(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ポリマーフィルム並びにその製造及び使用
(51)【国際特許分類】
B29C 55/02 20060101AFI20231226BHJP
B29C 48/10 20190101ALI20231226BHJP
B29C 55/16 20060101ALI20231226BHJP
B29C 55/06 20060101ALI20231226BHJP
B29C 55/08 20060101ALI20231226BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231226BHJP
B29K 29/00 20060101ALN20231226BHJP
B29K 23/00 20060101ALN20231226BHJP
B29K 67/00 20060101ALN20231226BHJP
B29K 77/00 20060101ALN20231226BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
B29C55/02
B29C48/10
B29C55/16
B29C55/06
B29C55/08
B32B27/00 Z
B29K29:00
B29K23:00
B29K67:00
B29K77:00
B29L7:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534091
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2020084531
(87)【国際公開番号】W WO2022117198
(87)【国際公開日】2022-06-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523206150
【氏名又は名称】ザ・シュプリーム・インダストリーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オーレ-ベント・ラスムッセン
【テーマコード(参考)】
4F100
4F207
4F210
【Fターム(参考)】
4F100BA02
4F100BA15
4F100BA22
4F100EJ37A
4F100EJ37B
4F100EJ38A
4F100EJ38B
4F100EJ39A
4F100EJ39B
4F207AA03
4F207AA14
4F207AA24
4F207AA29
4F207AF01
4F207AG01
4F207AG05
4F207KA01
4F207KA17
4F207KM16
4F207KW41
4F207KW42
4F210AA03
4F210AA14
4F210AA24
4F210AA29
4F210AF01
4F210AF16
4F210AG01
4F210QC02
4F210QC07
4F210QG01
4F210QG18
4F210QL16
4F210QM15
(57)【要約】
本発明は、溶融、分散、又は溶解状態から形成された、高分子量ポリマーフィルムを配向させるための方法であって、この配向方法の開始として、狭い間隔で並んだドット又は細い短線の模様でフィルムがエンボス加工され、これによりこれらのエンボス加工内で配向され、この後、m.d.延伸、t.d.延伸、又はm.d.延伸とt.d.延伸との組合せによる1つ又は複数の工程で配向方法が継続され、これにより、本質的にフィルム全体が配向されるまで、エンボス加工され配向されたドット又は線が徐々に成長して展開することを特徴とする、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融、分散、又は溶解状態から形成された、高分子量ポリマーフィルムを配向させるための方法であって、この配向方法の開始として、狭い間隔で並んだドット又は細い短線の模様でフィルムがエンボス加工され、これによりこれらのエンボス加工内で配向され、この後、m.d.延伸、t.d.延伸、又はm.d.延伸とt.d.延伸との組合せによる1つ又は複数の工程で配向方法が継続され、これにより、本質的にフィルム全体が配向されるまで、エンボス加工され配向されたドット又は線が徐々に成長して展開することを特徴とする、方法。
【請求項2】
高分子量ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、又は生分解性ポリマーから主になることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つの係るエンボス加工工程によって特徴づけられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
継続の延伸する工程の直前のたるんだ状態で測定したときに、隣接するドット又は短線の間の距離が、50mm未満であることを特徴とする、請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項5】
これらの距離が30mm未満、好ましくは10mm未満であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
互いに交差したエンボス加工線の模様が形成される、又はジグザグ模様が形成されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
1枚が他方の上に配置された2枚のフィルムが同時にエンボス加工されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
レイフラットチューブフィルムに行われることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
エンボス加工が、最初に1つの外面から行われ、次に他方の外面から行われることを特徴とする、請求項6、7、又は8に記載の方法。
【請求項10】
フィルムが、初めはサーキュラーダイから押し出されたチューブフィルムであり、ドローダウン(draw-down)中に、溶融又は半溶融チューブフィルムが、1.1:1以上、好ましくは1.2:1以上、より好ましくは1.3:1以上の比で吹かれる(blown)ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項を行うのに好適な装置のセット。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項を使用して製造された、交差積層体を含む、ポリマーフィルム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーフィルムの延伸性を改善するためのエンボス加工の新規使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフィルムは、固体状態で行われる一軸又は二軸延伸に付された形態で使用されることが非常に多い。一軸延伸は機械方向(m.d.)又は横断方向(t.d.)とすることができ、二軸延伸は、1つ若しくは複数のm.d.延伸工程及び1つ若しくは複数のt.d.延伸工程、又はm.d.延伸とt.d.延伸との組合せによるものとすることができる。このような配向フィルムは、例えばゴミ袋及び買い物袋の製造に、防水シートの代替品として、及び屋根材として、使用される。延伸されるフィルムは、インフレーション押出しフィルムとしてもよく、又はフラット押出しダイから形成されてもよく、いずれの場合も、溶融状態又は溶解状態で行われる。インフレーションフィルムが使用される場合、延伸の前に平らにされる。これらの方法は、周知である。m.d.及び/又はt.d.配向フィルムの特定の用途は、「交差積層体」、すなわち合板と同様に十字形の分子配向を示すポリマー積層体の製造である。この重要な用途は、サブクレームの記載と関連して更に説明されることになる。現存する技術において、ポリマーの溶融範囲にやや近い温度で、且つ破断点にかなり近い延伸比で、前記延伸を行うことが常に必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許出願公開第816607号
【特許文献2】米国特許第5,248,366号
【特許文献3】米国特許第5,361,469号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、より低い延伸温度及び/又はより低い延伸比の使用を可能にするであろう方法で延伸技術を改変し、これにより各最終製品で様々な興味深い特性を作り出すことが可能かどうかを調査することが興味深いことを見出した。本明細書における例は、何が達成されたかを示している。また、まだ証明されていないが、おそらく本発明は以前に達成されたものよりも高い程度でフィルムの延伸を可能にすることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
機械技術において、金属プレートのスポット形欠陥は、プレートが十分な一方向応力を受けると、線状に展開する傾向があることが周知である。この展開は、応力の方向に対し角度45度で起こる。同様に、実質的に配向されていないプラスチックフィルムの小さな欠陥、例えば小さな気泡は、フィルムが十分な張力下にあると、角度のある細い短線に展開する傾向があることを本発明者は見出した。
【0006】
本発明において、この現象は、溶融、分散、又は溶解状態から形成されたポリマーフィルムの配向の改善に利用される。この配向方法の開始として、狭い間隔で並んだドット又は細い短線の模様でフィルムがエンボス加工されて、これらのエンボス加工内で配向される。その後、エンボス加工されて配向されたドット又は線が徐々に成長するように、m.d.延伸、t.d.延伸、又はm.d.延伸とt.d.延伸との組合せによる1つ又は複数の工程で配向方法が継続される。配向方法は、本質的にフィルム全体が配向される程度まで行われる。
【0007】
大半の用途で、高分子量ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、又は生分解性ポリマーから主になる。
【0008】
最終製品の用途に応じて、エンボス加工は、1つ、2つ、又はそれ以上の工程で行われてもよい。
【0009】
更に、エンボス加工において、任意の隣接するドット又は短線の間の距離は、好ましくは50mm未満、より好ましくは30mm未満、更により好ましくは10mm未満である。これは、継続の延伸の直前のたるんだ状態を指す。
【0010】
2つ以上のエンボス加工の工程が行われる場合、エンボス加工された線が互いに交差した模様を形成すること、又はジグザグを形成することが有利でありうる。
【0011】
1枚が他方の上に配置された2枚のフィルムが同時にエンボス加工されてもよい。
【0012】
エンボス加工及び後続の延伸は、レイフラットチューブに行われてもよい。この場合、及び1枚が他方の上にある2枚のフィルムが同時にエンボス加工される場合、エンボス加工は、好ましくは最初に1つの外面から行われ、次に他方の外面から行われる。
【0013】
エンボス加工され延伸されるフィルムは、サーキュラーダイから押し出されたチューブフィルムとして開始してもよい。次に、ドローダウンの状態の溶融又は半溶融チューブフィルムが、1.1:1以上、好ましくは1.2:1以上、より好ましくは1.3:1以上の比で好ましくは吹かれる。
【0014】
本発明者はまた、上記の方法のいずれかの実施形態を行うのに好適な装置の任意のセット、及び実施形態のいずれかによって作製された任意のポリマー製品を特許請求する。これに関し、特定の対象の製品は、いわゆる「交差積層体」であり、これは合板のフィルムでの類似物である。これは、少なくとも2枚のフィルムを含むフィルム積層体と定義することができ、その少なくとも2枚のフィルムは、各々が一軸配向又は不均等二軸配向され、異なるフィルムの一軸又は不均等二軸方向が互いに交差するように積層されている。最も実質的には、m.d.配向されたチューブフィルムを斜めに切断して、斜め配向されたフィルムを形成し、その後これに、同様に作製された斜め配向されたフィルムを、配向方向が互いに交差するようにして回転させて連続的に積層する。このような交差積層の第1の開示は、1954年からの優先権を主張する英国特許出願公開第816607号(Ole-Bendt Rasmussen)である。このような方法を行う特に実質的な方法及びこのための装置は、米国特許第5,248,366号及び同第5,361,469号(両方ともにOle-Bendt Rasmussen、1998年からの優先権)により公知である。
【0015】
エンボス加工され延伸されたフィルムの一部の最終用途では、フィルムの波形の外観が有利でありうるが、一部の用途では平坦な外観が好ましいこともある。このような場合、距離約100cmで裸眼でフィルムを調べたときに、最終製品のエンボス加工が実質的に見えなくなるように、初めのエンボス加工の深さを注意深く適合させなくてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】エンボス加工及び直後の比1.5:1でのm.d.延伸のすぐ後の緩和状態のフィルムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これより、
図1のフローシート及び
図2の写真を参照しながら、方法、装置、及び製品が更に詳細に記載され、
図2は、エンボス加工及び直後の比1.5:1でのm.d.延伸のすぐ後の緩和状態のフィルムを示す。エンボス加工は丸形ドットの形態であった。ローラー上の隣接ドット間の距離は、t.d.とm.d.の両方で20mmであった。写真を作製する際、交差する偏光フィルターの間にフィルムを置き、その集合に光を通した。
【0018】
図1において、基本的に配向されていないフィルム(又は、未結合の2枚のフィルムの集合)が、m.d.張力下で維持されながら、低い比でプリーツ加工される。この工程は任意選択であるが、好ましい。次の工程において、雄形と雌形のエンボス加工ローラーの間でフィルムがエンボス加工される。フィルムがこれらのローラーから離れている間に、低い比でm.d.延伸される。この延伸も任意選択であるが、好ましい。この後、従来の手段(従来のm.d.延伸方法により公知)によるより深いプリーツ加工のプロセス及び最終m.d.延伸、又は代替的に(プリーツ加工を全くせずに)t.d.若しくは二軸延伸のいずれかが続く。二軸延伸は、異なる3つの方法、すなわち、a)最初にm.d.延伸、次にテンターフレームでt.d.延伸、b)a)の逆、及びc)特別なテンターフレームでのm.d.延伸とt.d.延伸との組合せで行われうる。最後に、配向されたフィルムを緩和させ、ポリマーの溶融範囲付近の温度に加熱されたオーブンである程度まで収縮させ、そうしないと貯蔵及び使用中に徐々に縮むことになる。
【0019】
図2において、垂直方向は、エンボス加工されてその直後に穏やかに延伸されたフィルムのm.d.を表す。ドットが展開して線を形成し、この実験においてその線は連続になっている。これは、ドット間の短い距離に起因する。このような微細で均一な模様によって最終延伸が容易になるが、エンボス加工ローラーが高価になり、主要な特許請求から見られるように、本発明はエンボス加工の形態及び分散においてより広い範囲を有する。
【国際調査報告】