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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】血管内コイル仕様
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20231226BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20231226BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B6/00 350D
A61B17/12
A61B6/00 360Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535693
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021085698
(87)【国際公開番号】W WO2022129054
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/125,885
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サレヒ レイリ
(72)【発明者】
【氏名】シンハ アユシ
(72)【発明者】
【氏名】エレカンプ ラモン クィド
(72)【発明者】
【氏名】パンセ アシシュ サトヤヴラト
(72)【発明者】
【氏名】トポレク グジェゴジ アンドレイ
【テーマコード(参考)】
4C093
4C160
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093AA24
4C093AA25
4C093DA02
4C093FF16
4C160DD53
4C160DD63
4C160MM33
(57)【要約】
コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイルの血管内コイル仕様を提供するコンピュータ実施方法は、動脈瘤120を含む1つ又は複数のX線画像を含むX線画像データ110を、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ140、150をX線画像データ110から予測するように訓練されたニューラル・ネットワーク130、230に入力すること(S120)と、血管内コイル仕様を提供するための血管内コイル・データ140、150を出力すること(S130)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイルの血管内コイル仕様を提供するコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法が、
X線画像データを受信するステップであって、前記X線画像データが動脈瘤を含む1つ又は複数のX線画像を含む、受信するステップと、
前記動脈瘤を治療するための前記血管内コイルの血管内コイル・データを前記X線画像データから予測するように訓練されたニューラル・ネットワークに、前記X線画像データを入力するステップと、
前記血管内コイル仕様を提供するための前記血管内コイル・データを出力するステップと
を有する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記X線画像データが、1つ若しくは複数のX線透視画像、及び/又は1つ若しくは複数の造影X線画像を含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記X線画像データが、複数のX線画像を含み、前記X線画像が、(i)前記動脈瘤の複数の異なる撮影角度を含み、及び/又は(ii)前記コイル塞栓処置中の異なる時間ステップを表す、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記コンピュータ実施方法が、前記X線画像データを前記ニューラル・ネットワークに入力するステップの前に、前記動脈瘤を識別するために前記X線画像データをセグメンテーションするステップを有し、前記X線画像データを前記ニューラル・ネットワークに入力するステップが、セグメンテーションされた前記X線画像データを前記ニューラル・ネットワークに入力するステップを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記血管内コイル・データが、
前記動脈瘤を治療するための1つ又は複数の血管内コイル・パラメータ、及び/又は前記動脈瘤を治療するための前記血管内コイルの1つ又は複数の特性を含み、
1つ又は複数の前記血管内コイル・パラメータが、コイル長、コイル直径、コイル剛性、及びコイル・ループ直径からなる群から選択され、
前記血管内コイルの前記特性が、コイル種類、及びコイル材料からなる群から選択される、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記ニューラル・ネットワークが、
前記X線画像訓練データを受信するステップであって、前記X線画像訓練データが前記動脈瘤を含む1つ又は複数のX線画像を含む、受信するステップと、
前記X線画像訓練データ内の前記動脈瘤を治療するのに使用される前記血管内コイルの血管内コイル・データを表すグラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データを受信するステップと、
受信された前記X線画像データを前記ニューラル・ネットワークに入力するステップと、
前記ニューラル・ネットワークによって予測された前記血管内コイル・データと、受信された前記グラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データによって表される前記X線画像訓練データ内の前記動脈瘤を治療するために使用される前記血管内コイルの前記血管内コイル・データとの間の差異を表す損失関数に基づいて、前記ニューラル・ネットワークのパラメータを調整するステップと
によって、前記血管内コイルの前記血管内コイル・データを予測するように訓練される、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記ニューラル・ネットワークが、前記X線画像データから、及び前記X線画像データ内の前記動脈瘤を表す容積画像データから、前記動脈瘤を治療するための前記血管内コイルの前記血管内コイル・データを予測するように訓練され、前記ニューラル・ネットワークが、さらに、
前記X線画像訓練データ内の前記動脈瘤を表す容積画像訓練データを受信するステップと、
受信された前記容積画像訓練データを前記ニューラル・ネットワークに入力するステップと、
受信された前記X線画像データから、及び、受信された前記容積画像データから、前記動脈瘤を治療するための前記血管内コイルの前記血管内コイル・データを予測するステップと
によって、前記血管内コイルの前記血管内コイル・データを予測するように訓練される、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記ニューラル・ネットワークが、前記X線画像データ内の前記動脈瘤に対応する患者データから、前記動脈瘤を治療するための前記血管内コイルの前記血管内コイル・データを予測するようにさらに訓練され、前記ニューラル・ネットワークが、さらに、
前記X線画像訓練データ内の前記動脈瘤に対応する患者訓練データを受信するステップと、
受信された前記患者訓練データを前記ニューラル・ネットワークに入力するステップと、
受信された前記患者訓練データにさらに基づいて、前記動脈瘤を治療するための前記血管内コイルの前記血管内コイル・データを予測するステップと
によって、前記動脈瘤を治療するための前記血管内コイルの前記血管内コイル・データを予測するように訓練される、請求項6又は7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記ニューラル・ネットワークが、さらに、
前記グラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データを使用して前記X線画像訓練データ内の前記動脈瘤を治療した結果を表すグラウンド・トゥルース処置置結果データを受信するステップによって、前記動脈瘤を治療するための前記血管内コイルの前記血管内コイル・データを予測するようにさらに訓練され、
前記ニューラル・ネットワークの前記パラメータを調整するステップが、前記損失関数の値を減少させるステップを有し、
負の処置結果が、前記損失関数の値を増加させる、請求項6又は7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記ニューラル・ネットワークが、前記X線画像データから、前記血管内コイルの予測された前記血管内コイル・データを使用して前記コイル塞栓処置において前記動脈瘤を治療した結果の、
前記コイル塞栓処置の完了度を表す分数値と、
前記動脈瘤の破裂の危険性と、
前記動脈瘤の再疎通の危険性と、
推奨されるフォロー・アップ間隔とのうちの少なくとも1つを表す処置結果データを予測するようにさらに訓練され、
前記ニューラル・ネットワークが、
前記グラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データを使用して前記X線画像訓練データ内の前記動脈瘤を治療した結果を表すグラウンド・トゥルース処置結果データを受信するステップと、
受信された前記グラウンド・トゥルース処置結果データを前記ニューラル・ネットワークに入力するステップとによって前記処置結果データを予測するように訓練され、
前記ニューラル・ネットワークの前記パラメータを調整するステップに使用される前記損失関数が、前記ニューラル・ネットワークによって予測された前記処置結果データと、受信された前記グラウンド・トゥルース処置結果データとの間の差異にさらに基づく、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
出力された前記血管内コイル・データを複数の血管内コイルそれぞれについての血管内コイル・データのデータベースと比較するステップと、前記比較するステップに基づいて、前記コイル塞栓処置において前記動脈瘤を治療するための前記複数の血管内コイルの1つ又は複数を特定するステップとさらに有する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記ニューラル・ネットワークによって予測された前記血管内コイル・データの確信度推定値を計算するステップをさらに有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項13】
コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するシステムであって、前記システムが、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行する1つ又は複数のプロセッサを備える、システム。
【請求項14】
コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイルの血管内コイル仕様を提供するためのニューラル・ネットワークを訓練するコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法が、
X線画像訓練データを受信するステップであって、前記X線画像訓練データが、動脈瘤を含む1つ又は複数のX線画像を含む、受信するステップと、
前記X線画像訓練データ内の前記動脈瘤を治療するのに使用される前記血管内コイルの血管内コイル・データを表すグラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データを受信するステップと、
受信された前記X線画像訓練データを前記ニューラル・ネットワークに入力するステップと、前記ニューラル・ネットワークによって予測された前記血管内コイル・データと、受信された前記グラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データによって表される、前記X線画像訓練データ内の前記動脈瘤を治療するために使用される前記血管内コイルの前記血管内コイル・データとの間の差異を表す損失関数に基づいて、前記ニューラル・ネットワークのパラメータを調整するステップと
を有する、コンピュータ実施方法。
【請求項15】
1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ又は複数のプロセッサに、請求項1又は14に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様の提供に関する。コンピュータ実施方法、処理構成、システム、及びコンピュータ・プログラム製品が開示されている。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は動脈壁の脆弱な箇所に発生し、動脈の隆起又は膨張という形態で発現する。破裂の危険性がある動脈瘤には、内出血及び/又は出血性脳卒中を避けるための治療が必要である。血管内コイル塞栓術は、最低限の侵襲性で行われ、失敗率が低いので、頭蓋内脳動脈瘤の治療のための一般的処置である。この処置は、動脈瘤内血行動態、特に血流、及び動脈瘤内への血流速度を変化させるために、動脈瘤内に「コイル」を形成する変形可能ワイヤを挿入することを含む。コイルの効果は、動脈瘤壁のせん断応力を減少させ、動脈瘤内の血栓症を促進することであり、最終的には血管から動脈瘤を封鎖することができる。
【0003】
動脈瘤内の血行動態は、動脈瘤の種類、例えば、分岐の有無、血流に対する動脈瘤の位置又は角度、親血管の湾曲、動脈瘤頸部直径などの、いくつかの解剖学的要因に依存している。動脈瘤内の血行動態はコイル充填密度及び残余動脈瘤ボリュームなどの処置上の要因によっても影響される。コイル充填密度が低いと動脈瘤の再疎通及び再発をもたらし得る一方、コイル充填密度が高いと動脈瘤破裂の危険性が高まり得る。比較的小さい動脈瘤では、20~25%のコイル充填密度において再疎通が防止されると一般に認められているが、比較的大きい動脈瘤では、再疎通の危険性を低減するために30~55%の範囲のより高いコイル充填密度が必要となる。コイルの充填密度は、動脈瘤の大きさ、動脈瘤の頸部直径などの動脈瘤特性、及びコイルの種類、構造、材料、コーティング、剛性、直径などのコイルの物理的特性によって影響を受ける。
【0004】
血管内コイル・データは、従来、コイルを指定するのに使用される。血管内コイルは、通常、それらの種類、すなわちフレーミング・コイル、フィリング・コイル、フィニッシング・コイル、及びそれらの材料によって定義される。コイル塞栓処置は、動脈瘤嚢の周縁部を填塞するために1つ又は複数のフレーミング・コイルを挿入することから始まり、それによってその後のフィリング・コイルの挿入のための構造を安定させる。フィリング・コイルは、通常、比較的短くて小さく、フレーミング・コイルの内側に詰められる。最後に、治療の仕上げでフィニッシング・コイルが挿入される。フィニッシング・コイルは、一般的に、コイル種類の中で最も柔らかく、最も短い。コイルは、主に、ニチノール、プラチナ、ニッケル、イリジウム、及びタングステンなどの生体適合性のある不活性材料で作られており、様々なコーティング材料と共に利用することができる。典型的なコイル・コーティングは、裸の白金、ポリマ・コーティングされた「Matrix」、及び親水性ゲル・コーティングされた「HydroCoil」を含む。コーティング材料は動脈瘤再発に強い影響を及ぼすことがある。本明細書で使用される場合、用語「特性」は、コイルの種類とその材料を指す。
【0005】
血管内コイルは、様々な「パラメータ」によって定義されてもよい。パラメータは、コイル長、ループ直径、コイル剛性を定義している。血管内塞栓術に使用されるコイルは、ストック・ワイヤ、1次巻線、及び2次巻線を含む、様々な構造で利用可能である。柔らかく小さいコイルが、小さい動脈瘤の治療に適することが知られているが、一般的に、より硬いコイルが大きい嚢状動脈瘤に使用される。血管内コイル特性、及び血管内コイル・パラメータは、合わせて血管内コイル・データを表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、様々な動脈瘤に最適な塞栓術のための、正しい血管内コイルの指定、さらには血管内コイルの正しい組み合わせの指定は困難である。幅広い種類のコイルが利用可能である。ほとんどのコイルは球状の動脈瘤のフレームを形成するように設計されている。扁平動脈瘤に対するフレーム形成の戦略は球状動脈瘤に対するものとは著しく異なる可能性がある。動脈瘤形状とフレーム形成戦略と間の不一致の結果、動脈瘤の壁応力が増加し、動脈瘤の頸部を横切って安定したコイル・バスケットの形成が困難になり得る。これらの違い、及び特定の動脈瘤に最も適した特性についての知識は、効果的な塞栓術、及び処置結果の成功を確実にするための重要な要因である。しかしながら、この知識を構築するには、様々な血管内動脈瘤治療技法について数年間の医師経験が必要である。
【0007】
その結果、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイルを指定する改良された方法が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様によると、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイルの血管内コイル仕様を提供するコンピュータ実施方法が提供される。本方法は、
X線画像データを受信することであって、X線画像データが動脈瘤を含む1つ又は複数のX線画像を含む、受信することと、
動脈瘤を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データをX線画像データから予測するように訓練されたニューラル・ネットワークに、X線画像データを入力することと、
血管内コイル仕様を提供するための血管内コイル・データを出力することとを含む。
【0009】
本開示の第2の態様によると、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するためのニューラル・ネットワークを訓練するコンピュータ実施方法が提供される。本方法は、
X線画像訓練データを受信することであって、X線画像訓練データが、動脈瘤を含む1つ又は複数のX線画像を含む、受信することと、
X線画像訓練データ内の動脈瘤を治療するのに使用される血管内コイルの血管内コイル・データを表すグラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データを受信することと、
受信されたX線画像訓練データをニューラル・ネットワークに入力することと、ニューラル・ネットワークによって予測された血管内コイル・データと、受信されたグラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データによって表される、X線画像訓練データ内の動脈瘤を治療するために使用される血管内コイルの血管内コイル・データとの間の差異を表す損失関数に基づいて、ニューラル・ネットワークのパラメータを調整することとを含む。
【0010】
本開示のさらなる態様、特徴、及び利点は、添付図面を参照してなされる以下の実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】動脈瘤120を含む例示的なX線画像を示す図である。
図2】本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供する例示的な方法のフローチャートである。
図3】本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供する、第1の例示的なニューラル・ネットワーク130を示す概略図である。
図4】本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供する、第2の例示的なニューラル・ネットワーク130を示す概略図である。
図5】本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供する、第3の例示的なニューラル・ネットワーク230を示す概略図である。
図6】本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するニューラル・ネットワークを訓練する、例示的な方法のフローチャートである。
図7】本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するニューラル・ネットワーク130を訓練する、例示的な方法を示す概略図である。
図8】本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供する、例示的なシステム300を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施例は、以下の説明及び図を参照して提供される。発明を実施するための形態では、説明の目的で、特定の実施例の多くの具体的な詳細が記載される。本明細書における「実施例」、「実装例」、又は類似の文言に言及する場合、実施例に関連して説明される特徴、構造、又は特性が、少なくともその1つの実施例に含まれることを意味する。また、簡潔のために、ある実施例に関連して説明された特徴は、別の実施例でも使用されてよく、各実施例で全ての特徴は必ずしも重複しないことを理解されたい。例えば、コンピュータ実施方法に関連して説明された特徴は、処理構成、システム、及びコンピュータ・プログラム製品において、対応するやり方で実施されてよい。
【0013】
以下の説明では、コイル塞栓処置に関係するコンピュータ実施方法について述べる。脳内でのコイル塞栓処置について述べる。しかしながら、本明細書に記載の血管内コイル仕様を提供する方法は、例えば、頸部、卵巣、腕又は脚などにおける胸部大動脈、腹部大動脈などの血管系の他の領域のコイル塞栓処置における動脈瘤の治療に使用される血管内コイルの指定への適用例を明らかにし得ることを理解されたい。
【0014】
本明細書に開示されるコンピュータ実施方法は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、少なくとも1つのプロセッサに方法を実行させる、自身に記憶したコンピュータ可読命令を含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として提供され得ることに留意されたい。言い換えると、コンピュータ実施方法は、コンピュータ・プログラム製品で実施され得る。コンピュータ・プログラム製品は、専用のハードウェアによって、又は適切なソフトウェアと関連付けられた、ソフトウェアを実行可能なハードウェアによって提供することができる。プロセッサ、又は「処理構成」によって提供される場合、方法特徴の機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又はいくつかが共有され得る複数の個別プロセッサによって提供することができる。用語「プロセッサ」又は「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、デジタル・シグナル・プロセッサ「DSP」ハードウェア、ソフトウェアを格納するリード・オンリ・メモリ「ROM」、ランダム・アクセス・メモリ「RAM」、不揮発性記憶装置などを暗黙的に含むことができるが、これらに限定されない。さらに、本開示の実施例は、コンピュータ使用可能な記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラム製品の形態をとることができ、コンピュータ・プログラム製品は、コンピュータ若しくは任意の命令実行システムによって使用される、又はそれらと接続して使用される、プログラム・コードを提供する。発明を実施するための形態の目的で、コンピュータ使用可能記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって使用される、又はそれらと接続して使用されるプログラムを含む、記憶する、通信する、伝搬する、又は伝送することができる任意の装置であり得る。媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体の、システム若しくはデバイス、又は伝搬媒体とすることができる。コンピュータ可読媒体の例としては、半導体メモリ又は固体メモリ、磁気テープ、リムーバブル・コンピュータ・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ「RAM」、リード・オンリ・メモリ「ROM」、固定磁気ディスク、及び光ディスクが挙げられる。現在の光ディスクの例としては、コンパクト・ディスク・リード・オンリ・メモリ「CD-ROM」、読み出し/書き込み可能光ディスク「CD-R/W」、Blu-Ray(商標)、及びDVDが挙げられる。
【0015】
図1は動脈瘤120を含む例示的なX線画像を示している。図1のX線画像は、脳のデジタル・サブトラクション血管造影「DSA」画像であり、X線不透過性の造影剤を使用することによって血管系を表示している。図1に示す脳動脈瘤120は、脳底動脈の上部にあり、治療しない場合、破裂し、脳の底部でくも膜下出血を引き起こすことがある。図1の動脈瘤120は、動脈瘤120内にワイヤを挿入して動脈瘤内に「コイル」を形成し、それによって動脈瘤内の血行動態を変化させる血管内コイル塞栓術を使用して治療することができる。
【0016】
本発明者は、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイルの血管内コイル仕様を提供する方法を決定した。本方法は、図1に示す例示的な脳動脈瘤120、及び他の動脈瘤を治療するための血管内コイルの仕様を提供するために使用される。本方法について、本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供する例示的な方法のフローチャートである図2を参照して説明する。本方法はコンピュータによって実施され、
X線画像データ110を受信することであって、X線画像データ110が動脈瘤120を含む1つ又は複数のX線画像を含む、受信すること(S110)と、
動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ140、150をX線画像データ110から予測するように訓練されたニューラル・ネットワーク130、230に、X線画像データ110を入力すること(S120)と、
血管内コイル仕様を提供するための血管内コイルデータ140、150を出力すること(S130)とを含む。
【0017】
X線画像データ110に含まれるX線画像は、例えば、図1に示すX線画像などのX線画像を含む。一般に、X線画像データ110は、1つ又は複数のX線透視画像、及び/又は1つ又は複数の、DSA画像などの造影X線画像を含む。
【0018】
図2の方法で受信されるX線画像データ110は、データベース、X線撮像システム、コンピュータ可読記憶媒体、クラウドなどを含む様々な供給源から受信されてよい。データは、有線又は無線のデータ通信などの、任意の形態のデータ通信を使用して受信され、インターネット、イーサネットを介して、又はUSBメモリ・デバイス、光ディスク、又は磁気ディスクなどの携帯型コンピュータ可読記憶媒体を用いたデータ転送によって、受信される。
【0019】
動作S120において、X線画像データ110は、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ140、150をX線画像データ110から予測するように訓練された、ニューラル・ネットワーク130に入力される。いくつかの実施例では、ニューラル・ネットワークに、セグメンテーションされていないX線画像データ110が入力される。これらの実施例では、ニューラル・ネットワークは、セグメンテーションされていないX線画像データ110から、その予測に関連する動脈瘤の特徴を識別する。他の実施例では、ニューラル・ネットワークに、セグメンテーションされたX線画像データ110が入力される。これらの実施例では、X線画像データをニューラル・ネットワーク130に入力する前のセグメンテーション動作S140において、X線画像データ110をセグメンテーションすることによって、動脈瘤、及び任意選択で血管系が識別される。したがって、セグメンテーション動作S140は任意選択であり、図1では、項目S140の破線の枠線で示されている。
【0020】
動作S140で実行されるセグメンテーションは、バウンディング・ボックス、メッシュ、セントロイド、バイナリ・セグメンテーションなどの使用を含む。セグメンテーションは、閾値処理、リージョン・グローイング、テンプレート照合、レベル・セット、アクティブ輪郭モデリング、ニューラル・ネットワーク(例えば、U-Net)、手動又は半自動のアノテーション/セグメンテーション/検出法などの1つ又は複数の知られている技法を使用して実行される。
【0021】
セグメンテーション動作S140が実行されるとき、血管内コイル仕様を提供する方法は、X線画像データ110をニューラル・ネットワーク130に入力することS120の前に、動脈瘤120を識別するためにX線画像データ110をセグメンテーションすることS140を含み、X線画像データ110をニューラル・ネットワーク130に入力することS120は、セグメンテーションされたX線画像データ110をニューラル・ネットワークに入力することを有する。
【0022】
いくつかの実施例では、動作S120においてニューラル・ネットワーク130に入力されるX線画像データ110は、1つのX線画像のみを含む。他の実施例では、動作S120においてニューラル・ネットワーク130に入力されるX線画像データ110は、複数のX線画像を含む。複数のX線画像が入力される場合、X線画像は、(i)動脈瘤120の複数の異なる撮影角度を含み、及び/又は(ii)コイル塞栓処置中の異なる時間ステップを表す。単一のX線画像を使用する場合と比較して、異なる撮影角度を有するX線画像を入力することによって、ニューラル・ネットワーク130によって行われる予測の精度が向上する。撮影角度の追加は、ニューラル・ネットワーク130が、動脈瘤のボリューム及び頸部直径などの動脈瘤の特徴を評価することを補助する。ほぼ直交する方向の画像であるX線画像を使用することで、類似した方向の画像よりも高い精度が提供されると考えられる。
【0023】
ニューラル・ネットワークによって行われる予測の精度は、コイル塞栓処置中の異なる時間ステップを表すX線画像を入力することによっても向上する。処置中のX線画像は、処置の進捗に関する有益な情報を含み、ニューラル・ネットワークが予測の基礎とする情報を提供する。処置前及び処置中のX線画像の組み合わせをニューラル・ネットワークに入力することによって、ニューラル・ネットワークは、塞栓症の現在の状態だけでなく処置の進捗も、処置の次のステップで使用すべき血管内コイルの血管内コイル・データと関連付けるように学習する。
【0024】
動作S120においてニューラル・ネットワーク130によって予測される血管内コイル・データは、動脈瘤120を治療するための1つ又は複数の血管内コイル・パラメータ140、及び/又は動脈瘤120を治療するための血管内コイルの1つ又は複数の特性150を含む。1つ又は複数の血管内コイル・パラメータ140は、コイル長、コイル直径、コイル剛性、及びコイル・ループ直径のうちの1つ又は複数を含む。血管内コイルの1つ又は複数の特性150は、コイル種類、及びコイル材料のうちの1つ又は複数を含む。他の血管内コイル・パラメータ及び特性もニューラル・ネットワーク130によって予測される。
【0025】
動作S130では、血管内コイル仕様を提供するための血管内コイル・データ140、150が出力される。動作S130における出力は、血管内コイル・データをディスプレイ上に表示すること、血管内コイル・データをコンピュータ可読記憶装置に記憶することなどを含む。そのようにすることで、X線画像データ内の動脈瘤に適した血管内コイル仕様が提供される。
【0026】
ニューラル・ネットワークでは、様々な種類のニューラル・ネットワークを使用することが考えられる。図3は、本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するための第1の例示的なニューラル・ネットワーク130を示す概略図である。図3に示す例示的なニューラル・ネットワーク130は、コイル長、コイル直径、コイル剛性、及びコイル・ループ直径などのパラメータ140を予測するのに適している。図3に示す例示的なニューラル・ネットワーク130は、プーリング層、正規化層、非線形層などを間に有する複数の全結合層又は畳み込み層を含む。この種のネットワークの非線形層又は活性化関数は、ReLU、leaky ReLU、線形活性化、シグモイド、tanhなどを含むが、これらに限定されない。例示的なニューラル・ネットワーク130は、n×1の出力ベクトルを生成し、nは予測の数である。図示した例示的な予測は、コイル長、ループ直径、及び剛性などの血管内コイル・パラメータ140を含む。以下でより詳細に説明するように、ニューラル・ネットワーク130によって行われる予測は、予測された血管内コイル・データを使用してコイル塞栓処置において動脈瘤120を治療した結果である、処置結果データ180を任意選択でさらに含む。
【0027】
推論中、図3の例示的なニューラル・ネットワーク130にX線画像データ110が入力され、図示の実施例では、このX線画像データ110には、動脈瘤120を含む複数の処置中X線画像を含む。次いで、ニューラル・ネットワークによって、入力されたX線画像データ110から予測が行われる。図3は、複数の処置中X線画像から行われる予測を示しているが、いくつかの実施例では、代替的に、予測を行うために単一のX線画像がニューラル・ネットワーク130に入力されることに留意されたい。
【0028】
図3に示す実施例では、ニューラル・ネットワーク130によって行われる予測は、血管内コイル・パラメータ140の予測を含む。次いで、血管内コイル仕様を提供するための血管内コイル・パラメータ140が出力される。血管内コイル・パラメータ140は、例えば、図示のディスプレイ190、又は、コンピュータ可読記憶装置に出力される。
【0029】
いくつかの実施例では、血管内コイル仕様を提供する方法は、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための1つ又は複数の血管内コイルを特定することも含む。これは、図3の下側部分のディスプレイ190の左側に示されている。この動作は、ニューラル・ネットワーク130内で、又はニューラル・ネットワーク130外で行われ得る。この動作では、血管内コイル仕様を提供する方法は、
出力された血管内コイル・データ140を複数の血管内コイルのそれぞれについての血管内コイル・データのデータベースと比較することと、
この比較に基づいて、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための複数の血管内コイルの1つ又は複数を特定することとを含む。
【0030】
比較は、例えば、ルックアップ・テーブルを使用して、コイルの在庫から、ニューラル・ネットワーク130によって予測されたコイル長及びコイル剛性を満たす1つ又は複数のコイルを特定することを含む。この動作において特定することは、例えば、特定された1つ又は複数のコイルのアイコンをディスプレイ上に表示すること、特定された1つ又は複数のコイルのモデル番号を表示することなどを含む。
【0031】
図3では、また、容積画像データ160も任意選択でニューラル・ネットワーク130に入力されることが破線で示される。容積画像データ160は、X線画像データ110における動脈瘤120を表す。容積画像データ160は、様々な撮像モダリティによって提供され、例えば、1つ又は複数のCT画像、1つ又は複数の3D回転血管造影「3DRA」、1つ又は複数のコンピュータ断層血管造影「CTA」、1つ又は複数の磁気共鳴血管造影「MRA」を表してよい。容積画像データ160は、代替的に血管内超音波「IVUS」撮像システムによって提供され、IVUS撮像データを表してもよい。容積画像データ160は、コイル塞栓処置の前、又はコイル塞栓処置中に生成される。言い換えると、容積画像データは、処置前又は処置中の容積画像データである。本実施例では、推論中に、血管内コイル仕様を提供する方法は、
X線画像データ110において動脈瘤120を表す容積画像データ160を受信することと、
受信された容積画像データ160をニューラル・ネットワーク130に入力することと、
受信されたX線画像データ110から、及び受信された容積画像データ160から、血管内コイル・データ140を予測することとを含む。
【0032】
図3はまた、患者データ170も任意選択でニューラル・ネットワーク130に入力されることも破線で示されている。患者データ170は、X線画像データ110の動脈瘤120に対応している。患者データは、例えば、患者の年齢、性別、体重、喫煙歴、ゲノムデータ、動脈瘤120の種類、ボリューム及び頸部の直径などの動脈瘤の測定値などのうちの1つ又は複数を含む。したがって、推論中、ニューラル・ネットワーク130は、入力されたX線画像データ110からだけでなく、入力された患者データ170から、その予測を行う。患者データ170は、線形変換を適用する前に、平坦化特徴層に付与することによってニューラル・ネットワーク130に組み込まれる。本実施例では、推論中に、血管内コイル仕様を提供する方法は、
動脈瘤120に対応する患者データ170を受信することと、
受信された患者データ170をニューラル・ネットワーク130に入力することと、
受信されたX線画像データ110から、及び受信された患者データ170から、血管内コイル・データ140を予測することとを含む。
【0033】
上述のように、また図3に示すように、ニューラル・ネットワーク130によって行われる予測は、予測された血管内コイル・データを使用して、コイル血管内処置において動脈瘤120を治療した結果としての処置結果データ180をさらに含む。予測された処置結果データ180は、コイルによる動脈瘤の填塞の完了の割合「完了率」、及び「再疎通の可能性」などの要素を含む。予測された処置結果データ180は、代替的又は追加的に、破裂の予測危険性、及び/又は推奨されるフォロー・アップ間隔などの要素を含み得る。以下で詳述するように、ニューラル・ネットワークは、入力されたグラウンド・トゥルース処置結果データでニューラル・ネットワークを訓練することにより、処置結果データ180を生成するように予測される。
【0034】
図4は、本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するための第2の例示的なニューラル・ネットワーク130を示す概略図である。図4に示す例示的なニューラル・ネットワーク130は、コイル長、コイル直径、コイル剛性、及びコイル・ループ直径などのパラメータ140を予測するのに適している。分類タスク又はセグメンテーション・タスクと比較して、コイル長、コイル直径、コイル剛性、及びコイル・ループ直径などのパラメータ140の予測などの回帰タスクは、特に複雑な結果分布の場合、通常より困難になる。図4に示す例示的なニューラル・ネットワークでは、分類タスクと回帰タスクとが組み合わされている。これにより、ニューラル・ネットワークが多くの変数を回帰しなければならない範囲が狭くなる。図4に示すニューラル・ネットワーク130は、重み付き損失関数J(w)が使用されるカスケード畳み込みニューラル・ネットワークを含む。重み付き損失関数J(w)は、様々な粗い出力及び/又は密な出力に対するネットワークの焦点を定義する。図示の例では、粗い特徴は、コイル剛性を異なる剛性クラスにビン分割することによってコイル剛性を区別することなどの、複雑さが低い分類タスクに使用することができ、より複雑な分類タスクでの密な特徴は、これらのビンの中のパラメータを決定する回帰タスクに使用される。パラメータ回帰の領域を縮小することによって、ネットワークの訓練効率を向上させることができる。訓練中、図4のニューラル・ネットワークのパラメータは、まず、分類タスクでニューラル・ネットワークの粗いブランチを訓練することによって調整することができ、ニューラル・ネットワークの一般化可能性が得られた後、粗いブランチの重みは凍結される。次に、粗いブランチから派生する密なブランチが、粗いブランチで最も高い応答を有するクラス内の回帰タスクで訓練される。複雑さのより低いタスクで学習された特徴は、より複雑な回帰タスクに再利用できることが想定される。
【0035】
ニューラル・ネットワーク130への別の任意選択の入力は、血管内コイルの特性である。例えば、ニューラル・ネットワークには、動脈瘤に挿入される次のコイルが、例えばフィリング・コイルであるという入力が提供される。これにより、ニューラル・ネットワーク130に、コイル長などのパラメータのその予測において、追加のコンテキストを提供することができる。本実施例では、推論中、血管内コイル仕様を提供する方法は、
動脈瘤120に挿入される血管内コイルの特性を受信することと、
受信された血管内コイルの特性をニューラル・ネットワーク130に入力することと、
受信されたX線画像データ110から、及び受信された血管内コイルの特性から、血管内コイル・データ140を予測することとを含む。
【0036】
いくつかの実施例では、血管内コイルの特性はユーザ入力として受信される。例えば、ドロップダウン・メニューを介して、又はタッチスクリーンによる選択などを介して、動脈瘤に挿入される次のコイルの特性を、使用者が手動で選択することによって取得される。他の実施例では、血管内コイルの特性は自動的に生成される。例えば、手術室のカメラが、処置の次のステップのために準備される血管内コイルを観察し、それらの特性を自動的に検出する。別の実施例では、動脈瘤に挿入される次の血管内コイルの特性を予測するために、現在の処置の状態が使用される。この実施例は、図5に示される。
【0037】
図5は、本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するための第3の例示的なニューラル・ネットワーク230を示す概略図である。図5に示す例示的なニューラル・ネットワーク230は、コイル種類及びコイル材料などの、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの特性150を予測するのに適している。図5において、図3と同じ参照番号を有する項目は、図3を参照して上述したものに対応する機能を果たす。このように、推論中、ニューラル・ネットワーク230にはX線画像データ110が入力され、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ150を、このX線画像データ110から予測するように訓練される。ニューラル・ネットワーク230は、血管内コイル仕様を提供するための、血管内コイル・データ150を出力する。図3に関連して説明したように、ニューラル・ネットワーク230は、追加的に容積画像データ160が入力され、受信されたX線画像データ110から、及び受信された容積画像データ160から、血管内コイル・データ150を予測する。同様に、ニューラル・ネットワーク230は、追加的に患者データ170が入力され、受信されたX線画像データ110から、及び受信された患者データ170から、血管内コイル・データ150を予測する。
【0038】
図5に示すニューラル・ネットワーク230は、他にマルチ出力マルチクラス分類ネットワーク、又はマルチタスク分類ネットワークとしても知られているマルチラベル分類ネットワークを表し、コイル塞栓処置の次のステップで使用するコイル種類及びコイル材料などの特性を予測するように訓練される。図示のニューラル・ネットワーク230は、プーリング層、ドロップアウト層、正規化層、非線形層などを間に有する複数の全結合層及び/又は畳み込み層を含む。図5のニューラル・ネットワーク230は、分類出力「コイル種類」と「コイル材料」との間で共有される複数の共有畳み込み層を含む。最終的な共有層の出力は、次いで、分類タスクごとに個別の入力層に入力される。ソフトマックス活性化関数は、出力層で使用される。図示の例では、分類出力は「コイル種類」及び「コイル材料」である。他の分類は、同様のやり方で予測される。図3に関連して上述したように、図5に示すニューラル・ネットワークは、ニューラル・ネットワーク230によって出力された血管内コイルの特性150を、複数の血管内コイルのそれぞれについての血管内コイル特性のデータベースと比較することによって、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための、1つ又は複数の血管内コイルを特定するためにも使用される。
【0039】
図5に示されるように、「コイル種類」及び「コイル材料」の分類を得るために、線形変換、次いで非線形変換(例えば、ソフトマックス、シグモイド、ロジスティック活性化、tanhなど)を適用する前に、各分類について平坦化特徴層に任意選択の患者データ170を付与することによって、任意選択の患者データ170はニューラル・ネットワーク230に組み込まれる。あるいは、患者データ170が繰り返され、又は並べられ、中間特徴マップのいずれかと連結、加算、又は乗算などを行われる。図5のニューラル・ネットワーク・アーキテクチャの代替例では、ニューラル・ネットワーク230は単一のブランチを有し、この単一のブランチでは、分類出力「コイル種類」と「コイル材料」とが単一のマルチラベル分類タスク内に組み合わされる。この場合、マルチラベル分類ネットワークは、ソフトマックスではなくシグモイド活性化関数を使用して、2つのラベル、すなわちコイル材料及びコイル種類を予測するように訓練される。
【0040】
図3図5を参照して上述したニューラル・ネットワークは、ニューラル・ネットワークに訓練データを入力し、損失関数に基づいて、パラメータ、又はより具体的にはニューラル・ネットワークの重み及びバイアスを調整することによって訓練される。損失関数は、ニューラル・ネットワークの予測された出力と、ニューラル・ネットワークのグランド・トゥルース若しくは期待される出力との間の差異を表す誤差値を計算する。訓練データを入力し、損失関数の値を計算し、停止基準が満たされるまでパラメータを調整することによって、パラメータが反復的に調整される。停止基準は、損失関数の値が所定の範囲内にあることを表す。
【0041】
図3図5を参照して上述したニューラル・ネットワークの訓練は、図6及び図7を参照して説明される。図6は、本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するためのニューラル・ネットワークを訓練する例示的な方法のフローチャートである。図6を参照すると、上記のニューラル・ネットワーク130、230を訓練する方法は、
X線画像訓練データ210を受信することであって、X線画像訓練データ210が動脈瘤120を含む1つ又は複数のX線画像を含む、受信することS210と、
X線画像訓練データ210内の動脈瘤120を治療するために使用される血管内コイルの血管内コイル・データを表すグラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データ220を受信することS220と、
受信されたX線画像訓練データ210をニューラル・ネットワーク130、230に入力することS230と、ニューラル・ネットワーク130、230によって予測された血管内コイル・データ140、150と、受信されたグラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データ220によって表される、X線画像訓練データ210内の動脈瘤120を治療するために使用される血管内コイルの血管内コイル・データとの間の差異を表す損失関数に基づいて、ニューラル・ネットワーク130、230のパラメータを調整することS240と、によって、血管内コイルの血管内コイル・データ140、150を予測するように、ニューラル・ネットワーク130、230を訓練することを含む。
【0042】
したがって、上記の方法では、ニューラル・ネットワーク130、230の期待される出力は、X線画像訓練データ210の動脈瘤120を治療するために使用される血管内コイルの血管内コイル・データを表すグランウド・トゥルース血管内コイル仕様データ220である。例えば、予測された血管内コイル・データ140、150が、コイル長などのパラメータを含む場合、グランウド・トゥルース血管内コイル仕様データ220のコイル長が、損失関数の値を計算するために使用され、それによってニューラル・ネットワーク130が訓練される。別の実施例として、予測された血管内コイル・データ140、150がコイル種類などの特性を含む場合、グランウド・トゥルース血管内コイル仕様データ220のコイル種類が、損失関数の値を計算するために使用され、それによってニューラル・ネットワーク230が訓練される。
【0043】
図6は、上記の動作S210、S220、S230、及びS240に加えて、動作S250、S260、及びS270が任意選択で追加的に実行されることも示している。後者の動作については、以下で詳述される。
【0044】
図7は、本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するためのニューラル・ネットワーク130を訓練する例示的な方法を示す概略図である。図7は、ニューラル・ネットワーク130、230へのX線画像訓練データ210の入力を概略的に示している。X線画像訓練データ210は、推論中にニューラル・ネットワーク130、230に入力されるものと類似したX線画像データ110を表し、追加的に、コイル長、ループ直径、及び剛性などの、対応するグランウド・トゥルース血管内コイル仕様データ220を含む。図7の損失関数は、予測された血管内コイル・データ140、150と、グラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データ220との間の差異を計算し、この差異の値、すなわち誤差は、ニューラル・ネットワーク130、230のパラメータを調整するために使用される。負の対数尤度損失、バイナリ・クロス・エントロピ損失、カテゴリ・クロス・エントロピ、ヒンジ損失、L1損失又はL2損失、Huber損失、log cosh損失などの損失関数が使用される。
【0045】
訓練中、損失関数の値は、典型的には最小化され、損失関数の値が停止基準を満たすときに訓練が終了される。損失関数の値が複数の基準のうちの1つ又は複数を満たすときに訓練が終了される場合がある。この最小化問題を解くには、勾配降下法、準ニュートン法などの様々な方法が知られている。確率的勾配降下法「SGD」、バッチ勾配降下法、ミニバッチ勾配降下法、ガウス・ニュートン法、レーベンバーグ・マルカート法、モーメンタム、Adam、Nadam、Adagrad、Adadelta、RMSProp、及びAdamaxの「オプティマイザ」を含むが、これらに限定されない、これらの方法及びそれらの変形例を実施するための、様々なアルゴリズムが開発されてきた。
【0046】
これらのアルゴリズムは、連鎖率を用いてモデル・パラメータに関する損失関数の微分係数を計算する。微分係数は、最後の層又は出力層から開始し、最初の層又は入力層に向かって進んで計算されるので、このプロセスはバックプロパゲーションと呼ばれる。これらの微分係数は、誤差関数を最小化するために、どのようにモデル・パラメータを調整すべきかが、アルゴリズムに通知される。すなわち、モデル・パラメータの調整は、出力層から開始し、入力層に到達するまでネットワーク内を逆方向に処理して行われる。第1の訓練反復では、初期の重み及びバイアスは多くの場合ランダム化される。そのため、ニューラル・ネットワークは、同様にランダムな出力データを予測する。その後、バックプロパゲーションを使用して重み及びバイアスを調整する。訓練プロセスは、各反復で重み及びバイアスへの調整を行うことによって反復的に実行される。誤差、すなわち予測された出力データと期待される出力データとの間の差異が、訓練データ又はいくつかの検証データの許容範囲内にあるとき、訓練は終了される。その後、ニューラル・ネットワークが展開され、訓練されたニューラル・ネットワークが、そのパラメータの訓練値を使用して、新しい入力データに対して予測を行う。訓練プロセスが成功した場合、訓練済みニューラル・ネットワークは、新しい入力データから期待される出力データを正確に予測する。
【0047】
上述のように、推論中、いくつかの実施例では、ニューラル・ネットワーク130、230は、X線画像データからだけでなく、任意選択で容積画像データ160から血管内コイル・データ140、150を予測する。これらの実施例では、訓練中、ニューラル・ネットワークに容積画像訓練データ260が入力される。これは、図7において、容積画像訓練データ260をニューラル・ネットワーク130、230と接続する破線によって示されている。容積画像訓練データ260は、推論中に訓練済みニューラル・ネットワークに入力される容積画像データ260と同種のデータである。容積画像訓練データ260は、X線画像訓練データ210の動脈瘤120を表している。言い換えると、容積画像訓練データ260は、X線画像訓練データ210のX線画像内にある動脈瘤と同じ動脈瘤を含む。容積画像訓練データ260は、推論中に入力される容積画像データ160のソースと同じソースに由来し、したがって同様に、様々な撮像システムによって提供される。容積画像訓練データ260は、1つ若しくは複数のCT画像、1つ若しくは複数の3D回転血管造影「3DRA」、1つ若しくは複数のコンピュータ断層血管造影「CTA」、1つ若しくは複数の磁気共鳴血管造影「MRA」を表し、又は、IVUS撮像データを表す。
【0048】
これらの実施例では、ニューラル・ネットワーク130、230は、X線画像データ110から、及びX線画像データ110内の動脈瘤120を表す容積画像データ160から、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ140、150を予測するように訓練され、ニューラル・ネットワーク130、230は、さらに、
X線画像訓練データ210内の動脈瘤120を表す容積画像訓練データ260を受信すること(S250)と、
受信された容積画像訓練データ260をニューラル・ネットワーク130、230に入力すること(S260)と、
受信されたX線画像訓練データ210から、及び、受信された容積画像訓練データ260から、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ140、150を予測すること(S270)と
によって、血管内コイルの血管内コイル・データ140、150を予測するように訓練される。
【0049】
上述のように、推論中、いくつかの実施例では、ニューラル・ネットワーク130、230は、X線画像データからだけでなく、患者データ170から血管内コイル・データ140、150を任意選択で予測する。これらの実施例では、訓練中に、ニューラル・ネットワークに患者訓練データ270が入力される。これは、図7において、患者訓練データ270をニューラル・ネットワーク130、230と接続する破線によって示されている。患者訓練データ270は、推論中に訓練済みニューラル・ネットワークに入力される患者データと同種のデータである。したがって、患者データは、患者の年齢、性別、体重、喫煙歴、ゲノムデータ、動脈瘤120の種類、ボリューム及び頸部直径などの動脈瘤の測定値などのうちの1つ又は複数を含む。さらに、患者訓練データ270は、X線画像訓練データ210の動脈瘤120に対応する。言い換えると、患者訓練データ270は、X線画像訓練データ210のX線画像と同じ患者に由来している。
【0050】
これらの実施例では、ニューラル・ネットワーク130、230は、X線画像データ110内の動脈瘤120に対応する患者データ170から、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ140、150を予測するようにさらに訓練され、ニューラル・ネットワーク130、230は、さらに、
X線画像訓練データ210の動脈瘤120に対応する患者訓練データ270を受信することと、
受信された患者訓練データ270をニューラル・ネットワーク130、230に入力することと、
受信された患者訓練データ270にさらに基づいて、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ140、150を予測することと
によって、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ140、150を予測するように訓練される。
【0051】
上述のように、推論中、いくつかの実施例では、ニューラル・ネットワーク130によって行われる予測は、予測された血管内コイル・データを使用してコイル塞栓処置において動脈瘤120を治療した結果である処置結果データ180をさらに含む。これらの実施例では、訓練中に、グラウンド・トゥルースの処置結果データが、損失関数に入力され、ニューラル・ネットワークのパラメータを調整するために使用される。グラウンド・トゥルース処置結果データは、推論中に訓練済みニューラル・ネットワークによって予測される処置結果データ180と同種のデータである。したがって、グラウンド・トゥルース処置結果データは、コイルによる動脈瘤の填塞の完了の割合「完了率」、及び「再疎通の可能性」などの要素を含む。グラウンド・トゥルース処置結果データは、グラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データ220を使用してX線画像訓練データ210内の動脈瘤120を治療した結果を表す。
【0052】
これらの実施例では、ニューラル・ネットワーク130、230は、さらに、
グラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データ220を使用してX線画像訓練データ210内の動脈瘤120を治療した結果を表すグラウンド・トゥルース処置結果データを受信することによって、動脈瘤120を治療するための血管内コイルの血管内コイル・データ140、150を予測するように、さらに訓練され、
ニューラル・ネットワーク130、230のパラメータを調整すること(S240)は、損失関数の値を減少させることを有し、
負の処置結果は、損失関数の値を増加させるように構成されている。
【0053】
このように損失関数にペナルティを加えることによって、負の結果を使用して、ニューラル・ネットワークが患者にとって悪い結果を有する予測を行うことを回避する。
【0054】
ニューラル・ネットワーク130によって行われた予測が処置結果データ180を含む実施例では、ニューラル・ネットワーク130、230は、X線画像データ110から、血管内コイルの予測された血管内コイル・データ140、150を使用してコイル塞栓処置において動脈瘤120を治療した結果の、
コイル塞栓処置の完了度を表す分数値と、
動脈瘤120破裂の危険性と、
動脈瘤120の再疎通の危険性と、
推奨されるフォロー・アップ間隔と
のうちの少なくとも1つを表す処置結果データ180を予測するようにさらに訓練される。
【0055】
これらの実施例では、ニューラル・ネットワーク130、230は、
グラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データ220を使用してX線画像訓練データ210内の動脈瘤120を治療した結果を表すグラウンド・トゥルース処置結果データを受信することと、
受信されたグラウンド・トゥルース処置結果データをニューラル・ネットワーク130、230に入力することとによって、処置結果データ180を予測するように訓練され、
ニューラル・ネットワーク130、230のパラメータを調整することS240に使用される損失関数が、ニューラル・ネットワーク130、230によって予測された処置結果データ180と、受信されたグラウンド・トゥルース処置結果データとの間の差異にさらに基づく。
【0056】
上記の方法はいずれも、ニューラル・ネットワーク130、230によって予測された血管内コイル・データ140、150の確信度推定値を計算し、任意選択で出力することをさらに含む。確信度推定値は、様々な要因に基づく。一実施例では、確信度推定値は、アテンションの位置、すなわち、ニューラル・ネットワーク130、230の予測が行われたX線画像データ110の領域を示す「アテンション・マップ」に基づいて決定される。例えば、ネットワークのアテンションが動脈瘤120内にあった場合、相対的に高いレベルの確信度が提供され、ネットワークのアテンションが動脈瘤120から遠い場合、相対的に低いレベルの確信度が提供される。確信度の別の指標は、X線画像データ110内の、予測を生成するために使用されるX線画像の数である。例えば、コイル塞栓処置の開始のときに動脈瘤内にコイルがない場合、単一のX線画像が確信度推定値を生成することがある。しかしながら、処置が継続するにつれて、コイルの分布及び動脈瘤内の残存空間を単一画像から推定することはより困難になる。したがって、ニューラル・ネットワークが、コイル塞栓処置の後段で予測を生成するために単一のX線画像を使用する場合、ネットワークの確信度推定値は減少する。ニューラル・ネットワークが、予測を生成するために追加のX線画像を使用する場合、コイル塞栓処置中の確信度推定値が増加する。また、コイル種類又はコイル材料などの追加情報がニューラル・ネットワークへの入力として使用されるか基づいて、確信度推定値が決定される。同様に、患者の喫煙歴などの患者データが利用可能である場合、動脈瘤の壁を薄くする可能性のある破裂の危険性と喫煙歴との間に強い関連があるため、破裂の危険性の、ニューラル・ネットワークによる予測の確信度推定値が増加する。
【0057】
別の実施例によると、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するためのシステム300が提供される。図8は、本開示のいくつかの態様による、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイル仕様を提供するための例示的なシステム300を示す概略図である。システム300は、前述の方法の1つ又は複数を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサ310を含む。システム300は、図8に示すものなどのX線撮像システムと組み合わせて、又は図8に示すものなどのX線撮像システムを含んで使用される。本システムは、本方法を実行するための命令を含む1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体(図8では図示せず)、図8に示す1つ又は複数のディスプレイ、キーボード、及び本方法の実行を制御するマウスなどのポインティング・デバイスなどの、ユーザ・インターフェイス・デバイス(図8では図示せず)、並びに/又は図8に示す患者用ベッドも含む。
【0058】
別の実施例によると、コイル塞栓処置において動脈瘤を治療するための血管内コイルの血管内コイル仕様を提供するためのニューラル・ネットワークを訓練するコンピュータ実施方法が提供される。訓練方法は、
X線画像訓練データ210を受信することであって、X線画像訓練データ210が動脈瘤120を含む1つ又は複数のX線画像を含む、受信すること(S210)と、
X線画像訓練データ210内の動脈瘤120を治療するために使用される血管内コイルの血管内コイル・データを表すグラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データ220を受信すること(S220)と、
受信されたX線画像訓練データ210をニューラル・ネットワーク130、230に入力すること(S230)と、
ニューラル・ネットワーク130、230によって予測された血管内コイル・データ140、150と、受信されたグラウンド・トゥルース血管内コイル仕様データ220によって表される、X線画像訓練データ210内の動脈瘤120を治療するのに使用される血管内コイルの血管内コイル・データとの間の差異を表す損失関数に基づいて、ニューラル・ネットワーク130、230のパラメータを調整すること(S240)とを含む。
【0059】
ニューラル・ネットワーク130、230の訓練に関連して上記で開示された他の態様も、訓練方法に含まれてよい。
【0060】
上記の実施例は、本開示の例示として理解されるべきであり、制限的ではない。さらなる実施例も考えられる。また、例えば、コンピュータ実施方法に関連して説明された実施例は、コンピュータ・プログラム製品によって、コンピュータ可読記憶媒体によって、又はシステム300によって、対応するやり方で提供される。
【0061】
任意の1つの実施例に関連して説明された特徴は、単独で、又は他の説明された特徴と組み合わせて使用されてよく、また、別の実施例の1つ若しくは複数の特徴と組み合わせて、又はその他の実施例の組み合わせで使用されてもよいことを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明されていない均等物及び修正例が採用されてもよい。特許請求の範囲において、「含む/有する/備える」という単語は他の要素又は動作を排除せず、単数形の要素は、複数であることを排除しない。特定の特徴が互いに異なる従属請求項に記載されているという事実だけでは、これらの特徴の組み合わせが有利に使用できないことを示してはいない。特許請求の範囲における参照符号は、それらの範囲を限定すると解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】