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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】集積導体を有する構造体
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231226BHJP
   G01L 1/20 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
G01L1/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535384
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 US2021072863
(87)【国際公開番号】W WO2022126135
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/124,705
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521075321
【氏名又は名称】リキッド ワイヤ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LIQUID WIRE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス、ジェシー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス、マイケル アドベンチャー
(72)【発明者】
【氏名】キンゼル、チャールズ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リベラ、トレバー アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ローナイ、マーク ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドシャルク、エドワード マーティン
(57)【要約】
システム、構造体、及び方法は、マトリックス材料の複数の層から形成される構造体を含む。バスは、マトリックス材料の複数の層の隣接する層間に固定される。バスは、構造体を介して電気信号を伝搬するように構成された導電性ゲルを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス材料の複数の層から形成される構造体と、
前記マトリックス材料の前記複数の層の隣接する層間に固定されたバスであって、前記構造体を介して電気信号を伝搬するように構成された導電性ゲルを含む前記バスと、を含む、システム。
【請求項2】
前記バスは、前記マトリックス材料によって少なくとも部分的に封入される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導電性ゲルは、前記マトリックス材料の前記隣接する層と接触する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記バスは、前記導電性ゲルを封入する樹脂をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記樹脂は、前記導電性ゲルを含むトレースを形成する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記樹脂は、シートを形成する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記マトリックス材料の前記隣接する層は、前記シートと接触する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記樹脂は、前記導電性ゲルを封入するように構成された複数のシートを形成する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記マトリックス材料の前記隣接する層は、前記複数のシートの少なくとも2つと接触する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記バスは、前記導電性ゲルに電気的に接続された接点をさらに含み、前記接点は、前記構造体の外側の環境にさらされる、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
バスは、ボードをさらに含み、前記接点は、前記ボードに含まれ、前記ボードは、前記構造体の外側に少なくとも部分的に延びる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記接点は、前記構造体の前記マトリックス材料に形成された少なくとも1つの孔を通して前記構造体の外側の環境にさらされる、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記バスは、前記構造体の状態を測定するように構成されたセンサである、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記構造体の状態は、温度変化、他のボディとの接触、印加された力、磁場及び電場からなる群から選択されるものである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
構造体を製造する方法であって、
少なくとも部分的に未硬化である硬化性マトリックス材料の少なくとも第1層を提供するステップと、
導体が少なくとも1つのトレースを形成するように前記第1層上に前記導体を堆積させるステップと、
前記導体を覆う前記硬化性マトリックス材料の第2層を提供して、前記第1層と前記第2層との間に前記導体を封じ込めるステップと、
前記マトリックス材料を硬化させるステップと、を含む、方法。
【請求項16】
前記第1層上に導体を堆積させるステップは、キャリア上に前記導体を堆積させ、前記キャリアが前記導体を含むように、前記第1層上に前記キャリアを堆積させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導体は、導電性ゲルを含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1層及び前記第2層の前記マトリックス材料は、繊維で強化されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
繊維強化マトリックス材料の前記第1層及び前記第2層は、前記マトリックス材料を含侵させた繊維材料のシートである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記繊維強化マトリックス材料の前記第1層及び前記第2層は、樹脂中に繊維が分散された未硬化樹脂である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記キャリアは、少なくとも第1シート、第2シートを含む積層構造体であり、前記導体は、前記第1シートと前記第2シートとの間に配置されている、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記積層構造体は、厚さと、前記厚さ全体に延びている開口部とを有する第3シートをさらに含み、前記開口部は、前記トレースの形状を有し、前記第3層は、前記第1層と前記第2層との間に介在され、前記導体は、前記第1シート、前記第2シート及び前記第3シートによって収容されるように、前記開口部を実質的に埋める、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記キャリアは、半硬化状態の少なくとも1つの硬化性材料のシートを含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの硬化性材料のシートは、前記マトリックス材料と同様である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記マトリックス材料を硬化させる前記ステップは、前記少なくとも1つの硬化性材料のシートを硬化させることを含む、請求項23又は24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、概ね、集積導体、集積回路及び/又は集積センサを有する構造体(structure)、並びにそのような構造体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙、自動車、海洋、消費者製品及び建設業で利用される構造体は、電気又は電子部品を含むシステム又はアセンブリの一部であってもよい。通常は、このような構造体及び電気又は電子部品は別々に形成されるが、一緒に組み立てられるか又は取り付けられてもよい。
【0003】
このような構造体の多くは複合材料で作られる。複合材料は、化学的又は物理的特性が異なる2つ以上の構成材料から製造される材料であり、組み合わされると物理的特性が向上した材料が得られる。構成材料は、構造体を形成する最終材料中で個別かつ固有のままである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】例示的な実施形態における、バスを備えたシステムである。
図2】例示的な実施形態におけるシステムの分解図である。
図3A】システムの例示的な実施態様の断面図である。
図3B】システムの例示的な実施態様の断面図である。
図3C】システムの例示的な実施態様の断面図である。
図3D】システムの例示的な実施態様の断面図である。
図4A】例示的な実施形態における、システムのバスの詳細な例である。
図4B】例示的な実施形態における、システムのバスの詳細な例である。
図5】例示的な実施形態における、2つのトレースを含むバスを備えたシステムである。
図6】例示的な実施形態におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下に述べる実施形態及び例示的な実施態様の詳細は例示を目的としている。図面は必ずしも縮尺通り示されていない。本発明の原理は、これらの実施形態及び詳細に限定されるものではない。
【0006】
繊維強化プラスチック(FRP)は、航空宇宙、自動車、海洋、消費者製品及び建設業で一般的に使用されている複合材料であり、繊維で強化されたポリマーマトリックス(母材)を含む。繊維は、ガラス、炭素、アラミド、玄武岩などを含んでもよい。ポリマーは、エポキシ、ビニルエステル又はポリエステルの熱硬化性プラスチックなどを含んでもよい。
【0007】
FRP製造プロセスの一般的な例は、未硬化又は半硬化プラスチックマトリックスを含侵させた強化繊維の1つ又は複数の層を成形し硬化させることを含む。強化用繊維は、フィラメント状、布状及び/又はシート状であってもよい。繊維の1つ又は複数の層は、マトリックス中で予備含侵させてもよく、またマトリックスは、成形工程時にその場で繊維に含浸させてもよい。他の例示的なプロセスは、繊維を未硬化マトリックス中に分散させ、この分散体を成形し硬化させることを含む。当業者に公知の多くの異なる成形硬化させる方法及びプロセスが利用可能である。
【0008】
マトリックス材料の性質上、従来の機構の下では、このような材料は、結果として得られる構造体内への電子機器又は他の材料の組み込みを支持するのに苦労することになる。従来のワイヤ又は電子伝導体は、特に硬化プロセスの極端な環境条件下では、破損したり、信頼性が低下したりするおそれがある。そのため、マトリックス材料で作られたそのような構造体は、通常、硬化後に構造体の外側に配置される電子機器、導体などを含む。これにより、そのような電子機器は、環境条件にさらされ、信頼性の低下をもたらす可能性があり、構造体内の状態を正確に測定するためのセンサの能力を低下させる。
【0009】
マトリックス材料から形成された構造体内に導体及びその他の電子機器を組み込むことができるシステムが開発された。導電性ゲルを含むバス又はキャリアを形成することによってバスは硬化プロセスの環境条件に対して耐性を有していてもよい。つまり、バスは硬化プロセスの前に、システム、例えばマトリックス材料の層間に組み込まれてもよく、それによって、構造体の外側に配置されるのではなく、結果として得られる構造体内に物理的に組み込まれてもよい。さらに、導電性ゲルは任意の形状に適合できる流体であるため、マトリックス材料の内部に存在するためにマトリックス材料に結合する必要はない。その結果、バスは、従来の導体と比較して、環境条件に対してより保護される可能性があり、バスがセンサの場合は、構造体の外面に配置されたバスよりも、構造体の状態に対してより感度が高く、構造体の強度及び弾力性への影響が低減される可能性がある。
【0010】
図1は、例示的な実施形態における、バス200を備えたシステム100である。一例では、バス200は集積導体である。図示された例では、バス200は、2018年4月6日に出願された米国特許第10,672,530号明細書(参照によりその全体が本願に組み込まれる)に開示されているように、一般的にバス200の導体の電気特性の変化を測定することによって、システム100に与えられた歪み及び/又は他の力を検出するように構成された歪みセンサである。しかしながら、様々な例において、バス200は、システム100内で又はシステム100を通して電気信号を送信することを含むがこれに限定されない任意の他の適切な目的のために構成されてもよい。
【0011】
バス200は、変形可能な導体(例えば流体相金属ゲル)並びに任意選択で、基板層、ステンシル層及び絶縁層を含む少なくとも1つの層から形成されてもよい。1つ又は複数の層によってスタックを形成してもよい。層のスタックは、非変形性流体相導電材料から形成されたトレース及び/又は接点及び/又はビアの少なくとも1つのパターンを含んでもよい。導電性トレースのパターンは、接点及び/又はビアのパターンと相互接続されてもよい。トレース、ビア、及び接点のパターンは、基板層の表面に形成又は凹設されてもよい。1つ又は複数のステンシル層は、ステンシル層の全厚さを貫通して延びているトレース及び/又は接点及び/又はビアのパターンを有する基板層によって支持されてもよい。ステンシル層パターンの少なくとも一部は、基板層パターンに対応してもよい。少なくとも1つの絶縁層は、基板及び/又はステンシル層によって支持されてもよい。絶縁層は、絶縁層の表面の、又は絶縁層の表面を貫通して延びている接点及び/又はビアのパターンであってもよく、又はそれを有していてもよい。絶縁層パターンの少なくとも一部は、基板及び/又はステンシル層パターンに対応してもよい。導電性材料は、スタックの1つ又は複数の層に堆積されてもよい。様々な層が接合されてバス200を形成してもよい。バスは、複数のスタックを含んでもよく、2つ以上のスタックは接合されてもよい。あるスタックからのビア及び接点は、別のスタックからのビア及び接点と通信してもよく、それによってスタック間の通信を提供してもよい。ビアは、各スタックの基板層、ステンシル層及び絶縁層の1つ又は複数の組み合わせを貫通して延びて、スタックのトレース間の通信を提供してもよい。バス200は、任意選択で、ビア及び/又は接点の少なくとも一部を覆う電気部品及び/又は封止剤を含んでもよい。封止剤は、バス200のレイアップ(layup)又はスタックの層の1つ又は複数と同様又は同じ材料から形成されてもよい。
【0012】
基板、ステンシル、及び絶縁層は、可撓性材料を含んでもよい。これらの層は、伸縮可能な材料を含んでもよい。これらの層の1つの少なくとも一部は接着性を有していてもよい。これらの層は、接着性によって接合されてもよい。
【0013】
少なくとも1つの電気デバイスは表面実装部品を含んでもよい。少なくとも1つの電気デバイスは、パッケージ内に集積回路を含んでもよい。少なくとも1つの電気デバイスは、回路製造に使用される抵抗器、コンデンサ、電池、又は他の一般的な電気デバイスであってもよい。少なくとも1つの電気部品は、層の1つの接着性によって回路レイアップに取り付けられてもよく、又は接着剤によって層の1つに取り付けられてもよい。
【0014】
図2は、例示的な実施形態におけるシステム100の分解図である。一例では、システム100は、4つの層101、102、103、104から形成される構造体(stricuture)を形成する。例として4つの層101、102、103、104が図示されているが、システム100の特定の実施態様において、必要に応じて、又は状況に応じて、より多い層又はより少ない層を使用してもよいことは、認識及び理解されるべきである。一例では、層101、102、103、104は、それぞれが同じ長方形の形状に切断された一方向性炭素繊維強化プリプレグ複合シートで形成される。一例では、層101、102、103、104は、マトリックス材料としてNewport 301エポキシ樹脂を含侵させた、厚さ0.1524ミリメートル(0.006インチ)、空中重量232g/mのGrafil 34-700で構成される。しかしながら、上記の材料及び寸法は例として提供されたものであり、任意の適切な材料を使用してもよいこと、及び、一般に、層101、102、103、104及びシステム100の部品に関して、本明細書に開示されている原理が、任意の範囲のサイズに適用可能であることは、認識及び理解されるべきである。
【0015】
図示された例では、バス200は、例えば、以下に詳述されるシステム100の製造プロセスのレイアップ段階において、層102と層103との間に配置されるか、又は挟まれる。センサ200の一部は、層102と層103との間に挟まれず、例えば、別の電気部品又は別の構造体(図示せず)との相互接続性を可能にするように、むしろシステム100の外部にあってもよい。様々な例において、システム100は、2019年8月22に出願された米国特許出願16/548,379号(その全体が参照によって本願に組み込まれる)に記載されているプロセス及び材料を使用して作られる。そのような例では、バス200は、3層からなる積層構造体を使用して作られてもよい。
【0016】
図示された例では、図3A図3Dを参照すると、細長いU字型トレース204がシート202の開口部として形成され、金属ゲルを含む導体205が開口部内に堆積される。ポリイミドボード211及び2つの銅接点212、213を含む任意選択の電気コネクタ210は、各接点が金属ゲル充填トレース脚部206、207の1つと電気的に接続されるように層203に取り付けられる。各脚部の端部には、トレース204と接点212、213との間の電気接続を可能にするように、シート203を貫通して延びているビア208、209が設けられている。
【0017】
図3A図3Dは、システム100の例示的な実施態様の断面図である。一例では、シート201及び203は約0.0762ミリメートル(約0.003インチ)、シート202は約0.0991ミリメートル(約0.0039インチ)の厚さであり、ポリイミドボード211が存在しない領域でのセンサの総厚は0.2515ミリメートル(0.0099インチ)である。シート201、203は、接着性を有する弾力性のある半硬化(B段階)熱硬化性樹脂フィルムであってもよく、シート202は、シート201、203と同じ材料であっても、又は別の材料、例えば、弾力性のある熱可塑性ポリウレタンフィルムであってもよい。したがって、シート202は、シート201の自己接着性によってシート201に接着されてもよい。同様に、シート202及びポリイミドボード210は、自己接着によってシート203に取り付けられてもよい。
【0018】
層101、102、103、104のマトリックス材料に対するシート201、202、203の物理的特性のため、シート201、202、203の材料は、硬化プロセス中に層101、102、103、104とともに流れ、その結果接合して、バス200のマトリックス材料への組み込みが改善されてもよい。さらに、マトリックス材料に関して開示された原理は、硬化プロセス中に流動してシート201、202、203の材料と接合する可能性のある任意の他の材料にも同様に適用されてもよい。したがって、例えば、繊維強化積層構造体の樹脂シート及びマトリックス材料に関して開示された同じ原理が、例えば、射出成形熱可塑性ポリウレタン(TPU)を利用してバス200及びシステム100の構造体を形成するシステムに適用されてもよい。
【0019】
同様に、システム100の製造中に、接着性を有するシート201、203を提供することは、残りの製造ステップの位置、例えば、層102上又は金型内/上に堆積又は配置された後の位置にセンサ200を保持するのに有利な場合がある。しかしながら、必要に応じて、上記の中間状態のいずれかにおいて、未硬化シート201、203は硬化させてもよいが、それはシート材料の接着性の低下をもたらす可能性がある。
【0020】
センサ200を層101、102、103、104間に封じ込めた後、システム100を真空バッグに封じ込められた金型に入れ、真空を適用し、システム100を、マトリックス材料製造業者の指示に従って、例えば、摂氏百四十(140)度のオーブンで一(1)時間硬化させてもよい。バス200が引き伸ばされても曲げられても信頼性のある電気性能を提供することができる結果として、得られた成形システム100の形状をとる集積導体を有する複雑な形状又は外形を有する構造体を製造してもよい。
【0021】
図3Aは、バス200を収容するために、特定の層(図示された例では層102及び103)の材料の孔、くぼみ、又は他のタイプの変異が形成されている、システム100の図解である。層102、103は、最初の例において、層102、103の製造時に、図示のように形成されてもよく、又はシステム100の製造時に、一般的に、例えば、それ以外は完全に形成されたシートを穿孔、粉砕などをすることによって形成されてもよい。
【0022】
図3Bは、層101、102、103、104が、層101、102、103、104を硬化させる前に、シートのいずれかを他の方法で破壊することなく、バス200の上を覆っているシステム100の図解である。その結果、層101、102、103、104は、層102、103間に形成されたポケット内に残されるバス200に適合する。
【0023】
図3Cは、シート201、203が省略され、層101、102、103、104が実質的に省略されたシート201、203と同じ機能を果たすシステム100の図解である。このような例では、層101、102、103、104の一部又は全部が、具体的には導体205を、一般的にはバス200を封入(encapsulate)する。
【0024】
図3Dは、シート201、202、203が省略されたシステム100の図解である。このような例では、導体205は層102、103の一方又は両方に直接に堆積され、その後、層102、103の一方又は両方は、導体205の周りで硬化される。その結果、層101、102、103、104の一部又は全部が、具体的には導体205を、一般的にはバス200を封入する。
【0025】
例として、定電流源からの電圧を接点212、213の一方に印加し、接点212、213の他方で電圧を測定し、抵抗を計算することができる。この抵抗は、例えばシステム100に力を加えて、システム100に例えば撓みを引き起こすような方法で拘束するとき、システム100の歪み値と相関させることができる。したがって、システム100は、歪みセンサとして機能する集積導体を有する構造体の例示的な実施形態である。
【0026】
一般に、バス200が歪みセンサとして動作するとき、バス200は導体205の変形可能な性質、例えば、それぞれが長さLを有する導体205の2つの平行な変形可能な部分を利用する。ダイプレクサは、検出電流IsのDC電流経路を提供するインダクタLdを含んでもよい。ダイプレクサは、DC電流が他の場所に接続されることを防止するACカップリング(DCブロッキング)コンデンサCdを含んでもよい。
【0027】
歪みセンサが引き伸ばされるとき、導体205の抵抗は、引き伸ばされた量に関連して増加してもよい。抵抗ブリッジは、導体205上の特定の位置の電圧の変化及び/又は検出電流Isの変化を検知することによって抵抗の変化を検知し、この抵抗の変化を出力電圧Voの変化に変換してもよい。歪みセンサの動作の詳細及び歪みセンサの出力を解釈するために使用してもよい回路構成は、上記の米国特許第10,672,530号明細書に詳細に開示されている。
【0028】
図4A及び図4Bは、例示的な実施形態における、システム100のバス200の詳細な例である。図4A及び図4Bの例では、バス200は層101、102、103、104の間に完全に封じ込められており、図1図3の例のように、層101、102、103、104の端部を超えて突き出ていない。そのため、接点213、214への物理的なアクセスを提供するために、介在する層、例えば、層101、102又は層103、104に1つ又は複数の個別の開口部が設けられ、それによって接点213、214の全部又は一部が露出される。図に示すように、図4Aは、一般的に、接点212、213へのアクセスを提供するために、必要とされる又は所望されるだけの大きさに制限される2つのコンフォーマル開口部214を含む。図4Bは、接点212、213の両方へのアクセスを提供するようなサイズの1つの大きな開口部215を含む。
【0029】
当然のことながら、導体、例えば上記のバス200及び/又はトレース204は、他の機能を可能にする追加の要素、例えば、静電容量式タッチセンサ、温度センサ、圧力センサ、及び/又はシステム100のある部分から別の部分への電気接続を提供するためのインターコネクトを有する様々な他の形状、外形、及びレイアウトで構成されてもよい。さらに、トレースは、アンテナとして機能するように構成又は最適化されてもよい。例えば、2018年4月6日に出願され、その全体が参照によって本願に組み込まれる米国特許出願15/947,744号に示され、説明されている導体構成が挙げられる。
【0030】
図5は、例示的な実施形態における、2つのトレース401、402を含むバス400を有するシステム300である。2つのトレース401、402は、トレースの遠位端にビア403、404、405、406を有する構造体の実質的に全長にわたって延びている。図に示すように、バス400は、例えば、システム300の一端から他端に電子信号が通過するのを可能にする、システム300に沿って延びている電子バスであるが、システム100に関して開示された同じ原理をシステム300に適用してセンサを提供してもよいことは認識及び理解されるべきである。
【0031】
導電性ゲルなどの導体407、408は、トレース401、402内に堆積されてもよい。2つのポリイミドボード410及び420は、例えば、銅又は任意の他の適切な導体で形成される接点411、412、421、422を含むが、これらは、システム100に関して図示されたものと同様の方法でシステム300の外部環境に露出される。同様に、接点411、412、421、422を外部環境に露出するために、異なる構成を使用してもよい。このように、システム300は、システム300の各端部間の導電性を可能にする集積導体を提供する。これは、回路を相互接続するため、又はシステム300に隣接する、組み立てられる、もしくは接続される他の構造体又は部品(図示せず)に電力又は信号を分配するために有用な場合がある。バス400及びその各要素は、センサ200に関して説明したものと同じ材料で同様にして製造してもよい。
【0032】
バス200及びバス400に関して企図された上記材料は、例示的かつ非限定的であるが、それらが含む導電性ゲル材料による導体205及び407、408の弾力性及び導電性を維持する能力の結果として、様々な形状を有する構造体に適用されてもよいことは理解されるべきである。したがって、構造体100及び300は平らな板状の形状を有することが示されているが、円筒形、円錐形、球形、放物線形、不規則形又は他の形状を有する代替の固体又は薄い殻をもつ構造体が、上で説明した原理を使用して製造されてもよい。
【0033】
さらに、プリプレグ繊維強化シートを含む特定の数の層が開示されているが、(強化又は非強化)マトリックス材料内に任意の数の導体を封じ込める多くの他の方法が利用可能であり、適合させてもよい。例として、強化用チョップド繊維で強化された未硬化ポリエステル樹脂を含むマトリックス材料を、例えばスプレーガンを使用して金型表面に堆積させて第1層を形成してもよい。少なくとも1つの導体を含むセンサ又はキャリアを第1層上に堆積させ、マトリックス材料の第2層を、少なくともセンサ又はキャリアの上に形成して、集積導体を有する構造体を形成してもよい。
【0034】
同様に、様々な成形技術(例えば鋳造又は射出成形)を使用して、センサ又はキャリアを構造体内に挿入成形し、集積導体を有する構造体を形成してもよい。
図6は例示的な実施形態におけるフローチャートである。このフローチャートは、システム100、300の一方もしくは両方又は任意の他の適切なシステムもしくは構造体を作るのに有用な可能性がある。
【0035】
600では、少なくとも部分的に未硬化の硬化性マトリックス材料の少なくとも第1層が提供される。
602では、導体が少なくとも1つのトレースを形成するように、導体が第1層上に堆積される。一例では、導体はキャリア上に堆積され、キャリアは、キャリアが導体を含むように第1層上に堆積される。一例では、導体は導電性ゲルである。一例では、キャリアは少なくとも第1シート、第2シートを含む積層構造体であり、導体は、第1シートと第2シートとの間に配置される。一例では、積層構造体は、厚さと、その厚さ全体に延びている開口部とを有する第3シートをさらに含み、開口部はトレースの形状を有し、第3層は、第1層と第2層との間に介在され、導体は、第1、第2、及び第3シートによって収容されるように開口部を実質的に埋める。一例では、キャリアは、半硬化状態の少なくとも1つの硬化性材料のシートを含む。
【0036】
604では、導体を覆い、導体を第1層と第2層との間に封じ込める硬化性マトリックス材料の第2層が提供される。一例では、第1層及び第2層のマトリックス材料は繊維で強化される。一例では、繊維強化マトリックス材料の第1層及び第2層は、マトリックス材料を含侵させた繊維材料のシートである。一例では、繊維強化マトリックス材料の第1層及び第2層は、繊維が樹脂中に分散された未硬化樹脂である。一例では、少なくとも1つの硬化性材料のシートはマトリックス材料と同様である。
【0037】
606では、マトリックス材料が硬化される。一例では、硬化性材料の少なくとも1つのシートが挙げられる。
本明細書に記載の物品に含まれる導電性ゲルなどの導電性組成物は、酸化ガリウムが共晶ガリウム合金に混合されるとき、酸化ガリウムがその組成物に付与することができる構造体を特に利用して作成することができる、例えばペースト状又はゲル状の粘度を有することができる。共晶ガリウム合金に混合されるとき、酸化ガリウムは、本明細書でさらに説明するマイクロ構造体又はナノ構造体を形成することができ、この構造体は。共晶ガリウム合金のバルク材料特性を変化させることができる。
【0038】
本明細書では、用語「共晶」は、一般的に、最低融点を有する組成物の2つ以上の相の混合物であり、この温度で相が同時に溶融溶液から結晶化するものをいう。共晶を得るための相の比率は、状態図上の共晶点によって特定される。共晶合金の特徴の1つは、鋭い融点である。
【0039】
この導電性組成物は、導電性剪断薄膜化ゲル組成物として特徴付けることができる。本明細書に記載の導電性組成物は、ビンガムプラスチックの特性を有する組成物として特徴付けることもできる。例えば、この導電性組成物は、低応力では剛性が高く、高さと幅を特徴とする三次元形状を形成し維持することができるが、高応力では粘性流体として流動するような粘塑性体であり得る。したがって、例えば、導電性組成物は、低剪断下では約10,000Pa・s(約10,000,000cP)~40,000Pa・s(約40,000,000cP)、高剪断下では約150~180の範囲の粘度を有し得る。例えば、低剪断の条件下では、組成物は、低剪断の条件で約10,000Pa・s(約10,000,000cP)、約15,000Pa・s(約15,000,000cP)、約20,000Pa・s(約20,000,000cP)、約25,000Pa・s(約25,000,000cP)、約30,000Pa・s(約30,000,000cP)、約45,000Pa・s(約45,000,000cP)、又は約40,000Pa・s(約40,000,000cP)の粘度を有する。高剪断の条件下では、組成物は、約0.15Pa・s(約150cP)、約0.155Pa・s(約155cP)、約0.16Pa・s(約160cP)、約0.165Pa・s(165cP)、約0.17Pa・s(約170cP)、約0.175Pa・s(約175cP)、又は約0.18Pa・s(約180cP)の粘度を有する。
【0040】
本明細書に記載の導電性組成物は、任意の適切な導電性、例えば、約2×10S/m~約8×10S/mの導電性を有する。
本明細書に記載の導電性組成物は、任意の適切な融点、例えば約-20℃~約10℃、約-10℃~約5℃、約-5℃~約5℃又は約-5℃~約0℃の融点を有することができる。
【0041】
導電性組成物は、共晶ガリウム合金と酸化ガリウムとの混合物を含むことができ、共晶ガリウム合金と酸化ガリウムとの混合物は、約59.9%~約99.9%、例えば約67%~約90%の重量パーセント(wt%)の共晶ガリウム合金を有し、約0.1%~約2.0%、例えば約0.2~約1%のwt%の酸化ガリウムを有する。例えば、導電性組成物は、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又はそれ以上、例えば約99.9%の共晶ガリウム合金を有することができ、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、及び約2.0%の酸化ガリウムを有することができる。
【0042】
共晶ガリウム合金は、任意の元素比率でガリウム-インジウム又はガリウム-インジウム-スズを含むことができる。例えば、共晶ガリウム合金はガリウム及びインジウムを含む。導電性組成物は、ガリウム-インジウム合金中、ガリウムを、任意の適切なパーセント、すなわち約40%~約95%、例えば約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、又は約95%の重量比で有することができる。
【0043】
導電性組成物は、ガリウム-インジウム合金中、インジウムのパーセントを約5%~約60%、例えば約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、又は約60%の重量比で有することができる。
【0044】
共晶ガリウム合金は、ガリウム及びスズを含むことができる。例えば、導電性組成物は、この合金中、スズのパーセントを、約0.001%~約50%、例えば約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%の重量比で有することができる。
【0045】
導電性組成物は、共晶ガリウム合金及び酸化ガリウムが混合された1つ又は複数のマイクロ粒子又はサブミクロンスケール粒子を含むことができる。これらの粒子は、共晶ガリウム合金又はガリウムで被覆し、酸化ガリウムに封入するか、又は前の方法で被覆せず、共晶ガリウム合金に封入することによって共晶ガリウム合金内に懸濁させることができる。マイクロ粒子又はサブミクロンスケール粒子は、ナノメートルからマイクロメートルまでの範囲のサイズにすることができ、ガリウム、ガリウム-インジウム合金、又はガリウム-インジウム-スズ合金に懸濁させることができる。粒子と合金との比率は変えることができ、それによって導電性組成物の流動特性を変化させることができる。マイクロ構造体及びナノ構造体は、導電性組成物内で超音波処理又は他の適切な手段によって混合することができる。導電性組成物は、共晶ガリウム合金/酸化ガリウム混合物内にマイクロ構造体及びナノ構造体のコロイド懸濁液を含むことができる。
【0046】
導電性組成物は、組成物内に分散された1つ又は複数のマイクロ粒子又はサブミクロンスケール粒子をさらに含むことができる。これは、共晶ガリウム合金又はガリウムで被覆され、酸化ガリウムに封入されるか、又は前の方法で被覆されず、導電性組成物、特に共晶ガリウム合金流体に封入した粒子を懸濁することによることを含む、任意の適切な方法で実現することができる。これらの粒子は、ナノメートルからマイクロメートルまでの範囲のサイズにすることができ、ガリウム、ガリウム-インジウム合金、又はガリウム-インジウム-スズ合金に懸濁させることができる。粒子と合金との比率は、特に合金及び導電性組成物の少なくとも1つの流体特性を変化させるために変えることができる。さらに、特に物理的、電気的又は熱的特性を向上させるか又は変化させるために、コロイド懸濁液又は共晶ガリウム合金に任意の補助材料が追加される。共晶ガリウム合金及び導電性組成物の少なくとも1つにおけるマイクロ構造体及びナノ構造体の分布は、超音波処理又は、粒子の添加なしの他の機械的手段を含む任意の適切な手段によって実現することができる。特定の実施形態では、1つ又は複数のマイクロ粒子又は1μ未満の粒子は、共晶ガリウム合金及び導電性組成物の少なくとも1つと、約0.001%~約40.0%、例えば約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、又は約40のwt%のマイクロ粒子で混合される。
【0047】
1つ又は複数のマイクロ粒子又はサブミクロン粒子は、ソーダガラス、シリカ、ホウケイ酸ガラス、石英、酸化銅、銀被覆銅、非酸化銅、タングステン、超飽和スズ顆粒、ガラス、黒鉛、銀被覆銅(銀被覆銅スフィア及び銀被覆銅フレークなど)、銅フレーク、もしくは銅スフィア、又はそれらの組み合わせ、又は、共晶ガリウム合金及び導電性組成物の少なくとも1つによってぬらすことができる任意の他の材料を含む任意の適切な材料で作ることができる。1つ又は複数のマイクロ粒子又はサブミクロンスケール粒子は、スフェロイド、ロッド、チューブ、フレーク、プレート、立方体、角柱、錐体形、ケージ、及びデンドリマーの形状を含む任意の適切な形状を有することができる。1つ又は複数のマイクロ粒子又はサブミクロンスケール粒子は、約0.5ミクロン~約60ミクロンのサイズ範囲、例えば約0.5ミクロン、約0.6ミクロン、約0.7ミクロン、約0.8ミクロン、約0.9ミクロン、約1ミクロン、約1.5ミクロン、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン、約6ミクロン、約7ミクロン、約8ミクロン、約9ミクロン、約10ミクロン、約11ミクロン、約12ミクロン、約13ミクロン、約14ミクロン、約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロン、約20ミクロン、約21ミクロン、約22ミクロン、約23ミクロン、約24ミクロン、約25ミクロン、約26ミクロン、約27ミクロン、約28ミクロン、約29ミクロン、約30ミクロン、約31ミクロン、約32ミクロン、約33ミクロン、約34ミクロン、約35ミクロン、約36ミクロン、約37ミクロン、約38ミクロン、約39ミクロン、約40ミクロン、約41ミクロン、約42ミクロン、約43ミクロン、約44ミクロン、約45ミクロン、約46ミクロン、約47ミクロン、約48ミクロン、約49ミクロン、約50ミクロン、約51ミクロン、約52ミクロン、約53ミクロン、約54ミクロン、約55ミクロン、約56ミクロン、約57ミクロン、約58ミクロン、約59ミクロン、又は約60ミクロンを含む任意の適切なサイズを有することができる。
【0048】
本明細書に記載の導電性組成物は、表面酸化物/合金界面の剪断混合によって、共晶ガリウム合金の表面に形成される表面酸化物を共晶ガリウム合金のバルクに混合することを含む方法を含む任意の適切な方法によって製造することができる。このような組成物の剪断混合によって、表面酸化物に架橋マイクロ構造体が誘導され、それによって導電性剪断薄膜化ゲル組成物を形成することができる。マイクロ構造体のコロイド懸濁液は、共晶ガリウム合金/酸化ガリウム混合物内に、例えば、酸化ガリウム粒子及び/又はシートとして形成することができる。
【0049】
表面酸化物は、任意の適切な比率で、例えば共晶ガリウム合金約59.9%(重量比)~約99.9%、酸化ガリウム約0.1%(重量比)~約2.0%で混合することができる。例えば酸化ガリウムと混合されるガリウム合金の重量パーセントは、共晶ガリウム合金が、約60%、61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又はそれ以上、例えば約99.9%であり、酸化ガリウムの重量パーセントは、酸化ガリウムが約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%である。実施形態では、共晶ガリウム合金は、記載された元素の任意の比率でガリウム-インジウム又はガリウム-インジウム-スズを含むことができる。例えば、共晶ガリウム合金はガリウム及びインジウムを含むことができる。
【0050】
ガリウム-インジウム合金中のガリウムの重量パーセントは、約40%~約95%、例えば約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、又は約95%にすることができる。
【0051】
代替的に、もしくはそれに加えて、ガリウム-インジウム合金中のインジウムの重量パーセントは、約5%~約60%、例えば約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、又は約60%にすることができる。
【0052】
共晶ガリウム合金は、ガリウム、インジウム、及びスズを含むことができる。ガリウム-インジウム-スズ合金中のスズの重量パーセントは、約0.001%~約50%、例えば約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%にすることができる。
【0053】
ガリウム-インジウム-スズ合金中のガリウムの重量パーセントは、約40%~約95%、例えば約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、又は約95%にすることができる。
【0054】
代替的に、もしくはそれに加えて、ガリウム-インジウム-スズ合金中のインジウムの重量パーセントは、約5%~約60%、例えば約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、又は約60%にすることができる。
【0055】
1つ又は複数のマイクロ粒子又はサブミクロンスケール粒子は、共晶ガリウム合金及び酸化ガリウムと混合することができる。例えば、1つ又は複数のマイクロ粒子又はサブミクロン粒子は、混合物と、約0.001%~約40.0%、例えば約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、又は約40の組成物中のマイクロ粒子のwt%と混合することができる。実施形態では、粒子は、ソーダガラス、シリカ、ホウケイ酸ガラス、石英、酸化銅、銀被覆銅、非酸化銅、タングステン、超飽和スズ顆粒、ガラス、黒鉛、銀被覆銅(銀被覆銅スフィア及び銀被覆銅フレークなど)、銅フレーク、もしくは銅スフィア、又はそれらの組み合わせ、又は、ガリウムによってぬらすことができる任意の他の材料にすることができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のマイクロ粒子又はサブミクロンスケール粒子は、スフェロイド、ロッド、チューブ、フレーク、プレート、立方体、角柱、錐体形、ケージ、及びデンドリマーの形状をしている。特定の実施形態では、1つ又は複数のマイクロ粒子又はサブミクロンスケール粒子は、約0.5ミクロン~約60ミクロンのサイズ範囲、例えば、約0.5ミクロン、約0.6ミクロン、約0.7ミクロン、約0.8ミクロン、約0.9ミクロン、約1ミクロン、約1.5ミクロン、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン、約6ミクロン、約7ミクロン、約8ミクロン、約9ミクロン、約10ミクロン、約11ミクロン、約12ミクロン、約13ミクロン、約14ミクロン、約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロン、約20ミクロン、約21ミクロン、約22ミクロン、約23ミクロン、約24ミクロン、約25ミクロン、約26ミクロン、約27ミクロン、約28ミクロン、約29ミクロン、約30ミクロン、約31ミクロン、約32ミクロン、約33ミクロン、約34ミクロン、約35ミクロン、約36ミクロン、約37ミクロン、約38ミクロン、約39ミクロン、約40ミクロン、約41ミクロン、約42ミクロン、約43ミクロン、約44ミクロン、約45ミクロン、約46ミクロン、約47ミクロン、約48ミクロン、約49ミクロン、約50ミクロン、約51ミクロン、約52ミクロン、約53ミクロン、約54ミクロン、約55ミクロン、約56ミクロン、約57ミクロン、約58ミクロン、約59ミクロン、又は約60ミクロンである。
【0056】
本明細書の一部は、マシンメモリ(例えばコンピュータメモリ)内のビット又はバイナリデジタル信号として格納されたデータに対する操作のアルゴリズム又は記号表現の観点から提示されている。これらのアルゴリズム又は記号表現は、データ処理技術における通常の技術者が、その仕事の内容を当業者に伝えるために使用する技術の例である。本明細書では、「アルゴリズム」とは、所望の結果を導くための自己整合的な一連の操作又は類似の処理である。この文脈において、アルゴリズム及び操作は、物理量の物理的な操作を含む。一般的に、このような量は、必ずしもそうとは限らないが、機械によって記憶、アクセス、転送、結合、比較、又はその他の操作を行うことができる電気、磁気、又は光学信号の形をとることができる「データ」、「コンテンツ」、「ビット」、「値」、「要素」、「記号」、「文字」、「用語」、「数字」、「数詞」などの言葉を用いてこのような信号を参照することは、主に一般的な使用の理由から便利な場合がある。しかしながら、これらの言葉は単に便利な符号であり、適切な物理量と関連付けられるものである。
【0057】
特に断らない限り、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「提示」、「表示」などの言葉を用いる本明細書の議論は、1つ又は複数のメモリ(例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はそれらの任意の適切な組み合わせ)、レジスタ、又は情報を受信、格納、送信又は表示する他の機械部品内で物理的(例えば、電子、磁気、又は光学)量として示されているデータを操作又は変換する機械(例えばコンピュータ)の動作又はプロセスを指してもよい。さらに、特に断らない限り、用語「ある(a)」又は「ある(an)」は、本明細書では、特許文献で一般的なように、1又は2以上の例を含むように使用される。最後に、本明細書では、接続詞「又は(or)」は、特に断らない限り、非排他的な「又は(or)」を指す。
【0058】
実施例
実施例1は、マトリックス材料の複数の層から形成される構造体と、マトリックス材料の複数の層の隣接する層間に固定されたバスであって、構造体を介して電気信号を伝搬するように構成された導電性ゲルを含むバスと、を含むシステムである。
【0059】
実施例2において、実施例1の主題は、バスが、マトリックス材料によって少なくとも部分的に封入される場合を含む。
実施例3において、実施例1及び2のいずれか1つ以上に記載の主題は、導電性ゲルが、マトリックス材料の隣接する層と接触する場合を含む。
【0060】
実施例4において、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の主題は、バスが、導電性ゲルを封入する樹脂をさらに含む場合を含む。
実施例5において、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の主題は、樹脂が、導電性ゲルを含むトレースを形成する場合を含む。
【0061】
実施例6において、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の主題は、樹脂が、シートを形成する場合を含む。
実施例7において、実施例1~6のいずれか1つ以上に記載の主題は、マトリックス材料の隣接する層が、シートと接触する場合を含む。
【0062】
実施例8において、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載の主題は、樹脂が、導電性ゲルを封入するように構成された複数のシートを形成する場合を含む。
実施例9において、実施例1~8のいずれか1つ以上に記載の主題は、マトリックス材料の隣接する層が、複数のシートの少なくとも2つと接触する場合を含む。
【0063】
実施例10において、実施例1~9に記載の主題は、バスが、導電性ゲルに電気的に接続された接点をさらに含み、接点が、構造体の外側の環境にさらされる場合を含む。
実施例11において、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の主題は、バスが、ボードをさらに含み、接点が、ボードに含まれ、ボードが、構造体の外側に少なくとも部分的に延びる場合を含む。
【0064】
実施例12において、実施例1~11のいずれか1つ以上に記載の主題は、接点が、構造体のマトリックス材料に形成された少なくとも1つの孔を通して構造体の外側の環境にさらされる場合を含む。
【0065】
実施例13において、実施例1~12のいずれか1つ以上に記載の主題は、バスが、構造体の状態を測定するように構成されたセンサである場合を含む。
実施例14において、実施例1~13のいずれか1つ以上に記載の主題は、構造体の状態が、温度変化、他のボディとの接触、印加された力、磁場及び電場からなる群から選択されるものである場合を含む。
【0066】
実施例15は、少なくとも部分的に未硬化である硬化性マトリックス材料の少なくとも第1層を提供するステップと、導体が少なくとも1つのトレースを形成するように第1層上に導体を堆積させるステップと、導体を覆う硬化性マトリックス材料の第2層を提供して、第1層と第2層との間に導体を封じ込めるステップと、マトリックス材料を硬化させるステップとを含む、構造体を製造する方法である。
【0067】
実施例16において、実施例15の主題は、第1層上に導体を堆積させるステップが、キャリア上に導体を堆積させ、キャリアが導体を含むように、第1層上にキャリアを堆積させることを含む場合を含む。
【0068】
実施例17において、実施例15及び16のいずれか1つ以上に記載の主題は、導体が、導電性ゲルを含む場合を含む。
実施例18において、実施例15~17のいずれか1つ以上に記載の主題は、第1層及び第2層のマトリックス材料が、繊維で強化されている場合を含む。
【0069】
実施例19において、実施例15~18のいずれか1つ以上に記載の主題は、繊維強化マトリックス材料の第1層及び第2層が、マトリックス材料を含侵させた繊維材料のシートである場合を含む。
【0070】
実施例20において、実施例15~19のいずれか1つ以上に記載の主題は、繊維強化マトリックス材料の第1層及び第2層が、樹脂中に繊維が分散された未硬化樹脂である場合を含む。
【0071】
実施例21において、実施例15~20のいずれか1つ以上に記載の主題は、キャリアが、少なくとも第1シート、第2シートを含む積層構造体であり、導体が、第1シートと第2シートとの間に配置されている場合を含む。
【0072】
実施例22において、実施例15~21のいずれか1つ以上に記載の主題は、積層構造体が、厚さと、厚さ全体に延びている開口部とを有する第3シートをさらに含み、開口部が、トレースの形状を有し、第3層が、第1層と第2層との間に介在され、導体が、第1シート、第2シート及び第3シートによって収容されるように、前記開口部を実質的に埋める場合を含む。
【0073】
実施例23において、実施例15~22のいずれか1つ以上に記載の主題は、キャリアが、半硬化状態の少なくとも1つの硬化性材料のシートを含む場合を含む。
実施例24において、実施例15~23のいずれか1つ以上に記載の主題は、少なくとも1つの硬化性材料のシートが、マトリックス材料と同様である場合を含む。
【0074】
実施例25において、実施例15~24のいずれか1つ以上に記載の主題は、マトリックス材料を硬化させるステップが、少なくとも1つの硬化性材料のシートを硬化させることを含む場合を含む。
【0075】
実施例26は、処理回路によって実行されると、処理回路に実施例1~25のいずれかを実施するための動作を実行させる命令を含む少なくとも1つの機械可読媒体である。
実施例27は、実施例1~25のいずれかを実施するための手段を含む装置である。
【0076】
実施例28は、実施例1~25のいずれかを実施するためのシステムである。
実施例29は、実施例1~25のいずれかを実施するための方法である。
本特許開示の発明の原理は、発明の概念から逸脱することなく配置及び詳細を変更することができるので、このような変更及び修正は、以下の特許請求の範囲に含まれるとみなされる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
【国際調査報告】