IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシーの特許一覧

特表2024-500301自動化機器の無線遠隔制御のためのシステムおよび方法
<>
  • 特表-自動化機器の無線遠隔制御のためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-自動化機器の無線遠隔制御のためのシステムおよび方法 図2A
  • 特表-自動化機器の無線遠隔制御のためのシステムおよび方法 図2B
  • 特表-自動化機器の無線遠隔制御のためのシステムおよび方法 図3A
  • 特表-自動化機器の無線遠隔制御のためのシステムおよび方法 図3B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】自動化機器の無線遠隔制御のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G21D 3/00 20060101AFI20231226BHJP
   B23K 9/10 20060101ALI20231226BHJP
   B23K 9/095 20060101ALI20231226BHJP
   B23K 9/12 20060101ALI20231226BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231226BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20231226BHJP
   G21F 5/12 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G21D3/00 Z
B23K9/10 A
B23K9/095 515Z
B23K9/12 331F
H04Q9/00 301Z
G21F9/36 521Z
G21F5/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533738
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2021072713
(87)【国際公開番号】W WO2022120368
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】17/109,252
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ハーカウェイ、ジョン、エス
(72)【発明者】
【氏名】アモデオ、ジョゼフ、ピー
【テーマコード(参考)】
4E082
5K048
【Fターム(参考)】
4E082AA08
5K048BA22
5K048DA07
5K048DB02
5K048DC01
5K048DC03
5K048EB02
5K048EB15
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
本願は、自動化機器の遠隔制御のためのシステムおよび方法を開示する。当該システムおよび方法は、所定のプログラミングに基づく動作を行うことにより、制限された場所でプロセスを実行するように構成された自動化機器を含む。いくつかの実施形態では、当該プロセスは溶接プロセスであり、当該制限された場所は原子炉格納容器建屋である。当該システムと当該方法はまた、当該自動化装置とヒューマンマシンインターフェース(HMI)との間の動作パラメータの通信が可能なように構成されたセルラールータを含む。操作員は、HMIを使用して動作パラメータを変更することで、制限された場所の内部や現場にいなくても、自動化機器の動作を遠隔で変更することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化機器の遠隔制御のためのシステムであって、
所定のプログラミングに基づく動作を行うことにより、制限された場所でプロセスを実行するように構成された自動化機器と、
当該自動化機器に通信可能に結合され、当該制限された場所の外部に配置された第1のセルラールータと、
セルラーネットワークを使用して当該第1のセルラールータと通信するように構成され、当該第1のセルラールータから遠隔に配置された第2のセルラールータと、
当該第2のセルラールータに通信可能に結合された操作卓であって、当該所定のプログラミングの動作パラメータを変更することにより操作員が当該自動化機器の動作をリアルタイムで変更できるヒューマンマシンインターフェース(HMI)を含み、当該動作パラメータの変更が当該操作卓と当該自動化機器との間で通信される操作卓とを備え、
当該制限された場所の内部から当該制限された場所の外部へ無線信号を送信できない状態にあることを特徴とする、自動化機器の遠隔制御のためのシステム。
【請求項2】
前記自動化機器が、プロセスを監視し、映像信号を生成するように構成された少なくとも1台のカメラを含み、
前記操作卓が、当該映像信号に基づいて当該プロセスのリアルタイムビューを表示するビデオモニタを含み、当該プロセスの当該リアルタイムビューは、操作員が動作パラメータを変更しながら決定を下すのを支援するために使用されることを特徴とする、請求項1のシステム。
【請求項3】
請求項2のシステムであって、
前記自動化機器に通信可能に結合され、イーサネットにより動作パラメータの通信が可能なように構成されたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)をさらに含み、
当該PLCは前記少なくとも1台のカメラに通信可能に結合された映像切替装置をさらに備え、当該映像切替装置は前記少なくとも1台のカメラによって生成された前記映像信号を受信するように構成されており、
当該映像切替装置に通信可能に結合されたビデオエンコーダであって、当該映像切替装置から前記映像信号を受信し、イーサネットによる前記映像信号の通信を可能にするように構成されたビデオエンコーダと、
当該PLC、当該ビデオエンコーダ、および前記第1のセルラールータに通信可能に結合された第1のLANルータであって、当該PLC、当該ビデオエンコーダ、および前記第1のセルラールータの間でイーサネット通信を経路制御するように構成された第1のLANルータと、
前記第2のセルラールータ、前記操作卓、および当該ビデオデコーダに通信可能に結合された第2のLANルータであって、前記第2のセルラールータ、前記操作卓、および当該ビデオデコーダの間でイーサネット通信を経路制御するように構成された第2のLANルータとを含み、
当該ビデオデコーダは前記ビデオモニタに通信可能に結合され、当該ビデオデコーダは当該第2のLANルータからイーサネットによる前記映像信号の通信を受信し、HDMIにより前記映像信号を前記ビデオモニタに送信するように構成されていることを特徴とする、請求項2のシステム。
【請求項4】
請求項3のシステムであって、
前記第1のLANルータに通信可能に結合され、前記制限された区域の内部に配置された光ファイバ受信機と、
前記第1のセルラールータに通信可能に結合され、前記制限された区域の外部に配置された光ファイバ送信機を備え、
当該光ファイバ受信機と当該光ファイバ送信機は、光ファイバケーブルを介して前記制限された区域の内部から前記制限された区域の外部への通信が可能であることを特徴とする、請求項3のシステム。
【請求項5】
前記自動化機器がロボット溶接ヘッドを備え、前記プロセスが溶接プロセスであることを特徴とする、請求項2のシステム。
【請求項6】
前記プロセスのリアルタイムビューは溶接池の映像を含む、請求項5のシステム。
【請求項7】
前記操作員が変更する動作は、
溶接ワイヤの位置決めを操作して溶接池を制御することと、
溶接ワイヤの送給速度を調整して当該溶接池を制御することと、
タングステンの位置決めを調整して溶接アークを制御することと、
前記ロボット溶接ヘッドを操縦することのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項6のシステム。
【請求項8】
前記溶接プロセスは使用済燃料キャニスタに蓋を溶接するプロセスであり、前記制限された区域は原子力発電所の格納容器建屋であることを特徴とする、請求項5のシステム。
【請求項9】
前記第1のセルラールータおよび前記第2のセルラールータは、複数のセルラーネットワークを検出するようにさらに構成され、
前記第1のセルラールータと前記第2のセルラールータは、いずれかのセルラールータで信号消失が発生した場合に、当該複数のセルラーネットワークのうちの代替のセルラーネットワークを使用して自動的に通信することを特徴とする、請求項2のシステム。
【請求項10】
前記自動化機器は、前記複数のセルラーネットワークの全てについて信号消失が発生した場合に安全状態に移行するように構成されている、請求項9のシステム。
【請求項11】
自動化機器の遠隔制御のための方法であって、
所定のプログラミングに基づいて動作するように構成された自動化機器を用いて、制限された場所でプロセスを実行するステップと、
ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を含む操作卓と当該自動化機器との間で所定のプログラミングの動作パラメータを通信するステップとを含み、
当該制限された場所の外部に配置された第1のセルラールータが当該自動化機器に通信可能に結合されており、
当該第1のセルラールータから遠隔に配置された第2のセルラールータが当該操作卓に通信可能に結合されており、
当該制限された場所の内部から当該制限された場所の外部へ無線信号を送信できない状態にあり、
当該第1のセルラールータはセルラーネットワークを使用して当該第2のセルラールータと通信するように構成されており、
操作員はHMIを使用して、当該操作卓と当該自動化機器との間で通信される動作パラメータを変更することによって、当該自動化機器の動作をリアルタイムで変更することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11の方法であって、
自動化機器に備えられた少なくとも1台のカメラを使用して前記制限された場所でのプロセスを監視し、監視された当該プロセスに基づく映像信号を生成するステップと、
当該映像信号に基づいて、前記操作卓に備えられたビデオモニタに当該プロセスのリアルタイムビューを表示するステップを含み、
当該プロセスのリアルタイムビューは、操作員が動作パラメータを変更しながら決定を下すのを支援するために使用されることを特徴とする、請求項11の方法。
【請求項13】
請求項12の方法であって、
PLCコンソールと第1のLANルータとの間で前記動作パラメータを通信するステップをさらに含み、当該PLCコンソールは前記自動化機器に通信可能に結合され、当該PLCはイーサネットによる前記動作パラメータの通信を可能にするように構成されており、当該方法はさらに、
当該PLCに備えられた映像切替装置によって前記少なくとも1台のカメラからの前記映像信号を受信し、当該映像切替装置によって前記映像信号をビデオエンコーダへ送信するステップと、
イーサネットによる前記映像信号の通信を可能にするように構成された当該ビデオエンコーダによって、前記映像信号を当該第1のLANルータに送信するステップと、
当該第1のLANルータによって、当該PLC、当該ビデオエンコーダ、および前記第1のセルラールータの間のイーサネット通信を経路制御するステップと、
第2のLANルータによって、前記第2のセルラールータ、前記操作卓、および当該ビデオデコーダの間のイーサネット通信を経路制御するステップと、
当該ビデオデコーダによって前記映像信号をイーサネットにより受信し、当該ビデオデコーダによって前記映像信号をHDMIによりビデオモニタに送信するステップとからなる、請求項12の方法。
【請求項14】
前記制限された区域の内部から光ファイバケーブルを介して前記制限された区域の外部へ通信を行うステップをさらに含み、
前記制限された区域の内部に配置された光ファイバ受信機が前記第1のLANルータに通信可能に結合されており、
前記制限された区域の外部に配置された光ファイバ送信機が前記第1のセルラールータに通信可能に結合されていることを特徴とする、請求項13の方法。
【請求項15】
前記自動化機器がロボット溶接ヘッドを備え、前記プロセスが溶接プロセスであることを特徴とする、請求項12の方法。
【請求項16】
前記プロセスのリアルタイムビューは溶接池の映像を含む、請求項15の方法。
【請求項17】
前記自動化装置の動作を変更することは、
溶接ワイヤの位置決めを操作して溶接池を制御することと、
溶接ワイヤの送給速度を調整して当該溶接池を制御することと、
タングステンの位置決めを調整して溶接アークを制御することと、
前記ロボット溶接ヘッドを操縦することのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項16の方法。
【請求項18】
前記溶接プロセスは使用済燃料キャニスタに蓋を溶接するプロセスであり、前記制限された区域は原子力発電所の格納容器建屋であることを特徴とする、請求項15の方法。
【請求項19】
前記第1のセルラールータと前記第2のセルラールータによって複数のセルラーネットワークを検出するステップと、
前記のいずれかのセルラールータで信号消失が発生した場合に、当該複数のセルラーネットワークのうちの代替のセルラーネットワークを使用して自動的に通信するステップをさらに含む、請求項12の方法。
【請求項20】
前記自動化機器は、前記複数のセルラーネットワークの全てについて信号消失が発生した場合に安全状態に移行するようにさらに構成されている、請求項19の方法。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその全てを援用する2020年12月2日に出願された「SYSTEMSAND METHODS FORWIRELESS REMOTE CONTROLOF AUTOMATED EQUIPMENT」と題する米国非仮特許出願第17/109,252号の利益を主張する。
【0002】
産業環境では、保守や修理が必要な機器へのアクセスがしばしば制限される。例えば、プラント内の特定の場所への人の立ち入りが、放射線や他の汚染物質などの危険のために制限されることがある。同様に、空間や隙間の制約により、特定のプラント機器に人がアクセスして作業することが不可能な場合もある。
【0003】
原子力発電所に備わっている格納容器建屋は、とりわけ人の出入りが制限される。なぜならば、格納容器建屋には一般的に「原子炉系統設備」と呼ばれる構成機器が収められており、そこには原子力発電所の危険な放射性物質が存在するからである。そのような構成機器には、例えば原子炉が含まれる。原子炉で使用された原子燃料は、耐用年数に達すると原子炉から取り出され、格納容器建屋内にある使用済燃料プールに移送される。蓄積された使用済原子燃料が一定の容量に達すると、規制や標準的な慣行に基づき、使用済燃料プールに貯まった使用済原子燃料を排出することが要求されている。使用済燃料を適時に取り出すことは、原子炉から原子燃料を迅速に取り出す必要がある場合に備えて使用済燃料プールに余剰容量を確保するうえで重要である。
【0004】
使用済燃料を安全かつ効率的に格納容器建屋から取り出すために、特別に設計された密封キャニスタに使用済燃料を入れる。さらに、使用済燃料からの放射線を適切に封じ込めるために、キャニスタの最上部に蓋を溶接して密封する。しかし、この溶接プロセスは、格納容器建屋への人の立ち入りが制限されているため困難である。また上述のように、使用済燃料は、プラントの人員にとって危険な放射線を放出している。
【0005】
本開示の目的は、原子力施設における無線通信を利用した自動溶接プロセスの人間支援による制御を含む、制限された場所で自動化機器を人間が支援して制御することを可能にするための、より安全、効果的、かつ低廉な手段となるシステムおよび方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
以下の概要は、本願で開示する態様に特有のいくつかの革新的な特徴を理解しやすくするためのものであり、完全な記述を意図するものではない。これらの様々な態様を完全に理解するには、本願の明細書、請求項、および要約書の全体を総合的にとらえる必要がある。
【0007】
様々な態様において、自動化機器の遠隔制御のためのシステムを開示する。当該システムは、所定のプログラミングに基づく動作を行うことにより、制限された場所でプロセスを実行するように構成された自動化機器と、当該自動化機器に通信可能に結合され、当該制限された場所の外部に配置された第1のセルラールータと、セルラーネットワークを使用して当該第1のセルラールータと通信するように構成され、当該第1のセルラールータから遠隔に配置された第2のセルラールータと、当該第2のセルラールータに通信可能に結合された操作卓であって、当該所定のプログラミングの動作パラメータを変更することにより操作員が当該自動化機器の動作をリアルタイムで変更できるヒューマンマシンインターフェース(HMI)を含み、当該動作パラメータの変更が当該操作卓と当該自動化機器との間で通信される操作卓とを備え、当該制限された場所の内部から当該制限された場所の外部へは無線信号を送信できない状態にあることを特徴とする。
【0008】
様々な態様において、ロボット溶接ヘッドの遠隔制御のためのシステムを開示する。当該システムは、所定のプログラミングに基づいて溶接作業を行うことにより、原子力発電所の格納容器建屋内に設置された使用済燃料キャニスタに蓋を溶接するように構成されたロボット溶接ヘッドと、当該ロボット溶接ヘッドに通信可能に結合され、当該格納容器建屋の外部に配置された第1のセルラールータと、セルラーネットワークを使用して当該第1のセルラールータと通信するように構成され、当該第1のセルラールータから遠隔に配置された第2のセルラールータと、当該第2のセルラールータに通信可能に結合された操作卓であって、当該所定のプログラミングの動作パラメータを変更することにより操作員が当該ロボット溶接ヘッドの溶接作業をリアルタイムで変更できるヒューマンマシンインターフェース(HMI)を含み、当該動作パラメータの変更が当該操作卓と当該ロボット溶接ヘッドとの間で通信される操作卓とを備え、当該格納容器建屋の内部から当該格納容器建屋の外部へ無線信号を送信できない状態にあることを特徴とする。
【0009】
様々な態様において、自動化機器の遠隔制御のための方法を開示する。当該方法は、所定のプログラミングに基づいて動作するように構成された自動化機器を用いて、制限された場所でプロセスを実行するステップと、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を含む操作卓と当該自動化機器との間で所定のプログラミングの動作パラメータを通信するステップとを含み、当該制限された場所の外部に配置された第1のセルラールータが当該自動化機器に通信可能に結合されており、当該第1のセルラールータから遠隔に配置された第2のセルラールータが当該操作卓に通信可能に結合されており、当該制限された場所の内部から当該制限された場所の外部へ無線信号を送信できない状態にあり、当該第1のセルラールータはセルラーネットワークを使用して当該第2のセルラールータと通信するように構成されており、操作員はHMIを使用して、当該操作卓と当該自動化機器との間で通信される動作パラメータを変更することによって、当該自動化機器の動作をリアルタイムで変更することを特徴とする方法。
【0010】
様々な態様において、ロボット溶接ヘッドの遠隔制御のための方法を開示する。当該方法は、所定のプログラミングに基づいて溶接作業を行うように構成されたロボット溶接ヘッドを用いて、原子力発電所の格納容器建屋内に設置された使用済燃料キャニスタに蓋を溶接するステップと、HMIを含む操作卓とロボット溶接ヘッドとの間で所定のプログラミングの動作パラメータを通信するステップとを含み、当該格納容器建屋の外部に配置された第1のセルラールータが当該ロボット溶接ヘッドに通信可能に結合されており、当該第1のセルラールータから遠隔に配置された第2のセルラールータが当該操作卓に通信可能に結合されており、当該格納容器建屋の内部から当該格納容器建屋の外部へ無線信号を送信できない状態にあり、当該第1のセルラールータはセルラーネットワークを使用して当該第2のセルラールータと通信するように構成されており、操作員はHMIを使用して、当該操作卓と当該ロボット溶接ヘッドとの間で通信される動作パラメータを変更することによって、当該ロボット溶接ヘッドの溶接作業をリアルタイムで変更することを特徴とする方法。
【0011】
本開示の上記および他の目的、特徴および性質、関連する構造要素の操作方法および機能、部品の組み合わせ、ならびに製造の経済性は、いずれも本明細書の一部を構成する添付図面を参照して以下の説明および添付の特許請求の範囲を読めばより明白になるであろう。様々な図面の中で使用している同じ参照符号は、対応する構成要素を指している。ただし、添付図面はもっぱら例示および解説のためのものであり、本開示の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本願に記載された態様の様々な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。しかしながら、操作の機構および方法に関する様々な態様とその利点は、下記の添付図面を参照した以下の説明によって理解が深まるであろう。
【0013】
図1】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、使用済燃料キャニスタと、燃料キャニスタ蓋に取り付けられたロボット溶接ヘッドとを示す斜視図である。
【0014】
図2A-2B】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、自動化機器の無線制御向けに構成された作業局のブロック図である。
【0015】
図3A-3B】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による、自動化機器の無線制御向けに構成された操作局のブロック図である。
【0016】
同一の参照符号は、いくつかの図面を通して対応する部品を指している。本願に記載された実施例は、本発明の様々な態様の一形態を示すものであり、かかる例示は、いかなる様式においても本発明の範囲を限定的に解釈するものでないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願に記載され、添付の図面に例示されているような態様の全体的構造、機能、製造、および使用について深く理解できるよう、数多くの具体的な詳細事項を記載する。本願に記載された態様が不明瞭になることを避けるため、よく知られた操作、構成部品、および要素については詳述しない。読者においては、本願で説明および図示する態様が非限定的な例であり、したがって、本願で開示する特定の構造および機能の詳細が代表的かつ例示的であり得ることを理解されたい。これらの実施形態は、本願の特許請求の範囲から逸脱することなく変形・変更される可能性がある。
【0018】
本開示の様々な態様を詳細に説明するに先立って、ここに例示する実施例は、その適用または使用において、添付の図面および説明に例示された部品の構造および配置の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な実施例は、他の態様、変形例、および改造において実施または編入されることがあり、様々な方法で実践または実施されることがある。さらに、特に断らない限り、本願で採用される用語および表現は、読者の便宜のために実施例を説明する目的で選択されたものであり、実施例の限定を目的とするものではない。また、以下に説明する1つ以上の態様、態様の表現、および/または実施例は、以下に説明する他の態様、態様の表現、および/または実施例のうちの任意の1つ以上と組み合わせられることが理解されるであろう。
【0019】
本開示は、原子力施設における無線通信を利用した自動溶接プロセスの人間支援による制御を含む、制限された場所での自動化機器の人間支援制御のためのシステムおよび方法に関する。自動化機器は往々にして、産業環境において、安全性や隙間の制約からアクセスが制限された状況で保守または修理作業を行うために使用される。例えば、原子力発電所の格納容器建屋は、放射線や他の汚染物質の危険性があるため、立ち入りが制限されている。このような制限された場所での作業は、あらかじめ決められたプログラムを実行する自動化機器を用いて実施できるが、自動化しきれないプロセスの重要な部分を制御・調整するために人間の介入が必要になることがよくある。制限された場所との間で無線信号を送受信できない場合があるため、このような人間による制御を可能にするのは難しい。例えば、原子炉格納容器建屋の壁は厚さ6フィートのセメントで建設されていることがあり、それによって無線信号の伝送が妨げられることがある。したがって、制限された場所で無線通信を利用した自動化機器の人間支援制御を可能にするシステムおよび方法が必要である。
【0020】
そのような人間支援制御を要する自動化プロセスの1つに、自動ロボット溶接ヘッドを使用した使用済原子燃料キャニスタ蓋の溶接がある。このプロセスを行うために、使用済燃料キャニスタ蓋に自動ロボット溶接アームを取り付け、溶接プロセスを行う。例えば図1は、使用済燃料キャニスタ100とキャニスタ蓋102を示している。キャニスタ蓋102に取り付けられたロボット溶接ヘッド104によって、キャニスタ蓋102を使用済燃料キャニスタ100の最上部に溶接する。自動溶接ロボットを使用することで、格納容器領域内に人がいなくてもキャニスタを密封することができるが、それでも、溶接プロセス全体にわたって重要な判断を下すために人の介入が必要である。具体的には、溶接池の特性、側壁の溶け具合、溶接アークの特性などを監視し、必要に応じてその場で調整するための操作員が必要である。このような調整は、例えば、所望の溶接池の特性を達成するために溶接ワイヤを操作したり(溶接池への溶加材の進入を操作)、所望のアーク溶け込みおよび溶着を維持するためにタングステンの位置決めを変更したりすることによって実施できる。これらの溶接作業を変更するために必要な操作パラメータの変更は、事前に決定することができず、キャニスタ蓋の溶接要件を満たすためには、現場での人間による監視に基づく制御と修正が必要である。
【0021】
さらに、キャニスタ蓋の溶接プロセスは、操作員が制御する操作局とロボット溶接アームとの間の通信が一般に有線接続を必要とするため、複雑である。これは、無線通信の信号が格納容器建屋の厚いセメント壁を通過できないためである。
【0022】
また、キャニスタ蓋の溶接プロセスでは、ロボット溶接アームの人間支援制御を熟練した操作員が行う必要があることも難しい点である。また、溶接ロボットアームと操作員の間の通信は有線接続に限られるため、キャニスタ蓋の溶接を担当する熟練操作員をプラント拠点に配置しなければならない。そのため、利用できる熟練操作員の数が限られていることもあり、コストや人員の問題が生じる。例えば、複数のプラントで同時に発生する複数の使用済燃料の取り出し作業を実施するために、十分な人員を確保できない場合がある。その結果、企業は新たな操作員の訓練を頻繁に行うことに伴うコスト増に直面することになる。また、複数の熟練操作員を各プラント拠点に配置するために、追加の旅費や生活費もかかる。
【0023】
本願で開示する様々なシステムおよび方法は、制限された場所で無線通信を利用して自動化機器の人間支援制御を可能にすることで、機器操作の安全性、費用対効果、および効率を有益に改善する。例えば、使用済燃料キャニスタの溶接作業を無線通信を利用して人間支援制御することで、操作員は危険な格納容器領域の外部から作業することができ、負傷のリスクを有益に軽減することができる。具体的には、操作員は、放射線やその他の汚染物質にさらされることなく、人の監視が必要な重要な溶接パラメータを調整することができる。本開示の実施形態はまた、制限された場所や危険な場所での作業に関連する操作員の疲労を低減することにより、安全性も改善する。
【0024】
さらには、無線技術を利用して自動化機器を遠隔操作することで、多くのコスト削減効果が期待できる。例えば、操作員を現場に配置する必要がないため、操作員は集中管理された場所で作業することができる。これにより、熟練操作員が1カ所に集まり、複数の現場の機器を遠隔制御できる利点がある。その結果、各現場で必要な作業員の数を最小限に抑え、旅費や生活費などの諸経費を削減することができる。本開示の態様は、操作員が在宅で作業することも可能にする。
【0025】
また、自動化機器を操作員が遠隔操作できるようにすることで、訓練コストを有益に削減できる。例えば、使用済原子燃料キャニスタの溶接プロセスを制御するためには、熟練操作員が必要である。複数のプラントで同時に発生する複数の使用済燃料の取り出し作業を実施するために、新たな熟練操作員の訓練に関するコストがかかるが、本願に開示されたシステムおよび方法はそのコストを回避できる。さらに、本開示の態様は、熟練溶接工が頻繁に出張する必要性を回避することにより、継続的な溶接作業を可能にする。
【0026】
本開示の態様はまた、いくつかの点で自動化プロセスの効率も有益に向上させる。例えば、制限された場所で行われる自動化プロセスを遠隔制御できるようにすることで、操作員は、どこからでも「リアルタイム」でプロセスを調整・操作することができる。操作員はまた、動作パラメータ、スケジュール、エラーログ、および遠隔的なトラブルシューティングを可能にする診断情報をダウンロードすることができる。本開示はまた、対象分野の専門家を機器がある場所に配置する必要なく、自動化プロセスを制御するソフトウェアを遠隔で更新およびカスタマイズすることを可能にする。また、同じ班の熟練操作員が一カ所から複数の現場を監視できるので、効率が一層改善し、作業品質と一貫性が高まる。
【0027】
図1は、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、使用済燃料キャニスタ100の透視図である。原子炉で使用された原子燃料は、その耐用年数に達すると使用済燃料プールに移送される。原子炉も使用済燃料プールも、原子力発電所の格納容器建屋に収められている。使用済燃料プールの最大容量に達したら、使用済原子燃料を使用済燃料キャニスタ100内に入れて、格納容器建屋の外へ輸送する。
【0028】
図1をさらに参照すると、キャニスタ蓋102は、使用済燃料キャニスタ100に蓋をして、使用済原子燃料から放出される放射線の漏出防止を安全に行うために使用される。ロボット溶接ヘッド104を用いて、キャニスタ蓋102を使用済燃料キャニスタ100に溶接することにより、密封は行われる。具体的には、ロボット溶接ヘッド104は、ロボットアームの位置決めや移動、溶接(フィラー)ワイヤの送給や位置決め、溶接アークを制御するタングステンの位置決めなど、様々な溶接作業を実行する。ロボット溶接ヘッド100が実行する溶接作業は、ロボットコントローラおよび/またはプログラマブルロジックコントローラによって実行される所定のプログラミングに基づいて自動化することができる。これらの作業は自動化されているが、使用済燃料キャニスタを安全に密封するためには、人間の介入が必要である。例えば、溶接池や側壁の溶け具合を監視し、フィラーワイヤの位置決めや送給速度を制御するパラメータに必要な調整を施すには、人間の直感と経験が必要である。同様に、溶接アークを監視し、タングステンの位置決めを制御するパラメータに必要な調整を施し、溶接部の適切な溶け込みと溶着を確保するためには、人間の直感と経験が必要である。しかし、格納容器建屋は危険な放射線環境であるため立ち入りが制限されており、このような作業を人間が制御することは困難である。
【0029】
図2Aおよび図2Bは、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づいて表した、自動化機器の無線制御向けに構成された作業局200のブロック図である。図2Aおよび図2Bは、組み合わせて見ることを意図している。図2Aは、接続点A1で図2Bと結合する。まず図2Aを参照すると、作業局200はロボット溶接ヘッド104を含む。上述したように、ロボット溶接ヘッド104は、所定のプログラミングに基づいて溶接プロセスを実行するように構成することができる。この所定のプログラミングは、ロボット溶接ヘッド104に通信可能に結合されるロボットコントローラ204内に記憶され、かつ/または当該ロボットコントローラによって実行することができる。作業局200は、溶接電源206をさらに含む。溶接電源206は、コンピュータ制御され、ロボット溶接ヘッド104に供給される電力を調節するように構成してよい。
【0030】
本開示の他の実施形態では、ロボット溶接ヘッド104に代わる自動化機器を作業局200に含めることができる。例えば、本願に記載のシステムおよびプロセスを適用することにより、溶接、塗装、組立、資材取り扱い、ピックアンドプレース、包装、ラベル付け、パレット積み、製品検査、試験、およびロボットアームを使用して自律的な仕事を実施するその他のプロセスなどの産業プロセスに用いられる自動化機器の制御を行うことができる。本願に記載されたシステムおよびプロセスは、制限された区域で実施される場合に、そのようなプロセスの、無線により人間が支援する遠隔制御が可能になる点で有益である。
【0031】
図2Aを再度参照すると、作業局200は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)210をさらに含む。PLC210は、ロボット溶接ヘッド104、ロボットコントローラ202、および溶接電源206が、イーサネットを介して作業局200の他の構成要素と通信できるように構成される。例えば、PLC210は、ロボット溶接ヘッド104、ロボットコントローラ204、および溶接電源206の異なる構成要素に関連する様々な入出力チャネルを含むことができる。これらの入出力チャンネルを使用して、PLC210は、ロボット溶接ヘッド104の動作を制御する信号を送信するだけでなく、ロボット溶接ヘッド104の動作状態に関連する信号を受信することもできる。PLC210は、イーサネットケーブル211を介して作業局200の他の構成要素と通信するために、これらの信号をイーサネットベースのプロトコルに変換する。PLC210はまた、溶接電源206と結合し、ロボット溶接ヘッド104に電力を供給するように構成してもよい。
【0032】
ロボット溶接ヘッド104は、PLC210との間で様々な入出力信号を通信することに加えて、1つ以上の映像信号をPLC210に送信することもできる。様々な実施形態において、ロボット溶接ヘッド104は、溶接プロセスを監視し、取り込んだ画像に基づいて映像信号を生成するように構成された、1台以上のカメラを含むことができる。例えば、溶接池の前縁部を監視するカメラと、溶接池の後縁部を監視するカメラを1台ずつ用意することが望ましい場合がある。これらのカメラによるライブ映像に基づき、熟練操作員は、例えば、溶接池、側壁の溶け具合、フィラーワイヤの進入位置や速度、および/または溶接部の溶け込みや溶着に関連するアークの特性などを監視することができる。熟練操作員はさらに、溶接の品質を向上させ、欠陥のリスクを低減するために、ライブ映像に基づき、例えば、フィラーワイヤの送給速度、フィラーワイヤの位置決め、タングステンの位置決め、および/または溶接アームの速度と位置決めを制御するパラメータについて重要な調節を行うことができる。
【0033】
本開示の様々な実施形態において、溶接プロセスを監視するために使用される1台以上のカメラはアークフィルタリング技術を使用することにより、溶接アークによって有意に遮られることなしに溶接池を明瞭に視認できる。これを達成するために、1台以上のカメラにおいて、溶接アークによって放出される光の周波数と一致する周波数の光をフィルタで遮断することができる。高解像度の「リアルタイム」画像が生成されることにより、操作員は、自動化機器の動作パラメータの制御に関する情報に基づいて意思決定を行える利点が得られる。本開示で使用される「リアルタイム」という用語は、一般に、自動化機器の動作および動作パラメータを瞬時に、ほぼ瞬時に、あるいは短い遅延で視認または知覚できることを表す。リアルタイムの映像を表示することは、操作員が自動化機器の動作に加えている調整をその実施時に視認できるようにするうえで重要である。例えば、このようなリアルタイムの映像を操作員に見せることで、操作員は溶接池、溶接アーク、および/またはロボットアームの位置などを監視し、瞬時またはほぼ瞬時に調整できる点で有益である。上述のように、本開示の他の実施形態では、作業局200は、ロボット溶接ヘッド104の代替となる自動化機器を含むことができる。この代替の機器は、同様に、PLC210への送信信号を生成する1台以上のカメラを含むことができる。
【0034】
再び図2Aを参照すると、PLC210は、1台以上のカメラのそれぞれから映像信号を受信し、映像切替装置212を介して、映像信号をビデオエンコーダ220に送信する。映像信号は、シリアルデジタルインタフェース(SDI)方式を用いて、映像切替装置212からケーブル213を介してビデオエンコーダ220に送信し、ビデオエンコーダ220のSDI入力部224で受信することができる。作業局202は、自動化プロセスに関連する音声を取得し、ビデオエンコーダ220の音声接続部222に直接伝送される音声信号を生成するためのヘッドセット208をさらに含んでよい。さらに、ヘッドセット208は、作業局200に配置された操作員が装着するように構成されたマイクとスピーカを両方含んでよい。ビデオエンコーダ220は、映像切替装置212からの映像信号および/またはヘッドセット208からの音声信号を受信し、品質を損なうことなくこれらの信号を変換し、イーサネットベースのプロトコルにより、LAN接続226を介して作業局200の他の構成要素へ送信する。
【0035】
作業局200は、PCL210とビデオエンコーダ220の両方に通信可能に連結されたLANルータ230をさらに含む。LANルータ230は、各構成要素の個々のIPアドレスを検出することにより、作業局200の異なる構成要素間の通信を経路制御するように構成されている。LANルータ230は、UNMS EdgeRouterまたは同様のイーサネットルータ技術を使用して実装することができる。図2に開示された実施形態では、LANルータ230は、PLC210およびビデオエンコーダ220からのイーサネット信号を光ファイバ受信機240へ経路制御するように構成される。
【0036】
次に図2Bを参照すると、光ファイバ受信機240は、LANルータ230からイーサネット接続部246を介してイーサネット信号を受け入れ、その信号をシングルモード接続部244からシングルモードファイバ245を介して光ファイバ送信機260に送信するように構成される。光ファイバ送信機は、映像入力部262を含んでもよい。光ファイバ受信機240と光ファイバ送信機との間の光ファイバ接続は、無線通信を必要とせずに、産業環境下の制限された区域の内部から制限された区域の外部への通信を可能にする利点がある。例えば、図2は、PLC210、ビデオエンコーダ220、LANルータ230、および光ファイバ受信機240が原子力発電所の格納容器建屋の内部に収容されている状況を表しており、それらは格納容器構造壁250の左側に配置されている。さらに図2は、シングルモードファイバ245が格納容器構造壁250を貫通して延び、格納容器建屋の外側に位置する光ファイバ送信機260との通信を可能にしている状況を表している。この例では、信号の品質や速度を失うことなく、シングルモードファイバ245の長さを約2マイルまで延ばすことができ、光ファイバ送信機260およびセルラールータ270を、必要に応じて格納容器建屋の外の離れた場所に配置することができる。
【0037】
光ファイバ送信機260は、シングルモード接続部264で光ファイバ受信機240からの信号を受信し、その信号を変換してイーサネット形式に戻したうえで、イーサネット接続部266を介して作業局セルラールータ270へさらに送信する。その結果、作業局セルラールータ270はLAN接続部274を介して、ロボット溶接ヘッド104(ロボット溶接ヘッド104に取り付けられたカメラからの任意のデータを含む)、ロボットコントローラ204、溶接電源206、およびヘッドセット208に関するデータを受信する。さらに、図3Bに表されているように、作業局セルラールータ270は、高利得アンテナ271、273を使用して、ロボット溶接ヘッド104、ロボットコントローラ204、溶接電源206、およびヘッドセット208に関するデータを、セルラー通信によって遠隔に配置された操作局セルラールータ370へ送受信するように構成されている。
【0038】
セルラールータ270、370は、安全なセルラーネットワーク接続を使用して、ロボット溶接ヘッド104の動作に関するデータの無線通信が可能なように構成される。本開示の様々な実施形態において、セルラールータは、複数のネットワークプロバイダからのセルラーネットワークの信号強度を検出することができる。信号強度は、信号強度指示器272、372に表示することができる。さらに、セルラールータ270、370は、好ましいセルラーネットワークを選択・利用するようにプログラムすることができる。あるいは、セルラールータ270、370は、合成信号が最も強いセルラーネットワーク、または個々のルータ位置のいずれかにおいて信号が最も強いセルラーネットワークを自動選択するようにプログラムすることができる。さらに、セルラールータ270、370を複数のセルラーネットワークに同時に接続できるように構成して、帯域幅の信頼性を向上させ、データ転送速度を効率的に高めることができる。
【0039】
セルラールータ270、370はさらに、初期ネットワークまたは優先ネットワークとの信号が消失した場合に、セルラーネットワークを自動的に切り替えるように構成することができる。これは、信号が消失した場合でも、操作員によるロボット溶接ヘッド104または他の自動化機器の重要な制御を継続できる点で有益である。さらに、セルラールータ270、370は、初期ネットワークまたは優先ネットワークとの接続が再確立されたときに、代替のセルラーネットワークの使用を継続するようにプログラムすることができる。あるいは、セルラールータ270、370は、元の初期ネットワークまたは優先ネットワークに切り替わるようにプログラムしてもよい。セルラールータ270、370は、クレードルポイントまたは同様のセルラールータ技術を使用して実装可能である。
【0040】
利用可能な全てのセルラーネットワークの中で完全に信号が消失した場合、ロボット溶接ヘッド104および/またはロボットコントローラ204は、動作を安全に一時停止するように構成することができる。これは、信号の中断を検出すると、ロボット溶接ヘッド104を自動的に滑降させて安全状態を保つように設定されたウォッチドッグタイマを使用して実装可能である。代替策として、作業現場にローカル操作局を設けてもよい。この場合、ウォッチドッグタイマを使用して信号の消失が検出されると、リモート操作局からローカル操作局へ制御を切り替えることで、現場で操作員が溶接作業を継続して行える。現場操作員によるローカル操作局での制御が確立されない場合にはロボット溶接ヘッド104を自動的に滑降させて安全状態を保つ第2のウォッチドッグタイマを実装してもよい。
【0041】
図3Aおよび図3Bは、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づいて表した、自動化機器の無線制御向けに構成された操作局300のブロック図である。図3Aおよび図3Bは、組み合わせて見ることを意図している。図3Aは、接続点A2で図3Bと結合する。まず図3Bを参照すると、操作局300は、操作局セルラールータ370を含む。上述したように、操作局セルラールータ370は、作業局セルラールータ270と無線通信するように構成されている。セルラールータ370は、高利得アンテナ371、373を介し、安全なセルラーネットワーク接続を使用して、ロボット溶接ヘッド104の動作に関するデータを送受信する。
【0042】
操作局セルラールータ370は、ロボット溶接ヘッド104、ロボットコントローラ204、溶接電源206、およびヘッドセット208に関するデータを、LAN接続部374を介して光ファイバ送信機360に伝達する。操作局セルラールータ370と光ファイバ送信機360との間では、イーサネットプロトコルを用いて信号が伝送される。光ファイバ送信機360は、イーサネット接続部366を介してセルラールータ370から信号を受信し、それらの信号を、シングルモード接続部364からシングルモードファイバ345を介して光ファイバ受信機340に送信する。光ファイバ受信機340は、シングルモード接続部344で信号を受信する。光ファイバ送信機360はビデオ入力部362を含んでもよく、光ファイバ受信機340はビデオ入力部342を含んでもよい。シングルモードファイバ345を介した通信により、光ファイバ送信機360および操作局セルラールータ370を、操作局300の他の構成要素から離れた場所に配置できる。例えば、操作卓310をオフィス内に有益に配置し、セルラールータをオフィス内よりもセルラー信号が強い遠方に配置することができる。この例では、信号の品質や速度を失うことなく、シングルモードファイバ345の長さを約2マイルまで延ばすことができる。
【0043】
図3Aおよび図3Bを参照するものではないが、光ファイバ受信機340は、光ファイバ送信機360から受信した信号を変換してイーサネット形式に戻したうえで、イーサネット接続部346を介してLANルータ330へさらに送信する。LANルータ330は、各構成要素の個々のIPアドレスを検出することにより、操作局300の異なる構成要素間の通信を経路制御するように構成されている。LANルータ330は、UNMS EdgeRouterまたは同様のイーサネットルータ技術を使用して実装してよい。図3Aに開示された実施形態では、LANルータ330は、光ファイバ受信機340からビデオデコーダ320および操作卓310へのイーサネット信号を経路制御するように構成される。他の実施形態では、LANルータ330は、イーサネット信号を操作局セルラールータ370からビデオデコーダ320および操作卓310へ直接送信するような構成であってよい。
【0044】
ビデオデコーダ320へ送られるイーサネット信号は、ロボット溶接ヘッド104に含まれる1台以上のカメラによって生成された映像信号に関するデータを搬送する。ヘッドセット208から取り込まれた音声に関するデータも、ビデオデコーダ320へ送られる。上述のように、他の実施形態では、ロボット溶接ヘッド104以外の自動化機器を実装可能である。この代替の自動化機器に含まれる1台以上のカメラによって生成された映像信号に関するデータも、ビデオデコーダ320へ経路制御することができる。ビデオデコーダ320は、これらのイーサネット信号をイーサネットLAN接続部326で受信する。ビデオデコーダ320が受信した映像データは、高精細度マルチメディアインターフェース(HDMI)形式に変換され、HDMI接続部324からHDMIケーブル313を介して操作卓310へ伝送される。ビデオデコーダで受信した音声データは、音声接続部322からヘッドセット302へ伝送される。
【0045】
操作卓310は、ロボット溶接ヘッド104に含まれる1台以上のカメラによって生成された映像信号を受信する。ビデオモニタ314が操作卓310に含まれており、映像信号に基づいて1つ以上のビデオ画像を表示するように構成されている。このようにして、ビデオモニタ314は、ロボット溶接ヘッド104が実行している溶接プロセスのリアルタイムビューを表示することができる。本開示の他の実施形態では、ビデオモニタ314が、ロボット溶接ヘッド104以外の自動化機器に含まれるカメラによって生成された映像信号に基づいて、1つ以上のビデオ画像を表示する。例えば、ビデオモニタ314は、溶接、塗装、組立、資材取り扱い、ピックアンドプレース、包装、ラベル付け、パレット積み、製品検査、試験の産業プロセス、または自動化機器に関連する他のプロセスで使用される自動化機器のリアルタイム映像を表示することができる。
【0046】
ビデオモニタ314によって表示される映像により、操作卓310に配置された操作員は、ロボット溶接ヘッド104または他の自動化機器が実行しているプロセスの様々な局面をリアルタイムで視認し、このプロセスビューに基づく決定を下すことができる利点がある。例えば、ロボット溶接ヘッド104は、溶接池の前縁部を監視するように構成された1台のカメラと、溶接池の後縁部を監視するように構成された別のカメラとを含んでよい。操作員は、これらのカメラのリアルタイムビューを見ながら、溶接池、側壁の溶け具合、フィラーワイヤの進入位置と速度、および/または溶接アークの特性を監視することができる。さらに操作員は、溶接の品質を修正・改善するために、フィラーワイヤの送給速度、フィラーワイヤの位置決め、タングステンの位置決め、および/または溶接アームの速度や位置決めを制御する重要なパラメータの調整が必要な箇所を、リアルタイム映像に基づいて特定することができる。操作員は、作業局200からの音声を受信するヘッドセット302を装着することもできる。操作員は、ヘッドセット302を使用して、作業局200で実行されているプロセスに関する重要な情報を聞くことができ、かつ/または作業局200に配置されてヘッドセット208を装着した他の操作員と通信することができる。
【0047】
再び図3Aを参照すると、操作卓310は、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)312をさらに含む。操作卓310は、ロボット溶接ヘッド104の動作に関する情報を搬送する、LANルータ330によって経路制御されたイーサネット信号を受信する。これは、例えばロボット溶接ヘッド104、ロボットコントローラ204、および溶接電源206に関するデータを含んでよい。このイーサネット信号は、イーサネットケーブル311を介して伝送される。本開示の他の実施形態では、操作卓310は、ロボット溶接ヘッド104以外の自動化機器に関連する情報を搬送する、LANルータ330によって経路制御されたイーサネット信号を受信する。操作卓310に含まれるHMI312により、操作員が動作パラメータの監視・制御を通じてシステムと対話して、ロボット溶接ヘッド104または他の自動化機器によって実行される動作を修正することができる。
【0048】
本開示の様々な態様において、HMI312は、操作員による制御を容易にするために、タッチスクリーンおよび/またはジョイスティックを含んでよい。1つの例示的なキャニスタ溶接プロセスは、操作員がHMI312を使用して、実行される特定の種類の溶接操作を選択することから始まる。これにより、選択された溶接作業に関連する自動化プログラムが、例えば、ロボットコントローラ204および/または操作卓310によってロードされる。操作員はHMI312を使用して、キャニスタの状態または要求される溶接仕様に基づいて、様々な設定パラメータを調整することもできる。次に、溶接プロセスを開始するために、操作員はロボット溶接ヘッド104に対し、開始位置に移動して溶接を開始するよう命令する。溶接中、ロボット溶接ヘッド104の動きは、ロボット溶接ヘッド104に取り付けられた1台以上のカメラによって監視され、ビデオモニタ314にリアルタイムで表示される。操作員は、ビデオモニタ314を使って溶接池の特性、側壁の溶け具合、および溶接アークの特性を監視することにより、フィラーワイヤの送給速度、フィラーワイヤの位置決め、タングステンの位置決め、および/または溶接アームの速度と位置決めを制御する操作パラメータを必要に応じてその場で調整する。
【0049】
溶接の品質を維持するためには、本願に記載する操作員の対応が重要である。また、操作員が制御する操作はあらかじめ決まっておらず、所望の溶接特性を得るためには、人による監視と調整が必要である。例えば操作員は、フィラーワイヤの溶接池への進入を制御するために,フィラーワイヤの送給速度および/または位置決めに関するパラメータを調整することができる。操作員はまた、溶接アークを制御し、溶接の溶け込みや溶着に影響を与える特定の特性を維持するために、タングステンの位置決めに関するパラメータを調整することができる。操作員はまた、ロボット溶接ヘッド104のロボットアームを操縦するために、ロボット溶接ヘッド104の位置および移動に関するパラメータを調整することもできる。これらの動作を制御するパラメータの調整は、HMI312に含まれるタッチスクリーンおよび/またはジョイスティックを使用して行うことができる。様々な実施形態において、HMI312は、遠隔・触知式・手持ち式のジョイスティックまたは制御用ペンダントを含む。
【0050】
操作卓310は、生体認証式のモニタまたはセンサを備えた構成であってもよい。例えば、操作員がHMI312を制御するうえで、顔認識または指紋識別によるシステムのロック解除が要求される場合がある。操作卓310は、品質保証/品質管理(QA/QC)の監査機能を有してもよい。例えば、操作員の監督者は、操作員の制御上の選択をリアルタイムで、または保存されたデータに基づいて、遠隔地で見られるようにしてもよい。これにより、監督者は、様々な場所に配置された操作員が一定の品質を保っていることを確認できる利点がある。監督者また、トラブルシューティングや性能管理に役立つ溶接スケジュール、エラーログ、診断情報をダウンロードすることも可能である。
【0051】
本願で通信について述べる場合、信号の送信または受信の文脈で言及することがあることに留意されたい。ただし、これらの用語は、通信の指向性を限定することを意図するものではない。本開示を通じて、信号を送信するものとして記載される作業局200および操作局300の任意の構成要素は、信号を受信することもできると理解されたい。同様に、信号を受信するものとして記載される作業局200および操作局300の任意の構成要素は、信号を送信することもできる。例えば、ロボット溶接ヘッド104の動作に関連するデータは、操作卓310によって送信と受信の両方が行われる。同様に、ロボット溶接ヘッド104の動作に関連するデータは、PLC210によって送信と受信の両方が行われる。
【0052】
上記で説明した様々な実施例は、HMI312、ビデオモニタ314、PLC210、ロボット溶接ヘッド104、ロボットコントローラ204、および溶接電源206の間で情報を転送するために、安全なセルラーネットワーク上の無線通信を利用する。この通信プロトコルは、「人間制御による自動化」または「拡張された自動化」と記せるものを可能にする。これは、人間の感覚や操作能力の延長線上で複雑な機器を操作する能力であり、それにより操作員は、瞬時に、あるいはほぼ瞬時に観察を行い、あらかじめ決められたプログラミングに基づいて操作を行う自動化プロセスに対して、即座に調整および/または修正を施すことができる。
【0053】
さらに、本開示の様々な態様では、この種の拡張された自動化プロセスを、無線通信によって遠隔的に行わせることが可能である。例えば、原子力発電所の格納容器建屋内で使用済燃料キャニスタ蓋を溶接するような、制限された区域内で実行される自動化プロセスを、操作員が現場にいなくても遠隔制御することができる。このような遠隔操作を可能にすることで、安全性や効率性が有益に向上し、大幅なコスト削減の可能性がある。通常の使用済燃料キャニスタの溶接作業では、監督者、溶接作業者2名、保守技術者1名を要し、その全員が現場にいるのが一般的であろう。本開示の様々な態様を実施することで、機器の設定と保守のために現場で必要な作業員は1名か2名のみになる。その他の作業員は溶接作業を遠隔制御することにより、プロジェクトは動員費用プラス生活費の数千ドルを節約できるであろう。さらに、本開示の様々な態様は、操作員を危険な環境にさらすことなく、自動化プロセスの遠隔制御を可能にする点で有益である。
〔実施例]
【0054】
本願に記載された主題の様々な態様を、以下の実施例にて記載する。
【0055】
[実施例1]所定のプログラミングに基づく動作を行うことにより、制限された場所でプロセスを実行するように構成された自動化機器と、当該自動化機器に通信可能に結合され、当該制限された場所の外部に配置された第1のセルラールータと、セルラーネットワークを使用して当該第1のセルラールータと通信するように構成され、当該第1のセルラールータから遠隔に配置された第2のセルラールータと、当該第2のセルラールータに通信可能に結合された操作卓であって、当該所定のプログラミングの動作パラメータを変更することにより操作員が当該自動化機器の動作をリアルタイムで変更できるヒューマンマシンインターフェース(HMI)を含み、当該動作パラメータの変更が当該操作卓と当該自動化機器との間で通信される操作卓とからなる自動化機器の遠隔制御のためのシステムであって、当該制限された場所の内部から当該制限された場所の外部へは無線信号を送信できない状態にあることを特徴とする、自動化機器の遠隔制御のためのシステム
【0056】
[実施例2]前記自動化機器が、プロセスを監視し、映像信号を生成するように構成された少なくとも1台のカメラを含む実施例1に記載のシステムであって、前記操作卓は、当該映像信号に基づいて当該プロセスのリアルタイムビューを表示するビデオモニタを含み、当該プロセスの当該リアルタイムビューは、操作員が動作パラメータを変更しながら決定を下すのを支援するために使用されることを特徴とするシステム。
【0057】
[実施例3]前記自動化機器に通信可能に結合され、イーサネットにより動作パラメータの通信が可能なように構成されたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)をさらに含む実施例1~2のいずれかに係るシステムであって、当該PLCは前記少なくとも1台のカメラに通信可能に結合された映像切替装置をさらに備え、当該映像切替装置は前記少なくとも1台のカメラによって生成された前記映像信号を受信するように構成されており、当該システムはさらに、当該映像切替装置に通信可能に結合されたビデオエンコーダであって、当該映像切替装置から前記映像信号を受信し、イーサネットによる前記映像信号の通信を可能にするように構成されたビデオエンコーダと、当該PLC、当該ビデオエンコーダ、および前記第1のセルラールータに通信可能に結合された第1のLANルータであって、当該PLC、当該ビデオエンコーダ、および前記第1のセルラールータの間でイーサネット通信を経路制御するように構成された第1のLANルータと、前記第2のセルラールータ、前記操作卓、および当該ビデオデコーダに通信可能に結合された第2のLANルータであって、前記第2のセルラールータ、前記操作卓、および当該ビデオデコーダの間でイーサネット通信を経路制御するように構成された第2のLANルータを含み、当該ビデオデコーダは前記ビデオモニタに通信可能に結合され、当該ビデオデコーダは当該第2のLANルータからイーサネットによる前記映像信号の通信を受信し、HDMIにより前記映像信号を前記ビデオモニタに送信するように構成されていることを特徴とする、実施例1~2のいずれかに係るシステム。
【0058】
[実施例4]前記第1のLANルータに通信可能に結合され、前記制限された区域の内部に配置された光ファイバ受信機と、前記第1のセルラールータに通信可能に結合され、前記制限された区域の外部に配置された光ファイバ送信機とを備え、当該光ファイバ受信機と当該光ファイバ送信機は、光ファイバケーブルを介して前記制限された区域の内部から前記制限された区域の外部への通信が可能であることを特徴とする、実施例1~3のいずれかに記載のシステム。
【0059】
[実施例5]前記自動化機器がロボット溶接ヘッドを備え、前記プロセスが溶接プロセスであることを特徴とする、実施例1~4のいずれかに記載のシステム。
【0060】
[実施例6]前記プロセスのリアルタイムビューは溶接池の映像を含む、実施例1~5のいずれかに記載のシステム。
【0061】
[実施例7]前記操作員が変更する動作は、溶接ワイヤの位置決めを操作して溶接池を制御することと、溶接ワイヤの送給速度を調整して当該溶接池を制御することと、タングステンの位置決めを調整して溶接アークを制御することと、前記ロボット溶接ヘッドを操縦することのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、実施例1~6のいずれかに記載のシステム。
【0062】
[実施例8]前記溶接プロセスは使用済燃料キャニスタ蓋を溶接するプロセスであり、前記制限された区域は原子力発電所の格納容器建屋であることを特徴とする、実施例1~7のいずれかに記載の方法。
【0063】
[実施例9]前記第1のセルラールータおよび前記第2のセルラールータは、複数のセルラーネットワークを検出するようにさらに構成され、前記第1のセルラールータと前記第2のセルラールータは、いずれかのセルラールータで信号消失が発生した場合に、当該複数のセルラーネットワークのうちの代替のセルラーネットワークを使用して自動的に通信することを特徴とする、実施例1~8のいずれかに記載のシステム。
【0064】
[実施例10]前記自動化機器は、前記複数のセルラーネットワークの全てについて信号消失が発生した場合に安全状態に移行するように構成されている、例1~9のいずれかに記載のシステム。
【0065】
[実施例11]自動化機器の遠隔制御のための方法であって、所定のプログラミングに基づいて動作するように構成された自動化機器を用いて、制限された場所でプロセスを実行するステップと、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を含む操作卓と当該自動化機器との間で所定のプログラミングの動作パラメータを通信するステップとを含み、当該制限された場所の外部に配置された第1のセルラールータが当該自動化機器に通信可能に結合されており、当該第1のセルラールータから遠隔に配置された第2のセルラールータが当該操作卓に通信可能に結合されており、当該制限された場所の内部から当該制限された場所の外部へ無線信号を送信できない状態にあり、当該第1のセルラールータはセルラーネットワークを使用して当該第2のセルラールータと通信するように構成されており、操作員はHMIを使用して、当該操作卓と当該自動化機器との間で通信される動作パラメータを変更することによって、当該自動化機器の動作をリアルタイムで変更することを特徴とする方法。
【0066】
[実施例12]自動化機器に備えられた少なくとも1台のカメラを使用して前記制限された場所でのプロセスを監視し、監視された当該プロセスに基づく映像信号を生成するステップと、当該映像信号に基づいて、前記操作卓に備えられたビデオモニタに当該プロセスのリアルタイムビューを表示するステップとをさらに含み、当該プロセスのリアルタイムビューは、操作員が動作パラメータを変更しながら決定を下すのを支援するために使用されることを特徴とする、実施例11に記載の方法。
【0067】
[実施例13]PLCコンソールと第1のLANルータとの間で前記動作パラメータを通信するステップをさらに含み、当該PLCコンソールは前記自動化機器に通信可能に結合され、当該PLCはイーサネットによる前記動作パラメータの通信を可能にするように構成されており、当該方法はさらに、当該PLCに備えられた映像切替装置によって前記少なくとも1台のカメラからの前記映像信号を受信し、当該映像切替装置によって前記映像信号をビデオエンコーダへ送信するステップと、イーサネットによる前記映像信号の通信を可能にするように構成された当該ビデオエンコーダによって、前記映像信号を当該第1のLANルータに送信するステップと、当該第1のLANルータによって、当該PLC、当該ビデオエンコーダ、および前記第1のセルラールータの間のイーサネット通信を経路制御するステップと、第2のLANルータによって、前記第2のセルラールータ、前記操作卓、および当該ビデオデコーダの間のイーサネット通信を経路制御するステップと、当該ビデオデコーダによって前記映像信号をイーサネットにより受信し、当該ビデオデコーダによって前記映像信号をHDMIによりビデオモニタに送信するステップとからなる、実施例11または実施例12に記載の方法。
【0068】
[実施例14]前記制限された区域の内部から光ファイバケーブルを介して前記制限された区域の外部へ通信を行うステップをさらに含み、前記制限された区域の内部に配置された光ファイバ受信機が前記第1のLANルータに通信可能に結合されており、前記制限された区域の外部に配置された光ファイバ送信機が前記第1のセルラールータに通信可能に結合されていることを特徴とする、実施例11~13のいずれかに記載の方法。
【0069】
[実施例15]前記自動化機器がロボット溶接ヘッドを備え、前記プロセスが溶接プロセスであることを特徴とする、実施例11~14のいずれかに記載の方法。
【0070】
[実施例16]前記プロセスのリアルタイムビューは溶接池の映像を含む、実施例11~15のいずれかに記載の方法。
【0071】
[実施例17]前記自動化機器の動作を変更することは、溶接ワイヤの位置決めを操作して溶接池を制御することと、溶接ワイヤの送給速度を調整して当該溶接池を制御することと、タングステンの位置決めを調整して溶接アークを制御することと、前記ロボット溶接ヘッドを操縦することのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、実施例11~16のいずれかに記載の方法。
【0072】
[実施例18]前記溶接プロセスは使用済燃料キャニスタ蓋を溶接するプロセスであり、前記制限された区域は原子力発電所の格納容器建屋であることを特徴とする、実施例11~17のいずれかに記載の方法。
【0073】
[実施例19]前記第1のセルラールータおよび前記第2のセルラールータによって複数のセルラーネットワークを検出するステップと、前記のいずれかのセルラールータで信号消失が発生した場合に、当該複数のセルラーネットワークのうちの代替のセルラーネットワークを使用して自動的に通信するステップとをさらに含む、実施例11~18のいずれかに記載の方法。
【0074】
[実施例20]前記複数のセルラーネットワークの全てについて信号消失が発生した場合に前記自動化機器を安全状態に移行させるステップをさらに含む、実施例11~19のいずれかに記載の方法。
【0075】
本願で言及したすべての特許、特許出願、刊行物、または他の開示資料は、各々の参考文献が参照により明示的に本願に組み込まれるように、その全体が参照により本願に組み込まれる。本願で参照により組み込まれると記述されたすべての参考文献およびあらゆる資料またはそれらの一部分は、本願に記載された既存の定義、言明、または他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ本願に組み込まれる。したがって、本願に記載の開示事項は、必要な範囲において、それと矛盾のある、参照により本願に組み込まれた資料に取って代わり、本願に明示的に記載された開示事項が優先する。
【0076】
本開示を、様々な実施例および例示的な態様を参照して説明してきた。本願に記載の態様は、本開示の様々な態様の様々な詳細度の例示的な特徴を示すものとして理解されたい。したがって、特段の指定がない限り、可能な範囲において、開示した態様における1つ以上の特徴、要素、構成部品、構成要素、成分、構造物、モジュールおよび/または局面は、本開示の範囲から逸脱することなく、当該開示した態様における他の1つ以上の特徴、要素、構成部品、構成要素、成分、構造物、モジュールおよび/または局面との間で、複合、分割、置換えおよび/または再構成が可能であることを理解されたい。したがって、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な態様のいずれにおいても様々な置換え、変更、または組み合わせが可能であることを理解するであろう。当業者はまた、本明細書を検討すれば、本開示の様々な態様に対する多くの均等物を認識するであろう。あるいは、単に定常的な実験を用いてかかる均等物を確認できるであろう。したがって、本開示は、様々な態様の説明によってではなく、特許請求の範囲によって限定される。
【0077】
通常、本願において、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、一般に「非限定的(open)」な用語として意図されることを当業者は理解するであろう(例えば、用語「備える(including)」は「備えるがそれに限定しない」と解釈し、用語「有する(having)」は「少なくとも~を有する」と解釈し、用語「含む(includes)」は「含むがそれに限定しない」と解釈すべきである等)。さらに当業者は、請求項で導入される記載事項の数が具体的であることが意図される場合、そのような意図は当該請求項において明示的に記載されるものであり、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないものと理解するであろう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、請求項の記載事項を導くために、「少なくとも1つ(at least one)」および「1つ以上(one or more)」という導入句を使用する場合がある。しかしながら、そのような句の使用は、「a」または「an」という不定冠詞によって請求項の記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」または「少なくとも1つの」といった導入句と「a」または「an」といった不定冠詞が共に含まれる場合であっても、かかる導入された請求項の記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つだけ含む請求項に限定されることが示唆される、と解釈すべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈すべきである)。同じことが、定冠詞を用いて請求項の記載事項を導入するために場合にも当てはまる。
【0078】
また、請求項で導入される記載事項の具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも当該記載された数であるとの意味に一般的に解釈すべきであることが、当業者には理解されよう(たとえば、他の修飾語を伴わずに「2つの記載事項(two recitations)」が記載されている場合、一般的に少なくとも2つの記載事項、または2つ以上の記載事項を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCの全てなどを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。さらに、「A、B、またはCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCの全てなどを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。一般的に、2つ以上の選択的な用語を表す選言的な語および/または句は、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、文脈上他の意味に解釈する場合を除き、当該用語のうちの1つ、当該用語のいずれか、または当該用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることも、当業者には理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、一般的に「A」、「B」、または「AおよびB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0079】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者であれば、そこに記載された動作は一般的に任意の順序で実行され得ることを理解するであろう。また、請求項の記載はシーケンスで示されているが、様々な動作は、記載されている順序とは別の順序で実行されてもよいし、同時に実行されてもよいことが理解されよう。そのような代替の順序付けの例として、文脈上他の意味に解釈する場合を除き、重複、割り込み、中断、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、またはその他の順序付を含んでもよい。さらに、「~に応答する(responsive to)」、「~に関連する(related to)」といった用語や他の過去時制の形容詞は、文脈上他の意味に解釈する場合を除き、一般にかかる変化形を除外するように意図するものではない。
【0080】
「一態様(one aspect)」、「ある態様(an aspect)」、「ある実施例(an exemplification)」、「一実施例(one exemplification)」などへの参照は、その態様に関連して記載される特定の特徴物、構造物、または特性が少なくとも1つの態様に含まれることを意味することは、特記に値する。したがって、本願の全体を通じて様々な箇所に見られる句「一態様では(in one aspect)」、「ある態様では(in an aspect)」、「ある実施例では(in an exemplification)」、および「一実施例では(in one exemplification)」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。さらに、特定の特徴物、構造物、または特性は、1つ以上の態様において任意の適当な様式で組み合わせることができる。
【0081】
本願で使用する「a」、「an」および「the」に先導される単数形は、文脈上明らかに他の意味に解釈する場合を除き、複数形をも包含する。
【0082】
非限定的な例として、本願で使用する頂部、底部、左、右、下方、上方、前、後ろ、およびそれらの変形例などの方向性を示唆する語句は、添付図面に示す要素の幾何学的配置に関連するものであり、特段の記載がない限り、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0083】
本開示で使用される「およそ(about)」または「約(approximately)」という用語は、特に指定がない限り、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差を意味し、これは値がどのように測定または決定されるかによる面がある。特定の態様において、用語「およそ」または「約」は、標準偏差の1、2、3、または4倍の範囲内を意味する。特定の態様において、用語「およそ」、または「約」は、所定の値から50%、200%、105%、100%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内の範囲を意味する。
【0084】
本明細書では、特に断らない限り、すべての数値パラメータは、すべての場合において「約」という用語によって前置き・修正されていると理解されたい。ここに、数値パラメータは、パラメータの数値を求めるために使用される基礎的測定技術における特有の変動特性を有している。最低限のこととして、また均等論の適用を特許請求の範囲に限定する意図はないが、本願に記載された各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を勘案し、通常の丸め手法を適用して解釈するべきである。
【0085】
本願で記載するあらゆる数値範囲は、記載の範囲に内包されるすべての断片的部分を含むものとする。例えば、「1~100」という範囲は、記載された最小値1と最大値100との間(最小値と最大値を内包)のすべての断片的部分を含む。すなわち、最小値は1以上、最大値は100以下である。また、本願に記載された全ての範囲は、記載された範囲の端点を含むものとする。例えば、「1~100」の範囲には、端点の1と100が含まれる。本明細書に記載されている最大の限度値は、そこに包摂されるすべての下位の限度値を含むことを意図しており、本明細書に記載されている最小の限度値は、そこに包摂されるすべての上位の限度値を含むことを意図している。したがって、出願人は、特許請求の範囲を含む本明細書を修正し、明示的に記載された範囲に包摂される任意の部分的範囲を明示的に記載する権利を有する。そのような範囲はすべて、本明細書に本源的に記載されているものである。
【0086】
本願で参照され、かつ/または任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、または他の開示資料は、組み込まれる資料が本願と矛盾しない範囲で、参照により本願に組み込まれる。そのため、必要な範囲において、本願に明瞭に記載された開示内容は、それと矛盾のある、参照により本願に組み込まれた資料に優先するものとする。既存の定義、見解、または本願に記載されたその他の開示内容と矛盾する任意の内容またはその一部は、参照により本願に組み込まれるが、組み込まれる内容と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0087】
「備えている(comprise)」の語およびその派生語(「comprises」、「comprising」など)、「有する(have)」の語およびその派生語(「has」、「having」など)、「含む(include)」の語およびその派生語(「includes」、「including」など)、「包有する(contain)」の語およびその派生語(「contains」、「containing」など)は、非限定的な連結動詞である。すなわち、1つ以上の要素を「備えている」、「有する」、「含む」、または「包有する」システムは、当該1つ以上の要素を有しているが、当該1つ以上の要素のみを有することに限定されるものではない。同様に、1つ以上の特徴物を「備えている」、「有する」、「含む」、または「包有する」システム、装置、または機器の要素は、当該1つ以上の特徴物を有しているが、当該1つ以上の特徴物のみを有することに限定されるものではない。


図1
図2A
図2B
図3A
図3B
【国際調査報告】