたギャップは、あまりにも小さいので、市場に出ている利用可能な現在のシステムによって検出可能ではなく、つまり、スキャンにおいて、接着剤が隣接する材料と接触しているように見えるが、実際に、材料が機械的且つ/或いは化学的にカップリングされていないことを意味する。2つの材料間の大きすぎる不接合は、2つの材料が、特定の荷重条件下で完全に分離し、或いは接着して接合された構造体の故障モードの変化によって、組み合わされた材料の強度の弱まりを引き起こすので、早期故障を引き起こす。
【0116】
さらに、2つの材料間の接合ラインの厚さが大きすぎる場合、組み合わされた材料は、接合強度の不均一な分布に悩まされ、これは荷重を不均一に分布させ、したがって、部品の早期故障につながり得る。さらに、接合ラインに沿った不均一な厚さは、荷重が複合材料積層材に対して異なる領域又は異なる角度で加えられるとき、組み合わされた材料が異なる性能を発揮する問題を引き起こすことがあり、荷重容量を低下させ、組み合わされた材料の機械的性能を正確に予測することをより困難にする。
【0117】
複合材料の接合ラインに関する別の一般的な問題は、接合ラインのギャップ、或いはボイド領域の存在である。しばしば気泡の形を取るこれらのギャップは、複合材料の2つの層を一緒に接着する前に、接着剤が不適切に塗られるとき、しばしば製造中に形成される。接着剤が2つの層に適切に塗られる場合であっても、エアポケットはまた、しばしば、2つの層が一緒に接合されたときに形成する。さらに、ギャップはまた、内部応力が複合材料内に蓄積されるとき、部品の磨耗と損傷に起因して使用中に形成する。既存のハードウェアシステムは、既存のハードウェアシステムが検出することができるギャップのサイズに制限される。浸漬タンクの外側では、一般的に、既存のシステムがフェーズドアレイトランスデューサ又は接触型トランスデューサを使用する場合、トランスデューサの空間分解能は、アレイ内のトランスデューサの間隔によって非常に制限される。現在、既存のシステムのトランスデューサの間隔は、おおよそ0.8mm-おおよそ1.5mmの間であり、つまり、理論的に最も小さいサイズのボイド領域がおおよそ1mmであるが、実用的には、実際に、最も良い分解能が幅3mm-幅4mmの間であることを意味する。既存のシステムは、試験を実行するのに十分な電力を発生するために複数の超音波トランスデューサを利用する必要があるので、この理論的な分解能を実現することができず、トランスデューサの数の増加に伴ってノイズの増加があるので、幅1mmオーダーの欠陥を検出し、特徴付けることを不可能にする。本システムは、既存のフェーズドアレイシステム又は接触型トランスデューサシステムのように制限されず、一実施形態では、既存のシステムの分解能のおおよそ10倍の分解能を実現することができるカップリング流体充填携帯型ハウジングアセンブリ内の球状集束型トランスデューサを利用する。そのため、本システムは、0.5mm未満の幅を有するボイド領域を検出するように動作可能である。カップリング流体充填チャンバ内で単一の球状集束型トランスデューサを利用することは、システムが、トランスデューサのバンクとは対照的に、試験中に単一のトランスデューサのみを利用するのに十分な電力を発生することを可能にし、つまり、空間分解能が高まることを意味する。
【0118】
単に2つ以上のトランスデューサを使用する必要性を超えて、フェーズドアレイシステム及びフラットフロント接触型トランスデューサは、他の問題にも悩まされる。フラットフロントトランスデューサが、試験対象物上の単一の位置に照射する波を高度に集束しないので、フラットフロントトランスデューサは、単一の波形において複数の異なる空間的位置からの反射戻りを受信する。波が異なるタイプで異なる空間的位置から反射し戻るので、ノイズが生成され、生成されたスキャンデータに基づいて、特定の位置又はより小さい欠陥の存在さえも判定することを困難にし、或いは実行不可能にする。このことは、特により高い周波数に関して本当であり、より小さい欠陥の検出を可能にするが、特により大きい部品に関して、フラットフロントトランスデューサによって生成されたデータを、実際に使用できなくさせる可能性が高くなる。しかしながら、本システムは、カップリング流体充填チャンバを利用することができ、したがって、球状集束型トランスデューサを利用することができるので、フラットフロントトランスデューサよりも少ないノイズ、したがって、より良い検出能力を生成しつつ、試験中、15MHzなどの、より高い周波数を使用することができる。したがって、一実施形態では、本システムは、部品内の0.025mmよりも小さい厚さを有する領域を介して延在するボイド領域を検出することができる。
【0119】
さらに、接合ラインの一部分に接着剤がないが、2つの隣接する層がその部分で(接着剤なしで)互いに接触する状況では、本システムは、接合ラインのそのような部分を検出するように動作可能である。2つの隣接する層が接触している領域は、試験を開始する前に検出可能なボイドを必ずしも有さないが、超音波が部品に照射されるとき、分離が反射された音響波の位相シフトを引き起こす層間に生成されるように、頻繁に2つの層が振動し、報告されたスキャンデータにおいて観察可能である。興味深いことに、いくつかの状況では、この現象は、本システムが、現在のコンピュータ断層撮影(CT)システムの限界さえも超える厚さ方向の分解能及び検出能力を実現することを可能にする。
【0120】
本システムは、既存の浸漬ベースのスキャンシステムにおいても使用される標準的な技術よりも高い分解能を実現することができる。既存の浸漬ベースのシステム技術は、ゲーティングを採用し、材料内の特定の深さ範囲に対応するデータを取得し、次いで、その範囲内の最大振幅を計算し、ギャップ領域があるか否かを判定する。この既存の方法は、より大きいボイドを検出することができるが、より小さいボイドを検出するには不適切であり、より小さいボイドは、スキャンデータの制限された領域を見るとき、振幅の明確に顕著な差をあまり示さない。しかしながら、本システムは、試験対象物に照射された超音波の波形全体を把握する。制限されたゲート領域内で目立たない特徴はしばしば、波形全体のコンテキストにおいて見られるとき、より簡単に見え、つまり、システムが、既存の浸漬システムにおいて使用される標準的な技術よりも高い感度を実現することを意味する。
【0121】
本システムは、部品内の1つ又は複数のギャップ領域の各々の相対位置を計算するように動作可能である。一実施形態では、相対位置は、1つ又は複数のギャップ領域の各々の深さを含む。別の実施形態では、相対位置は、深さ方向に直交する平面における座標に加えて、1つ又は複数のギャップ領域の各々の深さを含み、システムが、1つ又は複数のギャップ領域の各々の位置に対応する少なくとも1つの3D座標を報告することを可能にする。さらに別の実施形態では、システムは、1つ又は複数のギャップ領域の各々と関連付けられた2つ以上の座標を報告する。1つ又は複数のギャップ領域の各々と関連付けられた2つ以上の座標を報告することは、システムが、例えば、ギャップ領域の外側エッジに対応する座標を提供することを可能にするので、ギャップ領域の正確なサイズ及び形状が記録されることができる。
【0122】
現在、超音波技術を使用して、接合ラインの厚さの空間的変動を直接的に測定する既知の方法はない。今日の業界では、既知の接合ラインの厚さを有する製造されたキャリブレーションウェッジを使用するのが一般的である。試験材料から受信した信号と、キャリブレーションウェッジから受信した信号とを比較することによって、技術者は、接合ラインの厚さを概算しようとする。しかしながら、この技術は、キャリブレーションウェッジが各材料のために作られることを必要とし、使用されるキャリブレーションウェッジの数と、キャリブレーションウェッジの厚さ間の差とに依存する精度を有する。
【0123】
図21は、本発明の一実施形態によって生成されるAスキャン画像を図示する。一実施形態では、最初の位置での接着剤層の上面の深さは、最初の位置に関するAスキャン200を行い、振幅の急激な低下の前に最終ピーク205を見つけることによって計算され、一方、接着剤層の下面の深さは、図21に示されるように次の最大強度ピーク210として規定される。
【0124】
本発明の一実施形態によれば、図22は、接着剤層の深さを計算するために使用されるアルゴリズムの最初のステップを図示する。一実施形態では、一連のAスキャンは、軸X及びXに沿って、規定された間隔で試験材料に関して行われる。Aスキャンは、グルーピングに分けられ、各グルーピングは、試験材料のおおよそ同じ領域をカバーするAスキャンで構成する。ゲート領域内の異なる深さに対応する一連のBスキャンは、初期グルーピング710に関して生成され、システムは、グルーピングの各々に関する一連のBスキャンの各々の最大強度値を計算する。一連のBスキャンはまた、最終Xグルーピング712まで初期グルーピング710と同じX値を有する複数のグルーピングと、最終Xグルーピング714まで初期グルーピング710と同じX値を有する複数のグルーピングとに関して生成される。初期グルーピング710と同じX値を有する複数のグルーピングの各々と、初期グルーピング710と同じX値を有する複数のグルーピングの各々とに関して、システムは、一連のBスキャンの各々の最大強度値を計算する。
【0125】
図23に示されるように、一連のBスキャンの各々の最大強度値を計算した後、システムは、最大強度値が計算された2つのグルーピングに隣接する位置の接着剤接合ラインの上面及び下面の深さを計算する。位置に隣接するグルーピングの最大強度値は、その位置で、接着剤層の上面及び下面の深さを計算するとき、初期推測値、又はシードとして機能する。各位置での接着剤層の上面及び下面の計算された深さは、試験材料のスキャンされた領域における各位置の上面及び下面の深さが計算されるまで、各後続の隣接する位置の、初期推測値、又はシードとして機能する。
【0126】
図24に示されるように、一実施形態では、システムは、可視化220を生成することができ、接着剤接合ラインの上面225及び下面230の両方の構築された表面を表示する。図25は、可視化228を図示し、接着剤接合ラインの上面235及び下面240の構築された表面を表示し、下面240は、上面235に対して角度をなしている。図26は、可視化238を図示し、接着剤接合ラインの上面245及び下面250の構築された表面を表示し、下面250は、上面245に対して複雑なジオメトリを有する。
【0127】
別の実施形態では、厚さ値のセットは、接合ラインに沿った各位置に関する数字の配列の形態で生成され、各位置の厚さ値は、その位置での上面225の深さと下面230の深さとの差に等しい。組み合わされた材料の2つの直線的なコンポーネント材料間の接合ラインのケースに一般的であるように、図24のように、GUIは、上面225及び下面230の両方が実質的に平行であるとき、接合ラインの構築された表面を提示する。別の実施形態では、図25及び図26に示されるように、上面235、245及び下面240、250は、実質的に平行でない。接着剤接合ラインの上面235、245及び下面240、250が実質的に平行でない状況を評価することは、互いに対して湾曲される個々のコンポーネント材料を有する組み合わされた材料の評価、又は接合ラインが実質的に歪んでいる組み合わされた材料の評価に関して重要である。
【0128】
一実施形態では、上面225及び下面230の可視化220は、ユーザによって自由に相互作用可能である。例えば、ユーザは、可視化220を回転し、接合ラインを複数の角度から示すことができ、単一の角度からは見えない弱点又は不整合の領域を特定するのに役立つ。別の実施形態では、ユーザは、上面225又は下面230の個々の位置をクリックすることができ、システムに、選択された位置で接合ラインに関する情報を提供させ、情報は、上面225の深さ、下面230の深さ、及び/又は選択された位置での上面225と下面230との間の距離を含み、選択された位置での接合ラインの厚さを示し得る。さらに別の実施形態では、システムは、接合ラインの曲率及び/又は接合ラインの界面の粗さを自動的に計算する。
【0129】
一実施形態では、試験材料の接合ラインに使用される材料は、材料データベース内の少なくとも1つの材料と一致される。接合ラインの上面225及び下面230に対応するAスキャン信号の振幅が、複合材料及び接合ライン材料の音響インピーダンスの不一致の度合いに基づいているので、接合ラインのおおよその音響インピーダンスは、Aスキャンの振幅に基づいて生成されることができる。別の実施形態では、接合ラインの可能性のある材料のリストは、各材料に割り当てられた確率値で生成される。リストを作成することは、材料がしばしば、同様の音響インピーダンスを有し、つまり、接合ラインが、いくつかの異なる材料から作られることが実現可能であることを意味するので、有用である。さらに、接合ラインが試験材料内のより深くにある場合、Aスキャンの振幅はより大きいマージンの誤差を有し得るので、接合ラインがどの材料から作られているかを正確に判定することができない。したがって、接合ラインのコンテンツに関するいくつかの異なる可能性をユーザに提供することは有用であり、いくつかの状況では、さらなる調査を保証し得る。
【0130】
図27に示されるように、一実施形態では、システムは、接着剤接合ラインの2Dビューを提供することができ、色又は色相グラデーションは、より大きい或いはより小さい厚さの領域を示す。このビューは、厚さが減少され、或いは厚くされすぎる接合ラインの端部で、領域を検出することに関してだけでなく、接着剤接合ラインの内部領域に関しても、特に有用であり、エアポケットは、製造欠陥に起因して、或いは疲労に起因して、発見され得る。別の実施形態では、システムは、接着剤層と隣接するコンポーネント材料との間に不連続がある、不完全な接合ラインとも呼ばれる不接合の領域を、他の接着剤接合ラインの2Dビューとはっきりと対比する白色又は別の色として表示する。さらに別の実施形態では、2Dビューは、接着剤接合ラインに沿った、より大きい或いはより小さい厚さの領域を表示するために、等高線の使用などの、色以外の手段を利用する。不連続は、複合材料に関して生成された波形において明確に現れる。典型的に、接合ラインは、接合ラインと試験材料の隣接する層との間の音響不一致に対応する、1つ又は複数のAスキャンの振幅の明確なピークによって示され、部品内の完全な不連続は、空気と周囲の複合材料との間のより実質的な音響不一致に起因して、より強い信号として現れる。実際、この不一致がしばしば非常に大きいので、信号は不連続を超えた位置に関して生成されないが、依然として、システムは、超音波を受信することができ、したがって、接合ラインの開始を超えた材料の領域に関して信号データを生成することができる。
【0131】
別の実施形態では、GUIは、接合ラインの強度の簡略化されたビューを提供する。まず、GUIは、材料の所与の領域の所望の接合ラインの厚さの入力を得る。次いで、GUIは、試験材料の表面の画像を提示し、試験材料の表面の領域は、複数の色と関連付けられ、各異なる色は、接合ラインが所望の接合ラインの厚さにどれくらい近いかを表す。例えば、一実施形態では、試験材料の表面の一部は、緑色に着色され、接合ラインが所望の厚さに近いことを示し、試験材料の表面の一部は、黄色に着色され、接合ラインの厚さが所望の接合ラインの厚さの公差範囲に近いか、或いは公差範囲のすぐ外側であることを示し、表面の一部は、赤色であり、接合ラインの厚さが所望の接合ラインの厚さと実質的に異なることを示す。一実施形態では、ユーザは、複数の色の各々に関して公差範囲を入力し、各色がどの接合ラインの厚さで現れ得るかを示す。別の実施形態では、ユーザは、許容公差を有する所望の接合ラインの厚さのみを入力し、システムは、他の複数の色の各々に関する基準を自動的に計算する。一実施形態では、複数の色は、二分決定が有用であり、或いは必要である状況に関して、2色のみを含む。別の実施形態では、複数の色は、2色以上を含み、ユーザは、異なる色がいくつ現れるかを選択することができる。
【0132】
(5.かろうじて見える衝撃損傷)
複合材料積層材の1つの頻繁な問題は、複合材料が製造中又は動作中に、高速或いは低速の衝撃を受けるときに発生する。そのような衝撃はしばしば、複合材料の亀裂、層間剥離、繊維の破断、又は貫通を引き起こす。多くのケースでは、衝撃損傷は、見る限り、材料上に、小さく、時々認識できない表面欠陥を引き起こすのみであるが、内部損傷は、はるかに大きいことがある。
【0133】
既存のシステムは、そのような衝撃損傷によって引き起こされた欠陥を完全に特徴付けることができなかった。衝撃損傷は、望ましくない反射、波の相互作用、屈折、及び回折などの併発が、複合材料の表面付近の領域を画像化の「デッドゾーン」にし、そのような領域の現在の超音波画像化を低い分解能で非常に信頼できなくするので、特定の問題を提起する。Zhangらによる最近の一研究は、超音波ピッチキャッチ法を使用し、複合材料のかろうじて見える衝撃損傷を見つけようとした。しかしながら、この方法は、損傷の存在を検出することはできたが、損傷のサイズ、形状、又は位置を定量化することができず、現場での結果の有用性を大きく制限した。
【0134】
3D顕微鏡などの、他の既存の技術は、特に、表面に近い試験材料の領域に関して、損傷のサイズを実質的に過小評価する傾向がある。さらに、3D顕微鏡は、試験材料の一部を損傷することなく、試験材料内の内部損傷を正確に測定するために使用されることができない。実際、表面損傷の面積と材料内の損傷の最大領域の断面積との間の差はしばしば、かなりのものであり得る。表3は、3D顕微鏡によって発見されたときの、材料の表面損傷の面積と、本発明の一実施形態による携帯型超音波トランスデューサを使用して発見された同じ材料内の損傷の最大断面積との間のパーセント差を示す。
【0135】
【表3】
【0136】
衝撃によって引き起こされた損傷領域の実際のサイズ及び形状を特徴付けることは、材料の全体的な機械的特性に対する損傷領域の影響を評価することができることにおいて重要である。1つの研究では、有限要素解析(FEA)は、損傷が衝撃穴と同じ半径を有する完全な円筒形であると仮定された部品を含むシミュレーションが、衝撃によって引き起こされた実際の損傷領域をシミュレートしたシミュレーションと比較して、材料内のフォンミーゼス応力の増加を著しく過小評価したことを明らかにした。以下の表4は、完全な円筒形の損傷を仮定するシミュレーションと、実際の損傷領域を考慮するシミュレーションとの両方に関して、3つの異なるサンプル材料のFEAモデルによって計算された最大フォンミーゼス応力のパーセント増加を示す。
【0137】
【表4】
【0138】
一実施形態では、最初のサーモグラフィスキャンは、サーモグラフィ試験装置を使用して、試験材料に関して行われる。最初のサーモグラフィスキャンは、試験材料の潜在的な損傷の領域を特定するために使用される。最初のサーモグラフィスキャンを行うことは、翼全体の超音波スキャンを実行することが、特に部品の限られた領域のみが損傷に曝されるとき、しばしば非常に高価であり時間がかかるので、航空機の翼などのより大きい部品に関して特に有用である。さらに、肉眼でかろうじて見える衝撃損傷を有する領域を特定することは、それらの領域に存在する表面欠陥が、その性質上、かろうじて見え、微小で肉眼で見えない可能性さえあるので、困難である。このシステムは、内部損傷を定量化するために、表面損傷の存在に依存しないので、このシステムは、表面損傷が全くない場合であっても損傷領域を判定することができる。
【0139】
別の実施形態では、フェーズドアレイ超音波試験装置が、最初のサーモグラフィスキャンが実行された後、潜在的な損傷の領域をスキャンするために使用される。フェーズドアレイ超音波スキャンは、さらに調査されるべき損傷の可能性のある領域を特定するために使用される。フェーズドアレイ超音波試験装置を用いて後続のスイープを実行することは、最初のサーモグラフィスキャンがしばしば、個々の試験に関してより実用的である試験材料の領域を完全に絞り込むのに、十分な特異性又は精度を欠くので、有用である。
【0140】
さらに別の実施形態では、最初のサーモグラフィスキャンは、試験材料に実行されず、フェーズドアレイ超音波試験装置及び個々のスキャントランスデューサのみが、試験材料をスキャンするために使用される。さらに別の実施形態では、最初のサーモグラフィスキャンもフェーズドアレイ超音波試験装置も使用されず、個々のスキャントランスデューサのみが、試験材料をスキャンするために使用される。
【0141】
一実施形態では、システムは、表面衝撃を囲む領域のスキャンを含む。トランスデューサは、超音波を照射し、領域のAスキャンを生成し、その後、ゲートは、Aスキャンに関して選択され、規定されたゲート開始時刻及びゲート終了時刻が規定され、それらの間に一連のゲート時間点を規定する。最初のゲート時間点は、試験材料の表面に最も近い試験材料の断面に対応し、最終のゲート時間点は、試験材料の表面から最も遠い試験材料の断面に対応する。一実施形態では、ゲートは、試験材料の単一の薄層の平均厚さに基づいて選択される。別の実施形態では、試験材料の単一の薄層の平均厚さは、試験材料の薄層数と、材料の最初の薄層と最後の薄層との間の総伝搬時間とを示すAスキャンデータに基づいて、試験によって自動的に求められる。
【0142】
次いで、各ゲート時間点に関する領域内のあらゆるAスキャンの最大値は、プロットされ、領域内の各位置で、各ゲート時間点に関するゲートAスキャン(又はMGAのCスキャン)の絶対値の最大値から一連のCスキャンを生成する。一実施形態では、フーリエ変換は、生成されたスペクトルの絶対値の数値積分を用いて、15Mhzのローパスフィルタを利用して、ゲートデータに関して実行される。次いで、このフィルタリングされたデータは、プロットされ、一連の周波数スペクトル強度(FSI)のCスキャンを生成する。次いで、損傷領域は、MGAのCスキャン及びFSIのCスキャンの各々に関して判定される。一実施形態では、損傷領域は、オペレータによって手動で判定される。別の実施形態では、損傷領域は、プロセッサによって自動的に判定される。次いで、一連のMGAのCスキャン及びFSIのCスキャンの各Cスキャンは、システムによって比較される。システムは、一連の整合されたCスキャンを作成し、一連の整合されたCスキャンにおける各Cスキャンは、一連のMGAのCスキャン又は一連のFSIのCスキャンのいずれかのCスキャンと同じであり、それは、所与のゲート時間点の最大の損傷領域を有するものに依存する。MGA及びFSIの両方のCスキャンを使用することは、MGAのCスキャンが、平均して、FSIのCスキャンにおいて示されるよりも大きい損傷領域を推定する傾向があるので、有用であり、したがって、全体として、より保守的なアプローチである。しかしながら、FSIのCスキャンはしばしば、小さい損傷領域をより良く分解することができ、したがって、試験材料の特性の全体的な変化のより明確な画像を取得するのに有用である。
【0143】
一実施形態では、図28に示されるように、システムは、一連のMGAのCスキャンにおける各Cスキャンの損傷領域の可視化310と、一連のFSIのCスキャンにおける各Cスキャンの損傷領域の可視化320とを作成するように動作可能である。最初のゲート時間点に対応する損傷領域332は、各可視化310、320の上部にあり、最終のゲート時間点に対応する損傷領域334は、各可視化310、320の底部にある。システムは、垂直方向にスタックされた一連の整合されたCスキャンにおける各Cスキャンの損傷領域で構成する領域の3D損傷プロファイルを作成するように動作可能であり、最初のゲート時間点に対応する損傷領域332は、上部にあり、最終のゲート時間点に対応する損傷領域334は、下部にある。一実施形態では、各損傷領域のセントロイドは、システムによって自動的に垂直方向に位置合わせされる。一実施形態では、図29に示されるように、システムは、見える表面損傷がない試験材料に関して、一連のMGAのCスキャンにおける各Cスキャンの損傷領域の可視化340と、一連のFSIのCスキャンにおける各Cスキャンの損傷領域の可視化350とを作成する。最初のゲート時間点に対応する損傷領域352は、各可視化340、350の上部にあり、最終のゲート時間点に対応する損傷領域354は、各可視化340、350の底部にある。
【0144】
一実施形態では、図30に示されるように、システムは、FEAを使用し、フォンミーゼス応力プロファイルを作成し、これを試験材料の全部又は一部に関してグラフィカルに表示する。フォンミーゼス応力プロファイルは、衝撃と関連付けられた損傷領域を、当該部品の性能の定量的な低下と関連付けることを支援する。
【0145】
(6.しわの検出)
複合材料積層材の機械的特性に影響を与える可能性を有する別の欠陥は、複合材料の層間のしわ又はうねりである。複合材料の層間のしわは、製造中、複合材料が完全に固定されず、よりアモルファスであるとき、特に、複雑な湾曲を有する部品に関して、頻繁に発生する。薄い部品又はしわがかなり大きい部品に関して、これらの異常はしばしば、部品の表面の簡単な目視分析を介して、早期に見つけられる。しかしながら、特に、しわが部品の厚さに対して小さく、しわが部品の表面から離れた層にある、より厚い複合材料に関して、目視分析は、部品がその表面に滑らかであるように見え得るので、問題を明らかにしないことがある。
【0146】
しわを有する複合材料が張力状態にされるとき、しわのある層は、頻繁に他の層の各々のようにピンと張っていなく、つまり、張力状態に係合せず、複合材料積層材の全体的な強度に寄与しないことを意味する。さらに、複合材料が圧縮状態に置かれるとき、しわが、負荷に係合する代わりに、ゆがむことができ、複合材料の圧縮強度の顕著な低下につながる。頻繁に、これは、複合材料を早期に故障させる。複合材料の性能に著しく影響を与えるのに十分に大きいしわの大部分を検出することができるようにするために、超音波試験システムは、0.4mm以上の振幅を有するしわを少なくとも検出することができる必要がある。現在の超音波システムは、この分解能を実現することができなく、したがって、複合材料内の重要な欠陥を見逃す可能性が高い。しわのサイズに加えて、しわの潜在的な危険性を評価することにおいて重要なのは、そのアスペクト比である。しわのアスペクト比は、しわの振幅を半波長で割った値として規定される。低アスペクト比を有するしわは、しわがしばしば、より長い長さスケールで、隣接する層に対して平坦に見えるので、検出することがより困難である。したがって、低アスペクト比を有するしわを検出することができるシステムはしばしば、低振幅を有するしわを検出することができることと同じくらい重要である。
【0147】
本システムは、一方向性複合材料と織物複合材料との両方において、しわを検出し、特徴付けるように動作可能である。さらに、本発明は、炭素繊維複合材料、ファイバーグラス複合材料、及びガラス-炭素複合材料を含むがそれらに限定されない、様々な材料においてしわを特徴付けることができる。本システムは、一方向性複合材料において、おおよそ0.05mm以上の振幅を有するしわの画像を解像することができる。織物複合材料において、より大きいプライ自体のサイズに起因して、システムは、おおよそ0.2mm以上の振幅を有するしわの画像を分解することができる。一実施形態では、システムは、0.1以上のアスペクト比を有するしわを検出することができる。
【0148】
一実施形態では、システムは、試験対象物の試験面に垂直な平面内で伝播するマーセルしわを見つけることができる。ほとんどの状況では、しわは、試験対象物の薄層間に存在し、1つの薄層が別の薄層に押し上げられ、逆もまた同様であるとき、特定される。しかしながら、航空機の翼が航空機の機体に接触するなどの、いくつかの状況では、しわは、薄層間だけでなく、むしろ個々の薄層内にも伝播する。
【0149】
図31に示されるように、一実施形態では、システムは、織物の全幅に及ぶ試験材料の一連の断面を示す試験材料の一連のBスキャン140を作成する。別の実施形態では、ユーザは、試験材料の深さの制限された範囲に関して試験材料の一連のBスキャンのみを生成するように、開始ゲート時刻及び終了ゲート時刻を選択することができる。さらに、ユーザは、最初のBスキャンが試験対象物の表面からどのくらいの距離かを示すことを表す開始距離と、最終のBスキャンが試験対象物の表面からどのくらいの距離かを示すことを表す終了距離とを選択することができる。試験材料の厚さを介して一連のBスキャン140を示すことによって、オペレータは、材料の2つの層の相対位置が試験材料の幅を介して異なる領域を見ることができ、一般的に、これは、試験材料内のしわ142の存在を示す。一実施形態では、人工知能システムは、一連のBスキャンからしわの領域を自動的に検出し、ユーザに対して問題領域を強調表示する。別の実施形態では、システムは、しわ142の振幅が複合材料の各層に関する予め定められた閾値を超える試験材料の表面からどのくらいの深さかと、しわ142の振幅が複合材料の各層に関する予め定められた閾値を下回る試験材料の表面からどのくらいの距離かとを、自動的に判定する。しわが複合材料内の各層内のどこで終了するかを検出することによって、所与の断面での単なるその高さではなく、しわの複雑なジオメトリが提供される。図32に示されるように、一実施形態では、システムは、トレースされたしわの領域を有する試験材料の2次元ビューを提供する。さらに、一実施形態では、システムは、しわの高さ、しわの深さ、しわの長さ、及び/又はしわのアスペクト比などの、しわに関連する情報を示すグラフィックスを提供することができる。
【0150】
図33及び図34は、本発明の一実施形態によって提供される試験材料内のしわ142、146の3次元グラフィカル表示144を図示する。試験材料の断面を提供することに加えて、さらに、本システムは、試験材料の個々の層の3次元グラフィカル表示144を生成することができ、層の湾曲又は層内のしわ142、146を示す層の深さの変動を含む。システムが、試験材料の一連の断面のAスキャンデータをコンパイルし、一連のCスキャンを生成した後、システムは、2つの層間の界面に対応する一連のX、Y、及びZ座標を構築するために、傾度分析を一連のCスキャンに実行することができる。次いで、システムは、これらの座標を3次元グラフィカル表示144にプロットすることができ、試験材料の幅、長さ、及び深さの寸法を示す。一実施形態では、さらに、システムは、着色を3次元グラフィカル表示144のセクションに割り当て、異なる色は、層の異なる深さに対応する。別の実施形態では、システムは、グラフィカル編集モジュールを含み、グラフィカル編集モジュールを用いて、ユーザは、インタフェース又はインタフェースの一部を手動でマッピングし、次いで、プロットされる一連のX、Y、及びZ座標を作成する。
【0151】
図35に示されるように、一実施形態では、システムは、しわ146を周囲の試験材料から自動的に分離することができる。一実施形態では、しわは、薄層に沿った各位置で局所曲率を求め、表面の曲率が予め定められた閾値を拡張する表面に沿った位置を見つけることによって、分離される。別の実施形態では、薄層の表面の一部分は、手動で選択され、薄層の選択されていない部分とは独立して示されるように切り取られることができる。図36に示されるように、別の実施形態では、システムは、しわ146の2D上面図を表示することができる。一実施形態では、しわの2D上面図は、着色を使用し、表示された薄層の異なるセクションの相対的な深さ及び/又は高さを示す。
【0152】
(7.気孔率の判定)
材料の気孔率は、その材料の機械的特性に実質的な影響を及ぼす。気孔は、一般的に、空気で満たされた、材料内の小さい穴である。材料内の気孔サイズの増加数は、頻繁に低下した強度を材料に示させ、時々、早期故障につながる。
【0153】
材料の気孔率を評価するために、現在の超音波システムは、既知の気孔率を有する材料のキャリブレーションブロックを利用し、まず、デバイスによって透過モードで測定される。トランスデューサに対してキャリブレーションブロックの反対側にあるレシーバによって捕捉された超音波信号の振幅及びタイミングを評価するとき、現在のシステムは、試験材料を比較するためのベースライン測定を開発することができる。しかしながら、現在のシステムは、いくつかの重要な問題に直面する。キャリブレーションブロックはしばしば、試験される材料及び試験される材料のジオメトリに依存して、個々の試験材料に関して独自に形成される必要がある。人々が多くの異なる対象物の気孔率を測定しようとする場合、キャリブレーションブロックはしばしば、高価になり、製造に時間がかかる。さらに、キャリブレーションブロックの使用に依存することは、システムが、試験材料が最も緊密に一致するキャリブレーションブロックを判定することしかできなく、精度をキャリブレーションブロック間の気孔率の最小差に依存することに制限するので、システムの精度を制限する。
【0154】
さらに、頻繁に、これらのシステムは、動作するために、透過モードに依存する。しかしながら、透過型超音波試験はしばしば、ユーザが試験材料の第2の側にアクセスできないか、或いは試験材料が厚すぎて透過技術が確実に機能しないため、実行されることができない。しかしながら、試験材料の単一表面のみが利用可能である状況に関して、現在の超音波システムは、パルスエコーモードでサンプルの気孔率を評価するのに十分な分解能を欠く。
【0155】
一実施形態では、システムは、試験材料の気孔率を判定する。システムは、キャリブレーションブロックと比較する必要なく、試験材料の全体的な平均気孔率を直接的且つ定量的に測定することができる。別の実施形態では、システムは、気孔サイズの標準偏差及び分散などの、平均気孔サイズに関する統計情報を提供する。一実施形態では、システムは、パルスエコーモードである間、試験材料の全体的な平均気孔率を判定することができる。一実施形態では、システムは、2%と同じくらい低い、炭素繊維及び/又はファイバーグラスを含む、試験材料の全体的なボイド率を判定することができる。
【0156】
全体的な平均気孔率のみを伝えることは、平均値が材料内の大きいボイドによって著しく影響を受ける場合に潜在的に誤解を招くので、試験材料の全体的な平均気孔率を判定することに加えて、異常気孔のサイズ及び位置を示すことも重要である。頻繁に、これらの異常気孔は、亀裂形成の起点として機能し、或いは試験材料内の既存の亀裂の伝播を促進するのを助長する。しかしながら、既存のシステムは、特に、空間分解能が低下する多層複合材料のより深い領域において、多くの潜在的に不適格な気孔を検出し報告するのに十分な空間分解能を欠く。したがって、材料の全体的な平均気孔率を伝えることに加えて、システムは、最大全18層を有する複合材料の任意の層内の1.5mm以上のサイズを有する個々の気孔を検出し、特定することができる。
【0157】
一実施形態では、システムは、異常気孔を含む試験材料のBスキャン、Cスキャン及び/又は3次元画像を表示する。システムは、可視的な輪郭、シェーディング、又は任意の他の視覚的な表示方法を使用して、気孔を示す。システムは、気孔の有効径、面積、及び深さを自動的に提供することができる。一実施形態では、システムは、気孔をモデル化するために、気孔の周りに楕円を自動的に適合し、その形状に関するより良い情報を提供するために、楕円の長軸及び短軸の寸法を報告する。
【0158】
(8.硬化度の評価)
試験材料内の別の頻繁な欠陥は、試験対象物の不適切な硬化、及び/又は試験対象物の個々の層を結合するために使用される接着剤の不適切な硬化である。複合材料積層材はしばしば、まず、炭素繊維又はファイバーグラスなどの、織物基材の一連のプリプレグシートを提供することによって形成される。プリプレグシートは、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、ビニルエステル樹脂、又は他のプラスチックなどの樹脂と共に、プリプレグ内の樹脂が硬化するまで、制御された熱環境(例えば、炉)内で含浸され、単一の固体プラスチック部品を形成する。他の例では、部品は、ドライインフュージョンプロセスを使用して、プリプレグシートの使用なしに製造されることができる。さらに、いくつかの例では、部品は、「オープンエア」環境において、制御された熱環境の使用なしに、製造され、硬化される。制御された熱環境と異なり、オープンエア環境において、温度及び圧力はしばしば、容易に変更可能でない。したがって、オープンエア環境において、部品が硬化することを可能にする時間量を制御することは、部品を適切に硬化するために重要である。
【0159】
硬化プロセスの温度、圧力、及び/又は時間を判定することはしばしば、適切な部品を取得するために不可欠である。ポリマが硬化される温度又は硬化時間を変更することは、連鎖成長重合が発生することができる度合いと、ポリマ内の架橋密度とに影響を及ぼす。非常に高い架橋度を有するポリマを生成することは、ポリマのより高い極限応力に寄与し、また、ポリマを、より脆くする。一方、より少ない架橋を発生しつつ、より多い連鎖成長重合が発生することを可能にすることは、展延性の増大に寄与するが、ポリマの極限強度を低下させる可能性がある。したがって、ポリマが形成する条件を調整することは、ポリマの特性を調整するのに重要である。
【0160】
硬化プロセスが完了した後に、部品の硬化度を評価する方法(例えば、サーモグラフィ解析)は存在するが、現在、製造中にその場で硬化プロセスを非破壊的に解析する方法は存在しない。さらに、サーモグラフィ解析は、部品の周りの周囲要素の熱が、赤外線カメラによって捉えられるので、薄い部品に使用されることができず、しばしば、部品の硬化状態の誤解を招く特徴付けにつながる。したがって、部品のリアルタイムの超音波モニタリング及び/又はスキャンは、硬化プロセスが、リアルタイムで調整されることを可能にし、タイムリー且つしばしば無駄な「ゲスアンドチェック(guess and check)」タイプのフィードバックループの必要性を排除することができるので、有利である。
【0161】
いくつかの部品は、制御された熱及び/又は圧力環境に曝されず、したがって、それらの硬化時間は、部品が適切であるか否かを判定するのに最も重要である。制御可能な環境外の製造プロセスに関して、温度、湿度、及び圧力はしばしば、より長い期間は言うまでもなく、1日の間に大きく変化する。そのため、1つの部品は、製造中の温度及び圧力の変動に依存して、例えば、7時間後に適切に硬化されることがあり、同一の部品は、8時間後に適切に硬化されることがある。今のところ、製造者は、各部品に共通の時間量を選択し、硬化プロセスにおいてより低い精度を受け入れるが、部品がリアルタイムで解析されることを可能にすることは、各部品がほぼ最適に冷却されることを可能にし得る。他のプロセスに関して、熱及び圧力の負荷を調整するために開始されたフィードバック制御ループを提供することは、所望の硬化状態を実現するのに役立ち得る。さらに、いくつかの硬化プロセスは、非常に短い時間スケールにわたって発生する(例えば、10分未満)。適切な硬化を保証するために、これらのプロセスの多くは、高度に制御された環境を使用し、最適な硬化パラメータを判定するために、複数の部品を試験する。本システムでは、硬化プロセスは、リアルタイムで最適化されることができ、つまり、硬化プロセスを改善するために、無駄になる部品が、より少なくて済むことを意味する。
【0162】
部品を生産するために使用される製造方法に依存して、部品が適切に硬化されるか否かを判定するための重要なパラメータは、部品が製造中及び/又は製造後に保持される温度と、部品が製造中及び/又は製造後に保持される圧力と、硬化プロセスを実行するのに要する時間とを含む。例えば、部品をより高い温度に曝すことは、材料をより硬化させ、したがって、より硬く、より脆くさせ、これは、部品に依存して、望ましいことがあり、或いは望ましくないことがある。一方、例えば、部品をより低い温度に曝すことは、材料を硬化しにくくさせ、より硬化された材料よりも強度を低くし、これは、部品に依存して、望ましいことがあり、或いは望ましくないことがある。したがって、試験対象物が適切に硬化されるか、或いは不適切に硬化されるかの両方を評価することができるシステムが必要とされる。
【0163】
一実施形態では、超音波エミッタプローブは、硬化プロセス中、制御された熱環境に挿入される。超音波エミッタプローブは、加熱中、超音波を試験対象物に照射する。材料によって反射された波は、超音波レシーバプローブによって捕捉され、システムによって処理され、硬化プロセスの時間にわたって硬化度に関するデータを生成する。硬化度は、信号セントロイドと結合された超音波レシーバプローブによって受信されたデータの減衰度によって評価され、剛性はまた、信号セントロイド及びエネルギー解析を使用して評価される。材料の硬化度及び材料の剛性の両方を求めることによって、材料の強度はまた、所与のポリマ系に関して判定されることができる。一実施形態では、超音波エミッタプローブ及び超音波レシーバプローブは、同じデバイスである。一実施形態では、システムは、制御された熱環境のための制御ユニットと通信し、硬化プロセスに使用される制御された熱環境の熱及び/又はタイミングは、硬化プロセスが進行している間に生成されたデータに基づいて、自動的に調整される。別の実施形態では、システムは、硬化ツールのための制御ユニットと接続し、硬化プロセスに使用される硬化ツールの熱及び/又はタイミングは、硬化プロセスが進行している間に生成されたデータに基づいて、自動的に調整される。
【0164】
別の実施形態では、超音波エミッタプローブは、制御された熱環境の外側に配置され、硬化プロセスが完了した直後に、超音波を試験対象物に照射する。システムは、反射された超音波に基づいて、試験材料の硬化度に関するデータを生成する。一実施形態では、システムは、制御された熱環境のための熱制御ユニットに接続され、データは、後続の硬化反復に関する温度、圧力、及び/又は時間を自動的に調整するために使用される。別の実施形態では、ユーザは、システムによって生成されたデータに基づいて、制御された熱環境のための熱制御ユニットを手動で更新する。
【0165】
本発明は、連続スキャンと、部品上の特定の位置でのモニタリングとの両方を使用して、硬化プロセス中の部品を検査することができる。一実施形態では、図37に示されるように、硬化中の部品405は、ツール410上に配置される。ツール410は、少なくとも1つの音響窓415を有し、音響窓415は、典型的に、ツール410を構築するアルミニウム又は他の金属ではなく、検査される樹脂の材料特性とより緊密に一致する材料で作られたツール410のセクションである。音響窓415を利用することは、音響窓415が、波を金属基板よりも遅く伝播する可能性があるので、解析中にツール410を部品405から分離するのに役立つ。トランスデューサ420は、その位置で部品405を連続的に監視するために、少なくとも1つの音響窓415に隣接して配置される。一実施形態では、部品405は、バギング材料425でカバーされる。一実施形態では、トランスデューサ420は、ケーブル430を介して、パルサレシーバに接続される。一実施形態では、トランスデューサ420は、音響ゲル435を介して音響窓415に結合された、接触型トランスデューサである。別の実施形態では、トランスデューサは、内部カップリング流体(例えば、水)チャンバを有する携帯型トランスデューサハウジングの一部である。より大きい部品に関して、2つ以上の音響窓及び2つ以上のトランスデューサを利用することは、より大きい表面積が、硬化度が部品内の全ての位置で同じであり得る可能性を減少させるので、有利である。
【0166】
スキャンの一実施形態では、1つ又は複数のトランスデューサは、部品の実質的な部分又は全てを連続的にスキャンするために使用される。部品上の1つ又は複数の特定の位置で監視するのではなく、スキャンの実施形態は、部品全体をリアルタイムで検査する。実質的に部品の全てをスキャンすることによって、部品の大部分がおおよそ同じ硬化度であり得るという原則への依存がなく、つまり、硬化プロセスに関する決定がより正確に微調整されることができることを意味する。
【0167】
一実施形態では、超音波が試験対象物に伝達されるとき、いくつかの波は、接着剤層と、隣接する固体層との間の境界で反射し、他の波は、試験対象物を囲むバギング材料で反射する。試験対象物から収集された、戻ってきた平均Aスキャンの振幅に基づいて、試験は、各接着剤層が適切に硬化されるか否かを判定することができる。これは、米国特許第6,945,111号において見出されることのような、接着剤の硬化を評価する他の既存の方法とは直接的に相反しており、この方法は、プローブが、接着剤の適切な硬化状態と不適切な硬化状態とを区別するのに十分な明確な振幅を得るために、接着剤領域と直接的に強固に接触しており、バッキング材のみに反射することを必要とする。また、第6,945,111号に記載されることのような方法と異なり、本システムが、複合材料の層内の樹脂の硬化状態及び/又は複合材料の隣接する層間の接着剤の硬化状態を判定し、複合材料内のハニカムパターン内の接着剤の硬化状態を判定しないことに留意されたい。実際、既存の方法は、複合材料の硬化を評価するために、必要とされる高度に特殊なセットアップによって制限され、つまり、概して、そのような製造システムに使用される試験機器は、他のデバイスに適合されることができないことを意味する。
【0168】
さらに、本発明のシステムは、液体結合型トランスデューサ、具体的には、本明細書に記載される携帯型トランスデューサハウジングシステムを使用して、複合材料の硬化度を評価することができる。既存のシステムは、液体カプラントが製造プロセス中に試験対象物と直接接触して設置されるとき、より容易に蒸発し、或いは硬化プロセスを損傷するので、試験対象物の硬化度を評価するために、液体カプラントを使用することを避ける。このため、典型的に、既存のシステムは、トランスデューサと試験対象物との間に少量の音響ゲルを使用し得る完全固体カップリング、空気カップリング、又は接触型トランスデューサを使用する。しかしながら、これらの方法の各々は、例えば、水カップリングされた球状集束型トランスデューサと比較して、その分解能において非常に制限される。さらに、球状集束型トランスデューサを使用することは、より高い周波数、より高いエネルギー画像を可能にし、部品に関して、より高い質のデータを提供する。したがって、本システムは、試験対象物の硬化度に関して試験するとき、特に、試験対象物の複数の層の硬化度に関して同時に試験するとき、精度の向上を提供する、より高い周波数を可能にする。
【0169】
一実施形態では、システムは、スキャンが完了した後、試験対象物の3Dグラフィカル画像を生成するように動作可能である。一実施形態では、3Dグラフィカル画像は、色分けを含み、あまり高度に硬化されていない領域を例えば青として示し、より高度に硬化された領域を例えば赤として示し、中程度に硬化された領域を例えば緑として示す。任意の着色スキームが3Dグラフィカル画像に使用されることができ、差分シェーディングなどの、硬化度の他の表示がまた、使用されることができることに留意されたい。
【0170】
一実施形態では、示差走査熱量測定(DSC)は、材料の超音波Aスキャンの結果と硬化度の相関を判定するために、個々のポリマの樹脂のサンプルについて使用される。DSCを所与の材料に実行することによって、システムは、材料の硬化度のリアルタイム評価を提供するために、このデータをトランスデューサから取得されたデータと整合することができる。一実施形態では、システムは、ポリマのデータベースを含み、各々のポリマは、それら独自のDSCの判定された硬化プロファイルを有する。
【0171】
(9.層の配向)
参照により本明細書に援用される、米国特許第10,697,941号で議論されるように、複合材料積層材などの試験材料はしばしば、方向依存性の材料特性を有する個々の層から成る。例えば、繊維が個々の薄層内で一方向性或いは2D織りであるか否かに基づいて、また、その薄層内の繊維トウの配向に基づいて、材料はしばしば、薄層内の異なる方向に沿って異なる特性(例えば、引張強度、圧縮強度、熱伝導率、電気伝導率)を有し得る。
【0172】
現在、超音波試験システム及びプロセスの大部分は、試験材料の各薄層のプライ配向を判定することができない。代わりに、いくつかの研究は、プライ配向を判定するために、コンピュータ断層撮影(CT)画像の使用を提案している。しかしながら、CTスキャンは、高い初期投資費用を必要とし、大きい部品に使用されることは非現実的である。
【0173】
一実施形態では、システムは、複合材料の個々の層内の繊維トウの相対配向を判定することができる。一連のAスキャンは、試験材料の領域に関して生成される。一連のAスキャンの各々に関して、複数のゲートが選択される。複数のゲートは、試験材料の個々の薄層よりも小さく、しばしば、試験材料の薄層の厚さの1/10と同じくらい小さく選択される。複数のゲートの各々に関して、Cスキャンは、所与のゲートで、Aスキャンの各々の振幅データから生成される。ユーザは、図38及び図39に示されるCスキャンのような、平滑化されたCスキャンデータを見ることができる。一実施形態では、2次元(2D)高速フーリエ変換(FFT)は、Cスキャンデータに適用され、図40及び図41に示されるもののような、より明確なCスキャン表示を生成する。図40に図示されるように、基準線に対してゼロ度の配向を有する繊維402は、明確に識別可能である。図41に図示されるように、基準線に対してゼロ度でない配向を有する繊維404はまた、明確に識別可能である。別の実施形態では、次いで、システムは、ラドン変換、ウェーブレット変換、ハフ変換、固有値解析、及び/又は他のデータ変換を使用し、Cスキャンを利用する主な繊維方向を判定する。Cスキャンデータの変換は、ユーザが、各生成されたCスキャンにおける繊維トウの配向を、隣接するCスキャンデータに対して判定することに加えて、材料の各層の各プライの厚さを個々に判定することを可能にする。一実施形態では、各生成されたCスキャンにおける繊維トウの平均プライ厚さ及び配向の値は、自動的に生成される。一実施形態では、複合材料の各層の厚さを取得することは、材料の音速が取得される第1のキャリブレーションステップを含む。別の実施形態では、試験対象物の総厚さが既知である場合、第1のキャリブレーションステップは、必要とされない。音速が既知であるか、或いは材料の総厚さが既知であるとき、図19に示されるもののような、平均Aスキャン102は、層の厚さの数を取得するために、十分な情報を提供する。とりわけ、本発明の方法は、2D織り薄層を有する複合材料の繊維配向を見つけることができ、既存の方法は、提供することができない。
【0174】
Cスキャンデータについての2D FFTの使用は、ラドン変換などの、他の変換の使用よりも実証可能な利点を提供することができる。例えば、他の変換はしばしば、複合材料の複数の異なる隣接する薄層からピークを示し、つまり、頻繁に、個々の層の繊維配向が混同することを意味する。さらに、2D FFTの使用は、計算上、多くの他の変換よりも簡単であり、処理を完了するためにコンピュータによって必要とされる時間及びメモリを軽減する。思いがけなく、2D FFTはまた、繊維配向の微妙な変化に対して、より高い感度を有することに起因して、個々の薄層の角度に関する、より高い精度を可能にする。
【0175】
別の実施形態では、システムはまた、サンプルの層の数、各層の厚さ、各層の繊維の織り方、及び/又は総厚さを含む、複合材料の積層に関する他の特性を判定することができる。
【0176】
(10.湾曲された部品)
非破壊試験において出くわす1つの一般的な問題は、試験対象物が平面を有さないときである。いくつかの試験対象物は、1つの方向において正又は負の曲率を有するが、第2の方向においてゼロの曲率を有する(例えば、円筒のバレル)。他の試験対象物は、2つ以上の方向において正又は負の曲率を有する(例えば、球体)。湾曲された部品は、いくつかの課題を超音波スキャンにもたらす。まず、湾曲された部品はしばしば、部品の異なる位置で異なる厚さ及び/又は他の特性を有する。したがって、単に、接触型トランスデューサを使用して、部品を別個の位置で試験することは、部品を完全且つ適切に特徴付けることができない。頻繁に、湾曲された部品の厚さは、1つ又は複数のプライが、部品の1つの領域から部品の次の領域へとドロップするので、部品の長さに沿って変化する。浸漬タンクの外側では、現在の超音波試験システムは、部品の長さに沿ってこのプライドロップを検出するために、必要な精度を欠く。
【0177】
さらに、部品の領域にわたってスキャンするために最も一般的に使用されるシステムは、フェーズドアレイシステムである。しかしながら、フェーズドアレイシステムは、アレイが、データを適切に取得するために、部品の表面に垂直な方向に向けられたトランスデューサを有することを必要とする。特に、これは、フェーズドアレイデバイスが、部品の曲率に従うように特別に設計されることを必要とし、しばしば、法外に高価であり、時間がかかり得るので、2つ以上の方向に湾曲する部品に関して問題をもたらす。さらに、フェーズドアレイデバイスが、特定の位置で部品の曲率と一致するように設計されていても、依然として、より複雑な曲率(例えば、部品の長さに沿って変化する曲率)を有する部品は、フェーズドアレイシステムによってスキャン可能でないだろう。
【0178】
本システムは、浸漬タンク内又は浸漬タンク外の湾曲された部品を、高い精度でスキャンすることができる。単一のトランスデューサのみが本システムに必要とされるので、各部品に関して新しいフェーズドアレイシステムを再設計する必要があるという問題はない。さらに、フェーズドアレイシステムは、部品の曲率と一致するために高い精度を必要とするが、本システムは、より高い公差を有し、トランスデューサが部品の表面に垂直であるか、或いは垂直から7度未満である限り、トランスデューサが部品を効率的にスキャンすることを可能にする。一実施形態では、非平面表面を有する部品をスキャンするために使用される主なトランスデューサは、オフセットトランスデューサとペアにされる。オフセットトランスデューサは、主なトランスデューサが特定の位置で部品の表面に垂直な軸に対してどのくらい遠くに向けられているかを判定するために、超音波を照射し、受信する。次いで、システムは、主なトランスデューサが、オフセットトランスデューサから受信したデータに基づいて、部品に沿って次の位置をスキャンする角度を調整する。別の実施形態では、タップ試験は、主なトランスデューサの位置決めを調整するために、所与の位置で部品の表面の相対配向を判定するために使用される。さらに別の実施形態では、フラッシュサーモグラフィは、主なトランスデューサの位置決めを調整するために、所与の位置で部品の表面の相対配向を判定するために使用される。
【0179】
システムにおいて使用される主なトランスデューサは、5MHz-15MHzの間の、高周波で動作することができるので、現在の接触型トランスデューサシステムにおいて実現することができない精度の度合いを実現することができる。したがって、現在の接触型トランスデューサと異なり、本システムは、部品の長さに沿ってプライドロップを検出するのに十分な高い精度で、部品全体をスキャンすることができる。一実施形態では、システムは、非平面表面を有する部品の特定の層(例えば、接着剤接合層)の深さ及び厚さに対応する値のセットを生成するように動作可能である。一実施形態では、システムは、部品の各位置でのプライの数を提供するように動作可能である。一実施形態では、システムは、部品の3Dグラフィックを生成するように動作可能であり、部品に沿った各位置での部品全体及び/又は部品の1つ又は複数の個々の層の厚さ値を提供することを含む。一実施形態では、各位置に沿った部品の厚さは、その位置での部品の表面の色分けによって示される。
【0180】
図42は、本発明の一実施形態の概略ダイアグラムであり、ネットワーク810と、複数のコンピューティングデバイス820、830、840と、サーバ850と、データベース870とを有する、概して800として記載されるコンピュータシステムを図示する。
【0181】
サーバ850は、複数のコンピューティングデバイス820、830、840とネットワーク810を介した通信を可能にするように構築され、構成され、結合されている。サーバ850は、オペレーティングシステム852を有する処理ユニット851を含む。オペレーティングシステム852は、サーバ850が、リモートで分散されたユーザデバイスとネットワーク810を介して通信することを可能にする。データベース870は、オペレーティングシステム872と、メモリ874と、プログラム876とを収容するように動作可能である。
【0182】
本発明の一実施形態では、システム800は、無線通信アンテナ812を介した分散通信、及び少なくとも1つのモバイル通信コンピューティングデバイス830によって処理するためのネットワーク810を含む。代替的に、本明細書に記載されるデバイスとコンポーネントとの間の無線及び有線の通信及び接続性は、WI-FI、WORLDWIDE INTEROPERABILITY FOR MICROWAVE ACCESS(WIMAX)、RF識別(RFID)、NEAR FIELD COMMUNICATION(NFC)などの無線周波数(RF)通信、BLUETOOTH LOW ENERGY(BLE)を含むBLUETOOTH(登録商標)、ZIGBEE(登録商標)などの無線ネットワーク通信;赤外線(IR)通信;セルラー通信;衛星通信;ユニバーサルシリアルバス(USB);イーサネット通信;光ファイバーケーブル、同軸ケーブル、ツイストペアケーブルを介した通信;及び/又は任意の他のタイプの無線通信又は有線通信を含む。本発明の別の実施形態では、システム800は、コンピューティングデバイス820、830、840上で本明細書に提示されるソフトウェア及び/又はアプリケーションコンポーネントの任意或いは全ての態様を実行することができる仮想化コンピューティングシステムである。特定の態様では、コンピュータシステム800は、専用のコンピューティングデバイスにおいて、或いは別のエンティティに統合され、或いは複数のエンティティ又はコンピューティングデバイスを介して分散されるかのいずれかで、ハードウェア、又は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせを使用して実装されるように動作可能である。
【0183】
限定ではなく例として、コンピューティングデバイス820、830、840は、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、デスクトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、ワークステーション、ラップトップ、及び他の同様のコンピューティングデバイスなどの、少なくとも1つのプロセッサ及び1つのメモリを含む電子デバイスの様々な形式を表すことを意図される。本明細書に示されるコンポーネントと、それらの接続及び関係と、それらの機能とは、例示的であることのみを意図され、本願において記載され、且つ/或いは請求される本発明の実装形態を限定することを意図されない。
【0184】
一実施形態では、コンピューティングデバイス820は、プロセッサ860と、ランダムアクセスメモリ(RAM)864及びリードオンリーメモリ(ROM)866を有するシステムメモリ862と、メモリ862をプロセッサ860に結合するシステムバス868となどのコンポーネントを含む。別の実施形態では、コンピューティングデバイス830は、オペレーティングシステム892と、1つ又は複数のアプリケーションプログラム894を格納するためのストレージデバイス890、ネットワークインタフェースユニット896、及び/又は入出力コントローラ898となどのコンポーネントを追加的に含むように動作可能である。コンポーネントの各々は、少なくとも1つのバス868を介して互いに結合されるように動作可能である。入出力コントローラ898は、英数字入力デバイス、マウス、電子スタイラス、表示ユニット、タッチスクリーン、信号発生デバイス(例えば、スピーカ)、又はプリンタを含むが、それらに限定されない、多数の他のデバイス899から入力を受信して処理し、或いは多数の他のデバイス899に出力を提供するように動作可能である。
【0185】
限定ではなく例として、プロセッサ860は、汎用マイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、グラフィックスプロセシングユニット(GPU)、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、コントローラ、ステートマシン、ゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は、計算、実行のための処理命令、及び/又は情報の他の操作を実行し得る任意の他の適切なエンティティ又はその組み合わせであるように動作可能である。
【0186】
図42の840として示される、別の実装形態では、複数のプロセッサ860及び/又は複数のバス868は、複数のタイプの複数のメモリ862(例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併用した1つ又は複数のマイクロプロセッサ)と共に、適宜使用されるよう動作可能である。
【0187】
また、複数のコンピューティングデバイスは、接続されるように動作可能であり、各デバイスは、必要な動作の一部分を提供する(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、又はマルチプロセッサシステム)。代替的に、いくつかのステップ又は方法は、所与の機能に特化する回路によって実行されるように動作可能である。
【0188】
様々な実施形態によれば、コンピュータシステム800は、ネットワーク810を介して、ローカル及び/又はリモートコンピューティングデバイス820、830、840への論理接続を使用して、ネットワーク環境において動作するように動作可能である。コンピューティングデバイス830は、バス868に接続されたネットワークインタフェースユニット896を介してネットワーク810に接続するように動作可能である。コンピューティングデバイスは、有線ネットワーク、直接有線接続、又は、音響、RF、或いは赤外線などの無線を介して、ネットワークアンテナ812及びネットワークインタフェースユニット896と通信するアンテナ897を介して、通信媒体を通信するように動作可能であり、必要とあればデジタル信号処理回路を含むように動作可能である。ネットワークインタフェースユニット896は、様々なモード又はプロトコル下で、通信を提供するように動作可能である。
【0189】
1つ又は複数の例示的な態様では、命令は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装されるように動作可能である。コンピュータ可読媒体は、オペレーティングシステム、データ構造、プログラムモジュール、アプリケーション、又は本明細書に記載される任意の1つ又は複数の方法論又は機能を具現化する他のデータなどの、1つ又は複数の命令セットに関する揮発性或いは不揮発性のストレージを提供するように動作可能である。コンピュータ可読媒体は、メモリ862、プロセッサ860、及び/又はストレージ媒体890を含むように動作可能であり、1つ又は複数のセットの命令900を格納する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中又は分散コンピュータシステム)であるように動作可能である。非一時的コンピュータ可読媒体は、全てのコンピュータ可読媒体を含み、唯一の例外は、それ自体が一時的な、伝播する信号である。さらに、命令900は、通信媒体としてネットワークインタフェースユニット896を介してネットワーク810上で送信され、或いは受信されるように動作可能であり、搬送波などの変調データ信号又は他の搬送機構を含むように動作可能であり、任意の配信メディアを含む。用語「変調データ信号」は、情報を信号に符号化するような方法で、1つ又は複数の、変更され、或いは設定されたその特性を有する信号を意味する。
【0190】
ストレージデバイス890及びメモリ862は、キャッシュ、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、FLASHメモリ、又は他のソリッドステートメモリ技術などの揮発性及び不揮発性の媒体;ディスク(例えば、デジタル多用途ディスク(DVD)、HD-DVD、BLU-RAY(登録商標)、コンパクトディスク(CD)、又はCD-ROM)又は他の光学ストレージ;磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、フロッピーディスク、又は他の磁気ストレージデバイス;又はコンピュータ可読命令を格納するために使用されることができ、コンピュータシステム800によってアクセスされることができる任意の他の媒体を含むが、それらに限定されない。
【0191】
一実施形態では、コンピュータシステム800は、クラウドベースのネットワーク内にある。一実施形態では、サーバ850は、分散コンピューティングデバイス820、830、及び840の指定された物理サーバである。一実施形態では、サーバ850は、クラウドベースのサーバプラットフォームである。一実施形態では、クラウドベースのサーバプラットフォームは、分散コンピューティングデバイス820、830、及び840のサーバレス機能をホストする。
【0192】
別の実施形態では、コンピュータシステム800は、エッジコンピューティングネットワーク内にある。サーバ850は、エッジサーバであり、データベース870は、エッジデータベースである。エッジサーバ850及びエッジデータベース870は、エッジコンピューティングプラットフォームの一部である。一実施形態では、エッジサーバ850及びエッジデータベース870は、分散コンピューティングデバイス820、830、及び840に指定される。一実施形態では、エッジサーバ850及びエッジデータベース870は、分散コンピューティングデバイス820、830、及び840に指定されない。分散コンピューティングデバイス820、830、及び840は、プロキシミティ、利用可能性、レイテンシ、帯域幅、及び/又は他のファクタに基づいて、エッジコンピューティングネットワーク内のエッジサーバに接続する。
【0193】
また、コンピュータシステム800が、図42に示される全てのコンポーネントを含まないように動作可能であり、図42に明示的に示されていない他のコンポーネントを含むように動作可能であり、或いは図42に示されるものとは完全に異なるアーキテクチャを利用するように動作可能であることを企図される。本明細書に開示された実施形態に関連して記載される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、要素、回路、及びアルゴリズムは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実装されるように動作可能である。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を明確に図示するために、概して、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及びステップは、それらの機能性の観点から上述された。そのような機能性がハードウェア又はソフトウェアとして実装されるか否かは、システム全体に課される特定の用途及び設計制約に依存する。熟練した技術者は、各特定のアプリケーションに関する様々な方法で、記載される機能性を実装してもよいが(例えば、異なる順序で配置され、或いは異なる方法で分割される)、そのような実装決定は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈されるべきでない。
【0194】
上述された本発明の1つ又は複数の態様を利用する他の及びさらなる実施形態は、出願人の発明の趣旨から逸脱することなく、考案され得る。例えば、様々なシール及びシール構成は、コンポーネントを密閉し、トランスデューサハウジングアセンブリ内のチャンバを形成することができ、様々な変換デバイスは、空間内でコンポーネント表面に沿ってトランスデューサハウジングアセンブリを移動するために使用されることができ、様々なクイックディスコネクト構成は、レンズハウジングを取り付けるために使用されることができ、(組み合わせられ、或いは別個の)様々な超音波信号発生及び受信デバイスは、トランスデューサから信号を送信し、且つ/或いは受信するために使用されることができ、同様のことは、トランスデューサハウジングアセンブリを形成するために使用されることができ、他のシステム機器は、他の変更と共に、特許請求の範囲内に維持するように生じ得る。
【0195】
複合材料は、1つの単一の材料を形成するために結合された2つ以上の材料を含む。複合材料は、接着剤なしで接合された2つ以上の別個の材料に加えて、接着剤接合層によって接合された2つ以上の別個の材料を含む。例えば、複合材料は、2つ以上の等方性材料を接合することによって生成された材料、2つ以上の異方性材料を接合することによって生成された材料、又は等方性材料を異方性材料と接合することによって生成された材料を含む。限定ではなく例として、複合材料は、ファイバーグラス、炭素繊維、又は他の繊維強化ポリマなどの、強化プラスチック材料を含む。さらに、限定ではなく例として、複合材料はまた、複合木材、鉄筋コンクリート、及び金属複合材料上の金属を含む。例えば、複合材料は、アルミニウムの2つ以上の層を含む材料を含む。
【0196】
上述された実施例は、本発明の態様を明確にする目的に供するために提供され、本発明の範囲を限定するのに供するものではないことが、当業者にとって明らかであろう。本来、本発明は、高度に調整可能であり、カスタマイズ可能であり、適応可能である。上述された実施例は、言及されたコンポーネントが取り得る多くの構成のいくつかに過ぎない。全ての変更及び改良は、簡潔さ及び読みやすさのために本明細書では削除されているが、適切に本発明の範囲内である。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図10
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【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、
前記超音波トランスデューサによって受信した前記超音波に基づいて、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層の長さ及び幅に沿った各位置で、前記少なくとも1つの接合層の厚さに対応する複数の値を生成し、
前記プロセッサは、規定された間隔で、前記試験対象物の複数のAスキャンを生成し、前記試験対象物の各Aスキャンの全波形を受信し、
前記全波形に基づいて、前記プロセッサは、前記試験材料の異なる深さに対応する複数のBスキャンを生成し、一連のBスキャンの各々の最大強度値を計算し、
前記プロセッサは、前記表示手段を介して、前記少なくとも1つの接合層の分離された、3次元グラフィカル表示を生成して提示する、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、複数の材料に関する情報を含む材料データベースと通信し、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層の材料を前記複数の材料の少なくとも1つと一致させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記複数の材料の前記少なくとも1つを含むリストを生成し、各材料は、前記リスト内の各材料が前記少なくとも1つの接合層の前記材料と一致する可能性に対応する確率値を自動的に割り当てられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの接合層の前記グラフィカル表示は、下面表示から分離された上面表示を含み、前記少なくとも1つの接合層の前記グラフィカル表示は、動的に回転可能であり、且つ/或いはサイズ変更可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ、材料データベース、及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、
前記超音波トランスデューサによって受信した前記超音波に基づいて、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層の長さ及び幅に沿った各位置で、前記少なくとも1つの接合層の厚さに対応する複数の値を生成し、
前記プロセッサは、規定された間隔で、前記試験材料の複数のAスキャンを生成し、材料の各Aスキャンの全波形を受信し、
受信した前記全波形に基づいて、前記プロセッサは、前記試験材料の異なる深さに対応する複数のBスキャンを生成し、前記Bスキャンの各々の最大強度値を計算し、
前記材料データベースは、複数の材料に関する情報を含み、
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層の材料を前記複数の材料の少なくとも1つと一致させる、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項6】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、
前記超音波トランスデューサによって受信した前記超音波に基づいて、前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層の長さ及び幅に沿った各位置で、前記少なくとも1つの接合層の上面の深さに対応する第1の値セットと、前記少なくとも1つの接合層の下面の深さに対応する第2の値セットとを生成し、
前記プロセッサは、規定された間隔で、前記試験材料の複数のAスキャンを生成し、材料の各Aスキャンの全波形を受信し、
受信した前記全波形に基づいて、前記プロセッサは、前記試験材料の異なる深さに対応する複数のBスキャンを生成し、前記Bスキャンの各々の最大強度値を計算する、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項7】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記スキャンデータは、前記照射された超音波の波形全体を含み、
前記試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、
前記プロセッサは、前記表示手段を介して、前記1つ又は複数のギャップ領域を含む前記少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示し、
前記1つ又は複数のギャップ領域の前記相対位置を提供することは、前記試験対象物内の前記1つ又は複数のギャップ領域の各々の位置に対応する少なくとも1つの3次元(3D)座標を提供することを含み、
前記プロセッサは、前記1つ又は複数のギャップ領域のエッジを示す複数の境界座標を自動的に提供する、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、キャリブレーションブロックの使用なしに、前記少なくとも1つの接合層内の前記1つ又は複数のギャップ領域の前記相対位置を特定し、提供するように動作可能である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの接合層の前記グラフィカル表示は、前記1つ又は複数のギャップ領域に対応する1つ又は複数の色分けされた領域を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、トランスデューサハウジングアセンブリのカップリング流体充填チャンバ内に配置され、
前記超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、
前記プロセッサは、前記表示手段を介して、前記1つ又は複数のギャップ領域を含む前記少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示し、
前記1つ又は複数のギャップ領域の前記相対位置を提供することは、前記試験対象物内の前記1つ又は複数のギャップ領域の各々の位置に対応する少なくとも1つの3次元(3D)座標を提供することを含み、
前記プロセッサは、前記1つ又は複数のギャップ領域のエッジを示す複数の境界座標を自動的に提供する、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項11】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、スキャンデータを生成するために、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、少なくとも1つの接合層が2つの隣接するコンポーネント間に配置された、複数のコンポーネントを含み、
前記プロセッサは、前記試験対象物内の複数の接合層内の1つ又は複数のギャップ領域の相対位置を特定し、提供するように動作可能であり、
前記プロセッサは、前記表示手段を介して、前記1つ又は複数のギャップ領域を含む前記少なくとも1つの接合層のグラフィカル表示を生成して提示し、
前記1つ又は複数のギャップ領域の前記相対位置を提供することは、前記試験対象物内の前記1つ又は複数のギャップ領域の各々の位置に対応する少なくとも1つの3次元(3D)座標を提供することを含み、
前記プロセッサは、前記1つ又は複数のギャップ領域のエッジを示す複数の境界座標を自動的に提供する、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項12】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信するトランスデューサハウジングアセンブリであって、
超音波トランスデューサは、前記トランスデューサハウジングアセンブリ内の密閉された流体チャンバ内に配置され、
前記超音波トランスデューサは、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、層状複合材料を含み、
前記超音波トランスデューサは、球状集束型超音波トランスデューサであり、
前記プロセッサは、前記試験対象物内の異物の面積及び特徴的な長さを生成し、
前記異物は、6mmよりも小さい特徴的な長さを有し、
前記異物の前記生成された特徴的な長さは、前記異物の真の特徴的な長さと0.5mm未満だけ異なり、
前記プロセッサは、複数の材料に関する情報を含む材料データベースと通信し、前記プロセッサは、前記異物の材料を前記複数の材料の少なくとも1つと一致させ、
前記プロセッサは、前記複数の材料の前記少なくとも1つを含むリストを生成し、前記プロセッサは、前記リスト内の各材料が前記異物の前記材料と一致する可能性に対応する確率値を自動的に割り当てて表示する、前記トランスデューサハウジングアセンブリを含む、
システム。
【請求項13】
前記試験対象物は、複数の層を含み、前記プロセッサは、試験面からの前記異物の深さと、前記異物が前記複数の層のうちのどの層を介して延在するかとを含む情報を提供するように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
複数のAスキャンは、前記試験対象物の複数の深さに関して生成され、前記複数の深さの各々での前記異物の境界は、前記複数の深さの各々での前記複数のAスキャンの振幅の勾配をマッピングすることによって判定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信するトランスデューサハウジングアセンブリであって、
超音波トランスデューサは、前記トランスデューサハウジングアセンブリ内の密閉された流体チャンバ内に配置され、
前記超音波トランスデューサは、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、層状複合材料を含み、
前記プロセッサは、前記試験対象物内の異物の面積及び特徴的な長さを生成し、
前記プロセッサは、前記異物を含む、前記試験対象物の3次元(3D)グラフィカル表示を生成し、前記3次元グラフィカル表示は、前記表示手段を介して表示され、
人工知能モジュールは、前記3次元グラフィカル表示上で前記異物を自動的に強調し、
前記プロセッサは、複数の材料に関する情報を含む材料データベースと通信し、前記プロセッサは、前記異物の材料を前記複数の材料の少なくとも1つと一致させ、
前記プロセッサは、前記複数の材料の前記少なくとも1つを含むリストを生成し、前記プロセッサは、前記リスト内の各材料が前記異物の前記材料と一致する可能性に対応する確率値を自動的に割り当てて表示する、前記トランスデューサハウジングアセンブリを含む、
システム。
【請求項16】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記試験対象物は、層状複合材料を含み、
前記プロセッサは、前記試験対象物内の異物の面積及び特徴的な長さを生成し、
複数のAスキャンは、前記試験対象物の複数の深さに関して生成され、前記複数の深さの各々での前記異物の境界は、前記複数の深さの各々での前記複数のAスキャンの振幅の勾配をマッピングすることによって判定され、
前記異物は、6mmよりも小さい特徴的な長さを有し、
前記異物の前記生成された特徴的な長さは、前記異物の真の特徴的な長さと0.5mm未満だけ異なり、
前記プロセッサは、複数の材料に関する情報を含む材料データベースと通信し、前記プロセッサは、前記異物の材料を前記複数の材料の少なくとも1つと一致させ、
前記プロセッサは、前記複数の材料の前記少なくとも1つを含むリストを生成し、前記プロセッサは、前記リスト内の各材料が前記異物の前記材料と一致する可能性に対応する確率値を自動的に割り当てて表示する、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項17】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記プロセッサは、前記試験対象物の複数のAスキャンを生成し、
複数のゲート領域が選択され、その各々は前記試験対象物内の異なる深さ範囲を表し、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のゲート領域の各々に関してCスキャンを生成し、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のCスキャンの各々に関して損傷領域を判定し、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のCスキャンの各々に関して前記損傷領域の面積を生成し、
前記プロセッサは、前記複数のCスキャンの各々に関して前記損傷領域の3次元(3D)グラフィカル表示を生成し、前記表示手段を介して、前記グラフィカル表示を提示し、
前記超音波トランスデューサは、球状集束型トランスデューサであり、携帯型トランスデューサハウジングアセンブリのカップリング流体充填チャンバ内に配置され、
前記試験対象物の前記複数のゲート領域の各々に関する前記Cスキャンは、前記複数のAスキャンの各々の前記ゲート領域に関する絶対値の最大値を計算することによって生成される、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項18】
サーモグラフィスキャンデバイスであって、潜在的な損傷領域を見つけるために、前記試験対象物の最初のスキャンを実行する、前記サーモグラフィスキャンデバイスをさらに含み、前記超音波トランスデューサは、前記潜在的な損傷領域で動作する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサであって、
前記超音波トランスデューサは、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記プロセッサは、前記試験対象物の複数のAスキャンを生成し、
前記試験対象物は、複数の層を含み、
前記プロセッサは、前記試験対象物に関して平均Bスキャンを生成し、前記平均Bスキャンは、前記複数の層の各々の平均厚さを判定するために使用され、
複数のゲート領域が選択され、その各々は前記試験対象物内の異なる深さ範囲を表し、
前記複数のゲート領域は、前記複数の層の各々の前記平均厚さに基づいて選択され、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のゲート領域の各々に関してCスキャンを生成し、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のCスキャンの各々に関して損傷領域を判定し、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のCスキャンの各々に関して前記損傷領域の面積を生成し、
前記試験対象物の前記複数のゲート領域の各々に関する前記Cスキャンは、前記複数のAスキャンの各々の前記ゲート領域に関する絶対値の最大値を計算することによって生成される、前記超音波トランスデューサを含む、
システム。
【請求項20】
複合材料の非破壊試験のためのシステムであって、
プロセッサ及び表示手段と通信する超音波トランスデューサと、
フェーズドアレイ超音波スキャンデバイスと
を含み、
前記超音波トランスデューサは、超音波を試験対象物に照射し、超音波を前記試験対象物から受信するように動作可能であり、
前記フェーズドアレイ超音波スキャンデバイスは、前記試験対象物の最初のスキャンを実行し、前記超音波トランスデューサに関する潜在的な損傷領域を見つけ、後続してスキャンし、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記潜在的な損傷領域の複数のAスキャンを生成し、
複数のゲート領域が選択され、その各々は前記試験対象物内の異なる深さ範囲を表し、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のゲート領域の各々に関してCスキャンを生成し、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のCスキャンの各々に関して損傷領域を判定し、
前記プロセッサは、前記試験対象物の前記複数のCスキャンの各々に関して前記損傷領域の面積を生成し、
前記試験対象物の前記複数のゲート領域の各々に関する前記Cスキャンは、前記複数のAスキャンの各々の前記ゲート領域に関する絶対値の最大値を計算することによって生成される、
システム。
【国際調査報告】