(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20231226BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20231226BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20231226BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20231226BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20231226BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/14 200
B01D53/18 130
C01B32/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534401
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 US2021062247
(87)【国際公開番号】W WO2022125574
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518273633
【氏名又は名称】カーボン・エンジニアリング・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・エドワード・オルムステッド
(72)【発明者】
【氏名】メーガン・リン・オブライエン
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ジュリエット・ペナ・バスティダス
(72)【発明者】
【氏名】タッド・アーネスト・ウィルク
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA02
4D002CA01
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4D002DA02
4D002DA03
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4D002GA01
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4D020BA08
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4D020BA19
4D020BA30
4D020BB03
4D020CB08
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4D020CB35
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4D020DB05
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4G146JA02
4G146JB10
4G146JC29
4G146JC34
4G146JD03
4G146JD10
(57)【要約】
CO2を希釈気体混合物から除去するためのシステムは、複数の構造部材を備えるフレームと、1つまたは複数の充填物シートを含む少なくとも1つの充填物区域であって、1つまたは複数の充填物シートは、複数のマクロ構造を含む、少なくとも1つの充填物区域と、少なくとも1つの充填物区域の下方に少なくとも部分的に位置決めされ、CO2回収溶液を保持するように構成される1つまたは複数の液溜め部と、少なくとも1つの充填物区域を通じてCO2含有ガスを循環させるように位置決めされる少なくとも1つのファンと、CO2回収溶液を少なくとも1つの充填物区域へと流すように構成される液体分配システムとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO
2を希釈気体混合物から除去するためのシステムであって、
複数の構造部材を備えるフレームと、
1つまたは複数の充填物シートを備える少なくとも1つの充填物区域であって、前記1つまたは複数の充填物シートは、複数のマクロ構造を備える、少なくとも1つの充填物区域と、
前記少なくとも1つの充填物区域の下方に少なくとも部分的に位置決めされ、CO
2回収溶液を保持するように構成される1つまたは複数の液溜め部と、
前記少なくとも1つの充填物区域を通じてCO
2含有ガスを循環させるように位置決めされる少なくとも1つのファンと、
前記CO
2回収溶液を前記少なくとも1つの充填物区域へと流すように構成される液体分配システムと
を備える、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの充填物区域および前記ファンは、前記CO
2含有ガスを、前記CO
2回収溶液に対して交差流の構成で、前記少なくとも1つの充填物区域を通じて流すように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの充填物区域および前記ファンは、前記CO
2含有ガスを、前記CO
2回収溶液に対して向流の構成で、前記少なくとも1つの充填物区域を通じて流すように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記液体分配システムは、
前記フレームの上部またはその近くに位置決めされる1つまたは複数の上液溜め部と、
前記1つまたは複数の上液溜め部の下方で、前記少なくとも1つの充填物区域の中に位置決めされる1つまたは複数の再分配システムと、
前記フレームの下部またはその近くに位置決めされる1つまたは複数の下液溜め部と
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数の充填物シートは、第1の角度での漸進通路の第1のセットと、前記第1の角度より大きい第2の角度での漸進通路の第2のセットとを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の角度は15度であり、前記第2の角度は45度以下である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つまたは複数の充填物シートは、親水性表面被覆を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数の充填物シートは、プラズマ処理、火炎処理、コロナ処理、または化学処理のうちの少なくとも1つを含む親水性表面処理を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のマクロ構造は、波形、溝、ヘリンボーン、または通路のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つまたは複数の充填物シートは、複数のミクロ構造をさらに備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のミクロ構造は、前記波形と非平行である複数の隆条を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記波形は、前記1つまたは複数の液溜め部から前記少なくとも1つの充填物区域への前記CO
2回収溶液の流れの方向とアラインされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のミクロ構造は、隆条、窪み、小孔、エッチング、顆粒、繊維、穿孔、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記隆条は、複数の交差流動隆条を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記親水性表面被覆は、セルロース層と、EVA層またはPVC接着剤層のうちの少なくとも一方とを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
前記親水性表面被覆は、少なくとも1つのアクリル被覆を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのアクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンのうちの少なくとも一方を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのアクリル被覆は、
前記ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または前記自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンを備える第1のアクリル層と、
前記自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと混合された前記ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体を備える第2のアクリル層と
を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体は、前記自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと、20/80、80/20、または50/50のうちの1つの割合で混合する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つまたは複数の充填物シートは、親水性材料組成を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記親水性材料組成は、PVC樹脂またはビニル化合物を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記親水性材料組成は、成形型および真空成形加工により親水性充填物材料の1つまたは複数の層へと形成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記CO
2回収溶液は、低表面張力のCO
2回収溶液を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つまたは複数の充填物シートは、速度向上添加物または速度向上被覆のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記1つまたは複数の充填物シートは、複数の溶解可能固体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記複数の溶解可能固体は、炭酸カルシウム(CaCO
3)または炭酸カリウム(K
2CO
3)のうちの少なくとも一方を備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記CO
2回収溶液は、苛性回収溶液を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
二酸化炭素(CO
2)を回収するためのシステムを動作させる方法であって、
CO
2を含む希釈気体混合物を気体-液体接触器の1つまたは複数の充填物区域へと流すステップと、
前記気体-液体接触器の前記1つまたは複数の充填物区域にわたって回収溶液を流すステップであって、前記1つまたは複数の充填物区域は、少なくとも1つの充填物シートを含み、前記少なくとも1つの充填物シートは、複数のマクロ構造を備える、ステップと、
CO
2希薄ガスを生成するために、前記希釈気体混合物を前記回収溶液と反応させるステップと、
前記気体-液体接触器から前記CO
2希薄ガスを放出するためにファンを動作させるステップと
を含む、方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの充填物シートは、前記少なくとも1つの充填物シートの少なくとも一部分を覆う親水性被覆を備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記親水性被覆は、少なくとも1つのアクリル被覆を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのアクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンのうちの少なくとも一方を備える、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つのアクリル被覆は、
前記ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または前記自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンを備える第1のアクリル層と、
前記自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと混合された前記ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体を備える第2のアクリル層と
を備える、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体は、前記自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと、20/80、80/20、または50/50のうちの1つの割合で混合する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記親水性被覆は、セルロース層と、EVAまたはPVC接着剤のうちの少なくとも一方を含む接着層とを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記親水性被覆は、ファウリング層を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記複数のマクロ構造は、波形、溝、ヘリンボーン、または通路のうちの少なくとも1つを備える、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの充填物シートは、複数のミクロ構造を備える、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記複数のミクロ構造は、穿孔、隆条、窪み、小孔、エッチング、顆粒、または繊維のうちの少なくとも1つを備える、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記隆条は、複数の交差流動隆条を備える、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
CO
2を含む前記希釈気体混合物を前記気体-液体接触器の1つまたは複数の充填物区域へと流すステップは、前記1つまたは複数の充填物区域の下方に位置決めされる吸気プレナムへと前記希釈気体混合物を引き込むことを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
CO
2を含む前記希釈気体混合物を前記気体-液体接触器の1つまたは複数の充填物区域へと流すステップは、前記希釈気体混合物を、前記1つまたは複数の充填物区域を通じて、前記回収溶液の平均液体流れ方向と平行である平均気体流れ方向において循環させることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記回収溶液を前記気体-液体接触器の前記1つまたは複数の充填物区域にわたって流すステップは、前記回収溶液を、0L/m
2sから10L/m
2sまでの範囲の液体充填速さで流すことを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの充填物シートは、複数の溶解可能固体を備える、請求項28に記載の方法。
【請求項44】
前記複数の溶解可能固体は、炭酸カルシウム(CaCO
3)または炭酸カリウム(K
2CO
3)のうちの少なくとも一方を備える、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記回収溶液は、苛性溶液を含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素を回収するためのシステム、装置、および方法を説明する。
【背景技術】
【0002】
大気から二酸化炭素(CO2)を回収することは、温室効果ガス排出を低減し、気候変動を減速させる1つの手法である。しかしながら、産業施設の燃焼排気などの点発生源からのCO2回収のために設計された多くの技術は、著しく低いCO2濃度、および処理する必要のある大量の空気に起因して、大気からCO2を回収するときに概して日効果的である。近年、大気からCO2を直接的に回収するのにより良く適合された技術の発見において進展があった。これらの直接空気回収(DAC)システムには、活性剤が基材に付着させられる固体吸着剤を使用するものがある。これらのDACシステムは、典型的には、周期的な吸着-脱着プロセスを用い、その場合、固体吸着剤は、CO2で飽和させられた後、湿気または熱スイングを使用してCO2を放出し、再生させられる。固体吸着剤DACシステムは、高いサイクル収率を有することができるが、大規模な展開は、バッチ処理に固有の保守の要件に起因して、困難である。
【0003】
他のDACシステムは、CO2を大気から回収するために、液体吸着剤(溶媒と称されることもある)を使用する。このような気体-液体接触システムの例は、冷却塔の設計に基づかれるものであり、そこでは、液体吸着剤を含む溶液で濡らされた大きな表面積の充填物にわたって空気を引き込むために、ファンが使用される。空気におけるCO2は液体吸着剤と反応する。濃い溶液は、薄い溶液を再生するために、および、濃縮されたCO2の流動を放出するために、下流でさらに処理される。冷却塔に基づいて設計されるDACシステムは、いくつかの商業的に利用可能な機器の他に、既存の供給網および関連する設備を用いること、および、特定の環境において他の環境より効率的に動作することができることが部分的な理由で、有利である。DACシステムは、簡単に保守可能で、動作的に柔軟であることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な実装では、CO2を希釈気体混合物から除去するためのシステムが、複数の構造部材を備えるフレームと、1つまたは複数の充填物シートを備える少なくとも1つの充填物区域であって、1つまたは複数の充填物シートは、複数のマクロ構造を備える、少なくとも1つの充填物区域と、少なくとも1つの充填物区域の下方に少なくとも部分的に位置決めされ、CO2回収溶液を保持するように構成される1つまたは複数の液溜め部と、少なくとも1つの充填物区域を通じてCO2含有ガスを循環させるように位置決めされる少なくとも1つのファンと、CO2回収溶液を少なくとも1つの充填物区域へと流すように構成される液体分配システムとを含む。
【0005】
例示的な実装と組み合わせ可能な態様において、少なくとも1つの充填物区域およびファンは、CO2含有ガスを、CO2回収溶液に対して交差流の構成で、少なくとも1つの充填物区域を通じて流すように構成される。
【0006】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つの充填物区域およびファンは、CO2含有ガスを、CO2回収溶液に対して向流の構成で、少なくとも1つの充填物区域を通じて流すように構成される。
【0007】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、CO2回収溶液は、KOHを含む。
【0008】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、液体分配システムは、フレームの上部またはその近くに位置決めされる1つまたは複数の上液溜め部と、1つまたは複数の上液溜め部の下方で、少なくとも1つの充填物区域の中に位置決めされる1つまたは複数の再分配システムと、フレームの下部またはその近くに位置決めされる1つまたは複数の下液溜め部とを備える。
【0009】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の充填物シートは、第1の角度での漸進通路の第1のセットと、第1の角度より大きい第2の角度での漸進通路の第2のセットとを備える。
【0010】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、第1の角度は15度であり、第2の角度は45度以下である。
【0011】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の液溜め部のうちの少なくとも1つから少なくとも1つの充填物区域へのCO2回収溶液の流れは、膜流れ状態を含む。
【0012】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の充填物シートは親水性表面被覆を備える。
【0013】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性表面被覆はセルロース被覆を備える。
【0014】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、セルロース被覆はエチレン酢酸ビニル(EVA)層とセルロース層とを備える。
【0015】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、セルロース被覆は、カレンダ加工で、親水性充填物材料の1つまたは複数の層に適用される。
【0016】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性表面被覆は、親水性充填物材料の1つまたは複数の層の各々の両側に適用される。
【0017】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性表面被覆はアクリル被覆を備える。
【0018】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、アクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンのうちの少なくとも一方を備える。
【0019】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、アクリル被覆は複数のアクリル層を備える。
【0020】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のアクリル層は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンの第1のアクリル層と、自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと混合されたウレタン-アクリルハイブリッド共重合体の第2のアクリル層とを備える。
【0021】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性表面被覆はファウリング層を備える。
【0022】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の充填物シートは親水性表面処理を含む。
【0023】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性表面処理は、プラズマ処理、火炎処理、コロナ処理、または化学処理のうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のマクロ構造は、波形、溝、ヘリンボーン、または通路のうちの少なくとも1つを備える。
【0025】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の充填物シートは複数のミクロ構造をさらに備える。
【0026】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のミクロ構造は、波形と非平行である複数の隆条を備える。
【0027】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、波形は、1つまたは複数の液溜め部から少なくとも1つの充填物区域へのCO2回収溶液の流れの方向とアラインされる。
【0028】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のミクロ構造は、隆条、窪み、小孔、エッチング、顆粒、繊維、穿孔、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える。
【0029】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、隆条は複数の交差流動隆条を備える。
【0030】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の充填物シートは、1つまたは複数の充填物シートの少なくとも一部分を覆う少なくとも1つの親水性被覆を含む。
【0031】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つの親水性被覆はセルロース層と、EVA層またはPVC接着剤層のうちの少なくとも一方とを備える。
【0032】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つの親水性被覆は少なくとも1つのアクリル被覆を備える。
【0033】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つのアクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンのうちの少なくとも一方を備える。
【0034】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つのアクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンを備える第1のアクリル層と、自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと混合されたウレタン-アクリルハイブリッド共重合体を備える第2のアクリル層とを備える。
【0035】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体は、自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと、20/80、80/20、または50/50のうちの1つの割合で混合する。
【0036】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つの親水性被覆はファウリング層を備える。
【0037】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の充填物シートは親水性材料組成を含む。
【0038】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性材料組成はPVC樹脂またはビニル化合物を含む。
【0039】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性材料組成は、成形型および真空成形加工により親水性充填物材料の1つまたは複数の層へと形成される。
【0040】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、CO2回収溶液は低表面張力のCO2回収溶液を含む。
【0041】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、低表面張力のCO2回収溶液は、少なくとも1つの充填物区域に吹き付けられる噴霧CO2回収溶液を含む。
【0042】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、低表面張力のCO2回収溶液は速度向上添加物を含む。
【0043】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、速度向上添加物は、炭酸脱水酵素、ピペラジン、MEA、DEA、トリアザサイクル亜鉛、テトラアザサイクル亜鉛、グリシン酸銅、ヒドロキソペンタアミンコバルト過塩素酸塩、ホルムアルデヒド水和物、サッカロース、フルクトース、グルコース、フェノール、フェノレート、グリセリン、亜ヒ酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、または他のオキシアニオン種のうちの少なくとも1つを含む。
【0044】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、速度向上添加物は、CO2回収溶液内の1つまたは複数のカプセルにおいて不動とされる。
【0045】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の充填物シートは速度向上添加物を含む。
【0046】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、速度向上添加物は、炭酸脱水酵素、ピペラジン、MEA、DEA、トリアザサイクル亜鉛、テトラアザサイクル亜鉛、グリシン酸銅、ヒドロキソペンタアミンコバルト過塩素酸塩、ホルムアルデヒド水和物、サッカロース、フルクトース、グルコース、フェノール、フェノレート、グリセリン、亜ヒ酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、または他のオキシアニオン種のうちの少なくとも1つを含む。
【0047】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の充填物シートは、速度向上添加物を含む速度向上被覆を備える。
【0048】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、1つまたは複数の充填物シートは複数の溶解可能固体を含む。
【0049】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数の溶解可能固体は炭酸カルシウム(CaCO3)または炭酸カリウム(K2CO3)のうちの少なくとも一方を備える。
【0050】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、CO2回収溶液は苛性回収溶液を含む。
【0051】
他の例示的な実装において、二酸化炭素(CO2)を回収するためのシステムを動作させる方法が、CO2を含む希釈気体混合物を気体-液体接触器の1つまたは複数の充填物区域へと流すステップと、気体-液体接触器の1つまたは複数の充填物区域にわたって回収溶液を流すステップであって、1つまたは複数の充填物区域は、少なくとも1つの充填物シートを含み、少なくとも1つの充填物シートは、複数のマクロ構造を備える、ステップと、CO2希薄ガスを生成するために、希釈気体混合物を回収溶液と反応させるステップと、気体-液体接触器からCO2希薄ガスを放出するためにファンを動作させるステップと含む。
【0052】
例示的な実装と組み合わせ可能な態様において、少なくとも1つの充填物シートは、少なくとも1つの充填物シートの少なくとも一部分を覆う親水性被覆を備える。
【0053】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性被覆は少なくとも1つのアクリル被覆を備える。
【0054】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つのアクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンのうちの少なくとも一方を備える。
【0055】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つのアクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンを備える第1のアクリル層と、自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと混合されたウレタン-アクリルハイブリッド共重合体を備える第2のアクリル層とを備える。
【0056】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体は、自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと、20/80、80/20、または50/50のうちの1つの割合で混合する。
【0057】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性被覆は、セルロース層と、EVAまたはPVC接着剤のうちの少なくとも一方を含む接着層とを備える。
【0058】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性被覆はファウリング層を備える。
【0059】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のマクロ構造は、波形、溝、ヘリンボーン、または通路のうちの少なくとも1つを備える。
【0060】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つの充填物シートは複数のミクロ構造を備える。
【0061】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のミクロ構造は、穿孔、隆条、窪み、小孔、エッチング、顆粒、または繊維のうちの少なくとも1つを備える。
【0062】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、隆条は複数の交差流動隆条を備える。
【0063】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、CO2を含む希釈気体混合物を気体-液体接触器の1つまたは複数の充填物区域へと流すステップは、1つまたは複数の充填物区域の下方に位置決めされる吸気プレナムへと希釈気体混合物を引き込むことを含む。
【0064】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、CO2を含む希釈気体混合物を気体-液体接触器の1つまたは複数の充填物区域へと流すステップは、希釈気体混合物を、1つまたは複数の充填物区域を通じて、回収溶液の平均液体流れ方向と平行である平均気体流れ方向において循環させることを含む。
【0065】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、回収溶液を気体-液体接触器の1つまたは複数の充填物区域にわたって流すステップは、回収溶液を、0L/m2sから10L/m2sまでの範囲の液体充填速さで流すことを含む。
【0066】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つの充填物シートは複数の溶解可能固体を備える。
【0067】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数の溶解可能固体は炭酸カルシウム(CaCO3)または炭酸カリウム(K2CO3)のうちの少なくとも一方を備える。
【0068】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、回収溶液は苛性溶液を含む。
【0069】
他の例示的な実装において、CO2回収溶液を分配するための装置が、CO2回収溶液とCO2含有ガスとを接触させるように位置決めされる複数の充填物シートを備える充填物区域を備え、充填物区域の第1の端から充填物区域の第2の端への距離が2メートルから10メートルの間である。
【0070】
例示的な実装と組み合わせ可能な態様において、液体充填速さは0L/m2sから10L/m2sまでの範囲である。
【0071】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、CO2回収溶液は苛性回収溶液を含む。
【0072】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数の充填物シートのうちの少なくとも1つの充填物シートは複数のマクロ構造を備える。
【0073】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のマクロ構造は、波形、溝、ヘリンボーン、または通路のうちの少なくとも1つを備える。
【0074】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、波形のうちの少なくとも1つは0.5インチから4インチまでの幅を有する。
【0075】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数の充填物シートの各々の充填物シートは、複数の充填物シートのうちの他の充填物シートから少なくとも0.2インチは離して位置決めされる。
【0076】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数の充填物シートのうちの少なくとも1つの充填物シートは複数のミクロ構造を備える。
【0077】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のミクロ構造の各々のミクロ構造は、幅が10mm未満である。
【0078】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のミクロ構造の各々のミクロ構造は、隆条、窪み、小孔、エッチング、顆粒、繊維、または穿孔のうちの少なくとも1つで成形される。
【0079】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、隆条の各々は、CO2回収溶液の流れ方向に対して非平行な角度で向き付けられる長さを有する。
【0080】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、非平行な角度は垂直の角度を含む。
【0081】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数の充填物シートのうちの少なくとも1つの充填物シートは、少なくとも1つの充填物シートの少なくとも一部分を覆う少なくとも1つの親水性被覆を含む。
【0082】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つの親水性被覆は第1の親水性被覆が、セルロース層と、EVA層またはPVC接着剤層のうちの少なくとも一方とを備える。
【0083】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、セルロース層は、50μmから100μmの間のセルロース層厚さを含む。
【0084】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、EVA層は、少なくとも30μmのEVA層厚さを含む。
【0085】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つの親水性被覆は少なくとも1つのアクリル被覆を備える。
【0086】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つのアクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンのうちの少なくとも一方を備える。
【0087】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つのアクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンを備える第1のアクリル層と、自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと混合されたウレタン-アクリルハイブリッド共重合体を備える第2のアクリル層とを備える。
【0088】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体は自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンを被覆する。
【0089】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体は、自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと、20/80、80/20、または50/50のうちの1つの割合で混合する。
【0090】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つの親水性被覆はファウリング層を備える。
【0091】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数の充填物シートは複数の溶解可能固体を備える。
【0092】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数の溶解可能固体は炭酸カルシウム(CaCO3)または炭酸カリウム(K2CO3)のうちの少なくとも一方を備える。
【0093】
他の例示的な実装において、充填物区域を製造する方法が、充填物材料を含む充填物材料原料を提供することと、複数のマクロ構造を形成するために充填物材料を成形することとを含む。
【0094】
例示的な実装と組み合わせ可能な態様が、親水性被覆を充填物材料に適用することをさらに含む。
【0095】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性被覆を適用することは、少なくとも1つのアクリル被覆を適用することを含む。
【0096】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つのアクリル被覆は、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンのうちの少なくとも一方を備える。
【0097】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、少なくとも1つのアクリル被覆を適用することは、ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体または自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンの第1のアクリル層を適用することと、自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンと混合されたウレタン-アクリルハイブリッド共重合体の第2のアクリル層を適用することとを含む。
【0098】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、親水性被覆を適用することは、接着層を接着温度へと加熱することと、接着層を充填物材料に適用することと、セルロース層を接着層および充填物材料にわたって置くことと、加熱ローラを用いてセルロース層を接着層に押し付けることとを含む。
【0099】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、接着層は、エチレン酢酸ビニル(EVA)と、少なくとも30μmの接着層厚さとを含む。
【0100】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、接着層はPVC接着剤を含む。
【0101】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、セルロース層は、50μmから100μmまでのセルロース層厚さを含む。
【0102】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、充填物材料はプラスチック基材を含む。
【0103】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、プラスチック基材はPVCを含む。
【0104】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、充填物材料を成形することはカレンダローラのセットを用いてプラスチック基材を成形すること含む。
【0105】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様は、充填物材料において複数のミクロ構造を形成することを含む。
【0106】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、充填物材料において複数のミクロ構造を形成することは、隆条、窪み、小孔、エッチング、顆粒、繊維、または穿孔のうちの少なくとも1つを形成することを含む。
【0107】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のミクロ構造の各々のミクロ構造は、幅が10mm未満である。
【0108】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、充填物材料において複数のミクロ構造を形成することは、複数の溶解可能固体を充填物材料へと導入することと、複数の溶解可能固体の少なくとも一部分を溶解流体で除去することとを含む。
【0109】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数の溶解可能固体は炭酸カルシウム(CaCO3)または炭酸カリウム(K2CO3)のうちの少なくとも一方を備える。
【0110】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、充填物材料において複数のミクロ構造を形成することは、充填物材料を機械的にエッチングすることを含む。
【0111】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、充填物材料において複数のミクロ構造を形成することは、複数の表面粒子を充填物材料へと導入することを含み、表面粒子は、繊維または顆粒の少なくとも一方を含む。
【0112】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様が、表面処理を充填物材料に適用することをさらに含み、表面処理は、プラズマ処理、火炎処理、またはコロナ処理の少なくとも1つを含む。
【0113】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様は、速度向上添加物を充填物材料に適用することをさらに含む。
【0114】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のマクロ構造を形成するために充填物材料を成形することは、充填物材料を真空成形および熱成形することを含む。
【0115】
先行する態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な他の態様において、複数のマクロ構造を形成するために充填物材料を成形することは、波形または通路の少なくとも一方を形成することを含む。
【0116】
本開示による二酸化炭素を回収するためのシステムおよび方法の実施は、以下の特徴のうちの1つ、いくつか、または全部を含み得る。例えば、本発明に記載されている特徴を伴う充填物は、市販のDAC用途に明確に設計されており、そのため、CO2取り込み能力を相当に犠牲にすることなく、空気体積、充填物深さ、液体流れ、および空気接触器の設置面積のうちの少なくとも1つを低減する能力を有する。良好な性能を反映するDAC充填物の設計基準には、小さい静圧の設計、充填材高さを通じて液体を均一に分配する能力、低ファウリング能力、空気接触効率における増加、より少ない材料の要件、より大きい充填の大きさの効率性の効果、および製造性がある。本発明において記載されている特徴の使用を通じて、必要とされる充填材体積の量を低減することは、所与のプラント回収率のために必要とされる商業的な空気接触器の大きさおよび/または数を低減もし、本明細書で言及されているようなDAC動作条件の下で充填物材料の信頼性を向上させることは、より長い耐用期間と、保守のコストにおける低減とを提供するはずである。
【0117】
本開示に記載されている主題の1つまたは複数の実装の詳細は、添付の図面および以下の記載において述べられている。本主題の他の特徴、態様、および利点は、本明細書、図面、および特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【
図1A】充填物と気体-液体接触器の他の要素との間の境界面の例示的な例を示す図である。
【
図1B】充填物と気体-液体接触器の他の要素との間の境界面の例示的な例を示す図である。
【
図2】本開示による例示的な気体-液体接触器を示す図である。
【
図3】充填物表面における回収溶液の流れ状態における接触角度の例示的な効果を描写する図である。
【
図4】被覆されていない表面、1つまたは複数のアクリル層で被覆されている表面、および、ファウリング層を伴う表面における被覆および回収溶液の接触角度の例を示す図である。
【
図5】例示的なセルロース被覆された充填物を示す図である。
【
図7】波形の縁と滑らかな縁とを有する例示的な波形充填物シートを示す図である。
【
図8】漸進通路を形成する充填物シートを備える例示的な充填物区域を示す図である。
【
図9】充填物シートにおけるミクロ構造の例を示す図である。
【
図10】回収溶液の高い流量および低い流量における、交差流動隆条を有する例示的な充填物シート、流動方向隆条を有する例示的な充填物シート、および隆条なしの(平坦な)例示的な充填物シートの接触領域を比較する図である。
【
図11】溶解可能固体を使用して充填物シートにおいてミクロ構造を形成するための例示的な手法を示す図である。
【
図12】噴霧溶液の液体境界面との相互作用を示す図である。
【
図13】気体-液体接触器システムのための例示的な制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
本開示は、CO2を、CO2を含む大気または他の流体源(空気など)からCO2を気体-液体接触器で回収するためのシステムおよび方法を記載している。ある態様では、気体-液体接触器は、液体CO2吸着剤の流れおよびCO2含有空気流の流れを受け入れるように位置決めされた充填物材料の複数のシートを備える充填物(本明細書では「充填材」とも称される)を含む。充填物は複数の充填物区域を備えることができ、各々の充填物区域は1つまたは複数の充填物シートを備え得る。充填物シートは、充填物の三次元構造(例えば、ブロック、柱、立方体など)であり得る充填物区域を形成するために配置できる。いくつかの態様において、充填物は、充填物の少なくとも一部分にわたって、液体CO2吸着剤とCO2含有空気流の流れとの間の接触を最大限にするために、疎水性ではなく親水性を呈するように(つまり、親水性充填物として)構成される。
【0120】
本開示における充填物の例示的な実装は、好ましい実施において、従来の冷却塔用途または充填カラム用途などではなく、DAC用途のために設計される。このような設計上の検討事項は多数ある。例えば、化学処理プラントにおいて「スクラバ」または「ガススクラバ」としても知られている充填カラムまたは「充填塔」のために生産される充填物は、おおよそ5~15v/v%のCO2濃度のために設計される。したがって、相当に小さい体積の気体が、DACを使用して等価の量のCO2を空気から回収するために、化学プロセス充填塔における処理のために必要とされる。そのため、化学処理施設における回収の動力学は、概して、DACシステムにおけるような希釈CO2濃度の吸収と比較してより好ましい。
【0121】
化学プロセス向流充填カラムは、例えばフラッディングといった特定の問題に直面する。フラッディングは、充填カラムにおいて一方向に移動している気体が、充填カラムにおいて反対方向に移動している液体を同伴する現象である。充填カラムにわたる大きな圧力損失に加えて、吸収プロセスの性能および安定性に有害である他の効果を引き起こす可能性があるので、フラッディングは望ましくない。化学プロセスの対向流の吸収体カラムにおけるL/G速度に対する直径の比は、対向流の空気接触器の場合と同じではなく、そのため、空気接触器における対向流の構成は化学スクラブ塔と同じ問題には出くわさない。そのため、CCS技術とDAC技術との両方がCO2を気体流動から回収する一方で、それらの異なる原料およびプロセス条件のため、両方の技術についてのプロセス設計は異なる。
【0122】
従来の冷却塔と比較して多くの設計上の検討事項もある。例えば、冷却塔の産業界からの商業的に利用可能な充填物は、水との使用のために、および、DACシステムにとって重要である物質移動についてあまり考慮せずに熱伝達を最大化するために、設計されている。冷却塔では、構造上の骨格が、冷却塔セルの充填材空間内に積み重ねまたは垂れ下げされる充填物を支持する。商業的に利用可能な充填物は、金属板(例えば、鋼鉄)、またはPVCなどのプラスチックから形成できる。金属から形成されたある構造化された充填物は優れた濡れ性を有するが、金属充填物は高価であり、重量がある。PVCは、軽量、成形可能、および手頃であり、ほとんどの化学物質に対して耐性があるので、一般に冷却塔において使用される。
【0123】
飛沫式充填材および膜式充填材の2種類の構造化された充填物が、冷却塔において従来から使用されている。飛沫式充填材は、典型的には均一に離間され、水平に位置決めされる飛沫バーから成る。飛沫バーは、液体の流れを壊し、飛沫バー同士の間の空間を通じて、および、他の飛沫バーへと、液体の滝状の流れをもたらし、気体と反応する液滴および濡れた表面を作り出す。飛沫式充填材を使用することの主な問題は、飛沫バーが、気体の流れを妨げ得る弛みを起こしやすく、液体の道筋をもたらし、性能を低下させることである。飛沫バーシステムは、非常に小さい比表面積も有する。DAC用途のためにそれ自体において使用される飛沫式充填材は、等価の物質移動の制約および反応動力学を可能とするために、相当により多い量の回収溶液を必要とする。
【0124】
膜式充填材は、充填材の表面において薄膜へと液体が拡がることを促進するように設計される。これは、気体への液体の最大の露出を可能にする。飛沫式充填材を膜式充填材と比較すると、膜式充填材は、単位体積あたりの充填材空間においてより効率的な物質移動の能力を有するため、概してDACとより相性が良い。膜式充填材は、飛沫式充填材よりはるかに高い、体積に対する比表面積の比率(m2/m3における「比表面積」)を提供する。高い比表面積は、回収溶液の表面へのCO2の露出にとって重要なだけでなく、コストおよび構造の影響も有する。比表面積がより小さくなると、空気から大きな割合のCO2を吸収するために必要とされる充填物は多くなる。より多くの充填物は、充填物を保持するために必要とされる構造上の骨格の複雑性および大きさの増加をもたらす。
【0125】
DAC充填物の表面粗さを変えるために利用され得る特徴は、冷却塔充填物の特徴とは異なる可能性がある。表面粗さを有する商業的に利用可能な冷却塔の充填物は、しばしば、冷却塔において生物学的ファウリングの問題をもたらす。生物学的ファウリングは、水による開放システムの条件が微生物の増殖にとって好ましい環境を作り出す可能性があるため生じる。対照的に、例えば、高いpHを有する、または、苛性溶液または炭酸塩溶液を含む回収溶液を実装するDACシステムは、この懸念を共有せず、そのため、冷却塔の充填物と比較して、より幅広い特徴を用いることができる。
【0126】
一般に、商業的に利用可能な冷却塔は、一番の目的は熱伝達であるため、プロセス熱を冷却水から除去するために大量の空気を効率的に移動しなければならない。しかしながら、DACのゴールが熱伝達ではなくCO2の物質移動であることを考えれば、DACで処理されなければならない空気における希釈CO2濃度(1v/v%未満)との組み合わせで、有意な量のCO2を回収するために、大量の空気がDACシステムの空気接触器によって処理されなければならない。DACの目的が、熱伝達ではなく、空気の体積からの希釈量のCO2の物質移動であるため、より多くの充填物が、充填物の特定の密度について、冷却塔においてよりもDAC用途のために必要とされる。気体-液体接触器における充填物を空気が進む深さ(例えば、充填物深さ)は、直接空気回収については2~10メートルの範囲とでき、これは、典型的には冷却塔で使用される数フィートだけの充填物深さより大きい。
【0127】
DACシステムの気体-液体接触器(空気接触器など)が、冷却塔の液体の流れより実質的に少ない液体の流れの使用により、間欠的に濡れることになる。少ない液体の流れのいくつかの利点は、汲み上げ機器、設備に加え、ポンプおよびファンの動力の要件が低減されることである。冷却塔の産業界から来る充填物は、DACにおいて使用されるものより実質的に高い液体充填速さのために設計されている。例えば、冷却塔の充填物がおおよそ4.1L/m2sの液体充填速さについて設計され得る。冷却塔は、通常はプロセスに結び付けられるため、最大熱伝達のための十分な連続流れで典型的には動作し、プロセス効率は、冷却水供給温度が低くなるにつれて増加する。結果として、冷却塔は、充填物が不均一に濡れることを通じての熱伝達における低減の危険がある小さい液体の流れで動作するきっかけがない。DAC用途についての気体に対する液体の割合は、冷却塔の用途に比べて約10分の1である。例えば、DAC用途についての気体に対する液体の割合は、質量流れに基づいて、0.6から0.8までの範囲であり得る。
【0128】
充填物は、DACシステムにおける空気接触器の中核の構成要素である。現在利用可能な商業的な冷却塔の充填物は、DAC用途にとっては準最適であり、その使用は、より大きな空気量、充填物深さ、および空気接触器の設置面積(例えば、必要な充填材の空間および構造の骨格)など、DACシステムの他の態様が変更されることを必要とする。標準的な商業的に利用可能な冷却塔の充填物要素がDACにとってあまり効果的でない少なくとも2つの分野、すなわち、比表面積および液体ホールドアップ効率がある。
【0129】
CO2回収流束によってDAC用途においてしばしば測定される、気体から液体へのCO2の物質移動について、流束式へと因数分解する重要な特性は、充填材の比表面積および液体ホールドアップ効率に直接的に関連付けられる液体-気体の境界面表面積である。
【0130】
充填材の液体ホールドアップ効率は、表面エネルギーに直接的に関連付けられる物理的な濡れやすさと、充填材の形状および表面構造によって決定される、液体が充填材の上部から下部へと進むときの範囲の完全性とよって、部分的に決定される。金属材料と比較して、PVCは、より大きな接触角度と濡れの低減とをもたらすより低い表面エネルギーを有する。DACは小さい液体流量を使用するため、表面の濡れやすさは、冷却塔用途よりも性能に対してはるかにより重大であり得る。
【0131】
商業的に利用可能な冷却塔の充填物は、熱伝達の目的を満たすために、大きな液体の負荷の下で十分な濡れを達成するように具体的に設計される。それによって、冷却塔の充填物は、DAC用途にとって興味のある小さい液体充填速さについて、不十分な濡れを示した。小さい液体充填速さにおいて、回収溶液は、細流状態になる傾向があり、冷却塔の充填物を下へ進むときに道筋を形成することができる。回収溶液の細流によって引き起こされる不十分な濡れは、不必要に小さい物質移動、液体流れを増加させるためのより大きいポンプ流量、およびより大きな空気接触器の設置面積をもたらす可能性がある。より重要なことに、回収溶液による不十分な濡れは、小さいCO2取り込みをもたらす可能性がある。
【0132】
CO2回収溶液の特性は、DACシステムのための充填物を設計するときにも重要な検討事項である。CO2回収溶液は、冷却塔用途において従来から使用されているような水(または処理された水)などと比較して、より粘性あり、より高密度である。実際、DACのために設計された充填物について、周囲空気における低い濃度のCO2は、大きな空気流量と、充填材の小さい圧力損失とを必要とするが、(従来の冷却塔と比較されるとき)少ない溶液の流量において大きな気体-液体の境界面面積を提供する。溶液流量におけるこの低下は、全体の流れパターンを膜流れから細流へと変えてしまう可能性があり、これは、CO2含有空気からCO2回収溶液への質量交換に利用可能な気体-液体の境界面面積を縮小させる可能性がある。この推移が起こる流量は、充填物の固体表面の自由エネルギー、ならびに、CO2回収溶液の密度、粘度、および表面張力を含め、多くの要因に依存する。CO2回収溶液におけるこのような特性は、一部では苛性吸着剤(例えば、KOHまたはNaOH)などの溶解した吸着剤の高い濃度のため、冷却塔用途においては典型的には液体である水の特性とは異なる。
【0133】
例えば、CO2回収溶液の密度および粘度は、このような溶液の組成および温度に依存して変わる可能性がある。例えば、20℃から0℃までの温度において、1MのKOHおよび0.5MのK2CO3を含む回収溶液は、1115~1119kg/m3の範囲の密度と、1.3~2.3mPa-sの範囲の粘度とを有し得る。他の例では、20℃から0℃までの温度において、2MのKOHおよび1MのK2CO3を含む回収溶液が、1260~1266kg/m3の範囲の密度と、1.8~3.1mPa-sの範囲の粘度とを有し得る。比較で、20℃から0℃までの温度において、水は998~1000kg/m3の密度と、1.0~1.8mPa-sの粘度とを有する。
【0134】
これらの特徴は、CO2回収にとって効果的であり得る0L/m2sから10L/m2sまでの液体充填速さにおいて気体-液体の境界面の面積を最大限にする一方で、大きな空気処理量のために小さい圧力損失を呈するDAC特有の充填材(つまり、充填物)を開発するために、これらの溶液の間の物理的な差を利用するための機会を提起する。例えば、DAC特有の充填物は、0.5L/m2sから2.5L/m2sまでの範囲であり得る低い液体充填速さについて動作可能であり得る。このような充填材は、充填材の表面積のより良好な利用をもたらし(全体の材料コストを低減する)、溶液ポンプおよびファンの出力の要件を減らす。このような充填材は、所与のプラント能力に必要とされる気体-液体接触器システムの数と、1つの空気接触器あたりに必要とされる充填材の量と、十分なCO2取り込みに必要とされる空気が進む深さとを小さくすることができる。
【0135】
したがって、小さい液体充填速さおよび希釈気体濃度を含め、DACの特徴的なプロセス条件を前提として、完全かつ均一に濡れる充填物を設計および製造することが望ましい。DAC用途のために設計された充填物は、CO2取り込み能力を相当に犠牲にすることなく、空気体積、充填物深さ、液体流れ、および空気接触器の設置面積のうちの少なくとも1つを低減する能力を可能にすることができる。
【0136】
図1Aおよび
図1Bは、本開示による気体-液体接触器100a、100b(集合的および個別に符号100)の充填物106と他の要素との境界面の例示的な例を示している。気体-液体接触器100は、液体分配システム104と、ファン112およびその関連付けられたモータと、気体吸気部118と、CO
2回収溶液114と、充填物106と、下液溜め部110とを備え得る。ある実施では(図示されていない)、気体-液体接触器100は、気体-液体接触器100の他の要素を部分的に包囲する筐体と、構造的な安定性を気体-液体接触器100に提供する構造部材を備えるフレームとを備え得る。液体分配システム104は、CO
2回収溶液114を充填物106へと分配するように構成されるノズルのセット、上液溜め部105、加圧ヘッダ、またはこれらの組み合わせを備え得る。例えば、上液溜め部105はCO
2回収溶液114を保持することができ、上液溜め部105の床に位置決めされたノズルは、CO
2回収溶液114を充填物106へと流すことができる。CO
2回収溶液114は、重力を通じて充填物材料を通じて流れることができ、下液溜め部110において集めることができる。
【0137】
図1Aの気体-液体接触器100aは、CO
2含有空気に対する対向流の構成(向流としても知られている)でCO
2回収溶液114を流すように構成された充填物区域106およびファン112を備える。向流の構成では、CO
2回収溶液114は、CO
2含有空気と実質的に平行であってCO
2含有空気と反対である方向において、充填物106を通じて流れることができる。
図1Bの気体-液体接触器100bは、CO
2含有空気に対する交差流の構成でCO
2回収溶液114を流すように構成された充填物区域106およびファン112を備える。交差流の構成では、CO
2回収溶液114は、CO
2含有空気と実質的に非平行(例えば、垂直)である方向において、充填物106を通じて流れることができる。
【0138】
CO2回収溶液114は、再循環のために、下流の処理のために(例えば、再生のために)、またはこれらの組み合わせのために、下液溜め部110から移送することができる(例えば、液体分配システム104へと汲み上げることができる)。気体流動(例えば、CO2含有空気)が、ファン112およびその関連付けられるモータを動作させることで、気体吸気部118へと流れ、充填物106を通じ、気体-液体接触器100の出口の外へと流れることができる。いくつかの場合において(図示されていない)、気体-液体接触器100の出口の少なくとも一部分が、CO2回収溶液114が気体流動と共に気体-液体接触器100から出て行くのを防止するために、充填物106と出口との間に位置決めされるドリフトエリミネータ材料によって覆われる。いくつかの場合において、気体吸気部118は、入口ルーバ、保護網、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0139】
本開示に記載されているような充填物を用いる気体-液体接触器の構成は、限定されることはないが、化学スクラバ、HVACシステム、および冷却塔を含め、1つまたは複数の商業的に利用可能な気体-液体接触機器を含むことができる。充填物は、交差流の構成または向流の構成の1つまたは複数において液体分配および気体の流れを可能にするために、気体-液体接触器の中において設計および位置決めされ得る。いくつかの実施において、気体-液体接触器は、CO2含有空気を引き込むために、ファンの代替または追加で送風機を備え得る。
【0140】
図2は、本開示による例示的な気体-液体接触器200の概略図を示している。この概略図に示されているように、気体-液体接触器200は、気体-液体接触器200に構造的な支持および安定性を提供するフレーム202(例えば、相互接続された構造部材201の組み合わせ)と、例えば、図示されている構成要素の支持のための、大気に少なくとも部分的に開放している筐体216とを備える。
【0141】
1つまたは複数の上液溜め部204は、フレーム202の上部またはその近くにおいて、フレーム202に形成される、またはフレーム202の中に位置決めされる。各々の上液溜め部204は、その中でCO2回収溶液214(例えば、CO2吸着剤)を少なくとも部分的に包囲または保管することができる。上液溜め部204の中に(少なくとも一時的に)保管されるとき、CO2回収溶液214は、(例えば、ポンプの流れ、重力の流れ、またはそれら両方を通じて)下向きに、充填物206(プレナム208によって分離されている)を通じて、最終的に1つまたは複数の下液溜め部210へと循環させられるように位置決めされる。下液溜め部210は、フレーム202の下部に隣接または近接して位置決めされ得る。充填物206は、充填物シートのセットを含む1つまたは複数の充填物区域を備え得る。充填物シートのセットは、充填物の三次元構造(例えば、ブロック、柱、立方体など)である充填物区域を形成することができる。
【0142】
CO2回収溶液214が充填物206全体を通じて循環されるとき、CO2含有空気が、CO2回収溶液214と接触するために充填物206を通じて、プレナム208を通じて、周囲環境へと、CO2の少ない空気として(例えば、ファン212によって)循環させられる。これらの2つの液体を(例えば、図示されているような交差流の構成で)接触させることで、CO2含有空気内のCO2はCO2回収溶液214へと移送される。ある実施では(図示されていない)、1つまたは複数の再分配システムが、1つまたは複数の上液溜め部の下方において、1つまたは複数の充填物区域同士の間、または充填物シート同士の間に位置決めできる。再分配システムは、代わりの充填物、滴で流れる充填物、飛沫充填材、吹き付けノズルおよび配管、液体溜め部およびノズル、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、CO2回収溶液214とCO2含有空気とは、向流の構成(図示されていない)において接触させられ得る。向流の構成を含む実施では、CO2含有空気は、下液溜め部210またはその近くにおいて充填物206に入る。CO2含有空気は、CO2回収溶液214の平均流れ方向と平行で対向する流れである平均流れ方向で、充填物206を通じて循環させられる。例えば、CO2含有空気は、鉛直方向下向きである平均流れ方向を有するCO2回収溶液214に対向して、充填物206を通じて鉛直方向上向きである平均流れ方向を有することができる。ある向流の構成では、吸気プレナムが、充填物206の下方において、CO2含有空気が入る場所に隣接して位置決めされ得る。いくつかの場合において、放出プレナムが充填物206の上方に位置決めされ得る。
【0144】
向流の構成における気体-液体接触器が、CO2含有空気を吸気プレナムへと引き込むファンの下方に少なくとも部分的に位置決めされる回収溶液分配システムを備え得る。回収溶液分配システムは、回収溶液を充填物206にわたって分配するノズルまたはスパージャのセットに送り込む分配配管を備え得る。いくつかの場合において、向流の構成における回収溶液分配システムは、回収溶液を充填物206へと重力で送り込むことができる。
【0145】
気体-液体接触器200の下部における下液溜め部210は、CO2回収溶液214のための収集タンクとして作用し、そこで溶液が集められ、その後、より多くのCO2を回収するために接触器充填物にわたっての分配に向けて戻すために汲み上げられるか、さらなる処理のために下流のプロセスへと汲み上げられるか、またはこれらの組み合わせである。
【0146】
いくつかの場合において、CO2回収溶液214の表面張力を水の表面張力に近付けるように低下させることは、充填物材料を濡らすための溶液の能力を向上させることになる。いくつかの場合において、CO2回収溶液214の表面張力を水の表面張力に近付けるように低下させることは、濃度を薄くすること、または、界面活性剤を添加することによって遂行されてもよい。
【0147】
気体-液体接触器システムにおけるプロセス流動の他に、気体-液体接触器システムが流体的に結合されるあらゆる下流のプロセス内のプロセス流動は、システムを通じて実施される1つまたは複数の流れ制御システム(例えば、制御システム999)を使用して流すことができる。流れ制御システムは、プロセス流動を移動させるための1つもしくは複数の流れポンプ、ファン、送風機、または固体コンベヤと、プロセス流動が流される1つまたは複数の送り管と、管を通じての流動の流れを規制するための1つまたは複数の弁とを備え得る。本明細書に記載されている構成の各々は、少なくとも1つの液体流量を制御することができるそれぞれのポンプに結合される少なくとも1つの可変周波数駆動(VFD)を備え得る。ある実施では、液体流量は少なくとも1つの流れ制御弁によって制御される。
【0148】
ある実施形態では、流れ制御システムが手動で動作させられ得る。例えば、作業者は、流れ制御システムにおける管を通るプロセス流動の流れを規制するために、各々のポンプまたは移送デバイスについて流量を設定することができ、弁の開位置または閉位置を設定することができる。作業者が、システムにわたって分配されるすべての流れ制御システムについて、流量と弁の開位置または閉位置とを設定すると、流れ制御システムは、一定の容積流量または他の流れ条件などの一定の流れ条件の下で、流動を流すことができる。流れ条件を変化させるために、作業者は、ポンプ流量、または弁の開位置もしくは閉位置を変更することなどで、流れ制御システムを手動で動作させることができる。
【0149】
ある実施形態では、流れ制御システムが自動で動作させられ得る。例えば、流れ制御システムは、流れ制御システムを動作させるために、コンピュータまたは制御システム(例えば、制御システム999)に接続され得る。制御システムは、動作(流れ制御動作など)を実施するために、1つまたは複数の処理装置によって実行可能である命令(流れ制御命令および他の命令など)を保存するコンピュータ読み取り可能媒体を備え得る。作業者は、制御システムを使用して、施設にわたって分配されるすべての流れ制御システムについて、流量と、弁の開位置または閉位置とを設定することができる。このような実施形態において、作業者は、制御システムを通じて入力を提供することで、流れ条件を手動で変更することができる。
【0150】
また、このような実施形態において、制御システムは、制御システムに接続されたフィードバックシステム使用することなどで、流れ制御システムのうちの1つまたは複数を自動的に(つまり、手作業による介入なしで)制御することができる。例えば、センサ(圧力センサ、温度センサ、漏れ検出センサ、または他のセンサなど)が、プロセス流動が流れる管に接続され得る。センサは、制御システムへのプロセス流動の流れ条件(圧力、温度、または他の流れ条件など)を監視および提供することができる。閾(閾圧力値、閾温度値、または他の閾値)を超える流れ条件に応答して、制御システムは動作を自動的に実施することができる。例えば、管における圧力または温度がそれぞれ閾圧力値または閾温度値を超える場合、制御システムは、流量を減らすためのポンプへの信号、弁を開けて圧力を解放するための信号、プロセス流動の流れを中断する信号、または他の信号を提供することができる。
【0151】
例えば、
図3は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100など、気体-液体接触器システムについて、充填物表面304における回収溶液(流れ)302の流れ状態についての接触角度の効果を描写している
図300を示している。不十分な濡れの1つの原因は、充填物の低表面エネルギーである。表面エネルギーは、材料の表面における分子間結合の強度を表しており、表面露出の度合いを増加させるために必要とされるエネルギーである。材料が高い表面エネルギーを有する場合、その材料のバルク相互作用をより強くすることができ、その材料の表面露出をより大きくすることができる。これは、より良い濡れおよび親水性(例えば、水を引き寄せる傾向)をもたらすことができる。材料が低い表面エネルギーを有する場合、その材料のバルク相互作用をより弱くすることができ、その材料の表面露出をより小さくすることができる。不十分な濡れおよび疎水性(例えば、水をはじくまたは水と混ざらない傾向)は、通常は大きな接触角度と関連付けられる。接触角度は、液体-固体の境界面と、液体-蒸気の境界面との間の角度として定められ、
図3に示されているように、液体を通じて測定される。接触角度は、充填物において流れるCO
2回収溶液の流れ状態に影響を与える可能性がある。例えば、大きい接触角度(例えば、70度より大きく150度より小さい接触角度)は細流をもたらす可能性があり、小さい接触角度(例えば、20度より大きく50度より小さい接触角度)は膜流をもたらす可能性がある。
【0152】
例えば、超疎水性の表面について、接触角度は150度より大きくすることができる。例えば、超親水性の表面について、接触角度は20度より小さくすることができる。大きい接触角度は、細流302により近く、小さい濡れ部分ε(つまり、濡れた表面の面積)である流れ状態と典型的には相関し、小さい接触角度は、より膜流308のようであり、大きい濡れ部分である流れ状態に典型的には相関する。小さい接触角度および親水性は、液体充填に対する境界面面積の割合が高いことを概して示している。
【0153】
濡れた表面の面積が、空気におけるCO2への回収溶液の露出の量を決定し、親水性の表面が、所与の体積の溶液についての濡れた面積を増加させるため、親水性材料は、気体-液体接触器についての充填物304のために使用できる。親水性被覆は、表面エネルギーを増加させ、接触角度を小さくする。材料の表面への結合を変更するために材料を露出させるいくらかの表面処理も、同様の結果を達成することができる。
【0154】
ある態様において、(親水性の充填物としての)充填物304を含む気体-液体接触器は、充填材にわたっての圧力損失を維持もしくは向上させる一方で、小さい液体流量により適して充填材の形を採用することで、ならびに/または、形の設計と、充填材のPVC樹脂およびビニル化合物と、小さい流量の苛性溶液について最適化された表面処理とを発展させることによって充填材形状、表面構造、および表面エネルギーを管理することによる充填材の液体ホールドアップ効率の増加を採用することで、充填物304の比表面積における増加を通じて、CO2回収流束を(例えば、10%~30%)増加させることができる。良好な性能を反映する親水性充填物304の設計基準には、限定されることはないが、小さい静圧の設計、充填材高さを通じて液体を均一に分配する能力、低ファウリング能力、空気接触効率における増加、より少ない材料の要件、および製造性がある。
【0155】
したがって、いくつかの場合において、気体-液体接触器における充填物304は、CO
2回収溶液による疎水性(および増加した接触角度)に反して、親水性(および低下した接触角度)を呈するかまたは含むように設計、構築、および/または変更され得る。このような設計は、CO
2回収溶液による充填物306の濡れも向上させる。充填物306の向上した濡れ(例えば、濡れた表面の面積を増加させること)は、少なくとも2つの手法によって達成させることができる。第1の手法は、例えば、被覆を適用することで表面自由エネルギーを増加させることを介して、表面の親水性を増加させることである。第2は、表面粗さおよび見掛けの接触角度を増加させることである。見掛けの接触角度は、
図3に示されているように、(実際の固体表面と反対としての)見掛けの固体表面と、液体-気体境界面との間の角度である。これらの手法は、独立して、または、互いと組み合わせて、使用することができる。
【0156】
いくつかの場合において、充填物は処理するのが難しい(つまり、被覆を付着するのが難しい)可能性がある。ある実施では、充填物被覆は、限定されることはないが0L/m2sから10L/m2sまでを含む液体充填流量においてCO2回収溶液が分配されるDAC用途について、物質移動を向上させるときに適切であり得る。例えば、充填物被覆は、0.5L/m2sから2.5L/m2sまでの範囲であり得る低い液体充填速さについて適切であり得る。これらの充填物被覆は、2~10メートルの例示的な充填物深さを有する充填物に回収溶液を分配するのに有益でもあり得る。例示的な実装では、充填物は、親水性を増加させるために、適用された親水性被覆を含み得る。
【0157】
例えば、
図4は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、充填物の表面における親水性被覆400と、回収溶液410の接触角度の例とを示している。
図4は、被覆されていない表面402と、第1のアクリル層404で被覆された表面402と、層とされたアクリル被覆で被覆された表面402と、ファウリング層408を有する表面402とを示している。例示的な実装において、層とされたアクリル被覆は第1のアクリル層404と第2のアクリル層406とを備え得る。例示的な実装において、表面402はPVCまたは他の熱可塑性物質を含み得る。いくつかの場合において、被覆されていない充填物表面402は、65度より大きく80度より小さい接触角度θを有し得る。いくつかの場合において、被覆は接触角度θを65度未満へと小さくする可能性がある。例えば、被覆されていない充填物表面402は75度の接触角度を有する可能性があり、被覆が接触角度を35度へと小さくすることができる。
【0158】
充填物表面402に適用され得る親水性被覆の種類はアクリル被覆である。アクリル被覆は、充填物の親水性を増加させることができる被覆の種類である。これらの被覆のうちのいくつかは、産業用の熱除去または化学的分離に関連しない目的のために商業的に利用可能である。
【0159】
このようなアクリル被覆の2つの例として、NeoPacおよびNeoCrylがある。NeoPacは高固体水性ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体である。PVC充填物に適用されるとき、NeoPacは、アクリル層として単独で適用されるのか、混合された層として適用されるのかに応じて、7度より大きく35度より小さい接触角度を達成することができる。NeoCrylは自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンである。PVC充填物に適用されるとき、NeoCrylは、アクリル層として単独で適用されるのか、混合された層として適用されるのかに応じて、40度より大きく65度より小さい接触角度を達成することができる。いくつかの場合において、アクリル被覆は、混合させられ得る、および/または、互いの上で層とされ得る。例えば、第1のアクリル層404は大部分においてウレタン-アクリルハイブリッド共重合体を含むことができ、第2のアクリル層406は大部分において自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンを含むことができる。他の例では、第1のアクリル層404は大部分においてウレタン-アクリルハイブリッド共重合体を含んでもよく、第2のアクリル層406はウレタン-アクリルハイブリッド共重合体と自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンとの混合物を含んでもよい。ウレタン-アクリルハイブリッド共重合体と自己架橋型アクリル共重合体エマルジョンとの混合の割合の例には、20/80、80/20、または50/50があり得るが、他の割合が適切である可能性もある。
【0160】
いくつかの態様において、親水性被覆は、表面粗さを増加させ、表面402への回収溶液410の接触角度を小さくすることができるファウリング層408を含み得る。例えば、炭酸カルシウム(CaCO3)の化学的性質が伴われるあるDAC用途では、充填物表面が条件付けられ得る。条件付けは、表面粗さを増加させる方法によって濡れた表面の面積を増加させるCaCO3および他の蓄積の層をもたらす充填物表面の自然に起こるファウリングである。例えば、ファウリング層408は、接触角度を10度から40度の間へと小さくすることができる。結果的に生じる流れは、被覆および条件付けがされていない新しい充填物(つまり、滑らかであり、ファウリング層または蓄積を有していない充填物)の細流より膜状となる。
【0161】
親水性被覆の他の例はセルロース被覆である。例えば、
図5は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、例示的なセルロース被覆された充填物500を示している。被覆された充填物500は、充填物シートなどのプラスチック基材502の上に接着層504とセルロース層506とを備える。例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)などの接着層504と、セルロースの薄い層506とを備える被覆が、PVCに良好に付着する。EVAなどの接着剤付きの被覆は、冷却塔または化学処理産業におけるPVC充填物のための被覆材料として従来は使用されていない。EVAおよび同様の接着剤付きの被覆は、建物建築および輸送産業におけるガラス構造の積層として典型的には使用されている。いくつかの場合において、EVAは、任意の十分に構造的に強い材料(例えば、充填物)のプラスチック基材502に適用され得る。ある手法では、セルロースの層506(いくつかの小売りの紙製品において使用されるとして単一の層)が、加熱ローラ508でプラスチック基材に熱間圧延され得る。このプロセスは、プラスチック基材502の両側に行われる。セルロース層506と、接着層504と、プラスチック基材502とを備える被覆は、KOHおよびNaOHのような高い強度の苛性溶液とそれぞれ十分に適合可能であり得る。いくつかの場合において、この被覆は、小さな流れの回収溶液で濡れることを増加させ、より大きな回収率をもたらすことができる。
【0162】
セルロースで被覆された充填物500は、積層プラスチックであり、セルロース層506とプラスチック基材502とに介在する接着層504を含む。接着層504はEVAを含むことができ、接着層504は30~100μmの厚さを有し得る。セルロース層506の厚さはおおよそ50~100μmであり得る。セルロースは、親水性であるため被覆した充填物に適した材料であり、溶液を逃がすことができ、安価である。重要な検討事項は、セルロースの構造的な完全性が、高い濃度の苛性流体において崩れないため、アルカリ性回収溶液と適合することである。また、セルロースは、クラフト紙のプロセス(いくつかのDACプロセスに対して同様の化学的性質および反応を含む)から容易に抽出することができる。いくつかの場合において、EVAは、最も安いポリマーのうちの1つであるため、適切な接着層とすることができ、PVCおよび非PVCのプラスチック基材を含め、任意の種類のプラスチック基材に接着することができる。EVAは、苛性溶液と適合し、高いpH条件について評価される。いくつかの場合において、異なる接着剤または接着材料が、EVAの代わりに、接着層504において使用されてもよい。例えば、PVC接着剤が適切であり得る。
【0163】
セルロース層506をプラスチック基材502(つまり、充填物)に適用するための例示的なプロセスでは、初めに、接着層504(例えば、少なくとも30μmの厚さを有するEVA層)がプラスチック基材502(例えば、PVC)に置かれる。次に、接着層504が80℃~130℃の範囲の接着温度へと加熱される。次に、セルロース層506が接着層504にわたって置かれる。次に、セルロース層506は、加熱ローラ508を使用して接着層504に押し付けられる。これは、プラスチック基材502へのセルロース506の強い接着を形成することができる。
【0164】
一例において、カレンダ加工600が、セルロース604および接着材料608(例えば、EVAまたはPVCの接着剤)をプラスチック基材または充填物シート602(例えば、PVC層)に適用するために使用され得る。
図6は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、充填物を製造するための例示的なカレンダ加工600を示している。充填物シート602を艶出しするプロセスでは、他のポリマーの外側層を充填物シート602に加えることが可能である。また、充填物シート602は、艶出しと同様のプロセスでローラを使用して、波形、溝、ヘリンボーン、または通路などのパターンへと成形されてもよい。
【0165】
図6に示されているように、カレンダは、紙、織物、またはプラスチックなどの材料のシートを完成または平滑化するために使用される一連の高い圧力のローラ606a、606b、606c、606d(集合的に、符号606)である。カレンダローラ606は、ある種類のプラスチック膜を形成するために、および、被覆を適用するためにも使用される。いくつかのカレンダローラ606は、必要に応じて加熱または冷却される。ある態様では、カレンダ加工600は、充填物シート602の両側において実施され得る。ある実施では、充填物シート602は、真空成形プロセスを使用してパターン(例えば、波形、溝、ヘリンボーン、または通路)へと成形され得る。充填物シート602は、CO
2回収溶液を運ぶために開放可能である通路または溝を形成するために、互いと接触するように位置決めされ得る。充填物シート602同士の間の接触は、途切れなしであり得る、または、パターンに沿う点において間欠的であり得る。充填物シート602は、
図7に記載されているものと同様である手法で、充填物区域を形成するために位置決めされ得る。
【0166】
被覆ではなく、または被覆に追加して、材料の表面の少なくとも一部分が、親水性を向上させるために表面における接着に変化をもたらすことができるある表面処理(図示されていない)に露出させることができる。このような表面処理の例は、プラズマ処理、火炎処理、コロナ処理、および、酸化剤によるいくつかの化学処理である。表面処理のいくつかの例は、ビーズブラスト加工およびエンボス加工などの機械的な処理であり得る。表面処理が、充填物層の表面に直接的に適用され得る。いくつかの場合において、表面処理は、特に被覆が表面処理に応答する場合(例えば、接触角度が小さくされ、被覆の親水性が向上する場合)、充填物層の表面にある被覆に適用できる。
【0167】
被覆および表面処理ではなく、または、被覆および表面処理に追加して、充填物についての材料組成(図示されていない)は、親水性を向上させるために選択され得る。例えば、具体的なPVC樹脂および/またはビニル化合物は、商業的に利用可能な冷却塔充填物を形成するために使用されているいくつかの従来の熱可塑性物質(例えば、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、およびテフロン(登録商標))より高い表面エネルギーを有し得、増加した濡れやすさを有し得る。接触角度が、ホールドアップ効率を満たすための要因のうちの1つである材料の表面エネルギーを決定するために使用できる。高い表面エネルギーのPVC樹脂および/またはビニル化合物を備え得るビニルシートのロールストックの形態であり得る充填物材料原料が、成形型および真空成形のデバイスを使用して成形でき、充填物における層として使用され得る。
【0168】
先に記載されている充填物の例示的な親水性の構成の追加または代替として、表面粗さは、充填物への回収溶液の接触角度を調整するために、および、濡れた表面の面積を増加させるために、使用することもできる。充填物の表面の形は、見掛けの接触角度を調整するために利用することができる。充填物の層は、「巨視的」な流れに影響を与えるために大きなマクロ構造を有することができる、および/または、接触角度に影響を与えるために層においてミクロ構造を有することができる。マクロ構造は、空気速度および充填物の剛性に依存して、液体が充填物の中で後方に、前方に、または真っ直ぐ下に移動しようとする傾向に影響を与える波形、溝、ヘリンボーン、または通路などのパターンを含み得る。ミクロ構造は、見掛けの接触角度を小さくすることができ、回収溶液の膜流を可能にする小さい規模のパターンまたは構造である。
【0169】
充填物の層の質感のある表面は、ミクロ構造を、平坦な充填物に、または、マクロ構造を伴う充填物に重ねることで、遂行することができる。マクロ構造、ミクロ構造、または親水性被覆(前述のアクリル被覆、EVA被覆、およびセルロース被覆など)は、充填物の濡れた表面の面積を増加させるために、独立して、または、互いとの組み合わせで、使用することができる。いくつかのマクロ構造およびミクロ構造は、CO2回収溶液が0L/m2sから10L/m2sまでなどの範囲の液体充填の流量で分配され、2~10メートルなどの充填物深さを有する充填物に分配されるDAC用途について、物質移動を向上させるために特に適している。いくつかの場合において、充填物におけるマクロ構造およびミクロ構造は、0.5L/m2sから2.5L/m2sまでの液体充填速さに適している。
【0170】
マクロ構造を伴う充填物の例は、波形の充填物700である。例えば、
図7は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、充填物の波形の充填物シート702、704の斜視図、および波形の縁708の前面図を示している。波形の充填物シート702および704は、少なくとも1つの波形の縁708と、少なくとも1つの滑らかな縁706とを有する。滑らかな縁706は、波形の縁708と実質的に垂直であり得る。波形の充填物シート702および704は、波形の縁708の前面図によって描写されているように、頂部710と谷部712とを有する特定の断面の形を形成する波形を有し得る。例示的な波形の充填物の層702は、台形の波形を含む。例示的な波形の充填物の層704は、三角形の波形を含む。いくつかの場合において、波形充填物シートは、台形と三角形との両方の波形を形成し得る。いくつかの場合において、波形の縁708は、図示されていない他の断面の形を形成し得る。
【0171】
波形の充填物シート702、704は、溶液が滑らかな縁706と実質的に平行である方向で波形708に沿って下へ流れるように、吊り下げられ得る(例えば、流動方向の波形)。この場合、流動方向の波形が液体の荷重によって比較的影響されないため、充填物シート702、704の引張強度だけが考慮される必要がある。いくつかの場合において、波形を有する波形充填物シート702、704は、溶液が波形の縁と実質的に平行である方向で波形を横切って流れるように位置決めされ得る(例えば、交差流動の波形)。
【0172】
充填物のいくつかの態様において、充填物シートは、(カーテンと同様に)波形充填物シートの波形の縁が水平の垂れ下がる棒材の軸とアラインされるように、垂れ下がる棒材から垂れ下げられる。ある実施において、充填物シートは互いから少なくとも0.2インチ空けて垂れ下げられ得る。例えば、充填物シートは互いから少なくとも0.5インチ空けて垂れ下げられ得る。例えば、充填物シートは互いから0.25インチ空けて垂れ下げられ得る。シート同士の間の間隔は差圧を決定することができる(小さい間隔はより大きい差圧をもたらす)。シートは、シートの波形が互いと少なくとも部分的にアラインされるように配置されるべきである。例えば、第1の波形のシートの頂部と第2の波形のシートの頂部との間の距離は、第1の波形のシートの谷部と第2の波形のシートの谷部との間の距離と同等であり得る。CO2回収溶液は、上液溜め部204から流れること、または、噴霧送り込みを介して流れることで、(気体の流れと並流または向流で)分配され得る。
【0173】
充填物区域におけるマクロ構造の他の例は、通路または溝を含む。いくつかの態様において、1つの波形シート702、704は、回収溶液を運ぶように作用可能な通路が波形によって形成されるように、他の波形シート702、704と接触するように位置決めできる。いくつかの実施において、波形シート702、704は互いに圧し掛かることができる。いくつかの実施において、波形シート702、704は互いに固定させることができる(例えば、機械的に取り付けることができる)。例えば、波形シート702、704の波形の頂部710は、他の波形シート702、704の波形の谷部712に少なくとも部分的に接触し、それによって、それらの間に溝または通路を形成することができる。波形シート702、704同士の間の接触は、途切れなしであり得る、または、波形に沿う点において間欠的であり得る。充填物区域が、従来の充填物に形成される通路より急峻ではない(回収溶液のより漸進的な流れを可能にする)通路を形成する充填物シートを備えることができる。例えば、充填物区域は、(銃らの冷却塔の充填物において典型的に見られる45度の通路に反して)15度の通路を含むことができる。いくつかの実施において、マクロ構造は、0.5インチから4インチまでの範囲の寸法を含み得る。例えば、波形は1インチの幅と0.5インチの高さとを有し得る。
【0174】
図8は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、漸進通路802a、802b(集合的に符号802)の1つまたは複数のセットを形成する充填物シートを備える充填物区域800を示している。いくつかの場合において、充填物区域800は、漸進通路802と、任意選択の親水性被覆(
図3を参照して記載されているような被覆400など)とを含み得る。漸進通路802は、充填物区域800の鉛直面への液体分配を向上させることができる(つまり、前から後ろへの液体分配を向上させることができる)。漸進通路802は、圧力損失を低下させることもできる。いくつかの場合において、親水性被覆または表面処理は、漸進通路802を含む充填物区域800へと組み込まれる前に、1つまたは複数の充填物シートの少なくとも一部分に適用され得る。漸進通路802は、45度以下の角度である(例えば、傾斜である)通路を含み得る。例えば、漸進通路802は約15度から約45度までの範囲から選択できる。
【0175】
ある実施において、漸進通路802aの第1のセットは、漸進通路802bの第2のセットより小さい角度で位置決めされる。例えば、漸進通路802aの第1のセットは15度の角度で位置決めされ得、漸進通路802bの第2のセットは、45度以下である異なる角度で位置決めされ得る(つまり、傾斜Aが15度であり、傾斜Bが45度以下である)。ある実施において、漸進通路802aの第1のセットと漸進通路802bの第2のセットとは、同様の角度で位置決めされる。例えば、漸進通路802の第1のセットおよび第2のセットの両方は、約15度の角度で位置決めされる(つまり、傾斜Aおよび傾斜Bが両方とも約15度である)。いくつかの場合において、漸進通路802aの第1のセットは漸進通路802bの第2のセットと非平行な角度にある。いくつかの場合において、限定されることはないが前述の実施を含め、通路の角度は、プロセスの設定点(空気速度および液体の流れ)に向けて液体分配に影響を与えるために、現在の45度から15度までの範囲内で調整され得る。
【0176】
ミクロ構造は、充填物シートにおける濡れた表面の面積を増加させるために、マクロ構造に重ねられ得る。
図9は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、充填物シートにおけるミクロ構造1200の例を示している。充填物106におけるミクロ構造1200は、回収溶液1202が(実際の接触角度の反対としての)見掛けの接触角度の効果を通じて濡らすことを向上させる非常に小さい規模の特徴部であり得る。ミクロ構造1200の大きさは、0.5インチから4インチまでの範囲であり得るマクロ構造と対照的に、ミリメートルの規模であり得る。
【0177】
小さい見掛けの接触角度を達成するために使用され得るミクロ構造1200の例は、隆条1204である。ある実施では、隆条1204は10mm未満の幅を有し得る。例えば、隆条1204は1mmから2mmの間の大きさとされ得る。隆条1204は、ミクロ構造のない表面と比較して、回収溶液1202によるより良好な濡れを達成するために使用できる交差流動隆条である。例えば、
図9は、通常の平坦な充填物シートにおける液体の流れの、充填物シートにおける1mmの交差流れ隆条における液体流れとの比較を示している。
【0178】
あるミクロ構造1200は充填物の層表面から突出し得る。ある実施において、充填物の層表面から突出するミクロ構造1200は、充填物の層表面と異なる材料を含み得る。例えば、顆粒1212または繊維1210が、最初に滑らかであった充填物の層の表面粗さを増加させるために、製造の間に充填物の層に導入され得る。繊維1210を充填物の層に追加することで、ガラス繊維シートと同様である質感を達成することができる。あるミクロ構造は充填物の層表面へと落ち込ませることができる。例えば、窪み1206、エッチング1208、小孔、穿孔、またはこれらの組み合わせが、初期に滑らかであった充填物の層の表面粗さを増加させるために導入され得る。充填物の層が、ローラワイヤブラシ、または細かい剛性の構成要素を伴う他の同様の工具を用いて、刻み込まれる。これらのミクロ構造の大きさ、間隔、および形は、0L/m2s~10L/m2sなどの範囲の液体充填流量について、見掛けの接触角度を(例えば、50度以下へと)小さくするように選択される。いくつかの場合において、ミクロ構造は、0.5L/m2sから2.5L/m2sまでの範囲の小さい液体充填速さについて、接触角度を小さくするように構成される。
【0179】
例えば、
図10は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、回収溶液の大きい流量および小さい流量において、交差流動隆条1302、流動方向隆条1308、および隆条なし(平坦)1314を有する充填物の接触面積を比較する
図1300を示している。交差流動隆条1302および流動方向隆条1308は、ミリメートルの規模での大きさを有する充填物シートの表面に細く隆起した筋を形成している。隆条は、筋が液体流れ方向に対してどのように向き付けられるかに関して記載できる。交差流動隆条1302は、CO
2回収溶液流れ方向と実質的に非平行な方向に向き付けられ得る。いくつかの場合において、交差流動隆条1302はCO
2回収溶液の流れ方向に対して垂直に向き付けることができる。流動方向隆条1308は、液体の流れの方向と実質的に平行である方向に向き付けることができる。
【0180】
大きい液体流量において、交差流動隆条1306は、流動方向隆条1312および平坦な板1318より濡れた表面の面積(境界面面積)を達成することができる。同様に、小さい液体流量において、交差流動隆条1304は、流動方向隆条1310および平坦な板1316より濡れた表面の面積(境界面面積)を達成することができる。小さい流量の回収溶液は、液体ポンプの要件を低減するために、気体-液体接触器100において好ましく、したがって、交差流動隆条1302を含む充填物は、流動方向隆条1308または平坦な板1314を含む充填物に対して、これらの動作条件の下でより有益であり得る。いくつかの場合において、流動方向隆条1308は、気体の流れを方向付けるために、または、CO2回収溶液の流れを再方向付けるために、有益であり得る。モデリングは、1mmの交差流動隆条1302が、小さい見掛けの接触角度が達成されるように接触表面を傾けることで、0.95を超える濡れ部分を達成することができることを示している。流動方向隆条1308は、平坦な充填物1314に対して濡れを向上させることができるが、向上は交差流動隆条1302ほど大きくはない。
【0181】
ミクロ構造および/またはマクロ構造は、1つまたは複数のプロセスを通じて成形され得る。例示的なプロセスは成形型および真空成形である。例示的な態様において、このプロセスは、マクロ構造およびミクロ構造の両方の反対のものを有する型を(例えば、3-Dプリンタを使用して)作り出すステップと、充填物材料(例えば、ブランク/平坦であるPVCなどの熱可塑性物質)のシートを110℃から150℃の成形温度まで加熱するステップと、充填物材料のシートを型に引き伸ばすステップと、充填物材料のシートを型に押し付けるために真空を適用するステップとを含む。他の例示的な態様において、このプロセスは、マクロ構造だけの反対のものを有する型を(例えば、3-Dプリンタを使用して)作り出すステップと、すでにミクロ構造を備える充填物材料のシート(例えば、窪みまたは1mmの隆条を伴う熱可塑性物質のシート)を成形温度まで加熱するステップと、充填物材料のシートを型に置くステップと、充填物材料のシートを型に接触させるために真空を適用するステップとを含む。
【0182】
他の例示的な態様において、このプロセスは、ミクロ構造だけの反対のものを有する型を(例えば、3-Dプリンタを使用して)作り出すステップと、充填物材料のシート(例えば、ブランク/平坦の熱可塑性物質シート)を成形温度まで加熱するステップと、充填物材料のシートを型に適用するステップと、充填物材料のシートを型に押し付けるために真空を適用するステップとを含む。型は、2"x2"から少なくとも10'x10'までの範囲になり得る。ある態様では、プリントされた型の大きさは2'x2'の型または6"x6"の型であり得る。
【0183】
他の例示的なプロセスとして、充填物106は、3Dプリンタを使用してマクロ構造および/またはミクロ構造をプリントすることを直接的に含んでプリントされ得る。他の例示的なプロセスにおいて、充填物106は、充填物を製造するための型を製作するためにそれぞれ使用され得る柔らかい工具(例えば、粘土)または硬い工具で3Dプリントされてもよい。
【0184】
図11は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、溶解可能固体1402を使用して充填物シート(または充填物材料)1404にミクロ構造1406を形成するための例示的な手法1400を示している。ミクロ構造1406が望まれるある用途において、溶解可能固体1402は、充填物材料1404をCO
2回収システムに設置する前に導入され得る。より後の段階において、条件付けステップが取られ、溶解可能固体1402が溶解流体(例えば、酸、苛性溶液、CO
2回収溶液など)で溶解され、窪み、隆条、または穿孔などのミクロ構造1406を残すことで充填物材料1404の質感を変化させる。溶解可能固体1402は、充填物材料1404の製造および/または被覆の間に追加され得る。例えば、溶解可能固体1402は、PVC樹脂および/またはビニル化合物を含む充填物材料1404へと導入され得る。ある用途では、溶解可能固体1402は、充填物材料原料1404へと導入されるのではなく、充填物材料1404の形成されたシートへの被覆の一部として導入される。
【0185】
例えば、充填物の条件付けの間、または、充填物を含む気体-液体接触器のプロセスを開始する間といった、より後の段階において、溶解可能固体1402は溶解流体で溶解することができる。溶解可能固体1402の消滅は、ミクロ構造1406を残すことで充填物材料1404の質感を変えることができる。この特徴のために使用され得る溶解可能固体1402のいくつかの例は、シリカ化合物、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、または、溶解流体において溶解され得る同等の固体である。例えば、溶解流体は、条件付けステップで適用されるケミカルウォッシュ(例えば、酸)、または苛性回収溶液であり得る。ケミカルウォッシュは、希釈酢酸、酢、またはNaClなどの溶液で溶解可能固体1402を溶解することを伴い得る。条件付けステップは、KOHまたはNaOHなどの苛性回収溶液で溶解可能固体1402を溶解することを伴う可能性がある。いくつかの場合において、溶解流体は、水で溶ける塩または鉱物など(例えば、カルシウム、ナトリウム、塩化物、重炭酸塩、硫酸塩、有機物など)、特定の溶解可能固体1402を溶解させる水または蒸気であり得る。いくつかの場合において、溶解流体は、溶解可能固体1402の溶解率を増加させるために加熱され得る。
【0186】
表面エネルギーを増加させること(例えば、被覆を通じて)、および、充填物の接触角度を小さくすること(例えば、マクロ構造およびミクロ構造を通じて)と共に、CO
2回収溶液は、親水性を増加させるための手法で策定および/または適用され得る。例えば、CO
2回収溶液の液滴の噴霧吹き付けを生成する噴霧CO
2回収溶液の送り込みが、濡れた表面の面積を利用するために使用できる。
図12は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、噴霧溶液の液体境界面層1504との相互作用1500を示している。
【0187】
噴霧溶液送り込みは、濡れた表面の面積を向上させる充填物の設計(親水性被覆された充填物、マクロ構造を伴う充填物、ミクロ構造を伴う充填物、またはこれらの組み合わせ)のいずれかと併せて使用できる。ある態様において、噴霧溶液液滴1506a、1506b(集合的に符号1506)は、気体の流れの方向において気体によって効果的に輸送されるのに十分な小ささである。通常の冷却塔のノズルでの(噴霧されない)吹き付けの液体の分布は、典型的にはバルクでの流れであり、ほとんどが重力を介して輸送されるより大きい液滴である。
【0188】
CO2回収溶液は、性能を向上させるために、気体流れと同時に、噴霧された吹き付けとして充填物に分配させることができる。表面は、特定の量の濡れを達成するために、最小限の濡れの流れまたは液体の流れ(CO2回収溶液の流量)を必要とする。いくつかの場合において、小さい液体流れにおいて、親水性の表面、または最適な接触角度を伴う表面が使用される場合、噴霧溶液液滴1506は(例えば、噴霧なしの液滴と比較して)濡れを高めることができる。いくつかの場合において、大きい液体流れにおいて、噴霧溶液液滴1506は、疎水性表面が使用される場合、(例えば、噴霧なしの液滴と比較して)濡れをあまり高めることはない可能性がある。大きい液体流れは噴霧溶液液滴1506の乱流をもたらす可能性があり、バルク溶液に対する噴霧溶液液滴1506の吸収は、大きい濡れ流量における溶液の乱流によって妨げられる可能性がある。充填物が疎水性である場合、噴霧溶液液滴1506は、バルク溶液層1502が滴を形成することでより小さくなるため、あまり効果的ではない。
【0189】
充填物が親水性である場合、噴霧溶液液滴1506は、バルク溶液層1502が拡がることでより大きくなるため、より効果的とすることができる。バルク溶液層1502は、選択された吹き付け流量によって部分的に決定され、必ずしも最小限の濡れの流れによって決定されない。比表面積が、親水性のため、または、表面において小さい規模の構造を採用することで、増加させられる場合、活性の液体境界面の面積が、液滴1508a、1508bを補給することで連続的に補給され得る。液滴1508を補給することは、反応率に影響を与え得る液体境界面層1504を補給する噴霧溶液の液滴である。大きな規模のシステムにおいて、充填物の下部における液体の流れは、むしろ大きくなる可能性もある。充填物を通じてこの流れを段階的なレベルで選択的に逸らすことが必要な可能性がある。
【0190】
従来のCO
2回収溶液への変更の他の例として、CO
2回収溶液は、親水性を増加させる、および/または溶液への気体のCO
2の移動の速さを増加させる1つまたは複数の酵素化合物または触媒を、含むことができる。例えば、充填物を収容する気体-液体接触器(例えば、
図1A~
図1Bの気体-液体接触器100)において速度向上添加物を実施することは有益であり得る。速度向上添加物は、気体からCO
2回収溶液へのCO
2の移動の速さを増加させることができる。速度向上添加物は、触媒、促進剤、溶剤、または他の種類の添加物を含み得る。速度向上添加物の例には、例えば、炭酸脱水酵素、ピペラジン、MEA、DEA、トリアザサイクル亜鉛、テトラアザサイクル亜鉛、グリシン酸銅、ヒドロキソペンタアミンコバルト過塩素酸塩、ホルムアルデヒド水和物、サッカロース、フルクトース、グルコース、フェノール、フェノレート、グリセリン、亜ヒ酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、または他のオキシアニオン種があり得る。
【0191】
いくつかの場合において、速度向上添加物は、充填物にわたって流れるCO2回収溶液において自由に移動することができる。いくつかの場合において、速度向上添加物は、充填物にわたって流れるCO2回収溶液において自由に移動するカプセルにおいて不動とされ得る。速度向上添加物が自由に移動している場合には、速度向上添加物は、気体-液体接触器の中で拘束させることができ、障壁または濾過システムによって、再生システムへと流れることが妨げられる。
【0192】
いくつかの場合において、不動の方法によって固体の支持において安定化させられる促進剤または触媒などの速度向上添加物を含む速度向上材料で充填物の表面を被覆することは、有利であり得る。例えば、ミクロ構造、マクロ構造、または充填物シートの滑らかな表面の少なくとも1つは、速度向上材料で被覆され得る。
【0193】
いくつかの場合において、充填物を製造するときに使用される未加工の充填物材料原料を速度向上添加物と混合することが、有利であり得る。例えば、充填物シートが、PVCと、促進剤または触媒を保持する樹脂との混合物を含んでもよい。この場合、促進剤または触媒は、樹脂における固体の支持体において安定化させられ得る。ある用途では、回収溶液における自由に移動する速度向上添加物、表面において被覆される速度向上材料、充填物の材料の中で混合される速度向上材料、またはこれらの組み合わせが、CO2取り込みを向上させるために用いられ得る。
【0194】
図13は、
図1A~
図1Bに示されている気体-液体接触器100などの気体-液体接触器システムについて、制御システム(または制御装置)1600の概略図である。システム1600は、例えば制御システム999、もしくは本明細書に記載されている他の制御装置として、またはその一部として、先に記載されているコンピュータで実施される方法のいずれかとの関連で記載されている動作のために使用できる。
【0195】
システム1600は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、携帯情報端末、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、および他の適切なコンピュータなど、様々な形態のデジタルコンピュータを含むように意図されている。システム1600は、携帯情報端末、携帯電話、スマートフォン、および他の同様のコンピュータデバイスなどの携帯デバイスを含む可能性もある。また、システムは、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブなどの携帯保存媒体を含み得る。例えば、USBフラッシュドライブは、動作システムおよび他のアプリケーションを保存することができる。USBフラッシュドライブは、無線送信装置、または、他のコンピュータデバイスのUSBポートへ挿入させることができるUSBコネクタなど、入力/出力構成要素を備え得る。
【0196】
システム1600は、処理装置1610と、メモリ1620と、記憶デバイス1630と、入力/出力デバイス1640とを備える。構成要素1610、1620、1630、および1640の各々は、システムバス1650を使用して相互に接続されている。処理装置1610は、システム1600内での実行のための命令を処理することができる。処理装置は、いくつかのアーキテクチャのいずれかを使用して設計できる。例えば、処理装置1610は、CISC(複合命令セットコンピュータ)処理装置、RISC(縮小命令セットコンピュータ)処理装置、またはMISC(最小限命令セットコンピュータ)処理装置であり得る。
【0197】
ある実施では、処理装置1610はシングルスレッド処理装置である。ある実施では、処理装置1610はマルチスレッド処理装置である。処理装置1610は、ユーザインターフェースについての図式の情報を入力/出力デバイス1640に表示するために、メモリ1620または記憶デバイス1630に保存されている命令を処理することができる。
【0198】
メモリ1620は情報をシステム1600内で保存する。ある実施では、メモリ1620はコンピュータ読み取り可能媒体である。ある実施では、メモリ1620は揮発性記憶ユニットである。ある実施では、メモリ1620は不揮発性記憶ユニットである。
【0199】
記憶デバイス1630は大容量記憶をシステム1600に提供することができる。ある実施では、記憶デバイス1630はコンピュータ読み取り可能媒体である。様々な異なる実施において、記憶デバイス1630は、フロッピーディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光学ディスクデバイス、またはテープデバイスであり得る。
【0200】
入力/出力デバイス1640は入力/出力動作をシステム1600に提供する。ある実施では、入力/出力デバイス1640はキーボードおよび/またはポインティングデバイスを含む。ある実施では、入力/出力デバイス1640はグラフィカルユーザインターフェースを表示するための表示ユニットを含む。
【0201】
記載されている特定の特徴は、デジタル電子回路、コンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせで実施され得る。装置は、プログラム可能処理装置による実行のための機械読み取り可能な記憶デバイスなどの情報担体で有形に具現化されたコンピュータプログラム製品で実施でき、方法のステップが、記載されている実施の機能を、入力データで動作して出力を生成することで実施するために、命令のプログラムを実行するプログラム可能処理装置によって実施され得る。記載されている特徴は、データおよび命令を、データ保存システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスから受信し、データおよび命令を、データ保存システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスへと送信するために接続された少なくとも1つのプログラム可能処理装置を含め、プログラム可能システムにおいて実行可能である1つまたは複数のコンピュータプログラムにおいて有利に実施できる。コンピュータプログラムは、特定の活動を実施するために、または、特定の結果を引き起こすために、コンピュータにおいて直接的または間接的に使用され得る命令のセットである。コンピュータプログラムは、コンパイル型言語またはインタプリタ型言語を含め、任意の形態のプログラム言語で書き出すことができ、スタンドアローンプログラムとしての展開、または、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくは、コンピュータ環境における使用のために適した他のユニットとしての展開を含め、任意の形態で展開させることができる。
【0202】
命令のプログラムの実行のための適切な処理装置には、例として、汎用マイクロプロセッサおよび専用マイクロプロセッサの両方があり、任意の種類のコンピュータの単一の処理装置、または、複数の処理装置のうちの1つがある。概して、処理装置は、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、またはそれら両方から命令およびデータを受信することになる。コンピュータの本質的な要素は、命令を実行するための処理装置、ならびに、命令およびデータを保存するための1つまたは複数のメモリである。概して、コンピュータは、データファイルを保存するための1つまたは複数の大容量メモリをも備える、またはそのような大容量メモリと通信するように動作可能に接続され、このようなメモリは、内部ハードディスクおよび取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、および光学ディスクを備える。コンピュータプログラム命令およびデータを有形に具現化するのに適したメモリには、例として、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内部ハードディスクおよび取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびに、CD-ROMディスクおよびDVD-ROMディスクを含め、すべての形態の非揮発性メモリがある。処理装置およびメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)によって補うことができる、または、ASICに組み込むことができる。
【0203】
使用者との交流を提供するために、使用者に情報を表示するためのCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶表示装置)のモニタなどの表示装置と、キーボード、および、使用者が入力をコンピュータに提供することができるマウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイスとを有するコンピュータにおいて、特徴が実施され得る。また、このような活動は、タッチスクリーン、フラットパネル表示装置、および他の適切な機構を介して実施させることができる。
【0204】
特徴は、データサーバなどのバックエンドの構成要素を含む制御システム、アプリケーションサーバもしくはインターネットサーバなどのミドルウェアの構成要素を含む制御システム、グラフィカルユーザインターフェースもしくはインターネットブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンドの構成要素を含む制御システム、または、それらの任意の組み合わせで実施され得る。システムの構成要素は、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信の任意の形態または媒体によって接続され得る。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、広域ネットワーク(「WAN」)、ピアツーピアネットワーク(アドホックまたは静的メンバを有する)、グリッドコンピューティングインフラストラクチャ、およびインターネットがある。
【0205】
本開示のいくつかの実施形態が記載されている。それでもなお、様々な変更が本開示の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることが理解される。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。様々な態様のさらなる変更および代替の実施形態が、本記載を考慮して、当業者には明らかになる。したがって、本記載は単に例示として解釈される。図示され、本明細書で記載された形態は実施形態の例として見なされることが理解されるべきである。本記載の便益を知った後に当業者にはすべて明らかになるように、要素および材料が、図示され、本明細書に記載されているものの代わりとされてもよく、部品およびプロセスは逆にされてもよく、特定の特徴は独立して利用されてもよい。変更は、以下の特許請求の範囲に記載されているような精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている要素において行うことができる。
【符号の説明】
【0206】
100、100a、100b 気体-液体接触器
104 液体分配システム
105 上液溜め部
106 充填物、充填物区域
110 下液溜め部
112 ファン
114 CO2回収溶液
118 気体吸気部
200 気体-液体接触器
201 構造部材
202 フレーム
204 上液溜め部
206 充填物
208 プレナム
210 下液溜め部
212 ファン
214 CO2回収溶液
216 筐体
300 図
302 回収溶液(流れ)
304 充填物表面、充填物
306 充填物
400 親水性被覆
402 充填物表面
404 第1のアクリル層
406 第2のアクリル層
408 ファウリング層
410 回収溶液
500 充填物
502 プラスチック基材
504 接着層
506 セルロース層
600 カレンダ加工
602 プラスチック基材、充填物シート
604 セルロース
606、606a、606b、606c、606d カレンダローラ
608 接着材料
700 波形の充填物
702、704 波形の充填物シート、波形の充填物の層
706 滑らかな縁
708 波形の縁
710 頂部
712 谷部
800 充填物区域
802、802a、802b 漸進通路
999 制御システム
1200 ミクロ構造
1202 回収溶液
1204 交差流動隆条
1210 繊維
1212 顆粒
1300 図
1302、1304、1306 交差流動隆条
1308、1310、1312 流動方向隆条
1314、1316、1318 隆条なし、平坦な板
1400 手法
1402 溶解可能固体
1404 充填物材料
1406 ミクロ構造
1500 相互作用
1502 バルク溶液層
1504 液体境界面層
1506、1506a、1506b 噴霧溶液液滴
1508、1508a、1508b 液滴
1600 制御システム、制御装置
1610 処理装置
1620 メモリ
1630 記憶デバイス
1640 入力/出力デバイス
θ 接触角度
【国際調査報告】