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特表2024-500381光学構造のためのマウント、および光学構造をマウントに取り付ける方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】光学構造のためのマウント、および光学構造をマウントに取り付ける方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/182 20210101AFI20231226BHJP
【FI】
G02B7/182
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536014
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 US2021072509
(87)【国際公開番号】W WO2022133379
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】17/122,418
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500216318
【氏名又は名称】ピーエルエックス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PLX INC.
【住所又は居所原語表記】40 West Jefryn Boulevard, Deer Park, NY 11729, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュナ、イタイ
【テーマコード(参考)】
2H043
【Fターム(参考)】
2H043CA01
2H043CA08
(57)【要約】
光学構造の上側支持部材と下側支持部材との間において互いに対して反射関係に固定される少なくとも2つのミラーパネルを備える光学構造のための改善されたマウント、および当該光学構造を取り付ける方法が、提供される。マウントは、バックパネルに沿って固定される頂部パネルおよび底部パネルを備えるブラケット要素、を有する。少なくとも6つの取り付けパッドが存在し、少なくとも3つは、光学構造の上側支持部材の外側の面の部分を、ブラケットの頂部パネルの内側の面の部分に取り付け、少なくとも3つは、光学構造の下側支持部材の外側の面の部分を、ブラケットの底部パネルの内側の面の部分に取り付ける。3つの頂部および底部取り付けパッドのセットのうちの中央のものは、第1のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成され、3つの頂部および底部取り付けパッドのセットのうちの外側の2つのものは、第2のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学構造を外部のシステムに取り付けるためのマウントであって、前記光学構造は、前記光学構造の上側支持部材と下側支持部材との間において、互いに対して反射関係に固定された、少なくとも2つのミラーパネルを備え、前記上側支持部材および前記下側支持部材のそれぞれは、外側面を有し、
前記マウントは、
バックパネルに沿って固定される頂部パネルおよび底部パネルを備えるブラケット要素と、
少なくとも第1の取り付けパッドおよび第2の取り付けパッドであって、前記第1の取り付けパッドは、前記上側支持部材の前記外側面の第1の部分を、前記ブラケットの前記頂部パネルの内側面の第1の部分に部分的に取り付け、前記第2の取り付けパッドは、前記下側支持部材の前記外側面の第1の部分を、前記ブラケットの前記底部パネルの内側面の第1の部分に取り付ける、少なくとも第1の取り付けパッドおよび第2の取り付けパッドと、
少なくとも第3の取り付けパッド、第4の取り付けパッド、第5の取り付けパッド、第6の取り付けパッドであって、前記第3の取り付けパッドおよび前記第4の取り付けパッドは、前記上側支持部材の前記外側面の第2の部分および第3の部分を、前記ブラケットの前記頂部パネルの内側面の第2の部分および第3の部分に部分的に取り付け、前記第5の取り付けパッドおよび前記第6の取り付けパッドは、前記下側支持部材の前記外側面の第2の部分および第3の部分を、前記ブラケットの前記底部パネルの内側面の第2の部分および第3の部分に部分的に取り付ける、少なくとも第3の取り付けパッド、第4の取り付けパッド、第5の取り付けパッド、第6の取り付けパッドと、
を備え、
前記少なくとも第1の取り付けパッドおよび第2の取り付けパッドは、第1のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成され、前記少なくとも第3の取り付けパッド、第4の取り付けパッド、第5の取り付けパッド、および第6の取り付けパッドは、第2のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成される、
マウント。
【請求項2】
前記第1のデュロメータ値が、ショアA:40~90である、デュロメータの範囲内にあり、前記第2のデュロメータ値が、ショアA:25~60である、デュロメータの範囲内にある、請求項1に記載のマウント。
【請求項3】
前記第1のデュロメータ値が、ショアA:20~90である、デュロメータの範囲内にあり、前記第2のデュロメータ値が、ショア00:10~80である、デュロメータの範囲内にある、請求項1に記載のマウント。
【請求項4】
少なくとも前記第1の取り付けパッドは、前記光学構造の前記上側支持部材と前記ブラケットの前記頂部パネルとの間において、少なくとも前記第3の取り付けパッドおよび前記第4の取り付けパッドの間に配置される、請求項3に記載のマウント。
【請求項5】
少なくとも前記第2の取り付けパッドは、前記光学構造の前記下側支持部材と前記ブラケットの前記底部パネルとの間において、少なくとも前記第5の取り付けパッドおよび前記第6の取り付けパッドの間に配置される、請求項3に記載のマウント。
【請求項6】
前記第1のデュロメータ値が、ショアA:25~60である、デュロメータの範囲内にあり、前記第2のデュロメータ値が、ショアA:40~90である、デュロメータの範囲内にある、請求項1に記載のマウント。
【請求項7】
前記第1のデュロメータ値が、ショア00:10~80である、デュロメータの範囲内にあり、前記第2のデュロメータ値が、ショアA:20~90である、デュロメータの範囲内にある、請求項1に記載のマウント。
【請求項8】
少なくとも前記第1の取り付けパッドは、前記光学構造の前記上側支持部材と前記ブラケットの前記頂部パネルとの間において、少なくとも前記第3の取り付けパッドおよび前記第4の取り付けパッドの間に配置される、請求項7に記載のマウント。
【請求項9】
少なくとも前記第2の取り付けパッドは、前記光学構造の前記下側支持部材と前記ブラケットの前記底部パネルとの間において、少なくとも前記第5の取り付けパッドおよび前記第6の取り付けパッドの間に配置される、請求項7に記載のマウント。
【請求項10】
前記光学構造は、反射パネル、中空リトロリフレクタ、ルームミラー、ラテラル・トランスファーリトロリフレクタ、およびペリスコープからなる群からから選択される、請求項1に記載のマウント。
【請求項11】
前記第1の取り付けパッドおよび前記第2の取り付けパッドは、略垂直方向に並んでいる、請求項1に記載のマウント。
【請求項12】
前記第3の取り付けパッドおよび前記第5の取り付けパッドは、略垂直方向に並んでおり、前記第4の取り付けパッドおよび前記第6の取り付けパッドは、略垂直方向に並んでいる、請求項1に記載のマウント。
【請求項13】
組み合わせ構造を外部のシステムに取り付けることができるように光学構造をマウントに取り付ける方法であって、前記光学構造は、前記光学構造の上側支持部材と下側支持部材との間において、互いに対して反射関係に固定された、少なくとも2つのミラーパネルを備え、前記上側支持部材および前記下側支持部材のそれぞれは、外側面を有し、前記マウントは、バックパネルに沿って固定された頂部パネルおよび底部パネルを備えるブラケット要素、を備える、光学構造用のマウントであり、
前記方法が、
少なくとも3つの上側取り付けパッドを、前記ブラケットの前記頂部パネルの内側面に付着する第1の付着ステップと、
少なくとも3つの下側取り付けパッドを、前記ブラケットの前記底部パネルの内側の面に付着する第2の付着ステップと、
実質的に前記上側取り付けパッドと前記下側取り付けパッドとの間で、前記マウントの所定の場所に前記光学構造を配置するステップと、
前記上側取り付けパッドを、前記光学構造の前記上側支持部材の外側面に付着する第3の付着ステップと、
前記下側取り付けパッドを、前記光学構造の前記下側支持部材の外側面に付着する第4の付着ステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記第1の付着ステップおよび前記第2の付着ステップは、いずれの順番でも可能である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の付着ステップおよび前記第4の付着ステップは、いずれの順番でも可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも3つの上側取り付けパッドのうちの2つの上側取り付けパッド、および、前記少なくとも3つの下側取り付けパッドのうちの2つの下側取り付けパッドは、第1のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成され、前記少なくとも3つの上側取り付けパッドのうちの1つの上側取り付けパッド、および前記少なくとも3つの下側取り付けパッドのうちの1つの下側取り付けパッドは、第2のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の付着ステップおよび前記第2の付着ステップは、前記第1のデュロメータ値を有する2つの取り付けパッドの間に、前記第2のデュロメータ値を有する1つの取り付けパッドのそれぞれを付着するステップ、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
組み合わせ構造を外部のシステムに取り付けることができるように光学構造をマウントに取り付ける方法であって、前記光学構造は、前記光学構造の上側支持部材と下側支持部材との間において、互いに対して反射関係に固定された、少なくとも2つのミラーパネルを備え、前記上側支持部材および前記下側支持部材のそれぞれは、外側面を有し、前記マウントは、バックパネルに沿って固定された頂部パネルおよび底部パネルを備えるブラケット要素、を備える、光学構造用のマウントであり、
前記方法が、
少なくとも3つの上側取り付けパッドを、前記光学構造の前記上側支持部材の外側面に付着する第1の付着ステップと、
少なくとも3つの下側取り付けパッドを、前記光学構造の前記下側支持部材の外側面に付着する第2の付着ステップと、
実質的に前記頂部パネルと前記底部パネルとの間で、前記ブラケット要素の所定の場所に前記光学構造を配置するステップと、
前記上側取り付けパッドを、前記ブラケットの前記頂部パネルの内側面に付着する第3の付着ステップと、
前記下側取り付けパッドを、前記ブラケットの前記底部パネルの内側面に付着する第4の付着ステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記第1の付着ステップおよび前記第2の付着ステップは、いずれの順番でも可能である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第3の付着ステップおよび前記第4の付着ステップは、いずれの順番でも可能である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも3つの上側取り付けパッドのうちの2つの上側取り付けパッド、および、前記少なくとも3つの下側取り付けパッドのうちの2つの下側取り付けパッドは、第1のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成され、前記少なくとも3つの上側取り付けパッドのうちの1つの上側取り付けパッド、および前記少なくとも3つの下側取り付けパッドのうちの1つの下側取り付けパッドは、第2のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の付着ステップおよび前記第2の付着ステップは、前記第1のデュロメータ値を有する2つの取り付けパッドの間に、前記第2のデュロメータ値を有する1つの取り付けパッドのそれぞれを付着するステップ、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
組み合わせ構造を外部のシステムに取り付けることができるように光学構造をマウントに取り付ける方法であって、前記光学構造は、前記光学構造の上側支持部材と下側支持部材との間において、互いに対して反射関係に固定された、少なくとも2つのミラーパネルを備え、前記上側支持部材および前記下側支持部材のそれぞれは、外側面を有し、前記マウントは、バックパネルに沿って固定された頂部パネルおよび底部パネルを備えるブラケット要素、を備える、光学構造用のマウントであり、
前記方法が、
実質的に前記頂部パネルと前記底部パネルとの間で、前記ブラケット要素の所定の場所に前記光学構造を配置するステップと、
前記ブラケットの前記頂部パネルを通る少なくとも3つの開口を通じて、少なくとも3つの上側取り付けパッドを、前記光学構造の前記上側支持部材の外側面に付着する第1の付着ステップと、
前記ブラケットの前記底部パネルを通る少なくとも3つの開口を通じて、少なくとも3つの下側取り付けパッドを、前記光学構造の前記下側支持部材の外側面に付着する第2の付着ステップと、
前記ブラケットの前記上側パネルと前記下側パネルにおける前記少なくとも3つの開口のそれぞれの中に、カバーを取り付けるステップと、
前記上側取り付けパッドを前記ブラケットの頂部パネルの対応するカバーの内側面に付着する第3の付着ステップと、
前記下側取り付けパッドを前記ブラケットの前記底部パネルの対応するカバーの内側面に付着する第4の付着ステップと、
を含む、方法。
【請求項24】
前記第1の付着ステップおよび前記第2の付着ステップは、いずれの順番でも可能である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第3の付着ステップおよび前記第4の付着ステップは、いずれの順番でも可能である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも3つの上側取り付けパッドのうちの2つの上側取り付けパッド、および、前記少なくとも3つの下側取り付けパッドのうちの2つの下側取り付けパッドは、第1のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成され、前記少なくとも3つの上側取り付けパッドのうちの1つの上側取り付けパッド、および前記少なくとも3つの下側取り付けパッドのうちの1つの下側取り付けパッドは、第2のデュロメータ値を有するポリマー材料から形成される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の付着ステップおよび前記第2の付着ステップは、前記第1のデュロメータ値を有する2つの取り付けパッドの間に、前記第2のデュロメータ値を有する1つの取り付けパッドのそれぞれを付着するステップ、を含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年12月15日に出願された、発明の名称が「光学構造のためのマウント、および光学構造をマウントに取り付ける方法」である、米国特許出願第17/122、418号の優先権およびその利益を主張し、この出願の開示内容の全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、高精度の光学構造のためのマウントの分野に関する。高精度の光学構造は、これらに限定されないが以下の光学構造を含む:反射パネル;中空リトロリフレクタ;ルーフミラー;ラテラル・トランスファーリトロリフレクタ;およびペリスコープ(以後、包括的に「光学構造」と呼ぶ)。これら光学構造は、本技術においては古くからある。
【背景技術】
【0003】
これら光学構造が、高精度用および高精密用に作製されて組み立てられるとき、反射面の相互の垂直性および/またはそれらの平行配向を維持することは重要であり、光学構造が全体として動かないことを保証することが時には必須である。以後、光学構造の反射面の垂直性または平行配向のいずれかを議論するときは、本明細書では、これら要素の「配向」のことを指す。
【0004】
反射面の配向は、外部応力によって影響を受ける。そのような光学構造において高精度の目的で使用されるミラーパネルなどの高精度および高精密反射パネルに関して、当該パネルの反射面を可能な限り光学的に平坦にするようにし、かつそのように維持することも重要である。外部応力は、光学構造である反射パネルの反射面の光学的平坦性の歪みを引き起こし、これら歪みは、そのとき、出射光線の出射波面に対して歪曲を引き起こし得る。出射光線のそのような歪曲は、ビーム偏差を大きくし、それによって、出射光線は、入ってくる(入射)光線と、もはや平行にはならない。
【発明の概要】
【0005】
外部応力を除去するまたは減らすような仕方で光学構造の要素を互いに組み立てることが望ましい。光学構造をマウントに取り付ける方法は、これらの応力を高めないことが望ましいが、それにもかかわらず、光学構造をマウント上に確実に保持することも望ましい。そのようなものとして、そのような光学構造のための先行技術のマウントが、通常、本技術において「ハードマウント」構造として知られるものであった。ハードマウント構造は、光学構造に作用する外部応力が当該光学構造の寸法を変えないように、したがって、光学構造の反射面の光学的平坦性に影響を与えないように光学構造の寸法安定性(「DS」)を維持するものである。
【0006】
本マウントは、光学構造をそのマウントに取付けることによって生じた、光学構造の(複数の)反射面上における撓み応力を除去する補助となるように設計される方法で光学構造の確実な取付けも達成する。本マウントの1つまたは複数の態様は、ハードマウント構成が達成されるようにして、DSをそれによって達成する。特に、光学構造のDSの測定、および別の構造へのその取り付けにとって、光学構造に入射する入射光線と光学構造を出射する反射光線との間の光路差(「OPD」)を、可能な限り完全に近いように維持することは重要である。主題の開示のもののようにハードマウント構成においてこれを達成するために、取り付けアセンブリを介して別の構造に取り付けられる光学構造の反射面と、光学構造の頂点と、の間の寸法関係が、あらゆる環境条件において、かつ、これら環状条件の変化において、維持されることが重要である。
【0007】
反射パネルの光学的平坦性、および/または光学構造の反射パネルの反射面の配向に影響を及ぼし得る外部応力の例には、パネルの材料となる基板材料の熱膨張または熱収縮、要素を互いに結合するために使用される接合材によって引き起こされる撓み、および/または(複数の)反射パネルと、それが取り付けられるアイテムと、の間の接着剤の硬化によって、または、(複数の)反射パネルと、それが取り付けられるアイテムとの互いに対する締め付けによって引き起こされる撓み、パネル自身の質量、はもちろん、組み合わされたマウントおよび光学構造の振動および/またはこれらへの衝撃、がある。
【0008】
したがって、望ましいことは、これら応力を減らすような仕方で光学構造の要素を共に組み立てることだけでなく、光学構造を別の構造に取り付けるために使用される取り付けシステム/構造が、どんな著しい歪み力も光学構造に加えないことが、同様に重要である。光学構造をそのマウントに取り付ける方法が、これらの応力を高めないことが望ましいが、それにもかかわらず、光学構造をマウント上に確実に保持することも望ましいであろう。
【0009】
光学構造をマウントに取り付ける(以後、「組み合わせ構造」と呼ぶ)方法が、組み合わせ構造が振動力または衝撃力のいずれか、あるいはそれらの両方を受けるときに、光学構造がマウントの任意の動きに対しても共に動き、同調することを可能にすることが、さらに望ましい。
【0010】
したがって、光学構造のための改善されたマウントを提供することが、本発明の目的である。
【0011】
本発明の別の目的は、光学構造のための改善されたマウントであって、光学構造の反射面に対する外部応力を最小にする、マウントを提供することである。
【0012】
本発明のまた別の目的は、光学構造のための改善されたマウントであって、より高精度の距離測定を達成するために光学構造の動きの低減を達成するマウントを提供することである。
【0013】
本発明のよりさらなる目的は、光学構造をマウントに取り付ける方法が、組み合わせ構造が振動力または衝撃力のいずれか、あるいはそれらの両方を受けるときに、光学構造がマウントの任意の動きに対しても共に動き、同調することを可能にすることである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、光学構造のための改善されたマウントであって、支持構造へのマウントおよび光学構造の取り付けが、容易であってかつ確実であり、かつ光学構造の波面に歪みを加えない、マウントを提供することである。
【0015】
改善されたマウントを使用して光学構造を取り付ける改善された方法を提供することが、本発明のもっとさらなる目的である。
【0016】
本発明の他の目的は、ある程度、明らかであり、以下の記載から、ある程度、明白であろう。
【0017】
本発明の様々な態様を説明する目的のために、同じ数字は、同じ要素を示し、使用可能な簡略化した形態が図面に示される。しかし、本発明は、図示されたそのとおりの配置および手段によって、またはこれら配置および手段に限定されないことが理解される。本発明の主題を作製および使用する際に当業者を援助するために、以下の添付の図面および図解が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】先行技術のアセンブリの斜視図である。
図2図1の先行技術のアセンブリの正面側立面図である。
図3】主題の発明の実施形態の斜視図である。
図4図3の実施形態の正面側立面図である。
図5図3の実施形態の上面図である。
図6図5のA-A線に沿った断面図である。
図7図3の実施形態の取り付けパッドの実施形態の上面図である。
図8図7の取り付けパッドの側方立面図である。
図9図7のB-B線に沿った、図4の取り付けパッド200、202のうちの1つの実施形態の断面図である。
図10図7のB-B線に沿った、図4の取り付けパッド300、302、304、306のうちの1つの実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に従い、光学構造のための改善されたマウント、および光学構造を取り付ける方法が、提供される。容易さおよび統一性のために、全ての図解において使用される光学構造は、ラテラル・トランスファーリトロリフレクタ(「LTR」)10(図1~2(先行技術))および100(図3~6)である。各LTRは、ルーフミラー(20、120)、およびミラーパネル(30、130)を有する。各LTR構造は、ルーフミラーを形成しかつそれから上側支持部材(40、140)と下側支持部材(50、150)との間にルーフミラーおよびミラーパネルを取り付けるための本技術において既知の方法を使用して、形成される。後方支持部材(図示せず)と同様に、上側支持部材と下側支持部材との間で接合された全体の光学構造の安定性をアシストするために、各LTRは、前方支持部材(60、160)、および後方支持部材162(図1および2には図示せず)も有することができる。
【0020】
図1~2に示されている先行技術のアセンブリにおいて、光学構造10の上側および下側支持部材40および50の外側面上において光学構造10に取り付けられたマウント70が示される。先行技術において、マウント70の取り付けは、4つの取り付けパッド80を使用して達成される。取り付けパッド80は、本明細書において上記したように、全てハードマウント構造である。このハードマウント接続を達成するために、取り付けパッド80は、本技術分野において、硬質であるものとして知られるものである。これらパッドがポリマー材料でできているとき、硬度が、デュロメータスケールを使用して測定される。デュロメータスケールは、材料の弾性(剛性)に関して、硬度を測定する。そのようなものとして、本開示全体を通して使用されるように、剛性は、デュロメータスケールを使用して測定されるような材料の弾性を意味することを意図している。ポリマー材料で形成されたパッドに対して、デュロメータ値は、概して、以下の範囲の中にある:ショア00:10~80(より軟質の場合)、ショアA:20~90(硬質の場合)。しかし、ほとんどの場合において、本開示の達成される目的は、ショアA 40~90(硬質の場合)、およびショアA 25~60(より軟質の場合)の範囲において達成されるであろう。
【0021】
つぎに、本開示の取り付けに目を向けると、マウントアセンブリ170が、バックパネル186によって共に結合される頂部パネル182および底部パネル184を備えるブラケット要素180、を備えるということが、図3~6における本発明の実施形態においてわかる。ブラケット180および光学構造100は、取り付けパッドのセットを2セット使用して共に接合される。取り付けパッド200および202の第1のセットは、硬質の取り付けパッドであり、これら構成要素の間の、先行技術のものと類似した、より堅固な接続をもたらす。取り付けパッド300、302、304、および306の第2のセットは、硬質の取り付けパッドではないが、代わりに、より低剛性のパッドである。ポリマー材料で形成されたパッドに対して、デュロメータ値は、概して、以下の範囲の中にある:ショア00:10~80(より軟質の場合)、ショアA:20~90(硬質の場合)。しかし、ほとんどの場合において、本開示の達成される目的は、ショアA 40~90(硬質の場合)、およびショアA 25~60(より軟質の場合)の範囲において達成されるであろう。
【0022】
取り付けパッド200は、ブラケット180の頂部パネル182と、光学構造100の上側支持部材140と、の間にある。取り付けパッド202は、ブラケット180の底部パネル184と、光学構造100の下側支持部材150と、の間にある。この構成において、光学構造100は、ブラケット180にハードマウントされ、それによって、先行技術の構成によって達成される、上記に議論した応力/撓みの低減効果の全てを達成する。
【0023】
取り付けパッド300および302は、ブラケット180の頂部パネル182と、光学構造100の上側支持部材140と、の間にある。取り付けパッド304および306は、ブラケット180の底部パネル184と、光学構造100の下側支持部材150と、の間にある。これら4つの、より低硬度の取り付けパッド(300、302、304、306)を、2つの硬質の取り付けパッド(200、202)と組み合わせて使用することにより、少なくとも以下の外部応力の防止に関する利益を達成する:熱応力、振動応力、および、組み合わせ構造への、または組み合わせ構造が取り付けられる全体構造へのいずれかの衝撃/衝撃力による応力。
【0024】
本開示の目的上、振動応力は、実質的に一定の性質を有するものと考えられる。例の中には、本明細書においてこれらに限定することを意図するものではないが、(a)組み合わせ構造が取り付けられるモータまたはモータ駆動の装置の組み合わせ構造によって感じられる振動、あるいは(b)組み合わせ構造が取り付けられ得る任意の動作する装置または車両が受ける通常の振動、が含まれ得る。
【0025】
本開示の目的のために、ショック応力(shock stress)/インパクト応力(impact stress)は、振動応力に比べて持続期間が短いものであって、通常、組み合わせ構造、または組み合わせ構造が取り付けられる装置のいずれかへの突然の衝撃から生じるものであると考えられる。
【0026】
組み合わせ構造が振動力または衝撃力のいずれか、またはそれらの両方を受けるときに、光学構造がブラケット180の任意の動きに対しても共に動き、同調することを可能にするのは、硬質のパッド(200、202)と、より低剛性のパッド(300、302、304、306)との組み合わせである。さらに、ブラケット180と光学構造100との間の硬質のパッド(200、202)およびより低剛性のパッド(300、302、304、306)の組み合わせが、組み合わせ構造が受ける温度変動の歪み効果も低減する。
【0027】
本発明の組み合わせ構造において、先行技術の4つの硬質のパッドを2つの硬質のパッドに減らし、それとともに、4つのより低剛性のパッドを追加することは、光学構造の反射面上における温度、衝撃、衝撃力、および振動の影響をさらにより低減することによって先行技術の構成において達成される全ての利益にまさる。
【0028】
パッド(300、302、304、306)のより低い剛性は、パッドを作製するために使用されるポリマー材料の処方の変更、および/または、パッドの幾何学の変更、のいずれかによって達成できる。いすれかの場合において、材料の剛性(弾性)の尺度、即ち、材料のデュロメータ値が、パッド(200、202)に使用される値に比べて減らされる。ポリマー材料を変更するときは、異なる剛性を有する材料に変更される。ポリマー材料の変更は、同じ材料の族(例えば、2つの異なるポリウレタン)の範囲内での変更であるか、あるいは別の材料の族への変更(例えば、ポリウレタンとラバーとの間の切り替え)であり得る。本開示は、必要な剛性を達成するために、ポリマー材料への/ポリマー材料の上記のいずれの変更も予測する。
【0029】
図7~10は、図4の硬質のパッドおよびより低硬度のパッドの両方の拡大図を示し、図9および10は、パッドの剛性を変える別の方法を示す。特に、図9は、図4の硬質のパッド(200、202)のいずれかを通る断面図を示し、図10は、図4のより低硬度のパッド(300、302、304、306)のいずれにも通る断面図を示す。これら図解においてわかるように、パッド(200、202)の壁の厚さ210は、パッド(300、302、304、306)の壁の厚さ310よりも厚い。
【0030】
パッドの剛性を変えるまた別の方法は、ポリマー材料の発泡バージョン(図示せず)を使用することである。そのような発泡バージョンにおいて、材料を発泡させるという特徴が、それににわたる気泡の制御された分布を、材料に付与する。そのようなものとして、各パッドにおける実際の材料がより少なく、その結果、パッドの剛性が低減されるので、パッドを発泡させるこの方法は、パッドの幾何学に関する別のバージョンであると考えられ得る。
【0031】
パッドの剛性を変えるさらにもっとさらなる方法は、上記のより薄い壁部分と、ポリマー材料の発泡バージョンとの組み合わせを使用することであろう。
【0032】
ポリマー材料の剛性を低減させるための、本技術において知られている他の方法は、本明細書において予測される。
【0033】
どのようなものがより低硬度のパッドであるのかに対してどのようなものが硬質のパッドであるのかを定める寸法または発泡のための処方の標準的で決まった組み合わせはない。それぞれの決定は、これらに限定されないが、(a)使用される光学構造の全体のサイズ、(b)その中において光学構造が使用されるであろう環境(宇宙、地球の大気、水中、など)、(c)光学構造が取り付けられることになる設備、(c)光学構造の使用により達成される目的、および(d)組み合わせ構造に要求される性能レベル、などの、いくつかの異なるパラメータに依存するであろう。それにもかかわらず、ポリマー材料で形成されたパッドに対して、デュロメータ値は、概して、以下の範囲の中にある:ショア00:10~80(より軟質の場合)、ショアA:20~90(硬質の場合)。しかし、ほとんどの場合において、本開示の達成される目的は、ショアA 40~90(硬質の場合)、およびショアA 25~60(より軟質の場合)の範囲において達成されるであろう。
【0034】
光学構造を振動および衝撃から保護するために、パッドに対する反対の要求がある。目的が、光学構造がマウントと共に動いて同調することであるので、振動を扱うために、かなり硬質のパッドがより望ましい。軟質のパッドは、マウントが反対方向にすでに動いているときにまだ光学アセンブリを一方向に動かし、これらの動きにより当該パッド上に非常に大きな応力、あるいは光学アセンブリのマウントへの衝突をもたらす。
【0035】
衝撃負荷を扱うために、より軟質のパッドに衝撃の力を吸収させて弱めさせたい。あまりにも硬質のパッドは、衝撃力を光学構造に伝え、光学構造の光学への損傷の危険性を高めるであろう。
【0036】
したがって、2つの硬質の/硬い取り付けパッド(200、202)と、4つのより軟質のパッド(300、302、304、306)との組み合わせが、先行技術においてそれゆえ知られているものに関して、光学構造の光学へのこれら外側の力の影響をさらに低減するという目的を達成する。
【0037】
以下の記載に反すると考えられるかもしれない本明細書の事項にもかかわらず、図3~6に示されるような4つのより軟質のパッド(300、302、304、306)を伴う2つの硬質の/硬い取り付けパッド(200、202)という実施形態は、単に、本発明の1つの実施形態であるということは、本明細書において予測される。特に、追加のより軟質の取り付けパッドと同様に、追加の硬質の/硬い取り付けパッドが存在してもよいことが、本明細書において予測される。本発明の主題は、硬質のパッドの使用と、より軟質のパッドの使用と、の組み合わせである。それゆえ、例えば、以下の代替的な実施形態に限定されることなく、パッドの以下の組み合わせ、設計のいずれもが、ブラケット180の頂部パネル182と光学構造100の上側支持部材140との間において、およびブラケット180の底部パネル184と光学構造100の下側支持部材150との間において、本明細書の中で予測される:(a)2つのより軟質のパッドの中央の2つの硬質のパッド;(b)4つのより軟質のパッドの中央の2つの硬質のパッド;(c)2つのより軟質のパッドの中央の1つの硬質のパッド;および(d)これに限定されないが、より軟質の(複数の)パッドが硬質の(複数の)パッドの中央に存在する列(即ち、図3~6の実施形態に示されるものとは反対のもの)を含む、光学構造の長さの任意の部分に沿う任意の数の硬質のパッド、およびより軟質のパッドの任意の列(即ち、上記の(a)~(c)のものに対する追加の連続変形例)。
【0038】
硬質のパッドおよびより軟質のパッドのサイズを変えることができることも、本明細書において予測される。例えば、ブラケットのパネルと、光学構造の支持部材との間の距離が、実質的に一定のままでいるために、ブラケットのパネルの表面と、光学構造の支持部材の表面と、の間のパッドの深さ/高さは、必然的に、実質的に一定である一方で、パッドの直径および/または他の形状は、本開示によって予測される結果を達成するように変えられてもよい。これら代替的な実施形態の例は、これに限定されることを意図しないが、パッド(200、202)が、(より大きな直径を有することなどによって)より軟質のパッド(300、302、304、306)よりも大きな体積を有するか、またはその逆となっている構成を、含むことができる。
【0039】
取り付け構造上に光学構造を取り付けるためのいくつかの異なるオプションが存在する。例えば、1つの方法は、最初に全てのパッド(200、202、300、302、304、306)をブラケット180に固定し、パッドの間において所定の場所に光学構造を位置決めし、それからパッドを光学構造に固定すること、を伴う。この方法は、逆にすることも可能であり、その場合には、これらパッドが、最初に光学構造に固定され、それからブラケットに固定される。これら場合のいずれかにおいて、全ての6つのパッドは、一般的に、同時に組み立てられるであろう。別の方法においては、光学構造およびブラケットに、正しい位置に互いに保持させる。この場合におけるブラケットは、頂部パネル182および底部パネル184を通る開口(図示せず)を有し、これら開口を通じて、パッドが光学構造に固定できる。それから、カバー(図示せず)が、開口の上方に取り付けられ、これらカバーは、パッドに固定される。このアプローチにおいて、パッドを、一度に1つ、一度にすべて、一度に片方、または任意の他の順番で、取り付けることができる。
【0040】
したがって、前述した記載から明らかになったもののうち、上記した目的は、効率的に実現されることが理解されるであろう。多数の/特定の変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、上記の構成および方法において行うことができるので、上記の記載含まれるおよび添付の図面に示される全ての事項は、例示としてのみ解釈されるべきであり限定的な意味で解釈されるべきではないということを意図している。
【0041】
以下の特許請求の範囲は、本明細書において記載される発明の全ての包括的な特定の特徴、および言語の問題としてそれらの間に入ると言われるかもしれない本発明の範囲の全ての記述、をカバーするように意図されるということも理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】