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特表2024-500323炭化水素システムのデジタルツイン化システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】炭化水素システムのデジタルツイン化システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20231226BHJP
   G05B 13/02 20060101ALI20231226BHJP
   G05B 13/04 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G06F30/20
G05B13/02 K
G05B13/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023534374
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 US2021062172
(87)【国際公開番号】W WO2022125526
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/122,325
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523178732
【氏名又は名称】センシア リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ホーフェル アルバート
(72)【発明者】
【氏名】グエン ナム
(72)【発明者】
【氏名】ジン ロンゼン
(72)【発明者】
【氏名】アグラワル シヴァム
(72)【発明者】
【氏名】シュベルヴィ イヴ-マリー
【テーマコード(参考)】
5B146
5H004
【Fターム(参考)】
5B146AA02
5B146DC04
5B146DJ11
5B146DJ14
5H004GB02
5H004GB20
5H004HA01
5H004HA02
5H004HA03
5H004HA14
5H004HB01
5H004HB02
5H004HB03
5H004HB14
5H004KC22
5H004KC28
(57)【要約】
システムおよび方法が炭化水素システムにおいてデジタルツインを生成して使用する。システムおよび方法は、次の操作、すなわち(1)超次元空間において複数回のシミュレーションを実行する操作、(2)複数回のシミュレーションの出力を使用し、回帰法または機械学習法を用いる1つ以上の低次元化(縮退化)モデル(ROM)を生成する操作、(3)1つ以上のROMをインスタンス化することによって炭化水素システムのデジタルツインを生成し、そしてデジタルツインを設定して炭化水素システムによって得られたリアルタイムデータを用いる操作、および(4)デジタルツインを用いて炭化水素システムの1つ以上の変数の値をリアルタイムで推定する操作を実行するのがよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素システムのデジタルツインを生成して使用する方法であって、前記方法は、
実験計画(DOE)法を用いて複数回のシミュレーションを実行して、シミュレーションの入力、出力、および属性をマッピングする超次元空間を生成するステップと、
前記複数回のシミュレーションから得られた前記超次元空間を用いて、回帰法または機械学習法を用いる1つ以上の低次元化モデル(ROM)を生成するステップと、
前記1つ以上のROMを前記炭化水素システムの作動箇所でインスタンス化することによって前記炭化水素システムのデジタルツインを生成し、そして、前記デジタルツインを該デジタルツインが前記炭化水素システムから得られたリアルタイムデータを用いるよう設定するステップと、
前記デジタルツインを用いて、前記炭化水素システムの1つ以上の変数の値をリアルタイムで推定するステップと、
前記炭化水素システムを前記1つ以上の変数の前記推定値に基づいて制御するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のROMは、
フォワードROM、
インバースROM、または
キャリブレーションROMを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記フォワードROMは、1つ以上の制御可能な変数の値、1つ以上の設定パラメータの値、および1つ以上の較正変数の値に基づいて、仮定シナリオについて前記炭化水素システムの1つ以上の変数の値を予測するよう構成されている、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記インバースROMは、逆問題を解決して前記炭化水素システムの1つ以上のシステム変数の値を1つ以上の制御可能な変数の値、1つ以上の設定パラメータの値、1つ以上の較正変数の値、および前記炭化水素システムの1つ以上の測定変数の値に基づいて推定するよう構成されている、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記キャリブレーションROMは、1つ以上の較正変数を前記フォワードROMまたは前記インバースROMについて1つ以上の制御可能な変数の値、1つ以上の設定パラメータの値、1つ以上の測定できない変数の値、および1つ以上の測定変数の値に基づいて推定するよう構成されている、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記デジタルツインは、複数のROMのインスタンス化を含み、前記複数のROMのうちの1つ以上は、前記複数のROMのうちの異なるROMに対する出力を入力として提供するよう構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項7】
現場試験を前記炭化水素システムのところで実施して較正データを得るステップと、
前記1つ以上のROMを再生するとともに前記較正データを用いて前記デジタルツインを再生して較正されたデジタルツインを生成するステップ、または前記デジタルツインの1つ以上の他のROMを更新する際に使用可能に前記較正データを前記キャリブレーションROMに提供するステップのうちの少なくとも一方とをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記再生ステップは、DOEサンプリング方式とROMモデルおよびパラメータの両方の最適な組み合わせの自動選択を較正測定値および較正マッチング基準の同時存在下において実施するステップを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記再生ステップは、反復プロセスおよびベイズの正則化法を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
炭化水素システムのデジタルツインを生成して使用するシステムであって、前記システムは、
プロセッサを含み、前記プロセッサは、
複数回のシミュレーションを超次元空間内で実行して出力を生成し、
前記複数回のシミュレーションの前記出力を用い、回帰法または機械学習法を用いる1つ以上の低次化モデル(ROM)を生成し、
前記1つ以上のROMを前記炭化水素システムの作動箇所でインスタンス化することによって前記炭化水素システムのデジタルツインを生成し、そして、前記デジタルツインを該デジタルツインが前記炭化水素システムから得られたリアルタイムデータを用いるよう設定し、そして、
前記炭化水素システムを前記デジタルツインの出力に基づいて作動させるよう構成されている、システム。
【請求項11】
前記プロセッサはさらに、
前記デジタルツインおよび前記リアルタイムデータを用いて、前記炭化水素システムの1つ以上の変数の値をリアルタイムで推定するよう構成されている、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記リアルタイムデータは、前記炭化水素システムの坑口圧力、フローライン圧力、注入圧力、注入速度、ポンプ吐出し圧力、ポンプ吸込み圧力、電圧、電流、またはモータ温度のうちの少なくとも1つを含む、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記デジタルツインの自動較正チェックを実行するよう構成され、前記自動較正チェックを実行する操作は、
前記炭化水素システムの1つ以上の予測変数の測定値を得る操作、
前記1つ以上の予測変数の前記測定値を用いて、1つ以上の準静的パラメータを決定する操作、
前記1つ以上の準静的パラメータが収斂したかどうかを判定する操作、
前記1つ以上の準静的パラメータが収斂していないという判定に応答して、前記予測変数のうちの1つ以上を調節して、前記1つ以上の準静的パラメータを再び決定し、そして前記1つ以上の準静的パラメータが収斂したかどうかを再び判定する操作を含む、請求項10記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記デジタルツインの自動較正チェックを実行するよう構成され、前記自動較正チェックを実行する前記操作は、
前記炭化水素システムの1つ以上の予測変数の測定値を得る操作、
前記1つ以上の予測変数の前記測定値を用いて、1つ以上の準静的パラメータを決定する操作、
前記1つ以上の準静的パラメータを用いて予測される応答を決定する操作、
前記予測応答を前記炭化水素システムの実際の応答と比較して、前記応答の予測誤差を求める操作、および
前記準静的パラメータを調節してから前記予測応答を再び決定することによって前記予測誤差を最小限に抑え、そして予測応答を前記実際の応答と再び比較して前記応答の前記予測誤差を求める操作を含む、請求項10記載のシステム。
【請求項15】
前記デジタルツインの前記ROMのうちの少なくとも1つは、トランジェントROMを含み、前記トランジェントROMは、フィルタ関数を含み、前記フィルタ関数の前記パラメータは、キャリブレーションROMにより出力された1つ以上の準静的パラメータであり、前記フィルタ関数は、デコンボリューションおよび前記フィルタ関数を用いて前記炭化水素システムの1つ以上の測定値の入力が所与の場合に予測される応答を決定するよう構成されている、請求項10記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、第1のデータソースからの複数の測定値、および第2のデータソースからの前記可動箇所のデータを用いて前記デジタルツインの前記1つ以上のROMをインスタンス化するよう構成され、前記第1のデータソースからの前記複数の測定値と前記可動箇所の前記データは、互いに時間的に同期される、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記第1のデータソースからの前記複数の測定値と前記第2のデータソースからの前記作動箇所の前記データを自動的に時間的に同期させるよう構成されている、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記炭化水素システムの前記作動箇所の複数のデータを用いて前記1つ以上のROMをインスタンス化するよう構成され、前記作動箇所の前記複数のデータの各々は、前記作動箇所の前記複数のデータの各々の信頼係数を指示する重み付けを含む、請求項10記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記1つ以上のROMのパラメータを経時的に再び計算し、そして前記1つ以上のROMの前記パラメータの変化をモニタするよう構成され、前記プロセッサは、前記1つ以上のROMの前記パラメータがしきい量以上の量だけ変化していることに応答して技術者に警告するよう構成されている、請求項10記載のシステム。
【請求項20】
炭化水素システムのデジタルツインを生成して使用するツイン化ツールであって、前記ツイン化ツールは、処理回路系を有し、前記処理回路系は、
実験計画(DOE)法を用いて複数回のシミュレーションを実行し、それによりシミュレーションの入力、出力、および属性をマッピングする超次元空間を生成し、
前記複数回のシミュレーションからの超次元空間を用いて、曲線当てはめ法を用いる複数の低次元化モデル(ROM)を生成し、
試験を前記炭化水素システムのところで実行することによって得られる較正データを前記複数のROMへの入力として提供することによって、複数の準静的パラメータを決定し、
前記炭化水素システムのデジタルツインを前記複数の準静的パラメータおよび前記複数のROMに基づいて生成し、
前記デジタルツインを用いて前記炭化水素システムの応答を将来の計画対象期間にわたって予測し、そして、
前記将来の計画対象期間にわたる前記炭化水素システムの前記予測応答を技術者に表示するよう構成されている、ツイン化ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(本発明)は、炭化水素システムのモデル化に関する。特に、本発明は、炭化水素システムのリアルタイムモデルベース分析および制御に関する。
【0002】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2020年12月7日に出願された米国特許仮出願第63/122,325号の権益および優先権主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一具体化例は、幾つかの実施形態によれば、炭化水素システムのデジタルツインを生成して使用する方法である。幾つかの実施形態では、本方法は、実験計画(DOE)法を用いて複数回のシミュレーションを実行して、シミュレーションの入力、出力、および属性をマッピングする超次元空間を生成するステップを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、複数回のシミュレーションから得られた超次元空間を用いて、回帰法または機械学習法を用いる1つ以上の低次元化モデル(ROM)を生成するステップを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、1つ以上のROMを炭化水素システムの作動箇所でインスタンス化することによって炭化水素システムのデジタルツインを生成し、そして、デジタルツインをこのデジタルツインが炭化水素システムから得られたリアルタイムデータを用いるよう設定するステップを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、デジタルツインを用いて、炭化水素システムの1つ以上の変数の値をリアルタイムで推定するステップを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、炭化水素システムを1つ以上の変数の推定値に基づいて制御するステップを含む。
【0004】
幾つかの実施形態では、1つ以上のROMは、フォワードROM、インバースROM、またはキャリブレーションROMを含む。幾つかの実施形態では、フォワードROMは、1つ以上の制御可能な変数の値、1つ以上の設定パラメータの値、および1つ以上の較正変数の値に基づいて、仮定シナリオについて炭化水素システムの1つ以上の変数の値を予測するよう構成されている。
【0005】
幾つかの実施形態では、インバースROMは、逆問題を解決して炭化水素システムの1つ以上のシステム変数の値を1つ以上の制御可能な変数の値、1つ以上の設定パラメータの値、1つ以上の較正変数の値、および炭化水素システムの1つ以上の測定変数の値に基づいて推定するよう構成されている。
【0006】
幾つかの実施形態では、キャリブレーションROMは、1つ以上の較正変数をフォワードROMまたはインバースROMについて1つ以上の制御可能な変数の値、1つ以上の設定パラメータの値、1つ以上の測定できない変数の値、および1つ以上の測定変数の値に基づいて推定するよう構成されている。幾つかの実施形態では、デジタルツインは、複数のROMのインスタンス化を含み、複数のROMのうちの1つ以上は、複数のROMのうちの異なるROMに対する出力を入力として提供するよう構成されている。
【0007】
幾つかの実施形態では、本方法は、現場試験を炭化水素システムのところで実施して較正データを得るステップを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、(1)1つ以上のROMを再生するとともに較正データを用いてデジタルツインを再生して較正されたデジタルツインを生成するステップ、または(2)デジタルツインの1つ以上の他のROMを更新する際に使用可能に較正データをキャリブレーションROMに提供するステップのうちの少なくとも一方を含む。
【0008】
幾つかの実施形態では、再生ステップは、DOEサンプリング方式とROMモデルおよびパラメータの両方の最適な組み合わせの自動選択を較正測定値および較正マッチング基準の同時存在下において実施するステップを含む。幾つかの実施形態では、再生ステップは、反復プロセスおよびベイズの正則化法を含む。
【0009】
本発明のもう1つの具体化例は、幾つかの実施形態によれば、炭化水素システムのデジタルツインを生成して使用するシステムである。幾つかの実施形態では、本システムは、プロセッサを含む。幾つかの実施形態では、プロセッサは、複数回のシミュレーションを超次元空間内で実行して出力を生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、プロセッサは、複数回のシミュレーションの出力を用い、回帰法または機械学習法を用いる1つ以上の低次化モデル(ROM)を生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上のROMを炭化水素システムの作動箇所でインスタンス化することによって炭化水素システムのデジタルツインを生成し、そして、デジタルツインをこのデジタルツインが炭化水素システムから得られたリアルタイムデータを用いるよう設定するよう構成されている。幾つかの実施形態では、プロセッサは、炭化水素システムをデジタルツインの出力に基づいて作動させるよう構成されている。
【0010】
幾つかの実施形態では、プロセッサはさらに、デジタルツインおよびリアルタイムデータを用いて、炭化水素システムの1つ以上の変数の値をリアルタイムで推定するよう構成されている。幾つかの実施形態では、リアルタイムデータは、炭化水素システムの坑口圧力、フローライン圧力、注入圧力、注入速度、ポンプ吐出し圧力、ポンプ吸込み圧力、電圧、電流、またはモータ温度のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
幾つかの実施形態では、プロセッサは、デジタルツインの自動較正チェックを実行するよう構成されている。幾つかの実施形態では、自動較正チェックを実行する操作は、炭化水素システムの1つ以上の予測変数の測定値を得る操作、1つ以上の予測変数の測定値を用いて、1つ以上の準静的パラメータを決定する操作、および1つ以上の準静的パラメータが収斂したかどうかを判定する操作を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の準静的パラメータが収斂していないという判定に応答して、プロセッサは、予測変数のうちの1つ以上を調節して、1つ以上の準静的パラメータを再び決定し、そして1つ以上の準静的パラメータが収斂したかどうかを再び判定する操作を含む。
【0012】
幾つかの実施形態では、プロセッサは、デジタルツインの自動較正チェックを実行するよう構成されている。幾つかの実施形態では、自動較正チェックを実行する操作は、炭化水素システムの1つ以上の予測変数の測定値を得る操作、1つ以上の予測変数の測定値を用いて、1つ以上の準静的パラメータを決定する操作、1つ以上の準静的パラメータを用いて予測される応答を決定する操作、予測応答を炭化水素システムの実際の応答と比較して、応答の予測誤差を求める操作、および準静的パラメータを調節してから予測応答を再び決定することによって予測誤差を最小限に抑え、そして予測応答を実際の応答と再び比較して応答の予測誤差を求める操作を含む。
【0013】
幾つかの実施形態では、デジタルツインのROMのうちの少なくとも1つは、トランジェントROMを含む。幾つかの実施形態では、トランジェントROMは、フィルタ関数を含み、フィルタ関数のパラメータは、キャリブレーションROMにより出力された1つ以上の準静的パラメータである。幾つかの実施形態では、フィルタ関数は、デコンボリューションおよびフィルタ関数を用いて炭化水素システムの1つ以上の測定値の入力が所与の場合に予測される応答を決定するよう構成されている。
【0014】
幾つかの実施形態では、プロセッサは、第1のデータソースからの複数の測定値、および第2のデータソースからの可動箇所のデータを用いてデジタルツインの1つ以上のROMをインスタンス化するよう構成されている。幾つかの実施形態では、第1のデータソースからの複数の測定値と可動箇所のデータは、互いに時間的に同期される。
【0015】
幾つかの実施形態では、プロセッサは、第1のデータソースからの複数の測定値と第2のデータソースからの作動箇所のデータを自動的に時間的に同期させるよう構成されている。幾つかの実施形態では、プロセッサは、炭化水素システムの作動箇所の複数のデータを用いて1つ以上のROMをインスタンス化するよう構成され、作動箇所の複数のデータの各々は、作動箇所の複数のデータの各々の信頼係数を指示する重み付けを含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上のROMのパラメータを経時的に再び計算し、そして1つ以上のROMのパラメータの変化をモニタするよう構成されている。幾つかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上のROMのパラメータがしきい量以上の量だけ変化していることに応答して技術者に警告するよう構成されている。
【0017】
本発明のもう1つの具体化例は、幾つかの実施形態によれば、炭化水素システムのデジタルツインを生成して使用するツイン化ツールである。幾つかの実施形態では、ツイン化ツールは、処理回路系を有し、処理回路系は、実験計画(DOE)法を用いて複数回のシミュレーションを実行し、それによりシミュレーションの入力、出力、および属性をマッピングする超次元空間を生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、処理回路系は、複数回のシミュレーションからの超次元空間を用いて、曲線当てはめ法を用いる複数の低次元化モデル(ROM)を生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、処理回路系は、試験を炭化水素システムのところで実行することによって得られる較正データを複数のROMへの入力として提供することによって、複数の準静的パラメータを決定するよう構成されている。幾つかの実施形態では、処理回路系は、炭化水素システムのデジタルツインを複数の準静的パラメータおよび複数のROMに基づいて生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、処理回路系は、デジタルツインを用いて炭化水素システムの応答を将来の計画対象期間にわたって予測し、そして、将来の計画対象期間にわたる炭化水素システムの予測応答を技術者に表示するよう構成されている。
【0018】
本発明は、添付の図面を参照して行われる以下の詳細な説明から十分に明らかになり、図中、同一の参照符号は、同一の要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】幾つかの実施形態によれば、炭化水素システムのデジタルツインを1つ以上の低次元化モデル(ROM)に基づいて生成するシステムの略図である。
図2】幾つかの実施形態によれば、炭化水素システムのデジタルツインを1つ以上のROMに基づいて生成するプロセスの流れ図である。
図3】幾つかの実施形態によれば、フォワードROMの入力および出力を示すフォワードROMの略図である。
図4】幾つかの実施形態によれば、インバースROMの入力および出力を示すインバースROMの略図である。
図5】幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROMの入力および出力を示すキャリブレーションROMの略図である。
図6】幾つかの実施形態によれば、互いに相互作用して出力をもたらすキャリブレーションROM、インバースROM、およびフォワードROMを含むデジタルツインの略図である。
図7】幾つかの実施形態によれば、デジタルツインを生成して使用するシステムのブロック図である。
図8】幾つかの実施形態によれば、電気水中ポンプ(ESP)坑井用のインバースROMの略図である。
図9】幾つかの実施形態によれば、図8のESP坑井向きのキャリブレーションROMおよびインバースROMのブロック図である。
図10】幾つかの実施形態によれば、図9のキャリブレーションROMおよびインバースROMの経時的な推定流量および測定流量を示すグラフ図である。
図11】幾つかの実施形態によれば、図9のキャリブレーションROMおよびインバースROMの経時的な推定含水率(WC)および測定WCを示すグラフ図である。
図12】幾つかの実施形態によれば、図9のキャリブレーションROMおよびインバースROMの経時的な推定ガス油比(GOR)および測定GORを示すグラフ図である。
図13】幾つかの実施形態によれば、図9のキャリブレーションROMおよびインバースROMの推定ポンプ漏出量(PL)を示すグラフ図である。
図14】幾つかの実施形態によれば、ガスリフト坑井の略図である。
図15】幾つかの実施形態によれば、図14のガスリフト坑井向きのフォワードROMの略図である。
図16】幾つかの実施形態によれば、ウェブページ上における技術者へのプレゼンテーション用のダッシュボードを示す図である。
図17】幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROMのワークフローのブロック図である。
図18】幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROMの最適化の第1の実施のためのワークフローのブロック図である。
図19】幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROMの最適化の第2の実施のためのワークフローのブロック図である。
図20】幾つかの実施形態によれば、トランジェントROMのワークフローのブロック図である。
図21】幾つかの実施形態によれば、デジタルツインの較正用のデータの同期の仕方を示すグラフ図である。
図22】幾つかの実施形態によれば、デジタルツインの較正データの重み付けの仕方を示すグラフ図である。
図23】幾つかの実施形態によれば、経時的に追跡されたデジタルツインの種々の準静的パラメータを示すグラフ図である。
図24】幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROMに代えて具体化できる最適化のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
例示の実施形態を詳細にした図を参照する前に、本願は、説明中に記載されまたは図示された詳細または方法論には限定されないことは理解されるべきである。また、本技術は、本発明を限定するものとみなされるべきではなく、説明の目的のために過ぎないことも理解されるべきである。
【0021】
概観
【0022】
特に図1を参照すると、炭化水素システム、油システム、または石油システムのデジタルツイン116またはこのシステムの装置を生成するシステム100の略図が示されている。システム100は、デジタルツイン116を生成するための1つ以上のオフライン技術106と、1つ以上のオンラインまたはライブ技術114を具体化することができる。デジタルツイン116は、一システムとして期待作業空間を横切る必要なモデル属性をデジタル的にエンキャプシュレートする1つ以上のROMのインスタンス化であるのがよく、しかも、設計、インストール、およびモデル変数を含むのがよい。デジタルツイン116は、特定の時点におけるROMのインスタンス化であるのがよく、しかもリアルタイム入力118として示されている測定値および/またはリアルタイム情報に基づいてリアルタイムで動作することができる。デジタルツイン116は、デジタルツイン116に含まれているROMのうちの任意のもののリアルタイム出力120を出力することができる。デジタルツイン116は、リアルタイム入力118(例えば、センサデータ、測定値など)を用いるとともに、リアルタイム出力120(例えば、一システムの1つ以上の変数の予測値、このシステムの1つ以上の変数の計算値、このシステムの較正変数の値など)を出力する、システム100のライブ技術114のうちの1つとして具体化されるのがよい。デジタルツイン116は、測定不能な変数の値、例えば、ガス油比(GOR)、含水率(WC)、液体流量などを推定しまたは予測するよう構成されているのがよい。理解されるべきこととして、これら特定の測定不能な変数が一例として提供され、本発明を限定するものと理解されてはならない。
【0023】
オフライン技術106は、実験計画(DOE)110を実行するための1つ以上のシミュレータ108を用いる技術を含むのがよい。シミュレータ108およびDOE110は、超次元空間内において多数の仮定のシナリオ(もしもの話)(例えば、ポンプの速度または他のパラメータの異なる値)であるのがよい。例えば、シミュレータ108は、デジタルツイン116が表すシステムの種々のコンポーネント、サブシステム、または装置の異なるモデル、方程式、動作曲線などであるのがよく、そして、デジタルツイン116が表すシステムの種々のコンポーネント、サブシステム、装置などの種々の相互関係(例えば、どのモデルが互いに送り込むかなど)をさらに含むのがよい。シミュレータ108およびDOE110は、デジタルツイン116が表すシステムの既知の情報に基づいて応用技術を用いるのがよく、その結果、過度の回数のシミュレーションを行う必要がないようになっている。例えば、シミュレーションは、デジタルツイン116が表すべきシステムを作動させることが期待される種々の変数の超次元空間内で実行されるのがよい。例えば、システムが1000~3000psiの圧力で作動することが期待される炭化水素システム用のポンプである場合、シミュレーションは、この範囲内の圧力について実行されるのがよい。もう1つの例では、デジタルツイン116が表すシステムが炭化水素ポンプである場合、DOE110は、操作される変数の異なる値(例えば、デジタルツイン116が表すシステムの速度またはrpm)、または操作される変数の互いに異なる範囲について、チョーク百分率、水アウトプットなどをシミュレートしまたは推定することができる。DOE110の結果は、入力変数の互いに異なる範囲または値が所与の場合、デジタルツイン116が表すシステムの互いに異なる出力変数の作業曲線または仮想曲線(例えば、シミュレート作業曲線)であるのがよい。DOE110は、ナイーブ(Naive)DOE技術、またはランダム化DOEサンプリング技術(例えば、ラテン超方格DOE技術、ソボル(Sobol )DOE技術、ハルトン(Halton)DOE技術など)を用いるのがよい。幾つかの実施形態では、ランダム化DOEサンプリング技術は、外挿を避けるためにデジタルツインの全ての量の作動範囲とオーバーラップする。
【0024】
DOE110の結果を用いるとROM生成技術112として示されたROMを作り出すことができる。ROMは、トランジェントROM(例えば、デジタルツイン116が表すシステムの一時的または動的段階のための変数の多数の値を出力する低次元化モデル)、静的ROM(例えば、デジタルツイン116が表すシステムの定常状態段階のための静的変数を出力する低次元化モデル)、フォワードROM(例えば、1つ以上の制御決定のために種々の変数の将来の値または仮定のシナリオを予測する低次元化モデル)、インバースROM(例えば、逆問題を解決して、実際の測定値および/または較正変数に基づいて種々のシステムパラメータを推定するために使用できる低次元化モデル)、またはキャリブレーションROM(例えば、デジタルツイン116が表すシステムの種々の較正変数を推定しまたは予測するために使用できる低次元化モデル)のうちの任意のものであってよい。トランジェントROMは、静的ROMや定常状態ROMよりも複雑である場合があり、また、生成、例えばデコンボリューション、勾配探索技術などのための追加の洗練化またはそれ以上の技術を必要とする場合がある。幾つかの実施形態では、tROMへの入力は、キャリブレーションROMの準静的パラメータまたは出力である。幾つかの実施形態では、tROMは、測定できなかったまたは測定不能な動的システム変数を推定するためにデコンボリューション問題を解決するために使用される予測値を出力する。幾つかの実施形態では、tROMはまた、畳み込みニューラルネットワークを含む。ROMは、新回帰法、ニューラルネットワーク、および/または機械学習法を用いて生成できる。例えば、ROMは、線形回帰法、ガウス過程回帰法、ニューラルネットワーク、回帰のためのXGBoost、LGBoost、自動選択(例えば、ベイズに基づく)回帰法などを用いて、DOE110の出力に基づいて生成できる。
【0025】
デジタルツイン116は、ROM生成技術112を実行したときに作り出される1つ以上のROMに基づいて生成されるのがよい。例えば、デジタルツイン116は、ROMのうちの幾つかおよびROM相互間の関係(例えば、どのROMが出力を異なるROMの入力に送るか)を含むのがよい。一例では、デジタルツイン116は、キャリブレーションROM、インバースROM、およびフォワードROMを含む。キャリブレーションROMの出力は、インバースROMとフォワードROMの両方に提供されるのがよい。インバースROMの出力は、フォワードROMに提供されるのがよい。
【0026】
デジタルツイン116は、1つ以上のROMを含み、このデジタルツインは、幾つかの実施形態によれば、リアルタイム入力118に基づいて特定の時点でインスタンス化されるのがよい。特定の時点でのインスタンス化のためにデジタルツイン116を規定するROMの出力は、デジタルツイン116のリアルタイム出力120でるのがよい。このように、幾つかの実施形態によれば、デジタルツイン116は、リアルタイム入力118に基づいて動作してリアルタイム出力120を出す。
【0027】
依然として図1を参照すると、試験104が、デジタルツイン116が表すシステムの測定可能な出力について実施されるのがよい。例えば、試験104は、デジタルツイン116が表すシステムが炭化水素坑井ポンプであるかどうかの試験であるのがよい。試験104は、一定間隔で(例えば、1か月ごとに、6か月ごとになど)技術者によりまたは自動的に実施されるのがよい。試験104は、デジタルツイン116が表すシステムの較正変数の異なる値または較正変数に対する調節を得るよう実施されるのがよい。例えば、デジタルツイン116が炭化水素坑井ポンプを表す場合、試験104を実施することによって得られる較正変数は、炭化水素システムのガス油比(GOR)、含水量(WC)、または生産性指数(PI)もしくは貯留層圧力であるのがよい。試験104の結果(例えば、較正変数)を用いてシミュレータ108の較正102を行うのがよい(例えば、デジタルツイン116が表すシステムにおける現実世界の試験結果に基づいて、シミュレータ108を調節し、再規定し、または更新するために)。次に、本明細書において説明しているようにオフライン技術106を用いてデジタルツイン116を再生成するのがよい。このように、デジタルツイン116を試験104が実施されたときに、非リアルタイム方式で間欠的にまたは定期的に再較正するのがよく、そして、試験104の結果を用いてシミュレータ108を較正する。変形例として、試験104の結果はまた、較正変数が元のDOEの一部として用いられた場合に、較正変数(例えば、デジタルツイン116が表すシステムの試験後の較正)のための新たな設定値を定めるためにデジタルツイン116に提供されてもよい。デジタルツイン116のリアルタイム出力120は、種々の用途で使用でき、かかる用途としては、シミュレーション、モデル予測制御(MPC)または最適化、デジタルツイン116が表すシステムのフィードバック制御、またはダッシュボードが挙げられるが、これらには限定されない。幾つかの実施形態では、試験または較正測定が、ROMを生成する回帰問題の未決定性を回避し、または基礎をなす測定値または推定値の不正確さを補償するために必要とされる。幾つかの実施形態では、較正は、調整後シミュレーション入力パラメータを用いてシミュレーションを再実行することにより、不正確な測定値または推定値を是正することにより、かつ/あるいはキャリブレーションROMまたは手順からインバースROMまたはフォワードROMのための出力パラメータを決定することによって達成できる。
【0028】
フォワードROM
【0029】
いま図3を参照すると、幾つかの実施形態によれば、図1を参照して上記において詳細に説明した(そして、図2および図7を参照して以下においてさらに詳細に説明する)技術を用いて生成きるフォワード(順)ROM300が示されている。幾つかの実施形態では、フォワードROM300は、制御可能変数302、設定パラメータ304、および較正変数306の入力を受け取るよう構成されている。幾つかの実施形態では、フォワードROM300は、1つ以上の予測変数308(例えば、制御可能な変数302の与えられた値)を出力するよう構成されている。予測変数308は、デジタルツイン116が表すシステムのシミュレートされた値であるのがよい。制御可能変数302は、デジタルツイン116が表すシステムの1つ以上のアクチュエータ、モータなど、または他の制御可能な装置の作動設定値(例えば、調節可能な設定値)を表す変数であるのがよい。設定パラメータは、デジタルツイン116が表すシステムの既知のパラメータ(例えば、デジタルツイン116が表すシステムが炭化水素坑井ポンプである場合、坑井設計、ポンプ構成など)であるのがよい。較正変数306は、キャリブレーションROM(例えば、図5を参照して以下に詳細に説明するキャリブレーションROM500)の出力、または試験104からの結果(例えば、手動測定値)であってもよい。
【0030】
フォワードROM300は、一般的に、以下の形式で表せる。
varpredict=ffwd(varcontrol,varconfig,varcal
上式において、varpredictは、フォワードROM300によって予測された種々の変数の時系列データの多数の集合であり、varcontrolは、種々の制御可能変数(例えば、制御可能変数302)の時系列データの多数の集合であり、varconfigは、種々の設定パラメータ(例えば、設定パラメータ304)の時系列データの多数の集合であり、varcalは、種々の較正変数(例えば、較正変数306)の時系列データの多数の集合であり、ffwdは、フォワードROM300(例えば、一関数)である。デジタルツイン116が表すシステムが炭化水素坑井ポンプである場合、制御可能変数302は、ポンプ速度、チョーク位置/百分率、弁位置などを含むのがよく、設定パラメータ304は、坑井設計またはポンプ設定パラメータであるのがよく、較正変数306はGOR、WC、PI、摩擦係数などの変数であるのがよく、予測変数308は、圧力、温度、トルク、液体流量、ポンプ漏れ量などであるのがよい。フォワードROM300は、制御可能変数302の互いに異なる入力(例えば、ポンプの速度またはチョークが調整された場合に生じる圧力、温度、トルク、液体流量、ポンプ漏れ量、境界条件などに対する影響)が所与の場合、予測変数308の値(例えば、システムの応答)を出力することができる。
【0031】
インバースROM
【0032】
次に図4を参照すると、図1を参照して上記において詳細に説明した(そして、図2および図7を参照して以下に詳細に説明する)技術を用いて生成できるインバース(逆)ROM400が幾つかの実施形態に従って示されている。幾つかの実施形態では、インバースROM400は、制御可能変数402、設定パラメータ404、較正変数406、および測定された変数408の入力を受け取るよう構成されている。制御可能変数402は、図3を参照して上記において詳細に説明した制御可能変数302と同一であるのがよい。設定パラメータ404は、図3を参照して上記において詳細に説明した設定パラメータ304と同一であるのがよい。較正変数406は、図4を参照して上記において詳細に説明した較正変数306の幾つかを含むのがよい。測定変数408は、デジタルツイン116が表すシステムの任意の変数であってよく、かかる任意の変数は、システムの1つ以上のセンサ(例えば、圧力、温度、トルクなど)から得ることができる(例えば、リアルタイムで)。
【0033】
インバースROM400は、逆問題を解決してデジタルツイン116が表すシステムに関するシステム変数410を制御可能変数402、設定パラメータ404、較正変数406、および測定変数408に基づいて推定しまたは計算するよう構成されている。例えば、互いに異なる制御入力、システムの設定、システムの較正、およびシステムのセンサデータが所与の場合、インバースROM400は、システムが持っていたシステム変数410の値を推定し、その結果、測定変数408が得られる。例えば、システム変数410は、測定することが困難なGOR、WC、液体流量、ポンプ漏れ量など、または任意他の変数を含むのがよい。有利には、インバースROM400により、測定するのが困難でありまたはリアルタイムで測定することができない種々のパラメータの推測が可能である。かかる測定不能なパラメータは、デジタルツイン116が表すシステムに関する制御方式において有益かつ有効であるといえる。
【0034】
インバースROM400は、一般的に、以下の形式で表せる。
varsys=finv(varcontrol,varconfig,varcal,varmeans
上式において、varsysは、インバースROM400によって推定されるシステム変数(例えば、システム変数410)の時系列データの多数の集合であり、varcontrolは、種々の制御可能変数(例えば、制御可能変数402または制御可能変数302)の時系列データの多数の集合であり、varconfigは、種々の設定パラメータ(例えば、設定パラメータ404または設定パラメータ304)の時系列データの多数の集合であり、varcalは、種々の較正変数(例えば、較正変数406)の時系列データの多数の集合であり、varmeasは、種々の測定された変数(例えば、測定変数408)の時系列データの多数の集合であり、finvは、インバースROM400(例えば、一関数)である。較正変数406は、PI、摩擦係数などを含むのがよく、かかる較正変数は、キャリブレーションROM(例えば、図5を参照して以下に詳細に説明するキャリブレーションROM500)の出力であってもよく、あるいは、試験(例えば、試験104)の実施から得られた値であってもよい。幾つかの実施形態では、較正変数406は、図23に示すとともに以下に詳細に説明する制約と同様の制約を受ける。
【0035】
キャリブレーションROM
【0036】
次に図5を参照すると、図1を参照して上記において詳細に説明した(また、図2および図7を参照して以下に詳細に説明する)技術を用いて生成できるキャリブレーション(較正)ROM500が幾つかの実施形態に従って示されている。幾つかの実施形態では、キャリブレーションROM500は、制御可能変数502、設定パラメータ504、および測定変数508の入力を受け取るよう構成されている。幾つかの実施形態では、キャリブレーションROM500は、較正変数510および未測定変数506を出力、予測、推定等をするよう構成されている。制御可能変数502は、幾つかの実施形態によれば、図3および図4を参照して上記において詳細に説明した制御可能変数402または制御可能変数302と同一であるのがよい。設定パラメータ504は、図3および図4を参照して上記において詳細に説明した設定パラメータ404または設定パラメータ304と同一であってもよい。測定不能変数506は、測定するのが困難な変数である場合があり、例えば、測定不能変数506は、図4を参照して上記において詳細に説明したシステム変数410であってもよくまたはこれらのうちの任意のものを含んでもよい。測定変数508は、試験104を実施することによって得られた測定値(例えば、GOR、WC、液体流量など)であってもよく、またはこれらを含んでもよく、また、かかる測定変数は、デジタルツイン116が表すシステムの種々のセンサによって測定された値(例えば、圧力、温度、トルクなど)をさらに含むことができる。較正変数510は、リアルタイムで測定することが困難な推定較正要因または変数(例えば、PI、摩擦係数など)であってもよい。
【0037】
キャリブレーションROM500は、デジタルツイン116の種々のROM(例えば、インバースROM400、フォワードROM300など)の他の較正入力を更新するために使用できる較正値を生成するよう構成されている。キャリブレーションROM500は、一般的に以下の形式で表せる。
varcal,varunmeas=fcal(varcontrol,varconfig,varmeas
上式において、varcalは、キャリブレーションROM500によって推定される較正変数(例えば、較正変数406または較正変数306の一部分)の時系列データの多数の集合であり、varunmeasは、キャリブレーションROM500によって推定される種々の測定不能変数またはシステム変数(例えば、測定不能変数506、システム変数410)の時系列データの多数の集合であり、varcontrolは、種々の制御可能変数(例えば、制御可能変数502、制御可能変数402または制御可能変数302)の時系列データの多数の集合でありvarconfigは、種々の設定パラメータ(例えば、設定パラメータ504、設定パラメータ404または設定パラメータ304)の時系列データの多数の集合であり、fcalは、キャリブレーションROM500(例えば、一関数)である。キャリブレーションROM500の出力は、デジタルツイン116の他のROM(例えば、インバースROM400および/またはフォワードROM300)の入力として提供されるのがよい。
【0038】
例示のデジタルツイン
【0039】
次に図6を参照すると、略図600は、幾つかの実施形態によれば、デジタルツイン602と1つ以上のアプリケーション614との相互作用を示している。デジタルツイン602は、デジタルツイン116と同一であってもよくまたはこれに類似していてもよく、かかるデジタルツインは、同様の技術を用いて生成できる。デジタルツイン602は、幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROM500、インバースROM400、およびフォワードROM300を含む。キャリブレーションROM500の出力(例えば、較正変数510)は、インバースROM400およびフォワードROM300に入力として(例えば、較正変数306や較正変数406として)提供される。キャリブレーションROM500は、1つ以上の外部源(例えば、デジタルツイン602が表すシステムのコントローラ、例えばフィードバックコントローラ610、デジタルツイン602が表すシステムのセンサ、デジタルツインのシステムのところで実施される試験の結果、既知の設定またはシステム設定値など)から、その入力(例えば、制御可能変数502、設定パラメータ504、測定不能変数506、および測定変数508)を受け取ることができる。インバースROM400とフォワードROM300は、1つ以上の外部源から同様の入力をさらに受け取ることができる。
【0040】
キャリブレーションROM500はまた、較正報告アプリケーション604へのその出力(例えば、較正変数510)を提供する。較正報告アプリケーション604は、技術者が見るための報告(例えば、グラフ、チャート、較正変数510の値、較正変数510の使用など)を生成するよう構成された外部アプリケーションであってよい。
【0041】
インバースROM400は、幾つかの実施形態によれば、その出力をフォワードROM300に提供するよう構成されている。インバースROM400はまた、較正変数510の決定の際に用いられるよう、その出力(例えば、システム変数410)をキャリブレーションROM500に提供するのがよい。例えば、インバースROM400は、システム変数410をフォワードROM300に提供するのがよい。インバースROM400とフォワードROM300の両方は、これらの出力(例えば、システム変数410や予測変数308)を、シミュレーションアプリケーション606、MPC/最適化アプリケーション608、フィードバックコントローラ610、またはダッシュボード612に提供する。このように、デジタルツイン602の出力を用いると、シミュレーションを実行し、デジタルツイン602が表すシステムのMPCまたは最適化を実行し、デジタルツイン602が表すシステムのフィードバックまたは閉ループ制御(例えば、PID制御)を実行し、そしてダッシュボード上にデータを提供するようことができる。幾つかの実施形態では、MPCまたは最適化の出力は、入力としてインバースROM400、フォワードROM300、またはキャリブレーションROM500に提供される。
【0042】
ツイン化ツール
【0043】
次に図7を参照すると、デジタルツインの生成および使用のために本明細書において説明した技術は、ツイン化システム700で具体化でき、ツイン化システム700は、ツイン化ツール702および種々の外部アプリケーションを含む。ツイン化ツール702は、デジタルツイン718を生成するよう構成され、このツイン化ツールは、デジタルツイン718の出力および/またはデジタルツイン718それ自体を種々の外部アプリケーションに提供する。図7に示すように、ツイン化ツール702は、処理回路系704を内蔵し、処理回路系704は、プロセッサ706およびメモリ708を含む。プロセッサ706は、汎用または特殊目的プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理コンポーネント群、または他の適当な処理コンポーネントであってよい。プロセッサ706は、メモリ708に記憶されまたは他のコンピュータ可読媒体(例えば、CD‐ROM、ネットワーク記憶装置、リモートサーバなど)から受け取ったコンピュータコードおよび/または命令を実行するよう構成されているのがよい。
【0044】
メモリ708は、本開示において記載された種々のプロセスを完了させるとともに/あるいは容易にするためのデータおよび/またはコンピュータコードを記憶する1つ以上のデバイス(例えば、メモリユニット、メモリ装置、記憶装置など)を含むことができる。メモリ708は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードドライブ記憶装置、一時記憶装置、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光学メモリ、または任意他の適当なメモリ、またはソフトウェアオブジェクトおよび/またはコンピュータ命令を記憶する任意他の適当なメモリを含むことができる。メモリ708は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、または本開示において説明する種々のアクティビティおよび情報構造をサポートする任意他形式の情報構造を含むことができる。メモリ708は、処理回路系704経由でプロセッサ706に通信可能に接続されるのがよく、かかるメモリは、本明細書において説明する1つ以上のプロセスを実行する(例えば、プロセッサ706によって)コンピュータコードを含むのがよい。
【0045】
メモリ708は、幾つかの実施形態によれば、1つ以上のシミュレータ710、DOEマネージャ712、ROM生成器714、デジタルツイン生成器716、およびデジタルツイン718を含む。図7に示すように、ツイン化ツール702は、システム728(例えば、デジタルツイン718が表すシステム)からリアルタイム入力を受け取るよう構成されている。リアルタイム入力を、幾つかの実施形態によれば、システム728のセンサ、測定装置、計器、流量計などから得ることができる。システム728は、幾つかの実施形態によれば、炭化水素坑井ポンプであるのがよい。ツイン化ツール702はまた、幾つかの実施形態によれば、システム情報を受け取る(例えば、技術者から、リモートデバイスから、データベースからなど)よう構成されている。幾つかの実施形態では、システム情報は、システム728に関するメタデータである。幾つかの実施形態では、システム情報は、ツイン化ツール702のメモリ708に記憶されている。
【0046】
幾つかの実施形態では、ツイン化ツール702はまた、独立した試験結果(例えば、技術者によりシステム728のところで実施された試験の結果)を受け取るよう構成されている。技術者は、システム728のところで試験(例えば、坑井試験)を実施して、1つ以上の測定値を得るとともに、かかる1つ以上の測定値をツイン化ツール702に(例えば、ユーザインターフェース、スマートフォン、タッチスクリーンデバイスなどを介して)提供することができる。理解されるべきこととして、ツイン化ツール702の機能をシステム728のところで(例えば、単一の処理回路上に)局所的に具体化でき、または、遠隔地にかつ/あるいは分散方式で(例えば、クラウドコンピューティングシステムで)具体化できる。例えば、ツイン化ツール702は、クラウドベースであるのがよく、その結果、ツイン化ツール702は、遠隔場所でリアルタイム入力、システム情報、および独立試験結果を受け取り、その機能を実行し、次に、出力(例えば、デジタルツイン、デジタルツイン出力など)をシステム728のところで局所的に位置決めされまたはクラウドコンピューティングシステム内でシステム728から遠隔地に位置決めされた1つ以上のアプリケーション(例えば、閉ループコントローラ720、MPC/最適化システム722、1つ以上のシミュレータ724、ダッシュボード726、エッジデバイス730など)に提供するようになっている。
【0047】
シミュレータ710は、幾つかの実施形態によれば、システム728の異なる部分を表す1つ以上の関数、モデル、動作曲線など、および/またはシステム728の異なる部分の1つ以上の関数、モデル、動作曲線などの1つ以上の相互関係であるのがよく、またはこれらを含むのがよく、その結果、システム728の出力をシミュレートすることができるようになっている。シミュレータ710は、幾つかの実施形態によれば、システム728の多変数または超次元のシミュレーションを実行して、システム728の種々の入力(例えば、システム728の形式に応じて、制御入力、温度設定、流量、ポンプ速度など)が所与の場合にシステム728の異なる出力を出すよう構成されているのがよい。例えば、シミュレータ710は、システム728のハイファイ(高忠実度)シミュレーションを実行するよう構成されているのがよい。例えば、シミュレータ710は、電気水中ポンプ(ESP)シミュレータ、ロッドポンプ動的シミュレータ、パイプシミュレータなどを含むことができる。シミュレータ710のシミュレーション出力は、幾つかの実施形態によれば、種々の変数(例えば、システム728の入力変数および出力変数)相互間の関係を表す多次元グラフ、曲線、表面プロットなどの形態をしているのがよい。
【0048】
幾つかの実施形態では、DOEマネージャ712は、シミュレータ710を用い、1つ以上のDOE技術を実施することによって1回以上のシミュレーションを実行するよう構成されている。DOE技術としては、ナイーブDOE技術、ランダム化DOE技術、ラテン超方格DOE技術、ソボルDOE技術、ハルトンDOE技術などが挙げられる。DOEマネージャ712は、シミュレーション出力を出すとともにシミュレーション出力をROM生成器714に提供するようシミュレータ710を用いる。例えば、DOEマネージャ712は、1つ以上の多次元グラフをROM生成器714に提供するのがよい。DOEマネージャ712は、図1を参照して上記において詳細に説明したDOE110の技術のうちの任意のものを実行することができる。
【0049】
ROM生成器714は、幾つかの実施形態によれば、DOEマネージャ712によって提供されるシミュレーション出力を用いるよう構成されており、かかるシミュレーション出力は、シミュレータ710を用いて生成され、それによりシミュレーション出力に基づいて1つ以上のROMが生成される。ROMは、幾つかの実施形態によれば、新回帰法およびシミュレータ710のシミュレーション出力を用いてROM生成器714によって生成されるのがよい。例えば、ROM生成器714は、線型回帰法、ガウス過程回帰法、ニューラルネットワーク、機械学習法、ベイズに基づく回帰法などを用いるよう構成されているのがよい。ROMは、キャリブレーションROM500、インバースROM400、フォワードROM300、またはトランジェントROM732を含むのがよい。
【0050】
依然として図7を参照すると、デジタルツイン生成器716は、幾つかの実施形態によれば、ROM生成器714からROMを受け取り、そしてかかるROMを用いてデジタルツイン718を生成するよう構成されている。デジタルツインジェネレータ716は、リアルタイム入力を用いてROM生成器714から得られたROMをインスタンス化し、そしてROM相互間の1つ以上の相互関係を規定してデジタルツイン718を生成するよう構成されている。幾つかの実施形態では、デジタルツイン718は、上記において詳細に説明したデジタルツイン116またはデジタルツイン602でありまたはこれに類似している。デジタルツイン718は、種々の較正変数、システム変数、および予測変数の値を推定するよう構成されているのがよい。例えば、システム728が炭化水素坑井ポンプである場合、デジタルツイン718は、予測変数、例えば、炭化水素坑井ポンプの圧力、炭化水素坑井ポンプの温度、炭化水素坑井ポンプのトルク、液体流量、ポンプ漏れ量など、システム変数、例えば、GOR、WC、液体流量、ポンプ漏れなど、および/または較正変数、例えば、PI、摩擦係数などを出力するよう構成されているのがよい。
【0051】
デジタルツイン718は、上述の出力のうちの任意のもの(例えば、予測変数、システム変数、および/または較正変数など)を1つ以上の外部アプリケーション、例えば、閉ループコントローラ720、MPC/最適化システム722、シミュレータ724、ダッシュボード726、および/またはエッジデバイス730に提供するよう構成されている。理解されるべきこととして、この一覧は、網羅的ではなく、また、デジタルツイン718は、その出力を追加の外部アプリケーションに提供することができる。幾つかの実施形態では、ツイン化ツール702は、デジタルツイン718の局所的な具体化および使用のために、閉ループコントローラ720、MPC/最適化システム722、シミュレータ724、ダッシュボード726、および/またはエッジデバイス730にデジタルツイン718を提供するよう構成されている。
【0052】
幾つかの実施形態では、デジタルツイン生成器716は、システム728のところでの独立試験を実施することによって得られた独立試験結果または較正変数に基づいて、デジタルツイン718を較正するよう構成されている。例えば、デジタルツイン生成器716は、システム728のところで独立試験を実施することによって得られた較正変数を用いてデジタルツイン718を再インスタンス化することができる。幾つかの実施形態では、シミュレータ710、DOEマネージャ712、およびROM生成器714は、独立試験結果の較正変数を用いてこれらの機能を再び実行してROMを再び生成するよう構成されている。システム728が炭化水素坑井ポンプである場合、独立試験の実行によって得られた較正変数は、GOR、WC、および液体流量であるのがよい。
【0053】
閉ループコントローラ720は、幾つかの実施形態によれば、デジタルツイン出力および/またはデジタルツイン718を用いて、システム728の閉ループ制御を実施するよう構成されている。例えば、閉ループコントローラ720は、PID制御方式を実行してシステム728を作動させるのがよい。MPC/最適化システム722は、幾つかの実施形態によれば、計画対象期間にわたって1つ以上の制御変数を調節することによって、1つ以上の制約条件に対する費用関数(例えば、報酬関数)を最小化し、最大化し、または違ったやり方で最適化するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、MPC/最適化システム722は、システム728用のデジタルツイン718をシステム728の一モデルとして使用し、それにより、目的関数の値を推定し、または制約を目的関数に課すのがよい。幾つかの実施形態では、MPC/最適化システム722は、システム728のための高レベル制御決定を出すよう構成されており、かかるMPC/最適化システムは、高レベル制御決定を閉ループコントローラ720に提供するのがよい。幾つかの実施形態では、ダッシュボード726は、デジタルツインおよび/またはデジタルツイン出力を用いて、技術者のためのダッシュボードを生成し、そしてかかるダッシュボードを技術者に提供する。
【0054】
プロセス
【0055】
図2を参照すると、1つ以上のROMに基づいてデジタルツインを生成するプロセス200の流れ図が幾つかの実施形態に従って示されている。プロセス200は、ステップ202~214を含み、かかるプロセスは、システム100によってまたはツイン化ツール702によって実施されるのがよい。プロセス200は、有利には、他の種々のシミュレーションと比較して複雑さが減少したシステム(例えば、炭化水素坑井ポンプ)のデジタルツインを生成するよう実施されるのがよい。デジタルツインは、種々のアプリケーション、例えばデジタルツインが表すシステムの閉ループまたはフィードバックコントローラ、MPCまたは最適化システム、1つ以上のシミュレータ、ダッシュボード、および/またはエッジデバイスで具体化されまたは用いられるのがよい。
【0056】
プロセス200は、幾つかの実施形態によれば、超次元空間内で多数回のシミュレーションを実施して出力を生成するステップ(202)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ202は、シミュレータ710を用いてシミュレーションを実行するよう構成されている。幾つかの実施形態では、ステップ202は、DOEマネージャ712およびシミュレータ710によって実施される。シミュレーションの結果は、デジタルツインが表すシステムの種々の変数相互間の関係を示す多次元グラフ、表面プロットなどを含むのがよい。
【0057】
プロセス200は、幾つかの実施形態によれば、多数回のシミュレーションの出力を用い、回帰法または機械学習法を用いて1つ以上の低次元化または縮退化モデル(ROM)を生成するステップ(204)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ204は、図7を参照して上記において詳細に説明した技術のうちの任意のものを用いて、ROM生成器714によって実施される。幾つかの実施形態では、ROMは、キャリブレーションROM、インバースROM、フォワードROM、および/またはトランジェントROMを含む。キャリブレーションROMは、幾つかの実施形態によれば、1つ以上の設定パラメータ(例えば、PI、摩擦係数など)を推定するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、インバースROMは、1つ以上のシステム変数(例えば、GOR、WC、液体流量、ポンプ漏れ量など)を推定するように構成されている。例えば、インバースROMは、逆問題を解決するよう構成されているのがよく、かかるインバースROMは、幾つかの実施形態によれば、システムの特定の条件について、種々の制御可能変数、設定パラメータ、較正変数、および測定変数を受け取り、そして測定変数、および制御可能変数を達成するケースでなくてはならないシステム変数を推定するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、フォワードROMは、特定の条件が所与の場合(例えば、制御可能変数、設定パラメータ、または較正変数の互いに異なる値が所与の場合)、予測変数(例えば、測定可能変数、システム変数など)を予測しまたは推定するよう構成されている。
【0058】
プロセス200は、幾つかの実施形態によれば、1つ以上のROMを用いるシステムのデジタルツインを生成する生成するステップ(206)を含み、デジタルツインは、1つ以上のROMのうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態では、デジタルツインは、デジタルツイン116、デジタルツイン602など、または本明細書において説明した任意他のデジタルツインである。ステップ206は、幾つかの実施形態によれば、ツイン化ツール702のデジタルツイン生成器716によって実施されるのがよい。デジタルツインは、フォワード方向ROM、インバースROM、および/またはキャリブレーションROMを含むのがよく、かかるデジタルツインは、幾つかの実施形態によれば、ある特定のROMのうちの出力が他のROMに入力として送り込まれるようROM相互間の相互関係を含むのがよい。幾つかの実施形態では、デジタルツインは、1つ以上のROMのインスタンス化であり、かかるデジタルツインは、これが表すシステムからリアルタイムデータ(例えば、センサデータ)を用いる。このように、ステップ202~206は、ROMがリアルタイムデータでオンラインで使用されている間、オフラインで実施されるのがよい。
【0059】
プロセス200は、幾つかの実施形態によれば、デジタルツインを用いてシステムの1つ以上の変数の値をリアルタイム用途で予測しまたは出力するステップ(208)を含む。幾つかの実施形態では、デジタルツインは、オンラインモードで実行され、かかるデジタルツインは、これが表すシステムからリアルタイムデータを受け取るよう構成されている。デジタルツインが受け取るリアルタイムデータは、幾つかの実施形態によれば、デジタルツインの特定の用途で決まる場合がある。幾つかの実施形態によれば、デジタルツインは、ROMを用いて、予測変数、システム変数、および較正変数を含む互いに異なる組を出力することができる。幾つかの実施形態では、予測変数としては、デジタルツインが表すシステムの圧力、温度、トルク、液体流量、ポンプ漏れ量が挙げられる。幾つかの実施形態では、システム変数としては、デジタルツインが表すシステムのGOR、WC、液体流量、およびポンプ漏れ量が挙げられる。幾つかの実施形態では、較正変数は、PIおよび摩擦係数を含む。
【0060】
プロセス200は、幾つかの実施形態によれば、デジタルツインが表すシステムの測定可能出力に対して独立試験を実施するステップ(210)を含む。幾つかの実施形態では、例えば、システムが炭化水素坑井ポンプである場合、試験は、炭化水素坑井ポンプのGOR、WC、および液体流量を測定するための坑井試験であるのがよい。幾つかの実施形態では、ステップ210は、デジタルツインが表すシステムのところで技術者によって実施される。坑井試験は、デジタルツインの1つ以上の較正ノブまたは準静的パラメータを更新するステップを含むのがよい。
【0061】
プロセス200は、幾つかの実施形態によれば、独立試験の結果に基づいて較正を実施するステップ(212)を含む。幾つかの実施形態では、ステップ212は、新たな較正値をデジタルツインの種々のROMの入力として提供することによって、デジタルツイン生成器716によって実施される。幾つかの実施形態では、ステップ212は、シミュレータ710、DOEマネージャ712、およびROM生成器714によって実施され、それにより、得られた新たな較正値に基づいてROMを再生成する。
【0062】
プロセス200は、幾つかの実施形態によれば、較正に基づいてデジタルツインまたはデジタルツインのROMの1つ以上のパラメータを更新するステップ(214)を含む。ステップ214は、幾つかの実施形態によれば、シミュレータ710、DOEマネージャ712、およびROM生成器714によって実施されるのがよい。ステップ214の実施に応答して、プロセス200は、ステップ208に戻るのがよく、または別法としてステップ202に戻ってもよい。理解されるべきこととして、ステップ210~214(または別法としてステップ202~214)は、非リアルタイム方式で(例えば、1か月ごと、6か月ごとなど)実施されてもよい。幾つかの実施形態では、ステップ212~214(またはステップ202~214)は、実施された独立試験によりデジタルツインの再較正が必要とされることが分かった場合、ステップ210に応答してのみ実施される。
【0063】
例示の具体化例
【0064】
次に図8を参照すると、本明細書において説明したシステムおよび方法は、幾つかの実施形態によれば、ESP坑井826用のデジタルツインまたはインバースROMを生成するよう具体化されるのがよい。略図800は、幾つかの実施形態によれば、ESP坑井826のインバースROMを生成するために使用できる種々のシミュレーションモデルまたはシミュレータの例示の構成例を示している。幾つかの実施形態では、ESP坑井826用のインバースROMは、1つ以上の分析モデル802、1つ以上の数値モデル804、駆動装置モデル806、地層モデル814、およびフローラインモデル824を含む。分析モデル802は、幾つかの実施形態によれば、変圧器モデル808、ケーブルモデル810、およびモータモデル812を含む。数値モデル804は、幾つかの実施形態によれば、パイプモデル816、ポンプモデル818、坑井モデル820、およびチョークモデル822を含む。幾つかの実施形態では、本明細書において説明する種々のモデルは、変数またはパラメータ、例えば、電圧、電流、周波数、速度、トルク、密度、粘度、地層圧力、生産性指数(PI)、ディレーティング(derating)、取り入れ温度、吸込み圧力、流入量、出力坑口圧力、流量、WC、およびGORを用いる。
【0065】
幾つかの実施形態では、変数またはパラメータのうちの1つ以上は、測定値である(例えば、測定されてリアルタイムデータとしてデジタルツインに提供される)。幾つかの実施形態では、1つ以上の変数またはパラメータは、超次元シミュレーションを実施することによって得られる(例えば、インバースROMを生成する際に実施される)。幾つかの実施形態では、1つ以上の変数またはパラメータは、現場試験を実施することによって得られ、またはキャリブレーションROMによって決定されるのがよい。幾つかの実施形態では、1つ以上の変数またはパラメータは、測定値または設定値(例えば、既知の値または固定値)である。
【0066】
次に図9を参照すると、略図900は、幾つかの実施形態によれば、ESP坑井(例えば、ESP坑井826)をモデル化するよう一緒に機能するキャリブレーションROM902とインバースROM904を示している。キャリブレーションROM902は、幾つかの実施形態によれば、速度、トルク、PiおよびPd(例えば、PID制御方式の値)、流量Qの測定値、WC、およびGOR、ならびに予測されるポンプ漏れ量(PL)の入力を受け取る。これら入力を用いると、キャリブレーションROM902は、幾つかの実施形態によれば、更新されたチョーク開度および更新されたトルクディレーティングを含む較正変数を出力する。較正変数は、インバースROM904への入力として提供され、インバースROM904は、幾つかの実施形態によれば、更新されたチョーク開度および更新されたトルクディレーティングを用いて流量Q、WC、GOR、およびPLを予測する。幾つかの実施形態では、キャリブレーションROM902およびインバースROM904は、ESP坑井の特定の作動箇所でインスタンス化されるのがよく、そしてオンライン化し、それによりリアルタイムデータを用いてESP坑井のデジタルツインとして機能することができるようにする。キャリブレーションROM902およびインバースROM904は、幾つかの実施形態によれば、上記において詳細に説明した技術を用いて(例えば、図7を参照して詳細に説明したツイン化ツール701によって)作られるのがよくまたは生成されるのがよい。
【0067】
次に図10を参照すると、グラフ1000は、幾つかの実施形態によれば、略図900に示したROMの推定流量と測定流量との差を示している。グラフ1000は、幾つかの実施形態によれば、測定流量と推定流量との差を経時的に示している。測定流量と推定流量との誤差が対応のしきい値を超えている場合、幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROM902およびインバースROM904は、全体的な誤差を最小限に抑えるよう再び調整されまたは較正されるのがよい。
【0068】
次に図11を参照すると、グラフ1100は、幾つかの実施形態によれば、略図900に示したROMの推定WCと測定WCとの差を示している。グラフ1100は、幾つかの実施形態によれば、推定WCと測定WCとの差を経時的に示している。測定WCと推定WCとの誤差が対応のしきい値を超えている場合、幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROM902およびインバースROM904は、全体的な誤差を最小限に抑えるよう再び調整されまたは較正されるのがよい。
【0069】
次に図12を参照すると、グラフ1200は、幾つかの実施形態によれば、略図900に示したROMの推定GORと測定GORとの差を示している。グラフ1200は、幾つかの実施形態によれば、推定GORと測定GORとの差を経時的に示している。測定GORと推定GORとの誤差が対応のしきい値を超えている場合、幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROM902およびインバースROM904は、全体的な誤差を最小限に抑えるよう再び調整されまたは較正されるのがよい。
【0070】
次に図13を参照すると、グラフ1300は、幾つかの実施形態に従って経時的な推定PLを示している。幾つかの実施形態では、PLは、測定するのが困難な場合があり、したがって、推定PLと測定PLの比較結果を得ることができない。しかしながら、推定流量と測定流量の誤差、推定WCと測定WCの誤差、および推定GORと測定GORの誤差が最小限である場合、推定PLは、自信をもって正確であるとみなすことができる。
【0071】
次に図14および図15を参照すると、ガスリフト坑井1400に関する図1500は、幾つかの実施形態によれば、ガスリフト坑井1400向きのフォワードROMを生成するために使用できる種々のシミュレーションモデルまたはシミュレータを示している。モデルは、幾つかの実施形態によれば、ドライホール(DH)坑井モデル1514、地層モデル1516、注入坑井モデル1512、産出坑井モデル1510、ゲージモデル1508、硫黄(SF)弁モデル1502、フローラインモデル1504、およびストックタンクモデル1506を含むのがよい。幾つかの実施形態では、本明細書において説明する種々のモデルは、変数またはパラメータ、例えば、地層圧力、GOR、WC、PI、流体流量、ガス流量、ダウンホール圧力、注入圧力、注入流量、坑口圧力、フローライン圧力などを用いるよう構成されている。幾つかの実施形態では、本明細書で説明する変数またはパラメータのうちの1つ以上は、常時測定可能な変数である。幾つかの実施形態では、本明細書において説明する変数またはパラメータのうちの1つ以上は、測定不能な値である。幾つかの実施形態では、本明細書において説明する変数またはパラメータのうちの1つ以上は、キャリブレーションROMの坑井試験または出力から得ることができ、または違ったやり方で較正によって得ることができる値である。略図1500のフォワードROMは、幾つかの実施形態によれば、本明細書において説明したシステムおよび方法を用いて(例えば、図7を参照して上記において詳細に説明したツイン化ツール702によって)生成されるのがよい。
【0072】
例示のダッシュボード
【0073】
次に図16を参照すると、幾つかの実施形態によれば、ウェブページ上に提示できるダッシュボード1600が示されている。ダッシュボード1600は、幾つかの実施形態によれば、デジタルツイン(例えば、デジタルツイン718)の出力またはデジタルツインそれ自体に基づくダッシュボード726のうちの1つであるのがよい。幾つかの実施形態では、ダッシュボード1600は、デジタルツインが表すシステムの時系列データ、例えば種々の出力、予測値、推定値、システム値などの1つ以上のグラフまたは表を含む。例えば、グラフは、ガスリフト性能グラフ、ノード分析グラフ、圧力対温度比グラフ、温度グラフ、液体流量グラフなどを含むのがよい。ダッシュボード1600は、幾つかの実施形態によれば、次の分析および制御のために生成されて技術者に提供されるのがよい。ダッシュボード1600は、幾つかの実施形態によれば、ナビゲーションのための種々のメニューまたはサブメニューをさらに含むのがよい。
【0074】
利点
【0075】
有利には、本明細書において説明したシステムおよび方法は、現実世界システムの信頼性のあるデジタルツインを提供するために使用できる。1つ以上のROMのインスタンス化であるデジタルツインを用いると、コンピュータ計算上重い場合のあるシミュレーションの使用とは対照的に、計算速度を向上させることができる。デジタルツインは、リアルタイム制御、リアルタイム分析、リアルタイム最適化などのために現実世界システム(例えば、炭化水素坑井ポンプ)からのリアルタイム測定値を用いるようオンラインモードで具体化されるのがよい。デジタルツインは、デジタルツインが現実世界のシステムを正確に表すようにするために定期的に較正されるのがよい。
【0076】
最適化方式のキャリブレーションROM
【0077】
図17図19を参照すると、幾つかの実施形態によれば、ブロック図として示されたキャリブレーションROMの種々の具体化例が示されている。具体的に説明すると、図17は、キャリブレーションROM(例えば、キャリブレーションROM500、キャリブレーションROM902など)の全体的なワークフローを示し、図18は、キャリブレーションROMを備えた第1の最適化の具体化例を示し、図19は、キャリブレーションROMを備えた第2の最適化の具体化例を示している。図17図19を参照して本明細書において説明するブロック図、技術、システムなどのうちの任意のものは、ツイン化ツール702(例えば、その処理回路系704)、リモート処理回路系、分散型処理回路系、1つ以上のサーバ、ローカルコントローラ、クラウドコンピューティングシステムなど、あるいはこれらの任意の組み合わせによって具体化できる。
【0078】
図17を参照すると、幾つかの実施形態によれば、略図1700は、キャリブレーションROM1702の具体化例を示している。幾つかの実施形態では、キャリブレーションROM1702は、キャリブレーションROM1702のパラメータを決定するために(例えば、DOEシミュレーションデータとして示されたシミュレーションデータに基づいてキャリブレーションROM1702をインスタンス化するために)曲線当てはめ技術を用いるROMビルダ1704によって生成される。幾つかの実施形態では、キャリブレーションROM1702は、図1図16を参照して上記において詳細に説明した技術のうちの任意のものを用いて(例えば、ツイン化ツール702によって)生成される。例えば、DOEシミュレーションデータは、シミュレータ710および/またはDOEマネージャ712の出力であるのがよく、ROMビルダ1704は、ROM生成器714であるのがよい。
【0079】
ROMビルダ1704によっていったん構築され、生成され、インスタンス化などされると、キャリブレーションROM1702は、予測変数の入力が所与である場合1つ以上の準静的パラメータを予測、出力、推定、計算などするよう構成されるのがよい。予測変数は、一システムによって(例えば、システム728によって、ESP坑井826のセンサによってなど)提供される任意の較正測定値または通常の測定値を含むのがよい。例えば、予測変数は、ツイン化されているシステム(例えば、システム728)の種々のパラメータの測定値であるのがよい。幾つかの実施形態では、システムがESPである場合、予測変数はGORを含み得る。
【0080】
準静的パラメータは、予測変数のうちの1つ以上(例えば、予測変数の予測バージョン、この場合、予測変数は、測定値である)を予測するようインバースROMによって用いられるパラメータであるのがよい。準静的パラメータは、例えば、ESPの場合には分離器効率であるのがよく、したがって、1つ以上のインバースROMは、GOR(例えば、予測変数のうちの1つ)の値を予測するよう準静的パラメータを用いるのがよい。
【0081】
図18を参照すると、第1の最適化具体化例の略図1800が幾つかの実施形態に従って示されている。略図1800は、ROMビルダ1802、を含み、ROMビルダ1802は、キャリブレーションROM1804、およびキャリブレーションROM1806として示された1つ以上のキャリブレーションROM、オプティマイザ1810、およびアジャスタ1808を生成するよう構成されている。略図1800に示す第1の最適化のシステムは、デジタルツインの任意の処理回路系(例えば、ツイン化ツール702、遠隔処理回路系など)上に具体化されるのがよい。略図1800に示す第1の最適化の具体化例は、デジタルツインの準静的パラメータのための他の係数(例えば、ディレーティング係数)とともに収斂または安定性を達成する係数またはディレーティング係数を決定するために具体化されるのがよい。例えば、キャリブレーションROM1804は、第1の準静的パラメータのためのキャリブレーションROMであるのがよく、かかるキャリブレーションROMは、第1の準静的パラメータの係数をインバースROMおよびキャリブレーションROM1806に出力する。同様に、キャリブレーションROM1806は、第2の準静的パラメータのためのものであるのがよく、かかるキャリブレーションROMは、計算した第2の準静的パラメータまたは第2の準静的パラメータの係数をオプティマイザ1810および/またはインバースROMに出力するのがよい。幾つかの実施形態では、2つ以上のキャリブレーションROM1804~1806が直列に用いられ、各キャリブレーションROMは、対応の準静的パラメータと関連していて、対応の準静的パラメータをキャリブレーションROMのうちのもう1つのROMに出力する。多数のキャリブレーションROMの各々にはまた、入力として未知の特定の準静的パラメータもまた提供されるのがよい。
【0082】
図18に示すように、オプティマイザ1810は、キャリブレーションROM1804,1806から受け取った準静的パラメータをモニタして、準静的パラメータが変化しているかどうか、または準静的パラメータが収斂したか(例えば、安定しているか)どうかを判定することができる。準静的パラメータが収斂していない場合、オプティマイザ1810は、アジャスタ1808に知らせるのがよく、アジャスタは、準静的パラメータのうちの1つ(例えば、未知の準静的パラメータ)を調節しまたは変化させ、そして調節しまたは変化させた準静的パラメータをキャリブレーションROM1804,1806に提供するのがよい。オプティマイザ1810およびアジャスタ1808は、準静的パラメータのチェックおよび準静的パラメータのうちの少なくとも1つの調節を続行し、ついには、オプティマイザ1810は、準静的パラメータが収斂しまたはもはや変化していないということを確認する。これにより、未知の準静的パラメータの値が見いだされ、その結果、内部安定性または収斂したROMまたはデジタルツインが得られることが分かるといえる。未知の準静的パラメータの値または係数を含む準静的パラメータは、入力としてインバースROMに提供されるのがよい。
【0083】
有利には、図18の略図1800に示す第1の最適化具体化例は、未定義または未決定の問題(例えば、準静的パラメータのうちの1つ以上が未知である問題)について使用されるのがよい。準静的パラメータは、収斂または安定性が満たされるまで、これらパラメータの収斂度を観察するよう調節、調整、変更などがおこなわれ、そしてモニタされるのがよい。
【0084】
図19を参照すると、第2の最適化具体化例の略図1900が幾つかの実施形態に従って示されている。略図1900は、キャリブレーションROM、すなわちキャリブレーションROM1906のためのROMビルダ1902、インバースROM、すなわちインバースROM1908のためのROMビルダ1904、費用関数1910、およびオプティマイザ1912を含む。幾つかの実施形態によれば、ROMビルダ1902は、キャリブレーションROM1906の計算、決定、インスタンス化などを行うよう構成され、ROMビルダ1904は、インバースROM1908の計算、決定、インスタンス化などを行うよう構成されている。幾つかの実施形態では、ROMビルダ1902およびROMビルダ1904は、インバースROM1908およびキャリブレーションROM1906を生成するようROM生成器714の機能または技術のうちの任意のものを具体化するよう構成されている。ROMビルダ1902およびROMビルダ1904は、キャリブレーションROM1906およびインバースROM1908を生成するよう曲線当てはめ法を実行するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、図19を参照して本明細書において説明する技術は、自動キャリブレーションチェックの一部である。第2の最適化具体化例は、キャリブレーションROM(例えば、キャリブレーションROMの入力)とインバースROMの出力との一貫性をチェックするよう実行されるのがよい。
【0085】
キャリブレーションROM1906は、幾つかの実施形態によれば、予測変数として示された較正測定値の種々の値を受け取り、そして予測された準静的パラメータを出力する。予測された準静的パラメータは、幾つかの実施形態によれば、通常の測定値と組み合わせてインバースROM1908への入力として提供される。
【0086】
キャリブレーションROM1906は、幾つかの実施形態によれば、予測変数(例えば、予測変数の測定値および他の通常の測定値)に基づいて、予測された準静的パラメータをインバースROM1908に出力するよう構成されている。インバースROM1908は、幾つかの実施形態によれば、キャリブレーションROM1906からの予測準静的パラメータおよびシステムの較正点の1つ以上の通常の測定値を受け取る。幾つかの実施形態では、インバースROM1908は、予測された準静的パラメータおよび通常の測定値を用いて、予測応答(例えば、予測流量)を出力するよう構成されている。費用関数1910は、幾つかの実施形態によれば、予測準静的パラメータおよび通常の測定値のためのインバースROM1908によって予測される応答と、測定された実際の応答の両方を得る。幾つかの実施形態では、予測された応答は、現在の測定条件(通常の測定値)およびシステムの挙動を規定する予測準静的パラメータが所与の場合にシステム中に起こることが予測される応答である。現在の状況が測定された条件であり、かつ予測された応答を実際の応答と比較することができるので、システムの予測応答とシステムの現実の応答の何らかの差または不一致があれば、このことは、システムの挙動をより正確に規定するためには準静的パラメータに対して調節が行われるべきであることを指示しているといえる。
【0087】
コスト関数1910は、幾つかの実施形態によれば、システムの予測応答と現実の応答とを比較し、そして予測応答と現実の応答の誤差(例えば、予測誤差)を定量化する。オプティマイザ1912は、費用関数1910により提供される誤差を用い、そしてキャリブレーションROM1906、予測準静的パラメータ、またはこれら両方を調節して誤差をゼロに向かわせる(例えば、費用関数1910を最小化する)。
【0088】
費用関数1910は、単一の変数もしくはパラメータ、または多数の変数もしくはパラメータに関して、予測される応答と実際の応答の誤差を算定することができる。費用関数1910が多数の変数またはパラメータ(例えば、流量、GORなど)をモデル化する場合、多数の変数またはパラメータと関連した予測誤差の各々には重み付け値が割り当てられるのがよく、その結果、費用関数1910は、オプティマイザ1912が最小限に抑えることができる(予測された準静的パラメータを調節することによって、またはキャリブレーションROM1906を調節することによって)全体的または重み付けされた予測誤差を出力するようになっている。幾つかの実施形態では、オプティマイザ1912によって解決される最適化問題は、準静的パラメータの変動性に関する制約を含み、したがって、オプティマイザ1912は、キャリブレーションROM1906および/または予測準静的パラメータを調節することによって、予測誤差(例えば、費用関数1910の出力)を最小限に抑えるようになっている。図18または図19を参照して本明細書において説明した機能および技術は、幾つかの実施形態によれば、システムの特定の作動箇所(例えば、較正点)、またはシステムの多数の作動箇所(例えば、多数の較正点)のところで実施されるのがよい。
【0089】
トランジェントROM
【0090】
図20を参照すると、トランジェント(一時的)ROM(“tROM”)のためのワークフローの略図2000が幾つかの実施形態に従って示されている。略図2000は、ROMビルダ2002、キャリブレーションROM2004、パラメータ化フィルタ関数2006、およびデコンボリューション2008を含む。幾つかの実施形態では、ROMビルダ2002は、ROMビルダ1904,1902,1802,1704、ROM生成器714などのうちの任意のものと同一でありまたは類似している。幾つかの実施形態によれば、tROMは、曲線当てはめ法の使用とは対照的に、コンボリューションおよびデコンボリューションを用いており、と言うのは、tROMは、もう1つの時間曲線(例えば、時間的に変化する入力が所与の場合に起きるトランジェント応答)の関数として時間曲線を予測している。
【0091】
幾つかの実施形態では、キャリブレーションROMは、予測変数の測定値を受け取って準静的パラメータを出力するよう構成されている。準静的パラメータは、幾つかの実施形態によれば、パラメータ化フィルタ関数2006として示されたフィルタ中のパラメータとして用いられる。幾つかの実施形態では、パラメータ化フィルタ関数2006は、分析的パラメータ化モデルであり、準静的パラメータは、モデルのパラメータである。幾つかの実施形態では、モデルまたはパラメータ化フィルタ関数2006は、動的挙動相互間の依存性を予測しまたは計算するよう構成されている。幾つかの実施形態では、パラメータ化フィルタ関数2006の出力は、システムの予測応答を決定するようデコンボリューション2008のところでデコンボリューションされる。幾つかの実施形態では、パラメータ化フィルタ関数2006およびデコンボリューション2008は、tROM2010を規定する。
【0092】
データ同期
【0093】
図21を参照すると、システム(例えば、ESP)の経時的な収集データを示すグラフ2100が、一連のGOR点、一連のWC点、一連の流体流量点、一連の吐出し圧力、一連の吸込み圧力、一連のチュービングヘッド圧力、および一連の駆動周波数を含む。幾つかの実施形態によれば、グラフ2100は、坑井試験の性能およびGORのデータ点、WCのデータ点、および液体流量のデータ点の記録を示している。グラフ2100に示すように、第1の坑井試験2114は、時刻t2,t3の間(線2104,2106で表されている)で実施されるが、第1の坑井試験に関するデータ(すなわち、GOR、WC、および液体流量の値)は、時刻t1(線2102で表されている)のところで得られているものとして記録される。同様に、第2の坑井試験2116は、時刻t5,t6の間(線2110,2112で表されている)で実施されるが、一方、第2の坑井試験に関するデータ(すなわち、GOR、WC、および液体流量の値)は、時刻t4(線2108で表されている)のところで得られているものとして記録される。したがって、図21で理解できるように、坑井試験に関するデータ(例えば、較正データ)のタイムスタンプは、坑井試験が実施される実際の時刻とは同期していない。これは、GOR、WC、および液体流量のデータを、吐出し圧力、吸込み圧力などとは異なる源から得ていることに起因している場合がある。しかしながら、他のデータと同期していないデジタルツインのデータを用いると、結果として、デジタルツインの出力の不一致が生じる。幾つかの実施形態では、坑井試験の較正データ(例えば、GOR、WC、および液体流量)は、は、坑井試験の期間にわたって集められた平均値である。したがって、1つの源からの坑井試験の較正データを第2の源からの坑井試験の他のデータと同期させるためには、期間を同期させること(例えば、キャリブレーションデータおよび他のデータと関連した開始時刻と終了時刻の両方を同期させること)が必要な場合がある。幾つかの実施形態では、GOR、WC、および液体流量は、図7に示すように独立試験結果である。
【0094】
幾つかの実施形態では、同期は、技術者によって手動で実施される。例えば、収集したデータは、リアルタイム入力(例えば、システム728から得られたセンサデータ)または技術者が坑井試験を実施することによって報告されたデータであるのがよい。幾つかの実施形態では、技術者は、データを同期させて較正中におけるまたは坑井試験が実施された時点に対する坑井試験データの誤差、互いに異なるデータの源相互間の異なる時間ゾーンを考慮にいれるのがよい。幾つかの実施形態では、同期は、デジタルツイン718またはデジタルツイン生成器716によって自動的に実施される。例えば、デジタルツイン生成器716は、互いに異なる源、(例えば、システム728からのリアルタイム入力、または履歴データ、および技術者によって提供される独立試験結果)からデータを得、そして2つの源相互間の同一のデータ点(例えば、データの特定の組のうちの同一の値)を識別するのがよい。デジタルツイン生成器716は、いずれか一方の源からのデータのタイムスタンプを同期させるのがよく、その結果、同一データ点のタイムスタンプが合致し、そしてまた源中のデータの残部を調節し、それにより2つの源からのデータを同期させるようになっている。幾つかの実施形態では、グラフ2100は、ユーザが種々の得られたデータの応答を観察し、そして較正データを他のデータ源と同期させることができるよう、ユーザに表示される(例えば、ダッシュボード1600上のディスプレイスクリーンを介して)。
【0095】
重み付け較正データ
【0096】
図22を参照すると、グラフ2200は、幾つかの実施形態によれば、ESPから得られたデータ(例えば、吐出し圧力、吸込み圧力、チュービングヘッド圧力、および駆動周波数)、予測液体流量(一連の点2202によって示されている)、および坑井試験または較正データ組2204,2206(GOR、WC、および液体流量を含む)を示している。グラフ2200は、幾つかの実施形態によれば、第1の坑井試験2208および第2の坑井試験2210を示している。幾つかの実施形態では、予測液体流量は、較正データ組2204,2206を用いて生成されるデジタルツインの出力である。幾つかの実施形態では、較正組2204または2206の重み付け、またはデジタルツインの出力(例えば、液体流量)の重み付けには、坑井試験2208または2210の期待精度に基づいて重み付けが割り当てられる。幾つかの実施形態では、重み付けはユーザによって割り当てられた値である。幾つかの実施形態では、重み付けは、0%から100%までの範囲内にある。例えば、坑井試験2210は、坑井試験2208の持続時間よりも短い持続時間を有するものとして示され、したがって、坑井試験2210の提供する信頼に値するデータが少ない場合がある。したがって、ユーザは、50%の重み付けを較正データセット2206に提供するとともに、100%の重み付けを較正データ組2204に提供し、それによりデジタルツインを生成するのがよい。重み付けは、較正データ組2204,2206の値の重み付け平均値(これは、キャリブレーションROMのうちの任意のものと関連して上記において詳細に説明した技術のうちの任意のもので使用できる)を決定するよう使用されるのがよい。幾つかの実施形態では、図21を参照して上記において詳細に説明した時刻同期技術および図22を参照して説明した重み付け技術は、閉ループ方式でデジタルツインとの関係で実施される。幾つかの実施形態では、グラフ2200および/またはグラフ2100は、ユーザが互いに異なる重み付けを較正データ2204,2206に提供し(例えば、デジタルツイン生成器716に対して)、時刻同期などを調節し、そして重み付けに対する調節およびデジタルツイン出力に対する時間同期の結果としての効果を観察することができるようダッシュボード1600上でユーザに提示される。
【0097】
準静的パラメータしきい値
【0098】
図23を参照すると、グラフ2300は、幾つかの実施形態によれば、経時的なデジタルツインの種々の準静的パラメータ(例えば、デジタルツイン718の準静的パラメータ)の追跡状態を示している。幾つかの実施形態では、グラフ2300は、経時的な第1の準静的パラメータ、第2の準静的パラメータ、および第3の準静的パラメータの追跡値を示している。幾つかの実施形態では、ツイン化ツール702またはデジタルツイン718は、経時的な準静的パラメータの値(例えば、一連の点2302,2304,2306)を対応のしきい値(例えば、しきい値2308,2310,2312)と比較するよう構成されている。幾つかの実施形態では、しきい値2308,2310,2312は、準静的パラメータの最後のn個の値の平均値に基づいている。準静的パラメータの値がしきい値2308,2310,2312から外れている場合、このことにより、不適当な較正試験(例えば、坑井試験)が実施されたことがわかるといえ、したがって、警告がユーザに出される場合がある(例えば、ツイン化ツール702、ダッシュボード726などによって)。幾つかの実施形態では、しきい値2308,2310,2312により、準静的パラメータは、準静的パラメータの先の値のある特定の百分率または準静的パラメータの値の先の数の平均値だけ逸脱する場合がある。例えば、第2の準静的パラメータの先の値が0.55である場合、しきい値は、0.55±0.05(0.55)であるのがよい。
【0099】
別のキャリブレーションROM
【0100】
図24を参照すると、略図2400は、幾つかの実施形態によれば、本明細書において説明したキャリブレーションROMのうちの任意のものの変形例を示している。理解されるべきこととして、略図2400に示すとともに図24を参照して本明細書において説明するシステムは、本明細書全体を通じて説明したキャリブレーションROMのうちの任意のものに代えて使用できる。
【0101】
キャリブレーションROMは、幾つかの実施形態によれば、図24に示すような最適化システムとして具体化できる。具体的に説明すると、インバースROM400は、制御可能変数502および設定パラメータ504を受け取り、そして1つ以上の測定予測値(例えば、測定可能変数の予測値)を出力することができる。測定予測値は、幾つかの実施形態によれば、圧力、温度、トルク、GOR、WC、流量など、または測定可能な任意他の変数またはパラメータの予測値であるのがよい。幾つかの実施形態では、測定予測値および測定変数508は、予測誤差(例えば、測定予測値と測定された変数508の差)を計算するよう用いられる(例えば、接合部2402のところで)。予測誤差を重み付け費用関数2404で使用することができ、かかる重み付け費用関数は、最適化ソルバ2406に提供される。最適化ソルバ2406は、幾つかの実施形態によれば、インバースROM400に関する測定不能変数506の出力、調節、予測などを行うことができる。このように、最適化ソルバ2406は、測定不能変数506の値を変化させまたは調整して重み付け費用関数2404または予測誤差をゼロに向かわせることができる。測定予測値の算定のためにインバースROM400に提供され、そしてこれによって使用される測定不能変数506は、インバースROM400によって用いられる調整パラメータまたは内部パラメータの一形式であるのがよい。したがって、インバースROM400に関する測定不能変数506の最適値を求めると、キャリブレーションROMに代えて実施できる帰納的最適化が提供される。
【0102】
例示の実施形態の構成
【0103】
本明細書で用いられる「ほぼ」、「約」、「実質的に」および類似の用語は、本開示の主題と関連した当業者による通常のかつ受け入れられた使用と調和して広い意味を有するようになっている。本開示内容を検討する当業者によって理解されるべきこととして、これらの用語は、記載されるとともにクレーム請求しているある特定の特徴の説明を当該特徴の範囲を提供されている数値範囲そのものに制約することなく、可能にするようになっている。したがって、これらの用語は、説明するとともにクレーム請求している主題の重要でないまたは取るに足らない改造または変更が特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内にあるものとみなされることを指示するものとして解されるべきである。
【0104】
注目されるべきこととして、種々の実施形態を説明するために本明細書で用いられている「例示の」という用語は、かかる実施形態が考えられる実施形態の考えられる実施例、代表例、および/または例示であることを指示するようになっている(そして、かかる用語は、かかる実施形態が必ずしも意外なまたは最上の実施例であるということを意味するものではない)。
【0105】
本明細書で用いられる「結合され」、「連結され」などの用語は、2つの部材の相互の直接的または間接的な接合を意味している。かかる接合は、動かせない(例えば、永続的)であってもよく、動かせる(例えば、取り外し可能、解除可能など)であってもよい。かかる接合は、2つの部材、もしくは単一の一体型本体として互いに一体的に形成されている2つの部材と任意の追加の中間部材で、あるいは、2つの部材もしくは互いに取り付けられている2つの部材と任意の追加の中間部材で達成されるのがよい。
【0106】
本明細書において要素の位置(例えば、「頂」、「底」、「上」、「下」など)といった場合、これらは、図に示されている種々の要素の向きを説明するために用いられているに過ぎない。注目されるべきこととして、種々の要素の向きは、他の例示の実施形態に従って様々であってよく、しかも、かかるバリエーションは、本開示に含まれるものである。
【0107】
また、「または」という用語がその包括的な意味で用いられており(その排他的な意味ではなく)、その結果、例えば、リストとして示された要素を互いに連結するために用いられる場合、「または」という用語は、当該リスト中の要素の1つ、幾つか、または全てを意味している。結合後、例えば「X、Y、Zのうちの少なくとも1つ」という表現は、別段の特定の指定がなければ、アイテム、用語などがX、Y、Z、XおよびY、XおよびZ、YおよびZ、またはXとYとZ(すなわち、X、Y、およびZの任意の組み合わせ)である場合があることを意味するよう一般的に用いられている文脈で理解される。かくして、かかる連結語は、一般には、別段の指定がなければ、ある特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、およびZの少なくとも1つが各々存在するのを必要としているということを意味するものではない。
【0108】
例示の実施形態に示されているようなシステムおよび方法の要素の構成および配置は、例示であるにすぎないことに注目することが重要である。本開示のほんの幾つかの実施形態を詳細に説明したが、本開示を検討する当業者であれば容易に理解されるように、多くの改造(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状および比率、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、向きのバリエーション)が可能であり、これは、記載した本主題の新規な教示および利点から著しくは逸脱しない。例えば、一体的に形成されたものとして示されている要素は、多数の部品または要素で構成されてもよい。注目されるべきこととして、本明細書において説明したコンポーネントの要素および/または組立体は、多種多様な色、テキスチャ、および組み合わせのうちの任意のものにおいて、十分な強度または耐久性をもたらす広範な材料のうちの任意のもので構成できる。したがって、かかる改造は全て、本発明の範囲内に含まれるものである。本開示の範囲または添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神から逸脱することなく、好ましい実施形態および他の実施形態の設計、動作条件、および配置の他の置換、改造、変更、および省略を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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図19
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【国際調査報告】