(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】干渉する物体を打ち消すレーザパルスの調整
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61F9/008 120D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534942
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 IB2021061508
(87)【国際公開番号】W WO2022130137
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マリオ アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ビッテネベル
(57)【要約】
特定の実施形態では、眼に対して外科処置を行うための眼科手術システムが、レーザデバイスと、カメラと、コンピュータとを備える。レーザデバイスは、レーザ源とスキャナとを備える。レーザ源はパルスを含むレーザビームを発生させ、スキャナはレーザ焦点パターンにしたがって眼の組織に向けてパルスを導く。カメラは眼の手術画像を取り込む。コンピュータは、レーザ焦点パターンにしたがって眼に向けてパルスを導くようにレーザデバイスに命令し、眼の手術画像にアクセスしてモニタし、眼の手術画像から干渉する物体を識別し、干渉する物体を打ち消すようにパルスの制御を変更する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼に対して外科処置を行うための眼科手術システムであって、前記システムが、
レーザデバイスであって、
複数のパルスを含むレーザビームを発生させるように構成されたレーザ源と、
レーザ焦点パターンにしたがって前記眼の組織に向けて前記パルスを導くように構成されたスキャナと
を備える、レーザデバイスと、
前記眼の複数の手術画像を取り込むように構成されたカメラと、
コンピュータであって、
前記レーザ焦点パターンにしたがって前記眼に向けて前記パルスを導くように前記レーザデバイスに命令し、
前記眼の前記複数の手術画像にアクセスしてモニタし、
前記眼の前記手術画像から干渉する物体を識別し、
前記干渉する物体を打ち消すように前記パルスの制御を変更する
ように構成されたコンピュータと
を備える、眼科手術システム。
【請求項2】
前記コンピュータが、
干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する幾何学的形状を含む、アクセスすることと、
前記眼の少なくとも1つの手術画像において幾何学的形状を検出することと、
前記検出された幾何学的形状に対応する前記干渉する可能性のある物体を前記干渉する物体として識別することと
によって前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別するように構成される、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項3】
前記コンピュータが、
干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する代表画像を含む、アクセスすることと、
前記眼の少なくとも1つの手術画像において代表画像に一致する物体を検出することと、
前記検出された物体に対応する前記干渉する可能性のある物体を前記干渉する物体として識別することと
によって前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別するように構成される、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項4】
前記コンピュータが、
前記眼の治療前の画像にアクセスすることと、
前記眼の前記治療前の画像を前記眼の少なくとも1つの手術画像と比較して、前記治療前の画像と前記手術画像との間の差を判定することと、
前記差を前記干渉する物体として識別することと
によって前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別するように構成される、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項5】
前記手術画像が、前記画像の複数の物体の温度を示し、
前記コンピュータが、
前記眼の前記組織の温度から逸脱している温度を有する、前記画像の物体を検出することと、
前記検出された物体を前記干渉する物体として識別することと
によって前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別するように構成される、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項6】
前記手術画像が、前記画像の複数の物体の前記カメラからの複数の距離を示し、
前記コンピュータが、
前記眼の距離から逸脱している距離を有する、前記画像の物体を検出することと、
前記検出された物体を前記干渉する物体として識別することと
によって前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別するように構成される、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項7】
前記コンピュータが、
前記干渉する物体によって遮断されているパルスを判定することと、
前記干渉する物体によって遮断されているパルスの放出を停止することと
によって前記干渉する物体を打ち消すように前記パルスの制御を変更するように構成される、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項8】
前記コンピュータが、
前記干渉する物体が前記パルスを遮断しなくなったとき、前記停止されたパルスを放出すること
によって前記干渉する物体を打ち消すように前記パルスの制御を変更するように構成される、請求項7に記載の眼科手術システム。
【請求項9】
前記コンピュータが、
前記干渉する物体が前記パルスを遮断しなくなったとき前記外科処置の終わり近くで、前記停止されたパルスを放出すること
によって前記干渉する物体を打ち消すように前記パルスの制御を変更するように構成される、請求項7に記載の眼科手術システム。
【請求項10】
前記コンピュータが、
前記干渉する物体が前記パルスを遮断しなくなったことを検出することと、
前記干渉する物体が前記パルスを遮断しなくなったことを検出したことに応じて、前記停止されたパルスを放出することと
によって前記干渉する物体を打ち消すように前記パルスの制御を変更するように構成される、請求項7に記載の眼科手術システム。
【請求項11】
前記コンピュータが、
前記干渉する物体が前記パルスを遮断しているという通知を生成すること
によって前記干渉する物体を打ち消すように前記パルスの制御を変更するように構成される、請求項7に記載の眼科手術システム。
【請求項12】
前記コンピュータが、
前記干渉する物体の経路を予測することと、
前記干渉する物体が前記少なくとも1つのパルスを遮断しなくなったことを前記予測される経路が示すとき、前記停止されたパルスのうちの少なくとも1つを放出することと
によって前記干渉する物体を打ち消すように前記パルスの制御を変更するように構成される、請求項7に記載の眼科手術システム。
【請求項13】
前記干渉する物体が、手術器具、医療ラボツール、前記眼科手術システムの一部、ユーザの身体の一部、患者の身体の一部、生物、又は手術由来生成物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項14】
眼に対して外科処置を行うための方法であって、
レーザデバイスのレーザ源によって、複数のパルスを含むレーザビームを発生させることと、
前記レーザデバイスのスキャナによって、レーザ焦点パターンにしたがって前記眼の組織に向けて前記パルスを導くことと、
カメラによって、前記眼の複数の手術画像を取り込むことと、
コンピュータによって、前記レーザ焦点パターンにしたがって前記眼に向けて前記パルスを導くように前記レーザデバイスに命令することと、
前記コンピュータによって、前記眼の前記複数の手術画像にアクセスしてモニタすることと、
前記コンピュータによって、前記眼の前記手術画像から干渉する物体を識別することと、
前記コンピュータによって、前記干渉する物体を打ち消すように前記パルスの制御を変更することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別することが、
干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する幾何学的形状を含む、アクセスすることと、
前記眼の少なくとも1つの手術画像において幾何学的形状を検出することと、
前記検出された幾何学的形状に対応する前記干渉する可能性のある物体を前記干渉する物体として識別することと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別することが、
干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する代表画像を含む、アクセスすることと、
前記眼の少なくとも1つの手術画像において代表画像に一致する物体を検出することと、
前記検出された物体に対応する前記干渉する可能性のある物体を前記干渉する物体として識別することと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別することが、
前記眼の治療前の画像にアクセスすることと、
前記眼の前記治療前の画像を前記眼の少なくとも1つの手術画像と比較して、前記治療前の画像と前記手術画像との間の差を判定することと、
前記差を前記干渉する物体として識別することと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記手術画像が、前記画像の複数の物体の温度を示し、
前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別することが、
前記眼の前記組織の温度から逸脱している温度を有する、前記画像の物体を検出することと、
前記検出された物体を前記干渉する物体として識別することと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記手術画像が、前記画像の複数の物体の前記カメラからの複数の距離を示し、
前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を識別することが、
前記眼の距離から逸脱している距離を有する、前記画像の物体を検出することと、
前記検出された物体を前記干渉する物体として識別することと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記干渉する物体を打ち消すように前記パルスの制御を変更することが、
前記干渉する物体によって遮断されているパルスを判定することと、
前記干渉する物体によって遮断されているパルスの放出を停止することと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
眼に対して外科処置を行うための眼科手術システムであって、前記システムが、
レーザデバイスであって、
複数のパルスを含むレーザビームを発生させるように構成されたレーザ源と、
レーザ焦点パターンにしたがって前記眼の組織に向けて前記パルスを導くように構成されたスキャナと
を備える、レーザデバイスと、
前記眼の複数の手術画像を取り込むように構成されたカメラと、
コンピュータであって、
前記レーザ焦点パターンにしたがって前記眼に向けて前記パルスを導くように前記レーザデバイスに命令し、
前記眼の前記複数の手術画像にアクセスしてモニタし、
前記眼の前記手術画像から前記干渉する物体を、以下、すなわち、
干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する幾何学的形状を含む、アクセスすること、前記眼の少なくとも1つの手術画像において幾何学的形状を検出すること、及び前記検出された幾何学的形状に対応する前記干渉する可能性のある物体を前記干渉する物体として識別すること、
干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する代表画像を含む、アクセスすること、前記眼の少なくとも1つの手術画像において代表画像に一致する物体を検出すること、及び前記検出された物体に対応する前記干渉する可能性のある物体を前記干渉する物体として識別すること、
前記眼の治療前の画像にアクセスすること、前記眼の前記治療前の画像を前記眼の少なくとも1つの手術画像と比較して、前記治療前の画像と前記手術画像との間の差を判定すること、及び前記差を前記干渉する物体として識別すること、
前記手術画像が前記画像の複数の物体の温度を示す場合、前記眼の前記組織の温度から逸脱している温度を有する、前記画像の物体を検出し、前記検出された物体を前記干渉する物体として識別することによって前記干渉する物体を識別すること、並びに
前記手術画像が前記画像の複数の物体の前記カメラからの複数の距離を示す場合、前記眼の距離から逸脱している距離を有する、前記画像の物体を検出し、前記検出された物体を前記干渉する物体として識別することによって前記干渉する物体を識別すること
のうちの少なくとも1つを実行することによって識別し、
前記干渉する物体を、
前記干渉する物体の経路を予測することと、
前記干渉する物体によって遮断されているパルスを判定することと、
前記干渉する物体が前記パルスを遮断しているという通知を生成すること、
前記干渉する物体によって遮断されているパルスの放出を停止することと、
前記干渉する物体が前記パルスを遮断しなくなったとき、前記干渉する物体が前記パルスを遮断しなくなったとき前記外科処置の終わり近くで、前記干渉する物体が前記パルスを遮断しなくなったことを検出したことに応じて、又は前記干渉する物体が前記少なくとも1つのパルスを遮断しなくなったことを前記予測される経路が示すとき、停止されたパルスを放出することであって、前記干渉する物体が、手術器具、医療ラボツール、前記眼科手術システムの一部、ユーザの身体の一部、患者の身体の一部、生物、又は手術由来生成物のうちの少なくとも1つを含むことと
によって、打ち消すように前記パルスの制御を変更する
ように構成されたコンピュータと
を備える、眼科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、眼科手術システム及び方法に関し、より詳細には、干渉する物体を打ち消すレーザパルスの調整に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザアブレーションは、レーザビームを表面に照射することによって表面から物質を除去する。眼科手術では、アブレーション手術は典型的に、エキシマレーザを使って角膜を変形させてその屈折特性を変化させる。処置中、レーザビームは、角膜の特定の位置で除去すべき組織の体積領域を示す切削プロファイルにしたがって角膜に向けて導かれる。ビームにより分子どうしが分離させられ、物質が除去されて、所望の角膜形状が得られる。
【0003】
レーザビームは、切削プロファイルから決定された焦点パターンにしたがって集束され得る。1パルスが切削する組織の体積を考慮し、特定の位置に導かれるべきパルスの数は、切削プロファイルにしたがって除去される組織の体積から計算され得る。所望の角膜形状を正確に得るためには、焦点パターンによって定義されたパルスの数が組織に到達するべきである。しかしながら、状況によっては、パルスが干渉する物体に遮断されることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態では、眼に対して外科処置を行うための眼科手術システムが、レーザデバイスと、カメラと、コンピュータとを備える。レーザデバイスは、レーザ源とスキャナとを備える。レーザ源はパルスを含むレーザビームを発生させ、スキャナはレーザ焦点パターンにしたがって眼の組織に向けてパルスを導く。カメラは眼の手術画像を取り込む。コンピュータは、レーザ焦点パターンにしたがって眼に向けてパルスを導くようにレーザデバイスに命令し、眼の手術画像にアクセスしてモニタし、眼の手術画像から干渉する物体を識別し、干渉する物体を打ち消すようにパルスの制御を変更する。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよい、又は1つ、いくつか、若しくはすべてを含んでもよい。コンピュータは、干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する幾何学的形状を含む、アクセスすることと、眼の少なくとも1つの手術画像において幾何学的形状を検出することと、検出された幾何学的形状に対応する干渉する可能性のある物体を干渉する物体として識別することとによって眼の手術画像から干渉する物体を識別する。コンピュータは、干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する代表画像を含む、アクセスすることと、眼の少なくとも1つの手術画像において代表画像に一致する物体を検出することと、検出された物体に対応する干渉する可能性のある物体を干渉する物体として識別することとによって眼の手術画像から干渉する物体を識別する。コンピュータは、眼の治療前の画像にアクセスすることと、眼の治療前の画像を眼の少なくとも1つの手術画像と比較して、治療前の画像と手術画像との間の差を判定することと、差を干渉する物体として識別することとによって眼の手術画像から干渉する物体を識別する。手術画像は、画像の物体の温度を示す。コンピュータは、眼の組織の温度から逸脱している温度を有する、画像の物体を検出することと、検出された物体を干渉する物体として識別することとによって眼の手術画像から干渉する物体を識別する。手術画像は、画像の物体のカメラからの距離を示す。コンピュータは、眼の距離から逸脱している距離を有する、画像の物体を検出することと、検出された物体を干渉する物体として識別することとによって眼の手術画像から干渉する物体を識別する。コンピュータは、干渉する物体によって遮断されているパルスを判定することと、干渉する物体によって遮断されているパルスの放出を停止することとによって干渉する物体を打ち消すようにパルスの制御を変更する。コンピュータは、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったとき、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったとき外科処置の終わり近くで、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったことを検出したことに応じて、及び/又は干渉する物体が少なくとも1つのパルスを遮断しなくなったことを予測される経路が示すとき、停止されたパルスを放出し得る。コンピュータは、干渉する物体がパルスを遮断しているという通知を生成し得る。干渉する物体は、手術器具、医療ラボツール、眼科手術システムの一部、ユーザの身体の一部、患者の身体の一部、生物、又は手術由来生成物のうちの少なくとも1つを含む。
【0006】
特定の実施形態では、眼に対して外科処置を行うための方法が、レーザデバイスのレーザ源によって、パルスを含むレーザビームを発生させることと、レーザデバイスのスキャナによって、レーザ焦点パターンにしたがって眼の組織に向けてパルスを導くことと、カメラによって、眼の手術画像を取り込むことと、コンピュータによって、レーザ焦点パターンにしたがって眼に向けてパルスを導くようにレーザデバイスに命令することと、コンピュータによって、眼の手術画像にアクセスしてモニタすることと、コンピュータによって、眼の手術画像から干渉する物体を識別することと、コンピュータによって、干渉する物体を打ち消すようにパルスの制御を変更することとを含む。
【0007】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよいか、又は1つ、いくつか若しくはすべてを含み得る。眼の手術画像から干渉する物体を識別することが、干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する幾何学的形状を含む、アクセスすることと、眼の少なくとも1つの手術画像において幾何学的形状を検出することと、検出された幾何学的形状に対応する干渉する可能性のある物体を干渉する物体として識別することとを含む。眼の手術画像から干渉する物体を識別することが、干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する代表画像を含む、アクセスすることと、眼の少なくとも1つの手術画像において代表画像に一致する物体を検出することと、検出された物体に対応する干渉する可能性のある物体を干渉する物体として識別することとを含む。眼の手術画像から干渉する物体を識別することが、眼の治療前の画像にアクセスすることと、眼の治療前の画像を眼の少なくとも1つの手術画像と比較して、治療前の画像と手術画像との間の差を判定することと、差を干渉する物体として識別することとを含む。手術画像は、画像の物体の温度を示す。眼の手術画像から干渉する物体を識別することが、眼の組織の温度から逸脱している温度を有する、画像の物体を検出することと、検出された物体を干渉する物体として識別することとを含む。手術画像は、画像の物体のカメラからの距離を示す。眼の手術画像から干渉する物体を識別することが、眼の距離から逸脱している距離を有する、画像の物体を検出することと、検出された物体を干渉する物体として識別することとを含む。干渉する物体を打ち消すようにパルスの制御を変更することが、干渉する物体によって遮断されているパルスを判定することと、干渉する物体によって遮断されているパルスの放出を停止することとを含む。
【0008】
特定の実施形態では、眼に対して外科処置を行うための眼科手術システムが、レーザデバイスと、カメラと、コンピュータとを備える。レーザデバイスは、レーザ源とスキャナとを備える。レーザ源はパルスを含むレーザビームを発生させ、スキャナはレーザ焦点パターンにしたがって眼の組織に向けてパルスを導く。カメラは眼の手術画像を取り込む。コンピュータは、レーザ焦点パターンにしたがって眼に向けてパルスを導くようにレーザデバイスに命令し、眼の手術画像にアクセスしてモニタする。コンピュータは、以下、すなわち、干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する幾何学的形状を含む、アクセスすること、眼の少なくとも1つの手術画像において幾何学的形状を検出すること、及び検出された幾何学的形状に対応する干渉する可能性のある物体を干渉する物体として識別すること、干渉する可能性のある物体の1つ又は複数の記述にアクセスすることであって、各記述が、干渉する可能性のある物体に対応する代表画像を含む、アクセスすること、眼の少なくとも1つの手術画像において代表画像に一致する物体を検出すること、及び検出された物体に対応する干渉する可能性のある物体を干渉する物体として識別すること、眼の治療前の画像にアクセスすることであって、眼の治療前の画像を眼の少なくとも1つの手術画像と比較して、治療前の画像と手術画像との間の差を判定すること、及び差を干渉する物体として識別すること、手術画像が画像の物体の温度を示す場合、眼の組織の温度から逸脱している温度を有する、画像の物体を検出し、検出された物体を干渉する物体として識別することによって干渉する物体を識別すること、並びに手術画像が画像の物体のカメラからの距離を示す場合、眼の距離から逸脱している距離を有する、画像の物体を検出し、検出された物体を干渉する物体として識別することによって干渉する物体を識別することのうちの少なくとも1つを実行することによって、眼の手術画像から干渉する物体を識別する。コンピュータは、干渉する物体の経路を予測することと、干渉する物体によって遮断されているパルスを判定することと、干渉する物体がパルスを遮断しているという通知を生成することと、干渉する物体によって遮断されているパルスの放出を停止することと、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったとき、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったとき外科処置の終わり近くで、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったことを検出したことに応じて、又は干渉する物体が少なくとも1つのパルスを遮断しなくなったことを予測される経路が示すとき、停止されたパルスを放出することとによって、干渉する物体を打ち消すようにパルスの制御を変更する。干渉する物体は、手術器具、医療ラボツール、眼科手術システムの一部、ユーザの身体の一部、患者の身体の一部、生物、又は手術由来生成物のうちの少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】特定の実施形態による、外科処置を行うために患者の眼の角膜組織を切削する眼科レーザアブレーションシステムの一例を示す。
【
図2】特定の実施形態による、外科処置を行うために患者の眼の角膜組織を切削する眼科レーザアブレーションシステムの一例を示す。
【
図3】干渉する可能性のある物体及びそれらの対応する記述の例のテーブルを示す。
【
図4】眼の手術画像及び干渉する物体の一例を示す。
【
図5】干渉する物体を識別するための眼の手術画像と治療前の画像との比較の一例を示す。
【
図6】物体の温度を用いる、干渉する物体を識別するために使用される手術画像の一例を示す。
【
図7】物体の距離を用いる、干渉する物体を識別するために使用される手術画像の一例を示す。
【
図8】特定の実施形態による、
図1のシステムによって実行され得る外科処置において干渉する物体を識別し、打ち消すための方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を詳細に示す。説明及び図面は、網羅的であることも、図面に示され、説明で開示される特定の実施形態に特許請求の範囲を限定することも意図されていない。図面は、可能な実施形態を表すが、図面は、必ずしも原寸に比例しておらず、実施形態をよりよく示すために特定の特徴を簡略化、誇張、削除、又は部分的に分割している場合がある。
【0011】
特定の実施形態では、本システム及び方法は、外科処置中に眼に向けて導かれたレーザパルスを遮断する干渉する物体を識別し得る。干渉する物体は、例えば、干渉する物体に対応する幾何学的形状を検出すること、干渉する物体の代表画像に一致する物体を検出すること、治療前の画像に存在しなかった物体を検出すること、眼の温度から逸脱している温度を有する物体を検出すること、及び/又はレーザデバイスと眼との間の距離にある物体を検出することによって識別され得る。本システム及び方法はまた、干渉する物体を打ち消すようにパルスの制御を変更し得る。例えば、制御は、干渉する物体がパルスを遮断しなくなった後にパルスを放出すること、処置の終わり近くでパルスを放出すること、及び/又は干渉する物体がパルスを遮断しているという通知を送信することによって変更され得る。
【0012】
図1及び
図2は、特定の実施形態による、外科処置を行うために患者の眼の角膜組織を切削する眼科レーザアブレーションシステム10の一例を示している。システム10は、様々なタイプの処置で使用され得る。例えば、レーザ角膜切削形成手術(Laser in-situ keratomileusis、LASIK)では、角膜を切開してフラップが形成され、その後、システム10を用いて角膜が切削される。別の例として、レーザ屈折矯正角膜切除術(photo refractive keratectomy、PRK)では、上皮が例えば化学的又は機械的に除去された後、システム10を用いて角膜が切削される。
【0013】
図1は、眼科レーザアブレーションシステム10と、ベッド8に横たわる患者6とを示している。図示の例では、システム10は、カメラ38とレーザビームがシステム10を出る部分39とを備える。干渉する物体は、レーザパルスが患者6に到達するのを遮断し、部分39と患者6との間、例えば領域41に位置し得る。干渉する物体の例としては、手術器具、医療ラボツール(例えば、チューブ、ピペット、カニューレ)、システム10の一部、医療従事者の身体の一部(例えば、指、手袋)、生物(例えば、飛んでいる虫)、患者の身体の一部(例えば、まつ毛)、手術由来生成物(例えば、水滴、アブレーションミスト)、又はレーザパルスが患者6に到達するのを遮断し得る他の適切な物体が挙げられる。
【0014】
図2では、システム10は、図示のように結合されたレーザデバイス15と、カメラ38と、制御コンピュータ30とを備える。レーザデバイス15は、図示のように結合されたレーザ源12、スキャナ16、1つ若しくは複数の光学要素17、及び/又は集束対物系18などの制御可能なコンポーネントを含む。コンピュータ30は、図示のように結合されたロジック36と、(コンピュータプログラム34を記憶する)メモリ32と、ディスプレイ37とを備える。説明しやすくするために、次のようなxyz座標系を使用する。すなわち、z方向はレーザビームの伝播方向により規定され、xy平面は伝播方向に垂直である。他の適切なxyz座標系を使用してもよい。
【0015】
次に、システム10の各部を見ると、レーザ源12は焦点パターンにしたがって眼22の組織を変化させる(例えば、切削又は光破壊する)レーザビームを発生させる。レーザ源12は、複数のパルスを含むレーザビームを発生させるエキシマレーザ又はフェムトレーザであってよい。焦点パターンが、レーザ放射パルスを導くべき位置のためのx及びy(場合によりz)座標を規定し得る。場合によっては、焦点パターンは、切削プロファイルから決定されてよく、これは角膜の特定のx,y位置において除去すべき組織の体積空間を示す。1パルスが切削する組織の体積空間を考慮し、あるx,y位置に導かれるパルスの数は、切削プロファイルにより規定される組織の体積から計算され得る。
【0016】
スキャナ16は、焦点パターンにしたがって短手方向及び/又は長手方向にレーザビームの焦点を導く。短手方向とは、ビームの伝播方向に垂直な方向、すなわちx,y方向を意味する。スキャナ16は、レーザビームを任意の適切な仕方で短手方向に導くことができる。例えば、スキャナ16は、相互に垂直な軸の周りでチルトすることができる一対のガルバノメトリック作動式スキャナミラーを含んでもよい。別の例として、スキャナ16は、レーザビームを電気光学的に操作することができる電気光学結晶を含んでもよい。
【0017】
長手方向とは、レーザビームの伝播方向に平行な方向、すなわちz方向を意味する。スキャナ16は、任意の適切な仕方でレーザビームを長手方向に導き得る。例えば、スキャナ16は、長手方向に調節可能なレンズ、屈折力が可変のレンズ、又はビーム焦点のz位置を制御し得る変形可能なミラーを備えてもよい。スキャナ16のコンポーネントは、ビーム経路に沿って任意の適切な仕方で、例えば同じ又は異なるモジュール式ユニットで配置されてもよい。
【0018】
1つ(又は複数)の光学要素17は、集束対物系18に向けてレーザビームを導く。光学要素17は、レーザビームに作用(例えば、透過、反射、屈折、回折、コリメート、調整、整形、集束、変調、及び/又は他の仕方で作用)し得る。光学要素の例としては、レンズ、プリズム、ミラー、回折光学要素(diffractive optical element、DOE)、ホログラフィック光学要素(holographic optical element、HOE)、及び空間光変調器(spatial light modulator、SLM)が挙げられる。本例では、光学要素17はミラーである。集束対物系18は、レーザビームの焦点を眼22の一点に向けて集束させる。本例では、集束対物系18は、対物レンズであり、例えばfθ対物系である。
【0019】
カメラ38が、外科処置中に撮影された眼22の手術画像を記録する。カメラ38の例としては、ビデオ、干渉計、熱イメージング、超音波、光コヒーレンストモグラフィ、及び視線追跡カメラが挙げられる。カメラ38は、眼22の記録された画像を表す画像データをコンピュータ30に送達する。
【0020】
コンピュータ30は、システム10のコンポーネントをコンピュータプログラム34にしたがって制御する。例えば、コンピュータ30は、コンポーネント(例えば、レーザ源12、スキャナ16、光学要素17、及び/又は集束対物系18)を制御して、レーザデバイス15のレーザビームを眼22に集束させ、レーザ焦点パターンにしたがって眼22の少なくとも一部を切削する。メモリ32がコンピュータ30によって使用される情報を記憶する。例えば、メモリ32は、眼22の画像(例えば、手術画像及び/又は治療前の画像)、干渉する物体42の記述(例えば、物体の代表画像及び/又は幾何学的形状)、及び/又は他の適切な情報を記憶してもよく、コンピュータ30はメモリ32からの情報にアクセスし得る。
【0021】
コンピュータ30は、手術画像をモニタし、眼に向けて導かれたレーザパルスを遮断する干渉する物体を識別し得る。コンピュータ30は、干渉する物体を識別するために、画像データに対して画像処理を実行してもよい。特定の実施形態では、
図3及び
図4を参照してより詳細に説明するように、干渉する可能性のある物体の記憶された記述、例えば、干渉する可能性のある物体の幾何学的形状及び/又は代表画像にしたがって干渉する物体を識別するために画像処理が使用され得る。他の実施形態では、
図5を参照してより詳細に説明するように、画像処理は、治療前の画像を手術画像と比較して、干渉する物体を示す、治療前の画像に存在しなかった物体を検出するために使用され得る。他の実施形態では、
図6を参照してより詳細に説明するように、画像処理は、干渉する物体を示す、眼の温度から逸脱した温度を有する物体を検出するために使用され得る。他の実施形態では、
図7を参照してより詳細に説明するように、画像処理は、干渉する物体を示す、レーザデバイスと眼との間にある距離にある物体を検出するために使用され得る。
【0022】
コンピュータ30は、干渉する物体によって遮断されているパルスを識別し、遮断されたパルスの制御を変更して干渉する物体を打ち消し得る。特定の実施形態では、コンピュータ30は、手術画像から干渉する物体の位置を判定し、焦点パターンにしたがって、その位置にどのパルスが導かれているかを識別することにより、遮断されたパルスを識別し得る。
【0023】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、遮断されたパルスの放出を停止し、その後、遮断されたパルスの問題を解決することによって、遮断されたパルスの制御を変更し得る。特定の実施形態では、コンピュータ30は、問題を解決するために、以下のうちの1つ又は複数を実行し得る。(1)画像から、干渉する物体が少なくとも一部のパルスを遮断する位置にいなくなったことを検出し、遮断されなくなったパルスを放出する。(2)処置の終わり近くで、例えばレーザ焦点パターンの他のパルスが放出された後、パルスを放出する。(3)干渉する物体がパルスを遮断しているという通知を送信する。これに応じて、干渉する物体がパルスを遮断しなくなるようにユーザが干渉する物体を移動させ得る。(4)例えば、以前の経路及び/又は干渉する物体のような他の物体の動きに関する既知の情報から、干渉する物体の経路を予測する。そして、パルスが遮断されなくなったことを予測される経路が示すとパルスを放出する。
【0024】
図3は、干渉する可能性のある物体(42a~42h)及びそれらの対応する記述の例のテーブル40を示している。記述は、例えば、物体42の代表画像43(43a~43h)及び/又は幾何学的形状44(44a~44h)を含み得、物体42を2次元又は3次元で記述し得る。メモリ32がテーブル40を記憶してもよい。代表画像43は、干渉する可能性のある物体42の写真の画像データとして記憶されてもよく、幾何学的形状44は、干渉する可能性のある物体42を記述する属性、例えばベクトルのリストとして記憶されてもよい。コンピュータ30は、メモリ32からのテーブル40にアクセスして、対応する代表画像43及び/又は幾何学的形状44にしたがって、手術画像の干渉する物体42を識別し得る。干渉する物体42(42a~42h)の例としては、手術用スポンジ42a~b、LASIKフラップエレベータ42c、ペイトン氏スパーテル42d、ホッケーナイフ42e、リンドストローム氏スパーテル42f、LASIKピック42g、及びLASIKフラップ鉗子42hが挙げられる。
【0025】
図4は、眼22の手術画像46及び干渉する物体42aの一例を示している。特定の実施形態では、コンピュータ30が、手術画像26に対して画像処理を行って、画像の幾何学的形状44aを識別する。例えば、手術画像26を解析して、眼の色及び/又は輝度から逸脱している色及び/又は輝度を有する領域の境界を検出し、その境界がテーブル40の幾何学的形状44と一致するか否かを判定する。一致した場合、コンピュータ30は、干渉する物体42aが識別されたと判定し得る。本例では、コンピュータは干渉する物体42aを識別する。
【0026】
特定の実施形態では、コンピュータ30が、手術画像26に対して画像処理を行って、代表画像43に一致する物体を識別する。例えば、手術画像26の少なくともいくつかの画素を代表画像43の少なくともいくつかの画素と比較して、手術画像26が代表画像43と実質的に一致するか否かを確認する。一致した場合、コンピュータ30は、干渉する物体42aが識別されたと判定し得る。本例では、コンピュータは干渉する物体42aを識別する。
【0027】
図5は、干渉する物体42aを識別するための眼22の手術画像46と治療前の画像48との比較の一例を示している。本例では、コンピュータ30は、(例えば、メモリ32からの)画像46、48にアクセスし、画像46、48どうしを比較する画像処理を行って、画像46、48間の差を識別する。例えば、画像46、48の対応する画素が比較され、差が記録される。予め定義された許容範囲を超える差は、干渉する物体42aに対応する。予め定義された許容範囲は、干渉する物体を他の差(例えば、画像アーチファクト又は画像間の眼22の差)から区別するように設定されてよく、以下の範囲、2~5パーセント、5~10パーセント、10~20パーセント、及び/又は20パーセント超の範囲のうちの1つ又は複数の値を有し得る。本例では、コンピュータ30は差を干渉する物体42aとして識別する。
【0028】
図6は、画像46において物体の温度を用いる、干渉する物体42aを識別するために使用される手術画像46の一例を示している。本例では、手術画像46は、画像46における物体の表面温度を示す、熱イメージングカメラ(例えば、赤外線カメラ)によって生成された熱画像である。画像46は、より温度が高い眼22をある色50で示し、より温度が低い干渉する物体42aを別の色52で示す。コンピュータ30は、色52の領域を干渉する物体42aとして識別する。
【0029】
図7は、画像46において物体の距離を用いる、干渉する物体42aを識別するために使用される手術画像46の一例を示している。本例では、システム10は、カメラ、例えば、干渉計、OCT、超音波、又はカメラからの距離を示す手術画像を生成する他のカメラを備える。本例では、カメラによって撮影された画像は、距離測定値、例えば、物体の位置を示す振幅ピークを有するロケーションベースのデプススキャン結果を含み得る。特定の実施形態では、レーザビームがシステム10を出る部分39と眼22との間の距離が既知であり、部分39と眼22との間の距離が干渉する物体42を示す。本例では、コンピュータ30は、部分39と眼22との間にある物体を干渉する物体42aとして識別する。
【0030】
図8は、特定の実施形態による、
図1のシステム10によって実行され得る外科処置において干渉する物体を識別し、打ち消すための方法の一例を示している。本実施形態では、コンピュータ30は、特定のステップを実行するようにシステム10のコンポーネントに命令し得る。本方法は、ステップ110において開始し、ここで、コンピュータ30は、外科処置におけるレーザパルスの配置を示すレーザ焦点パターンにアクセスする。コンピュータ30は、ステップ112において、カメラ38からの眼22の画像をモニタする。
【0031】
コンピュータ30は、ステップ114において、干渉する物体42を識別する。干渉する物体42は、例えば、ステップ114a~dで説明されるような、任意の適切な仕方で識別され得る。ステップ114aにおいて、コンピュータ30は、干渉する可能性のある物体の記憶された記述、例えば、干渉する可能性のある物体の幾何学的形状及び/又は代表画像にしたがって干渉する物体を識別する。ステップ114bにおいて、コンピュータ30は、治療前の画像を手術画像と比較して、干渉する物体を示す、治療前の画像に存在しなかった物体を検出する。ステップ114cにおいて、コンピュータ30は、干渉する物体を示す、眼の温度から逸脱している温度を有する物体を検出する。ステップ114cにおいて、コンピュータ30は、干渉する物体を示す、レーザデバイスと眼との間の距離にある物体を検出する。
【0032】
コンピュータ30は、ステップ116において、干渉する物体によって遮断されているパルスの放出を停止する。コンピュータ30は、1つ又は複数の追加のステップ118a~bを実行して、遮断されたパルスの問題を解決し得る。コンピュータ30は、ステップ118aにおいて、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったとき、停止されたパルスを放出する。例えば、コンピュータ30は、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったとき外科処置の終わり近くで、停止されたパルスを放出し得る。別の例として、コンピュータ30は、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったことを検出し、検出に応じて停止されたパルスを放出し得る。更に別の例として、コンピュータ30は、物体の予測された経路にしたがって、干渉する物体がパルスを遮断しなくなったことを判定し、判定に応じて停止されたパルスを放出し得る。コンピュータ30は、118bにおいて、干渉する物体がパルスを遮断しているという通知を生成する。これに応じて、ユーザが干渉する物体を移動させ得る。
【0033】
処置は、ステップ126で終了し得る。処置が終了しない場合、本方法はステップ112に戻り、ここで、コンピュータ30が眼22の画像をモニタする。処置が終了する場合、本方法は終了する。
【0034】
本明細書に開示のシステム及び装置の(制御コンピュータなどの)コンポーネントは、インターフェース、ロジック、及び/又はメモリを含んでいてもよく、これらのうちの任意のものは、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インターフェースは、コンポーネントへの入力を受信し、且つ/又はコンポーネントから出力を送信することができ、通常、例えばソフトウェア、ハードウェア、周辺機器、ユーザ及びこれらの組み合わせ間で情報を交換するために使用される。ユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI))は、ユーザがコンピュータと対話するために利用し得るインターフェースの一種である。ユーザインターフェースの例としては、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイクロフォン、及びスピーカが挙げられる。
【0035】
ロジックは、コンポーネントの動作を実行することができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する1つ又は複数の電子デバイスを含み得る。そのような電子デバイスの例としては、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、及びコンピュータチップが挙げられる。ロジックは、動作を実行するために電子デバイスによって実行され得る命令をエンコードするコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例としては、コンピュータプログラム、アプリケーション、及びオペレーションシステムが挙げられる。
【0036】
メモリは、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能な記憶媒体を含み得る。メモリの例としては、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、マスストレージ媒体(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージメディア(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)、及び/又は他のコンピュータ可読媒体が挙げられる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いてエンコードされたメモリを対象とすることができる。
【0037】
特定の実施形態に関して本開示を説明してきたが、実施形態の修正形態(例えば、変更形態、置換形態、追加形態、省略形態及び/又は他の修正形態)は当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正がなされ得る。例えば、本明細書で開示されたシステム及び装置に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、システム及び装置のコンポーネントは、統合若しくは分離され得る、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない、若しくは他のコンポーネントによって実行され得る。別の例として、本明細書で開示された方法に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、方法は、より多い、より少ない、又は他のステップを含み得、ステップは、任意の適当な順序で実行され得る。
【0038】
特許庁及び読者がクレームを解釈するのを助けるために、出願人は、特定のクレームにおいて「means for」又は「step for」という単語が明示的に使用されていない限り、クレーム又はクレーム要素のいずれもが、米国特許法第112条(f)を想起することを意図していないことに言及しておく。クレーム内の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」)の使用は、出願人により、関連技術における当業者に知られている構造を指すと理解され、米国特許法第112条(f)を想起することを意図していない。
【国際調査報告】