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特表2024-500384アルファ-オレフィンを生成するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】アルファ-オレフィンを生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/08 20060101AFI20231226BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20231226BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20231226BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
C07C2/08
C07C11/02
B01J31/22 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536046
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 US2021063261
(87)【国際公開番号】W WO2022132734
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/125,713
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002105
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンパリン,グレン・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ヒジェ
(72)【発明者】
【氏名】ワード,グレゴリー・ジョン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169AA15
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE13A
4G169BE13B
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169CB47
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC21
4H006BA09
4H006BA19
4H006BA29
4H006BA47
4H006BC34
4H006BE30
4H039CA19
4H039CF10
(57)【要約】
アルファ-オレフィンを生成するためのプロセスであって、エチレン供給物を、オリゴマー化反応ゾーンにおいてオリゴマー化反応条件下でオリゴマー化触媒系と接触させて、アルファ-オレフィンを含む生成物流を生成することを含み、当該触媒系が、鉄-配位子錯体及び共触媒を含み、当該オリゴマー化反応ゾーンに供給されている酸素対鉄のモル比が、1:1~200:1である、プロセス。代替的に、オリゴマー化反応ゾーンに供給されている酸素対MMAO中のアルミニウムのモル比は、1:5未満である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファ-オレフィンを生成するためのプロセスであって、エチレン供給物を、オリゴマー化反応ゾーンにおいてオリゴマー化反応条件下でオリゴマー化触媒系と接触させて、アルファ-オレフィンを含む生成物流を生成することを含み、前記触媒系が、鉄-配位子錯体及び共触媒を含み、前記オリゴマー化反応ゾーンに供給されている酸素対鉄のモル比が、1:1~200:1である、プロセス。
【請求項2】
前記共触媒が、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記反応ゾーンに供給されている酸素対鉄のモル比が、1.5:1~100:1である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記反応ゾーンに供給されている酸素対鉄のモル比が、2:1~50:1である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記反応ゾーンに供給されている酸素対鉄のモル比が、2:1~20:1である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記反応ゾーンに供給されている酸素対鉄のモル比が、2:1~6:1である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項7】
前記反応ゾーンに供給されている酸素対鉄のモル比が、3:1~6:1である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記オリゴマー化反応条件が、70~130℃の温度を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記エチレン供給物が、前記反応ゾーンに酸素の所望の供給物を提供するのに十分な量の酸素を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記酸素が、前記エチレン供給物に添加されて、前記反応ゾーンに酸素を提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
酸素が、前記反応ゾーンに別個に供給される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
アルファ-オレフィンを生成するためのプロセスであって、エチレン供給物を、オリゴマー化反応ゾーンにおいてオリゴマー化反応条件下でオリゴマー化触媒系と接触させて、アルファ-オレフィンを含む生成物流を生成することを含み、前記触媒系が、鉄-配位子錯体及びアルミニウムを含む共触媒を含み、前記オリゴマー化反応ゾーンに供給されている酸素対MMAO中のアルミニウムのモル比が、1:5未満である、プロセス。
【請求項13】
前記オリゴマー化反応ゾーンに供給されている酸素対MMAO中のアルミニウムのモル比が、1:5~1:20である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
アルファ-オレフィンを生成するためのプロセスであって、エチレン供給物を、オリゴマー化反応ゾーンにおいてオリゴマー化反応条件下でオリゴマー化触媒系と接触させて、アルファ-オレフィンを含む生成物流を生成することを含み、前記触媒系が、鉄-配位子錯体及び共触媒を含み、前記オリゴマー化反応ゾーンに供給された酸素が、前記オリゴマー化反応ゾーンの含有量に基づいて計算された0.2~200ppmwの濃度である、プロセス。
【請求項15】
前記オリゴマー化反応ゾーンに供給された前記酸素が、前記オリゴマー化反応ゾーンの含有量に基づいて計算された、0.5~100ppmwの濃度である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記オリゴマー化反応ゾーンに供給された前記酸素が、前記オリゴマー化反応ゾーンの含有量に基づいて計算された、1~60ppmwの濃度である、請求項14に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素の存在下でエチレンをオリゴマー化することを含むアルファ-オレフィンを生成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンなどのオレフィンのオリゴマー化は、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び他の有用な線状アルファオレフィンを生成する。線状アルファオレフィンは、線状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのための貴重なコモノマーである。かかるオレフィンはまた、可塑剤アルコール、脂肪酸、洗剤アルコール、ポリアルファオレフィン、油田掘削流体、潤滑油添加剤、線状アルキルベンゼン、アルケニルコハク酸無水物、アルキルジメチルアミン、ジアルキルメチルアミン、アルファ-オレフィンスルホネート、内部オレフィンスルホネート、塩素化オレフィン、線状メルカプタン、アルミニウムアルキル、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、及び他の化学物質の生成における化学中間体としても有用である。
【0003】
米国特許第6,683,187号は、線状アルファオレフィンを形成するためのエチレンオリゴマー化用ビス(アリールイミノ)ピリジン配位子、この配位子から誘導される触媒前駆体及び触媒系を説明する。この特許は、Schulz-Floryオリゴマー化生成物分布を有する線状アルファオレフィンの生成を教示する。かかるプロセスでは、広範囲のオリゴマーが生成され、各オレフィンの分率は、K因子に基づく計算によって判定することができる。K因子は、(C+2)/Cのモル比であり、式中、nは、直鎖アルファオレフィン生成物中の炭素数である。
【0004】
米国特許第7,304,159号は、エチレンを線状アルファオレフィンにオリゴマー化するためのプロセスが説明される。この特許は、水及び酸素を1ppm未満に低減させるためのエチレンの処理を教示する。更に、中国特許第102850168号は、エチレンオリゴマー化プロセスを説明し、水、酸素、及び触媒毒の除去を教示する。米国特許第10,160,696号はまた、オリゴマー化が、典型的には、酸素、水、及び触媒毒として作用する他の材料を実質的に排除する条件下で行われることを教示する。この特許は、触媒を反応器に導入する前に、反応器を窒素又はアルゴンでパージすることを更に教示する。
【0005】
所望のK因子及び生成物品質を有するオリゴマー化生成物分布を有するアルファ-オレフィンの生成量増加を提供し得る改善されたプロセスを開発することは有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,683,187号明細書
【特許文献2】米国特許第7,304,159号明細書
【特許文献3】中国特許第102850168号明細書
【特許文献4】米国特許第10,160,696号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、アルファ-オレフィンを生成するためのプロセスを提供し、エチレン供給物を、オリゴマー化反応ゾーンにおいてオリゴマー化反応条件下でオリゴマー化触媒系と接触させて、アルファ-オレフィンを含む生成物流を生成することを含み、触媒系は、鉄-配位子錯体及び共触媒を含み、オリゴマー化反応ゾーンは、酸素対鉄のモル比1:1~200:1で酸素を含む。
【0008】
本発明は、アルファ-オレフィンを生成するためのプロセスを更に提供し、エチレン供給物を、オリゴマー化反応ゾーンにおいてオリゴマー化反応条件下でオリゴマー化触媒系と接触させて、アルファ-オレフィンを含む生成物流を生成することを含み、触媒系は、鉄-配位子錯体及びアルミニウムを含む共触媒を含み、オリゴマー化反応ゾーンは、1:5未満の酸素対MMAO中アルミニウムのモル比で酸素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1において説明されるパイロットプラント実験におけるアルファオレフィン生成速度を描写する。
図2】実施例2において説明されるパイロットプラント実験におけるアルファオレフィン生成速度を描写する。
図3】実施例3において説明されるパイロットプラント実験におけるアルファオレフィン生成速度を描写する。
図4】実施例において使用されるパイロットプラント構成を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本プロセスは、供給物を、オリゴマー化条件下でオリゴマー化反応ゾーンにおいて、オリゴマー化触媒系及び共触媒と接触させることによって、オレフィン供給物をより高次のオリゴマー生成物流に変換することを含む。一実施形態では、エチレン供給物は、オリゴマー化条件下で鉄-配位子錯体及び修飾メチルアルミノキサンと接触させて、特定のk因子を有するアルファオレフィンの生成物スレートを生成し得る。
【0011】
このプロセスは、酸素の存在下でオリゴマー化反応を行うことを含む。酸素の添加は、先行技術の教示とは対照的に、エチレン流に酸素を添加することによる好ましい実施形態では、本明細書において説明されるオリゴマー化プロセスにおいて、アルファ-オレフィンの生成量を実際に改善することが見出された。
【0012】
オレフィン供給物
プロセスへのオレフィン供給物は、エチレンを含む。供給物はまた、3~8個の炭素原子を有するオレフィンを含み得る。エチレンは、不純物、特に反応、生成物品質に影響を与えるか又は触媒を損傷する不純物を除去するために前処理され得る。一実施形態では、エチレンは、水を除去するために乾燥され得る。当業者に既知の任意の前処理方法を使用して、供給物を前処理することができる。
【0013】
酸素
先行技術は、触媒を導入する前に、エチレン供給物及び反応器から酸素を除去することを教示する。この教示とは対照的に、このプロセスは、酸素の存在下でより良好に動作することが見出された。酸素は、当業者に既知の任意の様式で反応器に添加され得る。酸素は、他の気体、例えば、窒素の存在下で供給され得る。一実施形態では、空気が、反応器に供給される。
【0014】
オリゴマー化反応ゾーンは、1:1~200:1の酸素対鉄のモル比で酸素を含む。反応ゾーンは、好ましくは、1.5:1~100:1、より好ましくは、2:1~50:1、更により好ましくは、2:1~20:1、最も好ましくは、2:1~6:1の酸素対鉄のモル比で酸素を含む。反応ゾーンは、3:1~6:1の酸素対鉄のモル比で酸素を含み得る。
【0015】
一実施形態では、エチレン供給物は、反応ゾーン内の酸素濃度を提供するのに十分な量の酸素を含む。別の実施形態では、酸素は、酸素を反応ゾーンに提供するために、エチレン供給物に添加される。別の実施形態では、酸素は、反応ゾーンに別個に供給される。
【0016】
一実施形態では、酸素は、反応ゾーンに供給される前に鉄-配位子錯体と組み合わされる。別の実施形態では、酸素は、反応ゾーンに供給される前に共触媒と組み合わされる。
【0017】
オリゴマー化反応ゾーンは、1:5未満の酸素対MMAO中のアルミニウムのモル比で酸素を含み得る。反応ゾーンは、好ましくは、1:5~1:20の酸素対MMAO中のアルミニウムのモル比で酸素を含む。
【0018】
オリゴマー化触媒
オリゴマー化触媒系は、本明細書に更に説明されるような1つ以上のオリゴマー化触媒を含み得る。オリゴマー化触媒は、オリゴマー化プロセスを触媒するために有効な金属-配位子錯体である。配位子は、ビス(アリールイミノ)ピリジン化合物、ビス(アルキルイミノ)ピリジン化合物又は混合アリール-アルキルイミノピリジン化合物を含み得る。
【0019】
配位子
一実施形態では、配位子は、ピリジンビス(イミン)基を含む。配位子は、式Iの構造を有するビス(アリールイミノ)ピリジン化合物であり得る。
【0020】
【化1】
【0021】
、R及びRは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ又は不活性官能基である。R及びRは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ又は不活性官能基である。R及びRは、各々独立して、式IIに示されるようなアリール基である。1つの配位子上の2つのアリール基(R及びR)は、同じ又は異なり得る。
【0022】
【化2】
【0023】
、R、R10、R11、R12は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ、不活性官能基、フッ素、又は塩素である。一緒になって互いに近接するR~R、及びR~R11のうちの任意の2つは、環を形成し得る。R12は、R11、R又はRと一緒になって、環を形成し得る。R及びR又はR及びRは、一緒になって、環を形成し得る。
【0024】
ヒドロカルビル基は、炭素及び水素のみを含有する基である。この基の炭素原子の数は、好ましくは、1~30個の範囲内にある。
【0025】
任意選択的に置換されたヒドロカルビルは、1つ以上の「不活性」ヘテロ原子含有官能基を任意選択的に含有するヒドロカルビル基である。不活性とは、官能基が、オリゴマー化プロセスを任意の実質的な程度まで妨害しないことを意味する。これらの不活性基の例としては、適切な立体遮蔽を有するフロリド、クロリド、ヨージド、スタンナン、エーテル、水酸化物、アルコキシド、及びアミンが挙げられる。任意選択的に置換されたヒドロカルビル基は、一級、二級及び三級炭素原子基を含み得る。
【0026】
一級炭素原子基は、-CH-R基であり、式中、Rは、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル又は不活性官能基であり得る。一級炭素原子基の例としては、-CH、-C、-CHCl、-CHOCH、-CHN(C、及び-CHPhが挙げられる。二級炭素原子基は、-CH-R又は-CH(R)(R’)基であり、式中、R及びR’は、任意選択的に置換されたヒドロカルビル又は不活性官能基であり得る。二級炭素原子基の例としては、-CH(CH、-CHCl、-CHPh、-CH(CH)(OCH)、-CH=CH、及びシクロヘキシルが挙げられる。三級炭素原子基は、-C-(R)(R’)(R”)基であり、式中、R、R’、及びR”は、任意選択的に置換されたヒドロカルビル又は不活性官能基であり得る。三級炭素原子基の例としては、-C(CH、-CCl、-C≡CPh、1-アダマンチル、及び-C(CH(OCH)が挙げられる。
【0027】
不活性官能基は、オリゴマー化条件下で不活性である、任意選択的に置換されたヒドロカルビル以外の基である。不活性は、上で提供されたものと同じ意味を有する。不活性官能基の例としては、ハライド、エーテル、及びアミン、特に三級アミンが挙げられる。
【0028】
~R、R~R12及びR13~R17の置換基のバリエーションは、配位子の他の特性、例えば、非極性溶媒中での溶解性を増強するように選択され得る。式3に示される構造を有する可能なオリゴマー化触媒のいくつかの実施形態は、以下に更に説明される。
【0029】
【化3】
【0030】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11及びR14~R16は、水素であり、R、R12、R13及びR17は、フッ素である。
【0031】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R10、R12、R14及びR16は、水素であり、R13、R15及びR17は、メチルであり、R及びR11は、tert-ブチルである。
【0032】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R12、R14及びR16は、水素であり、R13、R15及びR17は、メチルであり、R及びR11は、フェニルであり、R10は、アルコキシである。
【0033】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R10、R11及びR14~R16は、水素であり、R及びR12は、メチルであり、R13及びR17は、フッ素である。
【0034】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11及びR14~R16は、水素であり、R及びRは、フェニルであり、R、R12、R13及びR17は、フッ素である。
【0035】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R、R11~R12、R13~R14及びR16~R17は、水素であり、R10及びR15は、フッ素である。
【0036】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R10、R12、R13、R15及びR17は、水素であり、R、R11、R14及びR16は、フッ素である。
【0037】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11~R12、R14及びR16~R17は、水素であり、R、R10、R13及びR15は、フッ素である。
【0038】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R、R11~R12、R14及びR16は、水素であり、R10は、tert-ブチルであり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0039】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、R14及びR16は、水素であり、Rは、フッ素であり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0040】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、R13、R15及びR17は、水素であり、Rは、tert-ブチルであり、R14及びR16は、メチルである。
【0041】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、R13~R14及びR16~R17は、水素であり、R及びR15は、tert-ブチルである。
【0042】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R10、R13~R14及びR16~R17は、水素であり、R15は、tert-ブチルであり、R11及びR12は、一緒になって、アリール基を形成する。
【0043】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、R14~R17は、水素であり、R及びR13は、メチルである。
【0044】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R、R11~R12、R14及びR16は、水素であり、R10は、フッ素であり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0045】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R10、R12、R14及びR16は、水素であり、R及びR11は、フッ素であり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0046】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R、R11~R12、R14及びR16は、水素であり、R10は、アルコキシであり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0047】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R、R11~R12、R14及びR16は、水素であり、R10は、シリルエーテルであり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0048】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R10、R12、R14~R16は、水素であり、R及びR11は、メチルであり、R13及びR17は、エチルである。
【0049】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、及びR14~R17は、水素であり、R及びR13は、エチルである。
【0050】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11及びR14~R16は、水素であり、R、R12、R13及びR17は、塩素である。
【0051】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11、R14及びR16は、水素であり、R、R10、R12、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0052】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R10、R12、R14~R15及びR17は、水素であり、R、R11、R13及びR16は、メチルである。
【0053】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R17は、水素である。
【0054】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R10、R12、R13、R15及びR17は、水素であり、R、R11、R14及びR16は、tert-ブチルである。
【0055】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、R14及びR16は、水素であり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0056】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11~R12、R14及びR16は、水素であり、R及びR10は、フッ素であり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0057】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11~R12、R14及びR16~R17は、水素であり、R、R10、R13及びR15は、メチルである。
【0058】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11及びR14~R16は、水素であり、R及びR12は、塩素であり、R13及びR17は、フッ素である。
【0059】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R10、R12、R14及びR16は、水素であり、R、R11、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0060】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11及びR13~R14及びR16~R17は、水素であり、R及びR12は、塩素であり、R15は、tert-ブチルである。
【0061】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11及びR13~R17は、水素であり、R及びR12は、塩素である。
【0062】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、及びR14~R17は、水素であり、R及びR13は、塩素である。
【0063】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11~R12、R14及びR16~R17は、水素であり、R、R10、R13及びR15は、塩素である。
【0064】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11~R12、及びR14、R16~R17は、水素であり、R10及びR15は、メチルであり、R及びR13は、塩素である。
【0065】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11及びR13~R14及びR16~R17は、水素であり、R15は、フッ素であり、R及びR12は、塩素である。
【0066】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R、R11~R12、R14~R15及びR17は、水素であり、R10は、tert-ブチルであり、R13及びR16は、メチルである。
【0067】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11、R14及びR16は、水素であり、R及びR12は、フッ素であり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0068】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R10、R12、R14~R15及びR17は、水素であり、R及びR13は、メチルであり、R11及びR16は、イソプロピルである。
【0069】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12及びR14~R16は、水素であり、Rは、エチルであり、R13及びR17は、フッ素である。
【0070】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R10、R12、R14~R15及びR17は、水素であり、Rは、メトキシであり、R、R11、R13及びR16は、メチルである。
【0071】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、R14及びR16は、水素であり、Rは、メトキシであり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0072】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、及びR14~R17は、水素であり、Rは、メトキシであり、R及びR13は、エチルである。
【0073】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11~R12、R14及びR16~R17は、水素であり、Rは、tert-ブチルであり、R、R10、R13及びR15は、メチルである。
【0074】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R~R12、R14及びR16は、水素であり、Rは、tert-ブチルであり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0075】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11、R14及びR16は、水素であり、Rは、メトキシであり、R、R10、R12、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0076】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11、R14及びR16は、水素であり、Rは、アルコキシであり、R、R10、R12、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0077】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11、R14及びR16は、水素であり、Rは、tert-ブチルであり、R、R10、R12、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0078】
別の実施形態では、配位子は、式Iの構造を有する化合物であり得、式中、R及びRのうちの1つは、式IIに示されるアリールであり、R及びRのうちの1つは、式IVに示されるピリジルである。別の実施形態では、R及びRは、ピロリルであり得る。
【0079】
【化4】
【0080】
、R及びRは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ、又は不活性官能基である。R及びRは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ、又は不活性官能基である。R~R12及びR18~R21は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ、不活性官能基、フッ素、又は塩素である。一緒になって互いに近接するR~R、及びR~R11のうちの任意の2つは、環を形成し得る。R12は、R11、R又はRと一緒になって、環を形成し得る。R及びR又はR及びRは、一緒になって、環を形成し得る。
【0081】
【化5】
【0082】
一実施形態では、式Vの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11及びR18~R21は、水素であり、R、R10及びR12は、メチルである。
【0083】
一実施形態では、式Vの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11及びR18~R21は、水素であり、R及びR12は、エチルである。
【0084】
別の実施形態では、配位子は、式Iの構造を有する化合物であり得、式中、R及びRのうちの1つは、式IIに示されるアリールであり、R及びRのうちの1つは、式VIに示されるシクロヘキシルである。別の実施形態では、R及びRは、シクロヘキシルであり得る。
【0085】
【化6】
【0086】
、R及びRは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ、又は不活性官能基である。R及びRは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ、又は不活性官能基である。R~R12及びR22~R26は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ、不活性官能基、フッ素、又は塩素である。一緒になって互いに近接するR~R、及びR~R11のうちの任意の2つは、環を形成し得る。R12は、R11、R又はRと一緒になって、環を形成し得る。R及びR又はR及びRは、一緒になって、環を形成し得る。
【0087】
【化7】
【0088】
一実施形態では、式VIIの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11及びR22~R26は、水素であり、R、R10及びR12は、メチルである。
【0089】
別の実施形態では、R及びRは、アダマンチル又は別のシクロアルカンであり得る。
【0090】
別の実施形態では、配位子は、式Iの構造を有する化合物であり得、式中、R及びRのうちの1つは、式IIに示されるアリールであり、R及びRのうちの1つは、式VIIIに示されるフェロセニルである。別の実施形態では、R及びRは、フェロセニルであり得る。
【0091】
【化8】
【0092】
、R及びRは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ又は不活性官能基である。R及びRは、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ、又は不活性官能基である。R~R12及びR27~R35は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ、不活性官能基、フッ素、又は塩素である。一緒になって互いに近接するR~R、及びR~R11のうちの任意の2つは、環を形成し得る。R12は、R11、R又はRと一緒になって、環を形成し得る。R及びR又はR及びRは、一緒になって、環を形成し得る。
【0093】
【化9】
一実施形態では、式IXの配位子が提供され、式中、R~R、R、R11及びR27~R35は、水素であり、R、R10及びR12は、メチルである。
【0094】
一実施形態では、式IXの配位子が提供され、式中、R~R、R~R11、及びR27~R35は、水素であり、R及びR12は、エチルである。
【0095】
別の実施形態では、配位子は、ビス(アルキルアミノ)ピリジンであり得る。アルキル基は、1~50個の炭素原子を有し得る。アルキル基は、一級、二級、又は三級アルキル基であり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され得る。アルキル基は、任意のn-アルキル又は5個以上の炭素原子を有するn-アルキルの構造異性体、例えば、n-ペンチル、2-メチル-ブチル、及び2,2-ジメチルプロピルから選択され得る。
【0096】
別の実施形態では、配位子は、2つのアルキル基が異なる、アルキル-アルキルイミノピリジンであり得る。ビス(アルキルアミノ)ピリジンに好適であるとして上で説明されたアルキル基のいずれも、このアルキル-アルキルイミノピリジンにも好適である。
【0097】
別の実施形態では、配位子は、アリールアルキルイミノピリジンであり得る。アリール基は、ビス(アリールイミノ)ピリジン化合物に関して説明されたアリール基のいずれかと同様の性質のものであり得、アルキル基は、ビス(アルキルアミノ)ピリジン化合物に関して説明されたアルキル基のいずれかと同様の性質のものであり得る。
【0098】
本明細書において上で説明された配位子構造に加えて、これらの配位子の任意の2つ以上の特徴を組み合わせた任意の構造が、このプロセスに関して好適な配位子であり得る。更に、オリゴマー化触媒系は、説明されたオリゴマー化触媒のうちのいずれか1つ以上の組み合わせを含み得る。
【0099】
配位子原料は、0~10重量%のビスイミンピリジン不純物、好ましくは、0~1重量%のビスイミンピリジン不純物、最も好ましくは、0~0.1重量%のビスイミンピリジン不純物を含有し得る。この不純物は、反応器中でポリマーの形成を引き起こすと考えられるので、触媒系中に存在するこの不純物の量を制限することが好ましい。
【0100】
一実施形態では、ビスイミンピリジン不純物は、式IIの配位子であり、式中、R、R12、R13、及びR17のうちの3つは、各々独立して、任意選択的に置換されたヒドロカルビルである。
【0101】
一実施形態では、ビスイミンピリジン不純物は、式IIの配位子であり、式中、R、R12、R13、及びR17の4つ全てが、各々独立して、任意選択的に置換されたヒドロカルビルである。
【0102】
金属
金属は、遷移金属であり得、金属は、好ましくは、式MXを有する化合物として存在し、式中、Mは、金属であり、Xは、モノアニオンであり、nは、モノアニオンの数(及び金属の酸化状態)を表す。
【0103】
金属は、任意の4~10族遷移金属を含むことができる。金属は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、及びロジウムからなる群から選択することができる。一実施形態では、金属は、コバルト又は鉄である。好ましい実施形態では、金属は、鉄である。金属化合物の金属は、2~6の任意の正の形式的酸化状態を有することができ、好ましくは、2又は3である。
【0104】
モノアニオンは、ハライド、カルボキシレート、β-ジケトネート、ヒドロカルボキシド、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、アミド、又は水素化物を含み得る。ヒドロカルボキシドは、アルコキシド、アリールオキシド、又はアラルコキシドであり得る。ハライドは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり得る。
【0105】
カルボキシレートは、任意のC~C20カルボキシレートであり得る。カルボキシレートは、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエート、ノナノエート、デカノエート、ウンデカノエート、又はドデカノエートであり得る。加えて、カルボキシレートは、2-エチルヘキサノエート又はトリフルオロアセテートであり得る。
【0106】
β-ジケトネートは、任意のC~C20β-ジケトネートであり得る。β-ジケトネートは、アセチルアセトネート、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、又はベンゾイルアセトネートであり得る。
【0107】
ヒドロカルボキシドは、任意のC~C20ヒドロカルボキシドであり得る。ヒドロカルボキシドは、C~C20アルコキシド、又はC~C20アリールオキシドであり得る。アルコキシドは、メトキシド、エトキシド、プロポキシド(例えば、イソ-プロポキシド)、又はブトキシド(例えば、tert-ブトキシド)であり得る。アリールオキシドは、フェノキシドであり得る。
【0108】
概して、モノアニオンの数は、金属原子の形式的酸化状態に等しい。
【0109】
金属化合物の好ましい実施形態としては、鉄アセチルアセトネート、塩化鉄、及び鉄ビス(2-エチルヘキサノエート)が挙げられる。オリゴマー化触媒に加えて、共触媒が、オリゴマー化反応において使用される。
【0110】
共触媒
共触媒は、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基又はヒドリド基を触媒の金属原子に移動させることができ、また金属原子MからX基を引き抜くこともできる化合物であり得る。共触媒はまた、電子移動試薬として機能すること、又は活性触媒のための立体障害対イオンを提供することも可能であり得る。
【0111】
共触媒は、2つの化合物、例えば、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基又はヒドリド基を金属原子Mに移動させることが可能である1つの化合物と、金属原子MからX基を引き抜くことが可能である別の化合物と、を含み得る。任意選択的に置換されたヒドロカルビル基又はヒドリド基を金属原子Mに移動させるための好適な化合物としては、有機アルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物、グリニャール、アルキルスズ、及びアルキル亜鉛化合物が挙げられる。金属原子MからX基を引き抜くために好適な化合物としては、SbF、BF、及びArBなどの強中性ルイス酸が挙げられ、式中、Arは、C又は3,5-(CFなどの強電子求引性アリール基である。中性ルイス酸供与体分子は、エーテル、アミン、スルフィド、及び有機ニトリルなどの、ルイス塩基として好適に作用し得る化合物である。
【0112】
共触媒は、好ましくは、有機アルミニウム化合物であり、これはアルキルアルミニウム化合物、アルミノキサン、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0113】
アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムアルコキシド、又はこれらの組み合わせであり得る。アルキルアルミニウム化合物のアルキル基は、任意のC~C20アルキル基であり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、又はオクチルであり得る。アルキル基は、イソアルキル基であり得る。
【0114】
トリアルキルアルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum、TMA)、トリエチルアルミニウム(triethylaluminum、TEA)、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリヘプチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、又はこれらの混合物を含み得る。トリアルキルアルミニウム化合物は、トリ-n-プロピルアルミニウム(tri-n-propylaluminum、TNPA)、トリ-n-ブチルアルミニウム(tri-n-butylaluminum、TNBA)、トリ-イソ-ブチルアルミニウム(tri-iso-butylaluminum、TIBA)、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム(tri-n-octylaluminum、TNOA)を含み得る。
【0115】
アルキルアルミニウムハライドのハライド基は、クロリド、ブロマイド、又はヨージドであり得る。アルキルアルミニウムハライドは、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、又はこれらの混合物であり得る。
【0116】
アルキルアルミニウムアルコキシドのアルコキシド基は、任意のC~C20アルコキシ基であり得る。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、又はオクトキシであり得る。アルキルアルミニウムアルコキシドは、ジエチルアルミニウムエトキシドであり得る。
【0117】
アルミノキサン化合物は、メチルアルミノキサン(methylaluminoxane、MAO)、エチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン(modified methylaluminoxane、MMAO)、n-プロピルアルミノキサン、イソ-プロピル-アルミノキサン、n-ブチルアルミノキサン、sec-ブチルアルミノキサン、イソ-ブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、1-ペンチル-アルミノキサン、2-ペンチル-アルミノキサン、3-ペンチル-アルミノキサン、イソーペンチル-アルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、又はこれらの混合物であり得る。
【0118】
好ましい共触媒は、修飾メチルアルミノキサンである。修飾メチルアルミノキサンの合成は、トリメチルアルミニウムに加えて他のトリアルキルアルミニウム化合物の存在下で行われ得る。生成物は、添加されたトリアルキルアルミニウムからメチル基及びアルキル基の両方を組み込み、修飾メチルアルミノキサン、MMAOと称される。MMAOは、非極性反応媒体中でより可溶性であるか、貯蔵に対してより安定性であるか、共触媒として増強された性能を有するか、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。結果として得られるMMAOの性能は、トリアルキルアルミニウム出発材料又は2つの出発材料の単純な混合物のいずれかよりも優れている可能性がある。添加されたトリアルキルアルミニウムは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、又はトリイソオクチルアルミニウムであり得る。一実施形態では、共触媒は、MMAOであり、好ましくは、メチル基の約25%がイソブチル基と置換される。
【0119】
一実施形態では、共触媒は、適切な前駆体を反応器内に提供することによって反応器内でその場で形成され得る。
【0120】
溶媒
1つ以上の溶媒が、反応において使用され得る。溶媒は、触媒若しくは共触媒を溶解するか、若しくは懸濁させ、かつ/又はエチレンを溶解した状態に保つために使用され得る。溶媒は、これらの成分又は反応生成物のいずれかの溶解性を修飾することができる任意の溶媒であり得る。好適な溶媒としては、炭化水素、例えば、アルカン、アルケン、シクロアルカン、及び芳香族化合物が挙げられる。異なる溶媒が、本プロセスにおいて使用され得、例えば、ある溶媒を、触媒に使用し、別の溶媒を、共触媒に使用することができる。溶媒は、生成物分離工程をより困難にするので、アルファオレフィン生成物のいずれの沸点とも実質的に類似しない沸点を有することが好ましい。
【0121】
芳香族化合物
芳香族溶媒は、好ましくは、6~20個の炭素数を有する芳香族炭化水素を含有する任意の溶媒であり得る。これらの溶媒は、純粋な芳香族、又は純粋な芳香族の混合物、異性体、並びにより重い溶媒、例えば、C及びC10溶媒を含み得る。好適な芳香族溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン(オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、及びこれらの混合物を含む)、並びにエチルベンゼンが挙げられる。
【0122】
アルカン
アルカン溶媒は、アルキル炭化水素を含有する任意の溶媒であり得る。これらの溶媒は、3~20個の炭素原子を有する直鎖アルカン及び分岐又はイソ-アルカン、並びにこれらのアルカンの混合物を含み得る。アルカンは、シクロアルカンであり得る。好適な溶媒としては、プロパン、イソ-ブタン、n-ブタン、ブタン(n-ブタン又は直鎖及び分岐C非環式アルカンの混合物)、ペンタン(n-ペンタン又は直鎖及び分岐鎖非環式アルカンの混合物)、ヘキサン(n-ヘキサン又は直鎖及び分岐鎖C非環式アルカンの混合物)、ヘプタン(n-ヘプタン又は直鎖及び分岐鎖C非環式アルカンの混合物)、オクタン(n-オクタン又は直鎖及び分岐鎖C非環式アルカンの混合物)、並びにイソオクタンが挙げられる。好適な溶媒としては、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンも挙げられる。一実施形態では、溶媒は、C、C及びCアルカンを含み、これらは、直鎖、分岐、及びイソ-アルカンを含み得る。
【0123】
触媒系
触媒系は、配位子、金属、共触媒、及び任意選択的な追加の化合物を溶媒中でともに混合することによって、形成され得る。供給物は、この工程中に存在し得る。
【0124】
一実施形態では、触媒系は、金属又は金属化合物を配位子と接触させて、触媒前駆体混合物を形成し、次いで触媒前駆体混合物を反応器内で共触媒と接触させて、触媒系を形成することによって、調製され得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、触媒系は、反応容器の外側で調製され、反応容器に供給され得る。他の実施形態では、触媒系は、触媒系の成分の各々を別個に反応器に通すことによって、反応容器内で形成され得る。他の実施形態では、1つ以上の触媒前駆体は、反応器の外側で少なくとも2つの成分を組み合わせ、次いで1つ以上の触媒前駆体を反応器に通して、触媒系を形成することによって形成され得る。
【0126】
反応条件
オリゴマー化反応は、オリゴマー化触媒及び共触媒の存在下でオレフィン供給物をより高次のオリゴマー生成物流に変換する反応である。
【0127】
温度
オリゴマー化反応は、-100℃~300℃の温度範囲にわたって、好ましくは、0℃~200℃の範囲内で、より好ましくは、50℃~150℃の範囲内で、最も好ましくは、70℃~130℃の範囲内で行われ得る。
【0128】
圧力
オリゴマー化反応は、0.01~15MPa、より好ましくは、1~10MPaの圧力で行われ得る。
【0129】
オリゴマーの収率を最大化し、競争反応、例えば、二量体化及び重合の影響を最小限に抑えるために、特定の触媒系に使用される温度及び圧力の最適条件は、当業者によって判定することができる。温度及び圧力は、0.40~0.90の範囲内、好ましくは、0.45~0.80の範囲内、より好ましくは、0.5~0.7の範囲内にあるK因子を有する生成物スレートを生じさせるように選択される。
【0130】
滞留時間
触媒の活性に応じて、3~60分の反応器中の滞留時間が、好適であることが見出された。一実施形態では、反応は、空気及び水分の非存在下で行われる。
【0131】
気相、液相、又は気液混合相
オリゴマー化反応は、反応条件における供給物及び生成物オレフィンの揮発性に応じて、液相又は気液混合相で行われ得る。
【0132】
反応器タイプ
オリゴマー化反応は、従来の様式で行われ得る。これは、撹拌タンク反応器中で行われ得、溶媒、オレフィン、及び触媒又は触媒前駆体が、撹拌タンクに連続的に添加され、溶媒、生成物、触媒、及び未使用の反応物が、生成物が分離された状態で撹拌タンクから取り出され、未使用の反応物が撹拌タンクに再循環されて戻る。
【0133】
別の実施形態では、オリゴマー化反応は、回分式反応器内で行われ得、触媒前駆体及び反応物オレフィンは、オートクレーブ又は他の容器に充填され、適切な時間反応させた後、生成物は、従来の手段、例えば、蒸留によって反応混合物から分離される。
【0134】
別の実施形態では、オリゴマー化反応は、ガスリフト反応器内で行われ得る。このタイプの反応器は、2つの垂直セクション(上昇管セクション及び下降管セクション)、並びに上部に気体分離器を有する。気体供給物(エチレン)は、上昇管セクションの底部で注入されて、ループの周りの循環を駆動する(上昇管セクションを上昇させ、下降管セクションを下降させる)。
【0135】
別の実施形態では、オリゴマー化反応は、ポンプループ反応器内で行われ得る。このタイプの反応器は、2つの垂直セクションを有し、ループの周りの循環を駆動するためにポンプを使用する。ポンプループ反応器は、ガスリフト反応器よりも高い循環速度で動作させることができる。
【0136】
別の実施形態では、オリゴマー化反応は、貫流反応器内で行われ得る。このタイプの反応器は、反応器の入口に及び/又は反応器の長さに沿って、触媒、共触媒、溶媒、及びエチレンを供給し、生成物は、反応器出口で収集される。このタイプの反応器の一例は、プラグフロー反応器である。
【0137】
触媒の不活性化
オリゴマー化反応で生成される高級オリゴマーは、反応工程からの触媒を含有する。副生成物及び他の望ましくない成分を生成し得る更なる反応を停止させるために、反応器から下流の触媒を不活性化することが重要である。
【0138】
一実施形態では、触媒は、25未満のpK(aq)を有する酸性種の添加によって不活性化される。次いで、不活性化された触媒は、液体/液体抽出器中で水洗することによって除去することができる。
【0139】
生成物の分離
結果として得られるアルファ-オレフィンは、4~100個の炭素原子、好ましくは、4~30個の炭素原子、最も好ましくは、4~20個の炭素原子の鎖長を有する。アルファ-オレフィンは、偶数のアルファ-オレフィンである。
【0140】
生成物オレフィンは、生成物の使用目的に応じて、蒸留又は他の分離技術によって回収することができる。反応において使用される溶媒は、好ましくは、分離をより容易にするために、アルファ-オレフィン生成物のいずれの沸点とも異なる沸点を有する。
【0141】
一実施形態では、蒸留工程は、エチレンと主要な線状アルファオレフィン生成物、例えば、ブテン、ヘキセン、及びオクテンとを分離するためのカラムを備える。
【0142】
生成物の品質及び特性
本プロセスによって生成される生成物は、多くの用途において使用され得る。このプロセスによって生成されるオレフィンは、他のプロセスによって生成されるオレフィンと比較して改善された品質を有し得る。一実施形態では、生成されたブテン、ヘキセン、及び/又はオクテンは、ポリエチレンを作製する際のコモノマーとして使用され得る。一実施形態では、生成されたオクテンは、可塑剤アルコールを生成するために使用され得る。一実施形態では、生成されたデセンは、ポリアルファオレフィンを生成するために使用され得る。一実施形態では、生成されたドデセン及び/又はテトラデセンは、アルキルベンゼン及び/又は洗剤アルコールを生成するために使用され得る。一実施形態では、生成されたヘキサデセン及び/又はオクタデセンは、アルケニルスクシネート及び/又は油田化学物質を生成するために使用され得る。一実施形態では、C20+生成物は、潤滑油添加剤及び/又はワックスを生成するために使用され得る。
【0143】
再循環
生成物とともに反応器から取り出される任意の未反応エチレンの一部分は、反応器に再循環され得る。このエチレンは、生成物を分離するために使用される蒸留工程において回収され得る。エチレンは、新鮮なエチレン供給物と組み合わされ得るか、又は反応器に別個に供給され得る。
【0144】
反応において使用される任意の溶媒の一部分は、反応器に再循環され得る。溶媒は、生成物を分離するために使用される蒸留工程において回収され得る。
【0145】
酸素
先行技術の教示とは対照的に、オリゴマー化プロセスへの酸素の添加は、触媒活性における著しい増加をもたらした。更に、酸素の添加は、110℃を上回る温度で動作するとき、触媒の自己制限的挙動を抑制する。これらの温度で、酸素なしで、触媒は、初期期間に高い生成量を有するが、その後、経時的に自己制限的になり、そのため追加の鉄/配位子及びMMAOは、活性における増加をもたらさない。以下に提供される実施例は、オリゴマー化反応ゾーンへの酸素の添加と関連付けられた、これら及び他の利点を実証する。
【0146】
酸素は、反応ゾーンへのエチレン供給物に添加され得るか、又はエチレン供給物とは別個に反応ゾーンに添加され得る。一実施形態では、エチレンは、酸素を含む。別の実施形態では、エチレンは、酸素を除去するように処理され、その後、エチレンを反応ゾーンに供給する前に、特定の濃度の酸素が、エチレンに添加される。
【0147】
酸素は、オリゴマー化反応ゾーンに十分な酸素を提供するような濃度で添加され、そのためアルファ-オレフィンの生成量は、同じ条件下であるが酸素を含まないアルファ-オレフィンの生成量の少なくとも1.1倍、好ましくは、少なくとも生成量の1.2倍、より好ましくは、少なくとも生成量の1.3倍、最も好ましくは、少なくとも生成量の1.5倍である。
【0148】
オリゴマー化反応ゾーンに供給される酸素の量は、オリゴマー化反応ゾーンの動作に応じて、いくつかの異なる方法で判定され得る。一実施形態では、酸素は、1:1~200:1のオリゴマー化反応ゾーンに供給される酸素対鉄のモル比でオリゴマー化反応ゾーンに供給される。他の実施形態では、酸素及び鉄のオリゴマー化反応ゾーンへの供給物は、少なくとも1:1、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、又は少なくとも3:1の酸素対鉄のモル比である。他の実施形態では、酸素及び鉄のオリゴマー化反応ゾーンへの供給物は、最大200:1、最大100:1、最大50:1、最大20:1、又は最大6:1の酸素対鉄のモル比である。
【0149】
オリゴマー化反応ゾーンへの供給物中の酸素は、上記の下限のうちの1つ及び上記の上限のうちの1つによって指定される任意の範囲内にあり得る。例えば、酸素のオリゴマー化反応ゾーンへの供給物は、1:1~200:1、好ましくは、1.5:1~100:1、より好ましくは、2:1~50:1、最も好ましくは、2:1~20:1の酸素対鉄のモル比であり得る。他の実施形態では、酸素のオリゴマー化反応ゾーンへの供給物は、2:1~6:1、好ましくは、3:1~6:1の酸素対鉄のモル比であり得る。
【0150】
別の実施形態では、共触媒は、MMAOを含み、供給される酸素供給物は、酸素対MMAO中のアルミニウムのモル比に関して測定される。MMAO中のアルミニウムは、供給元の分析証明書に報告され、活性アルミニウムは、AIR3として活性である、共触媒中のアルミニウムの量として定義される。以下の実施例における活性アルミニウムは、MMAO中の総アルミニウムの39%である。
【0151】
一実施形態では、酸素のオリゴマー化反応ゾーンへの供給物は、1:5未満の酸素対MMAO供給物中のアルミニウムのモル比である。別の実施形態では、酸素のオリゴマー化反応ゾーンへの供給物は、1:5~1:20の酸素対MMAO供給物中のアルミニウムのモル比である。
【0152】
別の実施形態では、オリゴマー化反応ゾーンに対する酸素供給物は、反応ゾーンの含有量に基づいて計算される。一実施形態では、酸素のオリゴマー化反応ゾーンへの供給物は、オリゴマー化反応ゾーンの含有量に基づいて計算された、0.2~200ppmwの濃度である。別の実施形態では、酸素のオリゴマー化反応ゾーンへの供給物は、0.5~100ppmwの濃度である。更なる実施形態では、酸素のオリゴマー化反応ゾーンへの供給物は、1~60ppmwの濃度である。これらの全ては、オリゴマー化反応ゾーンの内容物に基づいて計算される。
【実施例
【0153】
これらの実施例は、図4に描写され、本明細書において更に説明されるガスリフト反応器内で行われた。実施例は全て、ガスリフト反応器の同じ動作運転の一部として行われたが、反応ゾーンへの触媒-配位子流及び共触媒流の供給は、各実施例について変化させた。
【0154】
図4は、アルファオレフィン(alpha olefin、AO)を生成するためのガスリフトループ反応器として連続供給で動作させたエチレンオリゴマー化反応器を描写する。反応器容積は、9.5Lであり、典型的な循環速度は、0.6~1.1m/秒であった。ガスリフト反応器のための循環は、上昇管110の底部でエチレンを注入することによって提供される。上昇管内の気体ホールドアップは、上昇管110と下降管120との間に水頭圧差を生じさせ、下降管を下って上昇管を上る液体循環を駆動する。
【0155】
上昇管及び下降管は、各々、発熱オリゴマー化反応から熱を除去するための外側熱交換器シェルを有する同軸パイプである。交換器内の加熱伝達流体は、水であり、各交換器は、入口及び出口に内部温度インジケータプローブ、並びに反応熱を定量化するための質量流量コントローラを有する。反応器温度は、始動のために反応器を予熱するかために、又はオリゴマー化反応から反応熱を除去するために、ジャケット付き水加熱システムによって制御される。ガスリフト反応器の温度は、60~99℃に制御することができる。加熱システムはまた、121~154℃の温度において溶融モードで動作させることができる。
【0156】
エチレン供給物は、炭素床、分子ふるい床、次いで酸素除去床(図示せず)において前処理され、次いで、反応器動作圧力より約345kPa上回って圧縮され、制御弁を通して反応器に供給される。エチレンは、反応器動作圧力を2.8MPa~6.2MPaに維持するための圧力要求に応じて供給される。調節された0~18kg/時の新鮮なエチレン供給物200は、注入ノズル130を通して反応器底部で供給することによって、エチレンを反応ゾーンに提供する。エチレン再循環圧縮機140は、ガスリフトのためにエチレンを循環させ、0.45~18kg/時で動作する。
【0157】
溶媒供給物は、4.5~11.3kg/時の流量で提供される。溶媒は、触媒供給溶液と混合して反応器に入る前に、ダイヤフラムポンプを通して、次いで2つの制御弁を通して供給される。溶媒流量は、制御弁を使用して2つの触媒供給流に分割される。
【0158】
反応器は、反応器ゾーンに供給される配位子、鉄、及びMMAO触媒溶液のための別個の供給ラインを使用することができる。図4では、配位子及び鉄は、予備錯化され、単一の供給流210として添加される。MMAOは、ライン220を通して添加される。各触媒流は、触媒供給用供給物容器によって供給されるISCOポンプを通して供給される。ISCOポンプ出口は、反応器圧力で動作し、ポンプの供給物速度範囲は、0.001~100ml/分である。MMAO及び配位子/鉄触媒供給物は、各々、反応器に入る前に総溶媒再循環供給物の一部とブレンドされる。
【0159】
反応器上部は、レベルを制御するために、ヒートトレースパイプに液体をオーバーフローさせるオーバーヘッド分離器160を有する。下流バルブは、オーバーフローパイプ内のレベルを制御し、この下流生成物流量170は、蒸留されて、反応器に再循環される溶媒からAO生成物を分離する。液体反応器出口及び下流ラインは、127℃~160℃の温度を維持するために蒸気でヒートトレースされる。
【0160】
オーバーヘッド分離器の上部を出る気相は、冷却器、次いで気体/液体分離器を通過して、再循環圧縮機140の上流で液体を除去する。この気相は、再循環ライン180を介して反応器底部に再循環され、液体供給物は、蒸留に送られる。
【0161】
実施例1
この実施例は、パイロットプラントの単一の運転中に行われた。実施例1a及び1bは、各実施例についてより完全に説明される異なる方法において、酸素添加の影響を実証する。パイロットプラントを、121℃及び3.8MPaで動作させた。溶媒供給物20lbs/時中の触媒濃度は、0.6ppmwのFe、MMAOからの58ppmwのAlであり、Al/Feモル/モル比は、200であった。
【0162】
実施例1a
運転のこの部分では、パイロットプラント反応器への窒素中1.0体積%の酸素の少量の流量を、何度か開始及び停止して、アルファオレフィンの生成量に対する効果を判定した。パイロットプラント試験中の酸素の量及びアルファオレフィンの生成量は、図1に示される。パイロットプラントを、酸素なしで開始させ、システムを定常状態にした。酸素を添加すると、生成量は約6.5ポンド/時から11ポンド/時以上に増加した。酸素を停止すると、生成量は、約7ポンド/時に減少し、酸素を再開すると、生成量は、再び約11ポンド/時に増加した。酸素を再び停止すると、生成量は、約7ポンド/時に減少した。酸素を再開すると、酸素を添加している間に、生成量は、再び約11ポンド/時に増加した。
【0163】
実施例1b
運転のこの部分では、酸素の定常流量(窒素中1.0体積%の酸素)をパイロットプラント反応器中のエチレン供給物に添加して、反応器への酸素添加の影響を更に試験した。パイロットプラント試験中の酸素の量及びアルファオレフィンの生成は、図2に示される。運転のこの部分は、酸素なしで開始したが、次いで窒素中1.0体積%の酸素を、0.015SLPMの速度で添加し、この流量を10時間以上継続した。鉄供給物のモル濃度は、0.4mmol/時のO及び20mmol/時のMMAOからのAlと比較して、0.1mmol/時であった。生成量は、酸素流量が開始される前の約7ポンド/時から、酸素が導入された後の約15ポンド/時まで増加し、10時間にわたってその生成レベルを維持した。
【0164】
実施例3
本実施例では、酸素の影響を試験するために更なる試験を行った。酸素の定常流(窒素中0.1体積%の酸素)を、パイロットプラント反応器に添加して、反応器への酸素添加の影響を更に試験した。パイロットプラントを、121℃及び5.2MPaで動作させた。20ポンド/時の溶媒供給物中の触媒濃度は、0.6ppmwのFe、MMAOからの29ppmwのAlであり、Al/Feモル/モル比は、100であった。酸素を、窒素中0.1体積%の酸素の0.075SLPMの速度で添加した。鉄供給物のモル濃度は、0.2mmol/時のO及び10mmol/時のMMAOからのAlと比較して、0.1mmol/時であった。パイロットプラント試験中の酸素の量及びアルファオレフィンの生成量は、図3に示される。酸素を反応器のエチレン供給物に添加したが、生成速度は、約14ポンド/時であった。酸素を停止すると、生成量は、約7ポンド/時に減少した。酸素を再び導入すると、生成量は、約15ポンド/時に増加した。
【0165】
これらの実施例は、酸素がこの反応器システムに及ぼす影響、及び反応器システム内の酸素の存在が、貴重なアルファオレフィンの生成量を増加させることを実証する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】