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特表2024-500324GLP-1RおよびGCGR均衡アゴニストを使用した血糖および/または体重を低下させるための治療レジメンおよび方法
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  • 特表-GLP-1RおよびGCGR均衡アゴニストを使用した血糖および/または体重を低下させるための治療レジメンおよび方法 図1
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  • 特表-GLP-1RおよびGCGR均衡アゴニストを使用した血糖および/または体重を低下させるための治療レジメンおよび方法 図10
  • 特表-GLP-1RおよびGCGR均衡アゴニストを使用した血糖および/または体重を低下させるための治療レジメンおよび方法 図11
  • 特表-GLP-1RおよびGCGR均衡アゴニストを使用した血糖および/または体重を低下させるための治療レジメンおよび方法 図12
  • 特表-GLP-1RおよびGCGR均衡アゴニストを使用した血糖および/または体重を低下させるための治療レジメンおよび方法 図13
  • 特表-GLP-1RおよびGCGR均衡アゴニストを使用した血糖および/または体重を低下させるための治療レジメンおよび方法 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】GLP-1RおよびGCGR均衡アゴニストを使用した血糖および/または体重を低下させるための治療レジメンおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/26 20060101AFI20231226BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231226BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
A61K38/26
A61K9/08
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
C07K14/605 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534386
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 US2021062286
(87)【国際公開番号】W WO2022125598
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/122,117
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/211,157
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/249,468
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522316696
【氏名又は名称】スピットファイア ファーマ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,ヴィジャヤンティ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ,ジョイス
(72)【発明者】
【氏名】オルハヤ,オマー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,マシュー スコット
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB16
4C076CC21
4C076CC50
4C076DD09F
4C076DD38F
4C076DD49F
4C076DD51F
4C076EE23F
4C076FF16
4C076FF43
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA28
4C084BA36
4C084CA59
4C084DB35
4C084MA05
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA06
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045CA40
4H045EA27
4H045FA34
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
【解決手段】
本開示は、配列番号1のデュアルアゴニストペプチド産物を含むが、これに限定されない、デュアルGLP-1RおよびGCGRアゴニストの週1回の投与レジメン、製剤、ならびに慢性的な体重管理、肥満、および/または血糖管理の処置のためのそれの使用方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの血糖を低下させ、体重を低下させ、および/または肝脂肪を低減する方法であって、ヒトに、治療有効量の、配列番号1を含む医薬用量製剤を週1回投与することを含み、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して1つまたは複数の有害事象の発生が減少し、前記有害事象が、前記ヒトへの投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、方法。
【請求項2】
前記方法が、
a)GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つまたは複数の有害事象の発生率を低減し、前記有害事象が、ヒトへの投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択され、
b)ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドが投与される方法と比較して、投与の約48もしくは96時間後に約50%低い血糖、投与の約72時間後に約100%低い血糖、および/または投与の約120時間後に低い血糖をもたらし、
c)全身体重減少を誘導し、および/または肝脂肪消失を誘導し、
d)ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドが投与される方法と比較して、
低いCmax、または任意選択的に約50%低いCmaxをもたらし、
ほぼ等しいかもしくは高いTmax、または任意選択的に約100%高いTmaxをもたらし、
同様のAUC(0-inf)、または任意選択的に約85~93%のAUC(0-inf)をもたらし、
ほぼ等しいかもしくはそれ未満のT1/2(hr)、または任意選択的に約50~75%のT1/2(hr)をもたらし;
延長したMRT(hr)、または任意選択的に少なくとも約25%長いMRT(hr)をもたらし、
持続性PK/PDプロファイルをもたらし、等しいかまたは高い糖調節作用を示し;
高い全身体重減少、もしくは任意選択的に約2倍の全身体重減少をもたらし;
低い体脂肪量、任意選択的に約100%低い体脂肪量をもたらし;ならびに/または
方法が非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および/もしくは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を処置する場合、増加した全身体重低減、肝臓重量減少、改善されたNASスコア、改善された脂肪肝、改善されたバルーン化、改善されたcol1A1染色善、改善されたALT、改善された肝TG/TC、および改善された血漿TG/TCをもたらし、
e)ほぼ等モルの用量で投与されるセマグルチドと比較して、製剤の投与の約14日後までに高い体重の減少、任意選択的に、約15%高い減少をもたらす;および/または、製剤の投与の約20~28日後までに高い体重の減少、任意選択的に、約25%高い減少をもたらし、ならびに/または
f)ヒトの体重を痩せ型の正常なヒトの正常な体重範囲に戻すのに十分な肥満のヒトにおける体重減少をもたらす、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
肥満の処置である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
血糖管理の処置である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
医薬用量製剤の治療用量を決めるための処置開始フェーズを含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
血糖管理、肥満、NAFLD、NASH、および/または脂肪症の一次治療である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
食事および/または運動を用いた補助処置である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒトが、2型糖尿病を有し、任意選択的に、前記ヒトがまた、確立された心血管疾患を呈する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記医薬用量製剤が、約2週間~約8週間、またはそれ以上、約毎週投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記医薬用量製剤を前記ヒトに、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、毎週の用量として約4~約8週間、任意選択的に、約6週間投与することが、前記ヒトへの投与の約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、または約7週間後に、高い全身体重減少をもたらす、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記医薬用量製剤が、約1、8、15、22、29、および36日目に投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、前記ヒトへの単回用量の投与が、投与の約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日または約7日後に、低い血糖をもたらす、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、ヒトへの約4~約8週間、任意選択的に約6週間の毎週の用量の投与が、投与の約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間または約7週間後に、高い全身体重減少をもたらす、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、前記ヒトへの単回用量の投与が、投与の約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日または約7日後に、低いCmaxを示す、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬用量製剤を1週間当たり約0.5~約10mg、任意選択的に、1週間当たり約1~約7mg、1週間当たり約1~約5mg、1週間当たり約1~約2mg、1週間当たり約1.2mg、または1週間当たり約1.8mgのいずれかで投与することを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
医薬用量製剤が、約週1回または2週間に1回、任意選択的に、少なくとも1ヶ月間投与され、任意選択的に、各用量が、前記配列番号1のほぼ同じものを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
治療用量に達するまでの時間が、約4週間以下である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬用量製剤が、第1の用量で、毎週、1週間以上投与され、続いて、より高い第2の用量で、毎週、1週間以上投与される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬用量製剤の投与が、約400~約1300ng/mlのCmax、約10~約36時間のTmax、および/または約15,000~45,000hng/mLのAUC0-48を示す、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒトにおける前記体重減少が、少なくとも5%、少なくとも10%、または約1%~約20%、もしくは約5%~約10%(w/w)である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ヒトへのその投与が、前記ヒトを痩せ型の正常なヒトの正常な体重範囲に戻すのに十分な、肥満のヒトにおける体重減少をもたらす、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬用量製剤が、皮下投与される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記医薬用量製剤が、ポリソルベート20、アルギニン、またはマンニトールのうちの1つまたは複数を含む水性製剤である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬用量製剤が、脱イオン水(pH7.7±0.1)中約0.025~0.075%(w/w)ポリソルベート20、約0.2~0.5%(w/w)アルギニン、約3~6%(w/w)マンニトール、任意選択的に、脱イオン水(pH7.7±0.1)中約0.050%(w/w)ポリソルベート20、約0.348%(w/w)アルギニン、約4.260%(w/w)マンニトールを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
約1.8mgの配列番号1を含む医薬用量製剤が、前記ヒトに、週1回、少なくとも6週間投与され、少なくとも約3~5%の全身体重減少、任意選択的に、5%を超える全身体重減少をもたらす、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
プラセボと比較した全身体重減少の正味の変化が、少なくとも約6%、任意選択的に、約6.3%である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
約1.2mgの配列番号1を含む医薬用量製剤が、前記ヒトに、週1回、少なくとも6週間投与され、少なくとも約2%の全身体重減少、任意選択的に、約1.8%の全身体重減少をもたらす、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
プラセボと比較した全身体重減少の正味の変化が、少なくとも約3%、任意選択的に、約2.7%である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬用量製剤が、皮下投与される、請求項25~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも25の肥満度指数(BMI kg/m)を有するヒトにおいて体重減少を誘導することによる、前記ヒトの慢性的な体重管理のための処置の方法であって、前記ヒトに、週1回、治療有効量の、配列番号1を含む医薬用量製剤を投与することを含み、前記ヒトの前記体重が、12週目にベースラインから少なくとも5%低減される、方法。
【請求項31】
前記ヒトの前記体重が、12週目にベースラインから少なくとも6%、12週目にベースラインから少なくとも7%、12週目にベースラインから少なくとも8%、12週目にベースラインから少なくとも9%、または12週目にベースラインから少なくとも10%低減される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
配列番号1を含む前記医薬用量製剤の前記週1回の治療有効量が、配列番号1約1.8mgである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記処置が、身体活動の増加および/またはカロリー低減食を伴う補助処置である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記処置が、身体活動の増加および/またはカロリー低減食と組み合わされていない、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒトの前記BMIが、少なくとも30kg/mである、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
0週目での前記ヒトが糖尿病でない、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記医薬用量製剤が、ヒトに皮下投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記医薬用量製剤が、ヒトに週1回、少なくとも6週間投与され、少なくとも約3%の全身体重減少をもたらす、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
肝脂肪を低減する、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年12月7日出願された米国仮特許出願第63/122,117号、2021年6月16日に出願された米国仮特許出願第63/211,157号、および2021年9月28日に出願された米国仮特許出願第63/249,468号の優先権を主張し、そのそれぞれが、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年12月7日に作成された、当該ASCIIコピーは、MED008PCT_ST25.TXTと名付けられ、サイズ8453バイトである。
【0003】
技術分野
本開示は、GLP-1RおよびGCGRアゴニスト、製剤、ならびにその使用方法の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)およびその進行した形態である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の増加する有病率は、患者の罹患率および死亡率の主な原因であり、ならびに主な経済的負担である多発している世界的な健康危機である。肥満は、2型糖尿病およびNASHの重要なリスク因子であり、2型糖尿病を有する患者のおよそ90%が、過体重または肥満である。肥満は、世界的に急速に増加している問題であり、現在米国では成人の65%より多くが過体重である(Hedley, A.A.ら(2004) JAMA 291: 2847-2850)。NASHは近い将来、肝移植の主要な原因になると予想されている。肥満および糖尿病のための安全かつ有効な医薬処置の開発が必要とされている。本開示は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの、肥満または/および糖尿病と関連する障害の処置のための改良されたペプチド医薬を提供する。
【0005】
米国(US)では、NASHは、末期の肝疾患または肝移植の主な原因となっている。肥満は、NASHの主な原因であり、体重減少は、肝脂肪の低減およびNASHの改善をもたらす。NASHを有する個体の80%より多くが、過体重または肥満であり、現在、米国食品医薬品局(FDA)が承認した体重減少を誘導する、利用可能な薬理学的選択肢はないため、治療の大部分は、体重減少を達成するための生活習慣への介入に基づく。しかし、生活習慣の改善だけで長期的な体重減少を達成し維持することは困難である。
【0006】
グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト(GLP-1RA)は、承認された用量で適度な体重減少を伴い、これらの薬剤は、NASHを有する患者の治療選択肢として浮上してきた。最近の臨床試験では、1日1回のGLP-1RAであるリラグルチドは、NASHの消失と関連し、肝線維症の改善傾向を示した。しかし、患者は、体重の5.5%を失ったのみであった。ある研究では、10%以上の体重減少が、最適なNASHの消失に必要であった。体重減少のレベルが高いほど、NASH患者が直面する最も深刻な合併症を表す、心血管疾患および非肝臓悪性腫瘍の発生率の低下とも関連する。
【0007】
GLP-1RAは、食欲および摂食に対する中枢作用を示し、一方、GCRアゴニストは、動物モデルおよびヒトにおいてエネルギー消費を増加させる。GCRアゴニストおよびGLP-1RAの作用は、GLP-1RA単独と比較して、相乗的に体重減少を促進することが示されている。GCRはまた、脂肪分解を強化し、肝脂肪の合成を抑制し、これにより、肝脂肪の低減およびNASHの消失のさらなる経路がもたらされる。
【0008】
デュアルアゴニストは、同一分子中でGCRをGLP-1RAと結合させたものである。肥満非ヒト霊長類において、GLP-1R/GCRデュアルアゴニストの慢性投与は、GLP-1RAモノアゴニストと比較して、より大きな程度まで、体重を低減し、耐糖能を改善した。GLP-1のグルカゴン活性に対する5:1のバイアスのGLP-1/GCRデュアルアゴニストであるコタデュチドの臨床試験は、わずか6週間で肝脂肪含有量が39%と顕著に低減し、リラグルチド単独よりNASHに関連したアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)低減のより大きな改善を示した。しかし、26週間にわたるコタデュチド投与による体重減少の程度は、リラグルチドと同等であり(5.4%対5.5%)、これは、5:1の比が、肝脂肪低減には許容できるが、体重低減には最適ではないことを示唆していた。均衡のとれた(1:1)アゴニズムは、一方のアゴニストが他方のアゴニストより好ましいバイアスのかかった比よりも、より大きな体重減少と代謝作用と関連することが示されている。均衡のとれたデュアルアゴニストであるJNJ 64565111を用いた最近の試験では、わずか12週間で体重が8%低減するという驚くべき結果が得られた(NCT03586830)。
【0009】
残念なことに、GLP-1RAは、高い確率で悪心、嘔吐および下痢を伴う。これらの薬剤はまた、副作用を低減するために長期間にわたって漸増されなければならず、忍容性と投与レジメンを改善した薬剤が必要とされる。したがって、胃腸の副作用がなく、治療レベルに達するまで漸増する必要のない、血糖を制御し、および/または体重減少を誘導するための治療用量を用いた好適な投薬(例えば、毎日ではなく毎週)が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題が解決しようとする課題】
【0010】
デュアルアゴニストペプチドおよびその産物(例えば、製剤)ならびにインスリン抵抗性または/および肥満、例えば、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、心血管疾患(アテローム性動脈硬化症および心筋梗塞などの冠動脈疾患を含む)、高血圧、NASH、慢性腎疾患、慢性的な体重管理ならびにPCOSを含むが、これらに限定されない、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)の機能と関連する障害を処置するためのその使用ならびにこのような障害と関連する状態の処置におけるその使用が、本明細書に記載される。このようなデュアルアゴニストペプチドは、GLP-1RとGCGRの両方に対する親和性を有し、これは、例えば、本明細書に記載される細胞アッセイによって、またはこのような決定を行うための別のアッセイを使用して決定することができる。一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つ、またはその誘導体、例えば、その保存的に置換された誘導体、および/もしくはその組み合わせである。一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、GLP-1RおよびGCGRに対するほぼ等しい親和性を示し、これは、前述の細胞アッセイを使用して決定することができ、好ましい実施形態では、配列番号1、またはその誘導体である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一部の実施形態では、本開示は、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有する(例えば、セマグルチド)か、または過度に高い最高濃度(Cmax)を有するアゴニストと比較して、1つまたは複数の有害事象を低減して血糖を制御するように構成された、このようなデュアルアゴニストペプチド(複数可)の医薬用量製剤を提供する。一部の実施形態では、本開示は、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つまたは複数の有害事象の低減を伴う慢性的な体重管理のための体重減少を誘導するように構成された、このようなデュアルアゴニストペプチド(複数可)の医薬用量製剤を提供する。有害事象は、一部の実施形態では、哺乳動物への投与の際の悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される。これらの有害事象は、典型的には、循環への迅速な進入を伴う(デュアル)アゴニストの投与後に観察され、過度に高いCmaxをもたらす。一部の実施形態では、本明細書に開示されるデュアルアゴニストペプチド(複数可)(例えば、配列番号1~10またはその誘導体)の投与は、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニスト(例えば、セマグルチド)と比較して、他の結果(例えば、体重減少、脂肪減少、脂質プロファイル)および/または薬物動態(PK)パラメーターの改善をもたらし得る。
【0012】
好ましい実施形態では、本開示は、ヒトの血糖を低下させ、および/または体重を低下させる方法であって、ヒトに、配列番号1を含む医薬用量製剤を投与することを含み、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して1つまたは複数の有害事象の発生が減少し、有害事象が、ヒトへの投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、方法を提供する。
【0013】
ある特定の実施形態では、本開示は、慢性的な体重管理の処置のために構成されたこのようなデュアルアゴニストペプチド(複数可)の医薬用量製剤を提供する。実施形態では、少なくとも25の肥満度指数(BMI kg/m)を有するヒトにおいて体重減少を誘導することによる、前記ヒトの慢性的な体重管理のための処置が提供され、この方法は、ヒトに、治療有効量の配列番号1を含む医薬用量製剤を週1回投与することを含み、ヒトの体重は、12週目にベースラインから少なくとも5%(好ましくは、少なくとも約5%~約10%)低減される。
【0014】
本開示の他の態様はまた、当業者が同じことから理解するように、企図されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】43日間にわたり測定したプラセボと比較した、用量1.2mgおよび1.8mgでのALT-801(本明細書においてペムビジュチドとしても言及される)の投与後の体重減少の結果を説明する(表7も参照)。
図2】異なる用量群(1.2mg、1.8mgおよび2.4mg)対プラセボ群にまたがる6および12週間の処置後のALT-801(ペムビジュチド)の毎週の投与後の体重減少の結果を説明する。
図3】1.8mgで、12週間、毎週のALT-801対プラセボの投与後の個々の対象の体重減少の結果を説明する。
図4】2.4mgで、12週間、毎週のALT-801対プラセボの投与後の個々の対象の体重減少の結果を説明する。
図5図5Aおよび図5Bは、それぞれ、体重減少と年齢またはBMI(肥満度指数)の間に相関が存在しないことを説明する。
図6】すべての測定可能な対象における処置前対処置後(1.2、1.8、または2.4mgでのALT-801)肝脂肪レベルを説明し、ここで、1番目の棒が、スクリーニング時(ベースライン)の測定値であり、2番目の棒が、6週目での測定値である。
図7】プラセボと比較した、すべての測定可能な対象におけるALT-801を用いた処置(1.2、1.8または2.4mgでの処置)の6週間後の肝脂肪レベルの絶対的変化を説明する。
図8】プラセボと比較した、すべての測定可能な対象におけるALT-801を用いた処置(1.2、1.8または2.4mgでの処置)の6週間後の肝脂肪レベルの相対変化を説明する。
図9】プラセボと比較した、すべての脂肪症対象におけるALT-801を用いた処置(1.8または2.4mgでの処置)の6週間後の肝脂肪レベルの絶対的変化を説明する
図10】プラセボと比較した、すべての脂肪症対象におけるALT-801を用いた処置(1.8または2.4mgでの処置)の6週間後の肝脂肪レベルの相対変化を説明する
図11】ALT-801を用いた6週間の処置(用量1.8および2.4mg)後のMRI-PDFF(磁気共鳴画像プロトン密度脂肪分画)による検出不可能なレベルへの肝脂肪の90%より大きな低減を示し、ここで、それぞれの対象は、それぞれ、ベースライン肝脂肪含有量19.5%、17%および12.5%を有していた。用量1.8mgまたは2.4mgのALT-801を用いた毎週の処置により、肝脂肪含有量(LFC)を検出不可能なレベル(LOD(検出限界)未満)まで減少させた。
図12】プラセボと比較したALT-801(用量1.2、1.8および2.4mg)を用いた12週間の処置後のすべての群における、心血管系のリスクのバイオマーカーとしての、血圧の改善を説明し、ここで、それぞれの群における1番目の棒が、収縮期圧であり、2番目の棒が、拡張気圧である。ALT-801を用いた毎週の処置が、すべての用量群(1.2mg、1.8mgまたは2.4mg)にわたり血圧を改善した。
図13】12週間の処置後のプラセボと比較した、すべての用量群(用量1.2、1.8および2.4mg)にわたる心血管系のリスクのバイオマーカー(総コレステロール(「Tot. Chol.」)、高密度リポタンパク質(「HDL Chol.」)、低密度リポタンパク質(「LDL Chol.」)、およびトリグリセリド))としての血清脂質レベルの改善を説明する。
図14】プラセボと比較した、ベースライン(スクリーニング)および毎週の用量1.2mg、1.8mgおよび2.4mgでのALT-801を用いた処置の12週間後(85日目)に測定したBMI(肥満度指数)を示す。すべての処置群がBMIを低減し、用量1.8mgおよび2.4mgの処置群が、プラセボと比較して有意な低減を示していた。
図15】プラセボと比較した、早期満腹感および毎週の用量1.2mg、1.8mgおよび2.4mgでのALT-801を用いた処置の12週間後に測定した食欲抑制を示す。すべての処置群が、食欲不振および用量応答を示した。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、デュアルアゴニストペプチド(複数可)、ならびにそれを含む医薬用量製剤、およびそれを使用する方法に関する。デュアルアゴニストペプチドは、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対する親和性、好ましい実施形態では、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対するほぼ等しい親和性を有し、これは、細胞アッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示は、血糖を制御するように構成された医薬用量製剤を提供する。一部の実施形態では、血糖は、選択的(例えば、セマグルチド)および/または不均衡なアゴニストと比較して、デュアルアゴニストペプチドの投与後、より良好に制御される(例えば、低下し安定化される)。一部の実施形態では、本開示は、慢性的な体重管理の処置のためのものを含む、体重減少を誘導するように構成された医薬用量製剤を提供する。一部の実施形態では、体重減少は、選択的(例えば、セマグルチド)および/または不均衡なアゴニストと比較して、デュアルアゴニストペプチドの投与後に改善される(例えば、低下し安定化される)。一部の実施形態では、このような医薬用量製剤は、GLP-1RおよびGCGRに対して選択的(例えば、セマグルチド)および/または不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、有害事象の低減を示す。一部の実施形態では、有害事象は、典型的には、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニスト(例えば、セマグルチド)の哺乳動物への投与後または投与の際に観察される悪心、嘔吐、下痢、腹痛および/または便秘を含み得る。一部の実施形態では、本開示は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)をもたらす、根底にある代謝機能不全を処置するように設計された、新規のペプチドベースのデュアルGLP-1/グルカゴン受容体アゴニストを提供する。
【0017】
一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、配列番号1~10、またはその誘導体のいずれか1つである。好ましい実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、表1に示される、EU-A1873(配列番号1)、EU-A1588(配列番号2)、EU-A1871(配列番号3)、EU-A1872(配列番号4)である。
【0018】
【表1】
表1において、最上段の1、5、10、15、20、25および30の数字は、アミノ酸残基番号を指す(計29個のアミノ酸残基が、配列番号1~5のそれぞれに存在する)。表1に示されるセマグルチドは、配列番号11(31個のアミノ酸残基)である。表1に示される通り、配列番号1(表1のEU-A1873;ALT-801またはペムビジュチドとしても知られる)は、以下のアミノ酸配列:
His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-10Tyr-11Ser-12Lys-13Tyr-14Leu-15Asp-16Glu*-17Lys18Ala-19Ala-20Lys*-21Glu-22Phe-23Ile-24Gln-25Trp-26Leu-27Leu-28Gln-29Thr-NH
(式中、は、ラクタム架橋が、Glu16とLys20の間で形成されていることを示し、17Lys#は、グルクロン酸C-18の結合部位を示す(EuPort G、Z17CO2H)。別に説明すると、配列番号1は、17Lysに結合した29個のアミノ酸残基およびグルクロン酸/C18二酸部分からなるペプチドアミドであり、ここで、16Gluおよび20Lysの側鎖は、以下に示す分子内サイクルを形成している:
【0019】
【化1】
【0020】
一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、
1) His Xaa1 Gln Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Lys Tyr Leu Asp Glu
1 5 10 15
Xaa2 Ala Ala Lys Glu Phe Ile Gln Trp Leu Gln Thr(配列番号6)
20 25
(式中、Xaa1は、任意のアミノ酸、好ましくは、Aib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンもしくはCアルファ-メチルアラニン))であり;Xaa2は、Lys(N-オメガ(1-(17-カルボキシル-ヘプタデシルオキシ)ベータ-D-グルクロニル))、またはLys(Z17CO2H)(式中、Z17CO2Hは、(ベータ-D-グルクロン-1-イル)-1-オキサ)17-カルボキシヘプタデカンである)であり;Glu16およびLys20は、それぞれの側鎖を介して互いに環化されて、ラクタム結合を形成する);もしくはその誘導体;
2) His Xaa1 Gln Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Lys Tyr Leu Asp Glu
1 5 10 15
Xaa2 Ala Ala Lys Glu Phe Ile Gln Trp Leu Leu Gln Thr(配列番号7)
20 25
(式中、Xaa1は、任意のアミノ酸、好ましくは、Aib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンもしくはCアルファ-メチルアラニン))であり;Xaa2は、Lys(Me17CO2H)(式中、Me17CO2Hは、ベータ-D-メロビオウラニル-1-イル)-1-オキサ)17-カルボキシヘプタデカンである)であり;Glu16およびLys20は、それぞれの側鎖を介して互いに環化されて、ラクタム結合を形成する);もしくはその誘導体;
3) His Xaa1 Gln Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Lys Tyr Leu Asp Glu
1 5 10 15
Gln Ala Ala Lys Glu Phe Ile Xaa3 Trp Leu Leu Gln Thr(配列番号8)
20 25
(式中、Xaa1は、任意のアミノ酸、好ましくは、Aib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンもしくはCアルファ-メチルアラニン)であり;Glu16およびLys20は、それぞれの側鎖を介して互いに環化されて、ラクタム結合を形成し;Xaa3は、Lys(Z15CO2H)(式中、Z15CO2Hは、(ベータ-D-グルクロン-1-イル)-1-オキサ)15-カルボキシヘプタデカンである)である);もしくはその誘導体;
4) His Xaa1 Gln Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Lys Tyr Leu Asp Glu
1 5 10 15
Gln Ala Ala Lys Glu Phe Ile Xaa4 Trp Leu Leu Gln Thr(配列番号9)
20 25
(式中、Xaa1は、任意のアミノ酸、好ましくは、Aib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンもしくはCアルファ-メチルアラニン)であり;Glu16およびLys20は、それぞれの側鎖を介して互いに環化されて、ラクタム結合を形成し;Xaa4は、Lys(Z17CO2H)(式中、Z17CO2Hは、(ベータ-D-グルクロン-1-イル)-1-オキサ)17-カルボキシヘプタデカンである)である);もしくはその誘導体;
または、
5) His Xaa1 Gln Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr Ser Xaa5 Tyr Leu Asp Glu
1 5 10 15
Xaa2 Ala Ala Lys Glu Phe Ile Gln Trp Leu Leu Gln Thr(配列番号10)
20 25
(式中、Xaa1は、任意のアミノ酸、好ましくは、Aib(α-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンもしくはCアルファ-メチルアラニン))であり;Xaa2は、Lys(N-オメガ(1-(17-カルボキシル-ヘプタデシルオキシ)ベータ-D-グルクロニル))またはLys(Z17CO2H)(式中、Z17CO2Hは、(ベータ-D-グルクロン-1-イル)-1-オキサ)17-カルボキシヘプタデカンである)であり;Xaa5は、Argであり、Glu16およびLys20はそれぞれの側鎖を介して互いに環化されて、ラクタム結合を形成する);もしくはその誘導体のいずれかであり得る。
【0021】
好ましい実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、配列番号1~10、またはその誘導体のいずれか1つのアミノ酸配列を有するものである。好ましい実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、配列番号1である。実施形態では、本明細書においてALT-801と称される水性バッファー溶液中の配列番号1の医薬製剤が本明細書において提供される。配列番号1を含む、本明細書におけるデュアルアゴニストペプチド産物は、アミノ酸側鎖アミド結合(ラクタム架橋)、および脂肪酸側鎖に連結されたグルクロン酸からなるEuPort側鎖を含む。リンカーアミノ酸を介してペプチドに共有結合した親水性糖類基、および疎水性アルキル鎖部分からなる界面活性剤である側鎖は、皮下(SC)注射後にミセルの形成をもたらし、これにより、循環への進入が遅くなる。進入が遅くなることに伴い、最高濃度(Cmax)がより低くなり、結果、GI副作用の低下および良好な忍容性をもたらす。この後者の特徴はまた、血漿タンパク質への結合を強化し、代謝安定性を改善し、半減期(t1/2)を延長する。配列番号1の設計により、約40pMの両方の受容体での等価の(1:1)活性および100%活性を有するコアゴニストを得るのに成功した。
【0022】
デュアルアゴニストペプチド(例えば、配列番号1~10、またはその誘導体)の合成は、本明細書(例えば、実施例1)およびその全体が本開示に参照により組み込まれる、米国特許第9,856,306B2号に記載されている。一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、本明細書に記載される1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含み得る。好ましい実施形態では、配列番号1は、1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含み得るが、好ましくは、アミノ酸残基16、17、または20での1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含まない。好ましい実施形態では、配列番号2は、1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含み得るが、好ましくは、アミノ酸残基16、17、または20での1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含まない。好ましい実施形態では、配列番号3は、1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含み得るが、好ましくは、アミノ酸残基16、20、または24での1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含まない。好ましい実施形態では、配列番号4は、1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含み得るが、好ましくは、アミノ酸残基16、20、または24での1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含まず、配列番号5は、1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含み得るが、好ましくは、アミノ酸残基12、16、17、または20での1つまたは複数の保存的に置換されたアミノ酸を含まない。
【0023】
配列番号1~10のペプチドは、それぞれが、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対するアゴニストであるので、本明細書において「デュアルアゴニストペプチド」としてまとめて(または「デュアルアゴニストペプチド」として個別に)言及することができる。一部の実施形態では、ペプチドは、本明細書の実施例2に記載されるものなどの細胞アッセイによって決定することができる、GLP-1RおよびGCGRのデュアルアゴニストである。簡単に言うと、一部の実施形態では、細胞アッセイは、ヒトGLP-1RまたはGCGRが発現されているCHO細胞におけるcAMP刺激またはアレスチン活性化を測定することによって行うことができる((LeadHunterアッセイ(DiscoveRx))。配列番号1~10のデュアルアゴニストペプチドは、血清アルブミンに非常に強固に結合し(>99%)、結果を歪め得る(例えば、本明細書の実施例2を参照)ため、好ましくは、このようなアッセイは、典型的であり得る0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)と比較して、0.1%卵白アルブミンの存在下で行われる。一部の実施形態では、このようなアッセイを使用して決定される通り、デュアルアゴニストペプチドは、GLP-1RとGCGRの両方に対する親和性を有し、好ましい実施形態では、GLP-1RおよびGCGRに対するほぼ等しい親和性を有し得る。「ほぼ等しい親和性」は、デュアルアゴニストペプチドが、このような細胞アッセイによって決定され得る、他方に対する親和性と、約2~3倍以下、好ましくは、2倍以下のGLP-1RまたはGCGRに対する親和性を有することを意味する。例えば、本明細書の実施例に示す通り、デュアルアゴニストペプチド配列番号1(EU-A1873)は、驚くべきことに、GLP-1RおよびGCGRに対するほぼ等しい親和性を有するデュアルアゴニストペプチドであることが見出された(例えば、GLP-1Rに対して約39pmのEC50(115%固有活性)およびGCGRに対して44pmのEC50(115%固有活性))。これは、GLP-1Rに強くバイアスのかかった、もしくはGLP-1Rのみに対して親和性を示す、セマグルチドおよびエキセンディン-4を含む、GLP-1「特異的」化合物、またはGLP-1RとGCGRの両方に対して高い、もしくはほぼ等しい親和性を示さない、強くGCGRバイアスのかかったホルモンであるグルカゴンと異なる。天然のホルモンであるオキシントモジュリンは、GLP-1とグルカゴン受容体の両方でのアゴニスト作用を有するが、この活性は、強力ではなく、均衡がとれていない。当業者は、GLP-1RおよびGCGRに対する親和性が、本明細書に記載されるもの以外の方法および/またはアッセイによって決定することができること、ならびに親和性を決定するためのこのような方法および/またはアッセイが、本明細書において企図される(例えば、ほぼ等しい親和性の決定は、このような他の方法および/またはアッセイによってなされ得る)ことを理解するだろう。
【0024】
実施形態では、本明細書において使用される「グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対してほぼ等しい親和性を有するデュアルアゴニストペプチド」は、このような細胞アッセイによって決定され得る、他方に対する親和性と、約2倍以下のGLP-1RまたはGCGRに対する親和性を有するデュアルアゴニストペプチドを意味する。実施形態では、他方と比較される一方の受容体に対する本デュアルアゴニストペプチドの結合親和性は、公知の細胞アッセイによって決定され得るように、1.9、1.8、1.6、1.5、1.4、または1.2倍以下である。実施形態では、本明細書において使用される「GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニスト」は、公知の細胞アッセイによって決定され得るように、他方に対する親和性と、少なくとも約1.5倍のGLP-1RまたはGCGRに対する親和性を有するアゴニストペプチドを意味する。実施形態では、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストの結合親和性は、公知の細胞アッセイによって決定され得るように、少なくとも1.6、1.8、2、2.5、3、5、7.5、10、20倍以上である。
【0025】
「ペプチド」(例えば、デュアルアゴニストペプチド)は、典型的には、ペプチド結合を介して連結された2個以上の天然または/および非天然のアミノ酸残基を含む。このようなアミノ酸は、天然のアミノ酸の天然に存在する構造バリアント、天然に存在する非タンパク原性アミノ酸、または/および合成の天然に存在しないアナログを含み得る。用語「ペプチド」および「ポリペプチド」は、本明細書において互換的に使用される。ペプチドは、短いペプチド(約2~20のアミノ酸)、中程度の長さのペプチド(約21~50のアミノ酸)および長いペプチド(「タンパク質」とも呼ばれる、>約50のアミノ酸)を含む。一部の実施形態では、ペプチド産物は、約50、40または30以下のアミノ酸のペプチドに共有結合で安定的に結合した界面活性剤部分を含む。合成ペプチドは、例えば自動ペプチド合成装置を使用して合成することができる。ペプチドは、ペプチドをコードする核酸配列を発現している細胞において組換え的に産生することもできる。従来の表示法を本明細書において使用して、ペプチド配列を示し、ペプチド配列の左側の端は、アミノ(N)末端であり、ペプチド配列の右側の端は、カルボキシル(C)末端である。共通のアミノ酸の標準的な1文字および3文字略語が、本明細書において使用される。別段D-もしくはDL-と指定されないか、またはアミノ酸がアキラルでない限り、本明細書に開示されるアミノ酸配列において使用される略語は、L-アミノ酸を表すが、対応するD-異性体は、一般的に、任意の位置で使用され得る(例えば、タンパク分解性の分解に抵抗するため)。本明細書において使用される他のアミノ酸についての略語は、Aib=a-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンもしくはCa-メチルアラニン);Xaa:典型的には、式中で具体的に定義される、任意のアミノ酸を含む。本明細書に記載される通り使用され得る他のアミノ酸についての略語は、Ac3c=1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸;Ac4c=1-アミノシクロブタン-1-カルボン酸;Ac5c=1-アミノシクロペンタン-1-カルボン酸;Ac6c=1-アミノシクロヘキサン-1-カルボン酸;Aib=アルファ-アミノイソ酪酸(または2-メチルアラニンもしくはCアルファ-メチルアラニン);Bip=3-(ビフェニル-4-イル)アラニン;Bip2Et=3-(2’-エチルビフェニル-4-イル)アラニン;Bip2EtMeO=3-(2’-エチル-4’-メトキシビフェニル-4-イル)アラニン;Cit=シトルリン;Deg=2,2-ジエチルグリシン;Dmt=(2,6-ジメチル)チロシン;2FPhe=(2-フルオロフェニル)アラニン;2FMePheまたは2FaMePhe=Ca-メチル-(2-フルオロフェニル)アラニン;hArg=ホモアルギニン;MeLysまたはaMeLys=Ca-メチルリジン;MePheまたはaMePhe=Ca-メチルフェニルアラニン;MeProまたはaMePro=Ca-メチルプロリン;NallまたはNal(l)=3-(1-ナフチル)アラニン;Nal2またはNal(2)=3-(2-ナフチル)アラニン;Nle=ノルロイシン;Om=オルニチン;およびTmp=(2,4,6-トリメチルフェニル)アラニンを含み、残基(Tic-Ψ[CFl2-NFl]-Ψ-Pheと命名される)間のアミド結合の低減を有する1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic)およびTic-Pheジペプチド部分は、以下の構造:
【0026】
【化2】
を有する。
【0027】
別段具体的に示されないか、または文脈が別段示さない限り、本開示は、デュアルアゴニストペプチドが、合成的(例えば、ペプチド合成装置を使用して)または細胞によって(例えば、組換え産生によって)産生されるかどうかに関わらず、産生され得るデュアルアゴニストペプチドの任意およびすべての形態を包含する。デュアルアゴニストペプチドのこのような形態は、1つまたは複数の修飾が、計画的であるかどうかに関わらず、1つまたは複数の翻訳後修飾などの、ペプチドの合成または細胞産生中になされ得る1つまたは複数の修飾を含むことができる。デュアルアゴニストペプチドは、2つ以上の異なる場所に同じタイプの修飾を有することができるか、または/および2つ以上の異なるタイプの修飾を有することができる。化学および翻訳後修飾を含む、デュアルアゴニストペプチドの合成または細胞産生の経過中になされ得る修飾は、グリコシル化(例えば、N結合グリコシル化およびO結合グリコシル化)、脂質化、リン酸化、硫酸化、アセチル化(例えば、N末端のアセチル化)、アミド化(例えば、C末端のアミド化)、ヒドロキシル化、メチル化、分子内または分子間ジスルフィド結合の形成、2つの側鎖間でのラクタムの形成、ピログルタミン酸の形成、およびユビキチン化を含むが、これらに限定されない。デュアルアゴニストペプチドは、N末端、C末端、1つもしくは複数のアミノ酸側鎖、またはデュアルアゴニストペプチド骨格、あるいはその任意の組み合わせなどの、任意の場所に1つまたは複数の修飾を有することができる。一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、N末端でアセチル化され、または/およびC末端にカルボキサミド(-CONH)基を有し、それが、デュアルアゴニストペプチドの安定性を増加させることができる。
【0028】
デュアルアゴニストペプチドの可能性のある修飾はまた、1つまたは複数のアミノ酸の欠失、1つまたは複数の天然もしくは/および非天然のアミノ酸の付加/挿入、あるいは1つまたは複数の天然もしくは/および非天然のアミノ酸での置換、あるいはその任意の組み合わせまたはすべてを含む。置換は、保存的または非保存的であり得る。このような修飾は、部位特異的変異誘発を介して、またはデュアルアゴニストペプチドの化学合成においてなど、計画的であってもよいか、またはデュアルアゴニストペプチドを産生する宿主細胞において生じる変異を介して、またはPCR増幅に起因するエラーを介してなど、偶発的であってもよい。非天然のアミノ酸は、対応する天然アミノ酸と同じ化学構造を有するが、D立体化学を有することができるか、またはそれは、異なる化学構造およびDまたはL立体化学を有することができる。非天然のアミノ酸を利用して、例えば、デュアルアゴニストペプチドのヘリックス形成を促進するか、または/および安定性を増加させる(例えば、タンパク分解性分解に抵抗する)ことができる。参照デュアルアゴニストペプチドに対して1つまたは複数の修飾を有するデュアルアゴニストペプチドは、必要に応じて、参照デュアルアゴニストペプチドの「アナログ」または「バリアント」と呼ばれてもよい。「アナログ」は、典型的には、参照デュアルアゴニストペプチドの1つまたは複数の必須の特性(例えば、受容体結合、受容体もしくは酵素の活性化、受容体もしくは酵素の阻害、または他の生物学的活性)を保持している。「バリアント」は、参照デュアルアゴニストペプチドの生物学的活性を保持していても、もしくは保持していなくてもよく、または/および異なる生物学的活性を有していてもよい。このようなバリアントは、GLP-1RおよびGCGRのアゴニストとして作用するその能力を維持し、より好ましい実施形態では、GLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有することが好ましい。一部の実施形態では、参照ペプチドのアナログまたはバリアントは、参照デュアルアゴニストペプチドと異なるアミノ酸配列を有する。
【0029】
用語「保存的置換」は、デュアルアゴニストペプチド中のアミノ酸の、機能的、構造的または化学的に類似の天然または非天然のアミノ酸での置換を指す。ある特定の実施形態では、以下の群:1)グリシン(Gly/G)、アラニン(Ala/A);2)イソロイシン(Ile/I)、ロイシン(Leu/L)、メチオニン(Met/M)、バリン(Val/V);3)フェニルアラニン(Phe/F)、チロシン(Tyr/Y)、トリプトファン(Trp/W);4)セリン(Ser/S)、スレオニン(Thr/T)、システイン(Cys/C);5)アスパラギン(Asn/N)、グルタミン(Gln/Q);6)アスパラギン酸(Asp/D)、グルタミン酸(Glu/E);および7)アルギニン(Arg/R)、リジン(Lys/K)、ヒスチジン(His/H)はそれぞれ、互いに保存的置換である天然のアミノ酸を含有する。さらなる実施形態では、以下の群はそれぞれ、互いに保存的置換である天然のアミノ酸:1)非極性:Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro(プロリン/P)、Phe、Trp;2)疎水性:Val、Leu、Ile、Phe、Trp;3)脂肪族:Ala、Val、Leu、Ile;4)芳香族性:Phe、Tyr、Trp、His;5)荷電していない極性または親水性:Gly、Ala、Pro、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln、Tyr;6)脂肪族ヒドロキシルまたはスルフヒドリル含有:Ser、Thr、Cys;7)アミド含有:Asn、Gln;8)酸性:Asp、Glu;9)塩基性:Lys、Arg、His;ならびに10)小さい:Gly、Ala、Ser、Cysを含有する。他の実施形態では、アミノ酸は、以下に示される保存的置換:1)疎水性:Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp;2)芳香族性:Phe、Tyr、Trp、His;3)天然の親水性:Gly、Ala、Pro、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln;4)酸性:Asp、Glu;5)塩基性:Lys、Arg、His;および6)骨格の向きに影響を与える残基:Proとしてグループ化されてもよい。
【0030】
非天然または非タンパク原性アミノ酸の例としては、アラニンアナログ(例えば、α-エチルGly[α-アミノ酪酸またはAbu]、α-n-プロピルGly[ノルバリンまたはNva]、α-tert-ブチルGly[Tbg]、α-ビニルGly[VgまたはVlg]、α-アリルGly[Alg]、α-プロパルギルGly[Prg]、3-シクロプロピルAla[Cpa]およびAib)、ロイシンアナログ(例えば、ノル-ロイシン、Nle)、プロリンアナログ(例えば、α-MePro)、フェニルアラニンアナログ(例えば、Phe(2-F)、Phe(2-Me)、Tmp、Bip、Bip(2’-Et-4’-OMe)、Nal1、Nal2、Tic、α-MePhe、α-MePhe(2-F)およびα-MePhe(2-Me))、チロシンアナログ(例えば、Dmtおよびα-MeTyr)、セリンアナログ(例えば、ホモセリン[イソスレオニンまたはhSer])、グルタミンアナログ(例えば、Cit)、アルギニンアナログ(例えば、hArg、N,N’-g-ジアルキル-hArg)、リジンアナログ(例えば、ホモリジン[hLys]、Ornおよびα-MeLys)、α,α-二置換アミノ酸(例えば、Aib、α,α-ジエチルGly[Deg]、α-シクロヘキシルAla[2-Cha]、Ac3c、Ac4c、Ac5cおよびAc6c)、ならびにAで開示される他の非天然のアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。Santopreteら, Pept. Sci., 17:270-280 (2011)。α,α-二置換アミノ酸は、立体構造制限または/およびa-ヘリックス安定化をもたらし得る。2つの残基の間(例えば、Tic-Ψ[CFl2-NFl]-Ψ-Phe中)のアミド結合の低減は、タンパク質分解酵素抵抗性を増加させ、例えば、受容体結合を変更させ得る。本開示は、正の正味の電荷を有するもの、負の正味の電荷を有するもの、および正味の電荷を有さないものを含む、デュアルアゴニストペプチドのすべての医薬的に許容される塩を包含する。
【0031】
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は、飽和または不飽和であることができ、直鎖(線状)、分岐または環状であることができる。一部の実施形態では、アルキル基は、環状ではない。一部の実施形態では、アルキル基は、1~30、6~30、6~20または8~20個の炭素原子を含有する。「置換された」アルキル基は、1つまたは複数の置換基で置換される。一部の実施形態では、1つまたは複数の置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコイル、カルボキシル、カルボキシレート、エステル、アミド、カーボネート、カルバメート、ウレア、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アラルキル、アシル基を含有するアルキル鎖、ヘテロアルキル、ヘテロアリ-環状、アリール、アルコキシアリール、ヘテロアリール、疎水性天然化合物(例えば、ステロイド)などから独立して選択される。一部の実施形態では、置換基としてのアルキル基は、「低級アルキル」と呼ばれ得る、直鎖又は分岐C-Cアルキルである。低級アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよび/er/-ブチルなどのすべての異性体形態を含む)、ペンチル(n-ペンチルなどのすべての異性体形態を含む)、ならびにヘキシル(n-ヘキシルなどのすべての異性体形態を含む)が挙げられる。一部の実施形態では、アルキル基は、ペプチドの残基(例えば、TyrまたはDmt)のNa-原子に結合される。ある特定の実施形態では、N-アルキル基は、直鎖もしくは分岐のC1-C10アルキル、またはベンジル、フェニルエチルなどのアリール置換アルキルである。1つまたは2つアルキル基は、N末端の残基のNa原子に結合することができる。一部の実施形態では、アルキル基は、グリコシド結合(例えば、O-、S-、N-またはC-グリコシド結合)を介して糖類(例えば、グルコース)のC1位置に結合している1-アルキル基である。一部の実施形態では、このような1-アルキル基は、非置換または置換C1-C30、C-C30、C-C20またはC-C20アルキル基である。一部の実施形態では、アルキル基(例えば、1-アルキル基)は、アリール、-OH、-OR、-SH、-SR、-NH、-NHR、-N(R、オキソ(=O)、-C(=O)R、カルボキシル(-COH)、カルボキシレート(-CO-)、-C(=O)OR、-OC(=O)R、-C(=O)N(R、-NRC(=O)R、-OC(=O)OR、-OC(=O)N(R、-NRC(=O)OR、および-NRC(=O)N(R(式中、Rは、それぞれの発生で独立して、水素、アルキルもしくはアリールであるか、またはRとそれが結合している窒素原子の両方の発生により、複素環またはヘテロアリール環を形成し;Rは、それぞれの発生で独立して、アルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであり;Rは、それぞれの発生で独立して、水素、アルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであり;Rは、それぞれの発生で独立して、水素またはアルキルであり;Rは、それぞれの発生で独立して、アルキルまたはアリールである)から独立して選択される1つまたは複数(例えば、2または3個)の基で置換されている。一部の実施形態では、アルキル基(例えば、1-アルキル基)は、カルボキシル/カルボキシレート基、アリール基または-O-アリール基で内部または/および末端で置換されている。ある特定の実施形態では、アルキル基(例えば、1-アルキル基)は、アルキル基の遠位末端でカルボキシルまたはカルボキシレート基で置換されている。さらなる実施形態では、アルキル基(例えば、1-アルキル基)は、アルキル基の遠位末端でアリール基で置換されている。他の実施形態では、アルキル基(例えば、1-アルキル基)は、アルキル基の遠位末端で-O-アリール基で置換されている。用語「ハロゲン」、「ハロゲン化物」および「ハロ」は、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物を指す。用語「アシル」は、-C(=O)R(式中、Rは、飽和または不飽和であり得、線状、分岐または環状であり得る脂肪族基である)を指す。ある特定の実施形態では、Rは、1~20、1~10または1~6個の炭素原子を含有する。アシル基は、任意選択的に、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、アルコキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、アリール、アシル、カルボキシル、エステル、アミド、疎水性の天然化合物(例えば、ステロイド)などの1つまたは複数の基で置換することができる。用語「複素環」および「ヘテロ環」は、単環式の非芳香族基または少なくとも1個の非芳香環を含有する多環状基を指し、ここで、少なくとも1個の非芳香環は、O、NおよびSから独立して1つまたは複数のヘテロ原子を含有する。1つまたは複数のヘテロ原子を含有する非芳香環は、1つまたは複数の飽和、部分的に不飽和または芳香環に結合されるか、または融合されてもよい。ある特定の実施形態では、複素環または複素環基は、3~15、または3~12、または3~10、または3~8、または3~6個の環原子を有する。複素環または複素環基は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、アゼパニル、アゾカニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル(オキソラニル)、テトラヒドロピラニル、オキセパニルおよびオキソカニルを含むが、これらに限定されない。用語「アリール」は、単環式の芳香族炭化水素基または少なくとも1個の芳香族炭化水素環を含有する多環状基を指す。ある特定の実施形態では、アリール基は、6~15、または6~12、または6~10個の環原子を有する。アリール基は、フェニル、ナフタレニル(ナフチル)、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ビフェニルおよびテルフェニルを含むが、これらに限定されない。アリール基の芳香族炭化水素環は、1つまたは複数の飽和、部分的に不飽和または芳香環、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニルおよびテトラヒドロナフチル(テトラリニル)に結合するか、または融合されてもよい。アリール基は、任意選択的に、ハロゲン(-Fおよび-Clを含む)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルコキシ、チオール、アルキルチオ、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル(トリフルオロメチルなどのフルオロアルキルを含む)、アシル、カルボキシル、エステル、アミドなどから独立して選択される1つまたは複数(例えば、2または3個)の置換基で置換することができる。用語「ヘテロアリール」は、単環式の芳香族基または少なくとも1個の芳香環を含有する多環状基を指し、ここで、少なくとも1個の芳香環は、O、NおよびSから独立して選択される1個または複数のヘテロ原子を含有する。ヘテロ芳香環は、炭素原子のみを含有し得るか、または1個もしくは複数のヘテロ原子を含有し得る1個もしくは複数の飽和、部分的に不飽和または芳香環に結合するか、または融合されてもよい。ある特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~15、または5~12、または5~10個の環原子を有する。単環式のヘテロアリール基は、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル(チオフェニル)、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリドニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリダジノイルおよびトリアジニルを含むが、これらに限定されない。二環式のヘテロアリール基の例としては、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、シノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ナフチリジニル、フタラジニル、キナゾリニル、プリニル、ピロルオピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ジヒドロイソインドリルおよびテトラヒドロキノリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
一部の実施形態では、例えば、デュアルアゴニストペプチドは、医薬的に許容される組成物または凍結乾燥物内などで糖類と結合することができる。糖類は、単糖、二糖およびオリゴ糖(例えば、三糖類、四糖類など)を含む。還元糖類は、平衡で環形態または鎖状形態で存在し、一般的に、環形態が好ましい。界面活性剤部分の官能基化された糖類は、デュアルアゴニストペプチドのアミノ酸と安定な共有結合を形成するのに適した官能基を有する。
【0033】
用語「医薬的に許容される」は、過度の刺激、アレルギー応答、免疫原性および毒性なしで対象の組織および器官と接触しての使用に適当であり、妥当な利益/リスク比に妥当であり、その意図される使用に有効である物質(例えば、有効成分または賦形剤)を指す。医薬組成物の「医薬的に許容される」賦形剤または担体はまた、組成物の他の成分と適合する。一実施形態では、デュアルアゴニストペプチドを製剤化することができる医薬的に許容される組成物は、蒸留(DI)水中にポリソルベート20(例えば、約0.050%(w/w));任意選択的に、メチルパラベン(例えば、約0.300%(w/w));アルギニン(約0.348%(w/w))、およびマンニトール(例えば、約4.260%(w/w))を含む。
【0034】
用語「治療有効量」は、対象に投与したとき、処置されている医療状態を予防するか、発症するリスクを低減するか、発病を遅延させるか、進行を遅くするか、もしくは退縮を引き起こすか、またはその化合物を摂取する対象の少なくとも一部の分画において、医療状態またはその状態の1つもしくは複数の症状もしくは合併症をある程度まで緩和するのに十分である化合物の量を指す。用語「治療有効量」はまた、医師または臨床医によって求められるヒトの細胞、組織、器官の生物学的または医学的応答を誘発するのに十分である化合物の量を指す。
【0035】
用語「処置する」、「処置すること」および「処置」は、医療状態またはその状態と関連する1つもしくは複数の症状もしくは合併症を軽減すること、回復させること、進行を阻害すること、逆転させるか、または抑制すること、および状態の1つもしくは複数の原因を軽減すること、回復させることまたは根絶することを含む。医療状態の「処置」への言及は、状態の予防を含む。用語「予防する」、「予防すること」および「予防」は、医療状態またはその状態と関連する1つもしくは複数の症状もしくは合併症の発病を排除すること、発症のリスクを低減すること、および発病を遅延させることを含む。用語「医療状態」(または簡潔には、「状態」)は、疾患および障害を含む。用語「疾患」および「障害」は、本明細書において互換的に使用される。
【0036】
本開示はまた、本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチド産物またはその医薬的に許容される塩、および1つまたは複数の医薬的に許容される担体または賦形剤を含む
医薬組成物を提供する。医薬組成物は、治療上有効量のペプチド産物またはその適当な分画を含有する。組成物は、任意選択的に、さらなる治療剤を含有することができる。一部の実施形態では、ペプチド産物は、少なくとも約90%、95%または98%純粋である。医薬的に許容される賦形剤および担体は、医薬的に許容される物質、材料およびビークルを含む。賦形剤のタイプの非限定的な例としては、液体および固体の充填剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、滑剤、界面活性剤、分散剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、懸濁化剤、増粘剤、溶媒、等調化剤、緩衝液、pH調整剤、吸収遅延剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、キレート剤、アジュバント、甘味剤、香味剤、着色剤、カプセル化剤およびコーティング剤が挙げられる。医薬製剤におけるこのような賦形剤の使用は、当該技術分野で公知である。例えば、従来のビークルおよび担体は、油(例えば、オリーブ油およびゴマ油などの植物油)、水性溶媒(例えば、生理食塩水、緩衝生理食塩水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水[PBS])および等調溶液(例えば、リンゲル液))、ならびに有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシドならびにアルコール[例えば、エタノール、グリセロールおよびプロピレングリコール])を含むが、これらに限定されない。従来の賦形剤または担体が、ペプチド産物と不適合である場合を除き、本開示は、ペプチド産物を含有する製剤における従来の賦形剤および担体の使用を包含する。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 2lst Ed., Lippincott Williams & Wilkins (Philadelphia, Pennsylvania) (2005); Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th Ed., Rowe et ah, Eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association (2005); Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd Ed., Ash and Ash, Eds., Gower Publishing Co. (2007);およびPharmaceutical Pre-formulation and Formulation, Gibson, Ed., CRC Press (Boca Raton, Florida) (2004)を参照のこと。
【0037】
実施形態では、医薬製剤は、脱イオン水(pH7.7±0.1)中にペプチド産物および約0.025~0.075%(w/w)ポリソルベート20、約0.2~0.5%(w/w)アルギニン、約3~6%(w/w)マンニトール;任意選択的に、脱イオン水(pH7.7±0.1)中に約0.050%(w/w)ポリソルベート20、約0.348%(w/w)アルギニン、約4.260%(w/w)マンニトールを含む。ある特定の実施形態では、本医薬製剤は、脱イオン水(pH7.7±0.1)中に配列番号1および約0.050%(w/w)ポリソルベート20、約0.348%(w/w)アルギニン、約4.260%(w/w)マンニトールを含む。ある特定の実施形態では、医薬製剤は、配列番号1を含み、毎週の治療用量の皮下投与用に構成されている。
【0038】
適切または適当な製剤は、選択される投与経路などの様々な要因に依存し得る。ペプチド産物を含む医薬組成物の投与の可能性のある経路は、経口、非経口(皮内、皮下、筋肉内、血管内、静脈内、動脈内、腹腔内、腔内および局所を含む)、ならびに局所(経皮、経粘膜、鼻腔内(例えば、鼻スプレーまたは滴下による)、眼内(例えば、点眼による)、肺内(例えば、経口吸入または鼻吸入による)、口腔、舌下、直腸(例えば、座剤)、および膣内(例えば、座剤による))を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、本デュアルアゴニストペプチド産物は、非経口(例えば、皮下、静脈内または筋肉内)投与される。他の実施形態では、ペプチド産物は、経口吸入または鼻吸入もしくはガス注入によって投与される。一部の実施形態では、担体は、非経口(例えば、皮下、静脈内または筋肉内)製剤中などの、水性ベースの担体である。他の実施形態では、担体は、非水性ベースの担体である。ある特定の実施形態では、非水性ベースの担体は、経口吸入もしくは鼻吸入またはガス注入による投与用の製剤中などに、ヒドロフルオロアルカン(HFA)またはサブミクロン無水a-ラクトースまたは/および他の賦形剤を含み得るHFA様溶媒である。
【0039】
一部の実施形態では、ペプチド産物は、注射によって非経口(例えば、皮下、静脈内または筋肉内)投与される。非経口投与は、胃の強酸性環境、胃腸(GI)吸収および初回通過代謝をバイパスする。非経口製剤を調製するために使用することができる賦形剤および担体は、溶媒(例えば、水、生理食塩水、生理学的生理食塩水、緩衝生理食塩水[例えば、PBS]、平衡塩類溶液[例えば、リンゲルBSS]および水性デキストロース溶液などの水性溶媒)、等張/等張剤(例えば、塩類[例えば、NaCl、KC1およびCaCl]ならびに糖類[例えば、スクロース])、緩衝剤およびpH調整剤(例えば、リン酸二水素ナトリウム[リン酸二水素ナトリウム]/リン酸水素二ナトリウム[リン酸二ナトリウム]、クエン酸/クエン酸ナトリウムおよびL-ヒスチジン/L-ヒスチジンHC1)、ならびに乳化剤(例えば、ポリソルベート[例えば、ポリソルベート20および80]ならびにポロクサマー[例えば、ポロクサマー188]などの非イオン性界面活性剤)を含むが、これらに限定されない。ペプチド製剤および送達システムは、例えば、A. J. Banga, Therapeutic Peptides and Proteins: Formulation, Processing, and Delivery Systems, 3rd Ed., CRC Press (Boca Raton, Florida) (2015)において考察されている。賦形剤は、任意選択的に、ペプチド安定性を増加させ、ペプチド溶解性を増加させ、ペプチド凝集を阻害するか、もしくは溶液粘度を低減するか、またはその任意の組み合わせもしくは全ての1つまたは複数の物質を含むことができる。この様な物質は、親水性アミノ酸(例えば、アルギニンおよびヒスチジン)、ポリオール(例えば、ミオ-イノシトール、マンニトールおよびソルビトール)、糖類(例えば、グルコース(D-グルコース[デキストロース]を含む)、ラクトース、スクロースおよびトレハロース)、浸透圧調節物質(例えば、トレハロース、タウリン、アミノ酸[例えば、グリシン、サルコシン、アラニン、プロリン、セリン、b-アラニンおよびg-アミノ酪酸]、ならびにベタイン[例えば、トリメチルグリシンおよびトリメチルアミンN-オキシド])、ならびに非イオン性界面活性剤(例えば、アルキルポリグリコシド、ProTek(登録商標)アルキルサッカリド(例えば、長鎖脂肪酸または対応する長鎖アルコールに結合した単糖[例えば、グルコース]または二糖[例えば、マルトースもしくはスクロース])、ならびにポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールブロック共重合体(例えば、ポロクサマー[例えば、Pluronic(商標)F-68]、ならびにGenapol(登録商標)PF-10およびそのバリアント)を含むが、これらに限定されない。このような物質は、ペプチド安定性を増加させるため、それらを使用して、製剤中のペプチド濃度を増加させることができる。製剤中のペプチド濃度が高いほど、制限された体積のボーラス投与(例えば、<約1.5mL)を有する、皮下投与に特に有利である。加えて、このような物質を使用して、凍結乾燥されたペプチドの調製、保存および再構成中、ペプチドを安定化することができる。例示的な非経口製剤は、ペプチド産物、マンニトール、メチオニン、チオグリコール酸ナトリウム、ポリソルベート20、pH調整剤(例えば、NaOHまたは/およびHC1)ならびに脱イオン水を含む。本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチドとの使用に適する非経口製剤の賦形剤(例えば、NaClなどを含む賦形剤の様々な組み合わせ)は周知であり、当業者にとって入手可能である。
【0040】
非経口(例えば、皮下、静脈内または筋肉内)投与について、1つまたは複数の賦形剤を含有する水性溶媒中のペプチド産物の無菌の溶液または懸濁液は、前もって予め調製し、例えば、単回使用ペンまたは用量カウンター付きペンの予め充填されたシリンジにおいて調製することができる。あるいは、ペプチド産物は、凍結乾燥(凍結乾燥)前に、任意選択的に、1つまたは複数の賦形剤を含有することができる水性溶媒において溶解または懸濁することができる。非経口投与の直前に、適当な容器(例えば、バイアル)に保存された凍結乾燥されたペプチド産物は、例えば、任意選択的に、1つまたは複数の賦形剤を含有することができる無菌の水を用いて再構成することができる。他の実施形態では、アゴニストペプチド産物は、鼻腔内投与される。鼻粘膜は、大きな表面積、多孔性内皮、高度に血管性の上皮下層および高い吸収率をもたらし、したがって、高いバイオアベイラビリティを可能にする。鼻腔内製剤は、溶解性エンハンサー(例えば、プロピレングリコール)、保水剤(例えば、マンニトールもしくはソルビトール)、緩衝液および水、ならびに任意選択的に、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)、粘膜付着性剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)または/および浸透エンハンサーなどの賦形剤と共にペプチド産物を含むことができる。鼻腔内溶液または懸濁液製剤は、スポイト、ピペット、または例えば定量噴霧スプレーポンプを用いた噴霧を含むがこれらに限定されない、任意の適切な手段によって鼻腔に投与することができる。表2は、点鼻スプレー製剤の例示的な賦形剤を示す。
【0041】
【表2】
【0042】
さらなる実施形態では、ペプチド産物は、経口吸入または鼻吸入などの肺経路を介して投与される。肺は、全身循環の入り口として機能するため、薬物の肺投与は、肺障害または/および全身障害を処置することができる。肺薬物送達の利点は、例えば、1)初回通過代謝の回避;2)迅速な薬物作用;3)吸収のための肺胞領域の大きな表面積、肺の高い透過性(薄い気血関門)、および気道の豊富な血管系;ならびに4)大きな肺胞表面積に起因したGI管と比較して低減した細胞外酵素レベルを含む。鼻吸入は、鼻腔内ならびに肺において経粘膜的に全身循環に薬物を送達することができるが、鼻吸入より経口吸入の利点は、薬物の肺へのより深い浸透/沈着を含む。経口または鼻吸入は、例えば、定用量吸入器(MDI)、ネブライザーまたは乾燥粉末吸入器(DPI)によって達成することができる。例えば、ペプチド産物は、経口または鼻吸入による気道へのエアロゾル投与用に製剤化することができる。薬物は、例えば、肺における薬物沈着および薬物懸濁液の安定性を改善するために、微粉化によって得ることができる小さな粒子サイズ(例えば、約0.5ミクロン~約5ミクロンの間)で送達される。ヒドロフルオロアルカン(HFA、例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタン[HFA-l34a])、クロロフルオロカーボン(CFC、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンもしくはジクロロテトラフルオロエタン)、または適切なガス(例えば、酸素、圧縮空気もしくは二酸化炭素)などの、適切な噴霧剤とともに加圧パックにおいて提供することができる。エアロゾル製剤中の薬物は、肺への送達のため、噴霧剤に溶解されるか、より多くの場合では、懸濁される。ペプチド産物の界面活性剤部分は、界面活性剤の機能を果たすことができるが、エアロゾルは、界面活性剤(肺胞内の空気と水の界面における高い表面張力を低減することによって肺への浸透を強化し、薬物を乳化、可溶化もしくは/および安定化させ、例えば、レシチンなどのリン脂質であってもよい)または/ならびに安定剤などの賦形剤を含むことができる。例えば、MDI製剤は、ペプチド産物、噴霧剤(例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタンなどのHFA)および共溶媒(例えば、エタノールなどのアルコール)、ならびに任意選択的に、界面活性剤(例えば、オレイン酸などの脂肪酸)を含むことができる。MDI製剤は、任意選択的に、溶解ガス(例えば、C0)を含むことができる。装置が作動後、放出されたエアロゾル液滴内のC0気泡の破裂により、液滴がより小さな液滴に分割され、それにより薬物の呼吸可能な分画が増加する。別の例として、ネブライザー製剤は、ペプチド製剤、キレート剤または保存剤(例えば、エデト酸二ナトリウム)、等張化剤(例えば、NaCl)、pH緩衝剤(例えば、クエン酸/クエン酸ナトリウム)および水、ならびに任意選択的に、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80などのTween(登録商標))を含むことができる。薬物は、例えば、スペーサーの有無にかかわらず、ネブライザーまたはMDIによって送達することができ、送達される薬物用量は、計量チャンバー(ネブライザー)または計量バルブ(MDI)によって制御することができる。
【0043】
表2は、例示的なMDI、ネブライザーおよびDPIの製剤を示す。定用量吸入器(加圧式定用量吸入器[pMDI]とも呼ばれる)は、最も広く使用されている吸入装置である。計量バルブは、装置が作動するたびに正確な量のエアロゾル(例えば、約20~100pL)を送達する。MDIは、典型的には、使用者が吸入できる速度よりも速くエアロゾルを発生させ、エアロゾルの多くが口や喉に沈着する可能性がある。装置の作動と吸入との間の調整不良の問題は、例えば、呼吸作動型MDIまたは調整装置を使用することによって対処することができる。装置が使用者の吸気を感知したとき、呼吸作動型MDI(例えば、Easi breathe(登録商標))は、作動し、応答して薬物用量を吐出する。吸入流速は、アクチュエーターを介して調整され、使用者は、吸入中に装置を確実に作動させるための時間を有する。調整装置では、吸入器のマウスピース端に取り付けられたチューブであるスペーサー(または弁付き保持チャンバー)は、吸入器によって噴霧される薬物を保持するリザーバーまたはチャンバーとして機能し、エアロゾルが口に入る速度を低減し、それにより噴霧剤のより大きな液滴からの蒸発が可能になる。スペーサーは、吸入器の使用を簡単にし、上気道の代わりに肺に沈着した薬物の量を増加させる。スペーサーは、放出された薬物粒子のスペーサー内壁への静電付着を最小にするために、帯電防止ポリマーで作ることができる。ネブライザーは、約1~5ミクロンのエアロゾル液滴を生成する。ネブライザーは、肺に沈着する薬物の量に大きな影響を与える可能性のある、装置の作動と吸入の間の使用者調整を必要としない。MDIおよびDP Iと比較して、ネブライザーは、より長い投与時間にわたってではあるが、より大量の薬物を送達することができる。ネブライザーの例としては、人力ネブライザー、ジェットネブライザー(例えば、AeroEclipse(登録商標)II BAN[呼吸作動型]、CompAIR(商標)NE-C80l[仮想バルブ]、PARI LC(登録商標)Plus [呼吸作動型]およびSideStream Plus[呼吸作動型])、超音波ネブライザー、ならびに振動メッシュネブライザー(例えば、Akita2(登録商標)Apixneb、計量チャンバー付きI-neb AADシステム、MicroAir(登録商標)NE-U22、Omron U22およびPARI eFlow(登録商標)ラピッド)が挙げられるが、これらに限定されない。一例として、パルス超音波ネブライザーは、パルス毎に一定量の薬物をエアロゾル化することができ、使用者が各呼吸を各パルスに同期させることを可能にする光音響トリガーを構成することができる。乾燥粉末吸入器(DPI)を使用する経口吸入または鼻腔吸入のため、ペプチド産物は、乾燥微粉末の形態で提供することができ、ここで、薬物粒子は、例えば、分散粉末の空気力学的特性および肺における薬物沈着を改善するために、ある小さなサイズ(例えば、約0.5ミクロン~約5ミクロンの間)である。約0.5ミクロン~約5ミクロンの間の粒子は、終末細気管支および肺胞領域における沈降により沈着する。対照的に、より大きな粒子(>5ミクロン)の大部分は、空気の流れに乗って気道の多くの分岐部に入ることはなく、むしろ喉の口腔咽頭領域を含む上気道への嵌入によって沈着する。DPI製剤は、薬物粒子を単独で含有するか、またはラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)もしくはポリビニルピロリジンなどの適切な大きめの基剤/担体の粉末とブレンドすることができる。担体粒子は、流動性を強化し、凝集を低減し、用量の均一性を改善し、薬物粒子の分散を助ける。DPI製剤は、粒子間結合を妨害すること(抗付着作用により)によって製剤の性能を改善する、ステアリン酸マグネシウムまたは/およびロイシンなどの賦形剤を任意選択的に含有することができる。粉末製剤は、手動で装填するか、または吸入器に予め装填することができる、カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)またはブリスターパック内のカートリッジなどの単位用量形態で提供することができる。薬物粒子は、吸入器のマウスピースまたはノーズピースを口または鼻に入れ、鋭く深く吸入して乱気流を生じさせ、一定時間(例えば、約5~10秒間)呼吸を止めて、薬物粒子を気管支および肺胞領域に定着させることによって、肺に引き込むことができる。使用者がDPIを作動させ、吸入すると、装置を通った気流が、せん断と乱流を起こし、吸入された空気が、パウダーベッドに導入され、静的なパウダーブレンドが、流動化され、使用者の気道に入る。そこで、薬物粒子は、乱流によって担体粒子から分離し、肺の奥深くまで運ばれ、一方、より大きな担体粒子は、口腔咽頭表面に衝突し、排除される。したがって、使用者の吸気流が、粉末の脱凝集および空気イオン化を達成し、肺における薬物沈着を決定する。(受動DPIは、薬物粒子を脱凝集させるために急速な吸気流を必要とするが、MDIまたはネブライザーが、乱流および速い流速を生じさせ、上気道における嵌入による薬物沈着を増加させるため、急速な吸気は、推奨されない。)MDIと比較して、DPI(呼吸作動型DPIを含む)は、より大きな用量の薬物、より大きなサイズの薬物(例えば、高分子)を肺に送達できる可能性がある。
【0044】
ラクトース(例えば、アルファ-ラクトース一水和物)は、DPI製剤において最も一般的に使用される担体である。DCL 11、Flowlac(登録商標)100、Inhalac(登録商標)230、Lactohale(登録商標)300、Lactopress(登録商標)SD 250(噴霧乾燥ラクトース)、Respitose(登録商標)SV003およびSorbolac(登録商標)400が挙げられるが、これらに限定されない。DPI製剤は、単一のラクトースグレードまたは異なるラクトースグレードの組み合わせを含有することができる。例えば、Lactohale(登録商標)300またはSorbolac(登録商標)400のような微細ラクトースグレードは、適当なDPI担体ではなく、Flowlac(登録商標)100、Inhalac(登録商標)230またはRespitose(登録商標)SV003(例えば、粗ラクトースに対する微細ラクトースの約1:9の比)のような粗ラクトースグレードとブレンドして、流動を改善する必要があるかもしれない。
【0045】
表3および表4は、DPI製剤において使用できるラクトースのグレード/タイプの非限定的な例を示す。担体の粒子サイズの分布は、薬物の微粒子分画/用量(FPFまたはFPD)に影響し、高いFPFが、肺への薬物送達には望まれる。FPF/FPDは、吸気中の空気力学的粒子サイズ<5ミクロンでDPI装置から排出される呼吸可能な分画/用量塊である。高いFPF、したがって良好なDPI性能は、例えば、カプセルシェルまたはDPI装置内での薬物の沈着を回避し、本質的にすべての薬物を気道に送達するために、例えば、粗ラクトース(例えば、Respitose(登録商標)SV003)および約20%w/wの過量に対する微細ラクトース(例えば、Lactohale(登録商標)300)の約1:9の比を有するDPI製剤から得ることができる。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
DPI製剤の他の担体は、グルコース、マンニトール(例えば、結晶化マンニトール[Pearlitol 110 C]および噴霧乾燥マンニトール[Pearlitol 110C]およびスプレー乾燥マンニトール[Pearlitol 100SD])、マルチトール(例えば、結晶化マルチトール[Maltisorb P90])、ソルビトールならびにキシリトールを含むが、これらに限定されない。ほとんどのDPIは、エアロゾル生成のために使用者の吸入に依存する呼吸作動型(「受動型」)である。受動的DPIの例としては、Airmax(登録商標)、Novolizer(登録商標)およびOtsuka DPI(コンパクトケーキ)が挙げられるが、これらに限定されない。空気分類技術(ACT)は、DPIに利用される効率的な受動的粉末分散機序である。ACTでは、複数の供給流路が、接線気流を発生させ、これが、吸入中に装置内でサイクロンを生じる。例えば、粒子の脱凝集を助けるためにエネルギーを使用するパワーアシスト(「能動型」)DPI(例えば、空気圧、衝撃力または振動に基づく)も存在する。例えば、Exubera(登録商標)吸入器の能動型機序は、スプリングまたは圧縮空気チャンバーに蓄えられた機械的エネルギーを利用する。能動型DPIの例としては、Actispire(登録商標)(単回単位用量)、Aspirair(登録商標)(複数用量)、Exubera(登録商標)(単回単位用量)、MicroDose(登録商標)(複数単位用量および電子能動型)、Omnihaler(登録商標)(単回単位用量)、Pfeiffer DPI(単回単位用量)、およびSpiros(登録商標)(複数単位用量)が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチド産物はまた、経口など他の経路で投与することもできる。経口製剤は、ペプチド産物および当該技術分野で公知の従来の賦形剤、ならびに任意選択的に、ナトリウムV-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート](SNAC)などの吸収エンハンサーを含有することができる。SNACは、局所緩衝作用を介した酵素分解から保護し、GI吸収を強化する。経口投薬形態(例えば、錠剤、カプセル剤またはピル剤)は、任意選択的に、胃の強酸およびタンパク分解酵素からその内容物を保護するために、腸溶性コーティングを有することができる。一部の実施形態では、ペプチド産物は、徐放性組成物から送達される。本明細書で使用される場合、用語「徐放性組成物」は、徐放性、延長放出性、持続放出性、遅延放出性、遅い放出性および制御放出性組成物、システムおよび装置を包含する。一部の実施形態では、徐放性組成物は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間またはそれ以上の期間にわたってペプチド産物を送達する。一部の実施形態では、徐放性組成物は、生分解性ポリマーから構成され、ペプチド産物を取り込んでいるナノ粒子またはマイクロ粒子として製剤化される。ある特定の実施形態では、生分解性ポリマーは、乳酸または/およびグリコール酸[例えば、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)またはポリ(L-乳酸-co-D,L-2-ヒドロキシオクタン酸)などのL-乳酸ベースのコポリマー]を含む。さらなる実施形態では、徐放性組成物は、ペプチド産物とポリマーの混合物が、対象に筋肉内または皮下注射されるときに生成されるデポーの形態である。ある特定の実施形態では、ポリマーは、PEG、ポリ乳酸(PLA)もしくはポリグリコール酸(PGA)、またはそのコポリマー(例えば、PLGAもしくはPLA-PEG)であるか、またはそれらを含む。
【0049】
医薬組成物は、単回用量としての単位投薬形態で提示することができ、ここで、すべての有効成分および非有効成分は、適当な系で組み合わされ、成分は、投与されるべき組成物を形成するために混合される必要がない。単位投薬形態は、一般に、治療上有効な用量の薬物を含むが、複数の単位投薬形態を接種することにより治療上有効な用量を達成するように、適切な分画を含むことができる。単位投薬形態の例としては、経口摂取用の錠剤、カプセル剤またはピル剤;非経口(例えば、静脈内、皮下もしくは筋肉内)注射用の単回使用ペンまたは用量カウンター付きペンの予め充填されたシリンジ内の溶液;および吸入器に予め装填されたか、または手動で装填されたカプセル剤、カートリッジ剤またはブリスター剤が挙げられる。あるいは、医薬組成物は、有効成分、賦形剤および担体(例えば、溶媒)が、2つ以上の別々の容器(例えば、アンプル、バイアル、チューブ、ボトルまたはシリンジ)において提供され、投与されるべき組成物を形成するために組み合わせる必要がある、キットとして提示することができる。キットは、組成物(例えば、非経口的に注射されるべき溶液)の保存、調製および投与のための説明書を含有することができる。キットは、すべての有効成分および非有効成分を単位投薬形態において、または有効成分および非有効成分を2つ以上の別々の容器に含むことができ、本明細書に開示される医療状態を処置するために医薬組成物を投与または使用するための指示書を含むことができる。キットは、注射ペンまたは吸入器などの、組成物を送達するための装置をさらに含むことができる。一部の実施形態では、キットは、ペプチド産物もしくはその医薬的に許容される塩、またはそれを含む医薬組成物、ならびにインスリン抵抗性、糖尿病、メタボリックシンドローム、心血管疾患、肥満(非限定的に、インスリン抵抗性、糖尿病、メタボリックシンドローム、および/もしくは心血管疾患などの、1年より長く続く肥満または結果として生じる肥満関連状態を意味する「慢性的肥満」を含む)、あるいはこれらと関連する状態(例えば、NASHまたはPCOS)などの、本明細書に開示される医療状態を処置するためのペプチド産物または組成物を投与または使用するための指示書を含有する。ある特定の実施形態では、キットは、注射ペンまたは吸入器などの、ペプチド産物または組成物を送達するための装置をさらに含有する。
【0050】
本開示はさらに、非限定的に、インスリン抵抗性、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームおよび心血管疾患、ならびにNASHおよびPCOSなどのこれらに関連する状態などの、GLP1Rおよび/またはGCGRに関連する状態を予防および/または処置するための、本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチド産物の使用を提供する。一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチド産物を使用して、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、糖尿病前症、糖尿病(1型および2型、妊娠糖尿病および若年性糖尿病を含む)、糖尿病合併症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、遊離脂肪酸の血中レベルの上昇、肥満、メタボリックシンドローム、シンドロームX、心血管疾患(冠動脈疾患を含む)、アテローム性動脈硬化症、急性心血管症候群、虚血(心筋虚血および脳虚血/脳卒中を含む)、虚血再灌流障害(心筋および脳IRIを含む)、梗塞(心筋梗塞および脳梗塞を含む)、狭心症、心不全(例えば、鬱血性心不全)、末梢血管疾患、血栓症(例えば、深部静脈血栓症)、塞栓症(例えば、肺塞栓症)、全身性炎症(例えば、C反応性タンパク質の血中レベルの上昇によって特徴付けられるもの)、ならびに高血圧を処置することができる。デュアルアゴニストペプチド産物は、血糖依存性インスリン分泌の刺激、インスリン感受性の増加、脂肪燃焼の刺激および体重の低減を含む、様々な機序を介してそれらの治療効果を達成することができる。デュアルアゴニストペプチド産物はまた、例えば、膵ベータ細胞保護、心臓保護および創傷治癒を促進することができる。
【0051】
本明細書に記載されるペプチド産物を使用して、インスリン抵抗性または/および肥満に関連する他の状態を処置することができる。インスリン抵抗性または/および肥満と関連する他の状態は、関節炎(例えば、骨関節炎)、腰痛、呼吸障害(例えば、喘息、肥満低換気症候群[ピックウィック症候群]および閉塞性睡眠時無呼吸)、皮膚障害(例えば、糖尿病性潰瘍、黒色表皮腫、蜂巣炎、多毛症、間擦疹およびリンパ浮腫)、消化器疾患(例えば、胆石症[胆石]、胃食道逆流症[GERD]および胃下垂症)、痛風、副腎皮質ホルモン分泌過多症(例えば、クッシング症候群)、腎障害(例えば、慢性腎臓病)、肝障害(例えば、アルコール性および非アルコール性FLDを含む脂肪肝疾患[FLD])、神経疾患(例えば、手根管症候群、認知症[例えば、アルツハイマー病および血管性認知症]、異常感覚性大腿痛、片頭痛および多発性硬化症)、泌尿器障害(例えば、勃起不全、性腺機能低下症および尿失禁)、多嚢胞性卵巣症候群、不妊症、月経障害、気分障害(例えば、うつ病)、ならびに癌(例えば、子宮内膜、食道、結腸直腸、胆嚢、腎臓、肝臓[例えば、肝細胞癌]、膵臓および皮膚[例えば、メラノーマ]の癌、ならびに白血病)を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチド産物 を使用して、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を処置する。他の実施形態では、ペプチド産物を使用して、慢性腎臓/腎不全(CKF/CRF)としても知られる慢性腎臓病(CKD)を処置する。CKDの最も一般的な原因は、糖尿病および長期にわたりコントロールされていない高血圧である。さらなる実施形態では、本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチド産物を使用して、脂肪肝疾患(FLD)を処置する。一部の実施形態では、FLDは、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である。ある特定の実施形態では、NAFLDは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。肝性脂肪肝としても知られるFLDは、肝臓における過剰な脂肪蓄積によって特徴付けられる。FLDは、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)およびNAFLDを含む。慢性アルコール中毒は、肝臓におけるアルコールの代謝中のアルデヒドなどの毒性代謝産物の産生に起因して脂肪肝を引き起こす。NAFLDは、以下に記載される。FLDは、糖尿病、肥満およびメタボリックシンドロームと関連している。脂肪肝は、肝硬変または肝癌(例えば、肝細胞癌[HCC])に発展することがある。肝硬変性AFLDを有する患者の約10%未満は、HCCを発症するが、硬変を有さずNASHを有する人の最大約45%は、HCCを発症する。HCCは、成人における原発肝臓癌の最も一般的なタイプであり、慢性肝炎症の設定で生じる。NAFLDは、栄養過多、高カロリー摂取、代謝機能障害(脂質異常症およびグルコースコントロールの障害)などの、アルコールの過剰摂取以外の原因により、脂肪、特に、遊離脂肪酸およびトリグリセリドが、肝細胞に蓄積する(脂肪肝)とき生じる脂肪肝によって特徴付けられる。肝臓は、肝機能を妨害することなく脂肪性のままであり得るが、脂肪肝が進行して、脂肪肝が、炎症、肝細胞のバルーン化および肝臓の線維化を伴うか、または伴わない亜脂肪損傷によって達成される状態である、NASHになり得る。線維化は、NASHによる死亡率の最も強い予測因子である。NAFLDは、脂肪肝単独;バルーン化を伴わないが、小葉または門脈の炎症を伴う脂肪肝;炎症を伴わないが、バルーン化を伴う脂肪肝;または炎症およびバルーン化を伴う脂肪肝によって特徴付けることができる。NASHは、NAFLDの最も極端な型である。NASHは、進行性の疾患であり、患者の約20%が、肝硬変を発症し、約10%が、肝硬変または肝癌(HCCなど)などの肝疾患で死亡する。NAFLDは、先進国で最も一般的な肝障害であり、NASHは、2020年までに米国におけるC型肝炎に代わる肝移植の主な原因と予測されている。米国における人の約12~25%が、NAFLDを有し、NASHは、米国における人の約2~5%に影響している。NASHを含むNAFLDは、インスリン抵抗性、肥満およびメタボリックシンドロームと関連している。例えば、インスリン抵抗性は、脂肪肝から肝炎および線維症、ひいてはNASHへの進行に寄与する。さらに、肥満は、NASHを促進し、悪化させ、体重減少は、NASHを緩和することができる。したがって、GLP-1受容体(GLP1R)アゴニスト、グルカゴン受容体(GCGR)アゴニストおよびデュアルGLP1R/GCGRアゴニストを含む、本明細書に記載されるペプチド産物は、NASHを含むNAFLDを処置するために使用することができる。一部の実施形態では、NAFLD(例えば、NASH)またはPCOSなどの、本明細書に開示されるインスリン抵抗性または/および肥満と関連する状態を処置するために使用されるデュアルアゴニストペプチド産物は、配列番号1~10のデュアルアゴニストペプチド産物、および/またはその誘導体、ならびにその医薬的に許容される塩から選択される。
【0052】
一部の実施形態では、本デュアルアゴニストペプチド(複数可)を使用して、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニスト(例えば、セマグルチド)と比較して、1つまたは複数の有害事象(すなわち、患者および/または動物愛護に悪影響する予期せぬ事象)を低減しながら血糖を制御することができる。例示的な非限定的な有害事象としては、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および/または便秘が挙げられる。有害事象はまた、業界リソースに挙げられたもの、および/またはそうでなければ当業者に公知のものなどの、当業者に公知のいずれかを含み得る(例えば、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)(Pharm.、Med.Transl.Med.2018)および/またはClark、M. J. Biomed. Inf., 54,2015年4月,pp.167-173を参照)。このような有害事象は、典型的には、臨床試験で使用される標準的な技術(例えば、医師の診察、調査/アンケート)を使用してヒトにおいて決定することができる。GLP-1RおよびGCGRに対する不均衡な親和性を有するアゴニスト(例えば、セマグルチド)の対象への投与の際に生じる、そのような有害事象の頻度および/または重篤度と比較して、本開示のデュアルアゴニストペプチド(例えば、配列番号1~10のいずれか、またはその誘導体)は、そのような頻度および/または重篤度を、例えば、20%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い(最高100%)減少させることができる。一部の実施形態では、本開示のデュアルアゴニストペプチド(例えば、配列番号1~10のいずれか、またはその誘導体)は、有害事象を引き起こさない。
【0053】
本デュアルアゴニストペプチド産物は、本明細書に開示される状態の処置のための任意の適当な経路によって投与することができる。ペプチド産物の可能性のある投与経路は、経口、非経口(皮内、皮下、筋肉内、血管内、静脈内、動脈内、腹腔内、および局所を含む)、ならびに局所(経皮、経粘膜、鼻腔内(例えば、鼻スプレーまたは滴下による)、眼内(例えば、点眼薬による)、肺内(例えば、経口または鼻吸入による)、口腔、舌下、直腸(例えば、座剤による)、および膣(例えば、座剤による)を含む)を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ペプチド産物は、皮下、静脈内または筋肉内など非経口投与される。他の実施形態では、ペプチド産物は、経口吸入または鼻吸入またはガス注入によって投与される。本明細書に開示される状態を処置するためのペプチド産物の治療上有効量および投与の頻度、ならびにペプチド産物を用いた処置の期間は、状態の性質および重症度、化合物の効力、投与経路、対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食餌、ならびに処置に対する対象の応答を含む様々な要因に依存し得、処置する医師によって決定され得る。一部の実施形態では、ペプチド産物は、本明細書に開示される状態(例えば、NASHまたはPCOSなどのインスリン抵抗性または/および肥満に関連するもの)の処置のため、約1週間にわたり、約0.01mg~約0.1、1、5もしくは10mg、または約0.1~1mgもしくは1~10mgの用量で、非経口(例えば、皮下(sc)、静脈内(iv)または筋肉内(im))投与される。さらなる実施形態では、ペプチド産物は、約1週間にわたり、約0.1~0.5mg、0.5~1mg、1~5mgまたは5~10mgの用量で非経口(例えば、sc、ivまたはim)投与される。ある特定の実施形態では、ペプチド産物は、約1週間にわたり、約0.1~1mg、または約0.1~0.5mgもしくは0.5~1mgの用量で非経口(例えば、皮下(SC)、静脈内(IV)または筋肉内(IM))投与される。当業者は、マウス、または他の前臨床動物モデルにおける有効用量が、ヒトのため調整され得ることを理解する。このように、非比例的調整(生物学的調整とも呼ばれる)により、より大きな動物における用量をマウスにおける用量から外挿し、動物の体重または体表面積に基づき均等な用量を得ることができる。
【0054】
ペプチド産物は、本明細書に開示される状態(例えば、NASHまたはPCOSなどの、インスリン抵抗性または/および肥満に関連するもの)の処置のため、任意の適当な頻度で投与することができる。一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチド産物は、例えば、1日1回、2日に1回、3日に1回、1週間に2回、1週間に1回、または2週間に1回、scまたはivで投与される。ある特定の実施形態では、ペプチド産物は、例えば、1週間に1回、SC、IV、またはIMで投与される。デュアルアゴニストペプチド産物は、患者にとって都合のよい任意の時間に投与することができる。デュアルアゴニストペプチド産物は、実質的に食事とともに(例えば、食事とともに、または食事の前もしくは後の約1時間もしくは30分以内に)、または実質的に食事なしで(例えば、食事の前または後の少なくとも約1時間または2時間)摂取することができる。デュアルアゴニストペプチド産物を用いた医療状態の処置の長さは、例えば、状態の性質および重篤度ならびに処置に対する対象の応答に基づくことができ、処置する医師によって決定することができる。一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチド産物は、少なくとも約2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、1.5年、2年、3年、5年、10年またはそれ以上など、本明細書に開示される状態を治療するために慢性的に投与される。デュアルアゴニストペプチド産物はまた、状態の臨床症状が消失するか、または血糖値、血圧、脂質の血中レベル、体重または肥満度指数、ウエストとヒップの比もしくは体脂肪率、またはその任意の組み合わせなどの臨床標的が達成されるまで、臨時(必要に応じて)摂取することができる。状態の臨床症状が再び現れるか、または臨床標的が維持されない場合、デュアルアゴニストペプチド産物の投与を再開することができる。本開示は、処置を必要とする対象に、治療上有効量の本明細書に記載されるペプチド産物もしくはその医薬的に許容される塩、またはそれを含む医薬組成物を投与することを含む、本明細書に記載される医療状態を処置する方法を提供する。本開示はさらに、医薬品として使用するための、本明細書に記載されるペプチド産物もしくはその医薬的に許容される塩、またはそれを含む組成物を提供する。さらに、本開示は、医薬の調製における、本明細書に記載されるペプチド産物またはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。ペプチド産物を含有する医薬を使用して、本明細書に記載される任意の医療状態を処置することができる。ペプチド産物は、任意選択的に、1つまたは複数のさらなる治療剤と組み合わせて使用することができる。
【0055】
本明細書に記載されるデュアルアゴニストペプチド産物は、唯一の活性剤として投与するか、または任意選択的に、1つまたは複数の他のデュアルアゴニストペプチド産物、および/またはインスリン抵抗性、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームもしくは心血管疾患、またはNASHもしくはPCOSなどの、それと関連する任意の状態などの、本明細書に開示される任意の障害を処置するためのさらなる治療剤と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のさらなる治療剤は、抗糖尿病剤、抗肥満剤(脂質低下剤および満腹促進剤を含む)、抗アテローム硬化剤、抗炎症剤、酸化防止剤、抗線維化剤、降圧薬、およびその組み合わせから選択される。抗糖尿病剤は、ビグアナイド(例えば、ブホルミンおよびメトホルミン)を含む、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)アゴニスト;チアゾリジンジオン(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルジタゾン、エングリタゾン、ロベグリタゾン、ネトグリタゾン、ピオグリタゾン、リボグリタゾン、ロシグリタゾンおよびトゥログリタゾン)、MSDC-0602Kおよびサログリタザル(デュアルPPAR-α/γアゴニスト)を含む、ペルオキシソーム増殖因子-活性化受容体ガンマ(PPAR-γ)アゴニスト;エキセンディン-4、アルビグルチド、デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、セマグルチド、タスポグルチド、CNT0736、CNT03649、HM11260C(LAPS-エキセンディン)、NN9926(OG9S7GT)、TT401およびZYOG1を含む、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニスト;アログリプチン、アナグリプチン、デュトグリプチン、エボグリプチン、ゲミグリプチン、ゴソグリプチン、リナグリプチン、オマリグリプチン、サキサグリプチン、セプタグリプチン、シタグリプチン、テネリグリプチン、トレラグリプチンおよびビルダグリプチンを含む、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害剤;カナグリフロジン(SGLT1も阻害する)、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、エタボン酸レモグリフロジン、ソタグリフロジン(SGLT1も阻害する)およびトホグリフロジンを含む、ナトリウム-グルコース輸送タンパク質2(SGLT2)阻害剤;ルネグリチド(例えば、ミチグリニド、ナテグリニドおよびレパグリニド)ならびにスルホニルウレア(第一世代(例えば、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロロプロプアミド、ジシクラミド[トルヘキサミド]、メタヘキサミド、トラザミドおよびトルブタミド)ならびに第二世代(例えば、グリベンクラミド、グリブリド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピドおよびグリクロピラミドを含む)を含む、膵ベータ細胞のATP依存性K(KATP)チャネルの遮断薬;速効性インスリン(例えば、インスリンアスパリ、インスリングルリジンおよびインスリンリスプロ)、中間型インスリン(例えば、NPHインスリン)、ならびに長時間作用性インスリン(例えば、インスリンデグルデク、インスリンデテミルおよびインスリングラルギン)を含む、インスリンおよびそのアナログ;ならびに/またはそのアナログ、誘導体および塩を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、抗糖尿病剤は、ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾンもしくはロジグリタゾン)またはSGLT2阻害剤(例えば、エンパグリフロジンもしくはトホグリフロジン)、あるいはその任意の組み合わせであるか、または含む。抗肥満剤は、アンフェタミン、デクサムフェタミン、アンフェプラモン、クロベンゾレックス、マジンドール、フェンテルミン(トピラマートを含むか、または含まない)およびロルカセリンを含む、食欲抑制薬(食欲低下薬);絨毛様神経栄養因子(例えば、アキソカイン)ならびにアミリン、カルシトニン、コレシストキニン(CCK)、GLP-1、レプチン、オキシントモジュリン、膵ポリペプチド(PP)、ペプチドYY(PYY)および神経ペプチドY(NPY)のより長期作用性アナログを含む、満腹促進剤;カウレルペニネ、セチリスタット、エベラクトンAおよびB、エステラスティン、リプスタチン、オルリスタット、ペルシクイニン、パンクリシンA~E、バリラクトンおよびビブララクトンを含む、リパーゼ阻害剤;抗高脂血症剤;ならびにそのアナログ、誘導体および塩を含むが、これらに限定されない。抗高脂血症剤は、スタチン{例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、メバスタチン、モナコリン(例えば、モナコリンK(ロバスタチン)、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチン}ならびにフラバノン(例えば、ナリンゲニン)を含む、HMG-CoA還元酵素阻害剤;ラパキスタット、ザラゴジン酸およびRPR-107393を含む、スクアレン合成酵素阻害剤;アントシアニン、アベナシオリド、クロロアセチル化ビオチン、シクロジム、ジクロホップ、ハロキシホップ、ソラフェン(例えば、ソラフェンAla)、5-(テトラデシルオキシ)-2-フランカルボン酸(TOFA)、CP-640186、GS-0976、NDI-010976を含む、アセチル-CoAカルボキラーゼ(ACC)阻害剤;7-(4-プロピルオキシ-フェニルエチニル)-3,3-ジメチル-3,4ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン;N-エチル-N’-(3-{[4-(3,3-ジメチル-1-オキソ-2-オキサ-7-アザスピロ[4.5]デク-7-イル)ピペリジン-1-イル]-カルボニル}-1-ベンゾチエン-2-イル)ウレア;5-(3-アセタミドブタ-1-イニル)-2-(4-プロピルオキシフェノキシ)チアゾール;および1-(3-{[4-(3,3-ジメチル-1-オキソ-2-オキサ-7-アザスピロ[4.5]デク-7-イル)ピペリジン-1-イル]-カルボニル}-5-(ピリジン-2-イル)-2-チエニル)-3-エチルウレア;フィブラート(例えば、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブリン酸、クロフィブラート、アルミニウムクロフィブラート[アルフィブラート]、クロフィブリド、エトフィブラート、フェノフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ロニフィブラートおよびシンフィブラート)、イソフラボン(例えば、ダイゼインおよびゲニステイン)、ならびにペルフルオロアルカノイン酸(例えば、ペルフルオロオクタン酸およびペルフルオロノナン酸)を含む、PPAR-δアゴニスト;エラフィブラノール(デュアルPPAR-α/γアゴニスト)、GFT505(デュアルPPAR-α/γアゴニスト)、GW0742、GW501516(デュアルPPAR-β/δアゴニスト)、ソデルグリタザル(GW677954)、MBX-8025、ならびにイソフラボン(例えば、ダイゼインおよびゲニステイン)を含む、PPAR-δアゴニスト;チアゾリジンジオン{上記)、サログリタザル(デュアルPPAR-α/γアゴニスト)、4-オキソ-2-チオキソチアゾリン(例えば、ロダニン)、ベルベリン、ホノキオール、ペルフルオロノナン酸、シクロペンテノンプロスタグランジン(例えば、シクロペンテノン15-デオキシ-A-プロスタグランジンJ[15d-PGJ])、ならびにイソフラボン(例えば、ダイゼインおよびゲニステイン)を含む、PPAR-γアゴニスト;内在性リガンド(例えば、22(i?)-ヒドロキシコレステロール、24(A)-ヒドロキシコレステロール、27-ヒドロキシコレステロールおよびコレスタン酸などのオキシステロール)ならびに合成アゴニスト(例えば、アセチル-ポドカルピン酸ダイマー、ヒポコラミド、A(X-ジメチル-3b-ヒドロキシ-コレナミド[DMHCA]、GW3965およびT0901317)を含む、肝臓X受容体(LXR)アゴニスト;内在性リガンド(例えば、9-シス-レチノイン酸)ならびに合成アゴニスト(例えば、ベキサロテン、AGN 191659、AGN 191701、AGN 192849、BMS649、LG100268、LG100754およびLGD346)を含む、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト;アバシミベ、パクチミベ、ペリトリン、テルペンドールCおよびフラバノン(例えば、ナリンゲニン)を含む、アシル-CoAコレステロールアシルトランスフェラーゼの阻害剤(ACAT、ACAT1[SOAT1]およびACAT2[SOAT2]を含む、アカステロールG-アシルトランスフェラーゼ[SOAT]);アラムコール、CAY-10566、CVT-11127、SAR-224、SAR-707、XEN-103を含む、ステアロイル-CoA不飽和化酵素-1(SCD-1、アカステアロイル-CoAデルタ-9不飽和化酵素)活性または発現の阻害剤;3-(2-ヒドロキシエトキシ)-4-メトキシ-N-[5-(3-トリフルオロメチルベンジル)チアゾール-2-イル]ベンズアミドおよび4-エチルアミノ-3-(2-ヒドロキシエトキシ)-N-[5-(3-トリフルオロメチルベンジル)チアゾール-2-イル]ベンズアミド;1’-{6-[5-(ピリジン-3-イルメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ピリダジン-3-イル}-5-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロスピロ[クロメン-2,4’-ピペリジン];5-フルオロ-1’-{6-[5-(ピリジン-3-イルメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ピリダジン-3-イル}-3,4-ジヒドロスピロ[クロメン-2,4’-ピペリジン];6-[5-(シクロプロピルメチル)-4,5-ジヒドロ-1’H,3H-スピロ[1,5-ベンゾキサアゼピン-2,4’-ピペリジン]-1’-イル]-N-(2-ヒドロキシ-2-ピリジン-3-イルエチル)ピリダジン-3-カルボキサミド;6-[4-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-1-イル]ピリダジン-3-カルボン酸(2-ヒドロキシ-2-ピリジン-3-イルエチル)アミド;4-(2-クロロフェノキシ)-N-[3-(メチルカルバモイル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミド;コンジュゲートしたリノール酸のシス-9、トランス-11異性体およびトランス-10、シス-12異性体、国際公開第2009/129625A1号に開示される、置換ヘテロ芳香族化合物、SCD-1のmRNAを標的とするアンチセンスポリヌクレオチドおよびペプチド-核酸(PNA)、ならびにSCD-1標的化siRNA;アナセトラピブ、ダルセトラピブ、エバセトラピブ、トルセトラピブおよびAMG 899(TA-8995)を含む、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤;インプリタビド、ロミタピド、ジルロタピド、ミトラタピド、CP-346086、JTT-130、SLx-4090、アンチセンスポリヌクレオチドおよびMTTPのmRNAを標的とするPNA、MTTP標的化マイクロRNA(例えば、miRNA-30c)、およびMTTP標的化siRNAを含む、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTTP)活性または発現の阻害剤;GLP-1受容体アゴニスト;BMS-986036(ペグ化FGF21)を含む、線維芽細胞成長因子21(FGF21)ならびにそのアナログおよび誘導;ベルベリン(PC8K9レベルを低減する)、アネキシンA2(PCSK9活性を阻害する)、抗PCSK9抗体(例えば、アリロクマブ、ボコシズマブ、エボロクマブ、LGT-209、LY3015014およびRG7652)、PCSK9に結合するLDL受容体の上皮成長因子-A(EGF-A)ドメインを模倣するペプチド、PCSK9結合アドネクチン(例えば、BMS-962476)、PCSK9のmRNAを標的とするアンチセンスポリヌクレオチドおよびPNA、ならびにPCSK9標的化siRNA(例えば、インクリシラン[ALN-PCS]およびALN-P
CS02)を含む、タンパク質促進転換酵素スブチリシン/ケキシンタイプ9(PCSK9)活性または発現の阻害剤;apoA-I模倣物(例えば、2F、3F、3F-1、3F-2、3F-14、4F、4F-P-4F、4F-IHS-4F、4F2、5F、6F、7F、18F、5A、5A-C1、5A-CH1、5A-CH2、5A-H1、18A、37pA[18A-P-18A]、ELK、ELK-1A、ELK-1F、ELK-1K1A1E、ELK-1L1K、ELK-1W、ELK-2A、ELK-2A2K2E、ELK-2E2K、ELK-2F、ELK-3 E3EK、ELK-3E3K3A、ELK-3E3LK、ELK-PA、ELK-P2A、ELKA、ELKA-CH2、ATI-5261、CS-6253、ETC-642、FAMP、FRELおよびKRESならびにapoE模倣物(例えば、Ac-hEl8A-NH、AEM-28、Ac-[R]hEl 8 A-NH2、AEM-28-14、EpK、hEp、mRl8L、COG-112、COG-133およびCOG-1410)を含む、アポリポタンパク質模倣ペプチド;ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、a-リノレン酸(ALA)、フィッシュオイル(例えば、DHAおよびEPAを含有する)、ならびにそのエステル(例えば、グリセリルおよびエチルエステル)を含む、オメガ-3脂肪酸;ならびにそのアナログ、誘導体および塩を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、抗肥満剤は、リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット)または/ならびに抗高脂質血症剤(例えば、アトルバスタチンなどのスタチン、もしくは/およびフェノフィブラートなどのフィブラート)であるか、または含む。降圧薬は、レニン阻害剤(例えば、アリスキレン)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリル)、アンギオテンシンII受容体タイプ1(ATII1)アンタゴニスト(例えば、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、フィマサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタンメドキソミル、オルメサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン)、ならびにアルドステロン受容体アンタゴニスト(例えば、エプレレノンおよびスピロノラクトン)を含む、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAAS)のアンタゴニスト;ループ利尿薬(例えば、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミドおよびトルセミド)、チアジド利尿薬(例えば、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、エピチジド、メチクロチアジドおよびポリチアジド)、チアジド様利尿薬(例えば、クロルタリドン、インダパミドおよびメトラゾン)、シクレタニン(早期遠位尿細管利尿薬)、カリウム節約型利尿薬(例えば、アミロリド、エプレレノン、スピロノラクトンおよびトリアムテレン)、ならびにテオブロミンを含む、利尿薬;ジヒドロピリジン(例えば、アムロジピン、レバムロジピン、シルニジピン、クレビジピン、フェロジピン、イスラジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピンおよびニトレンジピン)ならびに非ジヒドロピリジン(例えば、ジルチアゼムおよびベラパミル)を含む、カルシウムチャンネル遮断薬;クロニジン、グアナベンズ、グアンファシン、メチルドーパおよびモクソニジンを含む、α-アドレナリン受容体アゴニスト;ドキサゾシン、インドラミン、ニセルゴリン、フェノキシベンザミン、フェントラミン、プラゾシン、テラゾシンおよびトラゾリンを含む、α1-アドレナリン受容体アンタゴニスト(アルファ遮断薬);アテノロール、ベタクソロール、ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロールおよびチモロールを含む、β-アドレナリン受容体(β1または/およびβ2)アンタゴニスト(ベータ遮断薬);ブシンドロール、カルベジロールおよびラベタロールを含む、混合アルファ/ベータ遮断薬;選択的ETA受容体アンタゴニスト(例えば、アンブリセンタン、アトラセンタン、エドネンタン、シタクセンタン、ジボテンタンおよびBQ-123)ならびにデュアルET/ETアンタゴニスト(例えば、ボセンタン、マシテンタンおよびテゾセンタン)を含む、エンドセリン受容体アンタゴニスト;ヒドラルアジン、ミノキシジル、テオブロミン、ナトリウムニトロプルシド、有機硝酸塩(例えば、体内で一酸化窒素に変換される、一硝酸イソソルビド、硝酸イソソルビドおよびニトログリセリン)、内皮一酸化窒素合成酵素(eNOS)刺激因子(例えば、シクレタニン)、溶解性グアニル酸シクラーゼの活性化因子(例えば、シナシグアトおよびリオシグアト)、ホスホジエステラーゼタイプ5(PDE5)阻害剤(例えば、アバナフィル、ベンズアミデナフィル、ダサンタフィル、ディナフィル、ロデェナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル、バルデナフィル、ジピリダモール、パパベリン、プロペントフィリン、ザプリナストおよびT-1032)、プロスタグランジンEi(アルプロスタジル)ならびにそのアナログ(例えば、リマプロストおよびミソプロストール)、プロスタサイクリンならびにそのアナログ(例えば、アタプロスト、ベラプロスト[例えば、エスベラプロスト]、5,6,7-トリノール-4,8-インター-w-フェニレン-9-フルオロ-PGl、カルバサイクリン、イソカルバサイクリン、クリンプロスト、シプロステン、エプタロプロスト、シカプロスト、イロプロスト、ピミルプロスト、SM-10906(デス-メチルピミルプロスト)、ナクサプロステン、タプロステン、トレプロスチニル、CS-570、OP-2507およびTY-11223)、非プロスタノイドプロスタサイクリン受容体アゴニスト(例えば、l-フタラジノール、ラリネパグ、セレキシパグ、ACT-333679[MRE-269、セレキシパグの活性な代謝産物]、およびTRA-418)、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤ならびにタンパク質キナーゼC(PKC)阻害剤(例えば、BIM-1、BIM-2、BIM-3、BIM-8、チェレリスリン、シクレタニン、ゴシポール、ミヤベノールC、ミリシトリン、ルボキシストーリンおよびベルバスコシドを含む、他の血管拡張剤;マグネシウムおよび硫酸マグネシウムを含む、鉱物;ならびにそのアナログ、誘導体および塩を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、降圧薬は、チアジドまたはチアジド様利尿薬(例えば、ヒドロクロロチアジドもしくはクロルタリドン)、カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、アムロジピンもしくはニフェジピン)、ACE阻害剤(例えば、ベナゼプリル、カプトプリルもしくはペリンドプリル)またはアンギオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えば、オルメサルタンメドキソミル、オルメサルタン、テルミサルタンもしくはバルサルタン)、あるいはその組み合わせであるか、または含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチド産物は、NASHなどの、NAFLDを処置するための1つまたは複数のさらなる治療剤と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、1つまたは複数のさらなる治療剤は、抗糖尿病剤、抗肥満剤、抗炎症剤、抗線維化剤、酸化防止剤、降圧薬、およびその組み合わせから選択される。NAFLD(例えば、NASH)を処置するために使用することができる治療剤は、PPAR-δアゴニスト(例えば、MBX-8025、エラフィブラノール[デュアルPPAR-α/δアゴニスト]およびGW501516[デュアルPPAR-β/δアゴニスト])およびPPAR-γアゴニスト(例えば、ピオグリタゾンなどのチアゾリジンジオン、およびサログリタザル[デュアルPPAR-α/γアゴニスト])を含む、PPARアゴニスト、PPAR-δおよび-γアゴニズムは、インスリン感受性を増加させ、PPAR-αアゴニズムは、脂肪肝を低減し、PPAR-δアゴニズムは、マクロファージおよびクッパー細胞の活性化を阻害する;肝糖新生、脂質生合成、脂肪肝および線維症を低減する、オベチコール酸および非ステロイド性FXRアゴニスト様GS-9674などの、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト;線維芽細胞成長因子19(FGF19)ならびにNGM-282などのそのアナログおよび誘導体-FGF19アナログは、肝糖新生および脂肪肝を低減する;線維芽細胞成長因子21(FGF21)ならびにBMS-986036(ペグ化FGF21)などのそのアナログおよび誘導体-FGF21アナログは、脂肪肝、細胞損傷および線維症を低減する;スタチン(例えば、ロスバスタチン)を含む、HMG-CoA還元酵素阻害剤-スタチンは、脂肪性肝炎および線維症を低減する;NDI-010976(肝標的化)およびGS-0976などの、ACC阻害剤-ACC阻害剤は、脂質生合成および脂肪肝を低減する;アラムコールなどの、SCD-1阻害剤-SCD-1阻害剤は、脂肪肝を低減し、インスリン感受性を増加させる;カナグリフロジン、イプラグリフロジンおよびルセオグリフロジンなどの、SGLT2阻害剤-SGLT2阻害剤は、体重、肝ALTレベルおよび線維症を低減する;セニクリビロクなどの、CCR2または/およびCCR5のアンタゴニスト-CCR2のアンタゴニスト(CCL2[MCP1]に結合する)およびCCR5(CCL5[RANTES]に結合する)は、炎症細胞(例えば、マクロファージ)の活性化および肝臓への遊走を阻害し、肝線維症を低減する;アポトーシスシグナル制御キナーゼ1(ASK1)阻害剤(例えば、セロンセルチブ)およびカスパーゼ阻害剤(例えば、エムリカサン[パンカスパーゼ阻害剤])を含む、アポトーシス阻害剤-アポトーシス阻害剤は、脂肪肝および線維症を低減する;シムツズマブなどの、リジルオキシダーゼ様2(LOXL2)阻害剤-LOXL2は、コラーゲン形成における鍵となる基質酵素であり、肝臓において高度に発現する;GR-MD-02およびTD139などの、ガレクチン-3阻害剤-ガレクチン-3は、肝線維症の発症に重要である;ビタミンE(例えば、a-トコフェロール)ならびに活性酸素種(ROS)およびフリーラジカルのスカベンジャー(例えば、システアミン、グルタチオン、メラトニンおよびペントキシフィリン[また、TNF-aおよびホスホジエステラーゼの阻害を介した抗炎症])を含む、酸化防止剤-ビタミンEは、脂肪肝、肝細胞のバルーン化および小葉の炎症を低減する;ならびにそのアナログ、誘導体および塩を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチド産物を、PPARアゴニスト(例えば、エラフィブラノールなどのPPAR-δアゴニストもしくは/およびピオグリタゾンなどのPPAR-γアゴニスト)、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例えば、ロスバスタチンなどのスタチン)、FXRアゴニスト(例えば、オベチコール酸)または酸化防止剤(例えば、ビタミンE)、あるいはその任意の組み合わせと組み合わせて使用して、NAFLD(例えば、NASH)を処置する。ある特定の実施形態では、NAFLD(例えば、NASH)の処置のための、1つまたは複数のさらなる治療剤は、ビタミンEまたは/およびピオグリタゾンであるか、または含む。当業者によって理解される通り、他の組み合わせがまた、使用されてもよい。
【0056】
薬物動態(「PK」)パラメーターは、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)バージョン8.1以上(Certara USA、Inc.、Princeton、New Jersey)を使用して推定することができる。血管外投与経路に合致した非コンパートメントアプローチが、パラメーター推定に使用することができる。個々の血漿中濃度-時間データは、薬物動態計算に使用することができる。個々の動物のパラメーター推定値に加えて、記述統計学(例えば、平均、標準偏差、変動係数、中央値、最小値、最大値)を必要に応じて決定することができる。量限界未満の濃度値は、記述統計学および薬物動態解析の決定のためゼロとして処理することができる。定定量限界未満の埋め込み濃度値は、薬物動態解析から除外することができる。すべてのパラメーターは、投薬日(1日目)の試験物質投薬群由来の血漿中の個々のデュアルアゴニストペプチド(またはその誘導体および/または代謝産物)濃度から得ることができる。規格外の用量製剤分析結果が得られない限り(その場合、実際の線量レベルを使用することができる)、パラメーターは、公称用量レベルを使用して推定することができる。パラメーターは、公称試料採取時間を使用して推定することができ、生化学分析試料採取偏差が記載されている場合、影響を受けた時点の実際の試料採取時間を使用することができる。生化学分析データは、薬物動態解析にそのまま使用することができ、もたらされた単位で表および図に示すことができる。薬物動態パラメーターは、分析機関によってもたらされた単位で計算し、提示することができる(例えば、hng/mLをhμg/mLに変換するなど、報告書での提示のために桁数を適切に調整することができる)。記述統計(例えば、平均値、標準偏差、変動係数、中央値、最小値、最大値)および薬物動態パラメーターは、必要に応じて、有効数字3桁まで決定することができる。必要に応じて、追加のデータ処理項目を記載することができる。データが許す限り、決定されるべきPKパラメーターは、以下のもの:Cmax:最大観察濃度;DN Cmax:用量正規化最大濃度、Cmax/用量として計算;Tmax:最大観察濃度の時間;AUC0-t:時間0から最終測定可能濃度の時間までの曲線下面積、線形台形規則を使用して算出;AUC0-96:時間0から時間96までの曲線下面積、線形台形規則を使用して計算;DN AUC0-96:用量正規化AUC0-96、AUC0-96/用量として計算;AUC0-inf:時間0から無限大までの曲線下面積(1日目のみ)、AUC0-inf=AUC0-t+C/λとして計算(式中、Cは、最後に観察された定量可能な濃度であり、λは、消失速度定数である);t1/2:消失半減期、ln(2)/λとして計算)を含むことができるが、これらに限定されない。当業者によって理解されるであろう、追加のパラメーターおよび比較(例えば、性比、用量比例比など)も決定することができる。
【0057】
一部の実施形態では、本開示は、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対して親和性を有する少なくとも1つのデュアルアゴニストペプチドを含む医薬用量製剤(複数可)であって、ペプチドが、疎水性界面活性剤で修飾され;製剤が、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つまたは複数の有害事象の低減を伴って、血糖を制御し、および/または体重減少を誘導するように構成され、有害事象が、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、医薬用量製剤を提供する。一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、配列番号1~10、またはその誘導体、またはその組み合わせのいずれか1つである。一部の実施形態では、デュアルアゴニストペプチドは、GLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有し、さらに好ましい実施形態では、配列番号1である。一部の実施形態では、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、投与の約48時間または約96時間後に低い血糖(任意選択的に、少なくとも10、20、30、40、または50%低下のいずれか、好ましくは、少なくとも約50%低下);投与の約72時間後に低い血糖(任意選択的に、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低いのいずれか、好ましくは、少なくとも約100%低い);および/または投与の約120時間後に低い血糖をもたらす。一部の実施形態では、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、全身体重減少を誘導し、および/または、肝臓重量減少を誘導する。一部の実施形態では、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、低いCmax(任意選択的に、10、20、30、40、50%低いの少なくともいずれか、好ましくは、少なくとも約50%低い)を示し;ほぼ等しいかまたは高いTmax(任意選択的に、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%高いの少なくともいずれか、好ましくは、少なくとも約100%高い)を示す;同様のAUC(0-inf)(任意選択的に、少なくとも約50、60、70、80、90、95、100%のいずれか、好ましくは、少なくとも約80~90%、例えば、約85~93%)を示し;等しいかまたは高いT1/2(hr)(任意選択的に、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%のいずれか、好ましくは、少なくとも約50または75%、例えば、約50~75%)を示す;延長したMRT(hr)(任意選択的に、少なくとも約10、20、30、40、または50%高いのいずれか、好ましくは、少なくとも約25%高い)を示し;持続性PK/PDプロファイルを示し;等しいかまたは高い糖調節作用を示し;高い全身体重減少、任意選択的に、その約2倍を誘導し;低い体脂肪量(任意選択的に、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低いのいずれか、好ましくは、少なくとも約100%低い)を誘導し;および/または、NASHを処置するために投与された場合、増加した全身体重低減、肝臓重量減少、改善されたNASスコア、改善された肝胆道の脂肪肝、改善されたバルーン化、改善されたcol1A1染色、改善されたALT、改善された肝TG/TC、および改善された血漿TG/TCを誘導する。一部の実施形態では、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、製剤の投与の約14日後までに高い体重の減少(任意選択的に、少なくとも約10、20、30、40、または50%高い、好ましくは、少なくとも約15%高い)をもたらし;および/または製剤の投与の約20~28日後までに高い体重の減少(任意選択的に、少なくとも約10、20、30、40、または50%のいずれか、好ましくは、少なくとも約25%大きい)をもたらす。一部の実施形態では、哺乳動物へのデュアルアゴニストペプチドの投与は、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、哺乳動物を痩せ型の正常な哺乳動物の正常体重範囲に戻すのに十分な、肥満哺乳動物における体重減少をもたらす。
【0058】
副作用または事象「を低減すること」または「の低減」は、GLP1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、GLP1RおよびGCGRに対してほぼ均衡のとれた親和性を有するアゴニストの投与後に、対象が経験する副作用の程度、持続時間、および/または頻度、ならびに対象群における発生率が低減することを指す。このような低減は、対象が、GLP1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストに応答して経験するであろういくつかの副作用の予防を包含する。このような低減はまた、GLP1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストの投与後に、対象が以前に経験した副作用を排除することも包含する。一部の実施形態では、副作用「を低減すること」または「の低減」は、胃腸の副作用の低減を包含し、有害事象が、ゼロまたは検出不可能なレベルまで低減される。他の実施形態では、副作用は、未処置の対象と同等のレベルまで低減されるが、完全には排除されない。さらに、GLP-1RまたはGCGRに対して不均衡な親和性を有するアナログの哺乳動物への投与は、リガンドに対する感受性の弱い受容体を最大限に活性化するために過度に高い用量が必要となり、したがって、他のリガンドに対する生物学的に有効な用量レベルを超え、用量に関連した望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。
【0059】
本開示はまた、哺乳動物の血糖を低下および/または安定化させるための方法であって、前記方法が、配列番号1~10のデュアルアゴニストペプチド(またはその誘導体)、好ましくは、GLP-1RおよびGCGRに対してほぼ等しい親和性を有するデュアルアゴニストペプチド(好ましくは、配列番号1)を哺乳動物に投与することを含み、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニスト(例えば、セマグルチド)と比較して1つまたは複数の有害事象の発生率、または重症度を低減し、有害事象が、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、方法を提供する。一部の実施形態では、このような方法は、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドが投与される方法と比較して、投与の約48時間または約96時間後に低い血糖(10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低い、好ましくは、少なくとも約50%低い)、投与の約72時間後に低い血糖(任意選択的に、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低いのいずれか、好ましくは、少なくとも約100%低い)、および/または投与の約120時間後に低い血糖(任意選択的に、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低いのいずれか、好ましくは、少なくとも約100%低い)をもたらし;全身体重減少を誘導し、および/または肝臓重量減少を誘導し;低いCmax(任意選択的に、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低い、好ましくは、少なくとも約50%低い)、ほぼ等しいかまたは高いTmax(任意選択的に、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低い、好ましくは、少なくとも約100%高いTmax)、同様のAUC(0-inf)(任意選択的に、少なくとも約50、60、70、80、90、95、100%のいずれか、好ましくは、少なくともその約80~90%、例えば、その約85~93%)、ほぼ等しいかまたは高いT1/2(hr)(任意選択的に、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%のいずれか、好ましくは、少なくとも約50または75%、または約50~75%低い)をもたらし;延長したMRT(hr)(任意選択的に、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%のいずれか、好ましくは、少なくとも約25%延長)をもたらし;持続性PK/PDプロファイルをもたらし;ほぼ等しいかまたは高い糖調節作用をもたらし;高い全身体重減少(任意選択的に、約2倍の全身体重減少)をもたらし;低い体脂肪量(任意選択的に、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%低いのいずれか、好ましくは、少なくとも約100%低い)をもたらし;製剤の投与の約14日後までに高い体重の減少(任意選択的に、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%高いのいずれか、好ましくは、少なくとも約15%高い)をもたらし;製剤の投与の約20~28日後までに高い体重の減少(任意選択的に、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%高いのいずれか、好ましくは、少なくとも約25%高い)をもたらし;および/もしくは哺乳動物の体重を痩せ型の正常な哺乳動物の正常な範囲内に戻すのに十分な、肥満哺乳動物における体重減少をもたらし;ならびに/または、本方法が、NASHを処置するためのものであるとき、増加した全身体重低減、肝臓重量減少、改善されたNASスコア、改善された肝胆道の脂肪肝、改善されたバルーン化、改善されたcol1A1染色、改善されたALT、改善された肝TG/TC、および改善された血漿トリグリセリド(TG)/総コレステロール(TC)をもたらす。
【0060】
一部の実施形態では、本開示は、脱イオン水(pH7.7±0.1)中にアゴニストペプチド産物(例えば、配列番号1)および約0.025~0.075%(w/w)ポリソルベート20、約0.2~0.5%(w/w)アルギニン、約3~6%(w/w)マンニトールを含む医薬用量製剤を提供する。好ましい実施形態では、医薬用量製剤は、脱イオン水(pH7.7±0.1)中に配列番号1、約0.050%(w/w)ポリソルベート20、約0.348%(w/w)アルギニン、および約4.260%(w/w)マンニトールを含むALT-801である。
【0061】
一部の実施形態では、本開示は、約0.15mg/kg/用量未満、任意選択的に、約0.03~0.10mg/kg/用量で、アゴニストペプチド産物(例えば、配列番号1)を哺乳動物に投与するよう構成された医薬用量製剤を提供する。一部の実施形態では、医薬用量製剤は、0.15mg/kg/用量未満のアゴニストペプチド産物を哺乳動物に投与するよう構成されている。一部の実施形態では、医薬用量製剤は、0.03~0.15mg/kg/用量を投与するよう構成されている。一部の実施形態では、医薬用量製剤は、1週間当たり約0.5~約10mg;任意選択的に、1週間当たり約1~約7mg;または任意選択的に、1週間当たり約1~5mg投与するよう構成することができる。一部の実施形態では、医薬用量製剤は、1週間に1回、最大6週間、哺乳動物に投与するように構成されている。一部の実施形態では、本開示は、治療用量に達するための時間が、約4週間以下であるように構成された医薬用量製剤を提供する。一部の実施形態では、治療用量は、Cmax約400~約1300ng/ml;Tmax約10~約36時間;および/またはAUC0-48約15,000~45,000hng/mLを示す。
【0062】
一部の実施形態では、本開示は、ヒトの血糖を低下させ、および/または体重を低下させる方法であって、ヒトに、配列番号1を含む医薬用量製剤を投与することを含み、GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して1つまたは複数の有害事象の発生が減少し、有害事象が、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択される、方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、a)GLP-1RおよびGCGRに対して不均衡な親和性を有するアゴニストと比較して、1つまたは複数の有害事象の発生率を低減し、有害事象は、哺乳動物への投与の際の、悪心、嘔吐、下痢、腹痛および便秘から選択され;b)ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドが投与される方法と比較して、投与の約48もしくは96時間後に約50%低い血糖、投与の約72時間後に約100%低い血糖、および/または投与の約120時間後に低い血糖をもたらし;c)全身体重減少を誘導し、および/または肝臓重量減少を誘導し;d)ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドが投与される方法と比較して、低いCmax、または任意選択的に約50%低いCmaxをもたらし;ほぼ等しいかもしくは高いTmax、または任意選択的に約100%高いTmaxをもたらし;同様のAUC(0-inf)、または任意選択的に約85~93%のAUC(0-inf)をもたらし;ほぼ等しいかもしくはそれ未満のT1/2(hr)、または任意選択的に約50~75%のT1/2(hr)をもたらし;延長したMRT(hr)、または任意選択的に少なくとも約25%長いMRT(hr)をもたらし;持続性PK/PDプロファイルをもたらし、等しいかまたは高い糖調節作用を示し;高い全身体重減少、または任意選択的に約2倍の全身体重減少をもたらし;低い体脂肪量、任意選択的に、約100%低い体脂肪量をもたらし;ならびに/または方法がNASHを処置する場合、増加した全身体重低減、肝臓重量減少、改善されたNASスコア、改善された肝胆道の脂肪肝、改善されたバルーン化、改善されたcol1A1染色、改善されたALT、改善された肝TG/TC、および改善された血漿TG/TCをもたらし;e)ほぼ等モルの用量で投与されるセマグルチドと比較して、製剤の投与の約14日後に高い体重の減少、任意選択的に、約15%高い減少をもたらし;および/または製剤の投与の約20~28日後までに高い体重の減少、任意選択的に、約25%高い減少をもたらし;および/またはf)哺乳動物の体重を痩せ型の正常な哺乳動物の正常な体重範囲内に戻すのに十分な、肥満哺乳動物における体重減少をもたらす。好ましい実施形態では、方法は、体重減少を誘導するためのものである。
【0063】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、処置開始フェーズを含まない。言い換えると、第1の投与される用量は、重度の胃腸の副作用を回避するために量を決めることを必要としない治療である。例えば、一部の実施形態では、方法は、配列番号1などの、本開示のペプチドの1つまたは複数の第1の用量(処置開始フェーズ)、続いて、1つまたは複数のより大きい第2の用量のペプチドを投与することを含むことができ、第1および第2の用量のそれぞれが、1週間以上投与される。一部の実施形態では、第1の用量(複数可)および第2の用量(複数可)に、第2の用量(複数可)より高くてもよい、1つまたは複数の第3の用量が続くことができる。第1の用量、第2の用量、および第3の用量からの切替えは、毎週基準でなされ得る。例えば、第1の用量が、1週間以上後、より低い血糖および/または体重減少を誘導しないことが明らかになった場合、次いで、より高い第2の用量が、1週間以上投与され、続いて、第2の用量(複数可)の作用を解析することができる。有益な効果(例えば、血糖および/または体重の低下)が観察されない場合、第2の用量は、投与されることを継続することができる。有益な効果が観察されない場合、第3の用量が、1週間以上投与され、続いて、有益な効果が決定される。各用量で有害事象が観察されなければ、投与および分析のこのサイクルを必要に応じて繰り返すことができる。一部の実施形態では、血糖管理(例えば、血糖の減少)が、1つまたは複数の第1の用量の投与の約4週間後達成されなかったので、続く1つまたは複数のより高い第2の用量のペプチドが、投与され得る。一部の実施形態では、1つまたは複数の第1の用量は、治療効果(例えば、血糖の減少および/または体重減少)をもたらす意図なしで投与することができる。しかしながら、一部の実施形態では、方法は、処置開始フェーズを含まないで実施することができる。
【0064】
一部の実施形態では、本方法は、ヒトにおける血糖管理および/または体重減少のための第一線の適応症とすることができ、これは、ヒトにおける血糖管理および/または体重減少の誘導を目的として患者に投与される最初かつ唯一の活性剤であることを意味する。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、食事および/または運動の補助療法を含むことができる。そのような実施形態では、ヒトは、医薬用量製剤を投与され得、医薬用量製剤の有益な効果を強化することができる食事および/または運動に関する指示とともに提供することができる。一部の実施形態では、医薬用量製剤が投与されるヒトは、2型糖尿病を有する。一部の実施形態では、ヒトは、2型糖尿病の有無にかかわらず、確立された心血管疾患を示し得る。
【0065】
一部の実施形態では、医薬用量製剤は、ほぼ毎週投与される。一部の実施形態では、医薬用量製剤は、約2週間~約82週間、またはそれ以上、ほぼ毎週ヒトに投与される。一部の実施形態では、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、約4週間~約8週間、任意選択的に、約6週間の毎週の投与としてヒトに投与される医薬用量製剤は、ヒトへの投与の約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、または約7週間後に高い全身体重減少をもたらす。一部の実施形態では、医薬用量製剤は、約1、8、15、22、29、および36日目に投与される。一部の実施形態では、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、ヒトへの単回用量の投与を含み得る方法は、投与の約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日または約7日後に低い血糖をもたらす。一部の実施形態では、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、ヒトへの約4週間~約8週間、任意選択的に約6週間の毎週の投与を含み得る方法は、投与の約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間または約7週間後に、高い全身体重減少をもたらす。一部の実施形態では、ほぼ等モルの投薬量のセマグルチドの投与と比較して、ヒトへの単回用量の投与を含み得る方法は、投与の約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日または約7日後に、低いCmaxを示す。一部の実施形態では、方法は、医薬用量製剤を、成人のヒトに、約0.5mg/用量、約1.0mg/用量、約1.5mg/用量、約2.0mg/用量、約2.5mg/用量、約3.0mg/用量、約3.5mg/用量、約4.0mg/用量、約4.5mg/用量、約5.0mg/用量、または約5.5mg/用量で投与することを含むことができる。一部の実施形態では、医薬用量製剤は、約1週間に1回または2週間に1回、任意選択的に、少なくとも1ヶ月間投与することができ、任意選択的に、ここで、それぞれの用量は、ほぼ同じ量のアゴニストペプチド産物を含む。一部の実施形態では、医薬用量製剤は、皮下投与することができる。一部の実施形態では、用量の1つまたは複数が、第一の経路(例えば、皮下)を介して投与され、続いて、異なる経路(例えば、経口)によって投与され得る。一部の実施形態では、治療用量に達するための時間は、約4週間以下である。一部の実施形態では、医薬用量製剤の投与は、Cmax約400~約1300ng/ml;Tmax約10~約36時間;および/またはAUC0-48約15,000~45,000hng/mLを示す。好ましい実施形態では、ヒトでの体重減少は、少なくとも5%、少なくとも10%;または約1%~約20%;もしくは約5%~約10%(w/w)である。一部の実施形態では、1週間に1回、少なくとも6週間投与される(好ましくは、皮下)、約1.8mgの配列番号1を含む医薬用量製剤の投与は、製剤が投与された集団よりも約3~5%を超える全身体重減少、好ましくは、約5%超、および/または約6%、好ましくは、約6.3%の、プラセボからの正味の変化をもたらす。一部の実施形態では、1週間に1回、少なくとも6週間投与される(好ましくは、皮下)、約1.2mgの配列番号1を含む医薬用量製剤の投与は、製剤が投与される集団にわたり約2%の全身体重減少、好ましくは、約1.8%の全身体重減少(「平均体重減少」)、および/または約3%、好ましくは、約2.7%の、プラセボからの正味の変化をもたらす。本開示はまた、好ましい実施形態でもある、表7(体重減少)および/または表8(有害事象)に示すさらなる結果を提供する。一部の実施形態では、哺乳動物へのその投与は、痩せ型の正常なヒトの正常な範囲にヒトを戻すために十分な、肥満哺乳動物における体重減少をもたらす。一部の実施形態では、医薬剤形は、ポリソルベート20、アルギニン、またはマンニトールのうちの1つまたは複数を含む水性製剤である。
【0066】
本開示の他の態様はまた企図され、それは、当業者によって理解されるであろう。
【0067】
本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、別段定義されない限り、またはその使用により他に明確に示されない限り、本出願が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」または「an」という語は、1つまたは複数を意味する。本明細書で使用される場合、「別の」という語は2つ目以上を意味する。頭字語「aka」は、別名(もまた知られている)を意味する。本明細書で使用される「例示的」という用語は、「例、実例または説明として役立つ」という意味である。本明細書において「例示的」として特徴付けられる任意の実施形態または特徴は、必ずしも、他の実施形態または特徴よりも好ましいまたは有利であると解釈されるものではない。一部の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、規定値の±10%以内または±5%以内を意味する。用語「約」または「およそ」が、2つ以上の数値の系列または2つ以上の数値範囲の系列の最初の数値の前にある場合は常に、用語「約」または「およそ」は、その数値の系列またはその数値範囲の系列の各数値に適用される。本明細書では、ある特定の値について、および/または別の特定の値について、範囲を表すことがある。そのような範囲が表現される場合、別の態様では、ある特定の値から、および/または他の特定の値までが含まれる。同様に、値が近似値として表現される場合、先行詞約またはおよその使用により、特定の値が別の態様を形成することが理解されるであろう。さらに、各範囲の終点は、他の終点との関係においても、他の終点から独立しても有意であることが理解されるだろう。範囲(例えば、90~100%)は、範囲それ自体だけでなく、あたかも各値が個別に記載されているかのように、範囲内の各独立した値も含むことを意味する。任意または任意選択的には、その後に記述される事象または状況が発生する可能性がある、または発生しない可能性があることを意味し、その記述には事象または状況が発生する例と発生しない例が含まれることを意味する。本明細書において言及されているすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0068】
ある特定の実施形態は、以下の実施例においてさらに説明される。これらの実施形態は、例としてのみ提供され、特許請求の範囲をいかなる形でも限定することを意図するものではない。
【実施例
【0069】
実施例1
ペプチド合成
典型的なN-アルファ-Fmocベースのペプチド合成に首尾よく使うことができる多くの標準的な保護基およびカップリング剤が存在する。典型的な例は、米国特許第9,856,306B2号に挙げられ、それはその全体が参照により本開示に組み込まれる。さらなる例は、多くのレビューやプロトコール、例えば、Novabiochemによって公開され、定期的にオンラインで更新されているもの、およびより専門的なレビュー(例えば、Behrendt, R.ら(2015) J Peptide Sci 22: 4~27およびその中の参考文献)に見出すことができる。本明細書では、多くのペプチド合成受託機関で使用されている典型的な市販プロトコールを合成に使用した。より具体的なプロトコールを以下に示す。
【0070】
C末端アミドアナログ-配列番号1の調製
Boc-His(Trt)-Aib-Gln(Trt)-Gly-Thr(tBu)-Phe-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Asp(tBu)-Tyr(tBu)-Ser(tBu)-Lys(Boc)-Tyr(tBu)-Leu-Asp(tBu)-Glu-Lys(ivDDE)-Ala-Ala-Lys-Glu(tBu)Phe-Ile-Gln(Trt)-Trp(Boc)-Leu-Leu-Gln(Trt)-Thr(tBu)-Rinkアミド樹脂(配列番号1)の試料を、標準的なカップリングプロトコール、例えば、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)/ヒドロキシベンゾトリアゾール(HBT)カップリング、続いてピペラジンを用いた標準的な脱保護、次の工程のカップリングなどを使用して、N-アルファ-Fmoc保護アミノ酸を順次添加することによって調製した(GluおよびLysは、側鎖環状ラクタム結合を示し、Pd(PPh/1,3-ジメチルバルビツール酸触媒を使用したアリルベースの側鎖保護の脱保護、NMP中のDIPEAおよび0.5%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物およびDIPEAを用いた洗浄、次いでDIC/Oxymaを用いたカップリングにより達成した)。DMF中2%以上のヒドラジン水和物とのインキュベーションによる残基17のLys-N-イプシロン位のivDDE基の脱保護、続いてDMF/CHClによる洗浄、DIC/HBtまたは他のカップリング剤の使用によるDMF/CHCl中のtert-ブチル18-([ベータ-D-グルクロン-1-イル]オキシ)オクタデカノエートによりLys側鎖をアシル化した。カップリングの完了をニンヒドリンで確認し、生成物をCHClで広範囲に洗浄した。
【0071】
生成樹脂は、切断カクテル(94%TFA:2%EDT;2%HO;2%TIS)を用いて室温で240分間処理することにより、最終的な脱保護および樹脂からの切断に供される。混合物をEtOを用いて処理し、生成物を沈殿させ、EtOで広範囲に洗浄して、真空中で乾燥後、粗表題ペプチド生成物を得た。
【0072】
精製を、逆相(C18)hplcで一括して行う。粗ペプチドを4.1×25cmのhplcカラムに流速約15mL/分で添加し(トリフルオロ酢酸0.1%水溶液中のCHCN有機修飾剤、緩衝液A;0.1%TFAを含むCH3CN、緩衝液B)、40~70%緩衝液Bの勾配を用いて溶出した。生成物画分を凍結乾燥し、分析的hplc(10.5分;0.1%TFA中40~70%CHCN)/質量分析(M+1ピーク=1937.44;実測分子量3872.88)により純度>94%の標題生成物ペプチド(配列番号1)を得る。同様の方法で、実施例に示す通り調製したグルクロン酸またはメリビウロン酸を使用して、本発明の他のアナログを調製した。
【0073】
分析データを表Aに示す。
【0074】
【表5】
【0075】
化合物をHPLC/MSで分析して、純度データおよび同一性データ(分子イオン検出)を得る。HPLC技術は、挙げられた粒子サイズの、挙げられた材料で充填された分析カラムを利用し、データを、k’値(k’=(Tr-T)/T)としてここに報告し、それは、システム構成およびデッドボリュームにはほとんど依存しないが、勾配および充填材料には依存すると予想する。すべての化合物は、純度約95%であると報告した。
【0076】
表題化合物の対応する1-メチルおよび1-オクチルアナログを、同様の方法で調製するが、試薬1’-メチルβ-D-グルクロン酸および1’-オクチルβ-D-グルクロン酸(Carbosynth)を使用する。対応する1-デシル、1-ドデシル、1-テトラデシル、1-ヘキサデシル、1-オクタデシルおよび1-エイコシルならびにさらなるアナログを、対応する単糖および二糖ウロン酸を使用して、上記の通り調製する。あるいは、1-アルキルグルクロニル、または他のウロンアシル化アナログを、脱保護または部分的に脱保護したペプチドの最初の精製、続いて所望のウロン酸試薬によるアシル化によって調製することもできる。あるいは、1-アルキルグルクロニル、または他のウロンアシル化アナログを、組換え調製したペプチドの最初の精製、続いて所望のウロン酸試薬による側鎖アミノ官能基の選択的アシル化によって調製することができる。
【0077】
A.1-アルキルβ-d-グルクロン酸。一般的な酸化方法。
アセトニトリル20mLおよび脱イオン水20mL中の1-ドデシルβ-d-グルコピラノシド[2.0g、5.74mmol]の溶液に、(ジアセトキシヨード)ベンゼン[4.4g、13.7mmol]およびTEMPO[0.18g、1.15mmol]を加える。得られた混合物を、反応完了まで(20時間まで)室温で撹拌した。反応混合物を水で希釈し、凍結乾燥させて、ペプチドLys側鎖へのカップリングに直接使用するのに十分な純度の白色粉末として粗生成物を得た(1.52g、73%)。同様の方法で、本明細書に記載した他のペプチド産物をアシル化するために使用する他の1-アルキルβ-d-グルクロン酸またはメリビウロン酸を調製した。対応する1-置換グルコシドまたはメリボシドを、これらの実施例の手法を用いて調製したが、実施例の合成手法から所望の鎖長を得るために適切な鎖長のジカルボン酸出発物質を、例えば、オクタデカン二酸の代わりにヘキサデカン二酸、ドデカン二酸などに置き換えた。
【0078】
B.18-(tertブトキシ)-18-オキソオクタデカン酸
トルエン(500ml)中のオクタデカン二酸(40g、127mmol)の懸濁液を窒素下、95℃で加熱した。得られた溶液に、N,N-ジメチルホルムアミドジ-tert-ブチルアセタール(98g、434mmol)を3~4時間かけて滴下添加した。反応液を同じ温度で一晩撹拌し、真空中で濃縮乾固し、高真空下に一晩置いた。得られた固体をCH2Cl2(200ml)に懸濁し、加熱および超音波処理し、CH2Cl2で洗浄しながら、RTで濾過した。濾液(2)を濃縮して、生成物を固体として得て(45g、86%)、さらに精製することなく使用した。
【0079】
C.tert-ブチル18-ヒドロキシオクタデカノエート
THF中の18-(tert-ブトキシ)-18-オキソオクタデカン酸(45g、121mmol)の溶液を、窒素下、氷浴上で冷却し、ボランジメチルスルフィド錯体(16ml、158mmol)で滴下処理した。活発なガス発生が、最初の数ミリリットルの添加で生じた。添加後、混合物をゆっくりとRTまで温め、一晩撹拌した。反応液を氷浴上で冷却し、飽和炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を真空中で濃縮し、高真空下に一晩置いた。残渣を温トルエン(200ml)に溶解し、室温で数時間置いた。沈殿したジオールをセライトを通した濾過により除去し、ケーキをトルエンで洗浄した。トルエン溶液を、直接シリカゲルカラムに適用し、10%酢酸エチル/ヘキサン、次いで20%酢酸エチル/ヘキサン、次いで30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、濃縮して生成物(24g、51%)を静置すると固まる油として得た。1H NMR (500 MHz, d4-MeOH): δ = 3.64 (m, 2H), 2.21 (t, 2H, J = 9), 1.44 (s, 9H) 1.50-1.62 (m, 4H), 1.20-1.40 (m, 27H)
【0080】
D.tert-ブチル18-([1-ベータ-D-グルコス-1-イル]オキシ)オクタデカノエート
tert-ブチル18-ヒドロキシオクタデカノエート(46g、129mmol)をトルエン(400ml)に溶解し、真空中で濃縮しておよそ250mlとし、窒素下で室温に戻した。この溶液にHgO(黄色)(22.3g、103mmol)、HgBr(37g、103mmol)およびアセトブロムグルコースを激しく撹拌しながら加えた。アルコールが消費されるまで、撹拌を一晩続け、混合物をセライトを通して濾過した。濾液を銅(II)トリフラート(1g)で処理し、オルトエステル(TLC上の生成物上のスポット)が分解するまで1時間撹拌した。反応液を次いで水で洗浄し、有機層を真空中で濃縮した。残渣をメタノール(500ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(メタノール中の5.4M)で0.5mlずつ処理して、pHを9にした(pH紙に直接スポット)。0.5時間毎にpHをチェックし、必要に応じて、ナトリウムメトキシドをさらに加えて、pHを9に維持した。反応は4時間以内に完了した。酢酸を滴下添加して、pHを7にし、混合物を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルに添加し、5%メタノール/CH2Cl2、次いで10%メタノール/CH2Cl2で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、生成物を白色の固体として得た(55g、82%)。1H NMR (400 MHz, d4-MeOH): δ = 4.30 (d, 1H, J = 7.6), 3.84 (m, 1H), 3.77 (d, 1H, J = 9.6), 3.45-3.60 (m, 2H), 3.36 (t, 1H, J = 9.2), 3.21 (t, 1H, J = 8.4), 2.20 (t, 2H, J = 7.2), 1.50-1.67 (m, 4H), 1.43 (s, 9H), 1.43-1.33 (m, 2H), 1.28 (br s, 24H)
【0081】
E.tert-ブチル18-([ベータ-D-グルクロン-1-イル]オキシ)オクタデカノエート
tert-ブチル18-([1-ベータ-D-グルコス-1-イル]オキシ)オクタデカノエート(50g、96mmol)を、機械的に撹拌しながら2000mlの3つ口フラスコ中でジオキサン(800ml)に溶解し、10℃に冷却した。溶液に、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ(TEMPO)(150mg、0.96mmol)およびKBr(1.14g、9.6mmol)を加えた。飽和NaCO溶液(300ml)および13%NaOCl溶液(120ml)を入れた滴下ロートをフラスコに固定した。炭酸塩溶液を迅速に滴下し、NaOClはゆっくりと滴下添加した(約1滴/秒)。炭酸塩100mlを加えた後、pHをチェックし、必要に応じてさらに加えて、pH10程度を維持した。温度は、終始10℃~15℃に維持した。3時間後、出発物質が残っていたので、さらにNaOCl(10ml)を迅速に加えた。0.5時間後、反応をメタノール(10ml)でクエンチした。混合物を4000mlの三角フラスコに注ぎ、氷浴に浸し、6N HClを用いてpH3に調整した。混合物を、酢酸エチルで希釈し、1N HClおよび蒸留水で2回洗浄し、最後の洗浄で層を分離させた。有機層を真空中で濃縮して、生成物を白色の泡沫として得た(38g、74%)。
【0082】
アノマーCHに対する2,3,4,5-テトラクロロニトロベンゼン(TCNB)内部標準を使用した定量的1H NMR(500MHz、d-MeOH)により、予想重量の94.8%を得る。TLCによる純度>95%(20%MeOH/DCM/2滴HOAc、20%HSO/EtOH+加熱を使用した染色)1H NMR (500 MHz, d4-MeOH): δ = 4.30 (d, 1H, J = 9.5), 3.85 (m, 1H), 3.77 (d, 1H, J = 7.5), 3.48-3.56 (m, 2H), 3.37 (t, 1H, J = 11.5), 3.21 (t, 1H, J = 9.5), 2.20 (t, 2H, J = 9.5), 1.52-1.66 (m, 4H), 1.44 (s, 9H), 1.34-1.42 (br, 2H), 1.28 (s, 25H).
【0083】
実施例2
デュアルアアゴニストペプチド - in vitroアッセイ
細胞アッセイを、cAMP刺激またはアレスチン活性化の読み取り値を使用した標準的な細胞アッセイ(DiscoveRx、LeadHunterアッセイ)を使用して行った。化合物を、約1mgの量に正確に秤量し、希釈およびアッセイのためDiscoverX(Fremont、CA)に発送した。使用したアッセイは、細胞アッセイにおけるグルカゴン(ヒト、CHO細胞にクローン化)およびGLP-1(ヒト、CHO細胞にクローン化)受容体に対するものであった。アッセイを、0.1%卵白アルブミン存在下で行った。歴史的に、このようなアッセイは0.1%BSAの存在下で行われてきたが、血清アルブミンと非常に強固に結合する(>99%)これらの化合物については、結果がゆがめられ、化合物の作用がかなり弱くなる可能性がある。0.1%卵白アルブミンの使用により、この問題を回避することができる。卵白アルブミンを使用したときに見られる改善は、ペプチドに対する血清アルブミン結合の相対的な強固さの指標として見ることができる。
【0084】
【表6】
【0085】
アッセイを、0.1%卵白アルブミンの存在下で行った。歴史的に、このようなアッセイは0.1%BSA存在下で行われてきたが、血清アルブミンと非常に強固に結合する(>99%)これらの化合物については、結果がゆがめられ、化合物の作用がかなり弱くなる可能性がある。0.1%卵白アルブミンの使用により、この問題を回避することができる。卵白アルブミンを使用したときに見られる改善は、ペプチドに対する血清アルブミン結合の相対的な強固さの指標として見ることができ、以下の表を参照されたい。
【0086】
【表7】
【0087】
ここで、非常に強固な血清アルブミン結合体(脂肪酸の頭部基を模倣している、CO2Hを含む置換基を有する)は、BSAを卵白アルブミンによって置き換える際の、実質的な倍加改善を示し、脂肪酸模倣物に明確には結合しないことがわかる。倍加改善の程度から、BSA上の脂肪酸結合部位への結合の強固さを読み取ることができる。したがって、セマグルチドは、12倍改善する(強固な結合)が、EU-A1873は、30~40×に改善し、これは、血清アルブミン結合を大幅に増加したことを示す。この程度の血清アルブミン結合は、配列番号1のバイオアッセイに見られるように、Cmaxの抑制と作用時間の延長をもたらすと予想され得る。
【0088】
上記の表5および表6に示したデータは、GLP-1に偏った高い親和性を示すセマグルチドとは異なり、試験化合物がGLP-1RとGCGRの両方のアゴニスト(「デュアルアゴニスト」)であることを示す。このデータはまた、配列番号1が、GLP-1RとGCGRに対してほぼ等しい親和性を有するデュアルアゴニストペプチドであることも示す。
【0089】
実施例3
健康な過体重および肥満の対象におけるALT-801の単回および反復SC投与の安全性および忍容性を決定し、PK-PD関係に基づき有効用量範囲を特徴決定するための臨床試験
本試験は、健康な過体重および肥満の対象(BMI25.0~40.0kg/m)におけるALT-801の単回および反復SC投与の安全性および忍容性を評価し、薬物動態-薬力学的(PK-PD)関係に基づく有効用量範囲を特徴決定するよう設計する。過体重および肥満の健康なボランティアを、正常な体重の個体のPKと異なり得る、そのような対象におけるPKとして研究する。さらに、これらの対象は体重減少の予測されるPD効果によりよく耐えることができ、処置から利益さえ得ることができる。妊娠の可能性を最小限にするため、適切な避妊措置が講じられており、予防処置を講じて、GLP-1またはグルカゴンアナログを用いた処置のリスクに対象をさらす既存の状態を除外する。ALT-801のグルコースホメオスタシスに対する作用が、非糖尿病集団においてよりよく特徴付けられるまで、糖尿病対象を除外した。過体重および肥満の対象のインスリン抵抗性のレベルは様々であると予想されるため、このクラスの他の化合物のデータと一緒に取得した、これらの試験で得られた観察結果は、糖尿病対象を研究したとき観察する効果を予測するはずである。ALT-801の安全性、PKまたはPDに対する作用の正確な評価に影響を及ぼす可能性のある除外項目を設定した。本試験で利用するBMIの範囲のPKおよびPDパラメーターに対する作用を評価するための分析を行う。本試験では、ALT-801の体重に対する作用を示し、肥満の一次処置としてのその使用を支持する。
【0090】
本試験の主要な目的は、有害事象(AE)、バイタルサイン、臨床安全性検査室(clinical safety lab)、尿検査、理学的検査、および注射部位反応;グルコースホメオスタシス;血圧;心電図(ECK)、ホルターモニタリングなどを評価することによって、単回および複数回の漸増皮下(SC)用量投与後の健康な過体重および肥満の対象におけるALT-801の安全性および忍容性を評価することである。本試験の第2の目的は、1)単回および複数回の漸増SC用量投与後のALT-801のPK、ならびに2)単回および複数回投与後のALT-801のPD作用を評価することである。本試験の探索的目的は、1)複数回用量投与後のALT-801によるPD作用の拡大、および2)心拍数補正QT間隔(QTc)延長に対するALT-801の作用の評価を含む。MRI-PDFFによる肝脂肪含有量、体重、全身MRIによる体組成、インスリン抵抗性、全身性炎症、ならびにGLP-1およびグルカゴン標的関与を含む、試験評価は、体重減少および体組成の変化を含む、ALT-801に期待されるPD特性に基づく。グルコースホメオスタシスの測定は、グルコース制御に対するGLP-1およびグルカゴンアナログの潜在的作用に基づく。GLP-1およびグルカゴンアゴニストは、血圧および心拍数の臨床的に重要でない変化と関連しているため、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)およびホルターモニタリングを含む。また、ALT-801のQT間隔延長に対する潜在的な作用に関する情報を提供するために、ホルターモニタリングも含む。GLP-1およびGLP-1/グルカゴンデュアルアゴニストの薬理学および安全性の経験に基づき、悪心および嘔吐を含むGI AEの用量関連の発生が生じる可能性がある。高血糖および低血糖の発生率および重症度を含む、グルコースホメオスタシスも評価する。体重減少はこの化合物の望ましい特性であるため、安全性よりもむしろ有効性をモニターする。ただし、体重減少が過剰であると判断する場合、その後のコホートにおける用量を調整することがある。体重減少のレベルが安全でない、または過度であるとみなす場合、試験投薬を個々の対象において一時中止または中断する可能性がある。対象は、薬物誘発性肝傷害についてもモニターする。血液試料を、別途同意を得た対象におけるバイオバンク用の研究薬物の投与前および最終投与後に採取する。これらの試料を使用して、可能性のある遺伝子解析を含む、NASHおよび関連する疾患におけるバイオマーカーが発見および/または検証する。
【0091】
本明細書に記載される本研究は、本試験は、健康な過体重および対象におけるALT-801の単回漸増用量(SAD)および複数回漸増用量(MAD)のファースト・イン・ヒューマ(FIH)フェーズ1無作為化二重盲検プラセボ対照2部構成試験である。過体重から肥満の対象(肥満度指数[BMI]25.0~40.0kg/m2)を登録する。パート1の単回漸増用量(SAD)フェーズでは、対象は、最長28日間のスクリーニング期間を経験する。組み入れ基準を満たし、除外基準を満たさない過体重から肥満の対象を、8人の対象のコホート中3:1の比で無作為化し、6人の対象にALT-801を、2人の対象にプラセボを投与する。試験薬(SC投与用のALT-801として製剤化した配列番号1)を、すべてのSADコホートにおいて腹部に皮下(SC)投与する。対象は、試験薬投与の約1日前(-1日目)に研究ユニットに入院し、8日目に退院する。対象は、1日目に1回SC用量のALT-801またはプラセボを投与する。6つのコホートを計画し、パート1についてはさらに2つの任意選択的なコホートを有する。以下の用量レベルと計画する:60kgのヒトに基づき、毎週の用量として0.4、1.2、2.4、4.8、7.2、および9.4mgを1週間に1回(QW)投与する。これらの用量は、臨床的観察、あるいは入手可能なときは、PKデータに基づいて変更してもよい。各SADコホートの最初の2人の対象(1人のALT-801、1人のプラセボ)には、残りの対象の少なくとも48時間前にセンチネル法で投与する。対象は、1~5日目の評価前および8日目の評価前に少なくとも10時間、一晩絶食し、食事を標準化する。対象は、ECG、CGM、およびABPMを含む安全性を評価するための試験評価を受け、後述の評価スケジュールに記載するPKのため血液試料を採取する。研究ユニットを退院後、対象は外来受診し、26日目まで3日毎にPKおよび安全性評価を受け、35日目または投与期間中に決定した少なくとも5半減期のフォローアップ受診を受ける。薬理学的モデリングに基づいて予測した有効用量および曝露を達成しなかった場合、および/または単回用量用の最大認容量(MTD)を6つの計画したコホート完了後に同定しなかった場合、最大2つのさらなる単回投与コホートをパート1に登録する。SADコホート3の8日目が終了し、そのコホートの安全性を評価したら、パート2の複数回漸増用量(MAD)フェーズを開始する。パート2の開始用量は一般的に、SADコホート3の用量の2分の1である。
【0092】
インフォームド・コンセントの後、過体重から肥満の対象は、最長28日間のスクリーニングを受ける。対象に、スクリーニング期間中も通常の食事と活動を維持し、試験参加中はいかなる時も新たな食事、サプリメント、運動プログラムを開始しないよう指示する。対象は、試験薬投与の約4日前(Day-4)に研究ユニットに入室し、標準化された食事を摂取する食事・運動慣らし期間に入る。標準化した食事は、体重、身長、年齢および性別に基づき対象間の差を考慮し、予測BMR×1.5を使用して個別化した1日当たりのカロリーで提供する。研究参加者の活動レベルも標準化する。組み入れ基準を満たし、除外基準を満たさない対象を、-1日目に12人の対象のコホート中5:1の比で無作為化し、10人の対象にALT-801 QWを、2人の対象にプラセボQWを6週間投与する。試験薬は、すべてのMADコホートにおいて腹部に皮下(SC)投与する。
【0093】
対象は、1日目に試験薬の初回投与を受け、8日目に2回目の投与を受けるまで研究ユニットに留まる。次いで、対象は、1週間間隔で3回の外来受診(15日目、22日目、29日目)のため戻り、32日目~43日目まで再入院する。対象は、36日目に試験薬の最終投与を受ける。43日目の退院後、対象は、70日目または投与後5半減期のいずれか早い日に追跡調査のために戻る。対象は、本明細書に記載するALT-801の安全性、PD、およびPKを評価するためのいくつかの試験評価を行う。安全性評価は、ECG、CGM、ABPMを含む。PD評価は、人体計測、食事評価、画像診断、バイオマーカーのための採血を含む。GI症状に対する治療効果を評価するために、胃腸障害症状重症度指標の患者評価(PAGI-SYM)を行う。血液試料を、PKおよび免疫原性のため採取する。対象は、-1日目~5日目ならびに7、8、36、37、42および43日目の前に、少なくとも10時間、一晩絶食する。さらに、対象は、-1、7、および42日目の混合食耐性試験のため標準的な朝食を摂取する。
【0094】
MADの用量は、臨床データおよび利用可能なときは、既に完了したSADおよびMADコホートからのPKデータに基づき選択する。薬理測定モデリングに基づき予測した有効用量および曝露を達成する、既に研究した用量レベルを拡大する、このフェーズのMTDを同定しない場合、用量漸増を継続する、または薬理測定モデリングに基づき最大有効用量に到達する前にGI不耐性を観察した場合、用量漸増スキームを検討するための、3つのMADコホートを計画し、必要に応じて、最大2つの追加のコホートを含む。
【0095】
パート1の最大推奨開始用量(MRSD)は、医薬品安全性試験において動物(ラットおよびサル)で決定したNOAELでのヒト等価用量(HED)の10分の1に基づく。ラットとサルの両方が、ALT-801に対して同様の臨床応答を有すると考えられたが、NOAELにおける曝露は、ラットにおいてわずかに低かったため、ヒトでの開始用量はより保守的なものとなった。ラットNOAELは、高用量である0.45mg/kg/週であり、これは、体表面積スケーリングに基づき、60kgのヒトにおいて0.44mg/週に相当する。注目すべきは、サルでのNOAELも、高用量である0.25mg/kgであり、これは、体表面積スケーリングに基づき、60kgのヒトにおいて0.49mg/週に相当する。安全性のために10倍のスケーリング係数を使用して、ヒト開始用量0.40mg/週を、60kgのヒトのため選択した。さらに、最大推奨開始用量(MRSD)で推定したヒト曝露は、サルNOAELでの曝露を大きく下回っており、特にラットNOAELでの曝露と同程度である。サルは、最も感受性の高い動物種ではないが、臨床的に最も関連性の高い毒性(すなわち、摂食量の低減および嘔吐)については生物学的により関連性の高い動物種であるため、これは特に重要である。パート1における臨床観察およびPKは、最終的に、パート2における投与検討の指針となる。
【0096】
ラットおよびサルでの試験におけるALT-801の主な所見は、体重減少であった(例えば、実施例4を参照)。毎日投与したラットでのスケジュールを週3日に変更したところ、ALT-801の食品消費および体重減少に対する影響が低減することによって忍容性が改善され、これは、作用機序と一致する。GLP-1およびグルカゴンアゴニストの毒性もまた、ヒト試験においても十分に特徴付けた。前臨床試験の安全性に関する知見は、SADコホート2への3倍の用量増量を支持する。続く増量は、試験のいずれのパートにおいても2倍を超えない。忍容性を改善することが必要な場合、用量漸増スキームを検討してもよい。これらの予測の信頼性に加えて、ヒトにおける用量と曝露の関係は、いくつかの前臨床動物種(マウス、ラット、ミニブタ、およびサル)の集団PKモデルに基づき線形であると予測する。試験が進行中であるため、ヒトデータを用いてモデルを更新する。ヒトにおけるALT-801の予測t1/2は、100時間台の範囲にあり、この仮定を、パート1でも確認する。週1回(QW)投与に基づき、定常状態での反復投与による推定蓄積量は、2倍以下である。複数回用量曝露が、単回用量曝露内に収まることを確実にするため、パート2の開始用量を、パート1のコホート3の用量の2分の1であると計画する。しかしながら、続くパート2コホートを、安全性およびPKデータに基づき調整しても良い。それぞれの守備よく行った用量レベルに漸増させるための決定は、パート1の8日目(単回投与の7日後)およびパート1の15日目(2回目の投与の7日後)までの安全性および忍容性の評価に基づく。2週目以降の用量漸増の決定は、主に吐き気または嘔吐であると予想するAEが、投与の最初の2週間に生じるという、それより前のGLP-1およびGLP-1/グルカゴンデュアルアゴニスト試験からの所見に基づく。さらに、投与の最終週のCmaxおよびAUCtauである予想は、既に完了したおよび安全性を評価したSADコホートにおけるCmaxまたはAUCinfを超えない。有効用量での動物における曝露およびヒトPKを予測するための動物PKパラメーターの薬理学的モデリングに基づき、成人ヒトにおけるED80~ED90に相当する最大有効性の目標用量を、1~5mgであると推定し、目標血漿濃度は、50~100ng/mlであると推定する。したがって、推定開始用量は、予測した最低有効用量より約2.5倍低く、有効でないと予想する。
【0097】
安全性を最大にするために、単回漸増用量(SAD)および複数回漸増用量(MAD)の漸増を、ラットにおけるNOAELでの曝露を超えないように計画する。しかしながら、PDおよび忍容性から、過体重および肥満の対象が、ラットNOAELの曝露を超えると予想する用量から恩恵を受ける場合、SADおよびMAD漸増を継続する前に、補助安全性および有効性データをIECに提示し、同意を得る。
【0098】
最低6人の対象が、パート1の用量漸増に必要であり、8人の対象が、パート2の用量漸増に必要であり、それぞれのコホート中の少なくとも1人の対象にプラセボを投与する。観察が、用量漸増がMTDを超えていることを示唆する場合、示唆される次の用量レベルを、従前の処置コホートで観察した安全性および忍容性データの評価に基づき調整してもよい。投与は、MTDを同定するまで進めてもよく、それは、試験の各パートについて個別に決定する。利用可能なPKデータを使用して、意思決定の指針としてもよく、曝露が、ラットにおいてNOAELを超えると予測する場合、明確に考慮する。安全性を最大にするために、計画したSADおよびMADの漸増は、ラットにおけるNOAELでの曝露を超えない。
【0099】
スクリーニング活動の完了後、すべての組み入れ基準を満たし、かつ除外基準を満たさない対象を、双方向ウェブ応答システム(IWRS)により無作為化する。パート1では、各コホートの2人の対象を、ALT-801またはセンチネル投与のためのプラセボ処置群に対して1対1に無作為に指定する。8人の対象の各コホート中の残りの6人の対象を、ALT-801またはプラセボ処置群に無作為に指定し、5人をALT-801群、1人をプラセボ群と指定し、各コホートで全体として3:1のALT-801とプラセボの比である。パート2では、12人のコホートを、ALT-801群またはプラセボ群に対して5:1の比で無作為に指定し、10人をALT-801群に、2人をプラセボ群に指定する。
【0100】
配列番号1を、無菌緩衝水溶液(例えば、脱イオン水(pH7.7±0.1)中の約0.050%(w/w)ポリソルベート20、約0.348%(w/w)アルギニン、約4.260%(w/w)マンニトール)中、ガラスバイアルにおいてALT-801として製剤化し、終濃度2.5mg/mLおよび総充填量1.2mLで配列番号1を含み、皮下(SC)注射として投与する。パート1では、単回用量の試験薬を1日目に投与する。各SADコホートの最初の2人の対象者(1人のALT-801および1人のプラセボ)を、残りの対象への投与の少なくとも48時間前にセンチネル法で投与する。パート2では、試験薬を6週間にわたりQW投与する。用量を1、8、15、22、29、および36日目に行う。パート1の開始用量は0.40mgで、これはラットで副作用を観察しないレベル(NOAEL)のヒト均等用量の10分の1に相当し(安全性については0.44mg/週から切り捨て)、用量漸増は、修正フィボナッチスキームに従い、0.40、1.2、2.4、4.8、7.2、および9.4mgの計画用量レベル(7日に1回投与する週1回用量と均等)の3倍以下である。パート2の開始用量を、パート1コホート3の用量の2分の1に計画する。しかしながら、続くパート2コホートを、安全性およびPKデータに基づき調整してもよい。各首尾よい用量レベルへの漸増の決定は、パート1の8日目(単回投与7日後)およびパート2の15日目(2回目投与7日後)までの安全性および忍容性の評価に基づく。用量漸増を修飾してもよく、用量漸増スキームは、必要に応じて、または本明細書に記載する通りである。各用量のALT-801またはプラセボを、適切な訓練を受けた臨床スタッフメンバーにより腹部にSC注射として投与する。投与量は、選択した用量に基づき選択し、最終薬物製品についての濃度は、2.5mg/mLとする。生理食塩水プラセボは、そのコホートにおいて投与したALT-801の用量および容量に基づく容量に一致する。体重減少は、この化合物の望ましい特性であるため、安全性よりもむしろ有効性をモニターする。しかしながら、体重減少が過度であると判断した場合、続くコホートにおける用量を調整してもよい。体重減少のレベルが過度であるとみなす場合、試験薬は、個々の対象において一時中止または中止してもよい。制吐治療にもかかわらず、GI有害事象のレベルを、制吐剤処置にも関わらず、過度であり、忍容できないとみなす(例えば、重度のGI AEが>24時間続く)場合、試験薬を個々の対象において一時中止または中止してもよい。嘔吐が持続する場合は、対象に制吐剤を投与してもよい。この場合、5HT3受容体アンタゴニスト(例、オンダンセトロン)が好ましい。観察から、用量漸増がMTDを超えていると示唆する場合、推奨用量レベルを、以前の処置コホートで観察した安全性および忍容性データの評価に基づき下方修正してもよい。投与は、MTDを特定するまで進めてもよく、それを試験の各部分について個別に決定する。利用可能なPKデータを使用して、意思決定を指針してもよい。
【0101】
血液試料を、パート1の-1、1、2、3、4、5、8、11、14、17、20、23および26日目の0、1、4、6、8、12、および16時間、ならびにパート2の-1、1、2、3、4、5、8、15、22、29および36~38日目の0、1、4、6、8、12、および16時間にPK評価のため採取する。PK試料の残りの血漿を、時間制限なく凍結保存してもよく、ALT-801生体分析法の開発のため、またはALT-801代謝産物を探索するために使用してもよい。ECGの読み取りの時間は、PK試料時間と一致する。複数の活動が同じ時間点で生じる場合、ECGをまず収集し、PK血液は、公称時間で行うべきである。PD評価は、パート2のみで行う。
【0102】
身長は、壁に取り付けたスタディオメーターまたはバランスビームスケールに取り付けたスタディオメーターのいずれか利用可能な方を使用してセンチメートルで測定する。対象は、靴下を履いているか、裸足でなければならない。スクリーニングの受診を除き、体重を、各公称時点の日のほぼ同じ時間で校正したスケールを使用してキログラムで測定する。絶食中および対象が排泄(すなわち、膀胱が空であること)を指示された後、ガウン(または臨床研究ユニットが用意した他の標準的な服装)、下着、および靴下(靴はなし)を着用している対象で、測定を行うべきである。ウエスト周囲径を、ガウンを着用している対象で測定するべきである。測定を、腸骨稜の上面と肋骨の外側下縁の中間の高さで行う。臍の高さまで測定する必要はない。メジャーは水平に保つ。身長、体重、およびウエスト周囲径を測定し、パート1およびパート2でのスケジュールに従いBMIを計算し、記録する。身長の測定は、スクリーニング時のみ必要である。ウエスト周囲径を、パート2のみでの対象について測定する。
【0103】
FibroScan(登録商標)は、それぞれ、振動制御一過性エラストグラフィ(VCTE)およびCAPにより、肝硬化および脂肪症を同時に測定することができる超音波に似た装置である。パート2の対象について、FibroScan(登録商標)を、少なくとも10時間の一晩絶食後のスクリーニング中に測定する。FibroScan(登録商標)CAPを、MRI-PDFF前に測定する。MRI-PDFFは、肝臓全体にわたる肝脂肪の正確で再現性のある定量的評価を可能にする定量的画像バイオマーカーである。パート2の対象について、MRI-PDFFをスクリーニング中(CAPが、≧300dB/m)および最短10時間の絶食後のEOS受診時に測定する。肝脂肪パーセントを、肝脂肪含有量と同時に測定する総肝容積で補正する。全身MRIは、除脂肪体重を含む身体組成の測定のため使用する確立された画像技術である。パート2の対象について、スクリーニング中およびEOS受診時に、MRI-PDFFと併用して全身MRIを行う。
【0104】
パート1および2では、対象を、研究ユニットに入院期間中、対象に標準化した食事を提供する。1日のカロリーは、予測BMR方程式に活動係数1.5を乗じて個別化し、大栄養素組成は40~50%炭水化物、15~25%タンパク質、30~40%脂肪で標準化する。パート2では、-1日目および42日目のPD評価に先立ち、-4日目~-2日目および39日目~41日目に同じ標準化した食事を提供する。食事のタイミングと種類はまた、対応するマニュアルのそれぞれに記載する通り、ECG、MRI-PDFF、MMTT評価に特定である。
【0105】
食物摂取と食欲を、自由食試験とVAS質問票を使用して評価する。
VAS質問票は、空腹感、満腹感、膨満、ならびに甘味、塩味、風味、および脂肪などの特定の味を食べたいという欲求を記録する食欲研究の標準的な手法である[Flint 2000]。被験者は、評価スケジュールで指定された日に、自由食の前および後にVAS質問票を完了する。自由食のサイズは、健康な過体重および肥満のボランティアの予想した摂取量を超える。試験食の間、対象を隔離し、環境要因を最小にする(すなわち、テレビ、携帯電話、コンピュータなどはなし)。対象者に、30分以内に好きなだけ摂取し、心地よく満腹になるまで食べるように指示する。食前と食後の体重を記録して、食物摂取量を把握し、カロリー消費量を決定する。
【0106】
基礎代謝量(BMR)および安静時エネルギー消費量(REE)を、絶食条件下および少なくとも10時間の絶食後の朝に評価する。安静時エネルギー消費量の評価を、-1日目および42日目に行う。BMRおよびREEを、換気フード法(間接熱量測定法)を使用して測定する。BMRは、通常、1日のエネルギー消費量の主な構成要素であるため、エネルギー消費量を標的とする代謝性薬物開発プログラムにおいては、BMRに対する変化は、臨床的意義があるかもしれない。
【0107】
最低10時間の絶食後、対象は、標準化した流動食(標準的なMMTTを構成する、脂肪、炭水化物、およびタンパク質の成分を含む栄養補助食品であるエンシュア・プラス[700kcal]を6液量オンス)を5分以内に摂取する混合食耐性試験(MMTT)を受ける。t=0分の試料(すなわち、標準化した流動食の前)は、最後のHOMA IR 2血液試料である(上記を参照)。ホルモンマーカーは、グルコース、インスリンおよびC-ペプチドを含む。最初の15分間は5分間隔で、その後30分間は標準化した流動食摂取後240分まで(この間、追加の食物摂取はない)試料を採取する。MMTT手法を、評価スケジュールで指定した日に行う。試験を標準化し、ばらつきを低減するために、各試験の前に、臨床研究ユニットへの入院後3日間の標準化した食事と標準化した身体活動の慣らし期間を設ける。
【0108】
対象が、少なくとも10時間一晩絶食した後、1回目および2回目の投与の1日前、ならびに最後の投与の6日後に、ケトン体評価用の血液試料を採取する。FGF-21およびアディポネクチンの評価用の血液試料を、対象が少なくとも10時間一晩絶食した後、採取する。最低10時間の絶食後、コレステロール(総コレステロール、HDL、LDL)、Apo AおよびB、リポタンパク質(a)、TG、およびトリパルミチンを含む、脂質の評価のため、表4に示す通り、試験薬の初回投与前および最終投与から6日後に血液を採取する。TNF-α、hs-CRP、レプチン、MCP-1、およびIL-6を含む炎症マーカーの評価のため、表4に示す通り、試験薬の1回目の投与前および最終投与から6日後に血液を採取する。グルコースホメオスタシスを、パート1およびパート2に示す期間中、Dexcom G6 CGMを使用して24時間CGMにより評価する。
【0109】
安全性解析対象集団は、無作為化した対象のうち、試験薬を少なくとも1回投与したすべての無作為化した対象を含む。対象を、彼らが受けた処置によって解析する。PK集団は、ALT-801を少なくとも1回投与し、解析に十分なPKデータを有する、すべての無作為化した対象を含む。QT集団は、含まれる被験者のうち、ベースライン時の少なくとも1回の時間一致ECGおよび投与後の対応する時間一致PK-ECGを有するPK集団のすべての対象を含む。PD集団は、試験薬を少なくとも1回投与し、ベースラインおよびベースライン後の少なくとも1回のPD評価の結果を有するすべての無作為化対象を含む。
【0110】
使用した統計方法では、記述統計学を使用して、人口統計学的特徴およびベースライン特徴の差異を評価する。病歴を、最新のMedical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)バージョンを使用してコード化し、対象毎に列挙する。連続安全性データを、用量レベルおよび処置(有効またはプラセボ)別に記述統計学(加算平均、標準偏差[SD]、中央値、最小値、および最大値)を用いて概説する。カテゴリー安全性データを、試験部位、用量レベル、処置、および利用可能な日毎の頻度数およびパーセンテージを用いて概説する。
【0111】
AEを、最新のMedDRAバージョンを使用してコード化する。報告者が使用した用語、基本語、SOC、処置、重症度、および試験薬との関連を含む、対象毎のAEデータリストを提供する。処置下で発現したAE(TEAE)を経験している対象の数ならびに個々のTEAEおよび注射部位反応の数を、処置群、SOC、および基本語毎に概説する。TEAEをまた、重症度(グレード1~4)および試験薬との関連(可能性が低い、可能性がある、おそらくあり)毎に概説する。中止規定の関連性を、関連している可能性がある、またはおそらく関連すると定義する。臨床検査評価、バイタルサイン評価、連続心臓モニタリング、ECGパラメーター(ホルターモニタリングを除く)、CGM測定、ABPM測定、および食事負荷試験パラメーターを、試験パート、処置群、用量レベル、およびプロトコールで指定した収集時点毎に概説する。処置群別の各プロトコール指定時点におけるベースラインからの変化の要約も示す。理学的検査の変化を、各対象について列挙する。PAGI-SYMの解析は、統計解析計画書(SAP)に詳述する。併用薬を、対象毎に列挙し、最新のWHO薬物辞書を使用してコード化する。
【0112】
薬物動態は、記述統計学(症例数[N]、加算平均、SD、変動係数[CV%]、中央値、最小値、および最大値)とともに、コホート毎に列挙し、概説する個々のALT-801濃度データを含む。また、各コホートの個々および平均±SD ALT-801濃度-時間プロファイルもグラフで示す。血漿ALT-801非コンパートメント(NCA)PKパラメーターCmax、最高血漿中濃度までの時間(Tmax)、AUC0-t、AUC0-inf、消失速度定数(Kel)、t1/2、見かけの全身クリアランス(CL/F)、および終末期の見かけの分布容積(Vz/F)(データがパラメーター決定に十分である場合)をSADパートについて推定する。MADパートについて、Tmax、CmaxおよびAUCtau PKパラメーターを初回投与および最終投与後(1週目および6週目)に推定する。データが許す場合、Kel、t1/2、定常状態における見かけの全身クリアランス(CLSS/F)および定常状態における見かけの分布容積(VSS/F)を、6週目の投与後に推定する。薬物動態パラメーターを、それぞれの個体について列挙し、記述統計学(N、加算平均、SD、CV%、中央値、最小値、最大値、幾何平均、および幾何CV%)を使用してコホート毎に概説する。ベースラインBMIのPKパラメーターに対する作用を、相関分析により評価する。用量比例性を、必要に応じて、パワーモデルアプローチを使用して評価する。蓄積を、1週目に対する6週目のCmaxおよびAUC0-tauの比として評価する。定常状態を、初回投与から最終投与までのトラフ濃度の比較により評価する。
【0113】
ホルターモニターから抽出されたECGを、対象、受診、処置、および公称時点について盲検化した熟練した読影者の選択した集団で中央ECG検査室で解析する。品質管理または利用可能性に基づく2回目のレビューが必要な場合を除き、1人の読影者が、個々の対象のECGを検討する。すべてのECGを、個々の対象について同じリードを用いて解析する。解析不可能な場合を除き、一次解析リードはリードIIであり、次に、V2またはV5を、個々の対象の全データセットに使用する。
【0114】
主要解析は、Fridericia補正QT間隔(ΔΔQTcF)を使用したプラセボ補正した、ベースラインからの投与後時点までの変化についての平均変化量および片側95%上側信頼限界である。Bazettの方法(QTcB)、個体補正法(QTcI)、または集団補正法(QTcP)など他の補正法を検討し、比較してもよい。最小値で、Fridericiaの補正およびBazettの補正を分析し、示す。二次解析は、線形混合効果モデリングを使用して、時間的に一致した血漿濃度とΔΔQTcFの関係を含む。ALT-801の反復投与の免疫原性を、MAD期の最終受診時に採取したELISAベースのアッセイを使用して、血清試料の評価により評価する。試験終了時の試料が陽性の場合は、試験中間資料も分析する。免疫原性は、該当する場合、安全性およびPKと相関してもよい。
【0115】
薬力学的試験は、肝脂肪含有量の変化、擬人化パラメーター、GLP-1関与およびインスリン抵抗性、グルカゴン関与、ならびに脂質を含み、炎症マーカーを列挙し、記述統計学(症例数[N]、加算平均、SD、中央値、最小値、最大値、幾何平均、および幾何学的CV%)を用いて処置群毎に概説する。推測統計を、該当する場合は適用する。ベースラインBMIのPDパラメーターに対する作用を、共変量解析により評価する。
【0116】
中間解析を、MADコホート3における2回以上の投与完了後に行ってもよい。この解析の目的は、後続試験の用量選択を可能にすることである。この解析について、試験は盲検化したままであり、対象レベルの安全性、PD、および利用可能なPKデータを、解析のため非識別化する。試験パート、用量レベル、処置群(実薬またはプラセボ)、および適用可能な場合の日毎の概要データを報告する。中間解析の実施を、SAPに詳述する。
【0117】
実施例4
過体重および肥満のボランティアにおけるALT-801第1相試験(6週目の中間データ)
本実施例は、臨床試験申請に基づいてオーストラリアで行われている、過体重および肥満のボランティアにおけるプラセボ対照のヒト初回単回漸増用量(SAD)および複数回漸増用量(MAD)試験であるALT-801第1相臨床試験の結果を示す。本試験の主要目的は、12週間、週1回投与のプラセボと比較して、ALT-801レシピエントにおける安全性、忍容性、薬物動態および体重減少を評価することである。MAD期の投与は、ALT-801 1.2mgSCまたはプラセボを週1回投与されているコホートで開始し、高用量コホートを経て、現在1.2mgおよび1.8mgコホートの対象が6週間の処置を完了している。最初の2つの試験コホートについて、投与6週時点の中間解析を行い、本実施例において示す。
【0118】
本試験は、ALT-801が健康な過体重および肥満のボランティアにおいて迅速かつ強固な体重減少を誘導することを示す。健康な過体重および肥満のボランティアにおけるALT-801の進行中の12週間の第1相プラセボ対照単回および複数回漸増用量試験の事前に規定した6週間の中間解析からの体重減少の結果を、表7に示す。ALT-801の週1回1.8mg皮下投与(SC)使用し、解析は、6週目(43日目)までに、プラセボ群における0.9%の体重増加と比較して、平均5.4%の体重減少を達成した(6.3%の、プラセボからの正味の変化)ことを示し、これは、試験処置前の目標である2%の体重減少を上回っている(表7、図1)。1.8mgのSC投与を受けた9人の対象のうち1人を除く全員が、6週目までに少なくとも3%の体重減少を達成した。毎週1.2mgのSC投与を受けた低用量コホートは、同じ時点で1.8%の体重減少(2.7%の、プラセボからの正味の変化)を達成した。
【0119】
【表8-1】
【0120】
【表8-2】
【0121】
本実施例に示した試験はまた、ALT-801が、用量漸増なしで十分に忍容されることを示す。健康な過体重および肥満のボランティアにおける、ALT-801の進行中の12週間の第1相プラセボ対照単回および複数回漸増用量試験の事前に規定した6週間の中間解析の有害事象の結果を表8に示す。データは、ALT-801が、用量漸増なしで十分に忍容性され、一過性の悪心の割合は、それぞれ、1.2mg用量で14.3%、1.8mg用量で22.2%であり、いずれの用量においても嘔吐、下痢、または便秘の報告はなかった。1.8mg用量での悪心のすべてが、重症度は軽度であった。これらの結果は、ALT-801を、最も有効で十分に忍容されるGLP-1ベースの治療剤の中に位置付ける。胃腸事象は、他のGLP-1ベースの薬剤の、十分な忍容性を維持するための16~20週間にわたる用量決定が必要であった。
【0122】
【表9-1】
【0123】
【表9-2】
【0124】
【表9-3】
【0125】
解析は、6週目までに、プラセボ群における0.9%の体重増加と比較して、週1回1.8mg皮下投与(SC)を使用して、平均5.4%の体重減少(6.3%の、プラセボからの正味の変化)を達成したことを示し、これは、試験処置前の目標である2%の体重減少を上回っている。1.8mgのSC投与を受けた9人の対象のうち1人を除く全員が、6週目までに少なくとも3%の体重減少を達成した。毎週1.2mgのSC投与を受けた低用量コホートは、同じ時点で1.8%の体重減少(2.7%の、プラセボからの正味の変化)を達成した。ALT-801は、用量漸増なしで十分に忍容され、一過性の悪心の割合は、それぞれ、1.2mg投与群で14.3%、1.8mg投与群で22.2%であり、いずれの用量でも嘔吐、下痢、または便秘の報告はなかった。これらの結果は、ALT-801を、最も有効で十分に忍容されるGLP-1ベースの治療剤の中に位置付ける。胃腸事象は、他のGLP-1ベースの薬剤の、十分な忍容性を維持するための16~20週間にわたる用量決定が必要であった。
【0126】
実施例5
過体重および肥満のボランティアにおけるALT-801(ペムビジュチド)第1相試験-12週間の結果
本実施例は、臨床試験申請に基づいてオーストラリアで行われている、過体重および肥満のボランティアにおけるプラセボ対照のヒト初回単回漸増用量(SAD)および複数回漸増用量(MAD)試験であるALT-801(ペムビジュチド)を用いた第1相臨床試験の結果を示す。本試験の主要目的は、12週間、週1回投与のプラセボと比較して、ALT-801を投与した対象における安全性および忍容性、薬物動態、ならびに体重減少を評価することである。本試験を、カロリー制限または活動体重減少プログラムの不存在下で行なった。ある特定の実施形態では、ALT-801(ペムビジュチドとしても知られる)は、肥満(すなわち、BMIが30以上)または過体重(すなわち、BMIが25以上)対象における慢性的な体重管理のための処置として、一次および単独処置として使用することができる。ある特定の他の実施形態では、ALT-801(ペムビジュチドとしても知られる)は、肥満(すなわち、BMI30以上)または過体重(すなわち、BMI25以上)対象における慢性的な体重管理のための補助療法として、カロリー低減食および/または身体活動の増加と組み合わせて使用することができる。
【0127】
適格な参加者には、最小の肥満度指数(BMI)25kg/m2を有する健康な非糖尿病対象を含んでいた。本試験のMAD部分において34人の対象を、用量決定なしで12週間週1回の、ペムビジュチド(1.2mg、1.8mgおよび2.4mg)またはプラセボの3回の皮下投与のうち1回を受けるよう指定した。行動およびカロリー制限介入を行わなかった。MAD期での投与は、ALT-801またはプラセボの1.2mgSCを週1回投与するコホートから開始し、高用量コホートを経て、本実施例に示す通り、ALT-801 1.2mg、1.8mgおよび2.4mg投与コホートにおける対象は、12週間の処置を完了した。MAD期の参加者の人口統計学的特徴を表9に示す。
【0128】
【表10】
【0129】
健康な過体重および肥満のボランティアにおけるALT-801の週1回投与後の体重減少の結果を表10に示す。結果は、ALT-801が、健康な過体重および肥満のボランティアにおいて迅速かつ強固な体重減少を誘導することを示す。ALT-801を週1回1.8mg皮下投与(SC)を使用して、12週目(85日目)までに、プラセボ群において1.6%のみの平均体重減少と比較して、10.25%の平均体重減少を達成した(表10、図2)。さらに、1.8mgの用量で、100%の対象が、12週目までに5%以上の体重減少を達成し、55%の対象は、12週目までに少なくとも10%の体重を減少させた(図2)。12週目に、週1.2mgのSC投与を受けた低用量コホートは、4.87%の体重減少を達成し、週2.4mgのSC投与を受けた高用量コホートは、8.95%の体重減少を達成した(表10)。2.4mg用量では、1人を除くすべての対象が、12週目までに5%の体重減少を達成した(図3)。1.8mgおよび2.4mgの用量における体重減少量は、所定の症例数および重複する信頼区間と本質的に同じであった。図3および図4に示す通り、体重減少傾向を12週目まで維持し、これは、投与がより長期間維持するべきである場合、より高いレベルの予測体重減少を示した。対照的に、過体重または肥満の参加者において、週1回2.4mgのセマグルチド投与と生活習慣介入でのベースラインから12週目までの体重の平均変化は、6%のみであった(Wilding JPH, Batterham RL, Calanna S, Davies M, Van Gaal LF, Lingvay I, McGowan BM, Rosenstock J, Tran MTD, Wadden TA, Wharton S, Yokote K, Zeuthen N, Kushner RF; STEP 1 Study Group.過体重または肥満の成人における週1回投与のセマグルチド(Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity).N Engl J Med. 2021年3月18日;384(11):989)。興味深いことに、異なるALT-801投与群の12週目の体重減少と対象年齢またはBMI(肥満度指数;kg/m)との間に相関を認めず(図5)、これは、本試験で観察した強固な体重減少を、すべての年齢および体重群において期待することを意味していた。
【0130】
【表11-1】
【0131】
【表11-2】
【0132】
【表11-3】
【0133】
【表11-4】
【0134】
【表11-5】
【0135】
【表11-6】
【0136】
12週間のモニタリングについての有害事象を表11に示す。結果は、ALT-801が、用量漸増の必要なく、十分忍容されることを示す。処置下で発現した有害事象のすべてが、性質が軽度から中程度のものであり、薬物処置により消失し、特別な処置を必要としなかった。1人の患者は、上昇したALTレベルを経験したが、投与休止後速やかに回復した。特に、胃腸の有害事象は、大多数が一過性で軽度であり、薬物処置により消失した。また、これらの胃腸の有害事象は、性質が一過性のものであり、対象は、多くの場合1回のエピソードを経験し、その頻度は、処置期間中に減少した。有害事象のため試験を離脱した対象はいなかった(表12を参照)。胃腸の現象は、十分な忍容性を維持するために16~20週間にわたる用量を決定するために、他のGLP-1ベースの薬剤が必要であった。例えば、成人患者における慢性的な体重管理について承認されているWEGOVY(セマグルチド)(https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2021/215256s000lbl.pdf)は、有害事象の出現を管理するために0.5mgから2.4mgまでの16週間の用量漸増が必要である。これらの結果は、ALT-801を、最も有効で十分に忍容されるGLP-1ベースの治療剤の中に位置付ける。
【0137】
【表12-1】
【0138】
【表12-2】
【0139】
【表12-3】
【0140】
【表12-4】
【0141】
【表12-5】
【0142】
【表12-6】
【0143】
【表12-7】
【0144】
【表12-8】
【0145】
【表12-9】
【0146】
【表13】
【0147】
表13に示すように、ALT-801を用いた処置はまた、心血管系のリスクのバイオマーカーとみなされる収縮期血圧および拡張期血圧の低減を示す傾向にある。加えて、ALT-801を用いた処置はまた、心血管系のリスクのバイオマーカーとしてもみなされる脂質を下げる傾向にある(表14)。さらに、表15に示すように、ALT-801は、前糖尿病およびメタボリックシンドロームを低減する。ALT-801を用いた処置は、グルコースホメオスタシスを維持し、これが、ALT-801のGLP-1活性が、血糖に対するグルカゴン作用と有効に均衡をとることを示している(表16)。表17は、ALT-801のグルカゴン活性に起因し得る作用である脂肪燃焼の増加に対するALT-801の影響を示すケトン体産生の結果を示す。
【0148】
【表14】
【0149】
【表15】
【0150】
【表16】
【0151】
【表17】
【0152】
【表18】
【0153】
ALT-801はまた、表18に示すように、週1回の投与を支持し、許容可能な胃腸忍容性と関連し得る好ましい薬物動態学的(PK)プロファイルを示す。
【0154】
【表19】
【0155】
要約すると、本試験において、1.8mg皮下用量のALT-801を用いた12週間のみの処置後、印象的な10.3%の体重減少を観察した。この効果を、2.4mg用量で維持した。1.8mg用量の対象の大部分(55%)は、10%を超える体重減少を示した。体重減少傾向を、12週目まで維持した。ALT-801は、十分に忍容され、主に軽度の有害事象を伴った。有害事象による試験中断に繋がる処置はなかった。直線的な体重減少率は、これらの作用が持続することを示唆している。セマグルチドのような他のGLP-1受容体バイアスアゴニストと比較すると、急激な体重減少を達成するのに必要とする用量漸増はなく、これは、良好な患者コンプライアンスを伴った。加えて、高血糖AE、および血糖管理または心拍数への悪影響は認められなかった。
【0156】
実施例6
2型糖尿病を有する過体重および肥満の対象におけるALT-801の安全性および忍容性、薬力学および薬物動態を評価するための第1相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群試験
本試験は、スクリーニング前少なくとも3ヶ月間、(1)食事および運動療法、(2)胃腸の症状(悪心、嘔吐、もしくは下痢)がないか、または軽度の胃腸の症状(悪心、嘔吐、もしくは下痢)を伴う、メトホルミン、ならびに/または(3)ナトリウムグルコース共輸送体(SGLT-2)療法のいずれかの併用療法の、T2DMを有する過体重および肥満(肥満度指数(BMI)28.0~40.0kg/mを有する18~65歳の男性または非妊娠女性対象)対象における、ALT-801の安全性および忍容性、薬力学(PD)および薬物動態(PK)、ならびにそのグルコース制御に対する作用を評価するための第1相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群試験である。本試験では、ALT-801またはプラセボを、2型糖尿病(T2DM)を有する患者(例えば、48人の対象)への、週1回、最大12回、皮下(SC)(好ましくは、腹部)注射で投与し、最大35日間のスクリーニング期間、85日間の処置期間、および25日間のフォローアップ期間を含む約4.5ヶ月間である。
【0157】
主な安全性の目的は、T2DM対象におけるALT-801の安全性および忍容性を評価することであり、二次的な安全性の目的は、T2DM対象におけるALT-801の血糖パラメーターならびに高血糖および低血糖の発生率に対する作用を評価することである。主な安全性評価項目は、有害事象(AE)、バイタルサイン、二重積(平均心拍数×平均収縮期血圧)、肝機能検査、高血糖および低血糖有害事象の発生率、理学的検査、注射部位反応、ならびに免疫原性を含む。二次的な安全性評価項目は、空腹時血清グルコース、CGMパラメーター(グルコース濃度-時間プロファイル下面積、範囲内時間、ならびに高血糖および低血糖)、ならびにHbA1cを含む、血糖パラメーターのベースラインからの変化を含む。連続安全性データを、用量レベルおよび処置(実薬またはプラセボ)毎に、記述統計学(加算平均、標準偏差[SD]、中央値、最小値、および最大値)を用いて要約する。カテゴリー別の安全性データを、用量レベル、処置群、および適用可能な場合の日毎に、頻度数およびパーセンテージを用いて要約する。AEを、最新のMedical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)バージョンを使用してコード化する。報告者が使用した用語、基本語、器官別大分類(SOC)、処置、重症度、および試験薬との関連を含む対象別AEデータリストを提供する。処置下で発現したAE(TEAE)を経験した対象の数、ならびに個々のTEAEおよび注射部位反応の数を、処置群、SOCおよび基本語毎に要約する。TEAEをまた、重症度および試験薬との関連毎に要約する。肝機能検査および空腹時血清グルコースを含む臨床検査評価、バイタルサイン(RPPの計算を含む)、ならびにECG評価を、処置群、用量レベル、およびプロトコール指定の収集時点毎に要約する。プロトコール指定の各時点におけるベースラインからの変化の要約も、処置群毎に示す。各対象についての理学的検査の変化も列挙する。併用薬を、対象毎に列挙し、最新版の世界保健機関(WHO)薬物辞書を使用してコード化する。病歴を、最新のMedDRAバージョンを使用してコード化し、対象毎に列挙する。
【0158】
主な薬力学的(PD)目的は、T2DM対象におけるインスリン感受性および分泌に対するALT-801の作用を評価することである。これらは、MMTT(血清グルコース、C-ペプチドおよびインスリンの4時間にわたる曲線下面積(AUC0-4))ならびにインスリン抵抗性のホメオスタシスモデル評価(HOMA IR)(空腹時血漿グルコースおよびインスリン)により測定するベースラインからのインスリン分泌および感受性の変化を含む。PDの二次的な目的は、T2DM対象における、13C-スピルリナ呼気試験によって測定する胃排出(ラグフェーズ、半減期、胃排出係数)、人体測定パラメーター(例えば、体重、ウエスト周囲径、BMI)、脂質代謝(コレステロール(総コレステロール、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、アポリポタンパク質(Apo)AおよびB、リポタンパク質(a)、ならびにトリグリセリド(TG))、代謝マーカー(レプチン、アディポネクチン)、炎症マーカー(腫瘍壊死因子(TNF)、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PAI-1)、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、ならびにインターロイキン-6(IL-6))、ならびに脂肪毒性マーカーに対する、ALT-801の作用を評価することである。インスリン感受性および分泌、人体測定パラメーター、脂質代謝、代謝マーカー、脂質毒性マーカー、炎症マーカーの変化を列挙し、記述統計学(症例数(N)、加算平均、SD、中央値、最小値、最大値、幾何平均、および幾何学的変動係数(CV%))を用いて処置群毎に要約する。ベースラインBMIのPDパラメーターに対する作用を、共変量解析により評価する。ベースラインからのラグフェーズ、半減期、胃排出係数の変化データを列挙し、記述統計学(N、加算平均、SD、CV%、中央値、最小値、および最大値)を用いて要約する。
【0159】
クオリティ・オブ・ライフ(QoL)作用もモニタリングする(ベースラインと比較したShort Form-36およびImpact of Weight on Quality of Life-Lite Clinical Trialsバージョン(CTについてのIWQoL-Lite)の変化)。身体的健康および精神的健康の2つの概要スコア、SF-36の8つのドメインスコア、ならびにCTについてのIWQoL-Lite複合スコアのベースラインからの変化を列挙し、記述統計学(N、加算平均、SD、中央値、最小値、最大値、幾何平均、および幾何学的CV%)を用いて処置群毎に要約する。連続評価項目に適用可能な推測統計を、上記のように適用する。
【0160】
薬物動態(PK)の目的は、ALT-801濃度およびベースラインからのメトホルミン濃度の変化を評価することである。個々のALT-801およびメトホルミン濃度データを列挙し、記述統計学(N、加算平均、SD、CV%、中央値、最小値、および最大値)を用いて処置群および時点毎に要約する。各コホートの平均±SD ALT-801濃度-時間プロファイルをグラフで示す。ベースラインからのメトホルミン濃度の変化を列挙し、記述統計学(N、加算平均、SD、CV%、中央値、最小値、および最大値)を用いて処置群および時点毎に要約する。個々の対象のALT-801血漿濃度時間曲線および関連するPKパラメーターを予測できるように、集団PKモデルを開発する。性別、年齢、体重、BMI、および併用薬を含む共変量を可能な限り検討し、曝露応答関係は、有効性および安全性の評価項目について可能な限り検討する。
【0161】
インフォームド・コンセントの提供後、対象は、最長35日間のスクリーニング期間を経験する。対象を、通常の食事、アルコール消費および身体活動を維持する方法、試験に参加している間のいかなる時も新たな食事、サプリメント、または運動プログラムを開始しないよう指導する。-8日目の受診時に開始する食事および運動に関するカウンセリングを行い、処置期間中の各受診時に補強する。組み入れ基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、以下の処置群:ALT-801、1.2mg、皮下(SC)、週1回、12週間;ALT-801、1.8mg、SC、週1回、12週間;1週目に、ALT-801、0.6mg、SC、2週目に、1.2mg、SC、1.8mg、SC、週1回、2週間(3および4週目)、および2.4mg、SC、週1回、5週目~12週目;ならびにプラセボ(0.9%NaCl)、SC、週1回、12週間のいずれかに1:1:1:1で無作為化する。対象を、ベースライン時のメトホルミン使用の有無で層別化する。各処置群には12人の対象が存在する。対象は、1日目に試験薬の初回投与を受ける。その後の受診を、85日目または表1の早期終了までクリニック、自宅または職場で毎週行う。対象は、110日目に安全性フォローアップのために再受診する。治験責任医師は、12週間の処置期間中に肝機能検査値異常が悪化した対象における介入のタイミングおよび方法についての決定基準に従う。対象は、スクリーニング時、5週目、試験最終週に血糖値を測定するための7日間の持続グルコースモニタリング(CGM)を受ける。グルコースおよびホルモンマーカーの測定との混合食事負荷試験(MMTT)を、スクリーニング時および処置期間の終了時に行う。対象はまた、ALT-801の胃排出速度に対する作用を評価するために、スクリーニング時(-8日目)および8週目(50日目)に13C-スピルリナ胃排出呼気試験を受ける。空腹時血糖値を、グルコメーターにより測定し、-35日目に開始し、処置期間中受診毎に試験スタッフが記録する。受診日以外の日にも、対象はまた、毎朝空腹時血糖をモニタリングし、記録し、読み取り値>240mg/dLまたは<70mg/dLについては、試験実施施設に連絡する。CGMを行うときの週(スクリーニング、4週目、および12週目)にて、任意のCGM読み取り値<70mg/dLを、グルコメーターの読み取りによって確認する。対象をまた、低血糖の症状および処置について教育し、血糖値<70mg/mLまたは低血糖を示唆する症状を経験した場合、グルコメーターの読み取り値を得る。対象は、自宅で経験した低血糖の症状を、事象の時のグルコメーターの読み取り値とともに記録し、各受診時に治験責任医師がこれを確認する。治験責任医師は、反復性食事カウンセリングを含む、空腹時血糖を制限内に維持する方法について対象にカウンセリングし、12週間の処置期間中の持続性高血糖を有する対象における介入のタイミングおよび方法については決定基準に従う。空腹時血糖の有意な減少を繰り返し観察する(<50mg/dL)か、または対象が低血糖を処置するために介入もしくは外部からの援助を必要とする場合、対象は、試験から脱落し、交代することがある。まばらな血液試料を、ALT-801 PKについては集団PKおよびPK-PDモデリングにおける他の試験のデータと組み合わせるために、メトホルミンのPKについては、ALT-801の存在下でのメトホルミン濃度の経時的変化を評価するために採取する。血液試料を採取して、免疫原性も評価する。
【0162】
この試験の結果は、T2DMを有する対象における週1回、最大12回の皮下(SC)注射によって投与したALT-801は、安全であり、忍容性であり、良好なPD、クオリティ・オブ・ライフ、およびPK作用ならびに対象におけるグルコース制御を有することを示す。
【0163】
実施例7
非アルコール性脂肪肝疾患を有する糖尿病および非糖尿病過体重および肥満の対象におけるALT-801の第1相12週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験
ALT-801は、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)およびグルカゴン受容体(GCGR)に対して等価なデュアルアゴニスト特性を有する修飾した29のアミノペプチドである。ALT-801は、脂肪症が、線維症を有するか、または有さない、肝細胞損傷および炎症(脂肪性肝炎)を導く非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のサブグループである非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のため開発されている。米国(US)では、NASHは、末期肝疾患または肝移植の主な原因となっている[Goldberg 2017]。肥満は、NASHの中心的な要因であり、体重減少は、肝脂肪の低減およびNASHの改善をもたらす[Vilar-Gomez 2015]。NASHを有する個体の80%より多くは、過体重または肥満であり[Diehl 2017]、現在利用可能な米国食品医薬品局(FDA)が承認した体重減少を誘導するための薬理学的選択肢はないため、療法は、大部分、減量を達成することを目的とした生活習慣への介入に基づく。しかしながら、生活習慣の改善だけでは長期的な体重減少を達成し、維持することは困難である。グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト(GLP-1RA)は、NASHを有する患者に対する処置選択肢として浮上してきた。1日1回投与のGLP-1RAであるリラグルチドは、NASHの消失と関連し、肝線維症の改善傾向を伴う[Armstrong 2016]。最近の試験では、最大0.4mg/日のセマグルチド投与は、有意に高いNASHの消失率とともに、最大12.5%の平均体重減少と関連した。10%以上の体重減少は、最適なNASH消失およぶ線維症の改善のカットオフと考えられている[Vilar-Gomez 2015]。体重減少のレベルが高いほど、NASH患者が直面する最も深刻な併存疾患を表す、心血管疾患および非肝臓悪性腫瘍の発生率の低下とも関連する。残念ながら、これらの試験において利用したリラグルチドおよびセマグルチドの用量は、患者の不快感およびコンプライアンス違反につながり得る胃腸(GI)AEの高い割合と関連していた。GLP-1RAは、食欲および摂食に対する中枢作用を発揮し、一方、GCGRアゴニスト(GCGRA)は、動物モデルおよびヒトにおいてエネルギー消費を増加させる[Lynch 2014]。GCGRAおよびGLP-1RAの作用は、GLP-1RA単独と比較して、相乗的に体重減少を促進することが示されている[Day 2012]。GCGRAはまた、脂肪分解を強化し、肝脂肪合成を抑制し、肝脂肪低減およびNASH消失のさらなる経路をもたらす[Schade 1979]。デュアルアゴニストは、GCGRAを同一分子中のGLP-1RAと結合させる。肥満の非ヒト霊長類において、GLP-1RA/GCGRAデュアルアゴニストの慢性投与は、GLP-1RAモノアゴニストと比較して、より大きく、体重を低減し、耐糖能を改善した[Tschop 2016]。GLP-1のグルカゴン活性に対して5:1に偏ったGLP-1/GCGRデュアルアゴニストであるコタデュチドの臨床試験は、わずか6週間で肝脂肪分画が39%と顕著に減少し、リラグルチド単独よりNASH関連のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)低減のより大きな改善を示した。しかし、26週間のコタデュチド投与にわたる体重減少の程度は、リラグルチドよりも有意に大きくなく(5.4%対5.5%)、5:1の比率は、肝脂肪低減には許容できるが、体重低減には最適ではないことを示唆していた[Alba 2021, Ambery 2018, Nahra 2021, Armstrong 2016]。均衡のとれた(1:1)アゴニズムは、一方のアゴニストが他方のアゴニストよりも有利な偏った比率よりも、より大きな体重減少および代謝効果に関連することが示されている[Day 2012]。均衡のとれたデュアルアゴニストであるJNJ 64565111[Alba 2021]を用いた最近の試験は、わずか12週間で体重の顕著な低減を達成した(NCT03586830)。証拠は、GLP-1RA/GCGRAデュアルアゴニストも血糖管理にプラスの効果を発揮し得ることを示唆している[Nahra 2021]。GLP-1に偏ったGLP-1RおよびGLP-1ベースのデュアルレセプターアゴニストは、悪心、嘔吐および下痢を含む、GI副作用と一般的に関連している[Filippatos 2014]。これらの薬剤はまた、副作用を低減するために長期にわたって漸増する必要があり[Ambery 2018, Newsome 2020, Frias 2018]、忍容性および投与レジメンの改善した薬剤を必要とする。GLP-1RとGCGRアゴニズムの両方が、体重減少に寄与するため、単分子GLP-1R/GCGRデュアルアゴニストではより積極性の低い投与を期待し、GI毒性の発生率が低下する可能性がある。
【0164】
本実施例は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を有する糖尿病および非糖尿病性過体重および肥満(肥満度指数[BMI]28.0~40.0kg/m)対象におけるALT-801の安全性、ならびに肝脂肪分画、人体測定パラメーター、脂質代謝、炎症マーカーおよび線維症マーカーに対するその作用を評価するための第1相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群試験を記載する。本試験を、12週間のALT-801処置後のNAFLDを有する糖尿病および非糖尿病性過体重および肥満対象におけるMRI-PDFFによる肝脂肪分画の変化を評価するよう設計する。試験はまた、12週間の処置後の、体重、脂質代謝、代謝マーカー、および炎症マーカー、ならびにALT-801の安全性および忍容性の変化を評価する。対象を、ベースラインでの糖尿病の有無で層別化する。本試験を、12週間のALT-801処置後のNAFLDを有する糖尿病および非糖尿病性過体重および肥満対象におけるMRI-PDFFによる肝脂肪分画の変化を評価するよう設計する。本試験はまた、12週間の処置後の、体重、脂質代謝、代謝マーカー、および炎症マーカーならびにALT-801の安全性および忍容性の変化を評価する。対象を、ベースラインでの糖尿病の有無で層別化する。
【0165】
本試験について、好適な対象は、FibroScan(登録商標)制御減衰パラメーター(CAP)≧280dB/m、および肝硬度測定(LSM)<8.5kPa、ならびに磁気共鳴画像プロトン密度脂肪分画(MRI-PDFF)≧10%と定義した、有意な線維症を伴わないNAFLDを有するものである。対象が、2型糖尿病(T2DM)を有する場合、スクリーニング前少なくとも3ヶ月間の、(1)食事および運動療法、(2)胃腸症状(悪心、嘔吐もしくは下痢)を有さないか、または軽度の胃腸症状(悪心、嘔吐もしくは下痢)を伴う、メトホルミン、および/または(3)ナトリウムグルコース共輸送体-2(SGLT-2)療法のいずれかの組み合わせの安定なレジメンにある。インフォームド・コンセントの提供後、対象は、最長35日間のスクリーニングを受ける。対象を、通常の食事、アルコール消費、および身体活動を維持する方法、ならびに試験参加中はいかなる時も新たな食事、サプリメント、または運動プログラムを開始しないよう指導する。1日目の受診時に食事および運動に関するカウンセリングを行い、その後の受診時にカウンセリングを強化する。組み入れ基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、以下の処置群:1)ALT-801、1.2mg、SC、週1回、12週間;2)ALT-801、1.8mg、SC、週1回、12週間;3)1週目に、ALT-801、0.6mg、SC、2週目に、1.2mg、SC、1.8mg、SC、週1回、2週間(3および4週目)、および2.4mg、SC、週1回、5週目~12週目;またはにプラセボ(0.9%NaCl)、皮下(SC)、週1回、12週間のいずれかに1:1:1:1で無作為化する。対象を、ベースライン時の糖尿病の有無で層別化する。各処置群において18人の対象が存在する。対象は、1日目に試験薬の初回投与を受ける。その後の受診を、85日目または早期終了までクリニック、自宅または職場で毎週行う。対象は、110日目に安全性フォローアップのために再受診する。治験責任医師は、12週間の処置期間中に肝機能検査値異常が悪化した対象における介入のタイミングおよび方法についての決定基準に従う。空腹時血漿グルコース(FPG)レベルはグルコメーターで測定し、ベースラインおよび各投与前に試験スタッフが記録する。非受診日においても、対象は、毎朝FPGをモニターし、記録し、読み取り値>240mg/dLまたは<70mg/dLについては試験実施施設に連絡する。対象はまた、低血糖の症状および処置について教育を受け、血漿グルコース<70mg/mLまたは低血糖を示唆する症状を経験した場合、グルコメーター読み取り値を得る。対象は、自宅で経験した低血糖のいずれかの症状を記録し、8日目から始まる各受診時に治験責任医師が確認する。治験責任医師は、食事のカウンセリングを繰り返し行うことを含む、FPGを制限内に維持する方法について対象をカウンセリングし、12週間の処置期間中に持続性高血糖を有する対象に対する介入のタイミングと方法については、決定基準に従う。FPGの有意な減少を繰り返し観察した場合(FPG<50mg/dL)、または対象が、低血糖を処置するために介入もしくは外部の援助を必要とする場合、対象は、試験から脱落し、交代することがある。まばらな血液試料を、ALT-801薬物動態(PK)については集団PKおよびPK-PD(薬力学的)モデリングにおける他の試験のデータと組み合わせるために、メトホルミンのPKについては、ALT-801の存在下でのメトホルミン濃度の経時的変化を評価するために採取する。血液試料を採取して、免疫原性も評価する。
【0166】
安全性評価項目は、有害事象(AE)、バイタルサインおよび二重積(平均心拍数×平均収縮期血圧として計算したRPP)、肝機能検査および血清グルコースを含む安全性検査、尿検査、理学的検査、注射部位反応、ならびに免疫原性(中和抗体)を含む。薬力学的(PD)評価項目は、ベースラインと比較したMRI-PDFFによる肝脂肪分画の変化(相対的および絶対的%変化、肝脂肪分画が相対的に30%、40%、50%低減した対象の割合、肝脂肪が正常化した対象の割合)、人体測定パラメーター(体重、ウエスト周囲径、およびMRI検査による体組成)、脂質代謝(総コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、アポリポタンパク質A(Apo A)およびB(Apo B)、リポタンパク質(a)、トリグリセリド(TG))、代謝マーカー(ヘモグロビンA1c(HbA1c)、アディポネクチン、レプチン)、炎症マーカー(TNF、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、インターロイキン-6(IL-6)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(PAI-1))、線維化マーカー(N末端III型コラーゲンプロペプチド(Pro-C3)、強化肝線維症(ELF)検査)、脂質毒性マーカー、クオリティ・オブ・ライフ評価項目、ならびに薬物動態(PK)評価項目のベースラインからの変化を含む。NAFLDの先行研究で観察された処置作用に基づき、本試験は、0.05の有意水準(両側)でプラセボSC注射を受けた対象と比較したALT-801を有する対象におけるベースラインと比較したMRI-PDFFによる肝脂肪分画の変化における有意差を検出するのに十分な検出力を有する。試験薬を少なくとも1回投与された無作為化対象(安全性解析対象集団)を安全性解析にすべて含める。
【0167】
安全性の目的は、NAFLDを有する対象におけるALT-801の安全性および忍容性を評価することである。主な安全性評価項目は、有害事象(AE)、バイタルサイン、二重積(平均心拍数×平均収縮期血圧)、肝機能検査、高血糖および低血糖有害事象の発生率、理学的検査、注射部位反応、ならびに免疫原性を含む。二次的な安全性評価項目は、空腹時血清グルコース、CGMパラメーター(グルコース濃度-時間プロファイル下面積、範囲内時間、ならびに高血糖および低血糖)、ならびにHbA1cを含むベースライン血糖パラメーターからの変化を含む。連続安全性データを、投与量レベルおよび処置(実薬またはプラセボ)毎に記述統計学(加算平均、標準偏差[SD]、中央値、最小値、および最大値)を用いて要約する。カテゴリー別の安全性データを、用量レベル、処置群、および適用可能な場合は日毎の頻度数およびパーセンテージを用いて要約する。AEを、最新のMedical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)バージョンを使用してコード化する。報告者が使用した用語、基本語、器官別大分類(SOC)、処置、重症度、および試験薬との関連を含む、対象毎のAEデータリストを提供する。処置下で発現したAE(TEAE)を経験した対象の数ならびに個々のTEAEおよび注射部位反応の数を、処置群、SOCおよび基本語毎に要約する。TEAEをまた、重症度および試験薬との関連毎に要約する。肝機能検査および空腹時血清グルコース、バイタルサイン(RPPの計算を含む)、ならびにECG評価を含む臨床検査評価を、処置群、用量レベル、およびプロトコールが指定した収集時点毎に要約する。プロトコールが指定した各時点におけるベースラインからの変化の要約も、処置群毎に示す。理学的検査の変化も各対象について列挙する。併用薬を、対象毎に列挙し、最新版の世界保健機関(WHO)薬物辞書を使用してコード化する。病歴を、最新のMedDRAバージョンを用いてコード化し、対象毎に記載する。
【0168】
薬力学(PD)の目的は、NASH対象における肝脂肪分画、人体測定パラメーター(例えば、体重、ウエスト周囲径、BMI)、脂質代謝(例えば、コレステロール(総コレステロール、低密度リポタンパク質(LDL-C)、高密度リポタンパク質(HDL-C)、アポリポタンパク質(Apo)AおよびB、リポタンパク質(a)、ならびにトリグリセリド(TG))、代謝マーカー(例えば、レプチン、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、アディポネクチン)、炎症マーカー(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1(PAI-1)、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、インターロイキン-6(IL-6)、ならびにプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1(PAI-1))、線維症マーカー(例えば、N末端III型コラーゲンプロペプチド(Pro-C3)、強化肝線維症(ELF)検査)、ならびに脂肪毒性マーカーに対するALT-801の作用を評価することである。インスリン感受性および分泌、人体測定パラメーター、脂質代謝、代謝マーカー、脂質毒性マーカー、および炎症マーカーの変化を列挙し、記述統計学(症例数(N)、加算平均、SD、中央値、最小値、最大値、幾何平均、および幾何学的変動係数(CV%))を用いて処置群毎に要約する。ベースラインBMIのPDパラメーターに対する作用を、共変量解析により評価する。
【0169】
クオリティ・オブ・ライフ(QoL)への作用もモニターする(ベースラインと比較したShort Form-36およびImpact of Weight on Quality of Life-Lite Clinical Trialsバージョン(CTについてのIWQoL-Lite)の変化)。身体的健康および精神的健康の2つの概要スコア、SF-36についての8つのドメインスコア、ならびにCTについてのIWQoL-Liteの複合スコアのベースラインからの変化を列挙し、記述統計学(N、加算平均、SD、中央値、最小値、最大値、幾何平均、および幾何学的CV%)を用いて処置群毎に要約する。連続評価項目に適用可能な推測統計を、上記の通り適用する。
【0170】
薬物動態(PK)の目的は、ALT-801濃度およびベースラインからのメトホルミン濃度の変化を評価することである。個々のALT-801およびメトホルミン濃度データを列挙し、記述統計学(N、加算平均、SD、CV%、中央値、最小値、および最大値)を用いて処置群および時点毎に要約する。各コホートの個々および平均±SD ALT-801濃度-時間プロファイルをグラフで示す。ベースラインからのメトホルミン濃度の変化を列挙し、記述統計学(N、加算平均、SD、CV%、中央値、最小値、および最大値)を用いて処置群および時点毎に要約する。個々の対象ALT-801血漿中濃度時間曲線および関連するPKパラメーターの予測を可能にする集団PKモデルを開発する。性別、年齢、体重、BMI、および併用薬を含む共変量を可能な限り検討し、有効性と安全性の評価項目について曝露応答関係を可能な限り検討する。
【0171】
本試験の結果は、NASHを有する対象における週1回、最大12回の皮下(SC)注射によって投与したALT-801は、対象において安全であり、忍容性であり、プラスのPD、クオリティ・オブ・ライフ、およびPK作用、ならびにグルコース制御を示す。
【0172】
実施例8
ALT-801を用いた処置による肝脂肪の低減
本実施例は、ヒト対象の肝脂肪分画に対するALT-801の作用を評価する試験を記載する。組み入れ基準を満たし、除外基準を満たさない対象を、以下の処置群:1)ALT-801、1.2mg、SC、週1回、12週間;2)ALT-801、1.8mg、SC、週1回、12週間;3)1週目のALT-801、0.6mg、SC、2週目の1.2mg、SC、1.8mg、SC、週1回、2週間(3および4週目)、ならびに2.4mg、SC、週1回、5~12週目;またはプラセボ(0.9%NaCl)、皮下(SC)、週1回、12週間の1つに1:1:1:1で無作為化する。結果を表19~23(前実施例の表11および16~18も参照)および図6~13に示す。図6~8は、すべての測定可能な対象に関するデータを示し、安全性に重大な問題はなく、肝脂肪低減を示している。図9~10は、脂肪肝対象(脂肪肝疾患を有する対象)に関するデータを示す。
【0173】
【表20】
【0174】
【表21】
【0175】
【表22】
【0176】
【表23】
【0177】
上記のように、1.8mgおよび2.4mgのALT-801を用いた6週間の処置後の、ベースラインでMRI-PDFF>5%を有する対象におけるMRI-PDFFで測定した肝脂肪含有量における強固な変化(平均相対変化率90%超)。6週目の平均体重減少は、1.2mg、1.8mgおよび2.4mgのALT-801で、それぞれ、1.8%、5.4%、および4.7%であり、プラセボでの平均体重増加は0.9%であった。本試験の結果は、ALT-801が、脂肪症(脂肪肝疾患)を有する対象を含む、対象における肝脂肪を低減したことを示す。PKプロファイルにより、週1回の投与が適切であることを確認した。血圧および血清脂質レベルも、すべての群を改善した。グルコースホメオスタシスを維持した。脂肪燃焼増加の指標であるケトン体産生(期待したグルカゴン効果)も改善した。
【0178】
試薬およびそれを使用する方法の他の利点も、当業者に理解されるように、本明細書中に提供される。ある特定の実施形態を好ましい実施形態の観点から説明してきたが、当業者には変形および変更が生じることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、以下の特許請求の範囲内に入るすべてのそのような等価な変形をカバーすることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【配列表】
2024500324000001.app
【国際調査報告】