(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】青色光によって損傷された眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/20 20200101AFI20231226BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20231226BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20231226BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B47/155
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534947
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 IB2021061828
(87)【国際公開番号】W WO2022130268
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519295292
【氏名又は名称】ハイネック メドリッキー
【氏名又は名称原語表記】Hynek Medricky
(71)【出願人】
【識別番号】520487772
【氏名又は名称】ダニエル イェセンスキー
【氏名又は名称原語表記】Daniel Jesensky
(71)【出願人】
【識別番号】520487761
【氏名又は名称】ダニエル ステファン
【氏名又は名称原語表記】Daniel Stepan
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ハイネック メドリッキー
【テーマコード(参考)】
3K273
5F142
【Fターム(参考)】
3K273QA13
3K273RA05
3K273TA05
3K273TA21
3K273UA22
5F142BA32
5F142CB11
5F142CB13
5F142CD02
5F142DA03
5F142DA73
5F142GA21
(57)【要約】
青色光によって損傷した眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具は、波長λ=670nm~680nmにおいて放射エネルギーの最大値を有する発光団によって覆われる少なくとも1つの青色チップを含み、波長範囲400~490nmの青色スペクトル成分と波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分との比は最大1:1.6であるか、または、波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分と波長範囲570~780nmの赤色スペクトル成分との比は最小1:3である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色光によって損傷された眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具であって、
色度温度が2100K~5000Kである少なくとも1つの白色LEDチップと、波長λ=670nm~680nmにおいて放射エネルギーの最大値を有する少なくとも1つの赤色チップとを含むことを特徴とし、
波長範囲400~490nmの青色スペクトル成分と波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分との比が最大1:1.6である、または
波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分と波長範囲570~780nmの赤色スペクトル成分との比が最小1:3である、
白色光照明器具。
【請求項2】
前記波長範囲400~490nmの青色スペクトル成分と前記波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分との比が、1:1~1.6であることを特徴とする、請求項1に記載の青色光によって損傷された眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具。
【請求項3】
前記波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分と前記波長範囲570~780nmの赤色スペクトル成分との比が、1:3~5であることを特徴とする、請求項1に記載の青色光によって損傷された眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具。
【請求項4】
白色LEDチップが、2700~4000Kの色度温度および少なくとも90のCRIを有する発光団で覆われた青色チップであることを特徴とする、請求項2に記載の青色光によって損傷された眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具。
【請求項5】
前記スペクトル成分間の比が、mW/m
2で表されることを特徴とする、請求項1に記載の青色光によって損傷された眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具。
【請求項6】
波長範囲λ=420~450nmに発光ピークを有する青色LEDチップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の青色光によって損傷された眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具。
【請求項7】
波長範囲λ=470~480nmに発光ピークを有する認知促進青色LEDチップと、波長範囲λ=490~500nmに発光ピークを有する認知促進ターコイズLEDチップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の青色光によって損傷された眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具。
【請求項8】
少なくとも500nm~660nmの波長範囲の放射光エネルギーを有し、λ=500~580nmに最大値を有する、緑色チップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の青色光によって損傷された眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
網膜修復効果を有する日常使用するための照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの科学的レビューおよび出版物に示されるように、一般的な治療のための赤色光の使用はよく知られている。赤色光は、季節性うつ病などの心理的状態の治療、ならびに傷の治療または脳の治療のために使用される。赤色光による網膜の治療は、多くの論文のテーマであり、例えば、非特許文献1「Is light with lack of red spectral components a risk factor for age-related macular degeneration (AND)?」がある。この論文は、青色光の有害な効果および加齢黄斑変性との関連、ならびに赤色光によるその治療の可能性を要約する。論文自体は、特に、以下を述べることによって結論付けられる:
-多くの論文が青色光の有害な効果および赤色光の治癒効果を述べているにもかかわらず、個々の論文でさえ矛盾する結果を示すので、この問題に対する明確な立場を取ることは不可能である。
-組み合わされたときの青色光の強度と赤色光の強度との間の理想的な「健康的」比率は知られてない。論文は、主に、各色領域の効果を、それらの組み合わせではなく、別々にまたは順番に検討している。
-日常生活において青色光および赤色光に関する知識を活用することは、まだ可能ではない-この記述は、技術水準を見事に説明する。
【0003】
他の論文は、例えば、網膜疾患の治療のための光バイオモジュレーションを概説する、非特許文献2、または視覚スペクトルの赤色光が培養中の細胞死およびin situでの網膜神経節細胞死を弱める、非特許文献3、または近赤外光療法による加速された創傷および網膜治癒におけるミトコンドリアシグナル伝達、非特許文献4である。
【0004】
LEDmeGROW、Kindle Grow LightsまたはVovaを含むほとんどの成長光によって、光スペクトルが拡張され、赤色領域の強度が増加される。これらの光源は、植物の自然放射をシミュレートしようとするものであり、通常、より強い青色領域および赤色領域が豊富である。
【0005】
特許文献に関する限り、白色LED光源と赤色LED光源との組合せは、CRIを増大させるかまたは色度温度を変化させるかのいずれかが既に知られている。代表的な文献は、例えば、白色LED光源と赤色LED光源とを組み合わせて得られる光源のCRIを増大させる光源を記載する、特許文献1である。この特許は、CRIを増大させるために白色光源と赤色光源を組み合わせるという意味で、当技術分野の一般的な技術水準を構成する。
【0006】
別の文献は、例えば、白色LED光源と赤色LEDとを組み合わせた温白色光源を記載する、特許文献2である。特許文献1と同様に、白色光源と赤色光源とを組み合わせるという意味で技術水準を構成するが、温白色を生成するという異なる目的である。
【0007】
また、最新の文献は特許文献3であり、白色LED光源、青色LED光源および赤色LED光源を含む調整可能な色度温度を有する光源、および、少なくとも白色LED光源をライム光源に変換する発光団を記載している。参照文献と同様に、この文献は、網膜修復以外の目的のための光を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2011/143907号
【特許文献2】中国特許出願公開第101540362号明細書
【特許文献3】国際公開第2014/013462号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】SCHIERZ, Christoph. CIE x046: 2019 Proceedings of the 29th CIE SESSION Washington DC, USA, June 14-22, 2019. 2019
【非特許文献2】GENEVA,Ivayla I. International journal of Ophthalmology,2016,9.1:145
【非特許文献3】DEL OLMO-AGUADO,Susana;NUNEZ-ALVAREZ,Claudia;OSBORNE,Neville N.Acta Ophthalmologica,2016,94.6:e481-e491
【非特許文献4】EELLS,Janis T.,et al.Mitochondrion,2004,4.5-6:559-567
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
日常生活において危険な青色光の危険にさらされる眼の網膜に、即時修復機能を提供する照明器具が作られた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
修復自体は、660nm~680nmの範囲の光の赤色成分によって提供されるが、4000Kの色度温度および80~90のCRIを有する従来の白色LEDチップに追加されると、発光にピンクがかった色合いが生じ、これは、大部分の用途において、ユーザ経験上望ましくない。したがって、修復構成要素を有する照明器具のモデルは、出願人によって最初に拒絶された。しかしながら、本発明者らの1人が誤って、修復赤色LEDチップを、色度温度2700KおよびCRI98の白色LEDチップと組み合わせ、驚くべきことに、発光に対するピンク色の着色はなく、むしろ温白色光が強化され、緩和雰囲気を誘発することが見出された。この発見によって、本出願人は、赤色スペクトル成分の非常に高い割合を有する光が、修復赤色チップのさらなる添加によって影響を受けず、ピンク色に移行する原因を調査することを促された。結果として、490~570nmの範囲の緑色スペクトル成分の割合は、ある閾値を超えると、発光が任意のさらなる色スペクトル成分の追加を緩衝できないことが見出された。代わりに、それぞれの優位性に従って、放出された白色光のその個々の成分への分解を引き起こす。例えば、4000KのCCTおよび98のCRIを有する白色LEDチップからなる照明器具は、0.48%のルクスを有する赤色LEDチップを白色チップに添加した場合に、スペクトルの緑色成分の割合が青色成分の割合に対して1.6の閾値を超えるので、発光がピンク化することが見出された(スペクトルA参照)。
【0012】
CT4000KおよびCRI98の白色LEDチップから組み立てられた照明器具について、475nmにピークを有し、白色チップに対して3.9%のルクス寄与を有する青色チップと、495nmにピークを有し、白色チップに対して9.54%のルクス寄与を有するターコイズLEDチップと、主な発光波長が490~570nmであるライムチップとを加えると、発光は緑色が強かった(スペクトルD参照)。
【0013】
しかしながら、青色と緑色の比が1:1.6となるように青色成分を添加すると、発光が再び白色になった。したがって、青色と緑色の比を最大で1:1.6の値に調整するのみで;緑色の割合がこの限界を上回って増加するとすぐに(スペクトルD2参照)、白色光と比較して任意の色を添加すると、色相が視覚的に変化する。
【0014】
別の観察された現象は、2700KのCCTおよび98のCRIを有する温白色LEDチップから組み立てられた照明器具において見出され、これは、それ自体、比較的温白色の光を放出し、したがって、発光がピンク色になることが予想された。しかしながら、非常に驚くべきことに、これは起こらなかった。ピンク色を全く感じさせない、驚くほどリラックスした温白色放射照明器具が構築された。その後、赤色スペクトル成分に対する緑色スペクトル成分の比も重要な役割を果たすことが見出された。正確には、緑と赤の比は1:3以上である。したがって、例えば、緑色成分が1部であり、赤色成分が少なくとも3部である。次いで、修復赤色LEDチップの追加は、いわゆるバッファリングされ、光源が温白色のままであることを確保する。
【0015】
さらに、これらの知見は、D)のスペクトルとD2)のスペクトルとの間の違いを確認する。スペクトルD)は、CCT4000KおよびCRI98を有する白色LEDチップ、認知促進青色LEDチップ、認知促進ターコイズLEDチップ、緑色LEDチップおよび赤色修復チップから組み立てられたプロトライプ照明器具を表す。主観的試験によって、このスペクトルは、全ての評価者によって有意に緑色であることが見出された。しかしながら、このプロトタイプ照明器具にさらに青色LEDチップ(ここではD2スペクトルによって表される)が追加される瞬間、青色スペクトル成分に対する緑色スペクトル成分の比は1.6以下、正確には1.4に低下し、発光は、高い割合の緑色によって影響を受けなくなり、照明器具は白色光を放出する。
【0016】
そのように構成された照明器具を、眼の網膜細胞に対する効果、正確には細胞生存能力、ミトコンドリア膜脱分極およびR28組織培養の照射による酸素ラジカル生成、のインビトロ試験に供した。照明器具CH)、D2)、単独の青色LEDチップおよび白色LEDチップ4000K、CRI98のプロトタイプを試験した。
【0017】
青色LEDチップ単独では、これらの細胞に有意に損傷を与え、暗所における対照と比較して、生存能力を64%まで低下させることが見出された。白色LEDチップは、細胞をあまり損傷せず、生存能力は、暗所で培養された対照群の細胞と比較して82%に低下するが、LED照明のユーザとして絶えずこの光放射に曝露されることを考えると、依然として非常に強い。プロトタイプ照明器具D2)は、認知促進効果を有する、すなわち、比較的高い割合の青色スペクトル成分を含有し、非常に好ましい結果を示し、その適用中に網膜細胞に対する損傷はなく、これらのサンプルは、対照群の細胞と比較してわずかに、正確には13%だけ良好な状態を示す。さらに良好な結果は、低い割合の青色スペクトル成分を含有するプロトタイプ照明器具CH)が網膜細胞を損傷しないだけでなく、それらの生命力は暗所で培養された対照群の細胞よりも32%高いことである。
【0018】
同様に、ミトコンドリア膜脱分極の測定も、ミトコンドリア損傷に対する光の効果を観察することによって比較した。ミトコンドリアの生命力は、新しいリアルタイム再生照明器具によって有意に増加し、暗所で培養された対照群の細胞と比較して、プロトタイプ照明器具D2の影響下での生命力は正確に28%高く、プロトタイプ照明器具CHの影響下での培養された網膜細胞の生命力は100%高い。対照的に、健康な生命力のあるミトコンドリアの量は、対照と比較して、青色LEDチップおよび白色LEDチップの影響下で48%および22%低い。
【0019】
これは、CRI95.6の高い演色性忠実度を有する、CCTが2486Kの温白色の心地よい照明下で、以前に損傷した網膜細胞も修復されるという驚くべき結論につながる。
【0020】
実施例6Aにおいて、青色光および赤色光の効果が網膜系R28細胞の成長または分裂にも有意であることがさらに見出され、実証された。生細胞の定量的差異を、青色、白色、D2およびCH照明器具からの照明の影響下で経時的にモニターした。青色光は急速なアポトーシスを引き起こし、反対に、赤色光成分は青色光の効果を中和し、細胞生存能力の増加を確保し、これは比較的短時間で顕著な細胞増殖をもたらした。青色光の下でサンプルセットが崩壊するまで、すなわち600分間、細胞の状態をモニタリングした。CH照明器具、すなわち再生構成要素を有する温白色光の下で、細胞は高い生命力を発揮し、その数は、1*105から1.8*106に増加し、次いで、実験が播種様式で行われたので栄養素枯渇が起こった。別の知見は、認知促進照明器具D2が、670~680nm領域からの赤色スペクトル成分を追加した青色成分の高い割合にもかかわらず、眼の網膜への損傷を決して引き起こさないことである。反対に、影響は依然として再生性である。
【0021】
不思議かつ驚くべき結論は、少なくとも白色LEDチップを赤色チップと共に、本発明による照明器具を単純に使用すると、おそらく眼の網膜細胞の再生がもたらされることである。
【0022】
本発明による照明器具に加えて、実施例6Bはまた、現在最も一般的に使用されている認知促進照明器具の効果を調査し、これはまた、発光のスペクトルのバランスをとることを試みる。以下のパラメータ:
電力密度(λ=480nm)=240μW/cm2、電力密度(λ=670nm)=98μW/cm2、
I=40~60mA
ナスリLED:LED 6500K CRI93(一次エネルギーλ≒450nm)
太陽光:LED 4000K CRI95(一次エネルギーλ≒420nm)
LED 480:4000K CRI80(一次エネルギーλ≒450nm)
D2 LED 4900K CRI95670nm(一次エネルギーλ≒マルチ)
を有する照明器具を試験し、
市販の照明器具が最も近い、本発明による認知促進照明器具D2と比較する。これらの照明器具はいずれも、約200分の照射後に細胞アポトーシスを引き起こした。対照的に、D2照明器具は、播種された細胞の量の半分まで低下した後に、生細胞の数が元の値まで再び増加することを確実にした。その後の低下は既に予想されており、サンプル中の栄養素の低下に伴うように思われる。
【0023】
使用される用語:
青色スペクトル成分:光源は、400~490nmの波長範囲の光エネルギーを放出する
緑色スペクトル成分:光源は、490~570nmの波長範囲の光エネルギーを放出する
赤色スペクトル成分:光源は、570~780nmの波長範囲の光エネルギーを放射する
認知促進青色LEDチップ:470~480nmの範囲の光エネルギーを放出するLEDチップ
認知促進ターコイズLEDチップ:490~500nmの範囲の光エネルギーを放出するLEDチップ
青色LEDチップ:少なくとも420~460nmの範囲の光エネルギーを放出するLEDチップ
赤色修復LEDチップ:波長λ=670~680nmで最大の光エネルギーを放出するLEDチップ
緑色LEDチップ:少なくとも500nm~660nmの範囲の光エネルギーを放出し、λ=500~580nmで最大であるLEDチップ。
【0024】
組み立てられたプロトタイプ照明器具の構成:
A)3797のCCTおよび97.1のCRIを有する光源照明器具は、4110KのCCTおよび97.5のCRIを有し、95.32%の相対入力電力および99.52%のルクスにおける照度の比率を有する白色LEDチップと、4.68%の相対入力電力および0.48%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0025】
B)3741のCCTおよび88.4のCRIを有する光源照明器具は、4021KのCCTおよび85.2のCRIを有し、89.61%の相対入力電力および99.16%のルクスにおける照度の比率を有する白色LEDチップと、10.39%の相対入力電力および0.84%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0026】
C)4681のCCTおよび86.5のCRIを有する光源照明器具は、4108KのCCTおよび97.7のCRIを有し、72.13%の相対入力電力および86.15%のルクスにおける照度の比率を有する白色LEDチップと、12.12%の相対入力電力および3.9%のルクスにおける照度の比率を有する認知促進青色LEDチップと、12.37%の相対入力電力および9.54%のルクスにおける照度の比率を有する認知促進ターコイズLEDチップと、3.37%の相対入力電力および0.40%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0027】
D)4583のCCTおよび92.6のCRIを有する光源照明器具は、4116KのCCTおよび97.6のCRIを有し、69.29%の相対入力電力および70.28%のルクスにおける照度の比率を有する白色LEDチップと、7.58%の相対入力電力および2.14%のルクスにおける照度の比率を有する認知促進青色LEDチップと、6.15%の相対入力電力および4.05%のルクスにおける照度の比率を有する認知促進ターコイズLEDチップと、12.51%の相対入力電力および23.04%のルクスにおける照度の比率を有する緑色LED PCライムチップと、4.68%の相対入力電力および0.48%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0028】
D2)4865のCCTおよび96のCRIを有する光源照明器具は、4116KのCCTおよび97.6のCRIを有し、66.25%の相対入力電力および69.83%のルクスにおける照度の比率を有する白色LEDチップと、2.93%の相対入力電力および0.22%のルクス比を有する青色440nmのLEDチップと、8.7%の相対入力電力および2.55%のルクス比を有する認知促進青色475nmのLEDチップと、5.88%の相対入力電力および4.02%のルクス比を有する認知促進ターコイズ495nm LEDチップと、11.96%の相対入力電力および22.9%のルクス比を有する緑色PCライムLEDチップと、4.28%の相対入力電力および0.48%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0029】
E)4374のCCTおよび89.6のCRIを有する光源照明器具は、24.38%の相対入力電力および12.63%のルクス照度比率を有する紫色LEDチップと、3.24%の相対入力電力および0.23%のルクス比を有する青色440nm LEDチップと、13.07%の相対入力電力および3.23%のルクス比を有する認知促進青色475nm LEDチップと、13.5%の相対入力電力および7.65%のルクス比を有する認知促進ターコイズ495nm LEDチップと、37.75%の相対入力電力および71.81%のルクス比を有する緑色PCライムLEDチップと、3.15%の相対入力電力および3.93%のルクス比を有するオレンジPCアンバーLEDチップと、4.91%の相対入力電力および0.51%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0030】
C)5120のCCTおよび95.1のCRIを有する光源照明器具は、5141KのCCTおよび96.8のCRIを有し、96.92%の相対入力電力および98.76%のルクスにおける照度の比率を有する、白色LEDチップと、0.97%の相対入力電力および0.52%のルクスにおける照度の比率を有する認知促進青色LEDチップと、0.31%の相対入力電力および0.41%のルクスにおける照度の比率を有する認知促進ターコイズLEDチップと、1.8%の相対入力電力および0.32%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0031】
G)4932のCCTおよび98.6のCRIを有する光源照明器具は、5141KのCCTおよび96.8のCRIを有し、100%の相対入力電力および100%のルクスにおける照度の比率を有する、白色LEDチップから組み立てられた。
【0032】
H)4169のCCTおよび92.4のCRIを有する光源照明器具は、4110KのCCTおよび97.5のCRIを有し、89.81%の相対入力電力および99.10%のルクスにおける照度の比率を有する、白色LEDチップと、4.4%の相対入力電力および0.47%のルクス比を有する青色LEDチップと、4.40%の相対入力電力および0.47%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0033】
CH)2486のCCTおよび95.6のCRIを有する光源照明器具は、2653KのCCTおよび96.2のCRIを有し、95.23%の相対入力電力および99.31%のルクスにおける照度の比率を有する、白色LEDチップと、4.77%の相対入力電力および0.69%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0034】
I)2725のCCTおよび88.8のCRIを有する光源照明器具は、2653KのCCTおよび96.2のCRIを有し、85.31%の相対入力電力および98.51%のルクスにおける照度の比率を有する、白色LEDチップと、8.25%の相対入力電力および0.73%のルクス比を有する青色LEDチップと、6.44%の相対入力電力および0.76%のルクス比を有する赤色修復LEDチップとから組み立てられた。
【0035】
リアルタイムで眼の網膜を再生する日常活動用の照明器具の利点は、青色、緑色および赤色のスペクトル成分の比率の設定条件下で、そのような照明器具は青色光の危険な悪影響を直ちに中和するので、より低い波長、すなわち440nm、420nm、またはさらには400nmで励起される青色スペクトル成分の比率がより高い光源を使用することが可能であることである。
【0036】
ルクスにおける光度の比率は、提案された定数測定システムにおけるスペクトル間の比較のためにのみ使用された。
【0037】
概要:
青色光によって損傷した眼の網膜をリアルタイムで再生する日常活動用の白色光照明器具は、色度温度が2100K~5000Kの少なくとも1つの白色LEDチップと、波長λ=670nm~680nmにおいて放射エネルギーの最大値を有する少なくとも1つの赤色チップとを含み、
波長範囲400~490nmの青色スペクトル成分と波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分との比は最大1:1.6であるか、または
波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分と波長範囲570~780nmの赤色スペクトル成分との比は最小1:3である。
【0038】
好ましくは、波長範囲400~490nmの青色スペクトル成分と波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分との比は、1:1~1.6である。
【0039】
好ましくは、波長範囲490~570nmの緑色スペクトル成分と波長範囲570~780nmの赤色スペクトル成分との比は1:3~5である。
【0040】
好ましくは、発光団で覆われた青色チップは、2700~4000Kの色度温度および少なくとも90のCRIを有する白色LEDチップである。
【0041】
好ましくは、スペクトル成分間の比は、mW/m2で表される。
【0042】
白色光照明器具は、好ましくは、波長範囲λ=420~450nmにピーク発光を有する青色チップを含む。
【0043】
白色光照明器具は、好ましくは、波長範囲λ=470~480nmにピーク発光を有する認知促進青色LEDチップと、波長範囲λ=490~500nmにピーク発光を有する認知促進ターコイズチップとを含む。
【0044】
白色光照明器具は、好ましくは、少なくとも500nm~660nmの範囲の放射光エネルギーを有し、λ=500~580nmに最大値を有する、緑色チップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1-10】個々のスペクトル成分、照明器具CH)
【
図3-1】個々のチップA)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図3-2】個々のチップB)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図3-3】個々のチップC)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図3-4】個々のチップD)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図3-5】個々のチップD2)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図3-6】個々のチップE)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図3-7】個々のチップG)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図3-8】個々のチップH)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図3-9】個々のチップCH)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図3-10】個々のチップI)のスペクトルが表示されたスペクトルの個々の成分
【
図4-1】スペクトル成分A)の比率を有するスペクトルの個々の成分
【
図4-2】スペクトル成分B)の比率を有するスペクトルの個々の成分
【
図4-3】スペクトル成分CH)の比率を有するスペクトルの個々の成分
【
図4-4】スペクトル成分D2)の比率を有するスペクトルの個々の成分
【
図5-1】個々の照明器具A)~I)の構成要素の検証
【
図5-2】個々の照明器具A)~I)の構成要素の検証
【
図6】照明器具のプロトタイプA)~I)およびそれらの評価
【
図7】照明器具A)、B)、H)、CH)、D2)の色比
【
図8】実施例5Bによる組織培養物における照明器具A)、B)、CH)、D2)の試験
【
図9-1】実施例5Cによる組織培養物における照明A)、B)、CH)、D2)の試験、光処理後のミトコンドリア損傷の程度
【
図9-2】実施例5Cによる組織培養物における照明A)、B)、CH)、D2)の試験、光処理後のミトコンドリア損傷の程度
【
図9-3】実施例5Cによる組織培養物における照明A)、B)、CH)、D2)の試験、光処理後のミトコンドリア健全性の程度
【
図9-4】実施例5Cによる組織培養物における照明A)、B)、CH)、D2)の試験、光処理後のミトコンドリア健全性の程度
【
図10】実施例5Dによる組織培養物における照明器具A)、B)、CH)、D2)の試験
【
図11】実施例5による試験に使用される照明器具の青色成分および赤色成分の光出力
【
図12B】経時での光源による放射後の生存細胞の数の定量的変化
【
図13A】経時での光源による放射後の生存細胞の数の定量的変化
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施例1 照明器具A)のプロトタイプ
プロトタイプ照明器具を組み立て、PCBはCCT 4110KおよびCRI 97.5の16個の白色LEDチップを配置し、チップ当たり入力電力は360mWであり、照度は636.6ルクスであり、λpは455nmであり、λpVは12.22mW/m2であり、これらの白色チップについて、総入力電力は5760mWであり、総照度は10185.6ルクスであり、1つの赤色修復LEDチップはチップ当たりの入力電力が282.5mWであり、照度は48.75ルクスであり、λpは677nmであり、λpVは54.85mW/m2であった。したがって、照明器具の総入力電力は6042.5mWであり、総照度は10234.35ルクスであった。したがって、白色チップは、95.32%の相対入力電力および99.52%の相対照度を占め、赤色修復チップは、照明器具全体の4.68%の相対入力電力および0.48%の相対照度を占めた。
【0047】
このように構築されたプロトタイプ照明器具を主観的評価に供し、照明器具が心地よい白色の光を発するが、全ての評価者によってピンク色として知覚されるという結論を得た。さらに、知覚されたCCTは、ニュートラルホワイトとして評価された。したがって、この照明器具によって放出される光は、寒色でも暖色でもなく、ニュートラルホワイトとして知覚される色度温度を有すると結論付けられた。これは、赤色修復LEDチップの追加が、白色を暖色系にしなかったが、ピンク色に変化させたことを意味する。
【0048】
青色と緑色のスペクトル成分の比率は1:1.7であり、これはすでに光緩衝の限界を超えており、したがって赤色LEDチップの添加は、既存の光に混合/溶け込まないが、光シェードの主観的評価に対して完全に独立した別個の効果を有する。
【0049】
実施例2 照明器具B)のプロトタイプ
プロトタイプ照明器具を組み立て、PCBはCCT 4110KおよびCRI 85.2の16個の白色LEDチップを配置し、チップ当たり入力電力は352.58mWであり、照度は886.4ルクスであり、λpは455nmであり、λpVは16.27mW/m2であり、これらの白色チップについて、総入力電力は5641.28mWであり、総照度は14182.4ルクスであり、3つの赤色修復LEDチップはチップ当たりの入力電力が218mWであり、照度は40.17ルクスであり、λpは676nmであり、λpVは45.45mW/m2であった。したがって、照明器具の総入力電力は6295.28mWであり、総照度は14302.91ルクスであった。したがって、白色チップは、89.61%の相対入力電力および99.16%の相対照度を占め、赤色修復チップは、照明器具全体の10.39%の相対入力電力および0.84%の相対照度を占めた。
【0050】
このように構築されたプロトタイプ照明器具を主観的評価に供し、色味のない心地よい白色を発光するという結論を得た。さらに、知覚されたCCTは、ニュートラルホワイトとして評価された。したがって、この照明器具によって放出される光は、寒色でも暖色でもなく、ニュートラルホワイトとして知覚される色度温度を有すると結論付けられた。これは、赤色の修復LEDチップの追加が、白色を暖色系にせず、ピンク色にも変化させなかったことを意味する。
【0051】
青色と緑色のスペクトル成分の比率は1:1.6であり、これは光緩衝能力の上限であり、赤色LEDチップの添加は、既存の光に影響を与えることなく溶け込んだ。
【0052】
実施例3 照明器具CH)のプロトタイプ
プロトタイプ照明器具を組み立て、PCBはCCT 2653KおよびCRI 96.2の16個の白色LEDチップを配置し、チップ当たり入力電力は360mWであり、照度は511.1ルクスであり、λpは635nmであり、λpVは12.55mW/m2であり、これらの白色チップについて、総入力電力は5760mWであり、総照度は8177.6ルクスであり、2つの赤色修復LEDチップはチップ当たりの入力電力が144.2mWであり、照度は28.5ルクスであり、λpは675nmであり、λpVは33.21mW/m2であった。したがって、照明器具の総入力電力は6048.4mWであり、総照度は8234.6ルクスであった。したがって、白色チップは、95.23%の相対入力電力および99.31%の相対照度を占め、赤色修復チップは、照明器具全体の4.77%の相対入力電力および0.69%の相対照度を占めた。
【0053】
このように構築されたプロトタイプ照明器具を主観的評価に供し、色味のない心地よい温白色を発光するという結論を得た。さらに、知覚されたCCTを温白色として評価した。したがって、この照明器具によって放出される光は、知覚される色度温度が温白色であると結論付けられた。これは、この場合の赤色修復LEDチップの添加が、大半の温白色LEDチップの色に干渉せず、白色LEDチップのみと混合したことを意味する。
【0054】
青色と緑色のスペクトル成分の比率は1:2.8であり、これは光緩衝の限界を超えており、したがって第2の条件が当てはまり、緑色と赤色のスペクトル成分の最小比率であり、少なくとも1:3であり、この特定の場合では1:4であり、したがって光の色は赤色LEDチップの添加によって影響を受けない。
【0055】
実施例4 照明器具D2)のプロトタイプ
プロトタイプ照明器具を組み立て、PCBはCCT 4116KおよびCRI 97.6の16個の白色LEDチップを配置し、チップ当たり電力は291.06mWであり、照度は546.4ルクスであり、λpは455nmであり、λpVは10.64mW/m2であり、これらの白色チップの総消費電力が4656.96mWであり総照度が8742.4ルクスである場合に、波長440nmの1つの青色単色LEDチップは、チップ当たりの入力電力が205.92mWであり、照度は27.44ルクスであり、λpは437nmであり、λpVは67.91mW/m2であり、波長475nmの3つの青色単色LEDチップは、チップ当たりの入力電力が203.76mWであり、照度は106.4ルクスであり、λpは474nmであり、λpVは34.48mW/m2であり、波長495nmの2つのターコイズ単色LEDチップは、チップ当たりの電力が206.64mWであり、照度は251.9ルクスであり、λpは498nmであり、λpVは26.66mW/m2であり、3つの緑色PC LEDチップは、チップ当たりの電力が280.17mWであり、照度は955.5ルクスであり、λpは543nmであり、λpVは17.45mW/m2であり、2つの赤色修復LEDチップは、チップ当たりの電力が150.48mWであり、照度は30.13ルクスであり、λpは675nmであり、λpVは34.12mW/m2である。したがって、照明器具の総入力電力は7028.91mWであり、総照度は12519.6ルクスであった。したがって、白色チップは、66.25%の相対入力電力および69.83%の相対照度を占め、赤色修復チップは、照明器具全体の60.26%の相対入力電力および0.48%の相対照度を占めた。
【0056】
このように構築されたプロトタイプ照明器具を主観的評価に供し、色味のない心地よい温白色を発光するという結論を得た。さらに、知覚されたCCTを寒色系の白色として評価した。したがって、この照明器具によって放出される光は、知覚される色度温度が寒色系の白色であると結論付けられた。これは、この場合の赤色修復LEDチップの添加が、白色LEDチップまたは他の着色LEDチップの色と干渉せず、他のLEDチップによって放出される光と混合するだけだったことを意味する。
【0057】
青色と緑色のスペクトル成分の比率は1:1.4であり、これは光緩衝の限界内である、すなわち、光の色は赤色LEDチップの添加によって影響を受けない。
【0058】
実施例5A
実施例1~4に従って製造されたプロトタイプ照明器具を、R28組織培養(網膜細胞株、Kerafast)で試験した。
【0059】
細胞を、5%CO2雰囲気中、37℃で、3.3%v/v重炭酸ナトリウム溶液、10%FBS、1%MEM非必須アミノ酸、1%MEMビタミン、1%グルタミンおよび1%ゲンタマイシンを補充した、高濃度のグルコースおよびピルビン酸を含む、ダルベッコ改変イーグル培地-DMEM中で予備増殖させた。
【0060】
80,000細胞/mlの濃度で培養R28細胞の0.1mlの懸濁液を、96ウェルプレートのウェルにピペットで移し、24時間沈降させた後、細胞を異なる光処理に曝露した(
図11):
-CH-CH照明器具による処理-赤色成分を添加した温白色、0.7mW/m
2の出力を有する青色スペクトル成分、2.6mW/m
2の出力を有する赤色スペクトル成分
-D2-D2照明器具による処理-赤色成分を添加した認知促進昼白色、1.9mW/m
2の出力を有する青色スペクトル成分、1.9mW/m
2の出力を有する赤色スペクトル成分
-青色-440nmの青色光を放出する照明器具による処理、23.5mW/m
2の出力を有する青色スペクトル成分、0.1mW/m
2の出力を有する赤色スペクトル成分
-白色-白色光CCT 4000KおよびCRI 98を放出する照明器具による処理、10.6mW/m
2の出力を有する青色スペクトル成分、9.3mW/m
2の出力を有する赤色スペクトル成分
-ダーク-暗処理。
【0061】
試験中、5%CO2の雰囲気で温度を37℃に維持した。
【0062】
分光光度計を用いて個々の照明器具を測定した。細胞を実施例5B~5Dによる試験に供した。
【0063】
実施例5B 細胞の生存能力
細胞の生存能力を、還元試験を用いて評価した。96ウェルプレートの細胞を、それぞれCH、D2、青色、白色およびダーク光処理に12時間供した。暗処理(T)を対照として選択した。次いで、(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を0.5mg/mlの最終濃度でウェルに添加し、細胞を37℃で75分間インキュベートした。次いで、培地を除去し、100μlのジメチルスルホキシド(DMSO)を各ウェルに添加することによってMTTを還元させた。プレートを10分間撹拌した後、570nmの波長で個々のウェルにおいて光学密度を測定した。各実験における対照(T)の平均吸光度を100%と定義し、光処理をしたサンプルの全測定値はこれを基準とした。結果を
図8に示す。青色および白色光は、細胞に損傷を引き起こし、吸光度が低下することが分かる。他方、CHおよびD2は、細胞増殖を支持する効果を示す。
【0064】
実施例5C ミトコンドリア脱分極
ミトコンドリア膜の脱分極を評価するために、細胞をCH、D2、青色、白色、およびダークの各光処理に12時間供した。暗処理(T)を対照として選択した。次いで、培地を培養物から除去し、細胞を最終濃度2pg/mlのJC-1色素と共に30分間インキュベートした。次いで、590および530nmで検出を行った。健常細胞のミトコンドリアに蓄積した色素は、590nmで赤色/オレンジ色の蛍光として現れる。損傷細胞の脱分極ミトコンドリア膜に蓄積した色素は、530nmで緑色の蛍光として現れる。蛍光顕微鏡画像から画像解析を行い、対照の赤色および緑色の蛍光の平均を100%とした。結果を
図9に示す。
図9-1および9-2は、ミトコンドリア損傷の程度を示し、最大損傷は青色照明器具によって引き起こされる。損傷に関して、白色照明器具が続き、CH照明器具およびD2照明器具によって照明されたサンプルは損傷しなかった。対照的に、
図9-3および9-4は、ミトコンドリアの活力支持の程度を示し、ミトコンドリアは、CHおよびD2照明器具での照明後、暗処理後よりも高い活力を示す。
【0065】
実施例5D 活性酸素種(ROS)の生成およびそれに対する反応
ROS生成:細胞を、それぞれのCH、D2、青色、白色および暗色の光処理に12時間供した。暗処理(T)を対照として選択した。次いで、培地を培養物から除去し、培養物を新鮮な培地で2回すすいだ後、最終濃度40pMのジヒドロエチジウムとともに20分間インキュベートした。溶液を除去し、細胞を新鮮な培地で2回すすいだ。直後に、位相差蛍光/コントラスト顕微鏡画像を撮影した。ROS生成の場合、核中の赤色蛍光クロマチンが画像中に見える。次いで、画像を画像解析に供し、対照の平均赤色蛍光を0に設定した。結果を
図10に示す。ROS生成は、光スペクトルの青色成分の存在によって引き起こされる。予想どおり、青色照明器具によって照明されたサンプルが最も高いROSを示し、白色照明器具およびD2照明器具が続く。CH照明器具は最小のROS生成を示す。
【0066】
実施例6
R28組織培養細胞(網膜細胞株、Kerafast)を実験室温度で15分間解凍した。その後、細胞を5mlのDMEM+培地にピペットで移し、5分間遠心分離した。細胞ペレットを10mlのDMEM+培地にボルテックスを用いて懸濁し、懸濁液を37℃、5%CO2のインキュベーター中で2日間インキュベートした。
【0067】
2日間のインキュベーション後、細胞を継代した。細胞を1mlのEDTAですすいだ。次いで、1mlのEDTAおよび1mlのトリプシンを添加し、このようにして調製した培養瓶を実験室温度で5分間インキュベートした。次いで、5mlの新鮮なDMEM+培地を添加し、ボルテックスを用いて溶液を撹拌した。懸濁液の半分を新しい培養瓶にピペットで移し、新鮮なDMEM+培地を両方の瓶に20mlの最終容量まで添加した。このようにして調製した培養瓶を再びインキュベーターに入れ、37℃、5%CO2で3日間インキュベートした。培養後の初期濃度は、約519000~579000細胞/mlであった。
【0068】
次いで、細胞を12ウェルプレートの個々のウェルにピペットで移した。細胞の増殖を顕微鏡下で毎日確認した。その後、3日後に、細胞を37℃、5%CO
2インキュベーターに入れ、ウェルプレートから400mmの光源距離まで、以下に特定される様々な光源に曝露した。発光体に曝露された細胞を、異なる時点で連続的にサンプリングした。各時点で、細胞を1つのウェルから収集し、処理し、それらの濃度または生細胞の数を測定した。結果を表およびグラフにプロットし、
図12A、12Bおよび13A、13Bに示す。
【0069】
パートA)本発明による光源、
図12Aおよび12B:
-本発明による青色、440nm
-本発明による白色、CCT 4000KおよびCRI 98
-本発明による昼白色、-D2
-本発明による温白色、-CH。
【0070】
パートB)本発明による光源、技術水準との比較、
図13Aおよび
図13B:
-ナスリLED、
-太陽光4000K、
-LED4000 K、CRI 80、
-本発明による温白色-CH。
【0071】
全ての光源の比出力は、身体の昼/夜同期に関与する非視覚系のメラノピック受容体の最大感度の点である、λ480nm=240μW/cm2に正規化された。
【0072】
産業上の利用可能性
照明は眼網膜に対する修復効果を有する。
【国際調査報告】