(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】外科手術計画のためのてんかん原性領域の位置決め
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20231226BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20231226BHJP
G06N 5/04 20230101ALI20231226BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20231226BHJP
【FI】
G16H50/00
A61B10/00 H
G06N5/04
G16H20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535528
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021062523
(87)【国際公開番号】W WO2022125727
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】501111751
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・ピッツバーグ-オブ・ザ・コモンウェルス・システム・オブ・ハイヤー・エデュケイション
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF PITTSBURGH-OF THE COMMONWEALTH SYSTEM OF HIGHER EDUCATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】スリデヴィ ヴィー サルマ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン エム ガンナーズドティエ
(72)【発明者】
【氏名】ヨルグ エイ ゴンザレス-マルティネス
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA04
(57)【要約】
機械実装方法と、コンピューティングデバイスと、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体とは、提供される。動的ネットワークモデルは、モニタリングされた発作間欠期脳データに基づいて、状態遷移行列によってパラメータ化される。各ノードの、ノードのネットワークへの影響スコアは、計算され、それぞれのノードがどれだけ影響力があるかを示す。ノードのネットワークによる影響スコアは、各ノードに関して計算され、それぞれのノードがノードによって影響される量を示す。スコアは、シンクインデックスと、ソース影響インデックスと、シンク接続性インデックスとに基づいて、各ノードに関して計算される。てんかん原性領域にあるノードは、ノードの各々の計算されたスコアに基づいて判定される。てんかん原性領域にあるノードの表示は、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
てんかんと診断された人の脳内のてんかん原性領域の治療に関して特定するための機械実装方法であって、
コンピューティングデバイスによって、複数の連続する予め定義された時間窓の各々の間に、前記脳の複数のノードの各ノードをモニタリングすることによって生成された発作間欠期データから形成された複数のニューラル状態ベクトルに基づいて、複数の状態遷移行列によって動的ネットワークモデルをパラメータ化することであって、前記複数のノードの各々は、モニタリングされる前記脳のそれぞれの領域に対応する、前記パラメータ化することと、
複数の状態遷移行列の各々のための前記コンピューティングデバイスによって、前記複数のノードの各ノードに関して、対応するノードのネットワークへの影響スコア及び対応するノードのネットワークによる影響スコアを計算することであって、前記対応するノードのネットワークへの影響スコアは、前記それぞれのノードが前記複数のノードの前記各々に関してどれだけ影響力があるかを示し、前記ノードのネットワークによる影響スコアは、前記それぞれのノードが前記複数のノードによって影響される量を示す、前記計算することと、
前記各状態遷移行列のための前記コンピューティングデバイスによって、シンクインデックスと、前記各ノードのソース影響インデックスと、前記各ノードのシンク接続性インデックスとを計算することであって、前記各ノードの前記シンクインデックスは、前記複数のノードの2次元表現の行及び列のうちの1つが、前記ノードのネットワークへの影響スコアに関して前記各ノードのランクに従って配置され、前記複数のノードの前記2次元表現の前記行及び前記列のうちのもう1つが、前記ノードのネットワークによる影響スコアに関して前記各ノードのランクに従って配置されるとき、前記各ノードが理想シンクからどれくらい離れているかを示し、前記各ノードの前記ソース影響インデックスは、前記複数のノードによる、前記ノードのソースインデックスによって重み付けされたそれぞれのノードへの影響の合計に基づいており、前記各ノードの前記シンク接続性インデックスは、前記各ノードのシンクインデックスによって重み付けされた前記複数のノードへの影響の合計に基づいている、前記計算することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記それぞれのノードの、前記ソース影響インデックスと、前記シンクインデックスと、前記シンク接続性インデックスとに基づいて、前記各ノードのスコアを計算することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記複数のノードの各々の前記計算されたスコアに基づいて、前記てんかん原性領域にある前記複数のノードのうちのノードを判定することと、
臨床医が前記てんかん原性領域に関与する外科治療を計画するために、前記てんかん原性領域にあると判定された前記ノードの表示を提供することと
を含む、機械実装方法。
【請求項2】
第1の複数のノードは、前記第1の複数のノードの各ノードの前記複数の状態遷移行列上の対応する平均スコアが、前記複数のノードの対応する平均スコアの予め定義された割合よりも大きいとき、前記てんかん原性領域にあると判定される、請求項1に記載の機械実装方法。
【請求項3】
前記コンピューティングデバイスによって、複数の患者の各患者に関する訓練データに基づいて、成功した結果の確率を推定する予測モデルを訓練することであって、前記訓練データは、発作起始領域にあるとしてラベル付けされた第1のノードと、前記第1のノードを含む臨床的にアノテートされたてんかん原性領域と、前記臨床的にアノテートされたてんかん原性領域に含まれない第2のノードとを含み、成功した結果は、患者が術後12ヶ月を超えた後に発作がないとして定義され、失敗した結果は、前記患者が術後12ヶ月を超えたときに発作の再発を有するとして定義される、前記訓練することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記てんかん原性領域にあると判定された前記複数のノードのうちのノードの平均シンクインデックスと、前記てんかん原性領域の外側の全てのノードの平均シンクインデックスと、前記てんかん原性領域にあると判定された前記ノードの平均ソース影響インデックスと、前記てんかん原性領域の外側にあると判定された前記ノードの平均ソース影響インデックスとを使用して、前記訓練された予測モデルに基づいて成功の確率を判定することと
をさらに含む、請求項1に記載の機械実装方法。
【請求項4】
前記予測モデルは、ロジスティック回帰モデルであり、
前記ロジスティック回帰モデルを前記訓練することは、
【数1】
に基づいており、
請求項3に記載の機械実装方法。
【請求項5】
前記判定された成功の確率が閾値よりも大きいとき、成功した結果は予測される、請求項3に記載の機械実装方法。
【請求項6】
前記発作間欠期データは、30秒から60分までの時間、前記脳の侵襲的モニタリングに基づいて生成される、請求項1に記載の機械実装方法。
【請求項7】
前記コンピューティングデバイスによって、前記複数のノードのヒートマップを生成することであって、
それぞれの予め定義された時間窓に対応する各状態遷移行列に関して、
前記コンピューティングデバイスによって、前記各ノードのそれぞれのスコアを計算することであって、前記それぞれのスコアは、前記各時間窓間に前記それぞれのノードの前記それぞれのスコアを生成するために、前記それぞれの状態遷移行列に基づいて、前記それぞれのノードのソース影響インデックスと、前記それぞれのノードのシンクインデックスと、前記それぞれのノードのシンク接続性インデックスとを乗算することによって計算される、前記計算することと、
前記対応する時間窓における前記各ノードの前記それぞれのスコアを含む対応する値の範囲に基づいて、前記各時間窓における前記各ノードにそれぞれの色を割り当てることと、
前記それぞれのノードの各々を表す行及び列のうちの1つと、時系列に配置されたそれぞれの予め定義された時間窓を表す前記行及び列のうちのもう1つとを含む前記ヒートマップを生成して提示することであって、列との行の交点は、セルを形成し、前記セルの各々は、特定のそれぞれの予め定義された時間窓間の特定のそれぞれのノードを表し、前記セルの各々は、前記セルの前記各々によって表された前記特定のそれぞれの時間窓に関して前記特定のそれぞれのノードに割り当てられた前記色を表示する、前記生成して提示することと
を含む、前記生成することをさらに含む、請求項1に記載の機械実装方法。
【請求項8】
臨床医が、患者を、てんかんを有すると診断するのを支援するためのコンピューティングデバイスであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに接続されたメモリと
を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
複数の連続する予め定義された時間窓の各々の間に、脳の複数のノードの各ノードを非侵襲的にモニタリングすることによって生成された発作間欠期データから形成された複数のニューラル状態ベクトルに基づいて、複数の状態遷移行列によって動的ネットワークモデルをパラメータ化することであって、前記複数のノードの各々は、モニタリングされる前記脳のそれぞれの領域に対応する、前記パラメータ化することと、
前記複数の状態遷移行列の各々に関して、ノードのネットワークへの影響スコア及びノードのネットワークによる影響スコアをそれぞれ計算することであって、前記複数のノードの各ノードに関して、前記ノードのネットワークへの影響スコアは、前記それぞれのノードが前記複数のノードの前記各々に関してどれだけ影響力があるかを示し、前記ノードのネットワークによる影響スコアは、それぞれのノードが前記複数のノードによって影響される量を示す、前記計算することと、
それぞれの予め定義された時間窓に対応する各状態遷移行列に関して、
前記各ノードのスコアを計算することであって、前記それぞれのスコアは、前記それぞれの予め定義された時間窓の前記各ノードの前記それぞれのスコアを生成するために、前記それぞれの状態遷移行列に基づいて、前記それぞれのノードのソース影響インデックスと、前記それぞれのノードのシンクインデックスと、前記それぞれのノードのシンク接続性インデックスとの関数として計算され、前記各ノードの前記シンクインデックスは、前記複数のノードの2次元表現の行及び列のうちの1つが、前記ノードのネットワークへの影響スコアに関して前記各ノードのランクに従って配置され、前記複数のノードの前記2次元表現の前記行及び前記列のうちのもう1つが、前記ノードのネットワークによる影響スコアに関して前記各ノードのランクに従って配置されるとき、前記各ノードが理想シンクからどれくらい離れているかを示し、前記各ノードの前記ソース影響インデックスは、前記複数のノードによる、各ノードのソースインデックスによって重み付けされたそれぞれのノードへの影響の合計に基づいており、前記各ノードの前記シンク接続性インデックスは、各ノードのシンクインデックスによって重み付けされた前記複数のノードへの影響の合計に基づいている、前記計算することと、
前記各状態遷移行列上の前記複数のノードの各々の前記計算されたスコアに基づいて、前記複数のノードの各々の平均スコアを計算することと、
前記複数のノードの前記各々の前記平均スコアを正規化することと、
よりも大きい平均スコアを有するノードの数をカウントすることであって、前記Nは、ノードの総数であり、前記ノードの数の前記カウントが前記ノードの総数の予め定義された割合よりも大きいとき、てんかんは示され、前記ノードの数の前記カウントが前記ノードの総数の前記予め定義された割合以下であるとき、健康な脳は示される、前記カウントすることと
を行うように構成されている、コンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記各時間窓における前記各ノードの前記それぞれのスコアを含む対応する値の範囲に基づいて、前記各時間窓における前記各ノードにそれぞれの色を割り当てることと、
前記それぞれのノードの各々を表す行及び列のうちの1つと、時系列に配置されたそれぞれの予め定義された時間窓を表す前記行及び列のうちのもう1つとを含むヒートマップを生成して提示することであって、列との行の交差は、セルを形成し、前記セルの各々は、特定のそれぞれの予め定義された時間窓間の特定のそれぞれのノードを表し、前記セルの各々は、前記セルの前記各々によって表された前記特定のそれぞれの時間窓に関して前記特定のそれぞれのノードに割り当てられた前記色を表示する、前記生成して提示することと
を行うようにさらに構成されている、請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記患者の頭皮上脳波から生成された前記発作間欠期データを受信することを行うようにさらに構成されている、請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記患者の脳の非侵襲的脳磁図から生成された前記発作間欠期データを受信することを行うようにさらに構成されている、請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項12】
てんかんと診断された人の脳内のてんかん原性領域を特定するための、格納されたコンピュータ命令を有する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記コンピューティングデバイスは、
複数の連続する予め定義された時間窓の各々の間に、前記脳の複数のノードの各ノードの侵襲的モニタリングによって生成された発作間欠期データから形成された複数のニューラル状態ベクトルに基づいて、複数の状態遷移行列によって動的ネットワークモデルをパラメータ化することであって、前記複数のノードの各々は、前記脳のそれぞれの領域に埋め込まれたそれぞれのプローブに対応する、前記パラメータ化することと、
前記各状態遷移行列に基づいて、前記複数のノードの各々のシンクインデックスと、前記複数のノードの前記各々のソース影響インデックスと、前記複数のノードの前記各々のシンク接続性インデックスとを計算することであって、前記各ノードの前記シンクインデックスは、前記複数のノードの2次元表現の行及び列のうちの1つが、前記ノードのネットワークへの影響スコアに関して前記各ノードのランクに従って配置され、前記複数のノードの前記2次元表現の前記行及び前記列のうちのもう1つが、前記ノードのネットワークによる影響スコアに関して前記各ノードのランクに従って配置されるとき、前記各ノードが理想シンクからどれくらい離れているかを示し、各ノードの前記ソース影響インデックスは、前記複数のノードによる、各ノードのソースインデックスによって重み付けされたそれぞれのノードへの影響の合計に基づいており、前記各ノードの前記シンク接続性インデックスは、前記複数のノードによる、各ノードのシンクインデックスによって重み付けされた前記各ノードへの影響の合計に基づいている、前記計算することと、
前記複数の状態遷移行列上の前記それぞれのノードの、前記ソース影響インデックスの平均と、前記シンクインデックスの平均と、前記シンク接続性インデックスの平均とに基づいて、前記各ノードのスコアを計算することと、
前記複数のノードの前記各ノードの前記計算されたスコアに基づいて、前記てんかん原性領域にある前記複数のノードのうちのノードを判定することと、
臨床医が前記てんかん原性領域に関与する外科治療を計画するために、前記てんかん原性領域における前記判定されたノードの表示を提供することと
を実行するように構成されている、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記各ノードの前記スコアの前記計算することは、前記各ノードの前記スコアを生成するために、前記各ノードの、前記シンクインデックスの前記平均と、前記ソース影響インデックスの前記平均と、前記シンク接続性インデックスの前記平均との関数(例えば、積)を計算することをさらに含む、請求項12に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記発作間欠期データは、前記侵襲的モニタリングの30秒から60分までに生成される、請求項12に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
第1の複数のノードは、前記第1の複数のノードの各ノードの対応するスコアが閾値よりも大きいとき、前記てんかん原性領域にあると判定される、請求項12に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
第1の複数のノードは、前記第1の複数のノードの各ノードの対応するスコアが閾値未満であるとき、前記てんかん原性領域の外側にあると判定される、請求項12に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記コンピューティングデバイスの前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記コンピューティングデバイスは、
複数の患者の各患者に関する訓練データに基づいて、成功した結果の確率を推定する予測モデルを訓練することであって、前記訓練データは、臨床的にアノテートされたてんかん原性領域にあるとしてラベル付けされた第1の複数のノードと、前記臨床的にアノテートされたてんかん原性領域の外側にあるとして示された第2の複数のノードとを含み、成功した結果は、患者が術後12ヶ月を超えた後に発作がないとして定義され、失敗した結果は、患者が術後12ヶ月を超えたときに発作の再発を有するとして定義される、前記訓練することと、
前記てんかん原性領域にあると判定された前記複数のノードのうちのノードの平均シンクインデックスと、前記てんかん原性領域の外側にあると判定された前記複数のノードのうちのノードの平均シンクインデックスと、前記てんかん原性領域にあると判定された前記複数のノードのうちの前記ノードの平均ソース影響インデックスと、前記てんかん原性領域の外側にあると判定された前記複数のノードのうちの前記ノードの平均ソース影響インデックスと、前記てんかん原性領域にあると判定された前記複数のノードのうちの前記ノードの平均ソース接続性インデックスと、前記てんかん原性領域の外側にあると判定された前記複数のノードのうちの前記ノードの平均ソース接続性インデックスとを使用して、前記訓練された予測モデルに基づいて成功の確率を判定することと
を実行するように構成されている、請求項12に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記発作間欠期データは、60分未満の前記脳の前記侵襲的モニタリングに基づいて生成される、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月9日に米国特許商標庁に出願された、米国仮特許出願第63/123,417号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
(政府利益のステートメント)
本発明は、アメリカ国立衛生研究所によって授与された助成金第R21NS103113号の下、政府の支援で行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
世界保健機関(WHO)によれば、てんかんは、世界中で5000万人を超える人々を冒す壊滅的な病気である。てんかんと診断された患者の約70%は、薬物治療に肯定的に反応する。しかしながら、てんかんと診断された患者の約30%は、薬物で発作を制御することができない。介入は、てんかん原性領域(EZ:Epileptogenic Zone)における発作の開始を外科的に除去し、或いは電気的に遮断することを含み、EZは、発作活動がトリガされる脳の領域又は領域のネットワークである。EZの位置決めと、解剖学的なEZ範囲の理解とは、外科手術の成功に重要である。残念ながら、外科手術の成功率は、30%から70%まで変化し、約50%の平均を有する。外科手術の成功率と、診断及び外科治療の総費用(患者1人あたり約20万ドル)とに起因して、多くの外科手術候補者は、この治療方針を取らないことにする。
【0004】
現在、患者がてんかんと診断されるとき、患者の脳の核磁気共鳴画像(MRI)スキャン及び頭皮上脳波(EEG)は、てんかんが焦点又は多焦点(発作が脳全体に広がる前に、局所領域又はいくつかの領域において始まる)であるか、或いは全般(発作がいくつかの領域において同時に始まる)であるかを判定するために取得される。陽電子放出断層撮影(PET)スキャン及び単一光子放射断層撮影(SPECT)スキャンはしばしば、てんかんのタイプの追加のエビデンスを提供するために取得される。発作が焦点であり、MRIスキャンで見える病変内又は病変付近の領域から発生している場合、患者は、直接外科手術に進み得る。発作が焦点であるが、外科的評価が一致しない(すなわち、画像所見が頭皮上発作時(発作中)EEGスキャンと一致しない)場合、患者は、侵襲的頭蓋内EEGモニタリングを受け、EZを局在化する。非侵襲的画像データ及び頭皮上EEGは、脳上又は脳内の電極の配置を導くために使用される。従来、脳上又は脳内の電極の設置は、脳に直接アクセスするために頭蓋骨の一部分の除去、すなわち、開頭手術を含む。次いで、電極のアレイは、脳の表面に配置され(皮質脳波、ECoG)、そこから頭蓋内EEG(iEEG)は、記録される。代替的に、脳に貫通し、皮質表面からのiEEG信号だけでなく、脳深部の構造内のiEEG信号も記録する深部電極(定位的頭蓋内EEG又はSEEG)は、使用され得る。SEEGは、開頭手術(頭蓋骨のセクションの除去)を必要としないが、電極挿入のために頭蓋骨に穿頭孔の穴あけを必要とする。両方の方法は、侵襲的であり、専門のてんかんモニタリングユニット(EMU)における長期滞在を必要とする。
【0005】
電極配置後、患者は、EMUに数日から数週間留まり、十分な数の発作イベントを待つ。なぜなら、それは、EZの位置を予測するために主に使用されるこれらのイベント中の記録であるからである。具体的には、てんかん専門医は、発作間欠期(interictal)及び発作時(ictal)の2つのタイプのiEEGを実行する。発作間欠期iEEGデータは、発作間欠期放電とも呼ばれる、異常な「スパイク」を特定するために検査される。そのようなスパイクが観測されるチャネルは、可能性のあるEZノードとして示されるが、スパイクがEZの信頼できるiEEGマーカであることを証明されていないことに留意されたい。発作時(発作)iEEGデータは、発作起始直前の異常活動ならびに拡散パターンを特定するために検査される。発作イベントは、ベータ帯域活動(「ベータバズ」)又は急速な皮質内周波数(>100Hz)の早期存在によってマークされ、典型的に、発作の臨床的起始の数ミリ秒前に発生する。EZが異常なてんかん様活動を生成し、次いで、それが他の領域を臨床発作に巻き込むと仮定すると、一般的に、これらの起始特徴が最初に現れるチャネルは、EZとして特定される。電気活動減衰性応答(electrodecremental responses)(律動的活動の消失)はまた、しばしば、発作中に観測される。概して、てんかん専門医は、様々なシグネチャーを見て、判断する。EEGが手動で解釈されるので、標準的な手順は、いくつかの発作イベントを収集し、次いで、学際的な臨床チームによって評価され、どの電極又はチャネルがEZから記録しているかに関して意見の一致に達することを必要とする。
【0006】
侵襲的モニタリングの最終段階は、EZの外科的除去を計画するときにこれらの領域を避けるために、脳機能上重要な(eloquent)皮質(例えば、視覚、聴覚、及び運動機能を制御する脳の領域)の位置を特定することを含む。脳機能上重要な皮質の判定は、選択されたiEEGコンタクト上で25-50Hzの周期的な皮質刺激を実行することによって行われる。さらに、単一パルス電気刺激(SPES)は、発作起始に関与し得る空間的に異なる領域の有効な連結性を評価するために実行され得る。次いで、外科手術は、局在EZが他の障害(例えば、視覚、聴覚、又は運動の消失)を引き起こすことなく、十分に除去され得るか否かに応じて計画される。
【0007】
iEEGデータの解析は、主観的且つ非常に狭く、主に、発作イベント直前に発生するシグネチャーに依存している。その結果、臨床医によって発作間欠期又は発作時異常iEEGイベントを特定することは、8日を上回るモニタリングから数分間の記録を解析することになる。したがって、典型的に、記録されたiEEGのうちの1%未満は、EZを特定するために実際に使用される。
【0008】
侵襲的モニタリングは、高価であり、出血、感染症、神経障害を含むが、それらに限定されない多くの合併症と関連付けられる。てんかん医療ユニットにおける患者の滞在費用は、1日あたり少なくとも5,000ドルであると推定される。頭蓋内モニタリングに必要とされる時間の長さのわずかな短縮でさえ、病院にとって大きなコスト節減につながり得る。
【0009】
臨床医は、例えば、MRI、発作時SPECT、頭皮上EEG及びiEEGなどの多くの異種且つ不完全な診断ツールからのコンコーダンスを探すが、多くの不確実性は、EZの位置に関して残る。しばしば、切除される領域は、局在EZよりもかなり大きい。この領域の切除は、不可逆的であり、したがって、患者にとって恐怖であり、外科治療の、より低い有用性を導く。
【0010】
発作間欠期iEEGデータからEZを判定する提案された計算方法の大部分は、提案された方法がiEEGネットワークの内部特性を捉えることができないので、臨床的にアノテートされたEZに相関する客観的なEEG量を見つけることに一貫性を欠く。提案されたアルゴリズムは、(i)個々のチャネル又はノードからEEG特徴量を計算し(例えば、所与の周波数帯域のスペクトルパワー)、したがって、チャネル間の依存性を無視するか、或いは(ii)ネットワークベースの測定を適用し、対象EEG窓におけるペアの依存性を捉えるかのいずれかである。具体的には、EEGチャネルの各ペア間の相関性又はコヒーレンスは、計算され、隣接行列に整理され、隣接行列上で、要約統計量は、導き出され、次数分布及びノード中心性のバリエーションを含む。そのようなネットワークベースの測定は、iEEGネットワークにおけるEZの役割の十分に定式化された仮説に基づいておらず、さらに悪いことに、多くの異なるネットワーク(隣接行列)は、同一の要約統計量を有し得る。したがって、そのような測定の解釈は、曖昧である。
【0011】
1,000件を超える発行された研究において提案され、報告されている良く知られているEEGマーカは、高周波振動(HFO)である。HFOは、個々のiEEGチャネルで発生する自発的なイベントであり、バックグラウンド信号から明確に際立ち、リップル(80-250Hz)、高速リップル(250-500Hz)、及び超高速リップル(>500Hz)の3つのカテゴリに分けられる。てんかんに関して、後ろ向き研究は、高いレートのHFOを発生する切除された脳領域が、良い術後結果につながり得ることを示唆した。2015年に報告されたメタアナリシスは、切除された高いHFOの発生領域を有する患者が、それらの領域が切除されなかった患者と比較して、より良い術後の発作結果を提示したか否かを調査した。顕著な効果は、多いリップル数又は高速リップルのいずれかが提示された切除された領域に関して見出されたが、効果量は、小さく、少数の研究しか、選択基準を満たさなかった。さらに、いくつかの研究はまた、マーカとしてのHFOの再現性及び信頼性に疑問を呈しており、また、生理的な非てんかんHFOが存在し、その存在は、臨床的に関連する病的HFOから非てんかんHFOを解き放つことが依然として未解決問題であるので、課題であることに留意する。同様の決定的でない結果は、HFOの完成された前向き研究において保持する。2017年、更新されたコクランレビューは、てんかん手術の意思決定に関するHFOの臨床的価値を調査した。当時、2つの前向き研究のみが、特定され、レビューは、EZのマーカとしてのHFOの臨床的価値に関して、任意の信頼できる結論を可能にするのに十分なエビデンスは今までのところないことを結論付けた。今日、5つの治験は、募集中、招待による登録、又は登録はしていないが活動中のいずれかとして、clinicaltrials.gov上で、外科手術計画に関してHFOを使用するものとして掲載されているが、どれも結果を報告していない。
【発明の概要】
【0012】
第1の実施形態では、機械実装方法は、てんかんと診断された人の脳内の治療に関して、てんかん原性領域を特定するために提供される。動的ネットワークモデルは、各複数の連続する予め定義された時間窓間に、脳の各ノードをモニタリングすることによって生成された発作間欠期データから形成されたニューラル状態ベクトルに基づいて、状態遷移行列によってパラメータ化される。ノードの各々は、モニタリングされる脳のそれぞれの領域に対応する。各状態遷移行列に関して、対応するノードのネットワークへの影響スコア及び対応するノードのネットワークによる影響スコアは、各ノードに関して計算される。対応するノードのネットワークへの影響スコアは、それぞれのノードが複数のノードの各々に関してどれだけ影響力があるかを示し、ノードのネットワークによる影響スコアは、それぞれのノードが残りのネットワークノードによって影響される量を示す。各状態遷移行列に関して、シンクインデックスと、ソース影響インデックスと、シンク接続性インデックスとは、各ノードに関して計算される。各ノードのシンクインデックスは、ノードの2次元表現の行及び列のうちの1つが、ノードのネットワークへの影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置され、ノードの2次元表現の行及び列のうちのもう1つが、ノードのネットワークによる影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置されるとき、各ノードが理想シンクからどれくらい離れているかを示す。各ノードのソース影響インデックスは、全てのノードによる、各ノードのソースインデックスによって重み付けされたそれぞれノードへの影響の合計に基づいている。各ノードのシンク接続性インデックスは、全てのノードによる、各ノードのシンクインデックスによって重み付けされたそれぞれのノードへの影響の合計に基づいている。各ノードのスコアは、それぞれのノードのソース影響インデックスと、シンクインデックスと、シンク接続性インデックスとに基づいて計算される。てんかん原性領域にあるノードは、全ての状態遷移行列上のノードの各々の計算されたスコアに基づいて判定される。てんかん原性領域にあると判定されたノードの表示は、臨床医がてんかん原性領域に関与する外科治療を計画するために提供される。
【0013】
第2の実施形態では、臨床医が、患者を、てんかんを有すると診断するのを支援するためのコンピューティングデバイスは、提供される。コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに接続されたメモリとを含む。少なくとも1つのプロセッサは、方法を実行するように構成されている。構成によれば、動的ネットワークモデルは、連続する予め定義された時間窓間に、脳の各ノードを非侵襲的にモニタリングすることによって生成された発作間欠期データから形成されたニューラル状態ベクトルに基づいて、状態遷移行列によってパラメータ化される。ノードの各々は、モニタリングされる脳のそれぞれの領域に対応する。状態遷移行列の各々に関して、ノードのネットワークへの影響スコア及びノードのネットワークによる影響スコアはそれぞれ、各ノードに関して計算される。ノードのネットワークへの影響スコアは、それぞれのノードがノードの各々に関してどれだけ影響力があるかを示す。ノードのネットワークによる影響スコアは、それぞれのノードがノードによって影響される量を示す。各予め定義された時間窓に対応する各状態遷移行列に関して、各ノードのそれぞれのスコアは、各予め定義された時間窓の各ノードのそれぞれのスコアを生成するために、状態遷移行列に基づいて、それぞれのノードのシンクインデックスと、それぞれのノードのソース影響インデックスと、それぞれのノードのシンク接続性インデックスとの関数として計算される。各ノードのシンクインデックスは、ノードの2次元表現の行及び列のうちの1つが、ノードのネットワークへの影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置され、ノードの2次元表現の行及び列のうちのもう1つが、ノードのネットワークによる影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置されるとき、各ノードが理想シンクからどれくらい離れているかを示す。各ノードのソース影響インデックスは、全てのノードによる、それぞれのノードのソースインデックスによって重み付けされたそれぞれのノードへの影響の合計に基づいている。各ノードのシンク接続性インデックスは、全てのノードによる、それぞれのノードのシンクインデックスによって重み付けされたそれぞれのノードへの影響の合計に基づいている。各ノードの平均スコアは、各状態遷移行列上のノードの各々の計算されたスコアに基づいて計算される。複数のノードの各々の平均スコアは、正規化される
1/Nよりも大きい平均スコアを有するノードの数は、カウントされ、Nは、ノードの総数である。ノードの数のカウントがノードの総数の予め定義された割合よりも大きいとき、てんかんは示される。ノードの数のカウントがノードの総数の予め定義された割合以下であるとき、健康な脳は示される。
【0014】
第3の実施形態では、てんかんと診断された人の脳内のてんかん原性領域を特定するための、格納されたコンピュータ命令を有する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、提供される。コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、コンピューティングデバイスは、方法を実行するように構成されている。構成によれば、動的ネットワークモデルは、各連続する予め定義された時間窓間に、脳の各ノードの侵襲的モニタリングによって生成された発作間欠期データから形成されたニューラル状態ベクトルに基づいて、状態遷移行列によってパラメータ化される。ノードの各々は、脳のそれぞれの領域に埋め込まれたそれぞれのプローブに対応する。シンクインデックスと、ソース影響インデックスと、シンク接続性インデックスとは、ノードの各々に関して計算される。各ノードのシンクインデックスは、ノードの2次元表現の行及び列のうちの1つが、ノードのネットワークへの影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置され、ノードの2次元表現の行及び列のうちのもう1つが、ノードのネットワークによる影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置されるとき、各ノードが理想シンクからどれくらい離れているかを示す。各ノードのソース影響インデックスは、全てのノードによる、各ノードのソースインデックスによって重み付けされたそれぞれのノードへの影響の合計に基づいている。各ノードのシンク接続性インデックスは、複数のノードによる、各ノードのシンクインデックスによって重み付けされた各ノードへの影響の合計に基づいている。各ノードのスコアは、状態遷移行列上の各ノードの、シンクインデックスの平均と、ソース影響インデックスの平均と、シンク接続性インデックスの平均との関数として計算される。てんかん原性領域にあるノードは、各ノードの計算されたスコアに基づいて判定される。てんかん原性領域における判定されたノードの表示は、臨床医がてんかん原性領域に関与する外科治療を計画するために提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、様々な実施形態が動作し得る例示的な環境を示す。
【
図2】
図2は、
図1によって示される例示的な環境におけるサーバ又はコンピューティングデバイスを実装し得る処理デバイスの例示的なダイアグラムである。
【
図3】
図3は、患者の脳の異なる領域に配置された監視ノード(すなわち、電極のチャネル)を含み、複数のニューラル状態ベクトル(各予め定義された時間窓のノードにつき1つのニューラル状態ベクトル)を含む発作間欠期iEEGデータを生成し、そこから動的ネットワークモデル(DNM)が導出され得る例示的なワークフローを示す。
【
図4】
図4は、NノードiEEGネットワークにおける4つのノードの一例を示し、そのうちの1つは、他のノードに影響するソースノードであり、そのうちのもう1つは、ソースノードによって非常に影響されるシンクノードであると判定される。
【
図5】
図5は、NノードiEEGネットワークにおけるノードの例示的な2次元表現を示し、列は、ノードによる各ノードへの影響に従ってランク付けされ、行は、ノードによるそれぞれのノードへの影響に従ってランク付けされる。
【
図6】
図6は、ノード間の影響関係に基づいて、てんかん原性領域にあるノードを判定するための例示的な処理のフローチャートである。
【
図7】
図7は、ノード間の影響関係に基づいて、成功した外科手術結果の確率を推定するモデルを訓練するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図8】
図8は、複数の連続する時間窓にわたるiEEGネットワークにおけるノード間の影響関係に基づいて、色によって、それぞれのノードのスコア範囲を示すヒートマップを生成するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(用語の定義)
ノードのネットワークへの影響スコア(Node Influence-To-Network Score):ノードのネットワークへの影響スコアは、状態遷移行列のノードの各々に関して計算され得る。例えば、状態遷移行列Aの各列が、発作間欠期頭蓋内EEG(iEEG)ネットワークにおけるそれぞれのノードによる、残りのネットワークノードへの影響を表す値を有し、A行列の各行が、それぞれのノードがiEEGネットワークにおける残りのノードによって影響される量を表す値を有する実施形態では、ノードiの、ノードのネットワークへの影響スコアは、
【数1】
に従って、Nノードネットワークの各状態遷移行列に関して計算され得る。
【0017】
ノードのネットワークによる影響スコア(Node Influenced-By-Network Score):ノードのネットワークによる影響スコアは、状態遷移行列のノードの各々に関して計算され得る。例えば、状態遷移行列Aの各列が、それぞれのノードによる、発作間欠期頭蓋内EEG(iEEG)ネットワークにおける各残りのノードへの影響を表す値を有し、A行列の各行が、それぞれのノードがiEEGネットワークにおける残りのノードによって影響される量を表す値を有する実施形態では、ノードiの、ノードのネットワークによる影響スコアは、
【数2】
に従って、Nノードネットワークの各状態遷移行列に関して計算され得る。
【0018】
シンクインデックス:各ノードのシンクインデックスは、ノードの2次元表現の行及び列のうちの1つが、ノードのネットワークへの影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置され、ノードの2次元表現の行及び列のうちのもう1つが、ノードのネットワークによる影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置されるとき、各ノードが理想シンクからどれくらい離れているかを示す。ノード又はチャネルiのシンクインデックスは、以下に従って計算され得る。
【数3】
【0019】
ソースインデックス:各ノードのソースインデックスは、ノードの2次元表現の行及び列のうちの1つが、ノードのネットワークへの影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置され、複数のノードの2次元表現の行及び列のうちのもう1つが、ノードのネットワークによる影響スコアに関して各ノードのランクに従って配置されるとき、各ノードが理想ソースからどれくらい離れているかを示す。ソースインデックスは、以下に従って計算され得る。
【数4】
【0020】
ソース影響インデックス:ソース影響インデックスは、ソースがノード又はチャネルiにどれだけ影響するかを定量化する。ソース影響インデックスは、以下に従って計算され得る。
【数5】
ここで、wは、時間窓である。高いソース影響は、ノード又はチャネルiが発作間欠期動的ネットワークモデル(DNM)において、強い影響をソースから受けたことを示唆する。
【0021】
シンク接続性インデックス:シンク接続性インデックスは、トップシンクからノード又はチャネルiへの接続の強さを定量化する。シンク接続性インデックスは、以下に従って計算され得る。
【数6】
ここで、wは、時間窓に言及する。
【0022】
(実施形態の説明)
様々な実施形態では、動的ネットワークモデル(DNM)の予測力は、収集されたiEEGデータを活用し、EZを局在化するのを支援する。DNMは、あらゆるチャネル又はノードが、あらゆる他のチャネル又はノードと動的に相互作用する方法を捉える生成的モデルである。発作間欠期iEEGデータに基づくDNMは、脳の各観測領域、すなわち、iEEGコンタクト信号又はノードが、自発的な神経活動中に他の領域と相互作用する方法を数学的に記述する線形時変(LTV)DNMの形態をとる。LTV DNMは、iEEGデータの予め定義された等しい連続する時間窓において導出された線形時不変(LTI)DNMのシーケンスを結合することによって構築され得る。一実施形態では、予め定義された等しい連続する時間窓は、以下の形態で500ミリ秒の窓である。
【数7】
【0023】
図1は、様々な実施形態が動作し得る例示的な環境100を示す。てんかんと診断された患者102の脳の発作間欠期データの侵襲的或いは非侵襲的モニタリングは、サーバ104に記録され得る。モニタリングは、iEEG、又は、脳の電気信号又は磁場を記録する任意の他の方法を介して実行され得る。サーバ104は、単一のサーバ又はサーバファームとして構成されている複数のサーバを含み得る。コンピューティングデバイス106は、ネットワーク108を介して、記録された発作間欠期データをサーバ104から受信することができ、発作間欠期データを解析し、ソースであるノードと、シンクである他のノードと、EZにあると判定されるノードとを判定することができる。いくつかの実施形態では、ネットワーク108は、サーバ104とコンピューティングデバイス106との間の直接的な有線又は無線接続を含んでもよい。他の実施形態では、ネットワーク108は、例えば、パケット交換ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、ならびに他のタイプのネットワークなどの、単一のネットワーク、又は複数のネットワークのうちの1つのネットワークを含んでもよい。サーバ104及びコンピューティングデバイス106は、ネットワーク108への有線又は無線接続を有してもよい。
【0024】
図2は、サーバ104及び/又はコンピューティングデバイス106の任意を実装し得る例示的なコンピューティングシステム200を示す。コンピューティングシステム200は、汎用コンピューティングデバイスの形態で示される。コンピューティングシステム200のコンポーネントは、1つ又は複数の処理ユニット216と、システムメモリ228と、システムメモリ228を含む様々なシステムコンポーネントを1つ又は複数の処理ユニット216に結合するバス218とを含み得るが、それらに限定されない。
【0025】
バス218は、メモリバス又はメモリコントローラと、周辺バスと、加速グラフィックスポートと、様々なバスアーキテクチャの任意を使用するプロセッサ又はローカルバスとを含む、いくつかのバス構造タイプのうちの任意の1つ又は複数を表す。そのようなアーキテクチャは、インダストリスタンダードアーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、拡張ISA(EISA)バス、ビデオエレクトロニクススタンダーズアソシエーション(VESA)ローカルバス、及びペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バスを含み得るが、それらに限定されない。
【0026】
コンピューティングシステム200は、様々な非一時的コンピュータシステム可読媒体を含むことができ、コンピューティングシステム200によってアクセス可能な任意の利用可能な非一時的媒体であり得る。コンピュータシステム可読媒体は、揮発性及び不揮発性の非一時的媒体、ならびに取り外し可能及び取り外し不可能な非一時的媒体を含み得る。
【0027】
システムメモリ228は、ランダムアクセスメモリ(RAM)230及びキャッシュメモリ234などの、非一時的揮発性メモリを含み得る。システムメモリ228はまた、リードオンリーメモリ(ROM)232及びストレージシステム236を含むが、それらに限定されない非一時的不揮発性メモリを含み得る。ストレージシステム236は、ハードドライブ又はセキュアデジタル(SD)カードを含み得る、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体からの読み取りと、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体への書き込みとのために提供され得る。さらに、示されないが、磁気ディスクドライブは、例えば、フロッピーディスクなどの、取り外し可能な不揮発性磁気ディスクからの読み取りと、取り外し可能な不揮発性磁気ディスクへの書き込みとのために提供され、光ディスクドライブは、CD-ROM、DVD-ROM又は他の光媒体などの取り外し可能な不揮発性光ディスクからの読み取りと、取り外し可能な不揮発性光ディスクへの書き込みとのために提供され得る。各メモリデバイスは、少なくとも1つのデータ媒体インタフェースによってバス218に接続され得る。さらに、システムメモリ228は、本発明の実施形態の機能を実行するようにコンピューティングシステム200を構成している処理ユニット216の命令を含み得る。例えば、システムメモリ228はまた、オペレーティングシステム、少なくとも1つのアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、プログラムデータ、及びネットワーク環境の実装のプロセッサ命令を含み得るが、それらに限定されない。
【0028】
コンピューティングシステム200は、1つ又は複数のディスプレイと、キーボードと、ポインティングデバイスと、スピーカと、ユーザがコンピューティングシステム200と相互作用することを可能にする少なくとも1つのデバイスと、コンピューティングシステム200が1つ又は複数の他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にするネットワークカード、モデムなどを含むが、それらに限定されない任意のデバイスとを含むが、それらに限られない、1つ又は複数の外部デバイス214と通信し得る。通信は、入出力(I/O)インタフェース222を介して発生し得る。コンピューティングシステム200は、ネットワークアダプタ220を介して、ローカルエリアネットワーク(LAN)、一般的なワイドエリアネットワーク(WAN)、パケット交換データネットワーク(PSDN)、及び/又は、例えば、インターネットなどのパブリックネットワークを含むが、それらに限定されない1つ又は複数のネットワークと通信し得る。描かれるように、ネットワークアダプタ220は、バス218を介して、コンピューティングシステム200の他のコンポーネントと通信する。
【0029】
示されないが、他のハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントが、コンピューティングシステム200と併用して使用され得ることを理解されたい。例は、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長処理ユニット、外部ディスクドライブアレイ、RAIDシステム、テープドライブ、及びデータアーカイブストレージシステムなどを含むが、それらに限定されない。
【0030】
図3は、様々な実施形態の例示的なワークフローを示す。ワークフローは、監視ノード(すなわち、チャネルコンタクト)300の記録結果を受信するコンピューティングデバイスを含み、
図3に示されるように、監視ノード300は、n個の複数の等しい連続する所定の時間窓t
1-t
nのシーケンス中の各ノード(8ノードネットワークにおけるノードx
1-x
8)に関する行の値として、複数のニューラル状態ベクトル310を含む。等しい連続する所定の時間窓は各々、500ミリ秒、1秒、又は別の適切な時間の長さであってもよい。各等しい所定の時間窓におけるノードの各々のニューラル状態ベクトルは、それぞれのA行列320の形態で示される複数の状態遷移行列としてパラメータ化されてもよく、状態遷移行列は、DNMを推定する。DNMは、生成的であり、経時的なiEEG時系列データをシミュレートし得る。
【0031】
【0032】
他の実施形態では、A行列の各列は、それぞれのノードによる、iEEGネットワークにおける各ノードへの影響を表す値を有し、A行列の各行は、iEEGネットワークにおける各ノードによる、それぞれのノードへの影響を表す値を有する。
【0033】
様々な実施形態では、記録された発作間欠期iEEGからパラメータ化されたLTV DNMは、iEEGネットワークにおける2つのノードグループを特定するために使用されてもよい。2つのノードグループは、隣接するノードを継続的に抑制しているノード(ソースノードとして示される)と、ソースノードによって抑制されているノード(シンクノードとして示される)とである。
【0034】
図4は、nノードネットワークの4つのノードを示す。ノード3は、全てのノード、特にノード2に対して非常に影響力があるので、ソースノードである。一方、ノード2は、ネットワークにおけるノード3を含む、他のノードによって非常に影響され、必ずしも他のノードに影響しないので、シンクノードである。
【0035】
図5は、ノードの2次元表現であり、縦軸と位置合わせされた各ノードの位置が、ノードのネットワークへの影響スコアに関してそれぞれのノードのランキングを示し、横軸と位置合わせされた各ノードの位置が、ノードのネットワークによる影響スコアに関してそれぞれのノードのランキングを示す。したがって、
図5の左上部分の第1の星は、理想ソースノードの位置を示し、ソースノードは、他のノードへのその影響に関して高いランキングを有し、他のノードによって影響されることに関して低いランキングを有し、
図5の右下部分の第2の星は、理想シンクノードの位置を示し、シンクノードは、他のノードによって影響されることに関して高いランキングを有し、他のノードに影響することに関して低いランキングを有する。この例示的な2次元表現では、ソースノードは、左上部分に配置される傾向にあり、シンクノードは、2次元表現の右下部分に配置される傾向にある。
図5に示されるように、理想シンクノードは、他のノードへのその影響に関して最も低いランキングを有し、他のノードによって影響されることに関して最も高いランキングを有する。理想ソースノードは、他のノードへのその影響に関して最も高いランキングを有し、他のノードによって影響されることに関して最も低いランキングを有する。
【0036】
他の実施形態では、縦軸と位置合わせされた各ノードの位置は、他のノードによって影響されることに関してそれぞれのノードのランキングを示し、横軸と位置合わせされた各ノードの位置は、他のノードへのその影響に関してそれぞれのノードのランキングを示す。
【0037】
図6は、様々な実施形態でのコンピューティングデバイス106によって実行され得るプロセスのフローチャートである。プロセスは、患者の脳に埋め込まれた複数のコンタクト又はノードによって記録された発作間欠期iEEGデータにアクセスし、或いは取得することによって開始し得る(act602)。各連続する等しい時間窓に関して、LTV DNMは、各連続する等しい時間窓間の各ノードのiEEGデータから導出されたニューラル状態遷移ベクトルからパラメータ化されることができ(act604)、それによって、A行列(すなわち、状態遷移行列)を形成する。
【0038】
ノードのネットワークへの影響スコア及びノードのネットワークによる影響スコアは、各状態遷移行列のノードの各々に関して計算され得る(act606)。例えば、状態遷移行列Aの各列が、iEEGネットワークにおけるそれぞれのノードによる、残りのノードへの影響を表す値を有し、A行列の各行が、それぞれのノードがiEEGネットワークにおける残りのノードによって影響される量を表す値を有する実施形態では、ノードiの、ノードのネットワークへの影響スコアは、
【数8】
に従って、Nノードネットワークの各状態遷移行列に関して計算されることができ、ノードiの、ノードのネットワークによる影響スコアは、
【数9】
に従って、各状態遷移行列に関して計算されることができる。
【0039】
次に、
図5に関して先に議論されたように、ノードの2次元表現は、各状態遷移行列に関して作成されることができ(act608)、シンクインデックスは、各状態遷移行列に関するノードの各々に関して計算され得る(act610)。シンクインデックスは、ノードが、ノードの2次元表現上の理想シンクノードの位置にどれくらい近いかを捉え得る。シンクインデックスがノードに関して大きいほど、ノードがシンクノードである可能性が高い。様々な実施形態では、各状態遷移行列のノードiのシンクインデックスは、以下に従って計算され得る。
【数10】
【0040】
シンクインデックスと同様に、ソースインデックスは、チャネルが理想ソース(r=1/N、c=1)
にどれくらい近いかを捉える。ソースインデックスは、以下のように計算され得る。
【数11】
ソースインデックスが大きいほど、チャネルiがソースである可能性が高い。
【0041】
次に、ソース影響インデックスは、各状態遷移行列のノードの各々に関して計算され得る(act612)。ソース影響インデックスは、ネットワークにおける全てのノードによる、各ノードのソースインデックスによって重み付けされたそれぞれのノードへの影響の合計を捉える。ソース影響インデックスの値がそれぞれのノードに関して高いほど、ソースノードがそれぞれのノードに、より多く影響する。例えば、それぞれの状態遷移行列のノードiのソース影響インデックスは、
【数12】
【0042】
シンク接続性インデックスは、各状態遷移行列のノードの各々に関して計算され得る(act614)。時間窓wのそれぞれの状態遷移行列のノードiのシンク接続性インデックスは、以下に従って計算され得る。
【数13】
【0043】
ノードの各々のスコアは、状態遷移行列上の各ノードの、ソース影響インデックスと、シンク接続性インデックスと、シンクインデックスとの平均値に基づいて計算され得る(act616)。いくつかの実施形態では、ノードiのソース-シンクインデックススコアは、ノードiの、平均ソース影響インデックスと、平均シンク接続性インデックスと、平均シンクインデックスとの関数(例えば、積)として計算されてもよい。次いで、どのノードがEZに含まれるかは、ノードのスコアに基づいて判定され得る(act618)。例えば、高いスコア閾値よりも大きいスコアを有するノードは、EZに位置すると判定されてもよい。いくつかの実施形態では、高いスコア閾値は、上位の予め定義された割合よりも大きいスコアを有するノードがEZに位置すると判定され得るように設定されてもよい。様々な実施形態では、例えば、高いスコア閾値は、上位5%、上位10%、5%-10%間の割合値、又は別の割合に設定されてもよい。
【0044】
次いで、コンピューティングデバイス106は、どのノードがEZに位置するかの表示を提供し得る(act620)。表示は、ディスプレイ画面上に提示されてもよく、レポートに印刷されてもよく、スピーカを介してコンピュータ生成音声で発表されてもよく、或いはいくつかの他の方法で提供されてもよい。
【0045】
様々な実施形態では、モデルは、訓練され、成功した結果の
を予測してもよい。
図7は、そのようなモデルを訓練し、使用し、成功した結果の確率を予測するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。プロセスは、例えば、コンピューティングデバイス106などのコンピューティングデバイスが、複数の患者に関連した、ラベル付けされ、アノテートされた訓練データを受信することから開始し得る(act702)。訓練データは、患者の各々に関して臨床的にアノテートされ、且つ/或いはラベル付けされたiEEGデータを含み得る。患者の各々に関して、ノードは、発作起始領域(SOZ)、早期伝播領域(EPZ)にあるとして、或いはその他としてラベル付けされ得る。SOZにあるとしてラベル付けされたノードは、発作時(発作)イベント中に最も早い電気生理学的変化を示し、概して、発作の臨床的起始に先行する。EPZにあるとしてラベル付けされたノードは、発作時イベント中に最も早く臨床的(症候的)兆候時期に関与される。臨床的にアノテートされたEZは、てんかん様活動を永久に停止するために、治療(切除又はアブレート)されるべき解剖学的領域である。臨床的にアノテートされたEZは、SOZとEPZとの組み合わせとして定義される。成功した結果は、術後12ヶ月を超えて、発作がない、或いはほぼ発作がないとして定義される。
【0046】
予測モデル(例えば、ロジスティック回帰モデル)は構築され、成功した外科手術結果の
を推定し得る(act704)。いくつかの実施形態では、以下のように、
は、多数の患者の訓練データセットに基づいて、シンクインデックス及びソース影響インデックスの関数として推定されてもよい。
【数14】
【0047】
いくつかの他の実施形態では、予測モデル(例えば、ロジスティック回帰モデル)は、構築され、以下のように、
【数15】
【0048】
【0049】
いくつかの実施形態では、ヒートマップは、生成されて提示されてもよい。ヒートマップは、各ノードをそれぞれの行として表し、各所定の連続する時間窓を列として表してもよい。行と列との交点でのセルは、(列に基づく)特定の時間窓で、(行に基づく)特定のノードに対応する。前述されたように、スコアは、各時間に各ノードに関して計算されてもよい。色は、対応するノード及び時間窓のスコアを含む特定のスコア範囲に基づいて、各セルに割り当てられてもよい。
図8は、ヒートマップを生成して提示するために、コンピューティングデバイス106上で実行され得る例示的なプロセスのフローチャートである。
【0050】
図8のプロセスは、第1の予め定義された時間窓に対応する第1の状態遷移行列を処理することによって開始し得る(act802)。それぞれのスコアは、それぞれの時間窓の各ノードに関して計算され得る(act804)。例えば、ノードのネットワークへの影響スコア及びノードのネットワークによる影響スコアは、それぞれの時間窓に対応する状態遷移行列に基づいて、ノードの各々に関して計算され得る。ノードのネットワークへの影響スコア及びノードのネットワークによる影響スコアに基づいて、シンクインデックススコアと、ソース影響インデックススコアと、シンク接続性インデックススコアとは、各ノードに関して計算され得る。いくつかの実施形態では、ソース-シンクインデックススコアは、シンクインデックスと、ソース影響インデックスと、シンク接続性インデックスとを(例えば、乗算することによって)関数として計算されてもよい。それぞれの時間窓スコアに対応する色は、各スコアが含まれる対応するスコア範囲に基づいて、各セルに割り当てられ得る(act806)。
【0051】
全てのノードが色を時間窓に割り当てられた後、判定は、最終の時間窓が処理されたか否かに関して行われ得る(act808)。最終の時間窓が処理されなかった場合、act804-808は、次の時間窓における時間窓スコアを計算し、時間窓スコアに対応する色を割り当てるために再び実行され得る。
【0052】
act808中、最終の時間窓が処理された場合、ヒートマップは、生成されて提示される(act810)。ヒートマップは、ディスプレイ画面上に提示されることと、印刷されることと、ファイルとして生成されることと、電子メールへの添付ファイルとして送信されることとを含むが、それらに限定されない多数の方法の任意で提示されてもよい。
【0053】
実施形態は、患者が、各連続する予め定義された時間窓間に、患者の脳の各ノードの非侵襲的モニタリングに基づいて、てんかんを有するか否かを判定し、発作間欠期データを生成してもよい。ノードの各々は、モニタリングされる脳のそれぞれの領域に対応する。非侵襲的モニタリングは、頭皮上EEG、機能的磁気共鳴画像(FMRI)、脳磁図、又は他の非侵襲的方法を含むが、それらに限定されない。DNMは、各連続する予め定義された時間窓間に、非侵襲的モニタリングによって生成された発作間欠期データから形成された複数のニューラル状態ベクトルに基づいて、複数の状態遷移行列によってパラメータ化されてもよい。前述されたように、コンピューティングデバイスは、各状態遷移行列に関して計算されてもよく、各ノードの、ノードのネットワークへの影響スコアは、それぞれのノードが発作間欠期ネットワークにおけるノードの各々に関してどれだけ影響力があるかを示す。各状態遷移行列に基づいて、コンピューティングデバイスは、各ノードの、ノードのネットワークによる影響スコアを計算してもよく、ノードのネットワークによる影響スコアは、それぞれのノードが対応する時間窓間に発作間欠期ネットワークのノードによって影響される量を示す。
【0054】
コンピューティングデバイスは、複数の状態遷移行列に基づいて、各ノードのそれぞれの平均スコアを計算してもよい。それぞれの平均スコアは、複数の状態遷移行列に基づいて、それぞれのノードの平均ソース影響インデックスと、それぞれのノードの平均シンクインデックスと、それぞれのノードの平均シンク接続性インデックスとを(例えば、乗算することによって)関数として計算され、各ノードのそれぞれのスコアを生成してもよい。次いで、コンピューティングデバイスは、全ての平均スコアの合計が1に等しくなるように、全ての平均スコアを正規化してもよい。次に、コンピューティングデバイスは、1/Nよりも大きい平均スコアを有するノードの数をカウントしてもよく、ここで、Nは、ノードの総数である。カウントがNの予め定義された割合(例えば、30%)よりも大きい場合、てんかんの診断は示される。健康な脳は、カウントがNの予め定義された割合以下であるとき、示される。コンピューティングデバイスは、脳がてんかんの脳として診断されるか、或いは健康な脳として診断されるかの表示を提示してもよい。表示は、ディスプレイ画面上に表示されてもよく、レポートに印刷されてもよく、電子メールを介して送信されてもよく、或いは別の方法を介して提供されてもよい。
【0055】
ヒートマップを生成して表示する実施形態では、ヒートマップにおける色の分布は、脳が健康な脳であるか、或いはてんかんの脳であるかを示してもよい。
【0056】
平均的な外科手術の成功率は、標準治療を介して、おおよそ50%である。成功した外科手術結果の確率
に基づく予測は、65人の患者(成功28人及び失敗37人)のデータセットに適用されるとき、約73±4.7%の確率で正確であった。典型的に、成功した結果は、トップソースノードがトップシンクノードを指し、シンクノードは、高い接続性を有した。これに対して、失敗した結果は、トップソースノードがトップシンクノードと他の非シンクノードとの両方を指し、シンクノードは、互いと、ならびにトップソースノードが影響する他の非シンクノードと高い接続性を有した。
【0057】
様々な実施形態は、標準的なケア方法よりも多くの利点を提供した。その利点は、脳の異なる領域における活動の侵襲的頭蓋内モニタリングの大幅に短い時間の長さを含み、それによって、感染のリスクを軽減し、入院期間を短縮する。さらに、発作間の脳の活動をモニタリングすることによって、より一貫した客観的な結果は、提供される。さらに、より正確で、より焦点で、制限された外科的切除は、現在はほとんど無視されたiEEGデータからの新しい情報によって提供される。最後に、様々な実施形態は、介護者が、EEG記録をより良く解釈することを可能にする。
【0058】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためであり、本発明の限定を意図しない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、同様に複数形を含むことを意図する。用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」、「有する(with)」などが、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除しないことをさらに理解されるであろう。
【0059】
以下の特許請求の範囲における全ての手段又はステッププラスファンクション要素の対応する構造、材料、行為、及び均等物は、具体的に請求された他の請求された要素との組み合わせで機能を実行するための任意の構造、材料、又は行為を含むことを意図する。本発明の説明は、例示及び説明の目的のために提示されたが、開示された形態で本発明を網羅すること、又は本発明に限定されることを意図しない。多くの修正及び変更は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者にとって明らかであろう。実施形態は、本発明の原理及び実用化を最も良く説明するために、また、当業者である他人が、企図される特定の使用に適するように様々な修正を有する様々な実施形態に関して本発明を理解することを可能にするために、選択され、説明された。
【0060】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的のために提示されたが、開示された実施形態を網羅すること、又は実施形態に限定されることを意図しない。多くの修正及び変更は、説明された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者にとって明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、従来技術に対する実用化又は改善、又は当業者が本明細書に開示された実施形態を理解することを可能にすることを最も良く説明するために選択された。
【0061】
本発明の態様は、本発明の実施形態による機能を実行するための方法、装置(システム)、及び格納された命令を有するコンピュータ可読ストレージデバイスのフローチャート図及び/又はブロックダイアグラムを参照して、本明細書で説明される。フローチャート図及び/又はブロックダイアグラムの各ブロックと、フローチャート図及び/又はブロックダイアグラムのブロックの組み合わせとは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得ることを理解されるであろう。フローチャート又はブロックダイアグラムの各ブロックは、明示された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能な命令を含む、命令のモジュール、セグメント、又は一部分を表してもよい。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに言及された機能は、図に言及された順序から外れて発生してもよい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、或いは、ブロックは時々、関与する機能性に依存して、逆の順序で実行されてもよい。また、ブロックダイアグラム及び/又はフローチャート図の各ブロックと、ブロックダイアグラム及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせとは、明示された機能又は行為を実行し、或いは特別な目的のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する特別な目的のハードウェアベースのシステムによって実装され得ることに留意されたい。
【0062】
本発明の態様は、本発明の実施形態による機能を実行するための方法、装置(システム)、及び格納された命令を有するコンピュータ可読ストレージデバイスのフローチャート図及び/又はブロックダイアグラムを参照して、本明細書で説明される。フローチャート図及び/又はブロックダイアグラムの各ブロックと、フローチャート図及び/又はブロックダイアグラムのブロックの組み合わせとは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得ることを理解されるであろう。フローチャート又はブロックダイアグラムの各ブロックは、明示された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能な命令を含む、命令のモジュール、セグメント、又は一部分を表してもよい。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに言及された機能は、図に言及された順序から外れて発生してもよい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、或いは、ブロックは時々、関与する機能性に依存して、逆の順序で実行されてもよい。また、ブロックダイアグラム及び/又はフローチャート図の各ブロックと、ブロックダイアグラム及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせとは、明示された機能又は行為を実行し、或いは特別な目的のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する特別な目的のハードウェアベースのシステムによって実装され得ることに留意されたい。
【0063】
本発明の態様は、本発明の実施形態による機能を実行するための方法、装置(システム)、及び格納された命令を有するコンピュータ可読ストレージデバイスのフローチャート図及び/又はブロックダイアグラムを参照して、本明細書で説明される。フローチャート図及び/又はブロックダイアグラムの各ブロックと、フローチャート図及び/又はブロックダイアグラムのブロックの組み合わせとは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得ることを理解されるであろう。フローチャート又はブロックダイアグラムの各ブロックは、明示された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能な命令を含む、命令のモジュール、セグメント、又は一部分を表してもよい。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに言及された機能は、図に言及された順序から外れて発生してもよい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、或いは、ブロックは時々、関与する機能性に依存して、逆の順序で実行されてもよい。また、ブロックダイアグラム及び/又はフローチャート図の各ブロックと、ブロックダイアグラム及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせとは、明示された機能又は行為を実行し、或いは特別な目的のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する特別な目的のハードウェアベースのシステムによって実装され得ることに留意されたい。
【0064】
コンピュータ又は他の処理システムの様々な機能は、任意の数のソフトウェア及び/又はハードウェアモジュール又はユニット、処理又はコンピュータシステム、及び/又は回路の間で任意の方法で分散されてもよく、コンピュータ又は処理システムは、互いにローカル或いはリモートに配置され、任意の適切な通信媒体(例えば、LAN、WAN、イントラネット、インターネット、ハードワイヤ、モデム接続、無線など)を介して通信してもよい。例えば、本発明の実施形態の機能は、様々なエンドユーザ/クライアント及びサーバシステム、及び/又は任意の他の中間処理デバイスの間で任意の方法で分散されてもよい。上述され、フローチャートに示されたソフトウェア及び/又はアルゴリズムは、本明細書で説明された機能を達成する任意の方法で修正されてもよい。さらに、フローチャート又は説明における機能は、所望の動作を達成する任意の順序で実行されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用し、電子回路を個人化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行してもよい。
【国際調査報告】