(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】フローセルのコーティング方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/26 20060101AFI20231226BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20231226BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20231226BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20231226BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20231226BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20231226BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20231226BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20231226BHJP
B05D 3/10 20060101ALI20231226BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20231226BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20231226BHJP
【FI】
G03F7/26
C12M1/00 A
C09D201/00
G03F7/20 501
G01N35/08 E
G01N37/00 101
B05D7/00 K
B05D7/24 301C
B05D3/10 N
B05D3/12 E
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536042
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021063309
(87)【国際公開番号】W WO2022132769
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ブラフマ,ニール
(72)【発明者】
【氏名】ディル,タイラー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フー,ミッシェル ケイト
(72)【発明者】
【氏名】ハノス,ブライアン エイ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,サンキ
(72)【発明者】
【氏名】コディラ カリアッパ,ブリンダ
(72)【発明者】
【氏名】クラフト,ルイス ジェイ
【テーマコード(参考)】
2G058
2H196
2H197
4B029
4B063
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
2G058DA07
2H196AA30
2H196BA01
2H196HA40
2H197AA22
2H197CA03
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2H197CE10
2H197HA10
4B029AA07
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4B063QA13
4D075AC06
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4J038CE031
4J038CP041
4J038JA18
4J038KA06
4J038MA08
4J038PC03
4J038PC08
(57)【要約】
例示的な方法では、水溶性保護コーティング(20)溶液は、結合領域(26)、及びi)パターン化された構造のパターン化された領域又はii)パターン化されていない構造のレーン領域(30)のいずれかの上に塗布される。パターン化された領域は、少なくともポリマーヒドロゲル(34)を有する凹部(22)と、凹部を分離する間隙領域(24)と、を含む。レーン領域は、少なくともポリマーヒドロゲルを有するレーンを含む。水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、結合領域の上、及びi)パターン化された領域又はii)レーン領域のいずれかの上に、固体コーティング又(20)はゲルコーティング(20)を形成する。固体コーティング又はゲルコーティングの部分は、固体コーティング又はゲルコーティングの他の部分をi)パターン化された領域又はii)レーン領域のいずれかの上に残したまま、結合領域から選択的に除去される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
水溶性保護コーティング溶液を、結合領域の上、及びi)パターン化された構造のパターン化された領域であって、少なくともポリマーヒドロゲルを有する凹部と、前記凹部を分離する間隙領域とを含む、パターン化された領域、又はii)パターン化されていない構造のレーン領域であって、少なくとも前記ポリマーヒドロゲルを有するレーンを含む、レーン領域のいずれかの上に、塗布することと、
前記水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、前記結合領域の上、及びi)前記パターン化された領域又はii)前記レーン領域のいずれかの上に、固体コーティング又はゲルコーティングを形成することと、
前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの部分を、前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの他の部分をi)前記パターン化された領域又はii)前記レーン領域のいずれかの上に残したまま、前記結合領域から選択的に除去することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記水溶性保護コーティング溶液を塗布する前に、前記方法が、
前記結合領域の上、及びi)前記パターン化された領域又はii)前記レーン領域のいずれかの上に、フォトレジストを塗布することと、
前記フォトレジストをパターン化して、前記結合領域上に不溶性フォトレジストを生成し、i)前記パターン化された領域又はii)前記レーン領域のいずれかから前記フォトレジストを除去することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶性保護コーティング溶液が前記不溶性フォトレジストの上に塗布され、
前記結合領域から前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分を選択的に除去することが、前記不溶性フォトレジストを除去剤にてリフトオフすることを伴い、前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングが前記除去剤にて不溶性である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーヒドロゲルが前記凹部内又は前記レーン内に導入される前に、前記フォトレジストが塗布及びパターン化され、
前記フォトレジストが塗布及びパターン化された後、かつ前記水溶性保護コーティング溶液を塗布する前に、前記方法が、
i)前記不溶性フォトレジスト、前記凹部、及び前記間隙領域、又はii)前記不溶性フォトレジスト及び前記レーンのいずれかの上に前記ポリマーヒドロゲルを堆積させることと、
少なくとも前記不溶性フォトレジストから前記ポリマーヒドロゲルをポリッシュすることと、を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記水溶性保護コーティング溶液を乾燥した後に、前記方法が、
前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの上にフォトレジストを塗布することと、
前記フォトレジストをパターン化して、前記結合領域の上の前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分から前記フォトレジストを除去し、i)前記パターン化された領域又はii)前記レーン領域のいずれかの上の前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの他の部分の上に、不溶性フォトレジストを生成することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記結合領域から前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分を選択的に除去することは、前記不溶性フォトレジストが所定の位置にある状態で前記部分をドライエッチング又は水リンスに曝露することを伴う、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記不溶性フォトレジストを除去剤にてリフトオフすることを更に含み、前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングが前記除去剤にて不溶性である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記パターン化された構造又は前記パターン化されていない構造が、透明ベース支持体、前記透明ベース支持体の上のパターン化されたマスク層、及び前記パターン化されたマスク層及び前記透明ベース支持体の上のパターン化された透明層を含む、多層スタックであり、
前記パターン化されたマスク層のパターンが、前記結合領域に対応し、
前記水溶性保護コーティング溶液を乾燥させた後、前記方法が、
前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの上にネガティブフォトレジストを塗布することと、
前記透明ベース支持体を通して前記ネガティブフォトレジストを光に曝露することであって、それにより、i)前記パターン化された領域又はii)前記レーン領域のいずれかを覆う前記ネガティブフォトレジストの部分が前記不溶性フォトレジストを画定し、前記パターン化されたマスク層及び前記結合領域を覆う前記ネガティブフォトレジストの部分が可溶性になる、曝露することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記結合領域から前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分を選択的に除去することが、前記部分を前記ネガティブフォトレジストの現像液に曝露することを伴う、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
溶媒にて前記不溶性フォトレジストをリフトオフすることを更に含み、該溶媒に対して前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングが不活性である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水溶性保護コーティング溶液を乾燥させた後、前記方法が、前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの他の部分の上に金属層を選択的に塗布することを更に含み、
前記結合領域から前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分を選択的に除去することは、前記金属層が所定の位置にある状態で前記部分をドライエッチングに曝露することを伴い、
前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分を選択的に除去した後、前記方法が、前記金属層を除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記結合領域から前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分を選択的に除去することが、前記結合領域の上の前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分をレーザでパターン化することを伴う、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記結合領域から前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分を選択的に除去することが、前記結合領域が曝露されるまで前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングを時間指定してドライエッチングすることを伴う、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記パターン化された構造を利用し、前記水溶性保護コーティング溶液を塗布する前に、前記方法が、前記パターン化された構造を、
基材の上に金属層を塗布することと、
前記金属層の上にフォトレジストを塗布することと、
前記フォトレジストをパターン化して、凹部パターンを画定する不溶性フォトレジストを生成することと、
前記凹部パターンに従って前記金属層の部分及び前記基材の下にある部分をエッチングして、前記基材に前記凹部を形成することと、
前記不溶性フォトレジストを除去することと、
前記ポリマーヒドロゲルを前記凹部内及び前記金属層の残りの部分の上に塗布することと、によって形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記水溶性保護コーティング溶液が前記ポリマーヒドロゲルの上に塗布され、
前記結合領域から前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングの前記部分を選択的に除去することが、前記金属層を除去剤にてリフトオフすることを伴い、前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングが前記除去剤にて不溶性であり、
前記ポリマーヒドロゲル、及び前記金属層上の前記固体コーティング又は前記ゲルコーティングが前記金属層でリフトオフされる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
方法であって、
水溶性保護コーティング溶液を、i)パターン化された構造のパターン化された領域であって、少なくともポリマーヒドロゲルを有する凹部と、前記凹部を分離する間隙領域とを含む、パターン化された領域、又はii)パターン化されていない構造のレーン領域であって、少なくとも前記ポリマーヒドロゲルを有するレーンを含む、レーン領域のいずれかの上に、塗布することであって、それにより、前記パターン化された構造の疎水性結合領域が、曝露されたままである、塗布することと、
前記水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、i)前記パターン化された領域又はii)前記レーン領域のいずれかの上に固体コーティング又はゲルコーティングを形成することと、を含む、方法。
【請求項17】
フローセルであって、
基材と、
前記基材上に存在し、かつ間隙領域によって互いに隔離された、複数の官能化パッドであって、前記複数の官能化パッドの各々が、
ポリマーヒドロゲルと、
前記ポリマーヒドロゲルに付着したプライマーと、を含む複数の官能化パッドと、
前記複数の官能化パッドの上に存在し、かつ前記間隙領域の上には存在しない保護コーティングと、を含む、フローセル。
【請求項18】
方法であって、
透明ベース支持体上の金属層をパターン化して、i)前記透明ベース支持体の第1の間隙領域によって分離された金属ポスト、及び、ii)前記透明ベース支持体の結合領域を画定することと、
前記第1の間隙領域及び前記結合領域の上に不溶性のネガティブフォトレジストを生成することと、
前記金属ポストをエッチングして、前記透明ベース支持体の第2の間隙領域を曝露することと、
前記不溶性フォトレジスト及び前記第2の間隙領域の上にポリマーヒドロゲルを塗布することと、
水溶性保護コーティング溶液を前記ポリマーヒドロゲルの上に塗布することと、
前記水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、前記ポリマーヒドロゲルの上に固体コーティング又はゲルコーティングを形成することと、
前記不溶性のネガティブフォトレジストをリフトオフして、コーティングされた官能化パッド、前記結合領域、及び前記第1の間隙領域を曝露することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記不溶性のネガティブフォトレジストを生成することが、
前記金属ポスト、前記第1の間隙領域、及び前記結合領域の上にネガティブフォトレジストを塗布することと、
前記透明ベース支持体を通して前記ネガティブフォトレジストを光に曝露することであって、それにより、前記第1の間隙領域及び前記結合領域を覆う前記ネガティブフォトレジストの部分が前記不溶性のネガティブフォトレジストを画定し、前記金属ポストを覆う前記ネガティブフォトレジストの部分が可溶性になる、曝露することと、
前記ネガティブフォトレジストの前記可溶性部分を除去することと、を伴う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属層をパターン化することは、
多層スタックの樹脂層をインプリントして、凹部パターン及び結合領域パターンを形成することであって、前記多層スタックがベース支持体の上の前記金属層の上の前記樹脂層を含む、形成することと、
前記透明ベース支持体の前記第1の間隙領域及び前記透明ベース支持体の前記結合領域が曝露されるまで前記凹部パターン及び前記結合領域パターンにおける前記樹脂層及び前記金属層をエッチングすることと、を伴う、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
方法であって、
精密ディスペンス・ツールのノズルに対して、画定された特徴を有する基材を位置決めして、前記基材の表面と前記ノズルの表面との間のエアギャップが0μm超~約100μmの範囲となるようにすることと、
i)ヒドロゲル水溶液、ii)グラフト化済みヒドロゲル水溶液、又はiii)水溶性保護コーティング溶液を、約0.15μL/秒~約20μL/秒の範囲の流量で前記ノズルから前記特徴にディスペンスすることであって、それにより、前記特徴を囲む前記基材の前記表面には、i)前記ヒドロゲル水溶液、ii)前記グラフト化済みヒドロゲル水溶液、又はiii)前記水溶性保護コーティング溶液が存在しないままである、ディスペンスすることと、を含む、方法。
【請求項22】
前記ノズルが、ステンレス鋼製の円錐形ノズルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ディスペンスの前後に、前記ステンレス鋼製の円錐形ノズルを水中に維持することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ステンレス鋼製の円錐形ノズルが、約17~約30の範囲のゲージを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ステンレス鋼製の円錐形ノズルが、疎水性層でコーティングされている、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記ディスペンスが、約10μm以下の厚さを有するi)前記ヒドロゲル水溶液、ii)前記グラフト化済みヒドロゲル水溶液、又はiii)前記水溶性保護コーティング溶液の層を形成するために実行される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記精密ディスペンス・ツールが、約75mm/秒~約350mm/秒の範囲の線形ガントリ速度で動作される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月15日に出願された米国仮特許出願第63/125,716号の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ポリマーコーティングされた基材は、多くの技術用途に使用される。一例では、埋め込み可能な医療用デバイスを、生物学的に不活性なポリマーでコーティングすることができる。別の例では、フローセルは、生体分子の調製及び/又は分析に使用される、ポリマーコーティングされた表面を含む。特定の核酸配列決定法などの分子分析は、ポリマーコーティングされた表面への核酸鎖の付着に依存する。保護コーティングもまた、例えば、ポリマーコーティングされた表面が核酸配列決定方法において使用されるまで、表面を保護するために、表面上に塗布されている。ポリマーコーティングされた表面上に保護コーティングを堆積させるためのいくつかの技術は、結合領域などのフローセルの他の領域を汚染する可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、保護コーティング又は他の活性領域材料を高精度で堆積する方法が開示される。本明細書に開示される方法のいくつかの例は、i)スピンコーティング又はダンクコーティングなどのブランケット堆積技術を使用して、基材の活性領域の上の保護コーティングと、ii)保護コーティングが存在しない結合領域との同時調製を可能にする。これらの方法の間、活性領域は、連続的に水和又はコーティングされてもよく、これにより、表面化学を、処理条件などからの劣化から保護する。
【0004】
これらの方法の第1の例は、水溶性保護コーティング溶液(water-soluble protective coating solution)を、結合領域(bonding region)の上、及びi)パターン化された構造のパターン化された領域であって、内部に少なくともポリマーヒドロゲル(polymeric hydrogel)を有する凹部(depression)と、凹部を分離する間隙領域(interstitial region)と、を含む、パターン化された領域、又はii)パターン化されていない構造のレーン領域であって、内部に少なくともポリマーヒドロゲルを有するレーン(lane)を含む、レーン領域(lane region)のいずれかの上に、塗布することと、水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、結合領域の上、及びi)パターン化された領域又はii)レーン領域のうちのいずれかの上に、固体コーティング又はゲルコーティングを形成することと、固体コーティング又はゲルコーティングの部分を、固体コーティング又はゲルコーティングの他の部分をi)パターン化された領域又はii)レーン領域のいずれかの上に残したまま、結合領域から選択的に除去することと、を含む。
【0005】
一事例では、水溶性保護コーティング溶液を塗布する前に、第1の例示的方法は、結合領域の上、及びi)パターン化された領域又はii)レーン領域のいずれかの上に、フォトレジストを塗布することと、フォトレジストをパターン化して、結合領域上に不溶性フォトレジストを生成し、i)パターン化された領域又はii)レーン領域のいずれかからフォトレジストを除去することと、を更に含み得る。一例では、水溶性保護コーティング溶液は、不溶性フォトレジストの上に塗布され、結合領域から固体コーティング又はゲルコーティングの部分を選択的に除去することは、不溶性フォトレジストを除去剤(又はリムーバー、remover)にて(又は除去剤中で)リフトオフすることを伴い、固体コーティング又はゲルコーティングは、除去剤中で不溶性である。この事例では、ポリマーヒドロゲルが凹部内又はレーン内に導入される前に、フォトレジストが塗布及びパターン化され、フォトレジストが塗布及びパターン化された後、かつ水溶性保護コーティング溶液を塗布する前に、第1の例示的方法は、i)不溶性フォトレジスト、凹部、及び間隙領域、又はii)不溶性フォトレジスト及びレーンのいずれかの上に、ポリマーヒドロゲルを堆積させることと、少なくとも不溶性フォトレジストからポリマーヒドロゲルをポリッシュ(または研磨、polish)することと、を更に含む。
【0006】
別の事例では、水溶性保護コーティング溶液を乾燥した後に、第1の例示的方法は、固体コーティング又はゲルコーティングの上に、フォトレジストを塗布することと、フォトレジストをパターン化して、結合領域の上の固体コーティング又はゲルコーティングの部分からフォトレジストを除去し、i)パターン化された領域又はii)レーン領域のいずれかの上の固体コーティング又はゲルコーティングの他の部分の上に、不溶性フォトレジストを生成することと、を更に含む。この事例では、結合領域から固体コーティング又はゲルコーティングの部分を選択的に除去することは、不溶性フォトレジストが所定の位置にある状態で(または所定の位置にあるまま)、その部分をドライエッチング又は水リンスに曝露する(又は晒す)ことを伴う。この事例では、第1の例示的な方法は、除去剤中で不溶性フォトレジストをリフトオフすることを更に含み、固体コーティング又はゲルコーティングは除去剤中で不溶性である。
【0007】
なお別の事例では、パターン化された構造又はパターン化されていない構造が、透明ベース支持体(transparent base support)、透明ベース支持体の上のパターン化されたマスク層、及びパターン化されたマスク層及び透明ベース支持体の上のパターン化された透明層を含む、多層スタック(multi-layer stack)であり、パターン化されたマスク層のパターンが、結合領域に対応し、水溶性保護コーティング溶液を乾燥させた後、第1の例示的方法は、固体コーティング又はゲルコーティングの上に、ネガティブフォトレジストを塗布する(又は適用する)ことと、透明ベース支持体を通してネガティブフォトレジストを光に曝露することであって、それにより、i)パターン化された領域又はii)レーン領域のいずれかを覆う(overlay)ネガティブフォトレジストの部分が不溶性フォトレジストを画定し(または規定し、define)、パターン化されたマスク層及び結合領域を覆うネガティブフォトレジストの部分が、可溶性になる、曝露することと、を更に含む。この事例では、固体コーティング又はゲルコーティングの部分を結合領域から選択的に除去することは、その部分をネガティブフォトレジストの現像液に曝露する(又は晒す)ことを伴う。この事例では、第1の例示的な方法は、溶媒にて(又は溶媒中にて)フォトレジストをリフトオフすることを更に含み、当該溶媒に対して固体コーティング又はゲルコーティングが不活性となっている。
【0008】
なお更に別の事例では、水溶性保護コーティング溶液を乾燥させた後、第1の例示的方法は、固体コーティング又はゲルコーティングの他の部分の上に、金属層を選択的に塗布する(又は適用する)ことを更に含み、結合領域から固体コーティング又はゲルコーティングの部分を選択的に除去することは、金属層が所定の位置にある状態で(または所定の位置にあるまま)、部分をドライエッチングに曝露する(又は晒すもしくは付す)ことを伴い、固体コーティング又はゲルコーティングの部分を選択的に除去した後、方法が、金属層を除去することを更に含む。
【0009】
他の事例では、結合領域から固体コーティング又はゲルコーティングの部分を選択的に除去することが、i)結合領域の上の固体コーティング又はゲルコーティングの部分をレーザでパターン化(laser patterning)することと、ii)結合領域が曝露されるまで固体コーティング又はゲルコーティングを時間指定してドライエッチング(timed dry etching)することと、を伴う。
【0010】
更なる事例では、第1の例示的方法は、パターン化された構造を利用し、水溶性保護コーティング溶液を塗布する前に、第1の方法は、基材の上に金属層を塗布する(または設ける)ことと、金属層の上にフォトレジストを塗布する(又は設ける)ことと、フォトレジストをパターン化して、凹部パターンを画定する不溶性フォトレジストを生成することと、凹部パターンに従って金属層の部分及び基材の下にある部分をエッチングして、基材内に凹部を形成することと、不溶性フォトレジストを除去することと、ポリマーヒドロゲルを凹部内及び金属層の残りの部分の上に塗布することと、によってパターン化された構造を形成することを更に含む。この事例では、水溶性保護コーティング溶液が、ポリマーヒドロゲルの上に塗布され、結合領域から固体コーティング又はゲルコーティングの部分を選択的に除去することが、金属層を除去剤中でリフトオフすることを伴い、固体コーティング又はゲルコーティングが、除去剤中で不溶性であり、ポリマーヒドロゲル及び金属層上の固体コーティング又はゲルコーティングが、金属層で(または金属層と共に)リフトオフされる。
【0011】
第1の例示的な方法の任意の特徴は、任意の望ましい方法で一緒に組み合わせることができ、及び/又は、例えば、方法全体を通じてフローセルの表面化学を水和状態に保つ能力を含む、本開示で説明する利点を達成するために、本明細書で開示する任意の例と組み合わせることができることを理解されたい。
【0012】
これらの方法の第2の例は、水溶性保護コーティング溶液を、i)パターン化された構造のパターン化された領域であって、内部に少なくともポリマーヒドロゲルを有する凹部と、凹部を分離する間隙領域と、を含む、パターン化された領域、又はii)パターン化されていない構造のレーン領域であって、内部に少なくともポリマーヒドロゲルを有するレーンを含む、レーン領域のいずれかの上に、塗布することであって、それにより、パターン化された構造の疎水性結合領域が、曝露されたままである、塗布することと、水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、i)パターン化された領域又はii)レーン領域のいずれかの上に、固体コーティング又はゲルコーティングを形成することと、を含む。
【0013】
第2の例示的方法の任意の特徴は、任意の望ましい形態で組み合わせることができることを理解されたい。更に、第1の例示的方法及び/又は第2の例示的方法の特徴の任意の組み合わせを一緒に使用することができ、及び/又は本明細書に開示される例のいずれかと組み合わせて、例えば、方法全体を通じてフローセル表面化学を水和状態に保つ能力を含む、本開示に記載される利点を達成できることを理解されたい。
【0014】
これらの他の方法の第3の例は、透明ベース支持体上の金属層をパターン化して、i)透明ベース支持体の第1の間隙領域によって分離された金属ポスト(metal posts)、及びii)透明ベース支持体の結合領域を画定することと、第1の間隙領域及び結合領域の上に不溶性のネガティブフォトレジストを生成することと、金属ポストをエッチングして、透明ベース支持体の第2の間隙領域を曝露することと、不溶性フォトレジスト及び第2の間隙領域の上にポリマーヒドロゲルを塗布することと、水溶性保護コーティング溶液をポリマーヒドロゲルの上に塗布することと、水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、ポリマーヒドロゲルの上に、固体コーティング又はゲルコーティングを形成することと、不溶性のネガティブフォトレジストをリフトオフして、コーティングされた官能化パッド(または機能化パッド、functionalized pad)、結合領域、及び第1の間隙領域を曝露することと、を含む。
【0015】
第3の例示的方法の一事例では、不溶性のネガティブフォトレジストを生成することが、金属ポスト、第1の間隙領域、及び結合領域の上にネガティブフォトレジストを塗布することと、透明ベース支持体を通してネガティブフォトレジストを光に曝露することであって、それにより、第1の間隙領域及び結合領域を覆うネガティブフォトレジストの部分が不溶性のネガティブフォトレジストを画定し、金属ポストを覆うネガティブフォトレジストの部分が、可溶性になる、曝露することと、ネガティブフォトレジストの可溶性部分を除去することと、を伴う。この事例では、金属層をパターン化することが、多層スタックの樹脂層をインプリントして凹部パターン及び結合領域パターンを形成することであって、多層スタックが、ベース支持体の上の金属層の上の樹脂層を含む、形成することと、透明ベース支持体の第1の間隙領域及び透明ベース支持体の結合領域が曝露されるまで凹部パターン及び結合領域パターンにおける樹脂層及び金属層をエッチングすることと、を伴う。
【0016】
第3の例示的方法の任意の特徴は、任意の望ましい形態で組み合わせることができることを理解されたい。更に、第1、第2、及び/又は第3の例示的方法の特徴の任意の組み合わせを一緒に使用することができ、及び/又は本明細書に開示される例のいずれかと組み合わせて、例えば、方法全体を通じてフローセル表面化学を水和状態に保つ能力を含む、本開示に記載される利点を達成できることを理解されたい。
【0017】
本明細書に開示される方法の他の例は、保護コーティング又は他の活性領域材料を高精度で選択的に塗布するために使用されてもよい。これらの方法の間、結合領域には、活性領域材料及び/又は保護コーティングが存在しないままであり、したがって、本方法は、材料の無駄を低減し得る。
【0018】
これらの方法の一例は、精密ディスペンス・ツール(または精密分配ツール、precision dispense tool)のノズルに対して、内部に画定された特徴を有する基材を位置決めして基材の表面とノズルの表面との間のエアギャップが0μm超~約100μmの範囲となるようにすることと、i)ヒドロゲル水溶液、ii)グラフト化済みヒドロゲル水溶液、又はiii)水溶性保護コーティング溶液を、約0.15μL/秒~約20μL/秒の範囲の流量でノズルから特徴にディスペンスする(または分配する)ことであって、それにより、特徴を囲む(または取り囲む)基材の表面には、i)ヒドロゲル水溶液、ii)グラフト化済みヒドロゲル水溶液、又はiii)水溶性保護コーティング溶液が存在しないままである、ディスペンスすることと、を含む。
【0019】
一事例では、ノズルはステンレス鋼製の円錐形ノズルである。この事例では、例示的方法は、ディスペンスの前後に、ステンレス鋼製の円錐形ノズルを水中に維持することを更に含み得る。また、この事例では、ステンレス鋼製の円錐形ノズルは、約17~約30の範囲のゲージ(gauge)を有し得る。なお更なるこの事例では、ステンレス鋼製の円錐形ノズルは疎水性層でコーティングされ得る。
【0020】
別の事例では、ディスペンスするは、約10μm以下の厚さを有するi)ヒドロゲル水溶液、ii)グラフト化済みヒドロゲル水溶液、又はiii)水溶性保護コーティング溶液の層を形成するために実行される。
【0021】
なお更に別の事例では、精密ディスペンスする・ツールは、約75mm/秒~約350mm/秒の範囲の線形ガントリ速度(linear gantry speed)で動作する。
【0022】
この例示的方法の任意の特徴は、任意の望ましい形態で組み合わせることができることを理解されたい。更に、この例示的方法の特徴と、第1、第2、及び/又は第3の例示的方法のいずれかの特徴の任意の組み合わせを一緒に使用することができ、及び/又は例えば、正確に塗布された保護コーティング及び保護コーティングが存在しない結合領域を備えたフローセル基材を形成することを含む本明細書に開示されているような利点を達成するために、本明細書に開示されている例のいずれかと組み合わせることができることを理解されたい。
【0023】
本明細書に開示される例示的な方法のいずれかを使用して、フローセルを生成することができる。一事例では、フローセルは、基材と、基材上に存在し、かつ間隙領域によって互いに隔離された、複数の官能化パッド(または機能化パッド、functionalized pad)であって、複数の官能化パッドの各々が、ポリマーヒドロゲルと、ポリマーヒドロゲルに付着した(又は付いた)プライマーと、を含む、複数の官能化パッドと、複数の官能化パッドの上に存在し、かつ間隙領域の上には存在しない、保護コーティングと、を含む。
【0024】
フローセルの任意の特徴を、任意の望ましい様式で一緒に組み合わせることができることを理解されたい。更に、フローセルの特長の任意の組み合わせ及び/又は任意の方法を一緒に使用し得、及び/又は例えば、正確に塗布された表面化学及び/又は正確に塗布された保護コーティングを含む本開示に記載されているような利点を達成するために、本明細書に開示されている例のいずれかと組み合わせることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の例の特徴は、以下の詳細な説明及び図面を参照することにより明らかになろう。図面において、同様の参照番号は、類似なものではあるが、おそらく同一ではない構成要素に対応している。簡潔にするために、前述の機能を有する参照番号又は特徴は、それらが現れる他の図面と関連させて記載されてもよく、記載されなくてもよい。
【
図1】
図1Aは例示的なフローセルの上面図である。
図1Bは、フローセルのフローチャネルの異なる例の、拡大され、部分的に切り取られた図である。
図1Cは、フローセルのフローチャネルの異なる例の、拡大され、部分的に切り取られた図である。
図1Dは、フローセルのフローチャネルの異なる例の、拡大され、部分的に切り取られた図である。
【
図2A】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図2B】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図2C】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図2D】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図3A】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図3B】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図3C】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図3D】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図3E】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図4A】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図4B】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図4C】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図4D】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図4E】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図4F】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図4G】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成するいくつかの例示的な方法を例示する概略図である。
【
図5A】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図5B】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図5C】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図5D】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図5E】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図6A】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図6B】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図6C】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図6D】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図6E】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図6F】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図6G】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図7A】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図7B】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図7C】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図7D】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図7E】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図8A】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図8B】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図8C】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図9A】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図9B】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図9C】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図9D】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図9E】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図9F】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図9G】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図9H】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図9I】基材の活性領域に保護コーティングを塗布し、保護コーティングが存在しない結合領域を生成する例示的な方法を例示する概略図である。
【
図10】本明細書に開示される方法の別の例で使用される精密ガントリツールの概略図である。
【
図11】本明細書に開示される方法の一例によってレーンに選択的に塗布された保護コーティングの一例を有する、模様のないスライドガラスの一部分の元のカラー写真の白黒複製である。
【
図12】本明細書に開示される方法の一例によってレーンに選択的に塗布されたグラフト化済みヒドロゲルの一例を有し、品質管理方法が実行された後のウェハのグレースケール蛍光画像であり、明るい色ほど低蛍光強度が高く、暗い色ほど蛍光強度が高いことを表す。
【
図13A】本明細書に開示される方法の例によって堆積された保護コーティングを含む例示的なレーンの顕微鏡画像である。
【
図13B】比較方法によって堆積された保護コーティングを含む比較例レーンの顕微鏡(異なる倍率)で撮影された蛍光画像である。
【
図13C】比較方法によって堆積された保護コーティングを含む比較例レーンの顕微鏡(異なる倍率)で撮影された蛍光画像である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
核酸配列決定において使用されるフローセルは、増幅、クラスタ生成、及び配列決定が起こり得る活性領域を有する1つ以上の基材を含み得る。基材は、例えば、結合領域において、蓋又は別の基材に結合され、試薬を活性領域に送達するためのフローチャネルを作成してもよい。一般に、結合領域には、活性領域の材料が存在しないことが望ましい。追加的に、増幅、クラスタ生成、及び配列決定の前に、活性領域を保護コーティングでコーティングすることが望ましい場合がある。
【0027】
本明細書に開示される方法のいくつかの例は、i)基材の活性領域の上の保護コーティング、及びii)保護コーティングが存在しない結合領域の同時調製を可能にする。本明細書に開示される方法の他の例は、保護コーティング又は他の活性領域材料を高精度で選択的に塗布するために使用されてもよい。
【0028】
定義
本明細書で使用される用語は、別段の指定がない限り、関連する技術分野における通常の意味を取るものと理解されたい。本明細書で使用されるいくつかの用語及びそれらの意味は、以下に記載される。
【0029】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0030】
含む(comprising)、含む(including)、含有する(containing)という用語、及びこれらの用語の様々な形態は、互いに同義であり、等しく広義であることを意味する。
【0031】
フローセル及び/又はフローセルの様々な構成要素を説明するために、本明細書では、上(top)、下(bottom)、下方(lower)、上方(upper)、上(on)、隣接して(adjacent)などの用語が使用される。これらの方向を示す用語は、特定の配向を示すことを意味するものではなく、構成要素間の相対的な配向を指定するために使用されることを理解されたい。方向を示す用語の使用は、本明細書に開示される例を任意の特定の配向に制限すると解釈されるものではない。
【0032】
第1、第2などの用語はまた、特定の配向又は順序を示すことを意味するものではなく、むしろ1つの構成要素を別の構成要素から区別するために使用される。
【0033】
「アクリルアミドモノマー」は、構造
【0034】
【化1】
を有するモノマー、又はアクリルアミド基を含むモノマーである。アクリルアミド基を含むモノマーの例としては、アジドアセトアミドペンチルアクリルアミド:
【0035】
【0036】
【化3】
が挙げられる。他のアクリルアミドモノマーを使用してもよい。
【0037】
「活性領域」という用語は、反応を行うことができる基材の領域を指す。フローセルの作製中、活性領域は、核酸鋳型増幅に関与し得るプライマーを付着させることができるポリマーヒドロゲルを含み得る。最終フローセルでは、活性領域は、プライマーが付着したポリマーヒドロゲルを含み得る。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「活性化」という用語は、ベース支持体の表面又は多層構造の最外層に反応基を生成するプロセスを指す。活性化は、シラン化又はプラズマアッシングを使用して達成され得る。活性化は本明細書に開示される方法のいずれかで実行され得ることを理解されたい。活性化が実行されると、シラン化層又は(プラズマアッシングからの)-OH基が存在して、ポリマーヒドロゲルを下にある支持体又は層に共有結合的に付着させることを理解されたい。
【0039】
本明細書に使用されるとき、「アルデヒド」は、構造-CHOを含む官能基を含有する有機化合物であり、これは、水素、及び、アルキル又は他の側鎖などのR基にも結合した炭素原子を有するカルボニル中心(すなわち、酸素に二重結合した炭素)を含む。アルデヒドの一般構造は、
【0040】
【0041】
本明細書で使用されるとき、「アルキル」は、完全に飽和している(すなわち、二重結合又は三重結合を含有しない)直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有し得る。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。一例として、表記「C1~4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子が存在すること、すなわち、アルキル鎖が、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルからなる群から選択されることを示す。
【0042】
本明細書で使用されるとき、「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を含有する直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有し得る。例示的なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「アルキン」又は「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を含有する直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、2~20個の炭素原子を有し得る。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「アリール」は、環骨格中に炭素のみを含有する芳香環又は環系(すなわち、2個の隣接する炭素原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。アリールが環系である場合、系内の全ての環は芳香環である。アリール基は、6~18個の炭素原子を有し得る。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アズレニル、及びアントラセニルが挙げられる。
【0045】
「アミノ」官能基は、-NRaRb基を指し、式中、Ra及びRbは各々、本明細書で定義されるように、水素(例えば、
【0046】
【化5】
C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、及び5~10員のヘテロシクリルから独立して選択される。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「付着した(attached)」という用語は、2つのものが、直接的又は間接的のいずれかで、互いに、接合、締結、接着、接続、又は結合されている状態を指す。例えば、核酸は、共有結合又は非共有結合によってポリマーヒドロゲルに付着され得る。共有結合は、原子間の電子対の共有によって特徴付けられる。非共有結合は、電子対の共有を伴わない物理結合であり、例えば、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、親水性相互作用、及び疎水性相互作用を挙げることができる。
【0048】
「アジド(azide)」又は「アジド(azido)」官能基は、-N3を指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「結合領域」は、例として、スペーサ層、蓋、別の基材など、又はそれらの組み合わせ(例えば、スペーサ層及び蓋、又はスペーサ層及び別の基材)であり得る別の材料に結合される基材の領域を指す。結合領域にて形成される結合は、化学結合(上述のとおり)、又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用して)であってもよい。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「カルボシクリル」は、環系骨格中に炭素原子のみを含有する非芳香族環又は環系を意味する。カルボシクリルが環系である場合、2つ以上の環が、縮合、架橋、又はスピロ結合方式で一体に結合され得る。カルボシクリルは、環系中の少なくとも1つの環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有し得る。したがって、カルボシクリルとしては、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニルが挙げられる。カルボシクリルは、3~20個の炭素原子を有し得る。カルボシクリルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,3-ジヒドロ-インデン、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、及びスピロ[4.4]ノナニルが挙げられる。
【0051】
本明細書で使用されるとき、本明細書で使用される「カルボン酸」又は「カルボキシル」という用語は、-COOHを指す。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「シクロアルキレン」は、2つの付着点を介して分子の残りに付着した完全飽和カルボシクリル環又は環系を意味する。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「シクロアルケニル」又は「シクロアルケン」は、少なくとも1つの二重結合を有するカルボシクリル環又は環系を意味し、環系内の環は、いずれも芳香族ではない。例としては、シクロヘキセニル又はシクロヘキセン及びノルボルネニル又はノルボルネンが挙げられる。また、本明細書で使用されるとき、「ヘテロシクロアルケニル」又は「ヘテロシクロアルケン」は、少なくとも1つの二重結合を有する、環骨格内に少なくとも1つのへテロ原子を有するカルボシクリル環又は環系を意味し、環系の中のいずれも環も、芳香族ではない。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「シクロアルキニル」又は「シクロアルキン」は、少なくとも1つの三重結合を有するカルボシクリル環又は環系を意味し、環系内の環は、いずれも芳香族ではない。一例は、シクロオクチンである。別の例は、ビクロノニンである。本明細書で使用されるとき、「ヘテロシクロアルキニル」又は「ヘテロシクロアルキン」は、少なくとも1つの三重結合を有する、環骨格内に少なくとも1つのへテロ原子を有するカルボシクリル環又は環系を意味し、環系内の環は、いずれも芳香族ではない。
【0055】
本明細書に使用されるとき、「凹部」という用語は、基材で定義された別個の凹状特徴を指し、基材の間隙領域によって少なくとも部分的に取り囲まれた表面の開口部を有する。凹部は、表面の開口部において、例として、円形、楕円形、正方形、多角形、星形(任意の数の頂点を有する)などの、様々な形状を取ることができる。表面と直交するように取られた凹部の断面は、湾曲形状、正方形、多角形、双曲線、円錐、角のある形状などであることができる。例として、凹部は、ウェル又は2つの相互接続されたウェルであり得る。
【0056】
「各々」という用語は、項目の集合を参照して使用されるとき、集合内の個々の項目を識別することを意図しているが、必ずしも集合内の全ての項目を指すものではない。明示的な開示又は文脈がそうでないことを明確に指示する場合、例外が生じ得る。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「エポキシ」という用語(グリシジル又はオキシラン基とも称される)は、
【0058】
【0059】
「特徴」という用語は、基材によって少なくとも部分的に画定される凹部又はレーンを指す。いくつかの事例では、特徴は、インプリント、エッチング、又は別の好適な技術によって基材に画定される。他の事例では、特徴は、基材表面上に構築される1つ以上の追加の材料を使用して基材上に画定される。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「フローセル」という用語は、反応を行うことができるフローチャネル、試薬をフローチャネルに送達するための入口、及びフローチャネルから試薬(試薬)を除去するための出口を有する容器を意味することを意図する。いくつかの例では、フローセルは、フローセル内で起こる反応の検出に対応する。例えば、フローセルは、アレイ、光学的標識分子などの光学的検出を可能にする1つ以上の透明な表面を含み得る。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「フローチャネル」又は「チャネル」は、液体サンプルを選択的に受容することができる、2つの結合された構成要素間に画定される領域であり得る。いくつかの例では、フローチャネルは、2つの基材間に画定され得、したがって、基材の各々の活性領域と流体連通し得る。他の例では、フローチャネルは、基材と蓋との間に画定され得、したがって、基材の活性領域と流体連通し得る。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「官能化パッド」は、i)基材表面上に位置決めされ、ii)間隙領域によって基材表面上の他のポリマーヒドロゲルから隔離され、かつiii)それに付着したプライマーを有する、ポリマーヒドロゲルをいう。官能化パッドは、実質的に平坦な基材表面上に位置する。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「ヘテロアリール」は、環骨格中に窒素、酸素、及び硫黄を含むがこれらに限定されない、1個以上のヘテロ原子、すなわち炭素以外の元素を含有する芳香環又は環系(すなわち、2個の隣接する原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。ヘテロアリールが環系である場合、系内の全ての環は芳香環である。ヘテロアリール基は、5~18環員を有し得る。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「複素環」は、環骨格中に少なくとも1つのヘテロ原子を含有する非芳香族環又は環系を意味する。複素環どうしは、縮合、架橋、又はスピロ結合式に、一体に接合されてもよい。複素環は、環系中の少なくとも1つの環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有してもよい。環系の中で、ヘテロ原子は、非芳香環又は芳香環のいずれかに存在してもよい。複素環基は、3~20環員(すなわち、炭素原子及びヘテロ原子を含む、環骨格を形成する原子の数)を有してよい。いくつかの例では、ヘテロ原子は、O、N、又はSである。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「ヒドラジン」又は「ヒドラジニル」という用語は、-NHNH2基を意味する。
【0066】
本明細書で使用されるとき、本明細書で使用される「ヒドラゾン」又は「ヒドラゾニル」という用語は、
【0067】
【化7】
基を指し、式中、R
a及びR
bは、本明細書で定義されるように、各々独立して水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、及び5~10員のヘテロシクリルから選択される。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0069】
本明細書に使用されるとき、「間隙領域」という用語は、例えば、凹部又は官能化パッドを分離する基材の領域を指す。例えば、間隙領域は、アレイの1つの凹部又は官能化パッドを、アレイの別の凹部又は官能化パッドから分離することができる。互いに分離された凹部又は官能化パッドは、別個であってもよい、すなわち、互いとの物理的な接触が欠如していてもよい。多くの例では、間隙領域は、連続的であるが、凹部又は官能化パッドは、例えば、それ以外が連続的である表面に画定される複数の凹部又は官能化パッドの場合のように、不連続である。他の例では、間隙領域及び官能化パッドの凹部は、例えば、それぞれの間隙領域によって分離される溝の形状での複数の凹部の場合のように、別個である。間隙領域によって提供される分離は、部分的又は完全な分離であり得る。間隙領域は、凹部又は官能化パッドの表面材料とは異なる表面材料を有してもよい。例えば、凹部は、その中にポリマーヒドロゲル及びプライマーを有することができ、間隙領域は、ポリマーヒドロゲル及びプライマーの両方を含まなくてもよい。
【0070】
本明細書で使用されるとき、「ネガティブフォトレジスト」は、特定の波長の光に曝露される部分が現像液に不溶性になる感光性材料を指す。これらの例では、不溶性のネガティブフォトレジストは、現像液中で5%未満の溶解度を有する。ネガティブフォトレジストでは、光曝露は、材料の露出部分が現像液中で(非露出部分よりも)溶解度が低くなるように化学構造を変化させる。不溶性のネガティブフォトレジストは、現像液に可溶性ではないが、現像液とは異なる除去剤中で少なくとも95%可溶であり得る。いくつかの例では、不溶性のネガティブフォトレジストは、除去剤中で少なくとも98%、例えば、99%、99.5%、100%の溶解度である。除去剤は、例えば、リフトオフプロセスにおいて使用される溶媒又は溶媒混合物であり得る。
【0071】
不溶性のネガティブフォトレジストとは対照的に、光に曝露されないネガティブフォトレジストの任意の部分は、現像液に少なくとも95%の溶解度である。いくつかの例では、光に曝露されないネガティブフォトレジストの部分は、現像液中に少なくとも98%、例えば、99%、99.5%、100%の溶解度である。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「ニトリルオキシド」は、「RaC≡N+O-」基を意味し、式中、Raは、本明細書で定義される。ニトリルオキシドの調製例としては、クロラミド-Tでの処理による、又は、イミドイルクロリド[RC(Cl)=NOH]上での塩基作用による、又は、ヒドロキシルアミンとアルデヒドとの反応によるアルドキシムからのインサイチュ生成が挙げられる。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「ニトロン」は、
【0074】
【化8】
基を意味し、式中、R
3が、水素(H)ではないことを除いて、R
1、R
2、及びR
3は、本明細書で定義されるR
a及びR
b基のいずれかであり得る。
【0075】
「パターン化されていない構造」は、1つの連続した活性領域を有する基材を指す。一例として、活性領域は、基材内に画定されたレーンの全長に沿って延在してもよいが、凹部内には、又は画定されたパターンには位置決めされた官能化パッドとしては存在しない。
【0076】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオチド」は、窒素含有複素環式塩基、糖、及び1つ以上のリン酸基を含む。ヌクレオチドは、核酸配列のモノマー単位である。RNA(リボ核酸)では糖はリボースであり、DNA(デオキシリボ核酸)では糖はデオキシリボース、つまりリボースの2’位に存在するヒドロキシル基が欠如した糖である。窒素含有複素環式塩基(すなわち、核酸塩基)は、プリン塩基であってもピリミジン塩基であってもよい。プリン塩基としては、アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにそれらの修飾された誘導体又は類似体が挙げられる。ピリミジン塩基としては、シトシン(C)、チミン(T)、及びウラシル(U)、並びにそれらの修飾された誘導体又は類似体が挙げられる。デオキシリボースのC-1原子は、ピリミジンのN-1又はプリンのN-9に結合される。核酸類似体は、リン酸骨格、糖、又は核酸塩基のいずれかが変化していてもよい。核酸類似体の例としては、例えば、ペプチド核酸(peptide nucleic acid、PNA)などのユニバーサル塩基又はリン酸-糖骨格類似体が挙げられる。
【0077】
いくつかの例では、「の上に(over)」という用語は、1つの構成要素又は材料が別の構成要素又は材料の上に直接位置付けられることを意味し得る。一方が他方の上に直接存在する場合、2つは互いに接触している。
図1Bでは、層16は、ベース支持体14の上に直接存在し、かつそれと接触するように、ベース支持体14の上に塗布される。
【0078】
他の例では、「の上に(over)」という用語は、1つの構成要素又は材料が別の構成要素又は材料上に間接的に位置付けられることを意味し得る。間接的にとは、ギャップ又は追加の構成要素又は材料が、2つの構成要素又は材料の間に位置付けられ得ることを意味する。
図1Bでは、保護コーティング20は、ベース支持体14の上に位置決めされ、その結果、2つが間接的に接触する。より具体的には、層16が2つの構成要素14と20との間に位置決めされるため、保護コーティング20は、ベース支持体14の上に間接的にある。
【0079】
「パターン形成された樹脂」は、中に画定された凹部を有し得る任意のポリマーを指す。樹脂及び樹脂をパターン化するための技術の具体例は、以下で更に説明される。
【0080】
「パターン化された構造」は、パターン内に、例えば凹部内に、又は官能化パッドとして、活性領域材料を含む基材を指す。いくつかの例では、基材は、活性領域のパターンを生成するためにパターン化技術(例えば、エッチング、リソグラフィなど)に曝露される(または付される)。しかしながら、「パターン化された構造」という用語は、そのようなパターン化技術を使用して、パターンを生成しなければならないことを意味することを意図するものではない。例えば、基材は、その上に官能化パッドのパターンを有する実質的に平坦な表面であり得る。パターン化された構造は、本明細書に開示される方法のいずれかを介して生成され得る。
【0081】
「ポリマーヒドロゲル」という用語は、液体及び気体に対して透過性である半硬質ポリマーを指す。ポリマーヒドロゲルは、液体(例えば、水)が吸収される場合に膨潤し、例えば乾燥によって液体が除去される場合に収縮することができる。ヒドロゲルは水を吸収し得るが、水溶性ではない。
【0082】
本明細書で使用されるとき、「ポジティブフォトレジスト」は、特定の波長の光に曝露される部分が現像液に可溶性になる感光性材料を指す。これらの例では、光に曝露されたポジティブフォトレジストの任意の部分は、現像液中に少なくとも95%の溶解度である。いくつかの例では、光に曝露されたポジティブフォトレジストの部分は、現像液中に少なくとも98%、例えば、99%、99.5%、100%の溶解度である。ポジティブフォトレジストでは、光曝露は、材料の露出部分が現像液中で(非露出部分よりも)溶解度が高くなるように化学構造を変化させる。
【0083】
可溶性のポジティブフォトレジストとは対照的に、光に曝露されないポジティブフォトレジストの任意の部分は、現像液に不溶性(5%未満の溶解度)である。不溶性ポジティブフォトレジストは、現像液に可溶性ではないが、現像液とは異なる除去剤中で少なくとも95%可溶であり得る。いくつかの例では、不溶性のポジティブフォトレジストは、除去剤に少なくとも98%、例えば、99%、99.5%、100%の溶解度である。除去剤は、リフトオフプロセスにおいて使用される溶媒又は溶媒混合物であり得る。
【0084】
本明細書で使用されるとき、「プライマーは、一本鎖核酸配列(例えば、一本鎖DNA)として定義される。本明細書において増幅プライマーと称されるいくつかのプライマーは、鋳型増幅及びクラスタ生成の開始点として機能する。本明細書において配列決定プライマーと称される他のプライマーは、DNA合成の開始点として機能する。プライマーの5’末端は、ポリマーヒドロゲルの官能基でカップリング反応を可能にするように修飾されてもよい。プライマーの長さは、任意の数の塩基の長さであることができ、様々な天然に存在しないヌクレオチドを含むことができる。一例では、配列決定プライマーは、10~60塩基、又は20~40塩基の範囲の短鎖である。
【0085】
本明細書で使用されるとき、「保護コーティング」という用語は、基材の活性領域上に塗布される固体(例えば、薄膜)、又はゲル、又は液体の形態の水溶性材料を指す。保護コーティングは、下にある表面化学又は基材に悪影響を及ぼさず、活性領域の機能性を保護及び/又は留めおく働きをする任意の水溶性材料であってよい。水溶性保護コーティングは、定義により、保護コーティングが水に曝露された(または晒された)ときに溶解し、このようにして洗い流され得るので、ポリマーヒドロゲルと識別可能であり、一方、ポリマーヒドロゲルは水不溶性である。保護コーティングは、ポリマーヒドロゲルを膨潤させ、処理及び/又は輸送及び/又は貯蔵中に層が有害な変化を受けるのを少なくとも実質的に防止することができる。別の例として、保護コーティングは、プライマーのアクセス可能性を留めおき、ポリマーヒドロゲルの劣化を少なくとも実質的に防止することができる。
【0086】
本明細書で使用されるとき、「スペーサ層」は、2つの構成要素を互いに結合する物質を意味する。いくつかの例では、スペーサ層は、結合を補助する放射線吸収性物質であることができるか、又は、結合を補助する放射線吸収性物質と接触させることができる。
【0087】
「基材」という用語は、単一層ベース支持体、又は活性領域が導入される多層構造を指す。
【0088】
「チオール」官能基とは、-SHを指す。
【0089】
本明細書で使用されるとき、「テトラジン」及び「テトラジニル」という用語は、4つの窒素原子を含む6員のヘテロアリール基を指す。テトラジンは、任意選択で置換され得る。
【0090】
本明細書で使用されるとき、「テトラゾール」は、4つの窒素原子を含む5員の複素環基を指す。テトラゾールは、任意選択で置換され得る。
【0091】
材料(例えば、基材、層など)を説明するときの「透明」という用語は、材料が特定の波長又は波長範囲の光を通過させることを意味する。例えば、材料は、ネガティブフォトレジストを化学的に変化させるために使用される波長に対して透明であり得る。透明度は、透過率、すなわち、物体に入射する光エネルギーの物体を透過する光エネルギーに対する比を使用して定量化され得る。透明材料の透過率は、材料の厚さと光の波長に依存する。本明細書に開示される例では、透明材料の透過率は、0.25(25%)~1(100%)の範囲であり得る。材料は、得られる材料が所望の透過率を可能にする限り、純粋な材料、いくらかの不純物を有する材料、又は材料の混合物であってもよい。追加的に、材料の透過率に応じて、光曝露の時間及び/又は光源の出力電力を増加又は減少させて、透明な材料を通して好適な線量の光エネルギーを送達して、所望の効果(例えば、不溶性フォトレジストを生成すること)を達成することができる。
【0092】
保護コーティング
本明細書に開示される方法の例は、基材の活性領域の上に保護コーティングを塗布するために使用され得る。各方法の詳細は、一連の
図2~一連の
図9を参照して本明細書に提供されるが、保護コーティングの塗布は、概して、堆積されて湿ったままであるか、又は堆積されて乾燥される(例えば、加温、加熱、蒸発、真空曝露、対流乾燥などによって)水溶性保護材料の水溶液を伴う。この水溶液を本明細書では水溶性保護コーティング溶液と呼ぶ。いくつかの例では、水溶性保護コーティング溶液は、最大約15%、又は約1~15%、又は約1~10%、又は約1~5%、又は約2~5%、又は約4~8%、又は約5~7.5%、又は約5%、又は約7.5%(質量対容積)の水溶性保護材料を含む。いくつかの例では、水溶性保護コーティング溶液は、約5~約7.5%、又は約5%、又は約7.5%(質量対容積)の水溶性保護材料を含む。
【0093】
水に加えて、水溶性保護コーティング溶液のいくつかの例は、乾燥速度を増加させ、表面張力を減少させるためにアルコール共溶媒を含んでもよい。他の好適な共溶媒としては、蒸発を遅らせるためのグリセロールなどの低揮発性溶媒を挙げることができる。
【0094】
いくつかの例では、保護コーティングは、水に少なくとも95%(例えば、98%、99%、100%)可溶であり、したがって、増幅及びクラスタリングの前に活性領域から容易に除去することができる。このタイプの保護コーティングを生成するために使用できる水溶性保護材料の例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(例えば、KOLLICOAT(登録商標)IR、BASF Corp.から入手可能)、スクロース、キトサン、デキストラン(例えば、分子量200,000Da)、ポリアクリルアミド(例えば、分子量40,000Da、200,000Daなど)、ポリエチレングリコール、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(すなわち、EDTA)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとエチレンジアミン四酢酸、(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、トリス(3-ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミン、バソフェナントロリンジスルホン酸二ナトリウム塩、ヒドロキシル官能性ポリマー、グリセロール、及び生理食塩水クエン酸ナトリウムが挙げられる。これらの水溶性保護材料のいずれも、結合領域ではなく活性領域に高精度で保護コーティングを塗布する、本明細書に開示される方法において使用することができる。これらの水溶性保護材料のいずれも、ポリエチレングリコールを除いて、保護コーティングの一部を不溶性のネガティブフォトレジスト除去剤に曝露する(または晒す)のではなく、保護コーティングの部分をドライエッチング又は切除する本明細書に開示される方法において使用することもできる。
【0095】
他の例では、保護コーティングは、水に少なくとも95%可溶であり、また、例えば不溶性のポジティブ又はネガティブフォトレジストを除去するために本方法中に使用される除去剤中で少なくとも95%不溶性である。このタイプの保護コーティングを生成するために使用され得る水溶性保護材料の例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(例えば、BASF Corp.から入手可能なKOLLICOAT(登録商標)IR)、スクロース、キトサン、デキストラン(例えば、分子量200,000Da)、及びグリセロールが挙げられる。これらの保護コーティング材料のいずれも、ポジティブ又はネガティブフォトレジスト及び除去剤を利用する方法において使用することができる。
【0096】
フローセル
本明細書で開示される例を、フローセルの調製に使用することができる。フローセルは、少なくとも1つのパターン化された構造又は少なくとも1つのパターン化されていない構造を含む。
【0097】
フローセル10の一例を、上方から、
図1Aに示す。フローセル10は、互いに結合された2つのパターン化された構造、互いに結合された2つのパターン化されていない構造、又は蓋に結合された1つのパターン化された又はパターン化されていない構造を含むことができる。2つのパターン化された又はパターン化されていない構造の間、又は1つのパターン化された又はパターン化されていない構造と蓋との間には、フローチャネル12がある。
図1Aに示される例は、8つのフローチャネル12を含む。8つのフローチャネル12が示されているが、任意の数のフローチャネル12がフローセル10に含まれ得る(例えば、単一のフローチャネル12、4つのフローチャネル12など)ことを理解すべきである。各フローチャネル12は、あるフローチャネル12内に導入される流体が、隣接するフローチャネル12内に流入しないように、別のフローチャネル12から単離され得る。フローチャネル12内に導入される流体のうちのいくつかの例は、反応成分(例えば、DNAサンプル、ポリメラーゼ、シーケンシングプライマー、ヌクレオチドなど)、洗浄溶液、脱ブロッキング剤などを導入し得る。
【0098】
フローチャネル12は、パターン化された又はパターン化されていない構造によって少なくとも部分的に画定される。パターン化された又はパターン化されていない構造は、単一層ベース支持体14(
図1Cに示されるような)、又は多層構造18(
図1B及び
図1Dに示すような)などの基材を含み得る。
【0099】
好適な単一層ベース支持体14の例としては、エポキシシロキサン、ガラス、修飾又は官能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、スチレンと他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(ChemoursのTEFLON(登録商標)など)、環状オレフィン/シクロオレフィンポリマー(cyclic olefins/cyclo-olefin polymer、COP)(ZeonのZEONOR(登録商標)など)、ポリイミドなどを含む)、ナイロン(ポリアミド)、セラミック/酸化セラミック、シリカ、溶融シリカ、シリカベースの材料、ケイ酸アルミニウム、シリコン及び修飾シリコン(例えば、ホウ素ドープp+シリコン)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化シリコン(SiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)又は他の酸化タンタル(TaOx)、酸化ハフニウム(HfO2)、炭素、金属、無機ガラスなどが挙げられる。
【0100】
多層構造18の例は、
図1B、及び
図1Dに示すように、ベース支持体14及びその上の少なくとも1つの他の層16を含む。多層構造18のいくつかの例は、ベース支持体14としてのガラス又はシリコンを含み、表面に、酸化タンタル(例えば、五酸化タンタル又は別の酸化タンタル(TaO
x))又は別のセラミック酸化物のコーティング層(例えば、層16)を有する。
【0101】
多層構造18の他の例は、ベース支持体14(例えば、ガラス、シリコン、五酸化タンタル、又は他のベース支持体14材料のうちのいずれか)及び他の層16としてのパターン化された樹脂を含む。凹部22及び間隙領域24を形成するために選択的に堆積、又は堆積及びパターン化され得る任意の材料が、パターン化された樹脂に使用され得ることを理解されたい。
【0102】
1つの例として、無機酸化物は、パターン化された樹脂を生成するために、蒸着、エアロゾル印刷、又はインクジェット印刷を介してベース支持体14に選択的に塗布され得る。好適な無機酸化物の例としては、酸化タンタル(例えば、Ta2O5)、酸化アルミニウム(例えば、Al2O3)、酸化シリコン(例えば、SiO2)、酸化ハフニウム(例えば、HfO2)、及び/又はそれらの組み合わせ、又は他の混合金属酸化物が挙げられる。
【0103】
別の例として、ポリマー樹脂は、ベース支持体14に塗布され、次いでパターン化されてパターン化された樹脂を生成すし得る。好適な堆積技術としては、化学蒸着、ディップコーティング、ダンクコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、液滴ディスペンス(または分配)、超音波スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、エアロゾル印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト印刷等を含む。好適なパターニング技術としては、フォトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ(nanoimprint lithography、NIL)、スタンピング技術、エンボス技術、成形技術、マイクロエッチング技術等が挙げられる。好適な樹脂のいくつかの例としては、多面体オリゴマーシルセスキオキサンベースの樹脂、非多面体オリゴマーシルセスキオキサンエポキシ樹脂、ポリ(エチレングリコール)樹脂、ポリエーテル樹脂(例えば、開環エポキシ)、アクリル樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、アモルファスフルオロポリマー樹脂(例えば、BellexからのCYTOP(登録商標))、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0104】
本明細書に使用されるとき、「多面体オリゴマーシルセスキオキサン」(その一例は「POSS」商品名で市販されている)という用語は、シリカ(SiO2)とシリコーン(R2SiO)との間のハイブリッド中間体(例えば、RSiO1.5)である化学組成物を指す。多面体オリゴマーシルセスキオキサンの一例は、Kehagias et al.,Microelectronic Engineering 86(2009),pp.776-778に記載されているものであり得、これは、参照によりその全体が組み込まれる。一例では、組成物は、化学式[RSiO3/2]nを有する有機シリコン化合物であり、R基は同じであっても異なってもよい。POSSの例示的なR基としては、エポキシ、アジド(azide)/アジド(azido)、チオール、ポリ(エチレングリコール)、ノルボルネン、テトラジン、アクリレート、及び/若しくはメタクリレート、又は更には、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、及び/若しくはハロアルキル基が挙げられる。
【0105】
多層構造18のなお他の例は、透明ベース支持体14’(例えば、
図6Bを参照)、透明ベース支持体14’の上のパターン化されたマスク層48(
図6B参照)、及びパターン化されたマスク層48の上の透明層16’(
図6B参照)を含む。単一層ベース支持体14が
図1B~
図1Dに示され参照されているが、この説明は透明ベース支持体12’にも適用可能であることを理解されたい。
【0106】
単一層ベース支持体14(単独で、又は多層構造18の一部として使用されるかにかかわらず)は、約2mm~約300mm、例えば、約200mm~約300mmの範囲の直径を有する円形シート、パネル、ウェハ、ダイなどであり得るか、又は最大約10フィート(約3メートル)の最大寸法を有する長方形シート、パネル、ウェハ、ダイなどであり得る。例えば、ダイは、約0.1mm~約10mmの範囲の幅を有し得る。例示的な寸法を提供しているが、任意の好適な寸法を有する単一のベース支持体14を使用し得ることを理解すべきである。
【0107】
一例では、フローチャネル12は、長方形の構成を有する。フローチャネル12の長さ及び幅は、単一のベース支持体14の一部分、又は多層構造18の最外層がフローチャネル12を取り囲み、蓋(図示せず)又は別のパターン化された又はパターン化されていない構造への付着に利用可能であるように選択され得る。周囲の部分が結合領域26である。
【0108】
フローチャネル12の深さは、マイクロコンタクト、エアロゾル、又はインクジェット印刷を使用してフローチャネル12壁を画定する結合領域26の上の別個の材料を堆積させる場合、単一層の厚さと同程度であり得る。他の例では、スペーサ層がフローチャネル12の壁の少なくとも一部分を画定するように、より厚いスペーサ層が結合領域26に塗布されてもよい。一例として、スペーサは、結合を助ける放射線吸収材料であり得る。これらの例では、フローチャネル12の深さは、約1μm、約10μm、約50μm、約100μm、又はそれ以上であり得る。一例では、深さは、約10μm~約100μmの範囲であり得る。別の例では、深さは、約10μm~約30μmの範囲であり得る。更に別の例では、深さは、約5μm以下である。フローチャネル12の深さは、上で指定した値よりも大きくてもよく、それよりも小さくてもよく、又はそれらの間であってもよいことを理解すべきである。
【0109】
図1B、
図1C、及び
図1Dは、フローチャネル12内のアーキテクチャの例を描写する。
図1Bに示されるアーキテクチャは、多層構造18の層16内に、代替的に単一のベース支持体14内に画定された凹部22を含むパターン化された構造である。
図1Cに示されるアーキテクチャは、単一のベース支持体14上に、代替的に多層構造18の層16上に画定された官能化パッド28を含むパターン化された構造である。
図1Dに示されるアーキテクチャは、多層構造18の層16内に、代替的に単一層ベース支持体14内に画定された単一レーン30を含むパターン化されていない構造である。
【0110】
パターン化された構造に対して、規則的、反復的、及び非規則的なパターンを含む、官能化パッド28の凹部22の多くの異なるレイアウトが想定され得る。一例では、凹部22又は官能化パッド28は、密に充填して密度を向上させるために六角形の格子状に配置される。他のレイアウトは、例えば、直線的な(長方形の)レイアウト、三角形のレイアウトなどを含み得る。いくつかの例では、レイアウト又はパターンは、行及び列をなしているx-yフォーマットであり得る。他の例では、レイアウト又はパターンは、凹部22又は官能化パッド28又は間隙領域24の繰り返し配置とすることができる。更に他の例では、レイアウト又はパターンは、凹部22又は官能化パッド28及び間隙領域24のランダムな配置とすることができる。
【0111】
レイアウト又はパターンは、画定された領域内の凹部22又は官能化パッド28の密度(数)に関して特徴付けることができる。例えば、凹部22又は官能化パッド28は、1mm2当たりおよそ200万の密度で存在してもよい。例えば、1mm2当たり約100、1mm2当たり約1,000、1mm2当たり約10万、1mm2当たり約100万、1mm2当たり約200万、1mm2当たり約500万、1mm2当たり約1000万、1mm2当たり約5000万、又はそれ以上若しくはそれ以下の密度を含む、異なる密度に調整され得る。密度は、上記の範囲から選択される、下限値のうちの1つと上限値のうちの1つとの間であり得、又は他の密度(所与の範囲外)が使用され得ることを更に理解すべきである。例として、高密度アレイは、約100nm未満に分離された凹部22又は官能化パッド28を有するものとして特徴付けられ得、中密度アレイは、約400nm~約1μm未満に分離された凹部22又は官能化パッド28を有するものとして特徴付けられ得、低密度アレイは、約1μmよりも大きく分離された凹部22又は官能化パッド28を有するものとして特徴付けられ得る。
【0112】
凹部22又は官能化パッド28のレイアウト又はパターンは、更に又は代替的に、平均ピッチ、又は1つの凹部22又は官能化パッド28の中心から、隣接する凹部22又は官能化パッド28の中心までの間隔(中心間の間隔)、又は1つの凹部22又は官能化パッド28の右端から、隣接する凹部22又は官能化パッド28の左端まで(端から端までの間隔)の観点から特徴付けることができる。パターンは、平均ピッチ周辺の変動係数が小さくなるように規則的である場合もあれば、パターンが不規則である場合もあり、その場合、変動係数は比較的大きくなる可能性がある。いずれの場合も、平均ピッチは、例えば、約50nm、約0.1μm、約0.5μm、約1μm、約5μm、約10μm、又は約100μmであってもよい。の特定のパターンの平均ピッチは、上記の範囲から選択される、低い方の値のうちの1つと高い方の値のうちの1つとの間であり得る。一例では、凹部22は、約1.5μmのピッチ(中心間の間隔)を有する。平均ピッチ値の例が提供されるが、他の平均ピッチ値も使用され得ることを理解すべきである。
【0113】
各凹部22のサイズは、その容積、開口部面積、深さ、及び/若しくは直径又は長さ及び幅によって特徴付けられ得る。例えば、容積は、約1×10-3μm3~約100μm3の範囲に及び、例えば、約1×10-2μm3、約0.1μm3、約1μm3、約10μm3、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。別の例では、開口部面積は、約1×10-3μm2~約100μm2の範囲に及び、例えば、約1×10-2μm2、約0.1μm2、約1μm2、少なくとも約10μm2、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。更に別の例では、深さは、約0.1μm~約100μmの範囲に及び、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。別の例では、深さは、約0.1μm~約100μmの範囲に及び、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。更に別の例では、直径又は長さ及び幅の各々は、約0.1μm~約100μmの範囲に及び、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。
【0114】
各官能化パッド28のサイズは、その上部表面積、高さ、及び/若しくは直径又は長さ及び幅によって特徴付けられ得る。一例では、上部表面積は、約1×10-3μm2~約100μm2の範囲に及び、例えば、約1×10-2μm2、約0.1μm2、約1μm2、少なくとも約10μm2、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。更に別の例では、高さは、約0.1μm~約100μmの範囲に及び、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。更に別の例では、直径又は長さ及び幅の各々は、約0.1μm~約100μmの範囲に及び、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。
【0115】
パターン化されていない構造の場合、レーン30は、フローチャネル12と同じ構成を有してもよい。
【0116】
アーキテクチャの各々はまた、活性領域32を含む。活性領域32は、ポリマーヒドロゲル34及びプライマー36A、36Bを含む。
図1Bのパターン化された構造では、活性領域32は凹部22内に位置する。
図1Cのパターン化された構造では、活性領域32は官能化パッド28である。
図1Dのパターン化されていない構造では、活性領域32はレーン30に沿って延在する。
【0117】
ポリマーヒドロゲル34は、液体が吸収される場合に膨潤し、例えば乾燥によって液体が除去される場合に収縮することができる任意のゲル材料であり得る。一例では、ポリマーヒドロゲル34には、アクリルアミドコポリマー、例えば、ポリ(N-(5-アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド-コ-アクリルアミド、PAZAMが含まれる。PAZAM及び他のいくつかの形態のアクリルアミドコポリマーは、次の構造(I)で表され、
【0118】
【化9】
式中、
R
Aは、アジド、任意選択で置換アミノ、任意選択で置換アルケニル、任意選択で置換アルキン、ハロゲン、任意選択で置換ヒドラゾン、任意選択で置換ヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、任意選択で置換テトラゾール、任意選択で置換テトラジン、ニトリルオキシド、ニトロン、硫酸塩、及びチオールからなる群から選択され、
R
BはH又は任意選択で置換アルキルであり、
R
C、R
D、及びR
Eは各々、H及び任意選択で置換アルキルからなる群から独立して選択され、
-(CH
2)
p-の各々は、任意選択で置換され得、
pは1~50の範囲の整数であり、
nは1~50,000の範囲の整数であり、及び
mは、1~100,000の範囲の整数である。
【0119】
当業者は、構造(I)における繰り返される「n」及び「m」個の特徴の配置が代表的なものであり、モノマーサブユニットがポリマー構造(例えば、ランダム、ブロック、パターン化、又はそれらの組み合わせ)中に任意の順序で存在し得ることを認識する。
【0120】
PAZAM及び他の形態のアクリルアミドコポリマーの分子量は、約5kDa~約1500kDa又は約10kDa~約1000kDaの範囲であり得るか、あるいは特定の例では、約312kDaであり得る。
【0121】
いくつかの例では、PAZAM及び他の形態のアクリルアミドコポリマーは線状ポリマーである。他のいくつかの例では、PAZAM及び他の形態のアクリルアミドコポリマーは、軽度に架橋されたポリマーである。
【0122】
他の例では、ゲル材料は、構造(I)の変形であり得る。一例では、アクリルアミドユニットはN,Nージメチルアクリルアミド
【0123】
【化10】
で置き換えられ得る。この例では、構造(I)のアクリルアミドユニットは、
【0124】
【化11】
で置き換えられ得、式中、R
D、R
E、及びR
Fは、各々H又はC1~C6アルキルであり、R
G及びR
Hは、各々C1~C6アルキルである(アクリルアミドの場合のようにHではない)。この例では、qは、1~100,000の範囲の整数であってもよい。別の例では、アクリルアミドユニットに加えて、N,N-ジメチルアクリルアミドが使用され得る。この例では、構造(I)は、繰り返される「n」及び「m」個の特徴に加えて、
【0125】
【化12】
を含み得、式中、R
D、R
E、及びR
Fは、各々H又はC1~C6アルキルであり、R
G及びR
Hは、各々C1~C6アルキルである。この例では、qは、1~100,000の範囲の整数であってもよい。
【0126】
ポリマーヒドロゲル34の別の例として、構造(I)中の繰り返し「n」の特徴は、構造(II)を有する複素環式アジド基を含むモノマーで置換され得、
【0127】
【化13】
式中、R
1は、H又はC1~C6アルキルであり、R
2は、H又はC1~C6アルキルであり、Lは、炭素、酸素、及び窒素からなる群から選択される2~20個の原子を含む線状鎖を含むリンカーであり、その鎖中の炭素原子及び任意の窒素原子上に10個の任意選択の置換基を含み、Eは、炭素、酸素、及び窒素からなる群から選択される1~4個の原子を含む線状鎖であり、その鎖中の炭素原子及び任意の窒素原子上に任意選択の置換基を含み、Aは、H又はC1~C4アルキルがNに付着したN置換アミドであり、Zは、窒素含有複素環である。Zの例としては、単環構造又は縮合構造として存在する5~10炭素含有環員が挙げられる。Zのいくつかの具体的な例としては、ピロリジニル、ピリジニル、又はピリミジニルが挙げられる。
【0128】
更に別の例として、ポリマーヒドロゲル34は、構造(III)及び(IV)の各々の繰り返し単位を含み得、
【0129】
【化14】
式中、R
1a、R
2a、R
1b及びR
2bの各々は、水素、任意選択で置換アルキル又は任意選択で置換フェニルから独立して選択され、R
3a及びR
3bの各々は、水素、任意選択で置換アルキル、任意選択で置換フェニル、又は任意選択で置換C7~C14アラルキルから独立して選択され、L
1及びL
2の各々は、任意選択で置換アルキレンリンカー又は任意選択で置換ヘテロアルキレンリンカーから独立して選択される。
【0130】
オリゴヌクレオチドプライマー36A、36Bをそこにグラフト化するように官能化されている限り、他のポリマーヒドロゲル34を使用してもよいことを理解されたい。好適なポリマーヒドロゲル34のいくつかの例としては、官能化ポリシラン、例えばノルボルネンシラン、アジドシラン、アルキン官能化シラン、アミン官能化シラン、マレイミドシラン、又は所望のプライマーセット36A、36Bを付着することができる官能基を有する任意の他のポリシランが挙げられる。好適なポリマーヒドロゲル34の他の例としては、アガロースなどのコロイド構造、又はゼラチンなどのポリマーメッシュ構造、又はポリアクリルアミドポリマー及びコポリマー、シランフリーアクリルアミド(silane free acrylamide、SFA)、又はアジド分解バージョンのSFAなどの架橋ポリマー構造を有するものが挙げられる。好適なポリアクリルアミドポリマーの例は、アクリルアミドとアクリル酸若しくはビニル基を含むアクリル酸とから、又は[2+2]光付加環化反応を形成するモノマーから合成され得る。好適なポリマーヒドロゲルの更に他の例としては、アクリルアミドとアクリレートとの混合コポリマーが挙げられる。本明細書に開示される実施例では、デンドリマーなどを含む分岐ポリマーなど、アクリルモノマー(例えば、アクリルアミド、アクリレートなど)を含有する様々なポリマー構造が利用され得る。例えば、モノマー(例えば、アクリルアミドなど)は、ランダムに又はブロックで、デンドリマーの分岐(アーム)に組み込まれ得る。
【0131】
ポリマーヒドロゲル34は任意の好適な共重合プロセスを使用して形成することができる。ポリマーヒドロゲル34はまた、本明細書に開示される方法のいずれかを使用して堆積され得る。堆積技術のうちの少なくともいくつかでは、ポリマーヒドロゲル34は、例えば、水又はエタノール及び水との混合物に組み込まれ、次いで、塗布されてもよい。
【0132】
多層構造18の、下にあるベース支持体14又は層16(例えば、金属酸化物コーティング、樹脂など)へのポリマーヒドロゲル34の付着は、共有結合によるものであり得る。いくつかの事例では、下にあるベース支持体14又は層16は、最初に、例えば、シラン化又はプラズマアッシングを介して活性化され得る。共有結合は、様々な使用中、フローセル10の寿命全体にわたり、プライマー36A、36Bを活性領域32内に維持するのに役立つ。
【0133】
構造の各々はまた、ポリマーヒドロゲル34に付着したプライマー36A、36Bを含む。
【0134】
グラフト化プロセスは、本明細書に記載される実施例に従って堆積される前又は後のいずれかに、増幅プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34にグラフト化するために実行されてもよい。一例では、増幅プライマー36A、36Bは、プライマー36A、36Bの5’末端又はその近傍における一点共有結合性付着によって、ポリマーヒドロゲル34に固定化され得る。この付着により、(i)プライマー36A、36Bのアダプタ特異的部分は、その同族の配列決定可能な核酸断片に自由にアニールし、(ii)3’ヒドロキシル基は、自由にプライマーを伸長する。この目的のために、任意の好適な共有結合を使用することができる。使用され得る末端プライマーの例としては、アルキン末端プライマー(例えば、ポリマーヒドロゲル34のアジド表面部分に付着し得る)、又はアジド末端プライマー(例えば、ポリマーヒドロゲル34のアルキン表面部分に付着し得る)、又はホスホチオエート末端プライマー(例えば、ポリマーヒドロゲル34の臭素表面部分に付着し得る)が挙げられる。
【0135】
好適なプライマー36A、36Bの具体例としては、HISEQ(商標)、HISEQX(商標)、MISEQ(商標)、MISEQDX(商標)、MINISEQ(商標)、NEXTSEQ(商標)、NEXTSEQDX(商標)、NOVASEQ(商標)、GENOME ANALYZER(商標)、ISEQ(商標)、及び他の機器プラットフォームでの配列決定のためにIllumina Inc.により販売されている市販のフローセルの表面上で使用されるP5及びP7プライマーが挙げられる。
【0136】
プライマーグラフト化は、ポリマーヒドロゲル34が基材上に塗布される前又は後に実行されてもよい。一例では、グラフト化は、フロースルー堆積、ダンクコーティング、スプレーコーティング、液滴ディスペンス(または液滴分配)、又はプライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させる別の好適な方法によるものを伴い得る。これらの例示的な技術の各々は、プライマー36A、36B、水、緩衝液、及び触媒を含み得る、プライマー溶液又は混合物を利用し得る。グラフト化法のいずれかを用い、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34の反応基と反応する。ポリマーヒドロゲル34が基材に塗布された後にプライマー36A、36Bがグラフト化される場合、プライマー36A、36Bは結合領域26の間隙領域22に対して親和性を有さないことを理解されたい。したがって、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34へと選択的にグラフト化する。
【0137】
図1B、
図1C及び
図1Dに示す例では、フローセル10はまた、保護コーティング20を含む。任意の例の水溶性保護コーティング溶液を塗布して、保護コーティング20を形成することができる。次に、保護コーティング20を生成するための例示的な方法について説明する。
【0138】
保護コーティングパターン化方法
保護コーティング20を塗布するためのいくつかの例示的な方法が、一連の
図2~一連の
図9を参照して示されている。これらの方法の各々は、活性領域32の上に塗布され、結合領域26の上には塗布されない保護コーティング20をもたらす。これらの方法の間、活性領域32は、連続的に水和又はコーティングされてもよく、これにより、ポリマーヒドロゲル34及び/又はプライマー36A、36Bを含む表面化学を、例えば、乾燥などの処理条件による劣化から保護する。
【0139】
一連の
図2~一連の
図7に示す方法の各々は、概して、結合領域26及びi)パターン化された構造40のパターン化された領域38であって、パターン化された領域38は、内部に少なくともポリマーヒドロゲル34を有する凹部22と、凹部22を分離する間隙領域24と、を含むパターン化された領域38、又はii)パターン化されていない構造のレーン領域であって、レーン領域は、内部に少なくともポリマーヒドロゲル34を有するレーン30を含む、レーン領域のいずれかの上に水溶性保護コーティング溶液を塗布することと、水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、結合領域26の上、及びi)パターン化された領域38又はii)レーン領域のいずれかの上に、固体コーティング又はゲルコーティング(両方とも保護コーティング20の例である)を形成することと、保護コーティング20の部分を、保護コーティング20の他の部分をi)パターン化された領域38又はii)レーン領域のいずれかの上に残したまま、結合領域26から選択的に除去することと、を含む。
【0140】
一連の
図2~一連の
図6及び一連の
図8に示される方法は、パターン化された領域38内に凹部22及び間隙領域24を有するパターン化された構造40を描写する。これらの方法の各々は、パターン化された構造の代わりに、例えば
図1Dに示されるようなパターン化されていない構造を用いて実行され得ることを理解されたい。方法は、パターン化された領域38がレーン領域(例えば、レーン30)に置き換えられることを除いて、本明細書に記載されているのと同じ形式で実行され、その結果、ポリマーヒドロゲル34、プライマー36A、36B、及び保護コーティング20は、レーン30の上に存在し、かつ周囲の結合領域26の上には存在しない。
【0141】
【0142】
図2Aに示すように、パターン化された構造40の基材は、単一層ベース支持体14であり、単一層ベース支持体14の一方の表面に凹部22が画定されている。凹部22は、エッチング、インプリント、リソグラフィ、又は別の好適な技術によって画定され得る。単一層のベース支持体14が描写されているが、これらの例示的な方法は、凹部22が最外層16(
図1B参照)に画定されている多層構造18を用いて実行されてもよいことを理解されたい。
【0143】
図2A~
図2Dに示す方法の開始時に、ベース支持体14又は多層構造18の最外層16をシラン化又はプラズマアッシングを使用して活性化し、ポリマーヒドロゲル34と反応し得る表面基を生成することができる。
【0144】
シラン化は、ベース支持体14又は層16の表面の上へのシラン又はシラン誘導体の塗布を伴う。シラン又はシラン誘導体の選択は、部分的に、塗布されるポリマーヒドロゲル34に依存し得る。いくつかの例示的なシラン誘導体は、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体(例えば、炭素原子のうちの1つの代わりに酸素又は窒素を含む(ヘテロ)ノルボルネン)、トランスシクロオクテン、トランスシクロオクテン誘導体、トランスシクロペンテン、トランスシクロヘプテン、トランスシクロノネン、ビシクロ[3.3.1]ノナ-1-エン、ビシクロ[4.3.1]デカ-1(9)-エン、ビシクロ[4.2.1]ノナ-1(8)-エン、及びビシクロ[4.2.1]ノナ-1-エンなどのシクロアルケンの不飽和部分を含む。これらのシクロアルケンのいずれも、例えば、R基、例えば水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、又は(ヘテロアリシクリル)アルキルで置換することができる。ノルボルネン誘導体の例としては、[(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル)エチル]トリメトキシシランが挙げられる。他の例示的なシラン誘導体は、シクロオクチン、シクロオクチン誘導体、又はビシクロノニン(例えば、ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン若しくはその誘導体、ビシクロ[6.1.0]ノナ-2-イン、又はビシクロ[6.1.0]ノナ-3-イン)などのシクロアルキンの不飽和部分を含む。これらのシクロアルキンは、本明細書に記載するR基のいずれかで置換することができる。シラン又はシラン誘導体を塗布させるために使用される方法は、使用されるシラン又はシラン誘導体に応じて変化し得る。好適なシラン化法の例としては、蒸着(例えば、YES法)、スピンコーティング、又は他の堆積法が挙げられる。
【0145】
プラズマアッシングは、-OH基を生成する。いくつかの例では、プラズマアッシングが実行されてもよく、次にシラン化が実行されてもよい。
【0146】
活性化後、ポリマーヒドロゲル34は、ベース支持体14又は多層構造18の最外層16の上に塗布され得る。ポリマーヒドロゲル34は、任意の好適な堆積技術を使用して塗布され得る。例として、堆積は、蒸着技術、コーティング技術などを使用して実行され得る。いくつかの特定の例としては、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)、スプレーコーティング(例えば、超音波スプレーコーティング)、スピンコーティング、ダンク又はディップコーティング、ドクターブレードコーティング、液滴分配(puddle dispensing)、フロースルーコーティング、エアロゾル印刷、マイクロコンタクト印刷などが挙げられる。これらの堆積技術は、ポリマーヒドロゲル34を、凹部22内を含む多層構造18のベース支持体14又は最外層16の表面の上に塗布する。
【0147】
間隙領域24及び結合領域26の上に位置決めされたポリマーヒドロゲル34は、例えば、ポリッシュ・プロセス(または研磨プロセス)を使用して除去することができる。ポリッシュ・プロセスは化学スラリーを用いて実行されてもよく、これは、間隙領域24及び結合領域26において下にある基材に悪影響を及ぼすことなく、それらの領域24、26からポリマーヒドロゲル34を除去することができる。化学スラリーとしては、例えば、研磨粒子、緩衝剤、キレート剤、界面活性剤、及び/又は分散剤を挙げることができる。代替的に、ポリッシュ(または研磨)は、研磨剤粒子(abrasive particle)を含まない溶液により実行してもよい。
【0148】
化学スラリーは、化学機械ポリッシュ・システム(または化学機械研磨システム)で使用されて、間隙領域24及び結合領域26の表面をポリッシュし得る。ポリッシュ・ヘッド/パッド(もしくは研磨ヘッド/パッド)又は他のポリッシュ・ツール(または研磨ツール)は、間隙領域24及び結合領域26の上に存在し得るポリマーヒドロゲル34を、ポリマーヒドロゲル34を凹部20内に少なくとも実質的にそのまま残したまま、研磨することができる。一例として、ポリッシュ・ヘッド(または研磨ヘッド)は、Strasbaugh ViPRR IIポリッシュ・ヘッドであってもよい。
【0149】
方法のいくつかの例は、水溶性保護コーティング溶液を、結合領域26及びパターン化された構造40のパターン化された領域38の上に、塗布することと、水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、溶液中の水溶性保護材料に応じて、固体コーティング又はゲルコーティングであり得る保護コーティング20を形成することと、を含む。本明細書に開示される水溶性保護コーティング溶液の任意の例をこの例で使用することができる。水溶性保護コーティング溶液は、ディップコーティング、ダンクコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、又はエアロゾル印刷を使用して塗布することができる。乾燥は、空気曝露、窒素曝露、真空、加熱(例えば、オーブン内)、又はスピンコーティング(すなわち、乾燥するまで回転する)によって達成され得る。
図2Bは、得られた保護コーティング20を例示する。
【0150】
図2C及び
図2Dは、保護コーティング20の部分が結合領域26から選択的に除去された後のパターン化された構造40A及び40Bの2つの例を例示する。例示されているように、保護コーティング20の他の部分は、選択的除去が実行された後、パターン化された領域38の上に残る。
【0151】
一例では、選択的除去は、結合領域26の上の保護コーティング20(すなわち、固体コーティング又はゲルコーティング)の部分をレーザパターン化することを伴うことができる。レーザパターニングは、結合領域26を覆う保護コーティング20の部分を効果的に切除する。したがって、この技術は、結合領域26を覆う保護コーティング20の部分を除去するが、パターン化された領域38を覆う保護コーティング20の部分を少なくとも実質的にそのまま残す。得られたパターン化された構造40Bを
図2Dに示す。
【0152】
別の例では、選択的除去は、結合領域26が曝露されるまで保護コーティング20(すなわち、固体コーティング又はゲルコーティング)を時間指定ドライエッチングすることを伴い得る。例として、時間指定ドライエッチングは、反応性イオンエッチング(例えば、CF
4を用いて)又は100%O
2プラズマエッチングを伴い得る。時間指定ドライエッチングは、保護コーティング20が凹部22内に残るが、結合領域26及び間隙領域24から除去されるように停止される。時間指定ドライエッチングの持続時間は、使用されるエッチングプロセスのエッチング速度に依存し、異なる保護コーティング20に対して変化し得る。得られたパターン化された構造40Aを
図2Cに示す。
【0153】
図2C及び
図2Dの両方に描写されるように、本方法は、パターン化された領域38(したがって活性領域32)の少なくとも一部が保護コーティング20でコーティングされているが、結合領域26には保護コーティング20が存在しないという結果をもたらす。次に、パターン化された構造40A、40Bは、結合領域26において、他のパターン化された構造40A、40B又は蓋に結合されてもよい。形成される結合は、化学的結合又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用)であってよい。
【0154】
レーザ結合、拡散結合、陽極結合、共晶結合、プラズマ活性化結合、ガラスフリット結合、又は当技術分野で知られる他の方法などの任意の好適な技術を使用し、2つのパターン化された構造40A、40B又はパターン化された構造40A、40B及び蓋をともに結合し得る。一例では、スペーサ層は、2つのパターン化された構造40A、40B、又はパターン化された構造40A、40Bと蓋とを結合するために使用され得る。スペーサ層は、結合を助ける放射線吸収材料などの任意の封止材料であってもよい。保護コーティング20の存在は、結合プロセスの間、任意の下にある表面化学を保護し得る。
【0155】
図2A~
図2Dに示すパターン化された構造の代わりにパターン化されていない構造が使用されると、本方法は、レーン30(したがって活性領域32)がポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20でコーティングされているが、結合領域26にはポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20が存在しないという結果をもたらす。次いで、パターン化されていない構造は、結合領域26において他のパターン化されていない構造又は蓋に結合されてもよい。形成される結合は、化学的結合又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用)であってよい。
【0156】
図2A~
図2Dには示されていないが、これらの方法は、プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させることも含む。いくつかの例では、プライマー36A、36B(
図2A~
図2Dには図示せず)は、ポリマーヒドロゲル34にグラフト化済みであってもよく、したがって、ポリマーヒドロゲル34が塗布されるときに基材に塗布される。グラフト化済みプライマーは、ポリマーヒドロゲル34が重合された後、かつ基材上にディスペンスされる前に、それにグラフト化される。他の例では、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34が堆積及びポリッシュ(研磨)された後、かつ保護コーティング20の塗布前に、(例えば、
図2Aで)グラフト化されてもよい。更に他の例では、プライマー36A、36Bは、保護コーティング20が塗布され、パターン化された構造40A、40Bが蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造40A、40Bに結合された後に、グラフト化されてもよい。これらの例では、保護コーティング20は、グラフト化の前に水で除去される。水及びグラフト化試薬は、フロースループロセスを使用して導入することができる。
【0157】
図3A~
図3Eは、本明細書に開示される方法の別の例を例示する。
図3Aに示すように、パターン化された構造40の基材は、単一層ベース支持体14であり、単一層ベース支持体14の1つの表面に凹部22が画定されている。凹部22は、エッチング、インプリント、リソグラフィ、又は別の好適な技術によって画定され得る。単一層のベース支持体14が描写されているが、この例示的な方法は、凹部22が最外層16(
図1B参照)に画定されている多層構造18を用いて実行されてもよいことを理解されたい。
【0158】
図3A~
図3Eに示す方法の開始時に、ベース支持体14又は多層構造18の最外層16をシラン化又はプラズマアッシングを使用して活性化し、ポリマーヒドロゲル34と反応し得る表面基を生成することができる。活性化後、ポリマーヒドロゲル34は、任意の好適な堆積技術を使用して、ベース支持体14又は多層構造18の最外層16の上に塗布され得る。次に、間隙領域24及び結合領域26の上に位置決めされたポリマーヒドロゲル34を、例えばポリッシュ・プロセス(または研磨プロセス)を用いて除去することができる。
【0159】
次いで、方法のいくつかの例は、水溶性保護コーティング溶液を、結合領域26及びパターン化された構造40のパターン化された領域38の上に、塗布することと、水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、保護コーティング20を形成することと、を含む。本明細書に開示される水溶性保護コーティング溶液の任意の例をこの例で使用することができる。水溶性保護コーティング溶液は、
図2Bを参照して説明したように塗布し、乾燥させることができる。
図3Bは、得られた保護コーティング20を例示する。
【0160】
この例示的な方法において、金属層42は、パターン化された領域38を覆う保護コーティング20の部分に塗布されてもよい。金属層42は、結合領域26から保護コーティング20を選択的に除去する間、パターン化された領域38を覆う保護コーティング20の部分を保護する。この例では、選択的除去プロセスは、ドライエッチングプロセスを使用して実行されてもよく、したがって、金属42は、ドライエッチングプロセスに耐性のある任意の金属であってもよい。金属層42に好適な金属の例としては、アルミニウム、銅、金などが挙げられる。いくつかの例では、金属は少なくとも実質的に純粋(<99%純粋)であってもよい。金属層42の除去後の保護層20上の残留物を防止するために、少なくとも実質的に純粋な金属が使用されてもよい。
【0161】
金属層42は、
図3Cに描写されるように、シャドーマスク44及び任意の好適な堆積技術を使用して堆積され得る。シャドーマスク44は、金属層42が結合領域26を覆う保護コーティング20に塗布されないように、結合領域26の上に位置決めされる。
【0162】
パターン化された領域38を覆う保護コーティング20の部分の上に金属層42が配置されると、保護コーティング20の曝露部分のドライエッチングが実行される。ドライエッチングは、金属層42が所定の位置にあるまま実行され、その結果、結合領域26を覆う保護コーティング20の部分が除去され、パターン化された領域38を覆う保護コーティング20の部分は少なくとも実質的にそのまま残る。一例では、保護コーティング20の曝露部分のドライエッチングは、誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma、ICP)又は反応性イオンエッチング(reactive ion etching、REI)を使用して、純粋なO
2プラズマ又は10%のCF
4と90%のO
2プラズマの混合物を用いて実行される。下にあるベース支持体14は、これらのエッチング条件に対して高い耐性を有し、ひいてはエッチストップとして作用する。曝露された結合領域26及びコーティングされパターン化された領域38を有するパターン化された構造40Cが、
図3D(金属層42が依然として所定の位置にある)及び
図3E(金属層42が除去されている)に示されている。
【0163】
結合領域26を覆う固体又はゲル保護コーティング20の部分を選択的に除去した後、方法は、金属層42を除去することを更に含むことができる。これは、金属ストリッピングによって実行されてもよい。例として、アルミニウム金属層は、塩基溶液(例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、又は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH))を使用して剥離することができ、銅金属層は、FeCl3を使用して剥離することができ、金金属層は、ヨウ素及びヨウ化カリウムの組み合わせを使用して剥離することができる。
【0164】
図3Eに描写されるように、本方法は、パターン化された領域38(したがって活性領域32)が保護コーティング20でコーティングされるが、結合領域26には保護コーティング20が存在しないという結果をもたらす。パターン化された構造40Cは、結合領域26で別のパターン化された構造40C又は蓋に結合されてもよい。レーザ結合、拡散結合、陽極結合、共晶結合、プラズマ活性化結合、ガラスフリット結合、又は当技術分野で知られる他の方法などの任意の好適な技術を使用し、2つのパターン化された構造40C、又はパターン化された構造40Cと蓋をともに結合し得る。一例では、スペーサ層を使用することができる。保護コーティング20の存在は、結合プロセスの間、任意の下にある表面化学を保護し得る。
【0165】
図3A~
図3Eに示すパターン化された構造の代わりにパターン化されていない構造が使用されると、本方法は、レーン30(したがって活性領域32)がポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20でコーティングされているが、結合領域26にはポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20が存在しないという結果をもたらす。次いで、パターン化されていない構造は、結合領域26において他のパターン化されていない構造又は蓋に結合されてもよい。形成される結合は、化学的結合又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用)であってよい。
【0166】
図3A~
図3Eには示されていないが、これらの方法は、プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させることも含む。いくつかの例では、プライマー36A、36B(
図3A~
図3Eには図示せず)は、ポリマーヒドロゲル34にグラフト化済みであってもよく、したがって、ポリマーヒドロゲル34が塗布されるときに基材に塗布される。他の例では、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34が堆積及びポリッシュ(または研磨)された後、かつ保護コーティング20の塗布前に、(例えば、
図3Aにおいて)グラフト化されてもよい。更に他の例では、プライマー36A、36Bは、保護コーティング20が塗布され、金属層42が除去され、パターン化された構造40Cが蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造40Cに接合された後にグラフト化されてもよい。これらの例では、保護コーティング20は、グラフト化の前に水で除去される。水及びグラフト化試薬は、フロースループロセスを使用して導入することができる。
【0167】
【0168】
図4Aに示すように、基材は単一層ベース支持体14であり、単一層ベース支持体14の一方の表面に凹部22が画定されている。凹部22は、エッチング、インプリント、リソグラフィ、又は別の好適な技術によって画定され得る。単一層のベース支持体14が描写されているが、これらの例示的な方法は、凹部22が最外層16(
図1B参照)に画定されている多層構造18を用いて実行されてもよいことを理解されたい。
【0169】
一連の
図4に示す例示的方法の各々では、水溶性保護コーティング溶液を塗布する前に、方法は、結合領域26及びパターン化された領域38の上にフォトレジスト46を塗布する(
図4B及び
図4Gを参照)ことと、フォトレジスト46をパターン化して、結合領域26上に不溶性フォトレジスト46’を生成し、パターン化された領域38から(可溶性)フォトレジスト46を除去する(
図4C)ことと、を更に含む。パターン化されていない構造を使用する場合、フォトレジスト46は、結合領域26及びレーン領域(例えば、
図1Dのレーン30)の上に塗布され、フォトレジスト46は、結合領域26上に不溶性フォトレジスト46’を生成し、レーン領域から(可溶性)フォトレジスト46を除去するためにパターン化される。
【0170】
図4A~
図4Eに示される例示的な方法において、フォトレジスト46は、ポリマーヒドロゲル34が凹部22内に導入される前に塗布及びパターン化される。これを
図4Bに示す。
【0171】
フォトレジスト46は、ネガティブフォトレジストであってもよいし、ポジティブフォトレジストであってもよい。
【0172】
好適なネガティブフォトレジストの一例としては、NR(登録商標)シリーズのフォトレジスト(Futurrexから入手可能)が挙げられる。他の好適なネガティブフォトレジストとしては、SU-8シリーズ及びKMPR(登録商標)シリーズ(両方ともKayaku Advanced Materials,Inc.から入手可能)、又はUVN(商標)シリーズ(DuPontから入手可能)が挙げられる。ネガティブフォトレジストが使用される場合、それは、特定の波長の光に選択的に曝露されて、不溶性フォトレジスト46’を形成し、現像液に曝露されて(または晒されて)、可溶性部分(例えば、特定の波長の光に曝露されない部分)を除去する。ネガティブフォトレジストのための好適な現像液の例としては、希釈水酸化ナトリウム、希釈水酸化カリウム、又は金属イオンフリー有機TMAH(tetramethylammoniumhydroxide、テトラメチルアミノヒドロキシド)の水溶液などの水性アルカリ溶液が挙げられる。
【0173】
好適なポジティブフォトレジストの例としては、MICROPOSIT(登録商標)S1800シリーズ又はAZ(登録商標)1500シリーズが挙げられ、それらの両方が、Kayaku Advanced Materials,Inc.から入手可能である。好適なポジティブフォトレジストの別の例は、SPR(商標)-220(DuPont製)である。ポジティブフォトレジストは、本明細書に開示される任意の好適な堆積技術を使用して塗布され得る。ポジティブフォトレジストが使用される場合、ある特定の波長の光への選択的曝露は、可溶性領域(例えば、現像液中に少なくとも95%の溶解度である)を形成し、現像液を使用して、可溶性部分を除去する。ポジティブフォトレジストの光に曝露されなかったこれらの部分は現像液に不溶性となり、不溶性フォトレジスト46’を形成する。ポジティブフォトレジストのための好適な現像液の例としては、希釈水酸化ナトリウム、希釈水酸化カリウム、又は金属イオンフリー有機TMAH(テトラメチルアミノヒドロキシド)の水溶液などの水性アルカリ溶液が挙げられる。
【0174】
この例では、結合領域26の上のフォトレジスト46の部分が現像液に不溶性であり、パターン化された領域38の上のフォトレジスト46の部分が現像液に可溶性であるように、ネガティブ又はポジティブフォトレジストを塗布し、現像することができる。使用されるフォトレジスト46のタイプに応じて、フォトマスクを使用して、光(例えば、紫外線)を適切な部分に方向付けることができる。ネガティブフォトレジストが使用される場合、光は結合領域26に方向付けられて不溶性フォトレジスト46’を生成し、パターン化された領域38から遮断されて可溶性フォトレジストを生成する。ポジティブフォトレジストが使用される場合、光はパターン化された領域38に方向付けられて可溶性フォトレジストを生成し、結合領域26から遮断されて不溶性フォトレジスト46’を生成する。
【0175】
光に曝露後、フォトレジスト46のうち現像液に可溶な部分は現像液に曝露されて除去される。ネガティブフォトレジストのための好適な現像液の例としては、希釈水酸化ナトリウム、希釈水酸化カリウム、又は金属イオンフリー有機TMAH(tetramethylammoniumhydroxide、テトラメチルアミノヒドロキシド)の水溶液などの水性アルカリ溶液が挙げられる。ネガティブフォトレジストの可溶性部分は、現像液中に少なくとも95%の溶解度である。ポジティブフォトレジストのための好適な現像液の例としては、希釈水酸化ナトリウム、希釈水酸化カリウム、又は金属イオンフリー有機TMAH(テトラメチルアミノヒドロキシド)の水溶液などの水性アルカリ溶液が挙げられる。ポジティブフォトレジストの可溶性部分は、現像液中に少なくとも95%の溶解度である。
【0176】
図4Cは、堆積及び現像後の結合領域26上の不溶性フォトレジスト46’を描写する。この例では、フォトレジスト46,46’が現像液に曝露された後、ベース支持体14をO
2プラズマに曝露して、例えば、凹部22を洗浄し得る。
【0177】
この例示的方法では、フォトレジスト46が塗布されパターン化された後、かつ水溶性保護コーティング溶液が塗布される前に、この方法は、不溶性フォトレジスト46’、凹部22、及び間隙領域24の上にポリマーヒドロゲル34を堆積することと、ポリマーヒドロゲル34を不溶性フォトレジスト46及び間隙領域24からポリッシュ(または研磨)することと、を更に含む。
【0178】
ポリマーヒドロゲル34を堆積する前に、ベース支持体14の曝露部分又は多層構造18の最外層16は、最初にシラン処理又はプラズマアッシングを使用して活性化されて、ポリマーヒドロゲル34と反応することができる表面基を生成することができる。活性化後、ポリマーヒドロゲル34は、任意の好適な堆積技術を使用して、不溶性フォトレジスト46’、凹部22、及び間隙領域24の上に塗布され得る。次に、間隙領域24及び結合領域26の上に位置決めされたポリマーヒドロゲル34を、例えばポリッシュ・プロセス(または研磨プロセス)を用いて除去することができる。研磨後、
図4Cに示すように、ポリマーヒドロゲル34の少なくとも一部は凹部22内に残る。
【0179】
図4Dに示すように、この例示的な方法は、次に、水溶性保護コーティング溶液を塗布及び乾燥して、パターン化された領域38及び結合領域26の上に、したがって不溶性フォトレジスト46’の上に保護コーティング20を形成することを含む。これらの例では、保護コーティング20は、水に少なくとも95%可溶性であり、不溶性ポジティブ又はネガティブフォトレジスト46’を除去するために使用される除去剤中でも少なくとも95%不溶性である。水溶性保護コーティング溶液は、
図2Bを参照して説明したように塗布し、乾燥させることができる。
図4Dは、得られた保護コーティング20を例示する。
【0180】
描写されるように、水溶性保護コーティング溶液が不溶性フォトレジスト46’の上に塗布され、したがって保護コーティング20が不溶性フォトレジスト46’の上に形成される。この例では、結合領域26から保護コーティング20の部分を選択的に除去することは、除去剤中で不溶性フォトレジスト46’をリフトオフすることを伴う。保護コーティング20は、除去剤中で不溶性である。不溶性のネガティブフォトレジストに好適な除去剤としては、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、アセトン、又はNMP(N-メチル-2-ピロリドン)ベースの剥離剤が挙げられる。不溶性ポジティブフォトレジストに好適な除去剤は、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はNMP(N-メチル-2-ピロリドン)ベースの剥離剤であってもよい。保護コーティング20がその中で不溶性である限り、任意の除去剤が使用され得る。
【0181】
図4Eに示すように、リフトオフプロセスは、i)不溶性のフォトレジスト46’の少なくとも95%、及びii)その上の保護コーティング20を除去する。保護コーティング20の他の部分は、パターン化された領域38の上にそのまま残る。結果として得られるパターン化された構造40Dは、保護コーティング20でコーティングされたパターン化された領域38(したがって活性領域32)を含むが、結合領域26には、保護コーティング20が存在しない。
【0182】
パターン化された構造40Dは、結合領域26で別のパターン化された構造40D又は蓋に結合されてもよい。レーザ結合、拡散結合、陽極結合、共晶結合、プラズマ活性化結合、ガラスフリット結合、又は当技術分野で知られる他の方法などの任意の好適な技術を使用し、2つのパターン化された構造40D、又はパターン化された構造40Dと蓋をともに結合し得る。一例では、スペーサ層を使用することができる。保護コーティング20の存在は、結合プロセスの間、任意の下にある表面化学を保護し得る。
【0183】
図4A~
図4Eに示すパターン化された構造の代わりにパターン化されていない構造が使用されると、本方法は、レーン30(したがって活性領域32)がポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20でコーティングされているが、結合領域26にはポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20が存在しないという結果をもたらす。次いで、パターン化されていない構造は、結合領域26において他のパターン化されていない構造又は蓋に結合されてもよい。形成される結合は、化学的結合又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用)であってよい。
【0184】
図4A~
図4Eには示されていないが、この方法は、プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させることも含む。いくつかの例では、プライマー36A、36B(
図4A~
図4Eには図示せず)は、ポリマーヒドロゲル34にグラフト化済みであってもよく、したがって、ポリマーヒドロゲル34が塗布されるときに基材に塗布される。他の例では、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34が堆積及びポリッシュ(または研磨された)後、かつ保護コーティング20の塗布前に、(例えば、
図4Cにおいて)グラフト化されてもよい。更に他の例では、プライマー36A、36Bは、保護コーティング20が塗布され、パターン化された構造40Dが蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造40Dに結合された後に、グラフト化されてもよい。これらの例では、保護コーティング20は、グラフト化の前に水で除去される。水及びグラフト化試薬は、フロースループロセスを使用して導入することができる。
【0185】
図4A、
図4F、
図4G、及び
図4C~
図4Eに示される例示的な方法において、フォトレジスト46は、ポリマーヒドロゲル34が凹部22内に導入された後に塗布され、パターニングされる。これを
図4Gに示す。
【0186】
この例示的な方法は、
図4Aから
図4Fに移り、ここで、ベース支持体14又は多層構造18の最外層16の曝露部分が、シラン化又はプラズマアッシングを使用して活性化され得る。活性化後、ポリマーヒドロゲル34は、任意の好適な堆積技術を使用して、ベース支持体14の上に塗布され得る。次に、間隙領域24及び結合領域26の上に位置決めされたポリマーヒドロゲル34を、例えばポリッシュ・プロセス(研磨プロセス)を用いて除去することができる。ポリッシュ後、
図4Fに示すように、ポリマーヒドロゲル34の少なくとも一部は凹部22内に残る。
【0187】
フォトレジスト46は、
図4Gに示されるように、ベース支持体14の上に、及び凹部22内のポリマーヒドロゲル34の上に塗布されてもよい。フォトレジスト46は、結合領域26の上のフォトレジスト46の部分が現像液に不溶性であり、パターン化された領域38の上のフォトレジスト46の部分が現像液に可溶性であるように現像されてもよい。使用されているフォトレジスト46のタイプに好適な光曝露の後、現像液に可溶性であるフォトレジスト46の部分が現像液に曝露され、したがって除去される。得られたパターン化された構造40を
図4Cに示す。
【0188】
次いで、この例示的な方法は、
図4D(保護コーティング20の塗布)~
図4E(不溶性フォトレジスト46’のリフトオフ)に進み、そのステップは、本明細書で説明されるように実行される。
【0189】
図4A、
図4F、
図4G、及び
図4C~
図4Eに示すパターン化された構造の代わりにパターン化されていない構造が使用されると、本方法は、レーン30(したがって活性領域32)がポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20でコーティングされているが、結合領域26にはポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20が存在しないという結果をもたらす。次いで、パターン化されていない構造は、結合領域26において他のパターン化されていない構造又は蓋に結合されてもよい。形成される結合は、化学的結合又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用)であってよい。
【0190】
図4A、
図4F、
図4G、及び
図4C~
図4Eには示されていないが、この方法は、プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させることも含む。いくつかの例では、プライマー36A、36B(
図4A~
図4Eには図示せず)は、ポリマーヒドロゲル34にグラフト化済みであってもよく、したがって、ポリマーヒドロゲル34が塗布されるときに基材に塗布される。他の例では、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34が堆積及びポリッシュされた後、かつ保護コーティング20の塗布前に、(例えば、
図4Fにおいて)グラフト化されてもよい。更に他の例では、プライマー36A、36Bは、保護コーティング20が塗布され、パターン化された構造40Dが蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造40Dに結合された後に、グラフト化されてもよい。これらの例では、保護コーティング20は、グラフト化の前に水で除去される。水及びグラフト化試薬は、フロースループロセスを使用して導入することができる。
【0191】
図5A~
図5Eは、本明細書に開示される方法の別の例を例示する。
図5Aに示すように、基材は単一層ベース支持体14であり、単一層ベース支持体14の一方の表面に凹部22が画定されている。凹部22は、エッチング、インプリント、リソグラフィ、又は別の好適な技術によって画定され得る。単一層のベース支持体14が描写されているが、これらの例示的な方法は、凹部22が最外層16(
図1B参照)に画定されている多層構造18を用いて実行されてもよいことを理解されたい。
【0192】
図5A~
図5Eに示す方法の開始時に、ベース支持体14又は多層構造18の最外層16をシラン化又はプラズマアッシングを使用して活性化し、ポリマーヒドロゲル34と反応し得る表面基を生成することができる。活性化後、ポリマーヒドロゲル34は、任意の好適な堆積技術を使用して、ベース支持体14又は多層構造18の最外層16の上に塗布され得る。次に、間隙領域24及び結合領域26の上に位置決めされたポリマーヒドロゲル34を、例えばポリッシュ・プロセス(または研磨プロセス)を用いて除去することができる。得られたパターン化された構造40を
図5Aに示す。
【0193】
図5Bに示すように、この例示的な方法は、次に、水溶性保護コーティング溶液を塗布及び乾燥して、パターン化された領域38及び結合領域26の上に保護コーティング20を形成することを含む。これらの例では、保護コーティング20は、少なくとも95%の溶解度であり、後に現像される不溶性のポジティブ又はネガティブフォトレジスト46’を除去するために使用される除去剤中でも少なくとも95%の溶解度である(
図5C及び
図5D参照)。水溶性保護コーティング溶液は、
図2Bを参照して説明したように塗布し、乾燥させることができる。
【0194】
この例示的方法では、水溶性保護コーティング液を乾燥させた後、この方法は、保護コーティング20の上にフォトレジスト46を塗布することと、フォトレジスト46をパターン化して、結合領域26の上の保護コーティング20の部分からフォトレジスト46を除去し、パターン化された領域38の上の保護コーティング20の他の部分の上に不溶性フォトレジスト46’を生成することと、を更に含む。パターン化されていない構造を使用する場合、この方法は、保護コーティング20の上にフォトレジスト46を塗布することと、フォトレジスト46をパターン化して、結合領域26の上の保護コーティング20の部分からフォトレジスト46を除去し、レーン領域(例えば、レーン30)の上の保護コーティング20の他の部分の上に不溶性フォトレジスト46’を生成することと、を更に含む。
【0195】
フォトレジスト46は、ネガティブフォトレジストであってもよいし、ポジティブフォトレジストであってもよい。この例では、結合領域26の上のフォトレジスト46の部分が現像液に可溶性であるように、ネガティブ又はポジティブフォトレジストを塗布及び現像し得る。この例では、パターン化された領域38の上のフォトレジスト46の部分が現像液に不溶性であるように、ネガティブ又はポジティブフォトレジストを塗布及び現像し得る。使用されるフォトレジスト46のタイプに応じて、フォトマスクを使用して、光(例えば、紫外線)を適切な部分に方向付けることができる。ネガティブフォトレジストが使用される場合、光はパターン化された領域38に方向付けられて不溶性フォトレジスト46’を生成し、結合領域26から遮断されて可溶性フォトレジストを生成する。ポジティブフォトレジストが使用される場合、光は結合領域26に方向付けられて可溶性フォトレジストを生成し、パターン化された領域38から遮断されて不溶性フォトレジスト46’を生成する。
【0196】
光に曝露後、フォトレジスト46のうち現像液に可溶な部分は現像液に曝露されて除去される。使用される現像液はフォトレジスト46に依存する。
【0197】
図5Dは、堆積及び現像後のパターン化された領域38上の不溶性フォトレジスト46’を描写する。示されるように、結合領域26を覆う保護コーティング20が曝露される。
【0198】
この例では、結合領域26からの固体又はゲル保護コーティング20の部分の選択的除去は、不溶性フォトレジスト46’がパターン化された領域38の上の所定の位置にある状態で(または所定の位置にあるまま)、その部分をドライエッチング又は水リンスに曝露する(又は晒される)ことを伴う。ドライエッチングは、純粋なO2プラズマを用いて、又は10%のCF4と90%のO2プラズマとの混合物を用いて、誘導結合プラズマ(ICP)又は反応性イオンエッチング(REI)を使用して実行されてもよい。下にあるベース支持体14は、これらのエッチング条件に対して高い耐性を有し、したがってエッチストップとして作用する。保護コーティング20は水溶性であるので、水リンスは、曝露部分(例えば、結合領域26を覆う部分)を溶解し、不溶性フォトレジスト46’によって被覆された部分には影響を及ぼさない。したがって、ドライエッチング又は水リンスは、結合領域26から保護コーティング20の曝露部分を除去する。
【0199】
次に、除去剤を用いて不溶性フォトレジスト46’をリフトオフすることができる。これらの例では、保護コーティング20は、除去剤中で不溶性であるように選択され、したがって、不溶性フォトレジスト46’の除去中に少なくとも実質的にそのまま残る。不溶性ネガティブフォトレジストに好適な除去剤としては、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、アセトン、又はNMP(N-メチル-2-ピロリドン)ベースの剥離剤が挙げられる。不溶性ポジティブフォトレジストに好適な除去剤は、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はNMP(N-メチル-2-ピロリドン)ベースの剥離剤であってもよい。保護コーティング20がその中で不溶性である限り、任意の除去剤が使用され得る。
【0200】
図5Eに示されるように、リフトオフプロセスは、不溶性フォトレジスト46’の少なくとも95%(例えば、98%、99%、100%)を除去し、したがって、下にある保護コーティング20を曝露させる。結果として得られるパターン化された構造40Eは、保護コーティング20でコーティングされたパターン化された領域38(したがって活性領域32)を含むが、結合領域26には、保護コーティング20が存在しない。
【0201】
パターン化された構造40Eは、結合領域26で別のパターン化された構造40E又は蓋に結合されてもよい。レーザ結合、拡散結合、陽極結合、共晶結合、プラズマ活性化結合、ガラスフリット結合、又は当技術分野で知られる他の方法などの任意の好適な技術を使用し、2つのパターン化された構造40E、又はパターン化された構造40Eと蓋をともに結合し得る。一例では、スペーサ層を使用することができる。保護コーティング20の存在は、結合プロセスの間、任意の下にある表面化学を保護し得る。
【0202】
図5A~
図5Eに示すパターン化された構造の代わりにパターン化されていない構造が使用されると、本方法は、レーン30(したがって活性領域32)がポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20でコーティングされているが、結合領域26にはポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20が存在しないという結果をもたらす。次いで、パターン化されていない構造は、結合領域26において他のパターン化されていない構造又は蓋に結合されてもよい。形成される結合は、化学的結合又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用)であってよい。
【0203】
図5A~
図5Eには示されていないが、この方法は、プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させることも含む。いくつかの例では、プライマー36A、36B(
図5A~
図5Eには図示せず)は、ポリマーヒドロゲル34にグラフト化済みであってもよく、したがって、ポリマーヒドロゲル34が塗布されるときに基材に塗布される。他の例では、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34が堆積及びポリッシュされた後、かつ保護コーティング20の塗布前に、(例えば、
図5Aにおいて)グラフト化されてもよい。更に他の例では、プライマー36A、36Bは、保護コーティング20が塗布され、パターン化された構造40Eが蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造40Eに結合された後に、グラフト化されてもよい。これらの例では、保護コーティング20は、グラフト化の前に水で除去される。水及びグラフト化試薬は、フロースループロセスを使用して導入することができる。
【0204】
図6A~
図6Gは、本明細書に開示される方法のなお更に別の例を例示する。
図6Bに示すように、基材(本明細書で定義されるように、パターン化された構造であってもよいし、パターン化されていない構造であってもよい)は、多層構造18’の一例であり、これは、透明ベース支持体14’、透明ベース支持体14’の上のパターン化マスク層48、及びパターン化マスク層48及び透明ベース支持体14’の上のパターン化透明層16’を含む。この例では、透明ベース支持体14’及びパターン化された透明層16’は、裏面紫外線光曝露で使用される紫外線波長に対して透明である。例えば、透明ベース支持体14’はガラスであってもよく、透明層16は五酸化タンタル又はUV透明樹脂であってもよい。また、この例では、パターン化されたマスク層48は、裏面曝露中に透明ベース支持体14’を透過する紫外線波長の少なくとも75%を遮断するように選択される。一例では、パターン化されたマスク層48は、チタン、クロム、白金、アルミニウム、銅、シリコンなどの任意の紫外線不透明又は非透明金属又は紫外線不透明半金属を含み得る。一例では、パターン化されたマスク層48は、クロムを含む。
【0205】
ここで
図6Aを参照すると、パターン化されたマスク層48が、透明ベース支持体14’上に画定される。この例では、パターン化されたマスク層48のパターンは、パターン化された構造40のこの例の結合領域26に対応する(
図6C参照)。パターン化されていない構造が使用される場合、パターン化されたマスク層38は、依然として結合領域26に対応する。パターン化されたマスク層48を結合領域26の所望のパターンで堆積させる選択的堆積技術(例えば、マスキング及びコーティング)を使用することができる。
【0206】
次に、
図6Bに示すように、任意の好適な堆積技術を用いて、パターン化されたマスク層38及び透明ベース支持体14’の上に透明層16’を堆積させることができる。次いで、堆積された透明層16’をパターン化して、間隙領域24によって分離された凹部22を含むパターン化された領域38を画定することができる。使用されるパターン化技術は、透明層16’の材料に依存する。好適なパターン化技術は、フォトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)、スタンピング技術、エンボス加工技術、成形技術、マイクロエッチング技術などを含んでもよい。
【0207】
一例として、透明層16’が樹脂である場合、任意の好適なインプリント技術を使用してパターン化された領域38を生成することができる。一例では、作業スタンプは、樹脂が柔らかいうちにその中に押し込まれ、樹脂において作業スタンプ特徴のインプリントを作成する。次いで、樹脂は、作業スタンプが所定の位置にある状態で硬化され得る。硬化は、放射線硬化性樹脂材料が使用される場合、可視光線若しくは紫外(ultraviolet、UV)線などの化学線への曝露によって、又は熱硬化性樹脂材料が使用される場合、熱への曝露によって、達成され得る。硬化は、重合及び/又は架橋を促進し得る。一例として、硬化は、ソフトベーク(例えば、樹脂を堆積させるために使用され得る任意の液体担体を駆動するための)及びハードベークを含む複数の段階を含み得る。ソフトベークは、約50℃~約150℃の範囲のより低い温度で行われ得る。ハードベークの持続時間は、約100℃~約300℃の範囲の温度で約5秒~約10分間続けてもよい。ソフトベーキング及び/又はハードベーキングに使用することができるデバイスの例としては、ホットプレート、オーブンなどが挙げられる。硬化後、作業スタンプが取り外される。これにより、樹脂内に、例えば間隙領域24によって分離された凹部22などのトポグラフィ特徴が作成される。
【0208】
別の例として、透明層16’が五酸化タンタルである場合、透明層16’をエッチングしてパターン化された領域38を生成することができる。誘導結合プラズマ(ICP)又は反応性イオンエッチング(REI)を使用してエッチングが実行され得る。
【0209】
多層スタック18’の形成中、パターン化された透明層16’は、シラン化又はプラズマアッシングを使用して活性化されて、ポリマーヒドロゲル34と反応することができる表面基を生成し得る。
【0210】
活性化後、ポリマーヒドロゲル34は、任意の好適な堆積技術を使用して透明層16’の上に塗布され得る。次に、間隙領域24及び結合領域26の上に位置決めされたポリマーヒドロゲル34を、例えばポリッシュ・プロセス(または研磨プロセス)を用いて除去することができる。得られたパターン化された構造40を
図6Cに示す。
【0211】
図6Dに示すように、この例示的な方法は、次に、水溶性保護コーティング溶液を塗布及び乾燥して、パターン化された領域38及び結合領域26の上に保護コーティング20を形成することを含む。水溶性保護コーティング溶液は、
図2Bを参照して説明したように塗布し、乾燥させることができる。
【0212】
水溶性保護コーティング液を乾燥させた後、この例示的方法は、固体又はゲルの保護コーティング20の上にネガティブフォトレジスト50を塗布することと、ネガティブフォトレジスト50を透明ベース支持体14’を通して光に曝露することであって、これにより、パターン化された領域38を覆うネガティブフォトレジストの部分が不溶性のネガティブフォトレジスト50’を画定し、パターン化されたマスク層48及び結合領域26を覆うネガティブフォトレジスト50の部分は可溶性になる、曝露することと、を更に含む。本明細書で開示されるネガティブフォトレジストの任意の例を使用することができる。ネガティブフォトレジストについて本明細書に記載の堆積技術の任意の例を使用し得る。
【0213】
この例では、不溶性のネガティブフォトレジスト50’が透パターン化された領域38上に残り、結合領域26から除去されることが望ましい。したがって、
図6Fに示される例では、光52は、透明ベース支持体14’を通って方向付けられ得る。パターン化された領域38上のネガティブフォトレジスト50’は、光52に曝露され、不溶性になる。パターン化マスク層48(結合領域26上に位置決めされる)は、透明ベース支持体14’を透過する光52の少なくとも75%を遮断し、したがって、結合領域26の上に位置決めされるネガティブフォトレジスト50に光52が到達するのを少なくとも実質的に防止する。したがって、これらの部分は、現像液に不溶性になり、現像液を用いて除去され得る。
【0214】
この例では、結合領域26から固体又はゲル保護コーティング20の部分を選択的に除去することは、その部分をネガティブフォトレジスト50の現像液に曝露することを伴い得る。これらの例では、保護コーティング20は、ネガティブフォトレジスト50の現像液に可溶性であってもよい。したがって、ネガティブフォトレジスト50の可溶性部分及びネガティブフォトレジスト50の可溶性部分の下にある保護コーティング20の部分は、現像液と一緒に除去され得る。対照的に、不溶性のネガティブフォトレジスト50’は、保護コーティング20の下にある部分を現像液から保護し、したがって保護コーティング20のこれらの部分はそのまま残る。得られたパターン化された構造40Fは、
図6F(不溶性のネガティブフォトレジスト50’が所定の位置にある)及び
図6G(不溶性のネガティブフォトレジスト50’が除去された後)に示される。
【0215】
次に、除去剤を使用して不溶性のネガティブフォトレジスト50’をリフトオフすることができる。保護コーティング20は除去剤中で不溶性であり、したがって、少なくとも実質的にそのまま残る。不溶性のネガティブフォトレジストに好適な除去剤としては、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、アセトン、又はNMP(N-メチル-2-ピロリドン)ベースの剥離剤が挙げられる。保護コーティング20がその中で不溶性である限り、任意の除去剤が使用され得る。
【0216】
図6Gに示すように、リフトオフプロセスは、不溶性のネガティブフォトレジスト50’の少なくとも95%を除去し、したがって下にある保護コーティング20を曝露する。結果として得られるパターン化された構造40Fは、保護コーティング20でコーティングされたパターン化された領域38(したがって活性領域32)を含むが、結合領域26には、保護コーティング20が存在しない。
【0217】
パターン化された構造40Fは、結合領域26で別のパターン化された構造40F又は蓋に結合されてもよい。レーザ結合、拡散結合、陽極結合、共晶結合、プラズマ活性化結合、ガラスフリット結合、又は当技術分野で知られる他の方法などの任意の好適な技術を使用し、2つのパターン化された構造40F、又はパターン化された構造40Fと蓋をともに結合し得る。一例では、スペーサ層を使用することができる。保護コーティング20の存在は、結合プロセスの間、任意の下にある表面化学を保護し得る。
【0218】
図6A~
図6Gに示すパターン化された構造の代わりにパターン化されていない構造が使用されると、本方法は、レーン30(例えば、凹部22と同様の形態で透明基材16’に形成される)がポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20でコーティングされているが、結合領域26にはポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20が存在しないという結果をもたらす。次いで、パターン化されていない構造は、結合領域26において他のパターン化されていない構造又は蓋に結合されてもよい。形成される結合は、化学的結合又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用)であってよい。
【0219】
図6A~
図6Gには示されていないが、この方法は、プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させることも含む。いくつかの例では、プライマー36A、36B(
図6A~
図6Gには図示せず)は、ポリマーヒドロゲル34にグラフト化済みであってもよく、したがって、ポリマーヒドロゲル34が塗布されるときに基材に塗布される。他の例では、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34が堆積及びポリッシュされた後、かつ保護コーティング20の塗布前に、(例えば、
図6Cにおいて)グラフト化されてもよい。更に他の例では、プライマー36A、36Bは、保護コーティング20が塗布され、パターン化された構造40Fが蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造40Fに結合された後に、グラフト化されてもよい。これらの例では、保護コーティング20は、グラフト化の前に水で除去される。水及びグラフト化試薬は、フロースループロセスを使用して導入することができる。
【0220】
図7A~
図7Eは、更に方法の別の例を例示する。この例は、パターン化された構造で実行され、パターン化されていない構造では実行されない。この例では、水溶性保護コーティング溶液を塗布する前に、方法は、金属層42を基材の上に塗布することと、金属層42の上にフォトレジスト46を塗布することと、フォトレジスト46をパターン化して、凹部パターンを画定する不溶性フォトレジスト46’を生成することと、凹部パターンに従って金属層42の部分及び基材の下にある部分をエッチングして、基材内に凹部22を形成することと、不溶性フォトレジスト46’を除去することと、ポリマーヒドロゲル34を凹部22内及び金属層42の残りの部分の上に塗布することと、によってパターン化された構造を形成することを更に含む。これらのプロセスの各々をここで説明する。
【0221】
図7Aにおいて、基材は単一層ベース支持体14である。この例では、単一層ベース支持体14はパターン化されていない。
【0222】
この例示的な方法では、金属層42を単一ベース支持体14に塗布することができる。金属層42に好適な金属の例としては、アルミニウム、銅、金などが挙げられる。いくつかの例では、金属は少なくとも実質的に純粋(<99%純粋)であってもよい。金属層42は、任意の好適な堆積技術を使用して堆積され得る。
【0223】
この例示的な方法では、フォトレジスト46を金属層42に塗布することができる。フォトレジスト46は、ネガティブフォトレジストであってもよいし、ポジティブフォトレジストであってもよい。この例では、ネガティブ又はポジティブフォトレジストを塗布し、現像して、
図7Aに示すように、凹部パターン54を生成することができる。上面図から、凹部パターン54は、基材にわたって形成される各凹部22及び間隙領域24のX-Y位置を画定し、基材にわたって形成される各凹部22の直径又は長さ及び幅も画定する。この例では、所望の結合領域26及び所望の間隙領域24を覆うフォトレジスト46の部分が現像されて、不溶性フォトレジスト46’が形成される。また、この例では、所望の凹部22を覆うフォトレジスト46の部分が現像されて現像液に可溶性になる。使用されるフォトレジスト46のタイプに応じて、フォトマスクを使用して、光(例えば、紫外線)を適切な部分に方向付けることができる。ネガティブフォトレジストが使用される場合、光は、不溶性フォトレジスト46’を生成するために所望の結合領域26及び所望の間隙領域24に方向付けられ、可溶性フォトレジストを生成するために所望の凹部樹脂から遮断される。ポジティブフォトレジストが使用される場合、光は、可溶性フォトレジストを生成するために所望の凹部領域に方向付けられ、不溶性フォトレジスト46’を生成するために所望の結合領域26及び所望の間隙領域24から遮断される。
【0224】
光に曝露後、フォトレジスト46のうち現像液に可溶な部分は現像液に曝露されて除去される。使用されるフォトレジスト46に応じて、本明細書に開示される例示的な現像液のいずれかを使用することができる。
図7Aは、凹部パターン54を画定する不溶性フォトレジスト46’を描写する。
【0225】
次に、この方法は、凹部パターン54に従って金属層42の部分及び単一層ベース支持体14の下にある部分をエッチングして、単一層ベース支持体14に凹部22を形成することを伴う。実行されるエッチングは、金属層42及び単一層ベース支持体14に使用される材料に依存する。一例として、反応イオンエッチングは、BCl
3+Cl
2を用いてアルミニウム金属層42の部分を除去し、SF
6及びSF6/Arプラズマを用いてホウケイ酸ガラスベース支持体14の部分を除去することによって実行されてもよい。別の例として、ドライエッチングは、銅金属層42の部分を除去するために狭ギャップ水素プラズマを用いて実行されてもよく、溶融シリカベース支持体14の部分を除去するためにC
4F
8を用いて実行されてもよい。
図7Bに示されるように、エッチングは、金属層42の厚さを通して、及びベース支持体14の厚さの一部分を通して実行される。
【0226】
次に、この方法は不溶性フォトレジスト46’を除去することを伴う。不溶性フォトレジスト46’は、任意の好適な除去剤を使用してリフトオフすることができる。金属層42及びベース支持体14内の凹部22は、除去剤中で曝露されたときに少なくとも実質的にそのまま残される。
【0227】
不溶性フォトレジスト46’が除去される前又は後に、ポリマーヒドロゲル34と反応することができる表面基を生成するために、シラン化又はプラズマアッシングを使用して凹部22を活性化してもよい。活性化後、ポリマーヒドロゲル34は、凹部22内及び金属層42の残りの部分の上に塗布され得る。不溶性フォトレジスト46’の除去及びポリマーヒドロゲル34の塗布は、
図7Cに示されるように、パターン化された構造40を生成する。
【0228】
次いで、この例示的な方法は、水溶性保護コーティング溶液を塗布し、乾燥させて、パターン化された領域38及び結合領域26の上に保護コーティング20を形成することを伴う。
図7Dに示されるように、水溶性保護コーティング溶液は、ポリマーヒドロゲル34の上に、凹部22内並びに間隙領域24及び結合領域26上の両方に塗布される。これらの例では、保護コーティング20は、水に少なくとも95%の溶解度であり、また、残りの金属層42を除去するために使用される金属除去剤中で少なくとも95%の溶解度である。水溶性保護コーティング溶液は、
図2Bを参照して説明したように塗布し、乾燥させることができる。
図7Dは、得られた保護コーティング20を例示する。
【0229】
この例示的な方法では、固体又はゲル保護コーティング20の部分を結合領域26から選択的に除去することは、除去剤を使用して金属層42をリフトオフすることを伴い、保護コーティング20は除去剤中で不溶性である。例として、アルミニウム金属層は、塩基溶液(例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、又は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH))を使用してリフトオフすることができ、銅金属層は、FeCl
3を使用してリフトオフすることができ、金金属層は、ヨウ素及びヨウ化カリウムの組み合わせを使用してリフトオフすることができる。
図7Eに示すように、リフトオフプロセスは、i)金属層42の少なくとも95%、ii)その上のポリマーヒドロゲル34及びiii)その上の保護コーティング20を除去する。保護コーティング20の他の部分(金属層42を覆っていない部分)は、除去剤中で不溶性であるため、パターン化された領域38の上にそのまま残る。結果として得られるパターン化された構造40Gは、保護コーティング20でコーティングされたパターン化された領域38(したがって活性領域32)を含むが、結合領域26には、保護コーティング20が存在しない。この例では、間隙領域24にも保護コーティング20がない。
【0230】
パターン化された構造40Gは、結合領域26で別のパターン化された構造40G又は蓋に結合されてもよい。レーザ結合、拡散結合、陽極結合、共晶結合、プラズマ活性化結合、ガラスフリット結合、又は当技術分野で知られる他の方法などの任意の好適な技術を使用し、2つのパターン化された構造40G、又はパターン化された構造40Gと蓋をともに結合し得る。一例では、スペーサ層を使用することができる。保護コーティング20の存在は、結合プロセスの間、任意の下にある表面化学を保護し得る。
【0231】
図7A~
図7Eには示されていないが、この方法は、プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させることも含む。いくつかの例では、プライマー36A、36B(
図7A~
図7Eには図示せず)は、ポリマーヒドロゲル34にグラフト化済みであってもよく、したがって、ポリマーヒドロゲル34が塗布されるときに基材に塗布される。他の例では、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34が堆積及びポリッシュされた後、かつ保護コーティング20の塗布前に、(例えば、
図7Cにおいて)グラフト化されてもよい。更に他の例では、プライマー36A、36Bは、保護コーティング20が塗布され、パターン化された構造40Gが蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造40Gに結合された後に、グラフト化されてもよい。これらの例では、保護コーティング20は、グラフト化の前に水で除去される。水及びグラフト化試薬は、フロースループロセスを使用して導入することができる。
【0232】
なお更に別の例示的な方法が
図8A~
図8Cに描写される。
図8Aに示すように、基材は単一層ベース支持体14であり、単一層ベース支持体14の一方の表面に凹部22が画定されている。凹部22は、エッチング、インプリント、リソグラフィ、又は別の好適な技術によって画定され得る。単一層のベース支持体14が描写されているが、これらの例示的な方法は、凹部22が最外層16(
図1B参照)に画定されている多層構造18を用いて実行されてもよいことを理解されたい。
【0233】
この例示的な方法では、ポリマーヒドロゲル34又は水溶性保護コーティング溶液を塗布する前に、方法は、疎水性層56を結合領域26の上に塗布して疎水性結合領域26’を形成することを含む。これを
図8Bに示す。疎水性層56の例は、フッ素化ポリマー、ペルフッ素化ポリマー、シリコンポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。具体的な例として、疎水性層56は、非晶質フルオロポリマー(その市販の例としては、以下の末端官能基のうちの1つを有するAGC Chemicals製のCYTOP(登録商標)シリーズ中のものが挙げられる:Aタイプ:-COOH、Mタイプ:-CONH-Si(OR)
n、又はSタイプ:-CF
3)、ポリテトラフルオロエチレン(その市販の例は、Chemours製のTEFLON(登録商標)、パリレン、フッ素化炭化水素、フルオロアクリルコポリマー(その市販の例としては、Cytonix製のFLUOROPEL(登録商標)としてのものが挙げられる)を含み得る。
【0234】
疎水性層56は、任意の好適な選択的堆積技術を用いて結合領域26の上に堆積されてもよい。いくつかの具体例としては、スクリーン印刷、インクジェット印刷、マイクロコンタクト印刷、又はマスクを通したスプレーコーティングが挙げられる。他の例では、フォトレジスト46(
図8A~
図8Cには図示せず)をベース支持体14全体にわたって現像し、次いでドライエッチングして結合領域26を曝露することができる。これらの例では、不溶性フォトレジスト46’(
図8A~
図8Cにも示されていない)は、疎水性層56の堆積中に凹部22及び間隙領域24の上の所定の位置に残っていてもよく、疎水性結合領域26’が形成された後に除去されてもよい。更に他の例では、疎水性層56は、ベース支持体14全体にわたって堆積されてもよく、次いで、凹部22及び間隙領域24から疎水性層56を除去するために、部分がレーザ照射に曝露されてもよい。
【0235】
疎水性結合領域26’が形成されると、ベース支持体14又は多層構造18の最外層16の曝露部分は、シラン化又はプラズマアッシングを使用して活性化されて、ポリマーヒドロゲル34と反応することができる表面基を生成してもよい。活性化後、ポリマーヒドロゲル34は、任意の好適な堆積技術を使用して、ベース支持体14又は多層構造18の最外層16の上に塗布され得る。ポリマーヒドロゲル34は、疎水性結合領域26’によってはじかれ、したがって、この領域26’に塗布されない。したがって、ポリマーヒドロゲル34は、凹部22内及び間隙領域24の上に位置決めされる。次いで、間隙領域24の上のポリマーヒドロゲル34は、例えば、ポリッシュ・プロセス(または研磨プロセス)を使用して除去され得る。疎水性結合領域26’は、ポリッシュ後に少なくとも実質的にそのまま残る。得られたパターン化された構造40を
図8Bに示す。
【0236】
次に、本方法は、パターン化された構造40のパターン化された領域38の上に水溶性保護コーティング溶液を塗布することを含む。本明細書に開示される水溶性保護コーティング溶液の任意の例をこの例で使用することができる。水溶性保護コーティング溶液は、ディップコーティング、ダンクコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、超音波スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、エアロゾル印刷、又はインクジェット印刷を使用して塗布することができる。
【0237】
この例では、水溶性保護コーティング溶液は疎水性結合領域26’によってはじかれる。したがって、パターン化された構造の疎水性結合領域26’は、水溶性保護コーティング溶液がパターン化された領域38の上に塗布された後も、曝露されたままである。次いで、水溶性保護コーティング溶液を本明細書に記載のように乾燥させて、パターン化された領域38の上に保護コーティング20を形成するが、疎水性結合領域26’の上には形成しない。
図8Cは、得られた保護コーティング20及びパターン化された構造40Hを例示する。
【0238】
パターン化された構造40Hは、疎水性結合領域26’で別のパターン化された構造40H又は蓋に結合されてもよい。レーザ結合、拡散結合、陽極結合、共晶結合、プラズマ活性化結合、ガラスフリット結合、又は当技術分野で知られる他の方法などの任意の好適な技術を使用し、2つのパターン化された構造40H、又はパターン化された構造40Hと蓋をともに結合し得る。一例では、スペーサ層を使用することができる。保護コーティング20の存在は、結合プロセスの間、任意の下にある表面化学を保護し得る。
【0239】
図8A~
図8Cに示すパターン化された構造の代わりにパターン化されていない構造が使用されると、本方法は、レーン30がポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20でコーティングされており、結合領域26が疎水性層56でコーティングされているが、ポリマーヒドロゲル34又は保護コーティング20ではコーティングされていないという結果をもたらす。次いで、パターン化されていない構造は、結合領域26’において他のパターン化されていない構造又は蓋に結合されてもよい。形成される結合は、化学的結合又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用)であってよい。
【0240】
図8A~
図8Cには示されていないが、この方法は、プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させることも含む。いくつかの例では、プライマー36A、36B(
図8A~
図8Cには図示せず)は、ポリマーヒドロゲル34にグラフト化済みであってもよく、したがって、ポリマーヒドロゲル34が塗布されるときに基材に塗布される。他の例では、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34が堆積及びポリッシュされた後、かつ保護コーティング20の塗布前に、(例えば、
図8Bにおいて)グラフト化されてもよい。更に他の例では、プライマー36A、36Bは、保護コーティング20が塗布され、パターン化された構造40Hが蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造40Hに結合された後に、グラフト化されてもよい。これらの例では、保護コーティング20は、グラフト化の前に水で除去される。水及びグラフト化試薬は、フロースループロセスを使用して導入することができる。
【0241】
図9A~
図9Iは、更に方法の別の例を例示する。この例示的な方法は、基材表面上に複数の官能化パッド28を生成する(
図9I参照)。この方法は、概して、透明ベース支持体14’上の金属層42をパターン化して、i)透明ベース支持体14’の第1の間隙領域62Aによって分離された金属ポスト42’、及びii)透明ベース支持体14’の結合領域26を画定することと(
図9C)、第1の間隙領域62A及び結合領域26の上に不溶性のネガティブフォトレジスト50’を生成することと(
図9F)、金属ポスト42’をエッチングして、透明ベース支持体14’の第2の間隙領域62Bを曝露することと(
図9G)、不溶性フォトレジスト50’及び第2の間隙領域62Bの上にポリマーヒドロゲル34を塗布することと(
図9H)、水溶性保護コーティング溶液をポリマーヒドロゲル34の上に塗布することと(
図9H)、水溶性保護コーティング溶液を乾燥させて、ポリマーヒドロゲル34の上に、固体コーティング又はゲルコーティング(保護コーティング20)を形成することと、不溶性のネガティブフォトレジスト50’をリフトオフして、コーティングされた官能化パッド28、結合領域26、及び第1の間隙領域62A(間隙領域24である)を曝露することと(
図9I)、を伴う。これらのプロセスの各々をここで説明する。
【0242】
図9Aにおいて、基材は透明ベース支持体14’である。この例では、透明ベース支持体14’は、裏面光曝露で使用される紫外線波長に対して透明である。一例として、透明ベース支持体14’はガラスであってもよい。
【0243】
この例示的な方法では、金属層42を透明ベース支持体14’に塗布することができる。金属層42に好適な金属の例としては、アルミニウム、銅、金などが挙げられる。いくつかの例では、金属は少なくとも実質的に純粋(<99%純粋)であってもよい。金属層42は、任意の好適な堆積技術を使用して堆積され得る。
【0244】
この例示的な方法では、樹脂層58を金属層42の上に塗布することができる。樹脂層58は、例えばナノインプリントリソグラフィによってパッドパターン60をパターン化することができる任意の樹脂であってもよい。上面図から、パッドパターン60は、基材全体にわたって形成される各官能化パッド28及び間隙領域24のX-Y位置を画定し、基材全体にわたって形成される各官能化パッド28の直径又は長さ及び幅も画定する。
【0245】
図9Aに示すように、樹脂層58をインプリントして、パッドパターン60を形成する。パッドパターン60は、官能化パッド28が形成される領域に対応する凸状領域64と、間隙領域24及び結合領域26が形成される領域に対応する(凸状領域64に対して)下側領域66とを含む。任意の好適なインプリント技術を使用し得る。一例では、作業スタンプは、樹脂層58が柔らかいうちにその中に押し込まれ、樹脂層58において作業スタンプ特徴のインプリントを作成する。次いで、樹脂層50は、作業スタンプが所定の位置にある状態で硬化され得る。硬化後、作業スタンプが取り外される。この例示的な方法では、作業スタンプは、樹脂層58の深さ全体を通って延在せず、したがって、下にある金属層42は、インプリント後に曝露されない(
図9Aに示すように)。
【0246】
次に、樹脂層58を選択的にエッチングして金属層42の部分を曝露する。これを
図9Bに示す。樹脂層58の任意の曝露領域は、このプロセス中にエッチングされてもよい。樹脂層58の下側領域66は凸部領域64よりも薄いので、下側領域66にある樹脂層58はエッチング除去される。エッチングは、下側領域66の下にある金属層42が曝露され、凸状領域64の樹脂層58が残るまで継続されてもよい。金属層42(下側領域66の下にある)は、エッチストップとして作用することができる。樹脂層58のエッチングは、異方性酸素プラズマ又は90%CF
4と10%O
2プラズマとの混合物などのドライエッチングプロセスを伴い得る。
【0247】
次いで、樹脂層58の残りの凸状領域64を用いて金属層42をパターン化する。金属ドライエッチングプロセスを使用して、樹脂層58の凸状領域64によって被覆されていない金属をエッチング除去することができる。一例では、金属層42は、塩素ベースのプラズマ(例えば、BCl
3+Cl
2)を使用してエッチングされ得る。透明ベースの支持体14’は、エッチストップとして作用することができる。このエッチングプロセスにより、
図9Cに示すように、透明ベース支持体14’の第1の間隙領域62Aによって分離された金属ポスト42’が形成される。このプロセスはまた、結合領域26を画定する。
【0248】
次に、樹脂層58の凸状領域64を選択的にエッチングして金属ポスト42’を曝露することができる。エッチングは、凸状領域64が除去され、金属ポスト42’が曝露されるまで継続することができる。これを
図9Dに示す。金属ポスト42’はエッチストップとして作用することができる。凸状領域64のエッチングは、異方性酸素プラズマ又は90%CF
4と10%O
2プラズマとの混合物などのドライエッチングプロセスを伴い得る。このエッチングプロセスはまた、透明ベース支持体14’の曝露部分に影響を及ぼさないことがある。
【0249】
図9E及び
図9Fに示すように、この方法はまた、第1の間隙領域62A及び結合領域26の上に不溶性のネガティブフォトレジスト50’を生成することを伴う。一例では、不溶性のネガティブフォトレジスト50’を生成することが、金属ポスト42’、第1の間隙領域62A、及び結合領域26の上にネガティブフォトレジスト50を塗布することと(
図9Eに示すように)、透明ベース支持体14’を通してネガティブフォトレジスト50を光52に曝露することであって、それにより、第1の間隙領域62A及び結合領域26を覆うネガティブフォトレジスト50の部分が不溶性のネガティブフォトレジスト50’を画定し、金属ポスト42’を覆うネガティブフォトレジスト50の部分が可溶性になる(
図9Fに示すように)、曝露することと、ネガティブフォトレジスト50の可溶性部分を除去することと(
図9Fに示すように)、を伴う。
【0250】
本明細書に記載のネガティブフォトレジスト50の任意の例を使用し得る。ネガティブフォトレジスト50’について本明細書に記載の堆積技術の任意の例を使用し得る。
【0251】
この例では、不溶性のネガティブフォトレジスト50’が第1の間隙領域62A及び結合領域26上に残り、金属ポスト42’から除去されることが望ましい。したがって、
図9Fに示される例では、光52は、透明ベース支持体14’を通って方向付けられ得る。透明ベース支持体14’上のネガティブフォトレジスト50は、光52に曝露され、不溶性になる。金属ポスト42’は、透明ベース支持体14’を透過する光52の少なくとも75%を遮断し、したがって、光52が、金属ポスト42’の上に位置決めされているネガティブフォトレジスト50に到達するのを少なくとも実質的に防止する。したがって、これらの部分は、現像液に不溶性になり、現像液を用いて除去され得る。
【0252】
次に、金属ポスト42’をウェットエッチングプロセスで除去することができる。例として、アルミニウム金属ポスト42’は酸性又は塩基性条件下で除去することができ、銅金属ポスト42’はFeCl
3を使用して除去することができ、銅、金又は銀金属ポスト42’はヨウ素及びヨウ化物溶液中で除去することができ、チタン金属ポスト42’はH
2O
2を使用して除去することができる。これらの例では、透明ベース支持体14’は、金属ポストエッチングプロセスのエッチングストップとして作用する。金属ポスト42’の除去は、透明ベース支持体14’の第2の間隙領域62Bを曝露する。
図9Gに示すように、不溶性のネガティブフォトレジスト50’は、金属ポスト42’が除去されたときに少なくとも実質的にそのまま残る。
【0253】
次いで、第2の間隙領域62Bは、シラン化又はプラズマアッシングを使用して活性化されて、ポリマーヒドロゲル34と反応し得る表面基を生成し得る。活性化後、ポリマーヒドロゲル34は、第2の間隙領域62Bの上及び不溶性のネガティブフォトレジスト50’の上に塗布されてもよい。第2の間隙領域62Bの上に塗布されたポリマーヒドロゲル34は、官能化パッド28を形成する。これを
図9Hに示す。
【0254】
次いで、この例示的な方法は、水溶性保護コーティング溶液を塗布し、乾燥させて、ポリマーヒドロゲル34の上に保護コーティング20を形成することを伴う。これを
図9Hに示す。
図9Hに示されるように、水溶性保護コーティング溶液は、ポリマーヒドロゲル34の上に塗布され、したがって、第2の間隙領域62Bの上及び不溶性のネガティブフォトレジスト50’の上にも塗布される。これらの例では、保護コーティング20は、水に少なくとも95%可溶性であり、不溶性のネガティブフォトレジスト50’を除去するために使用される除去剤中でも少なくとも95%の溶解度である。水溶性保護コーティング溶液は、
図2Bを参照して説明したように塗布し、乾燥させることができる。
【0255】
次いで、不溶性のネガティブフォトレジスト50’をリフトオフして、保護コーティング20でコーティングされた官能化パッド28、結合領域26、及び第1の間隙領域62A(間隙領域24である)を曝露することができる。次に、除去剤を使用して不溶性のネガティブフォトレジスト50’をリフトオフすることができる。不溶性のネガティブフォトレジスト50’に好適な除去剤としては、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、アセトン、又はNMP(N-メチル-2-ピロリドン)系剥離剤が挙げられる。保護コーティング20がその中で不溶性である限り、任意の除去剤が使用され得る。
【0256】
図9Iに示されるように、リフトオフプロセスは、不溶性のネガティブフォトレジスト50’の少なくとも95%、並びに不溶性のネガティブフォトレジスト50’を覆うポリマーヒドロゲル34及び保護コーティング20の部分を除去する。保護コーティング20は除去剤中で不溶性であり、したがって、官能化パッド28を覆う保護コーティング20の部分は、少なくとも実質的にそのまま残る。結果として得られるパターン化された構造40Iは、保護コーティング20でコーティングされた官能化パッド28(この例では活性領域)を含むが、結合領域26には、保護コーティング20が存在しない。
【0257】
パターン化された構造40Iは、結合領域26で別のパターン化された構造40I又は蓋に結合されてもよい。レーザ結合、拡散結合、陽極結合、共晶結合、プラズマ活性化結合、ガラスフリット結合、又は当技術分野で知られる他の方法などの任意の好適な技術を使用し、2つのパターン化された構造40I、又はパターン化された構造40Iと蓋をともに結合し得る。一例では、スペーサ層を使用することができる。保護コーティング20の存在は、結合プロセスの間、任意の下にある表面化学を保護し得る。
【0258】
図9A~
図9Iには示されていないが、この方法は、プライマー36A、36Bをポリマーヒドロゲル34に付着させることも含む。いくつかの例では、プライマー36A、36B(
図9A~
図9Iには図示せず)は、ポリマーヒドロゲル34にグラフト化済みであってもよく、したがって、ポリマーヒドロゲル34が塗布されるときに基材に塗布される。他の例において、プライマー36A、36Bは、ポリマーヒドロゲル34が堆積された後、かつ保護コーティング20の塗布前に、(例えば、
図9Hにおいて)グラフト化されてもよい。更に他の例では、プライマー36A、36Bは、保護コーティング20が塗布され、パターン化された構造40Iが蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造40Iに結合された後に、グラフト化されてもよい。
【0259】
この例では、パターン化された構造40I(したがって、パターン化された構造40Iを含むフローセル10)は、基材(例えば、14又は18)と、基材上に存在し、かつ間隙領域24によって互いに隔離された、複数の官能化パッド28であって、複数の官能化パッド28の各々が、ポリマーヒドロゲル34と、ポリマーヒドロゲル34に付着したプライマー36A、36Bと、を含む、複数の官能化パッド28と、複数の官能化パッド28の上に存在し、かつ間隙領域24の上には存在しない、保護コーティング20と、を含む。
【0260】
一連の
図2~一連の
図9を参照して示され説明された方法を通して、水溶性保護コーティング溶液がコーティング20を生成するために塗布されることが理解されるべきである。しかしながら、水溶性保護コーティング溶液はまた、ポリマーヒドロゲル34、ポリッシュ溶液、グラフト化溶液、洗浄緩衝液などを含む他のコーティング溶液とともに塗布されてもよいことが理解されるべきである。これにより、乾燥段階に関連するポリマーヒドロゲル34の劣化が効果的に防止されるはずである。
【0261】
保護コーティング及び他の活性材料堆積方法
本明細書に開示される方法の他の例は、保護コーティング20又はポリマーヒドロゲル34(プライマー36A、36Bがグラフト化されているか又はされていない)などの他の活性領域材料を高精度で選択的に塗布するために使用され得る。一例として、材料は、約300μm~約1mmの範囲の幅を有する線でディスペンスされてもよい。ディスペンスされた線の精度により、この方法は、ポリマーヒドロゲル34(プライマー36A、36Bがグラフト化されているか、又はされていない)又は水溶性保護コーティング溶液を基材のレーン30にディスペンスするのに特に望ましいものとなる。これらのレーン30は、凹部22又は官能化パッド28でパターン化されてもよく、又はこれらはパターン化されなくてもよい。別の例として、材料は、約0.5mm~約2mmの範囲の直径を有するドットとしてディスペンスされてもよい。ディスペンスされた点の精度により、この方法は、水溶性保護コーティング溶液を基準上にディスペンスするために、又はポリマーヒドロゲル34(プライマー36A、36Bがグラフトされているか又はされていない)及び/又は水溶性保護コーティング溶液をより大きな凹部22内にディスペンスするために、又はポリマーヒドロゲル34(プライマー36A、36Bがグラフト化されているか又はされていない)をディスペンスしてより大きな官能化パッド28を形成するために、又は水溶性保護コーティング溶液をより大きな官能化パッド28上にディスペンスするために、特に望ましい。材料は円弧の形状でディスペンスされてもよい。線、点及び/又は弧の組み合わせを使用して、階層的形状を生成することもできる。
【0262】
この例示的な方法の間、結合領域26には、活性領域材料及び/又は保護コーティング20が存在しないままであり、したがって、この方法は、材料の無駄を低減することができる。追加的に、保護コーティング20が効果的な結合を達成することを妨げ得るので、それが結合領域26上に堆積しないようにすることが望ましい場合がある。
【0263】
この例示的な方法で使用されるツールは、
図10に概略的に示される精密ガントリツール68である。図示されていないが、精密ガントリツール68は、ユーザ入力又は事前にプログラムされた命令に応答してツール68の構成要素を制御するコントローラを含むことを理解されたい。
【0264】
ツール68は、単一層ベース支持体14又はその中に画定された又はその上に画定された特徴(例えば、レーン30、凹部22、基準など)を有する多層構造18を支持するためのキャリアトレイ70を含むことができる。本明細書に記載されているように、特徴は、支持体14又は構造18の最も外側の表面にインプリントされ、エッチングされ、又は他の方法で製作され得る。代替的に、特徴は、少なくとも実質的に平坦な単一層ベース支持体14又は多層構造18の最外面上に位置決めされた別の材料(例えば、1つ以上のスペーサ層)によって画定されてもよい。
【0265】
精密ガントリツール68はまた、キャリアトレイ70のXY平面に対してX及びY方向に移動可能なガントリ72を含む。ガントリ72は、それに付着された任意の構成要素をX方向及びY方向に移動させることができる。
【0266】
ガントリ72には、ポリマーヒドロゲルヒ34(グラフト化済み又は非グラフト化)及び/又は水溶性保護コーティング溶液を含む混合物などの大量の流体を正確な容積流量でディスペンスすることができるノズル76を有するポンプ74が付着されている。容積流量は、約0.15μL/秒~約20μL/秒の範囲であってもよい。一例では、容積流量は2μL/秒であってもよい。別の例では、容積流量は、約0.16μL/秒~約5μL/秒の範囲である。
【0267】
任意の好適なポンプ74及びノズル76を使用することができる。
【0268】
一例では、ポンプ74はプログレッシブキャビティポンプである。圧力ベースのポンプなどのいくつかのポンプは、ディスペンス速度が欠如し、ディスペンスされる材料の厚さにわたってほとんど又は全く制御することができないので、あまり望ましくない場合がある。これらのポンプは、X及びY方向における制御されないリフロー(望ましくない拡散)をもたらす可能性があり、これは、正確なディスペンスを可能にしない。プログレッシブキャビティポンプは、ディスペンスされた材料の厚さを10μm以下に保つのに役立つ。いくつかの例では、2つのパターン化された又はパターン化されていない構造の間のフローチャネル12の深さは、約75μm~約100μmの範囲であってもよい。これらの例では、プログレッシブキャビティポンプを使用して、それぞれの構造上の合計の厚さが37.5μm未満~50μm未満の範囲になるように(ディスペンスされた材料がフローチャネル12を完全に満たさないように)各々の構造上にディスペンスされた材料の複数の層を生成し得る。
【0269】
一例では、ノズル76は金属ノズルである。金属ノズルは、プラスチックノズルよりも圧力上昇及び圧力上昇の結果としてのノズル膨張の影響を受けにくいという点から、特に望ましい場合がある。ノズルの膨張は、エアギャップAGを変化させる可能性があり、これは、ディスペンスされる材料のメニスカスに悪影響を及ぼす可能性があり、望ましくない広がりにつながる可能性がある。ノズル76の形状はまた、圧力上昇問題を低減するのに役立つことができる。例えば、円錐形ノズルは円筒形ノズルよりも圧力上昇の影響を受けにくい。内部及び/又は外部が疎水性層でコーティングされた金属ノズルもまた、目詰まりを防止するのを助けるために望ましい場合がある。任意の好適な疎水性材料をコーティングとして使用することができる。いくつかの疎水性コーティングされた金属ノズルが市販されている。
【0270】
ノズル76の一具体例としては、先端の直径が1mm以下のステンレス鋼製の円錐ノズルが挙げられる。ノズル76のゲージは、ディスペンスされた材料の線忠実度に影響を及ぼし得る。本明細書に開示される例では、ノズルゲージは約17~約30の範囲である。例として、17ゲージノズルは1.2mmの線幅を生成することができ、30ゲージノズルは300μmの線幅を生成することができる。
【0271】
本方法の間、ノズル76は、ガントリ72(コントローラによって動作する)によってX及び/又はY方向に移動され得、コントローラによってZ方向に移動するように制御され得る。高さセンサ(図示せず)は、適切なディスペンス高さを決定するために、垂直に向けられたZ軸に沿って基材の位置を測定するために、ガントリ72に取り付けられてもよい。ディスペンス高さは、ノズル76の先端と基材、例えば支持体14又は構造18の表面との間のエアギャップAGに対応する。ノズル76の位置をZ方向に制御することにより、特定のエアギャップAGを達成することができる。本発明者らは、エアギャップAGを制御することが、正確にディスペンスされた材料を達成することに寄与することを見出した。例えば、エアギャップAGが大きすぎる場合、連続的な堆積が達成されない可能性があり、ノズル76は、基材と接触せずに自発的に壊れる液滴を生成する可能性がある。制御されない広がりは、大きなエアギャップAGでも起こり得るが、これは、大きなエアギャップAGでメニスカスを維持するのに十分に高い流量に依存する。これは、材料が、例えば、隣接するレーン30内、結合領域26上などに広がり得るので、望ましくない。本明細書に開示される寸法を有するレーン30内に正確にディスペンスするために、エアギャップAGは、0μm超~約100μmの範囲である。他の例では、エアギャップAGは、約45μm~約85μm、約50μm~約70μmなどの範囲である。一特定例では、エアギャップAGは、約65μmである。
【0272】
この方法の間、ガントリ72の速度を制御することができる。一例では、約75mm/秒~約350mm/秒の線形ガントリ速度範囲を使用することができる。
【0273】
ガントリ72にはカメラ78も付着されている。カメラ78の一例は、マシンビジョンカメラである。カメラ78は、ディスペンスが望ましい支持体14又は構造18上の位置を識別するように(例えば、コントローラ、図示せず)によって)制御されてもよい。支持体14又は構造18は、位置識別を補助するための基準を含んでもよい。
【0274】
精密ガントリツール68を使用する方法の例は、内部に画定された特徴(例えば、レーン30)を有する基材(例えば、支持体14又は構造18)を、基材の表面と0μm超~約100μmの範囲のノズル68の基材の表面との間にエアギャップAGが存在するように、精密塗布ツール68のノズル76に対して位置決めすることと、i)ヒドロゲル水溶液(ポリマーヒドロゲル34を含む)、ii)グラフト化済みヒドロゲル水溶液(グラフト化済みポリマーヒドロゲル34を含む)、又はiii)約0.15μL/秒~約20μL/秒の範囲の流量で特徴に水溶性保護コーティング溶液をノズル76からディスペンスすることとであって、それにより、特徴を囲む(または取り囲む)基材の表面には、i)ヒドロゲル水溶液、ii)グラフト化済みヒドロゲル水溶液、又はiii)水溶性保護コーティング溶液が存在しないままである、ディスペンスすることと、を含む。
【0275】
一例として、特徴は、パターン化されていない、又は凹部22若しくは官能化パッド28内にパターン化されたレーン30であってもよく、特徴を囲む基材の表面は、結合領域26であってもよい。別の例として、特徴は基準であってもよく、特徴を囲む基材の表面は基準の周りの間隙領域であってもよい。更に別の例として、特徴は、150μm以上の直径を有する凹部22であってもよく、特徴を囲む基材の表面は、凹部22の周りの間隙領域24であってもよい。
【0276】
キャリアトレイ70に保持された基材(例えば、支持体14又は構造18)上に流体のパターンをディスペンスするために、コントローラは、まず、基材が概ね位置する水平の向きのXY平面内の基材の位置及び向きを決定する。カメラ78は、基材を走査し、コントローラによって知られている参照基準の事前にプログラムされた位置をわたって移動する経路に沿って進行することによって、基材の上部表面に設けられた参照基準の視覚画像を捕捉することができる。捕捉された視覚画像を使用して、コントローラは、XY平面における基材及びその特徴の実際の場所及び向きを決定することができる。高さセンサは、適切なエアギャップAGを決定するために、垂直の向きのZ軸に沿って基材の位置を測定する。次に、コントローラは、アプリケータが、下に位置決めされた基材の所望の特徴の上のXY平面内に適切に位置決めされるまで、ガントリ72を動作させて、ノズル76をX軸及びY軸に沿って移動させる。次に、適切なエアギャップAGが得られるように、ノズル先端が基材表面に対して適切なディスペンス高さに位置決めされるまで、ノズル76をZ軸に沿って下がる。ポンプ74は、所望のパターンをディスペンスするために、ガントリ72とともにX、Y、及び/又はZ方向に動作させることができる。ポンプ74及びガントリ72の協調及び相対速度は、ディスペンスされたコーティングのパターン忠実度に寄与する。ディスペンスが完了すると、ノズル76は、次いで、Z軸に沿って上方に戻って上昇し、終了位置、ソーキング位置、又は更なるディスペンスのための別の特徴に移動される。
【0277】
ディスペンスされた材料は、例えば、加温、加熱、蒸発、真空曝露、対流乾燥などによって乾燥されてもよい。
【0278】
本明細書に開示される流体のいずれも、高精度の線、弧、又は点、及び無駄な材料の低減を達成するために、本明細書に記載される精密ガントリツール68及びディスペンス・パラメータを使用してディスペンスされ得る。一例では、ディスペンスは、約10μm以下の厚さを有するi)ヒドロゲル水溶液、ii)グラフト化済みヒドロゲル水溶液、又はiii)水溶性保護コーティング溶液の層を、基材特徴の中又は上に形成するように実行される。
【0279】
この方法は、ディスペンスされた材料の線、弧、又は点を高精度で作成する。この方法を使用して、線及び/又は弧及び/又は点を組み合わせて、矩形、円、又はより複雑な幾何形状で塗りつぶされたものなどの階層的形状を形成することもできる。水溶性保護コーティング溶液又はポリマーヒドロゲル24(グラフト化済み又は非グラフト化)を、凹部22又は官能化パッド28内でパターン化されていないレーン30内に堆積させるために使用される場合、堆積された溶液は、周囲の結合領域26上に延在しないレーン30内の正確な線の階層形状を形成する。
【0280】
この例示的な方法はまた、ディスペンスの前後にノズル76を水中に維持することを伴い得る。水は、ディスペンス・ステップの間にノズル76のためのソーキング位置を提供するリザーバ内に位置していてもよい。これは、目詰まりを防止するのに役立つので、ステンレス鋼製の円錐ノズルの健全性を維持するために特に望ましい場合がある。ソーキングまた、ノズル76内で乾燥し、空気に曝露されると目詰まりを引き起こし得る、ポリマー溶液をディスペンスするときにも望ましくあり得る。
【0281】
保護コーティング20が精密ガントリツール68を使用してディスペンスされるとき、ポリマーヒドロゲル34もまた、精密ガントリツール68を使用して塗布されてもよく、又は他の塗布技術を使用することによって塗布されてもよいことを理解されたい。例えば、ポリマーヒドロゲル34は、任意の好適な堆積技術を使用してパターン化されていないレーン30に堆積されてもよい。別の例では、ポリマーヒドロゲル34は、任意の好適な堆積技術を使用してパターン化されたレーン30に堆積され、続いてポリッシュして間隙領域24からヒドロゲル34を除去することができる。
【0282】
本開示を更に説明するために、本明細書に例を示す。これらの例は、例示の目的で提供され、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。
非限定的な作業例
【実施例1】
【0283】
図4A~
図4Eに示されるものと同様の方法を使用して、KOLLICOAT(登録商標)IR(BASF Corp.から入手可能なポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフト化コポリマー)を、内部にエッチングされたレーンを有するパターン化されていないガラススライド上に塗布した。この方法は、活性領域材料のいずれも塗布せず、むしろ、保護コーティングを選択的に塗布するためのフォトレジストの有効性を実証するために実行された。
【0284】
最初に、ネガティブフォトレジスト(例えば、NR9-1500P、NR9-1500PY、NR9-1000P、NR9-1000PY)を、レーンを含むパターン化されていないスライドガラス全体に塗布し、レーンを囲む(または取り囲む)結合領域をUV光に曝露して、結合領域上に不溶性部分を生成した。パターン化されていないガラススライドを現像液(例えば、RD6)に曝露し、これによりレーンから可溶性ネガティブフォトレジストが除去された。
【0285】
次に、5重量%のKOLLICOAT(登録商標)IR及び5重量%のエタノールを含む水溶液を、パターン化されていないガラススライド上にスピンコーティングした。水溶液はレーンをコーティングし、不溶性のネガティブフォトレジストを結合領域上にコーティングした。水溶液を約40℃~約60℃の範囲の温度で乾燥させて、保護コーティングを実行した。
【0286】
最後に、様々な材料がその上にコーティングされたパターン化されていないガラススライドをアセトンに曝露して1分間超音波処理した後、新しいアセトンに曝露して4分間超音波処理した。アセトンが選択されたのは、それが不溶性のネガティブフォトレジストのためのリフトオフ試薬であり、保護コーティングがそれに可溶性でないからである。
【0287】
図11は、不溶性のネガティブフォトレジストのリフトオフ後のパターン化されていないガラススライドの一部分の写真の白黒複製を例示する。描写されているように、保護コーティングはレーンに存在し、不溶性のネガティブフォトレジストも堆積された保護コーティングも結合領域上に存在しなかった。
【実施例2】
【0288】
図10を参照して説明したものと同様の方法を使用して、P5及びP7プライマーでグラフト化済みPAZAMを、ガラスウェハの上のパターン化ナノインプリントリソグラフィ樹脂のレーンに塗布した。レーンの寸法は、幅4.5mm、長さ120mmであった。グラフト化済みPAZAMは、水溶液中に0.3重量%で存在した。
【0289】
精密ガントリツールは、プログレッシブキャビティポンプ及び17ゲージ先端を有する円錐形ステンレス鋼製ノズルを含んでいた。エアギャップは約65μmに設定し、流量は2μL/秒に設定した。
【0290】
グラフト化済みPAZAMを基材の各レーン内に堆積させ、乾燥させた。
【0291】
ハイブリッド化に基づくCFR品質管理試験を実行した。CFR品質管理試験は、P5/P7プライマーに相補的な配列を有するCalFluor Red(赤色色素)標識オリゴヌクレオチドを利用する。CFRプライマーを導入し、表面上のP5/P7プライマーにハイブリッド化させ、過剰なCFRプライマーを洗い流した。付着した色素濃度を蛍光検出によって測定した。
【0292】
図12は、品質管理試験後のパターン化された基材のグレースケール蛍光画像を例示する。暗いレーンは高い蛍光強度を指し示し、白色の周囲領域は低い蛍光強度を指し示した。これらの結果は、CFRプライマーがレーン中のグラフト化済みPAZAMにハイブリッド化することを実証した。これらの結果はまた、これらの領域がプライマーハイブリッド化のためのグラフト化済みPAZAMを欠如していたので、CFRプライマーが結合領域にハイブリッド化しなかったことを実証した。
【実施例3】
【0293】
図10を参照して説明したものと同様の方法を用いて、KOLLICOAT(登録商標)IR(BASF Corp.から入手可能なポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー)を、ガラスウェハ上のパターン化されたナノインプリントリソグラフィ樹脂のレーンの部分に塗布した。レーンをPAZAMでコーティングし、これに蛍光標識オリゴヌクレオチドをグラフト化した。周囲の結合領域は、その上にコーティングされたPAZAMを有しなかった。15重量%のKOLLICOAT(登録商標)IRを用いて水溶液を調製した。水溶液を、プログレッシブキャビティポンプ及び17ゲージ先端を有する円錐形ステンレス鋼製ノズルを備えた精密ガントリツールを使用してレーン内に堆積させた。エアギャップは約65μmに設定し、流量は2μL/秒に設定した。
【0294】
比較のために、圧力ベースのポンプ及び17ゲージ先端を有するプラスチック円錐ノズルを備えた比較ツールを使用して、水溶液をレーン内に堆積させた。エアギャップは少なくとも200μmであった。比較ツール上の流量は制御できない。
【0295】
水溶液をディスペンスして乾燥させた後、顕微鏡を使用して、いくつかのレーン及び周囲の結合領域の部分の蛍光画像を撮影した。
図13Aは、例示的なレーン及び周囲の結合領域を描写し、
図13B及び
図13Cは、比較例のレーン及び周囲の結合領域を異なる倍率で描写する。
図13Aのレーン中の中央の黒色部分は保護コーティングであり、これは下にあるフルオロフォアの強度を低下させた。周囲の白い部分は、その上に保護コーティングが塗布されていないレーンの残りの部分であった。
図13Aに示されるように、線忠実度は、例示的な保護コーティングについて正確であった。対照的に、
図13B及び
図13Cの比較保護コーティングは、望ましくないほど広がり、したがって、線は、正確ではなかった。これは、塗布された材料の厚さにわたる又はリフローに対する制御を可能にしない圧力ベースのポンプによるものであった可能性がある。
【0296】
更に別の比較のために、スクリーン印刷及びインクジェット印刷の両方を、水溶液を堆積させるために試みた。スクリーン印刷は、メッシュの目詰まり及び塗布されたコーティング中の気泡生成のために失敗した。インクジェット印刷は、目詰まりしたノズル及び噴出気泡のために失敗した。
【0297】
追記事項
以下により詳細に考察される、前述の概念及び更なる概念の全ての組み合わせが、(かかる概念が相互に矛盾しなければ)本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。具体的には、本開示の終わりに現れる特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図される。本明細書で明示的に用いられ、また参照により組み込まれる任意の開示においても出現し得る用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も一致する意味が与えられるべきであることも理解すべきである。
【0298】
「一例(one example)」、「別の例」、「一例(an example)」などへの本明細書全体を通じての言及は、例に関連して記載されている特定の要素(例えば、特徴、構造、及び/又は特性)が、本明細書に記載されている少なくとも1つの例に含まれており、他の例に存在していても、存在していなくてもよいことを意味している。加えて、文脈上明確に別段の指示がない限り、任意の例に関する記載の要素は、様々な例において任意の好適な様式で組み合わせられ得ることを理解すべきである。
【0299】
本明細書に提供される範囲は、そのような値又は部分範囲が明示的に列挙されているかのように、示される範囲及びその示される範囲内の任意の値又は部分範囲を含むことを理解されたい。例えば、約400nm~約1μm(1000nm)の範囲は、約400nm~約1μmの明示的に引用された制限を含むだけでなく、個別の値、例えば約708nm、約945.5nmなど、及び部分範囲、例えば約425nm~約825nm、約550nm~約940nmなどもまた含むと解釈されなければならない。更に、「約」及び/又は「実質的に」が値を説明するために使用される場合、これらは、記載した値の微小な変化(最大±10%)を包含することを意味する。
【0300】
いくつかの実施例を詳細に説明してきたが、開示された例は修正され得ることを理解すべきである。したがって、これまでの説明は非限定的なものであると考えるべきである。
【国際調査報告】