(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】アルファオレフィンを生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 2/08 20060101AFI20231226BHJP
C07C 11/02 20060101ALI20231226BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20231226BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
C07C2/08
C07C11/02
B01J31/22 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536082
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 US2021063462
(87)【国際公開番号】W WO2022132869
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002105
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンパリン,グレン・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ヒジェ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE36B
4G169CB47
4G169DA02
4G169EE09
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC21
4H006BA09
4H006BA19
4H006BA29
4H006BA47
4H006BC10
4H006BE30
4H039CA19
4H039CF10
(57)【要約】
アルファ-オレフィンを生成するためのプロセスは、オリゴマ化反応条件下で、オリゴマ化反応ゾーンにおいて、エチレン供給物をオリゴマ化触媒系と接触させて、アルファ-オレフィンを含む生成物流を生成することを含み、触媒系は、金属配位子錯体及び共触媒を含み、オリゴマ化反応条件は、少なくとも115℃の反応温度を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファ-オレフィンを生成するためのプロセスであって、オリゴマ化反応条件下で、オリゴマ化反応ゾーンにおいて、エチレン供給物をオリゴマ化触媒系と接触させて、アルファ-オレフィンを含む生成物流を生成することを含み、前記触媒系が、金属配位子錯体及び共触媒を含み、前記オリゴマ化反応条件が、少なくとも115℃の反応温度を含む、プロセス。
【請求項2】
前記金属が、鉄であり、前記共触媒が、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記反応温度が、少なくとも121℃である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記反応温度が、115~127℃の範囲にある、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記反応温度が、118~127℃の範囲にある、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記反応温度が、121~127℃の範囲にある、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記オリゴマ化反応条件が、1~10MPaの範囲の圧力を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
入口温度及び出口温度を有する熱交換媒体を使用して、前記反応ゾーンの少なくとも一部分を冷却することを更に含み、前記反応温度と前記熱交換媒体の前記入口温度との間の差が、1~20℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記反応温度と前記熱交換媒体の前記入口温度との間の差が、1~15℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン供給物をオリゴマ化することによりアルファ-オレフィンを生成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンのようなオレフィンのオリゴマ化は、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び他の有用な直鎖アルファオレフィンを生成する。直鎖アルファオレフィンは、直鎖低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのための貴重なコモノマである。かかるオレフィンは、可塑剤アルコール、脂肪酸、洗浄用アルコール、ポリアルファオレフィン、油田掘削流体、潤滑油添加剤、直鎖アルキルベンゼン、アルケニルコハク酸無水物、アルキルジメチルアミン、ジアルキルメチルアミン、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩、塩素化オレフィン、直鎖メルカプタン、アルミニウムアルキル、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、及び他の化学物質の生成における化学中間体としても価値がある。
【0003】
米国特許第6,683,187号は、直鎖アルファオレフィンを形成するためのエチレンオリゴマ化のためのビス(アリールイミノ)ピリジン配位子、触媒前駆体及びこの配位子から誘導される触媒系を記載している。この特許は、Schulz-Floryオリゴマ化生成物分布を有する直鎖アルファオレフィンの生成物を教示している。かかるプロセスでは、広範囲のオリゴマが生成され、各オレフィンの分率は、K-因子に基づいて計算によって判定することができる。K-因子は、(Cn+2)/Cnのモル比であり、式中、nは直鎖アルファオレフィン生成物中の炭素数である。
【0004】
所望のK-因子及び生成物品質を有するオリゴマ化生成物分布を提供する改良されたプロセスを開発することは有利であろう。更に、ファウリング又はポリマ形成によって引き起こされる問題を防止することが有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,683,187号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、アルファ-オレフィンを生成するためのプロセスを提供し、オリゴマ化反応ゾーンにおいて、オリゴマ化反応条件下でエチレン供給物をオリゴマ化触媒系と接触させて、アルファ-オレフィンを含む生成物流を生成することを含み、触媒系は、金属配位子錯体及び共触媒を含み、オリゴマ化反応条件は、少なくとも115℃の反応温度を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例1の反応温度及び循環流を描写している。
【
図2】実施例2の反応温度及び循環流を描写している。
【
図3】実施例3に説明されている実験についての反応温度及び熱伝達係数を描写している。
【
図4】実施例で使用されるパイロットプラント構成を描写している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本プロセスは、オリゴマ化条件下でオリゴマ化反応ゾーンにおいてオリゴマ化触媒系及び共触媒と接触させることによって、オレフィン供給物を高級オリゴマ生成物流に変換することを含む。一実施形態では、エチレン供給物を、オリゴマ化条件下で鉄配位子錯体及び修飾メチルアルミノキサンと接触させて、特定のk-因子を有するアルファオレフィンの生成物スレートを生成し得る。
【0009】
オレフィン供給物
本プロセスへのオレフィン供給物は、エチレンを含む。供給物はまた、3~8個の炭素原子を有するオレフィンを含み得る。エチレンは、不純物、特に反応、生成物品質に影響を与えるか又は触媒を損傷する不純物を除去するために前処理され得る。一実施形態では、エチレンが乾燥させられて、水を除去し得る。別の実施形態では、エチレンが処理されて、エチレンの酸素含有量を低減し得る。当業者に既知の任意の前処理方法を使用して、供給物を前処理することができる。
【0010】
オリゴマ化触媒
オリゴマ化触媒系は、本明細書に更に説明されるような1つ以上のオリゴマ化触媒を含み得る。オリゴマ化触媒は、オリゴマ化プロセスに触媒作用を及ぼすために有効な金属配位子錯体である。配位子は、ビス(アリールイミノ)ピリジン化合物、ビス(アルキルイミノ)ピリジン化合物又は混合アリール-アルキルイミノピリジン化合物を含み得る。
【0011】
配位子
一実施形態では、配位子は、ピリジンビス(イミン)基を含む。配位子は、式Iの構造を有するビス(アリールイミノ)ピリジン化合物であり得る。
【0012】
【0013】
式中、R1、R2及びR3は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基又は不活性官能基である。式中、R4及びR5は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、又は不活性官能基である。式中、R6及びR7は、各々独立して、式IIに示されるアリール基である。1つの配位子上の2つのアリール基(R6及びR7)は、同じ又は異なり得る。
【0014】
【0015】
式中、R8、R9、R10、R11、R12は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、不活性官能基、フッ素、又は塩素である。互いに隣接するR1~R3及びR9~R11のいずれか2つは、一緒になって、環を形成し得る。R12は、R11、R4又はR5と一緒になって、環を形成し得る。R2及びR4又はR3及びR5は、一緒になって、環を形成し得る。
【0016】
ヒドロカルビル基は、炭素及び水素のみを含有する基である。この基の炭素原子数は、好ましくは1~30の範囲である。
【0017】
任意選択的に置換されたヒドロカルビルは、1つ以上の「不活性」ヘテロ原子含有官能基を任意選択的に含有するヒドロカルビル基である。不活性とは、官能基が、オリゴマ化プロセスをいかなる実質的な度合でも妨害しないことを意味する。これらの不活性基の例としては、適切な立体遮蔽を有するフッ化物、塩化物、ヨウ化物、スタンナン、エーテル、水酸化物、アルコキシド、及びアミンが挙げられる。任意選択的に置換されたヒドロカルビル基は、一級、二級、及び三級炭素原子基を含み得る。
【0018】
一級炭素原子基は、-CH2-R基であり、式中、Rは、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、又は不活性官能基であり得る。一級炭素原子基の例としては、-CH3、-C2H5、-CH2Cl、-CH2OCH3、-CH2N(C2H5)2、及び-CH2Phが挙げられる。二級炭素原子基は、-CH-R2又は-CH(R)(R’)基であり、式中、R及びR’は、任意選択的に置換されたヒドロカルビル又は不活性官能基であり得る。二級炭素原子基の例としては、-CH(CH3)2、-CHCl2、-CHPh2、-CH(CH3)(OCH3)、-CH=CH2、及びシクロヘキシルが挙げられる。三級炭素原子基は、-C-(R)(R’)(R”)基であり、式中、R、R’、及びR”は、任意選択的に置換されたヒドロカルビル又は不活性官能基であり得る。三級炭素原子基の例としては、-C(CH3)3、-CCl3、-C≡CPh、1-アダマンチル、及び-C(CH3)2(OCH3)が挙げられる。
【0019】
不活性官能基は、オリゴマ化条件下で不活性である、任意選択的に置換されたヒドロカルビル以外の基である。不活性は、上で提供したものと同じ意味を有する。不活性官能基の例としては、ハライド、エーテル、及びアミン、特に三級アミンが挙げられる。
【0020】
R1~R5、R8~R12及びR13~R17の置換基の変形は、配位子の他の特性、例えば、非極性溶媒中での溶解性を向上させるように選択され得る。式3に示される構造を有する可能なオリゴマ化触媒のいくつかの実施形態を以下に更に説明する。
【0021】
【0022】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R11及びR14~R16は水素であり、R8、R12、R13及びR17はフッ素である。
【0023】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8、R10、R12、R14及びR16は水素であり、R13、R15及びR17はメチルであり、R9及びR11はtert-ブチルである。
【0024】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8、R12、R14及びR16は水素であり、R13、R15及びR17はメチルであり、R9及びR11はフェニルであり、R10はアルコキシである。
【0025】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8、R10、R11及びR14~R16は水素であり、R9及びR12はメチルであり、R13及びR17はフッ素である。
【0026】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R3、R9~R11及びR14~R16は水素であり、R4及びR5はフェニルであり、R8、R12、R13及びR17はフッ素である。
【0027】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8~R9及びR11~R12、R13~R14及びR16~R17は水素であり、R10及びR15はフッ素である。
【0028】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8、R10、R12、R13、R15、及びR17は水素であり、R9、R11、R14及びR16はフッ素である。
【0029】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9、R11~R12、R14及びR16~R17は水素であり、R8、R10、R13及びR15はフッ素である。
【0030】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8~R9、R11~R12、R14及びR16は水素であり、R10はtert-ブチルであり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0031】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R12、R14及びR16は水素であり、R8はフッ素であり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0032】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R12、R13、R15及びR17は水素であり、R8はtert-ブチルであり、R14及びR16はメチルである。
【0033】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R12、R13~R14及びR16~R17は水素であり、R8及びR15はtert-ブチルである。
【0034】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R10、R13~R14及びR16~R17は水素であり、R15はtert-ブチルであり、R11及びR12は一緒になってアリール基を形成する。
【0035】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R12、R14~R17は水素であり、R8及びR13はメチルである。
【0036】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8~R9、R11~R12、R14及びR16は水素であり、R10はフッ素であり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0037】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8、R10、R12、R14及びR16は水素であり、R9及びR11はフッ素であり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0038】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8~R9、R11~R12、R14及びR16は水素であり、R10はアルコキシであり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0039】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8~R9、R11~R12、R14及びR16は水素であり、R10はシリルエーテルであり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0040】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R5、R10、R12、R14~R16は水素であり、R9及びR11はメチルであり、R13及びR17はエチルである。
【0041】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R12及びR14~R17は水素であり、R8及びR13はエチルである。
【0042】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R11及びR14~R16は水素であり、R8、R12、R13及びR17は塩素である。
【0043】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9、R11、R14及びR16は水素であり、R8、R10、R12、R13、R15及びR17はメチルである。
【0044】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R10、R12、R14~R15及びR17は水素であり、R8、R11、R13及びR16はメチルである。
【0045】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R17は水素である。
【0046】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8、R10、R12、R13、R15及びR17は水素であり、R9、R11、R14及びR16はtert-ブチルである。
【0047】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8~R12、R14及びR16は水素であり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0048】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9、R11~R12、R14及びR16は水素であり、R8及びR10はフッ素であり、R13、R15及びR17は、メチルである。
【0049】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9、R11~R12、R14及びR16~R17は水素であり、R8、R10、R13及びR15はメチルである。
【0050】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R11、及びR14~R16は水素であり、R8及びR12は塩素であり、R13及びR17はフッ素である。
【0051】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8、R10、R12、R14及びR16は水素であり、R9、R11、R13、R15及びR17はメチルである。
【0052】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R11及びR13~R14及びR16~R17は水素であり、R8及びR12は塩素であり、R15はtert-ブチルである。
【0053】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R11及びR13~R17は水素であり、R8及びR12は塩素である。
【0054】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R12及びR14~R17は水素であり、R8及びR13は塩素である。
【0055】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9、R11~R12、R14及びR16~R17は水素であり、R8、R10、R13及びR15は塩素である。
【0056】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9、R11~R12及びR14及びR16~R17は水素であり、R10及びR15はメチルであり、R8及びR13は塩素である。
【0057】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R11及びR13~R14及びR16~R17は水素であり、R15はフッ素であり、R8及びR12は塩素である。
【0058】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R8~R9、R11~R12、R14~R15及びR17が水素であり、R10はtert-ブチルであり、R13及びR16はメチルである。
【0059】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R11、R14及びR16が水素であり、R8及びR12はフッ素であり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0060】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R10、R12、R14~R15及びR17は水素であり、R8及びR13はメチルであり、R11及びR16はイソプロピルである。
【0061】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R12及びR14~R16は水素であり、R8はエチルであり、R13及びR17はフッ素である。
【0062】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R2~R5、R9~R10、R12、R14~R15及びR17は水素であり、R1はメトキシであり、R8、R11、R13及びR16はメチルである。
【0063】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R2~R5、R8~R12、R14及びR16は水素であり、R1はメトキシであり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0064】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R2~R5、R9~R12、及びR14~R17は水素であり、R1はメトキシであり、R8及びR13はエチルである。
【0065】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R2~R5、R9、R11~R12、R14及びR16~R17は水素であり、R1はtert-ブチルであり、R8、R10、R13及びR15はメチルである。
【0066】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R2~R5、R8~R12、R14及びR16は水素であり、R1はtert-ブチルであり、R13、R15及びR17はメチルである。
【0067】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R2~R5、R9、R11、R14及びR16は水素であり、R1はメトキシであり、R8、R10、R12、R13、R15及びR17はメチルである。
【0068】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R2~R5、R9、R11、R14及びR16は水素であり、R1はアルコキシであり、R8、R10、R12、R13、R15及びR17はメチルである。
【0069】
一実施形態では、式IIIの配位子が提供され、式中、R2~R5、R9、R11、R14及びR16は水素であり、R1はtert-ブチルであり、R8、R10、R12、R13、R15及びR17はメチルである。
【0070】
別の実施形態では配位子は、式Iの構造を有する化合物であり得、式中、R6及びR7のうちの1つは、式IIに示されるアリールであり、R6及びR7のうちの1つは、式IVに示されるピリジルである。別の実施形態では、R6及びR7は、ピロリルであり得る。
【0071】
【0072】
式中、R1、R2及びR3は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、又は不活性官能基である。式中、R4及びR5は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、又は不活性官能基である。式中、R8~R12及びR18~R21は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、不活性官能基、フッ素、又は塩素である。互いに隣接するR1~R3及びR9~R11のいずれか2つは、一緒になって、環を形成し得る。R12は、R11、R4又はR5と一緒になって、環を形成し得る。R2及びR4又はR3及びR5は、一緒になって、環を形成し得る。
【0073】
【0074】
一実施形態では、式Vの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9、R11及びR18~R21は水素であり、R8、R10及びR12はメチルである。
【0075】
一実施形態では、式Vの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R11及びR18~R21は水素であり、R8及びR12はエチルである。
【0076】
別の実施形態では、配位子は、式Iの構造を有する化合物であり得、式中、R6及びR7のうちの1つは、式IIに示されるアリールであり、R6及びR7のうちの1つは、式VIに示されるシクロヘキシルである。別の実施形態では、式中、R6及びR7は、シクロヘキシルであり得る。
【0077】
【0078】
式中、R1、R2及びR3は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、又は不活性官能基である。式中、R4及びR5は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、又は不活性官能基である。式中、R8~R12及びR22~R26は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、不活性官能基、フッ素、又は塩素である。互いに隣接するR1~R3及びR9~R11のいずれか2つは、一緒になって、環を形成し得る。R12は、R11、R4又はR5と一緒に環を形成し得る。R2及びR4又はR3及びR5は、一緒になって、環を形成し得る。
【0079】
【0080】
一実施形態では、式VIIの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9、R11及びR22~R26は水素であり、R8、R10及びR12はメチルである。
【0081】
別の実施形態においてR6及びR7は、アダマンチル又は別のシクロアルカンであり得る。
【0082】
別の実施形態では、配位子は、式Iの構造を有する化合物であり得、式中、R6及びR7のうちの1つは、式IIに示されるアリールであり、R6及びR7のうちの1つは、式VIIIに示されるフェロセニルである。別の実施形態では、R6及びR7は、フェロセニルであり得る。
【0083】
【0084】
式中、R1、R2及びR3は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、又は不活性官能基である。式中、R4及びR5は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、又は不活性官能基である。式中、R8~R12及びR27~R35は、各々独立して、水素、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、ヒドロキソ、シアノ基、不活性官能基、フッ素、又は塩素である。R1~R3、及びR9~R11のうち互いに隣接する任意の2つは、一緒になって、環を形成し得る。R12は、R11、R4又はR5と一緒になって、環を形成し得る。R2及びR4又はR3及びR5は、一緒になって、環を形成し得る。
【0085】
【0086】
一実施形態では、式IXの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9、R11及びR27~R35は水素であり、R8、R10及びR12はメチルである。
【0087】
一実施形態では、式IXの配位子が提供され、式中、R1~R5、R9~R11、及びR27~R35は水素であり、R8及びR12はエチルである。
【0088】
別の実施形態では、配位子は、ビス(アルキルアミノ)ピリジンであり得る。アルキル基は、1~50個の炭素原子を有し得る。アルキル基は、一級、二級、又は三級アルキル基であり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され得る。アルキル基は、任意のn-アルキル又は5個以上の炭素原子を有するn-アルキルの構造異性体、例えば、n-ペンチル、2-メチル-ブチル、及び2,2-ジメチルプロピルから選択され得る。
【0089】
別の実施形態では、配位子は、2つのアルキル基が異なるアルキル-アルキルイミノピリジンであり得る。ビス(アルキルアミノ)ピリジンに好適なものとして上述したアルキル基のいずれも、このアルキル-アルキルイミノピリジンにも好適である。
【0090】
別の実施形態では、配位子は、アリールアルキルイミノピリジンであり得る。アリール基は、ビス(アリールイミノ)ピリジン化合物に関して説明したアリール基のいずれかと同様の性質のものであり得、アルキル基は、ビス(アルキルアミノ)ピリジン化合物に関して説明したアルキル基のいずれかと同様の性質のものであり得る。
【0091】
本明細書の上記で説明した配位子構造に加えて、これらの配位子の任意の2つ以上の特徴を組み合わせた任意の構造が、このプロセスに好適な配位子であり得る。更に、オリゴマ化触媒系は、説明されたオリゴマ化触媒のいずれか1つ以上の組み合わせを含み得る。
【0092】
配位子供給原料は、0~10重量%のビスイミンピリジン不純物、好ましくは0~1重量%のビスイミンピリジン不純物、最も好ましくは0~0.1重量%のビスイミンピリジン不純物を含有し得る。この不純物は、反応器中でポリマの形成を引き起こすと考えられるので、触媒系中に存在するこの不純物の量を制限することが好ましい。
【0093】
一実施形態では、ビスイミンピリジン不純物は、式IIの配位子であり、式中、R8、R12、R13、及びR17のうちの3つは、各々独立して、任意選択的に置換されたヒドロカルビルである。
【0094】
一実施形態では、ビスイミンピリジン不純物は、R8、R12、R13、及びR17のうちの4つ全てが、各々独立して、任意選択的に置換されたヒドロカルビルである式IIの配位子である。
【0095】
金属
金属は、遷移金属であり得、金属は、好ましくは式MXnを有する化合物として存在し、式中、Mは、金属であり、Xは、モノアニオンであり、nは、モノアニオンの数(及び金属の酸化状態)を表す)である。
【0096】
金属は、任意の4~10族遷移金属を含むことができる。金属は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、及びロジウムからなる群から選択することができる。一実施形態では、金属は、コバルト又は鉄である。好ましい実施形態では、金属は、鉄である。金属化合物の金属は、2~6の任意の正の形式酸化状態を有することができ、好ましくは2又は3である。
【0097】
モノアニオンは、ハライド、カルボキシレート、ジケトネート、ヒドロカルボキシド、任意選択的に置換されたヒドロカルビル、アミド、又はヒドリドを含み得る。ヒドロカルボキシドは、アルコキシド、アリールオキシド、又はアラルコキシドであり得る。ハライドは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり得る。
【0098】
カルボキシレートは、任意のC1~C20カルボキシレートであり得る。カルボキシレートは、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエート、ノナノエート、デカノエート、ウンデカノエート、又はドデカノエートであり得る。加えて、カルボキシレートは、2-エチルヘキサン酸塩又はトリフルオロ酢酸塩であり得る。
【0099】
β-ジケトネートは、任意のC1~C20β-ジケトネートであり得る。β-ジケトネートは、アセチルアセトネート、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、又はベンゾイルアセトネートであり得る。
【0100】
ヒドロカルボキシドは、任意のC1~C20ヒドロカルボキシドであり得る。ヒドロカルボキシドは、C1~C20アルコキシド、又はC6~C20アリールオキシドであり得る。アルコキシドは、メトキシド、エトキシド、プロポキシド(例えば、イソ-プロポキシド)、又はブトキシド(例えば、tert-ブトキシド)であり得る。アリールオキシドは、フェノキシドであり得る。一般に、モノアニオンの数は、金属原子の形式酸化状態に等しい。金属化合物の好ましい実施形態としては、鉄アセチルアセトネート、塩化鉄、及び鉄ビス(2-エチルヘキサノアート)が挙げられる。オリゴマ化触媒に加えて、共触媒が、オリゴマ化反応において使用される。
【0101】
共触媒
共触媒は、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基又はヒドリド基を触媒の金属原子に転移させることができ、また金属原子MからX基を引き抜くこともできる化合物であり得る。共触媒は、電子移動試薬として機能するか、又は活性触媒に立体障害のある対イオンを提供することもできる。
【0102】
共触媒は、2つの化合物、例えば、任意選択的に置換されたヒドロカルビル基又はヒドリド基を金属原子Mに転移することができる1つの化合物と、金属原子Mからx-基を引き抜くことができる別の化合物と、を含み得る。任意選択的に置換されたヒドロカルビル又はヒドリド基を金属原子Mに転移するのに好適な化合物としては、有機アルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物、グリニャール、アルキルスズ、及びアルキル亜鉛化合物が挙げられる。金属原子MからX基を引き抜くのに好適な化合物としては、SbF5、BF3及びAr3Bなどの強中性ルイス酸が挙げられ、式中、Arは、C6F5又は3,5-(CF3)2C6H3などの強電子求引性アリール基である。中性ルイス酸供与体分子は、ルイス塩基として好適に作用し得る化合物、例えば、エーテル、アミン、スルフィド、及び有機ニトリルである。
【0103】
共触媒は好ましくは有機アルミニウム化合物であり、これは、アルキルアルミニウム化合物、アルミノキサン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0104】
アルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムアルコキシド、又はそれらの組み合わせであり得る。アルキルアルミニウム化合物のアルキル基は、任意のC1~C20アルキル基であり得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、又はオクチルであり得る。アルキル基は、イソアルキル基であり得る。
【0105】
トリアルキルアルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum、TMA)、トリエチルアルミニウム(triethylaluminum、TEA)、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリヘプチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、又はそれらの混合物を含み得る。トリアルキルアルミニウム化合物は、トリ-n-プロピルアルミニウム(tri-n-propylaluminum、TNPA)、トリ-n-ブチルアルミニウム(tri-n-butylaluminum、TNBA)、トリ-イソ-ブチルアルミニウム(tri-iso-butylaluminum、TIBA)、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム(tri-n-octylaluminum、TNOA)を含み得る。
【0106】
アルキルアルミニウムハライドのハライド基は、塩化物、臭化物、又はヨウ化物であり得る。アルキルアルミニウムハライドは、ジエチルアルミニウム塩化物、ジエチルアルミニウム臭化物、エチルアルミニウムジ塩化物、エチルアルミニウムセスキ塩化物、又はこれらの混合物であり得る。
【0107】
アルキルアルミニウムアルコキシドのアルコキシド基は、任意のC1~C20アルコキシ基であり得る。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、又はオクトキシであり得る。アルキルアルミニウムアルコキシドは、ジエチルアルミニウムエトキシドであり得る。
【0108】
アルミノキサン化合物は、メチルアルミノキサン(methylaluminoxane、MAO)、エチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン(modified methylaluminoxane、MMAO)、n-プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、n-ブチルアルミノキサン、sec-ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、1-ペンチル-アルミノキサン、2-ペンチル-アルミノキサン、3-ペンチル-アルミノキサン、イソペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、又はそれらの混合物であり得る。
【0109】
好ましい共触媒は、修飾メチルアルミノキサンである。修飾メチルアルミノキサンの合成は、トリメチルアルミニウムに加えて他のトリアルキルアルミニウム化合物の存在下で実行され得る。生成物は、添加されたトリアルキルアルミニウムからメチル基及びアルキル基の両方を組み込み、修飾メチルアルミノキサン、MMAOと呼ばれる。MMAOは、非極性反応媒体中でより可溶性であり、貯蔵に対してより安定であり、共触媒として向上した性能を有するか、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。得られたMMAOの性能は、トリアルキルアルミニウム出発物質又は2つの出発物質の単純な混合物のいずれよりも優れている可能性がある。添加されるトリアルキルアルミニウムは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、又はトリイソオクチルアルミニウムであり得る。一実施形態では、共触媒は、MMAOであり、好ましくはメチル基の約25%がイソブチル基で置換されている。
【0110】
一実施形態では、共触媒は、適切な前駆体を反応器内に供給することによって反応器内でその場で形成され得る。
【0111】
溶媒
1種以上の溶媒が、反応に使用され得る。溶媒は、触媒若しくは共触媒を溶解若しくは懸濁させ、かつ/又はエチレンを溶解した状態に保つために使用され得る。溶媒は、これらの成分又は反応生成物のいずれかの溶解性を改変することができる任意の溶媒であり得る。好適な溶媒としては、炭化水素、例えば、アルカン、アルケン、シクロアルカン、及び芳香族化合物が挙げられる。異なる溶媒が、本プロセスで使用され得、例えば、1つの溶媒を触媒に使用し、別の溶媒を共触媒に使用することができる。溶媒は、これが生成物分離工程をより困難にするので、アルファオレフィン生成物のいずれかの沸点とも実質的に類似しない沸点を有することが好ましい。
【0112】
芳香族化合物
芳香族化合物溶媒は、好ましくは炭素数6~20の芳香族炭化水素を含有する任意の溶媒であり得る。これらの溶媒は、純粋な芳香族化合物、又は純粋な芳香族化合物の混合物、異性体並びにより重い溶媒、例えばC9及びC10溶媒を含み得る。好適な芳香族溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン(オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン及びそれらの混合物を含む)及びエチルベンゼンが挙げられる。
【0113】
アルカン
アルカン溶媒は、アルキル炭化水素を含有する任意の溶媒であり得る。これらの溶媒には、3~20個の炭素原子を有する直鎖状アルカン及び分岐又はイソアルカン、及びこれらのアルカンの混合物が含まれ得る。アルカンは、シクロアルカンであり得る。好適な溶媒としては、プロパン、イソブタン、n-ブタン、ブタン(n-ブタン又は直鎖及び分岐C4非環式アルカンの混合物)、ペンタン(n-ペンタン又は直鎖及び分岐鎖非環式アルカンの混合物)、ヘキサン(n-ヘキサン又は直鎖及び分岐鎖C6非環式アルカンの混合物)、ヘプタン(n-ヘプタン又は直鎖及び分岐鎖C7非環式アルカンの混合物)、オクタン(n-オクタン又は直鎖及び分岐鎖C6非環式アルカンの混合物)、並びにイソオクタンが挙げられる。好適な溶媒としては、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンも挙げられる。一実施形態では、溶媒は、C6、C7及びC8アルカンを含み、これらは、直鎖、分岐、及びイソアルカンを含み得る。
【0114】
触媒系
触媒系は、配位子、金属、共触媒及び任意選択的な追加の化合物を溶媒中で一緒に混合することによって形成され得る。供給物は、この工程で存在し得る。
【0115】
一実施形態では、触媒系は、金属又は金属化合物を配位子と接触させて触媒前駆体混合物を形成し、次いで触媒前駆体混合物を反応器中で共触媒と接触させて触媒系を形成することによって調製され得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、触媒系は、反応容器の外側で調製され、反応容器に供給され得る。他の実施形態では、触媒系は、触媒系の成分の各々を別々に反応器に通すことによって反応容器内で形成され得る。他の実施形態では、1つ以上の触媒前駆体は、反応器の外側で少なくとも2つの成分を組み合わせ、次いで1つ以上の触媒前駆体を反応器に通して触媒系を形成することによって形成され得る。
【0117】
反応条件
オリゴマ化反応は、オリゴマ化触媒及び共触媒の存在下でオレフィン供給物をより高級オリゴマ生成物流に変換する反応である。
【0118】
温度
典型的なオリゴマ化反応は、-100℃~300℃の温度範囲にわたって行われ得る。本発明のオリゴマ化反応条件は、少なくとも115℃の反応温度を含む。反応温度は、好ましくは少なくとも121℃である。反応温度は、115℃~127℃の範囲、好ましくは118℃~127℃の範囲、より好ましくは121℃~127℃の範囲である。
【0119】
このプロセスで生成されるアルファ-オレフィンに加えて、本明細書で説明されるオリゴマ化反応はまた、副反応によって高級オレフィン(26より大きい炭素数を有する)及び場合によってはいくらかのポリエチレンを生成する。これらの高級オレフィン及びポリエチレンは、反応器及びオリゴマ化系の物理的表面を汚染する可能性がある。加えて、オリゴマ化系を通る流れの低減をもたらし得るウェブ状ポリマが反応器及びオリゴマ化系内で形成されることが観察されている。反応器を少なくとも115℃の温度で動作させることによって、高級オレフィン及びポリエチレンは溶液中に留まり、反応器から出る溶媒及び生成物の流れによって反応器から運ばれる。触媒活性は、より高い温度によって悪影響を受けるので、触媒活性を循環流とバランスさせる温度で動作させることが重要である。
【0120】
本発明がなければ、高級オレフィン及びポリエチレンを除去するために反応器を定期的に停止しなければならず、その結果、かなりの停止時間をもたらす。
【0121】
圧力
オリゴマ化反応は、0.01~15MPa、より好ましくは1~10MPaの圧力で行われ得る。
【0122】
オリゴマの収率を最大化し、競合反応、例えば二量化及び重合などの競合する反応の影響を最小限に抑えるために、特定の触媒系に使用される温度及び圧力の最適条件は、当業者によって判定することができる。温度及び圧力は、0.40~0.90の範囲、好ましくは0.45~0.80の範囲、より好ましくは0.5~0.7の範囲のK-因子を有する生成物スレートを産するように選択される。
【0123】
滞留時間
触媒の活性に依存して、3~60分の反応器中の滞留時間が好適であることが見出された。一実施形態では反応は、空気及び水分の非存在下で実行される。
【0124】
気相、液相又は気液混合相
オリゴマ化反応は、反応条件における供給物及び生成物オレフィンの揮発性に応じて、液相又は気液混合相で実行することができる。
【0125】
反応器タイプ
オリゴマ化反応は、従来の形態で実行され得る。溶媒、オレフィン、及び触媒若しくは触媒前駆体を撹拌タンクに連続的に添加し、溶媒、生成物、触媒及び未使用の反応物を撹拌タンクから除去し、生成物を分離し、未使用の反応物を撹拌タンクに再循環して戻す撹拌タンク反応器中で実行され得る。
【0126】
別の実施形態ではオリゴマ化反応は、バッチ反応器内で実行され得、この場合、触媒前駆体及び反応物オレフィンをオートクレーブ又は他の容器に充填し、適切な時間反応させた後、生成物を従来の手段、例えば、蒸留によって反応混合物から分離する。
【0127】
別の実施形態では、オリゴマ化反応は、ガスリフト反応器内で実行され得る。このタイプの反応器は、2つの垂直セクション(ライザセクション及びダウンカマセクション)及び頂部にガス分離器を有する。ガス供給物(エチレン)は、ライザセクションの底部で注入されて、ループの周りを循環駆動する(ライザセクションを上昇し、ダウンカマセクションを下降する)。このタイプの反応器は、ファウリング及びウェブ状ポリマの形成に特に敏感である可能性があり、反応器系におけるこれらのポリマの形成は、流路を部分的に遮断することによって抵抗が生じるので、循環流を著しく低減させる可能性がある。
【0128】
別の実施形態では、オリゴマ化反応は、ポンプループ反応器内で行われ得る。このタイプの反応器は、2つの垂直セクションを有し、ループの周りの循環を駆動するためにポンプを使用する。ポンプループ反応器は、ガスリフト反応器よりも高い循環速度で動作させることができる。この同じ効果は、ポリマがポンプインペラ又は他の表面を汚染する傾向があるため、ループ周りのポンプにも影響を及ぼす可能性が高い。
【0129】
別の実施形態では、オリゴマ化反応は、貫流反応器内で実行され得る。このタイプの反応器は、触媒、共触媒、溶媒、及びエチレンを反応器の入口に及び/又は反応器の長さに沿って供給し、生成物は、反応器出口で収集される。このタイプの反応器の一例は、プラグフロー反応器である。
【0130】
触媒の不活性化
オリゴマ化反応で生成される高級オリゴマは、反応工程からの触媒を含有する。副生成物及び他の望ましくない成分を生成し得る更なる反応を停止させるために、反応器から下流の触媒を不活性化することが重要である。
【0131】
一実施形態では、触媒は、25未満のpKA(aq)を有する酸性種の添加によって不活性化される。次に、不活性化された触媒を液/液抽出器中で水洗することによって除去することができる。
【0132】
生成物の分離
得られるアルファ-オレフィンは、4~100個の炭素原子、好ましくは4~30個の炭素原子、最も好ましくは4~20個の炭素原子の鎖長を有する。アルファ-オレフィンは、偶数アルファ-オレフィンである。
【0133】
生成物オレフィンは、生成物の使用目的に応じて、蒸留又は他の分離技術によって回収することができる。反応に使用される溶媒は、好ましくは、分離をより容易にするために、アルファ-オレフィン生成物のいずれの沸点とも異なる沸点を有する。
【0134】
一実施形態では、蒸留工程は、エチレンと、主要な直鎖アルファオレフィン生成物、例えば、ブテン、ヘキセン、及びオクテンと、を分離するためのカラムを含む。
【0135】
生成物の品質及び特性
本プロセスによって生成される生成物は、多くの用途に使用され得る。このプロセスによって生成されるオレフィンは、他のプロセスによって生成されるオレフィンと比較して改善された品質を有し得る。一実施形態では、生成されたブテン、ヘキセン及び/又はオクテンは、ポリエチレンを生成する際のコモノマとして使用され得る。一実施形態では、生成されたオクテンは、可塑剤アルコールを生成するために使用され得る。一実施形態では、生成されたデセンは、ポリアルファオレフィンを生成するために使用され得る。一実施形態では、生成されたドデセン及び/又はテトラデセンは、アルキルベンゼン及び/又は洗浄用アルコールを生成するために使用され得る。一実施形態では、生成されたヘキサデセン及び/又はオクタデセンは、アルケニルスクシネート及び/又は油田化学物質を生成するために使用され得る。一実施形態では、C20+生成物は、潤滑油添加剤及び/又はワックスを生成するために使用され得る。
【0136】
再循環
生成物とともに反応器から除去される任意の未反応エチレンの一部分は、反応器に再循環され得る。このエチレンは、生成物を分離するために使用される蒸留工程において回収され得る。エチレンは新鮮なエチレン供給物と組み合わされ得るか、又はそれは反応器に別々に供給され得る。
【0137】
反応において使用される任意の溶媒の一部は、反応器に再循環され得る。溶媒は、生成物を分離するために使用される蒸留工程において回収され得る。
【実施例】
【0138】
以下の実施例は、115℃未満の反応温度でエチレンオリゴマ化パイロットプラントを動作させる場合に起こる悪影響を示す。実施例1及び実施例2は、エチレン供給物、及び溶媒中2.9ppmwのアルミニウム濃度のMMAO共触媒を用いて、ガスリフト反応器において3.9MPa下で実行された。実施例1及び実施例2は、鉄/配位子オリゴマ化触媒を用いずに、MMAO共触媒を用いて行われる。これらの実施例は、
図4に描写され、本明細書で更に説明されるガスリフト反応器内で実行された。
【0139】
図4は、アルファオレフィン(alpha olefins、AO)を生成するためのガスリフトループ反応器として連続供給で動作させたエチレンオリゴマ化反応器を描写している。反応器容積は、9.5Lであり、典型的な循環速度は、0.6~1.1m/秒である。ガスリフト反応器のための循環は、ライザ110の底部でエチレンを注入することによって提供される。ライザ内のガスホールドアップは、ライザ110とダウンカマ120との間に水頭圧差を生じさせ、ダウンカマを下ってライザを上る液体循環駆動させる。
【0140】
ライザ及びダウンカマは各々、発熱オリゴマ化反応から熱を除去するための外側熱交換器シェルを有する同軸パイプである。熱交換器内の熱伝達流体は、水であり、各熱交換器は、入口及び出口に内部温度インジケータプローブ、並びに反応熱を定量化するための質量流量コントローラを有する。反応器温度は、始動のために反応器を予熱するか、又はオリゴマ化反応から反応熱を除去するために、ジャケット付き水加熱系によって制御される。ガスリフト反応器の温度は、60~99℃に制御することができる。加熱系はまた、121~154℃の温度で溶融モードで動作することができる。
【0141】
エチレン供給物は、炭素床、モレキュラーシーブ床、次いで酸素除去床(図示せず)で前処理され、次いで反応器動作圧力より約345kPa高い圧力に圧縮され、制御弁を通して反応器に供給される。エチレンは、反応器動作圧力を2.8MPa~6.2MPaに維持するための圧力要求に応じて供給される。調節された0~18kg/時の新しいエチレン供給物200は、注入ノズル130を通して反応器底部で供給することによって、エチレンを反応ゾーンに提供する。エチレン再循環圧縮機140は、ガスリフトのためにエチレンを循環させ、0.45~18kg/時で動作する。
【0142】
溶媒供給物は、4.5~11.3kg/時の流量で提供される。溶媒は、触媒供給溶液と混合して反応器に入る前に、ダイヤフラムポンプを通して、次いで2つの制御弁を通して供給される。溶媒流は、制御弁を使用して2つの触媒供給流に分割される。
【0143】
反応器は、反応器ゾーンに供給される配位子、鉄、及びMMAO触媒溶液のための別個の供給ラインを使用することができる。
図4において、配位子及び鉄は、予備錯化され、単一の供給流210として添加される。MMAOは、ライン220を通して添加される。各触媒流は、触媒供給供給容器によって供給されるISCOポンプを通して供給される。ISCOポンプ出口は、反応器圧力で作動し、ポンプの供給速度範囲は、0.001~100ml/分である。MMAO及び配位子/鉄触媒供給物は各々、反応器に入る前に全溶媒再循環供給物の一部とブレンドされる。反応器頂部は、レベルを制御するためのヒートトレースパイプに液体をオーバーフローさせるオーバーヘッド分離器160を有する。下流弁は、オーバーフローパイプ内のレベルを制御し、この下流生成物流170は、蒸留されて、反応器に再循環される溶媒からAO生成物を分離する。液体反応器出口及び下流ラインは、127℃~160℃の温度を維持するために蒸気でヒートトレースされる。
【0144】
オーバーヘッド分離器の頂部を出る気相は、冷却器、次いで気体/液体分離器を通過して、再循環圧縮機140の上流で液体を除去する。この気相は、再循環ライン180を介して反応器底部に再循環して戻され、液体供給物は蒸留に送られる。
【0145】
実施例1
この実施例は、
図4に示されるガスリフト反応器において行われた。反応温度を
図1に示されるように調節し、得られた反応器を通る循環流も
図1に示される。この図から分かるように、循環流は、反応温度が235°F(112℃)であるときに著しく低下する。循環流は高温で最も高いが、触媒活性(高温で低減する傾向がある)と循環流との間にはバランスがある。240°F(115℃)及び245°F(118℃)で示される循環流は、より高い温度での循環流よりも低いが、循環流は、これらの温度でより安定している。
【0146】
実施例2
この実施例も、
図4に示されるガスリフト反応器において行われた。反応温度を
図2に示されるように調節し、得られた反応器を通る循環流も
図2に示される。この図から分かるように、循環流は、反応温度が235 112℃であるときに著しく低下する。115℃及び118℃で示される循環流は、より高い温度での循環流よりも低いが、循環流は、これらの温度でより安定している。
【0147】
結果から分かるように、ループ流は、反応温度に依存する。更に、循環流が低減される場合、温度を増加させることにより、より高い循環流を回復することができる。
【0148】
実施例3
この実施例は、
図4に示されるガスリフト反応器において行われた。複数回の実験を異なる温度で行い、表面ファウリングの結果を
図3に見ることができる。これは、反応器系中の熱伝達表面上へのポリエチレン及び高級オレフィンの堆積によって引き起こされる。ポリエチレンの形成は、オリゴマ化触媒系の副反応である。表面ファウリングは、場合によっては時間内に熱伝達係数の著しい低減をもたらす。
図3は、71、77、88、及び93℃の反応温度での4つの異なる実験についての熱伝達係数を示す。より低い温度での実験は、93℃で行われた実験よりも大きな程度で汚染する。表1は、各実験条件におけるポリマ選択性及び実験期間を示す。より高い動作温度では、溶融ポリマ選択性又は実験終了時に反応器中に残留するポリマが低減する。
【0149】
【国際調査報告】