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特表2024-500307工具の完全性を検査するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】工具の完全性を検査するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/09 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
B23Q17/09 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534063
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2021083739
(87)【国際公開番号】W WO2022117632
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102020000029600
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000029609
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000029618
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502051955
【氏名又は名称】マーポス、ソシエタ、ペル、アッチオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ、ガンビーニ
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ、フォルニ
【テーマコード(参考)】
3C029
【Fターム(参考)】
3C029DD06
(57)【要約】
工作機械の工具ホルダ、-例えば回転シャフト(5)-に接続する検査システム(3)であって、金属被加工物(2)を加工しながら工具の完全性を検査するための検査システム(3)は、前記工具ホルダの付近に配置された環状コア(7)および前記環状コアに巻回された巻線(9)を有するインダクタ(4;64)を含む検出回路(18)を含む。前記工具と前記金属被加工物との接触時に、前記工作機械の支持構造体(1)の一部を含むとともに、前記インダクタを横切る回路(C、C’)が閉じることにより、前記検出回路の電気的パラメータに変動が生じて接触を検出することができる。前記検出回路は、ハーフブリッジ構成を有する。前記ハーフブリッジ構成は、互いに対して実質的に90°位相がずれたAC電圧により給電される2つの抵抗ブランチであって、前記インダクタと基準抵抗器(25)とを備える2つの抵抗ブランチと、前記検出信号を生成してこれを前記制御ユニット(10)に送信するための検出ブランチと、を有する。好適な形態において、前記基準抵抗器は、前記インダクタのインピーダンスに実質的に等しい抵抗を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体(1、6)、および工具(3)を支持する工具ホルダ(5)を備える工作機械で金属加工物(2)を加工する際に、前記工具(3)の完全性を検査するための検査システムであって、前記検査システムは、
-前記工具(3)と前記金属加工物(2)との接触を示す検出信号を生成するように適合された検出回路(4、8;18;64)であって、少なくとも1つの電源(11;21、22)と、前記工具ホルダ(5)に配置された環状コア(7;67A、67B)、および前記環状コア(7;67A、67B)に巻回された巻線(9;69)を備えるインダクタ(4;64)と、を有する検出回路(4、8;18;64)と、
-前記検出回路(4、8;18;64)に接続する制御ユニット(10)と、
を含み、
前記検出回路(4、8;18;64)は、ハーフブリッジ構成を有し、
前記ハーフブリッジ構成は、互いに対して実質的に90°位相がずれたAC電圧により給電される2つの抵抗ブランチであって、それぞれが前記インダクタ(4;64)と基準抵抗器(25)とを備える2つの抵抗ブランチと、変換ユニット(27)、および前記検出信号を生成してこれを前記制御ユニット(10)に送信するための処理ユニット(30)を有する検出ブランチと、を有する、
ことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記基準抵抗器(25)は、前記インダクタ(4;64)のインピーダンスに実質的に等しい抵抗を有する、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記変換ユニット(27)は、RMSコンバータ(27)である、
請求項1または請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記RMSコンバータ(27)は、低い平均時定数を有する、
請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記検出ブランチは、前記変換ユニット(27)と処理ユニット(30)との間に、アナログ/デジタルコンバータ(28)を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項6】
前記処理ユニット(30)は、マイクロプロセッサである、
請求項1~5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項7】
前記インダクタ(64)の前記環状コアは、2つの強磁性材料製の部分(67A、67B)から構成され、
前記強磁性材料製の部分(67A、67B)は、開放端部を有するとともに、前記端部において接合するように構成され、
前記インダクタ(64)の前記巻線(69)は、前記強磁性材料製の部分のうちの一方の部分(67B)に巻回される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項8】
2つの前記強磁性材料製の部分は、フェライト製の半環状部分である、
請求項7に記載の検査システム。
【請求項9】
前記インダクタ(64)は、相互に接続するように構成された2つのハーフリング(64A、64B)を備え、
前記ハーフリング(64A、64B)の各々は、2つの前記強磁性材料製の部分(67A、67B)のうちの一方を収容するハーフシェル(62A、62B)を備え、
前記ハーフリング(64A、64B)の各ハーフシェル(62A、62B)は、他方のハーフシェル(62A、62B)に連結するように適合されている、
請求項7または請求項8に記載の検査システム。
【請求項10】
各ハーフシェル(62A、62B)は、機械的基準部(61、63)を有する2つの自由端部を規定し、
各ハーフシェル(62A、62B)の前記機械的基準部(61、63)は、他方のハーフシェル(62A、62B)の前記機械的基準部(61、63)と協働するように構成され、
前記インダクタ(64)は、2つの前記ハーフリング(64A、64B)を互いに締結するように構成された締結装置(66)を備える、
請求項9に記載の検査システム。
【請求項11】
前記締結装置は、金属カラー(66)を備える、
請求項10に記載の検査システム。
【請求項12】
弾性樹脂(70)が、各ハーフシェル(62A、62B)の内側に存在する、
請求項9~11のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項13】
前記検査システムは、回転軸(X)を中心として回転する工具(3)を検査するためのものであり、
前記工具ホルダは、前記回転軸(X)を中心として回転するシャフト(5)を備え、
前記インダクタ(4;64)の前記環状コア(7;67A、67B)は、前記回転軸(X)のまわりに配置される、
請求項1~12のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項14】
前記検査システムは、前記工作機械の前記回転するシャフト(5)と前記支持構造体(1、6)との電気接続を提供するように適合された接触機構(37)をさらに備え、
前記接触機構(37)は、前記支持構造体(1、6)に堅固に接続する摺動シュー(40)であって、前記回転するシャフト(5)に対する接触を維持するように適合された摺動シュー(40)を備える、
請求項13に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に存在する金属工具の完全性を検査するシステムに関し、金属被加工物を加工するためのボール盤やフライス盤等の工作機械のスピンドルに連結される回転工具の検査において特に有利な用途を有する。
【背景技術】
【0002】
工作機械による切粉除去を伴う機械加工において、加工を行う工具の完全性を検査することは極めて重要である。特に、スピンドルに連結された細長い回転工具を使用する作業プロセスにおいて、作業プロセス中に、不適切で危険な作業が行われることを回避するために、工具が無傷であるか破損しているかどうかを検査することが重要である。この必要性は、すべてのタイプの工具に存在するが、非常に小型の工具の場合、その性質上破損しやすいため、非常に重要である。例えば、フライス加工やドリル加工において、工具の故障や破損を適宜、実質的にリアルタイムで特定して通知することにより、廃棄物を生じさせる不適切な加工を回避できるとともに、これにより総生産時間を節約することができる。また、通知することにより、迅速かつ自動的に破損した工具を適宜交換することもできる。この問題は、例えば旋盤のような回転しない工具であって、被加工物(通常回転している)に接近移動する工具の場合にも存在する。
【0003】
例えば、特許US-A-4502823等に示される光学装置により、または加工中の被加工物に対する工具の応力に直接的に関連する物理量(力、振動…)の変化を検出するセンサにより、または、センサと測定検査装置との種々の組み合わせ(例えば、特許US-A-6161055参照)を用いて、工具の完全性を検査するための様々な種類のシステムが知られている。
【0004】
誘導型システムも知られている。誘導型システムは、典型的に、フライス盤やボール盤等の工作機械のスピンドル付近に接続した回路要素を備え、金属工具と加工中の同じく金属性の被加工物との接触により回路要素に生じる変動を検出する。この接触が検出される、あるいは検出されない状況により、工具の完全性についての情報が提供される。
【0005】
特許US-A-4203691は、図1の既知のシステムに類似したこのタイプのシステムを示して説明している。図1は、金属被加工物2を加工するための、支持構造体1を有する工作機械である例えばボール盤を概略的に示す。支持構造体1は、スピンドル6と、回転軸Xを中心として回転するシャフト5であって、軸受を介してスピンドル6に連結されたシャフト5を有する工具ホルダと、軸Xに沿って整列する回転工具3であって、スピンドルに接続する回転工具3と、を備えている。スピンドル6と被加工物2とは、シャフト5の回転軸Xにより規定される方向に沿って、相互に移動可能である。インダクタ4が、モジュール8(図2)の要素も含む検出回路または一次回路の一部をなす。インダクタ4は、工具ホルダの付近において回転軸Xを中心として配設された強磁性材料から構成された環状コア、特に回転シャフト5の外側に同軸状に配置された環状コアの一部に巻回された巻線を備えている。モジュール8は、電源、具体的には交流発電機11と、抵抗器15と、抵抗器15を横切る電圧または電圧変動検出器17と、を含んでいる。
【0006】
回転工具3が加工中の金属被加工物2に接触すると、工具3と回転シャフト5と支持構造体1と金属被加工物2とを含むループにより規定された二次回路Cが閉じる。二次回路Cが閉じることにより、インダクタンスパラメータの変動が生じ、かつ、抵抗器15を横切る電圧の変動が生じ、後者は検出器17により検出される。工具3が破損している場合、接触は起こらない、または少なくとも起こるべき時に起こらない。このため、インダクタンスパラメータの変動は検出されない。モジュール8は、工作機械の別の部品の動作を制御する制御ユニット10に、例えばPFCプログラマブルユニットに接続している。制御ユニット10は、工具と、加工を開始すべき被加工物と、の相互位置に対応して、接触が検出されたかどうか、すなわち、インダクタ4を備える検出回路が検出信号を受信したかどうかを検査する。否の場合、アラーム信号が生成され、加工が停止されて他の既知の手順が開始される。例えば、破損した工具は、適切な倉庫から取り出した無傷の工具と自動的に交換される。
【0007】
既知のシステムで生じ得る問題は、工具と被加工物との接触が全加工中に亘って維持されずに限られた時間にのみ発生する場合、この接触を適切に検出することが困難であることである。これは、例えば、金属チップの破損により常に予測できない時間間隔で接触が失われる加工プロセスや、回転工具が断続的に加工中の被加工物に接触するフライス加工の場合に該当する。特に、工具は、360°の回転中に、限定された振幅の回転角、例えば5°以下の回転角で加工物に接触する刃先を有している。工具の高速の回転速度を考慮すると、工具と被加工物との接触時間は、5マイクロ秒未満であり得る。このような場合、既知の検出回路およびシステムでは、刃先と被加工物との短い接触により応じるインダクタンス変動を検出することができないため、高い信頼性が得られない。これは特に、直径が約1ミリメートルの非常に小型の工具に該当する。この場合、接触は非常に軽く、持続時間は非常に短い。
【0008】
図1のシステムの別の問題は、工具と被加工物との接触、特に、例えばシャフト5が回転する際の二次回路Cの比較的高い抵抗に起因する検出器の抵抗における電圧変動の検出が困難であることである。このような抵抗は、軸受の動的挙動および/または潤滑剤の存在により、大きく変化して増大し得る。この問題は、二次回路を規定する経路に、電気伝導率が低い、またはゼロである要素が存在する場合、例えば、軸受がセラミック材料から構成されている場合にも起こり得る。この問題を克服するために、上述の特許US-A-4203691は、解決策について記載している。それによれば、二次回路において、回転シャフトと工作機械の支持構造体との電気接続が、軸受が存在するエリアを回避し得る適切な摺動接点、すなわちその周囲を回る摺動接点により構成される。
【0009】
この解決策は、図1のものに対して改善されている。しかしながら、特許US-A-4203691に示す実施形態では、支持構造体に接続したブラシが、回転部品に接続するリングに接触することにより問題が発生し得るとともに、時間的に有効で信頼性の高い電気接続が保証されない場合がある。
【0010】
図1に示す上述の特許US-A-4203691のシステムのさらなる問題は、スピンドルの周囲のエリアへのアクセスが機械の他の部品により妨げられている、または他の態様で制限されている既存の工作機械において、環状コアを有するインダクタを物理的に適用することが実質的に不可能であることである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目標は、信頼性が高く、既知のシステムの問題を克服する工具の完全性を検査するためのシステムであって、工具、または工具が使用される工作機械が、既知のシステムによる検査を不可能にする、または不確実な結果とする機械的特性、電気的特性、または利用特性を有する場合であっても、信頼性の高い結果を得ることができるシステムを提供することである。
【0012】
この目的および他の目的、ならびに利点は、本発明の実施形態について説明し、本明細書の一体部分をなす添付の特許請求の範囲によるシステムにより達成される。
【0013】
本発明による工具の完全性を検査するためのシステムは、工具と工作機械で加工されている金属加工物との接触を示す検出信号を生成する検出回路と、前記検出回路に接続する制御ユニットと、を備える。前記検出回路は、前記工作機械の工具ホルダ付近に配置された環状コア、および前記環状コアに巻回された巻線を有するインダクタを備える。前記検出回路は、ハーフブリッジ構成を有する。前記ハーフブリッジ構成は、互いに対して実質的に90°位相がずれたAC励磁電圧により給電される2つの抵抗ブランチであって、前記インダクタと好適にはインダクタのインピーダンスに実質的に等しい抵抗を有する基準抵抗器とを備える2つの抵抗ブランチと、典型的にはRMSコンバータである変換ユニット、および前記検出信号を生成してこれを前記制御ユニットに送信するための処理ユニットを有する検出ブランチと、を有する。
【0014】
本発明の目的および利点は、以下に続く詳細な説明から明らかになるであろう。
【0015】
本発明について、本発明の例示的かつ非制限的な実施形態を示す添付図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、工具の完全性を検査するためのシステムを有する工作機械の概略図である。
図2図2は、既知の実施形態による工具の完全性を検査するためのシステムの部品の概略図である。
図3図3は、本発明による工具の完全性を検査するためのシステムの部品の概略図である。
図4図4は、図3の検査システムの動作中の電気信号の傾向のグラフ図である。
図5図5は、本発明による工具の完全性を検査するためのシステムを有する工作機械の概略図である。
図6図6は、図5の検査システムの一部の部品の拡大長手方向断面図である。
図7図7は、図6の部品のうちの1つの斜視図である。
図8図8は、図7の部品を示す図6の断面図である。
図9図9は、本発明による工具の完全性を検査するためのシステムの一部の部品の部分斜視図である。
図10図10は、本発明の部品の断面斜視図である。
図11図11は、図10の部品の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1の特徴を含む本発明による工具の完全性を検査するためのシステム、すなわち工具完全性検査システムの一部である検出回路すなわち一次回路を図3に示す。一次回路は、環状形状、例えばトロイダル形状を有する強磁性材料(例えばフェライト)製のコア7と、電源の端子t1およびt2に接続するとともに、これらの端子t1およびt2に接続する処理モジュール18に接続する巻線9と、を有するインダクタ4を備えている。
【0018】
モジュール18は、
・2つの電源、具体的には、具体的には、図4のグラフに示すように互いに対して実質的に90°位相がずれた2つのAC励磁電圧S1およびS2をそれぞれ供給する電圧発電機21、22と、
・抵抗がインダクタ4のオーム単位のインピーダンスに実質的に等しい基準抵抗器25と、
・検出ブランチであって、フィルタ26と、具体的には実効値検出器またはRMS(二乗平均平方根(「Root Mean Square」))コンバータ27である変換ユニットと、アナログ/デジタルコンバータ28と、具体的にはマイクロプロセッサ30である処理ユニットと、を有する検出ブランチと、
を含んでいる。
【0019】
ノードt3は、検出ブランチに至るとともに、第1抵抗ブランチまたは励磁ブランチおよび第2抵抗ブランチまたは励磁ブランチに至る。第1抵抗ブランチまたは励磁ブランチは、発電機21と、端子t1およびt2を介するインダクタ4の巻線9と、を備えている。第2抵抗ブランチまたは励磁ブランチは、発電機22と抵抗器25とを有している。このように、励磁および検出ブランチは、ハーフブリッジ構成を規定している。
【0020】
工具と被加工物との接触がない場合、二次回路は開いている。上述の抵抗器25の選択と、電圧S1と電圧S2との実質的に90°である適切な位相のずれとにより、ノードt3における電圧S3は、無視できる振幅を有する。このため、フィルタ26からの出力信号(不要な外乱および周波数が除去または減衰されている)、およびRMSコンバータ27の出力における「平均化」信号S4は、振幅に大きな変動のない、実質的に一定の傾向(図4、時点T1の前の傾向)を有する。
【0021】
時点T1において、工具3が被加工物2に接触すると、工具3と、被加工物2と、回転シャフト5を有する工具ホルダと、スピンドル6を備える工作機械の支持構造体1と、をからなるループCは閉じる。このループCにおいて、すなわち、インダクタ4に結合する二次回路において、電流が誘導されるため、インダクタ4の巻線9を流れる電流に変動が生じる結果、ノードt3に対応する電圧S3が変動する。回路のハーフブリッジ構成により、信号S3は高い波高因子を有し得る。これは、特に、工具3と被加工物2との接触が断続的、かつ短期間または非常に短期間である(例えば、工具3が小型カッターの場合)ため、インダクタ4を介して電気回路に生じる変動が短い、または非常に短い場合に生じる。したがって、信号S3は、これらの短くて素早い変動に追従し得る。
【0022】
RMSコンバータ27は、典型的に、例えば約30マイクロ秒である非常に低い平均時定数を有している。これにより、フィルタ26からの信号出力の変動に対する非常に迅速な応答を得ることができるため、ハーフブリッジ回路のノードt3における信号S3の変動が実質的にリアルタイムで反映される。上記に基づき、変動は、非常に短く素早いことがある。
【0023】
RMSコンバータ27の出力における信号S4は、フィルタ26の出力における信号に存在する電気ノイズを除去した常に正の信号である。このようにして、工具3と加工物2との短期の接触を表す信号S3の非常に限定された継続変動を捕捉することができる。これは、例えば、フライス加工や、金属チップが破損することで概して予測不可能な時間間隔で接触が失われるプロセスにおいて生じる。
【0024】
信号S4は、コンバータ28でデジタル信号に変換され、得られたデジタル信号がマイクロプロセッサ30で読み取られる。マイクロプロセッサ30において、デジタル信号は、既知の態様で処理される。例えば、閾値と比較される。閾値を超えることは、接触が生じたことを示すため、検出信号が生成される。検出信号は、動作中の工具3の正しい存在を確認するために制御ユニット10に送信される。工具3が破損している場合、ループCは閉じず、制御ユニット10に信号は送られない。モジュール18のマイクロプロセッサ30が、スピンドル6と、加工を開始すべき金属被加工物2と、の相対位置に対応して接触の信号を受信できない場合、制御ユニット10は、工作機械の稼働を停止し、場合により自動工具交換動作を開始する。自動工具交換動作は、それ自体既知の態様で実施され、ここでは説明しない。マイクロプロセッサ30は、工具3の存在を示す検出信号を制御ユニット10に送信する前に、さらなる処理を実施し得る。例えば、フライス加工中の検査の場合、マイクロプロセッサ30は、刃先と被加工物との連続した接触を記録し、これらの接触の期間および頻度を特定の加工(使用工具の種類、回転速度、除去や前進等の切削パラメータ等)に関する理論値または所定値と比較することにより、工具が存在しかつ無傷であるかどうかを検査することができる。
【0025】
インダクタ4を含む二次回路のハーフブリッジ構成、およびRMSコンバータ27等の適切な変換ユニットの使用により、高い信号/ノイズ比、および同一回路の電気特性における変動の検出時に、相当の感度を得ることができる。特に、ハーフブリッジ構成の端子t3に存在する信号S3は、高い波高因子を有し得る。すなわち、工具3と金属被加工物2との接触によりインダクタ4に生じる電気特性の素早い変動に追従することができる。また、RMSコンバータ27は、このような素早い変動を検出することができるとともに、高い信号/ノイズ比を有する信号S4を提供することができる。したがって、軽度(例えば直径が0.1mmという非常に小型の工具の場合に生じる)で非常に短時間(例えば、1mm未満の直径の工具を有するフライス盤の場合における短くて断続的な接触)の接触により生じる電気特性の非常に小さくかつ急速に失せる変動をも検出することができる。
【0026】
本発明によるシステムにおいて、インダクタ4は、図1に示すものに対して異なる位置に配置され得る。例えば、インダクタ4は、常に工具ホルダの付近に、またはシャフト5の周囲であるがスピンドル6の内部において、例えば、軸受間の中間位置に配置され得る。
【0027】
フィルタ26の存在は必須ではないが、有用な信号の適切な処理に悪影響を及ぼし得る不要な周波数の除去または減衰させるのに有利な場合がある。
【0028】
本発明の別の実施形態は、RMSコンバータ27以外の変換ユニット、例えば、ピーク・ツー・ピーク検出器を備えてもよいが、RMSコンバータ27は、(さらなる)フィルタを提供することに加えて、上述のように入力の変動を特に迅速に反映する常に正の信号を提供するため、より良好な結果を提供する。
【0029】
さらに別の解決策では、信号をデジタルに変換しない。しかしながら、コンバータ28の存在により、アナログ信号と比較した場合のデジタル処理の非常に柔軟な特性から得られる相当の利点(それ自体既知)が、本例においても保証される。
【0030】
上述の説明は、回転工具の検査について言及している。しかしながら、本発明によるシステムは、回転しない工具、例えば、旋盤のタレットに接続し、加工される回転加工物に対して、例えば図面の軸Xに対応する方向に沿って移動可能な工具の検査にも適用され得る。
【0031】
図5は、図1の解決策に対する代替的なものを示す。具体的には、図5の実施形態において、二次回路Cは、シャフト5の回転を可能とするスピンドル6の軸受を介して閉じるのではなく、参照符号37で概略的に示す特別な接触機構を介して閉じる。接触機構37は、工作機械のシャフト5と、支持構造体1の一部、例えばスピンドル6との間に、(直接的な)電気接続を生じさせる。これにより、シャフト5の回転中に、軸受の低い電気伝導率に起因する問題を回避し得るとともに、電気伝導率がゼロの場合、例えばセラミック材料から構成される軸受の場合に、本発明によるシステムを使用することができる。
【0032】
図6図7および図8に見える接触機構は、回転するシャフト5に直接的に接触する摺動要素、すなわち摺動シュー40を含んでいる。摺動シュー40は、形状および材料について特別な特性を有し得る。具体的には、摺動シュー40は、導電性で酸化の少ない材料、例えばステンレススチールや青銅、またはその組み合わせから構成されて、良好な電気伝導率および耐摩耗性を保証する。他の材料、例えばグラファイトや銀-グラファイトが、摺動シュー40を構成するために使用され得る。摺動シュー40は、支持構造体1に堅固に接続しているとともに、少なくとも1つの弾性的に撓む部分を備えている。具体的には、図7および図8に示す実施形態において、摺動シュー40は、支持構造体1に堅固に接続した中央本体41と、弾性的に撓む部分またはゾーン42’および43’により実質的に対照的に中央本体41に接続する2つの脚部42、43と、を有している。脚部42、43は、シャフト5が軸Xを中心として回転する際に、特にシャフト5の断面Hの2つの点においてシャフト5に対する接触を維持することが意図された自由端部を特徴としている。摺動シュー40は、好適には、例えばステンレススチールから構成された折り返し片を備えており、折り返し片は、中央本体41、脚部42および43、および折り返しに対応して弾性的に撓むゾーン42’および43’を規定する。好適な実施形態において、摺動シュー40は、回転シャフト5と接触する脚部42、43の自由端部を規定する、例えば青銅製の2つのブロックまたはパッド44および45を備えている。折り返しの少なくとも一方に対応して、図7に示すように、材料を軽量化してゾーン42’および43’の弾性コンプライアンスを増加させることも提供され得る。
【0033】
可能な実施形態によれば、摺動シュー40は、支持構造体1に調整可能な態様で接続している。例えば、摺動シュー40の支持構造体1への、具体的にはスピンドル6への接続アセンブリを示す図6に示すように、接続アセンブリは、摺動シュー40と一体の調整可能なブラケット46と、基準ブラケット48(部分的に図9にも示す)と、を有している。調整可能なブラケット46と基準ブラケット48とは、スロット内にネジを含む連結器47を有する調整要素により、互いに接続している。接続アセンブリは、基準ブラケット48を支持構造体に固定するための要素、例えば円錐形の外形ヘッドを有するネジ49(図9に見える)、および、ネジ49による固定に対応して基準ブラケット48と支持構造体1との間に配置されたスペーサ50を有する他の調整要素も備えている。スペーサ50の厚さは、摺動シュー40とシャフト5との所望の接触力を決定するように選択される。
【0034】
特に、摺動シュー40の位置を合わせるための手順(図6に概略的に示すレイアウト)は、
-既知の厚さD’の校正スペーサ50’を挿入した後でネジ49を締めることにより、基準ブラケット48をスピンドル6すなわち支持構造体1に対して固定するステップと、
-摺動シュー40の脚部42および43の端部44、45をシャフト5の表面に、通常ゼロである無視できる接触力で接触させるステップと、
-連結器47を締めることにより、調整可能なブラケット46と基準ブラケット48との相互位置を固定するステップと、
-基準ブラケット48と支持構造体1との接続を解除するステップと、
-校正スペーサ50’を取り外し、D’未満の厚さDを有する作業スペーサ50を挿入するステップであって、厚さの差AD=D’―Dが、摺動シュー40とシャフト5との間に存在することが望まれる接触力に応じて選択されるステップと、
を提供する。
【0035】
したがって、スペーサ50および50’は、回転シャフト5に対する摺動シュー40の径方向位置を変化させて、摺動シュー40とシャフト5との接触力を規定するように相互交換可能である。変形例によれば、作業スペーサ50は、校正スペーサ50’の厚さ(D<1>=AD)を適切に選択することにより、省略され得る。
【0036】
接触力を簡単かつ安全な態様で決定できることは、重要な特徴である。なぜならば、当該量を確実に制御することにより、接触機構の電気伝導率と耐摩耗性との最適な組み合わせを得ることができるとともに、部品間の適切な電気接続の持続時間が保証され得るからである。
【0037】
接触機構が、図6に示すものに対して反対方向を向く支持構造体1の表面に固定されている場合、調整手順の最終段階は、校正スペーサ50’の厚さよりも大きい(小さいのではなく)厚さの作業スペーサ50を挿入して所望の接触力を得るステップを伴う。この代替的な構成において、手順の第1段階において校正スペーサ50’を挿入せずに、所定厚さ(D=AD)の作業スペーサ50を挿入することも想定され得る。
【0038】
図6の特定の実施形態において、摺動シュー40は、シャフト5とインダクタ4の環状コア7との間に配置されている。接触機構の組立および調整作業は、一般に、インダクタ4を挿入する前に実施される。
【0039】
摺動シュー40の特定の対象構造、および工作機械の支持構造体1(例えばスピンドル6)に対する調整可能な固定により、シャフト5の回転速度や回転方向に関係なく、スピンドル5と支持構造体1との有効な電気接続が保証される。
【0040】
摺動シュー40は、非常に薄い厚さ(例えば、0.2mm)を有する折り返し片を有し得る。本例において、摺動シュー40の支持構造体1に対する位置調整および固定を可能にする必要はないかもしれない。なぜならば、摺動シュー40それ自体のコンプライアンス特性、特に中央本体41および脚部42、43を規定する折り返し片のコンプライアンス特性は、脚部42および43の自由端部(図示例において、パッド44、45に当接している)と回転シャフト5との正しく、安定しているが過剰な力のない接触、ひいてはシャフト5と支持構造体1との有効な電気接続を確保するのに十分であるからである。
【0041】
以上に説明した図6に示す接触機構の構造は、基準ブラケット48や調整可能なブラケット46等の部品の特定の形状を理由として、特にコンパクトであり、全体寸法の低減に関して有利である。しかしながら、変形例が可能である。例えば、異なるセクション、例えば、図6に参照符号H’で示すセクションに応じて、または工具3が被加工物2に接触する際に生じるループCがインダクタ4を通過することを確実にするよう異なるエリアにおいて回転シャフト5と協働するように、摺動シュー40がスピンドル6すなわち支持構造体1に固定される解決策が可能である。
【0042】
本発明の他の態様は、インダクタ4のコアに関する。
【0043】
上述のように、インダクタ4は、環状形状、例えばトロイダル形状を有する強磁性材料(例えばフェライト)製のコア7と、環状コアの一部に巻回された巻線9であって、一定数の銅線のコイルを有する巻線9と、を備えている。
【0044】
好適には、インダクタ4は、図6および図9で部分的に見ることができるシェル12であって、コア7および巻線9を収容するシェル12も備えている。シェル12は、一般に非磁性ステンレススチールから構成され、インダクタ4をスピンドル6または工作機械の支持構造体1の他の部分に、いずれの場合にも回転シャフト5の軸Xに対して同軸的に固定可能とする。固定は、例えば図9に部分的にのみ示すネジにより、それ自体既知の態様で実施されるが、簡略化を目的として詳細には説明しない。
【0045】
既知の適用例において、インダクタ4は、一体的に構成される。特に、環状コア7は一体であり、シェル12は一体である。一体材料の環状コア7は、均質特性を有することにより、システム内でのインダクタ4の正しい挙動が保証される。しかしながら、少なくとも一部の適用例において、工作機械におけるインダクタ4の設置は複雑である。特に、検査システムを既存の完全に組み立てられた工作機械に適用することは、非常に複雑である、あるいは完全に不可能である。この適用には、一定の寸法と種々の部品へのアクセスに関する必至の制限を有する機械内において、インダクタ4をシャフト5に装着する必要がある。
【0046】
図11は、インダクタ64を示す。ここでは、環状コアが強磁性材料製の2つの部分から構成され、これらの部分は、開放端部を有するとともに、これらの端部において接合している。インダクタ64は、本発明による検査システムで使用される。このシステムは、図1を参照して上述した特徴を同様に含んでいる。
【0047】
インダクタ64は、2つの相互に接続するハーフリング64Aおよび64Bを備えている。各ハーフリング64A、64Bは、強磁性材料製、典型的にはフェライト製の半環状部分67Aおよび67Bと、実質的にC形状のハーフシェル62Aおよび62Bと、を備えている。図11において概略的に表され参照符号69で示す巻線は、ハーフリングのうちの一方のフェライト製のフェライト半環状部分、具体的には部分67Bに巻回されるとともに、ケーブル71内においてハーフリング64Bから出る電線に接続している。4つの基準ピン63が、ハーフシェルの端部に固定されており、他方のハーフシェルの端部に存在する孔61と協働する。図10(ハーフリング64Aを示す)および図11に示す実施形態において、各ハーフシェル62Aおよび62Bの端部は、基準ピン63と孔61とを各々有しているが、異なる構成が可能である(例えば、2つのハーフシェル62Aまたは62Bのうちの一方の端部における4つのピン63すべてがあり、4つの孔61が他方の端部にある;あるいは、一対のピン63および孔61のうちの1つが各ハーフシェル62Aまたは62Bの2つの端部にある、等)。
【0048】
ピン63および孔61は、ハーフリング64Aおよび64Bの端部を整列させるように構成された、適切かつそれ自体既知の要素および/または表面を有する、種々の態様において構成され得る機械的基準部を表す。
【0049】
ハーフリング64Aおよび64Bの2つの接合エリアの各々に対応して、すなわち、互いに対面するハーフリング64Aおよび64Bの端部の各対に対応して、適切に外形加工されたガスケット65が存在している。図10において、両ガスケット65は、ハーフリング64Aに連結していることが示されている。
【0050】
ハーフシェル62Aおよび62Bは、上部において(図10および図11の配向を基準として)、通常プラスチック製の適切な形状要素60により閉鎖されている。これらの要素は、図9で部分的に見えるが、図10および図11では明瞭性を期して省略されている。
【0051】
インダクタ64の工作機械への設置、例えば図1に概略的に示すものへの設置は、2つのハーフリング64Aおよび64Bを、スピンドル6のシャフト5を中心とした適切な位置に、それらのそれぞれの端部が互いに対面した状態で配置し、基準ピン63およびそれぞれの孔61により位置決めし、例えばネジまたは他の締結装置により互いに締結することにより実施される。図11の例において、これらの締結装置は、ネジにより閉じられ締結された金属カラー66を備えている。金属カラー66は、ハーフシェル62Aおよび62Bの外面全体に亘って荷重を均一に分散させる特殊性を有することにより、接合を安定させるとともにスピンドル6が受ける衝撃および振動に対する感度を低くする。
【0052】
フェライト製の半環状部分67Aおよび67Bの各々は、それぞれのハーフシェル62Aおよび62Bに間隙を以て収容されている。これにより、設置を実施する前に、平坦な表面を特徴とするそれぞれの端部が、ハーフシェル62Aおよび62Bの自由端部からわずかに突出している。良好な弾性特性を有する樹脂70が、各ハーフシェル62Aおよび62Bの内側において、フェライト製の半環状部分67Aおよび67Bとハーフシェル62Aおよび62Bの内壁との間に存在している。締結装置66に作用することにより実施される締め付けプロセスにおいて、ハーフシェル62Aおよび62Bの端部を互いに接近させて、強磁性材料製の半環状部分67Aおよび67Bの端部を相互に接触させる。次いで、機械的基準部61、63を相互に接触させることで、ハーフシェル62Aおよび62Bの自由端部が連結される。その後、締め付けを継続し、ハーフシェル62Aおよび62Bの端部間におけるガスケット65の圧縮により定義される機械的停止が発生すると完了する。この最後の段階において、すなわち、フェライト製の半環状部分67Aおよび67Bが接触した後、それぞれのハーフシェル62Aおよび62Bの内部において、フェライト製の半環状部分67Aおよび67Bが限定的に摺動する。これは、ハーフシェル62Aおよび62Bの内側に存在する樹脂70の弾性により可能とされる。
【0053】
樹脂70の弾性により、上述の摺動が可能となることに加えて、フェライト製の2つの半環状部分67A、67B間に一定の推力が適用される。これは、システムの適正な機能および長期に亘るその信頼性に対する基本条件である。
【0054】
ガスケット65は、ハーフシェル62Aおよび62Bの端部間のスペースを閉鎖するとともに、フェライト製の半環状部分67Aおよび67Bの端面間に侵入してインダクタ64の正しい電磁的挙動を変化させ得るとともに脅かし得る塵や他の異物の進入を防止する。上述のように相互に連結した2つの部品からなるインダクタ64の構造により、環状コア7が一部品として構成される既知の解決策に対して電磁的挙動に関して実質的な差異なく、システムの再現可能な組立および適正な機能が保証される。さらに、この構造により、回転シャフト5の周囲にインダクタ4を一体的に配置することが物理的に不可能な状況であっても、検査システムを適用することができる。
【0055】
工作機械に、特に工作機械のスピンドル6の回転シャフト5の周囲にインダクタ64を装着する方法は、ハーフシェル62A、62Bのうちの一方を支持構造体1に固定するステップ、例えば、図9に示すように、ハーフシェル62Bをスピンドル6にネジで固定するステップを提供し、上述のように、
-強磁性材料製の半環状部分67A、67Bの端部がそれぞれのハーフシェル62A、62Bの自由端部からわずかに突出するように、ハーフリング64A、64Bを配置するステップと、
-ハーフリング62A、62Bの端部を互いに接近させて、強磁性材料製の半環状部分67A、67Bの端部を相互に接触させるとともに、機械的基準部61、63をハーフシェル62A、62Bの端部と相互に協働させるステップと、
-締結装置、具体的にはカラー66に作用して、ハーフシェル62A、62Bの内側の弾性樹脂70の圧縮を引き起こすことにより、ハーフシェル62A、62を停止するまで一体的に締結するステップと、
が続く。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】