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特表2024-500319腹膜透析キャップ、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】腹膜透析キャップ、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/20 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61M39/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534332
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021062079
(87)【国際公開番号】W WO2022125474
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/122,470
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508004797
【氏名又は名称】アイシーユー・メディカル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジーボル、ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バイルケ、マシュー デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066BB01
4C066CC01
4C066JJ03
4C066JJ05
4C066JJ07
4C066JJ10
(57)【要約】
医療用コネクタのためのキャップであって、キャップは、閉基端部及び開先端部を有する本体と、本体内の内部容積と、本体の基端部から内部容積の少なくとも一部を通って軸方向に延在する長尺状部材と、キャップを医療用コネクタに固定するためのネジ山と、キャップ上の半径方向内向き封止面であって、ネジ山より遠位に配置されて、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間に液密シールを提供する半径方向内向き封止面と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用コネクタのためのキャップであって、
閉基端部及び開先端部を有する本体と、
本体内の内部容積と、
本体の基端部から内部容積の少なくとも一部を通って軸方向に延在する、抗菌薬を備える長尺状部材と、
キャップを医療用コネクタに固定するためのネジ山と、
キャップ上の半径方向内向き封止面であって、ネジ山より遠位に配置されて、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間にシールを提供する半径方向内向き封止面と
を備える、キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
医療用コネクタは、腹膜透析移送セットの一部である、キャップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
キャップ上の半径方向内向き封止面は、キャップが医療用コネクタの外面の周りに締め付けられて医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間に液密シールを提供する、キャップ。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一項に記載の医療用コネクタのためのキャップは、更に、
キャップ上に先端向き封止面を備え、
先端向き封止面がネジ山より遠位に配置され、
キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、先端向き封止面は、キャップと医療用コネクタとの間に第2の液密シールを提供する、キャップ。
【請求項5】
請求項4に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
先端向き封止面は、キャップの先端部に配置され、キャップの長手軸方向中心線に対して略垂直である略平坦面を有する、キャップ。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
すべての封止面は、キャップの本体の先端部分に配置される、キャップ。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか一項に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
キャップは、医療用コネクタの外面の一部に重なりかつ重なる医療用コネクタの外面の部分に対してシールを形成するように構成される、キャップ。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか一項に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
本体内の内部容積に多孔質要素を備え、
多孔質要素は、医療用コネクタ上への取付け前、乾燥しており、抗菌物質を含まない、キャップ。
【請求項9】
請求項8に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
多孔質要素は、移送セットへのキャップの取付け時に、医療用コネクタから出る流体を保持するように構成される、キャップ。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
多孔質要素は、長尺状部材が医療用コネクタ内に進められたとき、長尺状部材によって移動する液体の容積の75%~125%の容積を取り囲む、キャップ。
【請求項11】
請求項8~10のうちいずれか一項に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
多孔質要素は、キャップが医療用コネクタと係合されたときに、医療用コネクタの端部に接触するように寸法決めされて、構成される、キャップ。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか一項に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
長尺状部材は、医療用コネクタのルーメン内に流体シールを形成しない、キャップ。
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか一項に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
抗菌薬は、酢酸クロルヘキシジンを含む、キャップ。
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれか一項に記載の医療用コネクタのためのキャップと、ベース要素とを含むキットであって、
キャップはベース要素と結合される、キット。
【請求項15】
医療用コネクタのためのキャップであって、
閉基端部及び開先端部を有する本体と、
本体内の内部容積と、
本体の基端部から内部容積の少なくとも一部を通って軸方向に延在する長尺状部材であって、その表面上に乾燥抗菌薬を備える長尺状部材と、
キャップを医療用コネクタに固定するためのネジ山と、
本体内の内部容積における多孔質要素であって、使用前、抗菌薬で飽和していない多孔質要素と、
キャップ上の半径方向内向き封止面と
を備え、
内向き封止面は、ネジ山より遠位に配置され、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間に液密シールを提供する、キャップ。
【請求項16】
請求項15に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
多孔質要素は、使用前、抗菌薬を略含まない、キャップ。
【請求項17】
請求項15に記載の医療用コネクタのためのキャップにおいて、
多孔質要素は、使用前、少なくとも約95%の抗菌薬を含まない、キャップ。
【請求項18】
医療用コネクタに抗菌薬を送達する方法であって、
キャップを進めることで、内壁を有するルーメン、外面を有する外壁、及び基端部面を有する医療用コネクタと係合させることと、
キャップの長尺状部材をルーメン内に進めることで、長尺状部材の外面上にコーティングされた乾燥抗菌薬を濡らして医療用コネクタ内の液体に抗菌薬を溶解させることと、
キャップの先端部に配置された封止面で、医療用コネクタの外向き面に対してキャップを封止することと
を備える、方法。
【請求項19】
実質的には上記に記載されるか添付の図面に示される医療用コネクタのためのキャップ。
【請求項20】
実質的には上記に記載されるか添付の図面に示される医療用コネクタのためのキャップの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、腹膜透析装置及び方法に関し、腹膜透析キャップ、腹膜透析中に使用するためのキャップシステム、及び、腹膜透析装置に抗菌物質を投与する方法を含む。
【背景技術】
【0002】
カテーテル及びカテーテルで使用する機器(on-catheter devices)などの輸液装置が、患者に現代の医療を提供する際に一般的に使用されている。たとえば、血液透析カテーテル、腹膜透析カテーテル、末梢挿入中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheters)、正中カテーテル、及びドレナージカテーテルなどのカテーテルは、すべて、患者に現代の医療を提供する際に一般的に使用されている。医療を提供する際に使用される他の輸液装置は、ニードルレスコネクタ、静脈内(IV)投与セット、腹膜透析ライン、移送セット、シリンジ、弁、及びフィルタを含む。
【0003】
これらの輸液装置は、さまざまな医学的状態を治療するために有用である。たとえば、腹膜カテーテルによって、腎疾患の患者の廃棄物及び流体を患者の体から除去することができる。それゆえ、カテーテル及び他の輸液装置は、救命救急医療(critical medical care)を可能にし、しかもヘルスケアのアウトカムを改善するために必須であることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カテーテルの長期使用には、かなりの割合のカテーテルが、感染に起因して機能しなくなり、死亡率の上昇をもたらし、且つ治療に関連する医療費を著しく増大させるという重大な欠点がある。さらに、感染は米国における主な死因であり、及びそれらの感染の多くは輸液装置に原因がある。そのような感染に関連する死亡率は、相当である。それゆえ、輸液装置の使用に関連する感染を低減させるためのソリューションに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のシステム、方法、及び装置はそれぞれ、いくつかの革新的な態様、実施態様、又は態様を有し、それらのうちの単一のものだけが、本明細書で開示される望ましい属性を担うわけではない。本明細書において必須のつまり不可欠なものはない。本明細書の任意の実施形態で説明される及び/又は示される任意の構造、材料、構成要素、方法、又はステップは、単独で提供することができる、並びに/又は、本明細書の若しくは当該技術分野において知られている、任意の他の実施形態で説明される及び/若しくは示される任意の他の構造、材料、構成要素、方法、又はステップと組み合わせることができる。図面に示される部品及び構成要素のすべての相対サイズ及び寸法は、本開示の一部を形成することが意図されるが、特許請求の範囲で列挙されない限り、そのような特許請求の範囲の範囲を限定するために使用されるべきでない。一般に円又は円形構造と関連付けられる本明細書の任意の単語、たとえば、半径、放射状、直径、又は円周という単語は、断面幅又は断面周囲を示すなどの類似の方法で、非円形の構造にも適用されることを理解すべきである。
【0006】
感染を引き起こす有機体は、環境内に絶えず存在している。それら有機体は、患者の皮膚に生息し、且つ空気中及び水中で生き延びて、伝染する。従来の医療装置のコネクタ及びキャップ、たとえば、テーパ付きルアーを有するオスコネクタ及びメスコネクタは、テーパ付き封止領域、たとえば、オスコネクタのテーパ付き部分とメスコネクタのテーパ付き部分の重なっている封止領域などとともに、ネジ領域を有する。重なっている封止領域は、医療装置内に流体を密封し、且つ空気及び有機体を締め出している。しかしながら、本発明人らの試験では、有機体は依然としてネジ領域を通って移動し、且つ封止領域内に至る道の一部分に入り込む可能性があることが示されている。これにより、装置の一部分の壁に沿って有機体が存在するようになる。オスコネクタ及びメスコネクタが互いに分離されると、少量の有機体が、オスコネクタ及びメスコネクタの壁上に留まる可能性がある。次に接続が行われるとき、有機体の一部は、封止面を通り越して、流体経路に押し込まれる可能性がある。ひとたび有機体が流体経路に入ると、それらは増殖し、広がって、感染を引き起こす可能性がある。腹膜透析移送セットは、腹膜腔から透析液を注入及び除去するために、腹膜透析カテーテルと患者ラインとの間を流体接続するために使用することができる。
【0007】
閉基端部及び開先端部を有する本体と、本体内の内部容積と、本体の基端部から内部容積の少なくとも一部を通って軸方向に延在する、抗菌薬を備える長尺状部材と、長尺状部材と、キャップを医療用コネクタに固定するためのネジ山と、キャップ上の半径方向内向き封止面であって、ネジ山より遠位に配置されて、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間に液密及び/又は気密シールなどのシールを提供する半径方向内向き封止面とを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。
【0008】
本明細書に開示されるキャップ、方法、及びシステムの任意の実施形態は、さらなる実施形態において、本明細書に開示される任意の他の実施形態の他のステップ、特徴、構成要素、及び/又は詳細のいずれかとの任意の組合せにおける、以下のステップ、特徴、構成要素、及び/又は詳細のうちの1つ又は複数を含むことができる。医療用コネクタは、腹膜透析移送セットの一部である。キャップ上の半径方向内向き封止面は、キャップが医療用コネクタの外面の周りに締め付けられて医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間にシール(たとえば、気密及び/又は液密)を提供する。キャップ上に先端向き封止面をさらに備え、先端向き封止面がネジ山より遠位に配置され、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、先端向き封止面はキャップと医療用コネクタとの間に第2の液密シールを提供する。先端向き封止面は、キャップの先端部に配置され、キャップの長手軸方向中心線に対して略垂直である略平坦面を有する。すべての封止面は、キャップの本体の先端部分に配置される。キャップは、医療用コネクタの外面の一部に重なりかつ重なる医療用コネクタの外面の部分に対してシールを形成するように構成される。本体内の内部容積に多孔質要素を備え、多孔質要素は、医療用コネクタ上への取付け前、乾燥しており、抗菌物質を含まない。多孔質要素は、移送セットへのキャップの取付け時に、医療用コネクタから出る流体を保持するように構成される。多孔質要素は、長尺状部材が医療用コネクタ内に進められたとき、長尺状部材によって移動する液体の容積の少なくとも約75%、又は、約75%以下、又は、約75%~約125%、又は、約125%、又は、約125%以下、又は、少なくとも約125%の容積を取り囲む。多孔質要素は、キャップが医療用コネクタと係合されたときに、医療用コネクタの端部に接触するように寸法決めされて、構成される。長尺状部材は、医療用コネクタのルーメン内に流体シールを形成しない。並びに/或いは、抗菌薬は、酢酸クロルヘキシジンを含む。本明細書に開示される任意の実施形態の医療用コネクタのためのキャップと、ベース要素とを含むことができるキットの実施形態も本明細書に開示され、キャップはベース要素と結合される。
【0009】
閉基端部及び開先端部を有する本体と、本体内の内部容積と、本体の基端部から内部容積の少なくとも一部を通って軸方向に延在する長尺状部材であって、その表面上に乾燥抗菌薬を備える長尺状部材と、キャップを医療用コネクタに固定するためのネジ山と、本体内の内部容積における多孔質要素であって、使用前、抗菌薬で飽和していない又は抗菌薬を略含まない多孔質要素と、キャップ上の半径方向内向き封止面とを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、内向き封止面は、ネジ山より遠位に配置することができ、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間に液密シールを提供することができる。いくつかの実施形態において、多孔質要素は、使用前、少なくとも約95%の抗菌薬を含まない。これは、多孔質要素は、多孔質要素が多孔質要素内に保持することを可能とすることができる抗菌薬の総量の約5%以下を有することができることを意味することができる。いくつかの実施形態において、多孔質要素は、使用前、少なくとも約90%の抗菌薬を含まない。これは、多孔質要素は、多孔質要素が支持することができる抗菌薬の総量の10%以下を有することができるという手段を意味することができる。
【0010】
キャップを進めることで、内壁を有するルーメン、外面を有する外壁、及び基端部面を有する医療用コネクタと係合させることと、キャップの長尺状部材をルーメン内に進めることで、長尺状部材の外面上にコーティングされた乾燥抗菌薬を濡らして医療用コネクタ内の液体に抗菌薬を溶解させることと、キャップの先端部に配置された封止面で、医療用コネクタの外向き面に対してキャップを封止することとを含むことができる、医療用コネクタに抗菌薬を送達する方法の実施形態も、本明細書において開示される。
【0011】
部分的に囲まれた内部空間(本明細書では、内部空間とも呼ばれる)と、部分的に囲まれた内部空間内に少なくとも部分的に位置付けられた長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、キャップを医療用コネクタに固定するためのキャップ上のネジ山と、キャップ上の封止面とを含むことができる、腹膜透析のための医療用コネクタのキャップ又はキャップの組(本明細書では総称して、キャップと呼ばれる)の実施形態が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、封止面は、ネジ山より遠位に配置することができ、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間に液密シールを提供することができる。
【0012】
部分的に囲まれた内部空間と、部分的に囲まれた内部空間内に少なくとも部分的に位置付けられた長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、キャップを医療用コネクタに固定するためのキャップ上のネジ山と、キャップ上の封止面とを含むことができる、腹膜透析のための医療用コネクタのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、封止面は、ネジ山より遠位に配置することができ、医療用コネクタ上に取り付けられたときに、第1の封止能力を提供することができる。第1の封止能力は、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられたときに、キャップと医療用コネクタとの間の総封止能力の50パーセント超とすることができる。
【0013】
部分的に囲まれた内部空間と、部分的に囲まれた内部空間内に少なくとも部分的に位置付けられた長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、キャップを医療用コネクタに固定するためのキャップ上のネジ山と、キャップ上の封止面とを含むことができる、腹膜透析のための医療用コネクタのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、封止面は、キャップ上のネジ山の内径より大きい内径を有することができる。
【0014】
長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、キャップを医療用コネクタに固定するためのキャップ上のネジ山であって、内径を有するキャップ上のネジ山と、キャップ上の封止面であって、キャップ上のネジ山の内径より大きい内径を有する封止面とを含むことができる、腹膜透析のための医療用コネクタのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。
【0015】
部分的に囲まれた内部空間と、部分的に囲まれた内部空間内に少なくとも部分的に位置付けられた長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、キャップを医療用コネクタに固定するためのキャップ上のネジ山と、キャップ上の封止面とを含むことができる、腹膜透析のための医療用コネクタのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、封止面は、ネジ山より遠位に配置することができ、キャップと医療用コネクタとの間にシールを提供するように構成することができる。いくつかの実施形態において、キャップは、医療用コネクタ上に取り付けられたときに、医療用コネクタと追加のシールを形成しないように構成することができる。
【0016】
長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、内径を有するネジ山と、封止面とを含むことができる、医療用コネクタに抗菌薬を送達するためのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。ネジ山は、キャップを医療用コネクタに固定するように構成することができ、封止面は、ネジ山の内径より大きい内径を有することができる。
【0017】
長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、キャップを医療用コネクタに固定するように構成されたネジ山と、封止面とを含むことができる、医療用コネクタに抗菌薬を送達するためのキャップの実施形態が、本明細書において開示され、長尺状部材は、少なくとも部分的に封止面の基端に配置される。
【0018】
部分的に囲まれた内部空間と、少なくとも部分的に、部分的に囲まれた内部空間内の長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、長尺状部材の基端部分の近くに位置付けられた圧縮可能な多孔質要素(本明細書では、多孔質材料とも呼ばれる)であって、使用前、抗菌薬が略含まれない、圧縮可能な多孔質要素とを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。
【0019】
キャップの内部につながる先端部上の開口を有する、基端部及び先端部と、キャップの部分的に囲まれた内部空間に配置されたトレッドと、少なくとも部分的に、キャップの部分的に囲まれた内部空間内の長尺状部材と、長尺状部材上の乾燥抗菌薬と、キャップ上のネジ山の先端全体に配置された封止面とを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。
【0020】
医療用コネクタのルーメンに挿入されるように構成された長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、長尺状部材の少なくとも一部の先端に配置されて、流体密シールを形成するように構成された封止面とを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。
【0021】
医療用コネクタのルーメンに挿入されるように構成された長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、医療用コネクタの外面上に流体密シールを形成するように構成された封止面とを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。
【0022】
医療用コネクタのルーメンに挿入されるように構成された長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、医療用コネクタのネジ山外径より大きい内径を有する封止面とを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。
【0023】
先端部上に開口を有する、基端部及び先端部と、少なくとも部分的にキャップの内部の中の長尺状部材と、長尺状部材上の乾燥抗菌薬と、キャップの先端部上の封止面とを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示され、封止面は、キャップが取り付けられた後の通気を防ぐように構成される。
【0024】
先端部上に開口を有する、基端部及び先端部と、少なくとも部分的にキャップの内部の中の長尺状部材と、長尺状部材上の乾燥抗菌薬と、長尺状部材の基端部に位置付けられた多孔質要素とを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示され、医療用コネクタ上へのキャップの取付け後、乾燥抗菌薬は、多孔質要素と医療装置のクランプとの間のルーメン領域内で移動するように構成することができる。
【0025】
基端部及び先端部、先端部上の開口、少なくとも部分的にキャップの内部の中の長尺状部材、長尺状部材上の乾燥抗菌薬、並びに、抗菌薬が略含まれない圧縮可能な多孔質要素を有するキャップを提供することと、ルーメンを有する医療装置を提供することと、乾燥抗菌薬が抗菌液体を生成するために液体に溶解し、抗菌液体で多孔質要素を濡らすように、長尺状部材を医療装置のルーメン以内に含まれる液体に挿入することとを含む、抗菌多孔質要素の原位置形成の方法の実施形態が、本明細書において開示される。
【0026】
基端部及び先端部、先端部上の開口、少なくとも部分的にキャップの内部の中の長尺状部材であって容積を有する長尺状部材、長尺状部材上の乾燥抗菌薬、並びに、長尺状部材の一部を部分的に囲む圧縮可能な多孔質要素を有するキャップを提供することと、長尺状部材の容積が圧縮可能な多孔質要素を通して液体の一部を移動させ、乾燥抗菌薬の少なくとも一部が抗菌液体を形成するために液体に溶解し、抗菌液体の少なくとも一部が多孔質要素と接触するように、長尺状部材を液体に挿入することとを含むことができる、抗菌多孔質要素の原位置形成の方法の実施形態が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、圧縮可能な多孔質要素は、抗菌薬を略含まないことができ、少なくとも部分的に空気を含むことができる。
【0027】
先端部上に開口を有する基端部及び先端部、少なくとも部分的にキャップの内部の中の長尺状部材、長尺状部材上の乾燥抗菌薬、並びに、長尺状部材の一部を部分的に囲む圧縮可能な多孔質要素を有するキャップを提供することと、移送セット上にキャップを取り付けることとを含むことができる、透析移送セットの基端部を洗浄する方法の実施形態が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、圧縮可能な多孔質要素は、移送セットの基端部上で強く押す動きによる取付けの間、圧縮することができる。
【0028】
基端部及び先端部、先端部上の開口、少なくとも部分的にキャップの内部の中の長尺状部材、長尺状部材上の乾燥抗菌薬、長尺状部材の一部を部分的に囲む乾燥した圧縮可能な多孔質要素を有するキャップを提供することと、移送セット上にキャップを取り付けることとを含むことができる、医療用コネクタにキャップを取り付ける方法の実施形態が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、圧縮可能な多孔質要素は、抗菌薬を略含まないことができる。いくつかの実施形態において、ルーメンに挿入されたとき、長尺状部材は、空気が多孔質要素を通って移動し、液体が圧縮可能な多孔質要素に保持されるように、移送セットのルーメン内の液体を移動させることができる。
【0029】
ベース要素の先端部上に指保持部を含むベース要素と、部分的に囲まれた内部空間、基端部及び先端部、並びに、キャップの先端部及びベース要素の基端部における熱収縮バンドを有し、キャップの内部へのバリアを提供するキャップとを含むことができる、医療用コネクタのためのキャッピングシステムの実施形態が、本明細書において開示される。キャップシステムの先端部上に指保持部を含むベース要素と、部分的に囲まれた内部空間を有し、基端部及び先端部を有するキャップとを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップシステムの実施形態が、本明細書において開示される。キャップシステムの先端部上に指保持部を含むベース要素と、キャップと、キャップの部分的に囲まれた内部空間にバリアを提供するキャップの先端部における熱収縮バンドとを含むことができる、医療用コネクタのためのキャップシステムの実施形態も、本明細書において開示される。
【0030】
ベース上にキャップを再取付けできないように、ベース上にキャップを保持する方法の実施形態が、本明細書において開示される。この方法は、キャップを含むキャップシステムを提供することと、熱収縮バンドはベース上に保持されるが、ベース上への再取付けを防ぐために収縮するように、ベースからキャップを取り外すこととを含むことができる。キャップは、部分的に囲まれた内部空間と、基端部と、先端部とを含むことができる。キャップシステムは、キャップの基端部上に指保持部を含むベース要素と、キャップの部分的に囲まれた内部空間へのバリアを提供する、キャップの先端部における熱収縮バンドとをさらに含むことができる。キャップは、熱収縮バンドによって、たとえば、キャップの先端部に又はキャップの先端部に隣接して、ベース要素に固定することができる。
【0031】
ルーメン、内壁、及び基端部面を有する医療用コネクタを提供することと、先端部上に開口を有する基端部及び先端部、少なくとも部分的にキャップの内部の中の長尺状部材、長尺状部材上の乾燥抗菌薬、抗菌薬を略含まない乾燥した圧縮可能な多孔質要素を有するキャップを提供することと、ルーメン及び多孔質要素内に抗菌液体を生成するために液体に乾燥抗菌薬を溶解するように、長尺状部材をルーメン内に含まれる液体に挿入することとを含むことができる、医療用コネクタに抗菌薬を送達する方法の実施形態が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態において、ルーメン内の抗菌液体は内壁に接触することができ、多孔質要素内の抗菌薬は基端部面に接触することができる。
【0032】
実質的に本明細書で説明される又は添付図面に示される医療用コネクタのためのキャップの実施形態が、本明細書において開示される。実質的に本明細書で説明される又は添付図面に示される医療用コネクタのためのキャップを使用する方法の実施形態も、本明細書において開示される。
【0033】
本明細書に開示されるキャップ、方法、及びシステムの任意の実施形態は、さらなる実施形態において、本明細書に開示される任意の他の実施形態の他のステップ、特徴、構成要素、及び/又は詳細のいずれかとの任意の組合せにおける、以下のステップ、特徴、構成要素、及び/又は詳細のうちの1つ又は複数を含むことができる。医療用コネクタは、腹膜透析移送セットの一部である。封止面は、ネジ山から外部方向に配置される。キャップは、部分的に囲まれた内部空間に基端空洞をさらに含む。基端空洞は、キャップが移送セット上に取り付けられたとき、移送セットの基端部の基端である内部の一部を含む。多孔質要素は、基端空洞内に含まれる。多孔質要素は、移送セット上への取付け前、乾燥している。多孔質要素は、取付け前、消毒若しくは抗菌物質、又は他の物質を含まない。多孔質要素は、医療用コネクタへのキャップの取付け時に、医療用コネクタから出る流体を保持するように構成される。基端空洞は、長尺状部材移動容積の容積より大きい容積を取り囲む。基端空洞の多孔質要素は、長尺状部材移動容積の75~125パーセントの容積を取り囲む。基端空洞の多孔質要素は、長尺状部材移動容積の50~150パーセントの容積を取り囲む。基端空洞は、副空洞を形成するために、1つ又は複数のデバイダを含む。基端空洞は、キャップを取付ける最中に医療用コネクタのルーメンから出る流体のために流体流路を提供する。長尺状部材は、キャップの部分的に囲まれた内部空間内に完全に含まれる。長尺状部材は、部分的に囲まれた内部空間の先端部から延在する。封止面は、半径方向内向きに向き、ネジ山から外部方向に配置される。キャップは、先端に向いて、ネジ山から外部方向に配置される先端平面状の封止面をさらに含む。キャップは、先端平面状封止面と、先端半径方向封止面とをさらに含み、封止面は、ネジ山から外部方向に配置される。キャップは、ネジ山から外部方向に先端傾斜封止面をさらに含む。医療用コネクタは基端部を有し、長尺状部材は、キャップが医療用コネクタ上に完全に取り付けられたときに、医療用コネクタの基端部の先端側である長尺状部材の容積として定義される移動容積を有する。医療用コネクタは基端部を有し、基端空洞は、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられたときに、医療用コネクタの基端部の基端側のキャップの部分的に囲まれた内部空間の容積を含むことができる。並びに/或いは、医療用コネクタは基端部を有し、部分的に囲まれた内部空間は、キャップが医療用コネクタに取り付けられたとき、医療用コネクタの基端部の先端側、及び、キャップと医療用コネクタとの間のシールの基端側、及び、移送セットの外壁から半径方向外向きの部分的に囲まれた内部空間の容積を含むことができる先端空洞を有する。
【0034】
本明細書に開示されるキャップ、方法、及びシステムの任意の実施形態は、さらなる実施形態において、本明細書に開示される任意の他の実施形態の他のステップ、特徴、構成要素、及び/又は詳細のいずれかとの任意の組合せにおける、以下のステップ、特徴、構成要素、及び/又は詳細のうちの1つ又は複数を含むことができる。長尺状部材は、医療用コネクタのルーメン内に流体シールを形成しない。キャップは、医療用コネクタのルーメン内のシールに構成されない。キャップは、キャップをベースに固定するためのキャップ保持フランジをさらに含む。医療用コネクタのためのキャップは、部分的に囲まれた内部空間と、部分的に囲まれた内部空間内に少なくとも部分的に位置付けられた長尺状部材と、長尺状部材上又は長尺状部材内の抗菌薬と、キャップを医療用コネクタに固定するためのキャップ上のネジ山と、キャップ上の封止面とを有し、封止面は、ネジ山の先端側に配置され、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間に一次シールを提供する。封止面は、ネジ山から外部方向に配置される。キャップは、部分的に囲まれた内部空間に基端空洞をさらに含む。キャップは、基端空洞内に多孔質要素を含むことができる。長尺状部材は、キャップの部分的に囲まれた内部空間内に完全に含まれる。キャップが医療用コネクタ上に取り付けられたとき、第1の封止能力はキャップと医療用コネクタとの間の総封止能力の75パーセント超である。キャップが医療用コネクタ上に取り付けられたとき、第1の封止能力はキャップと医療用コネクタとの間の総封止能力の90パーセント超である。キャップが医療用コネクタ上に取り付けられたとき、第1の封止能力はキャップと医療用コネクタとの間の総封止能力の95パーセント超である。並びに/或いは、キャップは、医療用コネクタのルーメン内のシールに構成されない。
【0035】
本明細書に開示されるキャップ、方法、及びシステムの任意の実施形態は、さらなる実施形態において、本明細書に開示される任意の他の実施形態の他のステップ、特徴、構成要素、及び/又は詳細のいずれかとの任意の組合せにおける、以下のステップ、特徴、構成要素、及び/又は詳細のうちの1つ又は複数を含むことができる。封止面は、一次封止面である。キャップは、医療用コネクタのルーメン内のシールに構成されない。封止面は、ネジ山の先端側に配置され、医療用コネクタ上に取り付けられたときに、第1の封止能力を提供し、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられたとき、第1の封止能力はキャップと医療用コネクタとの間の総封止能力の50パーセント超である。封止面は、ネジ山の先端側に配置され、医療用コネクタ上に取り付けられたときに、第1の封止能力を提供し、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられたとき、第1の封止能力はキャップと医療用コネクタとの間の総封止能力の75パーセント超である。封止面は、ネジ山から外部方向に配置される。キャップは、基端空洞をさらに含む。さらに、基端空洞内に多孔質要素を含むことができる。長尺状部材は、キャップの部分的に囲まれた内部空間内に完全に含まれる。キャップは、部分的に囲まれた内部空間に基端空洞をさらに含む。さらに、基端空洞内に多孔質要素を含むことができる。多孔質要素は、長尺状部材移動容積の75~125パーセントの容積を取り囲む。多孔質要素は、長尺状部材移動容積の50~150パーセントの容積を取り囲む。さらに、銀系抗菌薬を含むことができる。銀系抗菌薬は、キャップの一部にコーティングされる。銀系抗菌薬は、キャップの少なくとも一部に一体的に形成される。銀系抗菌薬は銀塩を含む。銀系抗菌薬は銀錯体を含む。銀系抗菌薬は銀イオンを含む。銀系抗菌薬は銀ナノ粒子を含む。銀系抗菌薬は銀ナノ層を含む。銀系抗菌薬は、ヘキサオキソヨウ素酸五銀、スルファジアジン銀、トリフルオロ酢酸銀、硝酸銀、ステアリン酸銀、及びこれらの組合せを含む。抗菌薬は、酢酸クロルヘキシジンを含む。キャップは、酢酸クロルヘキシジン及び銀系抗菌薬を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】腹膜透析を受けている患者の腹膜腔内まで延在する腹膜カテーテルを示す概略図であり、腹膜腔内に透析液が注入され、その後除去される。
図2】腹膜透析移送セットの斜視図である。
図3図2の腹膜透析移送セットの長手方向中心線に沿った断面図である。
図4】腹膜透析キャップ及びベース要素を含むキャップ組合せセットの実施形態の斜視図である。
図5図4に示されるキャップ組合せセットの実施形態の正面図である。
図6図5に示される線L-Lに沿ってとられた、図4に示されるキャップ組合せセットの実施形態の断面図である。
図7図4に示されるキャップ組合せセットの実施形態の側面図である。
図8図7に示される線K-Kに沿ってとられた、図4に示されるキャップ組合せセットの実施形態の断面図である。
図9】実施形態の側面図である、腹膜透析キャップ。
図10図9に示される線J-Jに沿ってとられた、図9に示される腹膜透析キャップセットの実施形態の断面図である。
図11】腹膜透析キャップベースの実施形態の側面図である。
図12図11に示される線D-Dに沿ってとられた、図11に示される腹膜透析キャップベース要素の実施形態の断面図である。
図13】移送セットのハブ又は端部部分に取り付けられている腹膜透析キャップの実施形態の側面図である。
図14図13に示される線H-Hに沿ってとられた、図13に示される移送セットのハブ又は端部部分に取り付けられている腹膜透析キャップの断面図である。
図15】移送セットのハブ又は端部部分上に取り付けられた腹膜透析キャップの実施形態の側面図である。
図16図15に示される線I-Iに沿ってとられた、図15に示される移送セットのハブ又は端部部分上に取り付けられた腹膜透析キャップの実施形態の断面図である。
図17】本明細書のさまざまな実施形態による、移送セットのハブ又は端部部分上に取り付けられた腹膜透析キャップの実施形態の断面図であり、基端/先端の向き及び内部/外部の向きを示す。
図18】腹膜透析キャップベース要素の実施形態の斜視図である。
図19】腹膜透析キャップ及びベース要素の実施形態の断面図である。
図20】腹膜透析キャップベース要素の別の実施形態の斜視図である。
図21】腹膜透析キャップベース要素の別の実施形態の斜視図である。
図22】腹膜透析キャップベース要素の別の実施形態の斜視図である。
図23】本明細書にさまざまな実施形態に従って作られる、腹膜透析キャップベース要素の別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ここで図面を参照すると、図1は、腹膜透析を受けている患者の概略図であり、患者の腹膜腔112(腹膜113によって囲まれている)に延在する腹膜カテーテル110を示し、ソースバッグ115からの透析液が患者へと流れて腹膜腔112に流入する。そのため、透析液は、後でドレーンバッグ116へドレーンすることができる。腹膜カテーテル110は、移送セット114及び輸液セット119によってバッグ116及び115と流体連通することができる。結合部117及び118は、移送セット114のいずれかの端部に位置付けることができる。いくつかの例において、移送セット114は、説明されるように、腹膜透析移送セット119とすることができる。
【0038】
図2は、腹膜透析移送セット114の斜視図であり、図3は、腹膜透析移送セット114の断面図である。腹膜透析移送セット114は、移送セット114の基端部208から先端部210まで延在するチューブ213を含むことができる。移送セット114の基端部208において、第1の雄ネジ216及び第2の雄ネジ218を有するネジ付きオスコネクタ214とすることができる。ネジ付きオスコネクタ214は、腹膜透析移送セット110の基端部部分である。
【0039】
交換プロセスの間、廃棄透析液は、腹膜腔112から結合部117及び移送セット114まで、次いで、結合部118を通って、最終的に輸液セット119の下部分を通って、ドレーンバッグ116に流れることができる。交換プロセスの完了後、輸液セット119は、移送セット114から結合部118で分離することができ、次の透析液交換が開始されるまで、移送セット114のメスコネクタは覆うことができる(図示せず)。よって、典型的な腹膜透析では、交換プロセスは、移送セット114の先端部210からキャップを取り外すことによって、次いで、結合部118を形成するために輸液セット119に連結することによって、開始することができる。このプロセスは、交換プロセスの最後に、結合部118で輸液セット116を取り外して、新しいキャップを取り付けることによって、逆にすることができる。
【0040】
図4は、腹膜透析キャップ420及びベース要素430を備えるキャップ組合せセット410の実施形態の斜視図である。腹膜透析キャップ420のいくつかの実施形態は、基端部422と先端部424とを有することができる。ベース要素430は、ユーザの指を受け入れるように寸法決めされたリング432を含むことができ、穴434はリング432を貫通している。さらに、示される実施形態において、ベース要素430は、ベース要素430がユーザの手に位置付けられたときに、ベース要素430の回転を制限することができる一対の側方延長部436を含むことができる。たとえば、限定されるものではないが、いくつかの実施形態において、ユーザは、ベース要素430に加えられるトルク力を増加させるために、側方延長部436の一方又は両方を押圧することができる。いくつかの実施形態において、側方延長部436は、示されるような尖頭若しくは三角形状、丸みのある形状、又は、任意の他の望ましい形状を有することができる。
【0041】
本明細書に開示される任意の実施形態において、キャップ420は、キャップ420の本体421の外面上に、1つ又は複数の把持部510を有することができる。いくつかの実施形態において、把持部510は、キャップ420の基端部422に、又は、キャップ420の基端部422に隣接して位置付けることができ、キャップの外面の長さに沿って軸方向に延在することができる。示されるように、キャップ420のいくつかの実施形態は、互いに対向する、キャップ420の本体421に形成される2つの把持部510を有することができる。図5を参照すると、いくつかの実施形態において、把持部510は、キャップ420の使用中に、キャップ420上のユーザの指の握りを改善するように構成された、チャネル、隆起、粗面化されたテクスチャ、又は他の特徴を有することができる。
【0042】
図5は、図4に示されるキャップ組合せセット410の実施形態の側面図であり、腹膜透析キャップ420及びベース要素430を含むことができる。腹膜透析キャップ420は、基端部422と先端部424とを有することができる。ベース要素430は、ユーザの指を受け入れるように寸法決めされたリング432を含むことができ、穴434はリング432を貫通している。さらに、示される実施形態において、ベース要素430は、上記のように、一対の側方延長部436を含むことができる。
【0043】
図6は、腹膜透析キャップ420及びベース要素430を含むキャップ組合せセット410の実施形態の断面図である。ベース要素430は、ユーザの指を受け入れるように寸法決めされたリング432を含むことができ、穴434はリング432を貫通している。腹膜透析キャップ420のいくつかの実施形態は、長尺状部材620が延在することができる内部容積610を含むことができ、長尺状部材は先端部622を有する。キャップ420のいくつかの実施形態は、スポンジ材料、連続気泡発泡材、又は他の好適な乾燥発泡体若しくは乾燥多孔質材料を含むことができる多孔質要素630を有することができる。いくつかの実施形態において、多孔質要素630は、その中に長尺状部材622を受け入れるように構成された開口をその中に有することができる。多孔質要素630は、キャップの基端壁及びキャップの内側側壁に当接するように位置付けることができる。多孔質要素630は、膨張可能及び圧縮可能である可能性があり、いくつかの実施形態では、多孔質要素が、キャップと結合されたとき又はキャップと別様に組み立てられたときに、キャップの内壁に対して膨張するように、キャップの内径より大きい外径を有する可能性がある。多孔質要素630は、キャップの基端部の内面と接触して位置付けられるように、キャップに結合することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、多孔質要素630は、長尺状部材620の基部に、内部容積610の基端部部分に、及び/又は、内部容積610内の任意の場所に、位置付けることができる。たとえば、限定されるものではないが、いくつかの実施形態において、多孔質要素630は、長尺状部材620の基部に位置付けることができ、長尺状部材620を回避するように寸法決め及び構成することができる開口をその中に有することができ、それにより、多孔質要素630が使用可能位置(たとえば、内部容積610の基端部)に位置付けられたときに、長尺状部材622が多孔質要素630の開口を貫通することができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、多孔質要素630によって占められた空間、又は、多孔質要素630の容積は、内部容積610の副部分とすることができる。換言すれば、多孔質要素630は、いくつかの実施形態において、内部容積610の全容積より少なく占めることができる。いくつかの実施形態において、多孔質要素630は、いくつかの実施形態では、キャップの内部容積610の容積の25%若しくは約25%を占めることができる、或いは、いくつかの実施形態では、キャップの内部容積610の20%若しくは約20%若しくは20%未満から、50%若しくは約50%若しくは50%超まで占めることができる、或いは、いくつかの実施形態では、キャップの内部容積610の内部容積610の30%若しくは約30%から、40%若しくは約40%まで、又は、前述の任意の範囲内の任意の値の30%若しくは約30%から40%若しくは約40%まで、又は、前述の任意の範囲内の任意の値から任意の値までを占めることができ、個別のコネクタが内部容積610内に進む前に(すなわち、個別のコネクタがカテーテルに接続される前に)キャップの内部容積610の容積は決定される。いくつかの実施形態において、内部容積610内の容積は、長尺状部材620がハブ又はコネクタ内に進んだときに、長尺状部材620が移動させるように構成されるハブ又はコネクタ内の液体の容積より大きい。
【0046】
本明細書に開示される任意の実施形態において、多孔質要素630は、少なくとも多孔質要素630が液体で飽和するまで、それが多孔質要素630と接触する液体を吸収及び保持するように構成することができる。いくつかの実施形態において、多孔質要素630は、スポンジ状の特性を有することができる。この構成では、多孔質要素630は、キャップがカテーテルのハブと係合されたときに液体がキャップから漏出する可能性を減少させるために、キャップがハブと係合されたときにカテーテル又は移送セットのハブから排出される液体を吸収及び保持することができる。さらに、キャップがハブと係合されたときに抗菌薬は液体に溶解することができるので、多孔質要素630によって吸収できる液体は、もしあれば、任意の液体が多孔質要素から排出されたときに、多孔質要素630及び他の表面にさらなる消毒能力を提供するように、抗菌薬を含有することができる。
【0047】
図7は、腹膜透析キャップ420及びベース要素430を含むキャップ組合せセット410の実施形態の側面図であり、1つ又は複数の把持部510及び封止バンド730を含む。示されるように、本明細書に開示される任意の実施形態は、腹膜透析キャップ420をキャップベース要素430に固定する封止バンド730を含むことができる。封止バンドは、使用前に腹膜透析キャップ420をベース要素430に保持することができる、若しくは、使用前のベース要素430からのキャップ420の分離を阻止することができる、及び/又は、(衛生的ではないことがある)キャップ420の再使用を防止又は阻止するために、キャップ420がベース要素430から分離された後の、ベース要素430への腹膜透析キャップ420の再取付けを防ぐことができる。腹膜透析キャップ420は、基端部422と先端部424とを含むことができる。ベース要素430は、ユーザの指を受け入れるように寸法決めされたリング432を含むことができ、リング432は、リング432を通してユーザの指を受け入れるように寸法決め及び構成された開口434を有する。さらに、示される実施形態において、ベース要素430は、上記のように、一対の側方延長部436を含むことができる。いくつかの実施形態において、側方延長部436は、ベース要素430がユーザの手に位置付けられたときに、ユーザが、ベース要素430上により大きいレベルのトルクを及ぼすことを可能にすることができる。
【0048】
図8は、図7の線K-Kに沿ってとられた、図5に示される腹膜透析キャップ420及びベース要素430を含むキャップ組合せセット410の実施形態の断面図である。図9は、本明細書のさまざまな実施形態による腹膜透析キャップ420の側面図であり、把持部510を示すことを含む。図10は、図9に示される線J-Jに沿ってとられた、図9の腹膜透析キャップの側断面図である。図10に示されるように、いくつかの実施形態において、長尺状部材620の直径又は水平断面幅は、キャップ420の側壁(単数若しくは複数)の水平断面幅及び/又はキャップ420の基端部422の垂直幅より大きい可能性がある。たとえば、示されるように、長尺状部材に沿った、又は、長尺状部材620の垂直長さの少なくとも大部分に沿った、及び/又は、長尺状部材620の垂直長さ全体に沿った少なくとも1点上で、長尺状部材620の直径又は水平断面幅は、キャップ420の側壁(単数若しくは複数)の垂直長さに沿ったいくつかの点及び/若しくはすべての点の、並びに/又は、キャップ420の基端部422の水平長さに沿った垂直幅のいくつかの点及び/若しくはすべての点の水平断面幅より大きい可能性がある。示されるように、キャップ420の外面は、キャップ420の最先端部で、外向きにテーパ状とすることができる。
【0049】
多くの図に示されるように、いくつかの実施形態において、長尺状部材620は、中実(中空でない)とすることができる、及び/又は、個別に形成された構成要素を集めることなく、キャップ420の側壁(単数若しくは複数)及び/又はキャップ420の基端部422と一体的に形成されることができる。示されるように、長尺状部材620は、キャップ420の先端部あたりまで延在するだけ十分に長くすることができる、及び/又は、長尺状部材620は、キャップ420の側壁の全垂直長さよりもわずかに短くすることができる。長尺状部材620をキャップ420の側壁より短くすることによって、ユーザが使用前にキャップ420を表面上に(不適切に)置いた場合に、長尺状部材620が汚染されることは少ない。また、いくつかの実施形態において、長尺状部材620がキャップ420の側壁より短いとき、使用前のキャップ420の内部の汚染を阻止するために、キャップ420には、キャップ420の側壁の先端開口部全体にわたる取り外し可能な貼り付けられた蓋又はシール(図示せず)を設けることができる。示されるように、キャップ420のネジ付き内側部分の最先端部は、キャップ420の側壁の最先端部の基端方向とすることができ、キャップ420のネジ付き内側部分の最先端部から先端方向である側壁の部分は、キャップ420のネジ付き内側部分から基端方向である側壁の部分の水平断面より水平断面幅を薄くすることができる。このより薄い部分は、キャップ420とハブ212との間のシールの形成を支援するために、ハブ212に取り付けられるときのキャップ420の先端部のわずかな移動又は一時的な半径方向拡張を可能にする、ある程度の可撓性を提供することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、示されるように、多孔質要素630は、長尺状部材620の基部とキャップ420の内部のネジ領域の基端部との間の少なくとも内部領域の大部分に沿って、長尺状部材620の基部を囲むことができる。示されるように、多孔質要素630の垂直高さ又は厚さは、キャップ420のネジ領域の基端部と先端部との間の距離と少なくとも同じ大きさとすることができる。いくつかの実施形態において、示されるように、多孔質要素630の流体吸収容積は、長尺状部材420の容積と少なくとも同じ大きさとすることができ、多孔質要素630が、流体ですでに満たされているハブ212への長尺状部材420の挿入によって移動する任意の流体を吸収することを可能にする。
【0051】
腹膜透析キャップ420のいくつかの実施形態は、長尺状部材620が貫通できる内部容積610を含むことができる。内部容積610は、キャップ420の本体421の基端部422から、キャップ420の本体421の先端部424まで延在することができる。上述のとおり長尺状部材620は、キャップ420の本体421及びキャップ420の内部容積610の長手軸方向中心線を通って延在することができる。
【0052】
長尺状部材620は、キャップ420の基端部422に隣接する基端部621を有することができ、内部容積610の長手軸方向中心線に沿って、先端部623まで延在することができる。いくつかの実施形態において、長尺状部材620は、示されるような、円形断面形状、又は、星形、六角形、八角形、若しくは他の多角形形状などの、任意の他の望ましい断面形状を有することができる。長尺状部材620は、その長さに沿って均一とすることができる、又は、その先端部623における長尺状部材620の直径又は断面サイズがその基端部621における長尺状部材620の直径又は断面サイズより小さいように、その長さの全体又は一部に沿ってテーパ状とすることができる。いくつかの実施形態において、長尺状部材620は、長尺状部材620の先端部623がキャップ420の先端部424を過ぎて延在しないように、その先端部424におけるキャップ420の長さより短い長さまで又は点若しくは平面まで延在することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、長尺状部材620は、キャップ420の本体421と一体的に(すなわち、モノリシックに)形成することができる。いくつかの実施形態において、長尺状部材620は、別個に形成し、キャップ420の本体421と結合することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、多孔質要素630は、腹膜透析キャップ420の内部容積610の基端部に位置付けることができる。さらに、腹膜透析キャップの先端部において、420がaであることはベース要素430を係合するフランジを有する重なり領域640である。示される構成におけるベース要素430は、長尺状部材の基端部622が延在することができる凹部634を含むことができる。
【0055】
図11は、腹膜透析ベース要素430の実施形態の側面図である。図12は、図11に示される線D-Dに沿ってとられた、図11の腹膜透析ベース要素430の側断面図である。ベース要素430は、ユーザの指を受け入れるように寸法決めされたリング432を含むことができ、穴434はリング432を貫通している。ベース要素430は、キャップ420がベース要素430と結合されたときに、長尺状部材620(図示せず)の先端部623が延在することができる凹部634をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、ベース要素430は、外部フランジ面1230とともに、上部フランジ面1210及び下部フランジ面1220を含むことができる。
【0056】
図13は、移送セットの基端ハブ212上に取り付けられている腹膜透析キャップ420の実施形態の側面図である。図14は、図13に示される線H-Hに沿ってとられた、移送セットの基端ハブ212上に取り付けられている図13に示される腹膜透析キャップ420の実施形態の断面図である。キャップ420がハブ212との係合に進められると、キャップ420は回転させることができ、そのため、キャップ420のネジ山632が移送セットの基端ハブ212のネジ山216に係合するように回転する。キャップ420がハブ212との係合に進められると、長尺状部材620は、移送セットの基端ハブ212の通路217に延在することができる。キャップ420の本体421が移送セットの基端ハブ212上のネジ山216の上の位置に移動すると、長尺状部材は、移送セットの基端ハブ212の内部又は通路217に突出することができる。
【0057】
図15は、移送セットの例示的な基端ハブ212上に取り付けられた腹膜透析キャップ420の実施形態の側面図である。図16は、図15に示される線I-Iに沿ってとられた、移送セットの基端ハブ212上に取り付けられた腹膜透析キャップ420の実施形態の断面図である。本明細書のさまざまな実施形態による、移送セット上に取り付けられた腹膜透析キャップ420の実施形態の図17断面図、基端/先端の向き及び内部/外部の向きを示す。腹膜透析キャップ420上の長尺状部材620は、移送セットのルーメンに延在することができ、腹膜透析キャップ420のネジ山632は、移送セットの対応するネジ山216に係合することができる。
【0058】
本明細書に開示される任意の実施形態において、キャップは、キャップが医療用コネクタと係合された場合に、キャップとキャップが係合される医療用コネクタとの間に液密シールを提供するように構成される、1つ以上の封止面、又は、2つ以上の封止面を有することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の封止面は、カテーテル又は移送セットのハブの外面(たとえば、外径)に対して封止するように構成することができる。いくつかの実施形態において、1つ、2つ、又はより多くの封止面は、ネジ山より遠位に配置することができ、キャップが医療用コネクタ上に取り付けられた場合に、キャップと医療用コネクタとの間に液密シールを提供することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、キャップ420は、キャップ420の先端部において、カテーテル又は移送セットのハブの1つ又は複数の部分又は表面に重なることができる重なり領域640を有することができる。いくつかの実施形態において、重なり領域640は、カテーテル又は移送セットのハブのベース要素430及び/又は1つ又は複数の表面に係合する封止フランジ440を有することができる。キャップ420のいくつかの実施形態は、キャップ420の本体421の先端部424に、1つ又は複数の封止面を有することができる。
【0060】
たとえば、限定されるものではないが、図13~16を参照すると、キャップ420のいくつかの実施形態は、キャップ420の本体421の先端部424に、封止フランジ440を有することができる。いくつかの実施形態において、封止フランジ440は、移送セットの基端ハブ212の第1の面219と係合して、第1の面219に対して封止するように構成することができる、第1の又は先端封止面442を有することができる。いくつかの実施形態において、第1の又は先端封止面442は、キャップ420が、移送セットの基端ハブ212の第1の面219に対するシールを形成するために、基端ハブ212に螺合されるときに、第1の面219に軸方向に当接するように構成することができる。いくつかの実施形態において、第1のシール面442は、キャップ420の長手軸方向中心線に略垂直であり、移送セットの基端ハブ212の第1の面219に当接するように構成された平面状端面を有することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、封止フランジ440は、移送セットの基端ハブ212の第2の面221と係合して、第2の面221に対して封止するように構成することができる、第2の又は半径方向封止面444を有することができる。いくつかの実施形態において、第2の又は半径方向封止面444は、移送セットの基端ハブ212の第2の面221に対するシールを形成するために、第2の面221に対して半径方向内向きに締め付けられるか、加圧されるように構成することができる。たとえば、限定されるものではないが、いくつかの実施形態において、封止フランジ440は、基端ハブ212の第2の面221に対して締まり嵌めを形成するように構成することができ、そばに、基端ハブ212の第2の面221の外径より小さい内径を有する。いくつかの実施形態において、限定されるものではないが、封止フランジ440は、基端ハブ212の第2の面221に対して締まり嵌めを形成するように構成することができ、そばに、基端ハブ212の第2の面221の外径より5%若しくは約5%小さい、又は、10%、約10%、若しくは10%超小さい、又は、2%若しくは約2%~15%若しくは約15%小さい内径を有する。
【0062】
図16に示されるように、いくつかの実施形態において、キャップ420及び/又は少なくともキャップ420の内部のネジ領域は、実質的に剛性であり、一般に、エラストマー、弾性、及び/又は可撓性ではない可能性があり、それにより、ネジ領域は、ハブ212への取付中又は取付後に、形状を変えない及び/又は膨張しない。キャップ420がハブ212に取り付けられるとき、キャップ420は、示されるように、密に、ぴったりと、強制的に、固定的に、及び/又は摩擦的に、半径方向及び/又は長手方向にハブ212に接触することによって、ハブ212に対するシールを形成することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、キャップ420は、通常の使用における、腹膜透析又は血液透析カテーテルの予想される圧力の範囲内であるハブ212内の通常の流体又は空気圧力、たとえば、患者の平均血圧での通気を阻止するように構成することができる。いくつかの実施形態において、ハブ212に取り付けられるときのキャップ420の圧力耐性は、取付け時の漏出に対する保護を向上させるために、実質的により高く、たとえば、少なくとも約68.9kPa(10psi)又は少なくとも約137.9kPa(20psi)とすることができる。
【0063】
本明細書に開示されるキャップの任意の実施形態は、キャップがハブ又はコネクタと完全に係合されたときでさえ、キャップが係合されるハブ又はコネクタの内面(たとえば、内側通路)に対してシール又は閉塞が作られないように構成することができる。キャップの任意の実施形態は、キャップがハブ又はコネクタと完全に係合されたときでさえ、キャップが係合するハブ又はコネクタの外面又は外向き面に対してのみキャップが封止するように構成することができる。いくつかの実施形態において、キャップは、長尺状部材の基端部部分に又は長尺状部材の基端部部分に隣接して封止面がないように構成することができる。いくつかの実施形態において、キャップは、すべての封止面又はシールが、キャップの先端部の開口に隣接する、キャップの先端部分に又はキャップの先端部分に隣接して位置付けられるように構成することができる。
【0064】
図18は、リング432、側方延長部436、及び凹部634を有する腹膜透析ベース要素430の実施形態の斜視図である。図19は、ベース要素430の長手軸方向中心線を通る、腹膜透析キャップ420の実施形態及び図18に示されるベース要素430の実施形態の断面図である。(図11~12及び18~20のいずれかに示されるベース要素430を含むが、これらに限定されるものではない)本明細書に開示されるベース要素の任意の実施形態において、ベース要素は、(ベース要素430を含むが、これに限定されるものではない)ベース要素の実施形態の特徴、構成要素、材料、若しくは他の詳細のいずれかの代わりに、又は、それらと組み合わせて、本明細書に開示されるベース要素の任意の他の実施形態の特徴、構成要素、材料、若しくは他の詳細のいずれかを有することができる。いくつかの実施形態において、キャップ420及び/又は長尺状部材620の先端部は、ベース要素430の凹部634に延在することができる。
【0065】
図20は、腹膜透析ベース要素430の別の実施形態の斜視図であり、リング432の分割領域690を有するリング432を示す。いくつかの実施形態において、リング432の分割領域690により、ユーザの異なるサイズの指を受け入れるために、リングのサイズを拡大(たとえば、増加)及び収縮(たとえば、減少)させることを可能にすることができる。
【0066】
図21は、腹膜透析ベース要素700の別の実施形態の斜視図である。(図21に示されるベース要素700の実施形態を含むが、これに限定されるものではない)本明細書に開示されるベース要素の任意の実施形態において、ベース要素は、(ベース要素700を含むが、これに限定されるものではない)ベース要素の実施形態の特徴、構成要素、材料、若しくは他の詳細のいずれかの代わりに、又は、それらと組み合わせて、本明細書に開示される任意の他のベース要素の実施形態の特徴、構成要素、材料、若しくは他の詳細のいずれかを有することができる。図21を参照すると、ベース要素700のいくつかの実施形態は、シャフト702と、ユーザが把持できる複数プロング保持領域704とを有することができる。ベース要素700は、キャップの先端部部分を受け入れるように寸法決め及び構成された環状フランジ又は棚706と、キャップの長尺状部材の先端部が延在することができるベース要素700の端部に形成された凹部708とを有することができる。
【0067】
図22は、腹膜透析ベース要素720の別の実施形態の斜視図である。(図22に示されるベース要素720の実施形態を含むが、これに限定されるものではない)本明細書に開示されるベース要素の任意の実施形態において、ベース要素は、(ベース要素720を含むが、これに限定されるものではない)ベース要素の実施形態の特徴、構成要素、材料、若しくは他の詳細のいずれかの代わりに、又は、それらと組み合わせて、本明細書に開示される任意の他のベース要素の実施形態の特徴、構成要素、材料、若しくは他の詳細のいずれかを有することができる。図22を参照すると、ベース要素720のいくつかの実施形態は、シャフト722と、ユーザが把持できる円形又はディスク形保持領域724とを有することができる。ベース要素720は、キャップの先端部部分を受け入れるように寸法決め及び構成された環状フランジ又は棚726と、キャップの長尺状部材の先端部が延在することができるベース要素720の端部に形成された凹部728とを有することができる。
【0068】
図23は、腹膜透析ベース要素740の別の実施形態の斜視図である。(図23に示されるベース要素740の実施形態を含むが、これに限定されるものではない)本明細書に開示されるベース要素の任意の実施形態において、ベース要素は、(ベース要素740を含むが、これに限定されるものではない)ベース要素の実施形態の特徴、構成要素、材料、若しくは他の詳細のいずれかの代わりに、又は、それらと組み合わせて、本明細書に開示される任意の他のベース要素の実施形態の特徴、構成要素、材料、若しくは他の詳細のいずれかを有することができる。図23を参照すると、ベース要素740のいくつかの実施形態は、シャフト742と、ユーザが把持できる円形又はディスク形保持領域744とを有することができる。シャフト742は、略長方形断面を有することができる。ベース要素740は、キャップの先端部部分を受け入れるように寸法決め及び構成された環状フランジ又は棚746と、キャップの長尺状部材の先端部が延在することができるベース要素740の端部に形成された凹部748とを有することができる。
【0069】
本明細書に開示される任意の実施形態において、キャップは、抗菌剤、たとえば、限定されるものではないが、酢酸クロルヘキシジンを含むことができる。本明細書に開示される任意の実施形態で使用できる他の抗菌剤は、クロルヘキシジン塩基、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、EDTA、スルファジアジン銀、若しくはタウロリジン、又は、それらの組合せを含むことができる。他の好適な抗菌剤は、本明細書に開示される任意のキャップ実施形態とともに使用することができる。本明細書で使用される「抗菌薬」という用語は、細菌、真菌、原虫、ウイルスなどの有機体を死滅させる、又は、それらの成長を抑制する任意の物質を含むことができる。本明細書に開示されるいくつかの実施形態で使用される1つ又は複数の抗菌剤とすることができることにも留意すべきである。したがって、本文書の全体において、抗菌薬又は抗菌剤という用語が、1つ又は複数の抗菌剤を言及することを理解すべきである。
【0070】
本明細書に開示される任意の実施形態において、抗菌剤は、長尺状部材上、並びに/又は、キャップの本体の内面及び/若しくはキャップの基端壁などのキャップの他の表面上に、コーティングすることができる。よって、抗菌剤は、コーティングされた長尺状部材から溶出するコーティングとして送達することができ、それは、長尺状部材上にコーティング又は含浸される(たとえば、長尺状部材の長さに沿った厚さ2μm若しくは約2μmの層の250μg若しくは約250μgの酢酸クロルヘキシジン、又は、厚さ0.4μm若しくは約0.4μmである層の50μg若しくは約50μgの酢酸クロルヘキシジン)。キャップからの抗菌剤は、移動される流体に溶解することができ、それによって、カテーテルの基端部を消毒する。この構成では、抗菌薬は、キャップからカテーテル内の溶液に移送することができる。キャップからの抗菌物質又は抗菌剤は、カテーテルの流体に溶解することができ、それによって、少なくともカテーテルの基端部を消毒する。さらにまた、いくつかの実施形態において、カテーテル流体が乾燥すると、カテーテル流体は、キャップ及び/又はカテーテルハブ上に、酢酸クロルヘキシジン又は他の適切な抗菌薬の沈着物又はコーティングを残すことができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、長尺状部材がカテーテルのハブに進むと、長尺状部材はカテーテル内からの流体の容積を移動させるように構成することができる。いくつかの実施形態において、移動させることができる流体の容積は、コーティングされた又はコーティングされていない長尺状部材の容積に等しく又は略等しくすることができる。いくつかの実施形態において、移動させることができる流体の容積は、多孔質要素を過ぎて先端方向で延在するコーティングされた若しくはコーティングされていない長尺状部材の容積、又は、コーティングされた若しくはコーティングされていない長尺状部材の容積から多孔質要素の実又は移動容積を差し引いたものに等しく又は略等しくすることができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態が説明されたが、これらの実施形態は、例示の目的でのみ示され、本開示の範囲を限定することを意図しない。実際、本明細書で説明された新規の方法及びシステムは、さまざまな他の形態で具現化されてもよい。さらにまた、本明細書で説明されたシステム及び方法におけるさまざまな省略、置換、及び変更は、本開示の精神を逸脱しない範囲で行われてもよい。添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物は、本開示の範囲及び精神内にあるそのような形態又は修正を含むことが意図される。
【0073】
特定の態様、実施形態、又は例とともに説明される特徴、材料、特性、又は群は、本明細書のこのセクション又は他の場所で説明される任意の他の態様、実施形態、又は例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示される特徴のすべて、並びに/又は、そのように開示される任意の方法又はプロセスのステップのすべては、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が互いに排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わされてもよい。保護するものは、任意の前述の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)において開示される特徴のうちの任意の新規のもの若しくは任意の新規の組合せ、又は、そのように開示される任意の方法又はプロセスのステップの任意の新規のもの若しくは任意の新規の組合せに及ぶ。
【0074】
さらにまた、本開示において別個の実施態様の文脈中で説明されるいくつかの特徴が、単一の実施態様へと組み合されて実施されることも可能である。対照的に、単一の実施態様の文脈で説明されるさまざまな特徴が、複数の実施態様において別個に、又は、任意の適切な下位組合せにおいて実施されることも可能である。さらに、いくつかの組合せにおいて機能するものとして特徴が説明されることがあるが、特許請求される組合せの中の1つ又は複数の特徴が、いくつかの例では、その組合せから排除される可能性があり、この組合せは、下位組合せ又は下位組合せの変形例として特許請求されてもよい。
【0075】
さらに、動作が、特定の順序において図面に示され本明細書において説明されることがあるが、所望の結果を実現するために、そのような動作は図示される特定の順序若しくは連続順序で実行される必要はなく、又は、そのすべての動作が実行されてもよい。図示又は説明されない他の動作が、これらの例の方法及びプロセスに組み込まれる可能性がある。たとえば、1つ又は複数の追加の動作が、説明された動作のいずれかの前に、後に、同時に、又はそれらの間において実行される可能性がある。さらに、これらの動作は、他の実施態様において再調整又は順序再設定されてもよい。当業者には明らかなように、いくつかの実施形態において、図示及び/又は開示されるプロセスで行われる実際のステップは、図面に示されるものと異なってもよい。実施形態に応じて、上述のステップのいくつかが取り除かれてもよく、他のものが加えられてもよい。さらにまた、上で開示された具体的な実施形態の特徴及び属性は、追加の実施形態を形成するために、異なる方法で組み合わされてもよく、そのすべては本開示の範囲内である。また、上述された実施態様におけるさまざまなシステム構成要素の分離は、すべての実施態様においてそのような分離が必要とされるものとして理解されるべきではなく、説明された構成要素及びシステムは、一般的に単一製品として一体化される可能性がある又は複数製品へパッケージされる可能性がある点を理解されたい。
【0076】
本開示のために、いくつかの態様、利点、及び新規の特徴が本明細書内で説明される。すべてのそのような利点が、任意の特定の実施形態により必ずしも実現されるわけではない。したがって、たとえば、本開示は、本明細書内で教示されるような1つの利点又は利点群を、本明細書において教示又は示唆されることがあるような他の利点を必ずしも実現することなく実現する様式で具現化又は実施されてもよい点が、当業者には理解されよう。
【0077】
「可能である(can)」、「あり得る(could、might)」、又は「であってもよい(may)」などの条件語は、別様のことが具体的に述べられない限り、又は、用いられるような文脈内で別様に理解されない限り、他の実施形態は特定の特徴、要素、及び/又はステップを含まないが、いくつかの実施形態はそれらの特定の特徴、要素、及び/又はステップを含むことを意味するように一般的に意図される。したがって、このような条件語は、特徴、要素、及び/又はステップが、1つ又は複数の実施形態のために必ず必要となることを示唆するようには、或いは1つ又は複数の実施形態が、これらの特徴、要素、及び/又はステップが任意の特定の実施形態に含まれる若しくは実行されることとなるか否かを、ユーザ入力又はユーザ指示を伴って又は伴わずに決定するための論理を必ず含むことを示唆するようには一般的に意図されない。
【0078】
「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」という表現などの接続語は、別様のことが具体的に示されない限り、あるアイテム、項目等がX、Y、又はZのいずれかであってもよいことを示すために一般的に使用されるような文脈とともに理解される。したがって、このような接続語は、いくつかの実施形態が少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、及び少なくとも1つのZの存在を必要とすることを示唆するようには一般的に意図されない。
【0079】
本明細書において使用される「約(approximately)」、「約(about)」、「一般的に(generally)」、及び「実質的に(substantially)」という用語などの、本明細書において使用される度合いを示す語は、所望の機能を依然として実行する又は所望の結果を依然として達成する、挙げられた値、量、又は特徴に近い値、量、又は特徴を表す。また、本明細書に開示された範囲は、重複、部分的な範囲、及びそれらの組合せのいずれか及びすべて、並びに、それらの範囲内の任意の特定の値を含む。「最大(up to)」、「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「より小さい(less than)」、「間(between)」などの用語は、列挙された数を含む。本明細書で使用された「約(about)」又は「約(approximately)」などの用語に続く数及び値は、列挙された数を含む。たとえば、「約(approximately)7mm」は「7mm」を含み、「約(about)」又は「約(approximately)」などの用語に続く数及び範囲は、数又は値の前のそのような用語の有無にかかわらず、数及び範囲を開示すると解釈されなければならず、本出願は、明細書及び/又は特許請求の範囲に開示される数、値、及び範囲を主張することを、そのような数、値、又は範囲の前の「約(about)」又は「約(approximately)」などの用語の有無にかかわらず、サポートし、たとえば、「約2倍から約5倍」は「2倍から5倍」の範囲の開示も含む。本開示の範囲は、本章又は本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の具体的な開示により限定されるように意図されず、本章若しくは本明細書の他の箇所に示される又は将来示されるような特許請求の範囲により定義されてもよい。特許請求の範囲に用いられる語は、特許請求の範囲において採用される語に基づき広く解釈されるべきであり、本明細書中において又は本願の手続き中に説明される例に限定されない。これらの例は、非限定的なものとして解釈されるべきである。
図1
図2
図3
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図10
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【国際調査報告】