(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】3貯蔵器式電気的熱エネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
F02C 1/10 20060101AFI20231226BHJP
F02C 6/14 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F02C1/10
F02C6/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023535961
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021062675
(87)【国際公開番号】W WO2022125816
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523216300
【氏名又は名称】スーパークリティカル ストレージ カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ヘルド
(57)【要約】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させるための方法には、作動流体回路を通して作動流体を循環させることが含まれる。作動流体は、質量流量及び熱容量を有し、作動流体が作動流体回路を通って循環するときに、復熱装置の高圧側と復熱装置の低圧側の作動流体の質量と熱容量の積を平衡させる。PTESシステムは作動流体回路内に迂回路を備える。迂回路によって、作動流体の第2の部分が復熱装置の高圧側を通って循環する間に作動流体の第1の部分が復熱装置の高圧側を迂回する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させる方法であって、前記方法は、
作動流体回路を通して、質量流量及び熱容量を有する作動流体を循環させることと、
前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、復熱装置の高圧側と前記復熱装置の低圧側で前記作動流体の前記質量と前記熱容量の積を平衡させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側で前記作動流体の前記質量と前記熱容量の前記積を平衡させることは、
前記作動流体を前記復熱装置の前記高圧側で第1の部分と第2の部分に分離することと、
前記復熱装置の前記高圧側を回って前記第1の部分を迂回させることと、
前記迂回中に前記第1の部分を冷却することと、
前記第2の部分を前記復熱装置を通して循環させることと、
前記第2の部分が前記復熱装置を出た後、前記冷却された前記第1の部分を前記第2の部分と合流させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記迂回中に前記第1の部分を冷却することは、
前記迂回を通して前記作動流体を循環させることと、
前記作動流体と中温熱貯蔵器との間で熱を伝達することであって、
充填段階では、前記作動流体から中温熱貯蔵器に熱を伝達することと、
生成段階では、中温熱貯蔵器から前記作動流体に熱を伝達することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記作動流体の前記第1の部分は前記作動流体の約40%を構成し、前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2)を循環させることを含み、
前記作動流体の前記第1の部分は、前記作動流体の約40%を構成し、
前記作動流体の前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2)を循環させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の前記質量と前記熱容量の積を平衡させることは、
充填段階では、
二酸化炭素(CO
2)から構成された前記作動流体の約60%を前記復熱装置の前記高圧側を通して循環させることと、
CO
2から構成された前記作動流体の100%を前記復熱装置の前記低圧側を通して循環させることと、を含み、
生成段階では、
CO
2から構成された前記作動流体の約60%を前記復熱装置の前記高圧側を通して循環させることと、
CO
2から構成された前記作動流体の100%を前記復熱装置の前記低圧側を通して循環させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の前記質量と前記熱容量の前記積を平衡させることは、前記復熱装置の前記高圧側の前記質量流量を減少させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記第2の部分と、前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の合流部分との間で熱を交換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムであって、
中温熱貯蔵器と、
作動流体回路であって、
高圧側と低圧側とを有する復熱装置であって、作動流体の質量と熱容量の積は、前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、前記高圧側と前記低圧側とで平衡をとられる、復熱装置を、備える作動流体回路と、を具備する、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システム。
【請求項11】
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2)である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記作動流体回路は、迂回路であって、前記迂回路によって、前記作動流体の第2の部分が前記復熱装置の前記高圧側を通って循環する間に、前記作動流体の第1の部分が前記復熱装置の前記高圧側を迂回する、迂回路を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記迂回路は、第1の部分と前記中温熱貯蔵器との間の熱伝達部を含み、
前記作動流体回路は、
前記作動流体を前記第1の部分と前記第2の部分に分離する前記復熱装置の前記高圧側の分離部であって、前記第1の部分は前記第2の部分より小さく、前記第2の部分は前記復熱装置の前記高圧側から前記復熱装置を通って循環する、分離部と、
前記第2の部分が前記復熱装置を出る際に、前記第1の部分が前記第2の部分と合流する、前記復熱装置の前記高圧側の合流点と、をさらに具備する、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2)であり、
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、
前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
さらに、動作中、前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記第2の部分と、前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の合流部分との間で熱が交換される、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させる方法であって、前記方法は、
作動流体回路を通して作動流体を循環させることと、
復熱装置の高圧側の前記作動流体の質量流量を減少させて、前記作動流体を循環させる間に前記復熱装置の前記高圧側と低圧側の前記作動流体の前記質量と熱容量の積を平衡させることであって、
前記作動流体の第1の部分に前記復熱装置の前記高圧側を迂回させることと、
前記作動流体の第2の部分を前記復熱装置の前記高圧側を通して循環させることと、を含む、を含む、方法。
【請求項18】
前記復熱装置の前記高圧側を迂回させることは、
充填段階にて前記作動流体と高温貯蔵器との間で熱を伝達する際に、前記作動流体の第1の部分に前記復熱装置の前記高圧側を迂回させ、前記第1の部分が前記第2の部分よりも小さく、前記第2の部分が前記復熱装置を通って循環する間に、前記迂回中に、前記第1の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、
生成段階にてポンプを出る際に、前記作動流体の第3の部分に前記復熱装置の前記高圧側を迂回させる一方、前記復熱装置を通って前記作動流体の第4の部分を循環させながら、前記迂回中に、前記中温貯蔵器から前記第3の部分に熱を伝達することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記第2の部分と、前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の合流部分との間で熱を交換することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記質量流量を減少させて、前記作動流体を循環させている間に、前記復熱装置の前記高圧側と前記低圧側の前記作動流体の前記質量と前記熱容量の前記積を平衡させることは、
前記作動流体を前記復熱装置の前記高圧側で前記第1の部分と、前記第1の部分が第2の部分よりも小さい、前記第2の部分に分離することと、
前記迂回中に前記第1の部分との間で熱を伝達することと、
前記第2の部分が前記復熱装置を出た後、前記第1の部分を前記第2の部分と合流させることと、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記迂回中に前記第1の部分との間で熱を伝達することは、前記作動流体と中温熱貯蔵器との間で熱を伝達することを含む、請求項20に記載の方法であって、
充填段階では、前記作動流体から中温熱貯蔵器に熱を伝達することをさらに含み、
生成段階では、中温熱貯蔵器から前記作動流体に熱を伝達することをさらに含む、方法。
【請求項22】
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2)を循環させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記作動流体の前記第1の部分は前記作動流体の約40%を構成し、前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2)を循環させることを含み、
前記作動流体の前記第1の部分は前記作動流体の約40%を構成し、前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムであって、
低温熱貯蔵器と、
高温熱貯蔵器と、
中温熱貯蔵器と、
PTES動作サイクルの充填段階及び生成段階のために構成可能であり、使用中に作動流体が循環する作動流体回路であって、前記作動流体回路は、
復熱装置と、
前記充填段階では、
前記復熱装置と前記低温熱貯蔵器との間に位置決めされた膨張器と、
前記復熱装置と前記高温熱貯蔵器との間に位置決めされた充填圧縮器と、を備え、
前記生成段階では、
前記復熱装置と前記低温熱貯蔵器との間に位置決めされたポンプと、
前記復熱装置と前記高温熱貯蔵器との間に位置決めされた出力タービンと、を備え、
迂回路であって、前記迂回路によって、前記充填段階と前記生成段階の両方にて、前記作動流体の第1の部分が前記復熱装置の高圧側を迂回し、前記中温熱貯蔵器を通って流れ、前記作動流体の第2の部分が前記復熱装置を通って循環する間に、前記中温熱貯蔵器が前記作動流体と前記中温熱貯蔵器との間で熱を伝達する、迂回路と、を備える、作動流体回路と、を具備する、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システム。
【請求項26】
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2)である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2)であり、
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、
前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを作動させる方法であって、前記方法は、
復熱装置を備える作動流体回路を通して高熱容量の作動流体を循環させることと、
前記復熱装置の両側で質量と熱容量の積が同一になるように、前記復熱装置の高圧側の前記作動流体の質量流量を減少させることであって、
充填段階では、
前記作動流体の第1の部分で前記復熱装置を迂回し、前記迂回中に、前記作動流体の第2の部分を前記復熱装置を通して循環させながら、前記第1の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、
前記第1の部分が前記復熱装置を迂回する間に、前記第2の部分を前記復熱装置を通して循環させ、前記復熱装置を通して循環中に前記第2の部分から熱を伝達することと、
前記第1の部分が前記復熱装置を迂回し、前記第2の部分が前記復熱装置を通って循環した後、前記第1の部分と前記第2の部分の両方を膨張器を通して共に循環させることと、を含み、
生成段階では、
前記作動流体の第3の部分で前記復熱装置を迂回し、前記迂回中に、前記作動流体の第4の部分を前記復熱装置を通して循環させながら、前記第3の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、
前記第3の部分が前記復熱装置を迂回する間に、第4の部分を前記復熱装置を通して循環させ、前記復熱装置を通って循環中に前記第4の部分に熱を伝達することと、
前記第3の部分が前記復熱装置を迂回し、前記第4の部分が前記復熱装置を通って循環した後、高温貯蔵器を通して前記第3の部分と前記第4の部分の両方を共に循環させることと、を含む、方法。
【請求項30】
前記作動流体が二酸化炭素(CO
2)である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の部分は、前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、
前記第2の部分は、前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当し、
前記第3の部分は、前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、前記第4の部分は前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の部分は、前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、前記第2の部分は前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当し、
前記第3の部分は、前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、前記第4の部分は前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当する、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、同時係属中のTimothy Held名義の2020年12月9日に出願された「3-Reservoir ETES System(3貯蔵器式ETESシステム)」と題する米国仮特許出願第63/123,266号と、2021年12月9日に出願された米国非仮特許出願第17/546,963号と、に対して優先権を主張する。本出願は、優先権を含むあらゆる目的のために、本明細書にそのまま記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電気的熱エネルギー貯蔵(「ETES」)システム、さらに具体的には、二酸化炭素(「CO2」)ベースのポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電熱エネルギー貯蔵システムとして知られることもあるPTESシステムはこのほか、エネルギーの貯蔵と再生に使用される。PTESシステムは、作動流体回路内の作動流体を介して高温貯蔵器と低温貯蔵器との間で熱エネルギーが伝達される設定可能な熱力学サイクルを概ね使用する。その最も単純な型式では、PTESが、熱及び流体の流れの一方向では熱ポンプとして動作し、熱及び流体の流れの反対方向では熱機関として動作する熱力学サイクルから構成される。ここでは、
図1Aに示すように、一方は高温で、他方は低温である2つの貯蔵器の間で熱エネルギーが伝達される。PTESの動作は、「充填」段階と「生成」段階とを含むものとして大まかに説明することができる。
【0004】
動作の「充填」段階では、熱ポンプサイクルを名目上の順方向とされる方向に使用することにより、熱エネルギーが低温貯蔵器(「LTR」)から高温貯蔵器(「HTR」)に高められる。このプロセスでは、電気モータを使用してガス圧縮器を駆動し、作動流体の圧力及び温度を上昇させる。作動流体に含まれる熱エネルギーは、間接熱交換器を使用して高温貯蔵器(「HTR」)に伝達される。さらに熱エネルギーは、間接熱交換器の下流の作動流体から復熱装置熱交換器内のガス圧縮器の上流の流体に伝達される。次に、流体はタービンを通って膨張し、タービンは、圧縮器の駆動の支援のために使用されるシャフトを動作させる。タービン出口の作動流体の圧力が低くなり、温度がさらに低くなる。熱が低温貯蔵器(「LTR」)から作動流体に伝達され、作動流体が熱を圧縮器入口にて初期状態に戻す。
【0005】
動作の「生成」段階では、流体及び熱の流れの方向が逆転する。LTRから出る流体は圧縮されるが、このとき「圧縮器」の入口と出口の温度ははるかに低くなる。実際、システムの二酸化炭素(CO2)ベースの型式では、流体は液体の状態である可能性があるため、「圧縮器」は実際にはポンプである。次に、流体はHTRによって比較的高温に加熱され、タービンを通って膨張してシャフトを動作させる。このタービン仕事はこのとき、圧縮器仕事を上回っており、超過分は発電機によって電力に変換され、電力網にフィードバックされる。タービン放出の残留熱エネルギーが、復熱装置熱交換器内のHTRの上流の作動流体に伝達される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書に開示する技術は、復熱装置全体にわたる熱容量の不一致の影響を低減し、それによって、以下に説明する温度-伝熱(「TQ」)勾配の不一致に起因する損失エクセルギーを回避する。ここで開示する技術はこのほか、サイクル性能を著しく改善する。本明細書で使用する場合、「エクセルギー」とは、システムを熱貯蔵器と平衡状態にするプロセス中に見込まれる最大の有用な仕事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示する技術は、方法及び装置を含む。ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させるための方法は、作動流体回路を通して作動流体を循環させることを含み、作動流体は、質量流量及び熱容量を有し、作動流体が作動流体回路を循環するときに、復熱装置の高圧側と復熱装置の低圧側の作動流体の質量と熱容量の積を平衡させる。PTESシステムは、作動流体回路内に迂回路を備えており、迂回路によって、作動流体の第2の部分が復熱装置の高圧側を通って循環する間に、作動流体の第1の部分が復熱装置の高圧側を迂回する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、添付の図面とともに以下の詳細な説明を読むと、最もよく理解される。業界の標準的な慣行に従って、さまざまな特徴が一定の縮尺で描かれていないことを強調する。実際、考察を明確にするために、さまざまな特徴の寸法を任意に拡大するか、縮小する場合がある。
【0009】
【
図1A】
図1Aは、PTES動作サイクルの充填段階中の従来技術のPTESシステムのプロセスフロー図である。
【0010】
【
図1B】
図1Bは、PTES動作サイクルの生成段階中の従来技術のPTESシステムのプロセスフロー図である。
【0011】
【
図2】
図2は、
図1A~
図1Bの従来のPTESシステムの生成段階のための状態点である四角内の数字を含む基準PTESサイクルの圧力-エンタルピー図である。
【0012】
【0013】
【
図4A】
図4Aは、1つ又は複数の実施形態による、PTES動作サイクルの充填段階中のPTESシステムのプロセスフロー図である。
【0014】
【
図4B】
図4Bは、1つ又は複数の実施形態による、PTES動作サイクルの生成段階中のPTESシステムのプロセスフロー図である。
【0015】
【
図5】
図5は、制御システムの特定の一例を示す。制御システムによって、
図4A~
図4Bの作動流体回路が、
図4Aに示す充填段階及び
図4Bに示す生成段階のために構成される場合がある。
【0016】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
全体的なサイクル性能の指標の1つが「往復効率」(「RTE」)である。このパラメータは、生成段階中に生成可能な電気エネルギーの量(kWh)を、充填段階中に消費された電気エネルギーの量で割ったものとして定義される。もう1つの重要な性能パラメータはシステム資本コストである。これは、生成容量又は貯蔵容量の観点から定義することができる。
【0019】
図1A及び
図1Bは、PTES動作サイクルを有する従来技術のPTESシステム100を示す。このPTES動作サイクルの圧力-エンタルピー図を
図2に示す。
図2に示される四角内の作動流体の状態を、
図1A~
図1Bにて丸で囲んで示す。このように、PTESシステム100の動作サイクルのさまざまな時点での動作状態は、
図2の圧力-エンタルピー図から
図1A~
図1Bのプロセスフロー図にマッピングすることができる。
図1Aは動作サイクルの充填段階を示し、
図1Bは動作サイクルの生成段階を示す。以下の考察及び添付の図面では、表1に示す名称を使用するものとする。
【表1】
【0020】
PTESシステム100は、作動流体回路103、HTR106、LTR109及び復熱装置RCXを備える。作動流体回路103の構成は、部分的には、PTESシステム100が動作サイクルの充填段階にあるか生成段階にあるかに依存する。この開示の恩恵を受ける当業者であれば理解すると思われるように、この構成は一般に、流体流量バルブのプログラムされた制御の機能である。このため、充填段階では、作動流体回路103を通る作動流体の流れを制御することによって、作動流体回路103のいくつかの構成要素が起動し、いくつかが停止する。同じように、生成段階では、作動流体回路103を通る作動流体の流れを再び制御することによって他の構成要素が起動し、他の構成要素が停止してもよい。このため、流体流量バルブ及びコントローラは、明確にするために、
図1A~
図1Bでは省略されている。
【0021】
充填段階では、
図1Aに示すように、作動流体回路103は、膨張器115、充填圧縮器112及び復熱装置RCXと膨張器115との間の空冷冷却器ACC1を備える。膨張器115は、作動流体を膨張させる膨張プロセスに使用される。充填圧縮器112は、作動流体を圧縮する圧縮プロセスに使用される。
図1Bに示す生成段階では、作動流体回路103は、圧縮プロセス用のポンプ118を備える。同じように、作動流体回路103は、生成段階で出力タービン121を備える。さらに、作動流体回路103は、充填段階から空冷冷却器ACC1を除外し、生成段階では空冷冷却器ACC2を備える。空冷冷却器ACC2は、LTR109と復熱装置RCXとの間に位置決めされる。
【0022】
現在使用されている命名法では、「高温」と「低温」とは相互に関係している。即ち、HTRはLTRが動作する温度よりも高い温度で動作する。「熱い」及び「冷たい」という用語は、相互に関連して使用される。例えば、実施形態によっては、HTR106は100~340℃の範囲の温度で動作してもよく、LTR109は-2~2℃の範囲の温度で動作してもよい。
【0023】
図1Aに示す充填段階では、熱がLTR109から作動流体に伝達され、熱が作動流体からHTR106にそれぞれ伝達される。
図1Bに示す生成段階では、熱伝達が反対方向に発生する。熱が作動流体からLTR109に伝達され、熱がHTR106から作動流体にそれぞれ伝達される。
【0024】
従来の熱機関とは異なり、100%効率のターボ機械を備える理論上の理想的なサイクルでは、圧力損失がなく、熱交換器全体にわたって温度が完全に一致し、PTESプロセスのRTEは100%になる。実際には、熱力学的不可逆性と、圧力損失と、熱交換器を介した有限温度への接近と、により、RTE値が低下する。
図1Aに示す基準サイクルの充填段階については、二酸化炭素(「CO
2」)及び合理的な効率値のセットなどを使用すると、50~55%のRTEを計算することができる。
【0025】
例えば、熱力学的不可逆性により非効率が生じる可能性がある。熱力学的に理想的な圧縮プロセス及び膨張プロセスを、「断熱等エントロピー」装置として説明する。
図2では、膨張プロセス及び圧縮プロセスは、例えば、生成段階の状態4から状態5までの斜線で表される。「等エントロピー」という用語は、一定のエントロピープロセスを指す。図示の非理想的な場合では、圧縮プロセスは非等エントロピーであるため、圧力を増大させると、対応する生成膨張プロセスよりも緩やかな傾きを示す。このような不可逆性のため、圧縮プロセスは、膨張プロセスよりも仕事を多く消費する。
【0026】
このほか、作動流体の循環に非効率が生じる。熱の追加及び排除のプロセス中の圧力損失(例えば、生成プロセスの状態7から状態1)は、熱交換器及び配管を通る循環流体で失われる仕事を表す。このように、作動流体を循環させるという基本活動そのものが非効率を引き起こす。
【0027】
さらに、作動流体と蓄熱媒体との間の有限温度の差が、2つの材料間の熱伝達を促進するために必要である。充填段階と生成段階との間では熱伝達の方向が逆転し、貯蔵器材料の温度が固定されているため、生成中の作動流体温度をHTRよりも低くし、HTRよりも高くする必要がある一方で、充填中の作動流体温度をHTRよりも高くし、HTRよりも低くする必要がある。このような温度差は、熱力学的ポテンシャルの損失を表しており、システムの往復効率を低下させる。
【0028】
さらにまた、PTESシステム100は、「回復」としても知られる内部熱伝達を利用する。このプロセスは、PTESシステム100では復熱装置RCXが担う。回復は、充填サイクル中に圧縮器112に入る作動流体の温度を上昇させると同時に、出力タービン115に入る作動流体の温度を下げるために使用される。逆に、生成サイクル中、PTESシステム100は、回復を使用して、タービン121の排気から残留熱を抽出することによって、HTR106に入る前に作動流体を予熱する。
【0029】
作動流体とLTR109との間の熱伝達及び作動流体とHTR106との間の熱伝達は、それぞれの熱貯蔵器の熱交換器を介して発生する。わかりやすくするために、熱交換器は示していない。熱交換器を通る熱伝達プロセスは、「TQプロット」としても知られる温度-熱伝達プロットで図示すことができる。
【0030】
図3は、
図1A~
図1BのPTESシステム100での
図2の基準PTESサイクルの温度-熱伝達(「TQ」)プロットである。
図3のTQプロットは、作動流体圧力が高いとき(曲線402)及び作動流体圧力が低いとき(曲線404)に、熱が伝達するのに伴って流体温度がどのように低下/上昇するかを示す。TQ曲線の勾配が、流体の質量流量と熱容量の積の逆数に比例することがわかる。
図1A~
図1BのPTESシステム100用の作動流体はCO
2である。
【0031】
サイクルの基準バージョンでは、復熱装置RCXの両側を通る作動流体の流量は同一である。熱力学的に理想的な場合には、作動流体の熱容量は復熱装置RCXの両側で同一になるであろう。その状況では、2つのTQ曲線402、404は平行になるであろう。熱交換器伝導度(「UA」)が増大するにつれて、2つの曲線は互いに近づき、無限UAの極限では互いに重なり合うであろう。
【0032】
しかし、CO2をはじめとするいくつかの作動流体には、圧力のほか、温度によっても変化する熱容量特性がある。熱交換器の両側の圧力が異なるため、TQ曲線は平行ではないが、熱交換器の「端」の1つで「ピンチ(pinch)」挙動を示す。熱い流れによって失われる熱量が冷たい流れによって得られる熱量と同一であっても、熱交換器から出る熱い流れの温度は、熱交換器に入る熱い流れの温度よりも高い。この温度差は「熱力学的ポテンシャル値」の損失を表し、システムの性能を低下させる(熱力学的エクセルギー破壊計算方法を使用して、さらに厳密な分析を実施して、同じ結論に達することができる)。この場合、復熱装置の高圧端から出る流体が過剰な温度になるため、膨張器出口でほぼ完全に液体の状態を達成するためには、外部への熱遮断(external heat rejection)が必要となる。この熱損失はサイクル性能に直接影響する。
【0033】
上述したように、本開示の技術は、復熱装置全体にわたる熱容量の不一致の影響を低減して、TQ勾配の不一致に起因するエクセルギーの損失を回避し、それによって、サイクル性能を著しく改善する。TQ曲線の勾配に一致させるために、高熱容量流体の質量流量は、質量(「m」)と熱容量(「cp」)の積(「mcp」)が復熱装置の両側で同一であるように、低減される。再圧縮ブレイトンサイクル(「RCBサイクル」)として知られる超臨界CO2(「sCO2」)発電サイクルでは、これは、第2の「迂回」圧縮器を使用する低温復熱装置の高圧側を回ってCO2流の一部を意図的に迂回することによって実現される。しかし、PTESサイクルはRCBサイクルよりもかなり低い温度で動作するため、この選択肢は、二相流入口からの圧縮が必要になるであろうことから、利用可能ではない。
【0034】
その代わりに、充填段階中に、現在開示されている技術では、復熱装置の高圧側に平行な流路を追加する。高圧CO2流の約40%が復熱装置の高圧側を迂回し、その熱を第3の熱伝達媒体(「中温貯蔵器」又は「MTR」)に伝達する。流れの残りの約60%は復熱装置を通って進む。このとき、復熱装置の両側の質量と熱容量の積はほぼ同一であるため、流体間の温度をさらに近づけることができる。次に、2つの流れは膨張器を通過する前に再合流する。高圧CO2の最初の40%から抽出された熱は蓄熱媒体に伝達される。
【0035】
生成サイクル中は、このプロセスは逆に実施される。CO2流の約60%がポンプの放出から分離され、その温度がMTR媒体からの熱伝達によって上昇する。CO2の残りは復熱装置の高圧側を通過し、復熱装置から熱を伝達する。流れは、高温の貯蔵器材料によってさらに加熱される前に再合流する。
【0036】
エクセルギー破壊の減少により、システムの性能が大幅に向上する。同等の高温及び低温の貯蔵器と、他の圧力、温度及び熱交換器面積の制約により、新たなサイクルでは往復効率(「RTE」)が8ポイント向上し、約52%から60%に増大する。このほか、充填段階のACCを省略することができる。
【0037】
再び図面を参照すると、
図4A~
図4Bはそれぞれ、現在開示されている技術の1つ又は複数の実施形態によるPTESシステム400の動作サイクルの充填段階及び生成段階を示す。
図4A及び
図4Bを一括して参照すると、PTESシステム400は、構成可能な作動流体回路403、高温貯蔵器(「HTR」)406、低温貯蔵器(「LTR」)409及び中温貯蔵器(「MTR」)412を備える。PTESシステム400は、HTR406、LTR409及びMTR412の3つの貯蔵器があるため、「3貯蔵器式システム」として特徴付けられてもよい。
【0038】
HTR406は、LTR409及びMTR412が動作する温度よりも高い温度で動作するため、このように呼ばれる。同じように、LTR409は、HTR406及びMTR412が動作する温度よりも低い温度で動作する。MTR412は、HTR406及びLTR409が動作する温度の中間の温度で動作する。このため、貯蔵器HTR406、LTR409及びMTR412に関して、「高」、「中」及び「低」という用語は、3つの貯蔵器HTR406、LTR409及びMTR412が動作する相対温度を表す。
【0039】
熱貯蔵器HTR406、LTR409及びMTR412のそれぞれは、個別には示していない蓄熱媒体を備える。図示の実施形態では、HTR406、MTR412及びLTR409の場合、蓄熱媒体は、それぞれ砂、液体水及び水/氷混合物である。しかし、蓄熱媒体は任意の適切な蓄熱媒体であってもよく、代替実施形態では代替の蓄熱媒体を使用してもよい。熱貯蔵器HTR406、MTR412及びLTR409のそれぞれは、PTESシステム400の動作中に蓄熱媒体と作動流体との間で熱を伝達するために、熱交換器、配管、ポンプ、バルブ及び個別には示していない他の制御装置を備えてもよい。
【0040】
例えば、
図4A~
図4Bの図示の実施形態では、HTR406は、
図6Aに示す3タンク式システム600などの3タンク式システムとして知られているものであってもよい。3タンク式システムでは、充填プロセス中に、作動流体が第1の熱交換器HTX1に入り、そこで熱を熱貯蔵媒体に伝達する。次に、作動流体は第2の熱交換器HTX2に入り、そこで追加の熱を第2の熱貯蔵材料に伝達する。熱貯蔵媒体は、第1のタンクHTRcから第2の熱交換器HTX2に移送され、そこで作動流体から熱を受け取る。追加の熱貯蔵材料を中間温度で第2のタンクHTRmに保存し、熱貯蔵材料と混合する。次に、混合された熱貯蔵材料は、第1の熱交換器HTX1に移送され、そこで作動流体から熱を受け取り、次に第3のタンクHTRhに保存される。
【0041】
生成プロセスでは、流れの方向が反対になる。作動流体はまず第2の熱交換器HTX2に入り、そこで蓄熱媒体から熱を受け取る。次に、作動流体は第1の熱交換器HTX1に入り、そこで熱貯蔵媒体から追加の熱を受け取る。熱貯蔵媒体は、第3のタンクHTRhから第1の熱交換器HTX1に移送され、そこで熱を作動流体に伝達する。次いで、冷却された熱貯蔵媒体は、第1の部分と第2の部分とに分割される。熱貯蔵材料の第1の部分は、第2のタンクHTRmに保存される。熱貯蔵材料の第2の部分は第2の熱交換器HTX2に移送され、そこで追加の熱を作動流体に伝達する。熱貯蔵材料の冷却された第2の部分は、第1のタンクHTRcに保存される。
【0042】
同じように、
図4A~
図4Bの図示の実施形態では、MTR412及びLTR409は、
図6Bに示す2タンク式システム603などの2タンク式システムに実装されてもよい。2タンク式熱貯蔵器では、充填プロセス中に、作動流体が熱交換器に入り、油、水、溶融塩などの液体、あるいはケイ砂又は焼結ボーキサイトなどの流動する粒状媒体であり得る熱貯蔵媒体に熱を伝達する。熱貯蔵媒体は、第1のタンクHTRcから熱交換器に移送され、そこで作動流体から熱を受け取り、次に第2のタンクHTRhに保存される。
【0043】
生成プロセスでは、流体の流れの方向が反対になる。作動流体は熱交換器に入り、熱貯蔵媒体から熱を受け取る。熱貯蔵媒体は第2のタンクHTRhから熱交換器に移送され、そこで熱を作動流体に伝達する。次に、冷却された熱移送媒体は第1のタンクHTRcに保存される。
【0044】
代替実施形態では、他のタイプのタンクシステムを使用してもよい。そのようなタンクシステムの1つが、
図6Cに示す固体温度躍層貯蔵器606である。温度躍層熱貯蔵器では、充填プロセス中に、作動流体が比較的低温の蓄熱媒体に入る。蓄熱媒体は一般に固相材料である、固相材料を通って、作動流体は、蓄熱媒体の細孔を通るか、蓄熱媒体材料内に埋め込まれた(図示しない)チューブ又はパイプを通って流れてもよい。作動流体が蓄熱媒体中を流れると、熱が作動流体から蓄熱媒体に伝達され、その温度が上昇する。作動流体は、さらに低い温度まで冷却され、熱貯蔵器から排出される。
【0045】
生成プロセスでは、作動流体の流れの方向が反対になる。比較的低温の作動流体が加熱された蓄熱媒体に入る。熱が蓄熱媒体から作動流体に伝達されて、蓄熱媒体の温度が下がり、作動流体の温度が上昇する。次に、加熱された作動流体は熱貯蔵器から排出される。
【0046】
別の代替タンクシステムが、
図6Dに示す熱伝達流体(「TTF」)ループを備えた温度躍層609である。これとは別に、充填プロセス中に、作動流体は、熱交換器内の熱を油、水又は空気などの流体熱伝達媒体に伝達することができる。次いで、熱伝達媒体は、蓄熱媒体中を流れることによって熱を蓄熱媒体に伝達することができる。次に、冷却された熱伝達流体は熱交換器に移送され、そこで作動流体によって再加熱される。生成プロセスでは、作動流体と熱伝達流体の方向が逆になる。
【0047】
このほか、
図6Eの1タンク式温度躍層貯蔵システム612のような1タンク式温度躍層貯蔵システムがある。1タンク式温度躍層貯蔵器では、充填プロセス中に作動流体が熱交換器に入り、そこで熱を熱伝達流体に伝達する。加熱された熱伝達流体はタンクの上部に移送され、そこでは、熱伝達流体の流体密度が低いため、温度の高い方の流体が上層に残る状態の熱による成層化が生じる。温度が低い方の熱伝達流体がタンクの底から取り出され、熱交換器に移送される。
【0048】
生成プロセスでは、流れの方向が反対になる。比較的温度が高い方の熱伝達流体がタンクの上部から熱交換器に移送され、そこで作動流体を加熱する。冷却された熱伝達流体は、タンクの底に移送され、そこで熱的に成層化され、温度が高い方の熱伝達流体から分離された状態を維持する。
【0049】
このほか、
図6Fに示すシステム615のような埋め込み熱伝達面システムが知られている。埋め込み熱伝達面熱貯蔵器では、比較的均一な温度の蓄熱媒体に浸漬された一連のチューブ、パイプ又は他の流体チャネルを通じて作動流体が移送される。この例では、蓄熱媒体は、その凝固点に近い水又は別の流体とすることができ、作動流体は、その沸点に近い液体、あるいはその沸点温度の液体/蒸気混合物とすることができる。熱伝達プロセス中に、熱が作動流体から蓄熱媒体に伝達され、作動流体を一定温度で沸騰させる一方、蓄熱媒体は液体から固体に凍結する。作動流体は、その沸点か、その沸点をわずかに超える蒸気として熱貯蔵器から出る。
【0050】
生成プロセスでは、作動流体の流れの方向が反対になる。作動流体は、作動流体の沸点が蓄熱媒体の凝固点よりわずかに高くなるような圧力で流入する。熱が作動流体から蓄熱媒体に伝達され、作動流体が凝縮して液体状態になり、蓄熱媒体が溶融して液体状態になる。
【0051】
図6A~
図6Eに示すタンクシステムのうちの1つ又は複数を、実装に固有の考慮事項に応じて、さまざまな代替実施形態でHTR406、MTR412及びLTR409を実装するために、使用してもよい。しかし、このリストは網羅的でも排他的でもない。このほか、他のタンクシステム設計を使用してもよい。
【0052】
再び
図4A~
図4Bを参照すると、充填段階及び生成段階での構成可能な作動流体回路403にも共通するのは、迂回路415である。迂回路415はMTR412を備える。上述したように、また以下でさらに考察するように、迂回路415は、作動流体の一部が復熱装置RCXの高圧側を迂回することを可能にする。
【0053】
図4Aは、特に、PTES動作サイクルの充填段階を示す。充填段階では、構成可能な作動流体回路403は膨張器418及び充填圧縮器421を備える。図示の実施形態では、作動流体はCO
2である。代替実施形態では、当技術分野で知られている代替の作動流体を使用してもよい。充填段階に関する以下の考察は、表2に示す動作条件と併せて考慮されるべきである。この開示の恩恵を受ける当業者であれば、表2に示す値は、作動流体がCO
2であるという事実の一部であることを理解するであろう。作動流体の実装が異なると、表2の動作条件の値が異なる場合がある。
【0054】
このほか、以下の考察では、
図4Aの充填段階中の作動流体回路403内の任意の点での作動流体の状態を、円内の数字として示す。このように、第1の状態、即ち、状態1は、
図4Aの円内の数字1として示している。次に、その状態をさらに正確に特徴付けるために、これを表2にマッピングし直すことができる。
【表2】
【0055】
本明細書の開示は、復熱装置RCXの「高圧側」及び「低圧側」、即ち、「RCXh」及び「RCXl」にそれぞれ言及する。
図4Aに示す充填段階では、充填圧縮器421は、作動流体を加圧し、充填段階にて作動流体を循環させるための原動力を提供する。膨張器418は、作動流体を膨張させるか、減圧する。
【0056】
作動流体回路403のうち、充填圧縮器421によって加圧された作動流体が循環する部分を、作動流体回路403の「高圧側」と呼ぶ場合がある。同じように、作動流体回路403のうち、膨張器418によって膨張された作動流体が循環する部分を、作動流体回路403の「低圧側」と呼ぶ場合がある。このため、作動流体回路403の高圧側404は、充填圧縮器421の出口422から膨張器418の入口419に延びる。低圧側405は、膨張器418の出口420から充填圧縮器421の入口423まで延びる。
【0057】
復熱装置RCXの高圧側は、復熱装置RCXのうち、作動流体回路403の高圧側404と相互作用する側である。
図4Aに示す充填段階では、その側は、復熱装置RCXのうち、ポート426、430によって形成される側であろう。同ポートによって、加圧された作動流体が復熱装置RCXを通って循環する。復熱装置RCXの低圧側は、作動流体回路403の低圧側405と相互作用する側である。復熱装置RCXの低圧側は、ポート433、436によって形成されており、同ポートによって、膨張した作動流体が復熱装置RCXを通って循環する。
【0058】
復熱装置RCXから始まる充填段階中に、作動流体は復熱装置RCXを出て、第1の温度T1及び第1の圧力P1の第1の状態又は状態1で充填圧縮器421に入る。充填圧縮器421は、作動流体を圧縮し、作動流体の温度及び圧力を上昇させる。次いで、作動流体は、第2の温度T2及び第2の圧力P2の第2の状態で充填圧縮器421を出る。第2の温度及び第2の圧力はそれぞれ、第1の温度T1及び第1の圧力P1よりも高い。
【0059】
次いで、作動流体は、第2の温度T2及び第2の圧力P2の第2の状態で高温貯蔵器HTR406に入る。HTR406では、熱が作動流体からHTR406内の蓄熱媒体に伝達される。熱伝達プロセスにより、作動流体が第3の温度T3及び第3の圧力P3でHTR406から排出されると、作動流体の圧力と温度が第3の状態に低下する。
【0060】
次に、作動流体は作動流体回路403内の点424に到達し、分離する。作動流体の第1の部分が迂回路415に入り、第2の部分はライン427に入る。第2の部分は、第4の温度T4及び第4の圧力P4の第4の状態でライン427に入る。表2を参照すると、第4の状態は、第3の温度及び第3の圧力にある、即ち、T4=T3及びP4=P3にあるが、分離前の第3の状態とは異なることが示されている。第4の状態は、第2の部分が第3の状態の作動流体と同一の温度及び圧力にあるにもかかわらず、第3の状態よりも質量流量が低いという点で異なる。次に、第2の部分は、第4の温度T4及び第4の圧力P4の第4の状態でポート426を通って復熱装置RCXの高圧側に入る。
【0061】
復熱装置RCXでは、第2の部分と復熱装置の低圧側の循環作動流体との間で熱交換が実施される。この熱交換は、表2に示すように、第2の部分が、著しく低めの第5の温度T5とわずかに低めの第5の圧力P5の第5の状態まで第2の部分を冷却する。次に、第2の部分は、第5の温度T5及び第5の圧力P5の第6の状態でポート430を通って復熱装置RCXの高圧側で復熱装置RCXから出る。
【0062】
第2の部分が復熱装置RCXを通って循環している間、第1の部分は第6の状態で迂回路415に入る。表2を参照すると、第6の状態が分離前の第3の状態とは異なることがわかる。第6の状態は、第2の部分が第4の状態の作動流体と同一の温度及び圧力にあるにもかかわらず、第3の状態よりも質量流量が低いという点で異なる。次に、第1の部分は、第6の温度T6及び第6の圧力P6の第6の状態でMTR412に入る。
【0063】
MTR412では、中温熱貯蔵器MTR412と作動流体の第1の部分との間で熱が伝達される。MTR412が、LTR409より高く、高温熱貯蔵器HTR406より低い温度で動作することを想起されたい。次いで、第1の部分は、第7の温度T7及び第7の圧力P7の第7の状態で中温熱貯蔵器MTR412を出る。
【0064】
第1の部分が第7の状態でMTR412を出て、第2の部分が第5の状態で復熱装置RCXを出た後、第1の部分と第2の部分は点425で合流する。合流後、表2に示すように、作動流体は、第8の圧力P8及び第8の温度T8の第8の状態になる。第1の部分と第2の部分の合流又は「合流部分」は、次いで、第8の圧力P8及び第8の温度T8の第8の状態で膨張器418に入り、その後膨張し、冷却される。作動流体の合流部分は、第9の温度T9及び第9の圧力P9の第9の状態で膨張器418を出る。
【0065】
次に、作動流体は、第9の温度T9及び第9の圧力P9の第9の状態でLTR409に入る。LTR409では、熱がLTR409から作動流体に伝達される。表2に示すように、LTR409は、中温熱貯蔵器MTR412及び高温熱貯蔵器HTR406よりも低い温度で動作することに留意されたい。作動流体は、第10の温度T10及び第10の圧力P10の第10の状態でLTR409を出る。
【0066】
作動流体は、LTR409から出ると、第10の温度T10及び第10の圧力P10の第10の状態で復熱装置RCXに入り、第1の温度T1及び第1の圧力P1の第1の状態で出る。復熱装置RCXでは、復熱装置RCXの高圧側の作動流体から低圧側の作動流体に熱が伝達される。表2では、(1)第4の状態から第5の状態に移行するときの高圧側404の作動流体の温度低下と、(2)第10の状態から第1の状態に移行するときの低圧側405の作動流体の温度上昇と、が確認される。次に、作動流体は、直前に考察した作動流体回路403を通る循環を再び開始する。
【0067】
ここで
図4Bを参照すると、PTES動作サイクルの生成段階での作動流体回路403の構成を示している。作動流体回路403のさまざまな点での動作条件を表3に列挙する。上記で考察したように、作動流体回路403を通る作動流体の流れ方向は、動作サイクルの充填段階での方向とは逆になる。
図4Aの充填段階構成での膨張器419及び充填圧縮器421はそれぞれ、ポンプ450及び出力タービン453に置き換えられていることに留意されたい。表3の状態1及び状態2と表3の状態9及び状態10との比較からわかるように、ポンプ450は作動流体を加圧し、出力タービン453は作動流体を減圧する。
【0068】
このため、動作サイクルのこの段階では、作動流体回路403の高圧側404は、ポンプ450の出口451から出力タービン453の入口454まで延びる。低圧側405は、出力タービン453の出口455からポンプ450の入口452まで延びる。高圧側404は、迂回路415、ライン427、点425及び点424を備えることに留意されたい。復熱装置RCXの高圧側404はポート426、430によって再び形成され、復熱装置RCXの低圧側405はポート433、436によって再び形成される。
【表3】
【0069】
LTR409から始まり、作動流体はLTR409を出て、第1の温度T1及び第1の圧力P1の第1の状態でポンプ450に入る。ポンプ450は、生成段階にて循環のための原動力を提供する。作動流体は、第2の温度T2及び第2の圧力P2の第2の状態でポンプ450を出る。
【0070】
作動流体は、第2の状態でポンプ450を出ると、点425で第1の部分と第2の部分とに分離する。
図4Aに示す充填段階では、作動流体の2つの部分は点424で分離し、点425で合流する。しかし、作動流体の流れ方向は充填段階に対して生成段階では反対になるので、2つの部分は点425で分離し、点424で合流する。
【0071】
第2の部分は、点425で分離した後、ライン428に入る。第2の部分は、第3の温度T3及び第3の圧力P3の第3の状態でライン428に入る。表2を参照すると、第3の状態は第2の温度及び第2の圧力にある、即ち、第3の温度T3及び第3の圧力は第2の温度及び第2の圧力と同一であることがわかる。それにもかかわらず、第3の状態は、第2の状態よりも質量流量が大幅に低いという点で第2の状態とは異なる。次に、第2の部分は、復熱装置RCXを通ってその高圧側404から循環し、ポート430を通って入り、ポート426を通って出る。第2の部分は、第3の温度及び第3の圧力の第3の状態で復熱装置RCXに入り、第4の温度及び第4の圧力で第4の状態で出る。
【0072】
作動流体の第1の部分は、点425で分離した後、第5の温度T5及び第5の圧力P5の第5の状態で迂回路415に入る。第1の部分は、第5の温度T5及び第5の圧力P5の第5の状態でMTR412に入る。MTR412では、中温熱貯蔵器MTR412から第1の部分に熱が伝達される。次に、第1の部分は、第6の温度T6及び第6の圧力P6の第6の状態でMTR412を出る。
【0073】
第6の状態の第1の部分と第4の状態の第2の部分はそれぞれ、MTR412と復熱装置RCXから離れると、点424で合流する。
図4Aに示す充填段階では、作動流体の2つの部分は点424で分離し、点425で合流することに再び留意されたい。しかし、作動流体の流れ方向は充填段階に対して生成段階では反対になるため、2つの部分は点425で分離し、点424で合流する。点424以降の作動流体の合流部分は、第7の温度T
7及び第7の圧力P
7の第7の状態にある。
【0074】
次いで、合流部分は、第7の温度T7及び第7の圧力P7の第7の状態で高温貯蔵器HTR406に入る。高温貯蔵器HTR406では、高温貯蔵器HTR406から合流部分に熱が伝達される。次いで、合流部分は、第8の温度T8及び第8の圧力P8の第8の状態で高温貯蔵器HTR406を出る。
【0075】
次いで、作動流体の合流部分は、第8の温度T8及び第8の圧力P8の第9の状態で出力タービン453に入る。さらに具体的には、合流部分は、作動流体回路403の高圧側404から入口454を通って出力タービン453に入る。出力タービン453は作動流体を膨張させ、合流部分を冷却して圧力を低下させる。次いで、合流部分は、第9の温度T9及び第9の圧力P9の第9の状態で出力タービン453を出る。さらに具体的には、合流部分は出力タービンを出て、出口455を通って作動流体回路403の低圧側405に向かう。
【0076】
次に、合流部分は、ポート433、436を介して復熱装置RCXの低圧側を通って循環する。復熱装置RCXでは、上記のように復熱装置RCXに、その高圧側から入る作動流体の第2の部分と、復熱装置RCXに、その低圧側から入る合流部分との間で熱交換が実施される。次いで、合流部分は、第10の温度T10及び第10の圧力P10の第10の状態で復熱装置RCXを出る。次に、合流部分は、第10の温度T10及び第10の圧力P10の第10の状態で空冷冷却器ACCに入る。次に、空冷冷却器ACCは、合流部分を第11の温度T11及び第11の圧力P11の第11の状態まで冷却する。
【0077】
次いで、合流部分は、第11の温度T11及び第11の圧力P11の第11の状態でLTR409に入る。LTR409では、LTR409への合流部分からLTR409に熱が伝達される。次いで、合流部分は、第1の温度及び第1の圧力の第1の状態でLTR409を離れて、今述べたように作動流体回路403を通って再循環される。
【0078】
上述したように、
図4に示す充填段階と
図4Bに示す充填段階との間の作動流体回路403の構成は、流体流量バルブによって制御されてもよい。そのような制御システムは当業者には容易に理解されるが、完全を期すために、そのような制御システム500の1つを
図5に示す。制御システム500は、複数の流体流量バルブ505と、電線515を介して制御信号を送信するコントローラ510と、を備えてもよい。
【0079】
コントローラ510は、例えば、限定するものではないが、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、電気的に消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(「EEPROM」)などであり得るプロセッサベースのリソース520を含む。プロセッサベースのリソースの実装に応じて、コントローラ510はこのほか、コントローラ510の機能を実装するためにプロセッサベースのリソース520によって実行可能な(図示しない)命令でエンコードされたメモリ525を含んでもよい。さらに、プロセッサベースのリソース520の実装に応じて、メモリ525は、プロセッサベースのリソース520の一部であっても、スタンドアロンの装置であってもよい。例えば、命令は、マイクロプロセッサのメモリ部分に保存されたファームウェアであっても、スタンドアロンの読み取り専用メモリチップ又はランダムアクセスメモリチップに保存されたルーチンであってもよい。同じように、プロセッサベースのリソース520(例えば、ASIC)のいくつかの実装形態では、メモリ535は完全に省略されてもよい。
【0080】
ここで
図4A~
図4B及び
図5をまとめて参照すると、コントローラ510などのコントローラを使用して、
図4Aに示す充填段階と
図4Bに示す充填段階との間で作動流体回路403を構成してもよい。コントローラ510は、作動流体の流れを制御するために流体流量バルブ505に制御信号を送信してもよい。このため、充填段階のために作動流体回路403を構成するために、コントローラ510は、流体流量バルブ505を制御して、作動流体を出力タービン453及びポンプ450から迂回させながら、作動流体を充填圧縮器421及び膨張器418に導く。逆に、生成段階のために作動流体回路403を構成するために、コントローラ510は、流体流量バルブ505を制御して、作動流体を充填圧縮器421及び膨張器418から迂回させながら、作動流体を出力タービン453及びポンプ450に導く。
【0081】
ここで、
図4A~
図4Bをまとめて参照すると、作動流体回路403の高圧側404は、充填段階と動作段階の両方に迂回路415を備える。このため、MTR412の(図示しない)熱交換器を含む迂回路415は、両段階にて復熱装置RCXの高圧側にある。作動流体は、充填段階の点424及び生成段階の点425にて熱貯蔵器RCXに入る前に分離する。第1の部分は迂回路415を介して復熱装置RCXの高圧側を迂回し、第2の部分は復熱装置RCXに入る。次に、第1の部分と第2の部分は、第2の部分が復熱装置RCXを通過した後に、充填段階では点425で合流し、生成段階では点424にて合流する。
【0082】
作動流体回路402の高圧側404での分離及び合流が、図示の実施形態では点424、425で生じる。しかし、点424、425が分離点であるか合流点であるかは、動作サイクルが充填段階にあるか生成段階にあるかによって決まることになる。充填段階では、点424は分離点であり、生成段階では、合流点である。逆に、点425は、充填段階では合流点であり、生成段階では分離点である。代替実施形態では、本明細書に開示したものに加えて、あるいはその代わりに、分離点及び合流点が存在し得ることに留意されたい。これは、本明細書で開示する技術の実装とは関係のない設計目標を遂行する場合に特に当てはまる。
【0083】
目的は、復熱装置RCXの低圧側405の質量と熱容量の積と、復熱装置RCXの高圧側404の質量と熱容量の積の平衡をとることである。「平衡のとれた」という用語は、復熱装置RCXの両側の質量と熱容量の積が等しいことを意味する。しかし、さまざまな理由により、これを実際に正確に達成するのは難しい場合がある。このため、2つの積が「ほとんど」、「おおよそ」又は「ほぼ」等しい場合、システム全体の動作が何らかの望ましいレベルを達成する誤差の範囲内にそれら2つの積が両方とも存在するという意味で、2つの積は「平衡がとれて」いる。望ましい効率レベルは、この種の懸案事項に適応する値の範囲として表される場合がある。
【0084】
同じように、本開示での任意の量に関する「約」、「およそ」などの用語は、実際の量が、システム全体の動作が何らかの望ましいレベルの効率を達成する誤差の範囲内である限り、記載された量からの多少の逸脱が許容され得ることを示している。例えば、図示の実施形態では、以下でさらに詳細に考察するように、第1の部分は全合流作動流体の40%であり、第2の部分は60%であってもよい。作動流体としてCO2を採用する任意の実施形態では、このような割合で正確に分離するのは困難である可能性がある。このため、比率が「約」又は「およそ」40%及び60%である限り、多少の偏差は許容される場合がある。同じことが、本明細書にて考察するか開示する他の任意の量にも当てはまる。
【0085】
本開示の恩恵を受ける当業者であれば、任意の実施形態での質量流量と熱容量の両方が、例えば、作動流体の実装の選択などの要因に応じて、実装に固有であることを理解するであろう。ポンプ、膨張器、圧縮器などの動作範囲などの他の要因が、作動流体回路のさまざまな部分の動作条件に影響を及ぼす可能性がある。このため、表2及び表3のパラメータのさまざまな量は、作動流体として異なる物質を採用する代替実施形態、あるいは特定の装置を異なる方法で実装する代替実施形態では異なる場合がある。
【0086】
上述のように、図示の実施形態での作動流体はCO2である。前述のように作動流体が分離すると、第1の部分は作動流体の総量の40%となり、第2の部分は作動流体の総量の60%になる。これは、充填段階と生成段階の両方に当てはまる。異なる作動流体又は異なる質量流量を使用する代替実施形態では、この割合を変更して、復熱装置の高圧側と低圧側の両方で質量流量と熱容量の平衡を維持してもよい。
【0087】
このため、第1の実施形態では、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させるための方法を開示する。この方法は、作動流体が質量流量及び熱容量を有し、作動流体回路を通して作動流体を循環させることと、作動流体が作動流体回路を通って循環するときに、復熱装置の高圧側と復熱装置の低圧側で作動流体の質量と熱容量の積を平衡させることと、を含む。
【0088】
第2の実施形態では、第1の実施形態にて、復熱装置の高圧側で作動流体を第1の部分と第2の部分に分離することと、復熱装置の高圧側を回って第1の部分を迂回させることと、迂回中に第1の部分を冷却することと、第2の部分を復熱装置を通して循環させることと、第2の部分が復熱装置から出た後、冷却された第1の部分を第2の部分と合流させることと、によって、作動流体が作動流体回路を通って循環するときに、復熱装置の高圧側と復熱装置の低圧側とで作動流体の質量と熱容量の積の平衡をとる。
【0089】
第3の実施形態では、第2の実施形態にて、迂回路を通して作動流体を循環させることと、作動流体と中温熱貯蔵器との間で熱を伝達することと、によって、迂回中に第1の部分を冷却する。熱伝達には、充填段階にて、低温熱貯蔵器から作動流体に熱を伝達し、作動流体から中温熱貯蔵器及び高温熱貯蔵器に熱を伝達することと、生成段階にて、高温熱貯蔵器及び中温熱貯蔵器(高温)から作動流体に熱を伝達し、作動流体から低温熱貯蔵器に熱を伝達することと、が含まれる。
【0090】
第4の実施形態では、作動流体の第1の部分が作動流体の40%を構成し、第2の部分が作動流体の60%を構成するように、第2の実施形態が実施されてもよい。
【0091】
第5の実施形態では、作動流体回路を通って作動流体を循環させることが、二酸化炭素(CO2)を循環させることを含み、作動流体の第1の部分が作動流体の40%を構成し、第2の部分が作動流体の60%を構成するように、第1の実施形態が実施されてもよい。
【0092】
第6の実施形態では、作動流体回路を通して作動流体を循環させることが、二酸化炭素(CO2)を循環させることを含むように、第2の実施形態が実施されてもよい。
【0093】
第7の実施形態では、復熱装置の高圧側と復熱装置の低圧側での作動流体の質量と熱容量との積を平衡させることが、充填段階と生成段階とを含むように、第1の実施形態が実施されてもよい。充填段階は、二酸化炭素(CO2)から構成された作動流体の60%を復熱装置の高圧側を通して循環させ、CO2から構成された作動流体の100%を復熱装置の低圧側を通して循環させることを含む。生成段階は、CO2から構成された作動流体の60%を復熱装置の高圧側を通して循環させ、CO2から構成された作動流体の100%を復熱装置の低圧側を通して循環させることを含む。
【0094】
第8の実施形態では、作動流体が作動流体回路を通って循環するときに、復熱装置の高圧側と復熱装置の低圧側とで作動流体の質量と熱容量の積を平衡させることに、復熱装置の高圧側の質量流量を低減することが含まれるように、第1の実施形態が実施されてもよい。
【0095】
第9の実施形態では、第1の実施形態が、復熱装置の高圧側の作動流体の第2の部分と復熱装置の低圧側の作動流体の合流部分との間で熱交換することをさらに含む。
【0096】
第10の実施形態では、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムが、中温熱貯蔵器及び作動流体回路を備える。作動流体回路は、高圧側及び低圧側を有する復熱装置を備えており、作動流体の質量と熱容量の積は、作動流体が作動流体回路を通って循環するときに高圧側と低圧側で平衡がとれている。
【0097】
第11の実施形態では、作動流体が二酸化炭素(CO2)であるように第10の実施形態を実施してもよい。
【0098】
第12の実施形態では、作動流体回路が迂回路を備え、この迂回路によって、作動流体の第2の部分が復熱装置の高圧側を通って循環している間に、作動流体の第1の部分が復熱装置の高圧側を迂回するように、第10の実施形態を実施してもよい。
【0099】
第13の実施形態では、迂回路が第1の部分と中温熱貯蔵器との間の熱伝達部を備えるように、第11の実施形態を実施してもよい。さらに、作動流体回路は、作動流体を第1の部分と第2の部分とに分離する復熱装置の高圧側の分離部であって、第1の部分は第2の部分より小さく、第2の部分は復熱装置の高圧側から復熱装置を通って循環する、分離部と、第2の部分が復熱装置を出る際に、第1の部分が第2の部分と合流する、復熱装置の高圧側の合流点と、を備える。
【0100】
第14の実施形態では、第1の部分が作動流体の総量の40%であり、第2の部分が作動流体の総量の60%であるように、第11の実施形態を実施してもよい。
【0101】
第15の実施形態では、作動流体が二酸化炭素(CO2)であり、第1の部分が作動流体の総量の40%であり、第2の部分が作動流体の総量の60%であるように、第11の実施形態を実施してもよい。
【0102】
第16の実施形態では、動作中に、復熱装置の高圧側の作動流体の第2の部分と、復熱装置の低圧側の作動流体の合流部分との間で熱交換されるように、第10の実施形態を実施してもよい。
【0103】
第17の実施形態では、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させる方法には、作動流体回路を通して作動流体を循環させることと、作動流体を循環させながら復熱装置の高圧側と低圧側の作動流体の質量と熱容量の積を平衡させるために、復熱装置の高圧側の作動流体の質量流量を減少させることと、が含まれる。減少させることは、作動流体の第1の部分に復熱装置の高圧側を迂回させることと、作動流体の第2の部分を復熱装置の高圧側を通して循環させることと、を含んでもよい。
【0104】
第18の実施形態では、復熱装置の高圧側を迂回させることが、充填段階にて作動流体と高温貯蔵器との間で熱を伝達する際に、作動流体の第1の部分に復熱装置の高圧側を迂回させ、迂回中に、第1の部分が第2の部分より小さく、第2の部分が復熱装置を通って循環する間に、第1の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、生成段階にてポンプを出る際に、作動流体の第3の部分に復熱装置の高圧側を迂回させる一方で、迂回中に中温貯蔵器から第3の部分に熱を伝達しながら、作動流体の第4の部分を復熱装置を通して循環させことと、を含むように、第17の実施形態を実施してもよい。
【0105】
第19の実施形態では、第17の実施形態に、復熱装置の高圧側の作動流体の第2の部分と復熱装置の低圧側の作動流体の合流部分との間で熱交換することが含まれてもよい。
【0106】
第20の実施形態では、作動流体を循環させながら復熱装置の高圧側と低圧側の作動流体の質量と熱容量の積を平衡させるために、復熱装置の高圧側の作動流体の質量流量を減少させることが、作動流体を復熱装置の高圧側の第1の部分と、第1の部分が第2の部分よりも小さい、第2の部分とに分離することと、迂回中に第1の部分を冷却することと、第2の部分が復熱装置から出た後、冷却された第1の部分を第2の部分と合流させることと、をさらに含むように、第17の実施形態を実施してもよい。
【0107】
第21の実施形態では、迂回中に第1の部分を冷却することが、作動流体と中温熱貯蔵器との間で熱を伝達することを含むように、第20の実施形態を実施してもよい。熱を伝達することは、充填段階にて作動流体から中温熱貯蔵器に熱を伝達することと、生成段階にて中温熱貯蔵器から作動流体に熱を伝達することをさらに含んでもよい。
【0108】
第22の実施形態では、作動流体回路を通して作動流体を循環させることが、二酸化炭素(CO2)を循環させることを含むように、第17の実施形態を実施してもよい。
【0109】
第23の実施形態では、作動流体の第1の部分が作動流体の40%を構成し、第2の部分が作動流体の60%を構成するように、第17の実施形態を実施してもよい。
【0110】
第24の実施形態では、作動流体回路を通して作動流体を循環させることが、二酸化炭素(CO2)を循環させることを含み、作動流体の第1の部分が作動流体の40%を構成し、第2の部分が作動流体の60%を構成するように、第17の実施形態を実施してもよい。
【0111】
第25の実施形態では、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムが、低温貯蔵器と、高温貯蔵器と、中温貯蔵器と、PTES動作サイクルの充填段階及び生成段階用に構成可能であり、使用中に作動流体が循環する作動流体回路と、を備える。作動流体回路は、復熱装置を備えてもよく、充填段階にあるときには、復熱装置と低温貯蔵器との間に位置決めされた膨張器と、復熱装置と高温熱貯蔵器との間に位置決めされた充填圧縮器と、を備えてもよく、生成段階にあるときには、復熱装置と低温熱貯蔵器との間に位置決めされたポンプと、復熱装置と高温熱貯蔵器との間に位置決めされる生成タービンと、迂回路であって、この迂回路により、充填段階と生成段階の両方にて、作動流体の第1の部分が復熱装置の高圧側を迂回し、中温熱貯蔵器を通って流れ、作動流体の第2の部分が復熱装置を通って循環する間に中温熱貯蔵器が作動流体と中温熱貯蔵器との間で熱を伝達する、迂回路と、を備えてもよい。
【0112】
第26の実施形態では、作動流体が二酸化炭素(CO2)であるように、第25の実施形態を実施してもよい。
【0113】
第27の実施形態では、第1の部分が作動流体の総量の40%であり、第2の部分が作動流体の総量の60%であるように、第25の実施形態を実施してもよい。
【0114】
第28の実施形態では、作動流体が二酸化炭素(CO2)であり、第1の部分が作動流体の総量の40%であり、第2の部分が作動流体の総量の60%であるように、第25の実施形態を実施してもよい。
【0115】
第29の実施形態では、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させるための方法が提供され、この方法は、復熱装置を備える作動流体回路を通して高熱容量の作動流体を循環させることと、質量と熱容量の積が復熱装置の両側で同一になるように、復熱装置の高圧側の作動流体の質量流量を減少させることと、を含む。質量流量を減少させることには、充填段階では、作動流体の第1の部分で復熱装置を迂回し、迂回中に、第1の部分は作動流体の第2の部分よりも小さい部分である、作動流体の第2の部分を復熱装置を通して循環させながら、第1の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、第1の部分が復熱装置を迂回する間に、第2の部分を復熱装置を通して循環させ、復熱装置を通して循環中に第2の部分から熱を伝達することと、第1の部分が復熱装置を迂回し、第2の部分が復熱装置を通って循環した後、第1の部分と第2の部分の両方を膨張器を通して共に循環させることと、が含まれる。質量流量を減少させることには、生成段階では、作動流体の第3の部分で復熱装置を迂回し、迂回中に、第3の部分が第4の部分よりも大きい部分である、作動流体の第4の部分を復熱装置を通して循環させながら、第3の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、第3の部分が復熱装置を迂回している間に第4の部分を熱交換器を通して循環させ、復熱装置を通って循環している間に熱を第4の部分に伝達することと、第3の部分が復熱装置を迂回し、第4の部分が復熱装置を通って循環した後、高温貯蔵器を通して第3の部分と第4の部分の両方を共に循環させることと、が含まれる。
【0116】
第30の実施形態では、作動流体が二酸化炭素(CO2)であるように第29の実施形態を実施してもよい。
【0117】
第31の実施形態では、第1の部分が充填段階での作動流体の質量流量の約40%に相当し、第2の部分が充填段階での作動流体の質量流量の約60%に相当し、第3の部分が生成段階での作動流体の質量流量の約40%に相当し、第4の部分が生成段階での作動流体の約60%に相当するように、第30の実施形態を実施してもよい。
【0118】
第32の実施形態では、第1の部分が充填段階での作動流体の質量流量の約40%に相当し、第2の部分が充填段階での作動流体の約60%に相当し、第3の部分が生成段階の作動流体の質量流量の約40%に相当し、第4の部分が生成段階の作動流体の約60%に相当するように、第29の実施形態を実施してもよい。
【0119】
この開示の恩恵を受ける当業者は、本明細書に開示する技術のさらに他の実施形態を理解する可能性がある。
【0120】
以上、当業者が本開示をさらによく理解し得るように、いくつかの実施形態の特徴を概説した。当業者は、同一の目的を実施するため、及び/又は本明細書に導入された実施形態と同一の利点を達成するために、他のプロセス及び構造を設計するか修正するための基礎として本開示を容易に使用し得ることを理解すべきである。当業者はこのほか、そのような等価な構成が本開示の精神及び範囲から逸脱するものではなく、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく本明細書にてさまざまな変更、置換及び改変を施し得ることを理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
以上、当業者が本開示をさらによく理解し得るように、いくつかの実施形態の特徴を概説した。当業者は、同一の目的を実施するため、及び/又は本明細書に導入された実施形態と同一の利点を達成するために、他のプロセス及び構造を設計するか修正するための基礎として本開示を容易に使用し得ることを理解すべきである。当業者はこのほか、そのような等価な構成が本開示の精神及び範囲から逸脱するものではなく、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく本明細書にてさまざまな変更、置換及び改変を施し得ることを理解すべきである。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させる方法であって、前記方法は、
作動流体回路を通して、質量流量及び熱容量を有する作動流体を循環させることと、
前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、復熱装置の高圧側と前記復熱装置の低圧側で前記作動流体の前記質量と前記熱容量の積を平衡させることと、を含む、方法。
[態様2]
前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側で前記作動流体の前記質量と前記熱容量の前記積を平衡させることは、
前記作動流体を前記復熱装置の前記高圧側で第1の部分と第2の部分に分離することと、
前記復熱装置の前記高圧側を回って前記第1の部分を迂回させることと、
前記迂回中に前記第1の部分を冷却することと、
前記第2の部分を前記復熱装置を通して循環させることと、
前記第2の部分が前記復熱装置を出た後、前記冷却された前記第1の部分を前記第2の部分と合流させることと、を含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記迂回中に前記第1の部分を冷却することは、
前記迂回を通して前記作動流体を循環させることと、
前記作動流体と中温熱貯蔵器との間で熱を伝達することであって、
充填段階では、前記作動流体から中温熱貯蔵器に熱を伝達することと、
生成段階では、中温熱貯蔵器から前記作動流体に熱を伝達することと、を含む、態様2に記載の方法。
[態様4]
前記作動流体の前記第1の部分は前記作動流体の約40%を構成し、前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、態様2に記載の方法。
[態様5]
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2
)を循環させることを含み、
前記作動流体の前記第1の部分は、前記作動流体の約40%を構成し、
前記作動流体の前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、態様1に記載の方法。
[態様6]
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2
)を循環させることを含む、態様2に記載の方法。
[態様7]
前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の前記質量と前記熱容量の積を平衡させることは、
充填段階では、
二酸化炭素(CO
2
)から構成された前記作動流体の約60%を前記復熱装置の前記高圧側を通して循環させることと、
CO
2
から構成された前記作動流体の100%を前記復熱装置の前記低圧側を通して循環させることと、を含み、
生成段階では、
CO
2
から構成された前記作動流体の約60%を前記復熱装置の前記高圧側を通して循環させることと、
CO
2
から構成された前記作動流体の100%を前記復熱装置の前記低圧側を通して循環させることと、を含む、態様1に記載の方法。
[態様8]
前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の前記質量と前記熱容量の前記積を平衡させることは、前記復熱装置の前記高圧側の前記質量流量を減少させることを含む、態様1に記載の方法。
[態様9]
前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記第2の部分と、前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の合流部分との間で熱を交換することをさらに含む、態様1に記載の方法。
[態様10]
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムであって、
中温熱貯蔵器と、
作動流体回路であって、
高圧側と低圧側とを有する復熱装置であって、作動流体の質量と熱容量の積は、前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、前記高圧側と前記低圧側とで平衡をとられる、復熱装置を、備える作動流体回路と、を具備する、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システム。
[態様11]
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2
)である、態様10に記載のシステム。
[態様12]
前記作動流体回路は、迂回路であって、前記迂回路によって、前記作動流体の第2の部分が前記復熱装置の前記高圧側を通って循環する間に、前記作動流体の第1の部分が前記復熱装置の前記高圧側を迂回する、迂回路を備える、態様10に記載のシステム。
[態様13]
前記迂回路は、第1の部分と前記中温熱貯蔵器との間の熱伝達部を含み、
前記作動流体回路は、
前記作動流体を前記第1の部分と前記第2の部分に分離する前記復熱装置の前記高圧側の分離部であって、前記第1の部分は前記第2の部分より小さく、前記第2の部分は前記復熱装置の前記高圧側から前記復熱装置を通って循環する、分離部と、
前記第2の部分が前記復熱装置を出る際に、前記第1の部分が前記第2の部分と合流する、前記復熱装置の前記高圧側の合流点と、をさらに具備する、態様10に記載のシステム。
[態様14]
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、態様10に記載のシステム。
[態様15]
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2
)であり、
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、
前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、態様10に記載のシステム。
[態様16]
さらに、動作中、前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記第2の部分と、前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の合流部分との間で熱が交換される、態様10に記載のシステム。
[態様17]
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させる方法であって、前記方法は、
作動流体回路を通して作動流体を循環させることと、
復熱装置の高圧側の前記作動流体の質量流量を減少させて、前記作動流体を循環させる間に前記復熱装置の前記高圧側と低圧側の前記作動流体の前記質量と熱容量の積を平衡させることであって、
前記作動流体の第1の部分に前記復熱装置の前記高圧側を迂回させることと、
前記作動流体の第2の部分を前記復熱装置の前記高圧側を通して循環させることと、を含む、を含む、方法。
[態様18]
前記復熱装置の前記高圧側を迂回させることは、
充填段階にて前記作動流体と高温貯蔵器との間で熱を伝達する際に、前記作動流体の第1の部分に前記復熱装置の前記高圧側を迂回させ、前記第1の部分が前記第2の部分よりも小さく、前記第2の部分が前記復熱装置を通って循環する間に、前記迂回中に、前記第1の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、
生成段階にてポンプを出る際に、前記作動流体の第3の部分に前記復熱装置の前記高圧側を迂回させる一方、前記復熱装置を通って前記作動流体の第4の部分を循環させながら、前記迂回中に、前記中温貯蔵器から前記第3の部分に熱を伝達することと、を含む、態様17に記載の方法。
[態様19]
前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記第2の部分と、前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の合流部分との間で熱を交換することをさらに含む、態様17に記載の方法。
[態様20]
前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記質量流量を減少させて、前記作動流体を循環させている間に、前記復熱装置の前記高圧側と前記低圧側の前記作動流体の前記質量と前記熱容量の前記積を平衡させることは、
前記作動流体を前記復熱装置の前記高圧側で前記第1の部分と、前記第1の部分が第2の部分よりも小さい、前記第2の部分に分離することと、
前記迂回中に前記第1の部分との間で熱を伝達することと、
前記第2の部分が前記復熱装置を出た後、前記第1の部分を前記第2の部分と合流させることと、をさらに含む、態様17に記載の方法。
[態様21]
前記迂回中に前記第1の部分との間で熱を伝達することは、前記作動流体と中温熱貯蔵器との間で熱を伝達することを含む、態様20に記載の方法であって、
充填段階では、前記作動流体から中温熱貯蔵器に熱を伝達することをさらに含み、
生成段階では、中温熱貯蔵器から前記作動流体に熱を伝達することをさらに含む、方法。
[態様22]
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2
)を循環させることを含む、態様17に記載の方法。
[態様23]
前記作動流体の前記第1の部分は前記作動流体の約40%を構成し、前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、態様17に記載の方法。
[態様24]
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2
)を循環させることを含み、
前記作動流体の前記第1の部分は前記作動流体の約40%を構成し、前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、態様17に記載の方法。
[態様25]
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムであって、
低温熱貯蔵器と、
高温熱貯蔵器と、
中温熱貯蔵器と、
PTES動作サイクルの充填段階及び生成段階のために構成可能であり、使用中に作動流体が循環する作動流体回路であって、前記作動流体回路は、
復熱装置と、
前記充填段階では、
前記復熱装置と前記低温熱貯蔵器との間に位置決めされた膨張器と、
前記復熱装置と前記高温熱貯蔵器との間に位置決めされた充填圧縮器と、を備え、
前記生成段階では、
前記復熱装置と前記低温熱貯蔵器との間に位置決めされたポンプと、
前記復熱装置と前記高温熱貯蔵器との間に位置決めされた出力タービンと、を備え、
迂回路であって、前記迂回路によって、前記充填段階と前記生成段階の両方にて、前記作動流体の第1の部分が前記復熱装置の高圧側を迂回し、前記中温熱貯蔵器を通って流れ、前記作動流体の第2の部分が前記復熱装置を通って循環する間に、前記中温熱貯蔵器が前記作動流体と前記中温熱貯蔵器との間で熱を伝達する、迂回路と、を備える、作動流体回路と、を具備する、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システム。
[態様26]
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2
)である、態様25に記載のシステム。
[態様27]
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、態様25に記載のシステム。
[態様28]
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2
)であり、
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、
前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、態様25に記載のシステム。
[態様29]
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを作動させる方法であって、前記方法は、
復熱装置を備える作動流体回路を通して高熱容量の作動流体を循環させることと、
前記復熱装置の両側で質量と熱容量の積が同一になるように、前記復熱装置の高圧側の前記作動流体の質量流量を減少させることであって、
充填段階では、
前記作動流体の第1の部分で前記復熱装置を迂回し、前記迂回中に、前記作動流体の第2の部分を前記復熱装置を通して循環させながら、前記第1の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、
前記第1の部分が前記復熱装置を迂回する間に、前記第2の部分を前記復熱装置を通して循環させ、前記復熱装置を通して循環中に前記第2の部分から熱を伝達することと、
前記第1の部分が前記復熱装置を迂回し、前記第2の部分が前記復熱装置を通って循環した後、前記第1の部分と前記第2の部分の両方を膨張器を通して共に循環させることと、を含み、
生成段階では、
前記作動流体の第3の部分で前記復熱装置を迂回し、前記迂回中に、前記作動流体の第4の部分を前記復熱装置を通して循環させながら、前記第3の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、
前記第3の部分が前記復熱装置を迂回する間に、第4の部分を前記復熱装置を通して循環させ、前記復熱装置を通って循環中に前記第4の部分に熱を伝達することと、
前記第3の部分が前記復熱装置を迂回し、前記第4の部分が前記復熱装置を通って循環した後、高温貯蔵器を通して前記第3の部分と前記第4の部分の両方を共に循環させることと、を含む、方法。
[態様30]
前記作動流体が二酸化炭素(CO
2
)である、態様29に記載の方法。
[態様31]
前記第1の部分は、前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、
前記第2の部分は、前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当し、
前記第3の部分は、前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、前記第4の部分は前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当する、態様30に記載の方法。
[態様32]
前記第1の部分は、前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、前記第2の部分は前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当し、
前記第3の部分は、前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、前記第4の部分は前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当する、態様29に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させる方法であって、前記方法は、
作動流体回路を通して、質量流量及び熱容量を有する作動流体を循環させることと、
前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、復熱装置の高圧側と前記復熱装置の低圧側で前記作動流体の前記質量と前記熱容量の積を平衡させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側で前記作動流体の前記質量と前記熱容量の前記積を平衡させることは、
前記作動流体を前記復熱装置の前記高圧側で第1の部分と第2の部分に分離することと、
前記復熱装置の前記高圧側を回って前記第1の部分を迂回させることと、
前記迂回中に前記第1の部分を冷却することと、
前記第2の部分を前記復熱装置を通して循環させることと、
前記第2の部分が前記復熱装置を出た後、前記冷却された前記第1の部分を前記第2の部分と合流させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記迂回中に前記第1の部分を冷却することは、
前記迂回を通して前記作動流体を循環させることと、
前記作動流体と中温熱貯蔵器との間で熱を伝達することであって、
充填段階では、前記作動流体から中温熱貯蔵器に熱を伝達することと、
生成段階では、中温熱貯蔵器から前記作動流体に熱を伝達することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記作動流体の前記第1の部分は前記作動流体の約40%を構成し、前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2)を循環させることを含み、
前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側のうち一方における前記作動流体の
第1の部分は、前記作動流体の約40%を構成し、
前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側のうち他方における前記作動流体の
第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2)を循環させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の前記質量と前記熱容量の積を平衡させることは、
充填段階では、
二酸化炭素(CO
2)から構成された前記作動流体の約60%を前記復熱装置の前記高圧側を通して循環させることと、
CO
2から構成された前記作動流体の100%を前記復熱装置の前記低圧側を通して循環させることと、を含み、
生成段階では、
CO
2から構成された前記作動流体の約60%を前記復熱装置の前記高圧側を通して循環させることと、
CO
2から構成された前記作動流体の100%を前記復熱装置の前記低圧側を通して循環させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、前記復熱装置の前記高圧側と前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の前記質量と前記熱容量の前記積を平衡させることは、前記復熱装置の前記高圧側の前記質量流量を減少させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の
第2の部分と、前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の合流部分との間で熱を交換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムであって、
中温熱貯蔵器と、
作動流体回路であって、
高圧側と低圧側とを有する復熱装置であって、作動流体の質量と熱容量の積は、前記作動流体が前記作動流体回路を通って循環するときに、前記高圧側と前記低圧側とで平衡をとられる、復熱装置を、備える作動流体回路と、を具備する、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システム。
【請求項11】
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2)である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記作動流体回路は、迂回路であって、前記迂回路によって、前記作動流体の第2の部分が前記復熱装置の前記高圧側を通って循環する間に、前記作動流体の第1の部分が前記復熱装置の前記高圧側を迂回する、迂回路を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記迂回路は、第1の部分と前記中温熱貯蔵器との間の熱伝達部を含み、
前記迂回において前記第1の部分を冷却し、
前記作動流体回路は、
前記作動流体を前記第1の部分と前記第2の部分に分離する前記復熱装置の前記高圧側の分離部であって、前記第1の部分は前記第2の部分より小さく、前記第2の部分は前記復熱装置の前記高圧側から前記復熱装置を通って循環する、分離部と、
前記第2の部分が前記復熱装置を出る際に、前記第1の部分が前記第2の部分と合流する、前記復熱装置の前記高圧側の合流点と、をさらに具備する、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、請求項
12に記載のシステム。
【請求項15】
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2)であり、
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、
前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、請求項
12に記載のシステム。
【請求項16】
さらに、動作中、前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記第2の部分と、前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の合流部分との間で熱が交換される、請求項
12に記載のシステム。
【請求項17】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを動作させる方法であって、前記方法は、
作動流体回路を通して作動流体を循環させることと、
復熱装置の高圧側の前記作動流体の質量流量を減少させて、前記作動流体を循環させる間に前記復熱装置の前記高圧側と低圧側の前記作動流体の前記質量と熱容量の積を平衡させることであって、
前記作動流体の第1の部分に前記復熱装置の前記高圧側を迂回させることと、
前記作動流体の第2の部分を前記復熱装置の前記高圧側を通して循環させることと、を含む、を含む、方法。
【請求項18】
前記復熱装置の前記高圧側を迂回させることは、
充填段階にて前記作動流体と高温貯蔵器との間で熱を伝達する際に、前記作動流体の第1の部分に前記復熱装置の前記高圧側を迂回させ、前記第1の部分が前記第2の部分よりも小さく、前記第2の部分が前記復熱装置を通って循環する間に、前記迂回中に、前記第1の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、
生成段階にてポンプを出る際に、前記作動流体の第3の部分に前記復熱装置の前記高圧側を迂回させる一方、前記復熱装置を通って前記作動流体の第4の部分を循環させながら、前記迂回中に、前記中温貯蔵器から前記第3の部分に熱を伝達することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記第2の部分と、前記復熱装置の前記低圧側の前記作動流体の合流部分との間で熱を交換することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記復熱装置の前記高圧側の前記作動流体の前記質量流量を減少させて、前記作動流体を循環させている間に、前記復熱装置の前記高圧側と前記低圧側の前記作動流体の前記質量と前記熱容量の前記積を平衡させることは、
前記作動流体を前記復熱装置の前記高圧側で前記第1の部分と、前記第1の部分が第2の部分よりも小さい、前記第2の部分に分離することと、
前記迂回中に前記第1の部分との間で熱を伝達することと、
前記第2の部分が前記復熱装置を出た後、前記第1の部分を前記第2の部分と合流させることと、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記迂回中に前記第1の部分との間で熱を伝達することは、前記作動流体と中温熱貯蔵器との間で熱を伝達することを含む、請求項20に記載の方法であって、
充填段階では、前記作動流体から中温熱貯蔵器に熱を伝達することをさらに含み、
生成段階では、中温熱貯蔵器から前記作動流体に熱を伝達することをさらに含む、方法。
【請求項22】
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2)を循環させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記作動流体の前記第1の部分は前記作動流体の約40%を構成し、前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記作動流体回路を通して前記作動流体を循環させることは、二酸化炭素(CO
2)を循環させることを含み、
前記作動流体の前記第1の部分は前記作動流体の約40%を構成し、前記第2の部分は前記作動流体の約60%を構成する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムであって、
低温熱貯蔵器と、
高温熱貯蔵器と、
中温熱貯蔵器と、
PTES動作サイクルの充填段階及び生成段階のために構成可能であり、使用中に作動流体が循環する作動流体回路であって、前記作動流体回路は、
復熱装置と、
前記充填段階では、
前記復熱装置と前記低温熱貯蔵器との間に位置決めされた膨張器と、
前記復熱装置と前記高温熱貯蔵器との間に位置決めされた充填圧縮器と、を備え、
前記生成段階では、
前記復熱装置と前記低温熱貯蔵器との間に位置決めされたポンプと、
前記復熱装置と前記高温熱貯蔵器との間に位置決めされた出力タービンと、を備え、
迂回路であって、前記迂回路によって、前記充填段階と前記生成段階の両方にて、前記作動流体の第1の部分が前記復熱装置の高圧側を迂回し、前記中温熱貯蔵器を通って流れ、前記作動流体の第2の部分が前記復熱装置を通って循環する間に、前記中温熱貯蔵器が前記作動流体と前記中温熱貯蔵器との間で熱を伝達する、迂回路と、を備える、作動流体回路と、を具備する、ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システム。
【請求項26】
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2)である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記作動流体は二酸化炭素(CO
2)であり、
前記第1の部分は前記作動流体の総量の約40%であり、
前記第2の部分は前記作動流体の総量の約60%である、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵(「PTES」)システムを作動させる方法であって、前記方法は、
復熱装置を備える作動流体回路を通して高熱容量の作動流体を循環させることと、
前記復熱装置の両側で質量と熱容量の積が同一になるように、前記復熱装置の高圧側の前記作動流体の質量流量を減少させることであって、
充填段階では、
前記作動流体の第1の部分で前記復熱装置を迂回し、前記迂回中に、前記作動流体の第2の部分を前記復熱装置を通して循環させながら、前記第1の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、
前記第1の部分が前記復熱装置を迂回する間に、前記第2の部分を前記復熱装置を通して循環させ、前記復熱装置を通して循環中に前記第2の部分から熱を伝達することと、
前記第1の部分が前記復熱装置を迂回し、前記第2の部分が前記復熱装置を通って循環した後、前記第1の部分と前記第2の部分の両方を膨張器を通して共に循環させることと、を含み、
生成段階では、
前記作動流体の第3の部分で前記復熱装置を迂回し、前記迂回中に、前記作動流体の第4の部分を前記復熱装置を通して循環させながら、前記第3の部分から中温貯蔵器に熱を伝達することと、
前記第3の部分が前記復熱装置を迂回する間に、第4の部分を前記復熱装置を通して循環させ、前記復熱装置を通って循環中に前記第4の部分に熱を伝達することと、
前記第3の部分が前記復熱装置を迂回し、前記第4の部分が前記復熱装置を通って循環した後、高温貯蔵器を通して前記第3の部分と前記第4の部分の両方を共に循環させることと、を含む、方法。
【請求項30】
前記作動流体が二酸化炭素(CO
2)である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の部分は、前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、
前記第2の部分は、前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当し、
前記第3の部分は、前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、前記第4の部分は前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の部分は、前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、前記第2の部分は前記充填段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当し、
前記第3の部分は、前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約40%に相当し、前記第4の部分は前記生成段階での前記作動流体の前記質量流量の約60%に相当する、請求項29に記載の方法。
【国際調査報告】