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特表2024-500382ウエハレベルパッケージング用途において一時的に接合されたウエハを剥離するための方法および装置
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  • 特表-ウエハレベルパッケージング用途において一時的に接合されたウエハを剥離するための方法および装置 図1
  • 特表-ウエハレベルパッケージング用途において一時的に接合されたウエハを剥離するための方法および装置 図2A
  • 特表-ウエハレベルパッケージング用途において一時的に接合されたウエハを剥離するための方法および装置 図2B
  • 特表-ウエハレベルパッケージング用途において一時的に接合されたウエハを剥離するための方法および装置 図3
  • 特表-ウエハレベルパッケージング用途において一時的に接合されたウエハを剥離するための方法および装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ウエハレベルパッケージング用途において一時的に接合されたウエハを剥離するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536036
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021062883
(87)【国際公開番号】W WO2022132591
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】17/122,796
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511009710
【氏名又は名称】エヌシーシー ナノ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アッタール, ヴァヒド アカヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ターカニ, ヴィクラム エス.
(57)【要約】
接合されたウエハスタックからウエハを剥離するための装置が、開示される。装置は、フラッシュランプと、フラッシュランプ制御ユニットと、ウエハ剥離ユニットとを含む。処理されたウエハは、フラッシュランプからの光パルスを適用することによって、接合されたウエハスタックから剥離されることができる。フラッシュランプは、コンデンサバンクと、コンデンサバンクを充電するための電力供給源と、IGBTベースの切替デバイスと、周波数コントローラとを含むフラッシュランプ制御ユニットによって制御される。ウエハ剥離ユニットは、剥離真空テーブルと、接合されたウエハスタックを剥離真空テーブルへと運搬するためのウエハ給送ロボットと、接合されたウエハスタックから処理されたウエハを剥離するために、光パルスがフラッシュランプによって放出されているとき、接合されたウエハスタックに真空を適用するための吸引カップのセットとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合されたウエハスタックからウエハを剥離するための装置であって、前記装置は、
光パルスを放出して、接合されたウエハスタックから処理されたウエハを剥離するためのフラッシュランプであって、前記接合されたウエハスタックは、光吸収層および接着層を介した担体へのウエハ取付を含む、フラッシュランプと、
前記フラッシュランプを制御するためのフラッシュランプ制御ユニットであって、前記フラッシュランプは、
コンデンサバンクと、
前記コンデンサバンクを充電するための電力供給源と、
IGBTベースの切替デバイスと、
周波数コントローラと
を含む、フラッシュランプ制御ユニットと、
ウエハ剥離ユニットであって、
前記接合されたウエハスタックを下方に保持するための剥離真空テーブルと、
前記接合されたウエハスタックを前記剥離真空テーブルへと移送し、前記剥離真空テーブルから移送するためのウエハ給送ロボットと、
前記接合されたウエハスタックから前記処理されたウエハを剥離するために、前記光パルスが前記フラッシュランプによって放出された後、前記接合されたウエハスタックから前記担体を除去するための真空グリッパと
を有するウエハ剥離ユニットと
を備える、装置。
【請求項2】
前記ウエハ剥離ユニットは、複数の吸引カップをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コンデンサバンクから前記フラッシュランプへの電荷の流れを変えるために前記IGBTベースの切替デバイスが前記周波数コントローラによってオンおよびオフに繰り返し切り替えられている間、前記フラッシュランプは、前記IGBTベースの切替デバイスを介して前記コンデンサバンクから電荷を受け取り、これは、ひいては、前記フラッシュランプをオンおよびオフに切り替える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コンデンサバンクは、シリコン制御整流子(SCR)切替デバイスによって切り替えられる、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本願は、一般に、集積回路を処理するための方法および装置に関し、特に、ウエハレベルパッケージング用途において一時的に接合されたウエハを剥離するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
3次元(3D)チップ技術は、より短い回路経路、より高い性能、より少ない電力消費、およびより高速の熱散逸等の利点のため、マイクロ電子機器産業において普及している。3Dチップ技術を用いることで、複数の異種シリコンウエハが、3D集積回路を形成するように鉛直にスタックされることができる。シリコンウエハは、それらがシリコン貫通電極(TSV)を利用することによって相互接続され得るように、比較的に薄い(50~100μm)。
【0003】
3D集積回路の製造中、薄化ステップが、シリコンウエハの厚さを低減させるために3D集積回路の各シリコンウエハ上で実施されることを要求される。シリコンウエハは、典型的には、薄化プロセスに先立って剛性担体に接合される。シリコンウエハを担体に接合するための既存のアプローチは、シリコンウエハと担体との間に直接設置された接着剤の使用を伴う。裏面研削および全ての要求される背面処理がシリコンウエハ上で実施された後、薄化されたシリコンウエハは、担体から剥離される必要がある。ウエハ剥離は、処理されたウエハがそれの意図される用途に進み得るように、処理されたシリコンウエハを担体から分離するプロセスである。
【0004】
本開示は、3D集積回路の製造中にシリコンウエハを担体から剥離するための装置および方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
一実施形態によると、接合されたウエハスタックからウエハを剥離するための装置は、フラッシュランプと、フラッシュランプ制御ユニットと、ウエハ剥離ユニットとを含む。接合されたウエハスタックは、光吸収層および接着層を介した担体へのウエハ取付を含む。ウエハは、フラッシュランプからの光パルスを適用することによって担体から剥離されることができる。フラッシュランプは、コンデンサバンクと、コンデンサバンクを充電するための電力供給源と、IGBTベースの切替デバイスと、周波数コントローラとを含むフラッシュランプ制御ユニットによって制御される。ウエハ剥離ユニットは、剥離真空テーブルと、接合されたウエハスタックを剥離真空テーブルへと運搬するためのウエハ給送ロボットと、接合されたウエハスタックから処理されたウエハを剥離するために、光パルスがフラッシュランプによって放出された後、接合されたウエハスタックに真空を適用するための吸引カップのセットとを含む。
【0006】
接合されたウエハスタックは、最初に、フラッシュランプの真下に設置される。光吸収層を加熱するために、フラッシュランプからの光パルスが、担体の非ウエハ側に適用され、これは、ひいては、ウエハが担体から弛んだ状態になる点まで接着層が加熱されるように、吸収された熱を接着層に伝達する。この時点で、ウエハは、担体から容易に除去されることができる。
【0007】
本発明の全ての特徴および利点が、以下の詳細に記載された説明において明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
付随の図面と併せて読まれるとき、本発明自体だけでなく、好ましい使用モード、さらなる目標、およびそれらの利点が、例証的実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最も深く理解されるであろう。
【0009】
図1図1は、一実施形態による、ウエハを担体から剥離するための方法のフロー図である。
【0010】
図2A図2Aは、図1に描写されている方法によって作製される、接合されたウエハスタックの略図である。
【0011】
図2B図2Bは、図2Aからの接合されたウエハスタックから解放されているウエハを示している。
【0012】
図3図3は、一実施形態による、ウエハを担体から剥離するための装置のブロック図である。
【0013】
図4図4は、一実施形態による、接合されたウエハアセンブリを下方に保持する剥離真空テーブルを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
シリコンウエハを担体から剥離するための現行の技法は、(a)化学溶媒を使用してシリコンウエハと担体との間の接着剤を溶解させることと、(b)機械的手段を使用してシリコンウエハを担体から剥離することと、(c)シリコンウエハが剪断によって担体から分離され得る点までシリコンウエハと担体との間の接着剤を加熱することとを含む。しかしながら、刺激の強い化学物質の使用は、あまり望ましくない。また、剪断または高温は、シリコンウエハの表面構造に対して損傷を生じさせ得る。
【0015】
レーザ支援のウエハ剥離技法は、シリコンウエハを室温で剥離するためのその能力に起因して、魅力的な代替である。しかしながら、ウエハ-担体スタックの厚さの変動に伴うレーザビームの焦点の感度の変動、レーザビームの電力変動、特殊ビーム集束対物レンズの要件、走査光学系の必要性、および、特により大きいサイズのウエハ(>300mm)を処理するとき、ビーム幅限界に起因する低スループット等、レーザ支援のウエハ剥離技法と関連付けられるいくつかの不利点も、存在する。
【0016】
ここで図面、特に図1を参照すると、一実施形態による、ウエハを担体から剥離するための方法のフロー図が、描写されている。ブロック100から開始し、ブロック110に示されているように、図2Aにおける光吸収層220等の光吸収層が、図2Aにおける透明担体210等の透明担体の片側上に最初に設置される。光吸収層220は、スパッタリング、熱蒸発、原子層堆積、または水蒸気堆積を介して担体210上に適用されることができる。光吸収層220は、担体210への接着力を助長する、チタン等の別の耐火金属をわずかに含み得る。
【0017】
担体210および光吸収層220は、高温で熱的に安定するように選定された材料であり、光吸収層220が加熱されたとき、担体210からの光吸収層220の任意の種類の亀裂または葉裂を緩和するように相互にぴったりと一致する熱膨張係数(CTE)を有する。
【0018】
担体210は、フラッシュランプによって放出された光を透過させる石英、ガラス、または任意の剛性材料から作製され得る。石英は、5.5×10-7/KのCTEを有する。Corning Eagle XG(ガラスの一種)は、約3.2×10-6/K~3.5×10-6/KのCTEを有する。光吸収層220は、金属(タングステンまたはモリブデン等)、金属合金、またはセラミックから作製され得る。モリブデンは4.8×10-6/KのCTEを有する一方、タングステンは、4.5×10-6/KのCTEを有する。
【0019】
担体-吸収層の良好な組み合わせの一実施例は、担体210に関してCorning Eagle XGと、光吸収層220に関して200nmの厚さにおける90%タングステン/10%チタンとであり、なぜなら、それらの間のCTEが1.5×10-6/K以内まで一致するためである。
【0020】
ブロック120に描写されているように、図2Aにおける接着層230等の接着層が、次いで、光吸収層220上に設置される。接着層230は、ASTM D4541/D7234によって決定される場合、少なくとも15psig、好ましくは、50~250psigの接着力強度を有するべきである。接着層230は、液体または固体フィルムにおいて担体210に適用されることができる。
【0021】
接着層230は、熱的硬化または紫外線(UV)光硬化させられる熱可塑性または架橋性材料であり得る。接着層230は、溶媒中に溶解された、または分散させられたポリマーまたはオリゴマーを含み得る。ポリマーまたはオリゴマーは、環状オレフィン、エポキシ、アクリル、シリコーン、スチレン系樹脂、ビニルハロゲン化物、ビニルエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、環状オレフィン、ポリオレフィンゴム、ポリウレタン、エチレン-プロピレンゴム、ポリアミドエステル、ポリイミドエステル、ポリアセタール、ポリアゾメチン、ポリケタニル、ポリビニルブチラール、ならびにそれらの組み合わせのポリマーおよびオリゴマーからなるグループから選択される。使用される溶媒のタイプは、ポリマーまたはオリゴマーの選択肢に依存する。
【0022】
接着層230の熱可塑性組成物は、室温において少なくとも500,000Pa・s、好ましくは、1,000,000Pa・s~3,000,000Pa・sの粘度、および、160℃~500℃の温度において15,000Pa・s、好ましくは、500Pa・s~10,000Pa・s未満の粘度を有するべきである。
【0023】
接着層230は、1つ未満の反復サブユニットを有する分子の構造を伴う非ポリマー材料であり得る。非ポリマー接合材料が使用されるとき、接着層230の融点は、高温における材料昇華を防止するために、その昇華点を下回るべきであり、架橋またはさらに反応するための能力を有する。接着層230の熱分解温度は、220℃~450℃であるべきである。
【0024】
次に、ブロック130に示されているように、図2Aにおけるウエハ240等のウエハが、接着層230上に設置される。圧力が、ウエハ240上に適用され、ウエハ240を担体210に接着させることができる。ウエハ240は、担体210とウエハ240との間の接着剤接合を増加させるために、ウエハ240上への圧力の適用中、加熱され得る。この時点で、図2Aに示されている接合されたウエハスタック200等の接合されたウエハスタックが、形成され、これは、透明担体210と、光吸収層220と、接着層230と、ウエハ240とを含む。
【0025】
続いて、ブロック140に描写されているように、接合されたウエハスタック200のウエハ側が、ウエハ240の厚さを低減させるために、裏面薄化プロセスに曝される。ブロック150に示されているように、ウエハ240の厚さが低減させられた後、電子デバイスおよび/または電気構成要素が、ウエハ240上に構築されることができる。本デバイス加工ステップは薄化ステップ後に実施されるように示されているが、本デバイス加工ステップは薄化ステップまたはウエハ取付ステップ(ブロック130)の前に実施されることができることが、当業者によって理解される。
【0026】
その後、ブロック160に描写されているように、光吸収層220を加熱するために、ウエハ240は、図2Bにおけるフラッシュランプ350等のフラッシュランプからの光の集中パルスに透明担体210の非ウエハ側を暴露することによって、接合されたウエハスタック200から除去(剥離)されることができる。ひいては、光吸収層220は、吸収された熱を接着層230に伝達する。結果として、接着層230は、接合されたウエハスタック200からウエハ240が解放される点まで加熱される。
【0027】
可能な限り多くの光パルス(約200nm~約1,500nmの広帯域)を吸収するために、光吸収層220を有することが、望ましい。フラッシュランプ350からの光パルスの増加させられた吸光度では、より短いパルス長が、所与の強度において使用されることができる。これは、フラッシュランプ350上にかかるより少ない応力および剥離プロセスからウエハ240内へと蓄積されるより少ない総エネルギーをもたらす。モリブデンは約55~60%の吸光度を有する一方、タングステンは、約50~55%の吸光度を有する。光吸収層220は、フラッシュランプ350からの光放出を通過させないために十分に厚いが、剥離プロセス中、可能な限り少ない熱質量を有するために十分に薄く作製されることができる。光吸収層220の厚さは、約100nm~300nm、好ましくは、約150nm~250nmである。
【0028】
ここで図3を参照すると、一実施形態による、担体からのウエハの剥離を実施するための装置のブロック図が、描写されている。示されているように、装置300は、フラッシュランプ制御ユニット301と、ウエハ剥離ユニット302とを含む。フラッシュランプ制御ユニット301は、コンデンサバンク充電電力供給源310と、コンデンサバンク320と、絶縁ゲート障壁トランジスタ(IGBT)ベースの切替デバイス330と、周波数コントローラ340と、フォトダイオード360と、ボロメータ370と、積分器380と、コンピュータ390とを含む。コンピュータ390は、プロセッサと、当業者に周知である種々の記憶デバイスとを含む。コンデンサバンク320内のコンデンサは、例えば、電解コンデンサである。コンデンサバンク320は、シリコン制御整流子(SCR)切替デバイスを用いて交互に切り替えられ得る。
【0029】
コンデンサバンク320は、コンデンサバンク充電電力供給源310によって充電されることができる。次いで、コンデンサバンク320からの電荷は、放電中にIGBTベースの切替デバイス330が周波数コントローラ340によってオンおよびオフに繰り返し切り替えられている間、IGBTベースの切替デバイス330を介してフラッシュランプ350内へと放電される。ひいては、周波数コントローラ340が、放電の切替周波数を制御するIGBTベースの切替デバイス330のゲートを制御する。IGBTベースの切替デバイス330の繰り返されるオンおよびオフ切替は、コンデンサバンク320からフラッシュランプ(単数または複数)350への電流の流れを変えるように意図され、これは、ひいては、フラッシュランプ(単数または複数)350をオンおよびオフに切り替える。換言すると、フラッシュランプ(単数または複数)350によって放出される光パルスの周波数またはパルス長は、周波数コントローラ340によって決定付けられる。
【0030】
フラッシュランプ制御ユニット301内のフォトダイオード360は、動作の前に較正される必要がある。フォトダイオード360は、米国立標準技術研究所(NIST)トレーサブルなボロメータ370を使用することによって較正されることができる。較正中、フォトダイオード360およびボロメータ370は両方とも、フラッシュランプ350から放出された単一の光パルスに暴露される。ボロメータ370は、単一の光パルスの放射暴露または面積あたりのエネルギー(J/cm単位)を測定し、フォトダイオード360は、同一の光パルスの瞬間電力密度(W/cm単位)を測定する。フォトダイオード360からの瞬間電力密度信号は、次いで、積分器380によって積分され、同一の単一の光パルスの放射暴露値を求め、ボロメータ370からの放射暴露測定値は、積分器380からのこの放射暴露値によって除算され、以下のように、較正係数を発生させる。
【数1】
【0031】
較正後、フォトダイオード360/積分器380の組み合わせは、フラッシュランプ350から放出される各光パルスの放射暴露情報を提供するために利用されることができる。基本的に、フラッシュランプ350から放出される光パルスの放射暴露情報は、較正中に取得された較正係数と積分器380の出力値(フォトダイオード360によって測定されたフラッシュランプ350から放出される光パルスの瞬間電力信号を積分することによって形成される、フラッシュランプ350から放出される光パルスの放射暴露値)を乗算することによって計算されることができる。
【0032】
ウエハ剥離ユニット302は、ウエハ給送ロボット352と、剥離真空テーブル354と、真空グリッパ356とを含む。
【0033】
図4に示されているように、剥離することに先立って、ダイシングテープ410が、接合されたウエハアセンブリを形成するために、保定リング420を介してウエハスタック200に機械的に圧着される。ウエハ給送ロボット352が、接合されたウエハアセンブリを剥離真空テーブル354へと運搬する。図4に示されているように、真空が、次いで、剥離真空テーブル354からダイシングテープ410上に適用される。次いで、接合されたウエハアセンブリを担体210の透明側から照らし、処理されたウエハを担体210から剥離するために、フラッシュランプ350からの集中光パルスが、利用される。フラッシュランプ350のビーム面積がウエハ240の面積より小さい場合、ウエハ240は、剥離真空テーブル354によって、フラッシュランプ350に対して運搬され、別の集中光パルスを用いて、ウエハ240の残りの部分を暴露する。次に、接合されたウエハアセンブリは、ウエハ剥離テーブル354とともに分離ステーションへと運搬される。
【0034】
分離ステーションにおいて、ダイシングテープ410上に搭載されているウエハ240が剥離真空テーブル354によって下方に保持されている間に、真空グリッパ356が、接合されたウエハアセンブリから担体210を分離する。担体210およびダイシングテープ410上のウエハ240は両方とも、任意の残留接着剤(すなわち、図2Aからの接着層230)を除去するために清掃ステーションへと運搬される。残留接着剤は、溶媒を介した湿潤プロセスまたはプラズマを伴う乾燥プロセスを用いて除去され得る。
【0035】
この時点で、ウエハ240は非常に脆弱であるため、ウエハ240に適用されている真空は、除去中にそれを破壊しないように、ウエハ240にわたって分散しているべきである。これは、ウエハ240の表面にわたって分散している複数の吸引カップ430を用いて達成され得る。代替として、真空は、穿孔された孔を伴う真空テーブル等の分散型の真空によって適用され得る。真空テーブル354は、ウエハ240が取扱中に損傷させられないように、その表面上にポリマーを有し得る。
【0036】
剥離プロセス中、装置300は、ランプあたり150mm×75mmの暴露面積を伴う24mm直径および150mm長のランプを使用した、フラッシュランプあたり5ランプドライバを有し得る。フラッシュランプは、75mmずつ暴露面積を増加させるように相互に並列に設置され得る。例えば、2つのフラッシュランプは、150mm×150mmの暴露面積を提供し、3つのフラッシュランプは、150mm×225mmの暴露面積を提供し、4つのフラッシュランプは、150mm×300mmの暴露面積を提供する等である。フラッシュランプは、共通の光学空洞内に設置され、暴露は、3%以内まで均一である。フラッシュランプドライバは、コンデンサおよびIGBTを含む。コンデンサからの電流は、IGBTによってフラッシュランプ内へと切り替えられる。ランプドライバは、フラッシュランプに供給されるピーク電流を増加させるように相互に並列に設置され得る。フラッシュランプシステムの変数は、コンデンサの充電電圧、フラッシュランプドライバの数によって決定される総静電容量、ならびに、IGBTによってオンおよびオフに切り替えられる光のパルスの長さである。全てのパラメータは、コンピュータによって制御される。シリコンウエハは、50~150マイクロ秒のパルス持続時間において900~950Vでガラス担体プレートから剥離され得、これは、各パルスに伴って放出される2~6J/cmに対応する。フラッシュランプ350のピーク放射電力は、20KW/cmを上回り、より好ましくは、30KW/cmを上回り、さらにより好ましくは、40KW/cmを上回る。
【0037】
ウエハは、ウエハが薄いほど担体プレートから剥離されることがより容易であることに留意されたい。これは、主に、ウエハが非常に熱を伝導するという事実に起因する。シリコンは、例えば、約140W/cm・Kの熱伝導率を有する。これは、ガラスである典型的担体プレートの100倍を優に上回る。したがって、光吸収層からのエネルギーの多くが、吸収材が光のパルスによって照射されている50~150マイクロ秒長時間の間、接着層を通してウエハに伝導される。接着層は、剥離温度に到達すると、担体から剥離する。ウエハが薄いほど、接着剤は、より迅速に剥離温度に到達する。したがって、より薄いウエハは、同一強度において、より短い光のパルスを用いて剥離され得る。これの利点は、剥離プロセスを実施するためにより少ないエネルギーが必要とされることである。加えて、持続時間が減少させられるため、フラッシュランプシステム内のフラッシュランプの寿命が、増加させられる。代替として、フラッシュランプからの放出の強度が、所与のパルス長さにわたって減少させられ得る。これは、ウエハ内へと蓄積されるエネルギーの総量も低減させる。
【0038】
説明されてきたように、本発明は、ウエハを担体から剥離するための向上した方法を提供する。従来技術に優る本発明のいくつかの利点が、存在する。第1に、ウエハ剥離は、単一パルス程度のわずかな光を用いて実施されることができる。これは、スタックからウエハを剥離するための時間が、単一パルスに関して数十秒(もしくはより長い)から150マイクロ秒未満まで、または、2つのパルスに関して10秒未満もしくはさらに2秒未満まで劇的に低減させられることを意味する。従来技術に優る別の利点は、ウエハ全体を走査するための光放出をラスタする必要性が大幅に低減または排除されることである。これは、複雑な走査光学系の必要性を排除することによって装置の複雑性を劇的に低減させる。従来技術に優るさらなる利点は、ウエハ全体が光の1つまたは2つのパルスから同一時間温度履歴を被るため、剥離プロセスにおける数百パルスからの不均質性が大幅に低減させられることである。剥離プロセスにおける同一の時間温度履歴は、ウエハが従来技術においてより清浄に剥離されるという含意を有する。これは、従来技術より清掃ステーションにおいて任意の残留接合接着剤をウエハおよび担体プレートから除去するためにかかる時間の量をさらに低減させる。
【0039】
本発明は、好ましい実施形態を参照して特に示され、説明されてきたが、形態および詳細における種々の変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくその中で成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
【国際調査報告】