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特表2024-500348強誘電体セレクト・トランジスタを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】強誘電体セレクト・トランジスタを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/56 20060101AFI20231226BHJP
   G11C 11/22 20060101ALI20231226BHJP
   G11C 11/54 20060101ALI20231226BHJP
   G11C 13/00 20060101ALI20231226BHJP
   G06N 3/065 20230101ALI20231226BHJP
   G06G 7/60 20060101ALI20231226BHJP
   H10B 51/30 20230101ALI20231226BHJP
   H10B 51/40 20230101ALI20231226BHJP
   H10B 63/10 20230101ALI20231226BHJP
   H10N 70/00 20230101ALI20231226BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20231226BHJP
【FI】
G11C11/56 150
G11C11/22 120
G11C11/54
G11C13/00 230
G11C13/00 270J
G11C13/00 480A
G06N3/065
G06G7/60
H10B51/30
H10B51/40
H10B63/10
H10N70/00 A
H10N70/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535302
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2021129586
(87)【国際公開番号】W WO2022121603
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】17/119,350
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、ナンボ
(72)【発明者】
【氏名】安藤 崇志
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FR06
5F083FZ10
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA19
5F083JA35
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
(57)【要約】
デバイスは、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを含む。不揮発性アナログ抵抗メモリ・デバイスは、抵抗メモリ・デバイスおよびセレクト・トランジスタを含む。抵抗メモリ・デバイスは、第1の端子および第2の端子を含む。抵抗メモリ・デバイスは調整可能なコンダクタンスを有する。セレクト・トランジスタは、ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスである。FeFETデバイスのゲート端子はワード線に接続される。FeFETデバイスのソース端子はソース線に接続される。FeFETデバイスのドレイン端子は、抵抗メモリ・デバイスの第1の端子に接続される。抵抗メモリ・デバイスの第2の端子はビット線に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを備えるデバイスであって、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、
第1の端子および第2の端子を含む抵抗メモリ・デバイスであって、調整可能なコンダクタンスを有する、前記抵抗メモリ・デバイスと、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含むセレクト・トランジスタと、を含み、
前記FeFETデバイスの前記ゲート端子はワード線に接続され、
前記FeFETデバイスの前記ソース端子はソース線に接続され、
前記FeFETデバイスの前記ドレイン端子は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記第1の端子に接続され、
前記抵抗メモリ・デバイスの前記第2の端子はビット線に接続される、デバイス。
【請求項2】
前記抵抗メモリ・デバイスは抵抗切替えデバイスを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記抵抗切替えデバイスは双方向の調整可能なコンダクタンスを有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記抵抗メモリ・デバイスは相変化メモリ・デバイスを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを備えるデバイスであって、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、
第1の端子および第2の端子を含む抵抗メモリ・デバイスと、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む第1の強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含む第1のセレクト・トランジスタと、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む第2のFeFETデバイスを含む第2のセレクト・トランジスタと、を含み、
前記第1のFeFETデバイスの前記ゲート端子は第1のワード線に接続され、前記第2のFeFETデバイスの前記ゲート端子は第2のワード線に接続され、
前記第1のFeFETデバイスの前記ソース端子は第1のソース線に接続され、前記第2のFeFETデバイスの前記ソース端子は第2のソース線に接続され、
前記第1および第2のFeFETデバイスの前記ドレイン端子は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記第1の端子に接続され、
前記抵抗メモリ・デバイスの前記第2の端子はビット線に接続される、デバイス。
【請求項6】
前記第1のFeFETデバイスはN型デバイスを含み、前記第2のFeFETデバイスはP型デバイスを含み、前記抵抗メモリ・デバイスは、双方向の調整可能なコンダクダンスを有する抵抗切替えデバイスを含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
コンピューティング・システムを備えるシステムであって、前記コンピューティング・システムは、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのアレイを含む不揮発性抵抗メモリを含み、各不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、
第1の端子および第2の端子を含む抵抗メモリ・デバイスであって、調整可能なコンダクタンスを有する、前記抵抗メモリ・デバイスと、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む第1の強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含む少なくとも第1のセレクト・トランジスタと、を含み、
前記第1のFeFETデバイスの前記ゲート端子は第1のワード線に接続され、
前記第1のFeFETデバイスの前記ソース端子は第1のソース線に接続され、
前記FeFETデバイスの前記ドレイン端子は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記第1の端子に接続され、
前記抵抗メモリ・デバイスの前記第2の端子は、ビット線に接続される、システム。
【請求項8】
前記コンピューティング・システムはニューロモーフィック・コンピューティング・システムを含み、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、前記ニューロモーフィック・コンピューティング・システムの人工ニューロン間の接続強度を表すシナプス重みを格納する人工シナプス要素を含み、前記シナプス重みは、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルの前記抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス値によって符号化される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
各不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む第2のFeFETデバイスを含む第2のセレクト・トランジスタをさらに含み、
前記第2のFeFETデバイスの前記ゲート端子は第2のワード線に接続され、
前記第2のFeFETデバイスの前記ソース端子は第2のソース線に接続され、
前記第2のFeFETデバイスの前記ドレイン端子は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記第1の端子に接続される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のFeFETデバイスはN型デバイスを含み、前記第2のFeFETデバイスはP型デバイスを含み、前記抵抗メモリ・デバイスは、双方向の調整可能なコンダクダンスを有する抵抗切替えデバイスを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
プログラミング・パルスをワード線上に印加して、前記ワード線に結合された不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムすることを含む方法であって、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、前記ワード線に接続された強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含むセレクト・トランジスタと、前記FeFETデバイスに接続された抵抗メモリ・デバイスとを備え、
前記プログラミング・パルスの印加は、
前記ワード線から前記FeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記FeFETデバイスの分極状態を調節することであって、前記FeFETデバイスの前記分極状態の前記調節は、前記抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを調整するためのプログラミング電流の調節を引き起こす、前記分極状態を調節することと、
前記FeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて前記FeFETデバイスを起動すると生成される前記調節されたプログラミング電流によって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に変化させることによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することと
を引き起こす、方法。
【請求項12】
前記プログラミング・パルスは、同じ振幅および同じパルス幅を有する電圧パルスのシーケンスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整する前に、前記FeFETデバイスの前記分極状態を調節するプレサイクル・プロセスを行うことをさらに含み、前記プレサイクル・プロセスは、前記ワード線から前記FeFETデバイスに1つまたは複数のパルスを印加して、前記プレサイクル・プロセスの間に前記FeFETデバイスをオンにすることなく前記FeFETデバイスの前記分極状態を初期分極状態から目標分極状態に調節することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記目標分極状態は、前記FeFETデバイスの目標閾電圧および関連するチャネル・コンダクタンスに対応し、前記目標分極状態から開始して、前記FeFETデバイスは、前記FeFETデバイスの前記分極をさらに調節して、それによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整するために生成された前記プログラミング電流を調節するように、前記FeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて、前記FeFETデバイスの前記チャネル・コンダクタンスの実質的に線形の増加を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのコンダクタンス状態を決定する読出し動作を行うことをさらに含み、前記読出し動作を行うことは、
前記FeFETデバイスをオフ状態に維持しながら、前記ワード線上に初期化制御パルスを印加して前記FeFETデバイスの分極状態を初期分極状態へ変化させることを含む初期化プロセスを行うことと、
前記初期化プロセスに続いて読出しプロセスを行うことと、を含み、前記読出しプロセスは、前記ワード線上に読出しパルスを印加して前記FeFETデバイスを活性化し、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンス状態を表す読出し電流を生成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することは、
増強調整制御電圧をビット線に印加することであって、前記抵抗メモリ・デバイスは前記ビット線と前記FeFETデバイスとの間に直列接続される、前記印加することと、
前記FeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に増加させることと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することは、
降下調整制御電圧をビット線に印加することであって、前記抵抗メモリ・デバイスは前記ビット線と前記FeFETデバイスとの間に直列接続される、前記印加することと、
前記FeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に減少させることと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記抵抗メモリ・デバイスは抵抗切替えデバイスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記抵抗メモリ・デバイスは相変化メモリ・デバイスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
プログラミング・パルスを第1のワード線および第2のワード線のうちの1つに印加して、前記第1のワード線および前記第2のワード線に結合された不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムすることを含む方法であって、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、前記第1のワード線に接続された第1の強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含む第1のセレクト・トランジスタと、前記第2のワード線に接続された第2のFeFETデバイスを含む第2のセレクト・トランジスタと、前記第1および第2のFeFETデバイスに接続された抵抗メモリ・デバイスと、を備え、
前記プログラミング・パルスの前記第1のワード線への印加は、
前記ワード線から前記第1のFeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記第1のFeFETデバイスの分極状態を調節することであって、前記第1のFeFETデバイスの前記分極状態の前記調節は、前記抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを調整するためのプログラミング電流の調節を引き起こす、前記分極状態を調節することと、
前記第2のFeFETデバイスがオフ状態に維持される間、前記第1のFeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて前記第1のFeFETデバイスを起動すると生成される前記調節されたプログラミング電流によって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に増加させることによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することと、を引き起こし、
前記プログラミング・パルスの前記第2のワード線への印加は、
前記ワード線から前記第2のFeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記第2のFeFETデバイスの分極状態を調節することであって、前記第2のFeFETデバイスの前記分極状態の前記調節は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整するためのプログラミング電流の調節を引き起こす、前記分極状態を調節することと、
前記第1のFeFETデバイスがオフ状態に維持される間、前記第2のFeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて前記第2のFeFETデバイスを起動すると生成される前記調節されたプログラミング電流によって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に減少させることによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することと
を引き起こす、方法。
【請求項21】
前記プログラミング・パルスは、同じ振幅および同じパルス幅を有する電圧パルスのシーケンスを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整する前に、前記第1のFeFETデバイスの前記分極状態を調節する第1のプレサイクル・プロセスを行うことであって、前記第1のプレサイクル・プロセスは、前記第1のワード線から前記第1のFeFETデバイスに1つまたは複数のパルスを印加して、前記第1のプレサイクル・プロセスの間に前記第1および第2のFeFETデバイスをオンにすることなく前記第1のFeFETデバイスの前記分極状態を第1の初期分極状態から第1の目標分極状態に調節することを含む、前記第1のプレサイクル・プロセスを行うことと、
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整する前に、前記第2のFeFETデバイスの前記分極状態を調節する第2のプレサイクル・プロセスを行うことであって、前記第2のプレサイクル・プロセスは、前記第2のワード線から前記第2のFeFETデバイスに1つまたは複数のパルスを印加して、前記第2のプレサイクル・プロセスの間に前記第1および第2のFeFETデバイスをオンにすることなく前記第2のFeFETデバイスの前記分極状態を第2の初期分極状態から第2の目標分極状態に調節する、前記第2のプレサイクル・プロセスを行うことと、をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の目標分極状態は、前記第1のFeFETデバイスの第1の目標閾電圧および関連するチャネル・コンダクタンスに対応し、前記第1の目標分極状態から開始して、前記第1のFeFETデバイスは、前記第1のFeFETデバイスの前記分極をさらに調節して、それによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整するために生成された前記プログラミング電流を調節するように、前記第1のワード線から前記第1のFeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記第1のFeFETデバイスの前記チャネル・コンダクタンスの実質的に線形の増加を示し、
前記第2の目標分極状態は、前記第2のFeFETデバイスの第2の目標閾電圧および関連するチャネル・コンダクタンスに対応し、前記第2の目標分極状態から開始して、前記第2のFeFETデバイスは、前記第2のFeFETデバイスの前記分極をさらに調節して、それによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整するために生成された前記プログラミング電流を調節するように、前記第2のワード線から前記第2のFeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記第2のFeFETデバイスの前記チャネル・コンダクタンスの実質的に線形の増加を示す、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのコンダクタンス状態を決定する読出し動作を行うことをさらに含み、前記読出し動作を行うことは、
前記第1および第2のFeFETデバイスをオフ状態に維持しながら、前記第1のワード線上に初期化制御パルスを印加して前記第1のFeFETデバイスの分極状態を初期分極状態へ変化させることを含む初期化プロセスを行うことと、
前記初期化プロセスに続いて読出しプロセスを行うことと、を含み、前記読出しプロセスは、前記第2のFeFETデバイスをオフ状態に維持しながら、前記第1のワード線上に読出しパルスを印加して前記第1のFeFETデバイスを活性化し、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンス状態を表す読出し電流を生成することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のFeFETデバイスはN型デバイスを含み、前記第2のFeFETデバイスはP型デバイスを含み、前記抵抗メモリ・デバイスは、双方向の調整可能なコンダクダンスを有する抵抗切替えデバイスを備える、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
コンピュータ・プログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上で実行されるときに請求項11ないし25のいずれかに記載の方法のステップを行うように適応されたプログラム・コードを備える、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ニューロモーフィック・コンピューティングのための不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル、および不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルの抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ニューロモーフィック・コンピューティング・システムおよび人工ニューラル・ネットワーク(ANN)システムなどの情報処理システムは、認知認識およびコンピューティングのための機械学習や推論処理などの様々な用途で利用される。このようなシステムは、様々なタイプの計算を行うために並列に動作する多数の高度に相互接続された処理要素(「人工ニューロン」と称する)を一般的に含むハードウェア・ベースのシステムである。人工ニューロン(例えば、シナプス前ニューロンおよびシナプス後ニューロン)は、人工ニューロン間の接続強度を表すシナプス重みを提供する人工シナプス・デバイスを使用して接続される。シナプス重みは、不揮発性および多レベルのメモリ特性を示す調整可能な抵抗メモリ・デバイスなどのアナログ・メモリ要素を使用して実装できる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを含む不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを含む不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムして読み出す方法、ならびに強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを含む不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのアレイを含むコンピューティング・システムを含む。
【0004】
例示的な実施形態では、デバイスは、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを含む。不揮発性アナログ抵抗メモリ・デバイスは、抵抗メモリ・デバイスおよびセレクト・トランジスタを含む。抵抗メモリ・デバイスは第1の端子および第2の端子を含む。抵抗メモリ・デバイスは調整可能なコンダクタンスを有する。セレクト・トランジスタは、ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含む。FeFETデバイスのゲート端子はワード線に接続される。FeFETデバイスのソース端子はソース線に接続される。FeFETデバイスのドレイン端子は、抵抗メモリ・デバイスの第1の端子に接続される。抵抗メモリ・デバイスの第2の端子はビット線に接続される。
【0005】
別の例示的な実施形態は、プログラミング・パルスをワード線上に印加して、ワード線に結合された不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムすることを含む方法を含む。不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、ワード線に接続されたFeFETデバイスを含むセレクト・トランジスタと、FeFETデバイスに接続された抵抗メモリ・デバイスとを含む。プログラミング・パルスの印加は、ワード線からFeFETデバイスに印加されたプログラミング・パルスに応じてFeFETデバイスの分極状態を調節することであって、FeFETデバイスの分極状態の調節は、抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを調整するためのプログラミング電流の調節を引き起こす、分極状態を調節することと、FeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じてFeFETデバイスを起動すると生成される、調節されたプログラミング電流によって抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを漸進的に変化させることによって抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを調整することと、を引き起こす。
【0006】
他の実施形態は、添付の図と併せて読まれるべきである、例示的な実施形態の以下の詳細な説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを実装できる不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのアレイを含むコンピューティング・システムを概略的に示す図である。
図2A図1のコンピューティング・システムを使用して行うことができる、誤差逆伝搬法プロセスの順方向パス動作を概略的に示す図である。
図2B図1のコンピューティング・システムを使用して行うことができる、誤差逆伝搬法プロセスの逆方向パス動作を概略的に示す図である。
図2C図1のコンピューティング・システムを使用して行うことができる、誤差逆伝搬法プロセスの重み更新動作を概略的に示す図である。
図3】本開示の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを概略的に示す図である。
図4】本開示の例示的な実施形態による、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおいて実装できる抵抗メモリ・デバイスを概略的に示す図である。
図5】本開示の別の例示的な実施形態による、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおいて実装できる抵抗メモリ・デバイスを概略的に示す図である。
図6】本開示の例示的な実施形態による、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおいてセレクト・トランジスタとして実装できるFeFETデバイスの概略図である。
図7A】本開示の例示的な実施形態による、FeFETデバイスのチャネル・コンダクタンスを調節するためにFeFETデバイスの強誘電層において多ドメインの部分的な分極切替えを利用する方法を概略的に示しており、本開示の例示的な実施形態による、FeFETデバイスのゲート電極に印加される複数の同一プログラミング・パルスに対するパルス数の関数としてのFeFETデバイスのチャネル・コンダクタンスを示すグラフである。
図7B】本開示の例示的な実施形態による、FeFETデバイスのチャネル・コンダクタンスを調節するためにFeFETデバイスの強誘電層において多ドメインの部分的な分極切替えを利用する方法を概略的に示しており、本開示の例示的な実施形態による、図7Aに示される増強パルスの数の増加に応じて部分的な分極切替えから生じるFeFETの強誘電層の異なる分極状態を概略的に示す図である。
図7C】本開示の例示的な実施形態による、FeFETデバイスのチャネル・コンダクタンスを調節するためにFeFETデバイスの強誘電層において多ドメインの部分的な分極切替えを利用する方法を概略的に示しており、本開示の別の例示的な実施形態による、図7Aに示される増強パルスとは反対の極性を有する増強パルスの数の増加に応じて部分的な分極切替えから生じるFeFETの強誘電層の異なる分極状態を概略的に示す図である。
図8A】本開示の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムする方法を示すタイミング図である。
図8B】本開示の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルの状態を読み出す方法を示すタイミング図である。
図9】本開示の別の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを概略的に示す図である。
図10】本開示の別の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを概略的に示す図である。
図11A】本開示の例示的な実施形態による、抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを増加させるために増強パルス・ストリームを使用して、図10の不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムする方法を示すタイミング図である。
図11B】本開示の例示的な実施形態による、抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを減少させるために降下パルス・ストリームを使用して、図10の不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムする方法を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態は、ここで、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを含む不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルと、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを含む不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムして読み出す方法と、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを含む不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのアレイを含むコンピューティング・システムとに関して、さらに詳細に記載する。以下でさらに詳細に説明されるように、強誘電体セレクト・トランジスタ(あるいは本明細書ではFeFETセレクト・トランジスタと称する)は、同一プログラミング・パルス(例えば、同じ振幅およびパルス幅)を含むプログラミング・パルス方式を使用して、アナログ抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整における直線性を高めるように構成される。
【0009】
添付図面に示されるような様々な特徴は、縮尺通りに描かれていない概略図であることを理解されたい。さらに、例示および説明を容易にするために、FeFETデバイス、抵抗メモリ・デバイス、他のデバイスまたは構造体およびシステム構成要素を図面に概略的に示されるように実施するために一般的に使用されるタイプの1つまたは複数の層、構造体、領域、特徴などは、所与の図面に明示的に示されなくてよい。これは、明示的に示されていない、いかなる層、構造体、領域、特徴なども実際のデバイスまたは構造体から省略されることを暗示するものではない。また、同じまたは類似の参照番号は、同じまたは類似の特徴、要素、もしくは構造体を示すために図面全体にわたって使用され、このように、同じまたは類似の特徴、要素、もしくは構造体の詳細な説明は、図面のそれぞれについて繰り返されない。さらに、本明細書で使用される用語「例示的」は、「例、実例、または例示とする」ことを意味する。本明細書で「例示的」として記載されるいかなる実施形態または設計も、他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。所与の特徴の別の特徴に対する配向を記載するために本明細書で使用される言葉「の上方に」は、所与の特徴が他の特徴の「直接上に」(すなわち、直接接触して)配置または形成され得ること、または所与の特徴が、所与の特徴と他の特徴との間に配置される1つまたは複数の中間特徴とともに他の特徴の「間接的に上に」配置または形成され得ることを意味する。
【0010】
本開示の例示的な実施形態は、いくつかの計算タスクを行うためにデータを格納し、このデータを処理する二重の目的で、不揮発性アナログ・メモリ・セルのアレイを利用するコンピューティング・システムまたは計算メモリ・システムを含む。不揮発性アナログ・メモリ・セル(例えば、抵抗処理ユニット(RPU))は、最小コンダクタンス(Gmin)から最大コンダクタンス(Gmax)までの範囲で可変コンダクタンス状態を持つ調整可能なコンダクタンス(G)を有する抵抗ランダム・アクセス・メモリ(ReRAM)デバイス、相変化メモリ(PCM)デバイスなどの抵抗メモリ・デバイスを実装する。上記のように、ニューロモーフィック・コンピューティング・システムおよびANNシステムは、2つの人工ニューロン間の接続強度を表すシナプス重みを提供するために、人工ニューロンが人工シナプス・デバイスを使用して接続されるインメモリ・コンピューティング・システムのタイプである。シナプス重みは、調整可能な抵抗メモリ・デバイスを使用して実装でき、可変コンダクタンス状態は、シナプス重みを表し、計算(例えば、ベクトル行列の乗算)を行うために使用される。アナログ抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス状態は、符号化されるか、そうでなければシナプス重みに対してマッピングされる。
【0011】
ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)および畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)などの様々なタイプの人工ニューラル・ネットワークは、画像認識、物体認識、音声認識などの機械学習用途のためのニューロモーフィック・コンピューティング・アーキテクチャを実装する。このようなニューラル・ネットワークに関連するインメモリ計算は、例えば、抵抗メモリ・セルのシナプス重みが訓練データセットを処理することによって最適化される訓練計算と、訓練されたニューラル・ネットワークが、例えば、入力データを分類すること、入力データに基づいて事象を予測することなどの目的で入力データを処理するために使用される順方向推論計算とを含む。
【0012】
DNN訓練は、順方向、逆方向および重み更新の3つの繰り返しサイクルを含む誤差逆伝搬法アルゴリズムに概して依存し、収束規準が満たされるまで何度も繰り返される。順方向および逆方向サイクルは、主に、順方向および逆方向のベクトル行列の乗算を計算することを含む。この動作は、アナログ抵抗メモリ・セルの2Dアレイで行うことができる。順方向サイクルでは、2Dアレイにおいて抵抗メモリ・デバイスの格納されたコンダクタンス値が行列を形成し、入力ベクトルが2Dアレイの各入力行を通して電圧パルスとして送信される。逆方向サイクルでは、電圧パルスが入力として列から供給され、ベクトル行列の積が行列の転置に基づいて計算される。重み更新は、2Dアレイ内の各抵抗メモリ・セルにおいて局所的に行われる乗算演算および漸進的な重み更新で構成されるベクトル-ベクトル外積を計算することを含む。
【0013】
RPUセルのアレイを含む確率的に訓練されたDNNは、調整可能な抵抗メモリ・デバイスを使用して実装されたシナプス重みを有することができる。DNNを適切に訓練して高精度を達成するには、調整可能な抵抗デバイスの動作特性は、所与のDNNアルゴリズムが、著しい誤差ペナルティなしで許容できる受け入れ可能なRPUデバイスパラメータの仕様の厳重なセットを満たすべきである。これらの仕様は、例えば、単一の増強パルスによる最小の漸進的コンダクタンス変化(±Δgmin)、上下コンダクタンス変化における対称性、コンダクタンス値の調整可能な範囲などの抵抗メモリ・デバイスの切替え特性における変動を含む。
【0014】
特に、DNN訓練についての1つの重要な仕様は、RPUセルが、少なくとも1000のコンダクタンスのレベル(またはステップ)の分解能(またはダイナミック・レンジ)を持つ調整可能なコンダクタンスを有するべきことであり、コンダクタンスのレベルは、アナログかつ対称的で漸進的に(最大と最小コンダクタンス状態(オン/オフ比率)との間のコンダクタンス差の大きさの少なくとも1つのオーダーで)最低コンダクタンス状態から最高コンダクタンス状態へ(1-nsパルスを介して)切り替えることができる。RPUセルにおいて最小単位重み値の上下変化の対称性を達成するには(±Δwmin)、RPUセルの関連するコンダクタンスのレベルにおける各漸進的増加(ステップ・アップ、
【数1】
)および漸進的減少(ステップ・ダウン、
【数2】
)は、5%以下の不一致誤差内で同じ量または類似量であるべきである。換言すれば、本質的にアナログである調整可能な抵抗RPUデバイスは、同じであるが反対のパルス刺激が与えられた場合、上下のコンダクタンス変化において対称的に応答すべきである。特に、上下対称性
【数3】
は、1.0±0.05に等しいべきである。なお、パラメータ
【数4】
は、周辺回路によって規定された増幅率によってパラメータ
【数5】
に比例する。しかしながら、メムリスティブ・デバイス(またはメムリスタ)などの調整可能な抵抗デバイスは、通常、調整/プログラミング特性において変動性を示し、コンダクタンスのレベルの範囲(最小-最大)にわたって対称的な重み更新を達成することを困難にする。
【0015】
しかしながら、これらの要件にもかかわらず、調整可能な抵抗デバイスは、限られたダイナミック・レンジおよび分解能、ならびに調整/プログラミング特性における変動性を示す可能性があり、コンダクタンスのレベルの範囲(最小-最大)にわたって対称的な重み更新を達成することを困難にする。そのため、RPUアーキテクチャのハードウェア実装は自明ではない。より具体的には、現実には、ほとんどの抵抗メモリ・デバイスは対称的な切替え挙動を示さず、むしろ、連続して印加されたパルスの数の関数としてコンダクタンスの高度に非線形の進化を示す。これにより、重み更新に著しい誤差が生じる。他方では、入力パルスの繰り返しを伴うシナプス重みの同一の漸進的調整を表す、抵抗変化の直線性は、パルス計数のみを使用してシナプス重み変化を決定することによって、単純なニューロン回路動作での高速学習のために強く所望される。シナプス増強および降下のためのシナプス重みの対称的調整もまた、それによりニューロン回路が、増強および降下のために同じ振幅および持続時間(例えば、同一プログラミング・パルス方式と称する)であるが、反対の極性を持つ電圧パルスを生成することができるので、好ましい。
【0016】
抵抗メモリ・デバイスが、同一プログラミング・パルスを持つ増強/降下プログラミング方式を使用する場合、非線形コンダクタンス調整を示すことがよく知られている。そのため、このような抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整において直線性を達成するために、増強/降下パルス方式は、通常、増強/降下パルスの振幅またはパルス幅のいずれかを調節することを含む非同一パルス方式を実施する。例えば、パルス振幅を調節することは、同一の漸進的調整ステップにおいて抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを直線的に増加(増強)または減少(降下)するために、抵抗メモリ・デバイスに印加された各逐次的なプログラミング・パルスについてパルスの振幅を(固定パルス幅で)増加させることを含む。他方では、パルス幅を調節することは、同一の漸進的調整ステップにおいて抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを直線的に増加(増強)または減少(降下)するために抵抗メモリ・デバイスに印加された各逐次的なプログラミング・パルスについてパルスのパルス幅を(固定振幅で)増加させることを含む。これらの非同一パルス方式は、振幅またはパルス幅あるいはその両方の調節を実施するために必要とされる周辺回路および処理に関してオーバーヘッドを追加する。さらに、パルス幅調節により、プログラミング動作のレイテンシが増加する。
【0017】
以下でさらに詳細に説明されるように、本開示の例示的な実施形態では、抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを調整するために(例えば、シナプス重み更新)、同一増強パルス方式または同一降下パルス方式が適用されるプログラミング動作の間のFeFETデバイスのチャネル・コンダクタンスを調節するべく、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおけるセレクト・トランジスタとして利用されるFeFETの強誘電層における電圧制御された部分的な分極切替えのダイナミクスを活用する。プログラミング動作の間のFeFETデバイスのチャネル・コンダクタンスの調節は、同一パルスのプログラミング・パルス方式を使用して抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整における直線性を改良する働きをする。
【0018】
図1は、本開示の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを実装するアナログ抵抗メモリ・セルのアレイを含むコンピューティング・システム100を概略的に示す。特に、図1は、抵抗処理ユニットのクロスバー・アレイを使用して実装されるニューロモーフィック・コンピューティング・システムを概略的に示す。コンピューティング・システム100は、複数の行R1、R2、R3、...、Rm、および複数の列C1、C2、C3、...、Cnに配置されたRPUセル110の2次元(2D)クロスバー・アレイを含む。各行R1、R2、R3、...、RmにおけるRPUセル110は、それぞれの行制御線RL1、RL2、RL3、...、RLm(総称して、行制御線RL)へ共通に接続される。各列C1、C2、C3、...、CnにおけるRPUセル110は、それぞれの列制御線CL1、CL2、CL3、...、CLn(総称して、列制御線CL)へ共通に接続される。各RPUセル110は、それぞれの行線および列線のクロスポイント(または交点)で(および間に)接続される。1つの例示的な実施形態では、RPUシステム100は、4,096×4,096アレイのRPUセル110を含む。
【0019】
コンピューティング・システム100は、行制御線RL1、RL2、RL3、...、RLmに接続された周辺回路120、ならびに列制御線CL1、CL2、CL3、...、CLnに接続された周辺回路130をさらに含む。さらに、周辺回路120はデータ入出力(I/O)インターフェース・ブロック125に接続され、周辺回路130はデータI/Oインターフェース・ブロック135に接続される。コンピューティング・システム100は、コンピューティング・システム100の動作のために配電、制御信号およびクロッキング信号を提供する電力、クロック、バイアスおよびタイミング回路などの様々なタイプの回路ブロックを含む制御信号回路140をさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、コンピューティング・システム100における各RPUセル110は、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを含む。いくつかの実施形態では、RPUセル110は、図3図4図5図6図7A図7C図9および図10に概略的に示され、以下でさらに詳細に論じる不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのフレームワークの例示的な実施形態のうちの1つを使用して実装される。いくつかの実施形態では、各RPUセル110は、RPUセル110の行列要素または重みを表す調整可能なコンダクタンス値を有するReRAMデバイス、PCMデバイスなどの抵抗メモリ・デバイスを実装する。
【0021】
ニューロモーフィック・コンピューティング用途では、RPUセル110は、前ニューロンと後ニューロンとの間の重み付けされた接続を提供する人工シナプスを含む。複数の前ニューロンおよび後ニューロンは、RPUセル110の2Dクロスバー・アレイを通して接続され、このアレイは完全に接続されたニューラル・ネットワークを本来、表す。いくつかの実施形態では、コンピューティング・システム100は、DNNまたはCNN計算を行うように構成され、各RPUセル110のコンダクタンスは、周辺回路120および130の動作を通して更新またはアクセスできる行列要素または重みwijを表す(ここで、wijは、RPUセル110のアレイにおけるi行目およびj列目の重み値を示す)。上記のように、DNN訓練は、順方向サイクル、逆方向サイクル、および重み更新サイクルの3つの繰り返しサイクルを含む誤差逆伝搬法プロセスに概して依存する。コンピューティング・システム100は、誤差逆伝搬法プロセスの3つのサイクルすべてを並行して行うように構成でき、このように、より低い電力および低減された計算リソースでDNN訓練において著しい加速を提供する可能性がある。コンピューティング・システム100は、アナログ・ドメインにおいて並列でベクトル行列乗算演算を行うように構成できる。
【0022】
行制御線RLおよび列制御線CLは、図示を容易にするためにそれぞれ図1に単一の線として示されるが、各行および列制御線は、RPUセル110の実装および指定のアーキテクチャによっては、それぞれの行および列においてRPUセル110に接続された2つ以上の制御線を含むことができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、各行制御線RLは、所与のRPUセル110のための相補的な対のワード線を含むことができる。さらに、各列制御線CLは、例えば、1つまたは複数のソース線(SL)および1つまたは複数のビット線(BL)を含む複数の制御線を含んでよい。
【0023】
周辺回路120および130は、RPUセル110の2Dアレイにおいてそれぞれの行および列に接続され、(ニューラル・ネットワーク訓練のための)誤差逆伝搬法プロセスの順方向、逆方向および重み更新動作ならびに訓練されたニューラル・ネットワークを使用した推論処理を実施するためにベクトル行列乗算機能、行列ベクトル乗算機能、および外積更新動作を行うように構成された様々な回路ブロックを含む。例えば、いくつかの実施形態では、RPUセル読出し/感知動作(例えば、所与のRPUセル110の重み値を読み出す)を支援するために、周辺回路120および130は、順方向/逆方向サイクル中に受けた入力ベクトル値(読出し入力値)に応じてPWM読出しパルスを生成してRPUセル110に印加するパルス幅変調(PWM)回路および読出しパルス駆動回路を含む。
【0024】
より具体的には、いくつかの実施形態では、周辺回路120および130は、(行または列へ適用される)デジタル入力ベクトルを受け、デジタル入力ベクトルを、パルス幅を変化させる入力電圧によって表されるアナログ入力ベクトル値へ変換するように構成されたデジタル-アナログ(D/A)変換回路を含む。いくつかの実施形態では、時間符号化方式が、入力ベクトルが調整可能な持続時間を持つ固定振幅Vin=1Vパルスによって表される場合に、使用される(例えば、パルス持続時間は、1nsの倍数であり、入力ベクトルの値に比例する)。行(または列)に印加された入力電圧は、出力電流によって表される出力ベクトル値を生成し、RPUセル110の重みは、出力電流を測定することによって読み出される。
【0025】
周辺回路120および130は、接続されたRPUセル110から出力かつ蓄積された読出し電流(IREAD)を積分し、積分された電流をデジタル値(読出し出力値)へ後続の計算のために変換する電流積分回路およびアナログ-デジタル(A/D)変換回路をさらに含む。特に、RPUセル110によって生成された電流は、列(または行)で合計され、この総電流は、周辺回路120および130の電流読出し回路によって、測定時間tmeasにわたって積分される。電流読出し回路は、電流積分器およびアナログ-デジタル(A/D)変換器を含む。いくつかの実施形態では、各電流積分器は、コンデンサ上で所与の列(または行)からの電流出力(または負および正の重みを実装するRPUセルの対からの差動電流)を積分する演算増幅器を含み、アナログ-デジタル(A/D)変換器は、積分された電流(例えば、アナログ値)をデジタル値へ変換する。
【0026】
さらに、周辺回路120および130は、RPUセルにおいて実装される抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス値を更新するプログラミング動作の間に使用されるプログラミング電圧を生成するように構成された電圧発生器および駆動回路を含む。いくつかの実施形態では、周辺回路120および130は、図7A図7B図7Cおよび図8Aを参照し以下でさらに詳細に論じるように例示的なプログラミング動作を実施する。
【0027】
データI/Oインターフェース125および135は、デジタル処理コアと接続するように構成され、デジタル処理コアは、コンピューティング・システム100(ニューラル・コア)への入力/出力を処理し、データを異なるRPUアレイ間の経路で送るように構成される。データI/Oインターフェース125および135は、(i)デジタル処理コアから外部制御信号およびデータを受信し、受信した制御信号およびデータを周辺回路120および130に提供する、そして(ii)周辺回路120および130からデジタル読出し出力値を受け、デジタル読出し出力値を処理するためにデジタル処理コアへ送るように構成される。いくつかの実施形態では、デジタル処理コアは、ニューラル・ネットワークの次のまたは前の層へ提供されるデータに基づいて活性化関数(例えば、シグモイド・ニューロン関数、ソフトマックスなど)および他の算術演算を計算する非線形機能回路を実装する。
【0028】
当業において知られているように、完全に接続されたDNNは、信号が一連の線形および非線形変換を経ることによって入力層から出力層へ伝播するように完全に接続された層の積み重ねを含む。DNN全体は、入力データを出力層でクラスのスコアに対してマップする単一の微分可能な誤差関数を表す。通常、DNNは、各パラメータに関する誤差勾配が誤差逆伝搬法アルゴリズムを使用して計算される単純な確率的勾配降下(SGD)方式を使用して訓練される。誤差逆伝搬法アルゴリズムは、収束規準が満たされるまで何度も繰り返される順方向、逆方向および重み更新の3つのサイクルで構成される。順方向および逆方向サイクルは、図1に示されるコンピューティング・システムのRPUデバイスセル110の2Dクロスバー・アレイを使用して、順方向および逆方向のベクトル行列乗算演算を計算することを主に含む。
【0029】
図1のコンピューティング・システム100では、RPUセルの2Dクロスバー・アレイにおけるコンダクタンス値gijは、重み値wijの行列Wを形成する。順方向サイクル(図2A)では、入力ベクトルが(電圧パルスの形態で)2Dクロスバー・アレイ内の入力行のそれぞれを通して送信され、RPUセル110においてベクトル行列乗算を行う。逆方向サイクルでは(図2B)、列から供給された電圧パルスがRPUセル110へ入力され、ベクトル行列積が重み行列W値の転置に基づいて計算される。順方向および逆方向のサイクルとは対照的に、抵抗デバイスの2Dクロスバー・アレイ上で重み更新を実施することは、アレイにおける各クロスポイントRPUデバイスで局所的に行われる乗算演算および漸進的重み更新から構成されるベクトル-ベクトル外積を計算することを必要とする。図2A図2Bおよび図2Cは、図1のコンピューティング・システム100を使用して行うことができる誤差逆伝搬法アルゴリズムのそれぞれの順方向パス、逆方向パス、および重み更新動作を概略的に示す。
【0030】
Nの入力ニューロンがMの出力(または隠れた)ニューロンに接続される単一の完全に接続された層について、順方向パス(図2A)は、ベクトル行列乗算y=Wxを計算することを含み、ここで、長さNのベクトルxは、入力ニューロンの活動を表し、サイズM×Nの行列Wは各対の入力および出力ニューロン間の重み値を格納する。結果として得られた長さMのベクトルyは、要素のそれぞれに対して非線形活性化を行うことによってさらに処理され、次に次の層へ渡される。情報が最終出力層に到達すると、誤差信号が計算され、ネットワークを通して逆伝播される。順方向サイクルでは、RPUセル110のクロスバー・アレイに格納されたコンダクタンス値は行列を形成するのに対し、入力ベクトルは、入力行R1、R2、R3、...、Rmのそれぞれを通して電圧パルスとして送信される。
【0031】
単一層上の逆方向サイクル(図2B)は、また、重み行列z=Wδの転置に基づくベクトル行列乗算を含み、ここで、Wは重み行列を示し、長さMのベクトルδは出力ニューロンにより計算された誤差を表し、長さNのベクトルzは、ニューロンの非線形性の導関数を使用してさらに処理され、次に前の層へ渡される。逆方向サイクルでは、電圧パルスが列CL1、CL2、CL3、...、CLnから入力としてRPUセル110へ供給され、ベクトル行列積は重み行列Wの転置に基づいて計算される。
【0032】
最後に、更新サイクル(図2C)では、重み行列Wは、順方向および逆方向サイクルで使用される2つのベクトルの外積を行うことによって更新される。特に、抵抗デバイスの2Dクロスバー・アレイ上で重み更新を局所的に、かつすべて並列に、アレイのサイズにかかわらず、実施することは、図1のコンピューティング・システムにおいて、各クロスポイント(RPUセル110)で局所的に行われる乗算演算および漸進的重み更新から構成される、ベクトル-ベクトル外積を計算することを必要とする。図2Cに概略的に示されるように、重み更新プロセスは、wij←wij+ηx×δのように計算され、ここで、wijはi行目およびj列目の重み値を表し(簡単にするために層の指標は省略される)、xは入力ニューロンでの活動であり、δは出力ニューロンにより計算された誤差であり、ηはグローバル学習率を示す。
【0033】
要約すると、重み行列Wに基づくすべての演算は、クロスバー・アレイに格納されたコンダクタンス値が行列Wを形成するM行およびN列を持つ2端子RPUデバイスの2Dクロスバー・アレイを使用して実施できる。順方向サイクルでは、入力ベクトルxは行のそれぞれを通して電圧パルスとして送信され、結果として得られるベクトルyは列からの電流信号として読み出すことができる。同様に、電圧パルスが逆方向サイクルにおいて入力として列から供給されると、次に、ベクトル行列積が重み行列Wの転置に基づいて計算される。最後に、更新サイクルでは、ベクトルxおよびδを表す電圧パルスが行および列から同時に供給される。更新サイクルでは、各RPUセル110は、列および行から来る電圧パルスを処理するので漸進的重み更新を達成することによって、局所的乗算および加算演算を行う。
【0034】
重み更新サイクルのためのxiおよびδjベクトルの積を決定するためには、周辺回路120および130における確率的変換回路は、入力ベクトルxiおよびδjを表す確率的ビット・ストリームを生成するために利用される。ベクトルxiおよびδjのための確率的ビット・ストリームは、RPUセルの2Dクロスバー・アレイの行および列を通して供給され、所与のRPUセルのコンダクタンスは、所与のRPUセルへ入力されたxiおよびδj確率的パルス・ストリームの一致によって変化する。重み更新演算のためのベクトルのクロス積演算は、実数を表す確率的ストリームの一致検出(AND論理ゲート演算を使用する)が乗算演算と同等であるという既知の概念に基づいて実施される。上述した3つの動作モードのすべてにより、ニューラル・ネットワークを形成するRPUセルは3つのサイクルすべてにおいて活性があることができるので、誤差逆伝搬法アルゴリズムの非常に効率的な実施によりDNN訓練プロセス中にRPUセルの更新された重み値を計算することができる。
【0035】
図3は、本開示の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタおよび抵抗メモリ・デバイスを実装するアナログ抵抗メモリ・セルを概略的に示す。特に、図3は、FeFETデバイス310および抵抗メモリ・デバイス320を含む不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル300を概略的に示す。メモリ・セル300は、FeFETデバイス310がメモリ・セル300のセレクト・トランジスタとして動作し、抵抗メモリ・デバイス320がメモリ・セル300のストレージ要素として動作する1T-1Rアーキテクチャ(あるいは、1F-1Rアーキテクチャ)を含む。特に、抵抗メモリ・デバイス320は、可変抵抗器として描かれているプログラム可能な抵抗メモリ要素である。図3に示されるように、FeFETデバイス310(あるいは本明細書ではFeFETセレクト・トランジスタ310または強誘電体セレクト・トランジスタ310と称する)は、ゲートG端子、ドレインD端子、およびソースS端子を含む。ゲートG端子はワード線WLに接続され、ソースS端子はソース線SLに接続され、ドレインD端子は抵抗メモリ・デバイス320の端子に接続される。抵抗メモリ・デバイス320は、ドレインD端子とビット線BLとの間に接続される。
【0036】
メモリ・セル300は、人工ニューラル・ネットワークまたはニューロモーフィック・コンピューティング・システムなどを実装するためにコンピューティング・システム100(図1)の、例えば、RPUセルとして実装できる。抵抗メモリ・デバイス320は、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル300の重みを調整するために複数の異なるコンダクタンスのレベルの範囲内にプログラムで適応できる調整可能なコンダクタンス(または調整可能な抵抗レベル)を有する任意の好適なタイプの抵抗メモリ・デバイス(例えば、抵抗切替えデバイス(界面またはフィラメントの切替え)、ReRAM、メムリスタ、PCMなど)を使用して実装されてよい。以下でさらに詳細に説明されるように、FeFETデバイス310は、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル300の重みを適応させるために行われるプログラミング動作(例えば、SGD訓練プロセスの重み更新フェーズ)中に抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンス調整の線形応答を高める。
【0037】
図4は、本開示の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおいてストレージ要素として実装できる抵抗メモリ・デバイスを概略的に示す。特に、図4は、第1の電極420と第2の電極430との間に配置される絶縁層410を含む抵抗切替えデバイス400(例えば、抵抗ランダム-アクセス・メモリ(ReRAM)デバイス)を概略的に示す。いくつかの実施形態では、絶縁層410は、遷移金属酸化物材料、または酸化ケイ素材料(例えば、SiON)で形成された酸化物層(絶縁層)を含む。絶縁層410は、可変コンダクタンス(または異なる抵抗状態)を示すプログラム可能な要素(抵抗切替え層)として働き、コンダクタンスの変化は、第1の電極420と第2の電極430との間の絶縁層410内の導電性フィラメント(CF)412の構成を変更(例えば、形成、破裂、溶解など)することによって達成される。構造配置によっては、抵抗切替えデバイス400は、単一レベルの抵抗デバイスまたは多レベルの抵抗メモリ・デバイスであり得る。
【0038】
より具体的には、抵抗切替えデバイス400で、反復可能な抵抗切替えのために抵抗切替えデバイス400を使用する前に、1つまたは複数の導電性フィラメントを最初に作成するために「電鋳」プロセスが通常、行われる。構成によっては、抵抗切替えデバイス400は、デバイス400が、第1および第2の電極420、430全体に印加される書込み電圧信号の大きさ、または持続時間、あるいはその両方を制御することによって、低抵抗状態(LRS)(または高コンダクタンス状態)、高抵抗(HRS)(または低コンダクタンス状態)、および複数の中間抵抗状態(IRS)の間で切り替えることができる切替え挙動を示す。HRSとLRSとの間の切替えは、RESET電圧(例えば、所与の大きさ(例えば、-1.8V)および持続時間(例えば、100ナノ秒)を持つ負のパルス)、およびSET電圧(例えば、所与の大きさ(例えば、+1.7V)および持続時間(例えば、100ナノ秒)を持つ正のパルス)によって制御される。
【0039】
SET動作の間、抵抗切替えデバイス400の電極420および430全体にSET電圧を印加することにより、結果として、絶縁層410に1つまたは複数の局所的な伝導フィラメント412が形成され、抵抗切替えデバイス400は、コンダクタンスの増加とともにLRSまたは「オン状態」へ切り替えられる(SET)ことになる。別の状態へ移行するために、RESET動作が、導電性フィラメント412の溶解/破壊/破裂を引き起こし、かつ抵抗切替えデバイス400をHRSまたは「オフ状態」に置くために、抵抗切替えデバイス400の電極420および430全体にRESET電圧を印加することによって行われる。抵抗切替えデバイス400は、すべての抵抗状態間で交換可能に切り替えることができ、印加された書込み電圧信号の大きさを制御することによって、(i)SET切替えをHRS状態からIRS状態またはLRS状態へ向ける、(ii)RESET切替えをLRS状態からIRS状態またはHRS状態へ向ける、そして(iii)SET/RESET切替えをIRS状態からLRS状態またはHRS状態へ向けることを含む。導電性フィラメント412の厚さは、抵抗切替えデバイス400が連続的に可変コンダクタンス値を示すことができるように、異なるやり方で制御(例えば、形成、溶解、破裂)できる。
【0040】
図4は、フィラメント状抵抗切替えデバイスの例示的な実施形態を概略的に示す。他の実施形態では、界面状抵抗切替えデバイスは、本明細書に記載される例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおいてストレージ要素として実装できる。一般に、界面状抵抗切替えデバイスは、第1の電極と第2の電極との間に配置された絶縁材料の1つまたは複数の層を含み、絶縁層を通って流れる電流の大きさは、絶縁層と電極との間の界面(すなわち、金属-絶縁体接合部)での障壁高さに基づく。界面障壁高さは、制御パルスによって修正でき、当業者によって理解されるように、界面状抵抗切替えデバイスのバイナリまたは複数の抵抗状態をもたらす。
【0041】
図5は、本開示の別の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおいてストレージ要素として実装できる抵抗メモリ・デバイスを概略的に示す。特に、図5は、第1の(下)電極510、絶縁層520、ヒータ電極530、相変化材料の層540、および第2(上)電極550を含む相変化メモリ(PCM)デバイス500を概略的に示す。相変化材料の層540は、非晶質状態の材料の第1の領域542(あるいは、非晶質領域542)および結晶質状態の材料の第2の領域544(あるいは、結晶質領域544)を含む。非晶質領域542は高い電気抵抗率を有する傾向があるが、結晶質領域544は低い抵抗率(例えば、数桁低い抵抗率)を示す。PCMデバイス500では、データが、相変化材料540の層の低導電性非晶質領域542と高導電性結晶質領域544との間の電気抵抗におけるコントラストに基づいて格納される。抵抗コントラストが大きいため、読出し電流の変化は相対的に大きく、PCMデバイス500はMLC動作のために複数のアナログのレベルを提供するために実装されることができる。
【0042】
相変化材料540は、非晶質状態の材料の第1の領域542のサイズを漸進的に変化させるPCMデバイス500に電流パルスを印加することによって、低導電状態から高導電状態へ、およびその逆に切り替えることができる。例えば、第1の大きさおよび第1の持続時間を持つ第1のタイプのパルス(例えば、SETパルス、または結晶化パルス)がPCMデバイス500に印加されて、第1の領域542のサイズを漸進的に減少させ、このようにPCMデバイス500の抵抗を漸進的に減少(またはコンダクタンスを増加)できる。他方では、第2の大きさおよび第2の持続時間を持つ第2のタイプのパルス(例えば、RESETパルス、または非晶質化パルス)がPCMデバイス500に印加されて、第1の領域542のサイズを漸進的に増加させ、このようにPCMデバイス500の抵抗を漸進的に増加(またはコンダクタンスを減少)できる。PCMデバイス500の抵抗の変化は、電流パルスが電極550および510全体に印加されたときに狭いヒータ電極530における電流密度の増加のため生じるジュール加熱プロセスの開始の結果である。このジュール加熱プロセスでは、ヒータ電極530の近くの相変化材料540の領域(例えば、第1の領域542)は内部温度上昇により加熱され、温度が相変化材料の融点より下に保たれている間に相変化材料の結晶化を引き起こす。これに関して、PCMデバイス500のプログラミングは、印加された電圧を通して電力を印加することを含み、非晶質材料の体積を溶融してから急速に急冷する(RESET)、または再結晶化のために十分な時間、体積をわずかに低い温度で保持する(SET)のいずれかの内部温度変化をもたらす。低電圧を使用してデバイス抵抗を感知するので(READ)、デバイスの状態は乱されない。相変化材料540の結晶化における確率的性質のために、重み更新に関連する著しいランダム性がある。
【0043】
図6は、本開示の例示的な実施形態による、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおけるセレクト・トランジスタとして実装できるFeFETデバイス600の概略図である。FeFETデバイス600は、半導体基板610、第1のソース/ドレイン領域612、第2のソース/ドレイン領域614、およびゲート構造体620を含む。ゲート構造体620は、界面層630、強誘電層640、およびゲート電極650を含む。基板610は、第1のソース/ドレイン領域612と第2のソース/ドレイン領域614との間のゲート構造体620の下方に配置された「チャネル領域」を含む。FeFETデバイス600は、FeFETデバイス600のゲート構造体620がゲート電極層650と半導体基板610の上面との間に配置される強誘電層640を含むことを除いて、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)デバイスに類似した構造体を有する。
【0044】
強誘電層640は、電界(抗電界と称する)の存在下で自発分極となり、バイアスがないと、残留分極を保持する能力を有する強誘電材料を含む。残留分極とは、外部のバイアスが除去された後、強誘電材料内に正または負で留まる分極電荷を指す。強誘電層640の残留分極状態は、FeFETデバイス600のチャネル・コンダクタンスに影響し、強誘電層640の分極状態の変化(例えば、大きさまたは極性あるいはその両方の変化)は、FeFETデバイス600のチャネル・コンダクタンスの変化を引き起こす。以下でさらに詳細に説明されるように、本開示の例示的な実施形態は、FeFETデバイス600を不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおけるセレクト・トランジスタとして利用することによってFeFETデバイス600の、このコンダクタンス-分極特質を活用して、例えば、重み更新プロセス中の抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整における直線性を改良する。
【0045】
基板610は、シリコンまたは他の好適な半導体材料などの半導体材料で形成される。基板610は、バルク基板、またはバルク基板に形成されたドープ・ウェルであり得る。基板610は、第1の導電型(例えば、N型)または第2の導電型(例えば、P型)を有するようにドープできる。第1および第2のソース/ドレイン領域612および614は、基板610の導電型とは反対の導電型を有する基板610内のドープ領域である。例えば、N型FeFETデバイスは、基板610がP型導電率を有し、第1および第2のソース/ドレイン領域612および614がN型導電率(例えば、Nドーピング)を有する。P型FeFETデバイスは、基板610がN型導電率を有し、第1および第2のソース/ドレイン領域612および614がP型導電率(例えば、Pドーピング)を有する。本明細書で使用される用語「ソース/ドレイン領域」は、所与のソース/ドレイン領域が、用途または回路構成によっては、ソース領域またはドレイン領域のいずれかであり得ることを意味することを理解されたい。例示目的で、第1のソース/ドレイン領域612はソース領域としてラベル付けされ、第2のソース/ドレイン領域614はドレイン領域としてラベル付けされる。
【0046】
いくつかの実施形態では、基板610(すなわち、本体)は、プログラミング動作および読出し動作の間に適切なバイアス電圧(例えば、接地電圧)が基板610に印加されることができる別個の「本体端子」を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本体端子はソース領域612に接続されて、ソース/基板接合部全体にゼロ電圧があることを確実にし、閾電圧(V)がFeFETデバイス600のソースと本体との間の電圧差の結果として変化する「本体効果」を排除する。
【0047】
いくつかの実施形態では、界面層630は、酸化ケイ素材料(例えば、二酸化ケイ素)、窒化ケイ素材料(例えば、SiN、SiON)、または他の好適なタイプの絶縁材料を含むが、これらに限定されない絶縁材料の薄層を含む。強誘電層640は、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、ハフニウムジルコニウム酸化物(HfZrO)、および強誘電体特質(例えば、斜方晶強誘電相)を示す結晶質微細構造で形成できる、他のタイプの高k誘電材料(例えば、アルミニウム、シリコン、またはイットリウムでドープされた酸化ハフニウム)の多結晶合金膜を含むが、これに限定されない強誘電材料を含む。界面層630は、例えば、基板610の表面と強誘電層640との間の界面の品質を高めるための緩衝層を設け、電荷トラップの量を低減し、強誘電層640および基板610の異なる材料間の反応を防止するなどの様々な目的に利用される任意の層である。いくつかの非限定的な実施形態では、強誘電層640は、約2ナノメートル(nm)~約20nmの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、強誘電層640は、シリコン基板610(例えば、高ドープSi基板)の表面上に直接形成される。
【0048】
ゲート電極650は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ケイ化チタン(TiSi)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、ケイ化タングステン(WSi)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、または所与の用途に好適な他のタイプの導電性材料を含むが、これらに限定されない導電性材料を含む。いくつかの実施形態では、ゲート電極650の材料は、例えば、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのセレクト(またはアクセス)トランジスタとして使用される場合に、FeFETデバイス600の性能を向上させるべく強誘電層640の抗電圧に影響を与える所与の仕事関数を達成するように選択される。
【0049】
図6は、図示および議論を容易にするために提示されるFeFETデバイスの高レベルの概略図であることを理解されたい。FeFETデバイス600は、例えば、ゲート構造体620を封入する1つまたは複数の絶縁層(例えば、ゲート側壁スペーサ、ゲート・キャッピング層、プレメタル誘電体(PMD)層など)、ゲート電極650の上面に接触して形成されたゲート接点、第1および第2のソース/ドレイン領域612および614に接触して形成されたソース/ドレイン接点、基板610に形成された本体領域、および本体領域に接触して形成された本体接点などの他の要素を含むことができるであろう。さらに、ゲート電極650は、強誘電層640上に形成された第1のゲート電極層(例えば、仕事関数金属層)、および第1のゲート電極層上に形成された第2のゲート電極層(例えば、低抵抗金属層)を含む多層構造体を含んでよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、強誘電層640は、複数の強誘電ドメインを有する強誘電層640をもたらす多結晶微細構造を有するように形成される。多結晶微細構造は、変化するサイズでランダムに分布している好ましい配向を持たない(すなわち、ランダムなテクスチャで粒子方向のない)小さい結晶子(または粒子)のモザイクを含む。いくつかの実施形態では、強誘電層640の製造プロセスの様々な条件およびパラメータは、強誘電層640の粒子(または結晶子)が目標の配置を有するように成長して粒子テクスチャをもたらすように選択できる。強誘電層640内の強誘電ドメインは、強誘電層640の多結晶構造内の異なる粒子または粒子のグループと一致できる。
【0051】
本明細書に記載される例示的な実施形態の文脈では、用語「強誘電ドメイン」は、永久配向自発分極が所与の領域へ抗電界(例えば、抗電圧)を印加することによって内部に得ることができる強誘電層640の領域を指す。これに関して、強誘電層640を持つ所与の強誘電ドメインは、抗電界の存在下で自発的に分極するようになることができる。永久自発分極は、抗電界が除去された後、正または負のいずれかで、強誘電材料の所与の領域内に留まる残留分極(または残留分極電荷)を含む。抗電界は、電界の大きさが、強誘電材料に印加された場合、正の分極電荷から負の分極電荷への、またはその逆の切替えを誘発するのに十分であることを示す。一般に、抗電圧は、抗電界値を掛けた強誘電膜の厚さの関数である。
【0052】
上記のように、強誘電層640の残留分極状態は、FeFETデバイス600のチャネル・コンダクタンスに影響し、強誘電層640の分極状態の変化(例えば、大きさまたは極性あるいはその両方の変化)は、FeFETデバイス600のチャネル・コンダクタンスに変化を起こす。本開示の例示的な実施形態は、プログラミング動作の間に(例えば、シナプス重み更新プロセス)抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整における直線性を改良するようにプログラミング動作の間のFeFETデバイス600のチャネル・コンダクタンスを調節するべく、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおけるセレクト・トランジスタとして利用されるFeFETデバイス600の強誘電層640において電圧制御された部分的な分極の切替えのダイナミクスを活用する。例えば、図7Aおよび図7Bは、本開示の例示的な実施形態による、同じ振幅およびパルス幅の電圧パルスのシーケンスをゲート電極650に印加することによって、FeFETデバイス600の閾電圧(V)、したがってFeFETデバイス600のドレイン-ソース間(チャネル)コンダクタンスを調節するために、FeFETデバイス600の強誘電層640における多ドメインの部分的な分極の切替えを利用するプロセスを概略的に示す。図7Aおよび図7Bの例示的な実施形態は、FeFETデバイス600がN型FeFETデバイスであることを想定する。
【0053】
より具体的には、図7Aは、本開示の例示的な実施形態による、FeFETデバイスのゲートに印加される複数のプログラミング・パルスに対するパルス数の関数として、FeFETデバイスのチャネル・コンダクタンスGDS(マイクロ・シーメンズ(μS)単位)をグラフで示す。特に、図7Aは、FeFETデバイス600のチャネル・コンダクタンスGDSの増加を、増強期間710において適用される増強パルスおよび降下期間720において印加される降下パルスを含むパルス・パターンに対するパルス数の関数として示す曲線700を示す。増強期間710では、同じ振幅+V(例えば+3.7V)およびパルス幅W(例えば、75ns)を持つ増強パルスのシーケンスがFeFETデバイス600のゲート電極650に印加され、そして降下期間720では、同じ振幅-V(例えば、-3.2V)およびパルス幅W(例えば、75ns)を持つ降下パルスのシーケンスがFeFETデバイス600のゲート電極650に印加される。
【0054】
図7Aに示されるように、増強パルスは、非対称チャネル・コンダクタンス応答をもたらし、増強期間710の第1の部分710-1は、少数の初期増強パルスに対してチャネル・コンダクタンスGDSの急な増加を示し、ここで、増強期間710の第2の部分710-2は、多数の連続増強パルスにわたってチャネル・コンダクタンスGDSのほぼ線形の増加を示す。また、増強期間710の第2の部分710-2では、チャネル・コンダクタンスGDSの相対的に小さい、例えば、約30μSから40μS未満までの線形増加があり、増強期間710の第2の部分710-2では、約40/30=1.3のGmax/Gmin比となる。
【0055】
図7Aにさらに示されるように、(増強期間710に続く)降下パルスの適用は、非対称チャネル・コンダクタンス応答をもたらし、降下期間720の第1の部分720-1は、少数の初期降下パルスに対するチャネル・コンダクタンスGDSの急な減少を示し、降下期間720の第2の部分720-2は、多数の連続降下パルスにわたって、チャネル・コンダクタンスGDSのほぼ線形の減少を示す。また、降下期間720の第2の部分720-2では、チャネル・コンダクタンスGDSに相対的に小さい線形減少がある。
【0056】
図7Aに示されるチャネル・コンダクタンスGDSの変化は、FeFETデバイス600の強誘電層640における強誘電ドメインの部分的な分極切替えに基づくFeFETデバイス600の閾電圧V(したがってチャネル・コンダクタンスGDS)の調節の結果である。例えば、図7Bは、本開示の例示的な実施形態による、増強期間中の図7Aに示される(同じ振幅+Vおよびパルス幅Wを持つ)増強パルスの増加する計数に応じて部分的な分極切替えから生じるFeFETデバイス600の強誘電層640の異なる分極状態を概略的に示す。図7Bは、FeFETデバイス600の異なる分極状態700-1、700-2、および700-3を概略的に示し、各分極状態は、FeFETデバイス600の異なる閾電圧Vに対応する。
【0057】
より具体的には、図7Bは、強誘電層640の強誘電ドメインが「第1の極性」(例えば、負の強誘電分極)を持つ残留分極を有するFeFETデバイス600の初期分極状態700-1を概略的に示し、強誘電層640を横切る電気双極子は、正極がゲート電極650へ向けられ、負極がFeFETデバイス600の基板610のチャネル領域へ向けられるように配向される。分極状態700-1は、基板610の上面におけるチャネル領域全体へ正味の負電荷を与え、それによって基板610からの正(大多数)の電荷担体はチャネル領域における基板610の表面に蓄積する。分極状態700-1の正味の効果は、FeFETデバイス600が第1の閾電圧V1を有するようなFeFETデバイス600の閾電圧の増加である。
【0058】
さらに、図7Bは、1つまたは複数の初期増強パルスをゲート電極650に印加することから生じるFeFETデバイス600の分極状態700-2を概略的に示し、強誘電層640において強誘電ドメインの一部の残留分極が第1の極性から第2の極性へ切り替えられ(例えば、正の強誘電分極)、強誘電ドメインにおける電気双極子は、負極がゲート電極650へ向けられ、正極が基板610のチャネル領域へ向けられるように配向される。初期分極状態700-1と比較して、分極状態700-2は、チャネル領域における基板610の上面へ、より多くの負電荷(より少ない正味正電荷)を与え、FeFETデバイス600の閾電圧における減少、したがって、初期分極状態700-1に対するチャネル・コンダクタンスの増加をもたらす。
【0059】
また、図7Bは、1つまたは複数の追加増強パルスをゲート電極650に印加することから生じるFeFETデバイス600の分極状態700-3を概略的に示し、強誘電層640における強誘電ドメインの一部の残留分極が第1の極性から第2の極性へさらに切り替わり、強誘電ドメインの、より多数の電気双極子は、負極がゲート電極650へ向けられ、正極が基板610のチャネル領域へ向けられるように配向される。分極状態700-2と比較して、分極状態700-3は、チャネル領域において基板610の上面へより多くの負電荷を与え、FeFETデバイス600の閾電圧のさらなる減少、したがって、前の分極状態700-2に対するチャネル・コンダクタンスのさらなる増加をもたらす。
【0060】
図7Bは、FeFETデバイス600のゲート電極650に印加される同じ振幅+Vpおよびパルス幅Wを持つ増強パルスの数の増加(パルス計数の増加)により、第1の極性から第2の極性への強誘電ドメインの部分的な分極切替えが増加することを示す。部分的な分極切替えにより、FeFETデバイス600の閾電圧Vtが徐々に減少し、したがって、FeFETデバイス600のチャネル・コンダクタンスGDSが増加する。本開示の例示的な実施形態は、抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整が同一プログラミング・パルスのシーケンスを使用して行われるプログラミング動作(例えば、シナプス重み更新プロセス)中に抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整における直線性を改良するために、FeFETデバイス600を不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおけるセレクト・トランジスタとして利用することによってFeFETデバイス600のこのコンダクタンス-分極特質を活用する。
【0061】
上記のように、図7Aおよび図7Bの例示的な実施形態は、FeFETデバイスがN型FeFETデバイスであることを想定する。同じまたは類似の原理がP型FeFETデバイスに適用されることを理解されたい。例えば、図7Cは、FeFETデバイス600の初期分極状態701-1を概略的に示し、FeFETデバイス600はP型FeFETデバイスであると想定され、強誘電層640の強誘電ドメインは、強誘電層640全体の電気双極子は、負極がゲート電極650へ向けられ、かつ正極がFeFETデバイス600の基板610のチャネル領域へ向けられるように配向される「第2の極性」(例えば、正の強誘電分極)を持つ残留分極を有する。分極状態701-1は、基板610の上面においてチャネル領域全体へ正味の正電荷を与え、それによって基板610からの負(多数)の電荷担体はチャネル領域において基板610の表面に蓄積する。分極状態701-1の正味の効果は、FeFETデバイス600が第1の閾電圧-V1を有するようなFeFETデバイス600の負の閾電圧の増加である。
【0062】
さらに、図7Cは、ゲート電極650に負の極性増強パルスを印加することから生じるP型FeFETデバイス600の分極状態701-2および701-3を概略的に示し、強誘電層640における強誘電ドメインの部分の残留分極の第2の極性から第1の極性への部分的な切替えが増加し、強誘電ドメインにおける電気双極子は、正極がゲート電極650へ向けられ負極が基板610のチャネル領域へ向けられるように配向される。図7Cは、P型FeFETデバイス600のゲート電極650に印加される同じ振幅-Vpおよびパルス幅Wを持つ負の増強パルスの数の増加(パルス計数の増加)により、強誘電ドメインの第2の極性から第1の極性への部分的な分極切替えが増加することを示す。部分的な分極切替えにより、FeFETデバイス600の負の閾電圧Vtは徐々に減少し、したがって、FeFETデバイス600のチャネル・コンダクタンスGDSは増加する。P型FeFETデバイス600をその初期分極状態700-1へ戻すために、1つまたは複数の正の降下パルス(図7Aに示す降下パルスとは極性が反対)がFeFETデバイス600のゲート電極650に印加される。
【0063】
図4の抵抗切替えデバイス400および図5のPCMデバイスなどの抵抗メモリ・デバイスは、同一プログラミング・パルスを持つ増強/降下プログラミング方式を使用する場合に非線形コンダクタンス調整を示すことがよく知られている。そのため、このような抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整において直線性を達成するために、増強/降下パルス方式は、通常、増強/降下パルスの振幅またはパルス幅のいずれかを調節することを含む非同一パルス方式を実施する。例えば、パルス振幅を調節することは、抵抗メモリ・デバイスに印加される連続プログラミング・パルス毎にパルスの振幅を(固定パルス幅で)増加させて、同一の漸進的な調整ステップにおいて抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを直線的に増加(増強)または減少(降下)することを含む。他方では、パルス幅を調節することは、抵抗メモリ・デバイスに印加される連続プログラミング・パルス毎にパルスのパルス幅を(固定振幅で)増加させて、同一の漸進的な調整ステップにおいて抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを直線的に増加(増強)または減少(降下)することを含む。これらの非同一パルス方式は、振幅またはパルス幅あるいはその両方の調節を実施するために必要な周辺回路および処理に関してオーバーヘッドを追加する。さらに、パルス幅調節により、プログラミング動作のレイテンシが増加する。
【0064】
図8Aおよび図8Bは、本開示の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのプログラミングおよび読出しをする方法を示すタイミング図である。図示の目的で、図8Aおよび図8Bは、図3の不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル300の文脈で論じられる。図8Aは、同一パルスのパルス方式を使用して抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを調整するように抵抗メモリ・セル300をプログラムする方法800を示す。特に、図8Aは、プレサイクル期間800-1およびコンダクタンス調整期間800-2の間に、ワード線WLに印加され、したがってFeFETセレクト・トランジスタ310のゲート電極Gに印加されたプログラミング・パルス802のシーケンスを示す。図8Aは、抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを増加させるためにビット線BLに印加された増強制御電圧804(または第1のコンダクタンス調整制御電圧)、あるいは抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを減少させるためにビット線BLに印加された降下制御電圧806(または第2のコンダクタンス調整制御電圧)をさらに示す。
【0065】
プレサイクル期間800-1では、ビット線BLおよびソース線SLの両方が接地電圧GND(例えば、V=0)で保持され、一方で、相対的に少数のプログラミング・パルス802(例えば、1~5パルス)がワード線WLに印加されてFeFETセレクト・トランジスタ310のコンダクタンスを所望のレベルへ調整(例えば、増加)する。プログラミング・パルス802は、FeFETセレクト・トランジスタ310の強誘電層内で強誘電ドメインの部分的な分極切替えを引き起こすのに十分である大きさ+VPおよび持続時間を有する。例えば、図7Aおよび図7Bと併せた上記の例示的な実施形態の文脈では、プレサイクル期間800-1は、FeFETセレクト・トランジスタ310の分極状態を初期状態(例えば、状態700-1、図7B)から、FeFETセレクト・トランジスタ310が低減された閾電圧を有する目標分極状態(例えば、状態700-3)へ変化させるために行われ、FeFETセレクト・トランジスタ310のチャネル・コンダクタンスGDSの挙動が増強期間710の第2の部分710-2(図7A)内に収まるであろう。このようにして、FeFETセレクト・トランジスタ310は、FeFETセレクト・トランジスタ310のチャネル・コンダクタンスGDSがコンダクタンス調整期間800-2の間にワード線WLからゲート電極に印加される追加のプログラミング・パルス+VPで、相対的に小さい漸進的に線形の増加を示す状態となるであろう。
【0066】
コンダクタンス調整期間800-2では、増強プロセスは、増強制御信号804をビット線BLに印加することによって、開始できる。増強制御信号804は、コンダクタンス調整期間800-2の間にワード線WLに印加された各プログラミング・パルス802に応じて抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを漸進的に増加させるのに十分である大きさ+VBPおよび持続時間(パルス幅)を有する。コンダクタンス調整期間800-1の間のワード線WL上の各プログラミング・パルスのアサーションにより、FeFETセレクト・トランジスタ310はオンにされプログラミング電流がビット線BLからソース線SLへ抵抗メモリ・デバイス320を通って流れることができて抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを漸進的に増加させる。
【0067】
他方では、コンダクタンス調整期間800-2では、降下プロセスは、降下制御信号806をビット線BLに印加することによって開始できる。降下制御信号806は、コンダクタンス調整期間800-2の間にワード線WLに印加された各プログラミング・パルス802に応じて抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを漸進的に減少させるのに十分である大きさ-VBPおよび持続時間(パルス幅)を有する。コンダクタンス調整期間800-1の間のワード線WL上の各プログラミング・パルスのアサーションにより、FeFETセレクト・トランジスタ310はオンにされプログラミング電流がソース線SLからビット線BLへ抵抗メモリ・デバイス320を通って流れることができて抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを漸進的に減少させる。
【0068】
FeFETセレクト・トランジスタ310は、プログラミング・パルス802が振幅およびパルス幅において同一であるプログラミング・パルス方式を使用しながら、抵抗メモリ・デバイス320の漸進的なコンダクタンス変化における直線性応答を増加させる働きをする。FeFETセレクト・トランジスタ310のゲート電極に印加される同一プログラミング・パルス802は、より直線状に抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを漸進的に変化させるために、コンダクタンス調整期間800-1の間に生成されるプログラミング電流を調節かつ制御するのを助けるやり方で、FeFETセレクト・トランジスタ310の分極(および閾電圧V)を調節する働きをする。
【0069】
より具体的には、上記のように、プレサイクル期間800-1の間、FeFETセレクト・トランジスタ310の分極(および閾電圧V)は、コンダクタンス調整期間800-2の間にFeFETセレクト・トランジスタ310のゲートに印加されたプログラミング・パルスに応じて生じるさらなる部分的な分極切替えに応じて、チャネル・コンダクタンスの相対的に小さい漸進的増加および閾電圧Vの相対的に小さい漸進的減少を示しながら、FeFETデバイスの分極/V/チャネル・コンダクタンスが相対的に平坦なままである動作状態にFeFETセレクト・トランジスタ310を置くための、相対的に少数のプログラミング・パルス802の適用によって調節される。換言すれば、プレサイクル期間800-1は、コンダクタンス調整期間800-2の間にFeFETセレクト・トランジスタ310のチャネル・コンダクタンスGDSおよび閾電圧Vに急な変化がないことを確実にするために行われる。
【0070】
また、コンダクタンス調整期間800-2の間、プログラミング・パルスがワード線WLに印加されて抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを調整するので、FeFETセレクト・トランジスタ310のゲートに各プログラミング・パルスを印加すると、強誘電層640の分極状態に小さい変化が生じ、FeFETセレクト・トランジスタ310の閾電圧Vがわずかに減少する。これは、例えば、VGS-V(または+VP-V)が増加するので、FeFETセレクト・トランジスタ310のチャネル・コンダクタンスGDSをわずかに増加させ、次にFeFETセレクト・トランジスタ310のチャネル電流(IDS)を増加させる。
【0071】
このようにして、コンダクタンス調整期間800-2の間の次に続くプログラミング・パルス毎にFeFETセレクト・トランジスタ310のチャネル導電率の増加(したがってチャネル電流IDSの増加)は、抵抗メモリ・デバイス320を調整するためにプログラムするためのプログラミング電流の量を漸進的に増加させる働きをする。そのため、コンダクタンス調整期間800-2の間のFeFETセレクト・トランジスタ310のチャネル・コンダクタンスGDSおよび閾電圧Vの調節は、プログラミング・パルス802が振幅およびパルス幅において同一であるプログラミング・パルス方式を使用しながら、抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンス調整における線形応答を増加させる働きをする。換言すれば、FeFETセレクト・トランジスタ310の実装およびFeFETセレクト・トランジスタ310のチャネル・コンダクタンスGDSおよび閾電圧Vの漸進的調節は、同一プログラミング・パルス方式と併せて、実質的に、抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを調整するために抵抗メモリ・セルへ適用される非同一パルス方式を使用してプログラミング電流が調節されるプログラミング方式をエミュレートする。
【0072】
図8Aに示されるプログラミング・パルス802(ならびに図11Aおよび図11Bに示される例示的なプログラミング・パルス1102および1112)は、FeFETデバイスをセレクト・トランジスタとして使用してアナログ抵抗メモリ・デバイスをプログラムする動作の原理を図示する目的で提示されることを理解されたい。図8Aにおけるプログラミング・パルス802(ならびに図11Aおよび図11Bにおけるプログラミング・パルス1102および1112)は、例えば、RPUクロスバー・アレイ、不揮発性アナログ抵抗メモリ、ニューロモーフィック・コンピューティング・システムなどにおいて重み更新動作またはメモリ・プログラミング動作を行うための任意の好適な技術を使用して生成できる。例えば、RPUクロスバー・アレイ・システムでは、RPUセル重み更新動作(例えば、図1における所与のRPUセル110の抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス値の更新)を支援するために、確率的更新プロセスを実施でき、それによって、図8Aのコンダクタンス調整期間800-2における(ならびに図11Aおよび図11Bのコンダクタンス調整期間1100-2および1110-2における)プログラミング・パルスは、入力ベクトルxiおよびδj(例えば、図2C参照)を表す確率的ビット・ストリーム間の一致検出に応じて生成され、所与のRPUセルのコンダクタンスは、詳細は当業者にはよく理解される、所与のRPUセルに関連するxiおよびδjの確率的パルス・ストリームの一致に応じて漸進的に変化(増加または減少)する。また、図8Aのプレサイクル期間800-1(ならびに図11Aおよび図11Bのプレサイクル期間1100-1および1110-1)について生成されるプログラミング・パルスは、周辺回路におけるパルス生成回路によって生成され、いくつかの実施形態では、(所与の大きさおよびパルス幅を持つ)予め規定された数のプログラミング・パルスが、行線に印加されてFeFETセレクト・トランジスタを目標の分極状態へ「プライムする」。
【0073】
図8Bは、抵抗メモリ・セル300の状態を読み出す方法810を示す。特に、図8Bは、初期化期間810-1および重み読出し期間810-2の間に、ワード線WLに印加され、したがってFeFETセレクト・トランジスタ310のゲート電極Gに印加される読出し制御パルス812を示す。図8Bはさらに、抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンス状態または抵抗状態(例えば、シナプス重み)を決定するために感知される読出し電流(例えば、IREAD)を生成するためにビット線BLに印加される読出し電圧信号814を示す。初期化期間810-1では、ビット線BLおよびソース線SLの両方が接地電圧GND(例えばV=0)で保持され、一方で、分極初期化パルス-VINIT(またはリセット・パルス)が、FeFETセレクト・トランジスタ310の分極を初期分極状態に切り替えるために、ワード線WLに印加される。例えば、いくつかの実施形態では、FeFETセレクト・トランジスタ310は、図7Bに示される初期分極状態700-1へプログラムされ、FeFETセレクト・トランジスタ310は、増加した閾電圧および低いチャネル・コンダクタンスを有するであろう。
【0074】
いくつかの実施形態では、FeFETセレクト・トランジスタ310がN型デバイスであると想定すると、FeFETセレクト・トランジスタ310のゲート電極に印加された分極初期化パルス-VINITは、負の大きさ、およびFeFETセレクト・トランジスタ310の強誘電層の正味分極を第2の極性から第1の極性へ急に切り替え、それによりチャネルを低コンダクタンス状態(または高V状態)に置くのに十分である持続時間(パルス幅)を有する。例えば、図7Aに示すように、降下期間720の初期期間720-1の間にFeFETデバイスのゲート電極に負の降下パルスを印加すると、FeFETデバイスのチャネル・コンダクタンスGDSが急に減少する(したがって閾電圧Vが急に増加する)。このようにして、初期化相810-1は、小さい読出し電圧をビット線BLに印加することによってメモリ・セルの状態を読み出し、FeFETセレクト・トランジスタ310を初期分極状態に置くために、FeFETセレクト・トランジスタ310を好適な動作モード(閾電圧の増加および低チャネル・コンダクタンス)に置いて、次のプレサイクル期間800-1およびコンダクタンス調整期間800-2においてメモリ・セル300のプログラミングを容易にする。
【0075】
図8Bは、さらに、重み読出し期間810-2が、初期化期間810-1に続いてビット線BL上で大きさ+VBRを持つ読出し電圧信号814をアサートすることによって開始されることを示す。重み読出し期間810-2の間、読出し電圧信号814のアサーションに続いて、大きさ+VRの読出し制御パルス812がワード線WLに印加される。読出し制御パルス+VRは、FeFETセレクト・トランジスタ310をオンにして読出し電流IREADがビット線BLからソース線SLへ抵抗メモリ・デバイス320を通って流れることができるのに十分である大きさおよび持続時間(パルス幅)を有する。このプロセスでは、読出し電圧信号814の大きさ+VBRは、読出し電圧信号814が抵抗メモリ・デバイス320の状態を乱す(すなわち、コンダクタンスの変化を生じる)ことがないように、増強制御信号804の大きさ+VBPよりも小さい大きさを有するように選択される。読出しプロセスでは、FeFETセレクト・トランジスタ310の低コンダクタンス状態と、読出し電圧信号814の小さい大きさ+VBRとにより、抵抗メモリ・デバイス320の状態を変えることなくメモリ・セル300の状態を読み出すのに十分である相対的に小さい読出し電流IREADが生成されることになる。
【0076】
いくつかの実施形態では、図8Aおよび図8Bにおけるプログラミングおよび読出し動作は、VGS>Vであり、VDS≧(VGS-V)である「飽和モード」で動作するFeFETセレクト・トランジスタ310で行われる。飽和モードでは、所与のVGSおよびVに対して、ドレイン電流IはVDSとは無関係に実質的に一定のままである。このようにして、FeFETセレクト・トランジスタ310を、例えば、プログラミング動作の間に飽和モードで動作させることにより、FeFETセレクト・トランジスタ310が抵抗メモリ・デバイス320のコンダクタンスを調整するために使用される全体的なプログラミング電流へ寄与するプログラミング電流のさらなる制御を可能にする。
【0077】
例示的なFeFETデバイスの特性および挙動は、図7A図7B、および図7Cと併せて上記のように、FeFETトランジスタの動作の原理と、非線形コンダクタンス切替え特性を本来有するアナログ抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整の直線性を改良するための不揮発性抵抗メモリ・セルのセレクト・トランジスタとしてのFeFETデバイスの使用を説明するために、例示目的で提示されることに留意されたい。これに関して、例えば、図7A図7B、および図7Cに示される例示的な実施形態は、いかなる限定的な様式でも解釈されるべきではない。例えば、図7Aに示されるコンダクタンス曲線は単なる実例であり、FeFETデバイスのコンダクタンス特性は、例えば、FeFETデバイスの構造的および電気的特徴、FeFETデバイスの分極を調節するために使用されるパルスの大きさおよびパルス幅などによっては多様に変化できる。
【0078】
また、図8Aおよび図8Bに示される(ならびに図11Aおよび図11Bに示されるように)様々な制御信号の大きさ、極性、パルス幅などは、(i)(セレクト・トランジスタとして使用される)FeFETデバイスおよび(ii)不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルにおけるストレージ要素として使用される抵抗メモリ・デバイスの構造的かつ電気的特性、調整可能な抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス状態のダイナミック・レンジ(例えば、数)などを含むが、これらに限定されない様々な要因によっては変化することを理解されたい。例えば、(セレクト・トランジスタとして使用される)FeFETデバイスの分極状態を調節し、かつ抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整を調節するために使用されるプログラミング・パルスの大きさおよびパルス幅を最適化して、所与の用途の必要により所望のコンダクタンス調整挙動を達成できる。換言すれば、(同一パルス方式に対する)プログラミング・パルスの大きさおよび持続時間は、本明細書で論じる原理に基づいて抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス調整における直線性を改良するために、強誘電層のFeドメインの部分的な分極切替えに関してFeFETデバイスの目標応答を達成し、したがって、FeFETデバイスをセレクト・トランジスタとして、その目的に対して有用にするFeFETデバイスの閾電圧およびコンダクタンス調節において所望の挙動/応答を達成するように設計できる。
【0079】
さらに、図3は、1T-1Rアーキテクチャを含む不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル300の例示的な実施形態を概略的に示すが、アナログ・メモリ要素の直線性を高めるように強誘電体セレクト・トランジスタを利用するための本明細書で論じる同じまたは類似の技術は、他のアナログ抵抗メモリ・セルのアーキテクチャで実施できることを理解されたい。例えば、図9は、本開示の別の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを概略的に示す。特に、図9は、2つの強誘電体セレクト・トランジスタおよび2つの抵抗メモリ・デバイスを含む2T-2Rアーキテクチャ(あるいは、2F-2Rアーキテクチャ)を実装するために、第1および第2の1T-1Rメモリ・セル900-1および900-2(2つの単位セル)を組み合わせる不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル900を概略的に示す。
【0080】
特に、図9に示すように、第1の抵抗メモリ・セル900-1は、第1のFeFETセレクト・トランジスタ910-1および第1の抵抗メモリ・デバイス920-1を含む。第1のFeFETセレクト・トランジスタ910-1は、ワード線WLに接続されたゲートG端子、第1のソース線SL1に接続されたソースS端子、および第1の抵抗メモリ・デバイス920-1の一方の端子に接続されたドレインD端子を含む。第1の抵抗メモリ・デバイス920-1は、ドレインD端子と第1のビット線BL1との間に接続される。第2の抵抗メモリ・セル900-2は、第2のFeFETセレクト・トランジスタ910-2および第2の抵抗メモリ・デバイス920-2を含む。第2のFeFETセレクト・トランジスタ910-2は、ワード線WLに接続されたゲートG端子、第2のソース線SL2に接続されたソースS端子、および第2の抵抗メモリ・デバイス920-2の一方の端子に接続されたドレインD端子を含む。第2の抵抗メモリ・デバイス920-2は、ドレインD端子と第2のビット線BL2との間に接続される。
【0081】
図9は、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル900が、第1のコンダクタンス値Gと第2のコンダクタンス値Gとの間の差に基づくコンダクタンス値を格納する一対の同一の抵抗メモリ・セル900-1および900-2を含む例示的な実施形態を提供する。特に、図9に示すように、第1のメモリ・セル900-1は第1のコンダクタンス値G+を符号化し、第2のメモリ・セル900-2は第2のコンダクタンス値Gを符号化し、2F-2Rアナログ抵抗メモリ・セル900の全体的なコンダクタンス値は、第1のコンダクタンス値と第2のコンダクタンス値との間の差、すなわち、G-Gに比例する。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1および第2の抵抗メモリ・セル900-1および900-2は、アナログ抵抗メモリ・セルの2Dアレイの所与の行における隣接するメモリ・セルである(例えば、図1のRPUアレイ100における隣接するRPUセル110)。このような実施形態では、第1および第2のFeFETセレクト・トランジスタ910-1および910-2のゲートG端子は同じワード線WLに接続され、一方で第1および第2のFeFETセレクト・トランジスタ910-1および910-2のソースS端子は、別個の(隣接する)ソース線SL1およびSL2へそれぞれ接続され、第1および第2の抵抗メモリ・デバイス920-1および920-2は、別個の(隣接する)ビット線BL1およびBL2へ、それぞれ接続される。他の実施形態では、第1および第2の抵抗メモリ・セル900-1および900-2は、アナログ抵抗メモリ・セルの別個および同一の2Dアレイの対(例えば、2つの別個および同一のRPUアレイ)において同一の位置に配置され、第1の2Dアレイは、正の重み値を符号化するように構成され、第2の2Dアレイは、負の重み値を符号化するために使用される。2Dアレイの第1および第2の対は、配線工程の構造体において互いに積み重ねることができる。
【0083】
図9の例示的な実施形態は、アナログ抵抗メモリ・セルを実装するために使用されるタイプの抵抗メモリ技術が双方向調節を容易に支援しない実例において実施できる。例えば、PCMデバイスは通常、MLCを支援するために多くの中間コンダクタンス状態を提供する一方向のコンダクタンス調整(例えば、増強)を支援するように構成され、一方で、反対方向のコンダクタンス調整(例えば、降下)は急であり、1つまたはいくつかのパルスの後に極端なコンダクタンス状態へ戻り、それによって中間コンダクタンス状態を提供しない。さらに、コンダクタンス値は、抵抗メモリ・デバイスにおいて負にすることはできないので、図9の例示的な実施形態は、所与の用途(例えば、ニューラル・ネットワークの深層学習のためのSGD)が符号付き重みを必要とする実例において実施できる。
【0084】
2F-2R不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル900の第1および第2の1F-1Rメモリ・セル900-1および900-2は、図7A図7B図8Aおよび図8Bと併せて上記と同じまたは類似の様式で動作する。第1のメモリ・セル900-1は、増強制御信号(例えば、+VBP信号804、図8A)を第1のビット線BL1に印加して第1の抵抗メモリ・デバイス920-1のコンダクタンスを調整することによって増強調整を支援し、一方で、第2のメモリ・セル900-2は、増強制御信号806(図8A)を第2のビット線BL2に印加して第2の抵抗メモリ・デバイス920-2のコンダクタンスを調整することによって増強調整を支援する。2F-2R不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル900の全体的なコンダクタンス値GはG-Gに対応し、当業者には理解されるように、Gの符号はG-G>0のときは正とみなされ、G-G<0のときは負とみなされる。抵抗メモリ・デバイス920-1および920-2のコンダクタンス状態は、必要とされるときに初期コンダクタンス状態へ「リセット」して戻すことができる(例えば、PCMデバイスをHRSへ初期化するためにPCMデバイスに印加されるリセット(非晶質化)パルス)。また、第1および第2のFeFETセレクト・トランジスタ910-1および910-2は、ソース線SL1およびSL2と第1および第2のビット線BL1およびBL2を接地GND電圧に接続し(例えば、V=0V)、負の初期化パルスをワード線WLに印加することによって(例えば、-VINTパルス、図8B)定期的にリフレッシュ(目標分極状態へ初期化)される。
【0085】
図10は、本開示の別の例示的な実施形態による、強誘電体セレクト・トランジスタを実装する不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを概略的に示す。特に、図10は、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2、および抵抗メモリ・デバイス1020を含む不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル1000を概略的に示す。第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1はN型FeFETデバイスであり、一方で、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2はP型FeFETデバイスである。第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1は、第1のワード線WL1に接続されたゲートG端子を含み、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2は、第2のワード線WL2に接続されたゲートG端子を含み、第1および第2のワード線WL1およびWL2は、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル1000に対して相補的なワード線を含む。第1および第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1および1010-2は、それぞれの第1および第2のソース線SL1およびSL2に接続されたソースS端子と、抵抗メモリ・デバイス1020の一方の端子に接続されたドレインD端子とを有する。抵抗メモリ・デバイス1020は、ドレインD端子とビット線BLとの間に接続される。
【0086】
図10の例示的な実施形態では、抵抗メモリ・デバイス1020は、双方向の調整可能なコンダクタンス特性を有することが想定される。例えば、いくつかの実施形態では、抵抗メモリ・デバイス1020は、図4に示されるように、界面状抵抗切替えデバイスまたはフィラメント状抵抗切替えデバイスなどの抵抗切替えデバイスを含む。双方向コンダクタンス調整では、抵抗メモリ・デバイス1020の抵抗は、ワード線WL1およびWL2と、ビット線BLとに印加されるプログラミング・パルスおよび電圧の極性に基づいて増加または減少し、抵抗メモリ・デバイス1020のコンダクタンスは増強によって増加、または降下によって減少できる。第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1は増強に利用され、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2は降下に利用される。抵抗メモリ・デバイス1020の双方向コンダクタンス調整は、増強のための同一パルス・ストリームまたは降下のための同一パルス・ストリームが抵抗メモリ・デバイス1020に印加される状況下では非線形でよいが、第1および第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1および1010-2は、本明細書で論じるような原理に基づいて、抵抗メモリ・デバイス1020の双方向コンダクタンス調整の直線性を改良する働きをする。
【0087】
例えば、図11Aは、本開示の例示的な実施形態による、抵抗メモリ・デバイス1020のコンダクタンスを増加させるために増強パルス・ストリームを使用する図10の不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル1000をプログラムする方法を示すタイミング図である。より具体的には、図11Aは、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1(N型)が抵抗メモリ・デバイス1020のコンダクタンスを増加させるために利用される例示的なプログラミング動作1100を示す。プログラミング動作1100は、プレサイクル期間1100-1およびコンダクタンス調整(増強)期間1100-2を含む。図11Aは、プログラミング動作1100の間に、第1のワード線WL1に印加されるプログラミング・パルス1102の例示的なシーケンスと、ビット線BLに印加される増強制御電圧1104とを示す。プログラミング動作1100全体の間、第2のワード線WL2と、第1および第2のソース線SL1およびSL2とはすべて、接地GND電圧(例えば、V=0)で保持される。このようにして、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2(P型)は、プログラミング動作1100の間、「オフにされた」状態のままである。
【0088】
プログラミング動作1100は、コンダクタンス調整(増強)期間1100-2の前に、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1(N型)の分極状態が、1つまたは複数のプログラミング・パルスを使用して調節されるプレサイクル期間1100-1で始まる。プレサイクル期間1100-1の開始時は、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1が、初期分極状態、例えば、図7Bに示されるように初期分極状態700-1を有すると想定される。上記のように動作原理に基づいて、プレサイクル期間1100-1は、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1がコンダクタンス調整期間1100-2の間に第1のワード線WL1上に印加される後続のプログラミング・パルスに応じて、そのチャネル・コンダクタンスGDSの相対的に小さく直線的な増加を示す部分的な分極状態に第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1を置くように行われる。プレサイクル期間1100-1の間、ビット線BL上の増強制御電圧1104は接地電圧GND(例えば、V=0)で保持され、一方で、比較的少数のプログラミング・パルス1102(例えば、1~5パルス)が第1のワード線WL1に印加されて第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1の分極状態を所望のレベルに調節する(例えば、閾電圧を減少させ、チャネル・コンダクタンスを増加させる)。
【0089】
プレサイクル期間1100-1に続いて、コンダクタンス調整(増強)期間1100-2は、ビット線BL上の増強制御電圧1104を接地GND電圧から目標プログラミング電圧レベル(例えば、+Vdd)まで増加させることによって始まる。コンダクタンス調整期間1100-2の間、正の極性(例えば、+Vdd)および所与のパルス幅Wを持つ1つまたは複数の同一プログラミング・パルス1102のシーケンスが第1のワード線WL1に印加され、コンダクタンス調整(増強)期間1100-2の間に第1のワード線WL1に印加される各プログラミング・パルスに応じて抵抗メモリ・デバイス1020のコンダクタンスを漸進的に増加させる。コンダクタンス調整期間1100-2の間の第1のワード線WL1上の各プログラミング・パルスのアサーションにより、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1はオンにされプログラミング電流がビット線BLから第1のソース線SL1へ抵抗メモリ・デバイス1020を通って流れることができ、それによって、抵抗メモリ・デバイス1020のコンダクタンスを漸進的に増加させる。さらに、コンダクタンス調整期間1100-2の間の第1のワード線WL1上の各プログラミング・パルスのアサーションにより、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1の分極をさらに調節するので、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1のチャネル・コンダクタンスをわずかに増加させ、上記の理由で、抵抗メモリ・デバイス1020の増強調整における直線性を改良する働きをする。
【0090】
次に、図11Bは、本開示の例示的な実施形態による、抵抗メモリ・デバイス1020のコンダクタンスを減少させるために降下パルス・ストリームを使用する図10の不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル1000をプログラムする方法を示すタイミング図である。より具体的には、図11Bは、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2(P型)が抵抗メモリ・デバイス1020のコンダクタンスを減少させるために利用される例示的なプログラミング動作1110を示す。プログラミング動作1110は、プレサイクル期間1110-1およびコンダクタンス調整(降下)期間1110-2を含む。図11Bは、プログラミング動作1110の間に、第2のワード線WL2に印加されるプログラミング・パルス1112の例示的なシーケンスと、第2のソース線SL2に印加される降下制御電圧1114とを示す。プログラミング動作1110全体の間、第1のワード線WL1、第1のソース線SL1、およびビット線BLはすべて、接地GND電圧(例えば、V=0)で保持される。このようにして、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1(N型)は、プログラミング動作1110の間、「オフにされた」状態のままである。
【0091】
プログラミング動作1110は、コンダクタンス調整(降下)期間1110-2の前に、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2(P型)の分極状態が1つまたは複数のプログラミング・パルスを使用して調節されるプレサイクル期間1110-1から始まる。プレサイクル期間1110-1の開始時には、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2が初期分極状態、例えば図7Cに示されるような初期分極状態701-1を有するものと想定される。上記のような動作原理に基づいて、プレサイクル期間1110-1は、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2がコンダクタンス調整期間1110-2の間に第2のワード線WL2上に印加される後続のプログラミング・パルスに応じて、チャネル・コンダクタンスGDSの相対的に小さく直線的な増加を示す部分的な分極状態に、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2を置くように行われる。プレサイクル期間1110-1の間、第2のソース線SL2上の降下制御電圧1114は接地電圧GND(例えば、V=0)で保持され、一方で、相対的に少数のプログラミング・パルス1112(例えば、1~5パルス)が第2のワード線WL2に印加されて第2のFeFETセレクト・トランジスタの分極状態を所望のレベルまで調節する(例えば、閾電圧を減少させ、チャネル・コンダクタンスを増加させる)。図11Bに示されるように、プレサイクル期間1110-1におけるプログラミング・パルスは、負の極性振幅(例えば、-Vdd)および所与のパルス幅Wを有する。
【0092】
プレサイクル期間1110-1に続いて、コンダクタンス調整(降下)期間1110-2は、第2のソース線SL2上の降下制御電圧1114を接地GND電圧から目標プログラミング電圧レベル(例えば、+Vdd)へ増加させることによって始まる。コンダクタンス調整期間1110-2の間、1つまたは複数の同一プログラミング・パルス1102のシーケンスが第2のワード線WL2に印加されて、コンダクタンス調整(降下)期間1110-2の間に第2のワード線WL2に印加される各プログラミング・パルスに応じて抵抗メモリ・デバイス1020のコンダクタンスを漸進的に減少させる。図11Bの例示的な実施形態では、コンダクタンス調整(降下)期間1110-2におけるプログラミング・パルスは、(コンダクタンス(増強)期間1100-2における「高活性」プログラミング・パルスとは対照的に)「低活性」パルスであり、プログラミング・パルスは、図11Bに示されるように、GND電圧の大きさ(例えば、V=0)および所与の幅Wを有する。これに関して、コンダクタンス調整期間1120-2の間の第2のワード線WL2上の各プログラミング・パルスのアサーション(例えば、WL2からGND電圧への移行)により、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2はオンにされ、プログラミング電流が第2のソース線SL2からビット線BLへ抵抗メモリ・デバイス1020を通って流れることができ、それによって、抵抗メモリ・デバイス1020のコンダクタンスを漸進的に減少させる。さらに、コンダクタンス調整期間1110-2の間の第2のワード線WL2上の各プログラミング・パルスのアサーションにより、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2の分極をさらに調節するので、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2のチャネル・コンダクタンスをわずかに増加させ、上記の理由で、抵抗メモリ・デバイス1020の降下調整における直線性を改良する働きをする。
【0093】
いくつかの実施形態では、図10の不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル1000を読み出す方法は、図8Bに示される方法と類似している。特に、いくつかの実施形態では、図10の不揮発性アナログ抵抗メモリ・セル1000のコンダクタンス状態は、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1(N型)を使用して行われ、一方で、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2(P型)は、読出し動作の間、「オフにされた」状態に維持される。例えば、読出し動作を行う前に、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1は、初期分極状態へ初期化される(例えば、状態700-1、図7B)。この初期化プロセスは、ビット線BLと、第1および第2のソース線SL1およびSL2と、第2のワード線WL2とのそれぞれを接地GND電圧(例えば、V=0)に接続し、分極初期化パルス-VINIT(またはリセット・パルス)(例えば、図8B参照)を第1のワード線WL1に印加して、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1の分極を初期分極状態へ切り替えることによって行われる。
【0094】
初期化に続いて、読出し動作が、ビット線BL上で大きさ+VBRを持つ読出し電圧信号(例えば、図8B参照)をアサートし、次いで、読出し制御パルスを第1のワード線WL1上に印加することによって開始される。読出し制御パルスは、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1をオンにして読出し電流IREADがビット線BLから第1のソース線SL1へ抵抗メモリ・デバイス1020を通って流れることができるのに十分である大きさおよび持続時間(パルス幅)を有する。読出しプロセスでは、第1のFeFETセレクト・トランジスタ1010-1の低コンダクタンス状態は、ビット線BL上の読出し電圧信号の小さい大きさとともに、抵抗メモリ・デバイス1020の状態を変えることなく、図10のメモリ・セル1000の状態を読み出すのに十分である相対的に小さい読出し電流IREADの生成をもたらす。
【0095】
第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2(P型)は、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2がコンダクタンス降下調整動作の前に行われるプレサイクル動作(例えば、1110-1、図11B)に対する準備ができるように、初期分極状態(例えば、状態701-1、図7C)へ定期的に初期化される。いくつかの実施形態では、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2は、ビット線BLと、第1および第2のソース線SL1およびSL2と、第1のワード線WL1とのそれぞれを接地GND電圧(例えば、V=0)に接続し、分極初期化パルス+VINIT(またはリセット・パルス)を第2のワード線WL2に印加して第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2の分極を初期分極状態へ切り替えることによって、初期分極状態へ初期化される。第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2(P型)は、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2のゲート電極に印加された初期化パルス+VINITが、第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2の強誘電層の正味分極を第2のFeFETセレクト・トランジスタ1010-2が低コンダクタンス状態(または高V状態)にある分極極性(例えば、分極状態701-1、図7C参照)へ急に切り替えるのに十分である正の大きさおよび持続時間(パルス幅)を有する。
【0096】
本明細書に説明される例示的な不揮発性アナログ抵抗メモリ・デバイスは、様々な用途、ハードウェア、または電子システムあるいはその組合せにおいて採用できることを理解されたい。本明細書に開示する例示的な実施形態を実施するための好適なハードウェアおよびシステムは、パーソナル・コンピュータ、通信ネットワーク、電子商取引システム、携帯型通信デバイス(例えば、携帯電話)、ソリッドステート媒体ストレージ・デバイス、機能回路などを含むが、これらに限定されない。このような集積回路を組み込んだシステムおよびハードウェアは、本明細書に記載される実施形態の一部と考えられる。
【0097】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示目的で提示されてきたが、包括的になること、または開示された実施形態に限定されることが意図されるものではない。当業者には、説明された実施形態の範囲から逸脱しない、多くの変更および変形が明らかとなるであろう。本明細書において使用される専門用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術の実用的な適用または技術的改良を最適に説明し、あるいは、他の当業者が本明細書において開示される実施形態を理解することを可能にするように選ばれた。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを備えるデバイスであって、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、
第1の端子および第2の端子を含む抵抗メモリ・デバイスであって、調整可能なコンダクタンスを有する、前記抵抗メモリ・デバイスと、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含むセレクト・トランジスタと、を含み、
前記FeFETデバイスの前記ゲート端子はワード線に接続され、
前記FeFETデバイスの前記ソース端子はソース線に接続され、
前記FeFETデバイスの前記ドレイン端子は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記第1の端子に接続され、
前記抵抗メモリ・デバイスの前記第2の端子はビット線に接続される、デバイス。
【請求項2】
前記抵抗メモリ・デバイスは抵抗切替えデバイスを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記抵抗切替えデバイスは双方向の調整可能なコンダクタンスを有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記抵抗メモリ・デバイスは相変化メモリ・デバイスを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルを備えるデバイスであって、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、
第1の端子および第2の端子を含む抵抗メモリ・デバイスと、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む第1の強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含む第1のセレクト・トランジスタと、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む第2のFeFETデバイスを含む第2のセレクト・トランジスタと、を含み、
前記第1のFeFETデバイスの前記ゲート端子は第1のワード線に接続され、前記第2のFeFETデバイスの前記ゲート端子は第2のワード線に接続され、
前記第1のFeFETデバイスの前記ソース端子は第1のソース線に接続され、前記第2のFeFETデバイスの前記ソース端子は第2のソース線に接続され、
前記第1および第2のFeFETデバイスの前記ドレイン端子は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記第1の端子に接続され、
前記抵抗メモリ・デバイスの前記第2の端子はビット線に接続される、デバイス。
【請求項6】
前記第1のFeFETデバイスはN型デバイスを含み、前記第2のFeFETデバイスはP型デバイスを含み、前記抵抗メモリ・デバイスは、双方向の調整可能なコンダクダンスを有する抵抗切替えデバイスを含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
コンピューティング・システムを備えるシステムであって、前記コンピューティング・システムは、不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのアレイを含む不揮発性抵抗メモリを含み、各不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、
第1の端子および第2の端子を含む抵抗メモリ・デバイスであって、調整可能なコンダクタンスを有する、前記抵抗メモリ・デバイスと、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む第1の強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含む少なくとも第1のセレクト・トランジスタと、を含み、
前記第1のFeFETデバイスの前記ゲート端子は第1のワード線に接続され、
前記第1のFeFETデバイスの前記ソース端子は第1のソース線に接続され、
前記FeFETデバイスの前記ドレイン端子は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記第1の端子に接続され、
前記抵抗メモリ・デバイスの前記第2の端子は、ビット線に接続される、システム。
【請求項8】
前記コンピューティング・システムはニューロモーフィック・コンピューティング・システムを含み、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、前記ニューロモーフィック・コンピューティング・システムの人工ニューロン間の接続強度を表すシナプス重みを格納する人工シナプス要素を含み、前記シナプス重みは、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルの前記抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンス値によって符号化される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
各不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、
ゲート端子、ソース端子、およびドレイン端子を含む第2のFeFETデバイスを含む第2のセレクト・トランジスタをさらに含み、
前記第2のFeFETデバイスの前記ゲート端子は第2のワード線に接続され、
前記第2のFeFETデバイスの前記ソース端子は第2のソース線に接続され、
前記第2のFeFETデバイスの前記ドレイン端子は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記第1の端子に接続される、請求項7または請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のFeFETデバイスはN型デバイスを含み、前記第2のFeFETデバイスはP型デバイスを含み、前記抵抗メモリ・デバイスは、双方向の調整可能なコンダクダンスを有する抵抗切替えデバイスを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
プログラミング・パルスをワード線上に印加して、前記ワード線に結合された不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムすることを含む方法であって、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、前記ワード線に接続された強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含むセレクト・トランジスタと、前記FeFETデバイスに接続された抵抗メモリ・デバイスとを備え、
前記プログラミング・パルスの印加は、
前記ワード線から前記FeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記FeFETデバイスの分極状態を調節することであって、前記FeFETデバイスの前記分極状態の前記調節は、前記抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを調整するためのプログラミング電流の調節を引き起こす、前記分極状態を調節することと、
前記FeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて前記FeFETデバイスを起動すると生成される前記調節されたプログラミング電流によって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に変化させることによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することと
を引き起こす、方法。
【請求項12】
前記プログラミング・パルスは、同じ振幅および同じパルス幅を有する電圧パルスのシーケンスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整する前に、前記FeFETデバイスの前記分極状態を調節するプレサイクル・プロセスを行うことをさらに含み、前記プレサイクル・プロセスは、前記ワード線から前記FeFETデバイスに1つまたは複数のパルスを印加して、前記プレサイクル・プロセスの間に前記FeFETデバイスをオンにすることなく前記FeFETデバイスの前記分極状態を初期分極状態から目標分極状態に調節することを含む、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記目標分極状態は、前記FeFETデバイスの目標閾電圧および関連するチャネル・コンダクタンスに対応し、前記目標分極状態から開始して、前記FeFETデバイスは、前記FeFETデバイスの前記分極をさらに調節して、それによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整するために生成された前記プログラミング電流を調節するように、前記FeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて、前記FeFETデバイスの前記チャネル・コンダクタンスの実質的に線形の増加を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのコンダクタンス状態を決定する読出し動作を行うことをさらに含み、前記読出し動作を行うことは、
前記FeFETデバイスをオフ状態に維持しながら、前記ワード線上に初期化制御パルスを印加して前記FeFETデバイスの分極状態を初期分極状態へ変化させることを含む初期化プロセスを行うことと、
前記初期化プロセスに続いて読出しプロセスを行うことと、を含み、前記読出しプロセスは、前記ワード線上に読出しパルスを印加して前記FeFETデバイスを活性化し、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンス状態を表す読出し電流を生成することを含む、請求項11ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することは、
増強調整制御電圧をビット線に印加することであって、前記抵抗メモリ・デバイスは前記ビット線と前記FeFETデバイスとの間に直列接続される、前記印加することと、
前記FeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に増加させることと、を含む、請求項11ないし15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することは、
降下調整制御電圧をビット線に印加することであって、前記抵抗メモリ・デバイスは前記ビット線と前記FeFETデバイスとの間に直列接続される、前記印加することと、
前記FeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に減少させることと、を含む、請求項11ないし15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記抵抗メモリ・デバイスは抵抗切替えデバイスを含む、請求項11ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記抵抗メモリ・デバイスは相変化メモリ・デバイスを含む、請求項11ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
プログラミング・パルスを第1のワード線および第2のワード線のうちの1つに印加して、前記第1のワード線および前記第2のワード線に結合された不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルをプログラムすることを含む方法であって、前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルは、前記第1のワード線に接続された第1の強誘電性電界効果トランジスタ(FeFET)デバイスを含む第1のセレクト・トランジスタと、前記第2のワード線に接続された第2のFeFETデバイスを含む第2のセレクト・トランジスタと、前記第1および第2のFeFETデバイスに接続された抵抗メモリ・デバイスと、を備え、
前記プログラミング・パルスの前記第1のワード線への印加は、
前記ワード線から前記第1のFeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記第1のFeFETデバイスの分極状態を調節することであって、前記第1のFeFETデバイスの前記分極状態の前記調節は、前記抵抗メモリ・デバイスのコンダクタンスを調整するためのプログラミング電流の調節を引き起こす、前記分極状態を調節することと、
前記第2のFeFETデバイスがオフ状態に維持される間、前記第1のFeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて前記第1のFeFETデバイスを起動すると生成される前記調節されたプログラミング電流によって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に増加させることによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することと、を引き起こし、
前記プログラミング・パルスの前記第2のワード線への印加は、
前記ワード線から前記第2のFeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記第2のFeFETデバイスの分極状態を調節することであって、前記第2のFeFETデバイスの前記分極状態の前記調節は、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整するためのプログラミング電流の調節を引き起こす、前記分極状態を調節することと、
前記第1のFeFETデバイスがオフ状態に維持される間、前記第2のFeFETデバイスに印加された各プログラミング・パルスに応じて前記第2のFeFETデバイスを起動すると生成される前記調節されたプログラミング電流によって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを漸進的に減少させることによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整することと
を引き起こす、方法。
【請求項21】
前記プログラミング・パルスは、同じ振幅および同じパルス幅を有する電圧パルスのシーケンスを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整する前に、前記第1のFeFETデバイスの前記分極状態を調節する第1のプレサイクル・プロセスを行うことであって、前記第1のプレサイクル・プロセスは、前記第1のワード線から前記第1のFeFETデバイスに1つまたは複数のパルスを印加して、前記第1のプレサイクル・プロセスの間に前記第1および第2のFeFETデバイスをオンにすることなく前記第1のFeFETデバイスの前記分極状態を第1の初期分極状態から第1の目標分極状態に調節することを含む、前記第1のプレサイクル・プロセスを行うことと、
前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整する前に、前記第2のFeFETデバイスの前記分極状態を調節する第2のプレサイクル・プロセスを行うことであって、前記第2のプレサイクル・プロセスは、前記第2のワード線から前記第2のFeFETデバイスに1つまたは複数のパルスを印加して、前記第2のプレサイクル・プロセスの間に前記第1および第2のFeFETデバイスをオンにすることなく前記第2のFeFETデバイスの前記分極状態を第2の初期分極状態から第2の目標分極状態に調節する、前記第2のプレサイクル・プロセスを行うことと、を含む、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の目標分極状態は、前記第1のFeFETデバイスの第1の目標閾電圧および関連するチャネル・コンダクタンスに対応し、前記第1の目標分極状態から開始して、前記第1のFeFETデバイスは、前記第1のFeFETデバイスの前記分極をさらに調節して、それによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整するために生成された前記プログラミング電流を調節するように、前記第1のワード線から前記第1のFeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記第1のFeFETデバイスの前記チャネル・コンダクタンスの実質的に線形の増加を示し、
前記第2の目標分極状態は、前記第2のFeFETデバイスの第2の目標閾電圧および関連するチャネル・コンダクタンスに対応し、前記第2の目標分極状態から開始して、前記第2のFeFETデバイスは、前記第2のFeFETデバイスの前記分極をさらに調節して、それによって前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンスを調整するために生成された前記プログラミング電流を調節するように、前記第2のワード線から前記第2のFeFETデバイスに印加された前記プログラミング・パルスに応じて前記第2のFeFETデバイスの前記チャネル・コンダクタンスの実質的に線形の増加を示す、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記不揮発性アナログ抵抗メモリ・セルのコンダクタンス状態を決定する読出し動作を行うことをさらに含み、前記読出し動作を行うことは、
前記第1および第2のFeFETデバイスをオフ状態に維持しながら、前記第1のワード線上に初期化制御パルスを印加して前記第1のFeFETデバイスの分極状態を初期分極状態へ変化させることを含む初期化プロセスを行うことと、
前記初期化プロセスに続いて読出しプロセスを行うことと、を含み、前記読出しプロセスは、前記第2のFeFETデバイスをオフ状態に維持しながら、前記第1のワード線上に読出しパルスを印加して前記第1のFeFETデバイスを活性化し、前記抵抗メモリ・デバイスの前記コンダクタンス状態を表す読出し電流を生成することを含む、請求項20ないし23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記第1のFeFETデバイスはN型デバイスを含み、前記第2のFeFETデバイスはP型デバイスを含み、前記抵抗メモリ・デバイスは、双方向の調整可能なコンダクダンスを有する抵抗切替えデバイスを備える、請求項20ないし24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
コンピュータ・プログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上で実行されるときに請求項11ないし25のいずれかに記載の方法のステップを行うように適応されたプログラム・コードを備える、コンピュータ・プログラム。
【国際調査報告】